○
政府委員(齋藤正君) 先に具体的なことを私から
お答え申したいと思います。
まず、
義務教育の
段階における私立学校に対してどういう助成があるかという点について申し上げます。
義務教育の
段階では、全児童生徒の占める私立学校の児童生徒の割合というものは、これは
義務教育の性格から見て非常に少ないのでございまして、およそ小学校では、児童数に対して〇・五%でございます。それから中学校につきましては三・四%で、これは御
承知のように、
義務教育では市町村は、小学校、中学校とも、その区域内の児童ないし生徒を収容するに足る学校を設けなければならぬということでございますので、公立学校に入り得る施策をとって、そして、それぞれ学風なり伝統なりを慕っていく方が私立の小中学校に行くという考え方になっているだろうと思います。
で、現実に助成の問題でございますが、これは小中学校に限らず、私学に対しましては、経営費の
補助というようなものは一切たてまえとして現在ございません。ただ、部分的に、たとえば理科
教育の振興をはかりますための理科
教育設備の
補助金等は、これは公立のみならず私立に対しましても
補助金が出ております。三十七
年度の
決算で申しますと、私立の中学校に対して千四百万円余、私立の小学校に対して三百万円余というふうになっております。それから都道府県の
段階で、私立の小中学校、高等学校等に助成をいたしておりますが、これはそういうことがあるであろうということで、交付税上若干の措置をいたしております。三十九
年度では十五億と
承知いたしております。それから直接の
補助金ではありませんが、私学振興会に対しまして政府が出資いたします、あるいは最近におきましては、財政投融資等によりまして私学振興会の
資金を充足いたしまして、これは
施設の
整備等のために長期低利の
資金を融通するようになっております。その他教科書の無償でありますとか、あるいは一般の小学校ではございませんけれ
ども、私立の特殊
教育を実施いたしておりますものの子弟に対しましては、これは公立同様に就学奨励の経費が
補助されているわけでございます。高等学校にまいりますと、高等学校は、大体生徒の三〇%が私立にまいっております。これはいま先生御
指摘のように、地域によりましては、私立に負うところが非常に多いというような
実情でございます。大学にまいりますれば、七〇%が私立であるというふうになっております。で、これは一面には、授業料その他で父兄
負担という点でだんだん増高を来たしていく面、あるいは、ただいまも御
指摘のございました教員の適正な給与の支給という点で、経営上の問題がいろいろ出てくるということは、私
どもも
承知いたしておりますが、現在の私学振興の考え方としては、振興会の融資による
資金の融通ということと、初等中等
教育の
段階における理科
教育でありますとか、産業
教育でありますとか、特別のものの
施設設備の
補助、あるいは大学におきますところの理科の
教育の設備でありますとか、あるいは研究設備でありますとか、そういうものの
補助金は出しておるのでございますが、現在、経営自体に対する
補助金というものを、これはいろいろ御要望がございますけれ
ども、これをとるべきかどうかは重大な問題でございますので、私
どもといたしましては、明
年度、私学の助成方策に関する
調査会を設けまして、基本的に検討をしてまいりたいということを一点考えております。
その他税制上の問題といたしましては、現在
大蔵省に御要望いたしておりますのは、父兄の
負担になる部分が、所得税上のいろいろな特典を持ち得ない、あるいは私学はそもそも、基礎として民間の浄財の寄付を仰いで根本を固めることが必要でございますので、そういう法人なり、あるいは個人からの寄付が、現在よりももっと容易になって、私学の財政の基礎が固まるような道がとれないかというようなことも、いま要望しておるわけでございます。