○岩間正男君 そこのところは、私は何ぶんわかりませんけれども、私どもは課長とはえらいと思っているんです。これはそういうふうに
説明されても、栄転で、結局そういう身分が上がっており、俸給も上がったんでしょう、おそらく。四国でいまこれは何をやっておる。
こういう事実があるのです。香川県庁の
職員に浜田何がしという者がいます。これが、実は高知県の四国
公安調査庁の
調査員である浜田智の兄貴なんです。それで県庁へ勤めているのですが、この男を通じて高知県の特殊学校教
職員組合の副
委員長であり、また全日農の高知県連の副会長をやっておる丸山喜兵衛、この丸山喜兵衛氏に対しましてスパイを強要した。知り合いで、幡多郡あたりの出身らしいのですが、そういう縁故をたどって個々にろうらくをして、それから巧みに、スパイをやってくれないか、それに対する
報酬はどうどうだというようなことを慫慂しております。これは非常に大きな問題です。
実は、私手紙を持っておる。これはのがすことのできない手紙がここにあるんです。こういう手紙で、この中に、驚くべきことには、こういうことを書いています。「しかし大変失礼ですが、私自身大正十五年生れの女兄弟の亭主の不仕末に手を焼いている実情から女子三人の現在は兎に角将来の御生活等につき私勝手に心配するようなムードに私は拝見しました、」さて、いよいよスパイの勧誘に入るのですが、「イデオロギーと生活がマッチすることこそ理想ではありましょうが、残念乍ら客観情勢は我に不利、十年河清どころか百年河清というのが実情でしょう、」高知県に出張して、その「帰高後、」こちらに帰ってから「愚弟と相談し」——愚弟というのがこの
公安調査官なんです。「私としてこれだけはと約束した線はつぎのとおりです。」
「(一)貴兄は御自由に従来の御活躍をつづけられたいこと」これが一つです。
「(二)高知
公安局(勿論警察等も全然関知せず、又私自身の役人の経験からいえば
公安局と警察は犬猿の仲であり、
公安局自体は破防法だけが根拠の失業対策的役所であり、」——あんたたちこう言われていますよ。「あつめた資料はだたあつめるだけで、
公安局だけのマスタベートに過ぎないこと)はこのことは全然知らないし将来とも本件
処理は高松管区
公安局が自らやること」だから、
公安局は全然知らないということになっておる。
「(三)貴兄御活躍にあたり、差支えない範囲で逆にいえば余り重要でないものを定期不定期に御送信頂きたいこと」
「(四)その宛先は」第一はどこかというと、「愚弟宛でしたら」というので「高松市幸町七九の二竹内宏方浜田智宛、ただし香川県では愚弟が
公安調査官ということを知っている者もいるからその場合は成るべく変名がいいと思いますが、同番地が数軒ありますから貴下の御判断で結構です。」それから宛先の第二としては「私宛でしたら何もかまいませんそのままでお送り下さって結構です。」ところが、そのあとがある。第三は、あとのこと「(五)と関連しますが、万一智が
公安局を止め四国通産局に変る場合または私が転勤等により現住を変る場合は四国
公安調査局
調査第一課長松岡義文氏宛とならうと思いますがここ当分その可能性はありますまい」
これで明白だと思います。だれが一体このスパイ活動強要について糸を引いておるか、だれが元凶か。
公安調査庁
調査官が任命を受けておる。それが今度自分の兄貴を使っておる。兄貴も、親しい友人である丸山喜兵衛氏に対しましてこのような情報提供を慫慂しておる事実がある。手紙にもうここにはっきりあらわれております。こまかすことができない証拠だと思います。
しかも、驚くべきことがある、その次には。以上のようなこと「(三)(四)に関する御
報酬といっては変ですが(というのはあんなボロクソ役所の出すものを(三)の筋をはずさぬ限り取らなければ損ですという意味を含めて)愚弟の申しますのに」——ボロクソ役所と言っている。ボロクソ役所の出すぎたない金は取らなければ損だ、取ったほうがいいと言っている。「愚弟の申しますのに、(1)
公安局と通信があったということが万一の場合逆の貞操証明となり
公安局の責任において貴兄が将来高知でも何処でもエンジニヤとして就職する時の仕末は必ずする。」工合いが悪くなったら必ず私のほうで高知内で就職を世話するということを言っておる。その次には、「(2)一時金として五万円差上げたい。」「(3)毎月極端にいえば当十二月から毎月一万五千円づつ差上げたい(愚弟の説によりますと党県委クラスで一万円が相場だそうですが……)」あなたはもっとえらいのだからということで一万五千円と言っている。「ただし御不満ならお話をうけたまわりさらに
考えたい。」これが第三。
さらにそのあとに驚くべきことがある。「(六)この為兄が御指定の銀行、たとえば、四国銀行、高知相互銀行の朝倉支店(これは貴兄指定通りで結構です、ただし振込の為、高松に支店をもっている銀行としてまずその二行でしょう)に貴兄の預金口座をつくりたいから、」ということを書いているのですね。そうして、早く銀行を指定して「口座設定についての送受金用の貴兄の印鑑をつくりたい」
私はこれを読んで実はゆうべあ然として一晩眠れなかったですよ。こういうことが行なわれている。これが先ほど
増額された
公安調査庁の
公安調査費というものの下部において使われているところの実態なんです。銀行の口座までつくらせるんですよ。一時金として五万円、さらに毎月一万五千円、この金は一体どこから出るんですか。しかも、これは口先で言ったのかどうかわかりませんけれども、ボロクソの役所だと言っている。もらわなければ損な金だと言っている。一体、そういう形で行なわれている行政というのは何ものなんだ。きょうは賀屋法務大臣が出ていないが、私は実は司法行政をつかさどる最高責任者にぜひ聞いてもらいたかったと思うのであります。日本の腐敗、日本の謀略機関、そうして日本の機関だかどうかわからないとさえ言われている。アメリカとの関係で非常に大問題になっている。これもしばしば指摘されたところの問題なんです。そうして今年度の
予算の
増額を見ると、その
増額の数量というものははるかに他を絶している。
法務省の中でも断然目立っている。こういう形の
予算執行というものは了承できないのじゃないかと思う。次官はおそくおいでになったので、前後の関係がおわかりにならないかと思いますが、
公安調査庁の
調査活動費の使用というものは三年前にも当
委員会で大きな問題になりました。会計検査の立ち入り方を聞きますと、どうも十全とは思われない。くさいものにふたという感じを免れないのです。しかも、そのときに問題になった松岡義文が四国に左遷か栄転かわからないけれどもそこに行って、だれも指摘されて答弁もできないようなそういう恥ずかしいやり方をざらにもっと輪をかけた形でやっている。銀行に口座までつくらせてスパイの金まで送るというそういう
組織体制をつくっているということは許されるかどうか。これは次官にその点について政治的な立場からどのような見解を持たれるか、お伺いしたい。