○吉田(賢)
委員 私は、本議決案に対して、民主社会党を代表いたしまして賛成の
意見を述べるものであります。
昭和三十七年度の
一般会計歳入歳出決算その他三件につきましては、相当長時間を費やして、当
委員会があらゆる角度から
審議をいたしました。しかしながら、毎年この種の決議の
内容が繰り返されていくということについては、私は深い関心を
国民とともに呼び起こしたいと思うのであります。これにはやはり原因の重要なものが二つあると思います。一つは、何といっても
予算執行の責任は
政府にあるんですから、
政府が
予算執行の
あとに毎年この
委員会においてずいぶんと
批判せられ、批難せられるということについては、これはやはり抜本的にその原因のあるところをいかにして防止すべきや、その結果は
国民、もしくは日本の行政、
政治へいろいろな悪影響を及ぼしておるやということについて深刻な反省が真剣に行なわれねばならぬと思います。しかし、またひるがえって
考えますると、国政は
国会が重大な責任があります。行政責任は
政府にある。財政監督の責任は
国会にあると思います。したがいまして、財政監督の
国会がこの種のあらゆる批難事項が続発するようなことにいささかでも加功しているきらいはないか。こういうことについては
ほんとうに真剣にやはり反省をして、その任務の重大なることを
考えつつ進んでいくことが大事でないかと私は思います。たとえば
予算重視と言いますけれ
ども、
予算重視というのは、一体だれが
予算重視をするのであろうか。
国会が
決算を重視すればそれでいいわけなんです。ところが、
国会は、
決算はごらんのとおりであります。本日は最終日でありまするからほとんど御出席になっておりまするが、平素の
委員会におきましてはりょうりょうとし数人にすぎません。また
国民自身におきましても、
決算をあまり重きに置かぬということは、これまた
国会の責任ではないであろうか。何となれば、血税を使っておるのが
予算でないか、その
予算によって何の
国民へのサービスができたか、
国民へ奉仕することが行政であるには言うけれ
ども、何の事業ができたのか、どういう成果が上がったのか、おまえたちの税金はどこへ使ったのかということを
ほんとうに訴えていくのは、私は
国会の責任ではないかと思いますから、やはりみずから重要な
審議権、監督権を放棄しておるという
批判を
国民から受けることはないであろうかということをひそかにおそれるものであります。
この二点につきましては、私は今後この種の
議案の
内容に盛られておりまする幾多の
批判事項を根絶するためには、この二点を
ほんとうにお互いに反省することが大事でないかと思います。
第二の問題点は、具体的に
臨時行政調査会が膨大な
人員を動員して、ばく大な国費を使って、優秀な人材が網羅せられて綿密丁重な
調査をして、そうして
予算、会計に対する
改革の
意見を提示いたしております。まことにこれは
ことばは簡単でありまするけれ
ども、傾聴すべき節々がたくさんにございます。これはおそらく専門の衝に当たっておる方のみならず、一読しましてそこに重要な問題があるのかと胸を打つような点が多々あるのであります。そのうちの一つといたしましては、いわゆる
予算制度の
改革でありますが、これは事業別
予算を採用してはどうかということを大胆に提案をしております。すでにアメリカにおきましてもフーバー
委員会が先年この点を
指摘して、そして重大な
勧告になり、事業別
予算というものはすでに十分に行なっております。スカンジナビアあたりにおきましてよくその成果をあげておることも万人知るところであります。しかし、それならば何ゆえにわが国にこれを実行することができないのであろうか。そこに私は日本の
政治の歩みの上に、日本の行政制度の歩みの上に大きな宿命的な一つのいろいろな問題を持っておるのではないであろうか。なるほど切開すれば、手術すれば痛いところもありましょうけれ
ども、
ほんとうに健康体をつくるためには外科のお世話にならなければいけますまい。
考え方におきましても、たとえば複式簿記の採用ということになりましたり等々いたしますと、事業別
予算を
ほんとうに実現していこうといたしますと、
在来の
考え方を、また組み方を相当改めなくちゃいけますまい。また、これと取り組んでいく
国会の態度も相当変わっていかなければいけますまい。あるいは財政法等の法制制度の改正ということにも及んでいくでしょう。一大
改革に違いないけれ
ども、しかしながら何と言いましても、いまはその取り入れの時期が到来したものと私は思うのであります。まことにこれは天の声として、私
どもは傾聴していいのじゃないか、こう思うのであります。機が熟したと申すべきでないかと思うんです。だから全面的にどうということは、これはもっと専門的な
結論に待つといたしましても、私はこの際、
国会の意思としまして、この事業別
予算を取り入れることが、この批難事項を少なくし、もしくは
予算を真に望むところの効率的に使うゆえんでないだろうか。一体何のために血税を
国民が出すのか。われわれ一人一人みんな
国民の、
ほんとうに血の出るような税金を払った、その声の代表として私
どもは
ほんとうに責任があるということを
考えましたならば、よい案がもし提案がされましたならば、やぶさかならずこれを取り入れて、改むべきは改めていくというのが
ほんとうに日本の将来のために必要でないか、いわんや本年度
予算のごときは、もう補正
予算を加えたら三兆三千四百数億円という膨大なものにのぼるのであります。来年はもっとふえるのであります。ということを
考えましたならば、この財政規模が膨大に発展していくことを思うならば、事業量、すなわち日本の
政治の、実態、行政量、幅、深さ、いろいろな事業というものがずいぶんと大きくなっていくわけでありますから、最も合理的な
予算制度に切りかえていくということは、いまが絶好のチャンスでないかと思いますので、こういったことも真剣に、私は
国会、
政府ともに日本の財政のために
考えていくべきでないかと思うのであります。
まあこういう点を二、三気がつきますので、私はいま議決案として出されました数個の事項につきましては、全幅的に賛成しますとともに、抜本的な対策をここに立てることに勇断を持って臨むということを強く
政府に向かって要望し、またわれわれ
国会自身もみずからえりを正しまして、この問題に対して、
政府とともに取り組んでいって、そして
ほんとうに憲法の大精神に基づいて全
国民の負託にこたえていかねばならぬ、こういうふうに
考えます。
以上をもちまして私の賛成討論といたします。