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最高裁判所長官代理者(
寺田治郎君) これは、前回にもちょっと申し上げましたが、今度
裁判官その他の
職員の
増員をしていただくということの
考え方は、大体二点から出ておるわけでございます。一点は訴訟の促進という問題でございますし、一点は
交通事件の
処理ということになっているのでございます。
そうして、いま
お尋ねの点は主として
訴訟促進の
関係の問題と存じますが、この訴訟の促進につきましても、現在いろいろお話を伺っておりますと、結局やはり大都会の訴訟
事件が非常におくれておるという御批判が多いのでございます。それに比べますれば、中小都市の
事件の遅延ということはそれほどでもない、こういうふうにいろいろ御批判をいただいておりますので、私
どもといたしましても特に大都会のほうに重点を置きまして、大体六大都市及びこれに準ずるところの
裁判所に
増員をしていただくという
考え方が出発点でございます。
そういたしまして、お手元に差し上げました「
訴訟促進のための所要人員算出方式」というものに書いておりますとおり、現在民事では大体十カ月から一年近くかかる、刑事では大体六カ月
程度かかっておるということでございますので、これを少なくとも民事では五カ月、刑事では三カ月と速度を半減したい、こういう観点から人員を算出したわけでございます。
その算出のごく大まかな
考え方は、前回にも申し上げましたとおり、要するに
裁判官を倍にすれば
事件は半分の速さでできるであろう。これも当事者のほうの御都合とかいろいろございますから、一がいには言えませんけれ
ども、ごく大まかに
考えれば、
裁判官を倍にすれば
事件は半分の速さでできると、こういう
考え方が出発点でございます。ただ、これを一年でやろうといたしますと、ばく大な
裁判官を必要とすることになり、これは常識的ではございませんので、大体三年計画ぐらいでこれをやっていくと、こういうことにしようということでこの数字をはじき出しているわけでございます。
「算出方式の説明」というところが非常に複雑なような表現をとっておりましておわかりにくい点もあろうかと思いますが、実は、前回にも申し上げましたとおり、これはいまから四、五年前に
訴訟促進関係で
増員を要求するという作業を始めました当時、当時の
担当者が統計数学の専門家の知恵を借りまして、そうしてこれを数式にするにはどうしたらいいかというようなことでいろいろその
意見も聞きまして、そうしてその結果ここにこういう数式というものを
考え出して、この
考え方自体は大体
大蔵省のほうでも御了解いただいておるわけでございます。実は、私
どものほうは、そういう式ができましたものを最近になってあとから見ておるわけでございますので、理解の点が若干不十分な点があろうかと思いますが、結局、そこにありますように、三年後の未済件数というのは、要するに、現在の未済件数と、今後三年間に新たに来る
事件、これがいわば受理のほうになるわけでございます。それから
処理のほうは、
裁判官の数に
裁判官一人当たりの年間
処理件数を乗じてこれを三倍にすれば、それが三年間の
処理能力ということになりますので、三年間の受理件数から三年間の
処理件数を差し引きますれば、これが三年後の未済件数になる。そうして、(B)のところにありますのは、結局、審理期間の短縮率、つまり、特定の
事件を一年でやるか半年でやるか。つまり、半年でやれるということは、未済
事件が半分になれば審理期間も半分になろう。そういう
意味では、大きな目で見れば、審理期間の短縮率は未済
事件の減少率と一致するであろう。こういう点からこの二つをかみ合わせますと、その(C)のところにありますような数式が出てまいるということになるわけでございます。結局、現在の未済
事件数よりもどれだけ審理期間を短縮するかということは、結局、現在の未済件数と、それから今後の
処理件数、それは
増員後の
裁判官数で見てまいりますれば、そのときに審理期間が半分になっておるものならば結局この数式は成立すると、こういうことになるのでございます。これをこのままでは非常にわかりにくうございますが、それぞれたとえば現在の未済件数をAと置き、審理期間短縮率をBと置くというふうにして、そうしてその方程式を解いてまいりまして、求める数字は
増員後の
裁判官数というものが求める数字でございますから、この方程式を解きますと、その下にあります「故に」というところの数式になる。で、結局この数字を求めるわけではございますが、しかし、そのうちの年間処刑件数を一人当たりの年間
処理件数でやっていくという点は、大体現在の
裁判有数と見てもよいので、今後
増員を必要とする数は、そのプラス以下に書いてあるところになるのではないかということで、結局一番冒頭のところに戻りまして、所要人員数というそこに帰ってくると、こういうことにごく大まかに申し上げますればなるわけでございます。