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1965-03-17 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十七日(水曜日)    午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 岡  良一君    理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君    理事 中曽根康弘君 理事 福井  勇君    理事 前田 正男君 理事 田中 武夫君    理事 原   茂君 理事 三木 喜夫君       荒木萬壽夫君   小宮山重四郎君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       渡辺美智雄君    山内  広君       内海  清君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君  委員外出席者         外務事務官         (条約局外務参         事官)     佐藤 正二君         外務事務官         (条約局国際協         定課長)    徳久  茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(外国原子力船の  寄港に関する問題)      ————◇—————
  2. 岡良一

    岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  新聞報道などによりますと、今年度中にアメリカ原子力船サバンナ号日本寄港することにもなっております。また、国内的にも原子力船第一船が、日本原子力船開発事業団によって契約が成立次第、今年度より建造に着工することとなっております。  これら最近の原子力船開発進展状況にかんがみ、外国原子力船本邦立ち入り許可及び国内原子力船入港等について所要の規制を加えるため、今回内閣より核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案が国会に提出されておりますが、本案は、本会議趣旨説明を聴取した後、委員会に付託されることになっております。  そこで、本日は、外国原子力船本邦寄港に関して、要求いたしておきました資料が提出されましたので、これより関係当局よりそれぞれ説明を聴取することといたします。  それでは、まず外務省徳久国際協定課長より、仮称原子力船運航者責任に関する条約、並びに一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約、及び原子力船サバンナ号寄港に関する二国間協定について説明を聴取いたします。徳久国際協定課長
  3. 徳久茂

    徳久説明員 最初に一九六〇年の海上における人命の安全のための条約概要を御説明申し上げます。  この海上における人命安全条約は、沿革的に申しますと、一九一四年、大正三年でございますが、最初の原条約と申しますか、一番最初条約が署名されております。そのきっかけになりましたのは、御承知のとおり、当時のイギリスの豪華旅客船でございますタイタニック号というのが、北氷洋で流氷にぶつかりまして、千五百名程度の旅客、それから乗り組み員が生命を失うというような事件がございまして、当時のドイツの皇帝が主唱をいたしまして、海上における人命安全のための統一基準をつくるべきではないか、そういうイニシアチブをとられまして、それで最初条約ができたわけでございます。それ以来、四回条約の内容の改正が行なわれております。  いま御説明申し上げます一九六〇年の海上人命安全条約は、昭和三十五年にロンドンで開かれました外交会議で採択されたものでございまして、それに先立ちます一九四八年の条約改正も行なっておるものでございます。わが国は、戦前からこの条約に入っておりまして、ずっとそのつど改正条約を批准してまいっているわけでございます。  条約概要でございますが、この条約は、最初に十四カ条の条約本文を設けておりまして、この条約と不可分の一体をなします八章百九十八規則条約にくっついているわけであります。条約本文では、主として条約上の手続事項をきめておりまして、実際にいわば海上の安全をはかるという意味での実体的な規定はすべていま申し上げました百九十八規則の中に入っておるわけであります。  この規則のほうが八章からなっておりまして、どういう区分けになっているかと申しますと、まず船舶運航環境を安全にするという目的で第五章というのが設けられておりまして、これにいろいろ規定があるわけでございます。  それから、船舶自体でとるべき安全措置というものを第二章できめております。  それから、これは積み荷関係でございますが、危険な積み荷を載せる場合には、その種類とか、あるいは積みつけ方法と申しますか、載荷の方法をいろいろ制限しております。これが第六章、第七章に規定せられております。  船舶が遭難した場合に救助を求める手段をいろいろ統一的にきめております。  船舶を放棄する場合に、安全に脱出して救助を待つための措置ということも、これもいろいろ統一的にきめておるわけであります。これらが第三章、第四章に含まれております。  それから、ここにあげましたようないろいろな要件がありますのですが、こういう要件を励行するための手段といたしまして、締約国政府責任でいろいろ検査をして、その要件に合致しているという証書を発行することになっております。これが第一章になっております。  原子力船についての規定でございますが、これは一九六〇年の海上人命安全条約で初めて加えられた規定でございまして、これは原子力船特有危険性があり得るということにかんがみまして、いろいろ適切な措置をきめているわけであります。  第八章概要を申し上げますと、第八章は十二の規則からなっております。  第一規則適用範囲をきめておりまして、この原子力船に関する規定軍艦には適用がないということを最初に書いてあります。  第二規則で、原子力船というのは、これは特殊なものであるけれども、その他の章の規定、先ほど申し上げました船舶安全についてのその他の規定というのは、これは一切適用されるんだということをいっております。  第三規則でいっておりますのは、いろいろな要件が、一般船舶の場合には特定の場合に免除されるような規定があるわけでありますが、原子力船についてはそういう免除規定が及ばないということを第三規則でいっております。たとえて申しますと、通常沿岸航海に従事しているような船が、たまたま一回だけ国際航海をやるというような場合には、一般の船については規定適用がないということをいっているわけでございますが、原子力船の場合にはその免除が及ばずということをいっているわけであります。  第四規則、第五規則原子炉装置についていろいろ規定をしているわけでございます。原子力船舶に使います原子炉装置は、振動、それから波浪による衝撃等のほか、衝突とか火災とか転覆とか沈没とか、そういうような非常の際の条件というものを考慮して設計しなければいかぬということを第五規則でいっております。それから設計、構造、検査、組み立ての基準、こういうものは主管庁が、つまり原子力船所属する国の主管庁が承認しなければいかぬ、それから検査放射線の存在により制約されることを十分考慮したものでなければならぬということを第四規則で述べております。  第六規則でいっておりますのは、原子力船の船員とか、あるいはそれが旅客船である場合の旅客とか、そういうものだけではなしに、一般の公衆、水路、それから水資源といったようなものにつきまして、第三者に危険を生じさせないように原子力船所属国主管庁措置をとらなければならぬということをきめております。  第七規則では、原子力船が他の締約国におもむく場合には事前に安全説明書というものを前広に提出しなければいかぬということをきめておりまして、この安全説明書というのは原子力船所属国主管庁が承認したものでなければならぬ。それから、常に現状はその説明書に書いてあります要件に合致したように取り計らっておかなければいかぬということを述べております。  第八規則操作手引き書というものをつくっておいて、この手引き書というものはやはり原子力船所属する国の主管庁の承認を受けておかなければいけない。その手引き書はいつも船内に備えつけておいて、その要件に合致するようにしておかなければいかぬということをきめております。  第九規則、第十規則検査証書についての規定でございます。  第十一規則で、原子力船が他の締約国の港に入ります場合には、沿岸国の特別の監督に服さなければいかぬ。特別の監督と申しますのは、船内に有効な証書があるということ、それから海上または港の中へ不当な放射線その他の危険が生じないことを確かめるための監督、そういう特別の監督に服さなければいかぬということを書いております。  第十二規則で申しておりますのは、かりに万一原子力船でその周辺に危険を及ぼすようなおそれがあるというような場合には、原子力船の船長はすぐ自分の所属の国の主管庁に通報する。それからその船舶がおります水域、あるいはこれからおもむこうとする水域の属する国の権限のある政府機関にこれを通報しなければいかぬ、そういうことを規定しております。  海上人命安全条約の大体の概要と申しますか、主として第八章原子力船についての規定説明したわけでございます。  次に、原子力船運航者責任に関する条約、いわゆるブラッセル条約と呼ばれているものでございますが、その概要を簡単に御説明申し上げます。  この条約の基本と申しますか、骨子は、第一に適用範囲はどういうことになっているかと申しますと、それは原子力を動力として動かしていく原子力船自体原子炉とか、あるいはそこに原子炉を動かすために積んでおります燃料とか、そういうものがきっかけになりまして起こった事故対象にしているわけでございます。たとえば原子炉貨物として積んでいるというような場合、あるいは放射性物質を積んでいる。積んでいる貨物から生じたような損害というものは、これは適用外ということになっております。  いま申し上げましたような原子力事故につきましては、運航者——オペレーターと申しておりますが——運航者に無過失責任を負わせるということをはっきりさせております。  それから、これは原子力船運航者事業の発展を考えてやらなければいけませんので、その責任限度額というものを十五億金フラン、大体一億ドルでございますが、その限度に押えております。  それから、原子力事故が生じましたときの裁判管轄権、それから運航者求償権をどうするというようなことをいろいろきめておるわけでございます。  先ほど、海上人命安全条約の第八章軍艦には適用がないと申し上げたわけでございますが、ブラッセル条約のほうは、そういう原子力設備を持ちますあらゆる船舶適用があるという立て方になっておりまして、これはその適用があるということになっています。  ただ、このブラッセル条約は、原子力船を持っている国が一カ国、しからざる国が一カ国批准して発効するということになっておるのですが、いまのところ批准措置をとった国はございません。原子力船を持っている国が現在のところ米ソでございますが、いずれも、いまちょっと申し上げました軍艦適用対象に含めるということに反対しておりまして、この両国とも現在のところ批准措置を講ずる見通しは全くございません。  簡単でございましたが、以上でございます。
  4. 岡良一

    岡委員長 次に、一九六二年国際放射線防護委員会勧告及びサバンナ号入港基準概要について、村田原子力局長より説明を聴取いたします。村田原子力局長
  5. 村田浩

    村田政府委員 お手元に「一九六二年国際放射線防護委員会勧告(抜萃)」という非常に薄い資料と、それからPORT OPERATION OF THE N.S.SAVANNAH and including revisions of 970/9870こういうものをお配りしてあると思いますが、この二つによりまして御説明申し上げたいと思います。  まず最初の一九六二年国際放射線防護委員会勧告でございますが、この概要をちょっと申し上げます前に、各委員も御承知と思いますけれども、この国際放射線防護委員会及びその勧告の性格について、若干御説明申し上げておきたいと思います。  国際放射線防護委員会通称ICRPと呼んでおりますが、この委員会は一九二八年国際放射線学会議、これは国際的な放射線学に関します学会でございますが、その学会の付属した組織として設けられたものでございます。この委員会には各国から放射線医学生物学等専門家が個人の資格で参加しておられまして、現在でもいかなる政府あるいはいかなる国際機関とも独立に、純粋に学問的立場から放射線防護につきましての学問の成果を一つ基準として取りまとめていく、こういう仕事を担当して今日に至っておる組織でございます。  この委員会は、現在委員長のほか十二名の委員で構成されております。各国専門家が入っておられますが、さらにその委員会の下には幾つかの小委員会を設けてございます。現在はたしか四つの小委員会が設けられておりますが、その中の第二小委員会、これは体内被曝の問題を扱う小委員会でございますが、これにはわが国放射線医学総合研究所伊沢部長が小委員として参加しております。  ICRPはこのような組織でございますが、会合は、委員会は年に一ぺん、小委員会は随時開催しておりますが、今日まで何回かその検討の結果をまとめて勧告の形で出しておられるわけでございます。  いま私ども関係してまいりますもので申しますと、一九五三年の勧告がございます。その後一九五八年の勧告がございます。現在原子炉等規制法に関連します規則並びに技術基準はこの五八年の勧告の線に沿ってつくってあることは御案内のとおりであります。その後一九六二年にまた新たに勧告を加えられております。これが本日御説明申し上げるものでございますけれども、五八年の勧告とこの六二年の勧告がどのように違ってきておるかという点をまず御承知いただくほうがよろしいかと思います。  大まかに申しますと、六二年の勧告は、その大宗におきまして五八年の勧告とほとんど大きな変化はございません。特に取り入れられました修正は二点ございまして、第一点は、生殖可能年齢婦人に対する被曝というものが、特に職業人の場合に、従来は一般的な扱いを受けておりましたけれども、特に遺伝への影響等を考えまして、その後の検討の結果、職業上の生殖可能年齢婦人の腹部の被曝、これを従来は十三週間に三レムという職業人基準適用されておりましたが、これを今回、一九六二年の勧告では一・三レムに引き下げるという修正を行なっております。  他の一点は、ストロンチウム九〇の最大許容濃度に関する点でございまして、環境にございます放射性物質の中で、ストロンチウム九〇は半減期も非常に長いためにいろいろと影響があるわけでございますが、最近までのこのストロンチウムカルシウム代謝関係についての研究結果をまとめたところ、御承知のとおりストロンチウムカルシウムと非常に化学性質が似ておるわけでございますので、体内に入りますとカルシウムと同じような行動をする。その代謝状況をいろいろ調べられました結果、従来のデータを少し修正されたわけであります。すなわち新しくできてまいります骨の中におけるストロンチウム九〇の放射能濃度と、それから食物の中に含まれておりますストロンチウム九〇の濃度との関係を調べた結果、従来空気中のストロンチウム九〇の濃度は、一かける十のマイナス十乗マイクロキュリー・パー立方センチ、一cc中に十のマイナス十乗マイクロキュリー、こういう値が許容基準として与えられておりましたところが、今回はそれを約四倍に大きくしまして、四かける十のマイナス十乗マイクロキュリーパー・ccというふうに訂正されました。水中におけるストロンチウム九〇の濃度につきましても、同様十のマイナス大乗マイクロキュリーパー・ccというのが、四かける十のマイナス六乗マイクロキュリーパー・cc、四倍に、この面ではゆるくなったといいますか、幅を大きくされたわけであります。これら二つの点がこの一九五八年の勧告に対しましてこのたびの六二年の勧告の違っているおもな点でございます。  委員部のほうからの御連絡によりますと、特にこの新しい勧告の中でも国民遺伝線量に関する部分、つまり集団全般被曝という点についてどのようになっておるかということでございましたので、この資料はその部分だけを抜き書きしてございますが、集団被曝に対するICRP勧告は、六二年の勧告も一九五八年の勧告も全く同じで変更はございません。その点もあらかじめ御了承いただきたいと思います。  そこで、この資料に入りまして、集団全般被曝につきまして、ICRP一九六二年勧告の中に書いてありますものを一応そのとおりここにリプリントいたしたわけでございますが、非常にわかりにくい点も多いと思いますので、これに多少補足いたしまして御説明申し上げます。  集団、特に国民全体に対して遺伝の観点からどのくらいまでの放射線被曝を許容すべきかということは、たいへん学問的にもむずかしい問題でございます。ICRPにおきましての検討によりますと、遺伝に関連いたしますので、胎児として胎内にありますときから、子供を生みます平均年齢、それまでに受けました放射線生殖期間に当たった放射線遺伝関係してくる、こういうことでその間における被曝量を一応きめていきたいという趣旨で出発しておるわけでございますが、その子供を持ちますまでの平均年齢ICRPでは三十年というふうにいたしてございます。そこで生後三十年間にどのくらいまでの放射線ならば遺伝上に許容できるかという点でございますが、これをICRPは五レム規定しております。この五レムときめました根拠は、ほかの部分に書いてありますところを読んでみますと、大体世界各国遺伝関係専門家の御意見によりますと、自然放射能がございますが、画然放射能は別といたしますと、医療機関等で受けますものを含め一人当たり大体三十年間に十レムくらいまでならよかろう、十レムをこすことはどうであろうか、こういうのが大体一致した御意見でございます。そこで、十レム一つ目安といたしまして、医療上、つまりたとえば結核の診断であるとか、あるいはガンの治療であるとか、そういったことで医療上受けます放射線というものがどうしてもあるわけでございますから、それを大体三十年間に五レムくらいと見まして、この五レムを差し引きました残りレム、これが原子力平和利用関係で受けます許容線量として適当であろう、こういうことに相なっておるわけでございます。  このような十レムということを基準にして出しましたもとは、これまた遺伝に関しますいろいろなこれまでの勉強の結果、たとえば国連科学委員会というのがございますが、国連科学委員会等の報告を見ますと、現在天然自然にも遺伝上たとえば何らかの欠陥を有します子供が生まれてくる。こういう率は全世界を平均しますと約六%くらいあるようでございますが、これが天然自然の放射能以外に別の人工の放射能を受けることによって倍増するというのにどのくらい放射能が必要かという点を調べてみます、とかなり幅があるのでございますが、大体十レムから百レムくらい、こういう結果が報告されております、そこで先ほどの十レムというのを一つ目安といたしたというふうに承知いたしております。  このような次第で五レムというものを遺伝関係集団被曝としての許容線量としては割り当てられておるわけでありますが、さてこの五レムというものを職業人と、それから非職業人一般方々、そういう者との間でどのようにこれを分配するかという点につきましては、これまたいろいろと学問上もむずかしい点があるようでございますけれども、一応一九五八年並びに一九六二年の勧告によりますと、五レムのうち職業人に対しましては一レム、それから、直接に放射線の作業に従事はしておりませんけれども、しかしそういう場所で働いております職業人というものに〇・五レム、その他一般集団全般被曝としては二レムというものを割り当てまして、残り一・五レムはいわばリザーブ、保留分であります。こういう予備といいますか、そういう割り当て一つ目安であろうということが書いてございます。  そこで、当面問題の職業人を除きまして一般国民遺伝に関しましての集団被曝という点になりますと、もしこの割り当ての線で考えますならば、一応三十年間に二レムという線が出てまいるわけでございまして、お配りしました資料の初めに「集団全般遺伝線量に対する二・〇レムという割当は」と、こう出ておりますのは、そこから出てまいった趣旨でございます。つまり集団遺伝に関連しまして、原子力平和利用関係から国民全体として三十年間に受くべき放射線許容量としては一応二レムというのが現在のところ目安になっておるわけでございます。  そこで、後ほどサバンナ説明にも出てまいるわけでありますが、たとえばサバンナ人口の稠密な港に入ってくる。こういうときに万々一事故を起こしましたときに、その周辺の住民が放射能を浴びる。そのことが非常に微量でありましても、多数の人が浴びるということから、そこに遺伝的な問題が生じはしないかということで、サバンナ入港基準では、国民遺伝線量としまして二百万・人レムという基準を一応出してございます。それで、現在世界の中で一応このような数字をはっきり出しました国民遺伝線量というのはサバンナの場合が初めてでございますが、このサバンナの場合の二百万・人レムというものは、ただいま申し上げましたICRP勧告とどのような関係があるかということに相なります。私どものほうで一応調べましたところでは、先ほで御説明いたしましたように、ICRP勧告による集団遺伝線量は三十年間で五レムと書いてあります。その中で一般の方の集団被曝量許容量は二レムと書いてある。そのほかにいわゆるスペアといいますか、保留分として一・五レムがある。そういたしますと、一般方々に対する許容線量としては、最大限で二レム足すことの一・五レムで三・五レムばかりあるわけでありますが、それをフルに使うということはもちろんよろしくございません。一回の事故についてはそれをずっと低目に押えておく必要がございますので、一応アメリカの計算ではこれを〇・三レムに押えておるようでございます。〇・三レム、約十分の一になるわけでございますが、〇・三レムに押えて、それとアメリカ人口、総人口でございますが、約二億おるわけでございまして、その二億と〇・三レムを掛け合わして出てまいりますのが六千万・人レムという数になります。この六千万・人レムというものを一つ目安として、これは三十年間に受ける総被曝量ということになるわけでございますから、事故がかりに毎年一回起こったとしてもだいじょうぶだ。こういう考えを一応立てますと、その約三十分の一、つまり二百万・人レムになる。こういう考え方で二百万・人レムというものを一応導入いたしておるということでございます。たいへんおわかりにくかったかと思いますけれどもICRP勧告並びにそれに関連しての国民遺伝線量として現在いわれております二百万・人レムというものの意味は大体以上のごとくでございます。  一つつけ加えて申し上げますが、私ここでレムということばをしばしば使いましたけれども、これはエックス線とかガンマ線が空気中で持っております強さをはかる単位としましてレントゲンということばがございます。たとえば私ども定期検診で毎年胸部の間接撮影を受けるわけでございますが、そういった際に受けます放射能エックス線から出てきます放射能は大体一回で〇・一レントゲンくらいだと聞いております。そういうような空気中におけるエックス線の強さをはかる単位をレントゲンといっておりますが、このエックス線あるいはガンマ線の一レントゲンと同じ効果を持ちますところの放射能の強さをあらゆる放射線について適用して、これをレムという単位で呼んでおります。したがって、エックス線とかガンマ線の場合には一レントゲンの強さがあるものが、人体に当たりますと、これは一レムの効果を持っておるということに相なるわけでございます。たとえばアルファ粒子のように非常に生体に対する効果の違いますものは、その間に一つの計数がございまして、レップとレムと違ってまいりますが、ガンマ線とかエックス線の場合には一応同じ数字で呼ばれることになっております。以上がICRP勧告関係でございます。  引き続きまして、サバンナ入港基準に関連して御説明申し上げます。お手元に、資料の番号で言いますとSTS10というのがお配りしてあると思います。サバンナの技術的な問題、安全に関連する問題につきましていろいろこれまで資料がございますが、それらは大きく分けますと四つございます。  順序不同でございますが、その第一は、先ほど外務省のほうから御説明のございました一九六〇年の海上人命安全の条約にございます安全説明書でございます。安全説明書には、サバンナの技術的な記載並びに事故解析につきまして非常に詳細に説明が掲げられてございます。  第二に、STS9という番号で知られております技術仕様書というのがございます。この技術仕様書は、アメリカ原子力委員会が編集しまして、原子力船の設置者に渡しております。そういう資料でございまして、サバンナの場合でございますと、サバンナの設備及び機能についての重要なものがそこに掲げられております。ですから、簡単に申しますと、安全説明書の中に詳細に出ております技術的資料の中の最も重要な部分を特に取り上げてまとめたものがこの技術仕様書であるということがいえると思います。  第三番目に港湾操作書といいますか、資料がございます。この港湾操作書が、サバンナが建設されておりますときに一つできまして、これは英文では、ポート・オペレーション・オブ・ザ・N・S・サバンナといわれておりますが、文書番号でいいますと九七〇の九八七〇と称する文書でございます。ただいまお手元にありますSTS10と申しますのは、この古い港湾操作書をその後改定して新しくつくったものでございまして、内容は同じく港湾の操作書ということでございます。  したがいまして、今日まで、大きく分けますと、安全説明書、技術仕様書、それから前に出ました港湾操作書、それから今般新しくできました港湾操作書、この四つに大別できるわけでございますが、このあとの二つの港湾操作書に関連しまして、さらに具体的には、それぞれサバンナ寄港いたしました港湾ごとの港湾解析書というものが幾つかすでにできておるわけでございます。たとえば付属設備を持っておりますガルベストン、ホノルルとか、そういったところのものとか、あるいは一般の商港でございますとニューヨークとかオスロとかロッテルダムとか、そういったところの港湾解析書がすでにできております。このSTS10というのは、そういう個々の特定の港におきます港湾解析書のもとになる港湾操作書と呼ばれるものでございますが、その内容は、目次のところをごらんいただきますとおわかりのように、まず入港の条件があります。次にそれを受け入れる場合の条件、それから次には港内におきましての安全管理と措置、それから港湾の解析報告、この四つの事項から成り立っております。  はしがきのところは一応省略いたしまして、入港の条件から参りますと、入港の条件は、最初の入港の場合と再入港の場合と二つに分けてございます。  まず最初の入港の場合には、本書で規定するところの港湾解析報告書を準備しなくてはいかぬ。先ほど申しましたようにポート・アナリシスというものでございますが、それが必要である、それが承認されておる必要がある。それから三番目に、その特定の港の港湾緊急時計画というものがなくてはならぬ。四番目には、後ほど出てまいりますが、その港に適当な遠隔投錨地点が定められてなくてはならないということ。第五番目には、入港の一日前には、原子炉区画換気系にございますフィルター、ろ過器の試験を行なってその性能を確認しておく必要がある。六番目に、入港の四時間前には予備操舵装置とか、いかりの機能を調べる必要がある。こういうことが掲げられておるわけでございます。  再入港の場合には、当然ただいま申しましたような条件が完備されておるわけでございますが、もし変更があるときはその変更についての許可をとってなくてはならないということが書いてございます。  続きまして、実際に入港するものを受け入れるときの条件でございますが、その場合には万々一入港中に事故が発生したというようなことがあっても周辺の住民に被害が及ばないような措置を考える必要がございますので、その点での受け入れの準備体制がかなり詳しく載せてございます。  まず第一には、ここでいいます最大想定事故とか、管理区域あるいは低人口区域、高人口密度区域等の定義が一応ございます。この管理区域、低人口区域等の考え方の基本は、アメリカ原子力委員会が定めております陸上におきますいわゆる立地基準と大体趣旨として一貫しておるものでございます。ただ、船の場合には、陸上の炉と違いまして、移動可能でございますので、その点が後ほど触れますように違ってまいるわけでございます。  そこで、次には六ページのBにございますように、万々一嘉故が発生したといいますか、想定最大事故が発生したときの条件というものを一応仮定してございます。それは第一には、炉心内に発生しておる放射能のどのくらいのものが格納容器の外に逃げ出すかということを事故基準としておるということ、それから風向、風速等の影響をどのように見るかということにつきまして、以下八ページの下の辺までそれについての計算の根拠等が示されておるわけでございます。  八ページの一番下にございますCで、原子力船を港内に入れましてどこに係留するかということに関しての条件が記載されておるのでございますが、まずその第一は、九ページの一番上にもございますようにタグボートを用意して、タグボートがどのくらいのうちにどのように動くように、応答するようにしておかなくてはいかぬというようなことが規定されておるわけでございます。  一〇ページのほうには、先ほどICRP勧告で申しました被曝最大想定事故の結果として起こった全人口被曝が二百万・人レムをこえないようにという趣旨のことが遺伝との関係で出ておるわけでございます。その次のD項で、遠隔投錨地点についての規定がございます。C項は通常の係留地点、投錨地でございますが、万々一事故が発生しましたときに、船は移動可能でございますので、先ほど申し上げましたようなタグボート等を用意いたしまして、あるいは補助エンジンでこれを遠隔のところに運びまして、そこに係留いたします。その係留地点は、そこに放射能を出す船が三十日間放置されても周辺影響のないような場所、そういう場所を選んで投錨地点をきめるようにという趣旨で考えられております。  一一ページの下のE項によりまして、通路と書いてございますが、要するにサバンナの航行する際、その航行の途中で事故が起きた場合のことが書いてございます。  以上が大体事故が起きた場合の種々の措置でございますが、F項で、このような事故が起きたときのその港湾における緊急時計画のことが述べてございます。これは一一ページの中ほどのところにございますが、そこにございますように、入る港ごとに港内の緊急時計画をつくっておかなければならない、この計画によってゼネラル・エージェント社——これは船の運航あっせん社でございますが——その職員、地方公共機関、あるいは軍当局が最大想定事故発生後必要とされるすべての措置を実施するように、いかに組織され、任命されるかを明らかにしなければならないということがいわれておるわけでございます。  その次のG項で、例外規定といたしまして、タグボートの準備が特に十分にできておる場合、ここに書いてございますように常時エンジンをかけたままのタグボートが二隻あるいはそれ以上用意されておる。つまり緊急時にその船を至急移動させることができるような準備ができておる場合には、前に述べました最大想定事故における管理区域の計算等を縮めてやることができる、こういう趣旨が書いてあります。  その次に四番目としまして、「港内における安全管理と措置」でございますが、まず最初にその中のA項で、「安全措置」としまして「放射線被曝によって公衆の健康と安全がおびやかされるような事故が発生した場合には、N・Sサバナを出来るだけ速く遠方の場所に移動させなければならない。」という基本線がまず示されまして、先ほど来申し上げましたように、事故が発生したときには直ちに遠隔投錨地のほうに移してしまう。そうして放射能が漏れても一般公衆に被害が及ばないようにする、こういう措置をとることが基本的な安全措置とされておるわけであります。したがいまして、そのような移動性を保証し得ない場合には、係留する際に原子炉をとめまして、完全にシャットダウンの状態に置かなくてはいかぬ。つまり絶対に事故が起こらぬ状況にしておかなくちゃいかぬということがその次にあります。  それから、さらにはこの管理区域の中にお客さんあるいは訪問客があるわけでございますが、そういった人たちに対しましては、万々が一の場合には緊急に退避する等の措置も出てまいりますので、そういった点から考えて、あまりに多数の人が同時に来るということも望ましくない。そういった趣旨から、たとえば一四ページにございますように、「同時に船上に滞在する訪問者の数は、七百五十人を越えてはならない。」こういうような規定も一応あるわけでございます。  それから最後に、事故解析報告書、ポートアナリシスでございますが、これは港がきまりましたときには、一五ページの一番上のBにございますようないろいろな資料を収集いたしまして、そしてその次にCにありますような内容の解析書をつくることに相なっております。たとえば「土地の地理、気象および水理についての記述」、係留地点と通路の問題、管理区域と予定係留地点との関係、管理区域の周辺における状況、こういった種々の問題をこの解析書に記載する、こういうことが規定されておるわけでございます。  非常にかいつまんだ説明でございますが、以上で私の説明を終わります。
  6. 岡良一

    岡委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日木曜日、午前十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後二時三十四分散会