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1965-02-24 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十四日(水曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 大西 正男君 理事 關谷 勝利君    理事 田邉 國男君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       佐々木義武君    田澤 吉郎君       塚原 俊郎君    小川 三男君       勝澤 芳雄君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    山口丈太郎君       内海  清君    竹谷源太郎君  出席政府委員         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君  委員外出席者         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 二月二十四日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として實  川清之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員實川清之辞任につき、その補欠として勝  澤芳雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十二日  造船法の一部を改正する法律案内閣提出第九  五号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二六号)      ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。内海清君。
  3. 内海清

    内海(清)委員 本法案につきましては、すでに同僚議員から多くの質問がなされておりますが、ごく簡単に若干の御質問を申し上げたいと思います。  政府は、三十六年に港湾整備五ヵ年計画を策定しまして、それの実施に入ったのでありますが、その後、貨物量の増大とかあるいは船舶のふくそう、あるいは事故の多発であるとか、さらにまた地域開発の諸施策推進等の理由によりまして、これが三十八年度で一応中断される、こういうことに相なっておるのであります。そうして三十九年度を初年度といたします新港湾整備の五ヵ年計画を策定することを見込みまして、三十九年度の予算を計上したはずであるのであります。ところがついにこの新五ヵ年計画は実現を見ずに終わった、こういうことでございまして、そこであらためて四十年度を初年度とする新港湾整備の五ヵ年計画が正式に策定されて、そうしてこの法案がこの国会に提出された、こういう段取りに相なっております。これら一連の状態を見ますと、どうも運輸省の今日までの港湾整備に対しまする政策というものがきわめてはっきりしていなかった。ことに三十九年度の予算は、一応新五ヵ年計画というものを見込んで立てられたものであるが、この三十九年度の予算はどういう性格のもので終わったか、こういう点をまずひとつお伺いしたい。
  4. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいまおっしゃられましたように、当初、三十九年度を初年度とする五ヵ年計画として発足したわけでございますが、その廃容につきましては、中期経済計画の作業がおくれておるということから、三十九年度中に決定を見なかったわけでございます。しかし、三十九年度の事業の内容といたしましては、三十六年度から発足いたしました古い五ヵ年計画の中には盛られておらないような新しい事業も取り組みまして、実質的には新五ヵ年計画一環として発足したわけでございます。
  5. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、三十九年度を初年度とする新五ヵ年計画中期経済計画に見合ってつくられたものである、こう理解してよろしゅうございますか。  そういたしますと、三十九年度の予算というものはこの中期経済計画の中に含まれておる、こういう見方をしてよろしいのでございますか。
  6. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 新しい五ヵ年計画は四十年から四十四年までと、こういうことになっておるわけでございまして、三十九年度の仕事中期経済計画に沿うた仕事考えていいと思います。当然三十九年から発足すれば四十三年までのものでございますから、三十九年度の仕事はすでに実施したものでございますので、四十年を初年度として四十四年度までにいたした、こういう経緯でございます。
  7. 内海清

    内海(清)委員 そこのところがどうもわれわれはっきりしにくいのでありますが、そうすると、新五ヵ年計画一環として三十九年度の予算は見てよろしい。その三十九年度の予算の上に新しい新五ヵ年計画が積み重なる、こう解釈していいわけでございますか。
  8. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 そうです。
  9. 内海清

    内海(清)委員 それでは、そういう点を考えてみますと、三十九年度の予算というものが今日まではきわめてあいまいな形にあった、こう考えるのであります。そういたしますと、新五ヵ年計画といわれておりますけれども、三十九年度を初年度としていわゆる新六ヵ年計画、こういうふうな考え方にも通ずると思いますが、それでよろしいのでごございますか。
  10. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 実際は三十九年度から発足することを予定いたしまして、四十年度予算に際しましても、三十九年度を初年度とする事業量といたしまして、今回決定いたしました六千五百億円というものを要求しておったわけでございますが、これは諸般の事情があると思うのでございますが、大蔵当局と最終的に決定いたしましたときには、金額のワクとして一年ずらしまして、四十年度から四十四年度というようにきまったわけでございます。これは港湾だけではございませんで、河川の五ヵ年計画も同じような措置が取られたわけでございます。したがいまして、一応計画としては四十年度から四十四年度でございますが、実質的には三十九年から六ヵ年続いたもの、そういうように考えてもいいと思います。
  11. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、三十九年度から新五ヵ年計画は発足すべきものであったが、中期経済計画がおくれたためにこれが一年ずれた、こう解釈して差しつかえないと思うのであります。  そこで、次にお尋ねいたしたいのは、運輸省は昨年の九月ごろでございましたか、昭和三十九年から昭和五十五年に至る十七年間の長期港湾整備計画をつくられた、そうしてその必要経費はたしか二兆六千二百億と踏んでおったように思うのであります。この三十九年度を初年度として五十五年に至る長期計画、これと中期経済計画、新五ヵ年計画、これらの関係はどういうぐあいに相なりますか、その点をひとつ伺いたい。
  12. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 五十五年までの見通しといたしましては二兆六千二百億を想定いたしまして、そのうち三十九年から四十三年までの間を七千二百億円と想定いたしたのでございます。その七千二百億円の事業が、今回は四十年から四十四年までの間で六千五百億円と、かようになったわけでございます。したがいまして、当初われわれが予定しておりました事業量よりも、初めの五ヵ年間の事業量というものが減るわけでございますが、これは国全体の経済計画から見てきまりましたものでございますので、やむを得ないものと思います。したがいまして、私どもは、この中で当面必要とする仕事を五ヵ年間に割り当ててやっていくわけでございます。そこで残ったものは次の五ヵ年間に繰り越していかざるを得ない、こういうのが実情でございます。
  13. 内海清

    内海(清)委員 二兆六千二百億というこの十七年間の計画というものは、これはまあ運輸省中期経済計画一つの資料として出されたのだと思いますが、この計画は現在もまだ生きておるわけですね。
  14. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この五十五年までの見通しというものについては、現在も生きておると思います。
  15. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、この五十五年までの長期計画一環として新五ヵ年計画ができたということで、それが先ほどお話しの四十年から四十四年までに六千五百億ということでございますが、そういたしますと、この十七年間の長期港湾整備計画というものは、非常な膨大な財源が必要であります。十七年でありますから、今回の五ヵ年計画はまず三分の一ということでありますが、これは資金的に見まして、この十七年間の計画が生きておるとすれば、こういう新五ヵ年計画計画で進んでいって、大体これが達成される見込みがあるかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  16. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 五十五年という目標は、いまお話がございましたように十七年も先の計画でございまして、これは個々の計画を積み上げたものではございませんが、われわれとしては、目の前の五ヵ年というものを想定するのに、さらにその先はどういうような姿になるだろうかというようなことから、全体の投資額というなものを概算したものでございまして、このものはわれわれだけが現在採用し得るところの経済指標をもとにしてつくったものでございますから、この経済指標自身が動くことによって当然変更されるものと考えておるわけでございます。
  17. 内海清

    内海(清)委員 もちろん経済は生きものでございますから、どんどん動いてまいりますから、この計画が最後まで変更なしにいくということは考えられませんが、その十七年間の長期計画に対して新五ヵ年計画を策定された現時点においてはなおこの方向において大体いく、こういうことでございますか。
  18. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほども申しましたように、これは見通しでございますので、現在の段階におきましてわれわれがこれをつくるために用いました長期見通し経済指標というものがそう変わっていないわけでございますから、現在もわれわれは五十五年においてはこれだけの投資量が要るのだというように考えておるわけでございます。
  19. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、一応この十七年間の港湾長期投資計画の五十五年におきまする貨物見込みのトン数はどのぐらいな荷動きがあるという計画に相なっておりますか。
  20. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 五十五年におきます貨物量は二十億トンを予定しております。現在の貨物量は、統計は三十八年よりもできておりませんが、これによりますと三十八年が六億三千万トン、現在持っております四十四年の目標といたしましては十億トンでございます。
  21. 内海清

    内海(清)委員 先般のここでの御答弁では十億五千万トンじゃなかったですか。
  22. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 十億五千万トンでございます。
  23. 内海清

    内海(清)委員 これはわが国港湾行政の基本的な姿勢に相なると思うのでありますが、わが国の今日の経済発展状況を見ますると、港湾の設備というものは早急に改善されていかなければならぬ、こう思うのであります。ところが、これに必要な財源は、先ほど申しましたような長期計画から見ましても非常に膨大なものである、こういうふうに見るのでありますが、これに対しまして今日まで政府がとってまいりました港湾整備の姿からいたしますと、主として国が予算を捻出している方法であります。国が主として責任をもってやってきたということでありますが、このままではたして経済成長に見合うような港湾整備が今後においてもできるかどうか、こういうことを実は心配するわけであります。  外国の例を見ますると、外国では、一部民間投資によってそういうものの計画が確保されていくという姿もあるように思うのであります。わが国におきましては、今後とも従来の方針をそのまま続けられていく考えであるか、それとも今後の経済成長港湾整備というものが見合わない場合には、あるいはいままでの方向を若干変えて、ある程度民間資金も活用するというふうな方向にいかれるようなお考えがあるかどうか、これらの点についてちょっと伺いたい。
  24. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 昭和四十年から四十四年までこの五ヵ年計画の六千五百億円というものを見ますると、そのうちの一千億円というのは起債によりまして上屋とか荷役機械をつくっていくものでございますから、五千五百億円が基本的な施設をつくるものでございますが、その五千五百億円のうちでも六百五十億円というものが地方で単独に港湾基本施設をつくる資金でございます。ですから、残りの部分が国の補助する事業となっておるわけでございます。このほかに一般に工場その他が専用するものについては、現在このほかの事業として民間がやっておる分があるわけでございます。  今後この投資がふえてくるにつれて民間資金を活用するかどうかということでございますが、われわれは港湾企業民間において成り立つものであるならば、決してこの民間資金を押えてまで公共団体がやるというつもりはないわけでありますが、何ぶんわが国港湾におきましては、貨物を取り扱うまでに至る施設を完成するということには相当多額の資金を要するわけでございまして、それを民間がつくってペイする料金を取るということになれば使用料が相当高くなる、こういうことがございます。したがって、なかなか民間資金が活用できないというのが実情でございまして、決して民間資金を入れるのを拒んでおるというわけではないのであります。
  25. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、現在までは民間投資してこれをやっても結局ペイできない、したがって民間の保護の意味からもこれは国でやるべきだ、したがって、そういうことになりますれば、今後もやはりそういう方向でいく、こういうことでございますか。
  26. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この一つの例といたしまして、三池港のように三井の石炭を出すというようなことから始まったと思いますが、私営でやっておる例もございますが、これはきわめてまれな例でございます。ただ、今後の考え方といたしましては、六大港等におきましてバースをたくさんつくらなければならぬというような場合には、四十年度予算において考慮をいたしましたのは、財政投資によって長期低利資金を活用するということで事業量も伸ばそうということを考慮したわけでございますが、そういうような考え方をさらに発展させて、公共的な資金、すなわち国、港湾管理者資金にさらに私企業資金もプラスできて、資金量がふえるというような形が新しい方式として考えられれば、われわれはそういうものも今後検討していきたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 内海清

    内海(清)委員 このことは将来の港湾整備計画の上ではやはり重要な一つのポイントだと思う。今日のようにわが国経済が非常な成長をいたしますと、なかなか港湾整備もこれに伴わぬのが現状です。したがって、港湾整備計画もだんだんと改めていかなければ、これに追っつけないという状況であります。改めてまいりましてもなお追っつかぬというのが現状であるのであります。もし、これは民間ではペイができない、わが国経済状態からいえば当然国がやるべきであるということであるならば、今後の港湾整備にはここに国も思い切った施策をやっていかなければ、わが国経済発展を阻害すると思うのであります。外国ではいろいろ大きい会社では、相当民間資金が出されておるようであります。したがって、今後そういう方面を十分ひとつ研究されて、わが国経済成長港湾整備というものが相伴うて遂行されていく、こういう体制にならなければならぬと私は思うのであります。これらにつきましては、いずれまたお伺いする時期もあると思いますけれども、十分ひとつ御研究いただきたい、こういうふうに考えるのであります。  それから次にお伺いしたいと思いますのは、港湾関係収支でありますが、貿易外収支で、港湾関係収支が非常に赤字が大きい、こういうことが非常に問題になっておる時期でございます。従来までわが国では港湾行政というものは公的な管理行政としてやってこられた、こう考えるのでありますが、特にわが国では、そういう公的な管理ということからして、最初から赤字が出ることを見込んでやる、こういうふうな傾向さえあると思うのでありますが、これもひとつ考えてみる必要があるのじゃなかろうかというふうに思うのであります。すなわち経常収支独立採算制にする、そしてその機能を強化していったらどんなものだろうかという一つ考え方でございます。これにつきましての御所見をひとつお伺いいたしたい。
  28. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 確かにおっしゃられますように、わが国港湾企業会計的に見ないで、一つ行政の手段であるというようなことから一般会計で取り扱っておる、そういうようなことから、おのずから赤字が出ておったというのが実情でございます。しかし最近港湾に対する投資がふえましたために、赤字をこれ以上大きくするということが、公共団体にとって非常に負担になってまいったわけでございます。したがいまして、使用料値上げその他赤字を少なくするということが非常に強い要望になってまいりました。われわれといたしましても、そういう要請に対応いたしまして、今回港湾審議会の中に管理部会というものを設けたわけでございますが、この管理部会に大臣が諮問して現在検討してもらっている一番大きな問題は、いかにして赤字を解消するかということ、財源を強化する問題でございます。この考え方を貫くためには、どうしても、いまお話がございましたような独立採算制すなわち企業会計方式を採用することが必要だということでございまして、それを前提にして経常収支の独立採算的な取り扱いをする方法をいま検討しておるという段階でございます。
  29. 内海清

    内海(清)委員 政府においてもいまこれを研究されておればけっこうでございますけれども、ただここで注意しなければならぬのは、その独立採算制にしたためにいろいろな支障が出てきてはまたマイナスである。したがって、港湾行政については十分ひとつそういう審議会管理部会等で研究されて、合理化されると同時に、そういう方向に行かれる、機能を強化することが最も必要だと思いますが、この点を十分御勘案の上で御研究願いたいと思うのであります。いずれこれが管理部会での議がまとまりましたら、またお伺いする時期もあると思います。  次に港湾関係業者の問題であります。港湾関係業者の数はいまどのくらいでございますか。
  30. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾関係業者の数は、現在、と申しますのは三十九年十一月末でございますが、全国で千八百五十九店社でございます。
  31. 内海清

    内海(清)委員 業者全国で千八百五十九業者あるそうでありますが、私どもの調べたところによりますと、この業者の大体九〇%は資本金が五千万円以下、しかもその九〇%の中のさらに六〇%は資本金が五百万円以下というきわめて零細な、いわゆる中小企業と申しますか、こういうものが多い。したがって、このことが勢い今日まで港湾業務が非常に非能率になっておる一つの大きな原因だと思うのであります。今後は港湾業務というものが経済成長に見合いまして、非常に能率化されていかなければならぬ、同時に合理化もされていかなければならぬことは言うまでもないことでございます。そういうことから考えますならば、これらの、ことに資本金五百万円以下というような中小業者はやはり集約化される、あるいは系列化される、こういうふうになっていかなければ、これが能率化合理化というものはなかなか進んでいかないのではないか、こう考えるのであります。しかし、こういう零細中小業者でありますから、そういうことを呼びかけただけではなかなかこれが進まぬことも当然でありますので、政府としましてもひとつ特別な助成措置を講じて、これの集約化あるいは系列化ということも進めていかなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。これに対しますお考えをひとつお伺いいたしたい。
  32. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいまお話しがあったとおりでございます。免許に切りかえます前は二千七十四店社あったわけでございますが、登録制免許制に切りかわりまして、免許基準というものを守るということから、いま申し上げましたように若干減ったということでございますが、なおまだ五百万以下という非常に弱小なものが多いわけでございまして、これを統合して強力なものにしていくことが必要でありますし、このことは昨年の三月三日でございますか、内閣に置かれました港湾労働等対策審議会の答申にもうたわれております。われわれもその方向に沿ってこれから努力していくわけであります。実情はその千八百五十九店社のうち五大港において千十四店社というものがあるわけでありまして、地方港湾はわりに店社が多くないが、五大港は非常に多いというのが実情でございますから、まず五大港中心にいたしまして、この店社を統合して強力なものにしていくことをぜひやりたいということで、現在その企画を進めている段階でございます。
  33. 内海清

    内海(清)委員 現在、これに手をつけておられるということでございますが、これはただ行政的な指導だけで、何か特別の助成措置というものが講じられておりますか。
  34. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 そのために特別助成をすることは非常にむずかしいことだと思うのでございますが、通産省の所管でございます中小企業近代化資金助成法というものがございまして、これは中小企業資金を貸し付けるということでございます。もう一つは、中小企業近代化促進法というものがございまして、これは合併をする等のときに登録税を減免する、特別償却の特例を認める、そういうようなものが盛り込まれておるのでございます。  これらの法律指定事業といたしまして、港湾運送事業を追加することによって合併を促進するというのも一つということで、その追加をいま折衝しておるということでございます。そのほかに金銭的な助成ということではございませんが、新しくできる埠頭につきまして、そういうものを統合した一つ会社に運営させるというのも一つの案ではないかということで、そういうような案な検討しているわけでございます。
  35. 内海清

    内海(清)委員 これにつきましては、従来ありますいろいろな中小企業等に対しまする助成を適用しょうということであるし、同時に、新しい港湾整備をいたします際、これらを中心にして統合していこうということでありますが、はたしてこういうものだけでそういう業者集約系列化ができるかどうかということで、これは一つの特殊か業態でもありますし、なかなか困難な問題があろんじゃないかというふうに考えるのであります。特に運輸省として、特別にこのほうに対しまして、今後集約系列に強い行政指導を行なおうとするならば、運輸省独自の一つ助成措置物心両面から行なわれていかなければならぬのであります。そうならなければ、これはなかなか容易なことではないであろう。ただ、認可制から免許制にいったために、業者が非常に数が減ったということ、あるいはそういうふうな集約あるいは系列ということが行なわれたかもしれませんけれども、そういうふうな法的な規制のみでやることはいかがか、こう考えるのであります。今後のこの問題につきましては、ひとつそういう面から運輸省独自の立場において特に指導されることが必要ではないか、こういうことを強く要望しておきたいと思います。それから次でありますが、先ほど申しました港湾収支の問題であります。わが国港湾経費というものは外国に比べて非常に安いのではないかということがいわれておるのでありますが、これは一般的に見まして、政府はこの点についてどう考えておるか。
  36. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 国際的に見て、港湾経費が安いということは御承知のとおりでございます。特にニューヨークとかロンドンとかそういう先進港と申しますか、一流港に比べて安いわけでございまして、これらに近づけるということよりも、むしろ、先ほど申しましたように、赤字を少なくして、少なくとも経常収支をまかなえるということを前提にいたしまして使用料適正化をはかる、かように考えておるわけであります。なお、値上げにつきましては三十八年、三十九年と二年かかりまして、岸壁使用料ブイ使用料といりものを、岸壁については二倍、ブイについては二・五倍にいたしまして、だいぶこれは国際水準といいますか、そういうものに近くなってきておるわけでございます。
  37. 内海清

    内海(清)委員 もし、これが諸外国に比して安いとするならば、三十八年、三十九年に岩壁あるいはブイ等に関して値上げされましたが、昨年はまたトン税の値上げもあった、こういうふうなことも行われてきておるわけであります。それでも、なおかつ、港湾収支というものの赤字が大きい。それが港湾の料金が安いということが特に顕者であるならば、これはまた値上げという方向に向いていくと思いますが、新たに値上げをされる考えがありますか、どうですか。
  38. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これはいまの管理部会の結論を得た上で値上げも実施する、こういうことを考えておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、国際的に高い安いと申しましても、実際安いもので、日本の船会社なり荷主というものが、一つの経営の収支考えておるときに、一度に上げるということはやはり苦痛でありますので、管理部会の結論を得た上で、逐次、利用者があまり苦しまないような形で値上げを実施していくべきであると思っております。
  39. 内海清

    内海(清)委員 もちろん値上げということを考えるならば、利用者がそのために大きく圧迫を受けることは、これは大きな問題であります。この点は十分勘案しておかなければならぬと思いますけれども、やはり大体の国際水準というところまでは考えてもいいのではないか。そのために、港湾だけ行政上においてこういう赤字があるということは、港湾行政上においていろいろな支障を来たしてくるし、そのことがひいてわが国経済の伸びと港湾施設整備が伴わぬために、貿易業その他にいろいろな支障がくるということでございます。こういう点は大きい立場から全般的にながめて処理されるべきである、かように考えるのであります。この点もいずれ管理部会で結論が出るようでありますから、その節に譲りたいと思います。  次に公共上屋でありますが、これが現在では大部分が特定の業者への専用貸し、こういうふうになっておるのではないかと思います。この専用貸しというものは、計画性を持って行なわれておれば、たいして支障ないと思いますけれども、その点が十分行なわれないと、かえって滞貨というようなことができて、非常に非能率になっておるのが現状ではないかというふうに考えるのですが、それらの点はいかがでございますか。
  40. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港が新しくできました場合には、利用者の数が少ないわけでございますし、また、できる必要性というものは特定の企業が利用するということが動機となる場合が多いわけでございますので、当初においては、もっぱらそれら二、三の業種のために埠頭が利用されるというようなことがございまして、公共施設が占用されたような形をとっておるわけでございますが、事実上制度として専用は公共施設については認めておらないわけでございます。それからまた、六大港等におきまして、上屋等をある業者に面積を区切って、また期間を区切って貸す、こういうようなことは実情としてあるわけでございますが、やはりそういうことではなくて、埠頭というものが一番よく利用されるのにはどういうような運営のしかたがいいのか。それから埠頭そのものは、やはりそこに着く船に積む荷物が集まっていることが一番理想的なわけでございますから、そうするとそこに着く船会社貨物が多く集まる、これも一つの専用のような形をとるかもしれませんが、やはり本船の速発に役立つような運営のしかたというものを、公共物であるという規制の中で考えていくのが一番いいんじゃないか、こういうことで埠頭の運営のしかたも、やはり管理部会の問題の一環として考えていただいているわけでございます。
  41. 内海清

    内海(清)委員 この問題もいろいろありますが、管理部会にすべて問題を持ち越されておるようであります。いずれにいたしましても、この上屋にいたしましても、これが最も能率的に利用されているということであらなければいかぬと思いますが、われわれが現在聞いておりますところでは、そういうふうな専用貸しという制度はないそうでありますけれども、そういう形になって滞貨等のためにきわめて非能率である、こういうことをしばしば聞いておるのであります。これらにつきましては、今後行政上の十分な指導をひとつしていただいて、そういうことのないようにお願いしたい。もしそういう弊が出るならば、何らかの規制をすべきじゃないかというふうに考えるのであります。  委員長、大臣も政務次官も来られませんか。
  42. 長谷川峻

    長谷川委員長 きょうは来ませんから、この次のときに、もしそういう大臣と政務次官に対する御質疑があれば、その分だけ留保していただいて……。
  43. 内海清

    内海(清)委員 きょうは分科会があるからやむを得ないかもしれないけれども……。  それでは、もう一つお伺いしまして、きょうは終わりにしたいと思います。  実は、いま管理部会でいろいろな問題を審議されておるようであります。この運営あるいは構成というふうなことについてお伺いしたいと思うのであります。  輸出入の貨物量が非常に増大する、あるいは邦船が大量に建造されている、あるいはまた内航海運が近代化されていく、そういうふうなすべて海運、さらに貿易の面が増大してまいりますと、港湾の設備が十分整っていかなければならぬということは当然であります。これが今度新五ヵ年計画が策定された一つのゆえんでもあると思うのであります。ところが、そういうふうなことに伴いまして、港湾審議会の目的が、港湾の開発ばかりでなしに、さらにその機能強化、こういうことも含める、こういうふうな方向にいっておるようでありますが、これは一歩前進である、たいへんけっこうであると思うのであります。この際、ひとつ港湾関係者の審議会参加を求めて、そうして抜本的な港湾対策を講じられなければならぬと考えます。港湾関係者、すなわち港湾の労働者、さらに海運関係の船員、こういうふうな者の代表をこの審議会に加えるべきではないか、そうして港湾行政の円滑なる運営が今後行なわれていくということにすべきではないか、こう思うのであります。この点につきましてのお考えをひとつ……。
  44. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾審議会は、委員の数が三十五名以内ということになっておりますが、現在三十四名が任命されております。そこで、その内容を申しますと、この中には政府職員が八名、それは関係各省の次官でございます。それに国鉄の職員、これは副総裁でございますが一名、計九名が行政機関並びに公社ということでございます。それ以外の方は、民間の学識経験者でございますが、その中には日本港湾協会の会長とか、日本港湾荷役機械化協会の会長、そのほかに経団連の運輸委員会委員長とか、それから日本海難防止協会、日本船長協会、日本倉庫協会、それから日本貿易会、それから船主協会、そのほかに新聞記者、大学の教授、そういった方々が入っているわけでございます。先ほど御指摘がありました船員とか労働者の代表が入っておらぬわけでございますが、現在やっておりますことの性質が、港湾の開発の技術的な問題、すなわち新しい港湾をどのように開発していくかという開発計画の問題、もう一つは、先ほど来申し上げました港湾管理の問題でございます。さらにこれが運営の問題まで入ってくるということになれば、当然そういう労働者の代表の方も入れることを検討しなければならないと思います。
  45. 内海清

    内海(清)委員 そういう港湾の運営の問題も今後審議会で審議されていく、こうようことは相なるのでございますか。
  46. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 現在のところは、まだ港湾財政を主とした管理の問題が結論を得ておりませんので、そこまでは考えておらぬわけでございますが、港湾貨物の増大、またそれに伴ったいろいろと運営の問題、たとえば先ほどお話がございました企業集約化というような問題があるわけでございます。これにつきましては、この審議会でやるべきか、新たにそういう運送事業合理化ということを対象にして審議会を設けるべきかということを現在検討しているわけでございまして、いずれとも申しかねるわけでございますが、そういう問題があるということはわれわれも考えて検討しているわけでございます。
  47. 内海清

    内海(清)委員 現在港湾整備等につきまして主として行なわれておるようでございますけれども、なかなか経済成長港湾整備が伴わぬという現状においては、私はことに運用の面が重視されなければならぬと思う。そういう現状から考えましても、当然運用の面というものが審議会等において取り上げられていくということが港湾行政が円滑に進んでいく一つの大きい要素になると思うのであります。そういう意味からいたしまして、そういう港湾の労働者の代表でありますとか、あるいは般員の代表でありますとか、こういうふうなものも含めまして、そして審議会というものは構成されるべきじゃないか、こう思うのであります。ことに、ただいま、いろいろ審議会管理部会でも多くの問題を持っておることがあります。まして港運業者集約系列化ということが緊要な問題になっておるときに、少なくともこういうものに携わるのには、こういう労働者の代表であるとかあるいは船員の代表であるとか、こういうふうなものを含めて行なうべきである、こう思うのであります。このことにつきましての御所見をもう一度特にお伺いいたしたいと思います。
  48. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいまおっしゃられましたことは、そのとおりでございますので、これらの問題の検討のしかたとあわせて委員の構成についても御趣旨を尊重して御検討いたしたいと思います。
  49. 内海清

    内海(清)委員 いまの点は、審議会の構成メンバーの点につきましては早急に御検討いただいて、ぜひそういうふうにもっていっていただきたい。実現さしていただきたい。このことを強く要望いたしまして、きょうは、とりあえず以上で質問を終わります。
  50. 長谷川峻

    長谷川委員長 次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時二十二分散会