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1964-12-14 第47回国会 参議院 外務委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年十二月十四日(月曜日) 午前十時五十二分開会
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
青柳
秀夫
君 理 事 井上 清一君 草葉
隆圓
君 長谷川 仁君
加藤シヅエ
君 委 員
杉原
荒太
君 山本
利壽
君 和田 鶴一君 岡田
宗司
君 佐多
忠隆
君 羽生 三七君 曾祢 益君
佐藤
尚武君
政府委員
外務政務次官
永田
亮一
君
事務局側
常任委員会専門
員
結城司郎次
君
説明員
外務省条約局外
務参事官
佐藤
正二
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
国際博覧会
に関する
条約
及び千九百二十八年十 一月二十二日に
パリ
で署名された
国際博覧会
に 関する
条約
を改正する
議定書
の
締結
について承 認を求めるの件(
内閣送付
、
予備審査
)
—————————————
青柳秀夫
1
○
委員長
(
青柳秀夫
君) ただいまから
外務委員会
を開会いたします。
国際博覧会
に関する
条約
及び千九百二十八年十一月二十二日に
パリ
で署名された
国際博覧会
に関する
条約
を改正する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件を
議題
といたします。 まず、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
永田外務政務次官
。
永田亮一
2
○
政府委員
(
永田亮一
君) ただいま
議題
となりました
国際博覧会
に関する
条約
及び千九百二十八年十一月二十二日に
パリ
で署名された
国際博覧会
に関する
条約
を改正する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして
提案理由
を御
説明
いたします。 この
条約
は、
国際博覧会
の
乱設
、その無
秩序
な
運営等
による
弊害
を除去して、
各国
が
秩序
のある、かつ、効果的な
国際博覧会
を
開催
し及びこれに
参加
し得るよう国際的な基準を設けることを
目的
として作成されたものでありまして、
条約
の骨子は、所定の
国際博覧会
を
開催
し及びそれに
参加
する場合には対外的に
政府
の
責任
において行なうべきこと、
国際博覧会
の
開催頻度
及び
開催期間
を規制すること、
国際博覧会
の
開催国
は
参加国
に対して
出品物
についての通関上その他の
便宜
を与えること、
条約
の実施を確保するために
国際事務局
を設置すること等であり、
議定書
は、
開催頻度
及び
開催期間
の
規制等
についての
規定
の一部を改正するものであります。
わが国
は、従来より
わが国
の産業、文化の
海外紹介
、
貿易振興
、
国際観光
の促進、
国際親善等
の
目的
をもって、
各国
で
開催
される
国際博覧会
に積極的に
参加
してまいりましたが、最近においては、さらに進んで、
わが国
における
国際博覧会
の
開催
についての関心が高まりつつあります。
わが国
において
国際博覧会
を
開催
する場合には、この
条約
の
締約国
となっていなければ、
国際事務局
の協力を得られず、また、
締約国
は
わが国
で
開催
される
博覧会
に
参加
するについて
条約
上
一定
の
制約
を受けるため、
国際博覧会開催
の効果は著しく減じられるおそれがあります。また、
条約
の
締約国
が
開催
する
国際博覧会
に
わが国
が
参加
するためには、
条約
の
締約国
となることは不可欠の要件ではありませんが、
締約国
となることにより、
条約
の保証のもとに、より確実にかつ、より効果的に
国際博覧会
に
参加
することができることとなります。 よって、ここにこの
条約
及び
議定書
の
締結
について御
承認
を求める次第であります。何とぞ御
審議
の上、すみやかに御
承認
あらんことを希望いたします。
青柳秀夫
3
○
委員長
(
青柳秀夫
君) 次に、
補足説明
を聴取いたします。
佐藤外務参事官
。
佐藤正二
4
○
説明員
(
佐藤正二
君)
国際博覧会
に関する
条約
及びその
改正議定書
について
補足説明
をいたします。 まず、この
条約
の
成立
の
経緯
について御
説明
いたします。
外国
の
参加
を求める
博覧会
、すなわち
国際博覧会
が初めて
開催
されましたのは一八五一年
ロンドン博覧会
でありまして、これを皮切りといたしまして、十九世紀の末から今世紀の初めにかけて、
ヨーロッパ
において次々に
国際博覧会
が
開催
されました。それらの中には、何と申しましょうか、もうけ主義的な非常に無
秩序
なものがだんだん出てまいりまして、
参加国
に迷惑をかけるようなものが出てきたわけであります。この
国際博覧会
の
乱設
、
無秩序等
に伴う
弊害
を除去しまして、
各国
が
秩序
のある、かつ、非常に効果的な
国際博覧会
を
開催
する、及びそれに
参加
するようにすることを
目的
といたしまして、一九一二年ドイツの主催のもとに
ベルリン
で
国際会議
が開かれまして、
一つ
の
条約
をつくりましたわけであります。この
会議
には
わが国
も
参加
いたしまして署名したわけであります。その直後、御承知のように、第一次
大戦
が勃発いたしましたために、この
条約
は発効に至らないでそのままになってしまったわけであります。その後第一次
大戦
が済みまして、
世界経済
がだんだん復興してまいりまして、
世界各地
でまた
国際博覧会
がたびたび
開催
されるようになりました。また、したがって、それに伴う
弊害
も起こってまいりましたわけでございます。そこで
フランス政府
は、一九一二年の
ベルリン条約
を基礎といたしまして、それにその後の事情を考慮に入れました
条約案
を作成いたしまして、一九二八年に
パリ
で
条約作成
のための
国際会議
を
開催
いたしました。この
会議
には四十カ国が
参加
いたしまして、
フランス案
をもとにいたしまして
審議
の結果、ただいま御
審議
をお願いいたしますこの
条約
が作成されまして、
わが国
を含む三十一カ国がこれに署名をいたしました。また、その後第二次
大戦
の
あと
、一九四八年に
パリ
でこの
条約
の一部を改正するための
会議
が
開催
されまして、これには十九カ国が出席いたしまして、この
条約
とともに御
審議
をお願いいたします
議定書
を作成したわけでございます。これには十四カ国が署名しております。
わが国
は、当時まだ
占領下
でありましたためにこの
会議
には招請されませんでした。したがって、
議定書
には署名いたしておりません。なお、この
条約
及び
議定書
の
締約国
は現在のところ両方とも三十二カ国でございます。以上
成立経緯
でございます。 次に、
条約
及び
議定書
の
内容
を簡単に御
説明
いたします。この
議定書
と申しますのは、本
条約
の第二条、第三条、第四条、この三カ条を改正しているものでございますので、
便宜
上この
議定書
によって改正されました形の
条約
を御
説明
することにいたします。 この
条約
は、前に申し上げましたとおり、
秩序
のある、かつ、効果的な
国際博覧会
の
開催
及びそれの
参加
のための措置を
規定
しておりますのでございますが、その
規定
のおもなものを御
説明
いたしますと、第一に、
条約
の
適用
の
対象
になります
国際博覧会
の範囲をきめております。これは第一条にあるわけでございますが、むずかしいことばをつかっておりますが、結局は、この
条約
の
対象
になりますのは、
政府
または公法人が主催する
国際博覧会
並びに
私法人
が
政府
との合意に基づいてその
監督
ないし後援を受けて
運営
する
国際博覧会
のみに
適用
するということになっておりまして、したがって、私的な
博覧会
は除いているわけでございます。私的と申しますか、
私法人
が、
政府
とは全然
関係
なしに催す
博覧会
は
適用外
になっております。また、
条約
の
適用
の
対象
になります
国際博覧会
は、外交上の経路を通じて諸
外国
の
参加
を招請すること、
開催国
も、
参加国
も、それぞれの
政府委員
を任命して、
国際博覧会開催
またはそれへの
参加
の
監督
に当たらしめる、そういうふうな
規定
がございます。
各国
が対外的には
政府
の
責任
において
開催
し及び
参加
する、そういう
国際博覧会
を
対象
にしております。 第二に、
条約
の
適用
と申しますか、
国際博覧会
の
秩序
ある
運営
というようなことを監視するために
国際事務局
をつくるということを
規定
しております。これは第三編にございますが、第十条以下でございますが、この
条約
の
適用
を監視するために全
締約国
で構成される
理事会
それから
事務局長
という構成になります。
博覧会国際事務局
を
パリ
に置いておりますが、この
国際事務局
の任務といたしましては、
各国
から
博覧会
の
開催申請
が来るわけでございますが、その
審査承認
をいたします。それから、
開催国
が競合いたしますことがございます。そういうときにはこれに裁定を下します。それから、
開催
またはそれの
参加
について
各国
に助言を与える、その他協力する、そういうふうなことも
国際事務局
でやることになっております。 第三に
規定
しておりますことは、
国際博覧会
の
開催頻度——頻度
と申しますのは、何年に一度というような
開催
のしかたでございます。
開催
の
頻度
、
開催期間
を何カ月やるかというようなことを
規定
しております。この
規定
は二条、三条、四条、ちょうど
議定書
でその改正されております条文のところに出ているのでありますが、この
規定
の
適用
上、この
規定
によって
国際博覧会
を
種類別
にいたしまして、
一般博覧会——
すべての
生産部門
を包含するような
一般博覧会
というものと、それから特殊な、特定の
生産部門
だけを
対象
にいたします
特別博覧会
というものに分けまして、またその
一般博覧会
というものを、
規模
によりまして、大きいものと小さいもの
——
第一種、第二種というふうに分けて
規定
してございます。すなわち、この前ブラッセルで一九五八年にやりました
万国博覧会
、それから今度一九六七年にモントリオールでやると言ってきております
万国博覧会
、こういうものは第一種の一番大きな
一般博覧会
に属するわけでございます。
通常万国博覧会
といわれるのはこの第一種の
一般博覧会
というものでございます。また、こまかい話になるのでございますが、この
開催頻度
については、
世界
を
欧州——ヨーロッパ
と、
米州——アメリカ
と、それから「その他の
地域
」と三つの
地域
に分けまして、
一つ
の
地域
で
開催
される場合の
開催頻度
——
申しますのは、
ヨーロッパ
で一回やりますと、
あと
何年間できないというような形の
規定
があるわけでございます。
条約
では、大きな
博覧会
ほどこの
開催頻度
の制限がきびしくなっているのでございます。ここで
万国博覧会
について御
説明
いたしますと、
同一国
でやる場合には十五年の
間隔
を置かなくちゃならないということになっておりますし、それから、ある
地域
の同じ
地域
で
——日本
は「その他の
地域
」に入るわけでありますが、「その他の
地域
」で一回行なわれますと、六年の
間隔
を置いてその
地域
で行なえる、六年の間その
地域
ではできないという形になります。それから、違う
地域
の場合には、
一つ
の
博覧会
が行なわれた
あと
で、二年の
間隔
でやっていいというふうになっております。 それから次に
開催期間
につきましては、その
国際博覧会
の
種類
のいかんを問わず、
開催期間
はすべて三週間以上六カ月以内という形になっております。 それから、
先ほど
ちょっと御
説明
いたしましたが、
国際博覧会
を
開催
しようとします場合には、その国は
開催
について
国際事務局
の
承認
を受けなくてはならないということが
規定
してございます。これは、
国際博覧会
を
開催
しようとする国はある
一定
の
期間
内に
国際事務局
に
登録申請
をすることになっておりますが、第一種の
一般博覧会——万国博覧会
について申し上げますと、
開催予定
の年の一月一日、と申しますと、たとえば
昭和
四十五年にもしやるということにいたしますれば、四十五年の一月一日から三年半以前であって五年をこえない
期間
内に
登録申請
をするということになっておりますので、もし四十五年に
国際博覧会
をやるとすれば、四十年の一月一日から四十一年の六月三十日ということになりますか、それまでにやらなくてはならないということになっております。 以上が大体
条約
が
規定
しております重要な点でございますが、なお、
条約
はそのほかに、非
締約国
が
開催
している
国際博覧会
への
参加
については、
締約国
は
国際事務局
の許可を受けなくてはならないとか、それからまた、
博覧会
の
開催国
は
参加国
に対して
参加
のための
便宜
を与えなければならない。たとえば
出品物
の一時免税と申しますか、免税して一時輸入する、そういうふうな
便宜
を与えなくてはならない、こういうことを
規定
しております。
条約
の
内容
は大体そんなところでございますが、最後に
わが国
との
関係
をちょっと御
説明
いたしますと、
先ほど
も御
説明
いたしましたとおり、
わが国
は、一九二六年のこの
条約
の
作成会議
のみならず、一九一二年の
ベルリン条約
の
作成会議
にも出席しておりますし、その
条約
の趣旨に賛成してその
条約
に署名しておるわけでございます。しかし、その後どうしてこの批准が行なわれなかったかと申しますと、当時は
わが国
で
国際博覧会
を
開催
する計画がございませんでございましたことと、それから、この
条約
の
締約国
で
開催
される
国際博覧会
に
わが国
のほうが
参加
する、そういうことについてもいまであまり
わが国
の
参加
の
規模
が大
規模
でなかった。したがって、
締約国
になっていなくても、実際
上あまり支障
がなかったと、そういうふうな
理由
でいままで批准しようという
機運
になっておりませんでした。しかし、第二次
大戦
後、非常に
わが国
の
経済
、
科学技術
の進歩がありまして、
各国
で
開催
される
国際博覧会
に
わが国
の
参加
する場合の
規模
が非常に大きくなってまいりました。最近ではその上、
わが国自身
も
国際博覧会
を
開催
をしようというようなことを考慮するというような
機運
になっております。
わが国
がこの
条約
の
締約国
になれば、この
条約
によっていろいろ便益が得られます。したがって、
参加
も楽になる。それからまた一方、
わが国
が
締約国
になっていなければ、こちらで
——わが国
で
国際博覧会
を
開催
するような場合には、
わが国
が
締約国
でない場合には、そのほかの
締約国
がその
国際博覧会
に
参加
するのに非常に
制約
を受けるということになりますので、まあ、この際どうしても入っておかなくちゃいけないのではないか。 それで、特にこの国会にお願いする
理由
といたしましては、
わが国
は
昭和
四十五年に
万国博覧会
を
開催
するというような動きもございますので、このためには
先ほど
も御
説明
いたしましたとおり、
国際事務局
への
登録申請
を行なう必要がありますし、その
申請
の時期が来年の一月一日から始まるという状態になっておりますので、
わが国
の
開催
がほかの国との
開催
と競合するというようなことを考慮いたしますれば、なるべく早い時期に
登録申請
をやっておいたほうが、
登録申請
をできるような形に態勢を整えておくことが必要であると考えてお願いした次第でございます。
青柳秀夫
5
○
委員長
(
青柳秀夫
君) 以上で
説明
は終了いたしました。本件の
質疑
は次回に行なうことといたします。
杉原荒太
6
○
杉原荒太
君 前の
委員会
のときに私質問いたしまして、それに対する
答弁
は次回にするということだったのですが、それはどうなりましたか。
青柳秀夫
7
○
委員長
(
青柳秀夫
君) ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
青柳秀夫
8
○
委員長
(
青柳秀夫
君)
速記
をつけて。
永田外務政務次官
。
永田亮一
9
○
政府委員
(
永田亮一
君) この前の
委員会
において
杉原先生
から御質問がございまして、これに対してこの次にはっきり御
答弁
を申し上げるということになっておりましたが、きょう
説明
する者がうっかりして参っておりませんで、まことに申しわけございません。何とぞ御寛容いただきまして、この次の十七日に
一般
の
国際情勢
の御
質疑
がございますので、その機会に一番最初に御
答弁
をさしていただきたいと思います。
青柳秀夫
10
○
委員長
(
青柳秀夫
君) それでは、この程度で散会いたします。次回は、十二月十七日午前十時に開会いたします。 午前十一時二十二分散会