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1965-03-05 第48回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月五日(金曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 福永 一臣君 理事 三池  信君    理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       大倉 三郎君    大野  明君       木部 佳昭君    佐藤 孝行君       丹羽喬四郎君    山本 幸雄君       渡辺 栄一君    金丸 徳重君       久保田鶴松君    原   茂君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君  出席政府委員         建設政務次官  白浜 仁吉君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設技官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         住宅金融公庫総         裁       師岡健四郎君         住宅金融公庫理         事       町田  稔君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     挾間  茂君         専  門  員 熊本 政晴君     ───────────── 二月二十六日  委員稻村左四郎君、中嶋英夫君及び玉置一徳  君辞任につき、その補欠として村上勇君、石田  宥全君及び竹本孫一君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員村上勇君、石田宥全君及び竹本孫一辞任  につき、その補欠として稻村左近四郎君、中嶋  英夫君及び玉置一徳君が議長指名委員に選  任された。 同月二十七日  委員中嶋英夫君及び玉置一徳辞任につき、そ  の補欠として中澤茂一君及び竹本孫一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中澤茂一君及び竹本孫一辞任につき、そ  の補欠として中嶋英夫君及び玉置一徳君が議長  の指名委員に選任された。 三月二日  委員稻村左四郎君及び玉置一徳辞任につ  き、その補欠として村上勇君及び麻生良方君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員村上勇君及び麻生良方辞任につき、その  補欠として稻村左近四郎君及び玉置一徳君が議  長の指名委員に選任された。 同月三日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として  佐々木良作君が議長指名委員に選任され  た。 同月四日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  玉置一徳君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員稻村左四郎辞任につき、その補欠とし  て村上勇君が議長指名委員に選任された。 同日  委員村上勇辞任につき、その補欠として稻村  左近四郎君が議長指名委員に選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣  提出第四三号)      ────◇─────
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際、本案審査のため、日本住宅公団総裁挾間茂君を参考人として、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見の聴取は、質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。原茂君。
  4. 原茂

    ○原(茂)委員 住宅金融公庫法関連で、まず先に、特に住宅関連した建設行政一環として、二、三大臣にお伺いいたしておきたいと思います。  第一にお伺いしたいのは、大臣の方針をお伺いしたいわけなんです。住宅というものがいま国民的な課題になっているわけですが、住宅は、ややもしますと自力建設でございますとか、その他いろいろの方法を考案して推進するようになってまいりました。基本的な姿勢としては、住宅国民に対する保証という点から言いますと、国が全責任を負うということがたてまえでなければいけないと思うわけであります。国が全責任を負うというたてまえで、現在建設省の考えておりますのは、どういうところで責任を負う形で、何をやろうとしておられるか、その点をまず第一に大臣にお伺いしたい。
  5. 小山長規

    小山国務大臣 住宅の問題でありますが、国の全責任住宅を建てるかどうかということでございますけれども、これは国が全責任を負うことができるならば、それが一番望ましい形であります。ところが、その責任にはおのずから力が伴わなければなりませんが、御承知のように、いま国がやっております公営住宅、あるいは公団住宅、いろいろありますけれども、公営住宅のように、国民の税の中から支払われる部分が非常に多いもの、それから住宅公団住宅のように、国民貯蓄にまつもの、二通りあるわけですが、そこでおのずから国の責任と申しましても、国の力の度合いによって、果たし得る責任の限界というものが出てくるわけであります。そういう意味で、われわれの従来の態度も今後の態度もそうでありますが、できるだけ財政の許す限り公営住宅等の税金でまかなう部分をふやしていく。同時にまた、国民貯蓄にまつところの、要するに郵便貯金簡易生命保険などで集まってまいりますところの資金を、財政投融資でまかないまして、そしてそれを住宅公団のほうに回していく、あるいは住宅公庫に回していくというような方向で、極力やっておるわけでありますけれども、全責任と申しましても、その責任の裏づけになる力の問題がありますから、その点はおのずから限度があろう、こういうように考えるわけであります。
  6. 原茂

    ○原(茂)委員 基本としては、国が責任を負うというたてまえをおとりになるのかどうか、その点をお伺いしたのですが、大体の意は通じたと思いますが、もう一ぺん突っ込んでお伺いしたいと思います。実は住宅というものを、国家立場で、ある意思をもって計画してまいります。公団であろうと、国が直接であろうと、あるいは地方自治体でありましょうと、自力でございましょうと、あるいはきょう新聞で見ると、持ち家化が非常に重点的に取り入れられようとしているが、住宅というものを建設するという国家的な全体の構想から言いますと、国の立場責任を負って何を考えるかというと、第一に労働力流動性といいますか、技術移動といいますか、あるいは国家的な見地でいま追及しております科学の進歩もその一環でございますが、生産性向上でございますとか、国全体の国民生活水準を引き上げるという国家的立場からいって、その一環としての住宅がどうあるべきかということを十分に考えていただきませんと、地方自治体意思に従い、あるいは国民個人個人意思に従って、ばらばらに不統制住宅建設が進んでいくことは、建たないよりは建ったほうがいいわけですが、建てられていく姿というもの、全体的な住宅国民生産性とどう関連するのか。あるいは最低賃金などの目的もそこにありますが、技術移動が全国内的にスムーズに行なわれるというようないわゆる労働流動性に対して、技術移動に対して、というような観点から、住宅というものをとらえてまいりませんと、非常に不統制ばらばら住宅ができたということを通じて、ある意味でのいわゆる広域行政的な、国家的な見地からの近代化というようなものが阻害をされてみたりという危険が非常にあるだろうと思います。現に住宅難住宅難ということで、いま住宅を焦点に小さくとらえていきますと、その危険をすでにおかしているのじゃないか、その誤謬をおかしている危険はないだろうか。やはり国全体の責任ある立場で、国民生産性あるいは技術移動というようなものと、それを総合する国の近代化というようなものの中で住宅をとらえていきまして、ために、一体公団としての動きはどうすべきか、あるいは金融公庫が出資する住宅建設は、どういうような大きなワク国家的な見地で考えなければいけないのかというようなことは、およそ今回の公庫法の一部改正の内容を見ましても、要綱を見ましても、出てきていないというところを私がちょっと心配したものですから、その点に関してお伺いをしたいというので質問をしたわけです。質問というよりは、むしろそういう面の強い配慮が今後払われることにならないと、いま私が申し上げたような危険性が、やがて近いうちに、整理のやりようのない状態で現出するおそれがあるという意味で、究極的には、一戸一戸建てるのを国が建てろという意味ではありませんが、住宅政策というものは、国家の高度の見地から考えていく必要がある、その点を御考慮願わないといけないのではないかという意味で、大臣の所信をまず第一に聞いているわけですから、その点でどうぞ、   〔委員長退席三池委員長代理着席
  7. 小山長規

    小山国務大臣 住宅の問題を日本全体を術徹した考え方で言いますと、これは、住宅人口そのものによってきまってくるわけですが、その人口も、だれがどこに住まいをするかということは、職業の関係その他できまる部分が非常に多いと思うのであります。そうしますと、工場の位置というものは自由に認めているわけですから、工場あるいは会社その他たくさんの勤労者を必要とするような事業——事業そのものは自由に認めているわけですから、その事業場がたくさんできたところに人口が集まり、そこに住宅需要ができてくるわけです。だからまず住宅を建てて工場その他を導いていく、そういうふうにはなっていないと思うのであります。現在の日本経済の仕組みはそうなっていない。工場会社あるいは官庁その他ができて、そこにつとめる人たち住宅需要、これに一体どう応じていくか、こういうところから始まるのでありますから、まずその前提は、そういう考え方住宅政策というものは考えていくべきものであろう、こう私は考えるわけです。そこでしからば、いま一方において都市問題があるじゃないか、住宅難の問題があるじゃないか、という問題が出てまいりますから、そこで会社とか工場とかそういうものを一体どこにどう分散するのか、どう配置づけるのかということは、国全体としての政策の中に出てこなければなりません。それでいま、新産都市とか、あるいは工特都市とか、過密都市とかの問題を取り上げておるわけでありますが、これは交通の問題、あるいは過密都市に伴うところの弊害の問題、そういう問題がありますので、そういう問題からこれを取り上げておる。ところが、それではどこへ一体住宅は建てるのかということで、その一環としての住宅問題が出てまいります。それから一方において、日本全体に、それじゃ一体住宅は足りているのか、足りておらぬのかという問題が出てまいるわけでありますが、いかなるへんぴなところであっても、どんな山間僻地でも、やはり住宅を必要とする状態があるわけですから、その山間僻地住宅は一体どうするのかという問題が一方に出てくる。そこで国全体としては一体その必要とされる住宅をどういう形で供給していくのか。そこで先ほど申しましたように、一方において、財政の問題あるいは財政投融資資金の問題、そういうものを考えながら住宅を供給していくと同時に、元来は住宅というものは、民間自分の必要に応じてつくるものでありますから、それを助成する政策も立てていかなければならぬ。それにはどうするか。それはやはり税制その他によって住宅が建ちやすいような誘導措置をとっていく、こういうことになろうと思うのでありまして、おっしゃる意味が、もし私の聞き違いであれば別でありますが、まず住宅をどこに建てて、そこから人口の配置を考えるというふうな考え方はとっておらないのでありまして、それはあくまでも、時間的な前後からいえば、やはり事後措置であろう、こういうふうに考えるわけであります。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの御答弁を聞きまして、私の申し上げていることは十分に御理解をいただいたようです。そこで押して言うわけなんですが、現在の住宅を、いま大臣がおっしゃったように、たとえば企業本来の要求に従って企業が起きる、その必要から人が集まる、その住まいという意味住宅、それを基本に考えることは、もうすでにある意味では、政府でも揚棄しているんじゃないかと思うのです。たとえば新産都市とか広域行政というようなものまで、すでにもう計画があるわけです。新産都市はすでに発足をしている。新産都市づくりをしようというので、そのときに、企業が独自の立場で、自由経済のもとで自由に、資本の意思に従って、どこかで仕事をやる。その必要に応じて人の住まい要求されれば、あとからつくられていくんだということを、順序からいくと、それを否定するわけにはいかないのですが、新産都市というようなものを国家的な見地でつくるというような意思は、非常に広い広域に対して、ある種のグリーンプランといいますか、グリーンプランを持っているわけです。そのプランつくりまして、その中には住宅を、人口を、このぐらいにしようという考えがすでに現実に策定されているわけです。その作業はもう進んでいるわけですね。ということは、新産都市に対してのみではない。そういうことを手始めに一歩やり始めたその裏には、国家全体の立場で、国の近代化というような、そういう意味から、あるいは国民全体の生産性を引き上げる、いわゆる貿易の自由化その他に備える、国家的な競争その他にも耐え得るという意味近代化というものをすでに意識しているわけです。その意識の中から、新産都市その他が出てきた。巷間伝えられるように、オリンピックの工事が終って、土建業者がいよいよひまになる。そのころを見越して、十三カ所新産都市を指定して、土建屋さんの救済のためにやっているんだというばかげた悪口を私は信用しない。やはり国として、現在の政府立場で、いま私が前段に申し上げたような正しい、ある意味ではまたきびしい追及を行なっている姿の一つとして、新産都市というものにあらわれてきたのだというふうに考えるわけです。その中の計画には、当然のこととして、工場団地がどうだとか、あるいは河川、道路の問題もありますが、住宅はこうあるべきだという構想まで、自活体中心に、ブロックごとに現在作業を進めているというところに、もうすでに住宅というものを考えたときに、それとの関連においては国の立場で、企業がそこにいったら自然発生的に住宅をというのではなく、その先に、近代国家をつくるんだという強い、広い意味近代化、そういう意味が働いて、住宅というものも考えざるを得ないように、すでに大臣方はお仕事をしているんだというふうに私は取っている。にもかかわらず、いまあらわれてきておりますこの建設予算にしても、あるいはきょうのこの一部改正法を見ましても、そういうものがそんなところに出てこないのは当然かもしれませんが、しかし陰ではちゃんと国家責任において、国民に対する住宅はいわゆる保証するという責任感、強い意思というものが作用しているんだ、その一環としてこういうものが出ているんだ、あるいは本年度の予算全体が配慮されているんだというようなことでありたいと思うから、そうではないのですかとお伺いしたわけなんです。部分的に大臣が先ほどおっしゃったことは一例だと思うのですが、やはりそういう責任ある強い意思がきちっとあって、その一環としての住宅行政を取り上げていくというような姿勢がまず第一、前段としてお示し願えるかどうかという意味ですから、もう一度……。
  9. 小山長規

    小山国務大臣 いまおっしゃったような意味であるならば、私も同感なんです。要するに、たとえば新産都市をひとつ計画しましょう、あるいは工特地域計画しましょう、あるいは首都圏近畿圏開発地域つくりましょうという場合には、当然住宅用地がどの程度必要であるか、あるいはそこにまず工場なり会社なり企業が出てきませんと、どのぐらいの需要があるかわかりませんけれども、少なくとも、この程度企業が出てくる場合にはこの程度住宅用地が必要なはずだということで、計画は立てるわけであります。現実企業が進出し、工場が運転するときには、当然住宅が建っていなければなりませんから、その部分配慮は当然しておかなければならないわけです。ですから、それは予算の面においても一部出てくるわけですけれども、たとえば公営住宅という形で出てくる場合もありますし、日本住宅公団団地という形で出てくる場合もあるわけです。そのほかに、企業に対する民間の、つまり工場その他をつくるに付随して、社宅をつくるための民間金融という形でも出てくるわけです。民間金融という形で出てくる部分は、政府資金計画の中には出てまいらないのでありますが、これは、たとえば開発銀行融資をそこに幾ら使うか、というような問題としては考えられると思うのであります。そのほか、その開発銀行融資に付帯して、民間金融幾関がどの程度協力してくれるか、これは企業が進出する場合の自分たちプランとして出てくるだろうと思うのであります。その場合に国としてやることは、民間金融でやる場合にはそれに対して誘導措置をどうするか、税の面でどう考えるかというような問題が出てまいります。個々住宅問題としてはそういうふうに考えておるわけでありますが、国の全体の計画としてはそれではどうするか、まず五カ年間にたとえば七百八十万戸つくるという場合に、一体国はどこまで責任を負おうと考えるのかということで、われわれのほうとしましては、七百八十万戸の場合には、三百万戸以上という目標を立てているわけですが、この三百万戸以上というものは、国が一般のいわゆる財政資金やらあるいは財政投融資資金でつくっていきましょう、それを毎年度の予算で実現をしていく、こういう考え方でいるわけでありまして、それを今度はどこに使うかということは、たとえば新産都市が急に出現して、そこにたくさんの住宅需要があるというときには、重点的にそっちに金を回しましょう、こういうことになるわけでありますから、あと行政の運営の問題として考えていく、こうなるわけであります。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 国が三百万戸ですか、その計画でいま進んでいると説明を聞いておりますが、いま申し上げた意味で、少なくとももう少し突っ込んだ、たとえばきょうの新聞などで見ましても、供給公社ですか、そういう法案がやがて出てくる、これは非常に貴重な一つの新しい提案ですが、その中にも、会社社宅その他にもやはり考慮してやろうという配慮があるようです。そういうときに、やはり国全体が何かの計画、いま申し上げたようなあるいは大臣が一部言われたような計画と、責任を負うという強い意思が働いていますと、非常に統制のとれた、ある意味では大きくワクをはめることのできる、住宅行政と言えるような考え方構想として出てくるはずなんです。これは、私がいまこの場で、こうしたらどうかというようなことを申し上げたり要求するわけではないのですが、早急にやはり国全体の立場で、単に七百万戸のうち三百万戸を国の立場でというような数に拘泥しない、二つ目には企業とかあるいは個人個人住宅を建てようとする、私なら私の意思だけを中心にしない。変な言い方ですが、自由を束縛してみたり、権利を押えようということではないのですが、前段にもくどいようですが申し上げたような、国全体の立場で、いま一番問題になっておりますのは、労働力流動というもの、その裏には、技術移動というものがある。大企業と、中企業、小企業との格差が非常に激しい。も一つと自由に交流できるようなフアウンドができていれば、こういう点おのずから水が低いところにいくように、技術というものは流動して、国全体の技術水準を上げることができるわけです。そのことをやらない限り、ほんとう意味最低賃金制をしく目的は達成できません。同時に、国の近代化という意味からいっても、非常に大きな、住宅を自由に建てさしたということが阻害になって、いわゆる都市計画なりその他の計画がそこで壁にぶつかるというような問題がどうしても出てきますから、いつの日か知りませんが、いずれ近いうちに、大臣が思い切ってほんとう意味の、国の立場で考えた、住宅行政というものはこうあるべきだ、こういうところに意思を働かせなければいけないというようなことを構想としてまとめて、お出しいただくことが必要じゃないかと思うのです。これはお約束願えるなら、ぜひひとつほんとう意味住宅行政というものだけを取り上げまして、国家的な見地からいって、住宅行政というものはどうあるべきなのかということを建設大臣としておつくりになり、われわれに示していただく必要があるのじゃないか。たとえばいろいろと個々法案の審議をいたしますが、その問題についても、やはり当面の一番緊急の課題ですから、一生懸命やらなければいけないわけです。しかし、あすの住宅を国の立場で考えたとき、これでいいのかという問題にたくさんぶつかるのです。そんな問題を一々とらえていたのでは、抽象論になって話になりませんので、こういう点は、ひとつ第一の問題として大臣にお願いをしておきますので、ぜひ近いうちに、ほんとう意味の、高度な立場の、国の住宅行政というものを一度おつくりいただく必要がありはしないか。第一の前提条件としては、国家近代化との関連において、二つ目は、国全体の生産性向上との関連において、三つ目には、いわゆる労働力移動技術移動というものの関連において、住宅行政はどうあるべきか、四つ目には、都市建設広域行政というものとの関連において、この四つ目程度に分けた住宅行政というものを国の立場——その底流としては、住宅に関しては国がいわゆる保証の任を負うんだというような強い意思を働かせた上で作案をしていただくと、非常に国全体あるいは一人一人の国民立場からいっても、協力しようという方向が生まれてきますから、宅地をどうするか、あるいは空閑地をどう利用しようとか、あるいはまた建てようとする個人が、一体どういう国の目的に沿いながら、しかも自己満足しようとすればいいのかというようなことも明らかになるようにしておくことのほうが、私は、混乱を防ぎながら、非常にスムーズに、最も緊急の難関といわれる住宅問題の解決の一つ基本的な流れを、パイプを通していくのと同じになるのじゃないかというようなことを考えましたので、そういう点をひとつ近いうちに、いま言った四つ関連において、住宅行政はかくあるべきだというようなものをおつくりになって、私たちに示していただくようにできないものかどうか。この点ひとつ……。
  11. 小山長規

    小山国務大臣 いまおっしゃった意味はよくわからないのでありますけれども、私どもの基本的な考え方は、住宅というものは需要に応じてやっていくものである。需要のないところに住宅をつくっても、あき家になるばかりでありますから、需要がどこにあるのか、そしてまたその住宅をつくる場合に、都市計画上は一体どうか、あるいは都市通勤対策、その他交通対策の問題、あるいは下水や排水などのような問題、そういう問題との関連においてはどうかということは当然考えていかなければならぬと思いますが、ただ図面に書いて、住宅はこういうところにつくらなければいかぬのだという、天から降ったような、そういう計画というものは成り立たぬと思うのであります。やはり需要のあるところに住宅というものは建っていくわけでありますから、その住宅需要のあるところに、どうして整然とした、また環境のいい住宅をつくっていくか、というところに住宅行政の主眼はあるのであって、ここにこんな住宅をつくって、そこに工場を持ってくるのだというふうなものではないのではないかというふうに考えております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 こんなことで時間ばかりとってはつまらない話ですが、どうも大臣、半分わかったような気がしているのですが、あまりおわかりになってないとおっしゃるのです。いま言われたような、たとえば需要という問題を考えていきますと、需要がどこで起きるかというと、人間のいるところには住宅需要は常に付随しているわけなんです。ですから、その意味需要というものは、工場なら工場がどこかに新設される、住民が新たにその回りに生活をする、そのときに需要が起きるのだという意味需要だろうと思うのですが、やはり高度の国の立場でいう住宅需要というものは、人のいるところに需要はあるというたてまえ、ただしその個々人の意思するままに住宅建設されることを、ある程度は長期の計画にのっとって、その計画は国の立場で考えたあすを計画して、その中で、個人住宅をつくっていただくような協力を仰ぐべきではないだろうか、というのが私の考え方なんです。だから半分くらいは合っていて、半分くらいは違っているのかもしれませんが、これはまあ見解の相違だといえば、そうかもしれません。そういう機会があったら、何度もしつこくそういう観点からとらえて要求をしていきますが、わかった範囲で、やはりもっと高度な住宅行政というものを、国の立場で、こうあるべきなんだというようなものがほしいということだけは強く要求していきます。わからなければいいのですが、さっき言った四つ関連というものは、もうダブって申し上げません。記録を見ていただいて、またもう一度、その記録を見てもどうもわからないというなら、私の頭が悪いのか、大臣の頭が悪いのかわかりませんが、どうか見た上でまた検討していただきたい。  また二つ目に、現在住宅を最も必要としている階級はだれか。これは一口に言うと、労働階級が一番大きい要求者になっているわけであります。住宅行政を考えるときに大事なことは、住宅を一番ほしがっている階級、勤労階級、この人々が一体どういうことを要求しているのか、どういうふうにしてくれと言っているのかということを大臣のほうでとらえて、しかる後に当面する住宅行政というものは生まれてこなければいけないと思うのです。そういうたてまえでよろしゅうございますか。
  13. 小山長規

    小山国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、われわれのほうでも、一体住宅需要はどういう階層から一番多いかという調査をいたしておるわけであります。これはむろん低所得層が一番多いし、若年層が一番多いわけであります。そこで、それに応じて主力は公営住宅、いわゆる低家賃住宅に置いているわけでありますが、なおそのほかに、一方においては長い自分たちの将来を考えてみると、一生借家住まいするという、そういうあじけなさを感ずる階層もあるわけでありますが、そういう階層の需要のためには、分譲住宅をつくってあげるとか、あるいは公庫の貸し出しを通じて思い思いの家をつくるのに援助をするとか、あるいは今度の地方住宅供給公社の例に見られますように、自分たちもいまは一挙にはできないけれども、積み立てをしながら一つ頭金でもつくって、そして自分の所有するうちというものに住まいたいという人たち需要も満たしてあげたい、こういう考え方で進めておるわけであります。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで問題を端的にいいますと、いまの働く階級が最も住宅要求しているという点から、一番ほしがっている諸君がどういうことを望んでいるのだということを、やはり知っていただかなければいけないですね。その点はおわかりになっていると思うのです。たとえば、労働者のかたまりの一つの総本山として、日本労働組合総評議会がある。もう一つ、最近結集いたしました日本労働総同盟があります。この種の労働階級の意思を代表する労働団体、たとえば総評が、あるいは労働総同盟が、住宅問題に関しては、さきの続く大会ではっきりとこういうふうなことが望ましい、こうあってほしいということを端的に大会等で決定をし、そうして公表しているわけですね。その内容は御存じでしょう。
  15. 小山長規

    小山国務大臣 まだ私、拝見いたしておりません。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 存じていない。ほかの住宅局長や何かはどうですか。
  17. 尚明

    ○尚政府委員 存じております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣にも一度読んでおいてもらいたい。私も記憶しているわけじゃないのですが、住宅行政というものを考えるときに、一番それを要求しているグループの切実な要求というものを知っていなければ、ほんとうのことをいうと、何をやっているんだかわからないということになりますから  局長御存じのようですから、局長から、この労働組合のいわゆる総評なり総同盟の大会で問題になっている問題点、私が読み上げてもよろしいんですが、もし持っていなければ、私のほうで読み上げて一々お答え願ってもよいし、もしおわかりだったら、彼らの言う要求に対して、いわゆる住宅に関してはこういう施策を考えている、現に行なっている、あるいはあしたはこうやるつもりだ、と答えるつもりだということをおっしゃっていただくと、非常に時間が経済になりますから……。
  19. 尚明

    ○尚政府委員 ちょっと、私ただいま手元に資料を持っておりません。条項がかなりたくさんございまして、全部記憶し切れてないかもしれませんので、問題点を先生から御指摘願ったほうが明確になると思います。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 自今、この種のことはひとつ覚えておいてもらいたいですね。同じことですからね。私のほうから言わなくたってわからなくちゃいけない。  これは、どっちの組合がどうのこうのという区別をしないで言ったほうが差しさわりがないと思います。あいつは総評のことばかり言いやがった、総同盟のことばかり言いやがったと、これもいけないことになるかもしれません。したがって、両方ごっちゃにして、ひとつ要点を申し上げる。  この中で、第一に、都市集中の中で住宅問題が深刻化しているので、住宅手当を要求するとともに、政府の抜本的な対策を要求する、みずからの手でも住宅建設を進めようということを言っているわけですね。このうちの、みずからの手で住宅建設を進めようという、彼らがみずからやる住宅建設を進める手段は、一体何と何があるのか、国の立場では、一体どんな方法でこれを実現さしてやることができるのか、その方法をひとつ教えていただきたい。
  21. 尚明

    ○尚政府委員 いまお話しの点につきましては、現在労働住宅協会というのがございまして、これが、あるいは住宅金融公庫資金を利用し、あるいは労働金庫の資金を利用し、かつ自分たちのお金を分譲代金等に充てまして、自主的に住宅供給をやっております。そういう形が伸びますことがいまお話にありました、自主的な形で住宅をふやすという一つの方法と思います。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 そして、もう一つだけ、いまのことで組合の労働者諸君が言っている、住宅難が非常にきびしいから——これはことしの話なんですからね。いまおっしゃったような、現在行なっているような方法をもってしては、彼らが要求するものにほど遠い、急速にはなかなかいかない、したがって、自分たちの手でも住宅建設を進めるんだという、いままでにない、今度の大会で初めてその意欲を示したわけなんです。そこで、いままで——いま一例だけおっしゃったんですが、たくさんの方法がまだそのほかにあります。やる方法として、次の二つが一体できるのかどうか。これは私の考えなんですが……。一つは、労働組合自体が、この住宅建設を、いわゆる国の援助を借りてやろうということをもし意図したときに、そのことが可能かどうか。たとえば産労住宅の制度があります。あるいは、きょう新聞に発表されたようなこういう住宅供給公社案が出てきた。これにも、社宅を考えてやろうと書いてあるんですね。会社の側からいう社宅というと、会社の必要が中心になっていくわけです。労働者の団体である労働組合が中心になって、組合員のための住宅を必要と考えたときに、社宅とは言いませんね。会社の必要が中心の場合は社宅ですが、そうでないときには、労働住宅と呼んでいいのかどうかわかりませんが、そういうときに社宅に準じて、労働組合が——この資格なり、会社の方針といいますか、性格はわかりませんが、組合が会社と同じような意図を持ったときには、ちょうど社宅に対すると同じように、あらゆる政府機関その他を通じて援助して、この住宅の促進をはかってやろうというような意図があるか、そういう方法をお考えになっているか、あるいは考えることができないか、現にそれがあるのか、が一つです。  それからもう一つは、これはやがて来週あたり法案が出てから審議をすることになるのでしょうが、住宅供給公社法案の中に、頭金二割ということがある。どこから二割が出てきたか知りませんが、いまの労働者が、たとえば三百万の家を建てよう、あるいは二百万の家を建てようというときに——宅地とともにですよ。最小限度二百万と踏み、二割というのは四十万円です。四十万円という金を考えると、一般的にいいますと、退職したときの退職金がそれに見合うかどうかということで、まず頭は退職金にいくのですが、たとえば予測しない不幸な事態に見舞われますと一何割かの労働者は、それを救うためにもうすでに退職金引き当てで借金をして、住宅を建てたいことが切実な要求であっても、こういう道が開かれても、二割という頭金のために、住宅を建てられない人のほうが多いのではないかという感じがします。二割の頭金で平気で住宅を建て得る人間というものは、調べてごらんなさい、非常に数が少なくなります。特に低所得者階層にとっては、おそらく望みがないのではなかろうかというふうに思われます。さっき大臣は、低所得者階層のためにも、こうしたようなことまで考えるのだという説明もありましたけれども、これはもう確かにその意図はわかるのですけれども、現実には頭金の二割は非常に問題があります。そこで、いまの労働組合自体が自分住宅建設を進めてまいりたいというふうに考えている二つ目の方法として、この頭金に相当する金額の、どこかから金を借りたときの利子補給だけは何とかして国でめんどう見るというようなことができると、この組合員個々自分でやろうといったときの助長策としては非常によくなる、いわゆる住宅金融公庫が出す八割に対してだけではなくて、頭金の二割に関しても、この問題を含めてですが、やはり利子補給をするということがもし可能なら、これは非常に労働組合のいう、おれたちにも住宅建設をしようと思う、自力でやるんだというようなことが非常にやりよくなるのですが、そういう点が一体可能かどうか。その二つを伺いたい。
  23. 尚明

    ○尚政府委員 初めの、労働組合等が住宅金融公庫等の公的資金を借り得るかどうかというお話でございますが、実は現行の住宅金融公庫法においても、貸し付け対象として住宅組合というものがあるのでございます。したがいまして、政府態度としては、そういう組合のようなものにも貸し付けを行ないたいという気持ちは、法律の中にも盛り込まれているわけでございます。しかしながら実際問題といたしましては、組合が組合員の連帯責任の制度をとっておりましても、実態といたしまして、貸し付けた資金を担保するための責任等につきまして、まだ今日の情勢では、住宅組合でも利用がなかなかむずかしい点がございます。したがいまして、意思としてはあるのでございますが、実態として、公的な資金を貸すのには、個人の集まりである組合というところにはまだ難点がございまして、今日のところ、実行上行なってないわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、将来だんだんそうした組合というものあるいはその制度というものが確立されまして、貸し付け対象になっていくというふうに考えますが、現在直ちにというようには、これらの利用はまだちょっと行ない得ない事情にございます。  それから、頭金の利子補給の問題でございますが、これにつきましては、公車から貸すからだ金と申しますか、そちらのほうを低利にするということで、いま財政上のくふうをいたしているところで、行く行くは金利全体が下がることがはなはだ望ましいわけですけれども、まだ、からだのほうを低金利にすることに財政上一ぱいのくふうをしているという実情でございまして、直ちに頭金のほうにまで利子補給をするというところまでの措置には、相当の困難があるように考えます。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 二つ目の問題は、大臣から聞きたいのですが、現在検討もしていないし、困難のように思うという局長の答弁がありました。しかし私は、ほんとう住宅を解決をしていこうというからには、頭金に関する二割というものは、特に低所得階層にとっては、相当たいへんな問題だということを考えて、それを現実の問題としてやめろとは言えませんが、しかし利子補給程度のことは、近い将来考えるということがどうしても必要だと思うのです。実際に政府の意図するものは、今年度はこれによると二万戸程度ですから、まあまあゆとりのあるといいますか、その階級が利用できます。しかしねらうところは、自治体なんかでも二種の建設はもういやだ——二種のところに住むような者は住民税も払わないという階層、これこそ救われなければいけない階層なんです。そこがまた数が多いのですが、そういうことを考えると、頭金二割というものは、これからいろいろな場合にやっていこうとするなら、どうしても利子補給程度のことは将来考える、そのくらいのことを検討してみる、できればやりたいというような御意思があるかどうか、それを大臣からお伺いしたい。
  25. 小山長規

    小山国務大臣 頭金の利子補給というお話でありますが、御承知のように、頭金を取りますのは、今度の住宅供給公社の貸し付けの場合、この貸し付けの本元は住宅金融公庫なんですが、この住宅金融公庫は、供給公社に対する分のみならず、一般の人たちにも貸し付けしているわけです。一体どこで頭金の利子補給をやるのか、その階層区分をやるのかということになってくると、おそらく法律技術的には不可能だろうと思うのです。月収五万も十万もある人たちも、住宅金融公庫を利用しているわけですが、その人たちにまさか利子補給をしろということではないのでしょうが、もっとうんと低い層ということになるのでしょうが、それを一体法律上とらえられるかどうか、まず法律技術上の問題が一つあります。もう一つは、頭金をたとえ利子補給してみましても、あと住宅金融公庫の分譲金の支払いがあるわけでありますから、頭金にすら利子補給をしなければならないような階層であれば、それは当然次の本番の八割に相当する分譲住宅資金をくふうできない人だろうと思うのです。そうすると、そのあと一体どうするのかという問題が残ってまいりますから、その問題は、ただ単に頭金を補給してやれば住宅が建つというなまやさしい問題ではないと思います。やはり、その住宅全体の資金を一体どうするのか、おのおの住宅設計があるわけですから、われわれのねらいとするところは、現状下においては、所得の少ない間は公営住宅でがまんしていただくほかはないと思う。そこで、公営住宅もひとつ供給していきましょう、そしてだんだん所得がふえ、老後の見通しも立った、ここでひとつ自分住宅を持とうというときには、資金計画も立つという人たちを対象にするわけです。ですから、この場合において、二〇%のところまで利子補給をしていこうという考え方は、現在のところありません。原(茂)委員 私もちょっとことばが足りなかったので、大臣も勘違いされたかもしれませんが、この住宅供給公社法案のことをいま言っているわけではないのです。これはただ引例をしただけのことです。第一の問題と第二の問題は、要するに労働者が要求している、自分で建てたい、自分たちも建てるのだというときに建てさせる、それを助長してやる方途として、二つのことを考えてもらえないかという第一が、局長から先ほど答弁があったものですが、住宅組合というものは実際にはあっても、まだそう伸展する状況にないのです。もう一歩それを突っ込んで伸展させようというためにこそ、労働組合——地方の一つ一つの組合、単産という意味じゃありませんよ、たとえば全逓とか国労といった中央の組合が責任を負う、そして会社でいう社宅をつくろうとしたときと同じように、この大きな単産が責任を負い——単産が労働金庫に相当の積み立て金を行なったり、あるいは資金交流が思い切って大きくできるような状態になっていることは御存じのとおりですが、相当大きな金を動かし得る、事業も行ない得るような中央の単産、この単産に思い切って社宅に準ずる考え方を適用して、ここに住宅をつくるための資金の供給はできないかということが一つなんです。そのことができるという前提にもし立てば、あるいはやるのだということになったときには、いま大臣の答弁された個々の問題ではなくて、いわゆる労働組合が自己でやろうとするときに、その頭金というものは当然労働金庫なら労働金庫からいわゆる借り入れ金でまかなう。中央労働組合が労働金庫から借り入れ金でまかなう。そのときの頭金、二割であろうと一割であろうと、その頭金にも、いわゆる助成策として、利子補給をするということが考えられないか。その二つを労働組合の要求に応じていま考えているわけです。そういう観点で、もう一度答弁していただきたい。小山国務大臣 現状では、八割の分譲代金に相当する部分に、相当の利子補給をしているわけでありますから、現在の財政状況下においては、この程度がせい一ぱいであります。同時に、先ど申しましたように、頭金を借りた人に利子補給をするという制度は、制度自体として、法律技術上非常に困難じゃなかろうかという考え方もあります。繰り返して申し上げますと、一つは制度上の問題、一つは、すでに八〇%のほうに利子補給をしているのであるから、これでまず現在の財政状態のもとにおいてはやむを得ないだろう、こういう考え方であります。社宅であろうと組合であろうと、八〇%の分については同じ扱いをするわけです。ですから、あとの二〇%は、普通に金融公庫から借りる人も、貯蓄その他によって自力でつくるわけなんです。そういうことも期待しているわけですから、金を借りなければ頭金がそろわないような人は、おそらくまず自分住宅設計ができないのではないかと思います。頭金は二〇%、あとの八〇%は金部自力で払っていくわけですから、その辺のところが、ちょっと実際問題と合致しないような気がいたします。 原(茂)委員 その問題にあまり拘泥する気はないけれども、頭金すら払えないような者は自分住宅設計ができないだろうというようなことですが、人間である限り、目をつぶれば自分住宅設計ぐらいだれだってできるのですよ。住宅については、こうありたいという夢を持っているのですよ。そういうことはだれでもできます。しかし、そういうものの言い方をすると、非常に語弊があるから困ると思ったので、あえて言ったのです。だからこそ、個人ではたとえば二百万の二割、四十万は出せない。給合の中央単産というものが、労金から単産の名前で借り入れてやる。それならできるのですよ。そうして十八年間で、木造の場合、これはどうか知りませんが、割賦返済するという八割に加えて、その頭金二割に関しては労働組合の中央に対して、その労働者はもう一つ、あるいは月賦なり年賦なりという一つの償還の約束をしよう。そういうふうにしますと、現実問題として住宅建設は進むのです。ただ、制度上の頭金二割、利子補給は八割のものだけで精一ぱいだ、力関係でそこまでとてもいけない、そうであるならこれはわかります。しかし、二割の頭金が払えないのだから、いわゆる住宅設計もできない者だろうなんというきめつけ方では、これはほんとう意味大臣が考えている意思とは実はうらはらだろうと思うのです。だからやっていこうとするのに、もう一歩突っ込んでいきますならば、これは供給公社のことを言っているのではないのですが、労働組合というものを、会社社宅をつくろうとするときと同じような取り扱いができるかどうか。住宅組合というものをもっと進めて、労働組合がいわゆる主体的に建設をするというときに、社宅に準じて融資を受けることができるかどうか、そういう方法があるか、あるいは今後つくることができないか、ということなのです。そこまでやりますれば、住宅組合でいま低迷しているよりは、ぐんと進むのです。これは思い切って進みます。そのかわり、それに関連して、いま頭金というようなことも一緒に考えますと、その利子補給をもしやる方法があるなら、実は頭金がないからとても住宅ができないというその階層まで、労働組合がめんどうを見てつくらせることが可能になるという意味だったのですが、この点ひとつ局長、いまの住宅組合をもう一歩突っ込んで、中央における単産が主体になって住宅建設しようというときの、いわゆる構想を聞いているわけですから、それを先に……。
  26. 尚明

    ○尚政府委員 住宅の供給主体になりまして、住宅金融公庫資金を活用し、あるいは組合員の資金を受け内れて、住宅を供給する、その主体につきましては、ただいまのところ、先ほどお話し申し上げましたように、住宅組合でも、まだ十分その力が保有されてないために行なっておりませんで、労働者を主体といたしましたものとしては、先ほどこれもお話し申し上げましたように、労働住宅協会がございまして、これには、資金的に労働金庫がかなりのバックアップをしてやっていただいております。そういうような意味で全くその方途が将来ともないのかといわれますと、だんだん形が整いますに従って、そういうことはくふうができる問題だとは思います。しかしながら、いまおっしゃいました単産の労働組合が、直ちにバックになって、住宅供給主体になり得るかという問題につきましては、まだ今日の情勢では、いろいろ検討すべき問題が多く、直ちにでき得るというふうにお答えすることはまだむずかしいのじゃないかというふうに考えています。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 これは、この次法案が提案されてから聞こうという問題に、ついでに触れてしまいますが、たとえば、今度、いまお話しになった労住協、これは地方供給公社に肩がわりすることができますか。それができると早いですね。ほかのものは肩がわりできるようになっていますね。
  28. 尚明

    ○尚政府委員 実は、将来御審議願います住宅供給公社の問題に触れるわけでございますが、やはり一番苦心をいたしました点は、一般の個人のお金を受け入れて、それを確実に運用し、そして約束どおりに住宅を供給する。これがためには、いわば預かり金に似た業務をいたすわけであります。したがいまして、これにつきましては、相当の監督が働き、かつ団体としての力が十分でなければ、国民に安心して貯金をしていただくわけにいかないわけでございます。そういう観点から考えまして、今回は、いまの社会情勢から見て、国民一人一人がまず御安心いただけるのは、地方公共団体が出資した形でバックアップすることが一番確実であり、また私ども建設省として、あるいは住宅金融公庫として、監督することも確実であるという観点におきまして、まず国民が一番簡単に安心していただけるということを考えまして、地方公共団体出資による供給公社、これに預かり金業務を行なわせるということでつくったわけでございます。したがいまして、この預かり金業務を、これはいろいろ他の法律等でもかなり縛られておる問題でございます。こういうことがいまお話しの組合等でできる、という社会的な判定ができるような時期に将来至るならば、それはもちろん当然考えられますけれども、いまのところでは、まだその点に、立法上にしても相当に疑念がございまして、いましばらくはむずかしいのではないか。それで、とりあえず地方公共団体主体ということでつくった次第でございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、この住宅供給公社が組織変更してもいいと書いてございますね。それと関連して、労住協あたりを、何かの形で組織変更するようなことを考えることは不可能ですか。
  30. 尚明

    ○尚政府委員 既存の民法法人によります住宅供給公社は、これは地方公共団体の全額出資でできておる団体でございます。したがいまして、容易に新しい供給公社に組織変更できるということでやったわけでございます。   〔三池委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、在来の労働住宅協会の仕事は、私どもとしては、それはそれなりに毎年少しずつふえておりますが、いまの形でしばらく応援と申しますか、融資を続けていく、そういう形でしばらく行ないたいというふうに考えておる次第でございます。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 それは、しばらく行なっているうちにというか、あまり長くない機会に、何かの形で、そういう組織変更、地方自治体責任を持つということにかわる何かを考えてやらせるべきだろうと思うのです。もっと突っ込んでは、やはり先ほどから言って、まだそこまで解決がされていないのですが、中央における単産が主体となって住宅建設ができるというところへ、思い切って、近い将来踏み込んでもらわないといけないのじゃないか。ほんとう住宅を多く建てようというときには、そのくらいの責任労働組合に負わせる。そのうしろは労金がバックアップしておりますから、これは大蔵省の検査もやる労金で、りっぱに業務は遂行しておるのですし、責任の持てる金庫ですから、それとの関連において、特に低所得階層の住宅を考えたときには、早急に大臣にも検討をしておいてもらいたいと思うのです。これは何かそういう方法を講じない限りは、なかなか、自分の力でやっていこうというようなことを言っても、進んでいかないというのが現状だろうと思います。  それから二つ目に、この点は非常にこまかい問題になりますけれども、労働階級として、基本的にこういうことを考えておるという点で、一つ申し上げてみますと、先ほどから私が申し上げておるような、当然国家近代化生産性向上、要するにすでに構造そのものが国の産業として変化している。それに合わせる雇用構造というものをやはり変化させなければいけないということから、一つ企業とか地域なりというものを越えて、先ほどから言っておる労働力そのものの移動が、国の立場で常に必要になってくるのです。そういうときに、高度の技術水準を引き上げるということと、技術移動といったようなものを考えていったときに、現実の問題としては、こまかい配置転換が起きてみたり、あるいは転職という問題が起きたりということが自由に行なわれることが、いま言った問題をスムーズに、しかも水準を引き上げていく問題になるというときに、住宅が現在の政府のやっているような形でつくられていくということになると、これは空気としてだんだんに持ち家制度——きょう、どうもこれに関連してくるのですが、持ち家制度というものをただ単に推進していくと、それにこだわって、労働力移動もできなけば、技術移動もむずかしくなってくる。やはり国全体の措置としては、持ち家制度もぜひやってもらいたいし、必要だけれども、同時に、いままでのような低所得者に対する賃貸し住宅というものは、そのために減らすということじゃなくて、現在のような住宅難のときには、いままで以上に、思い切ってその幅を広げながら、持ち家制度にも意を用いてもらいたいということが、二つ目の大きな要求というか、意欲になっているわけです。こういう点は、一応これまた関連してきますが、だんだん重点が持ち家制度に移ってしまって、したがって公営住宅の賃貸しというものが減ってくる。そういうことでなしに、従来以上にこれにも力を入れていき、同時に持ち家制度も生かしていくということをぜひやってもらわないと、要するに低い階層が救われる道がないということから、こういう要求が切実に出ているわけですが、この点は一体どうでしょう。
  32. 小山長規

    小山国務大臣 その点は同感でありまして、持ち家という制度をとりましても、持ち家制度に乗りにくい階層が、先ほどから何度も申しますように、あるわけであります。また先ほどちょっとことばが足りなかったのですけれども、要するに、自分住宅を持とうという資金設計が、頭の中ではできても、まだ実際には実現性のない階層というのはたくさんあるわけですから、そういう人たちのためには、どうしても低家賃の公営住宅というものが必要なんであります。ですから、そういう面には財政資金を使って、そして大いにふやしていきたい、こういう考えであります。一方、財投資金のほうはもっと幾らか余裕のある人たちを相手にしておるわけでありますから、財政資金の使い方と財投資金の使い方はおのずから違ってくるわけであります。そういう考え方で進んでおりますということ、それから、先ほどおっしゃったことがいまやっとわかったのですが、労働者の移動技術移動、あるいは人間の移動に伴って必要になってくることのために、いま産労住宅というものをやっておるわけです。これはいまおっしゃった意味で言いますと、建設行政に入っていない。これは労働行政一環としてやっておるわけですが、私どもとしては、こういうものもわれわれの住宅政策の中に入れていきたいという希望を持っておりますことを、あわせてつけ加えて申し上げておきます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣が後段に言われた、住宅行政の一元化というのはぜひ必要です。これはあとで言おうと思ったのですが、あと時間がありませんから言いませんけれども、一元化というのは、非常に重要な問題だと思いますから、思い切って進めていただきたいと思います。  それから三つ目にいっていることは、具体的になってまいりましたが、一つには公営住宅の大量建設を促進するものとして、住宅建設予算の大幅増加と地方自治体に対する国の負担分の増額を要求するということなんです。これはなぜこういうことをいっているかといいいますと、さっきちょっと見かかって、来てしまったからわからないのですが、本年度は前年度に比べまして、地方自治体に対する国の負担分というのは一体どの程度住宅関係でふえているのか。前年度と今年度の比較ですね。これがどうも労働者から見ると、地方自治体に対する負担分が思うようにいっていないのだという意思で強く言っていたようです、こまかいことは覚えておりませんが。そこで、前年度と今年度の地方自治体に対する国の負担分ですね。それの予算の比較を、昨年度と今年度だけでいいです。
  34. 尚明

    ○尚政府委員 公営住宅予算におきましての補助額を申し上げますと、昭和三十九年は一万戸の建設で、補助金は二百七十一億四千万でございました。これに対しまして、四十年度は六万五千五百五十五戸で、補助金は三百二十七億八千三百万になっております。この伸び率は二一%でございます。で、この五千戸をふやしましたのは、在来公営住宅は一番ふえましたときでも四千戸でございまして、この四十年度はいままでになく、五千戸ふやしております。以上のようにして、住宅予算の中でかなり重点的に、この補助金をふやすことをやっております。  それから、なお、公営住宅建設につきましては、しばしば単価が問題になるわけでございまして、これがやはり地方の負担になるわけでございますので、単価につきましては、構造によって違いますが、建築費につきまして四・三%から五・二%引き上げを行ないました。また、用地費につきましては一三・八%の引き上げを行なっております。さらに特殊基礎工事と申しまして、基礎のくい打ち工事等につきまして、新たに二億の補助金を用意いたした次第でございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 伸び率が二一%、まだまだこれではいけないという住宅難の現状からいって、もつとふやしてくれという要求が強く出ているのだろうと思います。  その次に、現在国なり国家機関の推進している住宅建設だけでは、とてもじゃないが進んでいかないということから、民間の賃貸住宅もある程度助成していく必要があるのじゃないか、その助成を思い切ってやってもらったらどうだろう、民間が賃貸住宅を建てるというようなものに対しても、助成措置が講じられないだろうか、こういう要求が次に出ている。こういう点はどうでしょう。
  36. 小山長規

    小山国務大臣 民間の助成につきましては、公庫側からのものも、助成といえば助成なんですが、そのほかに、税制上の措置を講じておるわけであります。そこでもう一つやっかいな問題は、これはわれわれと野党との間に見解を異にするのですけれども、いま、昔から建っている古いうちが、家賃統制令の関係で、修繕もできなければ、建てかえもできないという問題が一つ残っておりますけれども、この面はまだ国会の承認を得られませんので、私どもその面の改正はできないわけですが、現在のところ、新しく建てるものについて税制上の優遇措置を講じておりますことは——もし必要があればこんな方法も講じておるということを申し上げておきます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 これは直接関係がないのですが、その次には、厚生年金の積み立て金の還元融資を大幅にしてくれというような要求も一出ております。これは先ほど言った住宅行政の一元化という点で、これは後刻申しますが、いろいろばらばら過ぎる点を実は指摘されていますので、このばらばらを一元化する必要があるのじゃないかということで、十幾つの問題があるわけです。こういう点と関連するわけなんですが、時間もだいぶたちましたから、この点もあとで十分に検討しておいてもらいまして、一元化という点で、もう一度私のほうから欠点を指摘しながら、大臣あるいは関係当局のあれをお聞きしたいと思います。労働組合の要求に関しては、このあと一元化という要求で十二項目ばかりありますが、これはまた後刻にいたしますから、一応いま申し上げました四点で、労働組合側がこう言っておるぞという点の回答と要点だけはいただいたことにいたしたい。  それから、大きな意味二つ目の問題としまして、これも大臣にお伺いしたいのですが、現内閣が特に社会開発を取り上げている。その社会開発の重点施策と言っていいのか並列と言っていいのか存じませんが、人間尊重ということを言っておる。この人間尊重と住宅供給というものとは非常に関係があるわけです。そういう意味で、住宅行政というものも、人間尊重の一環としては政府としても相当お力をお入れになってやるという意気込みは示されていますし、逐次こまかい予算の関係についての御質問等はこれから後日したいと思うので、きょうはその数字については申し上げません。ただ、直接関係はないのですが、いま私たちが皆さんと一緒になって取り上げて騒いでおる問題に、季節労務者の問題があります。季節労務者が、働きに出た先でどういう状態で働いているかという問題が、調査をされながら、社会問題として、これが最近大きくクローズアップしてくるわけです。これはもう政府にも十分考えていただいていいわけですが、季節労務者たちが働く先の一番大きな場所は、いわゆる建設現場、土建業者関係の飯場といいますか、ここに働いている率が非常に多いのです。これは直接は労働省の問題であり、労働基準監督局が指導しなければいけない問題なんですが、この飯場における労働者の処遇されているあり方ですね。待遇の問題、生活が毎日どのように行なわれているかということを、大臣建設大臣として、直接にそのことに関連がないといえばいえるのですが、人間尊重という立場から、しかも土建業の一番大きな発注元である建設省が、これに少しく意を用いて、人間尊重という立場から、飯場におけるこれら労働者の待遇がどうであるかに少し関心を払っていただき、御注意を願いますと、これらのまるで下積み以下の状態で働かされておる人の環境はよくなるし、生活程度は引き上がってくるだろう。重大な関心を建設大臣としてお持ちになるべきだ。というのは、人間尊重があなた方の一枚看板なんですから、そういう意味からいきますと、一番大きく発注している発注元といえる建設省としては、十分に、この建設行政を通じて、受注先の土建業者等の飯場における状態というものに一度目を通して、これに、やはり人間尊重の立場から、大臣の指導なり監督なり、閣議におけるいわゆる注文なりが出てこないと、昔のタコ部屋とは言いませんけれども、現在の土建業界における飯場の状態というものは、この寒空にアンペラ一枚じゃないが、ベニヤ板一枚、吹きさらしのすき間だらけの中に寝かしておいて、ストーブもない、電気もなければ、全くわれわれが想像できないような状態の中に働かされているのが季節労務者であり、飯場に働く諸君である。この人々に対して適切に指導しなければいけないのは基準監督局であるけれども、なかなかにこれがかゆいところに手が届くようにはいっていない。むしろ大事な発注元である建設大臣として、人間尊重の立場から、一度これに対する視察をしたり調査をされて——この問佐藤さんが魚河岸に行ったそうですが、歴代の総理大臣がなぜ魚河岸に行くのか知りませんが、一度、建設大臣として飯場をごらんになり、おまえも行けといえば、私もお供して喜んで行きますが、あるいはいいところを案内しろといえば、いつでも案内しますが、魚河岸なんかに行くよりは、やはり建設大臣としては、自分行政下にある、どこで働こうと、働いておる人間の処遇が人間尊重に値しているかどうか、人間以下の生活をさせられているようないまの状態というものをどうするのかということを、きわめて短い時間の間に一度視察をされて、建設大臣として適切な閣議における御発言なり、あるいはその他の面で指導が行なわれることが非常に望ましい。しかも急速にお願いしたいというふうに考えますが、大臣、そういう点で、人間尊重の立場から、おまえが言わなくとも、飯場は見ているとおっしゃるならとっくに成案はあるでしょうし、見ていないなら、一度飯場を見ていただくということがぜひ必要であると思うし、そういうことをやっていただけるか。要するに、その面における人間尊重の具現方を、建設大臣として、飯場を中心にまずやっていただいたら、日本の底地における労働階級の処遇というものも思い切って変わってくるはずです。大臣が飯場を五、六カ所、あしたでも見ていただいたら、ずいぶ変わってくるはずです。その案内は私がいたします。してもらいたいのですが、そのくらいのことをしなければ、人間尊重というものは通じない。思い切って人間尊重をやる御意思があるかどうか。
  38. 小山長規

    小山国務大臣 まだ機会を得ませんが、機会を得て、そういうこともひとつ見てみたいと思っております。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 明確に、大臣が次にやってやろうと言ったのはこれだけなんですが、非常にけっこうだと思います。  そこで、こまかい問題を二つばかりお伺いをしておきたいのですが、これは、私、実際には公営住宅の中に住んでいませんからわかりませんが、現在のいわゆる公営住宅、公共住宅というものの中に、主体が三つあるわけですね。そうすると、公団でございますとかあるいは公庫住宅であるとかというようなものによって、規格がみなまちまちになっているわけです。天井の高さが違ってみたり、あるいは極端にいうと、部分的には、柱の寸法が、どういう意味だか、違ってみたり、というようなことが幾ら言っても直っていないのだそうです。なぜこれは直せないものなのか。先ほど言ったような、建設行政の一元化ということを単に言うのではなくて、やはり基本的には、物が大量に安く生産されようというためには、この一元化の前に、当然——この種の、公団であろうと、公営の住宅であろうと、公庫の住宅であろうと、十センチから一センチくらいの範囲の違いというものを放任しておくことで、どのくらい原価が高くつくかわからない。全部規格にしてしまえば、しかも低いのに統一してはいけないかもしれませんが、十センチくらいの違いだったら一これは一例ですよ。規格のばらばらなのがたくさんあるのです。これは大臣御存じないかもしれませんが、そういう点をよく調べますと、これはちょっとした違いなんですから、いまの物をつくろう、家をつくろうという原価は思い切って安くなるわけです。これは公営なんだ、これは公団なんだ、だからこの規格だ、この寸法だというので、三種類に違っているのですが、そんなことをしないで、いやしくも公営住宅といったら規格が全部一緒なら、何寸角、このくらいの柱が何百万本というものが、すぽっと年初において計画できるわけです。こうするとつくるほうもうんと楽ですし、買うほうは安く買えるという点があるのですが、そういう点では数え切れないほどばらばらがあるのです。その規格がどうして統一できないのか。いままで何年も言っているのだそうですが、なぜか統一できない、こう言っていますが、これはひとつ急速に統一する必要があるので、やれない理由があるなら、やれない理由をひとつ聞きたいし、やれるものなら大至急にやるべきだ、非常に助かりますから、やらなければいけない、こう思うのですが、この点ひとつ承っておきたい。
  40. 尚明

    ○尚政府委員 御指摘のように、公庫住宅でおおよそ同様の構造のものをつくっておりますので、その建設の合理化、価格の安定化あるいは低廉化のために、でき得る限り規格統一をしていくことは当然のことでございまして、御指摘の点におきまして、まだ種々の点で統一のできていない点はございますが、その他の点につきましては、これもすでに御承知と思いますが、日本住宅協会という、地方公共団体及び公庫、公団等が会員になっておる協会に、この規格を合理化する委員会を設けさせまして、そこでいままでのところでも、まず住宅の中の各部品としまして、ドアだとかサッシだとか、あるいは流しだとか、そういうものの規格統一をかなりやっております。ところで、御指摘の構造の、天井の高さが若干違うとか、これも私存じております。これもできるだけ統一いたしたいと思っておるわけでございます。やがては内部部品、内装等も——もう一部では行なっておりますが、工場生産しました内装を内部に取りつける事業を、最近公営住宅からも始めました。そういうことをいたしますと、どうしても中の寸法も統一しておかなければならないということになっております。いままでその辺がおくれましたのは、実は今日の建設業の発注状況から見まして、まずかりに天井高が十センチなり何なり違いましても、まとめて何百戸と出しますと、それがまた他の団地で、何百戸、十センチ高くなって建てられましても、それがあまり価格面に影響しない点がございます。若干は影響します。そういう点で問題が少しあと回しになっておりました。しかし御指摘のように、当然建物の中の内装その他も、すべて工場製品にこれからしていくという方向をとっている以上、この統一はすでに今日としては焦眉の急になってまいりました。その方向に向かって、鋭意努力いたしたいと考えております。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの規格の問題で、次に公共住宅団地には、公共施設、公営施設があるわけですね。その施設そのものの、いわゆる基準というものがなければいけないと思うのですが、これはまだ全然できていないのじゃないですか。公共公営施設のいわゆる基準、こういうものができているのか。できていないように私は思うのです。
  42. 尚明

    ○尚政府委員 団地のまわりの公共施設につきましての、それぞれの事業を通じての確固とした補助基準とか、あるいは融資基準から出ます設計基準というものは、統一されてはございません。そこで、実は昨年か一昨年、そういう事業主体が相寄りまして、参考資料としての標準設計図集というものを、かなり大部のものでございますが、つくりました。しかしそれはまだ強制力がございませんで、一応それを参考にして、みんななるべく統一した設計でいくようにという、参考書をつくったというくらいの段階でございます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 それは知っています。これもやはり、団地における公共公営の施設に関しては基準をつくっていい時期がきている。当然これは基準化すべきなんです。これも早急に——いま参考に出しているなんというのは、参考というのは、いわば参考にしないのが参考なんで、これはやはり強制力、監督力を伴うもの、要するに基準という形で至急におつくりになるほうがいいのじゃないかというふうに思います。それから、そういうときに、現在地方の公共団体が非常に苦心しているいろいろな経験があるわけですから、こういうものもよく吸収してつくらないと、建設省だけでは、りっぱな技術者はおいでになるのだけれども、ややもすると、こんなものをつくりやがったということになりやすいのですから、やはり公共団体、地方団体の経験も生かして、集約した意味の基準というものをつくる、そういうことをまず第一におやりになるべきじゃないかと思うのです。  次に、三つ目に、ついでにお聞きしたいのですが、少し数のまとまった団地になりますと、当然集会所、集合所というものがほしくなりますし、保育所もほしくなる。東京都なんか、保育所と言いませんが、小さな団地つくりますと、そこに母子集合所というふうなものを特別につくってみたりというようなこともやっているようです。地方でも、自力でそういうものをつくりたい意思はあるようですが、私は、これも規格ではありませんが、いわゆる独身でない普通世帯が何戸以上の団地ということになったら、その設計基準の中には、保育所、集会所あるいはもっと突っ込んで大きくいいますと、郵便局、それからポリス・ボックスですか、駐在所、おまわりさんのいるところ、あるいは電話の施設というようなものも、基準としてはもうすでに持っていていいのじゃないか。現在のところは、どうも団地がこれだけ発展してきたけれども、交番がないからとにかく不安でしようがない。問題が二つも三つもまつ昼間から起きた、だから交番をつくってくれ、あるいは電話がなくて困る、一々陳情といいますか、そういうものが起こるように、起こるように、不備な点がある。もう現にすでにいろいろな陳情が団地から出ておるのですから、団地から出ておる陳情なら陳情というものは、一つのブループリントでもいいですが、それぞれ、これこそ一応の参考にまずつくって、これを示して、まだ要求があるならというので検討した上に、そろそろ早急に規格をつくっていいのではないか。団地規格ですね。そういうものが一応設定されて、団地を許可しようというときには、もうすでに電電公社は電電公社で、あそこに何戸の団地ができるというと、すると、おれのところは何個電話の施設をしなければならない、あるいは集団電話の施設をつくらなければいけないということが、自動的にきちっときまっていく程度にまで、規格が進んでまいりますと、いまのようにちぐはぐに、家はどんどんできてしまった、あれはない、これはない、何とかしてくれないかというようなことを言わないで済むように、予算がないから、いま保育所はできない、いま集会所はできない。しかしながら二年度、三年度までにはこうこう、こういう順序でやっていくのだ、全体の計画はこういう計画だ、団地が何戸以上の団地になるときは、こういう規格でいくのだというものをつくりながら、予算等に見合って、年度は延びていってもやむを得ない、しかしやがて来年はこれができるのだということが、すぐその住民にちゃんとわかるような、陳情や請願しないでも済むように、むだな労力をかけないで済むような、一つプランがもうすでに策定されていい、そういう意味の規格もろくるべきではないか、こう思うのですが、これはどうでしょう。
  44. 尚明

    ○尚政府委員 御指摘の、団地関連いたします集会所、商店、学校その他いろいろの施設が必要なことは、団地建設がようやく大開発を伴って行なわれるようになって、必要になってまいっております。したがいまして、御承知のように、その点においては、日本住宅公団がまず一番整備しているわけでございますが、これは団地をつくるにつきまして、早くから集会所あるいは市役所の出張所、場合によりますと交番等をつくる、これは住宅公団が持つ予算の構成からいいまして、公団のいい部面を出していると私は考えております。公営住宅では、一応基準としては、公営住宅建設基準の中に、何戸につき何平米の集会所等の規定はございますが、残念ながらまだ予算を伴わないために、その建設基準だけが文章としてある。しかしながらこれも最近はくふういたしまして、せめて広い集会所とまでいかないでも、集会室の補助を住宅とあわせてできるように、三年ばかり前から道を開きまして、小集会室はつけられるようにして、かつそれに補助がつくようにいたしております。それから住宅金融公庫でも、公庫による団地つくりますときに、やはり地方公共団体が資金のくふうをしながらそういうものを整備していくなど、全体を通じて、その点は逐次整備が行なわれつつあり、今回提出しております住宅金融公庫法でも、新たに学校建設融資ができるようにいたした次第でございまして、その整備につきましては、鋭意努力をいたしておるわけでございます。しかしながら、先生の御指摘のように、一切のものが全部完備するように措置ができているかとおっしゃられますと、まだその途上にあるということを申し上げねばなりません。鋭意その方向に向かっておりますので、われわれとしては、急速に団地関連公共施設の整備というものを予算化して、各公共団体等が安心して資金の援助を得ながら、そういう整備ができるように、相つとめたいと考えております。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 非常にいま努力しておるのだ、途上にあるということで、非常にいいことなんですが、もう一歩突っ込んで、いまの段階ではたとえばABC、規模の大中小によって、団地構想一つ持って、それには電話局が一つ、あるいは郵便局が何、交番が一つ、何が何というふうな規制ですね、こういうものを、もういわゆる監督官庁としては持ってよろしいと思うのです。持つべきだ。予算に見合って徐々にやっていくのだ——何をやっていくかわからないのではだめなんです。こういうものをやると約束しなさい。団地となったらこういうものなんですよ、という姿を国民に発表しろというのです。そのことがもうすでに義務ですよ。不安でしようがない。そうしておいて、いろいろ現地との折衝もあるでしょう。それから予算の問題も起きてくるでしょう。しかしその前に、予算ができたら今度は何だというのではなく、団地のABC、いわゆる大中小の規模によってこうあるべきなんだ、姿はこうなんだ、こういうことをやりますよ、団地といえばこうなるのですよというところを、はっきりと国民には訴える。しかし予算の関係で、これとこれとこれは次年度になります、予算の都合で三年後になるかもしれない、というふうなことはけっこうでしょう。これはまた陳情政治ですから、一生懸命に、また皆さんのところにわんさわんさと行くでしょう。そうして、再来年というのを来年にしたりするように、いろいろ折衝の中で解決する。しかし、一応団地となったからには、政府、国の立場では、これだけの施設をやるんです、そういう計画があるということを大臣は発表すべきだと私は思うのです。そうしてあげなければ、団地というものに対して、国がいわゆる指導監督の立場にあるとはいえない。やはり、公団に対する監督行政をおやりになるという立場からいうならば、団地に対する構想というものはこういうものだということを、できるのですから、おやりになるべきだ。その企画ができると非常に楽です。そういう点を、ひとつ途上だなんと言わないで、大臣から約束していただきましょう。
  46. 小山長規

    小山国務大臣 公団については、現在もうすでにそういう構想でやっているわけですが、おっしゃるように、ある基準をつくることも必要かと思います。ただ、今度は公庫住宅とか公営住宅となりますと、これは制度をつくるためには、まだ相当な努力が必要じゃないか。おっしゃる方向で、その制度をつくるための努力をしますが、制度のできない前に、来年から建設省としてはこうやるのだと言っても、うそになりますから、これは実現ができるという確信ができる段階になれば、制度としてつくるようにいたします。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 特に公団に関しては、いま言ったように、総裁おいでになっていますが、あえてお聞きしないのですが、私は、建設省の立場でもうすでに公団の青写真というものはつくるべきだというふうに考えていますし、局長は、その途上にあると言うし、大臣も、公団に関してはできると言のですが、私にそういう青写真というものがあってしかるべきだと思っていますから、これは早急にその努力をお願いしたいと思います。  その次に、現在公営住宅に入っております人たちに、一種、二種の区別があるわけですね。この一種、二種の区別をどこに求めるかというと、収入が三万円だとか三万六千円ですか、あるいは二万円以下ですか、何かでやっているわけです。この人たちの収入が二万円以下だったものが、入って半年後に特別昇給で三万円になった、三万円だと思ったものが五万円になった、というときはどうなるのですか。入っていていいのですか、入っていていけないのですか。
  48. 尚明

    ○尚政府委員 これにつきましては、法律及び政令で規定してございまして、公営住宅が低所得者のための住宅である目的にかんがみまして、まず収入基準を越えました場合には、一応原則として、この家を他の低所得者のために明け渡すように努力するという、努力義務がございます。そうして、これに伴いまして、地方公共団体は、その出ていく方が出やすいように、公団住宅あるいは公庫住宅あるいは現行の協会住宅というところにあっせんしなければならない。しかしながら、実際は、居住を変えるということはなかなか容易でございませんので、その出ることが適当でなく、引き続きそこにおられる場合には、割り増し賃料をいただくという仕組みにいたしております。かつ割り増し賃料をいただく制度にいたしましても、たとえば、第一種公営住宅は、勤労控除等をいたしまして、三万六千円をこえますと、一応資格がなくなるわけでございますが、その三万六千円をこえたら直ちに割り増し賃料といきませんで、その間に幅をとりまして、四万五千円をこえたらば初めて割り増し賃料に該当するというふうに、余裕を置いております。なお、新規に入居されてから三年間は、上がっても別に問題にいたしません。三年後において、たとえば第一種でいいますと、四万五千円をこえた場合には、割り増し賃料を四割いただくというような制度で、弾力的に運用する、こういうやり方をいたしております。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 二種の二万円のほうは……。
  50. 尚明

    ○尚政府委員 二種のほうは、入居のときの収入資格は二万円以下でございます。勤労控除等を行ないまして二万円以下、また、もちろん家族一人二千円を控除いたしまして二万円以下となっておりますが、それを、収入超過者に該当いたしますのは二万五千円といたしております。かつ、二万五千円をこえて四万五千円以下の場合は三割増し、それから四万五千円をこえましたときは八割増し、これは一種で四万五千円をこえたときには四割増しでございます。そういう基準をつくって、これによって割り増し金をいただく、こういう制度にいたしております。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 それをきめたのはいつですか。
  52. 尚明

    ○尚政府委員 この法改正をいたしましたのは、昭和三十四年だったと思っております。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 これは、いま物価なり公共料金の値上げ、値上げということが非常に大きな問題になっていますし、政府もこの物価対策に非常に頭を痛め、努力をされているわけです。三十四年というのがほんとうかどうか知りませんが、三十四年の当時二万円から二万五千円ときめて、現在それからどの程度物価が上がっているかを考えてみたら、もうすでにこんな基準を置いておくことが間違いだということが言えるのじゃないでしょうか。少なくとも一女房と子供一人いて生活するのに、二万五千円でいま生活しろといって、あなた方が生活できるか、なかなか生活なんかできやしない。家賃も払い、何も払いということになると、もうすぐにこの二万五千円というものは四万五千円の基準までいく、あるいはもうきている状態に、昭和三十四年から見ると、現在はなっているわけです。そうなってきますと、この二万円から二万五千円というものを基準にして、二万五千円を突破して四万五千円になったときには三割増しだ、それ以上になったら八割増しだというようなことをやっておいても、これは有名無実なんです。実際に各自治体が苦心惨たんをして、割り増し金をどうして取らないで済むか——実情を見ればどうしてもわかりますから、割り増し金を取らないように、取らないように、小さな市町村では、いま非常に苦労しているもとは何かというと、二万円あるいは三万六千円の基準というものがすでに無理だから、こんな現在の実情に合わない基準をそのままにしておいて、割り増し金を取るのだという制度を押しつけているから、したがって、自治体は、現実と非常に大きく矛盾を感じて、いかにしてこの割り増し金を取らないで済むか、合法的に取らないでおこうかということの苦心をする。入居者のほうはまた、冗談じゃない、実情を見ろ、こんな低い基準を置いて、割り増し金を取られてはたまらない、払うものか、というので、払わない交渉をしようとする。そこに常にむだなことをやっておるわけです。したがって、もうそろそろこの基準というものを引き上げる必要がありはしないか。基準が少し低過ぎるというふうに考えるのが一つ。それからもう一つは、現在割り増し金を取るべきだといわれて、非常に困難をしている入居者がいるわけです。割り増し金を実際に取っているところがある。ところが合法的に取らないで何とか済ましているところが現にあるのです。この際基準そのものをどうするかは、きょう、あすにはできないと思うのですが、これはたいした金額じゃないのですから、割り増し金を取るということだけでも、現実に即して、この際一時停止する、あるいは思い切ってこれを減らすというような措置を講ずべきだと思うのですが、この点ひとつ局長並びに大臣から……。
  54. 尚明

    ○尚政府委員 先ほど申し上げました三十四年と申しましたのは、法律の基本を変えたわけでございまして、収入基準の数字を変えましたのは三十七年でございます。そして第二種は二万円以下とございますが、これを標準世帯、夫婦と子供二人で見ますと、これは勤労控除及び一人当たり二千円を引きますと、実質は三万三千円になります。それから三万六千円というのは、いまの標準世帯で見ますと、実質が五万一千円になります。かつ、割り増し賃料は二万円じゃなくて、二万五千円にしていますので、同じく標準世帯で見ますと四万円でございます。それから一種の収入超過者は、四万五千円にあげてありますが、これは実は標準世帯で六万二千円になります。実は、いま現に住宅困窮者で、第一種、第二種、この基準による二万円以下あるいは三万六千円以下、こういう方が何十倍と待っておられるわけでございます。そういうことから考えまして、若干の割り増し賃料をいただくか——ほんとうをいえば、どちらかといえば、住宅公団等のよりいい住宅のほうへ移っていただいて、次に待っておられる低所得者のほうへ回していただけると実は非常にいいのですが、これはしかし実際問題、学校その他いろいろ勤務などの問題もありますので、私どももそれを強制するようなことはいたしておりません。御案内をして、相当の公団住宅へは優先的に入れますということをお知らせしているわけであります。そこで私どもとしては、この公営住宅が低所得者向き住宅としてその機能を発揮することにつとめる以上、その収入資格が、いま申しましたように、かなり間に幅もとって弾力的に運営しているわけでございますので、これはぜひその割り増し賃料を、ある程度——いまも申しましたように、三割ないし八割になるのでございますが、お払いいただいて、そうしてでき得れば、その資金はやはり住宅の環境をよくしたりなんかするのに使うわけでございますので、御協力願いたい、こういうふうに考えているわけです。したがいまして、大部分の公共団体は、これによりまして、御理解いただいて、いま実行いたしております。しかし若干の公共団体で、この収入を申し出ることになっておりますが、その申し出をいたしません。そこで、この収入を、地方公共団体等を通じて調べることができるようになっておりますが、それをまたいろいろ、何と申しますか、調べにくいように、あるいは調べさせないように、運動をされることがございまして、それで調べがつかない。八〇%くらいの方は正直にすべて申告しているのに、残りの方のために、実はこれが実行できない、そういう公共団体が若干ある。こういうことで、これは私どもは正直に考えまして、低所得者向き住宅が低所得者向き住宅のように運営されるためには、こういう措置というのは、社会正義の観点からいっても、ある程度やむを得ないのではないか。もちろん、いまお話しのございました国民の所得から見て、これがあまりにもつり合いがとれなくなるという事態になりますなら、これは当然変えなければならない問題だと考えております。確かにいろいろ、地域による差とかなんとかいう問題は、今後の問題として検討すべき問題だとは考えておりますが、私どもいまお話し申し上げたように、第二種で実質四万円、第一種で実質六万二千円以上の収入の方が該当するという今日の状態で、これは約二割か三割、収入の多いところでも三割程度の人——三割までいかないと思います、二割くらいの程度しか該当しないわけでございますので、これは円滑に実施したいと考えまして、いま、そういう点で、まだ円滑に行なっていない公共団体についても鋭意督励をして、円滑に、かつ入居者の協力を得つつ行ないたい、こういう気持ちでおります。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 これは局長の生活じゃわからないんだけれども、実質的に四万円ということを知っていて、聞いているのですが、たとえば四人家族で、一人いま——お宅はどうか知りませんが、どんなことをしても六千円はかかりますよ。そうすると、現在の生活は最低で二万四千円はかかりますよ。二万四千円で生活したほかに、子供だ、着るんだ、学校だというようなことをやって、お宅で、四万円で四人で生活してみろといったって、できっこないですよ。実はこんな者まで、何か当然高い収入ででもあるような、そういう前提に立っていることが、およそナンセンスなんです。現在の国民生活を考えたときには、少なくとも、われわれが常に主張するように、最低でも七万二千円程度ないと、いろいろな支出からいって、ほんとう意味の生活ができない。四万円程度、それはもう低所得階層の中でも恵まれているんだ、これに住宅を与えている、まだ一ぱい家のないのがいるから、多少の犠牲を払わせる対象にしようなどという考えが、四万円から生まれてくるなんという考えが甘い。御自分の生活をひとつ考えてみたらいい。そんなばかなことはあり得ない。一番冒頭に大臣にも一お伺いをしたように少なくとも、国民に対する住宅を供給する責任というものは国にあるのだ、いわゆる住宅を供給する保証というものは政府が負うべきだというたてまえがなければ困ると私が主張したのは、こういうところにあるのですよ。そういう点からいうと、一ぱいいるのに、こいつに国じゃ援助をして住宅をつくってやれない、したがって、入れないやつがうじゃうじゃいる、その責任を、前に入った低所得者に、四万円で四人が食っている、こじきのような生活をしている諸君に、まだ何割か負え、こういうばかげた考えがそこに出てくるのです。確かに住宅のない人は気の毒に違いない。ところが、その責任を負うのはだれであるか、それをわずか四万円の収入でやっているこの入居者に一部でも負わせようという考えをとる前に、一日も早くこの住宅のほしい諸君に住宅をつくってやる、そのことのために、今年度の予算でもずいぶん努力をしたんでしょうが、なお一段と努力をするのだという気持ちを、思い切って中心に向けてもらわなければ困るのです。その責任を入居者に、約束があったからといって、現在四万円や五万円で、四人とにかく楽に食えるはずだ、低所得階層の中で恵まれているんだ、だから責任を負わせるのだ、三割取るということをがまんしてもらいたい、あとがつかえているからというが、あとがつかえているからこそ、国の立場で努力してもらいたい。わずかな数入っているそいつらに、二割や三割やったからといって、金額は幾らですか。これを負担してもらおう、その考え方は非常に方向として誤りなんです。こんな程度のことで、割り増し料を取ろうということを当然のことだとして進めていくことは、何といっても現在の状況からいうならば許しがたい。しかもいまお読みになったように、他に転居して住むようにあっせんをする努力をするとかいうのですが、本人の事情もあるのでしょうし、その努力の限界もあるでしょうから、公団に移ってもらいたいといっても、なかなか移れやしない。しかしその人々に一日も早く公団等に入るだけの自力をつくってもらうためにも、四万円や五万円の低所得者から、一割だ二割だなんていう割り増し金を取らないで、その分を積み立て、早く公団に出ていけるようにしなさいという親心を、むしろ逆に示す意味でも、割り増し金をこの際撤廃するということのほうが、いまの低所得者に対して住宅を考えてやろうという人間尊重の精神に合う。これをいつまでも規則があるからというので、昭和三十七年に改定したこの程度の基準で、これで食っていく人間に対して、三割だ四割だ八割だなんていうものを取ることが当然だという考え方はどうしても誤りだから、これを急速に撤回してもらわなければ困る。割り増し金はやめてもらう、あるいは思い切って減額するという努力をしてもらいたいと思うが、どうですか、大臣
  56. 小山長規

    小山国務大臣 いま局長が説明したような背景があるということは、あなたもおわかりだと思いますが、そこで、まだ公営住宅にも入れない人がおるということを、公営住宅に入っている人は一体国民的立場からどう考えるのか、これをひとつお考え願いたい。もう一つは、やはり国家財政その他の関係からいって、あるいは地方団体の財政の関係からいって、この基準を変えなければならぬときが来るかもしれません、またできるだけ早く変えたいと思います。思いますが、変えるまでは、現在の大部分の人が払っているわけですから、現在払ってない人に右へならえというわけにはいかない。これは払ってもらった上で、基準を改める改めないとう問題は、別の角度から考える、こういうふうに考えますので、この点は御了承願いたいと思います。
  57. 尚明

    ○尚政府委員 よけいなことかもしれませんけれども、ちょっと補足説明をさしていただきますが、この何割増しの計算は、第二種の超過者は、この住宅が第一種公営住宅として建てられたらここの家賃になるというふうな計算のところへ、割増しを引き上げております。それから第一種の超過者の場合は、公団でこの家が建てられたとしたら家賃が幾らになるか、その計数によって、割り増し金をはじき出しております。ちょっと念のため申し上げておきます。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 その計数もわかりますが、公団で建てたのと公営住宅とは、実際には質も違うのです。環境も違うところが多い。そういう点からいいまして、どっちにしても、いろいろな理由があるから割り増しを取るのがあたりまえだ、現に払っている人がいるから、払っていない人に右へならえは困るのだと大臣はおっしゃるのですが、現実の問題として、現在のような所得水準から考えてみるならば、当然まだはいれない人がたくさんあるのを、はいれるように国の立場で努力をするという点で、思い切った方向転換をしていただきたい。全体からいえばたいした金額ではない。この割り増し料を取るということに関しては、どうしても検討を加えてもらわないといけない。非常に大きく矛盾が出ている。払える人は払って、払えない人は払わない。これが一番大きな矛盾じゃないですか。払えない人は右へならえできないからといって、払えないやつはそのままで、払えるやつはどんどん払っている。換言すると、そういう見方もできる。こんなことだって矛盾なんです。要するに、どこかに問題点がある。その問題点は何かというと、やはり現在の物価高の中で、生活費の増高の中で、四万だの五万だのというものが基準になっているということに間違いがある。これをきょう変えることはできないにしても、現在取っているいわゆる割り増し料というものは、取らないような行政指導が望ましい。そうすると、公共団体に対する補助金だ何だという問題が起きるかもしれませんが、金額はたいしたことはないので、こういう点は、監督官庁としては一応行政指導の面で考えていただいて、早急に、もっと合理性のあるものにすべきではないか。これはもう水かけ論になりますし、立場が違いますから、強く要望して、また具体的な例によってお願いをしたいと思います。  最後に、まだ数点ありますが、第一の問題は、いまの公営住宅の家賃がばらばらだということです。これは一応指導もするし標準もきめている。しかし、実態は、公共団体の長である知事なら知事が決定するようになっているのかどうか知りませんが、とにかく現実には、住んでいる入居者の立場からいうと、非常に家賃がばらばらということは間違いない。これがばらばらでないかどうかをまず第一にお伺いする。ばらばらであるとするなら、このばらばらを是正する必要があるだろう。先ほども、払うやつは払って払わないやつは払わないのは不公平だ、という大臣のお話があった。しかし、同じようなものであり、同じような約束であるというときには、やはりばらばらであることが矛盾でございますから、現在、ばらばらでなくするための努力をしているのか、その方針がどうなっているのか、それが一つ。  それから、管理の内容そのものが非常に違っています。これはもう公営であろうと公団であろうと、管理は一つのはずなんです。基準がある。あるのですが、実態的には管理の内容が非常に違う。これも現実に即して整理すべきものは整理して、管理の内容を統一して、どこで住んでも同じ管理対象になれるようにしてやることが、ほんとう意味行政だと思うのです。そういう点で、現在ばらばらになっていない、管理内容は完全に統一されているというのなら、その御答弁をいただきたい。もし私が言うように、管理の内容が違っているというときには、それを統一するための努力をしなければいけないと思うので、今後の方針を伺いたい。  その次に、現在、一応基準をきめて家賃を取るわけですが、日本の場合、いま説明のあったような状態なんですが、たとえば米国ですとか、あるいは西ドイツですとか、これらの国々においては、公団とか公営に準ずるこの種の住宅の家賃の取り方が、現在日本で行なっているものと違っているのか、同じようなものがあるのか、あるいはきわめて違っているのか、その点をひとつ、御存じだろうと思うので、特に米国の例でもけっこうですし、西ドイツの例でもけっこうですから、教えていただきたい。  同時に、その管理のしかたなんですが、現在は、公団が建てたものに関しては、公団が管理そのものを直営しているのじゃないかと思うのです。このいわゆる団地における住宅の管理というものがいろいろな問題をかもし出しますし、あるいはその経済的な問題からいっても、採算上からいっても、大きな問題のあるところなんです。したがって、米国あるいは西ドイツ等は管理をどのようにしておるか。平たいことばでいうと、直営、あるいは管理組合みたいなものをつくって自主的に管理をする、その管理組合に対して、ある種の管理手当なり助成を行なうというような方法でもやっているのか。わが国はいま直営のほうに近いわけですが、この直営という方式を今後ともずっと続けるのか、管理を直接やるのか、管理組合等による外国の例その他があるか、将来はそういうものに振りかえていこうと考えているのか、将来ずっと直営でいく方針か、そういう点を一つにまとめて最後の質問にいたしますので、御答弁を願います。
  59. 尚明

    ○尚政府委員 お答え申します。  まず、家賃が建設年度により、あるいは各建設地によってばらばらでないか。これは正直申しまして、家賃の均衡は必ずしもうまくとれておりません。と申しますのは、この家賃は、諸外国も算出の方法は大体同様でございますが、一応建設費というものを一つの資料に使っております。ところが、御承知ののように、同じ年におきましても、その土地費及び建築費がここのところ急上昇いたしまして、それからまた各地として比べてみますと、非常に土地費が上がるところもたいして上がっていないところもございます。そういう点のために、同じ構造物である公営住宅つくりましても、家賃が、地域により、あるいは同じ地域の中でも建設年度によって、かなり差異があるという点がございます。これにつきまして、いまのところ、私どもの基準は、最高限これ以上取ってはならない、それ以下において事業主体の責任においてきめるという形をとっております。その結果、いまのようにばらばらになっているので、まず建設年度別の問題につきましては、古いものから逐次ある一定割合——これは建設大臣が毎年示します。昭和二十八年に建てたものは一割なら一割増していいとか、二割増していいということを、毎年九月に、各年度のものについて発表します。それの範囲内までは、知事は、建設大臣の承認を得ないで、上げてよろしいということにいたしております。これは、一つは修繕費及び管理費が当時の建設費と見合いますと、とても修繕や管理ができなくなってしまうために、新しいものは上げておりませんが、大体五年ぐらい以前のものを何割かずつ、少しずつ上げているというやり方で、調整をやっている次第でございます。この問題につきましては、建設費が非常に移動する状態においては、なかなか困難な問題でございますけれども、できる限りそういう調整をいたしまして、管理も行き届くような方策を、今後とも続けたいと思います。  公営住宅の管理のしかたが不統一であるというお話でございますが、これも御指摘のとおり、正直申しまして、私どもは十分統一されておりますということを、いまの段階では答え切れない面もあります。と申しますのは、終戦以来、住宅建設にやや追われたきらいがございまして、したがいまして、これが維持管理や他の住宅へあっせんすること等につきまして、まだ十分な態勢が整っているとは、申しかねる点がございます。これにつきましてはここ二、三年来、私どもも非常に重点の問題と考えまして、最近は、地方公共団体を集めて講習をしたり、あるいは話し合いの機会をつくったりして、なるべく全国的に統一した管理が行なわれるように、鋭意指導をいたしておる次第でございまして、今後とも、これについては、御指摘のように、一そう充実した方法をとらなければならないというふうな気持ちでおります。  それから、家賃の取り方の諸外国の例でございますが、あまり詳細には存じませんけれども、たとえばアメリカの公共住宅のようなものは、収入の二〇%というふうに、パーセントできめております。こういうことは、住民が非常に的確に収入の申告をしてくれるという社会習慣が非常にはっきり成り立っているようなところでは容易にできるだろうと思います。ヨーロッパの国でも、こういう種類のことをやっておるところもありますし、またわが国と同じように、この建物は六千円だ、この建物は八千円だと、建物できめているところもございます。それからさらに、建物できめておいて、今度は子供があると幾ら家賃を補助するとかいうようなことで、調整弁を別なところに持っている国もございます。これが実はそれぞれの国情に応じまして違っておりまして、わが国でもできるだけ合理的な方法に進みたいということは考えております。諸外国の例もいろいろ研究しておりますが、そういうことができますには、やはりそれぞれの国の国情もございまして、外国でやってこれがよさそうだと、直ちにわが国に取り入れるには、いろいろ困難もあるわけでございますが、研究はいたしております。  それから家屋の管理でございますが、これの対策につきましても、そう詳細はわかりませんけれども、私、かつてヨーロッパ諸国、アメリカ等を歩きましたときに、やはりこの問題について方々で聞きただしたのでございますが、直営でやっておるところも相当ございます。ドイツなどは、ほとんど市なり何なりがやっている。そのやり方につきましても、共益費というような管理費をとってやっているというようなところもありますし、管理費をとらずにやっているというようなところもありまして、これもいろいろまちまちのように考えますが、国体にゆだねてやっているところは、そう多くは見かけなかったような気がいたします。しかしながら、私ども実は一つの問題に直面しております。と申しますのは、日本住宅公団でも、すでに十数万戸の管理をする、あるいは東京都にしましても、都営住宅をすでに十万戸近く管理する、こうなりますと、そのたびに公共の職員をふやしていくということが、はたして今後とも合理的かどうかという問題がございまして、ある場合には、こういう管理を委託する団体とかなんとかというものができて、そこがやったほうが合理的な、能率的な管理ができるのではないかというような問題は、私どもとしては、研究問題として出ております。したがいまして、いつまでも直営を続けるかという御質問に対しては、必ずしもそれのみがいいとは考えておりませんで、他の方法も考えねばならないという段階に来て、いまいろいろ検討しているという段階でございます。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。家賃のばらばらに関しては、現実にあまりにもひど過ぎるので、これは国の立場でできる限りばらばらをなくするような努力をしてやっていただく。これは思い切った犠牲を払ってやる以外にないと思うのですが、これは非常に大きな問題ですから、御検討願いたい。  それから、いまの家賃そのものの取り方の問題ですが、どうも日本の場合には、みんな不正直者で収入がぴしっと出ない——だれを見て局長が言ったのか、局長は自分のことを言っているのじゃないかと思うのですが、どうもわれわれはばか正直だから、税金に全部取られております。だから、大体日本程度まで機構が進んできますと、その心配はあまりしなくていいんで、もっとフランクに収入基準でやったほうが合理的だというなら、そのことも実際に検討する必要があるのじゃないかと思うのですよ。だからその点は検討を、また今後お願いする。  最後にちょっとお伺いしたいのは、全国の各自治体に対して、いわゆる公営住宅の割り振りがそろそろ始まるが、いりごろ割り振りというものを最終的に決定するつもりか。聞くところによると、もう十日ごろにはちゃんと、おまえのところはどのくらいという割り振りをきめるのだ、こういうお話なんですが、私それを聞いたときに、いやそんなことはないだろう、予算が完全に通ってからじゃないかな、でなければ、やみ取引で何かやっているのかもしれぬがというふうに答えておいたのですが、ほんとうにぴしっと各自治体に割り振るのはいつごろになりますか。
  61. 尚明

    ○尚政府委員 本年度の事業、各公共団体にその戸数等の割り振りを示しますのは、大体四月初旬でございます。いまお話のありました、もう割り振りしているというのは、全然間違いでございます。予算の成立する前に、そういうことは決していたしませんし、まだ私自身が目を通しておりませんし、大臣にも目を通していただいておりませんので、これはおそらく何戸やりたいということと、こちらのほうの聞いている人とが、それは多過ぎるじゃないかとか、いやこれくらいまでは考えられるかもしれないという、そういう雑談時のものを、そうとられたのじゃないか。私どもまだ全然目を通しておりません。寺
  62. 森山欽司

    森山委員長 参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  道路に関する件の調査のため、来たる十二日、兵庫県土木部参事松波肇君、及び芦有開発株式会社常務取締役川島通弘君を参考人として本委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は、来たる三月十日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会