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1964-05-07 第46回国会 参議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月七日(木曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————   委員異動  五月六日   辞任      補欠選任    宮澤 喜一君  石原幹市郎君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            下村  定君            林田 正治君            伊藤 顕道君            鶴園 哲夫君    委員            源田  実君            小柳 牧衞君            村山 道雄君            千葉  信君            山木伊三郎君            鬼木 勝利君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君    国 務 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    内閣法制次長  高辻 正巳君    総理府総務長官 野田 武夫君    内閣総理大臣官    房賞勲部長   岩倉 規夫君    宮内庁次長   瓜生 順良君    運輸大臣官房長 佐藤 光夫君    運輸省港湾局長 比田  正君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    運輸省航空局総    務課長     紅村  武君   —————————————   本日の会議に付した案件国事行為臨時代行に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員に対する寒冷地手当、石  炭手当及び薪炭手当の支給に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告をいたします。昨六日、宮澤喜一君が委員を辞任され、その補欠として石原幹市郎君が委員に選任されました。
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 国事行為臨時代行に関する法律案を議題とし、前回に引き続きこれより質疑を行ないます。  政府側から野田総務長官瓜生宮内庁次長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて二、三お伺いしたいと思いますが、新憲法施行になってから大体二十年ぐらい現在経過しておりますが、その間臨時代行はなかったように記憶しておるわけですが、別段支障はなかったのか、それとも何らかの支障があったのかどうか、こういう問題ですね。それからその間、天皇海外旅行も起こらなかったのかどうか、そういう海外旅行という問題が起きたこともあったのかなかったのか、こういうことについてお伺いしたいと思います。
  5. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 新憲法施行後、特にいまこの法案で予定をされるような臨時代行をお願いしなければいけないというような特別な場合は起きておりません。幸いにして天皇陛下はお元気で、そう長い間わずらわれるということもありません。たまにはちょっとかぜを引かれたということはございますけれども、特に支障はなかったわけでございます。それから外国の御旅行のことは、これは外国から元首の方が見えた場合に、できれば天皇陛下自分の国に来ていただきたいというような招待はございましたけれども、しかし、その場合に、天皇陛下としては出にくいから皇太子名代として訪問させますからというようなことでいままで参っておったのでございます。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 以前は航空機等交通機関があまり発達してなかった。いまのようなスピード化考えられなかったわけです。そこでいざ外遊ということになると、相当長期間のいわゆる御不在ということが当然出てくるわけです。そういう問題が主となって外遊なされなかったのかどうか。この辺について明らかにしていただきたい。
  7. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この航空機が発達いたしておりまするし、通信も発達しており策するから、以前とほ事情は違いますが、しかし、皇太子殿下が御名代おいでになる場合の例を考えてみましても、長いときには二十数日、一つの国に一週間ぐらいずついて、三、四カ国訪問されておると二十数日になっております。一国の場合ですとまあ一遍間ぐらいでございますけれども、そのときもし天皇陛下お出かけだったとすれば、あるいは法律とか政令公布というような場合も、お帰りを待つか、あるいはさらにまた、だれか飛行機で飛んでいって、その署名をいただくとか、あるいは人事の認証——認証官、あるいは大公使認証外交文書認証というものもその間お帰りを待てば仕事が停滞しますし、また、わざわざ持っていくとするならば、相当遠いところに行っておられればそれにしてもある程度停滞するというような事態は予想はされたわけであります。したがって、実際問題として御旅行になることは国政の運行にはやはり不便がそこに生じたということは予想されます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 天皇外遊については日本始まって以来いまだかってなかったように思うのですが、外遊について天皇のお考えは一体どうなのか。そして宮内庁としてのお考えはどうか。また、政府としてはどのようにお考えか。それぞれ承りたいと思います。
  9. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 日本ではいまおっしゃるように、天皇として外遊をされたことはないわけでありますが、で、今後の場合を考えました場合ですが、やはり天皇陛下としては普通の状態では国内にとどまっておられて、皇太子殿下を御名代として元首の訪問に対する答礼などはなさるいままでの行き方を踏襲されるのではないかと想像はいたしております。しかしながら、格別の場合があって、やはり天皇陛下お出かけになったほうがいいという場合もないとは甘えないかと思います。これは格別の場合でございますが、そういうこともありまするので、憲法第四条第二項にそういうような場合も予想して、法律によって定めて委任ができるというような規定がありまするから、やはり憲法のそういう規定並びにそれを尊重して、そういう制度はやはり将来のために設けておいたほうがいいというふうに考えております。
  10. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) いま瓜生次長からお答えいたしましたように、特別従来の、何といいますか、天皇外遊が変わった事態に行なわれるということは私ども予想いたしておりません。しかし、やはり特殊の場合が起こる、あるいは、これは一般的の意見でございますが、つまり人間天皇として天皇自身の心持ちということもやはり尊重すべきだと思います。そういうことはまあ今日は何にも起こっておりませんが、各般のことを想像いたしますと、必ずしも天皇陛下外遊なさらないという、すべてのことを行ならのにそういう前提のもとにおいて天皇外遊問題を考えることはどうかと思っておりますし、その意味からいたしましても、やはり憲法臨時代行ができるということになっておりまするから、この際やはりそういういろいろな場合を想像いたしまして、憲法上許されている臨時代行法律で定めたほうが最もいいんじゃないかと、こういう考え方を持っております。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の夏、読売新聞の記者が直接陛下にこの旅行のことでお伺いしたところ、政治向きのことなので政府にまかせてある、こういうふうにお答えになったそうです。重ねてお伺いしたところ、できればね、とおっしゃった。こういうことから拝察すると、やはり相当希望されておるのではなかろうか。このことについて、いまも一部御説明がございましたが、このことにしぼって政府としてのお考えを伺いたい。
  12. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 天皇陛下外遊という問題は、やはり天皇憲法上の地位にかんがみまして、大きな外交上、政治上に影響を持つことは、これはもう常識だと思っております。そこで、いま瓜生次長からも申しましたし、また、私も答えましたとおり、やはりこれは容易に外遊が行なわれるということは、必要の場合は皇太子代理とするとか、その他の方法がございますので、実現はなかなか困難だと思いますが、私は先ほど触れましたとおり、天皇憲法上の地位政治的な意味のほかに、やはり人間天皇として私ども相当これを考慮すべきではないかという点も考えております。しかし、そうかと申しまして、天皇外遊なさいます場合に、やはり天皇のお立場から考えて、なかなかそこの何と申しますか、政治的な外交的な影響というものがございますので、直ちに私、この場合政府としてはこういたしますというお答えは、明らかなお答えは、なかなか率直に申しますとしにくいのでございますが、しかし、そういうことも将来やはり考えて、天皇地位、それから天皇自身のこともいろいろなことを想定して考えるのが当然じゃないか。したがって、いま陛下外遊したいというお気持ちがかりにあるといたしまして、今日そういうことを承っておりませんから、いま何も具体的なことではございませんが、そういう場合は、やはり各般のことを勘案いたしまして、これはきわめて国際的な影響力を持つだけに慎重に政府としての意見も申し上げなくちゃならぬと思いますが、しかし、私は繰り返して申しますとおり、現在どうということでなくても、将来天皇陛下としての日本憲法上の地位人間天皇のお立場というものを、やはり心のどこかのかまえの中に置かなくちゃならぬという考え方はいたしております。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 戦後、陛下の来訪を望んできた国はあったのかどうか。もしあったとすれば、どのような国があったのか。そういう点についてお伺いします。
  14. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 戦後、外国から天皇陛下おいでいただきたいというようなことを言ってきていますところは、たとえばインドですとかイラン、エチオピア、パキスタン、それからインドネシアですとか、フィリピンでしたか、皇太子殿下が御名代おいでになったところは、先方としては一応天皇陛下をお招きしている。しかし、事情があって皇太子殿下が御名代で行かれた、こういうふうになっております。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、臨時代行が置かれた場合、憲法第七条の十項目のいわゆる国事行為のすべてが代行されるのか。それともそのうちの一部が代行されるのか。こういう問題について。
  16. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは十号の全部が代行される場合が多いと思います。しかし、一部の場合もあると思います。普通、まあ外国にでも御旅行になるような場合ですと、全部だろうと思います。しかし、おからだの故障の場合ですと、一部ということもあるのじゃないかと想像いたします。と申しますのは、いろいろな、大公使の接受とか、「儀式を行ふこと。」というのは、陛下自体がからだを運んでなさらないとできないことでございますけれども、署名の関係などでありますと、なされる。たとえば足が非常にぐあいがお悪いというような場合、大公使接遇、直接会ってなさることはできないとしましても、——そういう場合がありますと、その部分はできない。しかし、法律政令公布とかあるいはいろいろな認証の場合には、そういうのはお部屋でなされるということもあるわけですから、そろいう場合も、ですから、あるのじゃないかというふうには思います。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この臨時代理行為は儀礼的なものはあまり問題ないと思いますけれども、条約の公布とかあるいは衆議院の解散、こういう重要案件に関してはいろいろと問題があろうと思いますが、そのことに関するお考えはどうでしょうか。
  18. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その問題につままして、その場合に、陛下が相当御病気が重い。御署名やなんかなさるのも無理だというような場合、たとえばさっき申しました御旅行などで御不在の場合、そういう場合には、この法律に基づきまして「委任による臨時代行」ということで、摂政の順位ですから、普通ですと皇太子殿下がかわってされるということになるわけです。しかし、これはあくまでも内閣助言承認によるわけでございますから、その点は、内閣責任においてなされるということでございます。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 憲法第五条によると、「摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。」ということが明記されておるわけですが、本法案による代行は、やはり天皇の名において行なわれるのかどうか。この点を明らかにしていただきたいと思います。
  20. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この場合もやはり天皇の名においてされるのであります。たとえば、ですから、法律公布のような場合に、法律公布には御名御璽というときがありますけれども、御名御璽で、しかし臨時代行の人がまたもう一つそこへ署名される、ということになるわけでございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、天皇に対する訴追の問題ですが、これには制限規定がどこにも見当たらないようであります。この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  22. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは天皇につきましては訴追を受けないというようなことは、特別の規定はございませんが、皇室典範摂政の二十一条「摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。」というのがございまして、天皇の場合は、当然そういうことから考えても訴追はされないという解釈でございます。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 天皇行為の中には、この前言った憲法上の公的、私的、いろいろあるわけですが、その公的行為については内閣責任があろうと思うのですが、これは政府のお考えはどうでしょうか。
  24. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) もちろん国事行為内閣助言承認によって行なわれることでございますので、内閣責任と……。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、国事行為一つである栄典授与について、問題をしぼって二、三お伺いしたいのですが、最近の政府の措置を見ていると、この栄典授与に関して、不当な助言承認を与えるのではなかろうかと憂慮される向きがあるわけです。そういう観点から、以下二、三お伺いしたいのです。  最近、子供たちの間で胸や腕に、例のワッペンというのですか、ワッペンというブームが非常に子供たちの間にはやっている。盛んに胸とか、腕に飾っているわけです。これに相対応して、今度は生存者叙勲政府が先に立って勲章ブームをいま起こしているわけです。これは勲章というのは、英語で言えば、言うまでもなくデコレーションですから、これは飾りものというわけです。  そこでお伺いするわけですが、この飾りを内閣論功行賞用にいま利用しようとしているわけですが、こういうことは、根本的に考えると、どうも行き過ぎではなかろうか、こういうふうに考えられるわけです、われわれには。この点どうですか、政府のお考えは。
  26. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 現在も栄典制度というものは、新憲法においても残っております。現存している栄典制度というものを、どうこれを行なうかということは、御承知のとおり、終戦後一時生存者叙勲閣議でもって停止しておりました。その後、昨年七月の閣議において、生存者に対する叙勲も行なうという閣議決定をいたしました。したがって、ただいま勲章はまあ飾りものだというおことばでございましたが、つまり叙勲というものは、その栄典は特に新しい観点に立ちまして、政府叙勲基準をきめました。それはあくまでも国家または公共に功労のあった方に対して叙勲を行なう、こういうことでございまして、ただいたずらに飾りものをだれでもくっつけてあげるんだというようなことでなくて、きわめてこれは、この叙勲といろものは厳粛に行なうべきものでございます。したがって、今回の国事行為としての陛下栄典に関することにつきましても、これがいわゆる基本的に国家並びに公共に対しての功績のあった方、これを基準として、そうして叙勲を行なうことでございまして、決してこれがみだりに行なわれるとか、あるいは何らか政治的意図のもとにこれを行なうなんということは断じて政府考えておりません。今回の生存者叙勲もこの四月二十九日付で行なったのでございますが、その内容をごらん願うとわかりますが、いわゆる政治的な特別な作為を持ってやったとか、また、何らかほかに特別の意思を持って行なったとかというものではなく、非常にこれらにつきましては政府は慎重を期しまして、公正無私、何事からもこれをお示しがありましても、そのいわゆる叙勲の対象とした人物につきましてはあくまでも公正を期したつもりでおります。したがって、内閣のいわゆる助言承認によってこの陛下国事行為が行なわれたのでありますが、政府といたしましてはいま申し上げたとおり、きわめて厳粛に、しかも公正に行なったのでございますから、そういう一部の方の、そういういろいろの何と申しますか、いろいろのお考えが出てまいりましてもそれは何かの誤解であって、政府としては、いま申し上げましたような態度を持って今回の叙勲に臨んだ次第でございます。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政府は一ころは栄典法案を出すんだといって、われわれ社会党もしばしば協力方を働きかけられてきたわけです。これはもう現実にそうであるわけです。その内容の可否は別として、法律をつくってこれを基準にすると、そういう考え方はまことに正しいと思うんです。そうでなければいかぬと思うんです。ところが、その正しい考え方がいつの間にか変えられてしまって、昨年の七月十二日ですか、国会終了の直後、内閣改造の直前をねらって、あたかもこそどろみたいな形で閣議で決定してしまったわけです。それで生存者叙勲が復活したわけですが、これはまことに不合理きわまることですが、かつて先ほども申し上げたように、法律をつくってこれを基準にするという、これはかくしなければならないと思うんですが、どうしてそれが閣議でよろしいというふうにきまってしまったのか、相当飛躍しておるようですが、これは現代の池田内閣だけでなく、先ほども申し上げたように、歴代内閣がしばしば法律案を出そうとしたわけです、また、その準備をしたわけです。その法律によって基準をつくる、これはまあ当然そうなければならぬと思うわけです。ところが、いつの間にか閣議で決定して生存者叙勲を強行してしまったわけです。これはどうおっしゃろうともきわめて不合理であろうと思うのですが、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  28. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 過去の幾つかの内閣が新しい栄典制度をつくるという意思があって、この問題が国会でも取り上げられたことも十分存じております。また、いまお説のとおり、新しい栄典制度をつくるということも私はやはりいわゆる考え方一つとしてはこれも一つの正しい考え方だと思っております。しかし、現に日本におきましては、古い栄典制度が新憲法下におきましても生きておりますし、この栄典制度をどう取り扱うということは、これはいまのお話のように、新栄典制度法律によってつくるということも一つ方法でありますので、いろいろこれらにつきまして政府といたしましてもその対策を考えておるのでございますが、御承知でございましょうが、すでに今日までになくなられた方また危篤の方、これらに対して、また非常の場合、たとえば火災の中に自分の生命を顧みず人命を助けたとか、その他緊急の場合にいろいろの公共のためにお尽くしになった方、こういう方々に、すでにもう今日まで一万数千の叙勲が行なわれております。また、外国元首その他の外国の方にも千何百の叙勲が行なわれておる。しかもこれは終戦歴代内閣がおやりになったことでございまして、まあ今日まで、新栄典制度ができない前に、いま残っておりますところのいわゆる栄典制度で今日まで多く行なわれておりますことにかんがみまして、また生存者叙勲というものは、これは栄典制度がある以上は、これは実際は生存者叙勲というものが、まあ本筋と申しますか、基本的な問題でございまして、これを現在まで一万数千の叙勲をしながら、なおかつ、この栄典制度がありながら生存者叙勲ができないということは少し不合理だ、こういうことにかんがみまして、新栄典制度をつくるかつくらぬかといろ考えのもとに、しかし、従来行なわれておる一万数千のこの叙勲の実績も考えまして、この際やはり旧栄典制度を活用したがいい、こういうところに政府態度をきめまして、そうして昨年の七月の閣議において実施することにきまったのでございます。したがって、いまの御意見のように、新しい栄典制度をつくるのも一つ方法である、これはよくわかっております。しかし、旧栄典制度を実施することも何ら憲法上異議もない。また、いままでの、いま繰り返して申しましたとおり、終戦後多数の叙勲を行なっておりますことからいたしまして、つまりもう今日の事態におきましては、生存者叙勲を行なうことが栄典制度の活用上当然である、こういう考えを持ちまして、今回昨年の閣議に基づきまして叙勲を行なったのでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この勲章に関する限り国民は全くつんぼさじきに置かれておるわけです。日本の国柄からいってはたしてこれでよいのかどうか、こういう問題が出てくるわけで、栄典制度の確立について国民はどういう形で発言権を持つのか。国会でも審議することがない、審議会も持たれない、一体国民はどういうところで発言権を持つのか、こういう点は相当問題はあろうと思うんですけれども、その点はいかがでしょう。
  30. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 栄典は、特にいわゆる叙勲というものは、旧憲法におきましては天皇大権事項でございました。新憲法におきましては、つまり天皇内閣助言承認に基づいて国事行為一つとしてこの栄典を行なわれると、こういうことでございまして、叙勲というものにつきましては政府が全責任を持って行のうことでございます。したがって、新憲法に基づきまして、政府はその責任に基づきまして今度の叙勲を行なったのでございまして、これは責任体制といたしまして、政府が全責任を負うてこれを行なうことが妥当であろうと、こういう考えのもとに今回のようなつまり叙勲を行なった次第でございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このような国の重要な案件ですから、やはり法案として国会へまず出さなきゃいかぬと思うんです。そうして成立の上は内閣がこれを助言承認して天皇国事行為として行なわれるという形が正しいと思うんです。これは当然そうなければいかぬと思うんです。この点をいま一度明らかにしていただきたい。
  32. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) ただいまの御意見も、私が先ほど申しましたとおり、新栄典制度をつくります上におきましては一つ方法だと思っております。しかし、現在の栄典制度並びに陛下国事行為として政府が全責任をもってこれに当たるという新しい憲法のもとにおきましては、今度行ないました政府態度は私は妥当だと。しかしながら、いまの御意見も十分尊重すべき御意見でございまして、国会審議に基づいて新しい栄典制度をつくるということになりますれば、もう当然のことでございます。しかし、繰り返して申します。今回の政府の行ないました叙勲というものは、これは新憲法下におきましても妥当だと、こう考えております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういうことになると、栄典法案は必要でない、政令で十分だと、そういうお考えであるならば、いままでしばしば栄典法案を出してきたわけです。そして、われわれ社会党にも協力方を要請してきたわけなんです。そこのところがおかしいじゃないですか。初めは栄典法案として準備してきたわけです。そして、われわれにも協力方を要請してきた。ところが、先ほどお伺いしたように、昨年の七月ああいう時期をねらって政令閣議で決定してしまった。どうも筋が通らぬと思うんですが、どうですか。
  34. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 先ほど申しましたとおり、新栄典制度をここで立てるという場合に、私はやはり一つ考え方であるし、またそれが実施されることも、私は栄典制度そのものから考えまして、やはり一つの何と申しますか、新栄典制度をつくるという前提のもとにはもちろん正しい御意見だと思っております。しかし、御承知のとおり、新憲法におきましても、旧栄典制度は残っておりますのと、従来この生存者叙勲を一時停止いたしましたのは、閣議によって停止しております。その他叙勲につきましては、昨年七月の閣議決定までに二度もやはり閣議で方針を立てております。したがって、昨年の七月の閣議決定によって今回の叙勲が行なわれたということは、これは何ら差しつかえないことではないかと、こう思っております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは私のほうから真相を申し上げましょう。こういうことだと思う。最初は、政府栄典法案を出してきた、これは御承知のとおり、そしてわれわれにも協力方を要請してきた。ところが案外世論の反撃が強かったということと、われわれの要求はなかなかのめない。こういうことでどうも法案をせっかく出しても国会では成立しそうもない、こういうことで閣議決定というきわめて卑劣な考え方から、その態度を変えてきてしまった。そうだとすると、これはまことに国会軽視で、日本無視もはなはだしいと思う。これこそ行政権の乱用であり、憲法違反の疑いもここに出てくると思うのです。これが真相じゃないですか。初めは法案を出してきたのでしょう、現実に。われわれにもしばしば協力方を要請してきた、これが現実です。これは否定できない。ところが、どうも国会で成立しそうもない。そういう展望から、こういう卑劣な態度に変わってきた。これが真相じゃないかと思う。いままでいろいろ御都合のいい御答弁をなさってきましたけれども、これがどうも真相のようです。現実にしばしば法案を出してきて、われわれにも協力方を要請してきた。これは否定できないでしょう、しばしばそういう現実があったんだから。しかし、閣議決定に踏み切ったのは、どうも国会では成立しそうもない、なかなかこれでは成立ができない、こういうことで閣議決定という形をとってしまった。こういうふうに率直に、正直に御答弁できませんか。これが真相でしょう、おそらく。この点いかがですか。
  36. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) さきに政府が新栄典制度に対する法律案を出したことは、もちろん御承知のとおりであります。その後の経緯を見まして、やはり政府はそのときの政府考え方によりまして、いわゆる栄典制度というものに対する態度というものを、池田内閣におきましては、新栄典制度ができるということもけっこうなことであるけれども、一面いま申しましたとおり戦後叙勲の経過を見ても、すでに一万数千も叙勲が行なわれている。しかも歴代内閣がこれを実施している。したがって、必ずしも新栄典制度をつくらなくても、現在新憲法にもあるところの栄典制度を活用して、そしてこれを内閣責任において実施するということが妥当である。こういう見解に基づきましたのでございまして、今日までほとんど全部終戦後何らの叙勲も行なわれずに突然今回の閣議決定で行なったものでございませんで、すでにもう多数の叙勲が行なわれ、したがって、国民の気持ちも、漸次現在現存いたしております栄典制度に親しみを感じ、また、その叙勲が今日まで、大体国民の、何といいますか、ことさらの批判もなく、いままで行ないました叙勲に対しての国民の気持ちというものを見ました場合、この際、やはり従来行なった閣議の決定と同様に、閣議決定において他存者叙勲を行なうことが妥当である。こういう見解に立ったものでございまして、必ずしも現政府国会を軽視するとか、あるいはその新栄典制度でなくちゃならぬという考えを持っていなかったのでございまするから、今回の叙勲の実施となったわけでございまして、繰り返して申しますが、決して、国会を軽視するというような考え方は、毛頭なかったということを申し上げておきます。
  37. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま長官の話を伺っても、どうもはっきりわからないのですけれどもね。一万数千名叙勲をしている。それは栄典法を出されたときにもそうなんですよ。栄典法がだめになってしまって、まあ成立しない。その後一万数千名の叙勲が行なわれたのじゃなくて、栄典制度栄典法を出したときには、すでに一万数千名の叙勲は行なわれていた。そういう中で栄典法というものを出されたわけですね。それが同じ池田さんの内閣でころっと変わってしまったわけですね。その理由を聞いておるわけです。前からずっとあったのですよ、一万数千名は。ころっと変わった理由を聞いている。伊藤委員の言われたのは、そうじゃないですか。ころっと変わった理由を聞いているわけです。
  38. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 先ほども申しましたとおり、新栄典制度ができ上がるということも非常にけっこうなことだから、まあ数の問題をここでかれこれ論議してもなんですが、一万数千となりますと、もう法案を出された——池田内閣法案を出しておりません。したがって、数年前でございますから、だいぶ叙勲の対象も違っておりますが、それは論外といたしまして、池田内閣といたしましても、新栄典法によるか、あるいは従来の栄典制度を活用するかということにつきましては、非常に慎重に考慮いたしたわけでございます。しかし、結果におきまして、池田内閣は新栄典制度法案を出しませんでした。結論においては、やはり従来の栄典制度を実施したほうがよろしい。そうするにはどうすればいいかということは、これは先ほど申し上げましたとおり、生存者叙勲の一時停止は閣議で行なっておりまするから、また閣議をもって先存者叙勲の道を開く、こういうわけでありまして、その問いまお話のとおり、新栄典制度をこれをこの際新たにつくるということも、一つのいい考え方であるということは考えたようでございます。しかし、最後に踏み切りましてこの法案を出すに至らなかった。そこでどうしても栄典制度は、これは今日の政治的、社会的すべての外国の慣行等を考え永して、どうしても実施しなければいかぬということで、池田内閣といたしましては、法案を出さずに、新栄典法の法案を出さずに旧栄典制度を活用するという方向にきまりまして、今回の処置に出た次第でございます。
  39. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 池田内閣のときに栄典法を出さなかったというのは、どういうことですか。
  40. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) これは当時池田内閣もいま申しました新栄典制度をつくりたいという考え方もあったのは事実でございます。いろいろ話し合いをいたしておりましたが、結局池田内閣法案を出してない。私は間違ったらまた取り消しますが、私はそう聞いております。
  41. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あれは池田内閣のときに、あの法案の自社両党の話し合いがだいぶ進んでおったのですよ。出さなかったのですか。
  42. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 出さなかった。話し合いは、この間いろいろやっておったようですが。
  43. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこのところがはっきりしないですね。
  44. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) いま正確な何を申し上げますからちょっとお待ちください。
  45. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それにしましても、いま長官の答弁にもありましたように、やはり新憲法のもとにふさわしい栄典制度をつくるということですね、栄典法というものをつくる、これは一つのたてまえだと思うのですよ。しかしながら、現実の問題としてその考え方というものは、たびたび法案として出たけれども、なかなかまだまだ全体としての意見の一致を見るに至らなかった。しかし、政府としては、できるだけ全体の一致をもって、栄典制度でもあるからつくりたい、こういうことだと思うのですよ。ところが、突然閣議決定というようなことで生存者にも叙勲する、私はああいろ時期に、ことしを見通して去年の七月にああいうような決定をされたということは、非常に私は不愉快なわけですよ。新聞の記事は出ておりましたけれども、池田さんが吉田茂さんの御生存中に大勲位をやりたいというような考えを持っておる話も出てくる、そんなものじゃないですか、腹は。それじゃ私は閣議全体の栄典制度としては、はなはだしく見識を欠いているというふうに思うのですけれども、どういうふうにお考えですか、長官は。
  46. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) いまの新栄典制度をつくることが、できますということは、先ほど申しましたとおり、これも十分、正しい考え方だ、一つ考え方だと思っております。しかし、いまお話の、ある個人のために、池田総理が急いで閣議決定したという、かりにうわさがありますれば、これは非常に間違いでございまして、申すまでもなく、御承知のように、終戦後二十年、すべてが国際的な関連をもって、政治外交、経済、また社会問題、これがほとんど国際的に動いております。そういたしました場合には、やはり国際上の儀礼もありますし、また、その他のこともございまして、諸外国全部、勲章をやらない国もありますけれども、ほとんどまあ日本外国の、いろんな折衝いたしております国々は、勲章制度がありまして、いろんなことからいたしまして、先ほど申しましたとおり、外国元首その他のお客様があった場合には、これはやはり国際慣例上勲章を差し上げるということがございまして、どうしても今日の場合は、生存者叙勲を行なうことが妥当である、また、それが必要である、こういうことも考えたのでございまして、いろいろ世間でうわさはあるかもしれませんが、まあ理由といたしましては、そういう理由でございまして、何らそういう個人関係とか、また自分のかってな、何と申しますか、考え方からこういうものを閣議できめたというのではございませんで、池田内閣も慎重にこの問題と取り組みまして、どうすべきかということを検討いたしました結果、結論は、やはり今日の時点においては、旧栄典制度を活用するほうがふさわしいんだ、そのほうがいいんだと、こういうことに踏み切りまして、今回の措置に出た次第でございます。
  47. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま長官が、外国の例とか、あるいはいろいろお話がありましたですけれども、やはり国民の新しい憲法の中でふさわしい栄典制度というもの、そういうものがあってもいいということはわかるのです。また、それも一つのいい方法だというお考えは。それをやらなくて、突然ああいうふうにやられたという理由は何かと、こう伺っているのですがね、過去の経緯だとか、あるいは諸外国の例だとかというようなことは、これは従来からどこも変わっていないのですから、変わったのは池田内閣が突如として閣議決定したわけです。これはずっと出ておるのですから、私にはそこのところがちょっと理解がいかないわけです。だから政府としましても、あるいは長官のお話の節々にもうかがわれるのですけれども、やはり憲法にふさわしい栄典制度というものを、あるいは国民全体が支持するような栄典制度というものが望ましいんだ、しかしながらという話に聞こえるわけです。そうですか。私はそういうふうに聞こえるわけです。
  48. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 私が申し上げましたのは、つまり新栄典制度をつくることも一つ方法であるということでございます。しかし、現憲法下にあります旧栄典制度を活用することも一つ方法、そこで、歴代内閣栄典制度につきましての考え方は、ただいま御質問がありましたとおり、芦田内閣、吉田内閣、鳩山内閣は、新栄典制度をつくるということに踏み切りまして国会に出しております。しかし、池田内閣では、やはりこの問題を、新しい栄典制度をつくるという考え方と、旧栄典制度が現存しておるから、これを活用する、どうするか、どちらがいいかというので、池田内閣といたしましては、現在あります栄典制度を活用したほうが妥当だと、こういう、いわゆる池田内閣責任において結論を得まして、今回の措置に出たわけでございます。私はどちらがいいか、悪いかということは、これはいろいろ御批判がございましょうが、先ほど申しますとおり、やはり新栄典法をつくるならつくるということも一つ方法である。しかし、現在の栄典制度が生きておりますから、これを活用することも一つ方法である。池田内閣は、今度、現在の栄典制度を活用しょうということに内閣で決定いたしまして、その方針に基づいて今回の措置をとった次第でございます。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうもお聞きしておっても納得いかないのですが、歴代内閣が、栄典法の必要を国民に知悉せしめたことを事実をもって私のほうから申し上げましょう。  政府は、新憲法の精神にそぐわない、そういうたてまえから、世襲的な栄典であるいわゆる華族制度をはじめとして、この前問題になった金鵄勲章、あるいはまた従軍記章、こういうものを廃止してきたのです。そこで、新しい日本にふさわしい栄典制度の確立をはかるために、栄典法案の作成と取り組んできたわけです。それを年代的に言いますと、二十三年の芦田内閣のときに、栄典法案を第二国会に提出しておるわけです。この内容は、一種五級の普通勲章と、単級の文化勲章、こういう内容で提案してきておる、現実に。それから二十七年吉田内閣のときにも、これは第十五国会でありましたが、同じように栄典法案を提案してきておる。それから三十年鳩山内閣のときには、臨時栄典制度審議会をつくって、その答申を待って国会法案を提案してきた。しかし、これらは、いずれも継続審議あるいは廃案となって終わっておるわけです。なお、石橋内閣、岸内閣のときにも法案の検討をしてきたわけです。ところが、第二十六回国会以後は、提案されないままに現在に至った。それから池田内閣に続くわけです。池田内閣としても、三十七年八月の閣議で、生存者叙勲の再開を検討するよう、当時の徳安総務長官に指示したはずです。そして、第四十三国会への提出をめどにして立案に入ったのです。池田内閣は、徳安総務長官に四十三国会をめどに作業を進めるように、こういう指示があった、これは事実です。そういうような動きに対して、われわれ社会党としては、新憲法下にふさわしい栄典制度にすべき旨を強調してきた、栄典そのものに反対しておるのではない、新憲法下にふさわしいそういう栄典制度を確立すべきだと、こういうことを強調してきたわけです。こういうふうに代を追うてその事実を検討してみると、いずれも栄典法案の必要を確認してきておるわけです。鳩山内閣のときには、臨時栄典制度審議会まで設けて答申を待っておるわけです。そして国会へ提案してきた。その内容は別として、そういう姿は正しいと先ほどから申し上げておる。当然日本の国柄からいってそうなければならない。国会の場あるいは審議会等によって国民栄典制度に対する発言権を持つわけです。これがほんとうに新憲法下にふさわしい栄典制度であるわけなんです。そういう合法的な手段方法をかなぐり捨てて、違法な、閣議政令をもってこれを決定する、そこに問題があるということです。池田内閣になって初めて閣議でこういう決定をしてしまったわけです。いま申し上げたように、歴代内閣はそれぞれ提案しておるわけです。また、提案の準備を進めてきたわけです。池田内閣それ自体も、四十三国会を目標に作業を進めるよう当時の徳安総務長官に指示しておるわけです。ところが、先ほどの御質問にこれがつながるわけですが、どうも世論の反撃が相当強い、社会党もなかなか、人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらない、こういうたてまえから、昔のままの栄典制度には反対してきたわけです。そういうことから、どうも国会では通りそうもない、このままではいつになっても成立を期しがたい、こういうことで安易な方法をとって、いわゆる閣議で決定してしまった、これが真相だ。このことに対して間違っているという何か反証でもありますか。私のいまの発言に対して、それは間違っておる、そういう指摘ができますか、この点を明らかにしていただきたい。
  50. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) いまお話の芦田内閣、吉田内閣、鳩山内閣、これは提案しておりますことは御指摘のとおりであります。また、繰り返し申し上げておりますが、この芦田内閣、吉田内閣、鳩山内閣は、ともに新栄典制度をつくる、こういうことでございますから、これはもう当然その方法といたしまして法律によることはあたりまえのことであります。また、これも私個人として考えましても一つ方法だ、これは先ほど申し上げたとおりで、決して間違った考え方ではございません。しかし、いまお話の中で、池田内閣が新栄典制度法案を出すために徳安総務長官に対して検討を命じたということでございましたが、私の承知しておるところによりますと、三十七年の八月の末の閣議で、徳安総務長官に対して生存者叙勲をどうしても行なう事態に来ておるから、これをどういう方法によって生存者叙勲を開始するか、検討をするように命じられた、指示を受けたということは聞いております。必ずしもこれが法案を用意せよということではなかったということを聞いております。そこで私は先ほど申しますとおり、内閣責任者といたしましては、新しい栄典制度を立てるという考え方、いろいろ検討いたしました結果、新憲法下にある旧栄典制度を活用したがいいんだという見解に到達いたしました結果、今回の措置になったものでございまして、やはりそれは内閣責任において措置をするという憲法上の条規に基づきまして行ないましたことでございまして、いまいろいろの御意見がございましたが、池田内閣が今日の叙勲に踏み切りましたのは、最初から、新しい法案をつくるか、または現制度を活用するかということの検討をいたしたのは事実でございます。新しい法案を用意するという前提のもとに検討を命じたものではないということに私承知いたしております。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 三十七年の八月の閣議で徳安総務長官に、四十三国会への提出をめどにして検討するように、こういうようにわれわれは理解しております。いまの答弁を聞いていると、必ずしも国会法案として出すための検討ではない。ここの点に大きな食い違いがあるわけです。また、そこに大事な問題があるわけですが、これはさらに確認することによってわれわれはそれを確かめることができるわけですが、ここで総務長官は責任を持ってそういうことが言えますか。われわれは、四十三国会をめどにして法案の検討を徳安総務長官に指示している、こういうふうに受けとめているわけです。そこのところが、いま長官のお答えによると、必ずしもというのがつくわけです。だいぶそれで態度が違ってくるわけです。この点をもう一度責任を持ってお答えいただきたい。
  52. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 三十七年の八月末の閣議生存者叙勲につきまして、閣議の結論といたしましては、徳安総務長官に対して生存者叙勲について検討をせよという指示が出ているのでございます。したがって、徳安総務長官といたしましては、検討の内容といたしましては、新しい法案を出すか、または従来の旧栄典制度を活用するということに対しての検討をいたしたわけでございまして、新しい法案を出す用意をせよという閣議の決定ではないのでございます。しかし、もちろん生存者紋勲についての検討でございますから、その内容といたしましては、徳安長官といたしましてもどの道を選ぶかということは考えたかと、これは私の想像でございます。しかし、事実は別に新しい法案を用意せいという指令は出ておりません。したがって、徳安総務長官の総理に対する回答といたしまして、その与えられた指示に対しての答えは、現栄典制度を活用するという結論で総理大臣に対してお答えしている、こう聞いております。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこのところいま一度伺いますが、四十三国会をめどに徳安総務長官に指示した、こういうふうにわれわれは受けとめているわけです。四十三国会をめどにということは、その中に法案云々の字がなくても、国会をめどにというのであるならば、当然法案の検討ということになろうと思うのです。そこのところはどうも受けとめ方が違うのですが、いま一度。
  54. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) つまり先ほど申しましたとおり、三十七年の八月の末の閣議におきましては、生存者叙勲について検討せよ。そこで私はこれを、その話を聞いておりますが、それはちょうど伊藤さんのお話のように、徳安長官としては、従来芦田内閣その他がやっておりました新栄典法でこれを行なうか、または現在の栄典制度を活用するかということが徳安君自身の指示された内容でございまして、その結論といたしまして徳安長官といたしましては、現栄典制度を活用するという報告をしたと聞いております。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、この問題は押し問答になりますから、さらに私のほうでも事実をさらに確認した上で再度お伺いをしたいと思います。そこで課題としておきます。  そこで、先ほど来お伺いしておるように、芦田、吉田、鳩山各内閣においては、現実に栄典法案を用意して国会へ提案した。また、石橋、岸両内閣としても法案を出すべく検討をしたが、現実には法案を出すまでに至らなかった。しかし、法案を出す検討をしたことは事実です。また、池田内閣も、いまの質問に通ずるわけですが、三十七年八月に、さらに私の解釈によれば、国会法案を出すべく四十三国会をめどにして法案を検討さしたというように歴代内閣は新憲法下にふさわしい栄典制度、いわゆる栄典法案国会提案を確認してきたわけです。ところが、池田内閣になってどうも歴代内閣法案を用意したけれども、なかなか国会を通過しないということから、安易な考え方で、いっそのこと閣議できめてしまえ、こういう考え方でなかったかと、こういうことを先ほど来繰り返しお伺いしておるわけです。鶴園委員の質問もそれに関連しておる質問であったと思うのです。それに卒直にお答えがないわけです。法案が通る見通しがあればおそらく法案にしたであろうけれども、なかなか法案が通過する見通しがない。そこで閣議決定という手段をとった。これがほんとうの姿ではなかろうかと思うのですが、この点を、大事な問題でありますので、重ねてひとつ明確にしていただきたい。どうもいままでの御答弁では私のほうでは了解しがたいわけです。
  56. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 繰り返してお答えしましたとおりでございまして、これは伊藤さんの御想像でありまして、それにかれこれ申し上げませんが、池田内閣といたしましては、もちろん徳安長官に指示しましたときは、徳安長官のほうで検討する。徳安長官の検討した内容におきましては、お説のように、新しい栄典制度をつくるということも考えたと思っております。また、現栄典制度を活用するということも含めて、すべて生存者叙勲に対する問題の実施にあたって検討をいたしたと私も思っております。しかし、結論は徳安総務長官の総理大臣の指示に対する回答は、現在の栄典制度を活用するという態度でございまして、それを池田内閣内閣責任において実施しようと、こういう事実だと承知しております。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、この問題については、先ほど申し上げたように、どうも問題があるので、さらに私のほうでも詳細に調査の上で再度お伺いすることといたします。  そこで、栄典というものは、先ほど来お伺いしておるように、どうしても法律によらないと、そのときの政府の虫のいどころによってどう変わるか、政変のどさくさまぎれに勲章をばらまいておいたとか、こういう事実が過去の事例から考えられるわけです。私が言うまでもなく、昭和の初期に売勲疑獄というのがあったわけです。時の賞勲局総裁が各界の名士に叙勲して膨大な金を受け取った、いわゆる汚職事件、これによって多くの関係者は没落しておるわけです。歴史は繰り返されるといわれております。こういうことを法律によってきちんときめておくことによって、また栄典制度審議会、そういうものによって国民の声が反映すると、そういう形で栄典制度は行なわれるのならば、こういう問題は起きないと考えられるわけです。どうも将来に向かって非常にそういう危険が憂慮されるわけです。  なお、このことに関連して、最近の生存者叙勲、これを新聞紙上で見ると、政界とかあるいは官界、そういうようなものについてはことさらこれを避けて、民間の人たちをまず扱っておる。これは手段方法で、国民を納得させるための手段としか考えられない。これがだんだん進むに従って、戦前のような叙勲が横行する、こういうふうにわれわれは憂慮しておるわけです。したがって、こういう点についてもひとつ政府としてのはっきりした態度をこの際承っておきたい。
  58. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) いま伊藤さんの、栄典制度を実施するにあたりまして、いろいろの御心配の点は、私ども十分承知いたしております。過去においていまわしいことがあったこともございます。それだけに政府といたしましては、良心的にきわめて厳粛に公正にこの問題を処理すべきだという信念をもって当たっておるのでございまして、もちろんいろいろの御注意はわれわれ十分これを頭に置いて栄典制度を汚さないように、国民の期待にそむかないように、私どもは一そう心がけて、この栄典制度の実施に当たりたい、こう存じております。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、生存者叙勲については、われわれは新聞で知る程度であるので、調査に支障を来たしておるわけです。そこで資料の提出をお願いいたしますが、いままでの生存者叙勲、そうしていわゆる死没者に対する叙勲、一切あげての資料をひとつ早急に当内閣委員会に御提出いただきたい。そういう資料の提出をお願いして、本日のところ、この法案に関する私の質問を、時間の関係もございますので打ち切りたいと思います。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その叙勲基準ですね。それの資料をちょっと見たいわけです。その資料もいただきたいのですがね。
  61. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) わかりました。
  62. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  午後は一時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時二十分休憩    ————————    午後一時四十七分開会
  63. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  なお、本案はお手元に配付いたしましたように、衆議院において若干修正されておりますので御了承願います。  政府側からは綾部運輸大臣、佐藤官房長、比田港湾局長、木村自動車局長が出席されております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本法案に関連して二、三お伺いしたいと思いますが、基本的な問題は大臣からお答えいただきたいと思います。  この法案を見ますると、伊勢湾港湾建設部は伊勢湾台風による被災後の伊勢湾地区における港湾の緊急設備のために臨時に設置されたものであるとこういうことでありますが、設置されたその後で実施された高潮対策事業、この問題についての概要をまず承りたい。
  65. 比田正

    政府委員比田正君) 御承知のとおり、伊勢湾台風は未曾有の大災害でございまして、これを復旧いたすべく昭和三十六年度から復旧工事にかかったわけでございますが、港湾の関係といたしましては、名古屋港の中の沿岸の堤防を高く上げる、これは水際線のところを高く上げるということで、さらに名古屋港の一番外側のところに高潮を防ぎますところの防波堤を築造いたす、これが一番大きな問題でございまして、その他隣接の四日市港にも、これに関連いたしまして防波堤を延長する工事がございました。また、その他国の補助によりまして、通例の災害復旧よりも補助率の高い特別の高率補助によりまして災害復旧いたしたものも、伊勢湾対策事業の一環として工事をなされたわけでございます。名古屋港につきましては、一番大きいのがただいま申しました名古屋港の沖合いにつくりますところの防波堤でございます。これは総工費約百八億、前年度までに九十九億前後の仕事が終わりました。本年、昭和三十九年度には、大体年内には事業が完成するといろ段取りになっているわけでございます。その他小さい港は数がたくさんございますので、それは一応省略いたしまして、全体のあらましはただいま申し上げましたような事情でございます。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、伊勢湾地区における高潮対策事業は一応終わったということになろうと思います。そういうことになると、本事業に際して臨時に設置された建設部はその任務を終わったわけですから、筋から言えば任務が終わったことによって当然廃止してしかるべきだと一応考えられるわけですね。ところが、それが逆に恒久的な機関にいま切りかえられようとしておる。何か理由がなくてはならないわけですね。その理由は那辺にあるのか、その点をお伺いしたい。
  67. 比田正

    政府委員比田正君) ただいま申し上げましたごとく、伊勢湾の対策事業としては終わったわけでございますけれども、ここに伊勢湾港湾建設部ができましたときには、その当初から高潮対策事業のみならず、名古屋港におきますところの一部の工事、それから四日市港におきますところの大部分の工事というものをあわせて施行させてまいったのでございます。また、本年度からは衣浦港に、——これは知多半島と渥美半島の間のところでございます衣浦港に新しい事業が起きまして、これら三港は伊勢湾対策の高潮事業と別にすでに経常的な仕事があるわけでございます。加えまして最近運輸省といたしましては港湾の改良五カ年計画をただいま作成中でございまして、本年度はその初年度に当たるということで予算もついているわけでございます。この五カ年計画の総額は相当な額にのぼりますが、この五カ年計画をやりますときに、何と申しましても中京地区というものの最近の発展は非常にすさまじいものでございまして、それに対しますところの港湾施設の整備増強というものに相当な中業量があるわけでございます。そこで伊勢湾の高潮対策事業が終わりましても、今後中京地区を日本の中央部の工業地帯あるいはまた生産都市として発展させてまいりますためには、外国貿易はもちろん内国貿易に関します港湾の施設をさらに急速に増加いたしませんと、この要請に答えられないという新しい事態がごくここ二、三年間に起きてまいったわけであります。したがいまして、この高潮の事業は本年度をもちまして終了いたしましても、今後は本来の港湾改良事業に力を注ぎまして、また、今後の計画も相当量の事業量が出てまいりますので、ここに新しく第五港湾建設局として経常的にこの仕事をやらしたいというふうに中京地区に対しては考えているわけでございます。加えまして東海地方三県というのは、経済的にも相隣る県でございますので、従来所掌しておりました三重県と愛知県のほかに静岡県も加えまして、今回の第五港湾建設局というものをつくろうと考えているのでございます。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、伊勢湾地区における高潮対策事業を除いて、港湾整備事業の量が他の港湾建設局の事業量に相当する見通しとなってきた、こういう御説明でありますが、伊勢湾地区における昭和三十八年度の事業量を見ますと、約六十億の直轄の全事業経費のうち、一般港湾事業費は十億ばかりですね、それが三十九年度になると新規の事業費を含めまして、三十五億というふうに大幅に増加しておるわけです。これは三十九年度以降新たに整備を必要とする事業が生じたためなのか、それとも三十九年度における事業の内容について御説明いただけばこの点は明らかになると思うのですが、この点を簡単にひとつ。
  69. 比田正

    政府委員比田正君) 概括的に申しますと、いま御指摘の昭和三十八年度の約六十億という事業費の大部分は、伊勢湾高潮対策事業関係でございましたけれども、三十九年度においては総額四十四億でございまして、そのうち伊勢湾の関係では約十億ちょっと欠けるものでございます。そこで、この伊勢湾関係につきましては仕事が非常に急いだのと、非常に大規模な工事でございましたので、従来当然やりたいと思う一般の港湾の整備も差し控えてまいった段階でございます。と申しますのは、高卒の補助をいたすと申しましても、やはり地方の公共団体の公共事業としての負担が伴うものでございますので、これが終わるまでは新しい設備をやらずに、専心ひとつ名古屋港、四日市港の復旧に努力しようということで予算措置をしてまいったものが大体それが終わりますので、いままでもっと早くやるべきものをこちらに切りかえまして、新しい湾港整備のほうに回したということでございます。したがいまして、総額では前年度六十億で、今年は四十四億でございます。そのうちで伊勢湾関係の金は前年度は約五十億で本年度約十億ということになっております。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 伊勢湾地区の港湾整備については、高潮対策事業が重点であったと思うんです。そうだとすれば、一般港湾整備事業その他の部に比較しますると、相当おくれているのではなかろうかと思うんですが、その点はどうですか。
  71. 比田正

    政府委員比田正君) 名古屋港に関しましては、かなりおくれておったわけでございます。四日市港につきましては、高潮でいたします仕事の最が名古屋港ほど大きくありませんでしたので、それほどおくれているとは考えておりません。一番この影響をこうむりましたのは、何と申しましても名古屋港でございます。名古屋港に対しては、御指摘のとおり、今後いままでのおくれを取り戻すべく相当急速に事業を進めていきたい、かように考えております。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 第五港湾建設局の管轄区域に新たに静岡県を加えているわけですね。これはどういう理由なんですか。
  73. 比田正

    政府委員比田正君) 第二港湾建設局というのがございまして、従来は青森県から三重県までやっておったわけでございます。その後、ただいまありますところの伊勢湾港湾建設部ができましたときに、先ほど申しましたように、一般の改修事業と災害復旧事業と合わせまして、三重県と愛知県だけを切り離しましてただいま部ができているのでございますけれども、第二港湾建設局が、これは東京、京浜地区を全部含めまして、特に最近東京湾の発達が目ざましいものですから、横浜港、川崎港等、非常に事業量が膨大になっておりまして、一つの局で端は青森の端から、片方は静岡の端まで所管いたしますことは、非常に事務量も多くなります。したがいまして、この際そういった事務量を少しでも均一化したいということもございましたので、事業量の点から、伊勢湾を第五港湾建設局につけたほうが便利であろうということが一つ、もう一つは、経済圏を見ますると、第二港湾建設局に属しておりますところの関東地区——これは大体首都圏の圏内、あとは東北の大体太平洋側になっております。そういうふうに分かれてまいりますと、静岡県は首都圏は及ばないわけでございます。一方中京圏というのはございませんけれども、中京経済圏を考えますと、名古屋港を中心といたしまして、やはり東西には三重県もあわせ考え、静岡県もあわせ考えたほうが一貫性があるのではないかという点も勘案いたしまして、このいわゆる東海三県と通常申しておりますが、この三県を一つの建設局で所管いたしたいということでございます。このことにつきましては、他省におきましても、国の出先機関といたしましては、名古屋に出先の局がございまして静岡県がその管内に入っておるものが相当多数ございます。私どものこの案だけではございませんので、さようにいたしたわけでございます。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 第二港湾建設局、これは管轄区域も事業量も非常に膨大になっておるのであります。第三港湾建設局もまた同様相当膨大なようですが、今回第二から静岡県をはずしたということですが、港湾建設局の管轄区域については全般的に再検討を必要とする段階に来ておるのではなかろうか、こういうふうにしろうと目には見られるのですが、この点はいかがですか。
  75. 比田正

    政府委員比田正君) 御指摘のとおり、配付いたしました表でも明らかなごとく、第二港湾建設局は三十九年度約八十三億、第三港湾建設局は七十八億余りという事業量がございまして、これに対して第五港湾建設局は先ほど申しましたように四十四億余りでございますけれども、第三港湾建設局の境は滋賀県それから和歌山県という形になっております。この辺は経済圏から申しますと、一部は近畿圏に入っております。それから一部は近畿圏と合わせて考えていいような裏側も入っておりますので、そういった経済圏から分けたほうが私どもの港湾の計画を立てますときには、何と申しましても産業発展、経済開発のための一つの手段でございますので、そうした港湾整備事業を営みますときの計画はいずれも経済計画に基づいておりますので、それとあわせます範囲内をとりますと、ただいま申しましたような三県だけにとどまったわけでございますが、御承知のごとく、いろいろな今後のまた問題も出てまいりますので、これでやってみまして、私どもはこれでいいと思いますが、また実際にやってみますといろいろなことが起こるかもしれませんが、これを将来におきまして是正するということにつきましてはやぶさかでないわけでございます。さしあたりはこういった形で中京地区だけをまとめた、こういうことでございます。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 第五港湾建設局の三十九年度の直轄事業費は四十四億、この事業費に対して定員については四百十人という、こういう数字が出ておるわけであります。これはどう考えても事業壁に比較して定員が少な過ぎるのではなかろうか、ほかの局の関係などと対照するとばかに少な過ぎるように思うのですが、この点はどういうようなんですか。
  77. 比田正

    政府委員比田正君) 御指摘のとおり、第五港湾建設局の定員数は少ないわけでございますが、事業量はかなりあります。よその建設局と対比いたしましたときに事業量と人員の配置は確かにアンバランスでございますが、私どもの直軸工事はその内容を分けてみますと、二つに分かれておりまして、一つは直軸で直営の工事でございます。第二は、直轄で請負に出す工事があるわけでございます。最近の傾向といたしましては、港湾の請負業も大いに発達いたしまして、ある程度信頼できる業者も相当ふえてまいりましたので、手に余るようた仕事はあえて定員をふやさずになるべく請負に付しましてその準備とか監督という面だけを国みずからやることにいたしたいというふうに考えてやってきておるわけでございます。本来ならば第一港湾建設局とかあるいは第四港湾建設局というようなところから人間を全部ここに配置転換いたしまして、冬建設局が請負に出します量と直営でやります量との比率が同じようにすれば理想的かもしれませんが、そこには一つの悩みがございます。と申しますのは、この定員の過半数は労務者でございます。特に港湾の工事は十年、十五年も長く工事が第一期、第二期と続いております関係上、地元の方が非常に現場の労務者等には多いわけでございます。こういう方々を九州の果てから名古屋に持ってくるということをするには非常に問題がございますので、せっかく従来どおりやりまして、直営でやってできた工事でございますかうその各局ごとの直営と請負とのバランスは違いますけれども、名古屋地区ではさしあたり非常に業者数も多うございまして、スタートから、これはそういったような請負事業がかなりふえてきたときにスタートをいたしましたので、大部分の仕事を請負に発注いたしております。したがいまして、ここでは定員が少なくてもよろしいということになっておりますが、これももう少し将来は検討いたしまして、いやがる人を連れてくるわけにはまいりませんけれども、行こうという人があるならばある程度いまの数よりもよそから移すことができれば移したほうがよろしかろうということを考えておる次第でございます。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御説明によると、地元の労務者等の関係もあってアンバランスがあるということですが、この第五を第四の港湾建設局に比較してみますると、約五十億の事業量に対して二千二百人の定員となっておるわけですね。第五については先ほど伺ったように、四十四億の事業量に比して四百十人の定員、これは地元労務者等の関係等もあってということである、程度了解できますけれども、これはずいぶんかけ離れておるわけですね。五十億に対して二千三百人、四十四億に対して四百十人と、どうもこの辺がちょっとしろうとにはわかりかねるのですが、こういうふうに局によって事業量と定員との間に不均衡が大きくあるのは地元の労務者云々という事情もわかりますけれども、それにしてもちょっと不均衡が大き過ぎると思うのですがね。これは基本的にはどういうことなんですか。
  79. 比田正

    政府委員比田正君) 申し添えますけれども、地元の労務者と申しますとちょっと語弊がありますが、職員と訂正いたしたいと思います。労務者のみではございません。そのほかには工事の種類によるものが非常に多うございます。たとえば請負に出せます工事と請負に出せない工事とあるわけでございまして、たとえて申しますと、関門海峡をしゅんせつするというような仕事は国が船を持っておりまして、それから従来長年の経験のある技術職員も従事しておりますし、また、その研修その他いろいろむずかしいことがございまして、直営でやるのが一番正確を期する。また、ある仕事になりますならば非常に台風あるいは潮の満干の時間待ちというような、工事を請け負いましても予想がつかないような部分がございます。そういうものは直営でいたしたほうが正確を期しやすいし、また、予定どおりの工程も進みますので、そういった面に対しては従来も直営でやっておりましたし、これからも直営でやってまいります。たまたま第五港湾建設局の名港におきますところの工事はそういった部分がかたり少のうございまして、請負に発注できるような種類の工事が多いもんですから、そういう面からも人間が少なくても何とかやっていけるということでございまして、重ねて申しますけれども、これは発足当時でございますから最低の人間でございます。できればもう少しこれを是正していきたい。これは新しく私どもは人をふやそうとはあまり考えておりません。なるべく融通し合ってやりたいというようなことは今後研究いたしたいと思っております。
  80. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、第五港湾建設局については四十四億について四百十人と、定員がずいぶん少ないようだけれども、これは仕事の性質上主として請負事業として相当量遂行されておる、こういうような関係で定員がこのように少ないが、しかし、当面支障ないのだということを前提とすれば、第五港湾建設局の事業は大体第四などに比べれば事業の内容も違っているわけですね。第五のほうは請負でも差しつかえない。第四のほうは人数が五十億に対して二千三百人ですから、第五に比較するとはるかに多いわけですね。これは大体直轄事業でやっていく、そういうような点が大きな基本的た分かれのもとである、こういうふうに理解していいわけですか。
  81. 比田正

    政府委員比田正君) 大体そのとおりでございます。もう一つつけ加えさしていただきますと、工事の種類の中に海を掘るしゅんせつ一工事というのがございます。これは国で持っておりますしゅんせつ船というのがございます。それで掘りましてまたどろを受けるどろ運びの船がございます。それにまた移してそれを引っぱっていって捨てる工事がございますと、同じ国の仕事でも非常にたくさんの作業船の船員がついております。これらの関係が他の建設局には多いというように内容的にはつけ加えさしていただきます。
  82. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは次に、自動車輸送行政の関係で二、三お伺いしておきます。  東京の陸運局管内で自動車輸送行政の事務量は著しく増加してきた。そういう御説明でありますが、ここ数年来どのような事務がどのように増加してきたのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。簡単にお答えいただきたい。
  83. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 全国的に自動車行政の事務は毎年ふえてまいっております。特に東京陸運局管内では全国の約二割から三割の業務をここでやっております。御承知のように、自動車の数が毎年二〇数%——二割強のふえ方をしてまいっております。ほぼそれに似かよいまして、自動車関係の許認可の申請あるいは事業計画の変更でありますとか、そういった事務量がふえてまいっております。しかも東京陸運局管内におきましては、タクシー行政が特に東京を中心にいたしまして一昨年あたりから思い切った増車をいたしました。これに伴い業務量もことにここ二、三年来ふえてしまいっております。これらが相重なりまして、全国の陸運局の中でも一番最近の数年間の業務最のふえ方が大きい、こういうふうな状況でございます。
  84. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この機会にちょっと資料の提出をお願いしておきたいと思うのですが、自動車の数はどんどんふえておる、これはよくわかるのですが、特に毎年二割くらいふえておる。そこで種類別に最近五カ年間の数字をひとつ資料として御提出いただきたい。これによって具体的に車はいかにふえておるかという実態をつかむことができます。これは次回までに資料として御提出願いたい。  そこでなおお伺いしますが、今回東京陸運局の自動車部を二つに分割しようとしているわけですが、これは荒木的には業務量の増加ということがその原因であろうと思うのですが、この点にしぼってひとつ御説明をいただきたいと思います。
  85. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 陸運局の自動車部で現在扱っております仕事に、御承知かと思いますが、旅客関係の自動車輸送それから貨物関係、それから通運関係、大体それだけになるわけでございます。これらの行政につきましてて自動車部がやっておりますのは、先ほど申し上げましたように、事業の免許から事業計画の変更の認可あるいは運賃の改訂の認可、あるいは車の増車の認可、そういった許認可の事務が非常に多いわけでございます。一年間にざっと約二万件に近い許認可の件数があるわけでございます。これらの許認可をきめる場合には相当詳細な検討をいたしまして処分をきめるわけでございます。不服の場合には行政訴訟にいって争うという性質のものでございますので、非常に慎重をきわめてやっておるわけであります。そのほかに特に最近、東京都内等の交通混雑対策といたしまして、行政指導の面では、バス等におきます一方交通とか、あるいは右折禁止等に基づくいろいろな行政指導、それから車両制限令という道路法に基づきます政令がございまして、これは通路の幅員と車両との関係のいろいろの規制があるのです。この車両制限令に基づきます車の規制、こういうことにつきましても行政指導の仕事が非常にふえていく。特にこれらは道路交通警察関係の警視庁、それから道路行政関係の建設省、この三者との間にいろいろ事務連絡の問題もふえてまいる。そういうふうな業務が非常に多くなりまして、特に先ほど申し上げましたような、陸運局長を補佐いたします自動車部長の責任において処理いたします許認可の事務が非常に多いわけであります。で、これを一人の自動車部長が最終的に全部責任をもって処理しますために、今日までこういった許認可の申請の事案の処理がかなりおくれてまいった。最近は事務の簡素化、合理化をはかりまして、徐々に処理の期間を短縮いたしておりますが、それでもまだ相当の期間がかかる。こういうことから考えまして、自動車行政の現地におきます局長を補佐いたします責任者である自動車部長を二人に分けまして、今日の計画では旅客関係、それから貨物関係に一応分けまして、それぞれに自動車部長を置きまして、こういった許認可事案の決裁処理を責任を持ってやらす、これによって局長を補佐いたしまして事務の促進も責任の明確化もはかりたい、かように考えての今回の設置法の改正でございます。
  86. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、自動車部の業務量の増加に対応するために、いままで一つの自動車部を、旅客、貨物をそれぞれ主体とする二つの部を設けることになっておるのは了解できるのですが、ただ問題は、業務量がふえたから部を二つに分ける。しかし、部が二つになったので専任の部長さんが一人できる。それは現にふえるのですが、その他の定員については増加はないわけですね。そういうことになると、ただ専任の部長さんが一人、部が二つになりますから、当然部長さんは一人ふえるけれども、他の定員についてはそのままで、それでそう画期的な業務量の増加に対応できるのかどうか。ただ単に部を二つにしただけで、二つにしただけというよりは、詳しく言えば部長が一人だけふえる。部長が二人になれば、そんなに業務最をさばくことができるわけですか。一人だけの専任部長を増加して、定員はいきさかもいまのところふやさないという説明ですね、この辺はどうも納得しかねるのです。どうですか。
  87. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 御指摘のとおりでございまして、部を二つに分けるだけでは、われわれが考えておりますように事務の促進はまだ完全には果たし得ない、かように考えております。したがいまして、二部になると同時に定員もふえることが理想でございまして、実はそういう考えで最初はおったわけです。業務量の単純な増加だけを理由としては不用意に定員はふやさないという方針を政府としてはとってまいっておりますので、われわれ責任の局長としては増員の要求もしたわけでございます。最終的には増員の点はがまんをせざるを得なかったわけでございます。せめて今回、部を二つに分けることによりまして、部長を二人置き、少しでも責任体制と事務の処理の促進をこの際はかりたい。したがいまして、当然それに伴って定員増加の要求を持っておるわけでございまして、これは漸進的にまた来年度なり何なりのときに増員の要求をしていく、これは漸進的にやらざるを得ない苦しい立場にあるわけでございます。
  88. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、許可認可、この許認可の事務の中で、おけて路面バスの免許申請、この処理がたいへんおくれておるように聞いておる。まあ競願とか競合関係の事案については、結局問題は利用者の便利に強く響いてくるわけですね、おくれるということは。利用者には非常におくれればおくれるほど迷惑になる、こういうことになろうと思う。そこで最近はどうなんです、この免許申請の処理状況は現在はどのように進展されておるのか。そうして今後の見通しはどうなのか、こういう点について承りたいと思います。これは国民に直結した非常に大事な問題であるので、特にこの際お伺いしておきたいと思います。
  89. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 路線バスの許認可が非常におくれてまいっておりましたことは事実でございまして、実は路線バスの許認可につきましては、おととしまではほとんどすべてこれは運輸大臣の法律上所管になっておりまして、一々非常に小さい事案まで陸運局を経由いたしまして、本省に上がってきておったわけであります。そういう点もありまして、従来、路線バスの許認可に相当長い期間を要しておりました。長いのにたりますと、三年、五五年というふうなものもあったわけでございます。で、一昨年来、これではいけないということで、全面的にこういった事務の処理につきまして、いろいろ陸運局も指導をいたしまして、処理そのものにつきまして、いろいろな通達もおろして、簡素化、合理化をはかりますと同時に、この権限を運輸大臣に全部召し上げておくというところにも問題があるということから、これは政令の改正で措置できることでございましたので、路線バスの中で三十キロ未満の延長等の事案につきましては、運輸大臣の権限を陸運局長におろしまして、三十キロ未満の事案は陸運局長の責任において処理してよろしい、三十キロをこえる場合に依然として運輸大臣がこれを見るというふうに権限の配分を変えたわけでございます。路線バスのそういった許認可の事務のうち、三十キロ未満のものが大体七割以上もあるわけであります。これを陸運局長におろすことによりまして、一段階省略ができる、そして陸運局長が責任を持ってこれを処理するというふうにいたしましたために、一昨年来、全般的に路線バスの許認可事務は相当促進されております。当時から地方陸運局長に対しましては、どんな困難な事案でも少なくとも一年以内には片をつける、早いものは一カ月、二カ月で処理をするようにということで、強く指導をいたしてまいっております。現在では大体陸運局によっても違いますが、おおむねこの陸運局長の権限に基づきますそういったバス事案につきましては、三カ月あるいは半年程度で処理をするようになっております。しかし、ざらにわれわれとしては、利用者の利便のためにこれの促進をはかるように今後指導を強化していくつもりでおるわけであります。
  90. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この許認可事務について、現在運輸大臣の職権の一部が陸運局長に委任されておる、こういう制度になっておるのですが、この職権委任の問題についてはいろいろ問題もあろうと思いますが、再検討の要はあろうかと思うのですが、われわれから見て。この点大臣どうですか、これは大臣に直結した問題だから特に大臣にお伺いしたいのですが。
  91. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま自動車局長が申しましたように、なるべく公衆のために早くやるようにという趣旨から考えまして、私どもはできることならさらに三十キロを五十キロにするとか、いろいろなことを時宜に合うように改正していきたいと考えております。
  92. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、お伺いしたいのは、公営企業のうち公共事業について考えると、最近財政事情は大きな問題になっておるわけです。特に政府の行なった公共料金の向こう一年間抑制措置、こういうことによって赤字がますます増大しておるのが現状であろうと思う。これはいわゆる政府として早急に対策を講じないといろいろ問題から問題を派生すると、こういうことになろうかと思うのですが、政府はこれに対していかなる対策を考えておるのか、そしてその将来の展望はどうなのか、こういう問題について大臣のお考えを承りたい。
  93. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 御指摘のように、公共事業に対する料金の抑制ということは、自由主義経済を原則にする現経済組織下におきましては、何と申しましても不合理である。ただ、しかし、価物の値上がりという問題がより政治的に重要な問題であるのにかんがみまして、しばらくの間不合理ではあるが一応押えまして、そして物価上昇のムードを押さえようと、こういう趣旨で内閣閣議において決定をいたしましたものでございますからして、私どもといたしましては、その決定に従いまして今日まで参っておるのでありますが、これにもおのずから限度がございますから、私どもといたしましては、何とか公共企業体が立っていくように、すなわち免許事業でありますから、免許した以上はその事業が成り立つようにするのが監督者の責任考えまして、そういうことについていま苦慮いたして、何か名案がないものかということを目下検討しておるのが実情でございます。たとえば資金面で融資のあっせんをするとか、あるいは軽油引き取り税であるとか、ガソリン税であるとかいうものを特に公営企業につきまして値上げ以前の特別の、ちょうど農村対策としてそれをやった先例もございますので、そういうことをするとかいろいろのことをして、一年間だけひとつしんぼうをしてもらいたい。それでは一年たったらどうするかということにつきましては、それはもちろん適当な値上げをせねばならぬというように考えて現存やっておる次第でございます。
  94. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣の御説明によると、公共料の抑制は不合理である、そういう前提に立ってのただいまの御説明ですが、私どもはまたそれと違う考えを持っておるのですが、やはり何といっても公共料金が値上げになれば一般諸物価に相当すぐ響く問題である、だからなるべく公共料金の値上げについては抑制しなければいかぬ、そういう基本的な考え方で、大臣のお考えとわれわれとは基本的に違うわけです。それでは業者がやっていけないじゃないかということについては、これはやはり政府はそれに即応した対策を具体的に打ち出さなければいかぬ。これは政府責任でやるべきだと思う。公共料金を値上げすればすぐ物価は上がってきますから、これはもう現実の姿です。だから、なるべく公共料金を値上げしないように、さりとてそれによって企業体が赤字で苦しむということを放置できないと思うのですね。そこのところですが、公共料金を抑制することは不合理だということになると、政府はその不合理をあえていま行なっておるということにも解釈できるわけです。そんな不合理なことをいまの政府がやろうとは考えられぬですが、基本的な考えとしては、公共料金の抑制は不合理である。しかしながら、一年間やるのだ、そういう考え方のようですが、その辺をいま少し詳しく御説明いただきたい。
  95. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 不合理と申し上げましたのは、あるいはことばが足りないかもわかりませんが、なるべく、公共事業であるからして、双方とも、すなわち大衆は値上げをすることはいかぬ、しかも公共事業がやっていくためにあらゆる施策をやろうということにおいて、一番値上げが簡単なんですけれども、いやそれではあなたのおっしゃるように大衆に非常に迷惑をかける、何かいい方法がないかというのを考えているのが現段階でございますが、究極するところ、それじゃいかなるものが適正な運賃であるか、また、経済常識からいって、十二年間も据え置かれておる公共料金というものがはたして適正であるかということについて、いまわれわれといたしましては研究をいたしておるという段階でございまして、不合理ということばのあやでそういうことを申したのでございますが、私どもといたしましては、やはり企業は自由にやるべきだ、適正な運賃、適正なサービスをずるように努力するのが当然であるという考えで、いまいろいろな点でどうすれば双方がうまくいくかということを検討しておるというのが現段階でございます。ただ、物価政策の上から申しますというと、公共料金が上がればもちろんそれに比例して物価が上がるんでしょうが、その物価が上がるというその度合いを、なるべく負担する大衆に迷惑のかからぬようにどうすればいいかということを検討いたしておるというのが現段階であります。
  96. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 各都道府県の機関として陸運事務所が設置されていますが、この職員の身分について見ると、地方自治法の附則第八条ですか、の規定によって、当分の間国家公務員となっておりますね。そして、知事の——道路運送法とか道路運送車両法、これに基づく知事の権限も陸運事務所長の権限となっておるわけです。専決事項となっておる。こういうことを考えると、知事の所長に対する指揮監督、こういうのは全く形式化されてしまって、実質はほとんど陸運事務所長の権限となっておりますが、これはきわめて変則的であろうと思います。こういう変則的な行政機関が今後もなおこのまま存置されていくのであるのか、これは当分の間の措置なのか、この辺については全国知事会でも問題になっておりますが、この辺のひとつ現況と、そして今後の展望について、大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  97. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 陸連事務所の今日のあり方につきましては、いまお話のとおりでございます。で、われわれといたしましては、今日まで陸運事務所を従来の、本来の姿に返したい、つまり、運輸行政を預かる機関といたしまして、運輸省、それから陸運局、それから各県の陸運事務所、縦に三段階、筋の通った行政機構に戻したいということで、いろいろ政府部内で努力をしてまいったわけでございますが、遺憾ながら、今日ではまだわれわれの意図は実現しておりません。で、たまたま昨年来、臨時行政調査会が設けられまして、こういった行政機構全般につきまして再検討をしておるわけでございます。で、この陸運事務所の形につきましても、この臨事行政調査会でいろいろ検討をしてもらっております。運輸省といたしましても、いろいろそれに対して、資料なり、意見も提出いたしております。この調査会の答申が、今週にはまとまることになっておりますので、この答申を一もらいまして、その上で、いままで中途はんぱな形になっております陸運事務所のあり方につきましても改善していきたい、かように考えておる次第でございます。
  98. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この陸運事務所の人事権、それと予算権ですね、これは国が持っておる。で、知事の監督権は、ただいまも申し上げたように、全く形式化されてしまっておるのですね。ところが、責任だけは知事に負わされておる、こういうのが実態であって、このことこそまことに不合理であろうと思います。まあこういうような観点から、知事会でも、以前から陸連事務所を完全に自治体に委譲すべき旨を要請してきたわけです。したがって、これは知事会でも問題にしておる問題ですから、運輸大臣としては当然この問題を頭に置かなければいかぬと思います。知事会はもう先年から問題としてきておるわけであります。いろいろ要望を出しておる、そういう問題なんです。だから、大臣としては当然こういう問題に関心を持たれておろうかと思うのでありますが、そこで、政府の部内でも、いま御答弁があったように、いろいろ検討を加えておる、まあそういうことでありますけれども、これは検討、検討というので、なかなか結論を得ないままに今日に至っておるわけです。その理由は一体那辺にあるのか、どういうところに厚い壁があるのか、そういう点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  99. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) もともとこの陸運事務所の今日の機構ができましたのは、占領中に中央権限を一部地方に委譲するようにという、占領政策の一つとしてこういった機構ができたわけでございます。しかし、運輸行政、自動車行政というものを考えますというと、やはり特に戦後、今日まで広域化してまいっておるわけであります。したがいまして、地方に一部権限を委譲いたしましたが、これをわれわれとしては、運輸省のもとに三段階の行政機構にして仕事をしていきたいという考えでおるわけでございますが、一方、府県の側といたしましては、せっかくもらった権限であるので、質、量ともに県の本来の権限にしてほしいという強い主張があるわけであります。その辺で、政府部内におきましてもいろいろ意見がまとまらないままに、ある時期におきましては、ほとんど縦に三段階に、筋の通った行政機構に戻り得る寸前までいったことがございますが、ついに実現しないで今日に至っておるというふうな実情であります。
  100. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この自動車運送業務については、一府県の境域をこえて他県にまたがる問題があるわけです。したがって、地域の住民の便、不便に非常に直結した問題が多いわけですね。そういうところからも地方公共団体の行政と関連してどうしても運営する必要があるわけです。そういうように考えてきたときに、この陸運事務所をひとつ思い切って都道府県に完全に委譲することのほうが非常に何かと便宜が多いと思います。そこで運輸大臣の持っておられる職権についても大幅に知事に委譲する、こういう趣旨のことを知事会などでは地方公共団体の責任者の立場からいろいろと強く要望せられてきたわけです。それがいまだに解決しない。その理由については、いまいろいろ検討しているのだがということであるようですが、何といっても住民に直結した直接利害関係の大きい問題であるので、やはりこれは都道府県に運輸大臣の職権を全面的に委譲して、そうして地域住民の便利をはかる、こういう方向でさらに一段と努力すべきであろうと思うのです。運輸大臣はこの場でそういたしますとは言いかねるでしょうが、これに対する決意、お考えをひとつ大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  101. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 先ほど来自動車局長が御答弁申し上げたように、またあなたがおっしゃったように、一県だけに限っておる問題でない面がたくさんあるのであります。そうして全体としての自動車行政のあり方というようなものは、府県だけでは、とうてい判断のつかぬような行政面もいろいろありますので、私どもといたしましては、やはり縦割りの一貫した行政組織を希望しておるのでございますが、従来の占領地時代の残り等によりましていまなおすっきりした状態にならないのは遺憾であります。私どもはやはり府県に委譲しますというと、その府県だけの中には都合がいいかもわかりませんが、自動車行政はこのごろのように道路がこのような発達をいたしますと、両県以上にまたがる、あるいは名神国道でもできましたならば、兵庫県から東京までの間にバスを走らせようかというような問題等がございますので、一県限りでやるというよりは、全体のバス事業の関連、その他においてこれは縦割り行政が私どもはいいと考えております。ざらに私どもは伊藤委員がおっしゃるような考え方についての是非につきましては、深く考慮して善処いたしたいと思っております。
  102. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に航局関係で二、三お伺いいたします。  運輸省の航空局において新東京国際空港設置計画が進められておるようですが、このために新たに二課を設けて、それに伴う二十五名の定員をとっておる。そうして新東京国際空港の計画を進めておるようですが、その計画の概要について要点だけを承っておきます。
  103. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 御承知のように、航空事業が世界的に、また日本におきましても画期的な発達をいたしておることは御承知のとおりでございます。そこで航空事業の発達に伴いましていまの東京国際空港をはじめといたしまして、各地におきます空港は非常に完全とは申し上げがたい、予算の関係で。さような状態にありますが、特に四十六年から実用化されると伝えられておる超音速機が発着するようになりましたならば、とうてい現在の羽田空港では離着陸が困難であります。したがって、現在の羽田空港は離着陸に困難である。したがって、これを離着陸が可能な程度に、第二空港を設置せねばならぬというのは定論でございまして、そこで第二空港につきまして航空審議会、その他に諮問いたしまして、答申も得ておりますが、さらに大事業でございますからして、今度それを実施に移す場合の諸制度につきまして、この設置法で、御指摘の調査室を設けまして二課を置いて、そして専任の参事官の定員を一人置きましてやっていきたい、こういう構想のもとに第二空港につきまして考えているのでございます。
  104. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がいまお伺いしたのは、その必要性でなく、もう必要性はよくわかる。いまの羽田空港では狭隘に過ぎる。そこで新東京国際空港の建設は、いま運輸省の航空局で進められていると思う。その計画の概要について承りたいと思う。そこで大臣は、具体的に御存じなければ、航空局長でもけっこうです。大臣がもし概要について御存じなら、骨組みだけ御説明いただきたい。
  105. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 大体第二国際空港の面積は、超音速機に沿うて最低七百万坪、できるならば大きければ大きいほど、騒音防止、その他の対策上よろしゅうございます。最低面積にして七百万坪以上。それから現在いろいろな管制上の難点がございますからして、管制上の安全の保たれるところ、こういうことを基本に第二空港をやっていこうと考えております。しかしてまた、場所がきまりましたならば、これをやっていくのに国営直轄工事でやるのがいいか、あるいは別個の政府出資の公団をこしらえるとか、こういうような何か違った方式でやるのがいいか、その利害得失、それから滑走路は、四千五百キロの滑走路をつくるのがいいか、それを何木つくるのがいいかというようなことについて、この調査会で草案はできておりますが、もっと調査研究いたしたい、かように考えております。
  106. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらにその計画に関連してお伺いしますが、いま候補地を二、三あげられているようですが、その二、三のうち最終的にどこにしぼられているのか、まだ未決定なのか、そしていつごろまでに実現されるのか、こういうことについてさらにお伺いしたい。
  107. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) いま航空審議会に諮問いたしました場所は三カ所ございます。すなわち千葉県の内陸地が一つと、千葉県の海岸地が一つ、それから霞ケ浦、この三つの候補地につきまして、航空審議会に諮問いたしまして、おのおの答申が出ております。そのうちさらに第二国際空港と東京ということは別にして、その三者以外によりいいところがありはせぬだろうかという意見もありましたので、これもひとつ調査いたしてみたいと思いますが、結論的に申しますというと、いまの審議会で答申されたところがいいんじゃないか、それよりほかに、第二国際空港が北海道の山の中にいったりあるいは富士のすそ野にいったりというようなことでは超音速機でアメリカから二時間で来れるようになるのに、内地に入ってからさらに二時間もかかって来るようなところではどうにもならぬというようなことから、東京になるべく近いところというようなことを前提にいたしまして、さらに調査は進めますが、なかなか困難だといろわれわれの見通しを持っております。  それから、これは土木技術が非常に進んでおりますから、場所が決定すれば大体二年間ぐらいでできる予定でございます。その村岡設備は別といたしまして、滑走路を含む空港は大体二年間ぐらいでできるようでございます。さらに付属施設等につきましての関連もございますので、そういうことを調査するために一億円の予算で調査をいたしまして、実用化がされるというておる昭和四十六年までに完成いたしたい、かように考えております。
  108. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 航空局に、先ほど二課を新たに設けるという御説明があったわけですが、この新たに設けられる二課はどのような事務を行なうのか、そういうことについてお伺いします。
  109. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) いま大臣から御説明ありましたように、第二国際空港に対する最小限必要な要求の基準がきまっておるわけでございます。そこで運輸省といたしましては、三十九年度におきまして定員を二十五名純増をいたしまして、これを新国際空港計画課と新国際空港調査課の二課を設置、調査課におきまして主として用地の取得等を中心にし、その他測量、技術的な調査をいたし、計画課において用地取得、技術関係以外の基礎調査を実施するというふうに考えておるわけでございます。なおそのほかに、先ほど大臣から申し上げましたように、参事官一名を新しく設けられることになっておりますので、この参事官がこの二課の業務を統括するというように、いまのところなっております。
  110. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど大臣からも御答弁あったように、最近における国際航空の発達は非常に躍進しておる。航空機の大型化、スピード化、まあこういうことで羽田空港も狭隘になってきた、こういう点はよくわかりますが、そこで日本を中心としたいわゆる国際航空はどのように発展していかれるのか。一応運輸省としても予想を持っておられると思いますが、その概要についてごく簡単に御説明いただきたい。
  111. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私どもといたしましては、この超音速機が実用化されるようになりますというと、世界の航空基地は大まかにして三カ所になると思います。と申しますのは、アメリカが一カ所、ヨーロッパが一カ所、極東が日本、こういうふうに考えておりますが、中共におきましてもいろいろ計画はあるやに聞いておりますからして、私どもといたしましてはどうしても超音速機が実現するその実現のなるべく早い機会に飛行場を完成いたしまして、世界の拠点の一つになるように日本地位を置きたい、この考え方によって参っておるのでございます。しこうして、超音速機以外の飛行機は従来の羽田その他の空港を使いまして、国内航空なりあるいは国際航空にも一部利用したい、かような考え方をいたして、その速度はここ二、三年から見まして、利用者が大体国際線におきましては三割程度年々増加しているように思っております。国内はさらにそれ以上に増加するのじゃないかという見込みを持ちまして航空の発達に備えるような施設を、これからやらなければならないと思います。
  112. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど大臣の御説明で新東京国際空港については、まあひとつ七百万坪ぐらいを確保したい、こういう希望的なお考えを述べられたのですが、参考までに航空局長でけっこうですが、いまの羽田は何万坪ぐらいあるのですか。
  113. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 大体百十八万坪です。付属施設の空港ターミナルビルその他を入れまして、あの羽田空港というものが百十八万坪でございます。
  114. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらにお伺いしますが、本年度新設の空港が六カ所運用開始することになっている、こういう御説明でありますが、国内航空の発達によって、航空機を利用する旅客者も相当激増していると思う。そこでお伺いしたいのですが、国内民間航空の現状は一体どうなっているのか。それからなおこれは次回まででけっこうですが、この機会に最近五カ年間における旅客者の激増の経過を知りたいので、最近五カ年間における年次別の旅客数、これはもしできれば男女別、こういうものを資料として御提出いただきたいと田やりのですが、あわせてお願いしておきます。
  115. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) いまの資料について、男女別はちょっと困難だと思いますが、数字のやつはありますから提出いたします。
  116. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 男女別がもしわかれば、女性もこんなに進出してきた、そういうことがわかるわけですが、男女別というのはむずかしいですか——。それは無理には申しません。もしわかっておったら男女別に御提出いただいて、わからぬ場合はけっこうです。それではそれは資料として提出していただいて、国内民間航空の現状について概要を承りたい。いまそこで実際の数字を持ち合わしてなければ、これも数字的には多いわけですから、各民間航空会社別に、その所有の航空機、種類別、それと旅客扱い数、こういう要領を過去最近の五カ年間のものを出していただけば、民間航空の現状はそれから把握できるわけですから、これもいまそこにお手持ちなければ、資料として御提出ということでけっこうです。それは御提出いただけますか。
  117. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 承知いたしました。
  118. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではさらにお伺いしますが、最近大分空港であったような民間航空の事故が和次いでおる。これらの地方空港の施設等は十分整備されておるのかどうか、遺憾の点がもしあれば、どのような点に遺憾の点があるのか、こういう航空事故とのからみでまずお伺いしたい。
  119. 紅村武

    説明員(紅村武君) 本日航空局長及び監理部長がちょっとよその委員会へ参って、ここにおりませんので、私総務課長でございます。  大体ローカル空港につきましても大体整備は完全に行なわれておりまして、特に不備なものはないものというふうに考えております。滑走路その他の施設です。
  120. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この民間航空の事故防止に関して政府としてはどのような対策を講じられておるのか、こういう問題について基本的にはひとつ大臣から、補足的にはそれぞれ担当者からお伺いしたい。
  121. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 航空事故は何と申しましても、すべての交通機関安全第一にやるべきことは当然でございますが、航空事故につきましては、事故が起こりますというと人命その他に与える損傷は非常な想像に絶するものがありますから特に注意いたしております。そこでまず一番には、機材の点検を厳重にいたし、次に乗務員の養成等、航空会社に対してはそれを命じ、航空場につきましては、その整備の状態をしさいに視察いたさせまして、そういうことのないように努力いたしております。ことに最近民間航空事故が頻発いたしておるのにかんがみまして、今回別個の基本の航空事故対策小委員会というものを設けまして、専門家を委嘱して、どういう点でその不備な点があるか、どういう点を注意せねばならぬかという点を基本的に研究をいたして、実は本日その小委員会の人が現地視察に参りましたので、航空局長等は随行して行ったので欠席しているのでございますが、さようにいたしまして、はなはだしいものにつきましては、一定の期間営業を停止しあるいは勧告をする等をいたして航空事故をなからしめるようにいたしております。ちなみに日航は危険率がほとんど、ゼロに近いので、現にロイドの保険契約で、日航に対しては保険会社のほうが自発的に保険料を軽減してまいったような状態でございまして、日本航空については、機材及び乗務員の面につきまして非常に注意をいたしておるということは、私がここで申し上げてもあえて過言でないと考えております。
  122. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどもお伺いしたように、航空機が大型になって、そしてスピード化と、こういう現状でありますので、不幸にして一たび事故があると、その被害も以前に比べて非常に大きな被害となろうかと思うのです。そういうこともあわせ考えて、よほど抜本的な対策を講じておかないと、そういう防止を期することはできないと思うのです。特にそういう事故はもう忘れたころちゃんと起きてくる、ふだん油断しておるとぱっと起きて、ばっぱっとまた引き締めてやる、またしばらく忘れてしまう、こういうのが現状であろうと思うのです。こういうような点から考えて、よほどふだんにおいてそういう措置を徹底さしておく必要は相当必要であろうと思います。こういう点について大臣のお考えをお伺いしたいのですが。
  123. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 全く御趣旨のとおりでございまして、そういうように私どもも考えまして、ただいま申しましたような施策を講じまして、さらに注意すべき点がありはしないか、専門家が見た場合にどういう点があるかというようなことから、航空小委員会を設けまして検討最中でございまして、その結論を待ちましてそれに対処する施策を講じたいと考えております。
  124. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今後空港が新たに設けられるということに伴って、航空管制官の要員という問題が出てくるわけです。これは現在は十分確保されておるのかどうか、管制官の充足率はどうなっておるか、こういう問題についてお伺いしたい。
  125. 紅村武

    説明員(紅村武君) 三十九年度の管制官の定員が運用関係、通信関係、技術関係全部ひっくるめまして五百七十六名でございます。このうち昨日現在の実員が、五百四十七名でございまして、したがいまして、約九五%が充足されております。それで昨日現在で二十九名欠員があるわけでございますが、この分につきましては、すでに試験を終わりまして七月一日付をもちましておそらくはとんど全部、二十五名ないし二十九名、その間くらいになるかと思いますが、おそらく大部分が充足されるということに考えております。
  126. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この航空管制官の充足という問題もやはり航空事故などには直接間接に響く、こういうようなたてまえから現在の欠員については大体予想はあるようですが、これは早急に充足するのは当然だろうと思うのですが、この点は一刻も早く充足できるよう強く要望申し上げておきたいと思います。  次に、海難の問題についてお伺いしたいと思います。最近私が申し上げるまでもなく、航空事故などに州呼応して海難事故がしばしば発生しておるわけです。本年度の海上保安庁における巡視船とかあるいは航空機、保安部署、こういうような整備計画並びに実施状況はどうなっておりますか。
  127. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 海上保安関係におきましては、三十九年度巡視船の代替建造を大型、中型と合わせまして五隻、巡視艇三隻、合計いたしまして総額六億五千二百万円の予算で代替建造の整備をする、そのほかに航空機を一機新たに整備をするという計画をいたしておるのでございます。なお、これは主として巡視船艇でございますが、そのほかに組織の整備いうことで定員の改定にも関連するわけでございますが、保安部の昇格、保安署の昇格、保安署の新設、分署の新設等、三十九年度予算並びに定員の中に織り込んでいるわけでございます。
  128. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 巡視船とか航空機の整備状況を承ったわけですが、その船舶とか航空機の不足、あるいは数はあるけれどもすでに老朽化してきた、こういうようなことのために、海難救助に支障を来たしているような点はないのかどうか。おそらく十分といろ現状ではなかろうと思うのですが、この点の状況はどうですか。
  129. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御指摘のように、三十八年度におきまして警備救難用の巡視船艇が三百三隻あるわけでございますが、このうちで最近におきまして新造された部分の比率が比較的低うございまして、旧海軍等の引き継ぎ、その他在来船の分が多いわけでございますので、これらのものをすみやかに代替建造しまして、新しい巡視船艇にかえる必要がありますことは先生御指摘のとおりでございます。
  130. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一たん海難が起きた場合に、これをいわゆる救助するために巡視船とか航空機、そういう整備は必要だ、そういうたてまえからお伺いしたわけですが、現在、今度は船主側の態度を見ると、いろいろ遺憾の点が指摘できるわけです。小型鋼船あるいは漁船の海難が相次いで発生しているわけです。これは非常に小型なので、あまり大きな問題になっていないわけですけれども、こういう問題が繰り返されている原因にはいろいろあろうかと思いますけれども、小型鋼船のいわゆる船主たちは十分海難の具体的な影響はいかに大きいかということの把握が足りないで、いわゆる安全運航の対策を怠たっているのではなかろうかというような向きがあるわけです。こういう点はどうなんですか、船主たちが現在安全運航の面で怠たっているというような問題は具体的にはないのですか。
  131. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御指摘のように、小型鋼船の海難発化率は、小型鋼船の船腹自体の増加もございますけれども、発生率も三十八年度の数字を見ますと、三十七年度に比較して増加しておるわけでございます。これの原因を一応報告によって調べてみますと、乗り組み員の運航上の過誤によるものが七五%という数字が出ているわけでございまして、この小型鋼船につきましては、さらに乗り組み員の運航上の指導等を増強していく必要があるものと考えられる次第であります。
  132. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一たん海難船が出るとSOSを発するわけですが、そうすると、捜査活動が始まる、これに動員されるのは、当然に海上保安庁とか、ときには海上自衛隊などの巡視船や飛行機がこれに出動する、これが現状のようです。かりに巡視船三隻と飛行機二機が一日捜査活動するとすれば、そこに大体百万円ぐらいの金がふっ飛んでしまう、こういう実情を聞いているわけですが、このほかにも付近を航行中の船や海岸の自警団もこれに加わる。一たん海難があると容易ならぬ事態になるわけです。やはりこういう現状をこのまま放置するということは、監督官庁である運輸省としても責任があろう思います。やはり事故を未然に防ぐということが大事である、こういうようなたてまえから、やはり小型鋼船などの船主などには、施設をすべきものは十分安全運航のたてまえから、平素から手を打っておくのが至当であろうと思ういす。この点はどのようになっているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  133. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御指摘のように、事故が起こってからの救難の万全を期する必要はもちろんでございますが、事故を未然に防ぐ、つまり海難防止の措置等につきましては、海上保安庁におきましても、現地の海難防止のいろいろな通報組織の整備強化というようなことをはかっているわけでございますが、根本的にはやはり船舶の検査、あるいは船舶労務におけるその適性化というようなことで、運輸省においてもそれぞれの担当部局において具体的の計画をつくって、それを推進しているという状況でございます。
  134. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一たん海難があると、乗り組み員の遺族の補償問題等、あるいは積み荷の弁償、こういう問題が起きてくるわけです。これらは大体保険によってある程度保障されていると思うのです。それだから問題ないということは言えないと思うのですが、こういう点は大体保険でほとんど解決する問題なんですか、こういう問題どうですか。
  135. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 詳細な数字を持っておりませんが、船体、積み荷等に対する付保の状態からいたしまして、大体それによってカバーされるというふうにわれわれ承知しております。
  136. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点お伺いしておきたいと思いますが、ここで問題なのは、先ほど来からお伺いしているのは、安全設備を無視している船主が案外多いといろ問題、こういう問題をこのままにしておいては相ならぬと思います。やはり気象庁の予報とか、そういうことが、受信機の装置がなければ受信できない、そこで気象庁の警報を結果的には無視して航行する、こういうようなことから海難が和次いでいる、こういう面も相当あると思うのです。そこで、無線電信であるとか、電話の設備はともかくとして、ラジオすらないというような、そういう無暴な船の運航が平気で行なわれている。最近の数字を見ますと、遭難船の四〇%はラジオ一つない、こういう現状はまことに遺憾であろうと思う、ラジオ一つあれば気象庁の気象観測は予測できるわけですから、あえて危険をおかして航行せぬでもいいわけですが、ラジオ一つないような船が、結論的には気象庁が警報を出しても受信できなければ、結局警報を無視するという結果になろうと思います。こういう点でこれはやろうと思えばできると思うのです。ラジオなんか非常に安価になっていますから、これは別に、船一つの運命を左右するわけですから、こういう点はひとつ運輸省のほうで十分手を打つことによって徹底できると思いますが、やはり何といっても、現実に遭難船の四〇%はラジオ一つない、こういう現状、これはこのままでは相ならぬと思いますが、こういうことに関する運輸省としてのお考えは一体どうですか。具体的にどういう手を打っておられるのか、こういう点についてまだ遺憾の点が多いと思います。この点をお伺いしておきたいと思います。
  137. 佐藤光夫

    政府委員(佐藤光夫君) 御指摘の問題は主として漁船に多い問題であるわけでございまして、その他の商船等につきましては大体必要な通信施設を整備しておるというふうに承知しておるわけでございます。漁船につきましては、いま御指摘のとおり、最小限度必要な気象を聞くこともできない状態で救助を断念したような事例がいままでございましたので、これはすでにその整備については相当農林省等においても注意をされまして、その整備に努力をしておられるというようにわれわれは伺っております。
  138. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はこざいませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
  139. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、去る四月十七日予備審査のため本委員会に付託されました国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。大橋給与担当国務大臣。
  140. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ただいま議題となりました国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに内容の概略を御説明申し上げます。  本年三月十二日、現行の寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の統合、支給額の改定、豪雪があった場合の手当の支給並びに病気休職者等に対する新規支給及び地域を異にして異動した職員に対する追給、返納措置の確立等を内容とする人事院の勧告がなされたのでありますが、政府といたしましては、その内容を慎重に検討いたしました結果、これを実施すべきであるとの結論に達しましたので、所要の改正を行なおうとするものであります。  すなわち、第一に、寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当を統合し、寒冷地手当として一本化するとともに、現行法の題名を「国家公務員寒冷地手当に関する法律」と改めることといたしました。  第二に、それぞれの級地における寒冷地手当の額は、従来の寒冷地手当に相当する定率による支給額に、従来の石炭手当または薪炭手当に相当するものを加算した額とすることとし、その加算額についてはこれを増額して、たとえば北海道にあってはその最高額を二万七千二百円に、その他の地域にあってはその最高額を八千六百円に改定することといたしました。なお、新たに、これら加算額のない地域に豪雪があった場合は、二千五百円以内の額を寒冷地手当として支給することといたしました。  第三に、病気休職者等につき、新たに寒冷地手当を支給することといたしました。  第四に、支給日後において、寒冷地手当の支給されない地域から支給地域に異動した職員または支給地域の区分を異にして異動した職員に対し寒冷地手当を支給し、または返納きせる措置を講ずることといたしました。  以上のほか、防衛庁の職員の準用規定につき所要の改正を行なうことといたしました。  この法律案は、以上の趣旨に基づきまして、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手番及び薪炭手当の支給に関する法律の改正を行ない、公布の日からこれを施行しようとするものであります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  141. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 本案に対する自後の審査は、都合により後日に譲ります。  本日はこれにて解散いたします。    午後三時二十六分散会    ————————