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1964-05-19 第46回国会 参議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十九日(火曜日)    午前十時四十五分開会   ―――――――――――――    委員の異動  五月十九日   辞任      補欠選任    古池 信三君  徳永 正利君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            伊藤 顕道君    委員            小柳 牧衞君            徳永 正利君            林田 正治君            千葉  信君            松本治一郎君            山本伊三郎君            鬼木 勝利君            向井 長年君   国務大臣    外 務 大 臣 大平 正芳君    大 蔵 大 臣 田中 角榮君    運 輸 大 臣 綾部健太郎君    自 治 大 臣 赤澤 正道君    国 務 大 臣 山村新治郎君   政府委員    行政管理庁行政    管理局長    石川 準吉君    外務政務次官  毛利 松平君    外務大臣官房長 高野 藤吉君    外務大臣官房会    計課長     谷  盛規君    外務省経済局長 中山 賀博君    外務省条約局長 藤崎 萬里君    外務省情報文化    局長      曾野  明君    大蔵省主計局給    与課長     平井 廸郎君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省海運局長 若狹 得治君    運輸省船舶局長 藤野  淳君    運輸省港湾局長 比田  正君    運輸省鉄道監督    局長      廣瀬 眞一君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君    自治大臣官房長 松島 五郎君    自治省財政局長 柴田  護君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    外務省移住局外    務参事官    佐藤 正二君    外務省移住局企    画課長     中根 正己君    運輸省航空局監    理部長     堀  武夫君    自治省財政局公    営企業課長   近藤 隆之君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事辞任及び補欠互選の件 ○国家公務員共済組合法等の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○外務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自治省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、理事辞任及び補欠互選の件についておはかりいたします。林田正治君から都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は先例により投票の方法によらないで委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。それでは理事石原幹市郎君を指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。田中大蔵大臣
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ただいま議題となりました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、各種共済組合制度における長期給付制度の統一をはかる見地から、共済組合長期給付に要する費用の国及び公共企業体による負担割合を引き上げるとともに、年金額改定方法等につきまして所要の規定の整備をはかろうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  まず、国家公務員共済組合法の一部改正におきましては、第一に、長期給付に要する費用につきまして、国の負担割合を百分の五十五から百分の五十七・五に引き上げ、組合員負担割合を百分の四十五から百分の四十二・五に引き下げることといたしました。  第二に、退職年金等を受ける権利を有する者が再び組合員となった場合の年金額改定方法につきまして、その俸給額前回より低下していることによって不利益を生ずることのないよう、特別の措置を講ずることといたしております。  第三に、組合員公庫等職員となり、その後再び組合員として復帰した場合における組合員期間通算の取り扱いにつきまして、この制度の本旨にかんがみ、組合員として復帰した後少なくとも六カ月をこえて在職することを通算の要件とするよう規定を整備することといたしておるのでございます。  次に、公共企業体職員等共済組合法の一部改正におきましては、長期給付に要する費用にかかる公共企業体組合員負担割合改定及び退職年金等を受ける権利を有する者が再び組合員となった場合の年金額改定方法につきまして、国家公務員共済組合法の一部改正と同様の改正措置を講ずることといたしております。  以上が、この法律案提案理由とその概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  7. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。   ―――――――――――――
  8. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) では、運輸省設置法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き、これより質疑を行ないます。  政府側から綾部運輸大臣佐藤官房長若狭海運局長比田港湾局長木村自動車局長山村行政管理庁長官石川行政管理局長説明員として堀監理部長深草国有鉄道部長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 千葉信

    千葉信君 運輸大臣にお尋ねいたします。  今度の改正で、第二点として、陸運局自動車部にかえて自動車第一部及び自動車第二部を置くということになっております。その内容としては、旅客関係貨物関係二つに分離するということですが、なるほど車両数量等は非常に増加しておると思うのですけれども、この二つの部に分離することによって二重行政の弊害を伴うようなことはないかどうか。まずその点についての所信を承っておきたいと思います。
  10. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 御承知のように、自動車貨物旅客ともに激増いたしておるのは御承知のとおりでございまして、そこでこの際それを二部に分けまして、そして旅客車旧の部、貨物自動車専門の部といたしまして、分野を明らかにいたしまして、それを陸運局長が統括をしまして、判断をする材料を早く集めて公衆の便をはからしむるように努力いたしたいと、かような趣旨でやったのでございます。
  11. 千葉信

    千葉信君 次にお尋ねしたい点は、この委員会でも伊藤鶴園委員からしばしば問題が提起されまして、日本国有鉄道内部における格差賃金是正の問題、それからダイヤ改正の問題、車両レール等改善の問題、それから踏切改良問題等についてもいろいろ質疑が出ましたのですが、綾部運輸大臣は、これに対して、至急何らかの措置をとるために考究中であるという答弁がありました。どうも綾部さんの答弁を聞いていますと、途中まではどうやら答えているけれども、肝心な点になるとぼかしているきらいがあったと思います。一体どういう対策をどういうところでどういう構想で考えようとしているのか、ないしはまた、その最終目標としているところはどういうところに、たとえば一例をあげますと、予算の点なんかについてもどういうところにおいているのか、そういう点についての明確な答弁は、いつでも綾部さんはきれいにぼかして、最初のほうの答弁だけをどうやらこうやら繰り返されて、そして質疑応答は聞いているものも完全に了解するところとならないままに進行してきた。一体その点について、もっと具体的に私ども内閣委員会の聞こうとするところを答える用意はありまんか。
  12. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私の説明方法がまずいために、いま千葉委員の御指摘を受けたような点があるとすれば遺憾であります。私は、まあ大体運輸省としては直接業務に携わっておらないで、これを監督し、助成していくというのが運輸省のとっている立場でございますので、予算につきましては、でき得る限り信頼する国鉄幹部が仕事をやりやすいようにいたすべく努力をいたしております。そこで、問題になりますいろいろな案件は、全部予算が伴いまして、その資金の確保が非常に大事なことと考えておりますので、私どもといたしましては、何とかして国鉄の現幹部が、運転保全安全運転、その他給与、すべての問題についての施策を国鉄幹部がやりやすいようにするように努力いたしてまいっておるつもりでございます。  そこで、それでは具体的にどういうことかと申しますと、一体踏切の安全に資するためには、改善するためには幾らの金が要るか。保安運転をするためには幾らの金が要るか。要員の労務管理その地給与改善については幾らの金が要るか。あるいは過密になっているダイヤを訂正するのに幾らの金が要るかということを全部をまとめまして、それを何年計画でやるのが現時点における国家財政との上でいいかということを検討いたしたいと、かように考えまして、目下その作業にてとめておるというのが実情でございます。
  13. 千葉信

    千葉信君 それだから足りないと言うのです。あなたの答弁によりますと、たとえば国鉄輸送事業全般に対する改良改善等の問題についても、信頼する国鉄幹部諸君判断で、予算問題等についても考えまして、それで自分としてはやっていく。目下そのために一生懸命やらしている、こういう答弁ですがね。これは大臣として、法律にきめられている大臣権限もしくは大臣所管事項からいいますと、無責任な言い方です。これは大臣もおそらくもう運輸大臣になられてからだいぶたつのですから、大臣権限を定めた運輸省設置法ぐらいは何度もごらんになっていると思う。その中をちょっと拾ってみても、運輸省の、運輸省というよりも運輸大臣所掌事務範囲及び権限ということの中に、「運輸省は、左に掲げる事項に関する国の行政事務一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」の四は「船舶及び鉄道車両その他の陸運機器」――たくさんありますよ。あんまりあり過ぎるから少しずつ拾いますが、それから「日本国有鉄道及び国鉄共済組合を監督すること。」「日本国有鉄道の役員又は職員司法警察職員」云々の任命をどうするということも運輸大臣権限、これ拾ってみれば切りがないほどです。たとえば運輸大臣諮問機関として運輸省内に設置されている運輸審議会等諮問事項のごときは、「運輸大臣は、左に掲げる事項について必要な措置をする場合には、運輸審議会にはかり、その決定を尊重して、これをしなければならない。」。で、内容には、日本国有鉄道における基本的な運賃をどうするとか、料金の改定をどうするとか、またはその変更等をどうする、認可をどうすると、日本国有鉄道等に関する限り、運輸大臣の監督する権限自分の遂行しなければならない所掌事務範囲義務等が、法律上非常にはっきりしているんです。しかも、そういうことをどうするかという質問に対して、運輸大臣は、考えている、研究さしている、だけでは、これでは国会は通らぬです。むしろもっと正直に――どうですか、大臣が言えなければ私のほうから言いますが、たとえばその一例として、四月の十七日のスト回避をされました。私はこれは、たとえいろいろなどのような批判があるにしても、政治的にはこれは成功だと思います。スト回避された。しかし、このときにも問題となったというか、ピックアップされたというか、非常に表面に出た問題の一つとして、国有鉄道従事員諸君格差賃金の問題が問題になった。まあどの程度是正するつもりか知らないけれども、これは早急に解決をしなければならぬ、解決をすると――内容はわかりませんよ、しかし、そういう話し合いが進展をして、翌日の四月十七日のストはみごとに回避をされた。一体、そういうこと一つを取り上げてみても、そのことに対する、もちろん日本国有鉄道は当然のこと、同時にそれを監督する運輸大臣立場としても、どうやってそれを適正な――格差賃金是正をするとか、待遇是正をするとかいう方法がちっとも頭になしに、これから関係する連中に研究をさせるとか、ないしはまた、それぞれ目下そのことに対して対策考究中であるなぞということを、一カ月以上もたった今日まだ大臣がそんなことを言ってるようじゃ、一体大臣何してるんだと――サボってるとは言わない、何してるんだということになる。そのことについて、私は大臣が、たとえばこういう方法をとって現在その問題を進めておりますというような具体的な答弁をなさるなら、私は、はい、そうですかと言って聞きますよ。大臣があくまでも避けようとされるなら、私のほうから内容をしゃべってもよろしい。こういうことをやってるじゃないか、こういう事実があるじゃないか――何ぼでもしゃべっていい。しかし、それじゃ大臣としても、あんまりかっこうのいい話じゃないと思って、先に大臣のほうから、ある程度のことはしゃべったほうが、質疑応答の杉もきれいにいきやせぬかと、私はそういう老婆心もつけ加えて、大臣質問しているのです。どうですか。
  14. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は、その格差是正につきましては、根本観念といたしましては、何とか格差是正して、国鉄従業員が、満足とまではいかないけれども、かつかつやれるというような態勢をどうすればいいかということについては、研究はいたしております。それを一々どういうことをやる、こういうことをやるということは、これはまたなかなか申し上げにくいので、御了承願いたいと思いますが、私は必ずやわれわれの考えていることが、何らかの形であらわれまして、今回の争議等におきましての格差是正の問題につきましても、私は相当な成果をあげられるようなふうに持っていきたいと考えております。具体的に金額を明示してとか、あるいは方法を明示してとかいうことは、私は直接国鉄に関係しておりませんからして、国鉄幹部に対しましては指示をし、幹部もそれについて検討を加えていると私は考えております。
  15. 千葉信

    千葉信君 大臣の耳は非常に都合のいい耳で、なるべく答弁しやすいような質問に聞き取って、その部分に関してだけ答弁しているようですが、私の聞いているのは、前提条件として、この質問はいま始まったことじゃない、伊藤委員もずいぶんやった。鶴園君もずいぶん大臣に聞いた。そのときの大臣答弁では、たとえば賃金格差是正の問題も何とかしなければならぬし、ダイヤ改正も――いまのままでは事故の頻発を避けることができない、車両もそうだし、レールもそうだ、踏切もそうだ。そういう問題等について抜本的に、この際、運輸省としては、国鉄に対してその改善方策解決方策を与えるような措置をとらなければならぬというので、いま熱心にその問題についてやっているところだ、こういう答弁があったことを基礎にして、私がいまたとえば一つの問題として、格差賃金是正の問題を取り上げたにすぎない。私の問題は、その他の国鉄の現在の状態をどうして改善するかという重大な根本の問題に触れて、いまお尋ねをしている。大臣はなかなか言いそうもないから、めんどうくさいから私のほうから言いますが、たとえば運輸省の中には、運輸審議会以外に、交通問題調査会というのがありますね、これは御承知のように、交通に関する全般の問題を検討するための調査会、これは正規に置かれている機関ですが、その最近におけるたとえば格差賃金是正の問題であるとか、ないしはまた、いまの二分間隔、三分間隔で走っているダイヤをそのままにしておくようでは、事故の突発はなかなか容易には避けられない。それから車両レールも現状では増大する輸送角担に耐えられない、こういう全般の問題をこの際早急に解決する必要があるというたてまえから、日本国有鉄道だけの交通問題調査会というものを設けて、そこでたくさんの民間人を網羅して、そこで取り急いでしかもそれは他の場合と違って、場合によれば半年以内程度にその結論を出して、もしそこでそういう全体の改善改良待遇是正のために必要だとあれば――私はここではっきりあまり金額を言うのは避けますけれども、何千億という金額がかりに必要だという結論が出たら、それに対する措置を講じなければならない、あなたもその決心だ。そこで、そういうものをあなたのほうでは設けてやっておられる。あなたがやっておるとは言いませんよ、あなたがやっておるとは言わないけれども、あなたの監督している日本国有鉄道の問題を、これは内閣全体というか、かなり予算当局等も網羅し、民間人も非常に多数網羅して発足しているということじゃありませんか、すでに。あなたの手を組んだ胸のうちには、その結論がいつごろ出るだろうというのがあなたにとって一番大きい問題でしょう。あなたはこの事実を――私はここに委員名前も開催した日にちも時間も書いた、責任者はだれかということを書いた記事を持ちながらお尋ねしているんですよ。あなた正直に答えたほうが得ですよ、どうです。
  16. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は、この前の伊藤委員質問にもお答えしたのでございますが、あなたがいま指摘されたような国鉄根本問題を解決するために一体幾らの金が要るか、まずこれが必要と考えて、その金をそれじゃどういう形式で出すがいいか、すなわちその方法は、もう考えられる方法は、国費すなわち財政資金であり、あるいは一般大衆に迷惑でも、日本国有鉄道は、現在の物価から言うと安いからして、一般大衆に負担してもらうのがいいじゃないか、あるいはこの鉄道改善をして、そうしてよくすることは、本来の日本国民もその利益を掌有するがゆえに、あるいは鉄道債と言われる公債等によってやるのがいいか、この三つ、あるいはそれを併用する以外に方法がないと考えられるので、それをどの方法でやるがいいかということは、千葉先生御存じのように、昨年の暮れに三十九年度の予算審議の閣議におきまして運輸省が要望する、要求する予算ができなかったからして、来たるべきすなわち四十年度の予算にはもろもろのうちの、そう一挙にすべてを入れることはできないが、そのうちの最も大切なることをやるのにどれだけの金が、予算が要るか、いわゆる今度の国鉄の新規五カ年計画の金の集め方と申しますか、予算の取り方と申しますか、それについて根本的にひとつ内閣のほうでも考えてもらいたいということで、内閣総理府の中へ私どもも関係いたしまして、いま御指摘になったような大蔵省予算の中心になる大蔵次官その他を委嘱して、いませっかく調査中であるということは御指摘のとおりでございます。その結論を待ちまして、どの案が一番いいかということを判断いたしまして、それに向かって私どもは最善の力を尽くしまして、そうしてあなたがいろいろ列挙された国鉄につてのい悪い点、不便な点、改善すべき点等につきまして検討をいたしまして、その結論に従ってやってまいりたい、かように考えております。
  17. 千葉信

    千葉信君 私は、大臣考えておられる日本国有鉄道事業に対して、どういう方策を講じなければならぬかという大臣の大体の方針については私も同感なんです。そのとおりやらなければならぬと思う。ただ、たとえ目的がいい場合であっても、やり方が間違っていてはいかぬ。いいですか。ことに池m内閣とは言いませんけれども政府というのは国民に向かって、お前は法律を守れ、労組にもそうだ、商人にもそうだ、日本は法治国で法律を厳重に守れといって、国民生命財産法律を根拠にして守るべき立場というものが政府立場、その政府政府みずから法律をないがしろにしたり、法律をごまかしたり、法律の裏をくぐったりするということは絶対これは許されない。たとえ運輸大臣国鉄の問題についてどうこうしようという考えがいいとしても、そんなやり方についてはやはりりっぱに――その法律上においても違法行為等は断じて許されない、そういう考えに立って私は次の質問に入っていきますが、いま大臣が言われた、おれたちも入って、大蔵省も入ってもらってやっていると言っているその機関は、大臣なかなか年をとって口が重いせいかはっきり言いたがらないようですから私のほうからはっきり言いますが、その名前日本国有鉄道交通問題調査会、いままであった全体の交通問題を調査審議するという全体の交通問題を扱う場合と違って、日本国有鉄道だけを対象にした、これはもちろん海運のほうにも陸運のほうにも、日本国有鉄道の所管する分は全部入るでしょう。その日本国有鉄道交通問題調査会、全体の交通問題調査会、そうしてその組織は、いまのところ運輸省だけでこんなことをやったってこれは力にはならないという判断です。そこでやはり内閣全体を引っくるめてこの問題をやる必要があるし、内閣だけでもだめだ、民間のこういう問題に対する有識者を多数を網羅して、そこでこの問題を検討しようじゃないか、そういうことになって政府は七日の午後、首相官邸国鉄基本問題懇談会の初会合を開いた。その後二回開いております。三回はたしか十八日の予定になっております。そして、当座の間は古屋官房長官ですか、この人が座長役をつとめてこの問題を審議した。ところが、これは最初から私が言ったように、政府関係者行政担当者だけの範囲ではこの問題の解決はむずかしいという判断の上に立って、四十数名の民間人を――十四人ですか、いまのところ十四人の民間人を予定して、これはまだ第何回目の会合から出たか、ないしはきのうの会合に出たか出ないか、それは私は知りません。しかし、たとえばその十四人の人たちというのは、こういう人たちです。名前だけ読んでみると、赤坂武荒木茂久二、井口竹次郎井上薫、今井百万、木川田一隆今野源八郎土屋清中山伊知郎西野嘉一郎原純夫宮川新一郎森永貞一郎脇村義太郎、こういう民間人を予定している。おそかれ早かれこの国鉄基本問題懇談会にはこういう人たちが委嘱をされるわけです。はっきり予定されて、発表までされている。しかもこれは相当ゆうちょうな先の話ではなくて、そんなに長くかかっては困るというのがこの政府なり国鉄なり運輸省方針なんです。少なくとも四十年度予算を編成するまでにはある程度の目安が出なければ困るというのがこの基本問題懇談会をつくった目的だし、また、それをねらっていなければこの効果は半減するという憂いもあるのです。よろしゅうございますか。ところがね、運輸大臣、このやり方は違法なんです、これは。違法だから国鉄のこの発表のしかた――これは国鉄発表したか、総理府発表したかは知らないけれども、この新聞の発表のしかた、ちびりちびりとごまかしながら発表している。それは堂々と発表できないからです。堂々と発表してやって、この委員会で徹底的にたたきまくられて、政府が見苦しいざまを呈してつぶしてしまったこれと同種の懇談会なり調査会が一ぱいあるのです。百何ぼあるのです。いいままで。まだいまでも二、三残っていますが、これは運輸大臣、これね、どこで法律が違うのだというなら、法律の条文を私はお目にかけますが、これは運輸大臣、もし法律に抵触しているとなったら、大臣どうされます。大臣のほうからどんどん正直にしゃべれば私のほうからこんなところまで深追いしなくてもよかったのだ、この問題は。大臣がちびりちびりと出しおしみをしてしゃべるから、とうとう行くところまで行かざるを得ないかっこうになっちゃっている。大臣、もっと元気を出してずばりと正直に虚心たんかいにやりなさいよ、問題を解決するために。
  18. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私どもといたしましては、そういう御批判もあるものと考えますが、私どもとしては急ぐためにと申しますか、予算折衝に間に合うために、間に合わせるために、急ぐために御批判のあるような点があるかもわかりませんが、踏み切ったわけであります。
  19. 千葉信

    千葉信君 それはなるべく、たとえば今後の予算、来年度の予算はいつごろきまり、いつごろまでには固まってしまうからという目安は私どももわかる。そういう点について、そのときにおくれたらたいへんだぞという気持ちを、これは運輸大臣ばかりでなく、みんな持っているだろうと思う。しかし、そういう予算にまで間に合わせなければならないそのために急いだのだということを理由にしても、法律をないがしろにしていいということにはならないじゃありませんか。法律に明定されたる事項をじゅうりんしてもいいということにならないじゃありませんか。運輸大臣、どうですか。この国会の最中に何らかの解決方法考えなければいかぬでしょうが、大臣、もう少しそんな遠慮することないから、虚心たんかいにものごとをずばずば言いなさいよ。どうせぼくはずばずば言っているんだから、大臣言わないと、ぼくはますますたけり立って言いますよ。
  20. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私は、御趣旨に従いまして、法律に違反せないように運営してやっていきたいとかように考えておりますから、御了承願いたいと思います。
  21. 千葉信

    千葉信君 まあ大臣答弁、大体七十五点くらい程度で、あまりいい点はやれない。まあしかし、大臣としても法律に抵触したりする事項については当然それを改めなければならないという立場をお取りになっているようですから、この解決方法については、そこでこそこそ発言しておられる与党の有能な理事もおられることですから、これはまあ与野党間でも十分考えますし、政府関係者もこの問題の解決については何とか考えて、少なくとも政府法律にそむくようなことを平気でやるということだけはやめなければいかぬ。そうして、それの解決方法についてはこれは監督官庁として、行政管理庁も、きょうなんか行政管理庁の山村長官、からだが少し悪いのに、無理して出てきておられるようだが、行政管理庁長官を中心にして、この問題を何とか早急にめどをつけて、この開会の船中にめどをつけて、あとまで悪例を残さないようにひとつ行管長官の一応そういう点について決意のほどをお聞きしておきたいと思います。
  22. 山村新治郎

    国務大臣山村新治郎君) この国鉄基本問題懇談会に関しまして、先般関係次官の間におきまして話し合いがつきまして、あくまでも政府部内の連絡、調整、調査という意味を主体にいたしまして発足をいたしたいということは承っておる次第でございます。しかし、ただいま御指摘のありましたように、いろいろ民間人等の名前が出ておりますが、この懇談会が八条違反になるという疑いもあることも事実でございますので、私どものほうといたしましては、運輸省のほうにぜひひとつこの行政組織法の違反にならないように注意をしてもらいたいということをいろいろ連絡をとっておるような次第でございます。なお、反面におきまして国鉄の問題もぜひとも根本的に解決しなきゃならぬということは、現内閣といたしましても至上命令でございます。おそらく運輸大臣としても苦心をされておるところであると存ずる次第でございます。何かとお知恵がございましたならば、いろいろ皆さまの御意見を参考にいたしまして運輸大臣と連絡をとりつつ善処するつもりでございます。
  23. 千葉信

    千葉信君 この問題はあとでまたじっくりと解決のために御相談をする時期があろうかと思いますから、きょうはこの問題の質疑はこのくらいに……。
  24. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 政府側のその後の出席者を申し上げます。磯崎国鉄副総裁、藤野船舶局長、廣瀬鉄道監督局長、以上が出席いたしております。御報告いたします。
  25. 向井長年

    ○向井長年君 特に自動車行政についてまずお伺いいたしたいのですが、今度のこの法案の中でも、東京陸運局の中で自動車部にかえて自動車第一部、第二部を置く、こういう形になっておりますが、現在全国で陸運局あるいは陸運事務所、この分布状態とそれからその範囲、これはどういうことになっておりますか。
  26. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 陸運局は全国に九つありまして、北から申し上げますと、札幌陸運局、これは北海道全部を管轄しております。それから仙台陸運局、これは青森、岩手、宮城、福島の四県を所管いたしております。それから新潟陸運局、これは秋田、山形、新潟、長野の四県を所管しております。それから東京陸運局、これは東京と茨城県、千葉県、埼玉県、群馬県、山梨県、神奈川県、これだけを所管いたしております。それから名古屋陸運局、これが石川県、福井県、愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、これだけを所管いたしております。それから大阪陸運局は、滋賀県、奈良県、和歌山県、大阪府、兵庫県、京都府、これだけを所管いたしております。それから広島陸運局は、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、この五県を所管いたしております。それから高松陸運局、これは四国四県を所管いたしております。それから福岡陸運局、これは九州全部を所管いたしております。これが九陸運局の所管でございます。  それから陸運事務所は各県ごとに、県庁の所在地に置いて、その県一円を所管いたしております。ただ、北海道におきましては、北海道を七つの陸運事務所に分けております。  以上でございます。
  27. 向井長年

    ○向井長年君 この分布はそういう形で大体ブロックといいますか、そういう形が行政区画的な、こういう形で出しておられると思うのですが、特に自動車の数ですね、こういう問題をここに加味されておるのですか、それともただ行政区画を中心にしたブロックで考えておられるのですか。
  28. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 行政区画は地域的な行政ブロックといいますか、他の各省の地方出先機関のブロックの管轄区域、そういうことも考慮いたしまして一応九地域に分けておりますので、自動車の数に比較しての考慮は特別には払われておりません。
  29. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、陸運局の職務権限というのは大まかなところどういう範囲ですか。
  30. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 陸運局の職務権限でございますが、陸運局の職務権限は、自動車運送事業に関しての管理行政、それから自動車車両の保安整備に関します監督行政事故防止等に関する指導行政、それから地方鉄道に対する監督行政、大体この三つに分かれております。なお、観光行政についても一部その仕事をやっております。
  31. 向井長年

    ○向井長年君 そういう職務権限を持っておれば、特にこれはやはり自動車輸送あるいは車両管理、こういう問題から考えると、やはり自動車の数というものが問題になるのじゃないですか、いわゆる規模ですね。その地域の規模、こういう問題を加味して何らか措置を講じておりますか。
  32. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 陸運局所管事項はいま申し上げましたように四つ、五つに分かれておりますが、自動車につきましては御指摘のように、必ずしも車両数に応じて所管をきめてございませんので、陸運局によりまして非常に多くの車両を管内に持っておる陸運局、また比較的少ない車両を持っておる陸運局がございます。しかし、監督行政、質の面から言いますと、みんな同じでございますが、量的には自動車の両数と比例いたしまして業務量の多寡があるわけでございます。それらは各陸運局の定員の配分等において車両数に見合わして人員の配分をいたしております。
  33. 向井長年

    ○向井長年君 たとえば東京陸運局と高松との自動車の数と人員の定員はどれくらいになっておりますか。
  34. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 出動車の事業者の数からまず申し上げますと、たとえば一番多くの事業者を監督下に持っております陸運局は東京でございまして、東京陸運局の管内では約一万業者というのがございます。それから一番少ない自動車運送事業者を監督下に持っております陸運局は新潟陸運局でございまして、九百三十九、約千業者を持っておる、これだけの開きがあるわけでございます。なお、車両数につきましても、ほぼそういった開きがございまして、その間に七つの陸運局がそれぞれ介在しておる、そういうふうな状況になっております。
  35. 向井長年

    ○向井長年君 いわゆる陸運局の定員と言われたが、その定員の分布はどうですか。
  36. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 陸運局別の定員、いまちょっと詳細な資料を持ち合わせておりませんので、すぐ調べまして後ほどお知らせいたします。
  37. 向井長年

    ○向井長年君 大体まあ行政区画的な形でこういう陸運局を設置しておるが、やはりいま言ったますます増大する事業者の数、こういう問題で、各地域においての十分ないわゆるサービスというか、あるいは指導というものが非常にできにくくなっておるのじゃないか、こういうことをわれわれ耳にするわけです。特に東京なんかにはほとんど関東大半を持っておるわけです。そしていま定員の問題がございましたが、おそらくいま新潟と比較すると十倍になっております。そういうそのままの比率じゃなくても、その消化できる定員を持っておるかどうかという問題が問題であろうかと思うのですが、この点はどう考えていますか。
  38. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 陸運局によりまして、車両数と定員の関係、それぞれ違いますが、総体的に申し上げまして、車両数が毎年二割前後の増加をここ十数年来ずっと示してまいっております。それに対しまして、自動車行政陸運局あるいは陸運事務所の要員をまとめて申し上げますと、車両数の増加あるいは事業者の増加、これらの趨勢に対しましてははるかに少ない比率でしか要員はふえてまいっておりません。したがいまして、いままで事務の処理の促進等に非常に支障を来たしておったときがずっと続いてまいっております。それらに対しましては、半面におきまして要員の確保にも努力をいたしておりますが、これは業務量の増加によって必然的に定員をふやさないという政府方針もございますので、この制約を受けまして、われわれ事務当局の思うようには要員が増加してまいりません。したがいまして、半面におきまして業務執行の上の合理化、能率化あるいは業務の簡素化、そういうふうなことに毎年心を砕き、いろいろな措置を講じて、自動車行政に支障を伴わないように今日まで努力を続けてまいっておるのが実情でございます。
  39. 向井長年

    ○向井長年君 運輸大臣、いまこういう説明がございましたが、非常に各所においては業務停滞、あるいは遅延、こういう問題がある程度問題になっておりますが、今後のいわゆる自動車運輸行政についてどういう方向をもって進もうとされているのか、一応運輸大臣から御答弁願いたい。
  40. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 先ほど事務当局から申しましたように、今後最も何と申しますか、不便をかけておる車検その他につきましては、本年度特別会計が出ましたから若干緩和されるだろうと思っておりますが、その他につきましては毎年予算を、事務量に応ずる予算を要求いたしまして、国民大衆の不便を少なからしむるように努力いたしておりますが、なかなか思うにまかせぬのが残念でありますが、今後ともその予算を獲得するよう努力いたしてまいりたいと思っております。
  41. 向井長年

    ○向井長年君 なお、タクシー営業の問題ですが、これについて営業タクシーあるいは個人タクシーというのが認可されておりますが、これは将来営業タクシーの問題、あるいは個人タクシー等の今後の認可等、どういう形で今後進もうとされるのか。先般の新聞では、運輸大臣が、個人タクシーをもっと多く認可する、こういうことを言われておるのですが、こういう問題を今後どう考えておられますか。
  42. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 個人タクシーは、御承知のように、非常に評判がようございまして、この個人タクシーを大幅に増車するということは、需要の面からいえば非常に事故がなくていいのでございますが、このごろのように運転手が不足するという事態になりますと、運転手そのものが個人タクシーに転向する気配が非常に多いので、運転手の不足に拍車をかけるような結果になりますので、その問題について調整をとりながらやっていきたいと思います。  ただ私ども考えますことは、タクシー業者が、いままでは需給のバランスばかり考えて認可してまいりましたが、もはや運転手の確保ということが困難になりましたからして、なるべく弱小なタクシー業者は一緒になりまして、運転手の養成、あるいは諸種の厚生施設等について、資本を大きくしてその万全を期して、車両が認可になっても直ちに運転手が間に合わないというようなことのないように、これから指導していきたいと思っております。現在におきましては、さような考えをもちまして、増車は大体個人タクシーと見合いまして、個人タクシーを許すほうが現在においては事故その他少ないのですが、その個人タクシーたる人は、運転手を十年間以上やって、四十歳以上――このごろ三十五歳になっていますが、そういう人が減っていくことが、その補充が困難なために一般タクシーがまたそのあおりを受けるという実情にかんがみまして、どうすれば一番いいか、それによって今後の増車方針をきめていきたいと思っております。
  43. 向井長年

    ○向井長年君 その営業タクシーの運転手が不足する、あるいは個人タクシーが多くなる、こういう問題はどこに原因があるかといえば、やはり労働時間の問題とか、あるいはまた、収入の問題が大きく作用していると思うのです。現在固定給あるいはその上に歩合というような形の常業タクシーの運転手のいわゆる労働条件になっておりますが、こういう問題は一利一害があると思うのですよ。ということは、やはりサービス面の問題もそれにあらわれてくるし、あるいはまた、非常に事故のもとになるんですね、無理をするということ。そういうことにあらわれてくるわけでございますが、こういう問題と加味して、個人タクシーの今後のいわゆる認可制度の問題というものが、これがやはり問題かと思う。で、運輸大臣として、少なくとも、現在の各事業者、事業者でとっておるシステムですが、こういう問題が適切と考えておられるかどうかですね、いわゆる労働条件の問題です。
  44. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 必ずしも適切とは考えておりません。たとえば歩合とか、ノルマを要求するとか、いろいろな問題があるでありましょうが、必ずしも適切とは考えておりませんが、諸種の事情を勘案しまして順次改善していきたいと思っております。
  45. 向井長年

    ○向井長年君 特に陸運局でいまやかましく言われておる乗車拒否等の問題も、やはりそういうところから出てくるのであって、ただ適切と考えておらないと言うだけで、将来どういう指導をやろうとするのか、業者に対して。あるいはまた、従事する労働者に対して、やはりどういう指導をもって労働条件を若干満たし、あるいはサービスを向上し、事故をなくし、乗車拒否をなくすると、こういう立場においてはどういうタクシー行政考えておるのか、この点を明確にお答え願いたい。
  46. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 乗車拒否の原因にはいろいろ考えられる要因がございます。で、今後タクシー行政につきましてどういうふうに考えていくかという御質問でございますが、何といたしましてもタクシーというものが国民のあるいは都民の日常生活の必要な足となっておる関係上、需要も今後どんどんふえてまいることは十分考えられるわけです。それに対応いたしまして輸送力をつけるということを大前提といたしまして、今日のタクシー業者の実態の改善ということにいろいろと努力を向けていくわけでございますが、われわれといたしましては、現実に起きております乗車拒否の対策等がこの一つの施策のあらわれでございまして、何と申しましても運転者の給与改善のあるいは労務管理改善、これが必要でございます。それから都市の交通がこのように混雑していまって、いろいろな規制等で車が十分に動けない、したがって、十分に事業としての採算が合うような走行キロも出せないというふうな原因もございますので、それらを考えまして、運賃の制度のあり方そのものも、今後は大都市においては研究しなきゃいかぬ、かようにも考えております。なお、給与の面におきましては、歩合給と固定給との改善――すでに今日では固定給が平均いたしまして六割ぐらいまでこぎつけてまいりましたが、さらに固定給の占める割合を上げまして、運転手が安んじて業務に精励できるような仕組みにしていきたい。その具体的な方法といたしましては、増車その他の措置をいたします場合に、その会社の給与のそういった制度そのもののよし悪しということを判断いたしまして、それによって増車の場合にも手心を加えるというふうなこともいたしております。それからなお、全般的には運転手の不足も乗車拒否の大きな一つの原因でございますので、運転者不足の対策といたしましては、業界にも団体が結成されておりますので、その団体に運転手の養成あるいは教育の機関も設けて、ここで運転手を養成するということも指導いたしておりますし、また、今日あります運転免許制度についても、この面から検討の必要があるということで、これは国家公安委員会の所管でございますので、警察当局等と会議をもちまして、その検討も現在やっているような状況でございます。いろいろ今日のタクシー行政に対しまして、改善すべき点がございますが、非常に多岐にわたりますので、われわれといたしましては、きめこまかく一つ一つにつきまして、これらの対策を講じていきたい、かように考えております。
  47. 向井長年

    ○向井長年君 自動車行政全般については、いま言われたように、まだまだ問題点が非常に多いと思うのです。したがって、そういう問題について、十分検討を願い、万全の措置を講じていただきたいと同時に、陸運局なりあるいは陸運事務所のいわゆる今後の運営という問題についても、現状がこれまた万全であるとはいえない、いろいろな業務の停滞とか遅延等の問題もありますし、こういう問題につきましても、やはり十分なサービスあるいはまた、その他できるような対策を講じていただきたいということを、この問題については要望いたしまして、次に移りたいと思います。
  48. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  49. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけて。
  50. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 先ほど御質問にありました、陸運局別の定員とそれから車両数の関係でございますが、まず車両数につきまして、陸運局別に申し上げます。概数で申し上げますから、御了承願います。  札幌陸運局が二十七万両。仙台陸運局が二十五万両。新潟陸運局が二十八万両。東京陸運局が百八十三万両。名古屋陸運局が百四万両、大阪陸運局が百十万両。広島陸運局が三十五万両。高松陸運局が二十万両。福岡陸運局が五十一万両でございます。  これに対しまして定員は、陸運局の定員と、この陸運局の管内にあります陸運事務所の定員、これを二つに分けて申し上げます。  札幌陸運局定員が七十七名、管内の陸運事務所の定員が百十七名。仙台陸運局が、局の定員が七十五名、管内の陸運事務所の定員が、百四名。新潟の陸運局の局の定員が七十三名、管内陸運事務所の定員が百六名。東京陸運局の定員が百六十名、管内陸運事務所の定員が四百六十三名。名古屋陸運局の局の定員が百八名、管内陸運事務所の定員が二百六十名。大阪陸運局の局の定員、百十八名、陸運事務所が二百六十名。広島陸運局の局定員八十一名、陸運事務所の定員が百二十六名。高松陸運局の局定員、六十二名。管内陸運事務所の定員、七十五名。福岡陸運局の定員百一名、館内陸運事務所の定員百八十七名で、合計いたしますと、九陸運局の定員が八百五十五名。全陸運事務所の定員が千六百九十八名ということになります。
  51. 向井長年

    ○向井長年君 次に、航空関係の問題についてお尋ねしたいのですが、特に最近この民間航空における事故が頻発しているわけでございますが、こういう事故の原因というものは、それぞれいろいろな事故の原因があるわけでございますが、運輸省としてはこういう問題について、大まかなそういう原因というのはどういうところにあるのか、ひとつ大臣から御答弁いただきたいと思います。
  52. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) やはり事故は、御承知のように、機材の不備と運転手すなわちパイロットのミスに大部分が基因しているのでございまするので、その方面に意を用いまして、整備については非常に綿密なる機体の検査を励行しております。また、パイロットの問題につきましては、優秀なパイロットが要するにないということでございますからして、パイロットの需要に即しましたる養成計画を立てまして、あるいは航空大学において養成しあるいは防衛庁の大学において養成しあるいは防衛庁の出向というように、パイロットの充足に力を用いてやっておりますが、これはなかなか一朝にして養成できないものでございますから、優秀なパイロットの少ないことは事実でございます。ひとつこれを充足すべく今後努力してまいりたいと思います。
  53. 向井長年

    ○向井長年君 いまそういうことで、パイロットの技術面から見ると、養成なりあるいは整備という問題が重要な今後の事故防止の方針になるわけですが、大体パイロットの養成と言われますが、あるいは整備士の養成は、運輸省としてはいま宮崎だけじゃないですか、航空大学を持っておるのは。
  54. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) パイロットの基礎養成をやっておるのは宮崎航空大学校だけでございます。これは官でやっておるのはこれだけでございます。
  55. 向井長年

    ○向井長年君 その宮崎で、われわれ聞くところによると、年間三十名程度しか養成できないということですが、結局いまパイロットの不足をしておるという立場から、ほとんどというか、いわゆる自衛隊に対する依存というのが非常に強いのじゃないか、この点どう考えておりますか。
  56. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) パイロットの需給関係でございますが、全体として非常に足りないということではございませんで、機長の資格を持っておるような者が足りない、こういう状況でございます。宮崎航空大学校では、毎年三十名ずつ養成をして、その一番底辺のほうに入れて、だんだんグレード・アップして機長になっていく。それでいま申し上げましたように、上級の技術を持っておるパイロットが足りない点は、防衛庁自衛隊に委託養成をしておる方法一つと、それから自衛隊から転出を受けておるというのが一つ、あとは自家養成、こういうやり方になっております。
  57. 向井長年

    ○向井長年君 大体機長が不足だ、こう言われておりますが、この民間航空のパイロットいわゆる年間三十名程度の養成ということと、自衛隊に依存しておるところの比率はどういう程度でございますか。
  58. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 自衛隊から委託転出して入ってくる者、合わせますと百二十名から百五十名になります。これは固定翼と回転翼と合わせたものでございます。これはおととしぐらいから始めたことでございます。
  59. 向井長年

    ○向井長年君 それは本来、本質上やはり民間航空という問題については、自衛隊依存ということが本質じゃなくて、やはりそういう宮崎にあるような、そういうところで優秀な人を養成するというのが本来の行き方じゃないかと思う。そこで、大体日本の分布から考えて、宮崎に持っていったというのはどういうわけですか、もっと何と言いますか、中心部でやり得る態勢がないのかどうか。
  60. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 飛行機の訓練をいたしますには適当な飛行場施設、それから航空管制所、その他飛ばして練習をするのにあぶなくない、危険でない空の地域、こういうものが必要であるわけであります。東京周辺でこういう訓練ができれば非常に都合がいいのでございまするけれども、東京の空は非常に込んでおりますので、そういう安全な場所でという観点から宮崎に設けられたものと考えております。
  61. 向井長年

    ○向井長年君 今後もやはり自衛隊の養成依存ということを考えてやっていくつもりなんですか。
  62. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 軍からパイロットの補給を受けるということは、諸外国においても非常に多いことでございます。これは、パイロットの養成には、非常に長い時間とたくさんの経費が必要なわけであります。たとえばDC8のジェット機の機長に仕立て上げるためには、航空大学校を卒業してから七年くらいかかる、しかもその訓練費として通計いたしますと三千万円あまり、DC8だと三千六百方円、そういうふうに非常に長い期間とたくさんな経費がかかりますので、最近の航空需要の伸びに追いついていくためには機材を急激にふやしていかなければならぬ。そのために急激にそういうような要員を養成するということが非常に困難でありまして、自衛隊、航空自衛隊等で相当程度訓練を積んだ者を途中から入れてくるということは、各国の航空会社がやっておる事例でございます。今後こういうようなパイロットの需給関係が苦しい間は、やはり自衛隊から持ってくるという方法をとらざるを得ないものと思っております。
  63. 向井長年

    ○向井長年君 運輸大臣、特に現在の民間航空の飛行機はほとんどこれは外国輸入ですが、今後日本のいわゆる国産機の開発という問題についてどうお考えでございますか。
  64. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 最も望ましいことでございますが、航空技術の面から見ましてなかなかさよう参りません。近ごろYS11号が試作の域を脱しまして量的生産に入るような気配がございますが、これまたなかなか速急にはまいらないので、一日もすみやかに国内機でこういう飛行機が自由に飛ばせ得るようになるように、でき得る限りの補助、援助をいたしてまいりたいつもりでございますが、航空機につきましての国内機を使用するということはちょっと困難なように私どもは感じております。あらゆる努力をいたしておりますが、何と申しましても戦後、しかもつい最近の、日本の航空機も最近に発達したものでございまして、それに間に合うような製作業者あるいは研究所がないのははなはだ残念でございますが、実情は以上のとおりでございます。
  65. 向井長年

    ○向井長年君 ただいま言われたYS11ですね、それに対しての援助を十分にして今後開発方面に努力したい、こういうことなんですが、大体これを基礎として一応現在の運輸省計画では構想を持っておられますか。というのは、一応メーカーなりあるいはまた、年間というか――問題についても一応の構想があるのか。現在何にもなくて何とかしたいという程度なんですか。
  66. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 航空機生産そのものについての所管は通産省でございますが、運輸省といたしましては、それを使う航空会社の立場からいろいろ検討をいたしておるわけでございます。国内線の幹線につきましてはすでにジェット機が導入されておりまして、YS11はターボプロップという、開発の段階から見れば一つ手前の段階の飛行機でございますが、幹線につきましてはすでにジェット機が入っておる設備から、一歩後退してターボプロップを使うということは非常に問題がありますので、この国産機はローカル線に使ったほうがいいというふうに考えております。それでいま全日空でこのYS11を二十機発注をいたしております。日本航空では五機発注をいたしております。将来航空需要が伸びるに従いましてだんだん便数もふやさなければならぬ、そういう場合にこの国産機が非常に経済性もあり、安全性もあるということになれば、どんどん国内の航空業者もこの国産機を愛用するようになるものと思っておりますし、われわれもそれを奨励すべきであるというふうに考えております。
  67. 向井長年

    ○向井長年君 次に、国際空港の問題ですが、運輸大臣、第二国際空港という問題がたびたび言われておりますが、これはどういう構想を持っておられますか。
  68. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 第二国際空港はどうしてもつくらねばならぬというのは、現時点において世論であります。羽田の飛行場が非常に狭隘を告げまして、もうほとんど一ぱいになりかけておるというのが実情でございまするので、早急に東京第二国際空港をつくるべきであるということにつきましては、世論は一致しておるように考えております。  そこで、しからばどこへそれをつくるべきかということにつきまして、また、そのエリア、面積はどのぐらいにするか、規模はどのくらいにするかということにつきましては、非常に議論のあるところだろうと考えまして、運輸省の航空審議会へ運輸大臣として諮問をいたしまして、専門の人においでいただきまして、数カ月にわたる調査の結果が昨年末私の手元へ出てまいりました。それを閣議に報告いたしまして、そうして閣僚諸公の意見をもあらゆる角度から聞く必要ありと考えまして、閣議で報告いたしまして、そうしてその決定につきましては慎重を期したいと考えております。  ただし、面積につきましては、何といたしましても七百万坪以上が必要である。それから、航空管制上の見地から駐日米軍の飛行場、自衛隊の飛行機の発着その他から考えまして、航空管制上の見地からどうしてもここでなければいかぬという問題もあります。それから、それによりまして東京から大体一時間以内で、まあ三十分前後で都心に来られるような場所ということを考えますというと、おのずから結論が出るものと私は考えておりまして、その航空審議会の答申に沿いまして本年度は御承知のように、一億円の予算をつけていただきまして、その適当な場所を選定すべくいま努力中でございます。世上いろいろな、しろうとのお方方がいろいろな説を申しますが、大体専門家の意見というのはきまるべきところへきまりまして、それをどういう形式でやるか、あるいはたとえば公団方式でやるのがいいか、直接直営でするのがいいのか、そういうものをこれから調査いたしまして、そして超音速機の実用化時代が大体昭和四十五年――六年ころと予想されておりますから、それに間に合うように設置いたしたいと、かように考えております。  しこうして、その超音速機が、もしも日本がぐずぐずしておりまして、隣邦の中共とかその他に――向こうは土地も十分だし労働力も十分でありますから、もしも中共の方面にそういうものがわが国よりも早くできるというようなことがありましたならば、これは大問題でございまして、後世までたいへんな問題になると考えまして、私は速急に結論を出したいと、かように考えております。  なお、工事につきましては、土木工事が非常に進んでおりますからして、滑走路その他につきましては、着工後二年間くらいあれば大体できる見込みです。その意味におきまして、本年度中すなわち予算年度の本年度中にはどうしてもきめたいと、かように考えております。
  69. 向井長年

    ○向井長年君 構想について詳しく御説明があったのですが、特に先般閣僚の中の河野建設大臣が、東京湾埋め立てをやるということの談話を発表しておりますが、これはやはり審議会等の意見が加わった意見なんですか。それともかってに放談しているのですか。運輸大臣はそれについてどうお考えになりますか。
  70. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 審議会でも、千葉県の海岸寄りのところについて検討をいたしましたが、あらゆる面から不適当だという結論が出ております。それから建設大臣がどういう意図でああいうことを言われたか、実は私は速記録を読みませんので、速記録を見まして、適当な時期に適当な発言をいたしたいと、かように考えておりますが、海岸を埋め立てて、そうして東京湾の中へ埋め立ててやるということは、科学的に見まして、なかなか困難です。というのは、もうすでに運輸省といたしましても、東京湾その他につきましては、地質の調査等を委嘱いたしまして、技術者に調べさしているのです。それが大体東京湾の内部は地質が非常にヘドロと申しますか、軟弱でございまして、何百万坪を埋め立てましても、地盤が陥没したり、いろいろな事故が起こりましてむずかしいというのが私どもが聞いております技術者の判定のようでございますからして、私どもは、東京湾を埋め立ててどうするこうするということは、技術的に困難じゃないかと考えております。
  71. 向井長年

    ○向井長年君 大臣、別に速記録を、委員会で発言したのではなくて、地方で建設大臣が新聞発表をしたのです。いわゆる談話として発表している。やはり閣僚の一員が、いま要望が強い第二国際空港の建設について、運輸大臣が慎重を期して、いま説明されたような計画を持っておるにもかかわらず、閣僚の一員である建設大臣が一般にそういうことを発表するという問題について、運輸大臣はどういうお考えを持っておりますか。非常に不満ですか、それとも当然であるのか、その点伺わせていただきたい。
  72. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 新聞発表をされたかされないか、その事実は私は知りませんが、私はすこぶる不満であります。さようなことは、あの委員会での質問応答等を新聞で見ました。ああいうことを建設大臣が公式の場で言われたとすれば、すこぶる遺憾に思います。ああいうようなことは、私は不可能なことだとかたく確信いたしております。
  73. 向井長年

    ○向井長年君 そこまで慎重を期して、審議会等の意見を聞きつつ調査をし、そういう年間計画まで立てているにもかかわらず、いわゆる閣僚の一員が軽率にそういう問題を発言するという問題については、ひとつ運輸大臣は警告していただかなければならないと思いますが、いかがですか。
  74. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 適当に善処いたします。
  75. 向井長年

    ○向井長年君 次にお聞きしたい問題ですが、羽田の国際空港というのは、管理はどこがやっておりますか。
  76. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 国際空港でありますので、国が設置、管理をいたしております。しかし、ターミナルビルその他燃料補給施設等につきましては、私企業がこれを経営しております。
  77. 向井長年

    ○向井長年君 これに対しては、運輸省は経営は民間にやらしておるということなんですが、監督指導は運輸省がやっているわけですね。
  78. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 監督をいたしております。
  79. 向井長年

    ○向井長年君 われわれ非常に感ずることなんですが、あるいはまた、一般からそういうことを聞かれるのですが、特に送迎のデッキといいますか、こういうところに出る場合に、何とかいう機械でお金を入れて出るわけなんです。あるいは団体は団体で金を出すというわけです。この問題について非常に非難があるわけです。動物園の見学をするとかあるいは博物館に入る場合においては入場券を取るけれども、デッキ送迎するというのにああいう多額な金を入れなければ出られない、こういうことについては、運輸省どう考えておられるか。われわれとして、やはり多数が一挙に入るということは、事故とかあるいは危険性というものも考えられますが、ある程度の整理という問題については、私は必要だと思う。もともとあれ二十円だったと思うのですよ。ところが、最近あれが五十円になったのです。ああいうところで営業をやらしておるのかどうかということ。最近五十円玉がなくて弱っているのに、五十円玉を入れなければ入れないのですよ。そういう問題についてどういう監督なり指導をしておられるのか。
  80. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 空港には旅客、それから見学者とか送迎人、いろいろたくさんな人が混雑いたします。ターミナルビルにおいてはこれらの混雑をなくするため、見学者は見学しやすいように、送迎者は送迎しやすいように施設をしております。特に空港はみだりにエプロンだとか構内に入りますと危険でございます。そういう面からもきちんと施設をして、そしてこれを整理するということは非常に大事なことでございます。空港ビル会社は、従来フィンガーの上に送迎デッキなり見学者の施設を設けておりました。これから料金を取っておりますのは、これらの施設の経費をまかなうために取っておったものでございます。それが従来二十円、このような料金を取るというしかたは外国――欧州それからアメリカの国際空港においても非常に多く見られる事例でございます。今回二十円をなぜ五十円に上げたかと申しますと、昨年空港ビルは大拡張をいたしております。従来送迎人のデッキが、見学者の施設が非常に狭かったので、それらの施設もあわせて非常に大きく拡張いたしました。なお、施設も内容も非常によくいたしました。その経費といたしまして五億近い金を投じております。従来のいままでの施設の内容から見ますと、施設的には新旧施設を対照して見ますと、二・二倍からあるいは場所によっては五倍くらいの拡張をいたしております。そういうような観点から従来の二十円を五十円にするということは、これらの経費をまかなうためにはやむを得ないことであるというふうに考えた次第でございます。  なお、つけ加えますが、借上げはいたしましたけれども、団体割引とかあるいは小学校の生徒、学生割引、そういうものは非常に低く押えております。こういう少国民の入場者が非常に多い点から考えますと、それほど皆さんに迷惑をかける点が少ないのじゃないか、このように考えております。
  81. 向井長年

    ○向井長年君 いま言われたように、整理をするという意味においての、若干な特定な場所に入場するのだということにおいてのいわゆる料金というものはわからぬこともないのですが、そういう施設を拡大したからこれを値上げしたというなら、しからば一般の動物園なり博物館なりあるいは映画館と同じような営業をする目的であれをつくっているのですか。
  82. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) 民営の企業でありますたてまえから、適正な利潤の限度においては認めざるを得ないと思います。しかし、それが非常に暴利であるということになってはならないという観点からの監督をいたしております。
  83. 向井長年

    ○向井長年君 運輸大臣どうなんですか。大体デッキに送迎するというのに五十円、いままで二十円だったと思うのですが、五十円を出して全部が入らなきゃならぬ。しかも、小学生なりあるいは中学生も見学に参りますが、若干の割引をしておるけれども、金を取っておる。こういうやり方正しいですか。また、五十円というのは暴利じゃないというものの考え方を持っておりますか。いま聞きますと、これは飛行場の整備拡張のために相当の経費が要ったから、それの、いわゆる値上げをしたのだ。こういうものの考え方で、やはり一般に見せるための営業、そこに本旨を、目的を持っている感じをわれわれ受けるわけです。こんなことが正常かどうか。ひとつ運輸大臣から答弁願います。
  84. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) あなたのおっしゃるような意見をする人もございます。これはやはり相当な費用を取って整理せなければ、もしも危険があったときには困るのです。見せるのが中心じゃございませんが、見る人が多いために、その安全に見せる手段として整理する費用を取るのは私はかまわないと思います。ことに諸外国等におきましても、大体日本よりはむしろ高いくらいの、現在より高いくらいの費用を取っております。それでやはり航空知識を一般に普及したり、いろいろな意味で一つの見せものみたいになって、それを見にいく人も各国とも多いようでございます。そういうことに対してどうしても償わないで、それの費用ばかりかけさして、しかも、それをただでというわけにはいきませんし、また、その値が幾らが適正であるかということはいろいろ考えました結果、現在のところ五十円が適当であると、かように考えて、私も実は認可の申請のあった場合には、それは少し高過ぎるのじゃないかということを警告いたしたのでございますが、このくらい取りましてもなかなか航空施設はこれくらいで利益をあげるということはむずかしい。一定の償却の済むまでは、これであげるということはむずかしい、償却が済み次第に適当な時期にまた下げるということもあるが、現在ただいまではいま五十円でも、実は八十円か、百円にする案を持ってきたのですが、高過ぎるというのでそれを減らした。それじゃそういうものを見せぬでいいじゃないかという、これはまた別個の観点ですが、見せる以上はそれを整理をきちんとして、事故なからしむるような手段を講ずる費用を取ることは私はかまわないと、かように考えております。
  85. 向井長年

    ○向井長年君 大臣は、そうすると、これはやはり見せる費用だということであるいは取っておるように解釈をしておるのですか。いわゆる整理だと、限られた人員があそこで、デッキで送迎をするとか、あるいは若干団体の見学とか、こういう問題があるから、その整理のために、これはやはり必要であるという立場から、われわれ理解しておるわけです。ところで、見せるためにこれは五十円取るのだといえば、これはちょっと私たち了解できないのですが、この点いかがですか。
  86. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) もちろん見せるためじゃありません。またああいうものはだれも入ってくれぬほうが一番いいのですが、どうしても見たいという人がおるのですね。そうすると、それは見たいという人を見せるために、危険なからしむるような整理をせなきゃいかぬ。その必要に、金が幾ら要るか、整理する場所に幾ら要るかということで、あれは考えられておるので、見せるべきものじゃないのです。しかし、現実の問題として、いろんな航空事業の実際、その他発着の光景等を見たいという人が、国民の要望が多いものですから、航空場管理者としては、あれは不本意なんです。しかし、不本意だけれども、そういう人が多いから、大衆の利便をはかって、事故なからしむるように最善を尽くすための費用をやむを得ず取っているというのが現状でございます。
  87. 向井長年

    ○向井長年君 特に中学生とか小学生なんかは、これは航空知識という問題から、見学というものが必要になってくると思うのですよ。そういう団体にまでやはり若干割引はしておるにしてもこれを取るということは、これは一つの営業ということになるのですよ。したがって、私たちは、いま言うように、整理という意味において若干の入場料という問題、入場料というものは考えられても、完全にやはりそういう中学生あるいは小学生の団体が航空知識を求めるために修学旅行に来る、これに対して割引して見せるというものの考え方は、これは一つの営業をやっているというかっこうです。あれは営業をやるという意味じゃないでしょう。その点については、運輸省としては、当然だという考え方は私はおかしいと思うのです。どうなんですか、これは。
  88. 堀武夫

    説明員(堀武夫君) お説のとおり、見せもののためにやっているわけではございません。やはり整理するためにやっておるというふうに考えたほうがいいと思います。もっともおいでになる方は、見たいということでおいでになりますけれども、こちらの立場からは、整理するという立場考えております。小学生とかにつきましては、五十円ではございませんで、従来小学生、小人でも二十円だったものが、三十円でございまして、五十円から二十円引いております。
  89. 向井長年

    ○向井長年君 大臣、どうですか、今後ターミナルビルに対するそういう問題について、検討し、指導を与える考え方はないかどうか、この点最後にお聞きしたい。
  90. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) もちろん指導し、改善の余地があれば改善するにやぶさかでありません。   ―――――――――――――
  91. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいま委員の異動がありましたので、御報告いたします。古池信三君が委員辞任され、その補欠として徳永正利君が選任されました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  92. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。   ―――――――――――――
  93. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述ベを願います。――別に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  94. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。  では午後は一時五十分に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時四十七分休憩    ――――・――――    午後二時八分開会
  95. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  外務省設置法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き、これより質疑を行ないます。  政府側から大平外務大臣、毛利外務政務次官、高野官房長、中山経済局、長、曽野情報文化局長、谷会計課長が出席いたしております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  96. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて、二、三お伺いをしたいと思いますが、この提案理由説明によりますと、今度移住あっせん所を廃止して海外移住事業団を設立させる。この事業団については四十三国会によって成立しておると思うのです。それで昨年の七月からすでに発足しておるということですが、その事業団については外務省は責任を持ってこれを監督して移住行政に当たらせる。こういう説明でありますが、そこで、まずお伺いしたいのは、この事業団設置に伴ってどのような事務を移管したのか。それから、事業団の現在の事業内容とか実績、そういうものについてその概要をまずもってお伺いしたいと思います。
  97. 中根正己

    説明員(中根正己君) 海外移住事実団は昨年の七月十五日に設立されたわけでございますが、これは従来からございました海外協会連合会とさらに日本海外移住振興株式会社、この二つの機構を統合して業務の効率化をはかったわけでございます。そうしまして、国内のみでなく右外支部――海協連の南米諸国における支部と移住会社の各国における支店等も統合いたしまして、仕事の内応といたしましては、この両者が従来行なってきたものを統一的におこなうことにしているわけでございます。そして、この海外移住事業団の設立の趣旨といたしましては、従来政府が直接行なっている実務あるいは技術的な面はできるだけ事業団が担当して内外――国内海外の現地とを一貫した体制で業務を能率的に行なうことが目的でございます。そこで、今年度におきましては、国内の実務機構もこの事業団に統一する予定でございまして、名県にございます地方海外協会を直接に事実団の地方事務所として統一する予定ございまして、同じように実務は事業団が行なうという趣旨から、移住あっせん所が行なっておりますものは、純然たる送り出しにつきましての援助なり指導なりの実務でございますが、このあっせん所を事業団に統一することが、真の意味において内外を一貫した事務体制ということになるわけでございますので、そういう目的でもって外務省の付属機関の移住あっせん所廃止し、事業団の直接の機関として移譲するわけでございます。業務の内容といたしましては、国内における移住に関する啓発、それから移住希望者に対する移住の相談、あっせん、それから、送り出す前の教養訓練――これは移住あっせん所で行なう一週間ないし十日間――移住あっせん所に入所させて、ここで現地の事情、それから、最終的な検診――身体検査でございますが、それから、渡航に伴う手続のあっせん等を行ないまして、渡航貨を貸し付けて現地に送り出し、現地に着きますと、その受け入れにつきまして通関、それから、移住地までの引率、さらに、移住地に入りましてからの営農指導であるとか、あるいは子弟の教育のために学校を建てる、相手国の協力を得まして教師に来てもらう、さらに、衛生面におきましては集団移住地に診療所を設けて医師を配置し、あるいは、集団移住地でない場合には、巡回医を定期的に派遣して巡回診療を行なう。それから、営農につきましては、指導農場あるいは試験農場というようなものを設けまして、ここで適作物の試作であるとか、あるいは農業上の技術的な移住者に対する指導というようなことを行なっているわけでございます、業務の内容といたしましては、そのようなことが行なわれております。
  98. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この移住あっせん所の職員は五十名ぐらいであったと思いますが、これが事業団に移管になるわけですね。移管になるということは、身分の変更があるわけですが、その身分の変更に伴うて、たとえば給与とかあるいは退職金、共済関係、こういう処遇一切、あげて前の処遇と比べて不利益になるようなことはおそらくないと思いますけれども、そういう点についてひとつ確認しておきたいと思うのですが。
  99. 中根正己

    説明員(中根正己君) まず、定員につきましては、現在神戸、横浜両移住あっせん所の定員は合計して五十名でございますが、これが事業団に移管された場合には、両者で四十六名ということになっております。それから、人員の引き継ぎのことにつきましては、本省から派遣されている職員数名については本省に配置がえされる予定でございますが、その他の人々は現地で採用された、現地に生活の根拠のある人人でございまして、こういう人たちは、そのまま事業団に地位を変えて移譲されるわけでございますが、この場合事業団に移ります人々につきましては、外務省を退職する形になるわけでございまして、退職金が支給される予定でございます。それから、待遇につきましては、原則といたしまして、公務員のベースの一五%アップというのが原則的な給与ベースになっております。したがいまして、現在よりも待遇が悪くなるということは、現実問題としては起こらないと思います。
  100. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この戦後の海外移住政策については、一昨年、問題のドミニカ移住者の引き揚げの問題があった。こういう例に見るまでもなく、あまりスムーズにいっていないのではなかろうかと、こういう点が憂慮されているわけですけれども、そこで現状についてはどうなんですか。
  101. 中根正己

    説明員(中根正己君) そもそも事業団が設立されました趣旨は、移住に関する業務が多方面に分散されているという事実に基づく弊害があったわけでございます。いま先生のお示しになりましたドミニカ問題の影響もございまして、移住者はそれ以前に比して非常に減ってまいりました。その原因といたしましては、ドミニカ問題という影響もあったかとは存じますけれども、一般的な傾向といたしまして、国内の経済好況のために労働力不足というようなことが一番大きな原因ではないかと思うわけでございますが、それはさておきまして、移住者の募集、送り出しにつきまして官庁間の権限的な競合関係もございまして、実務が必ずしも円滑にいかないというような批判も受けておりましたときに、いま申しましたような状態で移住者が減ってまいりましたので、移住という行政についての基本的な考え方について内閣総理大臣から海外移住審議会に諮問が出されたわけでございますが、これはおととしの二月に諮問が出され、十二月に答申が政府に拠出されまして、移住そのものに対する考え方といたしましては、従来考えられていたような、単なる労働力の移動ではなくて、国民の個人個人が持っている潜在的能力を海外で伸ばしたいという希望者の志望を達成せしめ、その個人個人の幸福をはかるということがさらには移住者受け入れ国の経済発展、経済開発に協力するいわゆる国際協力という観念からも望ましいものであるという新しい考え方で移住そのものを進めていくべきである、これに対して政府は側面的に援助指導を行なうべきであるという意見が出され、さらに、その実施体制といたしましては、従来移住会社、海協連などに分散されておる実務を統合して移住事業団を設立することが望ましいという結論が出されましたので、この移住審議会の答申の趣旨に基づきまして、移住事業団法を国会に提出し、昨年法律の制定とともに七月十五日に設立されたわけでございます。したがいまして、実務の面は、事業団に内外一貫した法律的な方法で行なってもらう。政府としては外務省がこの事業団の監督官庁でございまして、毎年外務大臣は関係各省大臣と協議して、事業団の行なう業務についての基本方針を定めまして、事業団にこの基本方針を示し、事業団はこの基本方針に基づいて業務を行なうわけでございますが、その場合に、政府としてはできるだけ側面的にこれを援助し、仕事をやりやすいようにするという方針でございます。
  102. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御答弁になった海外移住行政については、いままで基本的な法律の裏づけのない状態のまま行なわれておったということと、監督管庁が明確でなかった、こういうような点から、あまりどうも芳しい方向には行っていなかった。そういうことから、政府でもこの点に思いをいたして、三十七年ですが、海外移住審議会を総理府に設置されて、この答申に基づきまして、昨年海外移住事業団が設置されたと思うんです。そこで、答申を受けた外務省としては、当初の構想としては、いま一部説明のあった移住関係立法としては、基本法とかあるいは援護法あるいはこの事業団法、こういう三本建てにする構想であったけれども、結局、現在はまだ事業団法しかできていないと思うんです。  そこでお伺いするわけですが、この基本法に対する外務省の考え方、そして立案状況、今後どういう見通しになっておるのか、こういう点についてさらに御説明いただきたいと思います。
  103. 中根正己

    説明員(中根正己君) 先生の御指摘のとおり、事業団法を提出いたします場合に、移住基本法それから移住援護法というようなものと三本建てという考え方で最初はいたわけでございますが、その後考え方を変えまして、基本法と援護法という二つのものを一本にして、海外移住法という形で作業を進めてきたわけでございます。そして、これは移民保護法の改正と申しますか、同時に移民保護法を廃止して、移民保護法の規定している部門を海外移住法の中に織り込む予定でおりました。そういう考え方で作業を進めてきたわけでございますが、特に移住基本法で規定しております移住取り扱いの規制につきましては、職安法の規定との関係がございまして、こまかい点でどういうふうに規定すべきかということについて、現在までのところ、まだ労働省との間で調整が完全についておりませんので、いま直ちに提出する段階には残念ながら来ておらないわけでございます。
  104. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この事業団法については、外務大臣が毎事業年度の開始前に事業団の業務運営についての基本方針を一応決めて、この基本方針について指示する、そういうことになっておるようですが、そこでお伺いしますが、本年度指示された方針はどのようなものであるのか。その概要について簡単に御説明いただきたいと思います。
  105. 中根正己

    説明員(中根正己君) 今年度の基本方針につきましては、実はいま作難中でございまして、まだ指示してございません。これは一つには、最近まで外務省及び事業団の幹部が本年度の予算の執行について具体的にどうすべきであるかという現地の実情を調査に出ておった次第でございまして、この現地の実情を加味いたしまして、基本方針としてどういう項目を示すべきかを検討しておる段階でございまして、この中に織り込む事項につきましては、まだ最終的にきまっておりませんけれども事業団ができましてからまだ一年足らずでございまして、機構的にも国内はまだ完備しておりません。そこで組織上業務が、従来いろいろ、予算の執行であるとかあるいは事務そのものにつきましておくれておるという実情がございますので、この点をまず第一に十分強化する考え方で進めてもらいたいという項目は入れたいと考えております。
  106. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 年度の初めにあたってその基本方針を示すことになっている。年度というと四月でしょう。もう五月も末になっておるわけです。それでまだ検討中ということで、そんなのんびりしておって間に合うのですか。それと、いま検討中なら、一体いつごろまでにできるか。年度の初めにあたって外務大臣はその業務運営についての基本方針を指示する、こういうことにきまっておることは事実なんでしょう。そうだとすれば、五月ももう下旬になろうとしておってまだ検討中じゃ、基本方針くらいはさっそく……。そんなむずかしいものですか。それと、今後の見通しはどうなんです。まだまだ検討中、検討中でいくわけですか。
  107. 中根正己

    説明員(中根正己君) 御指摘のとおり、年度初めに当然指示すべきものでございますが、その点は十分私たち承知しておりまして、おそらく今月中にはでき上がって指示できるものと予想しております。それから、事業そのものにつきましては、実は予算で大体の内容がきまっておりますので、予算できまったとおりやるべき項目につきましては、一応予算に従って、基本方針の指示を待つ前の段階でも必要なことは進めておるわけでございます。
  108. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この事業団の役員の構成を見ると、どうもぴんとこないんですがね。たとえば理事長にどういう人が当たっているかというと、広岡元国防会議事務局長それから理事が四名おって、それにまず柏村元警察長庁官、また、理事の一人には元大蔵官僚というふうで、元国防会議の事務局長とか警察庁長官、こういう人は海外移住事業団の責任者としてどうもぴんとこないんですが、これはどういう与え方から、また、もとそうであっても、特に海外移住行政に精通しておられたのか。どうもこの人事では、まあ、個人をどうのこうのと言うのでなく、もとの経歴からいって、こういう人たちのお集まりで海外移住行政がうまくいくものかどうか。これはしろうとがちょっと見て異様な感に打たれるわけですが、これを私どもしろうとが納得できるように御説明いただきたい。
  109. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 先ほど御説明申し上げましたように、事業団が発足するにあたっては、旧套になじまない清新な人材を起用いたしたいという考え方で、海協連からも移住振興会社からも御遠慮いたしまして、新しい人をという選考方針一つ打ち立てたわけでございます。  第二といたしましては、御案内のように、外務省と農林省の間にもともといろいろもんちゃくがあった移住行政でございまするので、中正公平な立場の方がよろしいのではないかと存じまして、外務省でもない、農林省でもない、そういうところから選考すべきであろうということを考えたわけでございます。それから、そういう考え方で理事長をお願いいたしまして、以下理事の選任にあたりましては、理事長の意見を十分尊重して差し上げるのが礼儀でもあるし、また、事業団の運営にあたりまして必須なことであると考えまして、できるだけ理事長の御意見を尊重して差し上げるように配慮いたしたつもりでございます。たまたま、御指摘のように、警察の方等がお入りになりましたけれども、柏村さんはたいへん有能な方であるばかりでなく、非常に実践力に富んでおる方でございます。中央、地方、現地を通じましていろいろ問題の多かった移住行政でございまするので、すっきりとやっていただく上におきましては、私はああいう方にお入り願ったことは成功であったといま思っております。  もう一つつけ加えさしていただきたいのは、広岡氏はもともと旧内務省御出身でございまして、先ほど事務のほうから御説明申し上げましたように、今からぼつぼつ事業団の地方組織のほうを固めてまいらなければならぬのでございます。何事をやるにいたしましても、地方庁、地方自治団体の協力を得なければできませんので、地方自治団体とうまく接触が持てる方、その御協力が得られるような人、そういうことも理事長の選考にあたりまして私が考慮いたしました点でございます。
  110. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは深追いいたしませんが、次に、外務省が現在考えている移住政策の大綱について要点だけをお聞かせいただきたい。
  111. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 過去のここ数年来移住が不振であり、かつ、ドミニカその他問題を起こしたということの反省の上に立ちまして、まず第一に考えなければならぬことは、それぞれの機関責任の限界、分界をちゃんと心得るように処置しなければならぬということでございまして、えてして役所のレベルでいろいろ実務にタッチしておりますと、とかく摩擦が多くなる傾向を見てとりましたので、たいへん農林省側にも御理解をいただき、外務省のほうも自制いたしまして、役所といたしましては実務にはくちばしをいれないようにしよう、あくまでも事業団に全的な責任を持ってきびきびと精力的にやっていただくということをまず基本にいたしたいと考えております。権力行政なればともかく、こういうサービスでございますから、役所のほうで出しゃばってやるような仕事ではないと思うのでございます。それが大事でないという意味でなくて、これは事業団のような性格を持った事業体に専心サービスとしてやっていただくように、そこが責任を持つという体制、つまり責任体制を確立いたしたいと考えております。  第二点といたしましては、先ほど申しましたように、地方自治体その他移住関係団体の協力を得なければなりません仕事でございますので、しかも、それが自発的な協力でなければなりませんので、地方の組織の充実ばかりでなく、地方との協力体制、組織的な精神的な協力体制を何とかつくり上げてみたい、これに応じたような予算の配賦を考えてみたいと思って、一部はことしの予算でも実行いたしましたが、まだ完全とは申せませんで、逐次これは整備してまいらなければならぬと考えております。  第三点といたしまして、現地、移住地の状況を正確に調査把握いたしまして、それを正確に移住希望者に伝えなければならない。啓発する場合の正確な情報資料を流してまいらなければならない。これがえてして不十分なために、当初の目算と違った結果が出たり、非常な失望を興ったりしたことがございますので、こういった点につきましては、正確を期し、充実を期したいと考えておるわけでございます。海外の移住審議会からの非常にすぐれた御答申をちょうだいいたしまして、そこに盛られた内容は非常に多岐にわたりますけれども、移住についてわれわれが心得べきもろもろの点が示唆されておるわけでございまして、これが移住振興法という形をとろうがとるまいが、すでにもうれっきとした答申として出ております以上、それを尊重して、私どもといたしましては、移住行政の運用の内容に積極的な親切さを盛り込むようにいたしたいと考えております。なお、個々の具体的なことにつきましては、事務のほうから御質疑に応じて御説明申し上げます。
  112. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 従来の移住者については、労働力の移動であったと思うのです、確かに。ところが、経済成長の伸展に伴って、日本自体でも労働力がいま不足しておる。こういう情勢の中で、依然として労働力の移動でもなかろうと思うのです。今後はやはり時代に即応して技術方面の移住者の進出が望ましいと思うのですが、こういう問題についてはどのようにお考えですか。
  113. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、現地におきましても、技術移民と申しますか、さらには、それが企業体に加担いたした企業移民とかいう姿における移民を歓迎しておるわけでございます。最近もカナダの移民大臣が東京にお見えになりまして、私もお目にかかりましたが、一番ほしいのは技術移民だ、そのためには相当思い切ってお迎えしていいという気持ちを吐露されていましたわけでございます。ところが、国内で一番またほしいのは技術者であるという意味で、日本の経済の成長、労働力、特に若年労働力というものの、そういう技術的素養を持った労働力の不足と、ちょうどそこが矛盾を起こすわけでございます。しかしながら、移民政策というものは、答申にもありますように、たとえ技術を持った移民、技術を持っておりましても、労働力の移動という観点ではなくて、ひとつ民族の夢として、第二の人生の活路を新天地に求める。そうして、それについては、現地でよき市民としてその国の発展に寄与し、それを通じて世界の平和に寄与するのだという高邁な精神で貫かなければならんとお示しになっておりますが、そのとおりでございまして、私どもを勇気づけるものは、最近国内でちゃんとした大企業に就職をしている方でありまして多幸な未来を約束されている方でありましても、ひとつ新天地に行ってみようというような青年がぼつぼつ出始めてきていることでございまして、これは労働力の需給調整といったような観点からでなくて、全然別個の政策的な観点から、国民各位の理解を得て進めてまいるべく、全然違った問題として取り上げて御理解を得て進めてまいりたいと考えております。
  114. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本年度の移住振興費についてはどのくらい計上されているのか。それと合わせて、ここ数年来の移住者数、これはもちろん移住あっせん所の扱いという限定をされてけっこうですが、三十七年度については二千二百一人、三十八年度が一月二十日現在で千三百十九人ということですが、三十九年度はまだちょっと無理だと思いますが、そういう点、それから移住あっせん所扱いの数は、いま七年と八年度については私から申し上げたわけですが、移住あっせん所扱い以外のはどの程度あるのか、そういう概略でけっこうです。
  115. 佐藤正二

    説明員佐藤正二君) お答えいたします。  最初の御質問予算の関係は、本年度――三十九年度の予算は、移住振興費として十四億五千四百四万円であります。これは昨年三十八年度に比べまして三億九千万円、四億ばかり増額になっております。  それから、次の御質問の移住者の数でございますが、お話しのとおり、三十七年度は二千二百名ばかり、三十八年度が千五百名でございます。本年度は、現在まて――五月までで三百人だそうでございます。それから、あっせん所扱い以外のものというお話でございますが、これは渡航費を貸し付けます関係上、全部実は政府扱いの移住者はあっせん所に集結していただくものでございますから、全部あっせん所扱いという形になります。
  116. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、時間の関係もございますから、移住あっせん所廃止の問題については一応ここで……。  次に、経済協力開発機構の問題で、二、三お伺いしたいと思いますが、この代表部の長たる大使については、信任状というものを携行されるのですか、まず簡単なことから。
  117. 中山賀博

    政府委員中山賀博君) お答え申し上げます。  信任状は携行いたしません。
  118. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最近の方向としては、経済外交が時代の要請からどんどん重要視されるという傾向にあろうと思うんですが、したがって、この行政機構についても非常に検討が要望されておる。臨時行政調査会あたりでもいろいろな何度から検討を進めておるようです。そこで、試みに臨時行政調査会の第七十六回の会議の議事録をちょっと見たんですが、これによりますと、従来、外交一元化という名のもとに外務省から在外公館へ行政系統がほとんど独占されておる。外務省、そして在外公館、こういう行政系統がほとんどのようでございますが、この体制については、一面においては確かにうなづけるだけの長所が多分にあろうかと思うんです。と同時に、貿易行政立場から見ると、若干やはり考え直さねばならぬではなかろうかと考える点がある、こういう点を臨時行政調査会では指摘されているわけですけれでも、この点については外務省としてはどのようにお考えですか。
  119. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 臨時行政調査会のほうで御論議がいま行なわれておると承知いたしておりますので、外務省として正式に見解を申し述べる段階ではないと私思いまして、実は私のところへもまだ経済同等から相談が上がってきてない段階でございます。したがいまして、いまの段階は経済局長からお聞き取りいただいたほうが、外務省の立場としては楽だと思いますので、御了承願います。
  120. 中山賀博

    政府委員中山賀博君) 御指摘行政調査会の報告の中で、二つの点が非常に重要な点であると思います。  一つは、考え方として経済外交それから貿易というものの中に外交的な要素が多い。つまり、いわば外交的な事務と、それから外交的な要素の少ないもの、いわゆる非外交の事務に分けまして、非外交の分野においては何も外務省だけがやらぬでもいいじゃないか。したがって、他の経済官庁から在外使臣に対して直接連絡したり命令するほうがいいんじゃないかということが一つの問題点だろうと思います。  第二の問題点としましては、いままで協定その他外務省で経済官庁の間の取りまとめをしておりましたけれども、これも、必ずしも外務省でやらぬでもいいじゃないかという考え方、それが第二点でございます。それで、これにつきましては、今後ともわれわれ経済外交の事務に当たっている者としましては、人員も整理し、それからやり方改良いたしまして、たとえば各省間の連絡をもう少し緊密化するということが非常に大切でございまして、その点幾多の点で改革すべき点があると思います。ただ、いまの二つの点、なかんずく第一の直接通信ということは、これはわれわれとしては、出先の大使が異なった省から違う訓令をもらうということになるということは、やはりいわゆる外交一元化の根本原則に抵触するものと私は考えている次第でございます。それから、第二の各省の取りまとめということは、これは各省の設置法その他で権限もきまっておりますことですから、どの省がやられてもいいようなものですけれども、結局大蔵省、通産省あるいは農林省、運輸省等々に分かれておりますと、従来から、あるいは権限的にも外務省が交渉の、あるいは条約とか協定とか、あるいは外交交渉の取りまとめをすることになっておりますから、おのずからその職務になっているわけでございまして、これも根本原則としては、従来の仕組みでよろしいのではないかと思います。
  121. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの海外行政の事情について見ると、やはり、ただ単に内外政府間の外交交渉、こういう点にはとどまらないで、いま御説明もございましたが、一そう専門化して、広域化して、しかも多層化しているという方向にあろうかと思いますが、こういう問題についてはいかがでしょうか。
  122. 中山賀博

    政府委員中山賀博君) たとえばヨーロッパにおいて、EECというのができた。EFTAというものができた。そうすると、EECは六カ国からできておりますけれども、経済的な統合体として一つの国みたいになっていく。その間にあって、日本の大使が六カ国に駐在して別々に仕事をしているのはおかしいじゃないか、どこか一カ所で見ていればいいじゃないかというのが、広域経済に対処する在外公館のあり方として一部では議論されるところでございます。確かに時代は流動的になってきておりますし、昔と違いまして、EEC一つをとってみましても、共同して事にあたるということ、たとえば現にジュネーブで関税一括引き下げ交渉が行なわれておりますが、EECの代表が六カ国にかわって交渉している。つまり、逆に言えば、六カ国の一つ一つは関税に関しては交渉権がないという事態になっているのが現状でございます。そういうふうになりますから、われわれのほうとしても在外公館との連絡をよくするということは、根本的には非常に大切なことだと思います。ただ、現在の状況におきましては、まだ六カ国がその経済外交の点において、いま申し上げましたような、関税その他について例外的なことはございますけれども根本的におのおの主権を持っている。そうして六カ国にどこの国でも大使なりあるいは外交官の代表というものを派遣して、その国と交渉する。その仕事は、六カ国共通の仕事よりも圧倒的に多いわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、まだいままでどおり各国の首府に外交代表を送り、経済外交を促進する。同時に、しかし、六カ国あるいはその他の国の統合が進むにつれて、その送っている大使あるいは代表の間の連絡、 あるいは思想の調整、政策の調整ということはきわめて密にやらなければいかぬということは考えております。その意味で、たとえば最近ブラッセルにおきましては、ブラッセルの大使は、同時にEECに対する日本政府代表も兼ねておりますが、ブラッセルの大使館は、EECの仕事をもう少し見るために、単にベルギーの経済事情のみならず、一応あそこに行けば六カ国の大きな経済の流れはわかるような特別な部というものを大使館の中に設けたいと思って研究しております。
  123. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 外交一元化の重要性という問題については、非常になにであろうと思いますが、ただ、外交以外の行政事務、そういうものまで外交事務を拡大解釈して統一しようともしするなら、 そこに非常に無理があるのではなかろうか。たとえば貿易行政などについて、これも何でもかんでも外交上では拡大解釈したその範疇のもとで処理しようというところに無理があるのではなかろうか、こういうふうに考えられるのですけれども、この問題はどうですか。
  124. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私は、若干事務の諸君と違うかもしれませんけれども、経済外交というのは政府ばかりが、やっているのではないと思うのです。最近は民間の経済外交が非常に重要になってきたと思います。そうして、非常に有力になってきたと思っております。このような開放経済体制になってまいりますと、社会主義国はいざ知らず、われわれのような体制をとつておる場合に、政府がどういう役割りをやるかという場合は、よほど賢明に配慮していかないと、何でもかんでも政府が、これはどの省がどうというわけではなくて、政府は非常にハンブルな態度でなければならないと思っております。したがって、政府の間で経済外交について権限の争いが起こるなんということは、ぼくはこんなぶざまなことはないと思っております。こういうことはまずないよりにいたさなければならぬと思っております。そんなエネルギーは消費したくないと考えておりますが、しかし、政府がタッチしなければならない分野は最小限度あるわけでございまして、その場合はちゃんと政府としてけじめがつくようにしなければいかぬ――政府一つでございますから、政府の命令が何通りにも出るということになるといけませんので、その点だけは最小限度ちゃんとしぼっておかなければならないと思っておるわけであります。経済外交は非常に重要でございますけれども政府のやる経済外交が、だから非常に重要だから、うんと役人を増して、うんと経費を使ってやらなければならないということは、私は逆行だと思っております。むしろそこは民間の活力というものを十分活用しながら、政府は懸命にビヘイブしていかなければならぬということを考え方の基調にいたしまして、政府がやらなければいかぬ部面につきましては、きちっと折り一をつけて乱雑にならぬように、言いかえれは、民間に迷惑をかけないようにやらなければいかぬのじゃないかと考えております。
  125. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどもお伺いしたわけですけれども、現在の外務省から在外公館までの機構、こういう一連の面についてはどうも不十分と思われる点がいろいろ考えられるわけです。たとえば公館については、一国に派遣されて一国を任地とするやかたであるわけです。ところが、経済問題については、その一国にとどまらないで、国境を越えていろいろ広域に問題が派生するわけですね。そういう問題ではそこまで公館だけでは手が及ばないという、そういうところに問題があるのではなかろうかと思う そういう御点からお伺いしたいのですが。
  126. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、EECにつきましては、いま経済局長から申し上げたとおりでございまするし、OECDも発足いたしまして、いま御指摘のような角度から、各公館もなわ張りを越えて、経済の流れを正確にかつ迅速に把握して、これを政府ないし民間に提供して誤りないようにしなければならぬと思っております。そしてそのためには、外務省の要員だけではいけませんので、現にいま外務省では経済関係の要員は各省から――大蔵、通産、農林、運輸、経済企画庁等からおいでの人が半分以上おるわけでございまして、この方々の協力をいま現に得まして、広域経済に対処するといういき方に力点を置いておりますし、外務省自体もそういった頭で外務省の中の機構を考えて、経済統合化と申しますか、国際機関化と申しますか、そういった系統に人材を配置しまして、情勢の把握に遺漏ないようにやってまいりたいと考えております。それで、そういう傾向はますます大きくなるのじゃなかろうかと思っております。たとえば、アメリカ合衆国なんというのは一つの国でございますけれども、あれは一つの大きな経済圏でございますから、これはEEC以上の大きな経済圏でございまして、アメリカ大使館は大使館としてよりも、すでにもう広域経済圏担当の経済外交機関に私はなっておると思うのでございまして、そういう頭で、そうして、そういう傾向がますます発展してまいるということを頭に置いて、われわれとしては対処していく所存でございます。
  127. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この海外情勢の問題について当たってみると、現在では、工業所有権とか、あるいは公正取引、あるいは漁業問題、さらには特定商品についての問題というふうに、漸次専門化しておる。こういう調査とか処理などについては、なかなかこれは専門家でなければ処理できないというような問題が多いと思うのです、だんだん内容が専門化してきましたから。そこで在外公館にももちろん各省から派遣された者がおるわけですけれども、経局分散しておるわけでね。各公館に分散しておるという欠点があるために、全面的に活用することは期待できない。さりとて適任者を本国から派遣されるという問題もなかなか容易ではない。そのつど必要に応じて派遣させるということも容易でない。こういうような点もつの問題点であろうかと思うのですよ。こういう点についてはいかようお考えですか。
  128. 中山賀博

    政府委員中山賀博君) 仰せのとおり、工業所有権、あるいは公正取引、漁業、それから商品問題等、ことにこのたびOECDに加盟いたしますと、委員会は大体三十五ぐらいございまして、非常に専門化しているわけでございます。  そこで、各国の実情を見ますと、もちろん在外公館、あるいは代表部の専門家だけでそういう広範多岐にわたる問題を処理できませんので、いずれも会議の際には本国から専門家が来るようになっております。ただ、わが国といたしましては、ヨーロッパに参りますのにも十数時間かかりまして、非常にその点がハンディキャップがあるわけでございますけれども、ただ、御存じのように、専門家はたとえば工業所有権の専門家が必ずしも商品協定の専門家に使えない。商品協定の中でも、砂糖の専門家は小麦の専門家に使えないわけでございまして、あまり在外公館に専門家をそろえようとしてもなかなか実際には無理でございます。そこでむしろ各省から有能な人をいただいておいて、一応在外公館でこなす。しかし、ほんとうの専門的になったことは、本国から専門家を呼んで意見を聞き、あるいはこれに発言させるというのが各国の実情のようでございます。
  129. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、現外公館と各省庁との連絡について、これいかような問題でも現存は必ず外務省を通しておるわけですね。したがって、ときには機宜を失することもあるし、また、連絡内容にも誤算の生ずる場合もあり得る。もちろん、外交問題それ自体については当然外務省を通すのが筋であろうと思いますが、外交問題以外の問題については、各公館から各省庁へ直接連絡してもいいんではないか、外務省通さんでも。外交問題に直接関係のあるのは当然外務省通さねば処置できない問題ですから、これは当然通してもいいわけですけれども、こういう問題についてはどのようにお考えですか。
  130. 中山賀博

    政府委員中山賀博君) たとえばクレームの問題でございます。こういう問題については、いま大臣からもお話がありましたように、商売を、あるいは貿易の実態、あるいは経済外交の実態の実際のにない手は民間の企業であり、民間のメーカーであり、商社であり、あるいはまたそういう点から見ますと、たとえばジェトロというようなものはかなり大きな仕事をしている。私はこれは十分認められるところだと思います。ただ、いま仰せの点は、むしろたとえばクレームの問題であるとか、大きな問題になると、やはりこれは大使をわずらわして外交交渉しなきゃならぬ。あるいは民間の問題でも、たとえば大きな国際入札になりますと、大使が相手の政府に行く、あるいは場合によっては相手の会社に訴えてその入札を取るというような場合も出てまいります。そこで、純民間のことは、たとえばジェトロを通じ、あるいは民間御自身が処理しておられると思います。ただ、政府問題あるいは外交問題に関しましては、これはやはり現在のルートで、たとえば、大きなクレームの問題がある。それを在外公館を通じて外務省に持ってきてそして、それをできるだけ早く関係各省にお伝えするというのが実際上も通信が安全であり、また迅速であると思います。ただ臨時調査の報告にあるように、非常に大きな案件の中で一、二手違いのあったことは認めますけれども、仕組み自身が私は悪いというものではないというふうに考えております。
  131. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 外交事務に直接関係のない、いわゆる海外の行政の需要については、海外に在住する日本人とか、あるいは日系の商社、企業あるいは外国人でも民間人民間団体、こういうところから日本政府に対して提供されておる。これが実情であろうと思いますが、これらはもう外務省の系統ではないわけですね。そこで関係各省庁が直接充足すべきであるとも考えられるわけですね、一応。しかし、外交機関を尊重して考えた場合、これらの事務は、外交事務の拡大解釈によるよりは、領事事務の拡大解釈によるほうがより適切ではなかろうかと考えられるわけですけれども、こういう問題についてはお考えはいかがですか。
  132. 中山賀博

    政府委員中山賀博君) 市外公館、つまり大使館、公使館、それから総領事館も含めまして、在外公館は外務省の機関じゃない。結局政府の期間でございます。ですから、たとえば私この間気がついたのですが、大使がおやめになるときは、これは辞表は総理大臣宛になっておるというように聞いております。ですから、政府機関でございます。したがって、政府機関としてまず技術的な便宜も考えて、電報の問題もございますし、あるいは外交上慣例になっている外交郵のうというような問題もございますので、一時的に外務省に通信を取りまとめて、これを各省に頒布するというか、お届けするようになっているわけでございます。したがいまして、民間のことに関係していることは、これは商社が直接やられる、あるいはメーカーが直接やられるわけでございまして、政府の出先機関であります在外公館で一応政府の取り扱う書類は、まとめて東京に送ってくるというたてまえになっております。
  133. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでお伺いしたいのは、海外の一定広域ごとに一般行政公館を置いてそこへ専門家を集めておく。で、本国各省庁ともこの公館と連絡をとらして運営をやることによって、広域にわたった海外行政については、非常にそうすることのほうが円滑にいくんではなかろうか、こう考えられるんですが、この点はいかがでしょう。
  134. 中山賀博

    政府委員中山賀博君) そうすると、たとえば広域にわたっておりますヨーロッパのようなところに、各省から直接連絡する、こういうわけでございますね。それで、先ほども申し上げましたように、実はそういう制度についてはいろいろ研究してみました。たとえば一つの模範になるんじゃないかと思っておりますが、最近の大きな商社、たとえば三井、三菱というようなところが、たとえばドイツのジュッセルドルフに支店を置いて、これがヨーロッパのことを全部見ておるというたてまえになっておるというようなことも聞きましたので、そういうのはどういうようにしてマネージしているかということも研究してみました。ただ、いろいろお話を伺ってみますと、問題としてジュッセルドルフでパリやあるいはミラノにおける商売をフォローするというか、見て、ずっとこれを指揮監督するということは、実際上は非常にむずかしい。そこにおのずから限度がある。もちろん戦前はロンドンに金融やあるいはその他の中心がございましたから、ロンドンで見るということがございましたけれども目的地に商売が起こったときは、ドイツの商売はドイツで見る、ミラノはミラノに行くというのが今日でもやはり現状だそうでございます。われわれといたしましても、ですから、流動的に統合していく部面についてはそうしなければなりませんけれども、やはり各国にまず根をおろすということ、また、各国に行っておる人間が、相手国の政府からも、あるいは経済官庁からも信用され、そして、そのほんとうの話を聞くということ、それをもとにして、今度は横の連絡をよくして経済外交を進めていくというのが順序じゃないかと思うわけでございます。むしろやっぱり浮動的なものがヨーロッパの各国の間をまたがっておって、どこの国にも根がない、どこの国からもほんとうの話が聞かされないというようなことで、そういう同じ悩みを商社の人々も味わっておられるということを私聞いて、非常な参考になったと思います。
  135. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは最近の新聞報道による内容ですが、例の高橋雄豺さんが主査になっているんですね、臨時行政調査会の作業班の主査になっておりますが、こういう意味の発表をしておりますが、経済外交に関する改善案で、一つとして、経済官庁と在外公館との直接連絡を認めること、それから二つには、在外公館の経済担当官の質的、量的充実をはかること、あるいは広域対策機能の充実。まあ、具体的に改善案を幾つかあげておるわけですが、この改善案に対する外務省の意見はどうなのか、それと、これと関連して現在在外公館には外務省のキャリアと、キャリア以外の各省からの派遣職員の状況、こういうものについてお聞かせいただきたいと思います。
  136. 高野藤吉

    政府委員(高野藤吉君) 経済局長ちょっと会議があって、交渉事が三時からございますので、お許しをいただきまして私からお答え申し上げます。  臨時行政調査会の答申案に対しましては、外務省は非公式に高橋先生にいろいろ御説明申し上げております。そこでできる面とできない面がございまして、在外公館における経済関係の担当官をふやせという点は、定員の関係がございますが、今後ともその線に沿って努力していきたい。それから、いま御指摘の広域経済館と申しますか、これはある形におきましてはEECに対するわが代表、現在御審議願っておるOECDに対する日本国代表は、ある意味の広域経済担当官と称せられるのではないかと思います。それ以外の経済公館と申しましても、実際上、権限上相手の国は主権国でございますから、なかなか活躍ができないし、先ほど申し上げましたように、大きな商社におきましても、やはり個別的にその国において活動しなければならぬというので、逐次相手国が広域化し、逐次経済面においては主権が統一されるというふうになれば、こちらも対応していきたい、しかし、現状においてはなかなか一足飛びにいかない、そういう点でございます。  それから現在在外公館にほかの省の人数がどれくらいおられるかという御質問でございまするが、現在在外公館の定員は、大公使を除きまして、定員は約九百二名でございまして、そのうち百四十二名が通産、大蔵、農林、労働、運輸、ほとんど各省から参っておりまして、これは外務省の定員を使いまして、在外公館におきまして主として経済面の担当をいたしております。
  137. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでこの人たちの任期についてですが、大体二年か三年でかわってしまうので、あまり成果は期待できないということを聞いておりますが、その点はどうなんだか。それからこのOECDの日本代表部の大体機構等はどうなっておるのか。それと建物は一体どういうふうにしておるのか。それからついでにさらにお伺いしますが、一般に在外公館では理事官以下の職員が非常に不足しておるというふうに聞いておりますが、現存はどうなっておるのか、これらの問題を一括要点だけをお聞かせいただきたいと思います。
  138. 高野藤吉

    政府委員(高野藤吉君) 今度できますOECDの代表部は定員十六名でございまして、大使一名、参事官三名、あと一等書記官、二等書記官、三等書記官、これが八名、あと理事官の方が四名、合計十六名。そのうち他省関係が七名でございます。それから建物は、現在ホテルに住まっておりますが、六月一日より独立の建物に入る、将来は大使館と同じ建物を新しく建てたいと考えておる次第であります。それから在外公館において、主として官房事務、文書、会計、電信等をやります理事官は、各省から参事官なり一等書記官が来られますと非常に事務が多くなってトップ・ヘビーというかっこうになるかと思いますが、この点は逐次改善をいたしたいと考えておる次第であります。
  139. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから、あと一点だけお伺いして本日は質問を終わりたいと思います。  先ほど、定員については大使以下十六名、こういうことではたして支障はないのかという点、それから今回の在外公館の増員については五十三名と聞いておりますが、この五十三名の増の中で理事官以外の職員の方は何名くらいおられるのか、このことを最後にお伺いして、私の質問を終わります。
  140. 高野藤吉

    政府委員(高野藤吉君) とりあえずは十六名でOECDの代表部を構成していきまして、だんだん仕事がふえてまいりますれば、やはり定員の増をお願いしなければならぬと存じます。それから先ほど経済局長が御説明申し上げましたように、委員会が相当数ございまして、忙がしくなれば、問題によりまして、本省から、東京から各省の方が応援に行くということでとりあえずは補っていきたいというように考えております。それから五十三名のうち約二分の一が現在理事官に任用する予定でございます。
  141. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  142. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。   ―――――――――――――
  143. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、自治省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  なお本案は、お手元に配付いたしましたように、衆議院において若干修正されておりますので御了承願います。  政府側からは赤澤自治大臣、松島官房長、柴田財政局長、それに説明員として皆川総務課長、近藤公営企業課長が出席されております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  144. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは自治省設置法の一部を改正する法律案につきまして、本日は特は地方公営企業制度調査会設置に関しまして、地方公営企業の実態について若干質問したいと思います。  そこで、まず最初に、衆議院における状態をちょっと大臣にお聞きしておきたいのですが、衆議院の地方行政委員会で、特に、地方公営企業のうち都市交通について、小委員会を設けられて財政問題の処理についていろいろと御苦労願っているということを聞いておるんですが、この経過、経緯は現在どうなっておりますか。ちょっと聞いておきたいと思います。
  145. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) その後、御承知のとおりに、関係各省といろいろ協議を進めつつあるわけでございまして、本来ならばもっと早く結論が出なきゃならぬと思っておりましたけれども、しかし、経済企画庁長官が二度も外国に行きましたり、ここぞというときに大蔵大臣のおとうさんがなくなってお葬式がありましたり、事故続きでございましたので、実はきょうも閣議のあとで、一日も早くやろうじゃないか、今週ぜひ大体大筋でも結末をつけようということで話し合っておる段階でございます。それで、この前衆議院の委員会答弁いたしましたあとも、それぞれ当該の市当局とも、いろいろ事情聴取いたしましたり、いろいろな運営に関する問題についての検討は逐次進めつつあるわけであります。
  146. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 赤澤大臣は非常に誠意を持ってやってもらうということもこれは仄聞しておるのですが、もうすでに三十九年度は始まっておりますし、しかも、具体的にずばり申しますと四十八億の問題にいたしましても、各都市交通においてはもうそれが予算化されておるという実情であります。こういう際ですから、これは早急にひとつ何らかの措置をとってもらわなければ現在の都市交通のもう経営が成り立たぬ、こういう状態でございます。  そこで、いま赤澤大臣が言われましたが、きわめて常識的な答弁ですが、これは私これも仄聞したのですが、大蔵省では一応、大体自治省なりあるいは運輸省あるいは経済企画庁あたりからも相当話があるし、やらなくちゃならぬというところに踏み切っておるようですが、これに関連していわゆる民間経営のバスなり私鉄から、もし公営交通の場合そういう措置をとるならわれわれのほうも何らか考えてもらわなくちゃいかないのじゃないかという、与党の有力者を通じてそういう突き上げがあるやに聞いておるのですが、その点どうですか。
  147. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) そういう話を聞かぬでもありませんが、いま私どもといたしましては、私企業のこういった問題につきましては公営企業とは全然切り離しておりまして、これにはタッチしておりません。
  148. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あとでまたいろいろと質問を繰り返していくと思いますが、この点ひとつ大臣には――次から聞くのは財政局長にやりますから、この点ひとつぜひ今後とも精力的に一日も早く解決するように努力願いたい。  そこで、まずこの地方公営企業全般について、まず諸諭から聞いておきたいのですが、三十七年度の地方財政の報告によりますると、地方公営企業全般について経営が非常に困難になってきておるということが数字上あらわれておるのですが、現在この地方公営企業のうち、公営企業と準公営企業に分けて、現在数字はどうなっておりますか。
  149. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 公営企業、準公営企業、それに法適用企業、非適用企業とがあるわけでございます。三十八年度の決算をまとめたいと思うのでございますけれども、まだ実は完全にまとまっておりません。三十七年度の数字しか申し上げにくいことを御了承いただきたいと思います。三十七年度の決算では、法適用企業のうち、公営企業分の累積赤字は二百二十四億円……。
  150. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと、財政の問題じゃない。事業の数字。
  151. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 事業数でございますか。失礼いたしました。  事業数で申し上げますと、総数でいいますと、公営企業の数が三十八年度末現在で千四自四、そのうちで地方公営企業法を適用いたしておりました企業が六百一、それから簡易水道以下、いわゆる準公営企業といわれるものの数が、同じ三月三十一日現在で三千九百六十七、そのうちで公営企業法を適用いたしております事業が二百二十五でございます。全部入れますと、総数では五千三百七十一事業、そのうち法適用企業が八百二十六事業、前年末に比べまして、総数で二百十六の増加、法適用企業で百八十四事業の増加でございます。
  152. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この法適用企業のうち、水道、工業用水、交通、そういう事業別の内訳の現状の事業数はどうなっていますか。
  153. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 同じ日現在で水道事業四百五、工業用水道三十一、交通が九十、電気が三十三、ガスが四十二事業でございます。
  154. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 準公営企業はどうなりますか。
  155. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 簡易水道が十八、港湾整備が九、病院が百十五、市場が二、屠場が二、観光が十七、宅地造成が十、下水道は十七、その他の企業は三十五事業でございます。
  156. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま言われました観光施設、宅地造成――観光施設は十七ですか、宅地造成は十ですか、これは主として大都市だと思うのですが、どういうところにこれがありますか。
  157. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 観光というのは、御承知のように、ロープウエーとか、そういったものでございますが、むしろ中小都市に多くて、大都市にはないと思います。
  158. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ロープウエー、索道、これは交通だと思うのですが、これは交通事業の中に含まれておるのじゃないですか、このいま言われたロープウエーは。
  159. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 交通事業の中にロープウエーは含まれておりません。その他事業の中にロープウエーは入っております。それから観光事業の中で目立ったものを言いますと、たとえば北海道の蘭越町の温泉経営でございますとか、同じく地方の温泉といったようなものがおもなものでございます。
  160. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いまのやつに関連しましてね。交通事業のうちの索道事業というのが、法適用企業十となっておるようですが、非適用企業が九というようですが、これは何ですか、どういう事業ですか。
  161. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 索道事業交通事業のほうに分類いたしておりまして、札幌市の索道、それから会津若松の索道、群馬県津津の索道、それから新潟県の湯沢の索道、神戸市の索道、姫路市の索道、鳥取の大山町の索道、それから山口の宇部の索道、徳島市の索道、以上でございます。
  162. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、いま言われたロープウエーは、これは交通事業じゃなしに、観光事業という、こういう概念で分けているのですか。
  163. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私の答弁が間違っておりましたので、訂正させていただきます。交通事業であります。
  164. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではいよいよ地方公営企業の状況に入るのですが、いろいろありますが、きょうは時間もだいぶおそうございますので、特にこの電車事業に限ってきょうはひとつ質問をしておきたい。  現在、電車事業は都心の交通としては相当な輸送量を持っておるし、都市の交通上、まだまだ相当大きいウエートがある事業だと思うのですが、現在この電電事業で、公営企業の持つウエートと、民営の持つウエートのこれの状況はどうですか、出ていませんか。
  165. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 全国的なものとしては出ておりませんけれども、たとえば東京の場合では、全来客数の一三%が都電で、二三%が私鉄である。それから大阪の場合では、大阪市内は私鉄がございませんので、全体の乗客数の一四・五%が路面電車を利用しておるという状況でございます。
  166. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国鉄を除いたいわゆる私鉄あるいは公営交通、これらを含めて日本のいまの輸送量のウエートはどうなっていますか。
  167. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 東京の場合で申しますと、全体の三一%が国電を利用しておる。私鉄が先ほど申しました二三%、地下鉄が七%、都電が一三%、バスが一七%、ハイヤー、タクシーが九%というような状況になっております。
  168. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの出された三十七年度の財政報告によると、全国の公営の電車乗車人員は二十二億七千万人、民営を含めた全乗車人員は八十億三千万人、公営の持つウエート、割合は二八・三%、そのとおりですか。
  169. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) これは電車事業という範疇で、全国のやつを都電と私鉄と、御承知のように、公営の場合には都市中心でございますので、こういう分け方自体に問題があるかという点はございますけれども、このとおりでございます。
  170. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほど言われた都市を中心にした公営交通の占めるウエート、また全国的な電車事業の占めるウエートから見ても公営企業としては、相当私は大きいウエートを持っていると思うのです。こういう立場から見て自治省が公営交通に対する考え方、今度は調査会をつくっていろいろ地方公営企業全般について研究されるようでありまするが、特に公営交通についてどういう考え方で将来指導し、運営していこうかという考えを持っておられるか、一ぺん全般的に聞いておきます。
  171. 柴田護

    政府委員(柴田護君) お話の点が問題がございますので、これは調査会を設置して識者の御意見を承りたい、こういうつもりでおるわけでございます。ただ、私ども全般考え方からいたしますならば、バス、公営バスの場合におきましては、大体それだけで採算が十分とれておるというように思うのでございますが、地下鉄につきましては、その膨大な投資ということから考えまして、とうていそれだけで採算がとれるということはまず不可能。そうしますと、この辺については、将来地下鉄事業は推進していかなければならないと思いますが、それについて財政的処理をどうするかという問題になろうかと思います。また、電車事業の問題につきましては、お話のように、場所によっては十分それだけで成り立つところもございましょうけれども、六大都市等を考えてみますと、逐次、電車事業というものの活躍する分野というものは変わりつつある。変わりつつあるけれども、それじゃいま一挙にほかの事業に変えてしまうということもやはりなかなか問題があるのじゃなかろうか。そうすれば将来そういったような状態、つまり都心におきます交通事業の変化というものを頭において、軍事事業というものを将来どうするか。それに伴ってその財政的処理をどうするか、こういう問題になってくるのではなかろうか。全体としての趨勢としては、逐次、ほかの進歩した交通機関というものに変わってくるのじゃなかろうかと思いますけれども、いますぐにこれをどうこうということは言えないのじゃないか。その移り変わりをどのようにして処理し、どのようにして財政処理を行なっていくかということが問題じゃなかろうか、そういうように現在考えておるわけであります。
  172. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくの質問のしかたが悪いかどうか知りませんが、それも大体、質問の中の一部に含まれているのですが、現在東京都は一番激しいように見えますが、それは東京だけではございませんが、都内における交通の状態、経営別から分けると、いわゆる公営交通というものよりも、民間交通がむしろ多く走っておるのじゃないかと思うのですね。こういうことが自治省としては、その交通機関の高速度化、路面電車なんかに対する考え方とは別に企業経営から考えて、都市は公営交通が優先するのだという考え方でおられるのか、それとも民間経営を重点に考えようとするのか、そういう考え方について私聞いておきたいと、こう思うのです。
  173. 柴田護

    政府委員(柴田護君) その点も実は一番大事な問題、基本的な問題である、いわば公営企業の限界と申しますか、公営企業の活動範囲をどうするかという問題であります。やはり調査会の意見を承って最終的には態度をきめたいと思いますが、私どもはやはり都市におきます交通というのをどのような形でその充実をはかっていくか、つまり都市行政の中の交通行政というものをどうするか、こういう考え方で、民営のいいところもありましょうし、公党のいいところもありましょう、それをどのように勘案していくか、世間では経営面だけを考えて民営にやらしてもかまわぬじゃないかという御意見もありましょうし、逆にまた公営というものを、公的な性格というものを強く強調する人もあるわけでございますけれども、まあそれぞれいいところもございましょうし、それをどのようにかみ合わしていくかということが一番大事な問題になってくるというように考えておる次第であります。私どもとしては、都市交通という全体の中で公営企業のあり方というものを考えていかなければならないというように考えておるわけでございます。お答えになっていないかもしれませんけれども、まさに問題のところでございますので、私どもは必ずしも民営という線も考えませんし、また、全部公営でやらなければならぬとも考えておりません。それぞれのいいところをかみ合わして一番都市交通というものを円満に、円滑にやっていける方法考えたらいいのじゃないかというように考えております。
  174. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 財政局長はそう答えられますが、実際においてそういう、全く調和のとれた運営というのは、私、できないという考え方に立っておるのです。というのは、大体この公営企業というものは、御存知のように、いわゆる利潤とかあるいはその処置によっていわゆる利益をあげようというような考え方はない、いわゆる公共性にのっとったものであると思いますね。一方、民間の経営になると、利潤を出さなければこれは経営が成り立たない、やろうという者がない。したがって、それが同時に同じ都市にこれが経営されると、勢い歩の悪いところは公共性を持ついわゆる公営交通がやらなくてはいけない、公営企業がやらなくてはいけない、もうかるところだけはいわゆる民間の経営がやるということになるのですね。そういうことが両立できるかどうか。いま言われたように、独立採算制で公営交通もいけるのだということを、私はいままでの過去の経験なり数字から見ても、そういう両立できないものであるという観点におるのですが、できますか。
  175. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私どもは、必ずしもその両立することについて、お話のように、悲観的な見通しを実は持っておりません。なるほど公共性というものも十分考えていかなければなりませんけれども、といって、やはり企業でございますので、経済性というものも否定できない。したがって、ものによっては、先ほどちょっと申し上げましたが、地下鉄のようなものになってまいりますれば、これは論外でございましょうけれども、そうでない一般の企業につきまして、やはり両立するところが十分あるのではないか。おことばを返して申しわけございませんけれども、私どもはそう悲観をしていないのでございます。
  176. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、あなたはすっと歴史は御存じだと思いますが、私は大阪出身だから大阪の交通のことについては、明治とはいいませんが、ずっと古くからいろいろと聞いてもおり、調べてもおるのですが、大阪市の交通がいわゆる黒字になったという期間というものは、きわめて少ないのです、というのは、黒字であるということになると、何らかの措置で路線をふやしたり、公共のためにいわゆる投資をしなければいかぬ。民間のようにもうけたときそれをためて、利潤だといってためておくわけにはいかない。そういう性質のものなんですよ、公営企業というものは。そういう例からいくと、今度のように政府の物価抑制政策によって公共料金の引き上げはストップだ、しかし、公営企業である以上は市民のため、都民のために運営しなければいかない。これをとめるということについては、これはもう絶対にできない。民営の場合は路線すぐ廃止しちゃうのですよ。もうもうからなければあしたからやらないといったって文句言えない。住民は文句言おうと思ったって会社のほうでやらないと言えばそれでしまいなんですね。ところが、公営の場合はそれを言えない。路線を延長ずる場合でも、これは採算のとれないということははっきりわかっておるけれども、都民あるいは市民の要請によって、市民のサービスという観点からいくと、やはりそこに路線を敷かなくちゃいけない。そうなってくると、これはもう赤字にきまっているのですね。そういう性格のものが、いま財政局長が、独立採算制で経済性を発揮してやられるのだという経営状態が、どういうものが経営上あるかということ、私にはわからないのです。そこで聞きますけれども、あなたの独立採算制というのは一体どういうことを言うのですか。たとえばいわゆるもっと具体的に言いますと、営業収益をもっていわゆる管理費用、それから路線の延長その他の建設費の償却あるいは利子支払い、こういうものをまかなっていって、それが独立採算制という考え方でいるのですか、これをちょっと聞きたい。
  177. 柴田護

    政府委員(柴田護君) もちろんお話のとおりだと思います。現在の公営企業法のたてまえもそういう形でできておるのであります。私どもはお話でございますけれども、やはり公営企業につきましては、資金面におきましても、一般民営の場合よりかそう大きな差はないかもしれませんけれども、やはり安い安定した資金が手に入ることができる、また、租税負担もない、そういう諸条件から考えますならば、民営の場合に比べて公営の場合は相当有利な条件があるのじゃないか。その部分の問題をいわゆる公共性と申しますか、おっしゃるような不採算路線というものに向けてまいりますれば、経営の合理化をどうするかという問題がございますけれども、この問題を解決してまいりますれば公営企業、公営交通というものが一がいに不採算になるのだというような結論を出すことは、ややそういうふうな結論に当然なるのだということにつきましては私は疑問を持つわけであります。地下鉄のようなものになりますと、お話のように、これはもう初めから無理ではございましょう。バス事業等につきましては、十分その余地があるのではなかろうかというように考えておるわけであります。
  178. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたはどこまで調べておられるか知りませんが、今日バス事業もそんなに黒字で経営しているというところは、私はそうないと思います。バス経営で現在黒字でやっている事業都市があったらひとつ知らせてください。
  179. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 三十八年度の見込みで申しますと、六大都市はバス事業すべて赤字を出しております。それから大きなところは札幌市、熊本市は黒字を出しております。それから徳島市、岩国市、この程度だと思います。
  180. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま言われた札幌とか、それから徳島、それから熊本、岩国ですか――は知っております。しかし、それは行ってみればわかりますが、やはりそこに若干の事情が、特殊性がある。しかし、それもだんだん悪くなってきている。それがだんだんと黒字になってきているというわけじゃない、だんだん落ちてきつつある、そういうことで、いま言われたような、そういう考え方でこの調査会をつくっても、これは私は議論百出で、自治省にはっきりした見通しと、私は根本的な考え方というものがなければ、学者、経験者といえども私はそんなに軽業師のような、無から右を生ずるというようなあれは私はないと思う。したがって、これは二年間ですか、つくって、これでいろいろ結論を出してやろうという面ですが、私は都市交通に対する自治少側の考え方は、私はまだ定着していない、調査会をつくるならば、一応これは諮問するのですから、かってに議論して言ってきなさいというのではなくて、やはりそこに一つ政府としての考え方というものがなければ、ただそのような議を経たものだからまとまると思っておったら大間違いだ、長い間これについては研究しているグループなり学者なりが相当いるのだから、そういう人が集まって調査会で何かいいものが出てくるという安易な考え方ではだめだ、根本的にどうするかということは、これは英断一つしかない。そこで、さきのちょっと話に返りますが、路面はすでに時代おくれであるということは、これは常識的に考えられるし、いまの交通状態からいってもそう考えられますが、高速にする場合でも、いまでも東京の場合はすでにもうかる路線といいますか、そういうところはすでに営団がほとんど独占しているのですね。ですから都営でやろうというようなところは、採算のとれぬところから手をつけて、しかも膨大な建設費、一メートルに二百七十万円ですか、三百万円ということを聞いているのですが、私は実際知らないのですが、そういう高額の建設世をかけてやらなければいかぬ。しかも、いい路綿は全部営団が持っている、こういう形ですね、こういう状態で、はたして東京の、あなたが言われたように、今後都市交通として、将来採算のとれるような形に持っていくというような考え方はどうして出るか、私にはわからないのですがね。
  181. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私は先ほど申し上げましたように、地下鉄につきましては、これは現在の建設資金の状況から考えまするならば、御指摘のように、これはいわゆる独立採算という問題は私どももむずかしいと与えるのでございます。しかし、そうだからといって、地下鉄の建設をやめるというわけにはいきません。やはりこれは都市交通の確保のために、これは延ばしていかなければならぬと思うのであります。そうなりますと、ここではやはり地下鉄事業というもののあり方というものをどう考えるのかということになろうかと思うのでありまして、言いかえますならば、企業としての地下鉄、それを、その地下鉄の経営を収支償わすためには、どのような措置をとっていったらいいのかということになって、そこに一般会計との間の関連が出てくる、これをどのような形で処理するのかということになろうかと思うのであります。まあ東京都営と営団営との問題がございましたが、この問題の調整をするのもやはり一つの問題でありますが、そういう点につきまして、やはり一つ結論を見出してもらいたいという考え方で調査会というものを考えているわけでございます。ただお話のように、調査会というものがただ黙って開いてみたって結論なんか出ないのではないかというおことばでございますが、われわれといたしましても、一つ考え方を持たぬでもございませんけれども、これから調査会をつくって御審議を願うという段階でもあるし、私ども考えというものをはっきりしたまだまとめるような形にはしていないわけでございます。
  182. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 すべてあなたらが、調査会というものをつくってやれば、もう何かうまい考え方が出てくるのじゃないかという安易な考え方でつくるのだったら私は反対なんですよ。二年間問題を引き延ばすというだけであって、その間自治省は出るまで待つんだというような与え方では、今日の都市交通の緊迫した状態を打開することは私はできないというのです。それがこういう調査会をつくる私は一番問題点だと思うのです。私はつくることは悪いとは言っておらない。恒久的な対策を講ずるのはいいけれども、それはそれとして、いま自治省として公営交通なり地方公営企業をあずかる省としてやはり手を打つことは手を打っておかなければいけない。ただあなた方が手を打つということは合理化、合理化ばかり言っておる。一体いまの都市交通なり、そういう賃金が、あなたらはそれを低くすれば、合理化すればこの経営状態が立ち直るという考え方で私はおられないと思いますが、どうなんですか。
  183. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私は、いつかこの委員会でお話ししたかと思いますが、私どもは何も合理化合理化ばかりを言っているわけでもないのでございますが、地方公営企業制度調査会をつくりましても、お話のようにそれに全部げたを預けてしまって、その結論が出るまで知らぬ顔をしているというわけには参らぬということは私どもは十分承知しておるわけであります。また、審議会の審議を仰ぐにいたしましても、ものごとの順序というものもございましょうし、たとえば当面早急に措置してまいらなければならぬ赤字処理の問題といったような問題は、これは何ものにもかえて早く御審議をしなければいけないでしょうし、公営企業の限界といいますか、あり方といいますか、そういう基本問題にかかってまいりますれば、これは少し時間をかけてまいらなければいかぬだろうというふうに、おのずから審議をお願いする事項でも事の緩急はあろうかと思うのであります。それからまた、その中身につきましても、公営企業の健全化ということを考えてまいりますれば、たとえば公営企業の資本構成をどうするか。御承知のように、現在の公営企業は全部借金企業でありますから、これをどのようなかっこうで資本構成を強めていくかという問題もある。それから建設資金を見ます場合に、地方債をかりに起こします場合に、その条件がいまのままでいいか悪いかといったような問題もあるわけでございまして、さきに交通については交通財政の調査会を非公式につくって検討もし、結論も出ておりますけれども、しかし、何ぶんにもこういった公の機関でないものの結論によりましては、執行する場合にもなかなか実行力が伴わない。やはり公の機関で御審議をわずらわすという一つのメカニズムを通しまするならば、そこにおのずから実行性というものもついてくるのじゃないかと、いろいろ考えまして、こういう形でこの大問題を処理しようと、こういう気持ちでおります。それでもちろんじんぜん手をこまねいているわけではございません。何ぶんにも問題がどの問題をつかまえても基本問題というものにつながってくるむずかしい問題でございますので、その基本問題という方向を明らかにしてもらいながら、その場その場の必要な措置は講じていく、こういう方向でこの問題の解決をはかってまいりたいというように考えておる次第でございます。
  184. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは具体的に交通事業の財政状態について、きわめて最近における交通事業の財政状態は悪化しておるというが、数字の上でどうなっておるか、これをちょっと先に知らせていただきたい。
  185. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 交通事業につきましては、昭和三十五年ごろから逐次悪化をしてまいりました。三十五年度では六十九事業のうち四十八事業が赤字になって、その赤字額も二十五億程度であったわけでありますが、事業数もふえてまいっておりますけれども、逐次ふえてまいりまして昭和三十八年度におきましては九十事業中六十五事業が赤字、その純損失は八十三億ということになっておりまして、その累積赤字額は三十七年度末で百七十五億、三十八年度末は集計ができておりませんが、おそらく二百億をこえるということになるだろうと思うのでありまして、非常にその成り行きを心配をしておる次第でございます。
  186. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで成り行きを心配しているということはだれも一緒だと思いますが、まあ調査会をつくってそういううまくいく案かどうか知りませんが、また三十八年度の決算あるいは三十九年度と進んでくると相当累積赤字がまだまだ伸びてくると思う。それに対する自治省としてどういう対策があるのですか。
  187. 柴田護

    政府委員(柴田護君) やはり私どもはこの累積赤字というものをどのような杉で消していくか。どこかの段階で累積赤字が出ない、新しい赤字が出ないという状態を招来をせねばいかぬ。そのためにはまあ早急にどうしても赤字になる事業、どうしても赤字にならない事業、言いかえれば何らかの手段を講ずるならば赤字にならないですむ――私どもはバス事業についてはこのことが可能だと考えたわけでございますが、その他の事業につきましてはなかなかむずかしい、特に地下鉄につきましては、これはもうそれだけで独立採算をとることは不可能だ、こういう事業につきましては一般会計との入り繰りといいますか、関連をはきっりする。高速電車事業につきましては、その将来の動向というものを見定めながらこれもやはりどのような形でもって新しい赤字を発生せしめないようなものをつくるかというやり方をはっきりする。そうして出てきました赤字というものを、いままで積み重ねてきました赤字というものを、これを逐次消していくためにどのような方策をとるか、こういうことになるかと思うのであります。いろいろ考えてみましても、結局は毎年々々赤字が出てくるわけでございますから、その赤字をどこかでとめなくちゃいかぬ、そしてとめた赤字の始末というものを考えるわけでございますが、そのとめるについてやはり本来とまる部分ととまり得ない部分というものがあろうかと思うのであります。とまり得ない部分についてはとまり得ない部分についての一般会計との関連というものを考えていかなければならないだろう、とまる部分については企業自体でもってとまる措置考えていけばいいのではないかというように思うわけであります。
  188. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう概括的な説明では納得しないのですがね。これはあなたのほうの資料によった三十七年度の決算による事業別収支の実情ですが、七つほどの交通事業があります。軌道事業、地方鉄道、索道、高速鉄道、懸垂電車、自動車運送、これはバスでしょう、それから船舶運航とありますが、このうち一番問題になるのは都市交通としては軌道事業、それからバスですね。それは三十七年度では総収益が二百五、十五億、総費用が二百九十億で赤字が三十五億、バスの場合は総収益が三百十二億、総費用が三百回十五億、赤字は三十三億、バスが将来その採算がとれると言われましたけれども、私はハスもいまの現状からいえば、ますます私は赤字が累積する事業だと思う、いまの状態であれば。そうすると、三十八年度もこれ以上の私は赤字が出ておると思うのですね。それを私は具体的に、一体どうしてやるんかという問題がある。バス事業はやめちまえ、もうからぬところはやめて、もうかるところだけ残してやるというのか、もう軌道がいかぬから、軌道全部はずしちまえ、こういうような考え方でおるのか、そうでなければ、これの赤字に対する対策をどうするかということを、私は自治省としてもある程度考えておかなければ、当事者はどうもやりようがないと、こう言うのですね。ないですよ、実際いまのような状態であれば。いまのバスでも軌道でも赤字を累積するのは、単に自己の経営が悪いんじゃなくして、交通の社会的な事情というものがそうさしておるということもわかると思う。ほとんど速度というものは出ないのですから。そうすると、輸送量というものはがた落ちなんですね。そういう実情は何も経営者が悪くない。政府交通政策自体に私は大きい欠陥があると思うのですね。そういうものを全部経営主体である地方公共団体に、あるいはこういう地方公営企業自体にこれを負わすということは、私はあやまちである、これを言いたい。私の言うこと間違いですか。
  189. 柴田護

    政府委員(柴田護君) バス事業の問題につきましては、もう御承知のとおり、料金問題というもののあり方にも問題がございますし、それからお話のように、都市交通事情の変化という問題、これにも原因があります。しかし、一方その管理経費のあり方と申しますか、経営のやり方というものに、じゃあ全然責任がないかといえば、これはまあそうじゃない。これはやっぱり相当の責任があると言わざるを得ない。そうなってまいりますと、この三者の合理化というものを総合的に考えてまいりますれば、私どもは、山本先生のおっしゃるように、悲観的な見方をしておらぬのでありまして、まだまだこれは合理化、全体としての採算が立つような方向に再建することが不可能でないというように私は考えております。もっとも場所によりましては、相当代替交通機関があるのにかかわらず、小さな事業、赤字になるにきまっているような事業をやっているところもあるのでございますが、そういうところは、その間の調整をどうするか、場合によってはやめちゃってもいいようなものもあるわけでございます。主として大きな六大都市等を中心に考えますならば、前途には望みはあるんだというように考えておるわけでございます。
  190. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは失礼な言い方ですか、財政局上長はまだ実情を十分知らないですよ。これはたとえば合理化といわれる、給与とか人件費と言われましたが、一つの例をとってみまして、全般から見ると別として、帝都高速度営団の理事長ですか、あの人の月給と、もっとそれより多くの従業員を使い、大きな無業をしておる東京都の交通局長給与を比べてみなさい。片一方は三十何万ですよ。片一方は十万円ももらってないでしょう。それは何といいますか、実際運転している人の給与が比較してこれが高いというけれども、そういう点は、一体どう考えているかということですよ。ぼくらはいかに営利事業を、営利を追求する営団とか私鉄のほうは、合理化というけれども、その合理化はそういう運営経費の合理化でなくして、路線の配置あるいはその他のそういう形の合理化というものはすでにできておる。そういうものの合理化を考えずに、いま言われている、バスがどういうぐあいにこれが採算とれるか、料金どのくらい上げられるか知りませんが、かりにいま六部市が申請しているバス料金をあれだけ上げたとしても、私はもうそれは、その年度だけはようやく、若干の黒字というか、とんとんになるかもしれません、やがてはこれはすぐ赤字になります。いまの公営交通の運営方針というか、公共性というものを土台に置いた運営をやればそうなるのです。これは、私岐阜市に行ったとき聞いたのですが、あそこの交通責任者から聞かされて、四年ほど前ですが、ようやく路線を取って採算がとれるようになると民間のバスが入ってくると言うのです。それで、今度は、ここの路線を認可してもらえば若干経営が楽になるという路線は、絶対に運輸省は認可しない、実情ですよ。こういうことをしておって、都市交通が採算がとれるようになっていくだろうと、そういうぼくの言うような悲観的な考えを持っておらないと言うけれども、しからば、それに対してどういう対策があるかというと、ないでしょう。具体的にですよ、東京のバスをとりますと、東京のバスがこういう経営をすれば黒字になる、黒字と言わぬけれども、いわゆる採算はとれるようになると、そういう方針を、自治省が東京都の交通局に指示したことがありますか、あるいは手当が多いからどうのこうの、こういう給与を引き上げるときには、管理費用が高くなるから何とか考えなくちゃいかぬとか、そういうことだけ言って、根本的なそういう合理化と申しますか、独立採算制と言われるならば、経営の成り立つような方向というものを自治省は持っておりますか、あるなら示してもらいたい。直ちに私は東京都に行ってそのとおりやるように私は知事さんにお願いしようと思います。どうですか。
  191. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私どもが経営が成り立つ方策というものを考えます場合には、先ほど来申し上げておりますように、何も経費の合理化縮減ということばかり言っておるのではございません。おっしゃるように、その原因が、やはり都市交通事情の変化というものもあるわけでございます。いまおっしゃるような路線の認可のあり方等につきましても、やはり公営交通というものの企業として考える以上は、そこにやはり公営、公共性一本やりの認可では困るわけです。それはやはり企業としての立場から公営交通をながめていかなければいかぬ、そういう考え方で路線認可等については考えていかなければならぬ問題があろうかと思います。しかし、また一方、経費の合理化について、いま総裁等のことをおっしゃいましたけれども、平均給与というものを考えてみますならば、やはり民営に比べて相当公営が高い、そういたしますならば、高い原因は何かということになるわけです。そこをやはり分析検討する必要がある、そういった努力を積み重ねてみて、あるいは場合によっては山本さんおっしゃるように、どうしてもいかぬという結論が出るかもしれないが、私のほうは望みを捨てていないと考えております。
  192. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣おられますから、ぼくは追及して責めて言っているのではないです。いまの都市交通をどういうぐあいにして、いわゆるうまく運営ができるように、都民、市民の足を確保しようかという観点から言っているのですが、いま言われました、人件費が平均してどうこう言われますが、それは私は異議があるのです。きょうは時間がありませんからそこまで触れませんけれども、都市交通、特に軌道――電車、軌道事業に従事する人とバスに従事する人と、相当高速、あるいは遠距離交通に従事する人とは、人員も違うけれども、また労力も違うのです。今日、何でしょう、バスの車掌さんというものは、相当スカウトして歩いても、これの希望者がなくなってきた、そういうことで、非常に困っている。労働状態、条件からいっても、非常に過重な仕事をしておるから、私はどうしてもやはり労賃、賃金というものが上がる、よけい出さなければ来ないという見方をしておるのですが、先ほど例にとりましたが、一般従業員にそういうことが、平均が高いからどうこうというけれども、その経営省自体の、そういう管理人――管理者といいますか、そういう人の比較から見ると、これは納得できませんよ。そういう点がぼくは十分改善をせなければ、それに従事しておる人々の気持ちというものは私は変わらないと思うのです。上のほうの人々だけは出校して高くとってもそれでいいんだ、下のものは平均高いから下げるのだ、こういうことでは私は納得させ得ないと思うのですね。そこで、根本問題がどこにあるかといえば、いわゆる利潤を追求する、そういう交通事業を経営されておるその事業自体に利潤の浮かぶようないまの合理化とかなんとかいわれますけれども、そういうことのないようなしかけのものを、もう特権的に持っておると私は見ておるのです。私は帝都高速度の例を出しましたが、それだけではないのです。バスの経営にしてもそうなんですよ。そういう点を私は自治大臣どう考えておるか。そういう一つのものを都市交通なり地方の公営企業のほうにも政府が見てやればある程度の合理化というものを、受け入れる余地も私はあると思う。一方だけを考えてやるからわれわれとしては納得できないのですがね。それの説明一つもない。したがって、具体的に申しますが、いま東京の例をとって、東京の場合はすでにあの四・一七の問題のときに、知事と組合の間で相当いろいろな話し合いができたようでありますけれども一体あれをどういうぐあいにしていくかという自治省はその具体案ないでしょう。ただ、合理化をせよとか、これじゃいかぬということの指示はするけれども、しからば東京都のやり方が悪かったらば自治省はこうしてやるということの考えが自治省内部にありますか。あるならそれを教えてもらいたいというのがきょうの私の質問の要点なんです。
  193. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) さっきから御議論承っておるわけですが、この問題は財政局長も少し言い過ぎじゃないかと思うのですが、いまの、ない知恵をしぼってみたところで、これをこのままで黒字に転換するという方法を述べてみろと言われたって、具体的には言えないはずなんですよ。ですから、われわれのほうでは広く一般の御意見を聞こうというので、今度は調査会をつくるわけでありまして、ですから、私をして言わしむれば、ここまで落ち込んで、いまごろ調査会考えるなんというのはおそかったというのですけれども、おそかったといってほうっておけないわけですから、そこでいま急いで審議をお願いをしておるわけでございますが、この調査会の構成には、いうまでもなく民間のこういう問題の経営のベテランもいれば、また大蔵省あるいは自治省等で多年この問題について苦労した方、それからまた、公営関係にいろいろ資金面を心配しておる金融機関の方、学識経験者、それから労働問題等についても深い認識と手腕を持っていらっしゃる方、それぞれ網羅いたしまして、一つの方向を見つけたい。二年とは申しますけれども、もっと早くやりたいと実は考えておる次第であります。  そこで都市交通がいまのような状態に落ち込んでしまっておりますが、私はこれをあらゆる角度から根本的に検討しなければいかぬ。たとえば調査会の中に有力な民間の手腕のある経営者がおってけっこうです。現在の状態のままでは私どもがやってみましょうという勇気のある者があればあるいはこういうものをかかえて何も汗かいて地方団体困らねばならぬわけはありませんから、それはまた、そういう民間でこれを経営させるということになるかもしれませんが、おそらくは手を出すものがないと思う、いまの状態では。こんなものをしょい込みになったらたいへんですから。しかし、私はこの調査会でいろいろ議論をすれば、将来赤字でこういうばかな負担を残さないような方法は何があるか。極端にいえば、もうとにかくそれほど公共性の高いものなら、ぎりぎりここまでやったらあとは補助金で見なさいとかということになるかもしれません。それは結果がどういう方向にいくかわかりませんけれども、しかし私は、公営企業の中でその企業努力というものが十分行なわれておるとは考えないわけでございます。そういうことにからみまして、やっぱりいま犠牲路線の開発の方法であるとか、あるいは従業員賃金などのことについても、いろいろ当然議題にのぼってくるわけでございますが、私はそれはほんの一部であると考えておる。大体独立採算、独立採算なんて公営企業を盛んにいいますけれども、独立採算の計算のしかたというものが民間でわれわれがやっておりますものよりか、よほど常識が違っておりまして、たとえば地下鉄が一番いい例ですけれども、ああいう大きな投資いたしました場合に、金利の負担だけで、とてもじゃないが、電車賃だけでおさまりがつくわけのものではないわけです。独立採算で民間ではやっております。赤字が出たって人がしょってくれる道がないわけですから、そういう際には資本勘定というものを明白に立てまして、そうしていろいろこれを経営する上において経費をできるだけ縮めて利潤をあげるということが常識でございますけれども一体日本の公営企業は国鉄あるいは電電なんかにいたしましても、資本勘定は一体どうなっておるのか、その資本勘定から生まれてくる金利だとか減価償却はどうなってくるのかということになると、減価償却の計算の立て方で国鉄は赤字になったり黒字になったり、そういうような状態ですから、こういう問題にしても、真剣に独立採算なんということをけっこううたうからには、やっぱり経営に熟練した人がこんなばかな計算の立て方をしておる。そうして投資したかのごとく見えるものにはみんなばく大な金利がついておるなんというようなことで経営ができるものですかという質問も、おそらく強い意見も出るのじゃなかろうか、そういった意見をいろいろ聞いてやれば、何とかやれる形でとにかく企業努力によって現行のものが黒字というか、もうける性質のものではないと考える。ですから収支がバランスがとれるような形にもっていく方法がないか、それからまた、私鉄のほうは、私営交通のほうは御案内のとおりにもうけさえすればいいわけですから、だから電車会社なんというのはすぐにターミナルビルにデパートを思いつく。付近の土地の開発をやって宅地をつくるとかいろいろなことをして、あわせて企業効果をあげておるのですけれども、じゃ、こういう公営企業に、そういうもうけ口があったからといって、それがやれるわけのものでもありませんし、実際だれがやってもむずかしいと思う。ですから調査会をつくりましても、とてもない頭をしぼったって適切な案は私は浮かんでこないと思います。しかし、調査の過程を通じてもっと賢いことが考えられるのじゃないか。質的にも優秀な事務当局がおりますけれども、まだまだ企業なんかに至っては私はそう十分な知恵はないということを自白しておるのがこの調査会をつくって意見を求めるということになっておるわけでございまして、私どもといたしまして、いまおっしゃる議論というものは、まともに受けまして、すべてもっともだと思うわけでございます。ただ一体どうするかどうするかと仰せられましても、実際私どもとしても、名案がここにありましてこうすれば的確にやれるはずだということが申し上げられない状態でございますので、――私は個人としては腹案めいたものはなくもありませんが、そういうことを発表する限りでありませんし、いましばらく時間をかしていただいて、こんなことを毎年繰り返すようなことはしないようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  194. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣の言われることはよくわかるのです。これは昨今この問題を言うたのではないのです。もう戦後から都市交通については、何か考えなければいかぬということを大阪市当局にもずいぶん言ったことがあるのです。そのときには国会に出ておりませんけれども、やはりそのときからもうすでに都市交通の問題が起こっておったのですね。しかし、戦後ですから、焼け野原だから、何とか破れたガラスの電車でも走らすことが大事ですから、市民の足ということでやっておったのだが、その間に、やはり私営交通民間交通が路線へ路線へと乗り出した。大阪はこれは相当批判があったけれども、まだ市内は独占ですよ。私鉄の乗り入れはターミナルまではやるけれども、やはり市内交通というのは市営でなければいかぬという原則はこれは守っているのですね。これに対して相当政府が圧力があったのですよ。特に運輸省あたりは民間交通からの圧迫で、一時はもうそれがくずれようとしたときでも、大阪市会ではそれはいかぬと、というのは昭和何年でしたか、戦争前です、バスが、白バスと銀バスと青バスがあった。白バスは市営で青バスは会社です。それができたときには、政治性を発揮したんでしょうが、その当時の警察部長が専務取締役になって強引につくった。戦争がだんだんと近づいてきて、採算がとれぬようになったら、やれないから市に買ってくれというのです、買収してくれとこう言うのですよ。もうからなくなったら、あんた、どうしても地方公営企業といいますか、地方団体で持たなくちゃならぬのですね。もうかる間は自分でやるのですよ。それが私は市民の足を確保できる道かどうかということで、大阪の場合はそういう苦い経験があるから絶対に、若干それはバスが多くなれば市民は便利でいいから競争させればいいという観念があっても、それはいかないということで踏み切って、いまも大阪市の市内の交通は独占というと悪いけれども、市営が単独でやっておる、それがいわゆる今日まで大阪市営の交通が何とか他都市に比較してもってきたところであるのですが、それもいかなくなってきた、もう経営がいかなくなってきた。ここにはいろいろ理由があります。タクシーがふえて交通が非常に混雑してきたということもあるし、いろいろありますが、私は交通問題は市民の側から立ってこれを解決すべきであるというのがわれわれの根本的な考え方なんです。利潤追求でやると、これは結局市民のためにならない。先ほども出ておりましたけれども、今度また再び戦争というものはないと思いますけれども、どういう事情があるかわかりません。そういうことで、私は、これはそうかといって私鉄がいかぬというわけじゃない、民間経営は民間の受け持つ範囲がある、都市交通は都市交通の受け持つ範囲がある。それは赤津さんは自民党だから、こう言うては悪いけれども、いまの自由主義経済というものは、むだな面には非常に重複投資、二重投資があって、必要な面にされないという欠陥がある。したがって、もうかるところには幾らでも投資する、いけなくなれば自然やめますけれども。もうからないところは、いまの公共性の、これは単に交通だけじゃない、ほかの公営企業もありますけれども、もうからないところは全部公営企業で持つというのが従来の考え方であり、行き方なんです。そういうものを私は財政局長が何と言われても、それが独立採算でやるのだということ自体が間違いだ、赤澤大臣言われたように、独立採算制でいけないような仕組みになっておるのだから、独立採算制でいこうと思えば、もうけるときにある程度もうけて、それが蓄積されていかなければ、これは独立採算はいかない。黒字が出るというときには、それが全部路線の拡張とか、そういうサービス方面につぎ込んでしまって、とんとんにしなくちゃいかぬ。もちろん減価償却がありますから、減価償却の見積もりによってそれを滞積するという方法はありますよ、経営上あります。そういうものは今日考えられない状態です、それを食っておる状態です、減価償却の積み立て金を食って経営しておるのですからね、現在の実情は。そういうものを私は今度の調査会根本的にやられると思いますが、それはいま赤澤大臣が言われたことで一応了承しておきましょう。しかし、それまで、いまある百何十億の赤字、また、本年出るであろう赤字、こういうものを大臣は何とかしてもらわなければ、私は交通の当事者でないから、ここで証文くれとは言いませんけれども、何とかしてもらわぬと、これはたちまち電車が動かなくなる状態ですね。これ、どうですか。
  195. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 冒頭申しましたとおりに、去年の十二月の料金ストップ後に、ストップしたことによって当然計算上出てくる四十八億円という赤字は、私は累積赤字と全然別個に考えまして、この解決は地方団体に迷惑のかからないような形にいたしたいと考えて、冒頭申しましたように、企画庁並びに大蔵省とこれから協議に入ろうとしておるところでございます。大蔵省の見解では、どうせ調査会が出発するのだから、あわせてその中へ突っ込んで検討したらいいじゃないかと言われるけれども、これは御案内のように、私はまっこうから反対をしておるわけでございまして、しかし、こういう赤字というものは、かりにその百分の一であっても、千分の一であっても、民間でやったら、電車もバスも、動くどころかたたき売って債権者にそれぞれ支払われてしまっているころでしょう。しかし、公営企業なるがゆえに、こういうとほうもない膨大な赤字があっても、まだ電車もバスも動いておる。このこと自体がふしぎといえばふしぎなんですが、なぜかといえば、これはやはり手品の中心は地方団体でして、いとも容易にまかなっているのでないことは申すまでもない、貧乏財政をやりくりいたしまして非常に苦労をしておる。やりくりをしておるところへもっていって、こういう赤字については金利がかかっていくわけですから、いても立ってもおられない気持ちになるのは私は当然なことだと思うわけでございます。この解決の過程を通じまして、やはり少なくともこういう政策面で出てきました赤字につきましては、当然それから出てくる金利などというもので地方団体などに心配をかけることは論外ですから、こういうものは何らかの方法政府のほうでめんどう見る。それから元木につきましても、われわれといたしましては、やはりいまの地方財政が窮屈になってきておりまして、どの市町村でも府県でも困っておるわけでございますので、こういう公営企業の赤字をかかえて困っておって財政のやりくりのつかぬ団体でございますから、何とかこの面につきましても負担を軽くしてやらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  196. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体きょうはこれでおきたいと思いますけれども、ぼくは赤澤自治大臣が、それが政府の全部の大臣の、あるいは池田内閣考え方であれば、それは私はそれでもう何もあと言わないですよ。残念ながら四十八億の問題でも、私はいろいろ衆議院の藤田委員長にも、わが党の華山委員からも聞いておりますから事情をよく知っております。赤津大臣はそう言われるが、政府方針は遺憾ながらそうじゃないのです。したがって、私はその点、政府の方々は何か一騒動起こさなければ認識しないんじゃないかという気持ちがあるのです。たとえば四・一七みたいなものをやると、池田さんも会おうかというようなことになって、あれをやらなければどうなっているかわからない。したがって、何か一つないといかないと思うのです。たとえば国鉄については、私予算委員会でいろいろ聞いておりますけれども、石田さんが総裁になって、あの人が民間のいわゆる経営にらつ腕をふるう人だというので来たけれども、あの人の話を聞いてみても、なかなかそうは簡単にいかない、政府から金を出してもらわなければいかないと言う。あれは四・一七じゃなしに、それもありましょうけれども、あの鶴見の事件とか、ああいう大きなものがあったということが、なくなられた人には私は非常に哀悼の意を、気の毒だけれども、あれでどうしても国鉄を何とかしなければならぬという国民の意思がそこに集まったんじゃないか、これは春秋の論法かは知りませんが、そういう気持ちがするのですよ。都市交通はいま何とか運んでおるのだ、しかも交通民間と違って労働組合法の適用がないからストライキができない、私は大都市そろって交通ストライキ三日くらいやってみたらどうだ、そうすると池田総理も、これではいかぬから何とかしなければならぬという考えを持つのではないか、いま赤澤さん御存じのように、地公労法の適用で抑えられているから、しかもまた非常に組合の方々も、市民に直結した交通機関だということで、非常に自制されていると思う。そういうことから、政府は都心交通をなめているんじゃないですか、なめるとまた自分の舌を切られることありますから、その点は十分注意してもらわなければいかぬと思うのですが、これひとつ赤澤大臣に気持ちだけお聞きして、きょうの質問を終わりたいと思います。
  197. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) あまり手荒いことをしていただかなくても私の責任において解決したいと考えてやっておるわけでございまして、ただいま申し上げたことも、さっき申しましたとおりに、経済企画庁の長官とは大体の方法並びに大体の見解等についても実は意見は一致しているわけでございまして、ですから政府が私を除く以外は反対だということではありません。ただいつも問題になりますけれども、何せ大蔵省というのはああいう方式でございますから、なかなか私どもの申しますことをまるのみにはしてもらえないわけでございます。しかし、それとて正式に田中君とやり合ったわけではありません。事務当局ではずっと積み上げていっております。今週中にも三人で会見いたしまして、最終的な結論が出るかどうかわかりませんけれども、もうこの問題も終末の段階に近づいているわけでございまして、あまり干荒いことはなるべく差し控えていただいたほうがかえっていいと思っております。
  198. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十分散会    ――――・――――