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1965-04-28 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十年四月二十八日(水曜日) 午後一時三十三分
開議
出席委員
委員長
岡
良一
君
理事
前田
正男君
理事
石野 久男君
理事
原 茂君 秋田 大助君 小沢 辰男君
小宮山重四郎
君 坂田 英一君 野呂 恭一君
渡辺美智雄
君 日野 吉夫君 三木 喜夫君 内海 清君
出席国務大臣
国 務 大 臣 愛知 揆一君
出席政府委員
科学技術政務次
官 纐纈 彌三君
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房長
) 小林 貞雄君
総理府技官
(
科学技術庁原
子力局長
) 村田 浩君
委員外
の
出席者
原子力委員会委
員 有澤
廣巳
君 参 考 人 (
産業計画会議
委員
) 堀
義路
君 参 考 人 (
日本原子力
産
業会議委員
) 山崎 久一君 参 考 人 (
日本原子力
産
業会議委員
)
前田
七之進君 参 考 人 (
東京大学教
授) 向坊 隆君 参 考 人 (
日本原子力研
究所
副
理事長
) 森田 乕男君
—————————————
四月二十二日
エレクトロニクス振興施策
の
強化拡充
に関する 請願(
岡良一
君紹介)(第三二二四号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
科学技術振興対策
に関する件(
原子力開発利用
基本計画
に関する問題)
——
——
◇—
——
——
岡良一
1
○岡
委員長
これより
会議
を開きます。
科学技術振興対策
に関する件について調査を進めます。 まず
最初
に、
有澤原子力委員
より
昭和
四十年度
原子力開発利用基本計画
及び
総合エネルギー政策
における
原子力発電
の
役割り等
について
説明
を聴取いたします。
有澤原子力委員
。
有澤廣巳
2
○有
澤説明員
昭和
四十年度の
原子力事業
の
基本計画
につきましてはあとのほうで申し上げまして、
最初
に、
総合エネルギー政策
における
原子力発電
の地位につきまして、私の
意見
を申し上げたいと思います。 この問題は、
わが国
の将来にとりまして最も緊急な基本的問題でありますので、この問題につきまして
意見
を述べる機会を与えられましたことにつきまして、
委員長
並びに
委員各位
にお礼を申し上げたいと存じます。ただ、それから述べます陳述は、これは
原子力委員会
の
意見
ではなく、全く私の個人の
意見
でありますから、その点をあらかじめお断わり申し上げておきたいと存じます。
原子力
は
人類
を
エネルギー
の拘束から解放するものであるということは、すでに
アメリカ
の
原子力委員長シーボルグ
が言っておるところであります。
原子力
は全く新しい
エネルギー源
であります。それは
人類
の大発見であり、
科学技術
の偉大なる
進歩
として、
わが国
もこの
研究
、
開発
におくれをとらないよう不断の
努力
をしなければならないことは言うまでもありませんが、特に
日本
にとりましては、これは
エネルギー政策
の上におきましても特別の、そしていわば
天恵
と考えられるような
意義
を持っていることを力説いたしたいと考えます。 最近における急速な
日本
の
工業化
は世界の驚異となっているのでありますが、それとともに、
日本
の
エネルギー需要
の
増加
もきわめて大きいものがあります。
経済
の
成長率
もはなはだ高いのでありますが、また
エネルギー需要
の
増加率
もはなはだ大きいのであります。 最近発表されました
EEC
の
ラピー報告
を見てみますと、
EEC
六カ国の
成長率
は
年率
で四・六%、
エネルギー需要
の
増加率
が四%、したがって、国民総生産に対する
エネルギー需要
の
弾性値
は〇・八七となります。
わが国
では、
昭和
三十三年から三十八年度におけるその
弾性値
が一・二二であります。これは
成長率
が一一・二%、そして
エネルギー需要
の
増加率
が一三・七%という高率の結果であります。さらに、
中期経済計画
によりますと、三十八年度ないし四十三年度におきましては、
成長率
八・一%、
エネルギー需要
の
増加率
九・九%で、
弾性値
はなお依然として一・二二を続けております。さらに、四十三年度ないし四十五年度におきましては、
成長率
七・六%、
エネルギー需要
の
増加率
七・六%で、
弾性値
はようやく一・〇五三に低下いたします。そして五十年度ないし六十年度の超
長期見通し
によりますと、
成長率
六・一%、
エネルギー需要
の
増加率
六%で、
弾性値
は〇・九八と、ようやく現在の
EEC
における
弾性値
と近いところにまで落ちてまいりますが、いずれにいたしましても、
成長率
も高い上に
弾性値
も高いのでありますから、
エネルギー需要
は急速に
増大
し、
昭和
三十八年度には一億七千八百万トン
——
これは
石炭換算
でございますが、すべての
エネルギー
を
石炭換算
いたしますと一億七千八百万トンでありますが、−
昭和
四十三年度には二億八千六百万トン、
昭和
五十年度には四億九千二百万トン、
昭和
六十年度には実に八億八千万トンという膨大な量に達します。
EEC
六カ国のそれは、総
エネルギー需要
は、一九六〇年におきまして四億六千万トン、七〇年におきまして七億トン、七五年におきまして八億五千万トンであります。
ヨーロッパ
のあの
工業化
の進んでおる六カ国の全体の一九七五年の
需要
と
日本
の一九八五年の
需要
がほぼ見合うという線にあります。 このような
エネルギー需要
の
増大
の
構成内容
につきましては、時間の関係上ここでは省略いたしますが、ただ一言この際申し上げておきたい点は、特に
電力需要
の
伸び
がこの中におきましても一そう大きいということであります。これは
EEC
でも同様でありまして、
ラピー報告
によりますと、その
増加率
は年七・二%であります。
日本
では、三十八年から四十三年度におきまして
年率
一〇・四%であります。先ほど申しましたように、全体の
エネルギー需要
の
増加率
は年九・九%でありますが、
電力
のほうは一〇・四ということになります。そしてこのように
伸び
る
電力
のための
燃料
がもっぱら
石油
の
輸入
によって
供給
されねばならぬということであります。 このような
エネルギー需要
の急速な
増大
は、
日本
の
工業化
の急速な伸展に対応するものであるとは申せ、同時に、
日本
の
エネルギー経済
に深刻な問題を提起しつつあります。そしてそれは将来にわたってますます深刻となるものであります。それで、ここには簡単のために、その深刻な問題の
幾つ
かを列挙してみます。第一に、
エネルギー供給面
における
石油
のウエートがいよいよますます高まるとともに、
エネルギー
の
海外依存率
は
テリブル
と考えられるほどの高さに達します。総
エネルギー供給
の中に占める
石油
の割合は、三十八年度におきましてすでに五二・四%と半ばをこえたのでありますが、四十三年度になりますと、六五・三、約三分の二が
石油
によって占められます。さらに五十年度には七五、四分の三が
石油
、さらに六十年度には八一・四と八割をこえることになります。それとともに、
わが国
の
エネルギー供給
の
海外依存率
はいよいよますます高まってまいりまして、三十八年度の五八・四%から、四十三年度には七一・三、五十年度には八一・二、六十年度には実に八八・九、ほとんど九〇%に迫るのであります。
エネルギー
の
供給
は、食糧や水の
供給
と同じであります。それが継続するだけでも困ったことになります。中絶すれば一そう困ることになります。したがって、常に大河の流れるがごとき
供給
が行なわれなければなりません。しかもそれがきわめて大量であるだけに、
供給
の安定とその
価格
の安定が絶対に必要な
条件
となります。
供給
の八〇%も九〇%も遠い
海外
の
供給先
から安定的に
供給
される
保証
がどうして得られるのでありましょうか。
EEC
でも、
エネルギー需要
の
増大
とともに
海外依存率
は上昇します。一九七〇年で総
エネルギー供給
の四七ないし六一%、かなり大きな幅がここにあるようでありますが、もし
石炭
に対する保護を加えますならば、
依存率
は四七%にとどまるわけですが、もし加えないときには六一%にのぼるという意味であります。一九七五年にはそれが五一ないし六四%になるといわれております。 昨年の夏、私は、
ヨーロッパ
の
EEC
の
CECA——鉄石炭共同体本部
に参りました。
日本
の四十三年度の
海外依存率
四一・七%を示したのでありますが、彼らはこの数字を見まして、「おお、
テリブル
」という
ことば
を発しました。
ラピー報告
では、「
共同体
の
需要
を充足する上での
輸入依存率
は、現在の約三分の一が、来たる十年間には
増大
して五〇%をこえるだろう。この
海外依存
による
供給
に加えて、主として
供給
の量的な面で、そして何よりも
価格
の面で、またしばしば両者の面で生ずるもろもろの危険がある。
経済
を営む上での
エネルギー
の
重要性
は、これらの各種の好ましくない影響を減殺するために
幾つ
かの
方策
をとらなければならないほど大きいのである。」こう述べまして、
エネルギー供給
の
安定性
の
強化
の諸
手段
を説いております。いまその
安定化
の諸
手段
の
内容
を
説明
することは省略いたしますが、その中には、
域内
の
エネルギー供給力
の
増強
という問題もあります。貯備、ストックの問題もあります。それから、
海外
からの
エネルギー供給先
の
分散化
という問題もあります。その中の
域内供給力
の
増強
の
一つ
として、
原子力発電
が掲げられておるのであります。
日本
が当面する、そしてますます深刻化する問題の第一は、いま申し上げた点でありますが、第二の点は、その
エネルギー供給先
の
分散化
の問題を関連いたします。
日本
の
エネルギー
の
供給先
が、特に先ほども申しましたように、その
エネルギー供給
の中におきましては
石油
のウェートがますます高まってまいりますだけに、その
石油
の
供給先
が問題でありますが、その
石油
の
供給先
が
中東
にますます
集中
するという傾向が現在も強くあらわれております。今日におきましては、
中東
への
石油
の
供給先
の
集中
は、三十九年度におきまして八七%にのぼっております。いま申しましたように、
供給
の
安全性
のための
一つ
の有力な
方策
として、
供給先
の
分散
ということがいわれておりますが、一九六一年
ヨーロッパ
を訪問いたしました際には、
EEC
の
石油
の
供給先
の八五%が
中東
に
集中
しておりました。そのことが
EEC
をしてその当時ひどく神経質ならしめていたのであります。昨年同様に
EEC
を訪問いたしましたときには、この
集中度
が七〇%台に低下しておりました。
CECA
の
鉄石炭共同体
の
高官
の言い方をいたしますと、「
中東
の
石油
は一番安心できない
石油
である。」それへの
集中度
がかなり低下してきましたことで、彼らは愁眉を開いた気持ちのようでありました。これはサハラの
石油
、リビアの
石油
、ナイジェリアの
石油
が
開発
され、
ヨーロッパ
に流れ込んでくるようになったからであります。
日本
の場合にはそのように
原油
の
供給先
を
分散
せしめ縛る
可能性
はいまのところほとんど考えられないということであります。 第三に、
EEC
には、まだ何と申しましても
ルール炭田
を
中心
とした
優良炭田
があります。イタリーと
フランス
には
天然ガス
があります。最近にはオランダに膨大な
天然ガス田
が発見され、さらに北海の海底にあると予測される
天然ガス
または
石油
が有望であるとされて、大
規模
な
探査
が進められております。昨年
EEC
を訪問いたしました際、
EEC
の人々が
ヨーロッパ
の
内陸運河網
の開通について語るとき、
パイプライン網
の
建設計画
について語るとき、
ヨーロッパ
の玄関としての
ユーロポート
の
意義
を説くとき、ユーラトムの活動について語るとき、
共同体
の
エネルギー政策
について
フランス商工省
が語るとき、
共同体
三
機関
の行動について
CECA
の
高官
が語るとき、私は、
EEC
に
エネルギー供給
について地域的な
集団保障
の考え方が生まれつつあるという印象を強く受けたのであります。 振り返って、
わが国
の
供給保証
を考えますとき、
日本
の
孤立無援
の姿を思い浮かべ、まことに
寂蓼
の感を抱かざるを得なかったのであります。 第四といたしまして、
日本
の
エネルギー
の
供給
の圧倒的な部分が
石油
によって占められることになりますが、それを
供給
する
日本
の
石油産業
のあり方がきわめて無秩序であって、目をおおいたくなるほどに
自主性
の喪失に向かって突進しておる現状であります。詳しくは申しませんが、このような
事態
に立ち至ったにつきましては、責めらるべきは
石油会社
ではなく、国に
石油政策
がなかったことであります。 しかし、それはとにかく、今日では、
日本
の
石油精製業
は
日本
における大
産業
でありますが、しかし、少々ひどい
ことば
で申しますれば、その
日本
の
石油会社
は今日では
国際石油会社
のセールスマン化しつつあるといえるのであります。なるほど
石油会社
は
原油
を
輸入
し、それを精製し販売しておりますが、
精製設備
に必要な
設備資金
の三分の一ないし四〇%近くを
外国石油会社
から借り入れざるを得ない
状態
にあります。それは
外国金融機関
から借りるよりもなお有利な
条件
であります。その上、
原油
の
輸入
に対しましては
長期
の
輸入ユーザンス
が与えられるのであります。そういう融資を与え、
石油会社
といたしましては、今日すべての
国際石油会社
が顔を出しております。
国際石油会社
は、もうかる
原油
の売り込みを確保するために
設備資金
を貸し付け、
輸入ユーザンス
を与え、そして
日本
の
成長市場
におけるシェアを拡大しようとしておりますが、
日本
の
石油会社
は、もうからない
精製販売
のために狂奔することによって今日
巨大企業
となりつつあります。
ラピー報告
では、「
ヨーロッパ共同体
の
石油政策
の目標の
一つ
は、
供給
の
保証
を
強化
するとともに、
石油価格
の不当な値上がりを防ぐことを可能にするオーガニゼーションを決定し運営することでなくてはならぬ。」と申しております。
日本
では
石油政策
が存しない点が痛感されてまいりましたが、
自主性
を喪失した大
産業
、
民族系会社
といわれた
企業
までが
外国石油会社
の金縛りになった今日、この
産業
に
自主性
を回復し、秩序を打ち立てることが可能でありましょうか。この道がいよいよけわしいことを思わざるを得ないのであります。 国の立場から考えますとき、
エネルギー
は安ければよいというものではありません。むろん安いことが重要な因子でありますが、それとともに、その
供給
が安定的でなければなりません。安くて、そして体制の立て方によっては
供給
の安定する安定的な
エネルギー
、特に
電力部門
において
石油
にとってかわり得る新しい
エネルギー
、それが
原子力発電
であります。
わが国
の
エネルギー需要
の
増大
とともに
エネルギー
問題がいよいよ深刻化することはわかっておりましても、それを緩和するための
方策
の
実現
ということになると手も足も出ない、せっぱ詰まった
状態
に置かれつつあった
日本
にとりまして、
原子力発電
の
実現
はまさしく
天恵
であるといえると考えられます。
日本
に
原子力平和利用
が進められましてから十年になります。その間、各方面に
研究施設
はほぼ整ってまいりました。
材料試験炉
、再
処理施設
の
建設
もすでに決定しております。
研究開発
の
設備
はひとわたり整いましたし、また今後数年ならずして全部が整うことになるでありましょう。他方、その間に
天然ウランガス冷却炉
にいたしましても、
濃縮ウラン軽水炉
にいたしましても、
既開発
の
動力炉等
につきましては、
技術的進歩
と経験を積み重ねることによりまして、その
経済性
もいよいよ明確になってまいりました。大
容量
の
発電
をいたしますれば、
新鋭火力
との競争も十分に可能な段階に到達いたしました。 このような情勢のもとに、
わが国
の
電力会社
も
プルーブンタイプ炉
を導入
建設
する
計画
を立てております。一、二年のうちにはその
建設
が開始されることとなりましょう。いよいよ
わが国
に実用的な
原子力発電
の開始の時期がこようとしておるのであります。いまわれわれは新たな
事態
へのスタートに立っているということがいえます。 このときにおきまして、
わが国
の
原子力発電
を
総合エネルギー政策
の観点からどのように
開発
、推進するか、いまこそ国の
基本方針
して進むべき方向を打ち出すべきときであると考えられます。 従来
原子力委員会
は、しばしば
原子力政策
として一貫した
政策
を持たないという批判を受けました。しかし、
原子力委員会
が出発した当時は、何と申しましても
原子力
の
軍事利用
が圧倒的な力を持っておった
時代
であります。
平和利用
はそのために大きな制約を受けざるを得なかったのであります。
軍事的利用
の
制肘
が弱まった後におきましても、まだアンノーンファクターが多かったのであります。一般的抽象的な
方針
を立てることはできましても、それを現実的な
方針
にまで具体化するのには、大きな冒険をおかすことなくしてはできなかったのであります。われわれは一時的なムードに乗ってかけをしようとは思わなかったのであります。 しかし、いまは事情が異なってまいります。われわれはいまいよいよ
原子力発電
の
時代
に突入をしようとしておるのであります。いまにして国の
基本方針
を
原子力委員会
が打ち出さなければ、それこそ
原子力委員会
は盲目と言われ、眠っていると言われてもしかたのないことであろうと考えられます。
プルーブンタイプ
の
原子力発電
が
新鋭火力
とコンペティティブとなりますれば、一キロワット
当たり
の
燃料費
はコンベンショナルの
火力
に対しましてほぼ半分でこと足りるのであります。イタリアの
原子力委員会
の
報告
にもその点が力説されております。
火力
も
原子力発電
もその
燃料
を同様に
海外
に仰がなければならないといたしますれば、
原子力発電
の場合は、
発電
に要する
燃料
の
海外依存度
は
火力
の場合の半分で済むことになります。そして、そのことはまた、そのために支出される外貨も半分で足りることを意味します。
電力需要
の
伸び
が特に大きいことを考えますれば、この点だけでも、
日本
の
エネルギー政策
の上で
原子力発電
がいかに
わが国
にとりまして特別の
重要性
を持っているかがわかります。 しかし、さらに
使用済み燃料
を
国内
で再処理して
プルトニウム
と
減損ウラン
を抽出し、それを
燃料
に成型加工いたしまして再び
国内
の
動力炉
に利用し得る
技術
を
開発
することができますれば、この
燃料
のリサイクリングによって
原子力発電用
の
燃料
の
輸入
をさらに約半分に減らすことができます。つまり一キロワット
当たり
の
燃料
の
海外依存度
は
石油
の場合に比べて約四分の一でこと足りるのであります。 もっとも、これがためには、
プルトニウム
をブレンドして
燃料要素
を成型加工する
技術
を
開発
しなければならないのでありますし、また
減損ウラン
を
燃料
とする
軍水炉
を
開発
したりする
開発研究
を強力に進めなければなりません。さらに、場合によりましては、
プルトニウム燃料
を
国内
の
動力炉
で使用する
体系
、
軽水炉
よりも
発電費
がいまのところ少々
割り高
になる
重水炉
を
原子力発電系統
の中に組み入れる
体系
を整えなければなりません。それは
核燃料リサイクル
の
自主的体系
の
確立
といえるかとも考えられます。
アメリカ
におきまして、いまのところはまだ確定的とはいえないにいたしましても、
核燃料
の
民有化
とともに大いにあり得ることと考えられまする
GE
並びにウエスチングハウスのシングル・パッケージ・フューエル・サービス・システムが
実現
されますならば、
わが国
の
電力会社
の導入する
動力炉
がさしあたっては軽水型であることを考えますと、
わが国
の
燃料
の
リサイクル
が
国内
の
リサイクル
でなく、
アメリカ
を
中心
とした
リサイクル
に組み込まれるおそれが大きいだけに、一そう
国内
の
燃料
の
リサイクル
の
自主的体系
の
確立
が要求されるのであります。そうでなければ、
わが国
の
燃料政策
の将来をになうべき
原子力発電事業
が、現在の
石油産業
と類似の運命をたどることになるであろうと考えられます。
動力炉
の本命は、
ファストブリーダー
であるということは言うまでもないところでありますが、
ファストブリーダー
の
実用化
の時期は、まだだれにもはっきり断言できないと考えられます。今日では
実用化
される
ファストブリーダー
はますます大
容量
のものが考えられ百万キロワットの
規模
が想定されておりますが、大
容量
になればそれがまた新しい多くの問題を提起することになり、
研究開発
の分野が広がり、新たな
研究
が始められなければならなくなります。
シーボルグ委員長
が一九六二年十一月に提出いたしました
大統領
への
報告書
以来の
発言
をたどってまいりますと、
ファストブリーダー
の
実用化
の時期はだんだんおくれているように感じられます。今日では、早くて一九八〇年末と予想されております。
大統領
への
報告書
では、「幸運に恵まれ、適切な
努力
が払われれば、実用的で
経済性
のある
実用規模
の
増殖炉
が一九七〇年代の終わり、あるいは一九八〇年代の初めまでに
実現
されるであろう。」と書いてありました。そこには「幸運に恵まれ」という
ことば
があったにいたしましても、今日ではそれはすでに十年もおくれることになっております。 それで、
ファストブリーダー
、
高速増殖炉
の
実用化
の
時代
がくることは十分信じられますが、その時期がおくれることによって、ここに
一つ
の新たな問題が起こってまいります。
ファストブリーダー
が
実用化
されるまで
原子力発電
が
軽水炉
で行なわれ、
石油火力
と競争して大きく伸長することになりますれば、低
コスト
の
ウラン
が枯渇する心配が出てきたのであります。
アメリカ
の
原子力委員会
の
濃縮ウラン
の
価格
は、U8O8ポンド
当たり
八ドルを
土台
としております。そしてその
濃縮ウラン
の
価格
を
土台
として
動力炉
の
燃料費
が計算されておるのでありますが、
ポンド当り
十ドルといたしましても、
確認埋蔵量
は今日五十万トン足らずであります。むろん
探査
が進めばもっと
埋蔵量
がふえてくることはわかりますが、
プルーブンタイプ
の炉は中性子の
利用効率
がきわめて悪いので、
埋蔵量
が二倍になったといたしましても、低
コストウラン
の
供給
は不足することが必至といわれております。
シーボルグ委員長
は、一九六四年、昨年の十二月一日の
アメリカ原子力産業フォーラム
のパネルにおきまして、「来たる十年間における
原子力
」と題する講演を行なったのでありますが、その中で、「われわれのナショナル・プログラムは、
長期
の
需要
に十分な時期に、そして
規模
で
ハイ・ゲイン・ブリーダー
が
開発
され、
実用化
にもたらされるという仮定には全く基づいてはならない。われわれは、将来の
ハイ・ゲイン・ブリーダー
の
開発
のために必要な時間をかせぐために、
——
簡単に言えば、将来の
ファストブリーダー
の
開発
に必要な時間をかせぐために、
ニヤー・ブリーダー
と、もっと
増殖
の低い炉、
ロー・ゲイン・ブリーダー
の、もっとシンプルでもっと
開発
の容易な
技術
に合理的な力点を置かなければならない。」というふうに申しております。つまり
ファストブリーダー
の
実現
する前に、そこに一方は
軽水炉発電
がますます
増大
をしてくる。そうしますと、
ローコスト
のウラニウムの
供給度
との間に不一致が生ずる、不足が生ずる。そこの時間的なギャップを埋めるために必要なものとして、この
ニヤー・ブリーダー
または
ロー・ゲイン・ブリーダー
という
中間炉
と申しますか、アドバンストコンバーターを
開発
しなければならない、こういうことを力説しておるのであります。
わが国
では、まだ自主的に
ファストブリーダー
の
実用化
の時期を断定し得るだけの
研究
もなければ、力もないと考えられます。といたしますれば、
アメリカ
の
責任者
の
発言
を私は重く考えたいと存ずるのであります。 この
発言
を重く見るのは、単に私ばかりではありません。イギリスの
石炭庁
の
経済顧問エルンスト・シューマッハー
は、すでにこの点を指摘いたしまして、
ファストブリーダー
の
実用化
までの時間的ギャップを埋める
燃料
として
石炭
の再登場の
可能性
を論じております。そして、「今日
石炭
の全面的な退却は、二十年後に悔いを残すおそれがある。」こういうふうに力説しております。そのことをここに想起してもらいたいと私は考えます。 そして、
シーボルグ委員長
は、「
アメリカ
では、一九六四年に三つのアドバンストコンバーター、それは高温ガス冷却炉、重水減速有機材冷却炉、シードブランケット、この三つのタイプに大きな力点を置き始めた」と述べております。 このような世界の
長期
展望のもとに、
わが国
も、
核燃料
問題と関連せしめまして、今後の
動力炉
の
開発
をいかにすべきか、その
基本方針
を立てなければなりません。そうでなくては
原子力発電
の実用
時代
を自主的に迎えることはできないであろうと考えられます。 で、
原子力委員会
は、昨年の十月
動力炉
開発
懇談会を設置いたしまして、この問題の検討をすでに開始しております。まだ結論が出るところまでは至っておりませんが、大体煮詰まってきました点は、
プルーブンタイプ
の
動力炉
は導入をする、そしてその国産化をはかるということ、この点は懇談会の
意見
はいまほとんど全く一致いたしておる点であります。それから、 アドバンストコンバーターにつきましては、このアドバンストコンバーターをプロジェクトとして
研究開発
せよ。むろんそれとあわせて
ファストブリーダー
の
研究
を進めることという
意見
と、もう
一つ
は、
ファストブリーダー
専一に、一本やりに限りある資金とマンパワーを投入すべきである、こういう
意見
と相対立していると申しましょうか、この二つの有力な
意見
がいま互いに論議を戦わしている最中であります。そのいずれをとるべきかはむろん結論が出てまいりませんが、きょうは私個人の資格でお話し申しておりますので、私個人の考えから申しますならば、前に述べましたような
エネルギー政策
の観点を重視する見地から申しまして、アドバンストコンバーターの
一つ
のタイプを定めて、これを国のプロジェクトとして
開発
すべきであるという考えに強く引かれておるのであります。いずれにいたしましても、
原子力委員会
では近く
海外
調査団を派遣いたしまして、先進国における
ファストブリーダー
の
開発
状況であるとか、アドバンストコンバーターに対する考え方であるとか、核
燃料政策
の問題であるとか、
ファストブリーダー
にしろ、アドバンストコンバーターにしろ、その
開発
に国際協力の必要が考えられますので、その国際協力の
可能性
や
条件
等について調査をしてもらうつもりでおります。その上で、核
燃料政策
との関連におきまして、
動力炉
開発
の
基本方針
を打ち出す予定になっております。その
基本方針
が
委員会
で作成されますならば、私はそれを国のプロジェクトとして決定してもらいたいと考えております。
わが国
の
総合エネルギー政策
の親柱となるべき
原子力発電
体系
の
確立
のための
動力炉
の
研究開発
は、国の大きな仕事であるとともに、
研究
所をはじめ、大学や民間の科学者、
技術
者の意欲ある
努力
を結集しなければ達成できないと考えられます。それほどの困難な、しかし国として重要な仕事であると考えられます。
研究開発
資金とマンパワーをこれに傾注しなければならないのであります。私的なばらばらの科学ではなく、また
産業
の科学でもなく、国の仕事をなし遂げる国の科学が結集されねばならぬと考えます。それにはまず
原子力発電
自体に臨む
基本方針
が、国のプログラムであり国の仕事として決定されねばならぬと考えるからであります。 以上、
総合エネルギー政策
における
原子力発電
の役割りにつきまして、私個人の考えるところを申し上げました。 なお、四十年度の
原子力事業
の
基本計画
におきましては、もうすでにいままで申し上げました点にも明らかにされておりますように、今年度から
核燃料
の
自主的体系
の問題、来たるべき将来をになう
動力炉
の
開発
、どういう炉を
開発
していくか、そういう基本的な方向を本年度には定めたい、そういうことを
中心
として事業
計画
が打ち立てられております。むろんそれがためには、たとえば再
処理施設
の詳細設計を行なわなければならないとか、いろいろ事業的にはありますが、考え方の骨子はそういう点にあることをこの際重ねて最後に申し上げまして、私の陳述を終わらせていただきます。
岡良一
3
○岡
委員長
以上、
有澤原子力委員
から若き日の有澤教授をしのぶような適切な御
説明
を承りまして、
委員会
を代表して厚く御礼を申し上げます。
——
——
◇—
——
——
岡良一
4
○岡
委員長
なお、次に、
参考人出頭要求
に関する件についておはかりいたします。
原子力発電
開発
利用に関する問題調査のため、
産業計画会議
委員
堀
義路
君、
日本原子力
産
業会議委員
山崎久一君、
日本原子力
産
業会議委員
前田
七之進君、
東京大学教
授向坊隆君、
日本原子力研
究所
副
理事長
森田乕男君を参考人として
意見
を聴取したいと思いますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
岡良一
5
○岡
委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
——
——
◇—
——
——
岡良一
6
○岡
委員長
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。どうかそれぞれの立場において忌憚のない御
意見
をお述べくださるようお願い申します。 なお、時間の都合もございますので、はなはだかってでございますが、参考人の御
意見
の開陳はお一人約十五分程度とし、後刻
委員
からの質疑の際じゅうぶんお答えくださるようお願い申し上げます。 それでは、堀参考人からお願いいたします。
堀義路
7
○堀参考人 私は、
産業計画会議
の専任
委員
をやっておる堀
義路
と申します。 お手元に、私どものほうの
会議
で本年二月十日第十四次レコメンデーションとして、「
原子力発電
政策
の
確立
を要望する」というのを差し上げておりますが、このことについて御
説明
申し上げたいと思います。 おそらく本日お呼び出しにあずかったのは、この問題について
説明
せよということであろうと思いますけれども、これについてきわめて簡単に御
説明
申し上げたいと思います。 まず、私どもは現状の認識として、従来
研究開発
の段階にとどまっていた
原子力発電
が、最近急速にその
経済性
を高め、世界的に
実用化
の段階に移ってきたという認識をいたしております。これは特に最近
アメリカ
で
開発
されました
軽水炉
の
発電
コスト
が、従来の
石炭
、
石油
による
火力
発電
コスト
を下回ることが明らかになったということに非常な重点を置いて考えております。 それで、こういうことを反映いたしまして、
わが国
においても、
軽水炉
を
中心
とした
原子力発電
がここ数年のうちに実用的な
発電
の一端をになうということは、もう明らかな見通しだと思います。それから、さらに
長期
的には、
原子力
が
発電
エネルギー
の根幹となるということが、これも間違いのない事実だとわれわれは認識していいと思うのであります。 それで、こういう立場に立ちまして、それではこういうふうな
原子力
の
開発
が進んでおるときに、各国はどういうふうな
研究開発
を進めておるかということを申しますと、各国は、非常に
長期
的な観点から、将来の時期をねらった原子炉の
研究開発
をまた着実に進めておるのであります。
わが国
におきましては、御承知の
原子力
研究
所における
研究
炉や、
原子力発電
会社の東海炉の
建設
というものをやっておりますが、その間に各国は
軽水炉
などの実証炉、それからその次の時期に有望である炉型、あるいはさらに将来の本命であるところの
増殖炉
の
開発
を進め、着々と成果をあげておるのであります。 御承知のとおり、原子炉の
開発
には多額の
研究
費と多くの専門分野にわたる多数の
研究
員を必要とします。それで各国とも、いずれも
わが国
の数倍ないし十数倍に及んでいる
研究開発
費を使っております。それからまた、一国では経費及び人員のすべてをまかなうことが不可能なため、
長期
的なプロジェクトとして国際協力による
研究
も盛んに進んでおるのであります。 しからば、この際
わが国
はどういうふうにしたらいいかといいますと、
わが国
もまた
原子力発電
政策
を
確立
しなければならないと思います。 それで、各国ともいま申しましたように、
原子力
に関しては確固たる基本
政策
を持ち、その
政策
に従って行動しております。しかし、
わが国
では、従来
原子力
について、はっきりした
方針
があったとはどうも思えないのでありまして、
原子力委員会
もそのときどきの情勢に押されて、むしろ混迷
状態
を続けてきたということもいえると思うのであります。たとえば、過去の東海炉の導入のときにおけるいきさつというようなことを考えてみても、その点がわかると思うのであります。そのほか、
国内
産業
の基盤
強化
、あるいは実用炉の導入のための環境整備もまたおくれておると思うのであります。 それからまた、
研究開発
については、
原子力
研究
所に年間五十、六十億円の費用が費やされております。そして次々に
研究
炉が
建設
されております。しかし、目的意識なり
動力炉
開発
ということについては、はっきりしたものがどうもないように思うのであります。 また、国際協力についても同様でありまして、そのときどきの情勢や相手の呼びかけで協力を行なってきたということはありますが、具体的の共同プロジェクトというものは、まだはっきりしたものはないと思い一まず。 こういうふうな
状態
でありますからして、これを私どもといたしましては、どうしてこの
状態
から脱出するかというのには、それにはどうしても
原子力委員会
が非常に強力に活動してもらわなければならないと思うのであります。それで、
産業計画会議
といたしましては、まず第一に
原子力委員会
の
強化
を要望しておるわけであります。 申すまでもなく、
原子力
は単なる
科学技術
だけの問題ではなくて、
経済
政策
としても、あるいは
総合エネルギー政策
の将来の
中心
であります。さらに、
原子力
の
平和利用
の問題、国際性、安全問題などを考え合わせてみますと、これはまた一台だけではなく、各省にまたがる大きな国家的の問題であると思うのであります。
原子力委員会
は、その設置法を見ましても、大体こういうような国家的問題に対する
政策
の策定を十分行ない得るような権限と責任を持っておるように見受けられるのであります。しかし、現在までの実情を見ますと、どうも
科学技術
庁の一局に付属するような運営であるように思われるのであります。このことがやはりいまの
原子力委員会
がその力を発揮できなかった
一つ
の根源ではないかと思うのであります。それですからして、少なくとも
原子力
委員
の方々が、自分の発想により、そうして自分の思うことに使える、自分のラインになるところの事務局、それは十分
原子力
に対する検討をなし得るような事務局を持って、そうして国家的見地から
原子力政策
を策定して、その
政策
は閣議決定として推進されるというようなことが望ましいのであります。また、この場合、
原子力
委員長
は、ただいままでは閣僚の兼任の形でありましたが、これもそうではなくして、専任の
原子力
委員長
を置く、そうして内閣がかわっても
原子力
委員長
はかわらない、そうして国民がその
原子力
委員長
のもとにおける
原子力
委員
の言うことに万般の信頼を置けるようにしたらいいと思うのであります。後に申しますように、
原子力
は安全
保証
というような問題でいろいろ問題がありますが、そういうときに
原子力委員会
に権威を持たせ、そうしてみな国民が信頼し得るようにしたらいいと思うのであります。そういう意味において、
原子力委員会
の
強化
を私どもは要望している次第でございます。 それから、次に私どもがここに言うておりますのは、しからばそういうふうな
原子力委員会
ができた場合に、いまわれわれとしてどういうことを望むかということの要望を書いておるのであります。したがって、これから以後のことにつきましては、
原子力委員会
がこれをきめていただくことでありますが、その点についてわれわれはこうことを要望するということを申しておるのであります。 第一は、実用炉の導入のための
方策
であります。それで、
実用化
の段階に入ってまいりました今日、実用炉の導入ということは、その炉の
経済性
によってまず決定すべきものと思います。この実用炉の導入というものは、したがって、民間の自主的な判断と責任で行なう。そして、政府がやることはどういうことかと申しますと、それを算入するための環境と
条件
の整備に重点を置くことが望まれるのであります。 そのために、まず第一に、
燃料政策
についてわれわれは次のように要望いたします。 当面
わが国
に導入を予想されるのは
軽水炉
でありますが、これは
燃料
として低
濃縮ウラン
を使用しております。ただいまのところ、低
濃縮ウラン
は
アメリカ
が唯一の
供給
者であります。ですから、天然
ウラン
との比較において、低
濃縮ウラン
を
燃料
とするというと、その
供給
の
安定性
の点から危惧する面もあります。しかし、私どもの見解といたしましては、低
濃縮ウラン
の現在の
アメリカ
のAECの払い下げ
価格
というのはほぼ
経済
ベースであると思います。そうしてまた、低
濃縮ウラン
のいわゆる
ウラン
の濃縮ということは、
アメリカ
にたよらずして私どもはできると思います。この場合に相当の
電力
量を必要といたしますが、その
電力
費が高いということがいままで問題にされておりましたけれども、しかし、この低
濃縮ウラン
を使った原子炉からできてきた
電力
のキロワットアワーの値段が安いからして、したがって、その
電力
費の安い高いということは、原子炉を使う限りにおいては問題はないということでありまして、したがって、低
濃縮ウラン
も
わが国
でもってくるようになることができると思うのであります。したがって、天然
ウラン
、低
濃縮ウラン
に対する前の危惧はさほど心配することはないというふうに私どもは存じております。 また、
アメリカ
では、一九七三年に
核燃料
を完全に
民有化
するという法案が昨年通っております。それに伴いまして、
アメリカ
の大メーカーは、総合
核燃料
供給
会社を設立するというような気配が見えておりますが、
わが国
におきましても、将来の
燃料
供給
の姿としては、やはり民有ということを根本に考えるべきだと私どもは思っております。それで、こういうふうな
核燃料
を民有し、そうして
わが国
にも民間による総合
核燃料
供給
会社ができるべきものと思うのでありますし、このために政府は、
わが国
でも、
原子力
研究
所及び原子
燃料
公社を
中心
として、ただいま申しました
ウラン
の濃縮、
燃料
の成型加工及び照射試験、
プルトニウム燃料
の利用、再処理などの
研究開発
を推進する必要があると思うのであります。 それから次に、
国内
の
原子力
産業
の基盤の
強化
の問題であります。
国内
の
原子力
産業
の基盤の
強化
のためには、実用炉の
技術
の
確立
と
企業
の育成
強化
をはかるべきだと思います。しかし、実用炉の
中心
となる
軽水炉
は
アメリカ
において
開発
され、商業的に
確立
されてきておるのでありますから、当然当面はこの実用炉の
技術
も、民間ベースで
技術
協力して向こうから導入されると思います。したがって、ここで必要なことは、政府といたしましては、
日本
の地域的
条件
にこの
原子力発電
を適応させるための新しい
技術
及び初期の不確定要素による
経済
的危険負担に限定して、すなわちファスト・オブ・ザ・カインズに限定して
国内
産業
に対する援助を行なうべきであると存じます。しかし、この援助はあくまで初期に限るものにいたしまして、その後は民間の責任において
原子力発電
を進めていくべきだと思います。 次に、
安全性
に対する
研究
と施策の問題でありますが、この問題につきましては、
わが国
の環境においての
安全性
の基準を明確にする必要があると思います。そのためには、
原子力
研究
所を
中心
といたしまして、
安全性
に対する工学的
研究
を本格的に行なう必要があると思います。 それからまた、この
安全性
研究
は国際協力のもとに進めることが望ましいのでありまして、その際、
わが国
の特殊事情といたしまして、地震であるとか、
わが国
の特殊の気象
条件
であるとか、人口過密等を重要な課題として織り込むべきだと思います。 なお、
原子力発電
をいたしますためには、以上のほかに、廃棄物の処理と永久廃棄の問題があります。その方法につきましては、大
規模
な海洋調査、それから、これに基づく永久廃棄の方法を
研究
確立
する必要があると思うのであります。 一方、安全審査のより能率的な運営をはかるため、
原子力
規制法等の関連法規の改正をはかることが望ましいと思います。 さらに、国民に
原子力
の
安全性
を認識させるためのキャンペーンを学界、民間その他すべての協力によって積極的に推進する必要があると思います。 以上がこの原子炉の導入に関しての私どもの要望でございます。 それから、
研究開発
に関しましては、
原子力発電
が将来の
発電
エネルギー
の
中心
となって、そうしてこの
技術
開発
の進展は国民
経済
全体に重要な影響を持つことは明らかであります。このような観点から、各国とも
原子力
開発
には多額の国費を投入いたしております。
わが国
も、今後十年間に少なくとも約五千億円程度の国家の
研究開発
費を投入する必要があると思います。これは私どもの推定によりますと、ほぼ現在の西独並みの水準であります。
研究開発
に関しましては、
長期
的に明確な目標を立てまして、第一に
開発
プロジェクトと、それから第二に基礎及び応用
研究
、この二つを分けて推進すべきであると思います。 しかも、
開発
は、国際協力の形で
わが国
がその一部を分担するというのでなくては、とてもこの激しい国際競争に耐え得ないと思うのであります。 それで、この
開発
計画
のうちの大切な
動力炉
開発
計画
について申し上げます。
動力炉
開発
については、もうすでにプルーブンな実証炉の改良ということもございますが、今後プロジェクトとして
研究開発
を進めていくべきものは、さらにそれから進みました高級熱中性子炉と、それから高速炉が考えられます。いずれにしましても、最終目標は
増殖炉
開発
ということであると思うのであります。 このためには、動力
開発
のプロジェクトの遂行を目的といたします
開発
機構を、私どもは、ただいまの
原子力
研究
所とは別に新たに設立してはいかがかと思うのであります。 そしてこの場合、この成果が円滑に民間
産業
に移り得るように、国家資金と民間資金との共同によって強力に
開発
を推進する必要があると思います。 そして、これらの
開発
のためには最低十年程度を必要といたしますので、その
開発
にすぐに取りかかるのではなく、まず十分な準備期間と相当の費用をかけて、必要な
研究
と調査を行ないまして、そしてどういう種類の炉を
開発
するか、あるいはそれを
幾つ
開発
するか、その選択を十分な
研究
、調査の上で行なって、そして総合的な
開発
計画
を立案して、その後に実際の
研究
に取りかかる、プロジェクトに取りかかるというようにして、これには万全の準備が必要であると思います。 それから、ただいま私どもが非常にふしぎに思っておりますことは、この
原子力
開発
という問題につきまして、大学と、それから
原子力
研究
所なりあるいは一般の
原子力
開発
との間に、どうも両方共同してやっておるという形が薄れておるように見えるのです。これは、
原子力委員会
は、国家的見地から、大学における基礎
研究
も
原子力
開発
の一環として組み入れて、必要な予算的措置を講ずるようにしたらいいかと思うのであります。 それから次に、国際協力の問題であります。
原子力
開発
には、国際協力が不可決であります。ですから、
わが国
におきましても、
開発
プロジェクトの実施にあたりましては、双方の利害の一致する相手国を見出して、これとの協力をはかることが必要であると思います。すなわち、そういう場合には、相手国の
技術
を算入し、同時に
わが国
の
技術
も出す、対等な立場に立つというような双務的な協定をやるわけであります。したがって、それには
研究
分担金を両方で出す。
研究
分担金として支出をします。それから、その
研究
の場所が外国の
研究
の場所であるときには、
研究
チームを
長期
に
海外
に派遣することもある。それから、外国
研究
者を
わが国
のプロジェクトに受け入れる。それから、特許その他の成果の分配というような具体的な取りきめを行なってやる必要があると思います。 これらが私どもの要望でありまして、以上私ども、
原子力発電
に関しましては、
アメリカ
において
開発
されつつありました
軽水炉
がすでに
実用化
の段階に入ったことを認識し、したがって、実用炉としての
軽水炉
の導入と、さらに進んで
増殖炉
の
開発
という二つの課題に対して、いまこそ
わが国
も国家的な観点に立った
原子力発電
政策
を
確立
し、将来への明確な方向づけを行なうべきときであると考えます。 そのためには、まず第一に、
原子力委員会
は、内閣に直属する権威ある
機関
として、
長期
的観点からする
政策
策定の機能を十分に果たすべきであると思います。 その際、われわれは、
原子力発電
政策
に関して、以下の諸点を緊急なものとして要望いたします。 第一が、実用炉の導入は、民間ベースにおいて大胆に行なうべきである。なお、将来の
燃料
供給
は、
わが国
も民間の総合
核燃料
供給
会社によって行なわれることが望ましい。 第二に、
研究開発
に関しては、
開発
プロジェクトと基礎、応用
研究
を分離し、前者は新たに
動力炉
開発
機構を設立し、後者は
原子力
研究
所及び大学において、それぞれ緊密な国際協力のもとに推進すべきである。 第三は、政府は、実用炉の導入においては、おもに環境と
条件
の整備に重点を置き、また
研究開発
においては、
研究開発
費を今後十年間に約五千億円程度に増額すべきである。 以上が私どもの主張でございます。 この主張に対しまして、お手元に「
原子力発電
政策
の
確立
を要望する」というのがありますが、これがこの主張の裏づけの資料であります。これをごらんくださいますと、私どもがどうしてそういうことを主張するかということがおわかりかと思います。 以上で私の
意見
を終わります。
岡良一
8
○岡
委員長
次に、山崎久一参考人にお願いいたします。
山崎久一
9
○山崎参考人 山崎でございます。 私は、
原子力発電
に対しまして、電気事業の立場から、その考え方につきまして申し述べたいと思います。 まず、現在の
わが国
の
電力需要
の
増加
の模様につきましては、先ほど有澤先生からお話もございましたとおり、欧米におきます工要諸国のその
増加
模様に対しまして、
わが国
の
増加率
は非常に布くございまして、今後十年間の見通しを考えましても、
年率
九ないし一0%程度の
増加
を示すものと想定されておるのでございます。 この
需要
に対しまして、電気事業者といたしましては、年々
規模
といたしまして全
国内
で約三百万ないし四百万キロワットの電源
開発
を行なうことにいたしておるのでございます。電気事業本来の使命といたしましては、これら
増加
いたします
需要
に対しまして、必要な電源
開発
を行なうことと、これに附帯いたします送電線、変電所、その他の施設を
建設
いたしまして、安定した
供給
を続けるということと同時に、電気料金を
長期
的に安定せしめる、こういう二本の柱を目標といたしまして運営をいたしておるのでございます。 この
供給
の安定というためには、その量の確保ということはもちろんでございますが、同時に、その質的の吟味が必要でございます。たとえば
エネルギー源
の多様化とか、あるいは
開発
する電源の性能の適応性というような問題を考える必要がございます。 また、料金の
長期
安定のためには、新しく
開発
される電源の原価が低廉なものでなければならないのは当然でございます。したがいまして、新たに電源を
開発
するにあたりましては、その
経済性
につきまして十分の検討をいたしてまいっておる次第でございます。 その電源といたしましての第一の段階におきましては、水力を主体といたしておりまして、そうして、
火力
は水力の足らない時期を補う、いわゆる補給用といたしましてやっておりましたのが第一段階でございました。それがこの後に、第二段階といたしましては、
火力
に主体が移りまして、そうして水力はピーク用に用いるというような形で推進をいたしております。しかもなお、その
火力
につきましては、その
燃料
といたしまして、
最初
は
石炭
がその主体でございましたが、その後漸次重油に重点が移ってまいったのでございます。これらのことは、電源
開発
の
経済性
を追及するという結果、さような形に移ってまいったのでございます。 〔
委員長
退席、原(茂)
委員長
代理着席〕 十年ほど前におきましては、
わが国
の電気事業の七〇数%が水力によってまかなわれておったのでございますが、今年度、
昭和
四十年度の
計画
を調べてみますと、その
エネルギー
の換算で申しますると、水力によるものが四〇%程度に下がっております。したがいまして、
火力
が六割を受け持つという形に相なっております。 しかも、今後の問題といたしましては、水力の
経済
的な地点がだんだんと減少いたしてまいりまして、それから、
石炭
供給
の横ばいというような状況から考えまして、この傾向はさらに顕著となると思われます。五年後におきましては、その水力の割合が現在の四〇%から三〇%程度に落ちてまいりまして、したがいまして、
火力
は七〇%ということになりますが、その中の
石炭
の占める割合が一七%、油または他の
エネルギー
によりますものが五三%というような数字も予想されるのでございます。さらに、この十年後の状況を試算いたしますと、水力と
石炭
による
国内
エネルギー
によるものが、
石炭換算
で約六千二百万トン程度になりますが、これが
電力
で扱います
エネルギー
の三分の一でございまして、これ以外の三分の二の
エネルギー
は重油または他の
エネルギー
によらなければならないというような形に相なるわけでございます。 先ほどお話しございましたように、
石油
事情につきましては、今後の膨大な
電力需要
に対しまして、
供給
面その他からのいろいろな制約も生じ得る懸念も予想されるのでございます。 これらの認識と判断に立ちまして、
電力
供給
の
安定化
の面から、すなわち
エネルギー源
の多様化というような観点も勘案し、また
長期
的に見た
経済性
も考慮いたしました結果、電気事業者は、今後の
原子力発電
に対しましてはどういうふうな考え方で進めておるかという点を、資料によりまして簡単に御
説明
を申し上げたいと存じます。 お手元に「
原子力発電
計画
(参考資料)」というのがございまして、この六枚目をお聞き願いますと、「
原子力開発利用
長期
計画
と
昭和
三十九年度
電力会社
長期
計画
との比較」というグラフが出ております。この点線でかきましたものは、
昭和
三十五年
原子力
産業
部会、三十六年
原子力委員会
におきまして決定されました
長期
計画
でございますが、
昭和
四十五年までに約百万キロを
開発
する。それからその後の十年におきましては六百万ないし七百五十万キロワットを
開発
、こういうような考え方できめられておったわけでございますが、昨年度
電力会社
が
長期
計画
といたしましてまとめました今後の
電力
の需給関係を想定いたしました中での
原子力発電
に対する部門は、その中に実線でかいてございますような形で、ちょうど、その
原子力委員会
におきましてきめられました数値の中にはぼ入っておるのでございます。 これに対しまして、具体的には、その次のページに、各
電力会社
がどのような考え方で
開発
を進めようとしておるかという点が表に載っておるわけでございます。
日本
原子力発電
会社の東海
発電
所の十万六千キロは、電気事業用といたしまして、運転開始を今秋に控えておりまして、目下その整備を急いでおるわけでございます。 なお、二号炉につきましては、福井県敦賀付近に
建設
される
計画
で、目下
建設
の準備を進めておるわけでございます。 なお、中央部三社の第一号基は、その
容量
がそれぞれ二十五万キロワットないし三十五万キロワト程度のもので、合計九十万キロワットでございますが、これは明年着工が予定されておりまして、
昭和
四十四・五年ごろの完成を目標といたしまして、現在その
計画
が進行いたしております。さらに、二年ないし三年おくれて、引き続き着工することに相なっております。 なお、この
計画
の中には北陸、中国の各社の分は
計画
にございませんが、今後の
経済性
の好転やその他諸般の情勢の進展によりましては、この期間中に
開発
計画
が具体化することも当然予想されるのでございまして、地点の調査その他の準備
計画
は進められております。 以上の
計画
につきましては、先ほど
経済性
の問題に触れたのでございますが、同じ資料の一二ページの第八図というところに「
わが国
における
火力
、
原子力発電
の
コスト
比較」というのに、
昭和
三十五年に
原子力
産業
部会から答申されました数値が出ております。これは一九七〇年ごろに
原子力
と
火力
とがその
コスト
が近接するというような
一つ
の見通しでございましたが、現在の段階におきましてこれを見ますと、これが
火力
につきましても、
原子力
につきましても、約五年間ほど前にまいりました。つまり
経済性
が
原子力
につきましても五年ほど進んでまいっておる。
火力
につきましても五年ほど進んでまいっておりまして、その相対的関係は大体このような形に相なるのでございまして、その
火力
のうち上の部分が主として
石炭
火力
、下の下がったところが重油
火力
、その間それらの新しい古いによりまして若干の違いがございます。そういうような関係でございます。 そういたしまして、これらの
原子力
の関係につきましては、その前の八ページ、九ページ、一0ページ、一一ページの四枚にわたりまして、
アメリカ
、
ヨーロッパ
におきまして発表されました
幾つ
かの
経済性
を示す資料が出ておりますが、これらによりまして、大体その
原子力
の
開発
の
経済性
につきましては、この第八図の数値よりは約五年間ほど早まって想定されるのでございます。これらの
経済性
に基づきまして各種の
開発
が進められているわけでございます。 しかしながら、この
開発
につきましては、国の総合
エネルギー
計画
の一環として樹立されることが当然でございます。しかしながら、先ほど来お話のありましたように、政府としてまだ十分な検討がなされておらないようでございます。先般総合
エネルギー
調査会というものが、政府の肝いりによりまして発足いたしまして、また、
産業
界におきましても、
原子力
産業
会議
を
中心
にいたしまして、十年後、二十年後、またはそれ以上の超
長期
的な見方における
エネルギー
の需給はどうなる、
電力
の需給はどうなるかという問題を取り上げまして、その段階におきます
原子力発電
の将来の姿はいかにあるべきものであるか、その間の道程はどういうふうにして進めていったらいいのかという問題を取り上げて検討しようといたしておるわけでございます。
原子力発電
につきましては、将来の低廉かつ安定的な
エネルギー
確保のため、国の
政策
として進めなければならないことは当然でございまして、電気事業といたしましては、積極的にこの
開発
に
努力
する考えでございます。準備段階におきましては、やはり国の強力な援助が特に必要であるのでございます。 具体的に申し述べますならば、
研究開発
段階のものにつきましては政府で、
実用化
、
企業
化というものは民間で行なうというような形を考えたいのでございます。
原子力
の
開発
推進のために、現在の段階におきまして要望いたしまする事項は、昨年二月、商業合理化審議会の
原子力
産業
部会の答申に四項目あげられております。資金問題、核
燃料政策
、それから安全
政策
、
原子力
損害補償制度というような川項目があげられて要望が出されております。 この中で、ごく概要を申し上げますと、私どもこの
意見
にほぼ賛成でございます。
燃料
関係につきましては、その後に事情が変わってまいりましたので、特にこの問題については若干述べさしていただきたいと存ずるのでございます。 現在、
わが国
におきましては、
発電
用原子炉に使用する
核燃料
物質のうち天然
ウラン
につきましては、三十六年九月の閣議了解によりまして、民間にその所有が認められております。しかしながら、
濃縮ウラン
と
プルトニウム
及び
ウラン
二三三などの特殊核物質につきましては、同年同月の
原子力委員会
決定によりまして、原則として国が所有することとなっております。この国有化
方針
は、三十三年締結されました日米
原子力
協定に基づく義務でございますことを背景といたしまして決定されたものでございます。その後事情が変わりまして、昨年八月、米国におきましては、特殊核物質の
民有化
法が成立いたしました。このことによりまして日米協定上の国有義務は消滅いたしました。だが、まだ
原子力委員会
の決定等は残っております。しかし、以上のような根本的な事情の変化、並びに国際
原子力
査察機構という体制が
確立
されまして、
わが国
は自主的に所有方式を決定し得る段階に相なっておる次第でございます。
核燃料
の所有方式は今後
原子力発電
推進の重要な問題でございますが、電気臓業者といたしましては、かねて
原子力発電
民営の原則をたてまえといたしておりますので、これに必要な
核燃料
についても民有とし、自由に購入、使用し得るようにいたすことが
経済
条件
の正常化と
技術
の進展等をはかり、ひいては
原子力発電
実用化
推進に効果的であると考えるのでございます。 なお、
核燃料
の
長期
安定
供給
につきましては、民有でございましても、
長期
購入契約を結ぶ等の方法によりまして十分可能であると考える次第でございます。
燃料
の民有と関係いたしまして、使用済み
核燃料
の再処理の問題がございます。これは世界各国の実情を見ますと、再
処理施設
というものはまだ
研究開発
の段階にあると考えられますので、この段階の施設は、先ほど申し上げましたような
研究開発
の段階のものにつきましては政府でやってほしいという、そういう態度をもちまして、こういう段階の施設は政府でもってやってもらいまして、
実用化
段階、
企業
化段階というものは民有で、民間でやるという方向をとりたいというふうに考える次第でございます。 なお、
動力炉
の
開発
方式などにつきましては、目下
動力炉
開発
懇談会を
中心
といたしまして電気事業者の
意見
も十分述べさしていただいておりますので、そのほうの
意見
につきましてはここでは省略をさしていただきたいと存じます。 以上、御清聴をありがとうございました。
原茂
10
○原(茂)
委員長
代理 次に、
前田
参考人。
前田七之進
11
○
前田
参考人 御指名のありました
前田
でございます。
原子力
産業
会議
のメンバーといたしまして、特に製造者の立場、メーカー側の立場から、今後の
日本
の
原子力発電
の、おもに国産化の問題につきましていろいろの問題がございますけれども、その問題にしぼりまして、少しわれわれの考え方をお聞きいただきたいと存じます。 先ほど来皆さまからいろいろお話がございましたのですが、
原子力
の利用が
平和利用
に限られております
日本
におきまして、特に
日本
に与えられました
燃料
事情、こういうものから考え、
わが国
に最も適合した今後の
日本
の総合
燃料
サイクルというものをいろいろな方面から、
経済性
も考え、実用炉から新型転換炉への移行を含めた、いわゆる相当期間、十年なら十年、十五年なら十五年の総合
計画
というものを国としてまず立てることは非常に必要である、こういうふうにまず冒頭に申し上げたいと思います。 現在
わが国
で考えてみまして、
技術
の面から、あるいは特に
経済性
の面から、いわゆる
プルーブンタイプ
、実用炉として使える灯は、御承知のとおりガス冷却炉と
軽水炉
、この二つと言っていいと思います。これには異論がないと思います。この点につきまして、先ほどほかの参考人から、ほとんど今後の
開発
は軽水型にしぼられるであろう、こういう御
意見
がございましたが、私はこれに対しましては少し別の考え方をいたしております。 と申しますのは、やはり
日本
の特殊の
燃料
事情からいたしまして、世界じゅうでただ一国あるいは二国、現在の情勢かいえば、米国からだけしか得られない
濃縮ウラン
を使わなければならないような
軽水炉
に
日本
の大切な
エネルギー
のソース、
発電
所の
エネルギー
をたよっていくということに非常な問題がある。炉型の選定という問題は、
技術
上の問題、
経済
上の問題もむろん重要でございますが、
燃料
の入手の
安定性
、これは入手が継続してできるということのほかに、
経済
的に相当
長期
間入手ができるということが非常に重要な問題でございます。現在
アメリカ
が安く
濃縮ウラン
を売ってやろうどいったような声明、あるいは
国内
法をうっかり信用して、今後当分は
軽水炉
でいくであろうということを考えたり、あるいは場合によっては
日本
で濃縮
設備
をつくっても引き合うのだ
——
これには
電力
の問題もございますが、非常にたくさんの資金を要するのでございまして、これらすべてはそろばんの上で決定すべき問題だと思います。 私の見解によりますれば、
日本
においては、ただ
アメリカ
だけからしか得られない
濃縮ウラン
をベースにした
軽水炉
一本で今後の大切な
日本
の
エネルギー
のソースを考えるということは、きわめて早計でありまして、この点についてはわれわれはさらに検討を要すると思います。 この問題はそれだけにいたしまして、私どもがいま考えておりますことは、メーカーといたしまして、早く
日本
でもって
日本
人の
技術
で、
日本
人の手で
原子力発電
所を国産するということが非常に重要だ。これはなぜかと申しますと、先ほどもお話がございましたが、
日本
という国は、
燃料
につきましても特殊の事情がございますが、そのほかに、地震とか、あるいは特殊の気象
条件
、こういうものがございまして、単に外国から既存の、あるいは外国人の設計した原子炉を導入する、あるいはそれを模倣するということだけでは、
原子力発電
所に限りまして、
経済性
だけではなくて、
技術
的にあるいは
安全性
の面におきまして非常に問題が多いのでございます。単にメーカーなりあるいは
研究
所なりが、外国のメーカーあるいは
研究
所と導入契約をいたしまして向こうから
技術
を導入いたしましても、これをほんとうに
日本
の国情に合わせるためには、やはり相当な
日本
人の手による改良、あるいは国産化に対する
研究
が多々あるのでございます。その点におきまして、とかく実用炉につきましては、外国からの導入をベースに民間が自主的にやれというような御
意見
を間々伺うのでございますが、
原子力発電
所に関する限り、そういうわけにはまいらない。これには非常に問題がある。外国から導入いたします原子炉のいろいろな基礎的な問題は、ライセンス・アグリーメントを通しましてわれわれは取得することができますが、その上に
日本
人が
日本
人の
技術
で、
日本
人の頭で、
日本
に最も合う原子炉を自分でつくりあげていく、いわゆる
日本
的な原子炉の設計の国産化、
原子力発電
所の国産化という問題は、
原子力発電
所の各部品の国産化、たとえば容器に使います鉄板であるとか、あるいはグラファイトといったものの国難化という問題、特に
燃料
の国産化、こういう非常にたくさんの問題も含んでおりますが、
原子力発電
所に関する限り設計の国産化ということは非常に重要である。これは特異的な性質を持っておる。 過去四年間、東海村の十六万六千キロの
原子力発電
所の
建設
につきまして英国の
GE
C社とタイアップいたしまして、実際に実用炉の
建設
に参加いたしました経験から、現在もなおたくさんの
研究
問題を持っております。その例を一々申し上げる時間もございませんし、その必要もないと思いますが、たとえば耐震装置、東京の関東大震災の二倍の地震が東海村に来たときに一体どうしてあの原子炉を保護するのかという問題は、あの
発電
所を発注するときに、地震というものはこういうものだということを英国人に教えて、われわれと英国の
GE
C社とが、あるいはわれわれのほかに
日本
の地震学者、建築学者、みんなが寄って案を設計して、いわゆる
日本
に向く
原子力発電
所をつくり上げた経験を持っておるのでございます。 こういうようなことからいたしまして、ほかのたとえば
石油
を使った
発電
所であるとか、あるいは変電所であるとか、そういったものと
原子力発電
所とはかなり性格に違ったものがある。のみならず、
日本
には
日本
特有の事情がいろいろあるということから、
日本
の今後
開発
していかねばならない
原子力発電
所は、多分に
日本
人の手で設計し、
開発
し、改良していく点がある。 その上に、その
原子力発電
所の各部分部分の材料の国産化、これもまたまだまだたくさんの問題を蔵しております。グラファイトにいたしましても、あるいは鉄板にいたしましても、小さい問題にその例をとりますと、たとえばあの東海村の三インチ半の圧力容器の鉄板を、数万枚のレントゲンで溶接の傷を検査したのでありますが、当初において何とか
日本
のフィルムを使おうと思って、いろいろフィルム会社に御
研究
を願ったのでありますが、遺憾ながら当時
日本
のフィルムでは、そういうこまかい溶接の傷を見出すことのできる、非常にスムーズなフイルムはついに得ることができなかった。したがって、やむを得ず外国製の、コダックのものを使った。これは非常に卑近な実例でございまして、もっともっと大きな、重要な問題が
原子力発電
所の部品の国産化に問題を残しております。 私どもは、今後
原子力発電
所の一号基を導入しました暁において、その経験に基づいて二号基からはぜひとも
日本
人の手で、しかも
経済性
の十分すぐれた
原子力発電
所の
建設
を
日本
人の手でやらねばならない。それにはやはり相当ないろいろな
研究
費、
開発
費、いわゆるアールアンドDというものを要するのでございまして、私どもはこれらの国産化の
研究
について、ユーザーの方々と一緒にその問題点の検討についてのイニシアチブあるいはプロジェクトはやっていきたいのでございますが、何ぶんにも
原子力
関係の
研究
というものは非常にたくさんの費用を要するのでございます。たとえば
燃料
一本の
研究
にいたしましても、十数億の金がかかるという性質のものでございますので、いま私がるる申し述べました国産化ということは、設計の国産化と、設計された部品の国産化、この二つの問題についてわれわれ民間も
努力
を惜しむものではございませんが、これに対して国家が相当援助、オーガニゼーション及び金の援助をしていただくのでなければ、なかなか個人
企業
でこれをやることはできないのであります。そのために二台目も三台目も四台目もみんな外国から導入するということになりますれば、一基四百億も五百億もかかるような
発電
所でございますから、この点に思いをいたされまして、ぜひとも国産化に対する
一つ
の確固たる
方針
を立てていただいて、国はこれに相当な額を援助していただきたい。いままで
原子力
関係の
研究開発
費に政府が与えました援助費の予算というものは、年々わずかに三億円程度でございます。たしか今年度は三億二千万円と伺っております。これは
一つ
のアイテムの
研究
をするにも足りない非常な少額でございます。これを大幅に引き上げて、早く
日本
人の手で
日本
に向いた原子炉の
開発
をやる、いわゆる国産化をやるということに、もう少し心を注いでいただきたいと思います。冒頭に申し上げましたように、
燃料
サイクルの総合的な検討を待ちまして今後の
開発
、われわれの
ことば
で言いますと
中間炉
、言いかえれば新型転換炉と申しますが、その先は
高速増殖炉
でつながれる年次的スケジュールもございますが、当面の最も緊急なものはやはり実用炉をベースにした国産化が必要であるということを総合的な
計画
において国の
方針
としてはっきりと打ち出していただきたい。 まことにざっぱくなものの言い方でございますが、メーカーの立場から一書希望及び事情を申し述べさせていただきまして、御理解を得たいと存ずる次第でございます。ありがとうございました。
原茂
12
○原(茂)
委員長
代理 次に、向坊参考人。
向坊隆
13
○向坊参考人 向坊でございます。 私は、大学におりますものの立場から、簡単に
意見
を述べさせていただきます。 まず
最初
に、私は、
原子力
の
平和利用
を国として非常に大きな金を使ってやっていくということに対する
意義
について、ちょっと申し上げたいと思うのでございます。 先ほど有澤先生のおっしゃいましたように、
わが国
の将来の
エネルギー
問題を解決する非常に重要な分野として
原子力
の
開発
をやっていくということには、私は何ら異議はございません。事実そうであると思うのでございますが、
原子力
開発
の
長期
計画
を、その問題の観点のみから具体
計画
を立てていくということには、若干の不安を持つものでございます。将来の
エネルギー
問題を解決する道というのはいろいろあると思いますし、
原子力
の電要なこと自身は何ら問題ないわけでございますけれども、
開発
していく具体的
方策
を立てる上におきましては、もう
一つ
の柱がどうしても必要なように思うのでございます。 それは何かと申しますと、
原子力
の利用、
開発
するということは、
科学技術
におきます新しい、かつ非常に飛躍的な
進歩
をもたらす分野を
開発
していくことであるということでございます。
原子力
をやるということ自身が、非常に高度の総合的な
科学技術
の問題でありますので、それによっていろいろな分野が開けるという副次的なものもございますけれども、もう
一つ
は、たとえば原子炉を利用するということによっての新しい学問分野の発展ということも見のがすことのできないものでございます。国の
科学技術
の発展のためには、あらゆる分野が一様に発展するということが非常に重要でございますけれども、実際問題といたしましては、
幾つ
かの非常に大きな分野が
集中
的に行なわれるということが、非常に効率的に
科学技術
の遊歩をもたらしていくということは、いろいろな例によって見られるところだと思うのでございます。それならどういう分野をとってもいいではないかという議論も成り立つわけですけれども、そうはいかないわけで、そういう
科学技術
の分野の中で、ほかに何か非常に大きな
意義
を持つようなものがそういう大きな分野として取り上げられるわけであって、
原子力
はまさにそれに当たる
一つ
の重要な分野だと思うのであります。少しばく然としておりますけれども、このことはいろいろな具体
計画
を立てていきます上に、いつも二つの柱があるのだということを念頭に置いて
計画
を立てていただきたいと思うわけでございます。 次に、先ほどやはり有澤先生が、
日本
の
エネルギー政策
の上から、ということは、
原子力
でいえば
燃料政策
の面からの
重要性
を御指摘になったわけでありまして、これにも基本的には何ら異議がないわけでございますけれども、これもやはりそういう面だけから具体
政策
を立てていくというのにはまだ時期尚早のような気がするわけでございます。先ほど、少しも早く
一つ
の炉型にしぼって
——
いまの
プルーブンタイプ
でない次のステップのほうはなるべく早くしぼってやっていきたい、それには
燃料政策
の面から考えていいと思われる
一つ
のものに早くしぼりたいという御
意見
をおっしゃいました。
燃料政策
の面からの有利な炉を
開発
していくということはよろしいわけですが、
一つ
にしぼるということにはいろいろな見方があるだろうと思います。そういう見方からしてもまだ少し早いのではないか、そういう割り切り方をするのはまだ少し早いのではないかということを感ずる次第でございます。 その次の、
軽水炉
の導入の問題につきましては、いま
前田
さんからいろいろ御
意見
がございましたが、いま
前田
さんのおっしゃいましたような問題とは別に、政府の責任といたしまして、これから
プルーブンタイプ
の炉が
経済性
に近づいてできていくとすれば、いまから非常に力を入れておいていただかなければならない問題といたしまして、施設の
安全性
の確保と、それから廃棄物の処理、あるいはそれの最終的な廃棄といったような問題につきまして、少しも早く十分な体制が整えられるような
努力
をしていただきたいと思うわけでございます。 それから、
研究開発
の面につきましてちょっと申し上げたいと思うのでございます。 御承知のように、
日本
の
原子力
開発
は、外国よりも相当おくれて出発いたしましたために、非常におくれておるということは、おおいようのない事実であります。したがって、
動力炉
の
研究開発
にあたりましては、早急に現在先進国が到達しておるレベルに追いつくということをまず第一の目標にせざるを得ないのではないかと思うのでございます。したがって、具体的にはやはり一番大事なのは国際協力の進め方であって、先ほど有澤先生が、今度の調査団の
一つ
の任務は国際協力の
可能性
とその進め方にあるとおっしゃいましたけれども、私は、その点が今後の新しい炉を
開発
していく上には非常に重要なやり方ではないかと思うのでございます。 そのやり方はいろいろあると思います。たとえば
海外
ですでに
幾つ
か行なわれておりますプロジェクトへの参加でございます。部分的に
日本
で受け持って、それを少しも早く完成させる道はないだろうかというような方式もございましょうし、あるいは外国で新しいアイデアがあって、資金とか人手とかの都合で行き悩んでおるようなものを
日本
に招いて、
日本
の協力でそれを仕上げるような道はないだろうか。いろいろな国際協力の道はあるかと思うのでございますが、それをまず最も強力に進めていただきたい、そう思うのでございます。
日本
は十年も
原子力
開発
をやっていながら、いまだに
動力炉
は
一つ
も動いておらないわけでございまして、そういう意味から、少しも早く
動力炉
を国産するということは必要であると思いますけれども、ただ、その国産ということにとらわれるということは、結局非常に長い二十年というような見方をしますと、結局はいつもおくれていくという形になることを非常におそれるのでございます。 その次に、
研究開発
の面で何といっても見のがせないのは、やはり
日本
の
中心
であります原研のあり方であります。 原研が、最近多少性格を変えられまして、
動力炉
の
開発
といった目的のためにしぼっていこうという動きが私どもに感ぜられるわけでございますけれども、
日本
でそういう
原子力
動力の
開発
のための大きな
研究
所がそれにしぼっていくということは非常にいいことでございますけれども、それがやはり先ほどの、一等
最初
に申しました二つの柱と関連いたしますけれども、もしそういうふうに原研がしぼられるものであるならば、ぜひ別に国立の非常にしっかりした基礎
研究
所をつくっていただきたいと思うのでございます。実用に近づく
努力
ばかり続けていて、基礎のほうがなおざりにされるということは、結局極端なことを申せば、砂上の楼閣を築いていくことにすぎないわけでございまして、二十年あるいは三十年という長い目で見るならば、基礎的な
研究
分野をしっかりやっていくということは国として非常に大事なことではないかと思うのでございます。 てまえみそでございますけれども、
日本
で
原子力
開発
をやっていく上のもう
一つ
の、非常に見のがしてならないことは、人材の養成でございます。ですから、そういう基礎
研究
を充実するという面と、それから将来のために人材を養成していく面と、その二つの点から、大学の
原子力
部門を拡充
強化
していくということも
長期
的な見方からは非常に大事なことではないかと思うのでございます。
原子力
が
日本
で始まったときのいろいろな、複雑な事情から、最近まで
原子力委員会
は大学のことにあえて触れようとされなかったようなところがあるわけでございます。しかし、あのころいろいろ言われましたことも、政府の
機関
が大学の
研究
の
内容
とか進め方に口を差し入れられることは
研究
の発展のために好ましくないということを強調されたわけでありまして、大学の
研究
なり教育
機関
なりが充実されることに対して国が力を入れていただくことを拒否したものではないと思うのであります。大学は
日本
では文部省が管理しておられるわけですけれども、文部省は当然のこととして科学のあらゆる分野のことを考えなければいけない。
原子力
は、
原子力委員会
が大学までも含めて、基礎から
開発
までの全部を含めて、国に対して責任を持っておられる
機関
だと思うのでございます。そういう意味から、
原子力委員会
が積極的に文部省なり学術
会議
と連絡をとられて、大学の拡充
強化
の道を考えていただきたいと思う次第でございます。 簡単でございますが・・。
原茂
14
○原(茂)
委員長
代理 以上で参考人の御
意見
の聴取は終わりました。
原茂
15
○原(茂)
委員長
代理 質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
三木喜夫
16
○三木(喜)
委員
ちょうど東海村の
日本
原子力発電
会社の原子炉は、
燃料
の装てん作業をやって、原子炉の火がつく、臨界間近しというこのときに、参考人多数おいでいただきまして、非常に貴重な御
意見
を承ったことは、私たちとして参考になり、ありがたく思うわけです。 その御
意見
の中で、端的に政府に二つの要望が出ておるわけです。それにつきまして、大臣がちょっと他に出られる予定があるようでございますから、愛知
科学技術庁長
官であり、
原子力
委員長
に御所見を承っておきたい。 その
一つ
は、いま参考人の各氏から強く要望されておりました総合
エネルギー
対策として、また国策として
原子力発電
というものが非常に大きなウェートを持ってきた。その段階においては、ぜひ政府としては画期的な予算をこれに組まなければならない、こういう強い要望が出された。私もこのことには非常な賛意を表するものですが、いままでのように従来の予算の一三%増というような機械的なやり方ではこの問題は解決つかないと思う。そこで、そのことに対してどのような御覚悟を持っておられるか。私が願うならくは、これは総理が総合的な考え方で答弁をしてもらう必要がいまやできてきたのではないかと思いますので、愛知大臣はかなり強い決意でやってもらわなければならぬと思うのです。その点どうお考えになるかということです。 第二点、これもやはり御
意見
の中に強く出ておった問題ですけれども、いまや
科学技術
庁一省庁の問題ではない、こういうところから各省がこれについては協力してやらなければならぬ、いわゆる行政機構の問題ですが、しかしながら、依然として私たちの心配では、これは郵政省だとか、これは通産省だとか、これは
科学技術
庁だとかいうような、予算の面におきましても行政の面におきましても、私はなわ張りがあると思う。それをいま取り除くのが、政府としてもこの問題に限っては大きな問題点ではないかと思う。そういうことについて第二点として大臣の御所見を承っておきたい、こういうように思います。 以下は参考人の方々に若干質問したいと思います。
愛知揆一
17
○愛知国務大臣 きょうは私も参考人の方々の御
意見
を拝聴いたす機会を与えられまして、たいへん有益でございました。まず厚く御礼を申し上げます。 いまの三木さんの御
意見
ですが、私も全く御同感でございます。 まず第一点の問題は、実は先ほど有澤先生からも、私見であるというような前提で御熱心なお話がございましたが、実は私自身としてもかねがねさように考えておりましたわけで、これを端的に申しますと、実は原子炉関係の問題にいたしましても、
発電
の関係で昨年の十月以来各方面の権威者にお集まりいただきまして、非常に熱心な討議が進んでおります。これらを
中心
にいたしまして、
原子力
についても、いまこそ有澤先生のおっしゃるように、
原子力委員会
といたしましてもまた
原子力
の基本的なポリシーを
確立
するときである、かような認識のもとに、特に十月以来の
研究
を
中心
にいたしまして、近く中間的な
一つ
の考え方というものを取りまとめたいと考えておるわけであります。 それにつけても、先進諸国のレーテストのインフォーメーションと申しますか、実情をもう一度確かめる、つまりコンファームするために、場合によりましては近々に調査団を結成して、そう長い期間というわけにまいりませんが、短期間さような
海外
調査団の派遣ということを具体的に考えておるわけでございます。その調査団の
報告
等もあわせて、ひとつなるべく今年中のすみやかなる機会に、
原子力委員会
としては
原子力
の基本
政策
を
確立
したい。そしてそれも
原子力委員会
というだけではございませんで、基本国策として閣議決定はもちろんでございますが、ひとつ不動の姿勢を
確立
したい、かように考えておるわけでございます。 それと相並行的に、当然予算の増額ということが考えられなければなりませんが、ただいま御指摘のとおり、これは総合的な基本的な国策として、従来のやり方よりも私としては飛躍的な取り上げ方をまず考える。それから、国家としての基本的の
政策
、したがってまたそういう方向については予算の問題ももちろんでございましょうし、そのほかのフィナンシャル・アレンジメントも大いに積極的に考えてまいりたい、われわれとしてはこういう決心を実は新たにしておるような段階でございます。 そういうような考え方でございますから、私は、現状において
原子力
についてさようなセクショナリズムが問題になっているとも思いませんけれども、将来長きにわたってこれは通産行政その他にも関連が末広がりにますます大きくなる問題でございますから、末長くそういうようなセクショナリズムということが起こってまいりませんように、やはり基本国策としての考え方をまとめるということから、当然にそういうことのないように、総合的な
原子力政策
が推進できるようにしていきたい。 基本的な考え方としてはさように考えて、
努力
を新たにしたいと思っておる状況でございます。
三木喜夫
18
○三木(喜)
委員
非常に積極的な御
意見
を承ってけっこうだと思うのですが、私はこの機会に、これを推進する
科学技術振興対策
特別
委員会
のこの
会議
の状況を見ても少数でありまして、こういう状況で国論をかり立てるということは非常に困難が伴うと思うのです。予算ということになれば、八月からずっと先、どうしても自民党の皆さんがみな協力してそのことの認識を新たにしなければ、これはどうにもならぬと思うわけです。これは大臣の問題ではございません。当
委員会
の取り組みの問題ですけれども、こういう状況では画餅に帰するおそれがあるのじゃないかと私は思うのです。大臣がせっかくそういう強い御決意を持っておっても、ただこの
委員会
の速記録だけを提示しておる、また読んでおこうかということだけでは、これはむずかしいと思う。 そこで、調査団を編成して派遣したいということもその
一つ
の方法であろうと思います。しかし、十年間に五千億円という経費を見積ろうということになりますと、かなり大きな決意をもってやっていただかなければできません。 特に私は、
科学技術
庁という庁に置いておかないで、資源と少ない
日本
として、また輸出
産業
をどんどんこれから伸ばさなければならない大事な
燃料
の国策上の問題ですから、省に昇格して、そうして、大臣が何年間でしたかに十人もかわるというような、こういう
科学技術
庁の大臣というものが
——
まあ愛知大臣は違いますよ。
——
ほかの大臣はお飾りみたいな大臣が中にできる、アクセサリーみたいな大臣ができるようなことでは、せっかく言われておることが私はもうみんな水泡に帰してしまうと思うので、国策としてお考えになるならば、こういう行政機構の問題にもひとつ考えを及ぼしていただかなければならない、こういうぐあいに思うわけです。 それから、さきがたセクショナリズムがあるかないかというようなお話がございましたけれども、私はこれは現実にあると思う。たとえば
原子力発電
所をつくる場合に、一方これは通産省の許可基準によってやるのでしょう。こういうようなのははっきりと
科学技術
庁の権限に私はしておく必要があるのではないか。そうでなかったら、いま私、
産業
界の方々にも少し文句を言いたいと思ったりしておるのですけれども、
産業
界の恣意にまかしてどこにでもつくられたら、いまのお話の中に
安全性
というような問題を
確立
しなければならぬということがありますけれども、商業ベースで立地環境を設営されたら、ここには問題があると思うのです。そういうところは現実に食い合ってきておると思いますので、御
意見
はもう要りません、こういう点もやっぱり調整しておく必要があろう、こういうぐあいに思いますので、申し上げたわけであります。その点、大臣の御所感、ありましたら承りたい。
愛知揆一
19
○愛知国務大臣 この行政機構の問題は、実は前にも申し上げたと思いますけれども、臨時行政調査会の答申の線で私は
科学技術
庁はいったほうがよろしいのではないか。これで省にするということは、一見非常にいいようにも思われますけれども、むしろそれよりはやはり総理大臣直轄の
機関
として、各省の関連する行政をむしろ指導するような機構であることが望ましい。その限りにおいては、臨時行政調査会の答申というものを私としてほ同感の意を表し、かつその推進に
努力
しているのでございます。 ただ、問題は、その際、臨調の答申の中で多少の抵抗を感じておりまして、そこの調整を考えておるのは、
原子力委員会
のあり方については、どうも私はあの答申は少しどうかと思うのでありまして、その点とあわせまして、要するに
科学技術
庁あるいはあるべき
原子力委員会
の姿というものは、もっと大所高所に立って、具体的な行政それ自身に関与するよりは強力な指導
機関
であるべきではなかろうか、私こういうふうな私見を持っておるわけでございます。 そういう立場がすみやかにとられますれば、おのずからいま御指摘があったようなセクショナリズムというようなことも根本から起こり得ないようになるのではなかろうかと考えておるわけでございますが、これら行政機構の問題、それからさらにこの人事等の問題については、私からも申し上げにくい点でありますけれども、やはりたとえば
原子力政策
というものが、こういうかまえ方でやらねばならぬぞということを大きな国策として、閣議決定はもちろんでございますが、さらに与野党一致の御協力の体制の上にできれば、おのずからそういったような人事の問題も新しい大所高所から見る目が当然に出てくる、政治上の現実の課題として変なことはやってはおれないということになるのではなかろうか。そういう何というか、クライメートというか、サーカムスタンスというか、バックグラウンドといいますか、そういうことを盛り上げるということがただいままずやり抜かねばならぬ課題である、私はそういうふうな認識に立っておるつもりでございます。
三木喜夫
20
○三木(喜)
委員
そういう国策的な重要な意味があるということから、かなり愛知大臣が力をお入れになりまして、
原子力委員会
というものに権威を打たそうというところから今日まで御
努力
くださり、また非常に
強化
されてこられた、この気持ちはよくわかると思うのです。 そこで、
産業
界の方々にお伺いしたいと思います。 なるほど、
総合エネルギー政策
として
原子力発電
の必要性を非常に強調され、国としてこれに援助を与え、国策上重要な
長期
の
計画
をしっかりと立てる、動揺しないようにせよ、こういう御
意見
は非常によくわかりますし、当然私もそのことについては賛成です。しかしながら、
研究開発
の段階は、これは国家でやれ、金もしっかり国家で出せ、そのかわりに
企業
となるときにはこれは
産業
界でやるんだ、こういうお考えですけれども、私はここに何か抵抗を感ずる。それならこれは国営にしてやるほうがいいんじゃないか、もっと大所一所に立ってやるべきである。これを民間
企業
にすれば非常に利点があるということを二点ほど強調されておりましたが、特にその利点を明らかにしていただきたい。これは
最初
の質問です。
——
答弁はちょっとあとにしてもらいたいと思います。
原茂
21
○原(茂)
委員長
代理 石野久男君。
石野久男
22
○石野
委員
大臣がお急ぎのようでございますから、二点ほどお聞きしたいと思います。 先ほど来、参考人各位のいろいろな御
意見
を有益に拝聴いたしまして、私は途中でちょっと席をはずしておりましたが、しかし最後にお伺いしました向坊先生からのお話の中で、
原子力
開発
についての問題点の有澤先生の話に対して、また新しい
一つ
の視点をこういうところにも置いてほしいという、もちろん有澤先生も学問の分野について全然無視しているわけではありませんでしょうけれども、特に科学的分野における新しい分野の
開発
ということも積極的に考えてほしいというような要望がありました。それに関連して原研のあり方ということについての要望もございました。向坊先生の御
意見
は、私どももそういう点を最近痛感しているところでございます。 そこで、大臣にお聞きしたいのですが、最近原研のあり方について、多分に前の
理事長
さんから見ますと、丹羽
理事長
の考え方なりあるいは運営のしかたに、方向が変わってきているように思います。向坊先生が言われるように、この国の
原子力
開発
についての基礎的
研究
分野をもっと重視すべきである。もし原研が
実用化
の方向を重点とするならば、基礎的分野についてはむしろ国立の基礎的
研究
機関
というようなものをつくってもらうほうがよろしい、もらいたいというような御
意見
でございました。こういう点についての大臣の御所見をひとつお伺いしたいと思います。 それからもう
一つ
は、炉の導入等について、それの
実用化
の前に施設の
安全性
と廃棄物の管理の問題について、炉の導入なりあるいは国廃炉を持つということに対する
努力
と両々相まつ形で
努力
してほしいということの御希望がありました。これはただ簡単な
意見
ということではなしに、具体的な実践の中で、これは
原子力委員会
なりあるいはそれの行政措置の面での必要な事項だろうと思いまするので、この点について大臣はどのように今後お考えになりますかということについての御所見をひとつ聞かせていただきたい。
愛知揆一
23
○愛知国務大臣 この二点につきましては、実は私も、ただいまも御
意見
を承っておりまして、われわれとしても、さらに何と申しましょうか、謙虚に考えていかなければならないテーマであると考えたわけでございまして、私として、ただいまこういう方向で行くがいいということについて、いま直ちに
意見
を申し上げるのもいささか軽率になるかと思いますので、十分
研究
をさせていただきたいと考えております。 それから、原研のあり方につきましては、丹羽
理事長
のもとでいろいろと運営の方式については具体的かつ積極的に進めておられますので、大体その方向とまず政府側としてもバックアップしていくというのが一番いい方法ではなかろうか。この点は私としてもさように考えておりますが、なおその
内容
等についてさらに考え直すべきところがありましたら、十分先ほど申しましたように謙虚に
研究
さしていただきたいと思っております。
石野久男
24
○石野
委員
またあとでこまかい点はお尋ねしたいと思いますけれども、特に原研のあり方の問題については、丹羽
理事長
が就任以来その方向というものは非常にはっきりしてきていると思います。そのはっきりしている方向は、確かに
実用化
の方向にはっきりしてきているわけです。 そこで、
原子力
開発
という問題について、やはり基礎的な
研究
と人材の養成ということが、
わが国
における
原子力
開発
の非常に大きな問題であろうと思うのです。いつまでも外からばかり炉を入れるわけにもいきませんし、ことに有澤先生のおっしゃられるように、
エネルギー
について
原子力
の
開発
というものは
日本
にとっては全く天の恵みのようなものだということになりますると、なおさらやはりこの基礎的
研究
と人材の養成というものは必要だと思うのです。しかし、原研について
実用化
の方向が具体的に、拙速といっては非常に悪いかもしれませんけれども、われわれから見るとちょっと拙速なような形に見える面がある。そうすると、一方における基礎
研究
あるいは人材の養成という面がどうもおろそかになってしまうといううらみが出てくることもまた否定できない事実でございますから、この点についてはやはり何か政府としてはっきりした態度を持っておりませんと、その跛行性が非常に開いてくるだろうと思います。 したがって、私は、きょう向坊先生からの御所見というものは、今日の段階で非常に重要な問題を指摘されておると思いまするので、今日、原研の丹羽理群長の指導のもとに運営されておる実情については、政府が支持するという理由はよくわかりましても、長い
原子力政策
ということからいきますと、向坊先生のおっしゃるような点は、今日の時点でやはり政府としてもその方向をはっきりわれわれに明示しておいていただかなければならない、こういうように思いますので、重ねて大臣から御所見だけ承っておきたいと思います。
愛知揆一
25
○愛知国務大臣 ごもっともと思います。そこで、先ほど申しましたように、ひとつ謙虚にわれわれにも
研究
をさしていただきたい。 同時に、これは御質疑の範囲外になるかと思うのですけれども、こうした
研究
所のあり方一般論としましても
研究
者の養成あるいは新しい
開発
、グルントの勉強というようなものにつきましては、たとえて言えば、大学側からの積極的な協力あるいは積極的な御
意見
というものをより多く期待しながら、これがうまく調整されていくところに妙味があるのではなかろうかと考えております。これは他の
研究
所についても、私かねがね何か新しいアイデアを出したいと寄り寄り考えておるようなわけでございますが、いま御提案の問題につきましては、十分ひとつ前向きに取り上げ、かつ検討させていただきたいと思います。
原茂
26
○原(茂)
委員長
代理
岡良一
君。
岡良一
27
○岡
委員
大臣お急ぎだから、簡単に一言二言お尋ねしておきますが、いま
産業計画会議
の堀さんから
原子力委員会
の
強化
という点について具体的な御提案がされておりましたが、これについて大臣はどうお考えでございますか。
愛知揆一
28
○愛知国務大臣 この点は、
産業計画会議
で二月にこういう御提案がありまして、私もその御趣旨をよく伺っておりますし、その直後この
委員会
でも申し上げましたように、この考え方は私は全然御同感でございます。 しかし、一方において、政党内閣制度というか、そういう行政組織上の問題として、率直に申しまして、なかなかこれはにわかに新しい道を切り開くこともできにくい。そこで、私としては、先般
原子力
委員
の任期満了に基づく
委員
の交代に際しまして、この御趣旨が実際上少しでもこういう線に乗ることがきわめて必要なことと考えましたので、有澤先生のいらっしゃる前でまことに恐縮でございますが、われわれとしても誠意を尽くして先生にお願いをいたしまして、
委員長
代理をお引き受けいただき、そして非常な御熟思と意欲を持って、先ほども御
意見
の御開陳がありましたが、そういうような体制になってまいりましたことを私としては喜んでおるようなわけでございます。この行政組織のあり方等については、先ほど申しましたように、臨時行政調査会の答申もすでに出ておりますので、先ほどちょっと申しましたような角度でこれを取り上げていきたい。そういうこととあわせて考えてまいりたいと思いますが、先ほど申しましたように、大きな行政組織上の問題に触れておりますので、その点については私一人だけでも、これはほかの問題と違いまして、なかなか
実現
しにくい。それこそ関係方面といいますか、関係閣僚がございますし、あるいはまたもっと大きな基本的な機構の問題に触れてまいりますので、この御趣旨はできるところからやっていきながら、さらに検討をしなければなるまい、こう考えておるようなわけであります。
岡良一
29
○岡
委員
ドイツ、インドは、それぞれ
原子力委員会
があって、なおほかに
原子力
相が置かれて、そして
原子力委員会
の決定する
政策
の、実施に当たっておる。
アメリカ
は、
原子力委員会
の
委員長
はいわば他の省庁の長官以上の権限さえも持っておる。しかし、いずれにしましても、各省庁とはまた独立した
機関
として独自な企画をし、
政策
を決定している。 そういうような事情から見ると、
日本
としてもそうあるべきが私は一番正しい姿ではないかとかねがね思っているわけです。もしかりにそれがいろいろな再情でできないといたしましても、この
原子力委員会
設置法によると、
委員長
唄故あるときは
委員長
代理を設ける、こういうような規定になっております。私はこれを一歩進めまして、副
委員長
を置く、副
委員長
は常時
委員長
を補佐するが、同持に
委員長
の業務を代行するというような、そういう形において、この任期、処遇等も新しく考えて、首尾一貫した
原子力
行政というものを立て得るように、
原子力委員会
設置法をそういう方向に変えることも現状のワク内においては
一つ
の方法ではないかと思いますけれども、その点。 いま
一つ
は、
原子力委員会
設置法を見ましても、大学の
研究
に関してはノータッチだというふうな形です。しかし、向坊君も指摘されましたように、基礎
研究
と
技術
の
開発
は不可分のものである。これが、
科学技術
庁の設置以来いつでも大学と
技術
庁が分離されるような形である。これは新しい科学がいよいよ基礎
研究
と
技術
開発
の不可分な関係を持っておるときにおける
日本
の
科学技術
振興の
一つ
の大きな不幸ではないかと私は思うわけです。この点も、
原子力委員会
設置法等を改正しまして、大学における基礎
研究
をも含めた総合的な
研究開発
体制を
原子力委員会
の責任において指導し推進する、こういう方向へ変えてみたらどうか、私も私見でございますが考えておるのでございますけれども、大臣の御所見はいかがでございましょう。
愛知揆一
30
○愛知国務大臣 副
委員長
制度というのは、実はいままで法律を改正してということは考えておりませんでした。しかし、なるほどこれも
一つ
の示唆のある御
意見
であると思って、ただいま傾聴したわけでございます。よく
研究
させていただきたいと思います。 それから、大学との調整ですが、これは実は私も非常にむずかしい問題のように思うのでございまして、たとえば先ほど来しばしば口にしておりますが、臨時行政調査会の答申におきましても、大学の
研究
を含んで総合調整を
科学技術
の
研究
においてもやらねばならぬであろうという御答申でございますけれども、この点については、今度文部大臣としてお答えしなければならないのでございますが、大学の独立というか
研究
の自由というか、ここがものの考え方として非常にまたむずかしいところでございまして、あの答申につきましても、この扱い方をどう総合調整したらいいかということは、現在まだ苦心をいたしておるような次第でございます。 そういう背景から申しまして、向坊先生のような方の御
意見
がここに出ましたことは、ある意味で非常にありがたいのでございますけれども、従来の
日本
学術八
会議
などの御意向もございますから、軽々に私としてもいま御答弁ができませんので、そういった事情も御了察をお願いいたしたいと思います。
原茂
31
○原(茂)
委員長
代理 先ほどの三木
委員
の質問に対しまして、
前田
参考人から御答弁を願います。
前田七之進
32
○
前田
参考人 民間ベースで仕事をやって、国が金を出すということが何となく不合理ではないかという御質問のように伺っておるのでございますが、
原子力
の
動力炉
開発
の問題はすでに七、八年前から発足しておる、言いかえれば、
日本
へ東海の第一号炉を導入するときにどういう形でこれを導入するか、民間ベースで導入するのか、あるいはたとえば英国のように
原子力
公社というようなものをこしらえて、そこが公社的、国家的の
機関
として導入するという考え方もあったのでございますけれども、当時
日本
の国論といたしましてやはり民間がやるということで、私ども
——
私ほんとうは富士電機の専務でございますが、英国の
GE
C社と
技術
提携を結びまして、そのために二億円ばかりのランプサムロイアルティーを会社で払いまして、それによって
原子力発電
会社が第一号炉を買う。それに関連しまして、また
技術
導入契約を通して原子炉というものの製造
技術
のノーハウを、たくさんの学生、若い
研究
員を送りまして吸収して、現在われわれのグループとしましては、原子炉の国産はできる能力を備えておる。いまのような御質問で、逆にそれならば国が金を出すのだからどこか国でやるかという問題になりますと、これはやはり七、八年蓄積しました
技術
及び
技術
要員の養成がほかの
機関
ではできないのであります。 この行き方をやっておりますのは、英国の場合は、
原子力
公社といって、先ほど申し上げましたように国家的なやり方。それから
アメリカ
、ドイツ等はそうでなくて、民間が原子炉の
建設
あるいは製造を、それぞれ場合によっては外国のメーカーと提携して
技術
を導入して、それに対して政府が相当の援助金を出して、先ほど申しましたが、年に三億とか二億とかいうものでなくて、たとえば最近の報道によりますと、あの
アメリカ
でさえも今度高温ガス炉の三十万キロの
発電
所をやることになったように報ぜられておりますが、それに対しまして国家が一社に出したもの、ゼネラル・アトミックスに出しました
研究
資金、すなわちRアンドDの国家の補助金は七十億というふうに報道せられております。各国ともそういうふうな行き方をしておるのでございまして、英国のように初めから
原子力
公社というものをこしらえて、そこが
原子力
研究
所も持って、そこでこれは軍悪用の
原子力
の
開発
も兼ねて
平和利用
のほうに相当国家の金をつぎ込んで
技術
を
確立
して、それをライセンスアグリーメントで英
国内
のメーカーに分譲するといいますか、分け与えて、そして工学的の
研究
を各メーカーが英
国内
でやって、それを製造し、あるいは外国へノーハウを与え、その導入契約から得たフィーの中から何ぼかを国家にライセンスフィーとしてこれをAEAに納める、こういう制度をとっているところもございますが、おおよその国はいま申し上げたような体制をとっておる。 それに金を出さないのは
日本
だけなんです。やはりそれは
原子力
というものの特性でございまして、私ども電機会社でございますが、
発電
機をやったり、変圧器をこしらえたり、あるいはタービンをこしらえたりするのにそういうような例はございませんし、また各国にもございまん。
原子力
というものはそういう特殊性を持っておりますので、特に
安全性
の問題だとか、あるいは
経済性
の問題だとか、
燃料
の特殊事情だとか、そういうことから、やはり国家的の事業として国家の相当な補助を与えていただくのが、各国並みでもあり、また至当であろう、こういうのが私どもの考えであります。
三木喜夫
33
○三木(喜)
委員
議論になって、瞬間が迫っておりますので申しわけないのですが、そういうように国の援助なりを多くするとか、それから国が大々的にこの問題については国家として強力に取り組む、こういうことになれば、特にそういう国営としてやることが必要でないかという意味を申し上げたのであります。 それからもう
一つ
は、私の質問の要旨は、さきがたお二人の参考人の方から、いよいよ
企業
となる場合には民間だ民間だということを強調されました。そこで、民間にその
企業
を移せばどういう利点があるか、強く国策として打ち出し、国もそういう体制を整えて私はやってもらいたいと思いますから、そこで、その利点をひとつお聞きしたわけですが、それで御答弁はけっこうです。 その次に、もう二つほど
産業
界の方にお聞きしておきたいのです。 さきがたのお話の中では、国産
技術
ということを非常に強調された方もございます。しかしながら、
産業
会議
の方とお話し合いをしてみると、そういうことをやっておっては間に合わぬじゃないか、さし木でも芽が出るじゃないか、実生からやっておったのでは、いまの
日本
の情勢では、とてもやりきれぬ、そういうお話が出ておるわけですね。そのことはちょっと私も矛盾を感じるように思います。 それが
一つ
と、それから岡さんのほうからいまお活もありましたように、いまの参考人のお話の中にも、私はふしぎに思うことは大学と協力体制ができないことでありますという参考人の御
意見
もございました。私も明らかにそのことについては疑問を持つわけなんです。国際協調をとなえ、国の力をあげてこの問題と取り組めという現状において、そういうことが問題になる点はどこにあるのか、なぜそういう協力ができないのかということを、亜業界としてはどう受けとめておられるか。この二点を、前の質問はいいですから、あとの二つをお聞きしたいと思います。どなたでもけっこうです。
前田七之進
34
○
前田
参考人 初めの御質問に対して、私の見解を述べさせていただきたいと思うのです。 私どもがいま考えておりますのは、国産化という問題、それからその次にくる新型転換炉の
開発
の問題、この二つに分けて考えております。 それで、実用炉の国産化という問題は、もうすでに実用に入っている炉を
日本
の国情に合うような、しかも現在の世界各国の
開発
レベルまで持ち上げた改良炉、これはもう実生でなくて全然さし木というか、つぎ木程度の
研究開発
でございます。それが目下の一番急務の問題でございます。 そこでもう
一つ
、その次の新型転換炉ないしは高速中性子炉の問題は、これは諸外国でもまだ育ち上がっておりませんので、これにつきましては、また別途に基本的な
研究
から盛り上げていく。まあこれにつきましては先ほど有澤先生からだいぶお話がございましたが、やはり四、五年を目標にいたしまして、これはもう
燃料
の
経済
消費という見地から、現在の実用炉から
中間炉
へ移っていく
研究開発
、別の問題として御了解願えれば御理解いただけるのじゃないかと存じます。 あと
研究開発
の問題につきましては、ちょっと私は御質問の要旨がよくわからないので・・。
三木喜夫
35
○三木(喜)
委員
いや、それはけっこうです。 大学との協力ができないという原因をどういうように考えておられるかということです。
堀義路
36
○堀参考人 大学との
研究
のできないことについて、御
説明
申し上げます。 お手元に私どもの出しました「
原子力発電
政策
の
確立
を要望する」という参考資料がございます。それの七ページをおあけいただきますと、そのいきさつが書いてあります。ちょっと読み上げます。 「一方、
わが国
の
原子力
計画
は学界との関係においては、きわめて不幸な変則的な形で出発した。当時、学界の一部は
原子力
の
軍事利用
に対する不安から
わが国
の
原子力
計画
の発足に対して強い反対を示した。この主張は学術
会議
の多数
意見
を占めるにいたり、大学の
研究
、教育に対する
原子力委員会
の関与を拒否したのである。 このような情勢および一般世論が未だ原子核と
原子力
との区別を明確に認識していなかったために、大学、とくに国立大学における
原子力
研究
とその
設備
は核物理、核化学等の基礎科学に重点が置かれ、工学的な
研究
は遅れた。 一方、
原子力委員会
と
科学技術
庁も大学に対しては関与しないという態度をとってきた。この結果、原研を
中心
とする
わが国
の
原子力
研究開発
計価に対しては、大学は個人的な協力は別として、組織としての協力は全く見られなかった。 その後、
原子力
研究
の進展と各大学における
原子力
工学科の整備、原研共同利用
委員会
の発足、学術
会議
原子力委員会
の改組、および京都大学原子炉実験所の発足など、学界側の
原子力
計画
への積極的な参加、および原研との協力の気運が高まってきた。 しかし、文部省と
科学技術
庁の所管の違いから依然として
原子力委員会
と学界の
研究
・教育とは無関係に近い
状態
にある。諸外国においては、大学との密接な協力によって
原子力
計画
を発足させ、また、現在ますますそれを密接にしようとしている。これとくらべると、
わが国
における両者の関係はきわめて変則的といわざるをえない。
原子力委員会
は国家的な見地から、大学をも含めた総合的な
研究
・
開発
計画
および人材養成の
計画
を推進すべきであろう。」 これが私どものいきさつ及び主張でございます。
三木喜夫
37
○三木(喜)
委員
私は、こういう御
意見
はある程度予想しておりましたが、しかし、まだ別の要素があるのではないか。 その
一つ
は、私はいつも非常に心配しておるのですが、軍事と科学が結合した場合にはおそろしい。
日本
の
原子力
の
研究
というものは
平和利用
ですし、法律で規制されておりますからたいへんけっこうなんですけれども、財界ないしは
産業
界の一部では
プルトニウム
から原爆をつくったらいいじゃないか、
アメリカ
が買って帰ってくれるのだからという危険な
意見
が底流しておるわけです。これも単に一般世論が原子核と
原子力
との区別を明らかにしなかったというだけでは終わらないと私は思うのです。 それからもう
一つ
は、
産業
界というのはやはり
コスト
を下げてもうけなければいかぬのですから、そういうことに急なために、これから後いろいろ原子炉があちこちに設定されるだろうと思うのですが、その危険性といいますか、
安全性
という面から非常に無視されるおそれもあるだろうと思うのです。こういう点、どうもやはり商業ベースと学術
研究
のベースといいますか、そういうものが違っている、こういうことも感じるわけです。これは私の感想ですけれども、十分お考えいただき、またお教えいただきたいと思います。御答弁いただこうとは思いませんけれども、そういうことであります。 以上で私の質問は終わります。
原茂
38
○原(茂)
委員長
代理
岡良一
君。
岡良一
39
○岡
委員
実は原さんの
委員長
席から質問をしますと、横向きで話をして、どうも前向きの話になりませんから、平
委員
として特に有澤先生の御教示をわずらわしたいと思います。 本年度の
基本計画
を拝見いたしまして、私は実はあまり新味を感じなかったものでございます。率直に申しますと、当面の事務的な問題を総花的に取りそろえたにすぎないのではないか。もっと将来の展望をしっかりとらえて、そしてことしは何と取り組まなければならないかという点が、もっと重点的に強くうたわれてもよかったのではないか、こういう印象を受けました。 しかし、それにつけましても、現在の
原子力委員会
の機構では、そのことを注文するのは無理じゃないかという気もいたしますが、これは
原子力委員会
に直属をする優秀な専門的なスタッフを
原子力委員会
が持たなければならぬ。
原子力
局に、事務局に準ずる機能を持ってというのじゃなくて、
原子力委員会
そのものが相当優秀なスタッフを、直属的なものを持ってやるということが、この際新しく出発した
原子力委員会
にとっての重要な問題点ではないかという感じがするのですが、先生の率直な御
意見
を伺いたいと思います。
有澤廣巳
40
○有
澤説明員
本年度の
基本計画
は、実は予算の作成と関連をしておりますので、予算は昨年の夏大体
方針
がきまったわけでございますけれども、その時分の
原子力委員会
の活動といたしましては、
開発
すべき
動力炉
にしましても、
燃料政策
にいたしましても、まだ考え方がぼんやりしておりましたが、次第に年末に近づくにつれて考え方がはっきりしてきました。しかし、それはもう予算の中にその考え方を十分織り込むのは時間的に間に合わなかったわけでございます。ただ、若干きざしはあらわれているということを私は申し上げたいわけでございます。 しかし、ことしになりまして、先ほど
委員長
からもお話がありましたように、
原子力委員会
の運営の
方針
を一変いたしまして、今後は
委員会
のほうで自主的に、自発的に問題を取り上げて、その問題に必要な限りの調査、
研究
といったものを、
原子力
局並びに専門
委員
の方にお願いをいたしましてやっていただくということにきめました。ですから、
委員会
としましては、自主的、自発的に問題をみずから取り上げてそれの検討を進め、なるべくすみやかに
方針
を打ち出していく、こういう
方針
にいま変えてきたわけでございます。 その観点から考えてみますと、現在の、
原子力
局
——
これは
原子力
局が全体といたしまして
委員会
の事務的な仕事を全面的に助力してくれているわけでございますが、なかなか
原子力
局の中にもその方面の人材がいるということを私は新しく発見いたしました。むろん
原子力
局の職員だけではどうも足りない面も多々あります。しかし、この点は、従来もそうでありましたように、専門
委員
の方々にお願い申し上げまして、その専門
委員
の方々の御検討の結果をわれわれがちょうだいいたしまして、それを材料として私たちで責任を持った決定をいたしたい、こういうふうに考えております。 そのほかに、先ほどもちょっと申し上げました
動力炉
開発
懇談会、これは別に専門部会というふうな形のものではなくて、全く任意的な懇談会の形式でやっておりますが、この懇談会の形式が私どもにとりましてはたいへん有益でございまして、むろん議論を詰めるべき点が多々残っておりますけれども、そういう面はまた懇談会の構成員の方々が十分いろいろな資料を出していただいております。 でありますから、いまのところは、私どもの考えといたしましては、しばらく現状のままでやっていってみたい、またやっていけるのではないかと私は考えております。しかし、問題がますます大きくなって、精緻にわたった検討をすることが必要になるということになりますれば、いま御質問のあった点をもう一ぺん考え直してみたいといまのところ私は考えております。
岡良一
41
○岡
委員
原子力政策
もだんだん具体的に進められてくると、やはり事務的な仕事も非常に多くなってきて、
原子力
局もそれだけで手一ぱいのような
状態
になり得ると思うのです。そういう場合、
原子力委員会
にはそれぞれ専門部会あるいは
動力炉
懇談会というものがございますが、ともすれば、専門部会あたりの人選を見ると、一種の均衡人事的な並び大名が多い。これでは春の日のごとく、ただのうのうと話をするだけだというような結果になってしまって、実のある結論が出ないといううらみが過去十年にあったと私は思います。こういうことは
委員長
代理としてぜひないように、うんと締めてやっていただくように強くお願いをしておきたいと思います。 それから、原研と
原子力委員会
のあり方と申しますか、関係と申しますか、この点について森田副
理事長
、今度原研の改組がいま問題になっておりますが、どういうふうな方法にいま改められるのか。
森田乕男
42
○森田参考人 御承知のとおり、
原子力
研究
所というのは特殊法人でございまして、しかしながら実質的には国の
機関
であるというふうに私たちも心得ておりますので、国の
方策
がきまりますれば、そのとおりにわれわれのほうの運営もしていきたいと思っておりますが、いままでいろいろお話があったように、一体原研はどうしなさいというお指図はあまりいただたいことがないので、いままで時の
理事長
のもののお考え方が主として
中心
になって、原研のあり方というものが現実にあったと思うのでございます。 丹羽
理事長
が就任し、原研のあり方、ことに
研究
のあり方はどうあるべきかということをディスカッスしようじゃないかということで、まずこれをきめなければ自分たちはどうしていいかわからぬじゃないかということで、いろいろお話し合いをいたしまして、主として
産業
界、学界に対するサービス並びに人材の養成、これが
一つ
の柱であり、あとはラジオアイソトープの製造、頒布、利用、
開発
、それから最後に
一つ
、
動力炉
の
開発
、この三つの柱を立てて、これに目的を合わして、合目的に組織を編成がえしようじゃないかということがものの考え方の根本でございます。 そこで、先ほどからも問題になりましたが、
動力炉
開発
という、抽象的にいえばそうでございますが、具体的にどうするかということになりますれば、これは非常に問題が多々含まれておるのでございまして、いろいろお立場の相違から、
日本
の中のユーザー、メーカーさん、学術
会議
に、いろいろな御
意見
が少しずつ違うように伺っておりますが、これは先ほどの有澤
委員長
代理のお話にもございましたとおり、そのうちに整理調整して、こうしなさいという指示を与えていただけるようにいたしますので、その上はそのとおりにわれわれのほうとしては運営をいたしていきたいと思います。 先ほど申しましたように、合目的に編成いたしましたということは、結局
動力炉
開発
計画
、それから
動力炉
設計、並びに
燃料
開発
というような、つまり目的的に編成しまして、従来はたとえば化学部だとか工学部だとか物理部だとかいうふうになっておったものを、
研究
の関係は全部一本にしぼって、
研究
部というもの一本にいたしまして、その方面で、たとえば設計部なら設計部でこういう部分のリサーチがほしいということであればその注文もするし、それから
研究
部のほうでみずから
研究
も進める。しかし、
研究
そのものは、いかに基礎的であろうともどこかに目的とつながっておるべきであるということは、先ほどの向坊先生のお話といささか違っておるようにも存ずるのでありますが、われわれとしては、われわれが考えております目的的な
研究
のその以前の
研究
については、大学等でやっていただけばいいんじゃないかというふうに考えておったのです。 それから、いままで
理事
の分担を部門別に持っておりましたのを、今度は事項別に変え、たとえば運転管理のほうは一本にしぼってこれをだれだれが一人で見るというふうな方向に変えました。 それから、大洗にしろ、川崎にしろ、だいぶブランチができましたので、これを総合的に本部で調整する必要があるということによりまして、木部に若干の総合調整の部門をこしらえた。 それからもう
一つ
は、大洗の
研究
所が
材料試験炉
の設置だけは決定いたしましたが、将来アイソトープの関係のもの、
動力炉
開発
の関係の施設というものをそこに置く関係上、大洗の施設というものも、大洗管
理事
務所というものを設けて発足いたしました。 それからもう
一つ
は、ラジオアイソトープの製造頒布等につきましては、従来各部門にわたって
分散
いたしておりましたのを、RI
研究
所とともに一本にしぼって、アイソトープ事業部というものにまとめ上げた。 こういうことが大体の中核的なものの考え方でございます。 あと管理部門につきましてはそんなに大きな変更はいたしておりません。
岡良一
43
○岡
委員
原子力委員会
は
原子力政策
を企画し、決定をする、
原子力
の
平和利用
に必要な予算の見積もりなり配分は
原子力委員会
関係でやる。したがって、
原子力
研究
所は
原子力委員会
の決定をした
政策
遂行のための一環として、その指示のもとに動くものだと私は思う。いま申されたアイソトープの生産とか、あるいは学界その他の交流とか、民間の利用に寄与するとか、あるいは
動力炉
の
開発
云々というようなことは、
原子力委員会
と全き了解のもとに決定されたものですか。
森田乕男
44
○森田参考人 いまのお尋ねのことでございますが、われわれのほうの
理事
会で決定いたしますことは、
原子力委員会
とも話し合いをいたしまして、
原子力委員会
で御了承を得ております。その
原子力開発利用基本計画
の中にもこれは四十年度の中にこの考え方が盛られております。
岡良一
45
○岡
委員
問題は、原研の
理事
諸君がきめたことが
原子力委員会
の承認を求めるのではなくて、
原子力委員会
がこうあるべきだときめたことを忠実に従属
機関
として履行するのが
原子力
研究
所の任務である、私はこう考えておる。その点が少し
原子力
研究
所は独走しておるのではないかというように思いますが、どうですか。
森田乕男
46
○森田参考人 私も岡先年と同じようなものの考え方でおりますし、いままでもおります。
岡良一
47
○岡
委員
材料試験炉
もできる、やがて再
処理施設
もできるだろうということになれば、私の知る限り、
日本
東海村の
原子力
センターというものは国際的な一流の水準に達する
原子力
センターになると思います。 そこで、この
原子力
センターがいま申されたような三本の柱で運営をされて、
材料試験炉
でもできて民間の
企業
にどんどん利用されていくというふうなこと、言ってみれば民間に対する発注のチャンネルのようなかっこうになってしまうというのでは、原研の持つ本来の使命というものは大きく逸脱するのではないかと思う。むしろ原研のこの施設が大いに活用されて、基礎
研究
の場としても十分の使命を果たし得ると私は思うのだが、この点、向坊教授はどうお考えになりますか。
森田乕男
48
○森田参考人 いまの
材料試験炉
のことでありますが、
材料試験炉
の利用については、原研の
研究
の利用というものを最優先にいたしまして、そしてなお余力がある場合には民間に使っていただく、こう考えております。
向坊隆
49
○向坊参考人
材料試験炉
につきましては、
研究
者の間でもいろいろな議論がありまして、あれがきまります時分の原研の主任会にも私出ておりましたのですが、いろいろな
意見
がありまして、私などは炉の設計の専門でございませんので、なかなかどれが一番正しい議論であるかということはちょっと判断ができなかったのでございますが、そのときの議論は、
一つ
の議論は、私の記憶によりますと、ともかく
日本
で
動力炉
を国産していくという以上は
材料試験炉
というものは不可欠の道具である、どうしても要るものだから建てろという強い主張がありました。 それに対して反対の
意見
と申しますのは、
材料試験炉
というのは非常にたくさんのお金と相当な人員でなければ動かせない。それだけのお金と人をそれに注入するだけの価値があるかどうかということを疑った議論があったわけであります。その人たちの主張は、
材料試験炉
というのは外国でも最近では万能試験炉というものはだんだんなくなってきているので、何かプロジェクトがきまったときに、そのプロジェクトのための軍用の試験炉というような形になってきつつある。そういう
時代
だから、
日本
でそういう万能試験炉をつくるより、ほかに力を注いだほうがいいというような議論があったわけであります。 私は専門でありませんから、どちらが正しいかということは、ちょっといまでもはっきり申し上げかねておるのです。 最近の事情を申しますと、大学のほうでも、一部の大学の
研究
者の間では、非常に
材料試験炉
を使うということに熱心でありまして、少しも早くあれが動いてくれて、それを大学で大いに使いたいという一群の
研究
者と、それから、いや、大学の
研究
というのはそういうものではないのだ、もっと
研究
炉を使って基礎的なことをしっかり積み重ねていけばいいので、
材料試験炉
を大学で使うということはもう少し先の問題だ、将来は当然使うようになるだろうけれども、あわててそういうものを使う必要はないのだという議論と、やはり現在でも二つあるような
状態
でございます。
岡良一
50
○岡
委員
私がお尋ねしたのは、
材料試験炉
だけについて申し上げたのではなくて、
材料試験炉
を含めて、もうやがて六基の原子炉が稼働しようとしておる。ここまで整備された
原子力
センターというものは、国際的な水準とも言えるのじゃないか。であるから、もう原研においては基礎
研究
が十分にでき狩るし、また自主的なプロジェクト
研究
もでき得るのだ、それだけのものをもう備えておると見ていいのではないか、こということの御見解を聞いておるのです。
向坊隆
51
○向坊参考人 その点につきましては、全く同感でありまして、世界一流というのはどうかとも思いますけれども、ともかく相当りっぱな施設が整っておりまして、ひがみ根性かもしれませんが、大学の施設なんかに比べますと比較にならぬほどりっぱな施設が整っておりまして、大いに活用する義務はあるというふうに感じる次第でございます。
岡良一
52
○岡
委員
まあ足りないのは施設に伴う人が足りないくらいのところで、相当な程度まで発展をしておると思います。 ところが、いま森田さんのお話を聞くと、ラジオアイソトープをつくるとか、いろいろな学界や民間の共同利用の便に供するとか、
動力炉
を
開発
するとかということがある。かりに
動力炉
の
開発
についてのプロジェクト
研究
をやるといたしましても、率直な話を申し上げるのですが、向坊君も率直にお答えを願いたい。いまの原研の
理事
諸君でそういう組織的なプロジェクトを積み上げていく能力が一体ありますか。
向坊隆
53
○向坊参考人 いや、率直に申し上げまして私はちょっとそういう答えはいたしかねると思いますが、いかに第三者といえどもそういう個人批判は差し控えたいと思います。
岡良一
54
○岡
委員
まあこれも非常にぶしつけなことで、しかし森田さんは非常に円満なお方だから、私の放言居士はよく御存じと思いますので、どうか御了承願いたいと思いますが、問題はやはり、前にも言われたことがある企画室的なものを設けて、そしてここにはほんとうに専門的な企画をそろえて、そうしてこのプロジェクトならプロジェクト
研究
というものを組織的に総合的に進めていく、同時にまた基礎
研究
と
開発研究
をも統一的に推進をしていくという、そういう企画室的なものが運営の頂点になければならない。古い、片手に鉄扇でも持っているような老人ばかり集まっても、なかなかこういう新しい分野の仕事はできないものです。これは森田さん、お帰りになったらぜひ
理事
の諸君に、私がこういう放言を言うておったとおっしゃっていただきたい。ひとつこういう点について十分お考えを願いたいと私は思うのです。
森田乕男
55
○森田参考人 いまの御指摘の点でございますが、私率直に申し上げていいかどうかわかりませんが、はっきり申し上げますと、たとえば
動力炉
開発
については
計画
部というものがございまして、そこで全部の企画的の仕事を
動力炉
開発
についてはやるという構想で、一番
計画
企画的な人間をそこに置いて、
動力炉
開発
の一番重点だからということで、そこへ人間を
集中
してやらす、こういうものの考え方になっておるのでございます。 全体の運営に関する企画室というものの考え方は、私もいつも考えておったのでございますが、いかんせん、なかなか人材が、企画室に持ってまいりますと現場のほうが手薄になるというようなことで、人間の絶対数が不足しておるということが、企画室拡充の目下むずかしい点になっておる、こう考えております。
岡良一
56
○岡
委員
まあいずれにしても最近における
原子力
行政の一大失態は、原研の去年の騒動後におけるあの人事の問題だと私は思います。したがって、これはよく反省をして、そうしてひとつりっぱな企画をつくって、足りなかったら村田君がんばって大蔵あたりからもらってきて、そうして原研がほんとうに原研らしい活動が、基礎
研究
においても
開発研究
においてもやれるような、そういう
努力
をやってもらいたいと思うが、村田君の決意を聞きたい。
村田浩
57
○村田政府
委員
先生御指摘の点で、
原子力
研究
所の今後の活動を十分
原子力委員会
の立てられた
計画
に沿って発展させるというために必要なことは、
原子力委員会
の事務局としてはもとよりでありますが、
原子力
研究
所を所管いたします
科学技術
庁の
原子力
局という立場からも、これは全力をあげてやらなければならない仕事だと思っております。特に、実際に仕事をやりますには、何といっても人と命がなくてはできない。その金の点でも、もちろんさらに、先ほど森田副
理事長
もお話しでございました人をふやす、
研究
者をふやすという点につきましても、単に予算の時期だけでなくて、年間を通じて、大蔵省はもとよりでございますが、関係の方面に十分に積極的に働きかけるように
努力
してまいりたい、このように思います。
岡良一
58
○岡
委員
これは、ほんとうに
科学技術
庁のことだけではなく、大臣もひとつ大いにがんばっていただかなければならぬ。とにかく施設があるけれども人が足らないというので、まじめな
研究
者が土木事業の手伝いをしておるような
状態
では全く恥ずかしいと思うのです。この点はがんばってもらいたいと思います。 それから、これは先般の電源
開発
審議会でしたか、
昭和
四十五年までに百三十七万キロワットの
原子力発電
をやるという発表がありましたが、これは一体どことどこでやり、そして百三十七万キロワットになるのですか。
村田浩
59
○村田政府
委員
百三十七万キロワットの根拠は、
原子力発電
株式会社が現在
アメリカ
の会社三社に対して入札を求めております敦賀半島の先端に
建設
予定のいわゆる原電二号炉と呼ばれるものでありますが、出力の
規模
は、これは入札の結果を見てみませんとわかりませんが、一応
原子力発電
会社の予定では二十五万から三十五万くらいの間、そういう考え方でございます。 それから、その次の原子炉としましては、関西
電力
株式会社が一応
計画
を進めておられ、一応その予定の敷地として敦賀半島の西に考えておられます
原子力発電
所、これも大体の
規模
としては三十万キロワット程度と考えております。 それから、このほかに同じく並行的に
計画
を進めてきておりますのは、東京
電力
のものと、それから中部
電力
のものとがございます。東京
電力
としましては、私どもの聞いておりますところでは、
建設
予定としては福島県の大熊付近の敷地を予定しております。他方、中部
電力
では、三重県の海岸の敷地を予定して、それぞれ
計画
を立てて、現在検討を進めておる、こういうことでございます。これらはいずれも
原子力発電
会社の敦賀半島につくります二号炉の契約の進め方、進み方等を十分見まして、その経験を生かしながら
建設
にかかりたい、こういう趣旨で、二号炉の発注がやや予定よりおくれておるようでございますが、二号炉の発注を見まして、大体一年あるいはそれから若干の期間のうちにそれぞれの
建設計画
を具体化していきたい。 したがいまして、順調にまいりますと
昭和
四十五、六年ごろには、出力
規模
としまして現在の一号炉を含めまして合計百三十七万キロワットになる、こういうのが概略でございます。
岡良一
60
○岡
委員
総合
エネルギー
部会の発表だったかと記憶しておるのでございますが、一九七二年には
石炭
に換算して年間四億二千六百万トンの
エネルギー
が必要であるというような数字です。その数字は若干私の記憶違いかもしれませんが、これはその場合、
原子力発電
計画
の後期の十年に当たるわけです。そうすると、あの場合は八百万キロワット前後ということになっていましたが、この数字はいかがでしょうか。先ほど来先生の意欲に満ちたお話を承りましても、うんと
伸び
てもいいくらいに思うのですが、大体どの程度いけるか。これはこれからの問題なんですが、やはり後期十年は八百万キロワット前後というところに落ちつくものなんでしょうか。
有澤廣巳
61
○有
澤説明員
アッパーリミットといいますか、上限が八百万キロワット、
長期
計画
で申しておりますのは、これはいずれも実証炉を導入したのを
——
国産もやるかもしれませんが
——
導入された実証炉に基づいて民間の
電力会社
の
開発
といいますか、設置を
原子力委員会
としては期待しているわけです。が、あるときに比べまして現在は、先ほど申しました
エネルギー
の
海外依存度
も一そう急迫をしているということが明らかになりましたし、他方におきましては、
原子力発電
の
経済性
がずっと明確化してきたばかりじゃなく、先ほど堀さんの話にもありましたように、だいぶ低下をしてきたということもありますので、まあ一九八〇年ごろになりますともう少し
原子力発電
として
伸び
るのではないかというふうに私は予想しております。 ただしかし、先ほどもしばしば引用いたしました
ラピー報告
におきましても、
原子力発電
が
エネルギー政策
の中に現実にウエートを持つと申しましょうか、ある大きさを占めてくるのは一九七五年以降のことである、現在では相当の範囲にわたってそれを考える余地があるけれども、しかし、現実のウエートを持って
EEC
の
エネルギー
の
供給
の中に位置を占めるようになるのは一九七五年以降になるというので、そこにはいまのところ
ラピー報告
には具体的な数字はあげてありません。 そういうような点から考えますと、先ほど申しましたように、
ヨーロッパ
の六カ国よりも
日本
の
エネルギー
状況というものは一そう急迫しておるといいましょうか、問題として深刻化を加えておりますので、私自身の希望といたしましては、
原子力発電
がわれわれが
長期
計画
で予想しておるよりももっと
伸び
てもらいたい、こういうふうに考えております。 そういう問題につきましては、先ほど
前田
さんの御
意見
にもありましたように、一方ではそういうふうに
プルーブンタイプ
の
原子力発電
所でありましても、それがそんなに
伸び
るにつきましては、やはりそれの国産化が
日本
で大々的といいましょうか、大
規模
にできるようにならなければならないということと、もう
一つ
は、当然のことでございますけれども、それに使用する
燃料
の
日本
での国産化という問題が非常に重要な
意義
を持ってくると思います。と同時に、これも向坊さんから御指摘になりました立地の問題、
安全性
の問題、それから
使用済み燃料
の廃棄物の処理の問題、そういう問題をもわれわれのほうで十分検討して、それに対応する
方策
を早く実施に移していくというようなこと、つまり一口に言えば
原子力発電
所の環境整備を進める。一方では国産化を進めるとともに、他方においては環境の整備を進めるということをいたしますれば、十分われわれの期待以上に、
長期
計画
以上の
原子力
の
発電
が
日本
において一九八〇年ごろには
実現
できるようになるのではないか、そういうふうに考えております。
岡良一
62
○岡
委員
昭和
四十五年といえば前期十年
計画
、そのときには大体百三十七万キロ、この
計画
が発表されたときは大体百万キロワット、そうして七五年には八百万キロワットというようなことが大体できそうだが、できるのは、要するに
アメリカ
の
軽水炉
が
経済
的に安いから導入して、これでひとつつじつまを合わす。これは
原子力委員会
の仕事じゃない。通産省の公益事業局の仕事です。
原子力政策
としてはそんなものであってはいけないと思う。やはりいま
アメリカ
でも、先ほど来お話があったように、
軽水炉
にかわる炉型について二つ三つのものが検討されている。英国でもやはりAGRと他の炉との比較がまじめに検討されておるという
状態
なんです。そういうふうに
動力炉
についてはアンノーンファクターがまだ残っておるのであるから、これらを
一つ
一つ
解決しながら
日本
の国産炉をつくっていくというような方向に向かっての
努力
、これが
原子力政策
というものの本来のあり方である。ただ安いから
アメリカ
から買ってくればいいんだ、
燃料
は再処理も引き受けてくれるからというので、向こうのシングル・パッケージなんとかいういわゆるニュークリア・フユエール・サービス・カンパニーみたいなものができたりしている。そうすると、先ほど有津先生がおっしゃったように、
日本
は外国の
原子力
メーカーの単なる市場になってしまう。
日本
の
自主性
というものは何もない。そういうような方向に
日本
の
原子力政策
がゆがめられることは、私はきわめて遺憾千万なことだと思います。 そこで、問題は、民有とかなんとか先ほどから言われておるが、
研究開発
の段階において民有なんということはあり得ないことなんです。民有にして、政府の金を出してくれなんということは、僭越千万な話です。であるから、
研究開発
は十年で済むものじゃない。後期十年も
研究開発
を必要とするというふうなことで、ブリーダーの
開発
もおくれてきているというような現状である限り、あまり民間業者が
軽水炉
の導入ばかりをあせって、ただつじつまを合わせて八百万キロワットをやるというような軽率なことをやらないで、まともな
日本
の
原子力政策
を育成していく。メーカーもユーザーも共同してこれに協力をしていく、こういう体制をとってもらわなければならない。 そういう点から、たとえば民間の会社が、いま村田さんもおっしゃったように、原電は二つしかできないから、あとの三つは民間の会社が入れる。そのあと
幾つ
か入れるか知らないが、それはおおむね
アメリカ
の
軽水炉
であろう。言ってみれば、ゼネラル・エレクトリックとかウエスチングハウスのセールスみたいな仕事をやる。こういうようなことに対しては、
原子力委員会
としては当然きびしい規制を与える必要があるのではないか。単にそれを野放しに放任をすべきものではないと私は思うのだが、具体的にまずどういう規制を与えられるか、規制を与えられる御決意があるかどうか。これも有澤さんとしては無理な点かと思いますが、率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
有澤廣巳
63
○有
澤説明員
いまおっしゃられましたことにつきましては、私の考えておるとおりでございますが、規制という問題でございますが、その規制につきましては、私の考えでは、やはり
燃料
の問題にいたしましても、先ほど申しましたように、
アメリカ
と結んだ
燃料
の
リサイクル
でなく、
国内
においての
リサイクル
ができるような体制をまず国としてつくらなければならないということです。
アメリカ
の
燃料
の
リサイクル
の中に組み込まれないように持っていくための体制、それがためには再
処理施設
をつくる。そこで同時に、抽出される
プルトニウム
を
燃料
として十分使えるような
開発
を進めなければいけない。それも、そのためにはおそらく
材料試験炉
で照射試験もやらなければならぬ。つまり、そういう施設のほうもだんだん整ってきておりますけれども、同時にそういう体制をつくらなければ、
電力会社
といたしましても、どうも何も
日本
の
国内
にないのにただ
国内
にそれを貯蔵しておけとか、
使用済み燃料
を貯蔵するとか、そういうわけにはいかない。 ですから、そういう点で、私どもも本年度の
原子力開発利用基本計画
の中にも、さっそく再
処理施設
の詳細設計を始めて、四十六年ごろにはそれが完成するように持っていきたい、そういう趣旨を
燃料政策
の観点からも書いてあるところでございます。なるべく規制は避けて、
電力会社
とメーカーと協力のもとに、
国内
で
燃料
の
リサイクル
ができるようにいたしたい。そのつくった
燃料
を、
国内
でつくる炉、国産炉
——
これは
軽水炉
でございましょうけれども、
軽水炉
でも国産炉でありますならば、炉と
燃料
を合わせて
研究開発
することができると思います。そういうふうなやり方で、いまおっしゃられました自立的といいますか、自主的な体制を
確立
いたしたいと思っております。 けれども、それにもかかわらず、なお
電力会社
なら
電力会社
が、いや、おれはどうしても
国内
ではやらないで、向こうへ持っていく、
アメリカ
のほうへ持っていくんだ、この点は
経済性
の問題だと思います。だから、
経済性
が同じ水準でございますならば、商さが同じ水準ならば、当然
国内
で
電力会社
も再処理をしてもらえる、こういうふうに考えております。しかし、それがあまりに
経済性
の傾斜が激しいという場合には、これはまた
発電費
に影響してくる問題でございますから、そこで
エネルギー
問題の場合には常にある問題、すなわち
経済性
の問題と
安全性
の
保証
の問題、それのかみ合わせをどういうふうに考えるかというところで判断をいたしたいというふうに思っております。
岡良一
64
○岡
委員
それはもっともなことなんで、いずれ高くつく場合が、特に
日本
の特殊な
条件
の中では多いかもしれませんが、そういう場合には、たしかこれはドイツであったかと思うのですが、たとえば重油専焼の
火力
発電
の平均の一キロワット・パー・アワーよりも高くなれば、高い部分は国が補償してやるというような対策でもって、やはりなるべく自立的な国産化の方向に
努力
していくというふうにしむけていくというのが
原子力委員会
の仕事なので、高いから安いものを買ったってしょうがない、お手あげだというのでは、それは原子
委員会
としては、ぼくは少なくとも納得いたしかねる。再
処理施設
のことはもちろんですが、そういう点ひとつにらみ合わして、ぜひ強力に民間の野放しを十分に監視していただきたい。そうでないと、現在
石油
が国際カルテルの支配下にあるように、その下に入ってしまうという状況では、ほんとうに
日本
の繁栄の基礎である
エネルギー
の需給対策というものが全く他に依存する、追従するということは、国家のためにも非常に不祥事であるから、これは
産業
界のほうなり、
電力
業界のほうなり、十分ひとつ善処していただきたいと思います。 それから、これは言いおくれましたが、有灘先生どうなんでしょうか。先ほど来もお話が出ておりますが、大体一九七五年以後正確に
原子力発電
というものが、総合
エネルギー
の中においてどの程度のウェートを占めるかという正しい評価はできておる、それはそうといたしましても、ただ、まだ
日本
では、何となしに
原子力発電
というものは一種のホープだという考えがあって、明確に
原子力発電
というものがどうしても必要欠くべからざるものだという、どの程度の割合をもって年間の
需要
に対して
原子力発電
が必要であるかという、数字までは割り出せないにしても、単なるホープじゃなく、もっと根拠のある
原子力発電
の必要性というものが、はっきり国の
政策
の中に打ち出されてこなければならないのではないか。この点の政府の認識、あるいは
原子力委員会
の
努力
がまだ足りないのではないかという気が私はするのですが、この点いかがでしょう。
有澤廣巳
65
○有
澤説明員
確かに
原子力発電
は
日本
の
エネルギー政策
にとってホープであるということは、大体一般の御認識も今日では得られておると思いますけれども、これがもっと何といいますか、絶対に必要な要件であるというところにまでその認識が高まらなければならないと思うのです。きょう私が陳述いたしました中にも申し上げておきましたように、もし
原子力発電
でやりますならば、その
発電費
が
石油
、重油
発電
とキロワットアワーあたりで同じ値段である
——
安ければむろんでありますけれども
——
同じ値段であるといたしましても約四分の一の
燃料
の
輸入
で済むということは、私は絶対的な問題であると思うのです。他方において、
エネルギー
が
海外依存度
が九〇%にもなろうというときに、
発電
のための
エネルギー
だけ、
燃料
だけでございますけれども、しかし、その
発電
用の
燃料
というものも全
エネルギー需要
の中では大きな比重をますます占めていくわけです。そのますます大きくなる
発電
用の
エネルギー
の
輸入
依存度が四分の一に減るということは、これは
日本
の
エネルギー
問題を解決する絶対不可欠の要件であるということを私は言いたいわけでございます。 がしかし、まだその認識が十分行き渡っていないということは、おそらくいま御指摘になりました一九七五年以降における一方においては
電力需要
の
伸び
と、他方においては
輸入
エネルギー
、特に
電力
が必要とする
輸入
エネルギー
の
需要
、そしてその中において
原子力発電
がどれだけの役割りを演じ得るか、そういう推算をしなければならないと思います。これにつきましてはいま
原子力委員会
ではちょっと手薄でございます。その計算をするのには正直に申しまして少し手薄でございますが、幸いにいま通産省の中にある
産業
構造審議会の中の部会でございますけれども、総合
エネルギー
部会というものがありまして、やがてそれにかわる
エネルギー
調査会というものが
——
いま法案が出ているようでございますが、この法案が通りますならば
エネルギー
調査会というものが生まれるわけです。そこらあたりにおいて十分検討いたしまして、
一つ
の
長期見通し
の
計画
を立てることができると考えております。いま総合
エネルギー
部会におきましても、まずいろいろな非常に複雑な計算を行ないまして、大体
中期経済計画
のあの見通しと同じ作業でございますが、その作業でもっと
長期
の、二十年、二十五年後のところの
日本
の
経済
構造の予測計算を始めております。それができますと、今度は
エネルギー需要
の見通しもだんだん具体化していくことができると思います。ですから、一方におきましてはそういう検討を経てそういう
一つ
の見通し、
計画
を立てたいと考えております。 それで、この点は特にこの機会に申し上げておきたいのは、一九六〇年でございますか六一年でございますか、その時分に私
ヨーロッパ
のほうに参りまして、各国の
エネルギー政策
を
中心
にした事情を聴取して歩いたのですけれども、その時分には、ほとんど
エネルギー
の
長期見通し
、
長期
計画
というものを各国は持っていなかったのです。ところが、昨年参りますと、どの国も相当
長期
の、まあ大体一九七五年あるいは八五年というところをめどにした
長期
の
計画
をすでに立てております。これは私当然のことだと思います。
エネルギー政策
を考えるということになりますれば、短期のものでは役に立たない。相当
長期
、十五年とか二十年とかいう
長期
の見通しをどうしても立てなければならぬわけでございます。ですから、その線を
日本
におきましても、少しおくれているようでありますけれども、現在検討しつつあるわけでございます。 その
長期
の見通しが一方に立つとともに、他方におきましては、先ほど申しましたように、もう
プルーブンタイプ
の炉は中性子の
利用効率
がたいへん悪い。ですから、もっと効率のいいアドバンストコンバーター、改良型の
軽水炉
を
開発
する。このことは
日本
としてはどうしてもやらなければならぬ。ブリーダーは、
ファストブリーダー
を
開発
すればいいのですけれども、それにつきましては、何と申しましようか、なかなか見通しの立たない点もある。もっともっと
研究
を重ねる。これは国際協力による
研究
もむろん必要であります。原研のほうでの
研究
も必要でありましょう。そういう
研究
を重ねまして、やがて
ファストブリーダー
についての
長期
計画
も立て得るようになると思います。しかし、その間にいつまでも
プルーブンタイプ
の
軽水炉
にたよっているということはできない。八〇年代になればどうしても私はアドバンストコンバーターでやらなければならぬというふうに考えております。 そのアドバンストコンバーターの
開発
、これにつきましても、実は先進国のほうは相当アドバンストコンバーターの
開発
が進んでいる。いま
日本
が追いかけていっても、
日本
がちょうど中途まで行った時分には先進国のほうはもうゴールインするのではないか、そういう議論をする方と、いや、まだそれほど離れていない、いまから進んでもやりようによってはほとんど同時にゴールインすることができるということも考えられる、いま
日本
ではアドバンストコンバーターを国のプログラムとして行なうべきである、こういう
意見
もあろうと思います。いま懇談会でそういう
意見
を戦わしておりますけれども、これにつきましても
海外
の事情がどういうふうになっておるか、どこまで発展しておるか、そういう事情を十分この懇談会のメンバーたち、それに関係しておる専門家にごらんを願って、その
報告
を聴取いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
岡良一
66
○岡
委員
向坊さんにちょっとお伺いしたいのです。 いま有澤先生もおっしゃったように、ドーンレイの
ファストブリーダー
も相当強力な試験
発電
をやるのではないか。十何年前からやっている仕事ですから、これに
日本
がいま何もないところから、わずか十グラムかそこらの
プルトニウム
を
アメリカ
から貸してもらっている
日本
がやろうといったって、これはなかなかやれることではない。同時に、
ファストブリーダー
使用という
時代
は、やはりこれは国際協力の
時代
だともいえると思う。
日本
は、
日本
の科学者の能力がどの部分を担当して
研究
していくかというようなことをやはり人事交流の中で解決をしていく必要があるのではないか。あるいはまたそれに至るまでの、
プルーブンタイプ
でないアドバンストタイプの炉型についても、やはりもっと人事交流を盛んにしながら、
日本
としては国際協力の一翼をにない得るような、そういう体制を整えていくということがやはりこの際
日本
の
原子力政策
の重要な問題点じゃないかと思うのだが、この点具体的にどうすればいいかというような点について、向坊さん、何か御
意見
があれば承りたい。
向坊隆
67
○向坊参考人 私は個人的な
意見
といたしましては、もう非常に外国でやってしまっておりますので、国際協力というのが従来考えられている方式と違いまして、相当な人数の人が相当なお金を持って向こうへ行って、向こうの実験の何か一部を担当して何年かやってみる、そういう形の非常に大
規模
なものをやって、その間に
日本
が特徴を出してやれるような問題点をつかむというような形でなければ追いつけないのではないかというふうに感じているわけでございます。 しかし、一方には、そんなものは机上の空論にすぎないので、こちらである程度やって向こうに与えるものがなければ向こうは協力なんというものには乗ってくれないんだ、だからとにかく何か向こうに与えるようなものを生み出し得るところまではこっちで、せめて実験炉くらいまではつくってやってから、その先を考えるべきだ、そういう議論もございまして、そちらも一応理由はあるわけでございます。 ですから、どちらが一番いいのか私にもわかりませんけれども、いままでにも相当おくれておりましたので、一年や二年は慎重に協力の方式というものを検討すべきじゃないか、そういうふうに思っております。おくれたから早くやらなければいかぬという議論も成り立つわけですけれども、私は、おくれたのだし、ゴールは二十年先にあるのだから、ここのところは急がないでゆっくり協力の方式を考えて、そしてだんだんだんだんスピードアップしていって、
日本
で何か世界に貢献できるようなものを生み出せるようなものに持っていく、そういう方式があり得るのじゃないかというのが私としての考えでございます。 実際には、そういう協力が具体的にはなかなかむずかしいそうでございまして、たとえば予算の出し方でも、そういう外国にお金を持っていって仕事をするというような予算が出たことはないのだそうでございまして、そういういろいろな難点はあると思いますけれども、ともかく少し時間をかけてゆっくり検討した上で、だんだんスピードを上げていけるようなものを考えていただきたい、そう思っております。
岡良一
68
○岡
委員
国際協力といえば、やはり
日本
自身が独自なオリジナルなものを持っていないで国際協力とは言えない義理ですから、そういう意味で、英国でも
ファストブリーダー
の
研究
所内に
日本
の学者を迎えてもいいというような
意見
も聞いておりますし、また
アメリカ
でもそういうふうな
意見
もあるようであります。これはいずれにしましても真意はよくわかりませんが、この際調査団が出られたら、先ほどもおっしゃったように、どの面でどういう協力ができるかということについてゆっくりひとつ向こうと話し合いをなすって、
日本
もオリジナルなものの
研究
を進めながら、国際協力の場で
日本
として大いに協力の実をあげられるように御
努力
を願いたい。 最後に、今度この九月にいわゆるIAEAの東京大会があります。これはウイーンから初めて外国に出てきた大会
——
総会ですか、第九回総会です。これについて、これまでのIAEAの総会というものは、きわめて事務的な、しかも金が足りない足りないというようなお話がおもなものだったらしい。 しかし、
日本
としては、そんなものでなく、せっかく東京に寄ってやるのだから、やはり東海
原子力
センターを後進国の人たちに対しても十分利用できる道を開いてやるような、いわば南北問題解決のために
原子力
の分野で
日本
が積極的に協力をする。 それから、これはIAEAは無力過ぎたと私は思うのですが、
濃縮ウラン
を四〇%減らすとか、
プルトニウム
を二五%減らす、ソビエト、
アメリカ
のほうで。そうすれば、その施設は遊休化して、人間も遊休化する。そこで、遊休化した施設を、今度はニュークリア・フューエル・サービス・カンパニーというようなサービス部門をつくって、そして今度は自分たちで
燃料
におけるマーケット・シェアを争うという形が出てきておる。
燃料
の
供給
のあっせんはIAEA憲章の中でも重要な一章なんです。それを全然手をこまねている間に
アメリカ
のコマーシャリズムが先に出てきてしまっておるということは、きわめて遺憾だと私は思う。しかも
日本
はそのIAEAの
理事
国でもあるわけです。無力なIAEAを
強化
するために、
日本
としても、東京大会が開かれる機会にいろいろ具体的な提案があってよろしいと私は思う。私も若干の成案は持っておりますが、それは別の機会といたしまして、
原子力委員会
といたしましても、国際的の場においてIAEAを
強化
し、また
日本
がその
強化
のために具体的にこのような積極的協力をしようじゃないか、こういう
一つ
の具体的な提案をされるように私は強く希望したいと思います。 これをもって私の質問を終わります。 〔原茂
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
岡良一
69
○岡
委員長
御質疑はございませんか。
——
以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は長時間にわたりまして貴重な御
意見
をお述べいただき、本問題調査のためにたいへん参考になりました。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる五月十二日水曜日午後一時より
理事
会、一時三十分より
委員会
を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十七
分散
会