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1965-05-11 第48回国会 衆議院 決算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十一日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 壽原 正一君 理事 田中 彰治君    理事 瀬戸山三男君 理事 勝澤 芳雄君    理事 田原 春次君       田川 誠一君    福永 健司君       山手 滿男君    神近 市子君       森本  靖君    山田 長司君       吉田 賢一君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (経済局長)  久宗  高君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         水産庁長官   松岡  亮君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局流通飼         料課長)    松本 作衛君         農林事務官         (水産庁生産部         長)      亀長 友義君         会計検査院事務         官         (第四局長)  小沢 定司君         農林漁業金融公         庫副総裁    大月  高君         農林漁業金融公         庫理事     和栗  博君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十八年度政府関係機関決算書  昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (農林省所管農林省関係政府関係機関関係)      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は農林省所管決算について、審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許すことにいたします。壽原委員
  3. 壽原正一

    壽原委員 水産庁にちょっとお伺いいたします。  先般当委員会北洋水産鵬洋丸スケソウ問題についてお尋ねしておいたのですが、その節長官答弁では、まだ詳細な報告に接していないから詳細なものがわからぬ、こういうことであったので、長官がまだお出ましにならぬが、あなたでその詳細報告というものを聞いておるかどうか。鵬洋丸に乗船した監督官並びに会社側からの報告を受けたかどうか、これをお伺いしたい。
  4. 亀長友義

    亀長説明員 北洋水産の本年度西カムミール事業計算書につきましては資料をもって提出してあると思いますが、製品フィッシュ・ミールで金額にいたしまして三億五千八百万、ソリュブルにしまして二千四百万、それから魚油が二千万、合計して約四億円の売り上げ高となっております。  これに対しまして支出は若干収入を上回っており、約四億五百万、収支の間に約二百五十万ばかりの差がございますが、会社側計算といたしましては、これはあくまで母船及び用船料等減価償却を見込んだものでございますので、全般的に申しますればこの事業償却を見込んだ上での若干の計算上の赤字があるという程度でございまして、本来係船する場合を考えますと、係船した場合よりははるかに有利である。採算としては一応収支がほとんどとんとんという結果である、かように報告を受けております。  なお、ソ連から受け入れました原魚は三万五千二百トンでございまして、これによりましてミール五千六百十八トン、一トン当たりの単価は約六万三千円でございます。以上が国内に持ち帰られております。  そのほかに付属の生産物といたしましてフィッシュ・ソリュブルが約千トン、魚油が二百六十一トンという、ぐあいでございます。  このほかに北海道漁民の間でいろいろ問題にされておりますタラ子でございますが、タラ子につきましてはいろいろ国内生産者との関係もございますし、出漁の当初からタラ子商業的用途に供する生産はしないという条件をつけたのであります。この結果、生産されましたものは税関その他を通じて調査をいたしました結果、約四百五十キロ程度でございまして、これは船員食料供給用として今後の出漁の際に船員に支給をするというたてまえでございまして、したがって商業ルートに販売するということはいたさない、かように申しております。  以上が今回の報告の概要でございます。
  5. 壽原正一

    壽原委員 タラ子の問題はまたあとでお伺いいたしますが、鵬洋丸が行って、あなたのほうからの資料を私も受けてあるんだが、二百三十七万七千円が欠損ということになっておる。それで採算に合う合わぬという問題については、これはここに出ておるとおりこれならば合うだろうというような判定になっておるようですが、あなたのほうでは、これは試作的にこの問題をやらした、こういうておる。ところが商社のほうでは三年間契約に基づいてこれをやろうとかかっているんだが、もし引き続いてこういう問題が起こったならば、あなたのほうでは、この試作に基づいてこれならばやれるということでこれを許可しますか、どうですか。
  6. 亀長友義

    亀長説明員 本年度は初めてのケースでございまして、いろいろ日ソ間の貿易の問題もございますし、また国内的にはミール不足をして大量に減るから輸入せざるを得ないという実情にあります。そういう事情を考慮いたしまして、最初ケースとして許可をいたしたわけであります。いま露原先生から御質問がありましたように、商社筋ではいろいろソ連側に話をしつつあるという事情は私も新聞その他で聞いておりますが、これはもちろんタラ子の鮮魚での輸入もしくはミール、あるいはタラ子という問題はいずれも外割制度でありまして、かりに商社間で話が進んでいるにしても通常の場合は政府の承認を条件として初めて契約が成立するというかっこうになるわけでありまして、ソ連と業界でのいわば非公式な交渉があるやに聞いておりますけれども、私どもとしましては御承知のように北海道からもいろいろ御要望もございますし、一方ミール需給問題等もございますので、必ずしも漁業界が要望するとおりはたして政府許可するかどうかということは別の問題でありまして、われわれ慎重に検討した上で対処したいと考えております。
  7. 壽原正一

    壽原委員 それでは商社が賢い付けの取りきめをして契約を結んでおっても、これがあらゆる方面に響く影響考えて、この問題については慎重な態度で当局が臨む、むやみやたらとこれを許可するものでないというふうに了解してよろしゅうございますか。
  8. 亀長友義

    亀長説明員 私ども当面の北海道の問題を扱っております北海道庁とも協議をし、またミール需給という問題もございますし、さらに大局的には日ソ間の貿易の問題ということもございますので、そういう事情を総合的に検討いたしまして妥当な解決をいたしたいと考えます。
  9. 壽原正一

    壽原委員 この間、私が質問の中で鵬洋丸買い付け原魚の場合、日本漁船が操業する地帯あるいはソビエトが操業する地帯、これらの地帯が全然競合しないというあなたのほうの答弁であった。それからいまうわさされておる十二万トン輸入の問題についても、資源枯渇は絶対にない、科学的な調査によってわれわれは調べているのだというあなたのほうの答弁であったが、私の調べたところによると、競合しないという点は当たらないと思う。ということは、スケソウダラというものはその時期時期によって北上しまた南下してくる魚であるから、どこでとろうとも大量にこれをとられることによって必ず資源枯渇が見られるのではないかというふうに私は考える。かつてはこういう資源枯渇問題でも大きな問題を起こした時代があったカレイの問題、あなた方、それをよく知っているはずなのだ。海の中でも戸を立てて、網でも張って魚がこっちへ来てはいかぬということになればこれは別ですよ。別だけれども海流流れに沿って北上し南下してくる魚、一連海流流れに乗ってくる魚をどこか一カ所いわゆる産卵時期にそれを大量に捕獲したならば必ず資源枯渇という問題が起こってくると私は思う。あなた方はどういう調査によって資源枯渇がないというのか、競合しないからというような意味なのか、それとも何らか科学的な根拠に基づいてああいう答弁をなさったのか、その点をお聞かせ願いたい。
  10. 亀長友義

    亀長説明員 最初に一言お断わりしておきたいのでありますけれども北海道沿岸でいわゆる沿岸小漁民がとっておりますスケソウダラと、西カムチャッカから現在ソ連がとって日本に売っておりますスケソウとは直接の関連がない、これは一応はっきりしておるわけであります。問題は、北海道のいわゆる三百トン以内のトロール船出漁する西カムチャッカ区域ソ連船が現在とって日本に売ろうとしておる、そういう区域資源枯渇しないか、競合しないかというお話であると思いますが、これは私ども資源的にはやはり日本トロール船が行っておる区域西カムチャッカ区域でありまして、ただ地域的には現在までのところ日本船は五十三度以北にはあまり行っていない、ソ連船は五十三度以北でやっておる、したがって現在のところ直接的な競合はあまりないというだけの話でありまして、資源的にやはり西カム一連資源であろうというふうに考えております。そこで現在一体西カムスケソウダラが将来枯渇になりはしないかという問題につきまして、率直にいって日本側ではそれほど詳細な調査はございません。しかしソ連側では、この区域ではカレイその他はある海においては、西カム近くにおいては採捕を禁止しております。しかしスケソウソ連も禁止をしておりません。そういう状態から見て、現在の段階では西カムスケソウについてははっきり危険だという証拠も何もないのではないか、かように考えます。ただそれも先生のおっしゃるのは、どうせスケソウといえども無限にあるわけではない、将来日本ソ連買い付けを大量に促進するようなことをやれば、ソ連捕獲量がふえ、その辺の資源が危険になってくるのではないかというお話であろうかと思うのであります。その点はもちろん一つ資源を両国がとっている以上、また、多量にとればそういう問題は当然懸念されるのであります。ただ御承知のように、これは何といってもソ連の津に非常に近い、日本だけがそこの資源を独占するという行き力もこれはなかなかむずかしい問題であります。そして同時にまた日本漁船が、ソ連漁船だけにとられてとれなくなるということも、簡単にソ連の岸だからソ連だけがとっていいのだということもわれわれ納得できないのであって、結局のところ私どもは現在資源の直接の危険というふうに必ずしも考えられていないにしても、日本が将来大幅にこれを買い付けるようなことをやれば、必ずその結果、日本にも影響はあるだろうということは言えると思います。したがって、かりにソ連から買う、すなわちソ連スケソウダラをある程度ソ連が拡大していくということはやむを得ないにしても、おのずからそこにわがほうの量ともにらみ合わせてその限度というものをやはり考えながらやっていくべきである、かように考えておるわけであります。現在のところ、かりにいま日本漁獲以上にソ連漁獲がある程度ある、それをちょっとでもこえればそれじゃすぐ枯渇になるかというところまではきておらないと思います。ただ私がいま申し上げましたような事情等を考慮しまして、貿易その他の問題もございますけれども、適当な限度でこれは考えていくという配慮が必要であろうと思います。
  11. 壽原正一

    壽原委員 あなたの答弁だと科学的に調査をした答弁だとは考えられないが、この間も質問してありますけれども年間十二万トンの買い付け問題ということは、新聞報道その他であなた方よく知っておると思いますが、これはまだ申請は出ておりませんか、申請が出ておらないとすれば、これから出すのでしょうか。年間十三万トンのスケソウダラを買い入れるということになると、この時期がちょうど産卵の時期になってくる。二月から三月というような時期になってくると、スケソウ産卵に一番適した時期にその漁獲をしなければならぬという状態になってくる。わざわざそういう時期を選んで、そうしてこれを許可申請したあるいは申請するというようなうわさがあって、これが事実だとしたならば、どういうことによって、その時期を選んだかという想像が、あなた方でわかりませんか。
  12. 亀長友義

    亀長説明員 その時期がなぜそういうふうに選ばれたかということは、私どもたる証拠も何もございません。ただ一つには、ソ連船が操業しやすい時期、いわば他の時期にはソ連のトロールもべーリングだとかそういうところにまいります。したがいまして、冬期のソ連船が操業しやすい事情、それにちょうど日本側ミール工船が遊閑しておる時期と合致をしたということじゃないかと想像いたしておりますが、その程度でありまして、その時期については私どもそれ以上にソ連側考えというものをただし得ない事情にございます。
  13. 壽原正一

    壽原委員 過去においてミール工船操業実績を見ておると、べーリング海ほんとうに本格的に行なわれた昭和三十五年から三年間、有史以来のカレイ資源枯渇という問題が起こっておることをあなた御存じでしょう。そうすると、スケソウが無限にあるというわけじゃないのだし、その子供産卵時期に、そういう問題をやったならば必ずこのカレイと同じ状態になるということは、これはもうだれにでも想像できることです。私はあなた方の先般の答弁を聞いてみて、その後沿岸漁業者連中、底びきの連中といろいろと資源の問題で話し合った結果、こういう時期をわざわざ選ぶということは、ただミール製造だけのものではないのだ、ミール製造だけでやるならば、時期をずらしてもいいはずなんだ、しかしこの問題についてはスケ子という問題が非常に含まれておる危険性がある、こういう点を——あなた方がこの間答えたところによると〇・五トン程度で、船員のおかずに持ってきておる程度だとこう言うておるが、現在まだ発見されてはおらぬが、私もあらゆる個所に手を打って、この輸入されたと目されるタラ子発見に現在努力しておるわけです。もしこれがほんとううわさのように輸入されておったとしたならば、この問題は一大問題です。わざわざ一番子供をはらんでおるそういう時期にこの漁獲をする、ミール工船を向こうに出して買い付けをして製造するというようなことになったならば、幾らあなた方がそういう答弁をしても疑わざるを得ないという状態なんです。この間の鵬洋丸の問題でもそうです。鵬洋丸が行くときにスケ子技術者を乗せていっているということを私が言うた、ところがこれは全部ミール技術者であってスケ子技術者は一人も乗っておらないという長官答弁であった。ところが、その後私がいろいろ調査した結果、確かにスケ子技術者がある船に四人乗って行ったということが明らかになった。名前まで申してもよろしい。北海道豊浜漁業組合員で、佐藤某合坂某中村某、そのほかに一名、四人乗っている。なぜこの四人が乗っていったかというと、この四名の者は豊浜地区における加工業者で、タラ子製造権威者である後藤さんという人のところに行って、一カ月間タラ子製造方を熱心に習って、そして今度鵬洋丸に乗っておれはタラ子製造に行くのだ、こういうことで乗っていったことは事実なんです。そのたるを積んでいったという問題もあるのだが、たる北海道道内から積んでおらぬらしい、内地のどこかから積んでいった。そのたる製造業者もいろいろ調べてみたのだが、そのたる道内から積んでいっておらぬ。そういうわけで、あなた方は監督官を乗せていったと言うのですが、その乗せていった監督官ミール監督官であって、タラ子監督官ではないから、その辺は知らぬという答弁であった。私はまことにけしからぬと思っている。こういう明らかにスケ子技術者が乗っていっておるのにもかかわらず、これがミール加工技術を持った者だけであるというあなた方の答弁は、私は納得しがたい。そこでこの売り出しの時期については、夏場の六月ごろからどこかで売り出す。またある商社に向かってそのタラ子の値段の問い合わせなんかも行っておる事実がある。こういう事実がもし明らかになった場合には、あなたのほうでは再びこういう問題を起こさせないためにこれらの許可を与えてはならぬと私は思うのだが、あなたのほうの見解はどうですか。
  14. 亀長友義

    亀長説明員 タラ子製造につきましては、すでに何回も答弁申し上げましたとおりでございまして、もしかりに、これは仮定の話でございますが、タラ子製造をしたようなことがあれば、当然これは外割条件に違反しておるということでございまして、われわれとしてもしかるべき措置考えなければならぬと思っております。しかし現在まで私どもで可能な限り調査した結果では、船員食糧程度生産であって、さして問題にするに足るまいという考えであります。  先ほど技術者の話がございましたが、べーリングミールをつくる場合よりは八十五人船員を減して出ていったそうでありまして、特別にタラ子製造を目的にした技術員を乗船させたということは、私ども調査の結果聞いておりませんので、その点についてはさらにもう少し調査をしてみたいと思いますが、結論的には、もし外貨割り当て条件に違反するようなことがあれば、私どもとしてはしかるべき措置をとるべきものだと考えております。
  15. 壽原正一

    壽原委員 そういう事実をいま私のほうで日本じゅう調査させておって、あるいはこれが私のうわさの信頼の程度が度が過ぎておるか、あるいはあなた方が知っても知らぬと言っておるか、これはいま少したつと明らかになる問題であるから、この問題はその時期に再度質問を行なうものであるが、もし事実とすると、あなた方のほうではこういう問題については再度厳重な処置をとってこれを取り締まるということの予解でよろしゅうございますか。
  16. 亀長友義

    亀長説明員 私ども現在役所の力でできる限りの調査をしたつもりでありますが、現在のところさような事実は判明いたしておりません。もし将来仮定の話としてそういうことがあれば、役所として外貨割り当て条件に違反したものについてはしかるべき措置を講ずるのが当然であると考えております。
  17. 壽原正一

    壽原委員 ちょうど長官もお見えになったので、私が先般長官に話を聞いて、その後いろいろ調査をしてみた結果、非常にあやしい点もあるが、これは確証を握っておらぬために、きょうはその質問はやめておきますが、この二月から三月までという時期ですね、いま部長からもちょっと伺っておいたのだが、ソ連漁獲がしやすい時期であるから、この時期にたぶん申請をしてあるのだろう。ミールをつくると同町に、船の中で肝油もつくっておる。肝油はどうしてつくるのですか。肝臓をとってつくるのか、それとも一本ままの精製の中から肝油をとるのか、どういうふうにしてとるのか。
  18. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 私もどういう御質問だかちょっと御趣旨を理解しかねるのでありますが、許可魚油魚かすフィッシュ・ミールとして輸入しなければならないということでございますから、この条件に違反しない限り、私のほうとしてはその理由をせんさくすることもないと思っております。
  19. 壽原正一

    壽原委員 私の聞いているのは、肝油をとるときに、タラ子——腹を割って肝臓をとってとるのか、それともなま身のままでとるのかどうか、こう聞いているのです。
  20. 亀長友義

    亀長説明員 タラ子そのままで、結局最後に蛋白と脂肪分とを分離をする、こういうことでございます。
  21. 壽原正一

    壽原委員 それではタラ子問題はこれでよくわかりましたが、今回うわさに聞くと、すり身をつくるすり身工船というものが出ておる。そのすり路工船許可をしてあるのか、それともミールとして許可してあるのか、どっちですか。
  22. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 まずすり身としての輸入を認めたことも、またそのための工船出漁許可したこともございません。今後許可するかしないかは非常に慎重な検討を要すると考えております。すり身自体は、最近以西底引き等原魚がやや不足ぎみであるとも聞いておりますので、練り製品原料としてのすり身をどうするかということも十分考える必要もございますが、一面北海道方面加工業の実態も考え合わせる必要がございますので、目下のところすり身加工を承認するという考えを持っているわけではございませんが、十分検討をしたいと思っております。
  23. 壽原正一

    壽原委員 先月の二十日に大洋丸という船が出ておりますね。あれはすり身専門ですか。それともミール加工船として許可をしてやったのか、こう聞いているのです。
  24. 亀長友義

    亀長説明員 これは従来、数年来べーリング海で操業しております母船式底引き船団一つでございまして、いわゆる工船漁業許可しておるものでございます。したがいまして、ミールその他の加工品冷凍品その他の製品をつくるということでありまして、当然その加工一つとしてすり身という形態もあり得るとわれわれは考えております。
  25. 壽原正一

    壽原委員 そのミール加工あるいはすり身加工量がどのくらいということがわかりますか。
  26. 亀長友義

    亀長説明員 これは漁獲によることでございますけれども、一応会社側希望としては、約五千トン以内のすり身をつくりたいということでございます。しかしながら、これは本来日本漁船によるキャッチャー、独航船は全部北海道沿岸漁船でありまして、それがとった漁獲物すり身にする、こういうたてまえのものでございますが、大体五千トン以内の希望を表明いたしております。
  27. 壽原正一

    壽原委員 あなた方のほうでは、現在沿振法に基づいていろいろな施策をとっておりますね。中小企業の育成だとか、あるいは漁業構造改善の問題とか、水産物の流通機構の問題。そこで、北海道全域にわたって、四十年度ではすり身工場ではどのくらいの生産を目標としておるか、おわかりですか。
  28. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 三十九年度におきまして、北海道冷凍すり身生産出荷でありますが、工場数が三十三、生産量が一万八千百三十五トンでございます。なお、先ほどのすり身加工船許可でございますが、いま生産部長がお答えしましたのは、すでに従来からやっておるべーリング海の分であります。西カムチャツカについては、まだすり身加工船許可を与えてはおりません。
  29. 壽原正一

    壽原委員 あなたの御説明は三十九年度でしょう。四十年度ではどうなっておるか。
  30. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 四十年度はまだ計画で、数量が二万七千、工場数が三十九です。
  31. 壽原正一

    壽原委員 大手業者が沖合いで、そういう大量のすり身をつくって北海道輸入した場合、沿岸漁業を中心とする北海道の三十九すり身工場というものに及ぼす影響ということを考えたことがありますか。
  32. 亀長友義

    亀長説明員 御承知のようにすり身は、最近かまぼこなり練製品原料として利用されるに至ったものでございまして、従来この原魚でありますスケソウその他の漁獲が非常に低かったものが、この発見によって非常に値がよく売れるようになった。私どもとしまして、全般的にはすり身加工というものを否定するという考えは毛頭ございません。この問題は、いま言ったような北海道加工場との関連でございまして、原魚は、いずれにしても、従来も内地に持って帰られておった筋合いのものでございます。それで、全般的に申しますと、現在以西底びき等の漁獲が不振なために、全般的にかまぼこ原料が非常に不足しておりまして、そういう意味では、私どもとしまして、この母船内における従来の冷凍もしくはミール加工からすり身加工に転化をするというのは、あながち否定するのは適当でないのではないか、かように考えております。問題は、従来の加工業者なり従来の販売ルートというものをあまり混乱させないような形でやってもらいたいという考えを持っておりまして、この天洋丸につきましても、関係会社ではできるだけ自社工場において処理するように努力したい、かように申しておりますので、実際上、われわれが抽象的に想像するほどの混乱は起きない、またできるだけそのように取り計らってまいりたい、かように考えております。
  33. 壽原正一

    壽原委員 この製造の方法の問題ですが、これは、北海道庁、北海道知事がパテントを持っておる問題が一あなた方御存じですね、このすり身の問題について。この製造方法に何か疑義がある。パテントを持っておる、そのパテントを使用されたのだといって、いわゆる北海道などではたいへんな問題にしておるのだが、この点の見解はどうですか。
  34. 亀長友義

    亀長説明員 私ども調査では、これを計画しております会社も、北海道すり身の研究会、協議会のようなものと連携をとりながらやっておると承知しておりますけれども、先ほど御指摘のパテントの権利関係の問題については、いま残念ながら調査ができておりませんので、調査の上、至急御報告したいと思います。
  35. 壽原正一

    壽原委員 このパテントの問題で北海道側から私に言うてきたところによると、このパテントは、われわれがパテントをとったものにちょっと砂糖を入れるとかあるいは塩を入れるとか、形を変えただけでこれをやって、明らかにパテントが盗用されておるんだというような見解を持っておるように私は聞いておる。そこで、この問題については、大手業者沿岸漁業を圧迫するようなそういう事業にこのパテントが盗用されるということになると、この問題は大問題です。あなた方のほうでも、その問題だけはよく注意をして、大手業者のそういう横暴な、いわゆる中小企業や零細企業を圧迫をしてやるような事業体には、あなた方のほうでこれを調整していかなければ、とうていこれからの沿岸漁業というものの立ち行く立場がないだろうと私は思う。どうかそういう問題については、これからもひとつ注意をしてもらいたい。長官はこの間私に、何か知らぬけれども、おかず程度タラ子しか持ってきておらぬと言うておったんだが、先ほど次長によく話しておきましたが、これにはだいぶ問題があって、北海道新聞等に克明に書かれておるんだが、これがどこかの商社と商取引をする、こういうようなことが書かれてある。この問題については、その後長官のほうで調査はしてありますか。
  36. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 お話がありましたので、その後事実をさらに調査いたしましたが、生産されたタラ子ば約四百八十キログラムでございまして、これはべーリング母船式底びきに出港する際に、乗組員の食糧として使うように船内に保管しておるということのようでございます。もちろん、御指摘のような違反の事実がありますならば、これは貿易管理令違反でもございますので、厳重に処断されるものと考えております。
  37. 壽原正一

    壽原委員 これはまだ陸揚げをしておらぬという状態のものですね。
  38. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 とにかく輸入許可条件からいいまして通関できないものでございますから、船の中にあるということでございます。
  39. 壽原正一

    壽原委員 私がこの間、タラ子製造業者の専門家を連れていったということを言うたところが、あなたは、ミール加工技術者だけで、そういうのは全然乗せておらぬと言っておったが、私のその後の調べでは、四人は明らかにタラ子技術を身につけた者が乗っているというのが事実のようですから、それが現在、三人は北洋に出ておりますが、一人だけは道内に残っておるようですから、それらの者を調べた上で、もう一度この問題についてはあなたとお話し合いをしたいと思う。  そこで、今度のすり身の問題について、すり身をやることによって、タラ子製造もこれは許可してありますか。
  40. 亀長友義

    亀長説明員 べーリング海の船団のほうは、従来とも、先ほど申し上げましたように母船式が許可されておるものでございまして、従来は主としてミール魚油冷凍魚というようなものでございましたが、本年からは御承知のように加工原料のすり身にしたいということでございまして、特段に、従来ともタラ子をつくっていけないというような制限は課しておりません。これは日本漁船漁獲をしたものであり、特に母船だけは大手会社のものでありますけれども、付属の漁船は全部北海道沿岸のものでございまして、あまりそういう面の制限をすることは魚価の取引価格にも影響することでございますので、特段の制限はいたしておりません。しかしながら、従来の傾向並びに今後の計画としても、特にタラ子をつくるという計画は、私ども承知はいたしておりません。以上です。
  41. 壽原正一

    壽原委員 五千トンのすり身をつくるというと、どれくらいの魚が要りますか。
  42. 亀長友義

    亀長説明員 歩どまりが一五%程度だそうでございまして、約三万トン前後の魚類が必要かと存じます。
  43. 壽原正一

    壽原委員 三万トンの魚から五千トンのすり身をつくる。そうするとそのすり身をつくるのには、全部荷おろしをしなければならぬ。荷おろしをして、そしてこまかい骨を抜いて、頭をとって、腹をさいて、そしてタラ子がどれくらいできますか。
  44. 亀長友義

    亀長説明員 これは必ずしもスケソウ子供を持っているスケソウばかりではございませんので、その漁期により、またその抱卵魚のあれによって違うかと存じますが、大体金魚の五%程度が抱卵をしておるだろうということでございます。
  45. 壽原正一

    壽原委員 いま出ておる場所、そこは産卵の最盛期ですかどうですか。
  46. 亀長友義

    亀長説明員 大体母船式の底びきは、いまから操業いたしますのは、五月から大体七、八月まででございまして、時期的には冬期の産卵期とははずれております。スケソウは、タラ子生産される可能性というものはきわめて乏しいと考えております。
  47. 壽原正一

    壽原委員 この前からずっと今日までお尋ねしているその十二万トンの買い入れ問題については、あなたのほうではこれは慎重に取り扱うというようなことの答弁、まことにけっこうだろうと思うんだが、私の納得のいかぬのは、一番産卵時期である二月から三月という時期についてこれを捕獲して、そしてあなた方がそれを許可を与えんとしておるが、これから検討するであろうが、そういう時期にそれをとらなければならぬという根本的な理由はどこにあるのですか。これはあるいは船の都合もあるだろう、あるいはそういう時期魚がうんとおるから一ぺんにとってしまったほうがとりやすいという点があるだろう。一体根本のほんとうの目的はどこにあるのですか。
  48. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 先般許可しました北洋水産の場合は二、三月操業でございますが、この時期はほとんど九割は産卵を終わった時期でございます。したがってタラ子の捕獲自体が目的であるということはないのでございます。問題はフィッシュ・ミール需給から見まして、日本フィッシュ・ミールを相当輸入しております。今後畜産がさらに伸びるに従いまして、フィッシュ・ミールの需要が伸びるであろうということは考えられるわけであります。その場合、フィッシュ・ミール輸入するのと原魚輸入するのとでは、やはり原魚輸入したほうが外貨を使うということも少ないわけでございます。そういった面から、このフィッシュ・ミールのためにソ連産のスケソウ輸入するということの理由があるかと考えるのであります。またいまお話がありましたような漁船の運営というようなことから、できるだけ年間採業できるような許可を与えるということも、一つの、あまり積極的な理由ではございませんが、理由となり得ると思います。もう一つ、国家的にはソ連との貿易じりの改善、改善と申しますより、ソ連との貿易バランスの関係というようなことも考え合わせる必要があると思うのであります。その際北海道方面の沿岸漁民の生活の問題、これはもう十分考え合わせて、悪影響のないようにしなければならぬことは申すまでもないと考えます。
  49. 壽原正一

    壽原委員 水産庁長官答弁はそのとおりでいいのですけれども、あなたはこの間資源枯渇は絶対にないような調査に基づいてこれをやっておるということであったのですが、ことしはそれが当てはまったかどうかはわからぬが、あまりにも一ぺんに漁獲をしたために、これは漁師の連中の話ですが、北海道は非常にタラ子が不漁だというふうに私は聞いておるのです。その点はどうですか。
  50. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 この間の北洋水産が試験操業をやった結果として、北海道方面スケソウ漁業が不振であるということにはならぬと思うのであります。北海道方面漁民には北海道沿岸あるいは北海道漁船が操業するあの付近のスケソウ資源西カムチャッカ資源が同じストックであるという考えを持っておる向きがあるようでございます。私もその辺のことが心配になりましたので、その後調査させておるのでございます。まだ結論的には申し上げかねますけれども、どうもそのつながりがないようでございます。資源としてのつながりがないというのは、水産庁方面調査研究の結果、一応私が聞いておるところでございます。したがって、北海道沿岸スケソウソ連産のスケソウ輸入の問題が直接資源的に結びつくということは、いままでの研究の結果からはまだ出ておりません。しかし、この問題は私は重要な問題であると思いますので、さらに検討いたしたい、こう考えております。
  51. 壽原正一

    壽原委員 どうも北海道でとれるスケソウソ連からとれるスケソウが種類が違うように考えておるようでありますが、私の調査によると、この海流に乗って流れる魚というものは、ニシンでもスケソウでもみな同じものである。北上して南下してくる一連関連がある。この海流に乗ってくる魚というものはどこか一カ所で産卵時期に大量に捕獲すると、産卵の時期を失ってしまって、そうしてこれはもう枯渇するのが当然だろうと私は考える。海の中に網でも張って戸を立てておくと魚はあっちへ行ったりこっちへ行ったりせぬだろう、そういうわけにいかぬのがいわゆる大海の魚の状態であるから、これはあなたの答弁で御心配になっておることはよくわかるのだが、何らかの科学的な根拠に基づいてそういう点を割り出していけるのかどうか、どういう調査をするのか、その調査の方法、しかた、そういうものの考え方があったならばそれをお聞かせ願いたいと思う。
  52. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 実は先月の末からつい一昨夜まで私国際会議でおりませんでしたので、その間にこの資源問、題の研究をしておくように実は言いつけてまいったわけでありますが、その結論だけをまだ聞いただけでございまして、どういう調査をやって、どういう分析をやったかということまではまだ聞いておりませんが、結論としては資源量及び資源の分布状況等必ずしも明らかではないけれども、従来の研究の結果からいいますと、直接のつながりはない、こういうことのようでございます。ただ、あの沿岸では別な日本漁船がやはりスケソウ漁業をやっておりますので、それらとの競合の心配はございます。したがって、ソ連産のスケソウ輸入許可にあたっては、量的にどのぐらい許可するかということを十分慎重に研究する必要がある、こう考えるのであります。
  53. 壽原正一

    壽原委員 それでは十二万トン輸入したいという許可願いがいったならば、それらの問題を全部勘案して、十二万トン全部を許可するというような解釈にはならぬとおっしゃるのですか。
  54. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 私ども、いまのところ、十二万トンというような数字は全然考えておりません。あるいは多過ぎるんじゃないかという心配を持っております。しかし、これは今後、許可する時期がくるとしましても、まだそれまでに相当時間がございますので、十分検討いたしたいと思います。
  55. 壽原正一

    壽原委員 過去においてべーリング海で行なわれたあのカレイの問題、よく御存じでしょうね。ああいう問題があるから私は心配をして言うのであって、カレイだけがいなくたってスケソウは何ほとってもいいんだ、こういうような理屈にはならぬだろうと思う。そこで当局も、この問題については、再三私が申し述べておるとおり、許可にあたっては慎重な態度をもって臨んでもらいたいという問題が一つ。  それから、すり身の問題に対しては、あなたのほうで、せっかく沿振法に基づいてあらゆる中小業者というものの育成につとめておるというような現在、あまり大量に大手業者が過剰に生産をしたために、そういう中小業者が枕を並べて討ち死にしなければならぬというような状態にならぬような方向をとられるだろうとは思いますけれども、そういうようなことのないように、これから十分な配慮を払っていただくことを、私は望んでおきたい。  そこで、政務次官にこの答えをちょっとお伺いしておくのだが——きょうは大臣が来れぬというから、大臣の答弁は聞けませんが、こういう北海道漁業界にかかわる大問題であるから、この問題についても、政府としてどういうふうにお考えになっておるか、政務次官の考え方を聞かしてもらいたいと思います。
  56. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 水産庁といたしまして、スケソウダラの三万五千トンの輸入を許しましたのは、国内におきましてミールの需要関係からどうしても必要だったということ、また最小限度三万五千トン程度でございましたならば、北海道スケソウダラ生産業者にとりまして特別に強響もないだろう、また資源の点からいきましても、直ちにこれによって資源枯渇するという点はないだろうというような立場から、最小限度に許したわけでございます。したがいまして、いま壽原委員からお話のありましたように、今後業者の申請によって十二万トン希望どおり買い付けを許すということにつきましては、全く考えておりません。今後におきましても、三万五千トンあるいはそれを上回るかその前後というようなことで、最小限度でとどめたいというのが私たちの考え方でございます。  また、タラ子の問題につきましても、いま水産庁長官あるいは生産部長が答えたとおりでございまして、あくまでこれは船上用、船員用のものにとどめているわけでありまして、いま壽原委員が言われましたように、あるいはこれを外部に流しておるというようなことになりますと、許可条件に反することは当然でございます。あくまでその点につきましては厳重に許可条件を励行させるようにつとめたいと思っております。とにかく北海道沿岸漁業を保護するということが農林省のたてまえでございますから、どうぞひとつ農林省を信頼していただきたいと思います。
  57. 壽原正一

    壽原委員 だいぶ力強い政務次官の御答弁に私は満足はいたしますが、鵬洋丸の操業状態を見ますと、わずかではありますが赤字計算になる。赤字計算になって、これを何で補てんするかというと、大手業君のほうでは、将来は必ずタラ子製造しなければ間に合わぬ、こういうことを大言壮語しているやに私は聞いている。それを将来とも心配するのであって、あなたのほうで北海道沿岸漁業、いわゆる中小企業の業者の方々を育成しなければならぬ、また保護しなければならぬというたてまえのもとに、大量の十二万トンなどという買い付け許可しないという方針、私は当局の考え方が正しいと思って賛成をするものであるが、大手業君がわずかでも欠損したこういう試験的な買い付け事業に対して、これからはタラ子をやるんだというようなことを豪語しておるということをあなた方もよく腹に入れておいていただいて、将来何万トンであろうともそういうミール買い付け卒業というものは、加工船というものを許可する場合には、必ずタラ子の問題だけは念頭に置いてその許可条件に入れてもらいたいということを私は希望しておきたい。  それと、私はタラ子を決して輸入して悪いと言うものではない。価格が安くなることは一般国民の経済状態からいって当然そうあるべきだと私は思う。しかし現在の北海道沿岸漁業連中あるいは底びき業者の連中の姿を見ると、北海道の沿岸にはもう資源枯渇して、遠くへ出なければ魚がとれないというような現状、船もだんだん大型化しなければならぬというような現状、とれを見て、乏しい資本の中からかろうじておかゆ程度のものをすすっておる沿岸業者に対して、どうか当局も大手業者にのみ特典を与えないで、そういう中小企業、零細企業の問題に対してもよく考えを合わした上において、これからの許可、認可という問題については考えてほしい、これを要望して、本日は私の質問を終わらしていただきますが、政務次官、そういうことをあなた方が政府の責任者の一人として必ずお考えおき願えるかどうか、最後に政務次官の確固たる答弁をお願いして、質問を終わりたいと思います。
  58. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 タラ子輸入を認めましたのは日本の酪農の振興の立場から——壽原委員も御存じのとおりに、いまペルーから非常に大部のミール輸入しているわけでございまして、日本の立場から申しますと、やはり原魚輸入してそれをミール加工するということのほうが為替の節約の点からいっても当然のことでございます。さような立場から今回三万五千トンの輸入を認めたわけでございますので、タラ子につきまして輸入をふやしたいというような考えは毛頭ありません。したがいまして、いま壽原委員お話のありますように、北洋水産タラ子製造しなかったらばミールだけでは若干の赤字になるというようなことでございましても、これは農林省としては決してあずかるところじゃないのでございまして、あくまで農林省としてほしいのはミールそのものでございますから、赤字が出たからタラ子をついでに許そうというような考えは毛頭ないことを申し上げておきます。
  59. 堀川恭平

  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私、飼料の政策についてちょっとお尋ねいたしますが、飼料関係につきましては飼料需給安定法によって行なわれているようでありますが、最近、いなかに帰りますと、卵が下がったけれども、飼料が上がったということで、一体飼料はどういうふうになっているんだろうかという話をよく聞くのでありますが、飼料の現状はどんなふうになっておりますか、御説明願いたいと思います。
  61. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 飼料全体といたしましては、畜産の発展に伴いまして、非常に輸入がふえておりまして、現在におきましては日本の飼料自給率はここで大体のところ私の記憶では五一%程度だと思います。したがいまして四九%は外国のトウモロコシとかあるいはマイロとかあるいは小麦等の輸入にたよっておるという実情でございます。したがいまして政府といたしまして、今日優秀な粗飼料をどうしてつくるかということに畜産政策の主力をそそいでいるわけでございまして、そんな立場から国営草地の造成あるいはまた機械開発公団によります建て売り牧場の造成とかあるいは県営とかあるいは小規模草地の造成に対する補助というような立場から、いま全面的に草地の造成を進めているわけでございます。その他輸入飼料につきましては、特に濃厚飼料につきましては、なるべく政府の手持ちの飼料をふやしたいということで、いままで小麦の専増産ふすま等の手持ちを持っておりましたが、四十年度の予算から新たに十五万トンのトウモロコシも政府の操作として手持ちする。そしてなるべく市場におけるトウモロコシの値段が安定するようにというような措置をとっております。とにかく飼料問題は、帝産政策のうちの中枢の、最も大事な問題でございますので、農林省としては一番力を入れて、いろいろいま申し上げましたような予算を組んでいるということを御了承いただきたいと思います。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 卵が下がって飼料が上がったというのはどういう現象なんですか。
  63. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 卵の値段につきましては、季節的にいろいろ変動がありますが、現在はたぶん一キログラム当たり百八十円前後だと思っております。去年の七月ごろ一時下がりまして、それからまたことしの二月ごろ一時下がりましたが、農林省といたしましては、全販連を通じて農林省がまず基準価格を定めて、その基準価格より下がる場合には全敗連が卵を買い付ける。そうしてそれに対する倉席料、倉敷料を補助をし、その金利を補助するというような政策をとってきたわけでございます。そうしてその基準価格も、たぶん一キログラム当たり百六十五円としたと思います。したがって、百六十五円に下がったときにいま申し上げましたように基準価格を公定し、そして全敗連を通じて買い上げるという方針をとりましたので、漸次買い上げることを行なわないうちに値段が上がりまして、今日は百八十五円台だと思っております。したがいまして、今日の段階におきましては、卵が非常に低落して困っているという状態ではないと私は思っております。低落して困るときには政府は直ちに買い出動するわけでございますから、百八十五円といいましたら、もちろん飼料が上がっておりますから、必ずしも非常に有利な事業ではないにいたしましても、とにかく採算のとれない養鶏業じゃないということが私たちの考え方でございます。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 飼料の上がった原因はどうなんですか。卵のほうはわかりました。
  65. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 飼料につきましては、いま申し上げましたように、日本の自給率が五一%、あとの四九%は外国から輸入しておるわけでございまして、その輸入の飼料というものがいろいろ上がってくる。たとえば先般の大西洋におけるガルフのストライキ、あんなことを通じまして直ちにトウモロコシ値段が上がるというようなことで、非常に国際的な意味で飼料が上がってくることが今日の実情でございます。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、輸入飼料はどういう形で放出をされるのですか。どんなふうな輸入経路になっていますか。
  67. 松本作衛

    ○松本説明員 輸入飼料につきましては政府が取り扱いをしておりますものと、一般の自由に輸入されておるものとございまして、トウモロコシ、マイロ等の主要なものは自由な輸入によって行なわれておりますから、商社輸入いたしまして、それを配合飼料メーカーその他に売り渡すという形をとっております。一力、政府が取り扱っておりますのは小麦、大麦等の麦類及びふすまでございまして、そのほか需給の逼迫しました場合に大豆かす、魚紛、魚かすというものを取り扱うことにしております。したがいまして、この政府の取り扱うものにつきましては、政府輸入商社を通じまして買い入れをし、それを政府のきめました価格によりまして飼料関係団体を通じまして農民に売り渡すという杉をとっております。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、政府と一般との買い入れ比率といいますか、こういうのはどういう形になっているのですか。
  69. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいま申し上げましたように、一般で買い入れますものがトウモロコシ、マイロ等のおもなものでありますので、現在の輸入量のうちの約八割弱が一般の輸入でございます。政府が取り扱っておりますのは、飼料需給安定制度に基づきまして政府需給計画を立てて、それに基づいて輸入しております。いま申し上げましたようなふすま、小麦、大麦、それに需給逼迫した時点におきまする大豆油かす、魚かすでございまして、その割合は二割強程度になっております。
  70. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、政府が買い上げるものでも輸入商社を通じ、一般は輸入商社から、それは輸入府社はどういうところからなんですか。
  71. 松本作衛

    ○松本説明員 政府が買い上げますものにつきましては、政府輸入商社を指定いたしまして、その指定商社を通じまして買い入れをいたしております。一般のものにつきましては、自由な取引でございますから、通常の輸入商社と実需者との取引関係によって行なわれております。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この輸入する場合の輸入のワクというか、そういうものはありますか、それは全然フリーなんですか。
  73. 松本作衛

    ○松本説明員 一般の自由商品につきましては、輸入のワクはございません。ただ、一般の輸入につきましても外貨割り当て制度が残っておりますものがございます。大豆油かすとか、魚かす、魚粉、それから脱脂粉乳というようなものは、外貨割り当て制度が残っておりますから、それは割り当てがございますが、それ以外の大部分のものは自由商品でありますから、自由に輸入ができるわけでございます。一方、政府輸入いたすものにつきましては、政府輸入の形によりまして商社から買い入れをするということでございますが、その全体の量は先ほど申しましたように、需給安定審議会を通しました需給計画に基づいてきまっております。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いずれこの輸入関係につきましては、資料をいただきまして質問することにいたしまして、私はこの辺できょうは終わっておきます。
  75. 堀川恭平

    堀川委員長 吉田委員
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 簡単に沿岸漁業の対策につきまして二、三伺っておきたいと思うのであります。  年々相当な予算を組んで最近沿岸漁業対策としましては、構造改善事業その他実施せられて、いろいろと御努力になっておるのでありますが、次の点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。たとえば、瀬戸内漁業の場合、それからいわゆる新産都市地域、工業整備特別地域、これは二十道県にわたっておるのでありますが、御承知のとおりに、五十年を目ざしまして、総計六兆三千億円の投資をいたしまして、主として工業その他の開発の事業をそれぞれやるわけであります。その結果が相当な公害を伴うということは明白であります。たとえば四日市における顕著な実例によりましても、漁業者の補償問題など相当難問題があった次第でございます。この公害問題が沿岸漁業を現在及び今後相当圧迫すると思うのでございまして、これに対しましては調査研究の段階とは思いますのでしかるべく相当な対策が立てられておるのじゃないかと思うのでありますが、この沼津漁業に及ぼすこの種の開発からくる公害の現状、見通しあるいはこれに対する対策はどういうふうにお考えになり、また施策せられておるのでしょうか。
  77. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 沿岸漁業の振興につきましては、沿岸漁業等振興法が制定されまして以来、構造改善事業あるいは漁港の整備等の施策によりまして、着々と種々の対策をとっておるのでございます。特にただいまお話がありました瀬戸内の漁業につきましては、あの狭い海域におきまして従来かなり過剰な操業が行なわれておりまして、資源的にもすでに相当危険な状態に入ってまいったわけであります。これに対しましては一面、漁業紛争の防止あるいは漁業調整という意味がございますが、瀬戸内海漁業調整事務局を設置いたしまして、瀬戸内海における漁業の各種の調整、漁場の調整、そういうことを基礎といたしまして、それをさらに沿岸漁業等振興法いう見地からいたしまして瀬戸内海栽培漁業センターを設置しまして、積極的に養殖漁業あるいは養殖に増殖を加えまして、積極的に資源をふやしながら漁業を振興する、こういう方向で進めてまいっておるのであります。瀬戸内海栽培漁業センターは御承知のごとく瀬戸内海付近に四カ所の事業場を置きまして、そのほかに名楽の種苗センターあるいは各種の水産施設と連携いたしまして、稚魚あるいは人口孵化による稚魚を養成し、それを配布いたしまして放流するというような方式で、エビそのほか各種の沿岸の資源を養増殖いたしまして、沿岸漁民の利用に供しようとするものでございます。まだ十分に成果があがっておりませんが、今後さらに仕事を拡充いたしまして、瀬戸内方面漁業の振興に役立てたい、こう思っております。
  78. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大体目標はわかりますが、しかしたとえば大阪府のごとき、大阪湾南岸などは膨大な埋め立て等を行なって、いろいろな工場がくることは御承知のとおりでありまして、大阪湾は全体として汚水の湾になっております。それから徳島や兵庫県、岡山県の水島地域あるいは広島、山口なども、いずれも新産工業地域といたしまして今後の地域開発、工業基盤整備、産業基盤整備等で相当膨大なる工業進出ということになるわけであります。でありまするから、従来の養殖業ということもわかるのでありまするけれども、私はしろうとですけれども、汚水がどんどん放流されていって、一体いまのようなああいう増殖は成り立つものでしょうか。それとも瀬戸内の中央地点に相当大きな地域を限って養殖するというような、離れた構想でも持つのなら別でありますけれども、沿岸にある一定の面積を限って、そこでそれぞれ養殖するというようなやり方をやっておるようにも見えるのですが、それではこれはとても不可能じゃないだろうか。現に悪水や汚水がどんどんと流れ込んでくるということは業者はみんな言っております。しかも何が原因でくるのだろうかというふうな調査もまだ十分できていない。そこで農林委員会なんかで予算説明なんかの速記録を読んでみますと、水質汚染などについての調査費が計上されておったようでありますが、そういう段階ではちょっと私は心もとないと思います。やはりこれは根本的にあなたにも聞き、かつ大臣にも方針を聞かなければならぬと思いますが、この地域の沿岸漁業というものは将来絶滅するのだ、こういうような見通しに立っていくのか、それともこれは保護育成しなければならぬということになるのか、基本的な腹をきめていかねばなるまいと思うのです。従来のありきたりのそれでやっていくというのではとても追いつきません。御承知のとおり漁業者は百姓よりも一そういろいろな意味において、たとえば教育の面におきましても、生活の実情におきましても農業よりも劣っております。それ自体が後進産業の典型的なものでありまするから、そういう見地から考えてみましても、やはりここは相当大きな構想をもって対処する、もしくはしない、一斉転業可なりというようなことにするのか、それとも遠洋漁業なんかに持っていくということにするのか、数十万戸の漁業者の現在と将来というものは暗たんたるものがあると思うのです。これがうしろから工業の開発のために、汚水、悪水、公害で脅かされつつあるというような現状ですから、これはたいへんな問題だろうと思うのです。ですからいまの構想の養殖業対策というようなものでは、とても追いつくまいと思うのであります。これはどうお考えになりますか。かっこの問題につきましては、政府として今後の考え方を聞いておきたいと思いますので、あとで次官からひとつしかるべき御答弁をお願いしたい。
  79. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 水質汚濁あるいは公害によりまして優良な漁場がしばしば失われつつあります。伊勢湾の四日市周辺のものがその適例でございます。瀬戸内海方面もそういうことが一番憂えられるところでございます。政府としましては、水質二法によりまして水質基準をつくり、排水の規制をやるということになっておるのでございますけれども、われわれといたしましては、まだそのテンポが十分でない。すみやかに調査が終わりまして、排水規制が行なわれるというところまで持っていかなければならないと考えておるのでございます。と同時に、この水質二法だけで不十分な分につきましては、また水産質源保護法等によりまして、やはりそういった水質の維持をはかる必要があるということから、先般も水産資源保護法による水質の基準ともいうべきものを府県に示しまして、府県の漁業調整規則によって水質の規制をはかる、こういう措置もとりつつあるのでございます。しかしながら、いずれにしましても、まだ公害の防止あるいは水質の汚染の防止という点におきましては、私どもとして率直に申しまして不十分であるということを痛感いたしております。瀬戸内の漁業という考え方に立ちますと、いまお話がありましたように、瀬戸内海沿岸地域を将来の大きな工業地域として発展させるという考え方がございます。その是非は私どもよくわかりませんけれども、一面瀬戸内海の水面というものは沿岸漁業のほうの面からいいますと、将来高級魚を養殖して、資源を利用し得るに最も適した大きな水面である。小さな湾であるとかそういうもので養殖をはかるというよりも、将来におきましては大量に生産されるサンマとかアジ、サバのようなものと違う、むしろ高級魚の、沿岸漁民にとって最も適した魚種の大きな漁場として育てようと思えば育てられる水域だと考えておるのであります。そういうことから現在やっております瀬戸内海栽培漁業センターは、それへの一つのステップにすぎませんけれども、こういった考え方に対してさらに研究を進めまして、あの地域の漁業を発展させる方策を立てる必要があると考えておる次第でございます。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 お考え方はわかるのですけれども、やはりいまその程度のことではとても追っつくまいと思います。水産資源の保護、培養にいたしましても、どこにあるやらわからぬというのが現状であり、またいまの調整委員会どもあって、いろいろと調整などをされておることも存じておりますし、あるいはまた右往左往しまして公害に脅かされておるという現状なども、これは随所に続発しておる実情でありますので、これはやはり一水産庁の問題ではないと私は思います。やはり日本の海産食料の確保というだけじゃなしに、漁業者の生活の問題であり、もしは沿岸漁業の大きな課題といたしましていろいろな角度から、政府は各省協力して対処するという価値がある問題であると私は思いますので、いまだんだんおやりになっておることもわかりますけれども、たとえば一例を予算にとってみましても、微々として、さがさなければほとんどわからぬような予算しかございません。でありまするので、これはやはりうんと政府は腰を入れまして、そして沿岸漁業の対策、その一環としまして公害対策、漁業をどうするか、漁民生活をどうするか、いろいろな角度から抜本的なこの振興対策を立てるということでないと解決しない問題であろうと思います。実情といたしましては、幾らかの補償金をもらって半分転業するというようなことを将来夢見ているというようなのが相当多いのでありまして、これはまことに消極的であり、哀れな次第であります。これは全く政治がないと言ってもいいのであります。こういう見地からいたしまして、やはり農林省といたしましてもっと広い大きな見地からこれに対処するという方針を立ててもらいたいと思うのですが、次官、どうお考えになりますか。
  81. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 まあ日本の重工業化と申しますか、その伸展に応じましていまお話しのように、東京湾とかあるいはまた四日市、名古屋を中心とする伊勢湾あるいはまた京阪神を中心とする大阪湾ですかの公害が非常に激しくなりまして、沿岸漁業影響を非常に与えておることは事実でありまして、ただいままで、困難な問題につきまして農林省だけで限定して対策をやっているわけじゃありませんので、やはり水質保全法等のたてまえから、農林省といたしましては経済企画庁とも密接な連絡をとり、また通産省とも密接な連絡をとってたとえば水質保全法ですか、あれに基づきましてたとえば石狩川とかあるいは隅田川とかあるいは木曾川とか淀川等を水系指定いたしまして、厳重な水質保全に関する基準を設けて進めているわけでございます。しかし、先ほど水産庁長官が言いましたように、それでもまだ十分じゃないような実情で、明らかに重工業化のスピードに対しましては非常に立ちおくれておることは申すまでもないと思うのでありまして、さような立場から、ぜひいままでの経済企画庁とかあるいは通産省との連絡をさらに密接にいたしまして、ひとつ相当恒久的な立場から対策を講じたい。もちろん農林省といたしましては、あそこはもう水質が汚濁されている、直ちに沿岸漁業を放棄して、補償金でもやって漁業をやめさせるというような気持ちは持っておりませんので、いま長官が言いましたように、瀬戸内海につきましては、ぜひひとつこれから先の養魚地帯というか、栽培魚業地帯としてぜひあそこを伸ばしたいという強い希望を持っておりますので、農林省の漁業保護の立場とそれから今後の重工業化の傾向と相応じましてひとつ遺憾ないような措置をとりたいというのが私たちの考え方でございます。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 農業近代化の施策について二、三伺ってみたいと思います。  すでに構造改善事業も実施後大体四年を経過してまいっておりまするので、だいぶん伸展しておるのでございますが、しかしやはりこの段階では根本的に検討を要するような問題がだんだん起こってきておるのではないだろうか、こういうふうに思います。と申しまするのは、やはり経済、社会のそれぞれ大きな激変の過程におきまして、基本法制定当時とは経済情勢も相当変化を遂げてまいったことは事実でございます。  そこで第一に伺ってみたいことは、近畿地域における農業というものが東北とか北海道とかあるいは南九州などとは違った型であるということは、学者その他もよく言っておられるのでございます。事実そのとおりでございまして、たとえば、近畿圏の整備法等によって開発地域に指定されておるような地域、兵庫県の日本海面の但馬等の一部は別といたしまして、あるいはまた和歌山の南端あるいは福井等のああいったところは別といたしまして、近畿の大部分の農業の実情というものは第二種兼業というものが圧倒的に増加しつつあるということが事実であります。現に私らが住んでおります地域におきましても、播磨地域なんかにおきましても、少し山へ入れば別ですが、海岸地帯なんかになると専業農家は全くないのです。これはもう近畿地域といたしましておそらく六割以上であろうかと思いますし、あるいはところによりましては九九%まで兼業農家であろうと思うのでありますが、そのような特殊な条件のもとにある農業に対しまして、自立農家一本で押し切っていくというような考え方がいいのであろうかどうか。これは年次報告によりましてなさっておる施策等のあとを顧みましても、地域農業の実情にできるだけ即していくという方向をとっておられますから、したがいましてあながち文字どおりにとられておらぬというふうに私ども思うのでありますけれども、しかしこの際やはり日本におきまして工業の開発、経済の成長、社会資本の充実等から、特に都市近郊の農業というものは兼業というのできわめて自然な通常の姿ではないか。農業一本でやれということになると、もうよほどの高度技術を導入いたしまして、生産性を高めて収益をあげるというようなことが発見されない限りは不可能ではないであろうか、こういうふうに思われますので、この圧倒的な情勢のもとに一体第二種兼業などの土地持ち労働者なんといわれておりますが、そういったところに対する考え方をもっとしっかりと持っていくべきじゃないであろうか。あるいはそういったものを積極的に保護するということはどうであろうかという意見もあるかもしれませんけれども、しかしたとえば工業開発に伴いまして産業基盤整備がどんどんと進展いたしまして、そのほうは進んでおるのに、一向農業対策というものがそれに相伴って、地域条件を十分にそしゃくしてその上に立つというものができておらぬのではないであろうか、どうもこういうふうに思われます。でありますから、特にいま申しましたような地域における農業の構造改善というものは、一体どういうような基本方針、態度で臨んでいかれるか、積極的に対策を立て、取り組んでいくべき案件たろうと思うのですが、それはどうです。
  83. 昌谷孝

    昌谷政府委員 都市近郊あるいは工業化の非常に急速なテンポで進んでおります地帯の農業の対策、特に構造改善事業等でどういうふうな進め方をするかということは、私どもも基本法成立以来、その辺の農家の方々のお気持ちに合致をした将来の農村の姿を描くという意味でいろいろ苦心をいたしております。仰せのように、地域ごとの特質と申しますか、事情が非常に極端に変わっておりますので、一律に一つの方法あるいは一つの様式で当てはめてまいるということは非常に不適当な地帯でございます。  構造改善事業等を進めてまいります過程で、私どもがその地帯について特に気を使っておると申しますか、重点を置いておりますことは、一つはそういった、見方によりますと非常に恵まれた市場条件を持った農村は、したがいまして、野菜でありますとかあるいは畜産物、ことに豚とか卵でありますとか、そういった大きな海費市場との関係での極端な有利性を生かして、徹底した商品生産農業が発展する余地がございます。現に東京でございますとか、神奈川でございますとか、大阪でございますとか、神戸でございますとか、その周辺の農村におきまして、数から申しますと、在来のいわゆる農家の中のごく一部分でございますけれども、そういった極端に資本集約的な農業経営をもって、相当高い農業の収益をあげておられる方々があります。それらの方々については、私どもとしてはいわば従来の農業施策が、部落単位あるいは数十戸あるいは数戸の農家の共同での仕事についてはいろいろと助成、援助の方法があるのでありますが、そういった地帯ではそういうチェーン的なと申しますか、集団的な助成では十分にそれらの農家の方々の御要望に態じ得ないという悩みがあります。やはり援助の重点は、できるだけ低利長期の融資をそういう方々には差し上げるというようなことが、その地帯での非常にすぐれた商品生産農家の発展を助ける一つの方法であり、またそういうものを伸ばすことがそういう地帯に適した問題だ、たとえば東京都内におきましても、花卉等で、従来の常識的な意味での農業からかなり離れておりますけれども、相当目を見張るような成果をあげておられる方々があると思います。それらがごく少数であることは仰せのとおりでございますが、やはりそれが一つの行き方ではあろう。そういたしますと、数にして圧倒的大部分を占めます一般の兼業農家の方々、特に二種兼業農家の方々の持っておられる農地あるいは農業に振り向けなければならない労働力等についての問題が第二段にあろうかと思います。私どもはこれにつきましては、やはり一軒一軒の農家がいわゆる自立農業経営という形で御発展になるというわけにはなかなかまいらない、やはりそこは基本法でもうたっておりますように、数戸の農家の方々がいろいろの形で土地、労働、資本、それぞれの組み合わせをごくふういただいて、いわゆる協業経営あるいは協業組織による大規模化というような方向に向かっていただくことが方向であろう、構造改善事業でもそういう意味での御援助をいたしておるわけであります。そうなりますと、単に在来の個々の農家の方々が小規模な裁培をしておられたのを共同でやっていくという、いわゆる田植えの共同化等でいわれる共同化とは少しわけが違ってまいりまして、個別個別の経営規模は小規模でございますけれども、私どもがそこで実現していきたいと思っておりますのは、いわゆる耕作規模の拡大、集団裁培というような形で、できるだけ多くの農家の方々に御参加をいただいて、大規模で物をつくるということをなるべく定着させたい。これが今後のそれら二種兼業農家の労働力事情あるいは農地保有の主体的意図と申しますか、そういったものとも合致し得る一つの方向ではないか。そういう段階になりますと、在来はいわゆる農家の申し合わせでの営農集団といったようなもの、これは任意団体あり法人ありでございますが、そういったものでやっていく段階が一つ当然あると思いますけれども、もう一段考えてみますと、いわゆる農業協同組合が販売面あるいは流通面での共同施設を現在各地でやっておられるのと同じような趣旨で、生産面についても農業協同組合の共同利用施設というような形のものが入り込んでいくことが、それら地帯の耕作規模の拡大、省力技術の定着といったことに有効に役立つであろう、大体そういう方針で地帯地帯の実情を伺いながら進めておるというのが現状でございます。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでたとえば首都圏整備地域におきましても、近畿圏整備地域におきましても、類似の問題があるわけであります。最近の地域開発に伴いまして、いろいろな工業経済開発が進められ、社会投資なんかずいぶんやられるのでありますが、その間にどうも農業というのはあまり力強く浮かんでこぬのであります。何となく農業軽視の傾向が強いのであります。やはり農産物が多量に安定的に食糧として供給せられるということは、これは絶対の必要事でありますので、したがいまして、どんなに工場が広がっていきましょうとも、その間にりっぱに新鮮な野菜が供給されていくということは必須の条件でございますが、どうも何となくこれらの場合に農業は無視されているような感がいたします。これはひとつやはり農林省自身が入り込んで、ともに提携いたしまして、そうして食糧供給の重要任務をそこで果たしていこうというような、ともに歩調を合わしていく必要があるのではないであろうか。つまり積極的にそれこそそういう方面における一種の構造改善事業を強化していくというかまえが必要ではないであろうか。私ども他の角度から地域開発のことをいろいろ検討しつつあるけれども、農業は出てこぬのです。農業は自然になくなるものだ、たとえば広大な工場敷地に農地を買収されていき、自然になくなってしまうのだというように諦観でもしているのではないかとさえ考えられますが、これはとんでもないことでございまして、やはり政府といたしましては、農業指導の見地からしましても、また農業政策の見地からいたしましても、その場合における対策はどうあるべきかということは、積極的にやはりやってほしいと思います。この点は特に首都圏あるいは近畿の場合を考えましたら痛感するのでありますが、これはどうですか。
  85. 昌谷孝

    昌谷政府委員 私どもも確かにそういったことを痛感いたしております。地方農政局ができまして、さらにそういった面の必要が強まるということもありまして、地方農政同等の組織によっての改良ということも考えてきておるわけであります。その間一番私どもが行き当たります問題は、やはり土地利用の計画化ということの困難さでございます。土地が個々の個人の所有であり、その売買が完全に自由であるたてまえの中で、土地を基盤とする農業の計画的な再建、建設をやっていくということは非常にむずかしい、その辺のところは仰せのようにその地帯で現に農地を持って農業をやっておられる方々との提携と申しますか、気分の一致がない限り、私どもがはたで気をもみましても、なかなか思うようにまいりません。たとえば転用すべきところ、あるいは転用をすべきでない、農地として確保をしておきたいところといったようなものを、かりに図上で関係のそういった開発計画の当事者と打ち合わせをいたしましても、なかなかその絵図面のとおりに農地が移動しないと申しますか、その絵図面ではぜひここで農業をやることが立地条件からいっていいというふうに考えられましても、なかなかそのとおりに産業配置が動いていかないといったような共通の悩みを持っております。これはおそらく農業面のわれわれが持っておりますと同時に、工業関係のそういう立地計画を担当なさる方々自身も、そういった意味での深刻な悩みを持っておられる問題でございます。これは土地の所有の問題にからむ非常に根本的な問題でもございますけれども、その辺のところが私どもが個々の構造改善事業計画とか土地改良計画とかいうものをやっていきます場合に、やはりぶつかる一つの困難な問題でございます。そのところの農家の方々が農業自身について、農業の将来について確固たる、非常に強固な信念を持っておられて、高い価格による転用要請等についてもそれを断固としてはねつけて、自分としては農業をこの地帯でやっていくのだというような御信念のおありの方々がある程度おられることは、私どもとしても非常にやりがいのある、またやって効果のあるいろいろの手だてができるわけであります。その辺のところを今後とも地元の現に農地を持っておられる方々と十分御相談をしながら、先々のビジョンと申しますか、その地帯の農業のあり方をきめていくというような配慮が必要であろうかと思います。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりそこへ行きますと土地の問題にぶつかってくるわけなんであります。農林省といたしましても、農地法にあまりとらわれ過ぎまして考え方が少し固定しちゃっているのではないか、こう思うのであります。いま公共事業の進展を見ますと、一番大きなガンは地価なんでありますから、地価の暴騰等によりまして公共事業費の大部分を食っちまっておるのであります。こういったところに、たとえば耕地面積の拡大なんていいましても、やはり地価問題と真剣に取り組むという態勢ができなかったら、私は容易なことじゃないと思うのです。年次報告等によりましても、近畿地域には反当二十数万円なんていっておりますが、反当二十万以上出して一町買うて二百数十万円の土地を買収いたしまして、そんなもので一体何ぼ収益を上げたならばこれはバランスがとれるのだろうかというようなことを思いますが、これは根本的な憲法の所有権の問題やらあるいは社会福祉との関連の問題がありますので、簡単に解決しないことは、これは国会も政府も力を入れているけれどもできないのでわかるのですよ。しかしいずれにしましても、やはり農地法にとらわれて、もしくは土地問題、価格問題も何となく私は消極的な態度ではないだろうか、こう思うのです。東京の都心あたりから向こうに行きましても、地価の値上がりでお百姓さんがひげのようなものをはやしてほったらかしておるのをよく見受けるのでありますが、とんでもないことであります。やはり土地問題に対するもっと真剣なかまえがないと、耕地面積の拡大をいたしまして自立農家をやるといったって無理じゃないだろうか、やはりそこにもいきますので、これは少々の話し合いくらいでなしに相当大胆な施策を打ち立てまして、山を開けば、原野を開けば何ぼでもあるんだというような甘い考えでなしに私はいってもらいたい、こう思うのであります。地方を見ましても、数年間工場敷地が買収されて野っ原になってほったらかしてあるというようなのをよく見るくらいでありますので、土地に対する考え方が非常に甘いんじゃないだろうかというふうに思うのであります。そこでそういうふうなことを考えますが、あなたのほうもきょうは農地局が見えておらぬが、農林省全体といたしまして特段にその方面に対する積極的な取り組み方を御要請申し上げておきたいと思うのです。  それから営農近代化の一環といたしまして、たとえば園芸農業の問題についてでありますが、近ごろ静岡県とかあるいは兵庫県、高知県あたりで、いわゆる礫耕栽培というやつがだいぶはやってまいりました。私は、あっちこっち見てまいりまして農家の方に実情を聞いてみますと、努力次第によりましては、いまのような市価でありましたら、一坪年収四千円くらいは可能でないかと思うのですね。こういうようなことも実は考えられます。これは相当な投資が必要なようでありますが、しかしいまのたとえば農業改良資金であるとか近代化資金なんかもかなり必要なようでありますが、私はやはり資金も相当大胆に導入するということもいたしまして、この種の農業のそれこそ合理的な近代化をはかるということにいたしまして、土耕一本でありましたのからこういう礫耕栽培なんかをかなり広く用いるということはできるんじゃないだろうか、もう試験時代じゃないようなことを考えるのですが、どうなんでしょうか。もっとも、これは私自身くろうとでないのですから自信がないのですけれども、どうも試験の段階ではなくして相当大胆に行なえるんじゃないだろうか、そうしたら一年じゆう相当新鮮な野菜も供給し得るんじゃないだろうかというふうにも考えるのでありますが、この点につきましては一つは豊富な、もしくは無利息資金が相当これに投入される方法を講じてもらいたい、こういうふうに思うのです。改良資金なんかも非常に窮屈なようでございますし、また仕様書なんかについて見ましても、単価なんかが非常に低過ぎたりするようでありますが、実情にそぐわないんじゃないか、こう思うのでありますが、これはかなり長期低利もしくは無利息というような方法で助成し、あるいはこれを保護していくというような手はないものでしょうか、この点はどちらにお答え願ったらいいでしょうか。
  87. 昌谷孝

    昌谷政府委員 改良資金につきましては、後継者対策というような形で子供さんが新しく農業を始める場合に、御承知のように三十九年度から一件五十万円の限度での貸し付けをするということを行なっておりますが、なかなか十分に行き渡らない状況でございます。長期改良資金につきましては、構造改善事業の協業でおやりになる場合は助成の対象にすでにして、各地で相当の成果をあげておられます。
  88. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 ガラス栽培とかあるいはビニール栽培は急速にふえてまいっておりまして、いま仰せになりまするように施設園芸によりまして野菜作の安定を見ておるという状況でございまして、今後におきましてもなお一そうこれを推進していきたいということを考えておる次第でございます。先ほど農政局長から説明がございましたように、改良資金等のほかに主として農業近代化資金を資金措置としては利用をいたしておるような次第でございまして、ただ礫耕栽培におきましてはまだ技術上問題がある点もあるのでございまするが、農家のほうがむしろ進んでおるというような状況で、これについての試験研究も進めてまいりまして、なお一そう推進をしていきたいというふうに存じております。
  89. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは協業対策と資金関係について公庫に少し伺いたいと思うんでありますが、近ごろ農業の協業のためにいろんな方法がくふうせられておるようでございますが、ただいまの、たとえば農業の集塵法人、つまり法人格を持って農業を経営するというあのやり方でございますが、これは公庫といたしまして、たとえば農事組合法人にいたしましても、その他の農業生産法人にいたしましても、相当な資金がこれに流されなければ所期の目的を達しないように思われますし、また信託契約にいたしましても、また請け負ってもらうにいたしましても、法人として企業的に経営するという場合におきましては、かなり資金面それから経理面、企業としての知識と経験、こういうものがそれぞれと兼ねていかぬといくまいと思うのでありますが、今年度におきまして、この種の法人に対しまして相当な資金の御用意、もしくは要望にこたえようというような御予定、方針はあるのでございましょうか。
  90. 大月高

    ○大月説明員 ただいまお話のございました農業生産法人に対する融資をどの程度の資金を用意しておるか、こういうお尋ねでございますが、われわれの公庫の資金計画のたてまえといたしましては、たとえば経営構造改善事業でございますとか、土地改良でございますとか、あるいは果樹、水産、林業、こういうような業種別の分類の立て方になっておりまして、そこには協同組合もございます、個人もございます。いまお話ございました農業生産法人もございます。こういうことで実情に応じて融資をしてまいる、こういうことになっておるわけでございます。
  91. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 本年度におきましては、資金量はどのくらい、この面に対して特に用意があるというわけではないわけでございますね。
  92. 大月高

    ○大月説明員 昭和四十年度農林漁業金融公庫の資金計画といたしましては、年度間の貸し付け計画は千二百四十億円ということになっております。それが大体におきまして、三分の一が経営構造改善事業向け、三分の一が土地改良向け、あとの三分の一がその他、こういうことになっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、貸し出しの種類ごとの対象によって予定をいたしておりまして、貸し出しの主体別の区別というものはございませんので、要望の強いところから順に貸していくというたてまえでございます。
  93. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりいまのような場合には、法人自体が借り主になって、そうして法人の経営でありまするので、有限会社にしましてもあるいは合資会社にしましても、農事組合法人にいたしましても、法人自体が仕り主になるわけでありましょうか。あるいはそのような場合、土地を担保にするというようなときには、個人の農家が担保の差し出し人になる、こういう方法にもなるのでありましょうか。これはかなり事務的なことで国会で御質問するのは恐縮なのでありますけれども、そのあたりをいま伺うゆえんのものは、やはり農協の聖業主体はあくまでも百姓である、農協の事業の主体は法人にあらず、こういうことにならぬと農地法十五条のところにも抵触するようなふうに思われますので私は伺っておるのでございますが、この種の企業形態がもし相当な成果をあげましたならば、私は一種の協業形態といたしましてかなり発展性があるんじゃないかというふうにひそかに考えておるのでございます。いろいろと試みられておるようでありますけれども、責任の関係から見ましても、あるいはまた企業的な経営の関係から見ましても、将来嘱望すべき一つのあり方のように思われまするのでいまのような点を伺ってみるのであります。
  94. 大月高

    ○大月説明員 具体的な手続の問題につきましては詳細に存じておらないところもあるわけでございますが、原則的な考え方といたしましては、農業生産法人という一つの法人格を持った事業体がございますれば、それに対して貸し出しを行なうというたてまえでございます。その場合に、その法人の組成要因でございます農家があるわけでございます。で、実際にその仕事をやられるのはその構成員である場合におきましても、われわれが貸します対象といたしましては法人自体に貸してまいる。そういたしますと、先ほどの担保でございますとか、あるいは保証というような関係も起こると思いますが、現実に所有いたしております実態に応じまして、あるいはこの法人自体から担保を徴す、あるいはその役員を保証人に立てる、あるいは構成員自体をまた保証人にするとか、いろいろ実態に応じた担保を徴する方法をとっておるわけでございまして、たてまえといたしましては、これらの法人がいまの実質上の協業経営の実をあげてまいりますように、十分に事態に合うように融資をやってまいりたいと思います。
  95. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なお農政局長にちょっと伺いたいのでありますが、この協業化の形といたしましては、いまのような農業生産法人あるいはまた農協法にきめられておる事業法人というようなもの、あるいはまた事実上部分的な協業をやるというふうにとどまるようなもの、たとえば機械の共同購入とかいうようなもの、それは構成員とか、あるいは土地における諸条件から帰納いたしませんと簡単に結論は出せますまいけれども、いろんな試みがされておるようでありますが、日本の農業を見まして、北から南までありますし、いろいろ条件は違いますけれども、将来性のあるものというのは一体どういう協業形態が最も適当だろうという、何かお考えがあるのでしょうか。そのために法律の改正を必要とするなら、農地法の改正もやむを得ないと思ったりするのですが、ここいらについてはどうなんですか。まだ暗中模索というような、自然発生にまかしておるというような状態なんですか、どうなんでしょうか。
  96. 昌谷孝

    昌谷政府委員 先ほど来申し上げましたが、参加農家のお気持ち、置かれている地帯によって事情は非常に違うと思います。また、共同でおやりになる作物が何であるかといったようなことも、非常に大きな相違があります。現在農事組合法人で、農業経営の全面協業あるいは部門協業というような形の農事組合法人が数からいえば多いわけですが、やはり比較的に円滑にいっておりますのは、プラスアルファ部門とよく俗にいわれますが、果樹でありますとか畜産部門でありますとか、在来の個々の農家がやっておられた耕種部門に加えて商品作物部門を導入なさるような場合には、そういった部門の協業経営といったようなことが一つの今後の行き方であろうかと思います。耕種農業の場合に例をとってみますと、耕種農業でも完全な共同経営——どもが基本法で言います共同経営というようなものも、もちろん事例としてはございますけれども、やはり耕種部門では、それよりも先生御指摘のようないわゆる協業組織、つまり農業経営の経営主としての負担、責任は、個々の参加農家が依然として持っておられる。農地の保有も、個々の農家がその名義で持っておられて、耕作規模を拡大するという趣旨で、大きな機械を共同で導入をしたり、搬送部門を共同でおやりになったりといったような形のいわゆる協業組織による大規模化というのが、耕種部門ではむしろ成功事例が多うございますし、今後も、いまの土地に対する農家の気持ちがにわかに改められない限りは一と申しますことは、つまり土地の価格についてのいまの傾向がにわかに変わりません限りは、そういった形の協業組織による大規模農法の導入ということが一つの方法ではなかろうかというふうに考えるわけであります。
  97. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なお、パイロット地域の問題とか近代化資金の問題を少し掘り下げてみたいと思っておりましたが、時間がなくなってしまいましたので、きょうはこの程度で終わることにいたします。
  98. 堀川恭平

    堀川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国または公社が補助金等を交付しているものの会計に関する件中、帝都高速度交通営団問題調査のため、本委員会に参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十五分散会