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1964-03-31 第46回国会 参議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三十一日(火曜日)    午前十一時三十五分開会     ―――――――――――――  委員の異動 三月三十一日   辞任       補欠選任    米田  勲君  大河原一次君     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     青田源太郎君    理事            梶原 茂嘉君            櫻井 志郎君            森 八三一君            渡辺 勘吉君            北條 雋八君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            北口 龍徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            野知 浩之君            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            山崎  斉君            大河原一次君            大矢  正君            小宮市太郎君            戸叶  武君            矢山 有作君            安田 敏雄君            高山 恒雄君   国務大臣    農 林 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    農林省農政局長 昌谷  孝君    農林省畜産局長 桧垣徳太郎君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    食糧庁長官   齋藤  誠君    水産庁長官   庄野五一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁業務第二    部長      中島 清明君    食糧庁業務第二    部食品課長   大山 一生君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件農林水産政策に関する調査  (日韓漁業問題に関する件)  (畜産物価格に関する件) ○農業改良資金助成法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通  臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○甘味資源特別措置法案(第四十五回  国会内閣提出、第四十六回国会衆議  院送付)(継続案件) ○沖繩産糖政府買入れに関する特別  措置法案(第四十五回国会内閣提  出、第四十六回国会衆議院送付)  (継続案件)     ―――――――――――――   〔理事梶原茂嘉委員長席に着く〕
  2. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ただいまから委員会を開きます。  都合により私が委員長の職務を行ないます。  議事に入ります前に、去る二十六日の本委員会における委員長発言について委員長から発言を求められております。青田委員長
  3. 青田源太郎

    青田源太郎君 前回の委員会におきまして米田君の御発言に関連し、私が穏当を欠く発言をいたしましたことは、まことに遺憾に存じております。このため委員各位に御迷惑をおかけしましたことを、ここにおわび申し上げます。今後は言動を慎み、委員会の運営について遺憾なきを期したいと思います。
  4. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) なお、委員長穏当を欠く発言に関する部分等は、これを会議録から削除いたしたいと思いますので、御了承をお願いいたします。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  5. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 法案審査に入る前に、小富者及び渡辺君から発言を求められておりますので、これを許可いたします。小宮君。
  6. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 私は赤城農林大臣お尋ねしたいのですが、なかなか大臣お忙しいようで、当委員会にはなかなか御出席ができなかったので質問をする機会を得ませんでしたが、お忙しい理由韓国との漁業問題についてのお話し合いということを新聞で実は知っているような程度でございますが、しかし、なかなか進捗を見ているようで、まあ一方においてはもう大詰めに来たのじゃないかというようなお話もあるのですが、どういうような経過をたどって今日に至っておりますか、その点を大臣からお聞きをしたい、こういうふうに考えるわけです。
  7. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 新聞でも御承知だと思いますが、向こう農務長官と私との間に漁業の問題について話を進めておるわけであります。  いきさつから申し上げますと、私は、専門家会議をやっておりましたので、専門家会議の話があまり詰まっておらないのに農林大臣会談をするのは少し早いのじゃないかという感触を持っておりました。感触を持っておりましたが向こう側から農林大臣会談をしたいということでございますので、農林大臣会談をいたしておりまして、都合いままで九回農林大臣会談をいたしております。  問題は朝鮮海峡韓国の周辺におきまする漁業、魚族の資源としての維持保存というようなことが中心でございますが、その前提として李承晩ラインというものを、私のほうでは認めておりませんが、これを撤去させる、やめさせるということが一番大きな限目でございます。この点につきましては、大臣会談におきましても、当然それを前提として話を進めておりまするが、それを存置すると、会談がきまっても存置するというようなことは、一度も向こうから言ったこともございません。したがいまして、この会談がきまればいかなる名前においても李承晩ライン的なものは撤回するということになっておると私は信じております。また、そういうことを前提として進めておりまして、そこでいまの共同漁業の種族を保存するということになりますと、共同規制区域というものを設けなくちゃなりませんが、それを設ける前提といたしまして、専管水域というものをきめていかなければなりません。専管水域の幅につきましては、当初韓国側基線から四十海里、こういうことを主張いたしておったのでございますけれども、それはいけない、これは一九五八年及び六〇年度の領海及びそれに接続する地域の条約等もありまして、日本韓国も同意しております。まだ条約は発効しておりませんが、それから見れば十二海里ということになっておりますので十二海里を主張し、十二海里ということで話を進めております。ただし、その十二海里をはかる基線については、低潮線基点としてやるのかということでございますが、それが原則でございます。しかし、陸地が非常に錯綜して入り組んでおったり、島が非常に多いというような場所は例外として、島と島を結ぶというような直線基線を基準として専管区域の幅をはかっていく、こういうことを例外として認めておりますから、私どもは低潮線基線としてやる原則で進めておりますが、韓国の西及び南側は非常に島が多くて陸地が入り組んでおる。ここは直線基線基点として十二海里の幅を設けるべきだ、こういう趣旨で進めておるわけでございまして、ところがその幅をきめる前の直線基線等についての意見がまだ一致しておらぬ、こういう状況でございます。  第三番目の今度はそれから先の、日本で言えばこちら向きでありますが、共同規制区域における漁獲量をどういうふうに協定して、そして両国の資源を保護していくかという問題でございますが、これにつきましては韓国側漁獲量というものを中心としてきめていただきたい、こういう意向でございました。それは無理だ、定置的な漁種でもございませんし、回遊魚でありまするし、共同規制区域を設けたといたしましても、その以外においても同じような魚類の漁獲もあるのだから、漁獲量できめるということは無理だ、結局船の数で隻数でこれを規制するということが必要だ、その規制方法は公平で、両方公平に、そして実績を尊重していくべきではないか、こういう考え方から隻数の問題を進めておりますが、この問題等につきましてもまだ一致を見ません。それから韓国漁業は非常に劣勢でございますので、たとえば公平に隻数等をきめたといたしましても、非常に弱勢ですから、それだけ実績を持っておりませんから、そういうふうにいかない、伸びていない現状、そういう意味において漁業協力の金をほしい、こういう話があります。しかし、これはもう日本で出すべき金というものはきまっておるのであります。まあ請求権にかわる金はきまっておる。ですから政府間ベース等において金を出していくことは絶対にできない。民間で必要な船をお買いになるとか何とか、そういうことはあり得るし、そういうことについての延べ払いというような民間ベースにおけるやりきたりというものは、いままでの例がないわけではないから、そういう例でやられるならば、そういう協力もでき得る。こういう話し合いをしております。これは民間のことでございますから、私どもがどうこうということできませんが、政府間ベースになるおそれがありますから、政府間ベースでなく民間でやるということに実例等を話してそれを了承されたい。こういうことにしております。以上が折衝中の経過でございます。
  8. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 大綱については、いま農林大臣経過でわかりました。しかし、少し問題を掘り下げて実は聞きたいんですけれども、その点はあとに回しまして、もう少し一、二点についてお聞きして、こまかい点はあとに回します。その一つは、李ラインはわが国はもちろん認めておりません。しかし今日まで李ラインにおいて多数の日本漁船、多数の漁民が拿捕されました。相当水産会社あるいは漁民損害を与えているわけです。これは事実です。しかしまあ、この会談が取り結ばれれば、当然李ライン撤回する。このように韓国側撤回するだろうということを信じておる。こういうように農林大臣はいまお話しになったわけです。しかし、これはもともと国際的にもわれわれは不法なやり方であるとこういうように今日まで思っております。当然日本においても認めておらぬわけですから。このごろの新聞を見ますと、韓国の実情は新聞よりわれわれはわかりませんけれども李ライン韓国民としては絶対に死守するんだ。こういうように国民は言っておるようであります。国会でも与野党全会一致で決議をしております。こういう状態でございますが、農林大臣は信じておっても、韓国側が絶対李ライン撤回しないんだ。いままでもそれを不法にもやり通してきたんですが、一体日本国民にそういうものを説明して了解され時る十分な自信がおありですか。
  9. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私ども李承晩ライン撤回させることが、日本漁民としても日本の国としても、漁民としてはまあ悲願ということだろうと思います。ですから撤回させることが目的だ。それには外交折衝というものは撤回しろ撤回しろといって腕をふるっただけで撤回するわけではございません。そういうわけでございますから、結果において撤回させるというような交渉方法をしておる。信じておるというわけではございません。そういう具体的な交渉をして、これを撤回するんだ撤回するんだと強く世論を起こせば、向こう撤回しない、これは話はまとまらぬことになるのです。私は撤回をさせるつもりでやっておる。これは事実上ソ連との関係なんかでもブルガーニン・ラインというものを引きました。しかし漁業交渉ができましたらブルガーニン・ラインというものは当然これは撤回された。なくなった。こういう関係でございますから、私は口でだけ撤回する撤回する、撤回させろと、こう申しておったんでは、なかなかこれは撤回することができないと思います。そういう意味におきましては、私は、当然、向こうの代表からも、そういう感触というか、話はちゃんと受けておりますけれども、卓をたたいて腕を振るって、撤回撤回ということをやっておったんじゃまとまらない、こういう交渉のしかたをしておるんで、決して信じておるだけで交渉を何にもしていないということじゃございません。でありまするから、あまりこの問題を、旗を振って撤回撤回だと、撤回ということをちゃんと証文書かなければもう交渉はせぬと、こういうような態度では進んでおりません。しかし、必ず交渉がまとまれば撤回させるという方針で、私は進めております。また、撤回できなけりゃ、これはやめにするよりほかないです。最後に。それができないようならばもうやめるよりほかない。ですから、そういう態度で進めておりますから、その辺はひとつおまかせ願って、あまり旗を振って撤回だ、撤回だじゃ、これはなかなかむずかしいと思います。しかし、ぶっこわすというんなら、これはもう初めからやりたくないんだから、撤回撤回だということだけでこれをこわしていったらいいと思いますが、私はやっぱり、私の考え方ですが、中共との間におきましても、いま国交は回復しておりませんが、民間漁業協定はできておるんです。ソ連共産国家でございますが、ソ連との間においても、平和条約はできませんが、国交は回復して漁業条約ができておる。あるいは自由国家のアメリカ、カナダとの間においても条約ができておるし、またオットセイ条約等、国際的な条約もできておる。こういうことでございますから、私は漁業の問題は、特にイデオロギーとか何かを抜きにして、やっぱり、できるならば漁業協定はつくっていきたい。つくりたい。しかし、それが対等でなかったり、非合理的であったりしてはいけない。ことに韓国の問題につきましては、李承晩ラン撤回ということが前提でございます。前提でありますが、それをきめなければ、最初に証文を入れなければもう話は進まぬぞということでは、これはなかなか漁業協定はできないと思います。しかし、協定ができたときに必ずこれは撤回させる。また撤回しないということであれば、この漁業協定は全部御破算と、こういう態度で進んでおる、こういうことを御理解願いたいと思います。
  10. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 私は新聞で知っているのは、朝鮮の、南朝鮮韓国というわけですが、漁民は、四%程度だと承知しているわけですが、まあ多くて五%程度でしょう。その漁民李ラインを死守するというんでなくて、国民全体の中からそういう声が出ているということに重大性がある、こういうふうに思う。それで、いまおっしゃるとおりに、反対だ、撤回撤回だと旗を振ったから撤回するというものじゃない。それは私も十分承知しておりますが、しかし、日本国民に、李ラインがほんとうに撤廃されるという説得というか、されるという信用をさせ得るかということですね。というのは、もっとこまかに申し上げますと、日本漁民はいまいろいろな会合を持っておるようです。李ラインが撤廃されるか撤廃されぬかというのは、非常に重大な漁民自体の問題なんです。直接。規制の問題はもちろんこまかい問題でありますから、これはまたあとで聞きたいと思いますけれども、そういうわけで、日本漁民に対して納得させ得ると信じておられるけれども、事実撤回をさせ得るような、納得させるあなたの自信があるかということなんです。一点はそれなんです。  それに引き続いて、同じことですけれども引き続きまして。いままで漁民は大きな犠牲を受けているわけです。漁船を拿捕される、漁民は、長いのは三年間でしたか、とにかく抑留されて刑務所に入れられておる。家族もろとも非常な苦痛を感じてきておるわけです。そういうものを政府は、たいして、十分なめんどうをみてきていないと私は思うのです。だから、そういうような問題もありまして、まだまだ、会談がそういうふうに進んでも、信頼するという、そういう感じが漁民に私はないと思うのです。ないとは断言はできませんけれども、薄いと思うのです。だから農林大臣は、それを信頼させ得るような自信があるか、こういうのが私のさっきの質問趣旨なんです。と同時に、いままで被害を受けた漁民その他に対してどういう措置をなさるかですね、そこのところをひとつ聞き取りたいと思います。
  11. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは説得したとしても了承されるかされないかは別でありますが、私はこういうことでいいと思うのです。漁業条約ができるということは、できたらもう李承晩ラインはなくなる。李承晩ラインがあるということになれば、漁業条約といもうのはやめたいと思う、こういうふうに考えるのであります。だから、事実を見てもらいたい。結果を見てもらいたい。漁業条約ができれば、李承晩ラインは当然なくなる。なくならぬということであったならば、これはもういまのとおり、こうするよりほかないのだということで、漁民の了解を得てもらうよりほかないと思います。事実において。そういうことが第一点でございます。  第二点は李承晩ラインがあるために抑留されて、船あるいは人の損害が非常に多いのでございます。これにつきましては、漁船保険等に入っていないもの等につきましては、見舞いということで、国内から相当の金を出しております。去年でしたかにおきましても、サンフランシスコ平和条約ができる前の漁船抑留等につきまして、あるいは漁船保険に入っていないもの等につきましても、多年の懸案でありました問題を、私は閣議で強く言いまして、この解決をはかって、見舞い金を出すことにいたしました。しかし、これは日本の国のほうで出している見舞い金その他でございます。韓国に対しましては、そういうことがあるつど、-損害賠償請求権を留保して要求してずっときておるわけでございます。そういうわけでございますから、今度の漁業交渉につきましてその請求をいたしております。損害賠償請求をいたしております。額等につきましては、いまいろんな積算もございますので、その額等はまだ明示しておりません。まだここで申し上げるところまでいっておりません。また、申し上げるべきものじゃないと思います。ですから、漁業の問題が解決するときに、あるいは日韓の問題が全部解決するときに、この損壊賠償請求というものも解決を、何らかの解決を見なければならぬ問題である、また、解決すべきものであるというふうに考え、進めておる次第でございます。
  12. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 日韓漁業の問題については、まだまだ重要な問題がありますし、お尋ねをしたい点は非常に多いわけです。しかし、まだ大臣お尋ねをする法案もありますので、この次大臣の御出席を求めまして十分御質問をしたいとかように思います。  きょうは私の質問はこれで打ち切ります。
  13. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 渡辺君。
  14. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、大臣に二つの点にしぼって納得のいく答弁を求めるのでありますが、一つは、昨年の十月から乳業会社から生産者が一斉に値下げ通告を受けまして、県によっては県段階調停委員の議を経て、岩手なり、青森なり、群馬、秋田のようなところではさらに中央調停に持ち込んで、監督最高責任にある大臣にもすでに御配慮をいただいておるのでありますが、この調停の結果がどうなったか、完全に期待どおり復元措置がとられたのであるかどうか。でないとすれば、詳細にその調停された内容をまずお伺いをいたしたいわけであります。これを先に伺ってから次の質問に入りますが、これは後ほど御答弁をいただきます。  第二点は、畜産物価格安定等に関する法律の第三条によって三十九会計年度における政府価格告示をするきょうは日になっておる。過般開催されたこの審議会においても三様の答申が出ておるが、これについて大臣は、どういう点を尊重してきょう告示をされようとするのか、その具体的な内容とそのお考えを第二点としてお伺いいたしたいと思うわけであります。質問都合もあって、まず第一点からお答えを願いたいと思います。
  15. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 岩手県その他から中央調停に持ち込まれておりまする案件につきましては、中央における調停委員のもとで、一月以上も連日連夜かかりまして調停に奔走いたしました。その結果、調停ができたわけでございます。もちろん、生産者側からいいましてもあるいは業者側からいいましても、利害が対立しておりますので、心からそれでよろしいというようなものではなかろうと思います。  私のほうといたしましても、この調停が万全なものであるというふうには考えておりません。考えてはおりませんが、両方の事情その他の事情調停委員がずいぶん骨を折ってきめたことでございますので、やむを得ない調停案だ、こういうふうに考えています。  調停案内容は、四件ございます。一つの例を申し上げますならば、  岩手経済農協連合会及び雪印乳業株式会社は、その紛争にかかる岩手県における昭和三十八年十月から昭和三十九年三月までの牛乳の売買価格について、次のように定めることを目的として、その具体的内容につきすみやかに協議を行なうこと。  昭和三十八年十月から三十九年一月まで五十円十三銭、三十九年二月、これが五十三円十三銭、三十九年三月、これが五十円十三銭、いずれも集乳所渡し、一・八七五キログラム当たりでございます。昭和三十九年二月及び三月分の生乳の売買価格のうち、五十円十三銭については昭和三十九年三月三十一日までに支出するものとし、その他の分については同年四月一日から同年三月三十一日までの間に支出するものとする。これは秋田県の農協秋田協同乳業会社との問も同じでございます。それから全販連と雪印乳業会社の間も同様でございます。秋田の経済連と雪印、同様でございます。なお岩手農協明治乳業会社との間も同様でございます。これにつきましては、この調停案に両者とも納得しておる、こういう結果になっております。
  16. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの大臣の御答弁では、調停を依頼した双方とも納得したということでありますが、しかし、私は真に生産者の立場に立てば、これは納得しがたき内容と受け取らざるを得ないわけであります。と申しますのは、これはさかのぼった問題でありますけれども、一昨年の十一月から大メーカーは一斉に同じ値幅の通告を発しまして、その際にこれらの大メーカー申し合わせをし、かなりこれは独禁法違反の疑いが濃い問題であり、それに対してとられた政府措置も、その時期が遅延して、引き下げ理由であるところの製品の過剰在庫というものを一掃するための買い上げ措置もおくれておる。したがって、本来ならば一昨年の十一月に遡及して復元すべきものが、御承知のとおり去年の三月に遡及したにすぎないという経過があったわけであります。その際にメーカー側は、あたかも夏乳価冬乳価というものと時期的に格差をつける意図をもって、十月以降は再び奨励金廃止というふうな申し合わせをしたような事実もあったわけであります。そのことが、はしなくも今回具体的に一斉値下げになってあらわれておるわけでありまして、労賃の高騰なり、あるいは購入飼料の高騰なりというような諸般の悪条件の中で、諸物価がすべて高騰しておるときに、乳価だけが不当に引き下げられるということは、それは選択的拡大と称する酪農にとっては、大きな問題点であるわけであります。したがって調停の結論というものも、当然十月に遡及して、引き下げ通告内容の二円を復元するということが全国の生産農民の注目し、期待しておった点であるわけであります。しかるにただいまの御答弁では、二月に一円を復元し、三月にやっと二円の復元をするということでは、真に行政の監督の衝にある大臣のとられた適切な措置であるとは認めがたいわけであります。再びこれを、さらに強い勧告をして十月に遡及してこの値下げ撤回させるという措置をおとりになれないものですか、この点をお伺いします。
  17. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 考え方としては、私も決して御同感するにやぶさかではございませんけども、これはやはり制度というものに関連して考えませんと、現実的にはなかなかむずかしい問題です。いろいろ私も検討してみましたが、これは政府で買っておる、こういうものであるならば、これは非常にやりいいのでございますが、政府で買っているものではない、根本的な自由取引関係だと、そういう関係で自分でやっていけない、それ以上買えない、こういうことになりますというと、これに強制的に買わせる、こういうことは非常にむずかしいというか、でき得ない問題でございます。さりとて、これは今度は生産者側から申し上げまするならば、この間矢山さんからお話がありましたように、ほかへ一般に売れる問題ではない、どこへも売れる問題ではなくて、これは一定の乳業者よりはほかには売れないのだと、こういう関係に立っております。でございますから、これは私も生産者の立場に立てば、十月からというような考え方をいままで捨てたわけではないのでございますけれども、どうしてもそれ以上はもう買えない、会社がつぶれるといいますか、そういう関係であるということになって拒否されれば、これは強制する方法はございません。でございますから、私はこの調停はやっぱり適当なところである。問題は、制度等を考えませんと、やはりなかなか制度面において前進いたしません。現在のままでは非常に言うべくしてでき得ない状況である、こういうふうに私は感じておるわけでございます。
  18. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は、この復元を困難にしていることは、次にお尋ねする農林省の三十八年の原料乳の価格告示にも大きなこれはブレーキの要因を認めざるを得ないわけであります。制度的な問題として前向きに解決しなければならないという大臣の御答弁には、私もこれは賛成するにやぶさかではございません。すみやかにこうしたものをもっと制度の上に乗せて、政府がこういう将来起こるであろう問題を、直接的にも行政的な立場から最後に責任を持つという方向に、いまの御答弁の中にあった制度的な方向ということをお考えになっておられるかどうか、このことをお尋ねいたします。
  19. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは私も前々から感じておりましたが、今度の問題等につきましては痛感いたしております。でありますので、もちろん事務当局にいま検討を命じておりますけれども、私自身としても制度的に前向きに検討しなければならぬ問題である、こういうふうに考えております。
  20. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それは重ねて制度的な問題については前向きに考えるという御答弁でありますから、これをすみやかに検討の段階から実施の段階に移る強力な措置を期待してこの調停価格の問題については一応質問を終わりますが、ただ問題は、この大臣答弁でも触れられましたように、十月まで遡及しなければ破産する、いま破産するということばを使われましたが、そういう経営分析まではたしてされたのかどうか。私はそれを単にメーカーの一方的な申し出によってこれをやったならば、会社の経営が成り立たぬというような抽象的なおどし文句でまさか引き下がったわけではないと思うのでありますが、自由化をめぐる乳業資本の経営戦略というものが、従来考えておったような産業資本的な傾向から商業資本的な傾向へこれは移りつつある実態を認めざるを得ないわけであります。さらに、その商業資本的な側面というものを考えますと、これは単に国内市場だけではなしに国際市場の場で商業資本的な発展というものがかなり今後強められることが考えられるわけであります。このことが国内酪農民の乳価の値上げ要求という切実なものを抑圧して低乳価に固定させる手段としてもこの商業資本的な機能というものが大きな役割りを持っておるものと言わざるを得ないわけであります。で、この自由化の影響というものは、乳業資本の介在によって、低乳価への固定化をもととしてこれがあらわれてきておる。現在すでに牛乳生産費を保障し得ざる水準に固定されておるということでありますから、この影響が全般的に深刻化してまいったならば、これは酪農の大きな危機というものにつながるわけであります。一体、この危機の段階に立っておる酪農というものを踏まえて農業基本法を政府では制定された。そこで、言うところの選択的拡大畜産は三倍、果樹は二倍という今後の選択的拡大の方向という目標が示されておる。一体、それが可能であるかどうか、そういう点をお伺いしたいのであります。最近では生糸が成長作物であるという一つの方向で、養蚕を拡大して増産をせよという方向が出ておる。そこで農家は桑を切ってえさ畑にこれをつくりかえておる。多頭飼育に努力を重ねておる。そういう農家としてはまさに混乱のさなかにほうり出されておる現実の姿であります。で、乳製品が国際商品として弱い立場にあるということ、自由化の進行路線は、非自由化の中で現実に自由化が進められておる。そういうことは当然考えられるのに、一方ではジャージーの輸入をしたり、あるいは集約酪農地域の指定をしたりして選択的拡大の奨励もやっておる。一体、どこに国の政策の中心があるか疑いなきを得ないわけであります。大臣はかつて茨城県の農協中央会長をやられたこともある方であります。で、この乳価の問題は、そういう乳業資本の商業資本的な機能の発揮というものの中に定着をさせられておる。そういう中にむしろ乳価の問題は、第三のこれは大きな危機に突入していると私は思うわけです。昭和二十九年――三十三年には第一回の戦後における酪農の危機がおとずれました。この当時は酪農民の問題意識というものは非常に低調であった。そのことが何ら政府にも反映がなかった。しかし三十六、三十七年になりますと、もはや農民もこの危機意識というものを、現実の酪農経営の中ではだに感じて政府に対して要求し抵抗した。こういう経過があるわけでありますけれども、なお特定の酪農家を除いては、国家独占資本の性格が十分理解されないために、資本と政治の結びつきというものが理解されないため、政府交渉した場合は会社に責任が転嫁される。会社に団体交渉した場合には政府に責任を転嫁されるというようなことで、結局はなしくずしの低乳価の押えつけということに定着をさせられておるのが実態であると思うのであります。私は、過般、この三十九年度の乳価を決定するにあたって、全国の農協中央会長あるいは経済連会長が一同に会して、あるいは各政党、あるいは政府に対して、乳価の生産費、所得補償に基づくものを要求する。その補償の手段としては、政府でそれらの価格を補償して、現実に酪農家がメーカーと取引をした価格がその補償価格を下回る場合は、不足払い等の措置によってこれを政府で補償してくれということを、これらの農協の代表者が統一した意思をもって農林大臣にも要請したと思うのであります。そういう点を踏まえて、一体、かつて戦後、農協中央会長をやった赤城農林大臣は、かつての同僚である生産者農民の代表のそれらの切実なる要求というものを、三十九年度の原料乳価あるいは枝肉等の価格告示するにあたって、どれだけそれらの切実な要求というものを、事務的な考慮を離れて、選択的拡大とあなた方がみずから農業基本法でうたっているそのものを忠実に推進するために、審議会では三本に答申が分かれておる、その一体いずれを重視して告示に移される御意図があるか、その点をお伺いいたしたいのであります。私から見れば、これらの二十四人の法律に定められた政府の諮問機関である委員も、メーカーの代表もあれば、生産者の代表もあり、学識経験者と称するが実はメーカー側にきわめて片寄った考え方を持っておるものもある。したがって、こういう委員の構成からいえば、昨年は二本建ての答申が出ておる。ことしは三本建てになる。これは当然政府で考える路線だと思うのであります。各新聞の論説は、したがってこういう審議会のあり方をきわめてネガティブに取り上げておる。予想される路線に政府は引っ張り込んでいるのじゃないかというふうにさえ疑いたくなるのでありますが、社説そのものがそのことを指摘しておる。もはや価格そのものの問題ではなしに、政府ではいさぎよく選択的拡大という旗を下ろすか、あるいは英国等で行なわれているように、農業団体が要求しているように、政府が生産費、所得の価格を補償して、実取引との差額を不足払いにするか、そのいずれかを基本的に選ばなければならない大きな基本的な問題に当面しておる。たとえば朝日新聞の社説はそういう取り上げ方をしておるわけであります。具体的には、生産費所得補償方式で政府告示をすべきであるという意見、一・八七五キログラム当たり、これは工場渡しで九十三円、三十八年度は工場渡し五十三円であります。この工場渡しということは、当然生産者が受け渡ししておる場所は集乳所であります。集乳所から工場までの持ち込み運賃は全国平均で一・八七五キログラム当たり六円のはずであります。だとしますと、集乳所で生産者が受け取る手取りは、三十八年についてはこれは五十三円から六円を引いたものが集乳所渡し価格になっている、こういうきわめて想像もつかないような低乳価告示したことが、私は前段にお尋ねをした中央調停委員会におけるこれは業者がなかなか復元をがえんじない大きなブレーキの一つになっているというふうに考えるわけでありまして、真にこの酪農を選択的拡大の大きな品目として今後も考えていかれるのか。いかれるとすれば、きょう予定される価格告示は、これらの審議会の答申を経て大臣は大所高所からいかなる価格告示をされる御予定であるか。あるいは決定したなら、その内容具体的にお聞かせを願いたいと思います。
  21. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどから申し上げておりますように、酪農、畜産等を強力に振興させなければならぬという問題と現実の問題につきまして、非常に開きがございます。したがいまして、安定基準価格の決定等につきましても、生産者所得補償方式というようなものをとるということになりまするというと、これは全然まあ買い得ないというような結果におちいるだろうと思います。また生産費、所得補償方式というものが米のような問題なら別でございますが、全部のものの消費というものまでは自由にいっておりません。ですから考え方として私は生産者は生産力を得たいということは当然だと思いますが、全部の商品がかりに生産費、所得補償方式ということにしたらどういうふうになるか。中小企業の生産品も、あるいはすべての商品が生産費、所得補償方式ということになりまするというと、これは非常にむずかしい問題になろうかと思うのであります。そういう点から考えまして、生産費、所得補償方式でいまいくというのには非常にむずかしかろう、こういうふうに思っております。そこで答申の点のどれをとるかということでございますが、私は現実的に両方面におきましてこれは不満であろうと思いますが、現実的に行ない得るという程度で、今度は告示せざるを得ないのじゃないか。しかし、これは生産者等その他によりまして非常に不満であり、それでやっていけないというものが私はできるのではないかと予想はされます。そういう面におきまして、いまの帯産物の価格安定等に関する法律とか、あるいは酪農振興法というものの基礎の上に立ってはちょっと現実の問題解決が困難だと思っていますので、これは制度的に改めていくということを考えなければならぬのじゃないか、そのために検討していきたいと思っているのでございますが、そういう意味におきまして、現在の法律のもとでやっていくということになりまするというと、安定基準価格等につきましては、そう思い切ったもので告示するということは非常にむずかしい、こういうふうに考えておりますが、これにつきましては目下なお検討中でございます。
  22. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 その目下検討中ということだから、私は非常に期待をしてお尋ねをしているわけです。この畜安法の第三条によって、毎会計年度、当該年度の開始前に安定価格をきめなければならないということになっていますから、どうしてもきょうじゅうにこれを告示をしなければならない、そういう段階でまだ検討中であるというから、私は貴重な時間をさいてお尋ねをいたしておるのであります。具体的に一体大臣はどういうふうにこの告示をされようとするのか、もっとわかりやすくひとつ御答弁を願いたい。繰り返しますけれども、答申は三本路線が出ておる。一つの線は生産費補償方式で工場渡し九十三円以上という答申が出ておる。一つは開放経済に立ち向かう立場に立つ乳業資本家としては現状据え置きという答申が出ておる。もう一つの答申はその中間的なものが出ておる。これは当然予想される既定のコースだと私は思う。それは審議会のメンバーそのものから出てくる。そうしてこの審議会もきわめて混乱した中に、いかようにでもとれるような幅が答申に出ておる限りは、あと農林大臣のこれは次元の高い立場でいかにきめるかということが残されているだけであります。その場合に大臣は農業基本法でいうところの、私はいまの、これらの畜産物が国家統制になっているなどとは考えているわけじゃありませんけれども、少なくとも米麦に次ぐ重要な作物であることは、これは異論のないところでございましょう。とするならば、この将来にわたる需要の増大に対応してアメリカの余剰農産物の一端として脱脂粉乳等を入れて学校給食に回すなどというような方向をここで変えて、国内にそれだけの固定した、安定した市場があるから、それに充足するためには、国内の酪農の生産というものは、今後飛躍的に政府の政策よろしきを得て伸ばしていかなければならないものだと思うのです。そういう基本的な路線に立った場合には、当面はこれは価格政策で政府も大きな財政負担を皆負わなければならない、当然のことだと思うのです。しかし、国際競争力の弱い国内の酪農をそれらの国際競争に対抗できるためには、基本的には酪農のよって立つところの生産基盤の整備というものに国家資本を多量に投入することによってのみ可能である、これは将来の問題であります。したがって、さしあたりは価格による保護以外にはこれを伸ばしていく手段はないというても過言ではないと思うのであります。その際に、諮問に出したようなああいうものを一体端数を切り上げる程度にされるのか、あるいはここで乾坤一番、酪農の飛躍的発展をはかるために告示をお考えになるのか、お考えになるとすれば具体的にはどういう一体、きょうの午後十二時までに告示をされるのでありますから、大臣にもかなりの腹は固まったはずであります。その点を国会でひとつ明らかにしていただきたい、こういうことをお尋ねしておるわけでありますから、もっと納得のいく具体的な方法というものをお示し願いたいわけであります。
  23. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ですから、三案ともありますけれども、私は生産費所得補償方式、こういう方式はとるべきじゃない、いまとてもそういうことはとり得ないということを申し上げております。あと二つの点等につきましても、やはり政党政治でございますから、わがほうといたしましても、いろいろ調査その他検討をいたしております。そういうところともはかってみなければなりませんし、あるいは財政の負担をするというようなことでございますから、大蔵大臣とも話し合いをしなければならぬ、こういう段階でございますので、いまどれくらいの額かということは申し上げかねます。けれどもほんとうに渡辺さんの考え方について、私はそう考え方を違わせておるのではございません。先行き、ほんとうにこれはこのままでやっていけないのだというところへもう直面しておると私も考えております。しかし、現在それじゃ価格政策でこの酪農振興を続けていくか、そのためにいま出ておる価格のどれをとるか、高いほうをうんととれといっても、なかなかそれがこの実施につきましても困難な事情等もありますので、そういうこと等検討しつつ、本日中に告示をしなければならぬということになっておりますので、いろいろ検討いたしておる段階であります。いま直ちにどのくらいかという額をお示しするということはできかねるのでございまするので、それは差し控えさせていただきたいと思うのでございます。
  24. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょっと関連してお伺いしたいんですが、おそらく農林大臣も、いまの酪農の現状というものは、よく御承知になっておると思うのです。私どもがいただきましたこの三十七年度の牛乳生産費の調査がありますが、これを見てもほとんど赤字なんです。まあどうにか北海道は別といたしまして、ある程度その他の府県で赤字を出していないというのは、五頭以上の平均の飼養農家だけだというこれは政府の調査資料ですからね。そういうことが出ているわけです。ところが、その反面、じゃあ日本の酪農家の飼養規模というのはどういう状態なのか。これも調べてみますと、これも政府で出していただいた資料なんです。一、二頭までというのが圧倒的なんです。五七%を占めておる。五頭以上というのは六、七%しかないのです。全飼養農家の。そうしますと、現在の日本の酪農がいまの価格でいかに成り立っておらないかということを、政府みずからの統計資料でぴちっとわれわれに示していただいておる。その上に立って私どもが考えます場合に、二十五日の予算委員会の第三分科会で、大臣と畜安法の解釈問題でいろいろやり取りをやりましたが、その中で結論として大臣がおっしゃったのは、安定基準価格というのは下ささえの価格である。それは再生産を旨として定める価格である。それは矢山さんのおっしゃるような生産費及び所得補償方式に直ちにいく価格とは私は考えませんが、しかし少なくとも生産費を償う価格でなければならぬと思います。こういうふうに大臣は御答弁になっておる。そういうところからするならばですね、この酪農の現状を踏まえて、大体どの程度のところに、安定基準価格をきめなければならぬかということは、もうおわかりになっておると思う。少なくとも現在の日本の酪農の実態からして、生産費を償うに足る安定基準価格をきめるという責任が、赤城農林大臣には私はあろうかと思う。それは最小限度の場合、それでなかったなら、酪農あるいはその他畜産を選択的拡大だといって、国民にいままで奨励なさってこられたその責任が果たせないだろうと思いますし、先ほども渡辺委員からも言われたように、今後も選択的拡大だというのでこれを進めていかれるならば、そのことを認識してかかっていただかなければならないと思うのです。そういう点で、もし大臣のほうでお考えがあれば、さらに私はもう一歩立ち入ってお伺いしているわけなんで、御答弁いただきたいと思います。
  25. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御意見の点は、よくこの間からもきょうも承知いたしております。承知いたしておりますが、いま価格の点につきましては検討いたしております。申し上げる分には、少し早いと思います。今日じゅうには何とかきめなくてはなりませんが、いま申し上げるところまではいっておりません。
  26. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 きょうじゅうにきめなければなりませんので、まだ考慮の余地があるからこそ、私は委員会の貴重な時間をさいて伺っているわけでありますが、まだその腹案がないということであれば、いずれ午後もこの委員会が続行されて、大臣出席を得て審議をするわけでありますから、それまでにはひとつ大蔵大臣なり、池田総理なりその他と十分相談の上、納得のできるようなひとつ方向というものを、価格内容について御答弁を願うということにして、私のこの問題の質問は終わります。
  27. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) これより農業改良資金助成法の一部を改正する法律案……
  28. 矢山有作

    ○矢山有作君 いまの渡辺委員の話に対して、大臣のほうからきちっと御答弁いただかなければいかぬと思います。そうしないでこのまますぐ次の議題に入られたのでは、これはけじめがつかない。われわれとしては、きょう告示されるから、それだけに非常に重大に思っておるわけです。その辺はひとつ委員長で計らっていただいて、いま渡辺委員のほうから話が出ておるのですから、それをどう扱われるかと、こういうことに対しての御答弁をいただいてから進めていただきたいと思う。
  29. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 午後出てきて、幾らにするということを申し上げるというのは、まだ午後もちょっと時間が少し早過ぎるのじゃないかと思います。そういうふうに考えております。
  30. 戸叶武

    戸叶武君 関連。私は乳価の問題に関連して、予算委員会で実は当初の総括質問のときから、えさの問題一つにしぼって農林大臣質問しようと思ったのですが、農林大臣が非常にお忙しいというので、日韓会談やその他で、私は人がいいものだから、すっかりだまされてしまって、その機を逸したような形になったのですけれども、私は、やはりこのいま乳価の問題とともに深刻なのは、去年からことしにわたって一割も飼料が値上がりしている。年間二千二百億円の需要があるだろうといわれ、また輸入飼料でも一千百二十七億円からの輸入飼料、ことしはもっと多くなるだろうといわれ、しかも巷間伝えるところによると、いろいろな大手商社でもってたいへんなドルを使っていろいろな方面に買い付けが行なわれていくだろう、非常な不安定な形においてこのえさの問題が飼料の問題がいま動いているわけですけれども、農民がかつてやはり米の値段と肥料の値段というものに神経質でございました。今日、政府の指導した選択的拡大というものによって、酪農というものに移行したときに、しかも乳価が安定せず、しかもまた一面においてえさでもってひどい目にあっているという状況では、日本の農民の前進の道というものが、暗たんたるものがあるので、私はこの問題に関連して、やはり大臣にじっくり腰を落ちつけてもらって、これはえさの問題一本にしぼっていきまして、たっぷり追及していきたいと思っているのです。これは日本のいわゆる生産農民全体が具体的回答を待ちわびている問題であります。いろんな形の法案が続出しておりますが、もうすでに火がついているのですから、政府の言うことを聞いていた日には、われわれはこれでは食っていけないというところにせっぱ詰まっているのでありまして、私たちはこの問題を中心としての大衆運動かなんか起こして、政府とほんとうに対決したいと思うので、人のいいことばかり言っておると、いつまでもだまされて、日韓会談なんということでごまかされて、われわれが日本の全体の農民の運命というものをとにかく軽視することになりますから、そうすると、農林大臣というものが日韓会談ばかりに取っ組んでいて、農民全体の問題をおろそかにしているのじゃ、何のための農林大臣ぞや、朝鮮農林大臣ならいいけれども、そういうことになりますから、ひとつこの際大臣から、この問題に関連して適当な機会に、十分時間をもって、もっと日本の農民のために誠実を尽くす、その確約をいただきたいと思います。
  31. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) どうもだいぶ御抗議やら、お口が悪いようでありますが、別に朝鮮農林大臣という気持でやっているわけではありません。農民のためにやっているつもりでございます。いまのえさの問題は、ほかで御承知だろうと思いますが、えさ全体として、飼料全体としていろいろ考えなくちゃなりませんが、とりあえず飼料安定法によって外国から輸入して、政府が取り扱っている飼料価格の問題、これは御承知のように、予算面で去年より高く見積もられています。実際にこれを政府が売り渡すときに、どういうふうにするかということが問題だろうと思います。でございますから、私は、これは予算価格は高くなっているけれども、予算価格どおりに売り渡すことはしない。これは競争入札でと、たてまえからはなっていますけれども、予定価格をきめなければなりません。その予定価格をきめる際には、予算価格のような価格で予定価格をきめて売り渡す、払い下げる、売り渡すということはしない。しからば三十八年度と同じような価格でこれは一切値上げしないということかというお問いに対しては、三十八年度の価格のとおりではなくて、これは幾分上げなけばならぬと、こういうふうに私は考えております。しかし、予算価格ほど上げるという考えはございません。それではいつ上げるのだ、上げるまではどうするのだ、こう言いますから、上げるまでは三十八年度と同じ価格でおきますから、それは据え置きと同じだ、こういう扱いでやっていくということを申し上げておるのでございます。でございますから、これは価格をいつ、売り渡しするというときの予定価格をきめるか、そのきめる時期までは、三十八年度と同じに考えておる。時期をきめるときには、予算価格よりは低い価格になる。しかし三十八年度と同じようなものにはしたくない、しない、こういう方針で進めていますから、それをはっきり申し上げます。
  32. 矢山有作

    ○矢山有作君 いずれにしても、告示を目前に控えているわけですから、渡辺委員の話されたことに対して、このままでわれわれは済ますわけにいかぬわけです。全国の酪農民だけでなくて、全国の農民が、どういう告示価格が出るかということを注目しているのです。したがって、あなたのほうで、大蔵大臣なりあるいは総理なりと相談されて、一応腹固めができた場合に、きょうは夜中の十二時まで時間があるわけですから、その間を徹底的に私どもとしてはお伺いをしたいということです。そうして、さらにつけ加えるならば、いまの日本の酪農というのは、大臣はすこぶるのんきに考えておられますが、私のところには、こうして、こんなにはがきがたくさん来ておる。それを見ると、このはがきは個人じゃないのです。私の地元のそれぞれの市町村の農政の担当者からよこしておる。その中にはどう書いてあるか。いまのような安定基準価格なら、いまのような乳価取引の状態では、畜産は伸びない。政府が何らかの形で選択的拡大を唱えて畜産を奨励し、酪農を奨励するなら、最小限度畜産の当面の問題として価格支持だけは、はっきりとした線を打ち出してくれ、そうしなければわれわれは畜産をやれということが農民の前にいって言えない、こういって農政担当者ははがきをよこしている。そうして、現実は酪農民はだんだん酪農を捨てて日雇いに出ていると書いてあります。こういう現実を認識されて、十分これから大蔵大臣なり、池田総理と相談をされて、そうして腹がきまりましたら御報告を願う。そうしてわれわれはそれをもとにして、さらにこの問題について大臣の御所見を承りたい、こう考えますので、委員長のほうでそういうお取り計らいを願います。     ―――――――――――――
  33. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) これより農業改良資金助成法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案北海道寒冷地畑作営農改善資金融通脇町措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし、順次提案理由の説明を聴取することにいたします。(「委員長、いまの要請をどうする」と呼ぶ者あり)  ただいまの矢山君の御発言につきましては、その趣旨に沿って各派の理事諸君とも話し合いをいたしまして、善処することにいたします。松野政務次官。
  34. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) ただいま議題となりました農業改良資金助成法の一部を改正する法律案の提案の理由と主要な内容を御説明申し上げます。  農業改良資金制度は、昭和三十一年に創設されたものでありまして、国の助成により都道府県に置かれる特別会計の資金をもって農業者に無利子の貸し付けを行なう制度であり、従来、新しい農業技術の導入に必要な資金を貸し付け、農業経営の改善に多大の寄与をなしてきたのであります。  しかしながら、最近の農業をめぐる諸般の情勢にかんがみ、農業経営を技術面において改善するだけでなく、これとあわせて、広く農家生活の改善を促進し、農業者が健康で文化的な生活を営むことができるようにするための施策や、農業経営の次代をになうべき優秀な農村青少年の育成確保をはかるための施策を強力に推進する必要が痛感されるに至っております。  すなわち、農家生活の改善につきましては、従来から、生活改良普及員の普及活動等を通じて推進をはかってきたところでありますが、古い慣習に根ざした農家の生活内容、生活方式には、まだまだ改善の余地が大きく、改善意欲のある農家に対しても資金的裏づけが十分でない等の事情によって、依然として、改善効果が十分にあがっているとはいえないような実情にあります。  また、農業後継者の育成確保につきましては、従来から各種研修教育施設の整備拡充、青少年活動の促進等の施策を講じてきたところでありますが、農村青少年の他産業への流出の原因は、単に他産業との所得格差や農村の生活環境のみに基因するものではなく、農業後継者たる青少年が、家族農業経営の中において、その意欲と能力を十分に伸ばす機会に恵まれていないことにも大きな原因があると思われるのであります。  以上のような観点から、農業改良資金制度を大幅に改正し、無利子の貸し付け金として、農家生活改善資金及び農業後継者育成資金を加えることとした次第であります。  これにより、農業改良資金の貸し付け対象となる農家生活改善資金とは、農家生活の改善を促進するための合理的な生活方式を導入するのに必要な資金であり、農業後継者育成資金とは、農業後継者たる農村青少年が、みずから特定の農業部門の経営を行なう等の方法により、近代的な農業経営担当者として必要な農業の技術、または経営方法を実地に習得するのに必要な資金であり、それぞれの具体的内容は政令をもって定めることとしております。  また、償還期間の最高は、従来三年でありましたが、新たな資金の種類の追加と技術導入資金にかかる技術の高度化の傾向にかんがみまして、これを最高五年に引き上げることといたしております。  以上のほか、農家生活改善資金と農業後継者育成資金について、その他の貸し付け条件、貸し付け要件等を定めております。  以上がこの法律案の提案の理由と主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  わが国の農林漁業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、国是経済の成長発展に即応して、その生産性の向上及び経営の改善をはかるには、農林漁業に対し強力な助成を行なうことが必要であります。そのための施策の重要な一環として、政府は、従来から農林漁業金融公庫を通じ、あるいは農業近代化資金制度により、農林漁業の生産性の向上及び体質の改善のために必要な資金の融通の円滑化につとめ、特に昭和三十八年度におきましては農林漁業経営構造改善資金融通制度を設けて長期低利資金の供給の道を拡充強化してまいったのであります。  しかしながら、最近における他産業の急速な成長に対応し、これと均衡のとれた発展をはかるとともに、国際競争力を強化してゆくためには、農林漁業の近代化をさらに急速に推進することが強く要請されております。このため、昭和三十九年度から、農林漁業金融公庫の融資制度を画期的に改善し、農林漁業の生産基盤の整備、経営構造の改善経営の拡大等に必要な長期かつ低利の資金を飛躍的に拡大するとともに、複雑多岐にわたっている金利、貸し付け期間等の貸し付け条件を大幅に改善簡素化して、農林漁業者に対する資金の迅速かつ円滑に行なうこととした次第であります。  この画期的改善措置の第一点は、資金量の拡充であります。すなわち、三十九年度における公庫の貸し付け計画額は、前年比二百億円増額して一千七十億円とし、三百五億円を政府が追加出資することといたしました。  第二点は、金利の引き下げと金利体系の簡素化であります。まず、現行の九段階に分かれている複雑多岐な金利体系を資金の性格により金利を統一する方向で整理し、原則として三分五厘、五分、六分五厘及び七分五厘の四段階とすることといたしました。ただし、果樹園経営改善、畜産経営拡大等の資金の金利につきましては、その政策的重要性にかんがみ、当分の間、五分五厘といたしております。  また、新たに土地取得、小造林等の資金の金利を三分五厘に引き下げ、三分五厘の資金量を前年度の約二・四倍の四百四十五億円と画期的に増大するとともに、林道、主務大臣指定施設等の資金についても金利の引き下げをはかることといたしております。  第三点は、償還期限及び据え置き期間の改善簡素化であります。まず、償還期限につきましては、現行の十三段階に分かれ個別的に細分化されているものを、原則として三十年、二十五年、二十年、十五年及び十年の五段階に改善整理することとし、土地改良、林道、漁港、伐採調整の各資金等広い範囲にわたって償還期限の延長を行なうことといたしております。また、据え置き期間につきましては、償還期限のうち数とし、二年以内のものを、三年以内に延長するともに、土地改良資金の一部等についても期間延長の措置を講ずることとしております。  なお、このほか、融資ワクの統合、貸し付け事務の改善簡素化をはかり、公庫資金の貸し付けがより一そう迅速かつ円滑に行なわれるようあわせて措置することといたしております。  以上のような農林漁業金融公庫融資制度の画期的改善措置を実施するため、同公庫の貸し付け金にかかる貸し付け条件を定めた規定に所要の改正を加えるとともに、政府の追加出資についての規定を整備する等の必要がありますので、本法案を提案した次第でります。  以下、改正のおもな内容について御説明申し上げます。  改正の第一点は、公庫に対する政府の追加出資及び公庫の資本金の増加についての規定の整備であります。さきに、申し上げましたように、農林漁業の近代化を推進するため、昭和三十九年度におきましては、総額一千七十億円の貸し付け決定を行なうこととし、これに伴い政府が一般会計及び産業投資特別会計から合計三百五億円の追加出資をすることといたしておりますが、特に今回の貸し付け計画額の増加が三分五厘を中心とする低利資金の画期的拡大をその内容としておりますところからも、今後とも政府の追加出資による公庫の資本金の増加が予想されるのであります。このため、政府は必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内で公庫に追加出資できることとするとともに、この場合において、公庫はその出資額により資本金を増加するものとする規定を設けることにより、今後は法律改正の手続を経ずに政府の追加出資による資本金の増加を行なうことができることとしたのであります。  第二点は、監事の権限についての規定の整備であります。すなわち、監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁または総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができることといたしております。これは、他の政府関係金融機関等と軌を一にしまして、監事の権限についての規定の整備をするものであります。  第三点は、公庫の貸し付け金にかかる貸し付け条件の改善整理であります。まず、さきに申し上げました公庫の融資制度の画期的改善措置を実施するため、公庫の貸し付け金の償還期限には据え置き期間を含むこととするとともに、農地等取得資金の金利を三分五厘に改める等、公庫の貸し付け金の利率、償還期限及び据え置き期間について所要の改正を行なうことといたしております。  なお、果樹園経営改善資金、畜産経営拡大資金、沿岸漁船整備促進資金及び沿岸漁業協業化促進資金の金利につきましては、さきに申し上げましたとおおり、当分の間五分五厘といたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。  次に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を提案する理由について御説明申し上げます。  この法律は、北海道における寒冷のはなはだしい特定の畑作地域を寒冷地畑作振興地域として指定いたしまして、この地域内の農業者で営農改善計画を立てて、これに基づいてその営農の改善をはかろうとする者に、農林漁業金融公庫が必要な資金を貸し付けることにより、その地域における農業者の経営の安定をはかることを目的とするものでありまして、昭和三十四年に制定されたものであります。  この制度により農業者が資金の貸し付けを受けようとするときは、所要の資格認定を受けなければなりませんが、その申請の期限は現行の規定によれば昭和三十九年三月三十一日と定められており、これにより、昭和三十八年十二月現在六千六百六十七戸の認定をいたしておるのでありますが、諸般の事情のため、なお今後認定を希望する有資格農家が約五千戸残っている状況であります。したがいまして、この資格認定の申請の期限をなお二カ年延長することとし、もってこの制度に基づく北海道寒冷地畑作地帯の農業の振興を継続してまいることとした次第であります。  以上が本改正法案を提案する理由とその内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。     ―――――――――――――
  35. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 以上三案のうち、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について補足説明を聴取することにいたします。昌谷農政局長
  36. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして若干補足説明を申し上げます。  この法律による営農改善資金の貸し付けを受けようとする農業者は、同法第六条第一項の規定により、営農改善計画を作成して、貸し付け資格について北海道知事の認定を受けなければなりませんが、この認定申請は同条第三項の規定により本年三月三十一日までに行なうものとされております。本改正法案は、この認定申請の期限をさらに二カ年延長しようとするものであります。  昭和三十四年にこの法律が施行されましてから、同法第二条の規定に基づき寒冷地畑作振興地域を二十二地域指定し、北海道を通じまして、この地域ごとに営農条件に応ずる営農方式の例を作成し、地域内農業者に対し営農改善計画の作成について指導するとともに、計画を作成して営農改善資金の貸し付け資格につき、北海道知事の認定を受けた者に対しては、農林漁業金融公庫から長期低利資金の融通を行なう等計画の達成について助成及び指導を行なってまいりました。  営農改善資金の貸し付け資格の認定の経過は、昭和三十四年度千九百二十四戸、三十五年度四百九十戸、三十六年度千三百四十二戸、三十七年度千六百八十五戸となっており、三十八年度にはすでに約一千戸の認定を行なっております。この間、三十六年度には事業実施要領の改正等事業実施方法に改憲を加えましたので、それ以降におきましては認定は順調に進んでおりますが、全体としての認定の進度がおくれましたため、なお相当数の認定希望農家を残しております。すなわち、昨年十月北海道を通じて調査いたしましたところ、昭和三十九年度以降に認定申請を希望する農家が約五千戸存在しております。  これらの認定希望農家の大多数は、三十九年度及び四十年度内に認定申請を行ないたい意向でありますので、このような希望等を勘案いたしまして、この資格認定の申請期限をなお二カ年延長することとした次第であります。  なお、この改正法の施行は、公布の日からといたしております。
  37. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ただいま補充説明のありました法律案について質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  38. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この法律昭和三十四年に制定された法律でありますけれども、その制定の際に、対象農家が全体で四万戸というものを考えておった。この四万戸のうちから、もっと焦点をしぼって、実際の融資対象となるであろうものが二万八千戸というものが策定された経過があるわけです。この二万八千戸のうちで、三十三年度でこういう措置に基づいて認定を終え融資が行なわれるものが二千三百八十戸と想定したので、この法律がスタートを切った三十四年では五カ年計画で二万五千六百二十戸というものがこの法律の対象農家であったのであります。しかるに、ただいま提案理由の説明を伺いますと、全体で大体一万一千六百戸程度である。そうすると、一万四千戸というものが対象からはずれておる。いかなる理由としても、それはどうも理解しがたいわけです。私は、今度なお二カ年で五千戸の対象農家が想定されるという。そういう当初考えたものとかなりの食い違いが出ておる理由の大きなものは、時限法である、きょうで日切れになる法律を二年延ばして、全体で約一万一千戸ということであれば、特にその期限延長よりも、融資条件そのものをむしろ政府としてはこれは法律の改正の中に織り込むべきものであると思うのであります。たとえば農林漁業金融公庫の融資にしても、三分五厘資金が従来の約三倍近くも資金量がふえて法律として出されておる。大体この法律に対する政府のかまえ方というものは、僕はへっぴり腰だと思う。内閣が提案した融資条件は、御承知のように、原案は七分以下であった、それを国会で修正して五分五厘以内に直し、当時は五分五厘でも最も劣悪な立地条件における北海道のこれらの農家にとっては多少魅力ある制度であったかもしれないけれども、一般に制度金融としては、三分五厘資金というものがかなりの要素を占めておる現在において、依然として五分五厘以内ということで、償還を二十年というようなことでは、単に期限を延長しても、先ほど言うたように、対象農家は減少する。一体基本的にこの法律を期待するような方向に積極的に配慮したものとは、なかなか理解しがたいのでありますが、その点をお伺いをいたしたいと思います。
  39. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) この法律によります認定あるい対象は予定農家戸数は、ただいまお述べになりましたように、法律制定当時の諸指標を使いました推定を行なったわけでございます。その借り受け希望をするであろう農家の中、しかもこういった条件に適合するような農家を個々の農家に確めることなしに、一応統計上推測をいたしたものが、先ほど来の二万五千戸という数字であったわけであります。具体的な本法によります認定あるいは貸し付けの事業を開始いたしてみまして後、実際の本法による助成を受けたいという希望農家の数が、当初のその予定数に達しませんでしたことは、農家の希望するところと必ずしも合致しなかったとか、あるいは経過中において、この法律の対象地域内の農家戸数も多少の減少を見ておりますとか、またいろいろ他に適当な融資の道が開かれて、たとえば畜産経営拡大資金、あるいは構造改善事業地区としての、そっちのほうの助成を受けるとか、そういう他の制度を利用する方向で問題が解決したとか、そういういろいろの事情がございまして、実際に個々の農家について個票をとってあたりました結果が、先ほど提案理由なり補足説明で申し上げましたなお希望農家として約五千戸弱のものが残っておるわけでございます。したがいましてこの法律制定のとき、推定数字に基づきまして作成いたしました資料とは、実態は約半分程度に減ったというのが実態の推移でございます。それからこの法律によります融資の制度が五分五厘ということで仕組まれておりますが、これは当時としてはかなり手厚い融資であったかと思います。やはりこういった年次計画を立てまして、一定年度内に一定のある程度の地域の戸数をこなそうという事業でございますから、初めに手がけられた農家、あとになって出てこられた農家の間に制度上の厚薄が起こるということは、やはり農業政策上は慎しまなければならない一つの問題であろうかと思います。もちろん、農家のためによくなることでございますから、そのこと自体としてはいいのでございますが、こういう制度を仕組みまして継続事業としてやります限りは、初めに行なわれました農家とあとになって様子を見ながら出てまいられる農家の間に差等があるというのではいかがであろうか、それらの点を考えまして、とりあえず本法による助成を受けたいということを、具体的に表明しておられます五千戸につきましては、早急にこの事業を完了いたしたい、その上でいずれ他の特殊立法等もその時期には失効する時期でもございます。またいろいろ制度金融もその後の経過で動いてもおります。その時点におきまして、もう一回新たにこういった地帯の農業経営に対する援助の方法をどういうふうに打ち出すかということをあらためて考えさしていただきたい、さように考える次第であります。
  40. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 今後またあらためて、これらの対象農家に対する基本的な方向を打ち出すということでありますから、ぜひそうしてほしいと思うのです。制度金融で甲乙がある云々ということでありますけれども、特に立地条件に恵まれない特殊立法であってみれば、新たに金利を改定しても、これは遡及してもしかるべきものだと思うのであります。単に日切れだからこれをひとつ通してくれというような安易なことでは、私はこの法律に対しては非常に問題が残る、あと五千戸というのも、そういう条件の問題が大きく横たわっておることを指摘せざるを得ないわけであります。  いずれ金融全体の機会にまた触れてやりますけれども、もっと積極的に農業に安心して従事できるというようなことを、これらの金融においても積極的な配慮が必要であるということを意見として申し述べて、私の質問を終わります。
  41. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  44. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  ここで暫時休憩をいたしまして、本会議におきまする予算案の審議終了後再開することにいたします。    午後一時十四分休憩      ―――――・―――――    午後五時十九分開会   〔理事梶原茂嘉委員長席に着く〕
  46. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ただいまから委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。本日付をもって、委員米田君が辞任され、その補欠として大河原君が委員に選任されました。     ―――――――――――――
  47. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) これより甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言願います。
  48. 大矢正

    ○大矢正君 私は、先日来の米田委員質問に引き続きまして、甘味資源についての政府提案について質問をいたしたいと思うのであります。  そこで、この際農林大臣に特にお願いをしておきたいことは、私は、昨年の春の第四十三国会における当時の重政農林大臣が甘味資源において答弁をされたその答弁の速記録は全部読ましていただきました。それから先般の衆議院における甘味資源問題についての農林大臣がかわられた赤城さんの御答弁も同様に読ましていただきました。この二つの速記録を読みまして特に感ずることは、前の重政農林大臣は非常に積極的に前向きの姿勢で答弁をされておる部面が各所に見られるのでありますが、残念ながら衆議院の段階においての本法案の質疑を通じては農林大臣の御答弁――いまの農林大臣の御答弁は、非常にあと戻りの傾向があるように感じます。そこで私はこの際、事務当局が答弁をするのではなしに、大臣からひとつ積極的に御答弁を願いたいという前提でお伺いをいたしたいと思うのであります。  そこで、まず第一に基本的な考え方としてお伺いをしておきたいことは、この法律案は精糖事業者と耕作農民、間接的には甘味を必要とする消費者にも及ぶでありましょうことは申すまでもないことでありますが、特に中心的なものは精糖事業者と耕作農民であろうと、こう思うのであります。そこで、てん菜振興臨時措置法というものが失効をし、新たに甘味資源特別措置法というものを農林省が提案するのにあたって、いま申し上げた生産者側、これはまあ耕作農民のことでありますが、それから精糖事業者、この二つはこの法律によって具体的にはどんな保護が与えられるのか、また、この法律ができ上がることによって、この両者はいかような利益にあずかるのか、その点について農林大臣からお伺いをしておきたいと思うのであります。
  49. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ生産者側から申し上げまするならば、これは申し上げる必要もないかと思いますが、安定して生産をしていけると、こういうことでございます。特に生産をすすめる意味におきまして、国のほうにおきまして生産を助けるところの相当措置をとることに相なっておりますから、その措置をとる、及び価格につきましての安定を得られると、こういう面で、全体としましては生産に安定性を与える、こういうことと思います。また精糖業者については、特にこれを保護するというようなことはございませんが、生産者の立場を保護するということから、てん菜を買い上げる場合に、その価格の決定の方法によりまして、国が砂糖を買い上げる場合に、生産者から買い上げたものの価格等をしんしゃくして価格を決定するということになりますから、精糖業者のほうも精糖の業務を進めてゆく上において安定感が持てる、こういうことでございます。
  50. 大矢正

    ○大矢正君 私はこの際、特にてん菜に限って、大尉にお伺いしたいと思うのであります。もとよりこの法律の中には、甘蔗糖やブドウ糖等もありまするけれども、前段で申し上げたとおり、特にてん菜の振興を中心としてお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、いま大臣のお説によりますと、価格と生産に対して安定性を持たせることがこの法律目的であるというように述べられたのでありますが、そうすると具体的には昨年の三月の末日をもって失効をいたしましたてん菜振興臨時措置法というものと、この甘味資源特別措置法の中に盛られたてん菜の問題等とは、具体的にいまあなたがおっしゃられた点で、どう違うのです。
  51. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私もこまかいことの比較は詳しくは承知しておりませんけれども価格の決定等につきまして、今度の法律案におきましては、最低価格あるいはまた取引の場合の価格の支持というようなことから、価格の面につきましての安定性があるということにつきましては、前の法律と違っております。
  52. 大矢正

    ○大矢正君 先ほど私が質問に入りますときにお願いしておったのでありますが、いままでの速記録を読みますと、重政農林大臣という人は、非常にこのてん菜問題については一つ考え方を持っておられて、積極的な御発言が多かったように、私は拝聴しているのであります。ところがどうも赤城農林大臣になってから、この問題についてはその大部分が、事務当局に答弁をさせて、あなたのこの問題に対する姿勢というものが、どこでもうかがうことができないのであります。非常に残念なことであります。そこで非常に抽象的な言い回しであなたが言われておりますが、具体的に法律の何条にどういうことが書いてあるということを大臣に私はお伺いしているのじゃなしに、考え方の上において、てん菜振興臨時措置法というものと、この新たに提案をされた甘味資源法との違いはどこにあるかということを承っているのです。これは当然大臣に御答弁いただかなければならない問題じゃないでしょうか。法律の何条がどういうように変わったという質問を私はしているのじゃない、考え方の上において違ったところがあるのかどうかということを聞いているのです。
  53. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 考え方におきまして、作付等の安定をもたらすために、価格等の点につきまして、先ほど申し上げましたような点を考えた、こういうふうに申し上げたわけであります。
  54. 大矢正

    ○大矢正君 それじゃ事務当局にお伺いをしますが、価格の面において違ったというのは、どこが違ったのですか。
  55. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 価格の面におきまして、法文の形と運用の面におきまして、旧法とはだいぶん異にいたしております。法案について具体的に申し上げまするならば、二十二条に「最低生産者価格」のきめをいたしておるわけでありますが、これは当然ここにありますように、パリティ価格を基準といたしますが、「再生産を確保することを旨として定める」という規定に相なっておりまして、これらを第一条の目的に照らして具体的に価格をきめよう、こういうことになるわけでありますが、旧法におきましては必ずしも自給度向上というふうなことが第一条の目的ではなかった。また再生産確保というような思想は条文上なかった。それから運用の面におきましては、旧法におきましてはこの最低生産者価格で会社と取引をする、こういうことになっておりたわけでありますが、今回の法律におきましては、最低生産者価格とはほかに、会社と生産者団体において取引価格を自由に交渉によってきめるという道を開きまして、そうして価格の著しい変動に際しまして、生産者に不安を与えないというような意味において最低生産者価格という制度を設けて、これをもって指示する、こういう道を本法案としてはとっておるわけであります。この点は旧法の取り扱いとは異なるわけであります。
  56. 大矢正

    ○大矢正君 これからの質問に入るに先立っての前提的なものの考え方お尋ねをしておるわけでありますから、端的に申し上げますと、前のてん菜振興臨時措置法というものと本法との違いは、一つには、自給度の向上ということがこの法律の骨子として考え方の上で入ったということ、二つ目には、生産の安定を期するためには、その裏打ちとしての価格の問題があるので、価格の問題については旧法とは相当積極的な前向きの姿勢で解決をするという、二つの立場をこの法律の中では盛ったというように解釈してよろしいですか。
  57. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 大体そのように考えております。
  58. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、次の問題に入りたいと存じますが、最近のこの国内の砂糖の卸売り価格というものは、昨年の十一月の非常に高い水準から見ますると、かなり低下の傾向にあるというように私は承っております。先般の新聞等にも、まだ小売りの段階では価格の低落は見ないけれども、卸売り価格ないしは取引においては昨年の十一月ないしは十二月等と比較して大幅に取引価格ないしは卸売り価格が下がっておるというように聞いておるわけでありますが、それはそのように見て差しつかえないかどうか。
  59. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お話のように、昨年度の十一、十二月当心あるいは今年の一月当時と比べてみますると、卸売り価格は非常に下がってまいっております。
  60. 大矢正

    ○大矢正君 そこでこの卸売り価格が国際的な糖価水準と関連を持ちつつ、さらにこれから下がるんではないかという見通しが当然出てくると思うのでありますが、その点についてどうお考えですか。
  61. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) これは先般の委員会におきましても、今後の国際糖価についてはどのように見るかという御質問がありまして、その際お答えしたわけでありますが、国際糖価の今後の予測につきましては、非常にことしは困難な状態にありまして、政府としてどのような見通しであるかということは、なかなかきめ得ないというのが、率直にいって現在の実態であるということを申し上げたわけであります。ただ言いまし得ることは、昨年度あるいは一昨年度当時と比べまして、世界の砂糖需給事情は、その当時よりは引き締まった需給関係にあるという一般的な観測であるということを申し上げたわけであります。それに応じて砂糖の価格が、昨年、一昨年あるいはその前のような状態にまで国際価格は下がらないだろうというのが一般的な予測でありますということを申し上げたわけでありまして、現在においても大体そういうふうに考えております。その際申し上げましたのは、大体六セントないし七セント台ではなかろうかというのが、そういう関係筋の意向であるということを御紹介いたしたわけであります。
  62. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、いま質問いたしました最近の卸売り価格の低落傾向というものの原因が、一体どこにあるのかということを、この際聞いておきたいと思うのであります。それは国際的な糖価水準が漸次弱含みの傾向にあるという問題もあるでしょうし、あるいはまた自由化の影響によって砂糖の輸入が大きくなったという問題もあるだろうと思うのであります。あるいはまた、需要が当初の想定ほどなかったというような問題で、全体的に価格が下がるということもあるだろうと思うのでありますが、私は三十七年度とそれから昨年三十八年の一年間の粗糖の為替ベースにおける輸入実績をずっと調べてみましたところが、三十七年の年はおよそ月間一千万ドル程度でおさまっていたものが、三十八年に入りましては、大体二千万ドルのベースを、多いときには三千万、ドルぐらい為替ベースで粗糖が輸入されているという実績があるわけであります。そこで、いま申し上げましたような卸売り価格が最近下がっておるという原因はどこにあるのかということを、この際念のため伺っておきたいと思うのであります。
  63. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 一つには、いま申し上げましたように、昨年度の十月、十一月ごろ十セントないし十一セントぐらいの国際糖価でありましたので、まあ最近では七セント五十とか、七セント三十とかいうようなところに、国際糖価水準自身が下がってまいりました。必然国際糖価につれて国内の卸売り価格も下がってまいる、これが一番大きな原因だと思います。ただ、国際糖価がそれほど大きな変動がないにかかわらず、若干国内における卸売り価格は下がりぎみであるということが、新聞紙上等であらわれておるわけであります。これはおそらく国内におきまするあるいは金融事情であるとか、あるいはいまお話しなりましたように、当時の価格に比べて相対的に高くなったために需要が締まりぎみである、そこに競争が行なわれるというような関係も反映されておると思いますが、しかし、基本的には、やはり将来の国際糖価との関係において卸売り価格は変動するのではないか、またそういうことが背景になっておる、こう思うわけであります。
  64. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  65. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 速記を始めて。
  66. 大矢正

    ○大矢正君 そこでこれは大臣がおられないから、政務次官に御答弁いただく以外にないのだが、この輸入の自由化、貿易の自由化、特に砂糖の自由化が昨年の秋行なわれて、これがこれからの砂糖の国内の卸売り価格に影響を与えると思うか、与えないのですか、その点はどうですか。
  67. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答えいたします。端的に申し上げますと影響は与えると思います。国際糖価は、これは外貨の割り当てがないと、自由取引になりますから、直接影響するものと考えます。
  68. 大矢正

    ○大矢正君 それからもう一つは、いま同じく質問をいたしましたように、国際的な糖価水準というものが昨年の十一月を山として、これから漸次下がる傾向にあるのではないかと私は考えるが、政務次官どうお考えです。
  69. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) これは先ほど長官が答弁いたしましたごとく、国際糖価に影響を受けるのでありますから、たとえば欧州のてん菜の生産事情とか、あるいはキューバのサトウキビの生産事情とか、そのほか南方諸地域その他の生産事情等の生産の多寡が価格に影響してきましょうから、それによって影響してくるのじゃないかと思いますが、その生産事情がどういうふうになるかはっきりしない点もあると考えますので、まだはっきりしたことは言えないと思います。しかし、昨年度ほどではない、キューバの生産事情が悪かった、欧州のてん菜事情が悪かった、その影響で国際糖価が高まったというような事情は、ことしはそれほどじゃないのじゃないかと思いますので、はっきりしたことはわかりませんけれども、そう高くなることはなかろうと思っております。
  70. 大矢正

    ○大矢正君 そこで政務次官に同様にお尋ねをしますが、一つには昨年の秋の粗糖の自由化というものが、これからの国内の価格形成の面で心配がある。いま一つは、国際的な糖価水準というものが昨年の十一月が最高であって、これからはむしろ下がりぎみの傾向が出てくる、そうなってまいりますと粗糖の、いうなれば価格の構成というものとビートの価格構成を比べてまいりまする際に、そこに差が出てくるという危険性が生まれてこないかどうか。これは先般も米田君がちょっと質問をいたしておりましたけれども、この点はどうお考えですか。全然価格の面が影響ないとお考えですか。たとえば自由化がこれから進められて粗糖がどんどんわが国に入ってくる、ある程度業者が生産調整をしますから価格の維持に役立つといたしましても、自由化というものの影響が出てくることはお認めのとおりだし、国際的な糖価水準は下がるのですから、そうなってまいりますと輸入糖の糖価水準、国内における水準というものは下がる傾向にある、それがてん菜の価格の構成の面で影響を与えることはお認めになるでしょう。
  71. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) それは影響ないとは言えませんけれども、そのためにこういう法案を御審議お願いしまして、そうして法案にもありますとおり、最低のいわゆる生産者価格というものをきめる、そうしてまたさらに必要に応じては、その取引価格できまらないときは大臣が指示することができる、そうしてそういうふうなものを参酌して政府の買い入れ価格をきめるというその裏打ちをつけておるわけであります。それで保護していこう、そのほかの関係もありますけれども、そういうふうに考えております。
  72. 大矢正

    ○大矢正君 これはあとからの議論になりますから何ですが、結局考えてみますると、この法律目的の中に「製造事業の健全な発展を図るために必要な措置を講ずる」という一項目があるのです。その前提の上に立って「農業経営の改善と農家所得の安定、」と、こうなっているのです。ですから、精糖業者が立ち行かないという前提で最低生産者価格というものがきめられるということはあり得ないのじゃないですか。そうなってまいりますと、国内の卸売り価格がたとえば貿易の自由化、たとえば国際的な糖価水準の低落等によって下がってまいりますれば、最低生産者価格というものは、これは農民の再生産を償うものだから高くなければならないとあなた方は強調しようと思ってもできないのじゃないですか、その点はどうですか。
  73. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) ちょっと私の理解が足りないのだろうと思いますけれども、この精糖業を特に保護するために最低生産者価格を特にそのために下げるというような考え方は全然ないのであります。これはやはりてん菜糖あるいはサトウキビもそうですが、こういう種類の生産農家の再生産の確保を旨とするということにいたしておるはずでありますので、精糖業を保護するという、特にそういうふうに考えておるわけじゃありません。
  74. 大矢正

    ○大矢正君 私の申し上げていることは、具体的にどのような精糖業者に対しての保護措置があるかということを承っているのじゃなくて、私企業である精糖業者というものがかりに国際的な糖価水準や輸入の自由化等によって、国内の卸売り価格というものがいやがおうでも下がらなければならないような状態になってくれば、その会社をつぶしてまであなた方が最低生産者価格はこの水準でなければならないということは、強調できないだろうということを言っているのですよ。
  75. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 私からお答えいたしたいと思います。  お話しのように、甘蔗糖について自由化された後におきまする国内における価格ができますれば、当然国内のビート糖の価格というものにつきましても、それと関連を持った国内価格というものが形成されることになろうかと存じます。その際に、いまお話しになりましたのは最低生産者価格でビートの価格がきまり、これにコスト加工賃、販売経費等を加えたいわゆるビート糖のコスト価格が市価に比べて非常に高くなるといったような場合に、企業が非常に困ることになるのではないかという御質問かと存じますが、そういう際におきましては、政府はこの法案によって買い入れをいたしたいということによって最低価格の指示をしていきたいという考え方をとっておるわけであります。なおまた「製造事業の健全な発展を図るために必要な措置を講ずる」という意味は、これは今後におきまして精糖業、ビート企業の部門におきましても、できるだけやはり国際競争力を得るように企業の合理化をはかっていく必要もあろう、それには現状の私企業を拡大するということも必要でありましょうが、同時にコストの低下をはかるように合理化をはかっていくことも必要であろう、こういう意味で第一条の目的を受けました具体的な条文といたしましては、十九条におきまして、農林大臣は、指定地域内の産糖製造事業の合理化を促進するために、必要な経営合理化のための勧告をすることができるという規定があるわけでありますが、一方において国内のビートの生産振興をはかると同時に、企業自身については十分健全化を促進する意味において合理化をはかっていくということと相まって国際競争力の強化にも資してまいりたい、こういう考えでおるわけでございます。
  76. 大矢正

    ○大矢正君 私の手元に昭和三十四年の二月に農林省が発表されました標準糖価の原価構成が出ているわけであります。これは原料費、製造費、一般管理費ないしは販売費、それから消費税を含めた、いうならばてん菜糖の場合、それから輸入粗糖、それに対する加工費、同様な一般管理費や販売費、そして関税、消費税と、こういったものを含んだいうならば輸入糖の精糖段階においての原価構成というものが出されておるのでありまするが、ごく最近のものを実は入手することができないのでありますが、ごく最近の糖価水準の原価構成というものをこの際お示しいただきたいと思うのですが……。
  77. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お手元に三十四年度と三十八年度の原価計算をお配りいたしてあるわけであります。で、結局主として変わります点は、この原料――ここにありまする一番初めの原料粗糖価格、これがこの当時の三十四年度の実績をとって二万八千四百六十三円というふうにいたしておるわけであります。これが変わることに伴いまして動いてくるということでありまして、大きく変わる点は、ここで加工経費が七千九百四十四円とありますが、これは約八千五百円ぐらいになっております。それから……。
  78. 大矢正

    ○大矢正君 御答弁中ですが、ちょっともう一度質問さしてもらいたいと思います。あなたのほうで資料を出したとおっしゃられるのだが、実はその資料見たことないのですよ。どこに出ておるのか。そこで私が端的にお尋ねをしたいことは、もし、この資料が出ているとすれば出ているでけっこうだけれども、このキロ当たりの標準的な原価の構成はどうなっているのかということをお尋ねしたいのですよ、キロ当たり。たとえばあなたのほうで昭和三十四年の二月に原料費は五十四円で、これは四四%を占めている、その他云々といろいろあって、最終的には百二十二円というものが出ているわけですよ。だから、これと合うものを出してもらいたい。私はこれでひとつ質問したいと、こう思っておるのです。
  79. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お手元に「参議院農林水産委員会要求資料」という厚い資料がありますが、それの一七ページをごらんになれば三十四年、三十五年度の原価計算が出ておりますし、また二三ページにおきましては、三十七年度の原価計算が出ておるわけでありまして、こういうやり方によって一応の標準的な経費を、われわれのほうとしては算定いたしておるわけであります。
  80. 大矢正

    ○大矢正君 これは輸入糖の場合のその価格差益金を出すについての資料でしょう。私聞いているのはもちろんこれもありますが、同様にてん菜の場合の原価構成もお尋ねをしておるのです。
  81. 中島清明

    説明員(中島清明君) てん菜等のコストにつきまして御説明申し上げますと、製造費といたしまして、原料トン当たり二千二百八十七円四十四銭、精糖所管理費五百五十円八十二銭、一般管理費が八百六十三円八十二銭というような数字になっております。これらのほかに借り入れ金の利息といたしまして、原料トン当たり二千二百三十五円四十二銭、減価償却費千五百七円四十八銭、コストとしてはこういうコストになっておりますが、これに原料の価格、あるいはロス、歩どまり等を計算をいたしまして、製品の価格を算定することになります。
  82. 大矢正

    ○大矢正君 どうも私の質問がへたなのか、しろうとだから、こまかい答弁したってわからないだろうからという意味で御答弁なさらないのかわかりませんが、もう少しわかりやすくひとつ御答弁いただけないでしょうか。これにこれだけがかかるでしょうとか、かかりますとかいう答弁じゃなしに、原価の構成はキロ当たりどうなっているのかという数字を明確にお答え願いたいと言っているのだから、そのようにお答えいただくことはできませんか。
  83. 大山一生

    説明員(大山一生君) 御要求の資料でございますが、先生の言われますのが原料代を幾らと見て、幾らの歩どまりで、幾らの操業度と見るか、それによって変わってくるわけでございます。つまり、コスト計算には固定費と比例費がございますので、それで先ほど来ああいったものの表現になってきたわけでありますが、先生の言っておられますのは、原料価格を幾らの場合で、歩どまり幾ら、ロスを幾らと見られたときのことを御質問になっておられたのでしょうか。それによってお答え申し上げますが……。
  84. 大矢正

    ○大矢正君 これは五年や十年先のやつを……糖価を聞いている。私は三十四年の二月のものを持っているので、三十四年の二月じゃ資料が古いから、ごく最近の、あなた方の計算をされた場合の数字的なものはどうかということをお伺いしているのですよ。これは確かにあなたがおっしゃられるとおり、かりにてん菜糖の場合には、原料費が七千二百円になるか八千円になるか一万円になるかということによって、これのキロ当たりの金額も違うでしょうし、ないしはまたことしは、三十八年産のビートは、比較的歩どまりがよかった。そのよかったことによってこれまた価格の面において、コストの面においては下がるという面もあるでしょう。そういうものをごく最近の統計をとってみた場合に、どういう数字があらわれてくるのかということを聞いているのですよ。
  85. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お話の趣旨はよくわかるんですが、ちょっとそれにぴったり当てはまるような資料がないわけなもんですから、たとえば原料代を幾らに置いて計算すればどういう価格になるであろうという数字はありますけれども、コストとして一体原料価格、あるいは歩どまり関係なしに幾らぐらい上がるのだと、こういう資料はいま申し上げたようなことで端的にいまお答えする資料を実は用意しておらぬわけです。かりに原料代が幾ら、何が幾らということであれば、私どものほうでいろいろの計算したものはございますが、そういうことでよければお答えいたしたいと思いますが……。
  86. 大矢正

    ○大矢正君 私は、どうもわからないのは、三十四年度のやつは私は持っているので、それを見ているのだから、それと同じものがなぜ出せないのか。たとえば、あなた方が意識的にこれを出すことによって、たとえば三十八年産ビートの最低生産者価格をきめるときにどうも問題があっちゃ困るという意味答弁ができないとおっしゃるなら、それでけっこうです。そういうことがないというならば、これはキログラム当たりの原価構成が出せないというわけはないでしょう。
  87. 中島清明

    説明員(中島清明君) それでは、仮定を置きまして一応、仮定と申しますか原料代を一応六千五百円といたしまして、ロスを一応二・五%というぐあいに置きまして、なお歩どまりにつきましてはこれを一四・六として計算をいたしました場合の数字につきまして申し上げますと、トン当たりにいたしまして原料費が八千四百二十四円八銭、製造費が二千二百八十七円四十四銭、製糖所管理費五百五十円八十二銭、一般管理費が八百六十四円八十二銭、合計一万二千百二十六円十六銭、それから副産収入の勘定といたしまして二百五十七円八十五銭、それを引きますと、一万一千八百六十八円三十一銭になります。そこで、借り入れ金の利息二千二百三十五円四十二銭、減価償却費千五百七円四十八銭を加えますと、合計一万五千六百十一円二十一銭になります。そこでロスを二・五%、歩どまりが一四・六%ということで算定をいたしますと、製品キログラム当たり百九円がらみの数字に相なるわけであります。
  88. 大矢正

    ○大矢正君 六千五百円という原料費の仮定というのは、そうすると、三十八年産の、いうならば、てん菜の原価構成というように解釈してもいいのですか、おおよそ……。
  89. 中島清明

    説明員(中島清明君) おおよそそういうように御理解いただいていいと思います。
  90. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、いまの百九円に二十一円の消費税を、――十六円になりましたが、これを足しますと、百二十五円ですか、おおよその見当になるわけですか。
  91. 中島清明

    説明員(中島清明君) 消費税は十六円でございますが、そのほかに販売経費といたしまして十二円を加算いたしますので、十六円と十二円を合わせまして二十八円を加算をする、こういうことになります。
  92. 大矢正

    ○大矢正君 最終的には、キログラム当たり消費税を含めた場合の標準糖価の構成というものは百三十七円程度、三十八年でおおよそその見通しでよろしゅうございますか。
  93. 中島清明

    説明員(中島清明君) そのとおりでございます。
  94. 大矢正

    ○大矢正君 そこで次に政務次官にお尋ねをいたしますが、先般の当委員会における米田委員質問に対して、食糧庁長官が御答弁をされておりましたが、これから粗糖の自由化等の影響により、かりに国内の卸売り価格が急激に下がるような危険性が出てきて、それがたとえばてん菜の買い入れ価格等に影響を及ぼす場合には、関税の面でこの調節をはかりたいというお話がございました。そこで、私どもはそれをそのとおり承ってよろしいのかどうか。もしその調節をするという場合には、どの程度の段階で調節をしようというお考えになっておられるのか、その点をお答え願いたいと思います。
  95. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) さきの本委員会食糧庁長官が緊急関税ということを答弁になったようでありますけれども、緊急関税というものは、でき得ることにはなっておっても、そう簡単にいくものではなかろうと私どもは思っております。まず第一番目には、まあ国際糖価が急激に低落して、国内糖価にそれ相応の影響が出てきた場合におきましては、やはりこのいま御審議願っている法案に従って、最低価格というものをつくるのでありますから、その最低価格にその製造諸経費、販売諸経費その他必要経費を加えて政府が買い上げる、こういうことによって保護することになるというふうに私は考えております。
  96. 大矢正

    ○大矢正君 私が聞いているのは、かりに最低生産者価格で、生産者から原料ビートの買い付けをした場合に、その年度に限って精糖業者から政府がてん菜糖を買い上げるということは十分存じておるのであります。私の尋ねているのは、そのことではなしに、自由化と国際糖価の影響によって、国内の砂糖の卸売り価格というものが急激に落ちた場合に、政府は関税の措置をするというのだから、その関税の措置はなされるのですか、どうですか。そうして、やるとする場合には、どういうところまで落ち込んだ場合にやろうとしているのかということをお尋ねしているのですよ。政府がある一定の条件に基づいて精糖業者からてん菜糖を買い上げるかどうか、それはもう知っているのです。そうじゃなしに、関税の問題に限って私はお尋ねをしているのです。そういう御答弁があったから、米田委員が国際糖価の水準の急激な低下や、もしくは自由化によって国内のてん菜糖が影響をこうむる際にどうするかと言ったら、食糧庁長官は、いや、その際には緊急関税だ、こういう答弁になったわけです。そこで私が関連質問として、食糧庁長官は緊急関税なんとおっしゃるが、私も長いこと大蔵委員会におって十分知っておることだが、そんな簡単なものでないでしょうと言ったら、全くそのとおりでございますと、こういう答弁があったのです。しかし、あなたが関税で何とか調節したいという御答弁がある限りは、腹でそれはお持ちなんでしょうから、だから、それるやるのか、やらないのか。やるとすれど、どういう条件の場合にやろうとお考えになっておるのかということをお伺いしておるので、政務次官ひとつお答え願いたい。
  97. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 先般私からお答えいたしましたので、いまの御質問に対して私からお答えしたいと思います。先生よく御承知のように、緊急関税というのは、発動する場合におきまして、相手国に相談したり、あるいは国内におきましても関税審議会をかけてきめるとか、いろいろ発動につきましては、前段の手続が要るわけであります。この緊急関税は、非常に砂糖の国際価格が暴落して、そうして輸入が急激にふえたというようなことによって、国内の企業にも打撃を与えるというような際に発動されるものと了解するわけでございますが、いまの制度におきましては、どういう場合というよりも、そのつどむしろきめていくというふうなたてまえになっておるわけであります。したがって、いま国際砂糖協定における最低価格なりあるいは最高価格なりというものは、事実上発動されないような状態になっておりますけれども、最低価格を割ったような事態もかつてはあったわけであります。したがってそういうようなことをもにらみ合わせまして、その事態においてやはり判断していく。いまからどういう場合にこれは発動するものだというようなことは、まだ私どものほうでも考えておらないのであります。ただ申し上げました点は、国内においては買い上げ措置というものがありますけれども、いま申し上げたような事態に対しましては、緊急関税制度の道もあります。そういう道もまた活用するということはガット協定においても認められ、わが国の関税定率法にも成文として入っておるわけでありますから、そういう道も活用する道があるということを申し上げたわけであります。
  98. 大矢正

    ○大矢正君 これは衆議院の農林水産委員会で、ここに芳賀さんも来ておられるようでありますが、芳賀さんが盛んに質問をされたことでありますが、結局、重政農林大臣は当分の間は、これは砂糖の自由化はできない、対策を立ててからでないとできないと、こういう答弁をされたのです。ところが、わずか二、三カ月のあとには抜き打ち的に自由化をやってしまった。したがって、何とかここで理屈をつけなければならぬということで、そのことが国内の甘味資源に対する影響等を考えて、一つの項目としては、かりに自由化が急速に国内産糖業者もしくは耕作農民に影響を及ぼす場合にはその対策を講ずるのだという、こうなっていると私は思うのであります。にもかかわらず、対策をいままでおとりにならないということは、私には理解ができないのです。こういうことも考えられるとか、こういうことも考えてみようというのは対策じゃないですよ、これは。そうじゃないですか、かりに自由化がたいへんな勢いでわが国の国内産糖業者に影響を及ぼした場合にはこうするのだということがなければ、こうすることもできる、ああすることもできる、これでは対策じゃないですよ。こういうふうにしたい、ああいうふうにしたいということで、対策というものは出てくるのであって、いまの食糧庁長官答弁では、私は納得いかぬのです。
  99. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) これは先般大臣からも答弁があったことでありますが、自由化に伴いましてあわせとるべき措置ということで閣議で六項目につきまして閣議の了解を得てこれが出ているわけであります。したがいまして、自由化に伴いまして十分国内の生産体制については一そうこれを振興するようにはかっていく、そのためにはまさにこの御提案御審議願っておりまする二法案を早急に提出いたして、そうしてこれに基づいて一そう強力に進めてまいりたいということを申し上げたわけでございます。さらにまた大臣が申し上げましたのは、自由化に伴っての影響を考えました場合に、やはりタイミングというものがある。そういうことを考えますと、当時の状況から見まして、国際糖価あるいは国内糖価の状況から見まして適当な時期であるということで自由化したというわけでございます。今後におきまする措置は、この甘味資源というものが国内の自由化に伴う保護措置であり、あわせて先ほど申しましたように、関税問題につきましては、現行の関税率は非常に日本は国際的に高いわけでありますが、そういう措置も行なっているわけでありまして、さらにこの関税率によってもなおかつ非常な影響を受けるというふうな事態がありました場合においては、先ほど申しました緊急関税の道もとり得るということでございます。したがって、どういう事態にこれが発動されるべきかというのは、緊急関税制度の性質から申しまして、いまこういう場合にはこうなるんだということを申し上げるような性質ではないのじゃないか、こう思っているわけであります。
  100. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連。いま大矢委員質問したことは、非常に高度の政策に属することで、大矢委員も政務次官に質問しているので、緊急関税をやると、まあそれだけはわかりましたが、どういう段階でやるか、そういうケースをまあ示してほしい。そういうことでなければ、国内の砂糖の関係者は自由化におびえているということが排除できないわけです。それからその緊急関税というようなことにも関連しますけれども、私がかつてこの委員会でリンゴの価格に影響するバナナの輸入関税を取り上げた際に、大臣は明確にそれは関税措置としても七〇%を四月から五〇%に下げることは自分としては好ましくない。私はそれに善処を要望した。ところがそれから一週間もたたないうちに閣議で七〇%を五〇%にすることが決定され、それが政府原案として国会に出されて、与党を通じてまた修正するという紆余曲折をする、そういう一つの事例の経過から見ても、関税に対する措置がきわめてわれわれとすれば心もとない。経過一つの例からでも苦い理解をせざるを得ない。したがって、自由化が先行しているんですから、緊急関税の措置はどういうケースではとるという、やはり大局に立ったこれは政務次官のひとつ明確なる答弁をしなければ、審議は進みませんから、同じようなことをただ抽象的に繰り返すのじゃなしに、もっと責任あるひとつ政務次官の答弁を要求いたします。
  101. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答えいたします。緊急関税をどういうときに発動するかとかいう問題に関しましては、ただいま食糧庁長官答弁申し上げましたが、いまの国際糖価の情勢から見ますと、十分予測し得ないにいたしましても、そう極端な値下がりはなく、相変らずの高水準を持続するだろうという予想すらある状態でありますので、もう少し事態をよく慎重に検討した上で関税の引き下げを行なうということができる制度についても、それが一つ方法であるとしてよく検討してみたい、こういうことでありまして、いつどういう場合に断定的な関税引き下げをやるとか何とかいうことはちょっと申し上げかねるような状況であります。
  102. 大矢正

    ○大矢正君 最近の国際収支の動向にからんで、なぜ三十八年及び三十八年度は国際収支上大幅な赤字が出たのか、こういうことの一つの要素としては国際的な糖価水準というものが過去に前例を見ないほど急騰をしている、高騰している。しかし、これは近い将来必ず安定をするであろうというのが政府の見解ですよ、これは。そうなってまいりますれば、その経済の見方の基本が変わらない限り、近い将来国際的な糖価水準はいま政務次官がおっしゃることによると、下がらないとおっしゃるけれども、事実漸次下がることは明らかで、それが貿易の自由化、粗糖の自由化とからんで国内のてん菜糖にも非常に大きな影響を及ぼすであろうことを私どもは心配をするから、その際にはどうするのかということをお伺いをしているわけです。しかし、これ以上議論しても、あなたのほうで御答弁ができないということであれば、いたし方ないからやめて次の質問にはいりたいと思いますが、次の質問は、この前の委員会が終ります段階で、わが党の米田委員から先般食糧庁から提出をされました昭和三十九年度の生産の見通し、それから同様に砂糖類の需給の長期目標、こういうものが出されまして、この資料では不満足なので、あらためてもっと具性体のあるものを出してもらいたいという要求がなされて、委員長がこれを受けてあなた方のほうもそれでは出しましょうということになったのでありますが、きょう出されました資料はたとえばてん菜の場合に、北海道においてはどの地域で、どれだけのヘクタール当たりの収量を見ることができるかという内容だけでありまして、昭和三十九年度に始まり、四十三年度にはたとえば北海道のてん菜の作付面積は五万二千ヘクタールである。この伸びることによる、いうなれば資金の投下、これに対しての政府の財政的な措置、こういうものが一つも出されていない。これでは前の委員会が終了するときの約束と約束が違うので、この点については政務次官どうするつもりですか。あなたおられたはずでしょう。
  103. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) お答えします。この北海道における各地区別の単位収量については差し上げておりますね。それをもとにして今度四十三年度までどのくらいの国費を投下すればそれだけの生産見込み数量が達せられるかという、その国費に関しましては、それはお出しする約束でなかったのでしたかね、私うっかりしておりましたが、要するに現在の項目別のたとえばペーパーポット幾らとか、土地改良対策幾らとか、それと機械化の導入幾らとかいう各費目がずっと出ております。その費目の現在決定された予算、三十九年度の予算を土台にして、そうして逐年それは増加して、積極的に予算折衝をして、その確保に最大の努力を払う、こういう意味でいま考えておる次第であります。
  104. 大矢正

    ○大矢正君 そりゃ政務次官、とぼけておられるのか、あるいは聞き漏らしたのかわからぬが、たとえばきょう出された資料、てん菜の北海道分についての生産計画、もちろん試算という字がついておりますけれども、これによると四十三年度は面積において五万二千ヘクタールであり、十アール当たりの収量については三トンだ。そこで生産量、これは百五十四万トンという数字が出ている。こういう資料の要求もいたしましたが、同時にたとえば三十九年度に比較すると作付面積でも、十アール当たりの収量においても同様にまた生産量においてもかなり急速な伸びがあるのですから、その伸びはどうやって伸ばすのかという具体的な予算面、政策面の裏づけを出しなさいと、こう言っているのです。それをどうしたのかと聞いている。
  105. 矢山有作

    ○矢山有作君 関連して。それは米田委員質問される前に最初の質問に入ります段階において私のほうからも要求をしておるはずなんです。たとえば甘味資源自給力強化総合対策というのがある。これは昭和三十四年から向こう十年間を見通した計画だと、ところが、昭和三十四年をもとにして十年間を見通してすぽっと計画を出していくから、往々にして計画と食い違うのだ。その食い違った証拠が今日の甘味資源の自給度の状況にあらわれておるのじゃないか。だから、少なくとも今度の法律の第一条で自給度向上ということをうたった以上は、具体的にこれからどういうふうに自給度を向上さしていくのか。その具体的な計画を出して、そうして、それに対する財政的な裏づけを農林省としてはどう考えておるのか、これはあるはずだから出していただきたいと、こういうふうに申し上げたわけです。ところが出ておるのは、そこへ、お手元へ持っておられましょうからごらんになっていただければわかりますが、われわれが要求した資料には沿っておらない。それでその資料を要求しましたときに答弁でおっしゃっておったのは、府県の報告を徴してから、われわれのほうではいろいろ考えるのだからということだったから、それは間違いだ、もちろん府県の状況ということも勘案しなきゃならぬし、相談もしなければならぬだろう、しかし少なくとも法律をつくって、その目的の第一条に砂糖類の自給度向上をうたうなら、農林省としてのそれに対する具体的な計画というものはあるはずだといって押し返し言いましたところが、それに対して部内で考えておるものはあると思いますから、それを提出いたしましょうというのが、農林大臣の話だったわけです。ところが今日提出されてきておる資料は、ごらんのようにそういうようなわれわれの要求し、また大臣がおっしゃった資料とはほど遠いものが出ておるということをいま指摘しておるわけです。
  106. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) ただいま御指摘の点は、これは生産計画を提出する際の議論だったと思います。資金の問題につきましては、先般申し上げましたように、まだ最終的な的確なデータはございませんということで押し問答的なことを重ねておった結果が、最後のしり切れトンボ的なものになった、そういうふうに私は記憶しております。
  107. 大矢正

    ○大矢正君 もしただいま園芸局長が言われましたようなことで出せないならば、あらためて私のほうからここで質問いたしますから、その質問にお答えいただければいいのです。あなたのほうから、先ほども申し上げましたとおり、この生産の見通しが四十三年度まで出されたわけです。当然のこととして砂糖類の自給の見通しも出されたわけで、そこで三十九年と四十三年を比較してみますると、面積でも収量においても、生産量においてもかなりの伸びがあるのですが、この伸びは何もしないで黙っていてもひとりでに伸びる、その計算で積み立てられたのか、何らか政府が政策、その政策に基づく財政的な措置、それをやるからこうなるのか、どっちだか御答弁願いたいと思うのです。
  108. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 当然これは国の財政的措置を予定しながらのことでございます。たとえば土地改良事業あるいは機械の導入促進、あるいはペーパーポットの導入、そういった国の補助を予定しておるわけございます。
  109. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、私は価格が作付面積やないしはいま申し上げました生産計画に影響を及ぼさないとは申し上げませんが、一応価格の問題ははずして考えてみて、耕作面積をふやす、収量を伸ばす、生産量をふやす、こういう問題については政府も考えているとおっしゃったのだから、具体的にはどのような計画を持っておられるのか、計画ということばはおきらいなようですから、計画で悪ければ見通しでもけっこうです。政府は四十三年度までに具体的にはどういう政策と、そしてどういう財政的な措置をもってやられるつもりなのか、その点を御説明願いたいと思います。
  110. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連して、いまの問題を木曜日の五時ごろに米田委員が締めくくり的に話して、政府委員たる局長さんの話でもどうもさか立ちしたようなお話だし、われわれも非常に理解に苦しむからひとつじっくり帰ってよく農林大臣内容を検討し、整理した上で大臣からまとめて答弁してもらったほうが、われわれも理解しやすいし、したがって審議も促進するからということを、老婆心ながら米田委員発言をした経過があるわけです。だからこういうことは当然大臣から、あなた方局長連中がよく問題を煮詰めて大臣が当然答弁すべきものと私は期待しておったのです。しかるに同じことを繰り返してそうして早く上げるもないじゃないですか、一体上げようとすればするほど上がらんじゃないですか。大臣の御答弁を求めなければいかぬ。
  111. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 自給度につきましては、私のきょう出席前に事務当局からお話し申し上げたと思います。四十三年までに総需要量をきめ、そして国内生産量をきめ、そして見込みを算出いたして御報告申し上げたのです。ただ自給度が非常に少なく、前の計画より少ないのでございますけれども、これは砂糖の需要量が変化するので相対的な問題となりますので、自給度というよりも生産はふやしてはきておりましても、相対的な自給度は減っておると、こういうような状況でございます。しからば自給度を年次別に試算をしていくとするならば、それに裏づけとなるいま園芸局長からも話がありましたような土地改良とか、あるいは機械の導入とか、あるいはペーパーポットとかいろいろな施策を施して、その年次に合うようなことをしていくことに相なるわけでございますから、その資金計画があるいは資金見通しというものができないんじゃないかということでございます。実際これは非常にまだ詰めておりませんので、当局のほうでも出さなかったと思います。というのは、道路五カ年計画とかあるいは治山治水とかこういう面で政府が計画どおりに大体やっていけるというようなものですと、非常に資金計画が出しいいんでございます。計画もつくりいいんでございます。しかし、そういう計画につきましてもずいぶん練った上で出しておるような次第でございます。でありますので、その資金計画をいたしましてもその年次年次で相当実際それが実行に値するか。実行できるようなことになるかというような問題等もありますので、資金計画を練るにつきましては相当慎重を期さなければならぬ。こういうわけであまりざっぱくなものを出すということもどうかというふうなことから、いま資金計画につきましてはもう少し検討した上でないと、ことに生産計画でも立てるときには、当然そういう資金計画も出すんでございますけれども、可能な範囲において練っていきたいとこう思いますので、あまりざっぱくないまの見通しというものを出してはいかがかと、こういうふうに考えましたので、事務当局は出してない、こういうふうに了解いたしております。しかし、資金計画というか資金の見通しが必要であるということは私も考えておりまするし、練っていかなくちゃならぬ。生産計画等をもっとコンクリートなものにして、それに対して資金の見通しというようなものもつくっていかなければならぬというふうに思っておりますが、いま実際率直に申し上げて間に合わぬというかそういうような状況であるということを申し上げざるを得ないのでございます。
  112. 大矢正

    ○大矢正君 しつこいようですけれども、四万六千ヘクタールが五万二千ヘクタールに耕作面積がふえるんだ、反当たりの収量もふえるんだ、そういうことに伴って生産量もふえるんだということをですね。これは明らかにして、それが見通しであるか計画であるかは別にして、農林省から提示がなされたんだから、そのなされた、いうならば農林省の試算というものは、従来の予算たとえば昭和三十八年度なら三十八年度の国の予算を基礎にして、毎年その限度で予算がつぎ込まれた場合にこうなるという計画でやられたのか、それとも、そうじゃなしに、昭和三十八年の予算にさらにプラス・アルファをしていって、四十三年にはこういうふうに土壌の改良や、品種の改良や、機械の導入等によって結果が出てくるようになったのか、その点お伺いします。
  113. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは三十八年度から三十九年度の予算等を比較いたしましても御承知願えると思います。そういう面におきまして、逐次、栽培、耕作面積等をふやしていくというにつきましては、どういうふうにやっていくかという素案といいますか、そういうものはございます。そういうものがありますので、事務当局からそういうもので差しつかえなければ御説明をいたします。
  114. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) これはやはり現段階におきましては試算というべきものだと思いますけれども、大体この生産計画を達成するための所要資金量としては、約二百二十五億程度でございます。そのうち国費を概算してみますと、二百二十五億のうち百十六億程度が国費負担というふうなことでございます。
  115. 大矢正

    ○大矢正君 農林大臣にお伺いしますが、質問をする前に特にこの際私強調しておかなければならぬことは、衆議院の農林水産委員会で、盛んに見通しなり計画なりというものを出しなさいと言われて、それでもなおかつ出さないでがんばって参議院に来たわけです。ところが、参議院へきたら答え切れなくなって、ここにありますような四十三年までの見通し、あわせて三十九年度の見込みを出したわけなんです。それから、それに当然付属しなければならない予算はどの程度かということも、今日まで何回質問をしても答弁しないで、いまになってやっとこれが出てきた。この調子でいくと、もう二、三日粘っていると相当具体的なものが出てきそうな気がするのです。私は勘ぐって言うんじゃないんですよ。いままでの経過がそうだから言わざるを得ないんです。衆議院ではかなりこれは、まあ見通しを出せ、特に三十九年度だけでもいいから出せと一こう言われても、とうとうがんばって出さなかった。ところが、ここへ来たら今度は、流れちゃ困るということかどうかわからぬが、三十九年度出し、しかも四十三年度出した。何日間やったかわからぬが、この瞬間になって初めていま所要資金の総額というものが出てきた。それに対して国はおおよそどの程度の財政的な措置が必要かということも出てきた。このままこれを詰めていけば、これのさらに具体的なものが出そうな気がするんですがね、いままでの経過に照らして。大臣どう思いますか、こういう経過について。
  116. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは立場が違いますから、私のほうでは、先ほどもおことばにありましたように、計画経済をやっているわけじゃございませんから、計画というものはなかなか立てられない。立ててもできない国もあります。ほかの国なんかに。しかし、それは別にいたしましても、見通しぐらいは立ててそれに沿うたような政策を、長期的というようなことで何年かにおいてやるべきだ、こういう考え方は私ども持っておるわけでございます。農業関係も非常に広範でございますから、それぞれそういう見通しをつくっていくと、こういうことで事務当局等にも検討を続けてさしておるわけでございます。衆議院の段階におきまして出し得ないということを申し上げておりましたのは、あまり無責任な、思いつきのようなものを出すというようなことはいかがかと思いまして、また事務当局等におきましても、そういうものが煮詰まってこぬと、こういう状況でございましたから、そういうものが出し得ないということで言ってきたのでございます。しかし、根本的にはそういう見通しというものは、つくらなくちゃならぬということでございますから、事務当局を督励いたしまして、大体の見通しをつけて、参議院におきましては、そういう見通しができるようにと、再々委員の諸君からもそういう強い要望もありましたので、全くこれでもって計画どおりいけるというような、もちろんものではございませんけれども、見通しとしては出して、御審議の便といいますか、資料にしていくことが必要であると、こういうことで督励いたしましたので、だんだんこういうようなものができまして、少しずつ煮詰まってきたと、こういうような事情でございます。
  117. 大矢正

    ○大矢正君 まあその点はその点として、時間的にこの法律審議の過程には、長期の見通し、それから計画というものは間に合わない、こうおっしゃる。そこで大ざっぱなものだけが出された。具体的な裏打ちをした長期の目標なり生産の見通しというものは、いつごろ出せるのですか。当然この法律が成立いたしますれば、審議会にはかられるものと思うのでありますが、それはいつごろになるとお考えですか。
  118. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この法律が通りまするならば、いまのお話のように審議会に生産計画を諮問いたすことになります。何用ということでございませんが、時期的にはできるだけ早い時期につくって審議会にはかると、こういう進み方をいたしたいと思います。
  119. 大矢正

    ○大矢正君 大臣、どうもまともな答弁をしないで、常に半身のかまえで答弁をされて、いつでも逃げれるような態度答弁をされて、私は全く残念なんだが、そういうようなことでは、いつ具体的に長期の目標ができるのか、生産の見通しができるのかということは不明確ですよ。法律で、審議会ができるので、その審議会に諮問しなければいかぬのだから、だからもっと積極的にいつごろまでには計画を立て、そうしてその計画に基づいて審議会なら審議会にはかるとか、そういうことができないのですか。あなたの言う答弁からいくと、三年後に初めてはかられるかもわかりませんよ、極端な表現をすれば。ことしじゅうのものには役に立たないかもしらぬ。そんな答弁じゃ、とても私どもはこれは納得するわけにはいかない。
  120. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまのように三年というようなことは、これはちょっと勘ぐり過ぎると思うのです。法律が通ったらと言ったら、通った直後ということです。大体。早くと言ったら直後早くということですから、そうその二年も三年もかかったり半年もかかったりということじゃ意味をなさぬので、それくらいは、まあお互い議員ですから、御了解願って差しつかえないと思うのです。それは一月以内とか、まあいろいろ事務の都合もありますけれども、そういうふうに、早く、できるだけ早くと、法律が通ったら早くと言ったら、そういう常識じゃございませんでしょうか。私も三年なんという気持ちで答弁を申し上げていることでもないし、はんぐらかして答弁を逃げるなんということも必要ないことですから、できるだけ早くやるということは、お互いのためでもあるし、そういうふうにお考え願って、三年とか何年とかいうはんぐらかすという意味じゃございませんから、できるだけ早くと、こういう意味でございます。
  121. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連。  私は、その法律が通ったならば、それを勘ぐらずにすなおに解釈すれば、一カ月かそこら辺で出すというような、いま意味を含めた御答弁でしたけれども、私のこの前の質問にもまたさかのぼりますけれども、自由化をもうとにかく断行した今日、法律が通らなければ国内自給度のめどがつかないということは、私はこれは大きな行政上の責任だと思うのですよ。法律が通らなければ、自給度の向上の目途が出ないということは、自由化以前の事態においてなら、まだしもこれは理屈が立つでしょう。しかし、この前も取り上げたように、四十三回国会では、最終の七月まで当時の大臣は、大蔵大臣もそうですし、農林大臣も三、五年間は経過措置が要ると、具体的な数字をあげて自由化の時期を公約をしておる。特に大蔵大臣は、国内自給度のめどもつかなければならないので、自由化ということはいま時期は言えない。明らかに田中大臣答弁は、国内自給度の長期計画のめどが立たなければ自由化をしないということを、国会答弁をしておる。そういう四十二回国会答弁にもかかわらず、二カ月を経過して、国民が納得ができないような情勢の中に、突如として自由化をやった。われわれの理解は、当時の世論も指摘しているように、池田首相のこれが悲願である自由化率九〇%大台に達するために、砂糖を取り上げて突如として断行した。そこで、自由化を断行した去年の八月三十一日から今日まで、甘味資源に対して、法律が通らなければ自給度も明らなめどができないし、長期展望もできない、生産者保護も具体的な措置がない、こういうことでは、自由化をやった政府の政治責任はきわめて重大であると言わなければならない。だから、私は、この前もそういう、田中大臣国会答弁したように、国内自給度のめどがつかなければ自由化をやらないと言いながら、自由化を先行したのだから、この法律の第一条にうたっておる国内自給度の向上というものは、具体的にどういうものであるかという国民の納得を得なければ、私はこの法案のこれは採決にはならないと思いますよ。そこでこの前もその点の資料の要求をし、大臣は、五カ年の展望の中に年次別も出す、こういう私の質問に対する答弁で、私は一応納得したわけです。その後出てきたのは、部内検討資料という責任を全然かぶらないカッコ書きの資料が出てきておる。これで一体われわれはこの国内自給度の向上というものを受け取るわけにはいかぬでしょう。審議会に出すことは出す。それは当然法律の制度によって出すでしょう。審議会に出す基本的な一体法律の意図するものがどういうところにあるかということは、国会の審議のこれは重大なる責任で、私は大臣に問うたわけですが、それをもう一回納得のいくようにひとつ答弁してください。
  122. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 全然責任を負わぬような自給度というようなものではございません。審議会に出るのはこの延長である、そういうふうに私も考えて、提出をいたしておるわけでございます。ただ、よけいなことを言うようでございますが、自給はどんどん進んでいく、しかし総需要量との関係というものは相当変化がありますので、需要度のパーセンテージというものは、これは少しく変化があるということは、これは当然だと思います。しかし、それにいたしましても、自給力を増していくための生産計画、あるいは資金計画等につきましては、現在申し上げておりまするところの試案というものが全然責任がないというわけではございません。それを延長して、延ばして、コンクリートにしていく、こういうことで、審議会等におはかりする、こういうものでございます。
  123. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの大臣の御答弁一つでありますが、需要の動向がなかなか見通しがつかない、それをわれわれは承知いたしております。しかしながら、これは長期高度経済成長政策では、最終目標年度の昭和四十五年度は、経済成長率を考えても、大体二百二十万トンないし二百三十万トンということだけは、もうはっきりしているわけです。十万トンの違いは幅を持たしていいと思う。だから昭和四十五年に二百二十万トンないし二百三十万トンの総需要量に対して、この三十九年度を初年度とする五カ年の間で、一体どういうふうに総需要量の見通しを立てて、それに対して現在二十五・二の自給率を一体年次別にどれだけの向上を、法律でいうところの自給度向上を年次別に立てられるのか。そのくらいのおおよそのものが政府から答弁を願えませんと、これは絵にかいたもちにしかすぎない、国内自給度向上は。だから私は繰り返しますが、これは当初政府の原案になかった文句です。自給度の向上というのは、衆議院の審議の段階で自給度の向上という文句が挿入された。だから政府当局、事務当局としては、国内自給度の向上というものがあとから入れられたので、なかなかこれに取っつきにくいということもあるでしょう。しかし、今度の国会では、これは政府の提案になっている。経過は議院が修正した経過があるけれども、今度の四十六回通常国会では、政府提案の中にあるのだから、少なくともその自給度というものは、年次別にその動向というものを明らかにして自給度の向上を考えて、それにかまえる財政金融の方向というものは、年次別には大蔵当局の了解その他は得ないにしても、農林省当局としては、大臣はこういうかまえ方でいきたいのだ、あなたが例を言ったように、道路拡充五カ年計画でも五兆円というものは、何も大蔵当局と相談しないで建設大臣が出しているじゃないですか、それが落ちつくところは四兆一千億になった、これも二年くらいを経過すれば再び修正すると言うておる。あれくらいな積極性をまず農林大臣が示さないで甘味資源の自給度向上はあり得ないと思うから、私は大臣の積極的な姿勢を内容とする自給度の向上で、われわれの納得するものを答弁願いたいと言っているわけです。
  124. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) よけいなことを御答弁申し上げるようでございますが、先ほどの道路計画、これは国で大体やりますから、非常に計画のやり方も立てよいのでございます。農民自身の耕作というような問題でございますから、この計画等につきましては、できるだけ実現性のあるものにしたいというようなことから、計画等につきましても、まだ延びているということでございます。そこで、自給度につきましては、事務当局から私の留守の間に、あるいは政務次官からもお話し申し上げたかと思いますが、三十四年の自給力強化総合対策におきましては、四十三年度におきまして、総需要量百五十二万トン、国内生産量を七十五万トン、こういうふうに見込んで算出いたしましたけれども、いま検討中の試算によりますと、四十三年の生産見込みは七十二万二千トン、こういうふうになりまして、全体としてはおおむね三十四年に推算した生産量と同様となりますが、反面、砂糖の需要構造の変化に伴いまして、予想を上回った有効需要の伸びが見込まれます結果、自給度三七・二%程度になるという見込みでございます。自給度の向上につきましては、説明は事務当局からしたはずだと思いますが、そういう説明いたしました試算は、現在までの検討の結果を集約したものであります。でありますので、いま御質問もありましたが、さらにこの試算を基礎として、国内産糖の振興策につきまして、自給度をさらに向上させる方向で努力する考えでもありまするし、予算の確保につきましても、三十九年度は前年度より大幅に上回る額を御審議願っておったわけでございます。四十年度以降につきましても、昭和三十八年度から三十九年度の予算の率、それ以上をぜひ増す、増加の率が増されるような点につきまして、見通しをなおコンクリートにしていきたい、そういうような進め方をいたしたいと思います。
  125. 大矢正

    ○大矢正君 議事進行について、委員長考え方をちょっとこの際承っておきたいので、できれば速記をとめてもらいたいと思う。
  126. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  127. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 速記起こしてください。  暫時休憩をいたします。    午後七時十三分休憩      ―――――・―――――    午後八時二十分開会   〔理事梶原茂嘉委員長席に着く〕
  128. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ただいまから委員会を再開いたします。  これより甘味資源特別措置法案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案を一括議題とし、休憩前に引き続き質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  129. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 再び農林大臣お尋ねいたしますが、畜安法による価格告示をきょうに控えて、午前の御答弁では、まだ大臣としては腹案がないということで、いずれ大蔵大臣、あるいは御必要なら総理等々とお会いになって私の要請した点を考慮していただきたい。その意図が那辺にありや、具体的な御答弁をいただくことを保留しておったのでありますが、ただいまの時点では、十分それらを踏まえて御答弁いただけると思いますので、あらためて、きょう告示されるであろう価格に対する大臣のお考え、具体的な点に触れて御答弁をお願いいたします。
  130. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 午前中もお話し申し上げましたように、現在の制度を改めないと、とても御要望の点、あるいはまた私などの考える点まで行きにくい情勢でございます。総理大臣と相談するということは申し上げませんで一たが、大蔵大臣あるいは与党の農林関係等と協議をまだ進めておりますが、結論が出ません。実は八時に会うということで、私のほうの与党の党三役といいますか、それと大蔵大臣と私と会って話をすることになっておったのですが、まだ連絡が来ませんから集まっておらぬのでございますが、どういうふうに、どの程度にやるかということはまだきまっておりません。
  131. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすれば、いつごろ具体的にお聞きできるのですか。
  132. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 十時過ぎくらいになるのじゃないかと思います。集まって話をすることは。時間的にそういうふうな見通しじゃないかと思います。
  133. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 十時ごろまで、それでは、この委員会を閉じないでお待ちしておっていいですか。
  134. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) それはみんなで話の結果でございますから、十時になれば必ず御報告できるということははっきり請け負えるというわけにはまいりません。十時になるか、十一時になるか、議論が分かれておりますので、十時ごろには私何とか話がきまるよりほかにないのじゃないかと思いますけれども、十時までお待ち願えば十時に御答弁申し上げるということをはっきり請け合うというわけにはちょっとまいりかねるのじゃないかと思います。
  135. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると明確な御答弁は十時以降に伺うことにして、ただいまのところでは、その与党に御相談になる、あるいは大蔵大臣に御折衝になるという場合の農林大臣の御決意のほどをお伺いいたしたいのであります。で、すでに生産者は、繰り返すようでありますが、要求している価格は、原料乳については一・八七五キログラム当たり九十三円というものを意思表示をいたしているわけであります。で、このことと、豚の枝肉については、卸売り価格三百二十円というものを強く要請して、このことが実現されなければ、選択的拡大というキャッチフレーズに反することになる。繰り返しこれは述べる必要もないことでありますが、そういう問題に対して、審議会でも一致した意見として取り上げて答申の中に出ているわけでありますが、そういう三百二十円というささやかな要求、九十三円というその価格に対して、一体集乳所渡しでどれだけの価格を原料乳に告示をすることが適切という大臣の御腹案でこれからの内部の御相談に当たられるのか、その御決意のほどを具体的にお聞かせを願いたいと思います。
  136. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 具体的に申し上げることは差し控えさせてもらいたいと思いますが、九十三円なんということは実際できかねます。現制度において実施可能ということになりまするならば、なま牛乳ではことしの価格に数円上げる、その数円の限度をどういうふうにするかということでございます。豚の価格は三百二十円というわけにはまいらぬと思います。三百円あるいはそれより少し下るかというようなことで話をしてみたい、このように思います。
  137. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすれば、現在工場渡し五十三円というものに数円をかさ上げすることを考えている。それから豚の枝肉価格については三百円ないしは多少下回るということに承りました。それと制度を改めるということを午前にも触れられましたが、これは速急に制度を制定する、前向きの、内容的には、畜安法のもっと明瞭な内容の整備等もありましょうし、あるいは牛乳全体についての基本的な法律というものの制定も必要だと思いますが、それをこの三十九年度中に少し検討準備を経て次の通常国会等には出す、そういうふうにこの大臣の制度を改める意思というものを具体的に理解してよろしいのですか。その点をお伺いします。
  138. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私ほんとうにこれで行き詰まると思います。いま価格の決定は行き詰まる。ですから、制度そのものを検討して、少なくとも来国会においては新しい制度で国会の御審議を願う、こういうことをめどにして制度上の問題を検討さしてみますし、私もしていきたい、こう思います。
  139. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それではこの問題については私はこれで質問を打ち切ります。具体的には、価格告示されてから、改めて機会を得て、また具体的に質問をすることにいたします。
  140. 大矢正

    ○大矢正君 休憩前に引き続き、法案内容についてお尋ねをいたしたいと存じます。そこで先ほど私は大臣に長期の需給見通し、もしくは生産計画というものはいつできるのかという質問をいたしましたが、大臣からは明確な御答弁はないのでありますが、その明確な答弁ができない理由一つとして、生産ないしは需給見通しについての積算が終わっていないという御発言もあったようであります。そこで一つには第三条の需要及び生産の長期見通しという法案内容もありまするし、あわせてそこから生まれてまいります重要農産物の指定というものもありますので、この際いつになったら、具体的な需給の見通しなり、生産の計画なりというものが出されるのか、御答弁をいただかなければならぬと思うのであります。大臣は先ほどの私の質問に対して三年などという長い月日はかからないという御発言がありましたけれども、三十九年度中にその計画なり見通しをつくられるのかどうか、むしろ三十九年度内というよりは三十九年内のいつごろまでにそれが立てられるのか、この際ぜひお答えをいただきたいと思います。
  141. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどお答えしたとおりでございます。三年なんてことは、常識から言っても問題にならない時期、期間でございます。でございますから、この法律が通れば審議会に諮問しなければなりませんので、できるだけ早く策定する。一カ月くらいのうちに策定する。先ほどお答えいたしたとおりでございます。
  142. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、一カ月以内のうちには策定をして、これを公表する、もちろんその前に審議会にはかる、こういう意味で解釈してよろしゅうございますか。
  143. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 何回もお答えしておりますが、そういうふうに御理解いただいてけっこうです。
  144. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、次にお伺いをしますのは、先ほど四十三年度までの五カ年間の農林省から提示をされた見通しに基づいての所要資金の試算は二百二十五億円であり、そのうち国が予算措置を講じなければならない金額はおおよそ百十六億であるという御説明がありましたが、これはこの法律に適用されるすべての作物に対して言われていることなのか、ないしはてん菜に特定して言われていることなのか。
  145. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) これはてん菜とサトウキビと二つのものについてでございます。
  146. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、それじゃ国が考えなければならない資金と言われた百十六億というのは、今日の一般会計の予算、その予算の中のたとえば甘味資源振興対策の予算のどの部分に大体該当する金額が五カ年間でこういう数字になってくるのですか。
  147. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) この予算の資金の内容といたしましては、土地改良事業、それから甘味資源振興対策予算、この両者合わせたものです。
  148. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、具体的にこの生産振興計画の問題に関連をしてお尋ねをいたしたいと存じますが、都道府県知事にこの法律に基づいて策定をさせるところの農株省に報告をさせる生産振興計画、これは毎年々々その年もしくはその次の年のものを知事が農林省に報告をするのか。そうではなしに、五カ年なら五カ年という一つ前提に基づいて行なわれるのか、その点お尋ねをしておきたいと思います。
  149. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 法律の規定は毎年々々計画を進達するわけであります。それで、先ほど来問題になっております五年先の見通しという問題は、これは法律上の問題ではなくて、行政運用上の問題でございます。
  150. 大矢正

    ○大矢正君 そこで考え方としては、あなたの言われることはわかりますけれども、振興計画というのは、その年の分を、年の頭初になりますか、いつになるかわかりませんが、都道府県知事が出すということでありますが、そこで、かりに都道府県知事がこれから五カ年間の生産振興計画というものを立てて、それに基づく内容はこのとおりでありますと、同時にそれに必要とする資金は国、地方ないしは耕作者の負担、それらを合わせてこの程度の金額になりますよという、そういう経過を経てつくられるものでありますれば、五カ年計画というものもある程度出てまいりましょうけれども、地方から出てまいりますのは、単なる年次計画にすぎない。そこで一体どうやって五カ年計画というものが生まれてくるのかということになりますと、私ども大いに疑問が出てくるのです。それはあくまでも農林省が、われわれはこうしたいという考え方に基づいて行なわれるのか、それとも単なるこの程度になるであろうという、それだけの範囲内において考えられるものなのか。私どもにとっては、それはどうも疑問なんです。その点ひとつお答えを願いたいと思う。
  151. 酒折武弘

    政府委員(酒折武弘君) 五カ年の見通しを立てるにあたりましては、前々から申し上げておりますように各道、県と相談いたしまして下からの積み上げ的な計算も考慮しながら、最終的には農林省の考えとしてきめるわけでございます。そうして、そのきめ方といたしましては、単にこうなるであろうということではなくして、こうしたいという意欲的な、しかし実現可能な計画をつくっていきたい、そう考えておるわけでございます。
  152. 大矢正

    ○大矢正君 農林大臣お尋ねしますけれども、この法律の出される以前の法律でありますてん菜生産振興臨時措置法、それから、また自給力強化対策、そういうものから生まれてまいりました自給度というのは、最近の統計を見ますると、おおよそ二五%程度、約四分の一、こういう数字になってあらわれているわけであります。そこで、目的の中で新たに自給度の向上というものを入れたということは、おおよそどの程度を自給度の向上と言うのか。以前の強化対策の際には需要量を百五十万トンと見て、その半分の七十五万トンという数字が一応の目途として出されておったのでありますが、今度のこの法律が提案されるにあたっての自給度の目安はどこにあるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  153. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 現在の見通しでは砂糖の需要量が非常にふえましたので、その当時の自給度から見まするならば、自給度のパーセンテージが三七・二%というふうに減っております。しかし、増産やなんかは、これはどんどん進めているわけでございます。これは自給度は、総需要量と比較するとなかなかそれに伴って自給度を増していくということは、これは実現の点においては非常に困難があると思います。しかし、量をふやしていくということについては、これは可能であります。でありまするから、先ほど事務当局から申し上げましたように、いまパーセンテージは幾らということには、まだ申し上げかねますけれども中央においてどれくらいにするということの方針は、これは中央できめなくちゃなりません。道府県等の答申といいますか、意見というものは、これは非常に参考になります。そうして実現可能な線でなければなりません。そういう意味におきましては、いま自給度をどれくらいにしたらいいかということにつきましての数字はまだ申し上げられません。
  154. 大矢正

    ○大矢正君 先ほども私申し上げたとおり、自給力強化対策の中におきましては、百五十万トンに対しての五〇%七十五万トンを国内産糖でまかないたい、それがいうならば骨子であります。その考え方の上に立って具体的な裏づけの措置としてはこれとこれとこれ、こうなされてきたのであります。ところがいまの大臣答弁によると、自給度をどの程度にするかという何らの目安も目標もないということになりますと、過去における甘味資源強化の自給度ないしは自給力強化の対策からは大いに後退をしておる、こういうように私どもとしては考えないわけにはいかない。やはり今日耕作農民の立場に立ってものを考えてみれば、甘味資源の国内自給度をどの程度にするという政府のそのような前向きの姿勢があるかどうかということが問題なんです。ところが自給度は目的の中にはうたわれたけれども、しかもかつての対策の中にはあったけれども、この法律には何ら具体的に出てこないということになりますと、従来の方針よりは大幅に後退をしたということになってくるのです。それはそのようにお考えになりませんか。
  155. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 従来の自給度計画を約五〇%ときめましたけれども、そういうところまでほど遠い現状で進んできたことは御承知のとおりでございます。でございますから、自給度をきめるのに、自給度多いにこしたことはありませんけれども、それが実現可能でないようなことであっては、これは私ども困ると思います。そういう意味におきましては、自給度は増しますけれども、その自給度を、着実に到達するような目標で自給度を策定する、こういうことでございます。でございますから、五〇%、六〇%、一〇〇%というように、そういうふうに大きな自給度を考えましても、これは実現不可能だ、むずかしいと思います。やってやれないことはないでしょうけれども、非常にむずかしい。いまの自給度は、大体二五%程度でございます。自給の度合いと見合ってやっていくということになりまするならば、四十三年ですか、四十三年の自給度はいま三七・二%程度というふうに見ておる。しかし、これも需要量あるいは生産の状況等によってそれで固定しているというわけではございませんから、審議会にはかる前にはなおさらに一そう検討したい、こういうつもりでおるということでございます。
  156. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、いま大臣から三七%ないし八%という数字が述べられましたが、もとよりこれは先般の食糧庁から出された資料の中に、経済の成長に伴って出てくる数字としてあらわされているのであります。ただ、私が考えなければならぬ問題だと言っておりますのは、単にこのやった結果として数字がこういう数字になるのだ、その場合の自給率は幾らになるのだ、こういうことではなしに、政府みずからが過去における五〇%の自給率というものが過大であったとすれば、それを下げて四〇なりあるいは三八でもけっこうでありますが、その目標に向かって着実に前向きの姿勢でそのために必要とする措置をとっていく、こういうようにならなければいけないのじゃないかということを私は申し上げているのです。その点はそうしていただけますか、考え方の上において。
  157. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 考え方はそのとおりでございます。目標を立てて目標に到達するべく努力しなかったらその目標は空中楼閣みたいになります。私は目標を立てたら目標に到達すべくあらゆる施策を講じていく、これはお話のとおりに当然だと思います。
  158. 大矢正

    ○大矢正君 まあその大臣のいろいろな説明がございますが、私はその五〇%という強化対策の目標がかりに四五になったから、だから姿勢は前向きじゃないと、こういう議論をしているのじゃないのです。それはいろいろ困難な情勢があって、当初五割を目途としたのが、現実にはそれができなかったということは、私どももわかるのです。しかし考え方の上においては、あくまでもたとえそれが四〇でも三八でもいいから日給力をどの程度までこれから高め、と同時にそれは国際競争力との問題もありますが、そういうものを踏まえてとにかく国内自給体制を考えていくのだという考え方がない限りは、耕作農民の、いうならば意欲を高めることにはならないのですよ。だから私はそこを強調しておるんです。  そこで、その点はその程度にして、次に具体的な法律の中身で申し上げるわけじゃありませんが、第九条に生産振興計画の樹立がありますが、この生産振興計画というものは耕作農民の個々を縛るものですかどうですか、これは。これはあくまでも計画であって、耕作農民はこの計画には縛られるものではないという判断なのか。それともこの計画を立てたら、耕作農民はこれに縛られるのだ。こういう判断になるのか、そのいずれですか。
  159. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この計画に縛られるという限度がどういうことか、でございますが、その計画に従わなければ罰則があるとかそういうようなものではございません。この計画に沿うて極力その実現をはかるべく、官庁といたしまして、あるいは耕作者といたしましても、それに応じてもらうという意味だと私は解します。
  160. 大矢正

    ○大矢正君 第九条の第二項に、「生産振興計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。」以下一号から七号までありますけれども、たとえば第六号に「集荷及び販売に関する事項」こういうのがありますが、そこでこれは明らかに、この耕作農民が原料ビートをどこに売るかという問題にも関連をしてくると思うのであります。どの会社に自分の原料ビートを売るかという問題にも関係してくるわけであります。そこで、この九条に盛られた振興計画に盛られた内容のものは、耕作農民を拘束するものであるのかどうかということを承っておるのです。
  161. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これはまあ拘束するということでなければまずいと思います。しかしそれに違反したからといってそれを罰するというようなことはないはずでございます。
  162. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると具体的にたとえば「集荷及び販売に関する事項」こういうことで、君のつくる地域の原料ビートはAという会社にやるのがよろしいと思いますよと、こういうことで知事が一つの振興計画を立てたとする。それを農林大臣に報告をしたとする。その際にこれはどこまで拘束されるのか、それはあくまでも知事が勝手にやることだから、耕作農民はかまいませんと、どうぞおやりくださいと、単なる目安としてなされるものなのか。もしそれに従わないと、君の地域はAという会社に売ることになっている。それをもしBという会社に売ったとすれば、君のほうはこういう制約を受けますよというようなことがないのかどうかということです。
  163. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 事務的なことですから、私からお答えいたしたいと思います。この「集荷及び販売に関する事項」につきましては、集荷区域とか、あるいは販売先とか、こういうものが計画に織り込まれるわけでございます。これを立てる場合におきましては、三項にありますように、市町村なりあるいは農業団体の意見を聞いてきめることになるわけでありますが、大体それによりまして、たとえば集荷区域のようなものにつきましては、こういう生産計画を立てる場合におきまして意見を聞きまして道としてきめるということになりますれば、それがこの要項の中に入ってくるということになるわけであります。ただ、農民としては、農協を通じて出すか、あるいは商人を通じて出すかというようなことはまたあると思いますけれども、集荷区域なり販売先なりというものがきまる、こういうことになるわけであります。
  164. 大矢正

    ○大矢正君 もう少し具体的に掘り下げて議論をしますと、たとえば、いま北海道の空知地区におきましては、道が考えている集荷区域というものに対して反対であるという意思表明を行なっています。これはまあ御存じだと思います。全部じゃありません、特定の区域でありますが。そこで、その地域の単協なりないしは個人なりが、私は、道の知事がAという会社に原料ビートを売りなさいと言っても私はいやです。そうして、私の所属する単協、それもいやですと答えた場合に、道の知事は、この集荷及び販売に関する事項で、当然農林大臣に生産振興計画というものを報告できないことになるんだが、その点はそれでけっこうですか。
  165. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 具体的な問題でありますので、具体的な事例としてお答えいたしたいと思います。  今年度の集荷区域なり、あるいは昨年度の集荷区域につきましても、道が生産者団体なり、あるいは精糖企業の意見を聞きまして集荷底域をきめたわけであります。したがって、そういう集荷区域なりがきまれば、計画としては、振興計画の中にそういうことを前提として計画の事項がきまってくることになるわけであります。当然、それによって、当該地域における生産者団体の出荷なり、あるいは販売にあたりまして、生産者と、あるいは生産者団体と売買契約を具体的に結ぶと、こういうことになるわけであります。その際に自分がいやであるということになればこれはまあ別でありますけれども、拘束力はありませんから別でありますが、いま申し上げたような手順でこれはきまっていくということになるわけであります。個々の具体的な例で、道ではそういうふうにはきめたけれども、自分はいやであるというようなことになりました場合におきましては、拘束力はありませんけれども、その地域における集荷地域はすでにきまったものがここに来る、こういうことになるわけであります。
  166. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、この生産振興計画というものは、耕作農民及びその団体というものをしばりつけるものではないということは考えていいわけでしょうか。
  167. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 先ほど大臣がお話しになりましたように、これに違反したら罰則の適用があるとか何とかということはもちろんありませんけれども、当然、集荷区域というものが、先ほど申し上げましたように、製糖会社とかあるいは町村等と全体としてきまりました場合におきましては、当然まあそれによって指導してまいるというのが、たてまえであります。しかし、どうしても自分としてはいやだということであれば、そういう意味法律的拘束力はないんだということを申し上げたわけであります。しかし、全体としてきまりました集荷区域等につきましては、これによって秩序ある集荷を行なうということに当然指導してまいる、また振興計画もそれを目途として指導してまいる、こういうことになると思います。
  168. 大矢正

    ○大矢正君 だから、私は端的に聞いているので、あなた、法律的には拘束されないが云々というつけ足しがあるのですよ。だから、私は、法律的に拘束される何かがあるのかと、こうお尋ねをしているのですよ。だから、なきやないでけっこうなんですよ。そこでたとえば、一つの町なら町の中における組合が、私の組合はひとつ全面的にAという会社に売れと、こうおっしゃるけれども、しかしそれはBという会社に私どもは売りたいと思いますと、こう言った場合、そのことがもしかりに知事が策定をする生産振興計画と合っていない場合においても、振興計画それ自身を知事がはたして農林大臣に報告することができるかどうかは別にして、法律的には拘束されるものではない、こういうことですね。  ただ、そこで、それじゃどういう問題が起きてくるかといえば、そういうように自分の意思だけで原料ビートを自分の希望する特定の会社に、道の生産振興計画と違った会社に売ろうとする場合に、国がはたして一般会計の予算の中で、ないしは地方団体がその地方団体の予算の中で、土地改良なりその他何らかの方途を講ずる際に予算措置をやってくれるかどうかという問題は残りますね。どうですか。
  169. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) まあ、きわめて具体的な特殊なケースだと思いますが、一応集荷区域というのが全体としてきまれば、当然それに基づいて振興計画が立てられるわけでありますから、道なり県なりは、それを納得してもらうように指導するというのが、まあ当然でありますけれども、それでも絶対わしはいやだということであれば、これはしかたがないということをいま申し上げたわけであります。その際に、助成をどうするかというのは、これまた別の問題でありまして、助成をする場合に適当であるかどうかということによって判断されるものであろうと、こう思っております。
  170. 大矢正

    ○大矢正君 この助成をする場合にどうのこうのという議論が一つまあ必ず出てくると思うのですが、しかし、自分は単に原料ビートというものをAという会社でなしにBという会社に売りたいというだけで助成措置が行なわれないということは、私どもとしては不都合じゃないかという気がするのですが、いかがでしょう。
  171. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) ただいま申し上げましたように、振興計画がきまれば、これに基づいて助成をするというのがたてまえであるわけでありますが、しかし、一般的に土地改良がどうだ、助成すべきかどうかというようなことになりますれば、具体的にケース、ケースに応じて判断すべきでありまして、当然他の生産地域に無理じいできないために、いやだといったようなものは罰則的に助成しないというようなことは、必ずしも一義的には考えられないのじゃないか。やはりケース・バイ・ケースで、また生産計画という目的に従って考えていくということになろうかと思うのであります。
  172. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、いま第九条に基づく生産振興計画についてお尋ねをしたのですが、それと関連のある第十八条、「(地域内国内産糖製造事業者に対する指示及び勧告)」と、ここの項目でお尋ねをしたいと思うのでありますが、この中で、農林大臣は製造事業者に対して必要な指示をすることができると、こうなっております。その必要な指示とはというところで、「生産者からの買入れの価格その他その生産者との取引の条件及び方法、その買入れを行なう区域」と、こうなっておるのです。その買い入れを行なう区域についても必要な指示を農林大臣は行なうことができると、こうなっておりますが、これと生産振興計画とのいまの一元集荷問題との関係はどうなんですか。
  173. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 振興計画におきましては、先ほど申し上げましたように、第三項で農業団体等の意見を聞きながら都道府県が計画を立てるということになっておるわけであります。その中におきまして、具体的な生産者が精糖会社と契約をするということになるわけでございます。その間におきまして、ここに書いてありますような集荷期が来ても価格がきまらない、あるいは集荷区域もきまらないというような紛争がありました場合に、この規定によって指示ができる、こういうことになっております。
  174. 大矢正

    ○大矢正君 それは一体だれに対して指示をするのですか。この法律の条文からいけば製造事業者でありますから、耕作農民じゃないという結論になるのです。ところが、その買い入れを行なう区域という問題については、これは事業者だけが勝手にきめる問題じゃなしに、耕作農民と話し合いの上で、それじゃあ君の会社に売ろうということになって、まとまるわけでしょう。そうなると、この第十八条が出るということは、具体的には耕作農民の集荷問題、区域というものまで規制をするということにならないですか。
  175. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) この点は、さきの委員会でも申し上げましたように、限られた原料地帯におきまして、精糖事業者が競争的に原料を買い集めるというようなことになったんでは、かえって長い目で見まして生産の不安定を来たし、集荷の面においても無秩序になるということから、企業の安定もはかられないと、こういう趣旨で、これは精糖事業者に対して集荷区域をきめるというたてまえであります。そこでお尋ねになりましたのは、そういうことでは、生産者の意向はどうであろうかという御質問だと思いますけれども、これはビートのやはり性格からいいまして、各農家が自由にあちらにもこちらにも売ってもいいというようなことでは、本来この企業というものについて成り立たないし、また生産の安定も長期的には期せられない、こういうことで、集荷区域をきめてその区域の中における生産者については、合理的な取り引き方法を実現さしていく、こういうたてまえになっておるわけであります。その際におきましては、当然振興計画を立てますから、その振興計画を立てる際には、十分市町村なり農業団体の意見を反映さしてきめる、こういうことに考えておるわけであります。
  176. 大矢正

    ○大矢正君 そこでまあ十八条の、政府が指示をすることができるということの内容というものは、あくまでも耕作農民を拘束するものじゃなしに、事業者が特定な地域から賢い上げるという場合においてだけ規制をするものだということはそこでわかりましたが、この際、この文章の中であらわれてくる内容で不明確な点がありますので、ひとつお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、その指示をするということ、指示という意味は、たとえばいまの条項の、必要な指示をすることができるということと、勧告をすることができるということと、これはどれだけの違いがあるのですか。
  177. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) まあこの指示は、勧告と具体的にどこが違うかというと、一般的に勧告といった場合に、当然それに応じて向こうが、相手方がモーラル・オブリゲーションを感ずるというような行政的な意味があると思うのですが、指示という場合におきましては、もう少し具体的措置を伴うという意味におきまして、命令まではいきませんけれども、具体的事項をきめて、これでやりなさいというような性質のものじゃないかと思います。法律的には、勧告も指示も、効果としては差異はありません。
  178. 大矢正

    ○大矢正君 私がわからないのは、指示をするといってみたり、勧告するといってみたり、内容が同じものであれば、どっちか一方のことばを使えばいいんだか、そうでなくて、指示をするといい、片方では勧告をするという。あなたのいまの御説明を承ると、指示も勧告もさほど変わりはないのだ、こういうような御説明のようですが、しかし、文章にあらわれてくる文字が違うということは、それだけ何らかの拘束力ないしは内容が違うと考えざるを得ないのです。だからそういうあいまいな答弁でなしに、もっと正確な御答弁をしてください。
  179. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 勧告と指示につきまして、この法律では、指示のほうに非常に強い意味を持たしておりまして、たとえば二十三条におきましても、指示した場合におきましては、それを参酌するというようなことで、行政効果を持つ強さを持っているものであると、こういうふうに考えます。
  180. 大矢正

    ○大矢正君 しつこいようですが、ことば上の違いなのか、内容における違いなのか、単なることばにおいての違いなのか、ことばが強い弱いというだけの問題なのか、拘束する内容が違うのか、具体的にはどうです。
  181. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 内容におきまして、指示という場合には強いのでありまして、もっと、この法律では直接には出ておりませんけれども、たとえば指示したという場合におきましては、その指示に伴う行政上の効果をある程度政府も負う。したがって、この場合は法律上指示いたしますと、指示したものについては、買い入れ価格について当然これを参酌するというようなものを持つわけでございます。場合によりましては、指示したことに伴なっての政府の行政的保障といいますか、そういうようなものを持つ場合もあり得る。勧告の場合は一般的に相手方にモーラル・オブリゲーションをかけるわけでありまして、それによって相手方を道徳的に拘束する、もちろんそれにしたがわなかった場合は行政措置を伴うこともございますけれども内容的に指示と勧告では若干違いがある、こういうことであります。
  182. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、たとえば三十八年産のビートについては、もちろん原料ビートでありますが、農林大臣法律がないということから結局勧告価格ということで六千五百円ときまりましたですね。そうすると、あの勧告というものは非常に政府の意思の表明としては弱かったものですね。いまの食糧庁長官答弁によるというとそういう解釈になるのです。指示というものが行政上責任を負わなければならないものだ、ある場合には政府みずからも責任をとらなければならぬ部門があるのが指示であって、勧告というのは単に言っておったというだけだ、こういう御答弁になっているわけですね。そうすると、三十八年産のビートに対する勧告というものは、農林大臣はおれが勧告したからあれはうまくまとまったんだというように言われておるのだが、あれは単に言っただけであって、さっぱり政府の行政的には効果がなかったものだというふうに私解釈せざるを得ないんだが、それでいいですか。
  183. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 当時といたしまして、法律上の指示制度というものはなかったわけでありますから、そこで勧告ということにいたしたわけでございます。しかし、勧告をするにあたりましては、当時それに関連する農林省の声明も出して、十分これについては責任をもって善処するというようなこともありまして、決して言いっぱなしの責任のないものであるというふうには考えておりません。
  184. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  185. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 速記を起こしてください。
  186. 大矢正

    ○大矢正君 そこで、次に価格に関連をする問題で、大臣がおりませんから政務次官にひとつお答えをいただきたいんですが、三十八年産原料ビートについては、もしこの法律が通った場合には、最低生産者価格というものは、当然のこととして告示されるわけですね。これは暖地ビートのことを言うているのじゃなしに、北海道、寒地のビートのことを言っているんです。
  187. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) それは、三十八年度の勧告価格が三十九年度の最低価格になるということはないと思っています。
  188. 大矢正

    ○大矢正君 政務次官、まあゆっくり質問内容を聞いていただいて御答弁をいただければけっこうだと思うんですが、私の申し上げているのは、三十八年産ビートですね。この面については、最低生産者価格というものは出すのか出さないのかと、こう聞いているんです。食糧庁長官は衆議院の農林水産委員会では、原則としてはそれは出すものであると、こういう御答弁をしているんです。
  189. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 附則の第五条で、経過規定といたしまして、一応最低生産者価格を出すことを予定して書いておるわけであります。したがいまして、現実には寒地ビートの必要はないわけでありますが、暖地ビートについては、なお三十八年の最低生産者価格をきめる必要がありますので、これは出す予定でおります。
  190. 大矢正

    ○大矢正君 寒地、暖地を問わず、あなたは衆議院の農林水産委員会で、三十八年産の原料ビートについても、附則もあることであるから、最低生産者価格というものは出さなければなりませんと、こう答えているんです。原則的には。で、あなたのいまの答弁を聞くと、出さなくてもいいという解釈が出てくるんだが、そうすると、あなたの衆議院の農林水産委員会における答弁とは違ってくるんだ。
  191. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 衆議院におきまする答弁といたしましても、同じようなことを申し上げて、第五条があります以上、寒地でも暖地でも、三十八年産を出すという、規定としてはあります。しかし実行問題としましては、寒地についてはもう最低生産者価格をつくる意味がありませんもので、これは必ずしも出さないでも済むのではないかというような趣旨のことを答弁しております。
  192. 大矢正

    ○大矢正君 どうもあなたの答弁がわからぬが、法律的には出さなければならないだろう、しかしその必要性ということからいくと、その必要性はないだろう、こういう持って回った言い方をしているんだがね。私は、その法律がどうで現実にはどうでという話を聞いているんじゃなしに、出すのか出さないのかと聞いているんですよ。
  193. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 暖地につきましては、出す予定にいたしております。
  194. 大矢正

    ○大矢正君 それならば、そのあなたが出されるものと、それから三十八年産、すでに取引価格がきまって取引が行なわれたものとの関係はどうなるのです。
  195. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 暖地におきましては、これから取引が行なわれることになっておるわけでございます。したがいまして取引価格としては、いま生産者団体とそれから精糖企業との間で話がこれから進められることになる、これは取引価格。それとは異なった最低生産者価格というものは当然考えられるわけでございます。
  196. 大矢正

    ○大矢正君 私の申し上げているのは三十八年産のすでに取引のきまった価格というもの、取引価格ですよ。それと、あなたがいまおっしゃられているこれから出すであろう暖地ビートの最低生産者価格との関係はどうなるのかと、こういう質問をしておるのです。
  197. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) ことばが不十分でありましたが、三十八年産の取引価格もこれからきめるわけです。それから最低生産者価格は、それとは別にこの五条によって出したいということでございます。寒地におきましても、三十八年の取引価格は六千五百円、こういうことでございます。
  198. 大矢正

    ○大矢正君 どうも逃げて、答弁をしないようだが、六千五百円というものと、あなた方がこれから出されようとしている最低生産者価格というものとの関係はどうなるのかと、こう聞いておるのです。
  199. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 三十八年の最低生産者価格は、従来の例によりますと、前年の最低生産者価格にパリティを乗じたものできめるというのがたてまえでありましたけれども、これは衆議院におきましても附帯決議もありまして、もっと幅広い年次を基準年にとって、そしてパリティ価格を出し、さらに六千五百円の取引価格も参酌して、三十八年をきめろということが出ております。そういうこともあわせ考えまして、いま検討いたしておるところでございます。
  200. 大矢正

    ○大矢正君 いま検討をしているということではなしに、どういう考え方を持っているかということをお尋ねしているのですよ。検討検討と言われたら、この法律通るまであなた方答弁せぬでしょう、おそらく。だからそういうあと向きな考え方じゃなしに、われわれとしては積極的に、どういう考え方をもって臨みたい、この態度の表明をしてもらいたいということを言っておるのですよ。衆議院の決議もありますとか、どこの決議もありますとか、そういうことを聞いているのじゃなしに、決議は決議で私も存じておりますから、いまどう考えておるかということをお尋ねしたいのです。
  201. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 繰り返すようなことになりますが、三十七年、三十六年の旧法に基づく告示価格を平均したものに三十八年の四月-十月の作付期間におけるパリティ指数との比率を出しまして、これによってパリティ価格を出し、これを基準とした価格と六千五百円をにらみ合わせて、さらにそれ以外の生産費あるいは競合農作物であるとかいうようなこともにらみ合わせまして、具体的に最低生産者価格を最終的にきめたい、こう思っております。
  202. 大矢正

    ○大矢正君 話をちょっと別な角度からしたいと思うのですが、いまの最低生産者価格というのは、おおよそ政令にゆだねられることになりますがね、いつごろになるのですか。
  203. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 通常の場合、この法律にもありますように播種期前ということになりますので、まあ三月一ぱいぐらいにはきめたい。しかし、政令ではいまのところ四月十日までというふうに期限を最終は置いたらどうかというふうに考えております。ただし、本年につきましてはまだ法案が通っておりませんので、多少これから関係方面といろいろ折衝するというようなこともありますので、本年度におきましては、若干延びるんじゃないか、こう考えております。
  204. 大矢正

    ○大矢正君 まあ価格の問題では、一番最初は最低生産者価格が出てきますね。その次に業者と耕作農民ないしはその団体との間の取引においての話し合い、俗にいわれる取引価格が出てまいりますね。ところがこれがまとまらないと、こういう場合には農林大臣が勧告をして、そこで勧告価格というものが生まれてまいりますね。最終的にこの勧告価格というものが――まとまらないという前提ですよ――もし行なわれるとすればいつごろになるんですか。
  205. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) これは、いよいよ収穫期が終わりまして精糖期に入るという前までにまだ取引価格がきまらないといったようなことについては、必要な勧告を出すということになることを予想してるわけでございます。したがって、大体十月末までにはきめると、こういう予定でおります。
  206. 大矢正

    ○大矢正君 いま価格の問題についてお尋ねをしたんでありますが、この考え方として、こういう考え方は生まれてこないでしょうか。たとえば、最低生産者価格というものをかりにあなたのほうで告示をしても、精糖業者がその政府告示した価格は気に食わないから、その価格で取引はできませんと、こういう事態もありますね。――まあ条件があります。ただしそれには。当然のこととして、砂糖の価格がかりに落ちた場合に、最低生産者価格で買い入れたそのものを政府が買い上げるということがなくなりますね。そういう条件はありますが、最低生産者価格に対してもなおかつ業者が従わない、もっとそれより低いものでなければならないと言うことは、法律的にはあり得ますね。
  207. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 法律的というか、事実上はそういうことがあり得るかどうかということでありますが、この法律におきましては最低価格で買ったという証明書をつけまして、そしてその精糖を政府に売り渡した場合にのみ買い上げるという方法をとっておりますので、事実問題としては、それ以下で買って、そして政府に売らないというような場合であれば別でありますけれども、一応それで買ったものは政府で買うということにいたしておりますし、また逆に、それ以下で買ってそうして政府に売っても、その際は買わないという措置をとっておりますから、実際問題としてはそういうことはまずないであろう、こう思っております。
  208. 大矢正

    ○大矢正君 まずないだろうということではなしに、結局、政府に砂糖を買ってもらおうとする精糖業者の考え方がなければ、最低生産者価格を下回るもので買うという場合もあり得るわけでしょうと言ってる。それをあなたは絶対ないと言えますか。
  209. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 法律的にはそういう場合も予想はされます。しかし、事実問題としてはまずないであろう、こう思うのであります。
  210. 大矢正

    ○大矢正君 事実問題としてはないであろうと言ったって、やろうとすればそれはできるでしょう。だから私の言いたいのは、あなた方の出してこられたこの法律というものは、耕作農民を守る意味においても必要だというような御判断があるようだけれども、もしいま私が申し上げたような事態になった場合には、たとえ幾ら最低生産者価格告示をしてみたところで、それ以上の価格でもって原料ビートの取引が絶対にされるのだというものではないと、裏を返して言うと、耕作農民の立場というものは、この法律では絶対的に守るのだというものではないと、こういうふうに解釈ができるのではないかと言ってるんです。私は。
  211. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) その点は私は若干意見が違いまして、最低生産者価格を割った取引価格というものはまずないであろう。というのは、最低生産者価格以下の場合には、幾らそれによってつくった砂糖であっても、政府に売り込むわけにはいかないし、政府も買わないわけでありますから、したがって現在のような状況、昨日も申し上げましたけれども、精糖会社としてはビートの原料がほしいわけであります。むしろ量的には売り手市場だという状況の場合におきまして、最低生産者価格がきまれば、少なくともそれ以上に取引価格というものは事実問題としてはなるのではないかと、私は考えております。
  212. 大矢正

    ○大矢正君 政務次官ね、この私どもが非常に心配をすることは、最低生産者価格というものと、取引価格というものが、常に大幅な違いを示すような結果になりはしないだろうかという不安感を一つ持っているのですが、あなたそれをお感じになりませんか。
  213. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) これは現在においては自由取引になっておりますから、実際の取引価格政府が定めた最低生産者価格が違うことは普通だと思います。ただ、先ほど来大矢委員のおっしゃることは、糖価が非常に下落してきて、そうしていよいよこの最低生産者価格を発動しなければならぬという場合におきましては、それは最低生産者価格以上で買ったものについて、その証明のあるものについてのみ政府が買い入れるのでありますから、経済行為をやっている精糖会社が、それ以下で買うということは、もうみすみす損して売るということになりますから、そういうことはあり得ないと思います。どうしても最低生産者価格政府に売るよりほかないというように考えます。その点で御了承いただきたいと思います。
  214. 大矢正

    ○大矢正君 どうもあなたの答弁は、一つずつ食い違っているのですよね。考え方の違いがあるというなら、これはしかたがないことだからいいの、だが、答弁内容が、どうも私の質問することと違っているのだが、私が心配をすることは、かりに四月なら四月に、最低生産者価格というものを政府告示をしてみても、それと実際に取引される取引価格というものは、非常に大きな違いが出てきはしないかという心配を私は持つのだが、あなたはどう感ずるかと聞いているのですよ。
  215. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 最低生産者価格のつくり力は、先ほど食糧庁長官答弁されたように、一つの方式があるのでありまして、これは法文の第二十二条にもあるのであります。それで定める価格と実際の取引価格は、これは違うのが普通だと思います。実際の取引価格がむしろ上でありまして、常に上であります。上であって、それは国際糖価と国際糖価に左右されると思われる国内糖価に支配される取引価格になってくる、その取引価格はあらかじめことしのような状況であれば、生産者の団体と協議して精糖会社が決定するということになって、実際の糖価との間には、多少のそれは見込み違いも出てくるかと思いますけれども、その取引価格と最代生産者価格とは違うのが普通だと思います。ただ、この最低生産者価格というものは、われわれは生産者のいわゆる街生産を保護するために最低の支持をしておくのでありまして、実際の取引価格はそれ以上になるというのが普通であると思います。
  216. 大矢正

    ○大矢正君 取引価格というものが最低生産者価格よりも絶対的に上であって、決して下ではないということは、これは断言ができないのだ、これは、そんなことは法律のどこにもないのだから。ただそれは食糧庁長官答弁をするとおり、現在の情勢ではまずないであろう、それは私もうなずく、その点は。そういう解釈のしかたはうなずくが、あなたの言うとおりならば、取引価格は絶対に最低生産者価格よりも高いものであって、低いものであるということはいえない、それはそれでけっこうです。けっこうだが、そこで、同じくこれは政務次官にお尋ねしますが、最低生産者価格というものと取引価格というものは、内容的には具体的にどのような通いが出てくるのですか。
  217. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) それは、御質問意味がはっきりわからないのですが、あるいは違っておるかもしれませんが、取引価格というのは、自由市場における取引価格でありまして、今日においては生産者団体と精糖会社と自由に価格を決定しておるような現状であります。それが自由取引価格であります。それはやはりこれは精糖会社がそのてん菜を買収するという、取引価格を決定するという場合におきまして考えるのは、その採算だろうと思います。現在の市場の糖価がどうであるか、それに製造価格とかその他の諸条件を見越して行なうならばいいという価格だ。それから最低生産者価格というのは、これは政府が二十二条に定めておるところのいわば農業パリティ指数に基づいて算出した価格を基準として、物価その他の経済事情を参酌して、そうしてこのてん菜の再生産を確保することを旨とすることとして定めた価格でありますから、違うと思います。
  218. 大矢正

    ○大矢正君 そこで政務次官、まあかりに三十九年産の原料ビートについてはすでに取引価格がきまりましたね。御存じのとおり、六千八百円プラス四百円、合わせて七千二百円と、まあ私どもは北海道においてはそういうふうにきまっておるわけです。それでそれに基づいて現在話が具体的に進んでいるんですが、あなたが先ほど来取引価格というものと、それから最低生産者価格というものは性格的にこう違うんだというお話がありました。私もそのとおりだと思うのであります。最低生産者価格というものはもしこの法律によるとすれば、パリティ指数に基づいて計算をされるんですから、計算の根拠が違うでしょう、取引価格というのは、そういうようなパリティ指数云々もそれは幾らかあるかもしらぬが、会社、その企業のコストがどうか、採算がどうか、市場がどうか、そういういろいろな判断に基づいてきめられるものですから、よって立つところの考え方の基礎は違っても、算出の基礎は違っても、しかし結果論的に見れば、金額の上においては取引価格というものも、最低生産者価格というものもそんなにべらぼうな違いが出るものではないと私は考えるんだ、その点いかがですか。
  219. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) それは市場価格の状況によって最低生産者価格と取引価格との縮小の度合いが違ってくるのだろうと思います。ごく近づいておることもありましょうし、また糖価が国際価格の影響を受けて、著しく上がったような場合には、それはまた違ってくると思う。まあ市場価格と――最低生産者価格は固定した価格ですから、そこに違いが生じてくると思います。
  220. 大矢正

    ○大矢正君 そこで取引価格にしろ、最低生産者価格にしろ、いずれにしても耕作農民の生産意欲というものを、増産意欲ないしは耕作意欲、そういうものを高める、いうならば再生産のためにあらわれてくるものであることは間違いないんでしょう、これは。それが一般市況の、そうしてまたその企業の採算も成り立つものなのか、あるいはまたパリティ指数等に基づいてなされるものかは別としても、原則においては耕作農民の生産意欲、増産意欲、耕作意欲というものを刺激する意味において生まれてくる金額には間違いないわけです。そうだとすれば、その最終的な取引価格というものと政府告示をする最低生産者価格というものが非常に大きな違いが出てくるということになりますというと、私は考え方の上において納得のできないものが出てくるんですが、そう思いませんか。最低生産者価格というものは低くてもいいんだと、あなたの説によると、取引価格は本来高いもんだと、単にこれだけで価格というものを考えていいものかどうか、私はどうもあなたの言うことが納得できない。
  221. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) いや、最低生産者価格は低くてもいいんだという意味じゃないんですよ。それはやはりまあ決定する、その前年度の価格を基準として農業のパリティ指数に基づいて算出する価格をもととして、物価その他の経済事情を参酌して定めるんですから、ちょっといわゆる構成する算出の基礎が違いますから、ただわれわれが考えて、いわゆる生産者の再生産を確保することを旨とするというのが根本でありまして、それは取引価格がたまたま高ければ取引価格によったほうがいいのでありますが、それでいいのじゃないかと私は思っております。しかしながら、再生産を確保することはどうしても考えてやらなければならぬ、それは低くていいということはありません。こういう基準に基づいてつくりますから、取引価格はそれよりは上になるというのが普通だと思います。
  222. 大矢正

    ○大矢正君 食糧庁長官、三十八年産の原料ビートについては六千五百円という数字が出ましたね、これは大田の勧告に基づいてということになっておるわけです。この大臣の勧告に基づく六千五百円というものと、三十八年産ビートの最低生産者価格がきまる場合に、その計算をする根拠というものは、これはいろいろあるでしょう、あるいは違いもあるでしょうが、あらわれてくる金額においては違いがあるのですが、違いがないのですか。
  223. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 考え方においても、また具体的な数字におきましても、当然違いが出てくると思います。
  224. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、かりに三十八年産ビートの最低生産者価格というものをきめる場合には、大臣勧告の六千五百円から見た場合には、非常に下回るということになるのですか。
  225. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 非常に下回るかどうか、まだ最終的にきめておりません。いまここで非常に狭いとか非常に下回るということを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  226. 大矢正

    ○大矢正君 それはあなたが差し控えさしていただきたいという、そういう言わんとする気持ちはわからないでもないが、取引価格はどうあれ、最終的にあなた方の言を借りれば保証されるのは最低生産者価格であると、こういうことになってみますれば、取引価格というものに対して期待や希望を持っていても、最悪の場合は最低生産者価格以上には買い上げられることはできないのだという前提が耕作農民の場合にはなければならないのですね。そうでしょう、違いますか、取引価格は具体的にどういうようにきめられようとも、それはそのときの国際情勢なり、糖価水準なり、国内の事情なり、会社の経営内容なり、そういうものも左右されるということであるから、上下はあってもほんとうの意味で耕作農民のいわば最低の価格を支持するのは最低生産者価格しかないのだから、それも法律的にいけば絶対支持をするということにはならぬけれども、一応の目安というものはそれなのだから、だからそれが大臣が三十八年産ビートというもので出した六千五百円というものと大幅な違いが出るということになると、これはこれからのこの法律に基づく国内産糖、特にてん菜振興については非常に問題が出てくるから、私は非常に心配をしてきておるんですよ。だからたとえばそれはまだ計算の段階で、いま明らかにできないとか何とかいろいろ言われますけれども、かりに三十九年産ビートにつきましても、一応この取引価格がきまったとしても、四月に入ったら最低生産者価格というものは一応出すわけでしょう。そうすると、そういうこととの関連を考えて見た場合に、これは幅があるかないかという単純な議論だけでは済まされない問題なんですから、検討々々と言わないで、おおよそ六千五百円の昨年の取引価格でいけば、最低生産者価格というものはこの程度になるであろうというような御答弁がいただけない限りは、これはとても信用してこれを賛成して通すわけにはいかないのだ、だから私は繰り返し繰り返し聞いておる。
  227. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お話の気持ちはよくわかるのですが、具体的にずばり申し上げられないのは非常に遺憾なことでありますけれども、ただ私が申し上げたいことは、生産者にとりましては、ことしの取引価格がきまり、あるいは昨年度においては六千五百円という取引価格がきまれば、それでもう生産者については何ら不安は私はないと思います。問題は最低生産者価格をきめることによりまして、これに標準コストを加えた買い入れ価格というものによって精糖が買い上げられ、基準価格が示されるということでありまするので、耕作農民に対しては私は何ら不安はない。問題は、精糖企業がかりに糖価が下がったような場合、どのような価格政府は買い上げてくれるかということに問題があると思います。しかし、これは当然会社の支払い能力なり、あるいは本年度の糖価等にらみまして、会社として十分支払い能力があるという前提で取引価格ができたわけであります。われわれとしても、その契約ができた以上は、これが十分円滑にこの価格によって取引が行なわれますように指導してまいりたいと、こう思っておるわけであります。
  228. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 関連。何か聞いていますと、政務次官の答弁も、長官の答弁も、取引価格前提に置いておって、それでそのあと生産者価格を二十二条の法文にあるようなふうにきめていくような印象を受けるのですね。これはちょっと耕作農民の生産意欲をあおるという点については、逆ではないかというふうな感じがするわけですよ。どうも先ほどからそういうようなことを繰り返しているような気がいたしますが、生産者価格を取引価格にこだわりなく、ずばりあなた方の気持ちをあらわしてもらいたい、こういうように考えるわけですがね。将来取引価格が下がることはないのだが、かりにいろいろの事情によって下がったような場合におきましては、最低価格を割るような場合があったときには、不足払いをするのかどうかというような問題も考えられるのですね。ですから、そういうようなことを考えましたときに、やはりどうもさっきからの答弁が、繰り返すようですが、取引価格前提に置いておいてそれから最低価格あとできめていく、それが実際にはその生殖者の耕作意欲をあおるのだというように逆のように聞こえるのです。いまのやりとりを見ていると。この点もう少しはっきりしてもらいたい。
  229. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 生産者価格生産者価格で、おことばのとおり本来ずばりきめるという考え方をとっておるわけであります。そうして先ほど答弁いたしましたように、これは播種前に原則としてきめたいというふうに思っておるわけであります。しかし、その後におきまして、播種した状態から収穫までに至る間におきまして、原料の集荷量がどのくらいになる、あるいは本年度の歩どまりがどのくらいになる、あるいはその後におきまして糖価がどういうふうになったかというような段階におきまして、取引価格というものがまだきまらないというようなことになりますれば、政府はその際においては勧告、十八条によって価格を指示するという考え方をとっておるわけであります。たまたま本年度におきましては、まだ法案が通っておりませんので、取引価格というものが出てきたということで、先ほど来から御議論があったのじゃないかと、こう思うわけでございます。
  230. 大矢正

    ○大矢正君 これは幾らくどいと言われても、私はその点は執拗に食糧庁長官に食い下がらなければならぬのだが、なるほど先ほど来申し上げておるとおり、三十九年産ビートは七千二百円ということできまった。このきまったというのは、前例のないいわば早い時期、ここできまっておるわけですね。こんなに早く取引価格がきまるなんということは、過去に全然ないとは言わぬが、おそらくなかったのじゃないでしょうか。それほどまでになぜ早くことしは取引価格がきまったかといえば、ほかにいろいろ理屈を言う人もあるだろうが、私に言わせれば、この法案もあることだから、早くきめないでごたごたごたごたしておったら、これはまた難くせをつけられちゃ困るという気持ちも、食糧庁のほうにあって、そこで精糖業者に早く、とにかく少々譲ってもいいからきめてやる、いまは国際糖価水準も高いのだから、少々譲ったって、とにかく早くきめれば取引水準も、取引価格が高くきまったのだからということでうまくいくだろうというような考えがあったのではないか。だからそこから前例を見ないような早い期間にこの取引価格がきまったと、こういうように解釈をされてもしかたがない部面があると思うのです。私どもに言わせれば。あなた方はそんなことはないだろうと言われるけれども、私どもに言わせればそうなる。しかし、なるほどあなたの言うとおり、三十九年産ビートについては、すでに取引価格がきまったのだから、農民は一体自分が幾らもらえるかということははっきりしているでしょう。そこで一応の保証はできました。この点についてはあなたの言われるとおりであります。しかし、それは四十年産ビートにまで及ぶ問題ではないでしょう。ことしの七千二百円の取引価格というものは、四十年度は今度七千五百円になるとか、ないしは七千二百円というものを絶対指示するというものじゃないでしょう。これは三十八年産と同じように六千五百円まで下がるかもしれないでしょう、取引価格ですから。ですから、そういうふうに将来を見越すことのできない取引価格というものを基準にして農民はものを考えるわけにいかないから、結局先行きはこれも絶対的なものではないでしょう。しかし、精糖業者というものが、もしこの価格以上で買わなければ国に砂糖を買ってもらえませんという、その根拠となっている最低生産者価格、これがやはり問題になるわけでしょう。ほんとうに農民が幾らで一体買ってもらえるのだということになったら、一番確実なのは最低生産者価格がないということになるわけなんです。ある意味で言うと。そこで、法律には、あなたも先ほどちょっと話しておったけれども、最低生産者価格というものはきめるということになっているのだから、しかもあと一月かそこらで。一月どころじゃない。もうあなたのさっきの答弁からいけば、十日くらいのうちにきめなければならないんでしょう。出すのでしょう。だからせめてそれをきょうここでなぜ出せないのかということを、私はさっきから食い下がっているのです。だからほんのわずかのところへきてから、出さない出さないとおっしゃらないで、ここでせめてその片りんでものぞかしてくださいよ。そうすれば私もいさぎよく下がりますから。
  231. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) たびたび御意見でございますが、実は本年度の価格をきめるにつきましても、まだ資料が十分そろっていないわけです。たとえば、私のほうでは、二月の少なくとも最近時の物価の傾向くらいはつかみたいということになりますと、二月のパリティ指数か三月末にならなければ、三月末、きょうでありますが、まだ私も見ておりませんが、出さなければいかぬ、それから三十八年度の生産費も出さなければならぬ、これもまだもうちょっと時間がかかるというようなことでありますので、それらを見まして、本年度は若干おくれるかと思いますが、いまどのようなことであるかということについての片りんを示しかねておるわけでございまして、この点はひとつ御了解願いたいのでございます。ただ考え方としてどういう考え方をとるかという一般的な方式につきましては、これは三十八年、前年度の価格にパリティ指数を乗じたものの価格を基準といたしたいというふうに考えておりまして、その際、まだ三十八年度の価格はございませんので、それとあわせて三十九年度の価格もきめたい、その際三十八年度におきましては、衆議院の附帯決議で六千五百円という取引価格を参酌しろということがございますので、そういうことも検討して三十八年度の価格をきめ、それにパリティ指数を乗じて三十九年のパリティ価格を出し、これを基準としまして生産費なり、あるいは競合農産物、北海道でいえばバレイショの価格、バレイショの反当粗収入といったようなものとの均衡を考えて価格をきめたい、こう思っておるわけであります。
  232. 大矢正

    ○大矢正君 あなた何としても逃げるようだけれどもね。このあなたの言う説明によると、四月の十日には、これは最も原則的な話ですよ。最低生産者価格というものを出すのでしょう。これはことしの問題じゃないのですよ、平時の場合において。この法律が通ったあとの問題においては。そうだとすれば、この法律が通ることしだけは、なぜそれがおくれなければならないのですか。それを承っておきたいと思う。
  233. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) この法律どおりの方式でやるということが、もう法案として実定法ができますればルールができるわけであります。二月、三月におきまして関係省とも相談しあるいは関係団体の意見も聞いて手早くやれる。しかし、まだことしはその段階に残念ながら至っておらないわけでありますので、若干おくれるということを申し上げておるわけです。
  234. 大矢正

    ○大矢正君 これはあなたのほうの逃げ口上で、これは衆議院の質問に対しても政令の内容も出しましょうと、もっといけば政令よりももっとこまかい、たとえばこの法律に基づく規則とかそういうものも出しましょうというくらいの積極的な考えがあるんですよ。それがあるにもかかわらずだ、最低生産者価格という問題については資料がまだ一つもそろっていないから出せないというのは、私はあなたが出したくないから逃げておることばにすぎないのであって、出そうと思えばできないことはないと思う。たとえばあなた、二月のパリティ指数がどうの、三月のパリティ指数がどうのという御発言があったが、そんなものはことしだけではなくて来年だって問題が出てくることでしょう。もっともその根拠となるものはなければならないけれども、それに対してどういうパリティ指数をかけるかという問題については、ことしだけの問題ではなくて来年もやらなければならない、再来年もやらなければならないでしょう。そうなってくると、あなたのほうに案がないなどということは私のほうには聞こえないよ、そんなことは。それはあなたは出したくないから出さないのであって腹の中にもそれから計算の上においても出ておるんだけれども、いま出すと、また委員会で騒がれるから、それじゃ低いとか高いとか、何を根拠にしておるかとかいって食い下がられるから、きょうは年度末でもあるし、きょう法案をあげなければならないから、そういうものは出さないでおいて、とにかくほおかむりをして通そうという考えがあるんじゃないですか。どうも皮肉な見方だけれども、私なんかは一番人間がすなおなほうだけれども、そういうふうに解釈せざるを得ない。そこでこの問題については、いつまでも議論を進めていてもしようがありませんし、私だけではありませんし、矢山君もこの価格の問題について、どうしても聞かなければならないということがあるという話でございます。そのときにまた矢山君に関連して質問することにして、次の問題に移りたいと思いますが、そこで委員長ね、これは一体何時までやらせていただけるのですか。
  235. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて、   〔午後九時五十七分速記中止〕   〔午後十時九分速記開始〕
  236. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、これにて両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  237. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 御異議ないものと認めます。  これより両案の討論に入ります。両案について御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  238. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 速記を起こして。  他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、甘味資源特別措置法案を問題に供します。本案を衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  240. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  241. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 私は本案に次のような附帯決議をつけて政府の善処を願いたいと存じます。案を朗続いたします。   政府は、本法の施行に当り左記事項に留意し、てん菜の再生産確保に対処すべきである。     記   最低生産者価格は、前年を基準年としたパリティ価格を基準として定めるが、昭和三十九年度てん菜の最低生産者価格を法第二十二条により定めるに当っては、昭和三十八年の農林大臣の勧告価格及び昭和三十九年の取引価格を参酌して遺憾のないよう措置すること。  以上であります。
  242. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) ただいまの附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  243. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 全会一致でございます。よって本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。
  244. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしまして、その趣旨を尊重して措置を講じます。  以上、意見を申し述べます。     ―――――――――――――
  245. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 次に、沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  246. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 梶原茂嘉

    理事梶原茂嘉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後十時二十一分散会      ―――――・―――――