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村田政府委員 原子力潜水艦あるいは
原子力商船、船舶にこのように
原子炉を搭載しましたものが人口の稠密な港に入ってくる。その際
事故が万々一に起こりましたときにどうするかという問題でございますが、現在その点で一番多くの経験と実績を持っております
アメリカ原子力委長会等で
考えております
考え方が、やはり私
どもとしてもいろいろこの問題を
考える上に
一つの示唆になると思うのでございます。先ほど
三木先生からテーラー博士の
ことばを引用されておりますけれ
ども、潜水艦につきましては、遺憾ながらこれが軍艦でございますために、どのような
機能であり、したがって、その
機能を
もとにしてどのような
災害評価を行なっておりますか、その点の
資料は
一つも入手することはできないわけでございます。
しかしながら、
原子力商船の場合には、昨日御
説明申し上げました
SOLAS条約の中にもありましたように、
寄港を希望します当該国
政府にあらかじめ安全を評価するに足る安全
説明書を渡し、その
政府の承認を受けなければならない、こういうことになっております。ここで申します安全
説明書、セーフティー・アセスメントと言っておりますが、この安全
説明書は、すでに一昨年でございますか、サバンナの見本的なものが
わが国のほうにも渡されております。これを
資料としましては二年前のものでございますので、もし新たに
サバンナ号が
日本に
寄港いたしたい、こういうようなことに相なりますれば、あらためてまた新しい安全
説明書を送付することになると思いますが、それにいたしましても、基本的には
SOLAS条約にいいます安全
説明書というものがどういうものであるかということは、二年前に入手しましたものでおおよそ見当がつくわけでございます。
それによって
検討いたしますところでは、この安全
説明書は、ちょうど国内におきまして新たに
原子炉を
設置するという場合に、現在の
原子炉等
規制法の二十三条によりまして、
設置者が
総理大臣の許可を申請いたします際に提出いたします必要な
資料とほとんど一致いたしておるものでございます。それだけ技術的にも非常に詳しい
資料でございます。さらに、その中には、
原子力船自体の設計、
建造等に関する
技術的資料のほかに、万々一
事故を起こしました場合のいわゆる向こうで申します最大
想定事故でございますが、この最大
想定事故を起こしましたときの
事故解析ということも中に含まれております。このような最大
想定事故の
事故解析も、われわれのほうで十分安全専門審査会にはかりまして
検討いただきまして、その結果、
わが国の港に入りますときに考慮すべき事態はどういうものであるかということが
科学的に判明いたすわけであります。
その際の
考え方といたしましては、これは
サバンナ号においても今日とられておるやり方でございますが、船の周辺に管理区域あるいは低人口区域というものを
考えるという
考え方に立っております。この管理区域の大きさ、あるいは低人口区域の大きさといいますのは、
原子炉の規模、運転の状況等によって違ってまいるわけでございます。サバンナにつきましては
原子炉の
機能等は十分明らかでありますし、使用条件等もはっきりいたしておりますので、その点から計算して出てまいるわけであります。具体的には、船からの
所要の半径をどのくらい見るかということが
数字的に出てまいるわけであります。それで、昨日御
説明申し上げましたSTS10という港湾操作書にもございますように、そのような管理区域及び低人口区域につきましては、万々一
想定される最大
想定事故が発生しましたときには、この中におります人を
所要の時間内に退避させることを
考えております。すなわちサバンナで申しますと、管理区域内においては二時間以内、低人口区域内においては二十四時間以内、こういうことになっております。これは
事故の際に船から漏れました放射能の被害によって、その地域におります人の被曝の状況を甲状腺に対して最大三百レム、全身に対して二十五レムという
一つの被曝基準から輝き出したものでございます。この管理区域及び低人口区域といいますのは、その中におります人は、これは一般の居住区ではないわけでございます。船の周辺あるいは船の中におりますお客さん、乗り組み員、あるいは埠頭において働いております従業員、労働者、そういったものは入ると
考えられますが、港の周辺に住んでおられる一般居住区の人
たちというものはその外に置かれておるわけでございまして、
サバンナ号の港湾操作書を見ましても明らかなとおり、低人口区域外におられる一般の居住区の住民に対しては別段退避等の問題は
考えられていないわけでございます。
そのような
趣旨で、私
どもといたしましては、
原子力潜水艦についても
考えられている、
アメリカにおいてとられているあらゆる予防措置というものは、たとえばそのような措置を含むものである、このように了解しているわけでございます。
わが国における
原子力船につきましてのこのような停泊基準といいますか、これにつきましては、現在
原子力委員会の
原子力船安全基準部会におきまして
検討していただいておりますが、その際には、昨日御
説明しました
サバンナ号の海湾操作書等も十分参考にしてやっておりますので、その問において
考え方のそごはないものと
考えております。