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1965-04-01 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月一日(木曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 岡  良一君    理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君    理事 福井  勇君 理事 前田 正男君       秋田 大助君    木村 剛輔君      小宮山重四郎君    塚原 俊郎君       野呂 恭一君    渡辺美智雄君       石野 久男君    久保 三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小泉 純也君         国 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         防衛施設庁長官 小野  裕君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安川  壯君  委員外出席者         原子力委員会委         員       武田 榮一君         原子力委員会専         門委員     松井 達夫君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  中川理一郎君         参  考  人         (茨城県知事) 岩上 二郎君         参  考  人         (茨城県議会議         員)      西野 恒郎君         参  考  人         (茨城勝田市         長)      安  義男君         参  考  人         (茨城那珂湊         市長)     薄井与兵衛君         参  考  人         (茨城労働組         合連盟幹事)  後藤 敬秀君     ————————————— 四月一日  委員池田正之輔君及び河野正辞任につき、そ  の補欠として塚原俊郎君及び久保三郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員塚原俊郎君及び久保三郎辞任につき、そ  の補欠として池田正之輔君及び河野正君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(東海地区原子力  施設地帯安全確保に関する問題)      ————◇—————
  2. 岡良一

    岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  東海地区原子力施設地帯安全確保に関する問題調査のため、茨城県知事岩上二郎君、茨城県議会議員西野恒郎君、茨城勝田市長安義男君、茨城那珂湊市長薄井与兵衛君及び茨城労働組合連盟幹事後藤敬秀君を参考人として意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡良一

    岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 岡良一

    岡委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、皆さんまことに御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございました。どうか、それぞれの立場において忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  なお、時間の都合もございますので、はなはだかってですが、参考人の御意見の開陳はお一人約十五分程度とし、後刻委員からの質疑の際十分お答えくださるようにお願い申し上げます。  それでは、岩上参考人からお願いいたします。
  5. 岩上二郎

    岩上参考人 私、茨城県知事岩上二郎でございます。  本日は、衆議院科学技術振興対策特別委員会におきまして地元知事といたしまして所見を述べる機会を与えていただきましたことを厚くお礼を申し上げる次第でございます。  主題となっておりまする原子力施設地帯安全確保に関する問題は、わが国原子力開発を左右する国家的な問題であって、その重点は、水戸対地射爆撃場の解除でありまして、周辺地域環境整備等に置かれなければならないと考える次第でございます。今日までこれら諸問題につきましては、さきに当委員会の御決議を賜わりまして、また、本県としましても久しきにわたりこれが実現のため努力を払ってまいりましたが、何らの進展を見ることなしに進んでまいりましたことはまことに遺憾にたえないところであります。  まず第一に申し述べたいことは、水戸対地射爆撃場特殊性でございます。  御承知のごとく、わが国唯一原子力センターに隣接いたしまして米軍の射爆撃場が存在し、連日爆弾投下及び対地射撃演習が繰り返されておるわけであります。しかも、その周辺には人口稠密な市街地がございます。このようなことは世界にその例がなく、地域住民に不安と恐怖を与えておるわけでございます。  このような現実を放置しておる国の原子力行政は、いかに安全確保に冷淡であるかを立証しておるといっても過言でないと存じます。  この対地射爆撃場関係演習等によって惹起されました事故は、現在まで三百余件に及びます。そのうち、しかもとうとい人命をも多数失っております。かかる人道上ゆゆしき問題は、断じてこれを看過することはできないのでございます。  さらに、万一原子力施設にこれらの事故が惹起されるならば、その被害は想像に絶するものとなりかねないのでございます。単に原子力損害賠償法のみによってこれを救済する、がごとき手段によっては、とうてい収拾し得ない重大な事態の発生をおそれるものでございます。  かかる見地から、一日も早く返還実現を期するよう御協力をいただきたいと存ずる次第でございます。  次に述べますことは、水戸対地射爆撃場返還に逆行する原子力施設の増強と原子炉過度集中の問題であります。  昭和三十一年、原子力研究所東海村に敷地を決定し、最初に完成されました一号炉熱出力わずかに〇・〇五メガワット規模でありましたが、現在では二号炉、三号炉、四号炉動力試験炉と、日本原子力研究所の炉だけでも総出力は六十八メガワットに達しております。しかも、これら現存しております原子炉は、いずれも国の長期計画の名のもとに、地元意見を徴することなく一方的に設置されたものであります。原子炉等施設適正配置安全対策上も重大な問題であるにもかかわりませず、過度集中されておりますることはまことに遺憾とするところであります。さらに、商業用発電炉熱出力を合わせますと、当初一号炉熱出力規模からすでに一万三千倍の規模を示すに至っております。このような原子炉過度集中は、単に安全上のみでなく、かりに一つ原子炉等事故を起こした場合には他の原子炉等へも立ち入り不能となり、経済的見地からもこれは避けらるべきであろうと考えられるのであります。  東海地区過度集中に対しましては、貴委員会においてすでに取り上げられているところでありまして、このようなことからも、この地区における原子炉等の新増設は絶対にこれを排除するとともに、原子燃料処理工場設置に対しても了解しがたいところでございます。  したがって、本県としては、水戸対地射爆撃場返還実現しない場合には、安全確保見地から既存の原子力施設運転中止または施設の他地区への移転をも要請せざるを得ないのでございます。  さらに、第三といたしましては、原子炉設置関係知事権限の問題であります。  この問題につきましては、従来の経過から、一般的事項を述べたいと存じます。  原子炉等設置及び原子力事業所運営については、現行法では知事は何らの関与をいたしておりません。しかしながら、これら原子力事業所はその地域住民の安全上に重大な影響をもたらすものであり、原子力災害発生時における対策地方公共団体にその全責任を負わせております。この責任を全うするためには、原子炉等規制法を改正し、原子炉等設置にあたっては関係知事の同意を求めること、及び原子力事業者に対する知事権限を明確にする必要があると考えております。  最後に、原子力施設周辺地帯整備計画について申し述べたいと存じます。  この問題は、貴委員会におきましてもすでに御決議をいただいたにもかかわりませず、何らの進展も見ず今日に至っておりますることはまことに遺憾でございます。  原子力施設周辺地域整備は、原子炉等施設設置と並行して国の責任において行なわるべきものと信じております。特に周辺地域整備には、その地域における人口適正配分という特殊性よりいたしまして、従来の都市計画法によってはとうてい実施し得ないものでありますので、原子力開発進展地域住民の福祉の増進のため、強力にこれが実現を要請するものでございます。  以上をもちまして私の所見を終わりますが、わが国原子力開発のために従来まであらゆる協力を払ってまいりました本県の誠意を無にせず、いたずらに既成事実を積み上げ、地域住民の不安と動揺を押し切ることなく、人間尊重立場に立って本問題の適切な解決をはかられるよう切に希望いたしまして、私の陳述を終わります。
  6. 岡良一

  7. 西野恒郎

    西野参考人 私は茨城県議会西野でございます。私ども茨城県民の最大の関心事一つであります東海地区原子力施設地帯安全確保に関する問題につきまして、御意見を申し述べる機会を与えられましたことに対しまして心から感謝申し上げまして、議会を代表いたしまして陳述いたします。  意見の第一は、本地帯の安全を脅かしております水戸対地射爆撃場における米軍の射爆撃演習という外的条件をすみやかに解消することであります。  水戸対地射爆撃場は、その演習開始以来毎月平均一・三回の割合で大小の事故を起こしておりまして、しかも、速度の比較的おそいB57の場合においてすら、現在の原子燃料公社より約二百メートルの地点にしばしば誤弾が投下されている事実がございますが、今日では速力におきまして前者の数倍に及ぶF105Dを使用しておりますので、飛行制限区域をはるかに越えまして、きわめて不規則な飛行を繰り返しております。特に雲の低い日のごときは、進入進路誤りまして原子力施設の上空に突入することすらしばしばあるのであります。  それに加えまするに、一昨々日発生いたしました誤弾投下事故の実例より見てみますと、機速が非常に早くなってまいっておりますので、誤弾も非常に加速されまして、その実害は以前のそれと比較して問題にならないほどものすごいものになっております。私ども現地において朝夕演習実情を見ておりますと、飛行機機速原子力施設地帯距離との関係から見まして、事故発生いたしましても、それは飛行士米軍を責めることができないというふうに考えざるを得ないのであります。言いかえてみますと、標的と原子力施設関係位置あるいは使用機種、それから現地天象等を考えてみますと、原子力施設への重大な事故発生というものはもう必然的なものである、こういうふうに判断せざるを得ない実情でございます。  昭和三十一年に、政府日本原子力科学の立ちおくれを取り戻すために一刻も等閑視し得ない問題であるとして、原子力研究所を急速に開設しようといたしましたことは、われわれ国民としても了としたところでありますが、当時本県が当初から返還を期待しておったにもかかわらず、射爆場が現在なお現存し、近い将来に返還の見通しすらつかないとすれば、当初に政府が事を急ぐのあまり、限られた国有地についてのみ原研の敷地選定対象を求め、かかる位置に選定いたしたことにすでに大きな誤りがあったのではないかと考えざるを得ないのであります。すなわち、原子力科学振興を考え、当該地帯の安全を確保しようとするならば、この誤りを是正することであります。  それには、射爆場をほかに移すか、それが時日を要するとすれば、小なくとも射爆場に接続しておりますところの、射爆場のすぐ隣にありますところの燃料公社を他に移動することが、安全確保上絶対に必要であると考える次第であります。  われわれ県議会が先般原子燃料の再処理工場設置反対の議決をいたしましたのも、かかる危険きわまりない現状にあえて目を閉じておりますところの関係者等の、まことに考えてみれば皮相な見解に対しまして、ほんとうに日本原子力科学技術安定的振興を祈念し、あわせて地域住民の安全を守る立場から警鐘を乱打した次第であります。このことを御了解願いたいと存ずるのであります。  意思の第二は、原子力施設のごく近傍は、住民安全対策人口制限を含みますところのある種の規制措置をすることはやむを得ないと思うのでありますが、それにしましても、東海村及びその周辺住民地域開発への自主的計画に調和しないような規制措置必要とする施設は一切設置しないことであります。  こう申し上げますと、一見科学技術振興に水をかける立言のように考えられまするが、決してそういう意図に出るものではありません。いささか釈迦に説法のきらいがございますけれども、先刻御承知のとおり、戦後地方自治の確立が叫ばれておりまして、近代立法たる地方自治法が制定せられましたのを契機といたしまして、地方公共団体は、国の指導のもとに、真に民意の上に立つ自治行政運営を通じまして、住民のはつらつとした自主的な創意とくふうを結集するの実をあげまして、国家社会のために大きな役割りを果たしておるわけであります。これは前段も申し上げましたとおり、国において地方団体自主性を助長することに意を用いられた結果でもありましょう。本県といたしましても、国の御指導のもとに、県下各地自主開発の機運が台頭してまいっております。後進県脱皮のための地方的努力が、その住民とともに随所に盛り上がっております。  特に、東海村を含む水戸日立地区は、東京より百キロの圏に位しまして、那珂川及び久慈川の両河川を持つ上に、大型外洋船の寄港できる港湾を開発し得る勝田市、那珂湊市の海岸線、すなわち射爆場を持っておりまする関係からいたしまして、将来東京過密人口をも吸収しまして、独自の経済圏を形成することを目標として、国の関係当路と相ともにすでに調査を開始しております。すなわち東海村を中心とする地域は、地域住民自主的意思というものは、人口分散制限でもなく、極端に申せば人口の無制限導入であります。われわれ議会が、年来原子力委員会に対しまして、東海周辺地帯整備計画を策定されたいと叫びつつありましたゆえんのものは、地方住民意思とは無関係に、危険度の高い各種原子炉施設が一方的に導入され、いよいよ周辺安全対策という場合に、地方のかかる意思と、国の原子力行政の方向とが正面衝突することをおそれたからにほかなりません。  何はともあれ、われわれ地方住民は、前に申しましたような自主的計画を持っておりまするので、この地帯の安全を確保するために、まず原子力施設自体安全対策の万全を期せられ、周辺安全対策のため、各種規制措置につきましては、すでに地方的に自主的に計画してありますところの開発計画と調和することを前提として樹立されることこそ、生きた安全対策であるということを強調いたしたいのであります。  原子力科学振興とその周辺安全確保のための第三の意見は、原子力燃料処理工場を当地域設置せざることであります。  その理由につきましては、第一及び第二の意見の際に触れておきましたが、要約いたしますと、最も危険度の高い放射性物質を最も多量に取り扱う施設を、安全確保上最も危険な外的条件である飛行機事故の最も起こる公算の多い射爆場に最も近いところに設置するなどというがごとき計画は、真にまじめな考え方からすれば全くお話にならないばかげた話であります。射爆場返還のための権威ある決議をすでにしばしばなさっておいでになります貴委員会においても、とうてい容認するはずはない、こういうふうに考えております。貴委員会においてもわれわれと全く同じ意見であると信じますので、多くは申し上げません。  以上をもって、陳述を終わります。
  8. 岡良一

    岡委員長 次に、安参考人
  9. 安義男

    ○安参考人 私は茨城勝田市長安義男であります。  勝田市は、水戸対地射爆場の全面積の約三分の二を擁しておりまして、隣は東海村の原子力施設地帯に直結いたしております。現在は人口約五万、こういうことに相なっておりますが、数年前から国の指導のもとに首都圏市街地開発区域整備計画を推進いたしておりまして、昭和五十年には少なくも人口約十六万人の都市となることが予想されておるわけでございます。この勝田市にとりまして、水戸爆場並びにこの原子力施設地帯の問題が今後の運命を決定するといってもいいほど大きなウエートを占めるに至っておるわけでございます。  その事情につきましては、次の四点にしぼりまして私御説明を申し上げたい、かように考えておるわけでございます。すなわち、第一は基地返還の問題、第二が原子力施設地帯整備問題、第三に原子燃料処理工場建設の問題第四にその他原子力施設の新設問題でございます。  まず初めに、基地返還問題でございますが、御承知のごとく、もともとこの水戸爆場というものは、戦時中その用地の大半というものは周辺住民が所有しておったものでございますが、軍部の圧力によりまして無償同様の価格をもちまして提供したものでございます。戦後も引き続き米軍の射爆難場といたしまして使用されておるわけでございますが、日夜射爆撃並びに爆音の絶え間がないのでございます。この間死者二十人を含め、三百件以上にのぼるところの事故が頻発しておる地帯でございまして、これらによりますところの住民不安感想像に絶するものがございます。特に昨年F105Dの飛来以来、騒音はとみに増大いたしまして、市民の平和な生活をかき乱しておる一方、その超音速によりますところの恐怖感は、また隣接東海村の原子力施設との関連もありまして、その極に達しておる次第でございます。  私どもは、かねてから住民生命財産と、その安全確保並びにこの地域開発障害排除のために、長年にわたりまして返還運動を続けてまいっておったのでございますが、一向に解決のきざしは見えず、市民の焦燥と怒りはいまや限界点に達しておる、こう申し上げても過言ではないのであります。戦後二十年、いまなお騒音の明け暮れと爆弾の誤投下の頻発する環境のもとにさらされておる人口密集地帯の現況を御賢察の上、委員各位におかれましても本問題解決のために有効適切な方策を立てられますことを心からお願いいたすものでございます。  次に、原子力施設地帯整備問題でございますが、私どもは、原子力平和利用についてはかねてから関心を持っており、日本原子力開発の緊急を要することについても十分の認識と理解を持つものでございます。しかしながら、原子力開発にあたりましては、原子力の持つ特殊性にかんがみ、その安全管理について十分の配慮がなされなければなりません。その意味で、原子力施設地帯整備は、むしろ原子力施設設置に先行すべき問題であると考えるのでございます。  しかるに、東海村の原子力施設はその点の配慮を欠き、最近に至りまして、原子力施設地帯整備専門部会より「原子力施設地帯整備方針」を発表するに至りました。その内容を拝見いたしまするに、施設より一定距離範囲内における人口規制の問題が含まれております。この点が、すでに私ども開発計画を進めておりますところの周辺自治体に大きな暗影を投げておるのでございます。私どもしろうと専門学者意見を聴取する気持ちを十分に持っておりますが、今回の方針につきましても、すでに設置された施設中心とする整備案につきましては、検討吟味する用意がもちろんございます。しかしながら、勝田市が強く反対いたしておりますのは、今回の整備方針のうちに、水戸爆場中心部に新たに原子力施設を置くという仮設が包含されておりまして、その施設中心とする地帯整備構想があるという点でございます。すなわち、この地帯整備構想は、現在勝田市が国、県の指導のもとに推進している首都圏市街地開発区域整備計画とまっ向から対立しておる、このような次第でございまして、いたずらに矛盾と混乱を巻き起こす内容を包蔵しておるからでございます。  勝田市民は、長年にわたる犠牲をしいられた代償といたしまして、射爆場返還後の利用構想につきましては、地域開発のための大きな発言権を保留するものだ、かく信じておるのでございますが、また現に独自の開発構想を用意しておるわけでございます。今回の地帯整備方針のごとく、返還後も引き続き周辺住民生活に重大なる規制を及ぼす構想については、断じて容認し得ないところでございます。このような市民の意を体し、勝田市議会におきましても昨年の十月、反対決議を行ないましたことをここに申し添える次第でございます。  次に、原子燃料処理工場建設問題について申し上げたいと存じます。  最近、東海製錬所敷地内に使用済み燃料の再処理工場を建設しようといたします動きがございますが、これについて、勝田市といたしましては、次の理由から絶対に反対するものでございます。  第一に、現在までに東海村に設置された原子力施設関連する安全管理対策地帯整備計画も確立されてないという現段階におきまして、さらに一そう危険度の高い施設勝田市に隣接する地域設置しようとするこの計画は、計画の推進を急ぐあまり、地域住民生命財産安全保持並びに不安感を無視しておるものと考えるのでございます。  第二に、現在の原子力施設だけでも水戸爆場との関連で不安がございますのに、さらに水戸爆撃場に直接隣接しております地域安全度のとりわけ要求されておりますとこの施設を設けようとすることは、これまた不合理きわまるものであり、かつ無謀な計画である。かく考えるのでございます。  第三に、原子力施設地帯整備計画範囲をさらに拡大する必要性が生じ、現に勝田市が推進しておりますところの首都圏市街地開発区域整備計画との間の矛盾が一そうここに深刻化してくる可能性がある、かく信ずるのでございます。  第四に、水戸爆撃場返還後の国有地原子力施設を拡大する計画の端緒となる可能性がございますが、すでに申し述べましたごとく、射爆撃場利用構想については、地元住民発言権を保留するものである、かく考えておるのでございまして、この地域住民のみが射爆撃場原子力施設という二重苦に引き続き悩まされる理由は断じてない、かように信じておるものでございます。  第五に、東海製錬所周辺は、国の指導のもとに開発いたされまして、勝田市をはじめ、すでに人口稠密地帯となっております。加えて、東海地区にはすでに多数の原子力施設が過度に集中しており、安全管理上重大な問題があります。国内には人口希薄な適地がほかに幾らでもある、かように考えておるわけでございます。  第六に、原子力発電所設置の際に、使用済み燃料は英国に送り返すという条件地元協力したはずでございます。  以上の理由によりまして、われわれは使用済み燃料国内における再処理必要性は認めつつも、これを東海製錬所内もしくはその近傍に置くことについては、絶対に反対いたすものでございます。  なお、この件につきましても、住民意思を反映し、勝田市議会におきまして本年一月反対決議をいたしたことを、これまた申し添える次第でございます。  最後に、原子力施設を新設する場合の手続について必要な法定化をはかられるようお願い申し上げたい、かように考えておるわけでございます。  すでに申し述べましたごとく、わが国の原子力開発の急務であるということは、私ども十分承知しておるわけでございますが、その計画の推進を急ぐあまり、地域住民の意向や立地条件が無視されてはならない、こう考えるものでございます。  地方自治行政を担当いたしますところの立場にある私どもといたしましては、自己の行政区域内に何らかの形で影響力を持ちますところの原子力施設の新設については、あらかじめ関係地方公共団体の同意を必要とする旨を至急に法定化されたいと考えるのでございます。  私どもの経験では、たとえばし尿処理場、じんかい処理場、火葬場等の衛生施設設置する場合におきましても、住民との関係をきわめて慎重に扱わなければならないのがいまの地方団体の現状でございます。これがまた民主主義社会の一つの姿であろうと考えておるわけでございます。  しかるに、住民生命財産や広大な地域に影響がありますところの原子力施設の新設については、住民が何ら知らぬ間に次々に既成事実がつくられていく、このように考えられてならないのでございまして、同じ日本国内で、同じ住民関係のある問題の中で、比較にならぬくらい重要性のありますところの問題が、安易に、かつ極秘裏に扱われておるというようなことは遺憾である、かように考えるわけでございます。  そこで、私は一例をあげて次の要望をいたしたいと考えるものでございます。たとえば原子力施設地帯整備の区域が施設から半径十キロメートルの範囲内にある場合を想定いたしますれば、その施設の新設にあたっては、十キロメートルの範囲内に行政区域の全部もしくは一部が包含されておる地方公共団体につきましては、文書によるところの同意が事前に必要であるというようなことを法定化されますことを強く要望いたす次第でございます。  以上をもちまして私の陳述を終わりたいと思います。
  10. 岡良一

    岡委員長 次に、薄井参考人
  11. 薄井与兵衛

    ○薄井参考人 私は那珂湊市長薄井与兵衛です。  私は、次の四点の理由をもって水戸爆撃場返還を訴えて今日に至っております。  その第一点は、あまりにも被害が大きいことであります。  終戦の結果、昭和二十一年六月、旧水戸飛行場が米軍の射爆場に接収されて以来、事故の頻発は想像に及ばないほどひどいことにびっくりした次第でございます。特に飛行機の誤射によってとうとい人命が、当市だけから奪われた者が六名ございます。家族とともに畑作業中、一家の大黒柱であり、部落の青年団長までつとめた模範青年が一瞬のうちに愛する家族の目の前で米軍機の流れだまで前途ある一生を、イモ畑の中に苦悶の表情も悲しく見るに忍びない無残な最後を遂げました。  また、夏休みの一日を喜々として海水浴場の片すみに遊び戯れていた小学校の女の子が、機銃弾で友だちの見ている前、しかも打ち寄せるさざなみをまっ赤な血潮に染めて小さな一生を閉ざしてしまいました。近所の人たちの話によりますと、その後残された母親は、近所のお嫁さんを見るたびに、うちの娘も生きていたなら今ごろはあのような美しい花嫁姿を見せてくれたであろうにと涙を流すそうです。  こういう悲しい数々の話を聞いただけでも、もうこれ以上胸が一ぱいになって申し上げられません。  那珂湊市だけでも五百カ所以上の誤弾のあとがあります。確認されないものを加えますと、おそらくこの倍になることだと思います。いつ自分が被害者になるのかと不安な気持ちで毎日を送っておりますが、ことにF105が昨年六月移駐してから、多い日には一日四百六十回も市民の頭の上を大きな金属音を出し、しかも百雷がとどろくような騒音で幼稚園の園児たちをびっくりさせ、泣き出す騒ぎ。学校には防音装置のあるところもありますが、それでもF105が飛んでくると授業を中止せざるを得ない。病院の患者はノイローゼを訴え、豚の発育まで悪く、テレビの画像はくしゃくしゃになり、長距離電話は騒音にじゃまされて話ができなくなり、商売用の通話に重大な被害をこうむって、最近では基本的人権に関する問題であると叫ばれ、この公害を一日も早く取り除くことこそ市当局の市民に対する第一のサービスではないかと毎日のように文句を言われておる次第であります。  第二は、土地の効率化を考えてほしいと言いたい。  御承知のとおり、約四四百万坪の広大な、しかも平たんな射爆場。久慈川と水量豊富な那珂川勝田工業団地、東海村の原子力地帯と当市との間にはさまれていて、そしてここにでんと射爆場が控えております。交通の幹線であります常盤線と六号国道と那珂湊市との間を断ち切っており、一部那珂川沿いを除いて、ほかは一帯の水田地帯で遮断されているがために、経済文化の交流に重大な支障を来たしており、陸の孤島という運命に立たされ、発展から見放された状態に置かれております。  日立、勝田の工業団地にはさまれている当市としては、何をおいてもどの広大な、単にたまを打ち込むだけに使われている土地を最も有利に使う方法がないか。しかも、りっぱな平たんな地形、そして余裕のある貴重な労力を提供し、これをもって重工業化をはかろう、そして町の発展に大きく寄与しよう、こう考えてその実現努力してきましたが、いまもって返還の曙光すら見出すことができません。  この水戸爆場があるために発展を阻害されている当那珂湊市としては、苦しい財政の中から国と県の援助を受けて外海に漁港を新設し、道路を整備し、生きるための悪戦苦闘を続けております。  当市の発展を阻害している射爆場あるがための基地交付金はわづかに二百万円の少額で、基地の返還及び誤弾あるたびに東京に抗議に参ります。それから市民の人心宣撫のために使う金にも足りない始末を何としたらいいことでしょう。  第三には、隣接して原子力地帯があり、原研、原燃、原発などが密集しているばかりでなく、仄聞するところによりますと、廃棄燃料の再処理場も建設されるとか。しかも、これがほんとうであったとしたなら、原子力施設にさらに死の灰の格納庫を設けることになり、万々が一にも原子力施設の上に誤弾でも起きたなら、ひとり周辺地帯だけでなく、風向きによっては人口稠密な関東一円の方々に大きな被害を及ぼすことを考えるとりつ然たるものを覚えます。  なお、これらの過密原子力施設から放出される排水のため必ず海水は汚染され、漁業に重大な損害を与えることをおそれます。そればかりでなく、再処理場か地下格納も考えられるとのうわさも立っておりますが、当市の水道の水源池が久慈川の下をくぐり、東海村から射爆場を経て当市に至り、海岸は水面上一メートルないし水面下十五メートルの白亜紀層の岩盤で遮断されて、絶好の貯水池の様相を示しておりますので、地下貯蔵によって地下水が汚染されることになったら住民の衛生健康に重大なことになることを、この際警告しておきたいと存じます。  第四には、私たちは日本人です、国民として祖国の繁栄を願うため犠牲に耐え忍ぶことは当然です。しかし、私たち射爆場周辺の十万の住民だけが苦痛を二十年の長きにわたってがまんしなくてはならないということがわからぬ。もうこの辺で射爆場あるがゆえの犠牲を解除していただきたいと叫びたい。乏しきを憂えずひとしからざるを憂うということばがありますが、祖国日本の防衛には一億国民全部で当たるべきであるのに、なぜわれわれだけがこの苦痛を背負っていかなくてはならないのかという疑問が私たちの頭の中に残ります。  たとえば第二の国民をつくるところの義務教育の場である中小学校でも、飛行機騒音で勉強ができない。では防音工事をしてやろう。防音工事をしてくれることになりますが、それでも地元負担金というものを出さなくてはならない。しかも、その防音工事というものが遅々として進まない。何年たったらこの工事が完成するのか見当がつかない。  反面、横須賀、岩国等の米軍駐とん地の基地交付金は、億をもって数えるばく大な金を受けております。それに比較してわれわれはどうでしょう。スズメの涙くらい。落ちる金と誤投下のたまばかり。しかも、この委員会に出席方依頼の通知を受け取った二十九日、当市阿字ケ浦町で人家からわずか五メートルくらいのところに二メートルの穴をあけて模擬爆弾投下された。幸い人畜に被害はございませんでしたが、これでは市民ばかりでなく、豚までもF105の誤弾と騒音にやせ細っていくことになりはしませんでしょうか。  もうこれ以上がまんができません。乏しきを憂えずひとしからざるを憂うともう一度叫んで、私の意見発表を終わらせていただきます。(拍手)
  12. 岡良一

    岡委員長 次に、後藤参考人
  13. 後藤敬秀

    後藤参考人 私は茨城労働組合連盟の後藤敬秀であります。本日当委員会におきまして、私ども労働者の立場意見を申し上げる機会をいただきましたことに対して、心からお礼を申し上げたいと思います。  私どもが労働運動を進める目的は、労働者の経済的あるいは社会的地位の向上であることは申し上げるまでもないことでありますが、これには前提がございます。それは、まず国情が平和でなくてはならない。その次に、安全が確保されなければならない。こういうことが絶対必要条件として考えておるわけであります。こういう意味合いから、茨城県内における軍事基地の諸問題、それから原子力施設設置等について、真剣に取り組んできたわけであります。  まず、本日問題になっております原子力施設地帯整備に関する諸問題について意見を申し上げたいと思うのでありますが、東海村に日本で初めての原子炉がつくられて大かた十年になろうかと思います。このおりにも私どもは、原子力平和利用につきましては基本的に賛成の立場でありましたけれども地域住民に与える放射能の危険と、平和利用を確立すべく、反対の立場をとってきたわけであります。  その理由は、原子炉設置しようとする東海村の現在地でありますが、近いところに米軍水戸爆場があったわけであります。さらには、東海地域も、農村とはいいながら、かなり人家が密集しておる地域であります。あわせて、日立あるいは勝田那珂湊市街地が包囲しているような地域であります。そういうところに、実験炉とはいいながらも原子炉が建設される。このときに私どもは、単に一個の原子炉ができることではなかろう、その後漸次それに付帯するいろいろな原子力施設があの地域につくられるならば、地域住民の安全というものに対して大きな問題になっていくであろう、このような判断をいたしまして、設置には基本的に賛成をしながらも、そういう立場から快くこれを引き受けなかったわけであります。  今日までの経過の中ではそのような私どもの判断が正しかったように思うわけであります。第一号が設置をされて以来、今日まで数個の原子炉設置をされ、燃料公社の燃料工場も建設され、現在さらに十六万キロに及ぶ原子力発電炉が遠からず運転をするという段取りになってきておるわけであります。  私どもしろうとして聞く範囲のことでありますが、このような狭い、しかも人家の密集する地域に、これほどの原子力施設ができ上がっておるという国は日本をおいてはないというふうに聞いておるわけであります。当然、このような原子力施設がつくられる上には、事前に地帯整備がされた上で原子力施設地域を構成することがたてまえであろうと判断をするわけでありますが、私ども地域の場合には、逆な現象が起きておるわけであります。原子炉と住居が同居するような状態が現在の実態であろうと考えます。  それにかてて加えて、問題になっております水戸爆場が、先ほどから数人の方が述べられましたように、数限りない大きな事故をかもし出しておるわけであります。このことが、もしも原子炉関連するという形で事故が起こされた場合を考えた場合には、想像もできない事態をわれわれは考えなければならない、このように思っております。したがいまして、まず射爆場返還の問題につきましては、当委員会におきましても、一日も早く射爆場返還されるよう御努力くださるよう心からお願いを申し上げたいと思うわけであります。  次に、最近私どもの耳に入ってまいります使用済み燃料の再処理工場設置につきましては、先ほどから申し上げましたような立地条件の中では、理屈抜きでこれに反対の立場をとっていきたい。  申し上げるまでもなく、現在地がすでに原子力施設としては限界をはるかに越えている、このように考えざるを得ないわけであります。いかに原子力平和利用を唱えましても、これ以上私ども茨城県の地域住民にこれらに対する不安を与えることは、人間社会の通念上許されてはならないことであろう、このように判断をするわけであります。したがいまして、このような構想にあたりましても、地元地域住民の意向というものをまず第一番に尊重していただきたい。次には、学者間の中でも、この種問題につきますと必ずしも意見が一致をしてないということを聞くわけであります。これらの方々の意見も十二分に統一される時期を過ぎた後に、十二分にこれらの設置に対して考慮されるべきが至当ではなかろうか、このように考えるわけであります。  つけ加えまして、使用済み燃料処理工場の問題につきましては、少なくとも県外の比較的人家の密集をしない地域に分散し建設されることが一番好ましいであろう、このように御意見を申し上げたいと思います。  そして、これらの問題は政治的に解決さるべき問題ではなく、純科学的に、民主的に解決をしてもらいたい、このように御要求申し上げたいと思います。  以上が私の申し上げる意見の概略でありますが、最後に、まず現在原子力施設設置をされている以上、地域住民の安全を守るために原子力施設地帯整備を一日も早く講じてもらいたい。このことによって、地域住民に被害を及ぼす場合には、既設の原子力施設を当地域から分散していただきたい。現在以上の原子力施設は絶対設置をしないでもらいたい。  最後に一点は、米軍水戸爆場返還を一日も早く実現をしていただきたい。それが実現するまでの間、地域住民に何らかの補償を考えていただきたい。  以上、申し上げまして、私の陳述を終わりたいと思います。
  14. 岡良一

    岡委員長 以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。     —————————————
  15. 岡良一

    岡委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。福井勇君。
  16. 福井勇

    ○福井委員 本日、この委員会岩上知事さんや、あるいは西野会議員、並びに勝田市長の安さん、あるいは薄井さん、あるいは後藤さん等々、多忙なところをおいでくださって、いろいろ重要ないい参考意見陳述してくだすって、自由党の福井委員として特にお礼を申し上げます。  私は、いまの東海地区原子力施設設置するという予想が立ちましたそのときから、工事か着手されてもうすでに約十年といまおっしゃっておりますが、最初まだ何にもない当時から考えますれば、もうすでに十四、五年になりましょう。その当時私は、勝田市長さんたちはあるいは御記憶があるかもしれませんが、科学技術庁の川上事務官と二人だけで、あそこをずいぶん長く踏査いたしました。そんな関係から、今日まで知事さんはじめ、東海地区の本日御来席の方々はもちろんのこと、地域の方々が非常な御協力をくださったということを、私はいつも忘れておりませんし、いまの私の発言としては福井委員一人の立場から申し上げますけれども、心から日ごろ感謝しておるところであります。そのおかげで、世界的に申しますればまだまだでございまするが、今日の日本としてはりっぱな施設が御協力の結果でき上がったものであるということを、私はかたく信じております。  当時から私は茨城県のほうには何にも関連がございませんでしたし、愛知県のほうには地元関係がありますけれども、何にも関係もない当時でございましたので、私は友人の塚原代議士にいろいろと教え並びに案内を願いまして、当時から私は塚原代議士の、表から、あるいは陰からの案内と指導によりまして、あるときは御当地の皆さん方にないしょで二人だけで踏査し、あるときは表玄関から県庁へ二人でお伺いしたというような十数年を経過してまいりました。  ところが、いま現在におきまして参考人の各位が陳述されました事柄は、私たちの全く予期しなかった結果でございまして、まことに残念に思っております。  このことにつきましては、私も現在の世界各国の原子力施設における先進国といわれるところのものは、ことごとくと申してもいいくらい、十数回にわたって見てまいっておりますが、今日の東海地区の現状のような、爆撃機の基地が近所にあるというようなところは大体一カ所もございません。たとえばコールダーホールに参りましたところで、その近所にはもちろんありませんし、ハーウエル研究所に行きましても、ありません。あるいはブラッドウエルに行きましてもございませんし、フランスへ参りまして、サクレーあるいはマルクールの発電所、シャティヨンなどはちゃちなものでありますからあまり見ることもありませんでしたけれども、フランスのような狭い国でもそういうところはございませんし、イタリアにおいても同様でございます。それからまたアメリカにおいても、ヤンキーあるいはインディアンポイント、その他研究施設設置してある、特に原子力発電所のある付近に爆撃試射場並びにその基地があるというところを、不幸にして私は知りません。  そういう事実がありまするので、今回政府並びに自民党において、非常に強く本問題を解決するように米軍当局に交渉しておりまする結果がありまするので、その間には、地元塚原君などは米国大使館に、あるいは党幹部に、あるいは防衛庁に、外務大臣に、足を棒にして、私たち関係委員のところへも、もう長くこの解決の要望をされておることは、私たちもう耳にたこができるほどでございます。いまにして解決しなければ、参考人各位が言われた問題は緊急な問題となっておりまするので、何とか当局においては早急に解決をしてもらわなければならぬ、特に深い認識を持って解決に当たられたいと思っております。  関係役所とすれば、外務大臣、防衛庁長官、科学技術庁長官でございまするが、私はいま参考人各位が申されたような誤爆事件のリストも詳細に調べておりまするので、このことを私自身も申し上げようと思っておりましたが、どうも調査した内容が同じところだというような気がいたしますので、重複しますから、これは省略いたします。全くその調査は、いま参考人の言われた通り事実でありまするから、関係役所においては、くどいようでありまするが、早急にこの処置を講じていただきたいと思います。  直接私が交渉しておりますのは防衛庁の施設部長ですが、施設部長のほうに話をいつも持っていっておりまするので、いまどんなふうになっておるか、施設部長に一言ちょっと御答弁を願いたいと思います。
  17. 財満功

    財満政府委員 この問題は、ただいま先生おっしゃいましたように、われわれもしばしば米軍に対して返還してもらうように交渉いたしてまいっております。  ただ、米軍といたしましては、この種の演習場、射爆場は、米軍にとってたいへん必要施設であるので、代替地がないと返せないということにつきまして、終始その態度を変えておりません。  私どもは、この間に、いわゆる関東周辺における離れ島等につきまして一応の調査をしたこともございます。ただ、当該離れ島が米側の言うところの条件に合わないということで、さらに他の地域について調査を続けるというのが現状でございます。  ただ、米側が申します代替条件というふうなものについて、現在のところそれにぴったり適合するようなものが簡単に発兄できないので、これが条件の緩和方につきましてさらに交渉を詰めるという態度でおるわけでございます。直ちに返還ということに至りませんことについては、まことに遺憾に存じておる次第でございます。
  18. 福井勇

    ○福井委員 私の調査しておるところの内容と、若干部長の表現が違っておるのであります。米軍は返すとは言わないという前提をいま部長は言われましたが、返すという前提はどうしても言わない——私たちの調査では、代替地があればそれはかえることにやぶさかでないというふうに聞いておりますが、そのことばと、あなたの前提となったところの、いまもって返すとは言わないという前提、それからあと説明があったが、だいぶ違うと思いますが、その点は。
  19. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 ただいま問題になっておりまする水戸爆撃場返還の問題につきましては、ここ数年来の懸案でございまして、地元の方々からもたびたび、その水戸爆撃場返還されるよう取りはからってくれと熱心な御陳情をいただいております。先ほど福井委員が申されましたとおり、地元塚原代議士も、私が長官に就任しましてからも、三回、四回にわたってこの問題について防衛庁をおたずねいただいて、たいへん恐縮に存じておるのであります。  私どもも、地元の方々の要望はまことにもっともなことで御同情にたえないと考え、何とかこの御要望に沿うようにしなければならないと最善の努力を払って今日に至っているのでございますが、いまもってこのめどが立ちませんので、はなはだ心苦しく申しわけないと存じているわけであります。  ただいま施設部長が答弁をいたしましたのは、別に福井委員のお考えと違っているわけではございませんで、ただ、米軍としては非常な重要な基地でございますので、これをそのまま返還に応ずるわけにいかないというのが米軍の考え方であり、適当な代替地があるならばそこに移転をして現在の水戸爆撃場返還に応じたい、こういうことに相なっているのでございます。  そこで、水戸爆撃場返還実現するには、米軍側の条件と申しますか、その要求であります代替地をばまず設定をしなければならぬということになるのでありまして、この代替地について、関東一帯、島嶼にまで及びまして、非常な熱心な調査をいたしたのでございますが、地元の反対、あるいはまた米軍の代替地の条件に合わないというようなことで、いまもって行き悩んでいるというのが実情でございます。私のほうでは、米軍さえ代替地の条件を緩和してくれるならば必ずしも候補地がないとはいえないのでございますが、これには、やはりいままでのような米軍側の代替地の条件のままでは、これに適合したところが関東一帯には見当たらないのでございます。  そこで、最近におきましては、私は何とかこれを積極的に解決をはからなければならないと考えまして、いままで試みられなかった米軍側に対する高度の、いわゆる政治折衝を試みまして、もっと政治的に考えていただいて、代替地の条件を緩和していただき、そうしてこの水戸爆場返還実現をしたいと考えまして、私が高度の政治折衝をする下地のならし方をいま事務当局に指示いたしまして、米軍と交渉を進めている段階でございますし、その事務当局間の地ならしが済みますれば、私自身乗り出して高度の政治折衝をしてみたい、かように考えているわけであります。
  20. 塚原俊郎

    塚原委員 関連して。  ただいま小泉防衛庁長官から高度の政治折衝というお話がありまして、たいへん心強く思っておりますが、御承知のように、この問題は当委員会においてもたびたび決議をされておりますし、また歴代内閣においても、政府責任において、これを処置するというはっきりした明言もございます。  御蔵島の問題が気象その他の条件からだめになったということについては、地元の人は率直にいってだまされたというような政府不信の声すらあるわけでございます。  いまの長官の話によりますと、やや愁眉を開いたというふうな気持ちもいたしますが、いずれにしても、政府責任においてこれを処置することが当然であり、今日の内閣においてもその方針をとっておられると思いますけれども、さらに突っ込んであなたにお聞きしたいことは、いわゆる代替地による返還条件の緩和ということ、これが中心でありますので、代替地の選定というものは、国内においてきめるべきものである、政府責任においてきめるべきものである。したがって、現在お答えできるかどうかは知りませんが、あなたのお見通し、小泉防衛庁長官のお見通しをこの際お聞かせ願いたいと思うのであります。
  21. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 塚原委員が申されますとおり、これは内閣の責任において、政府全体の責任において処理しなければならない重大な問題であり、また、多年にわたっての重要懸案でございます。私は、何とかこの多年にわたる重要懸案をぜひ解決をいたしたいという意欲に燃えて、できる限りのことをいたし、その結末が、いま申し上げましたような、私自身乗り出して高度の政治折衝をして、米軍側に前向きでこの問題が解決するよう政治的な配慮を願う以外に解決の方途はないというふうに考えて、この挙に乗り出しておるわけでございます。  そこで、いま塚原委員から見通しを言えということでございますが、御承知のような米軍とのきわめて重要な懸案事項でございますので、私は何とかこれを解決をしたい、ぜひ自分の責任においてこの数年来の懸案をひとつ解決すべきであると決意をいたしておりますが、いまここで、米軍との高度の政治折衝の前において、軽々に見通しを申し上ぐることは、私は、適当でない、かように考えますので、その点は御了承をいただき、私が以上の熱意を持ってこの問題に取り組んでいるという誠意だけは御理解をいただきたいと思うのでございます。
  22. 塚原俊郎

    塚原委員 窓口は小泉大臣のところであろうと思いますが、愛知さんが中座されたようでありますが原子力擁護という立場、これはもう言うまでもないことであります。  それから、今後の折衝の見通しについてあなたが言明できないということも、私はわからないでもありませんけれども、願わくは、政務次官もお見えになっておりますが、愛知長官、それから小泉大臣、あるいはまた、きょうは椎名さんはお見えになっておりませんが、おそらくこの三者が窓口になると思います。  私の聞き及ぶところでは、米軍はかなりの理解を持っておる。だから、自主的に日本が代替地というものを選定すれば、いわゆる条件の緩和というものも私は案外それほどシビアーなものではないというふうに思いますから、どうぞさらに、繰り返すようでありますが、いまのあなたの強い御言明というものを私は信頼する。政府責任において即刻、早急にこれを解決するよう今後の御努力を要望いたしまして、関連を終わります。
  23. 福井勇

    ○福井委員 意外にも関連質問で、私の申し上げようと思ったことを、塚原君が非常な熱望をもって言われましたので、私は以後石野君が残っておるので、簡単にいたしますことを御了承願います。  防衛庁長官の御答弁は、近来にない御熱意ある御答弁をいただきましたので、これ以上私は申し上げることはございません。せっかく大臣の御熱意をもって、地元の要望されるように御解決を特に私からもお願い申し上げます。  なお、委員長に申し上げておきたいと思いますが、外務大臣と科学技術庁愛知大臣が見えないということは、これは私承知しております。参考人の方々におかれては、三人とも同じ時刻に来ていただいてというふうに私たちは打ち合わせておりましたので、さだめしお力落としかと思いまするけれども、たまたま三十一日から一日で、いま同時に委員会が四カ所も開かれております。そういう関係で、その点は社会党のほうといたしましても了解がとれておるような状態でありますから、私は他日参考人の方々がおいでにならないときにも、愛知大臣と外務大臣に、本件をあらためて当委員会において要望するということを保留いたしておきまして、委員長においてこの点を特に御記憶の中にとめておいていただきたいと思っております。  なお、申しおくれましたが、かつて防衛庁の射撃場の問題が、約十三、四年前に内灘に決定する前に、愛知県の渥美半月の伊良湖岬に最初決定しかけて、そしてそこが名古屋港に連なるという関係から、いろいろ重要な大都会のそばではぐあいが悪いというので、防衛庁が非常に努力されて、当時の長官が非常な努力と理解のもとに、内灘のほうに移転して、そうして円満に、国内のことでございましたので、解決し、今日、防衛庁のあとの処置よろしきを得て、内灘も喜び、かつ伊良湖のほうにおいても非常に喜んでおる実例がございますので、どうぞ長官のほうにおかれては、外務大臣並びに科学技術庁長官のほうと、先ほど申されたとおりの十分な御連絡の上におきまして、早期解決を特に私希望いたしまして、私の質疑を終了することにいたします。
  24. 岡良一

    岡委員長 石野久男君。
  25. 石野久男

    ○石野委員 いま愛知長官がおいでになりませんので、先に防衛庁長官のほうにお伺いしたいと思います。  ただいま御答弁がございました射爆場問題は、すでにただいま参考人各位からいろいろお話がありましたように、過度の原子炉の集中化が行なわれておりまする段階で、これは非常に危険な状態になっておる。こういう点では、御答弁もそのことをお認めになっておるもの、こういうように私は理解しまして、質問をいたします。  塚原委員に対する御答弁で、条件緩和についてできるだけ高度の政治折衝をする、こういうようにおっしゃっているその中でも、現実に実は事故があるわけでございます。一昨日もやはり誤投下がございまして、付近では、ただ原子炉だけではなしに、一般の住民生活そのものに対しても脅威が行なわれておるというのが実情でありますので、私は、やはりこういう意味からも、射爆場問題については、厳重にひとつ防衛庁のほうから米軍に対する折衝を、まあもちろんこれは外務省を通じてのことでございましょうけれども、してもらわねばならぬと思います。  まず最初にそのことでございますが、一昨日起きました事故等については、何かやはり防衛庁のほうあるいは外務省——アメリカ局長もお見えになっておりますけれども、何かひとつ処置をなさってくださいましたでしょうか。そのことをひとつ・・。
  26. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 いま石野委員から申されましたとおり、私の先ほど来の水戸爆撃場返還に関する問題の内容には、もちろん原子力研究所というような周囲の環境も十分考慮に入れて、さらに強く折衝をしなければならないと考えておるわけでございますので、その点、御了承いただきます。  なおまた、ただいま御指摘の誤投下事件でございますが、返還要望の住民感情が非常に熾烈になっておる場合に、まことに残念なことには、最近特に誤投下事件が相次いで起こっておりまして、地元の方々に一そうの危険感と申しますか、さらにこの射爆撃場返還の要望が強く訴えられておるような相関関係にも立っておることを私どももよく承知をいたしております。また、私どものほうも、こういう事件が起これば起こるほど、一そうこの解決をば早めなければならないというような考え方を強くしておるわけでございます。  誤投下の問題につきましての米軍との関係等については、政府委員から詳細に答弁をいたさせます。
  27. 小野裕

    ○小野政府委員 ただいま御指摘の事故のあと始末といたしまして、即時現地におきまして、私どもの出先の事務所のほうから現地関係部隊に対しまして厳重な抗議を申し入れました。  さらに引き続き、私どものほうから府中の在日米軍司令部に対しまして抗議をいたしますとともに、状況の詳細について報告方を要請いたしております。  本日は、午前中の日米合同委員会におきましてさらにその点を申し入れしていただくことに手配をいたしております。たぶん申し入れいたしておることと存じます。そういう状況であります。
  28. 安川壯

    ○安川政府委員 射撃場の問題につきましては、ただいま防衛庁長官、施設庁長官からお答えがございましたので、私から特につけ加えることはありませんが、外務省といたしましても、この問題については従来の経緯を十分承知しておりますし、また地元の方々からも直接お話を伺っておりますので、問題の重要性は十分認識しているつもりでございます。  アメリカ側との交渉の方法といたしましては、御承知のように、現在の地位協定のもとで日米合同委員会というものがございまして、地位協定に関するあらゆる問題をその合同委員会処理することになっております。その合同委員会には、日本側からは、外務省から私、防衛庁からは小野防衛施設庁長官が代表として出まして、その他関係各省あわせまして一体となってアメリカ側との交渉に当たることになっております。今後この返還問題、それから事故の問題その他につきましても、引き続いて合同委員会の場を通じましてアメリカ側との折衝を続けていきたいと思っております。
  29. 石野久男

    ○石野委員 局長にお尋ねしますが、きょうは合同委員会がございましたですね。きょうその問題を出していただいたでしょうか。
  30. 安川壯

    ○安川政府委員 私は実は十時半からその会議に出ておりまして、この委員会がございましたので実は中座をして出てまいりました。その後防衛施設庁の方が残っておられますから、その場でお取り上げになったものだろうと思います。
  31. 石野久男

    ○石野委員 大臣にお尋ねしますが、いまの問題はできるだけ早く処置してもらいたいと思います。  先ほどお話のありました代替地の問題についての条件緩和のことでございますが、これは私どもしばしば地元の方々が陳情、請願を行なうごとに聞いていることでございますし、またただいまも実は参考人各位のおられる前で、しかもこの委員会での御発言でございますから、私どもそれに対しては非常な信頼を置きたいと思っておりますけれども、事実上アメリカの最近における射爆場の使用状況から見ますと、その頻度が激しくなっているということもございまして、容易に代替地への転移ということが考えられないように思われる現地の状況でございます。したがって、この代替地問題ということについては、参考人各位がある程度のめどをつけていくということについての確信を得られるような大臣のお腹づもりというものをお聞かせいただくことが大事なのじゃないかと思います。塚原委員からもその点で先ほど再質問がなされたのだと思っておりますけれども、やはり大臣のお話だけでは、私もまだ十分折衝の過程における信頼が置きにくいので、もう少しこまかく折衝の経緯についてのお話を承れればと思います。
  32. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 石野委員の御要望はごもっともであると存じまして、私もでき得るならば、こういうような考え方をして、こういうような点を私自身米軍の、いままでの外務省に置かれておる委員会等よりももっと高度な米軍の方に、じきにお目にかかってお話し合いをしていただいて、私の具体案も示して要望をしたいと考えて、いま事務当局に私が会見に至るまでの地ならしを指示したというふうに申し上げたのでございまして、相当高い地位の方に交渉をする前に、本委員会において私のいま考えております交渉の腹案をお示しするということは、相手に対しても礼を欠くというようなことも考えられますので、この点は私の熱意において、本日のこの場ではひとつこれ以上立ち入っての答弁は控えさせていただきたいと思います。  なお、さっき塚原委員、福井委員からも御要望がございましたし、またいまの石野委員からの御要望もありますとおり、外務大臣、科学技術庁長官とも緊密な連絡をとりまして、三者が一体となって高度な政治折衝を試みたいという考え方でおりますので、よろしく御了解願います。
  33. 石野久男

    ○石野委員 大臣もお聞きのように、先ほど来参考人各位の述べられたところによると、こういうような事情のもとでありますならば、もし射爆場がこのままの状態であるならば、原子炉をどこかへ出してもらわなければならぬだろう、施設をどこかへ出してもらわなければとても安心できないというようなお話がございました。  いま射爆場返還しろという運動の中には、一つは、たとえばわれわれのように革新側から、基地として反対するという面もございます。それから、いま参考人各位の多く言われていることは、それよりもむしろ原子力産業、原子力研究所中心としたああいう施設の保全のために射爆場をどうしても取り除いてもらいたいという意見であります。射爆場返還についてはこういう二つの方向がございます。われわれはその二つの方向をとっているわけでございますが、もしこの射爆場返還が行なわれない場合には、現在稼働中の、臨界に達している炉を停止してまでも地域の安全を期してもらいたいという要望のあることをまず第一番に大臣が御理解いただかなくちゃいけないと思うのです。ただ皆さんがそう言うのだから聞いてやろうということでは、とても返還運動に対する意向を皆さんがそんたくして折衝していただくことはできないだろうと思います。大臣はこういう地元の要望、特に原子力施設の安全を確保するという立場からこの運動が起きているという理解を十分持っての上で折衝なさってくださることと私は思っておるのでございますけれども、この点は一ぺん大臣に確認しておきたいと思いますので、そういう点についての大臣の所見をひとつ聞いておきたいと思います。
  34. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 原子力研究所は申すまでもなく科学技術庁長官の所管ではございますけれども、私も原子力研究所とこの水戸爆撃場返還というものは一体不可分のものであるということは十分承知をいたして交渉をするということでございますので、この点は十分私も科学技術庁方面の御意見原子力研究所の現在並びに将来の問題等を含めて考慮いたしておるということを御理解をいただきたいと思います。
  35. 石野久男

    ○石野委員 愛知大臣がおいでになりましたので・・。  大臣は中座をされておりましたけれども、大体参考人各位の御意見は聞いておられたようでございます。各参考人はそれぞれやはり原子力施設の保全のための射爆場返還の問題を強く要求しております。また、そのほかに新しい施設の数の集中に対しても反対しているのが実情でございます。  そこで、私はお伺いしますが、長官は原子力研究、並びに原子力産業の発展のそういう本旨に基づいて、すでに原子力委員会から「原子炉の立地の審査指針、及びその適用に関する判断の目安について」というものが三十九年の五月二十七日に出ております。こういうような趣旨に基づいて施設の配置並びに運営についての方向をなさることと思いますが、それはそのように指導なさるのでございましょうか。
  36. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 中座いたしましてまことに失礼いたしましたが、きょうは茨城県の知事さんはじめ地元の皆さん方から率直な御意見を伺う機会が与えられまして、われわれとしても非常に参考になりました。この点は委員長をはじめ各位にお礼申し上げる次第でございます。  それで、先ほど来いろいろとお話がございましたが、私の伺っておりますところでは、おおよそ五点に問題がしぼられるのではなかろうか。順次それらにつきまして石野委員の御質疑がおありになろうかと思いますが、ただいまの点につきましては、そのとおりにやってまいるつもりでございまして、われわれとしては原子力全体の問題として、あくまでこれは平和利用に徹底していく。そして同時にそれが国民の安全というような点についてできるだけ支障のないように、念には念を入れ、かつ関係地元の方々の理解と納得のもとに進めていかなければならないことである、原則としてかように考えておるわけでございます。
  37. 石野久男

    ○石野委員 原子力開発というたてまえからしますると、基本方針も出ておりまするし、いろいろとお尋ねしなくちゃならぬことはたくさんございますが、きょうは参考人各位が来ておられる問題に大体しぼった質問をさせていただきたいと思います。  実は炉の規制に関する法案の審査等のこまかい問題はまたあとでやることにしまして、この「原子炉の立地の、審査の指針、及びその適用に関する判断の目安」というこの内容を見ますると、これはもう御承知のように、安全のためにはずいぶんとやらなければならぬことがたくさんございます。どの項目をとってみましても、先ほど来参考人各位が申されているように、東海村における炉の集中というものは非常に過度になっておるということが、この指針の中からもうかがわれると思われるのです。そしてまた、そのために、周辺地域の安全と人口稠密を、どのようにしてそれに対する対策をとるか、そういう地帯整備の問題、こういう問題が問題としてすぐ出てくる、こういうふうに思います。  こういう問題について、大臣は現在の東海村の原子力研究所燃料公社、そこへまた民間の営業用の発電炉が来年から稼働するということになってまいる実情におきまして、この周辺地区の安全のための地帯整備と申しますか、あるいは炉の設置に対する指導と申しますか、そういう問題についていま大臣はどういうような御方針をお持ちになっておられるか。この際ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  38. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ちょっと範囲が広くなるかと思いますが、この機会に全体の、先ほど申しましたように、大体きょうの参考人の方々の御意見でも、五つに大きな問題がしぼられておりますから、概略それらの点に触れてお答えをさしていただきたいと思います。  第一は、射爆場返還の問題でございます。  これはただいま防衛庁長官からもお答えがあったと思いますけれども、われわれといたしましても、科学技術庁の立場でも、実は年来できる限りの努力をして今日に至っておりまして、この射爆場返還の問題というものがまだ結末に達していないということにつきましては、たいへん私も申しわけないと申しますか、決着がつきませんことについては非常に心を痛めておるわけでございます。この点については、科学技術庁は直接の当事者ではございませんけれども、今後防衛庁、外務省その他の協力を求めまして、何とかすみやかに措置ができるように努力を新たにいたしたいと考えております。  それからその次の問題は、現在東海村にあります原子力関係施設の危険性と申しますか、これについての問題であると考えるわけでございます。  現在置かれてありますところの原子力施設については、国内施設のことでもございまするから、法制の命ずるところに従いまして、原子力委員会としても十分事前の審査もいたし、また原子炉安全審査委員会等においても十二分に念を入れて審査をし、かつその後もずっと注意深く見守っておりますので、これは専門的に詳しくお答え申し上げるデータも備えておりますけれども、現在の原子力施設からするところの周辺に対する放射能等の被害というものは心配がないという、データーによる確信を持っておるわけでございます。  それから第三の問題は、再処理工場の問題、あるいは今後のその他の原子力施設の拡充を東海村を中心とする茨城県下にどういうふうに考えておるか、またそれに関連して危険性の問題はどうであるかということであると思います。  実は、当初、射爆場返還政府としてアメリカ側にも要請をする、そのことがきまり、かつ発動いたしましたその時期から以降、将来原燃公社の再処理工場をそのあとにつくりたいという計画を持ちましたことは事実でございます。そうして、この関係から現在もいろいろの点から検討いたしておるわけでございますが、これをこの射爆場のあとに必ず設置をするということをきめておるわけではございません。同時に、再処理工場をつくります場合は、これはどこの地点に日本国内で選ぶにいたしましても、やはり安全審査委員会その他の十二分の審査と調査とをいたしまして、絶対に支障がない、国民にも影響を与えることはないという確信、並びに地元の方々のそれに基づく理解と納得を基礎にして工事を進めなければならないと思っております。時間的に申しますと、原燃公社がそうした再処理の仕事を現実に始める計画は四十二年と現在考えられておりますから、どこの地点を選ぶにいたしましても、これには多少まだ時間的余裕もございます。その間におきまして十分各地の状況も調べ、特にまた安全性の問題について確信を得たあとで、四十二年から事業に着手するというふうにいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それから第四の問題は、地帯整備の問題でございます。  この周辺地帯地帯整備の問題につきましては、これも年来原子力委員会といたしましては、特に地帯整備委員会というものを原子力委員会から委嘱をしてつくりまして、そうして二年有余にわたりまして、いろいろの観点から意見をとりまとめてもらっておりまして、昨年末から今年の初めにかけまして、その答申というものが一応できたわけでございます。原子力委員会として地帯整備委員会をお願いいたしましたゆえんは、先ほど来申しておりますように、たとえば東海村を中心とする現在の原子力施設からは放射能その他の関係、あるいはこの地域の広さ等から申しまして、施設以外のところの住民には絶対にいかなる場合にも被害を与えるようなことはない。万一、予想されるような事故がかりに起こりましても、それは施設の外に影響を及ぼすことは絶対にないという確信は持っておりますけれども、しかし何と申しましても、原子力というものは新しい問題でございますから、かりにもいろいろの意味で地元の万々が不安をお持ちになるようなことは避けなければならない。あわせて、地元で先ほど来お話がございますように、原子力施設については、ずいぶんかたきを忍んで御協力をいただいておる。この際、そういったような点に対しましても、この現地地帯整備、あるいは都市計画とでも申しましょうか、そういうことをこの際よりよくつくりあげて、そうして住民の方々の徹底した御安心を願いたいし、御理解もいただきたい。御協力に対するお報いもいたしたい、こういう気持ちで二、三年前から、この地帯整備ということに原子力委員会としても非常な熱意を傾けて、ああいう答申を専門家の間でつくっていただいたわけでございます。  一方、政府といたしましては、県の御当局に対しましても、こういったような点に対しまして、いろいろの御計画といいますか、御希望をとりまとめていただきたいというようなお願いをしてあるわけでございまして、この御意見も、仄聞いたしますとここ数カ月のうちに御意見が出てくるのではなかろうかとも期待されているようでございますから、このかねがねできております地帯整備委員会の答申、それからさらに、出てきますれば地元のそういう希望の御計画も合わせまして、これは各省庁に非常に関係いたしますが、建設省をはじめ首都圏整備委員会なり何なり、それらの方々の好意による御協力を得て、この都市計画といいますか、国土計画といいますか、そういう地域開発整備ということにわれわれも御協力しなければならない、かように考えているわけでございます。  それから第五点は、これも先ほどの御意見でございましたが、将来一般問題としても、こういう厚子力関係の問題については、施設を新たにつくるというような場合には、地元といいますか、国民的な納得を得るために法制化が必要である、こういう御意見でございまして、私も御同感でございます。  しかし、現在の法律におきましても、先ほど来申しておりますように、専門的、技術的には十分にやっております。それから、地元の方々、関係住民の方々の御意見を伺い、公聴会等をやるということになっておりますので、現在の法制におきましても、その点は十分御希望に沿い得るのじゃなかろうか、かように考えているわけでございます。  なお、こまかい点や、申し上げたことが落ちておりますことは補足して申し上げたいと思いますが、一応総論的に申し上げますと、以上のとおりでございます。
  39. 石野久男

    ○石野委員 いま長官から御答弁のございましたことの前半については、まだいろいろ再質問があるのですが、小泉長官が急がれるようでございますし、また久保委員からも関連がございますから、久保委員と一緒に質問をさせていただきましょう。  先ほど長官は、高度の政治折衝をする前提としていま事務折衝、事務段階での根回しをさせておる段階でございますからあまりここでこまかいことは聞かないでくれ、こういうおことばでございました。私もその点はできるだけ了解をいたしたいと思っております。  ただ問題は、そういうようなことのために時期がだんだんずれていくということは非常に困るのです。でございますから、私はこの機会に、長官に、せめてこれだけのことはひとつここで御答弁をいただいておきたいと思います。  それは、どの時期に大体その話のめどをつける所存でいらっしゃいますか。いままで私たちがたびたびの請願や陳情の際には、前の福田長官のときには、私の任期中にはやりますと大きく言われたわけでございますが、やはりだめだったわけです。だから、あまり気休めだけでは困る。なぜ困るかといいますと、ただいまも長官からお話がありましたように、施設が行なわれる。たとえば再処理工場使用済み燃料の再処理については、四十二年といいますけれども、これを担当する燃料公社は、やはりできるだけ施設を急いでおります。そのために、私の知っている限りにおいては、すでにその準備を行ない、ある種の工事も行なわれているのではないかとさえ思われる。そういう段階でありますから、この時期は新しい施設との関連性を非常に持っておるわけでございます。  だから、返還の時期等に対するめど、これは相手のあることですから答弁はなかなかむずかしいかと思いますけれども地域の事情とこういう情勢の中で、やはりこれは政府にもし誠意があるとするならば、その時期は明確にしていただくことも必要だと思いますので、この際、ひとつおおよそのめどをお聞かせ願えれば非常に幸いだ、こう思います。
  40. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 いま石野委員の申されたとおり、私は高度の政治折衝をするために、いきなりというわけにもいきません。それを前提としての根回しを事務当局に指示をして、やっておる最中でございます。私としては、一日も早くそういう折衝に乗り出したいという熱意を持っているわけでございまして、これがいつ幾日までに相手のどういう方と私が面接お会いして交渉するかということは、相手の都合もございますし、いろいろな根回しのまだ途中でございますので申し上げかねますが、私としても石野委員が言わるるとおり、いろいろ関連して時期も切迫いたしておりますので、また前長官、前々長官以来の懸案でもございますので、できるだけすみやかに私は自分の考え方を実行に移したい。なおまた、御要望もございますので、さらに努力をいたしまして、一日も早くそういう場面に到達ができるように、事務的な面においても指示をいたして急がしたいと思います。
  41. 石野久男

    ○石野委員 いまの答弁では私の質問に対する十分なお答えにもなっていませんし、それは何べんも聞いていることなんです。  ただやはり、時間の関係もございますから、一応私は、小泉長官の熱意を買う、買うということでは実にどうも八百長みたいになってしまってよくありませんが、少なくともやはり地元は他の諸条件が非常に悪化しておる事情でございますから、これはもうどんなにおそくとも、やはり夏ごろくらいまでには何とかひとつ方向を見出していただけるというふうに私は理解して、いまの長官の御答弁を受けたい、こう思います。よろしゅうございますね。
  42. 岡良一

  43. 久保三郎

    久保委員 私も小泉長官に二、三お伺いしたいのです。  御蔵島が米軍から拒否されたということは、いわゆる条件が合わぬということでございましたか。
  44. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 いま久保委員が御指摘のとおり、御蔵島を防衛庁におきまして水戸爆場の代替地の候補地として選びまして、相当調査もいたしたことは事実でございまして、その当時の模様等は政府委員から評しく答弁をいたさせます。
  45. 小野裕

    ○小野政府委員 御蔵島は、水戸の代替地として幾つかの候補地を私ども物色いたしましたうちの一つでございます。実はいろいろ図上の調査研究等は十分いたしましたが、現地調査が十分できなかった関係もございまして、現地のほうへ何とかこまかく調べさせてほしいというようなことで、いろいろ御協力を願ったわけでありますが、それも非常にむずかしい事情があったのは、新聞紙上等で御承知のとおりと思います。さらに私ども、よくお願いをいたしまして、現地を見たわけでございますが、どうもその条件米軍側の要求している条件にはるかに離れておるということはもとより、さらにそれに対する工事施設等を施行するということについてもなかなかたいへんであるというようなことも、私ども感じたわけでございます。さらに現地の方々のいろいろな御意見等も伺いました。いろいろ総合判断いたしまして、米軍側とは具体的にここはどうかということで突き詰めた交渉まではいかずに、一応中止ということになったわけでございます。そういう事情でございます。
  46. 久保三郎

    久保委員 それでは、御蔵島については、米軍とその御蔵島に代替するということでお話をしたためしがなくてつぶれた、こういうことですか。
  47. 小野裕

    ○小野政府委員 もちろん米軍とは連絡、接触はしながらまいったのでありますが、これを正式に最終的に提示するというところまでいかずにとりやめた、こういうことでございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 先ほどの質疑の中で、御蔵島の条件の中で一番決定的なものは、そういう表現は使わなかったが、例として気象条件が合わぬ、こういうことだそうですが、そのとおりですか。
  49. 小野裕

    ○小野政府委員 御説のとおり、気象並びに地形という点に非常な難があることがはっきりしたわけでございます。
  50. 久保三郎

    久保委員 そこで、長官にお尋ねしますが、いま根回しをなさろうとしているのですね。しているわけじゃないですね。根回しをいまからするわけですね。
  51. 小野裕

    ○小野政府委員 その他私どもとしましては、過去数年の間に、関東の陸地並びに離島方面につきまして、十数が所について実地または机上におけるいろいろな調査研究はしております。さらに、それらについて、若干のものについては米軍側とも非公式に私ども話はしておるのでありまするが、ただ私どもとして、何と申しましても米軍側が要求しておる代替条件というものに合うものは全然ないのでございます。そういうことから、米軍側との話し合いも、表面的な話し合いできておるわけでございますが、いよいよ最後の腹をきめて大臣にも御出馬を願うということになりますならば、非常に悪い条件ということをこちらでも自覚をした上でぶつからなければならぬわけでありまして、その辺のところで、その前に条件の緩和ということをいまいろいろと折衝をしておる、こういうことでございます。
  52. 久保三郎

    久保委員 施設庁長官、あなたのお話だと、米軍の提示する条件にかなうところはない。ないが、緩和すればあるということですね。
  53. 小野裕

    ○小野政府委員 条件の緩和の程度でございますが、私どもとして若干の候補地は腹に持っておるわけでございますが、その条件が相当悪くなります。その緩和を大幅に緩和してもらえればある、こういうふうに感じております。
  54. 久保三郎

    久保委員 あなたは専門家じゃないと思うのだけれども飛行機爆撃の専門家ですか。しろうとですね。  そこでお聞きするのですが、もちろんその結論をいう場合には、当然専門家の意見を取り入れて判断をしてもらうわけですね。いま頭の中に構想を描いておる条件緩和というものは、可能性があるという前提に立っているわけですね。大体この辺まで緩和することは米軍だって譲ってもらえるだろうという可能性を信じてでなければだめだと思うのですが、どうですか、その点は。
  55. 小野裕

    ○小野政府委員 最初のお尋ねの、私は専門家でございませんが、もちろん専門家のいろいろな意見をいろいろな形で伺いながら考えておるわけでありますが、条件を大幅に緩和してもらえるならばそこでできないことはないという候補地は、ないわけではない。ただ、その条件の切り下げ方でございますが、そんなに条件が悪くなるならば、やれぬことはないにしても、そこへ移るのは困る、こういうふうに言うかもしれないのでございます。そういうところに政治的な折衝というものをお願いしなければならない余地があるのじゃないか、こういうふうに思います。
  56. 久保三郎

    久保委員 あなたの話が、言い回しが非常にむずかしい言い回しをしておるのでわかりませんが、そうしますと、政治的な折衝というか、小泉長官が先ほど来お話しいただいておるような決意をもっていくならば、大幅な条件緩和でもこれは聞き入れられるだろうという可能性を信じているのかいないのかということです。
  57. 小野裕

    ○小野政府委員 私は、上層部の高度の御折衝の結果についての見通しはわかりませんが、現在事務当局あるいは米軍の担当責任者のレベルにおける話し合いがなかなかむずかしいというような空気でございまして、その上の問題につきましては必ずしも楽観はできないと思うのでありますが、とにかくやるだけやらなければならない、こういう考え方でございます。
  58. 久保三郎

    久保委員 あなたは政治家じゃないのですが、政治的な要素が加われば、いわゆる上部におけるというのは小泉長官を中心とする政治力ですが、それはあなたは政治家でなくても、近間にいておわかりだろうと思うのです。この程度大臣に持ち込めば、大臣のいわゆる政治力によって解決できるだろうという程度の条件緩和、それもわからぬ、まあやるだけやってみようというお話では、どうもわれわれとしても理解しがたいですよ。先ほどの小泉長官の決意とはだいぶ違う。事務的にすべて扱うのですね。そうでしょう。どうですか。違いますか。
  59. 小野裕

    ○小野政府委員 私ども事務当局といたしましては、現在の演習場の状況、これは実態並びに使用の状態でございますが、と比べまして、著しく劣るということになるのでございまして、私どもが普通の事務的判断では、なかなかむずかしい問題ではないかというような感じがするわけでございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 事務的判断ではむずかしいというのは、いわゆる米軍条件を前提に考えればでしょう。いそうでしょう。そんなものはどこにもないという。  そこで、条件緩和。緩和にしても、大体非常に無理だろうけれども、この程度は政治折衝に移して強力にやれば可能性があるという前提に立たなければ、大臣を引っぱり出しても何にもならぬでしょう。そのくらいの判断は事務当局がしなければ、何のために大臣を引っぱり出すかわからないじゃないですか。どうですか。そこまで言い切れないですか。どうです。
  61. 小野裕

    ○小野政府委員 代替地の条件をどこまで切り下げるかによりまして、米軍側が納得してもらえる可能性はあるかないかということになるのじゃないか。現在、何と申しまするか、私どもが簡単にこれを片づけようと思えば、条件が非常に悪いわけでございまして、そういう悪い条件では、上部の御折衝を願いましてもなかなかむずかしいのではないか。結局条件を切り下げるにしても、日本側としてもさらに最大の努力をいたしまして、先方に納得してもらうことのできる程度に切り下げるということにも問題があるかと思うのであります。そういう点について、いまいろいろ根回しなり検討なりをいたしておるわけであります。要するに条件の切り下げ方の程度に問題がある、こういうことに考えます。
  62. 久保三郎

    久保委員 あなたとやりとりしていてもどうも話にならぬし、大体私が受け取っているのは、大臣を表に出すというならば、たとえば一割か二割か知りませんが可能性がなければ問題になりませんよ。それは大臣が判断するのではない。あなたのところで判断する以外ないじゃないですか。だから、それを私は聞きたいというのです。  というのは、先ほど石野委員からお話があったように、前の防衛庁長官であった福田さんは、ぼくの任期中にと言って腹をたたいているのです。任期も、大体その当時、七月ごろには内閣改造があって、引き続きおやりになるなら別だが、そう公言できる立場にないのに腹をたたいたから、地元の人はああそうかというので安心して帰った。再びそういうことをなさらぬようにということで、聞きたいのです。  そのためには、あなたも可能性のないものを大臣に預けるなんて、とんでもない話です。そういうことじゃないのでしょう。どうなんですか。
  63. 小野裕

    ○小野政府委員 政治折衝、外交折衝の結果の見通しにつきましては、私からは何とも申し上げられないのでありますが、ただ、私としては、できるだけまとめていただけるように根回しと申しますか、準備と申しますか、こうしたことをいま準備、検討をしておる状況でございまして、こちら側が相当にいい条件で、といいますのは、現在の条件よりは悪いけれども、そうした不足の点をできるだけカバーできるような対策をあわせて持っていけるならば、これでぜひともお願いしたいということで、あるいは聞いてくれるかもしれないというような感じはいたしております。  ただ、何と申しましても、いま申し上げましたように、悪い条件を少しでもよくするということの度合いによりまして先方の受け取り方も違うであろう。その意味においていろいろと準備、研究をしておる、その根回しの時間が若干要る、こういうことでございます。
  64. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、あまり時間をとることはできませんから、防衛庁長官に最後にお尋ねします。  あなたが御折衝になる場合は、もちろん相手は兵隊ではない。だから、もちろん軍事的な要素も入るかもしらぬが、兵隊ではないのでありますから、いわゆる軍事的な、技術的な立場で問題を処理されることは考えられませんね。いま施設庁長官が言うのは、どうも兵隊を中心にしての話なんであります。この問題は兵隊を中心にしての話では大体において私は解決不可能と思っております。これはどなたもそうだろうと思う。  そこで、大臣も、今度は根回しをしてひとつやろうと思う、こういう御答弁があったと思う。ところが、これは根回しということで、根回しをやっておる限りでは絶対に先に進まぬと私は思うのですよ。相手が兵隊ですから、兵隊で技術的なことでやっておるのですから、それはとてもじゃないが、いままでの経緯を考えてもだめだと思うのです。やはり高度の政治折衝以外に方法はないと私は思うのです。そういう意味で、あまりに根回しのほうに重点を置いてお考えをいただくことは、私は問題の解決、前進にはならぬと思うので、この点をひとつ強く要望します。  と同時に、先ほど来施設庁長官が言ったように、何かやってみろというからやってみようじゃないか、そのあとはひとつ大臣におまかせしようということでは、これは一ぺんならいいけれども、二へんも三べんもでは、だれも言うことを聞きません。そういう点も二つ目には考えていただきたい。  もう一つは、重大な決意をもって——いわゆる大臣が政治折衝をする場合には重大な決意をしておるというのは、無条件返還かこの代替地であるか、いわゆる二者択一の立場に立ってやはり折衝してもらう以外に方法はないと私は思うのです。いかがでしょう。
  65. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 久保委員の申されることはまことにもっともでございまして、また私のほうの小野施設庁長官も、政治折衝を成功せしむるためにできるだけの事務的な根回しもしたい、こういうことでいま一生懸命根回しをやってくれておる最中でございます。もちろん政治折衝というのは、事務的折衝で解決のつかない問題を高度の立場において、いわゆる事務を越えて解決をするということでございます。事務的な折衝においては、もう今日までのところ、御承知のとおりほとんど行き詰まっておる。もうあとは、残されたる高度の政治解決以外にはない。それには、在来事務的折衝をされてまいりました条件の緩和というようなところでなくて、アメリカ側がもっと思い切った高度の、政治的な外交的な高度の見地に立って、そういう条件にももっと基本的な考え方を変えてくれる、そういう基本的な条件の考え方も変えさせるところに政治折衝の意味があるのでございまして、私は微力ではありますが、誠心誠意ひとつ自分が熱意をもってぶつかってやってみたい。また、どうしてもやらなければならない、こういうことで根回しの準備もさせておるわけでございますので、その点の両者のかね合いというものは、これは私のほうで判断をして、ひとつ十分効果があがるように努力いたしたいと存じます。
  66. 石野久男

    ○石野委員 防衛庁長官、ただいまの久保委員からの質問がありまして、小野長官からいろいろな事情を聞くと、事務折衝の段階ではほとんど不可能だ、ただ政治折衝の場に期待を持つ、こういうことになっております。実際やはりこの問題は、安保条約体制の中での一つ条件として出されておるものでございますから、この政治折衝は、安保条約を越えなければ成功しないという内容を持っておるものだとさえ私は思うのです。ですから、大臣がここでただ安易な気持でお約束したり、意見開陳をなさるくらいでは、とても困難だと私は思います。ほんとうにこの問題については、ひとつ周辺地の実情をよく勘案して、そしてほんとうにそれこそ高度の折衝をしてもらいたいということを私はお願いしておきたいと思います。野党の側でこんなお願いというようなことは、なまぬるくてしようがないのだけれども意見が先へ進みませんから、私は一応これをひとつ長官にお願いしておきます。  そして、それは先ほども申しましたように、あくまでも夏のころまでにひとつめどをつけるようにしていただきたいのです。このままほっておいたら、ことし一年たっても、率直に申しましてだめです。  そういうことをひとつお願いしますが、長官のそれに対する時期的な問題での努力目標をもう一ぺんお話し願いたいと思います。
  67. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 安保条約の範囲云々ということもございまして、非常に困難なことであることは、もう先生方がいままでの経過に徴して一番よく御存じのとおりでございます。私はそれを、事務的折衝で片づかないから、先ほどの塚原委員も指摘されましたとおり、内閣全体の責任において高度の政治折衝をしなければ片づかない。私は防衛庁長官としてその先頭に立って力を尽くしてみたい。もちろん外務大臣、科学技術庁長官にも緊密な連絡、御協力をいただき、場合によっては内閣全体の問題として、いわゆるアメリカ側と折衝に持ち込んで、何とかこれを解決しなければならないという熱意に燃えておるわけでございまして、時期の問題につきましても、先ほど来申しますとおり、でき得る限り早くこういう折衝が実現段階に入るよう目下努力をいたしておりますので、どうぞそういう点、ひとつ私の熱意と誠意を御理解いただきたいと思うのであります。
  68. 石野久男

    ○石野委員 防衛庁長官、なかなかそれ以上は言えないでしょうが、とにかくこれは夏のころまでに努力してもらうことを再度要請をしておきます。  科学技術庁長官にお尋ねします。  先ほど長官から、参考人各位意見を非常に適切におまとめになって、御答弁をいただいたのでございます。したがって、これらの問題についていろいろお聞きしたいことがございますが、何よりも一番大事なのは、周辺地の安全をどのように確保するか。参考人各位は別に原子力開発そのものに反対しているものでもございません。それが平和利用されることに対して積極的に協力する意味で、茨城県は全体として協力してきたものなのです。ところが、これが非常に心配されておったような過度の集中と、それから近在地に射爆場があるということなど、かてて加えて営業用の炉が、原発があそこにできてきた。こういうような諸般の事情の中で非常に危険度が加わってきているという実情から、問題が非常に全県的な問題になってきているわけでございます。  したがって、これらの問題の基本的な考え方というのは、施設をする前にまず周辺地の地帯整備ということを先行させることが重要だったわけなんです。しかし、事は逆になってしまいました。逆になったために、問題はなかなか収拾しにくい実情にある。これがいまの茨城県の実態でございます。  幸い地帯整備の問題について、先ほど長官からも、地帯整備委員会からの答申も出ておるし、県のほうからもやがてやる計画も出るだろうというような御意見もございましたので、その点について長官にお聞きするのですが、その前に参考人岩上知事にお尋ねしたいのでございます。  地帯整備につきまして、これは勝田あたりもみなあると思いますけれども地元として現在どういう要望を持っておられますか。現在政府当局から出ておりまするいろいろな御要望もあるかと思います。それに関連しまして地元の要望がございましたら、計画の面、予算の面等につきまして、簡単にひとつ意見をお聞かせ願いたいと思います。
  69. 岩上二郎

    岩上参考人 地帯整備につきましては、全額国費をもちましてその委託を受け、特に東海村を中心にいたします地帯の全体の計画を現在進めておる段階でございまして、それにつきましては、それぞれ県は県なりに、地元地元なりに意見の調整を進めつつある段階でございまして、まだ全体のスタイルができておりませんけれども、そういう問題と国の地帯整備専門部会で答申いたしました内容等を、今後突き合わせていかなければならない問題がございます。以上でございます。
  70. 石野久男

    ○石野委員 勝田市のほうで何かありませんか。
  71. 安義男

    ○安参考人 石野先生の御質問にお答えする前に、お許しいただければちょっと発言をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それはどういうふうな問題かと申しますと、先ほど福井先生から御質問がございましたけれども、好きで原子炉を誘致したんじゃないか、こういう御発言があったわけでございます。  私はウラン鉱というものをまだ見たことがございませんので、どういうものかわかりませんが、最近だいぶ石ブームがございまして、佐渡の赤玉とかあるいは菊花石とかいうものは相当な値段がする。これは数万金を投じました貴重な石であっても、放射性質物というものを含みましてこれが非常に影響を与えるというような場合には、放棄せざるを得ない場合もあるんじゃないか。たとえばわれわれ人間関係におきましても、相思相愛の夫婦でございましても離婚するというようなことがあり得るんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。  当時、私ども原子力というものに対する興味を持って誘致したのはどういう点かと申しますと、私ども地帯は非常に後進性の濃厚な地域でございまして、何らかによってあの地域開発していこうというようなことが一つの原因であったわけでございます。それらに対する現在におきます設備の拡張問題、特に再処理の問題に対する危険性のなかった点が、遺憾ながらいま出てきたわけであります。最近におきましてはこれらの点についても幾らか見きわめが持たれる、こういうような観点からいたしまして、今後地域開発等について大きな規制を受けるというような点が現在の心境でございます。  それから、たとえば飛行返還後におきますところの地域開発というような問題につきましては、県は県のそれぞれの委員会等の諮問機関を設けていたしておるようでありますが、私どもは私どもといたしまして、やはり飛行開発というものに対しては一つの対案は持っておるわけでございまして、結局三百五十万坪のこの地域の利用ということにつきましては、考えは持っておるということを申し上げておきたいと思います。
  72. 石野久男

    ○石野委員 大臣にお尋ねしますが、地帯整備の問題につきましては、地元にもいろいろな案があると思うのです。それらの案を勘案しながら、特に原子力施設の保全と、それから周辺地におけるところの放射能障害からの隔離、これを徹底的に守らなければいかぬと思います。そういう地帯整備対策をするということについては、早急にこれをなさなければなりませんけれども、これらの問題については、地元、特に県のほうからの答申が大体五、六月ごろに、参考意見か何か知りませんけれども、出るかもしれないというようなことをほかでちょっと聞いております。そのときに、県の要望というものについては、もちろん一〇〇%受けるというくらいのかまえをお持ちなのでございましょうか。この点、長官に先に聞いておきたいと思います。
  73. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは当然そういうつもりで全面的に御要望を受け入れたい、科学技術庁と申しますか、原子力委員会立場においてはさように考えております。そして、これは御承知のとおりでございますが、先ほど申しました地帯整備委員会にも特に知事さんにも入っていただいておりまして、あの御意見には岩上知事の御意見も何がしかは入っておるかと想像しておりますが、これと今度は別なお立場で立てられる御計画、この両方を総合してできるだけ御要望を受けていきたい、かように考えておるわけでございます。  なお、先ほどちょっと注意を受けたのですが、私の言い方が間違ったかもしれませんが、それは再処理工場計画があったという点を射爆場の中にと申しましたのは、射爆場の一番近くの現在の原子力施設地帯の中でございまして、いまの返還地帯の中ではございませんので、念のため申し上げておきます。
  74. 石野久男

    ○石野委員 この地帯整備の点ではそういうふうに県のいろいろな意見が出てくると思いますが、いま大臣は一〇〇%入れるということですから、それは非常にけっこうなことだと思うのです。  大臣からの参考人意見を五つにまとめられた、その最初の段階で出ております射爆場問題については、先ほど来のことでありますので、これは小泉防衛庁長官も政治的折衝をなさると言っておりますが、大臣御承知のように、この射爆場の問題は、安保条約のもとにおいてアメリカの在日空軍の要請に基づいて持たれているものです。したがって、日本の産業がどうあるかこうあるかということは全く関知しないという立場で向こうはくるものだと思うのです。そこで当然のこととして、返還の要求という問題は、防衛庁と在日米軍あるいはまたアメリカの政府との折衝というだけではとても解決しないのだ。先ほど久保委員からも言われたように、これは主としてやはり科学技術庁の立場からの強い要請を入れてもらいませんと、原子力施設の保全という問題の解決はとてもできないだろうと思うのです。  それにかてて加えて、地元の要求であります平常の生活面において、学問の問題だとか、あるいはいろいろな事務をとる上において、F105Dの爆音がどうであるとか、あるいは人口稠密地帯に非常に接近しております関係から、誤投下が非常に多いということ、そういうことなどもございまして、これはもうただ軍事的な関係だけじゃなしに、一般の産業関係の問題、あるいはまた社会生活上の問題、こういう関係で重要な点がございますから、これは特に愛知大臣かそういう点についての防衛庁との積極的な共同工作を——これはアメリカ局長のほうも、きょうは椎名外務大臣がいませんけれども、外務大臣、防衛庁長官、それから科学技術庁長官と一緒になって交渉していただくことが大事だと思います。この点、射爆場問題についてはひとつお願いしたいと思います。  第二番目に、大臣がまとめられましたこの施設の危険性の問題でございます。実は問題はここに一番あるのです。私どもは再三申しておりますように、施設を置くこと自体について反対しているわけじゃなかった。しかし、それが過度に集中していることから反対が出てきているということだと思うのであります。  大臣にお聞きしますけれども、現在の東海村の原子力施設地域に対して過度になっているという認識はいまのところお持ちになっておりませんか、どうですか。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず第一の射爆場の問題でございますが、実はこの問題については昨年七月私も就任いたしましてから、非常に重大な問題だと思いまして、私なりに、あるいは事務的ということよりもむしろ政治的に、でき得る限りの行動は私もいたしておるわけでございます。これはただいま御指摘もございましたし、それから、かねがね塚原委員からも強く御要望がございますが、むしろ内閣全体、閣議レベルの問題といたしまして政治的な折衝によらなければ成果はあげられない、かように考えておりますので、いままでもできる限りの努力をしてまいったつもりでございますが、その努力内容は、あるいは相手のあることでもございますので、あまり詳しく申し上げるのもいかがかと思いますが、今日この機会を契機にいたしまして、あらためて私としても努力を新たにいたしたいと思います。  それから、安全性の問題でございますが、ちょうど地元の方々もいらっしゃいますこの機会に少し申し上げてみたいと思うのであります。  現在の施設、それから原研内の炉、すべての関係を考慮に入れまして、原子炉安全専門審査会も安全審査をいたしておるわけでございますが、現在の施設から考え得る最大の事故が起こったといたしまして、そこから外に漏れるところの放射能は二十五キュリーである、これは科学的にはっきりしておるわけでございます。この二十五キュリーに対応する、人が居住することが適当でないという地域範囲は半径四百メートル以内、こういうことに科学的になっております。その四百メートル以内というのは、すべてがいま施設内になっておりますから、万々一現在の施設から考え得る最大の事故が起こったといたしましても、施設以外の住民の居住地域には絶対に害を及ぼすことはない、意見というのではございませんで、そういう審査の結果でございます。  それに関連して、その次に地帯整備の問題でありますけれども、現在あるところの施設を別にいたしまして、今度は一つの仮定をつくったわけでございます。万一、一万キュリーの放射能が放射されるという場合を全然空に仮定して、仮定の条件を置いた研究をしたのでございますが、それを仮定いたしましても危険性はないということがこの安全審査の結果として出ておるわけでございます。  しかし、こういったような科学的な検討をすると同時に、先ほども申しましたように、何ぶんにも新しい施設のことでもあり、かねがね地元の方々の御不安も、何となしにそういうふうな御心配があることもごもっともと思いますので、地帯整備ということをこの際あわせて計画をいたしたい、こういうふうな考え方に立っておるわけであります。  それから、再処理工場をどこにつくるかということについては、最終的には決定いたしておりません。しかし、過去の経過において、先ほど申しましたように射爆場の一番先端に一番近い、現在の原子力施設として保留されておりますところの内側に再処理工場をつくるという計画がありましたことは事実なんでございますが、これについてはさらに念を入れて再検討をしておる、これが実情でございます。かりに再処理工場ができましても、できるのは将来のことでございますが、これについてはできる前に十二分の安全審査をいたしますし、それからいま計画として考えられておるものであれば、現在の施設以上に危険が予想されるということは全然ないと申し上げて間違いなかろうかと思っております。
  76. 石野久男

    ○石野委員 いま大臣は私の質問以外のことをいろいろ答弁なさって、なるべく安全は確保されているということを認識させるように誘導的にお話をなさったわけです。現在の稼働しておる炉のいわゆる重大事故あるいは仮想事故が全然周辺地には、あの区域以外には危険性は持たないのだ、こういうお話でございます。この問題については、あとでまだもう少し検討を加えないと、このままではここにおいでになっている参考人各位、あるいは傍聴に来ておられる方々が納得できるものじゃないのです。  この際お聞きしたいのでございますが、現在世界各国における炉はどういうふうに設置されておるかということについて、私は事務当局にお願いしておきましたが、ひとつこの際、各国のおもな炉がどういう敷地の中にどういう炉が何基設定されておるのか、そうしてまた、それが周辺地域とどのくらいの距離を持っているかということについて、お調べになっているところを教えてください。
  77. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま私のほうで手元に持っております資料に基づきまして、御質問の点についてお答え申し上げたいと思います。  やや概数になりますが、現在世界で建設並びに運転あるいは計画中のものは、原子炉の数にいたしまして約五百ございます。五百の原子炉のうちに現在運転しておりますものは、すなわち臨界を達成いたしましたものは約百三、四十でございます。しかし、これらのうちの大部分はいわゆる研究炉と申しまして、熱出力で申しますと大体一万キロワットないしそれ以下、こういったものでございます。  そこで、この五百のうち動力炉、つまり電力を生産する目的、あるいはその他の動力を発生する目的でつくられました比較的大型の炉になるわけでございますが、これらは世界じゅう合わせますと大体百基くらいが建設、運転あるいは計画中でございます。昨年の九月ジュネーブ会議がございました当時の資料で申しますと、その約百基のうちに実際に動いておりますものの数は三十六基に相なっております。その内訳は、アメリカが十基、イギリスが十四基、フランスが二基、イタリアが三基、束ドイツに一基、スウェーデンが一基、さらにソ連に五基、以上で大体三十六基が昨年の九月末現在で動いておるわけでございます。  わが国におきましては、御存じのとおり、東海村の原子力研究所にJPDRという動力試験炉一つ動いております。それから研究用の原子炉は現在四基ございますが、そのうち三基が定常の運転を行なっております。それから東海村の原子力発電株式会社のいわゆる原電炉、これがわが国としましては初めての本格的な動力炉でございますが、これはまだ建設の最終の段階にございまして、遠からず臨界を予想はされておりますが、今日におきましてはまだ臨界に達しておりません。  それで、これらの原子炉の建設状況が実際にどのような場所にどのようにつくられておるかということでございますが、多岐にわたりますので、それぞれによっては非常にいろいろなケースがございます。  石野先生の御質問は、主としてその敷地あるいはその周辺の状況についての御質問であろうと思うわけでございますので、その範囲でわかっております例を一、二申し上げてみますと、一つは、アメリカで一九六〇年以来運転をいたしておりますヤンキー発電所という例がございます。この発電所は、熱出力でいいますと約四十万キロワットの原子炉でございます。電気の生産量は大体十七万キロワットくらいでございますが、このヤンキー発電所はアメリカ東部のマサチューセッツ州にございまして、この発電所自体の敷地はそこにございます冷却池、冷却用のポンドを含めまして大体八百万平方メートルの敷地を持っておるようでございます。その発電所から大体八キロないしそれより少し違い十数キロのところには二万七千人くらいの人口がある。さらに離れましたところにはウィリアムスタウンという大きな町がございます。  それから、同じくアメリカでございますけれども、シカゴの近辺にドレスデン発電所というのがございます。この発電所は、熱出力でいいますと約六十三万キロワット、先ほどのヤンキーよりかなり大きいわけでございますが、この辺は一望千里の非常に広い土地でございますので、敷地もさらに広大な敷地を持っておるようでございます。  一方、イギリスの例を一つ二つ申し上げますと、イギリスでは先ほど申し上げましたようにすでに十四基が稼働いたしておりますが、これらはいずれも中央発電庁あるいは南スコットランド発電庁の所有します原子力発電所、いわゆるコールダーホール改良型の原子力発電所でございます。  そのうちの一つでございますバークレーの発電所、これはブリストルの近くにある発電所でございまして、同じ場所に一基の炉が置かれてございますが、その合計熱出力は百十二万キロワットになっております。一基が約六十万キロワットでございます。その発電所の用地といたしましては、三十七万平方キロメートルと報告されております。その近辺の人口といたしましては、大体八キロメートル以内に一万四千人ぐらいがおる。近い都会としましては、人口五千以上の都会としましてはバークレーという発電所の名前のもとになりました町がございまして、これが二・四キロぐらいのところにございます。  それから、同じくイギリスのもう一つの例といたしまして、ロンドンの北方にございますブラッドウエル発電所、これは同じく原子炉二基がそこに併置されてございますが、熱出力で合わせまして合計百六万キロワットでございます。その敷地は五十二万八千平方米になっております。八キロメートル以内には人口約七千五百人がいると報告されております。  このような状況が、先ほど申し上げました世界における原子炉、特に動力用原子炉における現実の建設状況でございます。
  78. 福井勇

    ○福井委員 関連して。  石野委員の質問を打ち切るというようなことは少しも思っておりませんから、その点はちょっと御了解願いたい。もう一時にもなりまして、参考人の方々に質問が特にないならば、昼食も抜きにしてやっていただいては困ると思いますから、委員長に特に御配慮願って、科学技術庁のほうに質問があるならばまたその他のときに譲ってもらってもよし、その点は石野君も誤解してもらわないように願いたいと思うのでありますが、一点だけ、ちょうど原子力局長もまた他の関係官も見えておりますから、簡単でようございますから……。  私はウインズケールあたり、またアメリカの再処理工場などをたびたび見ておりますが、学問的な放射能の心配ということについて私は一応ないものと思っておるが、きょうはだれか専門家は来ておりませんか。——武田原子力委員がおられますから、その点ひとついま各参考人がおられまして、昼めしも抜きにしておりますから、簡単にお答え願います。
  79. 岡良一

    岡委員長 午後二時本会議開会までですから、しばらくおなかの減ったのをがまんしてください。
  80. 武田榮一

    ○武田説明員 それでは簡単にお答えしたいと思います。  原子炉の安全の問題と再処理工場の安全の問題とは、多少性質が違います。いまの場合は再処理工場の安全性について御質問があったと思いますので、簡単に申し上げますと、原子炉でつくられた使用済み燃料というものは大体五カ月か六カ月は少なくとも冷却いたします。そのために核燃料の中に含まれた放射能は数%の程度まで落ちるわけであります。そのために、その核燃料の中に含まれている放射能というのはかなり寿命の長いものだけが残っているわけであります。その燃料を処理するという場合には、普通の原子炉の場合ですと、その放射能をかん詰めにして、放射能が外へ出ないように全部保持しているわけでありますが、再処理工場の中では、そのかん詰めを切ってその放射能を安全に取り扱えるようなケーブといいますか、何重かにエアコンディションをした施設の中でそのかん詰めをほどいて化学処理をするというわけでございまして、その化学処理をするというときに、当然放射能はそのケーブの中に大量に出てまいります。それで、その放射能のうちのほとんどは固体の廃棄物の形で回収されるわけでありまして、一部分が液体の放射性廃棄物になり、それから気体状の廃棄物になります。結局三種類のものに分けられるわけでありまして、そのうちで、一般の国民に対する影響としては、一番問題になりますのは気体廃棄物ではないかと思うわけであります。  その気体廃棄物の放出というものは、数十メートルという高い煙突を立てまして、そこから排出する。そういう気体の廃棄物の排出については、国際的に安全と認められておりますICRPの勧告に従った基準がございまして、その基準を十分下回るようにその排出を考えるというわけでございます。  まだ再処理工場というのは計画中のものでございますし、どれだけの放射能がどういうふうに出るかということが十分明らかでございませんので、もちろんある程度の予想はつきますが、最初の段階は少ない処理量でいろいろのモニターを十分やりまして、安全性を確かめつつ逐次処理量をふやしていく。もちろん、どういう場合でありましても、先ほど申しましたICRPの勧告を十分下回るように管理が行なわれるものと考えております。  それで、原子炉の場合とだいぶ事情が違いますので、どちらが危険であるとか安全であるとかいうことをなかなか一がいに申し上げられないというのが実情ではないかと思います。
  81. 石野久男

    ○石野委員 いずれにしましても、再処理の問題についての安全性についてはまたいろいろ問題が残ると思います。  大臣も急いでいるようでございますし、あと二問ほどまとめて、参考人関連しながら聞きます。  これは参考人の発言に対して大臣が答えているので、それに関連してですが、参考人が一番心配しているのは、先ほど言ったように、射爆場の問題のほかに、再処理工場を導入になるかということです。先ほど大臣は、アメリカ側の要請によって、原燃の敷地の中に——といってもこれは新しく求めた敷地なんですが、そこに再処理工場をつくるという段取りをしておるやに聞いているわけです。しかし、再処理工場設置については、その安全性の問題と、あるいは安全審査委員会立場からしましても、安全基準とかなんかについてまだ確たるいわゆる方針も出ていないのじゃないかと私は思いますが、そういうものがあるのかどうか。もうできているのかどうか。
  82. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 第一点でございますが、再処理工場についてアメリカから要請があってというお話でございましたが、それは全然ございません。これはあくまで日本側が自主的に計画をするものでございます。  それから、安全性の問題につきましては、それでは専門家からお願いいたします。
  83. 村田浩

    ○村田政府委員 再処理施設の安全性につきましてどのような基準を持っておるか、こういう御質問でございますが、現在国内において再処理関係の研究を含め考えておりますのは、原子燃料公社とそれから原子力研究所でございます。再処理事業といたしましては、法律に基づいて原子燃料公社だけが行なうということが明確に定められております。したがいまして、再処理施設の安全審査は、原子炉の場合のように不特定多数の、しかも型式もいろいろと変わりますものを、また場所においても各地にいろいろと今後設けられてまいると思いますが、そういうものをいたすわけではございませんで、ごく特定の施設のみを対象といたす安全審査に相なるわけであります。そこで、原子力委員会におきましては、昨年の七月に、原子炉安全専門審査会とは別に、新たなる組織としまして再処理施設安全審査専門部会を設けまして、これに約十数名の専門家を専門委員としてお願いいたしております。部会長は東京大学の向坊教授にお願いをいたしております。昨年の夏以来今日まで、この再処理専門部会におきましていろいろの技術情報を集め、特に原子力研究所にございます再処理の研究施設、これが四十年度中に一応完成いたしますので、これの安全審査をまず取り上げまして、先々燃料公社の本格的な再処理施設の安全審査に資するための予備的な勉強をしてきていただいております。現在におきましては、さらにその段階から、諸外国における再処理施設技術情報等も入れまして、再処理施設の安全審査上にどのような点が技術的に問題であるか、またそれをどのように判断すればよろしいかという点をできる限りの努力をいたして御勉強いただいておるわけでございます。  先ほど大臣からちょっとお話がございましたように、燃料公社が今後建設いたしますいわゆる事業としての再処理工場につきましては、現段階ではまだ正式に、安全審査の手続がとられておりませんので、そのような申請がございますときに、この再処理施設の安全専門部会が取り組んで安全性を慎重に検討して判断される、そういう手続に相なっております。
  84. 石野久男

    ○石野委員 たいへん大臣が急がれておるようでございまするので、一問だけお聞きしておきますが、先ほどから参考人各位がこの再処理工場の問題について非常に心配しております。ただいま局長からのお話によりますると、燃料公社からの再処理工場設置についての申請もないし、またその安全についての審査基準というようなものも確たるものがないように私は見受けられる御答弁をいただいたと思うのです。そういう事情の中で、燃料公社がこの再処理についての施設設置するという問題を軽々に行なうことは非常に危険だと私は思うのです。大臣はそういう問題については一応のめどがつき、そして原子力委員会あるいはまた安全審査委員会等が確固とした方針に基づく許可等を与えるまでは、そういう施設をさせることの仕事をさせないようにするという御努力は当然なさるものと思いますが、そういう御趣旨を持っておられますかどうか、大臣からひとつお聞きしたいのであります。
  85. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それはいまの御意見と全く同じでございまして、先ほどもちょっと触れましたように、原燃公社としてはこの四十年度から設計に入るわけでございまして、それをもとにして的確な安全審査というようなことが行なわれる。それから着工するのは四十二年度になるわけでございますから、その間におきまして原燃公社としても、どこを適地とし、またその前に、どういう詳細設計で計画をするかということがその前の段階でございますから、ただいまのお話の点は御同感でもあると同時に、全く同じ考え方で進めたいと思います。
  86. 石野久男

    ○石野委員 重ねて聞いておきますが、参考人の中からの御意見によりますと、いわゆるこういう問題について関係地域意見も何も無視して、既成事実をつくった上で極秘裏にそういうものが行なわれていくことは非常に不満だという御意見が先ほどあったわけでございます。  そういうことを厳に戒めてもらわなくちゃいけないのでございますが、この際長官にもう一度承っておきますけれども、そういうことは事前に既成事実をつくってしまって、そしてあとからそれを地域住民に押しつけるというようなことは絶対にさせないということだけは、ここで私は確固とした御答弁をいただいておきたいと思うのです。その点について、長官の御答弁をもう一度いただきたい。
  87. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 極秘裏にやるとか、既成事実を秘密裏にやるということは、絶対にいたさせません。
  88. 石野久男

    ○石野委員 それでは質問を一応終わりますが、おいでいただきました関係参考人茨城県知事、あるいは西野会議員、安市長さん、薄井市長さん、それから後藤さんたちに対して、それこそ昼食抜きで質問を長くしましたことをおわびしながら、お忙しいところをおいでいただいて、われわれに対して非常に貴重な御意見をいろいろお聞かせいただきましたことを感謝して、私の質問を終わらせていただきます。
  89. 岡良一

    岡委員長 参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見を述べていただいた上、本問題調査のためにたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は四月七日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会をいたします。   午後一時三十三分散会