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1964-05-28 第46回国会 参議院 法務委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十八日(木曜日)    午前十一時十八分開会    ——————————   委員異動  五月二十八日     辞任      補欠選任      田中 啓一君     二木 謙吾君      坪山 徳弥君     川野 三暁君      鈴木 万平君     熊谷太三郎君    ——————————   出席者は左のとおり。     委員長         中山 福藏君     理 事                 後藤 義隆君                 迫水 久常君                 稲葉 誠一君                 和泉  覚君     委 員                 植木 光教君                 川野 三暁君                 熊谷太三郎君                 栗原 祐幸君                 鈴木 一司君                 鈴木 万平君                 坪山 徳弥君                 日高 広為君                 二木 謙吾君                 丸茂 重貞君                 亀田 得治君                 中村 順造君                 岩間 正男君    国務大臣        法 務 大 臣  賀屋 興宣君    政府委員        法務政務次官   天埜 良吉君        法務省刑事局長  竹内 壽平君    事務局側        常任委員会専門        員        西村 高兄君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    関根 広文君        警察庁警備局警        備第二課長    後藤 信義君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○暴力行為等処罰に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)    ——————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより法務委員会を開きます。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、田中啓一君の辞任された補欠として二木謙吾君が選任されました。    ——————————
  3. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本日は、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案を議題に供します。   〔岩間正男発言の許可を求む〕
  4. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 質疑のおありの方は順次御発言願います。(「反対です。委員長議事進行」「議事進行が先になるのがあたりまえじゃないですか」と呼ぶ者あり)
  5. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 岩間君。
  6. 岩間正男

    岩間正男君 私は、いまの委員長のそういう委員長職権を乱用するやり方でこの重大な法案を審議することに絶対に反対です。第一に、当委員会にはいますでに審議しなくちゃならない四つの法案がかかっているはずです。そのほかに緊急の質問が八件かかっているはずです。こういう法案質問を無視してそうして、何か党議かなんか知らぬけれどもその決定によって、しかも、十日までに上げなければならないという先ほどからの理事の発言によっても明らかなように、そのような一党のやり方によって当委員会運営されるということは非常に遺憾です。いままで委員長は非常に公正中立な立場で当委員会運営につとめてこられた。私は心ひそかに尊敬しておった。その委員長が、どのような圧力か知らぬけれども、こういう事態の中でいまのようなやり方で強引にこの委員会運営する。しかも、重大な関係のあるこの暴力処罰法をいまのような形で審議することは、私は、参議院の権威からいっても、当委員会のいままでの運営からいっても、はなはだ望ましくないと思う。こういうことは撤回されることを私は要望したいと思います。まだ一ヵ月あります、会期は。何のために会期を延長したんですか。会期が一ヵ月あるこの段階でこのような事態をやるというのは、明らかにこれはあなたたちの一方的な意思によって当委員会運営するということになる。私は絶対にこれはこの委員会権威のために賛成することはできない。反対です。この問題を検討してください。
  7. 植木光教

    植木光教君 暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案は、きわめて重要な法案でありますので、これを御先議願いたいと思います。  質問いたします。  提案理由説明によりますと、「近年における暴力犯罪実情を見まするに、その数において依然減少の傾向を示さない」云々ということが書いてあります。また、提出された資料によって見ましても、昭和三十三年以降、検察庁の受理する暴力犯罪関係者の数は年間二十万人以上に達して、道路交通法違反を除く全受理件数の四分の一を占めている。しかも、「悪質な暴力犯罪増加傾向を示している」と提案理由でも説明されておりますが、最近の暴力事犯実情について詳しく御説明を願いたいと思います。(「動議が出ているんだ。動議に対して採決してからその質問に入るべきじゃないか」と呼ぶ者あり)
  8. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 政府委員から御説明いたします。
  9. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいまお話しのように、私どものほうから提出いたしております資料によっても明らかなように、昭和三十三年以降、検察庁で受理する暴力犯罪関係者の数は年間二十万人以上に達しておるのでございまして、道路交通法違反を除く全受理事件の四分の一に当たるのでございます。  これを内容的に見ますると、いわゆる暴力団といわれておりますもの、すなわち、博徒とか、あるいは暴力テキヤとか、青少年不良団、あるいは売春暴力団といわれておるもの、麻薬暴力団といわれておるもの、その他の暴力的な不良団体構成員またはその仲間とも言うべき人々による暴力事犯が相当の割合を占めておりますとともに、その犯罪の態様は一段と悪質、危険化していく傾向にあるということがうかがわれるのでございます。  これら暴力団仲間によって犯されておる暴力犯罪の数は一般暴力犯罪のうちで相当な割合と申しましたが、たとえば三十七年について申し上げますと、兇器準備集合罪という罪では七六・三%を占めておるのでございます。それから暴力行為等処罰二関スル法律違反では四一・四%、恐喝では三四・八%、殺人では三一・五%、脅迫では二一・六%、傷害では一九・九%、暴行罪では一三・八%、かようになっておるのでございます。しかも、いわゆる暴力団その他の暴力的不良団体の数は五千団体あるといわれておるのでございましてその構成員の数も十七万人をこし、最近の統計によりますと、これは警察庁でつくりました統計でございますが、十八万をこえておるといわれておるのでございまして、その団体数は一年間に百以上、構成員におきまして一万人以上増加しておる、かようになってきておるのでございます。しかも、これらの団体組織はいよいよ大規模化となり、活動領域も広まっておるのでございましてこのような実情にあるのでございます。
  10. 植木光教

    植木光教君 ただいまのお話暴力団実情も大体わかりましたけれども、いわゆる暴力団が高度な危険性を持つ兇器を用いて常習的に暴力行為を行ない、善良な国民の自由と人権を侵害しているということでありますが、もう少し詳しくいわゆる暴力団団体数構成員数組織規模活動領域資金源等の動向と実態について伺いたいと思います。
  11. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいま申し上げたことにも関連いたしますが、暴力団団体数は、これは警察庁において調べました統計でございますが、昭和三十四年一月には四千百九十二団体で、その構成員の数は九万二千八百六十名でございましたものが、逐年増加をいたしまして、昭和三十八年一月の調査によりますると、団体数は五千百三十一と千団体増加になっておりまして、構成員のほうは十七万二千七百十一と、これはほとんど倍にふえておる状況でございます。  それから暴力団活動領域、それから暴力団の角逐と申しますか、組織の広がってまいっておる暴力団内部の伸長でございますけれども、最近は目立って中央の暴力団が地方に勢力を伸長していくということの離合集散状況が見られるのでございまして、その結果として必然的に地元の既存の暴力団との間に対立抗争を招きまして、暴力団相互間のいわゆる対立に基づく、でいりとよくいわれておりますけれども、こういう暴力事犯が多数発生し、これがまた激化しておるように見られるのでございまして、そのために国民がこうむりますところの迷惑、脅威、こういうものは非常なものと私ども考えておるのでございます。  なお、これらの暴力事犯において使われますところの手段方法、これを見てまいりますると、特に銃砲または刀剣類を使用する暴力犯罪が多数認められるということが特徴でございます。その一つの証左といたしまして、暴力団から押収いたしました兇器の数を統計で調べてみますると、昭和三十三年には、拳銃が百五十八丁押収されておるのが、昭和三十七年には二百二十六丁にふえておりますし、日本刀を見ましても、三十三年には六百三十五丁押収されたものが、三十七年には九百六十七とふえております。これを全部いま申したような種類の危険な兇器だけに限って申しますと、昭和三十三年には六千七百二十三丁押収されましたものが、昭和三十七年には、これは全体の数から申しますとやや減っておりますけれども、五千六百六十二という数字になっております。  このようになっておりますが、資金源につきましては、これは暴力団というものがなかなか実体がつかみにくいことの一つの例でもございますけれども、ただいまでは非常に広範にわたって得ておるように思うのでございます。ある者は興行をいたし、ある者は土建業をいたし、ある者は飲食店をやっておる、そういうような正当な職業についておるものもあるのでございますが、そういう職業から得る資金はもちろん正当なものでございますが、不法な資金源もこれまた見のがすことはできないのでございまして、あるいは賭博、あるいは麻薬暴力といわれているものは麻薬を密売することによりまして資金源を得ておるのでございます。それから売春暴力と申しまして、売春婦を使って売春防止法を免れての違反行為をし、その上がりが資金源になっておる実例も実際の事件の中に見受けられるのでございまして、そのほかよくいわれますパチンコの景品買い等もその資金源になっておるのでございまして、彼らの暴力団特徴としまして、このような資金源を得る金になるということでございますれば、合法、非合法というようなことを問わず何でも手を出す、そうしてその手を出す過程において暴力をふるうということもいとわないというところに暴力団暴力団たる特徴があるようにうかがわれるのでございまして、いま申しましたようなことは、すべて善良なる住民の大きな迷惑と脅威となっておりますことは申すまでもないことでございます。
  12. 植木光教

    植木光教君 この点について警察庁からも答弁をいただきたいと思いますけれども、まだ来ていないようですので、後ほどお願いしたいと思います。  さらにわれわれが特に心を痛めておりますことは、少年犯罪の問題でございます。年少者暴力犯罪が激増しつつあって、しかも非行年齢が低下するとともにそれが集団化傾向をたどっていること、さらに累犯少年が年々増加してきておりますことは、国家社会の前途を考えて暗たんたるものがあるばかりではなく、子供を持つ親はもちろん、国民全体のきわめて寒心にたえないところであります。年少者犯罪、特にその暴力犯罪について説明を願いたいと思います。
  13. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 少年犯罪の最近における趨勢は、まことに憂慮にたえないものがあるのでございます。すなわち、現状といたしましては、その犯罪悪質化犯罪集団化累犯少年増加年少少年犯罪増加しておる。それからまた、学校に籍を置いております少年犯罪増加しておる。それからまた、中流家庭——これはかなり常識的な見方でございますが、中流層の出身の少年犯罪増加しておる。それから少年犯罪の大都市への集中化が見られるというふうに思われるのでございます。  特に、少年による暴力犯罪増加統計によって見ますと、昭和三十三年当時の殺人、強盗、強姦・強制わいせつ暴行傷害恐喝暴力行為等処罰ニ関スル法律違反銃砲刀剣類等所持取締法違反、こういった粗暴犯としての暴力的犯罪検察庁で受理いたしました人員は五万一千九百九十三人でございましたのが、昭和三十七年におきましては五万九千三百八人に増加しておるのでございます。  なお、少年犯罪の年が若くなっていく年少化傾向暴力犯罪にも顕著でございまして、十四歳以上十六歳未満の少年につきまして調べてみますると、昭和三十三年当時、前に申しました主要な暴力犯罪受理人員でございますが、これが七千百四十二人でございましたのが、昭和三十七年におきましては一万五千七百九十七人に増加をいたしております。これは、在学中の中学生、高校生による犯罪が頻発しておりますことにも起因しておると思われるのでございます。  このような少年犯罪犯罪原因でございますが、これはまことに複雑でございまして、一言に申し述べますことは容易ではないと思うのでございますけれども、根本的には、戦後の道義観念動揺低下といったようなことや、物質偏重消費生活の盛んになってきたことなど、いろいろなものが複雑に錯綜いたしまして青少年に悪い影響を及ぼしておるということはどうも動かしがたいように思うのでございますが、そのほかにも、不良出版物関係等、いろいろ青少年犯罪防止対策としては考えられる点がございますが、私が特に御注意を申し上げて御留意を喚起したいと思いますことは、これらの少年が相当部分暴力団の手先になっておることでございまして、申すならば暴力団予備軍のようなふうに育成されつつあるということは、これは看過しがたい実情でございまして、少年犯罪対策考えます場合には、やはり暴力団対策も同時に考えなければならない実情にあると思うのでございます。
  14. 植木光教

    植木光教君 法務大臣にお伺いしたいと思いますが、まあいままでの刑事局長お話によりまして、暴力犯罪が一向に減少しないばかりか、悪質化しつつあり、しかも年少者暴力行為増加の一途をたどっておって、暴力団予備軍化しつつあるというようなことでありますが、暴力を一日も早く排除絶滅して社会不安を除去してほしいとい国民の強い世論があります。これにこたえるべくこの改正案が出されたのでありましょうけれども年間二十万件にものぼる暴力犯罪の排除にこの改正案がどれだけの効力を持ち、役割りを果たすとお考えになっておるか、端的な御見解を聞きたいと思います。
  15. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 私は、これはきわめて有力なる役割りをすると信じております。犯罪は、申し上げるまでもなく、社会全般の動き、現象、それから起こる各人の思想、行為等一つの結集した現象でございまして、暴力事犯が刑罰的な処罰のみによってなくなるものとはむろん考えません。これは、社会一般風潮、特に日本におきましては、戦争から敗戦ということによりまして、従来の道義観念社会秩序というものは事実上非常な程度に破壊されたと思うのでございます。その結果、暴力的の直接行動が罪悪であるとい観念が、ほかにもそういうものがあると思いまするが、非常に希薄になったという特殊の現象があると思います。そのほか、一般学校教育家庭教育と申しますか、社会全般風潮、ことに活字、映画その他のマスコミ的の影響、こういうものがみんな合わさって今日のような現象を生じてきておる。刑罰も一般社会の通念から見ると軽いというようなことの複合結果と存じまして、政府におきましても、昭和三十六年に、総合対策と申しますか、暴力犯罪その他こういうものの絶滅のために一種の方策をきめておる次第でございます。その中の一環としまして、何としましても法によってこれがきびしく取り締まられる、処罰されるものだということが明確になりますことは、社会一般に、これはいけないことだ、やっちゃいけないとい考えを植えつける面におきましても非常に有力であろうと思うのでございます。  それから今回の改正におきましては刑の最下限決定をいたしまして、その反射的作用としていわゆる権利保釈が認められなくなりました。これは事実において大きな影響を及ぼすと存じます。いままでは、暴力行為がありまして、これを訴えられても、それは一ぺん逮捕されても直ちに出てまいりまして、いわゆるお礼参りというようなふうに不安、威嚇を感ずる次第でございます。こういうものが、絶滅といきませんでも、非常に少なくなるということは、反射的作用として非常に有効ではないかと思います。  また、今回の改正によりまして、一般裁判所におきましても、国会における国民意思としていかに重く罰すべきものであるかとい標準が定まるわけでございますから、おそらく今後の刑の量定は、従来よりはきびしく、一般に長くなるのじゃないかと思います。そういう作用によりまして、一つの行き方といたしましては、暴力団の相当有力な者などが、短期の刑でございますと、どうしても遠隔刑務所に送るというふうなことが困難で、その地の刑務所になる。そうすると、何としても外と内と連絡遠隔の場所よりつきやすい。感じからしても違うわけでございます。それで、その関係をしておる暴力団などの組織がくずれにくいわけです。これが長期で遠隔の地に送られるようになりますると、自然に従来の組織との連絡どもなくなりまして、そういう組織が崩壊にいく大きな原因をつくる場合が非常に多いと思うのであります。  そういうふうに、厳罰に処するというほか、お礼参りの点とか、事実上においてその暴力団構成を打ちこわす方面に作用をしまして、社会一般風潮が、暴力行為に対してなお一そう、単にその不安を感じているという以上に、これはいけないことだとい感じが強くなると思うのでございます。ことに、一つ経過的事態といたしまして、この法律が過去二回も通らないというのが、さらに通るということになりますれば、社会一般のそういうことに対する関心も強くなる、かつ新しく植えつけられるというふうな効果もございまして、この法律がいわゆる暴力対策の中で最も重要な一環を占める大きな効力を持つ、かように信じておる次第でございます。
  16. 植木光教

    植木光教君 今回の改正にあたりまして、暴力犯罪の撲滅は国民の声なんだから、裁判官検察官警察官暴力に対して強い態度で臨めばよいんだ、暴力犯罪は常習であるといなとを問わず、また銃砲刀剣類による傷害であるといなとを問わず、最高十年までの懲役刑を科することができるのだから、現行法運用面で十分に活用しさえすればその目的は達せられるんだ、今回の改正は必要でないという議論がありますが、この点についてお聞きをしたい。
  17. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 最高限は相当長いので、改正せぬでもいいじゃないかということでございますが、しかし、刑の量定につきましては、最下限があるとないではたいへん違います。裁判所が重い刑を科すればいいんじゃないかと申しますが、裁判所決定裁判官の独自の判断によることでございまして、行政指導やそういうことによってこれを重い刑を科する、これを当然期待するということは、私は筋違いだと思います。裁判官がそういう決定をする基準になる法律の刑の量定について、国民総意である法律によってこれは重く罰すべきものだということを示されるのが当然じゃないか。ただ裁判官判断でやればいいじゃないか、こういう考え方は私どもはとらない次第でございます。それで、これをしなくてもいいじゃないかと。しかし、こういう重大なことを、これをしなければすぐたいへんなことになるということがなくても、あらゆる力を尽くしてあらゆる方途を尽くしてこういう悪い事態を防ぐのはあたりまえだと思います。いわんや、仰せのように、裁判官国民総意としての刑の量定、その基準というものが重いものだというこの意思がはっきり確定することが、その刑の量定を重くするやはり基本の一番重大な標準であると思うのであります。
  18. 植木光教

    植木光教君 いまの点について、刑事局長と、それから警察庁からも来られたようでありますので……。
  19. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 大臣仰せられましたように、裁判官判断行政指導によってするということは、これは法律組織のたてまえとしまして許されないところでございますが、ただ、検察官は、申し上げるまでもなく行政官でございまして、法務大臣指揮下にある組織でございます。裁判の当事者といたしまして検察官は刑の量定についての意見を法廷で述べるわけでございます。この意見を強目に持っていくということは、これは行政指導と申しますか、法務大臣のお考えである程度なし得るのでございまして、そういう点で可能なる限りの努力をいたすべきであると思いますし、現にいたしてまいっております。しかしながら、これにはおのずから限度があるのでございまして、実は昭和三十六年以来暴力犯罪に対しましては一段と刑の求刑基準を引き上げまして、重い刑をもって臨むとい措置検察庁の申し合わせによりまして各庁でいたしたのでございますが、こうやりましても、ある程度改善の実は上がったと思いますけれども、なお結果として訴訟を進行してまいります上において、たとえば検察官体刑の一年を求刑いたしたとしますが、裁判所がこれに対して罰金刑を盛ったという場合には、検察官としては検事控訴をしまして判決の是正を求める方法があるのでございますが、もし検事控訴をしても、これが罰金から体刑になりまして懲役一月あるいは二月あるいは三月と軽い刑が言い渡されますと、それを今度はさらに最高裁に持っていって刑の量定が不当だとい裁判所是正方法はないわけでございます。そうなってまいりますと、おのずからここに、認識の相違からくる、ものの見方からくる違い、あるいは情状を見る証拠上の判断からくる違い等から、どうしても検察官としては越えがたいものができてくるのでございまして、こういう点を何としてそれでは是正するかということになりますと、いま大臣仰せになりましたように、立法的な解決手段に訴えるほかないのでございます。  下限を定めるということは、一つ基準を法の執行者に与えるのでございまして、この基準に従いまして、警察官検察官裁判官もこの立法の趣旨に従って法を通用していくことによって刑が重くなっていくということがある次第でございます。  こういうふうに見てまいりますと、裁判現状から見まして、どうしても下限を引き上げるということによって問題を解決していくほかないというのが私どもの結論でございます。
  20. 後藤信義

    説明員後藤信義君) ただいま法務大臣法務省刑事局長から御答弁がありましたところに尽きるわけでございますが、警察のほうといたしましても、現行法でまかなえる分につきましてはできるだけの措置はとってまいっておるわけでございます。ただ、ただいままでお話がございましたように、裁判にかかりました場合にその犯罪の内容をどの程度にまで評価するかということは、やはり法定刑一つの目安になると存じますので、ただいま大臣局長からお話しになったような効果は、改正法によって求めることになるだろうと考えております。  それからまた、警察自体といたしましても、従来の法定刑を引き上げることによりまして、暴力犯に対します認識を新たにいたしまして、これに従来にも増しまして努力をいたしまして暴力犯罪絶滅をはかるという意味におきましても、法定刑が引き上げられることによりまして、犯罪そのものが非常に悪質であり重要なものであるとい認識警察部内においても高まってくると考えるのでございます。  それからまた、これは付随と考えますけれども一般の世人に対しましても、法定刑が引き上げられることによりまして、ややもすれば泣き寝入りというような事態もないわけではございませんけれども、そういうような遺憾な事態というものが、やはり本腰を入れて暴力犯罪に取り組むような体制ができたとい認識が世人一般、世間一般に広まることによりまして、被害者側からの協力、あるいは第三者からくるもろもろの申告あるいは協力というようなものも従来以上に期待できるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  21. 植木光教

    植木光教君 刑事局長にお伺いしますが、未遂罪を罰することとした理由をこの際お伺いしたい。
  22. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 今回の改正案の第一条ノ二で、銃砲刀剣類を用いてする傷害の罪を重い法定刑をもって処断することになっております。これに対しまして第二項で、「前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス」、こういう規定を置いております。この意味は、第一条ノ二の第一項の銃砲刀剣類を用いる傷害というものは、まかり間違えば殺人になるわけでございます。もし未必の故意というようなものが認められるような状況でありますならば、殺人罪をもって問擬すべき事件でございます。で、これはどうしても傷害意思がある場合にこのような第一条ノ二に該当する行為に当たるのでございまして、傷害意思のない、暴行意思だけで、結果において傷害を発生するというような場合は、このような武器を用いての傷害には実体といたしましてこれを認めるわけにはいかないか。こうなってまいりますと、第一条ノ二は、まさしく故意犯であって、結果的加重犯を含まないと、こう解するのが相当であると思うのであります。  そうだといたしますと、もしも犯罪に着手してその実現を得なかった、いわゆる未遂の場合に、もしも未遂の規定を置きませんと、実行に着手して既遂になれば一年以上十年以下という重い刑で処断されるが、未遂に終わった場合には刑法のいわゆる暴行罪で軽い刑で処断されるか、あるいは兇器を示してやったという第一条の、現行法の一項でございますが、この法律処罰される場合がときにあり得ると、こういうことになりまして、既遂と未遂との間に非常な刑のアンバランスが起こってくるのでございます。刑法の評価といたしましては、既遂と未遂とは同じように評価する、これが原則でございます。それで、未遂の場合には情状によって未遂減刑をすることができるというたてまえになっておりますので、このたてまえに立って考えますと第一条ノ二の重い傷害罪の場合には未遂罪を置いて、既遂と未遂の間の刑のバランスをとるというのが立法技術上当然の配慮であると、かように考えましてこのように未遂罪を置いた次第でございます。
  23. 植木光教

    植木光教君 「銃砲又ハ刀剣類ヲ用ヒテ人ノ身体ヲ傷害シタル者」、これの既遂と未遂との違いというのを、もう少し未遂の内容を具体的にお話し願いたい。
  24. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) 「銃砲又ハ刀剣類ヲ用ヒテ人ノ身体ヲ傷害」でございますので、銃砲刀剣類の本来の用法に従って用いて人に傷害を与える、こういう形態の犯罪でございます。したがって、この場合に、本来の用法でございますから、ピストルを用いてやった場合には、ピストルを向けてねらいを定めて引金を引いてたまを発射する、こういうことが犯罪の着手でございます。ところが、不幸にしてそのたまはそれて当たらなかったという場合が未遂でございます。刀の場合には、刀の刃をもって切るとかあるいは突くとかいう行為をする、それが着手でございます。しかし、切りつけたけれども、向こうに逃げられて傷を負わせるに至らなかったという場合が未遂でございます。もしその用法に従わない使い方、本来の用法に従わない、たとえば峰打ちを食らわす、初めから刃で切るつもりはなくて、峰のほうでたたいたという場合は、ただの暴行罪傷害罪、こういうことになるかと思うのでございます。着手があったかないかということは、いまの、ねらいを定めて発射するというところ、切りつける、突く、こういう行為がその段階になりましてはじめて犯罪行為に着手した、かように見て差しつかえないと思います。
  25. 植木光教

    植木光教君 警察庁の方にお伺いいたします。先ほど法務省のほうからはお聞きしたのでありますけれども暴力団団体数ですね、それから構成員数組織規模活動領域資金源の動向と実態について警察庁で持っておられる資料を御説明いただきたいと思います。
  26. 関根広文

    説明員(関根広文君) 最近における暴力団の実態並びに動向でございますが、昭和三十八年現在で警察が把握いたしております暴力団体とその構成員の数は五千二百十六団体の十八万四千九十一人でございまして、前年に比べまして八十五団体、一万一千三百八十人と増加を見ている状況でございます。  また、この団体並びに構成員数状況を見てまいりますと、中に占める構成員の前歴者の割合も年々比率が多くなっておりまして、昭和三十八年では前歴者の比率は八二・七%というふうに悪質になっている状況がうかがわれます。また、最近の暴力団組織特徴としましては、非常に領域が広くなってまいりまして、大都市を中心とする大きな暴力団体が、縄張り、勢力拡張のためにあらゆる機会をとらえて地方に所在する小規模な暴力団体を統合するということにつとめている。また、小規模な団体は、こういう大規模な団体組織に属することによりましてその組織の維持と資金源の温存をはかろうというふうな傾向一般的に見られるのであります。また、このような暴力団組織の大規模な広域化に伴ないまして、その勢力が動いている。地方の地域では必然的に既存暴力団との間に対立的な紛争事犯が非常に多く発生しているとい状況でございまして、また、その事件の解決のために、勢力を誇るために、多くの構成員が進出先の遠いところまで出かけていってデモンストレーションをやるというような事例も見られるということが最近の暴力組織一般的な動向でございます。
  27. 植木光教

    植木光教君 いわゆる暴力団の取り締りということが改正案のねらいだと思うのでありますけれども改正案には暴力団について何ら規定することがないばかりではなく、第一条にあるような「団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ」とか「数人共同シテ」というような規定もなく、第一条ノ二、第一条ノ三はいずれも暴力行為者個人を処罰の対象としているだけのようでありますが、これでいわゆる暴力団暴力事犯を防遏することができるかどうか、いわゆる暴力団そのものを取り締まるような立法形態は考えられないのかどうかというようなことをあわせてお聞きいたしたいと思います。
  28. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいまの御質問まことにごもっともでございまして、立案に当たりました私どもといたしましても、暴力団そのものを直接防遏できるような立法形式はとれぬものであろうかということは慎重に検討をいたした次第でございます。できますならば、それが最も端的で立法の趣旨にもかなっておるわけでございますので、そういたしたかったのでございまするが、この点はいろいろ検討いたしますると、困難な問題がございまして、まず第一に、暴力団と私ども世間一般にいわれておりますこの暴力団とい考え方でございますが、これを法律的に見ますると、定義を下すことが非常にむつかしいのでございまして、外国の立法例等も調べてみましたが、世間でいわれておる暴力団とかギャングといったような形でそういう暴力団に加入したり活動したりするということを罰する規定を設けた法律がございますが、これはその後外国の最高裁判所の判決で憲法違反であるという認定を受けております。その理由としますところは、暴力団と世間でいわれておる暴力団というだけでは処罰概念としてはきわめて明確を欠くものであるということが理由になっておるのでございまして、日本暴力団につきまして、先ほど申し上げましたような実態を見てまいりますると、暴力行為にややもすれば及ぶということは認められるのでございますが、平素は私どもが見て正業と思われるような職業についておる者も大部分でございますし、厳密にばくちのみをもって資金源としておるような団体でございますれば、これは違法な団体と認めていいと思うのですが、そうでない団体については、なかなかすぐその団体そのものをもって違法なる集団であるというふうに認定しますことは法律上困難でございます。そういうこともありまして、立法技術的に暴力団そのものを対象とした規制の方法ということを考えますことは、日本の憲法におきましてもむつかしいということに結論がなった次第でございます。  一方、それでは、いま仰せのように、個々の人を対象とした罰をきめることによって、はたして暴力団対策になるであろうかという御疑念でございますが、ただいま取り上げましたのは必要にして最小限度の対策とい考え方に立っておりまして、暴力団対策として暴力団を締め上げるような法律考える場合にはもっとたくさんの規定を設けることも必要であろうかと思いますけれども、その中で暴力団の団員が犯すであろう、ほかの一般の人はあまり犯さない、しかし暴力団の人は好んで犯す、そういう罪を犯すことは暴力団特徴とも言えるような罪があるといたしますれば、それはまさに銃砲刀剣類を用いてむやみやたらに人を傷害するというような類型の犯罪であろうかと思います。  それからもう一つは、先ほど警察庁からも御披露がございましたが、これらの構成員は、言うなれば前科者の集団でございまして、暴行の前科、暴力行為の前科を重ねておる者が集まっておる前科者の集団と見られるのでございまして、この人たちは、言うなれば暴行暴力行為の常習犯であります。そこで、常習犯の規定を強化する。  この二つによって相当長期間社会から隔離することができるならば、はたして暴力団にどういう影響を与えるであろうかということを刑事学的にいろいろ研究してみますると、暴力団の人たちは、幹部の者が相当長期間にわたって服役をしておりますために、その子分等の集団はがたがたになってしまいまして、もはや暴力団としての体をなさないというような結果におちいった実例もたくさん私どもは知っております。そういたしますると、暴力団を解消して社会の真人間として、普通の人として社会の中に溶け込ましていくように推進をしてまいりますためには、どうしてもこれらの人に対して相当長期の刑を科することによって社会から隔離し、一方、その人たちが社会復帰の場合に国家の手を差し伸べていくというリハビリテーションの道をもあわせて刑事政策的に大きな考慮を施していくことが暴力団対策として最も適切な方法ではないか。そういう観点から見てまいりますと、個々の人を罰する規定を設けることによりましても、先ほど大臣が申されましたように、暴力団のこれからの対策としましては相当効果をあげていくというふうに見られるのでございまして、そういう意味におきましてこのような立法をいたしたのでございます。でありまするから、この法律暴力団ということばは書いてございませんけれども、まさしく暴力団対策法律としましては効果をあげ得る法律だと、私はかように考えておる次第でございます。    ——————————
  29. 中山福藏

    委員長中山福藏君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、坪山徳弥君が辞任され、その補欠として川野三暁君が選任されました。    ——————————
  30. 植木光教

    植木光教君 外国の立法例についてお伺いしたい。
  31. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ただいま外国の立法例と仰せられますのは、憲法違反になったという点でございましょうか。
  32. 植木光教

    植木光教君 ええ。
  33. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、一つは、アメリカのニュージャージーの州の法律でございまして、御承知のように、一九二〇年から三〇年にかけましてアメリカでもギャングスターといわれる暴力団がばっこした時代がございます。その対策としていまのような法律ができたのでございますが、この法律は一九三〇年の終わりごろ、立法されてから十年ぐらいたってのことでありますが、連邦最高裁判所で、先ほど申したような理由で違憲という判決を下されておるのでございます。それからフランスには、これも非常に古い法律でございまして、ナポレオン刑法典の中にあるのでございますが、この当時はフランスに非常に馬賊がばっこしておったようでございますが、ナポレオンが天下を統一するとともにこの馬賊は一掃されたようでございまして、法律はそのまま残っておったのでございますが、この法律は今日ではほとんど適用を見ていないのでございまして、言うなれば形骸をとどめておるに過ぎないとい状況でございます。  それからもう一つ、戦後西ドイツの刑法の中に同種の法律がございます。現行法で残っておりますが、これはベルリンで起こった不良少年団体事件に適用を見た例が一件あるように報告されております。これは有罪になっておりますが、これが一件あるだけでございまして、ほとんどこの法律も実際問題として適用を見ていないようでございます。その適用していない理由は、やはり暴力団というもの、不良青少年団体というもの、団体そのものの違法性というものについて疑義が存するために適用を見ない、それらの法律についての外国の報告を見ますると、そういうふうになっておるのでございます。  外国の立法例としましては、西ドイツ、フランス、アメリカにその例がございます。   〔亀田得治君発言の許可を求む〕
  34. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 亀田君。
  35. 亀田得治

    ○亀田得治君 議事進行について。けさからの議事の進め方、私は稲葉理事のほうから経過は聞きましたが、あまりこまかいことを申し上げると委員長のかんにさわってもいけませんから、中身は申し上げませんが、もう少し委員長理事懇談会で話を詰めて、そうしてスムーズに行くように検討をしてもらいたい、これが趣旨です。いま理事なり国対関係にも若干正式に申し込みはしたわけですが、そういうかっこうでひとつ委員長の善処をお願いしたいわけです。
  36. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの亀田さんの提案に対し私ども全面的に賛成で、ここでやめて、もう一ぺん理事会を開くなり何なりの措置をとっていただきたい。亀田さんの提案に賛成いたします。
  37. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 私、あなたに感謝しつつお答えしたいと思います。御趣旨はよくわかります。今日はこれはせっかくやりかけましたから、もうしばらくやらしていただいて……。(「理事会を開け」「そういうのはだめだよ」と呼ぶ者あり)植木さんのが一段落ついてから……。(「それがおかしいんだよ」「話し合いをやってからやりゃいいじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)植木君に発言を許します。
  38. 植木光教

    植木光教君 いま法務省の刑事局長からお聞きをしたわけですが、ニュージャージー州の州法では暴力団をどのように定義をしておりますか。
  39. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) ニュージャージー州の一九三四年の……(「円満に進行しようとしているんだから、話し合いをしようじゃないですか」「休憩してやりましょう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)「正当な職業をもたず、許可なく兇器を所持して逮捕され……(「委員長発言を許していないじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)三回以上有罪とされ又は重罪で有罪とされた者はギャングスターと宣言される。」と、こういう言い方をしております。
  40. 植木光教

    植木光教君 警察庁に伺いますけれども、よく警察庁では暴力団ということばをお使いになっておりますが、、どういう意味で、どういうふうに定義してお使いになっておりますか。
  41. 関根広文

    説明員(関根広文君) 警察におきましては、現行の法律上、暴力団と定義されているものは……(発言する者多し)
  42. 植木光教

    植木光教君 聞こえない。
  43. 関根広文

    説明員(関根広文君) 暴力団として定義づけているものはどこにもございません。警察取り締まりの対象となっておりますのは、集団的にまたは常習的に暴力的不法行為を行ない、または行なうおそれがあるというものにつきましてこれを把握しております。その実態は、大体、博徒、暴力テキヤ青少年不良団体がおもな対象でございます。
  44. 植木光教

    植木光教君 暴力犯罪がいわゆる暴力団構成員によって多く行なわれているということは、先ほど来お聞きをいたしておりますし、統計にも示されておりますが、暴力事犯がいわゆる暴力団の親分あるいは幹部によって命令され指示されて行なわれることが多いということも事実であります。また、構成員暴力行為の前科を重ねていわゆる箔をつけるという意味においても、親分や幹部の指示や命令に忠実に従うことも考えられることであります。暴力団を取り締まるためには、暴力行為の首謀者であるはずの親分を取り締まらなければならないと思うのでありますけれども、今回の改正案ではそれが可能であるかどうか、お聞きしたいと思います。
  45. 竹内壽平

    政府委員竹内壽平君) これは、どんな犯罪でございましても、犯罪がある程度集団的な背景をもって行なわれる場合には、その背後においてこれをあやつる者があり、これを使嗾する者がありますことは、どんな犯罪でもひとしく言えることでございまして、特に暴力団の場合には身がわりになって来る者があらわれたりいろいろするのでございまして、そういう点につきましては、犯罪を検挙いたしました場合には、警察当局はもちろん、検察におきましても、その背後関係を重視いたしましてこれに徹底的な捜査をしていく。そうして、その間に共同正犯というようなことになりますれば、刑法の総則の規定によりまして処罰をする、教唆犯があれば、これまた共謀の刑法の規定により処罰をする、こういうことでございます。したがって、問題は捜査が徹底するかどうかに帰着するのでございますが、いままでの例によりましても、なかなか幹部まで入りにくいのでございますけれども、幹部にまで手の伸びた事例は少なからず存在するのでございます。特に御留意をわずらわしたいと思いますのは、昭和三十三年に刑法の一部改正によりまして、兇器をもって集まる罪、また兇器を集めた罪、この二つの罪ができまして、この結果によりまして、集めた者は多くは暴力団の幹部でございまして、その罪によって処罰されました例は少なからず存在するのでございまして、いまや暴力団の幹部にまでメスが入っていくということは通常の事例になってきていると思います。
  46. 中山福藏

    委員長中山福藏君) この際、昼食のため一時半まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩    ————・————   〔休憩後開会に至らなかった〕