運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-19 第46回国会 参議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十九日(木曜日)    午前十時三十七分開会    ———————————   委員の異動  三月十七日   辞任      補欠選任    高橋  衞君  佐野  廣君  三月十八日   辞任      補欠選任    佐野  廣君  高橋  衞君   ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     中山 福藏君    理事            後藤 義隆君            稲葉 誠一君            和泉  覚君    委員            植木 光教君            鈴木 万平君            田中 啓一君            高橋  衞君            坪山 徳弥君            亀田 得治君            岩間 正男君   政府委員    警察庁刑事局長 日原 正雄君    防衛庁人事局長 小幡 久男君    法務大臣官房司    法法制調査部長 津田  實君    法務省民事局長 平賀 健太君   最高裁判所長官代理者    最高裁判所事務    総局総務局長  寺田 治郎君    最高裁判所事務    総局民事局長  中村 治朗君    最高裁判所事務    総局家庭局長  細江 秀雄君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○下級裁判所設立及び管轄区域に関  する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○裁判所職員定員法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○検察及び裁判運営等に関する調査  (千葉県下における自衛隊員による  暴行事件に関する件)    ———————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、以上両案を一括議題とし、質疑を行ないます。稲葉君。
  3. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判所職員定員法に関連することでお尋ねしたいのは、三十九年度概算要求でどういうふうに判事裁判所書記官等増員要求したのか、これをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  4. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいまのお尋ねの点でございますが、当初の要求は、判事二十四名、判事補四十六名、簡易裁判所判事四十三名、裁判所書記官二百十二名、裁判所事務官百五十名、家庭裁判所調査官百三十一名、これだけを要求したわけでございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それが今度の予算要求の中で認められて要求しているのはどういうふうな数字になるわけですか。
  6. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいま申し上げました裁判官なり裁判所書記官家庭裁判所調査官等人員増要求は、二つ観点からいたしたわけでございます。  第一は、訴訟促進という面でございまして、この関係におきましては、特に六大都市その他大都会の民刑訴訟事件遅延が非常に大きいというところから、そういうところの事件促進をはかるという趣旨要求したわけでございます。これが、先ほど申し上げました要求中の約半数に当たるわけでございます。  それからもう一つ観点は、いわゆる交通事件処理でございまして、最近においていわゆる道路交通事件が非常に激増してまいっておりますので、これの処理のために簡易裁判所判事あるいは家庭裁判所調査官等要求すると、こういう趣旨要求したわけでございます。  その要求いたしました数字は先ほど申し上げましたとおりでございますが、その結果認められましたと申しますか、話がつきましてただいま国会で御審議いただております三十九年度予算に計上されております数字は、判事五名、判事補五名、簡易裁判所判事五名、裁判所書記官事務官調査官含めまして合計百三十五名と、これだけのものが認められていま計上されて御審議をいただいておると、こういうことになるわけでございます。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 訴訟迅速化交通事件処理円滑化二つに分けているわけですが、そうすると、訴訟迅速化裁判官増員要求判事二十四名、判事補三十人、全部で五十四名ですが、それはどういうふうな根拠で五十四名が必要だということになってきたんですか。
  8. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいまお尋ねいただきました点は、先ほどもちょっと申しましたように、裁判が全体として遅延いたしておることはございますけれども、特に六大都市それから高等裁判所在地というようなところの訴訟遅延が大きいというところに着眼いたしまして、これは三十八年度にもそういうような趣旨予算要求なり予算をお認めいただいたわけでございますが、引き続きまして昭和三十九年度におきましてもそういう都市について裁判官なり書記官増員していただきたいということでございまして、具体的に名前を申しますと、東京、横浜、大阪、京都、神一戸、名古屋、広島、福岡、こういう庁にしぼって要求したわけでございます。  そういたしまして、その計算根拠ということでございますが、これはまず促進とともに適正化という問題もございますので、、現在の単独でやっております事件の比率を一そう多く合議にいたしまして、少なくとも民事については一五%、刑事については二五%程度合議事件処理することにいたしたい。そういたしまして、そういう前提のもとに、現在の訴訟を現在の約半分程度速度にできないものだろうか。ごくおおまかでございますが、平均して申しますと、民事のほうでは事件処理に約一年、十二カ月余りかかるわけでございますし、それから刑事のほうではやはり半年、六カ月程度かかっておるわけでございますが、これを少なくとも民事については五、六カ月程度刑事については三カ月程度と、こういうところまでつまり速度を半減したいと、こういうことでいろいろそろばんではじき出しまして、そのものをそのまま要求いたしましても、これはばく大なる数字になりますので、これをやはり二年計画ぐらいでやりたいというようなところからはじき出しました数字が先ほど申し上げました増員要求数字ということになるわけでございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 民事でも刑事でも、単独のものを合議に回すんですか、裁定で。そうすると審理促進するという考え方でいっているわけですか。
  10. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいまの説明がやや混乱いたしたかもしれませんが、実は、裁判の場合、常に適正化とそれから促進二つ観点から考えておるわけでございます。合議に回すということをちょっと申し上げましたのは、これはむしろ適正化の問題でございまして、ここで中心的な課題はやはり促進のほうでございますから、そういう意味では、十二カ月を六カ月にし、あるいは六カ月を三カ月にするというところが中心的な考え方であったというように御理解いただいていいわけでございます。  ただ、そのときに、何でもかでも一人でやって早くやるのかというふうにとっていただきましてもという趣旨で、それはやはりそうではなくて、必要な事件合議で今後やりながらかつ促進したいと、こういう考え方であったわけでございます。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 お話はよくわかるんですが、判事二十四人、判事補三十人の要求が出てきますと——数字的なものが何だかはっきりしないのですが、二年計画でどういうふうにするというんですか。表はあるわけですか。
  12. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) それはこまかい表をお目にかけますれば御理解いただけると思いますが、実はこういう数字は、率直に申し上げまして、いわば私どもよりももう少し下のほうの課長なり事務官のほうでそろばんをはじいておりますので、こまかい数字をいますぐと申されましてもちょっと説明がむずかしいわけでございますが、考え方といたしましは、現在の未済事件及び今後予想される新受事件というものを考えまして、それから従来の各裁判官負担件数を見まして処理能力というものを考えまして、その処理能力で割りますれば、つまり何人あればそれが片づくであろうかと、こういう計算を、簡単に申し上げますればそういう計算をいたしまして、つまりそれだけの人間を増員すれば現在の未済を片づけてさらに将来の新受事件が半分の期間でいくであろう。つまり、ごく簡単に申し上げますれば、裁判官を倍にすれば半分の期間で済むであろう、ごく大まかにいえばそういうことになるわけでございますが、ただ、その間に未済事件関係未済がだんだん減ってきますと、そこに加速度というような問題もございまするし、そういうようないろいろな要素を緻密に計算いたしまして一応出したわけでございます。大まかに考えれば倍になれば半分になるのじゃないかというそういうところが出発でございますが、実際に要求いたします定数をはじきましていろいろ事務的に計算をしているわけでございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの点は、差しつかえなければ、次に来週でいいですから、二十六日に私もう一ぺん質問したいと思うものですから、差しつかえなければ出していただきたいと、こう思います。  そこで、いまの点に関連するんですが、大蔵省が認めたのは、判事五人、判事補五人だけですね。裁判所書記官は百十二人の要求に対して二十人ですが、これしか認めなかったわけですね。それは大蔵省側見解はどういう見解なんですか。
  14. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいまお話しいただきましたとおりの数で一応話をつけまして、いま予算案なり法律案で御審議いただいておるのでございますが、その場合に大蔵省の側の考え方と申しますか、実はこれは最高裁判所といたしましてもこの数字を了承いたしまして、そうして予算の御審議なり法案の御審議をいただいているわけでございます。  その際の考え方という点を申し上げたいと思いますが、これは交通のほうはいずれあとお尋ねもあると思いますが、少し観点が違うわけでございますが、訴訟促進のほうの関係は、実は、何と申しますか、やむを得ずこの程度にせざるを得なかったということでございます。そのやむを得ないという意味は、つまり従来から問題になっておるところでございますが、裁判官充員というものが非常に実際上困難なわけでございます。そういうことを申しますと、それではそもそも要求が無理ではないかという御批判も受けるかとも存じますが、要求いたしますときには、まだこれは六月、七月ごろからいろいろ計算もいたしてまいりますし、そういうことでございますのでいろいろ見通しというものがあるいはという希望的観測等もありまして、とにかく裁判所としてあるべき裁判官を充実したいというような見地でそろばんを出すわけでございます。しかし、折衝しておりますうちに十一月、十二月となってまいりますと、その間に裁判官退職の状況、あるいは次年度司法修習生から裁判官に任官を希望する者の大体の傾向と、それからあるいは弁護士会その他からの入っていただける数というようなものについての見通しというものが逐次具体的になってまいりまして、そうなってまいりますと、相当な欠員をかかえてなおかつ増員をしても充員の見込みがないということになりますれば、これはまあいわば国家予算をそれだけいただきまして欠員を擁するということでは申しわけないわけでございますので、次第にそういう見通しと勘案いたしまして、まずこの程度数字ならば充員できるのではなかろうかというようなところに落ちつくわけでございます。  この前、後藤委員からお尋ねがございました充員見通しがあるかというお尋ねでございましたが、私どもとしては、お手元資料にございます欠員ということ、それから今度の増員していただく分、そして充員ということを勘案いたしまして、この程度ならば充員ができるであろうというところに話が落ちついた、こういう筋になるわけでございます。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だいぶ話がわかるといえばわかるし、苦しいといえば苦しい話だと思うんですが、訴訟促進のために判事五人、判事補五人の増員だけでは、やめる人ですね。年限が達して退職される人と、途中でやめ弁護士になったりする人が相当いるわけですね。それはどういうふうになっているんですか。現在の段階年限が来て退職するという人はどの程度あるわけですか。
  16. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいまお尋ねいただきました現在の数等は、お手元法務省のほうから出していただいております「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案参考資料」の二ページのところでございます。二ページの表がございますが、これは昨年の十二月一日現在のものでございますから、それ以後になお若干の変動はございますが、十二月一日当時といたしましては、欠員合計高裁長官及び判事で三十三人——これは上から三行目の右から三つ目の欄でございます。高裁長官及び判事三十三名、判事補十一名、簡裁判事二十七名、合計七十一名の欠員がその当時あったわけでございます。その後も若干の欠員がまた出ておりますが、そして今度の増員をいただきまして十五人を加えますと、百人程度欠員ということになってまいるわけでございます。  それから退職のほうがどうなっているかというお尋ねでございますので、それに関連して御説明申し上げたいわけでございますが、結局、任意に退職される方もぼつぼつございますが、一番大きいのは、何といっても六十五歳の定年になっておやめになる方でございます。この定年は、戦前と違いまして、現在はいわゆる誕生日、厳密に申しますとその前日ということになろうかと思いますが、とにかく誕生日が参りますと定年退官される。これは、毎月数名ずつあるわけであります。結局、四月に充員いたしましても、逐次そういう退官欠員ができてまいる。そして、結局、四月にまた新しい修習生その他から充員するまでは、弁護士からなっていただく場合を除けば、充員補充が困難であるという関係になるわけでございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 三十九年度で、三十九年の四月一日から歴年でいくと四十年の三月三十一日までですか、その間に自然退職するというのは何人くらいいるということになるんですか。
  18. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 三十九司法年度中に定年退官いたします者は、これはまだ三月三十一日までになっておりませんが、一応私どものほうで推定いたしましたものが四十五人ということでございます。もっとも、これは定年退官だけでございますから、このほかに弁護士等になるために退官される方はまた別にあるわけでございます。  それからこの四十五という数字は、すでに十二月以前に退官しました者はここでは欠員という形で出ているわけでございますから、さらに四十五が減るわけではむろんございません。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 四十五というのは、私の聞いているのは、この表以外に三十九年の四月一日から一年間の間にやめる人が四十五人だというわけなんでしょう。
  20. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ちょっと説明がはっきりいたしませんでしたけれども、先ほどお尋ねいただきましたのは、三十九司法年度中に定年退官は何人かということだと思いまして、一年間のを申し上げましたわけでございます。この中にはもうすでにだいぶ入っておりまして、この表以外の分で申し上げますと、定年退官では二十人くらいでございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっとわからないんですが、定年退官は四十五人いるというのがこの表の中に入っているといいますと、おかしいんですが……。
  22. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) もう少し詳しく申し上げたいと思いますが——失礼いたしました。私先ほど申し上げましたのは三十八年の誤りでございました。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくは三十九年のやつを聞いているわけです。
  24. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 三十九年の推定でございますか。失礼いたしました。先ほど申し上げましたのは三十八年でございまして、三十九年の推定がやはり四十五人でございます。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 すると、三十九年に四十五名減るわけですね。そうすると、四十五名減ったうちで簡易裁判所判事になる人も相当いますね。普通どの程度いるわけですか。
  26. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 判事から定年退官になり簡易裁判所判事になるという数字は、ちょっといま手元に正確な数字は持っておりませんが、大体十人から十五人程度ではないかと思います。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、計算で三十九年度に四十五名減るわけでしょう。減って、新しい判事補になる人は大体八十名から九十名ぐらいいる計算にしているわけですか。
  28. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) すでに現在、七十名、あるいはもう少し多くなっておりますが、それに近い欠員がございますので、今度新しく修習生から判事補になります者あるいはその他を入れましても、これを充員するのが精一ぱいでございます。したがって、大体四、五月ごろにはまずほぼ充員に近い状態になる。そして、その後、先ほどちょっと説明を間違えましたが、三十九年の年間推定の四十五人の退官者が逐次出ていく。そのほかにもおそらくおやめになる方もありますから、その中には簡裁判事になる方もありますけれども、大数的に見れば、六十人なり七十人というものがまた来年の三月までの間には欠員になる、こういう関係になるわけでございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、ここで予算要求しているのが、訴訟迅速化のためにというものが、裁判官が十名、交通事件が五名ですか、これはそれだけ補充したのでは結局において現在の裁判官よりも減ってしまうということになるんですか。
  30. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 現在より減ることにはならないと思うのでございます。つまり、昨年の四月当時には今度の予算から増員していただきます以前の数字でほぼ充員になっておったということでございまして、そしてそれが年間に少しずつ減っておった。今度は、十五人増員していただいた分が四月にほぼ充員になるわけですから、少なくなることはございませんが、あまり多くもならないということになるわけでございます。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 改正がないとすると、現在の欠員は、簡裁判事を別にすると、ここにある四十四名ですか。
  32. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 十二月一日現在がそうでございまして、その後やはりまた二十人程度は結局定年退官その他で三月三十一日までには出ることになりますので、その程度数字になるわけでございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、修習生から判事補になる人が八十名だとしても、実際にはたいしてふえないということになるんですか。
  34. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 修習生から判事補になる数は、現在は、ことしの場合は六十名前後というふうに見られているわけでございます。これはまだ正確な数字ではございませんが。ただ、簡易裁判所判事という中に、そのポストその他によって判事補の資格のある人が簡裁で仕事をしている者もございますので、こういうのが判事のほうに入っていったりいたします。裁判官全体として見ますれば、これは特任簡裁判事の採用というようなこともあわせて行なわれますのでその充員が行なわれていくと、こういうことでございます。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは非常に複雑なんで、はっきりしないところもあるんですが、要するに、訴訟の迅速、適正というようなことで要求したのが五十四名で、それに対して十名しか認められなかったとこういうわけですね。それから成人の交通関係、これはあとで聞きますが、これは簡易裁判所だけですが、四十三人要求して五人、つまり約一割程度しか認められなかったこと、ういうわけですね。  そこで、訴訟迅速化ということのためには、この程度の五人・五人くらいの判事増員で、はたして訴訟迅速化というようなことが具体的にできるんですか。それは少しはできるでしょうけれどもね。ここにあなた方の要求しているような「審理期間を半減する措置を講ずる必要があります」といったところで、とてもそれは常識的に言ったってできないのじゃないですか。
  36. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) その点はまことに申しわけない次第でございまして、結局、この程度増員では、当初計画いたしました審理期間の半減ということは、少なくともこの年度中は計数的にはむずかしいということになるわけでございます。これは、御承知のとおり、ただいま臨時司法制度調査会で根本的に任用制度を討議されておりますので、その結論を待ちまして何か抜本的な方策でも考えるほかないのではないかというような感じもいたすわけでございます。
  37. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはたとえば判事補三十名増員要求したわけですね。それは、去年とことしとを比べて修習牛の中で判事希望者が三十名くらい多いだろうという前提だったのですか。
  38. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) まあそういうふうにお尋ねいただきますと、非常に説明もむずかしいと申しますか、いろいろデリケートになってまいるわけでありますが、先ほど申しましたように、五、六月ころに予算要求いたしますときには、一つ希望的観測と申しますか、何と申しましても、ことしは修習生から卒業する者の数が昨年より五十人近くふえておるわけでございます。そういう関係で、それがある程度裁判官のほうに来てくれれば、はっきり三十人と言えないまでも、それに近い数が去年よりよけいに来てくれるのではないかということも考えられましたし、それからまた、若い弁護士の方に呼びかけて裁判官になっていただくということも絶えずいたしておりまして、そういうことがもし成果をあげればと、これもきわめてはかない望みのようなことでございますが、そういうようなことから、とにかく何とかできないだろうかというのが四、五月当時の計画といえば計画でございます。結局、それがむずかしいということになってまいったわけでございます。
  39. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 概算要求のいろんな根拠とかということについては、これはあなた方の立場もあるでしょうから、この程度にしますが、そうすると、予算に出ておる判事五人というのは、これは弁護士から出る判事と、こういう意味ですか。
  40. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、必ずしもそういう意味ではございません。判事補から判事になる、あるいは簡裁判事を本務にしておる者から判事になる場合もございますし、むろん弁護士や検事からおなりになる方もございます。そういうものを全部含めまして現在の欠員とあわせてその充員が可能である、こういう見通しでございます。
  41. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この前横田さんが言っておったと思うのですが、裁判所ができたとき、明治二十三年ですか、そのころの裁判官の数と現在の裁判官の数とあまり違わないということを言っておられましたね。そこはどういうふうになっておるんですか。
  42. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) お話のとおり、明治以来、裁判官の数というものは、そう大きな増加はしておらないわけでございます。ただ、それに関しましては、一面からは、非常に手続が複雑になったのに数がそうふえていないという面もございますが、他面では、相当いろいろな補助的な職員等もできておりますので、そういうような者を適当に利用すれば、必ずしも裁判官の数だけで比較するわけにもいかないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  43. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判所法ができた当時の裁判官の数とその当時の事件数、それからその後いろんな変化があって現在まで幾つかの段階に分かれておると思いますが、それと現在の裁判官定員なり事件の数、こういうふうなものを比較した何か表みたいなものがあるんじゃないですか。ここには出ていないですが、きょうでなくていいですよ、この次までに出してくださいませんか。事件の数そのものからいうと何倍くらいにふえているのですか、大ざっぱに言って。
  44. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 裁判官定員の点でございますが、これは少し古いことを申し上げて恐縮でございますが、明治二十三年の裁判所構成法ができました当時が千五百三十一人というので、大体千五百人程度でございます。その後若干減りましたこともございますが、終戦当時が大体千二百人くらいでございます。それから裁判所法施行当時の昭和二十二年でございますが、これは簡易裁判所判事というものも含まれておりますが、その含めました数字が千七百三十二人でございます。そうしてその中に簡易裁判所判事というものが六百四十五人ございますから、これを引きますれば、約千百人程度ということになるわけでございます。それ以後今日までは、もう減ったことはございませんで、逐次ふえてまいっておるわけでございまして、現在が二千四百六十人、こういうことになるわけでございます。これは簡易裁判所判事をも含めました数字でございます。
  45. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それに関連して、事件数がどういうふうにふえておるかということを、いまわかればいまでもいいが、いまでなくてもいいです。何か調べたのが、たしかあるはずですね。
  46. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 事件数につきましては、終戦後の分だけはただいま手持ちいたしておりますが、戦前からの比較した数字はちょっとございませんので、あとで提出いたしたいと思いますが、終戦後の件数で申し上げますと、昭和二十七年の数字が二百六十五万——これは民刑、家庭、少年、全部含めたものでございますが、二百六十五万九千八百六十五件、これが昭和二十七年の数字でございます。そうして昭和三十七年の数字が七百五十五万三千二十七件、かようになっております。
  47. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ、いまのやつを完備する意味において、事件数と、それから補助機構がふえておりますならふえておるものをそれをアレンジした形の比較した表というものをこの次に出していただけませんか。
  48. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 了承いたしました。
  49. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから成人の交通事件処理について、これは簡易裁判所判事四十三名を要求したのに五名しか認められないわけですね。書記官が百六十四人なのに十九人しか認めない。事務官は三十四人入っていますけれども……。費用になると、一億五千万円要求したのに千六百万円、約一割しか認めていないのですが、これはどういうわけですか。
  50. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) この点は、むろん多少は先ほど申しました充員という問題もございますが、もう少し別な観点と申しますか、つまり事件数から来る問題が予算折衝中に出てまいったわけでございます。  と申しますのは、いまお手元に差し上げてあります「参考資料」の八ページの第八表というのをごらんいただきたいのでございますが、「昭和三十四年三十七年における道路交通法令違反事件終局人員」、その一番上の全国簡裁の分の上から三段目の計というところでございます。そこに、まず三十四年が百四十二万件、三十五年が百八十五万件、三十六年が二百十九万件、三十七年には三百二十万件というふうに激増したわけでございます。で、この資料に基づきまして予算要求数字をはじいたわけでございます。と申しますのは、つまり、三十六年から三十七年には二百十九万が三百二十万にふえている。この比率で参りますと、三十八年には四百三、四十万になり、これが三十九年になればさらに五百五十万以上のものになる、こういう計数が一応推定されたわけでございます。そういうつまり昭和三十九年の推定件数に基づきまして、それに必要な裁判官数というものを一応各簡裁につきまして当たりまして具体的にはじき出したものが要求数字でございます。ところが、三十八司法年度の経過中におきましての実際の道路交通事件の増加率というものが、何か非常に伸びない、つまりふえないわけでございます。これは事件がふえないのですから、喜ばしいことではございますが、ただこういう計数上のあれから申しますと、自然にその推定根拠を失うということになってまいったわけでございます。で、結果において三十八年度は、この表にはまだつくりますときに出ておりませんでしたので書いてございませんが、これを申し上げますと、三十八年度の件数が三百四十万六千百七十一件でございます。つまり、三十七年の三百二十万八千七百二十六に照応いたしますものが三百四十万六千百七十一件ということになって出てまいったわけでございます。この最終的な数字予算の編成までにはまだわからなかったわけでございますが、大体十月、十一月の件数から推定いたしますと、とにかくその伸びが三十六年から三十七年の伸びとははなはだしく違って低い、こういうことになりまして、そうしてこの比率で三十九年というものを出しますと、自然これはとても四百万件にも達しない、こういうことにならざるを得ないわけでございます。これはいろいろなほかにも観点がございまして、いろいろこちらでも試算もし、大蔵省のほうでもされるわけでございますが、ともかくも三十八年がこういう伸びしか示さないということでございますと、三十九年もおそらくそれに今度は若干の上積み、こういうふうに考えられて、自然要求額が減らざるを得ないということになったわけでございます。
  51. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、成年の道交法違反が伸び悩むというか、そういう数字になっているというのは、ちょっと私も意外に思うんですがね。そのかわり少年の交通事件の違反というのが非常にふえているんですか。
  52. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) その点も、実はこの次の表でございますが、第九表でございます。九表の「昭和三十四年〜三十七年における道路交通法令違反少年保護事件新受・既済・未済件数」、これの一番上の全国の家庭裁判所の新受件数でございますが、昭和三十四年から三十六年まで逐次ふえてまいりまして、三十七年においては七十六万四千百七十一件ということで、三十六年の六十三万件に比べますと大幅にふえているわけでございます。ところが、これまた私どもの常識なり感じと少し違いまして、三十八年の結果的な数字といたしましては新受件数が七十四万八千三百十三件ということで、むしろ三十七年より減っているわけでございます。これまた、やや世間の評判なりわれわれの常識とは違うわけでございますが、件数としてはこう出てまいりまして、むしろ三十七年より減っておるということになりますと、どうもまた三十九年にふえるであろうということを根拠づけることがむずかしくなってきた、こういう関係にあったわけでございます。
  53. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年事件は、私ども福島から山形をずっと回ってきたんですけれども、こういうふうに減っているというふうにはどこでも聞いていないんですけれども、いまこういう数字ならば、これはまあそれとして、そうすると、少年の関係交通事件がこういうふうに減っているからというので、大蔵省では、あれですか、家庭裁判所の少年の交通事件処理についての判事補要求十六人というのは認めなかった、こういうわけですか。
  54. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) まあ大蔵省で認めなかったと申しますか、私どものほうでも非常に強く迫力をもってこれが要求しにくかったということにもなるわけでございます。当初は非常に伸びるだろうということで十六人判事補を持ってまいりましたが、伸びも悪いし、それからもう一つは、先ほど申し上げました判事補に関しましては充員の問題もございますので、それで判事補関係では強い迫力をもっては要求ができなかったということでございます。  ただ、それにいたしましても、家庭裁判所調査官は四十人認めていただいて、つまりそれは増員ということに結論的になったわけでございますが、これは、現在のその処理が必ずしも十分なものではない、いわば事件の伸びとは関係なしに、もっと充実した調査なり審理をしていく必要があるというような点をも考え合わせまして、家庭裁判所調査官四十人の増員だけが認められたと申しますか、計上されたことになったわけでございます。
  55. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは家庭局の問題になると思うんですけれども、家裁の少年審判事件を見ていると、実際のすべては家裁の調査官がやっていて、判事なり判事補はほとんど——ことばは悪いですけれども、あまり強くタッチしないというような傾向があるように考えられるんですがね。そういうことも作用して大蔵省では家裁の調査官だけ認めればいいんだ、判事は認めなくてもいいんだと、こういうことになったのですか。
  56. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいまのお尋ねの点でございますが、家裁の少年の道交法の事件処理につきましては、家裁の調査官は、少年の資質それから環境、そういうものを調査いたしまして、最後の審判は裁判官がやっておるわけであります。ただ調査官にまかしてしまうということはございません。最終決定はやはり裁判官がいたしております。
  57. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはよくわかりますが、最終決定は裁判官がやるんですけれども、現実にはほとんど調査官が全面的な調査をして、その資料がものをいっている。裁判官はちょっと三十分ぐらい——普通の事件ですよ、普通の事件では三十分ぐらい出てきてそこでやるというのが大体の現状じゃないかと、こう思うんですがね。こういうあり方がいいか悪いかはまた別の問題だと思いますが、これはまあ裁判内のことですから、きょう聞くことではないんですがね。  そうすると、道交法の場合、ことに少年の場合などはこういうふうに事件が減ってきておるということは、あれですか、三十九年度も大体このあれでいくのじゃないかという考え方なんですか。そこまでははっきりわからないわけですか。
  58. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) この点は、実は、何と申しますか、はっきりいたさないわけでございまして、そもそもそういう減っておるということ自体が常識的ではない、と言ってはこれは非常に語弊があるかもしれませんが、何となく感じとしては非常に多いような印象を与えておりますので、一体三十九年はどうなるかということになりますと非常にむずかしいわけですが、ただ、予算という関係になりますと、どうしても三十八年の実績を基礎にするということになる、こういうことでございまして、また四十年度予算要求します時期には三十九年の五、六月ごろまでの実績はわかりますので、こういうものを基礎にしてまた新たに考えるということになる、こういうことになろうと思います。
  59. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あげ足を取るわけじゃないですけれども裁判所所管の予定経費の要求説明がこの前あったわけですけれども、それを見ても、「交通事件処理円滑化に必要な経費」として説明しているのには、「事件の増加はその後も著しく、」と、こういうふうにいっているじゃないですか。あげ足取りで恐縮ですけれども
  60. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) それは、その後も著しいようにその当時は思ったのであります。事実そういうふうに出ておったわけです、これを作るその当時は。その後はそう増加しなかったということになるわけでございます。
  61. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは私も数字的に何か新聞などに出ているのと違うような感じがしまして、よく私のほうも調べてみたいと、こう思います。回って歩いた範囲ではそういうふうに言っていないんです。ずいぶんふえているような説明をみんなしておったんですがね。  それから訴訟迅速化の中で、「裁判事処理の機械化に要する経費」として四億三千万要求しているのですが、これは具体的にどういうふうなことを要求したわけですか。認められたのは七千九百万ですね。
  62. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) いまちょっと詳細なことを申し上げられませんが、記憶だけで申しますが、たとえばゼロックスとか、コピアとか、こういうものも含まれておるわけでございます。それからこれの中にはなかったかもしれませんが、検証用のいろいろな資材とか、それから自動車は直接これではありませんが、そういうものも入ってくるわけでございます。それからなお録音機それから謄写器あるいは計算機、かようなもの、こまかい数字あとで申し上げてもよろしゅうございますが、そういうふうなものでございます。
  63. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはあれですか、六分の一くらいしか認められないわけですが、それほどまでのことはする必要がないという見解だったのですか、大蔵省側は。
  64. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これはむろん多ければ多いにこしたことはないわけでございますが、まあ今年度としてはこの程度のところでしんぼうしてやっていこうということでございます。
  65. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、具体的に約八千万のものはどういうものなんですか。各地裁あたりにずっと配賦されるのですか。
  66. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) たとえて申しますと、検証用自動車十台、その更新が五台、録音機が七十台、写真機が六十台というようなことになっておりますが、その他いろいろございますが、そういうようなものはむろん全国の裁判所に配賦するわけでございます。
  67. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 「裁判資料を整備するために必要な経費」として二億九千万、約三億ですね。これもずいぶん大きいと思いますが、これは要求したけれども全部だめなんですか。
  68. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、何といいますか、要求としてはだめであったということで、しかし経常的な経費のほうに入っておりますものは通っておると、こういう関係になると理解しておりますが、その点はなお次回にでも経理のほうから詳細に御説明することにいたします。
  69. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 簡易裁判所判事は今度七百十五人になるというんですけれども、これはどういう経歴の人が多いんですか、大体のことは。
  70. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは裁判官定年になっておやめになった方もございますし、それから弁護士からおなりになる場合に六十五をこえておられる方がおなりになる場合もございますし、それから特別選考でなられる方が相当多数おられるわけでございます。
  71. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の聞きたいのは、簡裁判事が正式に高等試験を通っておる人はどのくらいで、高等試験を通っていない人はどのくらいなのかということが聞きたいわけです。
  72. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 正確な数字あとでお答えいたしますが、七割程度はいわゆる特別選考の、司法試験を通っていないものであったと私記憶しております。
  73. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 特別選考というのは、具体的にはどういうふうにやるんですか。
  74. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) この点は、裁判所法に選考の規定がございまして、裁判所法の四十五条でございますが、四十五条で「多年司法事務にたずさわり、その他簡易裁判所判事の職務に必要な学識経験のある者は、」いわゆる正規の任命資格を有しない者でも「簡易裁判所判事選考委員会の選考を経て、任命されることができる。」ということになっておりまして、その選考委員会に関する規程は最高裁判所が定めるということになっております。そうして、最高裁判所のほうでは、その裁判所法の規定に基づきまして簡易裁判所判事の選考の規程を作っております。その規定に基づきまして、つまり委員会によって選考いたしまして、そうしてそれに基づきまして最高裁判所が任命する、かようにやっておるわけでございます。
  75. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 毎年どのくらい希望者があって、そうしてどの程度がパスするということになっておるのですか。希望者といっても、かってに希望するわけにいかないんですか。何か推薦みたいなものが要るんですか。
  76. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 先ほどちょっと申し上げました簡易裁判所判事選考規則という最高裁判所の規則でございますが、これには、簡易裁判所判事選考委員会というものと、それから簡易裁判所判事推薦委員会というものとの二つ設けております。その推薦委員会の推薦がありました者につきまして原則的にこれを一応考試するわけでございます。その推薦委員会というものは各地方裁判所に置かれておりまして、その委員は、地方裁判所の所長、検事正、それから弁護士会会長、その他学識経験者等からなっておるわけでございます。この委員会で推薦をされますと、それに基づきまして、その推薦によりまして最高裁判所で選考委員会を開きまして、その選考委員会の選考に合格いたしますと簡易裁判所判事に任命される、かような経路になるわけでございます。
  77. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは普通どの程度の希望者があって、どの程度パスするんですか。それはわかりませんか。
  78. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) その正確な数字あとで提出いたします。
  79. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 簡裁判事になってから後の何というか講習というか研修というか、そういうものはどういうふうにやっておるのでしょうか。
  80. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、研修所に入れまして研修もいたしますし、さらに各地の高裁に集めまして高裁管内の研修もいたしております。そういう研修によりまして最近ではかなりいわゆる特別選考の簡裁判事の素質がよくなってきておるのではないかと理解しておるわけでございます。
  81. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ほとんどが裁判所につとめていた人からなるんですか。
  82. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 数から申しますと、裁判所につとめていた者が一番多いわけでございます。しかし、それのみではむろんございません。
  83. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 「裁判官定員の増加措置をとってきた」と、こう言っているんですけれども、毎年このところ十年ぐらいでどういうふうに定員を増加するようにしてきたわけですか。
  84. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 過去数年の分だけ申し上げますと、昭和三十三年には判事補二十人、昭和三十四年には判事補二十人、昭和三十五年には判事五十人、もっともこれはこのうち三十人は簡裁判事の組みかえでございます。三十六年には判事補二十八人、三十七年には判事十五人、三十八年には判事十、判事補十、簡裁判事十と、こういうことになっております。
  85. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 去年あたりまでは大体修習生から判事を希望する人は八十人から九十人近くいたのではないかと、こう思うんですが、ことしは六十人ぐらいというのは、まだこれは最終決定じゃないでしょうけれども、非常に少ないんじゃないですか。
  86. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは実は昨年がいわば過去数年に比べますと非常に多かったわけでございます。これは九十人ぐらい志望しておったようでございます。しかし、その前年の三十七年は七十六人ということになっております。六十数名前後ということは少し少のうごさいますが、昨年のはまあ例にはならないかもしれないわけでございます。
  87. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあなたにお聞きしてもどうかというふうに思うのですけれども修習生は三百四、五十人ですか、大体。その中で六十人か七十人しか裁判官の志望者がいないということは、これはどこに原因があると見ていらっしゃいましょうか。原因のあり方というものは、裁判所側にある原因もあるのでしょうし、修習生側にある主観的というか、そういう要件というか条件というものがあると思うんですが、これなかなかむずかしい問題だと思うんですけれども、どういうふうに考えているのでしょうか。
  88. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これはまあ全般的の問題になると、あるいは司法修習制度全体に関係してまいりますし、法務省のほうも御関係があるわけですが、私どものほうの感じ、あるいは修習生に平生接しておりましていろいろ聞きますところ、いろいろ総合いたしますと、やはりいま稲葉委員お話にもありましたように、一律ではないので、それぞれの人の考え方、つまり初めから自由な職業ということで弁護士一本で来られる方もあるようでございます。それから最初は裁判官を希望しておっても、その後中に入ってみて、仕事が忙しそうであるとか、あるいは待遇が必ずしもよくないとか、あるいは転勤が非常に多いとか、つまりいろいろなそういう客観的な条件といいますか、そういうものに影響されまして、自然に判事志望を弁護士志望に変えていくという方もかなりあるようでございます。ことに現在東京、大阪、名古屋等ではまだまだかなり弁護士事務所のほうでの需要がございまして、相当な高給で若い弁護士を採用されるというようでございまして、そういう点が特に裁判官の初任給等と比較いたしまして弁護士事務所の最初の給料が高いというようなことも影響しているように見受けるわけでございます。しかし、どれが一番強い原因かということは、これはなかなかっかみにくいように思うわけでございます。
  89. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 司法修習生の何といいますか管轄というか、それはどこでやっているわけですか、いまは。
  90. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 司法修習生の管轄と申しますか、司法修習生を教育いたします司法研修所は、最高裁判所の所管でございます。
  91. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 「裁判官以外の裁判所の職員」という中にはどういうふうなものがあるわけですか。第二条ですね。
  92. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これはお手元の参考資料の三ページでございますが、その表にそういうものがあるわけでございます。書記官とか書記官補、速記官というようなものが多数ございますが、そういうものがあるわけでございます。
  93. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  94. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それじゃ速記をつけてください。  それでは、両案に対する質疑は一応この程度にいたします。    ———————————
  95. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に、検察及び裁判運営等に関する調査を議題とし、千葉県下における自衛隊員による暴行事件に関して調査を行ないます。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 三月十二日に千葉の柏市で起こった海上自衛隊下総基地の集団暴行事件というのが非常にいま問題になっております。これは新聞が報道して、それからさらに千葉の県会のほうで大きな問題になったようですが、それについて警察庁側はどういうふうにこの問題を調査されたか、そしてその概況をつかんでおられるか。それから自衛隊側はそれについては調査されたと思うので、最初に概況をお伺いしたいと思います。
  97. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 事件の概況につきましてお答え申し上げます。  昭和三十九年三月十二日に海上自衛隊下総の航空基地隊所属の宮内守という二等海曹が外出いたしまして、基地付近にあります飲食店で飲食しておりましたときに、たまたま同店に来ておりました一般の客との間に口論がありまして、表に連れ出されまして、その客と他の一名——この方は氏名不詳でありますが、二名の方から暴行を受けまして、頭部に約十日間の傷害を受けて同日二十一時に帰隊したのであります。  宮内二曹は、帰隊いたしまして当夜の巡察隊長をやっておりました青島二曹にこの状態を話しましたところ、青島二曹は、なお同店に自衛隊員が数名残っておる状況を聞きまして、巡察隊を連れましてその店に参ったのであります。  そして、同店に参りまして、先ほど宮内二曹を殴打いたしました高瀬という人から事情を聞くために外に出てもらったのでありますが、双方感情が高ぶっておりましてなぐり合いとなったということでございます。そのときたまたま同店から出てこられた方がもう一人おったのでありますが、その方も渦中に巻き込まれましてやはりなぐられたという事件が起こりまして、これは宮内二曹の注意によりまして、この方は事件関係のない方でありますので、すぐその制止をしております。  それから、これは深夜のことでありましたので、翌日すぐに報告を受けました下総基地の警衛隊長山田三等海佐は、同日の午後、あとから出てこられて事件に巻き込まれた関係のない方のところに参りまして、すぐに謝罪の意を表しまして、傷等があれば治療代も出したいと申し上げて謝罪をしたのでありますが、当人の御了承を得ましてこの事件はそれなりに一応謝罪したというかっこうになっております。  いずれにいたしましても、このような巡察隊が参りまして、本来そういう規律の任に当たるべき職務の者がその渦中に巻き込まれて冷静を欠いたということはまことに遺憾でございまして、私からも遺憾の意を表したいと思う次第でございます。
  98. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 警察では、昨日柏警察署で警務隊からの事件の引き継ぎを受けまして、昨日は、実況見分、現場写真の撮影、高瀬国夫から当時の状況聴取、事件の当夜現場に自動車からおりた二十七、八才の男の捜査等をやりまして、本日、自衛隊員十三名、それから当夜の当直士官を呼び出して取り調べる予定にしております。なお、「スズヤ」のおかみ、女中なども本日から取り調べる予定にいたしております。
  99. 岩間正男

    ○岩間正男君 取り調べがきのうからですか。これは新聞なんかに出たのは相当前のことだし、しかもこれは自衛隊のほうから警察に対して内分にしてもらいたいといって、あんまり公然とやらなかったのじゃないですか。県会で問題になって、社会党の県議が質問をした。それでこれは非常に表面化してきたということな聞いておりますが、この点はどうですか。
  100. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 事件のあった翌日の十三日の午後に、柏警察署に、現地の警務隊から、隊員のけんかがあったが詳しいことはわからないので一応当方で捜査するという報告がございました。その後分遣隊で捜査した結果、自衛隊員による傷害事件、自衛隊の施設外における一般人の隊員に対する傷害事件が判明して、十八日に引き継ぎを受けたようなわけでございます。
  101. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは小幡さんにお聞きしますけれども、自衛隊のほうで、自衛隊内部のことなので当方で処置したいということで警察にも明らかにしない、それから何とか内部だけでやろう、こういう事実がございますか。
  102. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) この事件二つ中心があるわけでございます。第一の点は、その前段階でございます宮内二曹が一般の人になぐられて傷を負わされたという面と、それから第二の点は、巡察隊が参りましていろいろなぐり合いというものがあった、こういう二つ事件がからんでおると思います。前の事件は、これは明らかに警察のほうにお願いしなければならぬ事件でございます。あとのほうは、巡察隊が参りましていろいろ保護したいという意図で参ったのでありますが、この点は自衛隊の規律に関係のある事件でございますので、警察との業務協定から見ますと、施設外におきましても自衛隊の規律に関係のある事件は自衛隊が捜査できるという規定になっておるのでありますが、この二つのものは非常に離しがたく結びついておりますので、一応自衛隊で——しかも両方とも自衛隊員が一方は被害者で一方は加害者で関係いたしておりますので、一応調べまして、調べた結果は、結局は最終的な捜査は警察にお願いするほうがいいだろうという前提で、十八日の午後三時に所在の警察のほうに引き渡したというのが実情でございます。決して事件をもみ消そうということは考えておりません。先ほどお話がございましたように、翌日大体概要を警察のほうにお知らせしております。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 警察と自衛隊との間に業務協定があるんですね。これはどんな業務協定なんですか。これは何か文書になったものがございますか。資料としてほしいと思うのですが、出してほしい。  それからいまあなたのお話では、規律に関する問題だから自衛隊内部で調べるという。しかし、一般の国民に易を与えておる。十日、一週間というような傷を与えておるでしょう。これは自衛隊で調べても何ともしようのない問題ですが、警察ではこの問題を自衛隊から知らされて知ったということについては、警察としてはどういうふうにお考えですか。この点は日原さんのほうからお伺いしたい。
  104. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) これは、当初、警察として被害者からも親告もなく知らなかったという点では遺憾だったと思います。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 業務協定の中にはこれまではないでしょう。どうです。そんな一般の国民に傷害を与えたそういう問題について、自衛隊だけで秘密にしておいてそれを外部に漏らさない。警察にもそれは報告しない。そこまで協定で何かありますか。いま協定を出してもらえばわかるんですけれども、どうですか。
  106. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 協定では、「自衛隊の施設外で行なわれた犯罪は、警察官が捜査を行なうものとする。ただし、自衛隊の規律維持又は秘密保持に直接関係がある犯罪及び警務官が逮捕した現行犯人に係る犯罪は、警務官が捜査を行なうものとする。」、こういうふうになっておりますので、先ほど申しました巡察隊が事件に関連していることは直接自衛隊の規律に関係があるものですから、その面から見ますと、この辺は自衛隊も捜査権があると判断をしまして一応の捜査を自衛隊関係者がやりたいということを警察関係者にお願いしたということを聞いております。しかし、事件の全体の姿から見ますと、前半は明らかに警察にお願いすべき性質のものでありますが、事件の統一的な処理はこれは最終的には警察にお願いするというので、直後に捜査の上調べまして、一応自衛隊関係調査は一段落しましたので警察に移管した、こういうことでございます。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、それは業務協定にもないことなんで、当然これは認められているようですが、そういう一般の国民に傷害を与えたという事件については、むしろ自衛隊がそのことについての調査は警察に通知するのがあたりまえじゃないですか。それを隠しておったというのは、これはちょっとおかしいんですがね。一般の国民の人権を守るという立場からいうと、自衛隊なるがゆえにこのような態度をとるということは非常にけしからんと思うんです。  それから警察の立場としてはどうなんですか。自衛隊なるがゆえにこの問題に介入しなかった、そういう節が非常にあるように見られるんですが、その点は調査されたと思いますが、どうなっていますか。
  108. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 先ほども申しましたように、電話で連絡があったわけでございますが、その連絡は、隊員のけんかということで詳しいことはわからないというような連絡でございましたので、一応隊内の事件というふうに聞くほうは判断をしてそのままにしておいたという実情であろうかと思います。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、怠慢になりますね。そういうことではまずいと思うんですが、第一に、これは何時ごろですか、起こったのは。
  110. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 十二日の午後十時から十時五十分くらいまでの間の事件だったと思います。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初のけんかが起こったというのは、これは「スズヤ」という飲み屋ですが、ここで当然飲んだんでしょうな。酔っぱらってめいていの上で起こったことですか。どうなんですか。
  112. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) その辺、どの辺まで酔っていたか私も詳しい事情は知りませんが、やはり飲み屋で酒を飲んでおりまして、先ほど申しましたとおり、カウンターにその高瀬という人がおりまして、若干口論があったようでございます。それからそういう事件に発展したと聞いております。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも警察が自衛隊のほうを調べてほしいんですが、おそらくこれは飲酒めいていの上の口論というようになるんでしょうな。  いまの十時というと、相当時間がおそいのですが、それは規律は何となっているんですか。そんな深夜そういう飲み屋のようなところでやっておるそういうなにはどうなっていますか。
  114. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 特にこの宮内二曹は非番でございまして、当日は許可を受けて外出しておったそうでありますから、これは常態ではございませんが、そういう許可を受けて外出しておったわけであります。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これは両者にお願いをしたいのですが、その前後の大体のなにを調べてほしいですね。酒を飲んでおったのかどうか。それから、これは飲んだ上での口論だと思いますけれども、そういうことで傷害を受けたことについてどういうふうな確認が自衛隊のほうでなされておるのか。  次に伺いたいのですが、そこで巡察隊を編成して出かけたというんですが、私はここのところが非常に問題だと思うんです。よく自衛隊とそれから国民がけんかをしたなんという例はいままであると思うんですが、それに対しまして巡察隊を編成して何人で行ったんですか。それから出るときに、これはだれの許可を受けたのか。それからこういう巡察隊を編成するときに、かってに自衛隊がそういうことはできるのかどうか。それから巡察といえばこれは当然公務でありますけれども、公務の名によって、いわばこれはお互いのけんかみたいなものですね。私怨と言えるかもしれない。そういうようなプライベートの問題に巡察隊が出て行ったということがそのことが私は非常に重大な問題だと思うんですが、これについて、これはどういうふうに調査されたか。
  116. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 巡察隊の当夜参りましたのは十四名でございます。  許可は当直司令に受けて行っております。  巡察隊がそういうことができるかという御質問に対しましては、隊員が外出しております場合には、その隊員の規律維持、それから保護のために必要と認めた場合は巡察隊は出るというふうになっております。当夜はそういう人数が少し多うございますが、これは、先ほど申し上げましたように、その飲み屋にまだ六、七名自衛隊員が残っておりまして、宮内二曹というのが非常な傷を負っているものでありますから、おそらく相当大事があるのじゃないかという予想をして参ったのじゃないかと考えておりますが、返す返すもそういう任務を持った者がそういろ事件に巻き込まれたことは遺憾なことはいなめないわけでございます。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは当直司令の許可を受けたというのですか。
  118. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 当直司令でございます。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 何という方でございますか。
  120. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 名前はちょっと忘れましたが、三佐の階級の……。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 自衛隊法の規則によりますと、陸上自衛隊だが、海上自衛隊の場合は違うかどうか、同じようなことじゃないかと思いますが、「営外巡察勤務者は、駐とん地の外を巡回し、営外にある隊員の規律を正し、」云々というようなことがありまして、「駐とん地司令が特に命じた事項を行なう。」というのですが、当直司令は駐とん地司令なんですか。
  122. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 指揮系統は、駐とん地司令が一番上でございまして、その次が警衛隊長になっております。その線が通常の線でございますが、夜は当直士官が委任を受けて代行する。当直士官がそこの先任者でございまして、そこの三佐が許可をしたわけでございます。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは略式なんですか。これはわざわざ自衛隊法にまであるように、駐とん地司令の許可がなければ、特に命令がなければ、その巡察隊勤務、営外巡察勤務というものには出られない、そういうことじゃないんですか。これはどう解釈せられるのですか。いまのようにどんどん場合によってはかまわない、そういうことですか。
  124. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 原則はそうでございますが、夜間等におきましては当直司令がその権限を委任されておりまして、必要な適当なときにはその委任を受けて、あとから報告することになっております。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 駐とん地司令はどこにいるんですか。柏にいるか、どこにいるんですか。電話はないですか。これはどうなんですか。
  126. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 柏近辺の官舎におると私は思っております。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 近いんでしょう。あとから調べてほしいと思うんですが。  それから何人ですか、駐とん部隊は。わずか二十四人くらいのことじゃないかと思いますが、何人いますか、この駐とん隊は。
  128. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 正式の数は失念いたしましたが、おそらく数千名だと思います。下総基地でございますので、海上自衛隊の航空の学校がありますし、航空部隊もおりますので、約数十人という数字じゃありませんと思います。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 私たちの調べでは二十四人ですがね。哨戒機部隊P2V下総基地の哨戒機部隊在籍二十四人ということになっていますが、これはどうなんですか。数千名——ちょっとわからないな。
  130. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いまお読みになったのは、何かその職務の特定の部隊の数じゃないかと思いますが、部隊そのものは相当の大きいものでございますから、相当の数……。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これは夜間だって十四人の巡察隊を編成するということは相当大がかりじゃないですか。二十四人くらいの、数十人にしたって、その中の相当なウェートのものを編成するというんでしょう。自衛隊の任務からいえば、当然公務の場合にこういうふうに編成されておもむくということは考えられますけれども、どうですか。飲み屋でけんかをして、それでなぐられたのかどうかわからないが、十口の傷を受けたんだ。これはまあ一方的なことなんで、十分調べなければわからない問題ですけれども、そういうことのためにわざわざ十四人の巡察隊を編成して、それで当直司令がこれを許可しておもむかせるという判断はどうなんですか。これは自衛隊法に基づくところの任務から考えてどうなんですか。
  132. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど申しましたとおり、顔面、頭部等に十日ほどの傷を下士官が受けて帰ったということが一つ。それから飲み屋にまだ六、七名隊員がおりましたものですから、おそらく少し大事だと思い過ぎたきらいがあると思います。結果から言うと、十四名は確かに過大であると思います。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点、これはやはり今後の自衛隊の規律からいって、しかもこれは千葉の当地の人なんかは納得できないし、県会でも大きな問題になった一つの根本原因だと思うんです。この点どうなんでしょうね。そうすると、まず営外巡察勤務の規則というものがあると思うのですが、どういう場合に使うということになっているんですか。
  134. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど帯しましたように、隊員が外出しておりますと、外出している間、隊員がいろいろ規律違反をしないか、あるいは隊員に何か危害等が加えられないかというふうな、隊員の保護と規律保持ということのために回るのが巡察隊の任務でございます。通常の編成は七名程度までが必要の限度になっております。当夜は、先ほど申しましたような事情から、少し思い過ごして、結果から見ますと私は妥当でない人数が出ていると思います。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 相手はこれは一人ですね。
  136. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 相手は二人でございます。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 一人は関係なかったんでしょう。
  138. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いや、高瀬という人ともう一人の人がなぐったわけでございます。ところが、あとで巡察隊が行きましたときには、出てきた人は違う人が出てきたわけです。違う人が渦中に入っていわゆるなぐられたというわけでございます。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 関係ない人で、役場の人が……。
  140. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) それは二回目でございます。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 深山さんという人ですか、警棒を持った隊員にいきなり外に連れ出されてなぐられた。言いわけするひまもなく、店に何が起こったかわからないので、何のことかさっぱりわからなかったというのですが、これはどうなんですか。巡察隊がこれは相当酔っていたのじゃないですか。七人残っていたというのですが、それは十四人の中に入っていたんですか。
  142. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) その七人は、十四人の中に入っておりません。これは別の部屋で飲んでおりまして、深山さんというのはちょうど高瀬という人が外に出てすでに相当なぐり合っている中に入ってこられまして、何となしにその中へ入ってしまって、いわゆる被害をこうむられたというふうに考えておりますので、これにつきましては私もまことに遺憾に思います。あくる日早々参りまして陳謝の意を表して、いろいろ御了解を得たわけであります。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 十四人編成するのに当直だけで間に合ったんですか。これは非番の人も相当招集されているのじゃないですか。そういう事実はどうですか。
  144. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 十四人といいますのは、巡察や警らの任務につく隊員の者が常時待機しているわけです。だから、その辺におる者を集めて十四人編成したと、こういうことであります。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 非番まで入れたということは大げさじゃないですか。しかも、これは国民ですよ、市民が飲み屋で飲んでいた、そこでけんか口論になったのだと思う。十日というのも、これは医者の診断書か何かそういうものがあるのかどうか。事件が起きたから今度はおれがなぐられたのだということではまずい。そういうところは厳重に調査してみなければならない。それくらいのことに十四人の巡察隊を編成して、非番までそこに集めて、そうすると、大体飲み屋に六、七人残っていたら、十四人で全部じゃないですか。こういうことに一体自衛隊が使われているということになったらどうなんでしょうね。しかも自分たちのけんかだ。個人のプライベートなけんかだ。このことさえも問題ですよ。問題にすれば問題になる。近ごろ自衛隊の隊規がしばしば問題になっているときに、飲み屋で一般の市民とけんか口論をやった、傷害事故まで起こしたということになる事態はまずいと思ううんです。それに対してどういう判断をしたのかわからないけれども、巡察隊を非番まで招集して、十四人も編成して行って、その結果が報復的なものであった。当人たちを引っぱり出して、いろいろけるとか何とかということで、まるで私怨を果たすような形で、いわばこれはあれじゃないですか、報復手段というふうなかっこうでこういうことが行なわれた。これはどういうふうに考えていますか。
  146. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いろいろ当夜の経緯につきましては、原因結果がふくそうしておったと思いますが、いずれにいたしましても、ただいま御指摘のように、巡察隊を過大に編成をして、本来そういう事故を未然に防ぐべき者がそういう渦中に入ったということは、何としてもその冷静さを欠いた点においては責任があると思います。よく調査して、しかるべき処置をいたしたいと思います。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 当直司令がこれを許可したことについてどう考えていますか。そんなことは適当でないというふうにお考えになっていますか、どうですか。
  148. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) この点も当夜それを許可した状況等もよく調べまして、はっきしたり調査ができましたら適当な処置をとりたいとうふうに考えております。
  149. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは調べるまでもないことだと思うんです。ここまで明らかになったことだけでも、こんなことに許可をして巡察隊を編成して行くということ、こんなことは非常に大げさだし、この使い方というものは全くプライベートなことに自衛隊を使っている、こう言われても仕方がない。しかも、巡察のときに腕章、武器を持って行った。これは武器を当然携行することになっているわけですか。携帯することになるんでしょうか。その晩は何を持っていったんですか。
  150. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 必要のある場合は警棒と武器も持ちますが、当夜はヘルメットそれから警棒というものを持って行ったのは三名でございます。あとはそういう武装というものをせずに参っております。
  151. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは新聞ですが、ヘルメットをかぶり、こん棒を持って行ったと書いてありますが、これは三名ですか。これはもっと調査を詳しくやって、警察のほうではやっておられると思うが、そうすると、これは自衛隊の武器使用規程というものはどうなっているんですか。警察の場合には武器使用の規程があるんですが、自衛隊の場合はどうなっているんですか。
  152. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 自衛隊につきましても非常にこまかい制限がございまして、緊急避難以外には非常に厳重な線を引いてございます。したがいまして、その法令の示すところによりまして非常な制限を受けながら武器の使用は慎重にしております。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう場合、わざわざ多人数で押しかけていくのにこんなこん棒まで持つというのは、全く威嚇じゃないですか。報復手段というふうに考えられてもしかたがないと思うんですが、こういうやり方についてはどういうふうにお考えになりますか。
  154. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど申しますとおり、下士官が非常な傷を負って帰ったものですから、おそらく相当なことが起こったんじゃないかというふうに思い過ごしたと思います。そういう点を聞かれますと、いろいろ反省すべき点がありますが、そのときその場所においてはそういう感じになった点もあるのではないかというふうに考えている次第であります。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 巡察に行った場合、当然これは自衛隊法によるというと、警務手帳ですか、これを出して示さなくちゃならないと思うんですが、こういう根拠がございますか。そうでなければこれは巡察の任務を果たすことができないと思うんですが、そういう手帳のようなものを示してその場でやったのでしょうかどうでしょう。
  156. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 警務官にそういう規定があると思います。巡察隊のほうは本来隊員を取り締まるのが主でございますから、そういう手帳を部外に示すことはないと思っておりますが、高瀬氏にどうこう言いましたのは、事実上任意の承諾を前提として事実問題としてそういうことをお願いしたのじゃないかというように考えております。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、そのときに警務手帳は示さなかったというわけですね。  防衛庁訓令七十五号の二条というのは、どういう条項ですか。
  158. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ちょっと手元に訓令を持っておりませんが、なんでしたら、その趣旨をお読み願いますと……。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 こっちで読んでみましょうか。「警務官及び警務官補(以下「警務官等」という。)が司法警察職員としての職務を行うに当りその身分を示す証票(以下「警務手帳」という。)について規定することを目的とする。」それで、そのあとに、(警務手帳の携行及び呈示)という条項があるわけですね。そうすると、これはどうなんですか。
  160. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど申しましたとおり、警務官ではございません。巡察隊でございますので、そういう警務官のように法律の職権に基づいて司法警察職務を遂行する隊員ではございませんので、いわゆる隊員を一般的に規律を監視したり保護したりする行政的なものでございますので、そういう手帳は持っておりませんです。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これは任務は警務官と同じような任務をやっておるわけですね。そして、そんな目的によってやっておったんですね。だから、法令的には手帳を必ず示すということは必要なかったかもしれませんけれども、しかし、こういう規定なんかあるので、それと同じような任務ですね、実際は。この点、このときはどういうふうにやったのでしょうか、実際に。
  162. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 実際は、おそらく、宮内というのが非常な傷を受けましたものですから、それの加害者であると思われる高瀬という人に事情を聞きたいということで任意の承諾を得たものだと、事実問題としまして、そういうふうに考えております。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常な傷と言いますけれども、どの程度でございましょうか。
  164. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 医師の診断書によりますと、左の頭部、それから左の顔面、ことに目の部分、それから口の中、こういうところに打撲傷を負って、十日間の加療を要するという、こういう診断書が出ております。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 十日間の加療というのは、ずいぶん大げさですね。十日間の加療でしょう。そして、しかも当人はその日十四人にあとで加わったのですか、どうですか。
  166. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 加わっております。
  167. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、ずいぶん大げさじゃないですか。いまのを聞いてみるとたいへんなことのようですが、十日間、そしてしかも今度はあとで編成された巡察隊に加わっていると、どうも報復のために行ったとしかとれないのですが、これはどうなんでしょう。この点は、もっと厳正に調べてみる必要があるのじゃないですか。現地の報告だけですか。いままで調査をされましたか。
  168. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 現在、調査いたしまして本人の供述等もとっておりますが、その調査は最終的には警察のほうにお願いすることになると思いますが、一応隊の調査では、報復という感じは、本人は出るときは持っていなかったように思います。
  169. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ私も一応きょうは概況を聞いておいて、それからもっと詳細に報告もいただきたいし、この問題はもっとお伺いしなくちゃならぬと思うんですが、そのとき巡察隊が来て指揮者の命令をしたのでは、頭をなぐると死んじゃうから体をなぐれというようなことを指示をして当人をやったというふうに聞いているんですけれども、十四人でもってどうなんです、こういうやり方というのは。どういうふうに考えますか。
  170. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) さっきも申しましたように、いかなる理由があるにいたしましても、むしろそういう事故を未然に防ぐ任務を持った巡察隊員が渦中に巻き込まれたことは、重々お詑びしたいと思っております。
  171. 岩間正男

    ○岩間正男君 この次にまたお伺いしたいと思いますから、私はきょうはこのくらいにしておきますけれども、私非常に問題になるのは、最近の自衛隊の態度の問題だと思う。これは私予算委員会でも問題にしたんですけれども、航空幕僚監部が出した「防衛力整備に関する基本的見解」によると、「冷戦の様相」の中に、「現在既に我々は、国民に対し組織的に指向された心理戦の渦中にあると考える。」とあります。これは国民を敵視している思想ですよ、まさに。こういうところが最近の自衛隊の暴力に関係ないとは言えない問題だというふうに思うんですが、どうなんですか。これは最近の防衛庁の方針としてこのような方針というものをあらゆる機会にずっとやっているのじゃないか。  それからこの機会についでにこれと関連してお伺いしたいのだが、治安行動草案ですね、治安行動草案というものが、実はこの前防衛庁長官が、あれは藤枝防衛庁長官が、これは三十八年の末までにはつくって出すと、こういうことを私に答弁しているわけです。ところが、この前聞いてみるというと、まだできていないというんですが、実際そんなもので訓練しているのですか。そんな草案でいつまでも訓練しているのですか。これは私は当然できているのだというふうに考えますけれども、この間あなたたちは草案があれだけ問題になったのに、その後どういうふうに完成され、どういうふうに一体それについて訓練がされているのか。こういう問題といまの暴行の問題とは無関係だとは考えられない。これは非常に関係が深い。あなたは人事局長として全部の自衛隊関係の人事、規律、そういう問題を担当しておられるのですが、いまの方針と、ことに空幕の出している「基本的見解」によると、非常に重大な問題だ。国民の人権にとって容易ならないこれは問題を持っていると思うんですね。新聞を見るというと、機密が漏れたとかなんとかいっているけれども、こんなことは問題じゃない。実は憲法違反の態勢をどんどんつくって、そうしてそれをもう遂行している。訓練もやっている。それから教育もそういうふうな方向で教育しているということが非常に重大問題ですよ。憲法違反のやり方をやっておって、そのことが問題にならないで、それを隠すために機密がなにしたとかなんとかいうことを重大問題に取り扱っている。本末転倒ですよ。だから、この実態を明らかにするということは私は最大の課題だと思う。そういう点で人事局の立場としていまのような暴行問題というのはよほど根本的に考えてみなければならない問題だと思う。これはどうですか、あなたの感じは。
  172. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 治安行動草案につきましては、私も前教育局長をやっておりますときに岩間さんから質問を受けまして、いまおっしゃったようなことを藤枝さんが答弁せられたことを知っております。八月に私戦を辞したものですから、あと後任に行ったわけでありますが、現在のところ、立案をいたしますのになおいろいろ慎重に検討すべき面がございますので、若干ズレるかという考え方も持っておるようでございます。  それからもう一つお示しの航空幕僚監部と銘を打った文書につきましては、いろいろ反省するところもあると思いますが、現在いろいろ調査中でございまして、調査が判明いたしましたら、適当なる措置をいたしたいと考えております。今度の事件はそれとは直ちに関係がないというふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  173. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はきょう非常に概括的なことをお伺いしたので、詳細はまた警察庁の調査も進められ、それから幾つかの問題についてもっと調査をしていただきたいということを要望いたしまして、そういうことと、さっきの資料なんかをいただいてもう一度基本的に質問したいと思うんですが、ただ、今度は法務大臣並びに防衛庁長官の出席を要求したいと思うんですよ。どうもこういう問題を軽々しく見のがしていることに大きな問題があるので、実は案外背後の根は深いんじゃないか。どうも最近の自衛隊のこういうような問題というものは、一つの傾向的な方向を帯びてきているので、これは私は軽々しく見のがすことはできない問題です。ですから、そのことを要望したいと思いますが、特に治安行動草案はどういう段階なのか。それから治安行動草案によって現在訓練を進めているのか。あの時代だってやっていた、草案のとき。だから、これはそういう点をもう一つもっと明確にしてもらいたいことと、それからさっきの業務の協定ですか、それは資料としていただきたい。  それから警察庁にお伺いしますが、この問題は、業務協定があるにもかかわらず、あくまで人権を守るという立場でどういうふうに警察庁としては方針を貫くか。これは限度をはるかに越えたやり方で、こんなことが業務協定の範囲には絶対に入らないという問題だと思います。したがって、この点をこの次まで要望して、私の分は質問を終わっておきます。
  174. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この問題は、私も質疑通告をしているのですが、二十六日に詳しいことをもう一ぺん聞きたいと思いますが、きょうは四、五点というか、それに付随する点だけ聞きたいと思います。  宮内という人がなぐられたのかどうか、それで巡察隊の人のところに何と言って行ったのですか。そこがはっきりしない。どういうことが起きてどういうふうになったのだというふうに言ったんですか、宮内という人は。
  175. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) まだ本人の供述調書等が手元に参っておりませんものですから、詳しいあれはわかりませんが、おそらく飲食店である人からこういう加害を受けたというようなことを言ったのじゃないかと思います。
  176. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 事件はいつでしたか。それでだれか警察で内密にしてくれと言ったのじゃないですか。自分のほうでやるからと言ったのはいつですか。
  177. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 事件は十二日の夜でございます。警察のほうへ連絡いたしましたのは翌十三日の午後でございます。警務分遣隊のほうから警察署のほうへ連絡をしております。
  178. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 十三日の午後警察へ行った人は、どういうふうに言ったんですか。だれが行って向こうのだれに会ったわけですか。
  179. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 名前等もいまちょっと失念しておりますが、内容は、先ほど申しましたように、この事件が警察で処理すべき事件と自衛隊で処理し得る事件とがからみ合っておりますのと、しかも両方に自衛隊員関係しておりますので、ひとまず自衛隊のほうで緊急の調査をやりたい、こういう趣旨のことを申し上げたと思います。
  180. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ひとまず自衛隊として調査をやりたい。それで、やったらどうするという話が出たんですか。
  181. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) その辺のその当日の詳しいところ全部はちょっと私ども記憶しておりませんが、やった上で、警察が当たる前段階にあるわけでございますから、全体として処理していただくのが警察であることは承知しておったわけであります。ただ、隊員が多数関係しておりますので、隊員の関係調査はとりあえずやらしてほしいということを言ったわけでございます。
  182. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 隊員の関係調査を自衛隊の内部でやりたいというのは、まあそういう話もこれはあるでしょうが、要するに、やる場合に、民間人というと語弊があるかもしれませんが、第三者を自衛隊に呼んで調べるわけにはいかないんじゃないですか。
  183. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 警察との協定で、自衛隊が処理し得る事件につきましては、第三者が関係したことは、長官の承認を得て調べ得ることになっおります、自衛隊の職権の範囲でございます場合には。
  184. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは協定を見ないとわかりませんけれどもあとでいただいてから検討しますが、その協定は、いつの協定で、だれとだれとの間に結ばれたものですか。それだけちょっとお聞きしておきたい。
  185. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 自衛隊の警務官の職務につきましては自衛隊法九十六条に規定がございますが、この点の運用につきまして警察と協定を結んでおるわけであります。  先ほどの部外者をどうこうできる場合があるかという点につきましては、施行令のほうでそういう規定があるわけでございます。長官の許可を受ければ、自衛隊が職権を持っている捜査内容については、そういう第三者を呼ぶことができるという規定が施行令にあるわけでございます。  協定は、いまちょっと名前は、だれだれの間で了解したか記憶がございませんが、日にちは昭和三十六年の六月十日でございます。
  186. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その協定というのは、正式な名前は何という名前で、長いですか、文章は。
  187. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 正式の名前は、「自衛隊と警察との犯罪捜査に関する協定」でもございまして、印刷しまして五ページぐらいのものでございます。
  188. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 条文は何条あるんです。
  189. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 条文は十三条ございます。
  190. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっとそのおもな点だけいま説明願えませんか、条文に基づいて。全部じゃなくていいですよ、おもな点だけ。最初のほうはどうなんですか、頭書きは。——十三条全部読んでください。
  191. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 「第1章捜査の分担及び調整(捜査の分担)  第1自衛隊の施設(自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設をいう。以下同じ。)内に行なわれた犯罪は、警務官(警務官補を含む。以下同じ。)が捜査を行なうものとする。ただし、自衛隊の隊員(自衛隊法第96条に定める隊員をいう。以下同じ。)又は自衛隊の所有し、若し〜、は使用する物件に関係がない犯罪は、警察官が捜査を行なうものとする。  2自衛隊の施設外で行なわれた犯罪は、警察官が捜査を行なうものとする。ただし、自衛隊の規律維持又は秘密保持に直接関係がある犯罪及び警察官が逮捕した現行犯に係る犯罪は、警務官——これは自衛隊のほうの警務官でごさいますが、——が捜査を行なうものとする。  3事案の性質により前項の規定によることが適当でないと認められる犯罪については、前2項の規定にかかわらず、警務官と警察官とは、協議の上、その分担を定めるものとする。」……。
  192. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あとの全部の条文は、資料としてあとで出していただきましてから検討します。  そこで、本件のこれは施設外であることは認めるわけですか。
  193. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) そのとおりであります。
  194. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかも、それは、特別司法警察官としての権限を持っている警務官が施設外においてやれる場合があるという話であって、本件のこれは警務官とは全然関係ないわけですね。
  195. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) その当夜は関係ありません。
  196. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 十二日の午後に警察に言ったその後今日までは、自衛隊の中ではだれがどういうふうな事実の調べをしたわけですか。約一週間程度いろいろ調べたのじゃないですか。
  197. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) その間には自衛隊員だけを調べております。
  198. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすれば、その宮内という人がどういうふうなことを巡察隊の人に言ったのかということもはっきりしておるはずだし、それから巡察隊の人がどういうふうなことを聞いて、出かけるときにどういうふうな考え方、どういうふうな態度といいますか、そういうふうなことで出かけていったのかということがはっきりしていなくちゃおかしいですね。まあちょっと日にちがなかったから、そこまであなたのほうで調べがついていないかもしれませんけれども、少なくとも現地ではわかっていると思うんですね。  それで、現地の自衛隊からは、あなたのほうに報告が来たんですか。まだ全然来ないんですか。
  199. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 調書を添えて正式な報告は参っておりませんが、海上幕僚監部が担当しておりますので、帰って、すぐ求めに応じて出してくると思っておりますけれども、調書を添えた書類が私のところにはまだ参っておりません。
  200. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その調書は、あとで持ってくるというが、おくれると思いますが、概要こういう事件が起きたのだという報告は海上幕僚監部ですか、どこかにあったのですか、ないのですか。
  201. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 私が知りましたのは、やはり新聞記事で知ったわけであります。
  202. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 新聞で知ったかどうかは別として、海上幕僚監部ですか、そこに現地からこういう事件が起きたという報告があっのですか、ないのですか。まだないのですか。どっちでもいいんですよ。あるならある、ないならないで。
  203. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 日にちは忘れましたが、報告はあって、私のところに海上幕僚監部からも実は昨日以来来ております。
  204. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その海上幕僚監部からの報告というのは、海上幕僚監部に対する現地からの報告ですね。これは、千葉県の県議会で問題にされましたね、その前に来たんですか、あとに来たんですか。
  205. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ちょっと御質問がそういう御質問があるかと思っておりませんでしたので、詳しい資料をなお調べまして後日お答えいたします。
  206. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは千葉県議会で私ども社会党の県会議員の秋谷という松戸の人が問題にしたわけですね。それからはじめて自衛隊で幕僚監部へ報告したのか、あるいはそういうふうなことをされない前に自発的に報告していたのかということが聞きたいのですが、それはまだわからないのですね。それは調べてくれませんか。あとでわかると思いますが……。
  207. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 調べます。
  208. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたとしては、海上幕僚監部に報告が来ていることは知っているわけなんだから巡察隊のところに宮内というのは何しに何と言って行ったのか、巡察隊がどういうふうな気持ちで出かけていったのか、その点はわかっているのじゃないですか。報告書の中にあるのじゃないですか。
  209. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 来た報告と申しましても、きのうきょう口頭で海上幕僚監部のほうから報告を受けましたので、私どものほうは、実はあとから入った報告、傷を負ったという報告を聞いたのじゃないかと考えて、国会の専門家の……。
  210. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国会できょう質問があるという通告があったので、あわててあなたのほうから松戸かなにかに電話をかけて聞いたんでしょう。そんならそれでいいんですよ。別にこだわらないんですから。
  211. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ありていに申しますと、新聞に出ましたものですから、そういう準備をいたしまして、当然国会でもそういう御質問があると、そう思っておりました。
  212. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあそれはいいんですが、新聞に出たから国会で問題にされると思って聞かれたのかもしれませんが、いまの協定と施行令というのは、これは自衛隊法の施行令ですか。協定とは関係ないのでしょう。
  213. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) さようでございます。自衛隊法の施行令でございます。
  214. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま警察と自衛隊の間にそういう協定があると言いましたね。これと同じようなものは、警察とほかの官庁との間にある場合があるんですか。
  215. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) いまの協定は、自衛隊法の九十六条で、特別司法警察職員としての職務を行なうということで、自衛官の犯した犯罪あるいは職務に従事中の隊員に対する犯罪その他のものについて特別司法警察職員としての職務を行なうということになっております。権限が競合いたしますものですから、そこでどちらが中心になってやるということを協定いたしておるわけでございます。同じような協定は、やはり特別司法警察職員として権限がある者につきましては、大部分のものが協定をいたしまして協定書をつくっております。
  216. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、自衛隊の内部のできごとは、原則として自衛隊にまかせるという立場をとっているわけですか。
  217. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 先ほど協定書をお読みいたしましたように、施設の内の犯罪、これは警務官が原則として捜査を行なう。施設外は警察官が捜査を行なう。それぞれにただし書きがついているものですから、この場合はただし書きか当たるかどうかという問題はあるわけでございますが、そういう形になっているわけであります。
  218. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 鉄道公安官の場合は、やはりそういう協定があるんですか。その協定とは違いますか。
  219. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 鉄道公安官の場合にもございます。ただ、その内容につきましては、おおむね同じようなあれでございますが、それぞれの特別司法警察職員の特性から多少の差異がございます。
  220. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その巡察隊が出かけるときには、何といいますかね、巡察隊の人たちは相当興奮していたんですか。そういう点はわからんですか。興奮しそうなものだね。
  221. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 現場に居合わせたわけではないのでわかりませんが、相当傷を負って帰っておりますので、全然興奮がなかったとは言えないというふうに感じております。
  222. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、調べてもらいたいのは、その巡察隊の人が出かけるときに、これは申し合わせをしたわけではないかもしれませんけれども、何かある程度の話し合いというか申し合わせみたいなことをして出かけたんじゃないですかね。そういうようなそこに意思の合致があったというふうに考えられるんですがね。何か気持ちの上で通じて出かけていったのだと思いますが、この点は調べてもらえばわかると思うんです。  そこで、警察庁にお聞きしたいのは、本件は暴力行為取締法違反の容疑で調べているわけですか。
  223. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 一応そういうことになろうと思います。最初の事件は傷害罪、それからあと事件もそのほかに傷害罪がつきますけれども、そういう容疑でございます。
  224. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 暴力行為のどこですか。
  225. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) 一応容疑でございますけれども、数人のということで数人の暴行ということではないかと思いますが、取り調べの結果を待ちませんと、これは先ほどからのお話のように多人数の乱闘でございますので、調べてからでないとはっきりした罪名は申し上げられません。
  226. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 暴力行為の場合の「数人共同シテ」というのは、必ずしも意思の連絡とかそういうものはなくてもいいという考え方でやっているのじゃないですか、判例は。だから、全体がそこに行って人が加われば暴力行為の取締法の共犯になるという考え方で進んでいるのじゃないですか。
  227. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) これは一応全部の取り調べが終わりましてからお答えいたしたいと思います。
  228. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、結論的に、現在の段階では、その自衛隊の人十四名ですか、これを暴力行為等取締法違反の容疑で警察としては取り調べている、こういうわけですね。  いつごろ大体の結果はわかるわけですか。大体でいいですよ。
  229. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) ちょっと人数が多いので、いまのところちょっと予測いたしかねるのでございますが、それと、いろいろ客観的な目撃者をできたらさがしたい。話が食い違ってまいりますと、そういうふうに乱闘ということになりますと、また時間がかかりますので、いまのところ予測いたしかねます。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと一つ、さっきの自衛隊と警察の協定、それと関連して聞きたいんですけれども、安保条約による地位協定の結果、警察庁と米軍との間にそういう協定はありますか。
  231. 日原正雄

    政府委員(日原正雄君) ちょっといまその御質問を予想していなかったのですが、たぶん、やはりこまかい点についての協定を要するものだと思いますので、そういうこまかい部分についてはあるのじゃないかと思いますが……。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 裁判に関する協定は地位協定の中にあるわけですね。そういう問題をさらに日米合同委員会でこまかくしておるわけですね。その合意書の中にきっとあるのじゃないかと思うんですが、調べてください。そしてこの次の委員会に大体の筋書き、それと、いまの協定とこれとどういう関係があるか、ちょっとわれわれ調べたい。そこのところを、あるなし、あればどういうものがあるか、大体そのおもだったところをお聞きしたいと思います。
  233. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは、本件に関する調査は一応この程度といたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十二分散会