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1964-04-15 第46回国会 参議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十五日(水曜日)    午前十時二十分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程第十七号   昭和三十九年四月十五日    午前十時開議  第一 簡易生命保険法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院回   付)  第二 予防接種法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院回付)  第三 緊急質問の件  第四 鉱山保安法の一部を改正する   法律案趣旨説明)  第五 道路交通に関する条約締結   について承認を求めるの件  第六 自家用自動車の一時輸入に関   する通関条約締結について承認   を求めるの件  第七 道路交通に関する条約実施   に伴う道路運送車両法特例等に   関する法律案内閣提出)  第八 地方自治法第百五十六条第六   項の規定に基づき、近畿圏整備本   部大阪事務所設置に関し承認を   求めるの件(衆議院送付)  第九 オリンピック東京大会記念の   ための千円の臨時補助貨幣発行   に関する法律案内閣提出衆議   院送付)  第一〇 地方公務員共済組合法等の   一部を改正する法律案内閣提   出)  第一一 日本貿易振興会法の一部を   改正する法律案内閣提出衆議   院送付)  第一二 納税貯蓄組合法の一部を改   正する法律案内閣提出)   ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、日程第一 簡易生命保険法の一   部を改正する法律案  一、日程第二 予防接種法の一部を   改正する法律案  一、日程第三 緊急質問の件  一、日程第四 鉱山保安法の一部を   改正する法律案趣旨説明)  一、日程第五 道路交通に関する条   約の締結について承認を求めるの   件  一、日程第六 自家用自動車の一時   輸入に関する通関条約締結につ   いて承認を求めるの件  一、日程第七 道路交通に関する条   約の実施に伴う道路運送車両法の   特例等に関する法律案  一、日程第八 地方自治法第百五十   六条第六項の規定に基づき、近畿   圏整備本部大阪事務所設置に関   し承認を求めるの件  一、日程第九 オリンピック東京大   会記念のための千円の臨時補助貨   幣の発行に関する法律案  一、日程第十 地方公務員共済組合   法等の一部を改正する法律案  一、日程第十一 日本貿易振興会法   の一部を改正する法律案  一、日程第十二 納税貯蓄組合法の   一部を改正する法律案   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御報告いたします。  昨十四日、議長は、皇居において、天皇陛下並びに皇后陛下に拝謁し、また、義宮御殿において、正仁親王殿下にお目にかかり、正仁親王殿下納采の儀につき、お祝いのことばを申し上げました。  その他諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ――――・――――
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。村上義一君から病気のため十六日間請暇申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。    ――――・――――
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、簡易化命保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院回付)を議題といたします。   ―――――――――――――
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案衆議院修正賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、衆議院修正同意することに決しました。    ――――・――――
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、予防接種法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院回付)を議題といたします。   ―――――――――――――
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案衆議院修正賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、衆議院修正同意することに決しました。    ――――・――――
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、質問の件、  加藤武徳君から、労働組合春季闘争に関する緊急質問が、  藤田藤太郎君から、春季闘争最低賃金制度完全実施に関する緊急質問が、  渋谷邦彦君から、統一ストに関する緊急質問が、  田畑金光君から、公労協ストに関する緊急質問が、それぞれ提出されております。これらの緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。順次発言を許します。加藤武徳君。   〔加藤武徳登壇拍手
  13. 加藤武徳

    加藤武徳君 私は、自由民主党を代表いたしまして、労働組合春季闘争、特に公労協違法ストライキについて、政府に対し二、三の点をただしたいと思うのであります。  ことしもまた、総評を中心とするスケジュール闘争が行なわれており、二五%アップ、平均六千円という、とてつもない要求を掲げて、罷業権のない公社現業諸君に、違法なストライキをやらせてでも、目的を貫徹しようとしておるのであります。公労法は第七十条において、公社現業職員及びその組合に対し、同盟罷業、怠業、その他、業務の正常な運営を阻害する一切の行為を禁止しているにもかかわらず、公労協組合は、去る四日、公然とストライキ宣言したのでありますが、元来ストライキは、民間の労働組合に対し、経営者影響を与える手段としてのみ許されているのでありまして、国民全体の奉仕者である公務員や、鉄道電信電話等の、国民経済の動脈に当たる公共企業体職員は、公務員に準ずべき立場に置かれており、ストライキ権は与えられておらないのであります。  しかるに公労協は、宣言どおりストライキをやろうとしているのでありまして、全逓労組は、郵便物がおくれて、国民に非常な迷惑をかけ、甚大な損害を与えるのが、あたかも当然であるかのごとき態度であり、全電通労組は、電話もとめるし、電報も扱わないと宣言しております。また、国鉄動力車労組は、安全輸送の美名のもとに、この春闘においても、すでに何回か大衆の足を奪っているのでありますが、明後日は、一千万人に近い人の足を一挙に奪い、数十万トンの貨物輸送を不能にしようとしているのであります。世論はあげて公労協に対し、ごうごうたる非難を浴びせており、言論機関もこぞって反対し、許されざる暴力であると論難しているのであります。法律の禁ずる違法ストライキを、それも、国民あげての反対を押し切ってやろうとする公労協態度は、法秩序を破壊しようとするものであり、明らかに国民に対する挑戦であって、法治国家においては断じて許すことのできない行為であります。(拍手)  わが党は、ストライキをやめさせるよう政府を鞭撻し、国民にも公労協の無謀を訴えてまいりました。政府当局も、連日熱心に勧告し、警告を発する等、あらゆる努力を続けているのであります。しかるに、総評公労協諸君に反省の色が見られないのは、きわめて遺憾であります。  ストライキに入るまでには、まだ数十時間を残しておりますので、今明日は、ストライキをめぐって、さらに活発な動きが予想され、組合は、政府当局に対して妥協を求めてまいりましょうが、違法に対する妥協はあり得ないのであります。(拍手)しかしながら、スト宣言を撤回することを前提として、調停から仲裁に移すことが、争議解決の一方法であるとの意見が一部にございます。大橋労働大臣は、職権による仲裁請求は行なわないことをすでに明らかにされておるのでありますが、ただ、当事者双方から話があり、労働大臣職権による仲裁申請を条件としてストライキを中止する旨の申し出があった場合には、労働大臣はいかになさるおつもりなのか、お伺いしたいのであります。  また、公労委が総会において、仲裁に移すことを決議する動きがあるかどうか。もとより、公労委自主性持ち政府が干渉がましき態度に出るべきものでは毛頭ないのでありますが、公労委動きを御承知ならば承りたいのであります。  また、今明日中でも、当局は、組合同意のもとに、仲裁申請する方法もあると思うのでありますが、当局の一人として郵政大臣は、この方法による仲裁申請考えておられるかどうか、お伺いをしたいのであります。  もし、不幸にして、政府当局努力も水泡に帰し、世論を無視してストライキに突入した場合の、政府対策決意を承っておきたいのであります。  第一に、公労協の半日ストによって、国民生活にいかなる影響を及ぼすのか、政府はこれに対して、いかなる対策を準備しておられるのか、まず承りたいのであります。大衆は足を奪われ、貨物輸送も不能となり、電話電信もとめられた国民は、腹の底からの怒りを覚え、これを爆発させるおそれなしとしないのであります。国家公安委員長は、治安責任者として、さようなことはないと言い切れるかどうか。また、不幸な事態未然に防止する自信をお持ちであるかどうか、伺いたいのであります。  次に、政府は、法を犯した者に対し厳重なる処分を行なう決意を固めておられるかいなかの点であります。一罰百戒の実をあげて、綱紀を粛正すべきであったにもかかわらず、従来、政府当局が、目先の温情におぼれて、寛大なる処分にとどめたために、組合をしてかえって、法をないがしろにし、違法な労働運動を誘発する結果を招いたきらいなしとしないのであります。いたずらなる温情は禁物であり、関係大臣は、違反者を断固処分する決意をお持ちであるかどうか、伺いたいのであります。(拍手処分はもとより懲戒処分にとどまらず、刑事処分についても同様であります。郵便法電気通信法のごとく、刑事責任を明定している場合において、逮捕、処罰等を行なうことが当然であるにかかわらず、労働運動であるのゆえをもって刑事責任を免れしめようとする議論が、一部にあるのでありますが、政府考え方を念のために承っておきたいのであります。  従来、懲戒処分基準は、各省や公社で違っていたため、処分がまちまちで統一を欠いております。同一の事犯に対し、ある竹においては、処分が寛大に失し、それが綱紀弛緩原因になっていると指摘されているのであります。関係大臣は、連絡を密にされて、懲戒処分基準を明確化し、統一化するお考えがあるかいなか、伺いたいのであります。  わが党が、公労協ストライキについて最も遺憾に思う点は、違法なストライキであることと、いま一つは、公共企業体等労働委員会、いわゆる公労委調停中であるという点であります。公労委は、公労協組合申請に基づいて、ただいま調停を行なっている最中であります。みずから調停申請しておきながら、委員会が鋭意調停努力中であり、しかもごく近い時期に調停案労使双方に示されるところまで進行しているのであります。しかるに公労協は、かねてから組んでいたスケジュールに従って違法なストライキをやろうという態度が、民主主義のもとにおいて、はたして許されるやり方でありましょうか。公労協調停申請したのは、公労委という第三者機関を尊重し、その判断を待とうとする民主的な考え方からではなく、総評春闘ベースにはめ込んだスケジュールの一コマとして公労委持ち込んだにすぎず、調停委員会は単なる団体交渉の場として活用するにすぎないのだと公言するに至っては、全く言語道断であります。労働大臣は、このことをいかように見ておられるか、伺いたいのであります。  政府当局のき然たる態度世論のきびしさにあわてた総評公労協は、政府当局ストライキの回避を望むならば、賃上げ具体額を示せと言っております。申請者は静かに調停の結果を待つべきであるにもかかわらず、調停中に違法ストライキ宣言し、情勢全く不利となるや、政府に向かって賃上げ額を示せと言うがごときは、全く血迷っているとしか思えないのであります。(拍手政府は、調停委員会結論が出る前に、総評要求どおり賃上げ額を示すつもりなのかいなか、伺いたいのであります。  最後に、総理のお考えを承りたいのであります。総評の二五%、六千円アップ要求は、生産性とか賃金の持つ経済的合理性などは全く眼中になく、高い要求をぶっつけて、違法なストライキでおどしをかければ、適当なところでおさまるであろうというような、全く無定見な要求であるとしか思えないのであります。総評要求どおり六千円のべースアップを行なえば、三公社現業の約百万人の諸君のみについても、年間実に一千二百七十億円の予算増となるのでありまして、郵便料金国鉄運賃賃上げが必要となることは必至であります。また、生産性を無視し、それを上回る大幅な賃上げは、コスト・インフレを招き、物価値上がりの大きな原因となるのであります。総評は、年末から春の闘争賃上げをかちとる。力ずくで賃上げさせられたものを基礎にして、更には人事院が公務員のべースアップを勧告する。政府はやむなくこの勧告をのみ、それがまた、年末から春闘にかけての材料になり、物価にはね返るという、悪循環を繰り返しているのでありまして、この悪循環は、いつの日にか断ち切らなければならないのであります。労働者諸君生活をより豊かにするためには、物価を安定させ、経済を安定的に成長させて、国民の所得をふやすことが先決であり、目の先の大幅な賃上げを行なうことは、かえって実質賃金を低下させる結果を招くと思うのでありますが、この点、総理はいかようにお考えでありますか。また、政府は、物価抑制策一つとして、公共料金を一カ年間据え置いているのであります。賃金の一カ年の完全なストップが、かりに困難であるとしても、少なくもこの機会に、賃金物価悪循環を断ち切る決意が必要であると思うのであります。このことが、長い目で見て、労働者諸君生活水準を向上させるゆえんでもあると思うのでありますが、この点、総理の所信を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  今回の公労協ストは、まことに遺憾なことで、国民全体がたいへんな迷惑を受けることになるのであります。政府といたしましては、極力これがないようにわれわれは努力をしておるのであります。このことは、法律違反であると同時に、また公労協から申し込まれました公労委調停中でございます。そのときにストが起こるということは、法律的にも、また常識からいってもあり得ないことだと、私は考えているのであります。したがいまして、政府といたしましては、できるだけ最大の努力をいたしまして、今回のストが起こらないようにいたしたいと、いま懸命な努力をしているところであります。なお、六千円の賃上げということは、これは常識では考えられません。私は、この点につきましては、いま、公労委で十分御検討になることと思います。また、そこで成立しないときには、仲裁裁定判断に待つことにいたしておるのでございます。もちろん、この賃金の大幅な上昇が物価影響することは、これは世界の実情の示すところでございます。われわれは、経済安定成長のためには、適正なやり方でいかなければ、国民全体が迷惑することと考えておるのであります。その意味におきまして、今後におきましても、公労委あるいは今後起こるべき仲裁裁定判断を注視いたしたいと考えておるのであります。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫登壇拍手
  15. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まず第一に、公労委調停進行状況でございますが、公労委は二月中旬に組合側申請を受けまして、その後今日まで労使双方について十分聞くべき事項は聞き終わった段階でございまして、本日以後、各事案につきまして調停案の作成について合議を始める段階に入っておるわけでございます。しかし、調停申請後二カ月を経過いたしました後におきましては、当事者の一方の申請によって仲裁手続に入ることができることになっておるのでございますが、その二カ月の期間が終わりまするのは、最も早く調停申請されました国鉄労組につきましては十八日でございまして、十七日は二カ月の最後の日に当たっておる次第でございます。調停案がそれ以前に出るということは、現在のスケジュールから考えまして困難であると思われるのでございます。  次に、仲裁申請についての問題でございまするが、労働省といたしましては、ストを避けるために労働大臣職権によって仲裁申請するということは、考えていないのでございます。労使間の紛争におきましては、労使ともその解決努力し、その間において、産業人として国民に迷惑をかけないように心がくべきものであるからでございまして、この十七日を含む十七日以前におきましては、仲裁に入りますためには労使双方同意が必要でございます。労使の一方から相手方同意を得て仲裁に入りたいという要請がございましたならば、労働省といたしましては、相手方同意を得るためにできるだけのあっせんは申し上げたいと考えておるのでございます。しかし、労働大臣といたしましては、職権をもって仲裁申請する考えはございません。なぜならば、仲裁につきましては、公労法において、ストをこれによってやめなければならぬという規定はないからなのでございまして、ストは、公労法によりますると、いかなる段階においても禁止をされておるものなのでございます。(拍手)したがって、現在この違法なストをあえてしようという宣言をなさっておられまする公労委が、仲裁段階に入ったならば必ずストをやめるであろうという保証は、どこにも遺憾ながらないのでございまして、私どもは、そのような見地から申しまして、(「公労委ストをするのか」と呼ぶ者あり)公労協スト宣言の誤りでございます。公労協がこの態度を基本的に改めていただく――そうしてストというものは、国民に迷惑をかけることによって、国民の大きな批判を招くことは必至であります。そうして、この問題を解決いたしますためには、いかに政府がその気になりましても、国民の負担によって賃金をまかなわれておる公務員賃金問題の解決には、常に国民の絶大なる同情支持が必要であると確信いたしておるのでございまして、この違法なるストは、国民同情支持を失い、かえって問題の解決をみずから困難にいたすおそれがあるのでございまして、この点、私は、労働者の福祉を守るという立場から、ぜひ組合諸君が思いをいたし、このストを避けられるよう、心から念願をいたしている次第でございます。(拍手)   〔国務大臣池信三登壇拍手
  16. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) お答え申し上げます。  今回、公労協の企てておりまする半日スト計画のとおり実行された場合には、郵政関係等業務についてどのような影響があるかという、まず第一のお問いに対しましてお答えいたしますが、  郵政関係について申し上げますと、全逓組合が半日スト準備指令を出した局は、中央郵便局鉄道郵便局、定員二百名以上の普通局がそれでございます。もし、計画どおりの半日スト実施するといたしますれば、通常郵便物において約二千万通、小包において約三十万個これが運送、配達の面で遅延し、郵便物の引き受けの面では、通常郵便物約三百万通、小包郵便物約四万個に支障が免ずるものと推定されるのであります。もちろん、一番大きな影響を受けるのは、東京大阪などの大都市であると考えます。  次に、電電公社関係について申し上げますと、全電通組合では、十七日の始業時から正午まで、東京大阪市外電話局をはじめ、全国の主要電話局中継所管理機関など約九百の事業所に対して、ストライキ実施するための指令を行なっております。この計画が完全に行なわれるとするならば、その間は、通信は、自動による通話を除いては多大の影響を受けるものと存じます。さらに、ストが終了いたしましたあとも、しばらくは通信錯綜混乱が起こるものと思われるのであります。  そこで、かかるストが、国民日常生活経済活動に甚大な影響を与えることを憂慮いたしまして、まことにこの点は遺憾にたえないと存じます。よって私は、このストの中止を強く組合側に要望をいたしまして、再三にわたって警告を発しております。また、電電公社においても、総裁から再三警告を発している次第であります。  次に、もし万一かような事態が発生した場合には、業務確保のためにどういうようなことを考えているかということでありますが、まず、事前に、本務者に対しましては、ストに入った場合でも、あくまで正常の業務に従事するように業務命令を出します。そうして、でき得る限り業務の運行を確保すると同時に、もし万一要員の確保が困難な場合には、管理者を動員いたしまして、窓口事務運送便等の受け渡し、郵便物取り集めの一部事務等を極力確保する覚悟でおります。また、万一このスト実施によって滞留郵便物が発生しました場合には、本務者のほかに、配送に必要な臨時雇員を十分確保して、でき得る限り早急に、事態が平常に復するように努力する覚悟でおります。  さらに、かようなストライキ参加をした者がある場合に、これに対して処分はどうかというお尋ねでありますが、かような組合の違法な争議行為に対しましては、従来も、そのつど、争議行為態様に照らしまして、指導者はもちろんのこと、これに参加をした人に対しても、厳正な処分を行なってきたところであります。ただ今回の半日ストというような大きな争議行為は、今日までかつて見ないところであります。したがって、かような場合は、従来の例にとらわれることなく、最も厳正に処分を行ないたいと考えております。さらに、かような場合の処分は、あくまで、その行為態様に応じて、そのつど厳重に調査し、公正な判断のもとに行なうということが適正を期するゆえんであると考えまするので、今回もこの方針によっていたす考えであります。  次に、今回問題になっておりまする賃金の問題は、組合側申請に基づきまして、目下労使紛争平和的処理機関であるところの公共企業体等労働委員会において、せっかく調停が進められております。したがって、私どもとしては、あくまでこの調停結論を待って善処したいと考えておるのでありますが、もしも組合側においてこの調停を待つことができない、したがって、組合側から仲裁申請をしたいということであれば、私どもはこれに対し同意をいたしたいと考えております。  最後に、かようなストライキ郵便法等関係はどうかというお尋ねでございますが、郵政並びに電電公社職員は、公共企業体等労働関係法第十七条によりまして、争議行為を禁止されておるのであります。したがって、その争議行為は、労働組合法第一条第二項にいう、いわゆる正当な組合活動としての刑法上の免責条項は適用されないものと解しております。すなわち、違法性を阻却することはないのでございます。したがって、今回の半日ストライキによって、郵便法第七十九条または公衆電気通信法第百十条の刑罰規定に触れることとなる者が生ずることは、十分予想されるところであります。かような場合の対策につきましても、万遺憾なきを期して、厳正な態度をもって臨む所存であります。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇拍手
  17. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お答えいたします。  ただいまの御質問は、今度のスト計画は、ちっとも世論同情もしない、支持もしていない。国民大衆は非常に立腹もいたしまして、こういう状態のもとにストが行なわれた場合には、治安対策上一体どうなるのか心配だ。これは犯罪を未然に防止もしなきゃならぬと思うが、その対策は万全を期してあるかという意味であると、私は受け取った次第でございます。今度の争議行為は、ただいま総理大臣ほか関係閣僚が申しておりまするとおりに、明らかに公労法十七条に禁止されておる違法な争議ではありますが、その対象となっておる企業が、国民日常生活に密接しておりまして、かつ、重要な役割りを持っておりまするだけに、一般利用者と当局または労組員との間に、紛争やあるいは集団的な不法行為、また、道路、路面交通のふくそうなどの混雑が、当然予想をされるわけでございます。警察といたしましては、適切な措置を講じて、これらの混乱や紛争、または不法行為を、極力防止するよう努力する所存でございます。また、今回の争議行為に伴いまして、犯罪が発生いたします場合は、その予防につとめますことは当然でございますが、厳重な取り締まりは実施することになると考えます。事態は重大でありますが、警察といたしましては、全力を尽くして治安の重責を全ういたす所存であります。(拍手)   ―――――――――――――
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 藤田藤太郎君。   〔藤田藤太郎登壇拍手
  19. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ただいま加藤君の意見を聞き、政府の答弁を聞いておりますと、労働者には弾圧によって臨むことでよいと言っておられるように思います。このようなことでは問題の解決はできません。私は、国民生活労働者生活を守る立場より、日本社会党を代表して、政府に対し質問を行なうものであります。  まず、最初の論点は、池田総理の理論的背景をなしていると言われる下村治氏の論理によれば、「経済成長のプロセスにおいて重要なことは、卸売り物価である。これさえ安定しておれば、国際収支の観点からいって、その国の物価は安泰である。消費者物価は、物とサービスの価格を含んでいるが、物の価格を代表する卸売り物価が動かない限り、消費者物価、サービス価格の上昇は、人間の価値上昇にほかならない。経済の高度成長には、消費者物価上昇は必然である」と言い切っているのであります。しかしながら、消費者物価動きは、昭和三十六年に五・三、三十七年に六・八、三十八年に九・二%増しと、政府の見通しをはるかに上回っているのであります。このような消費者物価上昇が、国民生活をどのように圧迫しているか、いかに家庭の主婦を苦境に立たせているか、その家計簿の時点間比較等によっても実証されておるのであります。人間の価値が上昇したと言われるなら、数的価値判断の一例として、個人消費割合の各国比較をあげてみますと、昭和三十七年、比較的所得の高い国十七カ国平均は六五%で、これに比較すると、日本の五二%はあまりにも低く過ぎると言わざるを得ないのであります。これは投資割合が高いためで、つまり、高度経済成長のために国民生活が犠牲となっているのが日本の現実の姿であります。ここにおいて池田内閣は、勤労国民犠牲の政策をいつまで続けるというのか、国民の不安を解消するために、いかなる物価安定政策を行なおうとするのか、お尋ねしたいのであります。  第二の論点は、国民生活が豊かになるためには生産の上昇が必須条件でありますが、しかし、それにも増して重要なことは、すべての国民生活水準の向上がもたらされることであります。すなわち、工業化による生産上昇と生活向上とは、今日の生産社会の二つの支柱であります。しかしながら、池田内閣の所得倍増計画が推し進められて以来、国民のだれしもが、高い成長、低い生活水準という批判を、池田内閣に投じているのであります。このような条件をつくり出した要因をあげてみますと、  第一は、国民総生産に対する民間設備投資の割合にあります。欧米工業国は一〇%の水準であるのに、ひとり日本だけが二〇%の水準を示しているため、資本コストの上昇が強い圧迫となってあらわれているのであります。さらに大資本中心の拡大方式は、生産性格差の拡大を通して二重構造を激化しているのであります。  二番目に、このために生産と消費のバランスがくずれて、操業短縮と思惑の景気変動を繰り返すばかりでございます。ことばをかえて言いますならば、設備資金を物価上昇と低賃金と長時間労働によって調達していると言えるでありましょう。  三は、活路を貿易に求め、これを伸ばそうとしましても、貿易のフィフティー・フィフティーの原則をくずすわけにはまいりません。やはり国民購買力を引き上げて、その上に輸出入のバランスをとるということが前提であります。しかしながら、高度成長は輸入依存度の高い設備がおもになってしまうので、国際収支の均衡が破れ、そのたびに、まっ先にそのあおりを受けているのが中小企業や労働者であります。  政府は、このような現実に対していかなる手を打とうとしているのか。金融、設備投資に規制を加えて、勤労国民のための政策に転換する決意があるかどうか、お尋ねをしたいのであります。  第三点としては、労働者の低賃金と低い生活水準の問題であります。  日本の工業がヨーロッパ並みの水準にまで達しているにもかかわらず、その賃金は後進国並みにきわめて低いのでございます。しかも、ここ三、四年来、急激に高騰しました消費者物価の上昇によって、家計が日に日に圧迫されております。労働者がみずからの生活不安を解消させようとすることは、いわば人間として当然の欲求でもあります。通産省の数字によりましても、日本の付加価値生産性は、すでにイタリアを追い越し、西ドイツ、フランス、イギリス等、ヨーロッパの一流工業国の水準に達しているのであります。それにもかかわらず、日本の賃金水準は、イギリスの二・七分の一、西ドイツの二・五分の一等、半分以下の低さであります。かりにこれを実質賃金で比較してみますと、イギリスの三・五分の一、イタリアに比べて二分の一であり、低賃金はすでに明らかなところであります。その結果、日本の労働分配率は、フランス、イギリス等の五七%に比べ、その半分にも近いわずか三三%というみじめなものであり、フィリピン、トルコ並みであることが、国連の統計にも明らかに示されているのであります。さらに、日本の労働生産性賃金関係を見ると、昭和三十年を一〇〇として、生産性は三十七年一六〇、実質賃金は一三〇であります。毎勤統計によると、三十五年を一〇〇として、三十八年十月生産性は二二〇近くであり、実質賃金は九三でございます。これを期末一時金でカバーしているというのが今日の労働者生活実態でございます。政府はこの言いわけに、一瞬金や福利厚生費の多いことをあげて、日本の労働者賃金は低くないと宣伝をされております。賃金に対する福利厚生費の割合は、フランスの三〇・八%、西ドイツの二一・一%、イタリアの四二・四%に比べ、日本は、はるかに低い一一・八%であることを、労働省統計は明らかにしているのであります。日本の労働者がヨーロッパ並みの働きをしているのだから、ヨーロッパ並みの賃金がほしいという要求をするのは、しごく当然のことであります。しかも、いま直ちに一挙にヨーロッパ並みの賃金をよこせと言っているのではなく、二五%、五千円から七千円程度を求める、いわば控え目な要求を行なっているのでありまして、さらに、このうちから最近の消費者物価の上昇率九%を差し引けば、実質的にべースアップとして求めているのは、わずか一五、六%なのでございます。総理は、このような日本の労働者の低賃金であるという実態を把握され、日本経済の正常な発展のために、経営者に対し、労働分配率の引き上げを指導すべきであると思うが、政府考えをお聞きしたいのであります。  第四点は、最低賃金制の確立について伺いたいのであります。  日本の労働者の低賃金は、昭和三十七年七月の就業構造調査によっても明らかであります。この低所得者の六〇%以上は世帯主であるということであります。就業しながら低賃金生活にあえいでいるのであります。大蔵省は、三十九年独身者免税点は十七万円、これが最低生活ぎりぎりであると言っております。人事院もこれと同じ考えであります。このような生活実態の中で進められた業者間協定を主にした最賃法では、一日四百円以上の決定は、たった十四件しかありません。二百万人以上は、最賃法が適用されたと言っておりますけれども、ほとんどがこれ以下でございます。月に換算して幾らになるとお思いでございましょうか。このよって来たる根本原因は、労働条件は労使対等できめるという原則に、はずれて、法ができているからであります。労働者の意見の入らない業者だけがきめるところに、人権無視の低賃金が止まれてくるのであります。現在の最低賃金法を、一は、労使対等で労働条件をきめるという原則に改めるということであります。二は、全国一律最低賃金制をつくる、最賃制をつくるということであります。三は、賃金額決定に際しては、労働再生産に必要な額であり、生計必需品目を指定してきめる。これなくしては最低生活を守ることはできないと思います。政府の見解をお聞きしたいのであります。  第五は、公労協労働者に対する政府経済的権力的支配問題でございます。具体的に国鉄に例をとってみますと、国鉄の資本金は、政府出資金八十九億円でございます。これに比較いたしまして、固定資産は一兆七千五百億円をこえる膨大な企業体でありまして、独立採算制をとっております。このように国鉄が日本の産業の動脈的役割りを果たすような急速な成長を遂げたのは、国鉄従業員の血と汗の結晶であると言っても過言ではありません。しかしながら、国鉄当局は百円の支出も政府の許可なしにはできず、建設資金の借り入れも七分以上の鉄道公債にたよっているのが現状であります。あまりにも一方的な政府の権力的支配下にあります。これに対して外国の例をあげてみますと、イギリス、西ドイツ、イタリア、フランス等の国有鉄道においては、すべての建設資金は国家予算でまかなわれているのでございますが、スト権の確立は厳存いたしております。これに反して、日本の国鉄労働者をはじめ公労協労働者スト権は禁止されているのであります。政府はその理由に、公共の福祉を阻害するということをいっております。公共の福祉とは主観的判断の問題でございます。日本は国連の有力メンバーでございます。ILOの常任理事国でもございます。国際慣例にそぐわない公共福祉論を振り回してスト権を取り上げていることは、世界に例を見ないのでございます。  これに関連いたしまして、問題として、青森、長野地裁において公労法十七条スト禁止条項は憲法違反であるという結論を出しているのでございます。また、公労法ができましてからの過去を振り返ってみますと、公労法によりスト権を剥奪、その代償措置として公労委ができたのでございます。国鉄労組への第一号仲裁裁定は四十五億円の支給を必要とするものでありました。しかし、国鉄の予算上資金上という理由で、支出可能な十五億円の支給のみを承認して、残された残額三十億円は支給されなかったのであります。昭和二十四年から三十一年まで、このようにして債務不履行の問題がそのままになって四百数十億にも達しているのであります。スト権を取り上げて代償機関としての役割りを果たしていないのでございます。ILO第五十四次報告は、公益委員の選任等に触れて、代償機関としての役割りを果たしておらず、公正を欠いていると指摘しているのであります。つまり、政府の意図する賃金政策に迎合する考え方持ち主をあて、スト禁止の代償機関ではなく、低賃金政策を実施するための通路としての機能を果たしているのであります。したがって、第六十四次報告では、そのF項で「当該条約批准の意向表明に関連して、右の批准まで条約に含まれる諸原則に逆行するような一切の措置をとることを避け、とくに労働組合活動による一切の逮捕、解雇あるいは懲戒を避けるよう努力することを、日本政府要求すること」となっているのであります。去る十日、衆議院におきまして多賀谷眞稔氏が、「すべての公有企業を同一の基準においてストライキを禁止している、」こういう項に触れ、「このような国は外国のどこにもない」との質問に対しまして、政府答弁で労働大臣は、「五十四次報告のストライキの制限については、企業の業務の中断が公共の困難を惹起するという理由で、真に不可欠であるもの」という答弁をしております。私は前にもかってな公共福祉論によってスト権をとっているということを申し上げましたが、これは大きな誤りでありまして、第五十四次報告には、ストライキ制限が、企業の中断が公共の困難を惹起するという理由で不可欠なものであるというなら、公平な仲裁機関が付随すべきであり、日本の場合は、このような公平な仲裁機関がないのであります。六十四次報告にいう八十七号批准まで逮捕その他はいけないと言っておる、控えなさいと言っているのであります。これに対して政府の所信をただしたいのでございます。  これらは公労協労働者のすべてに共通の重要な問題でございます。しかし、当局者と労働者との現実関係はどうなっているか。労働者の権利を抑圧し、資本の奴隷化にしようとする以外の何ものでもありません。このようなことで国際的連帯性が保たれるかどうか、政府の見解をお聞きしたいのであります。  さらに、人権尊重、国際慣例に従って公労協労働者労使対等で労働条件をきめる原則の上からも、スト権を確立すること、公企業体に名実ともに独立採算制を確立すべきであると思うが、これに対する政府考え方お尋ねをしたいのであります。  最後に、公労協労働者賃金闘争について伺いたいのであります。  公労協労働者は、業務の重要性にかんがみ、身を粉にして社会に貢献してきました。しかしながら、低賃金物価騰貴によって、生活苦に押し流されております。勤統十年、奥さんがあって子供二人を持つCさんの手取り二万一千八百円の生活実態を見ると、卵は三日に一個、牛乳は子供のために二本、衣服のほとんどは子供に注がれ、なかなか本人の分は買えない。子供のためのレクリエーションも思うだけで実行できない。これでも毎月足が出、六千円の赤字は期末手当で埋めておるのが現実でございます。このような生活実態は決して誇張ではないのであります。昨年十月より値上げ要求を出し、団交を重ねていることが、生活苦を如実に物語っているのであります。しかしながら、実権のない当局者との団交はなかなか進みません。ついに第三者調停に本年二月申請して今日に至っておりますが、法に定めた二カ月が経過しようとしても、調停案提示の期待は薄くなっているのであります。政府が昨日の公労協代表との会見において、調停案が出れば責任を持つと言っております。しかし、調停案労働者を納得させるものでなくてはなりませんことはもちろん、法で定めた期間内に提示されなくてはなりません。問題は、三公社現業当局者に政府が予算の裏づけを確約することにあります。明後十七日のストを控えて、公労協労働者に対して、いたずらに弾圧することなく、事態解決のために、政府は誠意を持って努力すべきであると思う。政府決意のいかんを伺いたいのでございます。  私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えをいたします。  最近のわが国民生活水準は外国に例を見ないほど上昇しておることは、先般の国民生活白書で言っておるとおりでございまして、私は、今後とも従来の経済成長を続けていく考えでございます。  また、日本の生産性向上は欧州並みだというお話でございますが、これは一部の会社には欧州以上のものもございましょう。欧州並みのものもございましょう。しかし、日本の中小企業、農業の方々をお考えいただけば、まだまだ欧州並みにいっていないことはおわかりと思います。国全体としてはイタリアよりも上でございます、生産性が。しかし、個々の問題は非常にまだおくれておるということを見なきゃならない。同じ労働問題にいたしましても、けさのラジオで聞きましたが、中小企業の方々がいかに今回のストを見ているかということは、国民の声として私は聞くべきことだと思います。(拍手)  なお、詳しいことは別にお話しいたしますが、生産性が同じで賃金が非常に低いということは、あなたのおっしゃるとおり、日本の会社は非常な借金がある。高金利と借金のために、生産性がのぼっても賃金のほうまで行かないというのが実情であるのであります。  なお、最低賃金の問題につきましては、従来から答えておりますように、いま日本の最低賃金の状況は非常によくいっております。われわれは、今後とも職権方式を含めたいろいろな点で最低賃金審議会の答申を守っていきたいと考えております。  なお、スト権の問題でございますが、外国には公共企業体スト権を認めた国もございます。しかし、これは事情の違うところで、それをどこの国にも当てはめるべきものでは、ありません。わが国の状態では、公労協スト権を認めるということはまだまだ早過ぎるものと私は考えておるのであります。(拍手)なお、スト権がないかわりに、公労委調停、あるいは仲裁裁定によりまして、第三者機関が公平な判断を出すことにしております。われわれは、誠意を持ってこれを第三者機関の裁定に従っていきたいと考えておるのであります。(拍手)   〔国務大百大橋武夫登壇拍手
  21. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 大体の問題につきましては、総理大臣からただいま答えられたとおりでありますが、全国一律の最低賃金制につきましては、その御趣旨はよくわかるのでございまして、検討を要する問題であろうと思いますが、わが国産業経済の現状から見まして、さしあたりは昨年八月の中央最低賃金審議会の答申がございますので、この答申によりまして、現行法の活用につとめ、答申の申しておりまするように、適当の時期に現行法の根本的な再検討をしよう、こういう方針で進んでおる次第でございます。  次に、スト権の問題でございまするが、三公社現業は、いずれも国営企業であるかないしは全額政府出資の完全な国有法人として、高度の公共性を有する事業を営んでおり、また、その職員は、あるいは憲法上五条に規定するように、国民の全体の奉仕者たる国家公務員として公共の利益のために全力をあげて職務を遂行すべき地位にある国家公務員、あるいは三公社公社職員のように、国家公務員ではなくても、なお法令によって公務に従事する者とみなされるものでございまするので、これらの職員の地位の特殊性及びその従事する業務の公共性から見まして、争議行為が禁止されておりますのは、やむを得ないところであります。そして、その合憲性につきましては、すでに最高裁判所の判例によって明らかにされておるところでもありまするし、また、ILOにおきましても、公平な仲裁機関であるところの公労委仲裁裁定を尊重する制度のあることに着眼いたしまして、これを明らかに適当と認めておられるところでございます。したがって、これらの職員に対して争議権を与えるという趣旨の法律改正は、現在のところ全く考えていない次第でございます。  それから、国鉄をはじめ三公社現業労働者の方々が生活の向上を求めて今回の争議に入っておられる気持ちは、十分にわかるのでございますが、それはあくまでも、法律を守り、労使関係のルールに従って行なうべきでございまして、法律に違反して違法のストライキを行なうことは許されるべきでないのであります。(拍手公労協の今日の賃金紛争については、すでに公正な第三者機関である公労委の場合にかかっておるのでありまして、公労委としても鋭意解決のための努力を尽くしており、政府といたしましては、その結論を待って、これを必ず尊重するという態度を明らかにいたしておる次第であります。したがって、この際、組合におかれましても、違法なストライキなどを行なうことなく、公労委の最終結論を待ち、それによって平和的に紛争解決をはかり、もって国民の期待にこたえられるよう、希望をいたす次第でございます。(拍手)   [国務大臣田中角榮君登壇拍手
  22. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 公共企業体の独立採算制の問題についての御質問に対してお答えいたします。  公共企業体の現行予算制度は、総体といたしまして各企業体の独自性を尊重いたしております。収入の増加した場合の特別給与制度、流用等につきまして、大幅な弾力性が与えられておるわけであります。しかし、他方、公共企業体は、その事業が独占的であり、かつ公益性の強いものでありますことと、国が全額出資を行なっていること、その他、国の特殊の保護が与えられておる等、公共企業体の特殊の性格から、給与総額の制限とか、また借り入れ金の制限、流用の一部制限等、若干の財政上の制限があることは、この性質上やむを得ないことと考えておるわけでございます。しかし、これらの将来の問題につきましては、政府も慎重かつ前向きで検討を続けておるわけであります。(拍手
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 渋谷邦彦君。   〔渋谷邦彦登壇拍手
  24. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 私は公明会を代表して、四月十七日に予定されております公労協の半日ストについて、総理並びに関係各大臣に若干の質問を行なうものでございます。  半ロスト国民多数の迷惑をよそに決行されれば、わが国労働史上かつてない規模を持つものといわれるだけに、国民生活に及ぼす影響は広範囲であり、ひいては、社会秩序の混乱、経済動脈を麻痺させることは必定であります。この事態は、国民大衆の利益擁護の面から考えても、たとえそれが一時的現象であるにせよ、決して許さるべき行為ではないはずであります。したがって、一部の人々の生活権を守るため他の多くの人々を犠牲にしてよいという考えは、断じて避けなければならないと思うのであります。(拍手)国労のストは、決行される、されないにかかわらず、すでに物心両面に少なからず被害があらわれておる事実がございます。すなわち、楽しみにしておった修学旅行を取りやめねばならなくなって、いたく童心を傷つけられたとも伝えられ、国民大衆の声の中には、このたびのストは暴挙にひとしいと、激しく償っている向きもあるのであります。かかる観点に立って、まず総理及び労働大臣に数点にわたって伺いたいと思います。  政府はいたずらに法律をたてに振り回すだけでなく、事態の収拾にあたってストを回避させるだけの自信と用意があるかどうか。あるいは、すでに伝えられているとおり、妥協の余地は全くないとして、あくまでも不法ストとして取り締まるという対決のかまえで臨むのか、国民の前に明らかに示していただきたいのであります。  質問の第二は、春闘方法がとられて十年目を迎えると言われる今日まで、情勢のいかなる変化があろうと一度の休みもなく続けられ、年中行事化した経緯から、今回のストについても当然予想されていたところでありますが、緊迫せる状態に追い込まれなければならなかったという印象を強く受ける現在、なぜ事前に責任ある解決策がとられなかったのか、伺いたいのであります。  質問の第三は、今回のストの目的は賃上げにあることは周知の事実でありますが、公労協内部にもすでに賃金格差があって問題にされているほか、民間の給与べースに比較してその差があまりにはなはだしく、加えて、昨今の物価上昇に伴い生活水準が著しく低下したということが、争点とされているのであります。政府は、賃上げはさらに物価上昇を誘発するとして認めなかったところに、一つの大きな原因があったとも考えられるのでありますが、今後もそれを理由に何らの考慮も払わないのか、その見解を示していただきたいのであります。  質問の第四は、先ほど労働大臣は、職権仲裁は行なわないとの言明がありましたが、昭和三十六年の春闘において公労協が初めて半日スト宣言した際、当時の石田労働大臣は、職権仲裁を請求し、事をおさめた先例もあり、不測の事態を引き起こす危険も多分にあるところから、今回も政治的に強力に処理すべき必要がきわめて強く感じられるのでありますが、これについての所信を重ねて伺いたいのであります。  また、先ほど、郵政大臣は、相手方仲裁申請すれば応ずるような発言をされたと思うのでありますが、はたしてそうでありますか。また、運輸大臣は、相手が仲裁申請した場合はどのように対処するおつもりでいらっしゃるのか、お伺いしたいのでございます。  質問の第五は、今回のストは、限られた組織労働者によっての行動であります。わが国には、六三%に及ぶ未組織労働者は、常に何らの恩恵を受けることなく、社会の底辺にその生活を甘んじなければならないという不合理が横たわっているのであります。特に日給制になっている家内労働者やあるいは旅館等零細サービス業などに勤務する従業員などは、今回もまた置き去りにされなければならないばかりでなく、ストの余波を受けて仕事にも行けないことになりますと、生活に重大な脅威を与えることになると思うのでありますが、これが救済について政府はいかなる対策を持っているのか、具体的にその方針を明らかにしていただきたいのであります。  次に、運輸大臣に伺いたいのでありますが、公労協ストの中核的役割りを果たそうとしているのが国労であり、今回、列車の全面運休ということになれば、たとえ半日であっても、それによって生ずる被害は、人的にも物的にもまことに甚大なものがあることが推定されるのであります。また、すでに乗務員の奪い合いが始まっていると伝えられているおりから、当局として、予想される被害をいかに食いとめようとされているのか、その対策についてお示しを願いたいのであります。  次に、三公社現業の中でも特に国鉄関係職員賃金が低いことが、しばしば論争の焦点になっているにもかかわらず、今日まで何ゆえ抜本的改善が推進されないで来たのか。さきの参議院の予算委員会における石田国鉄総裁の言明もあるとおり、多くの人命をあずかるばかりでなく、みずからも生命の危険にさらされながら過重の労働に携わるこれらの人々の待遇は、当然改善されてよいと思いますが、その今後の方向についての所信を示していただきたいのであります。  次に、ストが決行され、それが正常に復するまで相当の時間を要することが明らかにされております。このため、腐敗度の高い生鮮食料品などの損害に対しては、その補償を考えているのか、具体的に示していただきたいのであります。  次に、郵政大臣に伺いますが、郵政省は、すでに全国地方郵政局長に対し、「ストが強行された場合でもできる限り業務運行に支障のないよう努力せよ」という意味の通達を出して、ストに対処しようとしていると言われますが、郵便物二千万通、小包三十万個に及ぶ遅配を、どのように正常に処理し、また、貯金や簡易保険業務などの受け払い業務管理者だけで波乱を避ける自信があるのか。われわれとしては混乱はとうてい避けられないと見ております。したがって、スト政府の責任において絶対に回避すべきであります。また、やむなく行なわれた場合、具体的にその対策について示していただきたいと思います。  次に、郵政関係業務も、国鉄と同じく、国民大衆の利益を守る上から重要な位置を占めていることは、論をまたないところでありますが、それだけに、繰り返し行なわれてきたストに対して、その要因となるべき問題点を掘り下げ、未然にこれらの被害を食いとめるための処置が行なわれなかったのか、その理由と今後の方針について、明らかにしていただきたいと思います。  次に、国家公安委員長お尋ねいたします。今回のストは規模が大きいだけに、かなりの摩擦や混乱が起きることも推測されますが、交通麻痺などに対処して、社会秩序の維持という面からいかなる方針をもって臨もうとしているのか、示していただきたいと思います。  元総評のある幹部が、「大衆とともにまじめに戦い、前進し、後退し、妥協する。そうすれば負けても悔いはない。それが一番必要なのではないか」ということを述べられております。この精神こそ今後の労働運動において最も大事だと思います。今日のように、あるいは指導者が下部の組合員と遊離し、あるいは支持も受けられないばかりか、国民大衆の存在も無視して独走的にふるまう行為は、厳に戒められなければならないし、また、経営者の側も、労働者立場を十分理解し、単に違法行為としてきめつけるだけでなく、労使相互の協調によって国民の利益を確保することが、心から望まれるところであります。私は、かかる観点に立って今後の労使間のよき慣行を確立すべきであると思うが、政府はいかなる方針を持っておるのか総理にお伺いして、質問を終わるものであります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  お言葉の中に、一部の人の利益のために国民全部の意思を無視するということはよくないというお話、私はごもっともなお考えと思うのであります。したがいまして、御質問の一、二、三、あるいは五の、多数の未組織労働者があって生活に困る、こういろ一、二、三、五につきまして、一くるめにして申し上げたいと思います。  私は、法を無視する行動に対しましては、これはいかようにでも無視するというのであれば、これが力というものと法律というものとどちらをたっとぶかという問題でございます。われわれは、あくまでも民主主義のもと、法律を守っていかなければなりません。そういう意味におきまして、ただ法律一点ばりではいけません。法の命ずる精神を生かしていくために、われわれは日夜今回の争議を回避してもらうよう努力いたしておるのであります。前にこういろ措置をとろうといたしまして、われわれは、法の規定にありまする公労協調停に乗っていきまして、いま調停中であります。また、それがまとまらなくても、仲裁裁定があれば、私は法の精神を実現すべく、これに従っていきたい。これよりほかにはただいまのところない。だから、衆議院で申しましたごとく、国民全体が違法な行為を排除すべしという気持ちを頭に貫きながら、私は今回のストを回避するよう、あらゆる努力、説明を続けていきたいと考えておるのであります。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫登壇拍手
  26. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私は労働省といたしまして、今回のストライキがわが国の労働界にとりまして重大な問題であればあるほど、この際、使用者たる政府立場に対しまして、労働行政の当事者たる政府立場を失わないようにしなければならぬと心がけておる次第なのでございます。かような立場からいたしまして、労働省といたしましては、今回の問題につきましては、あくまでも労使関係の原則にのっとり、労使の話し合いを通じて、この不幸なる結果を避けるようにしていただきたいと思っておるわけでございまして、この話し合いを進めるために必要があれば、労働省といたしましては、いかなるあっせんの労をも惜しむものではないのでございます。すでに政府の側といたしましては、公労委調停仲裁の結果を尊重するといろことを、明らかにいたしておるのでございまして、この段階におきまして、組合政府に、具体的な満足のいく数字による回答を示せといわれましても、これはなかなか遂げられる見込みはないと判断すべき段階だと思うのであります。  したがって、現在考えられますることは、この問題の解決は、現行制度のもとにおいては、公労委を信頼し、公労委判断に従い、公労委判断を待って処置する境地に立つ以外にはないと思うのでございます。こうした段階におきまして、組合が力によって、すなわちストライキ、違法なるストライキによって主張を押し通そうとされるのでございまするが、私はこれを行なわれることは決して解決への道ではない。かえって問題を混乱させるばかりだと、こう思っておるのでございます。したがって、できるだけこの公労委の手続である調停、さらに進んでは仲裁に進んでいくということが、解決のすみやかな道であると思うのでございまするが、そのために、職権によって労働大臣仲裁申請するということは考えておらないことは、先ほど申し上げたとおりでございます。なぜならば、この労働大臣職権による仲裁申請は、決してストライキをとめる法律的の力を持っておるものではないのでございまして、ストライキは、公労法によれば、いかなる場合においても違法であるのでございまして、この違法なストライキをあえてやろうという考え組合が持っておられまする以上は、私は職権仲裁に踏み切るべき理由はないと考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣池信三登壇拍手
  27. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) お答えいたします。  まず第一に、ただいまは組合側申請に基づきまして公労委において調停進行中でございます。したがって、われわれはこの調停を待って、この調停の結果をでき得るだけ尊重してまいりたいと考えておりまするが、もしも組合側においてこの調停が待ち切れない、したがって、仲裁申請したいということであれば、私どもはこれに同意するにやぶさかではございません。  第二に、郵政あるいは私どもの関与しておりまする業務が、このストによって非常な阻害を受けて、公衆に大きな迷惑を及ぼすのではないか、その際にはどうしてこの業務の運行を確保するかと、こういうお尋ねであったようでございまするが、もちろん、多数の従業員を擁する組合ストライキを半日やりますれば、その影響たるや、先ほど加藤議員の御質問に対しましてお答えいたしましたごとく、きわめて甚大なものがあることは疑う余地はございません。しかしながら、私どもといたしましては、万一かような不幸な場合がありました際には、極力、管理者を動員し、また、従業員の中でも良識のある人々のその良識に期待をいたしまして、あらゆる方法を講じて、この業務の運行を確保してまいりたいと、さように考えております。  さらに、第三にお尋ねになりました点につきましてお答えをいたしますが、私どもは、郵政と言わず、あるいは電信電話と言わず、最も国民日常生活に重大な関係持ち、密着した仕事をいたしております。かような代表的な公共事業を運営しておりまする立場から申せば、やはり管理者も労務者も、ともどもに心を一つにして、この神聖な公の仕事を遂行していかなければならない、きわめて私は重大な責任をお互いが持つものであると確信をしておるのであります。それにはどうすればいいか。やはり管理者と従業員は常に心を一つにして、一緒になって働いていくということが絶対に大切であろうと存じます。そこで、私は、常に話しておりますが、われわれ管理者立場にある者は、十分に従業員の立場を理解し、これを尊重していくべきであると同時に、また、従業員、組合員の諸君は、管理者立場というもの、その職責というものを十分に尊重をし、理解をしていってもらう、こういうことを考えているのであります。私は従業員の福祉の増進ということについては常に心を入れておるのでありまするが、それには何としても労使間の関係が常に正しい姿でなければならない、このことが根本的に重要な問題であろうと存じます。この労使関係が踊れたならば、事業の運営はうまくいくはずがございません。かような見地から考えますると、今回のような法律において禁止しておるスト行為をやろうというような考え方は、少なくとも正しい労使関係とは申しかねるのであります。かような不法な行為は、私どもとしては残念ながら絶対に許すことはできません。断固たる態度をもって臨むつもりでおります。(拍手)   〔国務大臣綾部健太郎君登壇拍手
  28. 綾部健太郎

    国務大臣(綾部健太郎君) お答えいたします。  今回の予定されておるようなストが起こったといたしましたならば、いかなる迷惑が国民大衆にかかるかということは、しばしば私どもが申し上げているとおりでございます。国の輸送の動脈ともなる国鉄に非常なる混乱が起き、しこうしてそれが、経済諸般、国民生活諸般に累の及ぶことは当然でございます。そこで、私どもといたしましては、何とかストを中止すべく、再三あらゆる手段を尽くしているのでございます。  それから、国鉄の給与がほかの三公社に比較をして低いというような議論も聞くのでございます。私もそのことにつきましては、ただいま進行中である調停、委員に詳細申しているのでございます。しかし、組合側がどうしても調停が待てないといって仲裁申請するならば、私どもといたしましては、ストを回避するために、それに応ずるにやぶさかではないということを申し上げるのであります。  それから、輸送途中における損害についてどうするかということにつきましては、国鉄側においても、その賠償法その他によりまして、十分の考慮をすることと考えております。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇拍手
  29. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お答えいたします。  混乱が起こった場合に公安当局はどういう対策を準備しているのかという御質問であったと考えますが、先ほど申しあげたとおり、今回のいわゆる統一ストの対象となる企業には、国鉄その他、国民日常生活に密接して高度の公共性を有するものがありますので、これらのスト行為に伴う犯罪、あるいは混乱や、社会不安による不測の事態に対しましては、関係機関との緊密な連絡のもとに、万全の態勢で臨み、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。ただ、念のために申し添えたいことは、われわれといたしましては、きわめて冷静に事態を観察して、犯罪が起これば断固たる処置をとるのでありまして、それが合法的であります限り、労働運動そのものを弾圧することはあり得ないことを御了承願います。(拍手
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 田畑金光君。   〔田畑金光登壇拍手
  31. 田畑金光

    田畑金光君 私は、民主社会党を代表して、四月十七日に予定されている公労協統一ストについて、政府に対し若干の質問を行なわんとするものであります。  率直に申しまして、今回の公労協統一ストは、第一に、国民の利益に対する重大な挑戦であり、第二に、順法と民主的労働運動のルールをあえて犯さんとするものであり、第三に、その当然の帰結として、議会制民主主義の基本をそこなうものである点において、われわれは、かかるストが絶対に行なわれてはならないと確信するものであります。(拍手)  特に、今回の公労協ストは、総評春闘の中で計画された完全なスケジュール闘争である点を看過するわけにはまいりません。労働運動は常に一人よがりであってはならないということばは、過去における労働運動の先達が、血みどろの戦いと経験の中からわれわれに教えた貴重な教訓であります。いま公労協諸君が、八十万の組織的利益のために、法を無視し、国民世論を敵にして、その要求を貫徹せんとすることは、結果的には、マイナスこそあれ何らのプラスにならないことを、この際、誠意をもって警告したいと存じます。(拍手)労働連動は、国民世論支持があってこそ初めて大きな力を発揮するものであります。国民はまた、ある程度の不便をしのんでも、労働者要求が正当であり、かつ、それが順法と民主的労働運動のルールに従って行なわれる場合には、一時的な不便をあえて許容することは、過去の労働運動の経験が示しております。しかるに、今回の公労協ストは、遺憾ながら国民世論の許容し得る内容のものでは断じてありません。  もとより、われわれは、公共企業体職員の労働基本権が民間や一般の公益企業の場合と差別され、これが大幅に制約されておる現実を、肯定するものではありません。また、今回の公労協経済要求が、筋の通らない不当なものであるとも考えておりません。むしろ、われわれは、公企体の労働基本権については、労調法上の公益事業と差別することの矛盾を指摘し、これらの人々に完全な労働基本権を確立すべきことを、一貫して主張しております。また、その経済要求についても、大筋において妥当であり、特に、物価上昇と経済成長に見合う賃上げは、政府の責任において行なうべきことを主張しているのであります。しかし、そのことは、現在の時点における公労協ストを正当化することとは全く別の問題であります。われわれは、事の善悪は別といたしまして、公労法第十七条がストライキを禁止しているという厳然たる事実をはっきり認識することが、まず必要だと思います。悪法なるがゆえに無視してよいとする主張は、民主主義法治国家においては許されない条理であります。なぜなら、民主三義の原則は、もしそれが悪法でもるならば、まずそれを国民世論に訴え、議会活動を通じ改廃することとし、法はあくまでこれを守るという基本的立場を堅持するところに、その真髄があるからであります。現に同盟会議系の二十万に達する全官公の諸君は、公労協と同様、大幅賃上げ要求しつつも、あくまで法で禁ぜられたストを排しまして、自主団交を尽くし、調停機関を尊重して、合理的かつ合法的に要求を実現すべく、ひたすら民主的労働運動の軌道を歩み続けているのであります。革命的労働運動と民主的労働運動の差異は、この両者の行き方にいみじくも象徴され、すでに世界の労働運動の大勢は、革命的労働運動の没落と前途の危険性を随所に実証しております。もし、公労協諸君がこのような大勢を軽視し、民主的労働運動のあり方をあざけり笑うならば、諸君はみずからの運動の墓穴を掘る以外の何ものでもないことを、十分に留意すべきであります。(拍手)  それと同時に、私が特に強調したいことは、この種違法ストが年々繰り返され、年とともにかえって悪質化しつつあることは、政府の無定見によるところまた大であるということであります。違法なストをかけられると、すぐその圧力に屈服し、筋の通らない政治的取引に走り、公労委を中心に解決をはかることを怠って、政府みずからが公労委という第三者機関を軽視したところに、今回のような事態を招いた原因があると思いまするが、総理は、公労委の権威と機能をいかに評価され、いかなる態度をもって今回の事態解決に当たる決意であるかを、明確にしていただきたい。  次に、私は、このようなことが年中行事のように繰り返されている根本の原因は、政府の労働政策の貧困と、公企体労使関係の非近代性にあることを、強く指摘したいのであります。四・一七ストという一時的現象にだけ目を奪われることなく、この際、公企体労使関係の基本的欠陥を是正することに、深く思いをいたすべきであると考えます。現行の公労法は、公共の福祉を強調するのあまり、必要以上にこれら労働者の基本的権利を制約する結果となり、ために、公企体労働者は、法そのものに対して不信を抱き、順法の精神を軽視する傾向に走りがちであります。この法不信が、政府並びに当局に対する不信感となってあらわれ、円満な話し合いによる解決の基盤をそこなっているのであります。特に、公労法上の労働基本権の制約は、西欧諸国の水準に比べ、またILOの国際的水準に比べて、はるかにきびしいことは、まぎれもない事実であります。私は、公企体労使関係紛争を根本的に除去するためには、このような公企体労働者の法的不信観念を一掃することが、すべての前提であると思います。一部に、公企体等における労働基本権の拡大は、即公共の福祉を阻害することになるという見方がありまするが、この判断は基本的に誤っていると思います。この問題は、労働運動の現状と相関関係において判断すべきであり、今日のように、労働運動全体がジグザグではあるが成熟に向かっているとき、法によってすべてを束縛することは、決して正しい労使関係を育てていくことにはならないと考えております。むしろ、それは逆に反発を招き、はね上がった労働運動を奨励するにひとしいのであります。労働基本権の行使は、国民世論支持なくして有効に行使できるものではなく、はね上がった労働運動は、この国民世論の批判と民主的労働運動の両面からチェックされ、公共の福祉は、この面で十分カバーされるものと考えます。そのことの何よりの証拠は、西欧先遊園の事例や、公企体とほとんど性格が変わらない労調法適用公益事業の事例が、明白に実証しており、また、逆の事例として、公労法によって基本権をいかに制約しても、今回のごときストが頻発する事例の中に、いみじくもその真実が立証されていると思います。かかる見地から、今回のごとき紛争除去の根本策は、将来、公企体の労働基本権を回復することが必要であると考えまするが、政府の所信をあらためて承ります。  第三の問題として、政府は、今回のストをとらえ、その違法性を強調するだけで、みずから行なうべき責任について、何ら自主的な態度を表示していないことは、片手落ちもはなはだしいと言わなければなりません。今回の好ましくないストを表面化させつつある一方の責任は、政府並びに当局にあると言わざるを得ません。公企体職員賃金が、民間に比べて立ちおくれており、さらに、最近の経済成長と物価上昇に取り残されていることは、まぎれもない事実でございます。ことに、国鉄労働者のように、昼夜作業にわたり、生命の危険をおかしている事業体において、かえって賃金格差がはなはだしいということは、放置すべきではありません。もし政府が、真剣にストを回避し、紛争を除去しようとするならば、まずこの点について、当局を通じ、誠意ある回答を労働者側に提示させるよう指導することが、必須の条件であります。しかるに、政府は統計上の事実を曲げて、賃金引き上げがいかにも物価上昇の主因であるかのような宣伝を行ない、賃上げ要求が、それ自体、国民経済にとっていかにも不当であるかのような印象を与えようとすることは、断じて許すわけにはまいりません。  ともあれ、調停も最終段階に迫っている今日、最悪の事態を回避する道は、政府が財源措置を講じ、公社当局を通じ、あるいは当局を指導督励して、おそくとも十七日以前に労働者の納得できる調停案が提示されるようにし、政府はこの調停案を尊重し実施することを、各機関に明示することであると考えますが、政府にその用意ないかどうかを承りたいのであります。  第四の問題としてお尋ねしたいことは、昨日、労働大臣は記者会見において、「仲裁に移行することが、事態を回避する唯一の残された道であるが、政府はいまのところ職権仲裁申請する考えはない。ただ、当事者側からそのような話があり、また、職権仲裁申請スト回避の有効なきめ手になることがはっきりすれば、そのときになって考えることはあり得る」と言われておりますが、その真意は那辺にあるかということであります。先刻、加藤議員の質問に対し、労働大臣は、職権仲裁は行なわないと言われましたが、公労協が自発的にストを中止しまして、反省の意思を明らかにしたような場合でも、職権仲裁に踏み切る意思はないのかどうか。もしそうだとするならば、公労法規定する労働大臣職権仲裁発動というものは、いかなる場合に適用されるのか、この際、明らかにしていただきたい。  次に私は、今後の紛争解決の基本問題として、公労委のあり方について政府の所見をただしておきたい。私は、現在の公労委の最大の欠陥として次の三つをあげたいと思います。  その第一は、現行制度のもとにおいては、公企体当局は、新たな賃金を内容とする労働協約を、公正かつ自由な立場締結し得る状態に置かれていないのであります。このことは、当然の成り行きとして、公労委における使用者側委員としての当事者能力を完全に失っているのであります。その第二は、公企体職員賃金の決定基準が、全くあいまいであり、何を根拠に賃金をきめるのか、原則が確立されておりません。その第三は、かりに調停段階労使が合意いたしましても、それは、政府、国会を拘束せず、かつ財源の裏づけがないために、その合意自体が全く無意味なものになるという点であります。  これらのことは、公労委自体の調停機能を弱め、労使の妥結意欲を阻害する結果になっていることは、明らかな事実であります。例年の公労委調停が、ことごとく失敗に終わり、公労委無用論が出ていることが、何よりの証拠であります。私は、少なくとも公労委制度を残存させようとする限り、これらの欠陥を除去し、特に、財源の保証については政府が責任を持つ体制を早急に確立すべきだと思いますが、この点に関する政府の所見を承ります。  第六として、私は、公共企業体においても、現在民間企業で普遍化しつつある労使協議制を、英断をもって取り入れるべきだと考えます。いまや、企業経営の中で労働者発言を強化し、企業実態について労働者の認識を深め、その意見を積極的に取り入れていくことは、産業民主主義の必然の要請であります。国営産業や公企体は例外だとする考えは、もうすでに古いと思っております。私は、今回のような紛争未然に防止するためにも、この際、政府は、公共企業体労使協議会設置について、真剣な検討と考慮を払うべきであると考えますが、労働、運輸両大臣の所見を承ります。  最後に、私は、現在の公労委の委員選出方法、特に労働者側委員の選出について、その矛盾を指摘しながら、当局の見解を承りたい。今日、公労委労働者側委員三名は、いずれも総評推薦にかかる委員諸君であります。また、四・一七スト左前面し強行しようとする公労協の推薦にかかる諸君であります。公労委の委員として調停作業に参加しながら、組合に帰れば、みずから参与し作成した調停案を無視し、ストを扇動するなどは、自己瞞着もはなはだしいと言わなければなりません。(拍手)今日、公労委を尊重し、民主的ルールによって、問題を合法的に、しかも合理的に解決せんとする同盟会議系全官公労は、すでに二十万に達し、日に日にその組織は強化拡大の一途をたどっております。公労委のあり方から見ましても、また、その権威を高め、機能の維持充実をはかるという点から見ましても、当然これら民主的労働組織の代表を労働者委員に加えることは、当然の措置と言わなければならぬと考えております。政府は、この矛盾を排除するために、早急に再検討するの熱意があるかどうかを承りまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 田畑さんの今回の争議に対しまするお考え方、また民主的労働運動推進についてのお気持ちは、私も同感の点が多いのであります。  御質問の順序によってお答えいたしますが、われわれは、今回のスト回避のためには、公労委判断に従って公正な判断を得るよう努力いたしておるのであります。したがいまして、いわゆるストのために政府が弱くなって筋を通さないということは絶対にいたしません。これは今後の労働運動、労働関係を正常な姿に持っていくためにも、やはり法に従って厳然たる態度でいきたいと考えております。  次に、労働基本権に対しての問題は、先ほど答えましたとおりに、私は、憲法の規定に従い、ただいまの公共福祉のためにスト制限はやむを得ない、ただこれが救済策として、いまの公労委の活動に待つ、こういう考えで今後いきたいと思います。  なお、三公社現業のうちの賃金格差の問題で、ございますが、私は、いまの賃金の上昇と物価関係は、これを、すぐ物価が上昇して賃金が上昇しないとおっしゃいますが、過去八年間の状況を見ますと、やはり昭和三十五年までは、賃金の上昇が物価よりも、うんと上がった、消費者物価はほとんど上がらずに、賃金は相当上がってまいりました。また、三十六、三十七、三十八の最近上がりましたものを入れましても、賃金は過去八年半のうちに八〇%上がっております。物価は三割でございまするから、実質的には四割の実質賃金が上がっているのであります。物価が上がらぬときにはスケジュール闘争賃金を上げ、物価がある程度上がってきますと、それ以上の賃金を上げろというのは、これは少し無理じゃございますまいか。しかもまた、賃金が上がったのはだれが負担するか――国民全部が負担するのであります。私は、予算につきましても、いろいろ考えなければなりませんが、いまの国鉄の料金を上げるときに、だれが一番反対するかといったならば、いわゆる賃上げ要求している人が一番反対をしてきておるのがいままでの例であります。(拍手)われわれは、国民全体のことを考え、また片一方では、労働者生活考えておりまするから、慎重な態度をとり、そうして争いのある場合におきましては、法律の命ずる公労委判断によっていこうとしておるのであります。もちろん戦後におきまして四、五年間、日本の経済の見通しのつかないときには、公労法十六条一項によって、予算上、資金上不可能なりとして、公労委の裁定を拒んだ場合もありまするが、昭和三十一年以来、わが国の経済の発展によりまして、その後八、九年間の間は、公労委の裁定をわれわれは信頼して守ってきておるということは、これは国民努力の結果でございます。われわれは、単に一部の人に賃上げ要求があるからといって、国民全体の生活、また、組織労働者ばかりでなしに、未組織の労働者あるいは中小企業、農民のことを考えなければ、こういう組織労働者要求のみによって、ストにおどかされて、政府自体が、それでは上げましょうというわけには、絶対にいかないのであります。(拍手国民全体のために考えなければなりません。  なお、公労委のあり方につきましていろいろ御意見がございまするが、財源その他につきましても、先ほど大蔵大臣が答えたように、いろいろの弾力的措置をとっておりまするが、今後、正常な労働運動育成のためには、われわれも十分今後研究はいたしたいと思っております。しかし、これはやはり国民全体のことを考えなければなりません。  また、管理運営につきまして、労使協議機関を設けたらどうかというお話でございまするが、これは民間においてもなかなかむずかしい。ことに公共企業体の管理運営につきましては、やはりいまの方法がいいと考えておるのであります。これは法律にもきまっておることでございます。  なお、総評、全労についてのお考えにつきましては、一応承っておきます。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫登壇拍手
  33. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 公労法による労働基本権の制限につきましては、憲法上はもちろん、国際水準から見ても、許されてよいものであると考えておるのでございます。しかしながら、ただいま田畑議員が仰せられましたとおり、かような制限があることが労働運動を不健全にしているのではないかという点も、十分に考えてよい問題であると思っておるのであります。政府といたしましては、ただいま、スト権の問題についての現行規定を改正する考えはございませんが、労働省といたしましては、常にわが国労働運動の実情をながめながら、この問題の研究を続けてまいりたいと考えております。  次に、職権仲裁の問題でございまするが、今回の違法ストライキは、組合側におかれましては、要求貫徹の手段として考えておられるようでございます。しかしながら、すでに政府態度を明らかにいたしておりまするとおり、この要求についての解決の手段は、争議行為ではなくして、公労委調停あるいは仲裁の結果が出たならば、これを政府は尊重しようというのでございまするから、解決のための手段というものは、あくまでもその調停なり仲裁の結果を急いでいくということ以外にはあり得ないわけでございます。こうした場合におきまして、職権仲裁の問題が論議されることは当然でございまするが、先ほど来申し上げましたるごとく、職権仲裁というのは、これはストライキを回避するだけの法律上の力を持っておるものではございません。現在のストライキは、組合諸君が現状を認識されまして、みずからストライキを回避しなければならぬという気持ちになられた場合において初めて避け得られるものであると思うのでございます。そして、かような心境に組合が入られた場合におきましては、仲裁への道はおのずから開けるものと私は確信をいたしておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣綾部健太郎君登壇拍手
  34. 綾部健太郎

    国務大臣(綾部健太郎君) 公共企業体の管理運営に関する事項そのものは、公労法の第八条に規定してあるように、労使団体交渉の対象とすべき性質のものではないが、公共企業体の運営につき、労働者に説明をし、その納得の上に労働者の協力を得るという意味において、企業の実態について説明し、話し合いをするということは、公共企業体等の労使間で従来とも行なってきていますところでありまして、今後とも、それが行なわれるものと期待しております。ゆえに、今期の争議にしましても、私は、この方針に従って、必ず争議のないように努力いたしたいと考えております。(拍手)    ――――・――――
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、鉱山保安法の一部を改正する法律案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。福田通商産業大臣。   〔国務大臣福田一君登壇拍手
  36. 福田一

    国務大臣(福田一君) 鉱山保安法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  労働者の人命の尊重は、申すまでもなく、何よりも大切なことであります。このため、政府といたしましては、これまでも鉱山の保安の確保につきましてはできる限りの努力を払ってきたところであり、この間において、鉱山の保安の状況は漸次改善されてきているのでありますが、鉱山、特に石炭鉱山における重大災害の発生はなおあとを断たず、特に昨年十一月、不幸にして三井三池炭鉱におきまして多くのとうとい犠牲者を生じましたことは、深く遺憾とするところであります。  政府といたしましては、今後このような大災害を再び繰り返すことのないよう、保安監督の強化、保安教育の徹底、保安融資の充実等を中心として鉱山保安行政を一段と強化したのでありますが、鉱山保安に関する法規につきましては、鉱山における保安の確保の基礎をなすものでありますので、   〔議長退席、副議長着席〕 特にその万全を期すべく、鉱山保安法の改正及び運用の各般にわたりまして、各界の専門家からなる中央鉱山保安協議会に慎重な検討をお願いいたしておりましたところ、今回、保安管理組織の整備等、当面、法改正を要すべき事項につきまして答申を得ましたので、本答申に基づいてこの法律案を提出することといたしました。  改正の第一は、保安統括者制度を新設する等、鉱山における保安管理組織を整備したことであります。  現行法におきましては、鉱山における保安管理体制の頂点に立つものとして保安管理者及び副保安管理者の制度を設けているのでありますが、これを技術的有資格者に限定しております関係上、鉱業所長とその鉱山の保安最高責任者が必ずしも一致しないといううらみが生じてまいったのであります。もとより鉱山における保安の責任者は、同時に資金、労務その他鉱業実施の全般の事項についての最高の責任者であることが望ましいのでありまして、このため、この際、新たに保安統括者の制度を設け、鉱業所長、鉱山長等をもってこれに充てることとし、さらにこれを技術面から補佐するものとして、保安技術管理者及び副保安技術管理者制度を新設し、保安管理者及び副保安管理者制度は廃止することとしたものであります。  改正の第二は、保安監督員補佐員制度を新設して鉱山における自主的な監査組織を整備したことであります。  鉱山における自主的な監査組織といたしましては、現在、保安監督員の制度が設けられておりますが、災害、特に日常発生する事故の未然の防止をはかりますためには、現場に働く鉱山労働者の保安に関する意見がこの監査機能にさらに十分に反映することが望ましいと考えられるのであります。このことが、今回、保安監督員を補佐するものとして補佐員制度を新設し、その一人は鉱山労働者過半数の推薦により選任させることを企図いたしました理由であります。  以上がこの法律案の改正の趣旨でありますが、この法律改正と相まちまして、さらに石炭鉱山保安規則等の関係省令についてもその整備充実をはかり、鉱山保安行政の万全を期してまいる所存であります。(拍手
  37. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。小宮市太郎君。   〔小宮市太郎君登壇拍手
  38. 小宮市太郎

    ○小宮市太郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました鉱山保安法の一部を改正する法律案について、政府の保安に対する基本的な考えをただしたいと思います。  まず、第一にお伺いすることは、三池、鶴見の大変災後も災害事故を断たず、鉱山においては、炭鉱のガス爆発、坑内火災、落盤等、相次いで発生し、多数の生命が犠牲になっております。鉱山の災害の発生は合理化政策の強弱に比例するといわれております。昭和三十年に石炭鉱業合理化法が制定され、さらに三十五年から一段と合理化政策が強行されました。この合理化にこたえるかのように炭鉱の大災害は相次いで起こったのであります。三十五年九月に豊洲炭鉱で六十七名、翌三十六年三月、上清炭鉱で七十一名、続いて同月、大辻炭鉱で二十三名のとうとい犠牲者を出しております。上清、大辻の両炭鉱の災害はちょうど第三十八通常国会中でありましたので、政府の保安施策がきびしく追及され、保安監督行政の拡充強化と、鉱業法、鉱山保安法の抜本的改正が要望されたのであります。そして保安設備改善のための政府の援助等を内容とした国会決議が行なわれていることは十分御承知と思うのでありますが、政府は、現在までいかなる内容の改正と施策を考え・また、行なってきたか、それが鉱山保安の確保と向上にどのように役立っているか、通産大臣から明らかにしていただきたいのであります。  政府発行している鉱山保安年報によれば、稼働延べ千人当たり災害率は、昭和三十一年の〇・五六四を最低として、三十七年度は〇・九一六、三十八年度は〇・九八一と、一直線に増加しています。この七年間におよそ二倍になっております。池田内閣の高度成長政策による所得倍増の公約は果たせそうにないが、災害だけは明らかに倍増しているのであります。池田総理は、経済的数字の上昇にのみ目を奪われて、この災害倍増に対してどのような反省をなされているのか、お聞きしたいのであります。  三池、鶴見の大変災直後、十一月十二日の閣議で、池田総理は、人命尊重に重点を置いて今後の法律改正その他の措置を考えるよう指示されたと報ぜられています。国民大衆は、いままで池田内閣では、人の命が第二、第三になっていたのかと、いまさらながら驚いたのであります。それからすでに五カ月を経ております。国民大衆にこたえるためにも、この際、総理は人命尊重主義をいかにして貫ぬかれる所存なのか、その決意のほどを明らかにしていただきたいのであります。  第二は、災害発生の原因についてお伺いいたします。日本一の近代的設備を誇る大炭鉱で、炭じん爆発のごとき初歩的な事故が起こるとはどうしても考えられないと、保安関係の技術者たちは首をかしげます。多くの人が、資本の大きさや設備の近代化が保安のきめ手だと考えるのも、無理もないことだと思います。しかし、思わざる災害は設備で、なくて、人間が起こすものであることを、今度こそ、はっきり国民は知らされたのであります。ところが、炭鉱においては、その後も、糒炭鉱、近くは日炭高松炭鉱のガス爆発、また、太平洋炭鉱の坑内火災を引き起こして、多数の犠牲を出しました。金属鉱山でも、別子で落盤があり、犠牲者を重ねております。  このように災害が増加の一途をたどる根本原因は、一体どこにあると判断しておられるのか。法律もしくは規則上に欠陥があるのか、あるいは政府の監督行政に重大な手落ちがあるのか、それとも鉱業権者側の保安責任にあるか、保安に取り組む労使関係に問題があるのか。私は法律や規則の不備によって発生している面は少ないと思っております。改正の必要も確かにございましょう。しかし、現在の鉱山保安局は何をしてきたか、労働基準監督局はどうだったのか、まずこの辺に重大な責任がありましょう。昨年六月公開されました自民党の「労働憲章」草案のあの美しい作文とは全く何のつながりもない保安行政だからであります。資本側の姿勢もまた全く同様で、大災害後数日にして生産再開を言い出した三井の栗木社長は、「今度の事故は保安を無視したという説もあるが、実際には保安を無視した出産はあり得ない。炭じん爆発は全山爆発になりやすいが、三川がそうならなかったのは、むしろ保安が行き届いていたからだと思う」と、報道記者に語っているのであります。私は、いままたここで責任を追及する時間を持ちませんが、何と弁解されようと、確かに三池の大災害は、産業合理化政策にその最大の原因があります。合理化の前には人命は全く軽視されているということであります。池田総理は、合理化政策を根本的に変更するお考えはございませんか。あらためてお考えを承りたいのであります。  第三は、保安の監督並びに管理面についてであります。三池の現地で福田通産大臣は、炭鉱災害防止のため次の四点を発表されました。  一つは、三池炭鉱の生産再開については、監督官庁による一斉検査を済ませ、再び災害の起きないことを政府が確認しなければ再開させない。  二つには、一酸化炭素による被害を少なくするため、来年三月までは全炭鉱にガスマスクを備えさせる。  三つは、全炭鉱に対し早急に炭じんの堆積量を測定させ、一定量を上回っていれば清掃させる。  四つには、今後監督官庁による抜き打ち保安検査を徹底する。  以上でありますが、こんなあたりまえのことがなぜ実行されていなかったのか、むしろ問題はそこにあります。法律はあっても守られていなかったことを証明したことであり、いかに改正されても実行されなければ何の役にも立たないのであります。三十七年二月に通産省令によって監督官が増員されました。また、坑内へのガスマスク備えつけが義務づけられたのであります。そして、多くの財政支出がなされたのであります。それでも災害率は一向に低下しなかった。逆に上昇いたしております。私は、監督行政を強化すると同時に、鉱業権者、保安管理者あるいは技術職員に対する保安教育を徹底させることが絶対必要と思いますが、この際、国の責任において徹底的におやりになる意思があるかどうか、通産大臣にお伺いしたいと思います。  第四は、保安責任についてお伺いをいたします。改正の第一は、保安統括者制度を新設し、さらに保安技術管理者及び副保安技術管理者を新設したこと。第二は、保安における自主的な監査組織を整備したとのことであります。その補佐員の一人を労働者過半数の推選により選任させるといっておりますが、あれほど三池のときに要望された労働者発言を強めるため、せめて保安管理者の一人になぜ入れなかったのか。これでは労働者発言経営者側に抹殺され、一方的になるおそれがあります。これで鉱山保安行政の万全が期し得られると考えておられるのか。福田通産大臣は常に、「石炭の場合はほかの事業と違っておりまして、保安即生産であります。生産が即保安でございます。保安なくして生産ができるものではない。また、保安、人命尊重ということを特に考えないで生産をするなどということは、これは絶対に許されないことであります」と述べられておりますが、これは、三井の社長のことばと一脈相通ずるものでありまして、残念ながら、その絶対に許されないことが勝手にやられていることもまた事実であります。そして、常に犠牲になるのは労働者であります。労働者の生命を守る立場からすれば、鉱山保安の責任担当機関が通産省に置かれていることがすでに不適当と思うのであります。他の労働災害と同様に労働省の所管とするのが当然と考えるものでありますが、総理並びに通産大臣、労働大臣の御見解をただしておきたいのであります。  今回、労働基準局長から保安局長に対して、鉱山における危害防止に関する勧告が出ましたが、労働基準監督官が立ち入り検査をするような話し合いがなされたということも聞いております。なぜそれが法文化できなかったのか。また、いままで一度も第五十四条の一項による勧告はありませんが、あの三池の大惨害に際しまして、労働大臣からなぜ通産大臣に勧告されないのか。二項の局長から局長への勧告程度でいいと思われたのかどうか。それではどういう状態のときに大臣みずから勧告されるのか。労働大臣のお考えを承りたいのであります。  次に、現在の行政機構は、通産省に石炭、鉱山、鉱山保安の三局が鼎立いたしております。石炭局、鉱山局は、生産第一主義、合理化強行に走ります。そのひずみを鉱山保安局が一手に背負っていると私どもには見えるのです。したがって、行政指導面においても責任体制が不明確であり、災害のたびごとに通産大臣が頭を下げれば事足れりという、きわめて安易な風潮をもたらしております。通産大臣は、行政面において保安責任をさらに明確にするという立場から、現在の機構を改善する意思があるかどうか、お尋ねをいたします。  最後に、私は、どうしたら炭鉱災害をなくすことができるか。それには鉱業法の改正や鉱山保安法の改正、保安強化のための保安設備に向ける融資等のこともありましょう。けれども、労働災害の最も根深い問題は、資本の人命軽視を基礎とした飽くなき利潤の追求欲であります。したがって、社会問題なのであります。特に三井三池のごとく、かつて三池監獄の長期囚人を、あるいは貧困な南西諸島からの出かせぎ人夫を使用した、前近代的な奴隷労働の歴史を持ち、いまもなおその資本の魂は現存しているということであります。近年特に政府経営者は、争議権どころか、組合と話し合うことすらきらうという現状であります。国労に対しても、動力車あるいは全逓に対しても、当局側は、交渉や協議どころか、話し合うことさえも避けてきた実績があります。また、組合内部への支配介入は、一段とその露骨さをあらわしております。こうして組合の団結力にひびを入れることに成功したときに、交渉権が法律上あっても、いかに憲法で保障されていても、意味をなさなくなってくるのであります。その最も代表的な例が三池炭鉱の保安問題であります。組合が分裂し、一方の組合が会社にかわいがられて、人命保安の交渉や協議が断ち切られた形になったとき、出炭はすばらしく上がりました。しかし、そこには莫大な尊い人間の犠牲が待っていたのであります。過密、ダイヤによって発生した国鉄三河島や鶴見の事故も同じことが言えましょう。
  39. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 小宮君、時間が参りました。
  40. 小宮市太郎

    ○小宮市太郎君(続) 命を守る保安団交や話し合いが断ち切られ、出炭率だけを上げようとする経営者の保安サボタージュによって、鉱山労働者に著しい危害を与えているとき、労働者に対する争議行為方法を規制するのは全く不当と言わざるを得ない。私はスト規制法は直ちに撤廃すべきだと思います。政府がどんなりっぱな法律、規則をつくっても、保安を優先し、労働者の生命を大切にするという姿勢が確立されない限り、災害をなくすことは絶対にできないと思います。総理大臣の御所見を承りまして、質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  41. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 災害の防止につきましては、われわれはできるだけの努力をいたしておるのであります。ことに人命の尊重ということは、これはもう根本問題で、これなくしては政治があり得ないのであります。したがいまして、最近起こりまする交通あるいは鉱山関係の事故防止のためには、すでにたびたび申しておりますごとく、国鉄におきましては、危険の発生の原因を究明して、あるいは警戒的の設備、あるいは踏切その他を少なくする、合理化するいろいろな方法を講じております。また、炭鉱につきましても、監督を強化し、原因を究明しまして、これが対策に万全を期しておるのであります。  なお、お話の炭鉱を合理化したから災害が起こるのだ、こういう議論は私はくみしない。合理化は合理化であり、また災害防止は災害防止に全力を尽くすべきだと考えておるのであります。  なお、生産と保安の問題は、これはうらはらで、一体となるべきものでございます。これを通産省がやらず労働省という議論もございますが、やはり生産あっての保安でございます。また、保安が保てなければ生産もできない、こういう関係で、従来どおり、通産、労働の関係を緊密化しつつ、いまの制度でやっていこうと考えておるのであります。  なお、スト規制法についてでございますが、御承知のとおり、電気事業とか石炭鉱業等は、国民生活あるいは国民経済に重大な影響を及ぼしますので、昭和二十八年以来、スト規制法によってこの産業を将来にわたって確保していこうという法律でございます。私はいまこれを廃止する考えはございません。(拍手)   〔国務大臣福田一君登壇拍手
  42. 福田一

    国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  まず第一問は、過去どういうような措置を保安についてとってきたかというお話でございますが、大体項目別に申し上げてみますと、三十六年には自己救命器の整備をすることをまずきめましたし、それからまた、管理機構の整備をはじめ保安監督員の規定を特に整備をいたしております。また、三十七年には保安教育の強化をしなければならないということを特に徹底いたしております。また、請負組み夫の規制等も行なってきたわけであります。  なお、保安教育をもっと徹底せよというお話でございますが、ごもっともでございます。私たちといたしましては、今年は教材を統一いたしまして、さらに保安教育の密度を大にするように措置をいたしてまいりたいと考えております。  それから、保安技術管理者にいわゆる組合の方がなれるようになぜしないかというお話でございますが、これはもう御案内のように、保安に関する技術面の広範な業務をこの技術管理者が担当いたすのでございますから、やはり国家試験に合格して一定の資格要件があるような者がこれに当たるのが適当であると考えておるのであります。しかしながら、労務者の意見を十分反映させる必要がございますので、保安監督員補佐員は、これを今度は労務者から出せるようにいたしたわけであります。  なお、通産宅内の機構の問題につきまして、生産は、石炭局、鉱山局がやり、一方、保安のほうは鉱山保安局がやっておるが、こういうことでは、いわゆるセクト主義になって、鉱山保安の目的が達し符ないのではないかという御趣旨でございますが、われわれといたしましては、生産と保安は表裏の関係にあるという、ただいまの総理のおことばのとおり、この意味において密接な連携をとらせ、大臣といたしましては、これを統括しつつ、特に保安問題に重点を入れつつ行政をやってまいりたいと考えておるところでございます。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫登壇拍手
  43. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 鉱山保安法五十四条に基づきます労働省から通産省に対する鉱山保安についての勧告権の問題でございますが、労働省は、昭和三十一年二月、昭和三十五年十一月、及び今回の三井三池の災害を契機といたしまして、本年二月にそれぞれ勧告を行なっております。前二回の勧告につきましては、通産省は、必要な法規の改正及び監督指導の徹底をはかることに相なりました。また、今回の勧告につきましては、鉱山保安法の一部改正案を提出するとともに、所要の監督指導の徹底をはかっておるわけであります。  今後とも、労働基準監督機関は鉱山保安監督機関と密接に連携し、必要があると認めるときは勧告を行なうなど、鉱山保安の確保について万全を期してまいるつもりであります。(拍手
  44. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。    ――――・――――
  45. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第五、道路交通に関する条約締結について承認を求めるの件、  日程第六、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約締結について承認を求めるの件、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。外務委員長黒川武雄君。   [黒川武雄君登壇拍手
  47. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 ただいま議題となりました二つの条約のうち、道路交通条約は、国際道路交通の発達と安全をはかるため、道路交通規則の基本的準則を定めるとともに、一昨旅行者が持ち込む自家用自動車の新規登録を免除し、また国際運転免許証の効力を認めるものでございます。  次に、一時通関条約は、旅行者が持ち込む自家用自動車について、一定の条件のもとに、免税及び簡易通関手続により一時輸入を認めるものでございます。  委員会における審議の詳細は、会議録によって御承知を願います。  四月十四日質疑を終わり、採決の結果、両性はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  48. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両件全部を問題に供します。両件を承認することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  49. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。    ――――・――――
  50. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第七、道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車価法の特例等に関する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長米田正文君。   〔米田正文君登壇拍手
  51. 米田正文

    ○米田正文君 ただいま議題となりました道路交通に関する条約実施に伴う道路運送車両法特例等に関する法律案の、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、道路交通に関する条約への加入に伴い、その実施に関連する国内法の整備をはかるため提案されたものであります。  本法律案の要旨は、  第一は、道路交通に関する条約の利益を受ける外国の自動車は、締約国において登録されており、旅行者が一時的な訪問に際し輸入し、かつ使用するものがあって、輸入の日から一年を経過しないものとしていることであります。  第二は、締約国登録自動車について、登録証書の備えつけを義務づけるとともに、道路運送車両法による検査、登録の規定等を適用除外していることであります。なお、この自動車についても、自動車損害賠償保障法による強制保険制度は適用することになっております。  第三は、わが国の自動車等を締約国において使用しようとする者は、条約規定する登録証書の交付を受けることができることとしていることであります。  以上が本法律案の要旨であります。  委員会における審議におきましては、オリンピック開催に伴い一時輸入される外国自動車に対するわが国の受け入れ態勢の問題、及び、締約国登録自動車のわが国における使用上の諸問題等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  52. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  53. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。    ――――・――――
  54. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第八、地方自治法第百、五十六条第六項の規定に基づき、近畿圏整備本部大阪事務所設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)を議台といたします。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員長北村暢君。   〔北村暢君登壇拍手
  55. 北村暢

    ○北村暢君 ただいま議題となりました件につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、近畿圏整備法に基づく事業を推進するため、近畿圏整備本部に地方機関として大阪事務所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の承認を求めようとするものであります。  すなわち、大阪事務所は、整備計画立案のために必要な現地における調査をはじめ、国の関係地方行政機関及び地方公共団体等との連絡並びに整備計画の推進等の専務を分掌しようとするものであります。  委員会における質疑のおもなる点は、大阪事務所の組織、審議会の構成、整備計画の早期策定、事業推進の方法などについてであります。  質疑を終了、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  56. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件を問題に供します。本件を承認することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  57. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。    ――――・――――
  58. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第九、オリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。オリンピック準備促進特別委員長佐藤尚武君。   ━━━━━━━━━━━━━   〔佐藤尚武君登壇拍手
  59. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 ただいま議題となりましたオリンピック東京大会記念のための千円の臨時補助貨幣発行に関する法律案につきまして、オリンピック準備促進特別委員会における審議の経過とその結果を御報告いたします。  本法律案は、本年十月東京において開催されるオリンピック第十八回大会を記念するため、各界の要望にこたえて、特別に千円の高額臨時補助貨幣発行することができるようにしようとするものであります。  委員会の審議におきましては、各委員から、本法と臨時通貨法との関連、記念貨幣の発行計画、鋳造能力、退蔵及び外国持ち出し等の問題について、政府に対して熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細につきましては、会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論もなく直ちに採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  60. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  61. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。    ――――・――――
  62. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長竹中恒夫君。    〔竹中恒夫君登壇拍手
  63. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 ただいま議題となりました地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  この法律案のおもな内容は、  一、地方団体関係団体職員共済組合を設けて、全国知事会等の地方六団体及び国民健康保険団体連合会等の職員について、長期給付を行なうこととし、組合の組織、運営、給付の内容及び費用の負担等は、おおむね地方公務員共済組合に準ずるものとすること。  二、恩給制度の改正に伴い、外国特殊機関の職員期間を地方公務員共済組合組合員期間に通算すること等の改正を行なうものであります。  委員会におきましては、三月二十六日、赤澤自治大臣から提案理由の説明を聞き、慎重審査を行ないましたが、四月十四日質疑を終局し、討論に入りましたところ、西田委員は、自由民主、党を代表して本法律案賛成し、あわせて、各派共同提案にかかる附帯決議案を提出されました。  その要旨は、地方団体関係団体職員共済組合について、公務員期間との通算、掛け金の標準となる給料及び退職年金の最高限度額の検討等のほか、旧樺太等外地の期間と地方公務員期間との通算措置を講ずることという趣旨のものであります。  次いで、採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  また、右の附帯決議案は、全会一致をもって、これを委員会の決議とすることに決定した次第であります。なお、附帯決議に対し、赤澤自治大臣より、決議の趣旨を体し善処したい旨の発言がありました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  64. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  65. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。    ――――・――――
  66. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十一、日本貿易振興会法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長前田久吉君。   〔前田久吉君登壇拍手
  67. 前田久吉

    ○前田久吉君 ただいま議題となりました日本貿易振興会法の一部を改正する法律案について、商工委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  日本貿易振興会法は、御承知のように、昭和三十三年に制定され、日本貿易振興会、いわゆるジェトロを設立したのでありますが、最近、開放経済体制への移行や国際競争の激化などに対処するため、ジェトロの業務を拡充し、その運営体制をさらに整備する必要を生じましたので、本改正法案の提出を見るに至ったのであります。  改正の第一は、ジェトロの資本金として、政府が今年度に五億円追加出資するに際し、資本金に関する規定を改め、今後は、予算の定める範囲内で、そのつど、政府の追加出資ができるとすること。  第二は、理事の定数を一名増員して、七人以内とすること。  第三は、民間各界の意見を一そう反映せしめるため、運営審議会委員の定数を五名増員して、十五人以内に改めることであります。  本委員会では、参考人として、ジェトロの杉理事長を呼び、意見を聴取するなど、慎重に審査いたしました。  質疑のおもなるものは、政府の追加出資を予算の審議のみで決定することは、国会の審議権を縮小するものではないかということ、ジェトロの役員及び運営審議会委員の人選、通常状況、海外駐在職員の待遇問題並びに余裕金の運用方法などの諸問題でありましたが、詳しくは会議録によって御承知願います。  質疑を終わって討論に入りましたるところ、まず近藤委員より、本法案に反対する旨の発言があり、理由として、追加出資規定の改正は、国会の審議権を軽視するものであり、ジェトロの人事は、役人の天下りや、その海外派遣に多く利用され、余裕金の運用方法等については全然配慮がされていないということがあげられました。  次いで、赤間委員及び田畑委員よりは、それぞれ、開放経済体制に備えて本改正法案は必要であるとして、賛成意見が述べられました。  討論を終わって採決いたしましたところ、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  68. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  69. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。    ――――・――――
  70. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十二、納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長新谷寅三郎君。   [新谷寅三郎君登壇拍手
  71. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本案は、納税資金の貯蓄を助成して納税を容易かつ確実ならしめる目的をもって設けられている現行納税貯蓄組合の一そう健全な普及発展をはかるため、所要の改正を行なおうとするものでありまして、おもな改正点は、納税貯蓄組合連合会について、その法制化をはかって、規制と助成の措置を講ずること、納税貯蓄組合預金を取り扱う金融機関として、新たに商工組合中央金庫を加えること、非課税措置の適用を受けている納税貯蓄組合預金の目的外引き出し限度額を、現行五方円から十万円に引き上げること等であります。  委員会における審議の詳細は、会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  72. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  73. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会