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1965-04-28 第48回国会 衆議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十八日(水曜日)    午前十一時開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 三池  信君    理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君    理事 西宮  弘君      稻村左近四郎君    小渕 恵三君       大倉 三郎君    大野  明君       木村 武雄君    佐藤 孝行君       田村  元君    堀内 一雄君       山村治郎君    山本 幸雄君       渡辺 栄一君    渡辺美智雄君       金丸 徳重君    久保田鶴松君       兒玉 末男君    原   茂君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         建設政務次官  白浜 仁吉君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         郵政事務官         (簡易保険局資         金運用課長)  合田 淳一君         建設事務官         (河川局次長) 国宗 正義君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 四月二十二日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として玉  置一徳君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員篠田弘作辞任につき、その補欠として田  村元君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員天野光晴君、木部佳昭君、田村元君、丹羽  喬四郎君及び中嶋英夫辞任につき、その補欠  として山村治郎君、小渕恵三君、篠田弘作君、  渡辺美智雄君、及び兒玉末男君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員小渕恵三君、山村治郎君、渡辺美智雄君  及び兒玉末男辞任につき、その補欠として木  部佳昭君、天野光晴君、丹羽喬四郎君及び中嶋  英夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十二日  三多摩地区内の公営住宅払下げに関する請願外  七件(本島百合子紹介)(第二八五八号)  自転車専用道路建設に関する請願倉石忠雄君  紹介)(第二九六五号)  都市地下駐車場建設促進に関する請願藤枝泉  介君紹介)(第三〇二七号)  吉井川下流直轄河川事業促進に関する請願(星  島二郎紹介)(第三〇八八号)  備後工業整備特別地域倉吉地帯を結ぶ道路の  国道編入に関する請願星島二郎紹介)(第  三〇八九号)  発電水利使用料の改定に関する請願宇野宗佑  君紹介)(第三三五九号)  地代家賃統制令撤廃に関する請願瀬戸山三男  君紹介)(第三四四四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  関屋分水事業促進に関する陳情書  (第七八号)  東京湾周辺地域輸送交通路対策促進に関する  陳情書  (第七九号)  都市計画推進に関する陳情書  (第八〇号)  東北自動車道建設に関する陳情書  (第八一号)  地方道整備促進等に関する陳情書  (第八二号)  下水道事業整備促進等に関する陳情書外一件  (第八三号)  日南、八代間二級国道の一級国道指定等に関す  る陳情書  (第八四号)  二級国道二二〇号線を建設省直轄管理路線に指  定に関する陳情書  (第八五号)  公営住宅法の一部改正反対に関する陳情書  (第八六号)  治水新五箇年計画確立等に関する陳情書  (第一  五二号)  関東ローム地域道路整備促進に関する陳情書  (第一五三号)  都市改造対策確立に関する陳情書  (第一五四号)  東北自動車道早期建設等に関する陳情書  (第一九六号)  積雪寒冷地道路舗装改良事業費国庫補助等に  関する陳情書  (第二九七号)  公共事業建設費に対する国庫負担金基礎単  価引き上げに関する陳情書  (第二九八号)  公営住宅建設基準単価引き上げ等に関する陳  情書  (第二九九号)  北陸自動車道建設促進に関する陳情書  (第三〇〇号)  県道の整備促進に関する陳情書  (第三〇一号)  島原半島の二級国道貫通促進に関する陳情書  (第三〇二号)  対馬縦貫道路貫通促進に関する陳情書  (第三〇三号)  住宅団地造成規制等に関する陳情書  (第三〇四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方住宅供給公社法案内閣提出第二四号)  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本委員 久しぶり委員会でございますが、委員会が開かれますにつきまして、一応建設大臣から建設行政の、また、単に建設行政だけでなしに、国の行政の一般的な問題に通ずることであると思うのでありますが、大臣の御所見を承っておきたいと思います。  委員会が四月の七日に開かれまして、それから後長いこと開かれなかったのでありますが、その間の事情十分大臣は御承知であろうと思いますが、まず大臣にその理由を承りたいと思います。
  4. 小山長規

    小山国務大臣 この七日から今日まで委員会が開かれなかったいきさつについては、いろいろなうわさは聞いておりますけれども、確たるところは承知していないわけであります。
  5. 岡本隆一

    岡本委員 そういたしますと、なぜ開かれなかったかということは大臣は御承知でない、建設省全体として、そういう問題は御承知でない、したがって従来と何も改めるところはない、ただばく然と委員会が休まれておって、きょう久しぶりにやろうじゃないかということで開かれたというふうなことと御理解でありますと、だいぶ私ども考えが違うのでございます。それで、きょう委員会が再開されますにつきましては、やはり委員長大臣との間に何らかのお話があり、またそれについてはお互いに了解があって、その了解点に達した上で、きょう委員長委員会を開会されたものと私は理解しておるのであります。しかしながら、単に問題が明らかにされないままで、くすぶったような形で、そのまま霧散してしまうというふうなことでは、やはり後々のためによろしくない。こういう問題は、その所在をある程度明らかにしておいて、その上でわれわれもまた今後とも政府に対して御協力申し上げたらいい、私はこういう考えでおりますから、きょうお尋ねをしておるのでありますが、それじゃ大臣委員長の間に、この委員会の再開をめぐって、何もお話がなかったのか、非公式でもいいですが、何か話し合いがあって開かれたのか、その辺のことを、ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  6. 小山長規

    小山国務大臣 元来、委員会というものは国会側のものでありまして、国会側が開く開かないをおきめになることでありますから、いわゆるうわさ委員会を開会しなかったということとの間には、私は公式にはつながりはないものだと思っております。
  7. 岡本隆一

    岡本委員 国会委員会を開く開かぬはきめるのだ、もちろんそのとおりだと思います。しかしながら、この委員会が開かれなかったという理由につきましては、国会政府との間に、それぞれの仕事の分野におけるところの混同があったということですね。それで、国会国会分野を守って正常に運営し、政府がまた政府として、行政機関としての運営についてきちんと職分とすべき範囲を守ってやっておられたら、今度のような問題は起こらなかったと思うのです。そういうふうな点において、両者の認識の間に混乱があり、だんだんと乱れていっておるということですね。政府が、きちんと行政機関としての態度を守り、き然たる態度をもって行政運営に当たっておられたら、委員会がこんなに長期にわたって休まなければならなかった理由が存在しなかった。そういう点について単なるうわさとして聞いていた、うわさとして聞いていたから、それじゃかってにしよるだろう、鳴くまで待とうホトトギスで、今日、委員会が開かれるまで漫然と建設省はお待ちになっておられたのか、あるいは、法案の審査をめぐって、会期もだんだん終わりに近づいてくるし、やはり委員会を開いて正常な委員会運営をやってもらわぬと困るということで、委員長との間に当然政治的な折衝があったんじゃないかと私は思うのでございますが、それはいま大臣が言われたとおり、事実何もなかったとおっしゃるのか。
  8. 小山長規

    小山国務大臣 それは、委員長個人建設省の間に何かトラブルがあったことは聞いております。しかし、そのことと委員会が開かれなかったこととの間に関連があるというのはおかしいと思う。そういうことがあってはならぬはずでありまして、そのことのために委員会がおくれておるとは、私は思っておりません。これは、何か委員長の御都合があったり、あるいは委員会側の御都合があって、今日まで開かれなかったのだ、そう理解しないと、いかにもおかしなことになります。だから、そういう理解のもとに、私はいままで行動しておったわけであります。
  9. 岡本隆一

    岡本委員 大臣は、委員長個人というふうな表現をしておられますが、委員長個人建設省との間にトラブルがあったのではないと私は思っております。これはやはり委員長委員会運営をするについては、与党理事諸君ともいろいろお話をされるでございましょうし、また野党のわれわれにもお話がございます。また委員会をこれだけ長期に休むについては、委員長が独断でいつまでもこんなに開かれないというふうなことはあり得べきことじゃない。それにはやはりわれわれにも内々お話があり、われわれも委員長のその考え方に、それはよろしいというふうな内諾をいたしまして、それでこの委員会がこうして三週間にわたって開会されなかった、こういうことになるわけです。いわばこれは委員会のストライキといいますか、サボタージュといいますか、そういうふうな行為でございまして、委員会がこういうふうなサボタージュ行為をやるというふうなことが起こるについては、それにはやはりそれだけの原因がなければならぬわけでございます。われわれも国民の負託を受けて出てまいっておるところの国会議員でございます。ただ個人的な感情問題とかあるいは単純ないやがらせとか、そういうふうなことで、私たち国民から負託されておるところの義務を怠るわけにはまいりません。だからわれわれがそういうことをするということについては、やはり政府行政のあり方というものについて、私たちは、基本的な問題について、疑問なり、あるいはそれを正すべき点があるということを強く考えておるから、しているわけです。単にこれは建設省だけの問題でございません。しかしながら問題が建設省の中で非常に露骨に出てきたから、われわれ言っているわけでございまして、その点について政府のほうが何らの反省がないということでありますと、本日の委員会もほどほどでまた中止しなければならぬということになってまいりますが、いかがです。
  10. 小山長規

    小山国務大臣 ですから、先ほどから申し上げておるように、委員長建設省の間にトラブルがあって、それは確かにわれわれのほうも至らぬ点があったことは認めておるわけなんですが、そのことと委員会が開かれなかったことの間に関連があるというのは、私は、そういうことはあり得ない、こう思っておるわけであります。ですから、そういう面では、トラブルがありましたことについては、反省もし、そして今後厳重に注意をしていくわけですけれども、そのことと委員会が開かれなかったことについて関連があるということはあり得ない、私はこう思っているわけであります。
  11. 岡本隆一

    岡本委員 これは水かけ論のようでございますから、この程度にいたしておきますが、しかしながら、関連があり得ないのではない、関連があるから現実に委員会が開かれなかったという事実が存在するわけであります。  私はこの機会に、もう一度問題点を明らかにしておいて、今後の方針をはっきり大臣から承っておきたいと思うのでございますが、問題は、予算配分という行為行政行為です。そしてある積算の上に立って、もちろん予算を計上して積み上げてきておられますが、しかしながら、各府県に配分されたところの河川道路あるいは住宅その他の予算配分のこまかいことにつきましては、これはもう行政範囲内であって、われわれ立法府があまり介入すべきじゃない。また予算編成にいたしましても、これは本来は立法府の介入すべきことではない、政府の権限に属することなんであります。ところが、最近は、ここ数年前から、岸内閣あたりからそれが顕著になってまいりましたけれども予算編成期になりますと、どんどん陳情運動が行なわれ、しかもそれに国会議員が動員されて、猛烈な予算獲得運動が行なわれ、そのために圧力団体が非常に、悪いことばで申しますと、跳梁してまいっておるわけなんです。政府予算編成というものが、その圧力団体に左右されて、全く圧力団体に屈服した形でもって予算編成が行なわれる。そのためにいろいろ国行政あるいは立法までがゆがめられたものになってくるというふうな傾向が、ますます顕著になってまいっております。しかしながら、やはり行政機関立法機関というものは、きちんと節度をわきまえ、みずからも正しい姿というものをき然として守らなければならない。だから、政府政府として、やはりき然として、行政機関としてりっぱにやってもらわなければなりませんし、国会もまた立法府としてき然とした態度でやっていかなければならぬ。それが予算編成期になりますと、与党議員諸君が目の色を変えて、圧力団体と一緒に行動して、そして予算のぶんどり合戦をやるというふうなことになって、国会の権威というものが全く地に落ちてきておるというのが今日の現状でございます。だから、そういう点については、国会も一政府も、ことに私は強く、与党のほうでそういう態度を改められることを要望するのでございますが、同時にまた、政府もいたずらに圧力団体に屈しないようにしてもらわなければならぬ。そういうふうな慣習といいますか、陋習がだんだんしみ込んでまいりまして、今日では、行政機関立法府も、もう与党の中でごっちゃになってしまって、頭の中が一つになってしまってきておるのではないかというふうなことすら、だんだん出てまいっておるわけなんです。  そこで、今度の問題の発端というのは、御承知のように、予算のこまかい配分の内容が、全然委員会諸君も知らない間に、一部の国会議員の間に漏れて、そしてその漏れておった配分が、それぞれの一部の議員諸君の手でもって、一斉に電報なりあるいははがき戦術というふうなもので、地元の公共団体やあるいははなはだしきに至っては各住民のところへ、各地の有力者のところへ、どんどんはがきでもって、あなたのところはこういうふうな予算がついたから、おれがそういうふうな予算をつけてやったからと言わんばかりの形でもって配付されておるというふうなことが、この問題の起こった発端なんです。だから、そういうふうなことは、元来あり得べきことではないのです。予算配分が行なわれましたら、それはやはり政府行政機関からそれぞれの地方行政機関に通ずるべきであって、その間に、地方行政機関にも知らされない間に、議員にそれが漏らされるというふうなことは、これは行政の姿としてはあり得べきことじゃない。それが、そういうふうなことが行なわれたということ、しかもそのことは、昭和三十六年のこの建設委員会でも、佐藤虎次郎さんが、そのことを指摘して、当時の中村建設大臣に、そういう意見を述べておられる。その中村さんと佐藤さんとの間の質疑応答は、私の考え方とは少し違いますが、しかしながら、本来そういう予算配分というものは、これは行政機関から行政機関へと流されるべき筋合いのものであって、議員に漏らされるべきものではない。それが漏らされるとするならば、まず建設行政に直接タッチしておる建設委員に漏らされて、しかる後に他の議員に流れていくのならば話はわかるが、話が逆じゃないかと佐藤さんは言っておられますが、私は、そういうふうな、建設委員だけに特に優先的に先に知らせろということを申し上げるのじゃございません。そういうことも筋が間違っております。やはり予算配分がきまりましたら、これは直接に行政機関から行政機関へ流されていくべきものであって、その間に中間の人がそれをスクープして、それを政治的な目的に利用する、そういうふうなことは許さるべきことではないと思います。さらにまた、そういうふうなことを一部の人たちに漏らすとするなれば、それは許しがたい。行政担当者としても、許さるべからざる行為であると私は思うのでございます。またそういうような節度というものをきちんとわきまえていただかなければ、公正な、また公平な国の行政というものは行なわれない。だから、そういう点について、建設大臣はどのような理解を持っておられますか。建設委員会が開会されますにつきまして、やはり今後はそういうふうなことはすべきでないことであるという理解の上に立ち、建設省のそういうふうな乱れた綱紀というものを粛正するのだ、こういうふうなことをはっきり、委員長との間にお約束が取りかわされたのか、あるいは何もそういうことがなしに委員会が開かれておりますのか、私は、そういう点について承っておきたいと思います。
  12. 小山長規

    小山国務大臣 いまおっしゃいましたようなことがあったということを聞いておりまして、いままで、私は就任以来、外部に対する発表は私のところで発表するようにしておったのであります。だから、発表前に、どこからか知りませんけれども、漏れましたということについては、まことに遺憾であります。ですから、今後も、そういう建設大臣の所管に属することが、決裁よりも前に出るようなことは絶対ないように、今後配慮いたしますので、今度の件はひとつこれでお許しを願いたい、こう思っております。
  13. 岡本隆一

    岡本委員 これは独立通信なんというような文書——私、しばらくぶりでゆうべ宿舎へ帰りましたら、参っておりましたが、その文書の中には、相当この問題についての情勢が詳しく書かれております。その出どころは政務次官ではないか、というふうなように書かれておるのでございますが、そういうことでありますと、大臣といい、政務次官といい、これは政治家でございまして、直接いつまでも建設行政を担当される人たちでございません。だから、いま大臣からもそういうふうな御説明がございましても、やはり建設省全体の中へ、自分たちがたまたまそういう地位にあるために得られた情報、そういうふうなものを、自分たちのグループの中にどんどん流していくというふうなことが今後とも行なわれては、これは非常に将来禍根を残すことになってまいります。だから、これは大臣並びに政務次官だけの問題でなしに、また、そういうふうな問題について、そういうふうなことに建設省全体の、役所が協力するということ、そういうことがなければ、こういう事件は起こらなかったと思うのでございますが、大臣からそういうふうななにを受け、あるいは政務次官からそういうふうな要請を受けたとしても、建設省としてはそういうことは絶対しないというふうな省議というふうなものを、私はこの際はっきり立てておいていただきたいと思うわけです。それで、以前には、そういうふうなスクープ的なことはやらないし、やらせない、だから、そういう点については、地方行政機関へ流れるまでは絶対に外部には漏らさない、ということのはっきりした申し合わせがあったやに承っておるのであります。そしてまた、私どももそういうふうなことがあるから、そういうふうな予算のこまかい配分については、聞きに行くだけやぼ、だから、それを聞いて知ったかぶりをするというふうなこともまあ慎むべきこと、こういうふうに思っておったのでございますが、現在そういうふうな省議というものは、生きておるのですか、すでに死んでしまっているのか、そういうことは、官房長がそういう点についての一番中心になられる人じゃないかと思うのでございますが、いかがでしょうか——それじゃ、どなたからでもいいんですが、一番古参の局長からでもけっこうでございますが、そういう点についての建設省としての役所の中の基本的なかまえですか、そういう点について、大臣のかまえをこの際はっきりさしておいていただきたいと思います。
  14. 小山長規

    小山国務大臣 いま、過去のことは官房長がおりませんのでわかりませんが、今後のことについては、私が責任を持ちます。そういうふうな省議が必要であれば、省議といいますか、申し合わせといいますか、それをいたします。
  15. 岡本隆一

    岡本委員 それでは、その問題はその程度にいたしておきまして、もう一つ、私は、この間、新聞を見まして、建設省だいぶたるんでおるなとつくづく感じさせられましたので、ただいまの問題に関連して承っておきたいと思うのです。  それは、例の多摩川の川原の補償の問題でございます。新聞の記事を見ますと、多摩川ゴルフ場に三千四百万円、それからトヨタの自動車練習場に千二百万円というふうな金が補償費として払われておる、こういうことでございます。そこで私は道路局長お尋ねをいたしたいのでございますが、こういうふうな補償を支払われるにつきましては、どういうふうな考え方に立っておられますのか。河川敷地というものは公共用地でございます。公共用地であり、しかも、河川敷地は、河川法によってはっきり、私権対象にならないということになっておるのでございます。私権対象にならないものを、役所使用許可をしておる。使用許可が与えられたら、それがまた私権対象として復活しておるというようなことでございます。その点について、道路局がそういうふうな補償のしかたについて、そこには私権が存在すると考えられるから補償をされたわけでございますが、河川敷地というものをどう御理解の上、補償されたのか、承りたい。
  16. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路公団多摩川にかけました第三京浜道路並びに東名高速道路架橋付近補償につきましては、ただいま岡本先生のおっしゃったような事情で支払っております。これを支払いますにつきましては、河川法上のそういったゴルフ場自動車練習場なるものはどういう性格のものであるかということにつきまして、河川管理者と十分に相談いたしましてやったことでございますが、御承知のように、新河川法の七十六条によりまして、こういうものに対して道路事業起業者補償すべきであるということが明文化されております。この問題は三十六年から占用された問題でありまして、新河川法以前の問題ではありますが、従来、旧河川法時代にはそういうものがございませんが、そういうような慣習に従って行なっておったということが明らかでございます。したがいまして、そういう解釈に基づきまして、工事中の補償営業補償並びに工事に伴いますゴルフ場その他の施設の変更に必要な経費といたしまして、ただいまお話しのような金額を支払ったものでございます。
  17. 森山欽司

    森山委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  18. 森山欽司

    森山委員長 速記を始めて。  この際、午後零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      ————◇—————    午後一時十分開議
  19. 森山欽司

    森山委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本隆一君。
  20. 岡本隆一

    岡本委員 先ほど道路局長の御答弁で、新河川法では補償することになっておるから払ったのだ、こういうことでございましたけれども、払ったのはまだ新河川法の実施されぬときでしょう。河川法の実施はことしの四月一日なんです。ところがこれが問題になっておるのは、決算委員会です。決算委員会というのは、一昨年、昭和三十八年度分の予算の執行をめぐって決算をやっているわけでありますから、まだ新河川法が議決されない当時にこの補償を払っているわけです。そうしますと、新河川法に基づくところの補償の根拠というものはどこにもないわけでございますが、局長の頭では、そのときすでにもう河川法が実施されていたんですか。
  21. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど申し上げましたのは、そういう意味で申し上げたのではありません。新河川法——これは河川局長からお答えすべきものと思いますけれども、従来、慣行として行なわれておりましたものを、新河川法によって明文化した、こういうことで、そういう意味で申し上げたのでありますから、補償いたしました当時からそういう慣行であったが、たまたま新河川法で、それが七十六条で明文化されておるというようなことを申し上げたつもりでございます。
  22. 岡本隆一

    岡本委員 そうすると、従来から、公共用地は貸したらそこに権利が発生して補償義務が生じてくる、こういうことになりますか。
  23. 上田稔

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  河川敷地の占用でございますが、占用をしております期間内において、これを取り消しをいたしました場合におきましては、通常生ずべき損害に対しては補償をする、ということが通例になっております。
  24. 岡本隆一

    岡本委員 ちょっと委員長に御警告を申し上げておきますが、定足がそろって初めて——数えませんが、きょうはあなたのほうも戦時体制で来られるはずですから、戦時体制で来られるなら戦時体制のようにしておいてもらわぬと、きのうそのことも申し上げてありますし——別にやみ取引したわけではないですけれども、こういうふうな、あなたのほうの委員会に対する態度、日ごろ私はいつも言っているのです。議員の最低の義務は委員会に出席することなんです。国会に出席することなんです。意見を言う言わないはその人の自由意思です。しかしながら、いやしくも国民の負託を受けて国会に出てきておる限り、国会におけるところの会議に出席するのは議員の義務です。その最低の義務をこのように軽視されるというふうな委員会で、ぼくたちはまじめに審議するわけにはまいりませんし、またそういうふうなことでは、法案の採決に応じるわけにもまいりませんから、先ほど一回御警告を申し上げて、休憩していただきましたが、そういう点、重ねて御警告申し上げておきます。  それでは、河川局長お尋ねをいたしますが、河川局長敷地を貸した場合に、期限内だったら補償が要る、通常生ずべき損害を補償しなければならない、期限が過ぎたら要らない、こういうことになっているのであります。ところがこの期限は一ヵ年という期限つきで貸してあります。一ヵ年だったら補償は要らない、こういうことになるわけです。そこで、一ヵ年と期限をつけておられるのには、それ相応の理由があると思う。何もわけなしに一ヵ年という期限はつけてない。一ヵ年という期限がつけてあるということには、何らかの根拠があって一ヵ年という期限がつけてある。そのたびに更新の手続をしなければならぬということは、借りる側も手続する側もめんどうだし、また、それを受けて事務処理をする役所のほうもめんどうです。だから、差しつかえないものなら、十年でも二十年でも五十年でも期限を長くきめればいいのに、一ヵ年ときめてあるのには、それだけの根拠があると私は思うのでございますが、それではなぜ一ヵ年と短く切っておられますか。
  25. 上田稔

    ○上田政府委員 府県におきまして占用の期間を認める場合に、一応一年、あるいはものによっては三年というような期間を切っておりますが、これはいろいろな許可の条件を励行さす上において、これを一年というふうに切っておるわけでございます。またそのほかに、占用料金というようなものの変動が起こった場合においても、そういうものを明らかに、その際にでき得るものでございまして、そういうふうなことで、一年、またはものによっては、たとえば電力のダムなんかは三年というような期間を限っておりますが、そういうようなことで、切っておるわけでございます。したがいまして、先ほど占用の期間と言いましたが、その一年という、また三年という意味ではないのでございまして、期間が終わるということは、その最初の許可のときから一年というものではないわけでございます。
  26. 岡本隆一

    岡本委員 一年と期間が切ってあるということは、公共のものである、何どき、いかなる理由によって、公共的立場から使用をとめなければならぬかわからない、だから、とにかく使用許可するということは、公共の目的に必要でない範囲において使用許可をする、しかし公共の目的に必要とあれば、何どきでも取り消すことができるように、長期の計画としては困るから、一年ということにしてあるわけです。だから、その期間が過ぎたら返してもらえばいい、補償費を払う必要はない、だからこの補償費を払われた根拠が、一年と期間が切ってある限りにおいては、その一年が過ぎれば返してもらうからいい。しばらく半年か一年工事に着手するのを待てば、それだけのものを払わなくてもいいのでありまして、あらかじめ数年前から計画が立っておりますから、直ちに橋を、いま行ってすぐかけるのではなしに、もうそういうふうな計画は、周囲からずっとセンターを引けば、いついつには、何年には、この橋を着工するということになれば、その年になれば、ことしは気の毒だが、橋をかけるから使用はやめてもらいましょう、こう言って、あらかじめ了解がつくはずです。期間中に補償費を払ってまで工事をしなければならぬ、というようなことはあり得べきことではない。だから私のほうからは、このような公共用地に対して、しかも道路や橋をかけるというふうな場合に補償費を払われるという根拠が、どうしても見当たらない。これはあなたのほう、貸した側と、払った側と、それぞれその立場が違います。だから公団のほうで、したがって道路局ということになってまいりますが、道路局のほうで、そういうような補償費を払うということを承認されたことについても、私ども了解がいきません。しかしながら、貸した側の河川局までが、いや、払ってもあたりまえですというふうに、同じ内輪同士で相かばい合うということか知りませんが、しかしながら、河川局も、そういう態度をとられる、またそういう解釈をとられるということについては、どうしても納得がいかないのでありますが、再度、納得のできるように御説明願います。
  27. 上田稔

    ○上田政府委員 ただいま申しましたように、占用をいたします場合に、河川というのは公共用物でございますが、国有財産の一種でございます。国有財産法によりますと、国有財産は、一度貸した場合には、相当長期に、結局その償却ということをお考えになってきめられておるわけでございますが、それに準じて、河川の占用の場合も考えなくちゃいけないということになっております。例は少し違いますが、たとえば電力会社がつくっておるダム、これは非常に事業費をかけておつくりになる。これもやはり占用期間としては三年程度を限って、更新をしていっておるわけでございます。こういうものも、それではやはり三年で期限が切れたときに水没をさせれば、それはもう補償を払わなくていいかというと、そうではありませんので、やはりその投資価額に対してその償却を考えて、残存価額を考え補償をする、というのを通例にいたしておるわけでございます。それと同じような考え方が、一年を限っております占用にも考えられるわけでございます。それで、一年を限っておりますので、その一年が終われば、それでは更新をせずに補償を払わなくてよいかということになりますと、その点はやはり払わなくてはいけないのじゃないかというのが、現在の法律上のたてまえになっておるわけでございます。
  28. 岡本隆一

    岡本委員 いまの御意見は、みそもくそも一緒くたにしたような御意見です。ダムとゴルフ場とはだいぶ性格が違う。建造物そのものも、ダムといえば恒久施設としてのものです。ゴルフ場といえば、川原を整地するだけでいい。芝生を植えるだけです。しかも、ゴルフ場、運動場というものは、ことにそういう河川敷の川原を使っておるという限りにおいては、いつ大洪水があるかわかりません。上からどれだけの土砂を流してくるかわからない。土砂が流れてきて、土砂をかぶってしまえば、もう一ぺんつくり直さなければならない、そういう性格の施設でございます。だから施設そのものも、それは一時的なものであるわけでありまして、そういうふうな一時的なものに、一時的な施設として一時的に使用許可してある場合と、もう頭からダムをつくる、こういった恒久的な建造物をつくってしまった場合と、おのずから常識的に異なるわけであります。したがいまして、そういうふうなダムの場合と、下流における河川敷の使用の場合と、ごっちゃにした議論は困ると思うのです。ただ、公共用地を貸す場合にはそういう権利が発生しては困る。たとえて言えば、個人が休閑地を持っておったと仮定をいたします。個人が休閑地を持っておる場合に、これを貸してくれと言われた場合には、それは相当な条件でなければ、建物の建築なんかは許可いたしません。また許可をする場合、頭から、貸す場合には、その目的というものをはっきりさせて貸すわけでありまして、だから、何どき必要があるかわからぬというふうな場合には、これは補償権利が発生するような形では絶対に貸しっこないのです。だから、何どきでも返しますということをよほどはっきりしておかなければ、その個人は、その財産としての土地というものは人に貸すものではないのです。こういうふうな公共用地をお貸しになるということは、それはあなた方は国民のかわりに公共用地を管理しておられるわけでございますから、やはり国民が持っておるような気持ちと同じような気持ちで管理していただかなければならない。そうすると、貸したためにそんなに大きな権利が発生するような貸し方をしてもらっては困るのです。ただ、貸したら権利が発生するのはあたりまえでございます。と言わんばかりの御答弁でございますけれども、なるほど遊んでおる場所なら有効に使えばよろしい、そのこと自体は、私どももとやかく申しません。しかしながら使用許可をされる場合には、必要なときには何どきでも返してもらえるというふうな形で貸していただかなければ困ります。だから、そういう意味では、一年の期限つきということは正しいのですが、しからばその一年の期限が過ぎたら何どきでも返してもらえる、これは補償なしで返してもらえる、ということでなければならぬ。私どもは、一年の期限がついておるということは、そういうふうに理解しております。それを、いや、やはり一年の期限がついておっても、これはそれぞれの投資をしておるのだから、その投資の回収、償却ができるまでは、権利として、残存価額を補償しなければならぬのだ、こういうふうなことでありますと、そのような大きな投資をして、残存価額が大きく残るようなものについては、貸してもらわぬほうがいいのです。貸す必要はないわけです。国民の側から言えば、そんなところにちっともゴルフ場をつくる必要はない。だから、そういう点において、私どもはどうしても納得がいかないのでございます。  これは大臣お尋ねいたしますが、それはもう法律上の解釈というよりも、政治的な解釈、国民からゆだねられておる公共の財産の管理のあり方というものについての考え方の問題でございますが、大臣は、いかがお考えになりますか。
  29. 小山長規

    小山国務大臣 私も、実は岡本さんと同じような疑問を抱きまして、それでいろいろな法律関係を調べてみたのです。調べてみますと、いま河川局長道路局長が答えましたような法律関係になっておって、どうもいまこういうふうな問題が起こってきてみると、許可ということで、非常な財産権を与えてしまったようなことになって、いかにもおかしいという結論になるわけです。ところが、法律関係はそうじゃない。法律関係は、やはり許可をした以上は、それに対する通常生ずべき損失は払ってやらなければならぬ、こういうことになっておる。結局、岡本さんの言われるように、最初の貸し方の問題に帰着するわけなんであります。  そこで、私もいま考えておりますのは、いまやはり河川敷を、たとえば運動場に使わしてくれとかというような話があります。そういう場合には、一つの契約条件として、たとえば橋だとか道路だとか、あるいは国民広場といいますか、そういうふうなものに使用する場合には、これは無償で取り返せるのだ、無償で返してもらえるのだというふうなことにしなければ、いま岡本さんが言っておられるような疑問に答えることにならない。そこで、私はそういう方向で考えてみるということでやっておるわけですが、だんだん法律上の解釈を聞いてみますと、契約ではないのであって、一方的な行政処分だということで、これはやはり法律を改正しなければならぬかなというふうに考えておる最中なんであります。確かに岡本さんも同じような考えだと思いますが、こういうような補償をしなければならぬくらいなら、最初からうんと権利金を高く取るとか、あるいはその使用料をうんとたくさん取っておくとか、そういうことであればいいんでしょうけれども、権利金というものは取らないし、一方また使用料をうんと上げるということは、おそらく河川敷の関係では、洪水の場合のことを考えますと、それじゃ洪水がきたときには元の状態にして貸すのかという問題があったりして、なかなかこれはむずかしいだろうと思います。そこで、使用料や権利金の問題は別としまして、新しいものを貸すときには、一体いまのままでいいのかどうかという点は、これは考えてみる必要があります。そこで新しい条件として、貸すときに、現在の法律のままで、そういうような、たとえば許可の条件というものがつけられるかどうか、もし現在の法律でつけられないという確定解釈になれば、法律を改正してでもと、こういうふうに考えているわけです。
  30. 岡本隆一

    岡本委員 法律は、これはわれわれがつくるものでありまして、人間がつくるものでありまして、これはすでに厳然としてある自然の法則ではない。だからそれは抜け穴もあるでしょう。だからそういう場合には、法律の運用あるいは行政の運用で、そういうふうなばかばかしいことを未然に防止しなければならぬ。だから、大臣おっしゃったように、貸し方の問題です。法律解釈は、もしそういう意味において、こういうばかばかしい補償というものを防ぐことができないのなら、頭のいい秀才ばかりが入っておられる建設省です。そんなことに知恵が働かぬはずはないんです。だから、貸し方の問題として、当然条件つきでお貸しになるべきです。それを何ら条件がもしつけてなかったとすれば、これは重大なる役所の落ち度です。局長にお伺いしますが、どうして一年と期限をつけておるか。期限が切れて、もし役所のほうで必要なら何どきでも返します。無条件できれいさっぱり返しますというならば、当然そういう貸し付けの条件にすべきです。たとえばあなたが土地を持っていらして、それをやすやすと一たとえば国もとに田や畑が残っている、しかし耕作する者がおらない。しかしながら、その場合に耕作権を発生させてしまったんでは困るから、そういう場合には、留守をあずかるというふうな形でお貸しになる場合には、やはり耕作権が発生しないような形でお貸しになると思う。これはやはり自分の財産の保全の立場からいえばあたりまえです。だから国の財産を貸す場合にも一そういうふうな権利の発生しないような貸し方というものが、当然常識的に考えられるわけでありまして、私どもは、やはり一年の期限をつけて貸しておられるということは、そういうふうな国民のだれもが当然と思う常識的な形で、条件つきで貸していられる、こういうふうに理解しておるのに、それが法律はそうなっておらないから、今度の場合はやむを得ないのだ、今後はひとつ考えてみてもよろしいというふうな大臣の答弁そのものが、いかにも公共の財産というものを軽んじておられると私は思う。少なくとも何千万円という血税を払う、これから後も一次々にこういうふうな事態が出てくると思う。そうするとそのたびに、そんなにばく大な補償を払っておったのでは、国民の側からいえば、やり切れたものではございません。だから、そういう意味において、役所の仕事の運営の方針としては、これは非常に重大な落ち度であったということを、建設大臣はお認めになりますか。
  31. 小山長規

    小山国務大臣 いま岡本さんが言われた、自分の遊閑地を耕作権なしに貸した、その場合でも賃借権は出るわけです。その場合にも、やはり賃借権の存続する限りは、個人の場合にも補償の問題が起こり得ると思うのです。そこで、今度の場合は、一体貸したときの期限が何年間であったかということなのです。期間内であれば、当然そこには個人の場合と同じように、賃借権が発生しているはずなのです。ですから、その賃借権の存続期間中に工作物をのけろという場合には、補償しろと法律に書いてあるわけであります。ですから、一体一年という期間が、これは賃借権ではないようでありますけれども、そういうつまり使用期間であるのか、それとも一つの例示であって、単なる契約料金の構成期間とか、あるいは命令を守らせるための期間であるか、いうような点を私が確かめましたところが、それは契約の期間ではないのだ、それがいままでの裁判の例であるということなのです。そうすれば、そこに、個人の場合と同じように、やはり一種の権利が発生しているという前提であります。ですから、現在の法律からいって、これは通常生ずべき損失を負担しなければならぬということが法律上出てくるわけであります。たとえばいまの道路橋をかけなければならぬというときに、向こうが、おれはかけさせないと言えば、それは強制執行してでもかけさせますが、そのかわり、自分でかけて、同時に相手方のゴルフコースを、この場合は道路公団ですが、道路公団自体がそのコースを直してやらなければならぬ、それは当然出てくる問題だと思います。だから、自分で直すかわりに相手方に直させて、その費用を払ったというわけですから、私はいままでの取り扱いで、いままでの法律なりからいって、これは間違ったやり方ではなかった。ただ、しかし、それがいま具体的な例が出てくると、いかにもおかしいという感じがするから、新しい貸し方のときには、この点は別の角度、新しく貸すときには、現在の法律のままで貸せるか、いま言ったような問題なしにやれるか、やはり法律改正をしなければやれないのかという点を十分詰めてかからないと、また同じ問題が起こりますから、そういう点を申し上げておるわけであります。
  32. 岡本隆一

    岡本委員 それでは、河川敷を貸さなければならぬ理由がどこかにありますか。たとえていえば、個人の空閑地ですと、ある程度、人に貸しておいたほうが管理上もいいし、それからまた、場合によれば、多少なりとも収入がないことには、固定資産税も払わなければならぬというふうなこともございますから、ある程度管理なりを他の人にゆだねる。そうでないと、不法占拠されるおそれもありますから。ですから、そういう意味において、ある程度他に管理をゆだねるというようなことも必要があります。ところが河川敷の場合には、河川敷を貸すということは管理上の阻害になれ、障害になれ、別に利益がない。国もまさか、わずかな使用料を目当てに貸しているものとも思われない。だから河川敷を国が貸すということは、いわば全く一種の恩恵的なことでありまして、双務的なものでないのです。もしほんとうに河川敷というものを、それだけ対等な立場において、向こうにも利便を与えるが国も利便を受けるということであるなれば、使用料というものはその収益に応じた額にきめられなければならぬ。ところが、その話を聞きますと、年坪三円だということでありますが、年間坪三円というような土地の使用料というのはどこにもございません。だから、そういうふうな低廉な価格で使用させておるということは、これは全く、あいている土地だから使ってもよろしい、こういうことなんです。そういうことでありましたら、要るときには何どきでもお返しさせていただきます。ということでなければならないのです。これは常識です。また、国民の守るべき最低の義務をきめたものが法律だ、と私は理解しておりますし、またそのような意見も聞いております。だから、こういうふうな河川法にいたしましても、どういう法律にいたしましても、一応常識的な解釈というものがすかっとその中に通っているのが法律であるべきであって、非常識なことを法律でもってきめるということは、これはあり得べきことではない。だから、私ども国会へ出てきて、こういう法律のこと、立法に携わるといいましても、そのことが常識の線からはずれているかいないかということを、大所高所から考えるのが私どもの任務だと思う。むずかしい法律論が国会議員に必要なら、国会議員になるための資格というものを、一応大学の法科を出たとかなんとかいうことに規定されるべきだ。あるいは、国会議員に立候補するためには、一応法律についての知識の有無というものを試験して、その試験にパスしたものが国会議員に立候補できるということにならなければならない。だれでも立候補できるということは、だれから考えてもあたりまえのことを国会できめるべきだ、こういう考え方に立脚していると私は思っております。だからそういう意味においては、われわれの常識の世界の中におけるところの考え方というものがすかっと法律の中に通っていなければいけないし、また行政運営の中にも、そういう常識論というものがすかっと通らなければいけないし、そのことがまた国民の期待にこたえるのです。国民のかわりに国民の財産を管理し、またその運営のあり方というものが正しいかどうかということを議論している。だからそういうことで、法律解釈からは別にそれでいいんだとか、そんなことはいわゆる三百代言的な議論でありまして、そんなものはわれわれが国会へ出てきている基盤になっている国民の中には通用いたしません。だから、今度の場合も、私はこれは行政上の大きな失態だと思います。そんなものに補償を払ったということは大きな失態です。だから、これは取り返してもらわなければいかぬ。返還の要求を大臣はなさるべきです。私はそう思います。また、返還の要求ができないのなら、そういうことを許可された人に払っていただくか、国庫へ戻入していただくか、あるいはそういうふうなものを支払った公団——しかし公団は国のほうではないのですから、そういうことを許可した、そういうことを支払った公団の総裁に、個人の財産の中から国庫に戻入していただくか、何らかそういう形でもって、国民が納得するような措置をとっていただかなければならぬと思うのですが、いかがでしょう。
  33. 小山長規

    小山国務大臣 いま前段におっしゃいましたように、貸さなければならぬということはないじゃないか、まさにそれに尽きると思うのです。だから私は、今後の問題としてその問題を考えたい、こう言っておるのでありますが、いま岡本先生がおっしゃったように、法律は常識できるものでしょう。しかし、その常識のある人がつくった法律の七十六条にそう書いてある。常識のある国会議員がつくった法律に、これを取り消すときには通常生ずべき損害を払え、こう書いてある。ですから、現在の法律では、払うことが法律上の義務である。ですから払っておるのでありまして、それを取り返せというのは、これは法律違反の行為をやれということなんです。
  34. 岡本隆一

    岡本委員 これは新河川法について書いてある精神というものを、いまの条文をどう解釈するかということについては、これは議論の分かれるところです。しかしながら、いまの払ったのは新河川法が制定される前でしょう。そんなこと何も書いてないときです。それに、先ほど政府側からは、従来からの慣例ですと、こういうことです。だけれども、従来からの慣例だとするなら、それはゆゆしい問題だと思うのです。  それでは、もう一ぺんお尋ねしますが、いままでにこういうような補償をした事例がたくさんございますか。
  35. 上田稔

    ○上田政府委員 河川の場合、工事をやります期日というものが大体きまっておりますので、その期日を当初に示してやっておるものでございますから、あまり大きなものはないわけでございます。たとえばクワ畑のクワがどうしても立ち木として残る、これの補償をするとか、そういうようなものはあるのでありますが、ゴルフ場にはひっかかっておりませんので、そう大きな補償はないわけであります。道路橋の場合、あるいは水道橋というようなものにつきましては、その事例がいま一つここに出てきておりますが、そのほかにも二、三あるようでございます。
  36. 岡本隆一

    岡本委員 クワ畑の場合には、相当長期にわたって、いわば慣行水利権のようなものです。古くから河川敷を使っておる、むしろ従来から使っておる畑を、堤防が河川敷に取り込んでしまったために、使用権が残っておる、そういうところがたくさんございます。そういうふうなものに対する補償でありまして、これは当然だと思えるのです。だけれども、新しく、ごく最近に一年あるいは二年というような短期の期限つきに貸したものに対して、こういうような補償をするということは、いまお話を聞きますと、初めての事例のようです。そうすると、先ほど従来からの解釈に従ってやったという道路局長の御答弁だったと思いますが、これは大きな誤りであると思うのです。どうしても私どもにはこういうやり方というものは納得できませんから、返還の要求を国のほうでしていただかないと困るのです。しかし、その問題と、もう一つは、それではこれからは考える、こういうことでございますね。そうすると、一年ごとの更新でございますから、先ほど河川局の次長からなにを承りましたが、まだまだたくさん貸しております。これはおそらく一年ごとに貸しておると思います。そうすると、そういうふうなものに対して、来年から新たに貸す場合には、いまのような条件をおつけになりますか、おつけになりませんか。
  37. 小山長規

    小山国務大臣 実はそこが苦心しておるところです。まだ全然貸したことのないところに新しく貸してくれという話が出てきたときには、そういう条件をつけたい。ただ、いま貸しておるのを、今度新しい条件のもとにする場合に、向こうがいやだと言った場合に、それじゃ取り除くための費用を払わなければならないのかどうかという点で、これは法理論の問題がありますので、その点の見きわめをしておきたい、こういう考え方なんです。
  38. 岡本隆一

    岡本委員 一年ごとの期限をつけているということは、一年で取り消されてもしかたがないということなんです。だから政府のほうは、ことに大臣は、そういう点、利用者側に非常に有利な解釈に立っていられます。それは国民的立場に立つ解釈ではございません。そんなら洪水でどろや土砂をかぶったらどうするのですか。土砂を何どきかぶるかわからないということが、わかり切った土地に、そういう施設をつくっているのでしょう。大洪水かあれば必ず土砂をかぶりますよ。河川敷というものはそういう不安定なものです。不安定なものであるから、堤防で囲ってあるのです。しかも国がばく大な費用をかけてそれの管理をやるのです。そういう意味においては、そういう不安定なところへ、まさか河川敷の中へ屋敷を建てる人もないでしょう。そのこと自体、そういう洪水をかぶり、不安定なもあという考え方に立っているのだから、そんなに恒久的なばく大な施設はつくらないでしょう。だから、ただ単に簡単な施設をして利用できるものより使っていないわけでありますから——私はすぐ取り上げろと言うのではありませんよ。使わせればいいのです。しかし、万一必要が生じた場合にはきれいさっぱりお返しします。ということぐらいは、当然であっていいと思うのです。大臣のその御答弁にはちょっと納得いきませんよ。これは、来年からは必ずそういう条件をつける。いままでの、過去の払われたものについての返還の要求ということになってまいりますと、これはしていただかなければなりませんが、まあいろいろ議論もあるかもしれません。そこまでの言明までは私はいま要求いたしませんが、しかし今後の契約更新には、必ずこういうふうな事態が再び起こらないようにする、これぐらいのことを言明していただかなければ、承服することはできませんが、いかがでしょう。
  39. 小山長規

    小山国務大臣 いや、私も実はそうしたいわけなんですよ。あなたと同じように、そうしたいのだが、これはやはり法律の問題が出てきますから、そこで、やはりこれは慎重にしなければいかぬ。つまり、財産権はあるのだという前提に立つと、それじゃ取り消しと同じですから——その法律が改正されるまでは、いままでの法律が残っているわけですから、取り消しと同じですから一やはり補償の問題が出てきやせぬだろうか。しからば今度新しく補償の問題を避けて通るのには、たとえばゴルフ場ならゴルフ場自動車練習場なら自動車練習場というものが、あと五年なら五年後には、これこれの事由のときには無償で返してもらいますよという、そういう行政権の発動ができるのかできないのか、これは、われわれがしろうとでただ考えておる問題じゃなくして、そういうことをやるために法律が必要であるかどうかということが問題になってくることは、これは岡本さんおわかり願えると思うのです。つまり、やるのに法律が必要であるかどうか。その法律をつくる場合に、いままでの旧権利者に対してやはり補償という問題が起こるのかどうか。私は補償という問題を起こさない方法でひとつやりたいと考えているものだから、そこで検討しておる、こういうことなんです。
  40. 岡本隆一

    岡本委員 計画局長お尋ねしますが、この補償基準というものが、審議会の議を経て建設省できめられておりますが、補償基準の第何条でこれは補償されているのか。また補償基準の精神から見て、この補償というものが適正なものかどうか、これの見解と、それから解説をしてください。
  41. 志村清一

    ○志村政府委員 公共事業補償につきましては、一応の基準を作成いたしまして、閣議の了解も得、それに基づきまして、建設省におきましても、補償基準は作成されているわけでございます。一般的な基準でございまして、特殊な場合の規定というのは、全部整備されているわけではございません。したがいまして、今回問題になっておりますような、河川敷の占用を受けたものについての補償というようなことについては、それを特別に取り上げているわけではございません。ただ一般的に通常受ける損失というものにつきましては、土地収用法の八十八条に、通常受ける損失の補償という項がございますので、これの内容等につきましては、補償基準の中においては比較的詳細に書いておるわけでございます。ただいま補償基準を持ち合わせておりませんので、条文等につきましては御説明できかねますが、土地収用法の八十八条に書いてございますように、いわゆる土地代とか家屋の移転代とかというようなものの補償のほかに、離作料とか営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失、その他土地を収用し、または使用することによって、土地所有者または関係人が通常受ける損失を補償しろという規定があるわけでございますので、その内訳を詳細に、補償基準においては定めておるわけでございます。  次に、今回の問題でございますが、今回の事案については、つまびらしいことまで存じておるわけではございませんが、占用期間中の問題でございまして、占用期間中は、その土地を利用できるわけでございますから、その土地の利用を阻害されることによって生ずる通常損失の算出のしかたについては、補償基準等にのっとって算出せざるを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
  42. 岡本隆一

    岡本委員 公共用地というものは一応補償されたもの、公共用地を取得するのには、ある程度補償が行なわれて取得するわけですから、河川敷にいたしましても、道路にいたしましても、これは一応補償が行なわれておる。だから完全な所有に属しておって、何らそこに権利の設定はないはずなんです。今度そういうふうに、一ぺん補償して取得したも一のに使用許可して、またそれが補償対象になるということになると、国民補償費の二重払いをするわけです。そういうふうなことは、土地収用法の補償という考え方から、あるべきことでない、私はそう思えるのです。一たん補償してやっと取得したものに対して、また権利を設定さして、その補償をしなければならぬ、こういう補償費の二重払いというようなことは、国民の側からいったら、そんなばかなことがあってはならぬ、そう思うのです。そういう解釈は正しくないですか。一たん補償したものに対して、また補償せんならぬというような、そんなばかなことがあるか、これが私の考え方ですが、どこかそれに誤りがありますか。これは国民の常識ですよ。
  43. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいまの岡本先生の御質問の答えになるかどうか、ちょっと疑問でございますが、土地収用法の第四条に、この法律または他の法律によりまして、土地を収用することのできる事業の用に供している土地等は、特別の必要がなければ、収用することができないという規定がございまして、たとえば電気事業等で土地を収用する、その土地を道路等にもう一ぺん使いたいという場合に、さらに収用をかけるという事例等はあろうかと思います。
  44. 国宗正義

    国宗説明員 一回補償しあるいは買収して取得した土地に対して、もう一度補償する必要はないのではないかという御趣旨の御質問でございますが、河川敷に関しましては、一たん取得したところの土地代価あるいは土地の賃貸借等に対して決して補償をしておるのではございませんで、土地収用法第五条第三項にございますように、その他のことも一規定がございますが、河川敷地を利用する権利を、公共の事業のために収用するという条項がございまして、この場合の収用する権利は、利用に伴う法律上の地位でございますが、その地位自体を補償するのではなくて、いまその業態を保つのに必要な改造費だとか、あるいは物件があります場合の物件の除却移転、そういうものが通常受ける損失でございまして、それに向かっての損失がいま議論されておるわけでございまして、具体の事案につきましては、現に話し合いでもって買収ということでございますが、話し合いがつかなかった場合においては、河川敷を利用する権利は土地収用法に基づいて収用し、すなわち取り消す。したがって、通常生ずる損失を補償するというたてまえになっておるわけでございます。  なお、ちなみに、河川法第七十六条につきましては、河川敷の占用は一般の賃貸借とは全く性質を異にいたします関係上、賃貸借におきましては、みだりに当事者の一方から取り消すことを制限されておるわけでございます。さような賃借権につきましても、土地収用法で消滅せしめることはもとより可能でございますが、河川敷の利用関係につきましては、取り消し得る関係、すなわち一方的に取り消し得る関係を、第七十六条に書いておるわけでございます。すなわち法律に違反した場合あるいはつけた条件に違反した場合、その他あるいは作為その他不正な手段があった場合、そういうのが一つのグループでございまして、第二番目のグループといたしましては、許可を受けた事業がその許可のもと、つまり電気事業の許可を受けた人が電気事業の免許を取り消されたというふうな場合、あるいは事業を廃止したような場合、あるいは洪水、高潮の危険がございまして、河川敷の当該占用を継続せしめることができない、こういうふうな事項は第二のグループに入ります。かような場合には取り消し、かつ補償は一銭も払わないことになっているわけでございます。  ところが、いま問題になっておりますのは、その他公益上の必要でございます。そのような理由のために取り消すような場合におきましては、これは次の条文で、通常生ずる補償をしなくちゃならない、かように相なっておるわけでございます。なお付しまする条件につきましては、かような条文がございます関係上、条件もある程度限定されるものでございまして、いつでも必要ある場合には取り消すというのではなくて、ここに列挙しておる場合には取り消し得る、ということを列挙しておるわけでございます。それ以外で取り消す場合は、やはり制限されておると見なければならないのでございまして、この場合、公益上やむを得ない必要があり取り消すというのに当たるから、取り消しかつ補償するわけでございまして、かような同種の条文は、道路法第七十二条におきましても、他の公益上必要な場合取り消すことができることとし、かつ通常生ずる損失の補償をするということになっておるのと同じ趣旨でございます。
  45. 岡本隆一

    岡本委員 いまのお話で、たとえて言えば、公有水面であるとかあるいは河川敷の利用の場合に補償するというのは、漁業権あるいは入漁権というようなものは生活権に結びつくのであります。その地域住民の生活権の問題というようなものと、ゴルフ場、運動場、自動車練習場というふうにレジャー的なものと、これは非常に性格的に大きな開きがございます。電力というようなものは公共企業です。一方はレジャー人種を相手にした私企業です。だから使用目的そのものに非常に大きな開きがあるわけです。だから、法律にどう書いてあるとかこう書いてあるとかいうようなことは  これは善意に立った使用権というもの、その川で生きている者、あるいはその水を使って生きている者、そういうようなものにあるところで確保されている権利と、あいているからちょっと使わしてくれというようなことで、国の恩恵として使わしてもらっているというふうな使い方との間には、おのずから開きがあると思う。だからそういう法律の盲点をついて、ここに抜け道がございますというように、抜け道をとうとうとお並べになるというようなことは、国民の大切な財産の保管者であるお役所の姿としては、非常に私は残念です。そういうことをおっしゃるのは情けないと思うのです。私は、すなおに、いや一つ抜け道があってうっかりしておりました、抜かったところがございました、今後そういうことはいたしません、厳に悼みます。こういうふうに言ってもらわなければならぬと思うのです。それを、いや法律ではこうなっております。ああなっております——だから、いかにもそれを使わしたことがあたりまえであって、しかもそれに対してばく大な補償を払うことがあたりまえだ、そういうふうな法律の盲点を縫った、その盲点によって生じたみずからの過失を正当づけるような御答弁は、私どもは納得できません。国民全体が納得しません。だから、新聞だって大きく取り上げるのです。そしてあの新聞の記事の取り扱い方というものは、建設省のこういうやり方をごうごうと非難するというふうな取り上げ方をいたしております。だから、そういうふうな世論に対しては、役所大臣もすなおに耳を傾けていただきたいと思います。そしてこういうふうなことをやったこと自体、払ってしまったものについては、それは私は取り返してもらいたいという主張を持っておりますよ。しかしそれはそれとして、今後はそういうことがないように、契約の更新のときにはきちんとします。姿勢を正しますという、それくらいのことをどうして言っていただけないのですか、それくらいのことを言えないようなことでは、あなたは国民の立場に立って建設行政を推し進めているのだということは、大臣、言えませんよ。だから、きちっと言明してください。そんな言明ができないということはないはずです。私はあなたほどりっぱな政治家はないと尊敬しているのです。いままで私はあなたと再三いろんなことで議論を戦わしてきましたが、わりあい何でもすなおに、公正な意見を吐いていただきました。だから、それくらいのことを、いまあなたがここで言明できぬということはないはずです。それが言明できないならできないでやむを得ませんが、しかしそういうことでは、あなたはりっぱな大臣だということはできません。
  46. 小山長規

    小山国務大臣 いや、私は先ほどから、やりたいと言っているのですよ。やりたいのですよ。やりたいのですが、不用意にやった結果、今度は、現に施設を借りている連中に補償しなければならぬということになったら、なおたいへんでしょう。だから、補償をせぬで済むような方法で、何か方法はないかということをいま考えていて、先ほどから口をすっぱくするほど言っているわけです。あなたと同じ考えなのです。ただそのためには、法治国ですから、法律に従ってやらなければならぬし、法律に従って善意でやって、あなたと同じような考え方でやった結果、今度裁判を起こされて補償しなければならないとなったら、そんなことでは実もふたもなくなってしまう。だから、そこのところは補償せぬで、しかも道路をつくるとか国民広場をつくるとかいう要請があるわけですから、そういう場合に、いまの権利者に対して補償なしにやる方法は何かない史法律を改正するとすればどういうふうな改正をすればいいか、これを研究して初めて、私は大臣の職務が達成できるのだと思うのです。
  47. 岡本隆一

    岡本委員 そういうふうな、あなたがおそれられているような大きな権利の発生が起こるようなことにしてしまったということ、かりにそういうふうなことがあるとするなら、これは重大な失態ですよ。私どもはそういうものは発生しないと認識している。大体幾らで貸しているんですか。この新聞を見ますと、一平方メートルについて——この使用料は幾らですか。それから使用料と補償費との関係です。河川局からお答え願いたい。
  48. 上田稔

    ○上田政府委員 ものによって少し違うかと思いますが、大体平方メートル一年間三円であります。
  49. 岡本隆一

    岡本委員 何年間貸しましたか。このゴルフ場に何年貸していますか。
  50. 上田稔

    ○上田政府委員 ゴルフ場によって違いますが、玉川の場合で申し上げますと、大体、当初は二十九年から三十年ごろでございます。
  51. 岡本隆一

    岡本委員 そういたしますと、一平方メートルについて三円もらって、十年間貸したといって三十円もらっているわけです。三十円もらっているのに、一平方メートル当たり補償費が約一万円です。三十円もらっているのに対して、そうでしょう。三千六百平方メートルに対する補償費として三千四百万円払っている。だから、一平方メートル約一万円です。三十円の使用料でいままで貸しておいて、一万円補償を払っているんですよ。こんなけっこうな商売ないですよ。だから、こんなはめ手にはまるようなことをしてしまったということは重大なことですよ。こんな補償というものはどうしても納得できないと思うのです。だから。いまあなたは、そういうふうななにになると困るから——将来、払わなければ裁判で請求されたら困るから、だからいま考えているんだ、こうおっしゃいますが、こういうふうな使用料と補償額というものを比べると、あまりにも大きな開きがあり過ぎる。これは常識の世界でのできごとじゃないです。しかも、その新聞の記事の取り上げ方を見ますと、建設省役所人たちがみんなゴルフ場の会員だ、こういうことまで書かれておる。ゴルフ場の会員になっておって、それは会費払っておられるか払っておられぬか知りませんが、しかしながら、そういうふうなことで利便を与えているということになると、これは汚職にも通じる。だから、そういう点でもっと——私はきょう取り上げたのは、自分たちが会員になっておるところへ、こういうふうな便宜をはかって補償料を払っている。そうすると、そのあとまた続く東名道路にも、また補償費を払わなければならぬようになってきた。一ぺんへたな穴を掘ったら、次々次々と落とし穴ができてきたということが今日のこの補償の問題だ。そういう意味において、私は、建設省全体の空気がたるんでおる、だから、先ほどの問題に関連して、きょうこういうことを取り上げるのも、そういうところに原因があるわけです。理由があるわけです。だから、私はこの際、大臣のほうでそういう方向へまじめに、単に法律論とかあるいはいまのあなたの場合は、私は杞憂だと思うのです。杞憂だというふうなものにこだわらず、まじめに、こういうふうな権利の設定というものを、これから除却していくように御努力をお願いいたしたいと思います。  これ以上御答弁を求めても、大臣ちょっと困難かもしれませんから、ここらでしんぼうしますが、しかし、まじめにこういう問題を検討していただきまして、来国会には、はっきりとしたこれに対する結論として、建設省はこういうことをきめましたと、私が大臣にきょう冒頭にお尋ねをいたしました、いわゆる役所としてのけじめの問題、省議できめていただいて、これは行政立法機関との間の運営の混同は絶対にやらぬようにしていただくということが一つ、その次には、こういうふうな行政運営は今後やらない、また、それを取り消すためにはどういうふうなことをやっていくということを、きちんとひとつおきめ願って、大臣としての有終の美を飾っていただきたいと思います。
  52. 小山長規

    小山国務大臣 私は、ものの考え方はあなたと同じなんです。同じなんでありまして、ただこれに、公益上とる場合にも補償しろと書いてあるでしょう、七十四条と五条に。公益上の必要で今度補償したわけですよ。公益上必要なときにも補償しろ、こうなっておる。そこで、新しく今度建一定の条件のもとに処分を取り消しますよという新しい条件をつけるときに、私的な契約——契約じゃないかもしれませんが、私的の申し合わせができるか、もしくは法律の改正が必要なものか、これは慎重にやっていく必要がありますよ。というのは、常識だけでやっておると、やはり同じことができるわけですから。これだって常識のある国会議員がつくった法律でしょう。それでもこういうことになったのですから。ですから、ものの考え方はあなたと同じで、道路をつくるとか国民広場をつくるとかいうときに、取り消しをしますよ、その場合には補償しませんよ、こっちはこう言いたいわけです。言いたいのだけれども、それをやった場合に、法律を改正しないで、ただ権力づくめで、そう言わぬ限りは今後は貸しもせぬが、あとでひどい目にあうというようなことで、やってみて、お互い文書で取りかわした、いよいよ裁判所に行ったら、そんな取りかわし方は法律上だめなんだということになったら、これは何の意味もないわけです。ですから、岡木さんがおっしゃるように、君としても、将来、国民広場の問題があるし、あるいは今後河川というものには必ず橋があちこもかかるに違いないのですから、その場合に、いま貸してわる人たちにも、そういう場合には補償なしで国が使いたい、こういう希望、そういう念願のもとに行政的にやれるか、法律を必要とするか、それをいま検討して、その方向でものごとを進める、こういうことを先ほどから申し上げておるわけですから、これは御了承願いたいと思います。
  53. 岡本隆一

    岡本委員 問題は二つあると思うのです。いままで貸してしまったものと、これから貸すというのと、二つあるわけですね。これから貸す場合は、もちろん、これにこりごりされたでしょうから、もうこういうようなことが発生しないようにしていただけると思うのです。あとは、いままでに貸したものに対してどの程度の権利が発生しておるか、ということに対する解釈の問題が残っておる。そうして、強い権利が発生しておらないなら、これは簡単ですね。そこそこ強い権利が発生しておるとすれば、それをどうするかという問題になってくるわけですね。これは補償基準なんかを読んでみますと、とにかく期限つきのもので、しかも譲渡性のない権利。だから、期限は一年にされておる。しかも、その権利は譲渡することができない性格のものである。だから、そういうふうな権利というものは、普通の私権とだいぶ違った性格のものであります。だから、勢いそういうふうな権利の根というものはきわめて浅いものです。だから、たとえば建設省の方針として、今度は、それじゃ五年なら五年の間は従来の条件で貸しましょう、しかし五年以後は新しい方針に戻りますよというくらいのことは、私はきめ得ると思うのです。そうすると、五年間の期間を待てば、公共の目的で取り上げるのに対しては、もう何ら補償が必要ないということになりますから、今後契約の更新の場合には、必ずそういった程度の、せめて、現在まであなたが、そしてまた役所のほうで、あると見ておられるそういうふうな使用権についても、その期間で権利が消滅するというふうなことをはっきり打ち出していただきたいと思います。もし必要であれば、そういう法律をつくりなさいよ。法律を出しなさいよ。一日で、審査も何もなしでぼっと通しますよ。だからそういう法律をつくってくださいよ。また、できないというなら、議員立法でもやります。これから研究して、期限がありませんから、今国会には間に合わぬでも、来国会でも出しますよ。できるならできるで、やっていただきたい。出せないならわれわれ出しますから。いかがですか。それについてひとつ……。
  54. 小山長規

    小山国務大臣 先ほどから何度も言っているとおりで、あなたと全く同じ考えなんです。方法、手段をいま検討しておるのです。やるつもりで研究しているのですよ。そういう意味に御理解願いたい。
  55. 森山欽司

    森山委員長 次に、地方住宅供給公社法案を議題とし、審査を進めるわけでありますが、この際、建設委員長より、建設大臣に対して、一言申し上げたいと思います。  それは、午前中の岡本委員質疑関連いたしてでございますが、先ほど建設大臣は、予算成立前、特に、大臣決裁前の予算配分等のごときものが、他に事前に漏れるというようなことについて、遺憾の意を表されました。そしてそのことについて、委員長個人の問題であるかのごとき御表現があったのでございますが、同様の例は、ただに委員長個人ばかりでなく、他の建設委員の方々多数に、同様の事例があったのでございまして、したがって、与野党議員諸君お話し合いの上に、しばらく審議をお休みすることにいたした次第でございます。  もとより、委員会法案の審議が重要な任務でありますけれども法案を提出される建設省の基本姿勢こそ重要であり、行政のけじめについて若干の疑点をわれわれが持たざるを得ないというところに、四月九日以来今日まで委員会を開かなかった理由があるのでございまして、この間、建設省建設省の姿勢を正すことについて御反省を願いたいという趣旨でありましたことについて、どうか、建設大臣において十分御理解をお願いをいたしたいと思う次第でございます。  なお、これに関連いたしまして、去る三十八国会の本建設委員会において、当時の理事佐藤虎次郎君は、次のような発言をいたしておりますので、この発言につきましても、私の考え方と若干の角度の差はございますけれども大臣の所見を承りたいと思います。朗読いたします。「一体、建設委員会建設省が何と心得ておるのか」「建設委員会というものは、予算獲得、予算審議、法案、お役所におかれましてその事業の施行に支障なからしむるように議論はいたしますが、建設委員会は政党政派を超越して協力して今日まで参っております。どの委員会を見ましても、建設委員会ほど与党野党を問わず協力しておる委員会はないのであります。ここで私は言いたいことが一つある。建設委員会に、あるいは建設行政に何ら一つの協力もせざる者が、三十六年度であるなら三十六年度の予算が、各市町村の配分道路河川、都市計画、住宅、この予算配分がきまりますと、」「どこには予算が幾らついたといって、町村長のところへ全部手紙を出す。県もまだ知りません。建設委員会におる私どもが陳情に行って予算を獲得したことは知っております。しかるに、建設行政建設委員会に何らの協力をせざる者が、自由党といわず社会党といわず、どういう関連があるか知りませんが、これを選挙区に配付したときに、あなた方は一体何のための建設委員会だと言われたときに、その代議士はどんな立場に追い込まれるか。」中間は省略いたしますが、「苦心惨たんして与野党協力しておる建設委員会の者が知らず、何ら協力せざる者のみが知って、手紙を各町村に出しておる。私の選挙区にもあります。一体、それで協力ができるかできないか。建設委員会を軽視するのかしないのか。これだけをお聞きしておきたいと思います。」という佐藤虎次郎君の質疑がすでに四年前、昭和三十六年四月七日に行われておるのでございます。この四年前の、当時の佐藤理事質疑は、今日なお現実の問題、であろうかと思いますので、この際ごく簡単に、建設大臣から所信を御披瀝いただきまして、本題である地方住宅供給公社法案の審査に入りたいと思います。
  56. 小山長規

    小山国務大臣 先ほど申し上げましたように、大臣決裁以前にその事案が漏れたことは、まことに遺憾であります。今後はそういうことは絶対いたさせません。しかし、私は、与野党の申し合わせによって委員会が開かれなかったということは知らなかったものでありますから、先ほどそう申し上げたのであります。
  57. 森山欽司

    森山委員長 私は簡単にこれで終わりたいと思いますが、ただ、ここに佐藤虎次郎君が言っておるように、佐藤君の所論によって、最後に、「それで協力ができるかできないか。建設委員会を軽視するのかしないのか。」というふうに、当時の建設大臣に詰め寄っておられますが、同様の気持ちを持っておる方も少なくございませんので、それ  についての御答弁をお願いいたしたいと思います。
  58. 小山長規

    小山国務大臣 私は、月初から話があれば、当然大臣として責任をもってお答えしたのでありますが、私は、きょう初めて聞いたのであります。
  59. 岡本隆一

    岡本委員 初めて大臣がお聞きになったとしても、私が先ほどから申しておるのは、行政機関としての筋は通していただきたい、そして、それについて、必要とあらば省議でそういうことをきめてもいいというふうな程度の御答弁があった。私は頭の回転が悪いんで、すぐぱっとなにしてこないのですが、必要とあらばというようなことであれば、必要であるかないか、まあこれから考えましょうというようなことにも解釈できるのでございますが、しかしながら、重ねていま委員長からお尋ねがございましたが、大臣はきょう初めてお聞きになったにいたしましても、私はずいぶん時間もかけて、大臣にその間の事情お話しいたしましたし、私ども社会党のほうでも、そういう被害を受けている人がございますし、また与党議員さんの中にも、やはり同じ選挙区でもってそういう抜けがけが行われて、あんた、建設委員しているというのに、何ですね、というふうに言われている人があるのです。私自身、正直申しますならば、国元に秘書が二人おりますが、あちこち回りますと、ほかの人からなかなか親切に手紙くれたり電報くれたりしているのに、岡本さんちっともくれぬじゃないか、岡木さん建設委員やというのに、これはどういうことなんだというふうなことを言われまして、私も二人の秘書から、何とふがいないおやじだなと言わん、はかりに言われて、帰ってみて、委員長がおこっているのもなるほどもっともだな、私もこう思ったひとりなんです。だから、そういうふうなことは、四年前に佐藤さんがああいう議論をされまして、そういうことは間違っている、だから今後そういうことはやらないことにしましようということで、あのときに、政府委員会との間に、そういうふうな申し合わせになって、そういう空気になっておったのです。だから、そういうことは行なわれないもの、だからきまったあとで、われわれのほうが、予算配分を早く聞かしてくれ、国元に手紙を出したり電報を打ったりする必要がある、そんなやぼなことを言っていくべきじゃない、そういうことで、私どもはそんなことはお伺いにも参りません。ところが、建設省とわれわれの間に、そういうようなはっきりした申し合わせではございませんが、しかしながら佐藤さんが委員会でああいう意見を出し、非公式な会合で、そういうことはお互いにしないことにしようというような申し合わせになって、それから後、そのあくる年あたりはそういうことはなかったはずです。それがまたくずれてきているのです。そういうようにくずれてくるということの中に、やはり行政立法とを混同している面があるわけなんです。だから、今後行政運営としたら、お互いにそんなものを役所へわれわれが聞きに行って、それを人に負けぬように通報を出すというような過当競争を国会議員がやっておったのでは、国会議員の権威にも関するのです。だからわれわれとしたらそういうような過当競争をなくするようにしてもらいたい。それには、建設省役所のほうで、そういうことを特定の人にぽろぽろ漏らされたのでは、やはりそういう過当競歩に走らざるを得ない。議員みずからが議員の品位を落としているというようなことになるわけなんです。だから、大臣もやはり議会人ですから、国会の権威を落とすようなことがないように、そういうような過当競争がおこることがないように、これは国会役所もともに引き締めてもらわなければならぬと思います。これはやはり役所としての運営態度の基本的なかまえの問題で、そういうようなものが今度のゴルフ場補償事件なんかにも通じておる。やはりどことなしに空気がたるんでおることがこういうことになることかと思います。きょうは特に久しぶり委員会の再開にあたって、冒頭、委員長は、どうもおれに関係のあることだから、もうこういうことは触れずにおいてくれというようなお話でございました。しかしながら私があえてそれに触れましたことは、これはやはり今後の問題もありますし、こういう問題があって、そのために委員会が  一時ストップになったということは異例のことです。異例のことでありますが、しかしこれは国会としての姿勢を正す、また行政役所としての姿勢を正すというような意味において重要なことである、こう思って、委員長はそれだけにしてくれということでありましたが、いやこれはきちんとしてもらおうということで、あえてきょうこういう意見を出したのですが、その点について、大臣のほうでもきちんと役所を引き締めていただくようにお願いいたしたいと思います。
  60. 小山長規

    小山国務大臣 その点は、何度も申し上げましたように、きちんといたします。     —————————————
  61. 森山欽司

    森山委員長 次に、本格的に地方住宅供給公社法案を議題とし、審査を進めます。  質疑を許します。稲富稜人君
  62. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま議題となっております地方住宅供給公社法案について、若干質問いたします。  これはすでに前々からの委員会で質問されておりますが、私おりませんでしたので、私が質問することは、あるいは他の委員からすでに御質問になった点があるかと思いますが、そういう点がありましたら、本日は質問者もございますので、私もまた簡略に要点だけをお尋ねいたしますから、重複しておる点は、御答弁も簡略に要点だけ答弁していただければけっこうだと思いますので、さようお取り計らい願いたいと思うのであります。  まず最初にお尋ねいたしたいと思いますことは、本法案の第八条には、本公社は、「都道府県又は政令で指定する人口五十万以上の市でなければ、設立することができない。」となっておりますが、この「五十万以上の市でなければ、」と特に限定をされた趣旨はどこにあるか承りたいと思うのであります。
  63. 尚明

    ○尚政府委員 特に「五十万以上の市でなければ、」といたしましたのは、この公社の性格からいって、預かり金業務をして、各種の監督下に住宅供給をする、このためには市民に対して預かり金等の業務を行なうに十分信用力あり、かつ住宅の供給につきまして、その建設及び経営に能力が十分あるということが必要である。かつまた、住宅事情から考えまして、これらの公社を設立して住宅供給をする必要がある住七事情のもとにあるような地域、ということを考えまして、「人口五十万以上の市」ということにいたした次第でございます。
  64. 稲富稜人

    ○稲富委員 それじゃ、五十万以下の市であっても、地方に希望があり、必要と認められるときには、これをさらに将来は拡大することもあり得るというような含みがあるところの立法でございますか。将来どこまでも五十万に限定するというたてまえをとっておられるのか、この点を承っておきたいと思います。
  65. 尚明

    ○尚政府委員 ただいまのところ、人口五十万以上の市ということで考えているわけでございますが、実際問題といたしまして、住宅事情もしくは住宅供給能力等、今後公共団体のいろいろな発展に従いまして、必要なときには、この法律の改正をする必要も起きることもあるというふうには考えております。
  66. 稲富稜人

    ○稲富委員 さらにお尋ねしたいと思いますことは、本法による貸し付けの問題でございますが、住宅金融公庫に準じて貸し付けられます単価というものは五万四千百円、こういうような標準単価になるように私計算いたしておるのでありますが、事実上、今日の物価というものは相当に高くなっております。この貸し付け単価というものを、もっと時価に沿うたように引き上げるというような考え方はないのであるか、承りたいと思うのであります。
  67. 尚明

    ○尚政府委員 住宅金融公庫の貸し付けの単価が、全般にわたって低いということは事実でござ  いまして、これがために、毎年、予算におきましても、数%ずつ引き上げていくということをやっているわけです。しかしながら実際問題として、なおやはり単価が十分でなく、規定として七割五分融資といいながら、実質的に七割五分に達していないというようなことが起きるわけでございます。それにつきましては、鋭意単価の拡大をはかるということをやっておりますが、さらに、今回の供給公社の積み立て方式にかかるものは、特にまた積み立てる額と公庫の融資の額が合わさって家が建設されるということを考えまして、これが適正でなければならない点が特に強いわけでございますので、これにつきましては、予算総体の中で、実施にあたって相当の苦心をいたしまして、在米の分譲住宅よりかなり多く公庫から融資が行くように、いまいろいろ計数を整理しているところでございます。たとえば鉄筋コンクリートについて、大都市の最高の場合、在来おおむね百二十万くらいしか融資できませんでしたものを、今度は同じものについて百八十万円くらいまで融資できるような計数上の予定でおります。
  68. 稲富稜人

    ○稲富委員 この延築の単価の特価というものは、大体どのくらいと見当をつけられておりますか。
  69. 尚明

    ○尚政府委員 おおむね申し上げますと、いま中層耐火構造の鉄筋コンクリートのアパートで、建築工事が八万一千円から八万六千円くらいかかるものと考えております。それから、二階建てのコンクリート造につきまして、七万七千円程度かかるものと考えております。それから木造につきましては、これは主として地方で建てるわけですが、地区によってかなり差がございますが、おおむね五万六千円から六万三千円くらいというふうに考えております。
  70. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、いまも御説明がありましたけれども、大体の時価と金融公庫法の貸し付けの標準単価との間に相当開きがあります。こういう開きのまま融資をやっておりますと、今度はほかの金融を仰がなくてはいけない。その金利が高いために、非常に困難をするというような事態が生ずると思うのでありますから、これに対しては、せっかくこういう公社において安住の住宅を与えるわけでございますので、そういう不安のないような住宅を建設せしめるようなことをすることが、最も必要なことであると思うのでございます。いまもおっしゃっておりますが、実際の建築費は高いので、やはり単価を引き上げて、時価に沿うような単価によって貸し付けをする、こういうことに取りはからわなければ、禍根を残すことになると思うのでございますが、これは実施にあたって考えなくちゃいけない問題でございますが、これに対してはどういうような熱意があるか。何とか考えようでは困るので、その点は、やっぱり建築に当たる前、貸し付けるときから、それを計算に入れて貸し付けなければならない問題だと思いますが、いかがでございましょうか。
  71. 尚明

    ○尚政府委員 お話のとおりでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたように、単価をできるだけ引き上げるようにいたしてやっておるわけでございますが、この努力は今後とも予算のときも続けて、できるだけ多くいたしたい、こういうふうに考えております。  なお、さらに事務的な苦心といたしましては、いま申し上げましたのは一般の建築の工事でございますが、そのほかいろいろ必要なもの、たとえばアパートにいたしますと、浄化槽が団地の外に要るとか、いろんな問題がございます。在来はこれらの加算が十分でございませんでしたのを、今回はいまの一般建築並みに、それに伴って必要なものを、いろんな角度で加算方式をとっていって、そして建築工事ができるだけ予定の額でいって、開きのないようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  72. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま局長の話の、できるだけ負担を少なくするようにという、できるだけするというのが、これを実際に利用するほうでは非常に不安なんでございます。たとえば、今回二〇%が積み立てられ、八〇%が公庫融資を受けるといたしましても、標準の単価が高いのに貸し付けの標準単価が安ければ、その差額というのはたくさんできる。これは別途に負担しなければならぬという問題が起きるので、やはり時価に相当する単価をもって標準単価にする。そういう点をはっきりきめておかなければ、非常に困る問題が起こるのではないか。ただ、できるだけ高くしようと思っているということだけでは、私はこの問題は解決しないと思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  73. 尚明

    ○尚政府委員 それは、実際の仕事を行ないますのに非常に重要な問題でございますので、いま私どもはいろいろの計算をいたして、実際に募集をいたします際にも、全体で土地とも二百幾らの建物になる、そうしてそれに対して住宅金融公庫は幾ら幾ら融資する、したがって積み立て目標とする額は幾らである、ということをはっきり明記して募集いたしたいと思います。そこで理想的にいきますと、実は八〇%融資になるわけでございますが、端的に申しまして、在来から単価がやや低かったので、今後、私どもいろいろ計数的な苦心をいたしましたが、一番条件のいい場合には八〇%くらいになりますが、条件の悪いものでは七〇%程度にちょっと下がるものがございます。で、そういうものにつきまして、もしそこがあまりにも苦しいのならば、私どもは、実際問題としては面積のほうを少し削ってでも、七割以上八割程度におさまるようにして募集をするように、いま地方公社ができましたら、そういう指導をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
  74. 稲富稜人

    ○稲富委員 結論を申し上げますと、積み立てと融資で全体の金額をまかなえる、こういうことで、別個にまた金を借りなくても融資と積み立ての両方によってまかなえるというようなところまで満たそう、こういうような考えであるかどうか、結論だけ承りたい。
  75. 尚明

    ○尚政府委員 お話しのとおりでございます。積み立てと融資とでまかなえるようにいたしたいと思います。しかし、それは初めから、二〇%だけ積み立てすれば、あとの八〇%は必ずつくといって、その差が多くなるといけませんので、いろいろ計算を安全にとりまして、募集いたしますときに、同じ土地に建つものでも、たとえば大小ございまして、十五坪のもの、十七坪のもの、十八坪のものを設計に入れたいと思います。その場合に、十五坪のものは八〇%融資、つまり頭金とあれで、ちょうど八〇%の融資に相当するようになるが、少し面積の大きい十八坪のほしい方は、積み立て目標額が三〇%、つまり融資のほうで七〇%になる、そういうように建物の種類で多少変わるということを、募集の際に明確にいたしたい、こういうふうに考えております。
  76. 稲富稜人

    ○稲富委員 次の問題で終わりますが、住宅金融公庫法の十七条によりまして、住宅金融公庫は、住毛組合法によってできた住宅組合等に融資をすることになっておりますが、今回の新法ができますことによって、住宅金融公庫の持っている貸し付けワクをどのくらいふやされているか、この点を承りたい。
  77. 尚明

    ○尚政府委員 住宅金融公庫の予算全部について申し上げますと、三十九年度は、事業の量が十三万戸で、手塩総額が八百七十七億ばかりでございまして、今回は十三が七千戸で、一千四十四億にいたしております。その中で分譲住宅は、三十九年一万七千戸でございましたのを、四十年度二万五千戸と、八千戸ふやしております。
  78. 稲富稜人

    ○稲富委員 この供給公社ができますことによって、在来の住宅協会、住宅組合等の貸し付けワクがしわ寄せをされるというような事態は発生しないか、この点をひとつ明確にしておいていただきたいと思うのであります。
  79. 尚明

    ○尚政府委員 在来の各事業の貸し付けは、これによってしわ寄せを受ける点はほとんどございません。ただ個人融資の分だけが、昨年に比べまして三千戸減っております。そのほかはすべて、昨年の事業よりも一各種目とも拡大いたしております。  なお、お話しの住宅組合に対する融資でございますが、住宅組合に対する融資は、住宅金融公庫から法律上できることになっておりまして、公庫設立後数年間はいたしましたが、たしか昭和三十三年ごろから以後、住宅組合に対する融資は、行なっておりません。しかしながら、住宅組合には行ないませんけれども、労働者住宅協会等には融資を行なっております。この分につきましては、実は四十年度も、三十九年度二千二百戸に対し二千五百戸の融資の申し込みがございますが、そういう点はなるべく御希望に沿うようにして、実施できると考えております。
  80. 稲富稜人

    ○稲富委員 次に役員の問題についてお尋ねしたいのですが、本公社の役員は、理事並びに監事というものを置くことになっておりますが、定員というものをきめておりませんが、何がために定員を御決定にならなかったのか、この点承りたいと思います。
  81. 尚明

    ○尚政府委員 この公社は、第二十一条にございますように、必須の業務として、積み立てと、その積み立てに従っての分譲住宅の供給をいたすほか、第三項以下に書いておりますように、いろいろ住宅団地の建設あるいはこれに必要な公益的あるいは利便施設等、各種の業務を書いております。これを全国的に見ますと、公社ができましたときに、非常に大きな各種の業務を行なう公社と、この積み立て方式を中心にして、あとほかに賃貸住宅を若干やるというような小規模な公社とは、おのずから各県の住宅事情によって異なってくると思います。したがいまして、ここで人数をはっきりきめますことは、かえってそれぞれの公社の事業の性格と合わなくなるという点があると存じます。しかしながら、この公社が定款をつくる際には、その定款の中で、役員の人数等を明記することにいたしておりまして、その定款は、公社の設立の際に建設大臣の認可を受けるという形にしておりますので、その際に、あまりにも不合理な役員の置き方等がございましたら、私どものほうで、これを指導いたしたいというふうに考えております。
  82. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも法案成立に対して、役員だけはきめることになっておるのに、人数も何もきめないということはふに落ちない。そうなりますと、いま話を承りますと、公社の定款のときにきめるとおっしゃるけれども、どうも必要に応じて次々つくるということになってくると、無制限にもできるということになってくるので、それじゃ本法が定款をどのくらい抑制するというのか、監視するというのか、そういう権限があるかどうか。この点、定款と本法との関係というものに対してどういう考えを持っていらっしゃるか、承りたい。
  83. 尚明

    ○尚政府委員 まず第九条に、「地方公社を設立するには、議会の議決を経、かつ、定款及び業務方法書を作成して、建設大臣の認可を受けなければならない。」とございまして、それから第五条に定款のことがございます。この五条の第一項の五号で「役員の定数、任期その他役員に関する事項」が、定款で定められるようになっております。それから二項におきまして、この「定款の変更は、建設大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」こう規定しておるわけであります。
  84. 稲富稜人

    ○稲富委員 しからば、この定款を決定して役員を任命する場合、当然理事長が任命しますが、これは労働者の積み立て等の金が相当な基礎をなすものでありますから、それらの場合には、少なくとも全役員の半数以上には相当するような労働者の代表というものを、当然役員の中に入れなければいけない、こういう規定も当然行なわるべきであると考えますが、これに対してはどういう考えを持っておりますか。
  85. 尚明

    ○尚政府委員 まず理事長は、県が設立いたす場合は、知事が任命することになりまして、理事理事長が任命するということになるわけでございます。それで、この公社は、もちろん一般国民、勤労者すべてに対して住宅の供給をいたすわけでございますから、住宅の供給あるいは住宅政策について相当深い認識を持った理事が選ばれることが当然でございます。またあわせて、政策だけを立てるのではなく、実際問題として建設をし、これを経営管理するわけでございますので、それらの事務についても、ある程度のたんのうなる理事でなければならない、こういうふうに考えます。これらの点は、地方公共団体自身が理事長を任命し、またそういう定款を定める場合に、やはり出資者である知事の承認を得てくるわけでございますから、そういうところで、県会あるいは市会等で、適切かどうかというようなことも、ある程度その数等について話が出るというふうに考えておるわけであります。
  86. 稲富稜人

    ○稲富委員 これはあなた方が立法なさって、その立法の精神から、勤労者の出資もその基礎をなすものでございますから、当然役員なんかについて、できるだけ勤労者の代表も加えるという趣旨が立法者としてあるかどうか、この点について伺います。
  87. 尚明

    ○尚政府委員 この地方住宅供給公社は、財団法人のような形でできるわけでございますが、この第四条で、この出資は、「地方公共団体でなければ、地方公社に出資することができない。」という形になっておりまして、出資者は地方公共団体だけでございます。勤労者の資金を受け入れるのは、これは一種の預貯金業務として、受け入れるという形になっております。
  88. 稲富稜人

    ○稲富委員 勤労者の出資は預貯金業務か知らないけれども、これによって恩恵をこうむるのは勤労者であり、ひいては勤労者を目当てにつくる公社でありますから、やはり将来の運営その他に対して、相当勤労者は発言というものを当然なさなければならぬと思う。そういう点から、出資者だけで構成するという立法上の考え方は完全ではないと私は思う。少なくとも、これを利用するという勤労者の代表も、将来の運営上、やはり役員の構成の中に入れておくことが最も妥当であると私たちは思うのだが、立法者はここまでお考えにならなかったのであるか、この点承りたいと思うのです。
  89. 尚明

    ○尚政府委員 私どもは、国民各層にわたっていろいろな意見があることは承知しておりますが、この公社につきましては、その設立及び監督につきまして、たとえば県が出資したところは、県知事が第一義的な監督をすることにいたしておりまして、それらの世論等のいろいろな希望等は、この知事を介して出てまいるものと考えます。すなわち、県会におきまして、他の公営住宅等の業務とあわせて住宅政策全般として論ぜられ、そうしてその一環としてこの公社が業務を行なう、こういうふうに解釈いたしまして、先生の御指摘になりました基本的な住宅政策、あるいはその具体的な方法論等につきましては、これは県会、市会等、これらの、設立し、かつ監督する団体の議会において論ぜられるというふうに想定して、この法律をつくった次第であります。
  90. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは立法者として非常に無責任な話なんで、やはりそういうような地方公共団体、その他だれでもやっていいんだ、こういうようなことにまかせるということは、将来の運営に対してもいろいろな影響をすることだから、これを、立法者としては、法律化して実施する以上は、少なくとも立法の精神として立てておかなければならぬのじゃないかと思う。あるいはこう言っては何だけれども、官僚の古手だとか、次々にそういう者を役員に持ってくるということは、従来考えられたことなんです。そういうことで、せっかく勤労者のための大衆住宅というものがはたして完全な運営ができるのであるか、こういうことも考えられますので、この点はやはり立法者として特に考えておかなければいけない問題じゃないか、こう私たちは思うわけなんです。それをただ、県会その他にまかしているのだ、こういうことは、立法者としては非常に体裁のいいことだけれども、一面では非常に無責任だ、こういうようなそしりを免れることはできないと私は思うのでありますから、この点はこういう立法に当たられた政府として、これに対する方針は的確にして、ただ、地方にまかせるのだ、こういうようなことではないようにするのが立法上必要だと考えられるわけです。
  91. 小山長規

    小山国務大臣 それはこういうことだと思います。地方住宅供給公社は、地方自治体が出資をするわけですから、それの運営の責任は公共団体自体が持っておる。そして勤労者のほうは運営に対する責任はないのであって、利用者の利用に対する、利便施設をこうしてくれとか、いろいろな希望条件はあると思うのでありますが、それは運営の責任とは別であって、要するに政策に対する一つの希望であると思うのであります。ですから、この場合の理事というものは、執行の責任者ですから、つまりそれを運営して、しかもちゃんと預金が安全に保管されるという、その責任は出資者が負わなければならぬ。いざというときには、出資者が損害を補てんするわけですから、そういう意味で、利用者がこれに入ってくるのは、立法上はおもしろくない、こう思います。
  92. 稲富稜人

    ○稲富委員 しかし、これを利用するほうは勤労者であるし、二〇%というものは、出資という形になるかどうかわかりませんけれども、やはり負担をした形になるのです。だから、やはり利用者の意見もその運営上聞くことが必要ではないか。ただ運営する者だけでやるんだ、利用する者は何も発言権はないのだ、こういうようなことではたして運営がうまくいくか。しかもこれは単なる借家ではございません。単に借りるのじゃなくして、やはり借りる前には二〇%という負担をさせられておるということになるわけでありますから、これに対して、やはり利用する側が運営に対して何かの発言権を持つということは、将来の運営上も非常にいいんじゃないか、こうわれわれは考えお尋ねしておるのです。
  93. 小山長規

    小山国務大臣 いまおっしゃることは、要するに、希望の表明の機会を与えろということだと思いますが、それは運営上当然やらせなければいかぬと思います。ただ、それを理事者として入れるかどうか。たとえば、株式会社の金融機関の場合に、それじゃ預金者を役員に入れるかというと、預金者は入れないわけですね。株主としては入れるわけであります。したがって、預金者の意見を反映しなければいかぬかもしれないけれども、それは理事者として反映するのではなくて、ほかの方法で反映させる方法が考えられなければいかぬのじゃないか。そういう意味では、今後の指導方針として、そこに住もうとする人たちの希望は、一体どういうところにあるかということをくみとるような方策を講じる必要がありましょう。しかしそれを理事者として迎え入れるという立法の必要はない、こういうふうに思うわけです。
  94. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうも、私はその点が大臣考えが違うのですが……。しかも理事に対して定員がない。さっきの話を聞くと、必要なものは次々と理事に入れてもいいのだという解釈、それほど理事というものを広範に考えておるとするならば、利用する側としても、経営に対して、いささか将来の運営に対する発言の場所があってもいいのじゃないか、それならば理事者の中に入れても差しつかえないのじゃないか、こういうような考えをわれわれは持つわけであります。この点は立法者のほうとわれわれのほうと考えが違うようでありますが、この点は何かの形において運営上そういうことが必要ではないか、こういうことをわれわれは考えるわけであります。あなた方は必要ないとおっしゃるが、私は非常に必要だと思うのであります。そうすることが、将来円滑な運営をする上において非常にいいのじゃないか。また利用者のほうの意見を聞くこともでき、民主的な運営ができるのじゃないか、こういうこともわれわれは考えます。単なる預金者の場合と性格が非常に違うと思うのです。その点を私は考えますので、単なる預金者として扱うのではなくて、やはりこれに対しては、利用者のほうは、いかにも、この法律上は出資者であるということは間違いありませんので、やはり出資をしたような意味の負担があるのですから、この点は考えなければならぬ、こう考えます。
  95. 小山長規

    小山国務大臣 おっしゃる趣旨はわかります。つまり将来住もうとする人、そういう人たちの意見を反映する場所がなければならぬ、その趣旨はわかりますが、それを理事者として、執行の責任を負わせる立場に置くか置かぬかということになると、意見を異にするわけであります。
  96. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題はどんなに議論しても、どうも平行線でありますが、将来何か、これが運営にあたっては、そういうこともひとつ十分考慮して運営されることを、将来のために希望を申し上げておきたいと思うのであります。  さらに、本法によります取り扱い金融機関、これが住宅金融公庫とこの公社になっておりますが、勤労者いわゆる労働者が出資するという関係もありますので、労働金庫をもやはり取り扱い金融機関としてこれを認めたらどうかと思うのでございますが、こういうことに対しては別に考えてないわけでありますか。
  97. 尚明

    ○尚政府委員 この二十五条の業務の委託で、「住宅の積立分譲に関する契約に基づく金銭の受入れに関する業務の一部を銀行その他の金融機関に委託する」ということにいたしました。これは、この公社が預金のいわゆる出納事務等を扱うことは事故を起こしやすいですし、また現金でございますので、いろいろ計算等もたんのうというわけにまいりませんので、この窓口を金融機関にいたしたい、こういうふうにしたわけでございます。この金融機関の選定は、それぞれ地方公社を設立いたしました団体等の事情もいろいろあります。たとえば県金庫とか、あるいは預かり金を受け入れるための地域的な配置、そういうような点もございまして、これからは、私どもとしては、大体公社を設立した県と相談してきめていったらいい、こういうふうに考えております。したがいまして、労働金庫が入るか入らないかということは、私どもとしてはいま特別に、これは入ってもよいし、入らない場合もあるし、それはそれぞれの地方公社及びそれを監督している県と相談してきめていただく、こういうふうに考えております。
  98. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま一点でありますが、住宅金融公庫法の二十条によりますと、公庫の貸し付け融資が八割に相当する金額まで、こういうことになっておりますが、従来もなかなかこの八割までは実施せられていないようにわれわれは聞いております。今回の場合は、やはり正確に八割まで貸し付けをやる、こういうようなことにひとつ十分配慮しておいていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  99. 尚明

    ○尚政府委員 法律上、八割の融資になっておりましたが、在来は、八割以内とございますので、予算のときに七割五分というふうになって、かつ、先ほど先生が御指摘になりましたように、単価が悪いので、それが実質的に六割にしか働かないというような事情でございましたが、今回の分譲住宅につきましては、予算のときから八割にいたしてございます。そして単価がまだ十分でないので、その点につきましは、先ほども私申し上げましたように、予算自身は、分譲住宅全般につきまして二百六十億用意してございますので、その中で構造別等をいろいろ計数的に整理いたしまして、先ほど申しましたように、実体として最低七割程度——七割がちょっと切れるかもしれません。それからあと、土地等の価格がうまくいきますれば八割というふうにして、在来の融資よりよほど引き上げたいというふうに考えております。それが、先ほど具体的に申しましたように、在来大都市におきまして、鉄筋のアパート一戸につきましても最高百二十万しか公庫の融資が行っておりませんでした結果を、今回の予算と、いまの計数のいろいろの整理をいたしまして、百八十万ぐらいまで融資がいくように引上げる。したがいまして、鉄筋のアパートは大体二百二十万から二百五十万ぐらいでできる予定でございますので、それに対して百八十万融資しますと、いま申しましたように、七割から八割の融資が確保できる。こういうふうにいたしたいと思います。
  100. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点は、先刻申し上げましたように、やはり非常に貸し付けの率が低いということは、実際上困るので、少なくとも今回に限っては八割を下らないように、こういう方針でやってもらわなければ事実上困ると思うのです。   〔委員長退席、廣瀬委員長代理着席〕 せっかくこういう公社ができるのだから、これを契機に、八割が最高になっておるから八割以内、ということで値切らないようにして、八割はどうしても出すのだ、こういう方針で処していただきたいということを、特に私申し上げたいと思います。
  101. 尚明

    ○尚政府委員 その問題は、私ども八割をぜひ実現したいと思います。が、端的に申しまして、やはり家には、家族の数等がございまして、予算で成立しましたよりも、若干面積を大きくして供給したほうがいいような場合があります。そうしますと、どうしてもその分は負担願わなければならない。その結果七割になる。七割になる場合は、たいがい面積がやや大きいほうの分で、やむを得ずそうなるというふうになっておるわけでございます。
  102. 稲富稜人

    ○稲富委員 私の質問は、これで終わります。
  103. 廣瀬正雄

    ○廣瀬委員長代理 金丸徳重君。
  104. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 だいぶ時間も過ぎておりますし、それから、私のお尋ねいたすことが、あるいは前に問題になりまして、ダブルような心配もありますけれども、ごく要点だけをかいつまんでお尋ねいたすことにいたしたいと思います。  お尋ねいたします前提といたしまして、今回、この地方住宅供給公社の設立によりまして、実際にどれくらい住宅政策に寄与するのか。従来、公社公団をもってやっておられたのが、この新しい方策の採用といいますか、創設によりまして、地方もあわせて全国的にいって、どれくらいの分譲住宅あるいは貸し家がふえてくる見込みなのか、その点を一つ
  105. 小山長規

    小山国務大臣 計画によりますと、今年度は二万戸ということで進めるわけでありますが、問題は、住宅政策にどのような寄与をするかということになりますと、いままで、住宅公庫から個人個人の貸し付けをしておりますけれども、実情を申し上げると、予算単価が低かったり土地の値段が高かったりするために、個人個人の融資というものは、住宅の必要な人になかなかいかないで、むしろ、こういうところで申し上げるのはどうかと思いますが、幾らか金を持っておる人が、税務署から聞かれたときに、いやこれは公庫から金を借りてつくりましたというようなふうに利用される場合のほうがありがちであった。そういうような実情であったことは、率直にいって、申し上げていいと思うのであります。そういうことで、個人個人の住宅融資というものは、なかなか最初計画されたとおりいかなかった。今度こういう供給公社をつくりまして、しかも地方の実情のわかる人たちが執行者になるわけですから、したがって、土地の入手も、従来よりははるかに簡単になるでしょうし、また集団住宅をつくりますので、単価も安くなるでしょうし、利便設備なども共同のものができて、めいめいがつくれば高いものにつくやつが、比較的安くできるとか、そういう面で、実質的には非常に役に立つのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。
  106. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 実質的に非常に役に立つという見込みのもとに、今年度二万戸という大体の計算をなさっておられる。それに関連して私のお伺いいたしたいのは、今度の制度によりまして、どれぐらい実際の住宅財源がふえてきておるのか、ふえる見込みがあるのか、ということをも承りたい。
  107. 尚明

    ○尚政府委員 住宅予算につきまして申し上げますと、政府関係のうち、建設省が所管しております公営住宅、改良住宅住宅金融公庫、日本住宅公団等でありますが、これが三十九年度は、いま申し上げました各住宅を集めまして、二十三万五百戸で、その総予算額は二千七十六億円でございます。四十年度は、いま申しました供給公社への公庫の融資等も一含めまして、二十四万七千戸でございまして、二千五百三十四億ばかりにいたして、約四百数十億ふやしております。
  108. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その四百数十億ふえるというもとは、どういうところを当てにしておられるか。
  109. 尚明

    ○尚政府委員 いまふえました額は四百五十七億ばかりでございますが、この中には、補助金で五十九億、それから財政投融資といたしまして、これは出資金と低利資金とございます。それから民間資金もございまして、合わせて三百二十億ふえております。
  110. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そういうことで、新しくこの公社の設立の目的は、国全体としての住宅政策に大いに寄与しよう——いま承っておりますと、戸数においてやはり二割程度ふやしたい、こういうことでありました。  そこで、私はこの住宅政策の根本についてちょっと触れてみたいのでありますが、今度の公社は、大体は分譲住宅を主眼として、従的に賃貸住宅をもつくっていこう、こういうようなことのように、法案のたてまえからは受け取れるのでありますが、この点は私の受け取り方が悪いのでありますか、それともそういう方向で進んでおる、ねらいがそういうことであったのか、この点どうでありますか。
  111. 尚明

    ○尚政府委員 この地方住宅供給公社は、この法案の附則のほうでもいろいろ書いてございますように、現在まで、地方公共団体が出資して、民法三十四条によります法人として、地方に、住宅協会あるいは何々県住宅公社といって、住宅供給を行なっておりました団体がございます。それらの公社、協会が、住宅金融公庫の融資を受けつつ、、本法二十一条の三項以下に書いてございます「住宅の建設、賃貸その他の管理及び譲渡」それ以下の事業をやっていたわけでございます。それらのいままでの賃貸住宅、分譲住宅を在来どおりやっておりました公社が、そこへさらに預かり金業務を行なって、これに住宅供給をつけて住宅困窮者に渡たすということで、この二十一条の一項、二項に書いてございますような業務が新たに加わったわけでございます。そこで、私どもといたしましては、在来の賃貸住宅あるいは在来の宅地分譲、こういうものは、先ほど申し上げましたように、公庫の予算でも逐年ふえておりますので、そのように事業がふくらみつつ新たに貯蓄の業務も伴った分譲住宅、いわゆる勤労者の住宅が加わりまして、これのほうは、実を申し上げますと、今後大いに伸ばしていく。したがいまして、いま四十年度自体としますと、在来の事業のほうが大きくて、積み立て分譲のほうはまだ戸数でも少ないという公共団体が多いと思います。しかし、今後この事業が円滑にいくようにいたしまして、この積み立て分譲をふやしたいと考えております。そうしますと、だんだんこの事業が大きくなる。しかしながら、全体といたしましては、いま言いました積み立て分譲もやれば、従来のような賃貸アパートもやる、そういう一つの大きな供給公社に育てたいというふうに考えております。
  112. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 大体、従来の方針にプラス民間資金といいますか、利用者の資金をもかき集めた形で強力に推進しよう、こういうお考えのようであります。この点、私はよくわかるのでありますが、そういたしますと、なぜ新しくこういう公社をつくらなければならないのか。従来の公社、公団で、これに地方的な機能も持たせることによって足りるのじゃないかというような、これはあるいはしろうと考えにすぎるかもしれませんけれども、そういう気がいたすのであります。なぜこれを、地方にこうして数十の公社を個別につくる必要があるのか。私の心配いたしますのは、これがサラリーマンをねらっておる、大体はそういうことでありますから、そういたしますと、サラリーマンには転勤ということがある、移住ということもある。そういうことからいたしまして、各地方に分散し、孤立することによって、全国的な連絡を欠く心配がありはしないか。もし、全国的な機能を持つ公社にやられるならば、転勤、転住その他の場合においても、きわめて円滑にこれらのことが取り扱われると思うのでございますが、そういうような不便をもあえて克服するといいますか、これをも甘受して、こうした幾つかに分かれる、数十に分かれるような中でやらなければならないのか。その点について、しろうとわかりのするような御説明を願いたい。
  113. 尚明

    ○尚政府委員 お話しのごとく、在来も、民法三十四条に基づいておりました住宅協会、公社が、それぞれ賃貸住宅、分譲住宅等の建設をも一行なっておったわけでございますが、今回の地方供給公社法におきましては、一つ住宅を求める方が計画的に積み立て金を行なって、それによって住宅を取得する。   〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕 そういたしますと、在来のような分譲住宅方式をとっておりますと、かりにある程度お金を積み立てても、くじに当たらなければその家がもらえないということで、とかくその積み立てをしたお金もほかのほうへ使われていくというような傾向がございました。そこで今回は、積み立てました方は必ず家が当たる、そういうことでもって、ここに、この公社に積み立てる方は、数年後に家が手に入るということで、計画的な生活ができるようにするということが一つの大きなねらいでございまして、それから、そういうことによって積み立てていただきました多くの方のお金を運用して、あらかじめ土地を数年前に取得しておく、というような資金的な力もつけることができる、そのような業務をいたしますには、当然、国民のお金を預かるだけの十分な信用力があり、かつ将来にわたって、その住宅供給経営が十分できる能力を備えるような団体でなければならないわけでございます。そこで、従来賃貸住宅等の供給を行なっておりましたこの地方の協会、公社は、今回組織を強化いたしまして、すなわち知事の監督、建設大臣の監督等を強化するとともに、さらに住宅建設の能力を強めますために、土地の収用権とかあるいは新住宅市街地開発事業を行なう事業主体になるとか、いろいろ住宅事業を行なうのに、在来持っていなかった権限を付与する。すなわち在来の協会、公社というものを強化して、住宅建設の推進力を強めるということと、いま一つ、先ほど申し上げました新たに積み立て制度による分譲住宅の供給ということをいたす、このためにこの公社をつくったわけでございます。  なお、お話のございました、転勤等のある方は、いずれにせよ最後の落ちつく場所があまりはっきりされない方は、まず需要においては御希望が普通少ないと思います。こういう方はそれぞれの地域の賃貸住宅に申し込まれる、賃貸住宅は在来どおり逐次ふやしていきたいというふうに考えております。  それからもう一つ、かりにこの積み立てをされてから後、突然の理由で、他のところへ転勤しなければならなくなったという方も出るかと思いますが、これらの方は、決して御損がいかないように、一定期間以上積み立てられた方には、利子をつけて返すというようなことを法律の中でいたしておるわけでございます。先生がおっしゃられましたのは、積み立てられた方が、全国の公社なりでもって、その乗り移りができるように考えたらどうかというお話だと思いますが、これは、いま、私個人の意見で恐縮でございますが、できるだけそういうふうになればいいと思っておりますが、これまた全国の公社のでき方いかんによってからでないと、まだ必ずしもそうすると申し上げられませんが、それは十分今後検討いたしてみたいというふうに考えておる問題でございます。しかし必ずうまくいくかどうか、ちょっと問題があるのでございます。
  114. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 時間が制約されてきましたからあれですけれでも、いまのその点なんですがね。なるほど積み立てた金は利息をつけて返すのだからいいじゃないかと言われますが、それは最初の加入したときの趣旨に合わない。利用者の対象がサラリーマンだというものですから、しかも、今度は、この新しい制度をつくるのには、その積み立て預金のほうを、預金制度をたいへん重点的に見ておるというものですから、それではそれに合うような組織のほうがよりいいのじゃないか、こう思うので、なぜ幾つかに分けてやらなければならぬのか、それがわからぬというのであります。いまのように特典を与えるからということでありますが、それは何も一本じゃ特典が与えられないとか、分けなければだめだとかいうことにはならぬと思います。もし中央に一つの公団があって、各地に支所があるならば、それでも足りるわけでありますから、どういうわけでそういうことになっておるのか、その点、一目でわかるような方法がないのかどうか。時間がありませんから、端的でいいですからお答えを願いたい。
  115. 尚明

    ○尚政府委員 確かに、おっしゃるように、全国一組織でそういうことが行なえることがあるといいというふうには考えますが、かりにそういたしますと、日本住宅公団が、全国的な組織であれば、これに近いことになるわけです。しかしながら、現実の状態としては、日本の住宅公団は、大都市近傍の住宅難解消だけでも、ただいませい一ぱいの仕事をやっております。そこで新たにこの地方供給公社を、地方公共団体を主体にして設けることといたしましたのは、現在実際問題として、地方住宅事情をよく把握し、かつ、協会、公社等をもって現に住宅供給をやっておりますので、ここをまず活用いたしたい、こういうふうに考えたわけで、あとはこの連絡組織等においてできるだけ円滑にいけばいいというふうに考えるわけでございますが、ちょっと問題がございますのは、たとえば東京などにつきましては、他の地区から転入してくる方が非常に多いわけです。そうしますと、たとえば、東京都住宅公社は、それを全部常に引き受けるだけの余力がないと思うのでございます。そういう点の調整がつけば、Aの公社からBの公社へ変更というようなことも考えてもいいと思いますが、実行上大都市がそれを全部受け入れられるかというような問題で、私ども検討——まあむずかしい点と思っているわけでございます。
  116. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 この点、押し問答しておってもしかたがありません。先ほど、これについてはなお考えるとおっしゃっておりますから、それでなにですけれども、私はいまあなたのあげた例の、実は逆のことを考えておる。東京で働いておって、やがては落ちつくところを地方に求める、その地方がまだわからぬけれども、東京において積み立てておきたいという方もたくさんあろうと思いますから、そういう場合においても、やはり一本のほうが便利じゃないか、こういうことでお伺いをいたしたのであります。これは御記憶を願うことといたします。  それから次に、ざっとなにいたしますけれども大臣、今度の住宅政策を強力に進める上においては、こういうふうな公社案もけっこうと思います。けっこうと思いますけれども、さらに、もっと民間の貸し家業というもの——貸し家業というのは、いうところの高利貸し的な貸し家業ではなくて、堅実な、健全な不動産業というふうなものを助成する、この活発なる活動を促すということも、いま当面の非常な急務になっておるこの住宅事情を救う一つの道ではないかと思うのでありますが、この点はどういうふうに考えられて、またどんなふうに手を打っておられますか。
  117. 小山長規

    小山国務大臣 その点、国の財政資金だけではなかなか思うような住宅政策も十分できない、おっしゃるとおりでございます。そこで、民間の健全な、いわゆるアパート業者とか、そういうものを助成する道をひとつ考えようじゃないかということで、あるいは税法上はどうしたらよかろうかとか、金融上はどうしたらよかろうかという点を、いま住宅対策審議会に諮問をいたしておるところであります。これは十分その道をぜひ考えなければいかぬ、こう思っております。
  118. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 今度の案をお進めになる上について、そういうふうな民間の機関、たとえば生命保険会社の子会社である不動産業者だとかというものにつきまして、何かの、その活動を促すための方法というものを、建設省として住宅政策を進める上について、具体的に何か手を打っておられるのですか。いまのような、審議会のほうにまかしておるということじゃなくて、何か手を打っていることがありますれば、お漏らしおきを願いたい。
  119. 小山長規

    小山国務大臣 住宅公団の資金として、従来生命保険の資金を受け入れておりましたが、今度は信託と火災保険の資金も受け入れまして、それを原資に使っておるわけです。そのために高い原資になりますものですから、利息補給をやって、金利を薄めて使う、こういう方策を今度とったわけであります。
  120. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 国のほうの資金で薄めて使うという、その経費を直接不動産会社なり何なりに——いい会社ですよ。高利貸し的なものではなくて、いい会社に、直接何か助成するような方法をとられることが、一そうその住宅政策に寄与する気持ちを刺激する上において得策じゃないかと思うのですが、この点はいかがお考えになりますか。
  121. 小山長規

    小山国務大臣 そういう政府の金でいわゆる金利を薄めるという政策をとるとしますと、やはりそれはどうしても民間企業ではぐあいが悪いので、これは公共企業、公的な性格を持った企業でないといけませんから、そうしますと、いきなり民間業者にそういう資金を与え、それに利子補給をするというわけにいきませんから、そこのところはよほどくふうしないと、組織の面でくふうをする必要があろうかと思いますので、そういう面を含めて、いま検討しておるところであります。
  122. 尚明

    ○尚政府委員 補足説明を申し上げますが、その民間資金の活用——まだ十分ではございませんが、三十九年度に五十億、それから四十年度も同じ五十億でございますが、信託銀行のそういう資金が、大蔵省の行政指導のもとに、いわゆる信託の約款をつくるときに、民間の宅地造成及び住宅建設方面に流れるように、これは大蔵当局と話し合って、大蔵当局の行政指導で、一定のワク、五十億というワクを設けてやる道が昨年から開かれました。これらの問題は、成績がよければ一そう大きくお願いいたしたい、こう考えております。
  123. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そういう方面にも力を入れておかれて、ひとり公社的な、国家的な力ばかりではなくて、民間の力も動員する必要があろうかと思うのです。  そこでひとつお伺いするのでありますが、郵政省では、昨年ですか、福祉事業団というのをつくりまして、これは一種の貸し家業、と言ってはいけないのでありますが、老人住宅をつくって、これを貸しております。また、部屋をたくさんつくって、これも貸し室をしております。これもごくわずかではありますけれども住宅政策に寄与するところが大きいのでありまして、こういう方向で一これは民間ではありませんから、しかもその大部分の金は、住宅公団あるいは金融公社のほうへ回しておるのです。この郵政省が経営しておるところの簡保の福祉事業団をして、さらに住宅政策に寄与させるための道を開かれることも必要だと思うのでありますが、この点、大臣にお伺いする前に、郵政省のほうで、福祉事業団として、そういう考えを持っておられるのかどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  124. 合田淳一

    ○合田説明員 簡易保険といたしましては、いま先生からお話がありましたように、ただいま老人ホームを全国に十カ所、それからヘルスセンター、保養センターといっておりますけれども、それをいま四ヵ所、この保養センターは行く行くは各県に一つぐらい持っていこうじゃないか。このほか福祉施設としては、診療所を全国に二十九ヵ所、その他移動診療、自動車による無医村の診療等をやっておるわけでございますけれども、私たち簡易保険局の考えとしましては、還元融資といいますか、加入者からお預かりした金でございますので、できるだけその加入者層に広く利益を還元するという意味で、間接的な地方公共団体への融資に重点を置いていままでやっているわけでございますけれども、もう一つ考え方としまして、各加入者へ直接その利益の還元もいたしたい。具体的に言いますと、配当の増配をしますとか、あるいはいまおっしゃられた福祉施設も拡充していきたいというふうに考えて、老人ホームもやっておるわけでございます。住宅につきましても、これはだれでもいいというわけにいきませんけれども、加入者に対してはそういうものを提供したらどうかという考えはございまして、検討したこともございますし、いまでも検討しているわけでございますけれども、さしむき目先のことに追われまして、そこまで手が回っておりません。実は来年度は集中満期で、満期が来て、資金も少ない状況でございますけれども、四十一年度からは大体千五百億ベースになりまして、四、五年先には大体三千億見当にはなるのじゃないかというような資金の見通しもありますので、そういう加入者のための住宅ということは考えていくべきじゃないかということで、私たちのほうでは検討しているわけでございます。
  125. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 建設大臣、いまお聞きのように、郵政省としても貸し家といいますか、そういう方面に仕事を広げる道が開けております。そこで先ほどお伺いしますと、民間会社に対してもできるだけの協力を求めるというお気持ちの中から、郵政大臣に御相談なさって——これは各県に一つずつ機関を持つのでもありますし、それから原資はいまお聞きのように、近く年々三千億ずつも一たまってまいるということであります。長期安定の資金としましては、一番いい方法であります。加入者に限定されることはやむを得ないといたしましても、保険加入者だけでも貸し家が手軽に借りられるというようなことになれば、それだけ私は住宅政策に大きな好影響をもたらすと思うのです。これは郵政大臣に御相談なさって、そういう方面にさらに簡保事業としても力を入れるように、協力を求めるお考えがおありかどうか。
  126. 小山長規

    小山国務大臣 住宅政策は、佐藤内閣の重要政策の一つでありますので、住宅の資金はありとあらゆる施策を動員したい、こう考えておるわけです。そこで私どものほうとしましては、いま住宅の資金が方々から出ておりますが、資金が出ておるのは差しつかえないのでありますけれども、一体どの程度住宅をつくるのが国民的に一番望ましいかとか、貸し家に幾らの金を回し、あるいは持ち家に幾らを回すとかいうようないわゆる住宅政策の基本に関する問題は、やはり総合的にやる必要があるだろうということで、この間の委員会でも申し上げましたが、住宅基本法的なものをつくりまして、その原資は、たとえば簡易保険から幾ら入れるのだとか、あるいは厚生省の金から幾ら入れるのだとか、そういうような方針のもとに、基本的な住宅政策一本でいけるような体制をつくりたいとかねがね思っておるわけです。いまおっしゃるのは原資の問題でありますから、原資については、当然その問題とからんで、郵政省の金を使わせてもらいたいし、厚生省の金を使わせてもらいたい、こう考えておるわけであります。
  127. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 大臣は、原資だけの問題と、こう言われますが、私は方法もたいへん大切だと思うのです。先ほど稲富委員のお説の中にも出てまいったのでありますが、利用者の意見をも取り入れるための何か一つの方法を講じたほうがいいのじゃないかと思います。私はそれは大切なことだと思うのです。単なる預金者じゃなくて、将来の住宅の利用者としてでありますから、普通の金を貯金する者という考え方ではいけないと思います。それからもう一つは、今度の公社は預金を扱うといたしますと、なかなかたいへんだと思うのです。そういう意味におきましては、郵政省が扱っておる簡保の仕事などというものは、長い間受け払いの仕事にはなれております。したがって、そういうものとあわせまして、その資金を住宅に回す。ただしそれは加入者といいますか、預金者といいますか、保険でいえば加入者であります。加入者に還元するという形において、何か一つ方法を講じられることは、建設大臣として住宅政策を推進する上においては非常に大切なことだと思う。資金だけを見ますれば、厚生省で集めるところの資金も、その他船員保険の資金も、国民年金の資金も、みな住宅政策に入ってくるだろうと思うのですけれども、そこには一つもうまみがない。したがって、推進力が弱まる。そういう意味におきましては、保険の積み立て金を住宅政策に振り向けるために、特に加入者、契約者の住宅事情窮迫者に対しては優先的に考えるということが、きわめて巧妙な方法じゃないか、こう思うのです。それによりまして、今度の公社の運営について加入者の意見も参酌すべきである、ということの気持ちも救われてまいるのではないか、こう思うのであります。特にいま、昨年開かれた福祉事業団というものによって道ができておりますから、だからこの公社を要らぬとは私は申しません。公社ができたほうが、多々ますます弁ずという意味においていいと思いますが、よりいい端的な方法といたしましては、全国単一の組織であって、どこにどう転住してもいいという制度があって、しかもそれは長期安定な資金をふんだんに持っておるという意味におきましては、これに協力を求めるということは、この場合大切なことだと思うのであります。ひとつ大臣の御所見を承っておきたい。
  128. 小山長規

    小山国務大臣 いまおっしゃられる簡易生命保険の金は、預金部資金を通じて現在入っておるわけです。ですから、その預金部のそれをふやすことも一つの方法、それからもう一つは、いまおっしゃったように、加入者に対する便宜を与えるという意味でやることも二つの方法、ただそれをやはり総合的に考えないと、ばらばらの住宅政策になってはいけないのであるから、そこで住宅基本法をつくったらどうかという御意見に私も賛同しておるわけでして、その趣旨は全く同じであります。
  129. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私に与えられた時間は過ぎてしまいましたから、押し問答になってもいけませんけれども、私はこの住宅政策を強力に推進する意味において、できるだけの方法を講じなければならないという意味で、これも大きく残された問題ではないか、こう考える。したがって、簡保事業は住宅政策に大いに寄与した。あるいは例の自作農創設資金などについても大いに寄与した。いま国策の最重点として取り上げられているところの住宅問題については、やはりこの場合、原資的にいっても、方法的にいっても、制度的にいっても、一番便利なるこの制度を見のがしてはいかぬのじゃないか、こう思うものですから、これは大臣にも特に御考究を願い、特に住宅局長のほうでは具体的にいかにこの制度を利用なさるかということについて、ひとつ肝胆を砕いていただきたいと思う。これだけお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  130. 森山欽司

    森山委員長 次に、西宮弘君。
  131. 西宮弘

    ○西宮委員 できるだけ簡単にお尋ねをいたしますが、私ども、そもそも勤労者の住宅というようなものは、政府の責任においてこれを供給すべきものだというふうに考えておるわけですけれども、今日まで、その政府の施策が十分でないために、民間の団体が自主的にいろいろな仕事をしてきているわけです。その問題と今度のこの供給公社との関係について、その問題にしぼって二、三お尋ねをしたいと思うのです。  具体的に申しますと、たとえば労働者の住宅を建設いたしますために、日本労働者住宅協会というようなものができているわけです。こういうものに対して、そもそもこういう民間の自主的な団体に対して、大臣としてはどういうふうにこれを認識をし、あるいは評価をしておられるか、あるいはまた、将来これに対してどういう期待を持っておられるか、というようなことをまずお伺いしたいと思います。
  132. 小山長規

    小山国務大臣 住宅の資金をどのような手段で調達するかということは、これはいかなる団体であってもいいわけでありますけれども、しかしながら、住宅公庫から金を貸す場合には、やはり回収の責任を負うだけの力があるかどうか。あるいは住宅建設の能力なり経験があるかどうかという問題は考えておかなければなりません。そこで、いまおっしゃいました労働者住宅協会というのは、多年の経験を持っておられるようでありまして、いままでも公庫を通じまして一定のワクを出して、住宅建設に公庫の資金を使ってもらっているわけですが、この面は今後、住宅供給公社ができましても、同じように扱っていきたい、こう思っております。
  133. 西宮弘

    ○西宮委員 供給公社ができても同じように扱っていくという、その内容でありますが、まず、融資の条件についてお尋ねしたいと思いますが、これはどうですか。供給公社の場合と全く同様に扱いますか。
  134. 尚明

    ○尚政府委員 ただいま私ども、事務的に考えておりますのは、かようにいたしたいと思っております。いわゆる八〇%融資を目指して、先ほど来御説明をいたしましたが、面積が多いと七〇%に減ることがございますけれども、これらの住宅は勤労者のための住宅でございますので、おおむね十五坪から十八坪程度住宅について、七〇ないし八〇の、融資率を引き上げた融資をいたしたい、こう考えておりますが、労働者住宅協会は、大体においてその程度の家の供給がされておりますので、その条件にかなったものは、一応住宅供給公社と全く同一条件で融資いたしたい、こういうふうに考えております。
  135. 西宮弘

    ○西宮委員 そうすると、融資の条件としては全く同様に扱う、いまの規模を標準にいたしまして。私ども、これらの融資条件は全く同様だということを確認をしておきたいと思うのでありますが、もう一つ、同じように扱うという大臣の答弁の中に、たとえば税制の問題はどうですか。
  136. 尚明

    ○尚政府委員 これは税のほうの関係でございますが、やはり課税の対象といたしましては、民法法人と、特別法でできますただいまの供給公社のような特別法人とは、いろんな点で異なっております。労働者住宅協会は財団法人でございますので、やはり民法法人としての減税の恩典を受けるということにとどまらざるを得ないということであります。
  137. 西宮弘

    ○西宮委員 そうしますと、税の所管は大蔵省でありましょうが、住宅局長なりないしは建設大臣としても、重大な関心を持ってもらわなければならない問題でありますので、お尋ねをするわけですが、税制の問題については、供給公社の場合と、労住協の場合について、若干の格差がある、全く同様だというわけにはいかない、こういうことですか。
  138. 小山長規

    小山国務大臣 これは、供給公社の場合には、特別法でつくっておりまして特別な恩典を与えておりますが、労住協の場合は、一般の財団法人としての税制上の恩典、こういう差別は出てまいります。先ほど私が同様に扱うと言いましたのは、いままでよりも戸数を減らしたり——こっちのほうができたからこっちはいいじゃないかということで、戸数を減らしたりするということはない、ということを含めて申したのであります。
  139. 西宮弘

    ○西宮委員 私も、いまの税の問題も、これは最もむずかしい問題であるということは十分承知しておりますし、これを育成をしていくというためには、非常に大事な問題でありますので、建設大臣お尋ねしても無理かと思いますけれども、十分大蔵省とも御連絡をとって、将来においては、そういう面でも供給公社と同じような扱いがされるように、税制を検討してもらうということを、ぜひお願いしておきたいと思います。  次に、この供給公社に設けられる理事の中に労働団体の代表を加えてもらいたい、こういうことを私ども考えておるわけですが、これはいかがですか。
  140. 小山長規

    小山国務大臣 これは先ほどお答えしましたが、理事というものは執行の責任者であって、出資者から出すということになっておりまして、この供給公社の場合、出資者は地方公共団体でありますから、したがって、その理事者を選ぶ場合にだれを選ぶかは、あるいは労働者の団体である人を選ぶかもしれませんけれども、法制上、そういう利用者の団体、もしくは利用者から出すということは理論的にむずかしくないかということを、先ほど答弁申し上げたのであります。
  141. 西宮弘

    ○西宮委員 法制上設けてもらわなくてもけっこうだと思うのでありますが、これは行政指導でできることでありまして、しかも、いわゆる労働者の団体の代表と私が言ったのは、必ずしも労働組合の代表というようなつもりではないので、いわゆる労働者の福祉を担当しておる団体がいろいろあるわけです。たとえば、労働金庫でもけっこうでありましょうし、あるいは労働者の福祉事業団体もありますから、そういう労働者の福祉を担当する団体、あるいは住宅生協というようなものもあります。そういう団体の代表を参加をさせるということは、この仕事の性質からいって、いわゆる勤労者が相手の仕事だという点からいって、きわめて妥当適切だと思うのでありますから、それについてひとつ大臣から行政指導をしてもらいたい、こういうことを希望するのですが、いかがですか。
  142. 小山長規

    小山国務大臣 これは、私どもとしてはこう考えております。要するに理事者は執行の責任者である。それから、ここに書いてあるいろいろな罰則の適用も受けるわけです。これは、出資者であってはじめてそれだけの責任を負うべきものである。ですから、先ほどもお答えしましたが、運営上の問題として、いろいろな希望を言ったり、利用者の側の声も聞かなければなりませんから、運用上の問題としては行政指導しなければいかぬと思いますが、それを理事者に入れるようにということは、理事者に入れたために非常に迷惑することもあるわけであります。こういう罰則その他もあるわけですから、損害賠償の責任だって出てくるわけですから、必ずしもそのことがいいかどうかについては、自信もありませんし、法制上も無理な点だと思っておりますので、運営上の問題としては考えられるけれども理事者としてということについては、どうも所見を異にするわけであります。
  143. 西宮弘

    ○西宮委員 いまお話しの罰則問題その他いろいろな問題があることは、われわれも十分承知をいたしておるわけです。しかし、この団体が今日までも、たとえば労働金庫などを中心にして同じような仕事をやってきている。したがって、今度できる団体の執行機関の中に加わることが最も適当だと私ども考えておるわけですが、これは、もし即答ができないならば検討された後でけっこうだと思いますが、私どもは強くそういうことを期待をいたしておりますので、ぜひ研究してもらいたいと思いますが、局長、もし何かお考えがあったら聞かしていただきたい。
  144. 尚明

    ○尚政府委員 ただいま大臣から御説明を申し上げましたように、理事者として入ることは制度上もむずかしい。しかし、住宅を利用する方、あるいは住宅供給の経験のある方の意見を聞いて運用するということは、運用上も必要な問題でございます。したがいまして、地方公共団体がこの地方公社を運営するに当たりまして、議会を通じ、あるいは特定の委員会等を通じて、そういう意見が聞かれるという仕組みで、監督し指導をしていくというようなことは、今後の問題として検討すべき問題だと思います。
  145. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは、いまのところ、その運営については、いわば利用者の側である労働者の意見を聞くということがきわめて必要だということは十分了解されたわけですから、ぜひその線に従って、末端の指導をお願いしたい、行政指導をぜひやってもらいたい、こういうことを繰り返しお願いしておきます。  次にお尋ねしたいのは、いわゆる労働金庫を今回の公社の取り扱いの金融機関に指定をしてもらいたいということですが、この点はいかがですか。
  146. 小山長規

    小山国務大臣 この点は先ほども御答弁しましたが、この地方供給公社が委託金融機関はどこにするということをきめるわけですけれども、労働金庫はいけないということは、われわれ考えていないわけでございます。労働金庫も、適当なところに支店があったりするならば、これはもう差しつかえないのでございますから、これはその公社自体と労働金庫の話し合いということになるのじゃないか、こう思います。
  147. 西宮弘

    ○西宮委員 公社側との話し合いということになると思いますけれども、その際の、いわゆる監督官庁としての行政指導はぜひお願いしたいと思います。たとえば、いままででも、住宅金融公庫あるいは国民金融公庫、年金福祉事業団、中小企業退職金共済事業団、あるいは建設業退職金共済組合、こういうのはいずれも管理業務をやっているわけです。ですから、今度の場合も、管理業務をするのは当然だと私は思うのです。ぜひそういう行政指導をしてもらいたいと思いますが、もう一ぺん御返答を願いたいと思います。
  148. 小山長規

    小山国務大臣 できるだけ、そういうふうにいたします。
  149. 西宮弘

    ○西宮委員 わかりました。  最後に、もう一つ大事な問題をお尋ねしておきたいのは、いわゆる余裕金の扱い方であります。余裕金の運用について、今度の法案の三十四条によりますと、余裕金は「銀行への預金又は郵便貯金」と、第一項第二号にそういうふうにきめられておるわけですが、これに、私どもとしては、その他の金融機関という一項目を入れまして、範囲を拡張してもらいたいということを、ぜひ、これは法律の修正になるわけですが、そのことをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  150. 小山長規

    小山国務大臣 これは住宅公団と平仄を合わせてつくった法律でありますが、なるほどおっしゃるように、これは相互銀行も信用金庫も抜けております。この点は、ひとつ将来検討さしていただきます。
  151. 西宮弘

    ○西宮委員 これは、すでにいままでそういう例がたくさんあるのでありますから、むしろこれに抜けていることが手落ちだと思うのですよ。いま大臣の答弁も、そういう趣旨に聞き取れたわけなんです。ですから、ぜひともこれは、「銀行への預金又は郵便貯金」というのに、もう一つ、その他の金融機関というものを設けて、そこに労働金庫等を入れてもらいたい。これは、いま大臣の御答弁は、落ちたのが手落ちだというような御答弁でありましたので、ぜひそういうふうに修正してもらいたい。
  152. 小山長規

    小山国務大臣 これは、私も実はうっかりしておったのですが、住宅公団と平仄を合わせているということであれば、住宅公団のほうこそ直さなければならぬでしょうし、そのために起こる何か支障その他があるかどうか、これはやはりちょっと検討さしてもらいませんと、ちょっとここで即合いたしかねます。
  153. 西宮弘

    ○西宮委員 たとえば、いままでの年金福祉事業団法とか、中小企業退職金共済法であるとか、そういうものにはいずれも入っているのであります。そうして現にそういう取り扱いをしているのでありますから、これはぜひともやってもらいたい。いまお話の中にも出ておったように、たとえば参議院段階でもできることですから、ぜひともこの国会中にそれを再検討してもらいたいということを、ぜひお願いしたいと思います。もう一ぺんその答弁だけ聞いて、終わりにいたします。
  154. 小山長規

    小山国務大臣 いずれにいたしましても、検討いたします。
  155. 正示啓次郎

    ○正示委員 本案に対する質疑は、これにて終局されんことを望みます。
  156. 森山欽司

    森山委員長 ただいまの正示啓次郎君提出の動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  157. 森山欽司

    森山委員長 起立多数。よって、本動議は可決され、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  158. 森山欽司

    森山委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたします。  地方住宅供給公社法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  159. 森山欽司

    森山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。ただいま議決されました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕
  161. 森山欽司

    森山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会