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1965-04-08 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月八日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 岡  良一君    理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君    理事 福井  勇君 理事 前田 正男君    理事 田中 武夫君 理事 原   茂君    理事 三木 喜夫君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       渡辺美智雄君    石野 久男君       内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君         運 輸 技 官         (船舶局長)  芥川 輝孝君         海上保安庁次長 有田  毅君  委員外出席者         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  中川理一郎君         外務事務官         (条約局国際協         定課長)    徳久  茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一一五号)      ————◇—————
  2. 岡良一

    ○岡委員長 これより会議を開きます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 大臣にお尋ねします。  先般、東海村の原子力研究所周辺に射爆場があるということで、ずいぶんと地元の諸君が来まして大臣に対する事情説明をして、大臣からもそのことについて慎重に考えておるということの御答弁をいただいておったのでございますが、大臣もすでに御承知だと思いますけれども、去る五日の朝やはり東海村の周辺で誤投下がありました。これは原子力施設とは少し離れておりますけれども住宅地に非常に至近の地域でございまして、こういう事故が非常に多いということについては、現地の関係者からも先般るる述べたのですが、この問題について政府はどのようにいまアメリカ側に対して処置をなさっているか。これは防衛庁関係の問題だと思いますが、防衛庁がまだ見えておりませんので、原子力関係担当長官として、これは非常に重要だと思いますので、この問題についてどういう処置をなさったか、またその事情がどういうふうになってきたかということをここで長官からお聞かせ願いたい。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 射爆場の問題につきましては、前回委員会におきましても防衛庁長官と私からも御答弁いたしましたように、政府全体としては前内閣以来何とかしてこの返還あるいはそれに伴う代替地の問題、あわせて、米側にも従来もずいぶん一生懸命に返還の話し合いを進めてまいっているわけでありますけれども、なかなか話が進みませんで今日に至っておりますことは、私どもとしても非常に残念に思っているわけでございます。  前回防衛庁長官からも答弁いたしましたように、あらためて前回委員会地元の方々からの非常に率直で御熱心な御意見をまのあたり聞かしていただいたようなわけでございまして、この機会にさらに努力を新たにいたしたい。その節、関係者からも申し上げましたように、これは単なる事務的な折衝だけではとうてい成果があがらない。したがって、内閣全体のレベルにおいて閣僚が協力して、返還方について一段の努力を払うべきだ、かような認識に立ってあらためて措置を講じつつあるわけでございますが、主管といたしましては、何と申しましても防衛庁関係になりますので、私どもとしても防衛庁長官をバックアップいたしまして、何とかひとつすみやかに結末をつけたい、かように考えておるわけでございます。
  5. 石野久男

    石野委員 政府努力するということについては再三にわたってお聞きしているところですが、きょうは地元から大挙してまたそれぞれ関係方面への陳情に来ておるはずなんです。おそらくきょうは、防衛庁はもとより、アメリカ大使館のほうにもそれぞれ地元からの陳情が行っていると思います。  そこで、確かに射爆場防衛庁担当の範囲にあると思いますが、しかし、何といいましても、付近地日本原子力のすべての設備が集中的に施設されているという関係があることと、それからなお、原子力開発というものがいま非常に大事であるということ、そういうことを考えますと、やはり射爆場の現在のような事故の多いという実情を見のがすわけにはいかない、そこで、私はあとでまた防衛庁当局にも聞きますけれども、これは所管の長官としての愛知大臣にぜひとも、防衛庁だけではなしに、もっとやはり原子力関係担当国務大臣として積極的に努力するということをお誓いいただかなければいけないと思う。この問題については、先般来問題が安保条約に関連しているということが言われておるわけでございまして、もちろんやはり日米合同委員会の問題になるのだろうと思います。しかし、いつまでもそういうことをやっておりますと、安保条約意図するところのものはそれぞれありますけれども、しかし原子力開発の面からいきますと、おそらくすべての希望を失わなければいけないのではないかとさえ私は思います。そういう時点にありますので、ぜひひとつ大臣から、そういう点についての確固たる態度と、それから、ただ委員会に対する答弁というのではなくて、具体的な行動についての方向をお聞きしておかないと、われわれとしてもやはり納得できないものがある、この際、ただ防衛庁だけにまかしておくのではない、担当国務大臣としての愛知さんの所見をもう一度はっきりお聞かせしていただきたい、こういうように思います。現にやはり誤爆があったという事実、しかもこれは新聞なんかもいっておるように百十一回目だ、こういうふうに書いておるわけですから、そういう実情も踏んまえて所信を伺いたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は全くごもっともでございまして、先ほど申しましたように、当委員会でもあらためて御心配いただいておるのでもありますし、最近誤投事件が起こってもおりますので、原子力委員長あるいは科学技術庁長官立場におきましても、あらためて最大努力を直接にも払いたいと思っております。これは御承知のように、私も就任しましてから、私としても直接交渉といいますか、要請もいたしておりますし、それからここ三十六年以来、特に前内閣当時から、時の科学技術庁長官も代々相当努力を直接にも払っておるわけでございますが、なかなか成果があがりませんでした点は、先ほども申し上げましたように、たいへん申しわけなく思っているわけでございます。一々何年何月にどうこうというところまでは、弁解がましくなりますので、申し上げる必要もないと思いますけれども、現在まで科学技術庁長官としては相当努力をしておった。しかも実績があがらなかった。したがって、努力を新たにして直接の交渉もいたしたい、こういうように考えております。  それからなお、これは従来はやっておらなかった点でありますけれども、場合によりましたならば、原子力委員会というのが特別の立場も持っているところでもございますので、外国側に対する一つの交渉のやり方としては、原子力委員会であらためて決議をして、原子力委員会立場からもアメリカ側の要路の人に対するアピールをすることがあるいは効果がありはしないか、そういうことも実は考えておるようなわけでございます。最大の、考え得るあらゆる努力を払っていきたいと思っております。
  7. 石野久男

    石野委員 ただいまのその原子力委員会決議をする、アピールするということの意味は、アメリカ当局に対してということですか。それとも、国際会議等に対してという意味も含めているのですか。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは相手方に対する関係もございますから、そのきき目成果というようなことも十分見込んで処理をいたしたいと思いますが、これは何と申しましてもアメリカ軍当局でございますから、アメリカに対する直接の交渉ということであくまでもやってまいりたいと思っております。
  9. 石野久男

    石野委員 長官にお聞きしておきたいのですが、射爆場問題は、ただ平和の観点とかあるいは基地反対だとかいうような意味だけじゃなくて、いまのように原子力施設保全のためにということから地元は非常に真剣な努力をしている、こう思うのです。私は、大臣がそれほどいま射爆場返還の問題についてのお考えをはっきり示されている機会でございますからお聞きしておきたいのですが、ああいうような施設周辺にこの射爆場があるということについては、これはやはり原子力施設安全確保観点からして必ずしもよくないという考え方、これはもうはっきり大臣としてもお持ちの上で御答弁あるいは御所信の発表があったものと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 何と申しましても、原子力施設の近傍に射爆場があるということそれ自体は、地元民に対しましていろいろの意味で不安を与える、こういう点から申しまして、原子力施設保全というような点とも関連いたしまして、射爆場がないことが望ましいのでありまして、そういう観点に立って、先ほど申しましたように、科学技術庁あるいは原子力委員長立場で、私の前任者あるいは前々任者におきましても、相当努力を傾けておったようなわけでございます。
  11. 石野久男

    石野委員 これはいずれにしましても、あとでまた私は委員会でも論議していただかなくちゃいけないと思いますし、防衛庁長官が参りますればその事情等ももう少し詳しく聞かなければいけないと思いますけれども、射爆場については、ぜひひとつ返還方についての長官努力をお願いしたいと思っております。  それで、炉の規制に関する法律の一部を改正する法案に関して、私は二、三質問したいと思うのです。  われわれがいま法案を審議するにあたって問題になるのは、外国から原子力船が入ってくるということと、日本原子力船ができてそれが運航を始めるという時期にあたってこの法律改正が出てきておるわけですが、一番大きい問題は、何といいましても、先般事故のありましたスレッシャー号事故について、われわれがあれをどういうように見るかということになろうかと思います。いままでアメリカ原子力潜水艦スレッシャー号事故については、これは炉の関係からくる事故ではないんだ、これはもう船体からくる事故であるからたいしたことはないんだというようなことで、案外にこれを問題視しない傾向があるように見受けられます。しかし、私は、船の問題で、特に炉の規制をすることにあたって考えなければならぬ問題は、炉が非常に万全でありましても、それをかかえ込んでおる船が事故が起きれば、これは炉の安全を越えるところの事故がそこから出てくる危険があるわけでございますから、非常に重要だと思います。  私は、法案を提出されました長官にお尋ねしたいのですが、船に原子炉を搭載をするという場合における船の機械的な事故といいますか、物理的な事故といいますか、そういうようなものをどのようにお考えになっておられるか、大臣にひとつお聞きしておきたいと思います。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 原子力船の問題は、やはり原子炉推進力に使うということが一番基本の、また特殊の問題でありますから、安全審査対象は、原子炉安全性ということを一番重んじて十二分の審査をいたしてもらわなければならないと思いますけれども、しかし同時に、ただいまも御指摘のとおりに、その他の点にも及ばなければなるまいと思いますので、原子力船全体の安全性ということを審査対象にいたすべきかと考えております。
  13. 石野久男

    石野委員 そういう意味からいたしますと、先般の原子力潜水艦スレッシャー号事故があったときに、日本原子力委員会がその事故に対して表明した見解と、その後この問題についてアメリカ側から出ております見解との相違点を、委員長としてはどういうふうに処理されようと考えておりますか。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 スレッシャー号の沈没につきましては、昨年の八月原子力委員会として見解を比しましたあの前に、アメリカ合同審査委員会とかあるいは査問委員会とか、それらの点を調べました詳細は、アメリカ政府を通して原子力委員会としては承知をいたしておったわけでございまして、その八月以後に公表されたものもございますけれども、その公表されたものに先立って十分原子力委員会としては承知をしておったわけでございます。したがいまして、八月以後に公表されたものについても、八月の委員会としての見解を表明いたしましたときには十分判断の資料になっておったわけでございます。  同時に、原子力潜水艦の場合におきましては、当時からいろいろと御説明申し上げておりますように、軍艦であるという国際法、あるいは慣行上の特殊の立場を持っておりますから、立ち入って日本側専用家の手によって安全審査をすることは、これはできないわけでございますので、いろいろの質問書その他を通しましてアメリカ側説明を求め、そうして最後に、アメリカ側がいろいろ説明をし、あるいは書類等によって提示されたことをそのままアメリカ側が保証をしてくれるならば、という前提条件のもとに国民生活には支障ないという判定を下した、その経過は先般御承知のとおりかと考えるわけでございます。
  15. 石野久男

    石野委員 今度の法案改正にあたって、外国からいろいろな原子力船が来る、それは当然やはり炉の規制に対する規定をそのまま適用しなくちゃならないことになりまするが、先ほど来話しておる、またわれわれが一番問題にしておりまする日本にとっては最初に入っておるこの原子力潜水艦、これはやはり炉を船体に積み込んで運航するところのものであることには間違いないわけです。ただ、それが軍艦であるということだけでどうにもこうにも手がつかないという実情にあります。いま法案改正をしようとするときに、そういうような軍艦を全然排除するということが法案の内容になっているわけですが、これでは事実上炉規制に対する一部修正、訂正なりというものを法案に加えてみても意味がないのじゃないか、こういうふうにわれわれは思うわけです。ことにこれから原子力船といわれるものが、それが商船下あろうと、軍艦であろうと、日本に入る頻度からいいますると、私の感ずるところではむしろ軍艦のほうが多いんじゃないか、こう思います。  そういうふうに考えてきますると、やはり軍艦を排除するということは、どうしても法案訂正趣旨として納得できない。なぜこれを排除するのかという問題をどうしてもやはり理解できないんだが、昨日もこの点については、田中君からも質問があったようでございますけれども、なお長官からひとつその点についての説明を聞かしていただきたい。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は前会、田中委員の御指摘もあって、まだその御答弁につきまして十分な御答弁ができなかった点もございますけれども、それは軍艦とは何ぞやということについて、あるいは海上自衛隊の艦船が国際的に軍艦であるかないかということについては、これは外務省側から確定的な政府見解をあらためて後刻申し上げたいと思うのであります。  それは別といたしまして、SOLAS条約におきましても軍艦というものが排除されている。これはどうも現在の国際法上、あるいは国際慣行上やむを得ないことであると思いまするので、軍艦は除きまして、それ以外の原子力船につきましては、陸上日本として原子炉を設置するのと同じような手段、方法によりまして、日本の港に寄港するような場合には、日本側の自主的な立場によって安全審査をやる、こういうことにいたしたわけでございます。  したがいまして、それならば軍艦に及ばないから意味がないではないかと言われるのもごもっともかとも思いますけれども、しかし、国際的に十分自生的に手の尽くし得るところは十分に尽くしておきたい、こういう考え方でございまして、たとえばサバンナ号がいつ入ってくるかはわかりませんけれども、おそらくそう遠からざる将来に日本に寄港するでございましょうし、あるいは将来レーニン号とか、あるいは西ドイツの原子力船とかいうようなものも、今後日本に寄港することも当然予想されるかと思いますので、そういうときに備えておくことが適当な措置であると考えまして、軍艦以外のものを対象として十分規定を整備しておきたい、かように考えたわけでございます。
  17. 石野久男

    石野委員 軍艦というものが、これは機密保持とか何かの関係法案規定ができないのだという意味は、それは外国軍艦であるからですか。それとも、日本がもし軍艦を持つようになったときもやはりこの炉の規制に対する法律というものは、どういうふうに考えているのですか。
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は、日本が自主的に行ないます場合には、これは原子力基本法考え方から申しましても、平和目的ということが日本の場合においては厳然たる事実でございますから、そういうことは予想できないことであると思います。
  19. 石野久男

    石野委員 大臣はそう言っても、小泉大臣はそんなこと言っていませんよ。本会議でこう言っていますよ。「世界の商船のすべてが原子力推進力とするような時代がまいりますれば、」当然考慮しなければならないと思っております。——これは原議員に対する本会議答弁ですよ。だから、この意味するところのものは、おそらく近い将来に原子力潜水艦を持つということを明確に本会議で言っていることなんです。そのことも小泉防衛庁長官がはっきり言っている時期に、いま大臣がそういうことでは、ちょっと違うのと違いますか。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは違わないのでございまして、そういった場合には、一般的に原子炉平和的利用目的のために推進力として使われるというような状態になりますればそういうことも考えられるかと思いますが、そういう場合におきましては、私はこの安全審査対象にしなければならないものと考えておりますが、ただいまのところ、そういうことは予想されない、私は、かように考えておるわけでございます。
  21. 石野久男

    石野委員 私の聞いておるのは、軍艦については、外国日本軍艦ということでは同じ性格を持っておるものだと思うのです。外国軍艦については、日本はやはり原子力委員会審査をしたり、あるいは日本政府がそれに審査の手を入れることができないんだ、こういう事情から、アメリカ原子力潜水艦についてはどうにもなりません、こういう返事でありますが、しかし日本原子力潜水艦を持つということになれば、やはり当然それは規制をしなくてはならないだろうというふうに私は思うのです。だろうでなくて、またやらなければいかぬ、こういうように考えます。  そうすると、現に軍艦としてはアメリカ軍艦が入っているわけだ。日本でも、いま大臣はそう言いましたけれども小泉防衛庁長官は原議員質問に対して、これは当然考えなければならぬことと思います。「原子力潜水艦建造についてのお尋ねでございましたが」、それは「当然また考慮しなければならないかとも考えられます」、こういうふうに言っているわけですから、もうそのことも含んで、いま軍艦を排除して法律改正をするということでは不十分です。やはり立法府としては、できるだけ十全を尽くさなくちゃいけないと考えられる。十全を尽くすということが、国民に対しての立法府のとるべき任務だろうと思います。いまわれわれがやはりこの法案を審議するにあたって、非常に出入港の多いと考えられる軍艦、そしてまた軍艦の炉に対する整備は、おそらく商船等から比べれば非常に粗雑であると一般にもいわれているわけであります。そういうことでありますだけに、軍艦に対する炉の規制に対する改正法案意図が及ぶということはやはり非常に大事なことだ、こういうふうにわれわれは考えるわけです。ですから、軍艦についての規制という問題について、いまここで考えないということは、やはりどうも時宜にそぐわない、こういうふうにわれわれは考えるわけです。  もう一度お伺いをしますが、日本軍艦を持つということになります場合には、やはり当然規制しなくてはならないでしょうね。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはいろいろ問題があると思います。たとえば法律上の問題その他いろいろの場合を考えなければならないと思いますが、かりに日本原子力潜水艦を持つというような場合が、かりに考えられました場合には、その安全性については、当然他の民間の商船あるいは外国原子力船について行なうと同様、あるいは陸上陸上炉を設置する場合と同様に、安全審査対象として十分に審査しなければならないと私は思います。  ただ、いま申しましたようにいろいろのことを考えなければなりません。たとえば、現行法律で許可の基準が定められております。それの第二十四条第一号に、「原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。」というような規定もございますから、こういう点から考えまして、そういうことが事実となってあらわれるときに十分に対処しなければならないことだと考えるわけでございます。
  23. 石野久男

    石野委員 二十四条の一号が平和利用のための炉の設置をすることということを規定しておる。だから、軍艦ができるような時期において考えなければならぬということは、率直にいって、立法論からいえば予想されないわけなんですよ。ですから、日本にはおそらくそういうことの心配はもう全然ないのだというふうにわれわれは考えております。  ただ、しかし、こういうことがあり得る。外国原子力潜水艦日本が借りるとかなんとかして所有する。建造はしないけれども所有をする。それがやはり安保条約とか何かの関係からそういう事態が出てまいりましたとき、そういうときはどういうふうになりますか。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは仮定のことでございますから、何ともお答えできかねますけれども、しかし、現行法律の解釈とかあるいは将来の立法とかいうことは別にいたしまして、日本が自主的に、日本法律その他制度の対象となるようなものについては、当然他の平和的に利用されるものと同様に安全審査対象にしなければならないものである、筋としては私はそうだと思います。
  25. 石野久男

    石野委員 もう一つお尋ねしておきますが、アメリカから入る軍艦は、それは軍艦性格規制することはこの法律ではできないと排除しておりますが、ここでいう軍艦とは、アメリカ以外にもし原子力潜水艦なりあるいは原子力軍艦が別にできた場合、それも全部適用されるのですか。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、SOLAS条約はもとよりでございますが、外国軍艦でありますれば、その軍艦艦籍がどこの国にあろうとも、軍艦はやはり排除しなければならない、これが国際法上の原則であり慣行である、かように考えております。
  27. 石野久男

    石野委員 科学技術庁長官というたてまえから、外国軍艦はその軍艦というたてまえからそうせざるを得ないといういまの御所見と別個に、そういう場合、その外国原子力軍艦潜水艦であっても海上艦であってもよろしゅうございますが、そういう軍艦入ろうとする場合に、いま平和三原則に基づくところの原子力開発趣旨に沿って行政をやりあるいは開発業務をやっておるたてまえからして、そういう軍艦入ろうとする場合に、それをとめるということ、原子力軍艦を入れることを拒否するという意図はあるのですか。あるいは、まだそういうことは予想しておりませんか。
  28. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまのところは何ともお答えがいたしかねる問題であると思います。
  29. 石野久男

    石野委員 それはどういう理由からですか。
  30. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、何といいますか、法律の外の問題と申しましょうか、そのときどきの、その利手国との間の友好関係あるいはその他いろいろの状況によって判断をしなければならぬ問題だと思いますので、むしろ政治的な問題になろうかと思いますが、ただいまのところ、そういったような意味で、仮定的にお答えをすることは、私も自信がございませんので、御答弁をいたしかねるわけでございます。
  31. 石野久男

    石野委員 仮定的に問題を設定しているというのではなしに、おそらく各国とも軍事力に対する原子炉の活用が活発に行なわれる時期がくる、こう予想されるわけです。そういう中で、アメリカとの関係は、日米安保条約関係から、もうしかたなしにこれは受けざるを得ないという事情になっておるものと予想します。しかし、他の諸外国との関係は、そういうような軍事条約事項もないわけですし、それよりもむしろ日本における原子力法の三原則、そのほうがむしろ優先する立場をとるのが原子力に対して日本のとる態度でなかろうか、政府のとる態度でなかろうか、私はそういうように思うのですが、これは特に科学技術庁長官原子力平和利用ということを真剣に考えているだろうと思うから私は聞くのです。  なぜわれわれは原子力法というものに対して平和三原則というものを置いているかということになると、これは日本の国が第二次世界戦争のときに受けた原爆の被害を通じて持っておるところの原子力に対するところの一つの感情的なものであり、またそれを科学的に裏づけるものとしてこういう原子力法の三原則が出てきていると思う。ですから、私は軍艦というものをすべてこの法案改正にあたって排除するとするならば、なるべくそういう軍艦日本に寄港させないようにするということを前提にしなければいけないだろう、こう思うのです。そうでなければ、平和三原則に基づいておる原子力法に沿わないのじゃないか、こういうように私は考えるから質問しているわけですが、そのことに対する長官考えと、それから、いま私が質問しております諸外国原子炉を搭載する軍艦が入る場合に、アメリカと同じような扱いをするという所信であるかどうか、もう一ぺん聞かしていただきたい。
  32. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御趣旨は私もよく理解できるわけでございます。  そこで、外国の、原子力潜水艦が将来日本に寄港することを希望した場合にどうするかということは、そのときどきの、まず第一に先ほど申しましたように、その国との間の友好親善関係その他で判断をしなければならない問題であると思いますが、その判断に基づいて、かりにある国の原子力潜水艦の寄港を認めるという場合には、ちょうどアメリカ原子力潜水艦に対してとりましたように、現場について安全審査等を行なうことが国際法国際慣行上できないということを前提にして、外交交渉その他によってこちらの心配される点をとくと確かめ、かつそれに対する確たる保証のもとに入港を認めるということになるのが私は筋でなかろうかと思います。しかし、くどいようでございますが、これはあくまで将来起こり得るかもしれない場合をいま想定いたしまして若干の所見を申し上げただけでございますので、その点は御了解願いたいと思います。
  33. 石野久男

    石野委員 これは法案改正するにあたって、この法案の適用を軍艦には排除するということを明記しているわけです。われわれはやはり排除された軍艦に対して非常に危惧を持っているわけです。愛知大臣もうすでによくわかっているように、二回にわたるところのアメリカ原子力潜水艦が入るにあたって、われわれは猛烈に反対の立場でいろいろ政府に要請しましたが、アメリカに対しては、日米安保条約があるということで、政府は、どうにもならぬという結論をもってこの原子力潜水艦を入れておると思うのです。  しかし、諸外国軍艦でない商船の場合はここに規定が出てくるのですが、軍艦が入ってくるという場合になりますと、この法案ではそのまま適用排除になってしまう。そうなると、これは無制限ということになって、われわれが心配しておる問題がそのままむき出しに各寄港地に出てくるということになります。それは困る。だから、この法案を審議するにあたって、いまアメリカとの関係について安保条約があるからいいと私は言うのじゃありません。これでも問題がある。だけれども、他の諸外国で、たとえば二、三年の後にそういう状態が出てきた場合には、日本では必ずそれを拒否するという態度を明確にしていなければ、この条項の軍艦を排除するということについて、われわれは今度は一そう疑義を持たざるを得なくなってくるわけです。だから、その点は、まずアメリカにはいいと言うのではないですよ。アメリカのはアメリカのでありますけれどもアメリカのほかの諸外国原子炉を搭載している軍艦が入った場合に、この法案をそのまま適用するということだと、もっと問題が本質的に広がってきますから、大臣にその点を明確に聞いておきたい。
  34. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず、外国軍艦が何の制限もなしに日本に寄港するということは、私はあり得ないと思います。  それから、先ほど来申しておりますように、もし外国が希望するというような場合には、当然この法律以外に、その国との間に事前にはっきりした取りきめができるはずでございますから、その取りきめに基づいて先ほど申しましたような措置がとらるべきではなかろうか、この法律から排除してあるのは、軍艦だから排除してある。だからといって、外国軍艦を、原子力潜水艦を無制限に認めると、こう反射的になるということにはならないのでありまして、軍艦の取り扱いは全然別であるということが前提で、原子力船についてのみこの法律対象にする、こういう関係でございます。
  35. 石野久男

    石野委員 軍艦を排除しているということは、無条件ではなくて、別な取り扱いによってというお話がありましたが、それじゃ、別な取り扱いというのは、どういうところでその軍艦規制をするのですか。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それはいま申しましたように、外国軍艦がそうしたような取りきめを前提にしないで日本に入ってくるということはあり得ないということを前提にしておるわけでございまして、そういう場合がかりに将来の問題として起こり得る場合においては、その当該国と日本との間に事前に話し合いがあるのはもう当然過ぎるくらい当然なことである。これはSOLAS条約の加盟国あるいは批准国の間におきましても、当然そういうことを前提にしてこういう条約が結ばれているもの、かように私は理解しておるわけでございます。
  37. 石野久男

    石野委員 そうしますと、その外国軍艦が入る場合には、あらかじめ日本に対して話し合いがあるだろう、それはSOLAS条約もそれに基づいてと、こういうことになってまいりますると、やはり現在アメリカ潜水艦が入ってきていると同じように、日本では炉の規制については全然手をつけることはできないままにこのSOLAS条約のそれに基づいて処置する、こういう意味でございますか。
  38. 愛知揆一

    愛知国務大臣 SOLAS条約あるいは今回の法律は、軍艦は適用の対象からはずしてある。しかし、将来そういった場合が起こり得るような場合におきましては、これは先ほどから申しておりますように、外国軍艦日本の港に何らの連絡なしに入ってくるというようなことはあり得ないことである。日本の領海の中に軍艦が入ってくるということは一種の戦闘行為となるのじゃなかろうかと私は感ずるわけでございます。したがって、そういう場合には当然事前に十分の話し合いがあり、相互の理解と納得の上において処理されるべきものである。その相互の理解と納得ということのうちの日本側の態度としては、国民生活の平和、安全を脅かすものでないというはっきりした心証を得られるような措置でなければならない。したがって、そういうことはまた逆にあり得ないことかと思いますけれども、かりに臨検安全審査というようなことをその国が承知するならばそれにこしたことはなかろうかと思いますけれども、これは現在の考え得る国際条約あるいは軍艦に対する列国の取り扱いからいって、さようなことは向こうが承知するはずはないだろうと思いますから、自然これはあくまで仮定の事実でありますが、アメリカとの間にやりましたように、外交交渉等を通じてこちらが十分安心ができる心証を保証の上で、取りつけた上で、入港を認めるということになるのではなかろうかと想像されます。
  39. 石野久男

    石野委員 大臣の御答弁を要約しますると、将来外国軍艦日本に入港するというような場合には当然わが国に対しても何かの話し合いがあるだろう、だから、そのときには外交的に何かの取りつけをすることによって、日本における原子力法の適用の外においてそれらの軍艦が入ることが予想される、こういうことでございますか。
  40. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そうなるのではなかろうかと想像されるわけでございまして、一番前提に申し上げましたように、外国軍艦が事前に何らの日本側の了解なくして入ってくるということは、これは考えられない事態だと思いますから、これは話があるだろうじゃなくて、当然に話し合いをもとにしなければ寄港はできない、向こうは不可能なことではなかろうかと思います。したがって、そのときのその当該国との間の友好親善関係その他から見て、認めるということが適当であるという場合におきましては、アメリカに対して行ないましたようなことを十分する必要があるのではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  41. 石野久男

    石野委員 そのような場合、当該国との間の友好親善関係を外交上の処理として行なうということの意味は、われわれの常識からすれば、これは当然のこととして軍事同盟的なものでなければあり得ないだろうと予想されるわけです。普通の外務省の関係軍艦問題についてのいろいろな交渉などということはおそらく行なわないだろう、普通外交交渉の中では。  ですから、いまの大臣の御答弁から推測する点は、これはやはり諸外国との間に新たに軍事同盟的なものができない限り、おそらく外国軍艦が入る可能性はないものだ、こういうふうに理解してよろしいですか。
  42. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は外務大臣等から答弁を求めていただきたいと思います。私からはただいまお答えすることはできません。  しかし、私自身の考え方としては、そういう場合もございましょうし、それから、あるいは親善訪問というようなこともあり得ようかと思いますが、これはそのときどきで処理しなければならぬことであって、早計にこうだああだということは言えないのではなかろうかと思いますが、ただいま申しましたように、そういう点につきましては外務大臣からお聞き取りを願いたいと思います。
  43. 石野久男

    石野委員 私は、外国軍艦について、特に原子炉を持っているところの外国軍艦日本に入港することについての問題で長官にお尋ねしている点は、いわゆる長官がいま外務大臣に聞いてくれと言ったその軍事同盟的なもののほかに、大臣先ほど言われた友好親善等によって日本に寄港することがあるだろうということの予想が立つからです。  だから、私は大臣に——外務大臣には外務大臣で私は聞きます。聞きますが、たとえば友好親善関係外国原子炉を搭載する軍艦日本に入るという場合に、大臣はどういうように処置されますか。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ですから、それはそういうこともあり得ようかということが常識として想像されるというだけでございます。  しかし、原子力船あるいは原子力潜水艦等について、平和利用という原子力法を持っているわれわれの態度として、あるいは日本国民感情として、そういう場合でありましても、現在のような状態におきましては、当然、安全審査について現地審査をするということはできませんでしょうけれども、それにかわる最善の措置はとらなければなるまい、こういうことを想像的に常識的に申し上げるにとどまるわけであります。
  45. 石野久男

    石野委員 現地調査はできないけれども最善の処置を何かせにゃいかぬだろうというので、の処置軍艦ではできないから、結局聞きおくだけだから、それだからこっちは心配するわけなんです。この点は、私は、軍艦に関連してあと田中委員から質問のあることと関連して、もう少しやはりきわめませんと、本法改正におけるいわゆる軍艦を排除するという問題についてのわれわれの疑義が解けないのです。  そこで、大臣にもう何べんもくどいことを私聞きませんけれども、最善の処置をするといういま大臣が答えられたその意味はどういうことなのか、それだけをひとつ聞かせていただきたい。
  46. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そういう場合を、いま申しましたように常識的に想像的に考えますと、その場合は日本と当該国との間は非常な理解のもとに親善関係が確立されているということが前提でございましょうから、アメリカ側に対して何度にもわたって、いわゆるクエスチョネアのような形その他の形において、こちらとして十分安全であるという心証をとる方法を講じたわけでございます、現地調査こそできないけれども。そのとられる措置について相手国は十分の保証を日本に対して与え得るような国でなければ、そういう申し入れもしないはずであろう。したがって、現地審査はできないけれども安全審査が書類上なりあるいは外交交渉なりによって心証が得られるような措置を講じた上でこれを許可すべきものであろうか、かように考えるわけでございます。
  47. 石野久男

    石野委員 私は、まだ軍艦についての安全保証という問題について、ただいまの大臣答弁には必ずしも納得はしていない。けれども、問題がまだほかにありますことと、それから田中委員との関連性もありますので、あらためてこの問題はひとつお聞きしたいと思っております。  大臣にお聞きしますが、今度のこの法律の一部を改正する提案がございますにあたって、問題は、核原料物質核燃料物質及びその原子炉規制ということでございますので、大事なことは炉の安全という点にあると思います。そこで、日本においては東海村に原子炉が集中的にいま設置されておりますから、あすこで炉の保全ということと、それから炉が周辺地区に及ぼすであろう危険に対して安全をいかに保証するかという問題と、この二つが炉の規制について非常に大事な問題になってくる、こういうように思っております。そこで、しばしばわれわれが言っておりますことは、あすこには非常に炉が集中し過ぎているという感じを受けているわけです。特に原子力研究所のそばに営業用の発電所ができる。これは将来の原子力研究所保全のために非常にやはり危機を包蔵するものである、こういうようにわれわれは考えてきております。この問題については、やはり政府なりあるいは原子力委員会なんかとの間に若干の意見の相違が従来ともあるわけでございます。  問題になるのは、十六万五千キロワットの発電が出るであろうコールダーホール型の炉が、従来われわれが考えていたようにすべて完ぺきな状態において安定が保証されているかどうかということなのでございます。それと同時に、あれを設置するにあたっては、やはり近い将来において火力発電よりも安いコストの電力の供給が行なわれるからだということも非常に大きな理由であったわけです。もちろんわれわれは原子力開発というたてまえに立って、すべて関係するものをできる限り早く日本開発することに協力し、あるいはそれに経験を持っていくことは、決して拒否するものではありませんけれども、コールダーホール型については、いろいろ問題がございました。  そこで私は、まずコールダーホール型の発電炉が、もうすでに火入れが行なわれて、だんだんと臨界に達してくるだろうと思いますが、これは所期の目的開発成果があがっているという見通しを持っているのかどうか、この点私は、この際大臣にひとつ聞いておきたいと思います。
  48. 愛知揆一

    愛知国務大臣 こまかい技術的な問題は別といたしまて、原則的に申せば、従来からの計画はそのまま進行し、かつ将来にわたるものにつきましても、計画どおり支障なく進行していると私は理解いたしておりますが、なお技術的な点につきましては、原子力局長からお答えいたさせます。
  49. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま石野先生から、東海地区に非常に原子炉が集中して置かれておる、そのことからくる安全性の確保といいますか、そういった点についての御質問があったわけでございますが、東海原子力研究所がわが国の原子力研究開発のセンターとしてありますその計画そのものからいたしまして、幾つかの原子炉施設を持つことが必要であるということは、当初この原研の設置を考えましたときからの既定の計画でございまして、もちろんこれらがそれぞれ個々別々に安全性が十分であるかどうかということを確認いたしますと同時に、これらがそこに幾つか置かれたことによる多重性と申しますか、そういった点の安全性も、もちろん安全審査にあたりまして十分審査いたして、今日のように建設をみたわけでございます。  それから、隣に営業用の東海原子力発電所が日本原子力発電株式会社の手によって建設されてきている、これとの関係でございますけれども、これもまたわが国で最初の実用原子力発電所でございますから、これを建設してまいりますにあたっては、さらにまた運転してまいりますにあたっては、原子力研究所の技術的な協力ということも十分考えてまいりたい、またそのことが安全性を確保しつつ、将来の発展に備えて原子力発電所を建設し、動かしていく上に、きわめて有用である、こういうように考えられたからでございます。  非常にたくさんの原子炉がこういうように一カ所に集まったような感じをお受けになっているかとも思うのでございますけれども、諸外国の例を見ましても、たとえばわが国の原子力研究所のモデルになりましたアメリカのアルゴンヌ原子力研究所、これはシカゴの近辺にございますが、ここにも、いろいろな型式の原子炉が六つ置かれてございます。また、イギリスのハーウエル研究所におきましても、五つの原子炉が置かれてございます。そのほかに、いわゆる臨界実験装置というものが幾つかまた別に置かれてございます。  それから、実用原子力発電所なるものがあるという点につきましては、わが国に導入されました東海原子力発電所の基礎になりましたいわゆるコールダーホールの発電所、ここには熱出力で二十万キロワットばかりの原子炉が四つと、それからその後、熱出力十万キロワットのAGRという、これまた実用規模の原子力発電炉が置かれまして、合わせて九十万キロワットの動力炉が同じ敷地に置かれてあるわけであります。  こういった例があるから直ちにわが国でもそうでなくてはならぬということはないと思いますけれども、こういったような諸外国における実例、また、そういった際に行なわれております安全確保、そういったことも十分配慮いたしまして、わが国の開発につきまして考えてまいったわけでございます。
  50. 石野久男

    石野委員 諸外国における炉がある程度の集中が行なわれているということと、日本東海村におけるところの集中とを比較するにあたっては、いろいろな条件の違いがあると思います。これは地積の問題もありますし、周辺地の問題もある。そういうことがございますから、いま局長が言ったように一朝に比較をすることができるかどうか、非常に疑問だと思う。  問題になるのは、われわれはあそこに非常に過度の集中が行なわれているというような感じを持っているわけでありますけれども、これからあと施設を、たとえば原子力研究所の中で研究のためにするものと、それから営業用にいろいろな炉をつくっていくのとは意味が非常に違うわけであります。  これは大臣に私はお聞きしたいのですが、私どもも、原子力開発という問題は、特に原子力研究所の持つ意味というものは非常に大きいと思っております。これはいかなる場合においても、天災的にも人為的にも安全を確保されるようにしていくべきだ。しかしまた他面においては、なるべく研究が集中的に行なわれて便利であるようにすることも大事だと私は思います。それであるから、なおさら研究所自体の安全をそれ自体で確保する、外的にはできる限り安全障害がくるようなことを避けるべきだというふうに考えているわけです。こういう考え方は、おそらく大臣も当然お持ちになっておると私は思っております。  そこで問題になるのは、いま局長からは、そうたいして過度でもないようなふうに聞える御説明があったのですが、これはあとでもう一ぺん御討議したいと思います。  大臣の時間があるそうですから、私は大臣にお聞きしておきたいのですが、東海村における原子力施設、特に研究所の持つ施設と営業用の施設との関係、これを関連させながら、諸施設もっともっとあそこへ増設していくということがあってはならぬと私は思うのです。私の言う意味を誤解されないようにしていただきたいのですが、研究所の中の施設として必要なものを、炉の小さいものを幾つも、あるいは多くなるかもしれませんが、これはある程度私はしかたがないと思っておりますけれども、営業用の炉をまた近接したところに置いていくということについては、これは非常に問題が多かろうと思いますので、この点だけはこの会に、方針としてそういうものはもう設置させないのだということを明確に承っておかなければいけないのじゃないか、こう思っているのですが、ひとつ長官の御所見を承っておきたい。
  51. 愛知揆一

    愛知国務大臣 東海村につきましては、もう十年前ぐらいから長い期間にわたって、原研をはじめ諸施設の設置についての非常な御理解をいただいておるわけでございまして、その点はわれわれも非常に感謝しておるわけでありますが、ただいま御指摘がございましたように、これ以上営業用の発電用原子炉というようなものをあの地区につくるということは私は考えておりません。これは先ほど来、いろいろ局長からもお話しいたしましたが、いろいろの見方があると思います。いろいろの施設は、関連したものがなるべく近くにあって相互の連絡が便になるように、また事故の発生等については十分の上にも十分な措置をして、かりにも一つのところが他に影響するような万一の事故ども起こらないようにする配慮が一方において十分にされなければならない。そういう原則論はございますけれども、しかしそれはそれとして、東海村のあの地区に営業用の発電用原子炉をさらに増設するということは考えておりませんし、不適当である、こう断定して申し上げても私としては一向差しつかえございません。
  52. 石野久男

    石野委員 私はいま大臣から非常に心強い原子力関係の諸施設の安全保持に対する御所見を承りまして、非常にけっこうだと思っておるのです。  もう一つ私が承りたいことは、先般茨城から参りました諸君がこの原子力施設についての意見を述べた中で、使用済み燃料の再処理についてのその立地的な問題についての意見が述べられておりました。これは現在原子力局におきましても、あるいはまた原子力産業会議の諸君なども、真剣に考え、燃料公社自体もやはりこの問題に真剣な取り組みをしていることは私どもよくわかっておるわけでございます。しかし、この再処理工場の問題については、先ごろの委員会で、大臣は、まだ方針もきまっていないし、どこへ設けるかについてもはっきりしていない、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、事実は燃料公社で非常に真剣にこれを考えて、立地をあの構内へ設けることを着々進めているやにわれわれは承っておるわけです。もしそうだとすると、大臣答弁との間の食い違いもありますし、それからまた地元としても非常に問題が出てくるかと思います。  私がいま質問をしますのは、この前も申しましたけれども、再処理工場をつくってはいかぬということを言うのじゃありません。日本における原子力開発という意味から言いますれば、プルトニウムの再処理をするということは決して悪いことではありません。むしろそのことは必要なわけです。ただ、先般来私が申し上げておるように、なるべく炉の施設の安全を確保することと、周辺地の障害排除をすることと、両方かね合わせて施設のことについては十二分に配慮すべきである、こういうふうに私は考えるからなんです。  そこで私は、使用済み燃料の再処理の問題について、大臣非常に忙しいようで催促がきておりますから、長い時間はとりませんけれども、この前の御答弁のように、東海村の燃料公社のあの中で再処理工場を設置するということについては、確定はしてないけれどもなお諸準備をしておるのかどうか、その辺のところをひとつ聞かせていただきたい。
  53. 愛知揆一

    愛知国務大臣 再処理の問題につきましては、ただいまもお話がございましたように、私どもとしてはぜひこの日本の自主的な手によって使用済み燃料の再処理をいたしたい、これがむしろ今後の原子力政策の一つの拠点であると考えておるわけでございます。そういう点から申しまして、再処理施設をできるだけ早くつくりたいということで計画を進めておるわけでございます。  どこにつくるかということについては、これはこの前少しことばが足りませんでしたので、この機会にもう少し率直に申し上げたいと思いますが、そういう考え方でございましたので、二、三年前以来あの地区につくるということを原燃公社として具体的に計画を進めておりまして、これは科学技術庁としても十分承知をしておるわけでございます。ところが、いろいろの御心配や、現に先般の委員会での御発言などもございましたので、なお一そう十分その再検討をしていく必要がある、そういう意味におきまして、最終的に東海村がいいか、あるいは他の地区が求め得るかどうかという点をただいま検討の対象にいたしておる、これが実情でございます。したがいまして、はっきり申し上げれば、東海村を含めてどこを適地とするかということについて、慎重に検討をやっておるというのが現在の状況でございます。
  54. 石野久男

    石野委員 私は、あくまで炉の保全という観点からいろいろな問題を討議していかなければならぬと思っております。再処理工場の問題について、東海村を含めて立地条件の検討をしておるというが、もうすでに三年前に準備をし、土地まで買って、あるいはタンクをいけるのにここも掘っておるのだということを見せられておりますと、これは再検討もくそもないので、実は既成事実をそこにつくっていくという形が出ているやに見受けられるわけです。これは私はどうも承知ができないのです。こういうことを原燃が前提としてやはり工事をしていることであるとするならば、私はこれはやはり明確にそういう工事は一時とめるべきだと思います。私は将来、たとえば原燃の中でそういう処置をすることがいいという判定がつくかどうか、それについても私はわかりませんけれども、できる限りやはり使用済み燃料の再処理工場というものはなるべく別のところでつくったほうがいいのじゃないかというふうな考え方を持っております。  これはまたあとで論議をするといたしまして、この際私はお聞きしておきたいのですけれども、もしあそこで再処理工場をつくるとしました場合に、おそらくやはり使用済み燃料は東海村発電所だけの問題ではなかろうと思うのです。その他の民間会社で出てきたところの使用済みの燃料をあそこへ持ってきて処理することになるかと思います。どのくらいの規模のものにするかどうかも私はわかっておりませんけれども、おそらくやはり数カ所のところから輸送されてきたものを再処理することになろうか、こう思うのでございます。そういうことでありますると、やはり再処理工場はどこの地点に設けましても、距離的な問題ではもう同じことになってくるように思われます。そこで、東海村を限定的に、あそこを対象にするということの必要もなくなってくるわけです。ただ問題になるのは、原燃公社が仕事がしやすいかどうかという問題と、それからそれがコストにどういうふうに影響するかという問題であろうと思います。ここでは大事なことは、やはり安全性の問題とコストの問題とのかね合いになってきているのだ、こういうふうに私は思いまするので、この点について私は、この再処理工場設置については、企業として産業を育成し発展させるためにコストを考えることは当然必要なことだと思います。しかし、そのコストを考えるにあたって、あそこが固定的に最良の地位にあるという条件にはならないだろうと思いますから、この点はひとつ十二分に配慮してもらいたいと思います。  私の考え方からすれば、むしろ何カ所からか持ってくるところの、使用済み燃料が発生する個所の一番中間点というのは一番コストが安いわけですよ。そういうことになると思います。これは非常に機械的に私は申しておりますけれども、そういうところというのは、この狭い日本の国ではなかなか考え得られませんから、当然——そしてまた周辺地においてこれを拒否するというような場合も出てくる情勢も多分に考えなくてはなりませんので、私の考え方からすれば、むしろこれこそ離島等において処理場をつくって、そのかわりそれに作業する人なり、あるいは経営する人々がコストを安くするような方法を別途考えるべきだ。むしろ大胆に、土地の買い上げとかなんとかやるかわりに、飛行場の一つくらいはその周辺地につくって、飛行機の一台か二台を持って、そして研究員あるいは作業員はいつでもただでその所有の飛行機で行ったり来たりするということをすれば、私はむしろ離島等のほうがかえってコストが安くなるのじゃなかろうかというふうにも考えまするので、この点については、もう固定的な考え方で原燃公社をあそこの敷地というように考えることはやめていただきたい、私はそういうふうに思います。  そういう点については他日大臣から詳しい御所見も承りたいと思いますけれども、きょうはひとつ、この東海村の燃料再処理工場の設置という問題が固定的なものではないのだ、むしろそれを前提としているのだということだけはやめてもらおうということをはっきり大臣から承っておきたいと私は思う。ひとつ大臣の御所見を承りたい。
  55. 愛知揆一

    愛知国務大臣 非常に大事な問題でございますから、私も非常に率直に申し上げているのでありまして、先般までのところは、ただいまも御指摘がございましたように、東海村に再処理の施設をつくりたいということを公社もわれわれも考えておりました。しかし同時に、先ほど来お話がございますように特に安全性ということについて地元の方々の完全な御理解、御納得がなければならないと思いますので、そういう点も含めて、この東海村も含めて流動的に適地を選びたいというふうに現在考えておるわけでございます。  それから、前会にも申し上げましたように、実は再処理工場につきましてはほんとうの設計もできていないわけでございます。一応の予備設計ができておるわけで、四十年度の予算におきましても本設計の購入その他についての予備的な予算が計上されておるわけでありまして、着工いたしますのは、いずれの地域にいたしましても四十二年度からということになります。したがいまして、まだ多少時間的余裕もございますので、前会以来いろいろと御意見を承りましたようなことを十分参考にいたしまして処理をいたしたいと考えておるわけでございますが、ただいまのところは以上申し上げましたところが真相でございまして、またいろいろ研究の進みます段階におきまして、当委員会はもとよりでございますが、いろいろとまた地元の方々にも御相談をいたしたいと考えておるわけでございます。
  56. 岡良一

    ○岡委員長 石野委員質問に関連し、この際、委員長より政府に要望いたします。  憲法論から申しまして、防衛戦争も戦争であり、戦争である限り防衛目的といえども軍事目的であろうと思います。したがって、わが国における原子力の利用を平和目的に限定しておるというこの原子力基本法が存在する限り、自衛隊の艦艇といえども原子力推進力として利用することは不可能ではないかと思います。この点、防衛庁長官愛知国務大臣の御答弁に若干の食い違いがあるようでありますが、このことはわが国の原子力政策の推進しきわめて重要でありますので、この点に関して政府並びに原子力委員会の統一見解を本委員会にお示しを願いたいと思います。
  57. 愛知揆一

    愛知国務大臣 了承いたしました。
  58. 石野久男

    石野委員 これは防衛庁にお尋ねいたしますが、去る五日、また東海村の演習の中で誤投下事件がございました。この問題の事情はどういうものであり、またそれらの問題について防衛庁は米軍との間にどういうような折衝をなさっておるか、ひとつお聞かせ願いたい。
  59. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 去る四月五日に、米軍のF105ジェット機が訓練中模擬爆弾を射爆場施設区域外である勝田市の麦畑に誤投下されるという事件が生じました。幸いに人身に被害はございませんでしたが、先月三月二十九日に阿字ケ浦に誤投下が起こってから一週間後にこのような誤投下がまた起こったということに対しまして、私ども非常に遺憾に存じております。  私たちといたしましては、さっそく米側に、このような誤投下が二度も、しかも短時日の間に繰り返し起こったということについて厳重抗議するとともに、こういう事故が起こらないように、事故の原因並びに再発防止ということについて抗議を申し入れるだけではなくて、合同委員会のもとにある事故分科委員会という組織を通じまして、ここにおいて米側と誤投下の原因を十分検討し、こういう事故の再発を防止するようにつとめたいというふうに存じております。
  60. 石野久男

    石野委員 いまの御答弁からしますると、まだ米軍のほうに対しては防衛庁のほうからは何も話を持ち込んでいないのですね。
  61. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 このような事故が、二回続けて誤投下が起こったということに対しまして、私たち重大な関心を持ちまして、外務省と話し合っておるわけでございますが、この合同委員会のもとにある分科委員会というものを早急に開催していただいて、ここで徹底的に原因を究明し、こういう再発防止ということに効果的な措置を講じさせるというようなことをやろうということで、米側のほうにもそういう点を外務省を通じて話し合っているわけでございます。
  62. 石野久男

    石野委員 まだ米側との折衝が行なわれていないということではどうにもならぬので、これはやはり早くにアメリカ軍との間の交渉をして、事故をなくするように努力してもらわなければなりませんが、施設庁のほうはこういう事故の頻発する原因はどこにあるのだというふうにお考えになっておりますか。
  63. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 ただいまの事故分科委員会を通じて対策を講ずるということにつきましては、米側とも話し合いがほぼついているわけでございます。近くそういう委員会を開くということに相なろうかと存じます。  また、事故の原因でございますが、これは二つが考えられるわけでございまして、一つには操縦士、パイロットの操縦が未熟であるというようなこと、その他の原因としては、今度の場合はおそらくそういうことではなかろうと存じますが、機材に欠陥がある、そういう二つの面が事故のおもなる原因でございます。
  64. 石野久男

    石野委員 いま部長からの話の、事故の原因は操縦士の未熟、あるいは機材の欠陥だということ。そうすると、それらのことを排除する手だてというのは、どういうふうにしたらよくなるか、こういう問題がすぐ出てくるのです。  しかし、これは日本の側ではなかなか手が出せない問題だ、こうなるというと、この事故はやはりなかなかなくなるような目安はついてこないという推測が出てくるわけですね、われわれの側からすると。  ですから、これらのものをアメリカ側との間で折衝している過程で、アメリカのほうではそれじゃどういうふうにしてこの事故をなくする努力をするという、そういう返事ですか、意見、そういうようなものを従来示しておりますか。
  65. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 事故の原因がそういう二つの面から考えられるわけでございますが、事故を完全になくすということは非常にむずかしい問題でございますけれども、私たちとしてはその事故というものを最小限度にとどめる。そのためには、この事故の原因というものから操縦士等に対しても米軍内部においてそういう事故を起こさないように強い指示をするとか、従来こういう事故の対策といたしまして、事故がこういうことから起こる、パイロットの操縦ということも一つの原因でございますが、そういうことを起こさないように各パイロットに厳重な指示をするとか、そういうことで、事故を最小限度にとどめるというような方法が講じられておるわけでございます。
  66. 石野久男

    石野委員 しかし、そういうことではなかなかこの事故はなくならないだろうと思うのです。というのは、あなたが先ほど言われるように、この一週間の間に二度も起きているわけです。しかも、これは近年まれな事故として連続したのじゃなくて、もうずっと続けて、思い出したように一月か三月ごとに出てきているという実情なんですね。  ことにF105D戦闘爆撃機の演習が行なわれるようになりましてから、この飛行機の速度も非常に速い。したがって、やはり従来の機種と訓練の状態も違っているのが実情です。われわれは現地で見ておりますと、そういうこまかい問題よりも、最近ひんぱんに起きる事故というのは、演習の回数もずいぶん多うございます。したがって、やはり相当過度の演習をしているのだろうと思うのですね、これはわかりませんが。  しかし、施設庁のほうではそういう点では大体お調べがあるのでしょうけれども、一日何べんくらい、何機くらいがどのくらいの演習をしておるのか、延べで何機、それで飛行機の数では大体何機、人員はどのくらいというような統計が出ているのだろうと思いますが、大体どのくらい演習をしておりますか。
  67. 財満功

    財満政府委員 米軍に問い合わせをいたしましたのですが、現在のところ、いま石野先生お尋ねの点につきましてはまだ返事がまいっておりません。  ただ、私どもが水戸射爆場付近における農業経営の損害の補償をいたしますために、あるいは学校の防音工事の実施をいたしますために、われわれの出先の事務所を通じまして調べたものがございます。それによりますと、一日の——もっともこれは昨年の十一月からことしの一月までに調べたものでございます。——一日平均飛行回数は約二百回。それから、一カ月の演習日数は十八日ないし十九日というようなことになっております。十五ないし十六機が反復演習を行なっておる。こういうことに報告を受けております。
  68. 石野久男

    石野委員 私は現地に住んでおります。従来見ておりますると、ベトナム戦争が非常ににぎやかになってくると、これはもう演習が猛烈に行なわれるのが実情なんです。おそらく米側からはそういう資料は、たぶん——誠実に資料が出ればもうはっきり出るだろうと思いますが、いずれにしましても相当やはり演習がきびしく行なわれていることだけは事実だと思います。これでいきましても十五機ないし十六機の飛行機が二百回というのですから、どんなに少なくとも一機だけで平均して十三、四回繰り返し演習をやっている。しかも、これは朝七時半くらいから始まるわけです。したがって、やはり相当先ほど沼尻さんからは操縦士の未熟ということも言われておりますけれども、過度の演習に基づく誤射誤爆というものが出てくる可能性はあると思います。  これらのことは向こうさまの事情ですからとやかく言うことじゃございませんけれども、問題になるのは、これほど周辺地に誤射誤爆が起きるということは将来なくなるだろうかどうだろうかということなんです。ますますふえてはくるけれども、減る見通しはないのですね。  それと、もうおそらく施設庁でもよく御存じだと思いますが、F105Dが飛ぶようになってきましてからの、訓練の航跡といいますか、回路といいますか、それがずいぶん変わってきました。ときには原子力施設の上を飛ぶという事態も出てきていることがあるわけです。こういうようなことでございまするので、われわれとしては、やはりなるべく事故のないことを望むけれども、これはなくなる望みよりも多くなる危険のほうが非常に多くなってきているのではないかというふうに見込まれます。  防衛庁は、こういう問題について、あの演習場外の被害を少なくする見通しをいまのところ立てる可能性をお考えになれるかどうか。これは可能性を聞くのでございますけれども、ひとつお聞かせ願いたい。
  69. 財満功

    財満政府委員 たいへんむずかしい御質問でございます。米軍の行ないます演習の頻度その他によりまする事故の発生の問題について、減少をせしむる可能性はどうかということでございます。  その問題は少しおきましても、私どもとしましては、数年来地元のほうから、早急に全面的な返還をしてほしいという御要望がございます。そういう御要望に沿いまして、私どもとしては米軍に対して返還交渉をいたしてきたわけでございます。これは、おそらくそういうふうにすれば根本的な解決になるだろうという意味でやっておったわけでございます。ただ、米軍といたしましては、代替地を提供しない限り、この種の射爆場は関東周辺においてここ一カ所であるので、返還できない。つまり代替地の発見をしてくれるならば、提供をしてくれるならば、そういうようにいたしましょうというふうにいっておるわけでございます。  そこで、代替地の条件と申しましても、F105の発進いたします横田からあまり遠距離であっては困る。あるいは射爆場の性質上、水陸両面を同時に使えるようなところでなければ困る。あるいは人口の稠密したところでは絶対いかぬ。気流の条件がよくなければいかぬ。演習の訓練の性質上相当程度の広さのものでなければいかぬ。こういうふうな代替地の条件がございます。そこで、この種のものを関東周辺に求めるということになりますと、率直に申しまして、そのままずばりでは発見できなかったわけでございます。  そこで現在、関東周辺のいわゆる離島につきまして、その代替的な条件を検討いたしておるわけでございまして、米軍に対しても、ある程度がまんして、代替条件を緩和して、そしてそちらのほうへ移るように米軍も考えてくれたらどうかというふうな交渉をいたしております。この点につきましては、事務的にはしばしばその話をしておりますけれども、なお防衛庁長官といたしましても、より高い折衝をいたしたいというふうにわれわれに対して指示を出されております。そこで、私どもとしては、さらにその道の専門家の専門的な意見を聞いて、まず米軍にぶつかるデータを整備する、こういうことで現在その検討を続けておるということでございまして、このような基本的な対策をとりません限り、あるいはいま石野先生のおっしゃいましたように、将来の射爆場におけるこの種の事故の減少の可能性はどうかということに対しまして、お答えする大きなことはないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  70. 石野久男

    石野委員 射爆場について私がわかり切ったようなうことを聞いたのは、結局先般の委員会長官は、高次の立場で政治折衝して、演習場の代替地の選定問題の解決をしたい、こういう御意見があったから、それをできるだけひとつ早く実現してもらいたい。しかも、ただ私たちが憂えているというような問題でなくして、現実にもう事故が起きておるし、たまたまこれは原子力施設からは遠のいておってまた今度は人家に被害がなかったからよかったのですけれども、あの付近には御承知のように学校もすぐそばにございますし、それから市営住宅がたくさんあそこに並んでおるわけです。もう少し、百メートル違ったら必ずこれは事故が起きております。  したがって、私は、この問題は一日も早く皆さんの事務的な場から、やはり大臣の場にあげていただく。地元でも先般非常に大きい問題として提起しておりますが、ただ地元の問題だけでなしに、原子力施策の中から重要な問題でありますし、この委員会としても、どうしても一日も早くあの地域をあけてもらわなければならぬというように考えておるわけですから、これはひとつ、きょうは施設長官おいでになっておりませんけれども地元からはおそらく長官のところには陳情なんかがたくさんいっておると思います。ぜひひとつ積極的に皆さんのほうからも資料を出して、そうして米軍との間の高次の立場での折衝を成功させるようにしてもらいたい、こういうようにやってもらいたいと思います。
  71. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 関連して。  いま防衛施設庁施設部長から説明がありまして、大体誠意を持ってやっておられることはわかるのですけれども、問題は代替地の問題だと思う。代替なしに幾らやっておっても、それでは絵にかいたもちになってしまいますので、代替地というものの考え方というものだけは明らかにしなければならぬ。  当委員会としても、後ほど射爆場の問題については決議文をあげようとしておるわけです。三十六年に決議文をあげて、さらにまた本年あげましても、これはほとんど効果がないことになってしまうので、政府並びに防衛庁としても、そういう壁にぶつかっておられるなら、条件を緩和するということを米軍には要請はしておるものの、どういうところを代替地として考えておるか。そういうことなしに幾らこういうことと言ってもだめなんですから、そういう点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  72. 財満功

    財満政府委員 代替候補地のことでございますけれども、私どもその種のものは実は頭の中で考えておるわけでございますし、実地にそういうところを簡単に見たこともございます。  ただ、それがどこであるのかにつきましては、今後の問題でございますし、影響するところが大きゅうございますので、ここではそこの名前をあげることを差し控えたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  73. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 反対運動をいろいろ考慮しますと、いま具体的な名前をあげることは無理であることはわかる。  ただ、事実をもって交渉されておるかどうかということを私はお聞きしたいわけなんです。この地ということを内密のうちにでもお話しになっておらなければこの交渉は進まないだろうと思うのです。  私たちの考え方としてはいまの条件の中では、水陸両方の利用ができなければならぬというお話もありましたけれども、さきがたのプルトニウムの再処理工場の問題と同じように、これは海だけでもいけるのじゃないかと思っているのです。そういう条件もその中に入っておるか。あるいはどうしてもいまの第三空港のように関東地域でなければならぬということになれば、第二空港の問題でも非常にむずかしいのです。ましてや戦争目的に合わせるような射爆場ですから、これはなかなか困難だと思うのです。  そこで、そういうような実のある交渉をされておるかどうかということをひとつもう一回聞いておきたいと思います。
  74. 財満功

    財満政府委員 現地に対しまする交渉の問題でございますけれども、その前に、私どもの内部といたしましては、代替地を完成地として提供いたしますためには、そのままでというわけにはまいらないわけでございまして、付帯施設その他の問題もございますし、あるいは先ほど私が申し上げましたように、地形等につきましてもぴったりしたものが現在あるわけではございません。そこで、そういうふうなものを射爆場としてどういうふうに整備していくかという問題もございまして、そのことにつきましては、率直に申しまして、相当額の予算を必要とするというふうに考えております。したがいまして、その以前におきまして、現地に直ちに実のある交渉を開始するというふうなことは、またむずかしい状況でございますので、それはしておりません。
  75. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 この辺がいいだろうという場所は示されたのでしょう。それは予算が伴いますから、こういう条件で、日本としてはこれだけの便宜を提供するというようなことは、まだいろんな問題があると思います。それは両方で煮詰めなければならぬと思いますけれども、具体的にこの場所というように提示されておると思うのです。それが一つ。  それから、いま沼尻総務部長のほうから話がありましたように、最近ありました二回の誤投下の問題で原因を言われました中で、二つ原因があるだろう、そういうことですけれども、こういう事態を米軍のほうにもう少しやかましく言っていただくことがこのことを促進さすもとじゃないかと思う。ただ原因だけを究明するという非常に消極的な立場をとられなくて、総務部長立場から根本的な解決に向かうような方向をひとつ、いままでも話されたと思いますけれども、今後話してもらわぬことには——。事実をもって示さなければいかぬ。あなたのほうの話を聞いておりますと、今後の大きな解決点という方向に向かっての話ではなくて、それは質問のしかたにもよったわけでありますけれども、ただそういう原因だけで今後交渉して、そういうことのないようにしてくれ、これだけでは困ると思うのです。この点もひとつ総務部長からも明らかにしてもらいたいと思います。
  76. 財満功

    財満政府委員 米側にその候補地につきまして提示したかというお話でございますが、私どもいろいろ候補地の話をいたします際に、その名前は非公式にこういうところについて検討しておいてもらいたいというふうな連絡はいたしております。
  77. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米軍の射爆場といたしましては、現在水戸、芦屋、それから三沢の天ケ森、こう三つあるわけでございます。その各射爆場についての事故発生状況を見ますと、三沢につきましては、昭和三十九年において十五件、水戸については六件、芦屋については二件。またこれは三十六年度に、水戸については誤射事件とかそういうものと関連いたしまして、米側との間において事故防止のための非常にきつい交渉をしてきておりますが、三十七、八年度におきましては、水戸の射爆場におきましてはそれぞれ二件ずつということで、他の射爆場に比べますと事故件数そのものは少ないわけでございます。  私たち米側返還交渉する際に、事故の数ということよりも、米側との交渉を効果的にするためには、水戸の射爆場の特殊性というものを強調しているわけでございます。それは東海村との関連において、ああいうところに射爆場があるということが周辺の人たちに非常に強い不安感を与えているので水戸は適当でないのだというようなことで口説いておるようなわけでございまして、事故そのものから米側交渉するということは、他の射爆場との関連がございますので、そういう態度で臨んでおるわけでございます。
  78. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 関連ですからこれでおきますが、これは防衛庁交渉たけでは私はいかぬと思うのです。やはり科学技術庁のほうとしてもこれと関連させ、総理もこれに加わって——あなたのいまのお話では、周辺の人が不安に思っておる、こういうお話ですけれども、あに周辺だけじゃないのです。これは日本全体が非常に危険なわけで、こんなあぶないところで射爆をやってもらうということはほかのところも、——それは周辺の人は非常に危険に思うでしょうけれども、——それ以上の問題ですから、総合的に全体的に、内閣の総力をあげてやっていただかなければならない問題だと思うのです。  そこで、科学技術庁大臣の代理として次官がおいでておりますが、内閣の全体の精力をすぐって、総理もこれを動かしていけると私は思いますので、そういう点の連絡協調、全力を集中しておるかどうかということについて次官にお聞きし、また原子力局長もおいでになりますから、その辺もこの際明らかにしておいてもらいたい。
  79. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 お答えいたします。  御承知のように、この前の委員会におきましても、茨城の知事さん以下来られまして、ここで射爆場の問題を中心にして、東海村の問題等につきましていろいろ切々たる陳述がございまして、私ども非常に打たれたわけでございます。  その際、防衛庁長官もお見えになりましたが、いままでの折衝はあるいは事務的であったかもしれぬので、今後は高度の政治折衝をもってやりたいということでございまして、それに対しましても、外務大臣はおられませんでしたが、科学技術庁長官も、窓口は防衛庁でありまするけれども防衛庁、また外務省、それから科学技術庁、三者一体となってこの問題を誠意をもって解決したいということを御答弁されておりますし、従来御承知のように、いままで成果を得なかったのですけれども米側との折衝はもう相当続けてまいったわけでございます。それがいまだに実を結ばぬということは、まことに力の足らない点をわれわれおわびすべきであろうと思いますが、何としてもこれはわが国の原子力のいわゆる平和利用を実現せしめるにおいて、あの原子力の設備が相当集中いたしておりまする大事なところに、その近くに射撃場があるということは、これは地元民さんはもちろんでありますが、ただいま三木委員がお話しのように、みんなが非常に心配しておる問題でありますから、いまお説のありましたように、政府といたしましても、関係大臣の協力によりまして、一日も早くこの目的を達成しなければいかぬということを考えております。  要は、施設部長もお話しになりましたように、やはりこの前の委員会でもそうでありますが、やはり代替地が必要なことでございまするので、この問題を何とか早く適当なところを予定すると同時に、またアメリカのほうの条件もある程度緩和してもらわないと、なかなか話がつかない見通しでございまするが、そういうのを考えつつ、ひとつ十分誠意をもって、一日も早く返還問題の解決するように努力をいたしたいということを私から申し上げておきます。
  80. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 しつこいようですが、これは、いまの佐藤総理が科学技術庁長官のときも、いまあなたがおっしゃったと同じようなことを言われておる。それから、近藤鶴代さんが長官になられたときも同じことだった。またこれは大臣がかわってしまえば、もとのもくあみになってしまうようなことになれば、もう何回も同じことをいっておるので、私としては、——非常に交渉はむずかしいでしょう、しかしながら実を実らそうという熱意があるのか、緊迫感があるのか、危険に対するところの非常に恐怖感があるといいますか、そういうものが政府にあるのかどうかということを非常に疑うわけなんです。何回やっても同じ答弁に終わってしまっております。  今度はひとつはっきりとこの問題の交渉をし、そうして、土地を明確にできなければ、国民交渉はこういう段階だということぐらい示してもらわなければいかぬのじゃないかと私は思います。そういう点で申し上げておるのですから、ひとつはっきりとこの機会にやるということを明示してもらいたい、明言してもらいたいと思います。
  81. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 まあ、明言をすることは簡単でございますが、何しろいままでむずかしい交渉を続けてまいっており、相手があることでございまして、これができなかったということは、いま誠意がなかったんじゃないかというおしかりをこうむった次第でございまするけれども、お話しのように、総理もかつて科学技術庁長官をやっておられまして、この問題につきましては、総理となられてからも、科学技術振興の問題につきましてはいろいろ進言を受けておるわけでございまして、そういうような意味合いからいたしまして、ひとつ三大臣はもちろんでありまするが、総理にも大いに協力していただいて、政治力をあげて、ひとつ政治折衝によって、この問題を一日も早く解決するという線に向かっていきたいと考えております。
  82. 石野久男

    石野委員 いま三木委員からも話がありましたように、そしてまた先般の委員会のときに、参考人においでになった地元の方の御意見もいろいろあったわけですし、防衛庁長官も今度は自分が政治折衝するということも言っておりますから、われわれはやはりその誠意を信じたいと思っておる。ただしかし、誠意を信じたいけれども、三木さんから言われたように、何べんも同じことを繰り返しておりますと、しまいには黙っておれなくなってしまう。そういうことにならないように、しかも事故が非常に頻発しているという実情にかんがみて、今度はひとつぜひ積極的に、やはり長官に皆さんからも話をして、具体的に長官がいろいろ政治折衝をする根回しになるような資料の充実をしてもらいたい、こういうふうに思います。これは特に科学技術庁のほうに対してもまたお願いしなくちゃいけないかと思っております。  外務省の徳久さんにちょっとお聞きしておきますが、お聞きしておくというよりも、先ほど委員長からお話がありましたように、規制法の一部を改正する法律案の審議にあたって問題になってくる原子力潜水艦についての問題、軍艦についての問題は、愛知長官と小泉長官との間に非常に意見の食い違いが出ておりますので、これを外務省のほうは今度はどういうふうに見ているかという一つの問題があるわけです。きょうは大臣がおいでになっておりませんけれども、やはりこういう条約の取りきめをする場合に、外務省としてこの問題をどういうふうに考えているかということの所見を承っておきたいのですが、国際協定課長さんではちょっとこれは御答弁いただけないのかもしれませんが、もしいただけなければ、ぜひひとつ大臣にその趣旨を伝えていただいて、この次の委員会でぜひ答弁をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  83. 徳久茂

    ○徳久説明員 承知いたしました。昨日田中先生から御質問がありました点につきましても、実は昨日法制局、それから防衛庁と協議いたします都合がつきませんでしたものですから、その点につきましても次回に御説明申し上げたいと思います。
  84. 石野久男

    石野委員 本日はこれで終わります。
  85. 岡良一

    ○岡委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十四日開会することといたします。  これにて散会いたします。    午後零時三十七分散会