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1965-04-22 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十二日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 岡  良一君    理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君    理事 福井  勇君 理事 前田 正男君    理事 石野 久男君 理事 田中 武夫君    理事 原   茂君      小宮山重四郎君    坂田 英一君       田川 誠一君    竹内 黎一君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       藤田 義光君    細田 吉藏君       湊  徹郎君    日野 吉夫君       三木 喜夫君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小泉 純也君         国 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君         運 輸 技 官         (船舶局長)  芥川 輝孝君         海上保安庁次長 有田  毅君  委員外出席者         原子力委員会委         員       駒形 作次君         原子力委員会委         員       武藤俊之助君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  中川理一郎君         運輸事務官         (大臣官房審議         官)      中野  大君     ————————————— 四月二十二日  委員秋田大助君、荒木萬壽夫君、池田正之輔  君、木村剛輔君及び渡辺美智雄辞任につき、  その補欠として藤田義光君、丹羽兵助君、竹内  黎一君、細田吉藏君及び湊徹郎君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員竹内黎一君、丹羽兵助君、藤田義光君、細  田吉藏君及び湊徹郎辞任につき、その補欠と  して池田正之輔君荒木萬壽夫君、秋田大助  君、木村剛輔君及び渡辺美智雄君が議長指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一一五号)      ————◇—————
  2. 岡良一

    ○岡委員長 これより会議を開きます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 本日は、SOLAS条約、それから原子力規制法の一部改正案について質問をしたいのですが、その前に、サバンナ号外国の港に寄港する場合に、エドワードテーラー氏が米原子力委員会委員長のジョン・マッコーン氏にあてた手紙、これはMCAを予想して問題を提起しております。これは科学技術庁のほうからもその資料をいただいておるわけなんですが、その点について最初に若干質問してみたいと思います。  私は、二回の質問を通しまして政府のほうの見解が明らかになったことは、エドワードテーラー民の言っておる原子炉規制ということと、それから周辺地区整備ということについて二つ考えなければいかぬじゃないか、こう思うので、二回の質問においてはその点に触れたのです。兼重原子力委員も、原子炉を持った船が事故を起こした場合は、タグボートによって遠隔地にとどめるから、したがってそう危険がないのだ、そうした安全地区といいますか、そういう地区を設定する必要はないのだ、こういうような言い方だったと思うのです。それから、村田原子力局長もやはり同じようなことを三月の十八日に言っておられます。「タグボート用意する。タグボート用意が直ちにできる状況においてはそれなりの近接が可能になる。」こういうようなことで、同じような答弁をされておるわけなんです。  しかし、私は、そのことが非常に心配なので、端的にその点をひとつお伺いいたしたいと思うのです。と申しますのは、原子炉規制法改正案をやるにつきまして、周辺地区についても、やはり心配しなければならぬ点は十分に心配しておかなければならぬということなんです。それから、この法律案の非常に複雑な点、これも考えなければならぬのじゃないか。それからもう一つは、港則法関係して人間の関係が非常に複雑になってくる。こういう点も、こういう非常に重要な問題については考えておかなければならぬのじゃないか。こういう立場から、第一に周辺地区の問題について考えておきたい、こう思うのです。  ずっと以前ですけれども、中曽根委員のほうの質問から、原子力船ができるということになると、原子炉原子力船に備えつける場合に、安全地帯というか、そういう地帯をつくらなければならぬ、こういう提言がなされて、当時原子力委員のほうからも、その点については考えていない、こういう話があったように思う。まずその点からお聞きして、エドワードテーラー氏の提言について政府見解を聞いておきたい。まずその点から、言っていただきたいと思います。
  4. 村田浩

    村田政府委員 三木先生から前にこの委員会でも、原子力船の停泊あるいは入港基準といいますか、そういうものにつきましての安全性との関係でいろいろ御質問があったわけでございますが、その節にもお答えを申し上げましたけれども、私ども、これから原子力船を、外国原子力船を受け入れあるいはわが国原子力船を建造してまいりますその際に、どのようにいたしまして原子力船の安全を確保するかということは、十分に専門家意見を聞き、検討いたしまして、わが国の場合につきましても、先般来原子力委員会原子力船安全基準部会を設けまして、ここで諸外国状況資料等も検討していただいて、現在その研究を進めておるところでございます。  その場合に、何といいましても、現在世界原子力商船として実際に国内のみならず海外諸港も訪れまして、その安全確保のために種々の規制あるいは措置をとられておるというのはアメリカサバンナ号でございます。幸い、サバンナ号運航規制あるいは入港基準というものにつきましては、いろいろと資料を私どもも入手いたしておりまして、科学技術庁としても十分研究いたしますとともに、先ほどの安全基準部会にもおはかりしているわけでございますが、その中の最も重要な資料でございますサバンナ号入港基準STS10と符号されましたその資料は、先般当委員会にも提出いたしまして、その内容は概略私から御説明したとおりでございます。  この機会に、アメリカにおきまして、このサバンナ号一般商港への入港等に伴いましてどのような手順あるいは基準をもって安全を確保しようとしておるかということを少しまとめて申し上げておきたいと思うのでございます。サバンナ号の技術的な構造、あるいはこれを取り扱いますについての運転上の操作手続、その他安全と直接関係いたしますことに関しましては、たくさんの技術資料をつくりまして、それをアメリカ原子力委員会原子炉安全諮問委員会あるいは原子力委員会原子炉規制局、こういった専門機関承認を得て、そのような資料に基づいてサバンナ号が運航いたしておることは御案内のとおりでございます。  ただいま御質問にございましたことに関連して申しますと、第一には、サバンナの包括的な安全確保のための入港計画といいますか、港湾への寄港計画といいますか、そのことにつきましては、STSという符号が打ってございますが、STS8号というのがございます。これは表題は、「サバンナ号国内国外外海訪問計画概要報告書」とでも申しますか、通称サマリレポートと申しております。総括報告書、こういうふうに申しておりますが、これが国内といわず国外といわず、原子力商船サバンナ号入港いたしますについての包括的な指針となっておるものでございます。このサマリレポートは、アメリカ原子力委員会安全専門審査会審査を受けまして、そして承認を受けたものでございます。これを基準といたしましてさらに具体的な技術的な問題、安全性を確保するための技術的な問題につきましては、先般お配りいたしましたSTS10、いわゆる入港基準というものがございます。この入港基準の中には、それぞれの実際に入ります港についての具体的な解析書といいますか、そういうものが必要であることが書いてございます。したがいまして、そのそれぞれの港につきまして、たとえばロスアンゼルスに入るとか、たとえばヨーロッパの港に入る、それぞれの港についての入港基準を定めております。これも同じくSTS3とかSTS6とかいうような番号が打ってございます。  それらを通じまして調べてみますと、これは陸上原子炉でもそうでございますが、原子炉万々一事故の際を仮定しまして、その周辺にいわゆる人口排除区域といいますか、向こう基準によりますと管理区域と申しておりますが、その管理区域というのを設置して、その管理区域周辺にさらに低人口区域といいますか、そういうものを設けて、さらに船が人口の集中しておるところからの距離を確保する、こういうようなやり方をとっておるわけでございます。ただ、陸上の炉と違いまして、船の場合には船としての特殊性がございますので、その特殊性に合わせて行なうということであります。  その特殊性と申しますのは、第一に、船は陸上の炉と違いまして移動することができます。それから第二に、船は入港の際には必ずしも原子炉をフルに、つまり一〇〇%の出力で保持しておる必要はないわけでございます。速度も非常におそく入ってまいりますし、さらに原子力船では補助エンジンを持っておりますので、原子炉を一〇〇%運転したまま入ってこなくてはならぬということは必ずしもないわけでございます。出力規制ができるという点でございます。こういった点からいたしまして、陸上のかとはまた異なった、その点ではある意味では楽になる面もあるわけでございますが、そのような管理規制を行なうことができるようになっております。  たとえばサバンナ号の場合で申しますと、サバンナ号のいわゆる管理区域つまりその中に人がみだりに立ち入っては困る、船長の指揮下に服さなければならない、その区域といいますのは、サバンナ号が大体出力で七万キロワット、六万九千キロワットの原子炉を積んでおりますが、これで一〇〇%の出力で入ってきますと仮定しますときの管理区域半径は百七十メートルである。その周辺の低人口地帯というものの距離は、一〇〇%の出力で入ってきます場合においても三百四十メートルとなっております。  さらに、万々一事故等が発生しまして、遠隔投錨地に持っていくというような場合に、三十日間放置できなくてはいかぬわけでありますが、その三十日間も放置したままでよろしいといいますか、差しつかえないという距離は、一〇〇%出力の場合で七百メートルとなっております。ところが、この出力をかりに大体半分に下げて入港いたす、こういたしますと、いま申しました管理地帯百七十メートルというものが半径百メートルに縮まり、低人口地帯の三百四十メートルは二百十メートルに縮まる、それから遠隔投錨地基準となります半径は、七百メートルが四百四十メートルに縮まる。このように管理区域等を狭めて管理することができる。ここに原子力船安全確保一つの特色があるわけでございます。  さらに、万々一事故が生じました際には、先般も申し上げましたように、これを補助エンジンなり、あるいは自力なり、あるいは手配しましたタグボートで港外に直ちに引っぱり出すことができる、タグボートの準備の状況によりまして、このような管理地帯等制限もさらに変更することができるというようになっておりまして、たとえば先般お配りしました資料STS10をごらんいただきましても、この九ページにございますが、タグボートが、事故が発生して通報いたしまして、現地に直ちに着き、サバンナ号を引き出すその手配をとるまでの時間が三十分以内の場合、それが一時間かかる場合、あるいは二時間かかる場合ということで、ただいまの管理区域半径というものがそれぞれ変更できるように相なっております。さらに、タグボートが一隻でなくて、三十分以内に二隻用意できるということが確保されておりますと、先ほど私が申しました最初半径もまた縮めることができることが可能である、このように規定されております。  要は、このような管理区域あるいは低人口区域というものを考えまして、その中にあります船なりあるいは訪船者、つまり船に乗って、来ている人、あるいは桟橋等におる人、こういった特殊な目的でそこに来ておられます人たちを、万々一の際にはある一定の時間の中で退避させる必要がある、そのための計画を事前に考えておくべきである、というのが全般を通じての一つ基本法則でございます。  サバンナ号の場合で申しますと、先ほど私が申しました管理区域と申しますのは、万一放射能が漏れました際に、そこにおります人が二時間以内に全身で二十五レム甲状腺で三百レムをこえない被曝でとどまるように退避させる。それに要する時間は二時間である。そこで、この区域のことを二時間区域といっておりますが、事故が発生しましても二時間以内に順次退避させる、こういうことであります。さらにその周辺にあります低人口区域では、同じ被曝を二十四時間以内に受けないようにということで、二十四時間以内に退避できればよろしい、こういうことでございます。しかも、この半径と申しますのが、先ほど私申しましたように、最大の場合で低人口区域で三百四十メートルでございますから、船が一般住民区域からたとえば五百メートル以上離れているということでございますと、一般住民の退避ということはまず考えられないわけでございまして、アメリカ基準でも、先ほど申しましたサバンナ号入港基準のいろいろな意見をいれて考えました管理やり方がこのようになっているわけでございます。この点をこの間かいつまんで申し上げたわけでございます。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は、いまお話があったいわゆる管理区域、こういうことについてもう少し突っ込んで聞きたいと思うのですが、さきがた私が質問したのは、中曽根委員の三月四日の質問は、原子力地帯整備法という法律をつくって、そういう地帯をつくる必要があるのではないかというお説でした。これに対してはまだ考えていないということですが、この点をお聞きしたいわけです。その点はどうですか。
  6. 村田浩

    村田政府委員 中曽根先生から御質問がありました地帯整備といいますことは、たとえば現在東海地区で、先般も問題になりましたが、検討されているような意味での地帯整備であろうかと思います。私がただいま御説明申し上げましたのは、原子力船安全確保のためのいわゆる安全審査上どのような考え方でこれを規制していくかという実際を申し上げたわけでございまして、そういうようにして一般周辺住民に対して安全が十分確保されるように措置いたすわけでございますが、にもかかわらず、周辺の力がばく然たる不安を持たれる、つまり原子力船とか原子炉というものが非常に新しいものでございますから、そういった意味で、技術的には十分安全が確保されることはされるわけですけれども、にもかかわらず、そういう不安を持たれるというようなことがあれば、これに対応しまして何か考えたほうがいいのじゃないか、そういう意味での地帯整備というふうに了解いたしておるわけでございます。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その二つの考え方というものをまとめて申し上げますと、東海村の原子炉のセンターができたときに、こうした米軍の射爆場の問題については考えに入れておったか入れてなかったか、それはわかりませんけれども、現在この問題にわが国としても非常に悩まされておるわけですね。したがって、この原子炉規制法改正にあたっても、法律的にかなり完備しておるというような考え方でやっておりましても、今度、後になりまして、やはりいまの安全地帯というような考え方から、あるいは管理地帯というような考え方から、もう少し考えを深めておく必要があるんじゃないかと思うのです。そのときになってから、しまったというような考え方では、私はいかぬと思いますので、こういうことをしつこく聞いておるわけなんです。  そこで、いまエドワードテーラー氏の原子力委員長にあてた手紙について、原子力局長のほうからるるお話がありましたけれども、私はいまの説明だけでは問題は残るのではないかと思います。というのは、日本ではなるほどタグボートによって引っぱり出すことができれば、いわゆる無人地帯——管理地帯ともいいますが、この無人地帯、二十四時間ゾーン、またはそれ以上ということになっておりますけれども、こういう問題はタグボートによってそういうような操作はできる、あるいはまた低人口地帯甲状腺に対しては三百レム日本はこれは百レムということになっておりますが、全身では二十五レムをこえないようにするということ、二十四時間以内に退避できる、こういう地帯を低人口地帯と申しております。それから住民全体に対する長期影響の適当なる規制を保証するために、事故の周囲を、三十日と仮定して、二百万・人レム制限を確保すること、この三つの地帯がわれわれとしては考えられると思うのですけれども、そういう地帯をいま前もって設置しておく必要があるんじゃないか。  これはなぜそういうことを言いますかというと、入港時の必要条件としてそういうものを必ず整備しておかなかったらサバンナ号は入っていけない、エドワードテーラー氏はそういうように忠告しておるわけなんです。それがいまのような、こういうことにしてできるというだけでは、私は問題が残るんじゃないかと思う。いよいよ事故が起こって、MCAというようなことは予想しないところの最大事故ですから、そう簡単にこうした管理地帯というものができるというようなことは考えられぬと思います。  特に、私が前からずっと申し上げておることは、日本は、どこへ入りましても非常に入口秘密地帯考えなければならぬと思うのです。アメリカサバンナ号が入る場合、あるいはアメリカ考えておるような場合でさえエドワードテーラー氏がこう言っておるのですから、それに対するところの場所規制をしておく必要があるのじゃないか。主として今度のこの規制は、炉に対する規制、それから港則法等を適用して、船をどういうように監督するか、あるいは指示を与えるか、こういう立場になっておると思うのです。土地そのものに対する、日本の国あるいは港そのものに対する考え方が、私はやはり薄いのじゃないかと思うのです。そういう立場から質問をしておるわけであります。  だから、何回でも同じことを言うわけなんですけれども、エドワードテーラー氏が、「優秀な安全記録にだまされてはなりません。原子炉にとって本質的なものではないのです。原子炉というものは決して安全な装置ではありません。どんなに十全の注意を払ったにせよ、これらの艦艇を人口集中地域港湾の内外で運航することは、絶対的な必要がある場合でなければ、悪いことですというのがいまもって私の深い確信なのです。この分野については全世界がわれわれを注目しているのでありますから、このような慎重な考慮が外国の港を訪問する場合にも払われなければならないのであります。」これが一貫したテーラー氏の考え方なのです。  私も、この規制法を審議するにあたりまして、規制法それ自体はかなり考えられて、完備しておるようにも思うのです。問題点はあとでちょっと申し上げますけれども……。しかしながら、周辺考えというものをもう少し固めておく必要があるのじゃないか。そこで質問しておるわけなんです。テーラー氏の説明に対する解釈なり、いま村田さんのほうからお話があったわけなんですが、そういう意味合いで、低人口地帯、それから無人地帯住民全体に長期影響を及ぼすところの地帯、そういう地帯をどういうぐあいに設置するかということを、日本自体考え方として、いまお聞きしておる。そういう点はどうですか。
  8. 村田浩

    村田政府委員 私の説明が必ずしも十分足りませんで、御理解願ってない点があるかと思うのですが、テーラー氏も申しておられるように、原子力船人口稠密な港に入って、それが何ら普通の船と変わることなくどこにでも横づけし、そのために非常に居住区域のすぐそばに原子力船がおるというような形になったことについて、そういうことではいけない、厳重にこの管理をすべきだということを申しておられると理解しております。そういった点が、先ほどるる申し上げましたように、周辺に必要な間隔を置く、人口との間に距離を置く、こういう趣旨になってきておるわけでございまして、その点で設けられました管理区域なり低人口区域というものが十分確保されるということ、さらにいま三木先生お話もございましたように、その入ります港の周辺におります住民人口等から考えまして、方々一事故が発生した際に、たとえば二百万・人レムというような全体に対する被曝量があるかないかということを十分チェックして、そしてその必要な地点に係留させる、あるいはタグボート等用意をさせる、あるいは遠隔投錨地域をあらかじめちゃんときめておく、さらにこのような点について当該国政府、特に港長等指示命令に従う、そういうことを行なうことにいたしておるわけでございまして、もちろん日本の港に入ってきます際に、その管理区域なり低人口区域というものがどのくらいの距離になるかということを向こうも十分見ますけれども、わが国としましてもその点は十分チェックしまして、管理区域なり低人口区域なりにおける万々一の際の緊急措置等ができ得べきものであるかどうか、また、できるためにはどうしておけばよいかということは十分措置いたさなければならない。また、もちろんいたす所存でありますが、周辺住民というのは、たとえばサバンナ号がそこに入ってくるからどうかしておかなくちゃならぬということではない、このように御理解いただきたいわけであります。もしそのようなことが予想されるような場所がいまいわれておるとすれば、そういう場所には船は着けない、そういうことのないような場所に選んで船を着けるわけであります。  少しくわかりやすい例で申し上げますと、先ほど私サバンナ号の場合で申しまして、管理区域半径が百七十メートル、低人口区域の一番端までの距離が三百四十メートルと申しましたが、実際に入ります港のそのような設定可能な管理区域あるいは低人口区域距離がどのくらいかということをまず見て、その距離のほうが計算上出ました百七十メートル、三百四十メートルよりもより大きいという場合でなければこの係留地点といたさないことになっております。  具体的な例としてよろしいかどうか存じませんが、たとえば横浜港を考えたといたしまして、横浜港の大桟橋に係留いたしたということを仮定いたしましょうか。そういたしますと、桟橋の長さはそれ自体で約五百メートルございますし、桟橋のきわから一般居住地域まではさらにその上二百五十メートルございます。合わせて七百五十メートルの距離を持っておるわけであります。それだからと申しまして、サバンナ号横浜桟橋にとめるということをいまきめているわけではございませんけれども、かりにそういうことを想定いたしましても、それだけの距離はとり得るわけでございまして、問題は、その桟橋なり一般居住区域までの地域にどういう人が入っておるか、また、入っている人を万一の際にはどのようにして所要の手続で退避させるかということをはっきりつくってやるということが第一に必要なわけでございまして、その点が十分確保できるようになっておりましたならば、一般周辺住民の力にどうこうということはあり得ない、こう思っているわけであります。  もちろん二百万・人レムという問題がございますけれども、この間二百万・人レムというものの意味はよく御説明申し上げたと思いますが、その国、その都市の人口によるわけでありますが、STS10にも書いてございますように、その点の計算は十分いたして、そして初めて係留地点考えるわけでございまして、日本の主要な港等で一応計算してみましても、これは仮定の上に立ってでございますが、二百万・人レムまでとすることはほとんどあり得ない、このように見ております。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私専門的なことはわかりませんが、かりにもっとわかりやすく私も申し上げますと、横浜の港に停泊するということになりますと、いまの説明によりますと、そういう事故が起こったりあるいは危険があるというような場合はタグボートによって引き出す間がある、なお風向きの関係もあるでしょうし、あるいはそこの人口関係もある、こういうことからそういう説明をなさっておるわけなんですが、私はこのテーラー氏の文章にこだわるわけじゃないのですけれども、移動用原子炉の運転に伴う危険としては、「衝突、破壊のケースに巻き込まれるという点で一般社会に対してより危険な性質を持っている。」あなたの言われるほうは、そういうぐあいに十分やっておるのだから、また学問的にも考えておるのだから、そういう心配はないのだ、こういうことなんです。  もう少し読んでみますと、「パトリック・ヘンリー号による旅行の結果、海軍艦船用原子炉の設計、建造及び試験について多大の注意が払われており、乗員の知識程度やきわめて高度な訓練と相まって、その危険性は大いに感じている。しかし、危険がないのではない。  リコーバー提督は、設計上、兵員訓練の上で安全基準を緩和せざるを得なかった。危険は不可避的に存在する。原子炉安全審査会のメンバーについていえば、そのような圧力は確かに存在した。」  私は、このようなことがあったかどうかということも非常に危惧の念を持つのですが、こういうように説明しておるわけなんです。この中で、アメリカにおいてさえ安全基準を緩和せざるを得なかった、こういうことが言ってあるので、日本でもこういうようなことがもしとられるとしたらたいへんだと思うのです。これは軍艦ではありませんから、私はかなり立ち入った検査もできると思うのですけれども、ただ形式的にそういうことをやっておっただけでは、実際の危険に間に合うかどうかということを非常に心配するわけなんです。いまの説明で大体了解しましたけれども、そういう点を非常に心配しておるわけです。  それからもう一つ、新旧対照表によりまして、原子炉規制法の一部改正案の中に港則法との関係がいわれておるわけです。まず総理大臣が運輸大臣に命令をする、運輸大臣は原子力船運航者に必要な措置を講ずべきことを命ずる、なお海上保安庁長官を通じて港長、三十七条の三の規定によって港長の権限を行なう管区海上保安本部の事務所の長に対して、原子力船の運航に関して必要な規制をすべきことを指示する、こうなっておるのですが、私はこの間の命令系統といいますか、非常に危険を伴うような場合に回りくどいような手続がとられておると思います。こういう点についてはまた危険なり心配はないかということを非常に思うわけなんですが、その点はどうですか。海上保安庁のほうからも見えておるのですが、そういう御心配はございませんか。
  10. 中野大

    ○中野説明員 このたびの原子炉規制法改正におきまして、先ほど科学技術庁お話がございましたように、炉の設置の許可の改正で、許可基準あるいはその他、十分安全を考えておきめになっておられますので、ほとんどそれで十分とは存ずるわけでございますけれども、なおさらに、万が一の場合を考えまして、ただいまお話しございましたような三十六条の二の港則法関係改正をお願いしたわけでございます。  ただいま御質問ございました三十六条の二の関係でございますが、まず本邦に入港しますときには、あらかじめ総理大臣に届け出がございまして、これもできますればある程度、一ヵ月ぐらいの余裕をもって届け出願うというふうに御処理されるようでございまして、その届け出がございますと、二項にございますように、防止のために講ずべき措置にかかる事項を含めて総理大臣から運輸大臣に通知をいただくことになってございます。先ほど科学技術庁のほうから、炉の安全性についてるる御説明がございましたが、そういった専門的なことはむしろ科学技術庁のほうでお願いしまして、それを含めていろいろその措置すべき事項を通知いただくわけでございますので、そのいただきました通知に基づきまして、運輸大臣といたしましてはその措置をとるように連絡をしたい、こういうふうに思っているわけでございます。さらに、ただいまお話しございましたように、また海上保安庁長官を通じまして港長にいろいろ指示することになってございますが、これは実際に入港いたしまして、あるいは停泊する場所を変更したり、あるいは先ほどのお話にございましたように、万が一の場合には港外に退避させるとかいろいろな措置をとりますためには、やはり海上保安庁の港長の指示によりまして、港長の権限として行ないたい、こういうようなわけでございますので、両方の面からそういった万が一の場合を考えまして、さらに措置をするための改正をさしていただく、こういうことにいたしたわけでございます。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 両大臣がそろわれましたので、石野さんの質問があると思いますから、私は一つだけ質問させてもらって、おきたいと思います。  この前の説明によりますと、日本の領海に入る外国原子力船は、入港前に安全性を証明するための資料日本に提出し、首相の許可を必要とする。その許可を必要とする場合、二カ月前に出すところの資料、安全説明書というものは厚さ一尺くらいのものが五巻、それで二カ月要するのだろうと思いますけれども、そういうものをもとにして審査をするわけなんですね。そういう審査をして、それによって大体安全であるかどうかということを見きわめて許可を与えるわけなんです。そこで、こういう書類的に非常に膨大なものですから、見のがしたり、形式的になりますと、事実はやはりあとに残されるわけです。下枝を起こすところの事実があとに残されてしまうことになるので、その資料によって審査を経て、そしてこういう手続をずっと経た上で原子力船日本の港に入ってきて航行することができるのですが、そういうものを簡略にされるとか、あるいはそういう膨大な資料というものがそういう間に消化できるかどうかということを非常に心配するわけなんですが、そういう点は心配がないかどうかということ。  それから、もう一つ一緒に質問いたしますと、船舶交通の危険が生じたとき、または混乱のため航行に対して必要な措置を与えなければならぬ、こういうような判定がいまの海上保安庁のスタッフだけで、現地でそれをどう見きわめていくかということです。  一方では、審査の場合非常に膨大なもので手間どるでしょうし、そこに形式的にならないかという一つの心配を持つのと、それから、現場で、こうした船舶交通の危険を生じたようなときのことというものは目に見えないのですから、非常に高度な技術を要する問題ですから、これは海上保安庁あるいは港長だけの権限にまかしていいのかどうか。私はこの技術者が必要じゃないかと思うのです。これは前からも私ずっと言うておるのです。大臣もおいでいただいておるのですが、この際思い切って、こういう技術者が必要なれば、そういう港に派遣できるような要員を確保されたらいいのじゃないか、私はこういうことを思うのです。そういう問題は海上保安庁だけでやっていけますか。  それから、原子力局長に聞きたいのです。そういう膨大なもの、約一尺ぐらいの厚さのものを五巻というのですが、こういうものを審査してだいじょうぶだというようなことで、やっていけますか。
  12. 村田浩

    村田政府委員 御質問の前段につきまして私のほうからお答え申し上げます。  最初外国原子力船わが国の水域への立ち入りにつきまして許可を求めてまいります際、第二十三条の二によりまして「政令で定めるところにより、」となっておりますが、まだ政令はできておりませんけれども、内容といたしましては、大体、この提出してまいります時期は、実際に立ち入ります六カ月前を予定しております。ただいま先生のお話にございました二カ月と申しますのは、第三十六条の二の特定の港への入港の際の届け出、この届け出の期間を大体二カ月、このように見ておるわけでございます。  わが国に初めて参りますときの安全審査、これは先生御指摘のとおり相当多量の資料を検討いたしまして、原子力委員会にはかり、もちろん原子炉安全専門審査会にかけるわけでございますので、その期間を見込みまして大体六カ月は必要、そのように考えております。  もちろんわが国に参ります際に、どこの港にも入らないで水域に立ち入るということも理論的にはあり得ると思いますけれども、実際問題としてはとにかくどこかの港に入るということでございましょうから、おそらく最初のときには、その入ってくる港につきましても、そのときにあわせて申してくるのではなかろうか、こう思っております。しかし、その後また違う港に入るというようなことがありました際には、大体その二カ月前に、六十日以前にその港に入りたいということを届け出させるという手順を考えております。そのようにしてまいりましたものを、もうすでに安全審査で十分に安全上の問題は検討しておるわけでございますから、その資料をその特定の港にアプライしましたときにどのような措置をとっていただかなくてはならぬかということで、原子炉の専門の立場では、総理大臣のほうから、検討しました必要事項を運輸大臣へ通知いたしまして、それを港長等へ流していただくということを考えておるわけでございます。  もちろん初めての経験でございますから、サバンナが参りました際には運輸省とも十分その点につきまして技術的に協議してまいりたいと思いますし、必要な場合には、特に運輸省の御要請がございましたならば、科学技術庁のほうからも専門の係官を派遣する等のことは十分考慮いたしたいと思います。
  13. 有田毅

    ○有田政府委員 海上保安庁の港長といたしましては、港長はそもそも海内交通の安全に対して責任を持っておりまして、危険物等の処理に十分の責任を持っておるわけでございます。先生の御質問よりも先に、まず危険物と申しましても、最近は非常に石油化学とかいろいろ発達いたしまして、港長に職にあります者は、私どもの考えといたしましては、かような諸種の危険物に対しましても十分な知識を持つべきであると考えますし、そのように指導いたしておるわけでございます。  特に今般のような原子力船の問題に相なりましたときには、先ほどからのお話のとおりに、ひとまず非常に厳密な審査の結果入港するわけでございますので、ほとんど安全であるとは思いますが、しかしながら、海内におきます安全の万全を期する意味におきまして、海上保安庁といたしましては、港長の職にある者につきまして、従来からも逐次この原子力の関係の知識の吸収につとめてまいっております。たとえば過去におきましては、科学技術庁の放射線医学総合研究所でありますとか、原子力研究所のラジオアイソトープ研修所とか、そのほかかような放射線取り扱い技術者の講習会でありますとか、等々に職員を派遣いたしまして、現在でできます限りの努力をいたしておるつもりでございます。  さらにもしさような外国原子力船入港いたすような場合には、ただいま原子力局長から御説明がありましたように、科学技術庁のほうにも十分に御連絡いたしまして、できますならば優秀な講師を現場に派遣いただき、広く関係職員の原子力の知識の向上をはかりたい、かように思っております。過去におきましても、原子力潜水艦が入港いたしましたような場合にも、私どもの原子力関係の知識をさらに補っていただくという意味におきまして、科学技術庁から現場のほうに技術者に来ていただきまして、私どもの持っております船の上でいろいろと技術士の御指導を得たようなこともございます。この次の場合には十分の措置をとりたいというふうに考えております。
  14. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これでおきますけれども、いまのような措置をひとつ十分にやって万全を期してもらいたいと思うのです。これはもう国民の生命、財産というようなものに非常に関係があるわけです。  そこで村田さん、私皮肉を言うわけではございませんけれども、一尺くらいの資料が五巻もあるのに、六カ月にせよ、これは時間をかなり要すると思うのです。私あなた方に、この委員会で、国会の初めだったと思うのですが、スレッーシャー号の沈没したことについて、この報告書が出たわけですね。その厚さはこれくらいでしたね。英語で書いてある。だから、アメリカの原子力潜水艦が日本入港する、これについての条件が変わっていないかということで、原子力委員会でひとつ十分検討してもらいたい。これは委員長にも言ったんですが、委員長はそれは出さすようにいたしますという話だったんですが、いまだに出てこない。見解が変わったんじゃないかということを申し上げた。原子力委員会においてもいろいろ忙しいから、そういうことはできないんですね。これくらいのものでもまだ私はもらっていない。この委員会に出してもらうことになっておるんだが、出てきていない。こういうスタッフのあり方やそんなことで、こういうことができるかどうかということを私は非常に心配するのです。これは一つのテストケースでも一あると思うのですね。  なお、アメリカの原潜が日本に入るときに、皆さん方の審議のやり方というものに非常に私たちは疑問を持っておる。いわゆる原子炉安全審査会というものの審査を通していないのです。原子力委員会だけでこうやっている。しかも、その原子力委員会委員長というものが、もういままでで何回もかわっておる。これは愛知さんにも今度はかわらぬようにしてもらいたいと思うんです。愛知さんの権限じゃないだろうと思いますけれども、総理なんかもこれはよく考えてもらわなんだら、こういうスタッフで一尺くらいのものが五巻もあるのに、できるか。私はこれだけの資料をお願いしておるのですが、これも二カ月くらいたっておるのです。こんなことで形式的になったら、これはたいへんなことになると心配しますから、こんな要らぬことを言っておるんです。  それから、運輸省のほうでも、なかなかいまかっこうのいいことをおっしゃいました。いろいろな勉強もしてやりますということですけれども、これはやはり技術者をふやしてもらう以外にないですよ。あなた方はいままでの船の運航のしかたというものの指示を与えられることが精一ぱいだろうと思うのですね。こういう新しい科学が新しい形で入ってきたような場合には、十分な人をとってやっていく。これは国としては当然やることですよ。科学技術庁が、いまだに予算的にも、あるいは大臣が次々かわられるというようなかっこうでありまして、重要視されていないということも、やはりそういうところにあるのじゃないかと思うので、要らぬことを言いましたけれども、そういう点でひとつ慎重にやっていただきたいと思う。このことをお願いしておきたい。  これでおきます。
  15. 岡良一

    ○岡委員長 石野久男君。
  16. 石野久男

    ○石野委員 愛知長官が文部委員会のほうに非常に急がれておるようでありますから、最初に一言だけ長官の御意見を承っておいて、あとでまたすぐ帰ってきて質問させていただきたいと思います。  実は三月十九日の本会議で、同僚の原委員から本法の趣旨説明に対する質問をいたしました際に、小泉長官から原子力潜水艦の建造についての答弁がありました。そのことが原子力法との食い違い等が出てまいりまして、私の質問もあり、また委員長から要請もあって、統一見解なるものが出ました。その統一見解を通じて先般来田中委員が両長官に相当込み入った御質問をしておりますが、なおやはり釈然としないものがございます。  その釈然としないというのは、この統一見解の後段にあります「自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」この「現状においては、」ということがひっかかっておるわけです。  このことについて、私は、田中委員と両長官との質疑応答の議事録等を見まして、ひとつ両長官にただしておきたいと思いますことは、それは原子力基本法の第二条の規定に「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」ということを書いておるわけです。この「平和の目的に限り、」という原子力基本法の第二条の精神なるものを、いま愛知長官は実際に原子力行政をなさる場合にどのように受けとめておられるかということです。これはまた同時に防衛庁長官にも同じことを私はお聞きしたいのですが、先に愛知長官にお聞きしたいのです。  なぜそういうことを聞くかといいますと、長官は先日の委員会で田中委員に対して、将来のことについてはあまりものを言えないんだということを古いながら、こういうように答えておる。「たとえば原子力基本法にいたしましても、未来永劫これが改正を必要としないというようなことは現段階におきましてはやはり言えないこと」でございます。こういうふうに言っておるわけです。未来永却に云々ということは、もちろんだれでも規定のできないことでございますが、現在の政府及び閣僚の皆さんは、どういうものを基準にして政治をやっておるかということなんです。われわれが議会政治をやっておる以上は、やはり憲法というものを中心にして政治をやり、その憲法を中心としたいろいろな法律があって、それを基準にして行政が行なわれておる。行政府はやはりそういう基準に基づいて仕事をするのであって、すべてそれに帰一するような仕事をしなければいけないのではないか、こういうように思うわけです。大臣の言う、この「原子力基本法にいたしましても、」云々という、改正するしないということは保証できないということの意味は、科学技術庁長官という立場においてこれを言われたことなのか、それとも個人として言われたことなのかによって、非常に意味が違ってくると思います。私は、愛知長官がこの原子力基本法第二条というものを、また政府は第三条というものをどういうふうに受けとめて原子力行政をやっておるのかということについて、基本的な考え方を承っておきたい。それに対する質問はいろいろありますが、一応そのことを聞いておいて、大臣がもし所用であるなら他の委員会に行っていただきたい。
  17. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題につきましては、御承知のように、統一見解というものを政府として差し上げたわけでございますし、さらにその統一見解ではおわかりにくい点があるという重ねての御質疑でありましたので、さらにそれを補足して御答弁申し上げているとおりでございます。それ以上に申し上げることはございませんわけでございますが、先般の委員会でも、仮定の問題として、あるいは想像の問題としても、こういう事態がどうなるかこうなるかというような非常に突っ込んだ御質問がございましたので、推進力として原子力の利用が一般化した状況といのものが現在においては想像の域を出ない、これはもう事実そのとおりだと思うのであります。そのような想像をもとにして政府の方針を述べるわけにまいりませんが、現在の時点において言う限りにおいては、原子力基本法第二条のもとで、原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えておりません。こう私そのときに申しましたが、きわめてすなおにそのありのままの気持ちを申し上げておるつもりでございます。  したがって、ただいまの御質疑でございますが、現在原子力基本法の第二条というものは、これは現状において最も正しい原子力利用のあり方を規定したものであって、これをあくまで厳守するということは当然のことである、かように考えておるわけでございます。
  18. 石野久男

    ○石野委員 あと一つだけ聞いておきます。  いまの御答弁で、私は次の質問をするにあたって大臣にもう一つだけお聞きしておきたいことは、現在の原子力基本法第二条というもの、そのものを軸にして行政をやるという考え方で仕事をしておるのだ、これに疑義をはさんでいないのだということなのかどうなのか、そこを聞いておきたいと思います。
  19. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点は疑義を差しはさんでおりません。
  20. 石野久男

    ○石野委員 防衛庁長官にお尋ねをします。  防衛庁長官は、去る三月十九日の本会議において、先ほど来言っておるように原子力潜水艦の建造についての御答弁をなさいました。その後、本委員会におけるところの質問に対して、ここで述べられた「当然また」云々というこの「当然」は消しましょうというようなことも言っておられます。しかし、御答弁をずっと読ましていただきますると、長官の考え方は、日本におけるところの自衛艦に原子力を推進力とするようなものを持ちたいという考え方があるのじゃないかというように私は読み取るのですが、長官はいまそういうことを考えておるのですか。
  21. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 将来自衛艦に原子力の推進力をば持ちたい、さようなことは全然考えておりません。また、現在私は希望もいたしておらないのでございます。
  22. 石野久男

    ○石野委員 私はいまここで、先般来田中委員との間で論争が行なわれております軍艦と自衛艦との規定の問題についてはあまり触れませんが、お聞きしたいことは、もしそういうことであれば、この統一見解で述べておりまする「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」ということを、自衛艦の推進力として利用されることについて考える必要はないのじゃないかと私は思うのですが、その点、この統一見解におけるここの「原子力利用が一般化していない現状においては、」云々ということを、どうしても、ここに入れておかなければいけないのですか、どうなんですか。
  23. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 いま御指摘の「原子力の利用うが一般化していない」云々ということでございますが、私はどうしても入れなければならぬというようなふうに考えておりません。これは先ほど愛知科学技術庁長官からも政府の統一見解としてお述べになったように、こういうことは想像の域を出ないのであって、想像をもととして政府の方針を述べるわけにはいかないというような前提がございますので、私も同様でございまして、原子力基本法第二条のもとで原子力を自衛艦の推進力として使用することは考えていないのでございます。
  24. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、もう一度重ねてお尋ねしますが、政府が出しました原子力基本法第二条の解釈に関する統一見解ということで、後段に出ておりまする、「したがって、自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いるいわゆる核兵器を保持することは、同法の認めないところである。また、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、」「同じく認められないと考える。」こういうふうにわれわれは理解してよろしゅうございますか。
  25. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 もちろん自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いるいわゆる核兵器を保持することは、同法の認めないところでございますので、もちろん考えてもいないことでございますし、またあってはならないことでございます。  そこで、先ほど来政府の統一見解として科学技術庁長官からたびたび申し上げたと存じまするが、将来のことをいま想像のもとにおいて政府が方針を述べるわけにはいかない。さりながら現時点において言う限りは、原子力基本法第二条のもとで原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えていないのでございまして、政府の責任あるお答えとしてはこれを繰り返す以外にはないのでございまして、これでひとつ御了承をいただきたいと思うのであります。
  26. 石野久男

    ○石野委員 いま長官の言われた最後のところ、ちょっとわからないのですが、「これを」という意味は、「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」ということをはずしてはいけないという意味なんですか。
  27. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 はずしてはいけないということでございませんで、そういうことはいわゆる想像の域を出ない問題でございますので、その想像をもととして政府が方針を述べるわけにはいかない。あくまでも原子力基本法第二条に明記してありますとおり、平和目的に限って、民主的な運営のもとに、自主的にこれを行なう、われわれはあくまでもこの法の精神というものを尊重し、法の精神のもとにやっていかなければならないのでございまして、現時点においてはあくまでも原子力基本法第二条を順守し、そうして原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えてもいませんし、また何ら具体的な研究もしていないということは、たびたび申し上げておるとおりでございます。
  28. 石野久男

    ○石野委員 ですから、これはもう、わかったようなことをなかなかわからないようにこんがらかしていくというのが政府の統一見解なんですよ。だから、想像に関することは言ってもらっちゃ困るということをたびたび両長官とも田中委員に対して言っておるわけです。ところが、ここでいっている統一見解には、将来の想像に類するようなことを前提とする文句が入ってきたから、こんがらかってしまうわけです。だから、これを除いたら現在の原子力基本法に沿わないような結果が出てくるとわれわれは思わないのです。むしろこの「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」というこの「現状においては、」ということがありますから限定的な解釈をわれわれはするわけです。したがって、原子力基本法というものに対する政府の信頼感あるいはそれを基準にするその基本的な考え方に、疑いを差しはさまざるを得なくなってくるわけです。  そこで私は、長官に、皆さんが出された統一見解の中でそういうまぎらわしいものをおはずしになったらどうかということを、田中委員も言っているし、私も言っている。先ほど長官は、それはなくてもいいということを言ったわけです。だから、ここでくどい質問はしませんから、統一見解の中でここの項目、このわずかに二十字くらいの字数でございますが、これをはずされれば、われわれは何も質問しないのです。そのとおり理解する。それは政府としては困るのですか。
  29. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 これはあくまでも政府の統一見解でございまして、十分連絡調整をしてできた見解でございまするから、これをどこを削るとか、どこを付加するというわけにはいかないのでございまして、あくまでもこれを政府の統一見解としてお認めをいただくほかないのでございます。
  30. 石野久男

    ○石野委員 政府の統一見解が絶対のものであるなら、われわれは何もあれこれ言わないのです。むしろ、われわれがこういう質問をするのは、原子力基本法第二条の規定に対してこの統一見解は非常に大きな疑義を差しはさんだ結果として出てきておるものというふうにわれわれ理解するわけです。政府がほんとうに原子力基本法第二条というものを心の底からこれを信じ、これに基づいた行政をやっておるとするなら、こういうことばは入れる必要がない。何で入れなければならないか。これを入れるということは、「現状においては、」ということは、現状における原子力基本法においてはということなんです。現状における原子力基本法という限定をつけるということは、原子力基本法に疑義を持っておるということなんです。政府はこの原子力基本法に対して疑義を持っておるのなら、これはいたしかたがない。そうでなく、原子力基本法というものに政府は依拠してすべての行政をやるのだということなら、こういうような統一見解の中で原子力基本法に疑義を持つようなこういう見解を発表することは、幾ら統一見解であってもそれはちょっと猜疑心が強いのじゃないですか。
  31. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 法律に対して政府が疑義を持っておるということはあり得ないことでございまして、私どもは、問題になっておりまする原子力基本法第二条についてもあくまでもこれを信じ、これを順守していかなければならないという考え方には変わりはないのでございます。  そこで、この法律そのものに疑義を持っておるのではないかというような御推測をいただくといろいろな疑問も生ずるかもしれませんが、あくまでもわれわれはこの法律を尊重し、順守していくのだというたてまえにおいて、ただ長い先の将来のことをいろいろな推論や想像をもって政府として責任あることを申し上げるわけにはいかないというたてまえに立って、現時点においてはということばが入っておるのでございまして、この法律の精神を確信し、また何らの疑義を差しはさまない、これを順守していく限りは、いまのそういうような御疑問はおのずから解消するのではないかと私は考えておるわけであります。
  32. 石野久男

    ○石野委員 いま政府が長い将来にわたって責任を持たなければならないようなことをここであれこれ言ってはいけないということの意味は、自衛艦に対してでしょう。その自衛艦というものとこの原子力基本法というものとはどういう関係になるのですか。
  33. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 あくまでもこの原子力基本法の第二条の精神をわれわれが堅持し、順奉しておる限りにおきましては、この統一見解に述べておりますとおり、この基本法第二条のもとで原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えていない、かようなことになるのであります。
  34. 石野久男

    ○石野委員 ですから、政府が統一見解を出したということは、政府として責任があるので、長い将来にわたってどういうふうになるかわからないことについてここで確固とした回答を与えておくのはいけないから、そこで「現状においては、」ということを入れた、こういう意味なんでしょう。それじゃ、対象物は何であるかというと、それは自衛艦ですよ。そうでしょう。対象は自衛艦なんでしょう。
  35. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 これはあくまでも原子力基本法第二条の法律を順守し、この精神をわれわれが一片の疑義もなく順奉していくということから出ておることでございます。
  36. 石野久男

    ○石野委員 それはわかっておる。ただ問題になるのは、結局政府としては長い将来にわたるようなことをここで確固としたことを言ったのでは責任があるから、そこで「現状においては、」ということの限定的な発言をしておきたい。こういうことなんです。  そうすると、今度は裏からお尋ねしますが、原子力基本法第二条の「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」というこの原子力の研究、開発、利用には、自衛艦ははずされるというふうに解釈されておるのですか。
  37. 麻生茂

    ○麻生政府委員 従来お答えいたしております点から考えますると、原子力の利用が動力として一般化していない現状において、自衛艦に原子力を動力としたものをつけるということは、原子力基本法の第二条の精神には合わないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  38. 石野久男

    ○石野委員 私がいま聞いているのは、原子力基本法第二条というのは、脱在日本におけるところの原子力を開発する意味におけるすべての基本的なことをきめているものだとわれわれは考えているのです。だから、日本において原子力の開発、研究あるいは利用ということについては、すべてこの原子力基本法に基づいて律せられるものとわれわれは解釈し、そしてこの特別委員会はそういうことでいろいろなことを論議してきているわけなんです。  そこで、いまここで統一見解の中で、自衛艦というものについて限定的な一つのこういう見解政府から出てまいりました。それは、この部分については排除せよということを意味しているものとわれわれは理解する。というのは、自衛艦の将来については原子力基本法からははずして考えるべき部分があるのだということを意味している、こういうふうにわれわれは理解するし、またこの統一見解は、この書き方ではそういうふうに理解されなければならない。将来は保証できません、現状においてはそうしますけれども、将来は保証できません。もし政府考えているようなことを裏からいいますれば、法律は変わるし、憲法だって変わるだろう、あるいは愛知さんが言われるように原子力基本法だって変わるかもしれない。だけれども、われわれは変わることを想定してすべての法律をつくったりあるいは条例をつくったりすることはできませんでしょう。そういうことは許されない。そんなことをやったら、立憲政治というものはどだい台なしになってしまいます。だから、あくまでも現在の憲法なりあるいは現在の法律というものに従って政治が行なわれるはずです。行政が行なわれなければならない。そのときなぜ行政府におるところの者が憲法なりあるいは法律に対して疑義を差しはさむような見解を提示しなくちゃならぬかということになりますと、その対象物がそれから各個に離れているものであるからそういうことをしなければならないことになるわけです。もしそれが正当だとすればですよ。  だから、われわれは、そういうことになりますと、政府はこの自衛艦なるものを、日本の憲法なりあるいは法律のらち外にある部分を持っておるものだというふうに理解するのかどうかということを私は聞いているわけなんです。このことは、実を言うと、田中君が質問の中で言っているように、自衛艦というのは国際的には軍艦である、国内的には自衛艦だという解釈と通ずるのです。だから、そこのところをもう少しはっきりとしてもらわなければいかぬ。憲法を守るということあるいは法律を守るということが、自衛艦においてはある部分においてはそれを排除しなければならぬ理由があるのかどうかということを私は聞いているわけです。
  39. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 これは石野委員も申されるとおり、私からもたびたびお答え申し上げておりますとおり、われわれはあくまでも、法律を将来どうこうというようなことを考えておるわけではなく、また考えるべきことではなくて、現在の原子力基本法の精神を順奉してやっていくのだということを重ねて申し上げ、そういう意味において、自衛艦の推進力に用いることを考えていない。あくまでもこの法律の精神を順奉してやっていくのだと申し上げているわけでございます。
  40. 石野久男

    ○石野委員 趣旨はわかりました。そういう趣旨であるならば、この統一見解の中の「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」ということは不要なんでしょう。これをつけておかなかったら何か支障がきますか。どういう支障がくるのか、その点をはっきりしてください。もしその支障がわれわれの納得するものならば、これはしかたがない。これをつけていなかったらどういう支障が出てくるか。
  41. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 現在どういう支障があるとかなんとか、具体的なものはないのでございまして、あくまでも、将来の問題をいろいろ想像をすることは困難であり、また将来の想像をもとにして政府の方針を述べるわけにはいかないということでございますので、こういうことが入っておるわけでございます。このことをば明瞭にしたいということで、現時点においてはさようなことは考えていない、こういうことが説明として入っておるわけでございます。
  42. 石野久男

    ○石野委員 将来のことを想像することができないからこれを書くのだ。それでは、将来の想像ということは、どういうことの危険な想像が出てくるのです。原子力基本法ははっきりしているのでしょう。原子力基本法に対してどういう想像される危惧というものが出てくるのですか。
  43. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 だから、将来の想像というものをばもとにして政府が責任あるお答えを申しげ上ることはできないということをば、たびたび繰り返して科学技術庁長官も私からも申し上げておるわけでございまして、あくまでもこの原子力基本法の精神を順奉していくのだということで、これを御了承願うよりほかにないと私は思います。また、石野委員のほうでああいうこと、こういうことをいろいろと将来を推測なさり想像なさっての御質問に対して、私どもが責任あるお答えを申し上げるわけにはいかないのでございます。
  44. 石野久男

    ○石野委員 私は将来のことを想像していないのですよ。将来のことを想像していない。現時点において現在の憲法の現有の原子力基本法というものに基づいて解釈すると、こういうことはどう考えても不要なんだ。不要なことをなぜ入れるのかということについてお尋ねしているわけです。政府は、先ほど長官はこう言っているのです。将来のことに対する想像をもとにして責任のあることを述べることができないからこういうふうに入れたのだ、こういうのでしょう。将来のことを想像することをもとにして責任のあることを述べることはできないなら、どうしてこれが必要になってくるのですか。どうしてこの「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」ということを入れなければならないということになってくるのですか。それから原子力基本法第二条は明確に「平和の目的に限り、」と書いてある。政府はこの「限り、」ということばについてどういうふうな解釈をしますか。
  45. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 これはあくまでも「平和の目的に限り、」と明記してございますので、やはりこのとおりあくまでも平和の目的でなければならないというふうに解釈をいたしておるわけでございます。
  46. 石野久男

    ○石野委員 そういう趣旨に基づいてこの統一見解は出されたものと私は理解しますが、そういうふうでよろしいですか。
  47. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 そういうことでございます。
  48. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、この「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」」ということをなぜ入れなければいけないのですかということを私は聞いているのです。
  49. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 遠い将来のことはこれは何人も断言ができるわけでございませんので、いわゆる現在の時点においてはという的確なお答えを申し上げる上においてこういうことばが入ったのでございます。
  50. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、原子力基本法第二条における「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」ということは、遠い将来の目的のためには非常に不穏当なことばですね。
  51. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 さようではございません。これはもうこの法律が存する限りは遠い将来といえどもこの基本方針に変わりはなく、また精神においても変わるものではない、またわれわれはあくまでもこれを順守していかなければならないのであります。
  52. 石野久男

    ○石野委員 その考え方を長官が持っておるとすれば、遠い将来のことについては断言ができないのだということを、なぜそういう危惧をしなければいけないのですか。
  53. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 法律と実際とを混同しておられるような点もあるのではないかと私は考えますが、われわれは法律法律としてあくまでもこれを順守する、将来にわたってこの法律が存在する限りはこれをあくまでも尊重していかなければならぬのでございまして、この法律の精神を順奉するということによって、いままで石野委員からも申されました疑義と申しますか、そういう御心配は私はないのではないかと思うのであります。
  54. 石野久男

    ○石野委員 長官、非常に聞き捨てならぬことを言われたのですが、私が法律と実際とを混同しておるというようなお話でございますが、そうするとお聞きしますが、ここへ出てきている自衛艦の推進力として使用されることもあるということは、これは実際なので、この実際のところでは基本法第二条の平和の目的に限るということは、どういうふうに違ってくるのですか。
  55. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 法律と実際とを混同ということばは、私が適切でないことばであって、取り消しますが、私は、あくまでも法律の精神というものは法律が存在する限り永久不変で、これは守っていかなければならないという基本的な立場を明らかにしている以上は、将来にわたって御心配はないものであるというようなことを御了解を願いたいと申し上げたのでございまして、その点は私のことば足らずで誤解があったらば訂正をさせていただきますが、あくまでも平和の目的に限るというこの精神というものは、法律が存在する限りは永久不変である、あくまでもこれを守っていくもので、平和の目的に限るということは明確であるということで御了承をいただきたいのでございます。
  56. 石野久男

    ○石野委員 ですから、いまのおことばを聞いておりまして、これは議事録にずっと出るのですから、そうすれば、存在する限り永久不変にそれは間違いないんだ、そういうふうにおっしゃったのならば、その法律に基づいてそこで疑義があるから統一見解をわれわれは求めたわけなんですよ。それを求めたときに、なぜそれは「現状においては、」というこういう規定をしなければいけないのか。それを規定しなければ何か法律と実際との相違点の上から間違いが出てきたり、政府としてやりにくいことがあるのかどうかということを私は聞いているのです。それがないのならば、ここをはずせば、われわれはもう文句なしにけっこうでございます、こういうことなんですよ。どういう不始末が出てくるのですか。これは統一見解を出したのは確かに閣議でやられたのでしょうが、人間のやることですから、間違いがあったら直したらいいんですよ。
  57. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 政府の統一見解でございますので、申し上げるまでもないことでございますが、科学技術庁においても、また防衛庁におきましても、また法制局等におきましても、これが統一見解であるといって十分意見を調整をしてでき上がったのがこの案文でございまして、私のほうでは、防衛庁として現在の時点において自衛艦に原子力の推進力を用うることは考えていないという趣旨さえ私のほうは御了解を願えばいいという考え方に立って、私は先ほど来申し上げておるわけでございまして、将来にどういう支障が起こるとかというような具体的なことを考えたこともございまいませんし、またそういうことをば想定をして先ほど来答弁を申し上げておるわけではないのでございます。
  58. 石野久男

    ○石野委員 非常に私はよくわかるのですよ。それでありますから、そのことがそのまま統一見解の中へ出るとするならば、この「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」というのをお除きになっても、これは削除されても、別に統一見解はこわれるわけではないでしょうということを聞いている。もしこれを政府が統一見解としてこのまま通そうとするならば、これはサバンナ号の問題とか、あるいは一九六〇年の海上人命安全条約の問題を適用して、ここで法律案改正していこうというこの規制法改正について、われわれはいろいろな疑義を持ってきます。ですから、私たちはできるだけ皆さんの意向をよく理解していきつつ、しかも憲法を守り、法律を守るということを疑義をはさまないでお互いにやっていきたいから、それで聞いているわけです。統一見解を求めたのはその意味だったと思います。  もしどうしてもここで皆さんが、政府の統一見解なのだから委員会の前ではどうにもならないというなら、もう一ぺん持ち帰って、政府として検討してもらいたいと思う。それでなかったら、わが党としてはこれでは理解できないですよ。将来非常に疑義を残します。私は将来のことについてあまり言いません。  むしろ逆に言えば、法の適用の上において政府の解釈が非常に混乱しているのじゃないだろうか。法律の解釈では、将来こうあるべきであろうというようなことを想定して、そのためにここの統一見解用意している、こういうふうにしか理解されない。そういうことになりますと、原子力基本法を改正しようとする意図があるならよろしいですよ、たまたま愛知長官が原子力基本法についても未来永劫に変えないとは限らないと言われたことがこのことと関連があるなら、原子力基末法の改正をする意図があってこういうことを書かれるならば、これはまたそのようにわれわれは対処しなければいけませんが、その意図が全然なくてこれを書くのだとすると、どうもわれわれとしては理解できない。なぜ自衛艦にのみこういう限定規定というものを政府は統一見解として出さなければならないかということに疑義を持つ。愛知長官は、石野委員やあるいは田中委員が将来のことをあれこれ憶測することにつては答弁ができませんと言う。われわれは憶測しているのじゃないです。そうでなくて、この統一見解というものが現在の基本法の第二条の規定に対して疑義を持った見解になっているから、その疑義を持ったような部分だけ、はずしなさいと言うのです。  しかも長官は、未来永劫法律の存在する限りわれわれは守っていくのだということを言っているとするならば、このことは不要なのでしょう。こういう法律に対して、「一般化していない現状においては、」ということを入れるのは不遜な見解ですよ。法律を冒涜するものですよ。私は、政府としては見解は出したのでしょうけれども、非常に疑義を持っておりますから、どうかもう一ぺんこの統一見解を出し直してもらいたい。その意思はございませんか。どうしてもこれを押し通すつもりなんですか、どうですか。
  59. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これについては、前々からたびたび申し上げておりますように、私はこれ以上現在の政府としては申し上げようがないと思うのでありまして、政府見解というものを、いろいろ御希望がございましたので、ここに取りまとめて差し出したものでございますので、これを変更するという考え方はございません。
  60. 石野久男

    ○石野委員 じゃ、愛知長官にお尋ねしますが、長官はこの第二条の「平和の目的に限り、」ということについては、それを受けておる、それはもう守りますということを言われたわけです。そこで、いま愛知長官からは、これ以上はもう変えられないということの意味を申されました。私は、この委員会におけるところの「一般化してない現状においては、」ということば、これを入れないと、それじゃどういうような統一見解の上で不始末が出てくるのかということをお聞きしたいのです。
  61. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない」というのは、現状に対する何人の認識もこれは明らかであると思いますから、そのことをここにそのままありのままに書いたわけでございます。そして、前々から詳しく申し上げておりますように、現時点において申す以外に政府としては方針を述べるわけにはまいりません。想像の問題としてはともかくでございますが、政府の統一見解として原子力基本法の第二条を変えるという気持ちも持っておりません。そして、そのもとにおきましては、原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えておりません。もうありのままに、私どもとしてはここに方針といいますか、意見を出したものでございますから、これによって御了承をお願いいたしたい、くどいようでございますが、これはお願い申し上げるわけでございます。
  62. 石野久男

    ○石野委員 同じところを何べんも繰り返しますけれども、この問題は非常に重要なのです。われわれが法律を守って政治をやるということになりますと、法律の解釈を変えるということは非常なあやまちが出てくると思いますから、そこで私はこれを聞くのです。  もう一ぺん最初から聞きます。愛知大臣に承りますが、第二条の「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」といっているこの「限り」ということばは、どういうふうに理解しますか。
  63. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その字のとおりでございまして、平和利用に限定をすべきものである。平和ということにつきましては、特に御説明申し上げるまでもない一般の行き渡っておる解釈に従うべきものであると思います。
  64. 石野久男

    ○石野委員 そうしますると、自衛艦の推進力として使用されるということについてもこの原子力基本法の適用を排除することはでき得ませんね。原子力基本法の第二条の規定を自衛艦に当てはめることは当然のことであって、それを排除するということは自衛艦といえどもできませんね。
  65. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そのとおりでございます。
  66. 石野久男

    ○石野委員 愛知長官は、この原子力基本法第三条の規定は、何か特別のものに対してはこの適用を排除されるような部分があるというふうにこの法律の中で読んでおりますか。この第二条はすべてのものに適用されるものだというふうにわれわれは理解しておるのです。何か特別なものだけはこれから排除されるとか、あるいは時間的にそのものは排除されるとかいうようなものがありますか。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それはございません。
  68. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、先ほど小泉長官が、この法律が存続する限りにおいてはわが国における原子力の研究、開発、利用は平和の目的に限るという理解のしかたをするのであって、そこには想像も何も入れる必要は何らないのだということを言いましたが、愛知長官もそのとおりにやはり考えておりますね。
  69. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 防衛庁長官のお話しになったとおりでございます。
  70. 石野久男

    ○石野委員 先ほど愛知長官は、原子力の利用が一般化していないというのが現状だからそのとおりのことを書いてあるのだ、こうおっしゃられた。そのとおりのことを書いてあるのだという意味は、われわれもそのとおりわかります。わかりますけれども、この統一見解の中でそのことを入れなかったならば、そのありのままのことを書かなかったならば、この統一見解は何か非常に大きなあやまちをおかした結果が出てきますか。
  71. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 現時点におきまして申し上げれば、原子力基本法第二条のもとで原子力を自衛艦の推進力として利用することは考えておりませんということは、前回の統一見解にさらに補足して申し上げたとおりでございます。
  72. 石野久男

    ○石野委員 現時点においてはということを言われたその現時点においてはいうことは、原子力基本法のもとにおいてはということなのですか。それとも原子力の利用が一般化していない現時点なのですか。どちらですか。
  73. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 原子力基本法については、くどいようでございますが、現在これを改正するというようなことは全然考えておりません。それが現状の認識であり、同時に方針でございます。
  74. 石野久男

    ○石野委員 原子力基本法についてはそういうような見解を承りましたが、原子力利用が一般化していない現状と、それから原子力基本法が現在このような形であるということの現状とは同格ですか。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 推進力として一般化していないということは、客観的な現状の認識であると思います。
  76. 石野久男

    ○石野委員 それは、客観的な現状の認識ではあるけれども、原子力基本法というものは、今日の時点では、わが国が国家として存在する場合においては、これが変更されるまでは瞬間的にも継続するものでしょう。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それは原子力基末法については、先ほど来申し上げておりますように、現在の時点において考え得る事項として政府は方針としてこれを変えるということは考えておりません。
  78. 石野久男

    ○石野委員 したがって、その瞬間的経過の中で、原子力利用が一般化していない現状というものはこの原子力基本法についてどういう意味を持っておるのですか。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 どうもその点につきましてはいままでの御答弁を繰り返すよりほかにないのでございまして、たいへん恐縮でありますが……。
  80. 石野久男

    ○石野委員 そうなりますと、愛知長官にお尋ねしますが、原子力基本法第二条の規定というものについては、原子力利用が一般化してきたならば何か変わるのですか。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは統一見解に補足して申し上げたとおり、想像を前提にして政府が方針をとやかく申すべきものではないと思います。したがって、あくまでこれは現在考え得る状況等において原子力基本法というものはベストの法律であると考えておりますし、それに従ってすべての問題は解釈すべきものである、かような考え方でございます。
  82. 石野久男

    ○石野委員 日本の国語なり文法からいえば、「原子力利用が一般化していない現状においては、」というこういう限定をつけますと、一般化したらということがすぐ裏に出てくるわけです。原子力基本法第二条はそういうことは想像していませんね。政府はまた想像しないもとで原子力基本法の適用というものを行政上実行するわけなんでしょう。いま愛知長官の言われることをそのまま受けとめれば、統一見解におけるところのこの「原子力利用が一般化していない現状」というものをここへ限定的に置くということは、法律に対して限定解釈をするということにもなってくるのです。だから、これは不必要なんでしょう。必要なんですか。
  83. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それでありますから、これをよくごらんいただきたいと思いますが、「推進力として原子力の利用が一般化した状況というものが現在においては想像の域を出ませんので、そのような想像をもとにして政府の方針を述べるわけにはまいりません」、こう申し上げておるわけでございます。
  84. 石野久男

    ○石野委員 それじゃ、長官にお聞きしますが、自衛艦の推進力として使用されることも同じく認められないとしたら、政府としては行政上非常にまずいことが出てきますか。
  85. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点は統一見解のほうをごらんいただきますと、「自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められない」、こう申しておるわけでございます。
  86. 石野久男

    ○石野委員 そのことはわかっているのだ。だから、私が聞いているのは、そこで長官がつけ加えた「船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、」ということを除いたら意味が違ってきますか、ということを聞いている。
  87. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それは意味は通わないと御理解いただければそれでもけっこうでございます。
  88. 石野久男

    ○石野委員 意味が違わないと御理解できればということになれば、ここではわれわれは非常な疑義を持ちますから、それははずしてもよろしゅうございますね。
  89. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 政府としては、統一見解として関係各省庁の間で十分に相談をいたしましてここに統一見解として申し上げたわけでございます。したがって、政府としてこれをどうこうということは考えませんということは、先ほど来申し上げておるとおりでございますが、その御解釈をいかようにおとりになりましても、これはどうも私どもとして何とも申し上げるわけにまいりません。
  90. 石野久男

    ○石野委員 政府は国民に対しては解釈はどんなになってもいいような行政指導をするのですか。
  91. 岡良一

    ○岡委員長 石野君、両大臣とも、結婚式の主賓、もう一つアメリカの人を呼んであるのだから、この次の機会にさらに意を尽くして御質疑いただくことにして、一応この程度で打ち切っていただけないでしょうか。
  92. 石野久男

    ○石野委員 もう一つだけ。  私は、両大臣とも所用がございますようですから、それに協力します。だけれども、本法を上げるにあたりましては、関連する非常に重要な事項としてわれわれはこれを取り上げているわけです。したがって、この問題についての政府のこういう解釈を承ったままでは、率直に申しまして、本法をそのまま通せるかどうかも非常に問題になってくるわけです。だから、この問題について、政府がそういうふうに粘っこく、ここの字句が——私は、ここではわれわれの意見をあまり言っておりません。法律解釈の問題と関連して疑義がある点だけしか言ってないのです。それにもかかわらず、そういうふうに皆さんのほうでこれに執念を持たれるということになりますと、政府がこの見解を出したについては非常な疑義があると思うのです。そうなれば、今後原子力基本法の運営についてわれわれは皆さんの意見をもっともっと真剣に聞いて、また誤解を解かなくちゃいけないし、政府にあやまちをおかさしてはいけないと思いますから、私はこの問題については質問を保留します。  ただ、委員長に申しますけれども、私は、そういうことになりますと、本法を上げるについてはもう少し時間をかしてもらいたいと思う。  それでは大臣はよろしゅうございますから、一つだけ。  港湾の問題で、サバンナ号が入るということについて、STS10の規定で、寄港地の指定等についははいろんな問題があるということは、先ほど三木委員から周辺地の問題についていろいろな質問をしておりました。そこで私は、こまかいことを聞きませんが、今度サバンナ号日本に寄港させるということについては、やはりいろいろな御検討を加えておるでしょうが、寄港港の問題です。  寄港地指定の問題について、このSTS10を基準にして、日本にはどのくらいそれに適合する港があるのですか。大体どことどこがそういう港として適格なのですか、その点をひとつ聞かしていただきたい。
  93. 村田浩

    村田政府委員 日本の全体の港について、一々現段階で調べたわけではございませんけれども、一般的に申しまして、先ほど私御説明いたしましたように、個々の港の環境によりまして、係留地点なり、あるいはタグボート用意なり、出力規制なり、いろいろ行なうわけでございますので、原則的には大体どこの港でも寄港できるもの、このように考えております。しかし、現実には、どの港に入りたいかということを届け出がありましたときに、十分科学的、客観的に判断を下してまいります。
  94. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、事態が起きてきて、向こうから入港す希望するときにきめるということなのですか。
  95. 村田浩

    村田政府委員 そのとおりでございます。
  96. 石野久男

    ○石野委員 私は、向こうから要請があったからということだけじゃなしに、少なくとも原子力船というのは、先ほどから話があるように動く原子炉なんです。それであるからこそ、周辺地とかあるいは寄港港等についてのいろいろな安全性の問題について論議がかわされているわけです。先ほど三木委員から質問があったように、これに対しては諸外国ともどもに必ずしも手放しで安全だとはいってないわけです。そういうことになりますならば、日本における受け入れの体制としては、港は大体限定する方針をとるのがよろしいのじゃなかろうか。これは運輸省なりあるいは原子力局あたりが政府の指導に基づいて、その周辺地域に対するいろんな手当てもできるかもしれませんけれども、原子炉安全性に対応する人々のかまえというものは、率直に申しまして容易にできないだろうと思うのです。したがって、私は、政府としては、こういう船の入るときにはおのずから港を限定するというような方法によってやられるのがいいのじゃないか、こう思っておるのですが、そういう方針は運輸省のほうにも政府にもないのですか。
  97. 村田浩

    村田政府委員 むしろ安全確保の観点からいたしますと、特定の港の条件を十分承知しまして、それに対応してどうかということを個々に十分安全審査を経て、よろしい、よろしくないということをきめていくほうが、当面の情勢としては適切ではないか、このように考えておるわけであります。
  98. 石野久男

    ○石野委員 ですから、私は、ある一定の港を安全的に整備して受け入れるということは非常によろしいと思うのです。だから、政府としてはそういうふうに指導するように持っていったらどうなのかということを私は聞くわけです。したがって、適格な港は幾つかあるけれども、しかし、それはいろいろな安全性問題を考えて、こことこことこういうところだけにしようというようなことを考えているのかどうかということを私は聞いておる。
  99. 田中武夫

    ○田中(武)委員 いまの石野委員質問に関連してお尋ねいたします。  いま石野委員の言われたようなこと、これは聞こうするにあたって内閣総理大臣が許可を与えるんでしょう。許可の条件としてどこそこに入るべし、こういうことはできませんか、そう答弁すればいいのです。
  100. 村田浩

    村田政府委員 そのような条件は、つけることは法律的には可能でございます。
  101. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうやりますと答えたら、それで済むんだ。私は関連質問で助け舟を出しておるんですよ。
  102. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その助け舟のとおりなので、そういたします。
  103. 岡良一

    ○岡委員長 他に本案に対する質疑はございませんか。——別にないようでございますので、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  104. 岡良一

    ○岡委員長 これよと本案を討論に付します。  通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  105. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、本法律案に賛成の討論を行ないます。  この法律案にわれわれは賛成するものではありますが、本法律案の審議の過程におきまして若干いまだ明確にされていない点がありますので、その点について意見を申し上げてみたいと思います。  まず第一点は、原子力華本法が存在する限り自衛隊は原子力を推進機器とする船舶を有し得ないはずであるとのわれわれの見解に対し、いわゆる政府の統一見解なるものが示されたのであります。その中で現状においては保持することが明らかにされましたが、将来につきましては愛知、小泉両大臣の御答弁は必ずしも明確ではありません。あるいは将来は保持することがあるかもしれないような印象を受けるような答弁であったことははなはだ遺憾であります。私は、日本国憲法、原子力基本法のもとにあっては、将来ともに保持することができないものであると確信いたしております。そこで、大臣は、政府は、本委員会の質疑の経過に基づきまして、政府の統一見解を再検討していただきたいと思います。  第二点は、東海村の原子力の施設の安全確保についてであります。御承知のように、東海村の現状は名実ともに国際水準に達する総合的原子力センターとなっておりますのに、米軍爆撃演習場が依然として存在し、その事故もあとを断たず、したがって、原子力諸施設の安全を確保し、わが国が誇る原子力センターとしての機能を発揮する上におきましてきわめて危険であります。そこで、去る三十六年五月十八日、当委員会米軍爆撃演習場返還に関する決議をいたしております。しかるに、四年たちました今日、いまだその実現を見ていないことはきわめて遺憾でありますので、政府はこの決議の線に沿うて一日も早くその実現を見るように努力せられんことを要望いたします。  以上、二つの要望を申し上げまして、本法律案の賛成討論といたします。(拍手)
  106. 岡良一

    ○岡委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより本案を採決いたします。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  107. 岡良一

    ○岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  108. 岡良一

    ○岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、福井勇君外三名より、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案として附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者に趣旨の説明を求めます。福井勇君。
  109. 福井勇

    ○福井委員 ただいま議決いたしました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、附帯決議案を提出いたします。この附帯決議案は三党円満に話し合いのついたものであります。  案文を朗読することによって趣旨説明にかえたいと思います。    核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法印の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府ならびに原力委員会は、本法の運営にあたり、左記各項の実現を期すべきである。      記  一、茨城県東海村を中心とする原子力施設の周辺地帯については地元の発展と住民の福祉の調和に意を用い地元住民の理解と協力のもとに、地帯整備を実施するため、さらに積極的に努力すべきである。  一、政府原子炉安全性を確認するにあたっては、原子力委員会意見を尊重するとともに、原子力委員会もまた安全審査にあたり、常に科学的、客観的判断をくだすべきである。  一、原子炉および核燃料物質については、つとめて国産資材、国産技術の重点的活用に意を用い、もってわが国における原子力の研究、開発、利用と国内原子力産業の自主的発展のため適切な指導を行なうべきである。  以上であります。
  110. 岡良一

    ○岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対しましては、別に発言の申し出もございませんので、これより採決いたします。  福井勇君外二名御提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  111. 岡良一

    ○岡委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議に関して愛知国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。愛知国務大臣。
  112. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その三項目いずれもきわめてごもっともなことと存じますので、政府といたしましては、積極的に推進、努力する所存でございます。(拍手)     —————————————
  113. 岡良一

    ○岡委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと任じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 岡良一

    ○岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  115. 岡良一

    ○岡委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分敢会