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1964-12-18 第47回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十八日(金曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 細田 吉藏君    理事 稻葉  修君 理事 小沢 辰男君    理事 田中 正巳君 理事 稻村 隆一君    理事 岡本 隆一君 理事 村山 喜一君       天野 光晴君    大竹 太郎君       谷垣 專一君    渡海元三郎君       中島 茂喜君    湊  徹郎君       森下 元晴君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    石田 宥全君       卜部 政巳君    中村 重光君       原   茂君    松井  誠君       栗山 礼行君    竹谷源太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         検     事         (民事局長)  平賀 健太君         通商産業事務官         (鉱山局長)  大慈弥嘉久君  委員外出席者         警視長(警察庁         刑事局捜査第一         課長)     高松 敬治君         総理府技官(科         学技術庁資源局         長)      橘  恭一君         大蔵事務官(大         臣官房財務調査         官)      中嶋 晴雄君         農林技官農地         局建設部災害復         旧課長)    梶木 又三君         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      斎藤 英雄君         消防庁次官   川合  武君     ――――――――――――― 十二月十八日  委員久保田豊君及び田口誠治辞任につき、そ  の補欠として石田宥全君及び松井誠君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員石田宥全君及び松井誠辞任につき、その  補欠として久保田豊君及び田口誠治君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  新潟県の地震災害対策に関する請願田中彰治  君紹介)(第一二四号) 十二月十五日  鳥取岸本町の豪雨による災害復旧に関する請  願(足鹿覺紹介)(第一七四八号)  鳥取伯仙町の豪雨による災害復旧に関する請  願(足鹿覺紹介)(第一七四九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  異常天候による麦災害対策に関する陳情書  (第一九一号)  降ひようの被害対策に関する陳情書  (第一九二  号)  災害の防止及び復旧に関する陳情書  (二三一号)  鳥取県の集中豪雨による農作物等被害対策に関  する陳情書  (第二三二号)  三重県の干天による農産物被害対策に関する陳  情書(第二三三  号)  西野開拓地災害復旧促進に関する陳情書  (第二三四号)  埼玉県の干害対策に関する陳情書  (第二三五号)  新潟地震による災害対策に関する陳情書  (第二三六号)  同  (第二三七号)  同  (第二三八号)  同  (第二三九号)  同(第二四〇号) 十二月十五日  災害による危険地帯住民移住助成措置に関す  る陳情書  (第五三一号)  豪雨による北陸地方災害対策に関する陳情書  (第五三四号)  台風第二十号による養蚕被害対策に関する陳情  書  (第五三五号)  台風第二十号による被害対策に関する陳情書  (第五三六号)  台風第二十号による農林畜産被害対策に関する  陳情書  (第五三七  号)  新潟地震による被災都市の復興に関する陳情書  (第五三八号)  同  (第五三九号)  雪害対策確立に関する陳情書  (第六八六号)  台風第二十号等による農作物被害対策に関する  陳情書  (第六八七号)  同  (第六八八号)  同(第六八九  号)  新潟地震による鶴岡、酒田地区災害復旧対策  に関する陳情書  (第六九〇号)  新潟地震による災害対策に関する陳情書  (第六九一号)  北海道及び東北地方冷害対策に関する陳情書  (第七九九号)  新潟地震等災害復旧に対する財政措置に関す  る陳情書  (第八一一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  災害対策に関する件(新潟地震による災害対  策)  請願  一 新潟県の地震災害対策に関する請願田中   彰治紹介)(第一二四号)  二 鳥取岸本町の豪雨による災害復旧に関す   る請願足鹿覺紹介)(第一七四八号)  三 鳥取伯仙町の豪雨による災害復旧に関す   る請願足鹿覺紹介)(第一七四九号)      ――――◇―――――
  2. 細田吉藏

    細田委員長代理 これより会議を開きます。  中山委員長所用のため、委員長指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  まず、請願審査に入ります。  本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  本会期中付託になりました請願は三件であります。その取り扱い等につきましては、先ほどの理事会において協議いたしたのでありますが、この際、紹介議員説明等を省略し、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 細田吉藏

    細田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中、日程第二及び第三の請願は、いずれもその趣旨妥当と認められますので、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 細田吉藏

    細田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報吉書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 細田吉藏

    細田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  6. 細田吉藏

    細田委員長代理 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、異常天候による麦災害対策に関する陳情書外二十六件であります。念のため御報告いたしておきます。     ―――――――――――――
  7. 細田吉藏

    細田委員長代理 この際、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会の御決定のとおり、災害対策に関する件について閉会審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 細田吉藏

    細田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  9. 細田吉藏

    細田委員長代理 災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通吉がありますので、順次これを許します。松井誠君。
  10. 松井誠

    松井(誠)委員 私は、新潟平野地盤沈下という問題に限ってお尋ねをいたしたいと思います。  この地盤沈下の問題は、今般の地震を契機にして、さらに再検討が要望をされておりますし、そればかりでなくて、新潟市街地沈下だけでなしに、いわゆる平野部農地の広範な範囲にわたる地盤沈下原因は何かということが検討をされてまいりました。その結果、一昨十五日に資源調査会新潟平野地盤沈下についての報告がまとまったわけであります。この機会に、最初にこの報告についてお尋ねをいたしまして、それから、大臣がお見えになりましたら、これからあと通産省としての対策についてお伺いをいたしたい、かように考えるわけであります。  今度でき上がりました資源調査会報告は、一ころ伝えられたような一次素案というものと最終的にでき上がった報告書はいささか違っております。その違った原因については、たとえば途中で新潟県のほうからいろいろ反論が出たというような経過を考えてみますと、あるいはそこに何がしかのそういう意味の配慮があったのかもしれないということは想像はできますけれども、しかし、それにしましても、この客観的な資料そのものは動かしがたい事実でありますので、その具体的な客観的な資料を主としてお伺いをいたしたいと思います。  この報告書は、新潟平野地盤沈下を大体二つに分けて、一つ海岸沿い地盤沈下一つ内陸部地盤沈下というふうに分けて、報告書内陸部農地地盤沈下原因の究明というものが当面の目標になっておりますので、その点から最初資源局長お尋ねをいたしたいと思います。  この報告書のいわゆる農地地盤沈下原因が何かというのが、言うならばこの報告書のかなめでありますけれども、農地地盤沈下原因について、この報告書ではおよそ二つに分けてあるように考えられるわけです。一つは、過去の沈下原因がどうであったか、もう一つは、現在の沈下原因は一体何なのか、このように分けてあるように思うのです。そこで、この農地地盤沈下の過去の原因について、いわゆる海岸沿い地盤沈下というものと関係があったのかなかったのか。これは報告書によりますと、「海岸沿いで行なわれていた急激な大量揚水影響が加算されていたと考えられるかも知れない。」というような、はっきりしない表現になっておりますけれども、その過去の農地地盤沈下原因が、いわゆる浅層の沈下だけでなしに、海岸沿いの急激な大量揚水影響もあったという趣旨だと思いますけれども、この平野部の過去における地盤沈下原因について、この報告書のこの部分について、あらためて御意見をお伺いしたいと思います。
  11. 橘恭一

    橘説明員 内陸部地盤沈下は、ます大ざっぱに言いまして、二年くらい前まで、つまり前回の三十七年十一月の報告のときは、その原因が、局地と、それから地層がずっと一応続いているという資料がある海岸部のほうと、一応どちらにもあるというような状態でございました。その点で先生のおっしゃるとおりでございます。ところが、今回のレポートでは、やや前よりも変わった点は、最近の農地の実際の観測資料によりますと、ほとんどが現地の浅層のくみ上げと相関関係がある、そういうことで、したがって、前半においては両方――ごく大ざっぱに言いますと、ずっと前半においては、一応、資料は不十分ですが、ある限りの資料においては、いずれも関係がありそうだ、あるということで、いずれも関係がある。その量的な点は不分明でございます。ところが、最近のところは、むしろ農地のくみ上げ、自家用井のものがかなり関係しているという、そのステージを二つに分けてお答えいたしたいと思いますが、いずれにしろ、現地のくみ上げはもちろん関係している。現在は、海岸のほうは比較的関係すると思われる資料があまりあがっていないということでございます。
  12. 松井誠

    松井(誠)委員 私がお伺いをしましたのは、現在の平野部沈下原因ではなくて、過去の沈下原因、それに、この報告書によると、「海岸沿いで行なわれていた急激な大量揚水影響が加算されていたと考えられるかも知れない。」という形になっておる。したがって、農林省地盤沈下調査所考えておった三つの仮説の最後のものよりは、多少表現の上で海岸沿い影響というものを弱く見ておることは間違いないと思いますけれども、しかし、少なくとも過去においては、海岸沿い沈下影響はこの平野部沈下について皆無ではなかったというような趣旨にこの部分理解していいかどうか、そういうお尋ねなんです。
  13. 橘恭一

    橘説明員 皆無でなかったとは言えないというニュアンスであるかと思います。と申しますのは、それだけの資料の体系が不十分だという意味で、だから、ごぐ大ざっぱなことを言えば、先生のおっしゃったことを否定しているのじゃございません。まあしいてニュアンスを純事務的に申し上げますれば、いま申したようなことでございます。
  14. 松井誠

    松井(誠)委員 そうしますと、とにかく過去においては海岸沿い揚水影響というものが皆無だとは言えないという私の理解否定するという意味ではない、こういう御答弁であったわけでありますが、私が過去の沈下原因についてお尋ねをするのは、将来の沈下対策にも関係がありますけれども、それよりもむしろ、すでに沈んでしまったこの農地復旧事業というものについて、国が一体どの程度責任を持つべきものなのかどうかという、そのことをきめる上で大事な意義があると思ったからなんです。  農林省お尋ねをいたしますけれども、聞くところによりますと、この平野部地盤沈下原因について海岸沿い揚水がどの程度関係があったか、あるいは現在もあるかということについては、農林省と、あるいは通産省あたり意見の相違があったやに聞いておるわけですが、しかし、ともかくそういう意見が一応調整をされた形になってこの報告書ができた。しかし、この報告書でも、いま資源局長からお話がありましたように、少なくとも過去の平野部地盤沈下については、海岸沿い影響が皆無だとは言えないということになりますと、すでに海岸沿い沈下影響を受けて沈下をしたこの農地復旧事業――御承知のように、あの平野部に至るところに不等沈下という現象が起きて用排水路が役に立たなくなっておる、あるいは揚排水機の機能が悪くなったりしておる、そのために膨大な復旧費がいま必要とされておるわけですけれども、この地盤沈下原因について、少なくとも過去の原因については、自家用燃料として使っておる農民だけの責任ではないのだということがはっきりしたとすれば、これからあと復旧事業について、国の責任、国の負担、そういうものが変わってこなければならないのじゃないか、こういうことを考えるわけですけれども、その点についての御意見をお伺いいたしたいと思います。
  15. 梶木又三

    梶木説明員 農林省といたしましては、ただいま科学技術庁のほうからもお話しのとおり、やはり自家用ガスにつきましても若干影響はあろうかとは考えております。ただしかし、自家用ガスばかりではなく、やはり海岸沿いの深層のガスにつきましても何らかその沈下に対して加算したという考えはやはり持っております。それで、対策事業につきましては、ただいま申しましたように、自家用ガスにつきましても影響があろうかと農林省としては考えておりますので、三十八年度からは、自家用ガスにつきましても自主規制行政指導を行ないまして、復旧事業につきましては、いままでどおり、六割の補助でもって三十四年以来続行いたしております。なお今後も同様の補助率でもってやりたい、こういうふうに考えております。
  16. 松井誠

    松井(誠)委員 いまの農林省のお考えですと、この平野部地盤沈下原因について、この報告書にもかかわらず、農林省としては依然としてやはりあの第三の仮説というものが正しいという立場をおとりになっておるというように、いまの答弁から理解をしてよろしゅうございますか。
  17. 梶木又三

    梶木説明員 第三の仮説と申しますか、今回の報告書のとおり、加算されているとは考えますが、これが大部分原因とは考えられない、こういうふうに考えております。
  18. 松井誠

    松井(誠)委員 わかりました。さっきのニュアンスでは、浅層の自家用影響よりも、むしろ主としてやはり海岸沿い影響のほうが大きいというように私は受けとったわけですから、お尋ねをしたわけですが、どちらにしましても、しか海岸沿い沈下影響があった。いままでは、そういう原因関係については不明のままでこの復旧事業をやってきたわけですけれども、ここにきて、単に農民だけの責任ではないんだというようなことがはっきりしたとすれば、六割補助というのはそのままでいいんだろうか。つまり、災害が起きた原因について考え方が多少変わってきたとすれば、いままでのままでいいんだろうか、こういう点はどうでしょう。
  19. 梶木又三

    梶木説明員 いままでどおりに実施いたしたい、こういうふうに考えます。
  20. 松井誠

    松井(誠)委員 いままでは、この沈下原因については、いわばいろいろ憶測、推察があったにしても、科学的な結論というものは出なかった、その状況と多少違うのではないかと考えて私はお尋ねをするのですけれども、それは深くお尋ねをいたしません。ただ、その農地復旧事業というもののためにいままでおよそどれくらいの事業費を使い、これからあとおよそどれくらいの事業費を必要とするか、これはほんの概数でけっこうですが、お答えをいただきたいと思います。
  21. 梶木又三

    梶木説明員 ただいま新潟特殊排水として全体計画に立てておりますのは、約四十億でございます。そのうち、三十九年度までに二十六億実施いたしておりまして、約六五%実施いたしております。ただ、この四十億が沈下の全体に対する復旧事業とは考えておりませんが、一応緊急を要するものとして採択いたしておりますのは四十億で、まだはっきり全体をつかんでおりませんが、県からの報告等によりますと、なお百億近くあるという話は聞いておりますが、これにつきましてはどうするかは、いまのところ、この事業緊急分だけがまだ残っておりますので、これを実施しつつ考えたい、こういうふうに思っております。
  22. 松井誠

    松井(誠)委員 念のためにお尋ねしますけれども、いまの四十億というのは、農地部地盤沈下復旧事業の費用ですね。
  23. 梶木又三

    梶木説明員 そうでございます。
  24. 松井誠

    松井(誠)委員 そのうち急を要すると思われるものだけだ。私どもの聞いたところでは、四十億という数字がその後五十二億というように変わったやに聞いておりますけれども、まだそこまで正式にきまってはいませんか。
  25. 梶木又三

    梶木説明員 四十億は、三十九年度予算成立時に大蔵省と話し合いがついた額でございまして、ただいま申されました五十億は、本年度、地震前に、亀田郷の一部を対策事業の中に含めてやろうということで出しておるのでございます。これはまだ大蔵とは最終的にきまっておりません。
  26. 松井誠

    松井(誠)委員 再び資源局お尋ねをいたしたいと思います。  いまお尋ねしておりましたのは、内陸部沈下の過去の原因についてでありますけれども、現在の沈下原因ということになりますと、この報告書では、観測記録から見て、浅層にその原因があることは否定できないという書き方になっておりまして、必ずしもはっきりはいたしませんけれども、浅層に原因があることは間違いないが、しかし、浅層だけだというように必ずしも書いてない。そこで、やはりこの原因についても、浅層以外に沈下が起きているということも必ずしも否定はしないという趣旨理解をしてよろしゅうございますか。
  27. 橘恭一

    橘説明員 現在の内陸部農地沈下は、定量的にいいます場合と、定性的にいいます場合と、両方言う必要があると思いますが、定性的には御質問の趣旨のとおりでございます。しかし、定性的にはそのとおりでございますが、実際の観測記録によれば、ほとんどが百三十五メートル観測井を例にとりますと、それから浅いところがほとんど九〇数%近い、ないしは九〇%、百三十五メートルから深いところの収縮というものは、三百八十メートル観測井カーブと比較してほんのわずかしか差がない。だから、三百八十と百三十五というその二つはほとんど線が同じ。それから今度、八十二というのがかなりカーブが離れて、八十二と百三十五の間で相当収縮がある、さらに八十二と四十との間には相当収縮がある、四十から上も収縮があるということで、量的には、浅層という定義は、一応この百三十五というわけでありませんが、百三十五から上はうんと収縮して、それから下はほとんど収縮していない、そういうことでございます。したがって、純粋にびた一文深いところはないかというような意味ですと、深いところもあるということでございます。ただ単に両方あるといいますと、程度がわからないものですから、両方ありますが、もう深いところは近似的にはほとんどない。観測記録からはそういう解釈でございます。
  28. 松井誠

    松井(誠)委員 術語がよくわからないのですけれども、定性的というのはどういう意味ですか。
  29. 橘恭一

    橘説明員 数字をあげないで両方あるかということになれば、両方ある。それから定量的と申しましたのは、両方あるが、実際にはその度合い、数字的には、もうほとんど観測記録からいって浅いところということでございます。
  30. 松井誠

    松井(誠)委員 定性的には、浅層だけで沈下をしておったのではない。そうしますと、現在の沈下原因について、やはり海岸沿い沈下というものが何かしか――過去ほどの影響力がないにしても、やはり依然として影響があるという考え方も、この結論からは成り立つわけですね。
  31. 橘恭一

    橘説明員 その点は今回のレポートでは積極的に触れておりません。
  32. 松井誠

    松井(誠)委員 積極的に影響があるという表現はないけれども、積極的に否定をするという意味ではないわけですか。
  33. 橘恭一

    橘説明員 レポートには「いずれにしても、現在起こっているこの地域の沈下については、観測記録から見て浅層にその原因があることを否定はできない。しかし、その機構の細部については今後の研究に待たなければならない。」ということで、百三十五より深いところに多少の、ほんのわずかの収縮のある点については、先ほど言った従来の仮説三のものを一応あとを引いていると考えるか、あるいはあとを引いてなくて別の新規の原因か、どっちかになりますが、一応、特に否定しない限りはやはり何かの原因はあるわけですが、それが過去において加算されるかもしれないという言い方しかできなかったわけで、依然として、正確にこの分のあれが何かということは、いまの段階でわからないのでございます。
  34. 松井誠

    松井(誠)委員 ですから、ここには「浅層にその原因があることを否定はできない。」となっておりますけれども、この浅層の沈下がそれでは何かという、これは農民自家用燃料のためのくみ上げだという、そういうところまでは直接には書いておりませんけれども、しかし、ともかくいまのお話では、浅層以外の収縮について積極的に否定はするわけではない。したがって、これは私の理解ですけれども、海岸沿い影響がないという積極的な意味まではこの報告書は持っていないというように理解をしていいか。どうでしょう。
  35. 橘恭一

    橘説明員 そのとおりで差しつかえないと存します。
  36. 松井誠

    松井(誠)委員 それから、いま主として内陸部沈下についてお伺いしましたけれども、海岸沿い沈下についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。  これはいままで何度も調査がされて、もう原因もはっきりいたしておりますし、この報告書でも事あらためて新しいものはないと思いますが、ただ報告書の十三ページの、千二百メートルの井戸と二百六十メートルの井戸との抜け上がり速度の比率が、現在では一〇〇対四〇になっている、この一〇〇対四〇という数字ですけれども、私が計算をしたところでは、一〇〇対三七というようになると思うのですが、これは違いますか。
  37. 橘恭一

    橘説明員 三七に訂正さしていただきます。
  38. 松井誠

    松井(誠)委員 これが一〇〇対三七だということは、常識的にわかりやすく言えば、市街地沈下のうち、三百六十メートルより深いところの沈下が全体の六割三分を占めておる。二百六十メートルより浅いところの沈下が三割七分を占めておる。全体の沈下の中でそういう寄与率みたいなものがあるんだ、これはそういう趣旨ですね。
  39. 橘恭一

    橘説明員 分けてお答えいたします。  浅層部がこの割合であるということは、そのとおりでございます。  それから、趣旨という点でしいて言わせていただけば、ここに書いた趣旨は、浅いところと深いところのその収縮を受け持っている割合が変わったというとでございます。割合が変わったというのは、深いところを据え置いて浅いところが動いても割合か変わるし、それから浅いところを据え置いて深いところが変わっても、やはり割合が変わるわけであります。今回は浅いところが割合がふえてきている。一一が四〇になったというのは、浅いところがふえたのではなくて、深いところが相当に減ったために、浅いところの比率が見かけより多くなって、浅いところは実数はそう変わっていないということであります。
  40. 松井誠

    松井(誠)委員 それはわかりました。  それからもう一点だけちょっと技術的なことをお尋ねしたいのですが、この地盤沈下の付掛の資料に、図表の六というのがあるのですけれども、そこでは六百十メートルの井戸の地下水位というものが最近下がってきておる、ほかのところは必ずしもそうじゃないのですけれども、これが三十七年の終わりごろからだんだん下がってきておる。これは第三次規制以降ちょっと特異な現象だと思うのですけれども、この原因は一体どういうことにあるのか、この辺は御検討にはなりませんでしたか。
  41. 橘恭一

    橘説明員 その点につきましては、この報告のときには詳しく検討いたしませんでした。これは観測してもう少しカーブが伸びたときにおいて検討をしようと思っております。いまの段階ではちょっと、はっきりと、こうだということは検討しておりません。
  42. 松井誠

    松井(誠)委員 私がそういうことをお尋ねするのは、最近こうして地下水位が下がり始めてきたのは、形の上では排水量が一定になっておるということだけれども、しかし実際は、きめられたような圧入――水をもう一度地下に戻すという圧入はないのじゃないか、そういう疑惑が世上あるわけです。それが原因でこういう地下水位の下降という現象が起きてきているのじゃないかという疑惑がありますので、念のために申し上げたわけでありますが、これからあとのこういう調査検討もひとつお願いいたしておきたいと思います。  最後に、この報告書結論でありますけれども、この結論のところに「地下水の利用に当たっても公共的な立場からつねに十分の考慮を払うことが望まれる。」こういう書き方になっておりますが、この十分な考慮を払う必要があるというこのことは、内陸部海岸沿いと両方にわたっての結論というように理解してよろしゅうございますか。
  43. 橘恭一

    橘説明員 まさにそのとおりでございます。
  44. 松井誠

    松井(誠)委員 十分な考慮を払うというのは、具体的にはどういうことを意味するのだろうか、十分な考慮という非常にばく然たる表現でわかりにくいのでありますけれども、ざっくばらんに申しますと、先ほど私が申し上げましたように、伝えられた第一次素案では、広い範囲にわたって適当な措置をとるべきだという表現になっておる。それがこういう十分な考慮という形にいわば後退をしておるわけです。そのために意味がきわめてわかりにくくなっておりましたけれども、これは結局こういうことですか。十分な考慮を払うというのは、いままではよくないのだ、このままに放置しておくわけにはいかないのだという趣旨にとってよろしゅうございますか。
  45. 橘恭一

    橘説明員 この点は、毎回申し上げておる一般論とお考え願いたいのでございます。特に本来こう言うべきところをぼやかしておるというような内幕はありません。
  46. 松井誠

    松井(誠)委員 十分な考慮を払うというのは、一般論としてはそれでいいかもしれませんけれども、具体的にこの報告書をつくって、そしてこの前書きにあるように、これは将来の地盤沈下対策に役立てるのが目的だということを書いてある。それでは具体的にこの地盤沈下対策にこの報告非はどういう形で役立てようとするのか、そういうことでこの結論が出たと思いますから、したがって、一般論が現実に具体的にこの問題に関してはどういうことを意味するのか。いわば野放しではいけないんだ、このままではいけないんだ、そういうことだけでもよろしゅうございますけれども、そういう趣旨にとってよろしゅうございますか。
  47. 橘恭一

    橘説明員 そういう趣旨も入っております。それと、やはり地盤沈下というのは非常に重大な問題であるから、重要視していただきたいということが根本的に入っております。
  48. 細田吉藏

  49. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私は、本年六月十六日に発生した新潟地震の際に、地震の発生した一時二分のときではなくて、その後五時間ほどたった六時過ぎに発生した第二の火災といいますか、この火災の原因その他についてお尋ねをいたしたいと思います。  この火災につきまして、第一の火災は地震を直接原因とするものに相違ないと思うのでありますが、第二の火災が六時半ごろ起きた。これは地震原因とするものではなくて、他の何らかの原因によって発火したものであろうという疑念が地元で高まり、しかもその第二の火災の発生した現場付近を地ならしをして、原因究明の証拠もなくなるといりことを地元の方々が憂えまして訴えてまいりましたので、わが民社党といたしましては、七月の十日に、政府に対しまして、当時第三次池田内閣の末期でございましたが、官房高官の黒金君のところに私参りまして、新潟地震による石油コンビナート地域の火災原因の明確化についての申し入れ書を手交しまして、至急調査方と、それから原因を消滅させるような行為の防止を申し入れたのでございます。そして七月末に私は当委員会において、消防庁、警察庁、通産省等に対しまして、その原因を究明したのでありましたが、まだ調査中ということで、何ら具体的な回答が得られなかった。至急調査をします、こういう答弁だったのでありますが、その後何らの回答もない。そこで、わが党の栗山委員が、やはりこの委員会において、たしか三カ月ばかりたちました十月三日だったと思いますが、その原因に関する調査の結果の答弁を求めたのでありますが、これまた、まだはっきりしないということであったのでございます。これについて、その後、現地の情報によれば、新潟市当局は、この第二の火災は第一の火災とは直接関係がない、別個の火災である、ただその原因については不明確である、こういうような新潟市当局の言明があった、こういうことでございますので、すでにその点調査の結果が判明したのではないかと思うので、この第二の火災の原因について、まず消防庁のほうから御回答を願いたいのであります。
  50. 川合武

    ○川合説明員 お尋ねの点でございますが、確かに再々御要求がございましたわけでございまして、私どもも鋭意原因の究明をいたしておるわけでございますが、現在までのところ、原因につきまして、率直に申しまして不明でございます。出火地点――大体付近だという程度はわかりましてございますが、原因を究明いたします場合の大きな要素になりますところの出火地点が不明でございまして、はなはだ申しわけございませんが、原因につきましてこれをきわめるに至っておりません。
  51. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 出火地点が不明であり、原因が不明だというのでありますが、その新潟市当局というのは消防当局だろうと思うのですがね。別個の火災である、こういうことを言明したというのだが、この点はどうですか。第一の火災とは全然別個の火災である、第一の火災の延焼だ、こう認めない、全然別個のものだという言明に対して、消防庁は一体それを確認しているのか、違った見解を持っているのか。
  52. 川合武

    ○川合説明員 第一の火災と第二の火災との間に延焼関係はございません。この点につきましては、私ども消防庁といたしましてさように認定いたしております。両者の間に延焼関係はない、こういう判断をいたしております。
  53. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 第二の火災は第一の火災と何ら因果関係も延焼関係もない、この発火地点が不明である、こういうのでありますが、地点が全然不明ではない。昭和石油と、三菱金属ですか、その境目であるということは多くの人が認めているのだが、その点も認めないのですか。その点もどこから出たかわからない、こういうのですか。
  54. 川合武

    ○川合説明員 御指摘のように、昭和石油と三菱金属の境界付近であるということにつきましては、私どももさように判断いたしております。大体のところにつきましては判断をいたしております。
  55. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうすると、昭和石油と三菱金属の境界から発生した、ただその具体的な一寸一分違わない地点はわからない、こういう意味と解釈していいのですか。それで、大体何メートルかの誤差はあっても、ここら辺であろうということについての認定は可能だったのかどうか。
  56. 川合武

    ○川合説明員 原因の究明に至りますところの地点という点につきまして不明確でございますが、御指摘のように、大体の、ここら辺だという、いわゆる常識的な場所というものにつきましてはわかっておるわけでございます。
  57. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 その常識的にわかっているこの辺の地点だというところの近いところに、昭和石油のタンクあるいは油の貯蔵設備、そういうものはなかったのかどうか、その点明確にされておるかどうか。
  58. 川合武

    ○川合説明員 ございました。
  59. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 三菱金属のほうは金属工場だから、そういう燃焼可能性のものはあまり多くはなかろうと思うのですが、その付近に昭和石油のタンクその他の油の貯蔵があったとすれば、設備のいい昭和石油の新工場のいろいろな防火設備のあるところでさえも、あの地震によって火災が発生したのであるから、その旧工場のタンクや油類のあるところはきわめて危険であり、その油が流れ出すという可能性も非常に多かったろうと思うのですが、この点のお調べはいかがですか。
  60. 川合武

    ○川合説明員 御指摘のようにいろいろな点が考えられるわけでございますが、私どもの技術的調査によりますと、状況をかように推定するというところまでの確たる証拠と申しますか、確たる状況を把握できないわけでございまして、その点につきまして申しわけないと思っておりますが、事実さようなことでございます。ちょうど境界付近であるということは、これは間違いないのでございまして、いろいろの当時の状況その他からいたしまして、くどく申し上げて恐縮でございますが、原因のこれと思うところの推定まで至らない状況でございます。
  61. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私、先刻申し上げたように、この発火地点と思われる付近をブルドーザーで地ならしをやったり、片づけをやっている、これでは火災の原因の究明ができなくなるから、至急にそういうことをとめさせて、そして火災原因調査するようにということを政府に対してわが党から申し入れをした。それで、消防なりあるいは警察なりで、出火原因あるいは失火罪の問題等から当然そういう問題を調査すべきであったので、もし油が流れ出ておった、施設がこういう状態であったとすれば――焼けたあとだから、なかなかそれはむずかしい点はありましょうが、そこに流れ出た油、もしくは吹き出ておった、機械設備についておったのにすぐ発火しやすいような、そういう状態に現場がなっておったのではないかということを、焼けたあとではありますけれども、焼け残りのものや、燃えたあとの残滓等によって確認できると思うのですが、その点は調査したのかしなかったのか、その点お答え願いたい。
  62. 川合武

    ○川合説明員 この出火付近におきましては、昭和石油、三菱金属は、境を隔てておりますが、続いておるわけでございます。両者の区域ともに油が流れておりますし、また三菱金属のほうにも、いわゆる私どもの言っております危険物等もございましたし、種々さような出火の原因と申しますが、下地になりますようなものはあったというふうに私どもも考えております。
  63. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうしますと、やはり消防庁としても、油その他の可燃性の物質が多量に流れ出ており、それらのものが燃えた形跡があるということでございますが、そうなりますと、民事局長お尋ねしたいのですが、この保険約款には、地震原因とする火災に対しては保険金を支払わないという特約がありますけれども、これは判例等を調べてみると、あまり多く判例はないのですが、大阪地方裁判所の大正五年と昭和六年の判例によれば、地震原因とするというその事実を、免責を受けようとする保険会社が証明する責任がある、挙証責任が保険会社にある、こういう判例があるのでありまするが、具体的な原因ははっきりしないが、地震によって発生した第一の火災の延焼と因果関係もなく、別個にその後五、六時間も過ぎて発生したとするならば、これは地震が直接の原因ではなくて、あるいはそこへ行ってたばこを吸った者があるかもしれぬ、あるいはその他の原因で起こったのであって、油が流れ出たという事実は地震原因とするかもしれないけれども、火の起こった出火というのは地震ではないことになるわけなので、したがって、保険約款のこの免責条項には該当しない、こういうことになる。そこで、保険契約者から保険会社に対して保険金の支払いの請求があった場合には、これは保険会社は支払わなければならぬ。もし支払うまいとするならは、その火災は地震原因とするものだという証明をしなければならぬ。ところが、地震によって発生した第一の火災その他の火災からの延焼でもなく、別個に五、六時間もたってからその火災が起きたとするならば、地震ではない他の原因で――むろん、その条件を地震がつくったことは間違いない思うのですが、火災の原因地震によるものではない、こういうことになります。そうすると、保険会社は支払いを拒絶しようとするならば、それが地震によって起こった、こういう証明をしなければならぬが、この証明は、いま消防庁の調査によれば、原因が不明であるということでありますけれども、不明なものは証明できないから、自然免責を主張することができないようになると思うのですが、この点、法務省の解釈はいかがであるか、お答え願いたいと思います。
  64. 平賀健太

    ○平賀政府委員 一般論といたしましては、普通火災保険約款でございますか、保険約款を見ますと、地震を直接または間接の原因とする一切の損害については、保険会社はてん補の責めに任じないというような、いわゆる地震免責約款がついておりますが、その場合に、保険会社が免責を受けようとします場合には、立証責任は保険会社にある。したがいまして、もしその火災が地震原因するものであるということの立証ができないという場合には、保険会社は損害てん補の責めに任じなければならない、保険金を支払わなければならないということになるのは一般論でございます。ただ新潟地震の場合、私承ったところによりますと、第二の火災によって被害が生じておるということでございますが、その第二の火災の直接の原因は、いま消防庁からのお答えを聞いておりますと、判明しないという。その点だけを見ますと、これは地震とは関係がないとも言えるかとも思うのでございますが、ただいまの消防庁からのお答えにもありましたが、第一の火災を原因としたのかどうか、私はっきり確認しなかったのでありますが、油が二つの石油タンク群の間に流れておった、それに火がついたということに相なりますと、油が流れたのはこれは地震によるものではないだろうか。その油に引火をして本件の火災が起こったということになりますと間接にはなりますが地震とは関係があるということにも相なるわけであります。要するに、本件の問題は免責約款の解釈の問題にもなるかと思うのであります。非常に微妙な問題でありまして、法務省といたしましてこの際どうであるというはっきりした判断を示すことは、ちょっと無責任ではないかというふうに考える次第でございます。
  65. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 地震でタンクの油が地面へ流れ出ておった、こういう状態は地震原因とするものではありますけれども、そのような状態は、地震ばかりではなく、人間がまき散らしても、油がそこにあってそしてそれにだれかマッチでも投ずれば火がつく、それと同じようなもので、この火災を地震原因とするということは、これはちょっと無理じゃないかと思うが、いかかでございますか。それでは、地震でいろいろなものがこわれて燃えやすい状態になった場合にだれかが火をつけても地震原因だということになって、おかしなことになると思うのでございますが、昭和石油の新工場の設備のよいところにおいて発火したのはこの原因がはっきりしないだろうと思うのですが、物理的な摩擦によって火を発したのか、あるいは電気的な原因で発生したのか、そういうようなことであったろうと思うのです。この旧工場の三菱金属との境で発生した火災は、一次に発生した大きな地震で油がふき出て、その後余震が多少あったと思うのですが、その余震でもって火が発したのならば、これは地震原因であろうと思うのです。それとは全然別個であって、あとの余震にはそのような電気的な、物理的な火を発するような原因は想像されないとすれば、これは他の火であって、それを原因として火災が発生したのであるから、地震でこの火が起きたということは非常に無理があると思うのです。この点具体的に新潟の事件と限らずに、この火災を地震原因だ、そして免責の条項に該当する原因だ、こういうことに無理があると思うのですが、いかがでございますか。
  66. 平賀健太

    ○平賀政府委員 具体的な事件につきましては、先ほど申し上げましたように、はっきりした御答弁ができないのでありますが、一般論といたしましては、地震の際に発生した火災であれば必ず地震によるものと直ちに推定されるものではないだろうと思うのでございます。地震の際に、あるいは何時間かおくれて発生した火災、非常に近接した時間内に発生した火災でありましても、やはりほかの原因で火災が発まするという可能性はあるわけでございますが、火災の原因が幾ら調べてもわからない、結局不明であるというような場合でありますれば、地震原因とするということの立証はないわけでございまして、そういう場合には保険会社は損害てん補の責任があるとはっきり言っていいと思うのでございます。  なお、この件に関しましてはあまり適切な判例がないのでございます。先ほど昭和六年の判例というおことばでございましたが、これは実は大阪地方裁判所の戦前の古い判決でございますが、御参考までに御紹介申し上げたいと思います。  この事件は大阪地方裁判所が昭和六年に言い渡した判決でございますが、事件は、大正十四年に兵庫県の豊岡町付近に起こりました地震の際のできごとであります。これは最初の激震の約六時間後に発生した火災でございますが、この保険契約者でありますところの原告の住宅が焼けた、この原告の住宅の火災が地震によるものであるかどうかということが争点になった事件であります。この判決では、大阪地方裁判所は、最初の激震発生後六時間もたっておる、余震があったけれども、余震はたいしたものではない、それから最初の激震によって発生した火事は全部消火されておる、そういう諸般の事情から見ると、地震による火災であるとは認めがたい、むしろ地震とは関係なしに発生した火災ではないかと認められるということで、原告勝訴で、保険会社に対して保険金の支払いを命じておるのでございます。ところが、この判決に対しまして不服でありますところの保険会社が控訴をいたしまして、事件が大阪控訴院に移ったのでございますが、大阪控訴院におきましては、さらに証拠調べをしました結果、実はこの原告の住宅の火災というのは、最初の激震によって発生した火災が飛び火をいたしまして、原告の住宅の近くにありましたわらぶきの農家かなんかでありますが、それに引火をして、それが延焼して原告の家が焼けたんだという立証ができたということでもって、原告の請求棄却ということで一審の判決が取り消された事例があります。  地震によるかどうかということは、こういうわけで非常に微妙な点がございまして、一審の判決が二審で因果関係の立証ができたということで取り消された事例もございまして、非常にむずかしい微妙な点を含んでおるように思うのでございます。でありますから、新潟地震の件につきましても、ただいま消防庁のお答えを私も聞いておったのでございますが、あれだけの事実では、こちらはこれはどうだと言うことは非常に困難ではないかと思う次第でございます。
  67. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 大蔵省から来ておりますね。いまお聞きのとおり、消防庁並びに法務省の事実調査並びに法律の解釈をお聞きになられましても、これは原因しかく明確ではないが、しかし、どうも保険会社は免責の地震原因とする火災だという明確な挙証が困難なようであります。こうなると、保険契約者から保険金の請求があれば、どうも負け、支払わなければならぬ、こういうことになりそうでありますかどうか。ただ聞くところによると、保険会社は二億円か何がしかの見舞い金を地元に提供したということでありますが、この見舞い金を出した事実があるかどうかこれはどこに対して出され、そしてどのようにそれが分配され、罹災者に対してどのようにその見舞い金が渡ったのか、その内容をお聞きしたいと思います。
  68. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 ただいま竹谷先生からお話がございましたように、保険会社が全体といたしまして二億円の見舞い金を新潟地震の被災者に渡したということは事実でございます。ただ、見舞い金の問題は、保険約款の解釈なりその適用なりとは全然無関係の問題でございまして、新潟地震で非常にお困りの被災者に対して、損害保険会社としてこのままでは見ておられないということで、自発的に出した金だと承っております。この金の処置は、私どもも、これは行政の問題でございませんので、はっきり指導したわけじゃございませんけれども、私どもの伺いましたところでは、新潟県、それから山形、秋田のほうにもそういう被災がございまして、それらに対しましてそれ相応に分配いたしまして、個別の被災者に対する金の渡り方につきましては、一切現地の公共団体におまかせする、これは保険契約とは関係ございませんので、どなたに幾ら払うというものではございません。したがいまして、現地しかるべく処理をしていただきたいということでお渡ししたというふうに承っております。
  69. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうしますと、明確になったことは、その二億円は被災者に対するお見舞いということであって、全然保険金の支払いとは関係がないというわけでございますね。――わかりました。  次に、消防庁のほうにお伺いしたいのですが、火災の発生したその場所は不明確だというのでありますが、燃えた状況等から見て、発生したのは昭和石油のほうであるか、三菱金属のほうであるか、もしくは昭和石油の油が三菱金属との境界を越えて三菱金属の敷地内に流れ出たのかもしれませんが、その点もう少し明確になりませんか。その発火地点は具体的に指摘するわけにいかないが、どちらのほうから先に出たのか、その点、もう少し調査中明確にならなかったのかどうか、お尋ねしたい。
  70. 川合武

    ○川合説明員 どうもはなはだ歯切れが悪く恐縮なんでございますが、御承知のように、ちょうどその境界線のところでございまして、どちらの側から先に出たかということは、先ほど申しましたように、その地点の究明ができないわけでございます。
  71. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私がそれをお尋ねするのは、損害賠償の責任がどちらにあるか、昭和石油にあるのか、三菱金属にあるのかという点で非常に重大なので、これが明確でないと非常に困ることなんですが、実は民法七百九条の、不法行為に基づく損害賠償の例外規定である失火の責任は、重過失だけを問われる、軽過失は入らない、こういうことになっている点を明確にしたい目的でこれから質問したいのでありますが、昭和石油にしろ、三菱金属にしろ、ことに昭和石油などは、多量の燃えやすい危険物の油を扱っておる、それが地震によって新鋭のりっぱな工場においてさえ発火したのであるから、まして旧工場のほうは一そう危険が多い。また、三菱金属のほうでも可燃性のある物質をたくさん持っておるから、これまた同様である。そういう業務をつかさどっておる者は、普通の業務より一そうこういう火災に対する、あるいは危険物に対する特別な注意を要求されるのじゃないかと思います。新しい工場においてさえ地震で火災が発生をした。油が流れた旧工場においても同様なことが起きるのは当然だ。それに対しまして万全の警戒なり、いろいろな措置を講じなければならぬ。たとえば、油が流れ出たならば、それを防ぐとか、あるいは引火しないような何らかの措置を講ずるとか、こういうことは当然の業務でなければならぬと思う。それを怠って、地震後五、六時間も過ぎてからそこに火災が発生する。たとえたばこの火であろうとも、あるいは延焼してほかの火が飛んでくるという危険があるのだから、当然の注意義務としてそれらの火災発生予防に関する措置をとらなければならぬ。そういう実情を当然知りながら、また、そういうことに気がつかなければならぬのに、その工場管理者はそれを怠った。これはほとんど故意に近いような重過失ではないかと思う。だとすれば、これは失火ノ責任ニ関スル法律の重過失に該当すると私は思うのですが、民事局長はどうお考えになりますか。
  72. 平賀健太

    ○平賀政府委員 本件の火災につきましては、ただいま竹谷委員の仰せのようなことも一応考えられないわけではございませんが、何ぶんにもこの地震は異常なできごと、不可抗力の結果といたしまして、単に油が大量に流れたという事実がかりにありましても、直ちに昭和石油あるいは三菱金属の両会社のいずれか、あるいは西方に共同不法行為の責任があるかどうかということは、そういうふうに持っていくことはかなり無理があるのではないかという感じがいたします。ことに、第二の火災の直接の原因が、先ほどの話のように、不明であるということに相なりますると、重過失罪ということはなお困難にならてきはしないかという感じがいたします。もっとも、これは具体的な事実関係いかんによることでございますので、大ざっぱな結論を軽々に述べることはできないわけでございますけれども、いろいろな要素をやはり考えなくてはなりませんので、直ちに重過失ありというふうに結論することは困難ではないかという感じがいたします。
  73. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 最初地震はかなり人を驚かしたかもしれぬけれども、あと余震がありましても、たいしたことはなかった。最初地震で新工場が爆発して出火して猛烈になっているときには、工場当局は、昭和石油であろうと三菱金属であろうと、それが延焼してくるのを防ぐ、あるいはみずから発火するのを防ぐ、その他万全の措置を講ずるのは当然なのに、全然放置して顧みない。これは地震のときでなくとも、危険物を扱っておる者、あるいは延焼しやすい品物を扱っている者は、普通でも大きな注意が要求されるのは当然である。それをほったらかして、たばこの火か何の火かわからぬけれども、そういうものが発まするのを防止しなかったということは、重過失ではないか。これはいまここで民事局長がはっきりした明言をすることはなかなか困難であることはわかりますけれども、そこで私は警察にお伺いしたいのだが、これはそういうことによって非常な不注意があったということで失火の責任があるじゃないか、そういう観点から失火罪の疑いでいかなる捜査をしたか、現在どうなっておるか、お尋ねしたい。
  74. 高松敬治

    ○高松説明員 警察のほうで捜査しましたことを概略申し上げます。  発火地点につきましては、先ほど消防庁次長のほうからお話がございましたが、警察のほうでもいろいろ調査をいたしましたが、特定の個所を確認することはでさません。大ざっぱに申しまして、昭和石油の旧工場の三十三号ガソリンタンク、これは最初に燃えたタンクですが、そこから新潟アスファルト工場をはさんで三菱金属構内の銅の電解工場までの間、これは先般のこの委員会でも御報告申し上げましたのですが、それよりもどうしてもその範囲を縮めるだけの材料が出てまいりません。大体その範囲に考えるより方法がないということです。  それで、あと、明確になっておりますことだけを若干申し上げますと、第一に、三菱金属の中にあります倉庫から何か可燃物があって発火したのではないか、この点につきましては、いろいろ調べましたが、苛性ソーダその他のものがいろいろございましたけれども、いずれもこれが水または油によって熱を出す、発火するというふうなものは、自然発火の危険性は認められないという結論に一応達しております。  次に、三菱金属工場の中にあります還元炉、焼結炉あるいは酸化炉というふううな各種の炉があるわけでございますが、この炉につきまして調査いたしました結果は、地震発生後間もなく電気、ガスの供給がとまっております。炉はかなりの高温でございますけれども、五時間後、つまり第二の火災のできる時間までの炉の熱のさめ方の計算をしてみますと、五時間後には約百五十度ないし七百度程度という計算になってまいります。そういう推定で考えますと、耐火れんがでございますので、これにたとえば流出したガソリンが触れましても、炎がありませんので燃える可能性は非常に少ないというふうに考えます。  それから新潟アスファルトの中にもを熱出すものがないかということになりますが、これはちょうど重油コックを最初地震の際に遮断しておることが確認されております。それからまた、冠水が一番ひどいところでございまして、そういうものの冷却もあったようでございます。  それらから推定いたしまして、ここからの失火もまずないというふうに考えております。  で、先ほど来お話がございましたけれども、三十三号ガソリンタンク、約千キロリットル入るガソリンタンクでございますが、それが推定在庫重が九百六十四キロリットルという、その規定の四インチ――十センチくらいですね――四インチ送油パイプが地震によって切断して、そこから油が出ていることは事実でございます。それが地震で噴出した地下水と一緒になり、非常にあの付近を流れまして、航空写真から見た判断でございますが、約二万平方メートルぐらいの広さになっております。これがかなり蒸発、気化して燃焼し得る状態にあったということは十分に認められます。ただしかし、第一の火災と第二の火災と――そうすると一体第二の火災の原因は何かということになりますが、これについては、積極的にこれだと断定し得るものは私どももとうとう発見することができませんでした。目撃者その他いろいろ百人ばかりを調べまして今日まで慎重にやってまいったのでございますけれども、結局は第二の火災の原因というものも明確にすることが警察側としてもとうとうできません。で、第一と第二の火災の間に何らかの関係があったということはいろいろ考えられますけれども、いずれも一つの仮定でございまして、積極的にこれを論証できない。したがいまして、失火罪につきましても、現在までの捜査の結論といたしましては、過失による失火の容疑を認めることは困難であるというのが今日までの結論でございます。
  75. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 タンクの油送パイプが破けて油が流れ出して、それに地下水がまじって二万平米の区域に広がった、こういうのですが、二万平米というその区域は、昭和石油と三菱金属の敷地内であるか、それよりもっと広がった・・。
  76. 高松敬治

    ○高松説明員 含んでおります。
  77. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 だとすれば、それらの工場は、当然、自分の工場内の危険な状態について、火災の起こらない、あるいはその他の危険が発生しないようになすべきでなかったか、そういう何らかの処置を講じたのか、全然放任してほったらかしにしていたのか、その点いかがですか。
  78. 高松敬治

    ○高松説明員 当日は、津波その他の問題もございますし、火災の問題もございまして、人は非常に少なかったようでございます。われわれのほうで目撃者あるいは第二火災が起こったときの関係者をいろいろ確保しよう、関係者について調べようといたしましたが、その付近に居合わせたという人は非常に少のうございまして、それを発見するのに苦労したような状態でございました。ただ、失火の問題につきましては、やはり火災の原因がいまのような状況でどうしてもつかめないということになってまいりまして、こういう状態では、ただそれを怠ったから直ちに失火罪だというふうなわけにもまいるまい、こういうふうに考えております。
  79. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 工場の責任者がああしろこうしろというような手配をした形跡もなかったのかどうか。
  80. 高松敬治

    ○高松説明員 その辺は残念ながら報告を受け取っておりません。
  81. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 それは調べていただきたいですね。措置をとったかもしれない、相当の措置をとったが、津波の危険もあり、また人も集まらぬで、十分の努力をしたにもかかわらず、発火をとめるようなそういう防護措置を講じ得なかったという不可抗力があれば別ですが、そういうこともないのに、そんな指令も一つも出さない、ただ拱手傍観して見ておった、それは私は過失があった、こう考えるのですが、その点もっと突っ込んで御調査を願いたい、こう思うわけであります。  次に、民法七百十七条に、工作物を施設する者が、その施設の維持保存等の不都合のために他人に損害を与えた場合には、損害賠償の責めに任ずるという規定がございますね。いま警察庁当局の言明によれば、三菱金属並びに新潟アスファルト、これは失火の原因がなさそうであるという調査のようでございます。だとすれば、昭和石油のタンクから流れ出した二万平米に広がったその油並びに揮発したガス、これが火を呼ぶ原因になったという事実は明確のようでありますが、そのような流れ出した施設の維持及び保存に該当するかどうか、これは疑問がありますが、それらが他人に損害を及ばさないような措置を講ずる義務があるのじゃないか、その義務を怠って失火をして他人の民家にそれが延焼して三百数十戸の人家を焼いたということになると、その延焼した、そして被害を受けた人たちから、七百十七条の損害賠償の請求がある、そういうときに、その七百十七条が適用され得るかどうか、御見解を承りたいと思います。
  82. 平賀健太

    ○平賀政府委員 民法七百十七条にただいま仰せのような規定がございます。これはこういう施設の設置者に過失があったことは必要ではないので、客観的にそういう欠陥があれば、その欠陥によって損害を生じた場合は、その施設の設置者あるいは施設の所有者の過失の有無にかかわらず責任があるという、無過失損害賠償責任に関する規定であるわけでございますけれども、本件の場合でありますと、やはり異常な地震という不可抗力が介入してきておりまして、あとからになりまして、こういう地震を予想してこうしておけばよかったという技術的な欠陥がかりにあったといたしましても、はたしてそれによってこの七百十七条の瑕疵があったと言うことができるかどうか。この瑕疵というのは、通常の事態を予想しまして、その事態に備えるための、当時の技術的な基準によりまして、これならだいじょうぶだということで設けられておった施設でありますれば、後日激震というような異常な事態のために損害が生じたということになりますと、直ちに七百十七条の瑕疵と言えるかどうか、この点はかなり疑問であるように思われるのでございます。この件について思い出されますのは、先般、例の伊勢湾台風の際に、あの堤防が弱かったということが問題になって、国家賠償の問題ということも議論になったように記憶いたすのでありますが、ああいう異常な台風、高波というような事態が起こったあとになりまして、堤防がもっと強かったら、あるいはもっと高かったらこういう事態は起こらなかったであろう――因果関係が一見あるかのように見えますけれども、やはりそうではないのでありまして、瑕疵というからには、今回のようなああいう激震という、いかなる不可抗力が生じてもそれに耐えるものでなくてはならないというほどのものではないように私どもは解釈すべきではないかと思うのでございます。
  83. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 施設の瑕疵の問題ですが、第一の火災の発生した昭和石油の新工場の場合は、何かそういう非常事態が起きた場合には、私しろうとですからよく知りませんが、火を消すような、あるいは防ぐような、ガスか何かで全部油をおおうような設備もあり、それを何か電気じかけでやる、ところが、送電がとまって電気がつかない。そういう場合には今度は自家発電の設備があったそうですか、その自家発電がまた地震でこわれてできないということで十分の防火処置ができなかった、こういうことでございます。ところが、油送管が地震で破れて油が流れ出した。そしてどうもそれが原因らしいのでありますが、これは新工場のタンクに比べればはるかに簡単な装置でそういう油の溢出をとめ得たろうし、また、とめ得ないで出たものに対しては、今度は防火の装置もやり得るのであるのを、怠ってやらない、そうして火が出たということになると、どうもぼくはこの七百十七条の適用が起こってくるのじゃないかと思う。  昭和八年五月十六日の判例ですが、こういうのがあります。「水力電気会社ノ設ケタル三千五百ボルト高圧線ノ電柱ノ一部ハ稍久シ以前ヨリ指頭ヲ以テ剥離シ得ル程度ニ腐朽シ之ニ取付ケアル腕木モ亦傾斜シ為ニ電線ハ容易ニ電柱ト接触シテ漏電発火シ易キ状態ニ在リタルトキハ当該会社ニ重大ナル過失アリタルモノト認ムヘキモノトス」というような判例がある。新工場のタンクにはそのような二重の装置までして防火の設備をしてあった。しかるに第一の地震が発生した。ところが、第二の火災の発生原因と思われる旧工場の三十三号タンク、それはずっと設備が悪い、しかもそういうものが油送管が破れて油が溢出した、こういうことになりますと、これはどうも施設すべき施設が十分でなかった、こういうので、これはこの水力会社の電線の接触によって発火した、これと同じような施設者としての責任があるように思いますが、いかがですか。
  84. 平賀健太

    ○平賀政府委員 ただいまお話のございました昭和八年の大審院判例でございますが、そういう事件は、まさしく民法の七百十七条の規定によって適用される事案だと思います。通常の事態においてたとえば施設が腐朽する、自然の消耗によりましてそういう事故を起こすというような場合でありますと、これはまさしくその工作物の保存について瑕疵があったということで、たとえその施設を維持管理しております者に過失がなくても責任が生ずるのでございますが、ただ本件の場合には、そういう通常の事態において自然の経過によって施設が不備になったというのではございませんで、地震という異常な不可抗力、いわば天災地変によってそういう結果になったということでございますので、あとからになりまして、こうしておけば万全であったということがはっきりいたしましても、直ちにもって七百十七条の瑕疵がありと言い得るかどうか、私もこの事件についてはっきりした結論を出す勇気はないのでございますけれども、こういう不可抗力が介入したという点は、よほど重大な要素としてこれは考えなければいけないのではないか、七百十七条が直ちに適用ありと言い得るかどうか、非常に疑問であるように思われるのでございます。
  85. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 もう一言民事局長お尋ねしたいのだが、大体、三菱金属または新潟アスファルトではなくて、昭和石油のほうの流れ出た油が第二の火災発生原因であるように推定されますけれども、こういう場合に、昭和石油と三菱金属両方を共同被告として、そしてもし損害賠償の責任が加害者のほうにありと仮定した場合には、一体共同被告で半分ずつとかなんとかということは訴訟上可能ですか、それを伺いたい。
  86. 平賀健太

    ○平賀政府委員 発火の原因がかりに不法行為が成立すると仮定いたしまして、不法行為の原因を与えたのがAかBかわからない、AかBのいずれかであることははっきりしているが、AであるかBであるかわからないというような場合には、共同不法行為ということが考えられると思うのでございます。これは民法の七百十九条の規定が適用される場合があり得ると思います。
  87. 高松敬治

    ○高松説明員 ちょっと私の先ほどの説明を補足させていただきたいと思いますが、三菱金属の資材倉庫と各種の電気炉からの出火は可能性が非常に少ないということを申し上げたのであります。あの地域は油がたくさん入っておったわけでございまして、それ以外に何かそこに出火の原因があるのか、一番発火しやすいと思われるものについては、そういうことの可能性は非常に少ないということを申しましたのですが、それでは三菱金属のほうにたとえば出火の原因が全然なかったかどうかということになりますと、ちょっと判定しがたい、その点、ことばが足りませんでしたので、補足させていただきます。
  88. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 事件発生後もう五、六カ月たってしまっておるのでございますが、消防庁並びに警察庁は、これで原因調査並びに事件の探求を打ち切ったのかどうか、今後も継続してやるのかどうか、きわめて不明確な点が多いのでありますが、その方針がどうなっているか、お聞きしたい。
  89. 川合武

    ○川合説明員 今後も継続いたしたいと思います。
  90. 高松敬治

    ○高松説明員 今後も新しいものをできるだけ発見するように努力していきたいと思いますが、いままで半年以上もやりましてこういう状態でございますので、新しい状態の発見というようなことはなかなか困難であろうというふうに思います。
  91. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 警察庁も消防庁も、それぞれ近代的科学的な捜査並びに調査能力を持っているのでありまするから、ぜひ原因をすみやかに明確にしていただきたい、一そうの努力を願いたいと思うのであります。政治的な面やなんんかを考慮することなく、真に真実を探求するために万全の努力をしていただきたいと考えます。  それでは一応私これで終わります。
  92. 細田吉藏

    細田委員長代理 栗山礼行君。
  93. 栗山礼行

    ○栗山委員 いま昭和石油の旧工場の火災によるものを第二火災と言っておられましたね。この昭和石油の火災について、いま竹谷委員も御質問申し上げたわけでありますが、重複を避けまして、三、四点、消防、警察、それから私は通産省の石油課長をお呼び願っておったのでありますが、きわめて重要性を持つ公害上の問題といたしましてお尋ね申し上げたい、このように考えておるわけであります。  新工場のいわゆる火災の原因というものについては、私どもの伺う範囲においては、タンクの浮き屋根が地震によって内壁と摩擦して過熱発火の一つの要素になったといわれておる。二番目には、地震の衝撃によりまして原油がゆれて静電気を起こした、それが第二の原因だ。こういうことで直接震災によりますそういう発火原因という事態が発生した。第二の昭和石油の、あるいは三菱の出火の問題については、きょうで約二百日、相当長期にわたって、この問題が今日の委員会でなお原因不明、こういう御答弁をいただくという残念な経過になっております。ただし、質疑を通じて明らかになりましたことは、第一次火災と第二次火災というものについて、直接及び間接的にこれが関係のないいわゆる原因不明の火災である、こういうことで消防庁の次長の御説明を聞いていたのでありますが、私の認識の概念に誤りがあるかどうか、ちょっと・・。
  94. 川合武

    ○川合説明員 そのとおりでございます。
  95. 栗山礼行

    ○栗山委員 そういたしますと、第一次火災との直接間接の関係はない、いわゆる地震という事態からはその関係を持たざる一つの火災であって、その火災についていろいろ捜査及び調査をいたしておるけれども、残念ながらその発火原因について不明なんだ、こう理解をいたしましてようございますね。
  96. 川合武

    ○川合説明員 お話のあや――あやと言うとはなはだ恐縮でございますが、あけすけに申しまして、私ども、第一と第二とは関係がない、いわゆる延焼の関係はない、こういう判断をいたしておりますが、第二の火災につきまして、申しわけございませんが、原因の究明ができませんので、その点については、第一とは関係ないけれども、地震と全然関係ない、こうまでは――原因がわかりませんものでございますから、はなはだ歯切れが悪うございますが、そこまではちょっと言いかねる、こういう感じでございます。
  97. 栗山礼行

    ○栗山委員 そのところが最も核になる一つの問題だと思いまして、私はわかりませんというところに一つの分析を行なうことが必要だと思うのであります。本来申しますと、時間がありましたら、今日わからないということについて、どのような調査をされて、そして今日わからないという一つの経過の報告を詳細に求めなければ、わからないという意味そのものについても私は実はわからない、こういう理屈を申し上げなくてはならぬほど、ここに問題があろうかと思います。警察庁の一つの捜査の段階におきましても同様のことでありまして、はなはだどうも政治的といいますか、あるいは人知及ばざるものとして不明なんというようには解せられないものがあるのでありまして、やはり警察捜査の一つの過程を通じてこういう一つの内容を持つということにならなければ、ちょっと理解いたしかねるような御答弁を受けておる。そうかと思いますと、いま消防庁次長が竹谷委員の質問に対して、なおこれから捜査を続ける、こう言うことは、何を意味するのか。私は、やはり今日までの時間の経過というものそれ自身がもうすでに迷宮に入るのではないか、こう考えておるのでありますが、そういたしますと、いままでの日子というものが、どういう一つ調査及び検討の上で不明であり、今後も続けることによって、どういう内容を新たに検討することによって、こういうふうな問題を、また原因究明の端緒を聞くかもしれぬ、こういうふうに、やはりものには論理と一つの体系があろうかと思うのでありますが、その体系を示さずして御説を伺っておるところに、やはりこの問題の本質的な問題がある、私はこう考えるのです。御承知のとおり、新潟震災のときの火災というものは震災火災だ、こういうことで世上一般が認識いたしましたのと、報道がそのように報道されたことは事実なんでありますが、その内容を検討いたしてみますと、もっとこの火災原因というものを広い意味において明らかにすべき問題を非常に残しておるように考えます。  私は消防庁次長にお尋ねいたしますが、私の資料が誤りでありましたらお許しをいただきたいと思うのでありますが、第一火災におきまして、いわゆる直接震災による過熱発火とか、あるいは地震の衝撃で静電気が起こりまして火災が起きた、これについては、こういうことじゃないでしょうか、一般民家はわずか十三世帯、罹災者五十九人、千二百五十三平方メートル、ほかに若干事務室、倉庫、こういうものが五棟、きわめて不幸中の小さい罹災関係で終わっておる、こういうふうに私の資料では承知いたしておる。しかし、あの大きな石油によります火災についても、もっと中心をなすものは、六時間後に起きました第二火災における問題じゃなかろうか。その工場が百五十棟、四万一千四百八十四平方メートル、一般民家が二百五十三棟、三百三十四世帯、二万二千二百五十六平方メートル、その権災者千四百三十二人、こういうふうに私の持ちます調査資料の上でなっておる。私はこの数字の一、二を論議するのではありませんが、火災の重点がどこにあったかということは、第二火災というものがその火災の中心的な一つの内容を持っておる。しかもそれは、震災による火事だ、こういうことじゃなくて、六時間後に相当の距離を隔てておる昭和石油の旧工場の火災である。こういうことから見ますと、この問題は、地震によるか、あるいは原因というものは那辺にあるかということについては、単なる罹災者とか、あるいは単なる起きた一つの事態についてその真相を究明するよりも、石油コンビナートにおきます今後の公害、防災、こういう諸点についてこれを徹底究明するというところに大きな重点を置いて、消防庁なりあるいは通産省なり、また警察のほうにおきましては、先ほど論議されておりますが、これが震災によるか、あるいはその他の過失及び重過失によるものであるかどうかというようなことも、やはり捜査としては、そういう意味において相当の重要性を持ってくるのじゃないか、こういうふうに考えて、私は、この問題は日本の産業経済の問題に特質を持つ震災とこれらの人災的関係をどう見るか、こういうところに観点を置いてこの問題をいろいろ質疑を申し上げておる。こういう御認識をいただいて、私のいま申し上げました数字上の若干の問題は別といたしまして、この新潟震災による火災というものは、第二火災の最もそれが中心的なものを、世上、ああ新潟の震災の火災なんだ、こういう取り上げ方をいたしておりますところに一つの問題があろうかということが中心であります。何でもかんでも天災的条件によって、しかもその中に足らざる人災的なあるいは過失的要素というものをそれによってカバーする、あるいは逃避するというようなことであれば、大きな間違いが起きるのじゃないか。震災ということによって人を殺し、あるいは大きなあやまちを犯したということは、震災だから、こういう姿で済ませるものではないんだということで、これはもっと科学的に、合理的に、知性ある検討を要する問題じゃないか。一保険の関係とか、あるいは罹災者の損害上の問題ということから、地元でもこの問題が重大だ、そういう意味における重大のウエートを置かれて私どもの質問にお答えを政治的にされるということについては、私は、国会の場としてひとつ考えを新たにしてもらってこの問題の解明に協力するという立場をとってもらわなくちゃならぬのじゃないか、こう考えるのですが、消防庁の次長なり捜査第一課長の、私の愚見についての見解をお尋ねを申し上げたい。
  98. 川合武

    ○川合説明員 私、お話を承りまして、全く御指摘のとおりで、私どももまた、今後の防災の行き方についてそのとおりつとめなければならないと感じたわけでございます。はなはだきざな言い方でございますが、私ども防災に携わっております者は、天災というようなことばは使わないつもりでおります。今回の新潟地震におけるところの火災は、むろん、消防の法規でいろいろ規定いたしておりましたところのものがございまして、それらとの関連を考えましたときに、地震にも耐え得る組織というものをわれわれは考えていかなければならない、少なくとも足らざるところを反省して今後考えていかなければならない、かようにも考えています。私どもの原因調査究明は、これは主として今後の予防のためのいしずえをつくる点にあるわけでございます。ことに第二火災が多くの民家に燃え移ってあのようなことになりましたことを思いましたとき、第二火災の原因について、正直のところは、先ほど警察のほうからもお話がございましたように、私どもとしましての現段階におきます調査のいろいろなことは全部やり尽くしたということなんでございます。でございますから、ある意味におきまして、良心的に申せば、もうこれでやり尽くしたのだと申し上げるほうが当たっているかもしれないとも思うのでございますけれども、私、事の重要性から考えまして、なおねばり強くやっていくべきじゃないか。長い時間を使いまして恐縮でございますが、大体御参考に申し上げますと、火災は年間五万件ございますうち、七、八%は原因不明という統計になっております。しかし、今回の火災につきましては、何とかまた角度を変えてでもいろいろ努力をしなければならない問題が残っておると、かように考えておるわけでございます。
  99. 高松敬治

    ○高松説明員 私どもも、いま栗山委員の申されたように考えております。私どもの仕事は、ともかく事案の真相を明らかにするというのが一番の仕事でありまして、ほかの要素につきましては当然考慮すべきことじゃないと思います。原因が第二火災については不明だということを申し上げましたが、不明だということを申し上げるまでにはいろいろの過程がもちろんあるわけでございます。それで、そういうプロセスをいろいろ検討しまして、それでもどうにもならない、たとえば第一火災から第二火災に火が飛ぶということがあり得るかどうかということも、これは一つの仮定としては大きな問題でございます。大体第一火災のところから第二火災まで距離にしまして約三百メートルございます。風は北々東の風ですから、ちょうど風下になるわけでございます。風速は当日毎秒当たり四・三メートルである。そこで、蒸発した、燃焼限界に達しているガソリンと空気とが混合したガスがちょうど風下のほうに流れていけば、発火する可能性はあるのではないかというふうな見解も当然出るわけでございまして、私の部内ではそういうふうな意見もかなり強いのでございます。ただ、これも確定的にそれと断定できない。第一火災のところの火焔は、直径にいたしまして約二百メートルあると推定される。そういう大きな火災があって、そこへ空気が舞うわけでございます。そういうふうな状態で、あるいは同じ湿度の状態で起こり得るかどうかというのは、ちょっと実験のしようもありませんし、あるといい、ないといい、その辺の断定は非常にむずかしいことになろうかと存じます。とにかく、御指摘のように五時間たってからあとで起こった火災ですから、何か原因がなければいけない。普通の火災で火の粉が飛んだというような状態でないことは明白であります。火の粉が飛ぶなら、それまで燃えておるというのが常態だろうと思います。そういう点からいけば、非常にむずかしい条件がそろっていまして、それから、非常に広い地域のことでございまして、むずかしい条件がそろっていまして、そのために、あるいは再実験するというよりなことができませんし、明確な結論が出ないのだと思いますけれども、そういう事情もありまして、いまのところ残念ながら確定できない。たとえば火が飛んだのを見たという者があれば、非常にそういう仮説の確定にもなるわけですけれども、そういう目撃者も現在のところない、こういう状態でございまして、なお、今後新しい事実を発見することは、私は非常にむずかしいと思いますが、かなり力を注ぎ尽くし切った感じがいたしますけれども、できるだけ現地のほうもそのつもりで今後も仕事をやっていくと思うのです。私どものほうといたしましては、特に何かほかの意図があって原因があって原因が不明だということを申し上げておるわけじゃございませんのでいろいろやりましてなお結果が、申しわけございせんけれども、この程度のことにしかなりません。こういう御報告になろうかと思います。
  100. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、申し上げましたように、可能の限りを尽くしてこれの原因究明について事態の処理と今後の災害に対処するという立場から取り組んでいかなくてはならぬ。しかし、今日の時点ではお手あげだ、そして私どものような見解を持ってなお今後持続されるという一つ考えをうがい知ることができない、いわゆる事務的にたいへんな問題だし、残っておる問題だから努力するのだ、こういうかっこうでこれを済ますというところに、これはメイファーズでありまして、処置なしという感がいたしますので、このことを申し上げたいのであります。いやなことを申し上げるようでありますが、消防庁次長と捜査第一課長にお願い申し上げるのでありますが、私は、これでわからぬからしようがないな、こういうことだけで済まされる問題じゃないというふうに考えておりますので、どのように消防庁がこれの報告を受けられてそれについて、国会論議になりましてどう対処されたか、こういう経過の処置を、委員長の手前まで――これはことばで一々伺うことはどうかと思いますから、文書を提起していただくことの御了承をいただけないか。警察の捜査のほうも、科学的捜査等もということを含めて御答弁されておるわけでありますから、天下のわが優越な警察が科学捜査においてどういう基準と内容と方法でこれを捜査されてきょうのこういう報告になるかということについて、ひとつ文書での御報告を御快諾を願えれば、私、これからの質問の点を変えて進めてまいりたい、このように考えております。
  101. 細田吉藏

    細田委員長代理 それでは、ただいまの栗山委員資料につきましは、消防庁並びに警察のほうで御用意をいただき、御提出をいただきます。
  102. 栗山礼行

    ○栗山委員 通産省の石油課長の問題が実は所管関係として非常に重要性を持つ問題でありましたので、お願いをいたしておいたのでありますが――それからちょっと御参考までに捜査課長に申し上げておきますが、御承知のとおりだと思います。形式的な文書をいただくということよりも、先ほど申し上げましたとらえ方からいっても究明せなくてはならないという要素があるということと、それから今日までの経過処置をながめてみますと、保険協会及び商工会議所、県側によりますこれが一応の見舞い金ということで処置をされた。そのことは、先ほど大蔵省のお話を伺って私は安堵したのでありますけたども、現地の解決した人の考え方というものは、いわゆる政治的解決だ、これが解決かのごとき理解を持っていらっしゃる。それがまた反動化いたしまして、そのような処置をされるということについて、羅災者なり被害者は、このことについて明らかにこれに対処していこう、こういう運動の発展をいたしておることは事実なのであります。御承知のように私は塚田知事にも会いました。地方行政委員会としての行政視察にも参りましたので、この問題も別の角度から少し触れたのでありますが、もうたいへん心配を受けました、三機関一任するということになりましたので、あの問題はおかげで解決いたしました、私は塚田知事にこういう話を直接聞きまして、これは事態の内容を非常に政治的に処理されておるという感を受けました。ごく最近、県会でもまたこの問題を通じて論議がされておると私が思うほど問題が提起されておる。特に、警察異動が行なわれましたり、あるいは三菱や昭和石油の関係者が直後にやはり人事異動というようなことで、この問題の究明困難な一つの回避戦術をとられたというのは、私が書類を提起するほど実は材料を持っておる。その意味されるところは何かと言うと、局地的な利害関係、三菱と昭和が、私が参りましたら、両方とも悪口を言い合っておる、そうして責任の回避をしておるということは、何を意味旅するかというようなことで、いろいろ考えられる内容等があるわけであります。私はそれの真実を存じないのでありますけれども、あまりにも一つの問題が提起され複雑な要素を持っておる。こういうことから見ても、この問題についてできるだけ事実を明らかに示すということが解決の方向でないか、こういうことも、たいへんぜい言でございますけれども、私は内容を持っておるのでありまして、その意味からの文言提起をひとつお願い申し上げたいと思うのであります。  それから、大蔵省の中嶋さんにお尋ね申し上げますが、私はちょっとあなたに苦言がある。この前の委員会で、まだ原因不明という捜査の過程において、ああなたは何ものかを擁護するような、いわゆる第二火災については、直接であろうと間接であろうと、震災による一つの火災である、こういうやや断定的解釈論で答弁されておる。私は速記録を持っておるのですが、いやなことを申し上げますと、あなたは主観的にそうお考えになったのか、どういう根拠をもっていやしくも委員会でそういう御答弁をなさったか、この点をひとつ伺っておきたい。
  103. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 最初に栗山先生が申されました点につきまして、ちょっと補足して御答弁いたしたいと思います。非常に大事な点でありますので、申し上げたいと思います。  先ほど竹谷先生の御質問に対しまして、二億円の見舞い金のことを申し上げました。その際に、これは保険契約の実行であるとか、その解釈の問題をこれですりかえる問題であるとかいうことでは全然ないということを申し上げたつもりでございます。したがいまして、二億円の見舞い金は、保険会社と保険契約者との間の契約関係あるいはそういう適用関係に全然関係なく、一般の被災者に対して非常にお気の毒であるということで、その配分も地方自治当局へおまかせしたわけでありまして、契約者層だけにこれを配るとかいうようなことではございません。この点ははっきりさしておきたいと思います。したがいまして、保険契約上払うべきであるかという点とこの見舞い金とは全然無関係であるということを、くどいようでございますが、もう一度申し上げておきたいと思います。  それから、第二のおしかりをこうむった点でございますけれども、もし私が当然これは免責条項に適用になるから払うべきでないというふうにはっきり申し上げたのでございますれば、これは少し私言い過ぎだったと思います。しかしながら、現在のところ、ただいままで消防庁、警察のほうで原因をいろいろ御究明になりまして、その結果は、いろいろな過程があったけれども結局はこういうことであるという御答弁があったわけでございますが、そういう原因究明の過程を通じましても、やはり直接間接に地震に基因する火災並びにそれから延焼したものについては免責であるという保険約款の適用について、保険会社がそういう主張をしておる、これについて、それが間違いであるからお払いなさいということを、公権力を持って私どもがいま申し上げる段階ではない、こういうことであるということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  104. 栗山礼行

    ○栗山委員 通産省の石油課長にお越しをお願い申し上げておったのでありますが、いろいろ手違いが起きまして、急遽お越しをいただいたのでありますから、私がいままで御質問申し上げておることについて御了解しにくいと思いますが、私があなたにお尋ねを申し上げます点は、御承知の新潟震災について、災害対策委員会で私のほうの竹谷委員が御質問申し上げております。それについてお答えをいただいておりますことは御承知のことかと思うのであります。いわゆる新潟の第二火災の問題につきまして、一つはこれの火災原因、それから第二は、新工場で震災による火災があったわけでありますから、それについての防災処置をどのようにされたか、それから工場の防災構造としての設備内容はどうであったのか、こういうことです。第二火災がいわゆる新潟の震災火災の中心的な一つの火災の内容であったことも、これはもう御承知のとおりでありますから、これは省いてまいるわけでありますが、竹谷委員が御質問をいたしました中に、あなたのほうでも保安対策会議という研究の会議体までつくって石油コンビナートにおけるそれらの諸般の科学的な検討をして対処しなくちゃならぬ、こういうことで取り組んでおるので、せっかくいま調査団も数次現地に派遣をして調査をいたしておる、できるだけその成果を待って委員会に御報告できるということにいたしたいと思うが、いまの段階ではそういう過程なので、ひとつ御承知を願いたい、大体こういう御答弁をいただいておると文書で承知をいたすのであります。私は、この前に竹谷委員が質問をいたしまして、十月二日に再度この問題で警察、消防庁及び通産省に、百一日を経過してこれについて調査の段階を報告されないということについて、非常に無責任怠慢じゃないか、こういう究明をいたしましてお尋ね申し上げたのでありますが、残念ながら通産省は私の招きにお越しをいただけなかったというような、少しストライキを起こされた経験があるわけなんです。今日まで御承知のとおり百八十一日、こういうふうにこの問題が長期にわたって、いまあらためて誠意のあるその後の調査の内容を伺いたい、こういうことで警察、消防庁にお伺いしておったのでありますが、石油課長にも、いま申し上げましたような点から、ひとつ権威のある、将来に対処する公正な一つの立場から御調査になった経過をつまびらかに御説明いただきたい、こういうことでお越しをいただいたわけです。お尋ねをいたします。
  105. 斎藤英雄

    ○斎藤説明員 先般御答弁申し上げました時点におきまして通産省に保安対策会議を設けまして、それでいろいろ諸般の状況あるいは対策調査審議しておるということをお話し申し上げました。その後数回にわたりまして、各分科会を設けましたり、あるいは総合部会を設けましたり、並びに、新潟にさらに第二次、第三次の調査団を派遣いたしまして、いろいろ調査いたしたわけでございます。しかしながら、われわれ通産省の立場といたしまして、もちろん原因の究明ということはやらなければいけないことでございますが、この保安対策会議の一番主眼といたしますところは、そういうふうな発火の内容なり数焼の模様なりを調べるとともに、そのときの状態において、そういうふうになったときに、どういうものがどういうふうに危険があるのか、危険がないのかということを、むしろ今後の災害防止という観点から調査をしようということでいろいろ調査をいたしたわけでございます。  それで、この昭石の新潟製油所の旧工場の火災の原因でございますが、私どもは状況を一応いろいろ調べたのでございますけれども、結局、六月十六日の十八時ごろ、第一工場の原油タンクが燃えましてから相当時間がたって発火をしたということが、当時その付近におりました従業員その他によってはっきりしておりますが、ただ、それがどういう状態で、どこから火がついたかというようなことにつきましては、われわれのほうは的確な結果を得ていないのでございます。したがいまして、われわれのほうは、なおそれ以外に、いま申し上げましたように、結局その場合におきまするところの災害対策についてどういうふうな措置がとられておるか、どういうふうになっておるかということも一応調査をいたしまして、これはいろいろ結果が出ております。したがいまして、その点につきましては、一応そういうふうな事態があるということで、今後そういうふうな事態が起こった場合にはどういうふうにしたらいいかということがむしろ究明の内容になったわけでございます。  それで、私どものほうといたしましては、第一にこの結果で考えましたことは、要するに、一工場にあるいは一社におきますところの災害対策ということについて、もちろん、これは担当消防署なりそのほか御関係の方と会社は協力してやらなければいけませんが、それ以外にも、全国的に、たとえばそういう各石油精製工場それぞれ連携をしまして、いわゆる共同防御的な対策をとらなければいけないのではないかということで、先般来もいろいろその会議を開きまして、各石油会社が共同して、たとえばあるA工場で火災が起こった場合には、B工場から、たとえば消防車ですとか、あるいは化学消火剤でございますとか、そういうものをすぐさま融通するとか、あるいは、そこが手薄になった場合には第三のところからいつでもそこに応援ができるような体制にしておくとか、そういうような全国的な防衛体制というものをとるべきではないかということで、これは石油精製の関係でございますが、そういうことで現在話が逐次進んでおりまして、すでにそういう関係のいわゆる防衛協定――と申しますと大げさでございますが、そういうものをつくりまして実施をしようとしている、こういう段階でございます。
  106. 栗山礼行

    ○栗山委員 今後の災害対策ということについて、いわゆる防災対策についてどうあるべきかということについては、幸い大臣もおいでになりましたし、あるいは所管課長からお伺いいたしたいと思いますが、問題を少しはずして御答弁をいただいておると思うのです。それが皆さんの巧妙なる責任忌避の態度を明確にされておるのであります。あなたの言っていることを一ぺん読みましょうか。ここに載っておりますから。私は、あなたが災害対策委員会で、新潟の第二次火災について、通産省のほうとしては、これは震災による火災か、あるいは人災による火災かということは、いろいろ事態をいま究明中の問題でありますが、その当時において私どもは、直接震災によらざる大きな火災が発生した、このことについて質疑をいたしまして、いわゆる石油コンビナートとしての今後の問題、及び既存の防災処置、公害問題として、これをどのように構造設備の問題やその他の安全対策の問題としてとられておったか、あるいは第二次の火災について、この火災原因というものは那辺にあったかということについてひとつお尋ね申し上げたい、こういうような竹谷委員お尋ねに対して、あなたのほうは、いろいろ機関の問題や、これは重大な問題だから、一応こういう会議もつくり、分科会及び関係者の現地派遣等をして、この問題、将来の施策の方向としてもこれを取り組んでいかなくちゃならないから、せっかくいま調査しておるんだ、新潟のそういう第二次火災の原因、内容というものが明らかになる段階に至っておらないのがはなはだ遺憾であるが、可及的すみやかにひとつ調査の結果を御報告を申し上げよう、こういうことをあなた自身がここで答弁されておるのです。それから御承知のとおり百八十何日もなる。こういうような経過の中で何にも報告委員会にもされておらない。それから御答弁を求める委員会にも参加されておらない。幸いきょうはお越しをいただいたという機会でありますから、私は、どんなに調査されたか、そしてどう結論を出しておられるのか、こういうことについてお尋ね申し上げたい、こういうことであります。あなた自身については、やっている事実は認めるが、その中身の問題をひとつもおっしゃらずに、そして今後のあり方として一つの方向をお述べになる、こういうことでありますから、ちょっと私のお尋ね申し上げておることと本質をはずしておられると思うのでありまして、もっと素朴に誠実に、その内容をどう調査されたか、長い経過にわたってどう取り組まれたのか――私の聞くところによりますと、通産省なんて何もやっていないぞ、こういうことが単なる感情やデマゴギーじゃないところから私どもの耳に入るのでありまして、ひとつ通産省の権威ある態度からこの問題の御答弁をお願い申し上げたい。
  107. 細田吉藏

    細田委員長代理 栗山委員にちょっと申し上げたいと思いますが、実は通産大臣あとの時間がございますので、先ほど消防庁並びに警察庁から詳細な調査の経過の報告をいただくことになっておりますが、通産省につきましても同様にひとつ資料としても同様にひとつ資料として出していただくということにお願いできませんでしょうか。
  108. 栗山礼行

    ○栗山委員 けっこうです。
  109. 細田吉藏

    細田委員長代理 通産省のほう、いかがでございましょう。
  110. 斎藤英雄

    ○斎藤説明員 承知いたしました。
  111. 栗山礼行

    ○栗山委員 それでは私はこれで質問を終わります。
  112. 細田吉藏

    細田委員長代理 それではただいまの答弁はやめていただいて、資料としてお出しいただきます。  松井誠君。
  113. 松井誠

    松井(誠)委員 大臣に、新潟地盤沈下をこれから将来どうするのかという問題についてお尋ねをしたいと思います。  新潟地震以降半年たっておるわけでありますけれども、きょうも朝から新潟地震をめぐるいろいろの問題についてこの災害対策委員会で議論をしておる、それほどこの新潟地震の傷あとというものは深い。この地盤沈下というのも新潟地震を契機にさらに再検討を要望される問題として大きくクローズアップされてきておる。ちょうど一昨々日、御承知でもありましょうけれども、資源調査会で、新潟平野地盤沈下についての科学的な立場からの原因の究明がございました。それは、将来の地盤沈下対策に資するという、そういう目的でやられた作業であります。これはもうお耳に入っておると思いますが、きょうは委員長に特別にお願いいたしまして、ばかに大臣お忙しい日程のようでございますけれども、そういう時期でありますので大臣に特段のお願いをしたわけであります。  新潟地盤沈下というものは、御承知でございましょうけれども、かれこれ十年くらい前から問題になっておる。そして沈下のひどいときには、年間四十センチ、五十センチという沈下が続いておる。そこで、いろいろな自主規制あるいは勧告規制というような規制が行なわれて、昭和三十四、五年ごろを山にしてだんだん沈下は鈍ってまいりました。鈍ってまいりますと同時に、この地盤沈下の問題は終わったんだ、沈下はなくなったんだ、あるいは、沈下は続いておるけれども、いずれ沈下はとまるんだ、そういう楽観論が一部にございました。これは新潟の化学産業を興そう、あるいは新産業都市に影響があっては困る、そういういろいろな配慮からであったかもしれませんけれども、こういう楽観論がいわれがないということが、科学的な検討の結果はっきりしたわけであります。依然として新潟市街地が七センチないし十センチ年間に沈んでおるという事実がはっきりしたわけであります。そしてこの沈下原因というのは、沈下が激しかった当時はいろいろと議論がありましたけれども、これも地下水を大量に急激にくみ上げるのが原因だということももうすでに明らかになっておる。原因論の時代はもう過ぎたわけであります。つまり、こういう段階でさて一体どうするかということなのであります。年間やはり七センチないし十センチ市街地が沈んでおる、そしてその原因は明らかになっておる、その原因に手をつけない限りはその沈下は将来も続くであろう、こういういろいろな前提を踏まえた上で、さてこのままでいいのかどうかという問題がいまの問題であります。大臣も御承知だと思いますけれども、今庭の新潟地震で非常にひどい災害を受けた。先ほど来竹谷委員あるいは栗山委員から話が出ておりますあの三百五十戸が焼けたという非常に不幸な事態というのも、言ってみれば地盤沈下の犠牲なんです。つまり、地盤沈下ということのために湛水が非常に長く続いた、その水の上を油が伝わって流れる、その油が火を呼んで三百五十戸といううちが焼けた、このこと自体はもう明瞭です。そして今度の資源調査会報告にも、この地盤沈下の結果、新潟地震影響というものが、浸水あるいは洪水、そういうことで被害を大きくしたということを前文に書いてあったわけですけれども、それが最終案では除かれております。除かれておりますけれども、そのこと自体はもう公知の事実であって、事実自体を除くわけにはいかない。  念のために、現地の空気というものを端的にあらわしておると思います、地元の新聞であります新潟日報が、一昨日社説を書いております。それは十五日の資源調査会報告を契機にして、「地盤報告書の教えるもの」という題で社説を書いておる。これは地元の空気をよく伝えておると思いますので、ほんの一、二カ所拾い読みをしてまいりますと、この新潟地盤沈下についてはいろいろ楽観論、悲観論があった、しかし、この「地盤報告書」が出てみると、われわれしろうとの、まだ沈下は続いておるという考え方は間違いではなかったという、そういうところから始まりまして、「このような事実が浮きぼりにされた以上は、それに基づく予防策をたてることが大切である。われわれはただ驚いてばかりはいられない」つまり「地盤報告書」というものは、市民に、案外やはり沈下はひどく続いておるじゃないか、そういう素朴な驚きというものを与えた。そうして、驚いてばかりはいられない、だから沈下対策というものは必要だ、そして最御の結びに、「いずれにしても民心に不安が生じていては産業の発展など望めないことを、国も県も銘記する必要がある」こういうことで結んでおります。つまり、一ころ新潟市民の最大の関心事であった地盤沈下というものは、新潟地震を契機にしてまた大きな関心事になった、そしてそれがこの報告書というものを契機にしてやはり再検討を望むという、そういう市民の声をこの社説というものは伝えておると思うのです。そこで、そういうことを背景にして大臣お尋ねをいたしたいと思います。  この報告書の教えるところによりますと、市街地地盤沈下の約六割三分というものは、地層の深い層の沈下である。地層の深いところというのは、これはもう工業用のガス採取が原因である。鉱業権者の水のくみ上げというものが新潟市街地地盤沈下の六割三分という大きな寄与率というものをいまだに持っておる。これは規制以来、そういう深い層の沈下というものは非常に鈍ってまいりまして、最盛時の約三分の一になった。三分の一になったけれども、全体の地盤沈下に占める割合は依然として圧倒的に大きい。ですから、新潟市街地地盤沈下対策としての中心は、やはりこの工業用のガス水のくみ上げをどうするかということになりますので、依然としてやはり通産省がその対策を立てる中心でなければならぬ、そういう立場からお尋ねをするわけですが、大体の現状、その原因というものはもうおよそおわかりでございましょうから、一体この沈下というものはこのままほうっておくのか、沈下に対する対策というものに対してどういう気がまえで立ち向かおうとするのか、そういう点について大臣から最初にお伺いをいたしたいと思います。
  114. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま松井委員から新潟地盤沈下の詳細についてお話がございました。私はたいへん恐縮ではございますが、ほんとうの荒筋だけの話を聞いておりまして、現に新潟市内でも七センチ、十センチの地盤沈下が続いておるのである、こういうお話につきましては、ただいまここで承ったようなわけでございます。なお、資源調査会検討した模様につきましても、これもたいへん恐縮でございますが、詳細まだ承っておらないわけでございますが、ただいまの松井委員の御指摘のとおりの事実であるといたしますならば、これは新潟県民、または新潟市民に対する影響の大きい問題でございますので、通産省の所管事項につきましてはさらに一そう慎重な検討対策を必要とすると思います。当面いたします問題は、申し上げるまでもなく、水溶性ガスの発掘に伴う揚水の問題であると思います。これはただいまお話がございましたとおりに、三十三、三十四年当時の地盤沈下の趨勢にかんがみまして、四次にわたる規制措置をやってまいったのでございます。しこうして、私どもの承知しておるところでは、その措置によって地盤沈下が大体とまったのではないか、こういうふうに聞いておったのであります。もとより、通産省といたしましては、さらに慎重を期するために、現在でも五本の観測井による観測を続けております。また、新潟地震により観測井が四本被害を受けまして、観測が不能となりましたので、本年度予算の予備費により復旧に着手いたしまして、その工事も十一月末に完了いたしまして、現在では観測体制は常態に入っておるのでございますが、ただいまのお話で、この程度の措置で不十分であるということも考えられますので、さらによく検討をいたし対処してまいりたいと存じます。
  115. 松井誠

    松井(誠)委員 せっかく来ていただきましたけれども、資源調査会報告もごらんになっていないし、新潟地盤沈下の状況も詳細には御存じないということになりますと、これはやはり議論が進みませんけれども、しかし、きょう新潟地盤沈下についてお尋ねをするというのは、いきなりきょう降ってわいたような形で申し上げておるわけではない。それからまた、この資源調査会報告――私が申し上げたことがもしほんとうであるとすればという前提でありますけれども、資源調査会報告というのは、通産省の鉱山局なり鉱山保安局なりからも関係者が出ていって、そこでまとめた報告書なんです。ですから、これにはいろいろあちらこちらに必ずしも異論がないわけじゃございませんけれども、少なくともこれが最大公約数です、それによりますと、いま言ったように新潟市の市街地地盤沈下が依然として続いておる。大臣が、何かもう最近は地盤沈下はとまったのだという一ころの一部の人たちの意見をそのまま依然としてまだお持ちになること自体が、きわめて認識不足だと思う。まだ新潟地盤沈下が続いておるということは、この災害対策委員会で私も何度か質問して、その事実が明らかになっておる。問題は、一体それに対してどういう手を打つかということについて、大臣がいままでにお見えになる機会がなかったので私は待っておった。ですから、沈下が続いておること自体は間違いないのです。そして七センチないし十センチというものが沈むとすれば、これからあとの県の復興計画を一体どうするかという問題とからむ、重要でしかも緊急を要する問題です。そういうときに、通産省がこれから検討をしますということでは、とても急ぎの間に合いません。私が大臣に特に忙しい日程をさいておいでを願ったのはそういう趣旨もあったわけです。ですから、私の言うことがほんとうであるならばという前提はひとつ払ってしまって、現実に沈下が続いておる、これはもう報告書の教えるとおり、そういうものであって、しかもその原因というものははっきりしておる、そういう前提の上に立って、これでいいかということなんです。重ねてで恐縮でありますけれども、そういうことでありますが、いまの御答弁では、もしそれが事実であるとすれば慎重にやらなければならぬ、そして現状の規制のままではいけないかもしれないというような趣旨答弁があった。ですから、具体的にどういうような規制をするのか。鉱業法との関係でいろいろな問題がある、そのことを私も知らないわけではありません。ですから、具体的にどう規制をするかというこまかい問題にはきょう入るつもりはございませんが、ただこのままではいけないのだ、やはりこの機会に何とかしなければならぬのじゃないか。今度あのゼロメートル地帯で苦しんだ新潟の市民は、その地域だけでも数万、そういう人たちが、これからあとまだ依然として沈み続ける地盤の上にうちを建てなければならぬ。建てるとすれば、一体どれだけのかさを上げて建てたら将来浸水の危険がなくなるのか、そういうことが皆目見当がつかない。ですから、もしこれが私が言ったような現状認識が正しいとすれば、これではいかぬじゃないか。ということは、私は、ほかのいろいろ複雑な要素というものを取り払って考えれば当然答えは出てくると思う。重ねてひとつお答えを願いたいと思います。
  116. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 松井委員御承知のように、経済企画庁に地盤沈下対策審議会がございまして、この資源調査会報告等を受けてこの審議会が対策検討をいたす、こういうような手順になっておるように、いま担当の者から聞くのでありますが、しかし、当面急を要することは当然でございまして、したがって、きょうのお話に基づいて私は検討いたしたいということを申し上げておるのでございます。これは率直に申し上げまして、先ほど御引用になった新聞の論説もございます。やはり国、県、市みなこれを協力してやっていかなければならないと思います。先般ちょうど池田内閣から佐藤内閣の政変のさなかに、ほんの二時間ほどで、新潟に着くとすぐ戻ったのでございますが、その際に、一応この地盤沈下関係について、概略私いろいろ話も聞き、頭に入れてまいったのであります。ただその場合に、いま松井委員が御指摘のようなそういう事態でございますれば、何かもう一つ通産省としても、市や県にこたえる具体的なものがあってよかったのじゃないかと思うのでありますが、当時私が新潟へ行くんだというためにいろいろ準備をいたしたときには、いまのような差し迫ったお話あるいは状況というものを遺憾ながら耳にいたさなかったのであります。それで、こういう対策を緊急にやれというようなこともございませんでした。そこで、ただいま松井委員お話のとおりであれば、私としても今度は中央から県や市に対して、こういう話を聞いておるが、ひとつよく相談してやろうじゃないかというように持っていきたいという気持ちを申し上げたようなわけでございます。  それから地盤沈下原因揚水にあるということは、これは新潟に限らず、東京でも大阪でも同様のことでございまして、そのために通産省としては工業用水の問題について非常な関心を持っておるのであります。現に三十九年度の予算におきましても、用水道補助に七十億二千三百万円という相当大きな予算も計上いたしておりますし、また明年度の工業用水問題についても、予算につきましても、大幅な要求をしておるという実情でございます。これらの工業用水関係対策費が、これが新潟のいまの実情に沿うて対策が立てられれば、これは非常によいことではないかと思うのであります。具体的にどういうことになっておりますか、松井委員お話に応じてこれから対処してみたいと思います。
  117. 松井誠

    松井(誠)委員 率直な御答弁なので、私のほうもあまり言うことはありませんけれども、しかし、新潟地震直後は、確かに大臣の言われるように、地震前は、大体地盤沈下の問題は終わったという、そういう議論が、私は意識的であったと思いますけれども、流れておった。その後地震を契機にして、いままでの地盤変動のはかり方に間違いがあった、国土地理院のほうからその間違いの訂正があって、結局地盤沈下は依然として続いておるという、そのことが明瞭になった。その新しい事実に基づいて、通産省は当然何かを考えなければならなかった。そういうことが明らかになったのは、きのうやきょうの問題ではありません。たぶん九月ごろだったと思う。これは鉱山保安という立場から考えても放置はできない問題であるはずです。この地盤沈下というものが、原因がはっきりする。筋道がはっきりする、したがって、常識的にはどうすればいいかということがはっきりするわけです。しかし、それがなかなか理屈どおりにいかないのは、言うなれば、地元の自分らの生活を守ろうという地元民と、それから、はっきり言えば、ガス業者との目に見えない、しかし火花を散らすような戦いというものがある。県や市がそのどっちの味方か知りませんけれども、しかし、ともかく県や市というものがそういう正確な現状認識というものを通産省に知らしてなかったとすれば、それはそれで一つ責任があると思う。ですから、ここで大臣があまり現状を御存じないのに、これ以上言ってもしようがありませんけれども、ぜひ近い機会に大臣みずから現地をごらんになって、そしてほんとうにその地盤沈下のために苦しんでおる当の人たちの意見もお聞きになって、早急に対策を立てていただきたい、その点についてひとつ御意見伺いたいと思います。
  118. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これは私として、そのとおり、近い機会に現地を見まして、対策を十分立てたいと思います。  なお、ガス事業の関係でございますが、これは水溶性ガスを採掘するのでは困るということで、構造性ガスの採掘をするように通産省としては厳重に注意をしておるわけでございまして、ただ注意をするだけではございません、この構造性ガスの採掘については相当な探鉱費を必要とするのでございますから、石油資源のほう、あるいは帝石のほうに対しまして、大体四十五億円くらいの探鉱費を必要とするのでございますが、政府としても、本年度一億の補助でございましたが、明年度はもっと多くの補助をしたいというので、現に五億円の予算要求をしておるわけでございますけれども、構造性ガスの採掘のほうに移っていただきまして、そうして地盤沈下の憂いが少しでもなくなるように鋭意努力をしておるわけでございます。
  119. 松井誠

    松井(誠)委員 大臣のほうからそのガスの開発の話が出ましたので、私先回りをして念のために申し上げておきたいと思いますけれども、水溶性ガスの規制という地元の声が起こると、必ず通産省は、しかし、いまそれを規制してはガスが不足になるじゃないか、代替燃料というもののめどがつかないときにガスの規制はできないじゃないかというのが、従来の行き方であります。しかし、これは根本的に間違っておるのじゃないか。ことしの初めから、ガス王国といわれた新潟の天然ガスが不足を告げておる。これはどういう原因かというと、言うなれば、需要というものを野放しにしてきた、供給と需要との関係というものを計画を立てなくて野放しにしてきた、そして最近になって供給が足りなくなったから、ここで水溶性ガスをとめたらたいへんだ、そういうところに議論を持っていこうとすれば、これは筋違いもはなはだしいと思う。水溶性ガスというのは、構造性ガスの約一割にしかならないのですから、需結の関係が逼迫しました現在としては確かに影響がないとは言えない。そういうところに持ってきた責任は一体どうなんだ。そういう責任というものをほっておいて、将来開発ができたら、ガスが潤沢になったら、そのときに水溶性ガスの規制に手をつけましょう。こういうことでは、私は承知できないと思う。そういう構造性ガスというものが見つかるのはいつになるか。必ず来年見つかるという保証はないわけです。そういうものを待っておってやるというわけにはいかないと思う。  昔のことは御存じないでしょうけれども、構造性ガスのパイプラインを下越まで引いてくる、そうすれば構造性ガスを下越でも使えるようになる、下越でも使えるようになれば水溶性ガスの規制を考えてもいいだろう、それまでは無理だから、パイプラインが引かれるまでは待ってもらいたいという意向が通産省に一時ありました。さてパイプラインを引いてきたら、それはもっぱら工業用に使われて、水溶性ガスの規制というものにはちっとも役に立っていない。こういうあやまちをこれから後繰り返すことのないように――産業公害という重要な問題がいま起きておる。ガスの開発もたいへん大事でしょうけれども、しかし、この地盤沈下を犠牲にする必要はごうもないのじゃないか。もうこまかいことは省略をいたしますけれども、そういうことで、この問題については、復興計画との関係もあって、そういつまでも、いずれ計画を立てます、地盤沈下対策審議会の議を経ていずれ結論が出てから考えましょうということでは、私は済まされないと思うのです。ですから、せひひとつ近い機会にごらんになっていただいて、その対策も早急にお立てを願いたい。具体的な対策というものは必ずしもそう早急には期待できないかもしれません。鉱業法との関係があって、いろいろあるでしょう。しかし、沈下をこのままでおくのか、将来はとめるのかというそのめどだけはつかなければ、地元が困る。復興計画に支障がある。その計画を立てること自体は、これは必ずしもそう時間がかからぬ。そういう計画が立ったころにまたあらためていろいろお伺いをすることにしまして、きょうはこれで終わりにしたいと思います。
  120. 細田吉藏

    細田委員長代理 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時十九分散会