運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-05-12 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十二日(水曜日)委員会において、 次の通り小委員及び小委員長選任した。    動力炉開発に関する小委員会       菅野和太郎君   小宮山重四郎君       佐々木義武君    中曽根康弘君       福井  勇君    前田 正男君       渡辺美智雄君    石野 久男君       岡  良一君    田中 武夫君       原   茂君    三木 喜夫君       内海  清君    動力炉開発に関する小委員長                 菅野和太郎君 ————————————————————— 昭和四十年五月十二日(水曜日)    午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 岡 良一君    理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君    理事 中曽根康弘君 理事 福井  勇君    理事 前田 正男君 理事 石野 久男君    理事 田中 武夫君 理事 原   茂君       秋田 大助君   小宮山重四郎君       日野 吉夫君    三木 喜夫君       内海  清君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  山口 一夫君         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    梅澤 邦臣君  委員外出席者         科学技術会議議         員       篠原  登君         科学技術会議議         員       兼重寛九郎君         科学技術会議議         員       茅  誠司君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局監察審         議官)     足立 正秋君         科学技術庁科学         審議官     杠  文吉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  科学技術振興対策に関する件(科学技術基本  に関する問題)      ————◇—————
  2. 岡良一

    岡委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。  動力炉開発に関する問題について調査を行なうため、小委員十三名よりなる動力炉開発に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡良一

    岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡良一

    岡委員長 御異議なしと認めます。  それでは、小委員に    菅野和太郎君 小宮山重四郎君    佐々木義武君  中曽根康弘君    福井  勇君  前田 正男君    渡辺美智雄君  石野 久男君    岡  良一君  田中 武夫君    原   茂君  三木 喜夫君    内海  清君 以上十三名を指名し、また、小委員長には菅野和太郎君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任及びその補欠選任、並びに小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、その期日、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡良一

    岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 岡良一

    岡委員長 これより科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、科学技術長期計画及び科学技術基本法案検討状況等について、梅澤計画局長茅科学技術会議議員及び篠原科学技術会議議員よりそれぞれ説明を聴収いたします。  それでは、梅澤計画局長よりお願いいたします。
  7. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 科学技術基本法及び科学技術長期計画につきましては、去る三月四日この会議におきます基本問題小委員会において御説明いたしましたが、この後についての経過を御説明申し上げます。  まず、基本法につきましては、前回経過説明において申し上げましたように、科学技術会議におきましては、日本学術会議と、基本法に関する基本的問題点についてということで、原則的な了解に達しまして、さっそく具体的な検討を進めることになりました。そこで、基本法に関するワーキング・グループなるものを三月十六日に設置いたしまして、自来四月十日に至ります間に数回にわたりましてその会議検討いたしております。  ワーキング・グループの検討におきましては、科学技術本質等差本法を立案するにあたりましての考慮すべき諸点につきまして検討いたしました。そこででき上がりました、ただいまお配りしてございます「科学技術基本法前文考えるにあたっての考え方」というのが取りまとめられたわけでございます。それを四月十四日の第一部会に報告いたしまして、第一部会におきましてはその考え方を中心に検討いたしまして、その後の基本法審議進め方ということを考慮し、基本法分科会を設けることを決定いたしました。  基本法分科会は、四月二十八日に発足いたしまして、第一回の会合を開いて以来今日までに三回にわたって会合が進められております。その会合におきましては、「科学技術基本法前文考えるにあたっての考え方」、現在お配りしてあります資料でございますが、それをもとにしまして、基本法に盛り込むべき事項について検討をしております。  基本法に盛り込むべき事項につきましては、基本方針行政組織の整備、それから基本計画ないし長期計画策定、財政上の措置研究推進方策研究弾力性確保科学技術者等確保処遇改善情報活動及び国際協力の促准、科学技術知識普及等を取り上げまして、細部にわたっての検討が現在速められております。  そして、明日の第一部会におきましてさらに検討をも加え、あわせて今後の進め方についての検討を行なう予定になっております。  次に、科学技術長期計画につきましては、前回御報告いたしましたとおり、本年度末を目途に、目下鋭意科学技術会議の各部会におきまして、それぞれの必要な分科会を設けまして、第一号答申見直しから着手をして、着々といま策定作業が進められております。現在のところ、順調に進んでおる現状であります。  以上が、前回に引き続きましての基本法経過の大要でございます。
  8. 岡良一

    岡委員長 次に、茅科学技術会議議員よりお願いをいたします。
  9. 茅誠司

    茅説明員 科学技術基本法考え方について御説明申し上げますが、これはもちろんただいま論議段階中のものでございまして、最終的なものではございません。したがいまして、本日申し上げます考え方が、ある程度変更することがあるかもしれないということを前提としてお聞き願いたいと思います。  第一の問題は、人文科学社会科学をどういうふうに考えるかという問題でございますが、これは学術会議科学研究基本法という考え方政府に向かって勧告しておりますが、この中に人文科学社会科学も含むものとして考えておりますので、この科学技術基本法の中でいかに取り扱うかということが、いままでずいぶん問題になってきました。それで、現在の段階におきまして、私どもは、人文科学社会科学のみに関するものは一応頭の中で科学の中に含め得るものと考えまして、想定いたしまして、そうして最終の答申案を提出した後に、もし必要があるならば、政府におきまして、人文社会科学を含め得るやいなやを別の委員会をつくって検討していただきたい、こう思っておるのでございます。  それから、私ども委員会で、なぜ今日の段階において科学技術基本法を制定しなければならないかという、その必要性についての考え方について一応の討論をいたしました。それは、第一としては、科学技術近代国家繁栄基礎となっておるものであるということ、第二は、科学技術が戦後二十年間に想像以上に急速な進歩を遂げた。それから第三は、わが国科学技術研究者が十分な潜在能力を持っているのにもかかわらず、現在は、われわれの科学技術は模倣の時代にありまして、まだそれを脱し切れない状態にある。したがって、それをそのまま放置しておきますと、科学技術の面でわが国が落後するおそれが十分にあるということでございます。そこで、科学技術基本法をこの際制定しまして、そしてわが国がどういう責任を持っているかというその点を明らかにする必要があるという考え方でございます。  それから、この基本法性格として、基本法以外にさらに振興法をつくるかどうかという問題でございますが、私どもとしては、詳しい点にわたっては振興法をつくるほうがよろしいのではないかと考えております。まだ決定したわけではありませんが、そういう観点に立って基本法考えております。  基本法内容としてまず第一に申し上げたいと存じますのは、自然科学人文社会、この三つ科学の調和ある発達をはかることが必要であるということであります。それはどういう理由によるのかと申しますと、調和ある発達というのが非常に抽象的なことばでありまして、これをつかむことはなかなか困難でありますけれども、しかし、自然科学が非常な発達を遂げたにもかかわらず、自然科学というものがまだいわばニュートンの時代と同じように、未知の大洋の前に貝がらを拾っているといった、ほんの序の口にすぎない、われわれの知識というものはきわめて些々たるものである。ところが、現実には何か自然科学をもってすべての問題を解くことができる、つまり自然科学的世界像といったものが社会的に強く信ぜられておりまして、そして人文社会両方面がべっ視されがちになっているということ。それから、自然科学及び技術の非常な進歩によりましてわれわれの社会的環境が非常な変化を遂げた、その社会的環境変化にもかかわらず、社会科学人文科学がそれに即応した進歩をしていないということ。特に自然科学技術進歩発達によりまして、場合によっては人間性がそこなわれはしないかというおそれがあるということが指摘されておる。また一番大きな問題としては、科学技術そのもの成果によって人類をせん滅させるおそれがあるといったようなことが考えられますので、この際、自然科学技術発達に伴って、人文社会科学発達しなければならない。つまり科学技術発達を正常な軌道の上に乗せていくというためには、やはり社会科学人文科学発達ということが期待されるのでありまして、それを抽象的に調和ある発達と呼んでおるわけであります。  ところで、この基本法の中で一番問題と存じますのは、科学技術をどのように考えるかということであります。ここに、「考え方」の中にもございますが、科学と申しますのはいろいろの考え方がありますが、われわれは、科学というのは、われわれ人類真理探求の長い歴史を通じて得られました人類共同財産ともいうべきものであるというふうに考えております。  したがって、科学に対する国の目標といたしましては、わが国科学者、これがこのわれわれの共同財産を累積することに対しまして十分な貢献ができるようにすることが国の目標である。  しかし、科学性格から申しまして、これは科学そのもの科学者の自由な考えに基づいて発達するものでありますので、国は、研究の自由を保障すると同町に、科学者自主性を尊重して、その創意を十分に生かし得る豊かな研究環境をつくることが大切であると存じます。  それから、公表の問題でありますが、科学成果というのは、すべて公表すべきであるという感度よりも、さらに一歩進みまして、進んで公表しなくちゃならない。つまり外国学会等に出ましてもこれを公表する、外国から学者を呼んで学会を囲いて公表するといったように、進んでこれを公表するということをしてこそ初めて人類共同財産の累積に対して貢献できるものだと考えます。  次に、技術の問題でございますが、科学研究成果を応用開発するということによりまして、社会繁栄、それからその福祉が増進されるということでございますので、国としましては、そのような技術研究を経済、社会の動向に即応して振興しなければならない、これが国の責任であると存じます。  振興目標は、新しい技術研究者創意を生かしまして、新しい技術を開発して、そうしてそれを産業に反映させるということになりますので、研究者自主性を尊重する。しかし、その結果は必ずしも全部公表しなければならないというものではないと存じます。  科学技術を大体そのように分けましたけれども、これは連続的なものでありまして、どこまでを科学といい、どこまでを技術ということはできないのでありますが、これは双方がお互いに相連携して発達するものであります。技術進歩科学進歩を促し、その科学進歩技術進歩を促すものでありますから、国はこの科学技術相互連携を密接にするような方策をとらなければならないと存じます。  そういうような考え方に立ちまして科学技術という二つの面を考えてまいりましたが、それを振興させる方向といたしまして、まず行政組織をどのように変えていくか、それから長期研究計画を立てるといったような問題がございます。このことにつきましては、われわれはいかなる行政組織が最もふさわしいかというような点につきましては、この科学技術基本法分科会におきましては、まだ内容的には詳しい論議はいたしておりませんが、第一部会論議と相まってこれを進めていく考え方に立っております。  その他、先ほど計画局長から説明いたしました内容につきましても相当の論議を進めておりますけれども、まだここで皆さまに、こういう結論に達するかもしれないということまでも言えない段階にあると思いますので、それは省かしていただきます。また御質問がございましてお答えできれば、私の申しました趣旨がはっきりするかと存じます。
  10. 岡良一

    岡委員長 次に、篠原科学技術会議議員よりお願いします。
  11. 篠原登

    篠原説明員 篠原登でございます。  最初にごあいさつを申し上げます。  私、このたび科学技術会議の常勤の議員として内閣より発令をせられました。もとより浅学非才でございまして、微力の者でございますが、できるだけ駑馬にむちうちまして、科学技術振興に関しまして最善を尽くしたい所存でございますので、どうぞ先生方におかれましては御指導、御鞭撻を賜わりますように心からお願いしておきます。(拍手)  私に与えられました問題は、二点あると思います。第一が、長期計画策定の問題であります。第二が、科学技術行政機構の問題であろうかと思います。  最初に、長期計画について申し上げたいと存じます。  科学技術長期計画につきましては、目下科学技術会議の各部会において鋭意その策定を急いでおるところでございますが、それにつきまして一般的な考え方を申し上げますと、次のとおりであります。  まず、長期計画期間につきましては、向こう十年程度の長期的観点に立ちまして、昭和四十五年度までを計画期間といたしまして方策策定することといたしております。そして、この長期計画に基づきまして各省庁において具体的な実施計画を定めるという仕組みを考えておるのでございます。  次に、長期計画内容につきましては、広く科学技術会議にわたるものといたしまして、研究目標研究推進人材養成処遇改善情報活動際国交流科学技術の諸制度等を盛り込む考えでおるわけでございます。  また、長期計画につきましては、イギリスのころがし五カ年予算制度を取り入れまして、毎年見直していく考え方をとっておりまして、今回は本年末までに取りまとめることにしております。そうして、引き続いて来年以降さらに見直し、充実したものにいたしたいと考えておる次第でございます。  最後に、長期計画はできるだけ具体的なものとしたい考えでございます。この点学術会議の諸先生の御協力が得られておりますので、このような要請にかなりこたえられるものではないかと考えておる次第でございます。  次に、科学技術行政機構改革の問題につきまして申し上げたいと存じます。  私は、臨時行政調査会専門委員の一人といたしまして、科学技術行政改革につきまして参面をいたしました。それにつきまして簡単に申し上げたいと存じます。  科学技術が最近非常に進歩いたしまして、国のあり方について相当大きな関係を持ってまいっておりますことは申し上げるまでもございませんが、この点に関しまして、先述諸国におきましては、ここ数年間におきましてそれぞれトップレベルにおきまする研究体制、広く科学技術振興体制を整えてまいってきておるのでございます。そうして、あるいは総合的長期計画を立てるなり、相当多額の研究投資をそれに投ずるなりいたしまして、それぞれ総合的に国をあげて科学技術振興に邁進しておる現状でございます。  ひるがえって、わが国状態を見ますと、研究投資の面におきましても、総合体制の面におきましても、まだまだ先進諸国に及ばない点が多々ございますので、これらの点につきまして、早急にわが国においてこれが是正をはかることが必要であろうという結論になったのでございます。  この行政改革に関する意見におきましては、二つに分けて考えられるのであります。  第一点は、たとえば研究予算の増額とか、その弾力性の付与とか、あるいは民間研究投資の助成とか、あるいは長期的総合的計画の樹立とか、あるいはそれぞれの研究機関がその受け持ちを明確化するとか、研究体制合理化をはかるとか、研究公務員制度改善するとかいうような点がございますが、それらにつきまして政府はそれぞれ措置をしなければならないというのが第一点でございます。  第二点は、それを行なう行政機構といたしまして、はたしてしからばどういう機構が一番いいであろうかという点でございますが、これにつきまして三つの点を考えておるのであります。  第一は、現在の科学技術会議をレベルアップいたしまして閣僚会議的なものにいたしまして、そこで関係の閣僚と学識経験者とが十分に検討いたしまして、大ワクではございますが国の重要な施策を討議いたし、それを閣議決定に持ち込むという段階科学技術会議の改組でございます。  第二は、科学技術政策委員会を新しくできます科学技術庁に付置をするということでございます。何と申しましても、科学技術に関します政策は相当専門にわたる右のでございますし、また多くの人の意見を総合しなければなりませんので、従来の独任制官庁のままでは十分ではない、そこに合議制体制を入れなければいけないということにいたしまして、新しくできる科学技術庁独任制でございますが、それに合議制科学技術政策委員会を付置いたしまして、そこで学識経験者意見を十分に伺って政策をきめて、これを実行していくということにしたらばよろしかろうではないかということでございます。  この科学技術政策委員会受け持ち範囲といたしましては、大学における研究もその中に含めるということでございます。と申しますのは、わが国におきます大学における基礎的研究が、従来ややともすると軽視されがちでございますけれども、そういうことではほんとう科学技術体制は打ち立てられない。この科学技術政策委員会の対象といたしまして、十分に環境をよくし、また予算も十分に差し上げるような体制にしていかなければならないという点が一つでございます。  もう一つは、基礎的の研究応用面科学技術と非常に密接な関係が最近できてまいっておるのでございます。したがいまして、共通の場をここで持ちまして、お互いに助け合っていくために、基礎研究応用研究とを同じ場において検討する必要があろうかと思うのであります。と申しましても、大学研究の自由とか、あるいは自主性とか、あるいは創意くふうの奨励とかいうこと、これはもちろん絶対に必要でございまして、大学研究ほんとうに打ち立てられていくためには、その自主性と自由な空気が必要でございます。そういう立場に立ちながら援助する意味において、この科学技術政策委員会共通の広場の議題とすべきであるというのが第二でございます。  第三は、科学技術庁でございますが、これは従来の科学技術庁とはいささか趣を異にいたしまして、ただ国立研究機関の調整ということでなくて、いま少し広い立場から、国全体の科学技術に対します要請を扱っていくように広げていったらどうかということが第三でございます。  こういう点におきまして、私も専門委員のメンバーの一人といたしまして参画いたしたわけでございますが、最後はもちろん七人委員会の七人の最高権威において十分に訂正をいたしまして、意見として総理大臣に提出した次第でございます。  こういう点から考えてみまして、できるだけわが国といたしましては、ここに新しい体制として、科学技術振興に対しまして十分な立場をとっていかれることが必要であろうかと考える次第でございます。
  12. 岡良一

    岡委員長 以上、茅、篠原科学技術会議議員並びに梅澤計画局長より御説明を聴取いたしましたが、御質疑はございませんか。——いずれあと小委員会でまた自由な御討議を願うことにして、引き続き御説明を承ることにいたします。  なお、このたび新しく科学技術会議議員選任されました兼重議員に御出席いただきましたので、ごあいさつをいただきたいと思います。兼重議員
  13. 兼重寛九郎

    兼重説明貴 私、去る四月一日付で科学技術会議議員に任命されました兼重寛九郎でございます。  科学技術会議議員というものは、私の力に余る大任とは思いますけれども、私の全力を尽くしまして使命が果たせるようにつとめたいと感じておる次第でございます。こういう席からお願いするのはどうかと思いますけれども委員長からせっかくいい機会を与えられましたので、どうか諸先生方から今後一そう御指導、御鞭撻を賜わりますようにお願いいたします。  実は、私が日本学術会議におりまして、ちょうどこちらにおられます茅教授会長あとを引き継ぎます際に、この科学技術会議を設置するということが起こりまして、できましたときには、私が学術会議会長になっておりましたために、その資格で最初一年余り議員の一人であったことがございますが、当時そこにおいでになります中曽根先生科学技術庁長官で、だいぶ夜おそくまでいろいろなことをした記憶がございますが、その後五年余りたちまして、その当時から見て、ずいぶん科学技術会議が発展をし、いろいろな問題があったことをこのごろ痛感しておるのでございますけれども、それだけに、私どういうふうにすべきかただいま勉強中でございますので、私が何か申し上げるようなことは、もう少し時間をいただきました上のことにさしていただいたらありがたい、このこともあわせてお願い申し上げておきます。
  14. 岡良一

    岡委員長 次に、行政管理庁が行なった科学技術行政監察結果に基づく勧告について、山口行政監察局長より説明を聴取いたします。山口行政監察局長
  15. 山口一夫

    山口政府委員 行政管理庁におきましては、去る昭和三十八年の七月から九月にわたりまして、科学技術に関する行政監察を実施いたしました。その監察の結果を三十八年十二月に、監察を受けました科学技術庁等関係省庁に対して勧告をいたしたのでございます。その後すでに一年半を経過いたしておりますので、勧告に基づきましてそれぞれ各省庁におきまして改善を進められておる事案もございます。とりあえず当時の勧告内容につきまして概要を申し上げたいと存じます。  まず、この監察のいきさつでございますが、すでに科学技術会議等におきまして、政府の諮問に対しまして、わが国科学技術振興対策等につきまして数々の答申を行なっておられるのでございますが、これらの答申が、監察等におきまして、必ずしも十分行政の各分野に反映していないという点が認められたのでございます。たとえば国の試験研究機関の充実刷新、あるいは国をはじめ大学、各種団体、民間等において行なっております試験研究の組織的総合化、あるいは科学技術者の養成確保等の各種の重要な問題が当時指摘されましたので、これらに対しまして国として果たすべき比重がきわめて大きいという観点からこの監察を実施いたしたのでございます。  監察の結果につきましては、大要以下申し上げます数項目についてこれを勧告いたしたのでござます。  その第一が科学技術行政の基本方策、第二が科学技術行政の総合性、第三が国の試験研究機関の運営、第四が特殊法人、地方公共団体、民間における科学技術振興、第五が科学技術者の養成確保、第六が特許事務の促進、これらの項目につきまして勧告いたしたのでございます。  以下、その内容につきまして各項目ごとに概要を申し上げたいと存じます。  第一が、科学技術行政の基本方策の問題でございますが、結論といたしまして、当時国として科学技術振興基本方策が確立されていないという結論を得たのでございます。したがって、科学技術庁等におかれては、社会経済の発展段階、あるいは国民所得の増加の状況等との関連において、国の研究投資額、あるいは積極的に開発すべき重点目標、規模などを総合的に定める反面、経済変動に左右されない長期的の見通しのもとに、国としての総合的科学技術振興基本計画策定されまして、強力にその実施を推進される必要があるという結論を出したのでございます。この問題につきましては、ひとり行政管理庁勧告のみならず、国会あるいは学界等におかれましてもほぼ同じような線の御意見が出ておるのでございます。国としての科学技術振興基本方針を確定してほしいということが第一の勧告でございます。  第二点が、試験研究の総合性の問題でございますが、科学技術の総合的な進歩発展をはかりますためには、国はもとより、大学、地方公共団体、民間等の試験研究機関のそれぞれの分野における試験研究とその成果の組織的な総合化が強く要請されるのでございます。これらの間の有機的な連係は必ずしも十分ではないので、関係省庁においては特に次の点について改善の必要があるといたしまして、  第一に、科学技術庁の総合調整機能の強化をはかることを勧告いたしたのでございます。現在もすでに試験研究予算の一括計上等の措置がとられておるのでございますが、これらの範囲をさらに拡大する。あるいは各省において行なわれております試験研究分担等を定めた試験研究計画策定、あるいは総合調整に必要な資料の系統的な整備等が必要ではないかという趣旨でございます。  次に、国の試験研究機関大学における研究所との協調関係を確立することを指摘いたしたのでございます。国の試験研究大学研究の問題は非常に大きな問題でございまして、三ヵ月間の監察によりまして必ずしも最終的な結論を出せなかったのでございますが、とりあえず両者の間の協調関係を確立することが必要ではないかという点につきまして勧告をいたしたのでございます。これにつきましては、当時行なわれておりました国の研究あるいは大学研究等において必ずしも協調が十分にいっていなかった事例が幾つかあげられたのでございます。  次に、国の研究と民間の試験研究との連係をはかることの必要でございます。すでに民間のほうが国よりも進んでおる、あるいはむしろ国の研究を民間にやってもらって、それを国として重複を避けながら活用する必要のある研究等もありましたので、国の研究と民間の研究との連係をはかることを指摘いたしたのでございます。  次に、民間の試験研究に対する補助金の総合調整をはかることを指摘いたしましたが、これは同じ研究に対しまして、国から、違う省から重複して、しかも全額の補助金がいっておるというような事例が幾つかございましたので、これらに対しまして補助金の総合調整をはかる必要を指摘いたしたのでございます。  さらに、共同研究体制を確立いたしますために、いわゆる流動研究制度等の拡張を考慮することを指摘いたしました。  以上の問題を第二の試験研究の総合性という項目のもとに一括勧告いたしたのであります。  次に、第三点といたしまして、国の試験研究機関の運営の問題について勧告いたしたのでございます。当時研究学園都市建設の閣議了解が行なわれまして、各省庁研究機関の移転が日程にのぼっておりましたので、科学技術庁におかれましては、この機会に関係省庁の御協力を得て、国の試験研究機関の実態調査を行なって、組織の合理化について検討される必要があるという点を勧告をいたしたのでございます。特に情勢の変化に即応した研究の再編成計画を立てること、あるいは研究所において行なっております検査、検定等の業務を思い切り整理してその合理化をはかること等を組織の合理化の問題として指摘をいたしたのであります。  次に、第四点といたしまして、国の試験研究機関の運営について勧告をいたしたのでございますが、各省庁の試験研究機関において行政上の要請に応じた研究を行なうことと、試験研究の結果を行政の施策に反映することの必要性、また職務上の発明の取り扱いについて明確にすること、各試験研究機関にございます工務課、試作課等の支援部門の整備をはかって、機械器具等の集中管理を行なうこと、さらに研究職員の処遇改善をはかること等を運営上の問題として改善の余地がある、したがって、この改善が必要であるという勧告をいたしたのであります。  次に、科学技術庁の監督のもとにあります特殊法人並びに民間における科学技術振興について勧告をいたしたのでございますが、特殊法人として取り上げましたのは、日本原子力研究所、理化学研究所、日本科学技術情報センター並びに新技術開発事業団等でございます。これらの各特殊法人の業務の運営について指摘をいたしました。これにつきましては、その後一年半の岡にかなり改善あとが見られております。  それから次に、科学技術者の養成確保につきまして、特に理工系学生の増募計画につきまして、当時文部省において立てておられました計面の不備を指摘いたしまして、その改善を促したのでございます。  最後に、第六項といたしまして、特許事務の促進につきまして通商産業省に勧告をいたしたのでございます。逐年出願件数が増加いたしておりますが、これに対する処理がはなはだおくれておる、したがって、そのことがひいて科学技術振興の隘路にもなっておる状況にかんがみまして、当時の事務の状況を監査いたし、根本的には制度の改正をはかる必要があるが、とりあえず審査並びに事務の機械化等を促進いたしまして、現在滞っております事務を一掃する必要があるという点を指摘をいたしたのでございます。  はなはだはしょりましたが、以上の数点を内容とする勧告科学技術庁技術省庁に対して行なったのでございます。  以上、簡単でございますが、行政管理庁において行ないました科学技術に関する行政監察の結果について申し上げました。
  16. 岡良一

    岡委員長 次に、科学技術行政の改革に関する臨時行政調査会意見の概要について、井原行政管理局長より説明を聴取いたします。
  17. 井原敏之

    ○井原政府委員 臨時行政調査会は、昨年の九月末、総論のほか十六項目の行政改革意見を内閣総理大臣に出したわけでございます。きょうお示しをいただきました「科学技術行政の改革に関する意見」はその中の一つでございます。この中身はすでに内閣から国会に対して正式に御報告をしておりますので、諸先化におかれましても、ごらんいただいたことと思っておりますけれども、そのごく概要、要点なる点を重ねてここで御報告を申し上げます。先ほど科学技術会議の常勤議員をされております篠原議員からほとんどお話が出ておったわけでございますので、私の申し上げることと若干重複する部面があるかと思います。  科学技術行政の改革に関する臨時行政調査会意見は、篠原専門委員が主査になりまして、三菱化成の桑原時一郎、現在の原子力研究所の理事長の丹羽周夫さん、前の日本学術会議の副会長であられました山県昌夫さん、この三先生が参与になられまして、七人委員の下に科学技術班という特別の調査班を設けまして、検討審議がなされたわけであります。その科学技術班の報告をもとにいたしまして、臨時行政調査会の七人委員がこれを検討いたしました。内閣及び国会に御報告いたしたものは、この七人が全員一致で決定した結論でございます。  この中身の要点をこれから申し上げますが、臨時行政調査会が現在の科学技術行政についての問題点として出しましたことは、第一が、純粋基礎研究が軽視される傾向にある。それから第二が、研究投資の不足、第三が研究体制の不備、第四が科学技術行政についての機構の不備の問題、この四つを問題点といたしまして、これについて意見があったわけであります。  次に、主として機構の整備の面を中心とします改革についての勧告の中身を御報告いたします。  第一は、現在の科学技術会議を改組して閣議の前段階における科学技術行政の重要事項審議、決定する機関に改組をする。現存は科学技術会議は総理府の諮問機関でございます。この機能を強化いたしまして、閣議の分科会的な閣僚委員会的な立場から、政治的な側面から関係重要施策の解離をし、調整をし、決定をする、こういうものにするという提案であります。  次に、科学技術庁の機能の強化に関し、またその機構の強化についての提案であります。  第一は、科学技術庁の調整的な機能を強化するという提案。その中身は、国立大学における科学技術研究科学技術庁の調整の範囲に入れるという提案があったわけでございます。  第二は、重要な総合研究経費を科学技術庁に一括計しする。現在でも若干の費目について一括計上の制度がございますが、さらに重要な総合研究の経費をも一括計上するように、この一括計上のワクを広げる提案でございます。  第三は、現行すでにあります特別研究促進調整費の配分範囲を大学にも広げる、大学科学技術研究にもこれを広げて適用する。  第四は、重複設置等で、適当でない、ダブった多額な経費が出ておる。重複しては非常に非効率である。しかも多額な経費を要するような施設、それを科学技術庁が管理して、各関係研究機関共同使用する、こういう科学技術庁の所掌の強化でございます。  次は、科学技術庁機構の整備でございます。  その第一は、科学技術庁科学技術政策委員会を付置するという提案でございます。各分野にわたる科学技術に関する行政に総合性を持たせる。科学技術庁の所掌専務の一部について、これを企画、審議、決定する機関として科学技術政策委員会科学技術庁に付置するということでございます。科学技術庁につきまして相当対象範囲を広げるわけでございますが、それにつきましては、完全に行政委員会組織でやるということも一つの提案、また省に格上げするというような考え方もあり得るわけでありますが、この政策委員会はその妥協的な考え、非常に強力な審議、決定の機能を持った委員会科学技術庁に付置をする。そこで全般的な総合的な調整の場にしよう、こういう提案のようであります。  このボードにかかりますものは、科学技術振興に関する基本的な政策、総合調整の特に重要な事項、それから経費の見積もり方針の調整なり、一括計上予算、特別研究促進調整費等につきましての重要な問題が審議事項に相なるわけであります。  この委員会の構成は、委員長科学技術庁長官でありますが、委員七人程度で、その中の一名は日本学術会議会長、残りの六人の半分程度の人は大学及び日本学術会議の推薦する人たちの中から任命する。そしてその任命にあたっては、各界の意見を十分に聴取して、特に公正を期すべきである、こういう提案であります。それから、委員は特別職として、大体国会の承認人事になろうかと思いますが、任期三年程度で、内閣総理大臣が任命する。それから、この委員会には、専門事項について部会を置くことができる。こういうことも提案いたしております。  以上が科学技術庁に関する大きな機構の改革についての提案でございますが、これに関連いたしました必要な関連措置としまして、第一は、政府科学技術研究予算を思い切って増額することと、その運用に弾力性を付与する。諸外国、特に先進国に比べて非常に見劣りがする、科学予算が少ないということであります。特にこの予算の計上につきましては、応用部門に偏することなしに、やはり基礎部門というものが軽視されないような配慮を特にする。  それから、関連措置の第二は、民間研究投資についての助成でございます。特に税法上の優遇措置をする。  それから、第三は、長期の総合計画の樹立ということであります。  それから、全般的に試験研究に関して政府関係機関が受け持つ分掛というものも少しはっきり明確化しなければならない、こういうことであります。  それから、五番目は、研究体制合理化の問題でございますが、いろいろ科学技術庁をはじめ関係各省についての研究体制合理化が出されております。  それから、特に重要な問題といたしましては、研究公務員制度改善するようにという提案があります。  大体ごくあらまし、かいつまんだ御報告でございますが、こういう要旨の改革意見が内閣に提出されております。  以上であります。
  18. 岡良一

    岡委員長 以上で説明の聴取は終わりました。
  19. 岡良一

    岡委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。前田正男君。
  20. 前田正男

    前田(正)委員 後ほど打ち合わせ懇談の機会があるようでありますから、ごく要点を簡単に一、二お聞きしたいと思います。  先ほど茅議員の御説明の中で、基本法に必要とする考え方を述べておられたのであります。私たちも同感でありますけれども、それに少しつけ加えてみる必要があるのじゃないかと考えまして、茅議員のお考えをお聞きしたいと思います。  それは、科学技術基本的な発展というものの中において、いま述べられた基本的な理由があるわけでありますが、そのほかに、私としては、従来の科学技術政府関係の実績というものの必要性から基本法というものをつくる必要があるのじゃないか。それはいわゆる科学技術庁の新設にあたりまして、長期の計画を立てようということがいまいわれております。それが科学技術基本法の必要でありますけれども、その長期計画を実際に立ててこれを実行したものというと、現在の科学技術庁に属しますところの金属材料研究所及び今度航空宇宙研究所ですか、新設されました二つに対しては一応五カ年計画を立ててやったようですが、実績は、予算関係とかあるいはその他設備の入手とか、いろいろな関係があって、七年ぐらいかかったようでありますけれども、しかし、大体所期の目的を達しておると思うのです。まあこういうふうな実績が出ております。ところが、その他には国立の研究機関もたくさんありますし、大学研究機関もたくさんあるわけでありますけれども、これらのものは科学技術庁の発足当時からの経過がありまして、従来長期計画を立てることができなかった。そういうことで、そのつどの予算関係から、どうも私たちから見ておりまして、その発展が見劣りしてくるような感じがするのであります。これはやはりこういうふうな長期計画を立ててやったものは、一応具体的な二つ研究所しかありませんけれども、一応その成果をあげておるように私は思うのでありますから、こういうふうな実績からも基本法というものをつくって、ひとつその長期計画的な、長期の観点に立った振興策を練らなければいけない、こういうことを基本法をつくる理由の中に一つ加える必要があるのじゃないか、こう思うのですが、茅議員のお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  21. 茅誠司

    茅説明員 金属材料技術研究所、それから航空宇宙技術研究所の、率直に申しますと、大難の研究所に比べて非常によく整備されているということは私もいえると存じております。たとえば東北大学の金属材料研究所、それから金属材料技術研究所と比較いたしますと、設備の点その他で金属材料技術研究所のほうが非常にすぐれているということは私、認めますが、その発達の歴史が違うものですから——たとえば仙台の金属材料研究所は本多先生が中心となって逐次広げていかれた、それに対しまして金属材料技術研究所というのは、その必要性からそういう問題をこういう計画もとにやろうというので、発達の歴史が違うのであります。しかし、現在の段階に至って、そのままで放置してよいかと申しますと、私はそうではない、つまり落後するおそれがあると申しました。その理由の中に、いままでのようなやり方ではとてもついていかれなくなった。そこで、申しませんでしたけれども、やはり長期計画というものを立てて、その線に沿って政府の財政的な措置をとっていただくようにしなければ、もう潜在的能力があるにもかかわらず、私申しました落後せざるを得ないような状況がくることをおそれて基本法をつくる段階に来た、エクスプリシトには申しませんでしたけれども、内在的には申し上げたつもりでございます。御意見には賛成でございます。
  22. 前田正男

    前田(正)委員 もう一点、基本法のほかに振興法的なものをつくる必要があるのじゃないかというお話があったのでありますが、基本法でございますから、個々の問題について当然長期計画の問題あるいは行政機構の問題、その他いろいろ個々の問題についておのおのの法律をつくらざるを得ないと思うのですが、振興法としてまとめてそういうものをやるか、あるいは基本法ができましたものに対して個々に必要な、たとえば原子力基本法の場合のように個々に必要な委員会の法律、公社の法律、個々に必要な法律をつくっていったわけでありますが、そういうふうな兼本川法ですから、個々の法律をつくるとか、あるいは既存の法律を改正するとかということは必要ではないかと思いますけれども、また総合的な振興法的なものをつくる必要は私はあまりないのじゃないか。基本法をつくりまして、個々に必要な法律をつくるなり、あるいは現在ある法律を改正していくということが——それは振興法的な問題としても必要であると思いますが、振興法としてまとめて新しくつくる必要はないではないか、こういうふうに実は考えておるのでありますが、その辺はどんなお考え振興法的なものをつくろうとしておられるか。お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 茅誠司

    茅説明員 まだこれは基本法分科会において煮詰まった考え方ではございませんが、たとえば長期計画長期研究計画という問題が出ましたときには、その内容はいかなるものを織り込むかということが、非常にこれは重要な問題になります。それで、基本法段階においても内容が何かということを十分討論しまして、内容は何かという御質問があれば答えられるだけのものはつくるつもりでおりますが、しかし、それを基本法の中に織り込むということにはならないであろう。したがって、そこに出ましたいろいろの議論は、できれば科学技術とに分ける必要があるのじゃなかろうか、分けてそういう振興法的なものをつくっていったほうがいいじゃないかということでありまして、まだ結論に達したわけではございません。  それだけお答えいたしておきます。
  24. 前田正男

    前田(正)委員 それでは、いまのお考え、大体私と違っていないと思いますけれども、できたら長期計画なら長期計画について個々の法律をつくるなり、行政機構なら行政機構について個々の法律をつくるなり、既存の法律を改正するというふうにやりていただけば法体系は整うのじゃないかと思います。  もう一つ、ちょっと行政管理庁に聞きたいのであります。  先ほど御説明のありました監察のほうは、その経過も大体御説明があったのでありますけれども臨時行政調査会の答申に対しては、一体行政管理庁としては何をしておるのか、どういう目安をされておるのか、いつごろ実現されるつもりなのか、どういう方法でこれを実現しようとしておるのか、そういう話はちょっと抜けたように思いますので、聞かせていただきたい。
  25. 井原敏之

    ○井原政府委員 現在内閣に行政改革本部というものを閣議決定でつくっております。その行政改革本部の庶務を行政管理庁で行なっております。この改革本部が、総理大臣の受けました臨調の全項目を受け取りまして、いま手を分けて、分担して検討を進めております。すでにこの四十八通常国会にも、ほんの一部でございますが、機構の問題その他について改革案が提案になったわけでございます。その他運用一般についてはいろいろすでにやっております。  いまの科学技術行政についての措置でございますが、これは内閣府というものをつくりまして、内閣府の構想は、現在の総理府を解体いたしまして、総理府の本府と行政管理庁を合体したような組織が中核になろうかと思います。そういうものを中心に、一方では総理府にいろいろと総合調整に関係のない実施の部局があるわけでございます。これをそれぞれ関係の深い省庁に配分をいたしまして、要するにいまの総理府本府と行政管理庁を中心にいたしました総務庁というものをつくりまして、これを各省の調整の中心に置こう、こういう考え方であります。この科学技術庁の改組強化の問題も、科学技術庁はいま総理府の外局という立場になっておりますから、この総務庁構想と切り離せないわけであります。そういうことでありまして、総務庁構想は事が重大でありますので、関係機関といま検討しておる最中であります。  また、個々の問題といたしまして、この科学技術行政の改革につきましては、私ども科学技術庁の当局と密接にやっておりまして、科学技術庁の中で相当に臨調の意見検討が熟しておるのではないかと見ております。この国会に提案ということには至りませんでしたけれども、もよりの国会にこの臨調の意見を十分尊重した案で御審議をいただくようにという方向で、いま改革本部を中心に検討を進められておる最中でございます。
  26. 前田正男

    前田(正)委員 先ほどからお聞きだと思うのでありますが、基本法というものを前から研究しておりまして、この特別委員会も実は前に第一次試案というものをつくっておるのですけれども、いま臨調の答申の基本に関するような行政機構のあり方というものは、どうしても基本法に書かざるを得ないと思うわけです。臨時行政調査会からせっかく答申が出ておるのでありますから、科学技術行政の基本に関する問題を、行政管理庁立場からひとつ臨調の意見というものをどういうように基本法に反映していくかということを、これはなるべく急いでやっていただく必要があるのではないか。先ほど御説明がありましたとおり、臨調の意見でいきますと、従来の科学技術庁関係以外に、たとえば内閣の関係のものをやるとか、その他いろいろと行政の範囲が変わってくるわけです。科学技術会議の権能も変わってくるようでございますし、政策委員会も設けられるというような、相当基本に関するものがあって、これは基本法の中で具体的にどこまで書くかは別として、ただ大学に関する部分を含むとか含まないとかいうことは、どうしても基本法に触れてくるのではないか。基本法の作業をしております過程において、この行政管理庁の臨調の意見を受けた作業というものが伴ってこないと、基本法がまとまらないのじゃないかというような感じがいたします。これは内閣府の問題も、確かに総理府、科学技術庁、影響を受けると思いますので、具体的な科学技術行政の基本に関するものはひとつお急ぎを願ってやっていただきたい。また現在の体制でやれると思うのですが、並行してひとつ。単に科学技術庁だけで相談されないで、科学技術庁以外の部門、たとえば文部省とか、その他の関係各省の各研究関係のところとか、そういったところともひとつ臨調の意見を調整して進めるということで御努力願いたいと思うのですが、どんなものでございましょう。
  27. 井原敏之

    ○井原政府委員 行政管理庁はいろいろ当面の問題に追われておりますが、眠っておるわけではございません。いま前田委員のおっしゃるとおり事を進めてまいりたいと私も考えておりますし、上司も考えておりますので、御了承願います。
  28. 茅誠司

    茅説明員 ただいまの前田委員のおっしゃいました件でございますが、私ども学術会議がそのことにつきましてやはり意見を出しておりますし、また国立大学協会それ自体も出しております。そういうものすべてを頭に入れて、全体がどのように調整されていくかということで苦慮しておるところでございまして、まだここでどうなるということは申し上げる段階に至っておりませんけれども、もちろんそういうことを頭に入れて進めていきたい。したがって、時間が相当かかりまして、何をぐずぐずしているかというおしかりを受ける心配がありますので、あらかじめ御了解を願っておきたいと思います。
  29. 岡良一

    岡委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十三日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後二時四十七分散会