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1964-12-10 第47回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十日(木曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員の異動  十二月九日     辞任         補欠選任      千葉千代世君     山本伊三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高野 一夫君     理 事                 西郷吉之助君                 西田 信一君                 松本 賢一君     委 員                 小林 武治君                 沢田 一精君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 光村 甚助君                 山本伊三郎君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君        大蔵政務次官   鍋島 直紹君        自治省行政局長  佐久間 彊君        自治省財政局長  柴田  護君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十九年度分の地方交付税特例等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それではこれから本日の地方行政委員会開会いたします。  委員の変更について報告いたします。  昨日、千葉千代世君が辞任され、その補欠として山本伊三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 昭和三十九年度分の地方交付税特例等に関する法律案を議題といたします。  本案は、去る七日衆議院から送付され、即日付託されております。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 西田信一

    西田信一君 本案について質疑をいたしたいのですが、特にきょうは人事院総裁に御出席を求めておいたのですが、御出席がないようですが、人事院から御出席になっておる局長は、事情をひとつ説明してください。
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 人事院総裁がお見えになりませんが、どういう理由ですかということのお尋ねでしょう。何かの御都合がありますか。
  6. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 私は政府委員を命ぜられておりまするが、総裁がさしつかえがあるからおまえ伺えということで参ったわけであります。ただいま総裁都合を聞いてみましたところ、先般人事院総裁が西ドイツに伺いまして、今度帰ってまいりまして、何かドイツ大使館情報官と御用があって、いまそっちのほうに伺っておるということでございます。したがいまして、帰って来次第こちらに参る、こういうことを伺っております。
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと私から伺いますが、当委員会開会中に間に合いますか。
  8. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) いま連絡の者から伺ったのでございまするが、なるべく向こうの時間を都合いたしまして、できるだけこちらに間に合うように参りたい、こういうように申しておるそうであります。
  9. 西田信一

    西田信一君 なるべく来られるということなんですけれども、地方公務員給与に関して特に人事院総裁に御出席を求めましたのは、問題が非常に大きいものをはらんでおる、内容的に。でございまするから、総裁からはっきりしたひとつ御見解を伺いたいということで、特においでを願うことにしておったわけであります。しかし時間の関係もありまして、総裁からいろいろ伺って、しかる後自治省等見解をただしたいと考えておったわけでありますけれども、後刻おいでになるということでば、ちょっと質問がぐあいが悪いのですけれども、その間、総裁にかわって、あなた責任ある御答弁がいただけるかどうかによりまして質問のしかたも考えていかなければならぬと思うのですが、その点はいかがでございますか。総裁にかわって御出席になったということでございますから……。
  10. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 西田委員の御質問の要旨は、前もって伺っておりましたので、人事院といたしまして十分打ち合わせをいたしております。したがいまして、私から総裁にかわりましてお答え申し上げ得る、このように考えます。
  11. 西田信一

    西田信一君 それではそういうつもりで御質問をいたしますが、不明確なところ等があれば総裁が御答弁下さることを留保しつつ質問をいたしますから、明確にお答えを願います。  こういう特例法を出さなければならないような事態に立ち至ったということ、これはもちろん今回の人事院政府に対して行ないました勧告、これが地方公務員のほうにも影響を及ぼして、こういうふうになったことは御承知のとおりでございます。ことに国家公務員地方公務員との給与の引き上げに必要な金額を比較してみますると、国家公務員よりむしろ地方公務員のほうに非常に多額の財源を必要とするというようなこともおわかりだろうと思うのであります。しかも年度中途でこういう勧告が行なわれて、これが実施に非常に無理があるため大騒ぎが起きているというふうに考えざるを得ないのですが、そこで、逐次お尋ねしてまいりますけれども、人事院としては、こういうような国家公務員に対する勧告をなされる場合に、地方公務員というものの給与に関する立場なり影響というものを、どういうようにお考えになっているのか。国家公務員についてだけ勧告すれば事足れりという考えか、地方公務員をも含めて——含めてというのはちょっと語弊があるかもしれませんが、十分考慮の中に入れて勧告なさっているのかどうかということをまずお答え願います。
  12. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 現在の状況におきまして、人事院勧告地方公務員相当影響を及ぼしていろいろ困難な事情を生じているということは十分承知いたしております。ただ、人事院はその権限から申しましても、国家公務員に対しまする勧告権しかないのでございまして、地方公務員に対しましては何ら権限はございません。そこで、一方、地方にはまた各都道府県に人事委員会、ちょうど国の場合における人事院相当いたすようなものもございます。しかし、現在のところそういうものが完全な状態において機能を果たしていないようにも考えられるわけでございまするので、したがいまして、現在の状況におきましては、人事院勧告というものが相当影響を及ぼすということも事実でございます。しかしながら、われわれの中心目的は、やはり国家公務員に対しまして労働権を制約してあるという状況下におきまして、この勧告によりましてこれを保障していくということが第一義でございまするので、これは予算の点になってまいりますると、国の場合も同様の問題があるわけでございますけれども、われわれは財政事情というようなことを考え権能はございません。したがいまして、もう人事院国家公務員法にきめてございます給与水準の改定に際して考えるべきもの、すなわち生計費民間給与、その他これに類することで人事院が適当と考え事情を考慮して勧告を行なう、こういうことにあるのであります。これに従いましてやっている。財政事情等につきましては、これは政府内閣並びに国会の御判断に待つよりいたしかたのない問題であると、このように考えております。特にそのために人事院勧告というものは、政府に対するだけでなく国会に対しても同時に行なうというようなことになっておる、このように考えます。
  13. 西田信一

    西田信一君 いまの御答弁によると、相当影響地方公務員等にもあらわれておるけれども、本来人事院勧告国家公務員に対することだけを考え立場にあるのであって、しかも財源については何らの権能がないのであるから、そういう立場財源ということは考慮外に置いての勧告である、こういうふうな御答弁であったのですが、そのとおりでございますか。
  14. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) そのとおりでございます。
  15. 西田信一

    西田信一君 しかし、勧告をすれば当然実施ということが伴うわけです。人事院権限にも、法律上の定めにも「完全な実施を確保し、」その「責に任ぜしめる。」と、こういうふうにあると思うのです。勧告内容、どういうふうに実施するかということについて、政府決定との関係はどういうふうにそれじゃ考えているか。つまり、財源のことは全然考えなくてもよろしいというような立場勧告なされるとすれば、「完全な実施を確保」する「責め任ずる」ということの関係はどうなるか、この点はどうでしょう。
  16. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま御指摘給与実施につきまして完全な責め任ずるということが、公務員法に規定してございまするが、それは成立いたしておりまする給与法の実施につきまして完全な責め任ずる、こういうことであろうというふうに理解いたしております。そこで、勧告の問題につきまして、その勧告が完全実施されるかどうかという問題と、いまの人事院は完全に給与実施責め任ずるということとは、多少違う問題ではなかろうかと、かように考えております。しかしながら、人事院といたしましても、勧告をいたしました以上、これがやはり人事院勧告どおり実施されるように相なりますることが理想でございまするし、願望でございます。そこで、それでは人質院は何ら努力をしておらないかと申しますると、たとえば現在人事院がここ四、五年のことでございまするが、七月ないし八月に勧告をいたしまして、そして調査の時期の最も近い月、すなわち五月から実施していただきたいということを政府並びに国会勧告をいたしておるのでございます。ただ、この場合に問題になりまするのは、その遡及度合いが非常に大きいではないかというようなことが、かねて問題になっておりまするし、また今回もその点が非常に問題になったことは御承知のとおりだと思います。このようなことに対しまして、人事院といたしましては、やはり調査の期間を縮めまして、遡及する度合いをできるだけ短くするというようなことは、もういま以上にできないものであろうかどうかというようなことにつきましては、人事院のできまする限りにおきまして、これはただいま検討も進めておりまするし、また、今後も進めたいというように考えておる次第でございます。
  17. 西田信一

    西田信一君 今回の勧告に関して、人事院総裁は、私の記憶で誤っておらないとすれば、この実施については、やめられた池田総理に対して、勧告全面的実施を強く申し入れられた、要望されたというふうに記憶しておるのですが、この点は実際どうであったのか。  それから、全面的実施ということについて、予算上、国のほうでも相当の無理があるということは、その当時から大体わかっておられたのじゃないかと思うのですが、人事院としては、具体的にこの勧告実施について、何らかの結論的なものを持っておられたのかどうか。その点はどうでしょう。
  18. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 人中院総裁が、前総理である当時の池田総理大臣にお日にかかって、どういうお話があったか、具体的詳細は存じておりません。ただ、この勧告いたしました直後におきまして、人事院はこういう勧告をいたしましたので、ひとつよろしくお願い申し上げたいということにつきまして、ごあいさつに上がったということはあったように記憶いたしております。で、総裁気持ちといたしましては、これは勧告の本文並びに勧告いたしました際に、総裁談話等で申しておりまするように、勧告した以上、これが完全に実施されることを非常に強く希望いたしておるということは、これは当然のことである、このように考えております。で、この国家公務員給与水準民間に追いつかす、これは先がける趣旨ではございませんが、やはり団交を禁ぜられておりまする国家公務員給与水準というものを民間とバランスする、民間を追っかけていくということは、これはもう公務員法の命ずるところでございまして、人事院としては当然言わなければならぬところでございます。そのあとは勧告でございまするので、やはり全般的の高い立場から内閣及び国会において御判断になる問題でございまするけれども、人事院といたしましては、やはり公務員法に規定してありまするところに従いまして、団交等が禁ぜられておりまする国家公務員代償措置といたしまして、どうしても理屈に合ったものの見方をとらざるを得ない、このような次第に相なっております。
  19. 西田信一

    西田信君 ちょっと答弁が漏れておりまするが、その勧告を全面的に実施することについて、予算上むずかしい点があったということは、その当時から大体おわかりになっておったのじゃないかと私は思うのですが、そういう点についての見解はどうであったか。また、それらについてどういう処理可能であると考えておられたかという点についてのお答えがなかったのですが、もう一度。
  20. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほどお答え申しましたことが、人事院考えておることでございます。これは、たとえば本年の公共企業体等仲裁裁定がこの春あったわけでございます、その祭におきましては、これはやはり本年の四月からということで遡及いたしまして仲裁裁定が全面的に実施されております。この金額等の詳細についていまちょっと記憶いたしておりませんが、相当膨大な金額であったように存じておりまするが、そういう金額を、何ら補正等を要することなくして、四月一日から実現しておるという事実があるのでございます。そこで、国家公務員につきまして、御指摘のように予算編成上この問題は非常にむずかしい問題であろうかと存じまするけれども、やはり公共企業体等につきましてそういうことが実現しておる現在、国家公務員だけはがまんしろということを人事院から申すわけにはまいらないのでございます。どうしてもそれとのバランスについてひとつお願い申し上げたい。これ以上実現の可能性考えておったかどうかということにつきましては、われわれとしては申し上げるわけにまいらない、あくまでこの勧告を完全実施していただきたいということだけでございます。
  21. 西田信一

    西田信一君 実施可能であるかどうか、あるいは財源の問題について一切考慮外に置いての勧告であるということを申しておるように思いますが、しからば、人事院勧告というものは、政府に対してどの程度拘束力を持っておると考えておるのか、これは法的にどうである、あるいは政治的にどう考えるというような点をひとつお聞きしたいのです。
  22. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほどから申し上げおりまするように、人事院勧告と申しまするものは、これは国家公務員労働権を制約いたしておりまするその代償措置としてあるものでございます。したがいまして、もし団交があったならばどうであろうかという状況を絶えず考えてみなければならない問題のように考えております。したがいまして、まあ法的に申しますると、これはあくまで勧告でございます。勧告というものはこれは強制のものではございません。その点は形の上では公共企業体等の場合におきまする紛争のありました際に労働委員会決定を下します裁定とは、多少法的には趣を異にしておるということは事実でございます。しかしながら、その性質から考えてみますると、これはやはり国家公務員労働権を制約してある代償でございまするので、そういうことは人事院考えるだけでなしに、内閣においてもそういうふうにお考え願っておるように承知をいたしておりまするが、これは内閣国会を含めまして、法的には勧告でございまするけれども、その勧告は、やはりまあ政治的と申しまするか、人事院としては政治向きのことはとやかく善うべきではないとは存じますが、その内容はやはり完全に尊重されるということが当然のことであろう、このように考えておる次第でございます。
  23. 西田信一

    西田信一君 政府に対する御見解は、法的拘束力はないが労働争議権を持っておらない代償として当然勧告は尊重されてしかるべきものである、こういうお考えのように伺いましたが、これはまあ政府国会に対して勧告——国会に対してもなされておるわけですが、もちろん国会は出自に判断し得るものと私ども思っておりますが一その点はもちろんそのようにお考えなんですね。
  24. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 国会最高権威でございまするので、あらゆる問題をお考えになることがもちろん当然でございます。しかしながら、この国家公務員団交権あるいは団体協約締結権を制限しておるということは非常に大きなことであるというふうにお考え願わなければならないことであろう、このように存じておる次第でございまして、また、公務員団交権が制約してある、労働権が制約してあるということに対しまする勧告権というものがどの程度に尊重されておるかということは、これはやはり労働権制約ということと関連いたしまして非常に問題になるところであろうかというふうに思うわけであります。したがいまして、これは勧告でございまするので、国会におきましていろいろな角度からこれを御判断になるということは当然でございまするけれども、しかしながら、その勧告がいかにして現在設定されておるかというようなことをお考えいただきまするならば、これは相当尊重されなければやはり労働権制約ということの代償措置になっていない、このように考えておる次第でございます。
  25. 西田信一

    西田信一君 人事院という制度は、これは御承知のとおり内閣の主管のもとに置かれておるところの制度であり、また、人事官等は両院の同意を得て内閣で任命するし、またその任免は天皇が認証するというふうに、非常に重く扱われておるわけですが、人事院合議制の官庁であり、また行政委員会であると思うのですけれども、その格づけは非常に高いわけですね。それはその任務が非常に重要性を持っている、責任度合いも非常に高いということであろうと思うのですが、そのことは、これはまた別な角度から申せば、非常に政治的影響力が大きいということを意味しているというふうに私は思うわけです。したがって、人事院もみずからの政治的責任というものを相当自覚しなければならないと考えますが、こういう点については人事院としてはどういうお考えでございますか。
  26. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま先生のおっしゃいましたこと、あるいは十分理解しなかったかと思いまするので、もし間違えました場合にはもう一度お話し願いたいと思うのですが、御指摘のように人事院内閣の所轄のもとに置かれておりまするけれども、その独立権限というものは非常に強く設定されておりまして、人事官任命等にもそれがあらわれておりますることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、この合議機関であります人事宮三人をもって構成いたしまする人事院、これはもう政治的影響を配慮できるような形に現在なっておるのでありますから、それを自覚いたしまして合議機関として公務員法に定むるところにしたがいまして最善を尽くしていく。こういうことが人事院のやるべきことであろうと、このように考えております。
  27. 西田信一

    西田信一君 この今回の勧告がいろいろな、何と申しますか、影響というか、波紋を投げたことは御承知のとおりだと思うのです。そこで、いま御答弁がありましたように非常な政治的責任を自覚しつつその職責を行なっておられるということでありますが、この勧告の時期が非常に問題になっておると思うわけです。今回のこの勧告実施するについて、財政上の非常な無理があるということは、国の場合においても地方の場合においても非常に大きくあらわれてきているわけですが、こういう点について、人事院としてはこれから勧告の時期等についてどういうお考えを持っておられるのか。具体的にひとつお考えをお聞きいたしたいのですが。
  28. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 御指摘のように今年の人事院勧告はいろいろな意味におきまして問題になったことは事実でございます。これは衆議院におきましても参議院におきましてもいろいろその点が議論されておるところでございまするし、また、各方面からこれが問題にされているということも事実でございます。われわれといたしましても十分その問題をめぐりまして、先ほども申し上げましたように事務的な研究も進めておる次第でございます。ただ、人事院が現在四月の調査をいたしまして、そして五月から実施をしていただきたいという勧告をいたしておりまするのは、任意に人事院気持ちで四月を調査時期として選んだということではないのでございまして、これは十数年にわたりまする人事院勧告というものが、おのずからにしてその時期に定まってまいったという経緯がございますので、これは決して軽視できることではなかろうと、このように思うのでございます。そこで、問題はこの実施にあたって、本年の場合を申しましても、たとえば当該年度における、たとえば本年は五月からやっていただきたいと言ったのでありますが、それは補正予算で組むより仕方のない問題である。そして補正予算で組むとすれば、自然増収というものがその財源になるよりしかたがないというようなところからきているわけでございます。しかし、これは参議院においても本会議指摘されましたように、やはり先ほどもちょっと申し上げましたが、公企体等において新年度から実施するということが、その当該年度の新しい予算には何らそれが一応形の上では出てまいらぬので、しかも仲裁裁定がありますと、これが補正も要せずして、たちどころにと言ってはちょっと語弊があるかもしれませんが、まあいろいろ御苦労はあろうと思いまするけれども、とにかく補正予算を必要としないで相当金額のものが遡及いたしましてこれが実現しておるというような事情も一方にあるわけでございます。そういたしますと、考え方といたしまして、多少おしかりを受けるかもしれませんが、われわれとしましては、まだ国会でも議論されておるところでもありまするが、やはり補正予算新規財源を求めるということは、これは無理かもしらぬ。しかしながら、ある程度政府関係におきましても、経済企画庁やいろいろなところで、その見通しというものは現におやりになっておるところでございまするので、そういう観点からいたしますると、この人事院勧告があって、卒然として給与が上がるということではなく、これは自然にそういう状況が熟してきておる、それが人事院勧告ではっきりするというような問題であろうかと思うのであります。したがいまして、そういうことに対しまする予算上の処置というものが、現在のような形で行なわれておりまする限りは、御指摘のように非常にこれはむずかしい問題があろうがと思うのでございますが、そういうただいま私が申し上げましたようなことを全般的に考えてみまするならば、これは、はたして処置のない問題であろうかどうか。あるいはこれは人事院が申し上げることではない。当然、政府並びに国会においてお考え願うことであるかと思うのでございまするが、そういう観点から人事院責任においてだけこの時期を問題にし、これをどうこうするということは非常にむずかしいと思うのであります。あくまで人事院民間給与に追いつくこれを追い越すのではないのでございまして、民間給与に追いつくということをいたしております。一方におきまして、人事院勧告がいつでも来年の春闘の先がけになるではないかという御批判も、これは受けるところでございます。で、これは勧告の時期をおくらせますると、そういうことになりやすいのであります。したがいまして、やはり人事院勧告というものを、現在いわゆる民間の賃上げというものが大体春期四−五月ごろにかたまっておるということは御承知のとおりでございまするが、その直後を受けましてやるということは、非常にこれは無理のあることだというふうにも考えておる次第でございます。  以上のような問題でございまして、人事院といたしましても、でき得ることはいたしたいけれども、本問題の解決は、人事院の力だけではとてもできない問題ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  29. 西田信一

    西田信一君 人事院としては、勧告をした以上完全実施を望むということは、これは当然のことであるし、そういうふうに先ほど答弁になった。完全実施を望むという立場から考えてみても、あるいは財政上の立場から考えてみても、現存の年度中途における勧告の時期が当を得ておるものであるとは、私どもはちょっと理解できないのであります。そこで、先般の衆議院でも増原給与担当大臣が何か見解を述べられておるように記憶しておりますが、しかるべき時期に勧告をして、それを翌年度から実施するというような方向で考えることがむしろ完全実施をするひとつの方向にもなるのではないかということを申しておられて、いろいろ政府でも検討をされておるということを伺っておるわけですけれども、そういう点から申しまして、人事院としてはどうも春闘の呼び水になるというようなことを警戒するというような御答弁であったが、もう少しどうでしょうか、真剣に検討されるという御意思はないでしょうか。
  30. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) この問題は真剣にわれわれ検討いたしておるのでございます。で、ただいまお話がございました勧告という問題を、もちろん結着は、これは財政上の措置でございまするから、いまのようなお話が出るのは当然でございまするが、しかし、やはりそういう面からのみこの問題を便宜に取り扱うということが、これがはたして適正であるかどうか。先ほど私が申し上げましたように、人事院勧告権というものの本質というものは、やはり労働基本権の制約がしてございますことに対する代償措置でございます。それを規制するというような方向でこの問題を便宜考えるということは、困難であるのみならず、これはとてもできない相談であると人事院としては考えております。で、翌年度からということになりますると、やはり民間とのおくれが非常に大きくなるという問題がここにございます。それを何らかの意味においておくれをなくしようということになりますれば、ある程度来年の四月の民間賃金の水準を予測いたしまして、そうして勧告をするということにならざるを得ないのではないか。もちろん現在の状況からそういう状況までのつなぎというものは非常にむずかしいと思いますが、しかし何らかの意味において克服したといたしましても、なおかつ新年度からということになりますと、やはり新年度すなわち来年の四月の民間賃金の水準というものを、予算が策定される時期と申しますれば、何としても十月ごろだろうと思いますが、そういう時期に予測しなければならぬという問題があるわけであります。そこで人事院といたしましては、その時点においてどういう資料を持っておるか、四月現在におきましては、人事院自身の責任において民間給与調査をいたして、これは完全なデータを持つのでございますが、その間は総理府統計局から出ております物価の指数でありますとか、生計費の報告でありますとか、労働省から出ております毎月勤労統計というようなものしかないのでございます。しかし、これは人事院独自のものではございませんから、この資料を人事院が持つと同時に、政府側においても持たれる。かりにこの資料から予測をいたしたといたしますれば、これは何も人事院がいたさぬでも、政府自身でもできることじゃないかという問題がございます。それから予測ということになってまいりますれば、たとえばこれは予測は非常にむずかしいのでありますが、かりにやったとした場合に、少し過大な予測をしたということになりますと、これはやはりまた別の意味において非常に影響の大きな問題になってまいりますし、また、過小に予測をしたということになりますと、これはやはり人事院が何か一つの政策を持って賃金を上げないような努力をしているのではなかろうかというような邪推を受ける結果にもなろうかと思うのであります。したがいまして、現在のところ、われわれといたしましては、そういう問題をいろいろな角度から検討はいたしてみたのでございますが、予測を含むような問題は、これはとてもできた問題ではないのではなかろうか、このように考えます。  なお、御指摘の点につきましては、勧告の時期あるいは勧告をやりますための調査の時期等については、われわれとしましては従来も考えてまいったのでありますけれども、今後もこの問題は、ほんとうに真剣に考えてまいりたい、このように考えます。
  31. 西田信一

    西田信一君 いまのお話を聞いておると、こういうお考えなんですか、その年における民間給与公務員とは、その年内にその給与のバランスを必ずとらなければならぬという前提に立っておるのですか。
  32. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) いまのお話につきましては、いろいろな観点から御見解があり得ようと思います。しかしながら、従来人事院がとってまいりました態度並びにたとえば公共企業体等におきまして民間というバランスをとるという考えをどのように考えておられるかというような点からいたしますと、これは両者申し合わせたわけじゃございませんが、やはり民間のことを考慮して、民間状況調査いたしまして五%以上俸給表を訂正する必要があるときには、人事院勧告しなければならないということは、やはり時期をおくらせていいということは、その中には含めていないようにわれわれ考えております。
  33. 西田信一

    西田信一君 その勧告の時点のとり方ですね、これは私は必ずしも人事院のお考えが絶対動かすべからざるものであるかどうかということには問題があると思います。また完全実施という立場からいって、たとえば今度の公務員給与引き上げに伴うところの財政措置を見ておると、結局財源上の非常に無理があるために、あるいは事業を削り、無理な節約をし、あるいは地方公務員などに至っては、ないから借金をして借り入れをしてける。民間でいえば、全然利益が上がっておらぬけれども、上げるためにどこかからか借り入れをして赤字のベースアップをやるという結果になっておるわけです。そういう無理があるから、結局完全実施ということも非常にむずかしい問題を伴ってくると思うのです。私はそういう意味から申しましても、どうもこれが実施可能であるかどうかということの判断は全く抜きにして勧告をなさっているところに相当問題がありはせぬかと思うのです。政府のこれを受ける立場からいいましても、国会判断をする立場からいっても、やはりそこに、勧告をした以上はこれが実施されなければならないという、尊重されなければならないという立場に立って考えるならば、そこら辺に相当問題があるのじゃないかと思うのです。これはあなたの見解は違っておるから、いまここで議論を繰り返してもしかたがありませんから、また総裁にお尋ねしたいと思うのですけれども、少なくともこの問題は、あなたは僕の質問に対して、争議権を持っておらない公務員のあれを保護する立場から、それを無視することはできないとおっしゃっておられるのですが、私は何も無視せよということは一言も言っていない。少なくとも完全実施可能という立場からものを判断しなければならぬという点から考えるならば、相当検討の余地がある問題じゃないかというふうに申しておるわけです。ですから、この点はもう少しお考えになる必要があるのじゃないかと私は思いますので、きょうはここでこれ以上議論してもしようがないから、その点はあらためて総裁考えを聞くことにいたします。  そこで、ちょっとお聞きしたいのですがね、これは民間給与との格差が五%以上出た場合勧告をするということですが、民間給与というものの押え方はどうやっておるのですか。
  34. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 民間給与の押え方につきましては、いろいろ見解があろうかと思います。たとえば非常に極端な二つの例を申してみますると、民間の方がみな税金を納めておる。その税金によって公務員給与というものが支給されておる。そういう観点に立ちますれば、民間の働いておる人を全部、すなわち事業場の規模で申しますると、一つの事業場において一人くらい雇っておるような、まあ現在わが国の賃金水準というものは、企業規模の段階によりまして相当な格差がある。最近はだいぶ近寄ってきたということでございまするけれども、あるということでございますので、その場合に、企業規模の低いほうを多くとりますれば、全体の賃金水準は低くなるわけでございますが、一人でも雇っておるというようなところまで全部含めてその平均で考えるべきではなかろうかというような話も出てまいりまするし、また一方におきまして、国のような大きな一つの経営体はないのであって、民間でいくら八幡製鉄が大きい、あるいは日通が大きいといっても、これは国が公務員を雇用しておるほど大きいものではない。したがって、やはり国は独自に、そういう民間の最大のものよりもまだ相当大きいのだから、だから一まあそうは言っても一応民間と比較するという意味において——たとえば千人以上の民間の経営体、これはまあ水準は高くなるわけであります。それをとるべきだというような見解もあるわけでございます。またもう少し常識的と申しますか、よく出てくる話としましては、労働省の毎月勤労統計が、一応毎月出ますものは一応三十人以上の規模をとっておる。その辺がいいのではなかろうかというようなお話も出てまいるわけでございます。そこで、従来人事院はどういうふうにやっておったかと申しますと、人事院ができました当初の期間は、これは二、三まだ十分固まりませんで動いておりますけれども、一応固まった後におきましては、五十人以上の従業員を雇用いたしまするような事業場におきまして、公務員と同じような仕事をしておりまする人を一応とってまいって、そういう人の賃金の平均で考える。こういうことでやってまいったのでございます。ところが、御承知のように本年の公共企業体の仲裁裁定におきましては、企業規模百人以上の平均賃金ということを問題にされたのでございます。そこで、この公共企業体におきまする——まあこの中でも現業、郵政その他の現業がございまするが——これは、まあ一般職であることにおいて、現在われわれの所管内にありまする一般職公務員と変わりはない。ただ現業ということで団体交渉もできますし、給与決定機構が違っておるわけでございます。そういう方々につきましては、百人以上が一応問題になっておるということになりますれば、やはりこれはバランス上企業規模百人以上におきまする民間の賃金ということを問題にせざるを得ないということで、これは今年からそのようにしておる次第でございます。
  35. 西田信一

    西田信一君 百人以上の事業会社を対象にしてやっておられるというのですが、それが妥当であるかどうかということは問題があると思いますが、それはあれですか、その対象事業場というものは、必要があれば公表できるのですか。
  36. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) われわれの調査のやり方といたしまして、これはまあいわゆる全数調査、すなわち企業規模百人以上の事業場を全部調査したと同じような効果があるような方式によりまして調査をいたす。まあいわゆる無作為抽出法というものを用います。これはまあいわゆる統計学上にそういう一つの方法があるのでございますが、その方法によりましてやっております。また、われわれの調査は、これは民間の御好意によってやっておるわけであります。やり方としまして、たとえば統計法に基づく指定統計というようなやり方もあるのでございまするけれども、あくまでこれはそういう権力的なものにいたしませんで、民間の御好意によりまして調査をやっておるというような関係でございますので、これはまあ統計調査の性質上、個々の事業場を公表するということはいたさない、このようなたてまえにいたしております。しかし、先ほども申しましたように、われわれの調査はいわゆる無作為抽出法によりまして、実際には六千事業場くらいのところを調べておるのでございまするけれども、それは全数調査をしたと同じような効果があるような方法にいたしてやっておるということでございます。
  37. 西田信一

    西田信一君 私がお聞きしておるのは、その六千なら六千のものは、私ども必要だという場合には資料として出せますかということです。
  38. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほども申し上げましたように、これは民間の御好意によってやっておるのでございまするし、個々の事業場等におきましては、やはりその公表を拒まれるというところもございます。また、今後調査をやりますときに、任意にその具体的に事業場を問題にいたしたりしますると、これはまあ調査を今後やっていく上に非常に困難がございます。したがいまして、これは個々の事業場は公表いたさない。集計した数字だけはこれは公表いたしましょう。そういうたてまえでやっておりますので、御了承願いたいと思います。
  39. 西田信一

    西田信一君 あなた方人事院ではこういうこと知っていますか。この勧告をして、これが実施されると、された後にこの公務員給与引き上げを今度は逆に使って、民間民間給与引き上げをやっておる。ベースアップをやっておる。非常にそういうものが多いということは知っていますか。
  40. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) そういう話もときに聞きます。これは昨年で、こざいましたか、あるいは本年の春ごろでこざいましたか、生産性本部におきまして、ある事業場の賃金を上げる場合に、どういう動機から、あるいはどういうことを考えて上げるかというような調査をいたしたものがございます。まあこの調査は必ずしも規模の大きい調査でこざいませんから、それを全部信用するということはどうかと思いますけれども、それらによりますと、やはり民間で賃上げをいたしまする際の大きな要因は、やはり自分のところの労働力を確保するために、まあこれは初任給関係になりまするが、その初任給でどうしても確保しなければならぬ、そういう観点から上げていくんだ、初任給を上げますと、部内序列を面さなければならぬから、そういうことで全体を上げるのだというような回答が比較的に多いように存じます。また自分と同じ業界における賃金というようなものを問題にしているというのもあるようでございます。また、いわゆる春闘の場合あたりに、いわゆる春闘相場というようなものが一応何らかの意味においてできまして、そういうことに影響されておるところも相当あるようであります。その場合に、春闘の相場づくりということが、これが非常に影響を及ぼすのでございまするけれども、従前におきましては、公企体の仲裁裁定あるいは民間の私鉄等の賃金裁定等に、前年の人事勧告を横目でながめられたというような事情はあったように存じております。しかしながら、今年の状況を見ておりますると、もうある意味におきまして人事院勧告というようなものが、これは民間のあと追いであるということがだいぶPRが徹底いたしましたせいでございましょうか、人事院勧告というものをそれほど問題にしておるところはないのではなかろうか、現に先ほど来申しておりまする生産性本部の賃金調査におきましても、人事院勧告を見て上げたというのは、あまり数が多くないように出ておったように承知いたしております。しかしながら、あくまで平均賃金を問題にいたしておるのでございますから、われわれの勧告影響されないというふうには、これは申し上げられないことであろうかと思います。ただ、賃金というものが全体的にお互いに影響し合うということがございまするので、かりに公務員給与決定の方式が現在と違いましても、それはそれなりにやはり影響のあることではなかろうかというふうに考えます。
  41. 西田信一

    西田信一君 私はそういう国家公務員地方公務員等の賃金のアップというものが、また民間にはね返っていって、あなた方の対象にしている事業場にはあるいは少ないかもしれぬが、それ以外の事業場においては、むしろそれが一つのアップの基準になっておるというか、それを誘引しておるという事実はずいぶんあると思います。私どもが知っておるのもたくさんある。それで、これから将来のことはどうなるかわかりませんけれども、まあ物価の問題も非常にいまやかましいですね。非常に大きい問題になっている。いろいろまた政府の施策についても国民の要望があるようです。しかしながら、私は物価値上がりということが、物価が上がったから賃金を上げる、これはもう一つの鶏と卵のような関係かもしれませんけれども、しかしながら、いまぼくが言わないうちにあなたから、何回も春闘相場とか春闘何とかということばが出ておるのだが、そうすると、どうも春にはいわゆる春闘による賃上げがあり、秋には公務員がそれを追っかけてそれをやる。そういうようなことが毎年毎年繰り返されておって、私は、なかなか物価問題というものも重大な問題ですけれども、そこら辺に大きな問題を持っておるのではないかというふうに思うのですが、そういう点、どう考えておられますか。
  42. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 瀧本さん、詳細に説明されることはまことにけっこうですが、もう少し簡潔にやってください。
  43. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 御指摘のように物価と賃金の問題というのは、大問題であろうかというふうに存じております。そこで、われわれとしましては、やはりわれわれの不注意のために無用の刺激を与えるということにつきましては、極力慎まなければならない問題であろうというふうに思っております。しかしながら、やはり根本は民間の賃金がどの程度に上がったかということに従いましてこの公務員の賃金を上げていただくということが主でございますので、現在のようにやはり経済の成長が非常に急ピッチであります際には、これはどうもやはりやむを得ないのではなかろうか。理想といたしましては、やはり落ちついた時期がまいるということがいいわけであるのでございますけれども、現在の状況下においてはやむを得ないことではなかろうか、このように考えております。
  44. 西田信一

    西田信一君 民間企業との格差を縮めるという基本に立ってなされておるわけですが、どうでしょうか。さっき人事院総裁は西独へ出かけていっていろいろ研究しておられる、きょうもそれで出てこられないという話なんですが、外国の、たとえばドイツとかイギリス、フランス、アメリカその他いろいろあると思いますが、そういうところのこういう問題はどういうふうに扱われておるかということを、ひとつ簡単でけっこうでございますが、おわかりでございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  45. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 西独におきましてもやはり賃上げの問題は国会におきましても非常に大きな問題になっておるように承知いたしております。ごく最近におきましても国会公務員のべースアップをやる話が出ておりまして、ことしの十月から三%上げる、来年の一月から五%さらに上げる、そのほか子女手当等につきまして、従来は年齢別にある程度区別しておったものを、区別しない、いろいろの方途をやっておるようであります。またイギリス等におきましては、これは非常に状況が日本と違っておりますが、日本のは現在ある時期に一斉にすべての職種がみな賃上げをやるというような形になっております。イギリスではこれが順繰り順繰りに、ある時期におきましてはある職種が問題になり、ある時期においてはある職種が問題になるというようなことで、時期が違って、年間ならしてどの職種かの賃上げが行なわれておる。その賃上げが行なわれるときには、やはり調査時点にさかのぼって賃上げが行なわれておる。しかし勧告時点で大きくなるような問題でなく、年間でばらばらに行なわれる状況にある、さように承知しております。
  46. 西田信一

    西田信一君 いろいろお聞きしたい点はたくさんあるのですが、時間も限られておりますから、要点だけすることにいたします。  先ほどもお尋ねしたのですけれども、公務員の数からいっても、この公務員給与問題というものは、ウエートから言うならば、むしろ私は地方財政の大きな問題だと思うのです。この点はさっきから明確でなかったのですけれども、人事院ではその点はどういうふうに見ておられるのか。これはひとつ人事院からも聞きたいし、また政府側の見解も自治大臣からお聞きしたいのですが、こういうふうな対策ということについて、あまり考慮が払われていないのじゃないか。今度のようなことが起きておるのですけれども、そういう点について地方財政上の立場から、どういうふうに見ておられるのかということをひとつお答えいただきたいと思います。
  47. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほど国家公務員の場合に申し上げましたように、国家公務員給与勧告でございますけれども、財政事情等につきましては、これはもう人事院権限の外でございますので政府並びに国会において考えられることであるということを申し上げたのであります。これが地方の問題になってまいりますと、われわれは直接地方公務員のベースアップの勧告をいたしておるのではないのであります。先ほども申し上げましたように、現在の機能といたしましても、各都道府県の人事委員会には、国における人事院と同じような機能があるのであります。私の承知する限りでは、そういう制度が現在十分有効に働いておるとは考えがたい状況もあるようでございます。したがいまして、この問題は、現在の状況で、すべて人事院責任だというふうになりますのもちょっと困るわけでございまして、いろいろな観点からこの問題が漸進的に解決されていかなければならぬのではなかろうかと思うわけでございます。
  48. 西田信一

    西田信一君 しかしですね、いま御答弁ですけれども、地方公務員国家公務員に準ずるというか、扱いをするということに法律はなっておるでしょう、準ずると……。そういう点から言うならば、全く無関係であるということはないと思うのですがね。そういう点については、今回の地方公務員のベースアップの財源等について非常に大きな問題を……。きょうはそういうことでこの法案が出ておるわけですけれども、そういう点についてどうなんでしょうか。いま、しかも各地方団体の人事委員会というものがあるが、十分機能も発揮されておらない。それは要するに国の公務員に準じた扱いを従来もずっとやっておりますですね、したがって、この地方団体の人事委員会というものの機能が十分発揮できないというのは、大体そういうような慣習というか、慣例になってきておって、当然のことのように扱われておるじゃないかと思うのです。国もまた、そういうような財政措置を従来やってきておるという点から考えるなら、当然これは考慮の中に入っていなければならないと思うのですが、いまのあれですというと、国のほうだけ勧告したのだから、あとは地方のほうはどうなっても、それは人事院の感知するところではないということになると、問題が非常に大きいと思うのですがね。もう一度ひとつ……。
  49. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) お話の趣旨も、人事院としてではなしに、一般的には十分お話がわかるのでございまするけれども、人事院立場といたしましては、現在何ら地方に対する権限もこざいませんし、また、現在のような状態が最善のものであるかどうか、その辺にも問題があろうかと思いますが、やはり人事院地方財政のことを度外視いたしまして、公務員法に定めてありますところによりまして勧告するよりしかたがない、このように思っております。
  50. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 西田さんのお尋ねでございますが、実はこの地方財政の面における給与改定という問題は、たいへんな大きな問題でございますし、御承知のように本年におきましてもまああのような形でようやく解決をいたしましたが、これが年々繰り返されるということになると、これは一つの大きな問題であろうかと思います。御承知のように、今回の給与改定で不足百五十億は特別会計に借り入れてまあ一応善処し、五年間にこれを返すと、利子は国が負担するということにいたしましたが、さてこれがことし限りであれば、私は来年度以降における交付税において返還をすることはそうむずかしくもないかと思います、それ自体につきましては。しかし、これが毎年毎年繰り返されるというと、五年間に返還をし切らないうちに、またさらに同じような問題を繰り返すということになりますと、これはたいへんな大きな問題であろうと思います。今日地方財政の総額は、御承知のように三兆一千三百八十一億になります。そのうちの給与費が一兆一千二百二十五億、すなわち三六%を給与費が占めておるのであります。この中にはもちろん義務教育費として二千億ばかりの国庫負担がございまするから、これを双方から差し引きましても約三割、三一%余りの給与費というものが地方財政の中で占めておるということであります。これはしかしそういう給与があることでありまして、それ自体をどうということはございません。この中の大部分は学校の先生でございまして、学校の先生は、今日でもすし詰め教育といわれておるときでありまするから、これはやはり必要でございましょう。またそのうちの一割は警察官でございまして、これは治安の関係からいきましても当然のことでございます。一般の職員についてはどういうふうにやるかはまだ検討する余地があるかとも思いまするけれども、要するに、結論として三兆一千億余りのこの予算の中で、三割六分を給与費が占めておる、しかもその中のベースアップというものは、先ほど来論議されましたように、人事院勧告というものは、これは尊重せられるべきものである。私どももまたこれを尊重したいということでこれに当たっておるわけでございます。そうするというと、これが毎年繰り返されますと、来年度だけの、平年度だけの給与改定のアップがどれくらいかというと、約一千百億、一千七十億ですが、これは五月から実施して一千七十億でありまするから、四月から実施しまするというと、おそらく一千百億をこえるだろうと思います。これだけの状況でございまして、またさらに中途で——これが当初予算でありまするならば、大きい三兆一千億の予算の中でまかなうことでもありまするし、また約七千億余りの交付税の中でまためんどうを見るということも、これは全体の中で、当初からでございますれば考えられぬことはございませんけれども、中途はんぱで、ことしだけでも六百億の給与改定の増、交付団体だけをとりましても四百五十億ということでございます。ですからいままでのような高度成長で、自然増収が非常に伸びておる間はこれがあまり表に出ないで済みましたけれども、さてだんだんと安定成長に入りまして、自然増収というものが少なくなりまするというと、それでまかない切れなくなるという状況でございまするので、私どもといたしましては、いろいろの御事情はございましょうが、当初予算から予算が組めるように、ひとつ何とか努力をしたいものだ、お骨折りを願いたいものだ、かように存じておるわけでございます。
  51. 西田信一

    西田信一君 実際いま大臣がお話になったように、地方公務員のベースアップによる財源というものが相当の額にのぼるわけで、ことしもまあこういう変則的な、無理な財源措置を講じてベースアップをしなければならない、しかも相当の無理な節減も行なわざるを得ない。いつかも新聞に出ておりましたけれども、非常に無理な節減のために精神病者に対する入院措置を取りやめるというような問題まで起こしておるというようなことであるようでありますが、そこで、地方人事委員会というのがあるのですけれども、実際にはいまもうすでに政府がお考えになっておるように、やはり国家公務員に準じた扱いをせざるを得ないし、また、するという立場でこういうふうに措置されておることを考えますと、地方団体の人事委員会というものは、さっき人事院からもお話のあったように、実際にはもうその機能を発揮しておらぬという点からいうならば、そこら辺にも給与勧告権人事委員会給与勧告権というものは、ちょっと何か中途はんぱなものになっておると思うのですが、こういう点について将来どういう、ふうにお考えになっておられますか。  それからもう一つは、根本的にやはり地方公務員給与制度の根本的な問題があると思うのです。こういう点については将来どういうふうにお考えになられますか。市町村間においても相当にアンバランスがあるというようなこともありますし、ところによっては国家公務員より若干上回っておるところもあり、また非常に低いところもあると思うのですが、こういう点についても、もう少し本質的な、根本的な検討が必要な段階にきているんじゃないかというふうに考えるわけですが、そういう点はどういうふうにお考えでございましょう。
  52. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) そういう御議論も聞いておりまするし、また、ありまして、各自治体でありますから、自治体は自治体で考えたらどうだということも、これはたてまえとして私はもっともだとは思います。しかしながら、先ほど来御議論になりましたように、今日公務員におきましては、国家公務員におきましても地方公務員におきましても、争議権というものが制限されておるわけでございます。したがいまして、それならば一体給与はどうあるべきかということをどうしてきめるかということになりますと、団体交渉によってきめるということができませんから、勢い、だれか公正な一つの機関によってそれが判定されなければならぬ。それが今日置かれている人事院というものによって勧告をされておるわけでございます。したがいまして、国家公務員給与ベースについての勧告でございまするから、それは人事院がやったらいいだろう、地方地方で別にやったらどうだということも一つの御議論でございましょう。また、各地域地域、町村でやるということも考えられないこともございません。しかし、要は、先ほどお話がありましたように、民間給与ベースに合わしていくようにというところに一つの基準がございますから、そうしまするというと、各府県、各町村で民間給与のベースと合わしていく、こういうことをやりましても、結局大きい目で見れば、全体的に見ていくこととあまり変わってこないのじゃないか、こういうことになりますので、いまのところは人事院勧告によって国に準じてやっていくということ以外にはないんじゃないか、こういう感じがいたします。しかし現状は、自治体のことでございまして、国は国の一つの責任において高い低いはそれに合わしていくことができますけれども、自治体は独立しておりまするので、私ども監督、指導の任にございますから、やってはおりまするけれども、先ほど来お話がありましたように、中には国家公務員給与ベースより高いのも相当ございます。また、地域によってはそれより低いのもあるわけでございまして、私どもは、高いのはできるだけ国家公務員にひとつ準じてもらいたい。いますぐ引き下げろというわけにはいかぬかもしらぬけれども、漸次それに合わして、また低いものは低いで、漸次ひとつ国家公務員給与ベースに合わしていただけないか、こういうふうな指導を行なっておるわけでございます。
  53. 西田信一

    西田信一君 最後にひとつお聞きしますが……
  54. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ひとつ簡単に。予算委員会から、呼びに来ているし、こっちもやりかけておりますから……。もう相当時間がたったから……。
  55. 西田信一

    西田信一君 最後にお伺いしたいのですが、ことしはこういう何といいますか、便法的な措置をとられている。しかし、実際にこの市町村の、あるいは府県の補助職員等のあれを見ますと、実際には、ここに一つの県の例がありますけれども、地方の県でも三億円をオーバーしている、それだけよけいに超過負担しているというようなことも全国では相当な額にのぼろうと思うのですが、こういう問題を解決しなければならないと思いますが、しかしながら、私はここでお聞きしておきたいことは、こういうような職員の給与その他今日の地方財政というものは、非常に何といいますか、限度にきておると思うのです。そういう点から申しまして、現在のこういう便法措置は、いつまでも続くものではありませんし、少なくとも地方財源措置は根本的に検討を要する段階にきておるんじゃないかというふうに私どもは見るのでありますが、こういう点について、ひとつ今回はこういう臨時措置でやられるのですが、少なくとも一明年度以降の交付税率の引き上げ等についてもお考えがあると思うのでありますが、ひとつこの際、大臣の御見解なりお考えを伺って質問を終わります。
  56. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 衆議院におきましても、今回の特別措置についての附帯決議に、交付税の引き上げ等、その他財源措置について考えたらということもございまして、私どももその御趣旨は尊重していくつもりでございますけれども、給与改定に伴うベースアップだけをもって交付税の引き上げということは、これはちょっとなかなかむずかしいかと思います。しかし、今日地方財政状況というものは、特に交付団体におきましては、非常に逼迫をしております。それがゆえに、私は先般のこの財源措置につきましても、夜を徹していろいろと折衝したようなわけでございます。したがいまして、地方財政全般から見ますというと、財源措置の何らかの方法を考えなければならないと、かように考えているわけでございます。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間が相当……。西田委員がだいぶ執拗に迫られた、のですが、ぼくはいろいろ尋ねることをたくさん持ってきたのですが、自治大臣は昼から予算委員会へ出られますので、余ったところは予算委員会でやろうと思いますけれども、できればここの場所でやったほうがほんとうだと思いますので、率直な御意見をひとつ聞かしていただきたいと思います。前提といたしまして、古武自治大臣は、かつて労働大臣をやられておりまして、労働問題にはきわめて造詣が深いという立場から質問したいと思います。先ほどもちょっと西田委員に対する答弁の中にもその片りんも見えておりまして、私もある意味においてはあなたの言うことに賛成する点がありますが、そういう前提でひとつ質問したいと思います。  先ほど地方財政について若干の気になることを言われましたので、あとで尋ねるつもりでございましたが、まず前提に、地方財政の問題でひとついまの自治大臣の答えられた点についてお伺いしておきたいと思います。と申しますのは、先ほど地方財政給与関係費について、三十九年度地方財政計画三兆一千三百八十一億のうち一兆一千二百二十五億を占めている、それは事実であります。地方財政計画はそのとおり出ております。しかし、池田内閣ができて所得倍増計画、いわゆる高度経済成長政策をとられた後の地方財政歳出構成比の推移を見ますると、そう簡単にはあなたの言い方には賛成できない。私は数字をもって言います。三十五年における地方財政計画は、総支出費用が一兆五千三百八十一億であります。これは自治省の発表されたやつであります。そのうちに給与関係費の占めているウエートは六千四億、それに反対に地方財政の健全性を確保するということで、投資的経費が非常にやかましくいわれておりましたが、そのときの投資的経費が四千七百三十六億であります。その総支出に対する構成比、占めるウエートは給与費が三九%であります。投資的経費が三一%であります。それが三十六年、三十七年、三十八年と、一々説明していると時間がかかりますから、いま申されました三十九年度地方財政計画によるところの歳出構成の金額を見ますと、総額先ほど自治大臣が言われました三兆一千三百八十一億、そのうちに占める給与関係費は一兆一千二百二十五億であり、しかも、投資的経費は一兆一千三百七十一億にはね上がっております。そうすると、三十五年度においては、給与関係費の占めるウエートは三九%でありましたけれども、三十九年度から三六%、三%低くなっております。それと反対に投資的経費は昭和三十五年、一三%でありましたけれども、三六%にはね上がっております。しかも、その総額から見ますと、同じ給与関係費の三六%のウエートでありますけれども、金額は約百億ほど投資的経費が上がっております。この地方財政計画の推移、三十六年、三十七年、三十八年とおのおの上がっているのでありますけれども、それは省略いたします。年々地方財政計画の構成比そのものを分析いたしますと、地方財政は必ずしも私は悪くなっているとは言っておらない。この数字がでたらめなら別です。自治省の出した地方財政計画ですから、この点から見ると、給与関係費がそれほどもう破局にきたように上がっているという印象が先ほど西田委員に対して答弁された中からも、また質問者のほうからも出ておるけれども、私はそうは見ておらない。それは池田さんが高度経済成長を唱えられて以来、いわゆる産業基盤強化に要する費用が地方財政に大きくしわ寄せされているということの一つの証左だと見ておる。詳しいデータを持っておりますけれども、これをやりますと時間がかかりますから言いませんけれども、その投資的経費の中にも、必ずしも産業基盤強化の費用だけではありません。その中には民生関係の費用もありますけれども、それを抜いても、データはありますが、時間がかかりますから申し上げませんけれども、その数字を見ましても、年々上がっております。これは一面国家の経済政策からくるところの亀裂でありますから、これはここで論議はいたしませんけれども、地方財政にしわ寄せされているということは給与費そのものよりも、いわゆる産業基盤強化に要する費用、いわゆる高度経済成長による地方財政に対するしわ寄せのほうが大だと見ておるのですが、この点の見解をひとつ数字を示して御説明願いたい。
  58. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 山本さんから詳細な数字をお示しいただきまして、そのとおりであると思います。私が先ほど申しましたのは、給与費が非常にだんだん大きくなっていくということの意味で言ったわけじゃございませんで、地方財政の中で給与費というものがそれだけの分野を占めておるということを申しげまして、その大部分が学校の先生、警察官で、これはどうにも削減の余地がないということまでつけ加えて言ったわけでございますが、それだけ大きく占めておりますから、この給与ベースアップになりますと、先ほど言いましたように一年で一千億近くの増が出てくるということを言ったわけでございます。地方財政の上におきましては、給与費以外のいまのいろいろな経費がふえてきております。それはもう道路も昔のままでは済まなくなりまして、よくしなければなりませんし、また環境衛生も、今日の状況ではいなかと申しましてもやはり環境衛生の施設というものは要るようになりますので、だんだんと経費は私は必要になっていくと思います。特に、まあ今度の総理は社会開発という点に重きを置こう、こう言っておられますので、私はこれはだんだんふえていくだろうと思う、またふえていくべきだと思う。国力がだんだんと充実するに従って、やっぱり私はいなかといえども社会施設は充実していくべきだ、こう思っておりますので、先ほど西田さんからの御質問に対して、給与だけで交付税率の改定ということにはちょっとなかなか踏み切れないけれども、全体の財政としては地方財政がだんだん苦しいので、考えなきゃならぬ、こういう意味で申し上げました点を御了承願いたいと思います。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体了解いたしますが、そこで、ぼくは地方財政計画そのものについてもいろいろ論議したいのですけれども、またの機会に譲ります、時間の関係がありますから。自治省も財政局長出席されておりますが、その認認識されておると思いますけれども、いわゆる国の財政地方財政との間に非常に納得できない部分があると思うのです。したがって、それが解決しなければ、単にいまの地方財政計画のその中で給与費だけ云々すると、なるほど窮屈なことはわかります、しかし、国がやるべき仕事を地方公共団体が多く持っていっているのですから、それを単に地方財政だけで給与が窮屈になったからどうこうということには私はならぬと思うのです。これは吉武自治大臣も大蔵大臣との折衝の中で相当言われたように聞いておりますけれども、この点をまず理解しなければ、地方公務員給与財源の問題は相当誤解を生むのではないかと思いますので、この点について、吉武自治大臣の見解を聞いておきたい。
  60. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 私も山本さんの御意見に全く同感でございます。大蔵大臣ともずいぶん折衝のときにも申し上げましたが、御承知のように今日地方団体、府県にしましても市町村にしましても、やっている仕事は、厚生省の仕事はほとんど末端は引き受けておる。それから建設省の仕事も一、直轄事業は建設省がおやりになりますけれども、そのほかはみんな府県なり市町村で引き受けてやっている、こういうことでございます。それから農林省の仕事も、まあ農業団体がやられるのもありますけれども、しかし大部分は府県なり市町村がやる。こういうふうに国の仕事の末端はほとんど地方団体がやっておる。こういうことになりまして、国がやっている仕事を増強していけばいくほど末端に負担がかかってくる。こういうことで、これは私はもうほんとうに閣議でもその他でも口をすっぱくして言いますけれども、なかなか認識がいかない。これは私も今後とも続けていきたい、かように存じます。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体それで地方財政についての基本的な考え方についてわかりました。そこで、具体的な問題でちょっと聞いておきたいと思います。これは今度の給与の引き上げについての財源措置の問題でありますが、百五十億を資金運用部資金から貸し付けを受けたという努力を私は一応認めます。ここにはいろいろ法律上問題はありますけれども、これはまた別の機会といたしまして、そういう財政状態であるので、ずばり申しますけれども、今度の公務員給与引き上げについての財源措置については、各自治団体に対しては、何らか地方交付税で、特交だと思いますけれども、それで制約をするというような自治省が通達を出したかどうか知りませんけれども、強く意思表示をされたということを新聞で見たのですが、その点ひとつどうですか。
  62. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) これはこれは山本さんにも御了解をいただきたいし、皆さん方も御協力をいただきたいと思いますが、先ほど西田さんにもお答えいたしましたように、今日地方公務員の適正な給与をどうしてきめるかという方法は、人事院勧告というものを尊重していくよりいい方法はない。したがって、国家公務員はこれだけでめしが食えるが、地方公務員はこれだけでめしを食えといいましても、同じ町、同じ県でもって差別をすることもできないことですから、私は準じていくようになると思うのです。したがって、こうやってだんだん窮屈になって財源措置をしていくのでありまするから、国家公務員でこういうふうな水準でやろうぞということになりますれば、地方公務員もその水準でやっていくということのかまえでないと、地方は自治団体であるからかってだ、したがって金があるときには上げたらいいじゃないか、こういうことになりまするというと、これはなかなか容易なことではない。現実にはそういうところも先ほど西田さんから御指摘になりましたようにございますので、私どもは知事会その他におきましても、こういうときだからできるだけそこは自粛してください、いま高いものをすぐ下げなさいとは言えないけれども、だんだんやっていく、これが一つでございます。それから、そうは申しましても、基準財政需要と収入との差額を交付税収入でまかなっていく場合には、国家公務員給与水準に対して基準財政の収入の足りぬ分だけを交付税で見る、こういうことを言ってきておるわけであります。  最後のお尋ねは、期末手当を国も何%ということをやってきておるわけであります。ところが、従来はそうはいいましても、地方によりますると、もっと出したら、もっと出したらということで、もちろん窮屈なときでありますから、そういうことも起こり得ることも私わからぬこともありませんけれども、そういうことで、それだといってよけい出されるようになりまするというと、これは私そうでなくても困っていってしまって特別会計に金を借り入れて、そうしてこれを配分してまかなっているときでありますから、いろいろ不足、不十分でありましょうけれども、国の公務員がこの期末手当これこれでがまんしてくれるのだから、地方公務員もひとつがまんしていただけないか。しかしどうしても地方公共団体で、おれは自治体で金があるからやるぞといってやられるやつを、私どもがひっつかまえてどうしようというわけにいかないから、それでは特別交付税というのは、特別の事情があってこれを補てんをするんですから、それだけの余裕があれば、それは差し引きますぞと、こういうことでありますので、まあこの点は、私おっしゃるお気持ちもわかりますけれども、ここはひとつ御協力をいただいて、低いところは漸次上げていくと、それから高いところはそういうふうにならぬようにと、こういうふうに、ひとつお願いをするわけでございます。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは了解できない。というのは、前提が、あなたが労働大臣の経験がある。したがって、労働問題については相当の造詣が深いということを前提にしたのは、そこに伏線がある。大体国家公務員に準ずべきである、一体地方自治体と組合の間に地方公務員法第五十五条によって話し合いをしてそしてきめてやるということが前提ですね。したがって、いま国家公務員は準じてと言われますけれども、一体法律の根拠はどこにあるのですか。地方公務員法第二十四条を言われるのですか。その点まずちょっと聞いておきたい。これは局長でけっこうです。
  64. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 地方公務員法の第二十四条の第三項の趣旨をくんで、そう申しておるわけでございます。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それがぼくは自治省の独断的な解釈だと思うのですよ。それよく読んでみなさい。国家公務員のこれはありますけれども、何も国にのみ準ずるという意味じゃないのですよ。「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められる。」非常に幅のあることですよ。そんな、国家公務員に準じてこうやれというようなことはないですよ。というのは、先ほど人事院瀧本給与局長が言われたように、地方公務員にも労働三権は非常に制約されておるのですね。その中においていろいろ自分らの給与なり、それから労働条件について交渉をして、こうしょうということをきめるのですね。これは長い間の慣習において、慣習というより、それが法によってやられておるのですね。そうしてきめたものに対して、懲罰的な意味で特別交付税を出さない。一体、特別交付税はそういう趣旨でつくったのですか。そうすると交付税法そのものについて再検討すべきであると思う。この点どうですか。
  66. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 給与改定に関連は直接いたしておりませんが、いわゆるプラス・ァルファ問題というものの取り扱いの問題でございますので、私からお答え申し上げます。御承知のようにプラス・アルファの問題というのは、いままでいろいろ問題が、本年夏ごろございました、いわゆる夏の手当でございますが、夏の手当、年末の手当も含めまして、いわゆるプラス・アルファと称して超過勤務手当あるいは旅費といったような形で出すことが、いろいろ問題が起こった。だからその問題はやめてもらいたいという通達を出したわけでございます。そこで問題になっておりますのは、一般の給与改定に関しまする問題ではございませんで、いわゆるプラス・アルファという問題についての扱いでございます。私どもといたしましては、行政当局の指導によって、それぞれ地方団体が自主的に国家公務員に準ずる給与改定をやるということ自身について、何も問題ば言ってない。プラス・アルファそのも一のにつきましても、かねてからそういう問題は問題を起こすものですから、やめてほしいということを言っているようですけれども、それをしもなおかつ問題がいろいろあるようでございます。そこで、そういうようなものをお出しになるようなことがあるならば、そのこと自身が適法とか違法とかという問題は別といたしまして、この苦しい地方財政の現状においては、その問題につきましては、減額要因として、特別交付税を配分する場合の計算の基礎になっても、これはやむを得ない。これは非常に財源が豊かでありますれば問題にならぬことかもしれませんけれども、非常に乏しい地方財政の現状におきまして、乏しい財源を公平に分配するためには、そういうことをやっていない団体と、そういうことをやっている団体との間には、差別をつけざるを得ない、このように考えておるということを、前々から申し上げておるのでございます。これは何もいま始まったことではございませんで、ことし初めから私が申し上げておることでございます。たまたまそれを給与改定に関しまする財源措置に関連をして、その趣旨を私どもの財政課長から関係者に連絡をしたということでございます。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの言う根本的な問題というのは納得できないですよ。プラス・アルファ、われわれプラス・アルファと考えておらない、先ほど言ったように、この地方公務員法第五十五条の交渉権によって、第二十四条の三項によって、そういう精神によって、一応この年末手当については幾ら幾らにしようじゃないかということをきめるのです。あと国家公務員から上に出したプラス・アルファ、その下のものはマイナス・アルファになりますね、そういう理論的に通らないものではなくして、われわれこの第三項によって取りきめた額か——自治大臣は前労働大臣をやっておられたですから、それを前提に言ったのですが——きめたものが、それが気に入らないから特別交付税をやらないのだ、こういう懲罰的な交付税法ですか、これを聞いておるのです。
  68. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私ども地方団体に対して申し上げておりますことは、懲罰とかなんとかいうことは全然関係はございません。財政状態を把握いたします場合に、そういうものを財源と見るか見ないかというだけのものであります。私どもは、今日の地方財政の状態は、この不十分な形における財源措置というものを前提として考えます場合には、公平に特別交付税を配分します場合には、財源として考えざるを得ないということでございます。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、あなたの言うことは、えてかってということですよ、自己撞着というのはそういうことです。国家公務員に準ずる、国家公務員より少し出たものはだめだ、それについては交付税はあげないと。あなたがどう言おうとも懲罰的です。そういうことを言われたら、それをやろうと思ってもやれない、それと同時に、あなたのほうが国家公務員国家公務員と言うけれども、国家公務員でも問題になるのは、国家公務員の三等級は地方公務員の一等級になっているのですよ、準ずると言っても、いいほうは一つも準じてない、下級職員というものは全部押えている、準ずるなら全部準ずれば通るのですよ、給与の基本給の低いところに、パーセンテージ、率だけ準ぜよというのです。そういう通らないことを、あなたのほうで権限を持っているから、やらないと言われると、地方自治団体は困るかもしれないけれども、そういう筋の通らないことを自治省がやっていると、地方団体の発展、地方自治の発展というものはありませんよ。私はそういう意味において地方交付税をきめたものではないと思う、平衡交付金当時から私もいろいろこの問題に関係しておりますけれども、地方交付税に変わったときは、そういう考え方でつくったのではないですよ。一般財源として法律に従って出すということになっているのです、条項をきめて。そういう国家公務員の率より上にプラス・アルファ、われわれプラス・アルファと言ってない、プラス・アルファはあなたは率のことを言っておりますが、それが出たら特別交付税を削減するぞという条項を示してください。
  70. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 地方交付税法の第十六条には、特別交付税に関しまする条項がございます。この条項をごらん願いますと、「基準財政需要額又は基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる基準財政需要額の算定過大又は基準財政収入額の算定過少を考慮しても、なお、」云々という文句がございます。したがって、私どもといたしましては、この条項を適用いたしまして特別交付税を計算いたします場合に、たとえば、競輪収入が非常に多いとか、あるいは水利使用料が多いという分につきましては、その分は基準財政収入額の計算に入らないわけであります。その分は減額項目として一定額を計算の基礎に置いて減額しておるわけであります。同じような扱いとして、そういう財源は本来ならば与えられていないはずでございます。それを特定の財源を見つけて、そういうものを払うのだというようなことになりますれば、それはそれで一つの考え方であろうと思います。しかし、財源がそういう特定の財源ではございませんで、与えられた財源の中でそういうものをお出しになるということは、言いかえれば、逆に言えば、基準財政収入の算定が抜けて通ったということの一つの例証とも考えられる。したがって、私どもは、お話のように全部一切がっさい全額を引くとか引かぬとかという問題をその際の問題にしておるわけではございませんが、少なくとも今日の置かれた地方財源状況のもとにおきましては、そういうようなものはやはり財源であると考えざるを得ない、その財源をどのような形で財源として計算をするかという計算のしかたにつきましては、いろいろほかの問題もからんでまいりますので慎重に検討しなければならぬと思います。思いますけれども、今日このときにおきまして、このような財政状況のもとにおきましては、財源があるという判断に立って計算をせざるを得ない、こういう趣旨でございます。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ますますわれわれは納得できないです。あなたのほうがそう言うけれども、たまたま国家公務員より——あなたは率を言っておる、私は金額でいかなくちゃいかぬと思いますが——金額よりも上回ったところについて、そういう懲罰的な方法でやるというのは、下回っおるところについては、どうなんですか。そういう考え方でいけば、よけいやれというのですか。
  72. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 下回っておるところにつきましては、特にそれによって財源があるという判、断が立つわけではございません。したがって、それはそれだけの財源を与えられておるわけでございますから、それによってむしろ措置すべきだというふうに考えておるわけであります。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、ぼくの言うのはそうではないんですよ、あなたのほうが地方自治体に対していわゆる財源調整ということで地方交付税を出すんですね、その場合は全国各地方自治体画一でないということは御存じでしょうね、供与もあるいはその他の支出についても画一でないからこういう制度ができたんですね、画一にやったならば何も省はいりませんよ、おのおのの都市によってあるいは町村によって、いろいろ状況も、あるいは給与費においても、要するに差があるということは前提で認められていると思うのです。国家公務員のような、北海道におろうと東京におろうと、要するに同じような基準でやるというのではないんですよ、地方自治というものは。そういう前提で、要するに地方交付税法をきめたんですね、そういう場合に、ぼくが問題にしているのは、一般の地方交付税をやるかやらないかの問題ではないんですよ、今度やはり年末資金を従来どおり組合と理事者とできめたものについて、どの標準で国家公務員に準ずるかどうか知らないけれども、あなたのほうの所管によって、これ以上だったら特別交付税を出さないというような権限がどこにあるかということなんですよ。そういうものがあれば、もっと私は国会で論議されると思うんですよ。これは地方自治全般の問題ですよ。そういう問題になれば、各地方自治体の首長が、地方公務員の認められた交渉権によってやったやつが、やれない、それをやったならば当然もらうべき地方交付税がこないということになれば、地方自治そのものはどうなるんですか。あなたのほうは国家公務員給与よりも出たらやれないというような——方針じゃなくて、これは根本的な問題になります。それを尋ねているんです。
  74. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 必要な財源につきましては交付税で計算されておるわけであります。特別交付税につきましては——先ほど十六条と申しましたか間違いでございます、十五条です。——十五条の条文に明記されておることに従って計算をされておるわけであります。したがってその計算をいたします基礎、計算をいたします場合に、これも御承知のように、省令によりまして機械計算をやるわけでございます。機械計算をやる際に減額項目に立てるということでございます。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたらが自治省の最高幹部だと思って、地方自治についての基本的なものを知っておると思って言っておるんですが、これでいくと、自己財源さえかりにあったならば、幾らでもやっていいんだ、自己財源がないところ、交付税に依存するところは給与を上げられない、こういう結果になるんですね、あなたの考え方を延長していくと。いまの地方財政そのものがそうなっておらないんですよ。先ほどぼくは冒頭に言ったように、自治省の責任ですよ。自治大臣もさっき率直に申されましたけれども、いま地方財政をそこに追い込んでおいて、そうしていままでのように慣行上組合と理事者のほうで話し合ったやつを出そうとすれば、増額したら特別交付税をやらないんだ、こういう懲罰的な規定をわれわれはこの中からうかがい取れないんですよ。そういうものは今度初めてやられた、そういうことになってくると、これは根本的に地方自治の問題ですよ。そういうものをあなたのほうはなぜやられるかということです。いまあなたがどっかの市長か町村長かになって、その立場に立ってみなさい。自分の自治体を責任持ってやろうという場合に、そんなに給与上げたら特別交付税をやらないんだということを言われたら、やれませんよ。私は、人事行政にはおのおののところによって、それだけの、いわゆる何といいますか、違いもありますし、うまみもあるんですね。そういうものを自治省が特別交付税を出す権限があるかどうか知らないけれども、そういうもので制約を加えて懲罰的にやるというような精神は、地方交付税法にないと見ておるんです。あなたがこういう条文を何とか解釈をして算定の基礎をこうするんだと言われるけれども、われわれ了解できないんです。
  76. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 御了解願いたいと思うのですけれども、私どもはそういうことやったのは懲罰的意味で特別交付税をどうこうするという意味じゃ全然ございません。懲罰的なものでございますれば、普通通交付税のまいります団体あるいは特別交付税がまいります団体だけについて、そういうことを特別やり、そうでない団体については何もしないとかいうんじゃ問題が起こってくるので、私どもは、いささかも懲罰的な問題としてその問題を考えておるわけじゃございません。ただ、この苦しい地方財政のもとにおいて、国家公務員どおりの期末手当しか出していない団体と、それ以上に手当を出しておられる団体というものを、何ら差別せずに財源の配分の計算をすることがいいか悪いかといいますれば、私どもは、今日の段階においては、御承知のような苦しい状態でございますので、その点においては差別をつけざるを得ない。したがって特別交付税の配分計算をいたします場合には、それは一つの財源として計算をせざるを得ないんだ、こういう趣旨でございます。したがって決して懲罰的な意味でどうこうといったようなことは毛頭考えておりません。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点わからないんですが、交通交付税の給与費の算定基準において、それを上回っているやつはあなたのところでいままでは出していないんでしょう。特別交付税というものによって、そういうものを出したことがあるんですか。
  78. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 御承知のように普通交付税の場合においては、歳入歳出とも機械計算でございます。特別交付税の場合におきましても機械計算でございますけれども、普通交付税のような機械計算でございますれば、若干その点は大ざっぱな計算をいたします。したがって特別交付税の場合には普通交付税の超過した財源、いわゆる財源超過額というものとか、あるいは競馬競輪収入が非常に多額である、あるいは水利使用料が非常に多額であるというような団体につきましては、収入の過少算定という考え方に立ちまして減額の項目といたしまして計算上差し引くわけでございます。その項目の中にプラス・アルファの問題も出てこざるを得ないということでございます。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは、財政局長、あなたが行政局長でないからそういう考え方をやられるか知れませんが、これはいずれにいたしましても、間接的なことばを使いましても懲罰的な処置ですよ。この二十四条の三項に戻りますが、あなたのほうは一体これの解釈をどうしているかという問題なんですよ。これは自治大臣が先ほど言われたように、職員の給与については、生計費並びに国及び他の地方公共団体並びに民間の従事者の給与を考慮してやれ、こういうことですね。こういう条項によってきめたものが、自治省のほうでは、国家公務員の率で、今度は二・四ですか、二・四の率を上回ったものがこれがプラスアルファだという解釈でおるが、われわれはそうではない。この条項からくれば、しかも地方公務員法の立法された精神からいって、職員団体と理事者の間の交渉権を認めておるという基本的な考え方でいくと、それがきめられたものから理事者として支出するいわゆる義務がある、こういう見方をしておるのであります。この点、自治大臣どう考えられますか。
  80. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 自治体でございますから、そういう交渉が行なわれるでありましょうし、それ自体は私どうこう言いませんけれども先ほど申しましたように、この特別交付税というものは、特別に個々の問題について考慮しなければなりませんので、その際の、自分のところは財源があるからよけい出すぞ、それから片一方では出せないぞ、それを全く同じにして特別交付税を見るということでは、私は自治省としても指導としてこれはかえってよくないのじゃないか、かように思います。でありますから、私ども、自治体というものはよく存じております。したがって、自治体において話し合いされることもこれはまた自治権として認めなければなりませんけれども、そういうことをほうっておきますというと、それは幾らでも高くなるところは幾らでも高くするぞ、低いところは低くしか出せないから出さんぞ、こういうことになりますから、自治省としては、やはり全体を見て、国家公務員に準じてひとつ取り扱っていきたい。したがって、高くなり過ぎているところはひとつ御遠慮を願いたい。また、低いところはひとつ何とかして工面をしてやれないか。これは私は自治省としては当然そういう指導をやるべきである。そういうことで先ほど来言っていることでございますので、この点はいろいろ個々個々の問題には事情は私はあり得ると思いますけれども、指導としてはそういう指導をしてまいりませんと、自治体だからといって、話し合いでかってに上げるところは上げる、行なえないところは行なえない。これはどうもしょうがない。権限がないからほうっておくというわけにまいりませんので、先ほど来申し上げましたように、山木さんもひとつ御了察をいただいて、御協力をいただいて、できるだけこの給与改定については人事院勧告を尊重していくというふうにひとつ御協力をお願いをしたいのでございます。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま言われたのはまた前と食い違ってきますが、行政局長の、最初は年末手当の問題で、給与改定の問題じゃないのですよ。いま給与改定と言われたが……。
  82. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 私はその意味において、給与改定については、もう山本さん御承知のように、国家公務員給与水準と合わせて、足りない分を交付税で見ておるのでございます。したがって、それ以上上げられないのをどうしよう。引き下げろという命令は出せないので、私は指導として知事会議その他においては極力話しておるわけでありますが、この期末手当については、少なくとも歩調を整えていただきたい。そうしませんと、いまの状況をほうっておきますと、もう県や市町村でばらばらになって、それは高いほうがいいにきまっていますから、どうしても高いほうになればどんどん上がっていく。そうしてそのあとはどうかというと、しりはみな私のほうで見ていかなきゃならぬのですから、その点はひとつあまりやかましくおっしゃらないで……。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 自治大臣、にこにこして言われますけれども、そうわれわれはにこにこするわけにはいかない。あなたの言われることは何かすらっと通るようで筋が通らないのですよ。いまの地方財政の実体の認識があれば、そういうことは言われないと思うのです。たとえば不交付団体であれば、あなたの書をかりれば、幾らでも上げられるということです。しかし自治省としては、地方交付税ができたということは、そういう貧弱な団体があるので、何とか行政水準をそこまで上げようということで制度ができたのですね。したがって、もともとを言えば私は自治省の政府内における地方財政に対する努力が足らないからこういう問題が起こってきているのですね。これは先ほど自治大臣が言われたとおりなんですね。そういう場合に地方交付税をもらっているところには、懲罰的なことをやるということは、これは制度の運用上よろしくない、指導されるということは一応わかりますよ。指導するのはいままでやっているのだから、自治省として指導官庁であるから、こうあるべきだという指導をすることについては、われわれは否定しないですよ。それにはわれわれは異議あるけれども、あなたの権限でやるのだからいいけれども。それがために特にできた地方交付税制度を、これを乱用して懲罰的に利用することは、今後ともいい結果をもたらさない。特にそれを給与の問題に制限してそういう通知を出したということについては、私は自治省の大きなミスだと思う。汚点だと思う。もっと高い立場から、地方財政の再建のためにこうあるべきだというような通知を出すならいいけれども、年末手当において従来やっておったことも、それも阻止するという意図によって特別交付税のストップ令をかけるということは、自治省としては行き過ぎであり、今後に大きい汚点を残したということを私は追及しているのです。それを柴田財政局長は条文をひねくり回して、できるのだと、こういうことを言われるが、大きな地方自治ということを考えたら私はマイナスであるということを言っているのです。この点のぼくは反省を求めているのですが、どうです。この点についてあなたの言うことはよくわかっているのだ。
  84. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 何度も申し上げますように、実際の実情としてはなかなかむずかしい点もあろうかと思いますけれども、このままやりますというと、話し合い話し合いということで上がる、上がったところと上がらぬところも同じに特別交付税を見る、こういうことでは、私はやっぱりおさまらないのじゃないかと思いますね。ですからその点を考慮するということでありますから、私は理論的にはそれは山本さんのおっしゃるようなところでございましょうけれども、実際はそういうことで指導しませんと、私は、そうでないというと、今度国家公務員のベースということを基準にしてやるぞということを言っているうちに、それでは地方公務員と今度国家公務員との差はどうするかというような問題も出てくるし、一ぺんにはいきませんけれども、だんだんとひとつ指導して公務員地方であろうと国家であろうと、やっぱり民間給与水準というものに、人事院勧告に従ってそうしてだんだん上げていくといいますか、是正していく、こういうことより私は道はないのじゃないかと思いますので、先ほど来申し上げまするように、これはひとつ皆さん方の御協力をいただきませんと、私が一人でそういうふうに言いましても、なかなかこれはできないわけであります。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたは労働大臣をやっておられたのだが、いま自治大臣だから何かその問題にしがみついておられるようでありますけれども、国家公務員に準じてやるということになれば、地方自治団体において公務員の交渉権とかそういうものは要らなくなるのですよ。自治省のほうで交渉して、こうしようじゃないかといったところを全国の自治体に当てはめたらそれでいいということになってしまうのですよ。あなたのほうがいま言われていることは、財政が窮屈であるから、今回はプラス・アルファーわれわれはプラス・アルファと考えていないが——国家公務員よりはなはだ上へ出るやつは遠慮してもらいたいという意味において特交については考えるぞ、こういうことを言っておられるが、自治大臣の言われることになると根本的にまた問題が別になってくるのです。現在地方財政が悪いから、とにかく今度の場合についてはこうしてもらいたいという意向が、財政課長かどうかしらぬが、そういう通牒を出されたというのですが、そういう指示であると思っておる。その点はどうなんですか。えらく混淆してきた。
  86. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 大臣のお話は、全体としての地方公務員給与問題についての指導のしかたと申しますか、そういうことについての御見解でございます。今回のこの問題に関しましては私どもが特別交付税の計算をいたします場合に減額項目の一部に入れざるを得ない。どういう形で入れるかという問題についてはまだ検討の余地は残されておりますけれども、入れざるを得ないということは、ただいま御指摘のとおりでございます。
  87. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま問題になっておるいわゆるプラス・アルファとおっしゃる場合の扱い——扱いというと、いまの特交の問題ですがね。これは、正直のところ、大臣、あなた御承知の上で、あなたの意思でこういう内簡ですか通達ですか、そういうものを出されておるのですか、これは。
  88. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 率直にいいまして私、も知らないで、事務当局で考えて出したのでありますが、私も全くその気持ちは一致しておりますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  89. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間がありませんから、私、山本さんのいまいろいろお尋ねになったことなり御意見なりありましたから、簡単に申し上げますが、その特交云々という問題は、やっぱり私は筋が通らないと思うのです、これはね。特交は、これはたしか十五条にあるのを柴田局長は引用されて、やれるのだとこう言っていますが、そういうことは、これは何といいますかね、拡張、拡大解釈ですか。特交というものはそういうものじゃない。そう思うのです。それから、かりにいわゆるプラス・アルファといわれるものが今度の年末あたりで出るとしましても、それはあり余っておるからと、こういうことでもないだろうと思うのです。しかしまた、国から出るであろう交付税というものも、これはもう一つの基準によって出てきますから、しかし全体の地方の団体の財政状況の中から何とかひねり出されるというそういう限度において、地方公務員に対するまあいわばいろいろな意味があると思いますが、支給されるものだと思うので、これを、いやそういう財源があるならこちらのほうで見落としておったから財政収入のほうに数えてこよう、今度特交の場合に減額してやるぞと、こういうものじゃないのですね、これは。そうなったら、いまのあらゆる財源、税なりそのほかのいろいろなものを洗って、その上で問題の処理をしなければいけないので、また、ちょっとはっきりつかみがたい自由財源というのもあるのですね、税のほうでも。ですから、それを、こういう金があるのだ、それは財政収入に見るのだ、こういうようなやり方というのはとられないもので、それをやるとすれば、私がさっき申し上げましたように、行き過ぎだと思うので、むしろ大臣ね、交付税でも十分見切れない、今回のこれは、毎年のことですから、見切れないでいるのですよ。毎年出ていますからね。ことしまた追加の形で補正の形で出ていきますけれども、これで、じゃ自治体足りるかというと、足りないのです。しかし、さっきも言ったように、何とかの方法で色をつけてやると、こういうことでやったものを、特交のほうからその分だけはねてやるんだと、こういうやり方というものは、やはり私はどう考えてもとるべきじゃないと思うのです。むしろ、うまくやったと褒めてやっていいぐらいですよ、地方財政がそのくらいじょうずに運営できるなら。まあそれは冗談ですが……。ですから、これはやはり何といってもこういうものを出してしまって、いま直ちにそれを取り消しますとはおっしゃれないかもしれません。しかし、これは十分その点を考えてやってもらわないと、とんでもないことになると思いますね。私はむずかしい地方自治の本義とかなんとかということを申し上げませんが、これはやはりひとつの懲罰であり、みせしめということでしょう。それは指導する立場に立って、でこぼこがあっても困るし、ほかのほうに比べて高過ぎても困るという立場はわかります。そういう意味における指導というものは、これはあってもやむを得ないと思います。しかし、だからといって、その指導をする一つのきめ手としてこういうことをやるということは、私はやはり行き過ぎだと思います。ですからその点、私、御意見をひとつ大臣から、結論だけでよろしゅうございますから、お聞きして終わりたいと思います。
  90. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) これは鈴木さんの御意見でもございますし、また山本さんも自治体のそうした話し合いの問題ということも、私はまあ労働関係をやったからということではございませんが、よくわかります。わかりますけれども、先ほど申しましたように、非常に財政の苦しいときでもあるし、何とかして私どもは、低いところはそれなりにまた国のほうへ近づけていこうという努力も実はやっておるわけでありますから、したがって普通以上に出せるところと出せないところが全然同じようにということは、これはなかなか指導といたしましては、やりにくいのですね。また、現実に困っておる困っておると言ったって隣の県ではこれだけ出しているじゃないかと、それなのにおれらのところと同じかというようなことにもなりますから、この辺はひとつ……。皆さん方のお考えも私は理論としては決して間違っているとは言いませんよ。それはもう自治体もいろいろあれば、また自治体の話し合いということもこれはあることで、私の言うことは聞かないとおっしゃればそれきりでありますけれども、そういうことで指導していくよりほかにございませんことの事情もひとつ御了察をいただきまして、まあ御協力を賜わらんことを切にお願いを申し上げます。
  91. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと大事なことですか、大臣、あなたのお考えもわかりますしね、さっき私も申し上げましたように、指導ということの立場に立てば、何かやはり一つのきめ手みたいなものを持たなくちゃいけないということもわかりますがね。もしそういう特交の運用をなさったら、特交を、これは全然考え直さなければいけませんよ。特交は特別な財政需要なり、いろいろこうある。あるいはまた配分の、何といいますか、大きく見積もり過ぎたとか、あるいは少なく見積もっておったとか、いろいろなことがあるんですね。そういうことで積み上げられての特交ですからね、それをどこかに金があったというのでやったと、それじゃその分、だけ引けなんということは、これは何と考えたって特交の配分のそれからすればおかしな話ですよね。ですから、私はあなたのおっしゃるように、高いところも低いところも同じように金をやるのはおかしいんじゃないかと、金をやる基準は、それぞれによって計算されていくそれなんですから、いまの給与に関する、たとえばプラス・アルファということばがいいとか悪いとかありましたが、かりにプラス・アルファが何千万円出るのかわかりませんが、いわゆるこれはその本来いくべき特交から差っ引くんだと、これは何と考えたっておかしいんですね。ですからひとつ、これ以上私は申し上げません。しかるべく善処方を要望しておきます。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 最後に一つ。自治大臣は知らないで出されたというのですが、その内容はどういう——ぼくは見てないんですが、出たということも聞いたのだが、新聞で見ているのだが、どういう内容で出したんですか、そんなどぎついやつですか。
  93. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 御承知のように特別交付税の配分形式をきめますのは省令できめるわけでございます。これはいわゆる俗に内簡というものでございますが、内簡というのは事務の連絡でございます。事務の連絡をいたします場合に、そういう考え方をとって財源の配分をせざるを得ないということは、私ば実は夏から言っております。その趣旨を簡単に書いて話したというだけのものでございます。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、ぼくはどういう権限で出されたか知らないが、正式にぼくは内簡を資料として要求いたしますが、ひとつお願いしたいと思います。
  95. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   速記中止
  96. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。  午前の部はこれで休憩いたします。午後は二時から再開いたします。    午前零時四十二分休憩      —————・—————    午後二時二十九分開会
  97. 高野一夫

    委員長高野一夫君) これより委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を続行いたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  98. 鈴木壽

    鈴木壽君 今回の地方公務員給与改定に必要な経費のことをまず最初にお聞きしますが、最終的に自治省としては、所要経費をどういうふうに、というよりもどのくらい必要であるというふうに見ておられるのか、というのは、最近不交付団体分として百五十億、交付団体分として四百五十億、計六百億円だと、こういうふうなことを言われておるようでありますが、また知事会あたりから出ておる資料からしますと、若干これと違うような数字も出ておるのでありまして、私どもとしては自治省のほうで最終的に検討した結果の数字をはっきりお伺いしておきたい、こう思いましてお尋ねをするのでありますが、その点ひとつ
  99. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 純粋の給与改定に要します経費といたしましては、総額で五百六十八億円、交付団体四百二十四億円、不交付団体百四十四億円というのが私どもで在来の方式によって措置を要すると考えられる額でございます。御承知のように国家公務員水準で瞬き直して計算をして出した数字でございます。ところがこのほかに寒冷地、手当の引き上げがすでに法律によってきまっております。その部分が財政計画上米措置になっておりますのが千億ございます。それから共済の負担率が改定になっております。これの未措置額が六億ございます。それからこれは給与改定の一環でございますが、管理職手当等の改定、これは十六億、それを全部合わせまして総額六百億で交付団体四百五十億、不交付団体百五十億という計算になります。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 交付団体分として四百五十億必要だと、そういうところへ交付税の追加が百五十九億、それから特別な掛買が百五十億、合わせると三百九億になりますが、その他は、たとえば公共事業の削減によるといいますか、あるいは縮小による地方団体の負担分あるいは旅費等の節約分とこういうふうなことがいわれておりますが、そこら辺の数字をもう少しおっしゃってください。
  101. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 四百五十億円の交付団体所要額のうちの措置額でございますが、いまおっしゃいました二つのもののほかに、既定経費節約額として八十億、そのうちで公共事業等国画補助負担金の節約に伴う地方負担減、これが五十億、それから一般行政経費の節約が三十億、これは旅費、物件費の三%の相当額でございます。それから税の自然増収を六十一億と、それで合計いたしまして四百五十億ということになります。  なお不交付団体につきましては、経費節約は百一億、税の増収四十九億、したがって税の増収と節約の百一億、両方でもってまかなっていただく、こういうことになっております。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっといまの御説明の不交付団体の経費節約の百一億円と、それから税の増収ですか、それの数字は幾らでございますか。
  103. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 経費節約が百一億、内訳を言いますと、国庫補助負掛金の節減に伴うものが二十六億、一般行政経費、つまり非補助の旅費、物件費等の節約が十五億、その他六十億。税の増収は四十九億です。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまのお話の中にありました税収の伸びですね。六十一億というふうにありますが、最初に自治省が言っておられた数字からすればかなり上回った数字になっておりますが、ここら辺の事情をひとつ。
  105. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 最初私どもは実は六十億ぐらいと、こう踏んでおったわけです。その後だんだん決算事情が明確になってまいりますにつれまして法人関係の税金が減るということがわかってまいりました。それで一時はその法人関係の減を差し引いて、二十九億だろうと思いますが、という数字を立てたこともございます。しかし、その後さらに税収入について再検討いたしまして、この程度の税収入であれば年度途中で財源切りかえはきくという判断をしたわけでございます。税の実際の自然増収というものは財政計画額に対しますればもっとあろうかと思います。しかし年度途中の改定でございますので、すでに地方では予算化しておりまして、使っております。それで、どのくらいのものをまあ見られるかということになりますと、おのずから限られてくる。総額はそう大きなものじゃない、じゃないかと思います。特に本年のようになってまいりますと、経済事情が苦くしなってきますと、そう大きな額を期待するわけにいかない。私どもの感じでいろいろやってみて、六十億程度のものならば地方団体にも財源振りかえを要請しても無理じゃない。かように判、断いたしたわけでございます。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはここ数年給与関係の経費のために交付税の、何と申しますか、補正をやっている際に同じような税の増収というものを、年度半ばであるけれども、それを一部充ててその差額を交付するというような形をとっておるわけでありますが、そのことについて私はいまどうのこうのと申し上げるつもりはありませんが、さっきお話のありました六十一億という数字ですね。たいした額じゃないだろうと私も思うのだけれども、ただその中にどういう税目でどのくらいのものになるか。もしそこの数字がわかるようでしたら、ちょっとあらましでいいですけれども……。
  107. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 増収のその六十一億の内訳でございますが、道府県税が二十四億、それから市町村税が三十七億ございます。二十四億の内訳といたしましては遊飲税、料理飲食等消費税、自動車税、道府県民税の個人、これがおもなものでございます。また法人につきましては法人税割りも法人事業税も減収が立ちます。それから市町村税につきましては市町村民税の個人、それから固定資産税でございまして、ここでも市町村民税の法人分につきましては減が立ちます。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 法人税関係の減はどのくらいと見ますか。都道府県関係、それから市町村分けて、どのくらいと……。
  109. 柴田護

    政府委員(柴田護君) ただいま申し上げました後段分の数字でございますれば府県分が二十億、市町村分が、五億でございます。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は、私いまお尋ねしたのは、法人関係の税をどういうふうに見ておられるのか、それをお聞きしたかったのでありますが、これは九月の決算のそれを一つの大きな基礎といいますか、資料といいますか、それにしただろうと思いますが、その時点においてとらまえたそれなんでございますか。それともこれからの、いわゆる下半期全体を通じての見通しを立てて、そうした上でこういう数字が出てくるのか、そこら辺どうです。
  111. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 九月決算をつかまえまして下期全体を推計したわけでございます。
  112. 鈴木壽

    鈴木壽君 私十分な資料も持っておりませんし、したがって的確なことは申し上げられませんが、この法人税関係では何か心配なことがあるんですね。当初の地方財政計画に載っておるこれらの関係からいって、相当に大きく伸びることを期待をしてあの数字が載っておったと思いますが、私どもその当時から、はたしてそれでいいのかどうかということを申し上げたことがございますけれども、特にこれからの下半期においては相当な減収を来たすのではないか、こう思っておるわけなんであります。それを裏づけるような一つのものは、今度の補正の中にも法人税というものが百二十億も減額補正されている、こういうこともございますし、いまこの給与改定所要経費の中に税収の伸びを幾分かでも見る、一部それを引き当てにするというようなことをやっている際には、よほどこれは慎重にかまえ、慎重な検討の上に行なわれなければならないことではないか、こういうふうに思って、こまいことですが、数字的なことをちょっとお聞きしたわけなんであります。そうしますと——その問題はそれで私一応やめますが、交付税で追加される分百五十九億、行政経費の節約で八十億、税収の伸びで六十一億、これで三百億円になりますが、そのあとの足りない四百五十億のうち三百億円を差し引いた百五十億というものを、いわば今回の給与改定においては地方団体においてぜひとも必要だ、いわゆる不足額だ、こういうことで特別な措置をした、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
  113. 柴田護

    政府委員(柴田護君) さようでございます。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君 今回の、かりに交付団体分についてだけ申し上げますが、給与経費四百五十億円、そして内訳は先ほど来お尋ねしたようなことになっておるわけなんでありますが、毎年こういうふうな計算をし、また交付税というものを、そういうものを土台にして差し引いたようなかっこうで交付しておりますが、ほとんどの団体でそれによって給与改定に必要な経費をまかなえるかというと、そうでないのがほとんどの団体の例であったようであります。率直なところ、ことしの交付税、あるいはこういうふうな、一方には経費の節約、一方には税収の伸び、こういうものを見ましたトータルの四百、五十億というもので、どの程度ほんとうの所要額を満たしておるのかという、そういうことの見当をつけておられませんか。
  115. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 在米補正予算に伴って補正計画を立てまして、交付税の計算をいたします場合の給与費というものは、国家公務員の水準による計算額をほとんどまるまる入れて計算するということにいたしておるわけでありますが、決算等から見てまいりますると、給与費と交付税による給与関係経費の補償額との差と申しますか、これは大体県の場合はよく入っておる。九割近くも入っておるの、じゃないか。市町村の場合においては、それよりか若干パーセンテージは下回るだろうというように思います。この辺のところは財政計画自身の問題にも実はあるわけで、まあ問題を洗っていきますといろいろあるわけでございますけれども、たとえば水準の問題でございますとかあるいは人数の問題でございますとか、両方問題があるわけでございます。したがって、措置といたしましては、従来の、全部を交付税で補償していくという方式でいきますならば、ほぼ大体年度中途給与改定にはあまり支障がないだろうと思うのでございます。今回の場合は、大体所要額の七割ぐらいが交付税で補償される。あとの三割ぐらいはやりくり算段をしてもらわなければいかぬということになるわけでございますので、従来に比べますれば財源的には非常に著しいだろうというふうに考えます。
  116. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま、今回のそれが七割ぐらいだというお話でありますが、それはたとえば経費の節約等、税収の伸び等を含めて、なおかそうだというのですか。あるいは出る金だけが七割ぐらいで、いまのやりくり算段ということは、事業の縮小に伴う地元負担の金なりあるいは一般行政費の節約から出てくる金で何とかやれる、こういう意味の七割程度だ、こういうお話でございますか。
  117. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 四百五十億に対して三百九億という数字はほぼ七割になる。そのあとのものは、本来の姿でも、つまり財政措置額として節約なり税収入の財源振りかえなりというようなものをある程度強制するわけでございます。強制というか、お願いしなければ給与改定ができないかっこうになっております。それに若干交付税の補償額との差があるでしょうから、その問題を、やりくりならやりくりをしてプラス・アルファするわけでございます。したがって昔は、もう七、八年前になりますと、この額が大体五割なり六割なりということもございました。しかし、ここ数年はそういうことはなくなって、大体完全補償をしておるということでございますので、財政運営の立場に立って考えますと、ことしの措置というものは、在来になくきびしいものだ、したがって財政運営的には非常にきびしい、こういうことになるだろうと思います。
  118. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまお話しのように、いままでここ二、三年のを振り返ってみますと、補正予算における交付税の伸びというのは、まあ相当あって、給与改定の所要経費をはじき出しても、なおかつ若干余る形を示しておったわけですね。したがって、公共事業費の削減やら、あるいは旅費等の節約によって、何十億か浮かすというようなことはしないできたのですね。ところが、いまのお話のように、今年はどうもそういうことも入っている、なかなかこれはたいへんだと思うのですほんとう言えば。一律に三%と、こういうのだけれども、余裕のある予算の組み方、こういうものというのはほとんどないので、やはりみんなそれぞれ地方財政が苦しくなっておる関係上、こういう経費なんかも相当詰めた形で予算化されている。そういうのから、パーセンテージは少ないけれども、三%だ、こういうようなことになりますと、なかなかこれは苦しいと思います。  それから公共事業の削減といいますか、あるいは縮小といいますか、それに伴う負担の問題も、確かにこれは別に腹を痛めないで出てくるやつですからいいようなものの、さて一体地方で一生懸命になっているいろいろな仕事が減るということは、これまたいろいろ各方面に大きな問題を投げかけることなので、いま苦しいやりくり算段をしなければならぬと思うのであります。いまの四百五十億と三百九億を比べてみますと、七割にも達しないのでありますが、地方団体でどうです、これで今回、さっきからいろいろ議論のありました国に準じて給与改定をするということに対して、あなた方の期待どおりにやっていけるのだと、こういうふうにごらんになっておりますか。
  119. 柴田護

    政府委員(柴田護君) まあ、私どもこの数字を組みますときに、実は非常に心配いたしましたのは、既定経費の節減ということがはたして可能かどうかということを、時期が非常におそうございましたので心配いたしました。そこで、従来よくやる手は、補助負担金の切り離し、あとは適当にやれ、こういうことがよく行なわれた。その結果、国庫財政は節約になりますけれども、受ける地方のほうは施越し事業になってみたり、あるいは赤字という形になってみたり、いろいろな形になってまいる事例が多うございますので、それを実は非常におそれまして、関係各省、大蔵省もちろんでございますが、関係各省にもその点はくれぐれも注意をしてもらうように要請をいたしました。今年の場合は、各省も非常によく御協力をしていただきまして、節約額の具体額をきめる場合には、一々県と折衝をいたしておられるわけでございます。現に私どもが耳にいたしておりますところでは、某県に節約額を言い出したところが、仕事が進んでおってできない。しかたがないからそれを直轄分に振りかえたというような、非常な操作をしております。したがって、私どもは公共事業につきましては、ほぼ補助負担金の節約額というものについては、まずこれに伴う地方負担のついている分の振りかえは可能だと考えます。ただ、市町村の事業が、末端になってまいりますと若干、必配が残っている。これは県とか五大市とか大きなところとは交渉はやっているようでございます。小さなところになりますと、やはり各省にまかして、各省で県にゆだねて、県が具体的に交渉をしておるというようなこともありまして、地元になればなるほど、一線になればなるほど、そこにほかの事情もからんでまいりますので、かなりむずかしい問題もありゃせぬか、現に他の県に、そういう事態に陥って困ってしまったということを言ってきているところも、ごく少数でございますが、ございます。したがって、御心配になるような事態も全然皆無とは申し上げませんけれども、従来に比べれば、ことしは非常にそこは慎重に扱われておる、かように考えます。  それから一般行政経費の節約につきましては、これぐらいのものは全国三千地方団体でございますので、かりに三十億を三千で、ごく大ざっぱにやれば一団体百万円ぐらい。大きい団体、小さい団体ございますが、このくらいのものは第三・四半期からでも全部節約はできるのではないか、またそれはやるべきだろうというように思うのであります。ただ、税の自然増収がどうかということになりますと、これは団体によりましていろいろ事情も違いますので、その辺のところは実際に交付税を計算する場合におきましては、慎重に取り扱う必要があろうかと思いますけれども、まあまあことしの給与改定につきましては、従来に比べますればやりくり算段をしていただくという点がプラスになっておりますので、苦しくないとは申し上げません、従来と比べますれば苦しいと思いますけれども、まあまあ何とかやっていけるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  120. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣お見えになったようでございますから、大臣に若干お尋ねをいたします。  今回の給与改定に必要な経費の問題で、大臣非常な御努力をなさって、それこそ徹夜をし、最後までねばって百五十億円というものを持ってきたということに対しては、非常に御苦労を多とし、敬意を表しますが、ただ、この百五十億で何とか給与改定ができるようになったのはけっこうでありますが、これの扱いですね、何とかうまくもっと考えられないものでしょうか。たとえば交付税のほうに繰り入れて使うと、それを今度は借りた金だということで返していかなければならない。こういうことなんでありますが、その点どうも少し……。せっかく大臣が努力されてこうして獲得した金でありますが、それに何かけちをつけるようでありますけれども、筋としてはちょっとどうもこれは納得しかねるものがあるものですから、その間の事情をひとつ。
  121. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 実は、これはなかなか苦労いたしまして、こういうふうに落ちつきましたのですが、総額としては六百億で、不交付団体の百五十億を除いた四百五十億をどうしてくめんするかという問題がございます。それで、結局足りないのが百五十億で、それでどうするか、国の一般会計の中から百五十億くれればそれはこれでつじつまが合います。けれども、御承知のように非常に財源のないときでございますし、また、それをまるまるくれるということもなかなか大蔵大臣としてはうんと言うこともないわけであります。したがって借り入れるということになります。そこで、方法としては、借りるとするならば、その借りるのを、各府県もしくは市町村が起伏で借りるかという問題になります。そうすると、これは実際たいへんだ、三千近くかの町村もあることでございまするし、一々これを起債を申請をさして、そしてそれに政府出資金のほうから貸すというようなこともたいへんですから、結局まあ交付税の特別会計で、政府責任政府資金を借りて、そうして交付税の増の百五十九億と一緒になって交付する。そうすれば数字的には交付税の自然増が三百九億あったと思えばそれでつじつまは合うわけであります。そこでこの百五十億借りたやつをそれじゃどうして返すかという問題になるのであります。そこで私どもとしては全額を五年で返すということにしたのですけれども、返す場合に全部元利補給をして政府が見てくれるということになれば、これは町村は負担にならない。しかも、国は一ぺんに埋めるわけじゃないのだから、五年で埋めれば百五十億は三十億ずつでありますから、それでいいじゃないか、こういうことにもなるのですが、元来を申しますと、地方公務員給与ですから、地方公務員給与地方財政の中でまかなうというのがこれはたてまえとしてはそうなんですね。公務員のほうは、国家公務員は国家がやるが、地方公務員地方がやる。中途からこの問題が起こったので困ったからどうせよということで、これが四月一日から初めの予算に組んであるのでしたら、これは当然もう地方財政の中から必要な需要として見るべきものなんですから、そこで、私のほうとしては、正直にここで打ち明け話を申し上げて、はなはだ済みませんけれども、速記録に残ってはなはだ遺憾ではございますが、地方は非常に困っているときだから、全部元利補給をせいということで要求いたしましたが、最後は、まあ府県は何とかかんとか言ってもいろいろの財源もあることだから、市町村分だけ、すなわち約三分の一になるわけであります。ですから、百五十億の五十億だけでもひとつ政府はこれを元利補給をしてくれぬかということで、夜明けまでかかったわけです。ところが、先ほど申しましたように、たてまえからいえば、地方公務員給与をベースアップしたからそのベースアップ分を国が持てということは、これはちょっとたてまえとしては言いにくい話で、大蔵大臣が言うのも無理はないのですが、私が最後に言ったのは、それはたてまえはそのとおりだ、来年度予算組むときに、来年度予算の一千億余りの公務員給与のベースアップをそれじゃ国が持ってくれるかということは言えないわけですから、これは当初から地方財政の中で見なきゃならぬことだから、たてまえはそうかもしれないけれども、今日の市町村の財政は非常に困っているのだから、その困っている分を見るという趣旨で、これを何とかならぬかということで、まあ夜が明けたわけであります。しかし、これはどうしても、たてまえからいっても、また、実際の財源の国にないという点からいってもどうも困るというので、じゃ、利子だけを見てくれということで、利子だけ見てもらうことにして、年に三十億ずつ返す。先食いになりますが、返すというようなことになったわけであります。以上経過をありのままに申し上げて恐縮でございますが……。
  122. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっき申し上げましたように、この足りない百五十億円というものを特別な措置で持ってきたということ、それによって地方の団体でともかく給与改定ができるのだということ、そういう意味での大臣の努力に対してはこれを多とするものであります。ただ私、この場合に今度の給与改定を行なう金は、かりに百五十億足りないのだという観点だけでこの問題の一つのあと始末をつけるという、こういうことしか言えなかったのじゃないかということが実は若干不満があるのです。確かに人事院からの勧告があり、それに伴っての、それを尊重した立場において、国家公務員はもとより、地方公務員給与改定をするのだ、そうしてたまたま百五十億でも二百億でも、ぎりぎり足りないのだ、こういうことは、それは事実としてありますが、問題は、私はいまの地方財政、あるいは地方が実際に仕事をやっていく上に必要な、いわゆる財政需要というものにたえるだけの地方財政の力、あるいは財源があるかどうかという、こういう問題が基本的な問題としてここにあると思う。たまたまそれにたえられないようないまの地方財政状況であり、それが年度半ばの給与改定という、こういう問題にひとつ頭を出してきた、こういう観点でとらえるのが正しいとらえ方ではないか。したがって、そういうたてまえに立って、単にいま足らない百五十億をどうするというのではなしに、地方財政全般の問題としてこれをどうすべきかという解決方法をもっと強く私主張されるべきではなかったか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  123. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 全く鈴木さんのおっしゃるとおりでございまして、先ほどもちょっと触れたのでございますが、私もその観点でこの点は夜明けまでがんばったわけでございまして、最後まで大蔵大臣は、地方給与を、国がベースアップしたからといって、それを一々背負うというのでは、それじゃ地方財政というもののなにはくずれるのじゃないかということで、強硬にがんばられましたので、私は、それはそのとおりだ。地方公務員給与地方財政でまかない、国家公務員給与は国でまかなうというのは、たてまえからいえばそれはそのとおりだ。しかし、それをあえてこうやってお願いするゆえんは、今日の地方財政というものが全体的に見て非常に困っているのだ。困っているときに、中途でこういう問題を投げかければ当然赤字になる。それを一々のまた町村なり府県でもって赤字起債でまかなっていくといっても返せない。そこで、この財源措置を講ずると同時に、町村の財政を救うという意味で何とかならぬか。私がそのときに言ったことばをつかって言いますと、とにかく、個人の格差について社会保障ということで所得差を補うのと同じように、地方の格差、困っている財政をひとつ社会保障的な観点で国が見ていくという観点で何とかならぬか。こういうことで、府県は困っている、いなかの府県も困っているけれども、それは世帯が大きいから何とかくめんをするとしても、地方の市町村の財政はもっと帯しいので、ひとつそういう救済という意味で何とかならぬか。救済ということばは穏当ではございませんでしたけれども、まあ、最後にそういうことばをつかってがんばったわけでございますけれども、先ほど申しましたように、もう夜は明けるし、もう国会へ閣議決定をして提案をしなければならぬというようなところで、問題はあとに残したかっこうになりましたけれども、こういうことで一応きめた、こういうことでございます。
  124. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣ね、ことばじりをつかまえるようにお聞きになるかもしれませんが、私はそんなけちな気持ちでないつもりですから、そこを最初に御了解を願っておきますが、政府部内で、大蔵省なり、あるいはあなたがいまおつかいになった、困っているところを救済しなければならぬというようなことではないと思うのですね。現在の国と地方財政はどうなければならぬかという、特にいま問題になっている地方財政の問題を申し上げますと、いろいろ根本的に検対しなければいけないときなんですね。それがおくれておって、しわ寄せがだんだん来て、当然地方団体がもっと金を持って自分たちで仕事ができるようになっておらなければならないのに、それができておらないために、ちっぽけな給与改定に必要な経費にすら困っておるんだという、こういう一つのいまの状況ですから、その困っておるのを助けるとか救済とかということばを、大臣も用心してつかったようでありますが、いずれにしても、めんどう見てやるとかということでなしに、当然国と地方でどういうふうな振り合いで財源を分けるべきであるのか、そういうたてまえに立って税なりあるいは補助金なり交付税なり、こういうものをきちっとしなければいけないときだと思うのであります。ですから、そういう点で何か地方団体が困っておる——困っておることは確かでありますが、だから救済しなければいけない、救ってやらなければいけない、お恵みを、というような形で今回のそれが処理されたような気がして、私はさっきも言ったように、そこまで初めは申し上げませんでしたが、非常に心外だと思うのであります。ですから、これからの問題でありますが、問題はこれでけりがついたわけでもないと思いますから、ひとつ地方団体としてのあるべき行政なりそれに必要な経費なり、それを一体……もちろん国家財政とこれは無関係では、全然縁を切った形では解決できませんけれども、その関係においてどうするかということで、これからの地方財政のある意味で私は一つの危機に来ておると思いますから、十分対処できるように御努力願いたいと思いますが、私のいま申し上げたような考え方についていかがでございましょうか。
  125. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 私、鈴木さんのおっしゃるとおりだと思います。でありまするから、先ほど、まあ、予算の折衝でありますので、何とかしてもらいために救済ということばをつかいましたけれども、私は救済じゃないと思います。これはもう当然のことだと思います。今日国と地方というふうに、自治体とに分かれておりますけれども、先ほど山本さんにもお答えいたしましたように、国の仕事の大部分は地方庁にやらしている。厚生省の仕事はほとんど全部地方庁がやっておる。建設省の仕事も直轄事業を除きましては府県及び市町村にやらしている。あるいは農林省の仕事にしましても地方庁にやらしている。中小企業の問題にしましても地方庁にやらしている。こういうふうに地方庁に、国がやっているというふうに表ではなっておりますけれども、末端の処理はみんな地方庁がやっておるわけでありますから、それでただ地方庁がかってにやっている仕事というふうに思いがちでありますけれども、これはまあ鈴木さんよく御存じでおっしゃっていることですが、そうなんですから、したがって、この国の財源の配分というもの、独立財源を与えるということが一つでございますが、同時に、国と地方との財政調整の接点である交付税というものは、当然そういう全体の観点からいかにあるべきかということだと思うんです。これは私もそのつもりでおりますけれども、予算の折衝の過程におきましてつかったことばでございまして、私はもう鈴木さんの御意見と全く同じつもりで今後も当たっていくつもりでおります。
  126. 鈴木壽

    鈴木壽君 それで、いま大臣が最後にお述べになったことについて。というのは地方交付税の税率の引き上げを自治省が考えておられるということを新聞なんかで見ておりますが、この点についてひとつ大臣から自治省の方針をきめられたそれについてお話を。
  127. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) まだ実はきめたというところまで行きませんが、先ほど来申しましたように、来年度予算は、まあ給与ベースにしましても、約一千億の総額はありまするし、そのほか、いまこまかい点をずっと拾ってみますると、相当額の需要というものが出てきておるわけでありまして、とうていいままでの税制においてはまかない切れない。これをどういう方向でまかなっていくかという点を考慮いたしまして、いろいろの点もあるでありましょうが、どうしても交付税率の引き上げに手をつけなければこれは解決はしないじゃないかということで、これの引き上げの方向に向かっていままだ検討しているところでございます。どれぐらいまで引き上げたらいいかということになりますと、これはいろいろ足りないから、足りない分を全部交付税率で見るということになりますと、これはたいへんな交付税率の引き上げになりまして、今日国の財政は、御承知のように、非常にことしは苦しい、明年度予算は苦しいときでありまするから、要求をしましても、望みのないことを要求してもしょうがありませんで、そうかといって、あまり遠慮しておってもまかない切れないのでありまするから、その点を勘案をして新聞に伝わっているようなところをいま考えておりますが、最終的にどれくらいにしようかということはまだもっと研究をしたい、かように存じております。
  128. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、新聞なんかで伝えられております、四十年度から交付税率を現行の二八・九%から三〇%に引き上げるというふうに自治省の方針は定まったとし、それに基づいて大蔵省と折衝する、こう伝えられておりますが、それはまだそこまで行っておらないということなんですか。
  129. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) まだ最終決定には至っておりませんけれども、先ほど申しましたような事情で、あまり大きいことを言って数字だけでけんかをしましても、望みのないことを言ってもしょうがないのでございますので、しかし、そうかといって、いつ幾らなら望みがあるといっても、これからの折衝のことですからわかりませんが、数字はちょっと私の口から申し上げにくいけれども、鈴木さんが大体御推察になっているようなところへ持っていかざるを得ぬじゃないか、かように存じておるのであります。
  130. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、私は推察するというよりも、新聞なんかで見ておったものを申し上げたのですが、きのう省議で四十年度から地方交付税を現行の二八・九%から三0%に引き上げることをきめたとけさの新聞なんかにもありましたものですから、それから、きのうですか、おとといあたりのどっかの新聞ですが、そういうふうなことがあったものですから、単なる推察、推量でなしに、それを事実かどうか確かめているところなんでございますが、まだ大臣知らぬというのですか。
  131. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 知らぬというわけじゃこざいませんで、内部では相当きのうもおそくまで検討いたしまして、ほぼそういうことで持っていこうじゃないかということで内部のいま折衝をしている段階でございますので、いよいよ最終決定をして大蔵省にぶつかるという段階の数字でございませんものですから、さよう申し上げたのでございます。
  132. 鈴木壽

    鈴木壽君 大蔵省は強く反対ということが新聞に載っておりますが、大蔵政務次官、どうです、これに対して。
  133. 鍋島直紹

    政府委員(鍋島直紹君) この問題につきましては、まだ自治省から具体的な数字をもっての御交渉は出ないかと思います。なおまた、大蔵省自身も、省議においてこれをどうこう決定した議題でもございません。交付税率の引き上げになりますと、御承知のとおり、単に給与だけでなくて、おそらく本年度給与が明年度千億ぐらいにふくれ上がっていく。そのほかに、社会保障、公共事業の伸び、あるいは減税要素そのほかというものから地方財政計画が立てられて、そのほぼきまった数字をもって、最終的に地方財政計画の穴があいておれば、その穴をどう補てんするかという問題についての大臣折衝なり——おそらく事務的折衝ではおさまりますまいから、大臣の折衝あるいはもっと上の総理の歳断というようなところまであるいは行くんじゃなかろうかと思いますが、現在においては、いま自治大臣のほうからもお話がございましたように、具体的な数字ができておるわけではございません。まあ、大蔵省の立場としては、交付税率というものを上げるというのは、端的に言って、国の財源、いわゆる三税からそれだけ恒久的に取られていくわけでございますから、よほどの基礎があって、そうして話し合いを進めながらこれを妥結していく。まあ、いま賛成、反対というわけじゃございませんけれども、そういう非常に慎重を要する問題であるというふうに考えております。
  134. 鈴木壽

    鈴木壽君 大蔵政務次官に、一つ要望みたいなことで申し上げておきたいと思いますが、交付税についての従来の大蔵省の考えというものは、少し交付税法のたてまえからしますとおかしいんじゃないかとぼくら思っておる。というのは、これは国のものだ、そのうちから、かりに二八・九%なり幾らなりを分けて、恩恵的に地方へ補助金的なお考えでやってるんだというふうな考え方を持っておったんじゃないかと思うのです。私どもいろいろ、何べんもこの委員会にも、かつて大蔵省の方々に来てもらって話をしたことがあるのですが、いつでも最後には、これは国のものだというようなことで、自治省や地方団体がかってなことを言っちゃ困るというふうな態度であったと思うのです。表現はそのまま、私がいま言うような、そのままじゃございませんけれども。ですから、私いま言ったように御要望申し上げたいというのは、一つの交付税というものを、大蔵省のものであり国のものだというような考え方でこの問題を処理なさろうとすると、これは新聞にもあるように、大反対というふうなことになると思う。さっきもちょっと大臣にも申し上げたように、一体国と地方が現在のようないろんな仕事をする、あるいは将来の行政事務、そういうものに必要な金をどう分けるかという、そういうことなんです。きわめてこれは、何といいますか、恩恵とかなんとかということを含まない、そういう考え方でいかなければ解決のつかない問題ですから、双方の仕事が、行政事務がうまくいくためにどれくらいの金が必要であり、そのためにどうしなきゃならぬのか、こういう考え方をとっていただいてひとつこの問題に対処していただきたいと思います。まだ正式には交渉しないうちに、大蔵省絶対反対とかなんとかという——新聞どういうところで書いたのかわかりませんが、いずれにしても、予想されるのはやっぱり大反対じゃないだろうかと思うものですから、ひとつその点を御要望申し上げておきたいと思います。  そこで財政局長にお聞きしますが、私の推定するように大体三〇%だとしますと、これは最終的にまだ固まっておらないという大臣のお話でございますが、現行のそれよりは一・一%の引き上げになる。これは来年度の国税三税の収入がどの程度に見込んでいいのか、いま私としてはつかみ得ませんが、たとえば今回の三十九年度補正のほうからしますと、わずか二百四十億円程度ですね。来年度、いま言ったように、どの程度に伸びが見られるのかわかりませんが、しかし、そんなに大きな伸びというものは期待できないんではないか、こう思うのですが、そうしますと、いま、二百五十億から二百七、八十億程度だろうと思います、大ざっぱなそれこそ勘定ですが。これであれであれですか、あなた方、いまの単に人件費というような問題でなしに、地方財政全般の問題からして、足りる、いいんだと、こういうふうにお考えになっておられるのですか。どうですか、その点は。
  135. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 国税三税の最終的な見込みがわかりませんから、どれくらいの額になるという問題につきましては、確定的なことは申し上げられません。まあ、大体お話しのようなことを考えれば、二百六、七十億ということになるのではなかろうかと思います。  来年度地方財政はどうなるという問題につきましては、はっきりしておるのは、給与改定の平年度化があるということだけでありまして、あと公債費が伸びる、これも仮定数字でありますが、確定に近い数字でありますが、ほかは補助事業もきまりませんし、地方税収入もどれくらいになるか見当がつきません。それらをつけた上で、最終的なものをどうするかということを考えていかなければならぬと思うのでございます。ただ、国と地方との財政状態を双方にらみ合わせてみて、そして先ほど大臣お話しなさいましたが、国庫のふところぐあいといいますか、国の財政状況というものもやはり頭に置いて考えていかなければいかぬのじゃないか。地方だけのことを考えますれば切りはございません。しかし、国、地方を通じて税金はなるべく安くするということであれば、どうしても双方の需要を考えて、地方だけが妙なかっこうになるのではなくして、国も地方も同じ水準において、苦しみはともにし、仕事もともにしていくと、こういうベースにおいて考えるか、こういう問題であるのでございます。したがって、税率の引き上げをどの程度やるかということは、それはそれ自体のそういったような背景、そして、そういう問題を考えなければなりませんけれども、そういう問題を背景に置いて、なおかつ、交付税理論の上に立ってどの程度まで筋が通る主張ができるか、こういう問題で考えていかなければいかぬだろうと、こういうふうに考えるのでございます。
  136. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話わかりましたが、私こういうことを聞いているのは、これは私、まだ固まらないことを固まったような受け取り方をして言っているとすれば、これは取り消しますが、かりに三〇%程度考えておると、鈴木よ、おまえの推定しているような程度だということもありましたものですから申し上げるのでありますが、この三〇%、現行よりも一・一%引き上げるという、これはいまこういう数字を、この程度の数字を出すべきではないと思うのです。ほんとう言えば、これは三〇%に引き上げるといっても、さっき言ったように、来年度の主税の伸びはどの程度であるかわかりませんが、かりにそれを見て二百六、七十億というふうに押えると、こうなりますと、一方には、とにかく地方に必要なものは、国の財政事情がどうであろうともみな持ってこいという、こういう意味で言っているのではありませんが、それはおのずから双方のそれぞれの立場というものを認め合って調整をつけなければいけませんが、ただ、いま言ったように、二百六、七十億だとしますと、いま伝えられている来年度の所得税減税、これがもし松隈私案といわれるような形で、八百億円以上もの所得税減税が初年度に行なわれる、これは最終的にどういうように政府決定するかわかりませんが、一つの例として、初年度八百八十五億円、平年度一千二十億円という所得税の減税だと、こうなると、八百八十五億円で、現行の率でいっても二百五十億ないし二百六十億ぐらいの交付税へのはね返りによる減少があるわけですね。そうすると、いまの三〇%上げても、ここでとんとんになって、何も結果としては増になってこないということなんです。さっきも言ったように、三税の伸びがどのくらいあるか、それによって来年度七百億とか八百億とか一応の見当はつけ得るかもしれませんが、それはいわば自然増に伴う交付税の増額が招来されたということであって、本来あるべき姿の金を分けるというたてまえからいって、この三〇%というようなものをいまきめて、これでがんばるのだといっても、これはナンセンスになるのだと思うのですが、そこら辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  137. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 実際を申し上げますと、鈴木さんのおっしゃるとおりなんです、とおりでありますが、そうかといって、数字を詰めて、これだけ足りないからこれだけ上げるという数字を出すことは出ますけれども、実はことしの国のほうの財源というものが大体見えておりますので、その中でできる限りのひとつ措置を考えようというところから出たのでございまして、数字を詰めますと、それは鈴木さんのおっしゃるように、とうていこれでまかなえぬと、こういうことになると思います。
  138. 鈴木壽

    鈴木壽君 何べんも申し上げますように、私もとにかく足りないやつもみんなこの交付税率の引き上げによってカバーせいと、したがって、三五%になっても四〇%になってもそれを貫け、こういう意味ではもちろんありませんから、しかし、いま言ったように、三〇%に引き上げるとしても、一方、これは当然減税というものは行なわれますね。額はあるいは八百八十五億ということにならぬかもしらんけれども、それに近い額の減税をせざるを得ないと思う。そうすると、そのはね返りが二百億円を越した数字になる。ですから交付税率の引き上げということは、やはりそういうことも考えながら、そういうものをある意味においてはカバーして、なおかつというところでないと、これは理屈に合わなくなってきますね。ですから、そこを私は申し上げるので、いかにも三〇%やって一・一%、二百六、七十億やると、これはよかったな、それによって地方財政がというような考え方を外部に与えて、それでよしとするようなことでは実は困る、こういうことなんであります。むしろ三0%プラス所得税減税のはね返りをカバーできるようなある率というなら、これならわかりますが、どうも私、これは少し余談めいて恐縮でありますが、いままでの毎年の所得税の減税その他の減税がこういうふうにはね返ってくるのをそのまま見過ごしてきたところに、ちょっとふに落ちないところがあるのです。しかし、昔のことをいまさら言ってもしょうがありませんが、今度はやっぱりこれを腹に入れたこれからの交付税率の引き上げというものを考えていかないと、地方財政の問題というものは一向に前進しない。率を上げた、ふたをあけてみたら差し引きぱあだ、こういうようなことでは何にもならなくなってしまいますから、その点を私強く要望しておきたいと思いますが、いかがでございましょう、大臣。
  139. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 全く鈴木さんのおっしゃるとおりであります。それはもう全部が全部これでまかなうという御趣旨でないことも存じておりますが、しかし、たてまえをおっしゃればそのとおりと言わざるを得ないのでありますが、ことしは国の財政というもののほぼ見通しもついておるわけでありますので、その中でただこれだけで解決をするということは、これは言うべくして至難なことでありますので、実は筋は通りませんけれども、まあ、この程度でということでございます。これは将来にもまだ残るかと思いますけれども、これが一ぺんでこれ限りでというわけでもないでありましょうから、どちらかというと、税実をねらってやっておるというところでご了承をいただきたいと思います。
  140. 林虎雄

    ○林虎雄君 ちょっと関連した質問と希望を申し上げたいと思いますが、ちょうど鍋島大蔵次官もおいででありますので、申し上げたいと思います。  明年度予算編成をいま御努力なさっておいでのわけですが、特に地方財政の問題につきましては、午前中西田委員からも発言がありましたように、当然根本的に再検討する時期ではないかというようなことを言われておりますが、私もそのように思っておるわけであります。いま来年度予算編成において地方の所要財源というものを計算をされて出てまいりまして、交付税というものもそこで数字が具体化されるわけでありますけれども、交付税の算定に漏れておるものが相当あるのではないかと思います。これは先ほど大臣も言われましたように、国の仕事というものの教育、農林、建設、社会保障あるいは衛生、商工というような仕事のおおむねは地方団体がこれを委任されて仕事を行なっております。その場合に、それぞれの国のほうで与えられる予算というものが、実際の見積り予算というものが、実際に比較いたしますと、単価が低いわけですね。そこで差額というものはいやおうなしに地方で負担する、これは表にあらわれない数字ではなかろうかと思います。これはいつも地方団体の会議などに出ておりますし、鍋島次官もよく御承知のとおりでありますが、こういう点を十分計算に入れていただきませんと、表に出るとこれでつじつまが合うではないかといいますが、実際国の仕事を地方が熱心にやればやるほど、そこに国の仕事に対するつけ足しの財源というものを地方で負担する。こういう点については局長さんのほうでどのように見ておいでか、この点をわかりましたらお答えをいただきたいと思うのですが。
  141. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 単価の不足の問題につきましては、従来からいろいろ当委員会でも問題になっております。私どもも実態をつかみたいと思って実は調べました。三十八年度状況でございますけれども、ちょっと資料を持っておりませんけれども、大体七百億、補助金の単価不足もあるし、若干は補助事業に対しての、何と申しますか、地方で独自の考えでそれを一緒にやってしまうという仕事がありますから、それが含まれておると思いますけれども、約七百億であります。職員分も事業費も両方入れてであります。
  142. 林虎雄

    ○林虎雄君 いまの点で、予算編成についても、もう実際問題として考えていただかなければいけませんので、交付税率の引き上げの問題についての大臣折衝、政治折衝も行なわれるでありましょうけれども、地方としては仕事をやらなければいけない。仕事をやれば地方の目に見えないそういう負担がかかるということで、痛しかゆしの点はありますが、こういう点は、やっぱり地方財政が確立して円滑にまいりますように、予算折衝あるいは交付税の折衝について十分にひとつお考えをお願いいたしたいし、また、鍋島次官は御経験もおありでありますから、よろしくお願いしたいと思います。
  143. 鍋島直紹

    政府委員(鍋島直紹君) いま林委員の言われましたこと、私も重々承知いたしております。したがいまして、これはこの交付税の補てんというその以前の問題として、あるいは各省から出てくる個々の事務的な予算折衝のいわば単価の問題になるかと思います。例をあげて言いますと、教育施設の問題が、三分の一国庫補助であるけれども、実際は三分の一に達していない。あるいは農業普及員の補助が、二分の一でしたかの補助であるけれども、二分の一に達していない。実際上はもっとそれ以上の給与になっておる。しかし、その給与の中を見ますと、国家公務員ベースよりいろいろな面で優遇されて、実は考えておるより上の給与を与えられておる人もあるし、現実にはそうじゃなくて、人数が多少そこに違いまして、その国庫補助の率が二分の一じゃなくてもっと下がっておる。したがって、その間の差額を国が負担しておるというような実態は現にあるわけでございます。したがいまして、これはその前の事務的折衝の段階等で、各省から、やはりその点それぞれ単価増そのほか補助率の問題にからんで御要望が、あるいは御要求があっておるようなわけでございますので、できるだけそういった点は現状に即するように、また、機構の上でそれが解決できる、あるいは補助率の改正そのほかで解決できる等の問題等につきましても、これは各省との交渉段階において解消するように進めたいというように私自身としては考えております。なお、それがひいては結局交付税の問題にもからんでくるわけでございますので、御要望の点は重々御尊重申し上げたいと思っております。
  144. 鈴木壽

    鈴木壽君 問題が少し移っていきましたが、それでは私もその問題を少し……。  予算編成相当詰まってくる時期なんでありますが、あれでしょうか、自治省として、各省に対して予算の要求書を提出する場合に、いまのような問題について何かこう注意を喚起する、あるいは努力してもらう、こういうことをおやりになっておりますか。
  145. 柴田護

    政府委員(柴田護君) これは在来から補助単価の是正等々につきまして、予算要求をいたします場合に、各省に包括的にお願いをいたしておりました。その態度をことしは変えまして、それ々やっておったんじゃ文句の言いっぱなしになっちまう。そこで個別に各省について、ここはこう直してほしい、ここはこう直してほしい、実情に沿わないからこうしてほしいというそれぞれの要望をお出しをして、同時に、それは大蔵省の査定当局にも、各省にこういう要望をしてあるからひとつ考えてくれ、こういう話をしてあります。  それがどうなっていきますかは、これから予算査定が、大蔵省内示案が出ましてからの話かと思いますけれども、私どもといたしましては、従来のように言いっぱなしじゃなしに、少し少ない人員でたいへんでございますけれども、極力その点につきましては関心を持ちまして、なるべく直していただくように私のほうからも大蔵省に交渉を持ちたい、こういうぐあいに考えております。
  146. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはまあいま始まった問題じゃないのですから、それぞれ努力をしておられると思いますが、さっきからこういろいろ申し上げておりますように、これは本気になってやっぱりこういう問題に取っ組まなきゃいけないことになってきておると思うのであります。さっき柴田局長の説明で、まあ、まるまる全部が持ち出しとは言えないかもしれぬがという話がありましたが、いずれにしましても七百億円という膨大な額が一応出ておるわけですね。私も七百億円そのままが全部いわゆる超過負担だ、持ち出しだとは言えないと思いますが、それにしても、かりに一割かあるいは一割五分差っ引いたにしてもですよ、その額があれば、あれですね、今回の給与改定なんか六百億円必要だという、それなんかできますね。やっぱりゆるがせにできない問題だと思うのであります。いま一挙にこれを明年度予算で全部問題がなくなるようにというようなことも、なかなかこれもたいへんだと思いますが、しかし、これはやはりこの機会に大きな前進を見るようにしてもらわないと、いつまでたってもこういう問題が片づかないで、地方財政のひとつのガンになっておるわけなんですね。ひとつ、まあ、幸い大蔵省の政務次官もおられますし、いまお話もお聞きしましたが、各省とも十分な連携を保って、一そう大きく前進するように、ぜひやってもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、それについて大臣からできればお答えをいただきたいのですが、柴田さん、あれですか、これの資料ね、市町村ごとにといっても、なかなかそんなことできやしないと思いますが、府県段階でのやつは資料として出していただけますか。私も三、四県のものは一せんだって沢田委員から九州地方の、われわれの現地調査の結果の報告の中にも、宮崎、鹿児島、熊本三県の分は、そういう問題について触れておりますが、私もそのほかの一、二県のやつは持っておりますが、これはひとつできたら府県段階で、人件費関係あるいは補助事業関係と、こういうふうに分けてですね、数字をほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  147. 柴田護

    政府委員(柴田護君) ちょっと誤解があったらいけませんのでお答え申し上げたいと思いますが、ただいま私が申し上げました約七百億と申し上げましたのは、補助金の不足分と、これに対する、見合う地力欠損分、この合計額でございます。だから、約七百億と申し上げましたのは、すべて補助金の不足じゃございませんで、地方負担分が入っておるわけです。で、資料はございますので、のちほど提出いたしたいと思います。
  148. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま、時間もありませんから、私はこまかい数字をあげて、どうのこうのということを避けたいと思いますが、たとえば補助職員関係で、熊本県では三億数千万円の継ぎ足しです、全部で。これは多少の額の多い、少ないはありましても、熊本の私どもが見せてもらったもの。鹿児島、宮崎においても、やや近い数字の額が出ている。それから補助事業費関係でも、一億数千万円というような持ち出しがあるということ。その中には、さっきも申しましたが、全部が全部そのいわゆる超過負担として数えていいかという問題はあります。あるいはひとつの基準なり、規模以上のものを、地方の団体のお考えによってそれ以上のものをつくるとかというような問題もありますから、全部が全部とは言えないけれども、とにかく一県に、かりにそういうものを合わせて四億から五億と、かりに低くとって四億ぐらいとしましても、四十何県ですか、そうしますと、これはやっぱり相当な大きな額になる。市の段階にも相当あると思う。こういうことですから、さっきの七首億円というもの、私はちょっと聞き違えたかもしれませんが、いずれにしても相当な額がこのために市町村財政を圧迫するという形で持ち出されているのでありますから、これをひとつぜひとも真剣に取り上げていただきたいと思います。国と地方との財源配分の問題も、やはりこういうところからもひとつきちんと筋を立てて解決をしていかないと、変なかっこうになってしまうと思うのでありますから、そういう意味で、要望になるわけですが、ぜひ強くやってもらいたいということを大臣ひとつ。
  149. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) ただいま鈴木さんからお話しのように、補助費等は、補助単価等が十分に組まれていないために、それを地方で背負い込んでいる分は多々ございます。それがどのくらいになりまするかは、先ほど財政局長から、全部ではないようでありますが、数字を示したようでありまするけれども、これは私どもも気のついているところで、ちょうど予算編成期に入ろうとする八月の終わりでございましたか、私からじゃありませんが、次官名をもちまして各省のそれぞれ関係方面に特に注意を喚起したようなことでございます。なお、財政局長が話しましたように、個別的にも折衝しているようでございまして、これは是正をしていただきませんというと、結局は地方が背負い込む、こういうことになりますので、幸い鍋島政務次官も立ち会いの上での話でございますから、特にひとつ政務次官も大蔵当局において何ぶんこの点は十分に周知徹底をはかっていただきたい、かように存じておるわけでございます。
  150. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと思います。  次回は十五日、来週火曜日午前十時から開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十二分散会      —————・—————