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1964-01-24 第46回国会 参議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年一月二十四日(金曜日)    午前十一時十分開議   —————————————  議事日程 第四号   昭和三十九年一月二十四日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件   (第三日)  第二 参議院予備金支出の件   ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 国務大臣演説に関   する件(第三日)  一、検察官適格審査会委員及び同予   備委員の選挙  一、日程第二 参議院予備金支出の  件   —————————————
  2. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ————・————
  3. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件(第三日)、  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。米田勲君。   〔米田勲登壇拍手
  4. 米田勲

    米田勲君 私は、日本社会党を代表して、池田総理並びに関係大臣に対し、きわめて重要な政治的課題について質問をいたさんとするものであります。  私が質問いたしたい第一の点は、憲法に対する総理の基本的な考え方についてであります。特にわが国憲法には、国民人間として尊重されなければならず、その生命、自由及び幸福の追求に対する権利は、国政の上で最大限に尊重され、政治的、経済的または社会的関係においても、決して差別されてはならないと、厳粛にうたっているのであります。しかしながらわが国現状は、池田内閣の推進した高度成長政策によって、大企業を中心とした飛躍的な経済繁栄がもたらされた反面、中小企業農林漁業へのしわ寄せ教育文化生活環境の面における極端な格差を拡大し、不安定雇用貧困に苦悩する多くの国民大衆に対して、あたたかい政治の手を差し伸べることなく放置しているのであります。さらにまた、日本の各地には、公害労働災害交通禍が、多くの人命を損傷し、青少年犯罪はますます増加傾向にあり、俗悪なマスコミ、不健全娯楽の横行、そして社会連帯感は薄れ、いまやわが国社会は、秩序人間愛を失いつつあると言っても過言ではないと思うのであります。(拍手池田内閣は、こうした失政を糊塗するばかりか、むしろ学校教師や警察官、一般家庭に、不当に重い責任を転嫁している態度は、まことに遺憾であります。私はこの際、池田総理に声を大にして申し上げたい。いたずらに憲法改悪の気勢をあげる態度を改め、憲法精神に立ち返って、その完全実施ために、まじめに取り組むべきであるということであります。(拍手アメリカジョンソン大統領は、今年の一般教書の中で、大胆に超緊縮予算を提示するとともに、四兆円の減税、そして、特に貧困失業に対し全面戦争を宣言し、基本的な最低の必要をも満たし得ない全米家庭の五分の一の存在を強調して、多くの具体的な福祉計画を提案しているのであります。国民生産六千億ドルを誇るアメリカも、ようやく国民貧困を再発見し、人間尊重政治に立ち返ろうと決意している姿は、もって他山の石とすべきであります。そこで私は、池田総理の言う高度福祉国家建設とは、一体いかなる構想のものであるのか、もっと具体的に承りたいのであります。  私の第二の質問は、中小企業対策であります。高度成長政策犠牲となった中小企業農業のアフターケアに対して革命的な力を注ぐというのが、先般の総選挙における総理公約でありましたが、総花的な明年度予算案の中で、中小企業が当面している窮状に対し、はたして適切な措置がとられているでありましょうか。確かに、前年度に比べ金額だけは若干の増加が認められます。しかし、開放経済からくる圧迫をあわせ考えるとき、その政策はきわめて貧弱なものであります。一体総理はこの程度対策で、公約した中小企業の革命的な近代化ができると確信を持っていられるのか、明確な見解を承りたいのであります。  すでに、昨年一カ年で、倒産企業は全国で一千七百三十八件、その負債総額は一千六百九十四億円といわれています。また、通産省の調べでも、昨年十二月だけで、中小企業倒産件数は百九十四件、負債総額二百三十九億円で、ともに昭和三十二年の不況期に次ぐ高い記録を示しているのであります。しかも、財政資金の揚げ超、金融引き締めで、中小企業の三月危機が深刻に叫ばれております。これらの事態に対する総理並びに通産大臣見解対策を承りたいのであります。  また、商工中金の金利が若干引き下げられても、歩積み、両建て制度は解消されず、信用保証協会の高い保証料も引き下げられずに、三公庫の融資のワクが多少拡大されても、結局は中小零細企業のてこ入れにはならないのであります。総理の言う中小企業近代化とは、大企業系列下にある中堅企業、堅実に伸びる特定産業対象であって、経済性の低い中小零細企業は切り捨てるという考えではありませんか、総理のお考えを明確に承りたいのであります。  質問の第三は、社会保障についてであります。総理施政方針の冒頭に高度福祉国家建設を提起したが、その中身は全く抽象的であります。なるほど、わが国社会保障は、医療老齢失業などの分野にわたって、形式的には西欧並みに近づいているように見えるが、給付水準は全くみじめなものであります。特に、社会保障全体の水準を左右する生活保護基準に至っては、製造業賃金の五〇%にも達せず、イギリスの七〇%、西独の六五%に比べきわめて低く、これが各種の納付の底上げをはばむガンになっているのであります。政府政策犠牲になって生まれた社会の底辺に生きる国民ために、真に社会保障の充実を考えるなら、まずこのガンになっている生活保護基準西欧水準にまでなぜ引き上げようとしないのか、総理並びに厚生大臣所見をただしたいのであります。  また、社会保障審議会が答申をし、政府、自民党が公約をした生活保護基準引き上げ計画、すなわち保護基準昭和四十五年度までに昭和三十六年度の実質三倍に引き上げるという計画を、いかなる理由で政府は破棄してしまったのか、その経過と見解をあわせてお答え願います。  また、老齢保障にしろ、医療保障にしろ、ここ数年、見るべき改善はなされておらず、国民健康保険では、所得配分どころか、低所得者は、苦労して保険料を払いながら、自己負担ために医者にも十分かかれないという実情厚生年金国民年金も、インフレの進行で生活のできない年金になってしまっております。これは要するに、政府考えが、できるだけ国庫負担のかからない、国民負担社会保険でお茶を濁そうとしているためなのであります。この際、政府は、所得配分立場に立つ社会保障制度の抜本的な改善を行なうべきではないでしょうか。総理並びに厚生大臣所見を承りたいのであります。  質問の第四は、文教政策についてであります。  最近における政府文教政策にはきわめて危険性を感ずることを、私は強調したいのであります。  その一つは、民主主義人間尊重教育に真剣に取り組んでいる現場教師の声に耳を傾けないばかりか、五十万の教師の組織に対して、ばり雑言を浴びせてきた政府の姿勢であります。  その二つは、政府人つくりを提唱していながら、学校教育の諸条件を徹底的に改善しようともしないで、青少年みずからがこれを養わなければならないと称して、実は官製青少年団の育成による精神訓練に期待をかけようとする動きであります。  その三つは、現場教師教育研究教育実践を生かす教育政策ではなくて、官僚独善の高圧的な権力行政によって教育のあり方をゆがめようとしていることであります。  これらの三つ動きの中に、私は、かつてファッシズム諸国が歩んだ危険な道を想起せざるを得ないのでありますが、文部大臣所見を承りたいのであります。(拍手)  次に、私は教育格差是正の問題についてお尋ねをいたします。  今日の学校教育実情を見るとき、学校格差教育格差がますます拡大しています。私学と国公立学校の間にも、小、中、高校大学相互の間にも、また中央地方都市と農村、そして山間僻地、離島など、極端な格差が生じておるのであります。もちろん、これらの格差は、歴史的、経済的、社会的事情にもよるが、しかし今日なお、これらの学校格差教育格差が旧態依然として存在をし、政府文教政策にも、その格差是正に力点がかけられていないということは、はなはだ遺憾であります。国民教育に対する機会均等実現ために徹底した施策をとるべきであると思うが、文部大臣見解対策をお伺いいたします。  特に私は、格差是正立場から、僻地教育現状を指摘しなければなりません。昭和二十九年六月へき地教育振興法が制定され、その後二度にわたって一部改正が行なわれましたが、政府態度積極性が乏しく、一向に実効があがっていないのであります。いままでの調査研究で明らかなごとく、僻地校児童生徒の学力は一般的に低いことを示しております。僻地教育振興は、行政の観念的な慣行を打破して、画期的な対策を、しかも勇断をもって実施しなければ、とうてい解決の道はないのであります。文部大臣見解対策を明示願いたいと思います。  次に私は、黙過できないまでに深刻化している入学試験問題について質問をいたします。いまや受験期を目前に控え、子供も親も教師入試地獄の中で総ノイローゼ的症状を呈しております。そうして、中学、高校教育予備校化傾向が見られ、正常なカリキュラムはゆがめられ、また一方では、小中高校生対象とする塾教育予備校家庭教師は異常な繁盛ぶりであります。そのために、青少年の心身の発達は著しく阻害され、家庭も、精神的、物質的に非常な負担に苦しんでいます。教育を、社会を、このような入試地獄に追い込んだものは、政府教育政策貧困と無策によるものであります。私は、幾多の弊害を生み出した現行入学試験制度を廃止して、学校における平索の成績によって選抜する方式を勇気を持ってここに採用すべきであることを強調し、文部大臣所信対策をお伺いいたします。  質問の第五は、地方行政に関する問題であります。住民の自由な意思創意工夫によって、住民みずからの幸福な生活環境をつくり出すところに地方自治制度精神があることは、言うまでもありません。しかるに、最近の政府政策はますます中央集権化傾向が強く、地方自治体に対し、行政財政の両面からこれを締めつけ、民主政治基盤である地方自治危機に追い込んでいることは、許しがたいことであります。また、国の権力支配機構を強化しようとする広域行政方向も、新産業都市建設促進法の行く手にも、産業基盤造成に偏重し、住民生活環境改善が軽視され、あまつさえ住民負担を増大しようとしております。政府減税宣伝あと始末が常に自治体にしわ寄せられ、住民大衆に巧妙な手順で増税を押しつけようとしているのであります。地方自治を守り、これを強化するという政府の看板と施策は、根本的に矛盾をしていると思うのであります。この際、自治大臣見解を承りたいと存じます。  第六の質問は、労働需給の問題であります。政府経済政策は急激な産業構造の変化を招き、中高年齢層失業、半失業者が増大している反面、技能労働者不足、特に弱年労働者求人難は深刻になっております。その上、地域別業種別企業規模別に著しい傾斜を伴うため求人難は一そう深刻になっております。現に産業構造調査会では、第二次、第三次産業労働力は、昭和四十二年度までに百十万人不足という結論を出しております。このような情勢の中で、不況産業中小企業は、求人戦線から完全に締め出されてしまうでありましょう。これをどう調整し、安定させるかが、今日わが国雇用政策上最大の課題になっております。しかるに、政府は現在なお、地域別産業別雇用計画も持たず、さらに地域産業間の賃金労働条件にも著しい格差があるにかかわらず、これを積極的に解消せんとする意欲も対策もなく、労働市場センターのごときものによってこの重大な事態を解決できると考えておられるのであろうか、政府見解対策を承りたいと存じます。  質問の第七は、最近の労働災害の頻発と人命軽視の憂うべき風潮について、総理はどうお考えになっておられるかということであります。昨年十一月の国鉄鶴見三池三川鉱で相前後して大災害を引き起こし、数百名のとうとい人命を失ったことは、いまもなお私どもの耳に新たなるものがあります。しかも、これら二つ災害は、起こるべくして起こった人災であることを知って、やりきれない憤りを感じたのは、私一人ではなかったと思うのであります。池田総理は、口を開けばわが国経済高度成長を誇示し、数字上昇にうつつを抜かしているのでありますが、この急激な経済成長の陰で、どれだけ多くの労働者の命がすり減らされているか、総理考えてみられたことがあるでありましょうか。三河島の大惨事に続き今回鶴見の大事故を引き起こしたその原因は、緊張の連続をしいる電子計算機のような列車ダイヤにあることはもちろんであります。しかもスピードアップで労働密度は強化され、労働者の疲労は極度に増大しているのであります。また三池災害は、二十世紀の現在においては決して起こってはならない炭じん爆発原因だったのであります。一体だれが死の坑道をつくり、何が保安を無視し、生産第一主義に追い込んでいたのであろうか。私は、限りない憤りを込めて、労働者を死の爆発坑道で働かせていた資本主義の冷酷な論理に抗議するとともに、その論理の加速度的な貫徹を、所得倍増計画の根底に据えた池田内閣責任を、きびしく追及せざるを得ないのであります。(拍手総理は、炭鉱労働者政策転換闘争にこたえて、抜本的な石炭政策の確立を約束しました。しかし、現実の山をごらんなさい。従来にも増して、低賃金労働強化と、そして災害の危険を深めているのであります。労働者たちは前途の生活不安をもあえて顧みず、なだれを打って山を去っているではありませんか。私は、炭鉱労働者の生きている山々に、限りない政治への不信の声を耳にするのであります。総理は、虚心にこの声に耳を傾け、えりを正して労働者雇用生活の安定をはかるために、こん身の政治力を投入すべきであります。いまにして労働者に夢と希望を与える施策に欠けるならば、やがて労働者の影もない、石炭と機械だけの死の石炭産業になり果てないと、だれが言い得るでありましょうか。(拍手炭鉱合理化の決定的な欠陥は、ただ需給と能率の数字合わせに終始し、そこに血の通った労働者のいることを忘れていることにあることを、私は断言したいのであります。石炭労働者生活改善雇用の安定に対する総理所信対策をお伺いいたします。  最後に、私は、池田総理に心から反省を求めたい。それは、先進諸国数字の上で背比べをすることのみに心を奪われている政府高度成長政策が、人間性を疎外しているということであります。山高ければその谷もまた深いといわれています。高い成長谷底に呻吟する多くの低所得層に対する手厚い対策は、もとより政治の要諦であります。しかし、日本現状は、人間経済に振り回されているのであります。騒音と公害によって、人間生活は極端に侵害されているのであります。一体、何のため経済発展でありましょうか。何のため経済成長でありましょうか。自然と家庭に安息を求め、あすへの活力を養うべき環境が、経済発展によって破壊されていくことは、明らかに間違いであります。  私は、いまこそ、経済発展生産第一主義に振り回されている人間性を回復し、忘れられた人間生活を、楽しく、より豊かなものにするために、所得倍増計画の大転換総理に強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  5. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  施政方針演説で申し上げましたごとく、政治目標は、国民一人一人が、働く意思とすぐれた創造力を遺憾なく発揮いたしまして、豊かで平和な生活を営み得る国家をつくることが目標であるのであります。私は、これがために、生産増強所得倍増計画を立てていっているのであります。この所得増加が達成せられまして、初めて国民生活水準が向上し、また格差も解消し、そうして社会保障制度拡充強化もできるのであります。私は、この豊かな平和な国家をつくるため所得倍増をやっているのであります。そうしてこれは、国民大多数の協力を得まして、私の想像どおり、あるいはそれ以上に進んでいるのであります。この考え方を変える気持はございません。また、この考え方は、国民大多数の支持を受けていると確信いたしております。  次に、中小企業農業に対しましての革新的措置は、今日の予算案あるいは財政投融資、あるいは各種の法案をごらん下されば、私はおわかりいただけると思います。どうぞ今国会におきまして、この点、十分御審議願いたいと思います。  また、三月危機云々の問題でございまするが、経済の急激な上昇の場合におきまして、ある程度のしわは、やむを得ません。三月危機ということは、私が大蔵大臣になりまして以来数回言われているのでございまするが、国民協力政府施策によって、常にこれを乗り切っております。私は、この三月におきましても、いままでどおり、十分円滑に乗り切り得ると考えているのであります。また、それがために万全の措置をとることを考えているのであります。次に、社会保障制度の問題でございますが、お話のとおり、制度自体は年々拡充せられまして、ヨーロッパに近い程度になっております。しかし、内容は、国力の発展が十分ではございませんので、制度自体はできておりますが、実質的にはまだまだ及んでいないということは、施政方針演説で申し上げたとおりであります。これを所得倍増計画によってヨーロッパ並みに進めていこうとするのが、今の私の政策であるのであります。ことに、お話生活保護費につきましては、三十六年以来、年々これを増加いたし、来年度におきましても、前年に対して二二%の増加計画いたし、昭和三十五年に対しまして、生活保護基準は大体四年で八割上がっております。したがいまして、社会保障制度審議会が申しておりますごとく、昭和四十五年には三倍になるように着々歩を進めておることを、ここに申し上げておきたいと思います。  なお、労働力流動化賃金格差是正が、われわれの最も大事な政策でございまして、この方向に向かってあくまで努力を続けていきたいと考えております。  なお、産業災害防止につきましては、御承知のとおり、産業災害防止五カ年計画を先年立てまして、政府はこの方針で進んでおります。最近起こりました三池炭鉱、あるいは鉄道事故等につきましては、その原因を究明しまして、今後ふたたび起こらないよう、極力努力をするはずでございます。ことに、炭鉱保安につきましては、私は、今までの制度その他につきまして十分検討を加えまして、こういうことのないように進んでいきたいと思います。また、石炭対策につきましての先般の調査団報告、私はこれは適正なものだと考えます。この方向で進んで参りますが、そのうちにおきましても、先ほど申し上げましたごとく、炭鉱保安につきましては今後十分検討し、万全を期することをここに申し上げて、お答えといたします。(拍手)   〔国務大臣福田一登壇拍手
  6. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま総理大臣からお答えをいたしたところでございますが、三月におきまして中小企業に対する金融が非常に苦しくなるであろうという御懸念でございます。私たちも、この点は非常に心配をいたしておりまして、ただいま国民金融公庫商工中金中小企業金融公庫について、どれくらい年度末にしわ寄せがあり、それがどの程度に影響を与えるかということを、調査をいたさせております。したがって、なるべく早い機会にこれが対策を立てまして、大蔵省と折衝した上で、そういう事態が起きないように措置をいたしたいと考えているところであります。  なお、中小企業金融については、これは政府関係の三機関だけで解決するものではないのでありますから、市中銀行等にも十分協力を求め、また行政指導もしてもらうつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣小林武治登壇拍手
  7. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 社会保障の問題につきましては、これは国をあげて努力すべき問題であると思うのでありますが、私も、このたびこれらの予算の編成にあたりまして、やはり社会保障を充実するためには、何としてもこの国民所得をふやす、すなわち国を富ます、こういう以外にはないということを痛感をいたしたものでございます。  ただいま生活保護費の問題もありましたが、私どもは、二二%で必ずしも満足するものではありませんが、国政全般の上からやむなくこの程度にとどめております。しかして、これをさらに四十五年までに三倍程度まで持っていく、こういう社会保障制度審議会の勧告は、われわれも今後これを尊重してまいりたい、かように考えているものでございます。一がいに申しまして、西欧に劣る、こういうようなことが言われておりまするが、制度そのものによっては必ずしもそうではない。すなわち、たとえば健康保険給付のごときも、一応私は西欧水準に達しておる。また、私どもは、来年度から国民健康保険を家族の給付も七割として四カ年計画でこれを実現せしめたい、かように考えておるものでありまするし、ことに厚生年金のごときは、昭和四十年からは一万円の年金を実現せしめたい。その法律等も今後御審議を願うことにいたしておるのでありまするが、これらの問題は相当に私は改善されていくと、かように考えておるものでございます。いずれにいたしましても、私どもは、社会保障の問題というものは、国全体の問題としてこれを十分に推進してまいりたい、こういうふうに考えておるものでございます。これらの問題につきましては、今後またいろいろ御相談を申し上げたいと存じておりますが、よろしくお願いいたしたいと思います。(拍手)   〔国務大臣灘尾弘吉登壇拍手
  8. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御質問に対しまして順次お答えをいたしたいと思います。  まず、教師集団文部省との関係でございます。教師団体もいろいろございます。われわれといたしましては、その団体がそれぞれ堅実な発展を望んでおるわけでございますが、いまだかつて教師集団存在そのものについてかれこれ申したことはないと思うのであります。ただ、それぞれの集団の言動が、教育の正常な秩序を乱す、教育の正常な発展を阻害する、かようなことがありました場合に、文部省がこれを取り上げまして、あるいは注意し、あるいは批判をするということは、これは当然のことだと思うのであります。  次に、青少年団のことについてのお尋ねでございますが、われわれは、官製青少年団をつくろうというようなことは、考えたことはございません。民間の自発的な意思に基づいてでき上がりました青少年団に対しまして、その自主的な活動を援助するということはございますけれども、特に官製青少年団をもってやっていこうというような考えは、さらさらございません。  さらにまた、教育行政について、これを権力行政というようなお話もございましたけれども、われわれは御承知のように、初等中等教育等につきまして、学習指導要領をつくって、総体についての基準を定めることは、文部大臣に与えられた権限としてやっているわけでございますけれども、これをきめますことにつきましても、教師あるいは教育行政関係者あるいは学識経験者等の意見も十分伺いまして、審議会において慎重に検討した結果、これを実施いたしているわけでございますので、決して官僚独善というようなことはないつもりでおります。将来もそのようなことはないようにいたしたいと存じております。  次に、学校教育における格差の問題でございますが、初等中等教育関係におきましても、あるいはまた大学関係におきましても、いろいろな事情によりまして格差というものが存在することを、いなむことはできないと思うのであります。あるいは地域の関係におきまして、あるいはまた学校財政関係におきまして、あるいはまた沿革上の関係におきまして、現在ある程度格差があるということは、私もいなむことはできないと思う。この格差の是正につきましては、それぞれの事情に即しまして、努力して今日までまいったわけでございますけれども、今後ともそれぞれの事情に即してこれが是正につとめてまいりたいと存じております。  次に、僻地教育の問題でございますが、僻地教育の問題につきましては、私どももこれが振興につきまして努力をしてまいらなければならない重要な課題考えております。僻地教育振興法制定以来、あるいは教育内容の改善につきまして、あるいはまた教育条件の整備充実等のことにつきまして、年々努力をしてまいった次第であります。明年度もさらに一歩を進めてまいりたいと考えているわけでございますが、この問題につきましては、ただいま申し上げました格差の問題と十分関係があることでございます。私どもとしましても、今後ともに振興ため努力をしてまいりたいと存じております。  なおまた、入学試験のことについてのお尋ねでございます。私も、この入学試験の問題につきましては最も苦慮いたしているところでございます。従来、あるいは進学についての指導をいたしますとか、あるいは学校の収容能力を増大いたしますとか、いろいろ努力してまいっております。今後ともにこの努力は継続しなければならないと思うのでございます。同時にまた、入学試験の方法等につきましても、改善ための検討を進めているわけでございます。さらにまた、一般の社会におかれましても、特定な学校に殺到するというようなことが、かなり入学試験をむずかしくいたしているわけでございますので、その子供さんの能力、特性等に応じて、適当な学校を選んでいくというふうなことについても、ぜひ注意を喚起いたしたいと、かように考えている次第でございますが、なかなか困難な問題でございますので、お互いに十分検討いたしまして、この受験難の緩和をはかってまいりたいと考えております次第でございます。(拍手)   〔国務大臣早川崇君登壇拍手
  9. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 地方自治の問題についてお答えいたします。  私は、地方自治体は民主主義の道場である、地方自治発展こそは民主日本建設に不可欠と考えておりまして努力いたしているわけでありまして、それには自治体の財政力を豊かにしなければなりません。七、八年前、私が政務次官をやっておったころは、自治体は公債費の処理に追われておりました。今日は、来年度地方財政自主財源としては、地方税で二千二百億円、地方交付税などで八百億円、計三千億円の財源が増加になるということは、まさに隔世の感があるわけでございまして、自治体の財政力は非常に充実してきているわけでございます。  また、広域行政でございますけれども広域行政中央集権化につながるということは全く誤解でありまして、現在の社会経済の高度発展に伴いまして、旧来の自治体の地域を越えた発展がなされておるわけでありまするから、これを自治体相互間で共同処理していく、広域的にこれを処理していく、こういう構想で、府県連合、市町村連合その他の広域行政考えておるわけでありまして、むしろ自治体の時代に即応する体制をつくっていこう、こういうわけであります。  新産都市の問題でありますが、これまたほっておきますと、産業中央集権化いたします。そこで、各地域に産業を分散して、その分散された地域の自治体が、産業が興ることによって財政力が豊かになり、自治体が幸福になっていこうという、こういう構想でやっておるわけでありまして、それに伴った地方自治体の一時的な負担増に対しましては、いろいろ自治省としても検討してまいりたいと思います。  最後に、住民負担が重くなってきつつあるのではないかと、こういう御質問でありますけれども、今度の国会で住民税を大幅に減税いたします。特に、ただし書き方式の住民諸君は二分の一、多いところでは六分の一の住民負担の軽減がなされるというわけでありますから、しかも、それは国で、あるいは交付税で補てんするというのでありますから、そういう意味では、逆に住民税というものは負担が重くなるのではなくて、むしろ軽くなるということを御了承願いたいと思うのであります。(拍手)   —————————————
  10. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 二宮文造君。   〔二宮文造君登壇拍手
  11. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、公明会を代表し、以下数点にわたり、総理並びに関係大臣に対し質問いたすものであります。  率直に申しまして、総理施政方針演説には、今日国民大衆の多くが期待しております外交、経済などの基本的問題に対し、適切な解答がなされていないと思うのであります。すなわち、外交問題においては、現時点における国際情勢の分析にとどまり、そこから出てくる見通し、さらには、その見通しの上に立っての日本のあるべきビジョンに対して、なぜか臆病でありますし、反対に、国内問題については、格調高いビジョンを国民大衆に求めながら、現実に予算案等に見られる政府施策は、むざんにもその夢をもぎとっていると言うのほかはないのであります。私は、むしろ、自主外交を望む大衆の声をそのままに、外に対しては正しい姿勢をもって対処し、内にあっては一人々々の生活に勇気と希望を与える施策の積み上げに専念してこそ、総理の言われる大国としての襟度がうかがわれると思うのでありますが、総理所信を承りたいのであります。  核戦争回避のため、東西両陣営が平和共存の色彩を濃くし、相互間の経済交流を意識しながら多元化の方向をたどっているという、総理の国際状勢分析は、もはや今日の常識であり、われわれも賛成であります。さらに歩みを進めた平和と繁栄は、人類究極の願いであり、現にジュネーブで開催されております軍縮委員会に、米ソはもとより、人類おしなべて多大の期待を寄せているのも、そのせいであります。  このような情勢分析のもとに、今日国民大衆が危惧を抱いておりますのは、政府の基本的態度であります。総理は、日本は自由陣営の三本の柱であると、しきりに口にします。あるいは、このたびも、自由諸国との接触または協力と言って、そのよって立つところを局限いたしております。かつては、自由諸国の信頼と共産諸国の畏敬という、異なったニュアンスで表現したこともあります。東西間の緊張を不断に意識し、また、特定国をことさらに対象とするような、とのような表現のしかたが、はたして平和を望む国民の共感を呼び起こすかどうか。むしろ、この辺に、対米追随外交を非難し、自主外交を展開せよとの議論のあることを知るのであります。真の平和建設は、いずれの陣営からだけの努力では、すでに無力であります。一朝有事の際、日米安保体制すら、日本民族の生存を保証し得るものではないのであります。総理の言う冷静な判断、英知と勇気をもって、わが国の置かれた環境と地位にふさわしい役割りとは、戦争を断じて起こさせないという基盤を国際社会に築き上げることであると認識するのでありますが、総理所信はどうですか。  したがって、日本のとるべき基本的態度は、外務大臣演説の結びにあるとおり、世界を一個の運命共同体として把握するならば、地球民族主義という、より高い次元から、政治経済、文化等のすべての行動を展開すべきであると思いますが、お考えを承りたいのであります。  また、超党派外交は、国民のだれしもが望むところであります。政府の基本的態度に、平和と繁栄への自主的な、しかも国民的な基盤を見出すならば、そこには国民大衆の理解があり、その委託となる政党もまた協力するを惜しまないと確信するものでありますが、見解を承りたいのであります。  次に、具体的問題について伺います。  その第一は、対中国問題であります。従来、日本がとってきた態度について異なった二つ見解がありました。中共政権は台湾を中国古来の領土とみなし、アメリカがこれを占領している。したがって、日本国民政府と密接な関係にあることを、二つの中国をつくる陰謀として非難してまいりました。一方、台湾政府は、日本西欧並みに中共貿易を推進することを中共政権に対する援助とみなして、さきのビニロン・プラント輸出に際しても、また、貿易ではありませんが、周鴻慶事件においても、異論を差しはさんでまいりました。これらに対する政府態度は終始あいまいで、中共貿易については、一部政党人あるいは民間人の陰に隠れて指揮をとるかと思えば、国連の場においては、中国代表権問題でアメリカに同調をして、アジア諸国の信頼を失なう行動をいたしております。しかも、フランスの態度は明確となりました。イギリスはすでに承認して十年を経過いたしております。西ドイツも同調するかに伝えられております。対中共封じ込め政策をとってきたアメリカも、さきのヒルズマン国務次官補の言明にありますとおり、中共がアメリカをはじめその近隣諸国と平和のうちに暮らす意図を表明するならば、アメリカはいうまでもなく中共政策を再検討するといい、その場合にも、台湾政府に対してアメリカは、中華民国の国民及びその政府と結んだ友好のきずなを忠実に守る。この関係は歴史的な偶発事件ではなくして、基本的原則の問題であると、将来起こり得る事態に対して明確な態度をみせ、実質的な接近策をはかっております。ひとり日本態度が残されているのみであります。しかも、地理的、歴史的、経済的にみて、その相互関連性はさきの国々より密接であります。総理は、それを厳然たる事実と認めながら、その結論を、世界的な動きを見て判断すると、明言を避けておられるということは、おくれて、取り残されて、ばかをみるのではないかと、国民のうなずけないところであります。この際、自主的な立場から、貿易その他政府間協定を促進し、さらには、通商代表部設置など意欲的な外交関係を推進すべきであると思いますが、総理考えを承りたいのであります。  その第二は、日韓交渉であります。すでに局面は漁業交渉の段階にあり、政府もかねて懸案事項の一括同時解決を明言してまいりました。われわれのいう民政移管も一応完了した今日としてみれば、いわゆる李ラインの撤廃、竹島問題を含めて、自後に争いを残さないという政府の既定方針を再確認しておきたいのでありますが、この点はどうですか。また、妥結の時期、今後の見通しについて、外務大臣の説明を求めるものであります。  その第三は、対アジア、特に対東南アジア外交についてであります。言うまでもなく、第二次大戦後、ここ十数年における世界の顕著な事実は、アジア、アフリカ諸国の独立であります。それらの独立の仕方はさまざまであり、独立後の政治体制も一様でなく、相互間の紛争をも惹起して、流動的な多様性を持ち、東南アジアもまた、その例外ではないのであります。しかし、それらの国々では、政治的独立の確保、国民生活の向上、経済的自立を現実的な緊急課題として、その解決に努力しているのであります。ここにいわゆる南北問題があり、アジアにおける工業先進国としての日本の使命は、積極的な経済協力を展開するということにあります。今日、東南アジア諸国との貿易は著しい片貿易となり、日本の出超となっております。これらの国々では、日本がその出超を対米貿易の入超の穴埋めにしていることに大きな不満を抱いているのでありますが、片貿易の原因は、これら国々の輸出商品が第一次産品、農産物であり、品種その他で先進工業国のそれと競合しているということであります。ゆえに、当面、片貿易の是正あるいは経済協力の場における日本課題は、これら産業の育成指導という問題でありますが、政府はどのような具体策を推進するおつもりか、また、日本農業との関連において農林大臣見解を伺いたいのであります。  さらに、総理は、青少年による経済技術協力をうたっておられるようでありますが、これを一歩進めて、東南アジア諸国に対する技術移民として積極的に推進するおつもりはないのか、その構想を伺いたいのであります。  農業移住の形態から技術移民へと、移住政策転換は、われわれのつとに主張してまいったところでありますがこの際、政府に特に反省を促しておきたいことは、従来の移住は、ドミニカやあるいはボリビアに見れらるごとく、全くの棄民政策であり、主務官庁の権限争い、出先機関の無責任、移住後の援助策の欠除など、現地移住者の悲劇をさえ惹起しているのであります。政府はすみやかにその欠陥を取り除く義務があると思うのでありますが、その具体策を承りたいのであります。  次に、国内問題についてお尋ねいたします。  すでに昨日来論議されてまいりましたように、開放経済体制に向かう今日の日本経済はきわめてきびしいものがあります。一口に申しますと、高度成長に伴う一連の経済政策の破綻であります。企業の過剰設備は、生産分野における過剰生産のおそれを引き起こし、企業経営の圧迫、コスト・インフレによる輸出の頭打ちも心配であります。また一方、国際収支の不安もさらに懸念されるに至りました。物価上昇国民生活を圧迫いたしております。高度成長のゆがみとして、産業間の格差が拡大の一途をたどっております。加えて、自由化の波が押し寄せてくるのであります。総理は、この構造上の欠陥に伴うきびしい事態に対処するため、いわゆる所得倍増計画の第二ラウンドとして、経済審議会に対しその手直しを諮問したようでありますが、その考えを承りたいのであります。  さらに、OECDへの加盟、IMF八条国移行、関税一括引き下げ交渉等々、開放経済体制へのスケジュールは、今日ようやく九二%の自由化を遂げた日本に、より以上きびしい自由化を要請してくることは必定でありますが、自動車など残る品目及び農産物についての自由化計画、その対策について、通産、農林、両大臣よりお伺いしたいのであります。  また、農業につきましては、その生産性の拡大が焦眉の急であります。しかも、その本質的な問題は、経営規模の拡大と、それに伴う産業人口の他産業への吸収でありますが、経営規模の拡大のための農地法改正についてどのような対策考えておられるか、承りたいのであります。さらに、政府が従来とってきた農業金融を主体とした能率化政策から、農産物の価格支持を含む保護政策が一段と要請されるのでありますが、あわせて説明をいただきたい。  また、農業構造改善事業のモデルケースとして、全国農民の注目を集めておりました成田市のパイロット地区がその指定を返上したとのことでありますが、全国各地に同様の問題が議論されている際でもあり、それまでの事情を伺いたいのであります。  中小企業についても、ただいまお話がございました昨年十三月の中小企業の倒産は史上最高と伝えられておりますし、最近の金融引き締めは、二、三月ごろの危機、さらにまた自由化の波で、五、六月の危機も大きく叫ばれております。総理は、去る記者会見の際、中小企業が自分の事業を拡大するために力以上のことをやったからだと述べておられますが、団地化、協業化が計画されるこの際に、通産当局の指導性の欠除も大いに反省されるべきであると思うのであります。したがって、その体質改善ための具体策が肝要であり、通産大臣所見を承りたいのであります。  また、物価問題でありますが、すでに議論されたところであり、要点を申し述べて、総理見解を承りたいのであります。  総理の言う公共料金、その他政府の規制し得る範囲のものについては、本年中は値上げを行なわない方針を堅持するとの言明は、例外規定を用意したものであるかどうか。ガソリン税の引き上げは、ハス料金の採算を圧迫すると思いますが、堅持するという決意の具体的説明をいただきたいのであります。また同時に、消費者物価指数を四・二%の引き上げに抑制したいとの意向でありますが、すでにそれも一部で懸念されております。その構想も伺いたいのであります。  今回の政府予算案は、景気刺激の要素を含む大型積極予算であると、財界その他で心配され、例年のごとく予算編成権を内閣から与党に移行させるような編成方針に反省を促す意向が強いのであります。また、既定経費の積み上げが是正されないため、いわゆる予算の効率的な配分が圧迫され、反面、多額な税収の自然増が予想されるにもかかわらず、所得減税企業減税のあおりを受けていることも、見のがせないのであります。電気ガス税の一%減税等のごときは、まさに減税の美名に隠れる羊頭狗肉の政策であると断じなければなりません。また、環境衛生についても、下水道、し尿処理場等、多少意欲的になってきたことは否定いたしませんが、その財源を、地方団体の起債にゆだねていることも、予算編成上、将来への禍根となるのではないかと指摘しておきたいのであります。さらに社会保障のうち、生活保護費の引き上げは、名目で二二%、物価値上がりを見込めば八・八%の増額にとどまります。これら一連のやり方は、すべて総理の言う高度福祉国家への理想を減殺するものであり、こうした予算編成方針に対する大蔵大臣の弁明を求めたいのであります。  ILO八十七号条約批准については、これほど国際信義の上に立って物議をかもした問題も、また、ないのであります。政府はこれまでの経過を明らかにするとともに、関係国内法の改正を最小限にとどめ、その批准促進に努力すべきであると思いますが、どうですか。  最後に、総理に伺いますが、議会民主主義を確立し、国民大衆の委託にこたえるために、選挙制度について合理的改正を行なうと言明されておりますが、われわれは、戸別訪問を含む運動の自由、及び政治資金の厳格な規正が、最も必要であると思いますが、どのような構想を持っておられるか承って、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問の第一点の外交問題でございますが、国連のいまの実情から申しまして、戦争を断じて起こさせないためには、私は常に言っておりますように、自由国家群の信頼を深め、共産圏からの畏敬を受ける外交行政よりほかにないと確信いたしております。  なお、中共問題につきましては、私は米国の政策に追随しておるというのでございません。わが国の置かれた立場からいって、しかも中華民国と親交の関係にあるわが国といたしまして、フランスその他のようなやり方に直ちにいくわけにはいかないのであります。国柄が違っておる、歴史が違っておるのであります。したがいまして、世界の平和に非常な重要な問題でございますから、国連におきまして、世界の世論の動向を見ながら、わが国として国の利益にどれが一番いいかという方法をとっていきたいと考えておるのでありまして、結果はアメリカと一緒になるかならないかは、私の問うところではないのであります。  なお、日韓問題につきましては、たびたび申し上げておりますごとく、あらゆる懸案を一括して解決する方針に変わりはございません。  次に、東南アジアの開発につきましては、いろいろの御意見がございましたが、大体私はその方向でいっております。ことにOECDへの加入、あるいは世界貿易開発会議が最近開かれますので、日本としては、東南アジア、また、低開発国の開発をお助けするということが日本民族の使命であると考えておりますから、あらゆる努力をいたしたいと考えております。  なお、技術移民の点につきまして、私は、施政演説で申し上げましたごとく、わが国の青年が東南アジア等に参りまして、向こうの青年とともに生活し、ともに働くという考え方でやっていきたいと思うのであります。ただ、東南アジアには、中南米とは違いまして、いま直ちに日本の移民というわけにはまいりません。ただ、技術移民につきましては、従来も、インド、タイその他につきまして出しておるのであります。その技術移民のみならず、技術指導のための出張と申しますか、移民ではございません、それはふやしてまいりますが、その技術の出張という事柄にとどまらず、いまの青年を、ともに働き、ともに生活する方法で彼我の間の文化あるいは視善等をはかる考えでおるのであります。これは十分調査いたしまして、今後なるべく早く実行いたしたいと思っておるのであります。  なお、所得倍増計画につきまして、私は、いままでの四年間の実績を見、今後の五年間どうやっていったがいいか、所得倍増計画の変更ではもちろんございません。これをよく予定以上にいったのを、予定とどうマッチさせるかということにつきまして、検討を加えるべく、いま調査を依頼しておるのでございます。  なお、物価問題につきまして、一年間は公共料金並びに政府の規制し得る料金につきましてはストップいたします。これはあくまで原則でございます。ただ、中小企業のごとく、非常に物価に影響することがなくて、非常に破産する等の場合には、例外規定を置きますが、原則といたしましては、お話のバス料金のごとく、私はストップする考えでおるのであります。  なお、選挙制度につきましては、定数の改正は御審議願うことにしております。また、選挙政治資金その他の問題につきましては、選挙制度調査会に審議をお願いいたしまして、施政方針演説で述べましたごとく、公明な選挙の実施のため努力をいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  13. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 日韓交渉妥結の時期でございますが、これは二宮さんが御指摘のように、漁業問題が全局を左右する、時期を左右すると思います。漁業問題につきましては、先方も熱意を持って当たってまいる気配にございますので、遠からず実のある御相談ができるのではないかと考えております。  それから、技術移民につきましては、御承知のように、これは開始して以来四年目になりますが、すでに百四十名の送り出しをいたしておりますが、国内は、御承知のように、経済成長期にありまして、技術者が不足がちでございます。そういう制約下におきましても、私どもはできるだけ周密な援助をいたしまして、お示しのような方向努力してまいるつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  14. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私の担当の御質問のほうをお答えいたします。  東南アジアとの貿易関係で、片貿易をどういうふうにして是正するかという第一問でございますが、日本は御承知のように、相当農産物を輸入しておる国でございます。しかも、それが、種類や品質、価格等によって、先進国からの輸入が多いのでございます。しかし私は、お説のとおり、東南アジアからの輸入のほうへ回していきたい、こう考えております。しかし、それには東南アジアの開発等が必要でございます。いま農林関係といたしましても、技術の指導、技術の協力等をいたしておりますが、あるいは例をとりますならば、タイ国の糖業の開発とか、あるいはカリマンタンの森林の開発等に協力いたしております。そういういろいろな方面で開発が進みまするに順応いたしまして、ぜひ東南アジアのほうからの輸入に振り向けられるようにしていきたい、こう考えております。  自由化でございますが、いまお話のように、一般の自由化も九二%になっておりますが、農産物も九二%強になっております。残余の農産物の自由化も進めなければなりませんけれども、しかし何といたしましても、日本の農産物は国際競争力に弱いのでございます。したがいまして、米とか麦とか酪農品とか、でん粉とか、こういうものの自由化は相当困難で、相当の時期を待たなければならないと思っております。その間におきまして、日本の農産物に対する関税率の調整とか、あるいは構造改善その他の農業政策によりまして、国際競争力を増していく、こういうふうな政策を強くとっていきたい、こう思っております。  第三に、経営規模を拡大する気はないか・そういうことについてどういう方策をとっているか。——実は三十七年に農地法の改正を行ないまして、今までの地主小作人関係を規定した農地法というものを、農業基本法に沿うたような農地法に改めていくべきじゃないか、こういう関係から、耕作面積の制限を置いておったのをとりまして、耕作面積の制限を撤廃して、どれくらい大きくしてもよろしい、こういうことや、あるいは協業の点を考えまして、生産法人の制度を設けたり、あるいは不在地主になるというような場合に、農協に土地の信託制度を設ける、こういうことをいたしたのでございますが、この点におきましての進み方がおそいと申しますか、その実行が思うようにいっておりません。そこで、昨日も申し上げたのでございますが、やはり私は根本的に基盤を整備して耕地面積を拡大するような方向に持っていく、それができない場合には集団化する、こういうことも考えなければなりませんし、また現在の農地法の改正を見守ったり、現在の構造改善の推移を見まして、農地法の改正等につきましても、なお検討いたしたい、こう思っております。  なお、農業に対しては保護政策をとるべきじゃないか、こういうことでございますが、これは当然農業は他産業と本質的に競争できないような立場に立っておりますので、保護政策をとるべきでありますと同時に、また農業生産性を高めていくという方向を進めていきたいと思います。  パイロット地区について、ことに成田地区等についてどういう経過であるか、こういうことでございます。構造改善ために進めることが非常に私ども大切だと思っておるのでありますが、地元のいろいろな空気等がありましておくれております。おくれておりますが、一般の構造改善のほうへ振りかえてなお進めていく、いままでいろいろないきさつを、解除といいますか、解きほぐして進めていく、こう考えております。(拍手)   〔国務大臣福田一登壇拍手
  15. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  自由化の問題につきましては、ただいま農林大臣からも御答弁がありましたが、すでに九二%に達しまして、制限品目も百八十九残っておるだけでありますから、これはもうフランス、イタリア並みまで日本が自由化をしたということであります。しかし、これからも私たちとしては、できるだけ自由化を進める方向措置をしてまいるのでありますが、御指摘になりました自動車等につきましては、これは、ただいまわれわれといたしましても、その時期その他について十分研究をいたしておるところでございます。  次に、中小企業でございますが、お説のように、この中小企業問題は非常に大事でございますので、この前の国会で、中小企業基本法が制定されまして、その趣旨に沿って、設備の近代化とか、事業の共同化とか、あるいは技術水準の向上、流通経路の簡素化、小規模企業の経営改善、こんなことをいろいろやっております。しかし、いま御指摘になりました協業化あるいは共同化の問題につきましては、前々から十分これはやらにゃならぬというので、私たちとしても努力をしてまいりましたが、今後も、町ぐるみの商店街を協業的につくっていくというような問題等々、いろいろ具体的に案をつくりまして、そうして、こういう方法がある、こういうやり方があるということを、中小企業の方々によくわかってもらう。そしてまた、その人たちの発意によってそういうことがどんどんでき上がっていくように、私たちとしては指導もし、協力も申し上げていきたい、かように考えておるのでありまして、御趣旨に沿って努力をいたしてまいりたいと考えておるところであります。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  16. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 第一は減税問題でございますが、減税に対しては、逐年これを行なっておりましたが、今年度も二千百八十億円にのぼる平年度減税を行なったわけであります。電気ガス税の一%は羊頭狗肉だということでございますが、三十七、三十八、三十九年、合わせて一%ずつ行なっておるわけであります。平年度一%、七十二億にも及ぶのでありますから、三年合計すれば二百億ということで、羊頭狗肉ではありません。  第二の生活保護費二二%のアップは、物価の値上げ等で八・八%にすぎないから、弁明せよということでございますが、賃金国民生活水準の動向、物価事情等を考慮しまして、改善につとめてまいったわけであります。しかし、今後とも、国民生活の向上、国民経済全般の動向と勘案をしまして改善につとめたいと考えます。(拍手)   —————————————
  17. 重宗雄三

    ○議長(重宗雄三君) 奥むめお君。   〔奥むめお君登壇拍手
  18. 奥むめお

    ○奥むめお君 ただいま、国際収支の悪化と物価高、この問題が、社会の、政治の大きな関心事になっているわけでございますが、このときに、政府国民生活局を設けて国民生活にライトを当てる、これは私、非常に時宜に適したものだと思うのでございます。私たちは、生活省を設けて、独立した省として仕事をしてほしいと願っていたのでありますが、まあおいおいに機構を拡充して、真に国民生活向上のために役立つ省となることを期待いたします。   〔議長退席、副議長着席〕  国民生活の保護行政は近年の世界の趨勢で、ドイツ、スエーデン、ノルウェーなどの家庭省、イギリスやアメリカの消費者委員会など、みんな国家社会の一単位としての家庭を重視して、買い手の立場を倫理性を欠く営利主義から守ろうとしているものでありまして、立ちおくれている日本政治の姿勢を正す上から考えても、大いに参考とすべきものがあると思うのであります。  今度できる国民生活局は、消費者物価の安定、有毒食品のような生活を脅かす商品や買い手を惑わす誇大広告などから消費者を守る、消費者の苦情処理や消費者教育生活環境の整備などを行なうと言っております。いまでも現に、厚生省や通産、公取、建設、農林など、各省がばらばらにその一部分をやっていますが、重複したり、権限、なわ張り争いが始まったりということも、なきにしもあらずですから、国民生活局は相互間の調整をはかって構想を押し広げていくわけでありましょうと思います。ぜひ、よい仕事ができるように考えて、慎重に進めてほしいと思うのであります。従来、業界育成のためのみに働いてきた官庁にばらばらに小さく置かれていた生活関係行政の調整をはかるだけでも、その職責は重いのであります。従来の役所機構は、縦割りに仕事を積み上げて、法律と予算をよりどころにして、あるときは果敢に、あるときはのろのろと働く場でありました。私たちの慣用語で言いますと、愛情に裏打ちされた行政、こういうものはこの中からは出てこないのであります。私は、こうした意味で、まず首相の消費者行政についての信念と見通しを承りたいと思います。無軌道な大型の予算が今日の物価高と高税金のもとになって庶民を苦しめているのでありますが、福祉国家建設を説く総理が、三十九年度予算でいかに責任をとろうとし、いかに国民を守ろうとしていられるのか、具体的に例をあげて聞きたいのでございます。  故ケネディ大統領は、一九六二年の消費者の利益保護に関する特別教書の中で、「わが国経済はきわめてよく消費者に奉仕してきた。どの世代も、高い収入と豊かな商品サービスを享受してきた」と言っていますが、うらやましいことであります。  消費における浪費は、政府や業界の非能率と同様に責めらるべきであります。個人的にも国家的にも、消費における浪費は最大の敵だと信ずるがゆえに、私たちは、賢い消費者をつくって生活のむだを排除し、この社会から不良品を追放しなければならぬと願うのであります。ここに消費者教育の必要性があるのですが、文部省家庭教育社会教育学校教育の面でいろいろ働いていられる中に、消費者としての知識の涵養と経済思想の向上につとめる必要があると思いますが、御意見を文部大臣から承りたい。  次に、企画庁長官に伺いますが、各省ばらばら行政のままで迷惑してきたのは国民です。消費者行政が各省にまたがって小さな座を占めて一いるのでは、能率があがりません。いまの機構のままでどうしたら消費者行政の実をあげられると考えていられるのでしょうか、承りたい。  同じく企画庁長官に、ほんの一例をあげて伺いますが、ついに東京都内のタクシーの値上げが認可されました。個人タクシーの一部では、値上げせずともやっていけると申し出たそうですが、運輸省が取り上げなかったのでありましょうか。タクシー値上げには初め反対だったという長官が、途中で妥協されたのは、なれ合いであったのかしら。国民に、企画庁長官が、それくらい弱い、信頼できない立場を持つとしたら心配なことだと、案じているのであります。例外の、弱い会社もタクシーの中にはありますが、資本金に対する利益率が八割、低くても五割、したがって配当も一割八分から一割を計上しています。タクシーの利用者は真にやむなき必要からこれを使うのですから、値上げは庶民に痛いことで、この点で企画庁長官の御意見を伺いたいのであります。また、これからも公共料金関係の値上げがいつどこから始まるともわからないだけに、私どもはこれを案じているのでございます。  思うに、今日は、婦人の時代、家庭の時代だと言えましょう。農村でつくられる食糧はいわゆる三ちゃん農業に依存して、共かせぎ家庭での婦人の役割りはもとより、家庭内に老人や病人や乳幼児を持つ母の重い任務、食べ盛り、育ち盛りの子を持つ母の心労など、みな、家事に追われながらも婦人が果たしている役目であります。このごろでは、現金のやりくりも出し入れも、婦人の手と、くふうにかかっていると言っても過言ではありますまい。新聞やテレビなどの商品広告に婦人向けのものが多い一事によっても、買い手としての婦人の地位が社会的に大きくクローズアップされてきたことを知ります。消費者時代とはまさにこの婦人時代のことではありますまいか。こうした中で、消費者物価の高騰で、婦人がいやが上にも苦労して、重苦しい気持ちを押えているのは、暮らしのつらさは、政治の悪さから来ると言わざるを得ません。政治の思いやりのなさが、婦人を、母を泣かしめているのでございます。  連年大型予算を組んで経済成長を急いだとがめが、今日の物価高と高税であることを知りながら、黙して語らざること路傍の石のごとき組織なき大衆は、三年の間に二〇%の物価値上げという異常な事態の中で、やりくりも、がまんも、もう限度を越えて、家計のピンチヘの忍従は、もはや社会悪であると思うようになっているわけでありますが、世間には、エンゲル係数は確かに下がり、生活はよくなったという人があります。しかしこれは、特に値上がりのひどかった食費を切り詰めたり、安いものに取りかえたりしてきたからで、生活協同組合家庭部が一年間の全国家調査で見ても、エンゲル係数は政府統計と同じにして、その食料品を栄養に直して計算すると、日本人の必要栄養量の六八・五%しかとっていないこともわかりました。教育費も、入学金を含めてずいぶん値上がりをし、住居費もふえました。これが食費切り詰めの直接の原因になっています。こういうときに、政府は物価安定対策に強い意欲を示したのですから、これまで首相が、物価も上がったが収入も上がったぞ、苦しいのはぜいたくになったからだと言い言いしておられたころに比べますと、まさに革命的な変わりようだと思いますが、大衆は、政府がそれを貫き通すことを心から望みながらも、実除にそれが実効をあげたあとでなければ信じられないというような顔色をしております。公共料金の一年据え置きも、かつては幾度か裏切られた恨みも忘れて、大衆は一年たってからの後はどうなるのだろうと、今から案ずるほど信頼して、実効のあがるのを期待しておるのですから、政府はこれを裏切ってはならないと思います。しかるに、暮れには、もち米は公共料金でないといって値上げをしたし、現在でも、医療費、消費者米価、バスなどは公共料金であるとかないとかの議論も出るほど、閣僚間にも意見と利害の錯綜しているときですから、当面の責任者である首相が全責任を持って物価問題と取り組んで、国民の愁眉を開いてほしいものであります。  家庭が家族のいこい場であることが庶民の最低の願いでありますが、政府資金投入の公庫住宅には何十倍の競争者がありますから、はいれるものでもなく、家や部屋を借りている者は、二年目に契約を更新といいまして、新規に権利金が取られ、料金が値上げされるばかりか、子供ができるといって追い立てられております。今日の住宅事情は、現在の建設省の住宅建設計画では、もう手が届かぬほど悪化しているのですから、社会保障の一環として、国なり地方公共団体責任で充足させねばなりません。一九六一年のILOの住宅勧告が、住宅は国の責任であり、宅地開発や住宅建設は営利の対象とすべきでないといっていますのに、この国では全く暴利の対象となって、値上がりが続いているのであります。さしあたり厚生年金社会保障制度にプールされている財政資金を、もっと大幅にこの方面に融資すべきではないでしょうか。また税の取り過ぎ、自然増は六千億、おそらく一兆円にもなるだろうといわれているのですが、これらの金も、法律的に問題もあるとしても、直せばよろしいのですから、社会保障的な面に大いに使うという建前を確立したいと思うのでございます。  管理価格、協定価格の問題も、これを取り締まり指導する役所がありながら実効があがっておりません。生産性が上がって値段が下がらないという現実は、全く不可思議です。耐久消費財の購入は一巡して、衣料在庫も多く、倒産者が次々と出ていますが、マスコミで消費者はメーカーの宣伝する新製品の浪費攻勢にあおられても、値が下がらない限り、もう購買力はついていけないのであります。このままでは、業をやめ、生産自身をとめ、失業者を出すという不幸な事態を招くでありましょう。管理価格問題はこの点でも力強く追求してもらいたいと思います。これを担当する公正取引委員会の予算はきわめて少なくて、他の官庁からの圧力もあって実効をあげ程ないでいますのは、消費者行政を指向する政府としては三考を要するものと思います。  ここで首相に伺うのは、わが国社会保障制度は、世界で幾番目ぐらいになっていると思っていられるかということ、厚生大臣に伺うのは、物価暴騰と政治貧困に苦しんでいる国民に対して、広義の社会保障の拡充解釈をもって、法律を手直ししても、栄養や、住宅や、育児や、老人、病人や、衛生や、公害や、環境整備などを、厚生省が推進役となって、急いで手当てする必要があると思うのですが、御意見はどうでしょうか。また、物価引き下げの力にも役立っている生活協同組合あるいは農協、漁協の購買事業などは、この際大いに育成して、物価値下げに役立たせたいと思うのでございますが、大臣の御意見はいかがでしょうか。大蔵大臣に伺います。  国民個人々々には大いに貯蓄を奨励している政府が、法人企業に対して手厚い保護育成をしているにもかかわらず、なおかつ法人は借入金にたよって、自己資本による操業をしていません。また社用族の目に余る乱費を見逃がしています。これはなぜであるか。課税方法や投融資のあり方を改める必要があるのではないでしょうか、伺いたい。社会保障制度がいつまでも発達していないから、国民は貯蓄をせずにはいられない、貯蓄なしには不安で生きられないのであります。しかし、その貯蓄の伸びが落ちてきたのは、物価高騰のためです。ずんずん上がる物価で、ためられなくなった階層も多いが、ためて寝かせておくよりも物で持っているほうが賢明だという考え方も、びまんしつつあるのであります。大蔵大臣はこれらに対して、何と処しますか。  開放経済に入るにあたって、日本製品の品質がよくて、値段が安くて、諸外国から喜び迎えられる、それによって初めて日本の輸出増強はかなえられるのでありますが、輸出をもって国是とする日本で、このためには、物の買い手、使い手である婦人を、消費者として教育し、その目を肥えさせ、その使い方を誤らないようにすることが、最も近道であります。大蔵大臣は、婦人の消費者教育予算を出す必要を認めていますかどうか承りたい。  以上でございます。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 豊かで平和な生活をしていただくのが政治目標でございます。従来は、経済政策としては主としていわゆる生産増強のほうに力を入れておりましたが、お話のとおりに、最近の状況では消費者行政が非常な重要さを加えてまいりましたので、企画庁に国民生活局を設けまして、そしてむだを排除するとか、あるいはよりよく消費行政に力を入れていこうといたしているのであります。今お話がございました物価の上昇、しかし、これも私が常に言っておりますように、所得上昇の何割かでございます。しかし、だからといって物価の上昇をそのままほうっておくわけではございません。先ほどから申し上げておりますごとく、国際収支の安定、均衡、そして物価の上昇をとめる、上がってもできるだけ少なくする、これに万全を期していきたいと考えております。  なお、日本社会保障制度は世界で何番目かと、こういうお話でございますが、これが何番目かということはなかなかむずかしいことですが、制度といたしましては非常によくできております。ただ内容につきまして、まだ先進国に比べますと劣っておりますの  で、いわゆる国力を増進し、国民所得をふやして、実質的に西欧諸国なみにいくように努力いたしておるのであります。私は、国民努力によりまして、今後、社会保障制度がますます拡充していくことを祈念し、また期待しておるのであります。(拍手)   〔国務大臣灘尾弘吉登壇拍手
  20. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お答えをいたします。  学校教育あるいは社会教育等の面を通じまして、いわゆる消費者教育につとめろという御質問の御趣旨につきましては、全く同感でございます。従来も、学校教育社会教育等を通じまして、消費者教育をいたしておるわけでございますが、時勢の推移にかんがみまして、御趣旨に沿って、さらにつとめたいと存じております。(拍手)   〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  21. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 消費者行政を能率よく行なうためには、どうすればよろしいかというお尋ねでございました。やはり一番大切なことは、関係の各省が、生産者ばかりの立場でなく、消費者の立場というものを一つの大きな考慮の要素に持って、ものを考えるということであると思います。この問題が国民の関心を集めるようになりまして相当の時間がたちました。幸いにして、この節は、関係各省も、かなり消費者の立場というものを認識して、ものを考えるようになってまいりました。で、私どもの役所で、御指摘のように、それを総合調整しながら、これからも行政をやっていくつもりでありますが、やはり基本的には、関係者の、ことに各省の心がまえの問題であろうというふうに考えております。  それから、タクシーの料金についてお尋ねがございましたが、私も、タクシーの料金を全然上げなくてもいいというふうに考えておったわけではございません。ただ、上げる幅につきましては、政府部内にいろいろな異論がございまして、その間に東京以外の地区で料金の引き上げが認められまして、それに関しまして、私が十分に自分の意見を言い得なかったというようなことがございました。これは、政府の部内におきます連絡調整の機構に実は欠陥がございましたためでありまして、この欠陥は、その後直ちに是正をいたしました。そのような背景において、その後に東京都の料金の値上げが行なわれたわけでありますが、これは、その他の地区よりも多少低いところに押、えてございます。  それから、公共料金の一年間据え置きにつきましては、これは、御指摘のような幾つかのものは、公共料金であるかないかという議論は別といたしまして、政府の規制し得る価格に入ると考えております。これらのものは、したがって、一年間据え置きをするということにつきましては、総理大臣所信表明でもはっきりと述べられておりますし、またその後、総理も、補足してそれを説明を申し上げておるわけでございます。経済原則としては相当な無理があることは承知いたしておりますが、それをしも乗り切りましていたすつもりでございますから、なみなみならぬ決心を持っております。(拍手)   〔国務大臣小林武治登壇拍手
  22. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 社会保障の問題でありますが、これは、世界で何番目になるかと、こういうことでありますが、就業構造とか、人口構造とか、あるいは国民所得とか、いろいろな関係がありまして、一がいに順位をきめるわけにはまいりません。ただしかし、進んだ国では、国民所得の一〇%あるいは一五%が社会保障に使われておる。ところが、わが国では、いまは六%程度だと、こういうことから言えば、なお非常におくれておる、こういうことを考えざるを得ません。しかし、いずれにいたしましても、近代的社会保障というものはほとんど戦後に発足したものと思われるのでありまして、非常な速力をもって進めてまいっておりまするが、何ぶんにも発足がおそいために十分な効果をあげておらぬ、こういうことが言い得るのでございます。  なお、厚生年金の融資の問題でありますが、これも相当程度のものが融資ができる。したがって、社会施設にこれらの金が行く。また、ことにお話のありました中小企業のアパート、あるいは共同住宅、あるいは小住宅等に対しましても十分配慮をいたしたいと、かように考えております。  また、お話のように、私ども厚生省の仕事は、ほとんど結論的には御婦人奉仕をする、こういう建前にあるのでありまして、たとえば、ごみとか、あるいは、し尿とか、あるいは排水とか、これらの問題で非常にお困りになっておるのでありまして、こういうもののしわ寄せを受けるのは御婦人である。あるいは貧乏の問題、あるいは疾病の問題、すべての問題が御婦人の肩にかかっておるのでありまして、これらの解消に非常な懸命な努力をいたしておるのでございます。  また、いまの物価値上がり、こういうものにつきましては、私どもは先ほど申し上げましたように、保護基準等もことしは二二%程度上げることにした。これに応じて各種社会施設の経費等も引き上げを行なう、こういうことで、この方面においてさような欠陥を少しでも補っていきたい、こういうことを大いに心がけておるものでござます。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  23. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 過去の予算及び昭和三十九年度予算についてまず申し上げます。  御承知のとおり、近年日本経済が拡大してまいりまして、産業の高度化、完全雇用国民生活水準の向上、所得格差の解消というようなことが行なわれつつあるわけであります。予算が比較的に大型だと言われますけれども社会資本、国民福祉、社会保障等の問題がこれらによって解決をせられておるのでありまして、この予算が今日のひずみをつくっているのだということは当たらないと考えます。ひずみを直すように予算を組んでいるわけであります。昭和三十九年度につきましては、国際収支の改善、物価の安定を主眼として、健全な、将来にわたる国力発展基盤を築きたいという考え方であります。  第二には、個人の貯蓄を奨励しながら、法人の借金政策を認め、浪費を見のがしているのはなぜだということでございますが、この問題につきましては、自己資本の充実につきまして税制上も格段の配慮をいたしているわけであります。御承知の戦前七一%の自己資本の比率が、今日三〇%を割っているというようなことは事実でありますので、この自己資本比率の向上に対しては、各般の施策を行なっております。  企業の冗費節約につきましては論のあるところでありまして、政府もこの問題に対しては、税制改正におきまして、一定限度額をこえる交際費の損金不算入制度を設けております。この制限を強化しまして、冗費節約を推進するようにしているわけであります。  それから、貯蓄のしがいがないという苦情が非常にある、喜びも楽しみも倍増させる貯蓄を——という基本的な御質問でございますが、今年度の貯蓄の実績は、昨年の十一月末で二兆六千六百億円でありまして、前年度の実績の二八%増でありまして、きわめて貯蓄実績は順調であります。物価の上がりで貯蓄するかいがないというような考え方につきましては、物価の安定に大いに努力をしなければならない、物価の上がりによって貯蓄意欲が減殺されることに対しては、特に意を用いなければならぬと考えております。  それからこの際申し上げておきたいのは、このような物価の値上がり論のある中で国民各位が貯蓄に励んでいただいたために、今日の日本経済発展基盤がつくられたものでありまして、私は心から敬意を払いたいと考えます。今後ともわが国経済将来のために、貯蓄にぜひ御協力賜わらんことをお願いしたいと思います。  最後に、婦人の消費者教育予算を支出する意思はないかということでありますが、これは、もう申すまでもなく、消費は御婦人が一番敏感であり、最も威力をお持ちになっておるのであります。婦人団体政府に対して、しゃもじを掲げていろいろな御指導をいただくことによって、政府も消費者物価の問題に対して本腰を入れて取り組んでおるのでありますし、健全な消費を指導しながらむだを省くということに対しては、婦人団体教育が一番効果があります。そのような意味から、財政支出ができるようであれば大いに支出をしてもよろしいというふうに考えます。(拍手
  24. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 村尾重雄君。   〔村尾重雄君登壇拍手
  25. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は、民主社会党を代表して、総理以下各大臣の二十一日の施政方針説明に対し、若干の質問を行ないたいと存じます。  まず、外交方針について総理に伺います。  由来、「外交の争いは水ぎわまで」のことわざもあります。特定の国際情勢のもとにおける一国の外交の基本と安全の根本については、与野党の間においても一致があるべきで、かつあり得ることは、各国の事例の示すところであります。キューバ危機を契機とする米ソの接近は、ついにフルシチョフをして、NATO、ワルシャワ両条約体制の相互承認の上に不可侵の約束をつくろうと言わしめるに至った今日、たとえば日米安保の取り扱いについても、賛成論、反対論の間に一致点を発見し、よってわが国論の統一をはかることは、決して不可能ではないはずと考えるものであります。しかして超党派外交のイニシアチブは、言うまでもなく政府与党がとるべきであります。わが民社党は、以上の見地から、従来より、外交問題については、単に政府方針を攻撃したり、その百八十度反対を主張する態度をとらず、建設的な批判と可能な代案を提示してまいったのであります。しかし、率直に言って池田内閣の外交には、とかく日本民族のバックボーンと、その将来のビジョンを欠き、現状肯定と大国追従の惰性が顕著であり、その最たるものが政府の中国対策であることは、われわれがしばしば指摘したとおりであります。  われわれの憂えたごとく、池田内閣の無為無策と対照的に、今回フランスが、アメリカの激怒と池田内閣の困惑をしり目に、中共承認を断行するに至りました。われわれ民社党は、国内一部の議論のように、アメリカと台湾を敵視して中共に迎合するような中共承認論にくみするものではありません。中共の誤れるイデオロギーはこれを批判し、かつ台湾に対しても、過去の経緯と現存する事実を尊重するにやぶさかではありません。しかしながら、中共が七億の住民をバックとする政府である事実を厳正に評価し、国連の場を通してその代表権を承認し、かつ台湾についての適当な処遇を定ることは、世界平和とアジアの安定上欠くべからざる要件であり、フランスの承認とブラザビル十三カ国の同調によって、来たるべき国連総会において中共代表権問題が急転を予想されるとき、もはや総理所信表明のことばのように、単に「国民とともに現実的な政策を慎重に展開したい」云々では済まされない段階に来ていると信ずるのであります。一つの国家の代表権をめぐって争いがあるとき、問題の処理が機微であり、取り扱いが慎重であるべきことは、当然でありますが、日本国民も世界各国も、中国問題について日本政府が従来の無定見を改め、一つの明確な方針を持ち、国連の場等において能動的にあっせんすることを期待していることは、疑いないところであります。はたして総理が解決の方向をつかみ、かつ、アメリカ、台湾等に働きかける用意をお持ちであるか、伺いたいのであります。また、私の述べました超党派外交に対する所信もあわせて披瀝願えればけっこうと思います。  次に、政府財政政策の基本方針について総理に伺います。総理も述べられたように、いわゆる開放経済体制を全面的に整備すべき時代に入っております。また一方、従来のような大企業の設備投資中心の経済成長方式の欠陥が完全に国民に批判されて、これを是正すべき段階に入っておるのであります。このときにあたり、国の財政政策、とりわけ年度予算の編成は、単に年度間の財政方針の実践を意味するものではなく、財政をもって国民経済全体の発展を促進し調整するための最大の切り札となすべきであります。この見地に立って、私がまず総理に伺いたい点は、物価の安定対策であります。政府予算案には、所得減税生活保護基準の引き上げ、国民健康保険における家族七割給付など、とにもかくにも現状より改善せんとする施策が盛られております。しかし、これが改善の役割りを果たすかどうか、国民の家計の実質的な向上になるかどうかは、現状ではまさに今後の物価の動向いかんに完全に振り回されているのであります。政府の見通しとしている明年度の消費者物価四・二%上昇は、経済成長が名目九・七%でとどまるという前提、並びに、医療料金、消費者物価等、一切の公共料金を値上げしないという前置きに立っておりますが、名目九・七%の経済成長とは、政府が全く責任を持たない単なる努力目標の架空な数字であります。もしあなたが真剣に名目九・七%の実現を期すならば、まず第一に、昨年末以来当議場においてもたびたび討議があったように、昨年末の金融引き締めのような、中小企業には倒産、大企業には最低必要な資金の確保という、不平等きわまる金融政策ではなく、大企業の定義を定めて、特定された大企業の資金調達については、国の強力な規制、中小企業、特に零細企業近代化資金については、むしろ必要資金のワクの確保と利子補給等の弾力的金融政策を二本柱とする金融機構の整備を、あらゆる政策に優先して実施すべきであります。すなわち、金融計画機能を強化すべきであると思いまするが、いかがでありましょう。  第二に、大企業製品の管理価格についてでありますが、それを引き下げる行政指導、勧告を行なうべきだと思います。  第三に、消費者米価、医療料金、一切の公共料金の値上げを政府はすでに一年ストップの方針を発表されておりますが、私は、完全に一年間のこれらの公共料金のくぎづけをば守るべきであると思うのでありますが、この点についての総理所信を伺いたいのであります。  次いで、国民福祉政策について総理に伺います。総理貧困と不幸の解消をば特に施政方針演説においても強調されましたが、政府社会保障政策は物価の上昇によって影を薄め、政策改善効果が全く削減されていることは、いまさら私から申すまでもありません。もう一つの特徴は、治山、治水、道路、生活環境整備など、主として土木建設関係については、法をもって長期的な建設計画の遂行の責任を明らかにされておりますが、社会保険、老後保障、住宅不足解消については、依然として単に行政努力目標を掲げるだけで、長期的な行政責任を明らかにしておりません。わが国社会保障制度は、戦後十数年間にかなりな発展をしてきましたが、その施策が長期の計画性に欠け、そのつど場当たり的であることは、しばしば有識者から指摘されてきたところであります。これらの社会保障の諸事業の遂行にあたって、政府の長期的、計画的な計画を遂行する、すなわち、強力な意思をお持ちになっているかどうか、この点についての総理見解を伺いたいのであります。  次に、国民一人当たりの、簡単なことですが、家計支出標準費を一体幾らと想定されておられますか。総理高度福祉国家目標とすると言われる以上、この程度の想定は当然に、政府も用意されていると思うのであります。やれ自然増収で、また、金が余ったから、社会福祉事業に回すんだということであってはなりません。これらの点について、福祉国家の遂行のため国民一人当たりの家計支出標準費を一体どの程度に置かれているかということを伺いたいのであります。  次いで、ILO八十七号条約批准とその扱いに関して、総理にお聞きしたいのであります。  昨年十一月、ILO結社の自由委員会は、「日本政府が八十七号条約批准を約束してからすでに五年を経過し、その間十数回にわたって約束を繰り返してきたこと」を指摘して、「この問題を結社の自由実情調査調停委員会に付託することについて日本政府の承諾を求めること」及び「付託に関する詳細な提案を六四年二月のILO理事会において行なうこと」を理事会に勧告し、理事会はこれを承認しております。そのILO理事会は来たる二月四日から開かれるのでありますが、すでに政府のとるべき態度については現地の日本政府代表に訓電を発しておられると思うのですが、一体どういう用意をされているかということ、また、政府は、日本問題に関する百七十九号事件を実情調停委員会に付託することに同意を与えるつもりなのか、拒否するのか、考え方を聞きたいのであります。  次いで、総理はほんとうに八十七号条約批准をこの国会において実現する熱意がおありになるのか、私は再度確かめたいのであります。二十一日の施政方針にも、また社会党の代表質問にも、あなたはぜひ成立させたいと答えられているが、ほんとうにあるとするならば、その熱意をどのような具体的行為、具体的手続によってあらわそうとするかであります。世上伝えるところによると、いわゆる倉石メモ云々ということが伝えられておりますが、私は今日そのいきさつをここで問おうとは思いません。それはそれとして、わが党としては、直ちに特別委員会を設置して、本来の案件である八十七号条約批准案と公労法並びに公務員法については、それぞれの関係委員会に付託することとして、直ちに審議を開始すべきであると考えるのですが、政府並びに自民党党首としての総理の決意と関係大臣所見を伺いたいのであります。  次いで、厚生大臣質問いたします。  社会保障制度の確立は、第一次池田内閣が生まれてからの引き続いての公約の一つとして掲げられておるのでありますが、高度経済成長下にあっては、社会保障制度の果たす役割は、ますます重要かつ長期計画の策定が必要であることは申すまでもありません。しかるに、所得倍増計画実施後における社会保障の諸施策は、びほう策と無計画に終始しております。確固たる基本方針が確立しておりません。昭和三十七年八月に、社会保障制度審議会から、「社会保障制度の総合調整に関する基本方針についての答申および社会保障制度の推進に関する勧告」が出されたのでありますが、これに基づいて、政府社会保障の年次計画を策定されていると思うのですが、この際、公表願えれば公表されたいと思うのであります。  次に、政府がたびたび声明されているように、社会保障制度を確立し、福祉国家建設に邁進する熱意があるならば、積極的は、ILO百二号社会保障の最低基準に関する条約の批准を促進すべきだと思うのですが、これも御所見を伺いたいのであります。なかんずく、この条約の部門のうちでも児童手当制度は、第二次大戦後に急速に発展した新しい分野であって、すでに世界六十カ国が実施している現状であります。わが国は、遺憾ながら、ようやく三十九年度予算において児童手当制度創設準備費として約一千万円を計上しているのにすぎません。私の知るところでは、政府当局の見通しでは、昭和四十二年より児童手当制度の実現を期するということでありますが、昭和四十二年ではおそきに失しております。現下の諸情勢から見るならば、直ちに実施の必要があると思うのでありますが、政府の御見解、並びに、あわせて政府がどう児童手当制度の具体的な構想について考えているかを承りたいのであります。この国会にいま一つの重要な案件として、厚生年金法の改正案の提出が予定されておりますが、社会保障の確立の見地からすれば、公的年金制度である厚生年金保険法を名実ともに基本的な被用者年金制度の中核となるように改善し、充実することにあると思うのであります。昨年、一万円年金として厚生年金法の改正案が発表されたが、法案の内容の中に企業年金との調整を認めているが、いわゆる調整年金といわれて、今日、問題となっているところであります。厚生年金保険には、すでに比例年金制が取り入れられているから、調整年金制を今さら取り入れることは、制度そのものを複雑にし、かつ、調整年金を認めることにより年金格差が大きくなり、本来、統一的であり、国が責任を持つ社会保障が、企業別に分断され、社会保険の中に企業的労務管理が入り込む危険があるのであります。社会保障制度の本旨にこのことはもとるのみならず、むしろ逆行するものであると思うのであります。また、わが国主要組織労働者もこれに反対の意思を表明しております。以上にわたって厚生大臣に御見解を御発表いただきたいと思うのであります。  次に、労働大臣に最低賃金制度について伺いたいのであります。昨年十二月二十七日、労働大臣政府の当面の賃金政策を明らかにして、「政府としては相対的低賃金並びに実質的賃金改善努力するとともに、最近の雇用情勢の変化に応ずる賃金制度に改める」と述べられています。その相対的低賃金改善と最低賃金制の進め方との関連性はどのように考えられているかという点をお聞きしたいのであります。わが国においては、政府のいわゆる相対的低賃金労働者というよりは、いわば、絶対的低賃金労働者がいまだに多数存在していることであります。政府の統計によっても、三十七年の就業構造基本調査によれば、年間収入十二万円以下の労働者が何と三百七十四万人、年間十八万円以下の労働者が八百三十八万人も存在しているのであって、このような低賃金は、物価倍増の今日、ひとり者の生活をささえることもできない額であります。しかるに、昨年八月、中央最低賃金審議会が行なった最低賃金制の今後の進め方に関する答申においても、今後三年間は、少なくとも業者間協定方式を中心として進めていくことがうかがわれるのであります。現在のごとき業者間協定を主軸とする最低賃金法を幾ら強力に推し進めていきましても、そこには好ましい最低賃金制の実現を期待することは困難であります。あえて三年を待つことなく、早急に最低賃金審議会調査審議に基づく職権方式によって、産業別地域別最低賃金を設定することに私はこの際踏み切るべきであると思いますが、いかがでありましょうか。また、最低賃金制度創設に関するILO二十六号条約をいつ批准するか、労働大臣に伺いたいのであります。  なお、雇用政策について伺いたいのでありますが、時間が参りましたので、私はこれをもっておきます。私の質問に適切なる関係大臣の御答弁を期待して、終わりたいと思います。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 超党派外交はわれわれの望むところでございますが、超党派外交のためにわれわれの外交の基本方針を変えるわけにはいかないのでございます。  なお、中共の問題につきまして御質問がございましたが、私はたびたび答えておるごとく、日本の置かれた立場日本国家利益を考えながら国連の場を通じて善処いたしたいという答えに変わりはございません。また、日本がこの際あっせんをするということは適当でないと考えております。  次に、物価政策につきまして、ただいまの状態で金融制度に変更を加える必要はないかというお話でございますが、私は、物価問題で金融制度に手を加えるよりも、やはり金融政策で物価問題解決の方法をいたすべきだと考えております。管理価格につきましては、先ほど来申し上げておるごとく、一年間は原則として引き上げません。  また、社会保障の今後の拡大、これは私は、国力の発展とともに重点的に社会保障拡充強化していきたいと思います。また、日本家庭の生計費は、これは大蔵省で調べました基準生計費は、夫婦子供三人で、いわゆる五人家族で四十八万五千円と聞いておるのであります。また、六大都市におきましての生活保護基準は、四人家族で年二十五万円余りといたしておるのであります。  なお次に、ILO条約につきましては、施政方針演説で申し上げましたごとく、今国会でぜひ御承認をいただきたいと考えております。また、ILOからの日本への調査につきましては、正式に申し出を受けておりません。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫君登壇拍手
  27. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 最低賃金制度の今後の運用に関しましては、昨年八月、中央最低賃金審議会から慎重審議の結果答申がございました。その中にも、現在の業者間協定を主とする運用方式を改めて、現行法に定める各決定方式、特に職権方式を活用するようにという趣旨が述べられておりまするので、この精神に従いまして、今後最低賃金の実効ある拡充につとめて参りたいと思います。  なお、業者間協定による最低賃金につきましては、現在、中央最低賃金審議会におきまして、対象業種の選定、最低賃金額の目安の作成を行なって、その運用の適正化をはかることになっておりますので、目下その答申を待っておるわけでございますが、当面といたしましては、決定後、期間が経過し、実効性のなくなったものにつきましては、時宜に応じて改訂を行なうよう指導いたしておる次第でございます。  さらに、この新しい方針決定後、三年経過する前におきましても、できるだけ職権方式の活用をはかっていくということが、現在の最低賃金法の精神であります。かように考えまするので、審議会の運用方針に従いまして、できるだけかような方式を活用いたしたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣小林武治登壇拍手
  28. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 社会保障制度審議会の勧告につきましては、大かたの目標として、昭和四十五年までに社会保障西欧並みにまで上げろ、こういうことでありまして、その勧告を尊重して、われわれも事に当たっておる。しかして、これらの長期計画につきましては、われわれも一応の試案をもって当たっておるのでありますが、これを確定的にする、あるいは法律その他によって確定的にするというようなことは、これらはそのときの経済情勢、あるいは国民生活水準向上、いろいろの問題がありまして、弾力的に運用をすべきものであると、かように考えまして、これらを固定的に考えるということは、いかがかと存じておりますが、もちろん、長期的視野に立ってこれを推進する、こういうことは当然のことでありまして、これらの目標も一応われわれは持っておると、こういうことを申し上げておきたいのであります。  なお、ILO百二号条約に関連いたしまして、われわれとしましては、この条約に適合するような社会保障制度の充実と、こういうことを心がけておるのでありまして、失業給付とか、あるいは医療給付等の問題は、大体これらの目標に合致しておるというところまで参っておりまするし、また、お話厚生年金等の次の引き上げによりまして、これらの条件を満たし得ると、かように考えておりますが、承認の問題は別としまして、これらの問題がそれに近づき得るように、われわれはこれを推進しているというふうに御了承願いたいのでございます。  なお、これに関連して、児童手当の問題でありますが、これは昭和三十六年以来、児童福祉審議会審議を願うとともに、私ども役所におきましても、これの実行につきまして検討をしておるのでありまするし、特に昭和三十九年度には、一千万円の、実施を前提とする調査費の計上もいたしておりますので、まだこれを確定的に何年と、こういうことはきめておりませんが、できるだけ早く実施できるように進めたいと、かように考えておるのでございます。ことに、児童手当におきましては、最近、政府調査によりますと、児童保育の経費が、私ども考えているよりか、さらに上がっておる、こういうことも参考にしなければなりませんので、これらのことも十分に含みまして善処をいたしたいと考えておるのでございます。  次の厚生年金の問題でございますが、厚生年金は、現在では月三千数百円、これでは年金の目的が達成できない。こういうことで、私どもは少なくとも一万円年金というものを目途として、これを計画しておりまして、この国会にも改正法案を出して御審議を願うことになっているのでありまして、その内容等につきましては、一応私どもも調整年金考え方を導入いたしておるのでございますが、これらにつきましては、またいろいろの観点から御審議を十分いただきたい、かように考えているものでございまして、その内容等につきましては、法律審議の際にいろいろ申し上げたいと、かように考えているものでございます。(拍手
  29. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 野坂参三君。   [野坂参三君登壇拍手
  30. 野坂參三

    ○野坂参三君 一九六四年、世界は大きく変わりつつあります。その中で、日本はいかなる道を進むべきか。私は、日本共産党を代表して、総理所信をただしたいと思います。  総理も、国際情勢は変転していると言っておられます。では、どのように変転しているか、それはいわゆる自由主義諸国、特にアメリカの帝国主義政策が次々に破綻していることであります。たとえばキューバ革命の勝利、パナマでの反米独立の戦い、アジアでは南ベトナム、カンボジアその他におけるアメリカのみじめな失敗、なかんずく、中国封じ込め政策の破綻、こうして、世界の抑圧された民族と人民の解放闘争は、世界帝国主義の支配を根底から掘りくずしております。一方、社会主義諸国は引き続き発展しております。これらの諸事実こそが国際情勢変転の内容であり、世界歴史発展の法則を示すものであります。現実の世界は、総理施政方針演説で言われているような歴史の法則とは、全く逆の方向に動いているのであります。このような世界の必然的な動きを食いとめ、あるいは逆転させようと必死になっているのが、ほかならぬジョンソン大統領であり、これに追従しているのが池田内閣であります。ジョンソンの政策は、一言でいえば、平和の仮面に隠れて、反ソ、反中国の核戦争準備と民族抑圧の政策を推し進めること、アジアでは日本にその片棒をかつがせようとすることであります。池田内閣は、これに積極的に加担しながら、日本の独占資本の海外進出をもくろんでおります。これが総理の言われる、アジア、西太平洋諸国との連帯関係の強化という政策の実体であって、決してアジアの安定と繁栄のためではありません。反対に、アメリカに従属しながら、日本の軍国主義、帝国主義を復活強化するためであります。これは日本人民の利益に反し、世界の大勢に逆行するものであります。これはまた昔の大東亜共栄圏の夢のように、破れ去り、消え去るものであります。このような事態に対して、総理一体どのように考えておられるか、まずこのことから私はお聞きしたいと思います。  次に、中国問題の解決は、今日、世界とアジアの当面する最大の課題であります。そして、日中両国の関係を正常化すことは、日本の将来にとっても、アジアの将来にとっても、決定的に重要であります。しかも、フランスの中国承認決定に続いて、中国の国連復帰も、もはや時間の問題となってきました。いまや、これは世界の大勢となりつつあります。そこで、私は、総理に次の点についてお聞きしたい。  第一に、中国大陸と六億余の人民の存在を今回初めて発見された総理は、それを統治する中華人民共和国政府、単なるオーソリティや政権ではなくて、政府存在も厳然たる事実であることを認められるかどうか、この点。  第二に、この中国政府の承認問題は、国連の場できめられるべきであるという意味のことを総理は述べておられますが、これはとんでもない間違いであります。この問題は、明らかに日本の主権に属する問題であります。なぜ政府はみずから主権の発動を放棄するような行動をとろうとしておるのか。  第三にお聞きしたい。中華人民共和国が成立してから、すでに十五年たっております。政府は、現実的解決とか、慎重な態度に名をかりて、一体、いつまでアメリカの中国封じ込め政策に追従し、二つの中国の陰謀に加担し続けるつもりであるかどうか。台湾はあくまでも中華人民共和国の一部であり、蒋介石一派はアメリカの金力と武力によってわずかに余命をつないでいる亡命政権にすぎません。これも厳然たる客観的事実であります。皆さん方、この事実をどうして見ようとしないのか。二つの中国論は、アメリカの台湾占領を合理化し永久化しようとする侵略的陰謀にほかなりません。その手先をつとめるようなことは、いまこそきっぱりやめるべきであります。そのためには日台条約を破棄することが先決であります。総理は日台条約を破棄する意思があるかどうか、それとも絶対に破棄しないで、蒋介石と運命をともにするつもりであるかどうか、はっきりした答弁を求めます。  第四に、日本のとるべき正しい態度は、直ちに日台条約を破棄して、中華人民共和国との国交回復に踏み切り、さらに中国の国連復帰のため努力することであります。これこそが、第二次大戦で中国を侵略した日本が、過去を反省し、率先して上らなければならない道であります。総理の答弁を求めます。  さて次に、朝鮮の問題についてであります。アメリカの中国封じ込み政策が破綻しつつあるそのときに、政府が日韓会談の妥結を特に急ぐ理由は、朴一派にてこ入れし、くずれかけたアメリカの南朝鮮支配を助けながら、何とかして封じ込め政策のほころびをつくろおうとするためにほかなりません。現在朝鮮内部では、北朝鮮はもちろん、南朝鮮でも、自主的統一を目ざす運動が日増しに強まっております。特に昨年の選挙以後、この事態アメリカや朴一派の力をもってしても押え切れないほどの勢いになっております。池田総理は、南北朝鮮の統一は百年河清を待つにひとしいなどと言っておられますが、国連軍の名をかたり、不法に南朝鮮を占領しているアメリカ軍さえ撤退すれば、南北の統一は直ちに実現されるものであります。朝鮮問題の解決には、アメリカはもちろん、国連といえども介入することは許されない国内問題であり、戦後処理の問題であります。それは国連憲章の規定からいってもそうであります。アメリカは黙って、無条件に、よごれた手を引っ込めれば、それでいいんです。まして日本は、政治的、法律的にはもちろん、歴史的、道義的にも絶対に介入すべきではありません。日本のなし得るただ一つのことは、日韓会談を即時打ち切ること、そして、アメリカ軍を南朝鮮から撤退させるため協力することであります。総理にその決意があるかどうか、答弁を求めます。  最後に、わが国の首都東京は……
  31. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 野坂君、時間が来ました。
  32. 野坂參三

    ○野坂参三君(続) 海は第七艦隊と原子力潜水艦によって、陸は米軍基地によって、空はFO戦闘爆撃機によって、完全に封じ込められております。このような首都が世界の一体どこにありますか。この危険な恥ずべき状態から……
  33. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 野坂君、時間が来ました。
  34. 野坂參三

    ○野坂参三君(続) われわれは一日も早く脱却しなければなりません。いまこそ、原子力潜水艦やF105の配備を拒否し、さらに、沖繩、小笠原の返還と、米軍基地の全面的撤去を強く求めなければなりません。そして、安保条約その他一切の不平等条約を破棄して、祖国の完全な独立を達成し、平和で民主的な新しい日本建設する道を切り開かなければなりません。これこそが、平和と祖国を愛する人々の進むべきただ一つの道であります。私は、日本共産党を代表して、わが国がこの道に沿って進むべきことを繰り返し要求し、総理のこれに対する所見を求める次第であります。   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  35. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 野坂君の世界情勢に関する議論、すなわち、冷戦緩和に向かい、平和共存の機運が見えているときに、あなたのような議論をなさる方は、ヨーロッパ諸国の共産党にもないと思います。  なお、東南アジアに対しましてのわれわれの関心と援助は、東南アジア各国民の繁栄と平和の確保にあるのでございまして、私は、今後とも外交の基本方針としてこれを続けてまいります。  なお、中国大陸に六億余の国民並びに一つの政権があることは知っております。しかし、われわれはこれを認めておりません。今後は、世界の動向を見ながら、国連の場において、日本独自の考え措置をとりたいと考えております。  なお、日華条約の破棄は考えておりません。破棄すべきでないと思っております。  また、朝鮮の南北統一ができない原因はいずれにありや。私は、国連の考え方に北鮮が向くならば、統一ができると思います。また、アメリカ軍が韓国から軍を引けない、国連が引けない理由はどこにあるのかといったら、朝鮮事変を思い出されたら、これが御回答になると思うのであります。  なお、日本の外交の基本方針は、もうたびたび申し上げておるがごとく、独自の考え、安保条約によって日本を守っていこうとしておるのであります。これは変更いたしません。(拍手
  36. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。    ————・————
  37. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) この際、日程に追加して、  検察官適格審査会委員椿繁夫君の辞任に伴う後任者及びその予備委員の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。
  39. 永岡光治

    ○永岡光治君 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  40. 村上春藏

    ○村上春藏君 ただいまの永岡君の動議に賛成いたします。
  41. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 永岡君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よって、議長は、検察官適格審査会委員に中村順造君、同君の予備委員に赤松常子君を指名いたします。    ————・————
  43. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第二、参議院予備金支出の件を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長田中茂穂君   —————————————   〔田中茂穂君登壇拍手
  44. 田中茂穂

    ○田中茂穂君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件について、御報告申し上げます。  今回御報告いたします本院予備金の支出額は、昭和三十七年度分三百三十六万円、昭和三十八年度分五百万円、合計八百三十六万円でありまして、昭和三十七年度分につきましては二万円が不用額となっております。この支出は、すべて在職中死亡された議員の遺族に対する弔慰金であります。すなわち、昭和三十七年度分につきましては、故議員松野鶴平君及び園木登君、昭和三十八年度分につきましては、故議員手島栄君、武藤常介君及び杉浦武雄君の遺族に対する弔慰金であります。  以上はいずれもそのつど議院運営委員会の承認を得て支出したものでありますが、ここに国会予備金に関する法律第三条の規定によりまして、本院の承諾をお願いする次第であります。(拍手
  45. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件を問題に供します。本件は委員長報告のとおり承諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。よって本件は承諾することに決しました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十八分散会