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1964-12-18 第47回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十八日(金曜日)   午後三時五十四分開会     —————————————   委員異動  十二月十七日     辞任         補欠選任      山口 重彦君     小宮市太郎君      大森 創造君     吉田忠三郎君  十二月十八日     辞任         補欠選任      坪山 徳弥君     井川 伊平君      八木 一郎君     平島 敏夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         温水 三郎君     理 事                 森 八三一君                 山崎  斉君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君     委 員                 青田源太郎君                 井川 伊平君                 岡村文四郎君                 北口 龍徳君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 仲原 善一君                 野知 浩之君                 平島 敏夫君                 藤野 繁雄君                 森部 隆輔君                 大河原一次君                 北村  暢君                 戸叶  武君                 吉田忠三郎君                 石田 次男君                 高山 恒雄君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    政府委員        農林政務次官   谷口 慶吉君        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林省農林経済        局長       久宗  高君        農林省園芸局長  林田悠紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査  (農業水利に関する件)     —————————————
  2. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから委員会を開きます。  委員異動について御報告いたします。十二月十六日付をもって、委員小宮市太郎君が辞任され、その補欠として山口重彦君が委員に選任されました。十二月十七日付をもって、委員山口重彦君、大森創造君が辞任され、その補欠として小宮市太郎君、吉田忠三郎君が委員として選任されました。     —————————————
  3. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由説明を聴することにいたします。赤城農林大臣
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいま提案になりました天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  天災融資法は、昭和三十年に制定されて以来、天災による被害農林漁業者等に対する低利資金融通に大きな役割りを果たしてまいりましたが、最近における農林漁業経営の推移に伴い必ずしも経営の実態に即しているとは言いがたい面も生じておりまするので、所要検討を行なう必要があるものと考えていたのであります。  第四十六回国会終了後今日までの間において、各種の天災により各地に農作物等被害が生じ、特に北海道においては、冷害により主要な農作物に五百億円を越える大規模被害が発生いたしました。これに対し政府といたしましては、各般の施策を講じておるところでありますが、近年における農業経営近代化に伴い資金規模は増大しており、また特に北海道における経営規模内地に比してかなり大きいものであるため、現行の天災融資法による貸し付け限度額のままでは、被害農業者経営資金の需要に十分には対処しがたいのであります。このような事態に対処して、被害農業者経営資金を十分に供給するため、当面必要とする措置を早急に講ずることとし、この法律案提出する次第であります。  次に主要な改正点を御説明いたします。  第一点は、内地十五万円、北海道二十万円と定められていた経営資金貸し付け限度額をそれぞれ内地二十万円、北海道三十五万円に引き上げることであります。  第二点は、政令で定める法人につき、その経営資金の特別の貸し付け限度額を設け、これを二百五十万円とすることであります。  第三点は、すでに経営資金貸し付けを受けている者がその償還期限内に再び被害農林漁業者に該当することとなった場合においては、その経営資金償還に充てるために必要な資金額を、政令で定める額の範囲内において、経営資金貸し付け限度額に加算することであります。  第四点は、以上の改正にあわせて激甚災害法における天災融資法特例措置に関する規定を改め、激甚災害の場合の経営資金貸し付け限度額内地二十万円、北海道二十五万円を、それぞれ内地二十五万円、北海道四十万円に引き上げることであります。  なお、これらの改正規定は、七月以降の天災につき適用することとしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容であります。なお、金利償還期限については、通常国会を目途に所要改正をする方針であることを申し添えます。何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。     —————————————
  5. 温水三郎

    委員長温水三郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日付をもって、委員八木一郎君、坪山徳弥君が辞任され、その補欠として平島敏夫君及び井川伊平君が委員に選任されました。     —————————————
  6. 温水三郎

    委員長温水三郎君) これより本法律案について質疑を行なうことといたします。  質疑のおありの方は、御発言願います、
  7. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私は、去る十五日の本会議で、本法律案提案に対しまして質疑をいたしました。その場合の総理大臣農林大臣大蔵大臣答弁は、きわめて不明確でございましたので、この際、当面の責任者でございます農林大臣に対して、若干の質問をいたしたいと思います。  前の本会議でも明らかにいたしておりますように、災害対策は、私は融資だけではないと考えます。したがいまして、今日的な段階では、政府は、この際、具体的に災害全般にわたって打開策樹立しなければならぬ責任があろうと私は考えます。すなわち、ただいま農林大臣も若干触れましたけれども災害関係の諸制度の根本的な検討災害復旧あるいは災害の補償、ただいま提案になったような融通関係、こういう関係を国の責任におきまして明らかにしなければならぬと私は思うのです。こういう関係を第一点としてお伺いをいたしておきます。  それから利子関係、さらには償還期限等との関係につきましては、通常国会にそれぞれ提出をするよう何か準備をいたしておるような、ただいまの最後の御説明でございます。しかし、災害が発生するたびごとに、この問題が常に問題になっておりますことは、農林大臣承知のとおりだと思います。したがって、私は、本会議で具体的に、前に前池田総理が明らかにいたしました「必要があらばつまり二分の率にすることも差しつかえない」、こういう明言がございましたから、せめて今度のような、政府の認めておりまするように、二十号台風はもとより、北海道の場合は、五百億という膨大な農産物の被害をこうむっておりまするときだけに、私は全く前池田総理のことばをかりまするならば、いまこそ私は必要があると考える。ですから、具体的にこの二分低利利子制度というものをこの際明らかにいたしておく必要があろうと思いまするので、この点について、第二点目として伺っておきたいと存じます。  それから共済制度関係でございますけれども、この関係につきましても、やはり災害対策一つになると私は思います。今日、水稲関係あるいはその他若干の共済制度がございまするけれども、これは万全とは言えないと私は思います。今日、畑作農業に対しては共済制度は全くないわけでありまするから、こうした面につきましても、政府は、今日、どのような対策を進め、どういうような考えを持っておるのか、第三点日として伺っておきたいと存じます。  それから主として今度の場合は、提案理由にも説明ございますけれども北海道災害に対処せんとするもののようにわれわれは認識をいたします。したがいまして、北海道農業につきましては、ただ単に糊塗的に、この天災融資法のみの改正では、私は北海道農業というものの確立はない、こう考えますので、農林大臣は、一体北海旭つまり寒地農業確立をどう考えているのか。もうちょっと具体的に申し上げれば、畜産振興のための草地開発をどう考えておられるのか。その次には、寒地適作農業つまり農作物としてのてん菜生産振興をどう考えておるか。これに加えまして、ただ単に生産だけではなくして、てん菜価格をどう考えておるのか、こういう点がその次であります。その次に、何と申しましても、北海道の場合は土地改良をしなければならないと思います。したがって、土地改良事業の進め方をどう一体農林省農林大臣として考えておられるか。最後に、いつの災害でも大きな問題になります、とうとい犠牲者がそのたびごとに出ております。今度の場合もかなりの数の者がきわめて悲惨な状態に直面をいたしまして、結果的にとうとい人命も奪われた、こういうことが惹起いたしました。しかも、その大半は開拓農家であります。でありまするから、この開拓農家経営安定策というものを一体どう農林大臣は考えておられるのか、この点につきまして明快な答弁を私は求めたいと考えます。
  8. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 北海道ばかりでなく、災害対策について単に天災融資法というような融資ばかりでまかなわれていくべきものじゃないということは、確かに御指摘のとおりでございます。北海道につきましても、たとえば米の買い入れ等につきましても、非常に品質が悪いのでございますので、その品質の悪いものも買い入れを考えるとか、あるいはまた予約金の前払いの償還の点につきましての問題とか、あるいは種子の金の助成等を考えるとか、そういういろいろなまだ相当ありますが、そういういろいろな面とともに、この経営資金融資というようなことも考えていかなければならないと、こういうふうに御指摘でございますが、まさにそのとおりでございます。ございますので、ほかの方法も講じ、また天災融資法につきましても、そのワクが最近の農業の発達に伴いかねるというようなことでございますので、そのワクを広げようというふうに考えて、本案を提出している次第でございます。  そこで第一に、利率とか、あるいは償還期限等について、本法案が触れてないのはどうか、次に触れるというようなことを提案理由説明しているが、どういうつもりであるかというようなお尋ねでございます。利率につきましては、これを低くしていくようなつもり、あるいは償還期限等につきましてもできるだけ長くしていきたい、こういうつもりでございます。実はまことに申しわけないのでございますが、こういう点で各方面との連絡、その他調査——調査はしておりますが、結論がまだ出るまで行っておりませんので、今回はとりあえずワクを拡大して、そうして次の通常国会利率その他償還期限等に触れて、改正案によって改正したい、こういうことが考えられておるわけであります。その中で利率は、いま一番低いのが三分五厘でありますが、二分にしたらという御意見でございます。実は私ども農業関係金融全般にわたっていま一番低いのが三分五厘でありますが、二分ぐらいにまで持っていけないものか、他のいろいろな資金との関係もございまして、本年もずいぶんその点で苦労いたしました。来年度におきましても、土地取得の場合、経営規模拡大の場合等において、二分という金利の金ができないものだろうかということで、一応折衝中でございます。天災融資利率について、二分まで持っていけないものかということでございますが、持っていきたい気持ちは持っていますが、これはなかなか実際問題としては困難であるという見通しでございますが、方向といたしましては、利率も低下いたしたいというふうに考えております。  それから、共済制度でございますが、共済制度は、御承知のように、果樹につきましては相当試験研究もいたして、そろそろ実現される段階にきているかというように考えられますが、畑作は作物の種類も多いのでございまするし、いろいろ複雑な状況もございます。しかし、今回の災害等につきましても、稲作共済制度があり、これはある程度救われますが、畑作共済制度がないので、非常に畑作地帯はお困りのようでございます。いままで検討も続けてきましたが、そのスピードを早めてなお検討を続けていきたい、こういうふうに考えております。  それから、次に、化海道寒地農業確立についてどういうふうに考えているか。これはずっと前から、四、五年前から、稲作も当然重要な作目でございますが、特に畑作について対策に欠くるところがあるのじゃないか、あるいは推進しなければならぬ面が多いのじゃないかということを考えまして、畑作については畑作農業確立していこうという方向検討してきたのでありますが、これは十分でございません。畑作についての、あるいは御指摘酪農方向について、さらに推進していかなければならぬというふうに考えております。その中で、草地開発でございますが、いま考えておりますることは、北海道等におきまして相当草地開発をすべき余地が残っておりまするし、酪農関係からいいましても、自給飼料をもってまかなうということでなければ酪農がやっていけないような段階でもございますので、草地開発には力を入れたい。本年度においても試験場で草地開発試験をすることにいたしましたが、さらに、国営の草地開発等も行なうということでこれに力を入れていきたい、そうして酪農等をもっと推進していき、安定さしていきたいというふうに考えています。そういうことで、飼料としての問題からいいましても、てん菜との関連が非常に強いわけでございますので、てん菜もよくいくようにして、酪農方面との連絡もとっていきたい、こう考えています。  そこで、てん菜価格についてはどういうことであるかということでございますが、この点につきましては、法律ができましたので、政府買い上げ措置もできておりますので、その法にのっとって買い上げを進めていく。現在も、きょうある程度の告示をいたしまして、本年中に買い上げるもの等につきましては、措置をとっておるわけでございます。  それから、第六番目に、土地改良をどうするか。これは冷害対策からいいましても、寒地農業確立という点からいいましても、まず土地改良が必要だと思います。私から申し上げるまでもなく、土地改良がされて、土壌がよくなっておれば、冷害を受ける度合い等も少ない、あるいは冷害を避け得られるというようなこともございます。そういうことでございますので、本年度計画しておりまする土地改良あるいは土壌改良等につきましても、相当北海道には力を入れていくというつもりで進めております。  第七番目に、開拓農家に対してどうか。開拓農家——非常によくいっている開拓農家、あるいはまたお気の毒に開拓地を離れようというような人々もございます。そういうことでございますので、まず、開拓農地を離れようという人々離農資金を出しておりますけれども、その数等が少ないというような声もございます。でございますので、これをふやして、そうしてこの際、離農をするというのに離農ができないで困っておるというような人もあるやに聞いておりますので、そういう人々に対しましては、離農資金ワク——ワクといいますか、離農資金の量をふやしまして、数多くそれが該当する場合に出られるように措置をとりまして、それから、残っておる人々、こういう人々につきましては、やはり経営資金が相当潤沢でなければなりませんし、あるいはいままでの資金の借りかえ等も指導いたしまして、開拓農家として相当経営確立しておる人々が、さらに経営をやりいいように力づけていかなければならないというふうに、それぞれ措置をとっておる次第であります。
  9. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣から答弁ございましたが、まだちょっと私は胸にすとんと落ちるような答弁じゃないと思うのです。で、基本的な災害全般にわたる政策施策樹立というものは、いまここで簡単にできるものでは私はないと思いますから、これをあえてどうこう申し上げませんけれども一つ問題点として提起した寒地農業確立の問題にしても、現状——私は前から要求をいたしまして、各省庁予算編成期でございますから、それぞれの計画書をちょうだいをいたしました、農林省すべて、建設省すべて。ですけれども、時間が限られておりますから、この内容については、私はとやかくここで、たくさん意見を持っておりますけれども、しませんが、大臣、これはばらばらですよ、各省庁ともばらばらです。こういう、つまりこのばらばら災害に対する計画をもって、それを具体的に施行した場合にどうなるかということは、結果的にはつまりこの各省庁のなわ張り争いのような現象が出てきて、その結果、被害農家というものは、大臣がいま申されたように、いろいろ法律で、何か、ただ具体的にそれが救済されるがごと答弁がされておりますけれども、必ずしもそうなっていない。こういうことだけは私は明言できると思うのです。ですから、寒地農業等々につきましても、ぜひこの際は各省庁ばらばら対策ではなくして、政府として一貫をした政策をつくり上げて、その本来の寒地農業あり方というものを進めるように私はしていかなければならんじゃないか、こう考える。この点、ひとつもうちょっと大臣はどう考えておるかということをお答え願いたいと思うのです。  それから、酪農振興のことでございますけれども、これは北海道の場合は、確かに大臣も申されたように、草地開発、開発庁で若干の試験をやっております。それをさらに拡大するような意味のお話がございましたから、その意味ではたいへん私はけっこうだと思いますけれども、具体的にいま天北でやっております試験、それから根釧でやっておられます試験、それと、もう一つは、後志の管内で一カ所やっていると私は承知いたしておりますけれども、こうしたものをより積極的に具体的に進めるということと、もう一つは、開発面積をさらに拡大する、こういう意味にとっていいかどうか、この点についてお聞かせ願いたいと思うのです。  それから三つ目には、大臣も今度の災害北海道を視察をしていただきまして、関係団体あるいは農民諸君もその意味では非常に関心を持たれた。また、期待もしたし、あるいはまた、大臣談話によって感謝している者もあろうと私は思うのです。そのときに大臣は、北海道の場合は、立地条件から見て適地適作農業をやらせなくちゃならぬ、こういう談話を随所で発表しておりましたことを承知しております。私どもまさにそのとおりだと思うのです。で、たまたま、いま一つてん菜生産振興の問題を提起いたしましたけれども、これなどは大体北海道としては適地適作の最たるものだと、こう私は思うのです。しかし、その場合、いま大臣がお答えになったような、製糖工場かなり国が投資をしてつくり上げても、生産が伴わないという現象が出ておりますることは、大臣承知のとおりですよ。これは適地適作でやりながら、なぜそういうことになるかというと、何といたしましても価格の問題が問題になる。いま大臣は、法律に基いてそれぞれ当面の問題についても指示をしている、こう言っておりますけれども、いまの法律できめられた範囲価格では、営農していく農民採算ベースにこれは伴いません。ですから、幾ら奨励をしてみたり、つくりなさいと言ったって、これはつくれっこない。そういう結果が、今日生産が間に合わない、こういうところに帰着をしている。これはきょうだけではなくして、毎回こういう問題が問題になるのですがね。当面、おそらくや三月ごろになりましたら、この問題でたいへんな私は社会問題になるような心配さえしている。ですから、こういう点もう少し先の見通しを立てて、そうしたことのないように、いささかも農民諸君が、耕作農民が不安な気持でこの問題に対処して、さらには来年もまたこれは営農しなければならぬわけですから、そういうことのないようにしなければ私はいけないのじゃないかと、こう考えておりますので、再度この点についても、もう少し詳細に御答弁を願っておきたいと思うわけです。  それから土地改良につきましても、これは御承知のようにいろいろあるのですね。農林省でやる場合もある。北海道開発局でやる場合もある。あるいは補助事業として市町村自治団体がやる場合もある。こういう場合に、これまた同じ土地改良をやりながら、これは法律がそうなっておるからといえばそれまでですけれども、これまたばらばらなんです。さっぱり統一も連係も関連性もないやり方をやっておる。これではほんとう意味の、つまりこの寒地農業振興対策という大きな立場からながめたら、土地改良にならないと私ども見ているのです。こういう点もできる限り国としての責任上統一した土地改良を私は進めるようにまいらなければならぬじゃないか、こう考えます。  最後に、開拓農家関係でございますが、今度の災害の場合にも、毎回この問題が問題になりまして、御承知のようにボーダー・ラインにありまする開拓農民というのは、北海道に大体三千くらいあると思う。いま大臣が申したように、どうしてもそういう人々離農せざるを得ない。離農することは本来のあり方ではないと思いますけれども現状やはり離農せざるを得ない。こういうところに追いつめられていると私どもは見ている。で、その場合に、いわゆるこの離農資金などはまことに微々たるもので、今度の災害の場合でも、大蔵大臣は、開招農民離農資金などについてもかなり拡大するやに災害対策委員会等々で答弁しておりまするけれども、現実の段階になりますると必ずしもそうなっていない。その結果どうなるかというと、離農しようにも離農することはできないし、さりとて他に転業しようとしても適当な職がない。その結果、いや応なしにまたまた膨大な借金をして開拓農業に従事しなきゃならぬ、こういうことに現実なっているのです。ですから、こういう諸君に対する、先ほど私が申し上げたように、利子関係につきましても、これはもとより日本農業全体がそういうところに追い込められてきていますから、全般的なことを申し上げているわけですけれども、三分五厘の最低の利子を、さらに二分くらいに下げなければ、翌年の営農にも事欠くし、つまり農家経営していくという意欲が全くなくなってくる。たいへんな問題になる。こういう立場から実は再三申し上げているようなわけなんです。しかも、かろうじて残ったものに対しては、大臣もそれぞれの、つまり金融の、融通措置等々を考えて今度の改正法律を出すと、こう言っていますけれども、そうだとすれば、私は前に申し上げたように、全般関係対策樹立という立場から一つだけ例を申し上げますけれども、やはり自創維持資金等々についても、当然それに見合うように改正して出すべきが私はほんとうだと思う。こういう点については全く触れていない。こういう点は一体どう大臣は今日お考えになっておられるか。再度私は御答弁願いたいと思うものです。
  10. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) とかく各省のなわ張りといいますか、そういうものがあって、対策その他政策ばらばらがちだと、総合的になっていないということは、災害ばかりでなく、いろいろな面でいつも指摘されておるところでございますので、十分われわれも注意していかなくちゃならないと思います。北海道につきましては、まあ北海道開発庁というものがあって、まあ特に担当の大臣も設けておるようなわけでございますから、北海道につきましては、地域的に見てほかよりも一そう総合的に問題を進めていかなくちゃならぬというふうにたてまえもなっておるのでございますが、御指摘のような点もありますので、なお一そう政策が、あるいは対策ばらばらにならないように注意をいたしていきたいと、こういうふうに行えております。まず、災害につきましても、実はばらばらでは困りますので、御承知のように中央災害会議というものがございますので、それを中心にして、総合性を持ちながら対策が立てられるように配慮しておるのでございますけれども、なお一そう、御注意の点もありますので、注意して総合性を持っていくように考えたいと思います。  また、草地の試験につきましては、新たに試験場を設けるということはいたしませんが、これを強化して、試験の成績がよく効果をあらわすようにしていきたい、こういうことを考えております。  それから開発につきましては、具体的な予算要求もいたして、草地開発につきましては、いたしておりますので、後ほど事務的にお話し申し上げもけっこうでございますが、そういうふうに、取り計らっていきたいと思います。  それから適地適作もっともだと、もっともだが、てん菜などは適地適作の最もいい作物なんだが、うまくいっていないんじゃないかという御指摘でございます。北海道は、やはりいま米をやめるということは私はいけないと思います。米の収入もありますし、米作のほうが相当進んでおるのでございますが、緯度をだんだん北のほうまで進めていって、無理な稲作というものはどうかということを考えていきます。しかし、いまの稲作でも耐寒冷に欠けるところがありますので、そういう点で、なお一そう品種の改良等は、これは試験場を通じて進めていきたい。そうして稲作稲作でやっていく。しかし、もっと力を入れるべきものは畑作農業じゃなかろうか、あるいは畑作について非常におくれておったんじゃないか、こういうふうに感じておりますので、畑作農業に力を入れる、その中でもてん菜糖につきましては、先ほど申しましたように畜産との関係もございます。それからまた最も世界的にああいうところに適しておる作物でございますので、てん菜を大いにやってもらいたいと思いますが、いまお話のように、そういう気持を持っても生産が伸びないんじゃないか。確かに工場等を置きましたのに対しまして、計画どおり生産が伸びておりません。これにつきましては、価格の問題が大きな問題として残っておるんじゃないか。これは相当価格の問題に影響してくることと思います。しかし、根本的には、私どもも先ほどから話が出ておりましたように、てん菜を栽培する地区の土地の改良、土壌改良等を進めて、あるいは栽培技術、あるいは機械化等も進めて、生産コストがなるたけ安く上がるような、生産性が上がるようなことを根本にいたしておりますけれども、過渡的にといいますか、価格政策を放棄するとか、粗末にするということはこれはできかねる状態でございますので、価格政策につきましても十分の配慮をいたしていかなくちゃならぬ、こういうふうに思っております。ただ現在、糖価が非常に不安定といいますか、低迷いたしておりますので、それに伴って、いまの法律でやっていくのにもなかなかやりにくい面もございます。しかし、十分その精神を生かして対処していきたい。これにつきましての具体的な買い上げ価格、その他につきまして、お差しつかえなければ事務当局から御説明申し上げたいと思います。  それからいまのに関連しまして、土地改良でございますが、土地改良ばらばらじゃないか。国営、道庁営、あるいは市町村営、これは全国、北海道ばかりでなく、その他の県についてもしばしば指摘されておるところでございます。大体これは一貫して総合的にやらなくちゃならぬと、口をすっぱくして指導をやっておるのでございますが、とかくそういう批判をいただいているのは、まことに残念でございます。よほどこの点は改良してきましたけれども、なお、一般性、総合性を必要といたします。そうでないと、せっかく土地改良に手をつけても効果があらわれない、あるいは仕事の進捗ぐあいが版行的といいますか、並行していない、こういう面もありますので、これは御指摘のようなことにならないように、ばらばらにならないように、なお一そう注意いたすということにいたします。  それから開拓農家についてでございますが、大蔵大臣も、四十五万円の離農資金を、ワクを拡げるという点を申し上げたわけではございませんが、とにかくいまの予算の三百二十戸というのでは足らないのじゃないかという御質問が予算委員会にあったと思います。確かに、もう出るならば、この際、ほかの業につきたいという声が非常に多かったようでございます、私も行ってきまして。そういうことでございますので、帰ってきまして、これも御承知と思いますが、予備費で三百五十戸分を追加しておりまするし、四十年度予算でもそういう配慮をしておるのでございます。しかし、問題は、こういう気の毒な人も当然でございますが、残った人がほんとうに営農が地についてやっていけるということでなければならないと思いますので、農業全般としてのいろいろな施策と相待って、開拓農家につきましても十分な配慮をしていきたい。いろいろな対策等を予算要求をしておりますが、そういう点につきましても、もし、御説明する機会がありましたら、事務当局から説明をいたしたいと思います。  それから災害につきましたも、これも少し対策また統一を欠いている面があるのじゃないかと、御承知のように、災害基本法が成立しておりますので、これを中心として、災害につきましても、ばらばらでないように、対策が効果的に生きていくようなことを考えなくてはならぬと思いますので、一そう注意をいたしていきたいと思います。  そこで、こういう天災融資法改正をする、しかし、自作農維持資金の面が改正されないというようなことはどうであるかという御質問でございます。自作農維持資金は、疾病とか、相続とかも対象といたしておりますが、同時に、災害も対象といたしております。でありますので、今回はとりあえず、この天災融資法改正が通りますならば、自作農維持資金ワクも、まあ思ったとおりではございませんが、ワクというか、総額でございます、配賦する金額でございますが、そういう金額にふやしていきたい、あるいはまた、次の国会に天災融資法利率、あるいは償還期限等改正案提出する場合に、自作農維持資金関連方面におきましても改正する必要があるというようなことが、あるいは出てくるかと思います。そういう点につきましては、この自作農維持資金にも手を触れなくちゃならぬと思っております。いまのところ、成案を持っておりませんので申し上げる段階ではございませんが、以上のようなつもりでおります。
  11. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣から、かなり詳細な答弁がございましたから、私はこの際、最後に要望しておきたいと思います。事務当局からも答える必要があれば答弁させると、こう申されましたけれども、きょうのところは、他の委員の方々の発言等々もございますから、こういう点を考慮いたしまして、あとあとそういう関係の点につきましては、さらに私は伺いたいと思いますから、事務当局答弁は、きょうは必要ございません。ただ、大臣承知のように、今日、農家経営を非常に困難にさせています原因は幾つかあると思う。いまも大臣が申されましたように、価格政策といいますか、何といたしましても、価格安定政策というものに私は欠けていると思う。こういう事柄が、やはり農家経営を重圧をしておる。加えまして、先般、私も申し上げておきましたように、農家人々は全国的に負債が非常に多い。どの程度負債があるかということについては申し上げません。申し上げませんが、もうすでに農家経営が限界にきているところまで負債を背負いこんでいる。これが実態だと思う。それに年々災害をこうむりますから、結果的には、農家人々はさなきだに生活さえどうにもならない、生活することができない、こういう実情は全国至るところに存在しておるものと、私は確信をいたします。こういったことでは、これからとうてい、この借金の何といいますか、霊だるま式のように、だんだんだんだん積もり積もり重なっていくような実情ですから、営農を維持をしていきたいという気持があったにせよ、なかなかやっていける道理がないと思うのですね。そこで、こうした事柄について、ぜひ私は大臣より、それぞれ答弁したように、次の通常国会におきましても、関係の諸法律あるいは諸規定等についても、改正ないしは善処をしてまいる。こういう意味の前向きの御答弁がございましたから、こうした事柄に留意をされまして、この際、より積極的にそれらを改善をして、今日、非常に悩み抜いておりまする農民諸君を私は救ってやっていただきたいというふうに思う。このことが結果的には、日本農業のやはり振興策の大きな私は要因にもなるであろうし、結果的には、日本の食糧政策にも貢献することだと考えますので、この際、大臣に強く要望いたし、私の質問を終わります。
  12. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 時間もないようでありますから、要点をまとめてお尋ねをいたしたいと思います。  農業基本法が三十六年の三月制定されたわけでありますが、この目的に明らかにうたってあるように、農業は自然的な制約による不利を補正するということを第一条でうたってある。そういう点からいきますと、天災融資法なんていうものは、私はひとつの災害に対する措置であることを否定はいたしませんけれども、もっと基本的には、災害をこうむった農家融資をすることで解決ができないという基本的な認識を中心にまず持っていただく必要があると思うのです。何としても借りた金でありますから、収穫が減少したものに貸しても、それはなかなかとれないわけです。そういう点は、いずれ次の通常国会等でもっと抜本的にこの問題と取っ組んで、国民が期待するような災害に対する施策の全貌をお示し願うことを期待いたすわけであります。  さて、ただいま大臣から提案になりました、いわゆる天災融資法でありますが、問題が四点ございます。  大きく言って、そのうちの第一点は、貸し付け限度額のことであります。ただいまの一部改正案内容にも伺いましたように、それぞれの限度額の改定をもって本院におはかりのことでありますけれども、現行のこの普通災害に対して、内地十五万、北海道二十万という経営資金の資し付け限度額を、内地においてはこれを二十万とし、北海道三十五万として出されておる。私は、時間があればこの算出の基礎を伺いたいのでありますが、時間の制約がありますからそういう点はお伺いいたしません。しかし、素朴な被害農民の期待するものは、こういう限度ではきわめて不満であるということだけは明確に申し上げておかなければならない。私たちは、少なくとも内地においては四十万円、北海道においては五十万円の資金ワクを設定しなければ、この被災農家の更正に資するのではない、非常に中途はんぱなこの融資額の引き上げということは、混迷におとしいれしめることを憂えるものであります。また、新たに農業法人に対して融資の道を開かれました。これも二百五十万というのは、これは内地においてはまあ一応妥当な設定だと思いますけれども、少なくとも内地農業経営規模と比較して、北海道農業経営規模を考えた場合、北海道における農業法人に対しては、内地の二百五十万と照応する限度としては、五百万のやはり貸し付け額を設定すべきである。それが内地北海道とも二百五十万であるということは、一体どういう根拠で設定をされたのであるかということであります。また、激甚災害の場合でありますが、これも同様に、内地二十万、北海道二十五万というのを、内地二十五万、北海道四十万に引き上げを原案としてお示しになっておりますけれども、これも内地は六十万、激甚地でありますから、北海道においては七十万、こういうやはり激甚地に対する適切なる融資を講ずるための限度額の設定が妥当ではないかと思うのであります。また、特に果樹専業者の激甚地における融資ワクは、これは百万の新たなるワクを設定すべきである。また、ここに見落としのならないことは、普通災害においては、農業法人の融資ワクを設けていながら、激甚地においてはこれが何ら政府の原案には加味されないという点であります。私たちは、当然新たに普通被害農家に対する農業法人のワクを設定すると同じ思想に基づく意味におきまして、農業法人に対しては、激甚地においては六百万、北海道においては七百万、また法人のうち、政令で定めるものにあっては一千万というものを、ここで激甚地の法律関連する措置として取り上げをしなかったということは非常な片手落ちであるというふうに考えるわけであります。  時間がありませから、第二点、三点、四点を引き続き御質問を申し上げて、一括御答弁を願い、なおその御答弁についてまたお尋ねをいたす所在であります。  ただいま大臣提案理由説明の中に、いずれ全利、償還期限については通常国会を目途に所要改正をするということをおっしゃいました。この金利なり償還期限の問題に入る前に、私は貸間の第二点として、なぜ条件緩和ということを次の通常国会政府が対案をもって臨むという意思表示をされないかということについてお尋ねをせざるを得ない。この貸し出し限度のワクが多少引き上がりましても、いまのような貸し出し条件ということでは、実際これが適用された場合に、期待する被害農民に対してはその期待が素通りをするという実態に置かれておることを指摘せざるを得ないのであります。少なくともこの貸し出し条件の緩和ということは、もちろん金利の引き下げ、償還期限の延長もいわゆる貸し出し条件の緩和の中に入りますけれども、特に私はこの被害農林漁業者となり得る条件というものを、そういう条件を現行法のままに据え置き、現行政令にゆだねたままで貸し出し限度ワクだけをいじったのでは、これは実際においてその資金の経済効果というものは潤さないということを申し上げなければならぬのであります。時間がありませんから結論だけを申し上げますと、従来、農作物等の減収量の三割というものが被災農家の認定の基準になっております。法律の第二条第一項であります。これは少なくとも減収量の三割というのを二割五分に、五%その基準を引き下げなければならぬ。また、この被害農家被害金額、これが従来年間についての総収入の一割というものを限度としておったのでありますが、これを二%さらに引き下げて八%にこれをするということ。また果樹等の損失額の三割とあるのを、これをやはり二割五分に引き下げる。林業者につきましても同様に、薪炭等の損失額がその者の平年度の総収入の一割という規定があるのを、これを八%に直す。炭がま等の施設については五割という基準があったものを、これを四割にするというふうにしなければ、私はこのワクの拡大という看板を掲げて、看板に偽りがあるような実態を指摘せざるを得ないのであります。また漁業につきましても同様であります。平年度の総収入一〇%であるということをうたっておりますけれども、これを同様に農業とともにこれを八%まで下げる。あるいは漁船、漁具等の施設の損害額が五割とあるのを四割にするという、いわゆる一連の融資条件、被害農林漁業者となり得る条件の緩和というものをあわせこの際取り上げないことには、私はこの提案された趣旨にもそぐわないということを指摘するのでありますが、一体大臣はこの点をどうお考えになり、次の通常国会にはそれに対してどう対応する措置をお考えになり、準備をされるのかという所信のほどを承っておきたいのであります。  時間がありませんから、特別被害農家の同じような第二条第二項の点、激甚災害における同様の点については、このお尋ねを省略いたしますが、総括して質問の第二点は、この被害農林漁業者という資格を内容づけるところのその諸条項の改正というものがなければ、ただ、一般の被災者は限度が多少上がったという期待で、ぜひ今度の臨時国会に、こういうあわただしい時期に追い込まれたにもかかわらず、通過してくれという陳情もありますが、こういう実態を話しますと、そういうことでは、というやはり非常に内容に対する不満が最近激発をいたしておるのであります。そういう点について条件緩和——こういう被災農林漁業者のその条件を、従来の規定を緩和するということがただいまの御提案の中にも触れておりませんので、その点はどうお考えになられているのかということを、第二点としてお尋ねをいたしたいと思います。  それから第三点でありますが、これは金利の問題であります。この金利の問題は、農地を取得する者についてはかなり意欲的に大臣は臨んでおられるやに承ります。これはいずれ次の通常国会で具体的にお尋ねをいたしますが、農地を取得するという積極的なそういう一つのかまえ方の前に、災害をこうむった農家に金を貸すのに、元金はこれはまあ融資でありますから別といたしまして、利息を取るということについては、農地取得資金以上に利率の緩和がこれは絶対的な要件であるということは、私がいまここで限られた時間でくどく申し上げるまでもなく、賢明な大臣承知のはすであります。しかも、前の通常国会の予算委員会で、前の池田総理大臣は、できるならば二分資金を考えたいということを言明しておる。言明というよりもそういう意思表示をしておる。そういう場合に、佐藤内閣の最も右翼の農林大臣は、こういう総理の考え方というものをふえんして、少なくとも従来の三分五厘資金二分に、六分五厘は三分五厘に、五分五分は三分にするということは、これは次の通常国会に対して明確なるひとつ所信のほどを承っておきたいと思います。  第四点は、これらの利子補給という問題でありますが、第三条及び第四条によりまして、地方公共団体の負担する利子補給及び損失補償に対する国庫補助額の引き上げの問題であります。この点については、私たちは、この被害を受けた県なり市町村というものは同様に地方財政にも大きな収入欠陥を生じておる実態にかんがみまして、これらの従来とってきた利子補給に対する国の補助というものを全額政府において負担すべきである、こういう考え方に立つのでありますが、この点について大臣はいかようにお考えになり、またこれに対する積極的な内容というものを次の通常国会に準備されておると思いますが、国民に明らかにするために、この点もお尋ねをいたしたいわけであります。  時間の関係上、以上の四点だけにしぼってお尋ねをいたします。
  13. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 政府案にありまする個人貸し付けの限度額でございますが、二十万、三十五万に引き上げることにした。引き上げの率といいますか、額が不満足だという御指摘でございます。私どもといたしましては、最近の統計資料を基礎といたしまして、経営内部における現金経営費というものがどのくらいであるかということを基礎として、大体、現金経営費をカバーできる程度を勘案して、いまの二十万、三十五万というふうにいたしたのでございます。また、農業法人につきましても、個人経営貸し付け限度額を目安として、他の制度金融における法人に対する貸し付け限度額を考慮して二百五十万円ということにきめたのでございますが、それにつきましても、額も足らぬ、あるいはまた、激減災害についてはもっと出すべきじゃないかということでございますが、いまのようないきさつで、激甚災害等も含めて二百五十万円といたしたのでございますが、その立案のいきさつにつきましては、これは担当者のほうからお答えいたしたいと思います。  それから条件緩和でございますが、たとえば減収量三〇%を二五%に、損失額を一〇%、八%等条件緩和に触れていないのはどうかということでございます。私どももその点は考えないわけではございませんでしたが、天災融資法が対象としている被害農林漁業者は、自力のみでは被害から立ち上がれないという者に限定されることが相当であると、こういうふうに思いまして、条件緩和につきましては、現在の要件が相当酷であるとは思われないので、そのままにいたしたといういきさつでございます。  それから金利の問題でございますが、権利の取得については安い金利を考えておるが、災害等によってあるいは手放さなければならぬというような者に対する金利の配慮が足らぬのじゃないか、こういう御指摘でございます。そこで、二分資金というものを設定する気持があるか、所信を言えということでございます。先ほど申し上げましたように、私どももできるだけ二分資金というものをつくっていきたいと思うのでございますが、実際の折衝とか、いろいろな面から非常に困難でございます。しかし、その考え方、そういうふうに持っていきたいという考え方は捨てておりませんので、そういう二分資金ができるようにいたしたいというふうに考えておりますが、いま必ずそういうものを実現するというようなことを申し上げることはできかねる次第でございます。  それから、災害によって地方庁、自治体等がいろいろな補助その他の支出をいたしておりますが、そういう点につきましては、全額国庫で負担すべきものではないかということでございますが、これは、大体交付税等において、まあ全額に近いものが出されるというふうに私は承知しておりますけれども、原則として全額を負担するということを申し上げることは非常に困難でございます。そういうふうに考えております。
  14. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 各項目については非常に、不十分に御答弁がありましたし、また、御答弁内容はことごとく私は遺憾に受け取ります。時間の関係上、これ以上質問はいたしませんが、少なくとも私が申し上げたことをもっと積極的におくみ取りの上、次の通常国会には国民が期待するような抜本的な法の改正提出を強く要請して、私の質問を終わります。
  15. 石田次男

    ○石田次男君 私どもの党も、最近ごく少数ですけれども、一番被害が多かったといわれる十勝の開拓農家を中心にして、実地に様子を見てきたのでございます。その間、なまなましいいろいろな問題が出ているわけでありますが、こういう五百億という大きな災害があったのでありますから、大臣は現地を一回ごらんになったらいかがかと私は思うのですけれども、そういう御意思はおありかどうか、お伺いしたいと思います。
  16. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 実は、私も、たいへん被害が大きいし、農民も困っているということでございますので、実は現地、十勝中心に現地を見てまいりました。場所によっては全然畑作なんかも皆無というところ等を見て、現地の人々にも接してきたわけであります。
  17. 石田次男

    ○石田次男君 大臣は、実はおいでになったことは聞いて知っておりましたが、どの程度までおいでになったのか、そこのところが伺いたいのです。一番被害の多いところでは、ことしの収入は現金で三万から四万程度で、あとは一銭もなかった、こういうふうな状態であったそうです。そういう点からみて、実際に、これから冬を迎えて被害が深刻になってくるのじゃないか、こういうふうに感ずるのです。それで、いま、こうして町定措置法に関する法案が出ているわけですが、いままで二人の方から質問もあったのですが、これで終わりにされてはかなわないのじゃないかと思います。被害者への暫定措置はこれで一応終わりになるか、通常国会にあらためて新しい何らかの救済方法をお出しになる可能性があるかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  18. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 被害対策天災融資法の暫定措置だけでないことはもちろんでございまして、実は、北海道から相当の要望がございまして、その要望を、全部要望に十分とはいえませんが、こたえるという意味措置をしてきて、最後に残ったのが融資だけが残っております。融資ワクが非常に少ないじゃないか、こういうことになっておりますので、個人的に貸し付け限度額、同時に融資ワクというものもこの法律が通りましたらば直ちに倍ぐらいにふやす。自作農資金もふやす、こういうことが残っているのでございます。しかし、それにしても、なお再々御指摘のように、これがさかのぼって七月からの災害に適用するといたしましても、金利の面、あるいは償還期限の面等に、いまのままではまことに不満足だという声がございます。ございますので、いま、とりあえず所要貸し付けワク、個人の貸し付け額のワク等をふやす措置をとりまして、通常国会におきましては、なお一そう検討を加えて金利の面、あるいは償還期限の面等を中心として法案を提出して御審議を願いたい、こう考えているわけでございます。
  19. 石田次男

    ○石田次男君 私ども調査はごく最近のものでありますが、被害困窮者には、実際にいままで銭も渡っていないわけです。道庁のほうでも一銭も出していない。こうしていまこの法案が通ったら、これは大体現地の人にはいつごろ渡るのですか。
  20. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 金融でございますので、御要望の時期に沿って金が出ていくわけでございます。いずれにいたしましても、この法案が通りますと、政令で総額をきめるわけでございまして、あとは営農資金でございますので、その営農資金が必要な時期にそれが出ていくことになるわけでございます。
  21. 石田次男

    ○石田次男君 ですから、それはいつごろになるのですか。
  22. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 内地北海道の場合は違うわけでございますが、内地の場合におきましては、すでに七月以降の災害被害を受けられた方で、将来の営農資金としての貸し出し需要がすでに出てきておるのがあるのでありますが、北海道において申し上げますれば、いますぐ要るものと、赤になりまして御需要が出てくるものと、二つに分かれるのでありますが、御需要の出てくるものに従って金が出ていくことになるわけでございます。ただ、法律が通りますと、それがいつでも出れるような資金ワクが設定されるということでございます。
  23. 石田次男

    ○石田次男君 それがいつになるかを聞いているのですよ。農家のほうでは、もらった金を、これは営農資金でございます。これで種を買います、来年の五月になったら、これで植えつけます、そういう使い方をしないのですから……。
  24. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 法律が通りまして、政令が出ますと、いつでも御需要があれば出せる態勢になります。ただ、申請に基づいて出てまいりますので、先ほど申しましたように、金が出てまいりますのは、申請に従って金が出ていく、こういうふうになるわけでございます。
  25. 石田次男

    ○石田次男君 その要求のほうは農協を通じて、農家のほうとしては一日も早く、一銭でもよけい入れたい、それでこの冬を乗り越えたい、こういう点を要望しておるわけです。あなたの答弁によりますと、これから要求が出て、それに従って、こっちのほうで事務的に処理するのだと、したがって、それで機械的に時期がきまるんじゃないかというニュアンスのおことばのようですけれども、私の聞いているのは、農家の要望そのものを反映して、一体いつごろ現金を握れるのか、それを聞いているわけです。道庁からは一銭ももらえない。どうにもならないのですが、さっき申し上げましたとおりに ことしの現金収入は三万から四万です もうとっくにありません。現在一番困っているところでは、道のほうで、道路工事やその他でつなぎをやっておるわけです。その仕事が切れてしまったというのです。仕事は切れたし、雪が降ってくれば、そんなのはないし、さてどうしようか、出かせぎにも行かれない人たちはそれで困っているわけです。ですから、金の出る時期をはっきりして、少なくとも精神的にでも幾らかでも安心を与えてほしいと思うのです。
  26. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 私の申し上げ方が悪かったと思いますが、御要望があれば、法律が通りますと資金ワクが設定されますので、いつでも御要望に応ぜられる形であります。ただ、時期的に考えますと、災害がございました場合にワクがきまりまして、それから営農資金が出てまいりますのは、一ぺんに全部どおっと出てしまうのでなくして、ワクに従って、次第に経営資金が必要に従って出てまいりますということを申し上げたわけでございます。
  27. 石田次男

    ○石田次男君 あと二、三点お伺いしますが、この説明の中でですね、六ページですけれども、第三点、すでに借金を持っている人たちが被害を受けて、その経営資金償還に充てるために必要な資金の額を、政令で定める額の範囲内で経営資金貸し付け限度額に加算することであります。こういうわけであります。この政令に定める額の範囲内というのは、実際問題として、これは大体常識的にどのくらいの額になりますか。
  28. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 五万円を考えております。従来これは内割りに入っておりましたものを外に出したわけでございます。
  29. 石田次男

    ○石田次男君 これは直接農林省関係でなくなりますけれども関連があると思うのです。というのは、いま開拓農家でもって被害を受けたんは、イモを食って暮らしているのですよ。ほとんど一日に一回雑炊食えるか食えないか、常食はイモです。それで、学校の児童が学校へ来て昼めしを食えないのですよ。自分も持っていけないし、学校でも出さぬ。だから、これは本来学校では給食をやっているはずなんですけれども、実際問題として、昼を食わずに帰ってくる児童が相当あるわけです。ですから、ああいう十勝の奥あたりの学校ですね、どういうふうになっているのか、そこのところがわからないのですが、やはり天災関係しての問題でありますから、農林省と文部省で、その辺の調査をひとつ進め、連係して解決できないものかと思うのですよ。その点、大臣いかがでしょうか。
  30. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 連絡はしていたつもりでございますが、御指摘の点もあります、さっそく文部省と連絡いたしまして、その措置を進めていくようにいたしたいと思います。
  31. 石田次男

    ○石田次男君 最後に、一点だけお尋ねします。  私も東北の山の中の出でありまして、昭和六、七年、あのころの東北の冷害のひどさはこの目で見ています。あれから二十年たって、東北では冷害があってももうへこたれないですね。つまりほとんど東北は冷害を克服したといってもいい。ところが、北海道冷害がくるたびにやられるわけです。これはやはり営農のあり方に対する指導がなおざりになっていることだと思うのです。まあ単純な畑作農業、あるいは水田農業、あるいはこれに牧畜を重ねていくという問題で、しょっちゅう論じられている問題でありますけれども、二十年もたった今日、ああして冷害がくるたびに問題が出てくる。北海道農家が倒される。ここのところはもうそろそろ強力に解決すべき時期じゃないかと思いますが、これに対する方針をお伺いしたいと思います。それから開拓に入った人たちは、大体戦争でやられて、引き揚げてきたりして、終戦までひどい目にあって、さらにこれから二十年間開拓に入ってひどい目にあっておるわけです。実際、平年度やっとかつかつ、冷害でもくればしこたまやられてしまう。こういうことで、北海道の人は離農希望です。つまり北海道農業しているのがいやになったと、端的に言えばそういうふうになっているのが実情であります。それについて、離農するのにも、いままでの借金ですね、これは政府関係からの貸し付け資金等、それが主体でありますけれども、それを離農の際に返さなければならない。離農して転業するときには、幾らか金をもらうけれども、農協を通じて入ってきて、天引きされてしまうから何にもならぬ、そうなると、今度は気がくじけて、つい離農できかねる、ここに隘路が一つある。もう一つは、離農するにせよ、土地の処分ができないのですね。だれも買わないのです。ですから、離農希望者に対するこういう面での政府の強力な措置がないと、ああいった奥地へ入っている人、あるいは奥地じゃなくてもそういった人は、これは助けようがないように私は思うのですけれども、この一点に対する大臣の考えと、これからの方針、これを最後一つお伺いしたいと思います。
  32. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに東北のほうはだんだん冷害を免れるような形になってきておるのは事実であろうと思います。あるいは九州等につきましても、冷害ではございませんが、暴風災害地帯でございますが、これもずいぶん災害にあっておりますが、たとえば、品種の改良等あるいは作付等につきましても、多く災害のくる前に収穫のできるような作付というふうに改良をいたしてきておりますので、そういう面からいろいろ避け得る方向にはきておったと思いますが、遺憾ながら北海道等につきましては、避け得ない冷害等に遭遇しておるわけでございます。でございますので、両々申し上げましたように、あるいは品種の改良とか、あるいは土壊が非常に改良されてあれば、作物も相当強靱といいますか、であるというようなことも申されておるような地帯でございますので、土壊の改良あるいは土地改良作業が早くできるような機械化、いろいろ、寒地農業に適応するような方法があるはずでございますので、畑地農業酪農を中心として、寒地農業をさらに確立できるようないろいろな方面から指導をしていきたいと、こう考えております。  なお、開拓農家につきまして、私は、離農せざるを得ないようなまことに気の毒な面よりも、ほんとうは落ちついてやれるような面に力を入れなくちゃならぬと思いますが、やむを得ず離農せざるを得ないというような状況におちいる開拓農家も出てきておることはいま御指摘のとおりでございます。でございますので、まあ離農資金等のことの手当てはいたしておりますが、それが離農に役立たなくて、負債の整理になるというようなことで、出るに出られずというような状況もあるようにいまお話ありました。そういう面、あるいは土地を売り放していく場合に、土地取得をする者がないという点、こういう点につきましても土地取得資金のほうに金の回っておるのもあるのでございますが、そういう面になお工夫をいたしていきたいと思います。要するに、寒地でも農業がやっていけるというような態勢が整いませんと、こういう離農の問題も起きてくると思いますので、北海道農業確立ということにつきましては、各方面からなお一段と力を尽くしていかなくちゃならぬというふうに考えております。
  33. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないものと認めます。よって、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する柳定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  36. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって、原・案どおり可決すべきものと決定しました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  38. 温水三郎

    委員長温水三郎君) この際、森部委員から、農業水利に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。
  39. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 逼迫した緊急の問題でございますから、要点だけ申し上げ、御質問を申し上げたいと思います。  今年から熊本農政局の出先機関として、筑後川農業用水の水利調査ですか——事務所が久留米に設置されておりますが、あるいは大臣はすでに御承知かもしれませんが、最近、建築あるいは土木関係の砂利採取が御承知のとおり各地でも非常にひどいのですが、ことに久留米−日田間のちょうど中間ぐらいのところ、県の名前を申し上げますと、福岡県朝倉郡朝倉町、その地帯なんかは、筑後川の砂利を一メートルも二メートルも川底まで掘りまして、そのために、朝倉町だけでも約二万坪のビニール・ハウス栽倍をしているのです、か、かんがいする水がない、掘り抜き井戸の水が出ない、それから飲料水が三部落にわたって、およそ百戸ばかり飲料水がない、農業用水も出ないというように、全く枯渇している。これは農林省だけの所管ではありませんけれども、そういう農林省の出先の調査機関も本年から設けられまして、水利に関していろいろ御調査もなさると思いますが、建設省なり、あるいは砂利採取に対しては府県知事に権限があると思いますが、これらの官庁に対して、そういう実情は御承知だと思いますが、もし御存じないとすれば、至急に調査されて、農民をして心配のないように、不安のないようにされる御決心があるか、御質問申し上げたいと思います。
  40. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいまのお話、いまお話のように、建設省など関係省及び県当局にも連絡をとりまして、実態調査をして、対策を講じたいと考えております。
  41. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 非常に地元で心配いたしておりまして、県会等でも問題にいたしております。どうぞ至急に御調査を願って、善処されたいと思います。希望を申し上げたいと思います。
  42. 温水三郎

    委員長温水三郎君) これにて散会いたします。    午後五時二十六分散会      —————・—————