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山本伊三郎君 そこまでくると、これを論議すると私もまた一言なかるべからずですから、
行政管理庁には私からは言いたくないと思うのです。地方
制度調査会でもまた自治省地方行政部会でも、当
委員会でも論議はされると思いますが、地方自治体にその
仕事の、事務の消化能力がないと言われるけれ
ども、それは当たらない。いま申しましたように、財源が与えてないから
仕事ができないのであって、たとえば大学を出て府県に入っておる人と国におる人と比較してそんなに人間的に能力の差というものはない。やはり役所の
仕事といいますか、行政というものは、権限というものが
仕事の八割まであります。したがって、その権限が与えられずして地方団体にはそういう事務消化能力がないんだという断定は私は間違いだと思いますが、もし七人
委員会でそういう
意見が出ましたら、言えるならばこういうことを言っておったということで言ってもらってけっこうです。私はそれには賛成できない。ただやはり国の
仕事と地方の
仕事というもの、事務とはこれはさい然としてあります。全国的に統一的な、広域的な行政というものはやはり国がやらなければ、地方にまかすということは、
仕事自体が国の
仕事ですからただ地方にまかしては了承ができないじゃないかということは、これだけは払拭してもらいたい。ただ事務再配分の場合に、国の
仕事、地方の
仕事をどこで分けるかということであって、能力があるかどうかということになるとちょっと問題があるから、この点私は善意に聞いておきますから。
そこで一応第二の問題はそうしておきますが、実際問題で言うべくして、地方団体に権限を委譲するとしても、これは具体的に出してもらわぬといかないということを言っておいてほしいと思う。その抽象的なものではこれは実らない。
昭和二十五年ですが、神戸報告が出されて、相当細分した勧告が
政府に出されておる。国と地方自治体との事務の範囲というものを出されておるのですが、ところがなかなか実現しない。そこで私はやはり官僚組織の強さというものを言っておるのですが、なかなか実現しない。したがって、もし出されるならばきわめて具体的にこの事務の再配分を出されなくては、抽象的ではこれは念仏にひとしいということだけは、ちょっときつい言い方かもしれませんけれ
ども。
それから次に第三のやつですが、時間もないので、ちょっと
あとが急ぎますので、聞きたいことがあるのですが、一応第三の行政能率、お役所
仕事を排するということは、これは常に言っておることであり、また、皆さん方もこれは反対する者はないと思う。実際問題で、国が取り上げる問題でなくて、各地方団体一部の役所の問題として取りかかってもなかなかできない。たとえば地方団体で市長がかわると、市長が公約して、皆さん方が来たら
一つの窓口で全部のことをそこでやるんだと、しかも一時間も二時間も待たさずにやるのだと公約されて市長が出てもできないのです。選挙なんかのときにそう言うと、それはあの人がやってくれるものだと思うが、今日そう言う人がなくなってきたほどいまの行政事務というものは複雑ですね。したがって、これを根本的にどう検討されておるか知りませんが、報告書を読んでもやや私は抽象的な文句が多いと思うのですよ、まだ答申じゃありませんけれ
ども。したがって、ほんとうのお役所
仕事を排するということになれば、根本的にやはりいまの官僚
——いつも官僚ということばを使いますが、役所の人々の頭の切りかえということ、率直に言いますと、課長がおりますならば、課長は自分はこういう
仕事だと、部下のやった係長の持ってきたやつを見てやるんだという
考え方、
部長になれば課長より上だから全部集めてきてわしが見なければそれはだめだと、また局長になれば局長が各部のを集めてきてわしが見なければだめだ、それを抜かしてやると責任の分野というのが問題になって、これまた相当大きな問題になるのですね。したがって、やるならば、行政組織、事務権限の問題その他をあわせて根本的にやらなければならぬでしょう。これは私はアメリカをほめるわけじゃないのですが、駐留軍が来たときに、私はそのときお役所の
仕事を行ってよく見ましたが、向こうはその点はわりあいに徹底しておりますね。上に立つ課長とか、責任者が窓口におるのですからね。それで受け付けたやつを、これやれ、こうせいといったらおしまいです。日本とちょっと逆ですね。窓口というものがここまでやれるかどうか問題ですよ。実際問題これがやられなくちゃお役所
仕事を排するんだといっても、これはもうから念仏です。そこまで役所におる人の頭が切りかえられるかということの問題。とにかくこういうことばを使うと非常に
公務員におこられるかもしれませんけれ
ども、私も
公務員出身でこういうことを言うとおこられるかもしれませんが、窓口に近いほうのやつが、下僚の月給の安い新しい人が窓口で、一年ずつふえるたびに奥へいくのですね。
国会の議席も新しい人が前にすわっておりますがね。これはわれわれどうしてか知りませんが、これは一応別として、そういう組織になっている。これは逆にしたら、お役所
仕事の
廃止といいますか、これを改善することが一番の根本の問題。窓口におる者がプライドを持つという
考え方が持てるかどうかということ、これは池田さんの人つくりの問題に入っているかどうか知りませんが、役人の人つくりといいますか、これが非常に大事だと思う。こういう点をぼくはひとつ、そういう論議は出てくると思いますが、よくそういうことの
意見を出しておかなければ、結局答申が出ても
一般の国民からは期待はずれの結果になるのですね。まあ、非常に進歩的な市長が
——ちょっと所は記憶しませんが、因島の市役所に行ったときに、ちょうど玄関を入った左側に市長室がありまして、その人が言っております。とにかくまずお客さんが来たらわしが会うんだというので、玄関のわきに大体守衛のたまり場のところに市長がおられた。私はそのときほめたんですがね、いまどうなっているか知りません。どうせ当選したときだからかどうかは知りませんが、こういうことですから、そういう点が、私の言っていることが間違いかどうか知りませんが、ひとつ
臨時行政調査会でそういう
意見が出ておるなら一ぺん聞かしていただきたい。