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1964-04-09 第46回国会 参議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月九日(木曜日)    午前十一時五十八分開会   —————————————    委員異動  四月八日   辞任      補欠選任    上林 忠次君  栗原 祐幸君  四月九日   辞任      補欠選任    占部 秀男君  山本伊三郎君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            石原幹市郎君            下村  定君    委員            太田 正孝君            栗原 祐幸君            源田  実君            小柳 牧衞君            塩見 俊二君            林田 正治君            村山 道雄君            占部 秀男君            千葉  信君            山本伊三郎君            向井 長年君   委員以外の議員    発  議  者 草葉 隆圓君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    内閣総理大臣官    房賞勲部長   岩倉 規夫君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省郵務局長 佐方 信博君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○旧金鵄勲章年金受給者に関する特別  措置法案草葉隆圓君外十六名発  議) ○郵政省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  四月八日、上林忠次君が委員辞任され、その補欠として栗原祐幸君が選任されました。
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案議題といたします。
  4. 千葉信

    千葉信君 前回、七日の当内閣委員会におきまして私から提起いたしました動議につきまして、諸般の事情等を考慮してこの際その理由を付して取り下げることについての発言をいたします。  私は、あの成規賛成者を得て動議を提起いたしましたときにも申し上げましたように、今回提案されている旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案は、両三度にわたる審議の経過から、質問に対して提案者から、金鵄勲章などという栄典制度そのものにはいささかも関するものではないという答弁がありましたことにかんがみて、もしいささかもその提案者答弁のごとく栄典制度にかかわるものではないということになりますと、参議院における各常任委員会の分掌を決定しました参議院規則の条文から言いますと、当内閣委員会に付議されるべき法律案ではないという見解に立ちまして、これは少なくとも参議院規則等に通暁する限り、当然一人の反対もなく了解してもらえるものという判断をとりましたので、私はこの内閣委員会にその旨動議を提出することによって、本来議案付託の権限を持っている議長に対してこのことを申し入れ、善処方を要求したい、まあ成規の扱いとしては、委員会決定なり委員会の議を経てこの取り扱いをすべき筋合いであるけれども、日程その他の関係等もあろうから、場合によっては理事会等でその問題をあらかじめ御相談願ってもよろしいと、こういうことで当日は直ちに議案審議に入ったわけです。委員長及び理事打合会におきましては私の意思を了解されまして、昨日議長に申し入れをされたようでございます。その再度開かれた委員長理事打合会におきましては、委員長理事打合会でこういう措置をとったことについて動議提起者にも理解してもらい、この際動議者の意向も十分に議長に伝えたあとであるから、この際動議を取り下げるようにしてもらいたいという理事会決定があったそうでございます。したがって私は、十分とは全然言えませんけれども、一応私の動議を提出しましたその内容議長にも伝達をされ、かつ議長はこれに対して相談をしましょうという回答をされたと承りましたので、私は先ほどの委員長理事打合会でかなり紛糾はしましたけれども、当委員会に入る前に、私は本日議長とも電話連絡をとりまして、私の意見内容等を申し上げ、電話ではお互いに意を尽くせない点もあっては困るから、あすあらためて議長とお会いすることになりましたので、したがって私は、私の本来の気持ちから言いますと、その付託規則に基づく主張が十分に検討されたとはいえない段階動議を取り下げることは、私自身としては若干本意ない点もありますけれども、しかし、私は将来に向かって、あくまでもこの参議院規則の解釈からくる内閣委員会審議する案件ではないという立場はいささかも放棄をしないで、将来に向かって機会あるたびに私は、自分では正しい主張考えておりますから、その主張を貫くために私の意見を堅持いたしますということを主張を明らかにして、この際、賛成者一名を得て出しましたいわゆる成規の動機として成立しているものは、この際その賛成者の賛同も得て取り下げることにいたします。以上でございます。
  5. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、この前、千葉委員動議を出されたとき、たまたまいなかったのですが、この何か法案内閣委員会にかけるのが適当でないというような意見動議を出されたらしいのですが、私はやはりあくまでこれは内閣委員会に当然付議されるものだと思っておりまするし、それからこれは本会議で一応提案理由説明があって質疑応答があり、その後議運を通して内閣委員会付託されたものと私は理解しておるのですが、こういう点について、提案者に伺うのもどうかと思うのでありまするが、提案者としては、私も提案者の一人でありまするが、提案者代表草葉委員はどういう御見解を持っておられるか。(千葉信君「おかしいぞ。提案者提案者にものを尋ねるなんて何だ。」と述ぶ)あなたがそういう疑義を出されたから、そこでぼくはこういう意見だが、草葉委員はどういう考えを持っているかということを……(千葉信君「別な人に聞くのが筋だよ。提案者同士で、そんなことをあなたに聞くなんておかしいじゃないか。答弁しなくてもいい、そんなことは。」と述ぶ)おかしいかどうかわからぬが、ぼくは草葉委員に聞いたんですよ。(千葉信君「おかしいよ。そんな国会審議があるか。草葉君答える必要ない。」と述ぶ)
  6. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  7. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。  では、これより質疑を行ないます。  ただいま出席の方は、発議者草葉隆圓君のほか、政府側から岩倉賞勲部長出席されております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  8. 下村定

    下村定君 賞勲部長に伺います。私は提案者の一人でございますから、現在出ております法案内容、これの対象とするもの等については質疑はございません。これよりさき話が済んでおる。ただ参考のために若干こまかい点について賞勲部長の御意見並びに思量をお伺いしたい。それはこの現在出ております法案対象とする人員、それとその対象人員の中の、昔の階級でいいますと下士官、兵に対する将校の比率、これはせんだって参考人からは一応陳述がございましたけれども、賞勲部としての確かなところを伺っておきたいと思うのであります。
  9. 岩倉規夫

  10. 下村定

    下村定君 総数でいいです。
  11. 岩倉規夫

    政府委員岩倉規夫君) 現在この法案対象になっております数は、生存者が約八千六百八名と推定されております。それから等級別の内訳でございますが、功一級、二級、三級というような高い等級の方、功一、二級は三十八年一月一日現在ではございませんで、三級が十一名、四級が百三十一名、五級が四百二十七名、六級が二百九十六名、功七級の力が七千七百四十三名と圧倒的多数を占めております。功七級の力の階級はほとんど兵の階級であります。
  12. 下村定

    下村定君 いま伺いましたところによると、八千人あるわけですが、これが全部今度制定されるべき年金受給を受けるのは何年になりますか。
  13. 岩倉規夫

    政府委員岩倉規夫君) 八千人の方が昭和三十九年から始まりまして、六十歳ということになっておりますので、満六十歳にお達しになる、すべての方々がなられるのは、昭和四十四年で終わる予定でございます。
  14. 下村定

    下村定君 今度の法案では、一時金受給者対象になっておりません。が、その年金が一時金になったということは、せんだってもちょっと御説明がございましたが、資格変更ではなくて、そのほかの理由政府がきめた資格は同様である。また原則からいえば、これは同じ取り扱いを受けるべきものだと思っておりますが、その点はいかがですか。
  15. 岩倉規夫

    政府委員岩倉規夫君) 金鵄勲章年金制度が一時賜金制度に変わりましたのは、前回も御説明いたしましたように、昭和十五年四月二十九日以後の授賜者には一時賜金というふうに変更になったわけでございますが、金鵄勲章そのものは、戦前におきましては戦争事変に際しましての行賞として授賜された勲章でございます。これには戦争事変のつど一定基準な設けられて授賜されております。すなわち賞賜内規と申しますものには、殊勲、それから勲功勲労功労、この四階級行賞賞格が定められておりまして、金鵄勲章のほうは、授賜される方はそのうちの殊勲に該当する方、殊勲の中にもさらに甲乙というふうな区別がございますが、それから勲功功労もそれぞれ甲乙丙というふうに分かれておりますが、金鵄勲章殊勲の方に授賜されておりまして、これは年金制度が一時賜金に変わりましてから後も、金鵄勲章そのものを受賜する基準と申しますか、この基準にはいささかも変わりはありませんです。
  16. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  17. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をつけてください。  他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  では、午後は一時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十九分休憩    ————————    午後一時五三分開会
  18. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。  まず委員異動について御報告いたします。  ただいま占部秀男君が委員辞任され、その補欠として山本伊三郎君が選任されました。   —————————————
  19. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案議題とし、前回に続き質疑を行ないます。政府側からは古池郵政大臣武田官房長佐方郵務局長宮川電波監理局長出席されております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  20. 源田実

    源田実君 本法案に関連しまして、若干伺いたいと思いますが、まず第一に、ただいま郵政省で持っておられる当面の宇宙通信計画及び長期計画、この、長期計画というのは、どういう程度かと、これははっきり申し上げかねますけれども、まずここ五年ないし十年の間にどういうことをしてやろうというぐあいに考えておられるか、その内容についてお聞きしたいと思います。
  21. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 概略だけ私から御説明申し上げまして、非常に技術的な点が多いと思いますので、詳細は電波監理局のほうから御答弁申し上げたいと思います。  最近、宇宙開発が進みまして、宇宙通信衛星を利用する国際的な通信がいよいよ実用化段階に入らんとしております。そこで日本といたしましては、郵政省中心になりまして、国際電信電話株式会社日本電信電話公社並びに日本放送協会、この四者の専門技術者が集まりまして、すでに四者の協議会を形づくっております。必要に応じ、随時会合し、会議を開きまして、当面の問題に対処してまいっておるのでございます。昨年十一月二十三日に行なわれましたアメリカからのリレー衛星一号を利用するテレビ中継実験並びに本年三月二十五日及び二十七日に行なわれました日米間のリレー二号を利用するテレビ中継送受信に関しまする実験、いずれもこの四者が協力いたして当たりまして、御承知のように、非常に成功を見た次第でございます。しかしながら、今日はまだあくまで実験段階でございまして、主としてアメリカNASAと緊密なる連絡をとりつつ各種の実験を行なっておる、これが現在の様子でございます。  さらに今後いかなる計画を有するかということにつきましては、これまたわが国通信衛星を自国の力で打ち上げるということがはっきりいたしませんので、したがって、通信分野におきましても、今後の方向として確実なる計画はまだ打ち立て得ない状況でございます。なお、前回にも少し御説明申し上げましたが、最近アメリカ中心になりまして世界的な商業通信網を形づくろうという議が始まっております。先般その説明のために関係者日本にも来られて、オーストラリアも参加して、三国間で打ち合わせをいたした次第でございます。これに対して今後いかなる態度をもって臨むかという問題につきましては、目下慎重検討を加えておる段階でございまして、いま具体的な対策として申し上げられるものはございません。  大体以上でございます。
  22. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいまの大臣の御答弁に若干つけ加えさしていただきたいと存じております。  宇宙通信の使います通信衛星種類といたしましては、静止衛星、それから軌道衛星、こういうようなものがございます。また、中継器を入れました衛星とそうでない衛星とございます。現在通信衛星として上がっておりますのは、エコーテルスターリレーシンコム、この四種類でございますが、そのうちエコーと申しますのは中継器を含んでいない衛星でございます。あと三つはそれぞれ中継器を含んでおりまして、受けた波を別の波に変えまして送り出す、こういう動作をするようになっております。このテルスターと申しますのは、すでに一号、二号と上がっておりますが、この関係は主として国際電電のほうでこれを担当することに相なっております。  それからリレー、これはやはり一号、二号と上がっておりまするが、これは郵政省電波研究所のほうでこの関係送受信装置をもちまして研究をするということになっておるのでございます。  シンコムにつきましては、現在まだ日本でこの送受信用装置を持っておらないのでございます。  以上、大体いま通信衛星を使いまして日本におきまして実験研究している段階、その分担、そういうようなものでございます。  なお、郵政省仕事といたしましては、単に通信衛星だけでなく、今後いろいろ上げられると思います気象衛星であるとか、航行衛星であるとかあるいは宇宙研究電波天文、そういった分野におきまして使用いたします周波数の分母とか、割り当てとか、それに伴います国内のいろいろの基準とか、そういうようなものをわれわれの仕事としてやっていかなければならない、こういうふうな仕事があるわけであります。
  23. 源田実

    源田実君 いま日本で利用されておるのはすべてアメリカ衛星でありますが、そのほかの衛星を利用する計画はあるかどうかという問題と、もう一つは、いま大臣お話概略はわかったのでありますが、さらに将来、要するに航行、いまの局長お話にも若干ありましたが、航行あるいは、天文観測とかと、いうものをこの衛星を使ってやるようなもの、計画までいかないまでも、そういう腹案とかというものがおありであるかどうか、伺いたい。
  24. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 現在、通信衛星につきましては、日本アメリカとの間の覚え書きがございまして、アメリカが上げました衛星によりましての実験をしている段階でございまして、それ以外の国の上げました衛星を使っている実験計画とか、また、今後予想されます上げようとしているものに対する実験計画というものは、アメリカ以外の国についてはございません。  それから後段のお尋ねでございまするが、通信衛星以外に航行関係衛星といたしましては、航行衛星というのがございまして、それを使いますと、船がそれによりまして自分位置を測定して航行の方法を与えられるわけでございますが、これにつきましては、所管といたしましては、電波割り当ての問題につきまして郵政省が所管しておりまするけれども、これの打ち上げの計画というようなものは、今後科学技術庁の宇宙開発本部と、そういうようなところでいろいろ考えられていく問題だと思っております。
  25. 源田実

    源田実君 アメリカ衛星を主として使うわけでありますが、そのアメリカとの協定というものは、相当制限を受けるのかどうか、こちらの要望どおりアメリカが一体応じてくれるのかどうか、他の国との間で競争があるかどうか、そういう問題についてひとつお聞きしたい。
  26. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) お説のように、税に利用しておりますのは、アメリカ衛星のみでありますが、こちらが要求すれば、アメリカが必ず上げてくれるかどうかということは、さようなはっきりした約束はいたしておりません。ただ、実際問題としましては、今日まで実験についてはアメリカと非常に密接な連絡をとっておりまして、技術的に非常な好意を持って協力をしておる、こういうことは申し上げて差しつかえないと思います。それからこれがたび重なってまいりますると、特に実用化ということになってまいりますれば、自然、その費用の問題が出てくるわけでありますが、今日のところは実験段階でありまするから、これについて日本費用を特に負担しない、こういうたてまえをとっております。さらに、今後の問題としましては、先ほども触れましたように、アメリカ通信衛星会社、これはアメリカ国策会社でございますが、この会社中心になって、世界の有力なる国々がこれに加盟し、一つの国際的な宇宙通信網とでも称すべき共同体を組織したいという考えが、いま、浮かんでおるわけでございます。もし、この組織に日本が加盟するといたしますれば、ある程度の出資をいたして、そうしてこれも一定基準に基づいて上げられた通信衛星日本が利用する権利を獲得する、こういうことになろうかと思いますが、まだ、これは具体的にそこまでは入っておらない次第でございます。
  27. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいまの大臣答弁に若干補足させていただきますと、日米間で取りきめました実験覚え書きの中に、日米間の計画以外の試験のために地上局を使うことは妨げないという条項がございますので、いま現在、日本にございますもの、また今後、将来日本に建設されます地上局は、それを使いまして、アメリカ以外のところが打ち上げた衛星に対してのいろいろな実験にも使える、こういうふうに相なっております。
  28. 源田実

    源田実君 それでは次に、当面オリンピック実況中継するというぐあいに新聞その他で出ておるのでありますが、軌道衛星といいますか、回るやつ……。現在のところはそれまでしかない、要するに静止衛星はまだ打ち上げられていない状況でありますが、ぐるぐる回るやつ、だったら、今度のオリンピックのときに何かそれが使われる予定であるか、また、使われて、放送時間というものは一体どのくらいになるのか、オリンピック実況を初めから終わりまで幕なしに放送するとすれば、まあ私は計算はしておりませんが、相当の数が要るのじゃないかと思うのですが、現在のところの予想は、時間的にこま切れに送るようになるのじゃないかと思うのですが、一体どのくらいの程度まで実況が送れるのか、そこのところをちょっとお聞きしたいと思います。
  29. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまのお尋ねに先立ちまして、オリンピック放送アメリカに送るという問題について、今日どんな進め方になっているかということをまず御説明を申し上げたいと思います。ことしの秋に東京で開かれまするオリンピック大会は、アジアにおいては初めての大会であり、かつ今回の大会には、いままでにない多数の世界国々の選手が集まるということを聞いております。したがって、わが国にとっては歴史的な行事でありますので、できるならば世界の各国の国民に実況を見てもらうということが相互の理解を深め、また、親善関係を増進するという意味からいいましても、大きな世界平和の増進に役立つのではないか。また、日本技術水準世界の人に理解してもらうという意味からいっても有意義なものであろう、こう考えまして、そういう希望を持っておるわけでございます。そこで、ことしの一月に日米経済合同委員会の開かれました際に、アメリカラスク国務長官に対しまして外務大臣からその趣旨の希望を申し入れてもらったのであります。もちろん即答はありませんでしたが、非常に好意的なお話のように承知しております。その後、私から直接にアメリカ航空宇宙局、いわゆるNASA長官にあてまして、具体的にこのことも依頼をいたしたのでございます。アメリカとしましては、これに対する回答は、はなはだ簡単でありましたが、三月の初めに受け取っておりますものには、第一にNASA実験計画予算としては、このオリンピックの際に新しい衛星を打ち上げて協力するというだけの予算がついていないということ、それから、したがって、それらの費用についてはアメリカ側において関係の諸機関が積極的に相談をしておる。第三には、NASAとしては技術的には十分に協力をしたいつもりである。要点としてそういうふうな三つ回答を得たわけであります。その後もいろいろ筋を通してその希望を申し出ておるわけでありますが、これに対していまのところは、まだはっきりした見通しを立て得る回答に接しておりません。もちろん、その間にいろいろな情報は入っておりまするけれども、アメリカ政府としての正式な回答は得ていない段階であります。  それから、もしアメリカ協力するということに決定した場合、どういう衛星を利用できるかというお話になってまいりまするか、現在上がっておりまするリレー二号、テルスター二号、これは秋になりますと日本からテレビを送るには非常に都合の悪い状況になるそうでございます。リレー一号が、昨年の十一月に利用いたしましたものは、本来ならば昨年の十二月の中ごろでその機能がなくなるという予定でありましたのが、どういう都合か今日までその機能は生きておるそうであります。しかし、これとてもいつ機能が消滅するかは保証できないのですが、幸いにこれが秋まで機能が続くとなれば、軌道の上からいえばちょうど日本から送るには適したところに参るそうであります。しかし、はなはだ不確実なわけであります。もう一つ考えられるのはシンコム衛星でありますが、現在上がっておるのが二号で、これはブラジルの上空あたりに上がっておるようであります。そこで、アメリカとしては近く四月から六月までの間と、こう申しておりますが、シンコム三号というのを上げようという計画がございます。この場合に、シンコム三号を太平洋上の適当な位置に打ち上げてもらうことができまするならば、そして秋にこれを利用することができますならは、比較的当方にとって好都合ではないかと考えております。  それから時間の問題でありますが、リレーあるいはテルスターでありますと、同期が短い時間でありますから、これを利用する時間も大体十五分ないし二十分間というような短い時間、一日に二回ぐらいは利用できるようであります。これに反しまして、シンコム衛星は二十四時間の周期になっておるようでありますから、ほとんど静止しておると同様だと思います。したがって、これは長時間にわたって利用し得るわけでありますが、ただ聞くところによりますと、リレーあるいはテルスターに比べますと映像の効果が若干悪い、性能が悪いというふうに聞いております。  まあ大体以上でございますが、そこで私どもとして一番難色と思われるのは、やはり時差の差であろうと思います。先般も、御承知のように、日本で夜の九時半ごろに送信いたしましたものが、ワシントンでは午前七時半ごろと、こういうことでありますので、アメリカあるいはヨーロッパで昼間に見てもらうためには日本の時間としては非常に都合の悪い時間になる、この問題がやはりあるわけでございます。しかし、私どもとしましては、極力努力をいたしまして成功をさせたい、こういう考えでいま進めておる次第でございます。
  30. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先ほどのお尋ねの時間のことにつきまして、ちょっと御説明、お答えをいたしたいと思いますが、テルスター二号によりますと、赤道からやはり四十度近い傾斜をもって打ち出されております。遠地点がテルスター二号の場合は一万キロくらい、リレー二号の場合ですと七千キロぐらいでありますが、この遠地点がちょうど日米通信をしたいというその地点の上に参りましたときに、非常に長い時間両方の見通しのきく瞬間がとれますので、両方追尾いたしましてその間に通信が可能になるわけであります。だんだんと軌道がはずれてまいりますと、近地点のほうに来ますと利用し得る時間が非常に短くなってまいりましてやはり現実問題としてはそれが五分とか三分とかいうことになれば実用はできないわけであります。それで、ただいま大臣から御答弁ございましたように、二十分とか三十分というのが最大の限度でございまして、それが大体軌道の周期が三時間よりもうちょっと長いくらいの程度でございまして、その次に回ってくるときまで待っていなければならないわけでございます。これを次から次へと連続的に送るとすれば、ただいまお尋ねのように相当たくさんの衛星を上げなければなりません。しかもその衛星を待ち受けまして次から次へと追尾を切りかえていかなければならぬと、こういう問題がございまして、現在まだ上がっておりますテルスターリレーにいたしましても、その遠地点に来たときを一回つかまえて送った実験をやっておるわけでありまして、すぐにそれを、たくさんの星が地球の回りを回っていて、それを次から次へと切りかえて長時間送るというような実験はまだいたしておらないわけでございます。
  31. 源田実

    源田実君 そうすると、まあオリンピック中継ということがまだほんとうに確実にはできていないと思うのですが、アメリカ静止衛星をそれまでに打ち上げる計画があるのかどうか。もしあったとしたならば、この二十一名の増員で連続これを送るとした場合に、この人間で十分間に合うのかどうか。その点ひとつ伺いたい。
  32. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) シンコムを打ち上げる計画アメリカで四月から六月の間に予定されておりますので、それを使わしてもらえることになりますれば、それはオリンピックのときに使えますので、オリンピック期間中に日本から向こうへ送るということができるわけでございますが、これはあくまで現在実験ということでやっておりますので、具体的にアメリカ側でそういうものの使用が許されてから実際どのくらいのものを送るとか、そういうようなことを検討してまいらなければならないと思います。二十一名といいますのは、今後の電波研究所といたしましての宇宙通信関係研究関係の要員増のために振り向けていくものでございまして、御指摘のように、二十四時間ではないけれども、かりに長時間オリンピックを毎日流すということになれば、おのずからこれは別の問題として解決しなければならないことになるわけでございます。
  33. 源田実

    源田実君 そうすると、その場合にはこういう定員増によらずして、臨時にその場合に処置し得るだけのお考えがあるわけですか。
  34. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 長時間にわたりましてオリンピックを送るということは、どういう形で出てまいりますか、もしそれが、いまのところは実験という形で行なわなければなりませんので、そんなに長い時間ではないと思いますが、もし長時間ということになりますならば、電波研究所以外にも各方面からの応援という、この関係のたとえば国際電電であるとかそういうようなところの当然応援というようなものを得てやらなければならないかと思います。
  35. 源田実

    源田実君 この宇宙通信施設の整備経過表の中の三十九年度のところに、四千百十メガサイクル送受信機施設費とあるのですが、このほかにこの周波数は幾らと幾らを使われる予定なんですか。
  36. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 通信衛星に使います周波数につきましては、昨年の国際会議によりまして、今後の使用し得る周波数帯が定まったのでございまするが、現在上がっておりますリレーテルスターというものにつきましては、それ以前にかりにきめられた周波数によってそれが動作することになっております。テルスターの場合は、地上局からテルスターへ向けて送ります周波数が六千三百九十メガサイクル、テルスターから地上へ向けて送ります周波数が四千百七十メガサイクルでございます。リレーの場合には、地上局から送り出すものが千七百二十五メガサイクル、受けますほうの何が、これはテルスターリレーが同じでございまして四千百七十メガサイクル、こういうふうになっておるのでございます。いま上がっておりますシンコム二号の場合は、地上から衛星に送ります周波数はこれは七千三百六十メガサイクル、受けますほうが千八百十五メガサイクル、こういうふうにそれぞれ違った周波数を現在一時かりに割り当てまして、それで使っておる次第でございます。
  37. 源田実

    源田実君 そうする、一つ一つ衛星によっても違うと思いますが、これは幾らぐらいまでチャンネルがとれるわけですか。
  38. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) テルスター二号で使いますときには、電話といたしましては片方向で六百回線、両方向で使いますときに十二回線、このくらいの程度が現在のテルスターの中にあります中継器の性能のようになっております。
  39. 源田実

    源田実君 以上で大体この宇宙通信関係の質問は終わります。  次に、現在各飛行場の、これは軍用と言わず、民間と言わず、ことに大きな飛行機が飛ぶところほどテレビの受像が非常に阻害されておるのでありますが、この阻害について電波研究所においてあの妨害をもっと阻止するような方法を研究しておられるかどうか。これはいま基地対策として非常な大きな問題となって、付近の住民はラジオは騒音で妨害を受ますし、テレビもその音が妨害を受けると同時に、大体そのテレビジョンに写る——どんな美人の顔を写したところでへんちくりんのような顔になって出てくるほど妙なかっこうにひずめられるのであります。これはいずれにしても国家として解決しなければならない問題だと思うのですが、これに対してどういう対策を持っておられるか、また、どういう研究が進んでいるか伺いたい。
  40. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいま御指摘のように、飛行機が飛びましたときにテレビ電波がたまたまそこに当たってはね返りますと、それが受信者のアンテナに入る。受信者のアンテナは当然放送局からのおもな電波を受けておるわけでございますが、そのおもな電波と飛行機によってはね返りました電波とが、位相の関係でございますが、それによりまして御指摘のような障害をつくっておるわけでございます。これの防止策と申しますのは、これなかなかむずかしい問題でございまして、飛行機の進入経路が非常に定まっておるような場合でございますると、場合によれば反射の方向が大体きまってくるというようなことに相なれば、受信者のアンテナの位置というようなものに対して配慮を行なうというようなことによって障害を少なくすることはできますけれども、飛行機が非常に空をくるくる回って歩くとか、そういうような場合ですと、各方面からの反射が入ってくるわけでございまして、いま直ちにこういうような方法でこれを防いだらいいかということに対してお答えできないのはまことに残念でございますが、これは単に電波の伝わり方ということ以外に、受信機の性能そのものについても研究をして、弱い電波が来ました場合でも同期がはずれないというような対策とか、総合的にやはり対策を講ずべきであろうということで、電波研究所以外にも、われわれ電波監理局の中に電波技術審議会というのがございまして、そういうところに障害防止関係の部会を設けまして、各いろいろな先ほどの御指摘の騒音あるいは雑音、こういったような妨害に対しましても鋭意研究をしておるような次第でございます。
  41. 源田実

    源田実君 この基地問題の中で、騒音対策、それから受像の障害、それからこの間のようなああいう墜落による危険と、これは最も大きな問題であると思います。ところが、その中の一つがやはり電波関係のものでございまして、私はこの問題はやはり根本的に解決しなければならない問題である。それにはいまのこの通信妨害なりあるいはレーダーの妨害をやる方策が軍事的には、ことにアメリカ、ソ連等においては相当進んでおると考えられるが、内容は極秘でありますから、ほとんどわれわれには知らせない。英国あたりではいわゆる誘導というようなことは戦時にはほとんどできないということまであそこの空軍省で言っております。それほど妨害が進んでおる。したがいまして、民間の人がテレビを見るのを障害を受けるのもこれは一種の妨害でございますから、悪意によらざる妨害である。したがって、同じ電波対策、ECMあるいはECCMといっておりますが、その方法によって私は相当解決がつくのじゃないかと思う。したがって、最後にひとつ郵政大臣にお願いしておきたいのでありますが、この研究をひとつ進めていただきまして、そしていま問題になっておる基地問題の中の重要な問題をなるべく早い時期に解決の方向に持っていっていただきたい。これは防衛庁関係ともいろいろ御連絡願いまして、ひとつテレビ受像障害について今後お骨折りを願いたい。これを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  42. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまのお尋ね並びに御意見でございましたが、かような電波関係の妨害をいかに除去すべきかという技術的な面の研究は今後大いにやらねばならぬと考えております。そこで、ただいまのところはとりあえず自衛隊並びに米軍基地に発着するジェット機による受信の障害を受ける人に対しましては、四月一日から受信料において若干減免の措置を講じて多少の補償の意味もそこにあらわしておる次第でございますが、技術的な面はなお今後十分に研究を進めてまいりたいと思っております。
  43. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御質疑はこざいませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十四分散会