○渡辺
勘吉君 時間もないようでありますから、要点をまとめてお尋ねをいたしたいと思います。
農業基本法が三十六年の三月制定されたわけでありますが、この目的に明らかにうたってあるように、
農業は自然的な制約による不利を補正するということを第一条でうたってある。そういう点からいきますと、
天災融資法なんていうものは、私はひとつの
災害に対する
措置であることを否定はいたしませんけれ
ども、もっと基本的には、
災害をこうむった
農家へ
融資をすることで解決ができないという基本的な認識を中心にまず持っていただく必要があると思うのです。何としても借りた金でありますから、収穫が減少したものに貸しても、それはなかなかとれないわけです。そういう点は、いずれ次の
通常国会等でもっと抜本的にこの問題と取っ組んで、国民が期待するような
災害に対する
施策の全貌をお示し願うことを期待いたすわけであります。
さて、ただいま
大臣から
提案になりました、いわゆる
天災融資法でありますが、問題が四点ございます。
大きく言って、そのうちの第一点は、
貸し付け限度額のことであります。ただいまの一部
改正案の
内容にも伺いましたように、それぞれの限度額の改定をもって本院におはかりのことでありますけれ
ども、現行のこの普通
災害に対して、
内地十五万、
北海道二十万という
経営資金の資し付け限度額を、
内地においてはこれを二十万とし、
北海道三十五万として出されておる。私は、時間があればこの算出の基礎を伺いたいのでありますが、時間の制約がありますからそういう点はお伺いいたしません。しかし、素朴な
被害農民の期待するものは、こういう限度ではきわめて不満であるということだけは明確に申し上げておかなければならない。私たちは、少なくとも
内地においては四十万円、
北海道においては五十万円の
資金の
ワクを設定しなければ、この被災
農家の更正に資するのではない、非常に中途はんぱなこの
融資額の引き上げということは、混迷におとしいれしめることを憂えるものであります。また、新たに
農業法人に対して
融資の道を開かれました。これも二百五十万というのは、これは
内地においてはまあ一応妥当な設定だと思いますけれ
ども、少なくとも
内地の
農業経営規模と比較して、
北海道の
農業経営規模を考えた場合、
北海道における
農業法人に対しては、
内地の二百五十万と照応する限度としては、五百万のやはり
貸し付け額を設定すべきである。それが
内地、
北海道とも二百五十万であるということは、
一体どういう根拠で設定をされたのであるかということであります。また、
激甚災害の場合でありますが、これも同様に、
内地二十万、
北海道二十五万というのを、
内地二十五万、
北海道四十万に引き上げを原案としてお示しになっておりますけれ
ども、これも
内地は六十万、激甚地でありますから、
北海道においては七十万、こういうやはり激甚地に対する適切なる
融資を講ずるための限度額の設定が妥当ではないかと思うのであります。また、特に果樹専業者の激甚地における
融資の
ワクは、これは百万の新たなる
ワクを設定すべきである。また、ここに見落としのならないことは、普通
災害においては、
農業法人の
融資ワクを設けていながら、激甚地においてはこれが何ら
政府の原案には加味されないという点であります。私たちは、当然新たに普通
被害農家に対する
農業法人の
ワクを設定すると同じ思想に基づく
意味におきまして、
農業法人に対しては、激甚地においては六百万、
北海道においては七百万、また法人のうち、
政令で定めるものにあっては一千万というものを、ここで激甚地の
法律に
関連する
措置として取り上げをしなかったということは非常な片手落ちであるというふうに考えるわけであります。
時間がありませから、第二点、三点、四点を引き続き御質問を申し上げて、一括御
答弁を願い、なおその御
答弁についてまたお尋ねをいたす所在であります。
ただいま
大臣が
提案理由の
説明の中に、いずれ全利、
償還期限については
通常国会を目途に
所要の
改正をするということをおっしゃいました。この
金利なり
償還期限の問題に入る前に、私は貸間の第二点として、なぜ条件緩和ということを次の
通常国会に
政府が対案をもって臨むという意思表示をされないかということについてお尋ねをせざるを得ない。この貸し出し限度の
ワクが多少引き上がりましても、いまのような貸し出し条件ということでは、実際これが適用された場合に、期待する
被害農民に対してはその期待が素通りをするという実態に置かれておることを
指摘せざるを得ないのであります。少なくともこの貸し出し条件の緩和ということは、もちろん
金利の引き下げ、
償還期限の延長もいわゆる貸し出し条件の緩和の中に入りますけれ
ども、特に私はこの
被害農林漁業者となり得る条件というものを、そういう条件を現行法のままに据え置き、現行
政令にゆだねたままで貸し出し限度
ワクだけをいじったのでは、これは実際においてその
資金の経済効果というものは潤さないということを申し上げなければならぬのであります。時間がありませんから結論だけを申し上げますと、従来、
農作物等の減収量の三割というものが被災
農家の認定の基準になっております。
法律の第二条第一項であります。これは少なくとも減収量の三割というのを二割五分に、五%その基準を引き下げなければならぬ。また、この
被害農家の
被害金額、これが従来年間についての総収入の一割というものを限度としておったのでありますが、これを二%さらに引き下げて八%にこれをするということ。また果樹等の損失額の三割とあるのを、これをやはり二割五分に引き下げる。林業者につきましても同様に、薪炭等の損失額がその者の平年度の総収入の一割という
規定があるのを、これを八%に直す。炭がま等の施設については五割という基準があったものを、これを四割にするというふうにしなければ、私はこの
ワクの拡大という看板を掲げて、看板に偽りがあるような実態を
指摘せざるを得ないのであります。また漁業につきましても同様であります。平年度の総収入一〇%であるということをうたっておりますけれ
ども、これを同様に
農業とともにこれを八%まで下げる。あるいは漁船、漁具等の施設の損害額が五割とあるのを四割にするという、いわゆる一連の
融資条件、
被害農林漁業者となり得る条件の緩和というものをあわせこの際取り上げないことには、私はこの
提案された趣旨にもそぐわないということを
指摘するのでありますが、
一体、
大臣はこの点をどうお考えになり、次の
通常国会にはそれに対してどう対応する
措置をお考えになり、準備をされるのかという所信のほどを承っておきたいのであります。
時間がありませんから、特別
被害農家の同じような第二条第二項の点、
激甚災害における同様の点については、このお尋ねを省略いたしますが、総括して質問の第二点は、この
被害農林漁業者という資格を
内容づけるところのその諸条項の
改正というものがなければ、ただ、一般の被災者は限度が多少上がったという期待で、ぜひ今度の臨時国会に、こういうあわただしい時期に追い込まれたにもかかわらず、通過してくれという陳情もありますが、こういう実態を話しますと、そういうことでは、というやはり非常に
内容に対する不満が最近激発をいたしておるのであります。そういう点について条件緩和
——こういう被災農林漁業者のその条件を、従来の
規定を緩和するということがただいまの御
提案の中にも触れておりませんので、その点はどうお考えになられているのかということを、第二点としてお尋ねをいたしたいと思います。
それから第三点でありますが、これは
金利の問題であります。この
金利の問題は、農地を取得する者については
かなり意欲的に
大臣は臨んでおられるやに承ります。これはいずれ次の
通常国会で具体的にお尋ねをいたしますが、農地を取得するという積極的なそういう
一つのかまえ方の前に、
災害をこうむった
農家に金を貸すのに、元金はこれはまあ
融資でありますから別といたしまして、利息を取るということについては、農地取得
資金以上に
利率の緩和がこれは絶対的な要件であるということは、私がいまここで限られた時間でくどく申し上げるまでもなく、賢明な
大臣御
承知のはすであります。しかも、前の
通常国会の予算
委員会で、前の
池田総理大臣は、できるならば
二分資金を考えたいということを言明しておる。言明というよりもそういう意思表示をしておる。そういう場合に、佐藤内閣の最も右翼の
農林大臣は、こういう総理の考え方というものをふえんして、少なくとも従来の三分五厘
資金は
二分に、六分五厘は三分五厘に、五分五分は三分にするということは、これは次の
通常国会に対して明確なるひとつ所信のほどを承っておきたいと思います。
第四点は、これらの
利子補給という問題でありますが、第三条及び第四条によりまして、地方公共
団体の負担する
利子補給及び損失補償に対する国庫補助額の引き上げの問題であります。この点については、私たちは、この
被害を受けた県なり市町村というものは同様に地方財政にも大きな収入欠陥を生じておる実態にかんがみまして、これらの従来とってきた
利子補給に対する国の補助というものを全額
政府において負担すべきである、こういう考え方に立つのでありますが、この点について
大臣はいかようにお考えになり、またこれに対する積極的な
内容というものを次の
通常国会に準備されておると思いますが、国民に明らかにするために、この点もお尋ねをいたしたいわけであります。
時間の
関係上、以上の四点だけにしぼってお尋ねをいたします。