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1964-06-16 第46回国会 参議院 法務委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十六日(火曜日)    午後一時二十一分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     中山 福藏君    理事            後藤 義隆君            迫水 久常君            稲葉 誠一君            和泉  覚君    委員            植木 光教君            栗原 祐幸君            鈴木 一司君            鈴木 万平君            田中 啓一君            坪山 徳弥君            日高 広為君            丸茂 重貞君            亀田 得治君            小宮市太郎君            中村 順造君            米田  勲君            岩間 正男君            山高しげり君   国務大臣    法 務 大 臣 賀屋 興宣君    国 務 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    警察庁長官   江口 俊男君    警察庁刑事局長 日原 正雄君    警察庁警備局長 後藤田正晴君    法務省刑事局長 竹内 壽平君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○暴力行為等処罰に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。  本日は、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。米田君。
  3. 米田勲

    米田勲君 私は、ただいま議題になっております法律案に関する質問に入る前に、委員長に対し強い要望があります。  一つは、きょうの朝のテレビのニュースを見ますと、自由民主党は、本日の法務委員会において、社会党が何と言おうと強行採決を行なう、こういう報道であります。しかし、この法案のただいままでの審査過程お互い考えてみますと、わが党の稲葉議員最初質問を行ない、公明会和泉議員質問を行なって、きょう私は初めて第三番目の質問に入る指名を受けたわけであります。御承知のように、稲葉委員質問についても、まだ相当究明をしておかなければならない問題を持っておることは御承知のとおりであります、しかも、私もまた相当分量の質問をあらかじめ原稿にして、余分な発言をすることによって時間をかけることをできるだけ避けようとして、たんねんに本日の質疑をするために原稿をまとめ上げたのであります。およそ要する時間も相当分量あると見込まれるのであります。なおまた、委員長理事打合会では、本日は亀田議員にも発言機会を与えるということをきめておられるようでありますが、そうなりますと、この法案質疑はまだ相当これから残っておる問題があると考えるのが常識であります。会期はあと十日になっておりますけれども委員長においては、ぜひとも、社会党質問を中断して多数の力でこの法案問題点を究明する機会を遮断をしてしまおうというようなそういう委員会運営はなさらないように極力御配慮をいただきたいと思うわけです。これが私の第一の要望であります。  第二の要望は、私もできるだけ端的に自分見解立場を明らかにして質問をしたいと思いますが、政府当局答弁についても、私今日までの法務委員会における政府側答弁を見ますと、必ずしも妥当な答弁が、しかも時間を節約した中で有効に行なわれておるとは考えられない向きがございます。このようないわゆる政治的な発言といいますか、事実を事実として肯定したくないといったような傾向発言が繰り返されますと、私は中途でそのことをやめませんから、したがって、繰り返しの質問が多くなってまいるわけです。したがって、委員長は、委員会運営をできるだけ円滑に前進させるために、政府答弁のあり方についても逐次注意すべきものは注意してこの委員会審査を精力的に進めてもらうように、この二つを特に強く要望しておきます。  そこで、私は、まず第一に、この議題になっております改正法案提案理由を読んでみますと、社会不安を惹起する暴力犯罪に対し一そう強力かつ適切な対策を講ずるために法の改正がきわめて緊要だと主張をしておるのであります。私もまた、暴力犯罪、特に最近目に余る組織的暴力団による暴力犯罪を絶滅させることは、平和で民主的な国民のための社会を築くために、そういう環境をつくるために、絶対になし遂げなければならない重要な条件だと思うのであります。だがしかし、そのために法の改正が必要だと主張する政府のこの主張には、直ちに賛成するわけにはまいらないのであります。  その私の考え方を端的に申し上げるなら、第一に、警察当局は、これは法務省当局も含みますが、現行法規のもとにおいて暴力犯罪特に組織的暴力犯罪防遏に対して、はたして今日まで最善努力を払ってきたのであろうかという疑問なのであります。私は万全の対策がとられていたと評価することのできない多くの事実を知っているからであります。  その第二の理由は、そういう一面があるのに対して、反面、警察当局は、現行法規に基づく職務権限を、労働組合民主団体のいわば善良な国民労働争議大衆行動の際に勃発的に起こった事件に対して必要以上に限度をこえて警察職権を行使された事例が、今日までわれわれの手元でも相当多くの資料を整備しておるのであります。つまり、組織的暴力団暴力犯罪の防過に主たるねらいをもって定められた現行法が、適切妥当な運用という面でなお多くの検討と反省を必要とする実態であるからであります。  第三には、警察並びに司法当局は、暴力犯罪、特に組織的暴力犯罪防遏と絶滅に対する徹底した信念気魄にいまだ欠けるところがあるという批判を私は強く持つのであります。端的に申し上げるなら、警察地方末端組織では組織的暴力犯罪対策に実は手こずっているというのが実情であります。あたかもはれものにでもさわるような気持ち、わざわざ毛を吹いてきずを求めるようなことは極力避けたいというような、そういう傾向現実の偽らざる姿だと私は見ておるのであります。もちろん、私がこれを指摘しても、政府当局のそれぞれの答弁をいただけば、それは否定されるでありましょう。しかし、あなた方が幾ら否定しても、この日本の各都道府県における私が今指摘した問題は、現実の姿としては何としても否定し切れないのであります。私は、謙虚に大胆率直にこの現実にメスを入れることが法改正の問題に先立ってまず必要だということを強く感じておるのであります。  第四は、日応力犯罪の最近の傾向暴力団性格とその失態に対応できるように警察当局の機構とその運営に思い切った改善が必要であると思われるのに、積極的にそのことが進められてはいないという事実であります。  これらの私が指摘しました事柄について、ただいまから、どのような自己批判見解を持っておられるのか、まず、警察庁長官——国家公安委員長は十五分過ぎでないと出席がないと申されますから、これは後ほどどなたかから質問の内容を伝えてもらってお答えを願い、法務大臣にもお答えをいただきたいと思うのであります。
  4. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 警察検察を含めまして、従来暴力団等暴力行為に対して努力が不十分であるというお説でございます。ことばの使い方によりますが、完ぺきにいっているとは思いません。しかし、私は、検察当局警察当局も、なし得る最善努力をいたしておると信じます。と同時に、それが完全にいかない前にこういう法律案を出すことはよくないという御意見には反対でございます。警察その他の努力をさらに一そう進めるとともに、必要な刑罰法規改正も同時に行なってしかるべきものだ、かように信じております。
  5. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 警察からお答えをいたします。  警察が従来の暴力団行為について十分な取り締まりをやっていないじゃないかという第一点の御意見でございまするが、ただいま法務大臣からお答えになりましたように、完ぺきということばの問題はとにかくとして、一生懸命やっているということは事実でございます。これで十分だとはもちろん申しませんけれども、提出いたしておりまする資料等でもおわかりのように、私たちが把握いたしておりまする暴力組織組織員十八万名ということになっておりまするが、そのうちの六万名近くが毎年検挙をみている。件数にして七万件ということは決して少ない数字ではないのでございまして、これは暴力という現象があらわれました場合においてのみ私たちが活動できるという制約上当然のことでございます。なお、しかしながら、見のがしている面があるといたしまするならば、さらに現行法のもとにおきましても十分な努力をする所存でございます。  それからもう一つ暴力団というものがだんだん発達をしてその犯罪が巧妙になっておるのに、それに対する警察の体制が旧態依然であるという御意見に対しましては、ややそのうらみがございましたので、これも、本年初頭、暴力団がだんだん政治綱領等を掲げるというような点もございまするし、また、未成年者不良青少年をその予備軍としているというような実情等にかんがみまして、従来刑事警察一本にしぼっておりました暴力団対策を、警備ないし保安という面もあわせまして、警視庁をはじめ一体となってあらゆる警察分野がこの暴力団対策に関与するという形をとってまいっておりますることは、これまた御承知のとおりだと思います。順次そういうことからあらゆる角度からの暴力団対策というものが実を結んでくるというふうに私は確信をいたしております。  それからもう一つ、今度の法律が成立いたしますると、まあ成立するしないということは別として、従来の法律でもそうでありまするが、これを必要以上に乱用しているということにつきましては、再度御指摘がございましたけれども、私たち警察といたしましては、必要以上に故意にこの法律を乱用するというような気持ちは毛頭ございません。この法律にひっかかる事態だというふうに解釈をいたしました場合にこの法律をもって取り締まっておるのでございまして、その結果がどういうふうになるかということにつきましては、御議論もございましょうけれども警察の所期の分野において特にこの法律故意に拡張して乱用するというような気持ちは毛頭ございませんことを申し上げておきます。
  6. 米田勲

    米田勲君 ただいまの法務大臣答弁は納骨ができません。あなたの立場から言えばそういうことを言いたいのでありましょうけれども、あなたのそういうことばでは現実の姿が納得させられないのであります。  さらに、警察庁長官答弁のうち、ある部分については私も納得できる部分がありますが、了解のできない問題も含んでおります。その部分については、逐次詳細にわたってお尋ねをすることにしたいと思います。  ところで、私は同じような問題で再質問をいたします。具体的にお尋ねをいたしますと、これは稲葉委員も問題にしておったことでありますが、三十六年の二月二十一日に閣議決定として「暴力犯罪防止対策要綱」が決定をされて、暴力団体とその暴力犯罪に対し広く学識経験者による懇談会を設置して根本的な対策検討しようという方針が定まったのであります。ところが、その後の経過を調べてみますと、さきの委員会でも明らかになったように、飛び出しナイフをめぐって懇談会らしいものが一回開かれておりますけれども、その後三年有半閣議決定方針に従った問題の根本的な検討懇談会は全く開かれていないというのは不可解であります。これは何ゆえであるのか、その間の事情法務大臣から明らかにしていただきたい。あなたは当時もちろん閣僚の一人ではなかったけれども、当然責任は引き継いでおられるはずでありますから、その間の事情についてわれわれが了解いくように説明を願いたい。  次に、私は、政府関係者熱意の程度がこの委員会に明確にあらわれたということを指摘したいのであります。その一つは、赤澤国家公安委員長発言であります。あなたは、稲葉委員質問岩間君の関連質問等の中で、暴力団松葉会の問題が問題になったときのあの発言経過、これは速記録に明瞭に載っておりますとおり、私に言わしむれば、公安委員長態度はきわめて消極的であり、あいまいであり、事なかれ主義だと言うほかことばがないのであります。きわめて遺憾な態度であります。あの際私は関連質問をして警察庁長官答弁を得たので、これ以上あなたを追及する必要はあるまいと考えて黙って引き下がったのでありますが、あのことばの端々にうかがわれるあなたの気魄熱意は、私の指摘するとおりだと思われるのであります。  次に、第二は、賀屋法務大臣発言であります。あなたは、前の委員会で衆力団問題について答弁をなさる際に、ややその話が具体的な問題の説明に移るや、速記をとめてくれという発言をしております。これは委員長のほうで正式に取り上げられてはおりません状況ですから、会議録にはどのようなことが載っているかはまだ検討しておりません。しかし、およそこの委員会法務大臣責任ある発言をし、特に暴力団の問題について具体的に説明をする際に、何がゆえ速記をとめてくれという発言をしなければならないのか。あなたは、私のこの質問に対して適当な答弁をなさるでありましょう。それはそれでけっこうですが、あなたのこのような態度の中に、断固として暴力犯罪組織的暴力団による暴力犯罪をこの日本の国から駆逐しなければならないという気魄情熱が欠けていると、私はあの速記をとめてくれということばの中に見出すのであります。私は、最近の新聞で、寝食を忘れ、しかも家庭を忘れて薄給に甘んじ、靴をすり減らし、足を棒のようにして日夜暴力団の根絶のために活動をしているといわれる淀橋署戸沢清部長刑事のように、信念気魄の権化のようなりっぱな人物のおることを知って、実に愉快に感じたのでありますが、しかし、法務大臣公安委員長自体がこの委員会において見せられたこれらの片言隻句からうかがわれるそういう気魄は、首脳部でさえもそういうことであるのだから、妻も子も持ち、その日の生活を続けていかなければならない警察官末端組織の人に、牢固としてこの犯罪を覆滅しなければならないという気魄を求めようとすることは無理なのではなかろうかとさえ思うのであります。私は、現在まで十分な努力をしてきたと言い切られるあなた方の答弁を、これらの事実に基づいて再度求めます。賀屋法務大臣国家公安委員長警察庁長官からそれぞれ御答弁をお願いします。
  7. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) いまお話懇談会の点につきましては、私が聞いておりますところは、三回開いたそうでございます。それでなおその設置、組織につきまして法律を要するかというような問題が起こりまして、いろいろ考慮した末、法律をもって委員会を設けることは適当でないという考えになったと聞いておるのでございます。それゆえ、いまの閣議決定の文句に合うような懇談会は中止いたされましたが、関係当局の施策が、それぞれの調整連絡会議次官会議その他におきまして協議をいたして推進をいたす、かように聞いております次第でございます。  なお、私が的の委員会におきまして速足をとめてと申しましたが、私のあのときの気持ちは、適当な用語が私がどうも不調法で発見しにくいという気がいたしました。しかし、自分気持ちは申し上げるほうがよろしいという考えでいたした次席でございまして、本気でない、気魄が欠けているという御批判でございますが、私はさようには決して思っておりません。
  8. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 公安委員長発言ありますか。
  9. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私が松葉会性格につきまして申し上げましたことが議論の対象になったわけでございますが、大体、暴力団と申しましても、いろいろ正業も一部持っている者もありますしいたします関係上、これこれこれこれは暴力団であるときめつけて発表することは実は避けておるわけでございます。しかしながら、この間の答弁最初暴力団と申しましたが、しかし、松葉会現実に私が名前を思わず出しましたため、私が内心そう思っていることと、ここですぐ一般に暴力団と名ざしをしないということは、別でございます。そこで、私多少あとで申しましたことが疑義を受けたかもわかりませんけれども、ただそういう方針を胸に秘めておったまででございまして、私どもといたしましては、扱いはただいま御指摘に相なったものと考えまして、、その措置はとっておる次第でございます。
  10. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私の暴力団に対する熱意につきましては、先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、その方針はただいまの国家公安委員長お答えになりました線でございます。
  11. 米田勲

    米田勲君 法務大臣国家公安委員長も、おそらくそういう答弁をなさると私は予定をして、おりました。しかし、あなた方が何と言おうと、この委員会におよそ出席をした者の胸の中には、あなた方の気魄を感じておるのです、その弱い気魄を。私は、あの松葉会発言をした日、あるところからあることを言われております。近く彼らは国会の中における自由な発言に対しても威嚇をしようとしている現実であります。ですから、おそらく、法務大臣国家公安委員長も、あまり具体的なことをここで言うと、またあとから脅迫をされたり、いやがらせをされるということがあるかもしれない、私の例に徴して考えれば。しかし、そのようなことでは、組織的な暴力団のばっこしている今日、これを覆滅させるなどということは絶対にできない。ましてや、そのためにこそこの法案改正が必要だというような主張をするのは、私はおこがましいと言いたい。もっと現実を直視して、改めるべきは改めて、口だけでなく、単なる訓示や通達で事がおさまるものではないのでありますから、徹底的な態度をもって臨むということがまずあなた方に要求されなければならぬのです。その気魄情熱があってこそ、警察検察も全組織がそこに動員され、そこに結集されるのであります。その点で、これ以上あなた方の発言を追及することはやめますが、私はこの場合はっきりもう一度そのことを申し上げておきます。  そこで、私は、一般的に申し上げますと、法を改正することによって取り締まりを強化し、そのことによって暴力犯罪防遏するという方式といいますか考え方には、それ自体に問題のあることを考えてもらわなければならぬのであります。それは、なぜかというと、法の改正によって一方には確かに警祭官の職務権限は拡大強化されるでありましょう。しかし、同時に考えなければならぬことは、そのことによって国民の権利、国民基本的人権を侵す機会がますます多くなってくるということに思いをいたさなければならぬのであります。角をためて牛を殺すのたぐいということがありますが、法を改正し、取り締まりを強化し、暴力団対策をやるという、こういう一連の行き方は多分に再検討すべきではないか。だから、私は、先ほど、現行法の中で万全の対策を講ずれば講ずることができた今日、そのことを十分になし遂げていない事実を私はこれからいろいろな角度から申し上げようと言っておるのであります。そういう基本的なん権の問題と、法を改正取り締まりを強化し暴力団防遏していくというこの二つの相反する立場、これをどのように配慮をしてあなた方は進もうとなされておられるか、この点を明確に法務大臣公安委員長お尋ねをいたしたい。そして、なおまた、警察職務権限を発動される最高の責任者である警察庁長官立場からもこの考え方についてこの際明確なお答えをいただいておきたい。
  12. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 私ども気魄が足らないという御断定でございますが、私はその御断定反対断定をしております。  それから法の改正によって人権じゅうりんの場合が起こるであろうと。今度の改正は一番少ないのじゃないでございましょうか。いまの現行法でも、今度の改正によって犯罪になるものはやはり犯罪になる。犯罪の範囲が広がるわけじゃございません。ただ、常習であるか銃砲刀剣類を持っておるかというだけの、犯罪の、私はしろうとでわかりませんが、要素というか、構成というか、態様というか、それだけの差異でございます。現行法で大いに警察官努力せよとお話しになりますが、努力するというと、そういう意思ではないが、かえって犯罪のない人をつかまえる。入間だから間違いも起こりやすいわけです。今度の改正にはそんなケースはないのでございます。  そういう意味で、実際にも非常にそういう行き過ぎのことがほかの場合よりないようなケースではないか、これが一点であります。  それからどんな場合におきましても、へたをすれば、行き過ぎますれば、人権じゅうりんのようなことが起こります。これを起こさないようにやるということがきわめて重大でございます。そればかりおそれれば、何もやらなければ一番いいのですが、そうは参りません。そのために常に法の適用が行き適ぎないように、または嫌疑のかけようが行き過ぎないように、これを始終注意しておりますのは、警察当局の非常に重大な方針でございます。今回特にこうやればという新しいものはございません。従来どおり一貫して、なお特に注意してまいるという決心をしております。そうしないと、犯罪を起こされる、それ以上に非常な人権じゅうりんをせられる被害者立場考えなければならぬと思います。
  13. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 賀屋法務大臣と同じくでありまして、先ほどの御断定に付しては、私ども反対断定をせざるを得ないわけです。  それから、御案内のとおりに、私どもが何もこういった人々におどかされるのがこわくてここでものを言っているわけではございませんで、お互いあの戦争に赤紙一つもらって命がけでやってきておるわけでありますから、こういつたことに対しては断じておそれるものではない。そのことは私も明確にお答え申し上げますが、先ほどの断定はお受けできませんので、ひとつ法務大臣と同じでございます。
  14. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) この法律改正が行なわれますれば、警察職権が広がってますますその乱用の機会も多くなるというようなお話でございまするが、これは法務大臣からお答えになりましたとおり、少しも警察職権が広がるわけではございませんので、その関係は従来どおりでございます。ただ、ますますその効果が上がるということを期待しまして、いままでも一生懸命やってはおりますけれども、さらに一生懸命励むということは、これは当然のことでございまして、私たちはそのことを期待しておるわけでございます。
  15. 米田勲

    米田勲君 私は、質問をした際に、一般的に言うならばと最初にお断わりしておるわけです。それを特定のこの法律案についてだけ私は論じているのではない。政府当局考え方としては、法を改正をし、取り締まりを強化し、暴力団防遏していくという、その道だけを安易にたどろうとすることは重大なことになるのだということを指摘しているのであります。そのことは、あなた方も、当然基本的な人権というものは憲法において最高度に保障されているものですから、その点の配慮は寸毫も侵すことのないように努力するという発言をする必要がある。先ほど賀屋さんの答弁の中には、基本的な人権を侵す場合もあるような妙な発言もありましたが、それは言い間違いだと私は解釈いたします。  そこで、次に私は質問を進めますが、法定刑を引き上げて重く処罰することによって暴力犯罪防遏にきわめて有効であるという考え方、まさに今度の改正法案はそういう立場で出してこられているものであると思うのでありますが、それは、結論的には、私をして言わしめれば、現状認識に誤りがあると言いたいのであります。今日日本の中にはびこる組織的暴力団による暴力犯罪傾向、さらには暴力団の内部の気風、性格、そういうものをつぶさに検討をしたときに、多少の処罰の重い軽いは、かれらには問題ないということをよく理解できるのではないか、こういうふうに私は感ずるのであります。このことについて、実際に指揮をとられている警察庁長官見解はいかがなものですか。
  16. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 法律改正して罰則を高めることだけで暴力の絶滅ができるという考えは、私たちももちろん持っておりません。その点は、米田委員のお考えと全く同様でございまするが、ただ、違いまするところは——それだけで絶滅はできないという点につきましては一致いたしまするけれども、それが非常に大きな役判りをするであろうという期待におきましては、私たちは強いものを持っております。その根拠は、何べんも申し上げまするように、私たちの把握いたしておりまする暴力団体組織員が大体十八万人ということになっておりまするが、その構成員を年々暴力行為によって——暴力行為等処罰ニ関スル法律に限りませんけれども暴力行為によって検挙をいたしておりまする数が、先ほども申し上げましたように、七万件、人数にして五が人ということに相なりまするから、もしも法律の罰則を引き上げるということによってあるいは下限をはっきりすることによって相当の処罰を受けると、こう仮定いたしまするならば、三年を経過いたしました場合におきましては、十五万人が——これは繰り返しておるのもありまするから、はたしてはっきりとその数になるかどうかは別といたしまして、おおよその数字で言ってほぼ全員が処罰をされておるという状態になるのでございまするから、新しい暴力団員を養成することでなければ、少なくとも現在私たちの把握いたしておりまする団員のほとんどが何らかの処罰を受けて、社会からは一応隔絶されておるという状態に計算上なるわけであります。私たちは、暴力をふるいさえしなければそういう人たちがそういう目にあうということを別に望みませんけれども、現在のような状況でありますれば、そうすることが非常に大きな暴力絶滅の手助けになる、こういうふうに私たちは期待をいたしている次第でございます。
  17. 米田勲

    米田勲君 それでは、質問角度を変えて、最近発生をした暴力犯罪と杵築当局の防過対策活動の中で、現行法なるがゆえ取り締まりや検挙等の上において著しく支障を来たしたという事実があれば、この際特徴的なものを——数多くお聞きする時間はありませんが、特徴的なものを具体的にひとつお聞かせを願います。——警察庁長官に。
  18. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 御要望でございまするから、一、二の事例をあげてその特徴的なものを申し上げてみたいと考えます。  事例の一つとして、東京に起こりました例でございまするが、東京のある会の中堅の幹部三十二歳の者の行為について例をあげますと、この男は傷害、恐喝、暴力行為等前科七犯を有しておりまするけれども、これが、昭和三十八在——昨年の八月二十二日、都内の喫茶店の工事代金取り立てを依頼されたと称しまして、配下二名とその喫茶店に押しかけ、凶器を示し、暴言を吐く等いたしまして脅迫し、同年九月二十六日暴力行為により逮捕をされておりまするが、その結果、同年十二月十一日懲役八カ月に処せられております。で、この男の前歴を読んでみますと、昭和二十八年——すなわちこの十年余りのことを申し上げますが、昭和二十八年九月二十一日傷害及び銃刀法違反で罰金二千円を食いましたのを初めとし、二十九年の五月十二日に暴力行為、傷害、暴行で懲役六カ月、執行猶予が三年ついております。さらに、同じ年の九月の十八日に暴力行為、恐喝で懲役二年六カ月を食っておりますが、これも執行猶予が三年ついております。さらに、やはり同じ二十九年の十二月十三日に恐喝で懲役二カ月、さらに三十一年の二月十九日に恐喝で十カ月、さらに昭和三十四年の一月十七日と三十四年の八月三日に詐欺で、これは今度の法律関係ないでしょうが、詐欺で一年、それから三十八年三月の一日に恐喝で懲役八カ月というようなふうに、犯罪を随時繰り返しておりまするが、こういう結果の処罰でございまするから、出てきたらやり、出てきたらやるというような状態になっているのが一つの例でございます。  それから第二の例として申し上げますと、これは博徒団体に属しまする平会員でありまするが、二十四歳で前科二犯の者、及び二十五歳で前科はございませんが検挙をされた回数が二回ある者、及び二十一歳で検挙歴二回ある者、この三人は、昭和三十五年二月二十六日から二十八日までの間、被害者三人を自己の会に入会させようとして、木刀等で暴行を加え、また、付近の土工宿舎に短刀等を持って押しかけ脅迫を行ない、さらにそのうちのC——一番最後の者は、同年三月二十五日、アメリカの軍人に短刀で傷害を与える等して検挙されたものでございまするけれども、これに対する処罰の結果は、Aに対し懲役十カ月、執行猶予が三年ついております。Bに対して同じく十カ月、これも執行猶予三年、Cにつきましては懲役十カ月、やはり執行猶予三年というような事例でございます。  さらにもう一つ事例を申し上げますと、傷害、恐喝等の前科九犯を有する、これは大阪の博徒の幹部でございますが、昭和三十六年十二月二日、配下五名と共謀し、情婦と関係があった被害者に対する暴力行為、逮捕監禁、恐喝未遂で逮捕され、昭和三十七年一月十七日、保釈金五万円で保釈をされておりまするが、保釈中、同年七月二十五日、他の四名と共謀し、女関係を種にした恐喝、暴力行為、逮捕監禁で逮捕されましたが、同年八月三十日、保釈金十万円で保釈となりまして、さらに三十七年十二月二十日、他の一名と共謀をいたしまして、かねて対立をしておりました他の組員と口論し、これを日本刀、猟銃等で殺害したというような事案がございます。  以上三件を私たちが拾い上げました事例として申し上げましたが、御了承を願います。
  19. 米田勲

    米田勲君 法務大臣や竹内局長も、いまの警察庁長官答弁説明のあったことをよくお聞きになったと思うのです。私は、今度の法改正案の中に、何か下限を上げていけばそれで問題が解決つけられるような安易な考えでおっては、これは処置がないという感じを持つのであります。  この際、いまの警察庁長官の報告と、この新聞に報道になった部長刑事の戸沢さん、これはよく努力をしてくれているようですが、この人が記者にこういうことを言っております。「私たちは徹底的にやる。だがせっかくつかまえた暴力団が、町のボスなどの嘆願で、すぐ保釈されたり、まるきりデタラメの情状証人を使って執行猶予になったんでは、泣きたくなる。」、こういうふうなことばを記者団に語っているのであります。この第一線に努力をしておる人のことばと、ただいま警察庁長官が報告した一、二の事例とを通じて、法務省当局は何を感ずるか、それを端的にここでお答えを願います。
  20. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 私が聞いておりまして、最下限を三年ぐらいに上げたほうがいいのではないか、むしろそういう感じがいたします。もっときびしくしたらいい。しかし、こういうことは、そのときの感じではいけません。冷静な検討を経なければいけませんので、その最下限一年はやむを得ぬと思います。それは、お話のように、なあにどんな刑罰を食らってもやるのだという確かにそういう人もありますし、それからそういうふうに大言壮語するのもおります。また、やはり刑が重くなれば、だんだんにそういうことをやめようという働きも私は十分あり得ると思います。刑が重くなり、常習者を罰する、銃砲刀剣で厳罰に処せられるのだということで、先ほどの警察官どもまあ努力したのが一〇〇%報いられたとは思わぬでも、従来よりは報いられているように私は感じがされるのではないか、かように思う次第でございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 関連。
  22. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 稲葉君。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま警察庁長官が読まれた最初の例、最初の例というよりも全体として、質問と答えが食い違っているのではないんですか。質問は、現行法であるがゆえ取り締まりに著しく支障を来たした事例があるかどうか聞いているわけですけれども現行法の場合、事件を犯した者を逮捕するというふうなことを取り締まりとすれば、そのこと自身で現行法改正になろうがなるまいが取り締まりそのものには全然影響がないんで、現行法でも十分やれるんだということはこの前刑事局長が言っていることなんであって、その質問と答えは食い違っているわけなんです。あなたの言うのは、保釈になって出るようになってきたとか、刑が軽いとかいうような意味のことを言っているのかもしれませんが、そのことと直接取り締まりそのものとは関係がないんですから、あなたは質問と答えを取り違えているように思うんです。その中の第一の例としてあげたのがよくわかりませんが、昭和二十九年五月十二日の暴行、傷害で懲役六カ月で三年執行猶予ですか、最初の例は。ちょっとよくわからぬのですが、二十九年五月十二日のように聞いたんですが、それがまた二十九年九月十八日に暴行、恐喝その他で懲役二年六カ月で三年間執行猶予とあなた読まれましたね。それはあなた間違いないんですかね。どうしてそういうふうに法律でできるんですか。
  24. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 前のも執行猶予です。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 執行猶予中にまた執行猶予でしょう。そういうんでしょう。
  26. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そうです。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 執行猶予中に次の執行猶予は、懲役一年以下の場合でなければできないんじゃないですか。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 関連。
  29. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 亀田君。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 あとのほうは二十九年は間違いないんですか。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 執行猶予が切れてからなら話はわかるけれども、切れていないのに再度の執行猶予になるわけはないんですよ。
  32. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) この事実につきましてはなおよく調査いたしますが、日にちはどうもその次のも二十九年の十二月になっておりますし、さらにその次は三十一年二月になっておりますから、そのときは間違いないのじゃなかろうかと思います。ただ、刑がおっしゃるような二年六カ月でさらに執行猶予がついているような点はちょっとおかしいと思います。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法律的にできないでしょう。
  34. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) だから、それは数字が違うと思うのです。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから言っているじゃないですか。だめだよ、これは。
  36. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それから……(「それからじゃないよ」と呼ぶ者あり)申し上げますが、権限が一つも一広がっておりませんから、権限的にいまの法律でできなくて困ったというようなことは、おっしゃるとおりございません。それはただこういうふうに積み重ね積み重ねやっても何べんもやってくるので、誠意がないという気持ちを書いたわけであります。
  37. 亀田得治

    亀田得治君 ともかく、問題は、ポイントがはずれていますね、聞いていて。こんなに何回も犯罪をやっていて、少しも刑が重くならぬわけです。重くしようと思えばできる法定刑があるわけでしょう。これは一体だれの責任ですか。裁判所も来ているはずですがね。立法府の責任じゃないでしょう。いまあなた第一の例をあげると言うから、よほど何かいい例でも出てくるのかと思ったら、それを聞いておれば、これがまた何べんでもこんなことを重ねて、しかもあなた執行猶予中にさらに執行猶予を受けるというような報告を長官が平然として、これはおかしいと気がつかんで報告をするような、それほどずさんなことで、どうして厳格にやっているのだと言えるのですか。間違っていないか、報告が。——それじゃ、それを聞いてからもう一ぺん……。
  38. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 従来の判例でございますと、今度次に犯しました罪がその前の罪と併合罪の関係に達しておるような余罪の関係——結局、両方一括して同時に審判されておりましたら刑の執行を猶予することができるようなものにつきましては、そういう一括して審判したときとの均衡上、さらに余罪について刑の執行の猶予ができるというのが従来の最高裁の判例でございます。その項に当てはまるものではないかと思っております。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 関連、一問だけ。(「岩間君、まだやっているところなんだから」と呼ぶ者あり)
  40. 米田勲

    米田勲君 岩間君、ちょっと待ってください。ちょっと委員長
  41. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 岩間君、その次にやってください。
  42. 米田勲

    米田勲君 関連質問というのは、その主たる質問に当たっている私の了解もなしに委員長がどんどん言った者には全部、了解しなくても、しゃにむに発言させるという行き方は、これは考えてもらわなければいけない。私には私なりの一応計画があるのですから、あまり長い間関連質問をぐるぐる持っていかれては実は困る。岩間君はいま関連質問と言って、一問だと言っていますが、おそらく短時間でしょう。ですから、私は今回は了解しますが、私の了解もなしにどんどんだれにでも関連質問を許してもらっては困るのです。
  43. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 承知しました。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 議事進行。
  45. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 亀田君。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 この発言は、いま米田君が言うたとおりです。これはわれわれ了解を得てやっているわけです、答えが非常におかしいから。間違っているんだ。あんな答えがそのまま速記録に残されては、これは共同責任です、お互いに。そういう意味で、これは最小限度やっているんです。で、共産党については、これは正式に委員長発言を許すべきなんです、きちんと。それだけ要求しておきます。
  47. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ただいま、亀田君がしばらく質問についての発言を言われませなんだから、私が岩間君に許したわけです。おそらく続いておやりくださると思ったのです。それじゃ、ちょっと岩間君やってください。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 貴重な質問をしているときですから、簡単にやります。それで、当然また共産党に対する独自の質問のときがあるものだということをはっきり確認しておきます。  それで、先ほどの賀屋法務大臣の御答弁の中で聞き捨てならない答えがあるんです。それは、下限を三年にしたいなどと言っている。法案を一年に上げた。下限を一年に上げるにはしかしどんな一体背後に重大な問題があったかということは、これは明らかだと思う。あなた御存じないんですよ。法制審議会でこの下限を一年にするために、これは上げる必要がないという多数意見だった。十対九だったとたぶん思います。ところが、それを本委員会のほうではひっくり返して、まことに国会運営の中では想像もつかないようなやり方で、議長が入れば十人だ、そこで何だかわからない手続、これは明らかにできないような手続でもって御承知のようにひっくり返った。そうして下限を一年に上げたというのは御承知だと思う。ところが、いまのように、提案者の最高責任者であるあなたが、この法案を審議している最中に、この下限を三年にしたいなどというようなことを発言するに至っては、不謹慎もはなはだしいです。これは見解が統一されていないと考えてもいいですね。しかも、法制審議会それ自身が多数意見として反対している問題にあなたは明らかにいまの発言は挑戦しているんです。これは、当委員会の権威のためにも、こんな発言を許しておいてそうして議事を進行することはできないんです。あなたは一体どういう考えですか。これに対する明確な責任ある態度をとるべきだ。あなたはいまのは取り消しなさい。
  49. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 私の前の答弁は、普通だったら答えていないと思います。どういう感じがするかとおっしゃるから、あんなに繰り返しちゃしょうがない。しろうととしては三年にもしたいような気がするが、それはそうは参りません。一時の感情や感傷でやってはいけない。それで提案のような改正になっているのです。御承知のとおり、衆議院でも何べんも伺ってお答えしております、この経過は。それですから、われわれはそういう一時の感情でやってはいけませんということを申し上げておる次第でございます。
  50. 米田勲

    米田勲君 暴力団による犯罪が特別の取り締まり対象になったのは、ここ数年に始まったことではないのであります。戦後今日まで、ほとんど検挙投獄が引き続き行なわれている。これを法的な面から見ましても、刑法の一部改正、すなわちやくざのでいりを対象とする持兇器集合罪が新設され、刑事訴訟法の改正でお礼参りのおそれあるものには権利保釈の制限をされた。さらに、幾たびか銃砲刀剣取締法は改正されたし、刑罰の強化も行なわれてきたのであります。それにもかかわらず、暴力団とその組織下にある人員は減少するどころか、かえって著しく増大してきており、また、その組織も広域化し、犯罪性格も兇悪化してきているのが現実の姿であります。一体、このことを政府当局はどのように分析をし、検討をされているか、その点をお伺いしたいのであります。もちろん、このような傾向を生むに至ったのは複雑な要因はあろうけれども、結局、刑罰を重くするとか法を改正することにもっぱら依存することでは暴力犯罪暴力団の絶滅を期待できるものではないのだということを私は物語っているのではないかと思うのであります。この点について、法務大臣並びに警察庁長官の率直な見解を承りたい。
  51. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) お話しのとおり、また、警察庁長官も先ほどお答え申し上げましたが、また、他の機会にも政府委員も私も申しておりますが、法の改正のみにこの対策を依存いたしておるわけではございません。法の改正の度数もきわめて少ないものだと存じます。しかし、いま事実を正確に申し上げることには私自身が少し欠けておりますが、おそらく三十三年にやりました以後は改正をいたしていないのじゃないか。法の改正はわれわれ対策の重要なる一環である、かように考えておりまして、法以外のことにもいろいろ努力をいたしておる次第でございます。
  52. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私も考え方において法務大臣のただいまのお答えと同様でございますが、一生懸命やっていると言いながら数が減っていないじゃないかという御質問につきましては、私たちも、最近パンフレットをつくって出した中にも一書いておりますが、暴力団というものに力を入れ始めましてからはたしてその暴力団組織員現実にふえたかどうかということについては多少の疑問があるのであります。これは力を入れれば入れるほどいままでわれわれの視野に暴力組織として入っていなかったものも、毎年幾らかずつか、詳しく調べるとこういうものだというのが入ってきているというような事実もございまして、絶対数が、ほんとうの数が非常にふえておるかどうかということについては、ここで断言するのに多少ちゅうちょするものがございますことが一点と、それからもう一つは、どうも何べんも繰り返すことになりますけれども、ただいまも読み上げましたように、犯罪を犯します暴力団の構成員がちょっとしたものであればすぐ出てくる。だから、ある時点をとらえればちっとも減らないということは私は十分言えることじゃないかと、こう考えます。
  53. 米田勲

    米田勲君 私がいままで繰り返し指摘をしたのは、冒頭にも申し上げましたように、この法律改正案の提案理由の中に、暴力犯罪に対し一そう強力かつ適切な対策を講ずるために法の改正がきわめて緊要なことであると法改正を強調しておる政府当局のこの基本的な態度に私は反省すべき幾つかの問題があるのではないかと指摘をしておるのであります。法務大臣はがんこな人のようで、何と指摘されようとそうでないの一点ばりの方であるが、しかし、私はそういうがんこさでない、当局のいままでとってきた方針態度の中にも現実の姿に徴してさらに検討を加えなければならぬものがあるのではないかというそういう態度が私は大事だと思うわけです。いままでやってきたので十分だ、法の改正をしてくれと、こういうことではわれわれは納得ができないのです。その点を私は特に先ほどからしつこく反省を求めておるわけです。法務大臣にすれば、一片の指示、通達、訓示、そういうことで事が解決するような認識の甘さを持っているかもしれない。あなたの話は、たくさんの警官を集めて訓示されれば末端の組織までそれがぴしゃっと通ってそのことが実現するように思っておられるかもしれない。しかし、現実はあなたがお考えになっているようなものではないのだということをやはり強く反省、検討を加える必要があるのだ。そうでなければ、今日大手を振ってのさばっておる組織的暴力団暴力犯罪をなくする国の仕事というのは効果的に前進をしないのだということを私は特に強調をしたいのであります。もう一度法務大臣に特にこの際所見をお伺いします。
  54. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 私は、いま御断定になっておるようなことを申し上げておるつもりはないのであります。この委員会でも申し上げたと思いまするが、ああいう犯罪が起こりますのは社会のいろいろな事柄の複合原因であると思っておりまして、その対策が非常に多岐にわたらなければならぬ問題であるということも常に考えております。で、ほかのことは十分にいっている、法だけ改正すればいい、そんなことを私は一回も申し上げた覚えはない。法の改正対策の上の重要なる一環である。何かほかのことを完全にやって後はじめて法の改正だけを考えろとおっしゃるかのごとき感じを受ける場合がございますが、私はそうじゃない。ほかのことも努力しなければならない、法の改正もやらなければならぬ、こういうことを申し上げておるのでございまして、私も、そう申し上げては失礼ですが、門松を多くくぐっておるので、警察官に訓示を一ぺんすればそれでいくのだというようなそんなことを毛頭考えておりませんので、いろいろの対策を進めなければならぬ、先ほど警察官努力しないというお話もありましたが、私はそうは思わない。大いに努力されておると思います。その結果が政府の施策があらゆる面で完全にいっているのだ、そういうことはごうも思っておりません。ほかの対策も今後力を入れて進める考えでございます。
  55. 米田勲

    米田勲君 法務大臣も一だいぶんお考えを願っておられるようでありますので、次の質問に移ります。  警察庁長官にお伺いしますが、あなた方の言われているいわゆる暴力団というのは、どういう構成要件といいますか、どういう概念のものを暴力団としておるのか、この点をひとつ簡明にこの際説明をしてくれませんか。
  56. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 暴力団ということばは、この前の委員会でも問題になりましたとおり、法律的にはっきりと限定、定義されたものじゃございませんが、私たち自身の中で暴力団というものを行政的に定義と申しますか考えております要素は、二つございまして、まあいかに兇暴でございましても、個々の人間が暴力的であるというだけでは、もちろん団でございませんから、暴力団とは言えませんので、一つは、団体性といいますか、団体で暴力を働くとか、あるいは団体の威力というものを背景にして暴力を働くというような要素が一つ。それからもう一つは、暴力行為が常習性がある。どかっと一ぺんだけそういうことを団体でやるというのじゃなしに、その団体員が繰り返し繰り返し暴力行為をやるというような、この二つの点で捕捉しているわけでございます。
  57. 米田勲

    米田勲君 私がこの委員会で特にあらためてあなたにそのことをお聞きしたのは、この際こういうことをお伺いしておく必要を感じたのです。警察組織令の第十条の二項の第二号にあることばが、これがあなた方のいわゆる暴力団というものの一つの概念だと判断を私はしたのです。「集団的に、又は常習的に暴力的不法行為を行なうおそれがある組織をいう。」、もう一つ、「警察学論集」の第十四巻の第六号に、ここにも規定してありますが、これも長官のもとではやはり暴力団というものの構成要件というか概念規定には重視されていることばなのではないかと思います。「主として市民の日常生活を脅かす反社会的集団であって、その活動ないし生態において団体もしくは多衆の威力を背景に集団的にまたは常常的に暴力的不法行為を行ない、もしくは行なうおそれのあるもので、それを生活資金獲得の手段としている組織団体を暴力団と解している。」、こう書いてありますが、いまの説明とあなたの発言とは多少違いますが、私の読み上げましたこれは、現在の警察当局では、暴力団といわれるものの構成要件といいますか概念規定にはそのとおり適用をしているものと、こう考えて差しつかえありませんか。
  58. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) おそらく暴力団取り締まりの衝に当たっている職員の論文だろうと思いますが、大体において私の申し上げた考え方と矛盾はしないと思いまするけれども、最後のそれをもって生活の手段にしている云々ということにつきましては、それはそういうものが多いでしょうけれども、必ずしもそれを生活の手段にしていなくても、私たちはやはり暴力団として集団性があり常習性がある団体については、十八万人の中には入れているわけでございます。
  59. 米田勲

    米田勲君 この際妙なことをお聞きしますが、あなたに端的にお伺いしたいのは、民主団体労働組合が争議を起こします。あるいは、ある一つの目的のためにデモ行進をする。こういうことはたびたび行なわれていることです。その際に、その団体が自主的、計画的に起こしたものではなく、何らかの理由で突発的にそこに何か暴力的だと思われるような事件が起きた。この時点を狭くとらえて、いわゆる組織的暴力団暴力事件と同一視するような傾向が末端の警察官にはないのか、この点についてはどういうふうに長官は指導しておられるか、この際お聞きしておきます。
  60. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) お答えいたします。  ただいま例におあげになった団体ないし組合というものは、はっきり申し上げますが、われわれのとらえております組織暴力というか暴力組織というものには一つも入っておりません。だから、われわれが暴力団云々と言う場合には、そういうものはもちろんさしません。ただ、これは御質問の中に入るかどうか知りませんけれども、そういうものであっても、その現象が暴力行為等処罰ニ関スル法律にかかわる、そういう状態であれば、それは暴力団でなくても、暴力行為としてやっておりますことは、もういままでの事例でもおわかりのとおり、暴力団としてはもちろん見ておりませんけれども、その行為自身はその区別をいたしていないというのが正直なお答えであります。
  61. 米田勲

    米田勲君 そうすると、こういうことですか。あなた方が暴力団として考えておられ、ふだんリストの上に載せておる暴力団がある犯罪事件を起こしたというものと、労働組合が争議の状態に入っているときにある事件が突発的に起こったというものとを、あなた方の立場から見れば同一視してその対策に当たるわけですか。そういう指導をなされているのですか。その点はいかがですか。
  62. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それは、そういうことではございませんで、法の適用という面でただいま答えたのでございまして、暴力団による暴力行為の絶滅を期すということを私たちが唱えてやっておりますのは、いわゆる暴力団について平生からその構成なりあるいは引っかかりなり因縁というようなものを常時内偵して見ておって、そうして暴力行為があらわれた場合に時を移さずやるというのが暴力団対策でございます。いまおあげになった事例のような場合は、われわれは平生は何ら関心はございません。ただ、そういう事件が起きました際は、その法律にかかわる状態であれば、同じ法律でやる以外にない、こういうことを言っているわけでございます。
  63. 米田勲

    米田勲君 この問題については、亀田委員のほうでなお具体的に取り上げられる予定でありますので、その点は私の場合はこの程度にとどめておきます。  そこで、いま暴力団というのはどういう概念、性格のものであるかということをお聞きいたしましたので、その概念に従ってそれに照らしてこれに該当する現存の暴力団体の数とその構成員が警察庁から発表をしているあの団体の数と構成員数だと思いますが、それに間違いありませんか。
  64. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) お配りしております「警察の窓」にある数字がそれでございます。
  65. 米田勲

    米田勲君 このほかにも、数の上にあげていないけれども、ほとんど類似の性格の団体やその構成員がまだあると考えてよろしいのかどうか、現状をどういうふうに考えればいいのか、その点を長官にお伺いします。
  66. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほどお答えしましたとおり、暴力団の絶滅というか暴力団暴力行為の絶滅ということを主題として活躍を始めましてから、いままで暴力組織としてあげておらなかったものも入ってまいったということは、先ほども申し上げましたが、いまからも努力次第では、そうたくさん起きているとは思いませんが、いままで組織としてあげないものが入ってくるという可能性はございます。たとえば、夏になりまして、あるいは入っているかもしれませんけれども、いままでなかった海浜等における不良青少年団なんかというものができてまいりますというと、これはこの表にはなくても新たにことしは入れるというようなことになる関係で、私は新たなものも全然出てこないとは言えないと思います。努力でだんだん出てくるものだと、こう考えます。
  67. 米田勲

    米田勲君 警察庁の発表したパンフレット等を調べてみますと、三十三年には暴力団が四千百団体、七万二千人と統計は発表をされております。それが、三十四年になりますと四千八百七十四団体になっておる。三十五年には五千百十九団体になっている一三十六年には、これは暴力団の統合が行なわれたらしくて数が多少減少し、四千九百七十団体。三十七年は五千百三十一団体。三十八年は五千二百十六団体。三十七年には十七万二千七百十一人が、三十八年になるとさらに急速にふえて十八万四千九十一人になっておる。先ほどのお答えを、お聞きしますと、さらに詳細に追及をしていけば、この数はもっとふえることが予想される、減るということよりはふえるということが予想される。当局でも、この統計を発表されるまでにはもちろん年を追うて漸増の傾向があるということだけは、これは明確に押えておるところだと思うんです。しかも、あなた方の最近の調査では、最近の暴力団は、中央の大都市だけでなく、地方の中小都市にも漸次急速に広がって組織化されていっている、こういうこともパンフレットには明らかになっているわけです。そこで、私は、たびたび、一生懸命に努力をしておるというあなた方のお答えではありますが、どうも対策取り締まり、あるいは検挙等で今日までの状態を顧みると微温的なものがあったのではないか、そういうことがこういう急速な暴力団の増大と構成員の増大を来たしたのではないかということをわれわれしろうとの立場からはどうしても結論づけられるわけです。そこで、こういう傾向では、何らかの積極的な対策のない限り、われわれがいまここに提示されておるこの改正法案をかりに立法府が可決したとしても、この傾向を下降線をたどるようにはできないのでないか。この法案を可決してくれれば警察庁当局は断じて三十九年から下降線をたどらせてみせるという自信がおありになるのかどかう、その点を法案審査に当たって長官からお聞きをしておきたい。いかがでしょう。
  68. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) お答えいたします。  端的に言えば、この法案を通していただければ暴力組織を下降線をたどらせるという自信は、他の条件を全く同じだという仮定をすれば、当然私たちは断言することができると考えます。他の条件云々というのは、要するにつかまえる人数が、何べんも言うように、五万人からいるのです。この五万人というのがこの法律にかかる罪がどのくらいという分析はいたしておりませんけれども、あるいは常習、あるいは用法による兇器の使用というものが多いのでございまするから、それだけの処罰を受けた者だけは少なくも隔絶をされるということになるのでございまするから、その面だけでも減ってまいる。また、警察官自身も、現在も一生懸命やっておりますが、そういうやりがいがあるという状態になれば力が出るというのは、先ほどお読みいただいた新聞等でも第一線の警察官がそういう考えを持っておるのは事実でございまするから、力もさらに入っていくということは私は断言してはばからないものだと思うのであります。
  69. 米田勲

    米田勲君 私は、この法案審査の今後の経過がどうなるかはわかりません。しかし、あなたがいま私に答弁することをもって、当委員会発言をしたことだけには責任を持ってもらいますよ。この法案を可決していただけるなら、三十九年からは、上昇線をたどってきた暴力団と構成員の状態を絶対に下降線をたどうしてみせますと、それを現実の姿として実現してみせますと、こういうことを自信を持って約束されたことを、私はここで再確認しておきます。したがいまして、あなたの責任はきわめて重大だということを特に強く指摘しておきます。  次に、具体的に警察庁長官お尋ねをしますが、ことしの一月末日に「暴力取締対策要綱」をきめて、その中で、暴力組織の存立基盤に対する取り締まりの徹底、暴力犯罪の温床に対する取り締まり強化、この点を特に下部組織に指示をし、この方面の査察取り締まりに当たっていると言われておるわけです。このことは事実でありましょうかということが私の、お聞きしたい一つ。もう一つは、この全組織に対する指示後すでに約五カ月を経過しておりますが、その後顕著な成績をあげていると長官は現状を認識しておられるか、その点をお答えを願います。
  70. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 暴力団の存立のささえとなっておりまする面に十分な警察取り締まりをやるというのは、たとえば違法な形における風俗営業というようなもの、あるいは風俗営業における用心棒というようなことや、あるいはパチンコの景品買い、ダフヤというようないろいろな面がございまするが、そういうことにも、単にその暴力をふるったというときだけじゃなしに力を入れてやるというような趣旨の指示でございまするが、そのことにつきましては、多大の効果をあげているということは、まあ見方の問題でございまするけれども、いままでよりは力を入れて徐々に成果をあげてきておる、こういうふうに私は聞いております。
  71. 米田勲

    米田勲君 長官のおことばが自画自賛でなければ幸いなんであるが、まあそのことはあとでまた具体的な問題でお尋ねをいたします。  そこで、私は、先ほど暴力団の数とその構成員の警察庁の発表に基づいたものをここで読み上げましたが、このリストに載った暴力団体とその構成員、これは、前の稲葉議員質問の際に答弁しておられたのでは、個々の暴力団員までリストの上では明確になっておる、それがこの数だというふうにお聞きをしましたが、秘密会議にしてこの暴力団体と構成員のリストをこの法務委員会に出せと私たち主張した場合に、出すことができるかどうかということと、出せないとすればそれはいかなる理由によってか、このことをあなたにお尋ねをします。
  72. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 十八万何千名という数は、もちろんその積み重ねた具体のあれがなければ出てこない数字でございまして、警察全体としてはもちろん把握をいたしております。ただ、個々の団体について何のたれ兵衛というその構成員の末々に至りますというと、これは府県の本部にある場合もありまするし、また、こまかいものについては各警察署に備えているというようなものもございまして、警察自体にこの十八万名の名簿がABC順に整理されているという性質のものではございません。ただ、警察のどこかの段階には、つくりごとじゃなしにちゃんと何という人間が十八万名おるということははっきりと申し上げられます。  それから資料の点でございますが、何べんも申し上げますように、暴力団というものの定義が、われわれの取り扱いの過程においては先ほど申し上げたような概念で把握をいたしておりまするけれども、そのうちの相当数のものが、大きな団体になればなるほど、一応の正業を持っております。それからその団体なり会なりの組織員でありましても、必ずしも暴力行為に出ない人間もおりますので、私たち方針としては、個々の犯罪が行なわれました場合に、何々組というようなものが暴力団という肩書きのもとに発表されあるいは報道されるということはこれは別といたしましても、のっけから何という団体は暴力団だということをリストとして発表するというようなことは、従来いたしてもおりませんし、また、現在におきましてもこれをする気持ちはございません。
  73. 米田勲

    米田勲君 そのうちの特に犯罪の積み重ねが多いようなそういう特別な暴力団とその構成員のうち、特に幹部クラスのような人物をこの委員会で秘密会議にして提示を求めた場合には、長官はその要求に応じられる体制にあるのかどうか、それをもう一度お聞きします。
  74. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 応じられるかということの内容で知っているか知っていないか、そういう表ができるかできないかということについては、それはできると、しかし、秘密会といえども部外に——部外というか警察以外にこれを警察から出すということについては、警察庁の方針として出さないというふうにきめております。
  75. 米田勲

    米田勲君 この五千二百十六にわたる暴力団体、この団体の調査は、せちろん警察の全組織を動員して逐次累計していったものだと私は判断をするわけです。それが警察庁のところへ集約されたと。そこで、私は、この委員会に提出することは一応お話しをしましたが、このことはやっておりますか。あなたのほうでは、一応中央に集結をしたこの五千二百十六団体、十八万四千九十一人の暴力団員、これのリストを、警察の全組織、都道府県の全組織に周知徹底させておりますかどうか。それは、たとえば北海道の場合、北海道の警察に対して、本州、四国、九州のこれらの地域に存在する暴力団体とその構成員のリストを北海道の警察に徹底をさせておられますかどうかという質問であります。
  76. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほど来お答えいたしておりまするとおり、十八万何千名の中でその末端の普通の構成員については、人数だけで、東京の警察庁におきましてはその名前は承知してないのがあるということは、まあ先ほど申し上げたとおりでありまするから、その十八万名の名簿を各都道府県に配っているということは、これはございません。しかしながら、五千数百の団体名及びそのおもなる構成員につきましては、部内におきましては、北海道から鹿児島まですべてこれは連絡をして、歩調を合わして取り締まりをするということにいたしております。
  77. 米田勲

    米田勲君 状況については了解をしましたが、私はそのことが絶対大切なことだと思っているのです。やはり警察の全組織が、全国的な状態、全国的にはびこっている暴力団員のその個々についてまで周知徹底させているということが私は大事だと思う。よその県のことだから、それはまあ概括的なものでいいという考え方は、これは徹底した暴力団対策から見るとなまぬるいことになります。  では、次にお聞きしますが、一度周知徹底させても、暴力団組織の統合を行なったり、いろいろに変化をするわけです。幹部クラスでも投獄をされたり、いろいろな形で変化を起こします。それから団員の数についても、増大をしたり、あるいは他の暴力団体に移行したりして、変化を起こします。そういう変化の実態、暴力団の状態の推移について、どれくらいの時間を置いて——時間と言ってはちょっとまずいが、どれくらいの間隔を置いて全国の警察組織にそのことをそのある期間をきめて周知徹底をさせているか、従来のあなた方のやっている状態をお伺いしておきます。
  78. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 随時、実態が変わっていくに従って全国に流しておるといいますか、その回数は、大体において毎月くらいの間隔でその一番新しい状態を流しておるようでございます。
  79. 米田勲

    米田勲君 長官、ただいま答弁された毎月末端組織にまでそれを徹底さしているということばは、間違いではありませんか。
  80. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 末端組織とおっしゃるのが、駐在所、派出所であれば、あるいはそこまで行っていないかもしれませんけれども、私のほうから行くのは管区及び都道府県本部というふうに御了解願います。
  81. 米田勲

    米田勲君 状態はわかりましたが、それでは、都道府県ごとの状態をあなたは把握していると思いますが、たとえば北海道の警察本部が、こういうリストが中央の警察庁から来た場合、そのリストを北海道全体の末端の組織までどういう手段をもってどういう手続をもって徹底させておるのかどうか。そういうことはやっていないのか、あるいは事件のつどそういうことを行なうということなのか。平生において十分にその県内、その道内の各警察末端組織にまでこれらのリストは周知徹底されているのだと、しかもそれは毎月新しい変化の状態が流されてくるから、そのつどそれは徹底されているんだと、こういう運営になっておるのかどうか、各都道府県警察の内部の運営状態について長官はどういうふうに指導をし、現状はどうなっているか、それをお尋ねします。
  82. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私は都道府県本部に流しましたあと、これを駐在所あるいは派出所にまでどういう形で流せという指導は私自身はいたしておりませんので、私の一応の想像になりますが、これも一般的な大きな組織あるいは趨勢等に関する連絡であれば、本部から署に流れ、署の場合には訓示日等に各派出員が集まった場合に捜査課長等から説明をしていると、こう思いまするが、そうでない、末端組織の変化というようなことでございますれば、たぶん自分のところに関係のないと思うものにつきましては都道府県本部限りでとどめておいているものもありはしないか、こういうふうに想像します。
  83. 米田勲

    米田勲君 私は、警察庁長官が何でも知っておらなきゃならぬと無理なことは言わない。しかし、各都道府県警察本部に対して大事なことを指導する立場にあると思う。あなたのいまの発言では、各警察本部はどういうことをやっているか明瞭に把握していないということは、そのことについては指導をしておりませんということなんです。これは私は納得ができないと思う。それはなぜかというと、北海道について言いますと、札幌にAの暴力団の中心がある。しかし、これはいつでも道内を移動して歩いていく、活動するために。そういう状態ですから、やはり道本部におけるそういう状態、リストを末端の警察組織まで周知徹底させることが私はまず基本として大事だ、そういう対策、そういう体制が私は大事だと思うのです。そういうことが大事だと思うことは、あなたの立場から見ればそれはたいしたことじゃないというお考えなものかどうか、その辺の見解をひとつお聞きをしたい。あなたが先ほど下降線をたどうしてみせるというここの委員会で確約をしている立場からも、そういう点は検討をする必要はないか。あらゆる警察の全組織が、単なる暴力団係の警察官だけでなくして、全組織がこのことのために、専門にわたらないまでも、そのことのために集中していける体制をとるためには、そういう点にまで警察庁長官は指導をする必要がある。その点はよくわかりませんというのは、指導を私の立場から言えばなおざりにしていると言える。そこで、あなたの見解お尋ねします。
  84. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) なおざりにいたしているとは私考えません。私が申し上げたのは、私たちが全国的に情報を集め、それを、折り返し、関係というか各都道府県に流しておるのでございまするから、各都道府県本部長は今度また自己の責任において、北海道を例にとりますれば、ただいまおっしゃったような場合はもちろん道内の各警察署、各派出所に十分な周知徹底をしているはずだと私は考えまするし、さらに補足をいたさせますが、私のところも業務の分担を分けて個々の技術的な指導というものはいたしておりまするから、刑事局長に答弁をさせますればもっと詳しく具体的なことを警察庁として指示していることをお答えできると思いますが、補足をいたさせたいと考えます。
  85. 米田勲

    米田勲君 結局、長官、そのそうではないと否定したところで、あなたがそういう指導はしていないことだけは事実なんです。これはことばの端からちゃんとうかがえる。都道府県の警察本部はどうしているかわからないというのがあなたのいまの立場です。刑事局長は知っているかもしれない。だから、あなたがいま答弁していることはあくまであなたの主観である。そうであろうという推測である。これではどうも納得ができませんから、ひとつ刑事局長から委員長もう少し具体的にそのことをどう扱っているのか答弁をさせてください。
  86. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 暴力団の現状につきましては、年に一回詳しい資料を配付いたしております。それからそのときどきの暴力団の実態の変化に応じて各都道府県間カードを交換し、関係府県では関係暴力団についてはそれで実態が一応わかり得る体制にあるわけであります。それに基づきまして、各署に対して、暴力団の専従員その他刑事の関係につきましては詳しく話をするわけでございます。ただ、それがさらに末端の専従員以外の警察官に十分徹底しておるかと申しますると、これはその必要のつどあるいは機会をとらえてやっておりまするので、これが定期的に行なわれておることはございませんが、必要のつどやるようにいたしておるというふうに聞いております。
  87. 米田勲

    米田勲君 あなたの答弁の中に、形式的にそういうことはしておらぬ、事件の発生のつどそういうことをやるといったような意味の答弁がありましたね。あなたはそのことを形式的だと判断をしておるところに私は問題があると思う。そのことはあなた形式的だと考えるのですか。今日の組織的暴力団の実態をあなた方自身が一番よく知っているはずだ。だから、いまのあなたの発言の中にあった関係府県の警察本部が相互に連絡しているというだけでは、暴力団の活動の実態からいって即応できないでしょう。彼らの実態を知っているあなたでしょう。だから、ほんとうにこの対策警察の全組織をもって当たるためには、関係があるなしによらず、相手はどう動くかわからない。しかし、その動きの事実も幾つかあなた方のほうでは明らかである。ですから、私はあなたの言うような考え方でなく、そういう実態を少なくも都道府県の警察本部には毎月異動の状態を周知しているというくらいでしょう。そのあとをどうしているのですかというのが私が長官に質問したことなんです。それに対してあなたは答えていない。あなたは何でも知っているような話だが、何も答えていない。そうしてそういう形式的なことはというようなことばを使っている。私は何が形式的なんだと言いたい。事件が起こったときにはじめてそういう問題を周知徹底させるところに後手後手と彼らにやられてしまう。何が形式的です。もう一度聞きます。
  88. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 形式的というのは、ちょっとことばが意を尽くさなかったようでございます。私は、むしろ日にちをきめてという意味ではないということで申し上げたつもりでございます。その点はそういう意味で、必要のつどあるいはそういう教養をする時間に十分やっておる、こういうことを申し上げておったわけでございます。
  89. 米田勲

    米田勲君 しかし、警察げのほうから各都道府県警察本部に対しては毎月暴力団の実態の変化して、いる異動の状態を周知させているという答弁、これは間違いないんですか。それが間違いないとすれば、それを受けた各都道府来の警察本部が自分警察末端組織にまでそれを周知徹底させる平常の体制は一体必要があるのかないのか、その点のあなたの見解はどうですか。
  90. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) まさにお話のとおり、署までの段階におきましては、ただいま申しましたとおりの通達が行っておるわけでございます。ただ、それを刑事専門の者に徹底さしておるはずと思いますが、それを駐在所、派出所にまで徹底しておるかという問題につきましては、これは必要のつどあるいは必要に応じてやっておるということを申し上げたかったわけであります。
  91. 米田勲

    米田勲君 あなたの答弁の中にも「はず」が出てきた。「はず」というのは、あなた、推測ですよ。長官の答えにも「はず」が出ている。そうすると、あなた方、なぜ率直に言わないんですか。都道府県本部まではわれわれは周知徹底させることは毎月やっている、しかしその後の指導については現在まではあまり具体的にはやっておらなかったとなぜ言わないんですか。長官、あなたにお聞きします。なぜそういうことを率直に言えないのですか。そのことを必要あるなしはあなた方の判断でやっておるんであって、私はそのことが必要だという主張だが、しかし、あなた方は、必要がない、そういう必要はなかったから指導しなかったという立場を明確にすればいいじゃないですか。理由なしにサボっていたわけじゃないんですから。  それでは、その次に聞くことがある。なぜそういう指導が必要でなかったのか、それを聞けば私ははっきりするんです。あなた方二人の答弁を聞いても、都道府県本部までは周知徹底している、毎月その異動は正確に周知徹底している、しかしその後については局長も「はず」と、知っていると言ったが「はず」を使っている。だから、そのあとはどうなっているかわからない。これは一体どうなっているんですか。
  92. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) はずであるということは、まあ正直に言っているのでありまして、みんなが私たちが指示をいたしましたことを都道府県本部長がそのまま実行いたしますれば、そういうふうになっている。しかし、そう言っても、その最後に「はず」がつくわけで、これをサボっておればやらないわけでございますから、私たちは私たち自身が直にやっていることをきちっと申し上げて、それから先のことはこういうふうになっているということを言っているんです。だから、私は、あるいは必要なたびに都道府県におきましてはそういう状態を下部に徹底させておりますと、こう申し上げていいと思います。それはなぜかと言えば、暴力対策につきまして累次私たちが本部長会議等でも指示をいたしておりますることはそういうことでございますから、それが行なわれているはずだということを申し上げたのであって、自分が見てきたようなことを申し上げるのはいかがかということでそういうことばを使ったわけでありますから、ないものを想像しているわけじゃございません。
  93. 米田勲

    米田勲君 どうも妙な答弁になってきましたね。私がこの質問をしたのは、暴力団のリストは警察庁で各都道府県から集められたものを集約してリストができ上がる、それに間違いない。そこで、集まったものは、直接的には関係のない都道府県もあります。しかし、それを警察の都道府県本部に全部周知徹底していますかと言ったら、周知徹底させています。その後の異動についてはどうしていますかと言ったら、毎月その異動については実態を徹底させています。ここまで来た。それで、私は、受けた都道府県警察本部はその管内の警察の全組織に対してそのことを周知徹底させるような指導をあなた方はしているかと聞いたんです。そのときに、あなたは、どうなっているかよくわからない、よくわかっているのは刑事局長だと言うから、聞いたら、やはりよくわかっていないから、あなた方二人はとにかくその後の指示についてはしていないということが実態じゃないですか。それを何か、見てきたようなことを言うわけにいかんから言ったというふうな、そういう子供だましみたいなことを言っても、納得できないですよ。その後のことについてはまかせてあるとか、実態をそのままわれわれに答弁したら、どうですか。
  94. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私の質問の受け取り方があるいはそれじゃまずかったかと思いまするが、そういう必要はございます、周知徹底させる。それから周知徹底するような指導もいたしております。指導というか、どういうふうにしてやれという事柄については、私はこまかいことは知らないということを申し上げたんで、周知徹底させるということは、本部長会議あるいは刑事課長会議その他のそういう担当者の会同等の場合に一回も欠かさず私たちは指示をいたしております。だから、それが指導と言えば指導になるわけでございます。
  95. 米田勲

    米田勲君 私は、先ほども言いましたように、警察庁長官は末端の警察組織の一切のことを全部あなたは知っておらなければならぬというそういうむちゃなことは言わない。しかし、今日暴力団による暴力犯罪をとにかく何とか解決をつけなきゃならぬのだという決意に立ってこの改正法案はいま審査中なんだ。だから、私は、あなた方には異常な決意があらためて確立されているものだと思うのです。だから、あなたに、そのことについてどれくらい今日まで徹底的な指導を全組織に加えているのかということを確かめたかったわけです。ですから、ありのままを話していただければそれで私はいいのです。私はなぜこういうことをしつこく言うかというと、実際に暴力団末端組織の不法行為が直接国民の日常の生活を脅かしているからです。大がかりな事件はこのごろの新聞にあるように起きます。しかし、そのこと自体よりも、日常茶飯事の中に民衆の中に食い込んでおるこの末端組織の中で不法な活動を続けておる暴力団の問題について、十分に着目し、これに決定的な対策をとらない限り、あなた方の下降線を必ずたどうしてみせるという約束は現実の問題としてはあらわれてこないのです。だから、私はそのことを強調しているのです。そのことはわかるでしょう、長官。
  96. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 十分わかります。
  97. 米田勲

    米田勲君 それでは、次の質問に移ります。  警察庁は、六月十一日、国家公安委員会に対し、「最近……暴力団があいついで政治結社をつくり、政治の美名をかくれミノに」して活動をし「資金集めをしやすくしている、」という報告をしたと新聞は報道をしているのであるが、これは事実かどうか、そのことをお尋ねします。
  98. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 先週の木曜日の公安委員会で私から報告をいたしました。ただし、ただいまお読み上げになった後段の部分はちょっとそういう報告をした記憶はございません。
  99. 米田勲

    米田勲君 そうすると、この新聞報道は、あなたのほうの報告の——ことばはこれはもちろん記者の感覚でまとめ上げて書いたんですから、ことばどおりだとはこれは言えないと思います、当然。しかし、内容について違いがあるのですか。「最近……暴力団があいついで政治結社をつくり、政治の美名をかくれミノに」して活動し「資金集めをしやすくしている、」、こういうことばの報道を新聞で行なっているのであるが、こういう内容のものを国家公安委員会に報告をなされたのかどうか。それをお尋ねしている。違うところがあれば、その中のこの部分は報告していないということを明瞭にしてください。
  100. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 若干のことばにニュアンスはございますが、そういう大筋のことは私から報告をいたしてございます。
  101. 米田勲

    米田勲君 まことに申しわけありませんが、いまちょっと国交公安委員長の消息について理事から話を聞いておったものですから、あなたのほうの答弁を実は聞き洩らしましたが、はなはだ失礼ですがもう一度お答え願います。
  102. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 若干ニュアンスはございます。しかしながら、大筋においてそのような報告を公安委員会に私からいたしました。
  103. 米田勲

    米田勲君 それでは、その報告の文章は、文書でなされたのですか、口頭でなされたのですか。
  104. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 私の頭の中から申し上げたわけでございます。
  105. 米田勲

    米田勲君 頭の中というのはどういうことですか。
  106. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 文書ではないということでございます。
  107. 米田勲

    米田勲君 あなたは、文書で提出しなくても、いまそのときと同じことばをもってこの委員会にその報告をすることができますか。
  108. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 一言一句というわけにはいきませんが、大筋は間違いなくお答えができます。
  109. 米田勲

    米田勲君 それはおかしい、そういう重大な国家公安委員会において暴力団の現に法案審査しておる問題に関連する重大な報告をするのに文書で報告をしなかった理由をお聞きします。
  110. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) それでは、公安委員会の報告のやり方を御説明申し上げます。公安委員会には実は毎週一回定例がございます。で、その際に各課から一応取りまとめのできておるものについては資料で報告をする、書面で。したがって、出したものについてはあまり詳しい報告はしないで、骨組みだけを、こういうことでございまするのであと資料をお読み願いたいと、こういうふうに報告するわけです。それ以外のことで資料が時間的に間に合わなかったとかいったことであっても、今回の公安委員会で報告するほうがいいのだと、こういう事項については、局長からそれを口頭で御報告を申し上げる、こういうやり方にいたしております。で、先般の新聞に出ましたのは、ただいま御説明申し上げました後者のほうのやり方で報告をしたものでございます。
  111. 米田勲

    米田勲君 公安委員会に対する報告の慣行はわかりました。しかし、重大な報告をするのですから、印刷物を公安委員に渡さないまでも、警察庁の側としては当然文書でもってまとめあげてそれを口頭報告という形をとっているものと推測されるが、その点はいかがですか。
  112. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 各課のほうから一応メモという形で私に提出がございまして、それによって報告をする場合と、そういうメモも何もないと、つまり各課の判断ではまだ公安委員会に報告しなくてもいいんじゃないかと、こう考えておるものがございます。しかしながら、局長みずからの判断で最近のこういう情勢は報告をしたほうがいいと、こう判断をしたものにつきましては、局長みずからが口頭報告をする。その際に、局長自身が紙きれにメモを書いておくこともございますし、書かないで報告することもある、こういうやり方をやっております。
  113. 米田勲

    米田勲君 しきたりについてはわかりました。しかし、そういう問題は、その後の記録として警察庁側としては重大な資料として残さなければならぬ、記録として。それをあなたがたとえその場所で原稿なしに口頭で報告をしたとしても、何月何日国家公安委員会にかかる報告をしたという記録だけは警察庁に残さなければならぬ、こう私は常識的に判断をしますが、そういうしきたりにはなっていないのですか。
  114. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 国家公安委員会におきます各委員発言、並びに長官、次長、各局長の発言は、すべて公安委員会の議事録として残してございます。
  115. 米田勲

    米田勲君 それでは、あなたが頭でお考えになって報告をされたのですから、そのときに報告をなさった内容を、一言一句間違いなくとは言いません、およそ正確なものをこの委員会でひとつ発言をしてください。どのような報告をなさったか。
  116. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 最近の——暴力団ということばが適切かどうかは定義その他でやかましい問題でございますが、一応テキヤ、博徒及び青少年の不良団と、こういうような団体で最近組織が漸次大きくなり、また、広域化しつつある。同時にまた、系列化が行なわれつつある。その過程でいろいろなトラブルが最近起きております。これは一つの特色であろうかと思います。しかし、同時に、いま一つの特色といたしましては、これらの団体が政治結社としての届け出をやって政治活動をするものが傾向としてふえてきつつございます。こういう傾向に対しては、警察としても十分監視の目を光らせねばならぬと思います。そこで、これらの傾向がなぜ出てきたのか、こういうことになりますというと、彼らの言い分では、やはりこれらの団体の構成員というものを漸次漸増をしていく必要があるのだということ、また、最近の左翼の革命に対する危機感というものが一部の人の中にある。そういった際の一つの、何といいますか、これらの団体の人間の力というものをそういう際にたくわえておくといいますか、そういう意味合いもある。そこで、これらの団体の綱領等を見ると、赤化の防止であるとか、共産党の撲滅であるとか、こういった一応美名を掲げております。これらが表面的な彼らの政治結社を進めておる理由になっておるようでございます。しかし、最近のこういった団体に対する世間一般の批判が非常に強くなっておる、同時にまた警察取り締まりも強化しつつある、そういったことで、彼らは彼らなりにそういった彼らに対する認識を改めてもらいたい、こういうようなねらいも彼ら自身としては持っておるのではなかろうか。同時にまた、資金を集めるといいますか、寄付を集めるといいますか、そういう際の一応の大義名分というようなものも求めておるのではなかろうかと考える。しかし、いずれにしても、警察としてはこれらの団体の表面の主張にとらわれることなく、あくまでもこれらの団体の実態に着目をして、そしてやるべき取り締まりをぴしっとやる、これが必要なことだと考える。以上のような説明をいたしたのでございます。
  117. 米田勲

    米田勲君 委員長にお願いをしますが、委員長の裁量でこの六月十一日に警察庁から国家公安委員会に報告をされましたその報告の会議録の写しをぜひこの当委員会資料として提出をしてもらえるようにお計らい願います。いかがでしょう。
  118. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 承知いたしました。その資料がございますれば、御提出を願いたいと思います。
  119. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 先ほど議事録は公安委員会のつど整理をしてあると申しまして、あるので書いてございます。しかしながら、私が官房長をやっておりましたときには主任でありましたので、その内容を知っておるので申し上げるのですが、この議事録は、こまかく内容を書いてございません。項目とほとんど一、二行、こういう件について何局長から報告があって一同了承、こういうような形になっておりまするので、その点をあらかじめ御了承を得ておきたいということと、出すか出さぬかは一応公安委員会にお伺いをいたしたいと存じます。公安委員会が差しつかえないということでございますれば、お出しをいたします。
  120. 米田勲

    米田勲君 いまの話は国家公安委員会が許さなければ出さないという結論になりますが、同じことを本人がこの委員会で、ことばの端々までは同じでないまでも、それと大体同じことを先ほど発言しているわけなんです。それと間違いなく私はそのことを国家公安委員会に報告をしたのかどうか、念のために調べたいことと、その内容についてもう少し分析をしてみたい個所がありまするので、それで提出を求めているのですが、これは当委員会委員長の指示によってその提出を求めることができませんか。
  121. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  122. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起こしてください。  国家公安委員会における議事録の何かでございましたら、できるだけ速急にお出しを願いたい、こういうことを私から申し上げておきます。
  123. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 御趣旨に沿うようにいたします。  この機会に、先ほど私が読み上げました事例についての数字の訂正がございますから、刑事局長から訂正をいたさせます。お許しを願います。
  124. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 先ほど長官が事例として申しました東京のぐれん隊の幹部の事件でございますが、私のほうの調査が不十分でございまして、申し上げますと、一番最初の前科、これは昭和二十八年の九月二十一日の傷害、銃刀法で罰金二千円、それからその次に、二十九年五月十二日の暴力行為と傷害、暴行、それから二十九年九月十八日の暴力行為と恐喝、これが両方併合して懲役二年六カ月執行猶予三年、それから二十九年十二月十三日の恐喝は、お話がありましたとおり懲役二カ月、それから三十一年の二月の十九日恐喝で懲役六カ月執行猶予三年、こういうことに御訂正をお願いいたします。
  125. 米田勲

    米田勲君 これは国家公安委員会警察本庁のほうの運営にかかわる問題で、この委員会で私がどうのこうのと述べるのはどうかと思われるのですが、私は率直にいま暴力団対策のことで問題を論議しているときだからあえて言わしていただければ、国家公安委員会に現状の暴力団傾向のうち特に顕著な重大な動きについて報告をなさるのに、口頭をもって報告をし、その報告の内容が警察庁に明確に記録として残らないというようなしきたりについては、私は妥当でないという批判を持ちます。これは一連の暴力団対策についてやはり綿密な体制を整える上からいっても、きちっと警察にはその記録を残しておく性質のものではないか。単に思いつきを言ったり座談的な話とは事が違うのですから、そういう処置をとることが大切なのではないかという批判を持ちますが、警察庁長官はいかがですか。
  126. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私は、国家公安委員会につきましては、いわば事務局長というような立場にございますが、御質問になりました時期におきましては、当委員会でございましたか、地方行政でございましたか、ずっと入っておりまして、そのときのやりとりというものは私自身は座におらなかった関係で存じませんけれども、公安委員会のやり方は、もちろん決裁を受くべきものにつきましてはきちっとした書類で決裁を受けまするし、さらに同じく暴力対策でございましても要綱等きちっとしたものをきめまする際は、書面によって——これは決裁じゃございませんが、いろんな文章等あるいはことばの言い回しの強い弱いというようなことについてまでいろいろ御議論がございますから、慎重に御議論を願うのが大体の筋でございます。しかし、それ以外に、そういうものと関連したり、あるいは書面を持たずに取り急ぎ申し上げますというようなことを口頭で各局長が申すことも相当ございまして、後藤田局長が先般の公安委員会暴力団の政治結社化という傾向についていろいろ情報を得ているものをまだまとめない状態においてその方向をおそらく報告をしたというか連絡をしたというようなことではなかろうかと、こう考えます。だから、公安委員会は、必ずしもそのことについては一回限りということでございませんので、また、書類等をつくりまする場合は書類で報告をするというようなことも事後においてはあり得ることでございますので、この前の公安委員会ではただいま申し述べたような方向をとったものだと私考えますので、ちりとも軽く扱っているとかどうとかという問題ではございません。むしろ、とりあえずとか、あるいは取り急ぎというような感じの報告であったと私は了解いたしております。
  127. 米田勲

    米田勲君 私は、あなた方のやり方について一この場合は批判だけをしておきます。再検討をする必要があるのではないかと、こう思います。  それではお尋ねをしますが、近く警察庁として整備をされた——整理と言ったらいいですね、整理をされたものを、つまり暴力団の最近における政治結社化の傾向について文書をもって国家公安委員会にしかるべき近い時期に報告をする考えが現状あるのかどうか、それをお尋ねします。
  128. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) こういった傾向をもう少し全国的にしばらく模様を見まして、そういった報告を取りまとめて、文書にしてやる必要があるということであれば、その際に考えてみたいと、こう考えております。
  129. 米田勲

    米田勲君 あなたの答弁を聞いておると、暴力団の最近における政治結社化の傾向はいまのところはまだ正確にまとめ上げて国家公安委員会に報告するような判断には立っておらないわけですか。
  130. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) いままでのものにつきましては、どういう組がどこでいつ届け出をしておりますと、こういった報告は、そのつどやるわけでございます。したがって、いま直ちに全国のものを取りまとめて報告をするという必要はなかろう、先般の目頭報告で一応御了承を賜わっておいて、もう少し全国の情勢も見まして、しかるべき時期に、これは報告する必要があるということであれば、一切をもう一度取りまとめて、その取りまとめた上で公安委員会資料として報告する、こういうようにいたしたいと考えております。
  131. 米田勲

    米田勲君 そのあなたが報告した際に、国家公安委員会の中でそのことに関連し質問ないしは何らかの発言がありましたかどうか、それをお尋ねします。
  132. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 木曜日に報告をいたしましたが、御発言は何らございませんでした。したがって、私どもとしては、私の考え方、つまり表面の美名といいますかそのいかんにかかわらず、私としては実体を見てびしびし取り締まりをやりたいと、こう申したことを了承を賜わったものと、こういうふうに理解をいたしております。
  133. 米田勲

    米田勲君 これも国家公安委員会批判になりますから、公安委員長がいないとこれはこの場所では留守の間では言いづらいのですが、国家公安委員会はだらしない。そういう重大な傾向を報告されていて、何らの質疑意見も一言もなかった、聞き流しであったという形で、あなたの説明は、私に言わせれば、確かめなければならない個所が何カ所かある、聞いておっただけで。それなのに、国家公安委員会質問発言も何もなかったということは、きわめて不満であります。私は先ほど法務大臣にも警察庁長官にもあえて言ったのは、日本警察検察の全組織が最近の巧妙になってきた組織的暴力団暴力犯罪に対して徹底的なかまえをとっていないという批判は、そういうところにもうかがえるのです。現在この委員会では非常に問題になって真剣になって取り組んでおるこの法律改正案も、いまそのことが問題だからでしょう。そうすれば、私は、国家公安委員会のこの問題に対する関心のほどがうかがわれて、きわめて不満であります。これは、公安委員長がおれば、私は運営について傾向についてさらにお尋ねをしたいところですが、公安委員長がいないので、これ以上はこの場所では取り上げません。
  134. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  135. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起こしてください。
  136. 米田勲

    米田勲君 そういたしますと、国家公安委員長の今後の行動については、五時の委員長理事打合会で話し合いをしてきめますと、こういうことですね。ただし、委員長に言っておきますが、先ほどから私はあの人がいないためにそこで即答してもらえるものができないで質問の進め方に困っておるという実情だけは十分理解した上でひとつそのことを相談してください。  それでは、質問を続けます。警察庁長官にお伺いしますが、先ほど、口頭で局長のほうから国家公安委員会に報告をした内容はお聞きしました。局長も認めておられるように、この新聞に報道になったこれらの記事は、ことばはそのままでないが、内容としては大体当たっていると、こういう答えもしているわけです。そこで、私はさらにお尋ねしたいのは、あなたのほうでこういう発表をしているわけです。このことに関連してでありますが、警察庁の調べでは、ことしに入ってから正式に政治結社の届け出をしたものが四団体、最近三、四年間に政治結社の届け出をしたものは十五団体にのぼり、届け出はしないが活発に政治活動を続けているものはこのほかに五十団体もある、こういうことを発表していることが報道になりましたが、この内容は、あなた方のほうで発表をしたものに相違はございませんか、この発表の内容は。
  137. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) ただいまお読み上げになった最近の政治団体の届け出をした点については、そのとおりでございます。
  138. 米田勲

    米田勲君 このとおりであるといたしますと、この点を確めておきたいのですが、さきに警察庁の調査発表による三十八年末における暴力団体の五千二百十六団体のうち、現在の時点において政治結社の届け出をしているものは何団体かということがあります。
  139. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 私は、実は、ただいま御質問の五千何団体という資料は、私自身実は持っておりません。したがって、どの程度のものが届け出しているのか、私自身ただいまのところわかりません。
  140. 米田勲

    米田勲君 内容がわからなかったのですから、再質問します。私の聞いているのは、三十八年には五千二百十六の暴力団体警察庁のリストに載っているわけです。そして、先ほど言いましたように、警察庁の調べで、暴力団のリストに載っているもののうち、今年に入って四団体が正式に政治結社の届け出をしている、こう書いて、最近三、四年間に政治結社の届け出をしたものは十五団体にのぼると、こうなっているので、その点の数字がはっきりしなかったわけですね。そこで、私は、五千二百十六の暴力団体のリストに載っているもののうち、現時点において政治結社の届け出をすでに済ました暴力団体が幾つあるのですかという質問をしている。
  141. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 私は、その五千二百団体というふうなのが、私自身にわからないわけです。そこで、どういうふうにダブっておるかわかりませんので、その十五団体というものは、これは届け出をしているものですから、これは私のほうから名前を申し上げても少しも差しつかえありません。
  142. 米田勲

    米田勲君 そうすると、局長に聞きますが、その十五団体は、暴力団体であるとみなされていたものが政治結社の届けをしたというのが十五団体ですか。
  143. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 先ほど御答弁申し上げましたように、私は、博徒、テキヤ、青少年不良団等の団体で政治結社の届け出を最近しているものが十五団体、こういうことでございます。
  144. 米田勲

    米田勲君 私の聞きたいのは、暴力団体のリストに載っているものが五千二百十六団体あるというのは、警察庁の調べでもって発表されている。それを局長が知らないというのは、どういうわけですか。長官、それは知らぬと言っているのはどういうわけですか。長官、お答えを願いたい。
  145. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほども申し上げましたように、従来、暴力団といいますか、暴力組織というのは、刑事局捜査第二課の所掌というふうに書いておりますように、刑事局で従来はすべて暴力団というものを扱ってきたわけでございます。ところが、いまも申し上げましたように、事は単にそういうものだけではなしに、いま後藤田局長が言うたように、いろいろな名前を最近はつけてカムフラージュしている面もあるということから、警備局も関係し、しかも青少年不良団というようなのが暴力団一つ予備軍みたいになっているということから、これもやらにやならぬということで保安局も関係したというのが現状でございます。その基礎をつくったのは、現につくって保存しておりますのは、本来の刑事局でございます。だから、刑事局長がまだ調べてなかったのでは困りますが、五千何団体について政治結社の名になっているのが幾らあるかというのは、そのもとのリストをつくっている局においてはわかっているはずでございますから、お答えをいたさせていただきます。
  146. 米田勲

    米田勲君 私が長官に質問したのは、こういう質問です。あなたは先ほど五千何がしの暴力団体は、生態、活動から見て、これはもうリストに暴力団体として載っているものだ、これは架空なものではないということは、明確になったわけです。その五千何がしの暴力団体を長官はここで答えておって、それが具体的に存在しているのだということがありながら、その隣にすわっている警備局長がそれは知らぬという発言をすることは、われわれにとっては非常にとまどうのですよ。警察首脳部がそういうことについてすら統一した見解をわれわれに明らかにできないということになると、一体警察庁の内部はどんなことになっているのか。警察庁長官が確認をして委員会答弁をしているその五千何がしについては、当然局長もそのことを知っておりますと、そのことを認識しているという立場でなければならぬでしょう。それはよく知らぬということはおかしいから、あなたに聞いたんですよ。どうしてそういう発言が出てくるんですか。
  147. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほどから申し上げているように、五千幾らというリストをつくっておりますのは、刑事局でございますから、後藤田局長は五千幾らあるということはもちろん知っているでしょう。それから、そのうちのおもなるものについてももちろん知っていると思いますが、その個々の五千幾らの名前は自分は知らないから、そのうちの幾らが政治結社の届け出をしているか私はここでお答えはできませんという意味の答弁をしたのだと私は思いますから、そのことを知っている者に答えさしてもらいたいというのが私の答弁でございます。
  148. 米田勲

    米田勲君 長官、そう言っても、私は納得できない点がある。それはなぜかというと、局長は国家公安委員会暴力団の最近における政治結社化の傾向について報告をしている。だから、この五千何がしの暴力団のうち、これだけのものは現在政治結社の届けをした、これは届けはしていないがそれらしい活動をしているということは、リストをつくったかつくらぬかによらず、自分でそういう報告をしているんですから、それがよくわからないで、そのうちのものなのかどうかわからないという答弁は、おかしいんじゃないですか。長官の弁明は私は理解できないですよ。自分自身が、最近暴力団が政治結社化の傾向にあるということを報告している当人なんですから。その十五団体というのは、この五千何がしかの暴力団体のうち十五というのか、もっとあるのかということがわからなかったから私は聞いたんです。そうしたら、五千何がしの暴力団体のことは知らぬ、こう言うから、警察機構の中はおかしいんじゃないかという疑問がわいてきた。しかし、そのことを自分らが調査をしなかったからわからないのだ、それでそういう答弁が出たのだという、そういう釈明は理解できない。みずから、暴力団が政治結社化の傾向に偽装をしてそういう活動をしようとしているということを認識して、事が問題だからというので報告をしているのだから、それを暴力団の五千何がしはよくわからないということは変じゃないですか。私の変に思っていることがおかしいのかどうか。そこら辺こんがらかさないように明確にしてくださいよ。
  149. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) ただいま私の知らぬとこう申し上げたのが誤解を生んだ原因だと思いますが、申しわけないと思います。私が申し上げている趣旨は、暴力団が五千幾らある、これは警察庁として刑事局で資料を整えておられるわけです。したがって、そういう名簿があるわけです。そこで、名簿を見れば、私はここで五千二百団体のうちどれとどれが届けをした団体かということをお答えができるのでありますが、そういう名簿がありませんので、お答えが私はできないのだ、こう申し上げているわけであります。しかしながら、私は、最初から申し上げておりますように、博徒なりテキヤなり青少年不良団のうちで政治団体として届け出をしているのが十五でございますが、名前はここで申し上げても一向に差しつかえはないのでございますと、こう答弁をいたしているのでございます。
  150. 米田勲

    米田勲君 私は、なおかつ了承というか納得できない。それは、あなたは、暴力団のリストを見ればわかるのだが、それを見ていないから、こう言っているんです。そうしたら、あなたの国家公安委員会に報告していること自体が問題になってきませんか。暴力団の政治結社化の問題についてあなたは報告しているんですよ。現在まで暴力団とみなされ警察のリストにすでにそういうことが載っているものが、 カムフラージュのために政治結社の届け出をした、こういう報告をしているのだから、名簿を見なければそれとこれとがどういう関係にあるのかわからぬということであれば、そういう報告はあなたはできない、国家公安委員会に。そういうことになりませんか。
  151. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) なりません。
  152. 米田勲

    米田勲君 ならないというのはどういうんですか。はっきりしてください。
  153. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 私が申し上げているのは、国家公安委員会に報告したのは、すべて博徒、テキヤ、青少年不良団、こういった団体が政治団体の看板をかけてこういう動きが最近ございます、こういう報告を申し上げているのでございます。それが十五団体。したがって、その団体はここでも申し上げても一向に差しつかえございません。
  154. 米田勲

    米田勲君 テキや云々と、そう言っているが、しかし、そのテキや何々と言っているのは、警察庁の立場から見れば、明らかに暴力団のリストに載っているんじゃないですか。なぜあえてこれはテキや何々、あと何言ったかはっきりわからぬが、テキヤということばをあえて使って、暴力団が政治結社の届けをしたということをなぜ言うことを避けるんですか。その辺が疑問なんですよ、私は。
  155. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 私は別段避けても何でもないので、事実博徒なりテキヤなりなのだからそう申し上げておるのでございます。ただし、暴力団ということになると、これはいわゆる何といいますか定義が非常にやっかいでむずかしい問題である、こういうことで私はそういう名前を使わない、もともと使わない、こういうことでございます。
  156. 米田勲

    米田勲君 それでは、あなたの先ほどの報告の中に、暴力団の政治結社化の傾向ということばは使っていないのですか、どうですか。
  157. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 私は、その点については、お答えする一番最初にその点の私自身の考えを申し上げた上でお答えしております。
  158. 米田勲

    米田勲君 私は長官に異議がございます。あなた方のリストに明らかに暴力団だというのが具体的に載っておる。それが五千何がしだ。それをあえて局長は、その中の何がしかが政治結社の届けをしたにもかかわらず、暴力団のうち幾つが政治結社をしたという表現を避けようとしておる。なぜこういう避けようとする表現をしなければならない実情にあるのですか。私は先ほど冒頭にこういう種類のことに触れましたから、繰り返しませんが、どうも局長の考えていることと長官の考えていることの間には、認識の上に何かの違いがある。なぜそのことばを避けて、あえて別のことばを使って政治結社の届けをしたと言いたいのか。そうして、「最近暴力団があいついで政治結社をつくり、政治の美名をかくれミノに」云々という新聞の発表は、それはおおむね当たっていますと言っておる。そうしたら、わざわざ今度私が聞いたときに暴力団体が云々ということばをことさら避けようとする理由がわからなくなるのです。何のためにことさらにそこのところへいったときに暴力団体が云々ということが言えないのか、そこには大きな私は理由がある。その理由が、今日、私に極論させると、警察庁全体の姿勢が組織的暴力団体の防遏のために全力を尽くしていないという体制をいまみるんだ、局長のそういう発言から。重大な首脳部でしょう、警察庁の。それがあえてそういうことを言えないというのはどういうわけですか。
  159. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 先ほど来申し上げるように、暴力団というものの定義がなかなかむずかしい。われわれの内部で取り扱いとしては、集団的であるとか、あるいは暴力が常習的であるというようなものを暴力団と称しておりまするけれども、個々の具体の事件のとき以外はそれを暴力団と名前を言わないというのが一つ方針で、それは、その中にも暴力をふるわないものも中に入っておる面もございますから、そういうふうに扱かっておるのでございまするが、それ以外にただいま食い違いましたのは、博徒、テキヤ、青少年不良団体等で政治結社を名乗るのが最近こういうのがあらわれたということを刑事局としては把握したのでございますけれども暴力団体として私たちのとらえておりますのは、団体数にして二〇%以上がその他というのになっておりまするし、人数にして二〇%はおろか、相当数、大半がその他の人数になるわけでございます。その他というのは、一応暴力をふるう構成員が非常に多いという意味で暴力団組織とは把握いたしますけれども、正業を持っておる。たとえば港湾荷役をやる、あるいは土木をやる、興行をやる、風俗営業をやるというようなものでございまして、ただ、文字づらから明らかに違法な組織である、団体であるというのは、ここでは博徒だけでございます。博徒は、もちろんこれはばくち自身が初めから禁止されておりますから、それで食っているというのはもちろん違法でございますか、テキヤにいたしましても、暴力的な組織員が非常に多いことは事実でありますが、これもまた、暴力をふるわない限りにおいては、必ずしもそれに入っている者が全部暴力団と言うわけにはいかないわけでございまするから、具体的には言っていない、こういうのが事情でございまして、ちょっと次元というか、刑事局でつかまえている暴力組織五千幾らというものと、警備局で目をつけている政治結社云々というものとの間には少しねらいが違うということは言えると思います。たとえば、刑事局のほうで暴力団だとかりに五千何百のうちに入れていなくても、警備局のほうでは、それがテキヤであるから大体そうだろうということで、あるいは政治結社を名乗り出すとそれも数に数えるというようなこともざれはあり得ることでございまして、その関係は、私はその職務が専門として分かれているという点から、ある程度は御了解できることだと思いますので、御質問の全部の暴力組織の中で幾つが政治結社の届け出をしているかという御質問でございますれば、その暴力組織の全部というものを一応把握いたしております刑事局のほうにお聞きいただければその数はお答えできると、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  160. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 ちょっと関連。
  161. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 後藤君。
  162. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 いままでいろいろ答弁があったのでありますが、これは警察庁の長官と警備局長と両方に聞くわけですが、政治結社の届け出をした十五団体は、五千二百団体の一部か、または五千二百団体以外のものか、それをはっきりさしたらわかるのじゃないですか。中かどうかということを……。
  163. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 先ほど来のお話を聞いておりまして、暴力団で政治結社ということになれば、これは当然入っているわけでございますし、それから博徒、テキヤ、青少年不良団でということになりますと、暴力団でないものもテキヤの中にはあるということでございますので、いろいろお話が食い違ったと思いますが、結論を申しますれば、警備局長が話されているような団体はすべて私のほうに入っております。
  164. 米田勲

    米田勲君 私はずっと最初からたどってきた質問のうち、いまごろになって警察庁の首脳部の中に暴力団体なるものに対しての認識、統一した見解、これがないということが明らかになってきたことは、きわめて不満です。局長でない者が発言するならいい。最高首脳部の間でそのことの認識が統一されていないということをはしなくもここに暴露している、私はそう思いますが、委員長、どう思います。こういうことでは、これ以上聞いても何か不安なんです。だから、ここではっきりしてもらいたいのは、五千何がしの暴力団体というのは、いま警察庁長官発言にあったような、警備局ではテキヤをやっているので大体そうだろうと思って云々なんという、そんなあいまいなことでリストに載せたなどというのであれば、私はもってのほかだと言いたい。そうな不明確なものを、警察庁の首脳部の間でさえも統一した見解が出ないものを、何のために各都道府県に流しているのですか。そういうずさんなことをしていいのですか。あなた方は首脳部の間で見解が統一されないというようなことは、私らは納得できませんよ。警備局であろうと何であろうと、首脳部の間でそういうことが統一されないのですか。ただ、私は、いま政治結社の届けをした十五団体を暴力団体だとここで公表することはいろいろな点で差しつかえがあるから云々というのであれば、考えられないこともないです。しかし、明らかにごまかそうとしている。私の質問に明確に答えれば、政治結社をしているものは十五団体、それは現在まで警察のリストには明らかに暴力団体として載ったものが結社の届け出をしようとした、こう答えざるを得ない。それを答えようとしないために、答えたくないために、あえて暴力団体でない、テキヤ、博徒、非行少年の団体だというふうに別なことばを使ったところから、首脳部の間の見解に不統一なものがあるということが明らかになってきているわけです。あなた方の首脳部の間でさえもそういう不統一であれば、何でこんな警察庁の堂々たるパンフレットに三十八年は五千何がしの団体、構成員にして十八万何がしていうようなことをでかでかと載せるんですか、統一見解もないのに。これはたいへんなことですよ。無責任ですよ。少なくも明確になったから載せているのであって、私はそこまで極印の押せない団体もあるであろうということはちゃんと前に聞いている。だから、減るというよりは、むしろそれらもあげていけばもっとふえるのでないかということを聞いている。しかし、およそ五千何がしの名簿に載った暴力団体については、首脳部の間に意思統一が行なわれていないということは解せない。そう私が思うのは無理ですか、長官。
  165. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 暴力団体というのは、自分から暴力団体と、こう言っているのはもちろんございませんから、私たちはその組織の中の構成員の多くが常習的に暴力をふるった実績がある、あるいはおそれがあるというものをつかまえてこういう数字を出しているのでございまして、これがときによって流動する。ただいまおっしゃったように不明確な点もあるから、外には名前を出さないで、私たちが用心をする対象としてつかまえているのがこれこれだ、こういうわけであります。テキヤにつきましても、先ほど申し上げたように、相当数のものがもちろん暴力をふるいますけれども、正規なテキヤというものもあるわけでございまして、これは暴力をふるわなければ暴力団の中に入れるわけにはいきません。それから暴力団には入れておりまするが、その他というものの中には、相当数暴力をふるわないもの、いわゆる正業に従事しているものもありまするから、そういう者の名前を一々あげるわけにはいかない、こういう意味で、私たちは、何という団体が私たちのいう暴力団であるということをここで公表しないという立場をとっているだけでございまして、幹部の間に暴力団というものはこんなものであるということの認識に食い違いはございません。
  166. 米田勲

    米田勲君 私は、長官のいまの答弁がありましたが、納得ができないが、この委員会運営から考えて、これ以上この場所でこの問題を解明するのは、ああいう態度であれば、相当時間がかかります。これはひとつ留保しておいて、次の亀田さんの質問中で解決ができるか、さもなければ私のこの後における発言機会に解決をするか、そういうことをしたいと思います。  いずれにしても、私は長官にはっきりこの際申し上げたいのは、暴力団体をだんだん追及していくと、あなたのほうではどうもあいまいになってくるのです。しかし、私は、警察庁がリストにあげる限り、その団体の生態と日常活動の多くを調べた上で、これはまさに暴力団体性格であるということを自信をもって数の上に数え上げているものだと思う。そんなあいまいな、やるかやらぬかわからないものまでもこの五千何がしの団体にあげたとは思わないのです。それだけに、私は、いろいろな発言を長官がして、その暴力団体としてリストに載っているものまでも何かしら不明確な生態であるような印象を与える答弁では、納得ができない。もっと明確にしておいてもらいたい、すべきである、こういうことだけひとつお話をして、このことについては質問を留保します。  その次に進みます。これなら答えられますか。暴力団のうち、いまだ政治結社の届け出はしていないが、政治的な活力をいろいろな面で行なってみずからの団体の活動をカムフラージュしようとしているという傾向のものが幾らあるということは明確に言えますか。これは五十団体と言えるのじゃないですか、どうですか。
  167. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 博徒、テキヤ、青少年不良団等で最近政治的な活動を始めておるものが五十程度あるということは申し上げることができます。
  168. 米田勲

    米田勲君 私、あの人の発言が、耳のせいか何かよく聞きとれないんです。だから、もう少し委員長、はっきり答えるように注意してください。これは要望です。  さらに朝日新聞に報道されている記事を見ますと、こういうことがこのことに関連して書かれています。これらの暴力団の政治行動化は、ばくちその他の不法行為では十分な資金の獲得がしづらくなったので、もっともらしい政治運動に名をかりて国や地方の政治勢力と結びつこうとしているのであると警察庁では説明している、こういうふうに朝日新聞が報道をしておりますが、この報道は一言一句間違いないかとは聞きませんが、内容においてほぼ間違いがないのかどうか、お尋ねをいたします。
  169. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) これらの団体が国の地方の政治云々、こういうお話でございますが、その点は私は少し見方が違っております。政治的な目的を掲げていろいろな活動をするということですから、最近のいろいろな政治問題に首を突っ込んできていろいろな発言をするということは、これは当然にやるわけでございますが、そのことと国や地方——いまちょっと聞き漏らしましたが、政治家そのものと一緒になって云々ということになってくると、私はそこは少し違うのじゃなかろうか、こういうふうに見ております。
  170. 米田勲

    米田勲君 あなたのいまの答弁だと、この朝日新聞の報道は、一部正確であるが、一部は警察庁で説明しないことがつけ加えられている、こういうことになりますか。これはあなた責任を持てますか。朝日新聞の記者は、この最後に警察庁ではこう説明しているとわざわざ述べているんですよ。だから、私は、権威ある新聞社の第一線記者諸君が警察庁で言いもしないことを自分勝手にでっち上げてこういう重大なことを報道するはずがないという私の認識です。ところが、あなたは、いまの説明だと、国や地方の政治勢力と結びつこうとしているのであるという警察庁の説明は事実に反している、そういう説明はしておらぬ、こういう答弁ですか。重ねてお伺いします。それは事実か、朝日新聞の報道が間違いかということをはっきり言ってください。
  171. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 国や地方の政治勢力に結びつこうと彼らがしておるということでありまするならば、それはまさにそういうことは彼らがやっておると思います。しかし、先ほど私がお答えしたのは、現状でそれではそうなっておるか、つまり彼らは院外団的な存在になっておるかということになると、そこまではいっていない、そういうことでございます。
  172. 米田勲

    米田勲君 人が聞きもしない要らぬことまで先走りして答える必要はない。私はそんなことを聞きましたか。聞いたことに答えなさい。何ですか。院外団のことを聞きましたか。朝日新聞に報道されている国や地方の政治勢力と結びつこうとしているのであるというのは、彼らが結びつこうとしているのであるということです。子供でもわかるじゃありませんか。その報道は警察庁はそういうように説明していると報道しているが、それは事実かと聞いているんです。事実なんですね、結局は。いろいろなことを言うが、国や地方の政治勢力と結びつこうとしていると警察庁では説明しているという朝日の記事は間違いないのですね。
  173. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 彼らが努力しておるという意味においては間違いございません。
  174. 米田勲

    米田勲君 あなたの姿勢にはけしからぬところがあるぞ。先ほどから納得のできないところがあります。こんなことをなぜ変に答弁しなきやならんのですか。院外団のことなんて聞きもしないことを、わざわざ先走って、それはやっていない……。あなたの頭の中には何かしらわれわれの割り切れないものがある。頭をかしげる必要はないですよ。おかしいよ。そういう首脳部だからだめなんだと言いたい。私は長官にお聞きします。この局長ではだめ。警察庁ではこう説明をしている、つまり、これらの暴力の政治行動化は、ばくちその他の不法行為では十分な資金の獲得がしづらくなって、もっともらしい政治運動に名をかりて国や地方の政治勢力と結びつこうとしているのであると警察庁では説明している、こういう報道があるんだが、これは事実ですか。あなたからお聞きします。
  175. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そういう内容が事実であるかという御質問か、あるいはそういうふうに警察庁が説明をした事実があるかどうかということでございまするか……。
  176. 米田勲

    米田勲君 その二つです。
  177. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 内容につきましては、ただいま局長から答えましたとおりでございまするし、そういう説明をしたかどうかということにつきましては、私は、御存じのとおり、ほとんどこちらに詰めておりまするので、私自身は説明をしたことはございません。しかし、その係でそういう説明をしたこともあろうかと思いまするが、これはした事実があるかどうかは私は存じません。
  178. 米田勲

    米田勲君 それでは、長官にあらためてお聞きしますが、この朝日が報道している警察庁が説明しているといういま私が読み上げました内容について、長官は現在の傾向を見てどういう認識を持っているか。あなたが言ったんじゃないから、今度はあなたの認識です。あなたはどう認識をしていますか。
  179. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私もそういう傾向はあるというふうに認識いたし  ております。
  180. 米田勲

    米田勲君 やっぱり長官だけあってはっきり答えている。あの局長はいかん。  余談にわたりましたが、国や地方の政治勢力と結びつこうとしておるというこの警察庁の見解は、私はやはり注目すべきことだと思うわけです。そこで、さらに一歩突っ込んで長官にお尋ねしますが、暴力団のこの傾向、国や地方の政治勢力と結びつこうと彼らが作為的にしておるこの傾向は、一体国や地方のどういう政治勢力と結びつこうと彼らはねらっているか、警察庁はどう見ているか、これをお聞きしたい。
  181. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) まず、地方の場合ですが、地方の場合ですと、それらの団体のいわゆる顔役と申しますか……
  182. 米田勲

    米田勲君 ちょっとはっきり言ってください。
  183. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 顔役ですね、顔役。顔役がみずから選挙に出ていく。これは、したがって、こういう人は保守の系統のあれとして出ていく場合が多いと思いますが、そういう要するに政界に進出をしていくというわけですね、地方政界に。それからまた、地方団体の首長等に選挙その他の場を通じていろんなところで近寄っていこうとする。国の場合であれば、やはり政治家に漸次近寄っていこうと彼らが努力をしておる。これは別段そういう努力に確証がこうだというほどのものはございませんが、大体私どもの情報線ではそういう動きが彼らの中に濃厚に最近出てきつつある、そういうことでございます。
  184. 米田勲

    米田勲君 率直に答えてくださいよ、私は同じところでがんばる気はないんだから。はっきりさえ言ってくれれはいいんですよ。あなたらは、お二人とも、最近の暴力団の政治行動化は国や地方の政治勢力と結びつこうとしておる傾向がある、これはお二人とも認められている。そういう認識に立っている。そうでしょう。そこで、私は、国や地方のどういう政治勢力と結びつこうとしているのかということをお聞きしているんですよ。このことは、そんなことをあばいて云々というふうにだれか考えるか知らんが、私は、そういう傾向については、彼らが働きかけてくるんだから、大いにそういり立場にある者は警戒をしなくちゃならんですよ。だから、彼らはどういうところをねらって、どういう国や地方の政治勢力と結びつこうと働きかけをしてきているのか、その傾向を認めているんだから、具体的に言うならどういう政治勢力だ、それをはっきり言ってほしいんだよ。あなたの答弁にあるような、曲流家に結びつこうとして努力しておるとか、地方の顔役に結びつこうとしているとかいうことは、君の質問外のことだ。そんなこと聞きたいんじゃないんだ。中央、地方の政治勢力と結びつこうと彼らはあせっている。そういうことを働きかけようとしている。その政治勢力とは、一体、中央、地方を通じてどういう政治勢力なのか。どっちの方向に向かって働きかけようとしているのか。めくらめっぽうに八方に働きかけているのではあるまいと私は思うのです。だから、その傾向をあなた方が率直に言うことは差しつかえないんじゃないですか。何々の党と言う必要はないのです。そうでなくたって、傾向だけは、彼らの行動なんですから、その党のことじゃないんですから、はっきりあなた方の見解を示していいんじゃないかな。国や地方の政治勢力と結びつこうと彼らは最近しておるということは認めているんですよ。その次が言えないはずはない。そうでしょう。どうぞよろしく。
  185. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 党の名前だけじゃなしに、党に属する何の何がしというところまでもちろん内容としてはあるわけでございますが、いずれも情報の段階でございまするので、ここで具体的にこういう方向だということを申し上げる段階じゃないと考えます。(「何で言えないんだ」と呼ぶ者あり)
  186. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 静粛に願います。
  187. 米田勲

    米田勲君 どうして警察庁長官ともあろう重責にある人が、その一歩突っ込んだ私の質問をあえてそらそうとなさるのですか、それが問題だとまた言いたいんだ。私はそのことはあなたは傾向として認めていると思うのです、ちゃんと。それを言わないだけなんだ。知らないんではない。まだ明確でないから答えられないというようなことを言うものではない、これは。そんなことでこの場所をごまかして——私に言わしたら、あれですよ、ごまかして、私の質問を次に移させようとする、そういう考え方を私は問題にする。だから、姿勢がおかしいんじゃないかと言いたい。あなた方は、国家公安委員会に、口頭であろうと何であろうと、そういう傾向がいま顕著だという報告をしている。報告をするからには、それは重大だ、今後の対策として重大だと認識したから報告している。そしてまた、新聞社に対してもそういう傾向があることを話をしている。それは認めた。そこまではっきりしているのに、国や地方のどういう政治勢力と彼らは結びつこうとあせっているかということが言えないということはあり得ないでしょう。言わないんだ、それは。言えないんじゃなくて、言わない。言わない理由をはっきりしてください。そうすれば私は下がりますよ、言わない理由がはっきりすれば。なぜそんな傾向をあえて言えないのですか。
  188. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それは、先ほども申し上げまするように、まだ情報の段階だということと、警察の責務が、犯罪がありあるいは犯罪の起こる、可能性がある、これを予防するという二つの仕事に限定されている関係で、現在はその二つの段階のところまで入っていないというのが現状でございまするので、言えないわけでございます。
  189. 米田勲

    米田勲君 頭のいい長官がいまになってそういうことを言ったって、私は納得できないですよ。あなたは、犯罪が横行しているか、そのおそれがある段階でないからと言っているが、私はそんなこと聞いているんじゃない。あなた方が新聞社に発表した見解、つまり暴力団は最近国や地方の政治勢力と結びつこうという傾向が見られる、こう発表していることは事実だと確定したんだから、それではどういう政治勢力と結びつこうと彼らはしておるのか。それは結びついているかいないかは別ですよ、そんなこととは。彼らにそういうことが傾向として見られるのだから、どこと結びついているかなどというようなことではない。そういう傾向はどういう政治勢力と結びつこうと彼らは努力しているかということを私は質問している。この場合に、犯罪がなかっただとか、犯罪の起こるおそれがないからそこまではまだ確定しない状態だとかいう答弁は、それは筋違いじゃないですか。この場合は、そんな犯罪とか犯罪のおそれあるなどということは問題ではないんですよ。そういう傾向はどちらのほうに向かって、どういう政治勢力の方向に向かって結びつこうと努力しているのかということを明確にすればいいんじゃないですか。そうすれば、既成の各政党は、その暴力団傾向を排除するために今後努力していけばいいということになる。それがなぜ明確に答えられないのですか。私はどうもここに至って馬脚をあなたはあらわしたと言いたいのだが、どうですか。
  190. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そこでお読み上げになりましたような程度を現在の警察として言える限界でございまして、それ以上具体的に西とか東とか言う段階じゃないというふうに判断しておるわけでございます。
  191. 米田勲

    米田勲君 これは私は不満だが、理事同士の打ち合わせの時間もだんだん迫ってきましたので……(「どの党と結びついていると言えばいいじゃないか。はっきりしてくれ」と呼ぶ者あり)
  192. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御静粛に願います。
  193. 米田勲

    米田勲君 これを繰り返し言っても長官は言わない、あえて言わない。だから、私は、次の発言者の質問の中にこのことを織りまぜてもらうか、もしくは別に今後私に発言機会を与えてもらってこのことは究明しなくちゃならぬ。私に言わせれば、その傾向はわかりますよ、しろうとでも。そういう傾向については厳戒しなきゃならぬ、厳に警戒をしなきゃならぬということまでつけ加えて私は言えるのですよ。それが警察庁長官は言えないというところに今日の問題がある。それだけ指摘しておきます。  そこで、別な角度から質問を進めます。問題はあとの方に譲ります。国や地方の政治勢力に結びつこうとする暴力団体の政治行動化は、資金獲得のための一つの有力な手段だというのがやはり警察庁の統一した見方であると、こう私は判断をするわけです。これは、先ほどからの答弁で、いかなる政治勢力だという段になるとどうもはっきりしないだけであって、ここまでははっきりしている。資金獲得の一つの有力な手段——このほかにも目的はありますよ。ありますが、その有力な一つの手段としてこういう傾向をあらわしてきた。この傾向は、私に言わせると、最近突如として起こってきた傾向ではない、こういうふうに判断をしているんです。この点は長官いかがです。最近突如としてこういう傾向があらわれてきたんではない。
  194. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) まあ程度の差はございましょうけれども、これは前からあったと思います。しかし、最近そういう傾向が強くなったというのは事案であろうと思います。
  195. 米田勲

    米田勲君 私は、暴力団対策については総合的な施策を進める必要がありますが、そのうちの重要なポイントの一つは、彼らの活動する資金源を断ち切ることが一番というか重要な一つだと思っておるのです。資金を得ようとして彼らは不法行為をやっている、暴力犯罪をやっている。ですから、その資金源を断ち切るということが非常に大事な着目しなければならない一つだと思う。そこで、いま問題になっているこの資金ルートのことで、これは私はこういうふうに申し上げたい。糾問やその他の報道を通じて感ずることは、最近突如として起こった傾向ではなくて、これは数年前から、保守系の特定の政治家と、こう言っておきましょう、保守糸の特定の政治家と暴力団の結びつきがたびたび問題になっているんです、今日まで。事実であるなしは別にしてです。それが国民の間ででも問題になっている。報道機関の中でも問題になっている。そこで、私は端山にひとつお聞きしたいんですが、こういう保守系の特定の政治家と暴力国の結びつきが各方面で今日まで問題視されてきたのであるが、あなた方の中で調査内偵して現在まで得た結諭では、そういう事実が相当深く究明されているかいないか、確かにそういう傾向現実にあるなというところまで突き詰めて調査内偵をしたかどうか、これをお尋ねします。
  196. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 仰せのように、資金源を究明するということが即これらの上取り締まりを徹底する、こういうことになるわけでございまするので、私どもとしても資金源の究明には非常に力を入れておりますけれども、御承知のとおり、資金の動き、金の動きというのは、いかなる場合においても一番究明が困難な問題でございます。で、まあこういったものに金が出るという場合には、どちらかといえば、主義主張に賛成して出すという方はこれはおそらくおりません。やはり、何といいますか、いわば被害者的な立場というもののほうが多い、こういうように思いますが、御質問の特定の保守の政治衣から云々という点につきましては、今日までさような事実はございません。
  197. 米田勲

    米田勲君 あなた方の警察機構の全力をあげて内偵調査して、今日までの中で一件もこのことが突きとめられないんですか。私は非常にそれを疑問に思う。これは国民の中の全く常識化している問題です。ある特定の政治家と暴力団とが結びついている。そこで金銭の授受をしたかどうかということまではわからなくても、その他の行動で——これは亀田委員がもちろん取り上げることになっておりますが、具体的にその結びつきが明瞭に指摘できるまでにしろうとのわれわれでさえもわかる。事実を確かめることができている。それなのに、専門に仕事を担当している警察庁の組織の中で、その警察当局組織の中で、特定の政治家暴力団が結びつき合っているという事実を全く今日まで内偵できなかったということは解しかねる。長官、それは事実ですか。(「無能じゃないか、事実としたら。そんな無能じゃないはずだよ」と呼ぶ者あり)
  198. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいまお答えしましたのは、特定の政治家から特定の暴力団に金が行っているかどうかということについては、いままでのところそれをはっきりとさしたのはないという答えをしたのでございまして、おっしゃる意味は、そういうことのほかに、暴力団が主として関係をいたしまする特別な営業等に特定の政治家が名前を連ねるとか、あるいはいろんな儀式だとかに出席されたとかという事実はもちろん知っております。
  199. 米田勲

    米田勲君 そういう事実は、特定の政治家と暴力団が結びついているのではないかという疑義が起こりませんか。
  200. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) それはもうはっきりと目に見たとおり、その団体とその政治家は仲がいいということはよくわかります。
  201. 米田勲

    米田勲君 私は仲がいいというのはどういうことかわからぬが、結びつきとあえて言っているのは、それは慰めませんか。
  202. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) その結びつきということばが、その特定の政治家からその特定の暴力団体に対して金銭的な援助があっているというような点まではわからないので、ただまあ仲がいいということは十分わかります。
  203. 米田勲

    米田勲君 私は、金を渡したか渡さぬかということについては明確にとらえることはできなくてもとちゃんと前置きしているんですよ。そういうことは明確につかめないまでも、特定の政治衣と暴力団との結びつきをいままで一件も内偵することができなかったかと質問しているのです、そのことに疑問を持つから。警備局長は、それはない、いままでのところ明らかでなかったと言うから、そういうのは非常識だというんです。私はその金銭の授受をある特定の政治家と暴力団体がやったということは言っていない。そのことはつかまれぬまでも、いろいろな状態を——これは特定な状態をいまはさしません。これはあとから亀田さんがおそらく取り上げるだろう。特定の状態を幾つかとらえて、それでその後の行動を総括的に判断をして、いまの警察機構の中でそのことが具体的に内偵できないというのは嘆かわしいです。そんなことで暴力団の一体対策が、あなた先ほど約束した必ず下降線をたどうしてみせますなんて大言壮語ができますか、そんな判断で。私は、特定の政治家はだれだなんて、そんなやぼなことをここで聞こうとしませんよ、いまは。しかし、そういうことは内偵の結果ほぼつかまれています、しかしまだ公表の限りではない、こういうふうに言えば、それで私はその個所は納得するのです。ただ、はっきりしないのだ、いまの段階ははっきりしないから言えないのだと、こういうようなことを言うから、警察組織をあげてそういうことを内偵してもただの一件もそんな結びつきがあげられないのか、確認ができないのか——検挙という意味じゃないですよ。そういうものを確認するその力さえもないのかという情ない状態を見たから、それで私は長官に聞いているんです。それは、内偵の結果、相当程度明らかになっているものではないのですか。相当程度明らかになっているのだということを答えてくれれば私は前に進みますから、いかがですか。
  204. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) ただいまおっしゃるような意味合においては、これは私たち警察が能力があるなしにかかわらず、相当のことはわかっておるわけでございます。
  205. 米田勲

    米田勲君 それをあなたあっさり言われたほうがいいです。何もそれを言わないで固執しておったってしょうがない。そういう結びつきがあるということは、おそらく警察機構の中である程度明らかになっている。その中に、明確にあげることはできないまでも、この両者の結びつきの中に資金の問題が当然からんでいることが推測される。したがって、暴力団対策のうち重要な一つの柱である資金ルートを断つという対策についても、これは今後重要な、着目すべき要件の一つだ、こういうふうに私は思いますが、長官はいかがですか。
  206. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) そこまでいきますというと、それがどういう形で出るかということによって違うのでございまして、暴力団といえども、正規な収入をあげて正業に移らにゃならぬものでございますから、この資金源というものの中で違法なものを断つというのが私たちのあれでございます。まあ全部断ってしまっちゃ困るわけです。だから、いまの政治家との関係でも、政治家が自分の金で、しかも暴力組織でも、暴力ということじゃなしに、正業につくというようなことに応援をされるというようなことであるならば、これはもう断ったらむしろ困るわけでございまするから、私は金が動くということについて、一切それはいけないということは言えないと思いまするが、まあおのずから金の授受が違法であるかどうかということで、私たちはそれがいいことであるとかあるいは悪いことであるとかいう判断をしにやならぬ、こう思います。
  207. 米田勲

    米田勲君 警察庁長官がこの法務委員会でただいまのような発言をしたということは、暴力団と、これと結びつく傾向を強くしている特定の政治家は、安心をし、喜ぶであろうと思う。そういうことをここの場所で発言するのは、不見識きわまる話ですよ。何ですか。いまの正業につこうとする者の資金源まで断つわけにはいかない——一体、暴力団性格や内容を熟知しているんですか、長官は。何を言っているんですか。金を人からもらうときに、おれはこれをもって暴力犯罪をこれから犯すべき手下を養うなんて言うばかがいますか。そんなあほうはいませんよ。あなた方は、いろいろな暴力団体と目されるものの生態や活動をつぶさに内偵して、その具体的に起こった暴力事件を通して、この団体は暴力団体だと認定をしてリストに載せているのですよ。だから、その団体に金を流すということは、あなたの言っているような、正業につこうとする者に金を流すことは断つことができないから、ある特定の政治家がその暴力団体に金をやることは必ずしも不当でないという諭をもしするなら、これはあなたにやめていただかなきやならぬ。そういう最高責任者の感覚であれば、暴力団の掃滅は不可能ですわ。私は、そういう認識をしておる警察庁長官の指揮下にある日本警察だから、今日累増しているのだと言いたい。もっと明確にしなさいよ、態度を。何がその正業につこうとする者に資金を渡さぬことはそれはうまくないという発言をあえてここでしなきゃならぬのですか。暴力団体に対してその活動を間接的に援助をするようなことになる資金ルートについては、徹底的に——これは不法なものはもちろんですよ。合法化して流そうとしていることについても、当局としては、それが検挙できるかどうかは別にして、十分着目して対策を講じなければならぬというぐらいの認識を長官が持っているべきですよ。妙な答弁をしていたずらに期待を裏切ることなかれですよ。どうですか、もう一ぺん答えてください。
  208. 江口俊男

    政府委員江口俊男君) 私が言おうとした意味は、暴力団というもののうちで、特にこの表にありますその他というのは、一応の正業を持っております。だから、その中から暴力性を払拭して、先ほど申し上げましたような土建だとかあるいは港湾荷役だとか興行とかいう正規な収入で人に迷惑をかけずに立っていくようになるのが暴力団の行くべき道だと、こういうふうに思いまするが、同時に、いま私よけいなことを言いましたが、ある事件を起こしまして相当な者がやられると、やはりこういうことはいけないということで一種の正業を考えた例もあるのです。そういう者に、それじゃ自分の力でやれと言って、まあできれば一番いいのですが、ほんとうにそういうものであるならば、暴力団でなくなるためのものであれば、それまで悪いということは言えないということを言うたのですけれども、あなたのおっしゃるように、暴力団というものの性格が——そういうものは万に一つあるか知らぬけれども、実際上はますます暴力団をつのらせるだけだということについては、認識が同じですから、十分厳戒して、その金銭というものがもしも違法なものにわたりますれば、いつでもそこまで取り調べ、捜査というものが進み得るように私たち考えているというのが現状でございます。
  209. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと米田君、時間が……。
  210. 米田勲

    米田勲君 わかります。  私は、あなたに、きょうは言うことだけ言っておきます。あなたのきょう答弁していただいた全体を通じて、信念気魄がない。一貫した信念がない。それが警察庁長官であったということは、私は非常に失望をしております。私はいままでこれだけ原稿を用意をした。質問を終わったあとこれだけある。しかし、委員長理事打合会の話か、理事同士の相互の話かわかりませんが、私の質問は五時までで中断をして休憩に入り、自後亀田議員質問に切りかえさしてくれという強い話がありましたので、私としては、これから、これを見てもらえばわかりますように、具体的に暴力団が日常活動の中でこのようにしておるのに対して、警察官がこのように活動をしているということを一々取り上げて、徹底した対策がとられていないということを立証したかった。しかし、委員会運営の都合もありますから、あえて自分発言だけを固執して、中断されるのは困るといってこれ以上やることはどうかと思うので、私は、きわめて不満であるが、いまの質問は、これを残して中断をいたします。  ただし、私は、委員長並びに与党の理事にお願いをしたい。私は先ほど来多くの質問をして答弁を求めましたが、私は、今度の法案審査に対しては、隠し看板でない、真剣であります。私の質問の中には、何一つ時間をかせぐためのものはありません。私は信念をもって言えます。これから明らかにしようとするこの原稿も、いままでのことと同じであります。ですから、けさの新聞やラジオで報道されておるように、本日、何か与党の諸君は質問を打ち切るような動議を出してこの委員会を強行突破しようといううわさをしておるが、そういう無法なやり方はうまくない。私にやはりこのことを明らかにさせる時間を与えて、そしてこの法案の始末を堂々とつけるべきである、そういう委員会運営努力すべきであるということを重ねて強調しておきます。委員長理事の諸君の善処を要望して、質問を中断いたします。
  211. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ただいまの米田委員の御意見、承っておきます。  この際、暫時休憩いたします。    午後五時四分体感   〔休憩後開会に至らなかった〕    ————・————