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1964-06-26 第46回国会 参議院 内閣委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十六日(金曜日)    午後二時四十七分開会     —————————————   委員異動  六月二十六日   辞任     補欠選任    千葉千代世君  山本伊三郎君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            伊藤 顕道君            鶴園 哲夫君    委員            植木 光教君            源田  実君            小西 英雄君            小柳 牧衞君            塩見 俊二君            林田 正治君            村山 道雄君            千葉  信君            山本伊三郎君            鬼木 勝利君            田畑 金光君   衆議院議員    内閣委員長代理    理事      伊能繁次郎君   国務大臣    法 務 大 臣 賀屋 興宣君    建 設 大 臣 河野 一郎君    国 務 大 臣 佐藤 榮作君    国 務 大 臣 宮澤 喜一君    国 務 大 臣 山村新治郎君   政府委員    内閣官房長官  黒金 泰美君    内閣法制局第二    部長      真田 秀夫君    総理府総務長官 野田 武夫君    総理府総務副長    官       古屋  亨君    内閣総理大臣官    房賞勲部長   岩倉 規夫君    宮内庁次長   瓜生 順良君    行政管理政務次    官       川上 為治君    行政管理庁行政    管理局長    石川 準吉君    行政管理庁統計    基準局長    後藤 正夫君    行政管理庁行政    監察局長    山口 一夫君    北海道開発政務    次官      井川 伊平君    北海道開発庁主    幹       荒巻與四郎君    経済企画政務次    官       倉成  正君    経済企画庁長官    官房長     村上孝太郎君    経済企画庁調整    局長      高島 節男君    科学技術政務次    官       鹿島 俊雄君    科学技術庁長官    官房長     江上 龍彦君    科学技術庁研究    調整局長    芥川 輝孝君    法務大臣官房司    法法制調査部長 津田  實君    法務省民事局長 平賀 健太君    法務省矯正局長 大澤 一郎君    法務省保護局長 武内 孝之君    法務省入国管理    局長      小川清四郎君    法務省入国管理    局次長     富田 正典君    公安調査庁長官 吉河 光貞君    公安調査庁次長 宮下 明義君    建設大臣官房長 平井  學君    建設省計画局長 町田  充君    建設省都市局長 鶴海良一郎君    建設省河川局長 畑谷 正実君   建設省道路局長 尾之内由紀夫君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    内閣総理大臣官    房臨時在外財産    問題調査室長  栗山 廉平君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○建設省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○総理府設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○恩給年金等受給者処遇改善に関  する請願(第六号)(第一五号)(  第一六号)(第二二号)(第二三  号)(第五四号)(第五七号)(第  六〇号)(第六一号)(第七四号)  (第八四号)(第八五号)(第八六  号)(第八七号)(第一八一号)(  第一九九号)(第二〇〇号)(第二  〇七号)(第二二九号)(第二四六  号)(第二四七号)(第二五九号)  (第二七八号)(第三一三号)(第  三三〇号)(第三三一号)(第三四  三号)(第四二五号)(第四三三  号)(第四五二号)(第五九九号)  (第六一三号)(第一〇四五号)(  第一〇四六号)(第一〇七二号)(  第一〇七三号)(第一〇九九号)(  第一一三九号)(第一一七六号)(  第一二四三号)(第一三三六号)(  第一三八一号)(第一五三〇号)(  第一七一一号)(第一八八〇号)(  第二七一六号)(第二八九九号)(  第二九七六号)(第三〇五八号)(  第三一三五号) ○軍人恩給に関する請願(第七号)(  第八号)(第九号)(第一〇号)(  第一一号)(第一二号)(第一三  号)(第一四号)(第二四号)(第  二六号)(第二七号)(第五五号)  (第五六号)(第六二号)(第七五  号)(第七六号)(第七七号)(第  七八号)(第七九号)(第八〇号)  (第八一号)(第八二号)(第八三  号)(第一一五号)(第一一九号)  (第一二〇号)(第一二一号)(第  一二二号)(第一二三号)(第一二  四号)(第一二五号)(第一二六  号)(第一五二号)(第一七四号)  (第一七五号)(第一七六号)(第  一七七号)(第一七八号)(第一七  九号)(第一八〇号)(第一八二  号)(第一八五号)(第一八六号)  (第一九七号)(第一九八号)(第  二〇一号)(第二〇三号)(第二〇  五号)(第二〇八号)(第二一一  号)(第二一四号)(第二一五号)  (第二二八号)(第二三七号)(第  二三八号)(第二四〇号)(第二四  二号)(第二四四号)(第二四五  号)(第二五一号)(第二五四号)  (第二五五号)(第二五六号)(第  二五七号)(第二五八号)(第二七  三号)(第二七五号)(第二八九  号)(第二九〇号)(第二九一号)  (第二九九号)(第三一四号)(第  三一五号)(第三一六号)(第三一  九号)(第三二六号)(第三二七  号)(第三二八号)(第三二九号)  (第三三四号)(第三三七号)(第  三三九号)(第三七一号)(第三七  五号)(第三八一号)(第三八二  号)(第三八三号)(第三八四号)  (第三八九号)(第三九〇号)(第  三九八号)(第四〇〇号)(第四〇  九号)(第四〇一号)(第四一九  号)(第四二〇号)(第四二二号)  (第四二六号)(第四二七号)(第  四五三号)(第五〇三号)(第五一  四号)(第五二〇号)(第五六六  号)(第五七二号)(第五八四号)  (第六〇四号)(第六〇六号)(第  六〇七号)(第六二〇号)(第六三  二号)(第六四六号)(第六五七  号)(第六七九号)(第七〇六号)  (第七〇九号)(第七五〇号)(第  八二二号)(第八四八号)(第八九  三号)(第九一〇号)(第一〇二五  号)(第一〇五八号)(第一〇九七  号)(第一〇九八号)(第一一七七  号)(第一二六二号)(第一三三二  号)(第一三三三号)(第一三三五  号)(第一三四八号)(第一三六九  号)(第一三八二号)(第一三九七  号)(第一四七七号)(第一五四七  号)(第一六〇七号)(第一六三八  号)(第一七〇二号)(第一七九七  号)(第一九〇五号)(第二〇九二  号)(第二〇九三号)(第二二四三  号)(第二二四四号)(第二三三四  号)(第二六七四号)(第二七四三  号)(第二九七五号) ○公務員労働者賃金引上げ等に関す  る請願(第五二号) ○元南満州鉄道株式会社職員であつた  公務員等恩給、共済問題に関する  請願(第五三号)(第二一六号)(  第三一七号)(第五七七号)(第七  二五号)(第一〇二一号)(第一〇  二四号)(第一〇四三号)(第一二  〇五号)(第一二三〇号)(第一二  三五号)(第一二四四号)(第一五  三一号)(第三一二三号) ○公務員給与引上げ等に関する請願  (第六四号)(第六五号)(第五〇  四号) ○公務員労働者賃金大幅引上げ等  に関する請願(第一一四号) ○元満州電信電話株式会社役職員の恩  給等に関する請願(第一二七号)(  第二六七号)(第二六八号)(第五  一五号)(第一〇四七号)(第一〇  七四号)(第一〇七五号)(第一〇  九五号)(第一〇九六号)(第一一  四〇号)(第一一五一号)(第一一  七〇号)(第一二三一号)(第一二  六六号)(第一二八六号) ○金し勲章に関する請願(第一七二  号)(第四二八号)(第七七二号) ○連合国占領軍等行為等による被害  者等に対する給付金増額に関する請  願(第一七三号)(第一九〇号)(  第八三九号) ○山形県東根市元米軍駐とん地大森山  射撃場に関する補償請願(第二三  〇号)(第二四八号)(第二六〇  号) ○共済組合法長期給付に関し、外国  政府等職員期間のある更新組合員で  ない組合員在職期間通算に関する  請願(第三一八号)(第四二四号)  (第五一三号)(第五七八号)(第  六八九号)(第六九四号)(第七二  四号)(第一〇二二号)(第一〇二  三号)(第一〇四四号)(第一二〇  六号)(第一二二九号)(第一二四  五号)(第一五二九号)(第三一二  四号) ○F一〇五D戦闘爆撃機横田基地移  駐反対に関する請願(第四四二号)  (第五四一号) ○海上自衛隊鹿屋航空隊の飛行場を併  用する大型空港開設に関する請願  (第四六七号) ○鹿児島県鹿屋市に防衛庁第三次五箇  年計画陸上自衛隊師団増設に伴う  師団誘致に関する請願(第四六八  号) ○特高罷免並びに武徳会追放等による  警察退職者救済に関する請願(第四  七七号) ○外地引揚公務員外地赴任前の勤務  年数通算等に関する請願(第五一六  号) ○恩給年金増額等に関する請願  (第五四六号)(第六九三号)(第  七一六号)(第七五六号)(第九八  九号)(第一一〇〇号) ○公務員賃金一律五千円引上げ等に  関する請願(第五九八号)(第六三  〇号)(第二二九三号) ○基地周辺民生安定法制定促進に関す  る請願(第九一八号)(第一一五二  号)(第一九七六号)(第二〇三〇  号)(第二一五〇号)(第二四〇六  号) ○建設省設置法の一部を改正する法律  案及び河川法案反対に関する請願  (第九五二号)(第一〇一一号)(  第二一六〇号)(第二二〇五号)(  第二二〇六号)(第二四五八号)(  第二五〇一号)(第二五二二号)(  第二五八〇号)(第二六〇一号)(  第二六一六号)(第二六一七号)(  第二六三〇号)(第二六三七号)(  第二六八四号)(第二六九一号)(  第二七〇二号)(第二七二二号)(  第二七三五号)(第三一〇四号) ○旧海軍文官退職賞与金に関する請  願(第九五四号)(第二六七五号) ○警察官の退職手当に関する請願(第  一〇九四号) ○旧令による共済組合等からの年金制  度に関する請願(第一一〇一号)(  第一一〇二号)(第一一六五号)(  第一一六六号)(第一一六七号)(  第一一六八号)(第一一七二号)(  第一一七三号)(第一一七四号)(  第一四二二号) ○国立大学教官待遇改善に関する請  願(第一一八三号)(第一一八四  号)(第一二四六号)(第一二七一  号)(第一二九七号)(第一三〇二  号)(第一三〇八号)(第一三三一  号)(第一三三七号)(第一三三八  号)(第一三六二号)(第一三七〇  号)(第一三七一号)(第一四二一  号)(第一四四三号)(第一四九五  号)(第一四九六号)(第一五〇五  号)(第一五一〇号)(第一五三二  号)(第一五三三号)(第一五三四  号)(第一五四八号)(第一五六二  号)(第一五六三号)(第一五八九  号)(第一五九〇号)(第一五九一  号)(第一六〇八号)(第一六〇九  号)(第一六二〇号)(第一六三三  号)(第一六三四号)(第一六三五  号)(第一六三九号)(第一六六一  号)(第一六七一号)(第一六八二  号)(第一六八三号)(第一六八四  号)(第一六九六号)(第一六九七  号)(第一六九八号)(第一七〇三  号)(第一七〇七号)(第一七〇八  号)(第一七〇九号)(第一七一〇  号)(第一七一六号)(第一七二八  号)(第一七四一号)(第一七四二  号)(第一七四三号)(第一七四四  号)(第一七六四号)(第一七六五  号)(第一七六六号)(第一七六七  号)(第一七六八号)(第一七九二  号)(第一八一三号)(第一八一四  号)(第一八一五号)(第一八五二  号)(第一八五三号)(第一九二五  号)(第一九四四号)(第一九七五  号)(第二〇二〇号)(第二〇二九  号)(第二〇四九号)(第二〇五三  号)(第二〇五四号)(第二〇五五  号)(第二〇五六号)(第二〇九一  号)(第二一一六号)(第二一一七  号)(第二一四八号)(第二一四九  号)(第二二四五号)(第二二四六  号)(第二二九七号)(第二四〇二  号)(第二四五四号)(第二四五五  号)(第二四七二号)(第二四九九  号)(第二五四九号)(第二五七一  号)(第二八七九号)(第二八八二  号)(第二九九三号) ○国有林労働者差別待遇撤廃等に関  する請願(第一二一五号)(第一三  四〇号)(第一三四一号)(第二九  四三号)(第三〇〇七号)(第三〇  一七号)(第三〇六三号)(第三一  〇五号)(第三二二九号)(第三二  三〇号)(第三二三一号) ○公務員賃金引上げ等に関する請願  (第一二三二号) ○国家公務員賃上げ等に関する請願  (第一二四七号)(第一三〇三号)  (第一三四四号) ○栃木県宇都宮市所在の官庁等勤務の  国家公務員寒冷地手当支給に関す  る請願(第一二四八号)(第一二七  七号)(第一二七八号)(第一三〇  四号)(第一三四五号)(第二二一  〇号)(第二二一一号)(第二三七  七号)(第二五二〇号)(第二五六  三号) ○国家公務員給与改定等に関する請  願(第一二六七号)(第一二六八  号)(第一三〇六号)(第一三〇七  号) ○国家公務員共済組合掛金引下げ等  に関する請願(第一二六九号)(第  一二七〇号) ○中小企業省設置促進に関する請願  (第一二八二号)(第一三四九号)  (第一四九七号)(第一七〇〇号)  (第一七五九号)(第一七六〇号)  (第一七六一号)(第一七六二号)  (第二一五九号)(第二四二九号) ○国家公務員共済組合長期掛金国庫  負担率引上げ等に関する請願(第一  二八三号) ○恩給退職年金増額に関する請願  (第一三〇五号) ○軍人恩給加算制に関する請願(第  一三三四号) ○北海道開発局要員増加に関する請  願(第一三六四号)(第一三六五  号)(第一三六六号)(第一三六七  号)(第一三六八号)(第一四九四  号) ○傷病恩給改善に関する請願(第一三  八三号)(第一三八四号)(第一三  九八号)(第一三九九号)(第一四  〇〇号)(第一四四四号)(第一四  四五号)(第一四五九号)(第一四  六八号)(第一四六九号)(第一五  一一号)(第一五五四号)(第一五  五五号)(第一八一六号)(第一八  八四号)(第二三三七号)(第三〇  五九号) ○傷病恩給の不均衡是正に関する請願  (第一三八五号)(第一四〇一号)  (第一四〇二号)(第一四〇三号)  (第一四四六号)(第一四四七号)  (第一四六〇号)(第一四七六号)  (第一五一二号)(第一五五六号)  (第一五五七号)(第一八八五号)  (第二三三八号)(第三〇九七号) ○元満州拓殖公社員であつた公務員等  に対する恩給法等特例制定に関す  る請願(第一六四〇号) ○退職警察職員恩給是正に関する請  願(第一六七二号)(第一六七三  号)  (第一七六九号)(第一八九五号)  (第一九〇六号)(第一九九五号)  (第二〇八九号)(第二〇九〇号)  (第二二〇九号)(第二二四七号)  (第二三三五号)(第二三三六号)  (第二四〇七号)(第二四〇八号)  (第二四〇九号)(第二四一〇号)  (第二四三〇号)(第二四四三号)  (第二四四四号)(第二四四五号)  (第二四九八号)(第二五四五号)  (第二五四六号)(第二五四七号)  (第二五四八号)(第二五八八号)  (第二七四二号)(第二八〇六号)  (第二八七五号) ○年末年始の特別休暇期間勤務する  職員割増賃金支給に関する請願  (第二〇八八号)(第二一五一号)  (第二一五二号)(第二二〇七号)  (第二二〇八号) ○公務員賃金大幅一律引上げ等に関  する請願(第二一六一号) ○公務員共済組合制度に関する請願  (第二一六二号) ○公務員共済組合運営民主化等に  関する請願(第二一六三号) ○税務職員待遇改善に関する請願  (第二一六四号)(第二二九五号)  (第二二九六号)(第二七九三号)  (第三〇四二号) ○F一〇五D水爆機配備反対等に関す  る請願(第二一六五号)(第二一六  六号)(第二三四九号) ○国家公務員賃上げに関する請願  (第二二一二号)(第二五二一号) ○国家公務員共済組合法長期給付に  関する施行法等の一部改正に関する  請願(第二二九二号) ○公務員共済掛金値上げ反対等に関す  る請願(第二二九四号) ○公務員賃金大幅引上げ等に関する  請願(第二三五〇号)(第二四五六  号) ○行政整理反対等に関する請願(第二  三七〇号) ○千葉館山航空基地拡張反対等に関  する請願(第二三七六号) ○国家公務員共済組合法に基づく退職  一時金受給退職組合員自由選択  に関する請願(第二三七八号)(第  二五〇〇号)(第二八五九号) ○国税庁の年次休暇制限取りやめに関  する請願(第二四五七号) ○一般職職員給与に関する法律第  六条の俸給表の適法妥当な改正等に  関する請願(第二五二三号) ○税務職員大曾根好一君への不当配  転是正等に関する請願(第二六〇五  号)(第二六〇六号)(第二六〇七  号)(第二六〇八号) ○少年非行対策のための審議機関設置  に関する請願(第二六一〇号) ○公務員労働者賃金大幅引上げ等に  関する請願(第二六六〇号) ○戦争犠牲警察退職者補償に関する  請願(第二七二七号)(第二八〇一  号) ○公務員労働者賃金大幅引上げに関  する請願(第二七六八号)(第二八  一九号)(第三〇四八号) ○国家公務労働者賃金一律五千円引  上げ等に関する請願(第二七九四  号)(第二八二七号) ○水爆積載機F一〇五ジェット機の板  付基地配置反対に関する請願(第二  八二〇号) ○接収借地借家権被害救済に関する  請願(第二八四〇号) ○日本赤十字社所属看護婦戦時事  変に召集された期間恩給法在職  年に算入する等の請願(第二八七六  号) ○元満州国等外国政府職員恩給に関  する請願(第二九一二号)(第二九  三九号)(第二九六五号)(第二九  六六号)(第二九七七号)(第二九  九二号)(第三〇四〇号)(第三一  一三号)(第三一一四号)(第三一  三三号)(第三一五五号)(第三一  九四号)(第三二〇五号)(第三三  一四号)(第三二一九号) ○国家公務員共済組合法の一部改正に  関する請願(第三〇三四号) ○建設省設置法の一部を改正する法律  案反対に関する請願(第三一四一  号)(第三一四二号)(第三一四三  号) ○国家公務員共済組合長期掛金率引  下げ等に関する請願(第三一六二  号) ○旧軍人等に対する恩給に関する請願  (第三一九五号) ○刑部日羅に対する贈位に関する請願  (第三二〇六号) ○継続審査要求に関する件 ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について、御報告いたします。  本日、千葉千代世君が委員を辞任され、その補欠として山本伊三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本件につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入るのでありますが、衆議院において修正が加えられておりますので、まず、右修正点について便宜政府側から説明を聴取いたします。
  4. 津田實

    政府委員津田實君) 衆議院におきましては、附則修正議決がございましたので、その点につきまして便宜説明を申し上げます。  この附則におきましては、原案は、「この法律は、昭和三十九年四月一日から施行する。ただし、別表三及び別表五の改正規定公布の日から、別表四の改正規定は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」となっておりましたものでありますが、衆議院議決当時が、すでにその原案にございます昭和三十九年四月一日であります施行予定日を過ぎておりましたので、衆議院におきましては、「この法律は、別表四の改正規定を除き、公布の日から施行し、」、「ただし、別表第十三条の十七の表の改正規程は、昭和三十九年四月一日から適用する。」ものと修正されたものでございます。これは全くのこの議決の日が施行日よりおくれた点による修正でございます。
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) それでは、これより質疑に入ります。政府側から賀屋法務大臣津田司法法制調査部長武内保護局長小川入国管理局長富田入国管理局次長吉川公安調査庁長官宮下公安調査庁次長平賀民事局長大澤矯正局長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 議事の都合で時間があまりないようでありまするから、簡単に一、二点だけお伺いをいたしておきたいと思います。今度のこの設置法改正で、名古屋の刑務所、福岡の刑務所移転が織り込まれておるようでありますが、建物が狭隘水化したとか老朽化した、あるいは町の変更によって市街地のまん中になって不適当だという理由のようであります。こういうような状態になっておる刑務所が、全国で私は相当あるように思うのであります。法務省として、何か年次計画でも立てて、逐次こういうものの改築、移転、そういうことを考えておられるのかどうか、まずお伺いしたい。
  7. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 御質問のとおりに、そういう状態刑務所が非常に多うございまして、移転を必要とする場所がたいへん多いのでございます。ただ、これにつきましては、相当大きな財源が要る問題でございます。また、移転先の適地を得るということについても、非常に困難がある次第でございます。両者が合意がつき次第着々いたしておりますが、年次計画というものがいまのような状態でございますので、当時者がいろいろ心組みを持って、はっきり、こういうように将来全部をこうするという状態にはなかなかいかない状態であります。解決し得る状態が来たところに応じまして、可及的すみやかに実現をしてまいるという方針でございます。なお、それ以上具体的の点につきましては、御質問がございますれば、政府委員のほうから説明させます。
  8. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ただいまの答弁によりますと、話のついたものから逐次というようなお話でございまするが、しかし、法務省で考えて、これは不適当で、いつかはどこかにできるだけ早く移さなければならないというような、そういうことになっておる刑務所調査というか、案はあるのじゃないかと思うのでありますが、どのくらいそういう不適当なところにある刑務所がございますか。全体の刑務所の数と、そういう非常に不適当なものと、比較もひとつあわせて。
  9. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 刑務所の数は、拘置所、刑務所、少年刑務所合わせまして、本庁が七十三ございます。現在、ただいまお話しのございました都市の発展に伴い、刑務所がその場所にあることが不適当ないしは建物自体も老朽化し、近代行刑を執行するのに適しないというような意味合いで、現在移転の実施のために建築に着手しておりますものが七庁あるわけであります。そのほか、現在懸案になっております庁が、浦和刑務所はじめ六庁あるわけであります。これらのものにつきましては、すでに数年前からわれわれも、都市の発展により、あるいは建物自体の問題等からしまして、移転を実施いたしたいと考えているわけでございます。ただいま大臣からお話がございましたように、最も大きな問題は移転先の適地を獲得することでございます。この点、所在市町村ないしは県当局といろいろ協議いたしまして、を進めておるわけであります。これらの庁につきましてそれぞれ腹案はあるわけでありまして、目下地元等との折衝等いたしておるわけであります。これらにつきまして目鼻がつき次第実施いたしたいと考えておるわけでございます。なお、現在建物の老朽化しておるというような意味で、都市計画等にも差しつかえないという庁につきましては。それぞれ老朽化の程度等を勘案いたしまして、年次計画をもちまして、一部の改築をその場所において実施するという方法をとっておるわけであります。
  10. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 いまたまたま浦和刑務所の話が出ましたが、実は私は昭和七、八年ごろ浦和の県庁におったのですが、いまから三十年以上前ですが、そのころから、非常に町のまん中にあって、県庁の横にあって、不適当なところと思われていて、論議のまとになっておったのですが、三十数年たった今日、まだ代替地がないとかどうとかというようなことで、今度は、浦和もあんなに発展しておるわけですが、こういうようにやはり候補地がないからしようがないとか、土地の処分ができないとかなんとか、ああいうようなものは、近隣に及ぼす影響などを考えたら、もう少し積極的にてきぱきとやれるのじゃないでしょうか。
  11. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 浦和刑務所の問題につきましては、私自身すでに七年関与しておるわけでございます。これはほんとうのところ、移転先の敷地獲得難がただ一つの移転を不可能にしている原因でございます。これにつきまして、われわれも代替案を出しまして、われわれの心組み等も浦和市あるいは埼玉県等にも話しまして、現在ある程度の腹案が進みつつあるわけでございます。先日も会合いたしまして、話を進めております。一刻も早くわれわれ自身としても解決いたしたいと考えておる次第であります。
  12. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 まあ、私が三十年前浦和に行ったとき以前からのむしろ問題じゃないか。四、五十年論議されながら、しかも、ああいう場所に、絶対悪い悪いと言われながら、今日に至るも実現を見ないというようなことは、ちょっとただいまの答弁だけでは私は納得できませんけれども、これはひとつ大臣は大いに問題の前進のために御検討を願いたいと思います。  それから、もう一問だけこの機会にお伺いしておきますが、例の、私はこの委員会でたびたび申し上げております登記所ですね、登記所の統合ということを非常に強力に法務省で地方の法務局に指令をされて、地方の法務局では、一つでもカードを減らさなければ自分の実績があがらないように思ってやられるのですが、これはたびたび私はここで申し上げているので重ねて言いませんけれども、農村の構造改善であるとか、いろいろなことでむしろ登記事務が非常にふえたが、今度は遠いところに行かねばならぬようなことになるので、これは私どもも登記所の職員の増員ということについては、予算編成のときに非常に協力を申し上げている。あるいは附帯決議も前につけたことがあるのではないかと思うのですが、それほどにやっているのでありますから、地方民が非常にいやがる登記所の統合をやって地方に不便をかけるというようなことは、なるべくやめてもらいたいと思うのでありますが、その後どういうようなことになっているか、伺いたい。
  13. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 登記所のいわゆる統合でございますが、仕事の分量その他から見まして、統合したほうが能率的に所員も少ない人間で多くの仕事が適正にできるという点もございまするし、また、交通事情が発達しまして近隣よりも遠くでも差しつかえないというようなこともありまして、統合の方針で進めていったほうがいいのではないか。しかし、私就任してこれを見てみますと、この考え方は一方的でございまして、いわば役所の都合で、これは私はむしろ国民の都合を考えなければならぬ。そうすると、遠くなりまして長い時間、高い交通料金を払って、極端に言えば、宿泊をしなければならぬというその国民側の不便を考えると、役所側の都合だけでやるということは間違いでありまして、全然方針を変えまして、むしろ国民側の都合を主にして考える。少なくとも地元で異議の多いところは決してやらない。方針を変更いたしますから、どうぞ。
  14. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 法務大臣のお考え、私全く同感で、非常にそういう意見を持っていただいておるということはありがたいと思います。ただ、なかなか地方の末端にまで徹底しかねておるようでございまして、このごろ少し徹底してきたのかなあと、あまりやかましく言わぬようになったという感じがややするのでありますが、その大臣の考え方が地方法務局のほうにもよく徹底するように、重ねてお願い申し上げまして、時間の都合で一応この程度で私の質問を終わります。
  15. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間に制約されておりますので、いろいろお聞きしたいこともありますが、ただいま石原委員から御質問がありました登記所の問題ですが、今回の定員改正で二百三人増員しておるのでありますが、登記事務の改善についてただいまもお話がありましたように、当内閣委員会で政府に要望し、四十国会であったと思いますが、附帯決議をつけてある。その附帯決議においては、法務局の定員、出張所の整備、それから職員処遇改善、この三点について善処を要望しておる附帯決議だと思いますが、この職員処遇改善、出張所の整備、そういう点について、その後いかなる処置がとられておるか。この点につきまして、法務大臣の具体的な御答弁が願いたい。
  16. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 登記所の事務がたいへんに分量がふえまして、処理する人員が非常に不足であると痛感をいたしております。それで、最近は、大体毎年二百名ずつ増員というような状態になっておりまして、これをもっとふやしたいのでございますが、少なくともその程度は今後ずっと続けていきたい、人員のほうはできるだけ充足したいと考えておる次第でございます。本年度も二百名の増員を御審議を願っておる次第でございます。なお、事務の簡素化のためには、いろいろ機械的設備を利用し得るだけ利用いたしますとか、それからまた、先般登記所の、登記法の一部を改正いたしまして、できるだけ簡素にするとか、できるだけ努力をいたしております。それから、給与につきましても、これはどうもほかの公務員との関係がございますので、登記所だけから見ますというと、非常に不本意でございますが、できるだけの改善をはかっておる次第でございます。なお、詳細必要でございますれば、政府委員よりなお補足いたしたいと思います。
  17. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  18. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) じゃ、速記つけて。
  19. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 なお、その問題で関連してですが、この統廃合についてはただいま法務大臣のお考えを承りましたので、なお私も要望いたしておきます。地方住民の、地域の人たちの便宜のいいように、およそ政治はこれは万民の政治でございますので、その点はなおさら私は要望いたしておきます。  その次に——たくさんあるのだけれども、今回のこの刑務所移転に関連してお伺いしたいのでありますが、刑務所移転年次計画で実施されておると承っておりますが、はたしてその計画の態様と実施が、皆さんのお考えどおり、計画どおりに進行しておるかどうか。現在の進行状況について承りたいと思います。
  20. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 先ほども御答弁申しましたように、腹ではこうしたいという、いま年次計画的なものを持っておりますが、一番の難点は、その候補地、移転先でございまして、先ほど石原さんの御質問がございましたが、なかなか受け入れてくれるところはうまくいかないのでございまして、そういうような理由で、どうも計画どおりまいりません。で、可及的にそれを調節して話をつけていきたい、こういう次第でございます。
  21. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私どもが杞憂いたしておりまするのは、今日の経済の発展、都市の膨張に伴っていくことができなくして、将来、移転先がまた再び都市の中心地に含まれる、またまた再移転をしなければならぬというようなことをよくお考えいただいておるかどうか。全国的に、私はこれを抜本的に、もう少し明治以来の刑務所の位置ということばかりにこだわらないで、統廃合をしていただいたらどうかと、そういうふうな考えが私いたしておりますが、法務大臣のお考えはどうですか。
  22. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) 全く御同感でございまして、ちっともこだわりません。ただ、やはり交通事情その他のことも考えなきゃなりませんので、しかも、適地、それから周囲との関係、地元民の意向、いろいろありまして、実にこの問題は苦しんでおりますが、考え方は、お話しのように、もっとここにあったからその近隣に置くというふうなことには、決してとらわれないでまいりたいと思っております。
  23. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その点は老練な法務大臣のことだから、抜かりはないと思いますけれども、大臣はすぐにかわられますからね。だから、あなたも有力者であるけれども、すぐかわられると困る。その点をよくひとつお願いしておきます。  次に、時間がありませんので、もう一点だけお尋ねして終わりたいと思うのですが、新聞の報道によりますと、法務大臣は、ライシャワー大使事件の発生後、例によって、刑法に、国交に関する罪の規定をつくるんだと事務当局に命ぜられた、こういうふうに承っておりますが、御承知のとおり、新憲法下におきまして、皇室に対する罪の規定が削除されておりまする今日、と同時に、外国の元首や、使節に対するところの暴行等の規定が削除された経緯がある。これは十分慎重審議されることはもちろんと思いますが、不敬罪の復活反対の世論も非常に強いのでありまして、こうした新憲法の精神に沿ってお考えになってああいうことを発表されたのであるのかどうか、法務大臣のお気持ちを私ははっきり承りたい。
  24. 賀屋興宣

    国務大臣賀屋興宣君) ちょっと御質問とだいぶニュアンスが違うのでございまして、新聞記者の方々が、向こうからそういう話がありまして、これは率直に申しますと、私は就任しましたとき、いろいろ刑法その他に研究点がある、その一つとして、何と申しますか、外国の元首その他に対する刑というものに特別の考慮を払うという問題もある、こういうことを聞きました。そのほか、たくさんございました。いずれも私は研究したらいいだろうとそのとき申し上げました。ライシャワー事件によってということは、質問者の方はそうですが、私のほうは別にそれで考えたわけじゃない。改正する意思を持っているのじゃないんでございます。研究問題だというから、それは研究したらいいだろう、こういう次第でございまして、改正しようという意思で私がやっているのじゃ決してございません。
  25. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、私もそうだろうと思ったけれども、あなたも戦時中の閣僚の一人であるし、あるいはこういうことをお考えになったかもしれぬ、さもありなんというようなことを私も思わぬでもなかった。ですから、いまの法務大臣の御答弁をお聞きしまして、慎重にこれは取り扱っていただくのだということで、私了承いたします。  じゃあ、これで終わります。
  26. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 議事の都合により、次に移ります。     —————————————
  27. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますが、衆議院において修正が加えられておりますので、右修正点についてまず説明を聴取することにいたします。衆議院内閣委員会理事伊能繁次郎君。
  28. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) ただいま御指名がございましたので、衆議院におきます建設省設置法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正案の内容を御説明申し上げます。  その要旨は、地方建設局が分掌する事務のうち、砂防事業及び地すべり防止対策事業等についての助成及び監督の業務を削除することであります。御承知のとおり、建設省が行なう砂防事業及び地すべり防止対策事業等と、農林省林野庁が行なう治山事業及び地すべり防止事業等とは、密接な関連がありまするので、これらの事業は両省庁の緊密な連絡のもとに調整をとりつつ実施せられておるのであります。また、農林省が地方農政局に委譲したものには、事業量のきわめて少ない農地の保全にかかる地すべりまたはボタ山の崩壊防止事業の監督、助成等の業務にすぎないのでありまして、民有林の治山事業の助成、監督、並びに林野の保全にかかる地すべり及びボタ山の崩壊防止事業等の助成、監督業務は、従来どおり林野本庁が所掌しておりますることは、これまた御承知のところと存じます。しかるところ、今回、本改正案におきまして、砂防事業及び地すべり防止対策事業の助成、監督等の業務を建設本省から地方建設局に委譲することに相なっておりまするが、かくては、これらの業務について両省庁間の緊密な連絡を期待することが困難に相なることは想像にかたくないところであります。したがいまして、国の施策に一貫性を欠くこととなり、はなはだ遺憾な事態が予想せられまするので、この際、これらの業務は現行どおり建設本省に存置することが適当であると考えまして修正をいたした次第であります。  なお、施行期日のうち、昭和三十九年四月一日につきましては、すでに御承知のとおりその日を経過いたしておりまするので、これを「公布の日」に改めた次第であります。  以上をもちまして、衆議院修正案の御説明といたします。
  29. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) それでは、これより質疑に入ります。  なお、衆議院から、ただいま御説明を願いました衆議院内閣委員会理事伊能繁次郎君、政府側から河野建設大臣、平井官房長、町田計画局長、鶴海都市局長、畑谷河川局長、尾之内道路局長、前田住宅局長が出席いたしております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  30. 村山道雄

    ○村山道雄君 このたびの新潟地震の被害はきわめて甚大なものでございまするが、その復旧の点から考えましても、このたびの建設省設置法改正によりまして、地方建設局の仕事の分野をおふやしになることはきわめて適切なる改正であると考える次第でございます。新潟地震の復旧に関連いたしまして、一点だけ建設大臣にお尋ねをいたしたいのでありまするが、何と申しましても、この復旧は早急にいたさなければならないのでございまして、すでに降雨の季節が迫っております。復旧の工事がおくれておりまするままに大水が出ました場合におきましては、その被害がきわめて甚大になるということは申すまでもないことでございます。緊急な査定を希望いたすのでございまするが、この査定を行なうにつきましても、建設省、大蔵省の査定、そのほかに現在では会計検査院の査定というものがあるのでございまして、これらがばらばらにやってこられましたのでは、非常に遅延をいたすことは明らかでございます。したがいまして、緊急査定はこれらの必要な人々がまとまってやってこられて早く済ましていただきたい。なお、特に急を要するような地域におきましては、査定以前においても着工ができるような手配をお願いいたしたいと考えるのでございまするが、これについての大臣のお考えをお伺いしたいのでございます。
  31. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ごもっともな御意見でございまして、実は河川並びに道路につきましては、本日の閣議で、これらの緊急を要するものの費用は緊急支出をするということを決定いたしました。これによって遅滞なく工事を施行してまいる所存でございます。
  32. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がありませんので、二、三点大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の地方建設局への大幅な権限委譲は、この法案提出当時全国の知事会あたりから強く反対された点を見ましても、行政の中央集権化あるいは二重行政とか、まあ批判がいろいろあったところでありまするが、もとよりこの経済の高度成長より、あるいはまた福祉国家の要請という点から、国家行政の範囲が次第に拡大して、同時に行政の広域化を望む声が大きくなっておることは事実でありますが、しかしながら、この時代の要請である行政の広域化に処するための方策について、特に政府において必ずしも私は方向が一定してない。特にこの自治省と他省との間には大きな食い違いがある。自治省は、地方自治のたてまえから、地方公共団体を強化して行政の広域化の要請にこたえようとしておる。しかるに、建設あるいは農林省あたりは、国の地方出先機関を強化してこの要請にこたえようとしておる。その点において私は両者の間に深いみぞがあるような感がいたしますが、その点について大臣の御答弁を願いたいと思うのです。
  33. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 本法案を準備いたしました当時に多少誤解があったかもしれないと思うのでございますが、御承知のように、私といたしましては、河川法、道路法、これらの改正案を今国会で御審議いただき、御決定をいただきました。まずこの二つにつきまして考えましても、従来の河川法に関する考え方、道路行政に関する考え方、これらを大幅に実は近代化いたしたつもりであります。と申しますのは、元来建設省の地方建設局は、終戦後建設省が設置されました当時に、民間の事業があまり整備されませんでした当時、直営事業を非常にたくさんやらなければならぬ社会情勢でございました。そのために各種の事業を直営する。その直営いたしておりまするものをまとめて監督するという使命のもとに、現在の地方建設局が大体大きな使命を持ってやっております。ところが、最近は御承知のとおりに、民間の建設業が非常に充実いたしまして、直営事業の必要が非常に薄らいでまいりました。したがって、民間の建設事業が拡張いたしました結果、地方建設局といたしましては、これらの工事を民間に移してそれを指導監督する。自分でやっておったものを今度指導監督の立場に回ってまいりましたので、地方建設局の性格が大幅に変わってきた。と同時に、いま申し上げましたとおりに、河川行政、道路行政が非常に大幅に指導監督の面がふえてきた。したがって、その面から申しましても、地方建設局のやるべき仕事の方向もしくは使命が変わってまいったということはお考えいただけると思うのであります。したがって、府県の仕事を取り上げるとか取り上げないとか、建設局のほうにこういうふうに委譲したから、委譲することによってどうなったということには私は相なるまいと思うのであります。それはいま申し上げたとおり、道路法の改正とか河川法の改正、これが地方自治の侵害であるとか、地方自治の権限を弱めるとか強めるとかという議論があるとしますならば、その場合にはいろいろ御説明を申し上げ、御理解願わなければならぬ点もありますけれども、それが、二つの法律が制定されまして、そこにひとつ、広域行政のもとに、道路は一貫性をもち、河川は一河川ごとに行政をしていくことが正しいのだというようになります以上は、やはりわれわれといたしましては、地方の行政を地方ごとに、それぞれ建設局を整備拡充いたしまして一貫性を持ってやるものを、それを一々本省で完全に東京で一切やることは適当でない、それを地方建設局に委譲してやるのが正しいのだ、こういう考えであります。したがいまして、それらの仕事を地方建設局に大幅に委譲して、それぞれ地方建設局で、河川の一貫性、道路の一貫性を持って行政を指導し、監督することが正しいということが第一点でございます。  第二点といたしましては、御理解いただけますように、災害が起こりまして、災害の査定を、いま村山さんからお話がありましたとおり、早く査定せい、早く調査をせいと言われますときに、従来、これまでやってまいりましたことでは、中央から一々そのたびにこれらの査定に参ります、調査に参ります。したがって、事業がおくれます。また、それらの実情に通じた者もあまりおりません、こういうことではあまり適当でないのでございまして、どこまでもこれを中央で予算化し、中央でこれを地方に流す形態をとっておる今日の行政といたしましては、各それぞれの地方に強い整備された建設局を持ちまして、常にこれが地方の実情に通じ、一たん災害が起きた場合には直ぐに府県の方と一緒になって査定もできる、計画も立てられる、設計もできるということにしておきますれば、これらの災害に対する施策におきましても、緊急に処置できるというような意味におきましても、私は建設の仕事というようなものは、全く前線にあって常に地方の方々と一体となってやるのがいいのだ、こういう意味合いで、こういう主たる考えのもとに、この建設省の設置法改正の御審議をいただくという意味合いでございまして、決して地方自治を侵害するとか、地方の自治を取り上げてどうこうするとかいうようなことはなく、ただいたずらに権限を強化拡大するということは毛頭考えておりません。どこまでも地方の実情に通じた建設省の役人、もしくは、そういうときにすぐわかる人を建設省につくっておくということが目的でございまして、御心配のような、御質問のような点は全然私どもとしては考えていないところでございます。
  34. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大臣のお答えは、一応理論的にはよくわかりました。地方の実情に応じた建設行政をやるのだ、ごもっともなことでございますが、これは基本問題でございますので、わずかな時間でいろいろお尋ねもできないと思います。  その次にお伺いしたいのは、この法案が成立しました場合、各地方建設局が、ただいま大臣のお話しのように、質的あるいは量的に相当強化されなければならぬと思いますが、その強化の方策についてさしずめ人員配置の計画、方途について具体的に私は承りたい。
  35. 平井學

    政府委員(平井學君) 私から……。
  36. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大臣にお尋ねしておるのに……。
  37. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) いま、まことに御無礼いたしました。具体的にどの程度の人がどういう配置がえになるかというお尋ねでございましたから、私より官房長のほうがつまびらかにいたしておりますので……。
  38. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いきなり官房長官が立つからいけない。
  39. 平井學

    政府委員(平井學君) 今回の事務委譲に伴う地方建設局の改組をいたしました場合には、この事務委譲によりまして、これに必要な人員は六百八十八名というふうに計算をいたしております。六百八十八名の人間を新たにふえる仕事に充てたい。その内訳は、約百十数名は本省から八つの地方建設局に、本省の事務が地方建設局に委譲されますので、それに伴って百十数名が移る。それから、あとの五百数十名は、これは配置転換等によりましてこの人間を充足する。その中にはそれぞれ有能なものを研修等によって訓練いたしまして、新しい監督業務に適合するように訓練するものを含めまして配置転換によってまかなう。したがって、建設省約三万五千の現在の定員はそのままでございまして、一名も増減はございません。
  40. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 官房長になおお尋ねしますがね、都道府県の県の職員をこれに採用する、転用するというようなお考えはありますか、ありませんか。
  41. 平井學

    政府委員(平井學君) 原則として基本数字には繰り込んでおりません。ただ、希望者がありますれば、これは人事交流はけっこうなことでありますから、話し合いによってやることはございます。
  42. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 希望者があったり、あるいはそういう場合には話し合いでよく納得の上でやる、さように了解しておきます。  その次にもう一点、時間がないので——石原先生から催促を受けたのですが、もう一点お尋ねをいたします。今回設置のこの建設大学校ですね、この教科の内容について、ちょっと大ざっぱでいいから承りたい。大臣が御答弁できなければ官房長でも……。
  43. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 事務当局からかわって御答弁させます。
  44. 平井學

    政府委員(平井學君) お答え申し上げます。現在建設研修所と申しておりますが、大学校になった暁にも、内容は大体同じでありまして、初級、中級の土木の技術者を養成するとか、ないしは再訓練するとかが眼目でございまして、内容は、用地事務、総合計画、都市計画——これは街路とか下水道、区画整理等の事務を含みます。それから道路、橋梁、河川等の土木工学、建設機械が最近非常に伸びておりますので、建設機械に関する構造、それから建築、営繕、建設省の所管しております全部門につきまして初級、中級の職員を再訓練ないし新たな下級の新しいものを養成する、こういうことになっております。
  45. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 かかる大学は、これはもう私も承知しております。すでに他省にも十ほど例がありますがね。大学令に言ういわゆる大学——いまお話を承れば、何らいままでの研修所と内容は変わらない。そうして大学にするのだ。大学令による大学と内容の違ったまぎらわしい名称をつける大学、まあ極言すれば、これは一般の人をごまかす大学になっておる。こういうふうに考えられる。有名にして無実である。どうもそういうぐあいに私は考えられるのですがね。これは建設省ばかりじゃない。ほかにもあるのでありますが、まあ、よそがみなやってしまったからうちもまねしようじゃないか、一番おくれているぞというようなお考えじゃ大臣はなかろうと思うけれども、その点官房長でもいいが……。
  46. 平井學

    政府委員(平井學君) 仰せのとおり、これは学校教育法に基づく大学ではございませんで、これはあくまでも行政機関たる建設省の附属機関でございまして、いわゆる学校教育法に基づくものではございません。ただいまお触れになりましたように、消防大学校、警察大学校、自治大学校というふうに、それぞれ似たような各省の附属機関がそういう統一した名前になっておりますし、それからまた、特に建設研修所だけをわざわざ大学校という名前を遠慮ないし避けるという理由もございません。やはり幾らかは名は体をあらわすので、職員の気持ちを一段と清新ならしめるという効果もこれは否定できません。さようなわけで、名前をこの設置法改正の際に、他の各省と同じように、それぞれ第一線のこういう職員の気分を一新させるという意味が大きいのでございます。
  47. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 論理まことに薄弱、根拠すこぶる薄弱、よそがつけているからこちらもつけなければいかぬ。内容は昔のまんまでございます。よそもそうつけておりますから、こうしなきゃ研修所の生徒のどうも誇りが保たれない、何とか行き当たりばったりでいささかもこれには根拠がない。その点については大臣のひとつ御答弁を願いたい。
  48. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいま事務当局から御説明申し上げましたように、私も青年諸君の一段の奮起を要望いたしたい。建設省といたしましてもこれには相当な力を入れまして、そして、各有能な職員にそれぞれ講座を与えまして十分勉強させたいというような意味合いでこれを考えたのでございます。
  49. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大臣の御答弁も官房長の答弁も結局五十歩百歩、同じことは一つことで、どうも私ははっきりしないのだが、偉い河野大臣がそんな答弁じゃ、どうも何かもっと私は万人を納得させるような名言があるかと思って期待しておったのですが、まことに凡々たるお答えで、まあしかし、これは何ぼ申し上げても同じことでございますが、私はこういうことは不賛成です。しかも、建設大臣の河野先生が一番にしたというのならいいけれども、一番あとから、人がやったあとからというのじゃ、もうえらく遅れているから、うちもやらんかという、河野大臣らしくない。まあ、そういうことで、これで終わっておきます。
  50. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) では、議事の都合により、次に移ります。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  51. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。     —————————————
  52. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き、これより質疑を行ないます。  政府側からは、ただいま黒金内閣官房長官、芳田内閣調査官、野田総務長官、古屋総務副長官、栗山臨時在外財産問題調査室長、岩倉賞勲部長、瓜生宮内庁次長、並木宮内庁長官官房秘書課長、後藤統計基準局長、井川北海道開発政務次官、荒巻北海道開発庁主幹、鹿島科学技術政務次官、江上科学技術庁長官官房長、楢林計画課長、芥川研究調整局長、中川原子力局次長が出席いたしております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  53. 田畑金光

    ○田畑金光君 私、総理府設置法等の一部改正案の中で、一、二の点をお尋ねしたいと思いますが、初めは総務長官、それから次に経済企画庁関係で経済企画庁長官にお尋ねしたいと思っておりますので、適当な時間に経済企画庁の長官以下関係者に御出席いただきたいと思います。  最初に私総務長官にお尋ねしたいのは、在外財産問題審議会の問題について若干お尋ねをしたいと思います。これについては昨日来すでに二、三の委員から質問がございましたが、長官の御答弁の中でことばの表現が正確でない内容があったようにお聞きしたわけです。特に長官はその答弁の中で、政府としてはこの問題については一応処理済みであるという見解に立っておるが、しかし、その後の世論あるいは国会内外における議論等を政府としても尊重して、今回在外財産問題審議会設置に至ったのだ、こういうお話でございますが、政府の見解として処理済みというようなことは、これはもっと正確な表現で答えていただかなければ間違いを起こすもとだと思うのです。処理済みというのは何を意味するのか、まずそれを明らかにしてもらいたいと思う。
  54. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 在外財産の処理の問題でございますが、私がお答えした内容は、前にありました審議会の答申に基づきまして政府が交付金の支給を手配いたしたことは、すでに御存じのとおりでございます。しかし、この問題は従来政府が一応処理が済んだという態度をとっておりますことは、つまり在外財産に対する国家補償につきまして、法的な根拠を持ってその補償なし、ありとかいうような、法的な根拠が結局結論を得なかったのでございます。で、私といたしましては、その後の内外におけるいろいろのこれに対する処理方法、また、外国における処理方法も調査いたしておりますが、特に国内におきまして、世上いろいろの論議があることは事実でございます。これらの論議があるということにつきまして、一応この前の審議会の結論に基づいて、一応の交付金その他における処理はいたしましたけれども、本質的な解決ができていないということを認めまして、できるならば、やはりこれは本質的にも一応さらにただす必要がある。なお、これらの御意見、また御議論等を参酌をいたしまして、どうしてもこの問題はあらためて審議会を設けて、そうしてこれらの政府としての最後的な考え方をきめて、この問題の処理に当たるのは当然である、こう考えましたので、今回御審議を願っておりますとおり、新たに審議会を設ける、こういう態度をきめたわけでございます。
  55. 田畑金光

    ○田畑金光君 いまの御答弁なら私も了解いたします。総務長官のいまの御答弁の中にありましたように、在外財産の本質的な根本的な解決はなされていない。この問題をこれから追及するのだというお答えだったと思います。ただ、昨日来、処理済みというのは、要するに、昭和三十一年の鳩山内閣のもとにおける在外財産問題、審議会の答申に基づいて、あの答申の結論は、補償の有無の責任、あるいは国家の責任の所在の有無、こういう根本的な問題は当分たな上げして、現実に引き揚げ者は生活の困窮者がほとんど大半である。そういう意味から、社会政策的な措置をとりあえず政府は施すべきだと、こういう答申が出たわけです。その答申に基づいて、翌年の昭和三十二年に鳩山内閣は、引揚者給付金等支給法という法律措置により五百億の国債を交付した。これはあくまでも補償の本質的な問題の処理ではなくして、当面答申にあったように、困っておる引き揚げ者の人たちであるから、とりあえずこの人方を救済するために見舞い金の措置としてとられたわけです。したがって、昨日来総務長官が、政府の見解として、これは処理済みだというような、あるいは法的見解としてこれは処理したのだという見解もあったがということは、それはことばが正確な表現ではないと思う。処理済みというのは、あくまで見舞い金として一応答申に基づく処理をやったのだ、こういう理解のしかたでよろしいかどうか、そのことを明確にしてもらいたいと、こう思うのです。
  56. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) ただいま田畑さんの御意見、私同感であります。そのとおりだと思っております。
  57. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ、それだけ明確にしていただければ、その問題はこれ以上お尋ねいたしません。  そこで、今回政府は在外財産問題審議会を設置された。この審議会設置の目的とか、政府のこの審議会に寄せておられる期待というものは、当然昭和三十一年の審議会のときに、補償の有無について政府の責任いかん、こういう根本的な問題については、結局先ほど申し上げたように、触れないままに終わってきておりますが、今回審議会が設置されたということは、こういう問題について、何が真実であり、何が政府のとるべき道であるかということを見出すための審議会である、こう私は理解しておりますが、それでよろしゅうございますか。
  58. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、この問題の政府が処理いたしました後におけるいろいろの論議が残されておりますので、いま田畑委員がお話しのように、未解決の問題につきまして、当然この審議会においてこれらが論議の対象になるということは、これはおのずから当然だと、こう考えております。
  59. 田畑金光

    ○田畑金光君 未解決の問題というのは、私は具体的に申しますと、国家の補償責任の有無、これは憲法上の問題もありましょうし、条約上の問題もありましょうし、法律上の責任も追及しなくっちゃなりませんし、あるいはまた、政治的な、道義的な責任の問題にもこれは当然議論してくると発展いたしますが、そういうもろもろの根本的な問題の解決をこの審議会の中で追及していこう、こういう任務でおつくりになったと思いますが、もう一度その辺を確認するためにお尋ねしておきたいと思うのです。
  60. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、世上幾多の論議がございますから、これの論議の内容を対象として、当然この審議会において論議されるというのはあたりまえじゃないか。それをあらためて審議会をつくったということは、これらの点における重大な問題がいろいろ解決していない、やはりこれらについて当然審議会において論議が行なわれると、こうわれわれとしても考えております。
  61. 田畑金光

    ○田畑金光君 総務長官、別に、私のお尋ねしておることは、私の質問をお認めになったから、これが速記に残って政府を将来拘束するというような内容でも何でもない。理論的に追及していけば、私が先ほど申し上げたような諸点をこの審議会の中では議論し、結論を求めていこう、それにほかならぬと思いますが、私が先ほどお尋ねしたことをお認めになりますかなりませんかということをお尋ねしておるわけです。
  62. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 大体田畑さんの御意見と私のお答えしております内容は同じたと思っております。それらのことは当然論議の対象になると、こう思っております。
  63. 田畑金光

    ○田畑金光君 これは、総務長官にお尋ねするのはどうかと思いますが、むしろ私は外務大臣あるいは外務省にお尋ねしたほうがいいかもしれぬ問題があるわけです。しかし、この問題を処理しておられる長官として、また政府の閣員の一人という、そういう立場でお尋ねするわけですが、この昭和三十一年の答申では、その内容に二つ重要な問題を含んでおるわけです。それは、私も当時、審議会の委員をやっておりましたので、よく記憶してありますが、私有財産の問題については、これは国際法のたてまえから見ても、当然没収してはならぬし、返還さるべきだということは、ヘーグ陸戦法規の四十六条を見るまでもなく、国際慣行として従来とられてきておるわけです。そこで、私有財産の返還の問題について、いろいろ本質的な議論をやったわけですが、当時政府あるいは政府側を代表する委員の人方は、これから日本政府としては、在外財産——私有財産については、少なくとも外交折衝によってこれを返還させるために努力を払っておるし、またこれからも払うのだ、払わねばならないのだ、こういう前提に立っていたわけです。昨日も小西委員から質問がございましたが、あのとき現在において、昭和三十一年当時、日本との国交回復その他の関係で、私有財産問題が外交の爼上に乗せられるのはおおよそ四%前後で、あとのほとんど大半というのは、まだ外交関係もなければ、これから日本との国交関係がどうなるか、まことに不確定、不明確な状態にあったわけです。そういう情勢のもとにございましたから、政府は、これから外交交渉によって私有財産の返還は求めるのであって、その努力も結論を得ない現在の状態で私有財産の補償を議論するということは時期が早過ぎる、こういう議論であったわけです。ところが、その後、一体、私有財産の返還についてどの程度の努力が払われたのか。この問題について、長官も御承知のように、昭和二十七年の日華平和条約を見ますならば、あの中の第三条でございますか、この問題については相互の話し合いの議題とし、両国間の具体的な取りきめにすると、こうなっておるわけです。ところが、日華平和条約のあの第三条というものは、私も今日まで、しばしば外務大臣にも質問いたしましたが、政府は解決のために何ら努力を払っていない。第三条の中には、財産権あるいは相互の請求権等については、「日本国政府と中華民国政府との間の特別取極の主題とする。」と、こうはっきりうたっておるけれども、これは何ら実施されていない。こういう問題。  それからもう一つ、われわれが在外財産問題で議論してまいりましたのが、申すまでもなく、十年以上の長き日韓両国の国交回復に関する話し合いの内容です。この日韓両国の話し合いの主たる議題、しかも一番困難であって、これがために十年の歳月をかけたというのは、まさにこの請求権問題であったわけです。しかし、この請求権問題についても、昭和三十一年、在外財産問題審議会が鳩山内閣のもとで設けられた。そのときは、政府は、どこまでも、日本政府は韓国にある私有財産について返還させるのだ、返還のための努力を払うのだ、こういう一貫した態度をとってきたわけです。ところが、御承知のように、昭和三十二年の十二月三十一日になって、アメリカが仲に立って、日韓両国の請求権問題については、アメリカの解釈に従う。日本政府もアメリカの解釈を認めて、結論から申しますならば、私有財産もすべて韓国に残してきたものは放棄する、こういうことになったわけです。放棄をするだけならまだしも、さらに日本政府は、御承知のように、無償援助として三億ドルを韓国に供与するということになったわけです。三億ドル程度におさまったというのも、その事情は、日本政府が韓国に残してきたすべての国有、公有、法人、私有財産までも放棄したから、三億ドル程度でこの話はおさまったのであって、もし私有財産を返還するということになれば、当然、三億ドルの無償援助は、それ以上の援助に持っていかなければ、あの話し合いは妥結できなかったわけです。こういう一つの事例をとってみても、政府の側が何と解釈しようとも、植民地であった韓国が戦後独立をした、独立のお祝い金ということで三億ドル、あるいは協力まで入れて五億ドルの有償、無償援助をするにいたしましても、これだけの独立のお祝い金として援助を出した。その程度でおさまったのも、実質は、すべての韓国に残してきた財産を放棄したからだ。これをわれわれは前提として考えてみますならば、昭和三十一年の第二次在外財産問題審議会のときにおける政府側の外交上の問題としての見解というものは、大幅にこれは変わってきておる。事情変更も著しい事情変更である。政府の怠慢のためにこの問題の処理もなし得なかった。こういうことを考えてみますならば、私は、今度、審議会が設けられますならば、当然、政府の怠慢、その責任を十分果たし得なかったという問題等については、率直に政府は認めて、今度できる在外財産問題審議会の中には、当然そういうような政府の責任も十分反映するような話し合いなり、したがって結論が出るものだと私は確信しておりますが、この点については、総務長官としても同感だと考えますけれども、いま言ったような問題点について、この問題を所管される総務長官としてはどのような御感想を持っておられるか、率直に承っておきたいと思うのです。
  64. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 今度新たに審議会をつくりました理由は、先ほど申しましたとおりでございまして、つまり三十二年の前の審議会の答申、これらにつきまして、いわゆる結論においてまだ解決点に到達していない。これが前提において世上にいろいろの御議論がある。ただいま拝聴しました田畑さんの御意見も、私はその一つの御意見だと思っております。そこで、この審議会におきましては、私はせっかく審議会をつくります以上は、幾多の議論がやはり徹底的に行なわれて、そうして、その審議会の意見の取りまとめができて答申をするということが、これは当然審議会の使命と思っております。もとより、この審議会はこれらの御議論をそこに盛り込んでいろいろ論議していただくと同時に、特に在外における、いまお話のありましたような各地における公私の日本の財産の処理はどうなっているか、こういうこともやはり調べる必要があると、こう考えます。しかしてまた、御意見のあるとおり、平和条約また日華条約、日韓交渉、まあ全く相当の事情の変更も私は認めます。これらについて、しからばこの条約の問題、また日韓交渉の請求権に対する日本政府の態度、これらは外務省の——ここで私が立ち入って言うべき筋合いでないと思いますが、この審議会自体から考えますと、当然これらの問題が論議されまして、結論は私これから予測もできないことでございますが、私は先ほど繰り返して申しますとおり、前審議会のあとにおいての幾多の世上の論議というものは、当然この審議会において論議が行なわれるということは、これは私は当然予想し得ることであります。いま大体田畑さんの御意見というものが、その他またいろいろ御意見がございましょうが、これらの問題が審議会において論議されるのでありまして、私もあり得る当然のことじゃないかと、こう思っております。
  65. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は事実関係の経過を申し上げただけにすぎないわけで、総務長官もこの事実関係については率直にお認めになり、来たるべき審議会の中にも十分そういう事実関係についても反映されるであろうということを御答弁になりましたので、私はその点はこの程度でおさめておきます。  もう一つ、私は当時の答申の中の一つの柱が、昭和三十一年の現在のわが国の財政経済の力をもってしては、この膨大な在外財産の補償に応ずる能力がない、こういう一つの柱があったわけです。そこで、とりあえず、先ほど触れました見舞い金ということで五百億の国債給付になったわけでありますが、その後のわが国の財政経済の能力というものを見ますならば、特に最近のわが国の経済の発展、それを反映する具体的な国の予算、こういう面を見ますならば、本年度の予算等はすでに三兆二千五百億をこえておるわけです。戦後処理の問題として、政府はいろいろな問題を一つ一つ毎年の予算措置の中で解決を進めてきております。私はこれは当然の政府の措置であり、また、これからもやってもらわねばならぬ問題だと思っております。ただ、ことに最近、ついこの間国会に政府、与党が出されました、政府が出されました旧地主の補償の問題、これは報償ということばはつかっておりまするが、総務長官も御承知のように、また、この問題で長いことかれこれ申す気持ちはございませんが、昭和二十八年の最高裁の判決で、土地改革は合憲であるという最高裁の判決も出ておるわけです。しかも、今回政府はそういういろいろな問題もあったにかかわらず、なおかつ千五百億前後、旧地主に対し、戦後の農地改革という政策に協力してくれたお礼だという気持ちで千五百億の国債交付措置をとられておるわけです。私は、これに賛成とか反対とかいう議論をここでやる意思はございません。また、昨年の春の通常国会でも、戦争未亡人に対しては二十万の国債交付措置をとられたわけです。われわれは、今次戦争の最大の犠牲者が戦争未亡人であるということを考えたときに、この交付公債措置に賛成した一人でありまするが、とにかく政府の戦後処理の問題も一つ一つ解決されておるわけです。しかし、解決したその一番大きな理由は、わが国の財政経済能力がもうすでにその問題を解決するだけの力を持っておるということだと思います。したがって、私は三十一年当時の答申の中では、わが国の財政経済能力は在外財産問題を処理のできる能力がないと考えていた政府であるが、しかし、今日の状態は違ってきている。言うなら、十分わが国の財政経済の力は在外財産問題の処理はできるのだ、こういう事情の変更もこれまた生まれてきておる、このように私は判断するわけです。当然こういう結論が来たるべき在外財産問題審議会の中において、あるいは結論として出てくるであろう答申の中において、あるいはまた答申を受けて今後具体化する政府の施策の中に反映されるものだと私は信じておりますが、この点について総務長官の御見解を承っておきたいと思います。
  66. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) いま三十一年当時の審議会の御意見の模様を承りまして、当時の財政経済の力は限度があってこれをなにする能力が非常に乏しい、そこで五百億の交付をした、私もそのことを承知いたしております。したがって、今日と三十一年と比べますと、今日の日本の経済力というものは、田畑委員の仰せのとおりだと思っております。しこうして、これに対してどう処置するかということは、これは政府から別に最初から結論を出すことでございませんで、審議会をつくりましたら、当然これらの経済能力といいますか、財政能力といいますか、これらにつきましても、審議会の委員の方々はりっぱな良識のある方を御委嘱するつもりでおりますから、当然これらは御勘案になって、審議会でこれらの問題についても御論議があるんじゃないか、こう私は思っております。
  67. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は在外財産問題処理については、当然第二次世界大戦のわが国と同じ枢軸国であり、敗戦という運命をになったイタリアとか西独においてとられた措置というものが、今後のわが国の在外財産処理の上に十分貴重な私は先例となり教訓になると考えるわけです。私は、この問題も審議会の作業には移るわけでありますが、まず総務長官に承っておきたいのは、イタリアとか西独の先例が、いま申し上げたように十分考慮され、あるいは尊重されてわが国の今後の政府の施策の中に取り入れられてしかるべきだと、こう考えるわけですが、この点について総務長官はどのようにお考えであるか。ことに今度二千万円の在外財産問題調査費の予算が計上されておるわけです。この予算の内容について、どういう面にこの予算を使おうとするのか。特にこの予算の中には実態調査費も計上されておるが、その実態調査費は、いま私が例に引きました西独とかイタリアとかいう敗戦国の実情、在外財産処理の実情、あるいはまた、わが国と平和条約を結んでわが国の在外財産をそれぞれ没収した——と言ったらどうかと思いますが、没収した連合国同盟国家の財産の状態、あるいは中立国における財産の状態、日本の在外資産の状態、こういうこと等を調査するのが二千万の予算の中身であると私は想像しておるが、この予算の中身について、どういう面に使うのか、これもあわせて承っておきたいと考えております。
  68. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) いまお話しのイタリア、西独の在外財産に対する処理につきましても承知いたしております。もとより、イタリアにおいては平和条約でこの問題を取り扱っておることでございますが、その当時の日本の連合国との関係その他で、多少イタリアの平和条約と日本の平和条約を結ぶ次元と申しますかが違っております。しかし、それはまあ別にそれでどうということはございませんが、少なくとも、いまお話しのありましたとおり、イタリア、西独がこの問題を処理しているということは、これは日本政府といたしましても十分参考にしなきゃならぬと思っております。これはしかも、その内容につきましては一応わかっておりますが、いまお話しになりましたように、イタリア、西独のこの問題に対する処理の方法、並びに日本の在外の公私の財産が外国においてどうこれを始末しておるか、こういうことも実際向こうに派遣いたしまして親しく調査したい。これらにつきましても、もちろんこの今度の審議会の予算において、これらのことにつきましても、予算の使い方と申しますか、これらに当たりたい、こう思っております。
  69. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 田畑先生の予算についての御質問に簡単にお答え申し上げます。予算を大きく分けまして、内容といたしましては、調査委託費が、これは外国調査委託でございますが九百六十万円、外国旅費が三百四十万円、庁費その他が三百十六万円、人件費が二百三万円となっておりまして、在外財産問題審議会に必要な経費は百八十万円と相なっております。外国調査委託のほうは、国有化に伴う措置、それから在外日本財産の管理処分状況、在外日本財産の現況、それから敗戦国における戦争災害の補償措置、こういったものの調査に充てられる予定に相なっております。
  70. 田畑金光

    ○田畑金光君 総務長官は、イタリアや西独の先例は当然今後の日本のこの問題処理に取り入れられるだろう、こういうお話しでございましたから私は同感であって、当然そうあるべきだと、こう思っておりますが、しからば、お尋ねしたいことは、イタリア、西独はこの問題についてどういう処理をしたか、これをひとつ簡潔でけっこうです、補償をやったかやらなかったか、どういう処理のしかたをしたか、この点をひとつ御説明いただきたいと、こう思うのです。
  71. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) では、私からかわりましてお答え申し上げます。  イタリアにおきましては、平和条約において在外財産を失った旧所有者に対しましては補償することを規定いたしております。そうしてまたドイツにおきましては、平和条約締結までの暫定的な取りきめといたしまして、戦争及び占領により生ずる問題の解決に関する条約というものにおきまして、やはり補償をいたしております。そうして、おのおのこれに基づいて国内法によりまして補てんの措置を講ずることといたしておる模様でございまするが、その実施の状況につきましては、なお今後の調査に待ちましてこれを明らかにいたしたい、かように存じております。
  72. 田畑金光

    ○田畑金光君 いま室長からお答えありましたが、イタリアは補償を実施しており、その内容についても調査資料その他は調査室でお持ちでありますね、どうですか。
  73. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 詳しいことは実はわかりませんです。
  74. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 実は調査室で昨年つくりまして、いろいろなこれらの資料を集めておりますが、やはり現地に参りまして、実態を見ませんと、なかなか、いまも申しましたとおり、平和条約でイタリアはやっておりますし、ドイツのやり方もいま申し上げたとおりでございますが、この機会にぜひひとつ現地へ派遣いたしましてその処理方法の、実態をつかみたい、こう思っております。したがって、今度の予算にもそれを計上している次第でございます。
  75. 田畑金光

    ○田畑金光君 まだ実態をつかんでいないというのは、これは総務長官うそを言っておるのじゃありませんか。これはあなたのほうになければ外務省にあるはずです。実は、私この問題については十年来勉強し、また予算委員会等で質問しているのですよ。実は一昨年の春の三月、参議院の予算委員会で当時の外務大臣に質問いたしたところが、中川条約局長がかわって答弁して、イタリアの平和条約ではその七十四条、七十九条ではっきりと、それはもしイタリアの国民の在外私有財産が賠償等で取られた節には、イタリア政府はその賠償で取られた限度においてその国民に補償せねばならぬ、こういう条約の条文になっております。それははっきり認めました。それに基づいて国内法ができたということも聞いておるが、その国内法で実際実行しておるかどうかということは資料がないのでわかりませんと、こういうことを一昨年春の参議院予算委員会で中川条約局長は答えた。私は一昨年の、その秋の十月の二十二日イタリアのローマにおいて、大使館で担当の一等書記官と私はこの問題について話し合ってみたが、私は日本を出発する前に、外務省を通じ、西独とイタリア大使館にこの問題について私は調査するから、聞くから、資料を整えておいてもらいたい、こういうあらかじめ連絡をとっておいたわけです。名前は言いませんが、某一等書記官がそのときに答えていわく、外務大臣や条約局長が知らぬと言うのは、それは言いのがれですよ。なぜならば、先年、昨年の九月——一昨年の話ですよ——昨年の九月すでに私は外務省にはイタリアにおける在外財産補償問題はこのような処理をやっておりますよ、そういうようなことをすでに報告しておりますと、はっきり言っておるわけです。すでにその当時現在において日本の金に直して三百六十億払っております。これは審査が終わったものに払っておるわけです。日本の金に直しまして約三百万円までは現金、それ以上については五分利付の二十年の国債で交付をしておる。イタリアは現にやっておりますよ。先ほど申し上げた、一九四七年十一月のイタリア平和条約七十四条、七十九条に基づいて一九五四年に国内法ができて、そして国内法に基づいて具体的な処理が始まって、もう一九五〇年以降ですから何年になります。かれこれ十年経過をしておりますよ。そんなことが、いまどきイタリアの実態が調査もできていないというのは怠慢もはなはだしいと思うのです。外務省のイタリア大使館の一等書記官が、そんなことを国会で言うのはそれは逃げているんですよとはっきり言っておるんです。ましてや昨年の九月に、総理府に臨時在外財産問題調査室ができたじゃありませんか。その調査室の仕事の内容は何です。一番大きな仕事は、イタリア、西ドイツにおける実情を調査するというのが目的じゃございませんか。現に在外財産問題調査室においてはその調査もできておる。私はその資料も得ておるのです。そういういいかげんな答弁をされちゃ困ります。この際、明確に、イタリアの場合はどうなっておるのか、西ドイツの場合はどうなっておるのか、このことをもう一度ひとつ明確に資料に基づいてお答え願いたい。
  76. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 田畑先生の仰せの点でございまするが、実施の詳しい具体的な状況につきましてまだ勉強いたしておりませんで、その点は今後の調査に待ちたい、こういうことでございますから御了承を願います。
  77. 田畑金光

    ○田畑金光君 総務長官、それでよろしいんですか。この大事な法律案を提案されて、そして私の質問にも答えられないようなことでよろしいんですか。私は特に遺憾に思うのは、栗山室長も私は前から存じ上げておるし、非常にまじめで、りっぱな人であることもよくわかります。ところが、昨年の四月にできたあの調査室ですね、室長の慶長敬太郎さんがおいででございましたが、聞いたところが、もう転任なされたと、この室長も非常に熱心で、実にこれは真剣にこの問題に取り組んでおられたことを私は見ております。この人のこの在外財産問題についての見解なりあるいは法律的解釈なり、条約に対する見方というものも、私は意見を交換してよく聞いております。こんな大事な問題を取り扱う調査室に十名前後の職員しかいない。しかも厚生省から、外務省から派遣された専従じゃなくて兼務の職員を置いて、予算もついていない。これが過去一年の調査室での実態であったわけです。それでも一生懸命調査室の諸君はこの仕事に取り組んできたと思うのです。その大事な、せっかく情熱を燃やしてこの問題に取り組んでいたその室長も、今度聞いてみたら交代したというんですが、これじゃ政府はほんとうに真剣にこの問題に取り組むのかどうかということを私は疑いたくなるのです。また総務長官という歴代の長官がこの問題を非常に御熱心に理解しておられます。野田長官もそうだし、前の徳安総務長官もそうです。しかし、また七月に内閣の改造でもあればこれは総務長官どうなるのかということを考えますと、引き続きこの問題について真剣に取り組んで、われわれの信頼を厚くしつつあるその大事な時期に大事な責任者がかわっていくということは、まことにこれは遺憾なことです。私はまあ総務長官は当然国務大臣になる立場であったんだが、どこかの派から急に横やりが入って一人入れたんで、やむなく総務長官に回されたということを当時の新聞が報道したので記憶しておりますが、今度はひとつ役不足であるかもしれぬが、この問題の処理までは総務長官で残られるように御努力を願いたいと、こう思うのです。これはさておき、先ほどの室長の答弁で私は満足できませんが、総務長官あらためてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  78. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 私が先ほど申し上げましたとおり、在外財産の取り扱いにつきまして、従来三十一年度の審議会の答申がすべてを解決していないという前提に立っております。実はこの審議会をつくりました理由というものは、決して私はかれこれ申し上げる必要はないと思いますが、今日まで調査室につとめる職員も一生懸命やっておりましたわけですが、いまおっしゃいましたとおり、予算関係ないしいろいろな欠陥が多いのです。これらをどうしてもほんとうに軌道に乗せて、そして真剣に取り組まなければいかぬ。まあ、私があとに残るか残らぬか、これはまあ別でございますが、少なくともこの国会で審議会だけはひとつ成立させて残す。これが私は一番いろいろな意見よりも、いわゆる在外財産の最後の解決に対する政府の熱意をこの審議会に私はかけておるのでございます、打ち明けると。そこでこれは、私が残るとか残らぬというのは私個人のことでございまして、しかし、ここで御審議を願いまして御協賛を得まして審議会が発足いたしますということは、私が今日まで長い間、三十一年でございますか、田畑委員その他に非常な御苦労していただきました審議会の残された重大な問題をこの審議会にかけてひとつ解決をしたいというので、ほんとうに私は真剣にこの審議会設置に力を入れておるのでございます。したがって、いままでの調査が非常に未熟である、不完全であるということは率直に認めます。これは、この調査室の誕生いたしましたことは私よりもむしろ田畑さんのほうがよく御存じだろうと思っております。  人事についてでございましたが、これは外務省から出向したり、いろいろな人事の問題ありますからなにですが、人事が変わりましても、いまの在外財産の問題では、このまま政府が言いのがれをしたりまたばいいかげんにその場限りのことをやっているということは許されない。私は率直にそう感じております。こんな大きな問題をただ調査いたしておりますとか、または何とか一応解決はしているという態度を政府はとっておりますが、まあしかし、いろいろ調査室の調査の結果を待ってやりましょうとかというようなことでございましたら、私は田畑さんにおこられるようなことになると思います、実際。私は率直に申しておるのです。しかし、いろいろな事情がございまして、必ずしも審議会もスムースに大体あれができたんじゃございません。しかし私は、何とかしてこの問題の解決を期したい。そして、もっともこの審議会の委員のメンバーは公正な、しかもこれらの問題についての経験を持っておられる方、こういうりっぱな方を委員に選んで、そうしてひとつこの長い間の問題の解決に一歩前進しよう。こういう熱意を私自身持っております。そこでいまのイタリアの問題、西ドイツの問題、いろいろ外務省その他も——私は田畑さんのおっしゃることはよくわかるのです。決してこれは間違いということを言うんじゃありません。しかし、いままでの調査室の怠慢とかなんとかのおしかりも私は決してこれを異論を持ってかれこれ申し上げるのではございませんが、そこで今度の審議会においてそういう材料が必要であるから、そこでやはり現地に行って、ただ出先の公館からの一つの情報でなくて、実態に当たって直接ひとつこの総理府の審議会あるいは調査室でもって直接ぶつかって従来の経過をただして、そしてこれを重要な参考資料とすべきだ、そうでなければ審議会をつくった意味がないと思いますから、先ごろ予算の際にも、海外派遣の予算をお願いしているわけでございまして、いろいろ他の御注意、おしかりは十分——私はこれに対してかれこれ言うのじゃありませんが、われわれの持っております在外財産に対する熱意だけはひとつ御了承願います。今後、足りたいことにつきましては、十分ひとつ遺漏のないように処置したい、こう考えております。
  79. 田畑金光

    ○田畑金光君 長官の決意のほど、また今日までの御努力については私も十分に敬意を表しておるわけです。ただ、私先ほど長官にお話し申し上げた点は、たとえば室長にしても、その職員にしても、いずれも優秀であり、まあ勉強すればすぐ追いつけるだけの能力の人方であるということはよくわかっておりますが、問題は非常に広範であり、複雑また沿革的な問題でもあるし、そういう問題の重要性を考えますならば、やはりこの問題の処理には当分の間これに全身的に打ち込めるような、そういう人事の配置等も十分これは政府全体として考慮すべきではないかということ、また総務長官の地位につかれる人についても私はそういう考え方を持っておるわけです。これは私の希望です。  で、御答弁の中にありますように、今度イタリアや西ドイツを目で見てこられるということはよく理解できますが、ただ私が申し上げたいことは、イタリアについては、見てこられなくても、もうすでに実際補償に踏み切って実施をされておって、その資料等は外務省にも来ておるし、おそらく調査室にもあろうと考えておるわけです。また、西ドイツの場合は、引き揚げ者法及び戦争補慮損害法等で引き揚げ者には一時金が支給されておるが、西独の場合はこれは本質的な、根本的な処理までは至っていないようです。しかし、昨年の十月、御承知のように、エアハルト内閣ができたはずです。エアハルト内閣ができたあくる月、十一月にこの内閣は国内問題で大きな政治危機に直面をした、こういうことを外電が伝えておりますが、何かと思って見ますと、数万の人方がボンに集まって、結局引き揚げ者の人方が集まってこの問題の最終的な解決を政府に迫ったわけです。で、その結果、政府はこの問題に踏み切ったということを外電も伝えておりましたが、これは西独連邦政府です。すでにイタリアは数年前に処理済み、西独も曲がりなりにも暫定的な処理をやってきたが、それは伝えるところによると、昨年の暮れ処理に踏み切ったということを伝えておりますが、日本だけがおくれておる。なぜこんなにおくれたのか、私は遺憾なことだと考えますが、このおくれを取り戻す意味においても、今度できる審議会については、もっと作業を急いでもらわなきゃならぬ、こう考えておりますが、長官の見解を承りたいと思います。
  80. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 私は田畑さんの御意見全く同感でございます。ことに戦後二十年、これはもう戦後処理がいつまでも未解決であるということは、これは国といたしましても、またそれらの御関係の方々にとりましても、私は望ましいことではないと思います。したがって、今回の審議会その他について提案いたしまして御審議を願ったのでございますが、全く田畑委員の御意見どおり、これらの問題はできるだけすみやかにひとつ解決するほうに努力するようにと深く私はそれを考慮いたしております。
  81. 田畑金光

    ○田畑金光君 そこで、長官のお答え私も了承いたしますが、大体長官、この審議会の諮問に対する答申までの期間と申しますか、この審議会の活動する期間というものはどの程度予想されておられますか。
  82. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 実はこの審議会には年限を付しておりませんが、たとえばこれが二年とか三年とやれば、やはり審議会というものはそれは二、三年すればよかろうということになりますし、これは非常にむずかしいのです。いま私は全く田畑委員と同じように、もう去年一年で調査室もつくっておりますし、また、いろいろな資料もできておると思いますし、これがどのくらいでできるかということ、これはもう審議会の委員の運営でございます。私からかれこれ申しませんが、これは全くいまお話しのとおり、これを何年も延ばしていいかげんに取り扱うということは、せっかくつくりました審議会の意に沿わない、こう思っておりまするから、私は、委員諸君の構成ができましたならば、やはりこれらにつきましてもひとつ政府の考え方を申し述べたい、こう思っております。
  83. 田畑金光

    ○田畑金光君 長官御承知のように、この在外財産問題審議会は昭和二十九年と三十一年にできましたが、私は三十一年の答申が、先ほど言ったように、五百億の給付金ということで具体化したという前提から申しまして、昭和三十一年当時の審議会の活動、これを私はひとつ参考にして運営に当たっていただきたい。と申しますのは、昭和三十一年は、たしか五月の十四日だと思いますが、最初の会議を持ったのは。それで、十二月の十日に鳩山内閣に答申を出したわけです。わずか半年ですね。——わずかじゃない、半年あれば十分です。これは後ほど具体的なことも触れるかもしれませんが、まず半年でこれは調査をやって答申をやって、そうしてあくる年、昭和三十二年五月一日に法律として、例の引揚者給付金等支給法が成立を見たわけですね。私はほんとうに政府にこの問題を処理しようとする熱意があるならば、いま長官は二年とか三年とか言われたが、これはとんでもない話だと思うのですよ。一年でも長過ぎると思う。半年でけっこうです。なぜかというと、御承知のように、もう引き揚げ者の人方何百万といっても、もう年とっておりますよ。当時五十の人はもう七十です。外地で働いた人方はもう相当な年輩者が多い。これは私も引き揚げ者の一人でありますのでね。それは実際もう周囲を見てみますと、もうほんとうになくなっていく人が多いのです。死んでいく人がね。そういうことを見ますならば、この問題の処理は、そう二年も三年もかけなくても、十分にできやしませんか、ことに旧地主の報償問題についてはわれわれは反対しているし、いろいろ議論が多いわけです。しかし、幸いにこの在外財産問題の処理については、与野党を通じてこの問題は処理を急げ、こう言っておるのですね。そういう国会の空気を皆さん方が御存じであるのだし、御存じであるならば、当然もう地主報償までが支払いの段階まで法律、予算の段階まで出ておるならば、筋論からいうならば、旧地主の問題よりも、この在外財産の処理を急ぐべきなんです。これは何も引き揚げ者が頭を下げて政府に金を下さいと言っているものじゃない。これは私はきょうは理論的な、条約上あるいは法律上の問題を議論しておりませんが、これは条約上のたてまえから見ても、国内憲法のたてまえから見ても、公平の原則から見ても、筋論としてはこの在外財産の処理こそ急ぐべき問題であるし、したがって、これは当然の権利の主張だと思うのです。そういう点から申しますならば、私は在外財産問題審議会が発足するならば、おそくとも本年の十二月には答申できるように、そういう目途で政府も作業を急ぐべきだと、こう私は考えるわけですが、この点について長官のお考えを承っておきたい、こう思うのです。
  84. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 私が先ほど申しましたのを少し誤解しておられたと思うのですが、私も、これは二年とか三年とかいう期限をつけますれば、ややもすれば審議会というものはそういう傾向に流れがちだと思うのです。しかし、これは半年でできる。これは私自身は、審議会の構成メンバー、委員の方々のお考えによってきまると思いますが、私もそんなに何年間もこの問題を審議される必要はないのじゃないか、やはりまあ半年でできるか、一年でできるか知りませんが、もう審議会に踏み切りました以上は、これはもうひとつ急速に成案をお持ちになって審議会が答申をしていただきたい。これは当然また政府が審議会をつくります以上は、当然期待することです。私は大体基本的には田畑委員と同一意見でございます。
  85. 田畑金光

    ○田畑金光君 長官は私の意見に同感だというお話でございますから私は了承いたしますが、願わくば、昭和三十一年の当時とちょうど時期的にもこれは似たような時期になってきましたが、国会が終わりますと、間もなく政府としてはこの法律が通れば政令をつくり、委員を委嘱されて、さっそく活動が始まると私は見ておりますが、ひとつ十二月を目途として答申が出せるように、年内答申が出せるように、そうなれば昭和四十年度の予算の中に頭が出せるわけです。私はそういう目途でひとつ御努力を願いたい。  先ほど、実態調査をなさると、こう言われましたが、私は実態調査なんかも、きょうここでかれこれ時間を取って述べたくございませんが、実態調査をこれからなさると申しましても、長官すでに御承知のように、昭和二十一年の七月、大蔵省令で、強制的に外国に居住していた日本国民及び邦人を含む在外財産の申告調査をすでに実施されて、これは有体財産だけの調査でございますが、かれこれ五十万件近く大蔵省かどっかの倉庫の中に入っているはずです。入っているはずです。その後昭和三十二年の例の法律に基づく支給に伴う個人個人の申告書も政府のどっかにあるはずです。したがって、調査するといっても、そう国内的な問題について長い時間かかるはずはないと思うのです。先ほどのように、イタリアとか、西独とか、アメリカとか、当時の同盟連合国家のそれ、あるいは東南アジアの国々、その他中立国の調査、こういうのにも時間はかかりましょうが、それも長い時間は必要とせぬと私は思います。したがって、調査というのは、一体どういうことをさらに考えておられるのか、私はもうすでに調査は大体やらなくとも資料は政府の中に整っておると考えておりますが、その点はどのようにお考えになっておられるか。さらに念のため、私は前回の審議会と同様に年内に処理をするというめどで御努力を願いたいと思いますが、その御用意ありやいなや、もう一度ひとつお尋ねしておきたいと思うのです。
  86. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 私も調査にそんなに何年もかかることはないし、まあしかし、いずれにいたしましても、先ほどお示しになりましたイタリアとか西独の補償を完了したところの実態をやはり直接見て調査したいと考えております。したがって、ただこれは時間は、それは御承知のとおり、これもたいして時間がかからぬというのはお話のとおりであります。したがって、ここ半年内にやると、これをここでお約束を——これは審議会が発足しない前でございますから、かってに政府が審議会の委員にそういうことは言えませんけれども、私はやはり半年とかなんとかということは別にしまして、いまのお話、田畑さんの御希望といいますか、御要望に沿うように、やはりこれはもう非常に急いでやることが必要だ、その意向は私は審議会にも伝えたい、できるだけすみやかにやってもらいたいと。——繰り返して申すならば、調査ということに何年もかかるようなことを考える必要はない。外国に参りましても、これはもうそんな、大体連合国その他は数がわかっております。その他にしましても、イタリアとか西ドイツということはわかっておりますから、そんなに時間はかかるものじゃないと私も思っておりますので、これらにつきましてはできるだけすみやかにひとつ審議会が結論を得ますように政府といたしましても希望したいと、こう思っております。
  87. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあそれは長官としては、ここで、審議会も発足せぬ前から期間はどうだということは確かに言えないでしょうが、ひとつ私の主張しておる点は御理解願えると思いますので、どうぞそういう立場で運営に当たっていただきたい。  それから私、これはちょっと不安な気持ちが起きますので念を押すつもりですが、当然私は、先ほど申されたように、今回できる審議会においては、補償責任の有無ということを中心として議論が展開され、したがって、その審議会の答申に基づいて政府は措置をなさると、こう思うのですが、しかし、きのうも議論がありましたように、心配することは、出てくる委員の人方がどういう考え方の人かということによってまた審議会の結論も大きく違ってきようと考えておるわけです。私がいまさら申し上げるまでもなく、日本の場合なぜこのようにこの問題の処理が十年あるいは二十年も放任されておるのかというならば、言うまでもなく、対日平和条約がそもそも間違っていたと、私はこう指摘したいわけです。なぜなれば、イタリア平和条約あるいは対独平和取りきめを見れば明確に補償条項を載せておるわけですね。先ほど申し上げたように、イタリアの場合も、西独の場合も、私有財産が賠償その他に充てられたときには、イタリア、西独政府はその個人に補償しなければならぬという補償条項をはっきり平和条約、対独平和取りきめの中に載せてある。ところが、日本の平和条約の場合には、それが全然ない。そこに問題が紛糾したそもそもの原因があるわけです。そこで、当然こういう条約締結行為、こういう国家行為に基づいて多くの個人が犠牲を受けておるとするならば、当然その国家の怠慢によって犠牲を受けておる人方に対し国家は責任を負うべきじゃないかという議論、あるいはまた、そうじゃなくして、当時の日本は平和条約について、イエスと言う自由は与えられていたがノーと言う自由は与えられていなかった、したがって、平和条約の中に国家意思というものを反映させる余地がなかった、いわば不可抗力の状態にあったのだ、こういう意見もあるし、あるいはまた、単にあの条約のもとにおいては政府は外交保護権を放棄しただけであって、個人個人がその所在の相手国に行って請求権を行使することは一向差しつかえないのだというふうな、言うならばナンセンスな議論もあるし、いろいろな意見があるわけですね。理解を持つ意見、理解のない意見、あるいはまた、言うならば賛否両論があるわけです。したがって私は、大事なことは、今度できるこの審議会の委員の構成がどういう構成であるかということによって、およそ結論も違ってきようと考えておるわけですが、この審議会の委員の構成についてもう一度ひとつ長官から考え方を明らかにしていただきたい、こう思っております。
  88. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 私も大体田畑さんの御指摘のように、この問題についてやはり学者のうちにも賛否があることはわかっております。また、いろいろの論議を持っている人がある。そこで一方に偏した委員の構成だけでやれば、私はこれは意味がない。ただもうきまったような人が集まりまして論議してもらっても、審議会をつくった意味がない。私は公正なそういう人事の配分をしたいと思っております。そしてまた第三者の方もお入りになり、そこでいろいろな論議を尽くしたい、こう思っております。
  89. 田畑金光

    ○田畑金光君 これは私から請求するのはどうかと思うのですが、昨日千葉委員から、おそらく政令の案ができておるだろう、どういう内容かという質問があって、きょうのこの委員会までにはできている分だけでもひとつ資料としてなにしろと、こういうことでしたが、できておるならば、その資料を配付していただいて……。来ているのですか。これをひとつ説明を願いたい、こう思うのです。
  90. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) それでは、お手元にお配りいたしてございます審議会令の要綱案につきまして、ちょっと簡単に御説明申し上げます。  第一は、審議会の所掌事務と申しますか、在外財産問題に関する重要事項を調査審議するということでございます。それから第二は、委員二十人以内で組織いたしまして、別に専門事項調査のために専門調査員十名以内を置く、こういうことでございます。第三が、会長は委員の互選できめる。それから、会長の職務は会務を総理する。事故ある場合はあらかじめ指名された委員が代理する、こういうことでございます。第四は、委員及び専門調査員は学識経験者及び関係行政機関職員のうちから総理大臣が任命する。それから、それは非常勤である。これはまあどこにもあります例文でございます。それから第五は、幹事を置くということで、幹事の任命がその次に書いてございます。それから、幹事の仕事は委員を補佐するということでございます。それから幹事の非常勤、これもどこにも書いてある問題でございます。それから第六が、審議会は必要あると認めるときは関係行政機関の長に対して資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができるものとする。これも普通の審議会に書いてあるとおりでございます。第七、第八につきましては、これはまあ例文と申しまするか、ほかの審議会に全部あるものをここにとってまいったような次第でございます。
  91. 千葉信

    千葉信君 関連質問。あのね野田さん、あなたは口を開くと、この審議会ができたなら、熱心にしかもできるだけ早くその結論を出したいと、こう言っておられますが、きのう小西君の問題に関連して、私がこの政令案を必要だと考えたのは、小西君の言っているように、委員の構成の問題等ももっと明らかにしなければならぬ、そういう立場から軽い気持ちでこれを要求したわけです。出てきたものを見てびっくりしておるのです。なぜびっくりしているかというと、この政令案を見れば、いかに野田さんが何と言おうと、政府自身というか、責任者というか、この在外財産問題審議会に対して非常に熱意がないと、これがその一つ。それからもう一つは、これは法律を知らないでつくっている。もしそうだとすれば、話にならない。そういう立場から質問をいたしますが、一体この委員の構成については、いろいろ質問の中でも、国会議員がどうの、各党派から何人もという話がありましたが、そういうものをどういうかっこうで構成を考えているか。第一は行政府から何人この審議会の委員に入れるのか。それから議員から何人ぐらいを入れるのか。これはもちろん議員を入れる場合には国会の承認が要ります。それからそのほかに、最も陳情に来ている諸君の熱望しているのは、引き揚げ者団体の代表諸君も何人か入れていただきたいというのが質問の中で出ているし、野田さんもそれに対しては否定的な拒否するという答弁ではない、そういう点をひっくるめて考えましょうという答弁ですが、この際その点をまず明らかにしてもらいたい。官民をどれくらいの割合で考えているか。それからたとえば国会議員をどれぐらいの割合で入れようとしているか、この点からまず答えていただきたい。
  92. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) きのう小西さんからの御意見がありまして、私拝聴しまして、これらについても重要な参考として考えましょうと。まあ、先ほどからいろいろと私の審議会に対する態度のお話をしておりますが、それを公正な審議機関として運営するにはどういう配分をするかということは、これは基本的に非常に大事なことであります。そこで、前もって一応いろいろの従来の、ことに在外財産問題審議会は先ほど田畑さんのお話しのとおり、二回も経験したことでありまして、大体の前例もありまするが、私は、今回の審議会は前回の審議会と違って、ひとつ最後の解決に向かいたいという気持ちを持っておりますので、実はここでもってだれを何人こうするということももちろん大事なことでございますが、同時に、どういう人を委嘱するのか、何人ぐらいの人がおるか、こういうこともひとつ検討しなくちゃならぬ。たとえば、先ほどこれは田畑さんの御意見がありましたが、学者の中にも賛否が実はあります。これをただ一方に偏するということはすべきではない、やはり公正な両方の意見をそこに織り込む必要がある、さらに第三者的の公平な人が入ってもらわなくちゃいかぬ、こういう考えを持っておりますので、この席で何人と申しまして、いや、あのときは違ったじゃないかと、私はそれは慎重に考えております。これは小西さんにもきのうお答えしておきましたが、私は非常に大事な御意見として参考とする、何といいますか、練りましょうというお答えをしておりますが、それ以上ここでだれが何人ということはちょっと申し上げかねると思っております。
  93. 千葉信

    千葉信君 まあ、その点はこの問題で質問した小西君のその意見がかなり取り入れられているという判断ができますので、私は次の質問に入ります。  この政令案によりますと、委員を二十人以内で組織する。それから、その委員のこれは下ということになるか——たぶんこれはおそらく上ということにはならぬと思うんですが、その委員二十人以内の下に専門調査員十名を置くことになっている。それは非常勤でしょう。常勤じゃないでしょう。まあ、行政官が入る場合には、これはどこかの官職を持っている人が臨時に振りかわってここの審議会の委員になる。そういうことでは、私は身の入った審議をするということは不可能じゃないか。それから、もっと問題になる点は、幹事を置くことになっていて、その幹事は関係行政機関の職員のうちから総理大臣が任命するということ、この幹事は行政機関の職員でありながら、これ、第五の四項によると幹事は非常勤とする。いいですか。これは一体どういうことなんですか。行政機関の職員を非常勤者にして審議会に入れる。まさに法律の上から見ると大混乱です。行政機関の職員というのは、これは厳重に勤務時間が規制されていて、しかもその職員である以上は、その職務に専念をしなければならないという国家公務員法の規定もあります。ところが、一般職職員である行政機関の職員が非常勤として幹事になり、かなり審議会としては重要な任務を負担する。幹事は審議会の所掌事務について委員を補佐する。その補佐する行政機関の職員が非常勤ということになると、この非常勤に対しては別な賃金が支給される規定があるのですが、行政機関の職員である者は非常勤の賃金を受けることはできないです。二重に取ることができない。行政機関の職員であるという立場で支給される賃金というものは、その常勤者である職員給与の規定によって厳格に、これ以外に賃金を受けてはならないのです。そして、そのほかに非常勤者の場合にはただし別だ。これは最高四千九百円までは非常勤者の場合には出せる。規定でははっきりこうなっている、給与規定で。これ、一体どういうことですか。行政機関の職員を非常勤の幹事に任命して仕事をさせるなんということ自体が、私は実際審議会を熱心にやろうという腹がない証拠だと思う。こんな法律に抵触するようなことを平気で政令で書いておる。これは案ですから、これはあとで閣議で直すということはできますが、これ、一体どういう考えでやっているのですか。
  94. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) 千葉先年のようなお話でございますが、私実は突き詰めて詳しく人事院に聞いたわけではございませんので、あるいは間違いがあるかも存じませんけれども、ほかの審議会令と申しますか、政令には大体これと同じようなことが書いてございますものですから、それでまあ実は書いたような次第でございます。  もう一つは、私の理解している限りにおきましては、本務が一般職職員で非常勤、こういう方が行政機関の職員であるわけでありますが、その場合に、官職としてほかの職に兼任と申しますか、なりました場合には、本職のほうでフル・タイムで月給なり賃金なりもらっている場合には、ほかのほうには出さないとたしか規定があったように存じておりますので、この場合、幹事の非常勤につきましての給与は、おそらく全然出ないというふうに実は理解いたした次第でございますが。
  95. 千葉信

    千葉信君 てんで答弁なっちょらんよ。あのね、ほかの調査会、審議会等で非常勤になっているのは、行政機関の職員でない者が、つまり民間人が委嘱されてその委員会等に働く場合非常勤、そうして非常勤に対する賃金の額も規制されている。いいですか。それが、行政機関の職員である者がわざわざ非常勤だなんて断わって非常勤扱いにする必要どこにある。非常勤の賃金一体どこから出す。賃金を出しもしないで、一体何のための非常勤か。行政機関の職員として一定の勤務時間を持っているその勤務時間の範囲内で幹事として働くことについては、私は了承するのだよ。行政機関の職員として、同時にそれが幹事として兼任される。ここまでは文句はない。それをわざわざここで「幹事は非常勤とする」ことなどと断わっているから、だから、法律を知らないにもほどがあると言っている。うそだと思うなら、君、人事院ここに呼びなさいよ。そんなわけのわからないことあるかい。
  96. 栗山廉平

    説明員(栗山廉平君) お説に従いまして十分連絡いたしまして、変更すべきものは変更さしていただきたいと存じますから、よろしくお願いいたします。
  97. 千葉信

    千葉信君 変更どころじゃない。廃案だよ、これは。やり直しだよ、これは。総務長官だって、きのう以来盛んに熱心に、一生懸命早く結論出すように努力する、努力すると言って、少し酷な言い方をすれば、口をきわめてみんなをだましていることになる。この内容からいうと、ちっともそんな傾向は出ていない。むしろ反対なんだ。どいつもこいつもみんな非常勤、非常勤で、一定の勤務時間もなしに、たとえばいま答弁があったように、行政機関の職員である者が、その本務以外のところへ行ってお手伝いをして幹事の役をつとめている。それで一体何ができる。しかも、審議会の委員も非常勤だし、おまけにもう一つの委員の下で働く専門調査員も非常勤というのは、これは言うまでもなく、総務長官も御承知のとおり、全然勤務時間について拘束を受けない。一カ月に二回か三回顔を出せばそれで済むという場合がたくさんある。そんなところで熱心に、審議をして急いで結論を出すなんと言ったって、これは全然うそだということを証明しているわけだ。
  98. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  99. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記を始めて。  本会議が再開いたしましたので、この間休憩いたします。    午後五時十分休憩      —————・—————    午後十一時三十二分開会
  100. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  101. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 先ほど千葉委員から関連質問がありまして、答弁を保留しておりましたが、この際お答えいたします。在外財産問題審議会の委員、専門調査委員につきましては、そのたてまえからして非常勤であることはやむを得ないと存じます。幹事は、委員の審議につきましては関係省庁と連絡しつつこれを補佐することになっておりますが、もちろん臨時在外財産問題調査室が常時庶務的に審議会の事務を行なうとともに、また、常時その審議の仕事について事務局的な役割りを果たすわけでございます。したがって、審議会の運営につきましては、当然これらを関連いたしましてきわめて円滑に進捗することができることと思っております。なお、在外財産問題審議会の先ほどお示しいたしました要綱案でございますが、御注意の点もございましたから、これらにつきましても十分考慮したいと思っております。  なお、田畑委員の御質問でございますが、先ほど特に審議会の構成につきましての御質問がございました。私はこれらにつきまして、さらに小西委員からもその前に御質問がありましてお答えいたしておりますから、私のお答えは大体明瞭だと思っておりますが、さらに念を押されましたから、この際重ねてお答え申し上げます。  先ほどの田畑委員の御意見には、十分構成委員選考にあたりまして政府としてもこれを考慮いたしまして、いわゆる田畑委員の意思を十分体しまして考慮いたす、こういうことをこの際重ねてお答えいたしておきます。
  102. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  103. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。  他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認めます。  本案についての自後の取り扱いは、一時あとに回します。     —————————————
  104. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 本委員会に付託されました第六号恩給年金等受給者処遇改善に関する請願外五百八十二件の請願便宜一括して議題にいたします。  慣例により速記を中止して審査を行ないます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  105. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。  それではただいま御審議を願いました五百八十三件の請願のうち、国家公務員関係百四十二件、恩給共済関係百六十三件、防衛関係十二件、以上三百十七件の請願は、いずれも議院の会議に付することを要するものにして、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願います。     —————————————
  107. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、継続審査要求についておはかりいたします。  建設省設置法の一部を改正する法律案法務省設置法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上三件につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本院規則第五十三条により三案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  108. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よってさよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  109. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査、国の防衛に関する調査、以上二件につきましては、閉会中もなお調査を継続すこととし、本院規則第五十三条により、両件の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、要求書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願います。     —————————————
  111. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) この際、委員派遣承認要求に関し、おはかりいたします。  ただいま御決定をいただきました継続調査要求について議院の議決がありました場合、閉会中に調査のため、委員派遣を行なうこととし、その人員、要求書の作成等をあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。     —————————————
  113. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) では先ほど保留いたしました総理府設置法等の一部を改正する法律案の議事に戻ります。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  114. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、ただいま議題となっておりまする総理府設置法等の一部を改正する法律案について賛成するものでございまするが、次の附帯決議をつけたいと思います。附帯決議案を朗読いたします。  憲法第七条に規定せられた栄典の授与に当っては広く国民各界各層の意見を反映せしめる為審議会等を設け以って栄典制度が公正に行なわれるよう努むべきである。    右決議する。  以上をもって私の討論を終わります。
  115. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 別に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。総理府設置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  116. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました石原君提出の附帯決議案を議題といたします。石原君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  117. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって石原君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。  では本日はこれにて散会いたします。    午後十一時四十三分散会      —————・—————