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1964-06-09 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月九日(火曜日)    午前十時四十五分開会    ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            森 八三一君            矢山 有作君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            植垣弥一郎君            北口 龍徳君            櫻井 志郎君            仲原 善一君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            大河原一次君            北村  暢君            小宮市太郎君            高山 恒雄君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林省農林経    済局長     松岡  亮君    農林省園芸局長 酒折 武弘君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○食料品総合小売市場管理会法案(内  閣提出、衆議院送付)    ———————————
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  食料品総合小売市場管理会法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  3. 北村暢

    北村暢君 きょうの大直の出席はどうなっておりますか。ぼくのこの間受けた理事からの連絡では、火曜日に大胆が出てくるはずであるから、ひとつ質問をしてくれ、こういう連絡を受けています。
  4. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) いま見えるそうです。
  5. 北村暢

    北村暢君 それまで待ちましょう。せっかく大臣くるのだから。
  6. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  7. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を始めて。
  8. 北村暢

    北村暢君 私は衆議院の審議の会議録は全部読ましていただきましたが、参議院のほうは出ておりませんので、見ておりません。したがって、前にどういう質問があったのかわかりませんので、質問はなるべくダブらないようにしたいと思うのですが、参議院の場合は、私の出たのは、この前しか出ておりません。それ以前は、重複するところが他の質問者の中で、あるかもしれませんけれども、この点はひとつ御了承をいただきまして、質問をいたしたいと思います。  まず、流通機構全体の問題について、生鮮食料品流通改善対策が昨年の四月に決定せられて、それに基づいていろいろな施策をとられておるわけでございますが、その中に、いろいろな施策をとられた結果、一体どういうふうに生鮮食料品物価値上がり抑制に役立ったか、この点をまずお伺いいたしたいと思う。特に生産関係の問題については、指定産地問題等ございまして、渡辺委員から資料要求等もございますし、また、そのあとに詳しい質疑が行なわれると思いますから、もちろん生産者に対する問題も重要だと考えております。まあ衆議院における質疑においても、大部分生産者に対する問題の質疑——末端消費のことはやられるけれども生産者対策がないじゃないかというような点が質問されておるようでございます。その点は、専門家渡辺君から後ほど質疑があると思いますから、私は主として流通機構の、いわゆる出荷団体からそれが中央卸売り市場を経て末端に至るまで、こういう流通全体についてのいろいろとられた施策について、どういう効果をあげたか、ひとつお伺いしたい。これは青果、鮮魚それから食肉等生鮮食料品の主要なものについて、ひとつ具体的に御説明願いたい。
  9. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 昨年の四月に、閣議決定を見ました流通対策につきましては、もちろんこれだけで消費物価抑制効果的に、直ちに効果があるというほどの期待を持つことはなかなか困難でございます、まだ十分ではございませんので。しかしながら、その後、ここに盛られた施策は着々実施に移しておるわけでございます。それで、実は、この中で中央卸売り市場関係は直ちに実施をいたしたわけでございます。そのほか予算措置を要する中央卸売り市場整備対策につきましても、昨年から始めておるのでございます。しかしながら、その他の面につきましては、この小売り市場もそうでございますが、昭和三十九年度予算に計上するものが多かったわけでございます。したがいまして、今年度に入りましてから実施に移すというものが相当ございます。一部野菜生産対策等について、昨年予備費実施したものもございますが、その後、野菜暴落等がございまして、必ずしも安定対策として十分な効果をあげなかったのでございますが、大体におきまして、むしろ今年度から実施に移る、こういう性格のものが多いわけでございます。
  10. 北村暢

    北村暢君 たとえば、卸売り人販売手数料引き下げを行なったわけです。この引き下げを行なった結果が、どういうふうに効果的に作用したか、この点をひとつ具体的に説明していただきたい。私は、必ずしもこの卸売り人販売手数料引き下げが、効果的に小売り価格に影響したというふうには思えない。非常に疑問に思っているのです。したがって、その点をひとつはっきり御説明願いたい。
  11. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) この中にございます流通対策はすべてそうでございますが、その一つ一つをとりまして、直ちにそれが物価抑制に顕著な効果をあげるという性格のものではむしろございません。流通対策としましては、構造的な対策流通合理化をはかるためにやる、こういう性格のものでございまして、いま御指摘になりました手数料引き下げにつきましては、これは主として一%か二%の引き下げでございますから、それの引き下げ自体物価に対する影響というものは、むしろ少ないわけでございますが、その中身は合理化でございます。つまり、最近におきましては、非常に中央卸売り市場取り扱い額がふえてまいっております。年々非常な勢いで人口の増加消費増加と、その上に単価が毎年上がっております。それに対して定率手数料でございますから、荷受け機関の収入は非常な増加をいたしておるわけでございます。これに対応しまして、産地に対する歩戻しといいますか、荷主交付金というようなものが非常にふえてまいっております。その中には、非常に問題とすべき性質の金がございます。そういう費用を減らす、そうして合理化をはかる、こういう趣旨実施いたしております。
  12. 北村暢

    北村暢君 まあ卸売り人手数料引き下げが一%か二%だ、したがって、小売り価格にどういうふうに影響したということは、直ちにそれで出てくるというふうには考えられない、しかしながら、いまおっしゃるように、卸売り人手数料というものは、扱い量増加単価増加によって飛躍的に増加される。しからば、そういう飛躍的に増加されたならば、卸売り手数料自体引き下げによって、私は経理内容がそれほど必要でないと、こういうことになれば、卸売り手数料引き下げるということでいいのだと思うのです。そういうふうにならなければいけないと思うのです。ところが、いまおっしゃったように、産地への歩戻しを減らした、あるいは買い出しに対する歩戻しを減らしたと、これは卸売り人には影響しないわけです。影響するのは、産地とそれから買い出し側ですね、これが減るだけなんです。したがって、せっかくの卸売り手数料引き下げが、いまおっしゃるような理由では、私は卸売り人そのもの被害は何もない。手数料を下げても何もない。全然ないとは言いませんよ。これは魚と青果の場合では違う。魚の場合は、ほとんど荷受け被害をこうむっておらぬ、こういう実情にあるのじゃないかと思うのです。したがって、せっかくの手数料引き下げたことが、あなたのおっしゃるように、取り扱い高がふえ、単価が上がって、荷受け自体経理内容というものはよくなる、したがって、それほど上げる必要はないんだと、こういうところには影響しないんじゃないか、あなた方の趣旨とは違うんじゃないか、そういうことを聞いているんです。
  13. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 魚の場合と青果の場合と、実態がだいぶ違うと思います。で、まず手数料そのものでございますが、青果の場合は、改正前は、野菜が一〇%、くだものが八%であったわけであります。それから魚のほうは六%であったわけであります。したがって、同じ率ではなかなか切れないわけでございます。負担力が違っております。それと、青果のほうは、産地に対する交付金が非常に多く、買い受け人に対する交付金はわずかであります。魚のほうは逆でございます。そういうふうに違っております。それをどういうふうに下げてまいったかと申しますと、まず、荷受け機関自体の非常な利益率増加から、財源を求めたわけでございます。それから交付金を少し節約してもらう。こういう形で、主たる部分はむしろ荷受け機関負担にしてもらったわけでございます。で、これは利益率増加しておりますので、その分を、これはまああまり激しいことはできませんけれども、一部。それから、産地のほうに対して歩戻しを減らしていく。しかし、産地は、結局手数料引き下げが、その歩戻しの減った分を上回っておりますから、生産者手取りはふえたわけでございます。そういうふうに引き下げをしたわけでございます。
  14. 北村暢

    北村暢君 買い出しに対する交付金ですか、これは青果の場合と魚の場合、幾ら歩戻しを減らしたですか。
  15. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 実は、きょうお配りした資料の四ページにございますが、ここに青果水産を分けまして、三十六年度の経営の実績をあげております。それで、粗利益の中から、これらの経費を出しましたあと利益でございますが、そのうち、純利益を一番多く切ったわけであります。それから青果のほうは、荷主交付金が多いわけでございますので、荷主交付金、それから売買参加者交付金、それから水産のほうは、非常に地方によって差がございますので、その平均をとって、大体、水産は、荷主交付金と売参交付金は、ここで同じぐらいになっておりますけれども地方により差がありますので、ある場所によってはかなり強く切ったところもございます。
  16. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連して。「販売手数料率の引下げの根拠」という項がありますが、この手数料率引き下げが、たとえば野菜について、従来一〇%であったものを一・五%下げた。果実については、八%を一%下げた。水産物は六%を〇・五%下げた。この下げた料率基礎資料の提出を私はお願いしたわけですね。それについては、私の望むものは、必ずしもこの整理された資料ではよく理解できないような資料なので、関連して一、二お伺いますが、一つ品目にしぼって伺ったほうが便宜だろうと思いますので、具体的にお伺いしますが、野菜について、従来一〇%の中央卸売り市場卸売り人手数料を八・五%に下げた、その一・五%というものの要素は、何と何に基づくものかということをもう少し、この資料には触れておりませんので、この機会にちょっと聞いておきたい第一点であります。
  17. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) ちょっと資料をさがしますけれども、一・五%下げた分のうちの大きな部分が、純利益率から出ておるわけでございます。それからその次に、荷主交付金荷主交付金が減った以上に手数料率が下がっておるわけでございます。したがって、生産者手取りはふえる、こういうふうに下げたわけでございます。
  18. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は計数を伺っておるわけです。それを資料として要求したわけですから、少し計数に触れて答弁してもらわぬと、私の要求した資料にもないし……。
  19. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これは青果蔬菜平均しての数字でございますが、卸売機関負担いたしましたのが千分の六・五でございます。それから荷主が千分の四、売参が千分の二、これの合計が千分の一二・五、これを青果蔬菜に分けたわけでございます。
  20. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう一回。卸しが千分の六・五、荷主が千分の四ですか。それから……。
  21. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 売買参加者が千分の二、合計しますと千分の一二・五、その千分の一二・五を、蔬菜は千分の一五、青果は千分の一〇引き下げたということにして平均しますと、千分の一二・五、こういう数字でございます。
  22. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、蔬菜として伺うのは、この際不適当のようですから、お答えの、青果ということで伺いますが、私のお尋ねをするのは、青果の場合の卸売りが、手数料引き下げた千分の六・五というものが、一体どういうバック・データによって出てきたかということを伺っておるわけです。
  23. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) それが四ページにございます純利益率一〇・一、これをゼロにするわけにまいりませんので、六・五、こういうふうにいたしましたわけでございます。これは全国数字を見まして、全国平均で一〇・一でございますが、中にはわりあい小さな荷受け機関もございますので、この純利益をゼロにすることもできませんので、六・五から拠出する、こういうことでございます。
  24. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまのことは、純利益率から大部分を出したという答弁に対する具体的な内容としては、依然としてどうも抽象的だと思うのですね。純利益率が純利益の一〇・一というのは、これは単位は何ですか。
  25. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 千分の一〇・一でございます。
  26. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 千分比でございますね。そうしますと、青果の純利益千分の一〇・一のうち、千分の六・五を手数料引き下げ要素に使ったと、こういうことですか。なお伺いますならば、そうすると、保留される利益は、まあ大ざっぱにいって三・六ですか、ある、リザーブされるものは。そういうふうに考えたわけですね、青果の場合。そうして荷主には千分の四を負担させるということは、従来の交付金その他の反対給付をそれだけ減らしたと、こういうことですね。そうすると、従来は一三・二であったもののうちから四を相対的に減らす、こういうことですね、参加者は一一・八のうちから二を落とす。そうしますと、まあいろいろ問題があるわけですけれども、純利益が千分の三・六を想定して、中央卸売り市場適正利益率と考えておられると理解していいんですか、今後。
  27. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これはなかなかむずかしい問題でございますけれども営業収支等全国数字を一応調査いたしまして、このくらいでいけるであろうということを見たわけでございます。配当率一二%くらいで、平均でございますけれども、いけるのじゃないか、こう考えたわけでございます。
  28. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 千分の三・六が中央卸売り市場をつくっておる株式会社の適正な純利益率である、その中には配当一割二分も計算の中に入っておるということであれば、それを、この問題だけについて——関連ですからこれだけにとどめますが、これだけの一つ適正利益率というものを想定しておるのだけれども、これがそれを上回るという場合、これはあとのいろいろな番号で出しておる各会社の最近の業務報告書等もありますが、それが上回った場合は、さらに料率の低下を政府としては勧奨するということになると、していいんですか、どうですか。
  29. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 全国に数十社ございますが、その中で、これは定率手数料でございますから、まあ取り扱い高、それから取り扱い品目等によって、たとえば単価の高い品物くだものなんかよけい扱うところと、そうでないところとでは、若干差が出てまいります。これで、ある特定の数社が非常な利益率をあげたということで、他はあげていない。まあ現状はそういう場合がございます。でありますから、平均配当率一二%といいますのは一つの想定でございます。他のいろいろな営業利益などにらみ合わせまして、これを基準として、これより配当が上回った場合は制限するという考え方には、直ちには結びつかないと考えております。
  30. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連ですから、この問題はこれだけにとどめますが、配当の標準というものを一二%と見る、これは前の同僚委員質疑の中にもあったように、中央卸売り市場性格というものは、かなり高度の公益性ということが考えられておるわけであります。かっては、河野さんが農林大臣のときには、国営論まで打ち出した経過もある。そういう公益性の高いはずのこういう卸売り人が、一二%の配当ということを想定するところに問題の一つがあると思うんですが、一二%という配当率を想定したその一二%というのは、一般通念の中に、どういう公益性を持つ会社に対して想定されたのでありますか、その点をお伺いします。
  31. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 電力事業等公益事業配当率が大体一割ないし一割二分ぐらいでございます。で、公益事業的企業と同じくらいに考えてみたわけであります。
  32. 北村暢

    北村暢君 そこで、この手数料引き下げがまあ一%ぐらいだから、直ちに小売り価格にどうのということにはならない、これはそのようにわかるのでありますが、それだからといって、公益性のあるものを、いま言ったように膨大な利益をあげていいという理屈にはならぬ、したがって、そういう措置をとるのは当然である。しかしながら、それが、いま私が申しましたように、売買参加者交付金は、いままで会社によって違うわけなんでありますけれども、一分二厘——二分ですか、一分二、三厘出しておるものを半分に減らした、そういうことになれば、売買参加者は、青果の場合、大部分小売りでも参加している。そうすると、この下げたものは直ちに小売り価格にはね返って、小売り価格を上げて結局まかなってしまう、こういうことが実際には行なわれている。これは御存じですか。
  33. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 当時、いろいろ小売り団体からそういう意見を聞きました。私どもも、荷受け機関からもらうかわりに消費者からもらう、こういうようないき方でございまして、そうなる部分も、もし大きく切れば出る場合がございます。どうしても必要な経費に充てられている。で、私どもが、売参に対する交付金を査定いたしました場合、そういう経費までは食い込まないように、これはごらんのとおり荷主交付金の場合と比べまして、査定率が幾らか低くなっている。そういうような考慮をいたしまして、しかし、これは地域によって差がございますので、一律にやったわけでございますから、多少いろいろな事態はあったかと思いますけれども、これは全体の物価水準からは微々たるものでございます。
  34. 北村暢

    北村暢君 私は、いま申したように、実はこの荷受け手数料引き下げたことによって、流通対策の一環として、非常に大きな眼目としてあげているわけです。それが、いま言ったように、下げたことが物価安定なり、生鮮食料品値上がりに対する物価対策としての効果というものは、実はあがっておらぬ。小売りは、交付金が下がっただけ、それだけ消費者に転嫁しておる。それに対する何らの規制措置もできなかったわけです。まあ指導として、そういうことはなるべくしないようにというだけくらいのことで、それはやったか、やらないかもわからないし、確かめる方法もない、こういう結果に終わっているのではないかというふうに思われます。  したがって、この利益配当率等についても、私は、これはもう相当経理検査農林省がやっておるのでありますから、内容については知っておるのではないかと思いますが、これは相当無理して、一割二分の、一二%の配当をやっているところもある。それはまあ従来の信用保持上やっておるというところも、相当無理して配当をしている、こういう点もあるようであります。  それから、荷受け荷受けなりに、取り扱い量単価値上がりで、相当収益をあげている。まあこういう反面、荷受け荷受けなりに、やはり相当企業内容において、従業員人件費その他において改善をせざるを得ない、そういう面は確かにあるわけです。  それから、経理の中で、まだ農林省が本格的に経理すれば、この荷受け経理というのは、これはどこからつかれても、非常に危なっかしい経理をやっているのが普通の状態じゃないか。ひとつ、たとえて言えば、事故損失というのがある。これはあなた方、経理検査をやればわかるだろうと思いますが、この事故損失というのは相当大きいんじゃないですか。その事故損失というものの内容が、一体どの程度になっているか。
  35. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 事故損失と言われますのは、仕切り改ざんの結果として出るものを指しておられるかと思いますが、そういう事例はございまして、そのために、最近は検査を厳重にやっておるわけでございますが、まだ人員も十分でたいというようなことから、必ずしも毎年すべての荷受け機関検査するというような措置もできかねているわけでございます。
  36. 北村暢

    北村暢君 これは、経理検査をやって、事故損失というのが総売り上げ高の何%くらいになっているのですか。
  37. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) ちょっと資料を持ちませんが、それほど問題にするほどの率ではないと思います。
  38. 北村暢

    北村暢君 その事故損失は、先ほど言った仕切り改ざんによる損失とか、こうおっしゃいましたが、そういうものもあるかもしれませんけれども事故損失内容が、ちょっと適当に表現しているかどうか自分自身もわからないんだが、たとえばあの市場盗難にあうのです。盗難にあう。これは膨大なものなんです。それは一切荷受け責任によって処理されておる。そういうことを、私はこの事故損失と言っているのです。これはあなた方の経理検査の中で、いま私の言ったようなことが、事故損失ということで表現ぜられるならば、これは相当あるということなんです。こういうものは、経理検査の際に、まあ普通の企業ではちょっと考えられないことですね。盗難したものが毎月毎月の中に出てくるということで、それがルーズであるために、品物を盗まれるならいいけれども、現金のなくなったものまで事故損失で処理している、こういうものがあるようであります。そういう点について、経理検査の結果どんなふうになっているのか、どういうお感じを持っておられるか。
  39. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 盗難あるいは紛失等による損失でございますが、いま担当課長の話では、一万分の三から五くらいではないか、こう言っております。手元に資料がございませんので、正確な数字は申し上げられませんが……。
  40. 北村暢

    北村暢君 これは、一万分の三といえば、どういうことか知りませんが、金額にすれば、一つ荷受けで一カ月に二十万か三十万の盗難というものは普通にある。したがって、盗難というのは、これは開設者管理責任があるわけですね。したがって、守衛その他は管理者がやらなければならない。開設者がやらなければならない。ところが、そのなくなったものは全部荷受け負担になってくる。それで、どういうことをやっているかというと、荷受けは自主的に警備員というものを置いているのです。一人一カ月二万円の警備員を五人置いても十万円にしかならない。したがって、二十万なくなるよりは、監視員を五人置いたほうがいいという結果になる。そういうことを荷受け自体がやらざるを得ない。また自主的な監視をやっているわけです。それほど取引の混雑にまぎれて、こういう問題がある。たとえば、神田の青果市場にこういうものがあっても、市場信用上からいって、なくなったということは、警察に一向これは出ていない。金額にして膨大なものですよ。何百万ですよ。そういうものが荷受け負担になっているのですよね。そういうことを経理検査をやってお気づきにならないのか。
  41. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) そういう事例はあると思います。しかし、一カ月の売り上げが億単位荷受け機関が大部分でございます。でありますから、その盗難の割合も、数字としては若干出ると思います。しかし、いまのように混雑いたしますのと、たくさんの荷受け機関が、お互いの売り場が競合する状態でやっておるというような状態から、多少そういうような事故が起きるかと思いますが、これは今後よく注意して、検査の際にも十分注意するようにいたしたいと思います。
  42. 北村暢

    北村暢君 そういう事故の問題は、やはり短時間にあの狭隘なところで、混雑の中で処理するのですから起こる。ところが、表にはそういう事故というものが実は出ない。まあ正々堂々と冷蔵庫からトラックで運び出したなんというのは、ちょいちょいつかまっているのですね。そういうつかまったやつだけが表に出るのです。あとは表に出ない。警察につかまったのだけ出る。それで、あとはもう自己損失というような形で経理されていくのじゃないかということです。したがって、そういうことを認めるから、私の聞いた範囲では、相当な金高になる、何百万以上です、そういうものが、職員によって不当に、何といいますか、ごまかしたというような場合も、だまって、これは消えていってしまうのです。そういうものがある。何といいますか、そういう不当な経理を、自己損失というような形で軽く認めているところに、経理があいまいになる。またそういうようなことは、その金が一体どうなっておるのだろうか、したがって、市場経理は、これは盗まれてなくなったと、こう言えば済むのだろうかというような点があるわけです。したがって、なくなったなんとかいうような形で処理したものが認められているから、実際はそうでなくても、それはどこかに融通しているなんというようなことが、これは憶測すれば出てくると思うのです。そういうことがあり得るということは、これは普通の企業ではあまりないことなんですが、ところが、荷受けにある。その原因は、やはり監督している立場からいって究明して、対策というものが講ぜられなければならないのじゃないかと思います。公正であるべき中央卸売り市場が、どろぼうや何かの巣であったというようなことになると、これは消費者としても信頼をおけないということになり、非常な不信感を招くもとになる。これは、従業員の中にも、巧妙にやればできるのであります。これは荷受けにしても仲買いにしてもできるのであります、これはもうそういう面では相当改善はされたのでありますが、いまだにそんな悪弊が残っているという事実は、やはり十分認識してかからなければいけないのじゃないかと思います。私の指摘する点が、軽微な、一万分の三というようなことで、まあ何百億の一万分の三、金額にすれば相当なものですが、そういうことが、一万分の三であるか、一万分の五であるか、十であるか、これはちょっとわからないのです。そのくらいたいへんである。だから、表面の経理検査ではちょっとわからないくらいあるのじゃないかという想像ができる。だから、これは十分注意してもらわなければならないと思います。実は、私がそういうことを申し上げたいのは、そういう目に見えない荷受け損失というものが、経費というものがやはりかかっている。  それからもう一つは、生産者に対する交付金とか、そのものはそれでいいのですが、これは出荷団体にも反省を求めなければならない問題だと思うのですが、そういう正規の、認められたものでない寄付という形においてこれは相当出ているのです。出荷団体に対する寄付、そういうものがやはり荷引きの一つの手段として、またそれをやらないというと、ちょっと荷引きに関係をするということで、そういうものがなされている。これはもう目に見えないことでありますけれども、相当額にのぼる。これは出荷団体自体が自主的にやってもらわないというと、そういうものはやはり表立って経理できませんので、結局は、これは仕切り改ざん等をやって、公正取引を乱す一つの大きな原因になるだろう。それが、出荷団体が自分の身に振りかかっているということをわからない、こういうことです。そういうことが、やはり公正取引をやるべき、価格決定をやるべきことが往々にして不明朗な形になる。それが累を及ぼして、まあこのくらいはよかろうということで、ほかのほうまでやる、こういう実態だろうと思うんです。したがって、手数料引き下げ、そういう問題についても、厳密にもう少し経理検査がなされて、企業者のほうにおいて、先ほどの純利益一二%というようなものは配当ができるというようなことで、企業内容が十分よくなってきてならいいのですが、荷受けそのものについても、およそ合理化すべきものはすべきだ。しかし、人件費その他の掛かりは当然かかってきている。ふくらんでいるんです。そういう点を十分見なければ、ただ単に手数料引き下げたということでは、やはり問題は解決しないのじゃないか。手数料引き下げたことによって、かえって害悪が起きた、こういうことは言えるのであります。手数料引き下げても、無配当のところもあるようですが大体一二%ぐらいの配当を確保しているわけです。手数料それ以上また下げてもいくかということは当然考えられるわけです。そこら辺のところは、わずかに一%の手数料引き下げたことが、小売り価格にあまり影響しない、そうして内容的には公正取引が乱れるということがあってはいけない、この点を私は心配するのです。それでありますから、そういう点で、十分その公正取引が確保できるという自信のもとに、農林省手数料引き下げを指示したんだろうと思うんですが、この点の配慮がなされておったのかどうなのか、この点をお伺いしたい。
  43. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) ごもっともな点でございます。私ども、ただ手数料を切るだけが目的ではございません。それによってむしろ流通合理化され、また荷受け機関自体も健全性を維持していくという形でなければならぬのでありますので、十分全国の各社別に検討をしたわけでございます。まあ各社別の手数料をきめるわけにはまいりませんけれども企業の健全性を失わせないというだけの検討を加えて、一方におきまして、中央市場長の会議を数回開いてよく相談をして、また、それぞれの青果、鮮魚の関係団体もいろいろな意見、いまお話のありましたような意見もございまして、そういうことも聞きまして、あまり無理はない、と同時に、現在行なわれておりますような取引の内容に、仕切り改ざんとか、そういうものがございますので、その方面の検査を強化するように、やはり予算上の措置も行なったわけでございます。それから業界自体も自主的に協定を結んで、厳守しようという話し合いができている。業界自身も、自分たちの荷引き競争で、手数料は高いほうがいいけれども、結局それは産地のほうにとられてしまうものだし、それじゃまあ同じことだ、かえって激烈な競争になるだろうという意識が非常に強くなっておりますから、協定を守る方向で申し合わせができておるようでございます。  それから、荷主交付金を切るに際しましても、従来の交付金は、実は値段の高いものがわりあいに有利であった。たとえばマスカットとかマツタケのようなものによけいな荷主交付金が行ったり、大衆が消費し、大量に農家から出荷されるというようなものがむしろ低いというような面もあった。まあそういうことも直しまして、大量出荷のものをむしろ高くする、歩戻しを多くする、で、できるだけ大量出荷計画という、出荷を奨励する方向でいく一こういう考え方をとったのでございます。
  44. 北村暢

    北村暢君 次に、仲買いの大口取引化の問題についてお伺いいたしますが、この措置をとられた状況は一体どういうふうになっておるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  45. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 仲買い人の取引単位の引き上げの理由でございますか。ちょっといまはっきり伺えなかったのですが……。
  46. 北村暢

    北村暢君 仲買い人の合併促進をして大型化しようということを施策としてとったでしょう。したがって、それの着眼はどこにあるのか、その点、その状況、これをお伺いしたい。
  47. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 仲買い人は、これは特定の中央市場でございますが、非常にまあ数が多くて、取り扱い額が小さい。まあ小売り商並みの仲買い人が中にある。こういうことではマージンが大きくならざるを得ないじゃないかということからいたしまして、たとえば数十万という、年間の取り扱い高数十万、数百万というような仲買い人がおるわけであります。大体数千万以上の仲買い人が多いわけでございますけれども、そういった状態でございますので、できればこれを大型化して、また個人営業のものはできるだけ法人化して、企業としてはっきりした健全なものに持っていく、マージンも節約できるようにいたしたいということから、特に築地の中央市場などに対して強く勧奨してまいっております。その裏づけとして、金融のほうのめんどうも見ようというような話し合いを進めてまいっていますが、一部の申し合わせばできたようでございますけれども、なかなか、現実に統合となりますと、従来のいろいろないきさつ、人的関係等がありまして、話がなかなか進まないという現状でございます。
  48. 北村暢

    北村暢君 いま、そういう施策をとったのだけれども、なかなか進まない、こういうことですが、その原因はどこにあるのか。私は、あの仲買い店舗というものが利権化をして、実際にあそこで営業していない人が、名義上営業していることになっているというものが相当あるのじゃないかと思う。そういうものの調査をした結果、どうなっておりますか。
  49. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 名義だけなっているという実態はなかなかつかめないのでございます。しかし、どうもあるらしいということで、私どもも調査はしておりますけれども、なかなか実態はつかめないのでございます。で、確かに利権化して、人に実際はもう譲っておるというようなことがあるやに聞いております。そういう実態を、この際できるだけ改めてもらいたいという考え方でおります。
  50. 北村暢

    北村暢君 それは、東京都に調査をすることを命じたのだが、そういうものはございませんという報告があったのじゃないですか。
  51. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) わからないという報告でございます。
  52. 北村暢

    北村暢君 わからないという報告で一そうすると、仲買いの実態というものがわからないということでないかと思う。で、仲買いというのは、従来は、そういう不在地主的なものを利権化させないということで、それで法人というものを認めていなかったわけですね。昨年までは、法人で何々株式会社ということで営業をやろうとしても、それは認めなかったわけです。登記するには、個人名義でなければ登記されておらぬ。指導方針は、法人はいかぬということなんです。実際には、何々会社ということをいっておるけれども、届け出は個人名義、そういう指導をしておったのじゃないですか。それを、今日急に、この個人名義を法人化して大型化しよう、合併するか、共同化するか、そういう指導が始まった。従来は、仲買いというのは、個人商店でなければ認めなかったのですよ。それを、一足飛びにいま大型化しようというところに問題があるわけです。非常に政策が変わってしまった。したがって、これは相当強力な措置を講じないというと、いま仲買いを大型化して、中間経費合理化をやろう、こういうことをしても、なかなかあなた方の指導どおりには、まず築地の市場においては一件も実現をしておらない。そういう状態でしょう。したがって、その原因を究明しないというと、あなた方は、そういう実態を調査してわかりません一わかりませんなんて、ほうっておいたのでは、実態をつかめない中でどうやって合理化するのですか。
  53. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 今日までも、法人にも許可を与えることになっております。それで、確かにセリ参加の、つまり鑑札は個人でなければぐあいが悪いと思います。仲買い人たるものは別に法人であっても差しつかえない。で、業界でも前から、だんだん法人化したほうがいい、税金の関係なんかもあるかもしれませんが、そういう動きがあったわけでございます。
  54. 北村暢

    北村暢君 セリ参加は個人名義でしょう。だから、セリ参加は、落としたときは個人の名義で落としているのです。法人の名義では落とせないのです。だから、取引は結局個人名義なんです。取引は、法人は実際にはあっても、実際には法人のような形をとっておるけれども、セリ参加が認められていなかった。何々会社の社員ということでは、セリに参加してないのでしょう。できなかったのでしょう。
  55. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 鑑札でございます。それを改めるわけでございます。
  56. 北村暢

    北村暢君 したがって、そういうことであったから、法人化も大型化も進まなかったんですよ。また進めなかったんです。したがって、そういう従来の歴史的な過程において、仲買いというものは存在しておった。特に大阪、京都その他関西地区は、仲買いは相当大型です。個人でも大型。問題は築地です。築地の魚仲の合理化が今日大きな問題です。それが、あなた方の指導のとおり一向進まない。一件も進まない。これはもう組合長が相当熱意をもってやったんですけれども、だれも応じない、こういう実態でしょう。ところが、実際には五、六人の名義を借りて、一人でやっておる。事実は大型化されておるというものもある。実際はある。あなた方、実態を調べてわからないということでございますけれども、そういうものはある。ですから、実際には進んでいるのかもしれないですね。名前だけ連ねていて、先ほど言う十万くらいの取引のものがある。これは、あの市場の中で、仲買い年間十万の取引で生活できるとはだれも思わないです。そういうものが現実にある。そういうものがあるのにかかわらず、実態がわからないということでは、私は合理化はできないんだと思う。したがって、そのネックとなっておるものは何か。私は、いまおっしゃったように、金融措置をする、こう言うのでありますけれども、金融措置をする程度のものでは、合併なり何なり、合理化というものはなかなかいかないんじゃないかと思うんですよ。すでにあそこの仲買いの店舗は、これは店舗そのものが利権化して、売買されております。こういうことはあり得ないはずですね。公共の、都営の施設なんですから。それが、都に使用料を払えばいいわけなんです。それが利権化されて、売買されておる。相当な値段で売買されておるわけです。そういうことを、事実、わからないはずは私はないと思うんですがね。仲買いの名義はどんどん変わっておりますよ。それはもう売買されている。使用料は、東京都に規定の使用料を払うだけであります。しかしながら、内部においては非常な高値でもって利権が売買されておる。こういう事実がある。公営市場の中で、中央卸売り市場という東京都管理の市場の中で、そういうことがあっていいはずがない。こういうことを合理化しなければ、市場の中における合理化だの、近代化だのいってみたところで、できないわけです。その一つもできないという事実に対して——大臣の指導方針に基づいて、仲買いの大型化をやれといったのに、今日一つもできないというのはおかしいじゃないですか。これはどういうことなんです。これは経済局長の答弁終わってから、大臣もひとつ答弁してください。
  57. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 仲買いの統合につきまして強く勧奨いたしまして、東京都ももちろん強い指導をやってまいっておられます。で、私どもとしましては、金融の裏づけをはかる一方、上場単位を引き上げるというような、これはもちろん合理化のための措置でございますが、上場単位を引き上げることもまた仲買いの統合を促進するゆえんであるということを考えてやってまいったわけです。それから、現在は、築地の鮮魚のほうは、仲買い人だけが売買参加しております。小売りの参加を認めておりません。われわれとしては、仲買いは大型化して、一般に仲買いらしい営業をやってくれるならば、これは小売りの参加を認めなくてもいいではないか。しかし、こういう状態がいつまでも続くならば、これは小売りの参加も認めざるを得ない。場合によってはそういう強硬な考え方もとらざるを得ない。こういうことで進めておるのでございます。で、一部話し合いができつつあるということでございますが、全体としての話がつきませんので、まだ一件も成立しないということでございます。今後もさらに強く指導してまいりたいと思います。
  58. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 神田市場等におきましては、方針に基づいて、統合が着々進んでおります。お話のように、築地の市場等におきまして、全体としての話がまだまとまりませんので、残念ながら御指摘のような状況でございます。しかし、引き続き、なおこれは勧奨して、統合を進めていくつもりでございます。
  59. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連して。大臣に伺いますが、すでに去年の七月の九日に、生鮮食料品流通改善対策要綱が閣議決定を見ておる。その閣議決定の中の一つ要素である「取引の大量化と迅速化」という、これをいま北村委員がお尋ねをしておるわけです。「生鮮食料品の出荷の規格化、大口化を促進するとともに、市場における取引の迅速化を図るため、上場単位の大巾な引上げ、品目別、規格別の取引の促進、見本取引の促進等の措置を講ずる。」こういう閣議決定を見ておるんですが、ただいまの大臣答弁なり、あるいは局長の答弁では、はなはだこれらの政府の権威ある決定に対して、何ら見るべき施策が具体的に出ていない、こういうふうに、ただいまの答弁では理解をせざるを得ないのですけれども、そうなると、これは一事が万事であって、もとよりこの問題一つをとって見ても、いま指摘をいたしましたように、市場の中にいろいろな、さらに利権の売買が公然と行なわれておる。前近代的なこういう生鮮食料品流通機構に、この決定に基づいて閣議で決定したことについて、これはかなりの勇気をもって対決しなければ、何一つとして決定事項が推進されない困難さにあることは、これはそのとおりである。一体、この上場単位の大幅引き上げが——重ねて関連して伺いますが、去年の閣議決定以降、どれだけの努力をなされて、どれだけの成果が上がっているか。また、出荷の規格化なり、見本取引の促進ということが、一体この閣議決定後、ただいままで、どれだけ政府の勧奨によって、具体的にその実現の方途に、動向として来ておるのか、もう少し納得のいくひとつ具体的な答弁を願わないと、これ一つの問題じゃないわけです。これはいずれまたあらためてお尋ねをする機会があると思いますが、たとえば荷主交付金一つの例をとってみても、この卸売り市場手数料というものを削減する要素として、従来千分の十三・二であったものから千分の四を手数料率引き下げ要素にしたというけれども、この荷主交付金というのは全体の市場手数料、で、荷主側、いわゆる生産者の共同体である農業協同組合あるいは水産業協同組合というものが、ここへ共同出荷をして、そこに膨大な手数料を取られて、その中から恩着せがましく——千分の十三・二もとられておる、これをわずか千分の四を手数料率引き下げに使ったと、まだ千分の十というものが——前近代的な、よけい手数料を取って、それをさらに地方に還元するというようなことは、これは、もっと勇気をもって対決をしなきゃならない課題の一つであるとも思うんです。これはすでにこれらの閣議決定に基づいて、少なくとも系統農協では、従来この荷主交付金をもって委託販売の手数料財源としておったものを、四十年からは、それらの変則な収入依存というものを一てきして、あくまでも生産者から手数料を徴収するという姿勢に変えておる。そういう自主的な共販体制が姿勢を正しておるのに、いまだこういう前近代的な、往復手数料の操作というようなものを認めるということは、大局的に見れば、このことがまた共販を阻害する大きな素因にもなっておる。これは、まあ関連質問としてはよけいな問題でありますが、さしあたりこの、取引の大量化、上場単位の大幅引き上げということを、閣議で決定しておる、出荷の規格化、見本取引の促進ということをうたっておる。これが閣議決定以降、政府はどれだけこの決定を順守して当事者に当たって、現在の成果はどうであると、もっと納得のいく答弁を、大臣及び政府委員の補足的な答弁を、この際伺っておきたい。
  60. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 仲買い人の統合等が、築地市場においてはまだはかばかしくいってないということに関連いたしまして、取引の大量化と迅速化の面における上場単位の大幅な引き上げ、こういうものはずっと進めております。また、品目別、規格別の取引の促進、見本取引の促進等は、いま仲買い人の、築地の統合の場合と違って、相当進めておりますが、なお具体的には局長から。
  61. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 補足して申し上げますが、まず上場単位の引き上げでございますが、青果から申しますと、野菜につきましては、タマネギ以下二十品目ばかり——これは大量取引されるものでございますが、引き上げ前までは一個以上という単位であったものを、五ないし三十個以上と改めております。それから横浜、名古屋、京都、大阪、まあそれぞれ単位は違いますけれども、同様の措置をとっておるのでございます。それから果実につきましては、リンゴ、ミカン、以下十種目ばりでございますが、これは東京の場合一個以上というのを、五ないし三十個以上、それから名古屋、京都、大阪等におきましても、同じように改正をいたしております。水産物につきましては、アジ、サンマ、スルメイカ等、これも一個以上となっておりましたのを、これは場合によって少し違いますが、三十の場合あり、六十の場合あり、また品目によって違っていますが、大幅に引き上げております。その他の大都市におきましても、これほどではありませんが、相当程度やっております。
  62. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 上場単位の引き上げは、一応いまの説明でありますが、見本取引というようなことは、一体どの程度促進していますか。
  63. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これはまず規格をだんだん定めていくことでございます。御承知のように、もう野菜くだものの規格というものはなかなかきめにくいわけでございますが、それでも温州ミカン、ナシ、カキ、リンゴ、それから桃、ブドウ、ビワ等について、規格を設定しております。  それで、それの見本取引の促進のやり方でございますが、これは、いろいろ地方へ指導通達等を出すことがございますが、やはり産地を大量取引にするということから、荷主交付金を交付する場合に、大きな出荷団体に対して、商い率の奨励金を出すというようなやり方、そういった措置を講じながら、また場外に大量に荷物が入った場合は、場内に必ずしも収容できない場合がございます。それを場内の売り場で、見本だけを見て、せりをやるというような方式を、現在実施いたしております。
  64. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 見本取引については、そういう品種の統一なり、あるいは集団的な共同栽培なりということが前提であることは、申すまでもないのでありますが、私はこの生鮮食料品流通改善対策要綱の閣議決定を見て、一番どうも問題点だと思われるのは、こういう生産者の立場に立つ流通の基本という姿勢が、なかなか一貫して出ていないということに、この取り上げ方に問題点を感じているのであります。いま言いましたように、野菜でも、くだものでも、そうでありますけれども生産者による共販体制の整備強化、農協では営農団地ということで、構造的な、一つの中心作物を重点に置いた次元の高いコンビナート方式まで考えた営農団地というものを取り上げているのでありますが、そういうことを、もっと政府も中心に据えて、生鮮食糧品の流通改善の前提にするということがなしに、ちょいちょいとそれらに関連することを取り上げてみても、これは隔靴掻痒の感を抱かざるを得ないのであります。大臣、閣議決定をされた責任者でありますが、こういう取り上げがなぜなかったのか、今後、農林大臣としては、こういう生産者みずからの自主的な組織による共販体制というものに、どう対処されようとするのか、この機会に御答弁を伺いたいのであります。
  65. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私も、いまのお話と同感なんでございます。たまたま、この閣議決定のころは、消費者物価対策ということで、中心がそこにありましたけれども、しかし、私は生産の安定的拡大、こういうものが前提なのだと、それなくして、中岡あるいは末端に力を入れるということ、もちろん必要でありますが、生産方面を無視して、一貫した流通改革はできないということは、私も機会あるごとに、こういう会合では述べているのでございますが、今後におきましても、私はその点を無視してはいかぬ、重点をそこにおいて流通改善対策を考えていくべきだという点につきましては、私の考え方は変わりありませんで、全くいまのお話のとおりに、これからも進めていきたいと思っております。
  66. 北村暢

    北村暢君 資料によりましても、生鮮魚の小売りが、東京の場合、三千七百四十五ですか、私のいただいた資料の四〇ページで、そうなっておりますが、それに対して一築地の本場の仲買い人が千百五十一ですか、その他の分場市場ですか、これも含めて千二百五十六ですか、ちょっとこれは古い資料ですが、大体そんな見当です。そうすると、この中央市場小売り業者が三千七百、まあ三軒か四軒で、仲買いが一軒ある。そんなような状況、数の上ではそういうふうになっておる。そういう小売り業者三軒か五軒か六軒に、一軒の仲買いが必要かといったら、いま言った上場単位の拡大とかなんとかという問題では大体これはないと思うのです。したがって、それが、いまそういう形であるものを、合理化のための、近代化のための統合をやろうたって、なかなかできない、しかし、できないでは済まされない問題だと私は思うのですね。しかしながら、これは営業権というものもあるのですから、強権的にやるというわけにもいかない、既得権というものがあるわけですから。したがって、これはもう非常に高度な、政策的なむずかしい問題であろうと思うのです。ただ単に、金を貸してやるから合同しなさい、法人化しなさい、こう言っても、簡単にいかないのではないかと思うのです。したがって一いま融資というような形で出ておるのですが、融資のワクというものを一体どのくらい考えておるのか、そうしてこの築地の、一冊多い千百五十一という、こういう仲買いを一体どのくらいの規模に統合していこうと——まあ、どういつでも、こういっても、統合しないものも残るでしょうけれども、どういうふうなお考えを持っておるのか、私は、閣議決定のああいう文書だけでは進まないと思う。これははっきり言って、だれも応ずる者がいないのです。これはひとつ強力な施策がなければいけない。融資しますから、金貸してやるからやりなさいと言っても、やらないので、このやらない段階において、一体何をやらせるように努力するといったって、こんなものはできないのです。したがって、だれが考えたって、小売り商店五、六軒に、一軒の仲買いがあっていいというようなことは、常識的に考えてこれは考えられない。これをほおっておくというのはおかしな話なんで、私は、できない段階における施策というものを、やはり再検討を要するのではないかと、こう思いますがね。
  67. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 全く築地の場合に、小売り商に料亭を含めても、おそらくお話のような数でございます。そういうことから、私どもも仲買い人の大型化を勧奨してまいったわけでございますが、業者側の融資希望額は、一法人について三百万円ぐらいというのでございます。しかしながら、これは法人の大きさ、それから従来の実績等の問題がございますし、三百万円と固定したものではないと考えて、まだ全体として話はまとまりませんので、どのくらい融資するということはきめておりませんが、大体、融資期間も予定しておるのでございます。さらに、今後強力にまた話し合いを進めたいと思っております。
  68. 北村暢

    北村暢君 一店舖どのくらいで権利売買されておると見ておりますか。
  69. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これはどうも証拠をつかめないので、なかなかわかりにくい問題でございますが、名義は変わっても——許可の名義が変わったことは、都庁ではっきりわかるわけですけれども、実際金がどのくらい動いたかというのは、ちょっとなかなかわからないわけですが、最近のうわさによりますと、七、八百万円じゃないかというようなことも聞いております。
  70. 北村暢

    北村暢君 七、八百万円一つの権利で効いているようなところへ、三百万の融資をして、合併しなさい、と言ったって——合併すれば結局やめる人も出てくるんですよ、合理化すればね。それはどんなに言ったって、この千百五十ぐらいあるのを、三百か四百に減らしてしまうといった場合には、毎日出て働いておる人がみんな社長、副社長になって、それはとてもできないですよ、これは。何としたって、ある程度やはり切り詰めなければならない、その場合に、その権利の売買というか、何というか、ということも起こってまいりましょうし、それからまた、その仲買いの職業を転換する方法も考えてやらなければならぬ、それは並みたいていのことではないんですよ。それを、一法人三百万円くらいの融資ワクでやれと言ったって、これはできないですよ、こんなものは。したがって、もっと綿密な行政指導なり一計画なり、強力な施策を講じないというと、一法人三百万円の融資ワクをやるから、合同しなさいと寄ったって、一店舖の権利が七百万円も八百万円もしているのに、かりにその人が、もうむすこも——あと継ぎはいない、私はやめてもいい、そのかわり八百万円で買ってくださいと覆ったときに、現実に、八百万で取引されているのに、三百万円であんたやめれと言ったって、これはやめるわけがない。そういう根本の問題を解決しないで、どうやってこの仲買いを大型化すと云ったって、できるんですか。
  71. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 三百万円と申しましたのは、さっきも申しましたように、業者のほうの希望でございます。こちらがそれだけ融資すると言っておるのではなくて、希望額が三百万円。で、これは統合してまいります場合に、かりに権利の売買が行なわれているといたしましても、権利が下がる傾向になると考えてはおりますが、そういうことは別にいたしまして、施策としましては、今後の生産価の問題でありますとか、いろいろやるべきことがあるかと思います。御指摘のように、今後さらに強く指導してまいりたいと考えております。
  72. 北村暢

    北村暢君 もう時間が来ましたから、私はこれでやめますが、なまやさしい施策では、大臣の方針どおりにはいかないですよ。これは十分ひとつ理解しておいて下さい。もっと実態に触れたあらゆる施策を講じないというと、簡単にこの仲買いの規模の大型化ということは、私は困難である。したがって、いままでも、施策をやってからいあってもよさそうなものですが、一件もないというところに、しかもこれは仲買いの組合が、まあ役員が非常に熱心に説得しても、なおかつだれも見向きもしないという状況。ですから一これはもう少々の施策ではできない。私はそう見ておりますから、この点については、強力な施策をひとつ要望しておきます。
  73. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 一つ関連して。  いま北村委員が、実態をもう少しはっきりキャッチした上でなければ、上場単位の引き上げとか何とかいってもこれは絵にかいたもちであるということについてですが、たとえば私が要求していただいた臨時生鮮食料品流通事情調査の中間報告、あれを見ますと、青果、果実の仲買い人のマージンは大体五%、生鮮食料品で五%ないし一〇%、こうなっておる。それらのマージンの一つの権利の売買が一千万単位でやられる。これはどうしても計算が出ないのです。やっぱり実態をもっとはっきりキャッチしないと、閣議決定は、これは空文になってくる。もう少し真剣に、こういうことについてはやってもらわないと、ほんとうにまじめな意味での生鮮食料品流通改善はとてもできない。関連してそれだけを申し上げておきます。
  74. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ここで、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩    ————————    午後二時九分開会
  75. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  食料品総合小売市場管理会法案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  76. 北村暢

    北村暢君 午前中に引き続いて、仲買いの問題に関連して、仲買いをこえた流通機構の問題についてお尋ねしますけれども、この中間経費の節約ということを強く要請されている。それで荷受け、仲買いその他の合理化対策を進めてきている、こういうことですが、政府の考え方は、流通機構についてどういう根本的な考え方を持っておられるのかどうか、これを一つお伺いしておきたいと思います。それは衆議院の審議の段階において、わが党の同僚委員の中から、生産者消費直結ということがしばしば出て、流通機構合理化ということは、生産者から消費に直結することが合理化なのだ、こういう趣旨と思われるような意見がたまたま何回か出ておるわけなんです。それに対して大臣もばつを合わせるような答弁があったわけです。実際にこれだけ発達した経済機構の中で、生鮮食料品の最も合理化された流通機構というのは、一体どのように考えておるのか。今後私は中央卸売市場法の抜本改正というようなものを要望したいし、また政府の意見も聞きたいと思うのだけれども、そういう面との関連の中において、一体どのように考えておるのか。それから何か実態調査を流通問題についてやっておるようでございますが、そういう報告の中でも、流通行政の一貫化というようなことが、一貫行政として非常に足りないところがあるのじゃないかというような指摘もあるようです。そういうような点からして、流通機構の最も合化理され、近代化された形態というものは、どういうふうに考えておるのか、これをひとつ御答弁願いたいと思います。
  77. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 御承知のように生鮮食料品流通機構は、産地におきましても消費地におきましても、きわめて複雑でございます。これを理想というと少しあれですが、思い切ってやるとすれば、産地の組織化、それから消費地もやはり組織化が必要であろうかと思いますが、しかし、それは現在のように複雑な事情では、なかなか一度にそこまでいくことはできないことでございます。生鮮食料品性格から言って、日本の現状では中央卸売り市場を通ずるパイプがまず基本であろう、こう考えるのでございます。中央卸売り市場を通ずるというのが原則でございますが、いまは産地からの出荷にいたしましても、消費地に入りましてからも、非常にパイプが小さいわけでございます。それを大きなパイプにしていくことが、まずやらなければならぬことであろうと思います。もちろん別ないき方として、必ずしも一つのいき方だけでいいというわけじゃなくて、別のいき方として、イギリスや何かで非常に発達しております消費組合が、産地まで乗り出して、直接生産地買い出しをやるというような組織もあり得ると思うのでございます。しかし、そういったいき方一本でいくことでなくて、いろいろないき方があるかと思いますが、原則的には、現状では中央卸売り市場を通ずるのが原則であり、そのパイプを太くしていくということが必要であろうと思います。
  78. 北村暢

    北村暢君 中央卸売り市場を通ずることが原則である、そのパイプを太くする、こういう考え方のようですけれども、これは青果の場合と水産関係、それから肉畜の場合と、流通形態がいま違っているわけですね、したがって、いまの説明を聞いておると、これは青果の説明をしているように受け取れるのです。水産関係では、局長の所管ではないですが、産地市場というものが私はやはり相当問題がある、こう見ておるのです。したがって、そういう点、それから中央卸売り市場を通じてやると言うが、肉畜の場合は中央卸売り市場全国にごくわずかしかないわけです。そうすると、いま肉畜の中央卸売り市場は二カ所か三カ所でしょう。そういう中で、一体この中央卸売り市場を通ずるのが原則だと言われるなら、そういう点の原則を貫いた形のものが、青果なり水産なり肉畜において、一体問題点はどこら辺にあるのか。
  79. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 確かに御指摘がありましたように、青果水産と食肉とやや趣を異にしておるかと思います。水産の場合には産地市場というものがあって、そこでどうも値段がきまる傾向がございます。これが消費地の中央卸売り市場に対してかなりの牽制になって、中央卸売り市場における取引がどうも規制される傾向があるのではないか、こう考えられるわけでございます。産地市場には卸売り人、仲買い人がまたあって複雑になっております。この辺、産地市場としての問題があるかと思います。産地市場改善につきましては、なかなか結論を得ないのでありますけれども水産庁で目下調査をいたしております。それから食肉の関係は、これはさらに前近代的な取引でございます。まず中央卸売り市場を整備することが必要であると思いますが、そのほかに、現在農林省としては食肉センターというふうな、において枝肉にして消費地に送る、場合によっては部分肉までできるようなふうにしていく。生体輸送、生体取引を消費地まで持ってくるということをだんだん減らしていきたいという方向で考えておるわけでございます。
  80. 北村暢

    北村暢君 私は、いま局長のおっしゃったような原則からいけば、何か大臣の答弁を聞いておると、生産者の共同出荷態勢、出荷調整をやるそういう指導をする、それから中央卸売り市場、仲買い、小売り、この機構はいままであるもので、それを尊重するという形でいくのだ。したがって、そういう意向は述べられているのですけれども、いままであったから、しかたなしにそういう機構でいくのだ、こういうふうに受け取れる。何か出荷団体から、産地消費地直結するのが最も望ましい合理化された流通機構である、こういうようなことを肯定するような答弁のように聞こえるのです。したがって、いまの局長のおっしゃるように、中央卸売り市場を通ずる——まあ産地から消費地に直結するということは、中央卸売り市場を通じないことになってしまいます。そういう流通というものが、原則的にそういうもののほうがいいのか、ということなんですがね。私はこれは、この経済の発達した段階で、出荷団体が計画出荷をやり、出荷調整をやり、それから共同出荷をやるというくらいならば、これはもう大量取引になっていく、もう当然これは中央卸売り市場を通じなければ、消費者に直結するなんちゅうことは、まず考えられない、最も進んだ形の流通機構じゃないか、こういうふうに理解しております。例外的に、どちらかといえばその地域的な、まあ大都市周辺の軟弱野菜とかというようなものは、例外的にあると思うのですけれども、それも東京の場合はほとんど中央市場を通じていくのが、量的に言えば圧倒的なものだと思うのですね。ですから、そういう面における流通機構というものの考え方、それでなければ今後この総合小売り市場のできた場合における流通経路、したがって私はこういう流通の秩序というものをやはり破壊するというと、価格形成の上において非常に大きな影響を及ぼしてくるのじゃないか、このように思いまするので、まあしつこく聞いておきたいと思います。
  81. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 現行の流通秩序を尊重するということでございます。まだ、現実に日本の生産にしましても、消費はもちろんでございますが、きわめてまあ小規模でございます。これが大量に集まって輸送され、出荷される、取引されるというには、中央卸売り市場というものが必要だと思います。それをどこかへ集中しなければならない、両方の面から……。それで初めて価格形成が行なわれるということで、必要性から言っても、どうしても現状においては必要である、こう考えるわけでございますが、ただ、それを画一的に考える必要はないということ、将来につきましては、これはだんだん産地の態勢が整い、集中的な生産が行なわれるようになり、またくだものとか魚にしましても、規格化できるようになりますと、これはもちろん中央市場を通る場合が多いと思いますけれども、そういう態勢が整ってくれば、見本で遠方とも取引ができる。相当まとまった荷物ならば、小売りの段階でも直接産地から引くこともできるということを、将来としてはそういう方向へももっていかなければならぬと思います。ただ、アメリカの現状なども聞きますと、一九三〇年代からスーパー・マーケットなんか発達したようでございますけれども、やはり卸売りを通っているのは七〇%ぐらいという現状だそうでございます。したがって、中央市場というものは、今後とも——まあ中央市場とは限りませんが、卸売りというものを通るということは、今後も当分の間原則的な考え方でございます。ただ、物によっては、現状、卵とか冷凍魚とかこういうものは、中央市場を通らなくても、値段も大体きまってしまいますし、ことに指定された事業なんかでやっている野菜なんかについては、できるだけ産地の価格というものを基準にして消費地価格がきまるような方向へ、これは将来の方向でございますけれども、もっていくようなことを考えたらどうかということをわれわれ考えている次第でございます。
  82. 北村暢

    北村暢君 画一的に考える必要はない、こういうことですが、しかし、産地直結で消費地と結ぶ場合、そのときの価格というものは、一体何を基準に取引が行なわれるのか。これはもう私はいま青果の場合だったならば、神田の価格というものが、大体において支配的な価格として、それを目当てに取引されるということは間違いないと思う。したがって、その中間経費の分はどこで吸収するかという、直結した場合にするかというのですが、結局は直結したから直ちに消費価格が安くなる、こういうことに直ちにいくのかどうかということなんですね。これはなかなか疑問のあるところだと思う。したがって、価格形成の上からいくと、私はやはり中央卸売り市場の価格というものが支配的な価格になると思う。そういう非常に価格形成の上における重要な意義を、中央卸売り市場というものは持っている、こう思うのですが、そういう意味からいっても、流通機構の中における中央卸売り市場というものは、非常に大事な役割を果たしている。それなるがゆえに、中央市場の価格というものは公正にきめられなけばならない。しかも、いまのシステムからいけば、青果の委託販売、委託されたものを全くの自由な形で価格がきめられる。完全に需給関係、品質はもちんですけれども、それによって価格が形成される、こういう形をとっているのですから、したがって、政策的に価格をどうしよう、こうしようといったって、今日の生鮮食料品の価格の中では、まず中央卸売り市場の価格を基準としなければならない、こういう形になっておるのですね。したがって、流通面における役割りというものは非常に大きいと思うのです。ですから、中央卸売り市場を通じない直結した見本等における取引というものもあるでしょう。それは個々の店、小売り商というものを見た場合には、とても大量に販売するような形のものというものはそうはない。ただ、その小売り店舗が企業体として幾つかの店舗を持つものが一つ企業体になっているという場合にはこれはあり得ると思いますね。だけれども一つの店舗を対象にすれば、なかなかそういうものは簡単にいかないのではないかとこう思います。したがいまして、出荷者が、それじゃ東京都内に何千とある店舗に、相当まとまればというので、個々に連絡をとり、価格というものを、取引というものを個々にするというのは、よほど信用度の高いものでなければできない。したがって、これは私は大企業なり、または相当資本力の強いものなら、それはできるかもしれません。取引に、中央市場を通ずることによってその代金の決済その他において絶対といっていいくらい中央市場保障されているわけですね。そういう点大量にいま、しかもこれを迅に処理しよう、こういう中央市場を通じていけば、生産者のほうも絶対に心配なしに委託の形で物を送れる、ここに大きな利益がある。これは信用問題ですから、大阪のように旅荷を中心とする中央市場、付近の軟弱野菜等は類似市場で扱うというようなところは、必ずしもそれじゃ信用度においてうまくいっておったか、安心感があったか、生産者に有利であったか、こういう点についてはやっぱり問題がある。したがって、やはり流通の本旨は中央市場を通ずる、こういうことだと思います。  それからもう一つは、そういう意味からいって中央市場の価格形成がきわめて大きな役割りを果たす中で、先ほど言った水産関係において産地において価格がすでにきまっちゃう、そしてこれが中央市場の価格をある程度左右する。青果の場合はそういうことないわけです。しかも、水産の場合は沿岸の漁業協同組合の出荷団体というようなものと資本漁業などとこれも非常に違うわけです。そういう点からいって、いま冷凍魚等は定価的に売れるのじゃないか。定価であれば、一番いい。現在魚関係は冷凍魚、加工食品、これが半分くらいになりつつある。生鮮魚は半分くらい、こういう状態のようですけれども、その場合に価格形成の上において往々にして魚の場合は自由な価格の決定ができない、指し値でもってきまる。大資本がもう値が下がれば荷は引っこめちまう、こういうようなことが往々にしてあるわけなんです。だから、魚の場合は、私は全く自由な意味における価格形成はできていないのじゃないか、こう思います。したがって、青果の場合と魚の場合違うだろうと思いますね。しかし、本筋はやはり中央市場において全く自由な形においてこの価格形成というものがなされる。こういうふうな非常に大きな役割りを持っていると思いますがね。そういう意味からいっても、近代的な流通形態というものは、中央市場、しかも生産者が零細であり、それを共同出荷というような形でやってきて、安心をして委託ができる。こういう形はやはり中央市場というものを本筋として持っていくべきじゃないか、こう思うのですがね。
  83. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 大体仰せのとおりだと思います。青果の場合はやはり中央市場に集中しなければ、なかなか適正な価格が形成できないというのが現状であると思います。魚にいたしましても問題はございますけれども、まあそうではない。ただそれならば何でもかんでも中央市場を通さねばならぬかというと、今後の問題としてはやはり相当考えなければならぬ点があるかと思います。やはり出荷団体が大規模にになり、出荷組織が整備されてくる。そうした場合には消費地の仕入れ組織も整備されてまいりますと、必ず中央市場を通さなきゃならぬということでもない。これは品物にもよります。よりましけれども、そうでない場合が出てくるのではないか。そのほうがいいと、またそういう組織に向かうことが、中央市場合理化も促進してくるゆえんであろうと思うのでございます。しかし、原則的には、やはり現状においては北村委員のおっしゃるとおりではないかと、そう考えます。
  84. 北村暢

    北村暢君 私は現状においては中央市場が原則で、将来は中央市場というものを合理化し、それは産地小売りと直結するそういう形ができることによって刺激になり、中央市場合理化されていくということは、中央市場が原則からはずれて縮小していく、こういうようなお考えなんですか。発展した形においては、その産地と直結したほうが、ものによりけりでしょうけれども、直結したほうがいいのだ、そうすればその直結したほうがいいというようなものはどんなものが考えられるのか。そうして、中央市場というものの将来の整備の問題に関係してきますからね、あまり要らないものだったらばつくる必要がない。私はそうではなしに、いまの中央卸売り市場というものは狭隘なために非常に秩序が乱れておる、午前中に言ったとおり。そのためにもつと近代化された取引の設備もしなければならぬ。また周辺にもっと中央市場も建設しなきゃならぬ、もしなきゃならぬ。こういう方向に進んでいるのだろうと思うのですがね。いまおっしゃるようなことでいくというと、青果等に関しては東京都の周辺になんかは中央市場なんか必要なくなってくるのじゃないか、直結してやっていくということになれば。そういうような感じがするのですが。私はそうではなしに、逆に非常に大規模な経済の立地に応じたもっと近代化された中央市場が今後建設されると、東京周辺においても計画されると、こういうふうに理解するのですけれども、何か局長の話を伺っているというと、合理化していくということは、何か中央市場を整理していくというふうに聞こえるのですが、そういう気持ちなんですか。将来はどういうふうに考えているのか。
  85. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 中央市場はいまもなお人口増加が著しく、消費もふえてまいりますし、もう戦前の規模でつくったようなものは、これはもう狭隘になって整備を要することは御承知のとおりでございますけれども、さらに今後大きくしなければならぬ、こういうふうな消費の増大の傾向あるいは人口の増加は今後も続くと思いますので、相当思い切った大規模な拡充を必要とすると思うのでございます。それで、先ほどもものによってはと申しましたが、たとえば卵などはこれは現在ほとんど中央市場を通っておりませんけれども、そういうようなものは十分値段もきまっておりますし、出荷の組織もでき上がっております。そういうものをわざわご中央市場を通して取引する必要はない。で、やはりものによると思います。それと同じものでも、だんだん規格化が進むとか、産地の出荷機構なり消費地の仕入れ機構が整備されるということが、やはり前提であると思うわけであります。
  86. 北村暢

    北村暢君 どうもはっきり私にはわからないんですけれども中央卸売り市場の整備の八カ年計画、これは資料で要求しておったんですがどういうふうになっておりますか。まだ、出てきているのかどうか知りませんが、出ていないようですがね。
  87. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 出ているのですが……。
  88. 北村暢

    北村暢君 出ているんですか。それ見ていないからちょっといまわかりませんが、私は、中央卸売り市場を整備していくということは、これは大都市の周辺だけでない。大都市には特にマンモス的ないわゆる集散地市場のようなもの、こういうものを計画するというようなこともあり得るんじゃないか。それを集散地市場として、まあ神田市場の十倍か二十倍のものを思い切って整備する。それこそ河野大臣じゃないけれども、これは国営のような形でやる構想だって考えられないわけじゃない。それが流通合理化に非常に役立つという考え方もあるようですね。そういう点からいって東京都を中心、大都市を中心とする中央市場の整備、これも非常に大切でありますけれども、いまの中央卸売市場法からいえば、十五万以上の人口のところに中央市場をつくるんだ、こういうことで十五万以上は七十何ぼかの都市があるわけですね。そのうちできているのが二十二都市、中央市場のあるのが二十二都市ある、こういう状況のようです。したがって、流通の機構における中央卸売り市場というものがそれほど重要な役割りを果たし、またそうあらなければならないということになれば、これは中央卸売り市場というものを早急に整備しなければならない。しかも、法律に基づいても十五万以上の都市というものを考えておるのでありますから、これがもう三分の一程度しかいってないわけです。そして生鮮食料品流通しているものの取り扱っている中央卸売り市場で取り扱っているものは三割五分か四割で、あとはまだ中央卸売り市場として整備する以前の地方市場において流通をしておる、こういうのが実態だと思うんですね。したがって、この八カ年計画の中央卸売り市場整備の考え方について、それほど中央卸売り市場というものを流通の中心機構として考えるというならば、もっとすみやかにこれが整備されなければならぬ。とにかく都市中心にしかものを考えられていないのじゃないか、大都市中心にしか考えられていないのじゃないのか、こういうふうな感じがするのです。これについては、従来の状況からして、まあ最近だいぶ予算的にも伸びてきたようですが、まあ飛躍的に伸びたでしょう。飛躍的に伸びたのだろうと思うのですけれども、それでもなおかつとても間に合わない。法律にいう十五万都市に設けるということになってはほど遠い。まあ今後何十年かかるのかわからないという状況ですね。これについてひとつ政務次官から、どうされるのか、いま局長の話では、中央卸売り市場が中心の機関だというのだから、そういうものはすみやかに整備してもらわなければならないと、それが現状では遅々たるもので、一年間に一都市か二都市しかできておらぬ。まあ今後三十年か四十年かかる、こういう状況なんです。
  89. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) ただいま北村委員の御指摘の点、ごもっともだと思います。われわれも中央卸売り市場の整備については、この前の、昨年の閣議決定を見た対策要綱にもありますとおり、もう北村委員も御承知だと思います。東京の中央卸売市場についてもまず設備の拡大をやらなければならぬというので、それを進めておる次第であります。また、内部における、けさからお話のありました手数料の問題とか、あるいは上場単位の拡大とか、こういう問題、あるいは仲買い人の統合とか、そういう問題についても努力しておるような次第でございます。そのほかいろいろ、まだ芝浦の屠場のごとき、これを中央卸売り市場にしなければならぬというような問題にも手をつけておる次第でございまして、また神田の市場等非常に狭隘なもの、また場所的にできないものは、もう少し周辺の分場とか、その辺を拡充強化していくというようなことに全力を入れておるのでございます。また、他の方面におきましても同様に、大都市はもちろんのこと、十五万以上の都市についても漸次中央卸売り市場の整備をしていかなければならぬというのでやっておる次第であります。まだ、十分成果をあげていないことはまことに遺憾でありますけれども、今後ともこれは重要な問題でありますから、やはり流通機構の最も中心たる公正なる価格形成ができるように一そうの努力をいたしたいと思っております。
  90. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連。  いまの北村委員がお尋ねしたのは、松岡局長の答弁を中心として考えれば、こういう姿勢では、もう百年河清を持つ状態じゃないか。少なくとも四、五十年の歳月を経なければ整備というものが考えられないようだが、一体それでいいのかどうか。もっと抜本的にこれにかまえる必要があるのじゃないかということをお尋ねしておるわけですよ。それにはいまの御答弁では、はなはだどうも抽象的で納得がいきかねるのですが、単にこの御売り市場の問題に限らず、いろいろ具体的に伺うと、あらゆる問題が抽象的に答弁がなされて、確たるかたい方向の中に、これを政策として具体的に取り上げていくという、そういう内容があらゆる要素において乏しいわけですね。だから、もう少しそれだけの重要な機能を期待しているなら、もっと積極的にこれにかまえて、生鮮食料品流通合理化の大きな拠点としてどうしていこうかということについて、もっと事務的な段階を離れた次元の高いところで、ひとつ政務次官に期待した答弁を求めておる。もう一ぺんひとつお答え願いたいと思います。
  91. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) そのつもりで申し上げたのですが、これは御承知のとおり、昭和三十八年の七月九日、閣議決定生鮮食料品流通改善対策要綱というのがもう出ておるのでありまして、そこに「東京、大阪等六大都市中央卸売市場における流通改善」というのを一番先の項目にあげて、ただいま私が申し上げた内部的な取引においての改善も、また市場それ自体の整備も閣議決定をいたして、それによって進めることにいたしておるのであります。それから、これは単に六大都市のことでありますけれども、それ以外の中央卸売市場に対する措置についても、六大都市に準じてやっていこうということにいたしておるわけであります。そのほか、中央卸売り市場開設、及び施設の整備拡充、そのほかこれに関連する事項がいろいろ出ておりますが、これに従って積極的に進めております。何十年もたつとかいう、まあ御心配もあるかもしれませんけれども、われわれはこれを積極的に進めていかなければならぬというふうに考えております。
  92. 北村暢

    北村暢君 これから次官にお伺いするときは、初めに、次官と、こう言いますから。あとで言ったものですからうかつに聞いておったのかもしれませんから。そういうことではなしに、中央卸売り市場流通の機構の非常に重要な役副りを果たすものなんだと、そういうお考えのようですから、これを整備するというのに、流通改善対策要綱の中に載っているんだけれども、八カ年計画の内容も、私、見ておりませんからわかりませんが、その八カ年計画で、それじゃ、中央卸売市場法には十五万以上の都市に中央卸売り市場をつくることができるんだということになっているんです。で、その十五万以上の都市というのは、全国で七十幾つあるわけです。そのうち、中央卸売り市場の設置されている都市は、二十二、三しかないわけですね。したがって、あとの五十都市くらいは、中央卸売り市場というものはないわけですよ、いま。それで八カ年計画で一体どのくらい中央卸売り市場をつくっていくのか。そういう点について、中央卸売り市場というものが、まだ五十もあるんですから、一年に一カ所ずつつくっていったら、五十年かかるわけだ。したがって、そういうことではどうにもならないんじゃないかと思うんです。それで、もしそれができないということになれば、ほかの施策を考えなきゃいけない。ほかの施策というのは、地方卸売り市場地方市場の問題が出てくるわけです。それでお伺いしている。極力やるとか何とかじゃなくて、八カ年計画になったら、八カ年目には一体どの都市に中央市場ができるのか、どのくらいの数量ができるのか、そういうことを聞いておるわけです。
  93. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 八カ年計画、これは法律に基づいて計画の決定次第、告示しましてふやしておるわけでございますが、いままで計画の中で、確かに新設も必要でございますが、すでに開設したところは、もう老朽化し、狭隘になっておるのが非常に多いわけなんです。御承知のように東京につきましては、昨年、築地市場の大拡張を決定し、工事を始めたわけであります。そのほかに十八都市について拡充強化決定いたしております。それから新しく開設いたしますのは、すでに決定したものが新潟、金沢でございますが、追加指定の予定のものが旭川、釧路、盛岡、豊橋、福山、徳島、松山、広島、呉、北九州等、決定次第これは告示して計画に入れる。そのほか新しい申請の出ておるものもございます。そういうことで一ぺんに八カ年分の計画決定はいたしておりませんで、順次、申請の出てきたものを取り上げて決定して、できるだけ早くやっていく、こういう形で進めておるわけです。
  94. 北村暢

    北村暢君 いま地名をあげられましたが、その程度でも十かそこら辺のもの。そうすると、まだ四十くらい、十五万以上の都市で四十くらい残るわけですね。それも八カ年で全部できるとは言っていない。順次やっていくというので、どの程度やっていくのかわからんです。しかし、もう少し計画的に、計画を立てるのならやったらどうかということ。と同時に、いまの計画を見ておれば、いまの御答弁聞いても、四十以上の都市というのは、もうすでに、なかなかできそうにないわけです。そうすれば、私は、そこに卸売り市場がないわけじゃない、大体の都市にはあるのですね。それが法律に基づくものではない、地方条例のあるところもそのうちの半分、地方条例のない県が半分以上くらいある、全くの野放しで行なっておる、こういうところが圧倒的にある。しかも生鮮食料の六割はこの地方市場、中央市場で扱っておるものは四割。そうすれば、当然、流通行政を一貫してやると言う農林省が、都市中心の市場行政に集中して、地方は置き去りになっている、こういう状態であります。これは私はやっぱり改めてもらわなければならない。したがって、これは年来、地方市場については小さな個人のような卸売り市場というものが、小さな町に乱立している。そのために過当競争で、流通面において非常に好ましからざる状態が往々にしてある。そういうものをほうっておくということは、生産者から言えば六割のものはそういうところに、付近に出しておるわけですね。そういう点から言って、安心して出荷できるような形のものというものは、やはり一貫して流通行政を取り扱うのだということになれば、行政の公平という点から言っても、私は地方市場法なり何なりを制定をして、地力卸売り市場ができるまでは、それなりに整備をやるべきでないか。全くこれは何もやってないですね。これは再三言っておるのだが、いまだに手がついていないのであります。で、衆議院のこの答弁を聞いておりますと、大臣の答弁は、何か地方卸売り市場法なんというものはできておるようなつもりでおるような答弁をしておるようですがね、法律はないわけです。ですからそういう面について、地方卸売り市場法というような、仮称でありますが、そういうものを早急に考える意思はないか。そうすることが、いずれはこの中央卸売り市場に移行するのですから、大阪の東部市場の問題一つを見ましても、中央卸売り市場に収容する場合に、非常に乱脈である場合に困難を来たす、入場者として収容する場合に非常に困難を来たしておるわけです。それは何らの行政指導を講じてないから、まあ監督外だということで野放しでおるから、そういうことになるのじゃないかと思います。したがって、地方市場から中央卸売り市場に切りかえる際においてスムーズにいく上においてもやはりある程度の規制なりなんなりはしておくべきではないかというふうに思うのです。そうでなければ、まあ地方市場の一番悩みとするところは、やはり過当競争です。まあ自由ですから、どんなに市場をつくろうがかまわないわけです。したがって資本力もない不安定なものが自由にどんどんできるということで、またそれをだめだという権限は一つもない。それで従来あるものが過当競争のために非常に迷惑をするという事態が、事例が間々あるのですね。そういう点からいって、何らかの規制措置というものはやはり公共性の上からいって考えておくべきではないか。こういうことなんです。
  95. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 中央市場法と、地方市場法、これは今後つくるべき問題ですが、その問題につきましてこの八カ年計画との関連もございますが、少し問題とすべき点があると思うのであります。といいますのは、中央市場法は古い法律で、十五万以上ということでやっておりますけれども、むしろ最近では、まあ大都市がお話のように集散地市場化してきておる。これはむしろ場合によっては、一都市の問題ではなくて、国として取り上げる問題であるということから国営論も出ておるわけでありますが、そういった東京にも大市場をつくるべきだということで実は本年度、予算を計上しまして研究調査をやることにいたしております。そういう考え方でいきますと、周辺の都市はこの集散市場買い出しに集まっております。これは群馬県や熱海あたりも入ってくるのですから、いま現にそうなっております。だいぶ中央市場法ができた当時とは事情が変わってきておる。しかし、それでもなお届かない都市もございます。これは人口がふえて、最近では三十万くらいの都市がむしろ普通の消費都市で、十五万くらいというのは、うっかりするとその中に畑やたんぼのある都市があるわけです、こういうところには、なかなか中央市場をつくることはできないと思います。そこで中央市場法の十五万以上ということでなしに、もう少しそこを考え直して、地方市場法というものを別につくるか、中央市場法というものの考えを小さな町まで準用していくか、そういった点の研究を必要とすると思います。  それから、地方市場につきましては、園芸局で現在予算をとりまして、これは実態はいろいろあります、お話のような個人のものもありますし、公設のものもありますし、それから会社常あるいは農協の開設、いろいろ実態がありまして、そのまた規制の基準をつくっておる県もあれば、ない県もある。いろいろでございますので、実態を現在調査いたしております。それらを待って、地方市場法を制定することになるかと思うのでございますが、その場合にも中央市場法をそのまま拡大するか、中央市場というのは集散地市場のような大市場だけにやるか、その辺の考えを整備する必要があると思います。
  96. 北村暢

    北村暢君 いま広域行政の問題からの問題が出て、中央卸売り市場自体に対して再検討を要する段階に来ている、こういうふうに承りましたが、私もそうだと思うんです。たとえば現在の中央卸売り市場開設者地方自治体、市——まあ東京の場合は東京都でありますけれども、大阪その地の都市は全部市が開設者、したがって、たとえば東京周辺の場合を考えると、三多摩でも、武蔵野市と三鷹市、隣り合わせの市です。どっちにつくるか、両方につくるとそういうことはちょっと考えられない。二つ市を合わせればもう三十万以上の都市になる、それも行政機関が隣接しておる。したがってそういう場合には都で建設をする、まあ東京都の場合はそれでいいわけです。大阪等の場合では、近接した市、豊中市と吹田ですか、ああいう両方の市にまたがった市場をつくる場合、これは自治体の市で開設するというのは不合理なんです。しかし設けたほうがいいということになれば、大阪府がやったほうがいいというようなことで、経済圏というものが変わっておる。必ずしも市町村が開設者になることが妥当であるかどうかということについての疑問がもうすでにできてきていると思うんですね。したがって、たてまえとしては、私はいまの中央卸売市場法は実態に合わなくなってきているんじゃないか、こう思います。したがって、東京周辺についてなり、大阪周辺なりの、周辺のそういうところを見ただけでも、もう矛盾が出る。しかもいまおっしゃるように、築地の魚というものは、もう栃木県、群馬県、新潟まで実は行っているわけです。したがって東京都の市場ではなしに、集散地市場性格を持っておる。これはもう事実であります。それが都だけの予算でやっていくというのは、不合理になってくる。それで国営というような感じも当然考え方として出てくる、そういうことだと思います。ですから中央卸売市場法そのものについての考え方も、抜本的に考えねばならない。実態に合わなくなってきているということだろうと思うんです。そういうものを含めて、私は実はこれは大臣にこういう点はお伺いしたかったのでありますが、中央卸売り市場のいまの法印がかたかな書きの法律で、この前の改正のときに抜本改正をやるのを一部改正になってしまったといういきさつから言っても、私はこの中央卸売市場法そのものを抜本改正すべき時期に来ておる、このように思うのです。またそのほかの意味においてもまだある。仲買いの法人化の問題であるとか、公正取引の問題、整備の問題、いろいろある。そういうような点でこの抜本改正というのはいつされるのか。しかも、いままでの中央卸売り市場の従事者の中には、いまのようななま殺し的なものでは困る、監督ばかり厳重で自主性というものがなかなか発揮できない、もっと監督を厳重にやるのだといったような思い切って国営化、公営化の方向へ持っていってもらいたい。さもなければもっと自由にしてもらいたい、いずれかにしてもらわなければ、この現状ではどうもヘビのなま殺し的でやりにくいという意見があるのです。したがって、そういう面からいっても、この抜本改正の時期にあると思うのです。そのためには相当予算も要るのかと思いますけれども、そういう意思が検討が加えられているのかどうか。その点をひとつ実は大臣に聞きたかったのですが、お答え願いたいと思います。
  97. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 確かに中央市場法が古い法律で、現状に適さなくなった面があると考えているのでございます。さっきから問題になっておりました集散地市場化しておる。明らかに東京、大阪等、自動車の発達、道路の整備で、もう一東京の市場ではなくなっております。でありますから、実は本年度予算で技術的な面は研究所に委託いたします。実施上の問題がございます。そういう点を予算も含めまして大市場の建設をやるべきかどうか。それから大市場にした場合に、国営とすべきか、現在のような公共団体にするか、あるいは逆にいまお話のあったように民営論もございます、純粋の民営論……、民営の市場をたくさんつくったほうがいいという意見もあるわけでございます。どれが一番よろしいか。確かに現在の自治体営も問題でございますから、その辺の検討をいたしたいと考えております。それから開設者の国営、県営あるいは市営等問題がございますが、同時に荷受け機関性格の問題、仲買い人の地位の問題、いろいろあげられました問題いずれも問題でございます。中央市場法につきましては、そういった検討を実は本年度予定いたしておるのでございます。
  98. 北村暢

    北村暢君 今年検討されて、いかような手段、方法を講じて、いつごろこの抜本改正を出す見通しなんですか。
  99. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 一つには、中央卸売市場審議会におきまして、これは専門委員会をもちろんつくらなければなりませんが、基本的な国営論とか民営論、あるいは大市場論がいいか分散市場論がいいか、そういった問題の検討をしてまいりたいと考えております。それからもう一つは、技術的検討は研究所に委託しますが、それらの結論を得まして、なおいろいろな民間なり自治体の意見等も聞いた上で結論を出したいと考えております。相当な時間を必要とすると思います。
  100. 北村暢

    北村暢君 そうすると、ちょっとくどいようですけれども農林省としては、現在、大集散地市場というものは構想の中には持っておられるのですか。
  101. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 実はそれを中心にした構想を持っておるわけですが、構想といいましても、それが最も是なりとまだ言い切っておるわけではございません。それよりは候補地の問題が現実の問題としてあるわけで、東京都内等になかなか適切な土地もないというようなこともございまするし、どこに立地するかというような非常にめんどうな問題がございます。その辺を実は研究することにいたしております。もちろん、根本問題としては国営論その他の大問題がございます。結論はかなり時間をかけなければならぬと思っております。
  102. 北村暢

    北村暢君 その大集散地市場というものは、結論はちょっとおくれるのじゃないかと思いますれども、現状の中央卸売市場法の抜本改正は、その集散地市場の構想が固まらないと、中央卸売市場法の抜本改正というものはできない、こういうふうにお考えなんですか。
  103. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) やはり今日の段階では、外国の例を引いてもおかしいですけれども、パリなんかもパリの郊外に大市場をつくった、パリの中央市場が何百年かの古い取引と古い機構でやっておったのを、郊外に大市場を建設したということを聞いておりますけれども、やはり中央市場法を改正するならば、そういう問題もあわせて考えて根本的に改正をやるべきではないかと考えておるわけでございます。
  104. 北村暢

    北村暢君 それじゃ、この法案の前提になる事項について若干お尋ねいたしますが、この総合小売市場は、公設でしかもスーパーマーケット的近代化をやるのだと、こういう構想のようですが、公設という定義をまずお伺いしておきたい。公設というのは、一体どういうものを公設というのか。
  105. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 公設ということばは法律にないわけでございますが、一般的に公共的団体がつくっているものを公設と、こういう意味で公設と言っておるわけでございます。
  106. 北村暢

    北村暢君 公設市場というのは、市町村建物等を施設して設けておるから、公設というのだと思うのですが、いまのような特殊法人がその管理をする場合に、できたものは公設というのか。公設的というならどうか知りませんけれども、公設というのか、どうなのか。これはこの前の局長の答弁では、盛んに公設、公設と言うけれども、公設というのは、私は、市町村が設けるのが公設だと思うのですが、そういうふに使っていいのかどうか。私は特殊法人といえども、これは民間である。したがって、私設市場に近くなってくるのじゃないかと、そんなような感じ、国の補助は得ていても、そんなように感ずるのですが、どうなんですか。
  107. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) この管理主体は、国と地方公共団体だけが出資者でございまして、国の直接の監督下にある法人でございますから、これは公共法人でございます。したがって、公設といいますか、公設的といっても私は差しつかえないと思うのですけれども、そういう意味で公設市場と申し上げておるわけでございます。
  108. 北村暢

    北村暢君 そうすると、看板は、総合小売り市場というのですか、総合小売り公設市場というのですか、どういうことになるのですか。
  109. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 総合小売り市場ということでございます。
  110. 北村暢

    北村暢君 そうすると、民間の設けている総合食品小売り市場という名前は使ってはいかぬということはないわけです。したがってそれとの区別は、名前の上では、わかりませんね。
  111. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) それは、看板としては、何々設と、開設者のお名前を入れれば見分けはつくと思います。
  112. 北村暢

    北村暢君 だから、私は、そういう特殊法人のつくったものは公設ということばは使えないでしょう、看板に書く場合、したがってこれは、そういうことばは、この法律で、ほかに使ってはいけないということはないのです。生鮮食料品の総合小売り市場というのが民間でやったものが、看板は、そういうものができたといった場合に、これは表のほうから言ったら、区別できませんね。政府地方公共団体共同出資による、看板の上にそういうただし書きをつけなければわからないような看板になってしまうと思うのですよ。これはどうかと思いますね。したがって、これは何か考えたらいいのじゃないかと思うのですね、区別つけなければいけないのですから、だから、私はやはりこれはちょっとそういう点では、公設ということを盛んに言うのですけれども、看板には公設ということは書かない。書けないですね、公設じゃないのですから、公設的なというのはどうもぐあいが悪いのじゃないかと思うのです。だから、そういうのは大体前代未聞であって、世界にないのです。これは頭のいい農林省のお役人さんの考えたことだから、そういうものができたのだろうと思うのだが、ぼくは区別がつかないと、こう思うのです。  それからもう一つお伺いしますが、この総合小売り市場を設置するに至った周辺の状況ですね、スーパー・マーケットがいまどんどん進出している。そういう意味から、流通合理化消費者価格の云々という政策目的を持ちながら、特殊法人によるこういうものをつくるというのですが、実際には民間でもこういうものはどんどんできているという状態だと思うのですね。三百坪とか三百五十坪ばかりというこれよりもまあ若干小さいようなものでありましょうけれども、そういうものはもう特に、大阪、関西方面においては相当できてきている、私はそう見ているんですがね。なぜそういうものが民間でどんどんできるのに、特殊法人というものを設けなければならないのかしかもこれはモデルであって、民間がそういうものをつくることの助長をしていく、こういう精神を持っていると思いますね。いま流通革命の時代において、そういうものをどんどん中小企業が自主的にできないからモデルをつくるというのですが、すでに民間でできている、民間でやっているものをモデルにしても差しつかえない、そのつくらなければならない私は理由というものは、まことに薄弱でないか、こういうふうに思うのですがね。それでできたんだろうと思いますが、そこら辺の事情をひとつ御説明願いたい。
  113. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 農林省としましては、数年前からまあ小売り段階の合理化対策としては、小売り市場をつくることがさしあたり適切な対策であるということで、いろいろなことを企画し、実行しようとしてやっているわけでございます。で、結局東京都には一カ所だけ公認小売り市場と称しておりますけれども、西ケ原に国有地を使ってつくっただけでございます。なかなか東京都と一緒になってやろうとしましても、まあ進まなかったのでございます。そこで、昨年消費者物価対策の一環として流通対策というものを考えました際に、どうしても東京に小売り市場をつくる必要がある。それについて東京都と意見の調整をはかったわけでございますが、やはり都営あるいは区営という形よりも、東京都としては別法人格の管理主体をつくったほうがやりよいということがあるわけでございます。農林省としましては、最初自治体ということを考えたのでございますが、実際問題は、それは別法人格のほうがむしろやりよいというのが、東京都の意見であったのでございます。それとそれはまあいわゆる経緯上の問題でございますが、実態的には東京の回りにはすべて今後もふやす予定でございます。で、同じ中央卸売り市場から買います公設市場の指導にあたりまして、それぞれの市役所がやろう、こういう形よりは一本の形のほうがよろしいのではないか、こう考えたのでございます。それから実際的な面としては、先ほどすでに民間でスーパーができてモデルがあるではないかとおっしゃいますけれども、これは大きな資本の経営している場合が大部分でございます。中小企業がむしろ共同でやっているスーパーではございません。それは政府としては融資の面でそういうものを促進はいたしておりますが、そういうスーパーは、むしろ衣料品とか雑貨とか一緒になったスーパーで、どういうものでもいいから共同でやるものに対して援助するという形をとっておりません。この場合は食料品特に価格を生鮮食料品という、消費者が日常もう毎日のように使うものの小売り市場をつくるという趣旨でございますから、そういった一般の中小企業の共同スーパーとはちょっと性格も違います。積極的につくっていきたいということから、こういう形で国と自治体が出資し補助しそうしてつくる、こういう考え方をとったのであります。
  114. 北村暢

    北村暢君 いま説明聞いても、東京都内に大資本じゃなしに、小売商がスーパーの形をとっている例というのはございませんか。私はあるというふうに聞いておるのですが。
  115. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) ございます。ございますが、わりあいに数はないようでございます。その場合にも食料品、特に生鮮食料品中心というのは少ないわけでございます。
  116. 北村暢

    北村暢君 しかしながら東京商工会議所の資料による、あなたからいただいた農林省資料を見ましても、スーパー・マーケットの全国的なできている趨勢というものを見るというと、急速にこのスーパー・マーケットが増加しておりますし、それから東京商工会議所の資料によっても、食料品主体の年間販売額一億円以上の店舗というのが三十六もあるわけです。したがってこれは二割近いものが食料品主体、それから年間一億未満のものが九十二。衣料、日常雑貨というのは、あなたのおっしゃるのではそういうもののほうが多いというのですけれども、そうでなしに、資料では食料品を主体としたもののほうがはるかに多いのですよ。百六十八のうち百二十八というのは食料品を主体としたものだと、こういうふうに出ているのです。そのうちで大資本のものが幾らか。それからこの小売り業がこういう企画をしてやったというものがどうなのか。そういう点、もう少し正確に答弁していただきたい。
  117. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 資料説明の際にも申し上げましたが、この一番上のがいわゆるスーパー・マーケットで食料品が多いわけでございますが、これも加工食品が多いわけです。生鮮食料品というのはあまりございません。それからこの三十六の店舗のほとんどが大資本の経営です。
  118. 北村暢

    北村暢君 確かに大資本が多いでしょう。多いでしょうが、私はそこに特殊法人がやる意義があると思うのですが、食品主体であっても加工品が圧倒的ということですね。それはスーパーの性格からいって私はそうなんだと。したがって生鮮食料品を主体とする総合小売り市場をつくろうというわけでしょう。それはスーパー・マーケットがこのように流通革命の中において非常な大きな進出をした。したがってそれに順応して生鮮食料品を主体とするスーパー・マーケットもそれじゃこのような形でどんどんできるのかどうか。もしこれが採算がとれ、またできるというものであったら、大資本でも、特に魚関係なんかは、資本はすでにもう大資本のものがあるんですから、生産者の中にあるんですから、これがやる気であればできないことはないと思う。にもかかわらず生鮮食料品を主体としておるのは、今日あまりないんですね。それは私はやはりないということは、スーパーの形に生鮮食料品を主体とするものをやることがうまくないから、経験上これはできてこないんだろう。こういうものをやる人は相当やはり研究をしてやっておる。生鮮食料品を主体としてやっては、うまくないからできてこないのだ。こういう一つの見方も私は成り立つじゃないか。私そう見ておるんですがね。したがって、だれもやるものがいないから特殊法人でやろう、そういうモデルをつくってそうして民間にこうやればできるのだぞということの奨励の意味でやる。こうおっしゃるけれども、こういうモデルをつくってやればそれじゃスーパーが、生鮮食料品を主体とするスーパーが、皆さんの熱心な指導によってどんどんできていくのかどうかということですね。この点についてはモデルはモデルであっていわゆる大阪等の四十近くある公設市場というものは、これが全部公設市場いいからというので、全部漸進的に、モデルではなしにできてくるということではないかと思うのですがね。ところが、説明を聞くというとこれはモデルで、流通革命に従って中小企業が、中小企業というよりは八百屋さん、魚屋さんの零細な企業が近代化して、このスーパー式の民間の総合生鮮食料品の総合卸売り市場というようなものができていったという点については、私はそうは考えられないのですがね。一体農林省はどういう見通しを持ってこれをやられようとしておるのか。そこら辺のところをお伺いします。
  119. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) スーパー・マーケットは食料品が多いわけでございますが、雑貨や衣類等を加えるほうが商売はやりよいという意味で、民間資本がやる場合にはそういうものが出てくるのは自然ではないかと思うのです。できるだけ広い範囲の総合経営にしたい。でありますから、この小売り市場ができてまいりましても、これは食料品中心でございますが、食料品中心でつくりましても、民間がこのモデルにならって、あるいはこのモデルと競争するようなスーパーをつくるということは、必ずしも食料品だけではない。それは自由なことでございます。そうあっていいというふうに思います。ただ、やはり公設市場あるいは公設的市場としての性格として、やはり日常の生鮮食料品価格の安定にも寄与させるということから、特に小売り市場としてつくっていくということで、政府の補助とか、そういうものも入れたわけでございます。
  120. 北村暢

    北村暢君 したがって、それでは答弁不満足なんで、モデルでつくるというのでしょう。もっと詳しくお伺いしますと、生鮮食料品流通範囲というものは、大体八百屋さん、魚屋さんにしても五百メートル範囲、これは統計でそうなっているということです。それを大型化するのですから、二キロ範囲の流通範囲に持っていくのだ、このようなことですね。しかもその五百メートル範囲に、青果の場合ですか、東京の場合は七軒ある。それから二キロ範囲にするというと、これは説明してもらいたいと思うのだが、十何軒かあるというのですね、八百屋さん。こっちで言うよりそっちで説明してください。どういうモデル的なものができるのか。
  121. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 大体の計算でございますが、五百メートル範囲内で青果が九軒、鮮魚が四軒、食肉が四軒半ぐらいの店が考えられると思います。それで、総合小売り市場の予定する販売額に相当する小売り店の数はそれよりは少なくなりまして——計算上でございます、青果が二つに鮮魚が二つに食肉が一つ、大体五つくらい……。
  122. 北村暢

    北村暢君 その流通範囲はどのくらいありますか。
  123. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これを五百メートルごとに見ますと、いままあ五百メートルの範囲内でございますが、千メートルの範囲内になりまと、合計でいきますと小売り店の数が五十二・五、これに相当する小売り市場小売り店の数に計算し直しますと五・三ぐらいになっております。それから千五百メートルでございますと八十七・五、小売り市場のほうが三つ、それから二千メートルになりますと百二十二、小売り店が一・五、こういうことになります。
  124. 北村暢

    北村暢君 その説明ちょっとわかりにくいのですが、いま考えている総合小売り市場流通範囲はどのくらいに考えておりますか。そうしてその中にある青果、鮮魚、肉の店の数は幾らぐらいあるか。
  125. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 二キロぐらいまではお客さんが来れると、こう見ておるわけであります。それで、その中の店舗の数がいま申し上げました百二十二ぐらいある、こういうふうになっております。これをかりに予定しているような小売り市場売り上げでこれだけの小売り店の数の売り上げをやろうとすれば、全部で十四・四の市場があればいい、こういうような計算になっております。
  126. 北村暢

    北村暢君 そうすると、あと、まあこまかくなりますが、これは大事ですよ。これは今後市場がどういうふうになるかということは、——時間だということのようですが、大体四時ごろを目標に、やめましょう。そうなれば、いま総合卸売り市場の中に入る店舗の収容する青果なり、鮮魚なり、肉なりの平均にしての話ですが、何店舗分ぐらいのものが収容されるのか。
  127. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 十ないし十五店舗であります。
  128. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、これの十ないし十五というのは、青果、魚類、食肉・それ以外に加工食品、みそ・しょうゆも含んでですか。
  129. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) そのとおりであります。
  130. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、基準はどうだか知りませんけれども青果なり、魚なり、肉なり、加工食品に分けて、一体どれくらいずつ入っているのか。
  131. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これは計算としてはなかなかむずかしいわけですが、たとえば八百屋でもジュースやかん詰めとか、いろいろ現在扱っているわけです。それから魚屋でも調味料を扱っている……。
  132. 北村暢

    北村暢君 魚屋で調味料はあまりないぞ。
  133. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) それはちょっとあれですが、そういうことで、計算のしようがなかなかないのですが、大体売り上げから、十ないし十五、こういう想定をいたしたのであります。
  134. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、これらのものは二キロ範囲内の小売り店、百二十二あるのですか、その百二十二の中から十か十五えりすぐって持ってくる。そうすると五百メートルの範囲に、やはり青果、魚類、肉屋が残るわけですね。何軒かはそういうことになりますね。
  135. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 残ってまいると思います。ただ距離が遠くなるにつれて、お客の来る範囲が少なくなってまいりますから、これは加速度的に減るわけでございます。その影響は、距離が遠くなるほど非常に小さくなる。
  136. 北村暢

    北村暢君 まあこの総合生鮮食料の小売り市場でも、流通の範囲は、皆さん考えているように二キロ範囲なんです。せいぜいバスで乗ってきて買える程度、こういう流通範囲以上に拡大しようとしても、大きなものをつくろうとしても、もうそれは意味ないですね、大きくしてみても、そういうことですから、この二キロ範囲内の、従来であったらば五百メートルの流通範囲だ。ところがこの小売り市場は二キロ範囲ぐらいまでの人は買いにきてくれるだろう、またそういう二キロ範囲におる人も収容すると、そういう考え方に立ってできてる。したがって、二キロ範囲のところから来るんですから、バス賃かけて来るだけ安くなけりゃならない、まあこういうことだろうと思うんですね。それについては前から質問で出てるように、大体一〇%一般小売り店よりも安くすると、こういうことのようですが、したがって、このような規模の総売り上げ高というものを、まあ青果、無数、肉、一体何店舗分くらい、しかも売り上げ総額どのくらいのものを考えてるのか。
  137. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 総合小売市場の月間の販売額が、青果部門が四百十二万三千円、鮮魚が三百三十万円、食肉が二百八十八万八千円、トータルが千三十一万一千円。それから東京都の一般の小売り業のこれは年間の販売額でございますが、これは青果が六百七十二万円、鮮魚が五百三十三万円、食肉が九百十九万円、こうなっております。
  138. 北村暢

    北村暢君 どうもこまかい数字聞きましてまことに恐縮でございますが、こういうことわかっておかないというと、あとでどんなものができるんだかわからないですから聞いておくんですが、そうしますと、大体小売りのいま言った十店舖から十五店舗ぐらいのものを収容するというんだから、その粗収入——売り上げ高が一千三十万ですか、月間ですね、そういう程度のものを考えてる、こういうことですね。その場合、これはそういう程度のものということで、程度ではなしに、事実十店舗なり十五店舗をその地域内から引き抜いて持ってきて廃業をさしてこれに収容する、こういうことになるんですか。
  139. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 先ほどの計算は、一定の地域に均等に小売り店がばらまかれてあった場合の計算でございます。でありますから、現実の場合としては、ある場所は集中的にあるけれども、そうでないところもある。いろいろございますのでありますが、大体原則としては、できるだけその近所のものを入れていきたい、しかし、信用とかいろいろな問題がございますから、その方面の消費者団体とかあるいは業界の団体とか、そういうものの意見も聞いてまいりたいと思います。
  140. 北村暢

    北村暢君 近所のものを入れるというのですけれどもね、しかし普通の小売り店は五百メートル範囲だったでしょう。それを二キロ範囲まで拡大するというのだ、この規模でやると。それでなければ成り立たない。だから二キロ範囲のところからもやはりもってこないというと、その二キロ周辺にある小売り店は売り上げが減るという結果になるのじゃないですか。
  141. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 先ほども申し上げましたように、遠くなれば遠くなるほど影響が弱くなって、お客も来なくなるのでありますから、影響を受ける店は近いほうが強く受ける。ですからできるだけ近いほうを優先的に収容していきたい、こう考えております。
  142. 北村暢

    北村暢君 しかしながら、二キロ範囲に百二十二あるうち十四、五しか収容しないわけですね。結局そういうことになるのですね。五百メートル以内にある十七・五ぐらいのうち、十から十五収容する、こういうことですね。それはしかし加工品の店舗も含めてということでしたからね。大体生鮮食料品と加工品との——生鮮食料品か主というのですから大体見当がつきます、そういうものを収容するというのですが、それでもなおかつ五百メートル以内に残るわけですね。そうした場合に、一体こういうものができた場合に価格等の問題ついて、みずからの近代化によってマージンを縮小する。そういう考え方ですから、当然周辺の小売り店に影響を来たす、これは加工品を含めて影響を来たすのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、その点についてはどのように考えておられますか。
  143. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 幾らか価格の面での影響が出ると思うわけでございます。で、あと数はあまり多くございませんけれども、その中には、特定のお客層を持った店がございます。それからまた専門店化を指導できるものもあるかと思います。そういったこともあわせて考える必要がございますが、設備資金を貸す等のこともあわせて考えなければならぬと思います。
  144. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連して、大事な質問ですから、ちょっと私聞きたいのですが、一割なら一割安くということを大前提にしておられるわけですね。流通機構改善もしよう、こう考えておられるんですが、一体入居者のそこにもつてくる製品ですね、その取引関係というものはメーカーにつながれるのか、それとも従来どおり市場とつながって、そのままやろうとするのか、その点はどうなっておるのか、考え方は。
  145. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 生鮮食料品につきましては、原則として中央卸売り市場から買い入れるというのは、今後も原則であると考えております。加工品はメーカーから賢い入れる場合がございます。この場合は、特に共同仕入れ組織はわりあいできやすいと思うのであります。メーカーから直接買ってくるということができると思います。
  146. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ。その生鮮食料の場合の市場に、結果的にはその仲買い人として入れるのか、そうじゃなくて仲買いがせったものを買ってくるのか、それはどうですか。
  147. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) これは神田の青果市場の場合は、小売り人も直接せりに参加しております。ところが築地の鮮魚の場合は、仲買い人だけがせりに参加しております。大体そういうことを尊重してやらせたいと思っておりますけれども、その場合でも共同仕入れ組織をつくって、仲買い人から買う場合もできるだけ大量仕入れにしてまいりたい、こういう考え方でございます。
  148. 北村暢

    北村暢君 もう四時ですからやめますが、こういうものを二十カ所つくる、今後三カ年間で六十カ所ぐらいつくるという答弁が衆議院でなされていますね、それは考えておりませんか、無限につくるのですか。
  149. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) それは数は申し上げたことはなかったのですが……。
  150. 北村暢

    北村暢君 ない。それではあらためてお伺いします。
  151. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) まだ増設はいたしません。
  152. 北村暢

    北村暢君 最終的にどのくらいおつくりになる予定ですか。
  153. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) なかなかむずかしい問題でございますが、大阪では御承知のように四十ございます。その割合からいうと、東京では百くらいあっていいわけですが、しかし都心部のほうよりも、むしろ周辺といいますか、環状七号線の地帯とか、要するに山手線の外側あるいはさらに周辺の都市などのほうが急ぐ必要があると思います。必ずしも一面にべたべたと置くという考え方ではございません。
  154. 北村暢

    北村暢君 一面にべたべた置かなくても、そんなにできるはずがないですよ。また、それは一面になんというふうにはできないことになっておる。大体二十くらい、どこにあるのだかわからないくらいしかつくらないわけですね。しかも二キロ範囲の流通範囲というのですが、それを二キロ範囲で東京都内にまるを書いたら幾つくらいできるのですか。
  155. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 二キロでコンパスで書きますと、六百くらいできます。
  156. 北村暢

    北村暢君 六百くらいつくれるところへ二十つくるわけですが、ほんとうにスーパーが完全にできて、小売りが皆つぶれてなくなってしまったと仮定して——皆なくならないのですよ、二キロ範囲でも残っているのだが、そういうものをやれば六百くらいできる。これは都内だけですよ、周辺都市を入れると、あなたのいまおっしゃる川崎とか東京にくっついている川口とか、そういうようなところまで公団の住宅団地がどんどんできてくる、そういうところまで引っくるめてこういうものを考えたい、こう言っているのですから、そうすればそういうものを二十くらいつくって、百くらいのところをつくるべきだがと言うのですが、実際には二キロ範囲でいくというと六百、それも周辺を入れればまだたいへんなものになるので、それですからどっちかというと、かりに六十つくったとしても十キロに一つしかつくれない。平等に図面のとおりにいっても、十キロの間に一つ、こういうことに、そういうモデルになるようですね、皆さんの御構想を聞いていると。したがって、十キロに一つあるものが価格において影響さしていくというのですから、大阪の場合は四十くらいあって、相当小売り価格の何といいますか、安定というか安くしていくことに役立っておる、そういうことのようですが、この十キロ範囲で影響するのかしないのか、モデルをここに安いのがあるからといって十キロ範囲まで価格が影響していくのかどうか、そういうふうなことを考えておられるのですか。
  157. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 私どもは、こういうものはそう至るところにつくる必要はないと考えておるわけです。こういうものがあるということを消費者も知り、小売り業者も知ってもらうということも、一つの何といいますか効果であろうと思う。ああいうふうにやれば、やはり少しは安くていいものが買えるのだというところにもつていきたいと思っておるわけでございます。
  158. 北村暢

    北村暢君 だから最初に私お伺いしているのは、これはモデルなんで価格誘導のためのものなのか、それで終わるのか。そうでなしに、流通革命下において中小企業の零細企業というものを共同化してやればこうなります、こういうふうに合理化できます、そういうモデルで民間もそういうものをつくっていきなさい、こういう指導をしたいのでしょう、そうでないですか。
  159. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) もちろん、そういうこともあってほしいわけであります。それで、一方で、中小企業高度化資金等の融通の方法も考えておるわけでございますが、しかし同時に消費者なり小売り商自体に対する、ちょっと新しいことばで言えばデモンストレーション効果といいますか、そういうものも期待しておるわけでございます。
  160. 北村暢

    北村暢君 これはまだ詳しくちょっと聞きたいわけですけれども、時間が時間ですから、このくらいでやめますが……。
  161. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 時間も、もっとやっていいのですよ。
  162. 北村暢

    北村暢君 時間がないことはないですね。それじゃ大臣来るまで質問を保留して……。  私はまだ総合小売り市場の形態を聞いておるので、総合小売り市場をこういうふうにつくっていくことについては、私はあまり反対じゃないのです。ただ管理会というやつに反対なものですから、それは何も聞いていないわけです。したがって、これは大臣にゆっくり行政組織上の問題から全部、行管長官から何から——それからいま局長の申されました中小企業高度化資金というやつが一体どういうふうに使われるのか。したがって、中小企業庁長官にも来てもらわなければならない。そういう意味で広範な質問をいま用意しておるわけなんです。したがって、きょうは答弁できそうな顔ぶれがおらないようですから……。都知事はもちろん参考人として呼びたいと思っておるのです。これは都ができないからやるらしいので……。
  163. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  164. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を始めて。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時十二分散会    ————————