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1964-12-02 第47回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十九年十一月九日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 進藤 一馬君    理事 關谷 勝利君 理事 塚原 俊郎君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       浦野 幸男君    木村 俊夫君       佐々木義武君    壽原 正一君       田中 彰治君    中馬 辰猪君       南條 徳男君    西村 英一君       西村 直己君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    増田甲子七君       八木 徹雄君    井岡 大治君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君       佐々木良作君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十九年十二月二日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 進藤 一馬君    理事 關谷 勝利君 理事 塚原 俊郎君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       浦野 幸男君    木村 俊夫君       佐々木義武君    壽原 正一君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       増田甲子七君    井岡 大治君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       内海  清君  委員外出席者         総理府技官         (北海道開発庁         地政課長)   小川  一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      佐藤 光夫君         気象庁長官   畠山 久尚君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     川上 寿一君         日本国有鉄道参         事         (公安本部次         長)      田中 弥六君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 十一月十日  委員八木徹雄君辞任につき、その補欠として田  邉國男君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月九日  日本国有鉄道整備緊急措置法案久保三郎君外  四名提出、第四十六回国会衆法第二七号)  踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関  する法律案久保三郎君外八名提出、第四十六  回国会衆法第四七号)  道路運送法の一部を改正する法律案關谷勝利  君外四名提出、第四十六回国会衆法第五四号) 同月二十六日  航空安全性確保に関する請願肥田次郎君紹  介)(第三九号)  空港整備促進に関する請願森田重次郎君外三  名紹介)(第六一号)  東北本線及び奥羽本線複線化等工事促進に関  する請願森田重次郎君外三名紹介)(第六二  号)  丸森線、野岩羽線及び只見線の早期建設に関す  る請願天野光晴紹介)(第三〇五号)  奥羽本線十文字駅舎改築等に関する請願(笹山  茂太郎君紹介)(第三〇六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  韓国の漁船捕獲に伴う対策に関する陳情書  (第一〇六号)  国鉄横須賀線鎌倉八幡架道橋の改修に関する陳  情書(第二〇九号)  国鉄篠山線の延長に関する陳情書  (第二一〇号)  東北本線複線電化促進に関する陳情書  (第二一一号)  国鉄福知山線複線化に関する陳情書  (第二一二号)  青函トンネル建設促進に関する陳情書  (第二一三号)  東北地方観光開発促進に関する陳情書  (第二一四号)  港湾財政制度確立等に関する陳情書  (第二一五  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  日本国有鉄道経営に関する件(国鉄事故等に  関する問題)  気象に関する件(地震観測に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  衆議院規則第九十四条により、委員会は会期中に限り議長承認を得てその所管に属する事項について調査ができることになっております。  つきましては、今国会におきましても、  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  日本国有鉄道経営に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項以上の各事項について、調査をいたしたいと存じますので、この旨、議長に申し出たいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  それでは、直ちに手続をとらせることにいたします。      ————◇—————
  4. 川野芳滿

    川野委員長 日本国有鉄道経営に関する件及び気象に関する件について調査を行ないます。  この際、国鉄当局より最近における国鉄事故の実情について発言を求められておりますので、これを許します。磯崎総裁
  5. 磯崎叡

    磯崎説明員 それでは、お許しを得まして、私から最近の国鉄におきます事故状況につきまして御説明をいたします。  ただいま資料をすぐ持ってまいりますが、まず、御説明に入ります前に、昨年来、当委員会の非常に強力な御推進を得まして、国鉄といたしましては、保安対策工事に全力をあげてまいったわけでございますが、ちょうど昨年のいまごろ、鶴見事故の直後、事故が非常に頻発いたしまして、国民からもたいへん不信の念を持たれ、また、国会からもいろいろ御注意を受けたのであります。その後、私どもといたしましても、従来の事故対策やり方を少し考え直しまして、いままでのような総花的なやり方ではだめだということを痛感いたしまして、一年間の間に事故対策重点三つにしぼったわけでございます。一つ列車自動停止装置の問題でございます。一つ踏切対策一つは、タイヤ割損と申しまして、貨物列車が途中で脱線する問題、この三つ対策重点をしぼりまして、全体の予算を極力この三点に集中いたしまして、しかも毎月毎月工事進捗状況をチェックしてまいったのでございます。  その結果、今日現在におきまして、まず列車自動停止装置でございますが、これは全体で全国二万キロの線路のうち約七千八百キロにおきましては列車自動停止装置が全部完成いたしました。本年度末までには、ちょうど一万キロの列車自動停止装置が完了いたします。一万キロと申しますと、線路の長さは全体の二分の一にすぎませんが、輸送量列車回数その他から申しますと、全体の七五%に当たるわけでございます。すなわちこの一万キロにつきましては、ほどんど全国主要幹線は全部含まれておりますし、主要幹線に次ぎます地方幹線も大部分が入っておるわけでございます。そして、四十年度には残りの一万キロを全部完了いたしたいと思っておりますので、四十年度末までには全国の全線に列車自動停止装置がつくことになります。  これがつきますと、御承知のとおり、乗務員のよほどの重過失がない限り、絶対に列車追突その他の心配はなくなるわけでございます。すなわち、ちょうど先生方に昨年のラッシュをごらん願いましたが、あの当時電車には車内警報器警報が鳴るだけの装置になっておりましたが、現在、あれに自動的に列車が停止する装置をつけております。この辺の電車も今年度中にはつくことになっておりますので、乗務員がよほどの不注意で、あのベルをとめましてから、しかも、とめたことを忘れてしまうというふうなことがない限り、まず追突ということは絶対あり得ないということになったわけでございます。その意味におきまして、主要幹線保安は非常に高まったというふうに考えられます。その結果、昨年と比べまして、本年の乗務員の信号確認不良による列車事故は激減いたしたわけでございます。おかげさまでたいへんしあわせに存じておりますが、昨年まで十件前後ございましたものが、今年は十一月末、すなわち一昨々日までで二件でございます。その二件のうちでも、一件は、実はさっき申し上げましたとおり、列車自動停止装置があるのに、乗って、直後そのスイッチを入れなかったために働かなかったという件数が一件、あとは四十年度になすべき地方の線区の分が一件、この二件だけでございまして、列車乗務員の信号確認不良が非常に減ったことは、われわれとしては、多少この面における安心がふえたような気がしておるわけであります。  その次は踏切の問題でございます。これは過般、札幌で大きな事故がございましたけれども、私どもといたしましては、昨年、踏切事故も相当ございましたので、まず何といっても現在の過密ダイヤのもとで一番おそろしいのは事故競合であるということに考えを及ぼしまして、まず複線区間の無防備踏切を一年間で全廃しようという非常な強い決意を持ったわけでございます。単線区間でございますと、万が一踏切事故がございましても、その単線での競合事故はない。すなわち事故一つだけで済むわけでございますが、複線事故で申しますと、万が一反対側から列車が参りますと、非常に大きな事故になります。したがって、まず復線区間の無防備踏切をひとつ全滅しようということに最重点を置いたわけでございます。昨年の十二月からこの対策を立てまして、これは全体で約三千六百カ所ございまして、これにつきましては、もちろんこの三千六百カ所全部警報機をつける、あるいは警手をつける、これは不可能でございます。私どもといたしましては、警察庁と十分連絡いたしまして、三千六百カ所のうち、千五百カ所につきましては国鉄として警報機をつける。残りの二千カ所については車両通行だけをとどめる。道路さくをいたしまして、人は通れるけれども。車は通れないようにさくをし。車両通行をとめる。あるいは踏切を除去してしまう。こういうことを警察庁といろいろ御連絡いたしまして、警察庁も非常によく協力してくだすったわけでございます。おかげさまで一昨十一月三十日をもって全部完了いたしました。約千五百カ所には警報機をつける、あとの二千カ所は車の通行禁止、あるいは除去、すなわち踏切をやめましたのが五百カ所、五百カ所の踏切を除去し、あと千五百カ所の踏切につきましては自動四輪の車が通れないようにいたしたわけであります。これによりまして、事故といたしましては、やはり減ってまいりまして、踏切事故単線複線ともわりあいに減ってきておるわけでございます。単線踏切事故は昨年の九二・五%に減っておりますが、複線区間におきましては、自動車の増加にもかかわらず七八・五%に減っております。これは数年来の当委員会踏切に対する非常に強い御関心のあらわれでございます。明らかにこれは事故件数として減っておるということは、私どもといたしましても、少なくとも複線区間においては、自動車運転手側に非常に大きな過失がない限り、すなわち道路交通法において定められました踏切の一たん停止さえ必ず守ってくれれば、まずこの複線区間における踏切事故競合というものはない、重大事故はないということの一つの大きな安心感を得たわけでございます。  しかしながら、不幸にして過般札幌付近で起こりまして、死者二名、重軽傷十数名を出しました大事故につきましては、新聞でも御承知のとおり、残念ながら十七歳の少年が無免許運転いたしておったわけでございます。無免許運転のために車両の操作も非常に下手であったせいか、踏切上でエンストいたしましたものを放置して、まあ逃げてしまったわけでございます。私どもといたしましては、せっかくこの複線区間踏切事故を全廃しようと思って大体設備が完了する前後にあれだけの大きな事故が起きたことは非常に残念でございますけれども、これは当方としてはいかんともしがたかったわけでございますが、しかもあそこには昨年から機械化いたしました踏切のほかに、踏切事故がありました場合、たとえばエンストなどをした場合には、すぐボタンを押せば信号機が赤になる、それから発炎筒がたける、こういう設備も全部してあったわけでございます。あの踏切にももちろん全部緊急事故を知らせるボタン発炎筒が置いてあったわけでございますけれども、どうもそれを押したのは直後ではなくて、だいぶあとになってから押したらしく、それが時間的に間に合ってない、こういう非常に不幸な事態でございまして、私どもといたしましては、現在考え得る最高の保安設備をしたにかかわらず、無免許運転という非常に残念な事態のためにああいう大きな結果を引き起こした、これは今後ともぜひそういった方面自動車運転者側注意の喚起もせざるを得ないという気持ちで一ぱいなわけでございます。  しかし全体といたしましては、先ほど申しましたとおり、複線区間踏切事故は非常に減っておりまして、これは将来も国鉄側設備が完了し、また自動車運転者側注意が行き届きますれば、もう少し減ってくる可能性があると思います。しかしながら、最終的にはやはり立体交差以外には踏切事故の絶滅はないわけでございます。立体交差につきましては、建設省の計画どおり毎年やっておりますが、これはいろいろな関係で必ずしも十分に進渉いたしておりませんが、最終的に踏切事故をなくするには、全部踏切立体交差する以外にないわけでございます。こういたしますれば。いかに運転者側手落ち等があっても踏切事故は起こらないわけでございますが、なかなか全部踏切立体交差化することは、現在の国鉄財政はもちろん、国家財政からいきましても不可能でございますけれども、とりあえず無防備踏切をやめた複線区間には必ず警報機警手がついておる、あとは車が通れない、こういうようにいたしました以上、何とか利用者側におきましても、もう少し注意をして、道路交通法を守ってもらいたい、こういう気持ちが強いわけでございます。しかし将来の問題といたしましては、これはいずれ立体交差の方向に進むべきものだと思いますが、とりあえず一年間この複線区間の無防備踏切対策をやりまして、一昨日でもって計画どおり完成したということは、御報告をいたしていいと思います。  それから第三番目は車両、ことに貨車タイヤ、すなわち貨車の車輪の外側のタイヤでございますが、このタイヤの緊急取りかえの工事でございます。過般の鶴見事故原因が、これは非常に新しい車でございましたので、タイヤ割損ではないかということははっきりいたしておりますが、その前後からいたしまして、ときどき貨物列車の途中脱線がございまして、この途中脱線の主たる原因貨物列車タイヤが割損するということにあったということもはっきりいたしておりました。これがやはり複線区間に起こりますと非常に大きな問題になります。したがいまして、何とかその古いタイヤを全廃したいというふうに考えまして、昭和二十四年製以前のタイヤを全部取りかえる、それからある一定以上の限度をこしました薄くなったタイヤを取りかえる、すなわちその限度を高くいたしまして、そうして約四万二千五百対のタイヤを、ことしの五月から来年の一月までの七、八カ月のうちに全部取りかえるという計画を立てまして、十一月末現在でそのうちの約八割を完了いたしております。これは現場作業員が幾ら見ましてもなかなか発見できない事故でございますし、何といたしましても、これは全体の施策として取りかえる以外にないと思いますので、予算その他の関係を一応無視いたしまして——と申しますか、緊急にそちらに流用いたしまして、タイヤの緊急取りかえ工事をやりまして、これは来たる一月末には全部緊急取りかえが完了いたす予定でございます。こういたしますと、タイヤ割損による貨物列車の途中脱線という重大な事故は大部分が防げるというふうに考えられるわけでございまして、その効果といたしまして、お手元にお配りいたしました資料最後のページにございますとおり、毎年いままで一年間に十件前後の事故があったわけでございますが、ことしはこの効果と思いますが、十一月末までに一件の発生を見ただけでございます。これも実は五月以前の事故でございます。五月以降これをやりましてからは、まだ事故が起こっておりませんので、相当な効果があったというふうに実は考えております。  冒頭に申しましたとおり、この三点に重点を置きまして、過去一年間、現場、本社を含めまして一体となって保安対策工事をやってまいっておりますが、一応それぞれの効果をあげております。まだまだ実は保安対策としてやらなければならないことはたくさんございます。たとえば過般水戸付近で起こりました事故につきましては、これは駅の信号関係事故でございます。こういったものは当然自動信号にする、あるいは構内の入れかえ作業事故につきましては、これは継電電動化する、こういう駅関係のものが実は非常におくれておるわけでございます。私どもといたしましては、率直に申しまして、今後の予算重点をこういった駅の信号装置、駅の保安装置関係重点を置いて、まず第一に乗務員関係、一応これで一段落いたしますので、次に駅関係信号保安関係重点を置いてまいりたい、こういうふうに考えておりますが、この内容は今後の長期計画の中に十分含めておりまして、三十九年度の予算が二百十四億でございました。四十年度以降は、私どもといたしましては、ほとんど倍額にこれをふやしてやってまいりたいというふうな気持ちで、覚悟で、やっておるわけでございます。  最近起きました事故につきましては、札幌のほかに先ほど申しました水戸管内事故がございましたが、いずれもそういう理由に基づきまして、私どもといたしましては、今後あらゆる角度から絶滅し得る事故というふうに考えておりますが、何と申しましても、非常に各方面から事故防止をやらなればならないという立場におりますが、重点的にやはり一つ一つの問題をシラミつぶしにつぶしていって事故防止をやってまいりたいというのが現在の私どもの考え方でございます。  次に東海道新幹線関係事故につきまして申し上げますが、東海道新幹線おかげさまをもちまして十月一日から開業いたしまして、新聞紙上等に毎日のいろいろなありさまが出ておりますが、お手元にお配りいたしました資料のごとく、多少数字で申し上げますと、十月分の運転事故、私どものほうで申します運転事故と申しますのは列車を十五分以上とめた事故でございます。運転事故は六十二件、十一月分では十七件と減りまして、大体十月、十一月を比較いたしますと約七割ぐらい減っております。列車百万キロ当たりの事故では一八・八九件で前月の約八割ぐらい減っております。開業当初の事故につきましては、多少弁解がましくなりますが、いわゆる初期故障というような総括的なことで申しておりますが、これは十一月にはほとんどこれがなくなっております。御承知のとおりたとえばドアがあかないとか、便所にせっちん詰めになったとか、あるいはパンタグラフがこわれたとか、こういったそこに書いてございますようなこまごました事故が実は大部分でございましたが、十一月にはこれらがほとんどなくなってきております。いずれの事故原因がはっきりいたしておりますので、簡単な手直しで済んでおるわけでございますが、ただとびらにつきましては、御承知のとおり、実は非常に高速度で走りますので、ちょうど飛行機のように気密装置にしてあるわけでございます。気密装置にするためにはドアを非常に厳重に気密にしなくちゃいかぬということで相当デリケートなドアをつくったのでございますが、飛行機と違いまして、列車は大体一分間に一回ぐらいのドアのあけたてをいたしますので、非常に使用回数が多い。したがって、デリケートなドアがどうしてもこわれるということで、現在、多少気密のほうを犠牲にしましても、ドアをあけやすくするようなかかっこうに直しております。したがって、車両関係ドア故障もだいぶ減ってきておるわけでございます。  それから、ここにちょっと書いてございませんが、車両故障と申しまして、車が動かなくなったという故障につきましては、大体百万キロあたり、十月が約一件、十一月が〇・三件ぐらいでございますが、これは昔の「こだま」、「はつかり」等と比較いたしますと、成績は必ずしも悪くないというふうに考えておるわけでございます。  次に、新幹線開業にあたりまして、やはり非常に皆さま方の御心配をいただきました列車妨害の問題でございます。列車妨害は五件ございました。これは外から石を投げたというような、窓ガラスをこわした事故が大部分でございます。これらと、事故とならなかった、すなわち列車をそれほど長時間とめなかった事故を含めまして十件ほどございますが、幸いいずれも二重窓の関係の中のお客さんにはけがはございません。内側のガラスまで破損いたしましたのは一件もございません。このほかに、列車には直接関係はございませんでしたが、五十メートル置きにあります防護スイッチをいたずらしたという事故が二件ほどございます。さらに、何の用事かわかりませんが、網を越しまして中に立ち入ったものが六件ございます。これはいずれも御承知のとおり全部列車無線がついておりますので、すぐ運転士から指令室のほうに無線で、いま何キロの地点で線路を人が歩いていたという報告がございますので、それを連絡いたしまして、指令室のほうからすぐ地元の公安室に連絡し、公安室と警察と連絡いたしまして、この線路内に無断で立ち入った六件は全部一応身元その他がわかっております。理由は、多少精神の薄弱等もございまして、何のために入ったかということが必ずしもはっきりいたしませんが、六件ほどあったわけでございます。  それから職員の作業方が悪かったという事故が二件ございました。これは確認車扱い方の間違い、それから転轍機の清掃方の不良という事故でございます。それからもう一つ作業員作業方がまずかったということが五件ほどございますが、その中で一番大きかったのは過般の二十三日の静岡−浜松間の事故でございまして、これは不幸にして死者五名を出した事故でございます。これはあの地域、すなわち二百二十六キロと申しますと、ちょうど磐田付近でございますが、あの付近はちょうど一番用地買収もおくれまして、実は地盤の関係もございまして線路敷設が一番あとになったところでございます。したがって、現在でも徐行区間の一番多いのは静岡管内でございますが、そのうちの一部につきまして作業員作業いたしておりました。この作業は、実は営業列車が走ります二時間前に確認車というものを走らせます。この確認車には専門の軌道掛が二名乗りまして、この確認車最後線路状態を確認した上で営業列車を走らす。万が一確認列車が走ったとき線路状態が悪いということを発見いたしますと、すぐその場で、まだ二時間の時間がありますので線路を直して営業列車を走らす、こういうたてまえを新幹線線路ではやっておりますが、この死亡しました五名の中に一人班長がおりまして、この班長は長年の間国鉄におりまして、非常に保線作業のエキスパートでございます。確認車が過ぎましたあと、歩いて帰る途中でちょっと直したらいいというような場所を発見いたしまして、そして手直しをやったわけでございまして、いわゆるムラ直しという簡単な作業をやったわけでございます。これは実は確認車が通ったあとは絶対に線路をいじってはいかぬということになっておりましたけれども、たまたまこの作業班線路敷設作業をやった作業班でございまして、この付近はまだ建設をやった人をそのまま保守のほうに回しておりますが、その保守に回しますちょうど過渡期でございまして、形としては会社の下請のかっこうになっておったわけでございます。その作業員ではございましたが、長年線路保守の作業に従事し、しかもここ二、三年の間は線路の建設作業に従事しておりましたために、確認車が通ったあとでそういうものをいじってはいけないということを失念いたしましたために、いまその場ですぐ直さなくてもいいものを直してしまって、こういうことになったわけでございます。非常に残念な事故でございますし、本人も非常に善意でやった作業でございまして、非常に私どもとしても気の毒に思っておるわけでございます。  この作業やり方につきましては、下請ということばが非常に強く響きまして、いろいろ保守作業につきまして国民から疑念を持たれた点もございますが、実は先ほど申しましたとおり、線路敷設する建設の作業から保守作業に転換するちょうどその過渡期でございまして、先ほど申しましたように、この区間が一番線路敷設がおくれましたために、建設から保安への転換がおくれておったというのが実際の偽らざる実情でございます。したがいまして、こういう区間はほかには線路関係ではもう全然ないわけでございます。この区間も間もなく保守作業一本の形に直すべきところをこのままになっておったというのがたいへん遺憾でございます。これはさっそく通常の体制に戻すつもりでございますが、ちょうど過渡期でもって建設から保守への引き継ぎの最中だという点が非常に遺憾な点だったというふうに考えております。  それから次に確認車故障確認車と申しますのは、いま申しましたとおり、全部線路作業が終わりまして、それを専門の軌道掛が二名以上で確認するという意味で、各保線所ごとに約百キロぐらいを担当いたしまして確認車というものを走らせます。確認車が走ったあとは一切の作業をしないということになっておりますが、この確認車故障、と申しますことは、確認車自体が多少古い車もございまして、これは現在新しいものをつくっておりますが、確認車自体の故障で、たとえば十月一日に京都の駅で故障いたしましたし、ちょっとしたことがございまして、開業以来三件ほど確認車自体の故障がございました。確認車は現在まだ目で軌道掛が見ておりますが、詳細なゲージをつけた、機器をつけた確認車を現在製作中でございますので、これはいずれ確認車でもって線路状態を確認するという形が事故なしにとれることがもう間もなくできるというふうに考えております。  それから最後に、最近起こります全般的な列車妨害の問題でございます。これは過般、山陽線の須磨付近におきまして、十一月十日から約四日間、それから十一月二十四日から三日間、この二回にわたりまして約二十件ほどの列車妨害と申しますか、信号機に対する非常な悪質のいたずらが起こっておるわけでございます。内容の詳細は省略いたしますが、非常に専門的な知識のあるようないたずらでございまして、しかも信号機の赤い電球だけを抜かずに、黄色い電球と青い電球だけを抜く、すなわちまかり間違っても事故が起こらないようないたずらのしかたをしているという、非常に見方によっては悪質ないたずらでございます。これが過般二回続けて起こりました。現在これに対しましては、私どもといたしましては公安職員のできるだけの人数を投入いたしましていろいろな捜査対策を立てておりますし、また警察本庁とももちろん連絡いたしまして、現地の県警におきましても担当課長が主任捜査官となっていろいろの捜査をやっていただいておりますが、まだ本日の段階で確定的なことを申し上げるまでに至っておらないようでございます。この点につきましては私どもも非常に心配いたしておりまして、国鉄といたしましては、とにかく防護すると申しますか、警備する以外に方法がないのでございますので、いろいろな形でもっていま警備をしている最中でございます。  ただ、これと同時に、山陽線の山口県下におきまして、墓石を倒しましたり、あるいは和歌山県下でやはり石を置いたりという事件が、実は少し全国的に連鎖反応的に起こっております。これはもちろん全国的な、組織的なものとは思いませんが、どうもこういういたずらが一つ起こりますと、新聞を読む連中の中で、こういうことをしてみたい連中があるのかどうか知りませんが、どうも連鎖反応的に全国的に起こるという非常に歎かわしい現象がございまして、なかなか国鉄の力の範囲では及びませんが、何とかこれを私どもといたしましては防護するという直接の警備体制、あとは広く浅いPRになりますが、小学校の生徒とかそういったいろいろな各方面の協力を得まして、列車妨害の排除をするという方法以外にないのでございまして、何とか現在のこのばく然たる連鎖反応的なこういったいたずらが一刻も早くなくならなければいけない。それにはやはり山陽線の事故を、いたずらをやりました犯人を早くつかまえることが最大の問題だというふうに考えておるわけでございまして、警察庁におかれましても、この点は非常に熱意を持って現在捜査に当たっておられるようでございます。  以上、たいへんくどくど申し上げましたが、最近の事故関係について御説明を終わります。     —————————————
  6. 川野芳滿

    川野委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  7. 久保三郎

    久保委員 ただいま副総裁のほうから、最近における事故の全体についてお話がございましたが、質疑者もたくさんおりますので、私は二、三お尋ねをしていきたいと思います。  一つは、この新幹線関係事故でございますが、大体開業以来十月一日から先月の十一月二十四日までの間に合計七十七件実は事故があるわけです。一日に大体一・四件というか、一件半ほどという、かなり数にしては多いのであります。しかもこれは各セクションにわたって事故がある。いま副総裁から御説明があったように、開業当初におけるところのいわゆるなれるまでの期間が短い。いままでもたとえば「はつかり」車両故障にいたしましても、「はつかり」などはもっとたくさん期間があったが、新幹線については、多少それよりも下回る、こういう御説明でございます。しかし考えてみれば、新幹線というのは、国鉄の技術の粋というか、そういうものを集めておやりになって、十分研究調査もいたし、あるいは試験もいたしたということでありますが、全体的にこう事故があるということは、開業を非常に急ぎ過ぎたんじゃないかということが一つ考えられます。これはもちろん開業した今日でありますから、これを延ばすといってもいたし方ない話であります。  そこで、ひとつ申し上げておきたいのは、この新幹線が来年春にはもっとスピードアップをして、いまの四時間を三時間ぐらいに短縮したい御計画でいるようであります。この時間を短縮することは、十分この実績の上に立っておやりになることをまず要望しておきたいのであります。そうでないと、どうも最近国鉄は、新味を出そうということで新幹線を走らせたようでありますが、それはそれなりに一つの意義がありますけれども、さらに第二弾の何かを出そうということであせりがあってはうまくないと思うのです。大体もうすでに東京−大阪間のその他の交通機関も入れて、新幹線は、いうならば優位に立ったというのでありますから、そう急いで、三時間のスピードをつけるということは、そう意味がないのではないか。もちろん、これから輸送力増強のためにスピードをさらにあげていくということは一つのねらいでありますが、それよりはむしろ安全運転に重点を置いて十分やっていく必要がある。  御報告がありました先般のたとえば作業員事故、これはあとから勝澤委員から詳細にお尋ねがございますので私はこれ以上言及いたしませんが、一つは、たとえば保守の体制というか、そういうものにやはり欠陥がある。たとえば、それじゃ国鉄側の保線のほうの保線所の要員は十分充足されているのかどうか、こういうことを考えますと、十分充足されていないという結論が一つ出るわけであります。大体最近において国鉄基本問題懇談会の意見書も取りまとめられて、政府に答申をしたようであります。その中にも、四十五万の職員はふやすべきでない、近代化、合理化を徹底的にやるという条項もあるようでありますが、要は、この安全が主体でありまして、そうなりますれば、必要最小限の要員は思い切って確保するというのが、今日企業の責任でもあろうかと思うのです。そういう点で、従来運転士あるいは保線手をすべてひっくるめて、新幹線の要員は非常に不足してはいないかということが第三点であります。  それからもう一つは、この作業体制の問題でありますが、これまた勝澤委員から御指摘があると田ふうのでありますけれども、少なくともそういう体制を今日改めるべき時期ではないかとさえ私は思うのです。いずれにいたしましても、各般にわたってこう事故がある。その中で特に多いのは信号装置故障が十六件、車両故障、その中には引き戸の関係もございますが、十四件、さらには送電故障が十件、あるいは車両破損が十三件ということであります。その中で特に目につくものは車両関係で、パンタグラフの七件というのがございます。これは減っちゃおらないようでありますね。最近もパンタグラフの故障で運休をしたとかどうとかいう新聞記事が出ております。こういうものに対する研究開発というものは、現実にいまやっているのかどうか。これは一つの例でありますが、そういう研究開発も十分力点を置いてやる必要がある、かように考えるわけであります。  そういうものを全体的に見て、ひっくるめて、要員あるいはこれを保守するところの体制あるいは研究、こういうものはいまだしの感がある、こういうふうに考えるわけであります。これについて国鉄当局としてはどのように考えられているか、これを簡単に御説明いただきたい。
  8. 磯崎叡

    磯崎説明員 新幹線開業以来、先ほど申しましたとおり事故件数が多いことはたいへん残念でございますが、ただいまの御質問の第一点の時間の短縮の問題でございます。これにつきましては十分私ども注意いたしておりますし、あせって三時間、四時間運転にするという気持ちは毛頭ございません。実際に車両がふえますのも来年の夏以後になると思います。十分それまでに線路車両電車線等の保守あるいは改良をいたしまして、三時間運転につきましては、皆さまがほんとうに安心して御利用になるような空気ができた上で三時間運転するということをかたくお約束いたしておきます。  それから保守の体制でありますが、これは新幹線をつくりますときにいろいろな角度から新しい保守体制を考えたわけでございます。実施後日が浅いということもございまして、いろいろな角度でもって、すなわち車両線路、電気、いろいろな角度でもってまだまだ問題がたくさんあることは事実でございます。われわれが紙の上で考えました計画と、実際にやってみましたところの実際のやり方、いろいろ問題もございますので、保守体制につきましては今後十分、さらに、いまの形で満足することなく、検討を加えた上で改善してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、新幹線の直接の要員の確保の問題でございますが、主として保守に当たる保線、電気の関係でございます。たとえば保線で申し上げますと、千三百名の定員で考えておりましたが、なおまだ宿舎その他の関係で百名ほど充足されておりません。これは早急に充足するつもりでございますが、やはり宿舎の手配等も完全にいたしてやりませんと、配置転換も無理でございますので、これは極力早く充足いたしたいというふうに思っております。このためにいろいろ問題も起きております。ことにこれは全部夜間作業でございますので、いろいろな角度で配置転換につきましても多少の困難が伴っておるのは事実でございます。  それから最後の、事故の内容といたしまして、信号装置、送電故障車両故障等につきましては、実は毎週一回必ず関係者をもちまして、新幹線のみの事故防止委員会の分科会をつくりまして、一週間の実績を検討し、それの改善を関係技術者の粋を集めまして、現在やっておる最中でございます。しかし、いまおっしゃったとおり必ずしも減ってない面もございますので、これらにつきましては十分今後とも検討を続けてまいりますが、なお詳細につきまして、担当の川上常務から御説明いたすことにいたします。
  9. 川上寿一

    ○川上説明員 ただいまの御質問の中で、特に信号故障につきましてはいろいろ御心配があるかとも思いますが、十月は全部で十一件発生いたしておりましてかなり多いのでございますが、十一月になりましては五件でございまして、その内容は、ボンドが脱落いたしましたものが一つと、それから電源の停電が一回、それから予備電源が故障しましたのが一回、それから軌道回路がふぐあいになりましたのが一件と、列車防護の回路がふぐあいになりましたのが一件でございまして、あとの二件は、これは作業のふぐあいからケーブルを損傷したのでございます。そういうことで、依然として五件の件数が出ておりますが、信男装置全体といたしまして、故障が起きました場合は必ず安全側に作用するようになっておりますので、安全の面からは危険がないと存じますが、いずれにしましてもこれによりまして列車を少しずつ止めたり、あるいはおくらせたりしておりますので、特に軌道回路とかあるいは溶接ボンドとかいうものは、総点検を現在やっておりますので、今後こういう事故はほとんどなくなるものと確信をいたしております。機械そのものにつきましては、重要なところは二重系あるいは三重系になっておりますので、列車影響を出すようなものは出ておりませんが、全般的に見まして、故障が非常に少ないと思われます。  それからパンタグラフにつきましては、これも十月には相当な回数が出たのでありますが、十一月になりましてからは一件のみでございまして、これもパンタグラフをささえております金具のカバーが、何かものが当たりまして破損をいたしたものでございます。十月に出ましたパンタグラフ故障は、主として架線のなじみがすっかりできていなかったというような原因が多いわけでございますが、一部金具の悪いものは全部取りかえましたので、これも今後ほとんど出ないつもりでございます。  送電故障につきましては、十月は七件でございまして、十一月は三件出ておりますが、そのうちの二件はインシュレーダー・セクションと申しまして、二つの電源がついておりますところに絶縁を入れたセクションのふぐあいが二件ございまして、これは、まだ少しぐあいの悪いところの取りかえが十一月いっぱいかかっておりますので、その分が出たものだと思っております。あとの一件はこれは振れどめ金具が、何か、これも物に当たりまして折れたところへ電車が入ってきたわけでございますが、こういう点につきましては、いま申し上げました十一月いっぱいに総点検を済ませまして、おそいものでも十二月の十日までには修理を全部完了いたしますので、今後こういう事故は非常に減ってくるものと思っております。
  10. 久保三郎

    久保委員 新幹線の問題はいろいろございますが、答弁のあった限りにおいては、これからの感が深いのでございまして、特に先ほど、年末を控えてかなり悪質な妨害等もあるというふうな御報告でございますが、これはもちろん当面捜査に力点を置いて、犯人を検挙するというか、そういうことは当然必要でありますけれども、全体的にやはり輸送の逼迫する年末年始の安全輸送をするというには、いろいろな考慮を払わねばならぬと思うのであります。いまの列車妨害に対する警戒体制も一つであります。  もう一つは、限られた職員の中で年末年始の輸送をやるというのは例年のことでありますが、たいへん苦労の多いことであります。これらの要員の問題について、いままでのしきたりというか、やり方からいけば、くめんをしながらやりくりをしていくというのが多いのでございます。こういう無理をしてやった場合、ときたま事故が起きる、それが大きな事故に発展するということもありますので、これら、特に運転要員については万全の措置をとって、臨時ダイヤ等の編成はなさるべきだと思うのでありますが、それについてはどういうふうになっておりますか。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 毎年、年末から年始にかけましては、非常に私のほうの輸送繁忙期でございます。臨時列車をふやし、また相当な人間が要るわけでございます。ことしにつきましても、現在の情勢から申しますと、従来ほどにはとても列車をふやす余裕はございません。線区によりましてはほとんど列車をふやすことは不可能な線区もございます。かといって、これだけ殺到するお客さんをそのままというわけにいきませんので、できるだけの人間を確保いたしまして輸送に当たらせるわけでございますが、しかし、いまおっしゃったように、やはり無理にも限度がございます。どこまでができるかということなどにつきましては、十分組合とも話しいたしまして、大体、過般発表いたしました程度のダイヤはこなせるというふうに考えております。しかしながら今後の近い将来の問題といたしまして、過般基本問題懇談会で出されました、人間をふやさないでやれ、こういう強い御意向に対しましては、私どもといたしましても、あの懇談会に参画しつつも、非常に事態がむずかしいということは、るる説明してあるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、ケース・バイ・ケースで問題を処理してまいりたいというふうに考えております。ただやみくもに絶対に人をふやしちゃいかぬというふうな気持ちで必ずしもあの懇談会の答申は書かれてないというふうにも思っております。十分、一件一件、その場その場に当たりまして検討してまいりたいというふうにも考えておるわけであります。また志免の鉱業所も幸い締まりましたので、それらの人員の転換もございますので、多少のゆとりも出てまいります。しかしながら、それではたして何年持つかということもございますが、十分今後の問題といたしまして、基本問題懇談会の結論も一応ございますけれども、やはりケース・バイ・ケースで、無理には限度があるということを十分頭におきながらやってまいりたいというふうに考えております。
  12. 久保三郎

    久保委員 なお東海道新幹線に関連して、東海道線そのもののサービスが非常に低下したという実情を訴えられているわけで、これは、国鉄当局としても十分にすでに御案内かと思うのでありますが、たとえば、直通の急行を減らして、東海道新幹線は大阪までであるということから、しかも新幹線は座席指定であるということからして、新幹線からあふれ込む者が、既設の東海道線に回るということからして、二重の混雑をしているということなのです。この改善策については、過般の開業当時のダイヤ改正においてもそれぞれ勘案はされたと思うが、実際は実情に即していない。新幹線ができたために既設線区を利用する多数の人間が困っているということでは、何のために新幹線ができたのかというような極端な批評さえ実はあるわけであります。これでは所期の目的を達成したとは十分言いかねると思うのでありますが、これらについての御検討はどうなっていますか。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問につきましては非常に大問題でございまして、問題は二つ私はあると思います。一つは、大阪以西に行かれる方の問題が一つ一つは、東海道の中の主として中距離輸送の問題が一つ、この二つに大体問題がしぼられると思っております。  大阪以西の方につきましては、直通、たとえば岡山の直通特急をやめたとか、広島の直通特急をやめたとか、そのためにどうしても大阪で乗りかえなければならないというような不便が出てきたことは事実でございますが、できるだけその不便を緩和するために夜行列車の直通をふやす。たとえば、四国行きの夜行列車一本ふやす、あるいは九州行きの夜行特急を一本ふやす、こういうことによりまして、いままで昼間乗りかえなしで行かれたお客さんは、これはどうしても救済できませんので夜に変わっていただく。昼間行かれる方は大阪で乗りかえていただく、こういうふうにいたしておりますが、大体新大阪から現在乗りかえているお客さんは、日によって非常に違いますが、一日大体四、五百人でございます。これらの方々は、大体輸送力はあるのでございますが、過般の、たとえば山陽線の信号機事故があるということになりますと、それが新幹線のダイヤに響いてくる。新幹線のほうで事故があると、すぐ山陽線のダイヤに響くというようなことも、いままでのように、たとえ事故があっても乗ったままで影響を受けるということでなしに、一ぺん乗りかえるためにその影響が二重になるというようなこともございまして、いろいろな御批判もございます。この点につきましては後ほどまとめて申し上げますが、どうしても来年の十月の時刻改正までは、いま以上にはちょっと改善がむずかしいんじゃないかというふうに思っています。と申しますのは、ことしのダイヤ改正は東海道と山陽の直通だけに主力を置きまして、そのほかの問題につきましてはなかなか手が届きませんでした。今後の大阪以西の問題につきましても、来年の時刻改正のときに十分総合的に考えてまいりたいと思っております。  それから、もう一つは東海道線の中の問題でございますが、これは初めからのお約束どおり、新幹線であきました部面は相当程度貨物列車のほうに実はダイヤを使っております。貨物列車を現在以上、例年ほどではございませんが、やはり前年に比較いたしまして六本ないし七本の増発をいたしております。したがいまして、貨物列車をふやしたことで、あとは通勤輸送に主力をおいて改善いたしました。したがいまして中都市へ行かれる方は多少時間が延びたという御不便があるわけでございますが、私どもといたしましては、現在の東海道線を主として通勤輸送と貨物列車重点を置いて、とりあえず改正いたしましたために、その中距離のお客さん、中都市へ行くお客さん、ことに中都市相互間の輸送につきましては若干不便になったという御批判は免れないというふうに考えております。これは実は現在の東海道線がある以上どうにもなりませんし、もし逆に東海道新幹線ができておりませんでしたならば、非常な混乱になったというふうにも考えられますので、中都市相互間のお客さんには多少御迷惑をおかけしているということが一点。  それから、たとえば岐阜のように全然新幹線が通っていないところのお客さんからも相当苦情が出ておりますが、そういった問題等につきましては、十分今後の来年の時刻改正に取り上げてまいりたいと思っております。何と申しましても現東海道線は主として近距離の通勤輸送の改善、たとえば東京口におきましても今度のために約三本の通勤列車をふやしました。こういった通勤輸送の改善に主力を注ぎまして、実は中距離輸送は少し犠牲になったということは残念ながら事実でございます。何とかもう少しくふういたしまして、来年の時刻改正には中距離輸送ももう少しよくいたしたいと考えておりますが、その点確かに御批判のとおりの問題があることは事実でございまして、来年の秋にはもう少しよくしたいというふうに考えております。
  14. 久保三郎

    久保委員 東海道新幹線事故については勝澤委員から関連もございますが、私もうちょっとでありますから続けさしてもらいましょう。  いま御報告がありましたように、三つの柱でおやりになった。たとえば列車自動装置の問題でありますが、その中にお触れになりましたが、運転士がブザーをとめない限りにおいてはとおっしゃいました。運転士がとめれば機能が働かぬということでございますね。機械装置のことでよくわかりませんが、そこで、たとえば車内警報器一つとりましても、この警報器に応じた運転士の動作がとれない限りは、そのブザーが鳴りっぱなしということでなければ、これはほんとうの安全装置ではなかろうとさえ思うわけです。これは、その人間の緊張の度合いというか、そういうものには限界がありましょう。しかもこれは短時間だと思います。そういうことを考えますと、この列車自動装置のベルというか、ブザーについてもくふうをこらすべきではないだろうかという意見も出ています。これは運転士諸君にとってはたいへん苦痛な話だと思うのです。運転士が確認してボタンを押せばとまるというだけでは、確認してその次の段階に移るまでの間の緊張がそのものに集中ができなくなったというような事例も過去においてあるのではなかろうかと思うのであります。専門的でありますからお話もよくわかりませんが、そういうことを考えます。  もう一つ踏切の改善の方策でありますが、お述べになったように、線区間全体としては一応何らかの措置が講ぜられるということであります。一つの例として、たとえば警報機つきの踏切に改善する。なるほど警報機が鳴っているうちは通っちゃいかぬということになっておりますが、人間の心理としてなかなかそうはいかぬ。しかも踏切のあるところは前後の見通しというか、左右の見通しがきかぬものが非常に多い。こうなれば、やはり人間のそういう場所における心理状態を停止させるというか、衝動を押えるには警報装置だけでは足りないというならば、やはり遮断機も併置することも考えるべきではないか。特に複線区間においては上下に走ります。たとえば目の前を下りなら下りがいま通過した。それはこの信号機であるということで出て行ったところで上りに衝突したというような事例も数多くあらわれておる。もちろん警報機には下り上りの識別があるようですが、天候のかげん、あるいは照明のかげんで、これは必ずしも鮮明でない場合が多い。そういう場合には、やはり自動遮断機の併置をもう一つ考えるべきではないか、こういうふうに二番目には思うわけです。  それからもう一つは、列車乗務員あるいは運転乗務員というか、そういうものに対しての訓練の問題であります。幸い機関車乗務員については、訓練要員というものを制度として置いておるようであります。しかし、列車乗務員である車掌、そういうものについては訓練要員という制度がない。だから、結局、非番、公休の時間を利用して訓練をする。しかし、これは今日の労働慣行からまいりましても、そういうあり方では十分なものが達成できないと思うのです。だからこれはひとしく、列車乗務員に対する訓練要員というのは充足をして、十分、時代の要請に応じられるような徹底した訓練を与える必要があると思うのですが、この要員の問題についてはどういうふうに思うのか、この点をお尋ねしたい。  それからもう一つは、先ほどお述べになった水郡線の事故にかんがみて、副総裁からもお話がめりましたが、いわゆる場内信号機関係の本線区間の連動装置というか、ロックされていないのが現状であります。出発信号機は御案内のとおりタブレットによって、一応人為的ではありますが、ロックされておる。場内信号機はフリーのままにある。そういうところにたまたま人間の錯覚、誤扱いというか、これが出て、大きな事故になったと思う。もちろん人間の注意力に依存するならば、これは防げた事故であるかもしれない。装置としてはやはり問題があると思うのです。だから、場内信号機関係本線との間のいわゆるロックをどうするか、これは半自動信号機に切りかえれば簡単にできると思います、もちろん費用はかかりますが。そういう配慮がなくして、単にできた事故の当否を責めるだけでは、残念ながら事故防止対策には役に立たぬと私は思う。そういうことを、工事をおやりになるそうでありますが、この際申し上げますが、中途はんぱな、たとえば接近ベルをつけるとかというようなことでは、この問題は解決できないと思う。たとえば接近ベルを、車内警報器と同じように一応確認したから、これを押すと接近ベルは鳴りやむ。鳴りやんだあと列車の接近の間の時間に事故が起きるというのもありますから、そういう徹底をしないような装置ならばむしろつけぬほうがいいと私は最近考えております。幹線区であるからどうのこうのでなくて、そういう配慮が必要だと思うので、この点どう考えるか、簡単に御答弁いただきたい。  それからもう一つ、運輸省からおいでの鉄監局長にでありますが、関係の一部でありますからお尋ねしておきますが、こういうふうに陸、海、空、実は事故が多いというか、非常な大事故が多い。しかも、だんだん悪性と言っては語弊があるが、そういう事故が続発する。ますますひどくなっていくという場合に、政府として、特に運輸省として、交通の安全に対する基本的な方針を打ち出していくべきだと思う。たとえば交通安全基本法というものを制定する、国会に提案する用意が今日あるかどうか。いかがですか。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、まず車内警報装置でございますけれどもおかげさまで一応ここまで参りました。現在までは、とにかく全国的に広げることに重点を置きましたので、これからあとはもう少し精緻な、精巧な車警にかえていきたいということであります。たとえば確認ボタンを押したあともなお低い音で鳴らしておくとか、あるいは本来ならばスピードをチェックいたしましても確認ボタンを押したあとでも、スピードが変わらなければ直ちに働くような設備をつけ加えて、ちょうどいまの新幹線の形でもって最終的に保安度を高めていきたいという方向に進めてまいりたいと思います。たとえば車警を普及いたしますと同時に、いまの確認ボタンを押したあと、また全然フリーになってしまうのをとめる。いろいろな角度から検討しておりますが、これはまもなくいろいろな具体案が出てまいりますが、私ども、ぜひその点はもう少しチェックいたしませんと、せっかく車警をつくりましても、確認ボタンを押してしまうとまた全部フリーになってしまいますから、これではいけないので、何とかその点チェックいたしたいというふうに思います。  第二番目の車掌の訓練でございますが、機関車乗務員のほうは前々から実は訓練時間というのがございまして、それがいろいろな角度で乗務員側の事故防止の訓練に役に立っておりましたが、車掌につきましては、従来そういう制度がございませんで、適当な時間を利用してやっておったということになっておりますが、最近の、ことに複線区間におきまする車掌の列車防護、特に後方、側面の列車防護というものが大事になってきたということからかんがみまして、もう少し車掌の訓練につきまして具体的に考えてまいりたいと思っております。実は一昨年も全国の管理局長会議をやりまして、管理局長側の意見としても、もう少し車掌について、運転事故の場合の訓練をする必要があるという強い意見も出ておりますので、その具体案につきましては検討してまいりたいというふうに考えます。  最後の水郡線の問題等でございますが、あの事故はきわめてまれな事故ではございますが、起こり得る事故であります。起こったケースは非常に少ないのでございますが、考えてみますと実に起こり得る事故でございます。私どもも非常に心配になったものでございますから、決してああいう——ことにあの区間は非常に列車回数が多いところでございまして、たとえ支線でございましても、その点につきましてはどうしても自動信号にすることが第一であるということで、今度の第三次長期計画の中にはやはり自動信号区間をもう少しふやすべきだ、大体いままでは支線筋はあまり入れませんでしたけれども、支線筋でも列車回数の多いところは自動信号にしたい。それができないまでも、色燈式の信号機にしますればチェックができますので、そういった面に改善してまいりたい。接近ベルのようないいかげんなものでその場しのぎをすることは、かえっていろいろ間違いがありますので、そういった角度から本格的な保安体制に進みたいというように考えております。
  16. 佐藤光夫

    ○佐藤説明員 交通事故の総合的な防止につきましては、お話しのように運輸省としてもいろいろな努力はしておるわけでございますけれども、御承知のように法制的には踏切道改良促進法の制定、あるいは予算等の措置は講じてきたわけでございますが、海陸空を通じての総合的な交通事故防止というような観点から、省内には実は交通事故防止対策委員会というものを設けて、事故の各面にわたる原因の検討、対策等について相当掘り下げた検討を続けておるわけでございます。お話しの安全に対する総合的な法制の整備というような点も含めまして、将来なお十分に検討を続けてまいりたいというように考えております。
  17. 久保三郎

    久保委員 鉄監局長、将来と言うが、何年研究すればこういうものができるのか。大体ことしの二月か三月に交通基本問題懇談会の答申にも出て、政府はこれを受けて立っているわけでしょう。だから、いまのような委員会をつくっておやりになるのもけっこうだが、われわれとしては、やはりこういう事態になっては、企業の責任を明確にする必要もあるし、利用する者の責任も明確にする必要もあるし、国の施策として何と何をやらなければいかぬということも明確になっています。調査の段階、研究の段階でなくて、これをどう制度化するかという問題だと思うのです。そういう点について近いうちにもう一ぺんお尋ねしますけれども、あなたばかりの責任じゃなくて、これは運輸大臣の責任だと思います。もう少し前進した考えを持っていくように要望しておきます。
  18. 川野芳滿

  19. 勝澤芳雄

    勝澤委員 新幹線関係について少し関連して、時間がありませんから簡単に御質問いたしたいと思います。  新幹線が営業いたしましてから一応順調な進み方をいたしておりますが、いろいろ各所に問題点が出てまいりました。その問題点につきましては、従来の国鉄にないようなスピーディーな処理のしかたで対処はいたされております。特に一番最初は営業関係の手不足の関係で、線があいておるけれども乗れないというような意見が出てまいりました。また駅員、営業関係の人の配置の問題にいたしましても、電話をかけても、いつもお話し中だというような点がありました。いろいろと努力はされているようでありますが、また最近、新しい問題として、特に私ども静岡県などでは新幹線の間接的な障害という問題がたいへん問題になりまして、県でも公害防止条例をつくっておりますので、公害の問題についてもいろいろと相談をされているわけです。しかし、いなかの町の問題と、あるいは東京なんかの場合、いろいろまたそれについての取り方の問題があるようであります。こういう点につきましても、いまの新幹線の機構がだいぶ変わりましたので、地方では一体どこへ相談をしたらいいのかということなどにつきまして、戸惑いをいたしておるような点がたくさんあるようでありますから、こういう点などにつきましても、十分ひとつ現状につきましてはどんどん促進をして、地元の要望を聞きながら、新幹線を国民のために大いに利用してもらうということで、ひとつ努力をしていただきたいと存じます。  特に私は、この浜松の付近に起こりました保線作業の問題でちょっとお尋ねをいたしたいのですが、新幹線保線作業が、私たちの認識ですと、実は下請でやられているというのはちょっと意外に思うわけです。報道によりますと、十一社で千五百人程度がこの下請をやっている。この事故原因というのは、静岡の県警本部の最終的な結論でも、小倉班長の指示の与え方が間違っておったということと、見張り役をつけなかったという結論が出ているようでありますけれども、これから考えてみますと、その新幹線保線作業、こういうものを下請でやることがいいことなのかどうなのか。下請でやらした場合に、この事故の状態を見てみますと、国鉄自体から一人も立ち合い人が出ていない。こういう作業のやらせ方というのは、下請をやらせる場合に、過去にあっただろうかどうだろうかという点がたいへん私は疑問に思うわけであります。こういう点で、少し検討もされておるようでありますが、この新幹線の保守体制といいますか、そういうものを国鉄は、国鉄本来の職員と、それから下請とどういうふうに分けてやられていくのか。今後の問題を含めてお答え願いたいと思います。
  20. 磯崎叡

    磯崎説明員 新幹線の保守作業、これは電気の線路も同じでございます。ことに線路の問題につきましても、いろいろいままでも、どういうふうにしたら最も安全に、しかも合理的に保守できるかということにつきましては、関係方面でずいぶん研究してまいった問題でございます。現段階におきましては、ただいまお話しのとおり、保線作業を二つに分けまして、すなわち線路そのものをいじる作業、たとえばまくら木をいじったり、あるいはボルトを締めたり、ボルトをはずしたり、ほんとうに線路そのものをいじる作業、それからムラ直しとか、ああいう単純な作業、この二つに分けまして、ムラ直しと通り直しという非常な単純作業でございますが、ムラ直しと通り直しの程度のものは、これは下請に出してもいい。それから線路そのものをいじる作業は、これは国鉄職員がじかにやるというような分け方をして、現在までわずか二カ月でございますが、やっているわけでございます。現在線におきましては、もちろん全部が直接作業でございます。しかしながら、実際にはこのムラ直し作業とか通り直しの作業には相当大部分が外注の人夫を使いまして、そうして線路工手長、副長、あるいは古い線路工手が指揮をいたしまして、そして実際やっているのは外の人夫がやっておるというのが現状でございます。今回につきましては、今回はこういう過渡期ではございますし、ことに線路敷設する作業そのものは、これは一応全部外注で下請でやったわけでございます。しかし、かと申しまして、全然国鉄作業に経験のない者ではできないということで、たとえばいまお名前の出ました、死にましたけれども、小倉という班長は、国鉄に三十何年つとめた線路工手中のベテランでございましたが、こういう人が各地におりますので、やめた人でございますが、探しまして、その連中を班長とした班をつくりまして、そして経験者でもって線路敷設をやっておったわけでございます。今後の問題といたしまして、いままでのように、現在やっておりますように単純作業を外注がいいのかどうか、あるいは単純作業まで全部直営でやるべきかどうかということにつきましては、もう少し検討してまいらなければいけないというふうに思っておりますが、現段階でも、この事故は非常に不幸な事故ではございましたが、この程度の事故ならば、むしろ現在線でも監督者だけを職員にして、あとは外の人夫でもやれるんじゃないかというふうな見方もしております。したがって、この点は、現在やっております直営と下請の作業やり方が絶対いいとは私は申しませんが、一応のテストの段階としてやっております。ただ、それにいたしましても、この作業国鉄職員が直接監督に当たっていなかったということは非常に残念なことでございます。それにつきましては、先ほど申しましたとおり、確認車が通ったあとはとにかく線路に手を触れないのだというたてまえになっておりましたために、たまたま個人に責任をしょわせるのはどうも私どもとしても非常に心苦しい答弁でございますけれども、個人の班長の小倉君が、確認車が通ったことを知っていながら、非常に良心的であったせいか、ちょっと気になるものを手直ししたという、帰り道の作業であったようにも思います。これは、本来ならば、この作業を残して翌日の作業にすればいいのであって、何もこのムラ直しをすぐその場でやらなくてもよかった作業のようでございます。しかし、本人はどうしてもやってしまおうという気持ちでやったらしゅうございますけれども、ほかの例を見てみますと、こういう作業は、時間がなければ確認車が通ったあとは大体翌日回しにするのが例のようでございます。この人は、そういう意味で非常に良心的な方で、ぜひきょうじゅうにやってしまいたいということでやったようでございます。したがって、その点、監督者、つまり国鉄職員としての責任ある監督者がそばにいなかったことは非常に残念でございますが、今度は多少監督者の手も足りなかった。いまのように百人ばかり欠員もあったせいもあるかと思いますが、そういう点もあるかとも存じますが、しかし、何といたしましても、作業そのものには監督者をつける。実際には確認車が通る前の作業でございますから、列車が通る心配は実はないわけでございます。そのやったあとの仕上げは、結局確認車で車の上からゆっくり見ていくというやり方をしておりますので、作業そのものは単純作業でもいいと思います。しかし、問題は、確認車の性格をもっと厳重にすること、すなわち確認車に乗っている作業員と申しますか、私のほうの国鉄の職員が現実に目で見、計器を見た上で、間違いない、確認車が通ったことによって作業の引き渡しが済むのだということをはっきりさしたいというふうに考えております。しかし、この問題につきましても、私もまだ断定的に現在これがいいというふうに申し上げる段階ではございませんが、いまのやり方をもう少しやった上で検討してまいりたいと思っております。こういうわりあい単純な作業でございますので、責任者さえしっかりしておれば、しかもでき上がりのできばえの審査をきちんとすれば、こういう作業形式はあながち間違いではないというようにも思っております。しかし、不幸にしてまだこういう事態が起きておりますので、十分検討してまいりたいというふう考えております。   〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕
  21. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連ですから簡単に申し上げますが、事故の起きた原因というものは、わりあいとこの場合ははっきりしていると思います。ただ、私も、この事故で一応二、三いろいろな人たちにお会いし、研究をしてみますと、問題点というものは、まだまだ気がつかなかった点がたくさんあるわけです。その点を少し二、三要望いたしておきますが、たとえば夜間作業をやる場合の照明というようなものについても、業者の中では、停電中にやるわけですから、明るいときにやる作業ではないので、やはり、見てムラ直しが直ったと思っても、あとで計測車が走るとこれがだめだ、その場合今度は、国鉄の出来高払い、支払いをしないというわけですね。金を払わない、実際には仕事をしたのだけれども直っていない、検査の結果直っていないために払わない、そこでどうしても無理をする。いま、この事故のあった付近は、毎日のようにやっても、一週間たって、十日たって検査されてもだめだということで、実際には仕事をするのだけれども、金をもらえないのだという不満があるわけです。ですから責任を持っておる人たちというのは、やはり仕事をしたら金をもらわなければならぬ、金をもらうには完全にやらなければならぬのだけれども、現実には地盤の上から無理ではないかという点が言われているわけです。もし金を払わないなら国鉄として具体的にもう少し技術的なめんどうというものを十分見てやって、そうして出来高が悪ければ問題でしょうけれども、実際に人を使っているわけです。こういう点があるわけです。  それからたとえば電話で連絡しても当直が一人しかいない、ある時間がかかってもう一斉に仕事が始まって、片方の受ける準備というものがないという点などについてもいろいろ話がありました。こういう点などにつきましても、いい経験といってはいけませんけれども、ひとつこういう事故を契機に、そういう総合的な請負制度がいいか悪いかという点についてもいろいろ議論があると思いますけれども、現実にやられている中で、これから寒い冬に向かっていくわけでありますから、作業時間もほんのわずかしかないわけですから、そういう点などについても十分これを契機に検討されることを要望して、関連質問ですからやめておきます。
  22. 塚原俊郎

    塚原委員長代理 肥田次郎君。
  23. 肥田次郎

    肥田委員 私は、国鉄の同じ事故関係で質問したいのですが、特に東海道線関係はだいぶ質問がありましたから省略して、山陽線の信号破壊の事故についてのみ質問をいたします。  これはわれわれがちょいちょい新聞で読んだところでは、もう相当長い期間、この信号機の破壊が続けられておる。特に最近ではだんだん悪質になってきて、信号機用の電源を切断するような非常に手の込んだ妨害というものが起こってきています。これについて、もう長期にわたるので、一体どういう対策をもってこの事故を防止といいますか、事件を未然に防ぐような処置を講ぜられておるのか、質問をいたしたいわけです。
  24. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は先ほど久保先生の御質問に申し上げましたとおり、山陽線の事故国鉄としての防ぎ方でございますが、いろいろ考えまして、いろいろな対策をやっておりまして、中にはそういうことを言うから犯人がそれを覚えてしまうのだというようなことを言われたこともございます。たとえば新聞に出てしまいましたから申し上げますが、非常にわからないペイントを塗ったりいたしまして、指紋が残るとか、あるいは何かあとがつくというようなことも実はやってみておるのです。それがすぐ新聞に出たりしまして効果がないというようなことで、それに似たようなことをいろいろな知恵をしぼって現場ではやっているようでございますけれども、なかなか突きとめられない。しかしいずれにしても、犯人といたしましては全然しろうとではなしにとにかく電気関係の知識のある人であることはどうも事実らしい。ただ、十日から初めの四日とごく最近のとはどうも少し違うのじゃないかというふうな警察当局も見方をしておられるようでございます。しかしいずれにいたしましても、多少精神のちょっと異常な人で、しかもそういう方面の知識のある人じゃないかというふうなことで、ことに二度目のやり方などはケーブルをわざわざ切ったりしておるわけでございまして、非常に手の込んだやり方をしておりまして、今後どういうふうなやり方をするかわかりませんが、結局国鉄といたしましてはばく然たる警備のほかに、技術的ないろいろな角度からチェックする方法を現在とっておるわけであります。こまかいことで私もちょっと申し上げられない点もありますけれども、結局公安職員という警察官に似たようなもので全般的に警備をする。しかし公安職員が多数で警備しておりますときは事件がなく、ちょっと手を抜くとすぐその間に事件が起こるというような点もございまして、いろいろその辺で申し上げにくい点もございますのであれいたしますけれども、非常に苦心して警備体制をとっておる次第でございます。警察のほうも、県警としては非常に重点を置いて問題の捜査に当たってくださるようでございます。どうもあまり明確な御答弁でなくて申しわけございませんが、一応御答弁申し上げます。
  25. 肥田次郎

    肥田委員 確かに歯切れの悪い答弁ですが、それは目星がついておれば対策が講ぜられるわけですね。ところがいま言ったように、これはやはり国鉄当局あるいは警察としても最初からこの犯人の質が変わってきておるというふうに考えておられるのですか。要するにそこらの関係の目星がつけば対策は立てられる道理なんです。すでに今日この事件の起きておるのは二十何件でしょう。だんだん悪質になってきておる。最初は列車妨害、ただ単に信号機が破壊をされて運行に支障を来たすという程度です。それが今度はだんだん質が変わってきて、いわゆる転覆という方向まで変わってくると、これは重大な問題だと思うのです。それからそれはいろいろと言うに言えないような対策を考えておられるようですけれども、このいまのような状態でながめてみると、まるで探偵小説もどきの知恵比べのようなもののかっこうになってしまう。正常な頭脳を持っておる人が気違いに負けるというようなことでは困ると思う。昨日も私はテレビを見ておったら、国鉄の公安本部長さんですか、おっしゃっていたのは、もう列車内の巡察をやめて、すべてこれに精力を集中して犯人逮捕につとめる、犯人は必ず逮捕するとか、非常に力強いことを言っておられるわけですが、列車内の警備をやめることも、これはああいうことを言われることは、先ほどのお話ではないけれども、PRそのものがやはり陰からすぐ犯罪が起こってくることになるのですから、そう単純な割り切り方でこれの対策をどうこうということにはならないと思います。いずれにしてもこれだけ回数が重なってくると何らか的確な対策がなされなければならぬと思うのです。何か安心のできるような話を聞かせてもらえますか。
  26. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は現在までにその数は申し上げてもいいと思いますが、出動した公安職員延べ約二千五百名くらい使っております。警察官だけでも千七、八百人くらい使っておりますので、相当地域は広うございますが、相当な手配がされておるというふうに、数だけでありますけれども考えます。ただやはり毎日々々というわけにもいきませんし、ことに昼間はなくて大体夜でございます。そういったことで少しこちらが警備の手を抜いたときなどがまた事件が起こるということになりますので、やはりこうなれば、警察官はそこまでいきませんでしょうから、私どもの公安職員をもう少し全国的に重点的に集中するとかいう方法で徹底を期す以外に方法はないのではないかと現在考えています。ただ警乗をはずすとかなんとか申しますのは、これは大阪鉄道公安室の警備になっておりまして、大阪鉄道公安室といたしましては、全力をここにあげる意味で自分の受け持ちの警備を果たすということを申したので、全国的なことではないようでございます。しかしやはりもうだいぶ日にちもたっておりまして、公安職員も数の限度がございますので、応援体制その他をすみやかにとらなければいけないというふうに考えております。しかしいずれにいたしましても非常にいろいろな角度から警察も捜査しておられるようでございまして、極端に申しますれば、国鉄で追徴金、割り増し金を取られた人なんかまで手を延ばしていろいろ捜査をしておられるようでございますが、数としてはずいぶんたくさんの人を疑っておると申しますか、捜査の対象としておられるようでございますが、いろいろしぼってまいりますと、ごく少数になっておるようでございます。しかしまだ的確な点はわからないようでございますが、結局いまのところ警備体制を厳重にするということで、何とかこの不安を少なくしてまいりたいというふうに思っております。
  27. 肥田次郎

    肥田委員 公共関係の方は見えておられますか。
  28. 磯崎叡

    磯崎説明員 見えております。
  29. 肥田次郎

    肥田委員 ちょっと伺いたいのですが、警備体制の協議というものはどういうふうにやっておられるのですか。一番問題点は、私はそこらに興味を持つのですが、警備体制を一体どういう機関で協議をされておるのか。いまの副総裁からの答弁を聞いておっても、こちらの手をゆるめたときに出てくるということなんです。手をゆるめたとき、あるいはこちらの事情をよく知っておるということは、これが一番問題の解決になるんですね。よく最近ではいろいろな事件が起きておりますが、盛んにえたいの知れない放火が行なわれる。それは捕えてみたら消防署員であった、こういうことが言われておるのです。ですから情報が漏れる、警備体制の情報が相手によくわかっておるということは、案外身近にそういう関係の者がおるんじゃないかということも一応考えられるのです。ですから、そういう点の協議というものはどういうふうにやっておられますか。
  30. 磯崎叡

    磯崎説明員 警察のほうは、加古川の警察の中に本部を置いておられます。したがって、そこと私のほうの公安室長とが密接な連絡をとってやるわけであります。毎日毎日大体の配備体制と申しますか、警備体制をつくりまして、そしてそのとおり実施しているわけでございますけれども、いろいろな情報が漏れるということなどにつきましても、いまいろいろ問題をしぼっているようでございます。詳細ちょっと申し上げかねますが、警察の専門的な立場から、いろいろな角度から考えておられるようでございますが、私どもしろうとであまり詳しいことを申し上げられませんけれども、ずいぶん両方で協力し合ってやっているようでございます。たとえば警察もいまの加古川の警察だけでなしに、近隣の警察も全部入って捜査体制をとっておる。いろいろ向こうの編成でございますので、私から申し上げるわけにいきませんけれども、警察の体制もきちっと整っております。それに私のほうが手足のようにくっついて、沿線だけ、鉄道用地内だけは国鉄が責任を負うという体制でやっております。  情報が漏れる等につきましては、どういう点からどういうふうに漏れますか、それらの点につきましてもいろいろ見方があるようであります。まだ捜査の段階でありますので、ちょっと詳しくは申し上げられない実情でございます。  具体的な連絡のしかた等につきましては、警察と国鉄の公安官の合同特別捜査本部を加古川署に設置して、そこの中で具体的な協議に基づいてやっている、こういうことでございます。
  31. 肥田次郎

    肥田委員 問題が問題ですから、要はこの年末を控えてこういう妨害事故が大きな列車事故に発展するというおそれがあるんじゃないかということでお伺いしたわけです。もちろん国鉄は公安官をたくさん持っておられるけれども国鉄の争議なんかの場合にはなかなかいい力を出すのですが、こういうときにはどうもなかなか実力が出ないのです。これは皮肉で言うわけじゃないですが、とにかく事故を防止するというたてまえから、いわゆる利用者を安心さすような態度というものが、これは国鉄だけじゃなしに、とられなければならぬ。きょうは警察庁関係方面には質問しょうとは思っていなくて、とりあえず国鉄としてどういう対策をとっておられるか、このことだけを質問しようと思ったわけですから、至急に安心ができるような方策というものをとってもらいたいと思います。強く要望しておきます。  それから次に私が質問いたしたいのは、気象庁の関係です。この関係国鉄のほうにちょっと先にお伺いしておきたいのは、先般十一月の十五日に地震がありまして、この地震が感じたとか感じないとか、地震関係への連絡がよかったとか悪かったとかいうことで、国鉄では列車の運行を除行というのですか、連絡をしたようなふうになっておる。これは事実あったのですか。十一月十五日十時ごろ……。
  32. 川上寿一

    ○川上説明員 十五日だと思いますが、新幹線は除行いたしました。
  33. 肥田次郎

    肥田委員 それはどういう関係で地震がわかって除行されたのですか。
  34. 川上寿一

    ○川上説明員 国鉄の場合それを判断いたしますのは、現場の保線区でその地震の程度で判断をいたしまして、震度四と記憶しておりますが、ちょっと数字がはっきりいたしませんが、震度三か四かでございますが、それ以上の地震と感じた場合には、保線区長の判断で管理局の運転指令に指示を求めまして、除行することになっております。
  35. 肥田次郎

    肥田委員 これは気象庁と同じように体感でやられるわけですか、その感じは。
  36. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの十一月十五日のは、ちょいと担当課長が来ておりましたので聞きましたところが、私どもの東京駅の中に新幹線の総合指令室というものがございます。その総合指令室の中におりました当直員が、自分のからだで大きいなあと感じたので、すぐ全列車の停止の手配を無線でしたそうであります。気象庁の連絡でなくて、しろうとの判断でやったようでございます。しかし一般には大体現場を保守しております保線区のほうで震度を感じて、あるいは気象庁の御連絡によって保線区のほうがとめるのが通例でございますが、過般は東京の指令室から一斉にとめたようでございます。
  37. 肥田次郎

    肥田委員 特にこの問題を私が質問しておきたいと思ったのは、すでに新聞やそれから週刊誌などでいろいろとこの気象庁の体感という問題を取り上げて話題になっておるようでありますので、特に質問したいと思ったのです。言われるように、当時の状態では、やはり国鉄が除行運転をやっておる、あるいは停止したところもある。ところが気象庁の発表では、震度は宇都宮が三で、水戸、横浜が二、甲府が一、東京はゼロ、こういうふうに発表されております。これはあとで御返事をいただければけっこうですが、そういうふうな一般の体感と、それから気象庁の体感との現在の状態の中での地震観測上の食い違いというものが、先ほどちょっと質問したように、国鉄では地震が強いと感じて、それで列車の運行に対する除行あるいは停止の指令を出した。ところが気象庁のほうではそれほどではない。先ほど言ったようないわゆる震度の発表だった。こういうことに新聞のほうで取り上げておるわけです。気象庁の言としては、そもそもこういうことになったのは、いわゆる新しい庁舎ができてりっぱな建物になったために、体感に狂いがきた。いわゆる体感にたよっておったところが、体感に狂いが来た。その結果こういうふうに誤差が出たのだろうというふうに新聞などでもひやかしておるのです。問題は、体感というようなことなどわれわれも実は初めて聞くのですが、いまではナンセンスのように笑って済ませますけれども、そういうような問題が今日なお残っておったということなら、これはいまの状態から見て時代おくれな問題ですから、非常にそれを気にしておったわけです。ところが気象庁のほうではこれらに対して至急に、いわゆる正確な震度計による観測を立てて、いままでのような体感にたよるというようなことはなくしよう、こういう計画を持っておるのだということも、これも新聞なんかで承知したわけです。したがいまして、これらの関係の機械化と、それからそういうふうにほんとに正確な地震震度計をつくって、そして全国的に確実な連絡がとれるということについては、これは相当予算的な措置も必要なことだと思われるので、はたして言われるようなものが今度の予算の中に盛られておるのかどうか、この点を確認しておきたいので、これから質問いたしたいと存じます。したがいまして、いまの機械化について若干お答えをいただきたいし、それからいわゆる観測対策についての計画を聞かしてもらいたいと思います。
  38. 畠山久尚

    ○畠山説明員 ただいまの震度の問題でございますけれども、震度といいますのは、御承知のように地震動の強さという意味でございます。これは地震観測が始まりましてから、一方地震計を使いまして、その地震計によって観測の記録を得るということと、一方またからだの感じによりまして震度を測定いたしまして、その震度の測定の結果を集めて調査をするということが並行して行なわれてきておったわけです。地震計をつけます場所というのは、地震計そのものが、やはりやや専門的な素養のある人でないと扱えませんので、地震計というものはそうたくさんな場所には置けない。それに対して、からだの感じによって得られるところの震度というものは、これはしろうとの方でも少しなれさえすれば、震度については、どういう程度のが震度一、どういう程度からが震度二という大体の基準がありますので、その震度によっては非常にたくさんの地点からの資料を得ることができる、そういう利点がありますので、この震度を使った観測の結果というものが、従来非常にたくさん、各地震のあるごとにそれが得られておったわけであります。場合によっては機械観測の結果が一つもないのに、体感の震度だけでかなりの強さの地震があったという、きわめて範囲の狭い地震についてそういう結果もかなり数多くあるわけなんでございます。  そういうわけでございますので、従来震度三、震度二、震度一というのがずっと発表されておったわけですが、たまたま先ごろの地震で東京が震度ゼロであった。しかし同じ東京都内でもほかの地区ではかなりの震度を感じた人があったというようなことが起こってきたわけです。これで震度というものの観測を機械観測に変えてしまうかどうかという問題と、そして体感による震度の観測はもうやめてしまうのだという問題と、もう一つは、そういうふうに考えを進めていった場合に、従来から何十年という長い間、体感の震度基準によって観測された資料があります、そういうものと、そういうふうに切りかえたあとのつなぎ合わせをどうするかということが非常なむずかしい問題になるわけでございます。  それでこの問題は、ただひとり気象庁でこうしますということできめるわけにはいかないのです。地震の問題は地震学という学問に対して資料を提供するというのが一つの問題です。もう一つは、工学的な、建築あるいは土木構造物、そういうものとの関連において、工学的あるいは技術的な方面との関連のことも考えなくちゃいけませんので、簡単に私たちだけの考えできめるわけにはいかない。そういうわけで、変える場合にはそういうことも考えなければいけない。  それから、この機械観測による震度に変えるとして、機械観測で得られるのは、観測度ならば割合簡単に得られる。ところが従来体感によっておりましたところの震度というのは観測度だけではないという点が一つのむずかしい点になってくるわけです。最大観測度だけでこの震度がきまるものならばそれでいいのですけれども、場合によって最大観測度だけでなくて震動の継続時間というものが関係してくるということが一つ、もう一つは震動の周期が関係してくるという点もあるというわけで、簡単に観測度計に変えてしまうわけにもいかないという点が一つのむずかしい問題です。そういう点を考え合わせまして、いまいろいろこの相談を進めておるところであります。まだその結論を得ておりませんので、四十年度予算に要求して、こういう点、こういう点に震度計を配置したいのだというところまではいっておらないというところでございます。
  39. 肥田次郎

    肥田委員 長官が専門的な形でわれわれにお答えをいただいてもよくわかりませんから、そこで観測の方法について、気象庁だけでは判断しがたい、判断しがたいというよりもきめがたい、こういうように理解をしていいのですか。この観測の方法といいますか、観測機の設置その他の関係についてはどういうことなんですか。
  40. 畠山久尚

    ○畠山説明員 震度を決定する、地震があったごとに、いまの地震は本日何時何分に起こった、この地震は震源が大体どの辺で、その地震によるところの震度はどの町では震度三であったとか二であったとかという、これを地震があったあとなるべく短い時間の間に発表するということ、これは気象庁の仕事でありますので、それをやりますのに、長い時間がかかっては何にも役には立たないということがあります。そこで観測地点の、そこの気象台の中に地震観測を担当している観測者がいる。この人がいまの地震はこの場所では幾らであったということを体感によって観測して、一つの震度ということで気象庁へ電報を打ってくる。   〔塚原委員長代理退席、進藤委員長代理着席〕  もう一つは、その場所に据えつけてある地震計をすぐに検測いたしまして、何時何分何秒にその初動が始まったとかといういろいろな要素を測定して電報でよこしてくるというのとがあるわけです。気象庁への報告される要素にはそういうものがある。  それで、震度のほうについていいますと、そういう観測点といいますか、震度を観測している人がいる場所というのは大体その町の平均の震度を示すような場所でなくてはいけないというふうに思います。同じ町の中でも地盤のいいところは震度が小さい、地盤の悪いところは震度が大きいということなんですし、また建物によってもその震動の模様が違ってくるわけなんで、大体その町の平均の状態を示すような値が発表されなければいけないのであろう、原則的にはそうだろうと思います。それで東京の場合でも、大体東京の平均の状態を示すような値が発表されなければいけないのだろうと思います。  それでいまの気象庁の建物という問題になってくるわけなんですけれども、この建物の階数によって震動の模様がどう違うかということは、これはまだ実際に観測してありませんので、これからそれをさっそくやろうと思って手配をしておるところです。まだそれはちゃんとやってはございません。それで、気象庁の建物の震動のしかたがどういう模様であるかということは、まだはっきりわかっておりません。基礎及びだんだんに上のフロアーの構造によって、特にいま地震課がありまして、地震の観測者がいます二階が特に震動が小さいのかどうかということは、まだよくわかっていないのですけれども、幾らか震動の程度が小さいことは移った当初から気がついていたことではあります。それで東京の震度というものをきめるのにはどうしようか、これは先日新聞発表もありまして、新聞記事にも出ましたので、御承知のことだと思いますけれども、八階にもう一つ観測室がありまして、そこにも気象観測者が常時いるものですから、そこでの震動の模様はどうであったかというのを考慮に入れて、そして発表することにさしあたりはしてあります。
  41. 肥田次郎

    肥田委員 なかなか話がわれわれも聞いていてよくわからなくなったのですが、そうすると、皮肉でお伺いするのじゃないのですが、気象庁でやっておられるところの地震観測というものは二通りぐらい考え方がある。いわゆる実際に起こる地震に対する予告というものを含める場合と、地震というものはもう起こってしまったあとだから、それの出てくる震度の数字というような問題は、これは将来の建築上あるいはいろいろな工学上の参考の数字になるだけで直接関係がないんだ、こういうふうなことになるのですが、この二通りくらいに理解をしないと、しからば地震観測について一般に対していろいろな問題を提起する上において、どのような設備をしたらいいのかというようなことについては、これは気象庁だけではきめにくい、こういうふうにおっしゃっておるので、その関係をどういうふうに理解したらいいのですか。これはわかりませんので、さっそく教えてもらいたいと思います。
  42. 畠山久尚

    ○畠山説明員 地震がありました場合、地震をいろいろな地震計で観測した記録が得られておる、それが一つは将来の地震予知の問題のための基礎的な資料にもなっていくものであるということ。それに関連して、またいろいろ地殻の構造とか地震学の基礎的な資料も提供するものであるということ。それからもう一つは、耐震構造その他ということのために工学的な問題のいろいろな基礎資料も提供するのである。こういう点は御了解いただけるものだと思うのです。そしてその上にまたもう少しからだに感ずるような地震がありますと、いまの地震は一体どこで起こったんだ、東京なら東京に住んでおる人はこの程度なんだが、もっと強い地震が日本のどこかほかに震源の場所によっては起こっておるところがあって、大きな被害があったんじゃないかというようなことが、一般の方も御心配にもなるでしょうし、またいろいろと関係の行政機関の方もそのことについては御関心がおありだと思う。そのために、いまの地震はどこにあったんだ、程度はこの程度のものだったんだということを気象庁が速報するということは、これも気象庁の仕事だと思っております。
  43. 肥田次郎

    肥田委員 新聞の論調な見ておると、現実の問題と非常に結びつけて考えておるようです。ですから、気象庁のほうで言われたことも、そのままには実は新聞にも書かれていなかっただろうというふうにいま私も気がつきました。やはりそこで一番問題になるのは、そういう地震が起こった際に、すみやかに連絡、情報を送れるような施設というものは、これはどうなりますか。たとえば先ほどの列車の運行については、国鉄が主として体感で運行問題のコントロールをやっていこう、こういうふうなところがあるようですし、それから地震が絶えず頻発するところではそれぞれの対策がある、地震が絶対起きないところではまたそれに対するいろいろな問題が起きてくる、こういう関係がありますので、おそらく新聞などで気象庁の体感ということを取り上げたのは、そういう地震があった際に、地震が起こりそうだという予告、それから地震があったあとの、いまの地震はどうだった、これからの地震はどうなる、こういうことを含めて、そういう際に的確にものごとを知りたいという希望がああいう新聞の書き方になったのじゃないかという気がいたします。そういう意味で地震が起こった際の情報提供というものについて、それではいま直ちにこういう新しい方法を適用しよう、こういうお考えはまだないわけですね。
  44. 畠山久尚

    ○畠山説明員 いまお話しのうちに地震が起こりそうだという通報というようなことがございましたが、地震が起こりそうであるといって予告を発することは、現在の段階ではできないということです。それからもう一つ鉄道なんかで、地震が実際にあった場合に運転をとめるかどうか、あるいは徐行をさせるかどうか、この問題は、鉄道の震動の模様——地震がある場所でありました場合の震度というのは、これは場所によって違います。たとえば東京と横浜、横浜と小田原というふうに場所ごとに違います。ですから、これはいまのは東京は震度は一であったとか二であったとかいうことを鉄道にお知らせして、それによって手配をとってもらうというのではなくて、これはもう鉄道の駅ごとといいますか、そういう指令をする場所ごとに、その場所にいる人がからだに感じて、幾らであった、どの程度であったということでその付近にいる列車に対する手配をされるというのが一番実際的なことで、現在もそうやっていらっしゃるだろうと思うわけであります。
  45. 肥田次郎

    肥田委員 もう一つお伺いしたいのは、じゃそれ以上のことはいまお考えになっていない、こういうことですか。
  46. 畠山久尚

    ○畠山説明員 その点忘れまして申しわけありません。これは一番初めにも申し上げたつもりだったんですけれども、従来のそういう体感によるところの震度のきめ方をこの際機械に全部変えてしまうかどうかという御質問だと思うのですが、この点につきましては、従来の地震ごとに体感による震度という資料がたくさん集まっておるわけです。これからも地震が起こるごとに同じような資料を積み重ねていくということが大事なことだと思うわけです。そういうような考えが一つあります。それからいま言われるようなことで、体感による震度というのは非常にあいまいではないか、こういうような問題がもう一つあります。これも考えようによってはごもっともの次第なので、いま、加速度を押える、そのほか二、三の要素をそれにつけ加えた、そういうようなことでうまい機械ができて、それで従来やってきた体感による震度とちょうど似たようなものができればいいんですが、ここで最大加速度だけにそれを切りかえてしまうと、ある点では従来から集まっている資料と非常に不連続な断層ができてしまって困るという点もあるわけなんです。そういう点につきましていまいろいろ議論をして、どうやったらいいかということを考えておる段階でございまして、これに変えるのだ、これに変えてこの場所とこの場所にこの機械をつけたいからといって、計画がちゃんとできてその費用をお願いするという段階にまだ至っていない、そういうところであります。
  47. 進藤一馬

    進藤委員長代理 泊谷裕夫君。
  48. 泊谷裕夫

    泊谷委員 質問に先立って、十一月二十七日の函館本線の札幌市内で発生いたしました鉄道事故について先ほど国鉄の副総裁から報告があったわけでありますが、こういう事故でなくなられた方の御冥福と、全快をお祈りしなければならないと思います。  この事故は、先ほども報告がありましたように、特殊車両踏切障害を起こして、しかも午後のダイヤがおくれたために大事に至ったということでありまして、私も直接的な原因はそこにあるように思います。この機会に踏切事故について、また鉄道一般の事故について検討を加えてみなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。国鉄運転事故について見ますと、国際鉄道連合会の統計では、昭和三十二年から三十六年まで五カ年間、世界のおもな国の鉄道の列車衝突及び脱線事故、こういうものを見まして、列車キロ百万キロで算出をいたしますと、アメリカの四・二五に対して日本は〇・五八件、こういう指数でありまして、日本一〇〇に対してアメリカが七三三、こういう形になっておりますし、列車衝突も同じ百万キロでアメリカが一・二三、日本の場合は〇・〇六、これまた日本一〇〇に対してアメリカは二〇五〇、こういう数字があらわれております。脱線事故の場合はアメリカ三・〇一、これはほかの国の例もありますけれども、時間の関係で省略をしまして、日本だけを見まして〇・五二、こういう形で、総じて日本は世界各国に比較して低い発生率にとどまっておる。だが、たった一つ大きな問題に踏切事故というものがあります。カナダは同じ百万キロに対して八・四六、日本か六・一九、アメリカが三・三七ということで、これは残念ながら世界第二という発生率を示しているわけです。踏切事故の内容を検討してみますと、直接関係する国鉄職員の責任事故は三河島以後労使双方の協力によりまして、約二割これを減少するという努力を払ってきている。踏切事故そのものの件数を見ますと、昭和三十七年の実績は、職員の過失はわずか十五件で、総件数は二千九百四十一件、こういうような数字を示しております。これは言いかえますと、鉄道本来の職員の踏切事故に対する件数が急激に減りながら部外者の踏切障害による列車支障というものが急激なふえ方をしているというようなことになっておるわけでございますが、この急激な踏切事故の支障の直接原因は、とりもなおさず、車両の増加もあると思いますけれども、またアメリカでは千五百六十五メートル平均に踏切は一カ所ということになっておりますが、日本では四百八十八メートルに一カ所で、大体アメリカが一つ踏切から一つ踏切までまたぐ間に日本の場合は三カ所ある。しかもこの一日の踏切通過列車回数でありますが、アメリカは一日に七・六回、日本の場合はその十倍に近い七一・四回という数字を示しておる。こういうところにこの踏切事故原因の基盤があるわけであります。したがって国鉄としてはここ数年来可能な限り踏切を整理統合して、できるだけ間隔を広める、こういう方針をとってきたことは当然の措置でありますけれども、これをめぐって、一面当該市町村としては従来の交通の利便からこの削限に強い抵抗をしてくる、こういうことが随所に出ておるわけであります。本来公共企業体としての国鉄は地域住民の意思を十分に取り入れなければならぬのでありますけれども、一面内容を検討しますと、独算制をしいられて、昭和三十六年の実績でも公共負担費が七百七十一億にもなり、借り入れ金の返済が四十年度で一千億を数えるようになってきました。一千億という額は年間国鉄の収入の約二割を占める額でありますから、この踏切事故の対処に、事故を防止するその始末に苦労しておるというのが実態だろうと思うのです。  こういう背景の中で、特に北海道の問題でありますが、第二期総合開発ということが大きく鳴りもの入りで宣伝されておりまして、道はもちろんでありますが、この介添えをしております開発庁のほうとしても総合開発の基盤を中核工業地帯や拠点開発都市、新産都市の指定、これらをバックボーンにいたしまして基本的な開発構想というものを明らかにしておるわけでありますが、そのかなめになっております札幌市は近く人口百万が予想されるに至ったわけであります。北海道の道庁の所在地であり、空と陸の一大中心地でありまして、仙台その他県庁の所在地で重要な交通の拠点になっておるものも本州にありますけれども、特に北海道の札幌という地点は、すべての交通網が札幌を中心にして放射線状に伸びておるというところに特異性があると思うのであります。北海道奥地から本州にまたぐ場合、本来岩見沢から室蘭にストレートで入っていいはずでありますが、全部やはり札幌に参らなければならぬということは、すべての面で札幌が中心的な地位を占めておるのでありまして、列車も迂回してそこを通過しなければならぬという事情にあります。この札幌市内は現在函館本線、千歳線、札沼線と主要な線が三本入り込んでおりまして、市内の踏切の数は百二十四カ所あるわけであります。ちょっと古いのでありますが、昭和三十七年十月の札幌市の調査では、踏切の通過車両は一日四万七千二百台、一時間最高三千七百七十台、踏切遮断時間は一カ月平均五時間、こういうことになっております。これは二年前のことでありまして、いま車両は十五万台を上回っておるであろうといわれておりまして、四十五年には二十万両ということが予想されております。あわせて国鉄関係は、列車増発に伴いまして十分ないし十五分ヘッドで列車を飛ばそう、こういうことになっておりまして、当然改良促進法の立体交差指定基準であります一時間一万台通過という踏切も、二十のうち十五を数えることが予想されるに至ったわけであります。ことしの八月に札幌市長と北海道知事から、国鉄の石田総裁が北海道に出られた際に、この国鉄の函館本線の発寒——豊平間、言ってみますと札幌市の中でありますが、端から端を高架にしてほしいという要請があったと新聞は報じております。今度の事故を直接契機にいたしまして、悲惨な今度の事故を再び操り返さないということで急激に高架線の問題が政治的な問題として浮かび上がってきたのでありますけれども、私の考えるところでは、道開発の中核になっております札幌として、いま議論をされております小樽−室蘭間のバイパス問題。飛行機の高速化に伴いまして音速機スーパーソニック七機、日航がアメリカに発注をした。羽田−千歳間の距離が縮まると同時に、国道三十六号線沿いの高速道路の設定、これらの問題もあり、要請をされました国鉄としてながめてみた場合にも、どうせ高架線を設置するとするならば、この際曲線を修正する、あるいは積雪等を避ける、こういうことで当然路線図というものも変更がなければならぬのでありますが、それに伴う当該市町村の経済開発に対する機構も明らかでない、あるいは専用線に対する補償という問題についても具体的な問題として悩みがある。あわせて国鉄は近く六カ年計画を出して二兆九千七百二十億の財源を求めることを国民の前に明らかにしておりますが、その核をなすものは東京、大阪を中心にする通勤輸送の緩和、主要幹線の電化工事、これらが基礎になっておりまして、これだけ国民の前に明らかにしたものであるだけに、この事業計画を変更することは困難であり、技術的な協力ができたとしても、財政その他の協力ということは実態として不可能に近い、こういうふうに思われるのであります。こういうときにあたりまして、これら関連するバイパス高速道、土地の開発、新しい町づくり、これらの問題から考えまして、当然この種問題について北海道開発に英知を傾けてきました開発庁として、これに対する意欲的な取り組みがあってよいのではないかと思われるのでありますがもまず最初に開発当局のこれに対する考え方を明らかにしていただきたいと思うのです。
  49. 小川一

    ○小川説明員 発寒−豊平間の国鉄を連続高架にする。立体化する。その間の道道、市道約二十二本の踏切を除却いたしまして、立体化いたします計画については、国鉄、道庁、それから札幌市、それぞれの計画と調整する必要がありますことは御承知のとおりでございます。この計画は最近中央に持ち込まれましたもので、私のほうの概算によりますと、約三百億、道路負担分といたしましては、約この半分百五十億くらいかと推定しております。国鉄側計画のほうを伺ってみますと、昭和四十四年以降の次期長期計画に織り込まれるように聞いておりますので、開発庁といたしましては、一応昭和五十年を時限といたします計画、たとえば新産におきまする道央計画等については、街路整備事業といたしまして、約五十億から六十億くらいの計画をしたいと考えております。しかし、この金額は国鉄側計画ともマッチさせまして、弾力的に計上する考えでおります。  なお、この計画の具体化につきましては、都市計画事業の決定をしなければなりませんので、札幌市をして十分に計画を練るように指導するように考えております。
  50. 泊谷裕夫

    泊谷委員 重ねて恐縮でありますが、いまの現地の事情からいきますと、昭和四十五年度にはピークでふん詰まりになるのではないか。南北に分かれております立体交差、くし歯のようにやることは、土地の所有上ロスが出るし、高架になった場合、ガード下の利用などを当然その長期計画に合わして、しかもその時限としては四十五年には実質上運行ができるように考えておるわけでありますが、いまお話がありました計画を幾らか早めてもらうというお考えがあるかどうか、それをまず聞かしていただきたいと思います。
  51. 小川一

    ○小川説明員 開発庁といたしましては、国鉄さんのほうの計画とマッチさせる考えでございますので、国鉄側計画が早められれば、それだけの予算措置、計画、すべて処置したいと考えております。
  52. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そこで、開発庁に特にこれをお尋ねしたのは、私自身ごらんのとおり国鉄出身です。国鉄長期計画、これはことしは各地方で国民の前に二兆九千七百二十億という全貌を明らかにした。それの到達の年次を考えまして、それからということになりますと当然間に合わないことになってくるわけでありまして、勢いその前に調査活動、具体的にいまお話がありました五十億を利用して調査ということを考えておられるというお話でありますが、開発庁がその主体性をお持ちになって、そして調査を進められ、技術的な問題については鉄道の協力ということが当然必要になってくるのであります。財政措置、関係町村との折衝、これらの重要な窓口の一部の仕事を担当していただくようにならないものかと思うのですが、その辺のことはいかがでございますか。
  53. 小川一

    ○小川説明員 主体は都市計画事業としてこういう高架の面も考えていかなければならないと考えておりますので、私の方の所管といたしまして、実質的には札幌市を指導し使うことになりますけれども、開発庁の考え方の中に、また仕事の中に取り入れていやってくことにはいささかもやぶさかでないと考えております。
  54. 泊谷裕夫

    泊谷委員 恐縮ですが、具体的にもう一つ教えていただきたいのです。  開発庁は北海道開発をずいぶん意欲的に仕事をしていただいておりますが、産業基盤の整備計画調査というものについては従来規制がありましたね。鉄道関係については思い切った措置というのが、文書としては出ますが、具体的な予算措置としてはあまり顔を出しておらなかったのでございます。いまのお答えで、今後は考慮されるというふうに理解してよろしいのでありますか。
  55. 小川一

    ○小川説明員 ちょっと聞き取れなかったのですが、鉄道の何でございましょうか。
  56. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いままでは道路整備、それから公園施設、それらについて具体的に予算措置の中で手を染められましたね。主要幹線をなします国鉄の鉄道輸送というようなものについて、調査活動とかこれに支援というようなことは予算措置上からは見れないわけですね、基本計画の中にはありますけれども。それを従来と違って一歩前進をして、今度基幹産業の国鉄の部門にも、調査費などを含めまして予算措置を考慮するというふうに受けとめていいか、こういうことです。
  57. 小川一

    ○小川説明員 国鉄自体の調査はやはり国鉄当局調査費の中に計上されるような体系になっておりまして、開発庁といたしましては、現在のところその交通体系のほうでは、道路と関連するものにつきましては私のほうで考えておりますけれども国鉄自体のものまではそういう予算体系になっていないように承知いたしております。
  58. 泊谷裕夫

    泊谷委員 従来はそういう仕組みになっておるのですね。交通圏調査、しかもそれは道路を主体としたもの、いま札幌で問題になっておりますものは、単に鉄道の高架線という位置づけだけで始末のつくものじゃないと思うのです。したがって、私の希望としては、それらの高架線の設置を含めまして、開発庁としてこの産業基盤整備計画調査という中で、いまお話しのありました五十億というものが中心になって調査されるというふうになるのでしょうか、こういうことを尋ねておるのです。それが制度上許されないとすれば、それを今後関係個所と折衡をされまして、意欲的にその部分調査するというお考えがおありですか、こういうことを尋ねたのです。
  59. 小川一

    ○小川説明員 それは札幌市の都市計画の練り直しというようなかっこうになりますので、鉄道も含めまして都市計画事業の計画を進めてまいります。
  60. 泊谷裕夫

    泊谷委員 わかりました。  それでは鉄監局長か副総裁にお尋ねをしたいのであります。いま開発庁の考え方が明らかになりましたが、経理事情については承知してお話をしておるところでありますが、直接技術的な問題としては長年の経験を持っております国鉄として、意欲的に協力体制をとっていただかなければならないと思うのでありますが、副総裁としてのお考えをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  61. 磯崎叡

    磯崎説明員 札幌市内は踏切が数多くございまして、市の中央部に鉄道が走って市を半分ずつ切っているような形になります。かねてからいろいろこの問題についてはお話を承っておりましたが、実は先生がいまおっしゃいましたように、去る七月に総裁が現地に参りました際に、地元の方々から強い御要望がありまして、それに対しまして総裁といたしましては、国鉄だけではいかんともしがたい問題であるから、十分地元ともいろいろ協議して考えてみたい、こういうふうにお答えしたそうであります。その後、去る十月ごろからこの総裁のお話に基づきまして、私のほうでは札幌工事局という局が中心になりまして、いろいろな高架化案をつくっておるようでございます。いま開発庁で言われましたように、二百億ないし四百億という幅の広い計画でございまして、鉄道自体のルートの問題、あるいは道路の問題いろいろな角度から現在検討中でございますが、そのほかに専用線をどうするかというような問題などもございまして、まだ具体的にはいまのところ市当局の都市計画事業の改定にもなっておりませんようでございますが、結局それら総合的に検討した上で全体のスケールをきめなければいけないと思います。ただ、こういう問題は全国非常に多うございまして、たとえば京都とか、この付近静岡とか、方々に問題がございまして、いずれも百億のけたの話でございます。札幌にいたしましても、開発庁でいいますように三百億、私のほうでは二百ないし四百億という百億のけたの話でございまして非常に金もかかりますし、今後これをどう具体化するか、いままでの建設省との話し合いでは、高架の場合は大体二分の一ずつ負担というのが大ざっぱな原則であります。それにいたしましても、北海道開発庁と私のほうとの予算の比較をいたしましすと、北海道道内における予算が大体道路費が国鉄の費用のちょうど十倍であります。大体道路費が五、六百億お使いになっておりますが島国鉄予算はわずか五、六十億でございます。道路予算国鉄予算とは全然けたが違います。逆に開発庁のほうで半分出すからおまえのほうでやれとおっしゃっても、はたしてそれに応ぜられるかどうか危惧の念もないではありませんが、しかし何と申しましても問題が問題でありますので、なるべく早く具体案をつくくった上で、できれば繰り上げてやることも考えなければならないというふうに考えております。
  62. 泊谷裕夫

    泊谷委員 時間がありませんし、部分的な問題でありますから、次会にまたあらためて勉強させていただきます。先ほど開発庁の小川説明員からお話がありましたように、現地の事情もよく御承知のはずでありますので、できるだけ現地の要請にこたえるように、先ほどお話がありました具体的な調査が進められ、多角的に検討が進められまして、財政措置その他について広範な検討ができるような機構を急いでつくっていただくことをお願いいたしまして質問を終わらせていただきます。      ————◇—————
  63. 進藤一馬

    進藤委員長代理 この際おはかりいたします。  前国会の閉会中において、本委員会より委員を派遣し、陸運、海運等に関する行政の実情調査をいたしました。その報告委員長手元提出されておりますので、これを会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 進藤一馬

    進藤委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。
  65. 久保三郎

    久保委員 その会議録に掲載することはけっこうですが、要点はそれぞれ国政を調査したのでありますから、関係のそれぞれの向きを本委員会に御出席を願って、重点的な御報告はしていただかねばならないと思います。簡便に扱われるだけでは、国政調査の意味がございませんし、本来ならば休会中の委員会でこの報告がなされるべきだったのですが、手続上おそくなったわけですから、全文報告せよとは言いませんが、要点は関係個所、いわゆる運輸省、国鉄その他必要があれば呼んで、その席で要点を報告されるように希望しておきます。いずれ理事会で打ち合わせいたしますから……。
  66. 進藤一馬

    進藤委員長代理 次会は来たる十五日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会