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1964-04-16 第46回国会 参議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十六日(木曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   委員異動  四月十五日   辞任      補欠選任    重政 庸徳君  植木 光教君    占部 秀男君  山本伊三郎君  四月十六日   辞任      補欠選任    石原幹市郎君  山本 利壽君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            下村  定君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            鶴園 哲夫君    委員            植木 光教君            栗原 祐幸君            源田  実君            小柳 牧衞君            林田 正治君            山本 利壽君            鬼木 勝利君   委員以外の議員    発  議  者 草葉 隆圓君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 武治君    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    内閣法制次長  高辻 正巳君    総理府総務長官 野田 武夫君    内閣総理大臣官    房賞勲部長   岩倉 規夫君    厚生省年金局長 山本 正淑君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省監察局長 北脇 信夫君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君    郵政省人事局長 増森  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    郵政省郵務局施    設課長     安田 清広君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○旧金鵄勲章年金受給者に関する特別  措置法案草葉隆圓君外十六名発  議) ○郵政省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。昨十五日、占部秀男君及び重政庸徳君が委員辞任され、その補欠として、山本伊三郎君及び植木光教君が選任されました。また、本日、石原幹市郎君が委員辞任され、その補欠として、山本利壽君が選任されました。   —————————————
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、ただいま御報告のとおり、石原理事委員辞任いたしましたため、理事に欠員を生じましたので、その補欠互選いたしたいと存じます。先例により互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないものと認めます。それでは、理事に、村山道雄君を指名いたします。
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案を議題とし、これより質疑を行ないます。ただいま出席の方は、発議者草葉隆圓君のほか、政府側からは、野田総務長官岩倉賞勲部長高辻内閣法制次長、なお、小林厚生大臣も、間もなく出席されます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 きょうは、特に池田総理出席を要請しておったわけですが、やむを得ない事情出席ありませんので、総務長官に、かわってお答えいただきたいと思います。  私が申し上げるまでもなく、憲法精神にそぐわない、こういうことで、金鵄勲章そのものも、また過去の栄典を与えたことについても、政府は、これを否定しておるわけです。ところが、本法案を詳細に見ますると、過去の年金受給者だけに一時金七万円を支給すると、これはどう考えても、法のもとの平等に反すると、こういうふうに断定せざるを得ないわけです。総務長官としては、どういうふうにお考えです。
  7. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 御承知のとおり、旧年金受給者は、昭和十六年に金鶏勲章年金令が廃止されました後も、なお旧令によりまして昭和二十年まで年金を受けておったのでございます。したがって、この年金受給者は、いわゆる既得権者と見られるのでありますことと、また、今度の法案内容から見ますと、支給を受ける者が満六十歳以上の老齢に達しておって経済能力を失っている者が多いという実情であること、並びにこれがいわゆる金鵄勲章階級制ではなくて、一般平等に、支給がきわめて過大とは言えないと、こういうことを考慮いたしますと、他の戦争犠牲者その他に比較いたしまして、法のもとに平等という憲法上の条項に反するとは思われないと思います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうもそういう答弁では了解できませんが、池田総理衆議院の本会議でこういう答弁をしておるわけです。旧金鵄勲章年令受給者に対して、かつての地位に対してやるのだから、法のもとの平等には反しない、こういう意味の御答弁衆議院でやっておるわけです。いまも申し上げたように、金鵄勲章そのものも、また、これから生まれ出た年金についても、政府はすでにこれを憲法精神にそぐわないとして廃止し、もしくは否定しておるということはいま申し上げたとおり。したがって、かつての地位に対して、そのかつての地位というのは、旧栄典である金鵄勲章保持者、こういうことになるわけです。そういうものだけに限定しておるから、法のもとの平等に反するではないか、こういう意味のことを伺っておるわけです。したがって、これに対してのお答えをいただきたいわけです。的はずれにならぬように……。
  9. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 憲法上の解釈の基本につきましては、法制局から来ておりますから、なるべく誤りのないように政府見解を申し述べたいと思いますが、一応政府といたしましては、私が先ほどお答えいたしました理由、同時に、すなわち、金鵄勲章を新たに栄典制として考える。また、それに対する勲章に関連して年金を今度出すということでございますと、憲法相当疑義があります。あるいは憲法違反の疑いがあるということも、理論として私は考えられると思いますが、政府といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、かつての身分に対して、今日金鶏勲章年金受給者がいわゆる既得権を中断されておる、中断といいますか、既得権がなくなっております、それを保護する立場をとっておりますことと、それからいま申しましたとおり、六十歳以上の高年齢、また経済能力が非常に乏しくなっていると、支給額が必ずしも過大ではないというようなことを勘案いたしまして、憲法十四条の条項に反するものでないという見解をとっております。しかし、これは大事なことでございますから、憲法上の基本的な考え方を、政府では法制局が出ておりますからお答えさせることにいたします。
  10. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) ただいまお話がございました点につきまして、総務長官からの御指名もございましたので、私から一応申し上げさせていただきたいと思います。この旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法議員提案ということになっておりまして、私どもこれを拝見したわけでございますが、仰せのとおりに十四条の問題がどうかということでございますが、十四条は、御存じのとおりに、そもそもは憲法の十三条にあります「すべて国民は、個人として尊重される。」、個人尊厳性というものに根ざすのはそこでございまして、要するに、個人尊厳性というものが各自について同じである。まあ、そういうところから実は十四条の「法の下に平等」というものが出てまいるわけでございますが、これも御存じのとおり、憲法の第十四条は個人尊厳性というものに支障を来たすようなそういう平等を害するような行為は、これは厳として禁止しておるわけでございますが、いわゆるよく言われますように、合理的な事情に基づく差異といいますか、そういうものは十四条は別段問題にしているわけでございませんので、いろんな法制にいろんな問題が出てまいりますわけでございますが、それらが合憲と見られるのは、やはりそれぞれの事情に基づく合理的なものであるからという理由がつくわけでございます。そこで、この問題でございますが、第一条を拝見いたしますと、旧金鵄勲章年金受給者のかつて受けていた経済的処遇が失なわれたというわけで、ここで見ておりますのは、栄典というようなものではなくて、かつて受けていた経済的処遇、一定の状況、そういうものにかんがみて、これに対して一時金を支給するというたてまえになっております。したがいまして、こういうことをするのがいいのか悪いのかという政策上の問題はむろんあり得ると思いますけれども、これが憲法違反であるということをきめつけるわけには私は参らぬと思いますが、その理由はいま申し上げたような理由でございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間がないから、深くは掘り下げる時間がないと思いますけれども、かつての地位というのは、旧栄典であった金鵄勲章、そういう所持者でなければこの一時金はもらえない、こういうふうに限定しておるわけです。したがって、かつての地位に対して——このかつての地位というのは、旧栄典であった金鵄勲章所持者でなければならぬ、そういう観点からいえば、当然これは、提案者がこれは栄典でないとはっきり言っておりますけれども、そこに疑義が出てくるわけです。しかし、時間の関係でこれ以上掘り下げることはいたしませんが、そこで政府に伺いますが、政府はこの法案を積極的に支持しておるわけです、賛成しておるわけです。にもかかわらず、この前もちょっと伺いましたが、政府自体提案をしていない。いろいろこの前おっしゃいましたが、どうもそういうこと以外にそこに根本的な理由があるというふうに私どもは断定せざるを得ないわけです。政府自体は賛成しながらみずから提案しなかった根本的な理由は一体那辺にあるのか。その根本的な根拠をひとつ承りたい。
  12. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 先般も当委員会で同様なお尋ねがございましたから、その際にも申し上げておきましたが、大体政府見解は、さらに明確に、この法案が可決された場合は政府としてはこれを尊重するという意思も表明しております。しかし、いまお尋ねの、なぜそれならば政府提案にしないかということでございますが、さきに申し上げましたとおり、すでに本法案は数回にわたって議員立法として国会に提出されております。議員立法提案されましても、また、政府提案といたしましても、法案取り扱い、また、これを可決した場合に対する政府態度というものが一番大事なことでございまして、まあ何と申しますか、政府にはずいぶん多くの法案をかかえておりまする関係上、政府与党間に連絡をいたしまして、この法案取り扱いをどうするかというような、事前に、国会提案前に検討いたしまして、やはり数回議員立法として提案したものであるから、与党としてはこれを議員立法として提案するという御趣旨でございましたから、政府といたしましては、これをわざわざ議員立法として御提案なさるのを、政府から、私のほうから出しますと言う必要を認めない。何とならば、これはもう御存じのとおり、政府提案でありましても議員提案でございましても、法というものは何らその間に差別がないのでございます。政府与党連絡の上でもって、国会対策議員立法としてお出しになることを政府といたしましても了承した、こういう段階でございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 表面の理由はそうであろうとしても、お伺いすれば必ず政府は検討してきたということで尽きているわけですから、その検討の結果こういう解釈をしたのじゃないですか。先ほども申し上げたように、金鵄勲章そのものも、また、過去の栄典を与えたことについてもこれを否定した、憲法精神にそぐわないとして法をもって金鵄勲章そのものを廃止し、そうして過去の栄典を与えたことについてもこれを否定した。法をもって否定しているわけです。あるいは廃止しているわけです。したがって、その政府が法をもって廃止し、もしくは否定をした。否定をした政府自体がまたこのことに関して法律を出すことはこれはできない。これはそうだと思うわけです。法をもって廃止し、否定したことをまた法をもって国会へ出す、そういうことはできないわけです。だからいろいろおっしゃいましたが、根本的な理由は、そういう関係があって政府自体提案しなかったのではないか。あえて政府提案しなかった根本的な理由はそこにあるんじゃないか、こういうふうに私は考えざるを得ないわけです。政府がですよ、繰り返し申し上げますけれども、法をもって憲法精神にそぐわないということで廃止し、あるいは否定したわけです。法をもって。したがって、またそのことに関して政府が法を出すわけにいかない。したがって、議員提案にまかした。しかし、政府もやりたいのでこれに賛成した。これがほんとうの真相ではなかろうかと思うんですよ。ほんとうのことをひとつお答えいただきたい。
  14. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) いろいろ御推測の点があるのでございますが、私はたんかいに申し上げておるのでございまして、御承知のとおり、本法案は、同じものが前国会でございますか、衆議院委員会を通過いたしております。そういうことでございまして、これが憲法違反であるとか、さらに非常に疑義があるということになりますれば、やはり衆議院委員会を通過したような法案でございますだけに、政府といたしましては、さらに慎重を期すのでございますが、実はその当時も相当論議され、しかも衆議院委員会でこの法案が通過しているという事実にかんがみますると、いま法制局からも申し上げ、私も申し上げますとおり、憲法上の疑義はない、こういう立場でございましたから、ただ、法案取り扱い上、政府案として今度、今国会に百六十近い法案を出しておりますし、いろいろ手続上なかなかこの法案取り扱いは、政府与党間に一応の話し合いをいたしませんと、かってに政府提案をする、かってに議員立法にするということは、実は避けておりまして、この法案取り扱い政府与党でもって意見の一致を見た上でやろうということでございます。したがって、この旧金鵄勲章年金受給者特別法案は、従来のとおり議員立法として提案するという与党側のお申し出がございましたから、政府はこれを了承したわけでございまして、いまいろいろと、何か政府がこの法案をいやがってどうだとかというようなことは、今回の、特に国会開会前の政府態度としては少しもそういう点がなかったのと、また、この議員立法提案につきましては、十分政府与党からの打ち合わせを受けてやっておるのでございますから、いまのようないろいろ御推測がございましたが、政府はやはりこの法案提案ということにつきまして了承いたしたと申しますか、賛成いたしたといいますか、十分了解を得てやっていることでございまして、いま憶測されましたことは、政府としては何ら今日までに論議もしておりませんし、考えもしていなかったということをはっきり申し上げておきます。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在の栄典である勲章は、憲法精神に従って、何らの恩典もないわけです。これははっきりしておる。文化勲章もその例外ではないわけです。ただ、文化勲章文化功労者年令とがあって、世人ややもするとこれを混同して、文化勲章をもらえば年金をもらえる、これは恩典だ、こういうふうに簡単に考えている人があるようですが、これは私が言うまでもなく、文化勲章文化功労者年金とは全然別個のものであって、何ら関係ないわけです。したがって、文化勲章をもらったそのことは年金に通ずるものではないわけで、全然別個のものですから、したがって、文化勲章すらその例外ではないと私はあえて申し上げたわけです。ところが、過去の栄典であった金鵄勲章、その年金受給者だけに限って云々ということであるから、これは一つ恩典になる。恩典だとすれば、その者に限って恩典だとすれば、これは当然に法の上の平等に反するではないか、こういうことがはっきり言えると思うのです。この点はどうですか。
  16. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 栄典に基づく恩典はもちろん廃しております。また、お示しの文化勲章文化功労者年金仰せのとおりでございます。従来廃したものを、さらに、たとえばこの年金をあらためて、年金受給者身分対象として出すことは、栄典にやはり関連があるというおことばでございますが、たまたまこれが金鵄勲章という勲章受給者でございます。そこで、政府といたしましては、たとえば恩給の、ことに軍人恩給のごときも、これはもちろん廃止をいたしております。しかし、その後の社会情勢または旧軍人経済能力その他あらゆる要素を勘案いたしまして、旧軍人のいわゆる当時廃止されたものを、今回新たにやはり恩給制度復活しております。こういうものは、やはり一度法によって廃止されたのであるから、ただ政府は、この金鵄勲章受給者のみ復活したと、こういうことをよく誤解されるおそれがあるのでございますが、政府といたしましては、それがたまたま金鵄勲章受給者でありましても、われわれは決して金鵄勲章復活また金鶏勲章に対する云々ということでなくて、過去に持っておられたこの年金受給者皆さん方身分考えまして、今日そのいわゆる従来の既得権と申しますか、そういうものと、経済能力の問題その他あらゆる社会状態その他経済状態を勘案いたしまして、これを、金鵄勲章というような勲章を持っておったから、これを対象としてやるというのでなくて、この年金制が廃止されたものであっても、その後の社会情勢済情勢の変化によって、これはひとつ一時金を支給するほうが妥当であるということでございまして、必ずしも、ただ金鶏勲章という前提をもって取り扱ったものではないことをひとつよく御了解を願いたいと思っております。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その貧しきを憂えずひとしからざるを憂えるということばがありますが、これは為政者にとって大事なことばだと思うのですが、繰り返しお伺いしておるように、旧金鵄勲章年金受給者だけに救いの手が差し伸べられて、たとえば原爆、水爆の被爆者、ずいぶん気の毒な生活を送っておるわけです。こういう方々には何ら具体的に救いの手が差し伸べられておらない、こういう点は非常に大きな問題だと思うのです。この辺について、そういうふうな、明らかにこれは一方的である、こういう点に多くの問題があるわけですが、総務長官としてはどうお考えですか。
  18. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 戦争の影響によっていろいろと被害をこうむられた国民の各層、各界に、いろいろまた各事態によりましてお気の毒の方が非常に多いのでありまして、お話のとおり、まあできるだけこれらの方々に対しては手厚い処理をするということは、これはもう政治の一番大事なことであるといういまのことは全く同感でございます。しかし、やはりそのときの状態考え、また、その前後の状態考えますと、まことに広範でございまして、まだもちろん足りないことが多いと思っております。たとえば政府でやりました一つの例をとりますと、大体海外方々にお気の毒だというので、かつてやはり五百億のお見舞金を差し上げておる。まあいろいろ、決して勲章を持っている方でなくて、こういう方には、たいへん海外で多年国家のためにお働き願った方々にはお気の毒だというので、とりあえずそういう処置もいたしております。また、いまお話のありました原爆被害者、これはまあ何と申していいか、実にお気の毒でございまして、現在——ここに厚生大臣もお見えでございますが、政府はこれらの方々に対しては、その御病気に対する措置、まあいろいろな点においていままでできるだけいたしておりますが、もちろんいまお話のとおり、決してこれが万全をはかっているというまでは至っておりません、しかし、政府といたしましては、これらの方々に対しましては今後もできるだけお手厚い取り扱いをしたい。これらが、いままあちょうど原爆被害者お話しございましたが、あるいはまた、それらの具体的な措置につきましては、ここに厚生大臣見えでございますから、お話し願えるかと思いますが、いまお話のとおり、政府は決して勲章を持っておった者を重点的に考えるとかあるいは勲章保持者をまず政府のそれらの救済の対象にするということは毛頭考えておりません。したがいまして、今度の金鵄勲章受給者措置につきましても、御承知のとおり、金鵄勲章には非常に功一級から階級がございましたが、そんな階級なんというものは、勲章の、勲等の差というものは一切考えないで、平等にこの法案によりますと七万円を差し上げるということでございまして、これが栄典制度復活とか、あるいは栄典制度を中心として考えますと、どうしてもここに功一級と功二級は幾らという差別がつきますが、そんなものは、全然政府といたしましては、この法案精神もそうでございますが、実態もそうでございますが、この法案に沿いまして、先ほどお話がございましたように、また、私どもが御説明いたしましたように、これらの身分を持っている方で、今日の経済情勢にかんがみまして、かつて持っておられた既得権を少しでもひとつお助けしてあげたい、こういう考え方でございまして、政府ひとり金鵄勲章保持者ということでなくて、いまお話のとおり、万般におけるこれらの災いを受けられた方々に対しては今日までできるだけいたしておりますが、まだまだ不完全でございますから、将来ともひとつそういう方面に頭を使って対策を立てたい、こう考えております。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 厚生大臣は、衆議院の本会議のほうに二時三十分までにということでございますので、以下厚生大臣に二、三お伺いしますが、まず旧金鵄勲章年金受給者であろうとなかろうと、経済的精神的に不遇のうちに老残の日を送っている気の毒な方々に対しては、あたたかい手を差し伸べる必要がある、こういうことはわれわれも痛感しておるわけでございます。それにはまず根本的に、社会保障制度を抜本的に改善する以外にはなかろうと思うのです。この点について、所管の厚生大臣としてはどのようにお考えですか。
  20. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 近代的の社会保障というものは終戦後非常なテンポをもって始められておるのでありまして、社会保障としましての三本の柱があって、生活保護の問題と、それから健康保持のための医療保障、それから老齢者所得保障のための老齢年金と、この三つのものが三本の柱となって社会保障をいたしておる。そういうことで、最近におきましては、三年ばかり前から国民の皆保険というものが行なわれて、医療保障が一応整ってきた。次に国民年金昭和三十四年から始まりまして、そうしてすべての国民年金を受けられるようにする、こういう制度が整ってきたのでありまして、現在一応国民年金厚生年金船員保険国家公務員共済組合等八つ年金制度がありまして、これによってすべての者が年金を受けられる、こういうふうな体制が整ってきておるのでありますが、しかし、まだこれらが経過の年数が少ないために十分な内容を持っておらぬ、こういうことは明らかな事実でありまして、今後内容をいずれについても充実をしていく、こういうことになっております。国民年金のほうは拠出年金というものを主体とするものでありまするが、現在すでに老齢である者は拠出年金に加入ができないので、これらについては障害年金母子年金老齢年金と、いわゆる福祉年金がすべて国家の負担によって出されている。こういうことでありまして、現在では老齢年金が月に一千百円になっておりますが、この金額はなおきわめて不十分であるということでありまして、随次この内容を充実する。こういうことにつとめてきております。それで現在まあ国民年金にしましてもいまの規定では月額三千数百円にしかならない。これでは所得保障としては不十分だという声が行なわれておりますので、これらを充実していくという方針をとっておりますが、とりあえずまあ国民年金と同じ厚生年金につきまして給付の改善をするということで、この国会にいわゆる一万円年金というものを実現せしめたいということで、法案の審議をお願いすることに相なっておりますが、厚生年金をまず改善をいたしまして、続いてこの国民年金もぜひひとつ現在の所得保障としての実があげられるようにひとつ改正をいたしたいと、こういうことになっております。拠出年金あるいは厚生年金はいまのようなやり方をしておりますが、続いていまのお話老齢年金で、老齢者拠出年金に入らない者は、いま月額千百円しか受けられない。これではきわめて不十分であるということで、今後この千百円というものを相当に幅をふやしていかなければならぬ。こういうことで、いずれにいたしましてもお話のように、すべての国民年金によって老後の所得を保障できるように、こういう方針でもって進んでいるということをひとつ申し上げておきます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで特にお伺いしたいのは、旧金鵄勲章年金受給者であって——前提があるわけてすが、受給者であって、経済的精神的に不遇のうちに老残の日々を送っている気の毒な人、こういう人だけを救済すればいいのか。それとも旧金鵄勲章年金受給者であろうとなかろうと、経済的精神的に不遇のうちに老残の日を送っている気の毒な方はみな救いの手を差し伸べるのがいいのか。一体厚生大臣としてはどちらをおとりになりますか。
  22. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私ども厚生当局としては、全国民対象としての年金制度を確立したい。こういうことで進んでおるのでございます。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでわれわれの希望としては、旧金鵄勲章年金受給者だけという不公平な考え方をかなぐり捨てて、いま厚生大臣もはっきり言われたように、年をとって老残の日を送っている気の毒な方々はみな対象として救いの手を差し伸べる。それにはいま御説明のあった老齢福祉年金、これのまず支給額を大幅に上げて、いま一千百円ということでございますが、いまの物価から見てなかなか千百円の程度ではどうにもならない。これはいま御説明のあったとおり。したがって、支給の額を上げて、今度は支給開始の年齢を引き下げて、そしていろいろあれを調べると制約があるわけですね。ただ一定の年齢に達した者には無条件に出しておるわけではないわけです。いろいろと複雑な制約があって、たとえその支給開始の年齢に入ってもなかなかもらえない仕組みになっておるわけです、実際には。こういう制約を撤廃すること。この三つですね。支給額を引き上げる。支給開始の年齢を引き下げる。そしていろいろな制限を撤廃する。これを抜本的にやることによって気の毒な方々はだいぶ救われてくると思うのです。このことはいかがですか。
  24. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまの一千百円は少ない。私はいまやはり少ないと思っておりまして、これをある程度引き上げなければならぬということを考え、最近の機会にこれを実現させたいと思っております。  なお、支給年齢につきましては、お話のように、ただいま七十歳でありますが、これを六十五歳まで下げろ。こういう議論、意見がありますので、これもいま検討しておる。いまの支給についての制限、所得制限がありますが、これも年々広げまして、今年は六十五万円までの方は支給制限をしない、こういうことになっておりまして、お話のようなことは順次直してきておりまするが、これからも同様なことを進めなければならぬ、こういうふうに考えております。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでついでにお伺いしますが、老齢年金について額は承ったわけですが、その支給開始の年齢ですね。これを六十五歳まで引き下げる、これは現行はどうなっているのか。また、制約についてはいろいろこまかい制約がありますから、そういうこまかいことは別として、基本的なことだけ。こまかい問題は必要ありません。基本的なことだけお管えいただきます。
  26. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 現在の支給年齢は七十歳から始めることにいたしております。それを六十五歳まであるいは六十七歳まで引き下げろ、こういう意見がありますので、これらについてもいま検討している、こういうことでございます。いわゆる支給についての所得制限というのがありますが、その所得制限をいろいろな扶養家族とか、そういうものを集めて六十五万円まではもう支給する、こういうことで大幅に緩和されておりまして、所得制限の関係はだいぶ希望に近づいている。  それからもう一つは、公的年金との支給問題があります。たとえば遺族扶助料をもらっている者はこれを支給しない。昨年までは遺族扶助料を七万円までもらっておる方には支給をしない、こういうことになっておりました。今度の改正でこれを八万円までの方は支給するということになりましたから、この面の支給制限も大幅に緩和されて、今年だけで二十何万人も支給対象になる、こういうことにいたしております。このいまの七万円を八万円にしたというのは、これは遺族扶助料でありまして、軍人関係のものがそういう取り扱いを受けております。また、一般公務員関係恩給につきましても、一応の支給制限がある、こういうことになっております。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 老齢年金についての実態は伺ったわけですが、現在は七十歳にならぬと支給されない、こういうことですね。これはこの国会でぜひ六十五歳くらいまで引き下げたい。まあ、一時に大幅にということはむずかしかろうと思いますが、やがては六十歳くらいまで引き下、げていくように、そして支給額も月額ぜめて一万円を下らない額になるように、せっかく厚生大臣として努力をお願いするわけです。そうして、いま全国で六十歳以上の老齢者は大体一〇%以上が、一千万人をこえていると思いますが、この一千万人の六十歳以上の方々の中には、相当生活困窮者もおろうと思います。いま物価高、賃金が低いということで、なかなかもって容易でない。子供も昔のように扶養の責めを果たしたくも子供自体がなかなか生活に追われておって、親のところまでなかなか手が伸びない。そういう気の毒な家庭生活の方も多いわけです。したがって、先ほど来お願いしておる、この老齢年金の額を大幅に引き上げて、そして支給開始の年齢をまた逆に大幅に引き下げる、そして制限を撤廃する、こうすることによって一千万人以上もおる六十歳以上の中の生活困窮者はだいぶ救われてこようと思うのです。こういうことが徹底してくれば、提案者はあえて憲法違反——われわれは疑いがあると見ておるし、提案者は疑いがないと見ておりますけれども、こう無理して本法案を出さぬでも、おそらくここで、大臣が支給額を月額一万とか二万という答えを出し、年齢もこの年金受給者と同じように六十歳ぐらいまで引き下げ、一切の制限を撤廃する、こういうことであれは、賢明な提案者はさっそくこの法案を撤回するであろう、そういうふうにも考えられるわけです。こういう事態でありますので、特に厚生大臣に御出席いただいて、きょうこの機会にお伺いし、さらには要望したいゆえんのものはそこにあったわけです。したがって、ひとつぜひこの点については格段の骨折りをいただきたい、こういう点を特に要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思いますが、これに対する厚生大臣としてのひとつ所信をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまのような方向で進んでおりますが、そう急場の間には合わない、厚生年金自身も昭和四十年からやりたい、こういうことになっております。  支給年齢でございますが、これはいまの厚生年金でも、共済年金でも、六十五歳になっておりますので、まあ福祉年金の問題もまあまあ将来いろいろ考えると、やっぱり六十五歳とか六十七歳とかいう問題になってくる、かように考えております。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 あまり時間がございませんから、提案者に二、三にしぼってお伺いしたいと思いますが、この法案が曲がりなりにも通ると、施行するのはいつからということになりますか。一体施行期日はいつになるのですか。
  30. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 本年の四月一日から支給を開始するというのでございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それはそうですが、私が伺ったのは、施行期日はいつですかと伺っておるわけです。そこで、公布の日から施行して、昭和三十九年四月一日から適用すると、こうお答えいただけばいいわけです。
  32. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) さようでございます。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それから、昭和二十七年七月七日から十七日まで国立の世論調査所がいろいろ栄典並びに栄典に関連した調査をやっておるわけです。この一端を見ますると、こういうことがあるわけです。現在勲章を所有している者は、一つ生活程度のよい者ほど、また学歴の高い者ほど多いという報告がこの国立世論調査所の調査結果に出ておるわけです。これを拝見したわけですが、このとおりだとすると、所有者に特に生活困窮者が集まっているという、そういう事態はないと思いますが、この点はいかがですか。
  34. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) あるいは全鶏勲章以外の場合はそういう世論調査があるいは当てはまったかもしれぬと存じまするが、私の承知しております範囲におきまして、かつての旧金鵄勲章受給者の多くは、最も多いのは七級、いわゆる兵階級の人であります。上のほうほどりょうりょうたるものだと思います。したがって、兵階級、一般的に考えますると、決して、まあ兵階級がすべてが困窮の人とは言えませんが、大体学歴が多くて、そうして裕福な階級ということは言えないのではないか、階級のやはり高いほうが学歴が多くて裕福な階級と言えるのではないかと思っております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 提案者の御説明を承りますと、旧金鵄勲章年金受給者で経済的、精神的に不遇のうちに老残の日日を送っている人の多い実態にかんがみてと、これを救済する必要がある。こういう理由になっておるわけです。そこでお伺いしたいのですが、一体そういう生活の実態調査は、どなたがいつからいつまでの期間、どういう方法で、そうしてどれくらいの経費をかけて御調査になったのか、その実態がどういうものから出てきたのか、これははっきり明言されておるわけですから、そういう気の毒な方々が多いと、こういう方々を救う必要がある、したがって、綿密な調査ができておると思うのですが、いまの点について、まずお答えをいただきたい。
  36. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) これは綿密な調査を実はやったわけではないのでありまするから、この点まずもってお断わりして申し上げます。  現在の状態におきまして、いろいろな立場から、まず知り得る方法で推計等をいたしまして、数字を出した結果でございまして、お話のように、実態調査をして出したというのではございません。したがいまして、現在私どもの手元で知り得る範囲におきまする大体の推計は、かつての金鵄勲章年金受給者のこの一級から七級までの状態を推計してまいりますと、一級は二名程度であり、二級は十三名程度であり、三級は十一名程度であり、四級は百三十一名、五級が四百二十七名、六級が二百九十六名、七級が、いわゆる兵階級が七千七百四十三名という状態でありますので、ただいま申し上げたように、提案理由に申し上げたようなことを申し上げたのでありまして、まず常識的に考えてそうであろうと存じておるような次第でございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 お伺いしたことにあまりお答えになっていないわけですが、どういう機関で、どなたがいつからいつまでの間どういう方法で、そうしてどのような経費をかけてやったか、まあそういうことに対して、できるだけの方法で、できるだけの資料からという、まあそういう御答弁でしたが、そこでお伺いするわけですが、前の旧地主の復活をねらった農地被買収者調査会設置法案という法案が、かつて当内閣委員会で審議された、時あたかも安保国会といわれた混乱の中で、自民党の一方的な単独審議で委員会を通り、本会議でも成立いたしました。これはいまその論議をするわけではなく、これも最高裁の判決がすでに出て、まあ例の補償は適当であったというい採決が出ておるにもかかわらず、いま一度補償をやろうという、そういう内容のものであったわけです。この農地被買収者調査会設置法そのものは、さてその再補償するについては実態を、かつての旧地主がどのくらいの生活をしておるか、まず実態を調べなければならない、そういうことでこの調査会はできたわけです。そういうことから推すと、この旧金鵄勲章年金受給者調査会設置法というようなものが当然できてしかるべきだと考えられるわけです。ただあまり自信のないし実態調査でなく、実態を正確につかんで、さてこういう数字が出た、それではどうするか、二段がまえになってしかるべきだと思うわけですが、いまお伺いしたように、この内容の賛否は別として、この旧地主の問題についてはそういうような手段がとられたわけです。だから今度もこの問題、法案についても、いうなればこのようなまず正確な実態調査があってしかるべきであったと思うのです。その点は提案者としてはいかようにお考えですか。
  38. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 被買収者の実情等は、これはやはり相当多種多様でありまするから、詳細にまた十分な調査が必要であろうと存じまするが、したがって、お説のような進行状態をたどってまいったのでありますが、旧金鵄勲章年金受給者は、はっきりと年金受給者、そして年金をもらっておった者がすでに何名、いつの戦闘においてこうなったということがはっきりわかっておるのでありまして、それを終戦後、昭和二十一年の三月打ち切った、やらないぞというポツダム勅令、いわゆる勅令によって占領政策の一環として打ち切った、そこで今度これをもとにして一時金を出そうというのでありまするから、その実情はだいぶ、もう十何年も過ぎておりまするから、その過ぎておる聞における等差、動き、移動等は考えられまするが、大体の推計はなし得る状態でありまするので、ただいま申し上げたような数字等もそういう意味で申し上げたのでございまして、したがって、わりにはっきりつかみ得る、こう存じまして、別に調査会を設置せぬでもやっていけるのじゃないか、また、弊害も起こりやしないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 かつて受けていたいわゆる年金を打ち切られたために、経済的、精神的に不遇のうちに老残の日々を送っている気の毒な方々を救う必要かある、だからかくかくの手を打ちたい、こういうことですが、よくこの前提出いただいた資料等にも出ておりますし、いま提案者の御説明を聞いても、中には相当、元閣下といわれたような方で、いまも恵まれた生活を送っている方もあるわけです、一部には。ところが、これは一律になっているわけですね。そういう老残の日々を送っている気の毒な方々を救う必要がある一これはその人だけを取りはずせばまあ大事なことでこれはぜひやりたいわけですな。ところが、そうでない人も含まれているわけですね。これも内容のいい悪いは別として、かつての海外引き揚げ者に対して法的にある種の補償を国会でやったことがありますが、その際は年収幾ら幾ら以上の者は除外すると、こういうふうになっておったわけですね。ところが、今回はそういう制限はない。これはまあたいした大きな問題ではございませんけれども、ちょっとりっぱな提案者の説明としては受け取りがたいので、ちょっと筋の通ったお答えをいただきたいと思います。
  40. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 私ちょっとさきに申し上げました資料で、旧金鵄勲章の一級、二級が、二名、十三名と申しましたが、これは昭和十四年末の現在数で、現在はもうおなくなりになっておるからゼロだと存じます。ないということです。したがって、これはちょっと御訂正をいただきたいと思います。したがって、先ほど申し上げましたように、三級以下はごく少数であって、大部分は七級、そうしてお話のように、ある所得制限でやるやり方と、こういう多数が一般で、いわゆる最下位であって、そうしてごく少数の場合には、そこまで制限をせずにやる場合と、まあ両方あると存じます。その影響が多い場合には、お話のような方法も必要かと存じまするが、今回の場合はまことに上の方と申しまするか、当時の年金受給が多い方にはごく僅少にしかすぎませんが、しかし、七級を中心にした立場において一時金七万円という金によって支給するということにいたした次第でございまして、上級はごく少数でございますが、かような方法をとったわけでございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから最後に一つだけお伺いしますが、終戦とともに公債を無効にするという法律が出まして——かつての、当時の政府の国策に即応して大事な私財を公債にかえた人もいろいろあったわけです。これもその当時はその国の国策に十分協力して公債を買った人、ところが終戦とともにそれはもう公債は無効だという法律が出されてほご紙になってしまったと、こういう事例はたくさんあるわけですね。こういう方には別に何らの手も打たれていないわけです。こういう点からいっても、私は繰り返していままで質問してきたのは、旧金鵄勲章受給者だけに限るのはおかしいではないか。経済的、精神的に不遇のうちに老残の日々を送っている気の毒な方々は、日本人である以上、日本の政府は全員を対象にして公平に貧しきを憂えずひとしからざるを憂えるというそういう政治の要諦に立ってこれを救済するのがいわゆる善政ではなかろうか。そういう角度から、さらにまた憲法上は旧栄典であった金鵄勲章、そこに池田総理が言われたように、かつての地位というのは、そういう旧栄典であった金鵄勲章所持者に限られているわけです。こういう点でいろいろ疑問の点がまだまだ解明されないままに質問が進んできたわけですが、したがって、こういう点を十分解明する必要があるわけですけれども、いろいろの都合でもうこれ以上質問できませんのでこれ以上はお伺いしませんが、特に提案者としてはいま申し上げましたことに対してどのようにお受け取りになるか、そのお考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
  42. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 私は御質問の御趣旨はたいへん敬意を表しながら謹聴いたした次第でございまして、われわれもそういう考え方でございます。ことに社会保障を強く推進してまいっております私たちといたしましては、国民の今後の上に、社会保障的な立場からの生活保障、医療その他の上につとめて平等の処置が、処遇がなされるべきものである、これはもう原則として近代国家の将来発展します形においてはぜひこの道をとっていかなければならないと存じております。しかしながら、その国民の中には、あるいは国家公務員として働きあるいはこれに準じた仕事をし、そうしてある一定の条件をつけてやめられた場合に、あるいは共済年金なりあるいは厚生年金なりという特別な処遇をするということは、これまた必要であろうと思う。全部そういうものを廃止してしまって、そうしてただ平等な社会保障全部でやるという形はこれはなかなか困難であって、やっぱりそれぞれの立場においての処置は、これは幾ら社会保障が一般的な形において発達をいたしましても、それらの意味における社会保障としての立場もまたこれ許容していかなければならない問題だと存じます。したがって、一方におきましては、共済組合年金あるいは雇用者に対しまする厚生年金、こういうものは同じく生活の保障ができる程度までの年金制度を持っていって、それがいわゆる社会保障としての全体のねらいに合致するのじゃないか。また、かつて戦死したような人たちに対して、そうしてそれが恩給法であって終戦になってから一時はこれと同じようにこれを廃止いたしましたが、またこれは、むしろ政府法律をもって復活をして、そうして現在御承知のように、扶助料等を出しておる、これもまた私は、決して社会保障的に逆行するものではなく、それと合わして必要なものであって、ともにとっていくべきものだと考えておる次第であります。そういう意味におきましても、かつての全鵄勲章年金受給者に対して、そのとおりにはいかないが、一時金として僅少ではあるが七万円の処遇を新たにする。大体従来、こう約束しておると申しますか、国家が契約保証してまいりました中で、まずそのままの状態年金的に打ち切られておるのはこの問題だけであるというくらいに考えるわけでありますから、何とかひとつ、ここまで日本の経済が復興してまいりました現在においては、処置をすることが、このいまの日本の時代の思想的にもまたこれらの人たちに対する感じからも必要である。といって一般社会保障制度をこういうものによってすりかえようという考えはこれは毛頭なしに、それは大前提としては伊藤さんのお話のとおりに、われわれも十分推進していくべきものだと考える次第でございます。  そういう点から申しますと、わずか七万円の一時金では、いわゆる社会保障的な立場から考えまして、むしろ私は、決して十分とは考えられないが、かつて持っておりましたそういう処遇に対する一つの廃止のあと始末の一端としても、ぜひこの際これを実現さしていただきたいと念願いたしておる次第でございます。
  43. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  44. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) じゃ速記つけてください。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。よって質疑は、これにて終局いたしました。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  46. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。
  47. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) では、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き質疑を行ないます。  政府側から武田官房長、北脇監察局長、宮川電波監理局長、増森人事局長出席されております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本法案に関連して二、三お伺いしますが、最初、監察局関係の面でお伺いします。  まずお伺いしたいのは、郵政の犯罪についてですが、最近私が指摘するまでもなく、郵政犯罪は漸増の傾向にあって、しかも非常に悪質化しておる、こういうことが言われておるわけです。そこで、まずお伺いしたいのは、監察局の機構の改善によってある程度こういうことを防止しようとするようなお考えがあるのかないのか。また、あるとすればどういうことをお考えになっておるか。また、その対策の実施によって成果があがっておるのかどうか、まあこういうような問題について、まずもって監察局長にお伺いします。
  49. 北脇信夫

    政府委員(北脇信夫君) まずもってお答えしたいのですが、実は、先般異動によりまして、私監察局長になりましてまだ十日あまりでございますので、あまり詳しいことは存じませんが、ただ一昨年東京品川の南浜川事件等もございまして、どうしても防犯考査ということに重点的に力を入れるべきだという問題と、捜査につきましても、責任を明確にすべきだと、こういうようなことから一昨年の十月一日に東京郵政監察局のもとに六支局をつくりまして、また、大阪府にも大阪郵政監察局のもとに三支局をつくりまして、さらに警察で申しますと、管区警察局と県警本部、こういうものの責任権限を明確に分けました。さらに昨年の六月にその他の八地方郵政監察局におきましても地区監察官室というものを置きまして室長を置きました。いわゆる捜査、考査の第一線の仕事、管内全一般の管理事務、こういうものを分けまして、責任、権限というものを明確にいたしました。これがその後の捜査、考査にもかなり効果があがっておる、かように考えております。実は最近の事件が起きまして、今後さらに機構の面でどうするかという問題の御質問でございますが、まだ機構の問題にまで立ち至って検討するよりも、むしろこの改正した機構を十分に生かして運用するということに今後重点を置いていきたいと、かように考えております。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 三十六年の八月二十九日に行管が勧告しておるわけです、郵政業務について。その際行管の勧告の指摘の問題を見ますると、こうなっておるわけです。「郵政犯罪は、漸増の傾向をたどっているが、その検挙率は低いまま横ばい状態で推移しており、特に郵便関係においては低調である。ついては、外部捜査機関との協力をいっそう緊密にして、検挙率の向上を期する要がある。」、こういう勧告をしておるわけです。この勧告を受けた郵政省としては当然これに対する報告をしておるわけです。それから、もうこれは三十六年ですから約三年経過しておるわけです。その後どのように改善されておるのか、要点だけを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  51. 北脇信夫

    政府委員(北脇信夫君) 行管の勧告の次第もございまして一まあ前から警察とは密接な連携をとりまして捜査に当たっておりましたが、勧告の次第もありまして、その後はさらに一そう緊密な連携のもとに捜査を実施しております。ただ検挙率の問題でございますが、特に郵便犯罪は特殊性がございまして、この間発生しましたような貯金犯罪などと違いまして瞬間的に抜き取ってしまう、で、あとに証拠は残らない、それからこの犯罪の中には、たとえば夜間に郵便のポストに火気を投入する事件、こういったものも事件として入っております。これは非常にその後の捜査が困難であります。そういうようなこともございまして事業別に見ますと、郵便犯罪が最も検挙率が低い、かような現状でございます。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 犯罪には部内、部外とあるわけですが、部内の犯罪防止については、言うまでもなく郵政監察官の大幅な増員がまず一つ対策であると思うんです。新年度においてこの監察官の増員ということは考えられておるのか、計上されておるのかということですね。そういう点はどうですか。
  53. 北脇信夫

    政府委員(北脇信夫君) 御承知のように、定員法では監察官は七百名以内置けるということになっておりますが、現在員が六百二十七名ございまして、実定員からいいますと、若干過員になっております。と申しますのは、三十五、六年ごろ郵便の遅配問題、その他業務の正常運行というようないろいろな問題がございまして、若干の過員も人事局の承認を受けましてやっている、こういうような状況でありますし、また、かたがた昨年度相当御無理を願いまして、郵政監察官補というものを従来百二十五名でありましたのを百名増員してもらいまして二百二十五名になりました。このほうで、犯罪が発生した後の捜査でなくして、むしろ防犯面の考査に力を入れるという方向でやりましたので、ことしは監察官の増員というものは考えておりません。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、郵政監察官補の増員ということは具体的に考えているけれども、監察官そのものは増員しないということですね。
  55. 北脇信夫

    政府委員(北脇信夫君) 監察官補の増員は、これは昨年度実施したわけでございます。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この点について大臣ちょっと、これはむしろ質問というよりお願いするわけですが、これから郵政犯罪についてなお二、三お伺いするわけですが、結局非常に郵政犯罪が漸増の傾向にある、いろいろ対策はありましょうけれども、部内の犯罪のいわゆる対策一つとしては、郵政監察官あるいは郵政監察官補ですね、こういうものの定員増をはかって、いわゆる人的要素を拡充していく、それだけでは成果はあがらぬでしょうけれども、こういうことも一つの有力な対策で、やはり私どもは地方の出先を回って見てもそういう感を深くするわけです。なかなか監察官の手が足りないで綿密な考査はできません、こういうような実情から特にお伺いし、お願いするのは、やはり監察官ないしは監察官補の定員増ということが当然考えられてしかるべきだと思うのですが、この点だけをひとつお答えいただきたいと思います。
  57. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 郵政犯罪があとを断たないということはまことに残念なことでございまして、特に最近静岡市内において大がかりの犯罪が行なわれたということに対しましては、全く弁解の余地のないところでございまして、申しわけないことと考えております。そこで、郵政犯罪に対しましてはいろいろな態様があるわけでございますが、私としましては、まず第一に、この犯罪を起こすような余地なからしめるという予防、防止対策が、第一に重要なことであろうと考えます。第二には、もしもそういう犯罪が起こった場合には、一日も早くこれを発見して、その被害を最小限度に食いとめる、こういうことが必要であろうと考えまして、それには何といいましても、監察官並びに監察官補というふうな特別にそういう職責を持った職員をできるだけ増員もいたし、手抜かりのないようにしていくことが必要であろうと考えております。ただこれには相当予算も要ることでありまするし、特に御承知のように、政府としましては、できるだけ人員の増員ということは、万やむを得ない場合のほかは、できるだけ抑制していこう、こういう方針のもとに進めておりまする関係もありまして、私どもが希望するとおりに認められていないということはありまするが、将来はできる限りこういう点については増員もいたしまして、遺憾なきを期したいと、こう考えております。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは部内犯罪についてですが、部外の犯罪については各府県の県警——まあこういう外部の捜査の機関と協力してやる以外にはないわけですが、ただここで問題なのは、国鉄とか私鉄に郵便物を委託しているわけですね、従来。まあ最近郵政省自体の郵便車、あるいは場合によっては航空機を利用したり、トラックを利用したり、まあいろいろ考えられておるわけですが、そういう面も具体的に相当進んでおると思うわけですが、それはどの程度進んでおるのか。こまかい数字は必要ありませんが、そこはどういう方向にいまいっておるのか、その方向をお聞かせいただければ……。
  59. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 御承知のように、国鉄等に輸送を委託しておりまする郵便物につきましては、特別な車両をつくりまして、郵便車と申しておりますが、これに係員が乗車して、締め切った郵袋のままで運ぶものと、車内においてその通過の時間を利用して区分をしながら輸送するというふうなものとございます。ただ最近、御承知のように、鉄道の幹線は非常に電車化されてまいりまして、電車の場合には郵便車をこれにつけるということを国鉄がいたしませんので、さようなわけで郵便物の輸送にもいろいろと困難を来たしてまいっております。と同時に、郵便だけの専用の電車を動かしてもらうということもいま検討しておるわけでございます。さらに道路が最近数年間非常によくなりましたので、この道路を利用して自動車輸送ということにも今後大いに力を入れてまいらねばならぬと考えております。これについては従来とも郵便逓送自動車会社という専門の民間の会社がございます。いわゆる赤自動車の会社でありますが、これも私ども十分に力を入れまして、近距離はもとより、道路の完備したところについては自動車輸送も充実してまいりたいと考えております。さらに長距離の、たとえば九州でありますとか、北海道というようなところにつきましては、今日速達郵便物は、第一種、第二種は飛行機を利用しております。しかしながら、今後の社会情勢にかんがみまして、やはり九州、北海道等は速達でなくとも、第一種、第二種等の郵便物はこの飛行機を利用することを考えたい。そうしますと、大体二日目にはそれぞれ北海道あたり、あるいは九州あたりにも配達ができるということになりまするので、その点についていま研究もし、実行計画を立てつつある次第でございます。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど大臣も指摘されましたが、名古屋の郵政監察局管下の静岡支局ですか、そこで三月の十二日、静岡の七間——これは特定局だと思いますが、七間郵便局長の奥さんが業務上の横領で検挙されたと、まあこういう報道を受けたわけですが、これはまあずいぶん期間が長いんですね。二十七年六月から本年三月まで、実に十二年間にわたって百七十一口定額郵便貯金、額は大体三千六十万円にもなる。これは膨大な額だと思うんですが、こういうものを一婦人が横領したという、これはまああまり類例のない問題だと思うんですが、この問題もいろいろお聞きすると、四年前に一応発覚しかけたんだけれども、巧妙な手先でまたうやむやになってしまったと。これは犯罪総額からいうと郵政史上でも三つの中に入るとかいわれておる。事ほどさように大きなものであり、いわゆる実損の点からいうと一番大きいんだという報道もあるわけですね。これはまあ一つの例ですけれども、いずれもあちこちの犯罪を調べるとほとんどが特定局に限定されておるわけですね。まあ特定局というのは、言うまでもなく、やろうとすれば、人数も少ないし、監督の立場にあるその方がやるんだから、やりやすく、またばれにくいというようなことで、十二年間にわたって三千六十万円、まあこういうような問題が出てこようと思うんですが、したがって、特定局についてはいろいろそういう意味でも問題が多かろうと思うのですが、こういう点にかんがみて、今後どういうふうな基本的な対策考えておられるのか、その重点的な問題だけを御説明いただきたい。こまかいことは要りませんが。
  61. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 今日、日本の郵便局は総数で約一万六千局ばかりでございます。そのうちで普通局と申しますのは約一千局、したがって、残りの一万五千近くの局が特定郵便局でございます。ただいまの御指摘になりました局も静岡七間局と申しまして、市内にありまする、ごく小さい無集配特定郵便局でございます。そこでかような大きな犯罪を犯しましたことは、まことに先ほど申しましたように、遺憾しごくなことでございまするが、これに対しまして、今後かようなことを二度と繰り返して起こさないためには、どういう方法が考えられるかということですが、まず第一には、特にこの場合は貯金の事務でございます。これに限って考えてみますと、貯金の扱いの事務上にまだ不完全な点があるように思われます。したがって、今後はこの貯金の事務的な取り扱い方法を至急に改善いたしまして、相当経費もかかることと考えまするけれども、今後さような犯罪を犯すすきのないような制度、方法を採用してまいりたいと考えております。第二には、それでもなおかつ犯罪を起こすというようなことについては、監察官を充実いたしまして、できる限り早期にこれを発見して、対策考える、こういうふうに存じている次第であります。それから特定局に多いではないかというお話でありますが、犯罪全体として見ますると、必ずしも特定局に限って多いというわけではございません。普通局にも相当な犯罪があるのでありまするが、しかし、今回のように十年以上も継続して犯罪を犯し、しかもこれが発見するに至らなかったということは、やはりわれわれ十分検討してみなくちゃならない余地があると考えます。何ぶんにも特定局は少数の人数でやっておりまするから、そのうちの一人が分担してやりまする仕事が非常に多いのであります。まあいわばその権限が広いわけでありまするから、多数の人が分割して仕事をやれば、なかなかかような犯罪も起こしにくいであろうと思いますが、一人ですべて処理してやれるようになっており、また、やらなければ局の運営がうまくいかぬ、こういうような事情もありまするので、それぞれ相まって今回のような事件が発生したと考えております。これらについては今後十分に検討をいたしまして、かようなことを再び起きないように考えてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、二、三、郵務局長にお伺いしますが、最近郵便物は質量ともにどんどん複雑、膨大になりつつあるわけであります。で、現地など見ますると、大都市周辺と、それ以外の区域ではだいぶ職員の業務の負担量が違うと思うのですけれども、こういうことに見合ったいわゆる増員計画がなされていると思いますが、こういう基本的な考え方は一体どうなのか、こまかいことは要りません。
  63. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 郵務局長がちょっと参れませんので、人事局長からかわってお答えいたします。  最近、郵便物が非常に激増しております。それから最近の傾向といたしましては、都市周辺に非常に激増しているという傾向が見えております。したがいまして、ただいま先生の御指摘になりましたように、都市等で非常に要員難におちいっていることは事実でございます。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは国鉄に関係があることですが、国鉄が盛んに——どこでもそうですが、近代化ということに力を入れている。そういうことは結局停車駅がだんだん少なくなる、そういうことで、郵便物を国鉄に委託しておる郵政省としても、こういうことになると、みんな停車駅が少なくなると、その駅にどうもとまらぬ汽車に委託した郵便物はその駅におろせないわけですから、どうしても郵政省独自で、先ほど大臣も御指摘になったように、専用の自動車、または遠方の場合は航空機、こういうことが当然考えられると思います。それと同時に、国鉄の輸送計画が変わると郵政省もまたその影響を受けるわけですね。これは、まあ、国鉄に委託した分については少なくも計画を郵政省は変えざるを得ない、こういうことになろうと思うのですが、そういうことになって、いわゆる郵便物のスピードアップということが、旅客のスピードアップをねらっておる国鉄と同様、郵政省としても大きな問題の一つであろうと思います。こういうことからいわゆる独自の自動車とかあるいは航空機によるこういう面が、だんだん傾向が前向きに進んできようと思うんですが、こういうようなことについて一体いまの方向はどうなのか。まあ、大綱だけを、こまかいことは要りませんから……。  そこで、いまのことにさらにつけ加えて、ついでだからお願いしますが、そういうことになると、郵政省にたとえば自動車局というようなものをつくれば、郵政省独自で自動車局で管掌してそれでどんどんこういう問題を解決していく。そこでそういうようなお考えがあるのかないのか。まあ、もしあるとすれば、いつごろからそういう方向でいこうとするのか。そういうことについてお聞かせいただきたいと思います。
  65. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 詳細なことにつきましては担当の事務局のほうからお答えいたしますが、ただいまの、郵政省の中に自動車局をつくって郵便逓送用の自動車業務をみずから行なう考えがあるかどうかというお尋ねに対しましては、私は今日の段階におきましては、やはり専門の自動車逓送の会社に請け負わせてやることが経済的である、かような見地から直轄の自動車輸送をやるということは考えておりません。
  66. 安田清広

    説明員(安田清広君) 国鉄の輸送の合理化に伴いまして、郵便関係としましても、従来各駅にとまっていたものが飛び飛びにとまるかっこうになるわけでございます。そうしますと、そのとまった駅の間の輸送のしかたというものがおのずから自動車にかえていかなければならないという問題があります。その面につきましては、実は国鉄の集約輸送計画は大幅であったのが、ことしの十月の段階におきましては、さほど影響のない状態になっておるので、今後本番になってきました場合には、それに対応しまして、そういった間の自動車輸送という面を強化してまいることになります。また、先ほど大臣からお話がありましたように、離の九州とか北海道方面につきましては、時間的なものをスピードを確保する面からも、これを航空輸送に切りかえていく考え方を持っておるわけでありまして、自動車の輸送につきましては、方法論としましては、会社に送らせていく、そのやり方をどうするかにつきましては、今後よく実態に即応してまいりたいと考えております。
  67. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、人事局長に一点だけお伺いしますが、昭和三十六年の八月に行管が郵政事業経営監察についてこういう勧告を行なったことがあるわけです。その要旨を見ると、「苦情処理制度の運用の実績をみると、その活用状況、処理機能ともにきわめて低調となっている。このような状態では従業員の不満をうつ積させ、やがては労使関係に悪影響を及ぼすおそれがあるので、本制度の積極的な活用につき格段の配慮を要する」とこういう勧告を行管がしております。これに対して、勧告を出すと、これを受けた省庁は報告しなければならないわけですが、その郵政省の回答は昭和三十七年七月十二日にこういう要領で出ておるわけです。「苦情処理制度の運用については、処理の促進に努力するが、その性質上限界があると思われるので、「従業員の不満」の処理については、たとえば、意見調査、コミュニケイション等これを補う方法について考究中である。」こういう意味の回答を出しておるわけです。ここまではいま言うたとおりですが、それから約二年経過しておるわけです。現在この苦情処理制度はどのように運用されておるか、その大綱について要点だけを簡単にお聞かせ願います。
  68. 増森孝

    政府委員(増森孝君) 苦情処理委員会につきましては、いま先生が読まれたように行管から勧告がありまして、私どももこのような返事をしておるわけであります。それにいたしましても、この処理制度というのをつくりましたのは、昭和二十九年でございますけれども、行管が指摘いたしましたようになるほどうまく活用されないということは事実でございます。と申しますのは、一つには、手続上ちょっとめん、どうであるということ。  それから第二番目の問題としましては、不平不満がありましたときにすぐに手近かな、いわゆる団体交渉の形ですぐに管理者と組合側が片をつける、そのほうが手っとり早いというふうな意味から、この苦情処理委員会というものがよく活用されない、こういう実情にございます。しかし、せっかくございますし、また、これを利用する件数というものも相当ございますので、組合とも昨年十二月に改定期にございましたので、いろいろ検討いたしまして、これらの苦情処理委員会等については、今後改善をしていこうではないかということでもって今度また新たに組合と話し合いまして、ちょっと改正をいたしまして、そうしてまた協約を結んでいくという状態でございます。そこで、私どもとしましては、できるだけ従業員の不平不満というものを、こういうこれは一審から三審までございます。それで郵便局の段階それから郵政局の段階、本省の段階、こういうふうに三審制度をとっておりますので、せっかくございますので、これらについては今後できるだけお互いに組合、官を問わず、お互いにこの制度を生かしていこうということで話し合っておる実情でございます。
  69. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最後に放送局関係の面で電波監理局長さんに二、三お伺いします。NHKの前橋放送局は、かつて中継放送はもちろんやっていましたが、そのほかに電波の免許を受けていわゆるローカル放送も行なっておったわけです。それで県の教育、文化、経済、産業、こういう面に格段の貢献をしてきたわけですが、これはいつの間にか立ち消えになって、またもとの中継放送局だけにとどまって現在おるわけです。そこで、昨年来県をあげてローカル放送局としての再建を郵政省に要請して今日にきたわけです。そこで、お伺いしたいのは、その後どのようになっておるのか、現段階における結論だけを簡単にお聞かせいただきたい。
  70. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) NHKの広域放送と申しております関東一円を大電力をもってカバーするこういう放送地域圏、その中におきまする県域放送というものにつきましては、NHKからそういう申請が出ていることは確かでありますが、現在広域放送圏内の県域放送はどうあるべきかという問題は、ただ中波の放送だけにおいてこれを考えるべきでなく、むしろテレビの放送あるいは今後予定されております、少なくとも本年末までには免許の方針を定めたいと思っておりますFM放送、そういった全部の電波による放送体制をどういうふうにするかということを考えた上におきまして決定してまいるのがいいであろうということに現在態度をきめておるのでございます。そういう放送は、電波の事情の許す限りやりたいという考えは持っておりまするけれども、全体のあり方を十分考えた上で処してまいりたい、こういう考えでございます。
  71. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはNHKでもそのローカル放送局としての再建を熱望して、昨年度の予算にはもう前橋放送局のローカル放送局としての予算を計上し、国会でも承認されて今日に来たわけです。それと、昨年たしか六月ころであったと思いますが、関係者がいろいろお伺いした際に、現在電波調整の検討中であるということ、そしてすでに北関東三県のうちで茨城、栃木はすでにいわゆる本免許になって本放送を開始しておるというようなことから、結論は早期実現に努力したいと、そういう意味の御回答であったわけです。もちろん前の西崎電波監理局長時代のことであります、昨年の六月ころですから。そこでお伺いしたいのは、早期実現に努力したいとお答えがあって、それから一年たっていますが、現在はどうなっておるか、その見通し等についてお聞かせいただきたい。
  72. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 先ほどの御質問また私の御答弁いたしましたものは、NHKの広域圏内における県域放送の問題でございます。これは御指摘のように、昨年度の予算に計上されましてそのまま本年度に繰り越しになっているわけでございます。それから民間放送が水戸それから宇都宮というのに、これは三十七年の七月に免許になったわけでございます。そのときの電波の事情から、非常に窮屈ではあったのでございまするけれども、特に非常に要望の熾烈でございましたこの二県につきまして民間放送を許したのでございます。その後中波の事情——中波と申しますのはラジオに使っております波のことでございますが、外国の混信その他がございまして、年々非常に電波の事情が窮屈になってまいっております。そういう事情と同時に、先ほども申しましたFM放送というものの申請がまた新しく出てまいりまして、また、それが具体化する日も近いということに相なっておるのでございます。現在FM放送のあり方というようなものの検討の場合に、一緒に含めてそれも民間放送の場合も考えたい、こういうふうに考えております。しかしながら、御指摘のように、県に密着した放送というものはやはり必要であるという考えに立ちまして事を進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  73. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままでお伺いしたのはNHKの前橋放送局の、いわゆるローカル放送局としての再建についてお伺いしたわけですが、それと同時に、群馬放送が同じく特に昨年あたりから各関係へ強力に県民あげて働きかけておるわけです。これが三十五年の七月ごろすでに当時の知事名で関東電波監理局へ申請が出されて、それは同時に標準放送AMとして受けとめられておるわけです。それからすでに四カ年を経過しておるわけです。そこで特に一昨年から昨年にかけて関係方面へ県民あげて要請をしてきておる、こういう実情です。いま御説明ありましたように、同じく北関東三県で茨城、栃木についてはもうすでに放送を開始しておる。そこで電波免許については大体三年おきに更新されると、こう承っておるわけですが、次回は四十年度ということになろうかと思います、三年おきということになりますと。そこで問題は、その年度の途中でも免許の方法はあるというようなお話も承っておるわけですが、結局こういうような実情から、特に民間放送については挙県一体の体制が必要条件であるという、そういう大前提に立って、群馬県ではそういう体制はもう確立しておって、手続も完了しておる。ただ電波の免許を一日千秋で待っておるわけです。こういう中でひとつ何とか早急にこの電波の免許を一刻も早くもらいたい。で、昨年代表者がお伺いした際に、早期実現に努力したい、こういう意味の御回答が郵政省からあったわけです。それから前のNHKと同じように一年以上経過しておるわけです。その後どうなったのか、その見通しはどうかというようなことを最後にお伺いして、時間もございませんから、これで最後の質問といたします。
  74. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私からお答え申し上げます。昨年七月に私郵政省に参りまして、間もなく群馬県の有力なる方々がおいでになりまして、知事さんをはじめあるいは商工会議所の会頭さんでありますとか、新聞社の社長でありますとか、さような有力な方が見えて、群馬県は県をあげて一致して一般放送事業の免許を要望しておるからぜひこれを免許してほしいという御陳情がございました。私は御趣旨はまことにごもっともと考えましたので、事務当局と申しますか、技術当局に指示いたしまして、これが実現できるかどうか十分に検討をしてもらいたいということを話したのでございます。その後電波監理局におきましていろいろと苦心をして技術的な面を研究してみたのでありまするが、問題はやはり現在の段階においては中波において割り当てるべき波がない、こういうことの回答が参りまして、これは何としましても波の割り当てるべきものがなければどうにもしかたがないというのが実情でございます。仰せのように、来年の六月は、ちょうど一般の放送事業者に対する再免許の機会になるわけでございます。と同時に、御承知と存じますが、郵政省には、今日、設置法に基づいて臨時放送関係法制調査会が設けられておりまして、一昨年の秋以来、調査会の委員の方が非常に熱心に今後の日本におけるラジオ並びにテレビの放送体系はいかにすべきかということの検討を進められておるわけでございます。と申しますのは、ラジオにおきましては、新たにFM放送という問題が出てまいりましたし、また、テレビのほうにおきましては、従来のVHFに対立しましてUHFという放送の普及が必要ではないかという意見が出てまいりましたので、それらをあわせ考えて、いかにしたら今後の日本として最もりっぱな放送体系が確立できるかという問題の検討中でございます。その答申が、おそらく六月ごろには得られるのではないかと期待しておりますが、さような答申がありました暁には、この答申を十分尊重しながら、これに基づいて、おそらく放送法等の関係法律の改正も考えねばならぬと思いますし、また、実際の免許にあたりましても、かような全体としてながめた体系の上において具体的の行政処分としての免許をやってまいりたい、かように考えておりまするので、しばらくの間、その情勢の推移をひとつ見ていただきまして、われわれとしましては、何とか智さんの御要望にできる限り沿いたい、こういう考えであるということを御了承いただきたいと存じます。
  75. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最後に要望を申し上げておきますが、前橋NHK放送局については、先ほども申し上げたように、かつてローカル放送局として活動を続け、県内の産業文化に貢献してきた。また一方、群馬民間放送でも、挙県一致の態勢ができてひたすら電波の免許を待望しておる、こういう態勢にあるので、いま中波について割り当てるべき波がないのでということではございますけれども、まだまだ十分な考究を続けられて、早期に実現になるように、格段の努力をしていただいて、大臣在任中にひとつ必ず実現するという、そういう強い決意でやっていただきたいということを最後に要望申し上げて、私の質問を終わります。
  76. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はこざいませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  村山君から、委員長の手元に修正案が提出されております。本修正の御意見は、討論中にお述べを願います。  なお、御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
  77. 村山道雄

    村山道雄君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております郵政省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたしたいと存じます。修正案はお手元にお配りしてありますので、それによって御了承を願いたいと思います。  次に、その理由を申し上げます。この法律案は、昭和三十九年四月一日から施行することになっておりますが、四月一日はすでに経過しておりますので、附則中の昭和三十九年四月一日を公布の日に改める必要がございます。よって、ここに修正案を提出する次第でございます。  以上、修正部分を除く原案に賛成いたしまして、私の討論を終わります。
  78. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより郵政省設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。まず、討論中にありました村山君提出の修正案を問題に供します。村山君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  80. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって村山君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  81. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は、全会一致をもって可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。  本日は、これにて散会いたします。   午後三時四十八分散会