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1964-05-07 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月七日(木曜日)    午前十一時二十分開会     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            岡村文四郎君            木島 義夫君            北口 龍徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            森部 隆輔君            山崎  斉君            戸叶  武君            矢山 有作君            安田 敏雄君            牛田  寛君            高山 恒雄君   衆議院議員    農林水産委員長 高見 三郎君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君    農林省畜産局長 桧垣徳太郎君    農林省園芸局長 酒折 武弘君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産基本政策に関する件) ○農山漁村電気導入促進法の一部を改  正する法律案衆議院提出) ○土地改良法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。  まず、農林水産基本政策に関する件について、質疑の要求がありますからこれを許可いたします。
  3. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、先月の十日に、この委員会農林大臣お尋ねをしたことに関連して、緊急にお尋ねをいたします。というのは、四月十日に、酪振法の一部を改正する学校給食に対して、従来の、アメリカの余剰農庶物である輸入税粉を、これを対象にしておったものを、国内酪農家生産するなま乳にこれを切りかえるということについて、重ねて申しますが、自民党は昨年の十一月の総選挙の際、最小限にしぼっても、生産県については国内産牛乳をもって学校給食に充てるという公約をして、選挙をぶった経過があるわけであります。したがって、当然それに期待を寄せておる国民としては、今度の国会で、このことが立法化され、また、予算措置が裏づけとなって、明確な施策として出ることを期待しておるのでありますが、なかなか当時においては、そういう法案提出の気配もないということで、農林大臣お尋ねをいたしたら、私は、当日の大臣答弁をここでもう一回読み上げますが、私のその質問に対して大臣は、「酪振法の一部改正という法律になると思います。めどといたしましては、来週中に提出いたしたい、こういう作業を進めています。」こういう答弁でありましたので、私は大臣答弁に全幅の信頼を寄せて、少なくとも四月十日以降、来週といえば、四月十七日までの間に、政府としては酪振法の一部改正法案国会に提出するものと期待をしておったのであります。ところが、その期待がみごとにはずれて、四月も終わり、五月ももはや上旬を過ぎんとする今日において、国会の会期ぎりぎりの週末を控えた今日に至るも、大臣が言明した酪振法の一部改正法律案が出ていない。これは明らかに、国会における答弁に対する食言であると言わざるを得ないのであります。一体どういう経過があって、大臣が言明したにもかかわらず、いまだに酪振法一部改正という法案が提案されないのか、その経過、また、今後の確たる見通しについて、詳細にまず、大臣お尋ねをいたさざるを得ないことを私はたいへん残念に思います。どう、ぞ納得のいくような経過並びに今後のこの食い違ったことに対する政府責任ある措置についての見通しを、まずお伺いをいたします。
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 学校給食に関する法律を、酪振法の一部改正案として出したい、そのための準備を進めておる、こういうことを御答弁申し上げたのは、いま御指摘のとおりでございます。  その後の経過等について申し上げますと、あの答弁をいたしましたとおりに、私どもといたしまして酪振法の一部改正法律ということで成案を練ってきたわけでございます。その練った成案二つございまして、一つは、なま乳取引安定措置を講じたい。この点につきましては、いま調停制度がございますけれども、その調停をもっと先に進めて、どういうふうにするかということにつきましてしばしば御質問もあり、私も御答弁申し上げておったのでありますが、この民間的な取引を仲裁裁定的なものまで持っていけるかどうかという検討をずいぶんやってみました。なかなかそこまでいけるというような、法制的な観点、その他経済実態等から非常にむずかしかったので、実はその点につきましては、契約の自動更新規定とか、あるいは調停の際におきまする当事者の出頭義務でございます。いま調停をするということにつきましても、出撃しないということならば、これを強制する方法がなかったので、出頭義務というところあたりまで規定して、そして調停を意義あらしめようじゃないかという案を一つつくったわけでございます。これが第一であります。  第二には、いまお話し学校給食に関する問題でございますが、これはもう予算的にも、脱脂粉乳等をやめてなま牛乳に変えていく、こういう方針予算面においても確立いたしましたし、また、まあことしは思うようにはいきませんけれども、ここで申し上げましたように、四十万石給食していく、その場合における父兄負担も増さないというような方針行政的に進めておることは御承知のとおりでございます。ただ、これを法制化する場合に、どういうふうに法制化するかということで、単独法ではまずい。単独法でまずいということはございませんが、単独法ではなくて、酪振法でやろうじゃないかということを考えまして進めておったわけでございます。先ほど御指摘があったような答弁もそういう意味であったわけでございます。  そこで、学校給食に関しては、長期的な供給目標をつくるということ、年度別計画数量をきめていくということ及び国が、つまり財政当局が財政的にこれを援助していく、こういうことを規定しようといたしたわけであります。財政的な援助につきましては、まあ内輪話を申し上げますと、大蔵当局におきましても、法律にそれを書かれては困るというような抵抗がありましたが、当然これは学校給食に関して財政的な援助をするということがなければ、この学校給食に関する規定というものも中身が何かなくなってしまうようなことで、こういうことで大蔵財政当局もこれは納得いたしまして、実はこの点も援助措置を講ずるという規定を設けることに話し合いができたわけでございます。  こういう二点で、酪振法の一部改正を提案しようという準備を進めておったのでございますが、その準備が大体できましたので、各方面と、この法案を、提案するにつきまして協議をいたしました。また私自身も、当委員会等におきまして、渡辺さんや、矢山さんやその他から、畜産行政あり方等につきまして、いろいろ御意見やら御質疑も受けておったわけであります。そういういろいろな問題を勘案してみまするのに、なま牛乳取引関係だけのことと、それから学校給食だけの、条文でいえば二条文ぐらい、でもありませんけれども、何かどうももの足りない感じを私自身も持ちました。  それから、この委員会等でも申し上げましたように、畜産行政といいますか、畜産政策等につきましては、生産対策につきましても、あるいは畜産の基盤の整備につきましても、あるいは畜産物流通価格対策等につきましても、もつと掘り下げて検討をする必要が相当強いのじゃないかと、私自身もそういう考えを強く持っておる際でありますので、事務当局にも、これは法制上の審議室ではございませんが、こういう問題を、さらに深く検討すべき審議室的なものを置いて検討さしたい、そういうものとにらみ合わせまして、せっかく、委員会でこれを提案する方針作業を進めておるという、約束的なことを申し上げておったのでございますが、私自身もあきたらないし、もつと根本的なものを検討し三その成案を得て、この国会には、ちょっとむずかしいのでございますけれども、少なくとも来国会には出せるようなことにしたほうがいいんじゃないか、こういうふうに考えました。その後も、学校給食に関する問題だけぐらいは、法的にはっきりさしておいたほうがいいんじゃないかとも考えましたけれども、これは、法律がかりにないといたしましても、ことしはもうこの方針で踏み切って進めておりまするし、次の国会でもこれは差しつかえないのじゃないか、こういうふうにも考えました。少しくどくなりますけれども、そういういきさつから、もっといい、突っ込んだ案を得て、御審議を願うような機会を持ったほうがよかろうではないかというふうに考えました。そういう意味におきまして、現在、酪振法の一部改正としての二つの問題を提案することは、ちょっと差し控えておこうかと、こういうことに相なったわけであります。実は、機会があれば、私のほうから、御質問受けなくても、いままで申し上げておったことと違ってきましたから、お話し申し上げたいと、こう考えておったのでありますけれども、差し控えようということをきめましてから、機会がなかったものですから、実は、私のほうから申し上げることができなかったわけであります。  以上の経過に相なっております。
  5. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いま、大臣答弁されたことは、何も、この四月十日以降に、新たに起こったことではなくして、繰り返すようでありますが、昨年の十一月に、総選挙がある前から、当然、われわれとすれば、前々通常国会においても、国内牛乳をもって学校給食に当てるべきだということを、しばしば委員会等において、政府意見を申し述べておるし、政府も、そういう意見を取り入れることにやぶさかではない、こういう答弁が繰り返し行なわれて、私の、四月十日の関連質問につながっておるわけであります。それが、いまことあらためて、そういう理由で、酪振法の一部改正が振り出しに戻って、より抜本的な、畜産総合施策の中に、問題の一つとして、国内産牛乳学校給食に回すことを取り上げるということは、きわめてどうも、大臣の、いままでわれわれに、国会を通じて国民公約してきた姿勢としては、どうしても受け取れないわけであります。予算措置もできたから、まず、学校給食については、さしあたりしょうがない旨の御答弁でありますが、このことは、他の例を引用いたしますと、政府の大きな農業政策の柱の一つである農業構造改善についても言えることで、私は、社会党といたしまして、政府がそういうふうな農業構造改善を進めるならば、これは国会単独法案を提案して、政府責任を明確にして進むべきであるということを申し上げたことと、これは相関連する性格の問題であると思うのであります。予算がついたから、それらの法律の手直しはやらない、もとより私たちは、酪振法の一部改正が非常に適切な法的な措置であるとは考えておりません。これはあくまでも単独立法で明確にすべきものであるということでありますが、それにしても、一体この長期目標というものがどういうふうに立てられるのか、また、その長期目標の中の年度別の具体的な計画はどうなっているのか、それに対して、先進欧州諸国のように、国で全額負担するというような望ましい財政措置というものが、はたしてどう背景としてささえられておるか、そういうことが法律審議の中で明らかにされなければ、繰り返しますが、自民党が総選挙公約したこのと具体的な内容にはなってこないわけであります。では、一体、今度の国会には間に合わぬと言いますが、機会があればといいますけれども機会幾らでもあったはずであります。その後も、大臣出席の本委員会は、四月中にもしばしば開かれておる。私のほうでこういう緊急質問をしなければ答弁をしないというようなことは、はなはだどうも国会における大臣答弁に対する責任感じておらないように受け取らざるを得ないわけであります。どうもその場限りの答弁で、そのあとをよく監視しなければならないという感じに打たれるわけであります。農協で出しておる新聞等にも、こういうふうに伝わっております。社会党でも、この学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別の法案を出しておる。この法案と対比をする場合には、いま政府が考えておる酪振法の一部改正はまことに貧弱過ぎるということで、いま大臣が述べられたような法律の一部改正も、これを白紙に戻して、そうしてあらためて総合的な施策の中で考えるということでありますが、そうであるならば、学校給食を完全に国内のなま乳に切りかえるということならば、社会党が提案している法律を、ひとつ政府法案としてこれを取り上げるというような前向きの姿勢で、これに取っ組んでいかなければならないと考えるわけです。それで、私は大臣伺いますが、ことしは四十万石の数量対象として学校給食に回す。一体長期目標というのは、経過の中で検討された長期目標というのは、何年計画目標にして、その間の、各年次国内産なま乳の供給数量を考え、また、それに対する財政援助というものを、単価をどれだけに見積って作業をされたのでありますか。そういう点を、法律を出さない責任からも一応経過的な内容として明らかにしてほしいのです。
  6. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ、言いわけをするわけではございませんが、取りやめることになってから、私がきめてから、この委員会は開かれておらなかったわけであります。でありますので、私は、しいて質問がなければ黙っていようというわけではなくて、質問がなくても、その点だけは明らかにしようということは思っておったので、機会がなかったことは事実であります。そこで、御質問の、学校給食についての法案を練っておったわけでございますから、全然ほっかぶりでいこうという気持はなかったわけでありますが、それの長期的な供給、こういう点をどういうふうに検討しておったかということでございます。実は、四十六年度までを目途として検討をしてきたわけでございますので、その数字等につきましては、事務当局から御報告申し上げます。
  7. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、このことは事務当局答弁じゃなくて、一体この国内酪農家がつくる乳をどれだけ学校給食に、同定的な安定した市場としての学校給食を位置付けるかという基本的な政策につながるから、大臣に伺うので、ともすれば、従来は余剰乳の処理の場として、学校給食を考えておった。そうじゃなしに、あくまでも恒久的な長期的な、安定の国内市場として、学校給食を考えなければならない。そういう場合に、三十八年はわずか二十九万石、三十九年で十一万石増の四十万石、そういうテンポののろさで、三百三十が石を全体として考えられる。学校給食に対する目標が、四十六年度を目途とするといいますが、四十六年度までには、完全にこれらの中、小学校対象学校給食国内産でまかなうという基本的な姿勢なのかどうか、そういうことはひとつ大臣から伺わなければならない。政府委員から聞くのはもっと別な機会でいいのですから、一体、どれだけを政府としてはこの学校給食に向けようとするのか。最終目標とする川十六年には、完全にその目標に到達するという内容なのかどうかという大川的な見地からの御答弁大臣から願います。
  8. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 事務当局から答弁させますと申し上げたのは、こういう問題は、統計とか、主席指数とか、いろいろ技術的な計算が要るわけです。でございますので、そういうこまかい点まで私頭の中にないから、事力当局からよく御納得のいくように、あるいは納得しなくても、私のほうの考え方はこうであるということを申し上げようと、こういうことで申し上げたので、どうも事務当局を拒否されることは、御質問の趣旨を説明するのに私のほうでも非常に困るわけで、困りますが、しかし、大臣から言えということでございますから大ざっぱに申し上げますならば、四十六年度までにほぼ完全になま牛乳でやっていけるというような目標で、年次別等数字をあげて検討してきておったわけでございます。しかし、これはまだ完全なものとは申し上げかねると思いますけれども方針としては、方向としてはそういうようなつもりで、積み重ねてと言いますか、そういうふうにきておる、こういうことであります。
  9. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、政府の基本的な態度というものは明らかになったと理解します。四十六年度までには完全に国内産のなま乳で学校給食にこれを置きかえるというふうに答弁がありましたので、そういうふうに内容としては理解をいたします。  であるとすれば、次に伺うのは、これに対して経過の説明にありましたように、財政当局も国費でこの費用援助するということがあったのでありますが、一体、その費用をどういう幅で、この四十六年度を目途にして、政府負担をするのかという大局的な考え方をまずお伺いをいたしたいと思います。
  10. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 実は、ことしの予算折衝にも、父兄負担を増さないでというめど予算折衝をいたしたわけでございます。今度の、学校給食の長期的な問題につきまして、実は、四十年度に幾ら、五十年度にどれだけ、こういう確たる数字話し合いはまだいたしておりませんでした。ただ、四十六年度をめどとして、私どものほうで計画を立てるから、それにつきまして、初めは助成とか、財政援助ということを法律規定されることも困るということでありましたが、そういうことでは、私のほうでは了承できかねる、承知いたしかねる、とにかく財政的な、国が援助をするということだけは法律に明らかにしなければいかぬということで話ができたのでございました。  そこで、年次別にどれくらいずつ負担していくか、いまお話しのように、全額というわけにはまいらぬ、どの程度まで負担していくかということの話し合いまでは、まだそこまでは進めておりません。しかし、財政的な援助をするということで話し合いをしておりましたが、年次別にどれくらいということにいたしますと、法律がないといたしましても、こからの折衝の過程においてきめられるべきものだと思いますけれども、いまのところは、年次別にどれくらいと、パーセンテージといいますか、率からいってどの程度ということの話し合いは、まだ具体的にはしておりません。
  11. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大臣答弁したことに対する意見は、いずれ別の機会にこれは譲って、納得のいくまでお尋ねをしなければならぬのでありますから、きょうは、大臣の時間も制約されておる中で、緊急質問二つのうちの一つをまず申し上げるのですから、あまり突っ込んで伺うことができないのをたいへん残念に思いますが、一番国民期待しているのは、この父兄負担というものがより軽減され、さらには、これが無償給食対象になるということが願望であるわけであります。したがって、その点についても、ただいまの答弁では、全額政府で保障するということは考えていない、そこに、私は根本的な問題の取り上げ方の相違を感じるわけであります。大臣も御承知のように、酪農先進国における学校給食政府援助というものはなみなみならぬものがあるわけであります。政府が立法した農業基本法においても、これが選択的拡大と称する大きな策目になっておる。そういうものをむしろ制約するような脱脂粉乳輸入というものを、国内のなま乳に切りかえるというためには、従来のような四円五十銭の補助というものではなしに、全額をこれは政府負担するということに、年次別にその補助率を高めていくというような方向なり、あるいは三十九年度からそういう措置をとるということがなければ、私は総合的な施策の一環としては納得いたしかねるわけであります。また、四十六年というその目標も、これはあまりに長きに失するわけでありまして、社会党が提案をいたしております学校給食法案も、三年の年月で完全に国内牛乳給食にこれを回す、なお、それに必要な費用等もこれは全部政府負担する、なお、それらの施設については、系統農業協同組合をして施設援助等をやらしめるというような一貫した政策を、法案として出しておるわけでありますが、いずれこれは政府の基本的な内容が出た上で、また別の機会に取り上げざるを得ないと思います。  で、私はこの牛乳に関連して、もう一つ伺いしたいのは最近、消費者牛乳値上げをするという動きが各地に顕著に出ておるということについてであります。すでに雪印乳業や、森永乳業では、五月一日から、北九州市で百八十cc二円の値上げをしておる、あるいはグリコ協同乳業も、福岡県下一帯で二円の値上げを実施する、明治乳業も十日から値上げを意図しておる、そういう一つの大きな動きがこの乳価に関連して出ておるわけであります。政府公共料金値上げを押えるという公約の裏から、逐次これが破られておる実態の中で、これらを監督する行政責任者である農林大臣は、この牛乳消費者価格、従来十六円というものを一割二分も値上げをするというそういう動静に対して、どういう責任ある指導措置をとっておられるのか、まず、その点を関連してお伺いいたします。
  12. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 前段の、社会党案は、無償学校給食をするという案で、非常にけっこうだと思います。けっこうだと思いますが、私ども責任ある立場といたしますると、確かに、言うはやすいけれども行なうのはなかなか難い問題でございます。たとえば教科書無償給付の問題につきましても、私などはずいぶん骨を折っております。言うことは非常に簡単でございますが、教科書無償にするのには相当な努力をしていかなければ、これはなかなかできない問題であります。でございますので、たとえば法案に、無償なら無償ということにいたしまするならば、無償努力をしなくちゃならぬ、その努力をするにつきましても、なかなかそう簡単に、口で言うようなものではございません。教科書無償なんかにも骨を折っております。私だって無償にしたいのはしたい。そう簡単でないということだけは、御了承の上で質問されるのだと思いますけれども、まあそういう事情もこの際ですから申し上げておきます。  それから消費者といいますか、市販の牛乳値上げ問題でございます。私ども消費者物価等植上げは抑制する立場にございますので、政府といたしましても、極力政府の手の届く限りにおきましてこれを押えておるわけでございます。ただ、御承知のように、牛乳につきましてこれを抑える手というものを残念ながら持っておりません。統制経済でもございませんし、何かこれを押える手があれば、もう一刀両断的にすぐにも押えたい、こう思っているのでございますけれども自由取引の中で押える手は持っておりません。しかし、これを放任しておくわけにもまいりません。実は、業者あるいは小売りの関係等代表者を呼びまして、この値上げにつきましては、自粛をするように強く要請をいたしているわけでございます。ただ、きょうも午前中、御承知かもしれませんが、経済閣僚懇談会がありまして、この点につきましても、行政措置をとって、強力に押えるという方針で進めたい、何かいい案があるか、ほかの閣僚にも聞いて見たのでございますが、行政指導でやるやるというだけで、なかなかどういうふうにしていいかという案は実はないので、弱っているのでありますが、私のほうとしては、自粛すべく要請しております。ことに、私はざっくばらんに申しますと、物価対策というものは、消費者物価対策は非常に大事でございますが、生産者物価対策というものを、少し政府としても怠っているのじゃないか、生産者の対策というものがやはり安定してきて、初めて長期的には消費者物価も安定するということなんで、そういう意味において、消費者のほうの値上げというものが、生産者のほうに、バック・ペイでもないが、相当戻ってくる、そういうことであるならば、生産のほうの意欲も出てくるから、長期的に見れば消費者物価対策にもなる、ただ、消費者関係だけの問題として取り上げられて、その問題で押えよう押えようという、それは確かにそのとおりであるし、私どもも押えたいのだけれども生産者との関係ということも物価対策には考えてもらわぬと、私としての立場も困るということは、強くきょうも言っておったのでございますけれども、そういう意味におきまして、生産者は二円上げただけで、消費者のほうは一合で、片っ方は一升びん、片っ方は一合で二円ということで、そういうことをみな認識しているわけでございますが、非常に何といいますか、不均衡じゃないかというような意見も出ました。それは座談的な話になりましたが、これに対して強力な手を打つという手は、実は持っておりません、残念ながら。そこで、業者あるいは小売りの代表等に自粛を要請しているわけでございますが、そういう段階で、なかなか私どもの意図が実現しにくいような現状でございますけれども、そういう手を打っているわけでございます。
  13. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、いま大臣が御答弁になった内客にはきわめて重大な問題が提起されていると思います。消費者物価は、生産者価格にまでこれを還元するという考え方には、これは非常に問題があるわけであります。これをいまこの限られたところで述べるわけにはまいりませんが、消費者価格には、家計費を圧迫しない価格を政府が管理をして行政責任を発揮する、生産者には安んじて生産に積極的に取り組むような価格を保障するということが、私たちの基本的な態度であることをこの機会に申し上げて、なお、別の機会に、それはさらに掘り下げて質疑をいたしたいと思います。ただいまのこの二円の値上げの中に見られるのは、その二円の値上げのうちに、メーカーが五十銭、販売店が八十銭、酪農家にはこれを七十銭バック・ペイするという内容が含まれておるのであります。販売店の八十銭というのは、現行の流通機構の中でも三三%が小売り店のマージンになっております。西ドイツにおいては、小売り店のマージンはわずか八%であります。けさの五時二十五分のNHKの農事放送のニュース解説にも、政府はこの牛乳に対する流通に対しては無為無策であると言っておる。私は、そういう点にもっと積極的な合理化のメスを入れなければ、いつまでたっても生産者が手取りをした乳価と、消費者が買う値段との間で、約三倍もの開きがあるという矛盾はこれは是正できないと思います。そういう点をもっと積極的に政府は立ち向かうべき問題を逃避して、なかなかきめ手がないなどというようなことでは、これは問題が一そう矛盾を激化するであろうことは、これは指摘せざるを得ない問題であります。それから七十銭を、これをメーカー、業者がバック・ペイするという場合に起こってくる問題は、現在でも原料乳と、市乳との格差が非常に大きく広がっておる。現在、市乳の全国の平均単価は大体一升当たり六十三円と平均では出ております。それに、さらにその格差が拡大する、同じ酪農家であっても、原料乳に供出する酪農家の受け取る乳価と、この市乳に回す乳価との間で格差があるということは、どうしてもうなずけない問題であり、こういう格差がさらに激化するということをそのまま認めて、二円幅を上げるということは、消費者にとっても策に得たるものではないということでありますが、その点を一体大臣はどういうふうにお考えになっているんですか。
  14. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 流通機構の問題等につきまして、なお改めるべき問題が相当あります。牛乳等につきましても、こまかいことですが、容器をもっと大きくしてもいいのでございます。それにつきまして、どれくらいの金がかかるかというような問題もございます。とにかく政府が全部キャッチして、統制しているならいいんでございますけれども、自由経済を基盤としての問題でございますから、いろいろの矛盾を克服していく上におきまして、相当な問題、難関等があるわけでございます。そういう意味におきましては、いまの原料乳あるいは加工の方面の値段等の差等も相当あるのは、私も承知しています。そういう差がないような、生産者としても同ような手取りが得られるような方向に持っていくべきだ、こういうように思っております。それにつきまして、どういうふうにやっていくかという案を実はいま持っておりませんけれども、方向としてはそういうふうに考えております。
  15. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  16. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を始めて。  それでは午後一時まで休憩いたします。    午後塚町六分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会
  17. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  農山漁村電気導入促進法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取することにいたします。衆議院農林水産委員長高見三郎君。
  18. 高見三郎

    衆議院議員(高見三郎君) ただいま議題になりました衆議院農林水産委員長提出農山漁村電気導入促進法の一部を改正する法律案について、その趣旨を申し上げます。  昭和二十七年に農山漁村電気導入促進法が制定されまして以来、同法に基づき、電気が供給されていないか、または十分に供給されていない農山漁村に電気を供給して、当該農山漁村における農林漁業生産力の増大と農山漁家の生活文化の向上をはかってきたのであります。  この電気供給の方式といたしましては、種々の形態のものが見られますが、中でも小水力発電所を建設し、その発生電力を地域内の電力会社の配電線に連係するいわゆる連係式小水力発電事業が広く行なわれておりまして、これは、当該地域における電力不足の解消のみならず、余剰電力による収入を通じ、農山漁村の振興に多大の貢献をしているのであります。  近時農林省において全国的に実施した調査結果によりましても、このような小水力資源が未開発のまま埋蔵されている地点は、相当数存在していることが明らかにされておりまして、また、経済的に立地条件等の恵まれない農山漁村におきましては、この連係式小水力発電事業を一そう積極的にみずからの手によって行ないたいという要望がきわめて強いのであります。  このような事情にかんがみまして、小水力資源を農山漁民の手で一段と能率的かつ積極的に開発していくため、現行の制度に所要の整備を加え、電気導入事業の一そう適切な推進により、農林漁業生産力の増進及び農山漁村の社会文化の進展に寄与することが緊要と存じ、この法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案のおもな内容について、御説明申し上げます。  第一は、電気導入事業の対象地域として従来の未点灯または電力不足の農山漁村のほかに、発電水力が未開発のまま存する農山漁村を加えたことであります。  第二は、磁気導入事業の内容といたしまして、農山漁村に電気を供給する者に対し、その発電水力を開発して電気を供給することが含まれることを明確に規定することといたしました。  第三は、電気算入事業の事業主体として、現行法規では農業協同組合、森林組合、水産業協同組合等、農林漁業を営む者が組織する営利を目的としない法人とされていますが、これに加えてこれらの団体が主たる出資者となっている一定の法人も、事業主体となり得ることを明記したことであります。  さらに、このような小水力発電に必要な施設の改良、造成、復旧または取得に必要な資金につきましては、農林漁業金融公庫から貸し付けを行なうこととし、農林漁業金融公庫法に所要の改正を加えることとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びおもな内容であります。  衆議院農林水産委員会におきましては、四月二十四日この案を委員会成案とすることに決しました。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  19. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 次に土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、追加提出資料について説明を聴取することにいたします。丹羽農地局長。
  20. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 前回の本委員会で、資料の追加要求がございましたので、取り急ぎ整備をいたしまして、きょうお配りいたしました資料につきまして、御説明いたします。  御要求の第一点は、機械化審議会の答申に関するものでございますが、第一ページに、先に三十八年の七月十九日に農林大臣名で諮問をいたしました問題に対しまして、農業機械化審議会会長の名で出ました答申を掲載をいたしました。所管は農政局で所管をいたしております。大型機械のあり方の問題に関します答申書でございます。そして同時に御要求のございましたこれに伴いまして農林省農政局長から、各都道府県その他関係の向きに通達を出した次第でございますが、それが六ページ、三十九年三月二十六日付の農政局長の通達を、ここに掲示をいたしました。これは農地局の所管ではございませんが、これの説明は、もしお話がございますれば後刻朗読をいたしたいと存じます。一応全部につきまして御説明をいたします。  それからその次に農地の土地利用につきまして、農用地の造成関係につきましての資料の御要求がございました。御要求として造成計画ということでございますが、所得倍増等での計画はございます。いま作業中でございますので、ここでは三十二年から三十七年の各種事業によりまして造成をいたしました実績を、農地、草地に分けまして掲上いたした表が一一ページでございます。簡単に御説明いたしますと、現在農用地の造成事業は、開墾と干拓という二つの問題と、草地造成という問題とが畑地におきまして行なわれておるわけでございます。で、開墾につきましては、二ページの左の上のほうにございますように、開墾作業(旧制度開拓)というのと、開拓パイロット事業というのをやっております。で、開墾作業と申しますのは、旧制度と一応申しておりますが、三十六年以降、新規地区は開拓パイロット専業でやることにいたしておりますが、  それ以前に国が買収して工事を続けまして、その後この計画を完成するのに必要であるために、開墾作業を継続してやっております部分が一番上の部分でございます。三十二年一万九千町歩程度ございましたものが、残りをどんどん進めておりまして、三十七年度に九千町歩程度の農地の造成。これに入れかわりまして、三十六年から開拓パイロット事業という形での造成が始まっておる次第でございます。  干拓事業は、御承知のとおりでございまして、三十七年には千六百四十町歩程度を干拓いたしております。それから、構造改鋳事業で行なわれました中での農地造成がございます。これは構造改善事業による農地造成として七百三十町歩。そのほかに、三分五厘融資によります開墾事業がございます。それが六千ないし八千程度行なわれておるわけでございます。農地として造成いたされますものが、ここにございますように、大体二万ないし二万三千程度ずつ毎年行なわれております。  このほかに、小規模草地改良事業として、これは先般資料をお配りいたし決したが、これによりまして造成されます草地が、小規模事業として、三十六年ごろから数字はふえてまいりまして、一万ないし一万三千、大規模は新しく三十六年ごろから手をつけ出しております。今後伸びるわけでございますが、実績としては、二地区、三十六、三十七で内地で行なわれております関係で、実際に開墾されたという意味数字は少ないわけです。構造改善による草地造成がその下にございます。それで、同様に非補助で、融資によります造成が三千町歩程度でございます。以上合わせまして、三万七千程度が三十七年度で造成をされておる、こういう形の表でございます。  これに関連して、御要求が必ずしもあったのではなかったかと存じましたが、一応御参考に農用地造成経費、これはどのくらいそれぞれでかかるかというものを一二ページに添えてございます。開墾という形におきましてかかりますもので、これも地区によりまして、あるいは傾斜等によりまして、いろいろとコストが変わりますが、田で十八万七千円、畑で七万円、樹園地十五万六千円程度が平均になっております。樹園地等で階段溝をやるものは非常に高い、山なり畑でやるものは非常に安くできるということで、分布の幅は非常に広がっております。一応十三万。干拓は、これに比較いたしまして相当高くついております。草地のほうはならしまして、草の種をまくということで、複雑な工事がございませんので、比較的安く、右の欄に二万六千円見当が、平均でございます。  それから、農地の転用につきまして種目別という御要求がございましたですが、田畑別に資料がございますので、田畑別に整理をいたしまして、四条、五条で許可をされますもの、都道府県が行なうもの、その他法律で許可を要しないもの、そういう法律、政令で定められておりますものを合わせまして表にいたしておりますものが一三ページでございます。大体田と畑がほぼとんとんという形で転用されております。一万一千町歩から二万六、七千町歩に、この面におきます転用が行なわれております。  それから、資料の御要求として壊廃という御要求がございました。壊廃という意味につきましていろいろ検討いたしたのでございますが、農地が、農地の姿から廃止されるという意味におきますと、四条転用などはそれに入るわけでございます。統計調査部で、別途これは田畑の許可行政とは別に、田畑の実態に応じまして毎年自然災害でどの程度壊廃したか、それから自然災害でなく人為的な原因によって壊廃したかという統計がございますので、壊廃面積というものを統計調査部のほうから別途聞き出しまして御参考に入れました。自然災害のほうは御参考に申しますと、左の欄一四ページの五行目にございますように復旧の問題がございます。たとえば三十二年度にはいろいろな災害その他で十九百九十町歩田が自然災害によって壊廃したけれども、その年におきましては、過去からの分あるいは当年災等を含めまして千六百九十復旧しておる、こういう杉に相なるのです。必ずしも御承知のとおり単年度で自然災害による田畑の復旧が行なわれませんので、この自然災害による壊廃と、参考として書いてございます復旧の数字とはイコールではございません。少ない年もあれば追い越す年もある、こういう関係に相なっております。なお統計の年度のとり方が、統計調査部では備考に書いてございますように八月一日から七月三十一日を期間にして見回り調査その他をやっておりますので、前の農地局の業務統計によりますほうは会計年度の数字でございます。  それから次に補助率その他の表の御要求がございましたので、一五ページにございます。これは三欄目の上に「国の負担率又は補助率」と書いてございますが、一番左の欄に「国」と書いてあります。国営でやりますものは国が負担するという制度になっております。一つの例で申しますと、かん排事業では、内地で一般会計で行ないますものは六割を国が負担する、四割を農民並びに県庁が資損する形に相なっておる。ところが都道府県営のほうは、補助数字は別で、五割でございますが、これは県に補助金として与えまして、県が一〇〇のもので事業を行なって、国から五〇もらい、それから残りの五〇のうち県が二五を原則的に持ちまして最後の二五を農民にかける、こういう形でございますが、それをそろえまして「負担率又は、補助率」と書いてございますが、国以外のものは補助率といりふうにお読み、取りをお願いいたしたいのでございます。それからなお国営事業につきまして御参考に申しますれば、農民負担分は完了後取る、こういう杉に相なります。これがかん排事業。右に入りまして、団体営のかん排事業四〇ないし五五と書いてございますのは、内訳に、離島等が五五で内地の基幹工事等が五〇その他の工事は四〇という意味で、低いものと高いものを「~」でつなぎまして内訳が入ってございます。それから耕地整備事業として暗渠排水、一六ページに入りまして客土、区画整理、農道、索道、これが一六ページに各工種別に補助率が並べてございます。なお新しく圃場整備事業という事業を設けまして、これらの前に述べました事業を一括してやる制度をつくりましたのが右上でございます。団体営等はそれらをプールして三〇ないし四二でやる形に相なっております。その次が防災事業、内訳は防災ダム、まん中に書いてございますが、湖岸堤防、老朽溜池、老朽しました溜池をこわれないように防災的に工事をする。大規模、地すべり、土砂崩壊、湛水防除事業というふうにそれぞれこれは事業主体が市町村ないし児でございますので、補助率とお読み取りを願いたい。地盤沈下、それから一六ページで諸土地改良事業といたしまして土壌侵食防止、温水施設、シラス対案、緒土地改良につきまして右の欄にございますような杉で補助率を掲上しております。一七ページに入りまして諸土地改良の残りのもの、国営遺戒施設管理、国がつくりました土地改良施設の中で一定の条件のものを特別に国が直轄管理している例が二、三ございます。それの維持管理の補助率でございます。それから干拓事業、平拓事業は七五国が実際実質的に負担する、いろいろのバリエーションはございますが、基本的にはそういう形になっております。補助、代行、それから付帯工事、それから次は開墾関係でございます。開墾関係では国営開墾、その付帯卒業、それから小団地の補助工事、道路の補修、北海道におきます簡易軌道、それから開拓工事が一応終わりましてやり直しという意味でやっております開拓地改良、それから三十八年度から始まりました開拓パイロット制度におきます補助率、なお開拓パイロット事業は、一貫的に最後の土地の開墾作業までもやってしまう総合補助率でございます。その次に一八ページでは草地改良事業、大規模の分、その他の分に分けまして補助率を掲上いたしております。それから災害復旧事業を、一八ページの最後に構造改善事業の基盤整備は地上の共同利用施設とあわせて一律二分の一というようなものが書いてございます。  それから土地改良に関する融資の現況という御要求でございまして、一つは第一回の配付資料に土地改良によります融資の残高等の資料が載っておりますので、今回この表では融資の条件の一覧表を入れてございます。御承知のとおり補助残は六分五厘、それから補助でなく融資単独で事業を行ないますものに、五分と三分五厘の事業がございます。据え赴き期間、償還期間、融資率、限度額等ここにきれいに並べてございます。災害も公庫によります災害の補助残の数字を掲げてございます。  それから次に水系別国営、県営、団体営別土地改良の溝工時期、完成時期一覧表ということでございます。たいへん全国で膨大な事業をやっておりますので、これが御要求の趣旨に沿うかどうか問題はあるかと存じますが、一応相当の作業をいたしまして分厚いものを用意いたしました。この表はまず最初に、旭川水系――河川法の適用、準用の水系を並べまして、その水系におきまして行なっております国営事業、県営事業、団体営事業のまず総数字を一覧表にあげておりますのが二一ページから二二ページでございます。それで今度はそれの地区別に着工、完了年度を入れてみろということかと理解いたしまして、次に二五ページからでございますが、先ほど前に申しました水系、たとえば青森県の岩木川あるいは岩手県の北上川水系に属します事業を国営、県営、団体営に拾い上げて見ると、国営事業として北上川を例にとりますと、雫石川、胆沢川、猿ケ石川というものが北上水系に属するわけでございます。そこの地区におきまして雫石川国営事業、それから胆沢川国営事業というような事業をやっております。この事業がたとえば雫石は三十四年に着工し、四十二年完成で現在進行中でございます。その国営野業に連なるものとして雫石川県営土地改良事業というのがございまして、これが二十八年に着工して四十年完了予定でつながっております。定川を例にとりますと、北上水系に属する定川の国営事業にからみまして、その水系は定川、中津川云々と五つばかりの県営事業が行なわれております。で、二重マルじるしがついているのは、定川国営事業付帯町営事業ということで、これは完全に二つのものが密接いたしております事業なので、ほかは一般県営事業あるいは水系が別で関連がないものでございまして、関連いたしておりますものは、二重マル――付帯県営事業として行なっているものでございます。そうして団体営は、地区名をあげますと膨大なものになりますので、その地区におきます団体営のうち、特に関連のある団体営の地区数を掲上いたしております。以上が、これがずうっと続きまして、あとおしまいの二ページを、残しますまで、五八ページまで続きます。  それからその次に、土地改良負担金徴収実績と計画の対比及び延滞金等の御要求がございました。いろいろな角度からの整理がございますが、御趣旨に沿わなければまた追加させていただきたいと思いますが、五九ページには国営土地改良事業で、先ほど申しました最終的に国が負担し、県が負担した残りの農民、ことばをかえますと、いままでの制度では土地改良区でございますが、が納めるべき金のうち、完了後、年賦で納めるべき金が確定いたしております。三十七年度までに確定いたしておる額が(1)の欄、年賦金額累計、それからその次が、その累計に基づきまして現実に入っている金、入る率、入る割合八九%がこの部分としては入って、延滞が約一億ほどあるという表でございます。  それから次の表は、観点を変えまして、土地改良区が農民に普通課しております賦課金の徴収率を計画と実績とで出すとすれば、どういう方法がよかろうかということでいろいろ考えたわけでございますが、一番いい方法といたしまして、私どもが全国の土地改良区を検査いたしておりますので、検査対象組合に対しまして一〇〇%徴収されているものと、九〇、八〇、六〇、六〇未満というものの数を並べまして、この関係で御判断なり御意見を承る資料として、そういう形で一応整理をいたしております。  それから県営事業及び団体営事業の補助残は、先ほど御説明いたしましたとおり、公庫融資の対象に相なっております。そこで公庫がそういうものを貸して、期限が来て、払えているかいないかという問題でございます。で、これは公庫のほうからとらえまして、土地改良区の全体の三十八年三月三十一日現在の貸し付け残高は六百二十三億でございますが、延滞の状態を、年賦償還期限が来て一年以上延滞の状態を呈しているもの、一年には及ばないが六カ月から二年のものと分けまして、地区数と延滞額を表にいたしまして、三つの角度から御要求のことにお答えをするべく資料をつくったわけでございます。  それから最後のページが、開拓者に対します負債の状態はどうかということでございます。で、二月一日現在で個票で調査をやっておりますが、いま各県を督励しておりますが、何ぶん膨大な作業で、まだ集計ができておりません。別途三十八年三月三十一日で、貸したほうの側からの融資残をとらえましたものが六〇ページでございます。政府資金と申しますのは開拓者資金、これが個人貸しにいまなっておりますが、過去のものには組合貸しがございまして、その組合の状態で残っておるのであります。それから自利資金、それから公庫から借りております共同施設等の資金、それから災害の切りかえ等による営農改善資金、災害経営資金、それから中金プロパーでの、これは主として運転資金、短期資金でございます。それから別に保証資金と称しておりますが、開拓者融資保証制度で保証の裏づけがつきまして中金から直接流れてきます資金の融資残高が出ております。前向きの政策として開拓者に金を貸すという姿勢をとっておりますので、融資残高はしたがって個人貸しとして三百二十六億、組合貸し百十三億、計四百三十九億が三十八年三月三十一日現在での帳簿上の融資残になっております。  なお、御要求といたしましては、土地改良長期計画につき何かできておるだろうからということでございましたが、先般、いろいろ御説明いたしましたように、作業中でございます。そしてもう一つ、これに関連いたしまして、土地利用区分、農用地の実態その他に関する御要求がございました。土地改良長期計画は、先般お配りをいたしました要土地改良計画及び現在やっております総合土地改良調査、両方から、基礎データとしては一つこういうものがあるわけでございます。この要土地改良調査のほうには、土質、傾斜その他の関係、で、農地、耕地等の部分的状態は一応あるわけでございます。問題は土地利用区分の問題でございますが、土地利用区分に関しましては、三十五、六年ごろから技術会議を通じまして自然的条件を土といたしまして土地利用区分の方法論を、いろいろ検討いたしておるわけでございます。土壌その他の角度からやっておるわけでございますが、方法論の方法論がようやく一応の形ができたわけでございます。これはとてもまだ実用化する段階に至らないということで、土地利用区分を全国的にまだ農林省としては実施いたしておりませんので、土地利用区分に関します資料の御要求に関しまして、まことに申しわけないのでございますが、御提出できなかった、そういう事情を御了承願いたい、かように考えます。以上でございます。
  21. 矢山有作

    矢山有作君 これは資料を要求するときに私のほうの手落ちであったのですがね。水系別の全国の工事地区調べを出していただくときに、着工年度と完了予定年度だけ申し上げて、その進捗率を実はほしかったのです。それを申し落しましたが、できれば進捗率をひとつ国営、県営、団体営に分けて、これ全部のを出していただきたいと申し上げても、あるいは作業的に困難なものもあるかもしれませんから、できるだけ地域的に分けて、抜き出しでもいいです。できれば、そいつをそろえていただきたい。
  22. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 何ぶん膨大な、ことに県営機関になりますと膨大なので、国営はできます。でございますので、いろいろくふうをいたしまして御提出したいと思います。
  23. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  24. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を始めて。     ―――――――――――――
  25. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) この際、農林水産基本政策に関する件について、午前に引き続いて質疑を行なうことにいたします。
  26. 温水三郎

    ○温水三郎君 でん粉の値下がり対策について質問いたしますが、でん粉は諸般の原因によって農産物安定価格をはるかに下回って、急激に値下がりをいたしております。宮崎県だけについても四つのでん粉工場が倒産をいたしておる。農協においては、その運営に重大なる支障を来たしておるわけでございますが、これに対して政府が買い上げその他対策を講ぜられる意思があるのかどうか、また講ぜられるとすればいかなる対策をいつ講ぜられるか、これをお伺いいたします。
  27. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) お話のような事態を、われわれも聞き及んでおります。で、当初見込みました生産量よりも相当数の増産があった模様です。そういうことで南九州を中心にしまして六万五千トンばかりの保管調整をするということで今日まできたのでございますけれども、千五百八十円の価格を下回るというようなことに四月中句ごろからなっております。そこで、これに対処しまして政府買い上げをする必要があるというふうに事務当局も判断をいたしまして、現在大蔵省と折衝しておりますが、需給数字について若干詰める点が残っております。したがいまして、どのくらい数量を買うかということが目下中心になっていますけれども、その点が結論が出ますれば、予備費を使って貰い入れをするという段取りになろうかと思います。ただ、農安勘定の予備費だけでは足りないおそれもございますので、その場合にはほかの勘定の予備費の流用という問題が起こりますが、そういう点も含めて至急結論を出そうということで取り進めております。いつごろということは少し申し上げがたいへんですが、できるだけ早く措置いたしたいと思います。
  28. 温水三郎

    ○温水三郎君 いつごろということが聞きたいわけですが、できるだけ早くということなんですが、大体今月の中旬ごろは実行する運びになりますかどうか、お答えできれば答えてもらいたいと思います。
  29. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) めどはつくと思いますが、そのときに発動ができるかどうかについては、まだ確たることは申し上げかねます。
  30. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ちょっと関連して一つだけ伺います。予備費の関係、農安法のワクでは足りない、これは確かに五億しか計上していない。これでは問題にもなったものではない。予算に計上しているものを入れても二万五千トンそこそこでしょう。一体どれだけ他の費目から流用してこれに充てるか、そのめど一体どの程度に置きますか。
  31. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) お話の点を現在詰めておるわけです。で、その前提として需給を固めまして、その上で幾ら買うか、それによって金額が出るわけですが、どうもお話がありました二万五千トン程度ではとても済まないという観点から作業をしておるわけであります。
  32. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 速記を起こしてください。
  34. 戸叶武

    戸叶武君 先月末の二十九日、三十日の両日並びにその前後にわたって東北及び関東地区の山間地帯に霜害が激しかったのでありますが、福島が五十一億、山形が二十億、岩城が十億、秋田が四千万、栃木が八千万、群馬、山梨、長野県等を加えると合計約九十億円の被害に上るということでありますが、政府が現在調べている被害高はどのような状態になっておるでしょうか。
  35. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 被害のありました直後、直ちに関係者を派遣しまして、地元の実情を見させました。あわせて統計調査部等も活動を開始いたしました。県の報告も約九十四億ぐらいの累計になりますけれども、現在統計調査部では、やはり三十二年、三年、四年と凍霜害がありましたその当時の被害に比べて、やはり相当な程度のものであるというような心証を得ておるようであります。それぞれ作物別に被害の実情等を言ってきておりますけれども、現段階ではまだ累計幾らというところまでの締めくくりの計算にはなっておりません。従来の経験にかんがみますと、被害の非常に大きい県、あるいは被害の大きい地域につきましては、地元の申請にかかる金額と統計調査部の調べました金額とは、ほぼ似通った結果になっております。被害がややゆるくなるに従って、どうも申請の金額と調査の金額が合わないというような傾向があるわけですが、新しい計算を、早ければきょうの夕方あるいはおそくともあす、あさってじゅうには取りまとめまして、天災融資法等の問題もございますので、財政当局とも相談に入りたいと、かように考えております。
  36. 戸叶武

    戸叶武君 霜害の種類でございますが、この麦類の被害が、一番何といっても金額的には大きいんじゃないかと思いますが、その次には最近伸びてきた換金作物といいますか、特用作物のやはりタバコとか麻とか、茶とか、なたねとか、そういうもの、それからバレイショ、蔬菜、果樹、果樹も相当伸びておるので、そういう点の被害が相当大きくなっているんじゃないか。それに次ぐものが桑なんかも霜害には非常に弱いのですが、霜害のたびごとにいつも問題になるのは、桑のようなものは霜害がすぐわかって非常に甚大な被害を受けたという印象を一般に与えるのですけれども、麦や何かになると、相当あとになってから、発育してから、やはりいもちやなんかの形において、霜害によって非常な被害を受けたということが出てくるような場合もあるので、もうすでに前の霜害における三十二年、三十三年、三十四年というようなときの霜害の調査で、政府当局もいろいろな点において経験は持っているし、その被害の状況の統計のとり方や何かに、そつはないと思うのですけれども、これはあとになるほどだんだん額がふえていくような、どうしてもそういう傾向が強いのですが、現在のところ作物の中で一番大きな被害を受けているものはどういうものでしょうか。
  37. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) これも県別の報告に基づくものでございまして、先ほどの答弁で申し上げました九十四億と申し上げたその内訳にあたるわけですが、結果としてやはり一番被害の大きそうだと思われますのは果樹であります。これが県の報告で約四十九億ほどになっています。第二番目が桑でございます。三十五億円程度。その次が野菜が六億程度。麦類が一億、五千万円程度。こういう報告になっていますが、お話しのとおり、麦類につきましては、現段階で損傷の程度を確定するというのは非常にむずかしい同順があろうかと思います。今後白穂だとか部分的な不稔、その他奇形穂などが出てくるのじゃないかという心配もございます。とりあえずの速報では、ただいま申し上げたとおりでございますけれども、若干時日を経まして、統計調査部のほうの報告が上がってきますれば、ややその数字にも変動を生ずるのではないか、かように考えております。
  38. 戸叶武

    戸叶武君 推定九十四億からの中で一番多いのは果樹ですか、そう見ていいんですか、果樹は何徳だと言いましたか、四十九億ですか。
  39. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) そうでございます。
  40. 戸叶武

    戸叶武君 果樹が伸びているから、果樹地帯においてそういうのが出るのでしょうが、一番やはり外側的に見てすぐわかるのは、私は果樹だとか、やはりなたねだとか、桑だとかいうのはすぐわかると思うのです。しかしいつでも問題になるのは、やはりあとから被害が深かったというのが、だんだんわかってくるのは麦類のような場合があるのですけれども、やはりいままでの被害統計の慣習として、いつでも一番最初の報告を基礎としてものを見ていってしまうような形になると、そうすると農民が泣き寝入りするような状化脈もあるので、過去のいろいろな経験を基礎として、十分そういうところを参酌して、畑作地帯の農民が困らないようにしてもらいたい。そこでこの霜害対策としては、やはり基本対策というよりは応急対策がすぐ問題になるのですが、応急対策並びに基本対策を政府はどういうふうに考えておりますか。
  41. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 応急対策につきましては、とりあえず普及員その他の関係を動員いたしまして、今後の病害虫の発生の問題、あるいは樹勢の回復のために必要な指導態勢を固め、それぞれ本省からも一人が行きまして指導に当たっております。今後の営農対策としましては、現状でまあ達観的なことを申し上げるのは許していただきたいのですが、やはり天災融資法の発動ということになるだろうと思います。さらに地区によりましては、特別被害地域の適用を受ける市町村も出てこようかと思います。そういう点につきまして、やはりできるだけ早いほうがいいという意味合いも含めて、とりあえずつなぎ融資等の措置を請じ、政令が川ました段階では、そちらに切りかえるということを考えております。天災融資法の発動もできるだけ早い時期と思っておりますが、まだ被害の数字が確定しておりませんので、確定を待ちまして早急に措置する、そういう考えでおります。
  42. 戸叶武

    戸叶武君 これに関連して、南九州のほうで長雨でやはりなたねが相当の被害を受けているのですが、そのほうの状況はどうなっておりますか。
  43. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 御指摘のとおりでございますが、四月中相当雨が降りました。宮崎、鹿児島等を中心にして、一部佐賀県等にも赤カビの発生があり、なたねも相当の被害を受けております。とりあえず四月中に被害を早急にとりまとめたいと思いまして、統計調査部を督励しております。その数字をつかみました上で、適当な対策を講じててまいる目下準備中でございます。
  44. 温水三郎

    ○温水三郎君 関連。南九州の裸麦は全滅、それから大麦が半作、ビール麦が全滅ということに私は見てきたんですが、農林省は調査しておりますか。
  45. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 県の報告では、大体おしなべて半作くらいという報告を得ています。いまの先生のお話では、もう少しひどいようでございますが、早急に調査を完了しようと思います。
  46. 北口龍徳

    ○北口龍徳君 関連。いま熊本県がお答えの中に漏れておったようですが、これは麦の被害が一番多いのは九州ですが、そのうちでも毎年一番被害の多いのは熊本県です。これは裸麦が一番ひどいという関係がありますが、この間も私帰りまして、農協団体集まりまして、対策も立て、また知事も陳情に参っておりますが、これは非常に、まあいまお話しのように全滅であります。昨年同様であります。東京あたりは雨は降っておりませんけれども、ほとんど、私はゆうべ帰りましたけれども、熊本は雨は降り続き、この分ならばやはり全滅と、それから青刈りにして刈れば、まだ青いですから、まあ一部、一坪ばかり残しておけば共済の調査員や何かの参考にして、飼料にしたらどうかというような意見もあるわけで、それらのことにつきましても、対策を急遽立ててもらっていただきたい。去年のように、ああいうふうにもう長くなりますと、何も、飼料にもならなければ何にもならぬという、種子も取れないというようなぐあいでして、そういうことを真剣にいま地元では希望しております。御参考までに申し上げておきます。
  47. 戸叶武

    戸叶武君 大臣に次に承りますが、やはり天災融資法を発動しなければならないということを官房長も述べておりますが、この天災融資法の発動という場合に、いつでも発動が、まあ調査その他の正確を期してからという趣旨でありましょうが、おくれる傾きがありますので、こういうことはやはりできるだけ迅速にやってもらいたいと思うのです。それと同時に、先ほども若干指摘しましたが、この災害統計ほどむずかしいものはないから、相当幅を持ってやはり実際の被害に応じた適用をしてもらいたい。いまの九州の例でもありますが、私の県の栃木県なんかも、ビール麦は全国の四分の一を占めておりますが、霜害や何かに非常にひよわいのです。それでいまの麦の被害ですが、共済基金その他の問題からいき残しても、青刈りにしてしまったほうがいい場合、いろいろあると思いますが、農民がやはりいろんな経験を持っていても、何だか惜しいような気がして、そして被害がだんだん大きくなる。それから共済関係の金もろくにもらえない。そこに泣き言や苦情が非常に多く出ると思うのですが、そういう点からいっても、こういう問題に対して、もう少し農民に対して指導性を発揮して、そして実質的な痛手を農民が負わないような対策というものを、十分にやはり講じてもらいたいと思うのですが、天災融資法の発動に関して、大臣はどういうふうな御見解を持っているかということを承りたい。
  48. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話のとおりです。いつも、なかなか事務的に手間どって、天災融資法の発動がおくれるという傾向は、私も感じております。財政当局とも急速に相談いたします。また被害の調査も至急完了させたいと思います。なお、被害の中におきましても、麦数等お話のように、表に出ていませんで、あるいは穂ばらみ、あるいは穂が出てからでも、一カ月とかその後に被害が明らかになるということも御指摘のとおりだと思います。でありますので、そういうことも十分勘案いたしまして、できるだけ早い機会に天災融資法が発動されるように措置いたしたいと思います。
  49. 戸叶武

    戸叶武君 最後に一つ。それは昭和二十八年のときの経験でしたけれども、とにかく凍霜害に敏感なのは養蚕地帯でありまして、特にあのときは埼玉とか群馬とかいうのは手っとり早く写真もとり、報告も出し、そしてあの時分の大体金を一番もらったのは埼玉、群馬だと。ほかのほうは出おくれてどじを踏んだというような苦い経験があるので、それから各県がとにかく凍霜害の問題のようなときには、早く厚真をとって、早く統計をまとめて打ち出さないと、またぬかってしまうとたいへんだというような報告競争というものが、各県ともかなり活発になってきたと思うのです。これは悪い傾向じゃありませんが、やはり正確にものを見て、そしてでこぼこのないようにやってもらいたい、そういうことを私は一応政府側に要望いたしまして、過去の苦い経験を二度も三度も繰り返さないようにお願いしたいと思います。
  50. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 十分その趣旨に沿いたいと思います。
  51. 仲原善一

    ○仲原善一君 今回の凍霜害について、実は私は自由民主党を代表しまして、今月の一日から五日まで五日間にわたって現地の見舞いを兼ね調査をしてまいりました。で、福島県と宮城県の十数カ村の町村を回ったわけでございますが、現地に行ってみますと、これは聞きしにまさる深刻な被害でございまして、その状況は何と申しますか、被害者の農家の側から見ますと、なすところを知らないという状況でございます。たまたま自分の桑園で働いている七十歳前後の老人に直接会って過去にこういう経験があるかというような話を聞いてみますと、いまだかってないという話をしております。また、現実に気象庁の気象状況のデータをもってみましても、マイナスの四度、三・六度というような状況の地域が相当ございます。午前の四時には大体その程度になる地域が相当ございます。しかも、夜の十一時半ごろからずっと零度以下になって、その持続する時間が六時間以上続いているところが相当ございます。そういう科学的なデータをもっていたしましても、近年まれに見る数十年来の深刻な被害だということが言われております。東北の農政局がとりあえず調べた結果によりましても、五日現在でございましたが、福島県が約五十億、それから宮城県が十一億、山形県が二十六億、その他東北関係を寄せまして九十数億の被害になる、そういう状況でございます。農林省の関係各局からも一緒に行っていただきましたので、詳しい報告はそれぞれ事務的にあろうかと思いますが、実際見てきた感じから申しまして、容易ならぬ事態だということを深く感じてきた次第でございます。各町村を回って深刻な災害のもとにいろいろな要望を聞いてまいりましたが、その要望を取りまとめて便宜上一括して項目別に質問申し上げますので、これは事務当局でけっこうでございますが、農林省の大体の考え方をこの際御発表願って被害者の人に一日も早く安心していただきたい、かように考えるわけでございます。また農林大臣には、こういう深刻な災害に際会して、どういう救済の対策を根本的にとるかというような点について、まあお考えがあればあわせてこの際お伺いいたしておきたいと思います。  具体的な内容について一括してお話申し上げますが、第一は、先ほど来お話のありました天災融資法の発動でございます。これは各町村ともこぞって強く要望いたしております。これも統計事務所の調査等によって、その被害の程度によっておのずからこれは発動の基準がありましょうけれども、そういう点を早急に調べて、できるものは早くこれは発動していただきたいということでございます。従来の例によりますと、これがずいぶんおくれてつなぎ資金等の問題で非常に困ることもあるようでございますので、今回はこの天災融資法を至急に発動してもらいたいという要望でございます。  それから二番目、これはやはり自作農維持資金、特に維持資金がこういう災害の場合に従来適用されて救済の手段に使われた例もございますので、この分だと、案外金額も多くて償還の年限も長いという関係もございますので、その要望が相当ございます。したがって特別のワクでもつくって、特にそういう被害県についての配慮をお願いいたしたいと存じます。  それから三番目、これは養蚕について当然農業共済の支払い災害の対象になろうと考えますが、当然また、異常災害の対象にもなろうと思いますが、これの概算金と申しますか、仮払いを早くしてほしい。これも従来、災害のあった場合にたびたび行なわれておりますので、これも当局の考え次第で、手続を早くすればできるというように考えますので、その点をなるべく早くお願いいたしたいという要望でございます。  それからその次に特に永年作物、果樹であるとかあるいは桑、そういうものについての樹勢を回復するための肥料なり農薬が要るわけでございますが、それに対する国の補助をお願いいたしたい。この問題は、従来、昭和三十二年ごろまでは、私もそういうものが出ておったことをよく承知しておりますが、それ以後はいろいろな関係もあって、なかなか実現しておりませんけれども、現地の様子を聞いてみますと、どうしてもこの補助金というものが誘い水になって、県なり町村の、六らに補助金を加えていく一つの柱になるようでございますので、特にこの凍霜害によって、果樹については来年度もなかなか収穫が思わしくないという予想がございます。したがって、樹勢回復をどうしてもことしのうちにやっておく必要があるという、これも強い要望でございますので、非常にむずかしい問題ではありましょうけれども、特にこれは農林当局の御助力をお願いいたしたいと存じます。  それから、災害資金の何と申しますか、公庫資金等でいろいろ借りている資金についての償還延期の問題でございます。償還緩和の問題でございますが、これも被害農家にとっては重要な問題でございますので、強く要望された次第でございます。  それからその次に、六番目といたしまして、今回の被害が特に果樹、リンゴ、ナシ、それからブドウ、桃、そういったものに非常に深刻な被害がございますが、なるべく早く果樹共済の制度を、いわゆる農業災害補償制度の対象作物として取り入れてほしい、これも関係各市町村、農民の一致した要望でございます。これは去年のこの法律改正の場合にも、当委員会等におきましても改正の際に付帯事項といたしまして、果樹についても対象にするようにという意向がたぶん入っていると記憶しておりますので、農林省も現在調査中であると、前向きに考えるからというお話もございましたので、なるべくこれを早く制度化してほしいという要望でございます。  それから、そのほかこまかい問題はございますけれども、減税の問題と、もう一つは、こういう災害によって、県なりあるいは市町村が特別に費用を支出せざるを得ない、技術改良の問題にしても、指導の問題にいたしましても、いろいろ余分の経費がかかっておりますので、これを何とか特別交付税の中に織り込むような措置を講じてほしい。これは農林省関係ではございませんけれども、自治省関係でございますけれども、農林省を通じてあわせてその点をよく要望をいたしたい、かような点でございます。  以上、数項目の点について、一括して地方の被害農家の強く要望している点について御紹介をしたわけでございますが、これらの点について官房長からでもよろしゅうございますから、一々の問題についての御回答をいただきたいと思います。  自由民主党におきましては、あしたの午後一時から災害特別委員会を開いてさらに案を練って、いずれ農林省のほうに、あるいは大蔵省のほうに交渉に参りたいと考えますが、きょうはとりあえずこの委員会が開かれましたので、農林水産委員会においても、政府の御意見を承りたいと、かように考えるわけでございます。
  52. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 天災融資法の問題は、先ほどお答え申し上げましたとおりで、急いでやりたいと思っております。  自創資金の関係も、これは御承知のとおり、天災融資法発動の際にあわせて措置するという大きな原則がございます。被害の査定に各県のアンバランスを生じないようにしながら、これもあわせ措置してまいりたいと考えておる次第です。  蚕繭共済の概算払いにつきましては、これも過去に先例もございまして、できるだけ迅速に行ないたいと、かように考えております。  第四番目にお話しの樹勢回復の問題で、窒素質肥料その他の例が三十二年にございました。そのときのことにこだわるわけではございませんが、実は反当たり百円程度というような補助金で、それが何といいますか、会計検査院で指摘を受けた。といいますのは、面積割りにうまく配分されていなかったというような経緯もございます。そんなことで、県当局があとで事後処理に非常に困ったのですが、そういうことのないように何かいい方法を考えて、被害も大きいことですし、そういうこともあわせてできればいいというふうに考えておりますが、ここでそれもあわせてやるというふうには申し上げかねる点がございます。検討いたしたいと思っております。  農薬の補助金についても、同様の経緯がございます。これもあわせて検討いたしたいと思っております。  それから、いままでに貸し付けられておりました資金の償還期限等につきまして、これも累次の災害のたびごとに、個々の農家の特殊性に応じまして措置してまいったわけでございますが、そういう大きな原則の中で今次災害での自主性を認めながら、それぞれの要望にこたえていくというふうに用意をいたしたいと思っております。  第六番目の果樹共済でございますが、昨年、本年と二年続いて研究調査をいたしております。できれば、四十年あるいは四十一年ごろからは、もう少し制度として前進し得るのじゃないかというふうに思っておりますが、できるだけ早く取りまとめるということで、農林省内で急いでおるわけでございます。  減税、あるいは特別交付税、あるいは事務費の補助等のお話でございます。これは要望もございましたので、事務的に自治省その他へ、検討しておいてもらいたいという連絡はしてございますが、まだ回答は得ておりません。  概略でございますが、以上でございます。
  53. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 当面講ずべき対策等につきましては、ただいま事務当局から申し上げたとおりでございます。これを急速に行なっていきたいと思います。  また恒久的な問題につきましては、いろいろあろうと思いますが、水害等と違いまして、なかなか気候障害に対して対策はむずかしいと思います。しかし根本的には、私は土質をよくするといいますか、土壌の改良といいますか、土地がよくなっておりますというと、災害等につきましての抵抗力も作物等が強いと、こういう例もありますので、そういう方面に力を入れていきたいと、こう考えております。     ―――――――――――――
  54. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) ここで再び、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  55. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、「土地改良長期計画」について伺いたいと思います。今度の改正案によりまして、第四条の二で長期計画規定が新規に織り込まれたことは、土地改良事業を推進する上に一歩の前進でありまするけれども、前回のこの本委員会で野知委員がこのことについて質問をされたのに対しまして、政府の説明によりますと、事業の種類別に十カ年間ぐらいの計画を立ててそうして金額で表示したい、という構想であるとのことでございました。またそして、この、長期計画の基礎資料としては、三十七年、三十八年の両年度に要土地改良区について調査して、現在集計中であるということでございましたが、そこでまず伺いますが、この第四条の二の二項にある、「省令で定める土地改良事業の種別ごとに、」というこの「種別」とはどういう種別であるかということであります。それからまた、同項には、「土地改良事業の種別ごとに、計画期間に係る土地改良事業の実施の目標及び事業量を定めるものとする。」というふうにあるのでありまするが、これは、国全体の要改良事業をもとといたしてそうして長期の見通しを立てる、そのうちから、さしあたり必要な地域を選んで、そうして、とりあえず十カ年の計画、それを立てるのかどうか。その形がどういう形でつくられるのであるか、はっきりしません。それをもう少し詳しく説明していただきたいと思います。
  56. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農地局長から詳しく御説明申し上げます。
  57. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 御質問の第一点の、土地改良事業の種類ごとにと申しますのは、いま大体こういうことで考えたらいかがかと考えております点は、大体四つに分ける考え方でございます。一つ補助整備事業、第二はかんがい排水の基幹施設の設置、整備の事業、第三番目には防災事業、それから農用地の造成事業、この四種類に分けて考えたい、かように考えております。そうして、それぞれの事業別に、十年間の、たとえば補助整備事業でございますれば、どれだけの面積の補助を、整備するか、農用地造成事業でございますれば、どの程度の農用地を造成するかという、事業量、数量的な量、それからそれを行ないますのに、どの程度の経費を要するかという事業費、これを全国的な規模において定めたい、かように考えております。
  58. 北條雋八

    ○北條雋八君 その計画を立てますのに、国全体につきまして、この土地改良をやるのはどのくらいの仕事の分量があるかということをまずもって定めて、そうしてそれを完遂するには大体何年くらいかかるということをきめて、それからさらに、それが何年かかるか、五年で済むか、十年で済むか、二十年かかるか、そうして仕事の量等をもとにして、十年で完遂できるということで定められたのでありますかどうか。この十年の根拠というのがよくわかりません。
  59. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先生御承知のとおり、補助整備事業というのは、大体二年、長くて三年で終わる。そこで圃場整備事業につきましては、それだけの事業を毎年どのようにやっていくとかいう形で計数が可能であるわけであります。そこで大きなかんがい排水基幹施設あるいは相当大規模な農用地の造成事業、ことに干拓等に相なりますと十年近くかかるものが少なくございません。そこで私どもただいま研究中のこの十年間の計画といたしましては、いま現に継続いたしております地区のうち十年の間に終える量と、それから新規にいまお話のございました国営でやるべき事業量を押えまして、これもその十年間に全部が終わるわけではございませんで、一種の何と申しますかずれずれのかっこうに相なろうかと思いますが、十年間の初期に手をつけるものは十年後には終わる。終わりのころに手をつけますものはその何分の一かを終える。こういう形で継続事業の完了のテンポの問題、それから新規の長期を要します事業を何年聞かの計画でやっているものを重ねまして、それを今度は上下を足しまして十年間に合わせて全国的に総事業量はどうなるか。十年たちましても当然初めのその十年に積みました仕事の残が残ります。思想的には相当長期のものを頭に置きまして十年間の事業量を考える必要があるわけであります。なぜもっと、長い期間をとらえて考えてみないかという問題もございましょうが、一応これは仕事をそういう土地改良事業だけの角度から考える以外にも、いろいろ国の財政の問題もございましょうし、農業一般の問題もございましょうし、あるいは農業の動向の問題もございましょう。それらを考えあわせてこれをやるということに相なりますると、あまりにも短い期間でもいかぬ、またあまりにも短い期間に相なりますと、それらの主要な要素につきまして相当精度――正確度の問題等もございましょう、という立場に立ちまして、十年間をめどに考えたらいかがかと、こういうことで十年という期間を考えておるわけでございます。内容的には、継続が続きまして、新規が始まりまして終わるものと、新規が始まってさらに十年以降に残るもの、こういう形になると存じます。
  60. 北條雋八

    ○北條雋八君 この区画整理や交換分合のように、他との関係はあまり考えないで実施のできるものもございますけれども、かんがい排水事業についてはやはり地域全体の事業の調整を考慮しなければならないということもありますし、したがって十カ年計画なら十カ年計画として公表する事業量についてはある程度具体的な改良地区を想定、予定しまして、予定された地区についてはその地区が属する水系についての水利用に関する基本的な構想が立てられなければならないと思うのです。そういう点につきましては、どういうふうに政府では考えておられますか。
  61. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 土地改良事業は御承知のとおり農民のたんぼにつながる事業でございます。道路をつくってしまうというようなことと本質的に違いますので、結局はどういう計画をつくりましても、それが足がついていないと御指摘のようなことに相なろうかと思います。したがいまして、私どもがこの十カ年計画につきまして、先般来総合土地調査をやっておりますのは、やはり地区に足を持たない計画というものは絵にかいた姿になる、そういう立場で地区別に積み上げざるを得ない。そうしますと御指摘のとおり地区別に積み上げてまいります過程におきまして、特定の水系でたとえばかん排事業をやろうという場合に、その事業の水はどうなるであろうかという問題に当然ぶつかるわけであります。そしてその水の可能性等も当然考えていく、あるいはその際に工業用水なりあるいは上水道の利用との関係でやはりロングランで見当をつける、こういう問題が御指摘のとおりあるわけであります。したがってこの十年計画は足をつけざるを得ない。また足がつく以上、その地区のいま御指摘一つの例であります水バランスというようなものにつきましても、積み上げて整理をしてそういう事業ができるかできないかということもやはり積み上げてまいらなければならぬ、そういうふうに考えておりますので、先般来現実の圃場の整備ということに当面精力的に作業を進めたい、こういうことを申し上げておるのも、やはり具体的な地区に結びつく性格の仕事であり、またそういうふうに整理をし、地区別にもいまおっしゃったように積み上げていく必要がある、かように考えておる次第でございます。
  62. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、この十年間の長期計画に織り込む事業量というものは、せんだってお話があった、現在行なっている調査によって明らかとなった事業の全部を計上する予定であるのかどうか。そのうちの一部を計上する予定であるとすれば、どの程度を計上するお見込みでしょうか。
  63. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先般お配りいたしました要土地改良調査の際も御説明いたしたと存じますが、ただ土地がございまして水がほしい、あるいは水がダブついているからはきたいという、そういう物理的な調査でございます。これはそこで水がほしいから水をやるとしてどういう事業をしたら水が行くか、あるいはどういうことをやったら水がはけるかという調査、事業化するための調査というものがいま別途追いかけましてやっております総合土地改良調査でございます。したがって、これが全部この数字ができればこれをやりたいという意味のデータでございます。しかし、いかに水がほしいと言っても水源のないところに水を持って行くというわけにはまいりません。そこで水源をつくり、引っぱる、そういうことが可能であるかどうかという事業の立場から、これをもう一ぺんつくり直してみる必要がある。その土地改良事業としてつくり直してみる調査を、総合土地改良調査といたしまして昨年と本年かかってやっておるわけであります。これは聖業化するほう、そうすると、どういう事業をやればどの程度できるか、そういう角度から事業量をつくるわけでありますから、これがこの事業によって日本国の土地の全部が希望どおりにいくかどうかという問題は、事業の可能性、技術的可能性、あるいは社会経済的な可能性の上に積み上げたものをつくり上げまして長期計画にいたしたい、こういうことでこれに乗っけましてもう一つの調査をいたしておる次第でございます。
  64. 北條雋八

    ○北條雋八君 くどいようですけれども、長期計画を立てるのに、あらゆる面にわたって十分調査の上で、土地の価値的利用区分に基づいて農用地の造成あるいは改良また保全、集団化、その長期の見通しによって計画を立てるのが順序だろうと思うのです。そうして事業世をどこまでも基本として財政の裏づけをきめてそうしてしかる後に十年にするか、十五年にするか、それをきめるべきだと思うのです。財政上の都合で事業分量やおるいは計画年度を加減するということは、えてして消極的また無責任計画になるおそれがあります。そういう点について政府ではどういうふうに考えておられるか、なおその点をもう一度伺いたいと思います。
  65. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) もちろん、おっしゃるとおり財政の都合だけで、こちらの長期計画を動かすという考えを毛頭持っておりません。むしろ財政規模を長期にわたって目安をはっきりできるだけしてまいりたい。また、主張すべき点は当然はっきり根拠をもって主張いたしたい。そういう立場で、先ほど申しましたように日本の実態に即した姿におきます事業量の上に、この長期計画の原案は組み立てた。それがいろいろの、この法律にもございますように、関係の行政機関の長あるいは閣議の決定というプロセスを絡まして最終的に決定をみるわけでございますので、本法におきましてこの計画を特に明示いたしましたのは、年々の財政によってあまり影響を受けない寄り場を長期的にはっきりしたい。土地改良というものは長期的の事業でございますからそうすべきであろうという立場で、法律上特にこの規定を設けた次第でございまするので、そういう立場で長期計画の作成には当たりたいと、かように考えておる次第でございます。
  66. 北條雋八

    ○北條雋八君 さらに、最近地域計画といいますか、新産業都市計画とか、あるいは農業都市計画また特定総合開発計画といったような地域計画が、いろいろ検討されておるようであります。この問題とこの土地改良法の長期計画との関連はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  67. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) この問題に関しましては、衆議院でも非常に御議論がございまして、たとえば北海道の第二次長期計画あるいは各種特殊立法の問題もございます。あるいは各地域の開発計画の問題もございます。この長期計画を作成いたしますには、四条の二の四号にもございますとおり、知事の意見も聞くことに相なります。関係行政機関の長の意見も当然聞くごとに相なりますので、その段階から申しておりますことは、一つにはいま私どもが申し上げました全国的な調査の上の要素が一つ、それからもう一つには、各種地域立法をどのようにこの全体計画の中に、取り込んでまいるか、評価をし取り込んでまいるかという問題もございます。これらの各種土地改良計画というものは、これはこれとして尊重して、この下からの積み上げとの間で調和を求めてこれをつくっていく。またそういうふうにいたしませんと、関係都道府県知事の意見を聞く段階等でもいろいろ問題がある。こういうことで各種特殊立法、地域計画についてもこれを作成するタイミングが一つの有力なる要素として考える所存でございます。
  68. 北條雋八

    ○北條雋八君 次に、この法案の第四条の四で「国は、土地改良長期計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。」というふうに規定されておりますが、この「必要な措置」とはどういうことをいうのであるか。で、計画を確実に実行することについての政府の決意を伺いたいと思いますが、これは大臣からお答えを願いたいと思います。
  69. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 計画を立てて、その計画の達成をはかるために実施に必要な措置ということについてのお尋ねでございます。実施するにつきましては、どうしても財政的な裏づけがなければなりません。あるいはまた、地元の負担等の問題等も解決していかなくちゃなりません。そういう財政的あるいは負担の問題等につきましての措置を講じていくと、こういう意味でございます。
  70. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、この十カ年計画というものは、治山十カ年計画あるいは道路五カ年計画といったようなふうに長期にわたる総額を定められて、そしてその総額の範囲内においては、責任をもって実質的な予算を獲得するという計画になるわけでございますか。
  71. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) おっしゃるとおりでございまして、十カ年の計画の中に財政支出の額もきめていくわけでございますから、その年度年度におきまして予算の関係上幾ぶんの変更はあると思います。大体におきましては、その計画に沿うて事業をしていく、財政の負担もしていくというめど計画の中に織り込む、こういうふうに考えております。
  72. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、この四条の規定は国の義務を規定したものであると思ってよろしいわけですな。
  73. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 法律的な義務といいますか、政府責任といいますか、責任を持ってその程度負担をしていくということが計画の中に、計画にあらわしておるということに相なると思います。そういう意味におきまして、この計画等も閣議の決定を経るということに相なっておることからしても、そういうふうに考えられます。
  74. 北條雋八

    ○北條雋八君 所得倍増計画によりますと、農林漁業に対する公共投資が十年間で一兆円ということになっておりますが、今後所得倍増計画のアフターケアということで作業が進められた場合において、この長期計画の事業量はこれにしたがってまた定められていきますかどうですか、その点伺いたいと思います。
  75. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 所得倍増計画の中間検討も御承知のようにいまいたしております。中間検討の結果、是正すべきものは是正しなくてはならぬと思います。是正の際にあたりまして、土地改良の十カ年計画が先にできるということでありまするならば、当然所得培増計画政府の財政支出が盛られるわけでございます。しかし、この計画よりも倍増計画の中間的な是正がなされるということでありますれば、当然これを見越して、そういうものも織り込んで、倍増計画の中に政府の財政的な支出分を入れていくということに相なると思います。
  76. 北條雋八

    ○北條雋八君 次に、土地改良長期計画をつくるにあたりましては、農業の構造改善事業の基盤整備を考慮して、これと関連せしめて計画させなきゃいかぬと思うのでありますが、その点につきましては、どういうふうにお考えでございましょうか。
  77. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 構造改善のおもなる事業の一つとして、土地改良を採用していきたいと思います。でありますので、この計画その他につきましては、農政局の段階におきまして調整をとるといいますか、関連を深めて調整していくということにいたしております。
  78. 北條雋八

    ○北條雋八君 その場合に、構造改善地区内の同じ土地改良事業が、地区外の構造改善事業と比べまして、非常に負担が地区外のほうは多くなってくるわけであります。つい隣り合わせて同じ仕事をやるのに、地区内と地区外で非常に不公平を生ずるようなことになる場合が起こってくると思いますが、そういうのに対しまして、政府で何かお考えがありますかどうか、伺いたいと思います。
  79. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 御承知のとおり、構造改善事業は、基盤整備を行ない、その上に地上施設を一挙につくりまして、構造改善のまあ全体的事業の一つの推進母体的に考えております。したがいまして、非常に一時的に、短期間に相当指定地区は地元負担も要るということで、実は五割ということで、基盤整備とあわせて一挙に上のことをやるという意味で、五割ということになっております。御指摘のとおり、同じ区画整理をやるにいたしましても、片方では四割、片方は五割では不ぐあいではないかといういろいろお話、御陳情もございます。経過的には、構造改善事業は地上物の問題がございまして、そういう経過をたどっております。したがいまして、私どもは構造改善事業が五割だから、基盤整備は五割だという考え方を離れまして、土地改良事業の補助率そのものは、おりに触れ機会に触れまして改善をはかっていきたい、そういうように私ども事務的には頭を整理して対処いたしております。
  80. 北條雋八

    ○北條雋八君 池田総理も、中小企業と農業については画期的な力を注ぐと、たびたび言明をされております。特に開放経済に向かいつつあるこの際でありますから、その点を思い切ってこの際不公平のないように、同じ率の融資をするなり、補助をするなり、そういうふうにされるような御決心はありませんでしょうか。
  81. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 池田総理が選挙中、選挙後等におきまして、農業及び中小企業に革命的な力を注ぐという発言をされました。それにつきましていろいろ批判もございます。実際にはそうでないのじゃないかというような批判もあります。しかし、私はやはり経済の成長したその成長したものを、農業及び中小企業に全面的に、財政的、金融的に、力を注ぐのだと、こういう火といいますか、掲げた炎というものは消すべきではない。むしろそれをさますのではなくて、せっかくそういう芦を掲げたのでありますから、私どもとしましては、その火を燃やして、そしてぜひ農業及び中小企業に格段の力を入れていくように、私自身もやらなくちゃならぬと思いますし、またそういうふうにも督励して、そういう方向に持っていきたいと、こう考えております。
  82. 北條雋八

    ○北條雋八君 次に伺いたいことは、この長期計画は、この第一条の目的に即して立てられるべきことは当然でございますけれども農業基本法の精神に従って土地の生産基盤を整備することは、地、区によって具体的にはいろいろ違いがありますが、中心的な課題は、何といっても補助整備の問題であると思うのであります。前回の委員会で野知委員もこの点を指摘されておりますけれども、これに対して局長の御答弁は、前年度予算がきわめて低い水準だったから、この程度にするだけでも非常に努力を払ったのであるという意味のことを伺ったのでありますが、実際問題として、まあお役所ではあるいはこのような事情もあろうかと思いますけれども、いやしくも農業の立て直しの基盤つくりでありまする土地改良の長期計画を立てる場合におきましては、過去の行きがかり的な事情にはとらわれない、それで実情に即した事業種類別の事業埴を定める計画で長期計画を立てなければならないと思います。事業種類別の事業量の分配などについても慎重な考慮を払って策定されることと思いますが、現在どのような構想で、予算の裏づけとにらみ合わせて、どういう点に重点を赴いて策定をされておるのか、大体の方針伺いたいと思います。
  83. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 土地改良の四種目、先ほど農地局長から申しましたが、どれをとっても大事な問題でございます。しかし特に人手も減っております。また人手が減っているところに生産力を上げていかなくちゃならぬというような関係から、補助の整備というものには特段の力を入れていかなければならぬ、こう考えております。そういう意味合いにおきまして、本年度三十九年度の予算等におきましても、三十八年度に比較しますならば、予算町におきまして約三倍程度の増額をいたして御可決を願っておるわけでございます。でございますので、長期計画等によりましても大体こういう方向、いま考えておりまするところの方向に従って配分といいますか、事業の配分等をしていくということにいたしたいと思います。もちろん、実際に調査をいたしておりまするから、その調査の積み上げも、相当考えなければなりません。大体におきましては、この予算において考えられておりまするようなことを、長期計画におきましてもそれに準じてといいますか、並行してといいますか、パラレルといいますか、そういうような形で計画を策定していきたい、こう考えております。
  84. 北條雋八

    ○北條雋八君 次に伺いたいのは、農地の転用のことにつきまして伺いたいと思います。今回の改正案でも、最近の大幅な農地転用によります農業者以外の受益者の費用負担について制度改正が行なわれることになっております。土地改良事業を実施した農地の転用、あるいは転用により宅地化しましたことによって隣接するかんがい排水施設が影響を受ける場合があちこちあるように聞いております。で、先般の住宅地造成事業に関する法律案についての連合審査会で明らかにされたところによりますと、転用が許可された農地が第一種か、二種か、三極かいずれに属するかということを当委員会渡辺委員からただされましたが、調査はまだ行なわれていないということでありました。その後、この点調査をされて判明したら、それを知らしていただきたいと思うのですが、また今回の改正では、今後完成する干拓地については、八年以内に転用するものについては、国費の相当額を追徴する制度が設けられることになったわけであります。かような改正が行なわれるのは、土地改良事業を施行した直後に転用が認められる事例が少なくないことを示しているのではないかと考えます。これについて政府はその事情をどう見ておられますか、伺いたいと思います。
  85. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 農地の転用に関連いたしまして、第一点の、一種、二種、三種の集計の問題でございますが、年間の転用件数が数十万件に及ぶわけでございまして、今日までいろいろの業務統計をとっておりますが、この松川農地の一種、二種、三種別の統計はとっておりません。まことに申しわけないのでございますが、とっておりませんで、今後これをとるように今後の問題として考えてまいりたいと存じておる次第でございます。  それから転用によりまして、いろいろ負担関係がややこしいことになる、こういう問題がございます。これに関連いたしましては私どもは今度のといいますか、土地改良法の四十二条というのがございまして、土地改良区の組合員が土地を売っ払って土地改良区の組合員でなくなる場合には、必要な決済をするという規定がございます。で土地改良をすでに既着工地区等で組合員としてやっておりました方が、土地を売っていくというときには、土地改良区との間で建設に伴います負担金等は四十二条の決済によって処理をさせて、残っていく方がかぶるということのないように処理をいたす所存でございます。また現実にこの必要の決済を行ないまして、出ていく方から負担金を徴収している土地改良区は少なくないのでございます。それから、排水等の問題に相なりますともっと事態が複雑でございますので、今回の土地改良法改正で、在来は県、土地改良区、農民という負担金の徴収の流れを、もう一つ別に県、市町村、農民という道を開きました。で、転用等によりまして排水事業の受益が非農民に相当に及んでまいるという場合には、県、市町村、農民というルートを附くことによりまして、市町村等で一般住民の受益部分は二部負担をしていただく。そして農民はその減ったたんぼに応分の負担金でアジャストしてまいる、調整してまいる。こういう道を可能ならしめるように改正をいたしておる次節でございます。なお、特別の受益が明らかなときには、県が在来特別徴収をしたわけでございますが、市町村もそれができるように改正したのも、排水等のように事情が非常に変更してきた場合に対応できる措置として法律上の手当てをいたした次節でございます。  それから九十条の二だと存じますが、干拓地の転用の問題が御指摘ございましたが、干拓は御承知のとおり十年近くかかっておりまして、当初その地区で農業としてやりたいということが非常に地元の方の御要望であったにもかかわらず、十年近い年月の経過が、その地帯の産業立地といいますかを非常に変えてしまいまして、そこに相当まとまって工場立地として非常に便利なところでございますので、工場にかわるという例が、本局その他でも出てまいったわけでございます。したがってこの場合に、農業でやるとおっしゃるので、まあ、反当負担非常に安い、水島地区で申せば二万五千円見当でお渡ししたわけでございます。一般市価で転売されると、ばく大な利益を得る。これがどうも社会上正義としておかしいという御批判等もございまして、国が農業のために負担しておるわけでございますので、国がかかった額を限度といたしまして、高く売れた場合には差額を特別徴収をするという形によりましてそういう弊害を除きたい、こういう考え方をとったわけでございます。したがってさらに最近の実態といたし摂しては、そういうふうに農民を入れて、しかる後に工場地帯になるということは、非常に下作と申しますか、不手ぎわな面もございますので、周囲の情勢を判断をいたしまして、農民に配分すること以前に地区によりまして他用途にこれを売ってしまうという措置を講ずることによりまして、つくる干拓地をめぐる情勢の変化に対応をいたすということを行なっておるわけでございます。まあこれも長い間、十年先をよく見通さないで工事に着手したという意味の御批判は受けねばならないところでございますが、今後の問題といたしましては、その地区の長期の変化というものを考えまして、干拓地の採択にあたりましては十分注意いたしたい、かように存じておる次第でございます。
  86. 北條雋八

    ○北條雋八君 農地転用の許可を受けないで宅地化したりするような事例も、過去非常に多いように思いますけれども、農地転用の違反をやった場合、政府はどんな制裁をいままで加えておられるか、これはもう違反でありますから、罰則もきまっておりますししますが、いままでにどのような事例が、どのくらいございましたか。
  87. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 農地法違反の転用の処理の問題でございますが、非常に悪質なものは原状回復、極端な実例を申しますと、もう一ぺん作物を植えるというところまで持ち込んだ事例が二件ございます。これは比較的大きいものです。一般的には、その原状回復を命じます例も少なくございませんが、原状回復するといたしましても、せっかくというか、転用の実態は物理的状態を変えた姿でございますので、その砂利を入れるとかいろいろな形が行なわれまして、原状回復をするということが実際問題としては非常に大へんな実態が少なくないわけでございます。したがいまして、そのすべてを原状回復をさせておるというわけではございません。それから違反に関しなして、ことに転用相手が会社等でございますと、一ぺん限りでございませんで、あちらこちらに工場をつくるというような例もあるわけでございますので、始末書という形において処理をいたしておるものもございます。具体的な処分件数につきましては、いまちょっと手元に置いておりませんので、後刻申し上げたいと思います。
  88. 北條雋八

    ○北條雋八君 都市近郊で非常に悪質な、罰金十万円を見越して、もう許可を受けないでどんどん地目の変換をしておるのが多いように聞いておりますが、これはいままでどうしてこれを規則に当てはめて、そうして罰則を適用しないのか、不思議に思うのですが、それはどういうわけなんでしょうか、罰金は覚悟の上でやっておるわけです。
  89. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 悪質なものにつきましては、告発をした実例もあるわけです。ただ現状を申しますと、なかなか一般の農地転用につきましては、裁判所の態度がわりあいと、特に悪質なものでない限りは、比較的緩い面が若干ないわけでもない。したがって私どもとしては悪質なものは告発をするという態勢はとっておるわけでございます。
  90. 北條雋八

    ○北條雋八君 ついでに伺いたいのは、農地転用の許可を受けないで宅地にしたような場合に、登記所は地目変換の申請を拒むことができないというふうに聞いておりますが、また登記所が申請を却下することができないというのはどういう理由なんですか。これは所管が違いますから何ですが、もしおわかりでしたらお答えを願いたい。
  91. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は登記所で拒むことができないということはなかろうと思うのですが、たとえば、地目変換の登記をするのには、土地台帳証明というものが必要であります。ですから、畑が宅地になったということならば、市町村役場で土地台帳の証明で畑が宅地になっているものを持っていかなければ、これは登記所で変換の登記はできないはずだと私は思います。専門家ではございませんのであまり詳しく知りませんが、どうも私はそういうふうに考えております。
  92. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 間違っておりましたらもう一度後刻訂正させていただきます。登記価は二つございまして、所有権移転登記の問題と地目変更の登記の問題とございまして、後者は職権現状主義、地目の変更、それから農地を宅地にするために転用というか売買を行なう関係につきましては、その農地法の許可証を確認してもらうということを法務省と話し合いをいたしておるわけでございます。その地目が農地法のベースで申しますと四条、五条の関係でございます。第四条で地目が変わったというのは現状主義でございますので、届け出があって、登記官吏が見て宅地になっておれば地目を宅地にするという形は、職権主義の関係でそういうふうになっていると私記憶いたしております。間違っておりましたら後刻訂正をいたします。
  93. 北條雋八

    ○北條雋八君 現状主義で、実際は宅地になって建築でもできておれば、許可のほうはどうでもなるのですね。どんどん申請を受け付けるわけですね。
  94. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) いま調べておりますので、後刻正確にお答えいたしたいと思います。
  95. 北條雋八

    ○北條雋八君 今度この法案改正によりまして、草地が今度含まれることになりましたのにつきましては、この入り会い林野というものもまた対象になってきたわけでございます。この入り会い林野の第三条の資格者との関係がよくわかりませんが、これについて一応御説明願いたいと思うのです。
  96. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 入り会い関係は、御承知のとおり非常に行政的にもむずかしい問題なのでございますが、三条はいずれにいたしましても土地の所有権、利用権という角度から押えておるわけでございます。したがってここにいう所有権、利用権は、これが名実ともに所有権、利用権である必要があるわけであります。ところで入り会い権は、形式的には必ずしも登記上の名目で町有者というふうに判断するには実態が複雑な実例がございます。簡単に申しますれば、入り会い権が相当分解をいたしまして、入り会い集団の団体規制を受けなくなって、そして個人の所有権なりあるいは個人としての地役権なりがその実態を備えるに至っておることが明らかであります場合にこの規定は働く、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  97. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、この入り会い林野が将来土地改良の対象になってくるのが相当多いんじゃないかと思うんです。特に共有林に非常に入り会い林野が多いのでありますが、その入り会い林に対して、今度の十カ年計画を立てられる上に、いままで調査されて、一体どのくらいを計画の中に織り込まれるお見込みでございましょうか。
  98. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まず前段の、入り会い権の問題を相当整理をいたしませんと、未墾地あるいは採草放牧地の活用がはかられないという点は御指摘のとおりでございます。そして、私どもは当初、土地改良法改正草案を検討いたしましたときに、入り会い権の解体につきまして、この要綱なり法文にとっかかったわけでございます。しかし、法制局その他といろいろ検討を続けましたところ、土地改良法という法律で入り会い権の規制、整理を行なうということは問題である。法制的にも非常に問題があるということで、やむなく入り会い権との問題は、今度の土地改良の改正案からは落とさざるを得なかったのであります。現存、別途、林野庁におきまして、入り会い権の整理に関します法文を検討中でございます。これはおそらく今国会には提出の運びにはなかなか困難かと思いますが、林野庁においても、いまその形を別個の法制として検討を続けております。そこで、私どもといたしましては、土地改良法以前の問題といたしまして、この入り会い権を天体的に、個人なりあるいは近代的な共有関係に整理をしなければこの法制に乗ってこないという問題がございます。そこで、法律をもちまして、入り合い権を整理するということにつきましては、検討を要する非常に多くの問題があるわけでございますが、入り会い権を関係者の総意の上で、共有の状態なり、あるいは個人分割の所有権なり、利用権に整理ができますならば、土地改良法の体系に乗ってまいるわけであります。したがって、その前段の問題は、当面、行政指導の問題として処理をいたす、こういうことに相なります。それから入り会い権をどの程度この計画に織り込んでおるかということでございますが、これはいま言った事情がございますので、計数的に入り会い権をいくら織り込むというようなことには相ならぬと思います。ただの部落有林野という形におきます入り会い林野というものが全体的にどうあるかということにつきまして、三十年に統計調査部が農業センサスをやりました。その結果によりますと、入り会い慣行を有する事実主体というのが十万一千体ございます。面積といたしましては百六十万町歩ほどがそういう慣行共有、内容はいろいろ複雑でございますが、百六十万町歩、このほかに、形式上財産区になっておりますものが二万、形式上市町村になっておりますものが十一万四千ほどあるということに、センサスの結果ではなっております。
  99. 北條雋八

    ○北條雋八君 以上です。
  100. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣に賛同したいんですが、農業基本法に基づいて、土地改良制度というものを全般的にわたって今回改正しなくちゃいかぬという趣旨で、法案が拠出されておるのですが、この土地改良というものが次第に完成するということになろうと思うんです。それと関連して、この選択的拡大と申しますか、いわゆる第一種兼業、第二種兼業というような、少数の零細農業家ですね、そういうものを含めて、一体、そうした土地改良というものが完成した後の日本の農業戸数というものは、どのくらいに基本的に縮めていこう、あるいは減していこうとお考えになっているのかですね。大体二・五ヘクタールというものを中心に奨励はしておられるのですが、しかし、そこにいくまでにはかなりの過程があろうかと私は思うのです。将来の日本の農業というものはどういうふうに持っていこうとしておられるのか、この点が何の場合でも明らかになっていないと思うのです。私は一ぺん大臣の所信をお伺いしたいと思うのですね。
  101. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに、御指摘のように、明らかな何といいますか、青写真といいますか、そういうものは非常に農業においてはむずかしい問題だと思います。ただいま六百万戸をちょっと判っているぐらいで、戸数はあまり変化はございません。しかし、私は、農民の首切りなんという問題は別といたしまして、そういう問題と別といたしまして、やはり日本の農業のいろいろなひずみは零細農という零細経営から出ていると思います。そういう意味におきましては、ある程度の就業人口の減少ということはこれは認めざるを得ないと思います。したがって、それに伴っての戸数も六百万戸で維持しなくちゃならぬということでなく、また、事実維持できなくなる傾向にあると思います。土地改良等を見ておりますと、大体十年間に五百六十万戸ぐらいということに相なるのではないかというふうな見通しを持っておりますが、そういうようなめどで、できるだけ農業基本法によるところの経営面積を拡大していくという方向、また、拡大できないものにつきましては、この土地改良等を通じて共同的にやっていけるような方途を講じていきたい、こう考えております。
  102. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうしますと、私はこの法案に基づいての関連した質問をしたいのですが、大体、現在六百が戸ありますその中で、五百六十万戸に土地改良が終わればなるんではないかという、まあ大臣のお説です。そうしますとね、土地改良というものをした後の、一体、二・五ヘクタールを標準とする使用人員というものをどういうポイントに置いておられるか、何人ぐらいでできるか、私はこれがない限り基準は出てこないと思うのですよ。つまり土地改良というものは、機械化しようということが大きな目的だろうと思うのですね、耕作にしましても、あるいは刈り入れにいたしましても、あるいはまたヘリコプターで消毒をするとか、害虫駆除をやるとか、こういうことにしましても、一応私は何かの基準が出てこなくちゃいかぬと思うのです。したがって、土地改良をしたあとの、一体その基準というものはどういうふうにお考えになっておるのか、この点をお聞きしたい。
  103. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 土地改良そのものだけからは結論は出てきませんけれども、土地改良をして、そうして何といいますか、集団化する、あるいは耕作面積を拡大するということから、おのずから結論的なものが出てくるのじゃないかと思いますのが、御承知のように、一応二・五ヘクタールのものにつきましては、就労は三人で、やっていけるように、こういうようなめどは立ててやるわけでございます。でございますので、それにつきましての所要就業人口というものを、機械的には耕地面積あるいは農家戸数に掛けていけば、就労人員というものは出てきますけれども、これは非常に機械的で、それでどうこうということを申し上げますのは少し軽率だと思います。できるだけ少ない人口で土地改良をし、集団化される、あるいは経営面積が広がり、あるいは共同化されたものを少ない人手でやっていけるということが望ましい姿である、こう思っております。
  104. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 なるほど、その点は非常に大臣も言いにくいところだろうと思いますけれども、私は、いまの農村が第二次事業というような方向にどんどん膨張していくという傾向から見て、一番農民が不安がっているのは、選択的拡大をやれというけれども、これとても、価格の安定がないために、農村は困っておると、何回もそういうことは出ておるのですが、大臣ももう耳にタコができるほどお聞きになっていると思う。それのために、拡大していこうと思っても、思い切った拡大ができない。これが私はいまの農村の実態じゃないかと思うのです。したがって、そうした農村の不安を何とかして一掃するためには、農業人口の問題から、あるいはまた適正農業の青写真を幾つか作成して、農民にその指示をすべきだ。そうしてあらゆる事業団というものができておりますが、この土地改革事業団もその一つでございますが、この事業団のそうした改良その他に依存しないで、もっと地域的な、市町村にそうした融資なり、あるいは補助なりして、自主的にやらしたほうが、かえってそうした目標に、二・五ヘクタールのいわゆる自立営農者ですか、そういうものを育成するのには手早いではないかという、私は感じがしておるのですが、そういう点については、大臣どうですか。
  105. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 地域的にいろいろな差がありますので、その地域の実情に応じて考えていくべきであるという御趣旨には、私も賛成でございます。でありますので、一つの構造改善事業などにつきましても、いささか従来画一的な、上からの押しつけ的な傾向がありました。で、そうでなく、やはり地域の特性を生かしていくというような意味におきまして計画を樹立するように、また、その計画に私ども協力するような形をとるべきだというふうに、私も指導いたしておるわけでございますが、ただ、そういうふうには考えましても、実際問題としてなかなか私どもの青写真的なものにあわせて、スピード的に見ましても、実態的に見ましても、非常にむずかしい面がございます。が、お話しのように、その地域の実態、状況に合わして指導していくということは必要であろうと、私ども痛切に考えております。
  106. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、いま提案されておる土地改良の問題で、そのことをつくづく感ずるわけです。と申しますのは、説明の中の第五項に、維持管理に関する規定の整備があります。土地改良区の、かんがい排水施設等の重要な土地改良施設の管理を行なう場合には、管理規定を定めることとするものである、こういうふうに、国営なり、都道府県営なりありますね、こういうふうに大体出しておられるのですが、しからば、土地改良をして、二・五ヘクタールを中心とした場合、一体何ぼの利益が上がるのかということを、私は、青写真なくして、ばく然と土地改良、土地改良といわれたって、こいつは問題にならぬのじゃないかという気がするのですが、しからば、この場合にですね、この管理、処理の問題の、この分担金がございます。そうすると、これの、分担金というものは最高どのくらい取っておるのかといっても、資料はないのです。政府には。反当たり一体どのくらいの分担金というものを農村は負担しなくちゃいかぬのか。平均を付しますと、機械化の場合は四百四十八円だと言っておられる。平均です。これは。最高は私はこの倍はあると思う。千円ぐらいのもあると思う。反当たりですよ。そうして年間の支出が、かりに一万円近くの年間支出があったとするならば、二・五ヘクタールに一体どれだけの、機械化と、原価計算をしてみて、つまり収入増があるのかどうか。私は、そういう点の綿密な調査をしないで、土地改良、土地改良といわれても、これは農民の負担になるだけではないかという感じがするのです。資料があれば提出してください。説明してください。私が聞いた範囲内では、その資料はないのです。一般自然排水の場合でも百五円ぐらいついています。反当たり。機械の場合は先ほど申しましたように四百四十八円、平均です。これは。最高では千円ぐらいのがあります。そうすると、逆に、その改良した地域に、かりに排水池の大きなものをつくった。そうしてそこに百戸なり二百戸の村があるとしますならば、これもその水量に応じてそれだけの負担をするということになりましょう。ところが、農民一般のほうからそういう金は取れないでしょう。そうすると、それは市町村なりが負担をするということになる。農業排水においては農民が負担をする、こういうことに私はなろうかと思う。私の言うのが間違っておれば御説明願ってもいいのですが、そうなってきますと、二・五ヘクタールを中心とする日本の農業の将来というものを考えたときに、何を基準にしてどれだけの能率が上がるから、先ほど大臣おっしゃったように、三人ぐらいでやりたい、こういう一つの青写真、規定したものがあって、初めて私は土地改良というものが成功するんじゃないかという気がするのです。農民負担はふえてくるし、土地改良はした、依然として十年もそれが進まぬわ、こういうことになれば、結局はそれだけの負担をするということは、農民は逆に減収になる、こういう私は気がしておるのですが、そういう点ひとつ、大臣はどうお考えになっておりますかですね。
  107. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) どれくらいの排水改良事業等についての費用がかかるかという一つのアンケートがここにあるにはあるのでございますが、いまお話しのように、機械排水を主体とした地区では、平均四百四十八円ということになっておるようであります。反当たりの維持管理費が。機械だけで高いのが八百五十円、機械を主としたものが三百四十六円、平均で四百四十八円、自然排水を主体としたもので、自然のやつが百十二円、自然を主としたものが九十三円で、平均が百五十円、全体平均すると三百四十二円というような、全国排水対策事業促進協議会の調べというようなものがございます。これを見ましても、機械排水等につきまして、維持管理の費用が相当かかっておることが判明するわけでございます。しかし、土地改良をする場合の計画におきましては、洪水の防除とか、乾田化等による生産量の増大、あるいは機械の導入による経費の節減という経済効果等を考えて、計画の樹立を認めていくというようなことをいたしておりますので、維持管理費の増大を十分カバーするというような前提で採択されておるのでございますけれども、いまお話しのように、必ずしも維持管理費をカバーするわけにまいらぬような状況もあります。で、いろいろな意味におきまして、これは土地改良費の分担の問題となると思いますが、たとえば国でどれだけ負担するか、あるいは今度の改正のように、町村でも負担することができますが、いずれ町村では、その土地改良区の組合員から取り立てをするという形になると思います。しかし、町村で十分取り立て得ないという面、いまのお話しのように、よけいに費用がかかるというような形で、その分を全部町村の組合員から徴収するというわけにまいらぬという場合もあろうかと思います。こういう血につきましては、自治当局とも検討をいたしておるのでございますが、交付税等によってこれを補っていくというようなことにも相なる場合があると思います。いずれにいたしましても、そういう配分問題、ことに土地所有者、土地改良区の組合員が、土地改良をして損をしていく、ふところぐあいがかえって悪くなるというようなことがあるようでは、私はその事業の施行、あるいは計画等が当を得ていないと思います。まあ私どもといたしましては、できるだけ耕作農民の負担が少なくて、そして土地が改良され、そしてその上に、農業経営が近代化して、所得も相当得られるような総合的な観点からも、土地改良を指導し、また、力を入れていきたい、こういうふうに考えております。
  108. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 むろん、土地改良は経済的な効果を上げるためにやられておるということは間違いないと私は思うのですが、ただ問題は、現在の農業基本法に基づくあらゆる改築が、予算面における範囲内の進行はいたしておるでしょうけれども、いま農民が期待するほどの効果というものが上がっていないじゃないかということが現火だと思うのですね。政策というものは、現実をとらえない政策はやられないほうがいいのです。政策はあくまでも現実をとらえて、現実の不安を一体どう除去していくかということが私は一番根本だと思うのですね。しかも、将来の青写真というものは出ていない。それで、いろいろな基本法に基づいての施策がとられておる、こういうことになりますと、なるほど、この経済効果をねらってやっていくということでありますけれども、さらにまた、集団化という問題もやっていくということでありますけれども、いま農村では、逆に、この耕作機械ですね、これらもほとんど各個人によって購入しておるわけですね。私は、打つ手がないかといえば、それにも打つ手があると思う。もっと集団的に機械の購入をやれ、現在の馬力ではだめだから、もっと大きいものを購入して、地盤の改造もやるべきだ、こういう現実に沿った政策というものが立てられなくちゃいかぬと思うのです。政策は、行政指導というものは。私はそれが行政指導だと思うのです。土地改良はやったわ、機械は買うたわ、持つたんぼは零細だということになりますと、これは都市との格差というものの是正ということは、いつになったら期待できるのかという私は不安を持つわけです。そういう点が政府としては非常におくれておるではないか。農民の負担はできるだけ少なくして、経済効果のあるような方法でいきたいと、大臣はおっしゃるけれども、しかし、現実には負担がかさんできておる。先ほど申しましたように、平均は大臣がおっしゃったとおりです。四百四十八日。全体平均して三百四十二円ですか、それだけの反当たりの負担をしておるのです。しかし、これを天体概算しますと、一町かりにその農地改良をした地域に持っておる人ならば、米一俵というものは飛んでいくわけです。四千なんぼですから。農地改革をしたため、それだけの収入があがる、それだけの収益が取れるかというと、私はちょっと疑問に思うのです。現実問題としてですね。しからば、私はそういう過程にある段階でありますから、大臣は、なるほど経済効果をねらってやっておられるのには間違いないですけれども、せめてこうしたこの方法に対しては、そこは反当たり六百円になったり、九百円になっておるところもあるということを私聞いておりますが、そういうものこそ、過渡期においては政府がこれを負担してやるべきじゃないか、私はこう思いますが、政府としてはどうお考えになるかですね。そういうものこそ、改革途上にある向こう十年間は政府が持つ、何かそういう方策があってしかるべきじゃないか、それこそ農業の近代化をはかる過程であると同時に、都市と農村との格差を、是正する私は大きな援助方法だ、こう思うのです。大臣はどうお考えになりますか。
  109. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) だんだんのお話でございますが、私ども経済効果をねらって、現実に即して土地改良もやっていかなくちゃならぬというふうに考えておるわけでございます。たとえばいまのお話のように、機械を入れて、まあ機械化貧乏なんてことばがはやっているくらいに、各個人、個人が機械を入れて、かえってコストが高くなっているというような例もないわけではないと思います。でありますから、できるだけこれを集団的に機械などを使うというようなことなども進めておりますが、同時に、土地改良なども、やはりその機械が使いいいように、あるいはまた大きな機械なども入り得るようにしようというのが、私から申し上げるまでもなく、土地改良の一つめどでございます。ところが、土地改良いたしましても、維持管理の費用がちょっとかかるのじゃないか、十年間ぐらい政府で持ってやってもいいんじゃないかという御説でありますが、維持管理が、いま持っております統計では、機械化排水等、八百五十円ぐらい反当たりかかりますけれども、平均四百四十八円といたしましても、一町歩ならば米一俵四千四百円という形になるじゃないか、それだけ土地改良したが、効果が上がっていないのじゃないか、こういうことでございますけれども、私は、ほかのいろいろな条件を抜きにして、収穫面から見れば、土地改良する前と、したあとで、水田などでは、私などの経験から見ますると、一反歩でも二、三俵ぐらいは増収しておりますから、一町歩で一俵ぐらいの増収は当然あると思います。しかし、その他の費用がありますから、いろいろ費用をかけておりますから、そういう面から見て、なかなか維持管理の費用負担していくということも非常に苦しい面もないわけではないと思います。ことに、仕事が済んだあとの負担というものはなかなか苦しいように、気持の上でもいたします。でございますが、これを十年ぐらいみてやったらどうだというのは、一つの御意見ではございますけれども、そこまでまた考えてみることにつきましては、ちょっとよほど検討してみませんと、踏み切るわけにはまいりません。実情等につきましては、よくお説、お話しの点は私もわかります。わかりますが、負担政府でみんな持ってやるということには、いまのところまいりませんが、よく検討いたします。
  110. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 今度の補足説明の中でも、調査するとおっしゃっているのですよ。そういう基準をきめようとおっしゃっているのです。補足説明の中では。だから、いままで土地改良ということはやったけれども、何らそういう基準の調査も何もしないのでしょう。したがって、私は大きな凹凸があるというのです。大臣は平均を言っておられますけれども、平均では農民は納得しないわけです。非常に負担の多いところと少ないところがあるわけです。全然ないところもあるでしょう。たとえば、そのたんぼの地域に大きな工場を誘致し、その排水を利用するということになれば、その会社がつくった排水をそのまま利用さしてもらうということになれば、何も機械がなくても、自然排水で十分いける場合もありましょう。土地改良の仕事が非常に凹凸がある。その凹凸がどういう実態になるかということを、今度の改正で調査しようとおっしゃる。そういうことは、土地改良をする前に青写真ができてなければいかんわけです。私に言わせれば、政府はそういうことを怠っておる。現実には凹凸が出ておる。この凹凸を政府責任をもって、ある一定の期間だけは、これは国家の補助金でやはりめんどうをみるべきだ。それ以外の金が要っておることは大臣も御承知、さっきおっしゃった御説明のとおりです。それも私承知いたしております。したがって、自分のたんぼを、政府補助金なり、県の補助金なり、あるいは自分の自己負担なりで改良をやっておるわけです。自分の土地がよくなりて、機械化されるだろうし、便利もよくなるのですから、それには、これは個人負担ということもやむを得ないでしょうけれども、それをやるために大きな凹凸が出ておるということの事実を私は指摘しているわけです。このものくらいは、私は、構造改革の過程にある今日から見れば、政府は青写真をもってやるのが至当であったけれども、青写真もないのだ、いまから調査しようとおっしゃっている。いまから調査するのじゃなしに、そのくらいの金は政府責任をもって十年間くらいみる、あとの何は都道府県の自治体におまかせしてもいいだろうし、できるだけこの格差を是正するという意味で、農民を救ってやる。その気持が政策面の中になければ、格差是正なんということを総理大臣初め農林大…がおっしゃっても、私はしんが通らないと思う。その点どうです。
  111. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほど御答弁申し上げたのは、維持管理費全部国で持ったらどうかという御意見でございましたので、私もそれはちょっとむずかしいということを申し上げたのでございますが、いまお話を聞きますと、いろいろそれで利益を受けたり、格差もいろいろあるじゃないか、それについて考えるべきじゃないかということでございますが、その点につきましては、私どもも考えていきたいと思います。  土地改良法改正によりまして、農民負担の軽減をはかる、こういうために、たとえばいまお話がありましたが、国、都道府県または市町村が行なう管理事業で、その事業によって非常に、著しく利益を受けるというものがあります。そういうものから、また、農業をしていない者からも負担金を徴収できるようにして、その分だけ、維持管理の、農民の負担の軽減をはかるという方途を講じていきたいと思います。あるいはまた、国または都道府県が行なう管理事業のうちで、公共性の強いものにつきましては、市町村にも負担金の一部を負担させ得るようにいたす、こういうことによりまして、農民負担の軽減をはかるということにつきましては、お話しのようにやっていくつもりでございます。
  112. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いや、私はそのことを申し上げておるのじゃない。全額負担したらどうですかと言っているのですよ、結果的には。しかし、結果的にはそう言っているけれども、いまごろこういう問題を調査しなければならないということは、いかに凹凸が出ておるかということを私は十分御承知だと思うのです。政府は。それで、今度改正をされるのだと思うのです。けれども、出ている現実においては、私はこういう問題については、政府が一定の期間見るということが必要じゃないかということを申し上げているのです。政府ですら気づいて、凹凸があるから、一定の期間これを何ぼか補助していこう、あるいは地方の自治体にもそれを何ぼか負担させるような方法をとろう、こういう是正を今後考えていかれる。そういう是正を考えていくのじゃなくて、基準が出されるのじゃなくて、そういうことは全部政府が、私はわずかな金だと思う。そういう点については、政府がこれは全部持ってはどうか、こういうことを私は申し上げておるのです。政府がいま気づいておられる。それに政府が気づいて、いまさら調査するまでもなく、調査もむろんしなければなりませんが、私どもとしては、政府がそのくらいのことは負担して、今日の農民の是正をはかる根本的な問題として、そうやるべきじゃないか、こう申し上げておるのです。
  113. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 全部負担するということは困難でございますけれども負担の軽減につきましては、一そう研究していきたいと考えております。
  114. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それでは、この問題については私は終わりたいと思いますが、ちょっと大臣に。なかなか大臣来てもらえませんので、お尋ねしておきたいことがあるのですが、大臣は、先月の末ですか、脱脂粉乳の入札があったことは御承知でございますね、畜産事業団のほうで。御承知でなければ御承知でないでもよろしいです。
  115. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 入札は、あったことを実は承知しておりませんでした。
  116. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この問題で、きょうは多く御質問はいたしませんが、大メーカーの買い占めによって、早く言うなら、大メーカーが入札したということに間違いないのですが、したがって、中小企業の組合は非常に困っておる。品不足ということは大臣も御承知でしょう。こういう問題で、大臣は御承知ないということでありますれば、また、私は追って御質問申し上げますけれども、現在、品不足になりつつあるという現状から、この前の入札をやって、また、きょうの示達によりますと、入札をやるはずです。きょう私それ見ましたが、かなり中小企業においては混乱状態が起こっております。これを大臣が御承知ないということもおかしいと思うのですけれども、追ってその問題は、御承知なければ、次の機会に御質問したいと、こういうふうに思います。  終わります。
  117. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私も実際に知りませんので、よく報告まだ聞いておりませんので、報告聞きまして、次の機会にお答え申し上げます。
  118. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先ほどの登記の問題につきましては、私御答弁したとおりと御了解願いたいと思います。  くだいて申しますと、所有権その他の移転に関しましては、申請主義でございまして、申請するのに、許可が要す場合は、許可証を添えねばならない。そこで、農地法の許可証を添えることになります。  それから、不動産の表示の問題につきましては、職権主義でございますから、登記官吏がその状況を見てやるという建前になります。  そこで、今度は運用の問題でございますが、後者の場合にいろいろ弊害がございますので、私のほうで、昨年法務省に申し入れをいたしまして、その後者というのは、地目が、形状が変わった場合でも、登記原因を証明する書類として許可証を取るように、今後運用上心得てもらいたい……失礼いたしました、地目の表示の問題については、農業委員会に問い合わせて確認をしてもらいたいということで、法務省と話し合いとして、了解事項をつけております。
  119. 青田源太郎

    委員長青田源太郎君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後四時三十四分散会      ―――――・―――――