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1965-07-12 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年七月十二日(月曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 關谷 勝利君 理事 壽原 正一君    理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    高橋清一郎君       塚原 俊郎君    南條 徳男君       増田甲子七君    松浦周太郎君       山村新治郎君    小川 三男君       野間千代三君    内海  清君       竹谷源太郎君  委員外出席者         外務事務官         (北米局北米課         長)      中島 信之君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      町田  直君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 六月八日  委員大西正男君、佐々木義武君及び進藤一馬君  辞任につき、その補欠として高橋禎一君、大久  保武雄君及び高橋清一郎君が議長指名委員  に選任された。 七月十二日  委員高橋禎一辞任につき、その補欠として松  浦周太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として  高橋禎一君が議長指名委員に選任された。 七月十二日  理事大西正男君及び進藤一馬君六月八日委員辞  任につき、その補欠として壽原正一君及び田澤  吉郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  航空に関する件(国際航空路線に関する問題)      ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  理事大西正男君及び進藤一馬君が委員辞任されました結果、二名の理事が欠員となっております。つきましては、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、理事壽原正一君及び田澤吉郎君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 航空に関する件について調査を進めます。  委員長からまず最初報告申し上げます。  五月十三日に、本委員会皆様方の御協力を得まして、本会議において日米航空協定改定促進に関する決議案が満場一致可決されまして、その趣旨に基づきまして、六月十二日の夜、私並びに田邉關谷矢尾、四議員アメリカに参りました。そして六月二十四日夜帰って参りました。  その結果については、従来日米航空協定という名前日本新聞あるいはアメリカ新聞に出たことがなかったのですが、私たち一行アメリカにおります間、一切の見物を抜きにして、上院下院のそれぞれの有力者並び国務省、さらにまた民間航空局等二十八名の関係者にお会いしまして、国会決議された決議文の英文を渡し、御説明などを申し上げまして、日米親善関係確立のためにこの不平等をぜひ直してもらいたい、そしてその作業を早くやってもらうようにということを申し入れた次第であります。本日は偶然のように、委員会を開きますにあたって、ワシントンでは日本経済閣僚が六人参りまして、きょうから三日間にわたって合同委員会が開かれます。そのときに中村運輸大臣も、かつて経済委員会出席されたことはありませんでしたが、今度は初めての御出席で、伝えられるところによりますと、日米航空協定の問題についてだんだんの話があるやに承っております。いずれにいたしましても、皆さん方の非常な御支援によってここまで盛り上げられましたことを心から感謝申し上げます。  なお、詳細については衆議院の航空小委員長である田邉國男君に御報告をお願いしたいと思います。
  5. 田邉國男

    田邉委員 私ども一行長谷川運輸委員長關谷運輸委員会理事、それから社会党の矢尾運輸委員会理事、それに私と四名で十二日朝羽田を立ちましてワシントンへ参りました。  私ども十四日からアメリカ政府及び米国国会の首脳と順次会見をしてまいりました。私ども会談をいたしました要点というものは、すでに当国会におきまして決議をいたしました決議文内容を要約したものを事前に配付いたしておきまして、私どもの参りました趣旨十分説明をいたしました。  その要点につきましては、私ども一同がおのおの日本主張というものを述べたわけでございますが、その第一の主張というものは、日米航空協定というものが終戦直後にできた協定であり、まことに不平等であるという点でございます。そしてこの不平等は、三十七年以来今日まで二回ないし三回改定要求したのであるけれども、これが不問に付されたという経過がある。今日の日米友好関係にある現状におきまして、この協定改定することが当然である。しかも日本立場としては、世界一周ができないという国はアメリカ協定を結んでいる国で日本がただ一つであり、アメリカ世界の国と航空協定を結んでいる国で首都圏へ入れてない国も日本だけである。しかも、日本航空協定を結んでおる二十一カ国で、首都圏に相互に入ってない国はただアメリカを除いて、ないわけです。こういうふうなことで、日本現実の非常な不平等というものを明確に出したわけでございます。しかも四月の日英航空協定におきまして、英国もロンドンからニューヨークまでの乗り入れを認めておる。また一方においては、日ソ航空協定におきましても、すでにモスクワ乗り入れの機運がある。こういう際にアメリカはやはり不平等是正十分認識をされてやるべきだ、こういう主張をしたわけでございます。  しかしながらアメリカ国会議員、たとえばフルブライト上院外交委員長、それからマコーマック下院議長、それからモンロニー上院航空小委員長以下約二十名の国会議員に会ったわけでございますが、アメリカ国会議員は、この航空協定不平等性ということは十分認識をされておったわけでございます。しかも数日にわたりましてアメリカ上院下院国会訪問をいたしまして、約四、五日たったときには、アメリカ国会には、日本航空協定に関する問題というものが各議員十分認識をされておりまして、この航空協定はまことに不平等である、だから改正すべきであるという意向が非常によく趣旨徹底をいたしておりました。  最後の日にハワイ州から出ております二世のダニエル井上上院議員に会いましたところが、一昨日からこの問題は十分われわれのほうにも内容が明細にわかっております、そして上院空気においても日本不平等性というものが十分よくわかる、ですからわれわれも国会においてできるだけの努力をいたします、こういう話がございました。特にまたモンロニー上院航空小委員長においては、航空小委員メンバー全員を集めていただきまして、この、不平等性現実というものをよく説明をし、アメリカ議員に対して深い理解をする機会を与えていただいたわけであります。  なお、国務省ではボイド極東担当次官補、それからバンディ運輸担当次官補、それからマーフィ民間航空局長、それからマン国務次官等、外数名の方にお会いしたわけでございますが、アメリカ国務省考え方というものは、当初におきましては経済価値論という議論を展開をいたしまして、日本においてはアメリカ西海岸ホノルルサンフランシスコ、ロスアンゼルス、シアトル、この四つ地点を持っておる、しかしながらアメリカはわずかに一地点東京だけしか持っておらない、アメリカにおいては西海岸において経済的に非常にりっぱな地点四つもやっておるのに、日本のただ一つ東京だけしかとっておちないということについては、むしろアメリカのほうが航空協定においては不利な立場にあるのだ、こういうよう議論が展開されました。しかしながらわれわれ一行の中から、この問題については、日本において、もしそういう議論をなさるならば、九州における福岡のいわゆる産業都市、それから大阪における経済都市、それから名古屋における商業都市、札幌における産業都市、こういうようなことを考えたときに、じゃ東京をはずして対等に四つ都市を与えるから、そういう理論も出るではないか、こういうよう議論もいろいろとやったわけでございます。しかし最終的にやはりわれわれの主張が非常に正しいものであるということは認識をされておると思うのでございますが、国務省立場としては、非常に苦しい答弁をしておりました。しかし、最終的に、マン国務次官の話によりますと、やはり改定の時期は早くやりましょう、しかも日米経済合同会議以前に予備会談をやる、こういうよう意見の取りかわしも行なわれました。しかもこの予備会談から本会談へ入っていく、そして日本の期待に沿うようにわれわれは努力するつもりであるということを言っておりました。  私どもは総合的に考えまして、今回のアメリカに参りましたわれわれのいわゆる国民外交の実をあげたのではないか、かように考えるわけでございます。私どもは、二週間の旅行でございますが、すべてのサイトシーイングをはずしまして、これだけに集中をいたしまして予備会談を続けたわけでございますが、やはり私どもは、アメリカとの折衝というものは、アメリカ国会あり方、それから国務省アメリカの議会とのあり方というものを見ましたときに、やはりわれわれがアメリカ国会議員にその真相を訴えたということは、非常に今回の日米航空協定改定に対する大きな一つのヒントといいますか、力を与えた。そういう意味におきまして、われわれ議員団一行の目的というものはある程度達したのではないかと私ども考えておるわけでございます。  以上概略申し上げましたが、關谷委員、それから矢尾委員、なお長谷川委員長から重要な御発言があると思いますので、私はこの程度にとどめます。
  6. 長谷川峻

  7. 矢尾喜三郎

    矢尾委員 きょうは外務省並び運輸省からも出席されておりますので、私の感じましたことを一吉申し上げておきたいと思います。  私たちは参りまして最初ホノルルに着きましたときに、ホノルル外字新聞記者あるいは邦字新聞記者たち会見しました。またサンフランシスコに参りましても、ワシントンに参りましても——ワシントンにおきましては再三外人記者会見いたしました。ニューヨークにおきましてもそのとおりでございましたが、私がずっと回りまして、その新聞を帰りに見ましたところによると、ホノルル新聞にこういうことが書いてありました。  今日まで日本政府当局者アメリカとのいろいろの交渉に来られた。しかし、ホノルルサンフランシスコ、そしてワシントンに行って交渉をして、そして成立してもしなくても、すっと日本に飛んで帰られたわけです。アメリカという国は大体において世論を重んじるという国である。ワシントンにおいて交渉したことがワシントンの二、三の大きな新聞に載っても、アメリカ新聞の形態というものは、日本ように大きな新聞四つ五つあって、それに載れば全土に広まるというのではなくて、地方的な新聞というものがアメリカには各地に存在しておるのであって、そういう大きな新聞に二、三載っても、末端にまでそういう意思というものは通じない。そういうところからまいりますと、今度国会代表して来られた四人の代表団は、各地において新聞記者会見をせられ、これが大きくアメリカ全土に響いて、そうして大きな世論というものを巻き起こしたということを伝えておるのでございます。そういう点におきましても、今後日本からあるいはアメリカその他へ参られましたときにおいても、そういう土地々々の事情というものがございますので、そういうようなことも十分今後とも考えていただきたい、こう思うのでございます。  そしてまた、全般的に見まして、日本アメリカに対する外交方針というものは弱いということを痛切に感じます。それは私、名前は申し上げられませんけれども外務省の有力な外交官が、私たちもそういう不平等性というものを多く知っております。昨年運輸省からも航空局長が来られて、小さな部屋に二月も閉じこもって向こう返事を待っておった。ところが、返事どころか逆提案をされてすごすごと帰って来なければならないよう状態であった。そういうようなときに、われわれ外交官としては、これをバックアップして十分成果をあげるようにしたいのであるけれども、二階へ上がってはしごを取られるというのが今日の状態である。そういうような、二階へ上がってはしごを取られてしまって宙に浮いてしまってどうにもならぬというようなことになると、われわれとしても真剣に取り組んで日本のために、あるいは日本国民のためにと思ったことが、かえって自分の身に悪結果が降りかかってくるというようなことについても十分考えなければならぬというようなことを強く申しておりました。政府方針あるいは国会方針というものがきまった暁においては、そういうようなことを出先の外交官が心配せず、国策にしたがって全力をあげて働くことができよう今後とも十分考えていただきたい、こう思うのでございます。  いろいろ申し上げたい点もございますけれども、いずれ私も私の立場から報告書もこしえておりますので、でき上がりましたら皆さんにもお目にかけたいと思います。一つ二つ感じましたことを、せっかく御出席でございますから、申し上げておこうと思います。
  8. 長谷川峻

  9. 關谷勝利

    關谷委員 両委員から御報告を申し上げたので、私は何もつけ加えることはないのでありますが、私たち向こうで二週間にわたりまして毎日のように走り回った結果、上院下院空気はきわめてよくなってまいりましたし、国務省関係最初とは態度がずっと変わってまいりましたことは事実でありまして、ラスクはマンの言うとおりにしようという話であったのでありますので、マン国務次官のところが最終決定の場所であります。マン国務次官が私たち四名に回答いたしましたのは、日本国会議員代表アメリカへ来て日米航空協定の件でいろいろと説明のあったことについては、国会並びに国務省にはよくこれが浸透しておるということが一つであります。第二番目には、私はこの協定改定の見通しについては楽観をしているといるということばを使っておるのであります。第三番目には、日本要求は公正妥当な線においてこれを実現しなければならないことになるであろうということ。第四番目には、日米貿易経済合同委員会の開かれる七月十二日以前に会議を開くことになるであろうという、この四点でありました。あれほど頑強であった国務省がここまできましたことも、われわれ行って努力いたした結果だと思いまして、私たちは、私たちのなすべき仕事は果たしたのだ、成功であったと確信をいたしております。  ところが、帰ってまいりまして最近の新聞その他を見ておりますと、必ずしも私たちマン国務次官が話しましたようなことにはなっておらないようであります。私はもちろん米国民間航空企業からの突き上げ等のありますことも承知いたしておりますし、いろいろの国内事情のありますことは承知いたしておりますけれども、私たちに回答いたしました線とはおよそかけ離れたよう事柄が報ぜられておるというようなことをまことに遺憾に考えておるのであります。従来の日本外交が非常に軟弱外交であったというよう関係から、私たちに対するのと態度を変えて、日本外務省役人関係はくみしやすいと見て、また向こうが一歩後退した線から始めたのではないかという気持ちが私はしてならない。この点すでにその地ならしはできておるのだ、その上に立っての交渉だということで、私は強い決意のもとにひとつ交渉に当っていただきたい、これを現地に伝えてもらいたいと思います。国会があれほど強い決議をし、私たちが参りまして地ならしをし、その地ならしは私たちはできておると考えております。いま私が申し上げましたマン国務次官あたりことばから申しましても皆さん方御了解いただけると思うのでありまするが、そこまでやっておりまするのに、報ぜられまする諸情報は非常に悪い、暗い情報ばかりが伝えられますることはどうしたことであろうか。日本の話しぶりが悪いのではなかろうか、交渉に当たる人がどんな交渉をしておるのか、まことに私たち意外に考えておるのでありまして、われわれのやった事柄前提として、われわれがやったこの地ならしができておるのだ、国会が強い決議をしたのだということを前提として、そこからスタートして交渉してもらいたいということを現地のほうへ強く外務省のほうから私は言っていただきたいと思います。  ことに私たちが参りまする際に意外に思いましたのは、ロサンゼルスを得たときに、秘密協定というものができておった、私たちの知らないようなものがあったというのでありまするが、今回の場合でもニューヨーク乗り入れ、あるいは以遠を認めるというこの事柄はできたけれども、その裏に私たちに知らされざる裏の秘密協定というようなものがかりにあったとしたならば、私はこれはたいへんなことだと思います。そういうふうなことのないようにということも、私はくれぐれも現地のほうへ、これは委員会意思だということで伝えていただきたい、これだけを申し上げておきたいと思います。
  10. 長谷川峻

    長谷川委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  11. 久保三郎

    久保委員 これは政府側から、どちらでもけっこうですから御答弁いただきたいのですが、いま委員長並びに三理事からそれぞれ渡米されての交渉というか、わが国会意思向こう側に十分伝えられたことが御報告になりました。たいへん御苦労であったと思います。しかし問題はこれからでありまして、しかも今日非常に困難な情勢も伝えられておるというのですが、いまの委員長はじめ各それぞれの理事からのお話によって、現在アメリカ日米航空協定に対して、不平等であるということについてまず了解しているのだ、いまの協定不平等である、そういうふうな了解のもとに折衝が進められているのか、いかがでしょう。外務省航空局——航空局が主管ですから、まず航空局から聞きましょう。
  12. 町田直

    町田説明員 先月末にマン国務次官武内大使の間で交渉を再開することについて大話し合いがございまして、その話し合いに基づきまして非公式会談を現在やっている段階でございます。したがいまして、ただいま先生の御質問の点でございますが、わがほうといたしましては不平等を是正するという趣旨非公式会談を続けているところでございます。米側考え方につきましては、この際非公式会談でございますので発言は差し控えさせていただきたいと思います。
  13. 久保三郎

    久保委員 いまのお話交渉中であるからはっきり言わぬほうがいい、こういう意味ですか。たいへん失礼ですが、結論としてそういうことでしたか。
  14. 町田直

    町田説明員 内容については、交渉中でございますので発言を控えさせていただきたい、こういう趣旨でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 内容については新聞で承知しておるのでありますが、まずものの考え方として、先ほど来委員長はじめ各理事からお話がありましたが、その話の結論としては、聞きよう受け取りようでありますけれども、たとえばマン国務次官は、あなた方がアメリカに来られた趣旨すなわち日米航空協定中身については、その説明は十分浸透しておるというお話があったそうでありますが、その中身は十分浸透しておるというのは、いわゆるわが国会決議不平等是正の一語に尽きます、だから、不平等であるという意見には同調したのであるかどうか。そういうところはどうなっておるのかということであります。これは別に感じようでありますから、向こうが言ったか言わないか、言ったなら言ったでいいのですが、おそらく言わないだろうと思うから、わがほうとしてはどういうふうに受け取っておられるか、情勢をお尋ねしたい。決してこれからの外交折衝にも私はマイナスにはならないと思う。たとえばいまの關谷理事からの御報告では、マン次官お話だというと、わがほうの代表アメリカに行った趣旨十分国会の内外を通じて向こうに浸透されておる、説明は浸透しておる、こういうことであります。説明というのは不平等条約は即刻改定してほしいということでありますから、それは了解された上に立って交渉は再開されておるのかどうか、こういうことをお聞きしたい。外務省からお聞きしましよう
  16. 中島信之

    中島説明員 いま久保先生から御質問のありました点でございますが、先ほど關谷先生から御報告ございましたマン次官の、わがほうの主張はよく浸透しておるし、理解できたということ、私推測いたしますのに、日本側不平等である、したがって改定してもらいたいという気持ち、あるいはその理由、その主張、こういうことはアメリカ側としてアメリカ側立場理解できる、したがってそういう理解が、私どもの承知しております限りでは、アメリカ側もこの条約不平等であるということを正式にそういう形で表現したことはございませんが、しかしいまの協定改定しなければいけないということはアメリカとしても十分理解できるという理解のもとに、初めて今回アメリカ側としても相当積極的に改定交渉に応じて乗り出してきたということが向こう気持ちであろうかと存じております。
  17. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、第一回の交渉は三十七年でありますか、第二回が昨年であります。この交渉と今回の交渉は、いま北米課長おっしゃるよう中身が違うとか、アメリカの受け取り方が違う、こういうふうに了解してよろしいと思います。  しからば航空局にお尋ねするのでありますが、現在公式か非公式かわからぬが、非公式なら別でありますが、新聞に出ておりすから公式であろうと思いますが、従来日本が持っておる既得権の削除というか放棄と、新しいアメリカからの権益要求、こういうものが出ておるという新聞記事を見ておりますが、それはそのとおりかどうか。そのとおりだとするならば、いま北米課長が御説明になったようアメリカ側の受け取り方とはどういうふうに理解してよろしいか、この関係ですね。航空局としては、どういうふうに理解しておるか。いかがでしょう。
  18. 町田直

    町田説明員 先ほど申し上げましたように、現在行なわれております交渉は、いわゆる非公式会談予備会談であります。したがいましてまだ、両方の考え方お互いに出し合って、正式にその考え方に基づいて協定改定を進めるという段階ではございませんので、内容につきまして詳細に申し上げる段階ではないと思います。ただ、先ほど外務省北米課長から御説明がございましたよう趣旨で行なわれておるということは申し上げられるのではないかと思います。
  19. 久保三郎

    久保委員 非公式であるから詳細は申し上げられない、こういうのですが、別に詳細に聞いちゃいないのですよ。これははっきり申し上げます。ところが、あなたがおっしゃることはちょっとわからぬのだけれども、もし何だったら外務省に全部答弁させたらもっといいと思う。航空局としては外交上のことはどこまでが限界かわからぬというのでは答弁されても無理だろうと思うのだが、新聞に出ていることはあれは提案かどうか。非公式だろうが何だろうが、提案であるかどうか。いままでの権益放棄アメリカ側の新しい要求、こういうものは正式というか、提案があったのかどうか、これは答弁できるのでしょう。いかがですか。提案があったのかどうか、それについてわがほうはいま検討をしている。正式交渉になれば、これに対する見解を述べ合うかどうか。そういう手順ですね、それをお尋ねします。それはわかるでしょう。
  20. 町田直

    町田説明員 現在の段階では正式提案ではございませんで、いわゆる予備交渉でございますので、お互い考え方お互いに出し合っているという段階ではございますけれども、これは正式会談が開かれた場合に正式に出されるというふうに考えてよろしいのではないかと思います。
  21. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、正式じゃないが、出されておることは出されている、こうとってよろしいのですね。  そこで聞きたいのでありますが、先ほど北米課長からのお話ように、前二回の交渉と事違って、わがほうの主張、わがほうの主張というのはこの協定不平等であるということ、この理解の上に立って、向こうは今日の折衝というか交渉に積極的に乗り出してきた、こう理解しているようだが、どうも提案が公式であろうが非公式であろうが、わからぬが、少なくとも既得権放棄要求し、あるいは新しい権益要求をしてきているというのは、それは言うならば現在の日米航空協定日本側が見るところの不平等改定というものと引きかえ、いわゆるギブ・アンド・テークの精神で提案してきていると思って折衝しているのか。もう一ぺん申し上げますと、いま非公式に提案されている新しい権益要求なり、わがほうに対する権益放棄は、いわゆる不平等協定ということは理解するが、やはりギブ・アンド・テークという立場からアメリカがやってきていると思っておるかどうか、いかがですか。これは非常に大事ですから聞くのですよ、理屈じゃなくて。というのは、わがほうはいわゆるギブ・アンド・テークはなしというのが国会意思なんですよ。だから、前提としては不平等協定を是正するというのがまず第一、その上に立っていわゆる双務、互恵平等の原則によって権益のギブ・アンド・テークはお互いにある、こう思うのです。だから、先ほど申し上げたように、アメリカ側がそうとっていなくてやはり、日本主張はわかるけれども、ギブ・アンド・テークだというのでは、過去二回の交渉と何ら精神的には前進していない、こう思うのです。そういうふうに思わざるを得ない。だから、そういう点についてどう受け取っていくかによってまたわがほうの姿勢も変わってくるんじゃないですか、そういうことを聞いているのです。アメリカはどういうふうにとっているのか、この点いかがでしょう。
  22. 町田直

    町田説明員 わがほうの主張は、先ほど關谷先生あるいは北米課長からお話ございましたように、不平等であるから是正してほしいという主張でございまして、この点はおそらく了解しているのであろうと思いますけれども、そういう了解の上に立って、やはり米側米側としての考え方に基づく一つ考え方を出しているというふうに考えております。それがただいま御質問のありましたようにギブ・アンド・テークの精神であるか、あるいはわがほうの主張を了解した上において、なおこれだけのことをやれば平等になるというふうに米側が考えておるのか、その辺のところは現在まだ予備会談でございますので、十分に把握できている段階ではない、かように考えております。
  23. 久保三郎

    久保委員 予備会談だからそういう理解が一番大事だと思うのですね。本交渉になれば、精神の問題ではなくて、具体的に協定をどう書くということだろうと思うのですね。ところが、あなたのおっしゃるのは逆じゃないですか。予備会談だ。だから本交渉前提になるものを聞いているのですよ。いま予備交渉だからそこまではいっていない——予備交渉というのは瀬踏みでしょう。瀬踏みというのは、まず第一に精神状態を瀬踏みしなければいけない。その瀬踏みができないうちに本交渉には入れませんよ。私がしつこく聞くのはそこなんです。ところがあなたの答弁では、いま予備交渉だから精神状態というところまでいっていないと言うのですが、どうも話は逆じゃないかと私は思うのです。
  24. 町田直

    町田説明員 訂正いたします。まだ予備会談の途中でございますので、今後ももうしばらく予備会談を行なわなければならないというふうに私どもは考えております。そういうことでございますので、十分まだそういうことがはっきりつかめる段階ではないというふうに考えます。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 ちょっと関連して……。いまの久保委員町田監理部長との応酬を聞いておりましてちょっと感じたのでありますが、私たち四名が参りまして、あらゆる方面と会談をいたしました際に、よく向こうでは、そのギブ・アンド・テークというふうな意味合いのことばなり、それに似通った事柄を言っておりました際に、この不平等を是正するので、アメリカは得るだけのものは全部得ているのだ、日本は何ら得ていないので、それで不平等なので、こちらはテークだけであって、ギブ、代償として与えるものは一つもないのだということは、だれに会っても必ずみんな言ってあるので、その点、日本から代償として渡すものはないのだということは頭に入っていると思いますので、その点は強く現地の方にも、代償を求められた場合には、前の国会議員が来たときに与えるものはないのだとはっきり言い切って、そうしてあなた方の頭の中に全部入っているはずだと強くおっしゃっていただくように、ひとつ現地との連絡の際に言っていただきたいと思います。
  26. 久保三郎

    久保委員 いま關谷委員から要望があったが、これは要望ではなくて命令だ。はっきり言うならば、国会の議決でもって運輸委員長代表が行って、もうアメリカの国には通告しているのですよ。不平等である。しかも予備交渉のさなかに、そこの確認が先ですよ。私は、はっきり言うならば、あなたはこの交渉に乗ってきたようだが、わがほうは、この協定不平等だからまず是正が先だ、これをやろうじゃないか、これで始まる。あとはない。もしあとがあるとするならば、この是正のあとにおいて、日米間の、さらに民間航空を盛んならしめ、発展させるための方策いかんということでギブ・アンド・テークがある、あるいは、あるかもしれない。ところがこの問題では、もう不平等条約改定一事ということを通告して始まるのがほんとうじゃないですか。通告していないのですね。今度の交渉は、現行の協定不平等であるからこの改定要求交渉する、こういう通告は述べていないのですか、どうなんでしょうか。
  27. 町田直

    町田説明員 交渉改定の理由にはそういう趣旨を申しております。しかし、正式に通告いたしておりますのは、ニューヨーク・ビョンド権の要求でございます。
  28. 久保三郎

    久保委員 向こうから正式返事がきたでしょう。それは何と書いてありましたか。
  29. 町田直

    町田説明員 それは昨年交渉いたしましたときに、そういう主張をいたしました。主張といいますか、正式改定交渉内容を申し述べました。それに対しまして、昨年のごとき返事がございましたので、それでは交渉は妥結できないということで、休止になったわけでございます。そして、そのわれわれの申し出はそのまま向こうに伝えてあるわけでございますが、今回それに対する返事向こうからくるという段階でございます。
  30. 久保三郎

    久保委員 外交の手続はよくわからぬので、具体的に教えてほしいのだけれども、今回の航空協定改正の交渉再開——中断しておりましたから再開ですね。再開を求めたのはどちらの側ですか。申し出たのは日本アメリカか、どちらですか。非公式じゃだめです。正式にどちらですか。
  31. 中島信之

    中島説明員 私のほうから御返事申し上げます。  昨年の夏交渉いたしました結果がきわめて不本意な形の回答を得ましたので、それで交渉を中断いたしまして、これは日本側は、こういうことでは交渉の継続はできかねるということで帰ってまいったわけでございますが、その後、日本側のほうでは、日本側要求を十分再考されて再び交渉に応じ得るという状態になったら、日本側としてはいつでも交渉再開に応ずるから言ってきてもらいたいということを申し入れておりましたところ、今回アメリカ側から交渉を再開したいということで、非公式交渉に入った次第でございます。
  32. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、こちらで中断するときに留保しておいた条件に従って、向こうが話をしましょう、こういうことで申し出があったのですか。
  33. 中島信之

    中島説明員 具体的にこれこれの条件をのめば、わがほうは交渉の再開に応ずるということを言ったわけではございません。昨年の交渉が決裂いたしましたときに、向こうがいろいろ条件を出しまして、その条件ではもう話は継続できないということを言ったわけでございますから、向こうとして今度交渉の再開を申し出てきたということは、昨年のその条件は固執しない状態で話をもう一ぺんやりたいということだとわれわれは了解しております。
  34. 久保三郎

    久保委員 そうします、わがほうの、特に国会決議に基づいて、不平等だから改定しろというようなことには直接触れないで、白紙の状態でひとつ予備交渉から始めましょうというふうに言ってきたわけですね。白紙と言っては語弊があるが、いわゆる従来の、ギブ・アンド・テークの精神で交渉ようということ、それには触れないで、というよりは、わがほうはそんな話はとてもだめだということで断わった。そう出られればというので、今度はそうじゃなくて、昨年のことにはこだわらぬでやりましょう。そうだとするならば、白紙で臨んできたとするならば、わがほうはここで原則論として、これは不平等を直すべきであるという主張がまず出なければいかぬ。具体的などこの路線をどうする——ニューヨーク・ビョンドがその具体的な例であります。これをやらなければいけない。それが一番最初のこちら側の言い分だったかと思うのです。その辺どうですか。
  35. 中島信之

    中島説明員 いまの御質問の点でございますが、前二回交渉をやっておりまして、前二回の交渉におきまして日本側からは、いまのものはきわめて不平等である、それから具体的な点においてもこれこれの面がそれを具体的に実証しているといった基本的な交渉要求するわがほうの立場につきましては、前二回の交渉で相当議論の応酬がございました。それに基づいてアメリカ側が具体的な提案をしてまいって、その具体的な提案に対して、わがほうがこれでは話を進めることはできかねるといって会談を断わったというのが、昨年までの状況でございます。  したがって、わがほうが不平等を是正するといった基本的な立場から、将来公正妥当な解決を求めるんだという要求をしておることにつきましては、一応その説明段階を終わって、それからわがほうの説明を一応聞いた上での先方の具体的な提案という段階で話が切れている。したがって今回は、先方は前回の向こうの出しました提案を改めまして、新しい具体的な提案を持って話に入っている。その内容については、先ほど町田部長から御説明がございましたように、まだいろいろ御説明を申し上げる段階にないのは残念でございますが、そういう一応の交渉の形で今回交渉が始まったわけでございます。
  36. 久保三郎

    久保委員 言いにくいこともあるかもしれませんが、わが国会からもアメリカ趣旨徹底のために行かれた、国会決議も御案内のとおり厳然としてあるわけです。この国民の意思を無視しての改定交渉というものはあり得ないんです。私は交渉の順序として、前二回のあれにこだわることはできません。これは、まず心がまえとして、全然新しい交渉として出発するということ。第二段階として——交渉の第一としては、やはり原則論でいくべきでしょう。原則論は言うまでもありません、ニューヨーク・ビョンド、それ一本です。それが片づかない限りは、次の日米間のその他の案件があるとしても、これはやめるべきだと私は思う。なぜなら、わが国にとっては第二段のものは枝葉末節であって、基本線ではないんです。なるほどアメリカ立場、あるいはアメリカ航空会社、いや日本航空会社の立場から見て問題かもしれませんが、しかし日本の国民の立場からは、先ほど申し上げたような現行協定ニューヨーク・ビョンドを挿入する以外の原則論はないのでありますから、これが了解しないままに、何かわけのわからぬように、込みで、既得権放棄しろの、さらに新しい権益をよこせというよう交渉には絶対乗るべきではないと私は思うのです。  ところが、今までの新聞の報ずるところによりますれば、さっき監理部長はどうもあいまいな説明でありましたから、それはなかったかもしらぬが、新聞の報ずるところによりますれば、いま申し上げたように、いまの既得権を一部放棄したり、新しくアメリカ航空会社に権益を与えねばならぬというよう提案アメリカから出てきておる。これは全然話になりません。だからここでいわゆる東洋人的な、腹でものを解決しようなんというさもしいことをやって千載に悔いを残さぬことが、私は必要だと思うのであります。そのためにこそ、国会決議して運輸委員長はじめ、それぞれ与野党代表がおいでになったのでありますから、この際そういうあいまいな、しかも、ここで先ほど私初めて聞いたのでありますが、關谷委員からも何か秘密協定など置いたら承知せぬぞしいうお話がありましたが、そんなばかなことは毛頭あり得ないし、またそんなことがいままでにあったとするならばとんでもないことです。いずれにしても私は北米課長と監理部長に申し上げますが——運輸大臣代理はいまだれでしたか。
  37. 町田直

    町田説明員 郵政大臣です。
  38. 久保三郎

    久保委員 外務大臣もどこかに代理がいられる。いずれにしてもあなた方お二人は政府代表として来ているのだから、きょうのところは総理大臣として扱っているのです。だから直ちにアメリカに、航空協定改定の問題は込みじゃないぞ、不平等条約改定ニューヨーク・ビョンド、それが通って、あとの話はあとでいい、それをまず第一に片づけろ、こういうことを訓令する必要があるし、万が一それがのめぬときには、国会意思決定によって政府の仕事はすべきである、その他の方策はないというふうに承知してもらいたいのですが、いかがでしょう。お二人ともお答えしていただきたい。
  39. 長谷川峻

    長谷川委員長 ぼくのほうでお答えしましよう  久保さんの御心配は、私たちと同じ心配なんです。そこで帰ってまいりましてから、今度六人の経済閣僚ワシントンに参ります前に、都合が悪くて出席されない方もありましたけれども中村運輸大臣や椎名外務大臣、さらに藤山経済企画庁長官、福田大蔵大臣、こういった四人の方々には、あなたがいま心配された趣旨をはっきりと実は申してあります。おそらくそういうことを前提にして強い交渉をしてくれるのじゃないかと思うし、またあなたの御心配によって、ここにおられる二人の説明員の方々が、この国会の模様をきょうあたり訓電なり報告なりしていただくことも一つの手だと思います。  そこで私はおはかりいたしますが、先ほどから御議論を聞いている間に各党の理事の諸君にも御相談したのですけれども、この運輸委員会として、アメリカにいる閣僚諸君に激励といいますか、そういう電報を打っておきたいと思います。  案文を朗読いたします。   日米航空協定につき、本日委員会を開き、渡米の結果を報告せり。各閣僚は、国会決議趣旨に基き、あくまで廃棄を辞せざる強い決意を持って、安易な妥協をされないことを要望する。       衆議院運輸委員長 長谷川 峻    団長椎名外務大臣外各相宛 こういうことにして、アメリカ政府交渉するのに一番心強いものは、国会決議であり委員会決議だと思うのです。私はいまあれをこういうふうにとりましたが、いかがですか。
  40. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 それはけっこうですが、新聞に出ておることや航空局にきておる情報を見ますと、向こうにいま既得権を一部返せというような話があるのです。いままでのアメリカのみならず外国との交渉において一ぺん既得権を返したものを再び求めることは容易でない、この歴史を日本は繰り返しております。でありますから、西海岸のシスコ並びにシアトルあるいはロスから南米の線は確保しつつ、ニューヨーク・ビョンド、世界一周——またロンドンまでなんということも言っておるようですが、そんなよその国までの干渉はおかしいのです。だから、それは世界一周ということの条件を兼ねて電報を打ってもらいたいことを希望します。
  41. 長谷川峻

    長谷川委員長 一応それではこの電報の件についてはいかがですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 長谷川峻

    長谷川委員長 各党異議ないようですから、扱いについてはひとつ委員長に御一任願いたいと思います。  それでは、本日はこの程度で散会したいと思います。    午前十一時三十五分散会