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1964-04-27 第46回国会 参議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十七日(月曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   委員異動  四月二十四日   辞任      補欠選任    鈴木 一司君  重政 庸徳君  四月二十五日   辞任      補欠選任    上林 忠次君  古池 信三君    石原幹市郎君  宮澤 喜一君  四月二十七日   辞任      補欠選任    近藤 鶴代君  後藤 義隆君    村山 道雄君  平島 敏夫君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            下村  定君            林田 正治君            伊藤 顕道君    委員            源田  実君            小柳 牧衞君            後藤 義隆君            塩見 後二君            平島 敏夫君            山本伊三郎君            鬼木 勝利君            向井 長年君   政府委員    総理府総務長官 野田 武夫君    総理府総務副長    官       古屋  亨君    宮内庁次長   瓜生 順良君    皇室経済主管  小畑  忠君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○皇室経済法施行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る二十四日鈴木一司吉が、また二十五日上林忠次君及び石原幹市郎君が委員辞任され、その補欠として重政庸徳君、古池信三君及び宮沢面三君が、それぞれ選任されました。
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、ただいま御報告いだしました委員異動に伴い理事が一名欠員になっておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は先例により、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異、議なしと」呼ぶ者あり〕
  4. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは理事林田正治君を指名いたします。   —————————————
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続いてこれより質疑を行ないます。  政府側から古屋総務長官瓜生宮内庁次長小畑皇室経済主管が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続き二、三お伺いしたいと思いますが、きょうは宇佐美長官何か御都合があってお見えにならぬのですか、何かのっぴきならない御用件で、まずそのことをお伺いしておきます。
  7. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) きょうは午前中に信任状捧呈式がございまして、その際は長官が出る任務を持っております。そこへ出ておりますので御了解願います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まず、皇室に対する国民考え方、こういう問題についてお伺いしたいと思いますが、われわれ年配方々と若い世代方々との間には、皇室に対する考え方相当開きがあるように思うのです。特に若い世代方々皇室に対する関心は、どう見てもあまり深いとは考えられない、非常に関心が薄い、そういう傾向があろうかと思うのです。その点について宮内庁としてはどういうふうにお考えですか。
  9. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いま先生のおっしゃいますような大体の傾向はございます。この皇室に対する一般国民気持ち、これは敬愛の念というふうに考えますが、この敬愛の愛につきましては、御年配の方とそれから若い方ではだいぶ違うということも承知いたしております。で、まあ御年配の方は敬の点が強いのでございまするけれども、若い方のほうは敬の点よりは親愛感の点というほうが、愛のほうが皇室関心を持っておられる方の気持ちの上では強い。しかし、まあ若い方もこの皇室に対する尊敬は持っておいでになる点をいろいろな場合にわれわれも承知いたしております。だから年配の方と若い方では、敬愛の敬の重さと愛の重さが少し違うという点があると思います。したがって、その内容についてはやはり違いまするけれども、皇室に対する関心は若い方も相当お持ちのようでございます。新聞とか雑誌が皇室に関しまする記事をいろいろ書いておられます。特に週刊誌あたりが皇室に関する記事を比較的取り上げておられるのも、読者の方がやはりそういう記事に対して関心を持っておられるというような点もあって扱っておられるように聞いております。皇室記事を扱っていたのを扱わないようにすると、販売部教が減ったりもするというようなことも週刊誌の方から聞いたりもいたしております。そういうような点で、関心をやはり若い方もお持ちだと思います。内容が先ほど申しましたようにやや違っているのではないかと思います。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このまま推移すると、将来一般国民皇室に対する敬愛の念といいますか、そういうものが、関心が薄らぐということは、敬愛の念が薄らぐ、こういうことに通ずると思うのですね。そこでやはり正しい皇室に対するあり方、正しい皇室あり方国民によく正しく理解してもらう、そういうことが必要であろうと思う。そのためには、まず官内庁自体民主化も必要でありましょう、また、皇室に対する、皇室そのもの民主化ということも必要でありましょう。これは要は宮内庁が所管の官庁でありますから、まず宮内庁が率先してこの民主化につとめ、その民主化の方向へ進めていく、そして正しい認識を国民によく理解してもらう、こういうことによって国民一般皇室に対する敬愛の念を深める、こういうことになろうかと思う。こういうことについて何かお考えですか、その対策ともいうべきものをひとつお聞かせいただきたい。
  11. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) そういう点につきましては、われわれも常に頭を使っておるつもりではございます。で、憲法にもございまするように、象徴の御地位は国民総意に基づいておられるわけです。しかし、皇室のこのあらゆる基礎国民総意に基づいておられるわけでありまするから、その国民総意那辺にあるかという点をわれわれも常に注意しておるつもりでございます。その総意内容に、いま先生がおっしゃいましたように、御年配の方と、あるいは若い方では幾らか違っておる点もございます。しかし、結局われわれといたしまして、全体のこの総意中道というようなものを見まして、そうしたお気持ちに沿うようにわれわれも努力をすべきである、こう思っております。で、時によりますと、われわれのやり方がどうも何といいますか、民主的に過ぎておって新し過ぎるというような非難を受けることもあります。また一面、古過ぎるという非難を受けることもございます。これは両極端から見まするとどうしてもいろいろな批判が起きると思いますけれども、総意というのは全体を見た中道がその総意根幹かと思いまして、そういう点でわれわれといたしましても、この皇室に奉仕をいたしていろいろ皇室に関する事柄を進める場合においては、その古い伝統の上には立ちながらも、新しい時代に処していくようにというふうに心がけておるつもりでございまして、現在は民主主義基礎に立つた国家組織になっておりまするし、そういうような国民を根本に置いて進んでいくつもりではおりますが、具体的な問題について、この場合どうするか、いろいろケース・バイ・ケースで判断しながら努力はしておるつもりでございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この前、新宮殿についての計画資料をお願いして、ただいま御配付いただいたわけですが、このことに関して要点だけを以下二、三要約してお伺いしたいと思いますが、これは昨年四月から準備工事が始まって、大体今年六月で終わって七月から本工事が始まる、こういうふうに聞いておるわけですが、これは四十二年三月に完成すると、そういう見通し工事が進められておるのかどうか、この点。
  13. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 四十二年の三月末を目途としてやっておるのは事実でございまするが、しかし、見通しといたしまして、この根幹の点は三月までにはできると思いますけれども、なお手直し的なものはそのあとに少しく残ることもあると思いまするが、四十二年のうちにはそういう点もすべて終わるようにいたしたいと存じております。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この資料、ただいまいただいたので、まだよく見る時間的余裕がないのですが、ここにあるかもしれませんが、総工費については、新聞報道によると八十億から九十億くらい、こういう幅を持たしておるわけですけれども、これは工事中、五カ年計画とすると、その間にやはり材料も値上げがあるだろうし、工事費変動があるだろう、こういう配慮によってそういう幅を持たしてあるのかどうか、それとももう額ははっきり確定されておるのか、こういうことについてお伺いします。
  15. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この金額全体がどのくらいかかるかということ、これは新聞にも発表してありますが、八十億ないし九十億ということで一応考えておりまするが、この一応の見込み価格というものは、国有財産としての皇室用財産取得に関する件を大蔵委員会のほうで御審議いただきました際に、いろいろ金額として予定の見込み価格というようなものを申し上げたことがございまするが、それですと、この宮殿本体工事ですね、このほうが約六十七億くらい、それから電気機械室というようなそういう付帯の設備、それが三億四千万、それからこの宮殿の前に地下駐車場ができますが、地下駐車場が四億五千万円ばかり、それから庭園とか、それから照明の装置とか、下水道の設備とか、そういうようなものが六億九千万円ばかり、それを合わせますと八十一億円になります。しかし、そのほかにいろいろの事務費関係ですとか、それから既設の建物についていろいろ改修を加えるというようなものをいろいろ加えていきますと、約九十億ぐらいというふうに見込まれるのでございますが、これはいま先生がおっしゃったように、物価の値上がり、その他実際の推移によりましてはまた変動があるかと思います。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 宮内庁で、三十五年六月ごろから新宮殿建設について国民からの寄付を受けつけておるようですが、本年一月ごろで大体三千三百万円をこしておるとか、こういうことですが、現在はどのくらいになっておるのか、そしてまた、国民のどのような階層からの寄付が多くなっておるのか、そういう傾向を簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  17. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この寄付金は、ただいま差し上げました資料の三枚目の裏のところに、皇居造営寄付についてというところに、寄付金として、これは本年の四月二十一日現在で、寄付金件教で四万六千百四件、金額は四千三百十四万五千四百七十三円となっております。なお、寄付物品七件とあります。これはすでにできました吹上御所造営について、石ですとか、材料寄付を受けたものがございます。使っておりませんのはこの四千三百万円のことでございます。なお、これも今後幾らかふえてまいるかと思います。この内容は、この件数と金額をごらんいただきましてもおわかりと思いまするが、少額の寄付が多いことでございます。平均して千円ぐらいでございます。百円ぐらいのもございますし、それからもう少し金額の張っているのもございまするけれども、それぞれ赤誠をもつて御寄付になっておるものが多いのであります。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 皇居造営審議会答申を見ますると、その一節に、国民からの自発的な寄付は受けることとして、その方法については強制にわたったり、あるいは売名宣伝に利用されないように、こういうことが一応注意されておるわけであります。中には、いわゆる売名的なものもあるやに聞いておるのですが、この問題はあくまでも売名とか、あるいは宣伝に乗らないように、十分その点は注意しておると思いますが、こういうような点についてお伺いしておきたいと思います。
  19. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点は十分注意してやっているつもりでございます。要するに、強制にわたるというのは、何か特に割り当てをしたりして集めたりするというようなふうになってはいけないわけで、そういうふうな疑いのあったことがございます。そういうのは、これは趣旨が違うからというので、お返しをいたしました。そういうようなふうに、強制にわたったのではなかろうかというものについてはお返しをいたしております。それから売名の点でございますが、幸い、いままで特にこれを寄付してこうしたというふうに売名的に宣伝をしておられる方もございませんので、金額でいいますと百万円をこしている方もございますけれども、ほんとうの匿名のようなことになっております。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この国民からの寄付金については、建設そのものに繰り入れるようなことはしないで、新宮殿内のたとえば美術品等、将来存置される物について配慮が払われているということを報道で聞いたわけですけれども、この点どうなんです。そうしてまた、もしそうだとすればそのような配慮那辺から出ているのか、こういう点は。
  21. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この寄付をいただきました分は、やはりこれは一応国庫の歳入になりまして、これをまた使います際には、予算面に支出になっていくわけですけれども、寄付なさったのがどこに入ってどれに使ったかわからないというよりは、寄付された分でこの部分ができましたというふうにしたほうが、寄付された人たち気持ちにも沿うのじゃないか。そういうことで考えられるのは、装飾関係なんかも考えられますし、必ずしも装飾じゃなくて、ある一部の何かこの部分といったようなところが考えられればそういう部分でもよろしいのですが、これはやはりその金額がどれくらいになりますかによって、それに見合つたような部分考えまして、その部分はこの寄付によってできたというふうに計らいたいということでございます。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この新宮殿工事の担当は一体どうなるのか。そうして、その責任体制についてはどのように御決定か、この点をお伺いしたい。
  23. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この工事を進めます際の体制でございますが、宮内庁臨時皇居造営部というのが、昨年の四月にすでにできております。その前には、部ではありませんが、造営主管というので、管理部内にそういう一つ組織があったわけですが、だんだん仕事が本格的になってまいります際に、昨年から臨時皇居造営部というのが設けられまして、部長を置き、その下に課長が二人あって、それぞれそれを担当いたしているわけでありますが、この責任はもちろん宮内庁長官責任で進められているというか、その部下としてその組織ができているのであります。  なお、これにつきましては、役人だけかやるのじゃなくて、顧問が設けられております。顧問として設計関係を担当される方で芸術大学教授吉村順三氏、そのほかいろいろ御相談相手になる人として、学士院会員内田祥三さん、それから吉田五十八さん、それから東大教授の関野さん、それから建設省建築研究所長の、平賀さん、そういう方が顧問であります。で、いろいろ進めておりますが、特に建設省関係は、建築研究所長顧問に入っておられるだけでなくて、いろいろ造営に必要な要員なども、建設省から相当いい方を宮内庁に出向の形で来ていただいたり、また場合によって、省に身分はあるのだが、お手伝いする、併任の形でやられるなど、建設省も大いに宮内庁と協力してこれを進めていくというようなかっこうになっております。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 皇居造営審議会答申の中に、、実施計画というのがある。これを見ますと、三十五年三十六年の両年度において、お住まい造改築、それから宮殿設計を行なって、三十七年度からおおむね五カ年計画皇居造営実施をするのが適当と考えると、こういう実施計画答申の中にあるわけですけれども、それと比べるといささかおくれておるようですけれども、その計画答申と食い違っておくれている理由は那辺にあったのか、その点どうですか。
  25. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) お住まい関係は、この答申のとおり、三十五年度、六年度でできましたのですが、宮殿関係は、設計関係をさらにもっと慎重にするようにということで、実際の工事に入るのはおくれましたのですが、それも皇居造営審議会答申の中にもありまして、なお、専門の人の意見も十分に聞いた上で、万全を期するようにという御答申がありました。それに基づいて、三十五年に日本建築界の一流の方と目されておる十名の方にそれぞれ意見を聞きましたのですが、その際に、そういう方の一致した意見は、設計については、もっと時間をとって十分に練る必要がある、それから工率の実施は五年というが、いまいろいろ科学的に設備等が進んでいるものですから、もっとこの時間は短縮できると思う、設計を十分練って、工事期間を短縮できるから、短縮できる期間設計のほうに十分時間をかけたほうがいいという皆さんの一致した御意見がありまして、それで、設計期間を長くして工事期間を五年というのを三年に短縮して、完成する年度は同じというふうになっております。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 皇居造営審議会答申がここにありますが、これを見ますると、昭和三十四年六月五日付の総理大臣の諮問に対して、審議を重ねた結果を同年十日八日に答申しておるわけです。その一節に「周辺の施設」、こういう項があるわけです。その項の中に、「行事に支障のない場合、一定の日時を限って、一般参観人正門から入って宮殿参観のできる工夫をも考慮することが望ましい。」と、こう答申しているわけですが、この点の配慮についてはどのようになされておるか、この点をお伺いいたします。
  27. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは宮殿ができました後のことになりますが、そういう場合に、やはり皇居造営審議会の御意見がありまするように、に差しつかえのない範囲においては、正門から入っていただいて、宮殿参観をしていただけるようにはかりたい。結局そうなると、普通の日はたいてい行ごがございますので、あるいは、これはまだ固まったわけではございませんけれども、土曜の午後だとか、あるいは日曜だとか、そういうときにそういうふうにはかるとか、そういうことをいろいろ検討したいと思っております。これはまだこれから検討するのでございます。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 新憲法下宮殿については、申し上げるまでもないことですが、よく新憲法の精神に沿うような、平和な明るい民主的な、そういう国民から親しまれるような建物にすることが必要だと思うのですが、この点については、十分配慮されているように思いますけれども、念のために伺っておきたいと思います。
  29. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その点につきましては、この設計にあたりましても、刷りもので、資料でおあげいたしました三の新宮殿様式についてというところに、要点として、一、二、三、四、と掲げてありますが、「(1)宮殿は、公的な国家的行事の行なわれる所であり、対外的にも対内的にも一種の象徴的意味を持つものとして芸術的な格調の高いものであること。(2)宮殿は、昭和という時代象徴する一つの典型的な現代建築であること。(3)宮殿は、新しい技術と材料のなかに、伝統の美しさを十分活かしたものであること。(4)宮殿は、威厳よりは親愛を、荘重よりは平易を主調として国民に親しまれるものであること。」この四つを基本として進めるべきであるということで進めてまいりましたので、四の点がいまおっしゃいました精神的な面でありますが、したがって、一応設計ができて、模型などもできて、いろいろごらんいただいておりますが、こう言ってはなんですが、相当お年寄りのような方は、もっとどっしりしたものにしたほうがいいのじゃないか、もっと屋根なんかが深くなったほうがいいのじゃないか、そういう御意見もございますが、しかしながら、ここにも掲げてありますように、「威厳よりは親愛を、荘重よりは平場を主調として国民に親しまれるものであること。」ということを考えてしておりますものですから、そういうような方からは、必ずしも満足でないけれども、しかしながら、国民の多数の方から見られた場合に、ちょうどいま考えられているのがよろしいとわれわれは考えております。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 外国の場合を二、三拾ってみますると、イギリスのバッキンガム宮殿は、鉄さくから大体三十メートルの近辺にバルコニーがある様式になっておりますが、そして、ごく近いところに、あそこにはいかめしいおもちゃのような衛兵が立っているわけですけれども、その衛兵は、外来のお客さんに要請されれば、気やすく写真の対象になったり、非常に親しまれているわけですけれども、日本皇宮警察官では、なかなかそんなようなわけには現状はいかぬと思います。そういうような点がだいぶ違っているわけです。  それからオランダのアムステルダムの宮殿は、戴冠式をやったり、儀式をやったり、あるいは迎賓用であって、ふだんは百キロほど離れたハーグという公園の中にある。それでこういった公園の中にある宮殿で執務をされる。お住まいはまたさらにハーグから百キロほど離れた閑静な原始林の中にある、こういう実情です。  それからデンマークのコペンハーゲンにある宮殿は、正面入り口はすでに車道になっている。町の中のビルと何ら変わらない様式になっている。右の半分が国会議事堂で、左の半分が宮殿、こういうふうな様式になっております。国事の、行事のないときは有料で自由に公開されている。こういうようなことと比較すると、どうも皇宮警察官があそこにきちんと立っていると、なかなか国民も親しまれぬような雰囲気があろうと思いますけれども、それぞれ国柄が違うので、長い間の伝統外国のそのままで、即いい悪いということではなくして、結局、こういった問題は、要約すると、日本の新宮殿については、皇居のいわゆる独特の美観はあくまで保存するということは必要だと思います。それと、いわゆる皇室あり方などが国民感情とよく見合って計画が進められなければならないと思うのです。そうして東京のオリンピックはい玄だいぶ準備が進んでおりますが、そのオリンピックといえども、国力にふさわしくない豪華過ぎるようなことではかえっていかぬというふうに識者から注意されておるわけですが、この新宮殿についても、日本の国の国力に応じた、いわゆる国力応分の、しかも質素なものでなければならない。こういうふうに諸外国の例など比較対照して、要約するとこういうことが言えると思うのです。これらの黒については、宮内庁としてはどういうふうにお考えですか。
  31. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この宮殿バッキンガム宮殿のように柵の前からすぐに宮殿が見えるというふうには、ちょっと場所的にはいきませんけれども、一応お堀があって、そのお堀の中にありますものですから。で、しかし、その二重橋なりあそこにたくさんの方が来られますが、そういう場合のあそこに立っている護衛官服装なんかについて、もう少し何かくふうしたらどうかというふうなことを警察庁のほうでも検討しておられますが、これはどちらかというと警察庁のほうの一応仕事になりますが、宮内庁相談しながらいくわけですけれども、しかし、やはりその国その国の伝統があるので、英国のまねをするということは、これはかえってこっけいになるので、服装の上において、もっと親しまれるようなくふうがあるのではないかというふうなことを寄り寄り相談はいたしております。新しい宮殿ができますまでに何かそういうような成案を得たいというようなことで、寄り寄り相談をいたしております。  なお、この宮殿につきましては、これは国民の皆さまのまあお気持ちの中心になっていけるように、親しまれるようなふうに、いろいろくふうをしたいと思います。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、一応宮殿については以上にとどめます。  この前、当内閣委員会でも問題になりましたマッコールズの記事の問題。これは新聞のほうでも相当詳細にわたって記事がなされた問題でありますし、その資料も出ておりますから、私はこまかいことはお伺いいたしません。ただ、重点的に、この記事をほかの資料からも拝見したわけですが、一貫して言えることは、皇太子妃殿下に対する同情の立場からこういうことが書かれており、こういうことは一貫しておることだと思うのです。もちろん多少の誤解もありましょうけれども、また真相を伝えている面も確かにあるように考えられるわけです。そこで、とにかくこういう記事については、国民一般非常に心配しておるわけですから、宮内庁はこのような問題に対しては真相を明らかにすることが必要であろうと思うのです。いわゆる相当誤解があっては相ならぬ、正しく理解してもらいたい。こういうような必要はあろうと思うのですが、いま申し上げたように、個々のこまかい具体的な問題についてはお伺いいたしませんが、基本的な考え方をお伺いしたい。
  33. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) マッコールズ三月号の記事につきましては、まあ国内の週刊誌あたりでもいろいろこの問題を扱われまして、そのいろいろ照会に対しては、宮内庁関係の者から、こういう点はこうであるというようにいろいろ話をして、その点はまた記事のほうとして扱っていただいておるので、誤解の点はある程度取れたのではないかと思っておりますが、しかし、まあこういうような記事が……ただ、その記事につきましては、いろいろな週刊誌あたりでも、まあ翻訳権の関係もあるものですから、一つ一つ断片的に紹介しておられる。何か全訳を出そうかという話も、ある雑誌にあったらしいのですけれども、まあ翻訳権というものが相当高いものであったらしい。そういうことから話もつかず、結局断片的に出ている。そういう点は場合によると、ほんとうの記事についてのまた誤解もあったのではないかというような点もあります。ここに要約をお配りいたしましたが、これも翻訳権の関係考えないといけないものですから、やはりこういうふうに刷りものをつくります際にはそういう点を考え京せんといけませんので、要点だけを拾ったわけでございまして、まあそういうことで意を尽くしていない点はございますが、大体の空気はこれを読んでいただければわかると思いますので……。こう言いますと何ですが、部の週刊誌に伝えられましたよりは、本文のほうがもう少しやわらかいのであります。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、個々の問題はさておいて、さらにこの問題を要約すると、先ほどお伺いした皇室の近代化とか民主化、こういう点に通ずると思うのです。  そこで、この問題があったから、なかったからということではなく、この際、宮内庁としても十分その責任を感じて、皇室の近代化、民主化には、さらに一般と努力すべきであろうと思うのです。そうしてそうすることによって、国民皇室に対する敬愛の念を深めていくと、こういう心がまえが必要ではなかろうかと思うのですけれども、こういう点についてはいかがですか。
  35. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 先ほども申し上げましたように、この皇室国民総意に基づいてあられるわけで、やはり国民とともに、国民気持ちの上で敬愛も受けられてお進みになっていくのでございますので、国民気持ちと離れてはこれはいけないわけです。したがって、国民気持ちと結びついていかなければならない。国民にほんとうに親しまれていかれるようにあられることが大切だとわれわれも考えております。したがって、この新しい時代に処していかれるように、われわれとしてもわれわれのできます範囲においてはくふうもし、努力もしたいと思っておりますが、しかし、また一面、この伝統ということを無視しては、これまたいけませんので、やはり皇室のあらゆる基礎がこの伝統的なものをお持ちのところに皇室としての基礎がございますので、ですから伝統を無視はしないがまた新しい時代に処していくように、この両面がうまく調和して、そして国民とともにあられるように努力したいと思います。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さきに義宮様と津軽華子さんとの婚約をおきめなさる納采の儀が十四日に行なわれたわけですが、そこでお伺いしたいのは、津軽華子さんは義宮の妃殿下として特別の教育をニカ月受けられるということですが、この特別の教育というのは一体どういう内容のものなのか、その概要をお聞かせいただきたい。
  37. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この特別の教育と申しますのは、義宮様の妃殿下におなりになるので、結局皇族になられると、その前にやはりこの皇族になられる場合には、また妃殿下になられる場合には、どういうようなことをなさるのか、なさる場合のこのいわゆる基本はどういうことであるかというようなことを、やはりおわかりになるようにお話をしておいたほうが、まあいよいよ妃殿下になられる、皇族になられた場合におきましても、自信を持っていろいろ御活動もできるというような趣旨からいっておるわけでありまして、その申し上げている科目は、皇室の制度というのは実は私がまあ担当しているわけですけれども、それから営中にはいろいろ伝統的な宮中の祭祀、お祭りがございます。それが、そういうところへお出になることがやはり必要で、いろいろ御存じになっていることが必要ですので、そういう科目もございます。それから宮中で公のいろいろ行事に出られます。そういう行事に関する、どういうものがあってその場合どういうことをなさるかという行事に関すること、それから内廷の行事のこと、御交際の関係、内廷は私的な関係でございますけれども、そういう私的な方面の行事、それからいろいろ御交際をされる場合のことについて、これは主として待従職の人が申し上げております。そのほか日本歴史、これは学校でもお習いになっておりますけれども、これは皇室を中心として考えたもののずっと流れという日本の歴史について一応の概略をお学びになる。そのほか書道、それから和歌、英語のほうの会話の練習とか、そういうようなことをなさっておる。そのうちで二カ月と申しまするけれども、皇室制度の私の分は三回ぐらい、来週で終わります。それから皇室の行幸の関係は一回で終わっております。それからお祭りの関係は二回ございます。それから内廷行事関係が二、三回とか、ずっと続きますのは日本の歴史ですとか、書道ですとか、和歌ですとか、英会話、それがニカ月、ニカ月と申しますか、ずっと続くのは全部ではございません。ただし、これはなおその後も御自身でもいろいろ御修養になることと思っております。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間がありませんから、最後に一点御要望申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、先ほど詳しくはお伺いしませんでしたが、マッコールズの記事内容はいろいろ各方面で問題になっておる、こういうおりからでもありまするし、さはなくても先ほど来伺っておる皇室の近代化、民主化、こういうことはきわめて大事なことであるし、そうすることによって皇室に対する敬愛の念を高める、こういうようなことからひとつ一そうこういう方面には担当官庁である宮内庁としても一段のひとつ努力をしていただきたいということを最後に要望申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  39. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記とめてください。  〔速記中止〕
  40. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記つけてください。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは理事打合会で、時間もきまっておるようでありますが、大事なところだけひとつ許す限り質問したいと思うんですが、なるべく重複を避けたいと思うんですが、ちょっと出席しておりませんでしたので、あるいは重複するかもしれません。  まず最初に聞きたいのは、毎年この皇室経済法の施行法でいろいろ経費を出してこられるんですが、内廷費と宮廷費との概念の相違ですね、大体皇室関係の費用としては、内廷費、宮廷費、皇族費、それから宮内庁費という項目に分かれておりますが、そのうち内廷費と宮廷費がここには出ておりますが、どういう区別で分けられておるか。大体わかるんですが、この点ちょっと先に聞いておきたいと思います。
  42. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この内廷費は、皇室経済法にありますように、天皇、皇后両陸下から、皇太子、同妃殿下、それからその他内廷にある皇族の方の日常の費用その他内廷諸費に充てるもの、こうありまして、これは要するに、内廷の私的な経費に充てられるものでございまして、これは「宮内庁の経理に属する公金としない。」と書いてありまして、要するに、私的なことにお使いになる経費であります。それから宮廷費のほうは、皇室の公的なお活動のとき、それから皇室用財産の維持、管理、営繕等の、そういうようなこれは公的な経費ということでございます。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、宮内庁費というのは、これは大体宮内庁の事務をとるという費用に限定されておるんですね。
  44. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、一口に通俗的なことばで言えば、内廷費は天皇のいわゆる月給に当たる、それから宮廷費は皇室のいわゆる交際費に相当するという通俗的な考え方でいいんですか。
  46. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この宮廷費は交際費とはちょっと違います。公的な活動という中に、いまおっしゃるように交際の面も確かにございます。内外の人の来られた場合のいろいろな経費というものがありますが、そのほか皇室用財産である国有財産の維持、管理、営繕というような経費が相当あります。割合からいきますと、この公的活動にお使いになるものよりは、この皇室用財産の維持、管理、営繕のほうの関係がそれよりもずっと多いわけであります。数倍、特に今年度の予算でいきますと、そういう経費が十数倍になります。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いつもそう思っておるんですが、宮廷費、いま言いました交際費も入っておるし、あるいは皇室用財産の管理等に必要な費用、その他ちょっとわれわれとして考えられないんですが、皇居東側地区施設整備費、これらは実際考え方によると宮内庁費としてやるべき性質のものじゃないかと思うんですが、これは何ですか、皇居東側地区整備というのは、その地区は皇室財産としてなっておるのですか。
  48. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまの東側地区は皇室用財産で、したがって、皇室の用に供するそういう財産の維持、管理等の経費は、要するに、皇室の用のために必要な経費ということで宮廷費。それで宮内庁費のほうですと、職員の俸給なんかが一番おもですが、なお宮内庁のそういう事務用に必要な営繕費もございます。たとえば公務員宿舎、私どもの入っております公務員宿舎なんかの経費は、これは宮内庁の経費になっております。要するに、宮廷費は皇室の用に供するいろいろな公的御活動の経費からそういう財産の維持管理費、そういうものがすべて含まれている、皇室の用ということがその主眼になっております。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、皇居東側のあの地区はいわゆる国有財産であると聞いておったんですが、皇室財産になっておるんですか。
  50. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇室用財産と申し上げましたのは、国有財産である皇室用財産で、皇室財産はないわけなんでございます。要するに、国有財産であって、その中に皇室用財産というのがあるわけでございます。公用財産その他の行政財産もいろいろあります。その皇室用財産、皇室財産ではございません。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ内廷費と宮廷費、宮内庁費——皇族費は内廷費に同等な費用だと思うんですが、内廷費はいわゆる天皇の生活費、そういうものをまかなわれているということだといま説明があったんですが、変なことを尋ねますが、内廷費については所得税法の関係はどうなっておりますか。
  52. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この内廷費につきましては、所得税法で内廷費として皇室に入るものについては所得税はかからないということになっております。皇族費についても同様でございます。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは所得税法にそういう非課税として規定しておるのですが、その考え方は基本的にどういう考え方なんですか。生活費とすれば、日本憲法によって何人も納税の義務がある。これはあなたのほうの管理じゃないかもしれませんが、内廷費という天皇個人の生活費に対して非課税という措置をとられたということについては、宮内庁はその趣旨はどういうふうに考えておりますか。
  54. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これはどちらかというと大蔵省のほうが専門でお考えになることだと思いますが、この内廷費は普通の俸給という観念ともまたちょっと——それに類するものですけれども、ちょっと違って、内廷のいろいろな形式的な経費に充てられる。そうしてその関係で、国の立場として、まあ幾らか税金をとられても、それじゃ結局必要なだけ経費をその上に上積みするということで、手数がかかるというようなことじゃないかと、私専門じゃないのでわからないんですが、しかしながら、両陛下なり皇族の方の所得税は全部免除されているわけじゃないので、そのほか私的に収入がおありになれば、印税でもお入りになるという場合には、これは所得税がかかっております。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほど内廷費と宮廷費の相違を聞いたんですが、国の費用でまかなうから、取ってもまた出すんだというようなことではない。公務員の場合でも国の費用で給与を出しているのにやはり所得税というのは取られることになっておるんですが、そこに私は内廷費というわゆる何か特殊な意味があるんじゃないか。先ほど言われましたが、宮廷費はあらゆる公式の場合の活動費として宮廷費がある、内廷費は天皇御一家の生活費ということにわれわれ考えておるんですが、皇族費もそのとおり。その点われわれとしては若干はっきりした理解ができないのですが、宮内庁としてはそういうように所得税法できめられておるんだから、そういうことは知らぬと言われればそのままですが、簡単なことだけども、特殊な天皇の費用として、われわれとしてはこれは月給だと思っておるんですが、これに対する説明にも、公務員がベース・アップになったから八百万円上げるんだ、こういう趣旨がある。そういうことから類推解釈すると、やはり天皇個人のいわゆる生活費いわゆる月給、こういう見方をしておるん手が、それに対してこれだけは所得税を取らない、これには——これは前からだと思いますが、何らかの意味があるんじゃないか、こう思っているんですが、瓜生次長はそういうこと、御承知ないですか。
  56. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまちょっと天皇陛下個人の所得というふうにおっしゃっていますが、必ずしもこの法律の考え方としては天皇陛下個人というよりは、内廷にあられる皇族の皆さまの経費に充てるというような書き方になっておりまして代表として陛下のお手元金になりますが皆さんの経費に充てるというふうに考えているというふうに聞いております。なお、税金の関係は、税金をつければまた実際に必要な経費を組んでいる関係で、その税金の分はまた内廷費のほうを増額をしてつじつまを合わせていかれるというような点も出てくるかと思うので、そこらあたりはまた大蔵省の考えもございましょうが、そういう点は意味が薄いので、まあこの事務を簡単にされる意味ではこういうふうにされているんだろうと思います。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私、天皇個人といいましたが、これはもう天皇御一家のいわゆる世帯主という意味の収入ですから、それが皇太子また皇太子妃また皇太孫にあろうとも、それは私は別にこの私の言っている趣旨には反するものではないと思います。私は深い意味があって聞いておるんですが、これは宮内庁の皆さん方に聞いておるんですが、ただそうなっているということぐらいしか言われぬわけですが、私は何か意味があると思うのです。いまの憲法上からくる天皇の立場というものを考えて個人の収人であってもこれは税金を非課税にする何らかの私は意味があると思うのですが、その点は尋ねたということだけできょうは終わっておきましょう。  次に、皇室宮廷費のところですが皇室の公的御活動に必要な経費として出される費用として四千八百五十二万ですか、あるんですが、これはどういう御費用に使われるのですか。
  58. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) ただいまの公約御活動の関係についての御質問でございますが、象徴的なお立場におきましてのいろいろな御活動でございまして、そのうちには賜宴とかあるいは贈賜とかいうような儀典的な経費が入っております。それから外交団のカモ猟とかアユ漁とかいうふうな接待的な意味の経費が入っておりますし、それから植樹祭あるいは国体等においでになります場合の行幸啓の関係の費用が入っておりますことと、それから東宮さまの御地位からいたしまして、御進講あるいは行啓等の東宮関係の費用、それから国賓接伴の関係の費用というのが公的御活動の関係の費用として入っております。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それが本年度は昨年度に比較して五百四十万何がしか減となっておりますが、それはどういう理由ですか。
  60. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) 公的御活動の経費のうちで、昨年度は皇族さまの皇族外国旅行の経費が入っておりまして、三笠宮さまのトルコにおいでになります経費が入っておりましたが、本年度はそういうことがございませんので、その関係が落ちたわけでございます。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もし年度途中でそういうことが起こった場合には、結局追加補正ということで出されることになるのですか。いままでそういう例があるのですか。
  62. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いままでそういう場合には予備費の支出をお願いをいたしているわけであります。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 次に宮殿新営費でありますが、本印は十三億あまりの増額になっておるのですが、これは五カ年計画でやられておるのですが、あとどのくらいで——費用の点だけでありますが、どれくらいで完成する見込みでございますか。
  64. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは先ほど伊藤先生のときにちょっと申し上げましたが、ざっと全体で九十億ぐらいと見込まれております。したがって、ことしが十五億ぐらいで、なおあと七十何億かというのが必要になると思います。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは最初計画どおり進捗して計画期日には大体竣工するという見通しでございますか。
  66. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これも先ほど申し上げたのでございますが、計画は四十二年の三月一ぱいでございますけれども、根幹はできると思います。しかし、手直し等があってあるいはそれで完成までには数カ月かかるかもしれません。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほどちょっと例に引きましたが、皇居東側地区の整備ですが、これは完成されたら一般国民に開放されるように聞いておったんですが、そういう地区じゃないのですか。
  68. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この東側地区は、いまおっしゃるように、完成いたしますれば、皇室として特にお使いになる以外は一般に公開されるという地区であります。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは何らの制限といいますか、一般の公園のように自由に二十四時間中というわけでなしに、そういうところに何らか時間的な制限とかそういうものをやられる見込みですか。
  70. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 時間的には朝から夕方まで、明るい間だけという一応考えでいまおります。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その場合、この地区は皇室用財産ですか、そういうことになっておるのですが、警察権の関係はどうなんですか。この皇居の警備ですか、これでやられるのか、一般警察権権が及ぶのですか、どっちですか。
  72. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇室用財産となっておりますと、皇宮警察が警備に当たる地域になるわけでございます。ただし、一般警察が必要な場合には、入られることについてはこれは除外されていないわけであります。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その場合、国会も同じことでございますが、国会は議長の承認を得て警察が入ることになっておりますが、その場合は宮内庁長官といいますか、それらの承認を得て一般警察権が及ぶというふうになるのですか。
  74. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮内庁長官の管理している地域でございまするから、やはりそういう場合、了解を得てと、われわれ一応考えております。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その場合は、現行犯の場合は、私、警察官がそのまま入っていっていいと思うのですが、一般に開放された場合に、東京のような非常に複雑な都市の場合でありますから、犯罪関係なんかについてどういうふうになるのですか。
  76. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 特別にその点握り下げてまだ検討いたしていないのでございまするけれども、あるいはその中の普通の関係については、犯罪についてもこれは皇宮警察の警察権があるわけでありますから、その護衛官がその皇室用財産の上における犯罪として、やはりこれは取り締まるのがたてまえ、しかし、特別の場合には一般警察もやはり入ってくることができるということ、本筋はやはり里宮護衛官がやるということであると思います。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは私の取り越し苦労の意味じゃないのですが、皇室用財産として一般に開放されるということはわれわれきわめて望むところです。しかし、いま言っている警察権の限界というものも相当考えておかなければ、皇室関係の警察の方々もそういう訓練はあると思いますが、そこにまた問題を起こすということも考えなくちやならぬ。皇室用財産ですが、一応開放するというたてまえからいくと、あえて皇室用財産の地区としなくても私はいいんじゃないかと思うのです。たとえば新宿御苑は前は皇室用財産だつたと思うのですが、そういうこと、わずかなことです.が、やはりはっきりと——皇室用財産としてそういう警察権の問題もはっきりと区別しなければならぬかどうか、この点は検討する余地があるのじゃないかと思うのですが、その点、どうですか。
  78. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) やはり皇室とされても、場合によってはあそこで、東側地区をきれいにしてそこで宴会をやられるとか、あるいはその他の催しをされるというようなことが考えられますので、皇室用財産というふうに考え、その整備されたところを皇室でお使いにならない際には一般の方も自由にお入りになって散策をされる、皇室でもお使いになるところへ一般の方もおいでになるということで、皇室国民との間の親近感もまた深まるというようなこともあると思います。なお、皇居造営審議会が三十四年に開かれた際に、いろいろの方の意見がその際出ておりましたが、普通の公園のようにすると、どうも荒れてしまう危険が多いというようなこともそのとき出ておりました。やはり皇室用財産として皇室がお使いになる、また、そこへ一般の方も来られるというふうにしてきれいに整備したほうがよろしいというような御意見もあったりして、そういうふうになっております。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いまの実情から言われたら、瓜生次長の言われるように、いまの日本国民公園に対する公共的観念というものはまあ若干低いとも言わざるを得ないのですが、一般に開放すれば荒れるからということでは私はないと思うのですが、相当私広い地区だと見ておるのです。まだいまやっておられますから、私も通って見ておるのですが、皇室用財産となるといま言われましたが、一定の制限をつけて開放するというが、なかなか庶民的な場所としてなりにくいと思うのです。しかし、今後宮内庁でその管理はうまくされると思いますが、そのときに待たざるを得ないのですが、ほんの言いわけ的な開放になって、やはりほとんど皇室専用の、都会の大きいまん中に、そういういい公園のようなところが、都民が見ながら入れないというようなことがあっては、かえって皇室に対する都民の反感というものが私は出てくるのじゃないかと思うのです。私はそれが相当いい公園あるいは緑地と申しますか、庭園になると思うのです。そういうところを見ながら入れない、あれは皇室のものであるということは、私は非常に都民、一般の国民もそこに何らかのよからざる感情というものがわいてくると思う。この運用については、わずかなことであるけれども、いま皇室国民との問の親近感を養うと言われるが、逆のような効果の出ないように運営すべきであると私は思っておるのですが、その点どうですか。
  80. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまおっしゃるようなことでございますが、皇室用財産として、皇室としてお使いになる期間というのは、ごく短いと思います。年間でいったら数日あるくらいじやないかと思うくらいであります。ですから、もうほとんど大部分の日は、日中は自由に皆さんが入られるようになる。いまですと、お入りになると皇宮護衛官が一々どこへ行かれますかと聞いたりしておりますが、今後はそういうことでなしに、自由に出たり入ったり、その時間内はなされるようにというふうに考えておるわけでございます。入りにくいというような感じのしないようにいたしたいと思っております。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、もうある程度、夜開放すると公園を荒されるといいますか、好ましからざることがあるので、夜だけはこれは閉鎖するけれども、日中は、デー・タイムのときは、これは開放する、こういう方針ですね。
  82. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) そういうことでございます。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではそれでわかりました。  次に、皇后陛下の御還暦記念ホール、これは事情をずっと読みますと、御還暦記念であるけれども、皇居における集会所、俗なことばで言えば公民館、こういうような形のものですね。
  84. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 公民館というほどのものでもございませんですけれども、皇后陛下は音楽がお好きですし、皇后陛下がいろいろ音楽とか舞楽、そういう関係でそこへおいでになることも多いでしょうし、また、外国からいろいろな方が見えて、そこでなさることも多いでしょうし、なお、一般の方についても考える場合もあるということで、公民館と同じものでもございませんけれども、そういう面もあるということでございます。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはどこかに資料があると思うのですが、音楽、舞楽その他、ときには映写会もやられるというのですが、相当人員が収容できるようなホールなんですか。
  86. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) ただいま皇后さま御記念のホールについて設計中でございますが、計画といたしましては、二百人くらい収容できるというふうなことを予定いたしております。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いままで舞楽なんか、これはたまに新聞なんかで見るのですが、やっておられるのですが、そういう日本古来のそういう舞楽をやるという、そういうものはここで全部やられることになるのですか。式典のようなことも。
  88. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この舞楽は、いまもあすこの楽部の舞台のところでやって、春秋公開をして、一ぺんに多いときは七、八百人ですか、それを何回かに分けますので、春ですと五千人くらいになりますか、そういうように入っておりますが、この御還暦記念ホールのほうは、舞楽を主とするよりは、西洋音楽とそれからそこに書いてありますように、映写会とか……。ですから、舞楽は主ではありません。
  89. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、いままで一種の行事としてやられておった舞楽は、それは依然として従来のところでやられるのですね。
  90. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  91. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 皇后陛下の御還暦記念ホールというので、私は何かと思ったのですが、とにかく皇室におけるそういうことはいいかどうか知りませんが、若干慰楽をともにされるというホールですね。
  92. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 次に、相当大きな費用が要るようですが、皇室用財産管理等に必要なる経費というのは、これはもう内廷関係建物、あるいは宮廷関係建物、その他一切の固定資産なりあるいはその他の公園といいますか、庭園の修理とか、そういう費用は全部含まれておるのですか、この中に。
  94. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) これは全部含まれておるわけでございます。皇居 から、御用邸からそれから京都の離宮、御所とか、それから陵墓関係とか、そういうようなものを全部含んでおります。  今度は、新宮殿造営されておるのですが、宮内庁のいわゆる官庁としての庁舎ですね、それはどうなんですか。
  95. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮内庁のいまありますところは引き続いて宮内庁はいまの建物にいる。もと宮内省の建物といたしまして、戦後その三階を仮宮殿にされておったのですが、あれを全部やはり宮内庁建物としては宮内庁が使っていうことでございます。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、現在の宮内庁は、いまの庁舎でそのまま事務をとるということですね。
  97. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) さようでございます。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その場合の宮内庁のそういう維持管理費というものは、これとは区別されておるのですね。
  99. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまはあそこの宮内庁建物皇室用財産になっておりまして、いまやはり皇室用財産としての経持管理の費用でまかなっております。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 将来は。
  101. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) その問題はまた大蔵省のほうとよく相談してみたいと思っております。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点がぼくは、宮内庁としても——こういうことは、あまり国民は知らないのですが、はっきりしておくべきだと思うのですね。宮内庁という官庁は、もちろん天皇の国事行為をやられる、それに対する一つ仕事場と申しますか、そういうところですが、しかし、それは一つの公的な、国家的な総治権の一部ということ、これはあとでまた問題になると思いますが、そういうことは別として、一つのそういう官庁であると私は見ている。  それから宮廷費に所属する皇室用と申しますか、皇室財産といいますか、それらはやはり天皇のいわゆる自身の活動をする範囲のものである、この区別をやはりはっきりしておかなければ将来いかぬのじゃないかと思うのですが、いまの場合は、宮内庁の費用も宮廷費も、内廷費は若干違うような含みがあったのですが、何か限界、区別というものがあいまいのように思うのですが、宮内庁というと、これは一つの官庁だと思うのです。これは総理府総務長官どう思われるのですか。
  103. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) いま、山本さんの御意見、私も大体同感というとちょっとなんですが、よくわかります。これはいわゆる天皇の国事行為の何といいますか、いろいろのことについての事務官庁です。しかし、一面これは皇室関係仕事を掌握してやっておられますので、やはり官庁としての立場と、それから従来の皇室関係の特殊な域も入っておりますし、一応これはひとつあらためて検討してみたいと思っております。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 憲法下におけるいまの天皇の地位そのものについても、若干象徴天皇ということであいまいさがあるという論議があるのですが、やはり象徴天皇として国事行為をやられるということ自体は一つの職務、職権と申しますか、そう思っております。それから天皇自身の生活そのものとやはり区別しておかなくちやならぬと思うのです。それがあいまいになると、また天皇自身の問題もやはり論議の対象になると思うのです。   そこでこれは御存じであるかと思いますが、英国の場合、宮廷費、内廷費、こういう点はどうなっておるのですか。現在王国というのはだんだん少なくなってきておりますが、英国は相当例にとっていい国だと思うのです。その点はどうなっていますか。
  105. 小畑忠

    政府委員小畑忠君) ただい崖英国王室制度についての御質問でございますが、深く研究もいたしておりませんけれども、大体たてまえが全然御承知のように違っておりますようでございますが、わが国におきましては、内廷費のうちには聖上をはじめ内廷皇族の経費が計上されておりますし、皇族費につきましては、外廷にある三宮の経費が入っておりますが、英国におきましては、個々の法律によって規定があるわけでございますけれども、たてまえといたしましては、女王さまの御経費とそれから皇族、わが国におきます内廷、外廷を含めて、皇族さま個人的に、一人々々ずつ経費が見積もられておるようなことでございますし、また王室におきましては、王室法以外の収入もあるわけでございますが、昭和十二年と昭和二十七年の女王と王室の皇族に対する経費につきましては、シビル・リストがあるわけですが、そのうちで女王さまの経費といたしましては四十七万五千ポンド、これを日本の経費に換算いたしますと四億七千五百万円と、こういうふうなことになっております。そのほかに皇族費といたしましては、皇太后さまに七万ポンド、エジンバラ公に四万ポンド、グロスター公に三万五千ポンド、マーガレット内親王に六千ポンド、王女に六千ポンドというふうなことで、総計で十五が七千ポンドというようなふうにたてまえが全然違っております。そのほかに、この王室法以外にランカスター公領の収入だとか、あるいはコンウォール公領の収入だとかいうふうなものが全然別に計上されておるようなことにうかがっております。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 おっしゃるとおりに、皇室と申しますか王室といいますか、その伝統も違うのだからこういう区別もあると思いますが、内廷費、宮廷費というものは、英国王室はあまり区別しておらないと思うのですが、ほとんどが宮廷費というものに重点を置いて英国、王室は国が考えておる。向こうのほうの、いわゆる皇帝に対しては、個人的な活動という、生活というところに重点を置いて国が出しておるということになっておるんですが、日本の場合、内廷費と宮廷費はそうせつ然として私は分かれるものじゃないと思うのですが、これは私の考えですが、宮廷費に属するものは宮内庁費として相当大きく見るというとおかしいですが、そういうものに変えていくほうが国民は納得しやすいのじゃないかと思うのですね。皆さん方は、われわれも、内廷費、宮廷費、それから宮内庁費といいますけれども、内廷費と宮廷費の区別を知っておる人はほとんどないです。内廷費と宮廷費は、これはもう天皇の費用であるという考え方が私はあるのじゃないかと思うのですが、この点私はもう少し検討する必要があると思うのですが、その点、そういうことは気づいておられるかどうか、そういう考えがあるのかないのか、この点はどうですか。
  107. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この宮廷費と宮内庁費との区分の関係は、これはいろいろ検討していかなけれ、ばいけないと思っております。たとえば自動車のような関係でも宮内庁用のものは全部宮内庁費に持っていく、宮廷費にはございません。そういうふうにしておりますが、なお、いま言われましたように、あるいは宮内庁の庁舎の関係が仮宮殿と一緒にあるためにちょっと区分がはっきりしてないために、どうかする点があったり、その点は将来の問題として検討したいと思っておりますが、ただ内廷費と宮廷費の区分は、これは皇室の私的な関係と公的な関係ということで、やはりこれは区分できると思いますが、よく区分しておいたほうがいいと思います。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはこまかく言ったらずいぶん時間がかかるから、きょうは大ざっぱに了解、理解しているという上に立ってこの話をしておるんですが、交際費にしても、私的な交際と、それから公の交際とあると思うのです。これは国の行政官でも大臣でも同じだと思うのですね。それによって、いろいろ交際費、そういうものも分けておるんですが、内廷費の中からもある程度天皇個人がいろいろお金を出しておられると思うのです。また、宮廷費からもそういう費用が川されておるんと思うのですが、そういう点を考えると、私はこの宮廷費を宮内庁費と内廷費に分けてしまうという考えにおるんです。集電用財産とか、そういうものにとらわれておるからこういう宮廷費というものが出てくるのですが、これは内廷費と、あるいは宮内庁費に分けてしまってもいいんじゃないかということですが、たとえば先ほど申しました皇居東側地区の整備とか、いま尋ねました皇后陛下が御還暦と言っているが、これは一応名称であって、皇居内における一つのそういう行事建物を建てる、その他皇室用財産管理というのも宮内庁費で私はいいんじゃないかと思う。そのほか交際費、その次の公的御活動の関係の中に内廷費と宮内庁費とを分けてししまう、こういう考え方でいっても私はいいんじゃないかと思う。あえてわかりにくいように、内廷費、宮廷費、宮内庁費というふうに分ける必要はないと私は思う。その点はやはりそういうことで運用できませんか。
  109. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 一つのお考えとして、われわれもそういう面もなおさらに検討は進めたいと思いますけれども、まあその皇室関係は、内廷費は私的なもの、先生のお考えは宮廷費と宮内庁費を一緒にしたらどうかというようなお考えかと思いますが、まあこの点は、そういう考えも一応伺いまして、さらに研究をいたしたいと思いますが、一応いままでの考え方として、公的な御活動、それから皇室用財産に必要な経費をまとめたものを一応皇室費の中に組み、人件費とか事務費的なものは総理府の関係事務費として宮内庁費というふうな置き方にもやはり意味があると思います。   —————————————
  110. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 議事の途中でございますが、委員異動について御報告いたします。  ただいま近藤鶴代君及び村山道雄君が委員辞任され、その補欠として後藤義隆君及び平島敏夫君が選任されました。   —————————————
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 瓜生次長さん、ぼくは内廷費と宮廷費をこのまま一緒にしょう、そういう意味じゃないのですよ。宮廷費というのは天皇自身の費用でないと私はこう見ておるのです。宮殿もこれは天皇のお家でないと見ておるのです。天皇としてその国事行為をやられる一つの場所として、こう言うと何ですが、一種の官庁の延長としてこの宮殿があると見ておるのです。公式の場所として、皇室用財産とかそういう概念にとらわれなくして、天皇のお住まいになる家は別にあるのですから、そういうことではっきり国民が認識できるような形で私は区分していくほうが、天皇が国事行為をやられる場合の立場も私はいいという考えでおるのですね。宮殿、まあイギリスのいわゆるバッキンガム宮殿も、向こうの英国民は、国民のいわゆる王室の建物である、王の建物であるというような感じであれを見ておらないということを聞いておるのですがね。そういう意味からいって、この予算の分け方にこだわるのじゃないのですが、そういうことも考える必要があると思う。何だか宮殿は天皇のお住まいである、あれはぜいたくなものじゃないかという、そういう感じを私は持たせたくない思う。象徴天皇として国事行為をやる一つの職場である、官庁である、こういう考え方のほうが、正しい新しいいまの憲法によるいわゆる宮殿という概念があるかどうか知りませんが、そう考えたほうがいいんじゃないかと思いますが、私の言うこと、わからぬでしょうね。
  112. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) そういうお考えもあるかと思いますが、いま考えておりますのは、象徴天皇としておられるその方の御活動に必要な面の経費、そういう方がお使いになる建物、そういうものもやはり皇室費として考えるというようなことで、宮内庁費はその下のほうの総理府の外局である宮内庁というそういう役所の必要な事務的な経費と、一方の象徴天皇としての必要な経費というふうに分けてあるわけです。そこにも意味があるかと思います。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 こういうむずかしいことはあまり言いませんがね。昔から日本のみならず、世界の宙殿といえば、天皇のお住まいになるいわゆる宮であるという一つの概念があるわけです。しかし、今日そういうものは当てはまらない、これは宮殿とあるけれども、私が言っておるのは、新しい憲法上による天皇の国事行為を行なう場所である、それは儀式であろうと何であろうと私はそうだと思っておるのですね。宮殿という名前があるためにあなたはこだわれているかもしれませんが、そういう見方をせずに、宮内庁、国の一つの官庁の延長である、こう考えるのは私はいまの国民としては、ぴんとくるのじゃないかと思うのですね。宮殿というと、ここに天皇が住んでおられるとみな思いますよ。私はそうでないと思う。そういうことをいうのは、相当九十億にあまる費用を使ってお建てになるのだから、天皇個人はそこでいつも暮しておるのではない。そういうりっぱなものを建てて何をするのかといわれた場合にどう説明するのか、それは、私のいう象徴天皇として国事行為を行なう、しかもそれは外国使臣も来るし、そこに対外的な一つ日本の国の威厳というとおかしゅうございますが、国の権威を示すためにこういうものも必要である、私はこう説明するのが妥当じゃなかろうかと思うのですね。天皇の宮殿であるというよりも、むしろそういう説明のほうがいまの国民に理解できるのじゃないか。で、私は先ほど遠回しでありますけれども、言っておるのです。しかし、それは通じなければ通じないでよろしいが、そういうことを言っておった議員の一人もおったということぐらいは私、会議録にとどめておきたいと思いますが、わかりませんか。
  114. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いま先生の言われる点はよくわかるのです。しかし、その象徴天皇としての公的な仕事をなさる場所であり、私的に生活をなさる場所ではない。普通のことばで言えば、象徴天皇としてのオフィスということばを使う人もありますし、まあこれは国民のためにそういう仕事をなさる場所で、私的なものではないというふうに考えております。その線は私は山本先生気持ちは同じだと思っております。
  115. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあいろいろあるのでございますが、もう大体時間も来たようでございますから、皇室経済法の施行法に関する問題について私はこれで終わりたいと思いますが、まあ会議録をずっと読ましていただきまして、いろいろいい議論も出ております。いわゆる皇室といわゆる国民、新しい憲法下における天皇の位置と存在ということは、非常に私は重要な問題であると思う。それは単に皇室の問題を通じて私はお話をいたしましたが、宮内庁の側近におられる皆さん方ですから、その点は十分ひとつ私の足らないことばであるから理解されておるかどうか知りませんが、私の片言隻句の中から若干理解された点があるかと思いますが、この点は十分考えられて、今後天皇の国事行為ということがうまく運営できるように、特に宮内庁長官をはじめ側近の人にこの点だけ申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  116. 向井長年

    ○向井長年君 一つだけ。宮内庁病院ですが、あれの所管は宮内庁が所管されていると思うのですが、あの使用範囲はどうなっておりますか。
  117. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 宮内庁病院は、天皇、皇后両陛下をはじめ皇族の方がお使いになる。それから宮内庁職員、皇宮警察職員、その家族それからその他一般の方ということで、現在の御使用状況は皇室の方はまあときどきお使いになる程度ですが、平素のものはその他の者が多いのです。その他の者の割合は宮内庁と皇宮警察の関係とその他一般の人が半々ぐらいということになっておりますが、そういうことで将来もいくんじゃないかと思います。
  118. 向井長年

    ○向井長年君 ベッド数はどれくらいあるのですか。
  119. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) ベッドはたしか二十ぐらいです。小規模のものでございます。
  120. 向井長年

    ○向井長年君 あれはテレビ等でいろいろ見るわけですが、非常に何というか、昔のままですが、あれは何か改造する予定を持っておるのですか。
  121. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いまの宮内庁病院は、もとの倉庫のあとでして、これは非常に不完全なものでございますので、皇居造営の一環として、三十八年度予算で、ちょうど表門から入った右側のところに新しくつくり直しております。あの倉庫は病院でなくなりまして、ことしの夏ぐらいから、新しい宮内庁病院で仕事を始めることになると思います。
  122. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。下村君から、委員.長の手元に修正案が提出されております。本修正案の御意見は、討論中にお述べを願います。なお、御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。下村君。
  123. 下村定

    ○下村定君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております塁室経済法施行法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。なお、修正案はお手元にお配りしてありますので、それによって御承知を願いたいと存じます。  次に、その理由を申し上げます。  この法律案は、昭和三十九年四月一月から施行することになっておりますが、四月一日はすでに経過しておりますので、施行期日を公布の日に改めることに、改正規定を年度当初にさかのぼって適用する必要がございます。よってここに修正案を提出する次第でございます。  以上、修正部分を除く原案に賛成をいたしまして、私の討論を終わります。
  124. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について採決に入ります。まず、討論中にありました下村君提出の修正案を問題に供します。下村君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  126. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって下村君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた.原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  127. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は、全会一致をもつて可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四士五分散会    ————・————