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1964-02-20 第46回国会 参議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十日(木曜日)    午前十時十分開会    ———————————   委員の異動  二月十九日   辞任      補欠選任    亀田 得治君  大矢  正君    ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     中山 福藏君    理 事            後藤 義隆君            稲葉 誠一君            和泉  覚君    委 員            植木 光教君            大谷 贇雄君            鈴木 万平君            田中 啓一君            高橋  衛君            山高しげり君   政府委員    警察庁保安局長 大津 英男君    法務政務次官  天埜 良吉君    法務大臣官房経    理部長     新谷 正夫君    法務省民事局長 平賀 健太君    法務省刑事局長 竹内 寿平君    自治大臣官房参    事官      宮沢  弘君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    内閣総理大臣官    房参事官    野海 勝視君    大蔵省主計局主    計官      秋吉 良雄君    警視庁防犯部長 渡辺  清君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○不動産登記法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○検察及び裁判の運営等に関する調査  (売春防止に関する件)    ———————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。  本日は、まず、不動産登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案提案理由説明はすでに聴取いたしておりますので、本日は補足説明をお願いいします。平賀民事局長
  3. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 本法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  まず、本法律案の趣旨は、抵当権その他の担保権登記における登記事項を合理的に削減しますとともに、共同担保目録制度を改善し、不動産合併の場合の所有権登記簡明化するなど、不動産登記手続合理化及び簡素化をはかり、もって登記事務の適正迅速な処理を可能にしますために、以下述べますように不動産登記法改正しようとするものであります。  まず第一は担保権登記簡素化及び合理化でございますが、その一つといたしまして、抵当権その他の担保権登記事項中元本及び利息弁済期等定め登記を廃止することといたしております。関係条文は、第百十五条、第百十六条、第百十七条及び第百二十六条であります。  現行法におきましては、抵当権その他の担保権登記において元本弁済期及び利息の支払時期の定め登記することといたしておりますが、第三者対抗要件としてその登記をする実益がありませんのみならず、分割弁済または期限利益喪失約定等定め登記し、またその変更かあった場合にその変更登記をするについて申請人はもちろん登記所においても繁雑な手数と費用を要しており、登記事務処理渋滞原因一つともなっておりますので、元本及び利息弁済期定め登記を廃止することといたしております。  次に、共同担保目録制度を改善することであります。関係条文は、第百二十二条、第百二十三条、第百二十五条から第百二十八条まで、第八十一条ノ四、第八十三条、第八十四条、第八十九条、第九十二条ノ三、第九十六条ノ二、第九十七条及び第九十八条であります。  現行法におきましては、民法第三百九十二条の規定の適用または準用のある共同担保である旨を公示しますために、同一の債権を担保する担保権登記において、他の共同担保目的たる不動産などを登記することとし、共同担保登記を五箇以上の不動産について同時に申請する場合に共同担保目的たる不動産等表示した共同担保目録提出し、これを登記簿の一部として共同担保目的たる不動産などの登記簡略化及び明確化をはかっているのでありますが、共同担保関係にあるすべての場合に、共同担保目録において一括して共同担保目的たる不動産等の全部を明らかにすることが、公示制度上及び共同担保に関する登記手続合理化及び簡素化するために望ましいので、以下述べますように共同担保目録制度の改善及び活用をはかることとしたのであります。  まず、共同担保関係となる担保権登記申請する場合に共同担保目録提出することとすること。  次に、すでに共同担保目録が存する場合に、後に追加担保登記申請の際に提出される共同担保目録は、前の共同担保目録の一部として活用することとすること。  さらに、担保権目的たる不動産分割または区分により共同担保関係となる場合には、その登記申請するときに共同担保目録提出することとし、登記官吏職権で分筆の登記をするときに、共同担保目録登記官吏が作成するものとすること。  最後に、共同担保目的たる不動産表示変更もしくは滅失の場合またはその一部の担保権登記の抹消の場合には、すべてその関係共同担保目録において明らかにするものとすること。  以上が担保権に関する登記合理化であります。  第二といたしまして不動産合併の場合の所有権登記簡明化をはかっております。関係条文は、第八十五条、第八十七条、第九十七条及び第九十八条であります。  現行法におきましては、不動産合併登記をする場合には、合併前の各不動産所有権登記を移記することといたしておりますため、合併後の不動産について単一所有権登記がなく、公示上はなはだ簡明を欠きますのみならず、最近激増しております宅地造成等により数十個の土地合併した後これを分譲のため数百個にも分割する事例のような場合におきましては、合併により数十個の所有権登記を移記し、さらに分割後の各土地についてさらに数十個の所有権登記をそれぞれ転写するために多大の手数を要し、都市近郊登記所における登記事務処理渋滞の大きな原因となっておりますので、不動産合併登記をします場合には、合併前の各不動産所有権登記を移記することをやめまして、登記官吏職権単一所有権登記をすることといたしております。  第三といたしまして、以上述べました以外の登記手続合理化及び簡素化をはかっております。  まずその一つは、いわゆる保証書提出にかかる登記申請における事前通知制度は、これは第四十四条ノ二で規定いたしておりますが、実績によりますと、所有権以外の権利に関する登記についてはこれを廃止しましても弊害がなく、かえってこれを存置しますときは担保取引迅速円滑化を害するおそれもありますので、この制度所有権以外の権利に関する登記については廃止しますとともに、関係条文は第四十四条ノ二改び第百四十四条でありますが、不動産合併登記においては、合併後の不動産所有権登記済証を作成交付する関係上、保証書提出してする合併登記申請の場合にもこの制度を採用するものといたしております。これは第八十一条の二及び第九十三条の三であります。  次に合併後の不動産についての所有権登記登記済証として、現在は合併前の各不動産所有権登記登記済証の全部を用いているのを改めまして、合併登記の際に登記官吏職権でいたします所有権登記登記済証を作成してこれを用いることといたしております。関係条文は、第六十条、第八十一条ノ二及び第九十三条ノ三であります。  次に登記義務者に還付すべき登記済証または保証書には、現行法においては申請書受附の年月日、受附番号及び登記権利者の氏名、住所をも記載することといたしております。これは第六十条第二項でありますが、このような記載実益もありませんので、こういう記載を廃止することとしますとともに、第六十条第三項の規定は、むしろ不合理でありますので、これを削除するものといたしております。  次に、不動産表示登記のない不動産につきまして、所有権登記または処分の制限の登記申請または嘱託の認められる特殊の場合にも、その不動産を特定し、明確にいたしますために、土地所在図、地積の測量図または建物の図面、各階の平面図提出することを明文で定めました。  第四に、以上の不動産登記法改正法律施行期日及び改正に伴う経過措置等定めますほか、不動産登記法改正に伴う担保附社債信託法及び立木に関する法律の整理をいたすこととしております。これは附則に規定いたしております。以上でございます。
  4. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 以上で説明は終わりました。  本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きょうはこの法案に対しての第一回の質問なものですから、法案そのものに入る前のことについて二、三お聞きをしていきたいと、こう思います。  日本登記法明治十九年八月十三日に法律第一号でできたわけですが、その後の変更改正ですね、それはどういうふうになっているのでしょうか。だいぶたびたびあったように聞くわけですが、これは旧登記法ですから、新登記法になってからでけっこうですが……。
  6. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 明治十九年にいわゆる旧不動産登記法というのが制定されまして、現行法になりましたのは明治三十二年の法律でございますが、戦前におきましてはほとんどたいした改正というものはされておりません。ずうっと明治三十二年以来の制度を踏襲してまいりましたが、この不動産登記法根本的と申しますか大きな改正が行なわれましたのは戦後であります。  まず第一は、制度、機構の改革によるものでございまして、戦前でありますと区裁判所またはその出張所におきまして登記事務所管しておりましたのが、裁判所の管轄が戦後になりましてからは法務省所管となり、法務局地方法務局において登記事務を扱うようになったというのが最初改革であります。  その後、目ぼしい大きな改革と申しますと、これは昭和二十七年から手をつけたのでございますが、従来の大福帳式登記簿を改めまして、現在のバインダー式登記簿に改める、これが非常に大きな改正であったと思うのであります。これは昭和二十七年から始めまして七年がかりで実施をいたしました。  それからさらにその後におきます大きな改革と申しますと、それは昭和二十五年に税務署が今まで保管しておりましたところの土地台帳家屋台帳法務局地方法務局移管されまして、二十五年から昭和三十四年に至りますまでは、台帳事務、それから不動産登記事務双方法務局地方法務局所管いたしておりました。  ところが、昭和三十四年から台帳登記簿一元化を行なうということでもって法律改正をいたしまして、三十四年から台帳不動産登記簿との一元化作業を始めまして、目下この作業が進んでおります。  非常に大きな根本的な改正と申しますと、そういう点であります。細部の改正はずいぶんやってまいりましたけれども、大きな改正と申しますと、以上の点であると考えます。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 改正のことはあとでまた聞きますけれども、元来、日本民法が、物権変動については、御承知のとおり、意思主義フランス民法を踏襲しているというか、とっているわけですね。そうすると、不動産登記法も、あれですか、大体フランス法律制度というか、それを手本にしたというか、そういう形をとっているわけですか。
  8. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 現行民法並びに不動産登記法が、仰せのとおりいわゆる公示主義をとっておりまして、公信主義をとっていないという点は、まあフランス法式であると考えますが、不動産登記法自体は、どうもどこの法律をそのままとったというようなものではないように思うのでございます。私自身ドイツフランス制度を詳細には存じませんけれども、この点はドイツに源がある、この点はフランスに源があるというよりも、むしろこれは私どもの先輩が苦心をしまして日本独自のものをつくったと言うほうがいいのではないかと考えるのでございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、日本独自のものというのは、どういうところが日本独自なんですか。
  10. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 公示主義をとって公信主義をとらないという点は、これはフランス民法式だと思いますが、登記手続その他の面で、どうも現在のドイツフランス制度あるいはその他の国々の制度と比較しましても、必ずしも同じでない、違っておる点が相当あるようでございまして、なるほどこういう制度そのものはやはりヨーロッパの制度に範をとったのでありますけれども、個々の規定を見ますと、これは相当違いがあるように私は感じるのでございます。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあ学者が比較法の研究をするわけじゃありませんから、こんなことを詳しくあれしても意味はありませんけれども、元来フランス法主義をとったことは事実です。だから、公信主義でない、それから実質的な審査権かないとか、そういう問題が出てくると思うのですが、フランスでは人的編成主義をとっているわけです。ドイツでは物的編成主義をとっておるわけでしょう。日本物的編成主義をとっておる。これはどういうわけでしょうかね。人的編成主義をとったほうが便利な場合が多いのじゃないですか。
  12. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは利害得失いろいろあるかと思うのでありますが、問題は、実際の取引におきましては、ある不動産について取引をするという場合に、その不動産権利関係がどうなっておるかということを見る必要があるわけで、やはり不動産もとにして登記簿がつくられておるほうが、その権利者もとにしてつくられておるよりむしろ不動産もとにしてつくられておるということのほうが合理的ではないかということで、日本不動産登記法におきましては物的編成主義をとっているのじゃないかと私どもは考えるのであります。フランス不動産登記制度の詳細を私存じませんけれども、その点につきましては、実際運用いたしまして、日本不動産登記制度根本のたてまえがどうもこれでは不便であるということは私どもとしては感じていないわけでございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 名寄せ帳の場合は、人的編成主義のようなかっこうをとっておるわけでしょう。これはどういうわけですか。これは税金の対象としてそのほうが便利だといってとっておるわけですか。
  14. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 市町村におきましては、やはり固定資産税の課税などの関係から、名寄せ帳におきましては、人的編成と申しますか、人を中心に、所有者基礎にして不動産所有関係を明らかにしておくという便宜があろうかと思うのでございます。しかし、法務局地方法務局におきましてはそういう必要はほとんどないと言っていいと思うのでございます。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあドイツ法式フランス法式、いろいろ特徴があると思うのですけれどもトーレンス式登記制度というのはどういうのですか。トーレンス式登記制度というのがあるでしょう。英米法系ではこれはほとんどやっているのじゃないですか。
  16. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) トーレンス・システムと申しますのは、これはイギリスあるいはアメリカの一部に行なわれておるというふうに私ども承知いたしておるのでございますが、英米法も、私詳細は存じませんけれども、大体はやはり日本と同じように公示主義建前をとっております。ただ、トーレンス式になりますと、これが公信主義をとるという根本原則のようでございます。新しく開拓された都市なんかにおきましてはこれが非常に便利であるらしいのでございますが、古くからあるところは必ずしもこれが普及していない。現にアメリカなんかにおきましても在来の登記制度トーレンス式とを併用しているところがございますか、トーレンス式などはほとんど使われていないというような実情だということを私聞いたことがございまして、必ずしもアメリカなんかではトーレンス制度は普及していないという実情でございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 しかし、ドイツでも、トーレンス式でも大体登記公信力を認めるという行き方が強いのじゃないですか。日本の場合には公信力を認めませんね。それには何か特殊な理由があるわけですか。公信力を認めないことによって取引の安全という面から見て不便があるとか、そういうような点はないわけですか。そこをどういうふうに考えておりますか。やはり根本的な改革としては、登記自身公信力を認めるという行き方をとろうとしていっているわけですか。そういうような基本的な改革はどういうふうになっているわけですか。
  18. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 公信主義をとるということになりますと、ドイツ民法あるいはドイツ不動産登記法のような工合に、やはり登記官吏実質的審査権を認める必要が出てくるわけでございます。実質審査権を認めるということになりますと、やはりどうしても登記が非常に繁雑になる、時間かかかるということになってくると思うのであります。それで、日本におきましても、他人の不動産第三者がほしいままに処分するいわゆる地面師などというような事件もございますが、これはきわめて希有の例でございまして、多くの場合におきましてはそういう懸念はないのでございます。そういう場合に、一々登記官吏実質審査をするということになりますと、普通何でもない形式審査書面審査でもって簡単に済む事件まで、非常に複雑な手数を要し、時間がかかるということになりまして、そういう点から見まして、公信主義ドイツ式のやり方は非常にいいところはあると思うのでございますけれども、必ずしも実際に即したものかどうか、これは非常に疑問があると思われるのでございます。それからまた、勢い登記官吏の数も現在の人数よりももっとふやさなければならぬということもありましょうし、それからまた、英米なんかのトーレンス・システムをとっておりますところでは、そういう綿密な実質審査をやらないということになりますと、やはり国家補償——もし公信主義をとった結果損害を受ける者が出たという場合には、国が補償する、そういう国の補償の裏づけというようなこともやはり問題になってまいります。いろいろな面で日本実情に合うかどうかという点は疑問であるように思うのであります。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和二十五年に税制改革があった。その後に、いわゆる土地台帳とか家屋台帳税務署所管ではなくなったのでしょう。そのときに、市町村にそれを備えつけるべきだという意見が相当出ていたのじゃないですか。それを法務局地方法務局のほうで取って一元化をしなければならないというところの理由はどこにあったのですか。
  20. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 昭和二十五年のあの税制改革の際におきましては、一部におきまして台帳市町村移管すべきであるという議論もございました。ただ、市町村に置かれるということになりますと、これは税務署時代でも同じでございますが、土地あるいは建物現況市町村が把握する、そして権利関係のみを登記所が把握するということになるわけでございますが、そうなりますと、たとえば新たに建物を建てたということになりますと、まず市町村申告をいたしまして、その申告をしますと台帳ができるわけでございますが、台帳謄本をもらって登記所に来てそして保存登記をするということになるわけであります。それからさらに所有権を移転するというようなことで権利関係変動がございますと、これはまたさらに登記所のほうから市町村通知するということになるかと思うのでございますが、申請人立場から考えますと、何か登記をする場合には、まず市町村役場に行って、そしてその台帳謄本をもらわなければ登記所に行って登記申請ができない、これは税務署時代も同じなのでございますが、そういうことになる。それからまた、二十五年の税制改革によりまして固定資産税地方税になったわけでございますが、市町村としてむしろ徴税立場にある者に土地建物現況を把握させるという建前が一体はたして公正な制度であるかどうか、むしろそういう固定資産税徴税ということと関係のない国の機関、法務局地方法務局土地建物現況を把握するという建前のほうが公正なんじゃないかという、これは建前論でありますが、そういうこともございます。  いずれにしましても、権利関係登記所でそれからその権利基礎になっておりますところの不動産現況市町村が把握するというのは、やはり二元的な制度であって、適当でないのではないか。で、当時から、その後現在行なっておりますところの台帳登記簿一元化という構想もございまして、やはり登記所移管をする、そして将来登記簿台帳を一本にするということのほうがより合理的でもあるのではないか。ことに台帳移管前におきましても、登記簿における不動産登記にはまず当該不動産表示現況登記される建前になっておりまして、これはまさしく台帳とダブるわけでごいざますので、将来一元化ということも考えますと、制度のあり方としては、法務局地方法務局所管させることが一番合理的であるという見識から法務局地方法務局移管させることにきまったのであります。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまでも、家屋台帳なり土地台帳謄本というか副本というか、副本は、固定資産税を取る関係上、市町村に送っているわけでしょう。
  22. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは固定資産税関係がございますので、権利関係変動がございますと、法務局のほうから市町村通知をするということになっております。これは固定資産税関係でございます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、昭和三十五年の法律第十四号、いわゆる一元化ですね、一元化仕事は、その後どういうふうに進んでおるのですか。
  24. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 一元化仕事は、ただいま仰せのとおり、昭和三十五年から本格的に始めまして、現在四年目の作業をいたしております。これは全体で十一年計画でやる予定でございまして、昭和四十六年の三月三十一日をもって完了するという計画でただいま順調に進捗をいたしております。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、初めは、メートル法施行期日関係がありまして、昭和四十一年の三月三十一日までですか、それまでに終わることになっていたのじゃないですか。
  26. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 当初私ども計画いたしました際に、メートル法完全実施昭和四十一年の四月一日から完全実施するということになっております関係で、それまでに終わらせたいということで五年計画計画を立てたのであります。ところが、何ぶんにも土地が約二億筆、建物が約四千万個と膨大な事務量でございますし、これを五年間に全部完了するということになりますと、事務量も実に膨大でありますし、それに伴いまして予算額も膨大な額になりますので、どうしてもそれは無理であるとの結論に達しまして、四十六年の三月までに十一年計画ということにもう最初から変更いたしまして着手いたしたのであります。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 最初からそういうように変更したのですか。途中から変更したのじゃないですか。最初というのはいつのことですか。
  28. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) そういう五年計画という計画を立てたこともございますが、発足のときからすでに十一年ということできめまして、三十五年に本格的に始めましたときはそういう計画で発足したのでございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうに国会に答弁していますか。これはメートル法実施期日昭和四十一年四月一日、それまでにきめたいということで最初進んだのじゃないですか。ところが、大蔵省のほうの関係予算がとれなくなって延びたのじゃないですか。
  30. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 当初は、ただいまも申し上げましたように、五年計画ということで一番最初計画いたしましたので、あるいはこの委員会なんかでそういうことを申し上げたかもしれぬと思うのでございますが、三十五年に本格的に発足します際には、はっきり十一年計画、四十六年三月三十一日までに完了するということで着手をいたしたことは間違いございません。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その点は私のほうもよく調べてみますけれども、そうすると、一元化のために非常に事務量が膨大になってきたわけですね。法務局の職員のそれに対する手当はどういうふうにしたわけですか。
  32. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 事務員が非常にふえましたことは仰せのとおりでございますが、経常事務以外にこういう余分の事務をいたすわけでありまするので、それをカバーしますために、現在予算で組み入れられておりますのは、職員の超過勤務手当、それから事務応援に要する旅費、それから賃金が見られております。大体これでまかなっております。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 超過勤務手当というものは具体的に幾らぐらいになるのか。それから旅費の実態、賃金の実態は……。賃金というのは、臨時雇いを雇ったのでしょう。そのことでしょう、賃金というのは。
  34. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 仰せのとおりであります。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 こっちから言わないとなかなか答えないのですけれども、もう少し答えてもらたいものです。  そうすると、その臨時雇いというのは、どのくらい雇ったのですか、どういう標準で雇ったのですか。前の超過勤務と旅費のほうも明らかにして下さいよ。東京が十七人とか横浜が六人とか、ちゃんと表があるのじゃないですか。僕のほうで読みましょうか、ここに表があるから。
  36. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 超過勤務手当でございますが、これは昭和三十八年度本年度から他の超過勤務と一緒に込みで計算されておりまして、職員一人当たり月十二時間ということで超過勤務が見られております。したがいまして、一元化だけの関係の超過勤務手当は、これは三十七年度までは一元化だけの関係で超過勤務手当が見られておりまして、三十六年、三十七年におきましては職員一人当たり月三時間という計算で出されておりました。三十八年度からはほかの超過勤務手当と一緒になりまして、職員一人当たり十二時間という計算で見られております。それから三十九年度も同じやはり月十二時間という予定になっております。それから賃金でございますが、三十八年度本年度におきましては約総額五千七百万円でございます。それから三十九年度におきましては六千四百万円程度に増額される予定になっております。
  37. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 旅費は。
  38. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それからなお、一元化関係の先ほど申しました事務応援旅費というのが二千二百万円ございます。  一元化関係におきましては、予算の総額は、超過勤務は除きますが、約一億七千万円でございます。
  39. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 一元化関係での旅費が二千二百万円というのはいつのことですか。それから一億七千万円というのは、これはいつのことなんでしょうか。
  40. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 一億七千万円というのは、今年度もそうでございますが、来年度におきましても大体同額でございます。若干ふえております。
  41. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 賃金ですね、これは臨時に人を雇ったわけでしょう。どういう基準でそれを雇ったわけですか。何人雇っているんですか。臨時に一元化  のために人を雇ったわけでしょう。
  42. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) そうでござ  います。
  43. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その内容ですよ。内容よ……。
  44. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 予算は、本年度三十八年度におきましては一人当たりの一日の単価は四百十円でございます。三十九年度におきましては、その単価が増額になりまして、四百五十円になる予定でございます。
  45. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは一人当たりの単価も重要ですけれども、どういうふうな根拠でそういうふうな臨時の人を雇うようになったのか、根拠があるんじゃないですか。事務量がこれだけだからこうだとか、いろいろあるのじゃないですか。
  46. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) もちろんそれは事務量、ことに賃金の臨時雇いにやらせることが相当な事務量を計算いたしまして、この人数を出しまして、それにこの単価をかけまして賃金予算の総額が出ておるわけでございます。事務量基礎にいたしております。
  47. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、その事務量というのは、具体的にどういうふうなことなんですか。全部の法務局で臨時職員を雇っているのじゃないですね。
  48. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 一元化作業は、全部の登記所で一斉にやっておるわけではございませんで、大体全国の十分の一の登記所が毎年やっているわけでございます。一元化関係の賃金の職員というのは、実際一元化作業をやっているところだけでございまして、全登記所というわけではございません。
  49. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、全登記所がすべてこうやって人を雇っているわけですか。それから登記所によってやっているところによって非常に人数が違うのじゃないですか。だから、どういう根拠でその人数を出しているのですか。
  50. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 仰せのとおりでございますが、不動産の数の多いところとそうでないところとございますので、賃金職員の配置というのは、仕事の量に応じましてまちまちでございます。
  51. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、その基準となる仕事の量は幾らかと、こうお聞きしているわけですよ。計算があるんじゃないですか。それがなくちゃめちゃくちゃじゃないですか。
  52. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 詳細な数字はあとでまた調べまして申し上げますが、ごく概略かいつまんで申し上げますと、土地の総筆数は、先ほど申し上げましたように、約二億でございます。それから建物が約四千万でございます。  作業は、一登記所について申し上げますと、一年目には移記をする。不動産登記簿の表題部に台帳あるいは——まあ台帳から移す場合が大部分でございますが、あるいはまた、場合によりましては現在の登記簿の表題部から不動産表示に関する事項を移記いたします。この移記の作業を初年度にやりまして、二年目にはそれを登記簿の中に編綴するという作業をいたしております。したがいまして、一登記所につきましては、二年かかりましてその登記所登記台帳一元化が完了するわけでございます。そういうわけで十一年かかって全部が完了することになるわけでございますが、土地の総筆数が二億、それから建物が四千万個でございますので、毎年の平均はその十分の一ずつをやっているということになろうかと思うのでございます。でありますから、土地につきましては二千万筆、それから建物につきましては四百万個、これが現在一元化作業で移記並びに編綴が行なわれている、そういう計算になるわけでございます。  ごく大ざっぱな数字でございますが、なお詳細な数字につきましては、のちほど資料につきまして調べましてお答え申し上げます。
  53. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それもそうですけれども、私の直接お聞きしているのは、各法務局で臨時に雇っている人の人数がみな違うわけでしょう。たとえば高松では一人しか雇っていない。横浜が六人、大阪では九人、神戸では四人、名古屋では五人とか、あるいは金澤、富山、広島、福岡、仙台、福島、これはみんな二人ずつですね。これは何によってこういうふうな人数の割り振りをきめたのかというんです。一年間の所有権移転個数を計算して、一日幾つ処理できるという計算で割っていったんじゃないんですか。
  54. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それはやはり経常事務の繁忙度、たとえば東京でございますとか大阪でございますとかというようなところでは、地方と不動産の数自体はそう開きはございませんけれども、都会地におきましては権利関係の移動が激しい。経常事務が非常に多い。そういうところは定員職員がなかなか一元化作業をやる余裕がない。ところが、地方の登記所におきましては、不動産の個数は必ずしも少なくないにいたしましても、経常事務はそれほど繁忙ではない。ある程度の余力がさける。そういう関係で、繁忙な地方にはどうしても賃金職員の賃金予算がたくさん配賦になるという、そういうことでございます。
  55. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはあなたの言われることはあたりまえなんで、一般論でしょう。そうでなくて、一年間の所有権移転個数の合計が六万個以上の庁で一日に二百八十処理できるというふうな形で計算をしてこの数を出したんじゃないですか。それを聞いているわけですよ、私は。事務繁忙のところへ人がたくさん行くのはあたりまえのことなんですよ。
  56. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) どうも私御質問の趣旨がよくわからないのでございますが、一元化関係の賃金……
  57. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 臨時職員の人数ですよ。
  58. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 一元化関係の賃金でございまして、これは経常事務の事務量、それから移記並びに編綴をすべき不動産の個数というものを基準にいたしまして全体の量や予算の総額も出し、それを配賦するにあたりましても、各登記所の経常事務の量、それから不動産の数というものを基礎にして配賦いたしているわけでございまして、その基準によってあるところは非常に多くなりますし、またあるところでは少ないという結果が生ずるのは当然であるように私も思うのでございますが……。
  59. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ、いま各法務局で実際に臨時に一元化のために雇っている人数がいるわけでしょう。その一覧表があると思うんですね。いまここでわからなければあとでいいから出してほしいと思います。  それで、それらの人は一体一年間に何日働くものとしての計算をしているわけですか。
  60. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは普通の勤務日はずっと続けて働くわけでございますので、大体二百五十日前後になるわけでございます。そうして、先ほど申し上げましたように、一登記所につきましては二年かかって一元化作業を完了します関係で、同じ人が引き続いてやってくれるほうが仕事の能率も上がります関係で、大体同一登記所に二年間引き続いて同じ賃金臨時雇いが勤める。それから二年たちましてそれが終わりますと、今度は次の同じ管内の他の登記所一元化が始まるわけでございますが、本人の交通、住まいなんかの関係もございますけれども、なるたけならば同じ人が次の登記所も続いてやってくれるようにということを私どもは希望しているわけでございます。そういうことにいたしまして賃金職員として働いてくれておるという人がかなりあるわけでございます。
  61. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは大蔵省のほうでよく知っておるのかわかりませんが、二百五十日分の賃金として計算しているのじゃないんじゃないですか。もっと日にちがずっと少ないのじゃありませんか。二百五十日というのはどこから出てきたのですか。
  62. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 一元化関係のほかの関係で賃金職員も採用いたしておりますが、一元化だけに限りますと四百五十人から四百六十人くらいの全国的に臨時職員が現在働いております。
  63. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうじゃなくて、その人が、一年が三百六十五日だけれども、臨時職員だから日曜や祭日は出ないわけでしょう。だから、その日は日給は出さないわけでしょう。そういうものを引いて何日分働くものとして予算を組んであるのかと、こういうんです。いまあなたのお話だというと、二百五十日というけれども、それは違うのじゃないですか。
  64. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 二百五十日と申しましたのは不正確でございまして、土曜日の半日を入れまして約三百日でございます。
  65. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 三百日分として予算を組んでいますか。
  66. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) そのとおりでございます。
  67. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、それは土曜日は半額ですか。
  68. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 土曜日は半日でございますので、土曜日を二日合わせまして一日分、全一日として計算しまして約三百日ということになります。それを基礎にして賃金予算は組んであるわけであります。
  69. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんなにならないですよ。三百六十五日のうち、日曜は幾日あるのですか。日曜は五十何日もあるのじゃないですか。それを引いて、そうして土曜日がやはり五十何日あるから、それを二日分を一日にするのだから、三百日なんかになりっこないじゃないですか。算術の試験みたいで恐縮だけれもど、そんなことではだめですよ。
  70. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) どうも何度も訂正いたしまして申しわけございませんが、正確に申し上げますと二百七十五日でございます。
  71. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 二百七十五日分として賃金を計算していますか。
  72. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) それで計算いたしております。
  73. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もう訂正はないでしょうね。僕のほうももっと調べますが、数字が違いますよ。これはあとから調べて別の機会にもっとあれします。私どもの計算とずいぶん違いますよ、それは。  それから賃金が幾らですか。四百五十円とか言っておりましたね。しかし、それは、東京や大阪は四百五十円だけれども、ほかの都市はいまのところ三百七十円じゃないですか。
  74. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 先ほど四百十円と申しましたのは、積算する場合の単価でございまして、実際にはやはり土地によりまして四百十円では雇えないところもありますし、また、三百七十円とか八十円とかというところで雇えるところもございます。そこは各地の実情によって違いますので、四百十円はこれはあくまで平均の単価なのでございます。
  75. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これは同じ人がもう五年以上やっておる場合もあるのじゃないですか、臨時でね。そういう人が十年以上やるとなると、賃金は一体どうなんですか。どうやって上げていくわけですか。
  76. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 仰せの点がございまして、地方法務局におきましてはそういう点も考慮いたしまして予算の範囲内で少しずつ上げておる、そういう運用のいたし方をいたしております。
  77. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その臨時職員はどんどんふえていくわけですね。一元化が進捗するに従って。これを正規の職員に切りかえるというか、任用がえするというか、そういうことは法務省としては考えているわけですか。
  78. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) その点も考慮いたしておりまして、年々定員職員に欠員が生じますので、欠員が生じました場合にはできる限り賃金職員の中から優秀な者、法務局職員として十分職務にたえるという者を選びまして、これを定員職員の中に組み入れていくという措置をやっております。
  79. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その点もまたあらためてあとでお聞きしますがね、きょうでなくて、いままで臨時に働いていた人が正規の職員になったのは年度別にどのくらいあるか、いまでなくていいです、あとで明らかにしてくれませんか。
  80. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 取り調べましてお答え申し上げます。
  81. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あとで山高先生の質問があるのであまりあれですから、短くしますが、もう一つだけお尋ねするのは、現在の登記の件数といいますか、それから台帳件数もあるわけですが、それがここのところで、十年くらいでもいいし、五年くらいでもいいですが、どういうぐあいにふえているわけですか。
  82. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 事件表を差し上げたほうがわかりやすいと思いますので差し上げますが、たとえて申し上げますと、甲号事件——登記簿に記入をする事件は、昭和二十六年度は約五百万件でございましたのが、三十七年におきましては一千万件になって、約二倍にふえております。三十八年の推定では、一千七十万件というふうにふえたものと推定されます。  それからいわゆる乙号事件——謄本、抄本、閲覧事件を乙号と申しておりますが、これが、昭和二十六年におきましては五百十七万件でございましたのが、三十七年度におきましては五千八百万件というようなぐあいに十倍以上にふえておるというような実情でございます。  それから台帳の例について申し上げますと、昭和二十六年の甲号が四百万件で、これは一元化作業がどんどん進んでおります関係台帳事件は減るわけでございますが、三十七年におきましても大体四百三十八万件で、あまり変わらない。一時五百万件程度になったこともございますが、現在では二十六年当時を若干上回る程度という現状でございます。  そういうわけで、登記事件は年々増加しておるというのが実情でございます。
  83. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、事務量は、昭和二十六年をかりに一〇〇とした場合に、登記件数が甲号、乙号、台帳件数が甲号、乙号ありますが、合計すると何倍くらいになっているのですか。私どもの計算では大体五倍以上になっていると思いますが。
  84. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 仰せのとおりでございます。三十七年につきましては五・二五倍、三十八年度の推定では五・六三倍、五倍以上になっておるということでございます。
  85. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それに付随しての登録税や手数料も入ってきておるわけですね。これもふえているはずだと思うのですけれども、大体同じような数字でふえていると思いますが、この点はどうですか。
  86. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 登録税、手数料も大体五倍前後になっておりまして、たとえば昭和二十六年を例にとりますと、七十億でございます。それが昭和三十八年の推定では三百五十億ということになるわけでございます。
  87. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、事務量が約五倍にふえ、登録税や手数料も約五倍にふえておるということがわかるわけですが、そこから法務局予算定員はどういうふうになっているんですか。五倍ふえているのですか。
  88. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは、予算はなかなか定員の増加というのが困難でございまして、しかしながら、ここ数年来大蔵省のほうでもよく実情を認識していただきまして、昭和三十五年でございますか百四十二名の増員が認められまして、以来、三十六年度には十人、三十七年度には百人、三十八年度は二百人、三十九年度にはさらに二百人増員が認められる予定になっております。
  89. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは、数は二百人の場合もあるし十人の場合もあるんですが、いま言った事務量なり登録税や手数料が五倍以上になっているのに、その年度に比較して予算定員はどういうふうになっているのかというんです。昭和二十六年の予算定員は何人でした。三十七年の予算定員は何人です。
  90. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 二十六年度は予算定員が八千九百二十七人でございす。三十八年本年度は九千七百九十四名ということになっております。
  91. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 三十八年度は事務量とか登録税や何かが推定ですから、三十七年のはっきりしたものを比較すると、三十七年の予算定員は九千五百九十四人じゃないですか。
  92. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) そのとおりでございます。
  93. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、十一年間かかって八千九百二十七人が九千五百九十四人にふえたとなると、一体これはどの程度ふえたのですか。一割もふえていないでしょう。七%しかふえていないじゃないですか。
  94. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 仰せのとおりでございます。
  95. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、くどいようですけれども事務量が五倍以上になっているんじゃないですか。五倍以上になっていて、人間がふえているのは一割にもならないんじゃないですか。七%でしょう。そういうことならば、当然法務局の職員の事務員の負担が非常に重くなることは目に見えているんじゃないですか。これに対して大蔵省に対して要求しないんですか、強く。どうなんですか。大蔵省はどういう見解をとっているんですか。こんな——こんなと言っては悪いけれども、ことに法務省あたりは人がいいし、おとなしいし、わりあい正直だから、これはあと回しだというふうに軽く扱っているのが従来の大蔵省の考え方ですね。そうでもないですか。そういうようなことが多いわけだね。こういうようななのはおかしいじゃないですか、常識的に考えたって。これはあなた主計官であれですけれども、主計局長はきょう来られないというけれども、こういう事実はどうしたらいいんですか、大蔵省として。もっと理解を持って、もっと人数をふやすとかいろいろなことをするとか、当然考えなくちゃいかんのじゃないですか。どういふうに考えているんでしょうかね、これは。
  96. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) ただいま先生から非常におしかりの言葉をいただきまして、恐縮に存じております。先ほど御指摘のように、二十五、六年に比べますと、総事件数において五。五倍以上になっておる。増員はほとんどない。私どもの計算では二割程度にはなっておると思いますけれども、間違っておったらあとで訂正いたします。それにいたしましても、確かにお説のとおり、算術からいいましても相当に数字が違うわけでございます。確かに五倍以上に総件数はふえておりますが、御承知のように乙号事件が非常にふえておりまして、甲号もふえておりますものの、乙号事件が相当ふえております。で、これを甲号事件に換算してみますと、三倍程度の増加になると思います。それにしましても、やはり御指摘のように、三倍と二割では相当違うわけでございまして、依然として問題は残るわけでございます。  どうも、大蔵省は、いつものことでございますけれども予算編成方針といたしまして、極力定員、機構の膨張を抑制するという方針が従来堅持されておりまして、そういう制約のもとにおいてしかも職員の過重負担をなるべく軽減するというようなことを従来とも配慮してまいっておるわけでございまして、こういう定員抑制もなるべくしないでほかのほうでも極力過重負担を解消するという方法も検討いたしましておりますが、それの一番いい方法といたしましては、やはり事務能率化をはかるということで、乙号事件につきまして非常に有効な機械器具でございますところのコピア複写機、あるいは特殊タイプライター、あるいは銅板、そういった経費を中心といたしまして毎年逐次増額いたしております。今年度につきましても、対前年六百万円の増になっておるかと思いますが、打に複写機の増加につきまして配慮をしております。これも数字を申し上げますと、多少ラウンド・ナンバーで恐縮でございますが、コピアにつきましては二十九年の保有台数に比べまして約三十倍、それから特殊タイプライターも三十倍となっております。それから記入用の銅板につきましても、これは数字はあるいは間違っておるかもしれませんが、二百倍じゃなかったかと思いますが、そのように、そういった経費も重点を置いて極力御要望の線に沿って予算を計上してまいっております。それからまた、登記台帳一元化といった登記の基本的な改正に伴いまして、御承知のように台帳事務量がそれに伴いまして減るわけてごさいますが、そういったことも勘案いたしまして、相当事務量の負担の減少をはかっておるわけでございますが、増員につきましては先ほど来申し上げましたような経過でございまして、三十七年度につきましては、純増百人に対しまして、三十八年度は二百人、引き続きまして三十九年度二百人ということに相なっておりまして、これも行政管理庁ともいろいろ相談した結果の数字でございます。  過重負担の問題につきましては、今後とも私ども十分予算問題につきまして検討してまいりたいと考えます。
  97. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ほかにいろいろいまの問題に関連して聞きたいことがあるんですよ。たとえば甲号と乙号との担当者の比率の問題、甲号一に対して乙が〇・一ぐらいの比率でしょう。だから、乙のやる人が非常に負担が重くなるわけですね、こういうような事実関係もあるわけですね。こういうふうな関係とかいろいろありますけれども、きょうはこの程度にしておきます。  それからまだ問題がありますのは、いわゆる法務局の職員の宿直手当の問題ですね。去年の何月でしたか、人事院から判定が出ましたね。あれはどういう判定でしたか。去年の十二月二十六日に出たでしょう、人事院から判定が。
  98. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは法務局地方法務局の出張所の問題でございますが、非常に小規模の出張所が多うございまして、職員一人、二人というような庁が非常に多いのございまして、そういう少人数庁におきましては、所長が年じゅう庁舎に付属しております居住室に家族とともに起居いたしておりまして、同時に宿直勤務にも服しておるわけでございます。一般の宿直とは多少異なる面もございますけれども、宿直はやはり宿直なのでございまして、従来その宿直勤務に対して全然手当が支給されていない。で、法務省におきましても、何らかのこの手当が支給されるべきであるということで、ここ数年来問題にしておったわけでございます。ところが、今日まで実現をみていなかったのでございますが、昨年の十二月に人事院の判定がございまして、やはり何らかの宿直手当が支給されるべきであると、まあそういう結論が出されておる次第でございます。
  99. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この人事院判定によると、一番おしまいのほうですが、「昭和三二年度以降該当出張所一カ所について年間一〇日分、また三七年度からは六四日分に相当する宿日直手当予算が計上されていることが認められるが、今後も法務当局において組織、予算の面から出張所長のかかる負担を軽減ないし除去するよう配慮することが望ましい。」と、こうなっているわけですね。最後の4のところですが。これに対して、法務省としては大蔵省なりにどういうふうな交渉をしているわけですか、いまの段階で。
  100. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 人事院判定にございますように、三十六年度までは、そういう小規模のすなわち七人庁以下の出張所におきましては、年間わずか十日分の日直手当が、宿直ではございません、日直手当が支給されておったのでございますが、これは法務省のほうでこれではどうもいかんというので、せめて全休日六十四全部の日直手当は支給してもらいたいということで、三十七年から全休日六十四日分の日直——日曜、祭日でございます、その手当だけは支給されることになったのでございます。ところが、遺憾ながら宿直手当のほうはまだ実現をみていない。やっと昨年の暮になりまして、暮の二十六日に人事院の判定が出まして、その結果人事院規則の改正が行なわれることになるわけでございますが、改正が行なわれますれば、それに基づきまして法務省といたしましてもさらに強力に宿直手当の実現に努力をいたしたいと考えております。
  101. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの点について大蔵省ではどういうふうに考えるわけですか。
  102. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 先ほどの人事院の判定の結果、十二月に人事院の判定が出たわけでございますが、これは実は私予算の主計官でございますが、担当部局のことを申して恐縮ですが、給与課が主管になりますが、しかし、私の知る限りにおいて御答弁をしたいと思いますが、御承知のように、当該官庁が宿日直手当を幾らにするかということは、これは人事院規則できめられるようになっております。たしか三百六十円の範囲内でする、こうなっております関係上、人事院の担当局で今後いろいろ検討することと思いますけれども、国の付属の機関あるいは民間がどうなっているか、そういった常直制度でどういった給与状態であるかという実態調査等、いろいろ総合的な検討を早急に始めるものと期待しております。その結果に基づきましてできるだけ早く合理的な結論を見出したい、このように思っております。
  103. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きょうの質問はこれで終わりますが、今言った問題、特に法務局の職員の待遇が非常に悪いわけですね。これは朝八時半から勤務しなくちゃ実際上ならないわけです。ほかのところは朝八時半に行かなくてもいいのかもしれません、と言うと語弊があるかもしれませんが、お客さんが来るし、現実に八時半から行かなければならない。それで五時に帰れないわけですよね。終わってからもおそくまで勤務しなければならない。しかも、一元化の問題で非常に事務量が多くなっている。こういうふうな問題がたくさんからんできているわけですが、それにからんで臨時職員の待遇の問題なり、いまのいわゆる常直手当というのですか、この手当の問題、たくさんの問題があります。いまの定員増の問題とかこういうふうな問題については、これはあらためて質問をすることにします。  きょうは、時間の関係もありますから、第一回の質問ですから、この程度で終わっておきます。
  104. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちょっと平賀局長にお願いしておきたいのですが、不動産登記法改正に関連してお願いしておきたいのです。それは、市町村合併とこの法律改正によって、登記所というものが新設されたり移転されたり、あるいは統合されたり廃止されたりするわけですね、全国的に。その四つの項目についての数字的な何か資料があれば、この次までにお出し願いたい。皆さんの参考のためにお願いします。
  105. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) できるだけ集めまして提出するようにいたします。
  106. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは、本案に対する質疑は一応この程度にいたします。    ———————————
  107. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題として、売春防止に関する件につき質疑を行ないます。山高君。
  108. 山高しげり

    ○山高しげり君 売春防止に関する件で関係の御当局にいろいろお尋ねしてみたいと思います。  最初にお伺いしたいと思うことは、売春防止法という法律昭和三十一年にできまして、ことしで九年でございますが、その九年間この法律でいろいろお取り扱いになりました事件の概況というようなものを、大体のことでけっこうでございますけれど、最初に承らせていただきたいと思います。
  109. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) お話のように、売春防止法が施行されましてすでに十年に近いのでございますが、特に罰則の適用を見ましたのが昭和三十三年の四月でございまして、それ以来売春防止法違反事件を検察庁といたしましては受理し、これを処理してまいっておるのでございます。  統計の上から見ますと、受理をいたしております人員は逐年減少の傾向を示しております。その減少の傾向をどういうように考えるかということが問題なんでございますが、一応この売春阻止法の目的は緩慢ながら果たしているという見方も成り立つかと思うのでございますけれども、一面、売春防止法違反の罪が悪質化し、潜行化してまいりまして、検挙もすこぶる困難になってきているところを見ますと、その実相というものは、この数字が示しておるような減少の面で楽観を許さない、やはりわれわれのわからない面において相当まだ売春事犯というものがあるのではなかろうかというふうに考えられるのでございます。  さように見ておりますが、関係機関の方々と密接に連絡いたしまして、事犯の防圧と、売春防止法が目的といたしております転落婦女子の保護更生につとめてまいっておるのでございます。特にことしの秋にはオリンピックも開催されるという事情もございますし、現状をこのまま放置いたしますことは、単に日本婦人の品位をけがすというだけでなく、国全体の品位をけがすことになるのでございまして、それぞれの機関におきまして十分な連絡をとって検挙処理に一段の工夫をこらし、ただいま私どもに与えられておりますところの売春防止法だけでなく、あらゆる法規を活用いたしましてその実をあげてまいりたいと考えております。  こまかい数字はまた御質問によりまして申し上げますが、あらましを申し上げますと、以上のとおりでございます。
  110. 山高しげり

    ○山高しげり君 ただいまのお答えで当局としてのいろいろお考えになる御様子がわかったことはけっこうだと思います。そこで、さっそくその次に伺ってみたいことは、いまのように、オリンピックも差し迫るというので国の品位をけがすようなことのないように、この法律のみならず、他の法規も活用して善処したいと御当局はおっしゃるわけでございますが、私ども目の前にいま風俗営業等取締法に関する法律の一部改正に伴いましてマスコミなどにもしきりと報道されておりますヌード・スタジオとかトルコ風呂とかいうもの、これは見方を変えれば赤線の復活のようにも見えますし、新しい管理売春の姿かなあというふうにも解釈できるのでございますが、そのトルコ風呂なりヌード・スタジオの現状につきまして御関係の筋から少し御説明をいただきたいと思います。
  111. 大津英男

    政府委員(大津英男君) ヌード・スタジオ及びトルコ風呂についての御質問でございますので、簡単に概況を申し上げたいと思います。  昨年の二月末現在でヌード・スタジオにつきまして警察庁のほうで調査いたしましたところでは、百九十八軒のヌード・スタジオがあります。これは、都市の盛り場、あるいは温泉地の観光地等が大体おもなところでございます。そういうところに所在しておるもの、その他がございます。大体そういうことでございます。  それからその営業の形態としましては、入場料あるいは会費というものを支払いまして、不特定の者に観覧をさしておるというものが大半、特定の会員に観覧さしておるというものはわずか一軒だけというようなことでございます。   ヌード・スタジオにつきまして、警察のほうの取り締まりといたしましては、特に昨年あたりから非常に力を入れましてやっておるのでございますが、統計的に年間のものがちょっと手元にございませんので、昨年の七月から九月までの二カ月間に全国一斉の計画的な取り締まりをやった際の数字でございますが、その際の状況で申しますと、この百九十八の大体三〇%程度の六十軒が公然わいせつその他の事犯で検挙されておるということでございまして、検挙総数が二百三件、二百十名、こういうことでございます。公然わいせつ、あるいは職業安定法違反、あるいは興行場法違反、入場税法違反、児童福祉法違反、その他の法令違反、こういう形で検挙しておるというのがヌード・スタジオについての概況でございます。  それからトルコ風呂のことでございまするが、これは本年の一月末調査をいたしましたところでは、全国で三百九十軒のトルコ風呂がありまして、約七千二百名の従業婦がいるということを確認をいたしておるわけでございます。三百九十軒のトルコ風呂の中には、公衆浴場法によって許可を受けておるものもございますし、あるいは旅館業法によって旅館の許可を受けその旅館の施設として営業をいたしておるというものもある、こういうようなことでございます。  それから昨年昭和三十八年中に取り締まりをいたしました結果でございますが、トルコ風呂の営業者あるいはその従業婦が各種の法令に違反いたしましたものの検挙は四十四件、二十七名、こういうことでございまして、児童福祉法違反、あるいは職業安定法違反、労働基準法違反、公衆浴場法違反、売春防止法違反、風俗営業等取締法違反、こういうような法律を適用いたしまして検挙しております。  大体以上のようなことでございます。
  112. 山高しげり

    ○山高しげり君 それが現況でございますが、これは増加の方向へ動いているのではございませんか。
  113. 大津英男

    政府委員(大津英男君) トルコ風呂につきましては、昨年中にも相当数ふえておりまするし、また最近できておるものもあるというので、若干増加の傾向が認められる、こういうことでございます。
  114. 山高しげり

    ○山高しげり君 それから分布でございますけれども、やはり東京が一番多数でございましょうか。
  115. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 東京がやはり一番多いということでございまして、警視庁管内で百四十八のトルコ風呂がございます。警視庁の関係が一番多いということでございます。
  116. 山高しげり

    ○山高しげり君 先ほど刑事局長からもオリンピック云々というお話が出たのでございますが、まあ私どもの耳に入ってまいりますちまたのうわさと申しましょうか、多少われわれの目に触れないこともないのでございますけれども、オリンピックで外国からたくさんお客様がお見えになることに対して、急いで新しいものを建てるとか、これでひともうけとかいうようなことがないでもないように思うのでございますけれども、当局としては、そういうこともお考えに入れて、ここで取り締まりの強化と申しますか、あるいは、先ほどもトルコ風呂に関しては御許可をなさるときに公衆浴場法によるものとか旅館業法によるものとかいろいろあると承りましたけれども、その許可をなさるときに、あまり新しいものは許可しないとか、何かそういう手心と申しますか御方針というようなものがあるのでございましょうか、それとも、条件にかなってどんどん建てれば、認可は必ず許されるというようなふうのものなんでございましょうか。たいへんにしろうとの質問ですけれども
  117. 大津英男

    政府委員(大津英男君) トルコ風呂の許可は公衆浴場法あるいは旅館業法によって許可をされておるわけでございますので、警察のほうでこれについて許可をしてはならないとかあるいはすべきではないとかというような権限がないというようなことでございますので、結局先ほど申し上げましたような数字ができているのでございますか、その点につきましても、方針として、そういうものをどういうふうな何と申しますか制限のしかたで、距離あるいは配置の基準とか、あるいは許可をするに際してはどういう構造設備あるいはどういうふうな措置をすべきかというようなことは、これは公衆浴場法に基づきまして厚生省のほうが指導されまして、いろいろ条例とか基準とかいうものをおつくりになって都道府県知事が許可をしておる、こういうようなことでございます。
  118. 山高しげり

    ○山高しげり君 公衆浴場法、旅館業法ともに厚生省の御所管でございますので、厚生省の御当局にもお出ましを願えばよかったのかと思いますけれども、それはまた別の機会に譲りたいと思います。  ともかく、私どもも多少は現場の視察をしてみたのでございますけれども、たとえばトルコ風呂のごとき、格別旅館に併設されていないトルコ風呂で、全部が個室、まあ密室と申しましょうか、そういう設備であって、どこが公衆浴場でもあろうかと思うのが今日許可になっているという事実については、私ども非常にふしぎに思うわけでございまして、このことはまたあらためて厚生省にお出ましを願って伺ってみたいと思いますけれども、ある週刊誌に載せておりますように、あれが事実といたしますれば、その中で行なわれていることは、あるいは厳密にいえば売春行為ではない、もっと特別なものであるというのかもしれませんけれども、広く解釈をして風紀上望ましくない実態がそこに行なわれているということは明らかではないかと思います。警視庁からもお出ましいただいておりますようでございますので、いま少しその辺を、実際にいろいろ東京というところについて御苦労をなすっていらっしゃるお立場から、いまは警察庁からのお話でございましたけれども、特に東京トルコの風呂なりあるいはヌード・スタジオについて私の質問にお答えをいただきたいと思います。
  119. 渡辺清

    説明員(渡辺清君) 警視庁の取り締まり状況等についてお尋ねでございますので、お答え申し上げます。  まずヌード・スタジオの状況から申し上げますが、ヌード・スタジオは都内に現在十二軒ございます。一昨年末は十六軒ございました。これらの業者の中に公然わいせつ罪に当たるような事犯があるというようなことをしばしば耳にもいたしましたので、昨年警察庁からの御艦示もございまして警視庁でもこの種の取り締まりを強化をいたしまして、昨年中に検挙をいたしましたものが九件でございます。四十三名の被疑者が送検をされております。このうち、業者の人三名が公判請求をされております。そういう状況でございまして、犯罪は、先ほど局長から申し上げましたように、公然わいせつ罪が一番多いのでございまして、取り締まりをその後も強化をしておりますが、まだ全然改める傾向がないというような者も見えております。と申しますのは、その後続いて二回検挙になった業者もある状況でございまして、目が離せない状況でございます。  それからトルコ風呂の状況でございますが、トルコ風呂につきましては、局長から申し上げましたように、現在百四十八軒ございます。一昨年末は百十一軒でございますので、昨年中に三十七軒でございますか増加をしておるという状況でございます。いまお話のございました個室は、われわれのほうでは二千室くらいあるというように見ております。ここに従業しているミス・トルコと称する女の子が三千名くらいあるであろうというように考えております。そのほかに、現在申請中のものが四軒あるように聞いております。  週刊誌に出ておるような状況ということでございますが、業者の中には、何と申しますか、スペシャルと申しますか、そういう風紀上おもしろくない行為を、黙認と申しますか、こういう場所でやっておるものもございます。昨年警視庁で検挙いたしましたものは三十件でございまして、法条違反といたしましては、職安法違反が十二件、児童福祉法違反が七件、労基法違反が四件、その他の法令違反七件という状況でございます。児童福祉法違反については、略式で罰金を取られました者が二名、公判請求を受けております者が二名でございます。その他の法規については、起訴猶予になっておる者が多いようでございます。  そこで、トルコ風呂がなぜ問題になるかという点をしぼってみますと、結局、われわれの目から申し上げますと、個室があるということが問題でございます。昨年来取り締まりの結果を通じまして東京都と折衝をしておりますが、東京都でも業者を集めまして警告をし、また、十月五日には局長通達をもって、オリンピックを迎えるにあたって国際的に批判を受けるような行為はやらないようにその旨を従業員にもよく示達をしろという趣旨の通達が出ているように伺っております。また、本年になりましてから、二月の、本月の初めでございますが、東京都に業者を集めまして同様趣旨の示達をいたしまして業者に警告をしております。警告をしておりますが、問題の個室解消というような点については、これがなかなか根が深いので、直ちに解消するというふうな問題でもございませんが、警視庁といたしましては、個室があることがやはり問題であるということから、公衆浴場法を改正をして、これはまあ法律によりますか、条例でできるか、なお法規的には検討をしなければならない段階でございますが、個室解消について手を打ってくれということを衛生局長に近く私が申し入れをいたしまして、警視庁の意見を東京都に反映をさせるべく、いま立案もさしておる段階でございます。  それから従業時間でございますが、深夜おそくまで従業するという点が問題の二でございますが、このおそくなるということについては、公衆浴場法に浴場は午後十時までの営業ということがきめられておるようでございますけれども、これについては罰則もないようにわれわれ見ておるわけでございますが、条例では罰則をつけられないというようなことなので、やはりこの種のことを順守させるには罰則もときに必要ではないかというような考えから、その点配慮をしてもらいたいということを申し入れるようにいま準備をさしておるところでございます。  で、個室の解消、深夜の営業ということがなくなってまいりますれば、また違った姿になるのではないか。その点を主務官庁である東京都衛生局と今後折衝をして解消させるべく努力をしたいと考えております。
  120. 山高しげり

    ○山高しげり君 ただいまのお話の中で、個室の解消は問題点の一つだけれども、その解消は相当根深いものがあってとおっしゃったようですが、それはどういう意味でございますか。
  121. 渡辺清

    説明員(渡辺清君) 根深いというのは、これは構造設備の基準を設けるというようなことでできると思うのでございますけれども、法規的にどういうことになっていますか、根深いということをつい何にも配慮しないで申し上げたのでございますが、そういう法規的な検討が不十分だという意味で私うっかりそういうことを申し上げたような次第でございます。根深いということではないわけでございます。法規的にまだ検討不十分という意味でございます。
  122. 山高しげり

    ○山高しげり君 どうもこちらの聞きようも少し悪かったかもしれませんけれども、いろいろ根深いことがどうもあるらしく感じるものでございますから、そう聞いたわけでございますが、時間もございますので、まだこまかいことを承りたいと思いますが、普通の人が考えて、先ほど申しましたように、公衆浴場というからには個室だけのお風呂がどこが公衆だろうと、これは常識で考えると思うのでございます。  少し話が戻りますけれども、いつごろトルコ風呂というものはでき始めたのでございますか。やはり東京が一番先であったのでございますか。たとえば東京温泉というようなところが戦後できまして、あそこにトルコ風呂というものがある、ひとつ行ってみようかというのでお母さん方も押しかけて行ったことがあるのでございますが、個室もありましたけれども、また数人ではいれるようなトルコ風呂、蒸し風呂もあったように思うのでございますが、そういう数人はいれるような設備のあるところはどれくらいあるのでございますか。ほとんど個室でございましょうか。
  123. 渡辺清

    説明員(渡辺清君) いま手もとにございます統計によりますと、二十五年にはゼロでございます。二十六年に二、二十七年に三、二十八年がふえませんで、二十九年に四、三十年に九、三十一年に十三、三十二年に二十二、三十三年に三十四、三十四年に五十、三十五年に六十八、三十六年に八十四、三十七年に百十、こういうようにふえております。  個室だけでなく大ぜいではいれるものが幾つあるかというお話でございますが、いま私はっきりした記憶はございませんが、三カ所くらい一人でなく数人はいれる浴室を設けているトルコがあるように聞いております。
  124. 山高しげり

    ○山高しげり君 東京でございますね、それは。
  125. 渡辺清

    説明員(渡辺清君) 東京の状況でございます。
  126. 山高しげり

    ○山高しげり君 地方はどうでございますか。
  127. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 古い統計がございませんで、はなはだ恐縮でございますが、調査をいたしましたのが昭和三十四年の六月からでございまして、昭和三十四年の六月には、営業者は、全国的には、これは推定でございますけれども百、従業婦の数が推定でございますが千百十三。三十六年五月に調べましたときには、二百五十六、従業婦の数はわかりません。それから三十八年の一月には、二百八十六、従業婦の数が四千三百四十二、こういう調べがございます。
  128. 山高しげり

    ○山高しげり君 そのただいまの全国の数字で、三十六年と三十八年とトルコ風呂そのものもふえておりますけれども、従業婦の数がたいへん激増しているようにも思えるのでございますけれども、その点は何とお考えでございましょうか。
  129. 大津英男

    政府委員(大津英男君) あまり詳しくその間の状況はわからないのでございますが、要するに、ミス・トルコとして客の背中を流すとかマッサージをするとか、いろいろそういうふうな施設ができてまいりましたので、それに伴って従業婦の数もふえた、かように考えております。
  130. 山高しげり

    ○山高しげり君 施設の数もふえ、従業婦の数もふえ、先ほど承りましたように増加の傾向が明らかでございますけれども、それも相当大きな上昇線をたどっているように思われますので、まだ地方では、こういうものを話だけ聞いている、見たこともないという都市もあるわけでございますけれども、相当これは伸びていくものと思われるわけでございます。  それで、次に伺いたいわけでございますけれども、またこまかいことは別の機会に伺わせていただくことにいたしまして、総理府に売春対策審議会というものが設けられて、これは総理大臣の諮問機関と承っておるのでございます。売防法を中心に売春対策のためにそれぞれ専門的なお立場の方たちが選ばれて総理の諮問に答える審議を続けてこられたと思いますけれども、その売春対策審議会の審議状況と申しましょうか、そういうことにつきましてひとつ承らしていただきたいと思います。と申しますのは、もう八年間も続けていただいたわけでございますけれども、一部の委員の方々はなかなか積極的に審議に携わっておられて、あまりこのごろ開催もされないしというような御不満の声もちょっと聞いたものでございますし、また、いままでの間にはずいぶん御熱心に審議をなさったけれども、一向何か見通しが明るくないといったようなお声も耳に入っているものでございますから、そんなことを私聞いておりますので、ひとつ承ってみたいと責任の御当局においで願ったわけでございます。よろしくお願いします。
  131. 野海勝視

    説明員(野海勝視君) 売春対策審議会の審議状況についてでございますが、御承知のように昭和三十一年の三月にこの審議会が発足いたしまして以来、売春防止法の制定あるいはその改正、その他の実施面における重要問題など、売春対策についての重要事項に関して調査審議に当たってきたわけでございますが、最近におきまして中心議題になっておりますのは、売春防止法の改正問題、それから麻薬対策の問題、それから取り締まりあるいは婦人保護といった運用面における諸問題などでございます。  このために審議会に第一小委員会、第二小委員会、麻薬対策特別小委員会の三つの小委員会を設けておりまして、第一小委員会におきましては、当初から懸案になっております単純売春の問題であるとかひもの問題、あるいは最近の売春実態の変化に伴います新しい管理売春の形態の問題、そういった主として法律面の問題を扱っております。それから第二小委員会におきましては、取り締まりの問題であるとか、要保護女子の保護更生であるとかいったような運用面の問題を中心として検討を続けておるわけでございます。それから麻薬対策特別小委員会につきましては、一昨年以来麻薬問題が重要な社会問題になってまいりましたので、一昨年に設置いたしまして、麻薬対策の強化、麻薬の取り締まりの強化、あるいは中毒者対策の強化といったような問題を中心に検討を続けております。  開催状況につきましては、総会につきましては三カ月に一回程度開いておりますほか、随時ただいま申し上げました小委員会を、あるいは幹事会を開催して、そういった問題の検討を続けておるわけでございます。
  132. 山高しげり

    ○山高しげり君 三つの委員会のことを言われましたけれども、その法改正の問題の第一委員会でございますか、それは最近はいつお開きになりましたか。
  133. 野海勝視

    説明員(野海勝視君) 第一小委員会につきましては、相当以前から検討を続けておるわけでございますが、一昨年の九月以来、審議会に対しまして売春防止改正の要望が各方面からなされたことを契機といたしまして、四回程度小委員会を開催しておりますが、それぞれ個々の問題点について各行政機関の詳しい説明を聞き、相当詳細な検討を続けておりまして、委員会としましては昨年の春に大体の多数の意見が固まってまいりましたので、委員会としては昨年の春以来開催いたしておりません。
  134. 山高しげり

    ○山高しげり君 大体結論のようなものが出た、それで委員会をお開きにならない。それでは、その委員会の結論を総会のようなものにお持ち込みになっているわけでございますか。
  135. 野海勝視

    説明員(野海勝視君) 第一小委員会におきましては、いろいろろ議論もございましたけれども、大体多数の意見というものを固めて総会に報告したわけでございますが、売春防止法の改正については現在のところやや消極的であるというような方向の意見が強かったわけでございますが、総会におきましてまた別の意見もございまして、いまのところ審議会として最終的な結論を出しておりません。
  136. 山高しげり

    ○山高しげり君 そういたしますと、その最終的の結論というものはお出しになるお考えなのですか、それとも、出さないことにどこかできまっているのでございますか。
  137. 野海勝視

    説明員(野海勝視君) 先ほど申し上げましたように、単純売春の問題とかひもの問題であるとか、新しい形態の管理売春の問題、そのほか従来から懸案になっておりますいろいろな問題があるわけでございますが、その小委員会におきましては、たとえば、悪質のひもであるとか、あるいは新形態の管理売春といったようなものも、現在の法律においても取り締まることが可能である、主として運用面の問題として考えることが現在の段階では適当であるといったような方向の意見があったわけでございますが、なお改正を必要とする意見もありまして、さらに今後の実績なり売春の状況の推移を見た上でもっと慎重に検討する必要があろうということで、現在の段階では結論を出さないということになっております。
  138. 山高しげり

    ○山高しげり君 もう一つ伺いますが、その新しい管理売春云々という中にヌード・スタジオなりトルコ風呂が入っているわけでございますか。
  139. 野海勝視

    説明員(野海勝視君) 私ども総理府は売春対策審議会の庶務を扱っております立場なので、その辺のところは関係各省庁に御意見をいただいたほうがいいと思いますけれども、その当時、ガイド・クラブであるとかトルコ風呂といったようなものは具体的な例として議論されておったと思います。
  140. 山高しげり

    ○山高しげり君 そうすると、そのときには、まだヌード・スタジオというものは出てこなかったのですか。
  141. 野海勝視

    説明員(野海勝視君) 私の記憶では、ヌード・スタジオについての議論はあったとは思っておりません。
  142. 山高しげり

    ○山高しげり君 現実は非常に急速に動いているということをこういうお話をしながら痛感するものでございまして、私は審議会のある委員の方から去年の夏ごろヌード・スタジオの話も出ておりましたということは承ったのでございますが、それはいずれでもよろしゅうございますけれども、事態は非常に急速に動いている。それでそういう現実に即応して審議というものも進められるものかと私どもは考えているわけでございますけれども、もう一つついでに伺っておきたいことは、現在風俗営業等取締の法律改正も国会が審議に入っているわけでございますけれども、ヌード・スタジオにいたしましても、トルコ風呂にいたしましても、これは新しい形式の管理売春と解釈ができるわけでございますが、売春防止法の改正でそのことを解決をするという以外に、今回の風営法の改正の中でそのことに触れてもよいように私ども思うのでございますけれども、そういうことに対しましては売春対策審議会というものは何にもタッチなさらないわけでございますか。格別、法改正ということが、売春防止法の改正には限らないので、お話に出ていた単純売春の問題でも、ひもの問題でも、新しい管理売春の形態の問題でも、現行法でも運用ができるのではないかということで、もうそこでものはとまっているわけなんでありますか。たとえ審議会がそこでとまっておいでになっても、ほかのほうから風営法の改正の動きが出てきたという場合に、あの中へひとつこちらのものを入れたならばというようなお考えというものはできないものなのですか。審議会というものは。
  143. 野海勝視

    説明員(野海勝視君) 先ほど御説明いたしましたのは第一小委員会の審議の状況でございまして、総会におきましては、先ほど以来議論に出ております各種の問題が各委員からも出され、また、各委員が現地を視察していただいてその結果の報告などによって具体的に各省庁の意見なりを出されておる状況でございます。
  144. 山高しげり

    ○山高しげり君 まあ審議会の事務当局でございますので、それ以上は申し上げませんけれども、私どもはこの審議会というものに国民は相当の期待をかけているということを申し上げ、したがって、風営法改正などの動きに対してももう少し機動的に審議会で御審議になって出てきているような問題に対して動いていただくことができてほしいという希望をここでは申し上げて、先に進ませていただきたいと思います。  最後に、法務省の御当局に承りたいと思うのでございますけれども、先ほどから現在のヌード・スタジオとかトルコ風呂の現状についていろいろ承りもし、幾らか意見も申し上げてきたわけでございますけれども法務省の御当局としては、御所管売春防止法なる法律に対して法を改正しなければならないという必要をお認めになってはいないのでしょうか、その点について政務次官にお伺いしたいと思います。
  145. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 売春防止法を改正すべきであるという意見がございますし、法務省当局といたしましては、事務当局にも売春防止法の運用の実態をよく把握するように、そして規定の不備、欠陥等についてはよく検討するようにと言ってあるのでございます。わが国の売春防止法というのは、各国の立法例と比較いたしてみましてもきわめてすぐれた立法に属するものでございまして、また、その基調とする廃娼主義というのは国際条約の理念にも合致するものでございます。これを改正するということにつきましては慎重な態度で臨むべきであるというふうに考えておるところでございます。
  146. 山高しげり

    ○山高しげり君 御趣旨は一応御説明でわかりましたのですが、まあ慎重を期するということもけっこうでございますけれども、実は、先ほど総理府のほうからの御答弁の中にも、売春対策審議会においても現行法でもある程度のことができるのだという御意見が出たというお話がございましたけれども、過去におきましてもそういう声を法務省の御当局から聞かないでもないように私ども思います。しかし、事態が刻々に推移をしているのでございますから、現段階においては、最初刑事局長はその点にも幾らかお触れになったように思うのでございますけれども、私どもやはり売春防止法の改正によってさしあたり問題になっている新しい管理売春を押えていくとか、もう非常に必要に迫られている段階ではないかと思うのです。ですから、慎重という言葉は非常に抽象的でございますけれども、もう少し具体的なお考えが伺わしていただきたかった。ことに立法は相当すぐれたもののように仰せになりましたけれども、世間は、ざる法ざる法と申しております。私どももまた婦人団体の立場等でこれの立法のときに協力をしてまいりました立場で、世間からはあんなものはざる法で何にもならないじゃないかとずいぶん責められるような立場にも立っておりまして、それでもないよりけっこうだというふうに考えて法の徹底にも協力をしてきたつもりでございますけれども、もうざるも八年も使いますとだいぶ古びてまいりまして、ざるの目をここらでやはりもうちょっとこまかくしなければならない段階に到達しているように思うのでございますけれども、そのほうの改正の御準備といいますようなことに着手をしていただけないものでございましょうか。実は、こんなことをここで申すのはどうかと思いますけれども、前大臣中垣大臣のときに私はそのことを前国会で質問を申し上げて御賛成をいただいたのでございますけれども、大臣さんがわかっておしまいになるとこれはどういうものかなあという気持もしないではございませんので、きょうはぜひとも大臣にお出ましが願いたかったのですけれども、御健康上というやむを得ない理由でございますので承知をいたしたわけでございますけれども、もう一ぺん政務次官からその点につきまして私がどういう気持でこのことをお伺いしているかということをお含みをいただきまして法務省としての御見解をお述べいただきたいと思います。
  147. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) この前からの関係もございまして、法務省でいろいろやっている点もあると思いますので、刑事局長からお答えをさしていただきます。
  148. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) ただいま政務次官がお述べになりましたように、この法律改正につきましてはきわめて慎重な態度をとっておりますことは申すまでもございませんが、だからといってこの法律が完全無欠なものであるという前提に立っているのではございませんので、仰せのように刻々と情勢が変わってまいります。諸般の現象を絶えず私どもといたしましては実態をつかむことに努力をいたしまして、これの改正の要否という点につきましては終始熱心に研究をいたしておるのでございます。  そこで、私の考えをちょっとつけ加えさせていただきますが、ただいまお話のございましたトルコ風呂にいたしましても、個室をかまえておって、そこで売春が行なわれているということが明らかになりますならば、これはまさしく売春防止法十一条あるいは十二条によりまして厳重な処罰ができるわけでございます。問題は、そこで売春が行なわれているかどうかということが証拠が十分つかめていないということに帰着するのでございます。  そこで問題はなかなか捜査がむずかしい。むずかしいからほうっておいていいのかということになりますと、売春というところまではいかないけれども、トルコ風呂のような施設というものは、売春につながる、推測されるような危険な現象であるということになろうかと思うのでございまして、そこで、売春そのものではないといたしましても、売春につながる危険な施設、そういうものの運用という点になりますと、先ほど警察庁のほうからおあげになりました幾つかの法律がございます。そういうものの運用、特に今回警察庁でお考えになっております風俗営業等取締法の改正強化というようなものも、すべてそういったようなものにつながる危険性のある行為を行政的に取り締まってそれを防遏することによって最後の目的である売春というものを防止していこう、こういうようなところにねらいが存すると思うのでございまして、外延に属する現象を厳重に取り締まっていく。もしその法規において不備なものがあるならば是正していくということがとられなければ、売春防止法を余さず漏らさず網の目のようにつくりましても、捜査においてその実態が明らかにならない限りは売春防止法ではやれないわけであります。そういう点を私どもといたしましては考慮しつつ慎重に現象の分析検討をいたしておるような次第でございまして、何とぞ御了承願いたいと思います。
  149. 山高しげり

    ○山高しげり君 ただいまの御答弁よくわかったのでございまけれども、まあ現行法でもいろいろな問題に対して対策が立てられる、運用操作というようなお話は先ほども出たわけでございますが、トルコ風呂とかヌード・スタジオのような、一部の方にはプラスがあるのかもしれませんけれども、国民大衆から見ればマイナスだらけでプラスは何にもないという施設か今度の風俗営業等取締法の改正案の中になぜ含まれなかったのかという点に私ども非常な疑惑を持っておるわけでございますが、それのお答えをいただく方がきようここにはお出ましがないのでございしょうか。それぞれの御関係立場でけっこうでございますから、その点に触れた御答弁を願いたいと思います。たとえば、ぜひ含ませたかったけれども入らなくて残念であったということでもけっこうなんでございますけれども、何かございますか。その点が、いま御説明になったような非常な危険な施設であるにもかかわらず、これが風俗営業で取り締まることができない。なぜ深夜喫茶だけを第一段階と解釈なさって、今回の改正点の中にこれらの施設が入らなかったのかということが私ども非常に不思議に感ずるのですけれども、ここでこういう形でお尋ねするのはおかしいのかもしれませんけれども、やはり広い意味の売春防止対策になると思いますので、どなたでもけっこうですから、私の疑念をひとつお晴らし願いたいと思います。
  150. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 今回風俗営業等取締法の改正案をお願いしておるわけでございますが、ここで取り上げております問題は、最近の深夜喫茶等が少年非行を誘発するとかあるいは非行少年のたまり場になっておる。こういうような点に着目いたしまして、環境浄化の意味でそれを中心にいたしました風俗営業法の改正をお願いしておる、こういうことでございます。  私どももトルコ風呂の問題につきまして全然検討をしておらないというわけではないのでございますが、この問題につきましては、現在、公衆浴場法という法律があり、あるいは族館業法という法律があり、それぞれの法律に基づいて許可せられておる。しかも、その法律に基づいて風紀上の措置を講ずるということが条例で定めることができるということまで書いてございますし、さらに、その条例に違反した場合におきましては、罰則こそついておりませんが、行政処分をもって営業の停止、あるいは許可の取り消し、こういうこともできると、こういうことになっておるのが現行の公衆浴場法の建前でございます。そういう意味におきまして、この法律に基づいての条例の制定がまだなされておらないというようなことは、現行法を完全に実施しておらないのじゃないか。むしろそういう点を検討をしていただき、そうして現行法もとにおいてもなすべきことを十分に対策を講じていただいて、その上でなおかつ必要なことがあるかどうか。また、現行のそういうことでなおかつ構造、設備等が検討の結果どうしてもこの法律改正しなければならないのだということになりますれば、公衆浴場法を改正していただくこともあろうと思いますし、まあ風俗に全然関連のないことでもございませんけれども、やはりそういう現在の公衆浴場法の運用あるいはその改正ということを厚生省当局で検討していただくのが一番正しい方法ではないか、かように考えまして、厚生省とも打ち合わせをし、厚生省に検討方をお願いしておる、こういうような状況で風俗営業法の改正には取り上げなかった、こういういきさつでございます。
  151. 山高しげり

    ○山高しげり君 なぜ風営法に入れなかったかという理由は一応御説明でわかりました。それに対していろいろ申し上げたいこともございますけれども、また別な機会に譲らせていただいて、最後にもう一つ伺いたいのは、トルコ風呂は公衆浴場法というその法律がございますけれども、ヌード・スタジオというものは何にもよるところの法律のない施設ではないかと思うのでございます。これはいかがでございましょう。
  152. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 現在興行場法という法律がございまして、これはやはり保健衛生の見地からの法律でございますけれども、観客に対し、あるいは音楽を聞かせる、あるいはショーを見せる、その他スポーツその他の見せものを行なう、こういうようなものは興行場法の適用があるわけでございまして、これも厚生省所管法律でございますが、この法律によっての許可を受けないで営業いたすというものについては興行場の無許可営業ということで取り締まりもいたしておりまするが、同時に、興行場法で考えられておりまするもののコンマ以下と申しますか、非常にいかがわしいものがあるということになりますれば、これは興行場法違反の問題もあると同時に、刑法百七十四条の適用ももちろん考えられるべきものでございまして、もしそのようなことをするのが目的のものでありますれば、これはもちろん許可さるべきものではなくして、むしろ取り締まり一本で臨むべき業種ではないか、かように考えておるような次第でございます。
  153. 山高しげり

    ○山高しげり君 ヌード・スタジオというものは、あんまり数もございませんし、それから地方的な分布も、大都市以外は温泉場というようなところで、一般の国民大衆はほとんどその存在も知りませんし、活用もあまりしておらないと思うのでございますけれども、いまおっしゃったように、興行場法で許可になればできる。しかし、それはあまり数がふえないところを見ると、企業としてもそうたいへんもうからないのかもしれない。そうすると、大局から見てあまり国民のために望ましくない業種と申しますか施設と申しますか、それでもやはり憲法というものがあるから、どんなことをやってもいいというような考え方になるものなんですか、それとも、あまり好ましくないものはなるべくふやしていかないというような方針をとっていただくというようなことはできないものなんでございますか。
  154. 大津英男

    政府委員(大津英男君) 興行場法によっての許可を受けておるということにつきましても、これは警察が許可をしているというわけではございませんので、何ともその辺につきましては申し上げかねるのでございますけれども、やはり、営業の自由とか職業選択の自由とか申しましても、ほんとうに健全なものであるべきである。したがって、不健全なものについては、憲法においても公共の福祉に反しない限りにおいての営業の自由であり職業選択の自由であるということでございましょうから、御趣旨のような点は私どももまことに同感でございまするけれども法律的にこれをふやすとかふやさないとかいうようなことを取り締まり当局としていかにするかとかいうような方針というものはきめかねると、こういうようなことでございます。
  155. 山高しげり

    ○山高しげり君 ただいまの御説明はよくわかります。私どもももう少しまん求めるべきところへ求めなければなりないと思うわけでございますが、従夫婦の問題が一つ最後に残っているのでございますけれども、今度の風営法り改正が非行青少年問題から出ている。これはしばしば御説明も聞いているのでございますけれども、トルコ風呂のミス・トルコにいたしましても、ヌード・スタジオのモデルさんにいたしましても、ああいう業態でございますから、ほんとうに中へ入ってお客にてもならない限りは実態はわからないといわれている。そこに働いている女り子たちの問題、これはおそらく労働省の御所管になるのかと思いますけれども、私どもが少しのぞいて見ましても、未成年の人もおります。このごろの娘さんは体の発育がよろしいのですから、二十ですといえばそれで通るわけでございましょうけれども、いろいろ実際に問題がございます。それから私どももそういうところにいる娘さんたちと少し話し合ってみましたけれども、やっぱり婦人の立場ではちょっと話し合いをするのもつらいような問題がありました。ずいぶんそういうところを乗り越えてもう平気になっている娘のほうが数は多いと思いますけれども、まあ一種の落ちていくというか、そこにやはり売春防止法の目的に触れるような問題もあるように考えます。  そういうわけで、きょうは第一回の質問としてこの程度で打ち切らしていただきたいと思いますけれども、まだまだこまかいところにいろいろ問題を残しておりますので、ほんとうに風営法の改正の中に幾らかこのことが入ったらどんなにいいだろう——まだ望みを捨てたわけではございませんけれども、きょう御答弁をわずらわしましたそれぞれの御当局のお話の中にもいろいろむずかしい問題と意欲的に取り組んでおられる御様子もわかりましたことはたいへんにしあわせでございましたけれども、国民が抱いております一つの疑念——繰り返して申し上げますけれども、下のほうではお役人もまじめにやっていらっしゃる。現実に当面してああもこうもと相当な意欲を燃やしていらりしゃる。しかし、あるところまでいくと何だか消えてしまって、現在の日本では、あんまりこういう問題はさわらないほうがいいのだ、現状維持で放置しておいたほうがいいんだよというような圧力がかかると申しましょうか、国民から考えると、どうもそこいらが明瞭でないという雲がかかっているような疑惑がございます。これは御関係の方々はよくおわかりのことと思うのでございますけれども、国民がそういう疑惑を持たずに済みますように、ひとつますます御努力が願いたいということを最後に希望をいたしまして、本日の質問を打ち切らせていただきます。
  156. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本件に関する質疑は一応この程度にとどめまして、本日はこれをもって散会いたします。    午時零時三十二分散会    ————・————