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1964-02-11 第46回国会 参議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月十一日(火曜日)    午前十時十四分開会   ———————————  出席者は左のとおり    委員長     中山 福藏君    理事            後藤 義隆君            迫水 久常君            稲葉 誠一君    委員            植木 光教君            鈴木 万平君            田中 啓一君            高橋  衛君            中村 順造君            山高しげり君            岩間 正男君   政府委員    法務政務次官  天埜 良吉君    法務大臣官房経    理部長     新谷 正夫君    法務省矯正局長 大澤 一郎君    公安調査庁次長 宮下 明義君   最高裁判所長官代理者    最高裁判所事務    総局経理局長  岩野  徹君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    会計検査院事務    総局第二局長  樺山 糾夫君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (昭和三十九年度法務省関係予算及  び裁判所関係予算に関する件)    ———————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。  本日は、検察及び裁判運営等に関する調査を議題といたします。  まず、昭和三十九年度法務省関係予算及び裁判所関係予算について順次説明を聴取いたします。法務省新谷経理部長
  3. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 昭和三十九年度の法務省所管予算内容について、概要を御説明申し上げます。  昭和三十九年度の予定経費要求額は、四百九十四億一千二百九十万四千円でありまして、これを前年度の当初予算額四百二十二億二千六百二十四万円に比較いたしますと、七十一億八千六百六十六万四千円の増額となっております。なお、前年度の補正後の予算額四百三十五億七千三百八十三万六千円に比較しますと、五十八億三千九百六万八千円の増額となっております。  増額分内訳を大別いたしますと、第一は、人件費の四十二億一千二百八十二万五千円であり、第二は、営繕施設費の十九億四千五百七十万六千円でありますが、このほか、法務本省第二新館新営費が建設省所管に六千六百九十九万六千円計上され、前年度に比し六千百九十九万六千円の増額となっております。第三は、その他一般事務費の十億二千八百十三万三千円であります。  まず、人件費四十二億一千二百万円の増加でありますが、これは昨年十月から実施されました公務員給与ベースの改訂に伴う所要経費及び昇給原資としての職員俸給等増額がその大部分でありまして、そのほか、検事、副検事法務事務官等六百十名の増員及び検察官事務取扱検察事務官九百十六名及び入国者収容所医療職員俸給調整に必要な経費増額等が含まれております。ただし、大村入国者収容所収容人員減少に伴う職員の二十四名の減員がございます。  増員につきましては、法務省としましては最も重点を置いたところでありますので、この際増員六百十名の内訳について申し上げますと、  第一に、法秩序確立一環としまして、公判審理迅速適正化をはかるため、検事五名、検察事務官五名の増員となっております。審理期間長期未済率が依然高率でありますので、東京外主要都市におきまして検事事務官専従体制確立して、その迅速化に資するための増員であります。  第二に、交通事件処理機能充実をはかりますため、副検事十名、検察事務官七十一名、少年鑑別所技官十名計九十一名の増員となっております。これは交通違反事件及び業務過失致死傷事件増加に伴いまして検察関係事務量増加しておりますので、検察体制充実して事件処理迅速合理化をはかる必要から、前年度認められました副検事十五名、検察事務官四十五名の増員に引き続いて行なうものでありまして、なお、少年交通違反事件も逐増しておりますので、あわせて少年鑑別所機能充実をはかりますため、鑑別技官十名の増員を行なうものであります。  第三に、非行青少年対策のため、前年度の三十名の増員に引き続いて七十二名の増員となっております。その内容は、少年院教化活動充実のための教官五十名、保護観察所機能充実のための保護観察官二十二名でありまして、青少年犯罪防止及び犯人の改善更生補導を強力に推進するためのものであります。このほかに、前に申し上げました少年鑑別所技官十名の増員もあわせて非行青少年対策一環考えておるのでございます。  第四に、法務局におきまして事務官二百三名の増員となっております。これは登記台帳事件増加に対処するための二百名と訟務事務の適正な処理を期しますための三名であります。法務局主要事務であります登記台帳事件は、経済取引活発化に加えまして、公共事業の規模の拡大に伴う特殊な登記事務増加し、職員執務強化能率化をもってしても、事務負担量は限界を越える状況にありますので、登記事務の迅速、適正化をはかりますため、前年度の二百名の増員に引き続いて行なうものであります。なお、国を当事者とする民事及び行政事件訴訟事務増加しておりますので、その事務処理適正迅速化をはかりますため、法務事務官三名の増員があります。  第五に、羽田入国管理事務所事務量増加に伴う入国審査官十二名の増員であります。羽田空港における出入国者数は最近飛躍的に上昇しておりますので、これに対処して適確、迅速な出入国管理業務を遂行しますため、前年度の増員十九名に引き続いて行なうものであります。  第六に、入国管理事務所出張所の新設に伴う入国審査官三名、入国警備官二名の増員であります。出張所未設置の出入国指定港中、尼崎坂出、八戸におきまして、出入国者数の激増に伴う審査業務増加等によりまして、入国管理事務所出張所を新設することになりましたが、これに伴いまして、各出張所審査官各一名のほか、尼崎坂出出張所入国警備官各一名を配置するための増員であります。  第七に、出入国審査業務強化をはかりまするため、入国審査官六名、入国警備官六名計十二名の増員となっております。これは、本邦に出入しまたは在留する外国人増加に伴って在留資格等審査業務量増加し、職員負担量も過重となっておりますので、増員により執務体制強化するためのものであります。なお、入国警備官増員は、舟艇建造に伴う船舶要員としてのものであります。  第八に、治安対策一環として破壊活動調査機能充実するため、公安調査官二百名の増員となっております。  第九に、法務本省の五名の増員があります。これは、職員福祉厚生充実をはかりますために必要な薬剤師一名、看護婦四名であります。  次に、一般事務費十億二千八百万円の増加内容について御説明申し上げます。  まず、全般的に申し述べますと、法務行政充実をはかりますための経費のほか、職員執務環境改善各種委員保護司矯正収容者処遇改善事務能率器具等整備等に必要な経費増額がなされております。そのうちおもなる事項について申し上げます。  第一は、法務行政充実をはかりますため増額された一般経費について申し上げますと、  まず、各組織に共通のものといたしまして、赴任旅費一千百十八万三千円、自動車交換差金一千五十万円、光熱水料二千五百十九万二千円、交際費  一千六百六十七万五千円等が増額となっております。  法務局関係につきましては、登記諸費につきましては、登記登録旅費が四百二十万七千円、庁費が七千七百五十五万八千円、供託金利子が一千万円計九千百七十六万五千円の増額となっております。なお、建物区分所有等に関する法律に基づく登記事務処理適正化経費として七百七十一万四千円、登記台帳一元化作業充実経費として六百八十八万二千円の増額となっておりますほか、商業登記法に基づく商業登記及び法人登記事務改善する経費として一千二百二十一万四千円が新規に計上されております。  検察庁関係につきましては、検察費につきましては、検察旅費が千二百三十一万八千円、参考人等旅費が一千二百九十七万二千円、庁費が二千八百三十一万三千円、計五千三百六十万三千円の増額となっております。  矯正関係につきましては、被収容者管外移送増加等に伴い護送旅費が一千二百十万円の増加となっております。また、福岡名古屋刑務所移転に必要な備品整備等経費五千二百九十八万四千円、刑務作業機器更新整備費五千六百八十三万六千円、計一億九百八十二万円が増額となっております。  更生保護関係につきましては、犯罪者予防更生法等に基づく補導援護において、成績不良者保護観察強化するため、観察旅費三百九十七万一千円、保護司等との通信費五百十一万五千円、計九百八万六千円が増額となっております。  訟務関係につきましては、訟務費につきましては、旅費百六十五万九千円、庁費百七万三千円等、三百六十三万九千円の増額となっております。  人権擁護関係につきましては、法律扶助協会補助金が四千万円の増額となっております。これは社会保障政策一環として貧困者訴訟援助を実施する法律扶助協会に対して訴訟費用等を補助する経費でありまして、その事業を強力に推進するための措置であります。なお、人権擁護委員活動強化をはかりますため、委員旅費が六百九万六千円の増額となっております。  第二は、刑法改正作業迅速化をはかりますため、法務本省刑法特別部会運営等経費並びに関係法令等調査研究経費が一千五十四万八千円の増額となっております。  第三は、刑務作業費の一億六千百四十九万九千円の増額であります。これは刑務所収容者に対しまして作業を行なわせるに必要な経費でありまして、原材料費が相当額増額されましたほか、作業形態紙細工等の低格作業から印刷、機械工等有用作業に転換するため機械器具を更新し、作業付帯経費充実するための経費増額であります。  第四は、職員執務環境改善や、保護司矯正関係収容者処遇改善に必要な経費増額でありますが、そのおもなものにつきまして申し上げますと、  職員執務環境改善につきましては法務局検察庁刑務所におきまして、環境設備費一千四百万円、法務総合研究所地方検察庁矯正研修所職員研修費一千八十六万七千円、各組織を通じまして非常勤職員給与単価是正百七十二万八千円、外国人登録委託費千二百八十七万六千円が増額となっております。  矯正関係収容者につきましては、刑務作業賞与金支給計算基準を一五%引き上げるための一千二十六万三千円、少年院婦人補導院職業補導賞与金支給計算基準を一〇%引き上げるための二十二万三千円が増額となっております。次に、被収容者に支給する被服、衛生薬品日用品、教材、収容付帯事務費等収容経費が五千四百九十八万八千円の増額となっております。次に被収容者食糧費でありますが、薬代単価を最近の物価の趨勢にかんがみて是正することにいたしまして、被収容者一人一日当たり二円ないし二円四十銭増額するのに要する経費といたしまして五千二百六十九万八千円の増額となっております。  保護関係といたしましては、更生保護会充実をはかり収容者更生に万全を期しますため、更生保護会委託費につきまして、食事付宿泊費現行一入一日当たり百四十五円を百七十円七十一銭に、宿泊費現行一人一日当たり四十五円を六十円二十三銭に、また事務費現行八十一円を九十四円にそれぞれ単価是正を行なうために必要な委託費二千三百三万七千円が増額となり、なお、これに伴いまして更生保護会補助金事務費につきまして現行一人一日当たり二十円二十五銭を二十三円五十銭に改訂するために必要な補助金百七十三万二千円が増額となっております。また、保護司実費弁償金につきましては、補導費現行単価一件当り三百二十円を四百円に是正すること等によりまして、八千二百五十一万五千円が増額となっております。  第五は、事務能率器具等整備に必要な経費増額でありますが、そのおもなものは、法務本省マイクロ撮影機整備等四百二万円、法務局登記台帳等事務処理並び検察庁の、検察事務機械化能率化するための経費が九百三十八万二千円の増額となっております。  以上が一般事務費増額となったおもなるものでありますが、このほか、本年十月に実施を予定されておりますオリンピック東京大会のため本邦に出入国する外国人審査業務の適正・迅速をはかりますため、入国管理関係経費として新規に五百六十七万一千円が増額されております。  最後に、営繕施設費十九億四千五百七十万六千円の増額であります。これは、検察庁法務局等庁舎の新営等施設費一億一千九百五十二万二千円、刑務所少年院等収容施設の新営整備等施設費二億四千百六十八万五千円が増額となっております。このほか、昭和三十五年度国庫債務負担行為の承認を得た福岡名古屋刑務所特別取得費十五億五千万円と、福岡名古屋施設撤去費三千四百五十万九千円が増額となっております。なお、新潟、徳島両刑務所移転に必要な経費の一部が収容施設費に含まれております。  以上来年度予算増額内容について概略申し上げたのでございます。  以上申し上げましたところは予算上の組織あるいは科目別に大体金額を申し上げたのでございますが、法務省におきましては、昭和三十九年度予算におきまして、法秩序確立非行青少年対策交通事件処理体制整備強化登記事務処理適正迅速化ということを主要事項として取りまとめておりますので、前述いたしましたところと多少重複はいたしますけれども、これにつきまして簡単にその内容を申し上げたいと思います。  第一の法秩序確立につきましては、前に述べました検事等二百十名の増員を含めまして十一億一千十四万四千円を計上いたし、前年度に比べまして二億三千二百六万六千円の増額となっております。その増額分について申し上げますと、  まず、検察庁関係といたしまして八千二百九十三万二千円を計上しておりますが、公判審理迅速化をはかるための検事等十名の増員のほか調査活動費八百万円の増額分が含まれております。これにより暴力、公安麻薬事犯に対処して社会不安の根絶を期したい考えであります。  次に、公安調査庁関係としまして公安調査官二百名の増員を含めまして九億三千百八十二万七千円を計上しておりますが、調査用器具等整備補充のための庁費二千八十四万五千円及び調査旅費活動費一億二千九百八十万円の増額分が含まれております。これにより破壊活動調査機能充実を期したい考えであります。  次に、入国管理局関係としまして七千六百七十万九千円を計上しておりますが、不法入国者等調査するための活動費として二百万円の増額分が含まれております。これにより不法出入国者取り締まり体制確立をはかりたいと考えております。  次に、法務本省関係としまして一千四百六万六千円を計上しておりますが、前に述べました法制審議会刑法特別部会運営経費六百九十五万三千円、調査研究経費三百五十九万五千円が増額され、これによりまして全面刑法改正作業を強力に推進したいと考えております。  第二に、非行青少年対策でありますが、前に述べました少年院教官保護観察官七十二名の増員を含めまして十五億九千三百九十七万一千円を計上し、前年度に比し一億六千六百四十二万八千円の増額となっております。その増額分について申し上げますと、  まず検察庁関係といたしまして、粗暴化、低年齢化している青少年犯罪に対処する検察体制充実をはかりますため、青少年被疑者資質診断器具宇都宮外主要地検に備えつける庁費及び係検事協議会を開催する旅費等百十一万八千円が増額となっております。  次に、少年院関係としまして、少年院教官五十名の増員のほかに、職業補導賞与金教育用備品日用資材医療薬品経費収容付帯事務費職業補導経費菜代等増加によりまして、前年度に比べまして五千七百八十八万七千円の増額となっており、なお、施設費関係についても五千四百万円の増額となっております。  次に、少年鑑別所関係といたしまして、後に述べます交通鑑別技官十名の増員をいたしておりますほか、審判少年護送旅費集団心理鑑別経費医療器具収容付帯事務費菜代等増加によりまして、前年度に比べて一千五百七十六万一千円の増額となっております。  次に、保護関係としまして、保護観察官二十二名の増員のほか、網走二カ所に保護観察官駐在制度を拡張するために必要な備品整備等経費としまして七十五万七千円が計上されておりますほか、前述の更生保護会委託費及び保護司実費弁償金等につきましてそれぞれ単価是正等による経費増額があります。  次に、法務総合研究所関係としまして、青少年非行未然防止具体的対策樹立のための各種研究を推進し、検察関係職員研修充実する経費としまして五十四万円の増額となっております。  第三に、交通事件処理体制整備強化につきましては、副検事等九十一名、この内訳は、副検事十名、検察事務官七十一名、鑑別所技官十名でありますが、この増員を含めて二億三千二百十五万五千円を計上し、前年度に比べまして七千二百二十六万円の増額となっております。その増額分のおもなものは、増員のほか、罰金過料徴収事務能率化機動力強化のための備品等四百一万四千円、検察員三千八百四十五万円であります。  第四に、登記事務処理適正迅速化につきましては、二億九千五十四万三千円を計上し、前年度に比べまして、七千二百七十四万一千円の増額となっております。その増額分のおもなものは、登記事務職員二百名の増員分のほか、事務改善能率器具整備のための経費二千三十四万五千円であります。  以上で法務省所管歳出予算について御説明いたしました。  終わりに、当省主管歳入予算について一言御説明いたします。  昭和三十九年度法務省主管歳入予算額は百九十四億一千九百九十一万二千円でありまして、前年度予算額百二十億二千四百七十六万三千円に比較しますと、七十三億九千五百十四万九千円の増額となっております。これは過去の実績等を基礎として算出いたしたものでありまして、その増額のおもなものは、罰金及び過料刑務所作業収入であります。  以上をもって、法務省所管昭和三十九年度予算についての説明を終わります。
  4. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に、最高裁の岩野経理局長に御説明を願います。
  5. 岩野徹

    最高裁判所長官代理者岩野徹君) 昭和三十九年度裁判所所管予定経費要求額について、御説明申し上げます。  第一は、昭和三十九年度裁判所所管予定経費要求額の総額は二百三十九億五千九百七十四万二千円でありまして、これを前年度予算額補正を含めた額でございますが、二百十九億二百十三万三千円に比較いたしますと、差し引き二十億五千七百六十万九千円の増加になっております。この増加額内訳を大別して申し上げますと、人件費が十六億一千六十二万七千円、営繕費が二億五千百十九万三千円、裁判費が一億二千五百六十一万七千円、その他一般司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等が七千十七万二千円であります。  第二に、昭和三十九年度予定経費要求額のうちおもな事項について、御説明申し上げます。  まず、交通事件処理円滑化に必要な経費でございますが、激増します交通事件を迅速に処理するため、昭和三十八年から特に事件の多い地域におきまして交通切符制による即日処理を実施いたしておりますが、事件増加はその後も著しく、これを円滑に処理するために必要な経費といたしまして、簡易裁判所交通事件処理につき、簡易裁判所判事五人、裁判所書記官十九人、裁判所事務官三十四人の増員に要する人件費でございますが、一千六百二十万七千円、家庭裁判所少年交通事件処理につきまして、家庭裁判所調査官四十人、裁判所書記官九人、裁判所事務官十三人の増員に要する人件費一千八百九十八万五千円、事務能率器具購入費としまして百五十万円、合計しまして三千六百六十九万二千円が計上されております。  次に、訴訟の迅速適正な処理に必要な経費でございますが、近時、事件増加複雑化の著しい東京大阪等大都市地方裁判所裁判の適正と迅速化をはかるための裁判官等増員と、裁判事務処理能率向上のための機械化に要する経費としまして、増員関係では、判事五人、判事補五人、裁判所書記官二十人の増員に要する人件費が一千六百四十五万七千円、裁判事務処理機械化に要する経費として、七千九百十二万八千円、合計しますと九千五百五十八万五千円が計上されております。  次に、補助機構整備充実に必要な経費でございます。裁判所書記官事務量増加に伴いまして、現在裁判所書記官事務を恒常的に取り扱っております裁判所書記官補定員裁判所書記官定員に組みかえまして、裁判官補助機構を合理的に再編成するために必要な経費としまして、裁判所書記官補定員六百九十四人を裁判所書記官定員へ組みかえに要する人件費三千九百二十一万九千円が計上されております。  次に、執務環境整備に要する経費でございますが、下級裁判所庁舎整備に必要な経費としまして、継続工事二十五庁、新規工事二十四庁の新営工事費としまして二十億四百九十二万七千円、そのほか、法廷の増築、庁舎補修等施設整備費としまして二億六千万円、庁舎新営に伴います敷地買収のための不動産購入費、これは換地清算金を含んでおりますが、四千九百十四万五千円、営繕事務費が四千四百六十一万五千円、合計しまして二十三億五千八百六十八万七千円が計上されております。事務用器具整備に必要な経費としましては、執務環境改善事務能率向上をはかるため、事務用器具整備するに必要な経費として一千七百九十万円が計上されております。  次に、最高裁判所庁舎の新営に必要な経費でございます。最高裁判所の現庁舎は、終戦後、旧大審院の建物を改修いたしたもので、かなり老朽の度を加えており、かつ、狭く、最高裁判所庁舎として必ずしも適当ではございませんので、これを新営することは多年の懸案でありましたが、このたび三宅坂パレスハイツ跡に新庁舎が建設されることになり、その準備のための経費としまして、敷地調査整備費など五百万円が計上されております。  次に裁判費関係でございますが、これは裁判に直接必要な経費、すなわち、国選弁護人報酬、証人及び調停委員等旅費日当その他裁判に直接必要な旅費庁費等でございますが、十八億三千八百七十九万一千円が計上されております。  次に、右の国選弁護人調停委員等待遇改善の点を抜き出して申しますと、国選弁護人報酬額は、現行は、たとえば地方裁判所で一件六千二百円となっております。この基準を一〇%増額いたしまして、地方裁判所一件六千八百円にするために必要な経費としまして一千九百四十六万五千円。次に、調停委員等日当増額でございますが、調停委員司法委員及び参与員等日当現行七百円から八百円に増額いたしますために必要な経費として六千百四十四万五千円がそれぞれ計上されております。  次が、刑事補償金増額に必要な経費でございますが、これは昭和二十五年に刑事補償法が制定されまして以来据え置かれておりましたものでありますが、その後の物価の変動、賃金の上昇等の事情に照らしまして増額する必要があると考えまして、現行一日二百円以上四百円以下となっておりますのを、四百円以上千円以下に改訂することにいたしまして、それに必要な経費として六百十五万六千円が計上されております。  以上が昭和三十九年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。  なお、御参考までに、表を三表お手元に差し上げます。これは裁判所予算使途別分類表裁判所予算内訳のこまかな数字及び営繕に関する庁舎継続工事及び新規営繕工事も始まる庁舎等の一覧表でございます。  以上でございます。
  6. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは、ただいま御説明いただきました法務省関係予算等について質疑を行ないます。岩間君。
  7. 岩間正男

    ○岩間正男君 まず伺いたいと思いますが、法務省の三十九年度の予算を見ますと、前年度に比べて一一・七%、一二%近くの増加になっております。これは説明がありましたようですけれども、新年度の事業の重点をどこに置いてこの予算が編成されたのか、この点から伺いたいと思います。
  8. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ごく一般的に申し上げますと、法務省予算の重点と申しますと、毎年同じことを繰り返しているのでございますけれども、増員営繕費ということに帰着しようかと思うのでございます。これは各組織を通じまして最も関心の強いところでございまして、いずれも人を対象として業務が行なわれております関係上、担当します各組織とも事務量増加に対処いたしましてどうしても人間が必要になってくるというのが一つの重点でございます。それから出先機関が三千二百ございまして、これは末端まで含めまして三千二百でございます。本庁の数だけでも四百十幾つございます。その多くの施設を維持管理いたして参りますために、営繕費がどうしても重点の一つになるわけであります。明治の初年から使っております庁舎等もございますし、戦後の粗悪な庁舎もございます。そういったものをなるべく早く改善いたしまして職員執務環境是正いたしたいということがこれまた大きな重点になっているのでございます。  以上申し上げましたような増員営繕費ということを強く申し上げまして、毎年同じ要求の趣旨を繰り返しているわけでございます。  なお、そのほかに、各組織を共通にいたしました事業を中心にして考えていきますと、先ほど御説明申し上げましたように、法務省としての主要事項として、それぞれ各組織間の予算を取りまとめて重点事項というものを考えているわけであります。これは先ほど御説明申し上げましたのでございますが、第一は法秩序確立、第二は非行青年対策、第三は交通事件処理対策の整備強化、第四に登記事務処理適正迅速化、あるいはこれに関連いたしまして執務体制是正改善、こういったことを、政策的と申し上げていいかどうかわかりませんが、事業のほうから取りまとめますと、以上申し上げましたような点に重点を置いて予算を折衝いたして参った次第でございます。
  9. 岩間正男

    ○岩間正男君 きょう、法務大臣は病気で出られないということですね。法務次官は神経痛だと聞いておりますが、どうなっておりますか。
  10. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 法務次官は、神経痛で出られないそうです。
  11. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから公安調査庁長官はどうしましたか。
  12. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ぜひ法務次官が必要ならば……。
  13. 岩間正男

    ○岩間正男君 法務次官にできるだけ出てもらいたい。それから公安調査庁は。
  14. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次長が来ております。
  15. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 長官は病気で入院しておりまして……。
  16. 岩間正男

    ○岩間正男君 病める法務省ということになるね。
  17. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) ちょうどめぐり合わせが悪うございまして……。
  18. 岩間正男

    ○岩間正男君 質疑するのに非常に不十分なんだが、いつでも肝心なときにいないので、符節を合わしたように病気になっているのはおかしなことだと思います。出席されない法務大臣並びに公安調査庁長官にはまた次の機会に質問することにして、次に進みたいと思います。  いま説明を聞きまして、増員営繕費が例年の大きな問題になっていると。その中でこれを事業別に見ていくというと、法秩序確立、これをまっこうにうたっているわけです。そういう点からこの予算をわれわれも一応下検分をしたのでありますが、この中で特に目立つことは、公安調査庁それから検察庁などのいわゆる治安——まあ弾圧関係ですか、こういう予算が非常に重点的にふえているように思うのですが、そういう点はいかがですか。
  19. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 全般的に申し上げますと、公安調査庁あるいは検察庁が重点的に伸びたとは必ずしも言えないかと思うのでございます。これは、各組織別の予算総額を比較していただきますればおわかりになろうかと思うのであります。むしろそういった治安に直接関係のない、と申し上げてはちょっと語弊があるかもしれませんが、いわゆる治安機関でない組織予算の伸び方も非常に大きいものであります。その一例を申し上げますと、法務局の場合、あるいは人権関係も相当の伸びを示しているのでありまして、必ずしも治安関係機関だけに重点を置いたということはないと私どもは考えております。
  20. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはいずれおいおい明らかにしたいと思うのですが、特に目立つのは公安調査庁の人員が二百人もふえている。そしてそれに伴って二億円の予算増加になっている。この点が全体のバランスの上ではたしてこれはどういうものかというものかという感じをわれわれはこの予算を見たときすぐにぴんと感じられるわけです。まあ伝え聞くところによるというと、これは最初からあまりこういうような方針でなかった、予算折衝の中で特に重点的にこの問題が大臣からも力説された、そうしていわばたなぼた式にこういう予算がつけられた、これが全体の法務関係予算の中では非常に問題になっておる、こういうことも聞いているのでありますけれども、この点の経緯はどういうことなんですか。
  21. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 公安調査庁関係の伸びも確かにかなりのものがあるわけでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、公安調査庁もその他の組織増員ということはまず第一の重点でございまして、それから公安調査庁につきましては、これは公安調査庁の特殊な事情でございますが、調査活動費という問題がございます。これも公安調査庁としましては毎年最重点の一つに掲げて要求いたしておるわけでございます。  予算折衝の経過と申し上げますと、大体事務的に処理できるものはおおむね事務段階で片をつけたというふうな結果になっているのでございますが、公安調査庁の関係につきましてはこれは例年最後までこの問題が残されるわけでございまして、ことしもその例に漏れませず、いつもと同じように最後まで案件が残ったというにすぎないのでございます。法務省としましては、どれもこれも重点は重点としてひとしく推進したつもりでございます。
  22. 岩間正男

    ○岩間正男君 じゃ、お伺いしますが、人員増ということを非常に例年の重点問題にしておる、こういうことでありますが、どうですか、人員の増加、これについてちょっと説明してもらいたいんです。検察庁関係幾ら、それから非行少年関係幾ら、そしてこれは全体の人員に対して何%を占めるのか。公安調査庁の場合は特にこれは目立っていると思うんです。だから、バランスという点からいうと、ただいまの御説明は、ちょっと了解しかねるんです。もっともこれは最後まで残された、そこに何か問題があるように思われるわけですけれども、それがいまの比較的公安調査庁だけが非常にふえておる、これと関係があるんじゃないでしょうか。数字的に説明して下さい。何人ふえていますか。
  23. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 昭和三十九年度の増員関係について、概要ただいまもちょっと触れたわけでございますが、組織別にとりまとめて申し上げますと、現在昭和三十八年度の予算定員が四万七千百三十九名になっております。これに対しまして増員として認められましたのが六百十名でございます。逆に大村の入国者収容所の減員が二十四名ございます。この増員と減員を差し引きしますと、五百八十六名が定員増の手になってプラスされるわけでございます。その結果、法務省所管全体の予算定員は、三十九年度におきましては四万七千七百二十五名となります。組織別に申し上げますと、本省関係で五名、法務局で二百三名、検察庁で九十一名、少年院で五十名、少年鑑別所で十名、保護観察所で二十二名、地方入管官署におきまして差し引きいたしまして五名の増員でございます。それと公安調査庁二百名ということになるわけでございます。増員として認められました六百十名というのが法務省全体の増員でございます。
  24. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはただいまの説明で明らかだと思うんです。ここで数字的にはっきりいたしてもらえればわかるのですが、大体四万七千名に対して五百八十六名の増員ですね。これはパーセンテージにしたらどうなりますか。一・二、三%、まあここで概観してパーセントにしたらそうですね、一・二、三%ですな。公安調査庁の現在の定員は幾らです。
  25. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 公安調査庁の予算定員は千八百十五名でございます。
  26. 岩間正男

    ○岩間正男君 千八百名に対して二百名でしょう。これは何%になるんです。一一%ですか。御説明がありましたけれども、私はこれはバランスがとれているというふうには考えられません、どう考えても。そうでしょう。全体が四万七千もいるのにわずかに五百八十人しか増員されていないときに、千八百人しかいない公安調査庁がその増額の三五%以上をとっている。ここに今年度の予算編成の一つの性格というものが非常に出てきている。そして、このことがまた予算折衝の段階において最後までこの問題が懸案になっていって、そして大臣との折衝でこれが決定された。これは明白な予算そのものが示すところの一つの性格です。法秩序確立ということを第一項にうたっておりますが、この第一の目的を達成するための手段としてこういう方法がとられた、こういうふうにこれはお考えになっているのですか、いかがです。
  27. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 法秩序確立としてとりまとめました事柄は、公安調査庁だけではございませんで、暴力関係もございますし、非行少年対策等もございます。そういうものも含めまして法秩序確立というふうな命題で取りまとめをいたしたわけでございます。これは、各組織共通いたしまして同じような趣旨のものという意味で法秩序確立という一つの項目を取り上げたわけでございます。確かにお説のように公安調査庁の増員が二百名でございますので、ほかの組織と比べますとこれは割合が非常に高いということも言えようかとも思うのでございますが、公安調査庁の現在の業務の実態からいたしまして、これだけの増員はぜひ公安調査庁としても必要だということから事務的な折衝をいたしたわけでございます。
  28. 岩間正男

    ○岩間正男君 必要だということの内容をもっと具体的に述べてもらいたい。
  29. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) お答えいたします。  公安調査庁が昭和二十七年に発足いたしたわけでございますが、そのときの定員が千七百二名で発足いたしまして、ただいま経理部長からも申し上げましたように、現在の定員が千八百十五人でございます。千七百二名で発足いたしまして、その間において行政整理を受けましたり、あるいは三十七年度において百三人の増員がございましたが、発足当時と比較して現在でわずかに百人そこそこしかふえておらないのでございます。しかも、千八百十五人の中で、公安調査官だけを考えますと、千五百十人が公安調査官でございます。それ以外の職員は雇員、用人というようなものでございまして、従来から公安調査庁におきましては左右両翼の暴力主義的破壊団体の調査をいたしておるわけでございますが、もともとこの定員では仕事が処理できませんので、毎年増員事務的にいろいろ折衝をしておったのでございますが、なかなかその増員が認められませんで、来年度予算においてようやくその必要性を事務的にも認めていただきまして二百名の増員が政府原案に入ることになったわけでございます。  ことに私どもが現在強く考えておりますのは、御案内のように、公安調査庁は左右両翼の調査対象団体を調査をいたしておるのでございますが、特に一番心配いたしておりますのは、最近における右翼関係の情勢を非常に心配をいたしておるのでございます。御承知のように、最近におきましても、河野建設大臣私邸の放火事件とか、あるいは池田総理殺人未遂事件とか、あるいは日本共産党野坂議長の殺人未遂事件とか、いろいろな暴力事件が相次いで起きております。右翼陣営全体が、現在の左翼勢力の浸透というものに対して非常な危機感、危惧感を持っておりますと同時に、政府の施策自体に対しましてもいろいろ批判を持ってこれを批判いたしておるのでございます。そこへ暴力的な風潮も相まちまして、中にはまだ思慮の未熟な若い極右分子が突発的にこのような矯激な行為に出てまいりますので、私どもといたしましては、この右翼関係の先鋭分子の調査というものを徹底的にいたしまして、このような事件を未然に防止しなければならないと考えております。  なお、左翼関係におきましても、最近におきまして日本共産党の党勢の増加というものが顕著になってまいっております。日本共産党員はすでに十万をこえておりまするし、アカハタ本紙も十五万、あるいは日曜版が五十万をこえておりますし、民青同、あるいは新婦人の会、その他大衆団体に対する浸透も非常にきびしいものがございます。  このような左翼、右翼両面の団体の諸活動というものの調査を十分にいたしまして健全な民主主義の発達伸長を期してまいりたいというのが公安調査庁の職責であろうと考えております。これをいたしますのに、発足当時と大差のない千八百十五人という定員、ことに調査官が千五百十人ということでは、どうしても仕事がやりきれませんので、いろいろ事務的な折衝をいたしまして来年度予算において二百人という調査官の増員が組み込まれておるわけでございます。
  30. 岩間正男

    ○岩間正男君 まああなたの話の中で、共産党の党勢が非常に顕著になった、それに対処しなければならない、ことに民青、新婦人の会の浸透がきびしいなどという変な言葉があったわけですが、この問題はここでこれは議論しません。共産党を暴力取り締まりの対象にしているということで公安調査庁が予算を要求し、また、あなたたちの仕事の内容は共産党で飯を食っている形になっているというのは天下周知の事実で、これは当委員会でもまだ結論が出ていないところですから、この問題は保留しておきます。  いまの説明の中で聞きたいのは、公安調査官が千五百十人しかいまいない、それで二百人増員されたのですが、この二百人のうち公安調査官増員分は何人ですか。これが一つ。  それから左右暴力に対して対決するのだというあなたたちの説明でありますが、そのうち、いままで左翼関係に幾ら、右翼関係に幾ら、今度の増員でどのように考えているか。  この二点について伺いたい。
  31. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) ただいま申し上げましたように、千八百十五人のうち、公安調査官が千五百十人でございます。今回の増員の二百人はその全員が公安調査官でございます。したがって、この予算が国会を通過いたしますれば、公安調査官が千七百十人になるわけでございます。  現在私どもが事務的に折衝し考えております人員配置は、この増員の二百人のうち、四〇%を右翼、それから六〇%を左翼関係に配置をする予定でおります。現在の左右両翼の調査に当たっております調査官を分けてみますと、公安調査庁には地方の単独駐在官等もございまして、両方の仕事を兼ねている者もおりますので、必ずしも厳格にぴしっとは割り切れないと思いますが、左翼調査に当っております公安調査官が千二百十六人、公安調査官の約八〇%でございます。それから右翼調査に当たっておりますのが二百九十四名、約一九・五%に当たります。これに対しまして、ただいま申し上げましたように二百人増員の六〇%を左翼、四〇%を右翼に分けますと、増員後におきましては、左翼関係の調査官が千三百三十六名、約七八%に当たると思います。右翼関係が三百七十四名、約二二%に当たることになろうと考えております。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 右翼の危険が非常に最近顕著になってきたというのに対して、いまの増員を見ますというと、六〇%、四〇%で左翼重点だということで、結局全体の総数においてはパーセンテージはあまり変わりがない、こういうことですね。そうすると、どうもあなたたちのPRから聞くと、いままでの説明もそうなんだけれども、右翼の危険が非常に顕著になったからというので公安調査庁の増員をさせた、しかし、実質はどうかというと、左翼をねらっている、こういうようなかっこうが出ているんですね。これははっきり統計が示している。こういうところが非常にくさいところなんです。なかなかこれは了解のできないところなんです。大体、全体を通じて、この法務省予算のうち特に顕著にそれがあらわれている。この公安調査庁の予算そのものというのは、十分にわれわれとしては検討する必要があると考えています。  で、公安調査庁の予算全体について見ますと、今年度は二十二億三千九百万円、それからついでに警察庁の警備警察の予算をわれわれ見たのでありますが、これが二十四億八千八百万円、これは大体同額です。合計は四十七億円、こういう形でこれは出されてきているわけなんですが、その中で公安調査庁は人員のわりに膨大な予算を持っており、これはしばしば当委員会でも問題になったわけです。公安調査庁は税金を湯水のように使うと言われている。そして、三十九年度は、この増額を見ましても、昨年に比べて約三億円近い二億九千三百七十万円ですか、これだけの増額がされ、人員も増加されている。こういう性格がはっきり出てきているわけですね。それで内閣調査室の予算増加されている。こういうふうに考えてみますと、現在の法務省の対策方針の中で、治安に名をかりた弾圧体制というのが依然としてこの予算の中では強行されているという性格をこれは見ざるを得ないのです。  その中で、なお念のために聞いておきたいのですが、公安調査庁は、公安調査官を韓国や台湾など国外に出かけることも考えている、こういうような情報もわれわれ耳にしているのでありますが、そういうことは絶対にないと、こういうふうにここでこの議場を通じて断言できますかどうか、その点を伺っておきます。
  33. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 公安調査庁の幹郡の職員が、他官庁等におきましても海外視察と申しますかそういうことをいたしておりますが、そのような形で一、二アメリカとかヨーロッパとかあるいは南方等へ旅行をいたすことはございます。しかしながら、公安調査官調査のために外国に派遣するということはいたしておりません。
  34. 岩間正男

    ○岩間正男君 いままで派遣されたのは、それは視察という名目だろうと思うが、総員ではどれくらいございますか。そして、その報告書は出ておりますか。
  35. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 幹部職員が、正確には記憶いたしておりませんが、年間二人か三人ぐらいでございます。
  36. 岩間正男

    ○岩間正男君 私の言いましたように、韓国やそれから台湾などそういう方向に派遣する予定はありますか、ないですか。
  37. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 公安調査官調査のために台湾とか韓国へ派遣をする予定はございません。普通の行政官庁の職員のように海外に視察に参いるということは、一、二当然あると思いますが、調査のために出ていくというようなことはございません。
  38. 岩間正男

    ○岩間正男君 次にお聞きしますが、公安調査庁の予算の概要ですね、概要でいいですが、ちょっと説明してもらいたいと思います、三十九年度の予算を。
  39. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 公安調査庁の予算は、予算書にもございますように、三十九年度予算の総額が二十二億三千九百三十四万五千円でございます。前年度三十八年度予算が十九億四千五百六十万一千円でございましたので、差し引きますと、先ほども岩間委員が御指摘のように、二億九千三百七十四万四千円の増額となっております。  それを事項別に分けますと、普通の人件費その他の一般行政経費増額が一億四千三百九万三千円、それから破壊活動調査経費という事項が一億五千六十四万五千円、それから研修事業に必要な経費という事項が六千円の増額になっております。合わせまして二億九千三百七十四万四千円の増額でございます。  この一般行政経費増額の一億四千三百九万三千円の中のおもなものは人件費増額でございますが、その人件費増額が、一億二千九百三十六万二千円ございます。この人件費増額のうち、公安調査官二百名の増員に必要な経費が五千五百六十七万八千円、その他はいわゆる人件費の自然増でございまして、それが七千三百六十八万四千円、合わせまして、一般行政経費の中の大部分を占めます人件費増加が一億二千九百三十六万二千円となるわけでございます。  破壊活動経費増額のおもなものは、第一には旅費でございますが、これが五百万円、それから物件費、いわゆる庁費でございますが、これが二千八十四万五千円でございます。それから調査活動費増加が一億二千四百八十万円でございます。  旅費は、公安調査庁におきましては一切の強制調査権はございませんので、公安調査官がいろいろ管内を出張いたしまして調査をいたすわけでございまして、もともと不足がちでございましたので、五百万円の旅費増加が計上してございます。  物件費の二千八十四万五千円は、主として機動力強化あるいは調査器材の整備費でございます。たとえば、自動車であるとか、オートバイであるとか、あるいは写真機であるとか、こういう機動力あるいは調査器材というものを整備をいたす費用でございます。公安調査庁はもともと新設の官庁でございますので、このような備品類が非常に貧弱でございます。例年大蔵省にもいろいろお願いをいたしまして、このような自動車とかオートバイとか写真機とか、こういう予算をお願いをいたしておるのでございます。  調査活動費としては、一億二千四百八十万円という増加に相なっておるわけでございます。合わせまして、冒頭申し上げましたように、総計二億九千三百七十四万四千円の増加と相なるわけでございます。
  40. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのうち、これは総額をお聞きしたいんですが、団体等調査旅費——破壊活動調査旅費ですか、旅費の分は、五百万増加の七千三百五十二万七千円。もう一つ調査調査活動費というのが非常に問題だと思うんですが、これは昨年は幾らですか。
  41. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 三十八年度におきましては、五億九千七百六十九万四千円でございます。で、三十九年度におきましては、七億二千二百四十九万四千円が計上してございます。
  42. 岩間正男

    ○岩間正男君 交際費は幾らです。これは新旧対比してください。
  43. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 前年度は七十万五千円、三十九年度におきましては三百九十万、差し引き三百十九万五千円の増額になっております。この交際費は、公安調査庁だけではございませんで、また法務省だけではございませんで、行政機関全般を通じまして行政機関各施設の長の交際費がそれぞれ増額されましてこういう予算が計上されておるわけでございます。
  44. 岩間正男

    ○岩間正男君 この交際費はあとでお聞きしますけれども、法務大臣それから検事総長の交際費も非常にばく大にふえている、二倍、四倍と。それとの関係で、これはいまの説明ありましたけれども、七十万が三百九十万に四倍半に交際費がはね上がっている。いま説明があったんですが、いままでそうでなかったが、今度新しくそうなったということですか。これは法務省のほうから全体の比較において説明を聞きたい。
  45. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 交際費につきましては、公安調査庁のみではございませんで、従来予算の入っております各組織、いずれも増額になっております。これは本省だけではないようでありまして、出先機関等の規模とか特殊な事情を勘案されましておそらく統一的な査定がなされておるのじゃないかと思うのでございます。  法務省全般といたしましては、三十八年度は、合計いたしますと七百十七万五千円、これを受けております組織は本省、出先機関を加えまして全部で二百四十三組織になります。これは各地方の本庁だけの数でございます。そのほかに出先機関を三千ばかり控えておりますが、本庁だけの数で交際費予算化されております組織が二百四十三になります。これが、来年度は、二千三百八十五万円でございます。最初一般的な説明を申し上げるときにも申し上げましたように、所管全体といたしましては千六百六十七万五千円の増額でございます。これは確かに予算の伸び率としましては大きいのでございますけれども、いま申し上げましたように、二千三百万円の総予算額これを単純平均で見ますと、一庁当たり年間十万円にもならない金額になってしまうわけであります。まとめて申し上げますとかなり大きなものでございますが、そのような状況になっております。
  46. 岩間正男

    ○岩間正男君 各比較ともふえたと、こういうことですけれども、特に公安調査庁は多いですね。七十万から三百九十万というはね上がり方はこれは普通じゃないと思う。たてまえが昨年と何も変わったわけじゃないと思いますが、この点はあとでもう少し詳細にお聞きしたいと思います。  この中で公安調査庁の予算を見るときに一番問題になるのは、これは調査官の調査活動費です。私は法務省の全予算を通覧したんです。日別に検討してみるというと、一億円以上ふえているのは、これはむろん人件費はベース・アップで当然増ですからふえておる。しかし、これはふえておるということにはなりません。これは物価が上がって当然上がった。しかも、これは非常に少ない。物価値上がりを吸収できない形で上げられておる。それでも予算面では当然ふえておりますけれども、これは足らないくらいに考える問題です。それを除くと、公安調査庁の調査活動費以外に一億円以上ふえているのはないように思いますが、これはそうでしょうね、私日別に検討したんです。この点いかがですか。
  47. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 各組織を一億を単位にして私検討したのでございませんので、正確なことを申し上げられませんけれども、日別に見ましても一億以上のが絶無とは言えないとと思います。人件費はむろん各組織ともふえておりますが、最初申し上げたように、人件費の一部をなします増員関係予算、あるいは営繕費の関係の予算、こういったのがただいまのお説以上にふえておるわけであります。そのほかにも日別に見まして一億前後の増額を示しておるものも絶無ではないと思うのであります。一億以上のもの、これはただいまちょっと急に、資料をながめておりますので恐縮でございますが、施設費はむろん一億、それに収容費も一億をこしております。それから登記諸費が大体一億に近いところまで来ております。法務局関係でございますが、九千百万円……
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 いいです、いいです。
  49. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) そういう状況でございまして、全然ないというわけではないと思います。
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは人権費とか営繕費とかそういう当然増みたいなものとは違うわけですが、この調査活動費というのはいわばこれは運営費になるわけでしょうが、これが一億二千万円以上もふえておる。しかし、官庁の人員から見ると、非常に少ない二千人そこそこの官庁ですね。そういうところでここだけが一億二千万円もふえているというのは非常は目立つ。この調査活動費というのは非常に問題になってきたし、当委員会でもしばしば問題になってきた。決算委員会でも問題になってきたのです。調査活動費を、いま七億二千二百四十万ですか、これを公安調査庁の調査官の一千七百十人で頭割りに私してみたのだが、一人当て四十二万円ということですな。これは数字の示すところだから説明を求めるまでもないことだと思うのですが、一体何に使うのですか。なぜ一体こんな必要があるのです。大体調査官の俸給というのはどのくらい取っているか、ここで平均給与を発表してもらえばわかるのですけれども、それに匹敵するくらいの額が、平均ですよ、四十二万円の調査活動費というのが予算として組まれておる。今年度は大幅にこれは増額されておる。これはほかの官庁とのバランスがとれますか。法務省内でもこのような例はほかにございますか。
  51. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 調査活動費が必ずしもこれは人件費に相当するものだとは考えられないのでありまして、ほかの組織で同様のものがあるかという御質問でございますけれども、これと比べて予算の性質上同様のものがあるということはちょっと申し上げられないと思います。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかも、そのほかに旅費が七千三百万ですよ。旅費が七千三百万取られている、千七百人の調査官に。それからそのほかに、庁費が先ほど説明がありました一億一千万、交際費が三百九十万、こういうふうに見てくると、私は官庁のわりには非常に国費を食うところの機関だということが明確になると思うのです。  そこでお聞きしますけれども、本庁と地方局でどういうような配分になっているのですか。いままでの例がございましょうから、これについて概略でけっこうですが、どんなパーセンテージで配分されているのか、お伺いしたい。
  53. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 三十八年度の調査活動費の総額五億九千七百六十九万四千円につきまして、その大体の配分計画は、本庁が一億六千七百三十五万四千円、全国の公安局、地方局全部含めました地方支分部局に配賦をいたしますのが四億三千三十四万円の配賦計画でございます。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君 調査官の調査活動費についての配分はわかりませんか。これは、やはり配分をするのか、本庁で総括してやっておるのか、こういう運用上の実際のやり方はどうなっておるのですか。
  55. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) それぞれの調査に応じまして、地方におきましては地方の公安局長、地方局長がそれぞれ必要に応じて公安調査官に使わしておるわけでございまして、一人にどのくらいというふうな使い方はいたしておりません。
  56. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも、いまのは、会計検査院の方いらっしゃいますかね、必要に応じてそれから地方局の局長、そういうところの胸算用で支給するというようなかっこうになっておりますね。そうして最後にはこれは本庁との関係があるだろうけれども、大体前渡金か何か渡しておいて、それから必要があるということがわかれば予算の範囲内で本庁から追加するというようなことをやられておると思うのですが、会計検査官はこの点について調査されたと思うのです。これはしばしば問題になっているのですが、会計検査院がはたしてこの公安調査庁の会計検査を厳密にしているかどうかということは、非常に当委員会でも決算委員会でも問題になった。こういう事実を私たちは知っているし、私も問題にしております。そういう点から、いままで検査をした中でどういうことが言えますか、お伺いしたいと思います。
  57. 樺山糾夫

    説明員(樺山糾夫君) 御承知のように、調査活動費につきましては、簡易証明の取り扱いをいたしております。そこで、ただその条件といたしまして、われわれが実地検査に行きました際には、各証拠書類その他を取りそろえておきまして十分な検査を受けるというようなことに相なっておる次第でございます。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 一昨年当委員会で、公安調査官が小唄を習っている、そうして多年にわたってわが共産党本部の本部員に対しまして工作をやったということが非常に明らかにされまして大きな問題になった事実があります。昨年は、そのせいかどうかわかりませんけれども、調査官は一人も増員されていない。ところが、ほとぼりがさめたのかどうかわからぬけれども、国会の追及がないといつの間にかこういう膨大な調査費の増額ということになっているのです。本年度の予算増額の中で、先ほども明らかにしましたように、法務省の中では類のない、一・二%の全体の増額の中で一一%の増額というかっこうになっている。その中で調査費ばかり見ていけばさらに三割くらいになっているのではないか、こういうようなかっこうになっているのですけれども、この問題はどうなんですか。非常にあれは問題になったのですから。特に会計検査院としては、簡易証明というようなことで証拠の書類を見てそれでもって非常に簡略な調査をやっている。簡易証明というのは私よくわからないんです。もう少し具体的にお伺いしたいのですが、どういうかっこうでやるんですか。
  59. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 公安調査庁の調査活動費につきましては、ただいま樺山局長が申されましたように、会計検査院に申請をいたしまして簡易証明の承認を受けておるのでございます。  簡易証明と申しますのは、各支出につきまして会計検査院に支払い明細書をそのつど提出をいたします。ただ、個々の領収証その他の証拠書類を公安調査庁の調査活動費の取り扱い責任者の手元に保管をしておきまして、実地検査の際に会計検査院の検査官にその証拠書類の検査をしていただいているのであります。したがって、取り扱いといたしましては、ただ領収証その他の証拠書類を取り扱い責任者の手元に保管をしておくというところが違うだけでございます。取り扱い責任者は、本庁におきましては公安調査庁次長の私がなっておりまするし、地方におきましては八つの公安局の公安局長が取り扱い責任者になっております。したがって、この取り扱い責任者の手元に領収証その他の証拠書類がすべてそろえてあるのでございます。  会計検査院の会計検査は、私も会計検査院にもう十分に検査をしてくれないかということでお願いをいたしまして、本庁につきましては、三十五年、六年、七年、八年、毎年会計検査を受けております。また、三十八年度におきましては、九州公安局、北海道公安局の検査を受けております。三十七年度は、近畿局、北海道局等の会計検査を受けております。会計検査官がそれぞれの取り扱い責任者のところへ参られまして、証拠書類等を十分に点検をしていただいておるわけでございます。
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 具体的にお聞きしますが、三十七年に、わが党の本部勤務員の宇田真一郎に対しまして、松岡義文が、小唄を習ったり、それからいろいろなものを贈ったりしたのです。これは指摘されて重大問題になった。その証拠書類が当然これは取り扱い責任者の手元にあった——なければおかしいということになると思うのですが、これはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。会計検査院、これは会計検査をされたときにどういうことが出るのですか。
  61. 樺山糾夫

    説明員(樺山糾夫君) 関東公安調査局につきましては、三十五年に実地検査をいたしておりまして、それ以後は実地検査をいたしておりません。しかしながら、一昨年、週刊誌に掲載され、再々にわたり非常に問題がありましたので、その際にいろいろと特別に別に調査をいたしております。小唄を習ったとかいろいろなことがあったわけでございますが、そういった小唄を習ったというような経費を国費から出しておるという事実はなかったと報告を受けております。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 あれだけの金、これは相当継続的にやられて、数十万という金ですが、それが当人の俸給から出るということはとても考えられない。しかも、膨大な、一人四十二万円というようなそういう膨大な調査官の調査費がある。これと関連なしなどということは、当委員会を愚弄するものです、そういう答弁があるとすれば。ですから、こういうものについて厳重な調査がなされていないのだという事実がただいまの御答弁で明らかになったというような感じがするのですが、いいのですかな。これは国民の血税ですからね。この血税がこういうかっこうで浪費されておるという事態は、その後一体あとを断たないのじゃないか。私は例をあげます。公安調査庁の機構そのものが非常に大きな問題になります。人民の疑惑の的になる。あるいは腐敗堕落の根源にならざるを得ない。そういうものが内部腐敗の原因にさえなっておる。現に私は証拠をあげて言っておるのですから、そういうことを明らかにすることができますが、まずお聞きしたいのですが、松岡義文はいまどこにいるのです。
  63. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 四国公安調査局に勤務をいたしております。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 職責は何になっておりますか。
  65. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 四国公安調査局の調査第一課長をいたしております。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 栄転ですね。こっちにいたときには課長じゃなかったと思うのですが、ああいうことがあると栄転になるのですか。
  67. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) 必ずしも栄転とは申せないと思います。関東局のほうが非常に職員数も多く、職制が複雑になっておりますから、四国局はごく小さな局でございますので、横すべり程度ではないかと考えております。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこのところは、私は何ぶんわかりませんけれども、私どもは課長とはえらいと思っているんです。これはそういうふうに説明されても、栄転で、結局そういう身分が上がっており、俸給も上がったんでしょう、おそらく。四国でいまこれは何をやっておる。  こういう事実があるのです。香川県庁の職員に浜田何がしという者がいます。これが、実は高知県の四国公安調査庁の調査員である浜田智の兄貴なんです。それで県庁へ勤めているのですが、この男を通じて高知県の特殊学校教職員組合の副委員長であり、また全日農の高知県連の副会長をやっておる丸山喜兵衛、この丸山喜兵衛氏に対しましてスパイを強要した。知り合いで、幡多郡あたりの出身らしいのですが、そういう縁故をたどって個々にろうらくをして、それから巧みに、スパイをやってくれないか、それに対する報酬はどうどうだというようなことを慫慂しております。これは非常に大きな問題です。  実は、私手紙を持っておる。これはのがすことのできない手紙がここにあるんです。こういう手紙で、この中に、驚くべきことには、こういうことを書いています。「しかし大変失礼ですが、私自身大正十五年生れの女兄弟の亭主の不仕末に手を焼いている実情から女子三人の現在は兎に角将来の御生活等につき私勝手に心配するようなムードに私は拝見しました、」さて、いよいよスパイの勧誘に入るのですが、「イデオロギーと生活がマッチすることこそ理想ではありましょうが、残念乍ら客観情勢は我に不利、十年河清どころか百年河清というのが実情でしょう、」高知県に出張して、その「帰高後、」こちらに帰ってから「愚弟と相談し」——愚弟というのがこの公安調査官なんです。「私としてこれだけはと約束した線はつぎのとおりです。」  「(一)貴兄は御自由に従来の御活躍をつづけられたいこと」これが一つです。  「(二)高知公安局(勿論警察等も全然関知せず、又私自身の役人の経験からいえば公安局と警察は犬猿の仲であり、公安局自体は破防法だけが根拠の失業対策的役所であり、」——あんたたちこう言われていますよ。「あつめた資料はだたあつめるだけで、公安局だけのマスタベートに過ぎないこと)はこのことは全然知らないし将来とも本件処理は高松管区公安局が自らやること」だから、公安局は全然知らないということになっておる。  「(三)貴兄御活躍にあたり、差支えない範囲で逆にいえば余り重要でないものを定期不定期に御送信頂きたいこと」  「(四)その宛先は」第一はどこかというと、「愚弟宛でしたら」というので「高松市幸町七九の二竹内宏方浜田智宛、ただし香川県では愚弟が公安調査官ということを知っている者もいるからその場合は成るべく変名がいいと思いますが、同番地が数軒ありますから貴下の御判断で結構です。」それから宛先の第二としては「私宛でしたら何もかまいませんそのままでお送り下さって結構です。」ところが、そのあとがある。第三は、あとのこと「(五)と関連しますが、万一智が公安局を止め四国通産局に変る場合または私が転勤等により現住を変る場合は四国公安調査調査第一課長松岡義文氏宛とならうと思いますがここ当分その可能性はありますまい」  これで明白だと思います。だれが一体このスパイ活動強要について糸を引いておるか、だれが元凶か。公安調査調査官が任命を受けておる。それが今度自分の兄貴を使っておる。兄貴も、親しい友人である丸山喜兵衛氏に対しましてこのような情報提供を慫慂しておる事実がある。手紙にもうここにはっきりあらわれております。こまかすことができない証拠だと思います。  しかも、驚くべきことがある、その次には。以上のようなこと「(三)(四)に関する御報酬といっては変ですが(というのはあんなボロクソ役所の出すものを(三)の筋をはずさぬ限り取らなければ損ですという意味を含めて)愚弟の申しますのに」——ボロクソ役所と言っている。ボロクソ役所の出すぎたない金は取らなければ損だ、取ったほうがいいと言っている。「愚弟の申しますのに、(1)公安局と通信があったということが万一の場合逆の貞操証明となり公安局の責任において貴兄が将来高知でも何処でもエンジニヤとして就職する時の仕末は必ずする。」工合いが悪くなったら必ず私のほうで高知内で就職を世話するということを言っておる。その次には、「(2)一時金として五万円差上げたい。」「(3)毎月極端にいえば当十二月から毎月一万五千円づつ差上げたい(愚弟の説によりますと党県委クラスで一万円が相場だそうですが……)」あなたはもっとえらいのだからということで一万五千円と言っている。「ただし御不満ならお話をうけたまわりさらに考えたい。」これが第三。  さらにそのあとに驚くべきことがある。「(六)この為兄が御指定の銀行、たとえば、四国銀行、高知相互銀行の朝倉支店(これは貴兄指定通りで結構です、ただし振込の為、高松に支店をもっている銀行としてまずその二行でしょう)に貴兄の預金口座をつくりたいから、」ということを書いているのですね。そうして、早く銀行を指定して「口座設定についての送受金用の貴兄の印鑑をつくりたい」  私はこれを読んで実はゆうべあ然として一晩眠れなかったですよ。こういうことが行なわれている。これが先ほど増額された公安調査庁の公安調査費というものの下部において使われているところの実態なんです。銀行の口座までつくらせるんですよ。一時金として五万円、さらに毎月一万五千円、この金は一体どこから出るんですか。しかも、これは口先で言ったのかどうかわかりませんけれども、ボロクソの役所だと言っている。もらわなければ損な金だと言っている。一体、そういう形で行なわれている行政というのは何ものなんだ。きょうは賀屋法務大臣が出ていないが、私は実は司法行政をつかさどる最高責任者にぜひ聞いてもらいたかったと思うのであります。日本の腐敗、日本の謀略機関、そうして日本の機関だかどうかわからないとさえ言われている。アメリカとの関係で非常に大問題になっている。これもしばしば指摘されたところの問題なんです。そうして今年度の予算増額を見ると、その増額の数量というものははるかに他を絶している。法務省の中でも断然目立っている。こういう形の予算執行というものは了承できないのじゃないかと思う。次官はおそくおいでになったので、前後の関係がおわかりにならないかと思いますが、公安調査庁の調査活動費の使用というものは三年前にも当委員会で大きな問題になりました。会計検査の立ち入り方を聞きますと、どうも十全とは思われない。くさいものにふたという感じを免れないのです。しかも、そのときに問題になった松岡義文が四国に左遷か栄転かわからないけれどもそこに行って、だれも指摘されて答弁もできないようなそういう恥ずかしいやり方をざらにもっと輪をかけた形でやっている。銀行に口座までつくらせてスパイの金まで送るというそういう組織体制をつくっているということは許されるかどうか。これは次官にその点について政治的な立場からどのような見解を持たれるか、お伺いしたい。
  69. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 公安調査ということについては非常に重要な意義があるのでありまして、これに対して不全を期していきたいということはわれわれの念願しているところであります。  ただ、その公費について非常にいかがわしいところがあるように思うというようなお話でございまでが、これについては、われわれとしては極力公正な妥当な行使によって公安調査の能率を上げていきたいというふうに念願をして努力をいたす覚悟でございます。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 このようなスパイ強要というものを正当とお考えになるのですか。
  71. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 話はよくお聞きしておらなかったのでございますが、どういうふうな事実がございますか、その点もよく確かめた上でいろいろ調査をしてみたいというふうに考えております。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは情報提供とかなんとかというきれいな名前を使っていますが、まさにスパイ強要ですが、その報酬として多額の金員が贈られる。いま申し上げました、一時金五万円、毎月一万五千円で、しかも銀行口座をつくってそこに振り込むというような組織的なこういうような方法を行なうことが法務省の方針でございますか、お伺いいたします。
  73. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) ただいま岩間委員が御質問になりました事件は、私どものほうも第一線局から報告を受け、監査をいたしておりますので、承知をいたしております。  この事件は、四国の四国公安調査局の調査官であります浜田智の兄さんの浜田寿氏が、ただいまお話のございました丸山喜兵衛氏と長年の友人でございまして、この兄さんが弟の成績をあげてやろう、それからまた、この丸山喜兵衛氏がいろいろ生活上等で苦労もしておられましたので、そういう友人関係の配慮もあったのではないかと思いますが、兄さんのほうから丸山氏に手紙を出して、弟に共産党関係の適当な情報を送ってくれないかという依頼をいたしたようでございます。しかしながら、私のほうでは遺憾ながらただいま岩間委員がお読みになりました手紙を持っておらないのであります。したがって、浜田寿氏が出しました手紙の内容を詳細には存じておりません。  それからただいま浜田寿氏が書きました手紙の内容を確定的なことのように御質問になりましたが、公安調査庁といたしましては、協力者の方に実費弁償を含めましてある程度の報酬、物心両面の御苦労に対する報酬を含めて調査活動費からお金を渡すわけでありますが、それはその物心両面の苦労と情報の値とを十分に考えまして、ただ調査官個人の判断だけではなく、上司が十分考えてその調査活動費の支出をいたしておるのでございまして、この場合におきましても浜田寿氏がどのようなことを書きましたか、これは公安調査庁としてはまだ何もきめてもおらない。浜田寿氏がいろいろ考えられて書いたことではないかというふうに考えております。  また、先ほど岩間委員が、公安調査庁はボロクソ役所だというふうに書いてあるぞというふうに述べられましたが、私どもは決してボロクソ役所だとは思っておりませんし、日本の民主主義の伸長のために左右両翼の暴力主義的破壊活動の未然防止、その規制のための調査に専心いたしておる官庁でございまして、日本の民主主義の発展のために必要な重要な役所であるという誇りを持って仕事をいたしておるのでございます。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 この手紙をあなたたちはごらんにならない。いつでも必要ならこれは提供してもいいわけでありますけれども、これがまさかごまかしのものでないということは明白だと思います。そうして、いつでもあなたたちは最後になってそういう逃げ答弁みたいなことをされるのですが、この中で何ともごまかすことのできないのは、第三に、しかたないときには松岡義文あてに送ってくださいと。だれが一体これを指導してこういうことをやっておったかということはこれで明白ですね。指定銀行までつくらしてやっておるという最近のやり方ですね。松岡義文という男は問題になった男です。問題になって四国へやられ、また四国で輪をかけたようなそういう指導をしているということは、私は非常に大きな問題があると思う。しかも、いまあなたの答弁によりますというと、これは公安調査庁の相当な方針だ。方針でしょう。おそらくそういうことは、単にこんな一つだけの問題ではなく、たくさん指摘することができる。  たとえば、中国公安調査局員の森川某という者は、「アカハタ」読者を広島のバー「ニュー星座」というところへ誘い朝の二時ころまで大散財したのを皮切りに、三回にわたってほうぼうのバーやビヤホールに誘い出し女遊びで誘惑して人間的に堕落させ、そうして労働組合や民青や共産党に対してスパイ活動をさせようとして摘発された事実があるんです。あげればこういう問題というものはたくさん起こっている。  これが調査活動の内容なんですか。これが左翼に対するあなたたちの仕事の大部分なんですか。そうして、こういうものにあなたたちの公安調査庁のおも立った項目の中でも予算の三五%くらい投入されておるんですか。そうして、今年度一億二千万円多くされ、二百人の公安調査官増員さしている理由なんですか。そういったなにが一体どこにあるんですか。  共産党が大きくなったというのは、われわれは日本国民に対して責任を負っておる。そうして、われわれはいまの日本の置かれている日本の実情に対して大衆に訴えている。公然たる政治活動をしている。そのために共産党は大きくなっている。池田総理も、国会の答弁において、これについてはあくまでも政策で争おうと言っておる。その反面に、何です、その反面にこういうようなきたない、しかもその背後に一体どういうことが起こるかというと、公安調査庁の公安職員調査官は金がなければ動かないと言われている。これも定評のあるところです。それはそうでしょう、動けば金が必ずついてくる。そうして、それによって財政責任者の了解を得れば何ぼでもつかみ取りで取ることができる、そういうことになっておるんですね。つまり金によって腐敗しておる、そういう形になっている。そうしてその腐敗を人民の中に持ち込むんじゃないか。何人もの人たちをそういう恥ずべき行為に追い落としているんではないか。私はそういうところが非常に大きな問題じゃないかと思います。むろん、あなたは、次長さんとして、ボロクソの官庁だなんて自分から認めるわけにいかないでしょう。また、認めていたら、そのうしろの人たちはあなたを猛攻撃するでしょう。そのことはわかっておりますけれども、法秩序の維持とかそういう名前によって実は日本の民主主義を破壊し、憲法違反のこういうような行動を一体許していいかどうかということに問題があるんです。  われわれは断じてこういうことは許すことができない。あなた方は民主主義を守ると言うが、民主主義を守るには何をやってもいいのか。民主主義を守るために民主主義で最も恥ずべきところのスパイ行為ということをやって民主主義は守られるか。その上に立った民主主義というものは何だ。そういうふうな日本の現状において痛切に考えなければならぬこの背後には、アメリカの謀略機関が存在しないというような保証はない。そういう点において、私はいま起こっておるような問題についてほんとうに今後も明らかにしていくし、このような態度について徹底的に民主主義を守る立場からわれわれはこれを粉砕するために戦わなくちゃならない。これが正体でしょう。公安調査庁というものを明るみに出してごらんなさい。白日のもとにそれがたえるものかどうかという問題がこういう中にはっきり出てくると思う。私はこういうことを取り上げざるを得ないことを非常に残念に思っておるくらいです。  会計検査院にお伺いをするのでありますが、この前の松岡義文の取り扱いについても私は不十分だと思いますけれども、こういう問題がここで問題として指摘されましたが、これについてどういう態度をおとりになりますか。これは検査官として御意見を伺っておきたいと思います。
  75. 樺山糾夫

    説明員(樺山糾夫君) 調査活動費経費が物品の購入とか、あるいは建物の建築といったような形のものでありませんので、検査としても非常に困難なわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、いろいろ間接資料によりましてこういった経費が大体使われたことは確かであろうという心証をもって検査をせざるを得ないということに相なろうかと考えております。ただ、先ほどお話がございましたように毎月幾らというようなことで調査官に一定額を前渡しているというようなことは、最近はないものと私どもは考えております。  それから三十五年、六年、七年と予算増加してきておりますが、実地検査も、昨年の三十七年度決算で申し上げますと、調査活動費の決算額の約六割を実地検査いたしておりますが、今後におきましても事情の許す限りなるべく多く実地検査を行ないまして、国費の適正な使用が行なわれるように努力いたしたい、かように考えております。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 いままで不当事項の指摘が、会計検査院で一回でも公安調査庁関係でなされたことがございますか。
  77. 樺山糾夫

    説明員(樺山糾夫君) こまかい点につきましては実地検査に際して若干注意したことがございますが、特に不当事項と認めて検査報告に掲示した事項はいままでございません。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 なかなかはいれないのじゃないですか。取り扱い責任者のところに証拠書類が保管されているといったって、この証拠書類そのものが、たとえば、いまのようにスパイ行為としてこれだけの金をやったとか、芸者の花代は幾らだったとか、小唄の習い料は幾らだったとか、郊外に花見に引っ張っていき、奥さんまで連れていって、いろいろな贈った金は幾らだったとか、そんなことは書いてないでしょう。どんな証拠書類を見たって、これではとても通らないでしょう。
  79. 樺山糾夫

    説明員(樺山糾夫君) 調査活動費の大部分は情報提供者に対する報償であろうかと思いますが、そのほかに、いろいろな事前工作とか、いろいろ調査官が活動する実費があるわけでございますが、私ども実際検査した調査官の——会計検査院の調査官でございますが、その話によりますと、各公安調査庁の調査官が活動した場合に一応の記録をつけております。そういうものによりまして、大体この程度の経費が必要であったろうというような心証をもって一応検査を確認せざるを得ない、そういうような形になっております。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 かって日本帝国主義の軍隊がおったとき、軍の機密費というものがございました。これはどう使われておるか全くわからない。はいれないのです。立ち入ろうとすれば、軍の機密ということでこれは除外された。これを検査することができないようなシステムになっている。その近代版、現在の形が公安調査庁にはっきりあらわれているのじゃないですか。そのほか、同じようなことがいろいろあるだろうと思います。内閣調査室の問題や、調べていけばたくさんあるだろうと思う。ただわれわれの手が届かないでいるのだろうと思いますけれども、一方で人民がいま高物価で苦しんでいる、それから失業者が一千万もある、そういう中で、労働者も農民も、あなた自身も含めて、賃上げ六千円を戦い取るためにはどんなことをしなければならないのか。その三分の一もいつもぶった切られて、そしてごまかされている大勢の中で、一方で、こういう官庁があってつかみ金をふんだんに湯水のように使って、それでもってその目的を達しようといったって、腐敗したようなものから取る情報なんというものは当てになりますか。情報がたくさん出たって、日本の人民は真実と独立と平和の方向を目ざしてずっと動いているんですよ。私たちはそういう点から考えると、こういうような体制そのものというものは自分でこれは自己崩壊する、そういうものを持っていますよ。だから、さっきの、ほんとうにあなたたちが信頼して頼んだ男さえ、いま言ったように、ボロクソの役所だと言っている。そうして、これはもらっておいたほうがいい、何も根拠のないようなきたない金なんだから取らなければ損だというようなかっこうで進んでいる。この手紙というのは、単に彼自身のなにじゃないんです。こういういまのシステムそのものの中から生まれてきたところのはっきりした告白なんですよ。私はこの点を当委員会としては今後も厳重に追及していくということが、日本の民主主義を守るためには絶対に必要だと考えております。
  81. 宮下明義

    政府委員(宮下明義君) いろいろ岩間委員からお話がございましたように、私どもも公安調査庁の調査活動費の適正な使用ということを常々部下に対して厳重に指示もし、指導もし、監査もいたしておるのでございます。また、会計検査院に対しましても、私どものほうから、どうか調査活動費の使途について十分な検査をしてくれということをむしろ積極的にお願いをする態度をとっておりまして、公安調査調査活動費の適正使用ということを今後とも十分注意をし、指導をしていく考えでおります。公安調査庁といたしましては、何らの強制調査権限等も持っておりませんので、いろいろな協力者の方から情報資料の提供を受けてまいりませんと調査ができませんので、こういう調査活動をいたしておるのでございますが、その間において、むだなあるいは不正な支出というようなことの断じてないように常日ころ部下を十分指導をいたしておるつもりでございます。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は次の問題に入りたいと思うのですが、一つは、先ほど、大臣の交際費、それから最高検の交際費公安調査庁の交際費、これを問題にしたわけですが、大臣の場合はいままでの二百四十万が四百五十万で二百十万、大体二倍になっておる。最高検はいままでの五十万が二百万で百五十万、上がって四倍になっておる。これはおそらく検事総長を中心として使うのだと考えるのですが、公安調査庁は、先ほど明らかにしましたように四・六倍になっておる。こういうふうになんぼ物価高とはいいながらあまりに極端ではないかという感じを私は持つんです。どうも最近各官庁のおえら方の間でたいへんゴルフ熱が流行しておる。そして交際費なんかもどういうふうに使われているのか、これはいろいろ問題があると思うのですが、こういう官庁の最近のそういうものと考えまして、どうでしょうね。この物価高で、しかも労働者や農民、中小企業が生活が楽でないときに、こういう交際費だけが何倍かにはね上がるということは、これは政治的に考えてみてどうでしょうか。これはまあ大臣もいないし、次官もいないのだから、僕はこれに対する御答弁はけっこうです。  こういうものを見ていったあとに、私たちは次のほうを見ていった。次は刑務所の囚人のお菜代です。おかず代です。少年院のおかず代です。少年鑑別所のおかず代です。これを比べてみたのです。私は説明をこれは求めたいと思います。一体、刑務所の囚人の一日のお菜代はどうなったのか。いままで幾らであったのが今度幾らになったのか、そうして今度のやり方でどういう生活をしているか、何を食べているか、こんなことをまず先に聞かしていただきたい。
  83. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 矯正施設収容者の食費の一日当たりの金額でございますが、主食と副食費を合わせまして、刑務所におきましては、成人が一日六十八円八十一銭、少年が七十六円二銭、少年院におきましては七十四円四十六銭、少年鑑別所が七十三円九十三銭、婦人補導院が七十一円十一銭ということになっておるのでございまして、昭和三十七年度の国民栄養調査によります一般国民の一日の食費が百四十二円八十五銭というのに比較しますと、きわめて少ないのでございますが、生活保護の関係で算定しております食費は、保護少年——生活保護の少年につきましては九十六円八十三銭、成人につきましは九十二円四十九銭ということになっておるのでございます。一般国民といいますと、これは金持から全部を含めてのことでございますが、生活保護の基準でございます少年なり成人の九十六円、九十二円というものと比較いたしました場合、金額的には劣っておりまするが、矯正施設におきましては、野菜等を農場で自給いたしますし、また、二千人というような大量な収容者に対する大量購入という方法をとっておりますので、原価も安くなりますし、また、調理の面におきまして、栄養士によります指導、あるいは調理器具等の整理その他の工夫で食費の使用の効率をつとめてはかっておるのでございまして、その給与カロリーが一般国民と比較しまして上回っておるのでございます。すなわち、一般国民の一日のカロリーは二千五百カロリーでございますが、刑務所関係では三千カロリー、少年院では三千百カロリー、少年鑑別所では三千カロリー、婦人補導院では二千七百五十カロリーで、カロリー計算におきまして十分必要な栄養は摂取できるように配慮しておるわけでございます。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 食事全体についてのお話がございましたが、その中でも副食費、おかず代ですね、これをもう一ぺん、簡単でけっこうですから、刑務所少年院少年鑑別所について言ってください。
  85. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 副食費のみをあげますと、刑務所におきましては、三十九年度予算の要求額が成人につきましては二十七円九十銭、少年受刑者につきましては三十一円九十銭、少年院につきましては三十一円九十銭、少年鑑別所が三十四円十銭、婦人補導院が三十一円九十銭、それぞれ三十八年度の予算に比べまして二円ないし二円四十銭の増額を要求しておるわけでございます。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまカロリーのことをあげられたのですが、これはカロリーだけで計算できますか。カロリーだけ計算すれば豚のえさのほうがカロリーが多いかもしれんのですが、しかし囚人それから少年の人たちといえども、これはやはり人間ですよ。そうすると、カロリーだけでまあ二千五百カロリーに対して三千カロリーとっておるんだということですけれども、これは少し、非常に機械的な御答弁だと思うのですが、いかがですか。
  87. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) ただいま御指摘のように、人間の栄養上の問題につきまして単にカロリーだけでは算定できないことは御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても、給与の副食の栄養量につきまして、蛋白あるいは脂肪、カルシウム、各種ビタミン等というものの必要基準量を計算いたしまして、それぞれ献立表の作成、特に栄養士等を各施設に配置し、あるいはまた非常勤で嘱託いたしまして、その献立の作成等に意を用いまして、大体必要な蛋白、脂肪、あるいはまたカルシウム、ビタミンの摂取という点についてつとめておりまして、ただ動物蛋白につきましてやや質が劣るという程度でございますが、大体必要量の栄養素の摂取には事欠かない程度に現在献立等も進んで参りまして、大体健康の維持という点ははかれる自信を持って実施しておる次第でございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあこれは、食べ物の中身を見せてもらったり、実際のところもう少し詳しく調べなければならんのですが、一応この国会でこういう御答弁をなさるということは私は非常に悲しいことだと思うのです。実は私は法務委員会で視察に参りまして、東北で仙台の青葉女子学院に行った。院長さんに、歩きながら私は聞いてみた。食費は幾らですか。そうしたら、おかず代が二十九円。一食二十九円でしょうね。いや、先生違いますよ、三食で一日分二十九円。私は実はあ然としたわけですね。法務委員として非常にこれはうかつなことだった。これはまことに申しわけないことだったという感じがしたわけです。だから、ここで答弁するためにつじつまを合わされることはけっこうですけれども、答弁のつじつまは合っても、少年、それは罪を犯したから何でもいいといえばそれまでですけれども、これは当人だけの責任だというふうに考える簡単なものではないわけですから、そうすると、この人たちがこういった食事でやっていけるのかどうか。私はあなたのほうの関係でせめて生活保護基準並みにしてあげたいという強い要求をお持ちになって大蔵省と予算折衝をされたんだということは聞いておるのですが、これは差しつかえなければここで明らかにしていただきたいと思うのですが、どうなんですか。
  89. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) ただいま御指摘のように、同じカロリーと申しましても、同じ蛋白でも良質蛋白とそうでないものといろいろございますし、また、食事についての問題でやはり色つやということも生活をしていく上において欠かすことのできない問題でございます。われわれとしましては、できるだけ向上さしたい、少なくとも生活保護関係まで持っていきたいという考えを持っておるわけであります。やはり予算その他の面もございまして、われわれが算定いたしました必要なカロリー、必要な栄養素を摂取できる、また、昨年から生活費もそういう物価も上がっておるようでございますので、その点も精密に計算いたしまして、最低限度必要な基準量の摂取ができるという点で、本年度は前年度に比較して二円ないし二円四十銭の増額ということで実施するということにいたしたわけであります。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 大蔵省——大蔵大臣にこれは来てもらわなければならぬのですが、これを大蔵省がのませるというこの根性がいけないと思う。生活保護、これが非常に問題になっているのです。いまの二倍なければとてもたまらない。朝日茂氏が御承知のように告訴しまして朝日裁判をやったことも御存じでしょう。この結果はあまり芳しく出てないようですけれども、だれだってこれは常識でわかると思うのです。そういう中で、何とか苦労をしてカロリー計算なんかしてここで御答弁しなければならない、これではあまりにひどい。豚箱といわれていますが、豚のえさよりもちょっと悪いのじゃないか。私は豚のえさのほうがはるかに多いんじゃないかと思うのですがね。これは囚人や少年犯罪者だからしかたない、罪人だからしかたない、そういう立場に立って行なわれているとしか思うことができない。これがいまの刑事政策なんですか、法務省の。大臣がいないのが残念なんですが、早くけががなおって出てもらわなければ困る、病める法務省では。病める法務省の足元ではこういうことが起こっている。一方で交際費は二倍、三倍、四倍になっています。しかし、一方でどうです。私はこの政策というものは了承することはできない、こう思うのです。  次にお聞きしたいのですが、囚人の作業収入は年間幾らあるのですか。三十九年度予算はどうか。三十八年の見込みは幾らですか。
  91. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 三十八年度の収入見込み額は三十九億円でございます。三十九年度予算の額は四十一億一千万円でございます。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 この作業はいろいろ分かれておるんでしょう。単価もみなこれで違ってくるわけですか、どうなんですか。作業から上がってくる金ですね、これは仕事によっても賃金が違ってくるわけですか。
  93. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 歳入の面になりますとそれぞれ違うかと思いますが、いまの賃金とおっしゃいますと、収入のほうになりますか、あるいはまた受刑者に交付する金になりますか。作業収入のほうでございますと、物品製作もございますし、また、労務提供の場合もございますので、それぞれその業種あるいはその作業形態等によりまして収入は異なるわけでございます。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 その作業の中で最近防衛庁関係の発注が相当あるように聞いているのですけれども、これはどのくらいのパーセンテージですか。
  95. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 作業収入のうち防衛庁関係は約一億でございます。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体どんなことをするんですか。
  97. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 剣道防具の修理でございますとか、あるいは被服の洋裁、あるいは寝具の加工修理、それから各種事務用の印刷等でございます。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 作業収入は刑務所関係の経費の何パーセントをまかなっていることになりますか。刑務所のことしの経費がございますね、それの何パーセントをまかなっているんですか。概算でけっこうです。
  99. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 刑務所関係の経費が百六十三億、そのうち四十億が作業収入でまかなわれるわけでございまして、約四分の一ということになるわけでございます。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは非常に安いわけでしょうね、賃金は。
  101. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 刑務作業の収入と申しますと、比較するものが実はないわけでございまして、一般市価よりも安いといわれておりますが、その品質、内容等まで参りますと、はたして安いか高いかという経済的な比較は不可能とは思いますが、一般的にはやや安いんじゃないか、かように考えております。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの質問の経過の中で明らかになったと思いますが、一方では、大臣や検事総長や公安調査庁長官の交際費がばく大に何倍もふえている中で、食事のお菜の費用が、全くこれは二十九円に対して二円ということになりますと、七%か八%ですね。そうしてこれはカロリーでつじつま合わして答弁されているんですけれども、こういうことでは実際合わない。だから、こういうものをふやす前に、やっぱり囚人や少年院の食事代をふやす、現状を改良すべきじゃないかという意見を痛切に今度の視察で持ってきたんです。これは一つの非常に大きな収獲だったと私たちは考えていいのじゃないかと思うし、機会あるごとにこのことをわれわれは問題にしなければならないと思います。  もう一つの問題は、そこに働いている職員の待遇の問題です。どこに行っても要求されましたのは、場所、それから人、金、この問題が解決されていないので、現在の非行少年対策もそれから刑務行政もなかなかうまくいっていないということを聞いたんです。それで、私は、いまの日本の政治の貧困、政治の醜さ、きたなさ、不十分さ、そういうもののしわ寄せが実際はこの職員の肩にかかってきているんだという感じを非常に深くした。そうして報いられるところは非常に少ない、こういうことを感じた。もう少しやっぱり人もふやすべきだし、その人の待遇もよくすべきだ。ことに、少年院の場合なんかは、あそこで大学あたりで心理学なんかやった人でだいぶ長年ここに従事している人もいるわけですよ。しかも、これは、あまり世の中に、私は少年院につとめています、私は刑務所につとめていますというようなことは誇りがましく言えるような立場にはなっていないんじゃないか。こういうことをあわせ考えますというと、一般の公務員よりも相当なそういう点を考慮した待遇に増額しなければならぬということを感じた。ところが、実際比較してみますと、そういうふうにはなっていない。ここにやっぱり日本のいまの刑事行政そのものの持っている一つの欠陥があるように感ずるわけですがね。これも、大臣がおりませんで、非常に不十分な、最後の結論を出すことができない形で私の質問を終わるわけですけれども、こういう点についてあなたたちは実際その業務に携わっていられて、私と同じような感じをお持ちになるか、それとも私の言い方が事実に合ってないとお考えになるか。この点だけ感想として承っておきたいと思います。
  103. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 刑務所少年院少年鑑別所矯正施設に勤務している職員の熱意に対しまして、われわれ常に敬服し感謝しているところでございまして、彼ら職員の勤務の環境の改善あるいは待遇の改善ということにつきましては、常に私ども考えているわけでございます。今後とも誇りを持って、そして気分よく勤務していただきたいというふうに考えるわけでございます。また、受刑者その他の収容者につきましても、彼らの日常生活というものの向上ということは、規律は厳重にし、訓練は厳重にする、しかし日常生活のいわゆる生活環境だけは一般並みに持っていきたいという考えで行刑行政をやってるわけであります。考えの点では岩間委員と全く同じ考えで、職員の勤務状況の改善、受刑者の生活条件の改善ということに今後とも努力していきたいと考えております。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、二つの課題についてきょう質問申し上げたつもりです。一つは、公安調査予算増額は一体何を意味するか、これは日本の人民のために必要があるのかどうかという問題、もう一つは、大臣の交際費増額とそれから刑務所少年院なんかの食費との対比においていまの予算の二つの姿を私は見てきたと思います。これは予算委員会みたいになるのですが、しかし、これは今後の法務行政を遂行するために非常に重要であります。  私は結論として言えるのは、法務省予算を概観してみると、犯罪者はふえてもたいしたことはない、仕方がないのじゃないか。日本のいまの政治の腐敗堕落というものと戦っていくそういう民主勢力というか、平和勢力といいますか、そういう勢力がふえるということが非常に工合が悪い。そうして、それに対していわば治安という名前で弾圧しなければならないために相当大きくふんだんに予算を取っている。こういう予算の性格というものを私は見たのです。これはやはり今後当委員会で非常に問題にしなければならない問題です。私はまた本予算の総括質問をすることにもなっておりますが、こういう問題に触れる時間があるかどうかわかりませんけれども、法務委員会もあるいはこういう予算にあらわれた姿で今後問題にして参りたいと思いますので、委員長にもそういう点で十分に御賛同をいただいて、ともに力を合わせて今後こういう問題をほんとうに正しい方向に持っていくために努力していきたいと思います。このことと、資料要求として刑務所作業の発注先はどういうところがあるか、たとえば防衛庁その他官庁、会社等の名前、その数量、発注内容を一覧表にして提出していただくことを最後に委員長にお願いしまして、私の質問を終わります。
  105. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本日はこの程度において散会いたします。    午後零時四十四分散会    ————・————