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1964-03-26 第46回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十時十九分開会   —————————————   委員の異動  三月二十六日   辞任      補欠選任    大倉 精一君  田中  一君   —————————————  出席者は左のとおり。    主査      田中 啓一君    委員            江藤  智君            佐野  廣君            櫻井 志郎君            河野 謙三君            平島 敏夫君            田中  一君            羽生 三七君            藤田  進君            浅井  亨君            奥 むめお君   担当委員外議員            山本伊三郎君   委員以外の議員    議     員 永岡 光治君    議     員 赤松 常子君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    首都圏整備委員    会事務局長   谷藤 正三君    大蔵省主計局給    与課長     平井 廸郎君    郵政大臣官房長 武田  功君    電気通信監理官 畠山 一郎君    郵政省郵務局長 佐方 信博君    郵政省貯金局長 浅野 賢澄君    郵政省簡易保険    局長      田中 鎮雄君    郵政省人事局長 増森  孝君    郵政省経理局長 長田 裕二君    建設大臣官房長 平井  學君    建設省計画局長 町田  充君    建設省都市局長 鶴海良一郎君    建設省河川局長 畑谷 正実君   建設省道路局長 尾之内由紀夫君    建設省住宅局長 前田 光嘉君    建設省営膳局長 建部 仁彦君   説明員    北海道開発庁事    務次官     猪瀬 寧雄君    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社総務理事   平山  温君    日本電信電話公    社営業局長   千代  健君    日本電信電話公    社施設局長   橋本 一郎君    日本電信電話公    社経理局長   井田 勝造君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十九年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十九年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 田中啓一

    主査田中啓一君) ただいまより予算委員会第三分科会を開会いたします。  分科担当委員の変更がありましたから御報告いたします。  本日、大倉精一君が辞任され、その補欠として田中一君が選任されました。   —————————————
  3. 田中啓一

    主査田中啓一君) 昭和三十九年度総予算中、建設省所管を議題といたします。  慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、時間もきわめて少ないことでございますから、建設大臣説明はこれを省略して、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととして、直ちに質疑に入り、その建設大臣説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにしたいと思いますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中啓一

    主査田中啓一君) 御異議ないものと認めまして、さように取り計らいます。  直ちに質疑に入ります。田中一君。
  5. 田中啓一

    田中啓一君 最初に伺いたいのは、幸い、きょうの新聞で、都市計画地方審議会決定された五団地新設についてでありますが、これはむろん計画局並びに住宅局等原案つにいてはいままで関与をしてつくられたものと考えておりますけれども、一応この計画原案というものはどういう経緯でつくられたか。私は、常に思っているのは、建設常任委員会におきましても、建設大臣に質問している点は、結局、公団公社あるいは都、地方公共団体等がやたらに巨額の予算を振りかざして、実際に実行できないものでも一つ計画としては大きなものを出すわけです。これを見ますと、こういうことになっております。今度、事業決定になった新団地は、都住宅公社本町田住宅平山住宅日本住宅公団の竹ノ塚第一団地、第二団地都営石神井団地の五団地、これは総額本町田団地は七億一六千万円の予算平山団地は十億一千万円、竹ノ塚第一団地が二十三億四千万円、竹ノ塚第二団地が十億六千万円 石神井住宅団地予算が二十六億一千万円、こういう巨大な数字になっておる。それで伺いたいのは、この団地造成する場合に、交通教育下水その他の施設というものは、これに含まれているものかどうか。従来ともに、その部局がただ単に団地造成する、住宅建築をする、それで事足れりということになっておって、そのために交通難その他あらゆる面において地方公共団体負担が重くなることは当然であって、もはや、いま、団地開発ということが地方財政負担し切れないという現状になっている。ましてや、これに続くところの交通問題その他数々の問題が一つも解決されておらないという点でありますが、この点について伺っておきたいのです。  それから、それと同時に、この二十五日に、首都圏整備委員会審議会原案どおり答申されたという東京水戸道路新設とともに、これに付随する工業団地造成がこれは五ヵ年に短縮されるということも伝えております。すべてどういう意図か、むろん国民の求める方向に向かって行政が動いていくことは幸いでありますけれども、これがまちまちな状態であるということです。首都圏整備委員会審議会決定された東京水戸道路というものを新設して、これによってその周辺の工業団地開発が五ヵ年に短縮されるということに対しては、一応交通網というものが先行してくるから望ましいけれども、これに付随するあらゆ団地としての完全な姿というものは、どういう形でなされているのか。この点について伺っておきたい。これは最初にさっき申し上げたように事務当局から説明を聞き、そうして結論的な問題は大臣から伺いたい、こう思います。
  6. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 最初都市計画審議会お話でございますが、この団地東京都の都営住宅、あるいは都の住宅公社団地お話だと思います。これにつきましては、相当大規模の構想を持っておりまして、従来とも大規模団地につきましては、学校であるとか、あるいは水道であるとか、そういったものの施設は、これにあわせましてやっております。この際につきましても、相当の戸数を持った団地が建設されておりますので、さような取り扱いになっていると考えております。
  7. 田中一

    田中一君 たとえばこの玉川電車だか溝ノ口からの大井線か知らぬけれども町田の、東急が中央林間駅まで鉄道軌道を延ばすというような案も、私鉄として発表されているようです。これに関連する開発団地なのか。ただ単に他に依存して計画だけをどんどん広げるということに対しては、その団地帯における道路でも、下水でもその他のものは、おやりになるか知らぬけれども、これに結ぶところの関連する道路その他の施設ができておらなければ何にもならない。ことに大規模団地をつくる場合には、必ず教育機関というものが不可欠な条件なんです。なるほどマーケットその他は、営利事業でありますから、それでこれにペイできるという考え方人たちは、続々入るでありましょうけれども、そうでない形の学校というものはすべて地方負担にかかってくる。そうしてこれらの計画というものが、総合的に、あるいは文部省了解を得て補助金をもらうことが決定したとか、あらゆる面で建設大臣と相談して、これに対しては、かくかくどこの付帯道路をこうしてつくるとか、また国鉄に相談して輸送はこういう問題で解決できるんだということとか、関連するあらゆ事業というものが並行並びに先行して行なわなければ、とうていできないのです。それには住宅公団も入っております。で、そう計画だけでもって、どこにも関連しないで、ただ東京都がやるという。東京都が全部の仕事をやるのかどうか。こういう点、どうもはなはだ国民に、一つの政治的な方針を示して、苦しい生活をしいるということになるわけです。その点ひとつ、その問題を質問しようと思ったところが、きょうの新聞に出たものですから、伺うわけです。それをひとつ、いまの鶴海君の答弁のように、団地帯におきましてあらゆ整備はするでありましょうけれども学校とか、あるいはしいていえば、病院とか、何千戸というような家をつくるのですから、へたをすると、全部で何万人、おそらく十万人以上になるのじゃないかと思うんです。この場合の病院施設とか学校施設とか、あるいはそれに対する共通の福祉施設というものが、どうなっているか、文部省にも相談し、厚生省にも相談して、それらのものを建設大臣に相談して、それらの計画が解決されたというところでもって実行しようとするのか、都市計画審議会もただ与えられたプランをそのままうのみにして、いいの悪いのと判断するのならば、これの権威はございません。実際に、そこが憲法で示されたよい環境住宅団地になるならばいざ知らず。その点ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  8. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いま田中さんのお話の分は、「東京都」の審議会でやっておることらしいのですが、私は全然聞いていないのです、この話は。  後段に属する東京水戸線云々、このほうは私が構想いたしまして、着々準備をし、今年度の予算にも一部予算化を願っております。したがって、これを首都圏整備委員会で御説明申し上げ御了承を得ている。事業の実施をしていこう、こういうつもりでおります。このほうは計画どおりやっておりますが、いませっかくお話の分につきましては、私もよく理解していないのです。ただ困りますことは、これは内部事情を私の立場から申し上げますと、団地造成するために先行取得をするということで数年以前にやっておるのです。そうして数年間かかります、数年かかりますということで、たとえば、いまごろ計画をして持ってきて、大体私はいまにして判を押しませんけれども、そういうものを見ますと、いま現にやっておるものは、数年前に計画を立てて先行取得をしておるというようなものをやっておりますので、それを悪いとは決して私は申しません。それがだらしがないとか、先任者のやったことに対して異論を申すわけではございませんが、どうも一方が早く土地を、取得しなければいかぬというので、土地取得が非常に先行するというために、いまお話のようにほかのほうを地固めしてやりますと、その土地の値上がりが非常にしてしまうというような、行政上あまり感心しませんけれども、一方実際は不便がございますので、まあそういうことがある。したがって、おそらくいまお話の点も、東京都としては土地につばをみんなつけて、そうして委員会に出しているんじゃないかと思います。したがって、後刻私のほうにはこういうわけで、ああいうわけでと事情を分けてお話にまいられるのじゃないかと思いますけれども現状におきましては私どものほうは十分納得していない。お話のとおり先般来この国会を通じて一番問題にもなり、われわれの考えなければならぬと思っておりますことは、交通機関、人間の輸送力土地開発ということが一番大事だと思います。これなくして、むやみに団地をつくるとか、土地の仮需要を起こして、そうして需要供給関係がおかしくなっているということは、一番いま乱れて悪いことなんです。現にそれを注意いたしまして、そうして私としてはいまここに示されておりまする水戸、宇都宮、高崎、西湘、箱根、小田原、平塚方面、この東海道四団地に最も重点をおいてここに土地開発をして、ここに一部東京都の疎開、もしくは新たなる中小団地というようなものをここにおこう、ほかのところはなるべく控え目にしよう、こういう方針を実はとっております。こことのこれらの関係交通網については万全を期そうという予定でおるのでございまして、ほかのほうは住宅公団その他のものもなるべく手控えをさしておる、やっていこうというのが基本的な方針でございます。
  9. 田中一

    田中一君 そうすると、これは鶴海君に伺いますが、むろん都市計画審議会というものは存在しております。中央にも地方にもあります。ただ東京都の審議会だからといって、何ら監督官庁に連絡をしないで、ぽかぽかとそういうような案を出して、都民は必ず期待します。それがいま建設大臣のように、完全にでき上がった場合に、よい環境団地ができるのならばいざ知らず、交通網その他が全然できておらぬ。これは自分のほうの役目でございません。自分のほうは団地さえつくって住宅を建設すればいいのでございますということになると、これはとうてい団地の機能は発揮できないわけですよ。審議会というものの運営はどうなっておるのですか。審議会運営は一応ですよ、地方地方計画による原案ができると、少なくとも一建設省に持ち込んでどうであろうかというような行政指導を受けようとするかまえはあるはずなんです。おそらく地方でもそういうことをやっておると思うのですが、東京都においてはとても話にならぬのです。実際ほんとうに話にならないのですよ。その中の住宅公団団地というものはどういう形でそれを織り込んだか、あるいは東京都のほうでかってにそういう話があるからといって、そこに織り込んで決定したのか、これは決定になっているのですよ。原案を知らないで決定されて、それがまたいま河野さんの言っているように、こういうものは認めませんと言った場合にはどうなるか。
  10. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 都市計画審議会は各都道府県に置かれておりまして、会長は都道府県知事がなっております。この都市計画審議会に議案を出しますのは、軽微事項につきましては都道府県知事審議会に発案するとなっております。重要な事項につきましては建設省まではかってきております。本件につきましては、どういう経緯になっておりますか、ちょっと調べまして……。  なお、後段お話が出ました公団団地選択につきましては、これは一切本省で慎重に検討いたしまして決定いたします。
  11. 田中一

    田中一君 そうするといま、きょう決定されたという、きのうか決定されたという住宅公団団地は相談があったわけですか。
  12. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) この団地は都の住宅公社都営住宅団地であるというふうに……。
  13. 田中一

    田中一君 新聞を見ると、日本住宅公団というのも一団地ございます。
  14. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 竹ノ塚に住宅公団団地がありますが、これはすでに建設省といたしまして決定いたしておる土地でございます。
  15. 田中一

    田中一君 そうすると、建設省住宅公団に対して団地開発決定しているものを、それをあとに回って都市計画審議会がそれを追っかけて正式決定をするというケースなんですか。都市計画審議会運営というものは。
  16. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 住宅公団団地につきましては形式的にはそういうことになるわけでございますが、実際は用地手当て早目にやりまして、いよいよやるという段階都市計画審議会にわけておる。用地手当てはあらかじめ手を打つ必要がありますので、用地手当てをする前に、建設省としまして、ここは用地手当てをしていいか悪いかということを内定いたしております。
  17. 田中一

    田中一君 いま鶴海局長の話では、軽微のものは知事建設大臣に相談しないで計画を立てると言っておりますけれども、いまのこの新聞に載っているものは軽微のものですか。総額百億近い金になるのじゃないですか。
  18. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) こういう案件軽微なものと考えておりません。
  19. 田中一

    田中一君 その場合には監督官庁としての建設省はどういう措置をするのですか。
  20. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 本件経緯につきましては、後ほど調べたいと思っておりますが、本省事務処理といたしまして、特に重要な事案につきましては建設大臣決裁を得ております。それから、それに至らないものにつきましては局長段階代決、あるいは次官代決というふうな段階を追っておりますが、本件につきましてどういうふうな決裁になっておりますか、これは後ほど調べまして……。
  21. 田中一

    田中一君 そこで河野さん、さっきも言っているように、一つ団地計画の場合、公団団地の場合は資金がくるでしょう。これはまあ大体いいと思います。金があるからいいと思います。実際注文つければいいのですから。また、それに関連する水戸東京道路のようなものを建設するのは、これでもって一応いいと思うのですよ。鉄道がなくても何でも、自動車交通ができれば一応いいと思うのです。しかし、住宅団地というやつは、一番大きな問題なのは学校なんですよ。もう学校を、どの団地でも、中央線その他のどこでも団地をつくられたが、学校をつくることは住宅公団の役じゃございませんからつくりません。一応団地だけの諸施設、ことに共同施設はほぼ行なうようになっておりますけれども住宅公団あるいは地方公共団体だけでやられる、たとえば、住宅公社その他でもってやられる団地敷地内におけるところの共同施設は必ずやることです、まず最初に。必ず共同施設は持つことです。それから学校の問題は、事前文部省と話し合って、新設なり分校なり何なりの建設計画というものは事前了解をとるのです。それから、交通機関としての私鉄の乗り入れとか、あるいはバス路線とかいうものは、事前はやはり計画の中に織り込んでこなければならぬと思う。病院その他のものも厚生省とよく打ち合わせをして、何年度にはどこにどういう病院を建てるとか、あるいは適当な病院施設を、入れものをつくって、そうしてこれを招致するとか——入れものをつくってということは何も負担するんじゃありませんよ。そういう入れものをつくって分譲すればいいわけなんですから——というような計画がないと、これはもうほんとうふん詰まりになるわけなんですね。今後ともそういう計画をひとつ、建設大臣首都圏整備委員長も兼ねておるのですが、首都圏整備としての計画はいいけれども実行面において、そういうものを必ずひとつきめさしてから、そして委員長として納得してから、その計画を承認するということにとらないと、いままでわれわれが、住宅さえ建てばいいんだといって、道路もない。たんぼを埋めて道路なんかつくりゃしません。道路もないところでもって、ぬかるみのあき地を通路にしてつくっている団地がたくさんあるのです。こういうものもひとつ認めないようにしていただきたいと思うんですよ。そしてその総合計画、これ単に東京都や何かの問題でなくて、国の行政機関というものを動員して、それらが大きく関与して計画を立てなければ、われわれが今後期待する住宅団地というものにならないわけですから、その点ひとつ大臣はどうお考えになるか伺っておきます。
  22. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 田中さんのお話一々ごもっともなお話でございます。今後十分そういう点を注意いたします。先ほど申し上げましたように、これまでの安易な、住宅を補てんしていくという考えは、もうすでにこれまでのものでありまして、これからはやはり一応整備されたものを、住宅そのものもそのとおりでございますが、環境等につきましても十分整備されたものをつくっていくという段階にきておると思います。これはもう道路につきましても、みな同じでございまして、特にその点は今後注意することにいたします。
  23. 田中一

    田中一君 これに付随する民間宅地造成の問題でありますが、これもやはり私企業であり、波に乗った利潤追求という姿が事業にあらわれているのです。これに対しても、いままでの構造上の基準は一応できておりますけれども、これらも付帯事業として必ずそれらの問題を充足しなければだめだということをきめてほしいと思うのです。また、自分のほうでできないものもたくさんあるでしょうから、むろんこれは政府のほうでも、民間宅地造成においても、それらの環境というものの見通しがつかなければ認めぬということにまでしてほしいと私は思うのです。
  24. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) だんだんお話もございますし、建設省としましても、最近団地造成が少し乱雑になりまして、そうしていろいろな問題も起こしますので、住宅団地造成と申しますか、これらをひとつ認可制度にしたらどうだろうかという考えのもとに、いま法律準備を急いでおります。いま各省と折衝中でございまして、もし早くまとまれば、今国会に提案をいたしまして、そうして従来無規律にやっております団地造成を、いま申されましたように、一応条件をつけて認可をするということにしていきたいと考え準備しております。
  25. 田中一

    田中一君 次の問題、公営住宅それから公団住宅、そのほか住宅金融公庫等融資して、地方公共団体または非営利団体が行なっている住宅供給の問題でありますけれども、私はこういう点にひとつ建設大臣踏み切ったらどうかと思うのです。これはむろん、これに関連するものは何だと申しますと、たとえば、道路の拡幅、市街地改造法、それから防災建築街区、都市計画による不良住宅地区の改良とか、また土地区画整理事業とか、これは全部関連する問題でありますけれども、なるほど自分のうちの所有地が半分道路で取られた、くるものは金です。金がくるわけなんですね。一応補償金として、買収金として金がくる。買収金の金と、それから営業補償その他の補償金が入るわけです。それだけではもうどうにもならぬのじゃないかと思うのです。その人たちは、決して自分で残ったところの五十坪なら五十坪、あるいは百坪なら百坪の土地補償金でどうしようという意図がなくなってくるのが多いのです。その場合に、市街地改造法によるいわゆる建物を建てて、あなた方に利用させましょうという考え方にしたらどうであろうかというわけです。というのは、それも自分の必要なものは三階まで必要だと言えば、その上を買収するわけですよ。買って、地区によっては、住宅として適地によってはそこに公営住宅を乗っけてもいいと思うのです。そうして下の部分を、定着する商売を営む人たち自分の家がほしいわけですから、全額国庫が支出して——全額です。住宅金融公庫法も改正すべき時期にきているのじゃないかと思うのです——全額やって出して、仕上げを抜くわけです。建築家はよくスケルトン建築と言っておりますが、いわゆる構造体だけを供給して、そうしてあとの仕上がりはおのおの自分商売に向いた形の造作にお直しなさいというわけですね。これはただいまの住宅金融公庫法によりましても中高層、あるいは足貸しですか、公団等はやはり一定の比率があって、融資をしているわけなんです。そういう方向考えられませんか。そうすると、道路の拡張などの場合でも、中途半端な金でもってそれを買わなければならぬという場合、自分が建てられないという場合には、一応まあ建築街区としても均衡のとれた美しい町ができるのではないかと思うのです。
  26. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そのお考えはたいへんけっこうなお考えでございまして、私どものほうにおきましても、大いに奨励して、そういう方向にいくに適当なところは大いにやろう、こういうつもりでおります。
  27. 田中一

    田中一君 それには法律改正が必要なことだと思うのです。住宅金融公庫中高層、いわゆる都市における再開発の問題も、そういうところに問題があるのですよ、負担比率。これはもうちょうど——まあ私は建築屋じゃありませんけれども、大体いま七割五分の融資になっておりますが、七割五分が全額国庫負担スケルトン建築になるんです。あとの二割五分というのをめいめいにやれば、結局同じなんですよ。ただ、印象とすれば、上は全部立てかえてあげます。しかしあなた方、金払うんですよということのほうが、飛びつきやすいんですよ。何といったって、自分の金を二割五分出さなきゃならぬということになれば、そしてでき上がったものは何かといえば、住宅の場合には、非常に窮屈な、何べんも言うように、これに住めという、住み方まで強要している住宅を提供されているんです。そうじゃないような形でひとつ研究していただきたいと思うんです。
  28. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 心得ました。
  29. 田中一

    田中一君 それから、現在行なっている市街地改造事業防災建築街区、それらがいまどういうぐあいな進展を見せているか、これを事務当局からちょっと、簡単でいいですから説明してほしいと思うんです。
  30. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 私から、市街地改造事業の進捗状況を申し上げます。市街地改造事業を行なっておりますのは、札幌市、これは駅前通りでございます。東京都、これは新橋の駅前でございます。それから熱海市、これも熱海の駅前でございます。それから名古屋市、これは駅の近所の小鳥町。それから大阪市、大阪市は二ヵ所ありまして、大阪駅前、それから谷町。それから神戸市、これは大橋地区でございます。それから姫路市の船場、及び福岡市の柳町、この九地区についていたしております。なお、これらの地区のうち、神戸市の大橋地区におきましては、すでに昨年の十二月、施設建築物が二棟建っております。その他の地区につきましては、目下用地の交渉等を進めておる次第でございます。
  31. 田中一

    田中一君 防災建築街区はどうです。
  32. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 防災建築街区は、今年度二億八千万円。これは全国各地で実施をいたしておりまして、三十八年度は継続を四十都市、新規に三都市につきまして、実施をいたしております。実際問題といたしましては、関係者の話し合いがなかなか困難をきわめておりまして、組合の運営等につきまして相当時間をかけておりますけれども、最近特に都市の再開発という点につきまして要望がふえてきまして、三十九年度以降については、かなり積極的に仕事が進もうと期待をいたしております。
  33. 田中一

    田中一君 一つは、防災建築街区、これは法律を改正して、やはり収用法で、不燃建築——法律は、結局十分の八の賛成があれば、十分の二は事業主体によって収用し得るんだ、同調させなきゃならないという法律があったんです。これは無理はあってもよくなるわけですから、私は、やっても一向差しつかえない、大多数の者が賛成したものに対しては。そのかわり、建てるのもこっちが建てるわけですから。これはそういう傾向にいかないでしょうかね。くしの歯が一本欠けたような町づくりをしておる。これはまるで火事の場合に煙筒になるようなものなんです。そうでない形のものに強制力を持たすことはできないものでしょうか。大体強制力を持たすということは、行政力が貧困だから強制力を持たすことになるわけですけれども
  34. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) われわれも、実際の仕事をしながら、強制的に、一部の者の反対がありましても仕事が実施できることが望ましいと思いますが、土地に対する所有権というものとの関連、あるいは自分の意見というものを強く主張する者もありますので、法律改正に持っていきましても、具体的に実施をする場合に、かえって法律の適用できないという事例もございますので、方向といたしましては、先生の御指摘のような方向で、一部の者の反対がありましても、全体としての利益になるならば実施をするという方向におきまして、制度上、あるいは運用上におきましても、さらに積極的に進めたいと存じております。
  35. 田中一

    田中一君 しかし、収用法がいま衆議院に提案されておるけれども、かつては長く、三年以上もかかるやつを、一年半にし、今度また半年か一年でもって解決しようということになれば、悪い町づくりをすることになるんだ。結局地域社会というものは連帯性なんです。一軒だけがんばってもしょうがないのですよ。
  36. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ちょっと私から。私もたいへんごもっともと思いまして、今回提案いたそうとしております法律は、適用範囲を政令に譲っております。したがって、その政令に——意見の調整が非常に困難でございましてね、どの程度入れるかということの。ところがほうぼうからたくさん入れろというものが非常に殺到しまして、これも入れてくれ、これも入れてくれというのが多くて、整理がつかないのです。そういう関係で一応政令に譲っておるわけです。国会提案までには、政令にはこの程度は入れるつもりだというものが分けられるつもりでおりますけれども、そういうことがおくれておりますから、いまの点ごもっともと考えますから、十分考慮いたします。
  37. 田中一

    田中一君 強権でどうこうという考え方に対しては、われわれも賛成しにくいものがたくさんあります。しかし、前の法律にはそれが規定してあった。おそらく内閣法制局でも、その点は諸般検討した結果、認めたのだろうと思うのですが、今回の場合にはそれが除かれてあるわけです。防災建築街区にはないわけです。これを、たとえその法律ができて緊急収用ができるということになっても、その場合には、やはりそれらを行政指導するという機関は当然持っていいと思うのです。各公共団体の中に、事業を行なう中に、苦情処理といいますか、ふくそうしている権利がたくさんありますから、これを解きほぐしてやるというような機関が、私は行政の中にあっていいと思うのです。非常に専門的なことになりますけれども、ただ単に家庭の苦情処理ということじゃなくて、むずかしい問題もありますけれども、このぐらいの機関はつくって、あらゆる諸権利というものに対して分析をして解決をするという道を行政指導の面でやるべきだと思うのですが、その点はどう考えておりますか。
  38. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 防災街区につきましては、組合施行の場合につきましては、これは強制規定はございませんけれども、特定の場合には公共団体が施行する場合がございます。この場合には市街地改造法の例によりまして、それぞれ措置ができるようになっておりますので、この運用によりまして一部の反対のものにつきましても実施をできるように極力推進したいと存じます。
  39. 田中一

    田中一君 そうすると、住宅局長、さっきなかなか困難だということを言わなければいい。そうすればそういうことはしないということになる。
  40. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 実際は組合が公共団体施行になることを非常に忌避する向きが相当ございます。何とかして組合でやりたいといって話がつきませんので、一定の場合には、なるべく早く公共団体施行に持っていくという行政指導をすることが必要だと思います。
  41. 田中一

    田中一君 そこで、それに関連して一つの問題を露骨にお出しするわけですけれども、多くの都市改造事業を行なっておる地区は、戦後における暴力の不法占拠によって——もう十八年たっております、戦後、その暴力によって不法占拠されたものが、善意の第三者に転売されて民法上の居住権が設定されたというところに常に困難があって……。それは多いと思うのです。おそらくいま行なっておるところでは、戦災都市は大体そういう傾向が強いと思うのです。そこで一つの事例として申し上げたいのは、いま鶴海局長から話があった新橋の駅前広場の両側——東、西の両方のあのスラム街です。これは御承知のように元の区長が主権を握っているのです。それから松田組という暴力団がこれを占拠して、そうして都のほうのどういう形でそれを建築をしたか、もう耐火建築をつくっております。それで都有地じゃない。これはかつてあそこにたくさんあった、いろいろの商売がありました、飲食店等が。これを強制疎開さして、そのあとに都が許可をして家をつくってきたわけなんです。それで所有権は、所有権というか、その土地の所有者あるいは賃貸者、賃貸を受けている者たちが疎開者連盟をつくって、疎開者としての権利を守ろうとしていままできておりましたけれども、これは法律的には何にも実効がないわけなんです。しかしその事実は認めているわけです。戦後十年以内に自分の疎開地に復帰するということを申し出れば復帰してよろしい、こうなっておったから、みんな復帰しようとしたら、ピストルや短刀でもって脅かされて、とうとう立ち入ることができなかったというのが今日まで新橋駅の東、西にあるわけなんです。これについて、そうした正しい権利者というものを守る方法があるものですかどうですか、まず鶴海さんに伺っておきましょう。
  42. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 御指摘のように、新橋駅前地区、特に西口地区につきましては、さような例は多々あるわけであります。この地区につきましては、戦争中に都が強制疎開を行ないまして、その後この疎開地につきまして都が土地を借りておったのでありますが、その後に至りまして旧地主に返しております。したがいまして、旧地主はその土地につきまして権利を持っておる方が多いと思います。ただ問題になりますのは、疎開のときにその土地を借りておった人、この人は戦後になりましてそこに帰ろうといたしますときに、ただいまお話のありましたような無法状態が新橋駅周辺にありまして帰れなかったという実情でございます。こういう人々の取り扱いをどうするかということにつきましては、いろいろ問題がございますが、幸いに新橋駅地区に市街地改造事業が行なわれますので、その際に、その市街地改造事業でつくります施設建築物の一部を譲り渡してもらえないかという要望が出ておりますので、都の議会にも世論が出ておる次第でございます。法律上そういう方々は土地あるいは建物につきまして現在は権利を持っておられない方々が多いのであります。したがいまして、市街地改造法によりまして施設建築物の一部を代物弁済等で取得するという道はないわけでございますけれども、まだこの設計が固まっておりませんので、何とも申し上げられませんが、施設建築物の中で従来の権利者に給付すべきもの以外のもの、俗に保留床といっておりますが、そういうものが残る見込みでございます。この保留床につきましては市街地改造法では原則として公募によれというふうに規定しておりますが、これらの人々はもともと権利がないのでございますから、この原則でいきますと、この公募によって入るしか道がないわけでございます。ただ従来強制的に立ちのかされたという特殊な事情があるわけであります。そういう事情をどういうふうに取り扱うかということにつきましては、目下東京都で検討をいたしておる次第でございます。
  43. 田中一

    田中一君 いまのあなたのことばじりをとらえるのじゃないけれども、それらの人々はもともと権利がないのだからというのではなくて、いまの時点で権利が消失しておるということだと思うのです。もともと権利はあるのです。その点は重要ですから、もともと権利がないのじゃない。  それからもう一つ、地主たちもいまの占拠されておる人たちに賃貸しているんじゃないんです。東京都に一応管理を頼んでおいたときに、不法占拠された人たちなんですね。それを黙認というか、涙ながらに——それに現に貸している賃貸料をもらっている人もあれば、もらっていない人もあるんです。ですから地主はいいということじゃない。地主も不法に占拠されているんです。東京都は許可をしたわけですから。そうしていまの営業権を持っている人たち、居住権を持っておる人たちはもともと権利はあるんです。それが民法上の規定によって、暴力でそれを復権できなくて、いまは法律的には喪失しているということだと思うんですが、その点をひとつ、議事録にそういう間違った考え方を、認識を残されちゃ困るんです。それを明らかにして下さい。
  44. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) ことばが足りなかったかと思いますが、疎開当時は権利があったことは間違いございません。その後その土地に帰ろうとしたところが帰れなかったという事態が発生いたしましたので、現在は権利を持っておらない方がある、かような意味で申し上げたわけでございます。
  45. 田中一

    田中一君 まだ不十分だ。疎開当時は権利があった。ところが法律によって、もとの権利はお前たちに返るから、復権できるんだから戻れという法律が出たんです、戦後において。これ御承知でしょう。そこで、だから帰っていった、おどかされた、短刀で刺された。ピストルで打たれたということでもって帰れなかったということなんです。だから復権の権利は終戦後あったわけです。そうでしょう、あったわけでしょう。ところがそこにすわり込めば、いまでもあるんですが、暴力でもって追っ払われて、とうとういまの時点では、法律がちょうど十年たっちゃったものだから、他のだれかに権利が移ってしまった、こういうことなんでしょう。
  46. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 終戦後、罹災都市借家法の申し出をされた方は、権利を確保された方もあると思いますけれども、それができなかった方も相当おられるわけでございます。そういう方は当時はその申し出をする権利があったんでございますが……。
  47. 田中一

    田中一君 申し出をしたんだ、したけれども入れないんだ。
  48. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) したがって、現在の段階では権利をもっておらないという方がある。
  49. 田中一

    田中一君 建設大臣、おそらく各地の市街地改造法でやっている地区はそういうのが多いんです。まあ新宿辺は野津組とか尾津組とか和田組とか、いろいろなのがあったんですよ。これも逐次変わってきております。大資本が入ればぽっと取って、この前も暴力団はいま地価が上がっていますから、どえらい金でももらえば、金を持って逃げるというケースが多いんです。その後、新宿もだいぶ変わってきており、いま残っておるのは新橋の例ですが、これはやはり当然暴力によってそうされたという事態が明らかになっておるんですから、これは建設大臣行政指導で、都のほうでもいま相当検討しているらしいが、あなたのほうからも十分そういうものの復権——法律的にもおそらく訴訟等を起せばあるいは勝つもわからぬ、しかしそんなことをしたんじゃたいへんですから、これはもとへ戻るような行政指導をしてもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  50. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 事情をよく承りましたから、善処いたします。
  51. 田中一

    田中一君 それからもう一つ建築関係でありますけれども、昨年の国会建築基準法の改正を行ないまして、容積地区の指定をすることのできるように改正をしたわけです。これは私どももこの審議の過程においては、いろいろな意味の角度から質問をいたしまして、これは建設大臣の就任当時からの理想であるところの高層建築というものに対する一歩前進であろうということで、われわれも賛成したものでありますけれども、事態が、東京都の行政東京都全部に、その指定をしてしまおうというようなことを、法定の制定と同時に放送して歩いている。そのために、たとえば銀座が現在百尺までの建築ができるようになっております。これを六十尺に縮めるとか、どこは五十尺に高さを縮めるとか、こういうような放送をどんどんやっておるのですよ。そのためにいま東京都に申請されたビル建築というものはたいへんなものなんですよ。これは全く用途なんか、それを使うという当てのない建築物の申請が多いですよ。それは建築許可をされる。隣は地下三階、地上十階とっているのに、自分のところは地下二階地上四階しかできない、五階しかできないということになれば、これは経済的な価値の変動です。人為的な価値の変動なんです。そのためにたいへんな申請が来ているのですよ。早くこの政令ができない前に、建設大臣の指定がないうちに建てよう、これは全く野方図な、何といいますか、むだな投資を行なっておるのですよ。むだな投資ですよ。私はこの点でしばしば住宅局長にも慎重にやらぬと、これは国民経済の面から見ても、とんでもない問題が起きる、そういうことを反省を促してきたのでありますけれども、私はこの際大臣にはっきり申し上げたいのは、一体東京都が意図しているところの全市に全面的に網をかけるということ、これに対する考え方はどうか。それからかりに現在建設大臣がきょうの答弁で、そういう考え方はないのだ、しかし当然一つの高層建築の前進として日本の技術的な面も解決したから、特定なる地区にはこうしようということならば、これはまあいいと思うのですよ。それからきょうの建設大臣の答弁によって、猛烈にまた申請、これはほんとうの仮需要もくそもないのですよ。ただ自分のいままでの権益が侵されるのじゃないか。隣は十階以上建つのに自分のところは五階になってしまう。経済的な価値は下がるわけですから申請はふえますし、また、建設大臣ほんとうにいい答弁が出ますと、むだな投資がここで消せます。少なくともこの指定というものについては、建設大臣も、昨年審議したはずでありますから、御存じだと思いますけれども、当然一年延期をしてむだな投資をさせないことです。それと特定のもの以外には、そうした網をかけないこと、私が要望するのは、それでありますけれども建設大臣どうお考えになるか、御答弁願いたいと思います。
  52. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実を申しますれば、全市に全部網をかけてやろうという意見もあるわけです。しかし、実際大東京のことでございますから、そういう高層建築を必要とする地区と、そうでない地区と私はあると思います。そうでない、現に住宅地域であるとか、そうでない地域にまで、そういうことを指定して高層建築を建てるということになりますと、これもどうかと思います。したがって、いまにわかに全地域についてそういうことをやるということは、当然考えるべきことじゃないのであって、地域ごとに十分研究をしまして、そうしてその上で地域の指定をしていくべきだ、こう考えております。
  53. 田中一

    田中一君 当然三十階、四十階という高層建築をする場合には、まだまだ半年や一年、二年の準備期間が必要なんです。まだカーテンウオール、いわゆるぶら下げる壁構造なんていうものは技術的に完成しておらないのです。そこで、少なくとも一年間この指定を延期するということについてはどうお考えになりますか、特定の地以外には。
  54. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 一年間延期をするとはっきり申し上げますのはどうかと思いますが、慎重に対処するということだけははっきり申し上げておきます。
  55. 田中一

    田中一君 じゃ具体的に聞きます。銀座で……。
  56. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 具体的に申しますというと、なるべく早くやってほしいという意見も相当あります。おそくも夏のころまでにはぜひ何とかしてくれという要望もあります。ありますけれども、いま申し上げましたような事情でございますから、私といたしましては、原則は原則として進めたにしても、いよいよこれを実施する過程におきましては、慎重に扱うべきだということを考えまして、せっかく法律をつくって一年間延期してしまったのでは、またどうかという気もしますので、実施は慎重にやります。
  57. 田中一

    田中一君 いま私ども、いろいろどういう地区にそういう超高層建築が求められているかということを調べてみますと、大体、日本橋、虎ノ門、丸ノ内、新宿の副都心、常盤橋付近等が一応建てたいという希望があるそうです。その環境によって建てたいという希望のところは指定したらいいじゃないかと思うのです。そういう指定をしては困るのだ、高層建築はいけませんという地区に対しては、これはおやめになるのが当然だと思うのです。いま言うとおり、価値の変動なんですよ。価値の低減なんですよ。そうしてむだな投資を行ないつつあるということなのですね。もの好きがあって、一坪八十万−百万のうちをつくるのも、もの好きでいいでしょう、いまの社会では。しかし、われわれ国民経済にいい影響があるのか悪い影響があるのかという点とか、また容積地区指定によって価値の低減ということは、人為的に低減されるということがいいか悪いかという問題を考えますと、それら超高層の建築が技術的に解明された後において、そういうものを指定すべきであって、昨年の法律の審議にあたっても、たとえば東京都の指導部長は、どの基準によってこれを許可するかと言ったらば、自分のほうでは許可することはできません、力がございません、建築基、準法第何条によって建設大臣にこの判定をお願いいたします。それじゃ建設省はどうかと前田君に聞けば、前田君も、私どももそれに対する判断はできません、したがって、学識経験者その他を集めてその答申によって許可いたしましょう。そうすると今度は、いままで建築研究所の所長をしておった竹山君を参考人に呼んでおりましたから、竹山君に、君はおそらく学識経験者として委員になるだろう、君はどういう自信を持ってそれを許可するかと言うと、その答弁は、私は許可する力がございません、いまはまだまだ、建築材料、工法その他が技術的に解明された後において初めてそういうことになると思いますが、いま、自分でもそれに賛成するわけにはいきませんという答弁をしておるのですよ。そうすると、こういう空文の法律をつくって社会を乱して、撹乱して得するのはだれか。これは安田銀行、三井銀行、その他二、三の人たちが、まあ宣伝ですか何か知らぬけれども、やろうという気持を持っておるにすぎないのであって、ことに建築費にいたしましても、昨年審議の過程の答弁というものは五割程度の値上がりでございますと、こういう答弁だった。ところが、冗談じゃありませんよ。いまでは、鉄骨主体構造の鉄骨とコンクリートとでつくったもので十万円ならできますといったものが、おそらく三倍でもできませんよ。そういうものを技術的に解決されておらないのに、どこの注文か知らぬけれども政府はこういうものを平気で出す。現在の基準方法だって、建設大臣がこの地区において心配ないと言えば高いもの建てたっていいのです。もしも指定をしようとするならば、その地盤はどうなっているか、環境はどうなっているか、それらが建って被害を受ける者があるかないかということを、十分検討になった上でもって許可することが正しいのであって、やたらに——東京都というところは利根川の水のはんらん地なんです。これはかつて利根川がここに流れておって利根川がはんらんしておったところです。沖積層であって地盤がよくないのです。だから地盤沈下が起こるのです。それを商業的な、資本主義的な考えから、そういうものを建てるものだというだけの判断じゃ困ると思うのです。したがって、いま一年延期したらどうかということは、私は一年間にそれらの諸情勢というものを技術的にも、政治的にも、行政的にも十分に検討して、そうして踏み切るべきだ、しかし、特定の大資本家がおって自分の遊びとしてそれをやろうというならば、その地区だけを認めたらどうだろうか、こういう考え方に立っておるわけなんです。これは河野さんも私も建築のほうのしろうとでありますから、技術的な問題だけはこれはずっと調べて歩いたのです。自分の先輩、技術屋等にもいろいろ調べて歩いた。だれも自信をもってこれをやろうというものはいないのです。この点についてひとつもう一ぺん、私が願っている答弁を願いたいと思います。
  58. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は田中さんと少し考えが違いまして、高層建築は一定の高さでなければいかぬと規定いたしました、従来の規定は。やればできる——やればできるということでなしに、できることにしておいて、ここはよろしい、あそこはいかぬと言ったほうがいいんじゃないか。むしろ東京のような場合に、世界の各都市を見ましても、地盤の点等はむろんお話のとおりであることは、私もしろうとですが、知っております。しかし、いかぬということになっておりますものを許可するということは、なかなかこれはしにくいことでございます。でございますから、一応基準をはずした。さてこれを実行する場合にはどうかということになりますと、いままでのように、何尺、何メートル以上絶対いかぬといってきめなければならぬ理屈もないのじゃないか。それがいまお話のとおりに、無制限に、ニューヨークのように、その他世界の各国に見られるようなべらぼうに高いものが、これが必要かどうかということになりますと、これは議論があると思います。この点いまお話のように、むやみに建築費がかかるということもそのとおりと思います。しかし、従来のようにこれ以上は困るのだ、いけないのだといって頭をぴしゃっと押える行き方もどうかと思う。したがって、これをいよいよ実施するにあたりましては、いまお話のように、いま要望されておる点も東京都内でわずかの地区であります。大阪についてもわずかな地区であります。したがって、それらの要望のある地区について検討しまして、許していったらいいじゃないか、指定していったらいいじゃないかという考えである。無制限にこの地区は全部よろしい、この地区は全部よろしい、要望もないのにむやみに広げていくというような考えはむろんないのであります。そういう要望が出るつどにやっていったらいいじゃないか、こう考えております。
  59. 田中一

    田中一君 同じですよ、私のほうと。昨年の法律改正は賛成したわけです。これはできるという道を開いた。ただ指定にあたっての問題です。指定にあたって、これは建設大臣が指定するのですから、指定にあたってはいま慎重にやろう、こういう御意見ですから、私の要望と同じになるわけなんです。したがって、具体的にはとにかくさしあたりどこをどうするどこをどうするということは聞きませんけれども、大体同じ結論にきたと思うから、その点はそれでもって打ち切ります。  それで、先般中央建設業審議会で、建設業法の登録義務の限度を——今日政令によって五十万円以下になっております。これを百万円、いまの物価の値上がりその他から見ても、技術の向上から見ても百万円程度に上げたらいいではないかという提案を、ここのところ二、三年来続けて出しております。ところが先般中央建設業審議会ではその必要なしというような答申が出たわけでありますけれども、これはどういう認識のもとに出たか、またおそらくこれには政府は参加していないのか、いなかったならば、どういう経緯でそうなったか、それを伺いたいこと。それから私はなぜそうしなければならないかということは、こまかい数字はすっかり持っておりますから、いま説明申し上げますが、これは前田局長はどういう経緯でその答申がなされ、またその答申を受けて立った建設大臣は、その答申どおりをおきめになろうとするつもりなのか、あるいは計画局長あたりから耳こすりされて、それがいいですなんて言われて、そう決心をしようと思うのか、もう答申案そのものを全部建設大臣がのんだら、建設大臣は要らないんですから、建設大臣建設大臣としての諸般の実情というものをほんとうに把握して判断をされるのが正しいのであって、その点の見解……。
  60. 町田充

    政府委員町田充君) 前国会田中委員から御要望がございまして、私のほうといたしましては、さっそく中央建設業審議会に対しまして、現在五十万円の限度額を引き上げる必要があるかどうか。引き上げるとすれば幾らが適当であるかということで諮問をいたしたわけでございます。中央建設業審議会では法制小委員会にこの問題を移しまして、数回にわたって検討をお願いをしたわけでございますが、議論の大要は三十一年に三十万円から五十万円に引き上げたときほどの物価の値上がりというものも見られないのではないか。それからもともと建設業法が小規模な工事の発注者をも十分保護しようという趣旨でできているんだから、あえて現在の五十万円を引き上げる必要はないのではないか。もちろん登録制度全体の問題といたしまして、こういった金額で軽微な工事というものをきめるのがいいのかどうか、もっとほかの方法があるのではないかというふうな大局的な問題について検討すべきであるというふうな御意見ではございましたけれども、さしあたり五十万円を引き上げるかどうかという問題につきましては、法制小委員会では一応そういう結論になっておるわけでございますが、さらに総会である中央建設業審議会にこの結果を御報告いたしまして、その総会の御結論をいただく。こういうことになっておりますので、その上で私どもとして検討いたしたい、かように考えております。
  61. 田中一

    田中一君 建設業法が制定されたのは二十四年です。二十四年末の物価指数、建築物価の指数ですが、これを見ると、三十年には一・七八倍になったというので、三十万円を五十万円にふやしたわけですね。限度を引き上げたわけです。ところが三十一年平均の指数と三十七年の平均の指数を比べてみますと、一・五二倍になっておるわけです。一・七八と一・五二というものを比べてみますと、まあ最初の三十万円から五十万円に引き上げたときは、もうこれによって引き上げたということになるならば、五十万円でいいというわけにはいかないと思う。現状のままでいいという判断は立たないと思うのです。法制小委員会ではそういう結論になったけれども政府としてはこの物価の上昇率から見てどうお考えになるか。これは建設大臣の耳にまだ入ってないだろうと思いますけれどもね。私はここでもっていま言う一・七八倍になったということと、今回の改正で要求していることは、一・五二倍になっておる、その当時から見ると。だから当然これはその物価の上昇によって引き上げたというならば、その百万円がもしもオーバーなら、その限度まで引き上げるのは当然だろうと思う。これは河野さん、実際の建築の職人の問題なんですよ。大工たちがこれはもういまちょっと直したって三十万円や五十万円するんです。へい一つ直しても。あなたのうちのへいを直せば、そりゃ何百万円もかかるだろうが、われわれの家を直したって三十五万しちゃうんです。それで、私これから申し上げる問題は税金の問題にかかるんですが、そういうこと言うと、税の問題をここでもって、この限度額で税の問題云々じゃおかしいということになりますけれども、大体国税庁は百万円以下のものを請負とみなさないんです。こういうことなんですよ。——わかるでしょう。だから、これをこまかく言うと、時間がなくなっちゃうからあまり言いませんが、とにかく考慮していただきたいと思うんです。
  62. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) わかりました。もうおっしゃるとおり、そういう軽微なものは、なるべく手続を省く上からいっても、値を上げて、こまかなものは扱いにしないという方向にいきます。
  63. 田中一

    田中一君 所得税も上昇してます。ところが、これは請負人となりますと、登録しますといやおうなしに請負事業というものは企業であって事業税がかかるわけです。つまらぬへいを画したって事業税がかかる。これでは建設職人というものはそういうものですからかわいそうなものなんですよ、社会保障もなければ何にもないんですから。これをひとつ御考慮願いたい。
  64. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) わかりました。
  65. 田中一

    田中一君 それから最近現場を歩きますと、これは北海道開発庁にもいろいろ同種の質問をするんですが、もう耐用年限を越えたまくら木とか機材器具なんてものがたくさんあるんですよ。こいつを処分しないでやっぱり残してあるんです。そうして一応整備はしなきゃならないんですね。こういうものはどしどしスクラップでもって払い下げるなら払い下げると、あるいはまくら木なんかも、全然使わないものは、そんなものは員数に数えて、昔の軍隊じゃあるまいし、もっと効率的な利用ができるんではなかろうかということが一つ、これは即刻に北海道開発庁も両方ともやっていただきたい。  それから、それらの機材の所属というものが明らかになっておるのかどうかという問題です。かつて七、八年前に、やたらに二十億、三十億と、年々機械を買っていながら、その機械というものが建設省当局には何にも登録してないんです。買ってやってあてがったきりで、原簿も何にもないんです。それで建設機械課が新設されて、コントロールする部署をつくらしたんですよ。これは七、八年前の話です。ようやく建設大臣が、その百億以上の買った機械というものが、どこに何があるというのがわかるようになった。いままではそれがあてがいぶちだった。いまでもその姿は……。そしてそれは、その工事事務所がその年度の予算を獲得するために、自分のほうでこの機械を持ってこれをするんだからということでもって、予算の獲得の手段にされておった傾向が強いんです。  そこで、この二つの問題についてどう処刑するか、まず建設大臣に伺います。
  66. 平井學

    政府委員平井學君) 官房の建設機械課でこの問題を扱っておりますので、私からお答えいたします。  御指摘のように、各地方建設局、またそれぞれの下の事務所、出張所におきまして多数の建設機械器具を持っております。現在、建設機械課で登録いたしてあります数だけ見ましても、全国で約二万三千台の機械器具を保有しております。むろんこれは大小すべてを集めたものでございまして、最も機械の中核になるブルドーザー、ローダーあるいはグレーダー、こういったような重量機械はそのうち大体千八百台ぐらい、あとはそれぞれこまごました機械でございます。御指摘のようにだいぶ——数年前まではまだ民間業者に機械器具が普及しておりません。そこで建設省としては、民間業者に対して、優秀な機械器具を普及するという使命をも半分考えまして、積極的に機械をどんどん予算に計上をいたしまして、買わせました。ところが最近は、御案内のように、国産それからあるいは海外の優秀ないろいろな機械が、非常に普及してまいりました。これは工法等が進歩したせいもありますが、民間業者ももう建設省の手持ちの機械をはるかに上回るような優秀な機械が普及してまいりました。そういうふうに事情も変わってまいりましたので、建設省といたしましては、払い下げ売却等につきましては、こういうような方針でやっております。むろんそれぞれの機械の種類ごとに耐用年数をきめまして、それに基づいて本省の建設機械課で、一定の承認のもとに、各地建の手持ち機械を、毎年毎年売却計画をつくらせまして、これによって耐用年数のきたものはもちろんのこと、耐用年数のきておらないものにつきましても、たとえば型が非常に古くなって、もう部品等がすでにないというようなものは、どんどん民間に、耐用年数がこなくても払い下げる。またたとえばどんどん優秀な機械が民間のほうに先に普及して、もう建設局の手持ちの機械がむしろ時代おくれになる、指導の役割りを果たし得ないというような種類のものも、これは選別して、耐用年数を待たずして、積極的に払い下げてゆく、こういう二通りの基準でやっております。たとえば昭和三十八年度におきましては、各地建総合計で九百十八台の売却予定をいたしまして、これを現在本省の承認のもとに、どんどん進めております。  それから第二のこの所属を明らかにしているかどうかという問題でございますが、確かにこの建設機械を数年前、まあ草分け的な意味で、民間に対する指導的な役割りをかたがた果たす意味でやった場合に、御指摘のように粗漏な点が若干ないでもなかったように聞いておりますが、最近では御承知のような事情でございます。本省の官房建設機械課で、各地建ごとに、この機械を十分種類ごとに台帳をつくって、整理をいたしてまいります。またむろん地建の道路部にはそれぞれ機械課がございまして、そこで道路用と言わず河川用と言わず、機械を全部台帳で整理いたしまして、先ほど申しましたように、その台帳に基づきまして、耐用年数を調べ、また民間機械との比較等考えて、能率の悪いものは、耐用年数を待たずして、あるいはスクラップあるいは機械として払い下げる、こういうように計画的にやっておりますのが実情でございます。
  67. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 田中さん御承知のとおり、なるべく直営事業を廃止して、民間の請負に回すという基本方針をきめました。さらに最近急激に機械類が発達いたしまして、どんどんいい機械が入ってきた。第三番目には、民間の府県の小さな業者に、企業体を奨励をしております。したがって、これらの企業体に、なるべく建設省で持っております機械を、積極的に貸与もしくは払い下げをするということを、私の基本の考えにしております。したがって、これらにのっとりまして、指導いたしまして、御期待に沿うようにやりたいと思います。
  68. 猪瀬寧雄

    説明員(猪瀬寧雄君) 私どものほうは、御承知のように、予算をとりますと、すぐ各省別に、たとえば、道路ですと建設省へ移しかえいたしまして、建設省予算として、北海道開発局のほうにまいりまして、開発局長建設大臣の指揮を受けまして仕事をやっている実情でございます。したがって、機械の運用の実態は、ただいま建設省のほうから御答弁のございましたとおりにいたしているわけでございます。ただ若干考えておりますことは、寒冷地でございますので、除雪その他の機械は、これはどうしても買わなければならない。と申しますのは、これはできれば請負に出すべきものかも存じませんが、何分にも夜半出動したり、あるいはいつ何どき出なければならないというように、天候次第で非常に不安定な状態でございますので、やはりこれは直営にいたしておきまして、いつ何どきでも出動できるということで、除雪関係の機械とそれから国道その他をすべて一括維持いたしておりますが、その関係の維持、保守関係の機械は更新しておりますけれども、その他の機械につきましては、いまのお話のごとくできるだけ使えるものでも能率の悪いものは払い下げ、あるいはまたスクラップとして払い下げる、そういった汎用機械につきましても、民業を圧迫しないとの線もございますので、更新をしないという方針を取っております。ただ非常に目的が希少でありましても、その特定の目的に対して非常に能率の高いような機械である、あるいはまた性能がカタログどおりにいくかどうかわからないが、カタログには非常に特定の目的にいい性能を発揮するような機械がございますので、性能試験的な意味で、そういう機械を買えるように努力いたしておる次第でございます。  第二の点につきましては、私どものほうは、農林、建設、運輸の機械がございますので、それぞれ各省別台帳を整備いたしまして、現在は御指摘のようなことはないと存じますので、御了承願いたいと思います。
  69. 田中一

    田中一君 河野さんにお願いしたいのだが、北海道開発庁では、いわゆる運輸関係、農林関係、建設関係という寄り合い世帯であります。一つの書類をつくるのでも、建設省のものそれからそれぞれの方面でもって統一した書類じゃないのです。そのためにむだがずいぶんあるのです。これはひとつ猪瀬君、君そうなっているんでしょう、現在。いろいろな精算事務にしても何にしても、建設省建設省、農林省は農林省という形でもって、おのおの中央からくる指示によって、それをつくられておる。猪瀬君どうですか、そうなっているのでしょう。
  70. 猪瀬寧雄

    政府委員(猪瀬寧雄君) これは開発局がスタートいたしましたころは、ただいまの御指摘のように、各省別にいろいろな事務の整理をいたしておりましたが、現在は特定のものを除きまして、開発局方式というものをつくりまして、いま御指摘のような事実は漸次なくしておるつもりでございます。
  71. 田中一

    田中一君 やっぱり特定なんという特定と、それから開発庁方式とか、比率はどんなものか知らぬけれども、大部分のものが特定の分なんですよ。これは建設大臣所管のものと、それぞれの事務当局に話し合いされて、開発庁方式ですかに改めることが必要だと思うのですよ。その点はひとつ御考慮願いたいと思います。
  72. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) はい。
  73. 田中一

    田中一君 それからいま建設大臣が、工事の大型化による請負への移行ということ、これは社会情勢から言って、そうなるのじゃなかろうかと思いますが、私はここで申し上げておきたいのは、今日二万数千人という職員を抱えておる建設省としては、これらの諸君がそのために首切りとか、あるいは不当なる首切りを、いやならやめろという、限職を前提とした不当なる配置転換等は行なっておらないと思いますが、私はあなたを信用しますからおらないと思います。しかし、せんだって閣議で了解を得たという地方工事事務所というものを三年間で半分にするということも、一応これもその前提が働く職員の通勤その他というものが、工事事務所としては一つになっても、合理的に現在の姿としては変わらないという前提においては反対するわけにはいきませんけれども、とにかく少なくとも長年、内務省時代から鋭意国土建設のために働いた諸君が、そのような時代に逆行したような、労働意欲を失うというようなことがあってはならぬと思うのですが、これは一つ明確にその点の保証を受けたいのですが、御答弁を願います。
  74. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまの田中さんの御発言は、私もかねて重々留意いたしておる点でございます。問額は、工事現場は必要によって起こるのであって、これは従来と同じでございます。したがって、これについて変革があるとか何があるとかいうことはございませんから、その点は問題ない。問題は出張所でございます。事務所でございます。事務所は御承知のとおり交通が非常によくなりましたので、連絡がよくなりましたので、これらの点から考えて、従来ありましたように二百ヵ所、二百数十ヵ所の事務所を必要とするかどうかということになりますと、私はその中で実際働く人は従来どおり要りようである、あるいは従来以上にも工事量がふえますから、人間がたくさん要りようになっても、減ることはあり得ない。ただ、それをマネージし監督する人、いわゆる所長級の人もしくはそこにおる中心幹部の連中、これが従来どおりの数が要るかどうかということになりますと、そこに私は疑問を持つのであります。これらの諸君はいずれも優秀の技術屋であり事務屋であります。これを地方の事務所でくさらしてしまうということは、将来の日本のためには適当でないという意味合いから、なるべくこれらの事務所の数を減して、そうして事務所長級の優秀なる技術者は中央で十分これを勉強させる、技術者としての研究をさせるということのほうが、わが国の建設業の将来のために寄与する点が多かろうというところに着目して、私はこの変革を行なおうとしておるのでございまして、これはどなたにもすぐ御理解いただけますように工事量そのものはふえるのでありますから、これに関係する数が、首切りとか減らすとかいうようなことを意図していない点は十分御理解願えると思う。また、くどいようですが、日本全国でますます現場はふえる、これも間違いない。ことに道路等におきましては、一級、二級国道はもちろんのこと、主要県道、さらに県道を全面舗装をしていこうということでありますから、これらの工事量はどんどんふえていくのでありますから、これの監督さんその他首脳者の数はふえることは当然でございますから、いま御懸念のようなことは絶対にあり得ないというふうに考えております。
  75. 田中一

    田中一君 次に、これは建設省の所管のものじゃありませんけれども、現在労働省は中小企業退職金共済法の一部を改正して特定業種退職金共済制度をつくろうとして、これにあなたのほうの予算をたくさん流して、建設労働者を加えているわけです。この制度、これは、建設労働者は共済年金制度といっても、これは結局賃金なんです。建設労働者には賃金を労働争議あるいは団体協議によってかち取ることは道がないわけです。建設労働者は個人個人です。そこでその問題が一つ。  それと、これは御存じだと思いますから内容は詳しく申し上げませんけれども、それからもう一つの問題は、われわれも昨年の秋——秋といっても暮れになりましてから、東京都周辺の建築現場を歩いて、これには労働省は労働災害防止に関する法律を前国会に出し、これが流産になり、また再度提案されております。建設大臣もオリンピック関連の工事現場を佐藤担当大臣と一緒にお歩きになっている。またそれぞれの経験者を建設大臣が直命して——直命ということばがどうかしらぬけれども、そうしてこれを査察をしておる。こういう面から見て、最近、きのうか一昨日の新聞でしたか、また大きな事故が起こっております。これらのよってくる原因というもの、建設労働災害のよってくる原因というものに対して、どう認識と理解を持っているか、伺っておきたいのです。これはしょせん建設労働災害に対する防止に関する法律というやつは、下手人が下手人ですね、事故を起こした当人が刑法上の処罰を受けるのですよという法律になっているわけですね。私はこれもあり得ると思うのです。しかし、その労働者がなぜそうしたあやまちを起こさなければならないかということの原因をやはり突き詰めるのが——労働者に対する基本的な検討が行なわれなければならないと、こう考えておるのです。建設労働者は、御承知のように日雇い労働者です。そうして、建設労働者の賃金というものは、だれがきめたものでもございません。PWの、法律によるところの標準賃金は、これは労働省は廃止いたしました。これは建設大臣も賛成して廃止した。しかし、建設省は、これに見合う、建設省部内の直用労働者に対する賃金は一応きめております。これも部内の問題としては自然でしょう。賃金の面、安定雇用という面、安定賃金という面、それから、建設労働者は完全に、現在全労働者に与えられている社会保障制度というものは一つも受けておらないのです。失業保険もございません。健康保険もございません。共済年金制度もございません。あらゆる社会保障制度というものは建設労働者には関係なく、ただ単に擬制適用として、労働者の力によって擬制適用しているのにすぎないのでありまして、この実情から見て、建設災害というものは検討がおくれているのではないか。今度の提案されている法律の内容を見ましても、結局事故を起こした者が処罰されることになる。現にあなたの所管する現場には、全部土木にしても、建築にいたしましても、最高指導者としての、命令者としてのあなたの代理をしているところの監督員がおるわけです。土木の仕事などでは、一応計算なんかなしに、図面に明確にそういうものなしで、そうして監督の指導によって作業を進めることもあり得るのです。建築においてもしかりです。その再任の所在というものも、事故を起こした遠因というものはどう検討されておりますか。これはもう建設大臣がそれを掌握している事業が多いのでありますから、伺っておきたいのです。また、今後それに対してどうするか。ただ単に一片の法律によって労働災害がなくなるとは考えられません。出ている労働災害防止に関する法律は、単なる安全のための手続法にすぎないんです。組織法にすぎないんです。この法律の以前にもう少し建設労働者の実態、現場の実態というものが専門家によって検討されなければならぬ現象ではないかと思うのです。  これに対する御見解と今後の対策を伺っておきます。
  76. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 労働者対策、つまり賃金とか保険とかというような点につきましては、いずれもけっこうな趣旨で、いずれも賛成であります。その方向に行くことに協力いたしたいと思います。  それから、災害の問題でございますで、これは、はなはだ最近頻発いたしますことは、遺憾なことでございますが、何ぶん東京都内に集中的に事業を行なっておりますし、また、建築その他のブームで非常に現場が多い。加えて、先ほどもお話がありましたとおりに、東京の地盤、地下が非常に不安定である。未知の世界に飛び込んでいくというような点が非常に多い。しかも、その事業たるや、いずれも大規模事業をやっております。したがって、よほど慎重にやってまいりませんと事故が起こるのでございまして、事故が起こることははなはだ遺憾でございますけれども、一々なるほどそういう点で事故が起こって、その点を説明をされれば、みな遺憾だったなという点が多いようでございます。しかし、そうばかり言っておられませんので、私は、東京都に対しても同様に期待いたしておりますが、建設省といたしましては、事故の発生つど、委員会をつくって原凶の究明もしくはこれらに対する処罰等についても適正な示唆をいたしておるつもりでございます。問題は、責任者——責任者と申しましても、現場の責任者でなしに、たとえば請負人が金を惜しむとか、営利に走り過ぎるということがあってはなりません。これらの最高責任者に対して反省を求め、あるいは経済罰則を加える。官庁の中の監督者についても、そういう方向で責任の帰趨を明らかにするということで、十分賞すべきは賞し罰す罰すべきは罰すというやりしかたがないのではないかということでさしあたりやっておりますが、今後は技術方面の研究、しいて申しますれば、設計等について、はたして最高の設計であるかどうか、その設計は建設省として責任のとれる責任設計であるかどうか、経済的なものであるかどうかというような点に——私は、従来日本の建設は相当に手が抜かれているのではないかという気がいたします。したがって、これらをなお煮詰めていく点が今後の課題であると考えて、それだけがいま申し上げられる——災害防除ともからめて検討すべき点だと考えております。
  77. 田中一

    田中一君 もう時間がありませんから、要は、不安定賃金と不安定雇用条件、これが一番大きな問題だ。不安定賃金と不安定雇用条件——ですから、もう少し抜本的に、三百五十万を数えている建設労働者の実態というものを調べる、ちょうど一昨年の十月に労働省は相当大幅に建築現場の実態調査をされている、あれは何のためにしたか。私は、建設大臣が主唱して建設労働者に対する単行法をつくるというふうな示唆を労働大臣に与えていただきたいと思う。これには全面的に協力します。建設労働者の単行法、そこまで進むように検討をしていただきたいと思うのです。
  78. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御趣旨、承知いたしました。
  79. 田中一

    田中一君 私の質問はこれで終わります。
  80. 田中啓一

    主査田中啓一君) 浅井君。
  81. 浅井亨

    ○浅井亨君 現在の生活状態を見てまいりますと、過去においては衣食住が、非常に問題となっておりました。しかし、現在は住食衣というような逆のような姿になっているように思うのでございます。  そこで、一番問題になっておりますのは住宅の問題でございますが、幸いにして、この方面に非常な権威であられる大臣がおいでになっておりますので、万違算ない施策をお立てになっておられると思います。いまこの予算説明を見ましても、非常に強力にこれを推し進められておられるということについては、私もほんとうに喜んでいる次第でございます。しかしながら、その中に、最も適当であるという面もありますが、また、この面はこのようにしたならば、また一段と、かなり住宅難にあえいでいる人たちを救っていくことができるのではないか、このように思うわけでございます。それにつきまして、二、三の点を御質問申し上げたいと思います。  その中には、まず、住宅の問題に付属してまいりますのは宅地の問題で、ございます。で、現在宅地におきましても、いわゆる一夜的に宅地造成をした——一夜というわけではありませんけれども、そういうような急テンポな宅地造成をしたいわゆる山間、いわゆる山地を切り開いた、ところが、そこに一時的豪雨があって、そのためにその家が倒壊したというような問題も起こっております。そういう点から考えますと、宅地の造成ということは、なかなかこれは考えなければならない問題ゃじないかとこのようにも思っております。その二つの面から考えまして、いま現在において、この住宅の問題において一番困っている人は、どういう階層の人が一番困っているのか、そういうデータがありましたら、お示し願いたいと思います。
  82. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 住宅不足の状況は、現在は特に都市においてはなはだしく、しかも、各階層にわたって不足を訴えられておりますけれども、やはり、いずれにいたしましても、住宅の建設が自分ではできにくいという低所得の方々の住宅困窮がかなり多いと考えております。昭和三十五年の調査をもとにいたしまして検討をいたしますと、現在住宅困窮という世帯の中で、月収の低い者、平均月収で申しますと、三万三千円以下の程度の者が三二%、それから少し上にいきまして五万一千円くらいの方が三四%、そういうふうな数字をわれわれは持っております。
  83. 浅井亨

    ○浅井亨君 そのように低所得の人が非常に多いわけでございますが、今度お立てになりました七ヵ年の建設措置につきまして、その比率が、高額所得者に対する住宅比率と、それから低所得者に対する、いわゆる一種、二種ですね、このような割合はどのようになっておりましょうか。
  84. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 政府施策の住宅の中で、特に公営住宅の中の一種、二種でございますが、低所得者向けの二種住宅は、全体の六〇%を見込んでおります。
  85. 浅井亨

    ○浅井亨君 六〇%をお見込みのようですが、現在その低所得の人が七四%ほどおると聞いておるのですが、これは私の思い間違いか知りませんが、そうすると、その比率が、低所得者に対する住宅の建設についてはあまりにも意を用いておられないのじゃないかと、このように考えるわけなんですが、間違いがありましたならば、お示し願いたいと思います。
  86. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 先ほど申し上げましたように、公営住宅第二種は、月収、平均収入三万三千円以下の者を対象にしておりますが、それは、先ほどの住宅困窮者の調査によりますと、三二%になっております。これに対しまして、公営住宅のうちの約六判を供給するということにいたしまして、重点をこういう低所得の方々に置いたわけでございます。
  87. 浅井亨

    ○浅井亨君 七ヵ年の間に建設せんとする住宅の数は、どのようになっておりますか。
  88. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 全体といたしまして七百八十万戸でございます。
  89. 浅井亨

    ○浅井亨君 七百八十万戸といたしますと、それを七ヵ年間ですね、そうすると一年間には……。
  90. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 七百八十万のうち、政府の施策によるものが三百万戸以上、民間のものが四百八十万戸と見ておりまして、年間におきましては、大体一〇%の伸びで建築していくことによりまして全体の建設ができるというふうに見込んでおります。
  91. 浅井亨

    ○浅井亨君 一〇%ですと、七年間ですから、七〇%ですか。
  92. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 現在、年間に、三十八年度には七十八万戸ほどできております。これを毎年、戸数におきまして、民間及び国を合わせまして、国のほうで一〇%、民間のほう八%という数字で伸ばしていきますと、最後にでき上がります数字が七百八十万戸という計算をしておるわけでございます。
  93. 浅井亨

    ○浅井亨君 そういう御説明を聞きますと、そうようでございますが、現時点まで、前に十ヵ年計画をお立てになりまして、そうして今日までまいりましたが、三十六年にお立てになったのですね。そうして、それから今日までにはどのような推移をたどって、その目的に向かってどれくらいのパーセントが実行されてきたかということをお示し願いたいと思います。
  94. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 十ヵ年計画では一千万戸という数字を立てましたが、いままで三十六年、七年、八年の一二カ年に合計二百二十万戸の建設ができました。これも計画の線に沿った数字でございますが、これによりまして実績もありましたし、あと残りました七百八十万戸につきまして、ただいま申し上げました数字によって建設することによって、全体として十ヵ年の一千万戸の建設ができるというふうに考えております。
  95. 浅井亨

    ○浅井亨君 いろいろこういう点を考えてみますと、計画はどこまでも計画でありまして、その推進ということになりますと、目的にはずれていきやしないかという懸念があるわけです。そういう点で現大臣は強力なひとつ力を発揮せられて、ほんとう住宅に困っている人を救っていっていただきたいと思うのです。  次いで申し上げたいのは、先ほど申し上げました宅地の問題でございます。この問題は非常にたいへんだと思います。先ほどちょっとお聞きしましたが、田中委員の質問にもあったように思います。すなわち、宅地造成宅地造成と言っても、いわゆるその環境の設備、すなわち、病院とか、学校とか、水道とか、下水とか、またはガスとかいうような生活に必要欠くべからざる環境施設が完備していないところに持っていくということは非常に危険だと、また、それを含んだいわゆる施策を立てていただきたい。そうすると、大臣もそれに対しては極力考えていくべきだと、また、そうしなければならないと、このようにお答えのようであったと思うのです。私もそのように思っております。そういたしまして考えてまいりますと、現在のこの都会におけるところの人口密度といい、いわゆるその人口密度なるがゆえに同居住まい、いわゆる部屋住まい、こういうような方もたくさんおります。こういう観点から考えてまいりますと、あの都会地における墓地でございますが、あの墓地はいま日本全国で、都市における墓地の面積というのがどれくらいあるか、御存じでしょうか。
  96. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 前段のお答えを私から申し上げます。  ただいままで事務当局からお答えいたしましたように、住宅計画は、昭和三十六年に十ヵ年計画を立てまして、これは計画どおりに今日まで進んでおります。計画と実際とが食い違いがございません。したがって、今後もこの計画計画どおりに進みますことは、予算の面において予定どおりやってまいれば、私は予定どおりに進むものと確信いたします。ただしかし、これまでの考え方住宅政策、それでよろしいかという問題が残ってまいります。ただし、いまお話の点でありました都会における部屋住まい、間貸し、狭い部屋に、三畳、六畳に一家族住んでいらっしゃるというような人は、この一千万戸の計画が完成いたしますれば、一応解消するという計算でやっております。これらは一応いいと思います。  ただ、しかし、次に残る問題は、いま新たに住宅を建てる団地が、先ほど田中さんのお話しにもありましたとおり、無計画団地団地と言っても、それでは東京に通勤するのに、中央線のようなことになるのじゃないか。まず交通の点を考えろ、病院その他について考えろということでございますので、この点につきましては、いま法律準備中でございまして、一体この方面にこれ以上団地を許していいか悪いか、この団地はりっぱなものをつくるかつくらぬか、計画はどうなっているかというものを届け出をしていただいて、そして適当である場合に認可をして、付属施設その他環境等について十分整っているものについては認可をし、そうでないものについては、これは認可をしないということにしていきたい。むしろ押えることになりますが、さらに私としては、東京の周辺、大阪でも考えておりますが、大規模都市東京の周辺にいま考えております。それは水戸の付近と宇都宮の付近と高崎付近、小田原付近、この東京を取り巻く四ヵ所に、少なくとも、五十万なり百万の都市をつくっていくことを計画をして、それは一部は計画調査、一部は用地の買収の費用簿を明年度予算に計上いたしまして、着々準備を進めて、ここに東京都内の方々を、一部の中小の業者は疎開をしていただく、一部新たに仕事の職場をここに持ってもらうということにしていきたいということをやっておりますということを御了承いただきたいと思うのであります。
  97. 鶴海良一郎

    政府委員。(鶴海良一郎君) 墓地の面積につきまして、ただいま資料を手元に持っておりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げます。
  98. 浅井亨

    ○浅井亨君 私の調査いたしたところによりますと、百十九万坪になっております。そういうことを考えてまいりますと、人間は生きている者が大事か死んだ者が大事か、こういうことになるわけでございます。さきに申し上げましたとおり、生活環境のすべての設備の問題が不足してまいります。そう考えますと、この墓地をいわゆるほかに遊園地をつくるというようなところへ持っていきまして、そしてそのかわりにこの都会内における墓地をそのまま住宅地に切りかえていくならば、そこに生活に必要なすべての環境は備わっておりますし、非常に両々相まっていいのではないか。また、墓地を遠隔地に持っていきましても、決してそこに生命に対して何ら損傷を起こすということはないのじゃないか。いわゆる神戸のあの町は山の中につくられております。この方面で三、四年前に、一時的豪雨によりましてたくさん家が流されて倒壊したことを知っております。そのときの惨状を私がながめまして、ほんとうにこういうような宅地というようなのは、ただ単に放任していくものではない、これはどこまでも宅地を認可するにあたって、その地盤の問題を考えなくちゃならない、こういうふうに思うわけなんでございます。そうすれば、墓地をそういうようなところへ持っていって、そして墓地の身がわりにここに宅地を求めていくならば、この百十九万坪という墓地が住宅に切りかえられていく。なおかつ、そこに二階建て、三階建てというものをつくることができるならば、三倍、四倍のものができる。すなわち、二十四万戸ぐらいはこれによって建設することができるのではないかと、このように考えるわけでございます。こういう点をひとつお考えになっているであろうか、なかろうかということをお聞きしたいと思います。
  99. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 考えておりません。御意見でございますから検討はいたしますが、現在は考えておりません。何ぶんにも、私の経験から申しまして、欧米諸国におきましても、墓地、寺院、教会、この問題につきましては最も慎重に扱っておるのでございまして、慎重に扱わなければならないものと心得ております。慎重に検討してみたいと思います。
  100. 浅井亨

    ○浅井亨君 いま慎重にということですが、もちろん、ものの運びというものは慎重でなければなりませんし、いわゆる宅地そのものから考えれば、先ほど申しましたような条件の上からいって、一番適当ではないかと、このように思ったわけでございます。生きている人間と死んでいる墓地と、いずれをとるかということでございます。その点はよくよく慎重に御審議願いたいと、このように考える次第でございます。  次いで申し上げたいのでございますが、きのうの新聞だったと思うのですが、東京都の問題かと思いますけれども、都内において、地下鉄とか道路とか、いろいろな工事が行なわれております。きのうの新聞にも、落盤によりまして四名とも生き埋めになって死傷を来たした、こういう記事が出ておりました。で、こういうような事件が再々起こっております。こういうものに対する大臣としての指導といい、また、それに対するいろいろな御注意もされていると思うのですが、こういうことに対してどのような方法をお立てになっておられるかということをお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほど田中さんから御質問がございまして、お答え申し上げましたが、何ぶん、現に東京都内におきましては、オリンピックを中心といたしまして、官庁の仕事、民間の仕事、非常に職場が多うございます。かてて加えて、東京の地盤が非常に複雑でございまして、あるところでは何十メートル基礎までやっても届かないものがあるかと思うと、山の手のほうに比較的いいところが多いというようなことのために、一定した予算でなかなか仕事がしにくい。もしくは、あらかじめ計画を立てて——ボーリングをするとは申しましても、計画を立ててこれらの地盤の崩壊を防止するために施設をしてまいりますのが非常に困難をきわめておるのでございます。それに加えて、御承知のとおり、正月以来非常に雨量が多うございます。これらの雨量の関係がまたこの地盤に影響を及ぼします、ということで、思わぬ災害が起こる。学界などの研究等を超越したいろいろなものが起こっておりますことは、はなはだ遺憾でございます。そこで私といたしましては、各方面に十分注意を喚起すると同時に、これらについて事後の研究もしくはこれの調査をして、賞罰を明らかにするという点に特に力を入れておりまして、すでに結論を得たものにつきましては、建設省直轄の仕事のときは、それぞれ罰則を発動いたしまして、処罰もしくは建設業者については指名の停止をするということにして、鋭意再びそういうことのないようにしているわけでございまして、今後十分注意していきたいと思います。
  102. 浅井亨

    ○浅井亨君 大阪のことですが、これは関係があるかないか知りませんけれども、大阪市内を出まして堺のほうに入っていく、いわゆる府下のほうに入っていくと、国道も非常にきれいなんです。だけど、大阪市内に入りますと、道路が一ぺんに悪くなる、これはどういう関係でしょうか。
  103. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 国道につきまして、地方建設局が管理いたしておるものにつきましては、極力道路の清掃について私はやかましく言っております。しかし、御承知のとおり、道路によりまして、これを管理するものは、国が管理するもの、県が管理するもの、市が管理するもの、町村で管理するもの、いろいろございますので、どの道路といって申し上げかねますが、いずれにしても、道路が非常によごれておるということは間違いないのでございまして、いまこれらの道路について別途考えまして、清掃会社、道路を掃除する会社をつくってもらって、それに、一年掃除して幾らということでひとつ請負でもさせてみたらどうかというて、いま相当の資本を集めていただいて、外国の清掃の機械を買うてきて、政府がやるよりも、国で、もしくは県でやるよりも、請負でやらして監督したほうがうまくいくんじゃないかというので、そういう方面も実は研究しております。何とかもう少しきれいにいたしたいと思います。
  104. 田中啓一

    主査田中啓一君) 羽生君。
  105. 羽生三七

    ○羽生三七君 私は簡単に一問だけでやめます。実は前の総括質問のときにお伺いしようと思っておったんですが、時間の関係で省略をしたんですが、道路整備五カ年計画で、四兆一千億という計画を立てられておるわけですが、そこで、この財政面から考えてみて、なかなかいままでのような自然増収が、今後、特に昭和三十九年度に自然増収が望まれるかどうかという問題。それから歳出の硬直性の問題。それと、当然増経費がうんとふえてくる。したがって、新規財源はなかなか困難だと。そこへもってきて、道路のほか、港湾、それから国鉄もそうですが、多数の長期計画があるわけです。それを、この新しい五ヵ年計画、まあ年度によって、各計画によって必ずしも全部が一々同じ時期にかち合うわけじゃないですが、それはそれとして、はたして所要の財源が調達できるかどうか。特に、二、三日前企画庁が、今後成長率を七%以内におさめるということで各省と十分な連絡をとる、そういう計画を立てられたということが出ておりました。まあ七%でも、外国と比べれば高度成長だと池田さんは言っておられるけれども、それにしても、いままでと比べればかなり低目になる。そうなってきた場合、はたして所期のごとく四兆一千億の計画が達成できるかどうか。もっとも、その中には有料道路もあるし、それから県単もあるでしょうし、それからガソリン税の問題もあるでしょうが、それらを総合してみても、はたしてそれを五ヵ年の年度内に達成が可能かどうか、財源的に見た場合。その問題が一つあると思います。まあそれにしても、公共投資あるいは社会資本というようなもののウエートを多く見るんですから、予算編成過程においても十分そういう点は考慮されると思いますが、それにしても、なおかつ、相当問題があると思うのですが、その財源との関連で、大臣、お考えになって、目標年次にそれを達成する可能性が財源上からありやいなや、この問題だけ一点お尋ねをしておきたいと思います。
  106. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、建設大臣に就任いたしましてから、日本の現在の政治で一番遺憾な点があるとすれば、道路行政が停滞したということである。経済施策の、たとえば農村行政であっても、中小企業対策であっても、都市と農村の物価のアン、バランスとか、すべての現在の社会の好ましくない原因の非常に大きな部面に道路行政のおくれというものがあることを痛感いたしておるのでございます。しかもそれが、計画もおくれておれば進行もおくれているということを深く意識いたします。そういう点から考えまして、いまお話のように、いまの考え方、池田さん流の考え方の財政のやり方、運営のしかたでは、御心配のような点が私は生まれてくる懸念なしとはいたしません。しかし、私は池田さんにも言うてありますけれども、公共投資、特に道路に対する投資をもっと大幅にふやすべきだ、道路公債をすみやかに発行すべきだということを強く私は主張いたしております。しかし、現時点においては、 もうちょっと待ってくれ、一両年待ったらどうだというようなお話でございますので、せっかく池田さんが一切の責任を負って政治をやっておいでになるのでございますから、しかも、われわれ考えましても、この貿易の自由化の前後にあまり新しいことをやるのはどうかというような気もいたしますので、この貿易の自由化というものが一両年たちまして、すべてが多少安定し、見通しがついてきたらば、その時期が道路公債発行の時期じゃないか、こう私は考えております。そういう意味において、四兆一千億ならば財源的には……、財源の関係でこの計画がそごをきたすというようなことはしてはいけないということを強く私は意識しておるものでございます。
  107. 羽生三七

    ○羽生三七君 これは、なかなか大きな問題ですから、いずれまた時期を見てもう少し詳しいお考えを伺いたいと思いますが、本日はこの程度にしておきます。
  108. 田中啓一

    主査田中啓一君) 藤田君。
  109. 藤田進

    ○藤田進君 私すわったままでやりますから、どうぞすわったままで。  非常にたくさんあるのですが、三十一日に総括の機会もあるのですが、この機会に……。また、忌憚なくお伺いいたしますのにはこういう分科会もいいだろうと思います。私、心配しておるのは、いまの羽生さんのにも関連することですが、それだけの御答弁で下がれないのは、すでに東北、北陸、中国、九州と、地域総合開発審議会の答申案が出ておるわけです。これは先月二十二日に閣議決定されている。この内容は、今月三日の総括質問では、池田さんは、まだ見ていないからお答えできないということでしたけれども、閣議できめて——総理が原案をつくって審議会に諮問をして、一字一句変えないでそのまま各地審議会等も答申をして、二十二日の閣議できめていて、まだ見ていないと言われるほど、審議会答申なり今後の地域開発というものは軽視されておると思いました。ですから、たたみかけて、これは知らないなんて言わせないと思ったのですが、しかしそれも酷だ、それくらいしか考えていないのだと評価いたしましたので、時間があれば三十一日にと思っていますけれども、これを見ますと、各審議会の答申を受けてそのまま閣議決定になったわけですけれども、もう観光開発から港湾、道路はもちろんのこと、総花的——文書としてはまことに百点満点のものなんですよ。問題が地方財源、国家財源を含めて、はたして、これが昭和四十五年までに完成するという、いずれもその限定があるわけですね。で、賞金も確保するということがきまったわけですけれども、これはとても財源の面から実行不可能じゃないだろうか。しかも、四十五年まで実行が不可能じゃないだろうか。そこで、予算委員会総括質問では、河野建設大臣の御答弁もあり、四兆一千億は発展的に改定したい。時期があれば道路公債を発行したいという御答弁もあったと思うので、総理にそのことも聞きたいと思ったのですけれども、また、いま御答弁になったような事情もわからないこともないので聞かなかったわけです。  そこで、広範なことは、いまお聞きしましても時間がないので、そのうちで、答申の中にある東北、それに中国、九州縦貫道路をやるのだ、強力に推進するのだ、こう書いてある。東北関係では関越道路とか——これは議員提出でこの前きまったわけです。そういうものを三十九年度から、いま残された有料道路等の中でどう配分するかという段階に先般までなっていたと思う。それぞれ総花的に東北から、あるいは中央道、それに中国、九州へと縦貫道路を、現在見込みの立つ予算の範囲内でかかったとしても、戦時中に道路をやりかけてやめたものもあります、これは特殊な事情もあったでしょう。まあ都市から都市へ結んだ形で、これが途中やめになるとか、遅々として進まずというのなら、まだ利用価値、投資効率もあると思いますが、おおむね山間を貫く道路なので、これはかかる以上、相当工期を切り上げてやるくらいにしないと、非常な、単なる先行投資になってしまうような気がする、一定の交通は確保する有料道路でしょうから、利用価値が刻々ありませんと非常に問題があると思うのです。そこで建設省とされては、いまの御答弁にもありましたけれども、かかった以上、継続して可能な限り早い期間にやり遂げてしまうということでありませんと、九州もそうですが、中国なんかも、中国山脈の南を通すというのですから、途中までで袋になりますと、およそ利用価値はないといっていいですね。ですから、そこらの見通しとにらみ合わせた上で、しかも、着工ということが関係地域住民としては切なるものがあるわけです。単に看板を掲げて地域住民を喜ばせたけれども、実際は遅々としていつまでもできない、その辺、どういうプロセスを持っておられるか、伺ってみたいと思います。
  110. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ありていに申し上げまして、四兆一千億の予算を一応大まかに配分してあります。その配分しておりまする中で、いまお話道路につきましては、東京−大阪、神戸−大阪間ですか、名神道路は完成する、それから現に道路公団でやりかけておりまする道路は全部完成する、これを優先的にやりたい。そうして残余の金額は、いまお話の東北にしましても、中国にしましても、九州にしましても、この一本全部完成するだけの金は残りません。したがって、これらのうちに調査検討を加えて、どれから先にかかるか、どれを、たとえば東京から東北にしますれば、東京から宇都宮まではちょっと手をつけ始めておりますが、これを宇都宮まで全部完成するか、仙台まで延ばすか、それを先にやるがいいか、さもなければ、中国筋を津山の辺までやるか、それとも下がって広島まで入るか。九州は北九州から始めてどの辺まで、区切りのいいところまでやるかというようなことについて、少なくともここ一両年調査検討を加えた上でなければ結論は出ない、こう私は思っております。相なるべくは、道路公債の発行をきめて、そうして少なくとも五兆以上の予算にして、そうしていまお話のような投資効率のあがるようなものをやるということにしたときに踏み切るのが一番いいのではないか。各方面のいろいろ御要望もありますから、いずれもやりますという基本方針決定いたしますけれども、どういうふうに着手して、どういうふうにこれを、どこからどこまで完成するかということについては、もう少し検討の必要があろう、かように思っております。
  111. 藤田進

    ○藤田進君 河野大臣が、去年でしたか、私、新聞も一これは控え室に置いておりますが、持ってはいるのですが、つまり縦貫道路よりも海岸線のバイパス、瀬戸内海の沿岸、バイパスのほうを急ぐという意見を発表されたことがあります。それから宮澤——いま企画庁長官ですが、あの人がこの間も参りまして、縦貫道路よりも陰陽を結ぶ南北の道路のほうが大切だ、といったようなことで、まだ閣内とされても地方開発というものがそれ自体さえも統一されていないようなわけです。ですから、中国縦貫道路というものは、神戸から下関までを一応いうわけですから、相当なこれは予算も必要でしょうけれども、それは三十九年度からかかることになったという認識を持っているわけです。知事以下みんなもうそうきめております。大臣国会答弁でも、東北、九州についても、三十九年度かかるように努力するというようなこともあったようでございます。もう出身議員は、自分で、かかるように建設大臣に約束さしたくらいのことをみんな言っておるわけでございます。政治というものは、ほんとうにかかればいいけれども、そうでないのにあまり前ぶれが大き過ぎて、政治に対する不信というものが出てくるんじゃないかと思うので、その辺、いや南北論があるし、沿岸バイパスの必要性、緊急性を言う人あり、いや縦貫道路という人あり、いたしますので、なるべく早目に、三十九年度に関する限りはどういう方針でこの予算を配分するということは発表される必要もきているんじゃないかと私は思います。
  112. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 藤田さん、どこでお聞きになったか、私に関する限り、そういう発言をしたことは絶対ございません。私はいま申し上げた以上のことはどこでも決して申しません。代議士と座談の間にも申しません。どういう陳情隊がいらっしゃっても、それ以上の発言をしたことはありません。いま申しましたように、東北については宇都宮−日光線というものをやっております。これが場合によれば、さらに延長して東北縦貫道路に乗りかえることはありますということは、これは言うております。しかし、東北縦貫道路を一番先にやる、本年からやるということは考えておりません。それから中国の場合についても、私はそういうことを言うたことはございません。明年度につきましては、四月五日までには、各府県に明年度の道路の割りつけは全部するつもりでございます。もういまだんだん具体的に事務当局の案に目を通しておりますから、それについて、おそくも五日までには各府県の道路部長を集めまして、それぞれに示達をさせるということで鋭意努力しております。公団についても同様でございます。
  113. 藤田進

    ○藤田進君 そういたしますと、範囲を狭めて、中国縦貫道路の場合も、三十九年度からかかれるかどうかはまだはっきりするのか、しないのか。それからバイパス道路関係……。
  114. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) かかるということは考えておりませんし、調査だけは、先ほど申し上げましたとおり、進めております。
  115. 藤田進

    ○藤田進君 バイパス道路のほうは、どうです。
  116. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) バイパスにつきましては、各区間に予算の範囲内において順次手をつけてまいります。
  117. 藤田進

    ○藤田進君 これは国道二号線、あの辺でいえば、これは改修も済んでおりますが、バイパスということになると、並行していくかどうか、路線をきめなければなりません。それを含めて三十九年度からきめるんですか。
  118. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、先ほど申し上げましたように、瀬戸内の工業効率を非常に高く買っております。したがって、瀬戸内の将来を考えまして、これといわゆるバイパスを連続するようにもう一本道路をつくるようにいたしたい。さしあたっては、たとえば福山の付近、それから岡山の付近というような方面について考えていきたい、こう考えております。
  119. 藤田進

    ○藤田進君 それからいろいろ言われておるので、いまのように聞き違えがあるといけませんが、尾道−向島架橋の問題を現地で建設大臣も言われておったが、これはもう三十九年度からやるんだということを言われておる。
  120. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは三十九年度からやるつもりでおります。
  121. 藤田進

    ○藤田進君 まあ財源問題もございましょうし、内閣の大きな方針ですから、いずれ地域住民としては、縦貫道路等を、御承知のとおり陳情も来るようなわけで、急いでもらわなければならぬと思います。  時間の都合で、こまかい問題ですが、ひとつオリンピックもいよいよ時期がだんだん迫ってきたわけです。聞くところによると、特に欧米人というのはオーナーが多いものですから、日本もかなりのそのための貸し車を用意して、観光を兼ねて歩いてもらうというようなふうにいわれておるわけです。そこで私が思いますのに、警察関係のこの道路標識、右折禁止とか、あるいは一時停止とか、いろいろなものがありまして、これは昨日の分科会で警察関係にも申し上げておきました。警察関係道路標識については、まことにどうも適当でない。それはきのう警察関係のほうに聞いてみると、自分で運転するという人は、およそえらい人にはいない。これが欧米人になると、ほとんど自分でやっております。官庁、会社に行っても、ほとんどは、通勤は自分自分の車でかなりのポストの人までやっておるわけです。それだけに道路標識等については、まことに時宜を得た場所と方法で取りつけられております。アメリカなどの場合には、終戦直後にアメリカに行きましたときに、アメリカの道路はずいぶん運転して歩きましたけれども、幾ら夜でも、終戦直後でも、何というのですか、スコッチライトといいますか、螢光塗料で夜もちゃんと、自分のライトを低目にしても高目にしても、その必要な距離のところで、右に曲がれば四十二号線、左に曲がれば四十三号線というふうに、全然スピードをゆるめないで見えるのです。それからスピード制限なんかその他……。そこで、私はこの間東京から広島まで自分でやっていったのですが、まず箱根を越えて焼津で道を間違えまして、四ヵ所間違いました。戻ってみると、なるほど標識はあるのですね。あるのですが、あそこにあったり、ここにあったり、各所で違うし、もう古くなっていろんな看板がたくさんあるし、わからない。とうとう海岸線まで焼津を出て聞いたところが、電車道のところで途中から右に直角に折れるのですというので、戻ってみたら上に書いてある。改修道路が一本あって、これもまた途中まで行ってまた引き返したわけです。それからずっと神戸なんかも参りました。というように、道路標識というものは、こまかいつまらないものでしょう。運転手が運転する車に乗られた人たちは気がつかないでしょうけれども、オーナーに関する限り、そのことで事故が起きることもありますし、これはひとつオリンピックまでに直してもらえぬでしょうか。大体、諸外国のそういうところには、スピード関係は青で一なら一と書いたものがずいぶん建っておりますけれども、これがやはり二列、三列、四車線になりますと、日本の場合は左側通行ですから、スピードのある自動車は右を通るわけですから、左にダンプカーとかコンクリート、それからガソリン輸送の高い車がおりまして、左の標識なんというのはかなりわかりにくいものが多いのです。そういうやつを少し再検討されて、要所要所だけでも、これを何とかやってもらえぬものだろうか。このことは国際的に見ても当面必要なことじゃないだろうか。憲法の改正だ、日韓だ、中共の国連加盟だ、これは国民としては直接的でない。しかし、あなた、交通事情ももう少し指導よろしきを得れば——聞いてみると、何ですか一万二千人も死んでおるというのです。その他負傷者もある。道路交通機関整備というものは、単に幅員を広げるというだけでもいけない。これは技術的にむずかしいでしょうけれども、アスファルトの黒い舖装というのがところどころにあるのですが、これは事故が多いのです。これは夜、冬、黒いオーバーを着て横から出られますと、黒い舗装というものはとても危険です。  それから時間がないから、もう一例だけあげると、これは河野さんがいつも通られる道であるかどうか知らぬが、これは例ですけれども、神奈川に、駅の裏に反町というところがありまして、ここで昨年の正月三日に、私の知った者が事故を起こした、これは死んでおりますけれども……。さっそくかけつけて警察へ行ってみると、きょう三日ですが、正月からあそこで六人死んでおりますというような、ひどい淡々たるものです。市役所にも話して——私自身がずっと運転して、その夜も夜中の十二時過ぎに現地に飛んで行きましたが、私自身もその反町を知らなかったのですが、私自身がうっかりするとやはり安全地帯に乗り上げるという危険を感じました。それは安全地帯の前にちょっとした標識があるのですけれども、これは高さの関係で、一向に運転する人はわかっていないのですよ。ライトで二十メーターあるいは三十メーター、しばらくは照らし得るとかなんとか考えられたらいいのだけれども道路のまん中にぽっとあるのです。その安全地帯の横というのは二台は通れないのですね。ああいうことは交通機関としてもう少し考えられれば、交通事故の緩和というものはできるのじゃないか。その後通りますが、市役所にもやかましく言って、市会議員にも話をしたのですが、かなり電車も通っております。安全地帯というものは、どういうものかいまだに改良されておりません。たいした金もかからないことだろうと思うのですけれども……。そういった点は、ひとつオリンピックまでにできるだけの、交通事故多発の個所だけでもやられたらどうだろうかという点でございます。
  122. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 前段の標識の点につきましては、建設省でも、つとに、しばしば検討をいたしておる点でございますが、今回、いまお話のような点もございまして、明年度予算に約六億円を計上いたしまして、主要地方道以上の道路に全国的に全部完備するということにしておりますから、予算決定次第、直ちに実行したいというふうに考えております。おおむね六億要ると思いますが、すぐやらせます。  それから横浜の反町の点は、すぐ調査官を派遣いたしまして調査いたしまして、過当に処理させるようにいたします。
  123. 藤田進

    ○藤田進君 おやりになる予算もついておる、非常にけっこうだと思うのですが、やり方を、ただ車のうしろに乗って眠っているような人が一あなたはよく眠られる方かどうか知らぬが、その辺の頭で考えられたのでは全く陳腐なものができると思うのでしてね。外国の、やはり特に自動車道路の発達したアメリカあたりの事情も、いいものは取り入れていいわけですから、よく検討されてやっていただきたい。それは要望です。  以上で終わります。
  124. 田中啓一

    主査田中啓一君) 以上をもちまして、建設省関係質疑は終了したものと認めます。  午前の審査はこの程度にいたします。午後は、郵政省所管の事項について審査をいたします。  休憩をいたします。    午後零時四十九分休憩    ————————    午後一時四十一分開会
  125. 田中啓一

    主査田中啓一君) これより予算委員会第三分科会を再開いたします。  昭和三十九年度総予算中、郵政省所管を議題にいたします。  まず、政府から説明を求めます。古池郵政大臣
  126. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 郵政省所管各会計の昭和三十九年度予算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、郵政事業特別会計の予算でありますが、この会計の歳入歳出予定総額は、ともに三千百二十八億二千二百万円でありまして、前年度予算額に比べて四百五十九億一千七百万円、一七%の増加となっております。しかし、この中には収入印紙、失業保険印紙等の、いわゆる通り抜けとなる業務外の収入、支出七百四十二億三千万円が含まれておりますので、これを差し引いた郵政事業の実体予算は二千三百八十五億九千二百万円で、前年度予算額に比べ二百九十四億八千二百万円、一四%の増加となっております。この増加のおもなものを歳出について申し上げますと、業務運営費におきまして二百七十九億二百万円、郵便局舎等建設費において十六億二千万円等であります。  次に、この予算に盛り込まれております重要施策事項について申し上げますと、業務量及び施設増加に必要といたします労働力の確保につきましては、定員増員六千八百五人と賃金予算二十一億一千五百万円が確保されております。郵便局舎の改善と事業施設の近代化については、百億三百万円をもって郵便局舎等の改善を行ない、九億七千五百万円をもって郵便集配運送施設の近代化をはじめ各種作業施設整備を行なうとともに、無集配特定局三百局、簡易郵便局五百局を増置することとしております。  貯蓄の増強につきましては、郵便貯金の純増加目標を二千七百万円、簡易保険の新規募集目標三十二億円、年金八億円とし、その達成につとめることとしております。  次に、歳入予定額についてみますと、歳入予定額は、歳出と同額で、業務外を除いた実体予算も二千三百八十五億九千二百万円と同額でありますが、このうち 業務収入である郵便業務収入と為替貯金業務収入は一千百二十一億二千三百万円で、前年度予算額に比べ一一%の増加であります。他会計より繰り入れを受ける受託業務収入は一千百五十一億七百万円、郵便局舎等の建設財源に充てるための借り入れ金等の資本収入は七十一億七千九百万円、その他雑収入四十一億八千三百万円となっております。  次に、郵便貯金特別会計の予算について申し上げます。  この会計の歳入予定額は一千二百七十五億三千九百万円で、前年度予算額一千十一億七千二百万円に比べ二百六十三億六千七百万円の増加であります。この増加は、郵便貯金の増強に伴いまして、資金運用部よりの預託利子収入の増加によるものであります。  歳出予定額は一千百九十億八千七百万円で、前年度予算額九百九十三億七千八百万円に比べ百九十七億九百万円の増加となっております。この増加は、郵便貯金預入者への支払い利子及び業務委託費としての郵政事業特別会計への繰り入れ金の増加によるものであります。  簡易生命保険及郵便年金特別会計におきましては、歳入予定額二千七百三十六億二千九百万円で、前年度予算額二千四百十一億九千四百万円に比べ三百二十四億三千五百万円の増加であり、歳出予定額は二千四百二十七億一千万円で、前年度予算額一千六百六十九億三千八百万円に比べ七百五十七億七千二百万円の増加となっております。  なお、三十九年度の財政投融資としての簡保年金資金は一千五百億円を予定しております。  次に、一般会計について申し上げます。  当省所管の一般会計歳出予定額は三十四億九千九百万円で、前年度予算額に比べ二徳七千万円の増加であります。この予算には、重要施薬事項でありますところの宇宙通信の実験研究とこれに必要な諸施設整備費三億二百万円、国際放送拡充強化の経費一億二千二百万円、電波監視体制の整備強化と電波研究施設整備に要する経費一億五百万円が含まれております。  次に、日本電信電話公社の予算について申し上げます。  この予算の損益勘定におきましては、収入四千百五十六億円を見込み、三十八年度に比べ四百九十六億円の増加となっており、また、支出は三千六百五十一億円で、施設及び要員の増加等により三十八年度に比べ六百四十億円の増加となっております。以上の結果収支差額は五百五億円となり、前年度に比べ百四十四億円の減少となっておりますが、この収支差額は建設財源、債務償還に充てられることとなっております。  建設勘定におきましては総額二千八百九億円で、前年度に比べ二百九十一億円の増加となっております。この財源は、内部資金一千五百七億円、外部資金一千三百二億円を予定しておりますが、外部資金の調達は加入者債券設備料等九百九十四億円、並びに公募債百二十六億円、縁故債百十億円及び外債七十二億円の発行を予定しております。この支出の内訳は、一般工事計画として二千七百五十四億円、農山漁村電話普及計画として五十五億円となっております。  以上をもちまして、ひとまず私の説明を終わりますが、なお、詳細な点につきましては、御質問をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  127. 田中啓一

    主査田中啓一君) これより質疑に入ります。藤田君。
  128. 藤田進

    ○藤田進君 これはどうですか、勘定等で借り入れ金、あれであとはつじつま合わしておられるわけですが、郵便料金の値上げの見通しですね。三十九年度はいいとして、それ以降必要とするのかしないのか、長期見通しに立った郵便料金の値上げの問題でございますが、いかがでありますか。
  129. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 現在の郵便の関係から申しますと、収支大体つじつま合わしておるという程度でありまして、非常に多くの利益をあげておるというわけではございません。しかも一方において、経費のほうは、施設にしましても、あるいは要員の関係からいいましても、今後増加が予定されるわけでございまするから、将来のことを考えますると、いずれは郵便料金の問題も考えねばならぬと存じております。しかし、少なくとも今後一年間は、政府方針もありまして、公共料金のストップという原則に基づいて、郵便料金には手をつけない考えでおります。一年後においたらしからばいつごろ、もし値上げというようなことになれば実施するのかというお尋ねがあれば、これについては、具体的にまだ何らこちらの腹づもりは持っておりません。  ただし、郵便事業全体につきまして、これを一そう合理化し、また、近代化していく必要がありと考えまして、一月に郵政審議会に、郵便事業全般の問題として、その近代化の方向について諮問をいたしております。これはきわめて広範な内容でありますので、答申も短時間では出てこないと考えますが、いずれ一年ないし二年の間には、答申も出ることと考えております。そうすれば、郵便制度全般にわたる研究が答申でなされますから、おのずから郵便料金の問題もその中に考えられてくるであろうと存じます。そしてまた、郵便料金のさらに基礎となっておりまする現在の郵便の種別ということの適否、かような問題についても、この審議会において検討がなされるものではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  130. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、政府方針である一ヵ年間公共料金をストップするということが大前提にあるから、三十九年度はかように押えたということなのか。本来ならば、設備の近代化あるいは待遇改善等、かなり出費もあるわけでございまして、一年後のことも触れられたけれども審議会にすべてはというふうに聞こえるわけですが、郵政大臣とされて、郵政行政を適確に行なうためには、本来は上げなければやっていけないということなのか。上げなくても、一年はむろんのこと、少なくともここ一両年は、一年はおろか二年、三年上げないで何とかこれを食いつないでいこうということになるのか。それには一面、近代化その他も一おくれてくるでしょうし、一般民間産業その他に比べて職員関係の待遇関係もu停滞するでありましょうし、そういった全般的、総合的の中で一体どうなのか、これが私ども心配な点なんです。
  131. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまお答え申し上げましたように、政府方針として、公共料金の一年間ストップということは大きく打ち出されておりますが、郵政事業としましては、必ずしも、少なくともこの一年間は、そんなに無理をしないでも、料金の値上げをしないでもやっていける、こういう観点で予算も立てておるわけでございます。しかしながら、事業としては、将来にわたりましていろいろ施設の拡充もしたい点はたくさんございます。また、待遇等の問題についても、将来にわたって考慮せねばならぬ問題もおのずから出てくるとは考えます。したがいまして、そういう支出面の要望を十分にまかなおうということになれば、それでは現在の郵便料金では不足しやしないかという議論は、当然これは成り立つと思いますが、しかし、やはり事業全般としての健全な経営ということと、それから同時に、国民の皆さんに対する負担をできるだけ少なくして、そうして合理的な近代的な事業としての運用をはかっていこう、こういうたてまえから、少なくともこの一年間は料金は上げないでいこう、こういう考えでおります。  それからなお、郵政審議会に諮問した趣旨といたしましても、郵便事業につきましては、今日までも歴代の管理者並びに従業員諸君が非常なる努力をされまして、相当に合理化もされ、近代化もされておるはずでありますけれども、しかし、社会経済情勢もどんどん進んでおる現在でありまするから、これらの周囲の情勢におくれないように、むしろその情勢に一歩前進するくらいの意気込みで事業の近代化をはかっていきたい そうして、もしかりにむだな点があるとすれば、このむだを省き、また、合理化によって能率をあげていく、こういうふうにして国民の皆さんから喜ばれる郵便事業というものを一そうりっぱなものにしていきたい、こんな考えでおります。
  132. 藤田進

    ○藤田進君 だから、一方にそういった政策上の要請があり、一方公共料金という制約がありということで、やりにくいことはわかりますが、審議会の答申——すべて答中待ちということでおやりになるとしても、審議会には当然郵政大臣の意向もいろいろな面で入っていくでしょう、あるいは審議会委員そのものも一問題がありましょう。そこで、郵政大臣としては、一年後における見通しを、そのような支出要請、歳出要請から見て、このままでやっていけるのかいけないのかということは、それは何%上げるかは別として、あるいは上げるか上げないかくらいな腹づもりはなければならぬと思う。
  133. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 非常に一般に影響の多い郵便料金のことでありますから、私がここで上げるとか、あるいはどうとかと言いますことが、やはり一般に及ぼす影響も相当大きいと思います。したがって、まだ具体的な計画も何もされておりません現在、ここで軽々しく言うことはできないと思います。そこで少なくとも、この一年間は上げなくてもよろしい、このことははっきり申し上げていいと思いますが、一年済んで先のことは、これはいろいろやはり計画も今後立てて、その上で十分検討していきたい、こういう次第でございまして、いまの段階でははっきりとは申し上げられないと思います。
  134. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、四十年度において上げないように何とか努力してみようという、上げないということになれば、ほかに影響は、むしろいい影響があるわけでしょう。そのことも言えない、上げないということも言えない、こういうことですか。
  135. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) なるべく国民に対する負担というも一のはこれを増加したくない、こういう意図のもとにできるだけ上げないように努力をする、こういう線で考えてまいりたいと思っております。
  136. 藤田進

    ○藤田進君 昇給原資三・五%の一応お見込みを出されておるわけですね。これは例年いろいろの措置をやっておられるわけですが、今度、いま調停にかかっておりますが、これはいつごろ出てどんなようなお見込みなんですか、その内容について。
  137. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) いまのところ、具体的な数字等については、ちょっと見通しははっきりいたしておりません。
  138. 藤田進

    ○藤田進君 三・五%上回ることは間違いないと思うのですが、業務費が一番大きなウエートを占めておるわけで、人件費等を含む、これで三・五%を上回るということになれば、調停段階ではそれを尊重してやろうというお気持ちなのかどうか。もし調停が三・五%を上回れば、予算的にはどういう処置を今回はなされようとするのか、その点について……。
  139. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 三・五%は、御指摘のように予算にすでに組んでおりますが、それ以上の問題になってきますると、これは一応仮定の問題にもなりますし、どういうふうにして捻出するかというような問題は、そのときになって検討してみなければならないと考えております。
  140. 藤田進

    ○藤田進君 例年の措置はどうなんですか。
  141. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 経理局長から……。
  142. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 例年は、組みました予算が成立しましたあと、あるいは成立まぎわころに、公労委の仲裁裁定が出たりする例が多いようでございます。そのような場合に、いろいろな措置でやってきておるわけでございますが、たとえば三十八年度の例で申しますと、まず、年度当初の措置としましては、予備費をひとまず引き当てる、それで不足の分について、成立予算の中である程度節約ないし建設費などについての繰り延べを予定する、それ以上の部分については、増収を予定していく、そういうことでやってきております。三十八年度も終わり間近になりましただいまの状態におきましては、幸いにして郵便収入の伸びがわりあいによろしゅうございますし、それから郵政会計におきましては、御承知のように、大体半分の経費は他会計費から受け入れる、郵便貯金会計、簡易保険会計あるいは電電公社等から繰り入れるということになっておりますので、残りの半分の郵便のほうでまかなう部分については、郵便の増収が比較的よくいっておりますので問題はございませんし、また、他会計から繰り入れる分につきましても、郵貯会計のほうも、昭和三十六年度以来好転してきております。簡保会計、電電公社、それぞれあまり問題はございません。繰り入れ額の増加によってまかなってまいりたいと考えております。
  143. 藤田進

    ○藤田進君 いま出されているものは、すでにほとんど財源があると見なければならぬと思うのですね、歳入見込み額……。それから移流用についても限度があると思うのです。それから三・五%というが、これは通常自然増収財源としては、人件費についてはこの程度はあるはずだと思うのですが、郵政の場合どうです。という意味は、高給者が退職して新規若年労務者が入ってくるといった人件費の年間の差額というものが出るのですね、ベース改定しないでも。そういう自然の原資が出てくるものが、大体民間でも三%、四%なんです。郵政の場合はどうなんです。
  144. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 仰せのように、新陳代謝によります給与費の余裕というものがございまして、これも定期昇給等の財源になるわけでございまして、三・五%は、三十九年度に普通の新陳代謝によるもののほかに、表に基づく定期昇給等の財源としてプラスされたものでございます。
  145. 藤田進

    ○藤田進君 どういう意味ですか、三・五%出ているのは。ベース改定というものは考えないで、昇給原資として三十八年度の実績等から見て三・五%上がる、それを含めて調停案でおさまるか、仲裁裁定でおさまるか。所要の原資については、以上申されたようなものを合計したもので一年間を処理する、その中に施設費等節約して移流用をする、こういうものが部分にあるように思うのだが、そのような移流用ということにも問題があるのじゃありませんか。
  146. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 三・五%は、公労委等によります調停案あるいは仲裁裁定等を考慮しないで予算に織り込んである額でございます。したがいまして、現在おります人たち——やめる人は別でございますけれども、ずっと残っております人の年間の俸給の上がっていく速度と申しますか、パーセンテージは、昇給原資として予算に増額を見込まれておりまする三・五%に新陳代謝の分が加わったものが、年間の昇給、ベースアップということを考慮しない場合の年間の昇給率ということになるわけでございます。
  147. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、わかりやすくいえば、調停ないし仲裁裁定で落ちついたそのベース改定分は、この予算よりもはみ出た歳出になる、こういうことになるわけですか。
  148. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 仰せのとおりでございます。それにつきまして先ほど申し上げましたように、昭和三十八年度におきましては、まず予備費。それから成立予算内の若干の節約、あるいは建設費等の繰り延べ等を年度当初においてひとまず予定いたしまして、そして事態の推移をずっと見守ってまいりまして、増収が当初予定しましたよりも多ければ節約をそれほどしなくても済むとかなんとか、そういう形で解決されていくわけでございます。
  149. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、設備等の近代化、あるいはバイクを買い入れるとか、いろいろ方法はあるでしょうけれども、そういうものもベース改定の余波を受けて繰り延べということになるのですか。この予算、いま出されているものの中に、具体的に積算の基礎があろうと思うのですけれども、ベース改定という問題が出てくると、そういう項目までが移流用される、繰り延べされるというのが従来のやり方ですか、郵政は。
  150. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 省の重要施策として取り上げております事業の近代化とか、そういう面にはなるべくあまり大きな影響を及ぼしませんように、維持費の節約に重きを置くとか、そういうように配意はいたしますが、やはり金額が相当まとまってまいりますと、そのとおりに実行いたしますと、金額のいかんによっては重要施策の遂行にもあるいは影響しかねない事態も起こるかと思います。三十八年度につきましては、幸いにして郵便増収が比較的順調にいっておりますので、実質的に当初予想しました重要施策の遂行に影響を及ぼすことはなくて済むかと存じます。
  151. 藤田進

    ○藤田進君 だから、さっきから聞くのに、郵便収入の見込み額よりも伸びが大きいということなんでしょう。ということは、逆にいえば、いまそのことが言えるということは、この事業収入についてかなりそういった含みは持たしているというふうにも解されますね。本来ならそのものを入れたらいい。
  152. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 初めから持たせたと、はっきりここで申し上げるほどでもないかと思いますが、結果として見ますと、相当出ているわけでございます。
  153. 藤田進

    ○藤田進君 これはどうですか。事業収入が二・七%の対前年度比の増加というのですね。これは、ここ三年ぐらいの実績といったらこんなものなんですか、実績です。
  154. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 三十七年度、八年度はもう少し少のうございます。先生も御承知のとおり、郵政事業特別会計では、人件費の比重が非常に高うございまして、ほぼ八〇%に近いわけでございます。その人件費が、先ほど仰せのとおり、年々定期昇給だけでも、昭和三十九年度は三・五%ですが、三十八年度までは三・八%くらいにとどまっております。それから年々公労委の仲裁裁定によりまして六形あるいは七%、昭和三十六年度におきましては一〇%ぐらいの増加がございましたから、そういうものも上乗せになるわけでございますし、それから事業として年々相当の数増員もございますので、経費の増加のほうはほぼ、過去三年くらいの実績をとりますと、一〇%程度を上回る、一一%前後だったと思います。昭和三十八年度の場合につきましては、対前年度一一%程度の増加だと思いますが、そういう状態が続いてきているわけでございます。したがいまして、人件費の帰趨ということがやはり支出の面では非常に大きくなるわけでございます。先ほど大臣の申し上げました近代化という問題と並んで、しかも、人件費の比重の大きいことのために、経費の額から申しますと、人件費の帰趨ということがやはり非常に大きな問題になるかと思います。
  155. 藤田進

    ○藤田進君 過去の実績の伸び率も、対前年比というものは一三・七%か、前後だったと、こう言うのですが、今回も一三・七%見ている。そうすると、ベース改定というものがあれば三・五%でおさまらないのだから、事業収入等の伸びも予想外にあるということを予定しているわけです。しかし、過去の、実績から見るとこうなる、その伸び率はすでに一三・七%の伸びを事業収入としては見ている。あと、借り入れその他、それから総計としては一七・二%の増収を考えているわけです。そうすると、事業収入の伸びというものを見込んで、かなりの部分これで、三十九年度ベース改定は消化できる。その他、繰り延べ、予備費あるけれども……、しかし、どうも含みがあるように言われるけれども、数字的には、それでは過去の二、三年の例から見ると、ないように思われる。しかし、オリンピック等もあるので、特段の事業収入というものは伸びるということで、予定は、この歳入の場合しなかったけれども、別途にそういうものはあると言われるのか。数字的に見ると、過去と同じような実績、一三・何がしを見ている。伸びがないじゃありませんか。どうでしょうか。
  156. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 先ほど申し上げましたように、事業の収入、支出それぞれほぼ半ばは他会計からの繰り入れでございまして、他会計のほうにつきましては、郵貯会計も簡保会計も、それぞれ、状況によりましてですが、繰り入れる能力なしとはいたしませんし、電電公社のほうもはっきりした理由がある場合には繰り入れに応じてくれているわけでございます。残りの半分の、主として郵便と為替振替の収入でまかなう部分でございますが、それにつきましては、お手元の資料でもごらんのとおり、郵便関係の収入は一一・一%でございます。総体としては一二・七%になっておりますが、郵便のほうの収入は一一・一%でございます。従来、昭和三十年前後から三十六年あるいは七年ごろまでの期間をとってみますと、三十六年に実は値上げがございましたけれども、値上げの要素を取り除いてみますと、年の郵便収入の伸びが、八%強から二%くらいの間にまたがっておりますが、平均しまして九・四%くらいの伸びだったと思っております。それに対しまして、三十六年のベースアップ、三十七年、三十八年等は、人件費の部分でも、定期昇給と裁定によるベースアップを合わせますと、一〇%前後もしくはそれをこえることになりますから、若干逆ざやでございますが、三十六年度の値上げに伴う若干のゆとりというものもございまして、今日に来ておったわけですが、ただここで、ここ一、二年の間の郵便収入の伸びが、私どもがいつも当初予想するよりもよく伸びております。これはいろいろな事情もございますが、一つの大きな原因は、特殊切手の発行による収入というものもかなりあるように見受けられます。そういうようなことからしまして、来年度におきましても、ここで一一%の伸びを予定しているわけでございます。
  157. 藤田進

    ○藤田進君 ですから、郵政事業特別会計だけをいま論じているわけです。電電公社は別でいいのです。それで、事業収入としてここに出されておるAが一三・七%、全体としては。そうしますと、その内訳は、事業収入一一%、さらに、その内訳としてはかくかくと書いているわけです。これは過去の実績をそのまま見通しとして歳入に入れられたものだというふうに理解していいですか。
  158. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 過去五年間の実績から見まして、傾向を把握しまして——この予算をつくりますのは昨年の秋ごろでございますが、とりあえず過去の実績からして、三十八年度の歳入を、一応予算上の歳入予定とは別に三十八年度の実績見込み収入をまずつかみまして、それにまた過去の趨勢からしまして三十九年度の収入というものを予想して計上したわけでございます。
  159. 藤田進

    ○藤田進君 したがって、三十九年度の事業収入はこれ以上の伸びがあるといまの段階で言われるのですが、べース改定の場合には、事業収入の伸びがある、しかし、その伸びはすでに見込んでここに歳入として計上されているのではありませんか。そうすれば、ベース改定が三・五%でおさまらない場合は——おさまらないでしょう、むろん。そうだとすれば、事業収入というものの伸びの期待ということは、過去の実績に徴してその財源というものはもうすでに見込んであるとみなさざるを得ない。それが事業収入がかなり大きな部分として、見込む以上に収入の伸びがあるという御答弁なものだから、そういうふうにお聞きする。
  160. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 三十八年度のいままでの実績を見ますと、年度当初に予想したことよりも一収入の伸びが相当ございます。で、その原因はいろいろある中の一つとして、特殊切手の発行による収入というものがかなり見込まれる、で、そういうことを考えたわけでございます。
  161. 藤田進

    ○藤田進君 だから、そういう伸びは毎年度見込んでいるでしょう。この表にあるように、歳入歳出とんとん、合わしているわけです。これはベース改定というものは三・五%の一応範囲に書いてある、昇給原資として。それが一〇%以上ということになりますと、少なくとも七%なり八%というものが財源不足になるわけです。その不足の補てんは何でやりますかと言うと、予備費あるいは繰り延べ、それから事業収入の伸びがあると言う。その事業収入の伸びというものはすでに見込んでいるのじゃありませんか。
  162. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 三十九年度につきましては、先ほど申し上げましたように、これは三十七年度ごろまでの過去五年間の一つの趨勢を見て予定したわけでございます。ところが、その趨勢が三十八年度の実績を見ますと、この九年度の予定収入をきめたころ見込みましたよりも一実績が相当伸びておりますので、三十九年度につきましても、どのくらいになるかということはなかなか予想つきませんが、少なくともこの予定収入を下回ることは万万あるまい。若干の増収はまああるだろうと私どもは信じているわけでございます。ただそれがどのくらいになるかということにつきましては、現在のところ、まだはっきりした見通しはつきかねております。
  163. 藤田進

    ○藤田進君 ですから、前年度予算額、これとの%をいまとっているわけですよ、いまこの表はね。だから、実際決算してみると、事業収入というのは二千何億じゃなくて、もっとある、決算すれば。しかし、過去の実績は一三%程度だったでしょう。三十七、八年——八年は決算出ていないけれども、三十六、七年といったところ、それから三十八年度も同じ過去の実績どおりの伸び率があるだろうということになれば、当初予算のときに、それだけの確実な過去の実績に基づいてデータを持つ以上、伸び率というものも歳入の中へ入れるべきが至当じゃないか。これは今度の税収の場合も六千億余り、われわれ、もっとあると思うが、大蔵省はうんと下目に見られる気持ちはわかりますけれども、少なくともベース改定というかなり大きな歳出増になる、こういうときですから、予算として出される場合には、伸び率というものがかなりの原資として含みになっているということは、とうてい予算委員会のわれわれとしては、納得いかない。ですから、この三十九年度予定額というものは、事業収入については、これよりは、実績としてはかなりこれ以上のものが入るということなんでしょう。これは出しているけれども、これよりは実は違うのだと、簡単に言えば、もっと多いのです。こういうこと、そうじゃありませんか。
  164. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 少なくとも下回ることは万々あるまいと考えておりますが、どの程度多くなるか、あるいはどうなるかということにつきましては、いままだちょっとはっきりした見通しを持っていません。なお、事業収入が二二・七%の増加で、郵便が一一・一%で、率が少し違っておりますが、そのおもな原因は、業務外収入が実は収入印紙収入の見込み等の関係でこれが二八・四%伸びておりまして、その関係で業務収入と全体との食い違いが出てまいろうかと思います。
  165. 田中啓一

    主査田中啓一君) この際おはかりいたします。  委員議員赤松常子君及び永岡光治君から発言したい旨の申し出があります。主査はこれを許可したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 田中啓一

    主査田中啓一君) 御異議ないと認めます。そのように取り計らいます。
  167. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) いまの藤田委員の質問に関連いたしまして端的にお尋ねしたいわけでありますが、ベース改定を中心に、これを収入でまかなえるかどうかということが質問の要旨のように思いいますので、その点でお尋ねするわけですが、従来もベース改定を予想しての予算を組んでいなかったと思うのです。しかしながら、仲裁の裁定が出ますと、それに応じた政府の組みかえなり補正なりをして、国会の補正というところまでいかなかったでありましょうけれども、内部操作によってこれをまかなってきたという実績があるわけであります。そこで、その点で私はお尋ねするわけでありますが、いま事業収入は一三・七%の伸びになっておる、このほかに若干の伸びもある、従来の実績からしてあるであろう、こういう御答弁、確かにそのとおりだと思うのです。しかし、この一三%の伸びの中には、やはり定員の増員もおそらく私はあるのじゃないかと思うのでありますけれども、それに対する経費の支出も支出の面でまたふえてきているだろうと私は思うのです。そこで、かりに三・五%昇給原資とする改定、仲裁委員会においてそれを上回る裁定が出るでありましょうけれども、出た場合においては、また措置ということが問題になるだろうと思うのであります。そこで、従来もいろいろ差し繰ってやられたわけでありますが、差し繰り得るものにもおのずから限度が私はあるのじゃないかと、こう思うわけです。そこで、一体その、これは仮定の問題でたいへん恐縮ですが、しかしこれはもう目の前に迫っている問題でありますからお尋ねするわけでありますが、ぎりぎりのところ差し繰りで一体何%まで出し得るのか、これはずばりで私は聞いてみたほうが早いと思うのでありまして、その点はどういうことになりますか。
  168. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) まださような事態をあまり予想しておりませんので、どのくらい差し繰り得るか、ちょっとお答えいたしかねます。
  169. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) 昨年の場合の昇給原資のパーセンテージと、それから差し繰ったパーセンテージは、何%になりますか。
  170. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 昨年の場合、ちょっといま記憶ございませんが、三十八年度の年度当初につきましては、まず予備費十六億円をまっ先に充当いたしまして、それからあと物件費、建設費その他の節約ないし繰り延べ等を年度当初の考え方としては一応予想ないし予定したわけでございます。
  171. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) 実はその実績がおよそ、こまかいところまでいかなくても、まかなったことは事実でありますが、およそのパーセンテージはわかるのじゃないかと思うのですが、それを下らないものはことしだって当然できるはずだと私は想像するわけですが、それ以上、昨年以上のおそらく裁定が出るだろうということは、世論の一致した見解だろうと思うのです。そこで、限度を一体どのくらいまで出せるのか、これはやはりその当面の問題ですから、すぐ四月を控えておりますから、私は検討されておるのではないかと想像するわけですが、どうでしょうか。
  172. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) これは事務的になかなか差し繰り得るということではないわけでありまして、裁定が出まして、これを受けるということで政府方針がきまりますれば、私どもは骨身を削ってでもやらなければならないということになるかと存じます。
  173. 藤田進

    ○藤田進君 その点は、金額は聞かないけれども、三・五%でない。過去の事例から見ても、予備費なりあるいは施設費なりあるいは収入の伸び率といったようなことで、何とか初年度は解決できるとあなた言ったんでしょう。そうでしょう。
  174. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 三十八年度につきましてさように先ほどお答えしました。
  175. 藤田進

    ○藤田進君 いや、三十九年度を私は聞いたんですよ。いま調停にかかっているけれども、それに答えたわけだ、あなた。三十九年度はどうする。
  176. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) ただいまのところ、ちょっと私どもどうするかということについてはお答えするいまのところ何も持っておりませんのです。ただ予備費、昨年度十六億予定しました予備費は、三十八年度に十六億計上しました予備費は、三十九年度予算におきまして約十億あるということは、ごらんのとおりでございます。
  177. 藤田進

    ○藤田進君 この間予算委員会のほうでの御答弁では、米軍との話し合いがつかなくて、相当——六十何億ですか、未収になっておるとおっしゃる。これはもっと詳しくまずお尋ねしたいんです。どういういきさつで、そして金額はどのくらいで今後の交渉妥結見通しといったところですね。
  178. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 概略なところを私から御説明申し上げまして、あとは担当官のほうからお答え申し上げたいと思います。金額としましては、三十七年度末で六十億となっておると承知しております。  それから、この問題は相当長期にわたって懸案事項とされておるのでありまして、その根本は、要するに、米軍が使用いたしました電信電話公社の通信に関するその基礎が、地位協定における条項の解釈、その違いに根本はあるようであります。したがって、当方の解釈からいえば、向こうは不拂いになっておるという、こういうわけでありますし、また向こう側の解釈からいえば、むしろ拂い過ぎといいましょうか、不拂いにはなってないというような主張をしておるわけです。根本的にその問題があるものですから、なかなか折衝しても容易に妥結をしていない、そういうふうな状態になっております。しからば、向こうの主張はどういうことを根拠にして主張しておるか、またわがほうとしてはどういう考えで向こうの解釈が間違っておるということを主張しておるか、そういう具体的な十分な問題につきましては、担当官のほうから御説明申し上げます。
  179. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 大臣の御答弁に補足して申し上げます。  問題になっておりますのは、終戦処理費あるいは安全保障諸費によってつくられました通信線でございまして、アメリカ側の主張によりますと、現在の地位協定の第二条に施設及び区域の運用に必要な設備、備品、定着物というのがございますが、それに該当するから、したがって同協定の二十四条によって無償で使用できるというのがアメリカ側の主張でございます。日本側の主張といたしましては、同じ地位協定の七条で公共の役務について規定しておりますが、それによって電気通信サービスを提供しておるのであるから、一定の料金が取れるはずであるというのが日本側の主張でございます。この点に、いわば条約の解釈上根本的に対立いたしておりまして、日本側の電電公社からの請求に対しまして、アメリカ側は料金を支払わないでいままでずっときておる、こういう状態になっております。
  180. 藤田進

    ○藤田進君 どうも外交折衝がそんなずさんなもの——売り手に買い手のこれは契約でしょうが、その条約そのものが。外交折衝の面ですでにその問題はいま進めているのですか。それから、先ほど来申し上げておる見通しはどうなんですか。
  181. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) この条約の規定の解釈につきましては、実を申しますと、地位協定の前身でございます行政協定ができました時代から問題になっておりまして、その問題をあとに残したまま協定が成立したといういきさつがあるようでございます。で、この問題につきましては、大体日米合同委員会におきましてあとで協議を続けるということになっていたようでございますが、何回協議いたしましても結論を見出すことができないという状態になって今日まで至っております。最近におきましては、非公式に、すなわち合同委員会以外の場でもいろいろ接触いたしておりますが、この点につきましてもやはり妥結しないような状況になっております。
  182. 藤田進

    ○藤田進君 郵政大臣にお伺いしますが、わがほうとしては、当初の解釈、行政協定を結んだとき以来の解釈を変えないで将来もいくということは絶対に曲げないでおいきになるのか、寄せて二で割ったようなことになるのか、お伺いしておきます。
  183. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 当方としましては、もちろん当方が考えておりまする主張が正しいと存じておりまするから、その主張で向こうを納得させようと、その努力をしていきたいと思っております。
  184. 藤田進

    ○藤田進君 私は、日本人の場合はとても電話はひどいことをしています。私は、私自身経験しましたが、どうしても電話がかからない。調べてみると、電話局が切っているのです。それはただ一回銀行振り込みが、銀行を変えたものですからスムーズにいかないので、それが一回電話料金が入っていなかったことがわかったのです。それで局を調べてみると、その局で二千軒ぐらいとめているのですね。もういやおうなしにぴしゃっととめてしまう。ひどいです。それは金がなくて滞納しておるといった、いろんなものもありましょうから、一律に言えないにしても、それは店を持っていて、主人が仕事に出て、奥さん一人で店を持っていれば、そう店をあけるわけにはいかない。集金もしないでいるのですから、それは多少おくれるときもあるだろうけれども、いやおうなしに電話を切ってしまう。突然切られると、いろんな緊急なこともある。たいへんなことですよ、これは。一方において六十億も滞納だというのに、のうのうとして何年もこうしてやっていくという、どうも国民をいじめて、一方ではこういうことをやっている。これは国民としては納得いかぬと思う。日本の国内の加入者についても、もう少し私は事情を確められた上で督促もし、いろんな、これはもうとめざるを得ない、滞納して、しまいには夜逃げでもしてしまおうかというものもあろうから、それは別として、とてもひどいです。電話のほうのそういう規定だそうですが、事情によってはやはり待つとか、それは新聞だって、ガスだって、電気だって、みんな集金しているのですよ。いくらイージーだからといって、すぐとめてしまう。一方において六十何億——まだ累加していくでしょう、話が解決しなければ。国内におけるそういう事態は、従来どおりおやりになるのですか。
  185. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっとそれに関連して。いまの藤田委員の御質問の問題は、非常な長い期間なんです。双方、合同委員会その他を通じてやってもこの合意が成り立たぬという場合は、無条件にこうやっていくのか、あるいは何らかの妥結の、つまり国際間におけるこの種の案件で、妥結の道はどういうケースがあるのか、その点をもっと研究なさって、早急に結論を出さぬと、利息だってたいへんでしょう。その辺を御検討いただきたいと思います。答弁は要りません。
  186. 千代健

    説明員(千代健君) 国内の電話料金の滞納の場合の通話停止についての藤田先生の御質問であります。いままでどおり今後もやるのかという問題でございます。現在やっております方法をいま直ちに変える考えはございませんが、あるいは御案内でないかと思いますので……。支払い期日を明示した料金の御請求を申し上げまして、それから二十日間たってから通話停止にする。しかも、自動局の場合には、自分のところからの発信だけをとめまして、相手方からかけられる電話はそこにかかるようにして、発信だけをとめる、こういう方法を二十日後に行なっております。その間には、督促等をして、もちろん御注意申し上げております。  なお、それから、通話停止をやるのはむごいじゃないかという話でございますが、これは非常に多数の方でございまして、非常に多くのものを、その場その場で非常に変化のある扱い方をいたしますと、これは非常に不公平な結果に相なるというような観点から、数百万に及ぶ電話加入者に、公平という見地から、この方法でやっていくのがいいのじゃないかと、かように考えておる次第でございます。  なお、私どものほうで、支払い期日到着後通話停止までの期間は、現在二十日ございます。これをその間にいろいろとチェックをいたしておりまして、お支払いのおくれる向きについては御注意を申し上げるとか、いろいろ手を打っております。そんな点で不十分な点があるのではないかという点を当然考えまして、私どもこの二十日間の督促とか、あるいは御注意とかということをする方法について、もっと徹底してよくわかるような方法、こういったことをやりたいと、こういうぐあいに考えております。留守宅で子供さんが留守番なさっている、そういうときにかけても意味がございませんので、そういうことのないようにということで、いろいろ知恵を働かしておりますが、現在はこの支払い期日から通話停止までは二十日間というものをやっているわけでございます。今後もそういう方法を、直ちにこれを二十五日にしたらいいとか三十日にしたらいいという結論を得ませんので、現在のままで進んでいきたいと思っております。
  187. 藤田進

    ○藤田進君 それが酷だと言うのです。それは、集金をしに行く、何回も行くのが困るというような場合もあります。電気料金なんかは、指定日に払えば一割も安くして、その後何回も行けば割引をしないとか、そういう制度でやっている。これは、私は虎の門病院に長い間入院して、家族が全部看病に来てくれて、家には間貸しの女中さん一人いた。そういう状態で、家に電話したら、どうしても通じない。これは殺されているに違いない。年末年始でしたからびっくりして家にかけ込ませたら、これは幸いにして殺されていたりしていなかった。調べてみると、電話をとめられちゃった。それからぼくは元気になって電話局を調べてみたところが、そのときに二千何百というものがとめてある。これは毎月そのくらいある。極端に言って、一回や二回の滞納があったからといって、それはいろいろな事情があるのです。集金に来ないのですから。それは払うまいというのじゃない。電話料金はいろいろあるでしょう。しかし、個人の加入者、住宅用なんて、料金なんか知れている。払えないから持っていかないというのでなくて、それには相当の理由があるはずです。そういう厳格なことを今後もやろうとして、一方においては六十億なんて、そのままのうのうとやっている。これは相当不満がありますよ。いまの点、私は調べたのです。私が経験したから、私一人でないから、これは問題だと思っています。もっと運営について考えられる必要があると思う。大臣どうです。そんな機械的なものですか、お宅のサービスというものは。
  188. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 電信電話公社というものが設立されておりますので、郵政省としては予算にしましてもその他大綱を握って監督をいたしておりまするが、細目については公社の自主的な運営におまかせしておるわけでございます。しかし、公共事業の代表的なものとして、電話事業の経営管理に当たられる方は、やはり常にこれを利用する国民の立場というものを念頭に置いて、事業の経営も大事でありますが、それと同時にサービスという面についても十分あたたかい気持を持って当たっていただきたいと、そういうことを基本的には私は考えております。
  189. 藤田進

    ○藤田進君 ですから、いまのように、留守役一人しかいない、それが連絡しようにも電話が通じない、家をあけるわけにいかない、その家の加入者である者は入院していて、介抱に家族は全部行っている。しかも、私の場合は銀行振り込みにしていたんです。その銀行振り込みが、住所が変わったものだから銀行を変えたわけです。その間に銀行のほうの振り込みが時間がかかったんでしょう。それでも機械的にとめてるんです。これはたいへんなことですよ。電話とめられて、事情もわからないでね。これは相手の加入者の実情もよく調べられ、一度や二度というか——程度のものでいきなりとめてしまうということは——。そう厳格におやりになっているんだと思えば、たまたまアメリカとは六十億も滞納があって、まだやってるというものだから、ますます日本電電公社というものに対して疑問を持つ。そんな企業はありませんぞ、どこでも。水道をとめるのでも、ない。ガスとめる、電気とめる——電気などでも、そんな一回や三回の滞納でとめたのがあるか、聞いてみなさい。これはむろん集金ですけどね。もう少し相手の事情というものを十分勘案して——全国では非常な件数ですよ。これは、運営については、もっとこの辺の事情を勘案さるべきだと思うのです。
  190. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 先ほど郵政大臣からお話のありましたように、加入者に対するサービスの点は、十分留意しなきゃならぬことは、お説のとおりであります。私どもも平素常にそのことは十分できるだけの注意を払ってるつもりでありますが、あるいは個々の処理にあたりましては、多少厳に過ぎるといいますか、やかまし過ぎる点があるかもわかりません。その点につきましては、今後とも十分注意いたすつもりでございます。しかし、現在の集金をやらないで持ってきていただくという制度は、これは電話については世界的の全部のやり方でありまして、日本だけでやってるわけじゃございませんので、これが全部集金をするとなりますと集金費がずいぶんかさみますから、自然使用料まで——単価にもやはり影響するということもありますし、できるだけ安いなにでサービスを提供しようという趣旨から、現在、世界各国ともに、これは集金をしないで、電話料は持ってきていただくというふうにやっております。これも、集金をするということになりますれば、便利でありますが、同時にまた自然、電話料金が高くなるということがありますので、彼此勘案して、現在の状態のもとでやっていくほうがいいんじゃないかと現在のところは考えておるわけでございます。
  191. 藤田進

    ○藤田進君 これは、今度自動化に伴う関連で、法案も出され、いろいろしているので、全体の運営考えられるべきだと思う。私はいまの電話料金のままで集金しろとはむろんいいませんが、しかし、個々がやっていきますと、電車にも乗る、バスにも乗ると、往復の交通——これは集金したほうがよほど安い。そういう電話料金納めるために往復する旅費——乗りもの賃とか、そうした程度のものは、集金雑費として上がったって、まだ加入者はそのほうが便利がいいと思います。おまけに、いまのようにとめられるということがない。なかなか家はあけられない事情があるのです。いま特に生活に追われています。特に商店などの事情を聞きましたが、店をあけておいて電話の金納めに、子供の使いというわけにもいかないし、子供の店番というわけにもいかないので、期限が来てもなかなか行かれない。ところが、それでとめられました。これはかなり広範に調べたのです。私が被害者でもあったしね。いろいろな点があるわけです。いまいきなり集金に切りかえるとか、そういうことを言っても無理でしょうけれども、しかし運営については、六十億あったのだから、国内も適当にやっておけ、そう極端なことは言いませんけれども、やはり相手の実情というものを十分勘案されて、そうして電話サービスについて、みんなが喜んで電電公社に対しての気持ちというものがひいき筋になるようなことは、民生の安定の上からも必要じゃないかと思う。郵政大臣もひとつ、その点は十分監督してもらいたい、いかがです。
  192. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 御趣旨の精神については、私も同感でございます。まあこまかい点はあまり指図しないというたてまえになっておりまするけれども、いまのお話のようなそういう精神、気持ちを持って今後のサービスを改善してもらうということについては、公社に対して私としても要請いたしたいと思います。
  193. 藤田進

    ○藤田進君 これは片道大体平均して二十円——、バスあたりでね。往復で四十円でしょう。個々がみんな持っていくわけです。まあ、銀行振り込みの場合もありますけれどもね。これは大体、電気あるいは水道、新聞等の料金を集める関係を見ますと、一日三百ぐらい歩いていますよ。そうすると、四十円としても幾らになりますか——千二、三百円というものは加入者にかかるわけで、それは集金制度ができれば、いまのような滞納もむろんなくなるし、とめられる必要もないし、それだけは加入者が負担してでも、私はそういうことは十分検討さるべきで、よその国がやっていると言われますけれども、そうばかりいかぬのじゃないか。人間の多い日本のことでもあるし、電電公社が人的にもなかなか問題があるわけでありますから、十分ひとついまの御答弁を、私は将来の実績としてどうなるか、見ていきたいと思います。  時間がございませんので、以上。
  194. 田中啓一

    主査田中啓一君) 赤松常子君。
  195. 赤松常子

    委員以外の議員(赤松常子君) 私、二、三日前の予算委員会で、郵政大臣に御一問だけお尋ね申しました。そのときの御回答がまだ私には十分納得がいかない点もございます。きょうは、要約いたしまして、二点だけお尋ねいたしたいと思います。  まず第一は、この間のお尋ねの問題でございますけれども、繰り返してそのとき申し上げました、政府の監督下における職場において、なお特定局の女子労働者が二十四時間ぶつ通し労働させられている勤務状態であるということ。これは労働基準法で交換手とそれから看護婦さんは許されておりますけれども、ただ許されているからといって、いまの労働基準法そのものが完全じゃございません。昭和二十二年に制定されまして以来、一回も労働基準法は政定されていないという、その当時のままの内容でございます。いろいろ職場の事情も変わっております。技術も進歩しております。にかかわらず、全然改定されていない。そういう十数年前にできた労働基準法で、交換手と看護婦が許されているからというので、それを踏襲しているということ。現に国立の病院などの看護婦さんは、九五%、この二十四時間、ぶっ通し勤労作業から、だんだん行政指導によりまして三交代制になっております。八時間交代をもう九五%がやっている。にもかかわらず、特定局で、いま調べてみますと、五千八百二十三局があって、そこに女子の方々が二千五百五十一人いらっしゃいます。これが二十四時間ぶっ通しの労働作業をさせられている。特にこの母性を持っております女子が、そういう労働からくる精神的苦痛、肉体的苦痛——さまざま私も調査しておりまして、いろいろ訴えられております。この問題について、人数が少ないからほったらかしているというのでなくて、逆に言えば、人数が少ないからその代替者が簡単に補充されるのではないかというふうにも考えられるわけです。この点について、大臣のお考え、このまま放置しておおきになるつもりなんでしょうか、少し前向きに考慮していらっしゃるのでございましょうか、いかがでございましょうか。
  196. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この前の委員会のときにもお答え申し上げましたが、女子が二十四時間通して就業するということは、理想の姿からいえば望ましいこととは思っておりません。できれば男子に交代をするとか、あるいは時間の短縮をはかるとかということにしなければならぬと思いますが、ごくいなかの小局へ行きますと、従事員の数もおのずから制約を受けるということになって、今までやむを得ずそういう措置をとってきておるものと考えております。地方におきましても、相当多数の加入者を擁しておりまする局においては、漸次手動式から自動式に改正をしてまいりまするので、そうなれば、おのずから交換要員の問題も解消していくと思いまするけれども、しかし、これとても小さな局にまではなかなか早急に自動化というものは進み得ないのではないかと思います。しかし、公社計画によれば、やはり全国すべて自動化でいきたい、こういうふうな考えのようでありまするから、ある程度の時間をかせば、かような事実もおいおいになくなっていくと考えておりまするが、私は、そういう姿が、女子の保健上から申しましても、決して好ましいとは思っておりませんので、機会があるごとにそういう制度のだんだん少なくなっていくということを考えて、いわゆる前向きの姿勢で十分に検討してまいりたいと、こう思っております。
  197. 赤松常子

    委員以外の議員(赤松常子君) 二十四時間ぶっ通しの勤務状態に続いて、もう御承知でございましょうが、二十時間から十六時間勤務制、こういうふうに、ちょっと普通から考えますと、非常に長い時間のやりくりが特定局ではなされておるわけでございます。それで、いま一週間四十八時間が一応標準労働時間となっておりますけれども、こういう人々は一月に十回その徹夜作業が回ってくる計算になっているのです、私の調べによりますと。そういたしますと、一週六十時間勤務、四十八時間以上はるかに長い勤務状態に置かれているわけです。こういう労働時間の二十四時間、二十時間、十六時間というふうに、ちょっと普通から考えられない状態に置かれていて、労働時間が標準よりも非常に長いという状態、これもよく御承知と思いますが、こういう状態の改善を私はほんとう考えていただきたいと思う次第です。  それで、いま申し上げますように、非常に苦痛が肉体的にも精神的にもございまして、からだを非常に悪くしておいでになる。もうここで申し上げません。ことに精神的苦痛を訴えられているのは、女子が徹夜でその局舎に起きていると、防火防犯、そういうことで全面的に精神的な負担を負わされているものですから、とてもこれには耐えられないという声を強く聞いております。おかあさんが中に相当いらっしゃいますから、社会生活に非常に支障を来たしている。PTAの会合にも出られない。婦人会の会合にも出られない。母が働いて翌日は休まなければなりませんから、その間の子供の養育に手が届かない。こういうように、母の生活、婦人としての社会生活に、非常にこういう労働時間の片寄りからくる苦痛も訴えられております。ですから、私くれぐれもお願い申し上げたいことは、政府が率先してこういう暗い職場をなくする努力を続けていただきたいし、ここ二、三年どういうふうにしておいでになるのか、少しは減ったんでございましょうか、いかがでございましょうか、現状維持なんでございましょうか。
  198. 増森孝

    政府委員(増森孝君) ただいまの詳しい数字は持ち合わしておりませんけれども、大体仰せのようにしていきたいと思っております。  なお、ちょっとつけ加えさしていただきたいと思いますのは、二十四時間勤務、二十時間勤務と、仰せのようにございます。ところで、そういうところは、二十四時間勤務というようなところは六人未満の局でございまして、非常に小さな局でございます。したがいまして、そういうところに参りますと、労働密度が逆に非常に少ないということが言えるのでございます。同じ八時間勤務といいましても、たとえば東京中央郵便局と、それからいなかの山の奥の局へ参りますと、八時間勤務と申しましても非常に労働密度も違います。ことにこういったような二十四時間勤務のようなところでは六人未満ということがございますので、あまり仕事の量がない。そういうわけでございますので、先ほど先生が御指摘になりましたように、育児の面、あるいはまたPTAの会議関係、あるいはまた家庭生活等、そういうようなものはなるほど犠牲になりましょうけれども、労働密度からいいますと、さほどつらい勤務ではなかろう、こういうふうに私ども考えておりますけれども、できるだけこういったようなものは、ただいま大臣が申し上げましたように、自動化の方向に向かってまいりまして、これはもうあとから申し上げて申しわけありませんが、電話の交換手でございますので、そういったようなものはできるだけ自動化の方向に向けていきたいと、このように考えております。
  199. 赤松常子

    委員以外の議員(赤松常子君) 私、密度が少ないとおっしゃいますが、しかしそれは拘束されているわけです。自由ではないのです。密度が少ないから——私こんなことを言いたくないのですけれども、赤ちゃんのお守もしなければならぬ、局長さんのおふろもたかなければならぬ、お客さんがいらっしゃればそのサービスもしなければならぬ、そういうことは私は相互信頼があればなさいよと申しておる次第でございます。お互いに足りないところを補いあって、ほんとうに家族の中に一人他人が入っているのですから、そういうことは私の仕事じゃありませんから、赤ちゃんが泣いていてもそれをほったらかして見過ごしにするような、そんな不人情なことじゃいけませんと申しているのですが、そういう密度が低いとおっしゃいますけれど、それじゃはかれないほかのまた仕事が加重されるわけです。神経を使わなければならぬことがあるのです。ですから、私、あなたさまのおっしゃることもわかるけれども、またそういう実情だということもよく御存じのはずでございますから、それを絶対にしてはいけないということを私指導はいたしておりませんけれども、そういう密度が低いからということだけをお考えにならないように、なかなか苦労はあるのです。それは言うに言えない苦労がありましてね。  それで、最近減っている状況なんでしょうか、どうなんでございましょうか。
  200. 増森孝

    政府委員(増森孝君) ただいま詳しい年度別の数字がございませんので、ちょっと申し上げかねますが、逐次減ってきております。
  201. 赤松常子

    委員以外の議員(赤松常子君) では、次の機会に、減っているかふえているか教えてくださいませ。  で、その中でやはり給料が低いことを訴えていらっしゃいます。一日に徹夜作業をして三百円から四百円、これが一月に二千円か三千円という非常に少額なんです。これは予算関係もございましょうが、もっと徹夜作業でございますと、からだが疲れていますからビタミン剤も買わなければならぬ、弁当代も二食分持ってこなければならぬ、そういうことで出費が多いわけですね。それで、こういう低い超過勤務手当しかもらえないということで、非常に経済的に圧迫を受けておる。その予算の面の何と申しましょうか増額、これを考えていらっしゃいましょうか、いかがでしょうか。
  202. 増森孝

    政府委員(増森孝君) ただいまの問題は、おそらく深夜勤務手当のことだろうと思います。この点につきましては、ただいま組合と省とで団体交渉をいたしまして、それが、団体交渉が決裂と申しますか、形としましては決裂してをりまして、それで組合のほうからただいま公労委に持ち上がっている段階でございます。公労委でもっていま調停中でございますので、まあ上げますかどうですか、その辺のことは公労委におまかせしていますので、ただいまここで御返事するのは遠慮させていただきたいと思います。
  203. 赤松常子

    委員以外の議員(赤松常子君) まあなるたけ理解ある態度で、いい結果が見られるように祈っております。  その次に、私、この間大臣にもお尋ねいたしましたが、やはり産前産後の休暇が十分とれていない。で、これは労働基準法でもきめられてございますように、産前産後を通じて十二週間とれることになっています。けれども、その代替要員が十分補充されていないものですから、もう一週間休みたいと思っても、その要員が雇われないものですから、少々無理しても五週間で、四週間で出勤しなければならないという実情なんです。これはやはり予算が不足しているということに基因しているのでございまして、この実情はいかがでしょうか。
  204. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 仰せのように、ただいま労働基準法では、産前につきましては六週間請求があればやらなければいけないことになっています。それから産後につきましては、これは義務的に休ませなければいけないということになっております。ただし、五週間過ぎますれば、医者の診断がよろしいということでございますと働かしてもいいという規定になっているのでございます。  で、たぶん先生のお尋ねになりますのは、小さな局等におきまして代替要員がいない、それから代替要員がいないということもいろいろ場合がございまして、一つには人が現実に得られないということ、たとえば山の中に参りまして、どうも適当な人が得られない。それからもう一つございまして、賃金単価が安い、まあ思うようにもらえないというようなことで、雇えない。そこで、そのためにゆっくり労働基準法ではそういうふうに認められているのでございますけれども、どうも本人のほうで遠慮してしまいまして、ゆっくり休まないという実情ではないかと思います。で、私どもたいへんこういうことは労働基準法にも違反することでございますし、それから賃金でもって——まあだれも雇えないということであればまだしもでございま出すけれども、賃金で雇えることでございますれば、なるべく賃金で雇いまして、そして、あと補充をしてやって、ゆっくり休ませなければいけない、こういうように存じております。そこで、私どものほうとしましても、年々賃金単価の予算も毎年毎年上げてきております。できるだけそういう、賃金がないためにあと補充ができないというような姿のないように心がけている次第でございます。
  205. 赤松常子

    委員以外の議員(赤松常子君) 一応私、おっしゃいますこと、筋が通っていると思います。実情がそういっていないというところにギャップがあるわけですね。それは山奥のへんぴなところでございますから、自分の権利を十分主張なさるということは、まあ周囲の事情でできがたい封建性が残っていると思います。けれども、一応私、そういう自分の母体を十分大事にするということは、それはわれわれがよく申し上げることでもございますし、本人の自覚にだんだん待っていかなくちゃいけないけれども、だからといってお休みがとれないという実情をそのまま私放置していただきたくないと思うのです。それはいろいろな面から十分権利を主張してもらいたい。特に母体を大事にするために、してもらいたいと思うのでございますが、いまあなたのおっしゃるように、なるほど労働基準法では、本人の希望及び医者の認可があれば五週間で出勤してよろしいことになっています。しかし、ILOの百三号はこれを禁止しておりまして、まだ日本は百三号を批准しておりませんので、法律にはなっていないとおっしゃるでしょう。そこが私は言いたいのです。法律できめているから五週間で出していいじゃないか——さっきと同じです。で、労働基準法できめているから交換手を徹夜作業をさしていいじゃないか——そういう法律にあぐらをかいていらっしゃる態度が、私は政府自体としてもっと考えてほしい。政府みずからが、法律はこうだけれども、より理想的な形に持っていくという、そういう努力を示していただきたい。これを私はきょう強く大臣にも申し上げておきたいのです。ほんとうです。法律はこうだからいいじゃないか一その法律の基準は、昭和二十二年にできた法律です。非常に欠陥が多い。労働基準法をたてにしてだからいいじゃないかという押しつけ慣行をつくらないようにしていただきたい。  それで、ちょっとお尋ねいたします。それじゃ代替要員の人数及び予算はどのくらい組んでいらっしゃいますか。私のほうの調べでは、絶対代替者がいないからできないと言っている。休みがとれないと言っている。ちゃんとあと補充があれば、だれでも休みたいです。おかあさんは休みたいです。ないからやむなく出ている。こういう声が強いのでございますよ。
  206. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 予算のほうからいたしますと、そういう人を込めまして、病気で長く休んでいる人たちあとの賃金の補充でございますが、昭和三十八年度に三億八千四百万ばかりを、三十九年度ただいま御審議をお願いしておりますこの予算におきましては、八千万増加いたしまして、四億六千四百万計上してございます。
  207. 赤松常子

    委員以外の議員(赤松常子君) 人員はいかがでしょう。あと補充の人員の増加は。
  208. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 人員は、ちょっといま手元に数がございません。人員は、交換手ばかりではございません。ただいま申し上げましたように、長く休む人たち、そういうものを含めましたものでございますが、延べ人員で三十八年度予算で九十二万人余り、三十九年度が九十七万人余りでございます。これは延べ人員ですが、延べ人員がそれだけふえております。  単価につきましては、これは個々の各局によって、実際上いろいろ土地によって単価は変えますが、予算上の平均単価としては、三十八年度の単価が内勤四百円でございましたのを四百五十円に値上げいたしまして、いずれにしても、雇いやすい体制をつくるようにいたしております。
  209. 赤松常子

    委員以外の議員(赤松常子君) 以上でございます。どうぞ女子が少ないからというのではなくて、少ないからこそ予算化しやすいという面を強くお願いして終わります。失礼いたしました。
  210. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) 私は、郵政当局に少しばかり、まず冒頭にお尋ねしたいわけであります。  それは、いま郵便の逓送を請け負っている日本郵便逓送株式会社の問題でありますが、これはすでに郵務局を中心に今日の経営状況についてはお耳に達していることと私は想像いたしますけれども、御承知のとおり、これは運輸省の認可による会社であります。ところが、営利会社ではありますけれども、普通の営利会社とは性格を相当異にしている性格を持っていると私は思うのです。つまり、経営能力でかなり収益をあげるというサイドワークの仕事を持っておりませんし、これ専業でありますために、あげて収入は郵政当局から支払われている実態にあるわけです。ところが、最近の民間会社における運転手の賃金というのは非常な高額になっておるわけであります。ところが、認可料金でありますために、随意に上げるというわけにはまいりません。そのために相当苦しい経営の状態にあるやに承っております。ことに最近は、経営者と労働組合——労使双方の間におきまして、運転手の給与を引き上げるという問題が中心になりまして相当な紛争を起こしておるということも私承っておるわけでありますが、この種料金の引き上げについてはよほど郵政当局で考えていただかなければならぬのでありますが、実際の状況を聞いてみますと、私どもはいなかの子供をお世話しておるわけでありますから、比較的その辺の事情はわかるのでありますが、入社いたしますと一人前の運転手になる閥において相当の期間はかかりましょうけれども、なかなかいっかかない。給料が少ないから、結局、民間のバス会社だとか、あるいは営業タクシー会社とか、そういうところにどんどん引っぱられていくという状態であります。まず入社いたしましても、これは新しい人ですけれども、五割前後もどんどん抜けていく、非常な会社のほうでも運転手難に悩んでおるようでありますが、その原因するところは、運転手の給料が安いというところに原因があるわけでありますが、すでに会社のほうにおきましても相当な赤字を出さざるを得ない状況にも聞いておるわけでございますが、この点について郵政当局は少し思い切った措置を講じてあげませんと、郵便の運送、特に大都市の郵便逓送というものを日本郵便逓送会社というものが引き受けておりますので、これがかりにとまるということになりますと、他に代行するといっても、なかなかこれは、逓送路線の関係もありますし、そう簡単に右から左にかわってそれを代行できるという会社も、私は、小さいところは別といたしまして、大都市においては非常に困難だろうと思うのでありますが、そういたしますと、郵便の運行についても非常な支障を来たすということになるわけであります。そこで、いまの算出基準についてもかなり問題があるやに漏れ承っておるわけでありますが、算出の料金の改定等につきましても実情に合った方法をとらなければならぬのじゃないか。聞くところによりますと、やはりこの局駅間の受け渡し等のように非常に短時間でその業務が済まされるようなところは、やはり請負料の金額は少なく算出されておる。しかし、物は、大都市の局駅間というものは特に大きいわけでありますから、相当な量を運んでおるわけであります。地方のほうにおきましても、長い路線ですと、これはかなり都市に比べまして有利な算出の基準になっておるようでありますが、そういう実情に合った逓送料の算出というものについて再検討すべき時期ではないだろうかという気がいたします。局外者でありますから、どの程度が適当であるのかどうかわかりませんけれども、そういう逓送を請け負う、しかも大都市の郵便逓送の動脈を預っておる逓送会社が非常に危殆に瀕しておるというこの状況について、特段の私は措置をしていただかなければならぬと思うのでありますが、大臣のほうにそのことう特にひとつ御銘記いただきまして、措置をしていただきたいと思うのですが、御所見を承りたいと思うのであります。
  211. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 申し上げるまでもなく、郵便事業の仕事の中で、郵便物の受け渡し、逓送ということは非常に重要な要件であるということは、いまさら申し上げるまでもないのでございます。しかも、日本逓送自動車会社は、もっぱら郵便の逓送を業務とする会社でございまして、その収入の源泉は一に郵政省が支払う逓送の代金によっておる。こういう観点から考えまする際には、郵政省としては、逓送自動車会社の経理内容等はつぶさに把握をして、それに応じて適切なる料金を支払うということを考えていかなくちゃならぬと、こう存じております。私、詳しいことにつきましては、まだ事務当局から話を聞いておりません、おそらく事務当局でいろいろと検討をしておるところではないかと想像されるのでございますが、その検討の結果を十分聞きました上で、かような重大な仕事に携わっておられる会社の問題につきましては十分に考慮していきたい。そうして、いやしくもそのために事業運営に支障を来たすがごときおそれのないように今後やってまいりたいと、こう考えております。
  212. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) この問題は、他の特定貨物料金と同じように、運輸省の認可料金になっておりますが、たとえば日通等に例をとりますと、余積があればどんどん積めるわけであります。そしてまたその分だけ増収になるわけでありますが、郵便の場合、余積がありましても、その分またたくさん郵便を積みましても、その分が増収にならないのです——一便幾らという計算になっておりますために。そういう営業といいますか、増収能力というものが非常に限られておる特別な会社だと私は見ておるわけです。本来ならば、これは当然郵政省自体で直営すべき性格のものであると思うのでありますが、従来の歴史的ないろいろないきさつから、いま会社のほうに委託という形式で請け負わしておるのでありますが、その辺の事情をひとつとくと考えていただかなければならぬと思うのでありますが、要するに、私の申し上げたいことは、増収をあげようにもあげる算出の内容になっていないんだ。民間の会社の場合だと、営業の成績をあげる余地が限定されておる。こういう特殊な会社でありますから、本来ならば私はこれは決算主義でいって幾らかかったかというようなことが一番合理的じゃないかと思いますが、そういう性格のものでありますので、運輸省の認可料金そのものの制度にも多少私は問題があるのではないだろうか。これはもう郵政が電電公社から委託を受けておる電信電話業務と同じように、そのつど両者の間において料金をきめて、この年度はこれくらいかかるのだ、ベースの改定があればこれくらいかかるのだということで、それが見合うような制度が一番妥当ではないだろうかというような私は見解を持つのでありますが、いま直ちにこれを運輸省から認可料金をはずして、郵政当局との間の両者間の協定でできるということは、なかなか折衝の問題で困難があろうかと思うのでありますが、それができないとすれば、やはり特殊な会社であるということを念頭に置いていただいて、特別なひとつ御配慮をしていただかなければならぬ。特にさしむきいま春季を控えまして、運転手諸君の会社員の給料の改定が話題にのぼって、承るところによれば中労委までいま提訴されているという状況にもなっておる次第でありますから、大臣の御答弁にありましたように、この動脈を切らしてはいけないという観点のもとに、実情に即応したひとつ料金の改定、その間におけるいろいろな援助措置というものを特段とひとつ御配慮をいただきたいということを特に要望申し上げたいと思うのでございます。
  213. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 日本郵便逓送会社に関するいわゆる監督権というようなものはないわけでございまして、御承知のとおり、一般の株式会社であるわけでございまして、先ほど大臣お話しになりましたように、仕事がもっぱら郵政省の郵便物の運送ということに限られておるわけでございますので、その業務の運営、財政の状況等につきましては十分関心を持っておるわけでございます。それで、これは一両年前から実は非常に財政的に問題があるということでいろいろな意見がございましたけれども、抽象的な意見の交換では意味がないので、どういう点をどうしてもらいたいんだということにつきまして、会社のほうからいろいろ意見を出してもらいました。そういたしまして、私たちといろいろ議論いたしまして、結局、基本的には運輸省の認可料率を上げなければならない。しかし、それ以外に郵政省のほうで筋の通ることでめんどうを見をものがあるならば、これはもう当然めんどう見たいというようなことで、いま、具体的なことにつきましていろいろの話を持ち込んでくださいと、また同時に、われわれの意見も言おうということで、いろいろな話をいたしております。したがいまして、そういう点で、郵政省でできることにつきましては十分めんどうを見ていきますが、根本的にはやはり認可料率の問題になろうかと思います。そういたしますと、認可料率を上げてもらうことについてのいろいろな資料というものが要るかと思いますが、もしもそういう条件が整いましたならば、十分に検討して、大臣にもお願いしなければならぬと思っておりますが、いまのところは実態についての話し合いを十分聞こうという段階でございます。
  214. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) そこで、これ運輸省の認可料金になっているところに問題があるわけでありますが、まあ物価問題からいえば、料金を引き上げるということは問題があろうということで、バスその他の運輸料金についても政府はいまそれを抑制をしておるという状況であります。したがいまして、これはその範疇の中に入るということになりますと、やはり問題が出てこようかと思うのでありますけれども、一般のバス料金、あるいは日通の料金等になりますと、直接これはお客さんの消費物価に影響してくるわけであります。もとより、郵便料金の中から支払われる問題でありますから、この増額が郵便料金に影響するということであれば、その意味では消費物価に影響するという間接的な意味も出てくるでありましょうけれども、これは何も直接お客さんの利用する一般の運送業者と性格を相当異にしておるものではないかと私は理解しているわけでありますから、郵政当局も、それらの御配慮のもとに、運輸省なり経済企画庁等との折衝にあたりましては、そういう点は抜かりがないと思いますけれども、釈迦に説法でありましょうけれども、十分ひとつ御配慮いただきまして、とにかく事業の円満な運営をはかるというこの一番大きな目標のもとに善処していただきたいということを特に要望しておきたいと思います。  あと二、三質問がありますが、ちょっと私短時間でございますが席をあけますから、その間同僚の山本委員から、質問をすることにいたしまして、ちょっとはずさしていただきたいと思います。
  215. 田中啓一

    主査田中啓一君) この際おはかりいたします。  本分科担当外の予算委員山本伊三郎君から、発言をしたいとのお申し出がございますので、これを許可することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 田中啓一

    主査田中啓一君) それではさよう取り計らいます。山本君。
  217. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) 私は、特に郵政省関係だけではないのですか、五現業にわたるわけですが、本は郵政関係でございますから、郵政関係の共済組合の——これも私きょういたところなんですが、掛け金率が引き上げられるということがあるようでありますが、そういうことがあるならば、その経過をちょっと御説明願いたいと思います。
  218. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 突然のお尋ねでございますので、私資料を持ち合わせておりません。ただ、しかし、筋道だけお答え申し上げさしていただきたいと思いますが、先だってから財源率を引き上げないと、将来もうすぐに共済組合の財産というものが危殆に瀕するというようなわけで、審議会がございますが、その審議会の中で、財源率をこの一月から引き上げようかということでいろいろもんでおります。もんでおりました結果、どうしてもやはりき上げるべきではなかろうかというのが、会長側の指名しました五人が引き上げざるを得ないだろうということで賛成をしております。それに対しまして、組合を代表いたします五人が、まだ引き上げる必要はないというようなことで、可否同数になっております。可否同数になりました場合に、私どものほうの郵政共済組合では、可否同数の場合はだれが決するという決定権がないのでございまして、五対五のまま大蔵省のほうにそれを報告しておる、こういう段階でございます。
  219. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) どうも私は、まあこれは郵政当局だけを責めるわけじゃないのですが、あの組合はやはり郵政省で一応組合を運営しているのじゃないのですか。五現業の場合はどうなっておりますか。
  220. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 郵政省の場合は、郵政省だけで共済組合をつくっております。
  221. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) その場合、まあいま大蔵省の給与課長見えておりますが、この上げなくちゃならぬということは、組合経営者自体がやはりそれを考えなくちゃいけないことであって、聞くところによると、大蔵省から何かそういう指示があって、それによって運営審議会にかけられたというように聞いておりますが、これはもってのほかだと思いますけれども、手続上からいっても私おかしいと思うのですが、大蔵省の給与課長が見えているが、なぜ上げなくちゃならぬ基礎になっておるか、財源率の計算はどうなっておりますか。
  222. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 郵政省の共済組合におきまする財源率は、現行が掛け金率千分の四十一、国庫負担率千分の五十一、合わせて千分の九十二でございます。これは先生御承知のとおり、三十四年の一月一日に現在の新共済組合法が発足いたしまして、官吏にまで共済組合制度の長期給付が及びましたときにきめられた数字でございます。その後五ヵ年間の推移を見ますると、まあ種々の要素があるわけでございますが、中でも日本人の平均寿命が延びているというような関係がございまして、それを主たる原因といたしまして、財源率は各共済組合並びに連合会を通じまして一般的にかなり上がっているように見受けられるわけでございます。先生これまた御承知のとおり、現在の共済組合法におきましては、五年に一回財源率の再計算をしなければならぬという規定がございますので、たまたま今年一月が郵政省等の四現業の共済組合にあって再計算の期日に当たっておるわけでございます。いま申し上げましたような実態的理由によりまして、財源率の再計算をアクチュアリティを中心としてやりましたところ、財源率において一〇〇・五、国庫負担率につきましては五五・五、掛け金率につきましては四五・〇という計算が出てまいったわけであります。すなわち、国庫負担率について千分の四・五掛け金率について千分の四・〇の上昇であるという数字が出たわけでございます。この数字は、各組合必ずしもすべて同じ数字ではございませんけれども、傾向的に見ますると、大体同じような数字が出ている。それに基づきまして、それぞれの各共済組合におきまして御審議をいただいているわけでございます。これは私どもが指示をするとかしないとかいう問題ではございませんで、法律上義務づけられた再計算事務として各共済組合がそれぞれおやりになっておるわけでございます。
  223. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) それが私は、あの国家公務員共済組合法の、あなたが五年ごとに再計算するというあの条項を、平準方式をとらなければならぬという、そのことを逆用しているのですわ。これは財源率を計算することはいいですよ。現実にその組合の負担金を上げると、こういうのですよ。厚生年金の場合でも、わずか上げるだけでもなかなか大きい問題になっているのです。あの法律の制定審議の際には、そこまで論議をされたかどうか。私はそのときは、昭和三十四年で、私が国会に出るその年だったから——しかし、議事録を見ると、相当その点も論議されておると思う。財源率を計算してこうなるのだという、その実態をやはり組合員にも示し、やはり国会にも出してもらいたいと思う。それはあの法律をそのまま——財源率を五年ごとに計算すれば、そのままそれだけ負担率をかけるのだということに解釈してもらっては困るのです。と同時に、私は、そういうことをやれば、それなら国が追加費用を十分出しておるかということです。平準方式に、あれは五年ごとに改定するけれども、あれはもう四十五年——少なくとも四十五年、六十年先を見込んだ平準保険料方式でやっておるんですから、四十五年が来なければ、これが収支が償うかどうかわからぬ方式ですよ。五年ごとの短期間じゃわからないですよ。それを、ここで変ったからといって、それはそのときそのときで変わる場合はありましょう。五年ごとであれば、一年ごとに、やめる人の状態、あるいはその他のいろいろな状態で変わるから、それではいかぬというので、平準方式ということで、少なくとも四十五年なり五十年という長期の展望に立って、あの国家公務員百分の四・四、郵政省の場合は百分の四・一ということできめられたと見ておる。それでなければ、平準方式でなく、五年ごとにきめたらいい。物価方式に変えたらいい。積み立て方式やる必要ない。物価方式で、五年ごとにやるなら五年ごとに、必要なものをとっていけばいい。そういう趣旨で平準保険料方式をきめてないんです。しかも国のほうで当然負担すべき追加費用というものは、本年は国家公務員の五十何借出したけれども、五十億か六十億ぐらい、それが負担できますか。政府の追加費用を出さずして、保険料の組合の負担金だけ、国のほうの負担金ふやすということになるけれども、そういうものだけ先にやるということは、あの法律を私は逆用していると思うんですよ。それから、四十五年までにどうなるかという長期にわたる平準方式の保険料ならば、その当時に、五年ごとにやるなら五年ごとにやるときめておけばいい。四十一も出さなくてもいいですよ。おそらく千分の三十五ぐらいでいけますよ。そういう理解もできずに、かってにそんなに上げるということについては、それは承知できぬですよ。
  224. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 第一点でございますが、現在の国家公務員共済組合法第九十九条第一項の解釈問題として、財源率の再計算と掛け金、負担金の引き上げ問題は別であるかどうかという問題ございますが、現在の九十九条一項の解釈としては、私どもは、九十九条一項第二号によりまして、「長期給付に要する費用については、その費用の予想額と長期給付に係る次項の掛金及び負担金の額並びにその予定運用収入の額の合計額とが、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように、かつ、毎事業年度の同項の掛金及び負担金の額が平準的になるように定める。」と書いてありまして、この「第二号に規定する費用については、少なくとも五年ごとに再計算を行うものとする。」と書きました法律の趣旨といたしましては、五年ごとに再計算をいたしまして、その結果、予想される費用総額が増高いたします場合には、当然負担金並びに掛け金を改定する必要がある、こういう読み方をすべきであるというふうに私ども考えております。これは政府としての考え方でございます。  それから第二点でございますが、長期的に見て平準保険料方式をつくっているのであるから、五年ごとに諸要素の変動があるからといって直ちに上げる必要はないではないかという御質問でございますが、確かに、おっしゃるように、変動する要素が将来に向かってきわめて不確定であって、上がることもあれば下がることもあるといった要素であるならば、これは必ずしも絶対的に再計算において上げる必要があるかどうかということは異論のあるところでございます。ただ、私ども、先ほど申し上げましたように、今回の財源率の引き上げは、日本人の平均寿命が延びているというところに主たる原因があるわけでございまして、この傾向は将来にわたって、寿命がさらに低下するであろうということは予想されないわけでございます。いわば、長期的に見てそういう傾向があらわれていると言わざるを符ないわけでございまして、その限りにおきましては、長期的な変動要素であると言わざるを得ないわけでありまして、そのためには、当然財源率の改定は必要になるであろうというふうに考えておるわけでございます。  それから御質問の第三点の、追加費用の問題でございやすが、追加費用の負担方式につきましては、専門家であられます先生にいまさら申し上げることはないわけでございますが、なかなか議論のあるところでありまして、諸外国を通じましても確定的な負担方式はきまっておらぬわけでございますが、私どもといたしましては、少なくとも組合が自主的に長期的な立てかえ払いをしなくても済むような負担にはしてまいりたいという考え方をとりまして、先ほど御指摘のありましたような共済組合連合会等につきましては、本年度から修正実額負担方式とでも呼ぶべき方式によりまして、確定額に対しては全部これを払っていく、国が支払っていくというやり方を採用したわけでございます。  四現業につきましては、これまた発足当時の経緯がありまして、その当時の国の負担額の総給与額に対する比率を踏襲してまいったわけでございますが、その結果といたしましても、現在までのところでは自主的な立てかえ払いという問題は生じないように措置いたしておるわけでございます。その限りにおきまして、追加費用の負担のために組合の経理を危うくするようなことは、少なくとも四現業に関する限り、現在までのところでは起こっておらないのではないかと私ども考えておる次第でございます。
  225. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) いま言われましたがね、追加費用はそういう負担を肩がわりさしておらないというのでありますが、実際にそういう計算もできておらないのでしょう。それとあの財源率——最初法律を審議された財源率を見ましても、予定利率をあなた五分五厘でやっておるんでしょう。現実は七分二厘で運用しているでしょう。その差一分何厘か、大きい差がある。その要素を見ても、五年前、あのときの大蔵大臣——佐藤さんだったと思いますが、大蔵大臣説明では、やがて将来日本は低金利でいくんだから、これは長期にわたるやつだから、いま一応五分五厘ぐらいにしておかなければ将来下がったときに困るからという答弁であった。それなら、そのときに五分五厘割るような低金利になった場合に、予定利率を五分五厘なりあるいはそれ以上下がってもいいけれども、現実に運用は七分にしているのじゃないか。あるいは、御存じのように、一分かりに予定利率を上げたら、二割も掛け金率は減るのですよ。五厘で一割ですよ。それをかってな運用の場合、金利だけはうんと取っておいて、それで若干——あれは第十回の生命表を今度使ったのですが、第十回の生命表が若干伸びたから、それだけ費用が増したからという、将来長い問の展望でいまの保険料を上げようという、そんな保険料率の計算のとり方はないですよ。法律がそうだからとれるのだといって、これは民間のものだったらどうなりますか。大きい問題ですよ、これは。それを、法律がこうだからできるのだといって、毎月、月給からそれを引こうという。常識で考えてみなさいよ。保険料率の計算がこう変わってきた、変わってきたが、これをどうしようかということをまず運営審議会なりそういうところにはかって、しかも一般の運営審議会事業主がこれを負担するのじゃないでしょう半分負担するけれども、大部分は組合が負担するのでしょう。そういう意向を無視して、法律がこうだからできるのだというような、そういう官僚的な解釈で上げられたら、一体今後どういう場合に上がってくるか、負担がどのくらいになるかわからぬでしょう。ここに私資料持っておらない、きょう突然それを一言うてくれというから。きょうこの予算が通ったらすぐ上げる傾向があるからというので、何も持っておらぬ。頭そらでやっている、昔のこと思い出して。一ぺん財源率の再計算書出してください。それで依然として予定利率五分五厘でやっているんだ。上げたら承知しませんよ。現実に七分から六分五厘で運用しておいて、金利だけよけい取っておいて、運用できるにかかわらず、本人から取っていこうという措置とっていったら承知しませんよ。実際予定利率何ぼになっていますか、今度の。
  226. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 先生御指摘の予定運用利率は、依然として五分五厘でございます。ただ、御指摘のありましたような、確かに現在までの予定運用利率と実行上の運用利率とはかなり差があることは事実でございます。ただ、郵政省を例にとって申しますと、三十四年度におきましては七・二九%に回っておりましたが、これは漸次低下しておりまして、三十七年度においては六・八七%に下がっております。さらに、先生御承知のとおり、一昨年の七月にいわゆる虎の門金利問題がございまして、いわゆる虎の門金利というものが共済組合から排除されたわけでございますが、その結果が、率直に申しますと、三十八年度以降でないと全般的にはあらわれておりません。その結果といたしまして、かなり実行運用利回りも低下していることは事実でございます。また、いまお話のありましたように、現在のところでは、まだそれにしてもある程度の余裕はあるであろう。したがって、直ちに五分五厘でなくてさらに高い運用利回りで今後の計算をすべきではないかという御意見もおありだろうとは思いますが、先ほど私どもが御説明申し上げました寿命の延長というような、これは将来に向かって逆行するようなものでない、そういったものについてはこれは当然新しい資料に基いてやらざるを得ないわけでございまして、ただこういった現在の運用利回りと予定運用利率をなお将来に向かって考えてみた場合に維持できるかどうかという点については、率直に申し上げまして現在五分五厘をさらに上げるだけの考え方はアクチュアリティ全般を通じてないようであります。また、私どもといたしましても、将来数十年にわたってこういう形の運用利率を確保するだけの自信はございません。もちろん、当面五年間だけを考えるならば、あるいは若干は上回るという事態も起こるだろうと思います。ただしかし、逆に申しますならば、先生の御指摘にもありましたように、予定利率が百分の〇・五上がるならば財源率に一割響くということは、プラスの面でもマイナスの面でもあるわけでありまして、いわば財源率、ひいては掛け金率、そのものがそのような形で急激に変動するということ自体好ましいことではございませんので、政府としては、長期的な見通しとして変わらない限りは五分五厘を直ちに動かすべきではないか、かように考えておるわけでございます。
  227. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) 計算の専門家、来ておりますか。これは、きょうは郵政省だけ申しますが、あの生命表を使ったというのは、情けないかな現在の郵政関係の現業関係の方々には過去にそういう実績がないから、一応生命表を使ったのでしょう。国鉄の場合は、国鉄職員だけであれは二十年ほどの資料を持っている。したがって、あなたは将来変わらないと言うけれども、それは国民一般の生命はそうですよ。しかし、全逓の職員自体がどう変わるかということはわかりませんよ。あの生命表をとったいうとことは、ほかに資料がないからとったのですよ。それが絶対決定的な資料にはならぬですよ。生命が若干延びたからといって、一体幾ら延びたのですか。
  228. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 第九回生命表と第十四回生命表の比較でございますが、零歳の男子におきましては、五九三五年から六三・六〇年に延びております。五十五歳の男子をとりますと、一七・五五年から一八・五四年に延びております。六十歳をとりますと、一四・一五年から一四・九七年に延びております。
  229. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) 五十五歳が基点になっているから五十五歳で計算すると、大体一年ほど延びたわけですね。で、第十回生命表は昭和三十三年の国勢調査によったやつだと思うのですね。その後、厚生省の渡辺博士だと思うのですがね、その後いわゆる老人病というので、いわゆる心臓麻痺とかそういうもので相当老人病がふえて平均余命が下がりつつあるということを公表されている。三十年ですよ。その前は、四十五年ですかのやつが第九回のやつですか、三十年が第十回ですか……。だから、いまから約十年前の生命表といまはだいぶ変わっておりますよ。それはあらためて詳しい専門家が来たときに資料をもらってやりますが、そういうわれわれが納得できないような資料で、しかも一挙に〇・五ですか、上げようというのでしょう。納得ができないものを無理にいわゆる給料から引いてしまおうと、こういうことでしょう。法律できめておっても、それはやはり常識上やれないと思うんですよ。しかも、いま言ったように生命表が上がったからといって、はたしてこれにどう響いてくるかということは、何年後にそれが響いてくるか。平準保険料方式をとるというのは、これができたときにそれを一応計算して出して、それが五年ごとにはなはだしく異動がある場合は変えなければいかぬけれども、生命表という長い将来の余命を考えたやつで、直ちに現在の保険料率を変えるということは、間違いです。それと同時に、五年ごとにやれるんだから、もしそういうことでやるならば、ぼくは何も積み立て方式をやる必要はない、平準保険料方式をやる必要はない。みんな負担することになるんですよ、積み立て金をやって。しかも、追加費用は十分出さずに、組合員の持ち出しはやらないと言うけれども、一体追加は幾らになっているか、計算はできていますか、どうですか。
  230. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 生命表の問題について、私ども専門家でございませんので、おこがましいことは申し上げられませんけれども、一般的に申し上げるならば、手元にあります第四回からずっと傾向的に見ましても、延びる傾向は出ておりまして、これが限度であるというふうには必ずしも考えられないわけでございます。また、いま医療施設その他の発達しておる外国の例をとりまして考えましても、日本人の平均余命はこの程度でとどまってしまうということは、私どもには必ずしも考えられない。むしろ長期的に見ればまだ延びていくのではないかという、少なくともわれわれの聞いておる話といたしましては、現在の局十表標準をとること自体がおかしいということまで、とうていいかないのではないかと思います。  それかもう一つ、追加費用について計算ができているかということですが、追加費用ということはの意味はいろいろあるわけでございますが、私どもが申し上げましたのは、現実に共済組合が支払いました年金部分の中の追加費用、そういったものについての立てかえ払いがないということを申し上げたわけでございまして、予想されるべき追加費用の推定総額は幾らであるかという点とは違っておるわけでござ  います。
  231. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) 結局何でしょう、追加費用というものは、郵政の場合は昭和三十四年ですか、現業の場合はもう少し早かったと思いますが、その当時までいわゆる当然国が負担すべきものが郵政の共済組合の負担になったんですね。それまでに納めておる、また当然支払わなくちゃならぬ経費というものは国のほうであったでしょう。それが全部引き継がれたんでしょう。そういうものの計算ができておるかどうかというんです。それがわからなければ、一体国が幾ら負担しているかということはわからないでしょう、わかりますか。
  232. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 旧法当時の金額が幾らであったかということは、いま私ども手先に持っておりませんが、少なくとも新法移行の後において支払われた追加費用、これに対しては立てかえ払いがないということは確認いたすことができます。
  233. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) 将来にわたってやはり前から引き継いだ、いわゆる更新組合員といっていますね、前の共済組合で積み立てしておる人はいいですよ、それだけほうり込んでいるんですから。しかし——それはそれとして別にしておきましょう。政府が当然年金を払わなければならぬ義務のあったやつは、一緒に引き継いでしまって、いま共済組合でやっているんでしょう。しかもそれは、前に百分の二か何か納めているんでしょう、それを政府が取り込んでしまって、本人には何も払っていない。政府がそれを持ったままで、やめたときに、それだけ払ってはいかぬとわれわれは言うんですよ。  それともう一つ、生命表に返りますが、いま十回の生命表で五十五歳以下の人についてそれが影響してくるんですよ。四年や五年なら、組合員になった人は今後生命に影響するような事態にきておらない。生命表に、平準保険料方式でやると、そういう計算が出てくるんですよ。先ほど言った四十五年、百年を先に見通してやるんですから、いま関係のない人でも将来を見越してやるから、それが上がってくるんですから、新共済組合に加入した期間だけを見ると、その人らは生命に関係するような五十五歳から以下一年延びたから何歳になるか、それに影響する人は一人もおらないんですよ。それが生命が延びたからここで保険料を改定するというふうな論理にならぬ。専門家連れていらっしゃい。それは聞いてみますよ。
  234. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 第一の点でございますが、御承知のように、恩給公務員につきましては、恩給法適用時代に百分の二の国庫納金を納めておったことは事実でございます。ただ、その当時における国庫納金というものは、本来積み立てるべき性格のものでも何でもないことは、先生御承知のとおりでございまして、これは国が退職公務員に対して一般的に恩給という形で老後の生活の保障をはかる、そうい場合に国民感情からして公務員が何がしかの金を出さないということはいかがかということで、恩給制度の発足自後においてきめられた制度でございます。したがいまして、そういったものが当然積み立ててあるべきだという論旨には、必ずしも賛成いたしかねる点でございます。  それから第二点でございますが、生命表の変更に伴う財源率の実質的な影響というのは、本質的に見れば非常に先の長い話であって、いま直ちに出てくる問題ではない——これはあるいは御指摘のとおりだろうかと思います。ただ、現在の平準保険料方式をとる限り、しかも平準保険料方式で費用負担をしなければならないという建前をとる限りにおきましては、こういうやり方をせざるを得ないわけでありまして、現在の方式を改めまして、修正賦課方式なりあるいは賦課方式をとるという考え方をとるならば、もちろん先生のおっしゃったような意味での考え方の差は出てくるだろうと私ども考えております。
  235. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) それは、冒頭に言ったように、法律制定の場合にそれが国会で問題にならなかったということは、法律をたてに言われますが、しかし、その運用については、いま五年、五年に改定しなければならぬような経済状態ではないでしょう。むしろ利子収入のほうが多いでしょう。経済はいけなくなったのですか、その点聞いておきたい。
  236. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) これはまたあらためて特に御説明を申し上げる必要もないと思いますが、少なくとも新制度の発足後数十年の間は積み立て金が増加していくというのが当然の形でございます。これが平準保険料方式による積み立て金のあり方でございます。したがいまして、そういった形で積み立て金がある限り、ふえるような状況である限り、財源率を上げないという考え方をとるならば、逆に言えば、積み立て金を食いつぶすというようなことにもなるわけでございます。あるいは、積み立て金は固定したまま、現状において固定したままでよろしいという議論にもなるわけでございます。そういったやり方をするということは、現在の平準保険料方式を自主的に破壊いたしまして、結果的には後代に責任を負担させるということにもならざるを得ないわけでございまして、そういったやり方をするほうが政策的に見て妥当かどうかという議論はおありだろうと思いますけれども、現在の法律のたてまえとしては、そのような運用をいたすことはいかがかと私ども考えます。
  237. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) あなたの言っておることは、法律法律で言いますが、あの平準保険料方式で積み立て方式をやるという一つの基本的な考え方というものをあなたは曲解しておる。というのは、五年ごとに改定をするという趣旨じゃなくして、五年ごとに保険料計算をしてどういう動向にあるかということを一応見て——これは二十年、三十年、四十五年くらいが。ピークですよ。厚生年金を見ましても、あの低い保険料でもいま七千何億をためておるのですよ。国家公務員は、現業関係の共済組合のこの掛け金率はきわめて高い——高いというのは給付が多いからそうなるのですが、これが四十五年も積み立てていけば、地方公務員の場合は二十年間で利子だけでも八千億というものがたまってくるのですね。そういう経済状態を持っていて、法律がこうだからいまのうちに取っておくのだという考え方というものは、これは官僚の考え方ですよ。負担する者の立場から考えなければいけない。しかも私は、あなたが言うように、永久に変えなければ、固定したらいい、そんなことを私は言っていない。ここ少なくとも私は二十年は変えるべきじゃない。新法ができてから初めて成規の退職年金を受ける資格を取って五十五歳になるというところまで見ていっても十分だ。一体、この保険料計算の基礎というものは、あいまいなものがたくさんあるのですよ。脱退残存表——私は資料がないから言いませんけれども、どういう資料でやってきて、非常に安全率を見ているという点もある。予定利率もその一つなんです。そういう安全率を見ておって、組合員から取るものだけ取っていこうという考え方では、運用のしかたとしては無理である。それが、もう経済が困って退職年金が払えないということじゃないでしょう。郵政の場合は、その立てかえはしてもらっていないと言うけれども、ほかの組合では立てかえて、組合員の掛け金から政府が払うべき追加費用まで払っておるところもあるのです。そういうものを見ておることを考えたら、そう五年ごとに再計算をしてやるのだから、五年ごとにやって、それで上がったら取るのだということではいけない。それと生命表の問題、これは資料を出してもらって、これは郵政だけの関係だけじゃないから、これは郵政が上がれば、五現業はもちろん上がるだろう。国家公務員に影響するし、地方公務員に影響する。地方公務員の附帯決議もぼくらがつけたのだ。地方公務員の附帯決議を見てみなさい。すでにあの場合でも、高過ぎるから下げるべきであるという附帯決議をつけておる。これはその趣旨なんです。したがって、あなたが大蔵省の官僚として、法律がこうだから絶対取ると言うなら、これはもう組合員として私は承知できない。納得さすものがなければためだ。ですから、今度——この委員会はどうか知りませんが、財源率計算の詳しいのを全部出してもらって、専門家をあげて一々その点を説明してもらって、その上でなければ私は納得ができない。それを強引に上げると言うなら、それこそ私は悪政であると思います。これは郵政関係の従業員だけだから問題ないと思いますが、一般国民の保険料率——健保でも、あるいはその他でも、ちょっとでも上げると言うと、こんなものじゃおさまりませんよ。財源率は四十年か四十五年の将来どうなるかわからぬから、百分の〇・五上げます——百分の〇・五というと相当大きくなるでしょう、金額は。そういう上げますというようなことの説明ではおさまりませんよ。そういう簡単な考え方であの法文を解釈して運用されると言うなら、将来大きな問題があるということと、私自身としては法律のことであろうと納得ができない。もしそれが地方公務員の共済組合に波及するということになれば——われわれは国会の中で、池田総理までも、昨年私がその点の言質を得た答弁をしております。あなたも御存じだと思うが、ぼくらはそういう点からあれをつけている。残念ながら、この郵政関係の共済組合については——国家公務員の改正のときに私はおらなかったけれども、しかし全部に影響する、同じグループの年金制度ですから。これは私としては承服できないし、きょうはあなたどう説明されても、財源率の計算書、その、データから全部出してください。その上でと、こう思いますから。私が納得するならば、これは皆さんにも御説明することができるし、私自身じゃ絶対に承服できない。それだけ申し上げておきたいと思いますが、資料出してくれますか。
  238. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) たてまえの御議論はいろいろあるわけでございますが、現在の法律のたてまえからいたしまして、短期納付の費用については、率直に申しまして、必要な費用については、毎年必要な場合については引き上げ等も行なっておるわけでございます。
  239. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) 短期給付はいいです。
  240. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) ただ長期についてのみそういった点が違いがあるという解釈のしかたは、私どもとしてはとっておらないところでございまして、その限りにおいては、先生の御意見としてはよく承っておきますが、実際問題としては他に方法がないということでございます。  資料につきましては、別途必要に応じて出したいと思います。
  241. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) 出してもらいたいと思います。それは、あなたが、こうなっておるから上げるのじゃなしに、問題は財源率の計算によって上がってきたのでしょう。それをちゃんとあなた説明してもらわぬと。そんな必要に応じてじゃなく、私は出してもらいたい。財源率計算書あるはずなんだ。それから出てきたのだから、それを出してもらいたい。
  242. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) もちろん提出はさせていただきますが、何ぶん印刷等にも時間がかかる問題でございますので、直ちにはちょっとできかねると思いますが……。
  243. 山本伊三郎

    ○担当委員委員山本伊三郎君) それは了解いたします。
  244. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) いま同僚議員から長期給付の問題について少し触れたようですが、大蔵当局、それから郵政大臣もお見えになりますが、恩給の改正、ベース改定はときどきやるのですが、長期給付の改定についてはどういうことになりますか。
  245. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 恩給のベース改定は、御承知のように、一昨年でございましたか、二万円ベースに引き上げられたわけでございまして、今後の問題としてはまだきまっておりません。ただ、一昨年以来、国会方面におきましてもいろいろ御議論がございまして、公務員の恩給なり、あるいは共済年金を通じて全般的なベースアップの問題、スライド制等を含めて検討する必要があるという御意見もございまして、現在、公務員年金制度連絡協議会というものを総理府につくりまして、そこでいろいろ検討をいたしておる段階でございます。
  246. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) この共済組合法の改正にあたって、当時、所管大臣の大蔵大臣からは、恩給ベースの改正があるのと見合って当然そういうことは改定しなければならぬでありましょうという答弁は、これはもらっているわけですから、当然これはやらなければならぬ筋合いのものです。でなければ、年金にかけた意味がなくなるのですから。もう実施されてから今年で何年になりますか、相当長い間かかっているわけですが、恩給のほうはどんどん改定になるけれども、長期の給付の年金が改定にならぬということになれば、年金制度ということの趣旨に私はもとることになると思いますので、その点を十分検討してもらわなければならぬと思うのです。当時、大蔵大臣は、委員会におきまして、はっきり答弁しているわけです。
  247. 平井廸郎

    政府委員平井廸郎君) 当時の大蔵大臣の発言、私不幸にして覚えておりませんが、一般的に申しますならば、恩給の現在の二万円ベースと申しますのは、大体公務員について申しますと、三十四年度ベースでございまして、おおむね現在の国家公務員共済組合法の発足いたしました当時のベースになっておるわけでございます。したがいまして、そののちにおやめになった方々についてのベース・アップ問題というのは、恩給についても当然起こっておりませんし、恩給自体が二万円べースをこえてさらに高いベースになるような時期には、当然われわれのほうとしても、共済組合についても考えなければならぬであろうというふうに考えております。
  248. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) それでは次の質問に移ります。  日韓の問題と関連をして、貯金、保険、海底ケ−ブル、電波等の問題についてただしいと思います。  郵便貯金の韓国民の当時持っておった請求権と申しますか、あるいは保険についても同様なことが言えるのじゃないかと思いますが、これは、どのように日韓関係は処理されておるのか。この前の国会であったと記憶いたしておりますが、あるいはその前かもしれませんが、逓信委員会ですか、予算委員会ですか、これも明確でありませんけれども、そのデータができ上がっておるのだという話がありまして、それをどう措置されるかというところがその当時保留されておったはずでありますが、それはどのようになっておるのか。
  249. 浅野賢澄

    政府委員(浅野賢澄君) ただいま御質問のございました数字と申しますのは……。
  250. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) 向こうの請求権として集積された数字だと私は記憶しているわけですが。
  251. 浅野賢澄

    政府委員(浅野賢澄君) いままでに申し上げておりました点をうっかりししておりまして、よく調べておりませんが、国会におきまして質疑に出てまいりました数字で申し上げますと、逓信事業史に載っておりました十四億円というのを前の資料で拝見いたしております。それ以外につきましては、現在、日韓におきしまて外交折衝中でございますので、数字面につきまして、いまだ詳細なことは申し上げる段階には至っていないわけでございますので、その点につきまして御了承をお願いいたしたい思います。
  252. 田中鎮雄

    政府委員田中鎮雄君) 朝鮮の簡易保険並びに郵便年金は、これは郵政省、当時の逓信省でございますが、これの所管しておりまする保険年金事業とは全く別個に、朝鮮総督府の命令でありまするところの制令に根拠をおきまして経営されておったところでございます。したがいまして、郵政省といたしましては全く所管外の事項でございまして、戦後、これは勅令によりまして外務省の所管となった次第でございます。したがいまして、数字その他につきましては、全然私どもには資料はございませんし、内容につきましても、はっきりしたお答えを申し上げられない次第でございます。
  253. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) そういたしますと、この問題の決済というものについては、一応所管外であるからして、外務省の所管だ、今度の会談で、いま行なわれております日韓会談の解決の際にこれは解決されるものか、あるいはそうでない別途の方法によって、あるいは折衝によって解決をされるものか、その点を郵政大臣は承知されておりませんですか。
  254. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまのお尋ねの事項の中で、郵便貯金につきましては、今回の日韓会談の中において協議を進めるということになっておりますが、簡易保険の問題についてはその範囲外になっていると承知しております。
  255. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) そういたしますと、貯金については郵政大臣の所管ですか。そう理解してよろしゅうございますか。
  256. 浅野賢澄

    政府委員(浅野賢澄君) 交渉は一切外務省を中心とする代表団において交渉いたしております。
  257. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) そうすると、これは郵政省はノータッチで、外務省所管としてやっていると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  258. 浅野賢澄

    政府委員(浅野賢澄君) 直接交渉そのものは外務省を中心とする交渉団体となっておりますが、その間におきまして、外務省と私ども段階におきましては常に連絡をいたしております。
  259. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) あらためてまた外務関係の方にこれは聞きますが、次いで、海底ケーブルの件でございますが、過去に、司令部の、GHQのほうから、アメリカ軍ですか、支払われました金額を、韓国と日本とで折半をするのかどうですかという問題が、たしかあったはずだと私は記憶いたしておりますが、この問題はどのように処理されようとしているのでしょうか。
  260. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 日本国と韓国との間における海底ケーブルの問題でございますが、これは、御承知のように、平和条約第四条のC項と考えますが、これにおいて基本的に扱い方はきめられております。したがって、これに基づいて具体的な話し合いをするという段階になっているわけでございまして、今回の日韓会談の中に含めまして、この問題も話し合いをつけていきたいと存じております。現在、このケーブルの所有権そのものについての話し合いがまだきまっておりません段階でございます。今日まで、米軍がこの海底ケーブルの一部を使用しておったことは事実でございますが、すでにその使用されておったケーブルは、昨年の五月、故障によって切れました。したがって、それ以後は使用にたえないわけでございます。したがって、それまでの間、実用に供した間の料金というものは、それは日本の電信電話公社の収入ということになっておると考えますが、その使用料を日本と韓国との間でどういうふうに分けるかというような問題につきましては、まだ話し合いの段階になっておりません。おそらく、将来その問題も出てくると思いまするけれども、まずその前提として、この海底ケーブルの所有権の問題について話し合いを妥結さしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  261. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) そういたしますと、ただいま行なわれております日韓会談の妥結の内容の中にはこれは入っていないと、これは別途協議をしておるのだと、解決の時期も、それとは別な時期において解決をする、こういう腹であるかどうか、その点を重ねてお尋ねいたします。
  262. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 海底ケーブル問題は、このたびの日韓会談の議題の中に入っております。まだ具体的な打ち合わせには入っておりません、けれども、いずれにいたしましても、日韓会談はいろいろ議題がございますが、その全般の問題とともに妥結すれば妥結し、条約が締結されるということになるかと思います。
  263. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) そういたしますと、この日韓会談の中に含めて解決をしようとしておるということでありますから、今日までの相手側の言い分なり日本の主張なり、そういう問題についての経過を御説明できますか。
  264. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 実は、公式の打ち合わせは、この議題に関しましては、まだほとんど行なわれておりません。非公式に聞いておるところによりますと、海底ケーブルの位置は、福岡から壱岐、対島を通りまして釜山にいっているのがございます。日本側の主張では、対島と釜山の間で半分に分けるべきであるということでございますが、韓国側の主張は、このケーブルは福岡からであるから、福岡と釜山の間で半分に分けるべきであるという主張であるようでございます。
  265. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) その程度だって、日本の主張は、どこまでも壱岐、対島から釜山の間で折半する、その折半以外には応じない方針であるかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  266. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 仰せのとおり、対島−釜山間で折半すべきであるという主張で通すつもりでございます。
  267. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) それじゃ、逓信委員会関係があるそうでありますから、次の質問に移りますが、実は電波の関係でありますが、電波会議のほうで波の割り当てがあったにもかかわらず、韓国はそれを保留をして、いまかってに向こうで波を出しておると私は理解しておるわけであります。この波の割り当ての関係も日韓会談のこの際に解決すべきであると思いますが、大臣はどのように考えておりますか。
  268. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この周波数の問題につきましては、他の案件と異なりまして、やはり国際電気通信の連合、いわゆるITUの国際的な場に持ち出して最終的には決定すべきものであろうと考えております。しかしながら、そればかりによらないで、日本と韓国との間においても、相互に、あるいは外交ルートを通じ、あるいはまたお互いの主管庁相互の間に話し合いを進めて、大体の意思の合致をみたところで、この国際的な無線通信の主管庁会議に臨んで決定するということも、もちろん考えられることでございます。しかし、かような純技術的な問題であり、また、他の案件とはやや趣を異にした問題でありまするから、私は、必ずしも今回の日韓会談の内容に含めなくても、将来の問題として十分話し合いをしていったらよかろう、こんなふうに考えている次第であります。
  269. 永岡光治

    委員以外の議員(永岡光治君) これは、いろいろ技術上の問題がありますから、これも、私そう簡単にいくものではないというふうに考えております。しかし、ITUの会議できめられておるものについて留保しておるわけですから、これはやっぱり私は一筋なわ——という表現は適当かどうかわかりませんが、簡単にいかないような気がいたしますので、せめて基本方針くらいのことは、この日韓会談の中で解決をしておいたほうが、将来に煩を残さないようなことになるのではないかというような気がいたしますので、ぜひこれはこの際に解決すべきじゃないかと思いますが、やるとすればですね。大臣のほうは、どういうふうに考えておるか、いま一度その辺について。
  270. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) いまのところは、私としましては、日韓会談と切り離して、別途に交渉いたしたほうがよいと考えておりまするけれども、なお、ただいまの御意見もありまするので、さらに部内で十分に相談をいたしまして、わがほうの主張を貫徹する上において最も適当と認める時期並びに方法をとってまいりたいと、こう思っております。
  271. 藤田進

    ○藤田進君 関連して。  これは、外務大臣並びに総理大臣予算委員会等における——小坂外務大臣以来ですが、日韓の懸案事項は一切妥結して、条約の形、基本条約にするかどうかということは、まだそこまでいってないという答弁なんですが、だとすれば、それをいまここで言われるのは、少し内閣としての統一性がないように思うので、いまおっしゃることは、郵政に関するいまの問題等は、これは別個に懸案として残していく。同時一括解決ということとは違うわけですが、内閣としても、その話し合いがきまっての御発言ですが。内閣の御方針が変わりましたのですか。
  272. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私、この問題について、特に内閣において統一的な見解をつくるために協議をしたということはいたしておりません。が、主管庁といたしましては、すべての問題を日韓会談において解決するといわれましても、やはり、かような純技術的な問題であり、かつまた、ただいまも申し上げましたようなITUという国際機関を通じて最終的に解決をはかっていかなければならないという、こういう問題でもありまするので、この問題は、必ずしも日韓会談の中で同時に解決していかなければならないというこことでもあるまいというふうに私は解釈をいたしておるわけでございます。他の一般の漁業問題でありますとか、あるいは請求権問題等と少し趣が違うように思うんでありまするから、その辺のニュアンスの違いというものはやはりあってもいいものではないか、特に日本といたしましては、ただいまの国際機関を通じて解決するという問題と同時に、やはり日本国内においても、今後放送体系全般についていま再検討をしていく時期にもなっておりまするので、それらとにらみ合わせて、最もよい効果のある結果を得たい、こんなふうに考えておるわけであります。
  273. 藤田進

    ○藤田進君 先ほど中断いたしましたが、電話関係についてお伺いいたしたいと思います。  国民としては、電話というのは、いまもうそれぞれ生活の上に欠くことのできない状態になりつつあるわけで、それだけに関心も深いし、施設なり運営、サービスなりということには、国民も非常な関心を持っているわけです。先ほど申し上げた、つまり規則にによって、国民の権利義務にも及ぶようなことが、法律でなしにおやりになっているわけです。場所によって違うけれども、電話公債を買ったりして、そしてようやく加入し架設してもらったと思っても、何かのそういった調子で切られてしまうと。営業局長お話では、今後もこれをやっていくということなので、ここで解決できなければ三十一日に締めくくりをやりますから、総理にその点をはっきりさせたいと思っておりますが、あのような、二十日間というものを経過すれば機械的に切ってしまうというそのケースが、過去の実績から見て、月にどれくらいあります、日本に。
  274. 千代健

    説明員(千代健君) 大体〇・二%程度であると思います。
  275. 藤田進

    ○藤田進君 〇・二%というと、件数はどれだけあるんですか。私専門でないので。
  276. 千代健

    説明員(千代健君) 大体、いま五百二十万ぐらいございますから、約一万件ぐらいでございますか……。
  277. 藤田進

    ○藤田進君 これはどうです。都市あるいは農村等、かなり普遍的ですがね、電話は。大体加入電話数に比例しているものですか、それとも、特殊な事情があって、都市とか農村とか、あるいは特定な都市とかということで偏在していますか。そういう実情は。
  278. 千代健

    説明員(千代健君) いま、ここで具体的に諸都市を分けたものは持っておりませんが、私どもの経験では、電話の転売といいますか、転々の多いところにおいて、電話の料金のくっついたままで次の人にお譲りになるとか売買されるとかいう場合に、あとトラブルの起こるケース等ございますので、大都市のほうで、パーセンテージでどちらが多いかと言われますと、私そういった資料をとっておりませんのでわかりませんが、大都市においてむしろ多いという傾向があると思います。
  279. 藤田進

    ○藤田進君 電話に関する限りはどうなんですか。名義書きかえは、電話局へ行って、印鑑証明をつけてやるわけですね、厳重に。そういう際にチェックする機会があるわけだから、当該電話で滞納があるという——まあそれは一回以上はないでしょうけれども、一回かりにその二十日間以内に滞納したままで次に名義変更するといったような場合は、必ず電話料金はチェックされるんでしょう。
  280. 千代健

    説明員(千代健君) 電話局の窓口で名義書きかえだけの書類ですと、その料金が滞納になっておるのかどうかわからないのでございますけれども、そういった事例があるからということは注意を申し上げて名義の書きかえをしていく、こういう事情でございます。ただ、中に第三者が入って代行等をやります事例が相当ございまして、その際に、そういった過去の滞納料金といいますか、料金のくっついたままで名義変更が行なわれる、そういった事例も相当ございます。
  281. 藤田進

    ○藤田進君 それは、実態としては、二十日以内というわけでしょうね。とめたものを売るという場合もあるでしょう。いま六十億のアメリカは別として、国内の滞納というのは、年度間どれくらいあるのですか。つまり不良財産というか、未収になる……。
  282. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) 公社の毎月の決算に上がってまいります未収金は約二百億余りあるわけでございますが、このうち、焦げつきになりましたもの、これは大体定例的な統計としましては、六ヵ月以上経過したものというのをとっておるのでございますが、電話収入に関しまして六ヵ月以上経過して焦げつきになっておるもの、これは十二月末では五千九百万円ほどでございます。
  283. 藤田進

    ○藤田進君 二百億というものは、年間の実績から見て——十二月は三十八年の十二月でしょうからね、五千九百万ということに結局はしぼられてくるのですか、二百億という滞納額は。
  284. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) 請求書を出しますと、すぐこれを未収金に調定をいたすわけでございます。したがいまして、未収分と申しましても、請求書を出しまして入るまでは全部それが未収金の状況になっておりますので、大体こちらがいつまでに納めていただきたいという期限までに大部分のものが消化されてしまいます。で、六ヵ月以上経過したが焦げつきになっておるもの、これが五千九百万円であった、こういうことでございます。
  285. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、先ほどの二百億というのは、どういう性格のものです。
  286. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) ただいま申し上げましたように、請求書を出しますと、それをすぐ未収金にあげるわけでございます。そうして納期までに入りましたら、それを消し込むわけでございます。したがいまして、未収金といいましても、焦げつきになっていないものが大分部である、こういうことでございます。
  287. 藤田進

    ○藤田進君 だから、二百億というのは、請求書を出したけれども、二十日経過してもまだ納まってこないというのが二百億という意味ですか。
  288. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) 請求書を出しますと、大部分のものが入ってまいります。そうすると、翌月になりますとまた請求書を出します。そういうわけで未収金が発生し、それが消し込まれ、ずっと絶えずこう流れておるわけでございます。大体絶えず二百億ぐらい、こういうわけでございます。
  289. 藤田進

    ○藤田進君 電話料金一ヵ月二百億じゃない、もっと大きいのですか。全体でどれくらいです。
  290. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) 三十八年度におきましては、予算におきますところの収入の見込みは三千六百六十億でございまして、一日十億平均、これは電報も電話も雑収入もまぜた収入合計でございます。したがいまして、月には三百億でございますが、大部分が電話収入と考えていただいてけっこうでございます。
  291. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、まあ、年度初めから見ると、月々こう持ち送られ、消化されてくるのが大体二百億程度の未収という姿で残っておる、それから五千九百万というのは、年度間を通じてですね。それだけの焦げつきとして処理しなければならぬ。二百億が漸次年度末になると五千九百万になってくる、こういう意味ですか、この五千九百万と二百億。
  292. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) 請求書を発行いたしますと、これを——取り立てるべき債権でございますので、これを未収金に計上いたします。その大部分がもう納期までに消し込まれていきまして、中に、ごく一部長く、残っておるものがあるわけでございますが、これは月によって変動いたします。五千九百万円と申し上げましたのは、三十八年十二月の月次決算の計数を申し上げたわけでございます。大体まあごく大ざっぱに申し上げまして五、六千万円ぐらいの焦げつきが、ころがしころがし毎月末の月次決算にあると、こういうふうにお考えいただいたらいいと思います。
  293. 藤田進

    ○藤田進君 ぼくら、しろうとなんでね。二百億の未収があって、焦げつきは五千九百万。
  294. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) 私の説明がへたなもので、どうも十分御納得いかないようでございますが、未収と申しますると滞納というふうにすぐ常識的に思われがちなんでございますが、そうではないのでございまして、公社の会計処理としましては、請求書を発行いたしますと——大体二十日程度の余裕期間があるわけでございます。ところが、請求書を発行いたしましたら、そこで債権が決定いたしますので、決定した債権だけど、まだ現金は入っていない、そういう意味におきまして請求書を発送——計数をきめると同時に、それを未収金に計上しておるというのが公社のやり方でございまして、したがいまして、この大部分は滞納ではないのでございます。
  295. 藤田進

    ○藤田進君 どうもわかりにくいな。大体一日十億だというのでしょう。まあそのうちには、ほかの収入もありましょうがね。電話の通話料の部分をいま論じておるわけですが、大ざっぱに見ても月に約三百億程度と。しかし、請求書を発行されるその瞬間では全部が未収でしょうからね。しかし、まあ逐次入ってくるわけだが、未収というのが二百億というのは、そういうものが月々持ち送られていくんだということなんでしょう。だから、これは年度初めと年度の終わりではだいぶ意味が違うけれども、その二百億というものが持ち送られてきているが、年度間を通じて決算してみると五千九百万ばかりが焦げついて入ってこない、そういうことになるんですか。
  296. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) 年度間を通じてとおっしゃいますと、ちょっとそこに……。大体そうだと申し上げてよさそうなんですけれども、そうだと申し上げれば、ちょっと不正確になりますので、何と申しますか、二百億——現金は入ってきますけれど、同時にまた毎日毎日請求書を出しておるわけでございますから、会計上の未収金というものは、二百億程度のものは毎月残っております。それは、年度初め、つまり四月ごろでございますと、三月分の電話の請求書の分が二百億ぐらいあるわけでございます。
  297. 藤田進

    ○藤田進君 二十日過ぎても払わないというものがあるの。
  298. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) それもございますし、請求書を受け取って五日目で、あした払おうと思っているものも未収金になるわけでございます。
  299. 藤田進

    ○藤田進君 どうも、しろうとにわかるように話してもらいたいんだが、請求されて、そして請求された日から二十日間して払わないものは電話をとめるというんだな。営業局長というのは冷たい人で——規則がつめたいのかもしらぬけれども、とめるんでしょう。とめてもなおかつ払ってこないというものが月に大体二百億程度ずつ持ち送ってきてる、そういうものなのかどうかを知りたい。
  300. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) そうではございません。いまのようなものに該当しますのは、先ほど営業局長から〇・二%ということを申し上げました。ですから、大体月に三百億あるわけでございますから、その〇・二%の六千万円でございますか、これが先生のおっしゃる、いわゆる滞納をしてとめられた金額は、大体その程度のものであろうと推測いたします。
  301. 千代健

    説明員(千代健君) 先ほどの先生にお答えをいま経理局長からいたしておったのでありますが、私どもが請求書を発送申し上げて、支払い期日がまいりまして、大体それまでに電話料の五一%の方は、お支払いを終わっておられるわけであります。それで、支払い期日の翌日から数えて二十日間、こういうのが先ほど申し上げました、いわゆる冷たいと言われました通話停止という、そこへいきますと、月々によって違いますが、五一%のものが九九・九%ないし九九・七%に、そこまで入る。そこからあと、さらに督促状を出したり、これまた十日間の猶予、それからまたあと二十日間、聴聞とか、いろいろお話ししたり、こういうものをやっているうちに、ずっといきまして、普通の状態では全部ちょうだいできることになっております。これは通話停止のままでございます。ところが、中にそうでないような変則なお客さまがございまして、どこかへ逃げちゃったという、いろいろなものが、数ある中でございますから、ございまして、そういうのは契約解除という、これが焦げつきで残りますけれども、この額はきわめて僅少でございます。これについても加入者でなくなられた方であっても、私どもは繰り返し督促を申し上げて、支払いを願っている、こういうわけでございます。
  302. 藤田進

    ○藤田進君 これは常識的に考えれば、倒産など多い時期ですから、一がいには言えないけれども、通常の場合は、案外住宅用といったような、電話の加入者といったような人が多いので、かなり大口の会社などでは、焦げつきはむろんのこと、あまり滞納ということはないのじゃないか。案外、この焦げつきとか、あるいは滞納——電話をとめるというのは、まあ零細というか、電話一つぐらい入っているといったような層の人たちのほうが、私の調査では多いのです。東京都内その他調べてみて。
  303. 千代健

    説明員(千代健君) 件数としては、ただいま小口のほうと申しますか、こういったのが、通話停止にする場合の件数は、比較的多うございます。ただ、大口のほうで、経済的、経営的事情の問題等で、先ほどお話がございました倒産とかいうな問題になりますが、この焦げつきというのは非常に金額としては大きな場合が多うございます。全体的に見て、そういった統計を私どもとっておりませんので、住宅等は滞納数が少ないのじゃないか、多いのじゃないか、ということに、明快にお答えできないのが残念でございますが、そういったところは、通話停止ということになれば、すぐお納めになるというようなところが多うございまして、実際上電話の契約を解除するというようなところまでいきます場合には、いわゆる倒産の場合等の事例が多うございます。
  304. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、この焦げつきというものについては、幾ばくかあるわけですね。さっき言われた五千九百万というのは、これはもう回収不能というものに相当するわけですか。大体過去の実績から見て、一年度間に。
  305. 千代健

    説明員(千代健君) 電話料金に関します限りは、先ほどの五千九百万円に該当するもので滞納になるというのは、そう多くはございません。全部が全部焦げつきになってしまうのではない。通話停止後にお払い込みになって、通話停止を解くというような事例は相当ございますので、全部が全部通話停止後は焦げつきになるというようなものではございません。
  306. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、幾ばくかはあるのだろうが、焦げつきがある場合は、電話そのものを担保かなんか処理するようになっているのですかね。加入を解除するといったことになるのですか。
  307. 千代健

    説明員(千代健君) 公社といたしましては、通話停止、督促状、聴聞とか、いろいろ手続がございまして、支払い期日以後七十日目がまいった場合に契約を解除するという方法をとっています。ただ、この七十日が厳守されておるかどうかという問題でございます。この場合には、非常に弾力をもちまして、督促をする場合は便宜をはかっておる事例が多うございます。もちろん、倒産した会社等では別でございますけれども、そういった事例でございます。ただ、大都市の内部等では、そういった場合に、やはり個人あるいは会社になります場合には、すでにこの電話は人手に渡ってしまうというような事例が多うございまして、また、滞納等の場合、すでに税務署から差し押えられていますけれども、あるいは加入者である企業が清算法人になって、それを清算人が管理していて、われわれもその中へ債権者として入っていくというような場合もございます。私どものほうでとっております方法は、契約解除という方法だけでございます。
  308. 藤田進

    ○藤田進君 そういうことになれば、あれも所有権でしょうから、倒産したような場合の他に譲渡するということになった際に、電話局の窓口で、滞納が幾ばくあるといったところで、その電話の名義変更には何らの関係はないということになるのですか、これは。
  309. 千代健

    説明員(千代健君) そのとおりでございます。
  310. 藤田進

    ○藤田進君 それから、最近だいぶおやりになっていますが、町で、諸外国では地下ケーブルが、電気にしても——電話が非常に多いよりなんですが、共同して、あれは、今後の計画としてはどうなります。かなり各都市で進めていくのですか、どうなんです。
  311. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) この問題は、戦後から共架を進める方針で逐次やっております。ただいまのところは逐次進めておりまして、今後も可能な限り進めていくつもりでおります。
  312. 藤田進

    ○藤田進君 新加入者で電柱を何本か立てると、おたくのほうの。その場合、強電のほうは左側へ立てている。そこで、電話のほうは右側に立てる。道路建築基準法の四メーターにも足りない。昔の二間道路、三メートル八十とか、そういうところに両方立てて、掘って立てるのに、側溝のきわよりもかなり中へ入って、三十センチも四十センチも入って立てておる。私、午前中も河野さんに話したのですが、憲法の改正とか、あるいは中共の国連加盟とか、そんなことも大切だが、国民は日常の交通の便とか、そういったものは身にしみて感じていますが、ああいうところは、そういう御方針があるならば、現地は調査されるようだし、既設の強電のほうと共架されてよさそうなんだが、あれはどういうものですか。かといって、ときに街灯があるといったようなもので、ちょっとハトがとまっているようにくっつけたというようなことをおやりになっているわけですね。新しく、そういうケースはかなりあると思うし、そういうときにこそ、もう共架されたほうがよさそうに思うのですが、国家資源から見ても、最近コンクリートの電柱もかなり多くなりましたけれども、必ずしも、見ていきまして、どうもそういう方針というのがないのか、ばらばらにおやりになっておると思うのです。素朴にわれわれ日常見まして。どうなんですか、あれは。
  313. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) お話ごもっともでございます。それで、これは電力会社といろいろ、相手側との協議によって進めておるわけでございますが、大体協議の基本原則は、私どものほうの柱に相手方のほうを乗せる場合と、相手方のほうの柱に私どもの線を乗せる場合と、それが大体半々になるようなことで協議をしよう、こういう原則になっておりまして、その線で協議を進めておるわけです。それから一方、簡単に乗せるというわけにも技術的にまいりませんで、やはり、どちらにしましても、乗せる場合には、電柱は相当長尺のものに立てかえなければならぬ場合が多うございますので、その事柄を現実に進めていくということにつきましては、ギャップがございまして、お説のように急速に進行しないような実態だということを御了解いただきたいと思います。
  314. 藤田進

    ○藤田進君 これは、相互に料金、架設費なんというのは出しているのですか。そうではなしに、それはお話し合いだけで、使用料といって、電柱の、あるいはおたくのほうに電気会社のをつけるという場合は、あれは料金関係はないのですか。
  315. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) 私どものほうが相手方に電線を架設していただきます場合には、私どもが使用料を払いますし、向こうさんがこちら側に乗ってくる場合には、こちらが使用料をいただくということに基本原則はなっておりまして、先ほど申しました半々というのは、大体出し入れないようなぐあいに持っていこうじゃないかという考え方でございますけれども、現実には差がございますので、もちろんこれはやり取りをしておる次第でございます。
  316. 藤田進

    ○藤田進君 これは、公社と電気会社と違うのですから、やむを得ないと思いますが、つけたからといって、その電柱の耐久度が変わるわけでもないだろうし、するのですが、半々といってみても、新しく団地——大げさでなくても、家を建てますと、電気はイの一番に入れますよ。それからあと、電話というケースが多いです。ですから、まず電柱が立って、それからあとは電話が入るということが多いのですが、私どもが目撃していても、そうして半半にという原則はあるけれども、そんなことにこだわらずに、公益事業として双方がおやりになれば、四メートルの道路で両わきに電柱を立てられて、そうして電気のほうにも私は申し上げておりますが、お店の入り口はちょっとくらい、電柱間のスパンは多少変わったってよさそうなものだけれども、一メートルか二メートルか、入り口のまん前につけてしまって、あとから言うと移転料を出せとか、ああいうのが多いのですね。あれは総裁が一々指図もできないだろうが、ちゃんと機構があるのだろうから、多少弾力的におやりになったらいいと思うが、どうも電話というのは弾力性がないと思いますがね。私は、ずいぶんあっちこっちで苦情を——やはり議員ですから、皆さんもそうでしょうけれども、受けるのに、移転を言ったが、移転料をえらいたくさんくれというので、どうにもならぬ、立てるときにも言ったのだけれども、スパンがどうだとかこうだとかいって、掘って立てて帰ってしまいましたというのですね。これは電気にもあります。それから特に電話では、なかなか一ぺん立てますと、動かしませんな。そうして移転料というのがかなり大きいですね。あれは、ごくわずかなこと、一メートルか二メートル動かせば、お店の戸袋の所になるか、少なくとも出入り口のところにならないのにもかかわらず、立ててやる。だれが見ても、電柱がカーブしているわけでもないのだし、どうして、もうちょっとこっちへ寄せて立ててやれないのかといって、電電公社のほうへ電話して話してみると、末端へ電話してくれますけれども、あそこはむずかしいのです、あそこを動かすと、どこもかしこも動かすということになりますから——こういうことは、どこでも、できる例があれば、数をなくしてやらなければいけないのじゃないか。そもそも立てるときに思うのですが、施設局長、これからは、ああいうときは気をつけてやってもらいたいと思うのです。したがって、強電のほうと共架と言うのですか、そういうものも、あまりこだわらずに進める。電気会社のほうも、電気事業でありますから、私はやはり公益事業としてそのなわ張りは考えないでおやりになればいいと思いますので、ひとつそのように進めていただきたいが、いかがですか。
  317. 橋本一郎

    説明員(橋本一郎君) お話の第一点の共架の問題も、半々ということではなくて、もっと融通性を持てというお話でございますが、お話にありましたように、どうしても私どものほうがおくれて架設を必要とするような次第でありますので、半々という原則ではやはり進みがおそうございます。それで、いま各通信局に対しまして、もう少し、半々以上にこちらのほうから共架できるようにという指導はやっておりまして、この効果はまだ的確に把握しておりません。  それから、移転につきましては、あまりでたらめなスパンというわけにもまいりませんけれども、非常識にわたるようなことにはならぬようにということは注意をさしておるのでございますが、何ぶん大ぜいのことでございますので、あるいは事実非常識な場合も出ておるかと思いますが、指導としましては、多少のことはきちんとしたことをしなければいけないということを申しております。
  318. 藤田進

    ○藤田進君 まあ、身近な不満があるのをここで申し上げて是正してもらう意味で申し上げるのですが、最近、局が漸次新設されていきますから、電話局番の変わるのは、これはやむを得ないと思うのですが、ところが、加入者としては非常な迷惑がありますね。皆さんも経験しておられるでしょうが、まず第一、二つの困ることがあるのです。これは、かけてみれば局番が違いますとかなんとか言いますね。かけてみると。しからば何番だと言わないものですから困るのです。議員さんなんか、最近かなり、新局の関係でしょう、われわれお互い、電話がかくかく変わりましたという通知を出す。議員なんか特にそうですが、選挙区へ、これは多い人だったら一万枚くらい出すようですよ。どうしても五、六万かかっちゃうのです。その通知を出すからといって、郵務局のほうが切手を張らなくてもいいと言わないものですから。(笑声)しかし、これを出さないと、選挙区から来て、電話をかけたけれども、どうも局が何か言っていたけれどもわからなかったとか、お店とか何かでもそうです。それから、局番が昔のままで、たまたまダイヤルが同じような場合、夜の夜ながでも、特に飲食店にあった電話などが関係しますと、夜の夜なかに、寒いのに出ていってみると、やあ何々ですかと言うのだけれども、いや違いますよ、しまいにはおこりたくもなるですね。しょっちゅうです。何かPRというか、局番の変わった場合、電話帳を見ればわかるんでしょうけれども、救済する方法はないものだろうかと。これは、かなりあれで迷惑しています。新局の関係、それから臨時電話をつけていたものが恒久の電話になったので、持ち主が変わると、間違った電話のかかり方がひどい。あるいは局番自身が変わって、かなり広範に迷惑しているのですよ。PRの方法はないものですか、もっと。営業局長は。
  319. 千代健

    説明員(千代健君) 先生のただいまのお話、私自身も、ごく最近、身にしみて感じておるわけでございまして、現在私どもがとっておりますPRの方法は、局番が変わりますというようなことをテレビでもスポットに出したり、それから新聞に出す場合、それから補助番号簿と称しまして、変わられた番号簿の追加表みたいなものをつくりましてお配りいたしておりますが、これではなかなか周知の徹底を期するということは困難でございます。かりに、そのときに全部の番号簿をあらためて出したといたしましても、なかなかこれは周知の徹底は——形式上、こちらの申し開きにはなるかもしれませんが、なかなか不便を払拭するということはできないわけでございます。いま、この問題は、先般来、私どものほうで、番号簿のやり方というものをいろいろと掘り下げて考えているわけでございますが、日本が世界じゅうで一番困っておって、これは局番の変更というものと、それから多くの場合に番号の変更がございます。それから、こういった建設が非常に大幅に進んでおるものでございますから、そういった点が世界的に一番大きいものですから、その点が一点と。いま一つは、先ほどちょっと御答弁の中で申し上げましたように、いわゆる加入権の譲渡という件数が相当数に及んでおります。東京あたり、十万、十数万あり、このことで二つの要素があります。第一の要素は世界的——これは程度の問題でございますけれども相当大幅に込んでいる。次の問題は、日本と台湾その他アジアの数九国だけにあるような電話慣行でございますので、この点で非常に困りまして、研究しておりますが、これはといったきめ手がございませんで、何しろいろいろな方法で周知させようということで、先ほど申し上げましたのは一例を申し上げたのですが、テレビとかその他いろいろありますが、なかなか徹底を期しがたいということで、私どもも非常に不本意でございますが、なお努力を重ねまして、いろいろな方法を使いまして、いい方法をつかみ出したい。これは一つの一本勝負でぱんとやる方法は、とうていあるとは思いませんが、幾つかのやり方をやって徹底を期したい、こういうぐあいにいま勉強さしてもらっている途中でございます。しばらく御猶予願いたいと思います。
  320. 藤田進

    ○藤田進君 電話帳のほうは、ここ数年ですが、私が指摘したし、同姓同名の場合は非常に間違ってかかって、いま職業をカッコしておられまして、われわれも被害者だったのですが、これは電話帳に関する限りよくなりました。  それで、局が新局に変わって、局番切りかえというときには、はがき一本で、少し余裕があって通知されるようですが、加入者には……。あれは、最小限度、変更通知を出さなければならぬときは、ひとつ郵便局あたりと交渉されて、話し合って、切手を張らなくても出せるということをおやりになったらどうですか。サービスの一つですよ。これは、加入者のほうにおける原因、要因じゃないのですね。議員さんだってみな言っておりますよ。議員だけでなく、商店なんかもそうですが、取るほうだけは、まかり間違えば切ってしまうということならば、わがほうの理由でない、そういう新局などの変更ならば、やはり郵便局と交渉されて、スタンプをどんどんたたけばよい程度にするくらいのことを考えられたらどうですか。これから、かなり電話がふえるでしょうから、そういうケースが多いと思う。そういう出すほうのことは一向に考えておりませんか。それくらい考えなければ困るですよ。総裁どうですか。
  321. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) これはごもっともと思いますが、なかなか私のほうも、このごろ減収でだいぶ困っておりますから、ついそこまで手が伸びておりませんので、はなはだ恐縮いたしております。何かいい方法があったらばと、始終研究はいたしておりますけれども、何かいい名案があったら教えていただきたいと思います。
  322. 藤田進

    ○藤田進君 それから、最近町村——村は少なくなりまして、町に合併して、町で交換台を持って、町内に電話をつけようという傾向がかなり出てきております。これは、町内だけで——聞くところによると、市外というか、局以外にかける場合とかなり事情が違うのだそうです。これは、申請があれば、設備等は一切その町当局が中心になって組合をつくるなりして、それぞれの町内の加入者を募集して工事をなさるようですが、これは、その認可というのはむずかしいのですか。
  323. 千代健

    説明員(千代健君) いまの御質問、私ども、こういうぐあいに推定してよろしゅうございましょうか。よく地域団体加入と申しまして、農村などで、組合をつくって、それで加入の局から離れたところで一つの交換台を置いておやりになる、こういった場合であるとか、あるいはまた、一月一日からやっております有線放送との接続の問題、こういった問題であるのか、あるいはまた市町村合併をやりまして、二つなら二つ電話の交換機を置く郵便局がある、これを一つにせい、こういったお話ですか、どういう……。
  324. 藤田進

    ○藤田進君 なかなか私も、ややっこしい——有線放送に電話をつなぐということは、議論になったので、すぐ頭にはいったのです。過去国会でだいぶ議論になった。いま申し上げるのは、それとは違って、ぼくもいろいろ聞いてようやく理解いったのは、かりに、丸ビルならば丸ビルにおたくのほうの電話を何本かとって、丸ビルの中で交換台を持って、内線の形で、国会でもそうですが、やっていますね。いわば、ああいう形のものをつくりたい、そういう制度があるというのです。そこで、じゃ局の外に通話するという場合が出てくるので、それになると非常にむずかしいというのです、そういうシステムの。詳しい人に聞いてみても、どうも頭にこないらしいのだけれども、しかし、現実に申請しているようですよ。
  325. 平山温

    説明員平山温君) 先生の御質問の趣旨、的確につかみかねますけれども、私ども、いま電話でやっておりますやり方は、電電公社が大きな都市では直轄局でやっておりますし、地方町村では、郵政省のほうへ委託して、御承知のように、郵便局に交換機を置いて交換をやっております。それから、いまお話のありましたビルの中におきましては、私設電話、私どもPBXと申しておりますが、これは、公社が直接中の電話をやっております場合と、それからその一つのビルの加入者が直接おやりになっている場合と、二いろございます。しかし、その場合でも、たてまえといたしましては、その一つの会社なら会社だけの交換はその会社のほうでおやりになる、あるいは設備をお持ちになるという例があります。不特定多数の方が公社以外の設備を使って通話をされるという例は原則としてないのでございます。それで、ややそれに類したものはどんなものかと申しますと、先ほどちょっと話がありました有線放送電話は、これは放送を目的としたもので、ついでに電話をやるということで、ある小さな農村の地域社会に限って、公社以外の有線放送の施設者の方がやっていらっしゃいます。その施設者の中には、市町村の場合もございますし、農協等もございます。その電話は、もともと公社とはつなぐことはできなかったのでございますが、この前の国会で、ある一定の条件に合致するものについては公社とつなぐ道も開かれたのでございます。そのほかに、いなかにおきましては、先ほどの公社直営の電話、あるいは郵便局の電話以外に、地域団体加入と申しまして、主として公社の電話局のほうからだいぶ離れたところ、郵便局から離れた、私ども一区域外と申しておりますが、区域外の地域におきましては、その何名かの方が組合をつくって、そして交換機を設置されてやっていらっしゃる。これは区域外でございますが、地域団体加入という制度で、それは、公社以外の設備でやっていただいている例はあるわけでございます。それから、ちょっとお話が出ておりましたが、農村というお話だから違うと思いますが、都会の付近の団地等において試行的に団地の方々が組合をつくって、公社以外の設備でおやりになっている例もございますが、このほうは、近く、公社の直営の電話で、公社が直接今度は団地のほうも普及につとめるようにいたしたいと思っておるわけでございます。いまありますのは、大体そんな種類なものでございますので、先生のおっしゃいますように、市町村が、いなかにおいて設備をおつくりになって一般の電話をおやりになっているという例は、ちょっと私どもわかりかねますので、はっきりしたお答えができないわけでございます。
  326. 藤田進

    ○藤田進君 具体的に言うと、こういう町がありますね。郵便局よりは一キロぐらい離れている役場がある、町役場が。その町役場の付近に、別に建物を、そのために交換室を建てて、これに公社の電話を何本か入れる、その入ったものは、局外の通話もしていきたい。それから、この中は、交換でもって、加入した町民七、八割ぐらい入るのだそうですが、最初二、三万からかかるのだとか言っている。それに交換してやりたいという申請をしている。これは団体加入ですか。
  327. 平山温

    説明員平山温君) お答え申し上げます。  いま先生おっしゃいましたのは、先ほど私が申しました地域団体加入電話という種類でなかろうかと存じます。これは、いなかにおきまして、公社、または郵政省にお願いしている郵便局と離れたところに別に交換機を置きまして、その地域の方が何名か寄って、そこでその交換機を通して、通話をされる。また、その交換機を通して公社線のほうへも通話をされると、こういうものはございますので、あるいはそのことではなかろうかと思います。そういうことでございましたらば、従来とも例はございます。
  328. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、その場合は、その域内の施設は、電柱、電線から、一切当該団体が持つ、そうして通話料などの徴収はどういうふうになります。交換の中、町内の。
  329. 千代健

    説明員(千代健君) いま、地域団体加入の場合でございますと、交換機、電線、電柱、電話機、その設備を当該組合でお持ちになる場合、それから公社自体が公社直営でやっているものと、二種類ございまして、前者の、当該組合でお持ちになる例も、全国五つか六つ、ごく少数でございます。むしろ、このほうはふえていっておらないという現状でございますので、公社のほうで直営いたしまして、その料金のほうは、組合の代表者が取り集めいただいて、一括納入していただく。こういう仕組みでございます。
  330. 藤田進

    ○藤田進君 それは、申請がかなり多くある場合、自費でやるということになれば、かなりイージーに許可されるのですか。それから、公社持ちということになれば、これは予算関係で……。
  331. 千代健

    説明員(千代健君) 公社の場合に、今年度で百三十カ所程度やっておるようでございますが、このほうは、大体全国からのお申し込みに大体応じておるつもりでございます。それから自営でやられるほうの場合は、これはもっとイージーなわけでございます。ただ、この地域団体加入と称するものが、交換台についている交換手というものが、自分らで拠出された金でお雇いになっておる。こういった不便がございますので、特に非常に大きな局ですと、まだよろしゅうございますが、大体の場合、交換台は二席とか三席とかいうようなものでございまして、かりに二席の場合でも六名ぐらいの人は要りますけれども、その人件費が相当増高しつつあるという現段階、それから、どういったところでも、なかなかその人が得られないという——六人ぐらいでございますと、ちょっと一人かぜで休暇をとるというような場合には、そこに、その中の、たいした忙しい電話じゃございませんけれども、勤務状態が変わり、かりに六人のうち二人インフルエンザで倒れたというような場合には、ちょっと交換ができにくいというような状態に立ち至るおそれがございます。そういったようなことで、その組合を形成しておられる母体がしっかりした——市町村とか、あるいは農協とか、しっかりした母体の場合には、そういった心配があまりありませんけれども、そこいらでお集まりになって、どなたかのお世話でやると、最初は調子よかったけれども、始めてみたら、どうもぐあいが悪いということで、何とかいい方法はないかといって私どものほうに助言を求めに来られまして、電話局から行って、こういうふうにしたら能率的にいくのじゃないか、夜寝るときは、交換台の横に、もう少ししっかりしたベッドを置いて、そこにおれば、やすんでいるうちにもベルが鳴れば聞こえるじゃないかと、いろいろな御指導を申し上げておりますが、そういった弱小のところでは相当不便でございます。それだけ急激な需要というものは、いまのところ出にくいのじゃないか、こう思っております。したがって、もちろん場所にもよりますけれども、いろいろな御心配があった場合には、比較的容易につけて需要に応じておる、こういう状態でございます。
  332. 田中啓一

    主査田中啓一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  333. 田中啓一

    主査田中啓一君) それじゃ速記をつけて。
  334. 藤田進

    ○藤田進君 いま電話関係でいろいろお尋ねしていたのですが、電話の経営も、総裁の話ではあまり楽じゃないと、こう言われる。電話料金については、先般長距離電話についても、三分おきとかいったことでなしに変更されたように思うのです。これについて、事業収入にどう響いたかわかりませんが、電話料金改定という予定があるのかないのか、郵政大臣に伺いたい。
  335. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私の承知しておりますところでは、先般の料金改定以後、その直後において、収入がだいぶ予定より減っておったようであります。しかし、ことしに入って、まあ最近はそれほどではなくて、だんだんもとにもどって、おそらく予定の収入額は得られるようなふうではなかろうかと思っております。したがって、改定もやってまだ間もないことでありまするので、この際私としては料金改定は、いまのところ考えておりません。
  336. 藤田進

    ○藤田進君 総裁いかがですか。まあ三十九年度は別として、四十年度以降。
  337. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 先ほど大臣からもお話がありましたとおり、一昨年の国会で料金の改定をやっていただいたわけであります。これは、何というか、値上げの改定ではなくて、合理化ということで、いままで不合理だった面を是正して、できるだけ合理的な料金に改定したわけであります。その場合には、減収をむしろ覚悟してある程度やったのでございます。ところが、やった時期が悪かったせいでありますか、ちょうどたまたま不景気であったことと相まちまして、さきに減収を覚悟しておった以上の減収になったわけであります。したがいまして、三十七年度におきましては、予算に比べまして百三十三億という実は減収でございました。ところが、その後幾らか持ち返しまして、三十八年度では、現在のところ、それでも一やはり三十億以上の減収になっております。まあ、この状態で徐々に回復してきますれば、まず三十九年度ではもっとも、これは収入の見込みの相違にもなりますけれども、最近の実情に応じて三十九年度の収入見込みも立てたものでありますから、たぶん三十九年度では、いまの予算考えております程度、とんとんぐらいの収入になるだろうとは考えておりますけれども、まだ多少私どもとしては不安を残しておるような状態でございます。しかし、さりとて、この際すぐ値上げの改定をやろうとは考えておりません。  ただしかし、特にこの際申し上げておきたいと思いますのは、電信の収入でございますが、これは実は、電信だけをとってみますと、非常な減収でございまして、おそらく収入の約三倍の経費が実はかかっておるわけなのでございます。まあ、いわば、簡単に申しますと、原価の三分の一ぐらいの収入しか実はいただいていないのでございまして、たまたま、一方の電話のほうの収入がわりあいよかったものですから、今日までその減収をカバーしてやってきたのでありますが、電信だけを考えますと、将来適当な機会に、これはもう少し合理化する必要があるのじゃないかと、かように考えております。
  338. 藤田進

    ○藤田進君 これはまあ、郵政大臣には電話料金と申し上げたわけですから、聞かないことはお答えないということだろうが、総裁のほうは、一応正直に、関連していることですからね。三分の一——これは電信のほうはいかがなんですか。いま総裁のお気持ちはわかりましたが。
  339. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) しいて電話だけを申したわけでないのですが、まあ、電信のほうはほとんど周知のことであろうと思いますが、ずっと長く赤字を続けております。おそらく、これは日本だけの現象でもなく、世界各国において、やはり電信のほうは電話のようには経営がうまくいかない、赤字を出しておるような事業が多いのではないかと考えておりますが、これも、赤字の額が比較的少ない場合には、電話のほうの収入をもってカバーをしていく、今日までそういう方法でやってこられたわけであります。しかし、今後の電信の事業運営については、ただいま公社総裁からお話があったように、必ずしも楽観は許さないということであってみれば、この電信の料金については、やはり今後検討をせねばならない一つの課題ではなかろうか、こう考えております。しかしながら、ごく最近の、この一年とか、そういう近い将来において電信の料金を値上げするということは、私ども政府方針といたしましても、これは困ると、こう考えております。
  340. 藤田進

    ○藤田進君 まあこれ、電電公社だけではなかなかむずかしいようでありますから、郵政大臣にお伺いしますが、先ほど来質疑を続けた中で、ぜひお伺いしておきたいと思うのは、新局が次々最近できております。したがって、電話の局番が変わってくる。変わってくれば、商店なり当該加入者としては、必要最小限の、変更したという連絡をする必要に迫られてくる。そういう場合に、これは加入者の責任、原因ではなしに、電電公社の都合であり、かつ新加入者がむしろ原因でしょう、新加入者がだんだんふえていくし、ということで新しい局ができるわけですから。ですから、既設の加入者としては何ら関係のないのに、そういったことで、かなり多額の負担をしなきやならなくなってきておる。とすれば、これは、一応標準を持たれてもいいし、職業別に基準を持たれてもいいが、まあ千枚とか二千枚とか五千枚とか、そういったはがき程度のものは、郵便局で、電電公社に相談されて、どういうふうにするか、原価だけでひとついこうかとか、その程度のことは、これは当然考えなければサービスにならぬと思う。あまりにも機械的なように思う。これはまあ大臣も局番が変われば経験されますが、どうもほっておけないことで、通知をせざるを得ない。これは、郵政省との関係において、電電公社に全部負担せいといっても——どっちでもかまわない、加入者としては。何か、そのくらいのことはしてほしいという声が非常に強いのです。御検討をいただきたい。
  341. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) これはなかなかむずかしい問題で、実は私も、具体的にいままでこの問題を取り上げて検討いたしたこともないのでありますが、しかし、いまお話を伺えば、いかにももっともな点もあると思います。ただ、一面において、これは理屈を申し上げるわけではありませんけれども、これまでの加入者にとっても、新加入者がふえるということは、必ずしもプラスのないわけではなく、したがって、新規に加入者ができたから、それだけの損害を受けるというわけにもなりますけれども、従来、十人の相手方の電話があったというところに、今度それが二十人にふえれば、従来持っておった加入者の電話のその効用率というものは確かにふえるわけですから、その点においては、現在の加入者においても大きにプラスになる点はある、こういうことはいなめないと存じます。しかし、そうかといって、番号が、自分のせいでなく、局の都合によって変えられた、これを通知する場合にはどうしたらいいかという問題になりますると、ちょっとこれは一がいに、どこがその費用を負担するかということの決定はむずかしいと思いまするが、一つの問題として、研究はしてみたいと思います。
  342. 藤田進

    ○藤田進君 これは、まあお互いに議員で、言うのも変ですけれども、加入者なんかからよく聞くのは、選挙のときには背番号だということでもって出ても、あれは一万数千あるのじゃないですか。無料の選挙用のはがきを出す。しかし、こういうときには何もない。電話局から、何月何日から変わりますという通知だけもらった加入者としては、さらにこれを通知しなければならぬ。一方において、選挙はがきなんというのは、かなり出ているのじゃないかと言うのです。だから、やはり世の治めとしては、考えなければならぬ問題だと私は思うので、検討していただきたい。  最後に、きのうアメリカとの同時テレビ放送をおやりになりまして、そのあとの座談会等も聞かしていただきましたが、オリンピックを控えて、まだ確定をしていないように言われておりましたがむしろフィルムを飛行機で運搬したほうが、時間的な関係で、時差がありますから、というようなお話をしておられたようです、が、これはけさの新聞を見ると、この前打ち上げたテルスター一号ですか、これがタイム・スイッチが故障で、案外使えるのじゃないかというようなことを言っておったようですが、不確定のようなものですが、一つの意義として、これを打ち上げを要求というか、お願いするか、これは欧州に対しても言えることでしょうから、この点については、どういう方針でございますか。オリンピックの報道関係の一環として、いまの人工衛星による同時放送ということを目途にこれから折衝を進めていこうというかまえなのか、あるいは向こうの自主性にまかせて、こちらは言わないというのか、お説のようにフィルムを輸送したほうがいいということなのか、ゆうべは、あなたはそういわれていられたようです。どうされますか。
  343. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) それでは、この機会に、簡単にいままでの経過なり、あるいは考え方を申し上げてみたいと思います。  ことしの秋に東京でオリンピックの大会が開かれるということは、アジアにおける最初のことでもあり、日本にとりましても、まさに歴史的な行事であろうと存じます。したがって、このオリンピックの実況を、しかも最近においてこの実験に成功することができた宇宙通信衛星を利用して、アメリカ並びにヨーロッパその他の各地に送って、世界各国民の皆さんに見ていただくということができるならば非常に喜ばしいことではなかろうか、こういうような考えから出発いたしまして、何とか成功するようにならぬものか、こういうふうに考えておった次第でございます。ところが、日本の力におきましては、通信衛生も持っておりませんし、また、これを打ち上げる設備ないしは資金もないという次第でありますから、どうしてもこれをやり遂げるには、アメリカに十分理解をしてもらって、これは絶対にアメリカの協力がなければできない仕事でございます。  そこで、ちょうどこの一月に、日米貿易経済合同委員会が開かれました際に、ラスク国務長官が来られました。そこで私は、その閣僚のメンバーではありませんでしたが、特に外務大臣にお願いをしまして、その委員会の際にラスク長官に協力をお願いしてほしいということを申し入れたわけであります。そこで、外務大臣からラスク国務長官にその話をしてもらいました。ところが、趣旨においては賛成である、まあ技術面その他の詳しいことは自分もよくわからない、もしできるならば、そういう日本の要望にも沿いたい、というふうな意味の話があったそうでございます。  そこで、私どもとしては、昨年十一月二十三日に、アメリカから日本に送られてきたのをキャッチして国内の皆さまにお目にかけた、あの受信の実験において非常な成功をおさめましたが、それ以前からアメリカにおいて実際この仕事をやっておりまするNASA、いわゆる航空宇宙局とは常に連絡がございますので、郵政大臣名をもって、NASAの長官にあてて特に依頼をいたしたわけであります。NASAのほうでも非常に好意的にこれを受け取って、種々検討をしてもらっておったわけでありまするが、三月の上旬に参りました向こうの電報によると、大体三つのことがございました。その一つは、今日NASAとしては、このオリンピックを中継してアメリカに送るという実験をいたすだけの予算がない、その点は、予算上NASAとしては非常に困難であるということが一つ。それからその次には、この問題の資金の調達について、目下アメリカにおける関係諸機関の間で積極的に協議が続けられておるということ、それから第三としましては、それらの問題が解決するならば、技術的にはNASAは積極的に協力をしたい、こういう、およそ三つの項目が重点でありましたが、そういう返事が参りました。そこで、私のほうとしましては、折り返し、ぜひその線で御協力を願いたいということをさらに要請をいたした次第でございます。  その後、いろいろ非公式の情報は受け取っておりますけれども、NASAからの公文としては、それ以上のものはまだ来ておりません。現在は、そういうふうな事情でありますが、そこで、この利用できる衛星として、現在上がっているリレー二号、あるいはテルスターは利用できるかといいますと、技術者の意見によりますと、ちょうど十月ごろは、軌道の状況が非常に悪くて、オリンピックの実況を送るには非常に不適当な位置にある、こういう話であります。また、シンコム衛星は、現在大西洋上に上がっておりますが、太平洋のほうには予定の計画はあるとは聞いておりまするけれども、まだそれをオリンピックの中継のために利用し得るやいなやということは不確定な状態にあります。したがって、今後考えられることは、新たに、そのときにちょうど適当な軌道にめぐってくるようなリレーまたはテルスターを、新しく上げてもらうか、あるいはまた、近く上げられるであろうと予想されるシンコムを、ちょうど適当な位置に打ち上げてもらって、これを利用するか、かようなことが技術的には考えられると思います。まあ、それらについては、いずれも多額の経費を要するわけでありまするから、もしもそのうちの経費の一部でも日本に負担したらどうかというような話でもあれば、そういう話に基づいて、こちらも検討してみたいと思いますが、いまのところ、何らそういうふうな具体的な経費分担の話は来ておりませんので、こちらとしても、ちょっと考えようがないという段階でございます。  さらに、昨晩もちょっと話をしておいたのですが、リレー及びテルスターは、地球に比較的近いのでありますけれども、そのために、映像も、昨晩ごらんいただいたように、相当鮮明に、音声とともに出るわけでありますが、ただ、中継する時間が非常に短い、まあ十五分とか二十分とかいう、きわめて限られた時間でございます。さらに、アメリカと日本の時間を比較してみましても、ちょうど昨晩九時三十二分にこちらから送りましたのが、ワシントンでは朝の七時三十二分である、こういうことで、その時差の関係が、やはりオリンピックの問題についても大きな影響を持つであろうと考えます。かれこれ考えてみますると、結局、シンコム衛星を使えば、これは静止の状態に大体ありますから、比較的長い時間利用できるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。ところが、シンコムにも難点があるようでありまして、これは、リレー並びにテルスターよりは、よほど地球から離れて高度のところに打ち上げられまするために、そこへ電波を送る時間がやはり多少よけいかかる、またその映像も、リレーあるいはテルスターに比べますると、どうしても不鮮明になるであろうと、こういうことを技術者の諸君が言っておられます。  大体今日は、さような状況でございまして、何とか、たとい短時間でも、実況を送ることができるということになれば、一つの記念すべき事柄として、やはり歴史に残ることであろうと考えますが、その費用の分担というような問題も将来出てくるでありましょうから、かれこれにらみ合わせながら善処してまいりたいと、こう考えている次第であります。
  344. 藤田進

    ○藤田進君 いろいろあるようですが、どれくらいかかるのですか、ドルで。向こうでやってくれるのでしょうが、やるとすれば、打ち上げ、維持してゆくために。
  345. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) その費用の点につきましても、まだはっきりした金額はわかっておりません。五百万ドルという人もあれば、六百万ドルという人もあり、その情報によって、いろいろ金額にも差があるものですから、はっきりしたものは、まだつかんでおらぬという現状でございます。
  346. 藤田進

    ○藤田進君 いろいろ、経過なり現状を話されましたが、オリンピックには、郵政大臣としては、これを使うべく努力をして、その結果どうなるか、いろいろ複雑な要素があるのですから、時差の問題とか、いろいろですね。しかし、郵政大臣としては、結論的に、オリンピックの同時放送に使いたい、したがって、その線で努力をするということなのか、その点が不明確なものですから。
  347. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) これは、率直に言いまして、すべてアメリカにたよって、向こうの協力を全面的に得るという必要がありますので、向こうの関心の程度、また、協力しようという意思の程度によって、これはおのずからきまっていくと思いますが、私としましては、できるだけ少ない日本の負担において、そうして、できるだけ効果のあるような放送ができれば非常に望ましいことであると、こういう考えのもとに、今後も十分努力をしてまいるつもりでおります。
  348. 田中啓一

    主査田中啓一君) ほかに御質問はございませんか。——以上をもちまして、郵政省関係の質問は終了したと認めます。本分科会に付託せられました事項に関する質疑は終了いたし、したがって、これをもって審議を終了いたします。  なお、予算委員会における主査の口頭報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、議異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  349. 田中啓一

    主査田中啓一君) 御異議ないと認めまして、さよう取り計らいます。  それでは、これにて散会いたします。   午後五時三十六分散会    ————————