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1965-04-07 第48回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月七日(水曜日)    午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 三池  信君 理事 井谷 正吉君    理事 岡本 隆一君 理事 西宮  弘君       逢澤  寛君    天野 光晴君      稻村左近四郎君    木部 佳昭君       木村 武雄君    佐藤 孝行君       砂原  格君    丹羽喬四郎君       堀内 一雄君    山本 幸雄君       渡辺 栄一君    久保田鶴松君       實川 清之君    原   茂君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         建設技官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 四月六日  委員稻村左四郎辞任につき、その補欠とし  て村上勇君が議長指名委員に選任された。 同日  委員村上勇辞任につき、その補欠として稻村  左近四郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方住宅供給公社法案内閣提出第一一四号)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  地方住宅供給公社法案を議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き、質疑を続行いたします。西宮弘君。
  3. 西宮弘

    西宮委員 最初お尋ねいたしますが、四十年度予算編成にあたって、各省でそれぞれいろいろな、住宅についての構想を持っておったようです。それは新聞等で私は承知をいたしておりますが、建設省をはじめとして、あるいは大蔵省厚生省労働省等がそれぞれ計画を持っておったわけです。それについて、最終的に、住宅問題については、政府責任官庁というのは建設省だと思うのでありますが、その点は、全体の中ではどういうふうになっていますか。
  4. 小山長規

    小山国務大臣 私が予算のときに考えましたことは、建設省住宅所管省なのでありますから、最初資金もこちらのほうに、たとえば厚生省厚生年金というようなものも住宅公団あるいは住宅公庫に使えるようにしたい、こういう考え方を持っておったわけなんです。それで内部的にもいろいろやってみましたが、実際問題としては、厚生年金でつくる住宅と、われわれのほうでつくる住宅とは場所も違うし、使用目的も違うというようなことから、とうとうその問題は解決を見ないままにいまなっておるわけであります。ただわれわれのほうとしましては、たとえば住宅規模とか戸数については、事務当局間で十分打合わせをしまして、政府施策住宅でありますから、これだけのものはぜひ確保したいということで、規模戸数打ち合わせをしながらやっておる、こういう現状であります。
  5. 西宮弘

    西宮委員 いま大臣も言われましたように、たとえば厚生年金還元融資ですね、こういうやつを住宅金融公庫に投入するということによって、一元化というようなことが相当できる。特に厚生年金還元融資については、この間から論議されておるようないろいろな問題もあるわけです。ですから、そういう点からいっても、これを一本にして住宅金融公庫一元化するということが、日本全体の住宅政策を進めるという点からいって非常に——たとえばこの前論議をされました論議を聞いておりましても、いわゆる金融住宅に対する考え方、こういう点で建設大臣が答えておられることと、たとえば厚生省係り官が言っておることはいわば矛盾をしておるわけですね。そういうことがそこで解決をされるし、私はぜひともそういうふうにすべきではないかというふうに考えるのですが、いまこの間の経過についてはお話がありましたが、今後の見通しとしてはどうですか。   〔委員長退席廣瀬委員長代理着席
  6. 小山長規

    小山国務大臣 この問題は、この間もお答えいたしたと思いますが、やはり住宅基本政策に関する何か法律を、基本法とも称すべきものをつくる際には、そういったような問題も含めて、どうしても一元化方向に持っていく必要がある、こう考えておりまして、これは自民党にも住宅問題の調査会などがありますから、そういうところと相談をし、また、おそらく社会党さんのほうにもそういうものがありましょうから、そういう方々の御意見を聞いて、ぜひそういう方向に持っていきたい、これが私の念願であります。
  7. 西宮弘

    西宮委員 私は、ぜひともそういうふうにしてもらいまして、いま一番大きな政策、ことにこの前の大臣最初方針説明によりますると、いわゆる社会開発の中の最重点施策だということを言っておるわけですから、そういう点からいうならば、それを強力に推進をするためには、ぜひそうあってほしいということを、私どもは非常に念願をするわけです。大臣は、住宅基本法でもつくる場合はという、そういう前提を設けてのお話でありますが、いわゆる住宅基本法をつくる可能性なり見通しなり、そういう点はどうですか。
  8. 小山長規

    小山国務大臣 私ども念願としましては、来年度予算要求までにそういう問題をぜひ煮詰めたい、こう考えておるわけであります。
  9. 西宮弘

    西宮委員 それでは、いま大臣は、来年度予算編成までにはぜひそれを具体化したい、ものにしたいというお話でありますから、しかもそれは、私の念願としてはということでありますから、むろん現段階においてはそれだけだと思うのでありますが、しかしそれが単なる念願に終わらないように、ぜひともそうしてもらいたい。これは来年のいまごろ、その実態を見まして、もしそのとおりにいっておらなかったら大いに議論をしなくちゃならぬと思うのですが、ぜひ来年までにはそれをものにしてもらうということを、切に要望したいと思います。たとえば、今度大臣説明にもありましたように、確かに、住宅問題に政府全体として相当に力を入れているということは、われわれもいろいろな面からうかがい知ることができるわけであります。そういう点ではよろしいと思う。そのいわゆる住宅問題に取り組む姿勢としてはよろしいと思うのでありますが、そうであるとすれば、相当これを裏づけをしていかなければならぬ。たとえばこの前、私は住宅金融公庫の貸し出しのワク局長お尋ねをしたのですが、従来の個人持ち家住宅、それを減らして、今度いわゆる分譲住宅重点を置く、そういうふうに政府政策をきめたんだという意味答弁がありましたけれども、これは要するに、政府の大方針として、そういうことをとっておるわけですか。
  10. 尚明

    ○尚政府委員 いまの公庫個人融資ワクを今回若干減らしました。その理由は、一番根本的には、財政的な都合によりまして、分譲住宅をふやすために、ある程度個人のほうから資金を回したというふうなことが一番基本の問題でございますが、一方そういたしました理由一つといたしまして、最近、個人融資を受けましても、土地取得につきまして、特に大都市周辺におきましては、それが困難な事情にありますために、公庫個人融資の実績を見ましても、大都市周辺ではその借り手が減りまして、地方都市のほうで多く借り手が出ているという実情の傾向がございます。したがいまして、端的に申しまして、これを特に減らしてまでしなくて、やはり個人の好みに応じて住宅建設し得るということが一つ目的でありますし、それが地方都市等においては可能なのでございますから、それ自体を助成していくということは、いまなおその方針はとっているわけでございますが、大都市のほうが、持ち家を持ちたいときには、やはり計画的な土地開発と、その上に住宅を乗せて分譲を確保することのほうがより容易に住宅取得できる、そういう事情がありましたために、先ほどの資金都合等を勘案して、若干減らして、そのかわり分譲住宅のほうを非常に多くするということでございまして、政府根本方針というほど強い意味を持って、個人住宅を今後減らすのだという態度ではなく、やはりまた資金都合がつけば、個人そのものとしても、それらの利用者の状況を見て、ふやしていければふやしていきたい、そういうふうに考えております。
  11. 西宮弘

    西宮委員 そういう理由であるとすれば、たとえば大都会周辺地方都市ではだいぶ違いがあるというお話でありますが、それは、個人のこれから配分する分については、地方重点に配分する、これは公庫方針になりましょうけれども指導する役所の側としても、そういう指導をするわけですか。
  12. 尚明

    ○尚政府委員 個人融資のいたし方は、いまのやり方は、要望をとりまして、すなわち申し込みをとりまして、それに対して、公庫の用意した予算がかりに三分の一であるとすれば、全国一律に三分の一の当選率で当てるというやり方をいたしております。その申し込み実情自体が、最近は大都市からは出なくなって、大都市の分は減りつつ、そして地方都市のほうに多くございますので、実情として、地方都市のほうへ多く個人融資が利用されるという形になるわけでございます。
  13. 西宮弘

    西宮委員 その問題は、あとでもう一ぺん繰り返したいと思うのであります。  その次にお尋ねしたいのは、これは大臣お尋ねしたいのですが、今度こういう法律を設けて、いわゆる供給公社なるものを政府指導監督のもとにつくらせる、ということになったわけですが、従来地方住宅協会とか住宅公社とか称するものが任意につくられておった、あれをてこ入れをしていく。もしたとえば金が足りないというならば、金の面でバックアップするというようなやり方で済んだのではないかと思うのでありますが、特に今回法律を設けて、これを一本化したという理由はどこにあるわけですか。
  14. 小山長規

    小山国務大臣 今度の法律案にも書いてありますように、積み立て制度をつくったわけでありますが、この積み立て制度ということは預かり金であります。この預かり金の運用、保管ということについては、預け主信頼感がなければなりませんし、それのみならず、それが確実に運用され、預け主の損失にならないような運営をする必要があります。そういう意味で、法律的にきびしく法制を定める。また同時に、一方においては、土地取得などについては強権の発動ができるような措置を講ずる、こういうことで、集団住宅を安く提供できるようにしたい、こういうことで、この法律をつくったわけでありますが、同時に、現在あります、住宅協会とか供給公社といような、地方団体出資をしているものがありますので、これとダブらないようにしたいという配慮を加えまして、これらの住宅協会住宅公社は、この地方住宅供給公社に組織がえができるようにする必要があるということで、そういう法制も講じたわけであります。
  15. 西宮弘

    西宮委員 そうしますと、一番端的な新制度をつくった理由、あるいはその効果といいますか、それは預け金、いわゆる積み立て金を預かることができるという点にあるわけですか。
  16. 小山長規

    小山国務大臣 法律制度としては、そこが新しい制度なのであります。
  17. 西宮弘

    西宮委員 私は、もちろんそれが決して悪いわけではない、大いにけっこうだと思いますが、従来といえども、こういう家を建てる場合には、自分の頭金というような形で自己資金をまず出すということが、当然必要とされておったわけです。ですから、従来でも、家を建てたいという人がそういう若干の金をまず用意する、それから始めるということが行なわれておったんで、必ずしもこの団体だけが金を預かるという必要はないんじゃないか。それは幾らでも預かっていた金を提供して、あとはこっちのほうから貸してもらうというやり方で家が十分建つんだ。私は、それだけでこの法律をつくる必要はないんじゃないかと思います。というのは、この法律をつくることによって、たとえば地方団体財政的に相当負担を強要される、あるいはまた、いろいろ中央指導監督が厳重になってくるというような点で、いわゆる中央統制というか、官僚統制というか、そういうことが非常に加重されてくるというところにかなり問題があるんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  18. 小山長規

    小山国務大臣 住宅供給公社をつくりますゆえんは、何度も申し上げますように、現在のような土地事情などからいいますと、土地を入手するということは、一人一人ではなかなかむずかしい、ことに都市周辺においては。それから、一人一人でつくりますと、どうしても単価が高くなる。そこで、集団住宅をつくって、環境のよい場所に安い住宅供給する必要があるというようなことから、こういう措置を考えたわけでありますが、同時に、めいめい積み立てをするということは、この制度がなくてもできるわけでありますけれども、やはり一定の目標を与えて、この公社に加入して積み立てをすることができれば、その積み立てが終わったときには、必ず公庫が八〇%近い融資をして、そうして住宅供給を受けられる、こういう希望を与える制度をつくりますと、積み立てをする人も希望を持って積み立てをすることができるであろう。でありますから、そういう希望を持って積み立てができるような制度をつくりたい、そういう趣旨から、この法制を組み立てたわけなんであります。
  19. 西宮弘

    西宮委員 つまり、それと引きかえに中央統制が激しくなるという点に問題があると思うのです。たとえば、ほんの一、二の例をあげましても、今度の新しい法律の二十四条とか二十七条とか、ずいぶんいろいろな拘束を受けるんじゃないかという気がするのですが、これは局長でけっこうですが、そういう点についての政府の腹がまえというようなものを聞かしていただきたいと思います。
  20. 尚明

    ○尚政府委員 まず、二十四条等で住宅建設基準等を定めましたのは、一つは、この公社勤労者住宅供給するものでございますので、前の二十二条にもございますように、勤労者にふさわしい住宅供給するということが規定されておりまして、それをさらに具体化するものといたしますならば、こう二十四条に規定されておりますように、住宅建設のしかた、賃貸のしかた、あるいは管理のしかたその他につきまして、ある程度基準があって、それに従って行なうことが適切だというふうに考えたわけであります。さらに砕いて申しますと、非常に質の悪い住宅供給していいというのでは困りますし、また、今日の社会情勢から見て、あまりにも、ぜいたくな住宅政府資金を使うということも困るわけでございますので、その範囲をある程度明確にいたしたいというふうに考えたわけでございます。さりとはいいながら、地方公社は、ある程度自主的に計画性か持って、活動をいたさなければならないわけでございますので、私どもは、この基準においては、それほどきついこまごました基準は書かないつもりでございます。例を申しますならば、日本住宅公団につきましても、その基準につきましては、おおむね環境のよい便利な家をつくれという程度基準なのでありまして、ここの場合でも、私どもは、大体そういうような趣旨のもとに、家の面積なんかの基準にいたしましても、たとえば、これはまだきめてはおりませんけれども、十坪以上三十坪以内とか、何かそういうふうにして、非常に幅のある形で、いま申しました精神が達せられるよう省令を定めたいというふうに考えております。  それから、第二十七条に、事業計画及び資金計画につきまして、設立者である知事承認を受けなければならないことになっております。それから、そのうち二項におきまして、都道府県知事がその承認をする場合に、積み立て金に関するところの住宅につきましては、建設大臣承認を受けなければならないようになっております。このことは一見拘束になっているわけでございますが、今度それを逆に申しますと、たとえばこの第二項で、積み立て分譲にかかる部分につき建設大臣に対する認可の申請が出た場合は、建設省としては、その内容を見て一おそらくその内容は、本年度は、三年後の分について当公社は千戸分の積み立て者募集したい、というような、募集計画等を含んだ資金計画、すなわち積み立て金受け入れ計画等が入ってくるわけでございまして、これを建設大臣は受けまして、全国のその様子を見まして、この法文には入っておりませんが、あらかじめ財政当局である大蔵省協議をして、あの公社に千戸募集させてよろしいかどうか、そうして、それを全国的に見て、三年後の分は合計すると、全部でたとえば二万何千戸になる、あるいは三万戸になる、その分の三年後の融資は確保できるかということをあらかじめ相談をしてそれによって認可をする。したがいまして、三年後の分には、法制的には根拠はございませんけれども、おおむね大蔵省とは協議をつけて認可して、それによって各公社積み立て者募集する、したがいまして、その募集したものは、その募集の満期がまいりましていよいよ家を供給するときには、住宅金融公庫融資がその戸数分確保できるというふうにいたしまして、一見拘束でございますが、これによって保証をするというような運用をいたしたいと考えておるわけでございます。
  21. 西宮弘

    西宮委員 技術的にも非常にむずかしい問題だと思うのですが、数年後の建設をあらかじめいまのうちから計画をして、あるいはその見通しを立てて、国としての予算の配分もきめて、いまのうちに募集認可をしていくというようなことは、非常に技術的にも困難なことだと思うのです。したがって、大蔵省とそういう点を先々まで相談しなくちゃならぬということは、いま局長答弁のとおりだと思いますが、大体そういう点では、いまの予算がいわゆる単年度式になっている今日、どの程度まで先を見通しての相談ができるわけですか。
  22. 尚明

    ○尚政府委員 御指摘のとおりに、この制度をつくります上で、財政の面からいえば、その問題が一番重要な問題でございます。したがいまして、私どもがこの制度を意図いたしましてから一番大事な問題は、御承知のように、昨年末の予算編成にあたりまして、大蔵省との折衝の間に、この問題についてある程度見通しを持つという話し合いが、実は一番大きな問題だったわけでございます。その結果、大蔵省も、建設省のこの住宅供給方式を始めることにつきまして賛意を表しまして、その結果、それでは本年は予算として二万五千戸、そのうち積み立てにかかわるものは、建設省としては当年は二万戸を目標にやろうと思っておりますが、そういう程度の数で、今後何割かずつ上げていくということに応じながら、大蔵省も協力しよう、そういうことのもとに、実はこの法案をつくる一つの手だてができたという経緯がございます。このことは、あとのほうの項に、住宅金融公庫ができるだけそれに見合う融資をするようにつとめる、という条項法文の中に入っていまして、それらのことも、財政当局打ち合わせの結果、そういう条項を入れたわけでございます。
  23. 西宮弘

    西宮委員 私は、そういうことで、数年先を見通して、予算も組んで、将来を保証するということは、たいへんけっこうなことだと思うのです。また当然そうなくちゃならぬと思うのです。ただ心配するのは、そういうことのために非常に手間がかかって、そのためにタイミングを失したり、そういう心配が多分に出る。つまり日本じゅう全体がわからなければ、一カ所をきめることはもちろんできないわけですから、日本全体の各地の計画が出てくる、あるいはまた、とにかくそういう点で非常に困難な作業をしなくちゃならぬことになるわけですから、そのために、さなきだにいろんな手続が困難で、いつでも従来の、たとえば住宅金融公庫等にしても、手続の複雑さということが非常に指摘をされて問題になっているわけですが、それがなお一そう困難になって、地方住宅をつくるというようなのが時期を失してしまう懸念が大いにあると思うのですが、そういう点に対する対策はどういうふうに考えておりますか。
  24. 尚明

    ○尚政府委員 御承知のように、今後の住宅供給をする上において一番重要なことは、やはり将来計画を各供給主体がある程度確立し、そのためにまず第一に必要な用地の取得というようなことを先行的に行なうことが、今後の住宅供給を確実ならしめる一番重要な問題でございます。したがいまして、先ほど申し述べましたように、将来の計画を立てさせるということになります。もちろんその間におきまして、若干手続等在来よりふえるということは事実でございますが、しかしながら、それによって各公社は、安心して何年後には何戸の分譲住宅をつくることが自分公社によって適切であるということを計画の中に織り込みまして、また、その計画承認は、ひいては次には、住宅金融公庫から土地先行取得に対する融資を行なう、あるいは地方公共団体が、建設大臣からも認可がきておるから、それでは土地先行取得資金をとりあえず立てかえて地方公社融資してあげよう、あるいはもし公社が能力がございますれば、民間金融機関等から、三年間、土地取得のための金をあらかじめ借りるとかいうようなことをするための根拠もできるわけでございまして、そういう点で、今後の先行土地取得、あるいは長期の計画を確実ならしめるために必要な最小限度手続というふうに解しまして、在来より若干手続はふえたわけでございますが、これをやって、つまり地方公社が単独で計画したものが、知事を経て、建設大臣を経て、大蔵大臣のところまで一通り計画が届いており、それによって裏づけされながら仕事を行なう、そういうふうな方式にいたしたいというふうに考えたわけでございます。
  25. 西宮弘

    西宮委員 くどいようですけれども知半を経て、建設大臣を経て大蔵大臣へという、そういう段階を踏んでいくということは、非常に時間も費して、そのために、地方実情にも実際の需要にも合わない、というような事態が生ずることを私は非常におそれて、そのために、その点を繰り返し強調しておるわけですから、将来を保証するという点はきわめて必要なことだし、その点はぜひともやってもらわなければならぬことですが、そういう非常に急を要する重要な問題が犠牲にされてしまうというようなことのないうに、その点ひとつ十分注意をしてやってもらいたいということをお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ局長お尋ねいたしますが、住宅政策について政府が出しておる、純然たる政府の金はどのくらいになりますか。たとえば政府施策住宅というようなものなどにもずいぶん民間資金が導入されておるわけですか。そうではなしに、純然たる政府資金でやっておるのですか。
  26. 尚明

    ○尚政府委員 先ほど申しつけられました、手続等についての簡素化につきましては、私どもいま鋭意研究いたしておりまして、たとえば大蔵省との関係等も、総ワクとして三年後の分は大体何戸でいこうという話をきめて、個々の取りきめは建設省限りでやるというようなことも大蔵省と話し合っておるし、できるだけ簡素化するように相つとめたいと考えております。そのほかの点につきましても、御注意の点は心してやりたいと思っております。  それから、いまお尋ね資金構成でございますが、かりに昭和四十年度建設省関係住宅資金と申しますと、公営住宅改良住宅住宅金融公庫日本住宅公団、それからこれに防災街造成事業が加わっておりまして、全部で二千五百三十三億八千万円が予算総額になっております。そのうち、補助金、これは政府財政資金でございますが、これが三百六十二億三百万円になっております。それから公庫公団関係の中が分かれておりますが、そのうち、出資金、これは産投特別会計等から出しておる出資金でございますが、これは四十億でございます。それから政府低利資金、これは預金部資金あるいは簡易保険等から出ている金でございますが、これが千二百十四億でございます。それから民間資金が五百四十億、それから公庫公団等が保有する自己資金、これは三百七十七億七千七百万でございます。この自己資金は、やはり政府が以前に財政投融資として出したもので、返還金として返ってきているもので、再びこれを使うお金でございます。以上のような構成になっております。
  27. 西宮弘

    西宮委員 私が言いたかったのは、たとえば住宅公団などにいたしましても、半分近い金が、民間の金融機関からの借り入れ、あるいは公募債というようなものを当てにしているわけですね。そのためにコストが非常に高くなってしまうという結果にならざるを得ないのだ。住宅政策政府の全面的な施策として強く打ち出しているというのであるとすれば、そういうのに依存するというのを極力減らしていくべきだというふうに考えるのですが、そういうことは、これから先でももう少しそういう民間資金に依存をする、しかもコストの高い民間資金に依存をするというようなことから、これをもっと減らしていくという方向に改善ができないものでしょうか。これは大臣お尋ねしたい。
  28. 小山長規

    小山国務大臣 住宅建設資金の金利は極力安いことが望ましいわけであります。でありますから、そういう意味では、たとえ民間資金に依存しましても、その利息を低めるための政府財政資金出資であるとかあるいは利息の補給であるとかいうような方法で金利が安くなるような財政手段を講ずるのが望ましいわけなんでありますが、一方において財政資金に限度があると同時に、一方においては、今度は住宅戸数に対する要求が非常に強いあるいは質をよくしてほしいという要求が強い、こういうことから、勢いいまのような金利体系になっているわけですけれども希望としましては、これを国の出資あるいは利息補給をふやして、そしてもっと金利が安い方向に持っていきたいとわれわれは念願しておりますが、ただ財政上の各般の状況からいって、いま急にそれを望むことはむずかしい状況にある、というふうに理解をいたしておるわけであります。
  29. 西宮弘

    西宮委員 今度の供給公社によって建てられる家は、集団住宅というさっき大臣説明でありましたが、これは、いわゆる建てる様式としては、高層建築にするわけですか、全部そういうことになるのですか。
  30. 尚明

    ○尚政府委員 この法律等にもございます集団住宅というのは、必ずしも鉄筋コンクリートアパートのみを申しているわけではございませんで、私ども実際問題として行ないます場合に、大都市周辺においては、土地利用を効率をよくするために、なるべく鉄筋コンクリートアパートにします。地方都市等におきましては、在来のように、木造住宅集団住宅建設するという予定にいたしております。集団と申しますのは、排水、下水、道路等につきまして、資金の能率もよく、かつ環境もよく、そして町づくりの一環としてつくりますには、やはり集団的な、環境のいい、配列を持った分譲住宅が適切と思いまして、集団住宅というふうにいたしているわけでございます。
  31. 西宮弘

    西宮委員 その場合の家賃の取り方はどういうふうにしますか。その集団ごとにコストを計算していくのですか。
  32. 尚明

    ○尚政府委員 これは、集団住宅をつくりまして、これを分譲するときに割賦代金をきめる方式は、在来ともやっておりますが、それを簡単に御説明申し上げますと、建築費用につきましては、たとえば同じ木造の住宅にしましても、百戸つくりますと、大、中、小いろいろまざっております、これが一つの契約で建設されております。その場合に、これを面積あるいは仕上げ等の差によって案分いたしてまいっていく、すなわち、面積が多いのは高く、少ないものは安くなる。   〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕  それから宅地その他も、たとえば木造住宅の場合には庭がつきますので、その占用する面積がまた比例により、それからその建てられます場所が表の便利なところに所在する、宅地と、ずっと奥のほうになっているのに、段階をつけるというようなこともいたします。そのほか、共通の下水施設とか、排水施設とか、そういうものはその家の面積あるいは価格、そういうものから割り出しまして、案分しておのおのに割りつけてきめる、そういう方式をとる予定でございます。
  33. 西宮弘

    西宮委員 私のお尋ねしたいのは、たとえばそういう、あらゆる意味で非常に条件がいいところが高くなるというのはやむを得ないと思うのだけれども、そうではなしに、たとえば土地取得するときの実際上の取引とか、いろいろそういう問題のために、甲の集団と乙の集団と非常に違いが出てくるというようなことなどがあり得ると思うのですが、そういうときにでも、それは甲と乙とそれぞれ別個な家賃を払わなければならぬのか、あるいは、そういうのが一つ住宅供給公社という会計の中でやられるのですから、そういうのはプールで計算されるのか、私の質問の要点は、そういうことなんです。
  34. 尚明

    ○尚政府委員 それは先生御指摘のように、特に鉄筋コンクリートなどをつくりますと、相隣った団地の場合に、片一方の団地はたまたま地盤が悪いために非常に基礎の工事費がかかる、というような事例がいままででもございました。そういうような場合は、先生御指摘になりましたように、社会的な利用のほうから見て、地下に埋まったくい等は、利用者にとってはほとんど関係がないことでございますので、プール方式をとるというようなことをやっております。しかしながら、このプール方式をとります範囲は、やはりAの団地、Bの団地、Cの団地の価格がほぼ推定できる、すなわち、ほとんど同時に近く完成するようなもの同士でないといたしかねる、という点が事務技術上ございます。そういうことの推定できる限りにおいては、いまおっしゃられましたような不公正な事実が起きないように、これはせっかく公社としてある程度の企業性を持っておるわけでございますので、そういうプール等を行なわして、社会的にもいわゆる公平な感じにいたしたいというふうに考えております。
  35. 西宮弘

    西宮委員 これは大臣お尋ねをしたいのですが、非常に根本的な問題になるわけです。なかなか一ぺんに私が希望するような方向にはいかないかもしれませんが、いま局長の言われた社会的な公平という問題でありますが、それはおのおのの収入に応じて家賃を支払う、そういうことが考えられないかということでございます。これはいまのまま、こういう自由主義経済下の中で、そう簡単にはできないと思いますけれども、私は、家賃などというものは、これはほんとうに——うちに住むということはわれわれの生活の最低条件なんでありますから、そういう意味からすると、家賃の取り方というものは、収入に応ずる、そういう考え方でもいいのではないかという気がするのですが、その点はどうですか。
  36. 小山長規

    小山国務大臣 ものの考え方としては、私はそれが望ましい方向だと思うのでありますが、たとえば現在入居しておる人の給料が上がった場合に、家賃を上げることを簡単に承知するという社会情勢に、現在のところありません。ですから、いまおっしゃったような方式をとるとすれば、すでに入居しておる人も、給料が上がり、所得がふえれば当然その家賃の値上げに応ずるという習慣といいますか、そういう契約を履行できるだけの体制がないと、言うべくしてむずかしい問題だと思います。
  37. 西宮弘

    西宮委員 私は、実は昨年の夏ソ連を見て、そもそも国情が根本的に違うわけですから、むろんそれをこっちでそのまままねるということは不可能ではあろうと思いますけれども、しかし住宅供給するのはあくまでも国の責任で、一切がっさい国がやっているわけですから、したがって、家賃も全部収入にスライドするという一本やりでやっているわけですね。ヨーロッパの他の国にも、そういう例があるというふうに聞いておりますけれども、詳しいことを私は承知しませんが、私は、公の施策としてやっていく住宅については、そういう方向で、これからいろいろ検討していくことが望ましいと思います。私は、少なくともそういう方向で、政府の施策を考えてもらいたいということを希望するにとどめざるを得ないと思う。つまり、日本の国情でソ連と同じことは実施できるとは思いませんけれども、そういう方向でいってもらいたいということを希望するにとどめざるを得ないと思うのですが、基本的な考え方として、いかがですか。
  38. 小山長規

    小山国務大臣 私どもも、公営住宅について、収入が上がった人は上がっただけ費用を払ってもらいたい、というふうなものの考え方をしたいと思っておるのですけれども、すでに公営住宅基準を定めることにすら、非常に強い反対があることは御承知のとおりだと思いますが、少なくとも公営住宅については、そういう方向に持っていきたい、こう思っておるのであります。
  39. 西宮弘

    西宮委員 それでは、次に別な問題をもう一つお尋ねをしたいのですが、いわゆる安い住宅供給するというために、いろいろな施策が必要だと思います。建設資材の量産化といいますか、そういう問題ですね。これについて、政府としてはどういうふうにお考えですか。
  40. 尚明

    ○尚政府委員 御承知のように、昨年から建設省重点施策一つに、建設の合理化ということをあげておりまして、お尋ねのように、在来工法に従って住宅等の建設をいたしてまいりますと、資材も非常にロスが多く、また労務も非常にたくさんを要するということで、実は御承知のように、三十五年、三十六年に設備投資の過熱がございまして、あの際、建設費が一番いろいろ節約されております公共関係の住宅につきましては、建設業者も容易にこれを落札しないという現象が起きまして、それ以来、私どもは鋭意これらの合理化につとめております。端的に申しますと、プレハブ住宅建設を推進をいたしておるわけでございます。その結果、ただいままでも、たとえば公営住宅は本年六万五千戸の建設を予定しておりますが、そのうちの一万三千戸はプレハブ方式でつくる予定でございます。このプレハブ方式は、平家の連続住宅と二階建ての連続住宅で、ほとんどその九割までは、コンクリートの板を組み立て、内部を木製のパネルでつくりますプレハブ住宅でございます。一部は軽量鉄骨を使って建てますものを含んでおります。なお住宅金融公庫におきましても、分譲住宅あるいは個人融資の際に、プレハブ住宅につきましては、あらかじめ住宅金融公庫でその品物を認定いたしまして、その場合は設計審査を省く、すなわち何社のA型プレハブといえば、もうそれで設計審査は通ったことにしておくということで、推進をいたしております。また一方、将来を考えまして、四階建てあるいは五階建ての鉄筋コンクリートのアパートを、先ほど御指摘がありましたような、ソビエトあるいはフランス等のやっておるのに準じて、わが国でもプレハブ化せねばならないと考えまして、約三年前に、日本住宅公団に量産試験所をつくりまして、そこで鋭意中層アパート、すなわち四、五階建てのアパートのプレハブ化を志しておりまして、近くためしに五百戸程度の団地を全部プレハブで建設することを、公団をして試みさせる予定にしております。これを研究いたしまして、在来工法よりコストその他の点ですぐれておりますれば、その知識をさらに公営住七等にも応用してまいりたい、こういうように考えております。なお、この住宅供給公社でつくります分譲住宅も、やはり理想的には、頭金が二割で公布融資が八割で建つことを目ざしておりますので、どうしても建設費を安くしてかついい家にしなければなりませんので、このほうにもプレハブをある程度用いたいと思いまして、各プレハブ業者に、それにふさわしい設計及び実物をつくるように、鋭意督励しております。  以上のようにして、将来といたしましては、もう政府施策関係の住宅はほとんどプレハブで建つ、そうしてコストも質も確保される、そうして労務の値上がり等にそう影響されないで、むしろ量産体制が整うに従ってコストが下がる、あるいは同じコストでも質を上げられる、という方向へ向かってまいりたいと思って、住宅関係技術陣をいまのところ相当の力で動員して、急遽その研究が実を実ることをやっておるわけでございます。
  41. 西宮弘

    西宮委員 六一年に建築生産近代化促進協議会というのができて、六二年に建設大臣に答申をしておる、中間報告をしておる、というような記録、あるいは六二年には、量産公共住宅推進協議会というものができてそれをやっておるというような事実を記録で見ておるのでありますが、それは相当の成果をあげておるかどうか。さらに、いま局長お話の中に、コストの点でもしすぐれておるならば、というお話でございますが、私は、コストの点は議論の余地がないのじゃないか、もちろんプレハブ住宅にはいろいろな不便がありますから、それをそうでない、プレハブでない住宅と全く同じようなものをつくっていくということになれば、確かに相当なコストになると思うが、コストの点からいったら問題がないと思うが、その点について、ちょっとお聞きしておきたい。
  42. 尚明

    ○尚政府委員 プレハブ住宅のコストのことについて申しますと、まず公営住宅のプレハブ化でございまが、先ほども申しました、平家建て及び二階建てのコンクリート・プレハブにつきましては、まさにコストは在来のブロックを積み立ててまいりますのよりも下がりました。これは、たとえば三十九年度の実績で申しますと、東京都でプレハブの二階建てをやっておるのでございますが、これは坪当たり五万四千五百円でできております。これはもし在来工法でやれば、五万五千六百円くらいかかりまして、千円くらい安くなるということになります。さらに、栃木県等でつくりました平家建ての連続住宅の場合は、プレハブ住宅でつくりました場合に、四万五千六百八十五円、坪当たりでできました。これは在来のブロック造でつくっておりました場合には、五万四百四円かかっております。したがいまして、これはかなり坪当たりの節約ができるわけであります。それから個人住宅のプレハブでございますが、これはやはりつい去年くらいまでは、正直に申しまして、プレハブでつくっても、大工さんを使ってつくっても、ほとんどそう変わらないというぐらいの値段だったのでございます。しかしながら、この半年間に非常に進歩してまいりまして、最近は一流会社が木造のプレハブで——私もそのでき上がりを見ましたが、在来の大工さんがつくったのよりむしろいいくらいのものでございますが、これがいずれも五万円台、五万八千円くらいでりっぱにできるようになってまいりましたので、コストの点は、まさに先生の御指摘のように、次第に心配がなくなってまいりました。ただ、ここで技術的な観点から申し上げると、四階建て及び五階建ての分が在来よりも安くいくかという問題には、まだ研究の余地が残っておるのでございます。なぜと申しますと、なるほどコンクリートの板その他は安くできるのでありますが、これを四階、五階に引き上げて積み立てていく機械そのものが、わが国の習慣では、まだヨーロッパのように、アパートを機械で積み上げていくという、その機械がたくさんございませんために、どうしても在来の不便な機械を使うとか何とかということになりまして、そのほうの開発がおくれておりまして、究極のコストが同じくらいになってしまう。そこに一つの悩みがございます。あの重いコンクリートの板を四階、五階まで安全に、またアパートの建設に適したようにつり上げて、これを組み立てていく機械というものが、今後一つの焦点でございまして、この問題が解決してくれば、やはり結果は安くいくという道程にあると、こういうふうに考えて、いま研究しているところでございます。
  43. 西宮弘

    西宮委員 私は、もちろんそういうような面についての全くのしろうとでございますし、さらにあとに質問者が控えておりますから、私の質問を急いで終わりますけれども、私の見た記録では、たとえば五十戸の団地をつくった場合、百戸の団地をつくった場合、工期などが従来の三分の一あるいは三分の二で済んでいるというような記録等を見まして、ぜひこれはそういう点で合理化をはかるべきだということを痛感をしておるわけですが、最後に、この問題について、大臣に一言だけお尋ねをしたいと思いますが、局長は、将来の公営住宅は大半、ほとんど全部プレハブ式でいきたいということをさっき言われたわけであります。これは、建設省方針としてそうだ、というふうにお聞きしてよろしいですか。
  44. 小山長規

    小山国務大臣 建設省方針としまして、できるだけ技術を開発して、そしていまのプレハブ式のものにしていきたい、そうすることによって初めて、多少の土地の値上がりをカバーできる程度の建築単価の引き下げができはせぬかということで、同時にそういうものを建設省基本方針にとりますと、プレハブ業者自身も、一つの目安を立てまして、民間住宅にも適用できるようなものをつくっていくでありましょうから、そのためにさらにコストダウンを促進するであろう、こういうことで、プレハブ化を強力に推進したい、こう思っているわけであります。
  45. 西宮弘

    西宮委員 私は元来そういう知識を持ちませんけれども、さっき申し上げたソ連の住宅建築を見ても、これだけは全く実にうらやましいと思ったわけです。ほんとうに、これだけは、将来日本でも、住宅問題を考える場合に、ぜひ参考にしていただきたいと思うのですが、そういうことを申し上げて私の質問を終わりますけれども、たとえばプレハブ住宅建設のしかたがそもそも違います。さっき局長が言われたように、高いところへ持ち上げて、上からクレーンで引き上げて、きわめて簡単な操作で、現場で積み上げていく。そのかわり、工場生産の中で、一つの部屋を全部つくり上げてしまう。完全に、日本流にいうと、床の間から、押し入れから、全部ついたものをつくり上げてしまって、それを現場へ運んで、現場では、全くちょんちょんと、積み木細工みたいに積み上げていくというだけの操作で、非常に高層な建築をやっているということ——これはいろいろな立地条件も違いましょうから、日本ではそのままできないかもしれません。ただ、私が参考にしていただきたいと言いましたのは、一番うらやましいと思ったものの一つは、あらゆるビルディングの中で火をたかないということです。これはオフィスのようなものであろうと、住宅であろうと、一切、たとえば冬の暖房等は全部ある特定の機関から供給する。したがって町の中では全く煙を出さない。どんなところでも煙を出すところが全くないということ、そのことは私は非常にうらやましいと思った最大の点なんですが、これから日本でもニュータウンを考える場合には、ぜひそういうことまでも考えてもらって、ほんとうに煙のない町をつくってもらいたいということを強く念願したい。  それからもう一つは、そういう住宅アパートが大都市のどまん中に建っているということですね。日本流にいえば、銀座とか丸の内とか、ああいう中に点々としてそういう住宅アパートが建っておる。しかもそれが煙が出ないから、そういうものがあっても一向に不自然でない。そうなると、交通の緩和とか何とかいうことは一ぺんに解決するわけですね。そういう点、私は非常にうらやましいと思ったので、これはぜひ将来参考にしていただきたいと思う。  ところで、私はさっきいろいろお尋ねをいたしましたが、たとえばさっき局長の、去年の予算でいわゆる個人の分を減らして分譲住宅のほうに回したのは財政的な理由なんだというお話を聞いて、この前の説明と若干違ったなと思うのです。違ったなというか、それが本音だろうと思うのであります。そういうことならば、いやしくも今度の供給公社というようなものを政府の施策として打ち出すならば、ぜひこれに思い切った財源的な措置を裏づけにしてもらいたいということを、強く大臣に要望せざるを得ないわけです。なぜならば、その個人として公庫に申し込む申し込みはものすごく多いわけですね。たとえば去年など見ましても、二十四万何がしというような申し込みがあって、それに対して去年の場合は金を貸すのは五万戸というのであります。ところが、今度はそれをさらに五万戸から三千戸削ってしまったというので、まさに逆行だと思うのであります。それから、たとえば分譲のほうもさっきのお話で二万、これに二万充当する。新しい施策ではこの供給公社で二万つくるというわけでありまして、だからその供給公社をつくることによって、二万できるというふれ込みだけれども、その反面、逆に去年までの分譲住宅というものは大幅に減っているわけですね去年も一万七千やったわけでありますが、ことしはこれが五千になってしまうわけですね。ですから、新しい施策によって二万うちが建つというけれども、そのかわり個人の分が三千減り、あるいは分譲が一万二千減ってしまうというようなことでは、まさに羊頭狗肉というような感じがするわけですが、せっかくこういうのを新しい施設として打ち出すならば、たとえばこれで二万やるならば、それは新しい二万の財源を新たに付加してやるべきだと思う。その点、私は非常に残念しごくに思うのですが、その点どうですか。
  46. 小山長規

    小山国務大臣 そういう意味でも、先ほど申しましたように、住宅基本法という際には、今後たとえば五カ年計画では何一尺政府の責任でつくるんだということにしまして、その財政的な裏づけまで持っていきたい、こういう願望を持っておるわけでございます。
  47. 西宮弘

    西宮委員 最後に一つだけお尋ねしたいのですが、たとえばこういうふうに住宅が困窮しておりますと、予算が限られておるというならば、ある年度においては、ほかのものを一切やめて、たとえば道路でも何でもやめてしまって、住宅だけに回すというようなドラスティックな考え方がたまにはあってもいいんじゃないか。しかし、それも実際問題としてなかなか容易じゃないというならば、たとえば、住宅を建てる予算で——住宅局だけの所管なんですから、その予算で、一年思い切って家を建てないで、土地を買ってしまうというようなことなどは、やるつもりならばやれないことはないと思うんです。そういう少し乱暴なやり方もやっていいんじゃないか。そうすることによって土地の値上がりを食いとめる、というようなことでもやってみてもいいんじゃないかと思うんですが、そういう考え方はありませんか。
  48. 小山長規

    小山国務大臣 現状からいいますと、なかなかそういうドラスティックな方法はやっぱりとりにくいと思います。住宅の需要は非常に多いのですし、そういう意味では、まず土地だけ買ってしまえというふうになかなかいきにくい。住宅供給を続けていかなければならぬという事情がありまので、その点がなかなかむずかしいわけでございます。また、建設省に関する限り、申し上げますと、道路や河川をしばらく押えて住宅のほうに回してみたらということは、住宅本位に考えますと、それも一つの方法でありますが、一方また、道路や河川に対する要望というものは、またはなはだ熾烈である。要するに日本全体が、まだいわゆる窮乏経済にあるということでありますので、勢い国力をつけながら全体の公共投資に対する配分の率を一体どう考えていくのかということになってくるのであろうと思うのであります。ところが、御承知のように、中期経済計画を見ましてもわかりますように、公共投資をふやすことによって物価と貿易収支の面に響いてくる、こういう制約がありまして、その間にはおのずからバランスがとれていかないと、一方だけの政策というものはなかなかやりにくい、というような点を御了承願いたいと思うわけであります。
  49. 西宮弘

    西宮委員 大臣は、その住宅基本法を制定する際に一切を期待しているようでありますから、われわれも強くそのことを期待をし、また大臣は、さっき、来年度予算編成までには住宅基本法をものにしたい、こういうお話しでありますから、それをほんとうに文字どおり大臣念願に終わらないで、ぜひ実らしてもらいたい。そして、その際には思い切った財政投資ももちろん必要だし、同時にまた、現在非常にばらばらになっている行政機構等にも思い切った手を入れるということをぜひ実現をしてもらいたいということを要望いたします。私どもも、そういう基本法のごときものができて、ほんとうに抜本的な解決策が講ぜられるということを待望いたしておりますのでぜひその実現に向かって邁進をしてもらいたいということを要望いたしまして、終わりにいたします。
  50. 森山欽司

    森山委員長 次に、實川清之君。
  51. 實川清之

    ○實川委員 地方住宅供給公社法案が今回出されましたのですが、ただいま西宮君の御質問に対する政府側の答弁を聞いておりますと、この法律をつくられましても、あまり住宅事情は改善されないんじゃないか。量的な面では大蔵省の規制が相当あるでしょうし、質的な面、つまり家賃とか、そういったようなコストの面から見て逆に高くつくんじゃないか、若干量的にふえましても質的に逆に低下するんじゃないか、こういうような懸念が持たれるわけですが、大体この法律をつくらなければならなかった積極的な根拠というのはどういう点にあるか、その点を大臣からまず御説明願いたい。
  52. 小山長規

    小山国務大臣 この住宅供給公社をつくろうという趣旨は、何度も申し上げますように、一番住宅希望する中堅の勤労者、これが従来の公庫方式による金融方式でいきましてもなかなか利用できない。たとえば土地が入手できないとか、土地を入手するために非常な困難を感じておるとかいうような面。一方また、そのために、せっかく住宅を建てられると思って、その頭金を金融機関などに預金をしたり貯蓄をしたりしておっても、その願望がかなえられない。これが従来の実情でありましたので、これを何とか解決する方法はないかということで、計画的に資金積み立てを行ない、そうしてその資金積み立てを行なった人は、積み立てが終わったときには、その住宅供給が受けられる保証を与えられないかということから、いろいろ考えまして、こういう法律案を提案したわけであります。
  53. 實川清之

    ○實川委員 お話はわかるのですが、それならば従来の住宅公団なり住宅金融公庫なりの機能に若干手直しを加えてやることによって、いまの問題は解決できるんじゃないか。それを、地方公共団体に責任転嫁じゃ、ないでしょうが、おっかぶせて、地方公共団体にやらせるというような形をなぜとられたのか、どうもこの点がわからない。
  54. 小山長規

    小山国務大臣 その点もこの間お話し申し上げたと思いますが、住宅公団でやらせようとしますと、住宅公団の支社をあちらこちらにつくっていかなければならない。この管理能力の問題が出てまいります。ところが、たまたま地方には、住宅協会住宅公社というものを、地方団体がその必要に応じていままでつくっておりますので、これを組織がえをし、そうしてこれに十分な監督と権限を与えていけば、地方住宅公団の支社をつくらなくとも、同じような目的が達成できる、一方、先ほど申し上げましたように、計画的な積み立てによって住宅の入手も容易になる、こういう両面を考えて、この供給公社をということにしたのであります。
  55. 實川清之

    ○實川委員 地方住宅公団の営業所なり出張所をつくると、非常に煩瑣になって扱いにくいということなのですが、全国の各都道府県にそれぞれ供給公社をつくらすと、その公社には理事長なり社長なり、その他の重役とか、いろいろなお役人もたくさんできますし、さらにまた、庶務的なことやら管理的な仕事というような小さいものを、全国四十六や七のところでやらなきゃならぬ。そういうような面で、経費がかえってかさんでくるのではないか。したがって、そういうものが家賃にプラスされまして、高い家賃になってくるんじゃないか、こういうような感じがするのです。
  56. 小山長規

    小山国務大臣 その点は、先ほど申し上げましたように、地方住宅供給公社の実体がすでにあるのであります。たとえば、知事が兼任しておるとか副知事が兼任しておるというような公共団体があるわけです。それが組織がえされるわけでありますので、従来よりもそのために負担がふえるということはないというふうに考えておりますが、なお、詳細は局長からお答えいたさせます。
  57. 尚明

    ○尚政府委員 従来も、ほとんど一、二の県を除きましては、県が出資して設立いたしました公社、あるいは大都市が設立しました公社がございます。そこにはすでにそれぞれの担当の理事者がおりますし、また場合によっては、県の首脳部の人が県の理事者を兼ねてやっております。また下部機構といたしましては、これは大小いろいろございますが、大きなところでは、専門の技術者、事務者百人もかかえて組織的に動いているところがございます。それから地方公社では、専任の方は少なくて、兼任で県の住宅課等の人が一緒に働いているという姿でございます。しかしながら今後住宅供給を、一方はこの地方公社を利用しつつ拡大をいたしていく——今後住宅供給をいまの何割か、あるいは何倍かを供給していくということになりますと、どうしてもいままでの公団、公庫あるいは県、市だけでなく、いま申し上げましたように、すでに一応地方公社がございまして、それが賃貸住宅分譲住宅あるいは宅地造成事をやっておりますので、それをまたここで力を強めまして、その建設力をさらに利用していくということが、今日の住宅供給の組織の上では一番有効であり、かつ一番むだなく移行できるというふうに考えまして、したがいまして、この法律の中でも、端的に申すと、非常に気を使いまして、地方公社が組織変更して直ちにこれになりいいように、そして組織変更する場合には容易にできるように、各種の免税措置、すなわち登録その他すべての免税措置等を十分講じまして、この新しい供給公社に既存のものが移行して、さらに発展するというふうに仕組んだわけでございます。
  58. 實川清之

    ○實川委員 地方住宅協会というような——名称はいろいろあるのでしょうが、従来あるものは、いわゆる必要に応じて生まれたものでございまして、したがってあまり必要のないところにはなかったか、あるいはあってもきわめて小さな組織になっているわけです。私の聞くところによると、何か大手十社とか言っているそうですが、本格的に、ここで考えているような供給公社みたいな機能を発揮しているのは、十社程度だろうと私は聞いております。そういたしますと、日本人の悪い癖と申しますか、政府でこういう法律をつくってこういうことになるのだというと、必要のない府県まで、こういうものをわざわざつくって看板をあげる。またこれも悪い癖なんですが、そこに役人をたくさん置く——役人じゃなくて役員ですか、いろいろかっこうだけはつけるようになります。そうなると、私の考えでは、自然発生的に従来ある既存の公社なり協会というものは、必要に応じて生まれたものであり、まあそれなりの仕事をやっておるようです。ところが、今度はこういう法律ができると、要らないものまでもつくるようになって、結局国全体としては、あまりそろばんに合わないことになるのじゃないか、そういうような感じがするわけです。そこでお伺いしたいのですが、従来の公社なり協会というものは、建設省の立場から見て、何か非常に欠陥でもあって、こういうことについて、建設省の監督を強化するというような必要があったわけでしょうか、その点をお伺いします。
  59. 尚明

    ○尚政府委員 在来公社は、民法三十四条でできました法人でございます。主として住宅金融公庫融資を受けて住宅建設等を行なって、直接的には地方公共団体、及び、融資を通じて、公庫の監督を受けていたわけでございます。しかしながら、今回積み立て方式による分譲住宅を、この供給主体として、積み立て分譲の実施事務を新たに設けて、この公社を利用してその業務をやらせようということになりますと、まず預かり金業務を行なうことでございます。これは住宅に困窮する方からお金を預かるということでございますので、非常に責任の重大な仕事でございますが、借りて預かりまして一定額に達した者には必ず供給して、この法律目的とする勤労者が、自分の負担に応じて数年間積み立てて、家を取得するという計画的な生活設計ができるようにするための一番重要な二点でございます。したがいまして、これらを確実にするためには、まず一つは、積み立て金そのものが適正に運用され、また、これに積み立てる一般の方々も、あそこならばだいじょうぶ、積み立てて満期になったならば家をもらえる、という信用力の付与が必要でございます。それからもう一つは、そういう民法三十四条の法人程度では、解散その他が容易にできます。そういうことでは長期の安定性がございませんので、いまの問題にもまだ不安感が伴います。それからまたさらに家を供給するにあたりましては、主として住宅金融公庫から多額の融資をいたさなければなりません。したがいまして、先ほど来申し上げましたように、その融資を、国がある程度計画的に先の見込みを立ててやるということも必要になってまいります。また、その建設能力も確実になければならないということになります。以上のような要求は、在来の民法法人だけでは満たされませんので、そこで今回新たに特別法によりまして、特別法人としてつくり、そうして監督をするとともに、将来の融資等についてある程度の保証を与えて、住宅困窮者が、積み立て方式に、よって、確実に家が取得できるということを仕組みたかったわけであります。それからまた、そういうふうな設立その他の監督権限が、知事及び建設大臣によって、十分特別法でもって規定されることによりまして、この公社在来持っておりませんでした土地の収用権、新住宅市街地開発事業の事業主体になる権限、あるいは地方税及び国税における諸税の減免というような措置を、いまの監督強化等に伴いまして、つまりこの法人がきわめてしっかりした法人であるという素地を法律上つくりまして、いま申しましたような、今度積極的に事業をやるほうにプラスになります諸種の権限を与える、その必要があったということで、この法律案を出したわけでございます。
  60. 實川清之

    ○實川委員 実は私は千葉の住宅協会へ行って聞いてみたのですが、千葉は全国の大手のうちに入っておるそうです。職員も百六十人くらいと言っておりました。そこで既存の住宅協会の当事者の意見なんか聞くと、税法上の問題と土地収用法が適用できるという点は確かにいいけれども、逆に、建設省からこまかい点まで一々いちゃもんをつけられて、かえって仕事がやりにくくなるのではないか、それからまた、予算関係等で、いままで非常に事業を活発にやっておった協会あるいは公社等では、いままでよりもかえって仕事がやりにくくなるのではないか、それから、地方の特殊性というものが一般化されて押えられてくるのではないか、そういうような点で、必ずしもこの公社についてはあまり賛成はできない、というようなことを言っておりましたが、それらについての建設省のお考えはどうですか。
  61. 尚明

    ○尚政府委員 確かに、この公社法案の素案をつくっております段階におきましては、私ども説明が不十分であった点もございまして、いろいろな点で特にいまのお話にございましたように、いろいろの税、土地収用権等において権限を付与されることはありがたいが、監督を受けることにおいて、在来の民法法人で持っておりました企業性が失われることになるほど建設省の監督が強くなるとするならば、かえって活動がしにくくなるということが、公社の当事者等の意見の中にございました。それは大体昨年の暮れごろに話がございまして、その後私どもは鋭意その説明につとめまして、そうしてある程度の、必要以上にそういう監督をするつもりは毛頭ないのだということもよくわかってもらいまして、そのことば法文の中の、たとえば監督権のところ等でも、私どもはそういう点の誤解のないように配慮しまして、第一次的監督は知事にあることといたしておりまして、その知事が怠ったときに、初めて建設大臣が監督に乗り出すというような仕組みにして、したがいまして、在来どおり事故なく行なっているならば、建設大臣の出番というのはなくて、むしろ建設大臣の出番は、積み立て方式資金積み立て計画のときに将来保証する認可を行なう。これはことばの上では認可ですけれども、逆に、認可するということは、将来何千戸分かくれるという保証に実態はなってしまう、そういう形において、建設大臣の出番がある形になっているというような点は、私ども法案の中に配慮いたしてございまして、そういうことがわかりますにつれて、地方公社の方々はそれでよく了解したということで、初めの疑念は去りまして、途中から非常に協力的に、私どもと一緒に案を練っております。いまでも、正直言いまして、さらに実態の、いまの懸念であるいろいろな建設基準とか何かの問題は、これは省令、政令で書かれるわけでございまして、その省令、政令を書く場合にも、地方公社の方々と十分協議をして、束縛をしないが、かつ社会的に見て妥当であるという線で、政令及び省令を定めようという約束もいたしておりまして、いまはたいへん協力的で、いずれも組織が之を円滑にやるにはどうやったらいいかというようなことで、いろいろと相談に参っておるのが今日の実情です。確かに御指摘のように、初めはそういう問題が若干ございました。
  62. 實川清之

    ○實川委員 なお、この地方公社——千葉県の例ばかり引いて申しわけございませんが、千葉県では二つか三つあるはずです。詳しく私は存じませんが、それが全部今度の地方供給公社に、二カ年以内に組織がえをしなければならないのかどうか。あえてしたくなければ、従来のままで継続してやっていいのかどうか。
  63. 尚明

    ○尚政府委員 これに組織がえをするかどうかということは、地方の自主性に、法律の上ではまかせてあります。行政指導といたしましては、ここの二十一条の「業務」に書いてありますような範囲の仕事をやっておられる公社は、できるだけ組織変更して住宅供給の主体になってもらいたいというふうに、行政指導をするつもりでございます。しかしながら、御承知のように、地方公社の中には、この業務の範囲以外の、たとえば工業用地の造成をもっぱらやっておる公社、あるいは観光事業をもっぱらやっておる公社というようなものも地方にはございます。それらの公社は、この法の外にございまして、組織変更の必要はなく、またすることが当然として出てまいりませんので、そういうものは並列いたします。しかし住宅に関して、たとえば土地と建物と分かれて公社があったというような場合は、この際一緒になっていただくことが便利ではないかというふうに考えております。
  64. 實川清之

    ○實川委員 法律上は、必ずしも組織変更しなければならないという規定はないけれども、行政指導でそういうぐあいに持っていくということにたるようですが、その場合、従来のままでやっていく、住宅建設その他宅地の造成をやるという場合に、公庫資金は、従来と同じような条件で、同じように流すのかどうか。
  65. 尚明

    ○尚政府委員 この公社の組織がえをすることがぜひ必要なのは、端的に申しまして、積み立て方式による分譲住宅事業をやるときには、どうしてもこの法律でやっていただかなければなりません。したがいまし、積み立て方式までして住宅供給をする必要のないような、地方の府県等で在来どおりの民法法人でやっていくところに対しては、この積み立て方式分譲住宅以外の住宅建設、すなわち賃貸住宅建設とか、あるいは宅地造成事業、あるいは分譲住宅にいたしましても積み立て方法を伴わない分譲住宅、こういうものをもつばらやろうとする地方の既存の公社は、もし組織変更までしてこれをやりたくないというならば、それはそれで認めて、在来住宅金融公庫融資は引き続き行ないたいというふうに考えております。
  66. 實川清之

    ○實川委員 念のためちょっとお伺いしておきたいのですが、全国で、いまこの公社、協会は、名称はいろいろあると思いますが、大体どのくらいありますか。
  67. 尚明

    ○尚政府委員 六十二ございます。
  68. 實川清之

    ○實川委員 先ほど申し上げましたように、供給公社をつくりましても、あまり住宅事情は変わらないのではないか、むしろ場所によりますと、従来事業を活発にやっておったようなところでは、若干後退すらするのではないか、という懸念さえ持たれるわけでございますが、そういう点については、ひとつそういうことがないようにお考えをいただきたいと思います。  なお、住宅問題につきまして、先ほど西宮さんも、ソビエトの例か何かでお話があったようですが、私も昨年の夏北期鮮へ参りまして、住宅が非常にりっぱに仕遂げられているのをまのあたり見たわけでありますが、御案内のように、北朝鮮は、昭和二十七年までいわゆる朝鮮戦争をやっておりまして、戦後十二、三年程度住宅関係はほとんど、一〇〇%とはまだ言えないようでしたが、大体復興ができ上がっておる。都市におきましても、農村におきましても、新しい住宅ができまして、国民に住宅の不安は持たせなくて済む段階に至っておるようです。家賃等の点につきましても、日本と比較いたしますと非常に安くて、何十分の一というような、ただみたいな家賃で入っておるというような状態でございます。もちろん国柄が違いますから、北朝鮮の行き方を直ちに日本でとるというわけにはまいらないかと思いますが、ただ日本の場合、せんだっても、私、大臣の御説明に対する質問で申しましたが、日本住宅事情が極度に悪化した最大の理由は、何と申しましても戦争の結果であります。したがって、その戦争の結果、住宅事情が非常に荒廃し、悪化した。それを建て直すのが、私はやはり国の責任ではないかと思うのです。もちろん、終戦当時四百五十万といわれた不足戸数が、現在百万あるいは二百万といわれておりますが、そこまでこぎつけたわけでありまして、その間の御努力につきましては感謝いたすものでございますけれども、ただ、その中には政府が直接を手を下して住宅復興をやった部分と、民間が自力でやって復興した部分と、その比重は、民間自体建設のほうが非常に多いわけでございます。しかも、政府で建てた住宅については、必ずしも、朝鮮などの事情から考えましても、家賃等の点においてあまり安くないし、日本住宅政策が、どうも企業的にそろばんをとり過ぎているんじゃないか。したがって、入る住民が家賃その他の面で困っているんじゃないか。あるいはまた一定の低所得者についてはほとんど見放されたような状態になっておるし、こういう点について、やはり国としては、その根源にさかのぼって、何が今日の住宅事情をつくったかという点をお考えになって、もっと抜本的に住宅問題を政府みずからの責任において解決する、というような御決意が私は必要ではないかと思うのです。たとえば、住宅公団に関する一切の経費は国がまるがかえするとか、あるいは宅地の造成等についても、国が責任を持ってこれを解決する、ほんとうに安い金で、一般の庶民が住宅に入れる、住宅を持てる、というような形に、政府が本腰を入れ、この住宅問題というものを考える必要があるのではないか。従来の国の政策の中で、住宅問題というのは、相当力を入れておられることはわかりますが、まだ本格的に住宅というものが取り上げられていない、どうも片手間でやっておられるような印象を受けるわけです。したがって、国はもっと——現在特に、一番住宅事情で困っているのは、私は低所得階層の人たちが一番住宅に困っているのだろうと思います。もちろん、公共住宅その他若干のことはされておりますが、決して満足な状態ではないし、むしろ、何とか自力でやれる階層に対しては、比較的住宅供給されておる。これはさっき言った、政府の採算主義というか、そういうような点から、元を取らなくちゃならない、損をしてはならないというような計算づくの考え方の基礎に立つ住宅政策だから、金を貸して、回収のつくもの、あるいはかかった金は取れるものというような考えで住宅をお建てになり、政策を進められる。したがって、一定の線以上の所得のある人たちに対しては、住宅はある程度緩和されてきております。しかし、どうにもならないそれ以下の階層の人については、いまのような政府の採算主義というか、まあ金もうけをしようと考えておるわけじゃないでしょうが、従来の行き方では、今後いつまでたっても、この一定の線以下の低所得者に対しては、住宅供給できないんじゃないか。やはりここまできますと、戦後十数年たって、住宅事情も若干は緩和しておると思いますが、今後政府が一番住宅政策の力点を置くべき点は、一定の線以下の低所得者に対する住宅問題を解決する。そのためには、政府はある程度自腹を切る決意がなければ、私は解決できないんじゃないかと思います。そういう点について、大臣の御所見を承りたいと思います。
  69. 小山長規

    小山国務大臣 共産主義の国と違いまして、日本の場合には、個人の財産を認め、そして個人の自由な企業を認める、こういう経済なり政治の仕組みになっておるわけでありますが、ちょうどILOが、社宅をやらないで、できるだけ持ち家にやれと言っておるのは、同じ趣旨のことであります。つまり、家でもって国民を縛っちゃいかぬということが、その趣旨だろう思いますけれども、そのように、元来は日本のような国柄では、自分の家を持つことが一番望ましいというような考え方で進むべきであろうと思います。   〔委員長退席廣瀬委員長代理着席〕 ただ、自分のうちを持とうとしましても、なかなか一挙にそこまでいきませんので、そこで自分のうちを持てない人には、それぞれ賃貸住宅ということになるわけでありますが、その賃貸も、自由なる企業のもとにおいては、民間がそれぞれ自分で企画をして、そして賃貸住宅をつくるという状態が戦前あったのでありますけれども、戦後は、その点が、民間にも力がありませんし、また木材価格あるいは労働賃金その他がバランスを失って上がったというような実態もありまして、安い賃貸住宅が入手しにくくなってきてしまった。ここに政府は着目しまして、住宅公団あるいは公庫資金をもって賃貸住宅をやる、あるいは財政資金をもって公営住宅をという政策をとってきておるわけでありますが、いまおっしゃいますように、住宅に困窮しているのは、所得別に見ますと所得の低い階層が一番困っておるわけでありますから、そこでこれらの人には、政府のいわゆる財政資金で、国民から納められました税金で、これを建てて、しかもそれは非常に長い年月の間にその建物が償却されればよろしいという計算のもとに、安い家賃をきめておる。一方、それよりも所得の幾らか高い人のためには、多少高い家賃も払えるような人のためには、住宅公団によって供給している、こういう方策をとっております、したがって、一体どこに重点を置くのかといえば、むろん一番困っておる人たちのために重点を置くわけでありますけれども公営住宅におる人でも、中にはもっと所得の多い人もおるわけでありますから、公団住宅に移ってもらう。あるいは公団住宅におる人は、今度は自分の家を所有してもらって、そっちに移ってもらう、あるいはそうすることのほうが望ましい、こういうことがありますのでそこで住宅政策に対しましては、持ち家もこれを奨励する、あるいは公団住宅のようなものもたくさんつくっていく、あるいは公営住宅のようなものをさらに一そうよけいつくっていくというふうに、バランスを考えながらやっていく必要があると思うのであります。そうしますれば、自然に、所得が上がるに従って、ある人は公団住宅から出て、自分持ち家に住むでありましょう。そうすれば公団住宅があいてきます。また公営住宅の方があるいは公団住宅に移っていくでありましょう。そうすると、そこに公営住宅供給余力が出てくる。一方において、毎年毎年予算に従って、公営住宅、公団住宅をふやしていく、こういうふうな方式をとれば、少なくともわれわれが目標とする、昭和四十五年までの間には一世帯一住宅が実現できる、こういう確信のもとに、それぞれ政策を進めておるわけでありますので、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  70. 實川清之

    ○實川委員 それは夢みたいなお話で、たとえば公共住宅に入っておる人が、収入が多くなったら今度は公団住宅、公団住宅の人が持ち家というようなうまいわけにいっていないのではないですか。現在でも、収入が上がれば報告する義務があって、上がれば、また家賃もそれにスライドして若干上げるというようなことになっているそうですが、その報告すらもしないし、なかなか出もしないというようなことで、むしろ丙っておられるのは当局者じゃないかと思うのです。したがって実際問題として、そういう方式で、住宅問題について今後十年間に一世帯一住宅というようなことを考えることは、おそらくこれは全然ナンセンスだろうと思います。そういうことに期待をかけ、そういうような方式住宅問題を解決されるということは、政府の責任回避以外の何ものでもないし、そういうことじゃないと私は思います。したがって、現在、今後十年間野放しにして、その結果できませんでした、それじゃこれからやりましょうというようなことでは、全然責任のない、単なる逃げ口上でございまして、そういうことは現実にできもしないことなんで、そういうことに期待をかけた一世帯一住宅ということではなしに、やはりこの際、どうにもならない階層のためには、やはり政府の責任において住宅を与えるという決意が必要だろうと思うのです。あなたは自由主義経済のもとでの家の問題をおっしゃられましたが、先ほども申し上げましたように、日本住宅事情の悪化というのは、戦争で焼かれたり、あるいはこわされたり、あるいはまた海外引き揚げ者——海外引き揚げ者も、自由意思で帰ってきたのじゃない、みんな敗戦の結果、外地に永住の覚悟で出た人たちが、やむを得ず引き揚げざるを得ないで引き揚げたわけで、したがってこれも戦争の結果なんです。そういうようなことを考えますれば、これは政府の責任ということで解決してもらう以外には方法はないのではないか。たとえば農地補償の問題など政府は考えておられますが、これよりも、私はもっと住宅問題のほうが先決問題じゃないかと思います。いま佐藤さんは社会開発というようなことをおっしゃられておりますが、衣食住が人間生存の一番基本的な条件でございまして、これが満たされなければ、社会開発も何もあったものじゃないのじゃないか。昔から衣食足って礼節を知るいっていますが、とにかく住宅問題は、人間生存の基本的な条件であって、これを満たさない社会開発というものはないわけです。最近の新聞にも、受験生とその家族が、三号の部屋に一家族雑居しておった。勉強するところがないので、戸だなに入って勉強した。ノイローゼになって自殺をした、というような新聞記事がありましたが、そういうような社会悲劇のもと、あるいはまた、現在大きな社会不安の一つになっております青少年の非行の問題にいたしましても、あるいはその他のいろいろ社会上の弊害というものが、相当部分私は住宅事情が悪いということに起因するのではないかと考えております。したがって政府は、この考え方からいうならば、戦争責任をとるということも一つ、いま一つは、社会開発といったようなことを考えます場合におきましても、住宅事情あるいは住宅環境というものに、この際やはり本腰を入れて取り組むべきであるし、またそうしなければならないのではないかと思います。この点について、大臣の御意見を承りたいと思います。
  71. 小山長規

    小山国務大臣 先ほど申しましたように、住宅自分の財産なのでありますから、自分の財産を持つという意味からいうと、やはり賃貸住宅よりも、借家よりも、自分の家に住みたい、これは人間の本来の願望だろうと思うのであります。そういう意味からいいましても、住宅というものは、国、地方公共団体、あるいは企業あるいは個人が、それぞれ自分の責任においてやっていかなければならぬものであろうと思いますが、現状では、おっしゃるように、終戦後の引き揚げ者の問題、あるいは戦災家屋の問題がありますので、国なり地方公共団体の任務は非常に重いわけであります。そういう意味では、いままでやってきましたのは、国、地方公共団体あるいは企業などが住宅に力を入れまして、それぞれの住宅をつくってきたわけでありますが、いままでの実績からいいましても、現在の政府施策による、三十六年から四十五年までを十カ年計画としまして、七百八十万戸を達成したいという考えを、たびたび申し上げておるわけでありますが、その伸び率をずっととっていきますと、三十六年が一一・三、三十七年が七・九、三十八年が八・三、三十九年が一〇・四、四十年が七・六、これでいきますと、いままでの平均が九%ぐらいになると思うのでありますが、この伸び率でいきました場合に、三百万戸以上とするのに少し足りないことは事実であります。そこで、四十一年以降においてもう少し馬力をかけませんと、国が三百万戸以上つくると言ったことはうそになりますので、その点は、四十一、四十二、四十三年でもう一%くらい上げていきませんと、三百万戸以上の実績はむずかしかろうというふうな感じでありますが、これはわれわれといたしましても全精力を傾けて、あるいは与野党の力を一致させまして、このパーセンテージを上げることに努力を尽くしたい、こう思います。そうしますれば、いままでの民間の実績は大体八%ないし九%のところで伸びておりますから、そこで政府施策住宅を、いまの平均の九%を、四十一年以降一〇%程度までに上げますと、この問題は解決できる、こういうことで、見通しは決して暗くない、こう思っておるわけであります。
  72. 實川清之

    ○實川委員 ちょっと大臣と観点が違うのです。というのは、大臣のは、たとえ住宅金融公庫の金も借りてもその返済能力のある者、それから一定金額を家賃として払える者については、おっしゃるように、今後五年くらいたてばある程度所期の目的を達するかもしれません。しかし、現在の公団住宅などを考えましても、あの家賃すらも払えない低所得者があるし、あるいはまた、金を借りて家を建てたいけれども、返済能力がない、あるいはまた、融資の条件を欠いておるというような人たちが、現在何百万まだ残っておるわけです。こういうような人たちをどうするかという問題なんです。いままでの方式でいけば、先ほども申しましたように、一定の家賃を払える能力を備えた人、一定の融資を受けて、それを十年なり二十年なりの年賦で償還できる能力のある人たちには、住宅を手に入れるチャンスがございます。しかし、それを持っていない低所得階層といいますか、ボーダーラインというか、そういうような人たちの住宅問題をどうするか、したがって、いままでの方式では、この一定のレベル以下の人たちに対しては住宅が与えられないのではないか。いわゆるスラム術を構成する以外に、そこで生活する以外になくなるのではないか。社会的にいうたら、そういう社会的なごみ捨て場を、政府は除去する決意があるかどうか。あくまでスラムはスラムで、社会的な落後者なんだから、あれはあってもしかたがないんだ、あたりまえだというお考えなのかどうか、その点お伺いします。
  73. 小山長規

    小山国務大臣 これも、この委員会でたびたび事務当局から御説明したと思いますが、住宅に困っておる人たちの所得階層を調べると、たとえば月収三万円以下なら三万円以下の階層、三万円から五万円の階層、五万円以上の階層と分けますと、正体三分の一見当ずつである。それに合わして、たとえば公営住宅年度間において三分の一をつくる目標にしよう、あるいは公団住宅は三分の一を目標にしよう、民間住宅をどうしようというふうに持っていっておるわけであります。したがって、そういう意味では、いわゆる低所得者層の場合にも、これは援護家庭の場合は別でありますが、一定の、二千円かそこらの家賃を払える人たち、こういう人たちのためには、公営住宅をふやしていけば、その問題は四十五年までには解決する、こういうような見通しのもとにやっておる、ということを申し上げたわけであります。   〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 實川清之

    ○實川委員 私も、具体的な数字を持ち合わせませんので、はっきりしたことは申し上げかねますが、かりに三万円以下の月収といった場合にも、これもピンからキリまであるわけです。したがって、そういう三万円以下の人たちの中に実は問題があるわけです。それからもう一つ、東京とか、その他の都市でも大体以たような形になっておりますが、せんだっても申しました、木造アパートのがたがた住宅に住んでおる人口が相当多いわけです。その人たちも、いつかは政府施策の中に組み入れられて、うちを持てるような時期もあろうと思います。しかし、あの中には、やはり持てないような人たちも相当含まれておる。したがって、こういうようなものについての対策というものが、従来の住宅政策ではあまりはっきりしていないし、全然やらないとは申し上げませんが、きわめて微々たるもので、言うならばスズメの涙みたいなものじゃないかと思うのです。したがって、いままでのところは、解決しやすいものから解決してきた。今後に残されておるものは、非常に解決困難な、条件の悪い人たちが残っておるわけでございまして、したがって、いままでの方式では解決されないし、この際、抜本的に問題を解決するということになるならば、いままでの方式を改めないと、住宅問題は最終的には解決しないのではないかと私は思うのです。この点、くどいようですが、もう一回御答弁を願いたい。
  75. 小山長規

    小山国務大臣 今度は、その一番低い層の人に焦点を合わせてお話をしますと、一番低い層というのは、大部分は援護家庭だと思うのでありますが、援護家庭の場合には、一方において公営住宅をつくりましてそこに入ってもらい、そうしてその家賃は援護費で出てくるわけですから、したがって、公営住宅が予定どおりつくられていけば、これらの方々も、その家に入り、かつ家賃は援護費によって支払っていく、こういうことが可能になってくるわけでございますので、そういう施策を進めておる、こういうことを申し上げたわけであります。
  76. 實川清之

    ○實川委員 以上で終わります。
  77. 森山欽司

    森山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会