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1964-04-24 第46回国会 参議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十四日(金曜日)    午前十時十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十九号   昭和三十九年四月二十四日    午前十時開議  第一 土地収用法等の一部を改正   する法律案趣旨説明)  第二 林業基本法案(閣法第一五   一号)及び森林基本法案趣旨説   明)  第三 女子教育職員出産に際し   ての補助教育職員確保に関す   る法律の一部を改正する法律案   (文教委員長提出)  第四 保健所において執行される   事業等に伴う経理事務合理化   に関する特別措置法案内閣提   出)  第五 刑事補償法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第六 特許法等の一部を改正する   法律案内閣提出)  第七 保安林整備臨時措置法の   一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第八 海上衝突予防法の一部を改   正する法律案内閣提出)     ━━━━━━━━━━━━━  〇本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、特別委員会を設置するの件  一、日程第一 土地収用法等の一部   を改正する法律案趣旨説明)  一、日程第二 林業基本法案(閣法   第一五号)及び森林基本法案   (趣旨説明)  一、日程第三 女子教育職員出産   に際しての補助教育職員確保に   関する法律の一部を改正する法律   案  一、日程第四 保健所において執行   される事業等に伴う経理事務の合   理化に関する特別措置法案  一、日程第五 刑事補償法の一部を   改正する法律案  一、日程第六 特許法等の一部を改   正する法律案  一、日程第七 保安林整備臨時措置  法の一部を改正する法律案  一、日程第八 海上衝突予防法の一  部を改正する法律案     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。野村吉三郎君、佐野芳雄君から、それぞれ病気のため会期中請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。  内閣から予備審査のため送付されております「結社の自由及び団結権保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件」、「公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案」、「地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案」、「国家公務員法の一部を改正する法律案」及び「地方公務員法の一部を改正する法律案」を審査するため、委員二十五名から成る国際労働条約第八十七号等特別委員会を設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、国際労働条約筋八十七号等特別委員会を設置することに決しました。  本院規則第三十条により、議長特別委員を指名いたします。その氏名を参事朗読させます。   〔参事朗読〕  国際労働条約第八十七号等特別委員    加藤 武徳君  亀井 光君  草葉 隆圓君  剱木 亨弘君  斎藤 昇君  柴田 栄君  鈴木 恭一君  天坊 裕彦君  徳永 正利君  西田 信一君  野本 品吉君  長谷川 仁君  増原 恵吉君  村山 道雄君  吉江 勝保君  小林 武君佐多 忠隆君  鶴園 哲夫君  永岡 光治君  野々山一三君  藤田藤太郎君  山本伊三郎君  小平 芳平君  二宮 文造君  田畑 金光君      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、土地収用法等の一部を改正する法律案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。河野建設大臣。   〔国務大臣河野一郎登壇拍手
  8. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 土地収用法等の一部を改正する法律案趣旨を御説明いたします。  最近における公共事業に必要な用地取得は、事業量の著しい増大に伴い種々の困難が生じております。このような公共事業用地取得難を打開し、公共専業を円滑、かつ、迅速に施行するためには、地価対策その他総合的な施策を必要とすることは申すまでもないところでありますが、公共用地取得制度自体についても検討を加えました結果、収用委員会機構収用対象範囲収用手続その他の点についてさらに整備を要する点があると考えられますので、今回この法律案によりまして、土地収用法公共用地取得に関する特別措置法及び都市計画法の一部を改正することといたした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、収用委員会を充実強化するため、政令で定める都道府県においては常勤委員を置くことができることとし、地方公共団体の長、議会の議員及び常勤職員は、委員と兼職ができないようにいたしますとともに、収用委員会事務を整理させるための専任の職員を置くことができることにいたしております。  第二に、収用手続を、簡易、かつ、迅速に進めることができるようにするため、従来は特別措置法対象事業に限って認められていた土地物件調書作成等に関する特別の措置一般土地収用法に取り入れることにいたしました。  第三に、特に緊急を要する特定公共事業用地を迅速に確保するため、起業者から緊急裁決の申し立てがあった後、収用委員会は二カ月以内に裁決しなければならないものとし、この期間内に緊急裁決が行なわれない場合におきましては、建設大臣裁決代行し得る方途を設けることにいたしております。  第四に、最近における公共事業実施状況にかんがみまして、特別措置法に列記されている事業と同程度の緊急性公共性のある事業政令で定めるものを、特定公共事業とすることができることにいたしております。  第五に、海底公共事業の用に供する場合において、漁業権等収用対象になることを明らかにし、また、土地所有者等の間に権利の帰属について争いがあって裁決の相手がわからない場合における裁決の方法を明確化する等、所要の改正措置を講ずることにいたしております。  第六に、現行都市計画法では、都市計画事業についての収用に関しては、主務大臣の行なう裁定と収用委員会の行なう補償裁決に分かれておりますのを、すべて収用委員会裁決を行なうものとするよう都市計画法の一部を改正することにいたしております。  以上がこの法律案趣旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたす次第であります。(拍手
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。瀬谷英行君。   〔瀬谷英行登壇拍手
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ただいま趣旨説明のありました土地収用法等の一部を改正する法律案に関し、日本社会党を代表して若干の質問を行ないます。  なぜ土地収用法等の一部を今回改正しなければならないかという動機理由は、公共事業のための用地取得がたいへん困難になったからだ、という趣旨説明がございました。だから、地価対策その他、総合的な施策を必要とすることは申すまでもないが、公共用地取得制度自体についても検討を加え、収用委員会機構収用対象範囲収用手続その他の点について整備を行ない、改正をしたいということであります。  それならば、公共事業用地取得が何ゆえ困難になったかという原因実情を何よりも第一に究明しなければなりません。趣旨説明ではその点が省略されておりますが、用地取得に多くの困難をもたらすに至ったのは、土地収用法自体不備ではなく、土地価格のとどまるところを知らない値上がりであることは、何人といえども否定できないと思うのであります。東海道新幹線の建設が極度の予算超過で問題になったのも、その原因用地買収費の思わざるはね上がりであります。鉄道道路をはじめ公共予算は、地価暴騰によって大幅に食い込まれ、工業用地取得価格値上がりは、いやおうなしに生産コストを引き上げ、開放経済体制のもとにおける企業国際競争にブレーキをかける結果となっております。特に大都市及びその周辺では、人口集中に伴い、宅地値上がりもはなはだしく、宅地入手難住宅難となり、住宅難勤労者遠距離通勤を余儀なくして、鉄道過密ダイヤ交通麻痺という、一連の社会問題をも助長してまいりました。全国市街地平均地価昭和十一年を基準にしてすでに一千六百倍、同期間日銀卸売り物価指数値上がり率の約五倍であります。この騰貴率は、国民所得及び国民経済の伸びをはるかに上回り、社会の各方面に異常な影響を与え、善良な民衆に有形無形の迷惑を及ぼしております。困難を来たしているのは、決して公共事業の川地の取得のみではないのであります。  かく考えてまいりますと、ここ数年来の土地価格暴騰こそ、すべての病根であることは明白であります。政府提案趣旨説明の中で、地価対策その他、総合的な施策を必要とすることは申すまでもないがとおっしゃっているのも、すべての病根地価暴騰にあることを重々承知をされているからではないかと思います。しかし、それならば、なぜ、申すまでもないがとおっしゃっている地価対策あと回しにして、必要とすることをみずからお認めになっている総合的な施策を明らかになさらないのでありましょうか。申すまでもないことは、何をおいても先に手がけるのが普通であります。ところが、最後手段であるはずの土地収用法をもっと手軽に用いられるようにするのが、今回の改正のねらいになっております。本法は元来、最後引導を渡すにもひとしい役割りを持っているのでありますから、慎重であるのもまたやむを得ないところであります。普通の常識では、病人が出たら、医者を呼び病気をなおすのが先であることは、それこそ申すまでもないところであります。ところが、医者あと回しにして、いきなりお寺にかけつけ、坊さんと引導の渡し方を相談するのは、どう考えても順序を間違えております。本法改正案提案も、順序を間違え、医者よりもお寺を先にしているきらいが多分にあります。政府の反省を促したいところであります。  私は、病根に対する治療こそが先決であるという立場総理にお伺いいたしますが、一体、今日のような地価高騰は、所得倍増計画の中で予期されていたことなのかどうか。そうでなかったとすれば、いかなる原因理由に基づくのか。それとも、高度経済成長政策の当然の結果とみなしてよいのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。  国民所得倍増計画の構想は、昭和三十五年十二月の閣議で決定を見ております。その中ではこう書いてあります。「物価の安定を維持することは、この計画達成のために不可欠の要件であることは言うまでもないので、絶えずその動きに留意し、適時適切な物価対策をとる必要がある。独占的な行為によって不当に価格をつり上げられるような場合には、消費者利益を守る立場から、行政手段による対策必要性も考えられる、」というのであります。はたして、いままで適時適切な物価対策がとられてきたのかどうか。また、独占的な行為によるのかどうかは別として、今日の地価が不当な価格につり上げられていることは、衆目の一致するところであります。しかりとするならば、消費者利益を守る立場で、政府行政手段に訴えても対策を講ずるのが当然であって、三年前からの約束であります地価対策こそ、今日焦眉の急と思われますが、政府総合的対策を具体的にお示しいただきたい。四月十七日に予定された公労協を中心とする春闘の半日ストは、池田総理太田総評議長の話し合いの結果回避され、数項にわたる約束が取りかわされた模様であります。その中で、住宅対策に触れていることは、従来に見ない前進であると思います。けっこうなことではありますが、ただし、約束は実行されるまで、ほめるわけにはまいりません。総理は、さきに衆議院で、土地価格上昇原因に、宅地需要に対する供給の不足をあげ、宅地の急速な造成、合理的な利用と同時に、産業あるいは人口地方分散を考えなければならないと答えております。しかるに、人口都市集中の傾向は、現在でも一向に改まらず、特に大都市ではますます動きのとれない状態に追い込まれて、問題はいささかも解決方向に向かっておりません。産業並びに人口地方分散は、どのようにして考え、実行に移すつもりなのか。このことは、政府及び国会ぐるみ、新たな土地を求めて、新首都を建設するくらいの思い切った決意がなければ、容易に実効を期し得ないと思うのでありますが、総理の所信のほどをお聞きしたいと思います。  次に、総合的な土地利用計画宅地対策方向について、建設大臣にお伺いいたします。  再び所得倍増計画宅地対策の項に戻りますが、このように書いてあります。「地価高騰宅地入手難は、現状のまま放置すれば、ますます悪化し、所得倍増達成の隘路の一つとなるおそれがある。産業用地についてもしかりであるが、特に、住宅あるいは道路、公園、学校等公共施設などの社会資本充実にとっては、土地問題は最大の障害となりかねない。現在の宅地問題は、根本的には宅地需給のアンバランスに基因するものであり、多種多様な宅地需要に対して、宅地が適当な規模で、適切な位置に、妥当な価格で供給されていないことによるものである。これは、都市への人口産業集中によって、大都市及びその周辺部において特に顕著な問題としてあらわれており、このため、土地投機は横行し、市街地の平面的な無秩序なスプロール、これによる上下水道、ガス、道路学校等都市施設整備の一そうのおくれ、通勤距離増大による交通機関の混雑と、時間、労力の浪費等の多くの深刻な弊害が生じている。所得倍増計画においては、このような宅地問題の総合的な見地からの対策による解決が、計画達成の前提となると考える。宅地についての総合的な対策樹立のためには、地方計画都市計画のマスタープランが確立され、将来の発展、社会情勢変化等の予測の上に立つた実現可能な都市計画地方計画に基づき、大都市への人口集中合理化産業人口地方分散計画を確立するのでなければ、問題を抜本的に解決する対策とはなり得ない。」以上のことは、三年前に書かれた所得倍増計画の一節でありますが、問題は、ここに書かれ、復習した事柄が、いささかも過去の物語になっていないことであります。指摘をされたあらゆる問題点は、何ら解決されることなく、むしろ、三年前よりもより深刻な状態でそのまま残っているのであります、いままで一体何をしていたかと言いたいのであります。所得倍増計画の中でも、土地問題は少しも消化されず、何らの前進をも見せておりません。所得が倍にならないうちに、地価は十倍にはね上がろとしております。このきびしい事実を何と説明されるのか。よもや、高度経済成長の姿であるとはおっしゃるまいと思います。これでも正常なのか、異常なのか、やむを得ないのか、一体どうしたらよいのか、建設大臣の御答弁を求めたいと思います。  今後の対策として、提案趣旨説明の際にその必要を述べておられた総合的な施策、あるいは土地利用計画の腹案がございましたら、あわせて、この機会にお示しをいただきたいと思います。  次に、現行法運用状況について一点お伺いいたします。  建設省関係事業は、年間一万件以上にのぼるといわれておりますが、収用委員会への裁決申請にかかるもの、わずか六十件にすぎず、しかも、収用裁決にかけるための必要な第一の手続である事業認定を受けているものが三百件にすぎないということであります。また、特別措置法に基づく特定公共事業認定も、年間十六、七件であり、緊急裁決申請にかかるもの二、三件という実態であります。これは被収用者事業認定をきらい、なるべく土地収用法の発動を見ることなしに用地問題の解決をはかろうとした結果にほかならないのであります。用地の折衝が難航して、俗にいうごね得が横行する現象は、まさに法規適用の回避と運用の不徹底に基因することは明らかであります。建設費は、今年度より直轄公共事業はすべて収用法適用を申請する方針とのことでありますが、現行法の活用のもとに、法自体不備が明らかになってから、法の改正を期するのが常道ではないかと思います。現行法運用が全く不十分のまま法の改正のみを急ぐのは、理解に苦しむのでありますが、政府見解を伺いたいと思います。  次に、改正法案の内容について若干お尋ねいたします。  現行特別措置法特定公共中業範囲については、適用事業を限定した法定列挙主義をとっておりますが、今回の改正案では、政令で定めれば特別措置法適用事業とすることができるようになっております。特別措置法土地収用法特別法であって、緊急裁決等相当強力な国家権力が留保されております。したがって、適用事業範囲も、真に公共性緊急性の強いものに限定され、法の定むるところに従い、国民の前に明らかにされるべきは当然であります。必要があれば、法の改正をもって適用専業の追加をすべきであって、政令による解決の道をはかることは慎むべきではないかと思いますが、政府見解をお伺いいたします。  次に、地方自治との関係について、自治大臣にお伺いいたします。  本改正案によると、特別指貫法緊急裁決について収用委員会が二カ月以内に裁決しないときは、建設大臣代行裁決を行ない得るようになっております。また、地方自治の本旨に沿わないという非難のあった特別措置法上の特定公共事業認定申請書縦覧等における都道府県知事市町村長権限代行についても、これを一般法たる土地収用法に取り入れようとしております。収用手続簡素化強権化は、うらはらの関係で、私権保護を軽んじ、地方自治体の自主性を侵害する結果になりはしないかということをおそれるものであります。収用委員会裁決が手間どる問題は、それ相応の複雑な原因、内情があると思わなければなりません。それを、実情に通じない大臣が、たとえ公共用地解議会の議を経るとしても、代行裁決をなし得ることは、国家権力による力ずくの解決という感が強いのでありますが、地方自治に対する関与、中央集権的体制の強化というきらいはないかどうか。また都道府県知事市町村長権限代行について、地方自治法第百四十六条各項の条文との関連をどう説明されるか、お伺いしたいのであります。  次に、海底公共事業の用に供する場合、漁業権収用対象になることを明らかにしておりますが、海底は、河川、流水と同様、それ自体私権の目的にはなり得ないと思います。とすれば、いかなる場合、漁業権収用法対象となり得るのか、想定される具体例があるのか、慣行上、本法対象とすることが妥当なのかどうか、建設大臣並びに農林大臣見解を伺いたいと思います。  最後に申し上げたいことは、本法改正動機及び理由ともなった土地価格の激しい値上がりについてであります。これは今日一刻もゆるがせにできない重大な社会問題でありまして、一時しのぎの便法で当面を糊塗することは誤りであります。土地銀行預金や株式よりも有利な投資対象になり、売り惜しみや思惑買い社会公共のために少しも利用されず、いたずらに都市空洞化を招いているのは、政治の貧困というよりも怠慢というべきであります。土地投機対象にすることを許さず、悪質不動産業者に活動の余地を与えず、善良な庶民大衆に将来の夢を与えるためにも、空閑地税の制定をはじめとする思い切った税制面からする地価抑制策を打ち出す用意がないかどうか、大蔵大臣見解を求めて、私の質問を終わります。(拍子)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  土地価格上昇は、お話のとおり経済成長につきものでございます。ことに、日本における最近の社会資本の急激な増加、すなわち道路鉄道、港湾その他の社会資本に対する非常に急激な投資のために、これに拍車をかけておるのであります。また、大都会におきまして、宅地収用する場合における立ちのき料の非常な暴騰、これもいろいろの原因をなしておると考えるのであります。したがいまして、今後におきましては、宅地需給の均衡をはかり、また宅地に関する諸制度整備する。また、この宅地価格上昇の主たる原因をなしました公共用地収用手続につきまして、ごね得の起こらないような取得手続整備を必要とするのであります。したがいまして、今回御審議を願うのもこれがためであるのであります。しこうして、今後におきましては、大都市集中の弊を防止するために全国総合開発計画を立て、新産業都市設定等——あるいは分散措置を講ずる必要があると同時に、また分散以外におきましても、補償基準を策定するとか、あるいは土地評価鑑定制度を最近設けまして、こういうことによって暴騰を押えていきたいと考えておるのでございます。  なお、私は、大都市膨張を緩和するため、大都市における研究機関等地方への移転もいま研究いたしておるのであります。あらゆる措置を講じまして、この焦眉の重大問題を解決したいと考えております。  なお、住宅問題につきましては、お話のとおり、われわれは四十五年までに、一世帯一住宅、これを実現すべく努力を重ね、見通しもつけておるのであります。(拍手)   〔国務大臣河野一郎登壇拍手
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。  土地が非常に高くなったのが混乱の原因であって、これに対する対策を立てなければ、お寺に行くことになるのじゃないかというお話でございますが、もちろん地価対策につきましては、あらゆる角度から検討いたしまして、できるだけのことをいたしておるつもりでございます。御承知のとおりに、ただいま総理からもお話し申し上げましたが、さらに本年度の予算におきまして、たとえば東京周辺にそれぞれ独立した都市建設しようということで、関東一円にわたって四カ所の拠点を設けまして、ここに相当大規模都市建設することについて、用地の買い上げもしくは都市計画設定等について、準備の段階ではございませんで、実施段階に入って、おおむね東京都内の過密いたしておりますものを吸収すると同時に、新たに東京に入ってくる人々をここへ固定するようにいたそうというようなこともいたしております。と同時に、何といいましても、新たに交通整備をいたしまして、土地利用範囲を広げるということが、土地価格対策の一番大きなものであるという意味において、道路整備を急いでおるわけであります。ところが、道路整備を急ごうとすれば、いま申し上げましたように、その土地取得することが非常に困難である。鶏と卵のようなかっこうになりまして、どうも思うようにいきませんので、この際、抜本的に法律改正をお願いいたすということでございます。この点を御了承いただきたいと思うのでございます。  次に、この法の運用現行土地収用法の各種のものに対する運用が十分にいっていないじゃないか。運用が十分にいっていないことが悪いのであって、これを改正する前に、まずそのほうから考えるべきじゃないかという御意見でございます。この点、私も決して否定するものではございません。が、御承知のように、現行法でいたしましては、期限も切ってございませんし、何ぶん収用にかけることそのことが、土地取得するのに期限がおくれることになっております。したがって、工事を実施する当面の責任者といたしましては、なるべくこの収用法手続によらずに土地取得するということでなければ——従来御承知のように、収用手続をとりますと非常に期限がおくれますので、そのために非常に工事の支障になります。それで、これの手続をとらずにやろうという例になっておりますために、適用されるものが非常に少ないということになっております点がございますので、特に今、回は、緊急に非常に急ぐものについては二カ月以内にやるということにいたしますると、今度はこの法で全面的に変わってまいりまして、土地取得が早くなる。そしてまた、お話のとおりに、ごねておりさえすれば何かになるだろう、そのうちに地価も上がるだろうというようなことになっておりますものが、二カ月の間に、場合によれば緊急裁決いたしますということになりますれば、地価の変動はありませんし、ごねておったところで、適正な価格で結着がつくということになりますから、従来のこの法律適用して実施いたしておりますものは、今後は非常にスムーズに、円滑にいくようになる、こう考えてお願いをいたしておるのでございます。  第三に、政令に譲っておるのはよくないじゃないかというお話でございます。これは、なるべく本法に列記することのほうが適当であると考えますけれども、御承知のように、なるべくその数は少なくおさめたいということのために、これを必要やむを得ざる最小限度におさめようということのために、こういう手続をとりましたので、本法律の中に、同等程度もしくはそれ以上のものでなければならぬという一項をおさめまして、政令に譲ったということでございますから、御了承いただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道君登壇拍手
  13. 赤澤正道

    国務大臣(赤澤正道君) ただいま、建設大臣代行裁決する道を開くことが地方自治のたてまえをそこなうのではないかという御質問でございます。土地収用委員会特定公共事業について一定の期日までに裁決しない場合、補充的に認めようとするものでありまして、これは差しつかえないと考えております。(拍手)   〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  14. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 漁業権土地収用法対象にしたことについての御質問にお答えいたします。  御承知のとおり、現行土地収用法におきましては、河川では、その敷地及び流水を土地収用法第三条に列記する公益事業の用に供する場合には漁業権等収用することができる、こういうことになっております。海につきましては、海水を公益事業の用に供する場合にのみ漁業権収用することができることになっておることは、御承知のとおりであります。  今度の改正案におきましては、河川ばかりでなく、海の底を公益事業の用に供する場合、または海面を埋め立てまたは干拓しまして土地を造成して公益事業の用に供する場合においても、これに関係のある漁業権等収用を行なうことができるということにいたしたわけでございますが、これは、最近、通路の建設とか橋梁の設置等、海面を埋め立て、もしくは干拓したり、もしくは海底に施設を設置して、ここに法律第三条の公益事業を施行する場合が増加してまいっております。こういう事態に対処して、公益事業の円滑な遂行をはかるためにこういう規定を新たに設けたわけであります。もちろん、漁業権は、収用することができますのは、一般産業立地とか、あるいは工業団地造成等の場合は該当しません。道路、港湾施設、治山治水施設等、真に公共の利益のために必要な事業の用に供する場合に限られております。かつ、土地収用法に定められております手続等によりまして適正な補償が行なわれることを前提といたしております。こういう事情から、海における漁業権土地収用法適用対象にいたしたと、こういうことでございます。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  15. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私に対する御質問は、地価抑制について、税制上、特に空閑地税土地増価税等を考える必要がないかということでございます。  税を設けます場合、現在の土地需要状況では、その負担が土地の購入者に転嫁される公算がきわめて強いのでございます。なお、そのほか、課税技術士から見まして、譲渡所得との調整あるいは税務執行上の問題もあるわけでございます。例を申し上げますと、都市部等におきまして空閑地税等を設けることを仮定いたしますと、空閑地における仮設建物等が空閑地に建造せられまして、課税を免れるものが発生をしまして、技術上課税は非常に困難なわけであります。それからなお、都市部においては、御承知のとおり、建築基準法の規定がございまして、緑地、空地等を特に確保するような法制上の規定があるわけでございますが、このような税を設けることによって、市街地の稠密化を招来するという問題が現実に起こるわけでございます。  なお、土地増価税の問題でございますが、この問題は、その区域内に居住をする、住宅等を持っております者は、住宅難を転売した場合には利益があるわけでございますが、転売をしないままに現在住んでおる自分の家に再び高い税金がかかるということになると、これは非常にむずかしい問題でありまして、転売をしたときに初めて譲渡所得がかかるわけであります。でありますので、技術上、土地増価税というものは非常にむずかしいということがおわかりになると思うわけでございます。  こういう立場から申し上げまして、空閑地税及び土地増価税の創設は適当でないという考えに立っております。しかしながら、土地投機を抑制しまして地価抑制策を行なうということは当然のことでありますので、三十九年度の税制改正につきまして、土地等の譲渡所程のうち投機的なものに対しては半額課税の方式をとらないということにいたしたわけでございます。(拍手
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、林業基本法案(閣法第一五一号)及び森林基本法案趣旨説明)、  両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者から順次趣旨説明を求めます。赤城農林大臣。   〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  18. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 林業基本法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  わが国の林業は、今日まで、木材その他の林産物の供給、資源の有効利用、国土の保全、国内市場の拡大等、国民経済の発展と国民生活の安定に寄与してまいりました。  しかるに、近時、わが国経済の発展に伴いまして、林業をめぐって大きな情勢の変化が見られるのであります。すなわち、木材需要増大開放経済体制下における外材輸入の増加等、木材需給構造の変化が生じ、また、農山村からの労働力の流出が顕著となっておる等の趨勢がこれであります。申すまでもなく、林業は、本来、生産期間がきわめて長いこと等、他産業に比して不利な自然的条件を有するばかりではなく、林業経営の大部分が零細規模であること、林業経営者の経営意欲が一般的に低調であること等の脆弱性を有しております。  これらを克服して、諸情勢の変化に対応し、林業の総生産を増大させ、他産業との格差が是正されるように生産性を向上させるとともに、林業従事者の所得増大させることにより、林業の安定的な発展をはかることが強く要請されているのであります。  その要請にこたえるには、従来の資源政策を基調とした林業政府のみでは十分ではありません。さらに、新たな角度から、産業としての林業の振興に関する基本的な政策の目標を明らかにし、これに基づいて諸般の施策を講じていくことが必要であります。このことは、林業のになう重要な使命にこたえると同時に、国民経済の発展と国民生活の向上を念願する国民の期待にこたえるゆえんであろうと考えるものであります。これがこの法案を提出いたしました趣旨でございます。  次に、この法案の主要な内容につきまして御説明いたします。  まず、第一章総則について申し上げます。  第一に、以上申し述べましたような趣旨を明らかにして、この法律の目的を規定しております。ついで、国の林業に関する政策の目標は、国民経済の成長発展および社会生活の進歩向上に即応して、林業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、次の事項の実現をはかることにあるものとしております。すなわち、林業総生産の増大を期するとともに、他産業との格差が是正されるように林業の生産性を向上することを目途として林業の安定的な発展をはかり、あわせて林業従事者の所得増大してその経済的社会的地位の向上に資することがこれであります。  第二に、この目標を達成するため、国は、林業に関する政策全般にわたって必要な施策を総合的に講じなければならないこととしております。それらは、(1)林野の林業的利用の高度化、(2)林業構造の改善、(3)林業技術の向上、(4)林産物の需給及び価格の安定と流通及び加工の合理化、(5)近代的な林業経営の担当者及び技術者の養成確保、(6)林業労働に従事する者の養成確保及び福祉の向上の六項目として明らかにしております。そして、これらについての施策が、画一的でなく、地域の自然的、経済的、社会的諸条件を十分考慮し、きめこまかく行なわれるべきものとしております。  また、これら諸施策を講ずるにあたっては、林業従事軒等の自主的な努力を助長することを旨とすべきものとしております。さらに、政府は、これら諸施策実施するため、必要な法制上及び財政上の措置を講じ、かつ、必要な資金の融通の適正円滑化をはからなければならないこととしております。  第三に、国有林野事業につきましても、最近の社会経済情勢の推移に即応して、林業政策上適確な位置づけを行なうこととしております。すなわち、国は、諸施策を講ずるにあたっては、事業企業性の確保に必要な考慮を払いつつ、その適切な運営を通じて、重要な林産物の需給及び価格の安定に貢献し、林業総生産の増大に寄与し、林業構造の改善のための積極的活用をはかるようにするものとしております。その場合、国土の保全その他公益的機能の確保とともに、農業構造の改善その他産業の振興または住民の福祉の向上のための積極的活用をもはかるようにつとめるものとしております。  第四に、政府は、毎年、国会に、林業の動向及び国が林業に関して講じた施策に関する報告、並びにその報告にかかる林業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を提出しなければならないこととしております。  以上が第一章総則の主たる内容でございます。第二章から第四章までにおきましては、林業生産の増進及び林業構造の改善、林産物の需給及び価格の安定等並びに林業従事者について、必要な施策の方針をそれぞれ明らかにすることとしております。  すなわち、林業生産の増進及び林業構造の改善に関する第二章におきましては、  第一に、林産物の需要及び供給並びに森林資源の状況に関する長期の見通しを立てることとしております。ついで、この見通しを参酌して、林業の総生産の増大と生産性の向上をはかるよう、林野利用の高度化、林業技術の向上等、林業生産に関する施策を講ずべきこととしております。  第二に、林業構造の改善をはかるため、林業経営の規模等による経営形態の差異を考慮して、必要な施策を講ずるとともに、小規模林業経営についてその規模の拡大をはかることとしております。また、林業生産を合理化し、林業経営の発展に資するよう、生産行程についての協業を助長することとしております。さらに、以上の施策を総合的かつ効率的に遂行するため、林業構造改善事業を推進することとしているのであります。  林産物の需給及び価格の安定等に関する第三章におきましては、重要な林産物について国内生産を円滑化し、外材輸入にも期待しまして、その需給及び価格の安定をはかることとしております。また、林産物の流通及び加工の合理化をはかるため必要な施策を講ずることとしております。  林業従事者に関する第四章におきましては、近代的な林業経営の担当者または技術者たるにふさわしい者の養成確保と、林業労働に従事する者の養成確保及び福祉の向上をはかるため必要な施策を講ずることとしております。  次に、第五章におきましては、林業行政に関する組織の整備及び運営の改善と林業団体の整備についての方針を述べております。  最後に、第六章におきましては、総理府に林政審議会を設置することとし、その組織等につき必要な事項を定めております。なお、林政審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、内閣総理大臣または関係大臣の諮問に応じこの法律の施行に関する重要事項を調査審議するものであります。  林業基本法案の主要な内容は、以上のとおりでございます。このようにこの法律の目的は今後の林業の向かうべき道を示すことにありますので、これに基づく具体的な施策につきましては、この法案の趣旨により、とりあえず本年度においてもその一部について措置することとするほか、今後にわたって、法制上、予算上等の措置を講じていく所存であります。  以上をもちまして、林業基本法案趣旨説明といたす次第でございます。(拍手)     —————————————
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 衆議院議員川俣清音君。   〔衆議院議員川俣清音君登壇拍手
  20. 川俣清音

    衆議院議員(川俣清音君) 私は日本社会党を代表いたしまして、森林基本法案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  本法案は、森林が国土の保全、国民の保健及び国民経済において果たすべき重要な使命にかんがみまして、森林の有する各種の機能の確保、増進をはかるため、国の森林に関する政策の目標を掲げ、その目標達成上必要な国の施策を具体的に列挙いたしまして、政府等が講ずべき措置、責任を明らかにするものであります。  その骨子は次のとおりであります。  第一は、国の森林に関する政策の目標であります。国の森林に関する政策の目標は、森林の果たす治山治水機能を確保するとともに、林業総生産の増大、林業の土産性の向上及び林業従事者の所得増大をはかり、もって、林業の発展と林業従事者の地位の向上に寄与し、あわせて山村とその他の地域との間の格差の是正と国民の福祉の増進に資するものであります。  第二は、国の施策についてであります。国は、いま申しましたような第一の目標を達成するため、次の各号に掲げる事項につきまして、必要な施策を総合的かつ計画的に講じなければならないものといたします。      (一) 保安林の整備及び治山事業実施を推進することによって国土の保全をはかること。 (二) 国民の保健休養に資するように森林景観の維持増准及び鳥獣の保護増  殖をはかること。 (三) 土地の林業上の有効利用及び開発をはかること。 (四) 林業技術の向上、林業の機械化等 によって林業総生産の増大及び林業の生産性の向上をはかること。 (五) 林業経営の共同化をはかること。 (六) 林産物の需給及び価格の安定、流通の合理化ならびに加工の増進をはかること。 (七) 近代的な林業の従事者としてふさわしい者の養成及び確保をはかること。(八) 山村における生活環境の整備、労働条件の改善等によって山村住民及び林業従事者の福祉の向上をはかることという趣旨であります。  第三は、地方公共団体施策についてであります。地方公共団体は、国の施策に準じまして施策を講ずるようつとめるものといたします。  第四は、財政上の措置等に関するものであります。政府は、前に申しましたような国の施策実施するため、これに要する法制上、財政上及び金融上の措置を講ずるべきことを規定するという趣旨であります。  第五は、林政基本計画についてであります。政府は、十年を一期とする林政基本計画を樹立し、これを国会に提出してその承認を受けなければならないという規定をいたしております。  第六は、年次報告等に関することであります。政府は、毎年、国会に、森林資源及び林業の動向並びに政府実施して施策に関する報告とあわせて、これから講じようとする施策を明らかにした文書を提出するものとするということであります。  第七は、森林政策の基本となる国有林野事業の経営に関することであります。  国は、国土の保全その他森林の有する公益的機能の確保、奥地未開発林の開発等による森林資源の保続培養及び森林生産の増大、木材の持続的供給等による木材の需給と価格の安定をはかりますとともに、山村における産業の振興及び住民の福祉の増進をはかることを旨といたしまして、国有林野事業を経営すべきことを規定いたしております。  第八は、国有林野の活用についてであります。  国は、国有林野事業の使命の達成に支障を及ぼさない範囲内におきまして、当該地域における農林業者の農林業経営規模拡大に資するため、国有林の活用をはかる等、必要な施策を講ずるものとするという趣旨であります。  第九は、林政審議会の設置であります。  内閣総理大臣または関係大臣の諮問に応じまして、この法律に基づく重要事項を調査審議するため、総理府に林政審議会を置くものと規定いたしております。  なお、この基本法案が成立いたしました場合、その中に盛り込まれなければならない諸原則を実施するため、各種の関連法の立法が必要となりますが、これにつきましては、委員会においての補足説明に譲りまして、省略させていただきます。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決決定せられんことをお願い申し上げまして、私の提案趣旨説明を終わります。(拍手
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。安田敏雄君。   〔安田敏雄君登壇拍手
  22. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私は日本社会党を代表して、おもに政府提出の林業基本法案に対して質問を申し上げます。  昭和三十五年に林業の基本対策が答申せられてから、すでに足かけ五年の長きを費やし、今日ようやく基本法案が国会へ提出されたとは申せ、この間、林業をめぐる諸条件は急速に変化していることは、周知のとおりであります。政府はこれに対し、鋭意、基本対策と具体的方策を講ずべきであったにもかかわらず、怠慢というか意識的と言おうか、今日まで放置していた態度は、まことに遺憾なことであります。しかも池田内閣の大資本本位の高度経済成長政策は、林業において紙パルプ資本や大山林地主等の利益を野放しにしたままに、零細な林業従事者や山村農民にとっては、純朴な環境は俗化された上、低所得と高物価で、その生活はますます苦しく、忍び難いものになっております。まさに、見たら見流し、聞いたら聞き流しをしてきた政府の政治的責任を占わなければなりません。あえてその反省を促すものであります。  質問の第一は、土地利用区分についてであります。わが国の林野面積は約二千五百万ヘクタールで、国土総面積の六七%を占め、また農耕地面積は約六百十万ヘクタールで、国土総面積の一六%を占めております。この林野の中には、農用地として開発利用の可能な適地が数百万ヘクタールも含まれておりますことは、農林省の調査によって示すでに明らかにされております。また、その逆に、農耕地の中には、もともと農業利用に適せず、山林として利用したほうが適当なものもあります。そこで、いまや必要なことは、全国土を科学的に調査し、農業に、あるいはまた林業に、それぞれ適する土地利用区分を定めることが、国土高度利用の出発点であると私は確信するのであります。政府は、さきに農業基本法を制定し、いままた林業についても基本法を制定するにあたり、全国土の調査と土地利用区分の画定を断行すべき時期であると考えますが、総理にその意思があるのかどうか、見解をお伺いいたします。  また、それに伴い、各地の大山林地主は、土地台帳に記載登録せられた面積よりも、実際には、はるかに大きい面積の山林を保有しているという隠し財産の実態が見られるのでありますが、これにつきましても、調査によってその実態を明らかにいたさねばなりません。徴税の面からいたしましても、行政措置として当然なことでありますが、総理の御見解をお尋ね申し上げます。これは大蔵大臣でしたが、おりませんから……。  質問の第二は、林業政策の前提として、森林というものの機能をどう見るかという問題であります。森林には、一つは、国土を保全して災害を防止し、水源を涵養し、国民の保健や福祉を増進するという公益的機能があります。もう一つは、産業としての林業生産力を高め、木材等の林魔物を安定的に供給し、あわせて林業従事者の所得と生活を向上せしめ、もって国民経済に貢献するという経済的機能であります。この二つの機能は、その一つでも欠けるときは、国の林政は乱れ、正しい国土開発と国土利用は達成されないことになるのであります。昭和三十年以降、いわゆる日本経済の高度成長が進むにつれて、紙パルプ原料として、建設資材として、木材の需要が急増するに従い、政府の林政の方向は森林の代採を強化する方向へ著しく傾斜してきております。すなわち、第三次池田内閣の河野農林大臣が、昭和三十六年八月に、国有林、民有林を通ずる増伐計画を打ち出したこと。昭和三十七年の森林法改正によって森林伐採の許可制が届け出制に変わったことなどが、その具体的なあらわれであります。もしこのままに進むならば、森林の経済的機能だけが重視され、公益的機能がきわめて軽視されるおそれがあります。政府案の第一条、第二条、第三条を見ても、森林の公益的機能が軽視されているとの印象を禁じ得ないのでありますが、森林の機能について、どのような基本的な認識を持っておられるのか、総理見解をお尋ね申し上げます。  第三は、国有林野のあり方についてであります。膨大な組織機構と巨額の資金を持つ国有林は、林野面積ではわが国の山林の約三分の一、森林の蓄積では約二分の一を有しておりますが、最近、保安林を除いて国有林を地元へ解放せよという運動が激しく行なわれ、しかも自民党の国会議員がその先頭に立ち、国有林を未墾地並みに安く取得でき得るよう、議員立法で今国会へ提出すると伝えられております。もしこの運動にまかせて安易に解放が行なわれるならば、民主化のいまだ不十分の山村地帯の状況では、それは、何ら地元農林業者の利益や山村の近代化に資することなく、一部の利権的の食いものにされてしまうのではないかと憂慮されるばかりでなく、国有林の任務そのものが果たし得なくなるでありましょう。私は、国有林野のうち、地元の産業経済の発展のために利用すべき適地は、これを地元農林業者の民主的共同組織に対して解放し、もしくは利用権を設定させることを主張するものであります。その反面、現在の民有林のうち、国で所有し経営するのが必要かつ適当と認められるものは、これを国が買収して、国有林に組み込むことが必要であると考えるものであります。政府の基本法案には、国有林を民間に払い下げるようにはなっておりますが、その逆に、民有林を国有林に組み込むことに対してどう考え、対処するのか、総理の所見をお伺いする次第であります。  また、現在、国有林は、国の林政の推進役としての公共的役割りを果たしながら、同時に、特別会計としての企業性をも追求しなければならぬ立場に置かれております。公共性企業性の関係がきわめてあいまいであります。むしろ、公共性の名のもとに、保安林その他、林政協力費を、国有林特別会計の収益から一般会計へ拠出することが要請されており、企業的にはその収益をあげねばならぬという至上命令から、木材市場価格の変動に応じて、立木処分や伐採計画がそのつど主義で操作され、また、合理化のしわが国有林労働者へ寄せられております。これが国有林経営の現在の姿であります。このような状態を根本的に改め、また、複雑な国有林特別会計の経理を明らかにするために、私は国有林特別会計は、企業的業務の勘定と行政的業務の勘定を区分して、それぞれの経理を明らかにし、そうして、行政的業務の勘定においては、その必要経費を一般会計から繰り入れ、企業的業務の勘定においては、その収益を再び国有林の森林資源の培養に還元していくべきであると考えるものであります。政府の基本法案には、こうした国有林特別会計の問題に触れられておりませんが、一体、この問題を政府はどう考えるのか。大蔵大臣がおりませんから、農林大臣でも、総理大臣でもけっこうでございますので、お答えを願いたいと思います。  質問の第四は、林業構造改善の問題であります。政府案の十一条、十四条には、小規模林業経営の規模を拡大し、林業構造の改善を進めるとの考えが示されておりますが、まさに小規模林業経営の分解促進政策にほかなりません。政府案には、「林地の取得の円滑化」ということばがありますが、一体だれのための林地をだれが取得するのか、農林大臣の御説明を求めます。  また、入会権にかかる林野についての権利関係の近代化を進めると言っておりますが、入会権があるのかないのかという紛争が各地で見られ、たとえば岩手県の小繋事件、山梨県北富士の恩賜林問題のように、世間の注目を集めております。そこで、私は、入会権の近代化という以前に、入会権の有無をめぐって争われている山林についての関係農林業者の権利をどのような基準に基づいて確定する方針なのか、農林大臣の明確な所見を承りたいのであります。  また、関係農林業者の入会権の存在が確立している山林について、その権利関係を近代化するという場合、どのような手続で行なうのか。また、近代化された権利関係を小規模林業経営の規模拡大のためにどのようにしようとするのか。これらに関する入会権整備特別措置法案が用意されているということを聞くが、いつごろ国会へ提出されるのか。あわせて、農林大臣の御答弁を承りたいのであります。  私の判断では、政府の基本法案に示されている林業構造の改善の政策は、明らかに、小規模の山林所有者をして山林を売却させて、この山林を一定水準以上の規模を持つ林業者に取得させ、大規模もしくは中規模の林業者を育成しようとする、まさに小規模林業者の首切り政策と受け取られるのであります。そこで、こうした中規模以上の林業者を育成する場合、政府は家族労働による家族経営的林業の育成を目ざすのか。それとも、雇用労働による企業経営的林業の育成を目ざすのか。基本目標として、どちらであるのか。さきに昭和三十五年の「林業の基本問題と基本対策」の答申案の中では、家族経営的林業の育成が答申の中心思想となっていたのでありますが、このたびの基本法案においては、家族経営的林業ということばすら示されていないのはどうしたことか、農林大臣の御説明を承りたいのであります。  次に、政府案が林業構造改善を進めて、林業経営の規模を拡大しようとするにあたり、零細山林所有者の山林を取り上げることばかり考えて、大山林地主が独占して遊ばせている山林を利用することに全く触れていないのは、まことに不合理と言わざるを得ないのであります。国土の高度利用という立場に立つならば、当然、私有大山林地主の山林にメスを加えるべきであると判断するものであります。正しい農林業の構造改善や山林の開発のためには、国有林、民有林の区別なく、有効利用をはかるべきであると思いますが、農林大臣の明確な方針をお示し願いたいと思います。  なお、林業構造改善について、わが党は、基本方針として、林業経営の零細性を打ち破るには、零細経営の分解促進の道でなく、経営の共同化を援助促進し、共同経営によって経営としての単位規模を拡大しながら、しかも個々の零細山林所有者が共同経営のワクの中で自分の生きる道を与えられ、そして所得も生産性も高められるという方法、これこそが真の正しい構造改善であると確信いたすものであります。政府はこうした共同経営の方法を導入される考えはないのかどうか。政府案の第十二条の協業の助長というようなごまかしでなく、本格的な経営兵同化への道についての農林大臣の明確なる見解をお示し願いたいのであります。  質問の第五は、木材価格と林業のあり方についてであります。  この数年来、建築用材としての外材の輸入は、昭和三十三年度四百万立方メートルから、三十七年度には一千百万立方メートルと、三倍近くも増加し、国内需要量の五千五百万立方メートルの二割に達しております。これは需給上の関係もありますが、外材が、運賃、関税等諸費を含めても内材に比して格安であるからであります。今後、開放経済の進行の中では、関税の一括引き下げ等により外材は、さらに格安となることは明らかであります。したがって、内材がこれと競合する場合、その価格はますます安くならざるを得ないのであります。また一面において、従来低過ぎた林業関係運賃は、どうしても高めなければならないとき、林業にもたらす打撃は深刻なものとなります。おそらく中小製材業者の多くは倒産に瀕するという場合もあり得るでしょう。一体、政府はこれらの問題に対して、林業のあり方というか、基本方策をどういうように位置づけていくのか、農林大臣の答弁を求める次第であります。  質問の第六は、林業従事者の福祉向上の問題であります。製材工も含めて林業労働者は、その雇用関係が不安定で、労働のきびしいわりに賃金が低く、また、社会保障制度適用もきわめて立ちおくれております。まだ、山村僻地の住民は、交通、通信、教育、文化等の諸条件は、全く不利な環境の中で生活することを余儀なくされております。場所によっては、電力の高圧送電線が通っていても、自分たちの使う電灯さえ導入されていない所もあります。かかる環境から、いまや山村では挙家離村が増加しているという実態であります。いやしくも同じ法律制度のもとに置かれている同じ国民が、産業、地域の格差によって、このような不利益状態のままで放置されてよいのでしょうか。まさに歴代保守党政府の政治の貧困と言わなければなりません。したがって、政府が林業基本法の制定をしようとするならば、まず林業労働者や山村僻地の住民の生活水準を飛躍的に引き上げるということこそ、政策の第一目標でなければならないのであります。ところが、政府案の第十八条の規定は、あまりにも簡単で抽象的であるという不安を感ぜざるを得ないのであります。また、政府案には山村僻地の生活環境の改善を進めるという規定がないのはどうしたことか、以上について農林大臣の所見を承りたいのであります。  私ども社会党は、国有林労働者の雇用安定法案を今国会に提出することになっております。それによって国有林労働者の雇用条件を改善し、その所得水準を引き上げ、さらには、国有林労働者の水準を他の民間林業関係の労働者にも及ぼそうとする考えであります。
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が来ております。
  24. 安田敏雄

    ○安田敏雄君(続) もう少しです。  その他、労働、社会保障等の労災法その他諸法規の適用の問題につきましても、林業労働者は、けがをいたしましても、病気をしても、失業しても、手厚いところの完全な保護対象となっておりません。したがって、この際、その諸法規の適用を積極的に拡大させる具体的な措置をとられる意思があるかどうか、農林大臣及び労働大臣にお伺いいたします。  最後質問でございますが、森林と観光の関係についてお伺いいたします。森林は、すがすがしい空気と水、豊かな景観を保つことによって、国民の保健と福祉に奉仕するという、公益的機能を果たしております。それは国民全体の貴重な共通の財産であります。しかるに、最近、営利的観光資本が各地に進出し、金の力にものをいわせて、森林の自然的景観を破壊するような施設をかって気ままにつくり、健康にして純朴な山の環境を俗化させてはばかるところがないという、まことに憂慮すべき姿が至るところに見受けられます。それは観光の堕落であるのみならず、林業政策に及ぼす害も、また、おそるべきものがあるのであります。森林を国民の保健と福祉のために最も有効に利用し得られますよう、観光開発と林業政策の正しい調整について、政府は格段の努力を払うべきであると考えますが、総理大臣の御見解をお尋ねいたします。  終わりに、社会党案の提案者川俣議員にお尋ねいたしますが、社会党案の政府案よりもすぐれた特徴点は何か。また、国有林の解放についてその基本的構想をお聞かせください。  以上、私の質問を終わる次第であります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。国土の利用、特に森林を中核といたしました土地利用につきましては、国土の保全の上からいっても、利用につきまして十分考えなければならぬところでございます。したがいまして、昨年五月、政府におきましては国土調査事業十カ年計画を立てて、そうして、土地の合理的な利用につきまして調査を確めておるのでございます。  御質問の第二の、大森林業者の土地の問題でございます。もちろん、明治八年の地租改正のときに、なわ延びその他が田畑にございました。特に森林につきましては相当のなわ延びがあることはお話のとおりでございます。しこうして、この点につきましては、その大森林の所有者等を十分調査し、そうして、なわ延びの点につきましても、適当な計画を立てて森林の育成につとめるよう、政府としては今後指導していきたいと考えておるのであります。  また、国有林野の解放につきましては、たびたび申し上げておるごとく、私は国土の合理的利用また農村振興の上から、国有林野の解放は適当な措置であると考えるのであります。ただ問題は、それが利権にからんだり、不正なことが行なわれることは、絶対に許すべきではございません。その地方の全体から考え、農業あるいはその地方の発展になるよう、私は国有林野の解放は前向きで進むべきだと考えております。  また御質問の、民有林を国有林にすることはどうか。——これも私は、国土保全のため、また森林行政からいって必要であります。民有林を買い入れることに決してやぶさかではありません。今後も、農林省としてはすでにやっておるのじゃないかと思いますが、やっていかなければ、必要の程度において買い入れることは適当だと考えるのであります。  次に、観光の問題でございますが、わが国のこの恵まれた風土、これを保存することは国民的義務であります。また、国際収支からいっても、観光票業の発展をはかるため、この日本の林野を、森林を保護し、これを保存維持するということは必要であるのであります。したがいまして、お話のごとく、営利のために無謀な国有林の開発をしようということは、厳に慎まなければならぬことだと考えます。御趣旨の点十分考えまして、森林保護に万全を尽くしたいと思います。(拍手)   〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  26. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 森林に非常に公共性があり、また一面、企業性がある、これは、民有、国有を問わず、お話のとおりだと思います。そういう意味で国有林も持っておるわけでございますが、そこで、国有林野事業特別会計を、企業にかかる勘定と行政業務にかかる勘定とに分離したらどうか、こういう御意見でございます。確かに分離することがこれは適当だとは思いますけれども、いまのところ、なかなかこの勘定区分がむずかしい状況でございます。これは食管等においてもそういうことでございますが、企業的業務と行政的業務とはっきり区分しがたい面もありますので、さらに検討を進めていきたいと思います。  第二に、この基本法は豪族経営の小経営を対象としているのか、あるいは企業的な林業というものに重きを置いているのかということでございますが、別に企業的林業に重きを置いて家族経営を、いまお話のように、首を切るとか、そういう意図を全然持っておりません。ただ、家族経営はなかなか林業そのものでは成り立ち得ないようなことでございますので、規模を拡大するとか、あるいは協業等をすすめて、家族経営も伸びていくようにいたしたいと思います。  入会権の問題でございますが、入会権は、従来とも慣習に基づきまして、なかなか紛糾したり、むずかしい問題がございます。これを合理化したらどうか、近代化したらどうか、こういうお尋ねと思います。入会林野の不法利用の現況でございますが、農林業しの利用の増進に資するためには、近代化をはかることが必要であると考えております。でありますので、法的措置を講じたいということで、目下検討をいたしておるわけであります。  大山林の遊休といいますか、遊ばしている山林をどうするかということでございますが、これは有効利用をはかっていかなくてはならぬと思います。でありますので、必要に応じまして所有者の協力を得まして、分収林の設定等を進めて林業構造の改善をはかりたい、こう考えております。  次に、輸入が非常に多いじゃないか。——確かに木材は日本の輸入の中でも三番目ですか四番くらいの大きいウエートを占めております。これは確かに開放経済体制下における需要の増強によるのでございますけれども、この基本法に述べておりますように、林業の総生産の拡大を目途としておるのでございますので、できるだけ国内林業を発展さして、輸入に対しましては慎重な態度をとりたい、こう考えております。  次に、林業労務者に対する対策でございます。林業労務者は、地域的にあるいは季節的に非常に恵まれない立場にございます。でございますので、これの対策につきましては慎重に、まだ十分とは申しませんが、相当意を払ってやってきたのでございますけれども、足らぬ面が多々あると思います。十分配慮をいたしていきたい、こう考えております。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫君登壇拍手
  27. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 労働辛準法は、山林労働者につきましては、その特殊性にかんがみまして、労働時間、休憩及び休日に関する諸規定は適用除外となっております。労働省といたしましては、従来から、山林労働に関しましては、特に災害の防止等に重点を置いて適切な監督指導を行ない、その福祉の向上につとめてまいったところでございますが、今後も一そう努力をいたしたいと思います。  林業は、労災保険におきましては、法律上強制適用事業となっており、山林労働者の業務上の災害に対しましては労災保険による給付を行なっておりますが、林業には零細事業が多いので、この点を考慮いたしまして、団体加入方式による保険加入手続簡素化、及び林業災害補償連絡指導員を設けまして補償事務の迅速化をはかる等、山林労働者に対する積極的な保護を推進しております。  また、林業に対する失業保険の適用につきましては、労災保険の場合と異なりまして、任意加入となっておりますが、林業における雇用の近代化の実情に即して適用拡大をはかりつつあるところであります。  次に、国有林労働者の雇用の安定に関する法律案に関する問題でございますが、季節的に労働に従事する国有林労働者の雇用の安定をはかるという見地から見ますと、その常用雇用または再雇用につとめ、あるいは国有林野事業計画実施がはかられることは、それ自体望ましいことと考えますが、この法律案につきましては、その内容において今後なおいろいろ検討を要する事項が多いと思われます。したがって現在の段階で、これに対する意見をまとめるところまでには至っておりません。(拍手)   〔衆議院議員川俣清音君登壇拍手
  28. 川俣清音

    衆議院議員(川俣清音君) ただいまの御質問にお答えいたしたいと思います。  私どもの法律の最も特徴といたしております点は、経済的産業活動としての林業と森林の公益的機能との調和の必要性を特に基本としておる点でございます。すなわち、熊澤蕃山の教えるところによりまするというと、「木を植え茂りても切らずこれを子孫に伝えるを森という。植えて茂らばこれを切り家計の用に供するを林という。」という政策が今日まで日本の林業政策の基本になっておるわけでございますが、その調和をはかるのが基本法の要旨でなければならないと思うわけでございます。したがいまして、われわれ国民生活に関係の深い森林の公益的機能と経済的産業活動としての林業との調和を求めるのが、本来の基本法のあり方だと考えるわけでございます。これが最も政府案と異なる長所でございましょう。  なお、第二点は、国土の高度利用から、国土の利用配分は国民経済の総合的判定からなされなければならないという点を明確にいたした点でございます。  第三点は、林業もまた農業の一環として、山村における農業として、林業、畜産業、耕作農業の三者を総合的に一つの農牧林混合農業として成立させ、その育成をはかろうとしたことでございます。政府案は、構造改善についてあいまいでございますが、私どもは、ただいま申し上げましたような農牧林混合農業を山村農業としての形態として育成してまいりたいというのが、最も眼目とするところでございます。  第四には、今日まで取り残された悲運の中にありまする山村住民及び林業従事者の生活の向上を強調いたしておる点でございます。  第五は、あえて森林基本法といたしました理由は、森林に関するあらゆる分野にわたって広く取り上げていることであります。すなわち、国民の保健衛生等、厚生関係をはじめといたしまして、山村の生活環境を整備いたします上から、林道から鳥獣の保護増殖をはかることまで織り込んでいる点でございます。  なお、申し添えますが、委員会に付託いたされましたならば、さらに補足説明を申し上げ、本法案が政府案と異なっていかに優秀なものであるかということの御認識を得たいと思うのでございます。(拍手
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案文教委員長提出)を議題といたします。  まず、提出者趣旨説明を求めます。文教委員長中野文門君。   〔中野文門君登壇拍手
  31. 中野文門

    ○中野文門君 ただいま議題となりました女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び改正内容を御説明申し上げます。  現在、実習助手は、教育公務員特例法の施行令において、寮母と同じく、教員に関する規定の準用を受けることとなっておりますし、その職務の内容も、他の教育職員と異なるところがないのであります。しかるに、寮母については、すでに昭和三十年本法制定の当初から、第二条に掲げる教育職員として法の適用を受けておりますが、ひとり実習助手のみがいまだに除外されておりますことは、まことに不合理であると申さねばなりません。  以上の理由により、本案は、実習助手を法第二条の第二項に加えて、女子実習助手を法の対象とすることにより、学校教育の正常な実施確保しようとするものであります。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することといたしております。  文教委員会におきましては、慎重に協議検討いたしましたところ、この際きわめて適切な措置であると思料いたしましたので、全会一致をもちましてここに委員提案として発議いたした次第でございます。   〔議長退席、副議長着席〕  何とぞすみやかに御審議の上、御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。(拍手
  32. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  33. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  34. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第四、保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長鈴木強君。   〔鈴木強君登壇拍手
  35. 鈴木強

    ○鈴木強君 ただいま議題となりました保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案について、社会労働委員会における審議の経過と結果を報告いたします。  本法律案は、国の負担金または補助金を受けて行なわれる保健所の各種の事業等に関し、補助金等合理化審議会の答申の趣旨に基づき、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の特例等を定めて、保健所経理事務合理化をはかろうとするものであります。  本法律案の要旨は、第一に、保健所法、伝染病予防法、児童福祉法、結核予防法等に基づく特定の費用に対する国の負担金または補助金は、当該法律に定めるさまざまな率によらず、政令で、毎年度に定める一定の率により経理事務を簡明にすることとし、その率は、各費用の見込み額に法定率を乗じた額の合計を各費用の見込み額の合計で除したものを基準とすること。第二に、右の特定費用に対する負担金及び補助金についての実績報告及び交付額確定は、それぞれの事業等ごとに行なわず、総額について行なうこと。第三に、昭和三十九年度分以後の負担金及び補助金について適用すること等であります。  委員会においては、小林厚生大臣及び政府委員に対し、保健所の適正配置及び機構合理化、繁雑な業務の整理統合と運営の改善、職員の充足と待遇改善、保健所による衛生行政と過去の警察所管時代との比較検討等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって本法律案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  36. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  37. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  38. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第五、刑事補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長中山福藏君。   〔中山福藏君登壇拍手
  39. 中山福藏

    ○中山福藏君 ただいま議題となりました刑事補償法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法案は、最近における経済事情にかんがみ、無罪またはこれに準ずる裁判を受けた者が、未決の抑留、もしくは拘禁、または自由刑の執行等による身体の拘束を受けていた場合に交付する補償金算定の現行基準金額を、一日二百円以上四百円以下を四百円以上千円以下に、また、死刑の執行を受けた場合に交付する補償金算定の現行基準金額五十万円を百万円に、それぞれ引き上げること等を骨子とするものであります。  委員会においては、提案理由説明を聴取した上、特に刑事補償の本質、補償範囲の当否、その他の点について熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は速記録に譲りたいと思います。  かくして、四月二十三日質疑を終了した上、討論に入り、日本社会党を代表して稲葉委員から、「さらに刑事補償の内容の充実、補償手続の改善等を期待して賛成する」旨、また、日本共産党を代表して岩間委員から、「冤罪者に対し、十分なる補償が行なわれるよう制度の改善を要望して賛成する」旨、それぞれ意見が述べられ、採決の結果、原案どおり全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  40. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  41. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  42. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第六、特許法等の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長前田久吉君。   〔前田久吉君登壇拍手
  43. 前田久吉

    ○前田久吉君 ただいま議題となりました特許法等の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  この法律案は、特許庁の事務の一部を機械化するに伴い、特許法等のいわゆる工業所有権関係の四法律の登録に関係ある条文を改正しようとするものであります。すなわち、最近、特許庁では、特許等の出願が激増しているので、昭和三十九年度より電子計算機組織を導入して登録事務を機械化し、登録事項を、人の手を借りて原簿に書き入れるかわりに、磁気テープ等に記録させようとしているのであります。ところが、この磁気テープ等に記録したものが、はたして現行法にいう原簿と言えるかどうか疑問があるということで、磁気テープ等をもって原簿を調製できるという規定を新たに設け、それに伴って、登録原簿のうち磁気テープ等に記録された部分については、だれでもその事項を記載した書類の交付を請求できるようにし、あわせて、その場合の手数料の最高額を定めようとしているのであります。  商工委員会におきましては、特許等工業所有権に関する出願件数と処理状況、電子計算機の性能、原簿の概念と磁気テープ使用の意義、特許庁職員の採用及び待遇等を中心に、熱心な質疑応答が行なわれたのでありますが、詳しくは会議録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、まず、日本社会党を代表して藤田委員より、「今回の機械化は画期的な措置であるから、その運用管理に万全を期するとともに、人事の面で職場環境を明るくするよう配慮されたい」旨の希望を付して賛成意見が述べられ、次いで、自由民主党を代表して赤間委員より、「本案は特許事務の能率化に資するので賛成する」との発言がありました。  討論を終わり、採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって政府原案どおり可決すべきものと決定した次第であります。  以上報告を終わります。(拍手
  44. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  45. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  46. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程条七、保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長青田源太郎君。   〔青田源太郎君登壇拍手
  47. 青田源太郎

    ○青田源太郎君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  この法律案は、保安林整備計画実施状況や最近の水資源の需要の動向にかんがみ、本年四月末で失効することになっております現行法の有効期間を十カ年延長しようとするものであります。  委員会におきましては、質疑にあたり、治山治水対策、保安林制度とその経過、保安林の整備と管理、及びこれが指定と解除、保安林の指定による損失の補償と受益者の負担、国による保安林の買い入れ、保安林の税対策、水資源と森林の機能、国有林野の解放その他の問題について、政府当局に対して事情が尋ねられ、見解がただされました。  質疑を終わり、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、この法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定されました。  以上御報告いたします。(拍手
  48. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  49. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  50. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第八、海上衝突予防法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長米田正文君。   〔米田正文君登壇拍手
  51. 米田正文

    ○米田正文君 ただいま議題となりました海上衝突予防法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。  海上における衝突予防につきましては、海上交通の国際性から、国際的に統一された規則に基づいて規制することが必要でありますので、一八八九年の国際会議において採択された国際海上衝突予防規則が成立して以来、各国ともその内容をそのまま国内的に施行しております。現行海上衝突予防法は、一九四八年の国際海上衝突予防規則に準拠して昭和二十八年に制定されたものでありますが、この改正案は、一九六〇年の「海上における人命の安全のための国際会議」で採択された国際海上衝突予防規則の改正に対応して、現行法改正しようとするものであります。  そのおもなる内容は、レーダーの普及化に伴い、視界制限時におけるレーダー使用船の航法に関する規定を新設したこと、船舶の大型化等に伴い、狭い水道における小型船の航法に規制を加えたこと、並びに、漁船の識別灯火を簡明化したこと等であります。  委員会の審議におきましては、わが国における海難事故発生状況とその原因並びに海難防止対策等につきまして、熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。  かくて質疑を終え、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  52. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  53. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散