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1964-04-21 第46回国会 参議院 法務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十時五十九分開会   ———————————   委員の異動  四月十四日   辞任      補欠選任    高橋  衞君  八木 一郎君  四月十五日   辞任      補欠選任    八木 一郎君  高橋  衞君    植木 光教君  野上  進君  四月二十日   辞任      補欠選任    野上  進君  植木 光教君   ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     中山 福藏君    理事            後藤 義隆君            迫水 久常君            稲葉 誠一君            和泉  覚君    委員            植木 光教君            鈴木 一司君            田中 啓一君            高橋  衞君            坪山 徳弥君            岩間 正男君   政府委員    警察庁警備局長 後藤田正晴君    防衛庁防衛局長 海原  治君    法務政務次官  天埜 良吉君    法務省民事    局長      平賀 健太君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   ———————————   本日の会議に付した案件 ○民事訴訟法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○検察及び裁判運営等に関する調査  (治安出動の際における自衛隊と警  察との協定に関する件)   ———————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。  まず、民事訴訟法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。
  3. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 手形金請求のいろいろな方法がいまの裁判制度の中であると思うんですが、具体的にはどういうふうな制度があるわけですか。
  4. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現行政度のもとでは、手形金請求をしめす場合には、督促手続によって支払命令を求める、それから通常民事訴訟を起こす、あるいは民事調停法による調停申し立てをする、大体そういう方法があるわけでございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 支払命令から出発する場合と、通常の第一審の訴えから始める場合と、こうあるわけでしょう、調停とか即決なんか除いて。そうすると、今度の新制度では、それに付加してやはり二つの道があるわけですか。
  6. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 公回の手形訴訟手続というのは、通常民事訴訟でやる場合の特則でございまして、通常民事訴訟手続の前に置かれる前置的な手続と言ってもいいかと思うのでございます。したがいまして、こういう前置手続によることもできますれば、いきなり普通の民事訴訟を起こすということもできるわけでございます。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 質問意味がちょっとあれしがなかったと思うんですが、やっぱりいまの支払命令から行く場合とそれから手形訴訟で行く場合と二つあるわけでしょう、今度の制度の中でも。
  8. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) そのとおりでございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務省見通しとしては、手形支払命令で行く場合と、手形訴訟で行く場合と、それから訴訟訴えで行く場合と、この三つ普通にありますわね。調停やなんか除いて、そうすると、これは割合なんかはどちらのほうがどの程度多いというふうな見通しをつけておられるわけですか。私が聞きたいのは、やはり支払命令で行くほうがある程度数が多いという見通しなのか、そうすれば、支払命令でもいろいろ改善すべきやり方があるのじやないかとか、そういう点が聞きたいわけなんですが。
  10. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現在の運用の状況を見ますと、手形金請求事件につきまして、いきなり訴えでいく場合とそれから支払命令に対する異議申し立てによりまして訴訟に移す場合と比較してみますと、いきなり訴えを起こす例が若干多いのでございます。そういう実情から見まして、この新しい手形訴訟手続が施行になりました場合にどちらが多いだろうかということでございますが、これは必ずしも予測できませんけれども、今度の手形は非常に簡易化された手続であります関係で、相当そちらのほうが利用されるのではないか。また、督促手続と実質的にあまり変わらないとも考えられますので、相当数がこの手形訴訟で行くということが予測されるように思うのでございます。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 手形支払命令というものは、いままで日本ではなかった制度ですか。旧民訴にもなかったのですか。
  12. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 手形金請求督促手続で行く例は、これはあるわけでございます。特に手形支払命令というわけではございませんけれども、手形金請求について支払命令を求めるという事件は、これはかなりあったわけでございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、手形金でも支払命令で行くということは当然あるわけで、すいぶん利用されておるわけですが、私の言うのは、いま言った今度の制度にある手形支払命令という制度ですね、これは旧民訴のときの為替訴訟の中にはなかったわけでしょう。これはどういうことなんでしょうか。
  14. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 今回の手続におきまして手形支払命令というものをつくりましたけれども、これは一般支払命令と同じことでございまして、異議申し立てがありまして、訴訟に移行した場合には、手形訴訟手続審理裁判がされるというだけの意味のものでございます。旧民訴におきましても督促手続はあったわけでございまして、実質的にはそう違ったものではないわけでございます。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの普通の支払命令でも、手形支払命令でも全く性質なり効果なりは同じだというふうに承っていいわけですね。そうなってくると、支払命令が送付されて十四日たっても確定しないわけですか。そこからまた仮執行宣言付という形に移るわけでしょう。あの点は改革しないのですか。
  16. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その点は改めておりません。手形支払命令という特別の名前をつけましたけれども、要するにこれは普通の支払命令と同じことでございまして、ただ、違いますところは、仮執行宣言がつきます前に異議申し立てがありますと、御承知のように、訴えの提起のあったものとみなされまして訴訟が始まるわけでございますが、その訴訟手形訴訟手続でやるというだけのことでございます。その点は従来の督促手続とは違っているわけでございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 普通、支払命令の場合、送達されてから十四日たてば確立してしまうんだというふうに常識的には考えるわけですね、一般訴えなんかの場合は。ところが支払命命の場合には実際には確定しないわけです。確定ということばが悪いのかもしれませんが、十四日たってもなおかつ仮執行宣言がつくまでの間は異議申し立てができるでしょう。これは何か非常に複雑な行き方じゃないですか。
  18. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 督促手続はただいまおっしゃるとおりでございますが、これとても、最終的に異議申し立てがなければ、それで確定するわけでございます。しかし、異議申し立てがございますと訴訟に移行する、こういう関係でございますので、複雑と言えばそう言えるかもしれませんけれども、もし相手方債務者の側のほうでほんとうに争う事実関係にない、また、争う意思がなければ、支払命令で目的を達するわけでございますけれども、やはり何としても、これは引き延ばしのために異議申し立てがされるという事例が少なくないのでございます。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この一部を改正する法律が、民事訴訟法の第五編の督促手続の一部というが、第五編の二という形になっているわけですが、これは第六編というか、そういう形にはしなかったわけですか。それは、いまの手形支払命令に関するものが入っているから、第五編の二という形にしたんですか。第五編を二つに分けておるわけでしょう。
  20. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これはただ便宜の問題でございまして、第五編の二としましたのは、これは督促手続の一部というわけではございませんで、手形金請求事件に関する特則をここに集めたわけでございます。これは、これを六編といたしますと、あとずっと編名を変えていかなければならぬことになりますので、また、編名を引用している条文もございまして、非常にややこしくなります関係で第五編の二としたわけでございまして、その特則は、単に督促手続特則という意味ではございません。一般訴訟手続特則が大部分でございます。ただ、支払命令につきましても、この特則の中の四百六十二条でございますか、この督促手続特則になるわけでございますが、そのほかの規定は、大体これは訴訟手続特則になるわけでございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日本手続訴訟で今度のいろいろな構想というのは、ドイツ民訴オーストリア民事訴訟の折衷といういうことがよく言われておりますが、あれはどういう意味なんですか。何というんですか、いわゆる為替令状訴訟というようなものがあってそれをまねしたというんですが、あるいはそれとは違うのだというんですか。
  22. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 今回の制度は、特にどこの制度手本にしたというわけではございませんで、旧民訴証書訴訟及び為替訴訟規定というのは、いわばドイツ民事訴訟法の翻訳に近いようなものだったのでございます。ところが、これは前回も申し上げましたように手続がかなり複雑でございましたので、これをもっと簡素化したいということで案を練りました結果できたものでございまして、特にこの制度手本にしたというふうなものではないのでございます。ただ、この手形訴訟手続、こういう特別の手続を持っておりますのは、ドイツのほかにオーストリアがあるわけでございまして、ドイツオーストリアは相当制度が違っているようでございますが、特にオーストリア制度手本にしたということはございません。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 手形訴訟と、手形支払命令と、それとまた違った形で為替訴訟というようなものがあるんだ、こういうふうにいま言われているわけですね。ちょうど日本手形訴訟手形支払命令二つある。それの中間的な存在だ、為替令状訴訟というのは。そういうふうに言われて、非常に効果をあげているのだというふうに言われているわけですね、オーストリアでは。これはあなたのほうの人が書いているわけです。裁判所の人が書いておりますよ。鈴木重信さんが書いております。だからそれを聞いているわけですがこれはどうなんですか。
  24. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 私はドイツ民訴は少し読みましたけれども、オーストリア手形訴訟制度はあまりよく研究しておりませんので、詳しいことは申し上げかねるのでございますけれども、裁判所鈴木判事が書いたものには、何かドイツ手形訴訟オーストリア手続のちょうど折衷的なもののようだと書いているのを私もみたことがございます。あるいはそういうことになるかもしれないと思うのでございますが、特にオーストリア制度手本にして立案したということはございません。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあこれはドイツのものであろうと、オーストリアのものであろうと、どこでもいいようなものですが、それは別として、証拠方法制限日本の場合とヨーロッパ手形訴訟の場合と具体的にどういうふうに違うわけですか。これは今度の手形訴訟でも一番大きな眼目になる、問題点があると思うんですが。
  26. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 旧民事訴訟法におきましては、証拠方法はもっぱら書証だけに限っております。ドイツ民訴も従来はそのようになっておりましたが、その後、文書真否手形呈示に関する事につきましては本人尋問を許すということになっているのでございます。御審議いただいております法案につきましては、その点をいろいろ検討いたしたのでございますが、結局は、書証を原則とする、ドイツ民訴と同じように文書の真意と手形呈示に関しましては本人尋問を許す。大体その点はドイツ民訴と同じような形になっております。  それからなお、ドイツ民訴につきましては、特に文書真否手形呈示のほかに、これは主として被告側の抗弁事実ということにつきましても本人尋問を許すということになっておりますが、そこはこの案ではとっておりません。もっぱら文書真否手形呈示に関する事実については本人尋問を許すというそう例外を設けているわけでございます。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ヨーロッパ立法例に比べてどうかとかいうことのポイントは、証拠方法制限がそれと比べて日本の場合は厳格なのかどうかという点が一つポイントだと、こう思うんですが、いま言われたことからみると、日本のほうが少し厳格だというふうに見えるんですか。これは一般的には言えないかもわかりませんが。
  28. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ドイツよりは本人尋問を許す範囲がやや狭うございますので、その点は厳格だと言っていいと思うのでございます。ただ、わが国の民事訴訟法にもございますが、訴訟証拠調べ手続文書真否を立証いたしますために、いわゆる検真——筆跡あるいは捺印の印影の対照というようなことがございます。検真と申しておりますが、ドイツではそういう検真ということは手形訴訟においては認めてないようでございますけれども、この案ではそれを認めているのでございます。その点ではやや広くなっているというように言ってもいいのじゃないかと思います。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 条文に入る前にもう一つ聞いておきたいのは、留保判決ということですね。それはどうもよくわからないんですよ。具体的にどういうことなのかということと、留保判決を採用しなかった理由はどういうところにあるのかということですね。
  30. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは、旧民事訴訟法におきまして、お手元に資料を差し上げてございますが、「民事訴訟法の一部を改正する法律案関係資料(一)」でございますが、四百九十一条、四百九十二条という規定がございまして、四百九十一条におきましては、「主張シタル請求争ヒタル被告ニハ敗訴言渡受ケタル総テノ場合ニ於テ其権利行使留保ス可シ」、ここに「留保」ということばを使っております関係で、留保判決と法学上も言っているわけでございます。  留保判決をいたしますとどういうことになりますかといいますと、第四百九十二条の第一項に規定がございまして、「被告ニ権利行使留保シタルトキハ訴訟ハ通常訴訟手続ニ於テ繋属ス」ということになっているわけでございます。書証のみで事実を認定いたしまして判決をするわけでございますが、被告の方が争っておりますると、手形訴訟判決をいたしましてその判決に対しては控訴上告ができるわけでざいますけれども、なお第一審裁判所に今度は通常手続として係属をしておる、そういうことになるわけでございます。通常手続で係属しております関係で、その通常手続においてさらに判決がされますと、その判決に対しても控訴上告ができると、二つ判決が並行して上訴対象にもなっていくというようなことで、手続がかなり複雑であったわけでございます。その点が旧法時代からも一つの難点だというふうにされておりました。  それを今回の案では改めまして、まず手形訴訟手続によりまして判決がございますと、これは留保判決じゃございませんで、やはり判決がございます。ただ、その判決異議がございますと、異議のある当事者の方は異議申し立てをいたしますと、今度はそれが通常手続に移行する。で、その手形訴訟判決に対しては上訴はできないのでございます。異議だけができる。異議申し立てがありますと、これは通常手続に移りまして、通常手続でもう一回審理をし直しまして判決をする、そういう形にしたわけでございます。二つ上訴手続が並行して進むということをなくした点が旧民事訴訟法における為替訴訟手続と非常に違う点でございます。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 留保判決制度を採用しなかったことから本件の手形訟訴で理論的にというか実際的にもいろいろ欠陥が生ずるんだ、考えられる欠陥というかそういうふうなものがあるんだという人もいるわけです。これは現に鈴木という判事の人が、これはどこにおられる方か知りませんが、何かそういうふうな意味のことを言っているんですが、どうもそこら辺のところが私にもよくわからないんですが、そういうふうなことは何か考えられるんですか。
  32. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) まあ理論的な欠陥と申しますか、考えますれば、この手形訴訟判決は独立して上訴対象にならない。したがって、手形訴訟判決でやりましたところの法律上の判断について上級裁判所判断がなされるという機会がなくなる。具体的な例としましては、一体この事件手形訴訟訴えることのできる事件であるかどうかという点にかりに争いがあったとすると、これは手形訴訟ではいけない、通常訴訟で行かなければいけない事件なのかどうかという点にかりに法律上の問題があるとしますと、ところが、裁判所のほうでは、これは手形訴訟で行ける事件であると言うことで判決をした、相手方がそれに異議申し立てる、今度は通常訴訟に行きまして、今度はもう全く通常訟訟手続審理裁判されるわけでございますので、はたしてその事件手形訴訟訴え得る事件なりやいなやの判断がついになされないということが考えられるわけであります。理論的に言えば、それは欠陥と言えば欠陥でありますけれども、しかしひるがえって考えてみますと、手形金請求事件というのははっきりした事件でございまして、そういう解釈上の疑義が生ずるということもこれはきわめてまれでございまして、そういう解釈上の法律問題が生ずるということも実際問題としてはほとんどあり得ないことでございますので、単に理論的な要請のために旧民訴のようなああいう複雑な手続をとる必要もないのではないか。もっぱら実際的な見地からこういうふうに踏み切ったわけでございます。  そういうわけで、理論的にはしいて言えば欠陥がないとは言えぬと思うのでございますけれども、実際的見地からすれば、その点はほとんど懸念するに足りないと法制審議会におきましてもそういう意見になりまして、今回のような案にいたした次第でございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 手形事件が非常にはっきりした事件が多いというのは、普通そうだと思うんですが、そういうはっきりした事件が多いなら、調停置主義というようなものをはっきりとったほうが解決が早いと考えられるのじやないですか。調停置主義のほうが……。
  34. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 調停前置ということも考えられるのでございますが、現行法のもとでも、これは民事調停法に基づきまして調停していくこともできるわけでございまして、調停前置を強制的なものとすることはいかがかと思われるのでございます。実際問題といたしましては、訴えを起こしまして、原告のほうにおきましても、早く解決をしてもらう、全部の満足を得なくても、一部でもいいから早く取り立てたいということで、途中調停あるいは和解解決する事件がかなりあるのでございまして、調停なんかで解決する可能性も大いにあると思うのでございますが、前置を強制的なものとするということは必ずしも適当でないように思うわけでございます。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その点、私も議論はあるんですがね。調停の場合は出てこない場合も多いわけですね。出てこない場合に制裁というものは別にないわけですから、かえってずるずる延ばされるということも考えられるんですね。ただ、その場合でも、実際は和解をやるんだけれども、口頭弁論期日の指定だという形でやっておけばその弊害は除かれるとか、調停和解は違いますけれども、いろいろなことが考えられると思うんですけれども、これは私はちょっと研究しないとわからぬところだと思うんですが、きょうはこの程度にして、この次から条文に入ってお聞きしたいと思います。  私の条文に入っての一つ疑問点というか問題点は、訴訟物範囲の問題が一つの大きな問題になってくる、こう思うんですね。いま局長も言われたように、民訴でやるのがいいのか、手形訴訟でやるのがいいのかというので争う場合があるんだということを言われたことに関連して、訴訟物に関連しての問題が出てくると思うんです。これはこの次にお聞きしたいと思います。
  36. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本案の質疑は一応この程度といたします。    ———————————
  37. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に検察官及び裁判運営等に関する調査議題といたします。  治安出動の際における自衛際警察との協定に関する件について調査を行ないます。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自衛隊治安出勤の際における警察自衛隊との関係についての協定についてお聞きするわけですが、その前に、防衛二法が成立したのは、これはいつでしたか。
  39. 海原治

    政府委員海原治君) 昭和二十九年でございます。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和二十九年というのは、MSA協定が締結されたときですね。
  41. 海原治

    政府委員海原治君) 年は同じでございます。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 治安出動の際における自衛隊警察との協定昭和二十九年に結ばれたというのは、これは十月ですか。
  43. 海原治

    政府委員海原治君) 防衛庁長官国家公安委員会委員長との間の協定は、二十九年の九月三十日でございます。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その協定が結ばれるのに至った経過はどういうふうな経過ですか。
  45. 海原治

    政府委員海原治君) 先生御存じのように治安出動時におきましては、自衛隊警察と共同いたしまして治安維持に当たる任務がございます。警察のほうがもちろん第一次的な責任を負うわけでございますが、自衛隊はいわば警察の支援後拠——うしろだてというかっこうで出かけるということが法律の精神でございますが、これに基づきまして具体的にどういうふうな任務の分担をすればいいかということをきめておく必要がございますので、関係協定の締結をしたと、こういう次第でございます。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その治安出動というのは、具体的にはどういうふうなことですか。
  47. 海原治

    政府委員海原治君) これは、法律に書いてございますように、都道府県知事要請による場合と内閣総理大臣命令による場合と二つございますが、内閣総理大臣命令による出動の場合には、法文に書いてありますように、間接侵略その他治安維持上重大な場合で、都道府県知事からの要請の場合は、都道府県におきますところの治安維持警察だけではむずかしいと判断される場合、こういうふうに考えております。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その治安出動命令に違反して出なかった場合に、罰則があるんですか。
  49. 海原治

    政府委員海原治君) 命令に違反して出なかったという御質問意味がよくわかりませんが……。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 第百二十条はどういう意味ですか、これは。
  51. 海原治

    政府委員海原治君) 隊法でございますか。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自衛隊法です。
  53. 海原治

    政府委員海原治君) 自衛隊法第百二十条の規定は、具体的な各部隊所属員についての規定でございます。先ほど申しました内閣総理大臣命令というものとは直接関係ございません。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、第百二十条はどういうふうな場合ですか、具体的には。
  55. 海原治

    政府委員海原治君) この百二十条には、ここに一、二、三、四と書いてございます。たとえばその二号に、「正当な理由がなくて職務場所を離れ三日を過ぎた者」と、こういう規定がございますから、治安出動があった場合にその部隊所属者についてこういう場合と、そういう規定解釈しております。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、治安出動命令というのはどこに対して出るわけですか。
  57. 海原治

    政府委員海原治君) これは、先ほど申しましたが、まず最高司令官である内閣総理大臣、この命令によって防衛庁長官からその下のそれぞれの部隊長に対して命令が出るわけであります。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、部隊長から出て、三日を過ぎても治安出動命令に従わないで、職務場所に行かない場合は五年以下の懲役または禁錮と、こういうことになるわけですか。
  59. 海原治

    政府委員海原治君) そういうふうに解釈いたしております。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ついでだから、自衛隊法罰則がいろいろありますね、ちょっと簡単に説明願いたいんですが、どういう場合に自衛隊の人が罰則を受けるんですか。
  61. 海原治

    政府委員海原治君) まことに恐縮でございますが、私、実はその方面の担当でございませんので、申し上げることにあるいは誤りがあるかもしれません。自衛隊法の第九章の罰則規定をお読みいただければわかりますように、たとえば、本来部隊といたしまして具体的な規律に従わねばならぬ者がその規律に従わない場合、あるいは官物を不当に破損、滅失した場合、こういうことが大体罰則につきましての基本的な前提の項に当たります。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは私の聞き方が悪いんで、きょうの直接のあれじゃありませんのであれですが、私の直接聞いているのは、予備自衛官が防衛召集命令を受けて三日過ぎて出なかった場合は百十九条にある三年以下の懲役、それから今言った治安出動命令を受けて三日以上過ぎて行かなかった場合は五年以下の懲役、それから防衛出動命令を受けた場合に同じような場合が七年以下の懲役、大体大きく分けてこの三つがあるんじゃないですか。
  63. 海原治

    政府委員海原治君) 犯しました行為に対する量刑罪の量から申しますと、そういう分類ができるかと思います。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの私の分類は、法律的にはちょっと荒っぽい分類ですけれども、そういうふうな分数もできるということが考えられると思うんですが、そこで、この協定と同じような協定というか、警察自衛隊との間で結ばれておる協定というのは、ほかにもあるんですか。
  65. 海原治

    政府委員海原治君) 先ほど申し上げました昭和二十九年九月三十日に防衛庁長官国家公安委員会委員長との間に結ばれました。協定がいわば基本的なものでございます。これに従いまして、この協定の八と九にございますが、いわゆる細部協定、現地協定、こういうものがそれぞれの段階におきまして関係の事項について結ばれております。先ほど申しました基本協定の第八項と第九項に、細部協定を結ぶ、現地協定を結ぶ、こういう規定がございます。朗読いたしますというと、第八といたしまして——いま申し上げておりますのは、九月三十日の協定でございます。こちらで提出いたしましたのは、その趣旨を抜粋してお手元にお届けしてございます。そこで、私どもの中では、細部協定とか現地協定とかいうものが必要であろうということに基づきまして、それぞれの協定を締結しているわけでございます。その協定の内容を要約いたしましてお手元に差し上げたわけでございます。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 細部協定というものは、一応防衛庁長官と国家公安委員長との間の協定があって、そこからさらにこまかいものがあるんでしょう。ここにもらった協定の内容というのは、細部協定そのものなんですか。別個のものじゃないんですか。
  67. 海原治

    政府委員海原治君) 私の説明がちょっといろいろ前後いたしまして、おわかりにくかったと思いますが、お手元に差し上げましたのは、二十九年の協定の要点を抜粋したものでございます。この一番最後に五の「相互援助」と書いてございますが、これに、たとえば「通信その他の施設の利用並びに自動車両その他の諸物品の使用等に関して、相互に援助する」とございます。どういう援助をするんだという取りきめが必要でございます。そういうのが細部協定という形でまた別にあるわけでございます。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その細部協定というのは、幾つぐらいあるんですか。
  69. 海原治

    政府委員海原治君) 現在できておりますのは、通信の協力に関する細部協定がございます。それとその協定の実施の細目の協定と、こういうものができております。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは通信だけですか。たとえば自動車等の使用についての細部協定とか、ほかにはないんですか。
  71. 海原治

    政府委員海原治君) 一般的な警察との間の協力の、官庁間の相互扶助という関係におきましてのそういう通信機とか車両とかというものを貸したり借りたり、あるいは一時的に保管転換をするという趣旨の協定はございます。で、治安行動上の場合において特にそういうものについてはできておりません。
  72. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、治安出動の際におけるこの協定から出ておる細部協定というのは、いまあなたの言われた通信の実施に関する細部協定だけなんだと、そのほかは官庁間の協力ということからくる一般的なものなんだと、こういうわけなんですか。
  73. 海原治

    政府委員海原治君) そのとおりでございます。
  74. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 実は、これは私のほのも質問の通告をきのうになってしたので、あなたのほうも十分準備ができなかったし、いまこれをもらったものですから、内容を十分検討していないので、別の機会にいろいろ質問をしたいと、こう思うんですが、自衛隊にある警務官及び警務官補というふうなものは、どの程度いて、その権限についてはどういうふうに規定されているんですか。
  75. 海原治

    政府委員海原治君) まず、御質問任務の点でございますが、これは隊法の九十六条に書いてございますように、部内の秩序維持に専従する者として規定されておるものでございます。すなわち、自衛隊の施設の中に起きました犯罪であるとか、あるいは自衛官の犯しました犯罪でありますとか、こういうものにつきましては警務官がこの犯罪の捜査に当たる、司法警察職員としての権限を持っております。警務官補というのは、それの補助者でございます。  この人員でございますが、手元の資料が若干古うございますが、大体警務官の総数は六百七十名前後の定員でございまして、現員が約五百六十名、私の手元の資料ではこの数字しかございませんので、大体そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  76. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 治安出動の場合における協定以外に、警察とそれから自衛隊との間の警務官と一般警察との間の権限に対しての協定、これはこの前問題になりまして出してもらったものですけれども、こういう協定もあるわけでしょう。その他にも何かあるんですか。
  77. 海原治

    政府委員海原治君) いまの点につきましては、「自衛隊警察との犯罪捜査に関する協定」と、こういうものがあるだけでございます。
  78. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、いまの犯罪捜査に関する協定がある、それから治安出動の場合のこの協定がある、この二つだけですか、自衛隊警察との間のいわゆる協定は。ほかにも何かあるんですか。
  79. 海原治

    政府委員海原治君) 私の記憶が正しければ、この二つでございます。
  80. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたの記憶が正しいと信じているんですけれどもね。そうすると、きょうでなくていいですよ、調べてくれませんか。
  81. 海原治

    政府委員海原治君) 一応私の記憶によりますと、その二つだけと考えておりますが、突然の御質問でございますので、ほかにあるといけないと思いましてそういうお答えをしたわけでございます。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 良心的に答えてくださって、たいへん恐縮なんですがね。私のほうの通告がおそかったので、これは無理もないと思いますがね。  そこで、「自衛隊は、必要に応じ、警察に協力して、交通整理、質問、避難等の措置を行なうものとする。」と、こうあるんですが、この「質問」というのはどういうことを言っているわけですか。法律による質問ですか。職務質問……。
  83. 海原治

    政府委員海原治君) 警察官につきましては、警察職務執行法の規定がございます。あすこにも「質問」という条項がございます。それと同じ種類の法律上の意味を持った行動でございます。
  84. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうならば、警務官及び警務官補がそういう権限を持っているというなら、これは私もある程度よく理解できるつもりですが、(主として警務官及び警務官補)となると、警務官や警務官補以外でもそういう権限を持つんですか、治安出動の際に。
  85. 海原治

    政府委員海原治君) これは、隊法の第七章自衛隊の権限を規定されました中の第八十九条に、その第一項でございますが、「警察職務執行法の規定は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた一これは治安出動でございます。治安出動命令を受けました——自衛隊の自衛官の職務執行について準用する。」と、こういう規定がございます。これに従いましてそのような行為をするわけでございます。
  86. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、この条文をまともに読めば、あらゆる自衛官ですね、安治出動のときのその出動を命じられたあらゆる自衛官の職務執行の場合には警察職務執行法が全部準用されるんだ、だからこの「質問」というものもそういう自衛官が全部できるんだ、こういうことになるわけですか。
  87. 海原治

    政府委員海原治君) そのとおりでございます。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、ここに「主として」というのは、ことばじりをつかまえて恐縮ですけれども、おかしいじゃないですか。
  89. 海原治

    政府委員海原治君) これは、実は、自衛隊法で権限を持っておりますが、そういう法律的行為を伴うようなことはなるべく専門の知識を持った警務官及び警務官補等でやらしたほうがいい。したがいまして、「主として」ということで一応部内的の制限をいたしているのだと思います。場合によりましては一般の隊員もできる、しかし、自衛隊員というものはそういうものはふなれでございますので、万やむを得ない以外はやらない、こういう気持ちを出した規定でございます。
  90. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 「情報交換」のところに、「治安情報(資料を含む。)に関し、相互に緊密に連絡するものとする。」と、こうあるわけですが、いままでこの協定ができてからどういうふうにやっているんでしょうか。これは遠慮なく言ってくださいよ。
  91. 海原治

    政府委員海原治君) この協定は、冒頭に申し上げましたように、治安出動の際における協定でございますので、幸いにいたしまして、いまだかつてそういう事態はございません。したがいまして、いま御質問のようなことは全然ございません。
  92. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、自衛隊としては、あれじゃないですか、あるいは警察としても、治安出動に備えての情報交換というものは当然行なっておるのじゃないんですか。
  93. 海原治

    政府委員海原治君) 御指摘のとおり、有事の場合には警察自衛隊とは協力しまして治安維持に当たるものですから、平素からいわゆる官庁間の相互の連絡という形で治安に関する情報につきましては必要なものの授受を行なっております。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、警察のほうでも自衛隊のほうと定期的に、あるいは不定期かしれませんけれども、どの程度治安情報の交換をやっておるんですか。相当やっておるのじゃないんですか。
  95. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) ただいま海原君からお答えしましたように、ひとしく治安の仕事を担当していますという意味合いから、情報等もできるだけの連絡といいますかやることにしておりますが、御質問のような定期的な打ち合わせであるとかいったようなことは現在やっておりません。ただ、たまたま久しぶりに寄り合ってお互いに話をしようじゃないかといったようなことはございます。しかし、何ぶんにも治安機関といいましても情報の交換というのは性質上なかなかお互いに言わないというようなことがございまして、その間間隙が生じないようには私どもせにゃならぬ、こういうふうに考えておりますが、まあ定期的といえば、おそらくいろいろな刊行物であります。こういったものの情報は、これは私のほうからも行っておると思います。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの治安情報といいますか、そういうふうなものについて、自衛隊で、これは警察と協力してやったのかどうかわかりませんが、たとえば警備地誌というようなものをつくったことはありませんか。
  97. 海原治

    政府委員海原治君) 警備地誌と申しますのは自衛隊が有事の場合に行動いたしますその際の必要な資料といたしまして、陸につきましては日本じゅうのそれぞれの場所につきましてもよりの部隊がそういうものを作成することを大臣のほうから命ぜられております。したがいまして、毎年そういうものの作成はいたしております。で、海につきましても、これは海洋警備誌となるかと思いますが、所要の行動に際して必要な、いうなれば情報と申しましても、いわゆるインフォメーションでございます、そういうものをまとめたものを地誌として用意しております。そういう状況でございます。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 陸上自衛隊は主として間接侵略に備えるんだということがよく常識的に言われるわけですが、それで、主として陸上自衛隊が中心となってつくった警備地誌というんですか、これはいつごろからつくっておられるんですか。昭和三十年ころからつくっておるのじゃないんですか。この協定が発効してからずっと。
  99. 海原治

    政府委員海原治君) ただいま先生の冒頭の主として間接侵略云々というおことばでございます。これは、私どもはそんなように考えておりません。  それから警備地誌につきましては、これは警察予備隊発足以来——発足当時はもちろん部隊の編成等に忙しかった時代もございますので、まとまった地誌というものがございませんが、いつごろか正確には記憶しておりませんが、予備隊が発足しまして一年くらいたってから逐次そういう地誌の編さんの仕事を始めておる、こういうふうに記憶いたしております。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 警備地誌というのは正式にそういう名前でよいのかどうかということと、そういうふうなものをつくる自衛隊法上の根拠はどこにあるんですか。
  101. 海原治

    政府委員海原治君) 警備地誌というのは、そのとおりの名前を使用いたしております。  その根拠でございますが、これは自衛隊の行動に必要な情報の収集、調査ということは、当然に私どもの任務と考えて実施いたしております。ただ、警備ということばが若干誤解を生ずるのでございますが、当時発足しましたときには、警察予備隊というものは、警察の支援後拠、警察の予備でございます、名の示しますとおり。いわゆる警備ということがその任務である、そのための役だと、こういうことで警備地誌ということばを使用したものと私どもは承知しております。
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは具体的には何をやるんですか。ちょっとはっきりしないんですが。
  103. 海原治

    政府委員海原治君) 具体的に申し上げますと、たとえば、東京の周辺につきましても、東京から浦和に行く道路の幅は何メートルある。そこにかりに橋がかかっておるとしますと、その橋のいわゆる強さは何トンまでの車両に耐え得るか。あるいは、川がありました場合には、その川は徒歩で渡れるかどうか、普通の車両でも渡れるかどうか。こういうふうに、部隊が行動をしますときの参考になる、昔の軍隊で申しますと兵要地誌ということばがございましたが、そういう種類のインフォメーションをそれぞれ地図の上に表現し参考の資料としてまとめたものが警備地誌でございます。
  104. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 治安出動の際に必要なために行なうものだと思いますが、そうすると、治安出動を行なう場合の状態というのは、国内に暴動か何か起きた場合ですか。そういうふうな場合のことなわけですか。
  105. 海原治

    政府委員海原治君) 警備地誌の編さんは、単に治安行動だけでございません。自衛隊は、御存じのように、防衛出動時において行動します任務を負っておりますので、要するに、自衛隊が行動する場合には行動することのあるかもしれない地域につきましては十分な事情を知っておく必要がございます。そういうことでつくっておりますものでございますから、特に治安出動のためにということじゃございません。災害の場合にもこれは役に立つわけでございます。  特に最近私どもが非常に重宝に感じておりますのは、この警備地誌によりまして、出水時におきましてはどの橋のほうがこわれやすいとか、あるいはどの辺がはんらんが起こりやすいというようなことを承知いたしますので、そういうような状況になりますというと、あらかじめ予防的な措置がとれる。いわゆる災害の救済的な措置にも十分役立っております。  このように、もう一度申し上げますと、自衛隊が動く場合の参考のためにはぜひなければならないものと、こういうことで警備地誌を用意いたしております。
  106. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 災害の場合は、これは自衛隊としては副次的な場合だと、こう考えるわけですが、たとえば治安出動の場合は、自衛隊法七十八条によっても、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般警察力をもっては、治安維持することができないと認められる場合に」云々と、こう書いてあるわけです。そうすると、治安出動をするという場合ならば、その逆に、相手方と言うと語弊がありますが、この条文による間接侵略、あなた方の言う間接侵略云々を起こしたと考えられる人々なり何なりのふだんの行動とか、あるいはそういうようないろいろな状態の調査を当然しておかなければ、何といいますか十分な効果をあげ得ないんだと、こういうふうに考えられるのじゃないですか。
  107. 海原治

    政府委員海原治君) ただいま先生の御指摘になりましたような万一の場合にそういうことをやるおそれがある人々というのがはっきりわかっておりましたら、私どもはそういうことを調べたいわけでございますが、そういうものは別に私どもどういう人がそうであるかということにつきましての認識がございません。したがいまして、そういうものについての調査というものは、当然これはあり得ないわけであります。
  108. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 特定の人をさすという意味ではなくて、ある団体なら団体がそういうふうな行動を起こすかもしれないんだ、こういうふうなことで当然あなたのほうとしても調査をしているんじゃないですか。
  109. 海原治

    政府委員海原治君) 私どもの部隊治安出動の際に動きますのは、相手の人々がどうとかこうとかということは関係ございませんで、先ほどから申しておりますように、一般には警察というものが治安維持に当たっておられるわけでありますから、その警察力でもつてそれが対処できないという場合に出ればいいわけでございます。そういう場合は非常に少ないかろうと思いますので、そういう人々のそういう場合の行動の態様がどんなものだろうかということだけを考えておけば、その有事の際に私どもの部隊に与えられました任務というものは十分果たされると思います。したがいまして、あらかじめそういう行動をとるものはどういう団体であろうかというような想定をして、これにつきまして常時行動等を情報としてとるということは、全然いたしておりません。
  110. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だけれども、警備地誌というものの中に、労働組合の指導者の思想だとか、政党関係だとか、あるいは友人関係だとか、そういうようなものを調査したものが入っておるのじやないですか。もしあなたのほうで入っていないということなら、いままでの警備地誌というものを出していただきたい。入っていないというならば、遠慮なく出していただきたい。
  111. 海原治

    政府委員海原治君) 先ほどから申しておりますように、そういう事項は入っておりません。ただ、警備地誌を出すとかどうとかということは、これは国会と政府との関係でございますので、私一存でいいとか悪いとかということは申し上げられませんが、事柄の性質上、自衛隊が行動する際に必要な資料でございます。特に国会の委員会の御要望になるような御審議に必要な資料というふうには私は感じておりません。
  112. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 洪水の場合どうとか、橋がどうとか、道路の幅がどうとかということならば、別に隠す必要はないのじやないですか。そこに付随的なものがいろいろたくさん入っているから出せないのじゃないんですか。そういうことになるんじゃないですか。それは国政調査範囲も問題だろうと思います。私が個人の委員としてそういうようなものを出してくれと言ったって、それは直ちに国政調査権の発動になるかどうか、それはわからないんで、議論のあるところですから、これはお互いにといいますか、フェア・プレイにやらなければいけませんが、あなたの言われるようなものであったならば、私は何ともないと思う。出さなくてもいいですよ。出さなければ、ここに持ってきて初めから終わりまで読んでもらいたい。そうなると、何が書いてあるかわかる。それまで隠すと、さあおかしいぞ、何かあるんじゃないかということをだれだって考えますよ。ぼくがひねくれているのじゃなくて、これはきわめて常識的な考え方として出てくる。
  113. 海原治

    政府委員海原治君) 警備地誌に非常に疑惑を持っておられるようでありますが、私政府委員としてお答えしておることが正しい姿でございまして、それじゃ証拠を出せということになりますと、これはちょっとこういう席でお答えすることは適当じゃないというふうに考えます。警備地誌にはそういうものは盛り込んでおりません。しかし、私どもの一般官庁におきましていろいろな書類がございますが、その書類を出せ、出さなければその書類はおかしいことが書いてあるのじゃないかというふうにお考えになることは、ひとつ御容赦を願いたいと思います。
  114. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 御容赦をするかしないかはこれは各自の判断の問題で、あなたのほうとしては出しにくいのでしょうけれどもね。  それから、あなたのほうに井元熊男という人がもとおったことがありますか。
  115. 海原治

    政府委員海原治君) いまおっしゃいました名前の方は、陸上自衛隊の幹部をしておられまして、先年退職されました。
  116. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この人がやめられたのには特別な理由があるんですか。
  117. 海原治

    政府委員海原治君) 停年によりまして退職されましたものと承知いたしております。
  118. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その人がこの国会の中でどういうふうな発言をされたか、これは国会の委員会の場ではなくして、自民党の安保特別委員会というところに出て発言したらしいんですね、去年の三月七日に。そのことをあなた方のほうでは調べたりなんかしたことがありますか。
  119. 海原治

    政府委員海原治君) 私は、全然承知いたしておりません。
  120. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 井元熊男という人が三十八年の三月七日に、参議院の自民党の安保特別委員会というのですか、これは自民党の安保特別委員会かもしれますんが、ここで何か報告をした、こういうことですね。そういう事実があるかどうか、あなたのほうで調べていただけませんか。
  121. 海原治

    政府委員海原治君) すでに退職をされた方のそういう行動につきまして私のほうで調べるということはいかがかと思いますが、元陸上自衛隊の高官の方でございますので、一応私のほうで調査いたしまして御連絡申し上げます。
  122. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その人に当たって調べろということは、いまやめた方で無理かもしれないが、この程度のことはあるいはできるかもしれません。あなたのほうの何か業務日誌というか、そういうふうなものを見れば、国会に来ていろいろなことを発言したとは、正式な委員会でないとしても、そんなことはわかるんじゃないですか。
  123. 海原治

    政府委員海原治君) 国会の正式の機関で証言ないしは陳述されたことにつきましては、私は防衛局長としまして全部目を通しているつもりでおりますが、国会の建物の中でどういう人がどういうことを言われたかということにつきましては、いままでもそういう関心を持ったことがございませんし、今後もそういうことを調べる気持ちはございません。
  124. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国会の中でどういうことをしゃべったかは、正式な本会議とか委員会とかじゃない、自民党なら自民党の何かの会に呼ばれて言ったのですから、その内容はあるいは非公式な発言かもしれません。あるいは公式な発言かもしれませんが、いずれにしても、その日に行ったことがあるかないかということは、あなたのほうで当然何かのものが残っているわけですから、調べられると思うんです。内容はいいですよ、内容はまた別個の問題として。
  125. 海原治

    政府委員海原治君) 先ほど申し上げましたように、退職されました方のその後の御行動ということにつきまして、私どもは全然情報をとっておりません。いま先生のおっしゃいますようなことでございましたら、私から申し上げるのはなにかと思いますが、一応自民党のほうに御連絡いただけますれば幸いではないか、こういうふうに感じております。
  126. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは自民党のほうに聞けばいいんですけれども、あなたのほうの人でもあるんですから。自民党のほうに聞いてもなかなかほんとうのことを言わないからあなたにお聞きするわけですからね。いまのは失言かもわかりませんけれども、それはそれとして、あなたのほうも調べるだけ調べてください。  それからもう一つは、アメリカ軍の基地がたくさんありますね。基地の周辺のいろいろな事情というものを調べて、そしてアメリカ軍に報告するということがあるんですか。
  127. 海原治

    政府委員海原治君) そういうことはございません。
  128. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは警察のほうはどうなんですか。警察のほうは、基地周辺のいろいろな事情ということは、警察の警備当局としては、法の許す限りにおいて、違法などという意味でなく、法の許す限りにおいて、基地周辺のいろいろな事情は当然調べられておるんだと、こう思うわけですがね、これを報告しているかどうかは別として。
  129. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 御承知のように、基地問題は非常にやかましい問題で、治安的にもいろいろな事態が発生をしておるのは過去の経験でございます。そういう意味合いで、私どもとしましては、基地周辺で何か問題がありそうだという場合には、周辺の事情を十分に調査いたしております。  ただ、その場合に、米軍に連絡するかといいますと、それはまず私どもとしては連絡はいたしておりません、自衛隊にそれじゃ連絡するかどうかといいますと、これもまず連絡することは少ない。しかしながら、それが直接自衛隊に重大な問題でも起こりそうだというようなことであれば、私のほうからこういうことがあるよということを口頭なり何なりで連絡すると、こういうことはあり得ます。
  130. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いままで、警察当局が、基地の周辺にいま言ったような事情がいろいろあるというようなことを自衛隊に口頭なり書面なりで報告したことがあるんですか。
  131. 後藤田正晴

    政府委鼻(後藤田正晴君) 私警備局長になりましてからは、さような事態は一件記憶がございます。それは、横田の基地問題が数カ月前非常にやかましかった時期がございますが、その際に双方で集まって話し合ったということがございます。それ以外は記憶がございません。
  132. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 基地周辺のいろいろな政党の動き、組合あるいは大衆団体、そういうふうなものの動きや何かを調査して、そうした政治地図というものをつくったことがあるんですか、自衛隊のほうで。これは政治地図という言葉が悪ければ、基地周辺のいま私の言ったような政党とか労働組合だとか大衆団体だとか、そういうふうなものの内容というか、実情というか、動きというか、そういうふうなものを調査したことはあるんですか。
  133. 海原治

    政府委員海原治君) 私、防衛局長になりましから三年半でございますが、そういうことの記憶は全然ございません。
  134. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 政治地図というようなものはあるんですか。
  135. 海原治

    政府委員海原治君) そのような名前のものはございません。
  136. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、自衛隊としては、あれですか、間接侵略というふうなものが起きるかもしれない、それに備えて——それだけに専念したという意味じゃないかもしれませんが、それを含めて、いろいろ日本の状態を調べておるというのは、警備地誌というふうなもの以外にはないんだと、こういうことなんですか。——ちょっと質問の趣旨が悪いですか。
  137. 海原治

    政府委員海原治君) 先生おっしゃいましたいろいろなものということをおっしゃっておられます点がどうも私理解できにくいのでございますが、治安出動に関連いたしましてその部隊の行動上必要だと思われました立場からの調査ということは、警備地誌だけでございます。
  138. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、その警備地誌の中に、ちょっとくどいのですけども、基地周辺の政党だとか組合だとか大衆団体のいろいろな内容やなんかを調査したということも含まれている場合があるんですか、そういうふうな点を含んで当然自衛隊側としては調査をしていそうに常識的に考えられるんですが。
  139. 海原治

    政府委員海原治君) 自衛隊出動時の行動に関連いたしまして、いま先生のおっしゃいました団体の性格であるとかあるいはその人数であるとかいうことがどのような関係を持つかということを考えてみますというと、そういうものが警備地誌の中に入ってこなくちゃならないという理由一つもないと私は思います。ただ、あるいは警備地誌を作成いたします際、あるいは、毎年、もしことし暴動その他のことによりまして治安出動を命ぜられた場合にどうするか、外国からの侵略があった場合にどうするか、こういう意味の毎年のいわゆる武士のたしなみとしましての年度の出動計画あるいは警備実施計画、こういうものはつくっております。これは末端の部隊まで全部そういうものは用意せねばならないものでございますから、そういうものを作成する場合に、あるいはその部隊の周辺におきます、そういう万一の場合にどうなるだろうかということに関連いたしまして、その関係者がいろいろと個人的なデータといたしましてそういうことを調査したことは、これはあるかもしれませんですけれども、しかし、そういうものが正式な資料として警備地誌の中に編さんされておるということは、これは私はないと考えております。
  140. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 関係者が個人的にデータとして調べたものがあるかもしれいなというようなことをいま言われるんですが、何を調べているんですか。
  141. 海原治

    政府委員海原治君) 私が申し上げたのは、先生が先ほどからそういうものがあるだろう、あるだろうと、こうおっしゃいますので、私の知る限りにおいてはそういうものはないわけでございますけれども、しかし、何ぶんにも部隊の数が多うございますし、それらの部隊の幕僚がそういう計画を作成する際に、そういうその幕僚の立場におきまして、これは個人的と申しますのは、決して自由人という意味ではございません。その幕僚が与えられた任務を遂行するための資料として、勉強する過程におきまして、そういうこともあるいはあるのじゃないか、あったのじゃないかということを申し上げる次第でございます。私の知る限りにおいては、そういうことはございません。ただ、こういうことを申し上げますのは、従来、二、三の場合に、各自衛隊調査隊と申しますか、あるいは部隊の一部の者が、具体的な演習場の問題であるとか、あるいは部隊の演習とかに関連いたしまして地元の方がどういうことを考えておるかということの調査をいたしたことはないかという意味の御質問が国会の委員会であったことがございます。そういうこともあるいは先生のお気持ちの中にあるのじゃないかと考えましてお答えした次第でございます。
  142. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 治安出動ということになれば、毎年計画立てるというんでしょう、あなたが言わわれのは。計画を立てるときには、治安出動するのだから、一つの相手を想定して立てているわけじゃないのですか。どういう相手か私よくわかりませんけれども、相手方というか、そういうふうなものはふだんからどういう状態にあるのだということを調査していなければ、治安出動を急にやったってちっともきき日がないんじゃないですか。あない方が自衛隊として、自衛隊の隊員としてというか、忠実であればあるほど、当然そういうふうなものはふだんから調べておかなければ意味がないのじゃないですか、逆説的な言い方ですけれどもね。
  143. 海原治

    政府委員海原治君) これは先ほどもお答えしたところでございまして、先生の御意見と私の判断との違うところでございますが、自衛隊出動を命ぜられました場合に予想されます行動ということを前提に考えてみますというと、いま先生のおっしゃいましたようなことは全然必要ない、こういうふうに私ども考えます。何となれば、たとえば暴動が起こった、そこで警察がそれを鎮圧できない、だから自衛隊来てくれと。それで行きます場合、自衛隊の実力で現にそこに騒いでいる人々を鎮圧すればいいわけでございます。その鎮圧も主として警察が当たるわけであります。自衛隊は、先ほど申し上げましたように、警察の支援後拠、うしろだてといたしまして、建物の警備であるとか、交通の整理であるとか、そういう後方のほうから逐次警察のお手伝いをしていくわけでありますから、その騒いでいる人がどういう人であろうとも、騒ぎの実体は変わらないわけでございますから、それに必要な準備さえしておけばいいわけであります。したがいまして、先ほどの申し上げた繰り返しになりますけれども、その万一の場合に騒ぎを起こすであろうという人がどういう人であろうかということを平素から調査する必要は全然感じておりません。
  144. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、それは自衛隊としてはないけれども、あなたのほうの言い分だと、警察のほうにあるんだと、こういうことですか。警察のほうでやってくれているから、あなたのほうでは関係ないんだと、こういうことですか。
  145. 海原治

    政府委員海原治君) 私は防衛庁の立場からのお話をしておりまして、私のほうではいたしておりません。しかし、警察のほうでやっておるかどうかということにつきましては、これは警察のほうからお答えいただきたいと思います。
  146. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 警察のほうには、きょうは時間がありませんから、またゆっくりたくさん材料を持ってきてやりますから、きょうはこの程度にしておきますが、しかしあなたの言うように、警察の支援後拠なんだ、それだけに限定されるんだと。あらゆる場合にそういう保証はないのじゃないですか。場合によっては警察のほうが人がなかったら、もっともっと前に行って第一線に立ってやらなければならない場合も出てくるんじゃないですか。支援後拠に限定されるんだという保証はどこにあるんですか。
  147. 海原治

    政府委員海原治君) いま先生のおっしゃいました保証ということになりますと、非常にむずかしいのでございますけれども、お手元に資料として提出いたしました協定にもはっきり書いてございますが、「暴動の直接鎮圧に関して、警察力が不足する場合においては、自衛隊は、警察と協力して、暴動の直接鎮圧にあたる」ということでございます。それから、先ほど申し上げましたように、自衛官というのは、本来こういう警察的な行動を行なうような訓練をしておりません。したがいまして、私どもは警察のお手伝いをする場合におきましても、私どもの隊員の能力あるいは資格というものを十分考えまして、一般警察官が行動を起こすような場合というものを前提いたしておりません。やはり部隊としての力といいますか、あるいは交通の整理であるとか、あるいは建物の警備であるとか、要するに法的効果をたいして伴わないようなことをわれわれは担当したいと、こういのことでやっておるわけでございます。  その保証はどうかと、こう言われますと、ただ私どもはそれがいいと思ってやっているということだけでございます。
  148. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ことばじりをつかまえて恐縮ですけれども、任務分担の(1)のイの項目のところを見ると、「自衛隊は、主として警察の支援後拠として行動する」と。主とするわけですから、主としない場合もあるわけですね。結局、支援後拠だけでなくて、全面的に警察と協力する、あるいは協力する以上の行動に出る場合もなきにしもあらずということになってくるのじゃないですか。
  149. 海原治

    政府委員海原治君) そういう場合もなきにしもあらずということでございましたら、そのとおりでございます。
  150. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、最後に一点だけですが、治安出動の際の草案というんですか、治安行動草案というんですか、前にありますね。それを直すとか言っていたんですけれども、どうなったんですか、あれは。
  151. 海原治

    政府委員海原治君) これは、先般、関係委員会におきまして御質問がございまして、私どもの大臣からもお答えいたしておりますが、現在検討中のものでございます。で、まだ成案を得ておりません。
  152. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの検討中ということですけれども、いつから検討しているんですか。ずいぶん検討しているじゃありませんか。
  153. 海原治

    政府委員海原治君) 私、担当局長でございませんので、まことに申しわけございませんが、昭和三十五年か六年と記憶しておりますが、そのころ国会の委員の方から御質問がございましてお答えしたわけでございますが、それ以来検討を続けておる次第でございます。それで、今年度中にはたしか成案を得る見込みである、このようなお答えを大臣がされましたことを記憶いたしております。
  154. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前、あなたのいられた分科会で、はっきりことしの八月までには出す、そういうことを言われておりますから、これはいまの御答弁とは少し内容が違います。治安行動草案を見れば、ずいぶんあなた方の御答弁と食い違ってくることがたくさんあると思う。これはこの次の機会にします。  ただ、一つだけお聞きしておきたいのは、警備地誌というのは秘密文書なんですか。どの程度の秘密文書なんですか。極秘と秘と取扱注意と、その中のどれに当たるんですか。
  155. 海原治

    政府委員海原治君) 現在の秘密区分の指定につきましては、私正確に覚えておりませんが、少なくとも全部は部外秘でございます。それ以上に秘という区分はないように記憶しておりますが、あるいは場合によりましては一部分秘になっているものがあるかもしれません。
  156. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  157. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を起こして。  本件の調査は一応この程度にとどめて、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十六分散会    ————・————