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伊藤顕道君 どうもお聞きしておっても納得いかないのですが、
歴代の
内閣が、
栄典法の必要を
国民に知悉せしめたことを事実をもって私のほうから申し上げましょう。
政府は、新
憲法の精神にそぐわない、そういうたてまえから、世襲的な
栄典であるいわゆる華族
制度をはじめとして、この前問題になった金鵄
勲章、あるいはまた従軍記章、こういうものを廃止してきたのです。そこで、新しい
日本にふさわしい
栄典制度の確立をはかるために、
栄典法案の作成と取り組んできたわけです。それを年代的に言いますと、二十三年の芦田
内閣のときに、
栄典法案を第二
国会に提出しておるわけです。この
内容は、一種五級の普通
勲章と、単級の文化
勲章、こういう
内容で提案してきておる、現実に。それから二十七年吉田
内閣のときにも、これは第十五
国会でありましたが、同じように
栄典法案を提案してきておる。それから三十年鳩山
内閣のときには、臨時
栄典制度審議会をつくって、その答申を待って
国会に
法案を提案してきた。しかし、これらは、いずれも継続
審議あるいは廃案となって終わっておるわけです。なお、石橋
内閣、岸
内閣のときにも
法案の検討をしてきたわけです。ところが、第二十六回
国会以後は、提案されないままに現在に至った。それから
池田内閣に続くわけです。
池田内閣としても、三十七年八月の
閣議で、
生存者叙勲の再開を検討するよう、当時の徳安総務長官に指示したはずです。そして、第四十三
国会への提出をめどにして立案に入ったのです。
池田内閣は、徳安総務長官に四十三
国会をめどに作業を進めるように、こういう指示があった、これは事実です。そういうような動きに対して、われわれ
社会党としては、新
憲法下にふさわしい
栄典制度にすべき旨を強調してきた、
栄典そのものに反対しておるのではない、新
憲法下にふさわしいそういう
栄典制度を確立すべきだと、こういうことを強調してきたわけです。こういうふうに代を追うてその事実を検討してみると、いずれも
栄典法案の必要を確認してきておるわけです。鳩山
内閣のときには、臨時
栄典制度審議会まで設けて答申を待っておるわけです。そして
国会へ提案してきた。その
内容は別として、そういう姿は正しいと
先ほどから申し上げておる。当然
日本の国柄からいってそうなければならない。
国会の場あるいは
審議会等によって
国民も
栄典制度に対する
発言権を持つわけです。これがほんとうに新
憲法下にふさわしい
栄典制度であるわけなんです。そういう合法的な手段
方法をかなぐり捨てて、違法な、
閣議で
政令をもってこれを決定する、そこに問題があるということです。
池田内閣になって初めて
閣議でこういう決定をしてしまったわけです。いま申し上げたように、
歴代の
内閣はそれぞれ提案しておるわけです。また、提案の準備を進めてきたわけです。
池田内閣それ自体も、四十三
国会を目標に作業を進めるよう当時の徳安総務長官に指示しておるわけです。ところが、
先ほどの御質問にこれがつながるわけですが、どうも世論の反撃が相当強い、
社会党もなかなか、人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらない、こういうたてまえから、昔のままの
栄典制度には反対してきたわけです。そういうことから、どうも
国会では通りそうもない、このままではいつになっても成立を期しがたい、こういうことで安易な
方法をとって、いわゆる
閣議で決定してしまった、これが真相だ。このことに対して間違っているという何か反証でもありますか。私のいまの
発言に対して、それは間違っておる、そういう指摘ができますか、この点を明らかにしていただきたい。