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1965-04-08 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月八日(木曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 大西 正男君 理事 進藤 一馬君    理事 關谷 勝利君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       佐々木義武君    田澤 吉郎君       田中 彰治君    塚原 俊郎君       南條 徳男君    小川 三男君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    山口丈太郎君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 松浦周太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君  委員外出席者         運輸事務官         (航空局参事         官)      手塚 良成君         運輸技官         (航空局技術部         長)      大沢 信一君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 四月六日  国鉄生保内線秋田県田沢湖町出口部落に簡易駅  設置に関する請願川俣清音紹介)(第二五三  二号)  自動車運送事業免許制度維持強化等に関する  請願天野公義紹介)(第二五四七号)  臨時行政調査会答申における運輸行政に関す  る請願川村継義紹介)(第二七九七号)  同外二件(天野公義紹介)(第二八三一号)  同(内田常雄紹介)(第二八三二号)  同外一件(千葉三郎紹介)(第二八三三号)  同(濱野清吾紹介)(第二八三四号)  同(福田篤泰紹介)(第二八三五号)  国電大崎駅の貨物取扱い縮小反対に関する請願  (宇都宮徳馬紹介)(第二八三〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  新東京国際空港公団法案内閣提出第一〇三号)      ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  新東京国際空港公団法案について参考人から意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、新東京国際空港公団法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小川三男君。
  6. 小川三男

    小川(三)委員 最初に運輸大臣にお伺いしますが、もちろん、大臣東京上空管制図などをごらんになられたと思いますけれども、空港の使用している空域に比較して、横田基地中心にする東京西北部上空は、ほとんど米軍に専用されておるといっても差しつかえない。したがって、地上の問題を決定する前に、東京上空についての整理、いわば空の交通整理について、大臣としてどういうお考えを持っておられるか。アメリカとの間に、たとえば彼らが使用している地域の返還を求めるなり、あるいは空域縮小を求めるなり、そういう交渉をやる御意思がございますか。
  7. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 いま御指摘東京上空における航空管制の問題については、いろいろの見方がありますが、決定的なものは、いま御指摘になりました東京西北におけるブルー14地区——入間川横田、厚木、そのほかもう一カ所ありますが、そういう四つ米軍飛行場がありますので、そちらのほうには行かれないわけなんです。民間飛行機がその間をくぐっていくという空の管制上の余地はない。したがって現在の羽田といえどもそこをくぐっていくのは一万五千メートルのところに一日に一カ所だけ許されております。そんなところに毎日数十回やることはできませんから、東京以西へ行く場合は、木更津の沖を回って、大島、伊豆の間を通って静岡のほうへ向かっていくという航路を往復ともとっております。それから東北のほうに参りますのには浦安の上を通るなり木更津の上を通って、そのまま千葉、茨城を横断して東北のほうに行っております。それ以外に現在の状況としては通る道はないのでございます。それ以上は専門的な問題ですから、局長に答えさせます。
  8. 小川三男

    小川(三)委員 私が伺っているのは、現状はそのとおりなんですが、きのうも東京上空飛行機で視察しましたけれども、その際御説明なされたのは手塚さんですか、アメリカ空軍交渉の結果、東京西北部上空を視察することができた、そう説明されておりますが、あの時間わずか二十分か三十分なんです。私がいま伺っているのは、新東京国際空港建設国家百年の大計である。これはもうそのとおりなんです。したがって、その国家百年の大計を樹立するためにも、東京上空管制、空の交通整理をこの際にして確立するために、アメリカ軍に対して安保条約に基づいてでも政府総力をあげて交渉する意思がないかどうか、運輸省中心になり、政府総力をあげてアメリカとの交渉をやる意思はないか。東京上空管制決定すれば地上の問題もまたおのずからそれによって重大に左右されると考える。そういう交渉をする意思があるのか、あるいはそういう政策をお持ちにならないのかどうか。
  9. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御指摘のとおりでございますので、政府内部におきましても、新空港建設関係のある関係閣僚懇談会というものを開いておりまして、その決議によりまして米軍の四カ所のうち一、二カ所利用させることはできないかということを外務省を通じて交渉しつつあります。しかし、返還されましても軍の飛行機民間飛行機とをあの中に入れて一諸にやることは技術上困難ではないか、全部返されるならばできるけれども、一つや二つ返されても一日に千回も千五百回も練習機が飛ぶ、しかも超音速機でございますから、四つ返されるならば考えられるが、一つでも残ればめんどうではないかと思っております。
  10. 小川三男

    小川(三)委員 いままで外務省を通じて交渉された経過についての見通しはどうなんですか。四つ全部返せということを交渉しているんですか。
  11. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 決議をして外務省交渉を委託したのでございますが、そろそろ交渉を始めておると思うのです。まだその結果の内容は聞いておりません。
  12. 小川三男

    小川(三)委員 もしかりにいま返還されたとするならば、東京西北部の空が日本として十分使えるわけです。その場合東京国際空港位置は、それほど早急に、交渉と見合わせて進展させるという方法が成り立つのかどうか。
  13. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほど申しましたように、一カ所や二カ所返されても民間空港をそこの中に入れることはできないと私は思います。四カ所全部返すならば、考え方はおのずと別になってまいりますけれども、四カ所一度に返すことは——返すのではなくて、いま東京を守ってもらっておるんですから、利用させてもらうという言い方しかできないと思いますが、四カ所全部ということには、ちょっといまのところ見通しはつきません。
  14. 小川三男

    小川(三)委員 新東京国際空港建設政府直轄事業とせずに公団方式を採用するという理由について伺っておきたい。
  15. 栃内一彦

    栃内政府委員 なぜ政府直轄でやらないで公団方式でやるかという点でございますが、政府直轄でやって絶対にできないということはないと私は思います。ただ、どちらのほうがいいかという点を比較いたしますと、公団方式でやるほうがはるかによろしいということが言えると思います。まず第一にあげられますのは資金の問題でございますが、新空港建設に要する資金をすべて政府の金でやるということは、これも不可能ではございませんが、実際問題としては非常に困難である、したがって民間資金を導入するという必要がございます。その場合に公団を設立しますと公団債を発行して民間資金の導入が可能になるわけでございます。  それから第二にあげられます公団必要性でございます。これは人事の問題でございますが、大量の特殊の技術者を必要といたしますが、これらの要員の確保をはかるということは、現在の運輸省航空局に急にこういう人材をそろえることは実際問題としては非常に困難でございます。いわば各方面の優秀な技術者を集めなければならないが、その場合にはやはり公団方式によってやったほうが運輸省関係あるいは国鉄関係あるいは関係各省等から優秀な人材を集めやすいという点がございます。  それから建設にあたりましては場所はまだ決定しておらないわけでございますが、陸上の場合でありますと用地買収、あるいは水面の場合でありますと漁業補償その他の補償が当然起こってまいりますがこれらを円滑に処理するためには、国の補償ということよりも公団方式によったほうが円滑にいくということは、公団方式でやるからいわゆるルーズにやるという意味ではございませんが、実情に適した適切な措置が敏速にできるというような長所がございます。  それからもう一つこれは別個の角度でございますが、むしろそういうことなら民間会社にやらせたほうがいいのではないかという考え方も、非常に弾力的にやるという意味ではいいのではないかという御議論も一つあろうかと思いますが、これはやはり日本表玄関であり、これだけ大きな空港を私企業にゆだねるということはいろいろな面で弊害がございます。弾力的運用においては非常に長所があるかもしれませんが、公共目的から見て望ましいことではございませんので、やはり公団という方式によって、公共性を確保しつつ資金の面あるいは人事の面あるいは経理の面において適切な措置を講ずる、これが公団を必要とするゆえんでございます。
  16. 小川三男

    小川(三)委員 次に、公団法案の第二条に「新東京国際空港は、次の要件を備える公共飛行場として、東京都の周辺地域政令で定める位置設置するものとする。」とありますが、一体この位置というのは何をさすのか。たとえば何市の何区何番地から何番地までの場所をさすのか、単なる方角としての位置をさすのか。
  17. 栃内一彦

    栃内政府委員 法案第二条の「政令で定める位置、」これは、同空港の所在する最小行政区画、すなわち市、町村というような表現で示す、こういうことになると思います。
  18. 小川三男

    小川(三)委員 飛行場設置する場所、つまり位置決定は、これは地元地方自治体はもちろん、地元居住民に対して、権利と義務とに重大な関連があるはずです。それほど重大な問題を、なぜ法律によらずに政令によるのか、この点を伺っておきたい。
  19. 栃内一彦

    栃内政府委員 空港場所決定につきましては、現在政令によらずきめておりますが、この新空港は非常に大きな空港であり、日本表玄関として将来重要な使命をになうものでございます。また、この空港飛行場というだけの観点でなく、いろいろな諸般の国の行政というものと密接な連関がございますので、運輸省限りで決定いたしませんで、関係各省、すなわち内閣全体の責任において場所を御決定いただくということにして、通常の空港以上の慎重な手続をとるということにしたわけでございます。
  20. 小川三男

    小川(三)委員 位置決定行政区画を指定するということでありますが、その場合に地方自治体あるいは地元住民事前了解を求めて、あなたのところへ飛行場を持ってきたいのだがどうかというような事前の工作を進めた上でこの政令を出すのかどうか。
  21. 栃内一彦

    栃内政府委員 実際問題といたしまして、政令がきまる前には、事実上の内閣内部における場所決定ということが先行すると思われますが、その先行する、いわば政令で正式にきめる前の段階内閣における意思が統一されます過程におきまして、当然県の知事というような方々との事実上の了解あるいは話し合いというものが行なわれる、かように想像しております。
  22. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、内閣で特別に何か空港位置決定についての委員会なりなんなりを組織されるということですか。
  23. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほど申し上げましたが、いわゆる新空港に関する関係閣僚懇談会というものがありまして、その懇談会の議を経て一つ一つやっております。  そこで本法の第二条の発動によって政令場所決定する前に、その閣僚懇談会の議をまとめて閣議にかける考えでございます。
  24. 小川三男

    小川(三)委員 閣僚懇談会地元地方自治体なり地元住民に対して直接交渉するということはあり得ないでしょう。そうすると、その地元自治体なり地元住民なりの了解あるいは理解を求める作業運輸省が当たられるのか、その点を……。
  25. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいま大臣がお述べになりましたように、閣議で正式に決定する前に、関係閣僚懇談会で事実上のいろいろなお話し合いがある、その段階におきまして、これは私の想像でございますが、おそらく関係知事というような方と事実上の接触があると思いますが、その際、関係知事とどの国務大臣あるいは大臣が接触されるかという点は、そのときにおそらくいろいろな情勢をからみあわせて御決定になると思います。おそらく主管大臣である運輸大臣が御折衝になるという公算が多いのではないかと思いますが、この辺はそういう事態になった情勢によって最終的にきまるのではないか、かように考えております。
  26. 小川三男

    小川(三)委員 閣僚懇談会位置決定をするというが、私の伺っているのは、位置決定をする前に、その地域に対して了解なり事前作業を進める者はだれが当たるのかということを伺っておる。
  27. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 閣僚懇談会において議をまとめて、それを外部に交渉の任に当たるのは私が当たることになると思います。まず知事了解を得る必要がある。もちろん用地買収なり漁業権の賠償なりをする場合において、やはり知事協力が第一であり、その次には市町村長協力が必要である。でございますから、これらの人方の賛成が得られなければなかなか困難であると私は思いますから、国家の大局から見て、どうしてもここが適当な場所であるということがきめられたならば、御協力を願うつもりでございます。
  28. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、かりに何カ所かの位置決定しますね。その場合に、地方自治体なり地方庁なりの了解が得られなかった場合には、その位置決定閣僚懇談会ではやらないというぐあいに理解してよろしいですか。
  29. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 利害関係があって小事にこだわるような場合があることもあるでありましょうけれども、国際的に日本が乗り出すという、世界四カ所の一カ所の飛行場でございますから、これがどこにきまるかまだわかりませんけれども、そうなりました以上は、まず最高責任者である知事及び県の議長等に十分の御了解を得まして、その御協力とともに市町村との交渉もするという、気長にして穏健な交渉方法でやっていくべきであると私は思っております。
  30. 小川三男

    小川(三)委員 次に、法案第二十条では、公団は「新東京国際空港設置及び管理を行なうこと。」になっていますが、場所政府政令をもって定める。建設公団が当たる。この場合に、かりに地元人たち異議なり反対なりがあって公団交渉に行った場合に、いや位置政令政府がきめたんで、われわれのほうはどんどん作業だけを進めればよろしいんだ、位置をここに指定されたことについて異議があるならば、それは政府に行けということになると思うが、その点は最終の責任はだれが負うのか。
  31. 栃内一彦

    栃内政府委員 公団設置及び管理を行なうという条文になっておりますので、公団設置すなわち建設事業をやっていくということは明瞭でございます。  そこで飛行場位置の問題でございますが、先ほど御説明いたしましたように、政令できまりますのは、市、町村というような最小行政区画ということできまる。もちろんこの市、町村複数になるという場合もあると思います。単数の場合もあると思います。しかし、それのみをもってしては飛行場の具体的な位置と申しますか、どこからどこまでを飛行場の区域内にするかということはまだ決定しないわけでございまして、具体的な場所のいわば境界というようなものは、現実場所によく当たりましていろいろな角度から検討しなければ、どこを境界線にするかということはわからないわけでございます。このためにはかなり綿密な技術的調査あるいはそこが陸上であるならば付近の市街地あるいは集落というものとの関係、あるいはどれだけの人が住んでおるかという問題、あるいは海面なり湖面の場合、いわゆる水面の場合には、水面にはどの程度かけて陸上にどの程度かけるか、あるいは全部を水面に持っていくかというような問題は非常に技術的に慎重な決定を要しますので、この点につきましてはいわば公団がよく調査をいたしまして、この法律にあります二十四条の業務方法書というものに詳しくきめまして、そしてこれを運輸大臣に提出して認可を受けるということになると思います。したがって、どこの部落を入れるか入れないかというような問題につきましては、公団がいろいろな点から検討いたしまして案をつくる、かようになると思います。
  32. 小川三男

    小川(三)委員 私の伺っているのは、たとえば位置を指定された地域人たち漁業権を持っている場合がある。あるいは居住権がある、耕作権がある、そういう人たちが全部納得して、さあよろしいということであれば問題はないわけですが、異議申し立てる人があり得る。その場合に土地収用令を発動するというような事態が起こった場合に土地耕作権を持っている者、あるいは漁業権を持っておる者は、その異議申し立て対象公団であるのかあるいは政府であるのか、政府であるならば運輸省であるのか何省が当たるのか、その点を明確にしておきたい。
  33. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまのような、例示されましたような事態について、万一問題が起こるということになればこれは公団であろう、かように考えますが、そういうことができるだけないように努力すべきである、かように考えております。
  34. 小川三男

    小川(三)委員 しかし位置決定政府がきめるわけでしょう。したがって、作業するのは公団である。位置決定権は、この法案によりますと公団にないわけです。そうしますと、位置決定は、公団ではなくて、別の機関が決定しているわけです。その場合のギャップが起こりませんか。公団は、位置決定政府がしたのだから、異議があるならば政府に持っていって文句を言えということが起こり得る。その場合、公団責任を負うということになるのですか、位置決定権公団にないのですが、その点を明確にしておきたい。
  35. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほどから申し上げておりますように、内閣といいますか、政令できまりますのは市町村というような単位、またこれが場合によっては複数になるというように、いわばこの付近というようなきまり方でございまして、具体的に何町の何丁目あるいは字のどこどこ、あるいはどの場所というような問題、特に一筆一筆の問題につきましては、これは公団事業の主体として買収をするということになります。また先ほどしましたように、どこを飛行場境界線とするかというような点につきましては、これは政令では絶対にきめられない問題でございまして、よく付近状況あるいは技術的な問題というものを勘案して具体的にきめていくということでございますので、政令できめるということと、公団買収実施事務をその細部計画に従って進めていくというところには何ら矛盾がない、かように考えます。
  36. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、この地元位置決定されて、そこで公団作業を進めるに際しまして、地元の者が法律上の対抗措置を講ずるような事態が起こった場合に、それは公団が実際の責任を負って、政府は一切の責任を負わないということなのですか。そういう事態について政府対象にならないということに理解すべきなんですか。
  37. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほどちょっと説明を漏らしましたが、この法律におきましては現在の航空法を必要な部分準用しているわけでございます。航空法の三十九条に、「飛行場設置の場合には公聴会を開く」という規定がございます。この規定は、当然準用によりまして、新しい空港というものにも適用されるということになります。こういう機会法律上認められた利害関係人意見を聞くという機会があるわけでございます。
  38. 小川三男

    小川(三)委員 私の伺っているのは、政府場所をきめっぱなしで、あと責任は一切負わないというのか。それとも訴訟やなんかが起こる場合があるでしょう。土地収用令によって異議申し立てをする、あるいは立ち入り禁止の仮処分をするなり、法律上の対抗措置居住民が講ずる場合に、それは相手が公団であって、政府は一切責任を負わないというのかどうか。
  39. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまのような、例示されましたような場合がかりに起こるとすれば、それは公団ということになります。
  40. 久保三郎

    久保委員 関連してちょっとお伺いするのですが、後ほど総体的にお尋ねするのですが、先ほど小川委員質問でいわゆるブルー14あるいは四つ米軍基地、こういう問題に質疑が言及されたのでありますが、私が関連してお尋ねしたいのは、すでに航空審議会からは富里あるいは霞ケ浦、いろいろそういうもので先年答申されているわけです。しかし、これは政府部内の事情によって今日まで第二国際空港決定に至らない。これからきめようとするわけでありますが、ひとつは航空審議会答申というものは現在の四つ東京周辺にある米軍基地あるいはブルー14という管制の壁、こういうものを前提に置いて第二国際空港を設定したのか。あるいは政府はこれからこの法案が通れば——あるいは通らぬでもでしょう、第二国際空港位置選定をするわけでありますが、位置選定基本方針は、そういういまある、特にブルー14あるいは四つ米軍基地を将来にわたってあるものとして考えていくのか、御方針はいかがですか。
  41. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御質問の点は、簡単にお答えいたしますが、ブルー14はあるものとして考えております。
  42. 久保三郎

    久保委員 第二国際空港はすでに御承知のように、日本自体にとれば国家百年の大計をきめるものですね。そうですな。そうだとすれば、いまある条件、特に安保条約は御承知のようにあと五年を出でずして失効になります。そうなった場合、なるほどわれわれは安保条約には反対、そういう存在を考えてはおりませんが、現実にある。しかし条約の期限は遠からず切れる。しかし国際空港位置選定は、先ほど申し上げたように国家百年の大計であるということになりますれば、日本の空は、そして日本土地日本のものであるという観点から、正しい位置選定があってしかるべきだと私は思うのであります。それをいまの運輸大臣の御答弁では、現在あるブルー14の壁、それを認め、四つ米軍基地を認めながらの位置選定では、残念ながら国家百年の大計に立ったいい候補地選定できかねるのじゃないか、こう思うのです。いかがでしょう。
  43. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 安保条約は切れると、その次の第二、第三の安保条約はやるかやらぬかは、そのときになってみなければわからぬという考え方でございましょうが、われわれは日本経済力をもってして今日の日本を守り得る制空権、制海権は握れない、どうしてもやはりアメリカとの間の約束は守っていかなければならないと私は思います。しかし、それがかりに日本で守り得るにしましても、今度のSSTのごとき百トンも油を積んで二百五十人、三百人という人員を乗せる三百トン近い巨大な飛行機を、海から離れたところに飛行場を設けて、たとえば横田から立つというようなことを考えましたならば、東京及び横浜その他の大都市の上を通らざるを得ない、それは私はとらざることであると思います。かりにアメリカの問題はなしにいたしましても、やはりすぐ海に出られるというところが一番好適じゃないかというようなことで、航空審議会決定しました富里並びに霞というものは、海にすぐ出られるという好条件を備えております。それ以外にああいう条件を備えた場所はないのです。しかし遠く離れればある。しかし、せっかくアメリカから三時間ぐらいで飛んがきたものが、日本の国土に着いてから二時間も三時間も東京に来るのに時間がかかるようでは、またこれを利用する人の面からも考えなければならぬというような諸種の観点から見まして、航空審議会考えました個所は、やはり相当な専門家がそろっておりますから、ブルー14の問題を抜きにしても適地である、ただブルー14の問題についてもし了承していただけるならばということは、日本の軍の問題とつながる問題でございまして、軍の同じような作戦のもとに練習するのであるならば、あの中に入ってやってもできぬことはないではないかということの交渉で、あそこのものを返してもらって、そのあとにSSTの飛行場を持っていくということは考えておりません。
  44. 久保三郎

    久保委員 あなたの御説を百歩譲って、日本の制空権というか、そういうものを守るために安保を続けて、米軍に守ってもううということをたとえば是認しても、そのことと、それじゃ国際空港の国民経済における、あるいは国際的な経済の中におけるところの比重の考え方を、あなたはどういうふうに考えられておるか。制空権が大事だというならば、残念ながら第二空港はこの東京周辺にはできないという結論が先じゃないでしょうか。私はとにかく制空権がいい、悪いは別にして、それは二次的なものだ。国家経済上、国家の存立上、まず第一にわれわれがいま取り上げている第二国際空港は、国民的な経済、日本の経済的な発展あるいは日本の別な意味でいうところの国威発揚、こういうことにつながると思うんですね。単なる制空権を前提に置いて第二国際空港をつくることは間違いではないか、私はこういうふうに思うのです。私はあえて返せとは言わぬが、日本の全土と日本の空は日本のものである、その前提に立って第二国際空港選定すべきではないか、こういう主張なんです。   〔委員長退席、田邉委員長代理着席〕  そこで、このことについてもう一ぺん御答弁いただくと同時に、あなたの論法をもってしていくならば、いわゆる航空審議会の第二案としての霞ケ浦埋め立て、こういうことになっております。それじゃ日本の制空権防衛のためということで、百里基地はきのう視察したとおり九分どおり完成した、遠からずF一〇四がここに入ってくるこうなった場合にこの霞ケ浦の百里の基地は撤去できないということになっておるじゃないか、そうなれば霞ケ浦の埋め立て工事というか、ここに選定することはもはや論議の必要はなくてこれはだめだ、いかがでしょう。
  45. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 だから、第一候補地はそういうことに制限されますから、富里を第一候補地運輸省は見ております。どうしても富里が、小川さんのおっしゃるようにいろいろなことがあってできないということになれば、霞またやむなしということになるのであります。その場合に、いまおっしゃる百里の問題がありますから、その百里の問題はいわゆるブルー14の後に言ってもらったらどうだろうというような考えもありますので、閣僚懇談会では外務省を通じてその利用を——返還ではありません、利用をひとつ考えてくれということを申し込んでおるのであります。
  46. 久保三郎

    久保委員 あなたのお話を伺いますと、百里の基地については利用方法で調整したらいいという。われわれはすでに苦い経験を持っております。というのは、東海村の原子力研究所の設置の問題であります。この際は、いわゆる当事者であるところの政府あるいは関係である茨城県当局、これが原子力研究所を誘致するにあたって、あるいは設置するにあたって、将来は何とかなるだろう、水戸の射爆場は撤去になるだろうというような甘い見通しのために今日つくった、ところがつい一昨日も誤投下の問題が起きておる。しかも政府方針を先般科学技術委員会で開きました。代替地があれば米軍はのきますと言う。ところが代替地はいままでたっても、これはさがしても見当たらぬということであります。だからそういうことを前提に考えれば、あなたがおっしゃるところの甘い考えでは、霞ケ浦に設置することは困難ではなかろうか。特に管制というか、いわゆる軍の管制、いわゆる航空局主管の管制、なるほど一元化したような形にはなっております。しかしながら、御承知のように、これは必ずしも一元化していない。しかも軍というのは、作戦が最大の要務であります。そうなった場合に密度を増すであろう、頻度を増すであろうところのいわゆるスーパーソニックの離着陸に何らの支障なく、演習なり作戦ができるという前提は私はあり得ないと思う。しかも第二国際空港は万全の安全の策をとらなければならぬ、それを運用によって安全の策を確保するがごときは、断じて許すべきではないと私は思うのです。だから私が言いたいのは、百里の基地について、たとえば運用によってやるというならば、ブルー14の壁と四つの軍用基地が運用によってできない理由はどこにもない。日本の自衛隊も駐留米軍も、日本のいわゆる空を守るんだということについては、一致しておるわけであります。それならば、自衛隊なら運用がきく、米軍ならきかぬという理由はどこにもないじゃないですか。だから私は再三申し上げるのです。日本の国土と日本の空は自分のものであるという前提に立って、白紙に戻ってこれは選定し直さなければいかぬ、こういうふうに考えますが、いかがでしょう。
  47. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私はブルー14の外にある四カ所も、百里の日本の航空自衛隊も、空を守るということについては共同作戦をやっていると思います。それは、あれだけの距離が両方に離れているので、東京を守りやすいという線はあるでしょう。多少の不自由はあるでしょうけれども、どうしても富里にはできないということならば、この点はやはり譲歩して考えてもらうことが必要ではないかと考えておりますが、しかし、それは万一の場合であって、いまのところは富里にやるという決意のもとにいろいろの準備を進めておるのであります。
  48. 小川三男

    小川(三)委員 明確にしておくために伺っておきますが、そうすると、先ほどの質問場所決定政令によるが、その後起こってくる事態に対しては、法律上の責任は一切公団が負う、政府は負わないというぐあいに理解すべきなんですか。
  49. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほど例をあげられましたような場合について、直接の相手方というものは何かという御質問でございましたので、公団ということでお答えいたしましたけれども、公団運輸大臣の監督下にありまして、工事実施計画というものは運輸大臣の認可を要するということになっておりますので、こういう点から申しましても政府が全く責任がないというようなことはございませんので、やはり政府、特に運輸省がこの問題についていろいろな責任を負うということはその意味では当然でございます。
  50. 小川三男

    小川(三)委員 異議申し立てなどを起こす場合に、そうすると相手は公団ではなくて運輸省であるというぐあいに理解すべきですか。
  51. 栃内一彦

    栃内政府委員 非常に詳細な問題でございますので、手塚参事官のほうからお答えいたします。
  52. 手塚良成

    手塚説明員 公団は、法令にもございますように、一般的にいいますと、具体的な設置管理を行ないますので、その設置管理の範囲につきましては、公団自体が一般のそういった苦情を受けて処理をするということになります。しかし、その処理のしかたなり何なりに、適当でない、不当であるというような問題がございますと、先ほど局長が答弁いたしましたように、この法律の第三十六条で、公団運輸大臣が監督するという公団に対する一般的な監督権によりまして、運輸大臣自体がそういった意味責任なりを負うということになりますので、その段階を追ってそれぞれのものが適当な処置なり責任を負う、こういうことになっております。
  53. 小川三男

    小川(三)委員 先ほど運輸大臣は、久保委員質問に対して、第一に富里、八街がいまもなお候補地であるということを言っておられますが、先ほどのあなたの答弁では、もし富里、八街ということであるなら、事前千葉知事なり当該市町村なりに十分なる了解を求める、そしてこの仕事は急ぐものではない、したがってゆっくりとやっていくつもりである、こうお答えになっておりますが、航空審議会答申を見ると、急いでやらなければならない、昭和四十五年までには完成しなければならないということを言っておる。そういう点、いま富里、八街地区などには全然あなたのほうで了解など得ておらない。しかも、あなたはここで富里、八街地区だと言っておりますが、そういうぐあいに発表することによってどんなに大きな影響を地元に与えるかということについて、あなたは何らかの配慮をなさっておられるのか。
  54. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 候補地の問題です。二つの候補地はすでに決定しているのです。その決定しているというのは、つまり答申が行なわれているのです。その答申の中の第一候補は富里であるということは、答申を尊重しているわけなんです。しかし、そのうちのどっちにきめるかということは、まだこれからいろいろな段階を経なければわかりませんけれども、運輸審議会の答申は、第一は富里である、第二は霞ケ浦であるということを申し上げているのです。  それから、急がないというわけじゃないのです。何でもかんでも無理やりに、皆さんの了解を得ないでやるというのではなくて、その点は十分話し合いをつけて、できるだけ円滑に、かつ御迷惑のなるたけ少なくなるように交渉を進めていきたいということには、時間が多少かかってもしかたがないというのでありますが、飛行場を早く仕上げなければならぬということについては、帰心矢のごとしであります。非常に急ぎますけれども、それかといって、なすべきことをなさずに、補償すべきものをしないで無理やりに押し通す考えはないということを言っているのであって、急ぐことは急ぐのです。しかし、交渉の過程においては十分話し合いをして、尽くすべき手を十分尽くして、その上に話をつけたい、こういうことを言っているのです。
  55. 小川三男

    小川(三)委員 あなたは決定と言いましたね。それは航空審議会答申をしたのでしょう。あなたのほうで決定しているのではないでしょう。あなたはさっき、富里、八街に決定していると言われた。それは答申でしょう。航空審議会答申で、富里村では、あなたのほうから発表されて以来ほとんど行政はストップしているのです。八街、富里の三十九年度における農業構造改善事業も、中学校の校舎の新築も、青年館の建築も、果樹の団地畜産団地、それらのものがことごとく行政がストップしている。千葉知事は、やむを得ないので、二月に関係町村長全部を県庁へ呼んで、酒々井、八街、富里、山武町、これらの町村長を呼んで、空港に一切かかわりなく行政をどんどん進めるようにということを懇請しているわけです。これらのものがことごとくストップしている。  しかも、いまの状態の中で富里、八街などはどんなアンケートをあなたのほうでとられたかわかりませんが、およそ現在の現時点に立って、新たに千葉知事を通ずるなり、あなたのほうから直接なさるなり、アンケートをとってごらんなさい。それは全然様相が変わっています。二月の十四日には、富里中学校の講堂で新国際空港反対の決起大会が開かれている。これには、佐倉や成田など二市十一カ町村の千八百人の人たちが集まってここで決議をしている。そうして熾烈な反対運動を行なっている。ここで、この決議の内容について私は参考のために申し上げますが、運動方針としては、「一、空港反対同盟は、政党政派に偏せず、団結の拡大強化をはかる。二、空港反対同盟は、農地を死守し、騒音は絶対に許さない。三、空港反対同盟は、行動隊を組織し、事態即応の態勢をとる。四、空港反対同盟は、全国民支援の受入態勢を整える。」 決議として四つ決議をしています。「一、我々は地域住民の幸福を阻害し、生命に危険を与える空港設置には生命を賄けて反対する。二、我々は空港用地買収に関するいかなる交渉にも絶対に応じない。三、我々は政府の一方的な強圧に対しては、最後まで抵抗し、その無暴な計画は必ず撤回させる。四、予定地区周辺地区民は騒音による生活破壊に反対し、該当地区民の反対を支持し、物心両面にわたって絶対的な支援を続ける。」こういうような決議をしてやっておるわけです。  というのは、あそこの八街、富里は戦後の農地解放によってあの土地を得たものではなく、きのう飛行機の上からごらんになられたように、整然としてりっぱな営農が行なわれているわけです。しかもあの土地は戦前において佐賀の鍋島、大鐘、西村という三人の地主にあの広大な土地が専有されておったわけです。それが全国農民組合と地主側は国粋会を動員し、あそこで流血の惨事が行なわれて戦前に彼らがいまの農民の人たちが死力を尽くして獲得した土地なんです。したがって、あの人たちがそう簡単にあの土地を明け渡すというようなことは考えられない。しかもあなたのほうで第一に言えば八街、富里である。もっと地元了解を得るべきなんです。アメリカとの交渉に弱腰であって、しし営々として農業を営んでいる農民に対して強腰であるということは、少なくとも日本政府のやるべきことではない、私はそう考える。運輸大臣はいかようにお考えになっていますか。
  56. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 農民の方々が土地を愛されることは、わが子を愛する以上に愛されておりますことは、私は自分の体験を通じてよくわかっております。また上空から見ましたあの整然たる敷地、しかも区画が整然として整地されておる状況、これを全部立ちのいてもらうということになれば、農業に経験がある私は、涙なくしては見ることはできない。そのことと、またそういう土地を使わなければならない本事業との間の板ばさみになっている私の心境もお察し願いたいと思います。したがいまして、できるだけこれらの人々が、もし富里に決定して、富里にやらなければならぬということになりました場合、他に転職されるなり、あるいは従来と同じような農地を求めて農業を継続されて、他に移転されるなら、されることのできる程度の補償は十分政府としてはすべきであるというふうに考えております。しかもいままで何も手を打たぬではないか、手の打ちようがないのです。なぜならば、それは完全に候補地になったわけじゃないのです。二つの候補地決定した答申の第一であるということだけであります。ここでこの法案を早くきめていただきまして、法案がきまりましたならば、二条の適用によって、さっそくどっちかにきめるという、閣僚懇談会できめて、政令を出しまして、その日からきまるわけでございますから、そこまでまいりましたならば、先ほど来いろいろ答弁いたしておりますように、順序を通じて十分了解をしていただきますような手を打っていくつもりでございます。
  57. 小川三男

    小川(三)委員 いまの運輸大臣のお答えの中で、補償政府がすると言われておりますが、そうすると公団補償交渉対象にはならないということですね。
  58. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 公団を通じていたします。
  59. 小川三男

    小川(三)委員 いまの第二国際空港について霞ケ浦でも先日大会が開かれて、反対をやっている。軍事基地、航空基地のあるところ、ことごとくこれに賛成しているものはないのであります。なぜそうなるかという点について、政府のほうでお考えになっておられるのか。あるいは大阪空港にしましても、ここに成田の市会議員が特別調査委員会をつくって伊丹、豊中、川西の三市についての調査答申が出ておりますが、この三市の市長、議会議長全部こぞって反対しています。なぜ反対しているか。問題は、騒音に対する問題について、羽田にしても大阪空港にしても、運輸省としてはこれは直轄の仕事をやっておりながら、騒音に対してどんな対策を講じておられるのか、具体的に府県の人たちに対する騒音対策をどう処理されておられるのか、それを伺っておきたい。
  60. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今度のSSTは機体が大きいし、速力が速いものですから、離着陸に際して相当騒音が大きいだろうとだれでも考えるのでありますが、これはほんとうの力を出すのは上空一万メートルのところへ行ってから出すのであって、離着陸の場合においては普通の四発ジェット機、ダグラス程度のものということになっております。またこれはどこの国でもそのことが問題になるものですから、製作所のほうでは、浮き上がる場合においてはようやく浮き上がる程度のものでありますから、なるたけ海に近いところを選んでおります。フランスのように、北フランスの農場地帯でありますが、それ海よりちょっと遠いのですけれども、千二百町歩の中に農家一軒しかないのです。そういういい土地がフランスにあったのです。日本はそんなところはございませんから、海に近いところとすれば、まあああいうところしかないのではないかと思っております。
  61. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまお尋ねの、運輸省東京あるいは大阪の騒音対策について全然手を打っていないではないかというお尋ねでございますが、現在まで、東京国際空港におきましては種々対策を立てております。具体策といたしまして、たとえば深夜におけるジェット機の離着陸を禁止する、あるいはできるだけ市街地の上空を避けて飛ぶというようなことをやっております。それから大阪につきましては、ジェット機の離発着というものは、昨年のたしか六月の中ごろからであったのではないかと記憶しておりますが、現在ジェット機の離発着はまだそれほど多くはございませんが、ただいま先生から御指摘のとおり、付近の公共団体におきまして、ジェット機就航以来騒音の問題が非常にやかましくなりました。そこで、航空局といたしましては、三月下旬に騒音の調査というものをいたしまして、まだ最終的な結論は出ておりませんが、どの程度の騒音があるか、また羽田と比較してどうであるというような点をよく調査の上、必要な措置を講じたい、かように考えておる次第でございまして、全然騒音の問題に無関心であるということは決してございません。
  62. 小川三男

    小川(三)委員 いまの航空局長のお答えでは、騒音の被害はお認めになっているわけです。いま調査中でということを言っておりますが、ここには、これは全部、豊中、川西、伊丹、三市の騒音に対する被害ですが、このように三市とも飛行場の撤去を求めている。とてもやり切れない。特に伊丹の市長は、広報の中でこういうものまで書いています。「もはや伊丹市にとって一番大きな問題は何かといえば、飛行場の問題である、騒音の問題である、そうして付近のアパートや何かはどんどんあいてしまう、市で建てた建物には居住する者がない、そうして他では人口がふえているにかかわらず、飛行場周辺は人口が減少している。しかもいま一番大きなのは人間尊重ではないか。」 これは広報いたみの中に、伏見正慶市長みずからが書いたものであります。このように悲鳴をあげているわけです。ところが、それに対して、先日調査に行っても、何ら、国際空港の所管省である運輸省として調査中であって、いま騒音に対する具体的な対策を何も立てておらない。したがって、反対が多いわけです。調査ではなくて、私の尋ねているのは具体的にどんな対策を立てておられるのかということを伺っておるわけです。
  63. 栃内一彦

    栃内政府委員 先ほど申し上げましたように、大阪における騒音問題がやかましくなりましたのは、昨年六月ジェット機が就航しましてから逐次問題になってまいりました。したがいまして、ただいまおっしゃいますように、付近の公共団体におきましてはいろいろ問題にしておりまして、航空局のほうにもいろいろ話がございます。したがって、ジェット機が就航いたしましたので、その結果どのような状況であるかということを航空局としては客観的なデータを十分そろえるということがまず第一でございまして、この客観的なデータなしには今後対策をどういうふうにするかということもできないわけでございます。したがって、まずこれをやることによりまして、今後その結果によってどういうようなことをやるかということを検討すべきでございまして、いまごろ調査とは何ごとかというおしかりでございますが、羽田と違いまして、大阪はごく最近ジェット機が飛び出した。そこでまず調査をしまして、今後の対策を立てたい、こういうことでございます。
  64. 小川三男

    小川(三)委員 ジェット機の就航は、しかもジェット機が非常な騒音を出すということはあなたのほうでわかっているわけです。したがって、そういうものに対して事前に対策を立てない。そうして、ほうっておくからどこへ行っても飛行場のあるところ、付近の住民から反対が起こる。これは横田基地の被害報告ですが、参考のために申し上げます。  「横田基地は沖繩につぐ米空軍の重要拠点で、水爆積載も可能のF一〇五戦闘爆撃機をはじめ、F一〇二、B五二、B五七など戦爆連合による高性能の実戦機が配置されている。騒音被害、同基地滑走路の延長上に位置する昭島市の被害報告書は、次の実情を指摘している。早朝から夜間に至るまで平均七五PH(フォーン)以上の状態の中におかれている内容は一日二、三回の一回約二時間程度継続するエンジン、テスト(最低九〇PH、最高二二〇PH)が行なわれ、この間一時間平均十五、六機、平均四分間に一機離着陸、合計すると二分間一機の離着陸が行なわれる。自記騒音計は昨年十二月一カ月間に、八五——九九PH四二四五回、一〇〇PH以上一七六九回、合計六〇一四回の飛行騒音のあとを残している。午後七時から午前六時までの夜間回数はそのうち七七三回、ふつう国電の中が八〇PH、地下鉄内九〇PH、自動車の警報が前方二メートルで一一〇PH、であるから、そのひどさも察しがつこう。さらに報告書は、騒音被害として、1、睡眠不足、食欲、減退、疲労の加重、2、青少年の勉学中断、3、業務家事の中絶、能率低下、4、ラジオ、テレビの聴視、会話電話の中断、5、病人の回復力の減退、6、住居の耐久力の低下、家具の破損……、等をあげている。騒音度のもっとも強い拝島地区(八百戸)では、三百五十戸と移転問題を話し合っている。また、他地区のテラスハウス都営住宅は、極度の住宅難にあえぐ東京であるにかかわらず、半数以上が空屋である。さきの拝島地区で、昨年末、超低空で飛行したF一〇五の衝撃波によって、十五戸のガラス四十数枚が割れ、拝島では入浴中の女性が負傷するという事故があった。」これは横田基地中心とした問題です。  さらに鉄筋コンクリート、たとえば学校にしても、「鉄筋コンクリート建、二重窓の防音装置をつけたが、夏は窓をあけるので効果なく、冬でも授業を中断せねばならぬ実情である。かりに爆音八七PHの場合、教壇から一メートルの最前列で教師の声(通常実音)は八五PH、ごくかすかに聞こえるが、意味は通じないし四メートル以上離れれば全く聞こえないことになる。昭島市議会は満場一致でF一〇五の横田撤退をふくむ「騒音と危険排除」の要求を決議した」。  このように、どこの地区へ行っても、軍事基地をはじめ、騒音に対する何らの対策も立ててない。したがって、地元に対して何の利益も与えないで被害のみを与える。こういう実情の中で、飛行場の説得について、あなたのほうでどこの土地を指定してこれを説得しようとしても、現にある飛行場自体に対する改善施設を先行しない限り、私は賛成するものはないだろうと思う。運輸省としてどんな対策をお持ちになられるのか。
  65. 栃内一彦

    栃内政府委員 私も、飛行機の騒音につきましては、非常に御迷惑をかけておるという点は率直に認めております。ただ、いま引用されました横田基地の問題と民間飛行場というものとは若干違うのではないか。と申しますのは、民間の飛行機が騒音を出さないという意味ではございません。その出し方におきまして格段の相違があるということを特に申し上げておきたいわけでございます。と申しますのは、軍用機は御承知のように戦闘目的に使用いたしますので、騒音なりそういうものに神経を使うよりも、むしろ戦闘上の性能というものに重点を置くのは当然でございますが、民間機におきましては、もちろんいろいろな経済性の問題その他はございますが、騒音という問題には軍用機に比較して格段の配慮を払っておるということが一つあげられます。たとえばいろいろな消音の装置を、もちろん軍用機にはつけられないようなものもつけておるわけでございますが、また軍用機につきましては、いわゆる離陸時にアフターバーナーというものを使用しまして、非常な音がする。それから、先ほどガラスが割れたというお話がございますが、これは、おそらくいわゆる音速で飛ぶときに起こる衝撃波ではないかと想像いたします。現在の民間機につきましては音速以上のものはございませんので、そういう被害は全くございません。ただ、今後入ってまいりますSSTは超音波の旅客機でございますので、飛行機自体としましては、衝撃波を出す可能性を持っておるわけでございますが、これはいろいろな機会に申し上げておりますように、日本の場合でございますれば、早く海上に出まして、海上で一定の高度をとってから超音速に移るというようなことで、衝撃波の問題は日本におきましては民間機に関する限り全然心配がないというふうに考えられます。  それからもう一つ、この騒音の問題は、アメリカにおきましても御承知のように非常に大きな問題でございます。特にSSTを開発するという責任を持っておりますアメリカの連邦航空庁の性能要求によりますと、やはり騒音の問題に非常に気を使っておりまして、衝撃波の問題は別としまして、騒音自体については現在のジェット機と同じ程度になるようにくふうをすることという条項が出ております。私はこの条項をそのまま信用するものではありませんが、それだけの努力をしてやるという場合には、やはりある程度そういう中におさまるのではないか、あるいは不幸にしてそこにおさまらないという場合におきましても、それほど大きな音にならないようなくふうがされる。そして繰り返すようでございますが、日本は幸いに海に囲まれておりますので、米国の大陸上の飛行と違いまして、衝撃波の影響が皆無であるということ。ただ、現在のジェット機でも、民間のジェット機でもやかましいではないか、羽田においてもよく問題になるではないか、また大阪でも最近非常に問題になっているではないか、この点は私は率直に認めます。これにつきまして、羽田におきましては、先ほど御説明しましたように、深夜における離発着の制限というものをいたしておる。それから大阪につきましては現在調査を行なっておるということ。  それから、今後、じゃ、どういうことが考えられるかといいますと、やはり滑走路というものをかなり余裕を持ってとるということがまず必要であろうと思います。そのほか滑走路の方向あるいは配置というものを考える場合に、できるだけ市街地のほうに行くことを避ける、あるいはこれはワシントンのダレス空港でやっておりますように、周囲に植林をするというようなこと、いろいろな方法がございます。それから先ほど横田基地について、飛行機が整備中にエンジンをふかす音が非常にやかましい、これは飛んでおるときではない、整備中にエンジンをふかす音が非常にやかましいということをお述べになりましたが、それは確かにそういうことはございます。そこで、これにつきましては、地上でございますので、サイレンサーというような設備がございまして、これを十分活用することによって、整備中の音の減少ということは十分にできるのではないかというふうに考えます。そのほかいろいろの問題がございますが、これは具体的な場所がきまりまして、そして周囲の状況がどうであるかというようなこととからみ合わせていろいろくふうをして、できるだけ周囲の方に御迷惑のかからないようにするということでございまして、何ぶんにもまだ場所決定を見ない現段階において、具体的にどうするかという点は、ちょっといま申しかねるわけでございます。
  66. 小川三男

    小川(三)委員 大阪空港に対しては調査中であるということであるけれども、具体的にはまだ騒音に対する何らの方策を持っておらないのですか。
  67. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいま申し上げましたように、ジェット機の利用ということが、まだ昨年の六月以降のことでございますので、現在のところはもちろん便数は非常に少ないわけでございます。羽田に比べればもうほんとうにわずかなジェット機の使用でございます。したがって、現在羽田において騒音が問題になっておるほど客観的には騒音はないというふうに私は思っております。ただ、ジェット機が導入されましたので、非常な刺激を与えた、この点は率直に認めますが、騒音それ自体としましては、羽田のようにジェット機の離発着がひんぱんでございません。一日何便というふうにきわめてわずかでございますので、羽田ほどの問題はないと思っておりますが、いずれにしましても非常に地元を刺激しておる。また騒音をジェット機が発散するということは、私もたびたび申し上げますように率直に認めておりますので、一体どの程度の頻度で、どの程度の大きさのものであるかということをまず調査して、それからいろいろな対策を検討するというのが順序であろう、かように考えております。
  68. 小川三男

    小川(三)委員 航空審議会答申によっても、騒音対策は重大な問題であるということを指摘しております。あの中で防音林の設置——防音林といいましても、たとえば昭和四十五年にその飛行場を使おうというのに、いまから植林して、少なくとも森林といえるような状態になることはあり得ない。しかも上空から来る音に対して、周辺の林でそれを防ぐことができるのか。したがって、防音林の設置によって騒音を免れるというようなことはあり得ない。三年や五年で少なくとも森林というようなものはあり得ないのです。そういう点についての具体的な対策はどうなんですか。
  69. 栃内一彦

    栃内政府委員 航空審議会答申に、騒音問題に対して慎重な考慮をしろということは出ておりますし、また答申に出ておらなくても、この問題は真剣に取り組まなければならない問題であるということは何度も申し上げておるとおりでございます。  それから、いま防音林の問題についてお話がございましたが、私は防音林というものはこれで完全に騒音がなくなるというふうには、それほど甘く騒音の問題を考えておるわけではございません。それから、一朝にして林ができるということも考えておりませんが、ともかく騒音に対する対策としては、効果のある方法はできるだけとるという一例としてこの問題を取り上げておるわけでございまして、将来にわたって使用します飛行場、特に使用開始当初は離発着回数というものも少ないわけでございますが、次第次第に離発着回数がふえるということによって騒音問題もだんだんと問題になってくるということでございますので、やはり植林をするというようなことは将来のために非常に重要なことではないか。  しかし防音林があるからといって、上空から来る騒音というものを遮断するということはできないということでございます。少なくとも滑走中の飛行機というものの騒音をある程度防止するということは可能でございますので、対策として考え得る効果のあるものはできるだけ採用して、それらを総合的に力を発揮して、幾らかでも騒音を軽減したいということでございまして、すべての対策をやったから全く静かになるというふうには私自身もそれほど甘く考えておるわけではございません。
  70. 小川三男

    小川(三)委員 別の角度からちょっと伺っておきますが、新空港はあくまで平和的な国際連帯の上で使用されるべきものだ、アメリカ空軍からこれの共用なり使用なりを申し込まれた場合に、あなたのほうでこれを断わることができますか。
  71. 栃内一彦

    栃内政府委員 この点はもう御説のとおりでございまして、新東京国際空港というものは純粋の民間用の空港というふうに私は考えております。アメリカから申し込みがあるとは思いませんけれども、まあほとんど想像できない問題でございますが、仮定の問題としてそういうことがあれば、もちろん政府としても断わるということになるということははっきり申し上げられると思います。
  72. 小川三男

    小川(三)委員 それは断われますか。いいですか、条約の第七条に、「合衆国軍隊は、日本政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、日本政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業及び公共の役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を享有するものとする。」ということが規定しておりますが、この場合、公共的なものとして飛行場の利用を申し込まれた場合に、日本政府はこれを断固として断わるだけの処置ができますか。
  73. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 法律的のものでありますから局長から答弁させます。
  74. 栃内一彦

    栃内政府委員 いま御指摘になりましたのは、いわゆる地位協定を御引用になったんだと思いますが、これは、私の解釈によりますと、非常事態という状態を予想しているんではないか、かように考えております。  なお、この詳細な条文の解釈という点につきましては、条約上の問題でございますので、私のいまの答弁は航空局長の答弁ということで御了承願います。
  75. 小川三男

    小川(三)委員 安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の中の第七条にいまの私の申し上げた条文があるわけです。したがって、公益事業及び公共の役務を利用する、しかも優先的に使用することができる、享有するものとするということが明確にあるわけです。したがって、これによって新国際空港アメリカ空軍が使用するということを申し入れられた場合に、非常事態といいますけれども、非常事態の判定はだれがするのか。おそらくアメリカがするんでしょう。そういう場合に、平和的な目的に使用すべき国際空港が軍事目的にも使用される危険が十分ある。その点について、日本政府の明確なる態度を決定すべきじゃないか。したがって、私は運輸大臣にそれをお尋ねしているわけです。条文の問題じゃないのです。
  76. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 第六条の規定の中にある問題の非常事態関係の判定は、事前協議によってそれをきめるんでありますから、向こうから一方的のものではありません。その上でこれは非常事態であるから一時使わせるということの話し合いがつけばそうなるであろうが、そのようなことはおおむねないと私は思います。
  77. 小川三男

    小川(三)委員 それではその問題は後ほどまたよく伺うことにしまして、これは保留にしておきます。  次に、日米航空協定の経過について伺っておきたいと思います。
  78. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 一時休会になっておりましたが、現在武内大使との間に向こうでいろいろとその後の変化に応じて下交渉いたしております。その結果、向こうからいろいろ言ってまいりましたら、こちらから乗り込んでいって、どうしてもニューヨーク、ビヨンド、大西洋を経て世界一周の権利を、不平等の条約を平等に直すべくどこまでも努力する覚悟でございます。
  79. 小川三男

    小川(三)委員 米国が世界の主要国と結んでいる航空協定でニューヨーク以遠の乗り入れを認められていないのは日本だけである。その点は間違いありませんか。
  80. 栃内一彦

    栃内政府委員 もちろん世界に国が多いわけでございますので、主要国はほとんどニューヨークに乗り入れをしているということは事実でございますが、国際航空事業を持っておる国でも、主要国、主要国でないということばは、表現はあるいは問題があるかとも思いますが、ニューヨークに入ってない国もございますけれども、いわゆる日本という国とほぼ同じような国では大体ニューヨークに乗り入れをしております。
  81. 小川三男

    小川(三)委員 日米航空協定の交渉の中で、日本側の中部太平洋経由及び以遠乗り入れの件に対して、ニューヨーク以遠は認めない。ニューヨークどまりの路線を認める条件としてアメリカ側が逆提案を出されているということを伺っているんですが、そういう事実はありますか。
  82. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまお述べになりましたように、昨年の夏の会談におきまして、先方はニューヨークまではロスアンゼルス経由乗り入れは認めるということを申しましたが、その際に非常にきびしい条件がついておりました。たとえば、現在日本航空がサンフランシスコにまで行っておるわけでございますが、このサンフランシスコに行く路線というものは認めないというような点、その他非常にきびしい条件を付したということは事実でございます。
  83. 小川三男

    小川(三)委員 私の知っておるところでは、アメリカの逆提案がありまして、一に、現在日本に認めているサンフランシスコ、シアトルへの乗り入れ権及びロスアンゼルスから南米への乗り入れ権は失われる。二に、米国側に大阪への乗り入れ権、沖繩、九州、東京路線の権利を認める。三に、米航空会社の東京以遠の地点の運航、新たな東京−香港線開設については日本側の同意は要らないことにする。四に、東京からニューヨークどまりの路線を日本側が運航する場合、ロスアンゼルスに寄らないニューヨーク直行便を運航してはならない。五に、パンアメリカン航空貨物専用便の増便を直ちに認可する。これだけの五つの条件が逆提案としてアメリカから出されたということを伺っているのですが、これは事実ですか。
  84. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいま述べられました点はほとんど事実でございます。ただ、これは文書によって出されたものでなく、口頭によって先方から述べられたものでございます。  それから、最後のパンアメリカンの貨物便の問題は、協定交渉の問題とは直接関係ない問題でございます。その点は少し性質が違いますが、その他の点につきましては、ロスアンゼルスからニューヨークどまり乗り入れということに対する先方のいわば代償要求というような点で、いま小川先生がおっしゃいました点は、細部の点までそのとおりでございます。ただ最後の点だけがちょっと違うということでございます。
  85. 小川三男

    小川(三)委員 アメリカのこういう逆提案に対して、運輸省として、あるいは日本政府として今後どういうように交渉をやっていこうと思うか、その点を運輸大臣から伺いたい。
  86. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 交渉中ですから、向こうからいろいろなことを言ってくるでしょうれども、現在のような不平等な条約をわれわれは承認することはできません。どこまでも国民の背景のもとにおいて世界一周飛行の路線を獲得すべく、もちろんニューヨーク、ビヨンドを獲得すべく交渉する決意であります。
  87. 小川三男

    小川(三)委員 最後に伺っておきますが、新国際空港位置決定は重大な問題ですが、主管省として運輸省が指導的に決定するのが、位置決定ができなければ、たとえば空港公団法案が通り、空港公団ができても、何らの作業を行なうことができない。事務所を借り電話を引くくらいのことは問題ではなくて、実際の仕事ができない。その場合、位置決定閣僚懇談会がするのか、それとも主管省である運輸省決定するのか、その点を伺っておきたい。
  88. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 実際問題としてここまでいろいろな段階を経てきたものですから、総理及びこの閣僚懇談会の場で総理が最終的な裁断をするというところでないときまらないのではないかと私は思っておりますが、できるだけ私は原案を提案したいと思っております。
  89. 小川三男

    小川(三)委員 先般の運輸委員 会で關谷委員質問に対して運輸大臣は、私は全力をあげて断固としてこの決定について努力する、邁進するということを言っておられるのです。その場合、一体閣僚懇談会で河野国務大臣は会を運営する単なる座長にすぎないのか、それとも大きな決定権を持つ立場にあるのか、運輸大臣との比重はどうなのですか。
  90. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 政令閣議を通さなければきまらないのですよ。私は断固やるんですよ。だけれども一人反対されたらやれないのですよ。だからそれをまとめるためにある閣僚懇談会でありますから責任はあります。しかし閣議の場合、反対が出ないようにするためには、皆の意見を取り入れて調整をした上で閣議に出さないと、閣議の席上で一人反対があったら閣議が成立しないのです。そこにむずかしさがあることを御了承願いたいと思います。
  91. 小川三男

    小川(三)委員 これは新聞の責任といえばそれとまででありますが、霞ケ浦に決定した、あるいは富里、八街は最有力候補であるというように盛んにアドバルーンを上げておられる。けれどもあなたのほうはアドバルーンを上げっぱなしで、それもよろしいでしょうが、上げられた地域の住民は、先ほど私が申し上げたように非常に大きな影響を受けている。こういう点について政府は非常に無責任である。もしかりにいままでの八街、富里に飛行場ができなかったとしたら、今日まで与えた損害について賠償を請求するんだと地元の人は言っているぐらい、そのように大きな影響を与えておるものを軽々しくなぜ発表されたのか、一体どういう根拠で発表されておるのか、今後も盛んにアドバルーン式に発表していく方針なのか、その点を明確にお答え願いたい。
  92. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 新聞がいろいろなことを書きますけれども、運輸省として、航空審議会において答申したことは、富里が一位であって、霞が二位であると順位は言ったことがあります。しかし、それを候補地としてきめたと発表したことはないのです。けれども、それがいろいろ書かれるんです。この間正式に新聞に発表しましたのは、そのほかに東京湾の埋め立てをあわせて研究すべきであるというのを一つ加えたものですから、そのときに初めて富里ほか東京湾並びに霞の埋め立ても早急に研究すべきであるということを加えたわけです。そのときには、正式にそういう文書を発表しましたが、それまでには、こういう国会で質問された場合には、いままで申し上げたような順序によって発表しておりますが、これはおおむね航空審議会答申を申し上げておるのであって、まだ運輸省決定してしまったわけではありません。それを尊重しております。
  93. 小川三男

    小川(三)委員 これで終わりますが、航空審議会答申は三十九年に出ておるのです。その後また新たに東京湾なり何なりを調査する、そうすると、航空審議会の三十九年に出された答申はもはや生きていないと理解してよろしいですか。今後新たに各地を調査するのですか。
  94. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 その答申は生きております。そのほかに各省間でそういうことも調査してみてくれということですから、それは調査することはしかたがない、われわれはやりましょうということであります。
  95. 田邉國男

    ○田邉委員 長代理 次会は明九日午前十時より理事会、理事会散会後委員 会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会