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1965-03-18 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十八日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 岡  良一君    理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君    理事 中曽根康弘君 理事 田中 武夫君    理事 三木 喜夫君       秋田 大助君    小沢 辰男君      小宮山重四郎君    坂田 英一君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       渡辺美智雄君    石野 久男君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君  委員外出席者         外務事務官         (条約局外務参         事官)     佐藤 正二君         外務事務官         (条約局国際協         定課長)    徳久  茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(外国原子力船の  寄港に関する問題等)      ————◇—————
  2. 岡良一

    ○岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  外国原子力船寄港に関する問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 きのういろいろな資料を出していただきまして、科学技術庁のほうから御説明をいただいたわけであります。特に私たちが問題に思っておりましたことは、サバンナ号入港するという予想が立ちますし、さらに現在日本では原子力商船建造しようという段階になっておりますので、SOLAS条約とそれに関連する条約、こういうものについて十分知っていたい、こういうように思っておったわけであります。  それから、これは科学技術庁のほうでも検討されておるようでありますけれどもサバンナ号入港に対しまして、その安全性を確保するという立場から、アメリカにおきましてもこれの十分な検討がなされております。その内容についてもわれわれとしては十分知りたかったわけです。そういうことと関連してきょうはひとつ御質問を申し上げたい、このように思います。  その質問に先立ちまして、私はこれだけ重要な問題として科学技術庁安全性の問題、それからそれに対する規制問題等をお考えになっておりますのにもかかわりませず、重大な問題がいまなお等閑に付せられておる、これをどうお考えになるかということから最初お聞きしたいと思うのです。  項目別に言いますと、その一つは、やはり原子力潜水艦日本得港に対しまして、さきに私が、情勢が変わって総合見解が違ってくるのではないかということを質問をいたしました。たしか二月四日だったと思います。それから一月ほどたっておるわけなんです。原子力局長は私に説明に行くとは言われましたけれども、当委員会に、そういう総合見解が変わっていない、あるいは変わるのだというような見解を示してもらいたいということを言っておいたのですが、それがいまだに出ておりません。これをひとつ問題としてお伺いしたい。  それから第二は、原子力商船の酒造問題。これはきのうは、何か理事会で、触れては困るとかいうようなお話もあったように思いますけれども、これもちょっと問題があると思うのです。   〔委員長退席中曽根委員長代理着席〕  それから、水戸の射爆場の問題。東海村の原子炉がたくさんあるその付近で、いまなお射爆場米軍が使用している。これは科学技術庁だけの問題ではないと思うのです。その問題についてもひとつお聞きしたい、このように思っております。  まず初めに、さきに私が質問書を出しまして質問をしました点について、どのように取り扱っていただいているか、そこからお聞きしていきたいと思います。
  4. 村田浩

    村田政府委員 去る二月の委員会でございましたか、三木先生のほうから御要望のございました、アメリカ上下両院合同原子力委員会が発表いたしましたヒヤリングの報告内容に関しまして、こういう新しい資料が出たからには、昨年の八月に原子力委員会が発表いたしました原子力潜水艦わが国寄港に伴う安全性の問題についての見解をあらためてもう一度検討する必要があるのではないか、生じたのではないかということについて、原子力委員会見解をあらためて出してほしい、こういう御要望であったかと思います。その点につきましては、直ちに原子力委員会のほうで入手いたしました米国上下両院合同原子力委員会報告等も、前から検討しておりましたものをさらに調査し、そうしてこの原子力委員会といたしましては、内容をチェックした上で、昨年八月に統一見解を出しますときにアメリカ側に確かめましたことと矛盾しておるかどうかということを確認いたしまして、今回の報告がございましたけれども、昨年の統一規解の基礎になりました米国政府声明書並びに覚え書きには、ことしの一月九日ですかに発表されました米国側資料は十分織り込まれておるということを確認いたしまして、したがいまして、その線で昨年の八月の原子力委員会見解には、別にこれを変える要素はない、こういう考えでおるわけでございます。  その点の見解を文書の形で取りまとめますにつきましては、三木先生御承知のとおり、たまたま二月の末に担当原子力委員会の更迭がございまして、新たな委員が任命された。それから原子力委員会委員長代理をやっておられまして、かつまた原子力潜水艦の安全問題を特に担当しておられました兼重委員が御退任になり、その後任として有澤先生が新たに今度は原子力委員長代理になられたわけですが、今度は委員会の内部でどの委員がどういう仕事を御担当になるかということもあらためて御相談いただく、そういう期間も必要でございます。そのようなことから、若干事務的に原子力委員会としまして、ただいま三木先生の御要望のあった見解を審議決定する時間的なズレが出てまいりまして、今日まだ御提出するに至っておらない次第でございます。その点は申しわけないと思っております。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私は、そうした人事の更迭問題があって延びまして、いまだにできなかったという点は、これは問題に思わないのです。  しかしながら、これが出せないという背景にやはり疑問があるというところから足踏みをされておるということになれば、やはりそれを明らかにしていただかなかったら、そのまま疑問点とか危惧の点とかいうものを伏せてもらっては困ると思いまして、いま質問したわけです。単にそれだけの問題ならばこの先において出してもらうことでけっこうです。  そこで私は、いま大体項目的に申し上げましたように、サバンナ号入港、それから日本原子力船着工、それから原子力潜水艦寄港というこの三つの事実は、やはり世紀の大きなできごとだと思うのです。科学による大変革だと思います。私は、それに備えて専門省庁であるところの科学技術庁がやはり万全の対策を立てるべきだと思うのです。そういう見地から申し上げておるわけでありまして、科学を非常に尊重するという立場から、また、これを信ずるという立場からも施策をやる必要もあろうと思うのです。さらにまた、科学を非常におそれるという立場からも施策を立てなければならぬという、この二面があると思うのです。あなた方のほうは、信ずる、尊重するという。これはけっこうで、この考え方立場というものは私たちも是とせねばならぬと思いますけれども、さらにおそれるという立場から、この問題を絶えず警戒をもって取り扱ってもらわなければ困ると思うのです。  それで、スレッシャー号の沈没の問題もあり、これに対するところのアメリカの議会の合同原子力委員会で、安全性から見て十分でなかったという証言を私たちはやはり正安に考えるわけです。  それよりも、その次の問題の、原子力船建造の問題について、きょうは触れるなということですが、私はどうも納得がいきませんので、安全性というような問題から考えてお聞きしたいと思います。きょうは、ちょうど南極観測船の「ふじ」が進水するめですが、その式が午後あるそうです。私は、期せずしてこういう問題が一致しておるところにもふしぎなものを感ずるのですが、一方はそれが成功して進水する、一方はその着工が難航しておる、こういうことなんです。  そこで、造船界の言い分は、炉と船体一体で発注する方針は技術的に自信がない、一造船会社が全責任を負わねばならぬということは困る、このことばです。私は、これを政治的にまあまあということで、何とかそこを形づくってくれたらよいわというようなことで進まれることは非常に反対です。先ほど申しました見地から、炉と船体とを一体にしてやっていく場合には技術的に自信がない、こう言っておる。これは事実とするとたいへんなことですよ。各造船会社がばらばらにこれをやって技術的な自信ができるのでしょうか。それは専門専門があろうと思います。けれども、これを一体にしてやるのがよいということで、科学技術庁ないしは事業団がそういう立場から設計をし、あるいは着工させようと考えておるのだろうと思う。これが一つの危険な要素です。それからあとのことばは、一造船会社が全責任を負わねばならぬ、こういうことなんですが、責任を分担して責任を希薄にするというような考え方は非常に危険であるということ。それから、飛行機が落ちたりあるいは汽車が衝突したりするのは、それに乗っておった人、その付近の人だけですが、この原子力簡船とか原子力潜水艦等事故を起こしますと、災害が非常に大きいのです。そういう問題で、政府に対しての責任を感ずるのではなくて、造船会社はその災害に関して国民責任を感じてもらわなければならぬと思うのでありますが、いまその責任の問題でひとつお聞きしたいと思います。
  6. 村田浩

    村田政府委員 ただいま三木先生のほうで御指摘がございましたわが国原子力第一船の建造契約に関連しまして、国内の造船メーカー側で技術的な自信がないとか、一つ造船会社では責任がとれないとかいうようなことを申しておることは、私ども新聞等の情報で承知いたしております。  しかしながら、ここで言っております技術的な自信ということは、私どもの了解では、先生がただいま御指摘のいわゆる原子炉としての安全性といいますか、そういう問題ではございませんで、事業団から造船会社側に二月の一日ですか示しました競争入札の条件、その中にありますいわゆるギャランティー条項、でき上がりました船にどのような性能を要求するか、そういう性能の要求に対しまして、初めてのものでございますので十分な自信がない。あるいは、これを四十三年度末までに完成し、試運転して引き渡すという一応の予定でこの契約の交渉をいたしておるわけでございますが、そういった工期の問題につきまして、新しいものでございますから、やってみないと意外なところに時間がかかるかもしれない、そういう意味自信がない、そういう趣旨のことを申しておるものであると了解いたしております。  ただいま三木先生のおっしゃいました、いわゆる原子力災害というものに対して造船会社が心配しておるのではないか、こういうお話でございますが、その点は御案内のとおり、原子力損害の賠償に関する法律が施行されておりまして、いかなる原子力損害もこれは事業者に無過失責任が集中されることになっております。この場合の事業者といいますのは、日本原子力船開発事業団でございます。事業団がこの点については、あらゆる責任を集中してとることになります。もちろんこの法律に従いまして所要の手続をいたすわけでございます。したがいまして、特別の事由のある場合を除きましてはメーカーは免責されております。特別の事由と申しますのは、法律にございますように、造船メーカー側で故意の行為があった、そういうことのためにこれが原因となって事故が発生したというふうな場合でございますが、そのようなことは普通予想されないわけでございまして、一般的に申しましてそういう起こり得べき原子力災害に対して造船メーカー責任を追求されることはあり得ないことと考えております。もしもそのようなことで造船会社等が何か言っておるといたしますと、その点は、あるいはそのような事情を十分承知しておらなかったためであろうかと思います。  そのようなことでございますので、原子力船としての安全性は、搭載いたします原子炉燃料を装荷いたしまして、いわゆる燃料臨界状態以上になり原子炉として機能を発揮するようになった以後のことでございますが、性能保証で一造船会社が全責任をとるのは非常にむずかしいというような言い方がされておるといたしますと、それは原子炉自体出力保証ということまでが。原子炉を直接自分で設計し手がけてつくるのではございません造船会社責任になるのかというような点について疑問を呈しておる、こういう趣旨であろうかと思うわけであります。   〔中曽根委員長代理退席委員長着席〕  原子力船性能保証といいますのは、一般的に言いまして、第一には、たとえば速度がございます。しかし、その速度を出しますためには所要馬力が出なければいけないわけでございますが、その馬力を出しますもと原子炉にございます。その原子炉熱出力がどのくらい出るかという一つ性能保証が必要になってくるわけでございまして、その二つを一つ造船会社で全部受け持つことについての不安といいましょうか、そういったことを、ただいまのような技術的な自信がない、こういう趣旨で伝わっておるのではないかと考えております。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは原子力船開発事業団が今日まで用意したことですし、どうせ造船業者等と打ち合わせしていることだろうと思うのです。いまになって何を言うのですか。事業団は何をしておったのですか。あなたはいまこれに対して、出力保証だなどと言っておりますけれども国民が一番心配することは、原子力商船が安全であるか、災害を起こさないかということですよ。それを、そんなものは心配してないんだという言い方ですけれども、私たちはそれを一番心配しております。責任をそういうところに持っていって、一番大事な災害事故、いわゆる原子炉に対して責任を感じないというようなことなら、事業団は私は問題だと思いますし、いまさら、責任を分担してやっていかなかったらかなわぬとか、あるいはまた一造船会社では全責任は負えぬとかいうことを言い出して、そのまま放置しておくことも私は問題だと思うのです。こういうことを言い出すのがすでにおかしいことではないですか。  それはそれにしておきまして、次に、三十六億の建設費では安過ぎる、船台を長期占領されてはそろばんが合わない。——費用が安いのになぜ計画を立てたのですか。これも造船界にはおそらく相談してやっただろうと思うのです。それよりも私が心配なことは、費用が安いからそのままでおさめてくれということで、ほんとうにそのとおりなら、安上がりのまま手を抜かれて原子力商船をつくられたら、これまた災害の面から、事故の面から、たいへんなことです。これは三河島や炭鉱の事故程度では済まない大災害が起こります。往往にして事業団とかあるいは公団とか、さらにまた建設会社は、事業によく手抜きをやります。高速道路でも手抜きをやって、えらい事故を起こしたこともあるのです。そういうことをやられたらたいへんですから、十分金をかけてやってもらわなければ困ると思うのです。こういう値切り方をして、どういうおさめ方をするのか知りませんが、まあまあということで予算の中でおさめられたら、おかしなつくり方をしておる場合には、まあまあと言ったほうに責任がありますよ。  それからもう一つは、そうしたらもう少し費用をふやそうじゃないか、来年度予算の中で計上いたしますということを約束したら——これだけ重要な問題ですから、物価の値上がりも相当考えた上で立てられた計画だろうと思うのです。それにまた予算をふやせということで、あの東海道新幹線の予算のように次々に予算を要求されたら、これまた困るじゃないですか。そんな点を一体どう考えておるかという点をひとつお聞きしたい。十分考えてもらいたいと思うのです。
  8. 村田浩

    村田政府委員 私、先ほどの御説明一つ申し落としたと思うのでございますが、いわゆる原子力船としての安全性確認につきましては、もちろん原子力船開発事業団契約を行ないました後に、実際に建造に着手いたします前の段階総理大臣設置許可申請をいたします。設置許可申請の際には、契約内容となりました技術的資料を全部そろえて申請してまいるわけでございまして、これらの技術資料原子力委員会にはかり、原子力委員会では原子炉安全専門審査会に技航されるものが原子力船として十分安全であるかどうかを確認いたしました上で改めて建造に着手することを許可いたすわけでございますので、そのような意味においての安全性確認については、政府として十分責任をとれる形で仕事を進めることに相なるわけでございます。その点の説明が落ちておったと思いますので、補足させていただきたいと思います。  次に、船価三十六億円というものがどのように見積もられたのか、これがもし造船所が言うがごとく安いというのではおかしいではないかという御質問でございますが、ただいま三木先年からお話がございましたように、三十六億円なる船価の見積もりは、決して事業団側がかってにつくったものではございません。もとをたどりますと、原子力船開発事業団ができる前に原子力船研究協会というのがございましたが、ここに政府からも委託費を出しまして、いろいろと原子力船開発についての研究調査をお願いしてきておったわけでございます。そこで調査研究しました資料もとにして、原子力委員会原子力船専門部会でさらに検討を行ない、その結果が今日の原子力第一船の計画に発展してまいったわけでございます。その段階では、一度出てまいりました推定建造費といたしまして、三十四億五千万円という数字が実はあったわけでございます。この数字一つの根拠になりまして、原子力船開発事業団ができましたのちに、事業団が関連の造船工業会あるいは原子炉グループ、こういったところの協力も得まして、船価の再検討を行ないました結果、これが三十六億円ということになりまして、このような線で大蔵省の了承もとりまして、三十九年度の債務負担行為額の中に計上されておる、こういう経緯に相なっております。  したがいまして、三十六億円というものが、原子力船をつくるには全く不十分な、とるに足らない価格だということは私はあり得ないことであると考えております。  ただ、しからばなぜそういうことを造船会社が今日言うのかということは、思いますに幾つか理由はあると思います。たとえば、一つは、想定をいたしました、積み上げをいたしましたときからの物価の変動の問題、それからもう一つは、この想定をいたしましたときには必ずしもそこまでのことを考えておりませんでしたような設備機器等も、できれば建造する際に一緒に契約いたしたいという考えもあったわけでございまして、それは直後原子力設備とは関係はございませんが、たとえば船の操縦性を非常によくすることが知られて、最近の造船技術の中では一つの新しい改良要素となっておりますバウスラスターを、当初考えにはございませんでしたが、できれば取り入れたい。あるいは、これまた新しい造船技術発展分野でございます電子計算機による自動操縦装置開発といいましょうか、そういったようなものもあわせて原子力第一船の酒造に関連して附発を進めたい、こういうふうなことも事業団のほうで考えられまして、そういった点もあわせて競争入札の際には造船会社側にはかる。そういったものが当然いろいろと、開発及び製作に金がかかるわけでございますので、そういうものを含めましては、なかなか三十六倍ではできないということを言っておることはあろうかと思います。  実際に契約がされます際には、予算上の問題もございますし、三十六億円で発注するということになるわけでございます。が、私どもといたしましては、そういうようなただいま申しましたような、新しい原子炉とは直接関係はない、しかし、将来の原子力船として開発しておいたほうがあるいはよろしいかもしれない、そういった特殊な装置等は除きまして、原子力船としての機能を十分確保し、安全性はもちろん十分確保されるようなものとして、この三十六億円で一応発注ができるものと考えております。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これについてはどうせまた四、五日後に、事業団や、できれば造船界の代表なんかにも来てもらって、あるいは大臣にも、詳細にその問題点なり内容ないをお聞きしたいと思うのです。  政治の場として、あるいは行政の責任者として考えなければならぬことは、あなたはいま三十六億円でだいじょうぶだ、こうおっしゃった。しかしながら、一方は三十六億円でできないと言っておるのですね。そうすると、そこで足らないものの中で仕事をおさめてしまうことに科学技術庁は踏み切るのか。足らぬと言った分はどうしても十分にするために、将来予算をふやして、あるいはまた追加して、十分なものをつくろうとするのか。そこの態度をきめぬことには、これは政治の場の解決をつけぬことには——あなたがおっしゃるのは、事業団が言うことやら造船界が言うようなことを理由に触れられたのですけれども、それはこの次に聞くとして、きょうはそういう方々見えておりませんので、そこをどうするのか。私は、先ほどもお聞きしました安全性とかあるいは規制法とか、こういうものをつくる以前に一番問題になるその胴体が予算的に不安定なままで、どちらにするともきまらぬなりにやるということは非常に危険だということなのです。きょうは大臣がおられませんから、そこまでこの予算の面でお聞きすることはやめましょう。今度大臣がおいでになったときに私は聞たいと思います。  その次に、これもひとつ考えの中に入れておいて、よく大臣に言っていただいて、この次に、はっきりした答弁をしてもらいたいと思うのですが、予算が流れるとメンツの問題がある。妙なところへ話がだんだんいくわけですね。メンツじゃないのですよ、私は安全な原子力商船をつくってもらわなかったら困るのです。メンツにこだわって、そこそこにおさめてもらっては困るのに、こういうことをやりそうですね。これが事実かどうかということはまたこの次に聞きたいですが、造船工業会佐藤三菱重工の副社長にあっせんを要請した。そうして近く総理がこのあっせんに乗り出す。これは明らかに相手方の軍門に下ってしまうことになるわけです。相手方の言いなりになることになるわけで、こういうところにも国民の知らない間に裏工作が行なわれてしまうわけなのですね。まあまあということですよ。こういうことは科学技術を中心にして、特に世紀の大事業です。南極観測船も大事業だったと思いますけれども、それよりも非常に先端な科学を取り入れての問題ですから、これは私は世紀の大事業だと思うのです。そういうものが、まあまあということやら裏工作でやられるということになると、私はもうたいへんだと思うのです  そこで、事業団がそういう自信のない事業団なら、やめてもらったらどうですか。もう一ぺんやり面したらどうですか。それにまた、造船界がこんなえてかってなことを言って、世紀事業をやろうというそういうことに関して、国民の安全というようなことを念頭に置かぬで、もうけ主義的のことを第一に頭に置いて、長い間船台をとられたら困りますとか——長いこと船台をとられることはきまっておるのじゃないですか。そういうことを理由にして、いちゃもんつけるというか、もの言いをつけてくるような造船界の根性が、こういう事案をやることに対しては疑問に思うのです。これはあなたじゃないですけれども。そこで造船界がそういうことをやるのなら、やめてもらったらどうですか。  私は、きょうここへやってきて、その問題に触れぬでおいてくれということを政府委員のほうから言われた。こんなことになっておるのに触れずにおれないのです。一方では規制法というこまかしいことをきめておいて、一番胴体になるものが、こういう政治的なやり方のために危険にさらされるということになったら、たいへんなことです。科学技術庁としては十分考えていただきたい。その点についてお考えがあれば。長い御答弁は、また大臣に出てもらったときに聞くとして。
  10. 村田浩

    村田政府委員 先ほど私申し上げましたように、ただいま三木委員の御指摘のいろいろの要望は、すべて私どもも新聞紙上等を通じて承知しておるものでございまして、現実に造船会社がそういったことを事業団を通じて申してきたというようなことはございません。  私どもとしましては、この三十六億円の船価をもって十分に安全な原子力船としての機能を果たし得る船が建造できるものと考えておりますが、しからば、これでどのように足らないのかということは、もしそういう要素があるといたしますならば、先ほど先生もおっしゃいましたように、科学技術的に一つ一つ検討いたしまして、それが原子力船としての安全あるいは機能に非常に大きな支障を持つかどうかということを詰めまして、それで確かにその点をプラスしなければいかぬというようなことになりますれば話は別でございますけれども、現在そういうような科学技術的な検討が行なわれるところまで話は進んでおらないわけでございます。つまり新聞等で三十六億円では足らないというようなことが伝わっておりますが、どういうことで金がどのくらいかかるから足らない。つまり三十六億を査定しましたときに考えなかった要素、あるいは、考えたけれどもその後事情が変わってこのように高くなった要素、こういうことであるから三十六億ではおさまらぬのだ、こういうふうに具体的に数字的な説明がございませんと、はたしてほんとうに三十六億円では十分安心のできる船ができないのかどうか、この点は申せないと思います。  しかし、そういうことが明らかになりますれば、これは当然政府として国民の不安を買うような船をつくる意思は毛頭ございませんので、十分に検討していきたい、こう考えております。
  11. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それならそれで、愛知長官は、事業団、工業界の自主性を尊重して、静観の態度をとろう。私は、この態度はいいと思います。  こんなところでそれを言うのは悪いですけれども国民的な考え方、しろうとの考え方で、間違っておるかもしれませんけれども、いま造船界は不況だからというので、国から資金を貸してもらって、しかも、その資金を国民の税金によってまた利子まで補給さしてもらって、至れりつくせりの保護を受けておるわけであります。にもかかわらず、こういう世紀事業をやるというときに、いざというときになったら、責任が持てません、お金が足りません。いままでずっと何していたかということです。佐藤総理が三顧の礼を尽くしてお願にあがるというようなことが書いてある。あるいはあっせんに乗り出すということが書いてあるのですが、非常に苦々しい感じがするのです。何が三顧の礼ですか。光栄に思ってやるべきですよ。いままで予算がちゃんと立っておるのですから。そういうようなことが安全性という問題から私は非常に不満に思います。  幸いあなた方は、原子炉安全性確保に対して、その損害賠償の措置やらあるいは規制を国内法的に整備されようとしておることは、けっこうだと思うのです。そういう問題をひとつ十分根本に立って考えてもらって、そういうおかしなことを言うものなら、私はやめてもらっていいと思うのです。できなければできないでいいじゃないですか。それをどうぞどうぞといって、おかしなものをつくってもらったら困ると思うのです。それで申し上げたのです。  もう時間がありませんので、ひとつ項目的にお聞きしたいと思います。  規制法をつくろうとするこのことは賛成で、けっこうだと思うのですけれども、最も重要な点が抜けておるのは、さきがた申しましたように原子力潜水艦に対するところの問題です。安全性資料を入手することができない。そこで、ただ相手のいう安全ということを信頼して審港を承認した、こういうのですが、水爆の父といわれておるエドワード・テーラー博士すら、みずから原子力潜水艦に乗ってみた経験に基づいて、「過去の安全運転にだまされてはならない。作戦上不可欠な場合といえども、人口稠密な港に入港することは控えるべきである。特に外国の港に入浴するときにおいてしかり」ということを言い切っておるのです。それに、そういう問題を取り扱う省庁として、その稠密な港に対してもし市政が起こった場合にどんな避難処置をするか、こういう問題が抜けておるのじゃないかと思うのです。これは原さんがあすおそらく質問されるだろうと思うので、あなたに責任のある答弁を要求するのもちょっと無理かと思いますので、あすは大臣なり総理にお聞きすることになると思うのですが、この点は準備ができておるのですかどうですか。その点だけちょっと聞かせてください。
  12. 村田浩

    村田政府委員 原子力潜水艦あるいは原子力商船、船舶にこのように原子炉を搭載しましたものが人口の稠密な港に入ってくる。その際事故が万々一に起こりましたときにどうするかという問題でございますが、現在その点で一番多くの経験と実績を持っておりますアメリカ原子力委長会等で考えております考え方が、やはり私どもとしてもいろいろこの問題を考える上に一つの示唆になると思うのでございます。先ほど三木先生からテーラー博士のことばを引用されておりますけれども、潜水艦につきましては、遺憾ながらこれが軍艦でございますために、どのような機能であり、したがって、その機能もとにしてどのような災害評価を行なっておりますか、その点の資料一つも入手することはできないわけでございます。  しかしながら、原子力商船の場合には、昨日御説明申し上げましたSOLAS条約の中にもありましたように、寄港を希望します当該国政府にあらかじめ安全を評価するに足る安全説明書を渡し、その政府の承認を受けなければならない、こういうことになっております。ここで申します安全説明書、セーフティー・アセスメントと言っておりますが、この安全説明書は、すでに一昨年でございますか、サバンナの見本的なものがわが国のほうにも渡されております。これを資料としましては二年前のものでございますので、もし新たにサバンナ号日本寄港いたしたい、こういうようなことに相なりますれば、あらためてまた新しい安全説明書を送付することになると思いますが、それにいたしましても、基本的にはSOLAS条約にいいます安全説明書というものがどういうものであるかということは、二年前に入手しましたものでおおよそ見当がつくわけでございます。  それによって検討いたしますところでは、この安全説明書は、ちょうど国内におきまして新たに原子炉設置するという場合に、現在の原子炉規制法の二十三条によりまして、設置者が総理大臣の許可を申請いたします際に提出いたします必要な資料とほとんど一致いたしておるものでございます。それだけ技術的にも非常に詳しい資料でございます。さらに、その中には、原子力船自体の設計、建造等に関する技術的資料のほかに、万々一事故を起こしました場合のいわゆる向こうで申します最大想定事故でございますが、この最大想定事故を起こしましたときの事故解析ということも中に含まれております。このような最大想定事故事故解析も、われわれのほうで十分安全専門審査会にはかりまして検討いただきまして、その結果、わが国の港に入りますときに考慮すべき事態はどういうものであるかということが科学的に判明いたすわけであります。  その際の考え方といたしましては、これはサバンナ号においても今日とられておるやり方でございますが、船の周辺に管理区域あるいは低人口区域というものを考えるという考え方に立っております。この管理区域の大きさ、あるいは低人口区域の大きさといいますのは、原子炉の規模、運転の状況等によって違ってまいるわけでございます。サバンナにつきましては原子炉機能等は十分明らかでありますし、使用条件等もはっきりいたしておりますので、その点から計算して出てまいるわけであります。具体的には、船からの所要の半径をどのくらい見るかということが数字的に出てまいるわけであります。それで、昨日御説明申し上げましたSTS10という港湾操作書にもございますように、そのような管理区域及び低人口区域につきましては、万々一想定される最大想定事故が発生しましたときには、この中におります人を所要の時間内に退避させることを考えております。すなわちサバンナで申しますと、管理区域内においては二時間以内、低人口区域内においては二十四時間以内、こういうことになっております。これは事故の際に船から漏れました放射能の被害によって、その地域におります人の被曝の状況を甲状腺に対して最大三百レム、全身に対して二十五レムという一つの被曝基準から輝き出したものでございます。この管理区域及び低人口区域といいますのは、その中におります人は、これは一般の居住区ではないわけでございます。船の周辺あるいは船の中におりますお客さん、乗り組み員、あるいは埠頭において働いております従業員、労働者、そういったものは入ると考えられますが、港の周辺に住んでおられる一般居住区の人たちというものはその外に置かれておるわけでございまして、サバンナ号の港湾操作書を見ましても明らかなとおり、低人口区域外におられる一般の居住区の住民に対しては別段退避等の問題は考えられていないわけでございます。  そのような趣旨で、私どもといたしましては、原子力潜水艦についても考えられている、アメリカにおいてとられているあらゆる予防措置というものは、たとえばそのような措置を含むものである、このように了解しているわけでございます。わが国における原子力船につきましてのこのような停泊基準といいますか、これにつきましては、現在原子力委員会原子力船安全基準部会におきまして検討していただいておりますが、その際には、昨日御説明しましたサバンナ号の海湾操作書等も十分参考にしてやっておりますので、その問において考え方のそごはないものと考えております。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この前、兼重原子力委員が、潜水艦についての問題で、これに乗っておる人は自信過剰と思われるくらい安全性について自信を持っておる、こう言っておる。にもかかわらず、いま私が読みましたように、その自信過剰ということが非常にあぶない。エドワード・テアーラー博士さえも、そういうものにだまされたらいかぬ、そして作戦上不可欠の場合といえども人口稠密な港に入港することは控えるべきだと、こう言っておるわけなんです。  商船の場合には、これはあなたがいま、いろいろな安全性確保に対するところの資料の提出を求め、そしてそれによって対策を立てていくということも言われているわけですが、しかしそれは、サバンナ号資料を私入手していま読んでみましたら、あなたがおっしゃるように、船に乗っておる人とか港におる人とかを対象にしておるのです。しかしながら、あの資料にも書いておるように、三十度の角度で扇形に——事故の大きさにもよりますけれども、その風下におる住民は全部退避しなければならない、こういうようなことまで書いてあるのです。この前、原子力潜水艦日本に入るといったときに、政府も緊急避難対策を立てたわけなんです。それはB29に対する竹やり式な児戯にひとしいやり方で、世のもの笑いになってしまったのです。そういうものがあったとかなかったとかいうことで、かなり物議もかもしましたけれども、ぬれタオルで口をふさいで押し入れの中に入れとか、そういうようなことをいわれておったのですが、今度はそれしきのものでは私は済まされぬと思うのです。  そこで、そういうものがあるのかないのか、つくられるのかどうかということをお聞きしておるのです。簡単に言ってください。
  14. 村田浩

    村田政府委員 私どもの専門部会等にもはかりまして、検討してやっておりますところでは、一般居住区の住民に対する事故の場合でございますが、待避というような措置は必要ないものと考えております。必要ないように措置できる、このように考えております。  といいますのは、サバンナ号の場合でもそうでございますし、原子力潜水艦の場合でもそうだと思いますが、同じ原子力施設でも、船舶の上に設置されてありますものは、沈没すれば別でございますけれども、そうでありません場合には、事故を起こしましてもこれを遠方へ隔離することができるわけでございます。そこで、昨日の港湾操作書にもございましたように、タグボートを用意する。タグボートの用意が直ちにできる状況においてはそれなりの近接が可能になる。あるいはタグボートの用意が非常に手間がかかるようであれば、それだけ離したところに停泊させる。さらに、事故が起こって三十日間放置しても何らその周辺には影響のないような場所に遠隔投錨地をつくって、もし事故が起こりましたら早急にそこに、補助エンジンなりあるいはタグボートで引っぱっていってつなぐ。こういうことで、陸上の施設とは違いまして、これは移動できるものでございますので、炉のほうを一般住民のほうから引き離していく。こういう考え方に立っておるわけでございまして、その点でいわば一つの有利な点があるわけでございます。  そういうことでございますので、船舶に積まれました原子炉によって生ずるかもしれない万々一の事故の際に、周辺のただいま申しました管理区域とか低人口区域内にあります従業員あるいは乗り組み員あるいは訪船者、船に対する訪問客、そういったような人たちの待避ということはその際には当然必要であろうと思いますが、一般住民の待避が必要になる前に当然船は遠いところへ引っぱっていく、そうして事故の発生源を遠ざけるという基本的な考え方で処理し得るもの、このように考えておるわけでございます。
  15. 三木喜夫

    三木(喜)委員 村田原子力局長の話では、陸上の一般住民に対する避難とかそういうことをする必要はない。これは私と非常に考えが違いますから、また後の機会に議論いたしましょう。  しかし、何回も同じことを言いますけれども、エドワード・テーラー博士すら、人口稠密な港に入港することは控えるべきだ、特に外国の港に寄港する場合においてしかりと言い切っておるのです。これは軍艦であって安全保障条約条約下にあるわけなんですが、そういうものですらこう言い切っておるのです。商船ですから、それはわれわれとして十分これについて検討していかなければならぬし、実態を見きわめていかなければならぬ。あなたがおっしゃるように、タグボートで引っぱり出すというような方法もあるでしょうけれども、それを引っぱり出せる間はいいですよ。そうではない事故の場合には、引っぱっていきますでは済まされぬと思うのです。それは私は責任ある答弁ではなくて、国の施策としても下の下だと思います。やはり十分な施策をしておくことが私は必要だと思いますので、この議論はあとにしたいと思います。  そこで、これはこの前も私は言ったかとも思うのですが、原口神戸市長が、神戸市会で原子力船寄港で答弁をしております。それは、「米国の原子力商船サバンナ号が神戸に入港する場合は歓迎したい、」こう発言しております。私はそのことばを取り上げるわけではないのですけれども、こういうように政府施策なりあるいは考えがイージーであれば、地方におるところの市長、こういう人もこんなに簡単に発言をするようになるわけです。  今度サバンナ号が入りますと、港長の責任が非常に重いのです。しかしながら、地域の住民の長である人がこういうような問題のとらえ方をしておるようでは、港長とてもこれに対して同じような気持ちになってしまうと思うのです。それを非常に心配するわけなんですね。  そこで私は、このサバンナ号入港する場合には、その港の長にまかすのでなくて、科学技術庁はこれこそ人員をふやして、専門家をここに駐在さす。あなた方の考え方では、人手が足りないから港長に全体の責任をまかせるのだ、こういっておりますけれども、それくらいの用意があってしかるべきだと私は思う。この点はまだ今後の問題ですから、ひとつよく考えてもらいたいと思うのです。それについてのお考えをひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  16. 村田浩

    村田政府委員 実際にサバンナが日本の港に入ります場合に、横浜なり神戸なり、そういったところに科学技術庁から専門家を常駐させるというようなことを考えるべきではないかという御指摘でございますが、現在におきましては、私どもはそのように措置をとることは考えておりません。  しかしながら、港長にすべて責任をまかせ切りにして、そして受け入れについての安全性を確保する、そういうことではございません。こまかいことにつきましては、その港の中におけるいろいろ港則法上からきますこまかい規則がございます。そういった点の運用につきましては、もちろん港長の権限にあるわけでございます。しかし、原子力船というこの新しい要素がここに出てまいりましたにつきまして、一般の船舶とは、三木先生指摘のとおり、迷った問題があるわけでございますので、特に原子力の安全といった点では総理大臣のほうで、具体的には科学技術庁のほうで、原子力委員会ともおはかりしつつ、当該港に入りますについての規制上の必要な問題は十分に検討しました上で、これを運輸大臣を通じて港長のほうへ指示する、そういう仕組みで考えております。運輸大臣を通じます際に、運輸大臣は、さらにまた運輸省といたしまして必要な措置があれば、それも加えて港長に指示いたすわけでございまして、そのように慎重に取り運びたいと考えております。ただ港長の一存で原子力船の安全を確保する、そういうようなことではなく、所管省庁であります科学技術庁並びに運輸省の技術陣も十分動員いたしました上で検討した結果による必要な指示を徹底させてまいる、こういう方向で考えております。
  17. 三木喜夫

    三木(喜)委員 次に決算委員会のほうへ行かなければなりませんので、もう一つだけ念のためにお聞きしておいて、自後の問題はそれぞれの体制を整えていただいたときに質問したいと思います。  概略的なことばかりになってしまって申しわけなかったのですが、次にお聞きしたいことは、これはずっと社会党と自民党の問で意見が対立してきたのでございますが、原子力潜水艦にせよあるいは原子力満船にせよ、その安全性の問題でずいぶん意見が対立して今日まできました。その中で、私非常に遺憾に思うことは、どこの国でも学者の意見というものを非常に尊重いたします。しかし、日本は、何かイデオロギーの対立のために、学君まで一方に加担したような偏見を持って、学者に対して政治家が——政治家は何もわからないわけなんです。あなたは専門家だからよくおわかりでしょうけれども——曲学阿世のともがらだとかなんだとかいって、学者を誹謗して、そしてその意見を聞かなんだような政治家もあるわけなんです。今度の場合は、やはり重要な問題ですから、学者の意見をこの規制法についても聞く用意があるかどうか。私はいろいろ資料は見せてもらったですけれども、私たちもこの委員会に専門の学者を呼んで聞いてみたいと思っております。あなた方はその学者の意見も尊重するという考え方をお持ちかどうかということをひとつお聞きしておきたい。  これはこの委員会責任ですから、またあとで委長長にお聞きしますけれども、なぜそういうことを言うかといいますと、冒頭にお聞きしましたように、極限の科学をいまから駆使してつくらなければならぬ原子力海船で、政治的にこれをおさめていこうというようなあいまいな態度がありますから、この規制法についてもそういうような謙虚な態度をもって臨まれるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  18. 村田浩

    村田政府委員 規制法の改正、あるいは規制法そのものについてもそうでございますが、これは行政上の手続を規定するものでございますので、これは行政府責任もとにつくられ、そうして行政府責任もとにそれが施行されるというのがたてまえであろうと思います。  しかしながら、先生の御指摘の専門家、学者といいますか、そういう方の意見を十分聞いて、安全性の確保につとめなくてはならないということは、これはまことにそのとおりでございまして、その点はこの規制法を運用していきます際に、たびたび御指摘もございます原子力委員会にはかります。原子力委員会では、原子力委員会の中に学界を代表して入っておられる委員ももちろんおられるわけでございます。たとえば、現在では東京大学物性研究所長の武藤俊之助先生のような碩学も入っておられるわけでございますが、さらに広く各界の専門家を集めて構成されます原子炉安全専門審査会におはかりして、技術的な判断はこれら専門家の方に十分検討していただいて、そのして、いただいた御判断に沿って私どもは行政的な手続をしてまいる、こういう趣旨でございます。この原子炉安全専門審査会は三十名の定員でございますが、そのうち十四名は学界から入って、十二名ほどが国立の試験研究機関等から、たとえば原研その他から入っておられます。そのような多数の専門家におはかりいたして、純粋に科学技術的な見地から審議を尽くしていただくわけでございますので、先生の御心配のような点はないもの、十分この中でカバーされてまいるもの、このように考えております。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、行政的な手続だから学者の意見は聞く必要はない、こうおっしゃるのですか。そうすると、私は原子力委員会のあり方というものについてどうも文句を言いたくなるのです。これに問題があるのですよ。それが一つ。  それから、あなた方、安全性を審査する場合に、原子炉安全性を審査する専門家に、原子力潜水艦入浴のときにはかったかどうかということが問題になったでしょう。ことばは非常にいいのですよ。しかしながら、肝心のときにはかってないじゃないですか。行政的な措置さえやっていない。これは軍艦だからしかたがないというて、逃げたですね。  そうすると、これは委員会で取り扱う問題ですけれども、これで十分だ、そういうことは行政的な問題だから学者に聞く必要はない、行政的に十分手配をした、こういうようにおっしゃるのですか。
  20. 村田浩

    村田政府委員 私が申し上げましたのは、規制法の改正案の立案といいますか、この問題につきましては、もちろんこれは原子力委員会にはおはかりいたしております。原子力委員会での御意見も十分伺っておるわけでございますが、実態の運用という点は別でございます。法律面におきましては、むしろ政府内における法律のそういう意味では専門家でございます法制局等に十分おはかりして、そうして国民の福祉厚生に影響がある問題等も含めて、他の一般的なそういうことの法律との関係等も十分広く見まして、そうしてそういった点で支障がないことを確認して、法制局の審査も受けまして立案してまいる、こういうことを申し上げたわけでございます。これが一般的にこのような法律をつくります前の手続であろうかと思うわけでございますが、原子力関係でありますために、他と違いますのは、私ちょっと申し落としましたけれども原子力委員会に十分におはかりして、原子力委員会の御了解を得てやっていきたい、こういう点をつけ加えさせていただきます。
  21. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私はこれでおきますけれども、こういう重要な問題ですから、法的な手ぬかりはないか、あるいはまた行政的な手ぬかりはないか、これだけでは済まされないと思うのです。  そこで、いつの機会か、この法案の審議をやる場合に、しかるべき専門の学者を呼んでいただきたい、これを一つ要望しておいて、終わりにしたいと思います。
  22. 岡良一

    ○岡委員長 三木委員の御要望は、十分理事会において検討いたしたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十四日水曜日、午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会