○
武田説明員 武田でございます。
ただいま
委員長から御紹介がありましたように、私、一月二十二日に、
インドの
トロンベイにつくられました
トロンベイというところは、
インドの東海村というようなところでございますが、そこに新しく、
プルトニウム工場といっておりますが、
日本でいう再
処理工場が
完成されまして、その
落成式が行なわれましたので、ちょうど
インドから、
日本からも
政府を代表する者を一人招待がありましたので、私が行ってまいりました。
その当日は、午後五時半という夕方、日が落ちかけたころから
開会式が行なわれました。その
落成式というのは、ちょうど
原子力研究所の一隅にあります
プルトニウム・
プラントにすぐ隣接したところで行なわれました。その
落成式では、
原子力委員長の
バーバさん、
総理大臣のシャストリさんのそれぞれ約三十分にわたる話がありました。その後、
序幕式を行なって、一応
落成式を終わるということでございました。
この
落成式に列席したのは、約四十カ国のおもな国々の人が集まってきまして、それぞれ
原子力委員長、あるいはそれぞれの国を代表する人が出ておりました。そのほかに、大体集まられた
人たちというのは、全部で五千人といわれておりまして、
原子力研究所の
職員、それからその家族、そういう
人たちは、
さくがありまして、その
さくの中におりましたが・
さくの外まで
一般の
人たちと思われるような
人たちが集まって、熱心にその
落成式に参加しているということでございます。われわれが
日本でちょっと想像できないような、そういう雰囲気でありました。この
プルトニウム工場の
完成ということを
インドの
国民たちは非常に喜んでいるというふうに感ぜられました。
インドというのは、御
承知のように非常に貧しい国でありまして、聞くところによりますと、
月収二万円以上が大体
納税者であります。その
月収二万円というのが、
国民のわずか一一%にしかすぎないということでございます。それで、
ボンベイというと、
インドとしては非常に文化の進んだ都市のようでありますが、それでも非常に貧しい。
スラム街が連続しているというような
感じを持ったわけであります。至るところで貧しい
人たちの生活というものを、たとえば自動車で
原子力研究所に参りますときには、そういう風景の中を通ってまいりまして、一
たん原子力研究所に入りますと、もうすっかり芝生が整備されておりますし、カンナだとか・そういう
日本でも咲く花などが、百花咲き乱れているというふうに、中が非常に整頓されております。そういうことで、まるで地上の楽園であるかのように
原子力研究所というものが仕立て上げられておりまして、非常に印象に残っております。
そういうふうに、
インドでは
原子力研究というものに非常に金をかけているというふうな
感じを持ちます。
インドの一
年間の経費というのを聞いてみますと、
設備投資に約百八十億円、
研究開発の費用に六十億円、
合計二百四十億という金を、
日本の金に換算しまして、使っております。まあ
日本の約倍の
予算であります。
ただ、
事情がだいぶ
日本と違うという点はありますので、この
予算が倍であるということだけで実際の
仕事の全体の量をはかるということはできないように思います。というのは、
トロンベイの
原子力研究所の中には、エレクトロニクスのディビジョンで非常に大きな部門がつくられておりまして、そこでその
原子力研究所の
職員が
設計した
放射線の
計測器あるいはオシロスコープというようなもの、そういった
原子力研究に使う
放射線の
測定器といったようなものはすべてその
原子力研究の中でつくっております。そういう
原子力研究所でつくった
測定器というものは、
インドのほかの
研究所あるいは大学というようなところに売り出しているといったような
事情があるようでありまして、
インドの
民間企業というものはそこまで成長していないという
感じであります。特に
向こうで見せられたのは、たとえば女工さんがサリーをあれしてトランジスターの小さいエレメントをつくっているというような光景まで見せられまして、こういった調子ではなかなかたいへんだなと思いましたが、そういった国情の違いが非常に大きくございます。そういうようなことで、結局
インドの
民間企業の水準というものは
一般に非常に低い。それで
原子力研究所というものが、ただ単に
研究ということだけをやるのじゃなくて、そういう必要なものをすべて
自分でつくっていくという機関であるというふうに
感じました。これがいいことか悪いことかは別問題といたしまして、そういうようなことがございます。
エレクトロニクス・ディビジョンでそういった
計測器をつくるというような
考え方は、
インドの
原子力全体に当てはまる
考え方でありまして、
インドにも
幾つかの
原子炉がありますが、その
原子炉に使う
核燃料というものは、
ウランの採鉱から始まって、それを製錬して
金属なら
金属に還元し、そしてそれを
燃料シースにする、そうして実際に使う、そこまで
原子力研究所の
仕事でございます。そういった
核燃料まで
原子力研究所の
職員が自作しているという
事情がございます。それでありますので、今度つくった
プルトニウム工場というものも、
プルトニウム一
工場全体としては二十七億円という金が使われたと聞いておりますが、そのうちの数億円分というのは
原子力研究所の中の
工作工場でつくったということでございます。そういうように、結局
インドの
原子力研究というものが
日本とはだいぶ
事情が違うということをまず
お話しいたします。
その次に、
インドの
原子力の
開発方針というものが非常に先まできちんとつくられているということでございまして、
日本などははっきりした筋を立てるということがなかなか現在までむずかしくて、多少混迷している状態でありますが、それに比べて非常にうらやましく
感じたわけであります。そういう
開発方針がはっきりしておるということは、問題は、
インドが
原子力の
資源を持っているということでございます。その
資源というのは、まず
モナザイトという
トリウムの
鉱石が非常に大量に見つかっている。この間までは
トリウムの
鉱石にしまして二十万トンという
資源の
埋蔵量を持っておりましたが、つい最近と
向こうは言っておりますが、別に三十万トンという
トリウムの
鉱石が見つかった。現在のところ
合計五十万トンの
トリウムがある。その
トリウムというのは、
鉱石の中に大体八%から一〇%という割合で含まれておりまして、非常に高品位のものだけで五十万トンある。その
モナザイトという
鉱石の中には
ウランも入っております。
ウランは大体〇・三%以上といっておりますが、大体〇・三%くらいは
モナザイトの中に入っている。そういうことを考えますと、
相当量、大体二万トンとかその
程度の
ウランと
トリウムがあるということがわかるわけであります。
その
ウランですが、
インドは昨年五月から
ウラン鉱の発掘を行なっております。その
ウラン鉱というのは、先ほど申しました、
あとに三十万トンの
トリウムが見つかったというので、ビハール州という、カルカッタから少し
西寄りのところでございますが、その付近で
トリウムの
鉱石の採掘を始めておりまして、大体いまのところ日産千トンという
鉱石を掘っております。それを製錬して現在
ウランをつくっているわけでありますが、その容量としましては、一
年間に二百トンないし三百トンといっております。ある別の人に宴会の席上でいろいろ
お話をしておりましたら、
インドの
ウランの
埋蔵は年産千トンで三十
年間の供給が可能であるということを言っておりました。そうしますと、大体三万トンということになります。ともかくその
程度の
トリウムがある。それで、先ほどの
トリウムとそれから三万トン
程度の
ウラン、これを使って
原子力の
開発をするということが根本の方向であります。
そういうことで、
トリウムというのはそのまま
原子炉に入れて燃やすわけにはまいりませんで、その前に一
段階を必要とする
燃料の親物質といわれるものであります。そこで、
インドが考えております
段階は、
三つの
段階に分かれております。
第一
段階というのは、先ほど申しました約二万トンないし三万トンというくらいの
天然ウランをまず燃やす、そういう
動力炉を
開発する。この
動力炉を逆転しましてまず
プルトニウムをつくる、これが第一
段階の問題であります。
第二
段階は、その第一
段階の
天然ウランで
重水炉という形でいまスタートしておりますが、そういう
天然ウラン重水炉でつくった
プルトニウムというものと、それから非常に大量にある
トリウムとを使って
ウラン二三三を製造する、これが第二
段階であります。
その次は、第二
段階でつくられた
ウラン二三三と
トリウムを使って
熱中性子による
増殖炉をやる。
そういうことによって五十万トンの
トリウム全体を燃やそう、こういう考えであります。これが
インドのこれから先、何十年という間にわたっての
開発方針であります。
現在は、先ほど申しましたような
開発計画の第一
段階をやっておりまして、第一
段階は、先ほど申しましたように、
天然ウラン重水炉というものをつくってそれから
プルトニウムを生産するということであります。現在そのための
プロトタイプの
動力炉の
設計をすでに済ませまして、
設計をするのには、たとえば
臨界実験装置というものを数年前からつくって、そういうもので
基礎実験をし、さらに
重水の
動力炉をつくるための
プロトタイプの炉をいま製造にかかっておりまして、一九六九年と言っておりましたが、いまから四、五年先に一応
完成する。そういう目標で
プロトタイプのものをいまつくっております。それで、
プルトニウムを
動力炉の
使用済み燃料から分離するという
工場が今度の
プルトニウム工場といわれるものでありまして、その今度つくられたものは一応
パイロットプラントということでスタートしたわけであります。
ついでに、
インドの
原子力発電所で最近
アメリカ型のもの、それから
カナダ型のものを入れているという
事情を、ちょっとこの間に、本論からそれますが、申し上げます。
インドは、近く第一号の
発電炉というものをタラプルというところにつくることは御
承知だと思います。これは
ボンベイの北六十マイルのところに
BWR型のものを、IGE、インターナショナル・ゼネラル・エレクトリック・カンパニーから購入する。この場合は
短期コンタクトでつくる。その次の第二
号発電炉というものは、ラジャスタンのアトミック・パワー・ステーションと呼んでおりますが、これは
ニューデリーの少し西側のところにつくる
予定であります。この場合は
カナダのCANDU型の二十万キロワットのものを二基、結局四十万キロワットのステーションとする
予定でありますが、これは
カナダからの
技術導入でいろいろのインフォーメーションを買いまして、そのいろいろの部品はなるべく
国産品を入れるということを言っております。それから第三号の
原子炉を、これは南のほうでありますが、マドラスにつくる。大体それぞれ四十万キロワット前後のものでありますので、その
三つができますと百二十万キロワットの
原子力発電ができる。これを第一期に考えております。
こういう
発電炉というのは、大
部分はそういった輸入とか
技術導入でやりますが、
インドはもともとすべての
原子力の
開発というものを
国産技術でやろうということを考えておりまして、いままで
研究炉としてはアプサラというスイミング・プール・タイプのものをすでに十年近く前につくっております。それは、
燃料だけは
イギリスから買ったけれども、
国産でやったということを自慢にしております。それから、
CIR——これはCというのは
カナダ・Iというのは
インド、
カナダインド炉といわれておりますが・結局
カナダと
インドとの協力でつくった炉ということであります。この場合にも、
カナダからデザインとかいろいろなものを買いましたけれども、大
部分は
国産したということを言っております。それから、ゼルニナという
重水炉の
臨界実験装置の
お話を先ほどちょっと申し上げましたが、それも
国産でつくって、
数字は忘れましたが、すでにもう二年くらいフルに
運転しているということを言っております。
そういった
三つの
原子炉を
建設した経験はあるけれども、
発電炉をこれから
インドが
国産しようとすると、相当ギャップが感ぜられる。だから、
最初の炉あるいは二番目の炉というものはある
程度は
技術導入でやるということ、しかし、これから先つくるいろいろたくさんの
天然ウランを燃やして
プルトニウムをつくるというための炉は、全部
国産をしようということを言っております。そういったような
事情がございます。
それで、その
発電コストについて申し上げますと、ダラプルの三十八万キロワットの炉の場合には、キロワット時
当たり二円二十八銭である。これが、もし同じ
場所に
石炭火力のものをつくるとしますと、三円六銭かかる。その間、結局八十銭見当、キロワット時
当たり原子力のほうが安いということを言っております。それから、
ニューデリーの近くにつくる
カナダ型の炉の場合については、
コストのエスチメーションはキロワット時
当たり二円六銭と言っております。もしその
場所に
石炭火力をつくるとすると二円七十六銭かかる。この場合にもやはり七十銭くらい
原子力のほうがすでに安いということを言っている。ただ、この
数字がすぐ
日本に適用できないのは、
金利が違いまして、御
承知のように
インドはほとんど国営でありますので、
金利が五%ということをその計算の
基礎に置いております。ですから、
日本で
民間がつくる場合の一四%前後という
数字とは差がありますので、その値段だけですぐ
日本に焼き直すことはできないと思います。しかし、
インドは
原子力発電がすでに
石炭火力よりも安いということをはっきり言って、そしてその
原子炉の
開発を急いでいるということはわかるわけであります。
大体それがいま
インドにおける
原子力発電ということに関連したことでございますが、このわれわれの
視察目的であります
プルトニウムプラントに戻って話をいたしますと、
インドはそういったように非常に
国産技術ということを大事にしておりますので、
プルトニウム・
プラントをつくる場合にも、
設計、
建設ということは、全部、パブリッシュされた、公表された資料以外は使わない。そういうものだけを用いて、
自分たちだけで
設計をし、
完成をした、そういうことをおりに触れて強調しております。この
プルトニウム・
プラントの
建設方針というのは、一九五八年、七年くらい前に決定いたしまして、一九六一年にプロジェクト・フェニックスとして
プルトニウム・
プラントの
建設を開始いたしました。そして一九六四年、去年の二月に
建設を終わっております。その後、昨年の三月末ごろには、まだ
原子炉に入れないなまの
ウランの
燃料を入れて模擬的な
運転を開始いたしました。その後、
CIRという
研究炉から出てきた
燃料、これはあまり
放射能は強くないわけでありますが、そういうものの
運転、
処理を開始いたしました。そして、現在までそういった比較的
放射能の弱い
燃料要素について
運転を続けてきて、今回の
落成式に至ったわけであります。
この
プルトニウム・
プラントの
建設費というものは、前に述べましたように二十七億円と言っておりまして、その通常の
処理能力は
公称年間三十トンの
燃料を
処理できると言っております。ただ、
バーバさんといろいろ個人的に話をしたときには、この
年間三十トンということは
公称だけれども、実際は
運転してみると、もっとメニー・タイムズのキャパシティーがある。何倍かはっり申しませんが、おそらく
年間百トン前後は
処理できるのではないか。これはほかの国の
人たちともいろいろディスカッションをしたときにそういう結論でございまして、大体そのくらいの
処理能力はあります。
先ほど申しましたように、この
プルトニウム・
プラントは、
最初パイロットプラントとして、その次に、数年後に
建設費百億円を要する
フルスケールの、もっと大きい
プルトニウム・
プラントをつくる
予定であった。ところが、実際
パイロットプラントを
運転してみると、その
フルスケール・
プラントというのは、そんなに急いでつくらなくとも十分間に合うということで、大体十
年間くらいはいまの
パイロットプラントでやっていけるという見通しがついたようであります。この点は、まだそうはつきりはいたしておりませんが、
向こうではそう言っております。
この
プルトニウム・
プラントの
処理法というのは、普通いままでのこの再
処理を手がけたのは、
アメリカが
最初でありまして、それから
イギリス、フランスとまいりまして、ソ連もやっておるということで、
インドは五番目のそういう再
処理工場をつくったんだと言っておりますが、その
処理法は全部同じ方式でありまして、ピューレックスという方法であります。結局
使用済み燃料を酸に溶かし、その酸に溶けた
燃料を全部溶かしてしまいまして、それからTBPという
有機剤で
ウランの
部分だけを分離するという
やり方、
あとはそれを化学的な分離をもっと繰り返していくという
やり方であります。
一回に入れる
燃料というのは六本、
燃料棒にして長いものを六本入れまして、目方にして四百キロ、その一つの
燃料棒を
——この再
処理工場というのは非常に大きい
建物でありまして、横といいますか、長いほうが八十メートルくらいが、奥行きが三十五メートル、高さが二十メートル前後、そういう
建物の片端から
燃料を入れまして、
順々にケーブの中で
処理していく。最後に
プルトニウムがおそく硝酸塩の形で出てくるわけであります。その全工程を終わるのに十五日を要するということでありまして、もちろんその十五日の間には
幾つかのチャージを
順々に入れて、重複してやっていけるわけであります。
こういう
プラントに必要ないろいろの
付属設備もたくさんつくられておりますし、そのおもな、そういう
処理のための
建物のほかに、
廃棄物を蒸発する、そういう
工場といいますか、
プラントもあります。それから、その
廃棄物をためておくための非常に大きいコンクリートのタンクも六個つくってあります。
大体そういうのが
プルトニウム・
プラントの全貌であります。
日本でもいろいろ
プルトニウム・
プラントの
安全性という問題が最近いわれておりますが、
インドでも、
安全性の問題については、だいぶ気をつけているということを言っております。
安全性の問題は、結局
廃棄物が出る、それをどういうふうに安全に
処理し処分するかという問題と、万一
処理の途中で
臨界事故が起こるといけないので、そういう
臨界事故を避けるための幾重かの検査といいますか、そういうことをやっていくという、この二つの問題が非常に大きい安全上の考慮であろうと思います。そういう点について、
インドでもクリティカリティーの問題を避けるために、二重の監視のシステムを採用しておるというようなことを言っておりました。結局、この
廃棄物の
処理の問題、
プルトニウムを使うという問題、取り扱うという問題、そういうようなことで、相当慎重に各国やっております。
そういうことで、そういう問題が起こったときにまず問題になるのは、
従業員の保健上の問題が
一般には大きいわけであります。それから、外に
放射能が漏れる、そして
一般大衆に被害を与えるという問題は、これは
原子炉よりは問題が少ないと
一般に考えられております。というのは、
原子炉が万一
事故が起こった場合には、
原子炉の中にたまっている
放射能が何か気体あるいはその他のものとなって外に出ていく心配がある。それに比べれば再
処理工場の中の問題は、すでに
放射能を解きほどいてしまうということを初めから考えておりますので、
事故としてはそう考えにくい。たとえば先ほど申しましたように、
臨界を避けるための処置というようなものは二重、
三重にやっている。これは
日本なんかの場合は、
三重にやるということでいろいろ議論が
原子力委員会の
安全審査でディスカッスされておるようでありますが、そういったように非常に慎重にやっております。それで、まず
安全性の問題を問題にするとすれば、むしろ
従業員の問題は
十分気をつける。しかし、
一般、外に対しての問題というのは、普通の
原子炉の場合ではさらに安全で、大きな問題にならないと私は考えております。
それで、
臨界性の問題、それから
廃棄物の
処理ということで、いろいろ廃棄するものは、
ガス状のものは固体に吸収するとか、いろいろのことをやりまして、
あとで外に出す。そういうためにものすごい高い煙突が用意されておりまして、百三十五メートルという高さの煙突をつくって、そこから室内の
処理した空気を換気しておりますが、その換気した空気、あるいはそういったものを捨てるためのものを用意しております。
それから、
廃棄物は、先ほどのように蒸発して小さい容積にしてためておく。そういうために直径が十八メートルという大きいタンクを、これは千五百トンくらいのキャパシティーのものを四個用意し、それから直径十メートルくらいの五百トンのキャパシティーのものを二個用意して、実際に使うものは当分の間はその半分であります。六個を用意しておりますが、実際は三基しか使う
予定はない。結局
あとの三基分というのは、万一の場合の予備として用意しております。
これが大体私の見てまいりました
プルトニウム・
プラント、並びに
インドの
原子力の
開発の大きな道筋であります。
最後に、私がちょっと気のついたことを申し上げますと、今回の
インドの旅行というのは、非常に短い、十日間くらいで、ごく上つらを見てきたにすぎないかもしれませんけれども、
日本で問題になっております再
処理工場の
建設問題、あるいは
日本で二、三年来騒いでおります
国産動力炉の
開発の問題、こういうような問題は、すでに
日本では、いろいろ議論しては立ちどまり、うろうろして議論を繰り返しておるわけでありますが、
インドはどんどんそれを進めているという点で、国の
事情、状態が非常に違いますので、そのまままねをするというわけではもちろんございませんけれども、われわれも大いに参考にしなければならないことだと思います。
インドの場合は、たとえば
プルトニウム工場というのは、
日本て考えているキャパシティーのものよりは小さいものでありますけれども、すでに
国産しています。それから、そういうものをつくるという場合に、中共で原爆実験をやった、爆発をしたことに対しての何か政治的な意図が多少
感じられるのでありますが、その対抗的な一つの
インドの持つ材料としてそれを利用しようとしている
感じがあります。たとえば
落成式のときに
バーバさんもシャストリ首相も言っておりましたけれども、
インドは原子爆弾は、
原子力の破壊的な利用は絶対にしないということを確言しておりました。ただ、
原子力を大いに進めて、それによってエネルギーを得て
国民の生活水準を高めるということが最大の願いである、そういうことを強調しております。
現状はそういう状況でありますが、中国にいたしましても、
インドにしましても、十分の
資源を持って、そうして独力でどんどんとそういう
原子力の
開発を進めている。たとえば
インドの場合ですと、工業技術というのは、全般的に言いますとかなり低いようでありますが、これから先どんどん工業技術が進んでまいりますと、
日本は、現在工業水準が高いということに安閑としているわけにはいかないように感ぜられます。特に
日本は
資源が少なくて、エネルギー
資源まで購入し、いろいろの材料を輸入し、そうして太刀打ちしていこうとすると、これから何年かたった
あとには、国力を維持していくということが次第に困難になることさえ考えられないわけではないというふうに思いますので、一そう奮起しなければならないと思います。
そういうことにつきまして、
日本の
原子力の
開発事情などを見ましても、
日本ではすべてがわりあいに安易に、
自分で手をよごす
仕事はなるべく避けるとか、あるいは責任を背負い込むような
仕事はなるべくやらないというふうな傾向がいろいろな場合に見られまして、これは
インドなどと比較しまして、こういうことでほんとにいいのかということを特に痛感するわけであります。われわれもしっかりした
原子力の
開発計画というものを早く確立して、その方向に向かって国全体をあげて大いに努力していかなければならないと痛感するわけであります。
一応この辺で失礼いたします。