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1964-03-26 第46回国会 参議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十六日(木曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員異動  三月二十五日   辞任      補欠選任    古池 信三君  上林 忠次君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     三木與吉郎君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            伊藤 顕道君            鶴園 哲夫君    委員            源田  実君            小柳 牧衞君            塩見 俊二君            林田 正治君            千葉  信君            鬼木 勝利君            向井 長年君   委員以外の議員    発  議  者 草葉 隆圓君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    総理府総務長官 野田 武夫君    内閣総理大臣官    房賞勲部長   岩倉 規夫君    文部大臣官房長 蒲生 芳郎君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君    文部省社会教育    局長      齋藤  正君    文部省調査局長 天城  勲君    文化財保護委員    会事務局長   宮地  茂君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    文部省大学学術    局審議官    村山 松雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○旧金鵄勲章年金受給者に関する特別  措置法案草葉隆圓君外十六名発議) ○文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。昨日古池信三君が委員を辞任され、その補欠として上林忠次君が選任されました。
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案を議題とし、これより質疑を行ないます。発議者草葉隆圓君のほか、政府側からは野田総務長官岩倉賞勲部長が出席しております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。伊藤君。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案関連して、さらに二、三お伺いしたいと思いますが、前回発議者に対して最終的にお伺いしたのは、この年金に関する請願処理状況を申し上げて、あるいは保留、あるいは審査未了、そして採択、こういう情勢の中で今回議員立法がなされておる、そういうことは国会審議を軽視するものではないか、こういうことをお伺いしたわけです。このことについて当面の責任者である総理府総務長官としてはこのことをどういうふうにお考えになりますか。
  5. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) これが議員提出法案として出されましたについての取り扱いの問題でございます。法案提出は当然議員として出し得るものでございますから、これに対して政府国会審議経過につきましてかれこれ批判することは避けたいと存じております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらにお伺いいたしますが、私はそれならあえてお伺いしましょう。政府としては、国会審議を一体尊重するのか、軽視してもかまわないというのか、そういう国会審議に対しての基本的な態度、こういうことをまずお伺いしたい。
  7. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 政府といたしましては、もとより国会の御審議は十分尊重いたしたいと思います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 尊重するという基本的な態度はここで明確になったわけですが、そうだとすると、国会審議過程において、あるいは保留、あるいは審議未了、あるいは採択、こういう経過をたどってきた年金復活に関する請願内容が、今度与党である自民党議員立法となって出てきたわけです。これとあわせ考えた場合、政府としてはこれはどういうふうにお考えになっておるか、こういうことなんです。
  9. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 審議経過は、この法案につきましてはお話のとおり、私ども政府としても了承しておりますが、また、新たに議員立法として御提出になりました以上は、その審議に対しては、あくまでも政府としては尊重しなければならない、こう存じております。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうすると、なお重ねてお伺いしますが、政府としてはこの法案については全面的にこれを支持し賛成であるという、そういう態度ですか。
  11. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) つまり、議員提案法案が出されましたので、その法案のいわゆる決定ということによって政府態度を十分考えなくちゃならぬ、こう思っております。つまり、今度出されました議員立法に基づく法案が、その最後段階で、これが成立いたしました場合と、あるいは成立しない場合とがありますが、成立いたしました場合は、もちろん国会審議をわれわれは尊重するたてまえから十分考慮しなくちゃならぬ、こう思っております。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政府はなぜこんな、いいと考えるんなら、政府自体がなせ政府提案にしなかったのか、その間の経緯をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  13. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) この金鵄勲章に関する特別措置法でございますが、しばしばいまお話のとおり議員立法として出されております。その間の経過は十分承知しておりますから、政府といたしましては、この金鵄勲章法案につきましてどう取り扱うべきかということは非常に関心を持っておったのでございますが、しかし、政府としては、十分検討してみなくちゃならぬということで、この法案につきましては、自来今日まで検討を続けておりましたときに、また三たび議員立法として御提案になりましたから、その法案の御審議を待つのがいいと、こう考え政府提案として提出することを差し控えております。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 与党から議員立法で出てきたから政府としても十分検討しなくちゃならぬと、こういうことで取り組んできた。ところが、経過的に見ると、三十六年の六月六日に、第三十八国会です、そのとき小笠議員外六名で提案されたのが初めてです。それから今日まで第四十六回ということですから、大体八回国会経過しておるわけですね。したがって、政府としては十分検討期間があったわけです。政府として十分検討しなければならぬという最初からの心がまえであったわけですから、八回も国会経過する中には、相当十分な検討がなされたと思うのです。その十分検討をした結果、政府態度はどうなったわけですか。
  15. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 検討しておりましたが、まだいわゆる結論に達しない段階で、また議員立法として御提出になりましたから、私ども国会審議経過を見て、その結果によって態度をきめたい、こういうことになっております。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 三十入国会から四十六国会までの間、相当時間的にも長い期間があったわけですね。そこで最初から十分検討する必要があるという心がまえ検討を重ねてきた、まだ結論に到達しないということは、どうも了解しがたいわけです。相当の期間があったわけですから、これはほんとうからいえば、もう無責任か、無能であったかどちらかに属すると思う。おそらく現池田内閣有能の士が集まっておるから、無能でないと見なきゃならぬ。そうだとすると、これは怠慢のそしりは免れぬと思う。この長い間十分検討するという心がまえ検討したものが、いまだに結論が得られないことはあり得ないと思う。この点どうですか。
  17. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 御批判はいろいろあると思いますが、いま私がお答えいたしましたとおり、政府といたしましては最後結論を得ない前に、また今日議員立法として御提案になりましたので、その審議経過、また結果を見た上で、政府態度をきめたい、こう考えております。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも納得できないですね、それだけの御答弁では。最初から十分検討するという心がまえがあったわけでしょう。最初ぼんやりしたわけではないでしょう。最初から十分この問題とは真剣に取り組んで結論を出さなければいかぬ、そういう心がまえで取り組んで、しかも現内閣には有能の士が集まっておられる、有能の士が集まってこういう長い期間検討されて、いまだに結論が出ないということは、どうも理解しがたいのです。一〇〇%結論が出ないまでも、ある程度出ていると思うのです。そのある程度の態度というのはどういうのですか。
  19. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) もとより検討いたしておりましたから、いろいろの意見もそこに出ておりますし、また、政府考え方もいろいろこれに対しても、何と申しますか、本法案内容等につきましてもいろいろ検討しておりまして、無能であるかという、無能かどうか知りませんが、私どもはやはり最後法案提出しますにあたりましては、やはりできるだけすべてのこれに関連するいろんなことにつきまして検討を要するものでございますから、慎重にその検討を続けておりましたときに、いま申しますとおり、ここにまた議員立法として御提案になりましたものでありますから、その国会の御審議をあくまでも尊重するという考えで、大体政府態度も、金鵄勲章法案だけでなくて、政府といたしましては、やはり国会審議を尊重する、これは私ども政府の一貫した考え方でございます。今度の議員立法審議結論の結果によって政府は十分考慮したいということで、今日の政府態度をきめておる次第でございます。
  20. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  21. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) それでは速記つけてください。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 総務長官に重ねてお伺いしますが、先ほど来申し上げておるように、請願が初めてこの国会、当内閣委員会に出されたのが昭和三十一年で、第二十四国会、これを契機として次々請願が出されてまいったわけです。それで、おことばによると、政府としても十分検討する心がまえで取り組んできたけれども、なかなか結論が得られないと、まあそういう理解できない御答弁でありますが、一方与党である自民党はなかなか政府が、これからお伺いするわけですが、発議者に、政府はなかなか立法化しないので、自民党としては有志で相はかってこれを三十六年第三十八国会のとき最初にこれを議員立法された。そういうことなんですか。これは発議者であるどなたにお伺いしてもいいわけですが、草葉さん前からいろいろ苦心しておりますけれども、あまり一人に偏しないように、それでは下村委員にお伺いしたいと思うのですが。
  23. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  24. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記を起こして。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは引き続いてお伺いしますが、今度は発議者にお伺いします。  政府としては、いまるるお伺いしたように、検討中でまだ結論を得ないと、検討内閣の面目をいかんなく発揮しているわけですが、検討々々で、そこでまた検討々々でなかなか結論を得ないので、結局発議者皆さんとしては待ちかねて、これを議員立法にした、そういうことであるのか。もしまた、ほんとうにこれはここで出しても恥ずかしくないりっぱな筋の通った法案とお考えになるんなら、なぜ政府に、与党でありますから、その点は遠慮要らぬわけですから、十分話し合って政府提案としなかったのか、その間の経緯をわかりやすく懇切丁寧にお聞かせいただきたい。
  26. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) ごもっともの御質問でございますが、三十八回国会以来、衆議院で数回提案されて、あるいは継続審議、あるいは通過というようなことになってまいったのでございます。しかも場合によりますと、閉会直前提案になったり、あるいは解散等のうき目をみたりというようなことで昨今は御質問のように数回これが重ねられて、しかもそのつど議員提案でやってまいりました法案で、そういう関係からむしろ衆議院では一応成立はした、しかし、法律として成立はしなんだけれども、院は通過した、そういうふうな関係で院としての一応の意思はあらわれているから、今度は参議院のほうからひとつ提案をして、何で政府提案にしなんだか。むしろいままでの歴史から考えて、この法案議員立法でずっとやってまいりましたから、あるいは政府提案が妥当であるかもしれませんが、むしろわれわれは議員提案のほうがいいのではないかと考えまして、提案されるように決定したような次第であります。他意はあるわけではございません。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ぼんやり聞いていると、ちょっとわかったようなことですが、よくかみしめてお聞きしておると、議員立法のほうがいいんじゃないかとお考えになったそのことばはわかりますけれども、さてそれなら議員立法のほうがなせいいのか、その理由をひとつわかりやすく御説明いただきたい。
  28. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 実は戦後の両院の国会法等に盛られた精神は、なるべく議員立法を主体とする考え方でまいりましたけれども、なかなか現実はそう行っておりません。政府立法というのが多くなって、むしろわれわれはこれは嘆かわしいと考えている。できるだけ議員立法で取り上げていかなければならぬ。そういう意味におきまして、与党野党を問わず、重要な問題はなるべく議員立法がいいのじゃないかというのが、実際はそうは行っておらないから、でき得るものはなるべく議員立法でやる。この点は私どもも強く従来から主張している点でございます。しかし、実際は、お話のように、なかなかそう行っておらないのであります。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御答弁いただいたわけですけれども、過去の国会内の各委員会審議過程を見ると、どうも議員立法というものは与野党のいかんにかかわらず、特に野党側議員立法については、提案したままで一日も国会審議されないという風習が現実にあったわけですね。それは自民党さんの立法の場合は数が多いので、数の力で押しまくり得るわけですね。そういうことで、与野党で大きな差はありますけれども、さて政府提案議員提案がどちらが優先されるかということになると、いい悪いは別として、従来は政府提案のほうがはるかに重要視されてきたことは、草葉さんといえども肯定されると思うのです。そういう考え方に立つと、この提案は、いわゆる年金受給者に関する特別措置法案はあまり重要視していないということになるわけですね。あまり審議されないでもいいのだ。ぜひ審議されるためには政府提案にしたほうが有利である、こういうことになるわけです。そこのところをどうも理解しがたいのですがね。だから、ということは、従来の経過からあまり委員会審議されないでもいいという前提に立ってこの法案を出されたのではなかろうかと考えざるを得ないわけですね。そういう現実から推してそれじゃこの法案はあまりお急ぎにならないということもそのことから言えるわけです。この辺はどうなんですか。
  30. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 実はこの旧金鵄勲章の一時金の問題は、私どもの党といたしましては、最も重要法案一つとして考えているのであります。むしろ政府から強く要望されてもこれは議員提案でひとつやろうというくらいに、議員提案でやることが同僚の皆さん方の御理解と御支援とを強くいただくのじゃないか、これをいままでずっと議員提案でやっておって、今度は政府提案に引っくり返ったら、かえって議員のほうの考え方としてはむしろスムーズに通過し得ないというきらいすらあるのではないかということを——これはそのときにならぬとわかりませんが、したがって、この金鵄勲章関係の一時金の法案は最もわれわれ、ことに参議院といたしまして、自由民主党といたしましても最重要法案一つとしてぜひ皆さん方の御理解と御協力をいただいて、今度の国会で通過さしていただきたい。従来いろいろな時間的と申しますか、物理的な問題で、参議院がたいへん困難であった。そこで、参議院を先議にしまして、そうして衆議院に送っていこうという苦心をいたしておりまする点もどうぞひとつ御賢察を賜わりたいと思います。
  31. 千葉信

    千葉信君 関連野田さんにちょっとお伺いしますが、この法律家予算関係法律案だという立場から私はお尋ねするのじゃありませんが、何か政府のほうと与党との連絡では、議員提案の場合予算を伴うのはいかぬとかないしは予算を伴う修正はまかりならぬとか、そういう点について政府与党の間に相互了解があるのか、ないしはどちらかから厳命を下したのか、そういう事実が新聞に報道されていますが、その点どうですか。
  32. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) いまの千葉さんのおっしゃいました政府与党の間の法案提出に対する考え方ですが、それは事実あります。ありますが、それをどういう法案によってそういう区別をするのかと申しますと、つまり政府が全然従来関知しなかった問題、またことさら新たに起こった事態に処するとかなんとかいうような問題につきまして、政府が全然検討していない問題、こういう問題を突然与党から出されるということは、いまお話のとおり、予算関係もあるものは特にそうだし、また、予算を伴わなくても、政府が全然いままで検討もしていないそういうものをやはり与党として出していただくことは、この法案のいわゆる質によっては御遠慮願いたい。しかし、検討しているような問題は、これは大体いまお話草葉さんからありましたとおり、法案提出政府であろうが議員であろうが、これはもう同等でございます。どちらからも自由に出せるものでございます。だから政府が従来から検討しておるような問題につきまして議員提案として与党が出しましても、これに対しては異存はない、こういう考え方を持っております。
  33. 千葉信

    千葉信君 そうしますと、もう一つ確認意味でお尋ねしますが、これは与党議員諸君も参考にぜひ聞いておいてもらいたいことであります。いまの政府答弁だと、予算を伴う法律案議員提案あるいは修正したために予算を伴う修正等については議員提案はいかぬぞということが党なり政府との間で一応了解もしくは決定事項というかっこうで、私ども外部からは聞いておりましたが、いまの答弁を聞きますと、それには条件がついておるのだ。政府のほうで考える、もしくは検討を加え、もしくは知っている内容関係については議員提案もいい。修正もいい。つまり政府のほうで考えていないもの、検討していないもの、知らなかったようなもの、そういうものについてはいかぬと、こういうはっきりしたただし書きがある、こういう野田さんの答弁、そのとおりにわれわれ確認してよろしいですか。これは与党議員さん、聞いていますからね。
  34. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) これはいまお話のように、別に政府与党との間に覚え書きを交したとか、そういうただし書きをつけたというものじゃございませんし、私の申しますのは、政府が全然検討していない問題について議員立法というものが出ましてもこれはなかなか——まあ、政府与党でございますから、ひとつできるだけ全然いままで関知していないことについては御遠慮願う。決して議員立法政府が拒否する、そういうことは考えておりません。御遠慮願えないかと先ほど申し上げたのですが、しかし、話し合いがつけば、これはもう議員法案提出権能は画然としたものでありますから、そこでただこれは政府与党の間の話し合いでそのときの法案取り扱い、しかし、審議中にこれが修正になるというようなことになるとこれはもう政府としては国会を尊重するたてまえでございますから、そういうことまで何も干渉したり、かれこれ容喙するような意思は全然ございません。だからつまり議員法案提出権能についてはこれはもう確立しておりますから、これは何ら政府としてはもうこれに対する批判なんというものは考えておりませんが、これは御承知のとおり、今度くだけて申しますと、政府与党内でございますから、そこでそうなればまあひとつ話し合いでやろう——これはもっともだと思いますから、私は先ほど申し上げましたのは、議員立法する権能に対して容喙するなんということは毛頭考えておりません。
  35. 千葉信

    千葉信君 どんな政府なり内閣といえども憲法なり国会法に明定されてある法の議員提案権だとか修正権を否定しているとは私も考えていない。それはもうわかっております。そういうことがわかっているにかかわらず、何かの都合で政府のほうでは今度の国会が始まってからでなく、前から何回も政府のほうから与党のほうに連絡をし、もしくは要請をしているんです。それはあなたも議員として知っているだろうと思う。予算の伴う議員提案は困るとか、ないしは予算の伴う修正は困る、そういうことを言われて、与党諸君憲法上はっきりしている提案権も放棄しているような傾向さえ非常に強いのです。これはどういう点からいったって私は筋の通らない政府のやり方だと思うのです。ですから、私は、この法律案審議関連して問題が起こってきましたからたまたまお尋ねしているんですが、あなたの答弁だと、さっきの答弁では、そういう議員提案の問題とか修正の問題についてはただし書きがついているというお話政府の知らないもの、政府検討してないもの等についてはこれは困る。しかし、政府検討し、もしくは考えている問題等についての議員提案なり修正はかまわぬのだ、あなたはさっきそう答弁された。ところが、また今度の答弁では、議員提案のほうについてはさきの答弁を肯定された答弁ですが、修正のほうについては国会議員修正することを政府はとやかく言うはずはない、修正はかまわぬのだという結論答弁なんです。そうすると、ただし書きがついているという第一回の答弁から第二回目は、このただし書きが二つに分かれてきておる、議員提案修正のほうと、別な答弁をしておる。もうこれは私は答弁を聞いていて、頭がこんがらがって、わからなくなるような答弁ですから、それをはっきりしてください。
  36. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 先ほどのお尋ねは、私は、つまり議員立法に対して、政府与党の間にいろいろ話し合いがあるじゃないかということは、これは私はありますということを、はっきり申し上げました。これは決して否定しません。あっていいことだと思っております。政府与党の間でございますから、政府がたとえば政府案を出しますのには、やはり与党といろいろ打ち合わせして、いろいろな機関を通しておることも事実でございます。これは政党内閣として、私は当然だと思っております。ただ、いまお話しの、しからば議員立法について、何でもかんでも与党議員立法、ことに予算を伴うとか、その他についてお話がありましたが、拒否するか、それはそうではありません。それは政府がつまりその問題について検討を加えておる問題、その他については、これは政府案を出そうが与党案を出そうが、それは法案としては何らの変わりはないし、また当然その権能のあることでございますから、そこまで立ち入って、与党議員立法として提案するというお話に対して、政府は何もこれを拒否しない。それから修正の問題でございますが、それはちょっと誤解があったと思いますが、私の申し上げるのは、審議中に国会修正されたということは、これはもう当然国会のこれは権能でございますから、ここに何も政府がそれに、修正に応ずるとか応じないということよりも、もっと次元の高い国会審議の上における修正というものは、国会権能でございますから、そこまで立ち入って、一々国会審議に対して、われわれは関与したり、干渉したりするという態度は、これまた排すべきことであるし、そういう態度はとりません、こういうことでございます。
  37. 千葉信

    千葉信君 ちょっと、関連質問で長くなってまことに申しわけないが、野田さんの答弁を聞いておると、どうも話がこんがらがってくるような答弁が多いのですがね。ですから、まあ私はこれは関連質問というのですから、あまりごてごて長く質問するつもりはありません。いまの答弁でも、修正の件については、修正とは国会審議中に起こるのだ、したがって、その審議中に起こった結論としての修正については、これは政府は何もそのことについて、議員提案として修正してはならぬとかなんとかいうことは言ってはいないという、そういう答弁ですね。ところが、修正というのは、これは一体どういうものですか、審議の結果に基づいて修正案が出てくるのでしょう。そうすると、その審議の結果に基づいて与党議員が、これは修正しなければならぬという意見を持つことが、従来の経験上からしばしばある。いいですか。ところが、政府のほうでは、そういう予算の変動の起こるような関係については、議員修正まかりならぬ、つまり議員修正まかりならぬということは、当然その実際の場合においては審議過程で起こってくる修正意見であるとすれば、その審議の最終段階修正が行なわれるわけですから、したがって、その修正というものはあなたがいま御答弁になられた審議の結果、もしくは審議の最中に出てきた修正ということになるのです。その審議過程において生じた修正案については、政府はこれは何も出していかぬとか、悪いとかということは言えない。これは国会の独自の権能に基づいて行なわれるのだから、それは政府のほうでは容喙しない、あなたはこういう答弁をされましたが、実際とは違うのじゃないですか、実際では、私の知っている限りでは、議員提案もそれから修正もそれが予算の伴うものであればいかぬと、こういって、政府与党のほうへ厳命を下しているか、連絡しているか知りませんが、何かそういう了解になっているのでしょう。非常にけしからぬ私は内容だと思う。けしからぬ内容だから私は聞いているのですがね。いまのあなたの答弁を聞いていると、実際はそれと少し違うような答弁です。修正はかまわぬのだ、私はその修正というものは予算を伴う場合も含めてお尋ねしているのですよ。予算を伴う修正の場合でも、あなたいま言われたように、国会審議中にそういう修正結論が出た場合には、政府はこれに対してどうこうは言わぬと、こういう答弁にもなるわけですが、それでいいですか。
  38. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) それは何かの誤解があるかと思いますが、私は先ほど申しましたとおりでございまして、政府が一々議員立法に対して、修正お話がございましたが、国会審議中に修正され、もちろん最後修正案が提出された、そういう場合に政府が事前にどうとかするとか、あるいは強いいろいろな指令を出すとか、これは政府態度としてはきわめて不適当な態度でございまして、政府としてはそういうことをやることはないと思います。それから同時に、いままでの関連からいたしましても、議員立法で全然予算を伴わないとか伴うとか、伴う議員立法も相当出ておるはずです。だからそれは私が先ほど申し上げましたとおりに、与党、すなわち政府、野党でございますから常に連絡をとっておりますから、政府がこれに対するつまり検討して関心を持つという場合には、これはつまり議員立法でやるというお話があれば、何も政府が容喙することはない。現にきょう議員立法として提案されております旧金鵄勲章一時金支給の問題も、この法案もこれを何ら出してはいけないということを、議員立法にあたりましても、政府はかれこれ容喙した事実はございません。
  39. 千葉信

    千葉信君 あなたの答弁を聞いておりますと、政府与党の間で予算関係ある法律案もしくは予算関係のある修正案については議員提案はいかぬと言ったか、遠慮してもらうと言ったか、やめろと言ったか知りませんが、そういう新聞報道が今度の国会だけでないのですね。特に今度の国会は少し厳格にそのことを守れという態度をとっておるようですが、毎回の国会にそういう意思表示が政府のほうから与党のほうになされておる、こういう事実があって、そして与党議員諸君とわれわれが法案審議過程で、この法律案についてはこれこれの個所についてはこれは修正すべきではないかという申し出に対してかなり了解点に達しながら、従来しばしば、実は政府提案法律案については議員提案修正とかなんとかいうことについてはまかりならぬという一項があるために、そのために話し合いができないのだ、こういう事実がしばしばありましたが、いまあなたの答弁を聞いておりますと、政府の申し入れなどというものは——申し入れかどうか知りませんが、その話はそんなに厳格なものではない、かなり融通のあるものだというふうに、あなたの答弁からはわれわれそういう解釈をすることになりますが、それでよろしゅうございますね。これは与党議員に聞いてもらっておる質問ですよ。
  40. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 与党の方が聞いておられましても、あるいは聞いておられないといたしましても、政府態度は変わりはございませんから申し上げますが、つまり私は前提に申し上げましたが、そういう新聞記事があったことも私知っておりますし、また、政府がそういう態度を持っておることも事実でございます。しかし、その内容がただ一がいに予算を伴う法案議員立法では困るとかなんとかいうことではございません。先ほどくどくど申し上げますとおり、政府連絡があって、そして政府了解し得る、また党のほうも了解する、つまりもっと申しますと、全然政府与党、いま政党政治でございますから、かってに、政府のほうの提案もやはり与党と一応話し合う、また、与党議員のほうからお出しになることについても一応政府のほうにお話がある。つまり連絡のない、全然政府与党間に連絡のないような法案をお出し願うことは御遠慮していただきたい、これが本旨でございまして、以下はこまかい話になるわけでございますが、基本的な考え方はこういう考え方でございます。
  41. 千葉信

    千葉信君 重ねて確認の意味でお尋ねをするのですが、私は自由民主党の委員のだれ一人として政府のやっていることに全然関知しない態度をとるとか、ないしは政府のほうに一言の連絡もなしにかってに行動をとる議員さんはいないと思います。これは社会党も同様です。もしそういう者がいるとしたら、これは首でもちょん切ったほうがいいくらいの党員で、私はそういう行動をとる議員さんはおそらくいないだろうと思うから、いま野田さんの言われたような事態というものは、実際上起こりっこはない。政府のほうに連絡もなし、政府了解もなし、かってに独自に行動する自民党議員があるなどとは私は考えておらないし、実際上そんなことはないと思う。何らかの形で、私は法律案提案なり、案件の提出なりないしは修正ということについては、もうこれは実際上当然の結果として、与党なり、与党を通ずるなりあるいは政府直接なりの形で政府との連絡がなしにこられるはずはないという考えですから、したがって、いままでの議員提案経過からいっても、私はこれは与党議員としては必ず何らかの連絡はあるものだという了解の上に立ってあなたにお尋ねしているのですが、そういう政府との連絡もしくは了解等があれば、今後も自民党議員諸君予算関係する法律案なり、もっと広い意味のまあ憲法に保障されている議員提案権を行使して、問題を提起して提案するもしくは修正するということについては、政府はそこまでいかぬという態度考えていない、こういうふうに、今後もこれはいろいろ関係する問題がありますから、ここで確認しておくのですが、そういうことでいいですね。
  42. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 大体お話の趣旨のとおりでございます。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は、まだ釈然としませんが、時間の関係もございますので、課題として次回にまたお伺いをすることにして、次にお伺いします。  まず、簡単なことからお聞きします。一時金を受ける権利のある方が死亡した場合は、一体どうなるのか。まず、この点から。これは発議者にお伺いいたします。
  44. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) その権利を譲り受け、相続を受けている者であります。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 権利を有する者が死亡した場合はその相続人に支給する——その相続人がいない場合は、一体どうなるのですか。
  46. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 相続人がいない場合は、もうそのままといいますか、支給しない。いまもさきにちょっと申しましたが、もちろん相続を認めるということは、発生前の死亡は、執行前の死亡は、これは認めないということは、もう当然であります。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、憲法の条項を出しますけれども、ここでは憲法論議はいたしません。憲法論議はあとに回しますが、ただ関係があるので憲法を引用いたしますけれども憲法第十四条の三項には、——これをかいつまんで申し上げますと、御承知のように、「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。」それとさらに「栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」こういうふうに明確に出ているわけです。そこで栄典そのものでもその代に限りその効力を有するとあるわけです。池田総理のことばを借りると、かつての地位に対して与えるのだ、こういう御答弁があったわけです。かつての地位というのは、何をさしておるかというと、旧金鵄勲章年金受給者、こういう地位をさしているわけです。これがかつての地位です、そこで年金令は、すでに廃止となっていることも事実です。したがって、本人に支給するのでも、これはまことにおかしいわけですが、その相続人まで支給するというのは、一体いかなる根拠に基づくものか、こういうことを明確にしていただきたいと思います。
  48. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 憲法第十四条の問題は、先般も御質問がございまして、その栄典の復活ではない、金鵄勲章という一つの授与、それに伴う年金を受けておったものが打ち切られて、その損失を戦後、昨今の情勢になったから見舞っていこう、こういうのであります。ただ本人が死亡した場合に、これを相続するということは不当ではないかという問題が、こういう関係のものにはよく起こってくる。ほかの一時金の問題あるいは未亡人の特別交付金の問題にいたしましても、その他の問題にしても、そのつどいろいろ議論がありますが、結局ある範囲のある一つの範疇内においては、これは認めざるを得ないだろうという原則は、従来そういうふうにやっておりましたので、今回それをとっていくということにいたしておりますから、特別に今度の金鵄勲章に対する年金受給者に対する一時金の証書は、相続をこの問題だけに認めるというのではなく、一般的な考え方からそういうふうにいたしておるのであります。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、一時金受給権利が喪失する場合は、どういう場合とどういう場合か、この点を明確にしていただきたいと思います。
  50. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 第五条にありますように、「死刑又は無期若しくは三年をこえる懲役若しくは禁錮の罰に処せられたものには、一時金を給しない。」もちろん死亡は相続でありますから、その一時金を支給しないものは、第五条に規定いたしておりまする範囲であります。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それだけでは、御答弁としてはどうも不完全のように思うのですがね。いま少しつけ加えることが必要じゃないですか。
  52. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 失権は広い範囲におきましては、第五条と、さらに請求を放棄するいわゆる時効、これは当然であります。しかし、時効の場合は、今回は特に四年間としてございますが、従来こういうものの時効があるいは七年あるいは三年、いろいろありますけれども、今回は特別に四年というような形をとっておるのであります。これは普通の観念。それから失権する場合は、先ほど第五条で申し上げたとおりであります。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも私のお伺いしておる点はまだよく御理解いただけないように思うのですが、一時金の受給権利を喪失する場合ということになると、旧年金受給者昭和二十一年一月一日から昭和三十八年三月三十一日までの間に、一つの場合は「死刑又は無期」二つの場合は「三年をこえる懲役若しくは禁錮の刑に処せられたものには、一時金を給しない。」こういうことになるのではなかろうかと思うのですが、私、しろうとでよくわかりませんが、専門的な立場でお教えいただきたい。
  54. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) まことに恐縮でございますが、ただいま御質問のとおりであります。実は舌足らずでそこまで申し上げられませんでした。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、受給権の保護等についてはどのようにお考えになっておられるか、この点を明確にしていただきたい。
  56. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) もう一ぺんちょっと……。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 受給権の保護等についてはどのようなお考えでおられるかということです。
  58. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) これは第十一条に課税の対象にしないということ、それから書類には印紙税を課さない、こういうことにいたしておるのであります。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これも私のお伺いしておる質問にはぴったりといっていないように思うのですが、私はこう思うのですが、いろいろ御提案内容をよく検討いたしますと、受給権の保護等については、一つとしては「一時金を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」こういうような方法で保護するとか、それから二つには「その支給を受けた金額を標準として、租税その他の公課を課することができない。」こういう形で保護しておるとか、あるいは一時金を受ける権利は四年間のうちに行なえばいいという四年間の猶予を与えて受給者を保護しておる。ということは、裏を返せば、四年たてば消滅、時効で消えてなくなる。こういうような大別して三つの方法で受給権の保護等を考えておるのではなかろうかと思うのですが……。
  60. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) お話のとおりであります。第十条は権利の保護、第十一条は課税の対象にしない。そして時効は四カ年、こういう三つでございます。
  61. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの中で特に保護の一つの方策として、「租税その他の公課を課すことができない。」こういう項があるわけですが、これはいかなる根拠に基づいてそういうお考えをおきめになったのか、その根拠を明確にしていただきたいと思います。
  62. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) これはこういう経済的な一種の損失に対する補償というほどでもありませんが、損失に対しまする特別措置でございまするから、ほかの関係のこういうふうなものとにらみ合わせまして同様にいたした次第であります。
  63. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしますが、あるいは請求、認定、それと支給、その他法律実施のために、必要な事項、こういうことは一体どうなさるのか。万が一この法律案が通ったとすると、当然請求、認定という事態が起きてくるわけです。それとそれに対して支給するという事態が起きてくる。こういうことは一体何に基づいて実施されるのかということをお伺いしておるわけです。
  64. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) これは十四条にありますように、政令できめたいと存じておりますが、権利の認定等は第四条、それから十二条にあります取り扱いは郵政大臣というような、そういう範囲におきます取り扱いの細則と申しますか、具体的のものを第十四条によって政令できめる。
  65. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 また、この法案は、かりに通ったとすると、一時金はいつから支給なさろうとしておるのか、この点を明確にしていただきたい。
  66. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 一時金の支給の開始時期は附則の第二項に書いておりますように、「政令で定める日からその支給を始める」この法律の施行の日から起算しまして六カ月をこえない範囲において政令で定める日から、こういう考えであります。
  67. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 法律の施行の日から起算してということですが、これは六カ月をこえてもいいのですか。六カ月をこえない範囲という一定のワクがあるやに承っておりますが、そういうワクは今度取りはずしたことになりますか、そこのところを。
  68. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 六カ月をこえない範囲で政令できめる。
  69. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 六カ月というワクはあるのですね。
  70. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) あるのです。
  71. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その一時年金七万円を支給しようとする対象人員は一体どういう概数になりますか。これはなかなか正確な数は得がたいと思いますが、いわゆるある一定の数を考えておられると思うのです。
  72. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) これはお手元に資料として差し上げてありますが、しかしこれはほんの推計でありまして、実数ではもちろんありません。実数に近いかどうかというのも具体的に当たってみないとほんとうはわかりません。したがって、知り得る範囲におきましては人口問題の推定統計で推計する以外にはないというので、現在は大体八千六百八人——八千前後を考えておるのであります。
  73. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昭和二十年の十二月三十一日において年金を受ける権利を有している者で、その後六十歳以上で死亡した方もあろうかと思うのですがね、その死亡した方はこれはむろん推定でけっこうですが、どのくらいありますか。
  74. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) これは現在の調査では、その一時金に切りかえました十四年末の数と、それから三十八年の一月一日現在の推定というものを計算したのでありまして、現在お話昭和二十年の現数というのはちょっとつかみ得ない状態であります。
  75. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう推定に基づいて予算を組まれると思うのですが、予算は一体どういうことになりますか、初年度はおおよそどのくらいになるわけですか。
  76. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) 初年度は三十八年現在の生存権定数六千百六十人の七万円、それを支給することによって、一応予算に示しております四億五千万円見当を所要額と見込んでおる次第でございます。
  77. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどの御説明で六十歳以上の方にまず支給して、六十歳未満の方は六十歳になったときに支給する、そういうことであるようですが、三十八年一月一日現在で押えると、八千六百八人と、約八千としても一人七万で七、八、五十六ですから五億六千万要るわけですが、いまの数字は四億五千万ということになる。これはどういうような関係で……。
  78. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) これは実際、これから通過をさしていただいて、それから準備をしまして政令で六ヵ月以内に日にちをきめるわけでございます。最初の四月一日からというのは、ちょっとなかなか実施は困難でしょう、これはもっとも三十八年からの予定でございますが。で、最初はいまのようなお話で、三十九年の数が六千百七十五という数が一応の計算の対象になりますけれども、まあ大体この程度じゃないかというのが予算立法の説明に四億五千と出しておいたのであります。実際やってみませんとはっきりはわかりませんが、大体そのくらいじゃないかと思っております。
  79. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうすると、支給の七万だけでなく、その支給をするためにはいろいろ事務操作が必要で、事務操作が必要だということは事務費が必要ということになろうかと思います。その事務費は大体どのくらい見込んであるのですか。
  80. 草葉隆圓

    委員以外の議員草葉隆圓君) これは郵政省郵便局にありまするパーセンテージがすでにほかできまっておりますから、何でしたか、その範囲において、したがって四億五千万の中に含まって大体二、三千万の程度ではなかったかと思いますが、その程度であったかと思います。
  81. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 委員長、ちょっと速記をとめさしてください。
  82. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  83. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記を始めてください。  他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の審議は、本日はこの程度にとどめます。午後一時に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時四分休憩    ————————    午後一時十八分開会
  84. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、これより質疑を行ないます。  政府側より灘尾文部大臣、蒲生官房長、福田初等中等教育局長、天城調査局長、宮地文化財保護委員会事務局長説明員として木田総務課長、村山審議官が出席されております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  85. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案関連して、なお引き続き二、三、主として大臣に対してお伺いしたいと思いますが、私は、言うまでもなく、いまの高校一年生は二年先の不安を非常に強く持っておるわけです。まあベビー・ブームだといわれたその時代の少年少女が、昨年の春ようやく高校の入学にパスして、その楽しみもつかの間で、いま、今度大学入試ということを念頭に置いていま受験準備に明け暮れておるのが現状だと思うのです。このことについては、前回一点だけ抽象論としてお伺いしたわけですが、きょう若干時間がございますから、少し具体的にお伺いしたいと思うのです。この大学生急増対策は、何といっても、ことしの文教政策の最も大きな柱の一つであろうと思うのです。こういう観点に立って、文部省としてはどのように取り組んでおられるか、お伺いしたいと思います。
  86. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学生の急増対策問題について、いわゆるベビー・ブームの波が昭和四十一年から大学のほうに押し寄せてくることになるわけでございます。われわれとしましても、これにいかに対処するかということが、当面する大きな課題でございます。この問題につきまして、現にいろいろ検討いたしておるところでございます。第一、学校に入学せしめる者の数について、どの程度の予測を立てなければならないか、あるいはこれに対処するために国立、公立あるいは私立、その辺を通じまして、どういうふうなかまえで用意をしたらよろしいか、私学に対してどの程度の協力が求められるであろうか、公立に対してどの程度の協力が求められるであろうか、あるいは国立としてどの程度の整備拡充が可能であろうか、こういうふうな問題につきまして、いろいろ検討いたしておるところであります。また、関係の向きに対しましても、だんだんと意見を伺ったり、お話し合いをしたりというようなところまで今日来ておるわけであります。具体的に昭和四十一年度を期しましてどうするかというふうな問題は、私は来年度、つまり昭和四十年度の予算を通じて、これが実現をはかってまいりたい、こう考えておる次第でございます。ただいまは、鋭意その調査準備を進めておるところでございます。
  87. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 来年度から本格的に予算化して取り組むと、要約すれば、そういうことだと思うのです。ただ、文部省に、何がしかの大綱でも具体案があれば、高校生も、父兄も、そうして教育関係者も、安心するわけですけれども、いまの時点では、まだそういう具体案がない。そこに、こういう関係者が大きな不安を持っておると思うのです。そういうようなことで、ここでお伺いしたい要旨は、きょうここでということじゃなく、本格的に予算化するのは来年度からですが、もうあまり日がありませんから、やはり現在ただいまからでも、この問題と真剣に取り組んで、いわゆる計画のその案というものは、いまごろから着々と築き上げていかないと、間に合わないのではなかろうかという不安を持つわけですね。こういうことについてお伺いしたい。
  88. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) ごもっともだと思います。文部省としましても、なるべく早くひとつ案を固めてまいりたい、こういうつもりでいまいろいろやっておるところでございます。
  89. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣の御答弁にもございましたが、大学生の急増は四十一年から始まる。いまの高校一年が卒業した年から、そういうことになるわけです。これはよくわかるのですが、そのためには、いわゆる四十年度から予算を計上して、さっそく具体案をつくると、そういうことになりましょうけれども、少なくも来年度からといっても、ことし早々に、おそくも七月のころまでには——概算予算の要求期がおよそ七月ころだと思いますが、概算予算の要求期までには、そういう具体案をつくる必要があろうかと思うのです。来年度に入って初めてつくるのではなくて、その来年度の予算化のためには、七月の概算予算の要求期をめどに、当然立てられなければならないので、そういう意味からも、今年度早々からそういうものと真剣に取り組まないと、なかなか間に合いかねると、こういう点には遺憾がないわけですか。
  90. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) お話のとおりと思います。われわれとしましては、概算要求の際にはわれわれの考え方を固めて、それに基づいて概算要求いたしたい、こう存じますので、案の結論を得ますためには、できるだけ早く結論を得るために努力いたしたいと存じます。
  91. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、私のお伺いするようなことでなければたいへんけっこうなんですが、この急増対策について、省内でも甲論乙駁、いろいろ議論があって、議論があることはたいへんけっこうですが、しかし、それは最終的には調整されて、いわゆる統一見解として文部省のプランが立つと、こういうことになろうと思うのです。したがって、その過程でいろいろ議論が百出することはたいへんけっこうだと思うのですが、ただ時期的に、もうこの段階では、各議論が調整されていなければならないのではなかろうかと思うのです。間違いならけっこうですが、こういうこともあって、この計画づくりはおくれているのではなかろうかと、こういう懸念も持たれるわけです。この点はどうなんですか。
  92. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) いろいろ意見もあろうと思いますし、いろいろ議論もいたしたと思うのでありますが、議論倒れになっても困るし、どちらにいたしましても、早晩結論を得て、これを実施に移さなければならない問題でございますから、私としましては、やはり結論は、これは私がつけなければならぬ問題でございますから、そういう時期の関係等は、手おくれにならないようにいたしたい、さように存じております。
  93. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、ある信ずべき筋の資料を見ての質問ですが、四十一年度以降、大学志願者の数は、繰り返し申し上げておるように、どんどん激増してくるわけです。現在は大体四十万人台と聞いておるのです。もし間違いがあれば御訂正いただきたいと思いますが、現在は、四十万人台であるけれども、約五〇%の増となって、六十万人台となるであろう。こういうことになると、それが四十二年度には、さらに七十万人に激増をする。これはもちろん推定でしょうけれどもね。こういう一応の数字を並べますと、なかなかもってこれは容易ではないと思うのです。このように年々激増してくるというと、よほど抜本的な手を打たないと、いつも計画が立ちおくれるという結果に終わろうかと思うのです。この点はどうですか。
  94. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) どの程度の予測を立てるかということが、まず大事な問題です。それから同時に、どの程度それに対処し得るかという問題も、よほど詰めてまいらなければならない問題であろうかと存じます。いろいろ文部省としましても検討をし、また、関係の向きとも御相談をしなければならない問題でございますから、お尋ねのような問題につきまして、審議官から、今日までの文部省の調査の概要について御説明申し上げることにしたいと思います。
  95. 村山松雄

    説明員(村山松雄君) 現在までの短期大学を含めました大学志願者の実数は、四十一、二万程度でございます。そのうちで、その当該年度に高等学校を卒業いたしました者が、大体二十八万人程度、十二、三万人程度の者が、前年度以前の卒業者で、つまりいわゆる浪人でございます。新卒の大学志願率は、現在、卒業者の三〇%弱になっております。こういう傾向が、急増期にもあまり変化がないといたしますと、急増期には、高等学校卒業者が約百五十万人をこすと推定されますので、新卒志願者が四十五万人程度になると思います。浪人がどのくらい持ち越されるかにつきましては、非常に不確定な要素が含まれまするので、確たる数字はわかりかねますけれども、現状と同じように浪人が発生するといたしますと、浪人を加えました急増期の志願者実数は六十万人程度に達するのではなかろうか、かように推定されるわけでございます。浪人につきましては、現在入学試験制度が、わが国では、だれでも何度でも大学を志願できる。その結果、本人の能力、適性といったようなことを考えないで、いたずらにと申しましては多少言い過ぎでございますけれども、浪人が累積するという経緯もございますので、入学試験方法の改善にもつとめまして、浪人そのものが発生することを防止いたしたいと考えておりますし、また、急増の前でありますところの本年あるいは来年は、高等学校卒業生が従来よりも減りますので、浪人防止対策とあわせまして、浪人は極力減少さしたい。また、若干は減少すると思われますが、一応それは将来の問題になりますので、従来の程度で累積するといたしますと、急増期には新卒で四十五万人、それから浪人を含めますと六十万をこす志願者が来るのではなかろうか、こういうぐあいに推定されるわけでございます。ちなみに、それに対する大学の収容力のほうは、これも短期大学を含めまして現在約二十八万人であります。したがいまして、これが変わらないといたしますと、急増期には新卒卒業生だけでも収容力をはるかに上回ることになりますし、浪人が累積するとすれば、志願者に対する収容力は半分以下、こういうことになるわけでございます。
  96. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあ、いずれにしても、この対策の一環としては入学率を引き上げるということは、それだけじゃございませんが、その点も一つの基本的な方策になろうと思うんです。こういうことで、過去の問題から推計した数字がここにあるのですが、この推計では三十八年度の不合格者は約百六十万人だったといっておりますが、この数字は間違いなのかどうか、間違いであれば御訂正いただきたいと思いますが、そういうことから推して、結局四十一年度には二百五十万人、四十二年度は二百九十万人、四十三年度には三百万人をこえる志願者が大学の門をくぐれないという事態になる、こういうふうに数字をあげておるわけですが、こういうことになると、現在試験に落ちた数にこれを比較すると現在の約倍にもなる、こういう事態が起きてこようと思うんですね。これはますますもって容易ではないと思うんですが、このような——これは推定の数字だから出し方でまた多少は違ってきましょうけれども、大体大ざっぱなところこういう数字でよろしいのかどうかという点と、そしてまた、そういう結果になろうという見通しについては、やはりこのようなことでいいのか、こういう点を明らかにしてもらいたい。
  97. 村山松雄

    説明員(村山松雄君) ただいまのお示しの不合格者の数字は百六十三万人という三十八年度のお尋ねでございますが、おそらく一けた違えておられるのじゃないかと思いますが、十六万三千人というのが大体三十六年度の大学不合格者の推計でございます。将来の問題といたしましては、先ほども申しましたように、浪人の数の測定がきわめて不確定な要素を含んでおりますし、私どもとしては、浪人の発生は極力防止いたしたい。それから防止のかなりの可能性もあるというぐあいに考えておりますので、現状と変わらないとすれば、収容力とそれから大学入学志願者を対比すれば、収容力の二倍にも上る志願者が出てくる。換言すれば半分は大学に入れないということになるわけでございますが、その数字につきましては、もうきわめて不確定な要素が多いもので、まだ外部にこのくらいの見当ならば申し上げてもよろしかろうという具体的な数字はかたまっておりませんので、まあ大体現状で変わらないとすれば、志願者の半分ぐらいは入れない、こういう御説明だけ、御了承願いたいと思います。
  98. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 結局、試験に不合格であったものが浪人となって翌年もその翌年も、そして長いのになると十年も浪人生活をしておる者もおる。こういうふうに承知しておるわけですが、そういうことになると、入学志願者の数はますますこれは整理できないことになろうかと思いますね。年々ふえる自然増と浪人の数が加わりますから、それは容易ならぬ数字になるだろうと思う。で、ここで問題なのは、浪人の数がふえるということはいわゆる大きな社会問題化するおそれが多分にあろうかとも思うんです。いわゆる社会問題としての面からも十分検討されなければならぬ重大な問題だと思うんですが、この点、大臣いかがですか。
  99. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 浪人生活をしなければならない人の数が非常に多くなってくるということになりますれば、お話のとおりに社会的に見てよほど心配しなければならぬことも考えられることでございます。
  100. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 社会問題として十分考えられるということは当然のことだと思うのですが、さらにそれならば、というあとのほうをさらに承りたいのでございます。そういうことになれば、これはもう結局いまの問題を逆に言えば、浪人の激増をいかに防ぐかという問題がここに一つあるわけですね。いかにして浪人の数を減らすか、こういうことがいまこのままでは社会問題化するであろうという大波を食いとめる一つの手段ともなるわけですね。こういう観点から大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  101. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 若い人がいたずらにこの浪人の生活をやるということは望ましい現象ではないところである。したがって、向学の志のある人ができるだけその目的を達成するように対処してまいらなければならぬと思います。その意味におきましては、私は現在の大学の施設等について、これが整備をはかり、拡充をはかっていかなければならぬものと考えるわけであります。同時にまた、一面考えなければならぬと思いますことは、ただそういう浪人暮らしで何年もやっておる人たちそれ自身も、自分の将来ということについてはまじめに検討せられる必要があるのではないか、その意味におきましては、高等学校卒業生の今後の方針なり方向なりというものについては、親切な指導がやはりあわせて行なわれなければならぬと思うのであります。やはり大学は何と申しましても、ある程度の学力の水準というものは維持してまいらねばならぬ。その学力の水準を維持してまいりますために、これに耐えるだけの能力を持った人が入るということが望ましいわけであります。その能力から申しまして、もっと方針を変えられたほうがよろしいという人も浪人の中には必らずしも少なくないと思います。そういう人たちに対するやはり指導という問題についても、あわせて考えていかなければならないかと思うのであります。
  102. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 結局量の問題としては、大学の拡充、そうして定員の増、こういうことになろうかと思うのですが、ここで入学率について過去の実績を見ると、ここに数字がございますが、三十八年度が六三・四%、三十七年度が六一・五%、三十六年度五九・九%と、三十六年度から三十八年度までを比較いたしますと、ほんのわずか上昇しておるわけですね。しかしながら、この程度の上昇ではなかなかもって入学率を本格的に高めるというところまではなかなかむずかしかろうと思うのですが、これは三十六年から三十八年までの事例ですが、以後今後の見通しについては、何か文部省としてはそういうものをお持ちですか。
  103. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) いわゆる急増対策というものは、これにこたえるものでなければならぬと思うのです。したがいまして、急増対策としましては、われわれといたしまして可能な範囲で設備拡充ということを考えなければなりません。また、その指導に当たるいわゆる教官、教員の整備ということも考えてまいらなければならぬと思うのでございます。ただ問題は、そこにやはりある程度の限界があるということが私どもの悩みでございます。
  104. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この入学定員のワクを拡げるためには、大学の施設設備の拡充も必要でしょう、あるいはまた、合理的な多人数教育ということも加味されるでしょうし、さらにはまた、私立大学の拡充のための支援をするというようないろいろな問題が出てくるわけです。そのいずれにしても、もうこの段階で文部省に何かある程度の目安が立っていなければならぬと思う。先ほどもおっしゃられたように、来年度の予算から本格的に予算化してやるのだといっても、先ほど申し上げたので繰り返しませんが、もうことしから具体的に入っていかないと準備しかねるわけですから、この辺の見通しについては確立されておるのかどうか。
  105. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) そのために基礎的に必要ないわば計画と申しますか、これを確立しなければならぬと思います。その計画に基づいていろいろな方途を講じまして急増に対処するということになるわけでございますが、予算的な問題につきましては、私は来年度予算からこれを実現していきたい、こういうふうに考えて先ほどお答え申し上げましたわけでございます。
  106. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 こういうふうにしてそれらの拡充をだんだんはかっていくとしても、結局いま高校生の急増が一面見られるわけですが、この面から、あるいはすし詰め教室を解消しなければならないというような問題、教職員の不足を補充しなければならないというような問題、こういうことで高校生についての学力低下ということが一部で非常に心配されておる。大学でも全く同じことが言えるので、大学教育の水準を引き上げるという問題は、量さえふえればいいのでなくて、量もさることながら質も引き上げなければならぬ、こういう両面が並行して初めて大学教育の完ぺきを期し得る、こういうことになろうかと思うのですね、そういう点で今後文部省としては、自信のある御方針が考えられておるのかどうか、こういう点をお伺いしたい。
  107. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) そういう問題に対しては、できるだけ遺憾のないようにしたい、この心持ちをもって対策を立ててまいりたいと思うのでございます。この問題はまたいろいろな面からかなり制約もございます。現実に各大学にどの程度の施設拡充が可能であるかということもございますし、あるいはまた、どの程度の教官の整備ができるかというふうな問題もございますし、また、急増のために建物ばかりつくりましても、それだけで教育ができるものでもございませんので、いろいろ悩みの種の問題があるわけでございます。われわれの許される限り、できるだけひとつ遺憾のないようにいたしたい、こういうつもりで計画を立ててまいりたいと存じております。いずれにいたしましても、これは私の感想でございますが、このベビー・ブーム時代のこの人たちは、ほんとうにある意味においては気の毒な人たちであります。おそらく一生つきまとう問題ではないかとも考えられるのでございまして、非常に気の毒な問題でございますが、やはり急増の盛んな時代におきましては、ある程度の窮屈なところはごしんぼう願わなければならぬという事態も私は決してないとは申し上げかねる、そのときはひとつごしんぼう願ってしっかり勉強してもらいたいという考え方もないわけではございませんが、しかし、できるだけのことはいたしたい、こう思っております。
  108. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま高校生の大学進学率は大体二八%くらいだと思うのですが、このワクをさらに広めると質の低下が免れないではないかという意見も確かにあると聞いていますが、しかし、教育の機会均等の立場に立った場合、進学希望者がふえればそれに応じて規模の拡大をはかるのはまたこれは当然ではないか、そうしなければ教育の機械均等を憲法にうたっておっても何ら意味がないわけですね。そういう立場から、やはりあまり進学率を高めると質が低下するという意見も先ほど言ったようにあるのですが、さりとて教育の機会均等というものは守らなければならぬ、そういう前提に立てば、やはり大学入試の希望者がふえれば、それだけ教育の機会均等を与えるというたてまえから、規模を拡大していくのもまた当然考えなければならぬ、こういうことについての大臣のお考えはどうですか。
  109. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) そのとおりだと私も思うのでありまして、大学教育、大学に学びたいという人たちがふえればふえるほど、やはりそれに対処しての施設、設備、人的充実対策というものを立ててまいらなければならぬ、できるだけ多くの人が大学に学び得る状態ということは私は非常にけっこうなことだと思います。それはお話のとおりだと思います。
  110. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いしたように、進学希望者がふえれば、それに応じた規模を拡大していく、こういうことはわかりましたが、ただそれだけでは完ぺきを期しがたいと思うのですね。質的水準を引き上げるためには、前々から問題になっておりますカリキュラムの検討をさらに深めていくとか、あるいは指導方法の改善をはかるとか、教員組織の拡充整備をはかるとか、こういうことによって、ただ単に規模を拡大することだけではなく、こういうカリキュラムの問題をはじめとした一貫した具体的な方策、プランを立てていって初めて成果をあげることができる、こういうふうに考えられるわけですが、このことについて文部省のいま計画は少々おくれておるのではないかという見方があるのですが、この点はどうなんです、実態は。
  111. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) おくれておるかどうか、これは御批判のあるところと思います。文部省としましてもお話のとおりに、ただ学校の形態だけ備えればそれでよろしいというものではもちろんないわけであります。内容的にもだんだんと改善をし、工夫をして教育の効果というものがよりあがるようにしてまいることは当然のことでございます。大学につきましては、いろいろいま基準等につきまして検討をいたしておる段階でございます。なるべく早く結論を得たいものと思っております。
  112. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではこの問題については時間があまりありませんから、最後に、文部大臣に強く御要望申し上げてこの問題は終わりたいと思うのですが、やはりいま何といっても大学が再編成期だと言われておるわけです。こういう問題の中で冒頭にお伺いした現在の高校一年生の不安を解消するための具体案を早急につくることが問題中の問題であろう、こういうことが最も身近な必要な施策ではなかろうかと思いますので、先ほども言ったように、七月には予算の準備をしなければならぬいろいろな問題があるわけですから、早急にこの計画を堂々と発表できるようひとつ誠意をもって取り組んでいただきたいということをお伺いし、これに対する大臣の決意のほどを伺ってこの問題を終わりたいと思います。
  113. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題は、最初に申しましたように、非常に重要な問題であります。私は誠意を持って、なるべく早くひとつ結論を得て、世間の皆さん方の御批判をいただこうと思いますし、また同時に、若い人たちの不安をなるべく早く解消するように努力いたしまして、御期待に沿いたいと思います。
  114. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  115. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記を起こしてください。  他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の本日の質疑は、この程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。   午後一時五十四分散会