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1964-10-26 第46回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月二十六日(月曜日)    午後一時五十六分開会   ―――――――――――――    委員異動  十月二十六日   辞任      補欠選任    上林 忠次君  井川 伊平君    山本伊三郎君  阿部 竹松君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     下村  定君    理事            石原幹市郎君            小柳 牧衞君            伊藤 顕道君    委員            井川 伊平君            源田  実君            林田 正治君            阿部 竹松君            千葉  信君            鬼木 勝利君   国務大臣    国 務 大 臣 小泉 純也君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    防衛庁防衛局長 海原  治君    科学技術庁原子    力局次長    鈴木 嘉一君    外務省アメリカ    局長      竹内 春海君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (米国原子力潜水艦日本寄港問題  に関する件)   ―――――――――――――
  2. 下村定

    委員長下村定君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。本日山本伊三郎君が委員辞任され、その補欠として阿部竹松君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 下村定

    委員長下村定君) 国の防衛に関する調査を議題とし、米国原子力潜水艦日本寄港問題に関する件について質疑の御要求がありますので、これを許します。  政府側からは、小泉防衛庁長官海原防衛局長麻生参事官竹内アメリカ局長村田原子力局長鈴木原子力局次長出席されております。  御質疑を願います。伊藤委員
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまから若干の間、防衛問題についてお伺いしたいと思いますが、その前に、池田総理辞任されましたので、今後の政局は一体どうなるのか、また、これに関連して臨時国会はどうなるか、こういう問題についてお伺いするのは、私も官房長官が最適任であると、そういうふうに考えて御出席を要請しておったわけですが、時局柄、残念ながら御出席がありません。幸い防衛庁長官がお見えになっております。もちろん、防衛庁長官にこのことをお伺いするのは最適任であるとは考えておりません。けれども長官閣僚の有力なる一員でございますし、きょう、承ると十一時から閣議が行なわれたということでございますので、この間いろいろとこういう問題についてのお話もあったと思うわけです。そこでこの問題について二、三お伺いしたいと思います。  申し上げるまでもなく、ソ連の政変とか、あるいは中国における核実験、こういう、世界は目まぐるしく変転しておるわけですが、この中において、日本国内でもしばらくオリンピックが続いておりました。また、池田総理も御病気で長らく御入院中、こういうことで日本政治は遺憾ながら空白が続いておったと思うわけで、そこで、このままでは相ならぬ。政府自民党においても懸命にその対策検討中であろうと思うわけですが、こういう問題について、ひとつ、まずもって御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  5. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) ただいまの御質問に対して私がお答え申し上げることは適当でない点もあろうかと存じまするが、ただいま伊藤先生お話がございましたとおり、官房長官出席でないから、国務大臣の一人として防衛庁長官が答えよということでございますから、本朝開かれました十一時からの臨時閣議における報告を基としてお答えを申し上げます。  本日は、鈴木官房長官から昨日の総理意思表明に関して閣僚の了解を得たいということで臨時閣議を開いたという趣旨のあいさつがありまして、その内容については、内閣を代表して河野国務大臣が御出席になり、総理と直接お話しになったのであるから河野国務大臣から御報告をいただきたいということでございまして、河野国務大臣から報告があったわけでございます。その大要は、総理に呼ばれて二時から病院総理にお目にかがったが、声明にあるとおりの総理の御心境であって、総理の率直なる心境了承して、自分たちは何らおとめすることもなく総理の御意思に従うような態度決定したようなわけである。この中には、国際情勢の重大化している今日、自分病院にあって政務を見るということは国民に対しても相すまないという総理の強い責任感から急遽こういうことになったのであろうと思う。ついては党において、河野国務大臣の御報告では、総理をおやめになったわけではありません、総裁辞任をしたいから、できるだけ円満にかつすみやかに後任総裁をきめていただきたい。その総裁のきまった時点において国会首班指名を行ない、そして、そのあとで内閣としては総辞職決定するのである。それまでは大臣としてその任務を遂行してもらいたい、こういう意味の御報告お話がございまして、閣議はこれを了承をいたしたようなわけでございます。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいまの小泉大臣の御説明で、大綱つかむことができたわけですが、何といっても池田総理がもちろんその一段階として総裁辞任ということでございますけれども、この事態で引退を決意されたということは、政治家として出処進退を明らかにしたという意味合いから、私ども敬意を表したいと思うのです。ただ、このままでは政治空白は続く。いま御説明のあったように、早急に臨時国会を開いて、首班指名をやると同時に、この内閣はあくまで選挙管理内閣となって、衆議院解散、そして、総選挙、そういう段階国内外に対する政府政策をもって、信を国民に問うのが当然であろうと思うわけです。で、この問題だけでなく、いま国際情勢が非常に激変しておりますけれども、その中で、いま当面緊急に解決しなければならぬ問題、たとえば公務員の給与問題とが災害対策に伴う補正予算決定、こういう、国内にしても緊急に解決を要する問題が山積しておるわけです。したがって、順序としては、まず臨時国会を開いて、そして首班指名を行なう、しかる後にこれらの国内問題を、緊急にこれらの問題を解決して、しかる後に、いま申し上げたように内外の政策について国民に信を問うという意味合いから、当然に衆議院解散をして総選挙を行なう、こういうことが当然に考えられるわけですが、こういうことについて、なお先ほどの御説明で一部は了解できましたけれども、まだ不明の点がございますので、こういう点はいかがであったか、重ねてお伺いしたいと思います。
  7. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) まず、ただいまの問題にお答えします前に、私、先ほども一つことばが足りなかったと思いますからつけ加えまするが、自民党後継総裁がきまった時点において内閣は総辞職をいたし、そして新しい内閣総理大臣指名臨時国会で行なわれる、こういうことでございまして、それだけつけ加えておきます。  そのほか、公務員給与ベ-スの問題その他国内問題、またさらに国会解散問題等については、本日の閣議においては、どなたからも全然発言がございませんで、先ほど申しましたとおり、昨日の病院からの池田総理大臣意思表明声明をされるまでの経過、それから、今後党はできるだけ円満にすみやかに総理の、池田総裁の意向に従って後任総裁決定をして、新しい体制をつくると、そういう報告があり、これを了承して、直ちに本日の臨時閣議解散をいたしましてございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 臨時国会並びにいま申し上げた意味衆議院解散、総選挙、こういう問題についてお伺いしたわけですが、本日の閣議ではそういうことにはどなたも御発言がなかった、こういう中で防衛庁長官にその見通し等についてこれ以上お伺いすることも非常に無理かと思いますので、また日をあらためてお伺いすることにしたいと思います。  そこで、本論に入りたいと思いますが、その前に中共核爆発実験について、非常にこれは原爆との開運も深いので、以下まずもってこの問題について二、三お伺いしたいと思います。  言うまでもなく、中共は去る十六日でしたか、核実験に成功したわけであって、この問題に関連する問題ですが、中共核実験については、従来から日本防衛当局はこういう意見を有しておったわけです。中共がたとえ近々に核実験に成功しても核装備をする段階に至るまでにはなお相当の期間を要することであろう、こういうふうにいって、中共核実験の効果をつとめて過小評価してきたように私どもは受けとっておったわけです。ところが、防衛当局は過小評価しておったでありましょうけれども、この核爆発実験現実に成功したこの現時点に立って考えますならば、軍事的に影響する意味はきわめて大きいと私ども考えておるわけです。このことに対する防衛庁長官のお考えはいかがであるか、この点をまず順序としてお伺いしておきたいと思います。
  9. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) 中共核実験を近く行なうであろうということは、先般の、先月末のアメリカラスク長官の言明によって私どものほうでもそういうことがあるのであろうか、あるいはあり得るかもしれないという程度考え方をしておったのでございまして、それ以外の何ら独自の情報も持っておらなかったのでございます。また、その中共核爆発実験、核の研究過程につきましては、いま伊藤先生がおっしゃいましたような見くびっておったというような、そういう点は決してございませんで、ただいつそういうことが行なわれるであろうか、近く行なわれるではあろうけれどもというような考え方をしておったことは事実でございます。去る十六日アメリカ側情報が、何と申しますか、的中したと申しますか、現実核実験は行なわれたわけではございまするが、ただその結果というものが私ども予想しておったよりは相当程度進んでおったということは私は率直に申し上げていいと思うのであります。決して見くびっておったわけではありませんが、プルトニウム爆発であろうという程度考えておりましたのが、アメリカ側調査の結果はウラン二三五というような発表がありまして、われわれの考えておったより以上中共の核の研究というものは進んでおると考えたことは事実でございます。しかしながら、核実験が行なわれたからこれが早急に軍事的な目的に使用されるとかというようなことは今日も考えておりませんので、相当の今後やはり年数をかけて幾たびも実験改良が行なわれ、そうして輸送その他の段階においても今後一そうの研究が行なわれなければ、直ちにこれが軍事目的に役立つというふうには考えていないのでございまして、これは核実験がありましても、その前の、近くあるだろうと予想しておったときの考え方も依然として変わりはございません。ただ前から委員会等においても私が申し上げておりますとおり、核装備はいわゆる戦争抑制兵力であるというような私ども考えをしておりまして、日米共同防衛体制のたてまえから核はアメリカの力に依存をし、日本としては中共核実験が行なわれましても、いままでの方針を何ら変えることはない、やはり日本としては核装備をしない、核兵器持ち込みには反対という既定方針は、中共核爆発実験がありましても何ら変わるところはないのでございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 お答えの中にもございましたように、私ども核実験に成功したから、そのことが即核装備とは考えていないわけです。いわゆる核実験から装備に至るまでには若干の年数を要する、こういう認識に立ってお伺いをするわけですが、ちょうど一九七〇年に安保条約は更新になると思うのですが、そのころ中共核装備現実化するのではなかろうかと一応考えられるわけです。こういう点からいまは核爆発が成功したという段階ですが、核装備ということになるとまた事態一段進展をしてくるわけです。この時点に立って、これは予想ではなくして、必ず時が解決する問題で、しかもそう長い時間ではない、こういうことを考えあわせたとき、このことに対する防衛庁長官としてはどういうお考えをお持ちになるか、そのことをお伺いしたい。
  11. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) 仰せのとおり、一九七〇年ごろの時点においては安保条約の改定時期になりますし、また、今回行なわれました中共核実験の結果というものは、さらに大きく進展をするであろうということは私も伊藤先生と同感でございますが、そうなったといたしましても、日本といたしましては、いままでの核装備をしない、核兵器持ち込みには反対とい基本方針は何ら変える必要はない、現在の考え方のとおりでいくべきであると考えておる次第であります。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらにお伺いしたい点は、この中国核実験を口実として原子力潜水艦日本寄港合理化そうという動き、そうしてさらに一歩進めて自衛隊核武装に進もうとする動き日本の一部の反動勢力の中に強まってくるのではなかろうかと、これはまあ予想ですが、予測するわけです。と同時に、そういう点が憂慮されるわけですが、この点については防衛庁としてはいかようにお考えですか。
  13. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) 先ほどから申し上げますとおり、一部の世間でどう考えていましょうとも、いままで申し上げた私の見解のとおりでございます。また、原子力潜水艦寄港問題と中共核爆発実験とを結びつけてのお話でございますが、これは私も国務大臣一員として政府見解を申し上げますると、何らこれらは連絡、結びつき、関係はございません。中共核爆発の行なわれない前から原子力潜水艦寄港については危険のないという点、それから日米安保条約のたてまえからして寄港を許すのが当然であり、適当であると考え寄港を許したのでございまして、中共核爆発とは何らの関連がないということを申し上げておきます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの御答弁の中で、米原子力潜水艦日本寄港によって何ら危険性はないという問題については、後ほど、大いに問題が――防衛庁長官はそう割り切っておりますけれども、私どもとしては大いに危険性があるという観点に立って後刻お伺いすることにして、ここでさらにお伺いしたいのは、防衛庁は現在第三次防衛力整備計画作成準備中のように伺っておるわけです。おそらくその時期にもうきておると思うのですが、そこでこの計画の樹立のさなかに中国核武装をする可能性も強いわけです。そこで、いま長官からも御答弁になったように、日本がこれに対抗して核武装をするということはあり得ないとしても、隣の国に、しかも隣の大国に新たに核保有国ができたということに対しては、自衛隊増強計画にも影響が織り込んで作成されるのではながろうか、こういうことが考えられるわけです。この点における見解を明らかにしていただきたい。
  15. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) 第三次防衛計画の策定につきましては、私が就任以来、先般外幕指示をいたしまして、ここ半年くらいの間に第三次防衛計画の大体の方向、大きな骨組みと申しますか、そういうことについて検討をしてもらいたい、それも約半年くらいの間にというような表現をもって期限を明示しておいたのでございまするが、その後まだ――もちろん各幕において検討を続けつつあるということは聞いておりますけれども、私として、この中共核爆発による将来の核装備ということに対応をしての指示は何らいたしておりませんし、また、そういう指示をしようとも考えておりません。いままでどおりの考え方に立って、第三次防衛計画方向を目下検討をさせておるような次第でございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いした問題については、大臣は何ら影響ということを考えないで、既定方針で進むんだということでございますが、この問題には大いに私ども問題があろうと思うので、これは後ほどに譲るとして、そこで順序としてまず外務省にお伺いしたいわけですが、都合の悪いことに外務大臣都合が悪くて御出席なくて、アメリカ局長が御出席のようですが、やむを得ませんからアメリカ局長からお伺いしたいのですが、中国核実験のありました直後、外務省は、軍事的に見ればその意義は小さいと、こういう意味の評価をしておるわけです。ところが、アメリカ原子力委員会が、中国核爆発についてはウランの二三五を使用したということ、したがって、核分裂の装置の実験である、こういう見解を明らかにしてから、今度はその態度を変えて、過小評価することは危険である、長いことは省略しますが、こういうように態度を豹変しておるわけですけれども、これは一国の外務省ともあろうものがきわめて軽率であろうと思う。一たん何ら問題がないというようなことを、意義は小さいのだというようなことを発表しておきながら、今度はアメリカの、他国の原子力委員会が少し大事な問題を発表すると、今度はさっそく態度を変えて、過小評価することは危険であるというような、態度を変えておるわけです。そのような何でもアメリカの言うことを信用するということ、こういったことにもアメリカ一辺倒ということがうかがえるわけですけれども、その問題と合わせて、発表したことを即刻態度を変えてしまうというようなことは、いま申し上げたように、一国の外務省としてはきわめて軽率であって、なぜもっと自主的に、そうして慎重にやらなかったのかということを大臣にお伺いしたいわけですけれども、いま申し上げたように、大臣おりませんので、かわって答えていただきたい。これは一体どういうことなのか。
  17. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 私外務省態度を豹変したということは承知しておりません。外務省として異なった発表を二つやったという事実はございません。私どもとしましても、もちろん、中共核実験をやったということは軽々しくは考えておらないのでありますけれども、しかし、直ちにこれが軍事的な意味を持つというふうには考えておらないのでございます。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 全然そういうことはないとおっしゃいますが、これは私は外務省から直接聞いたことではなくして、十月二十四日の都下新聞報道にそういう意味が取材されておったわけです。そこでもし、そういう事実がないとすれば、新聞報道を誤ったという以外にはないわけですけれども、しかも、都下の大新聞が、こういうことを報道しておる新聞もあるわけですが、それではさらにこの問題は、私は外務省から直接伺ったわけではないので、課題として今後さらにこの問題を掘り下げて、はたしてどうなのかということはまたあらためてお伺いすることにして、一応、そういう意味でこの問題はやめておきます。  次に、同じく外務省にお伺いしたい点は、中国工業基礎、それから科学、人的資源、こういう点から見て比較的金がかからない、しかも技術も容易な、先ほど大臣からも御指摘がございましたように、プルトニウム核爆弾の製造を考えておった、ところが、先ほど申し上げたようなウラン二三五を使用したということから、かなり進んでおるということが一言にして言える。こういう見解に立ってここでお伺いしたいのは、核実験からいわゆる実用化するには約十年、そうしてICBMまでには約十五年、こういう年数が一応考えられておったけれども、これはプルトニウムウラン二三五という事態からさらに年数が短縮されるのではなかろうか、こういうことでございますが、この点についてはどうですか。
  19. 下村定

    委員長下村定君) 速記やめて。   〔速記中止
  20. 下村定

    委員長下村定君) 速記を始めて。
  21. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの伊藤委員質問に対する長官の御答弁ですが、原子力潜水艦寄港について一つ安全性一つ日米安全保障条約、これに基づいてやりましたと二つの理由をあげられたのですね。その安全性日米安保条約の定めに従ってやったとおっしゃいますが、日本アメリカの問題はそれで解決すると思います。しかし、やはり世界各国の世論がどういう動向を示しておるかということを長官が御承知であるか。私はいまより一カ月前にミコヤンさんがこちらに来られたので、答礼のため日本からの親善使節団員の一人として福永団長と同行して、いまはおやめになったのですが、フルシチョフあるいはミコヤンさんという最高会議面々とお会いして、両方で平和々々と言って、わがほうの福永さんも日本くらい平和を守る国はないのだ、こういう発言をしたところが、向こうは、君の国では平和々々と言っても、アメリカ潜水艦を、しかも原子力潜水艦ですね、これを寄港させるということは、これはおだやかならぬ、稲永さんのおっしゃることはわかるけれども現実の問題としてそういう問題が次から次へと日本に来るということは、はたしてあなたのおっしゃるとおり日本国民が平和を愛好しているかどうかということについて疑問を持つ、こういうような発言がございました。それから帰りにヨーロッパ諸国を回ったわけですが、日本はなぜ原子力潜水艦寄港させなきゃならぬのかということについて、きわめて深い関心を持っておる。なお歯に衣を着せないで申し上げれば、きわめて、日本アメリカの問題であるから内政干渉はできないけれども日本くらい平和々々とおっしゃるならばそれはお断わりになったほうが日本のためでしょうという忠告すら各国で私は受けてまいりました。自民党議員さんも多いから、自民党議員さんもこれは多数聞いてきた。日本アメリカの間で今日の世界情勢というものは解決できないということは私より長官が御承知のはずだ。だから私はどうもその点理解できかねる点があるわけですが、世界動向はみんなが日本アメリカ条約に基づいてお取りきめになったことは了解しておると心得ておられるわけですか。まずそれが第一点。
  22. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) 原子力潜水艦寄港に関する私の答弁趣旨は、伊藤先生から御質問がありました、中共核爆発と、原子力潜水艦審港を許したということには関連があるかどうか、こういう意味の御質問と受け取りまして、それとは関連がないのだと、こういうことを申し上げる意味において、核爆発関係なしに、その前に政府として科学技術庁調査によるところの危険がないとか、あるいはそういう日米安保条約条章等に照らして検討して政府が許したと、そういう意味説明に使ったことばでございまして、もちろん内閣全体としてこれを決定したのでございますが、直接の原子力潜水艦寄港を許すか許さぬかということは、御承知のとおり外務省所管でございまして、私の答弁の要点は、中共核爆発とは関連なしに原子力潜水艦寄港決定が行なわれたんだ、そういうことを申し上げたかったのでございますので、その点御了承をいただきます。
  23. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は大臣のあげ足をとろうとも思いませんし、大臣もまた長官に就任されて間がないのですから、それはこれ以上しつこくお尋ねいたしませんが、確かに所管外務省でしょう。しかし、安全性云々と、まあいまわが国における野党第一党のわれわれ社会党はもちろんですが、相当安全性について深いやはり心配をしておるのと、なおかっこの種の潜水艦核兵器など積んでおりやせぬかという心配があるのです。したがって、私は担当は外務省だと思いますけれども安全性その他の問題については、あなたのところが中心となって調査研究し結論を出しておられるのでしょう。一切がっさい内閣がやっておられるのでないことは百も承知、二百も合点です。しかし、主たるお仕事をなさっておられるのはあなたのところだと思う。あなたのお説を黙ってそのとおり解釈すれば、外務省一点ばりのように聞きとれるので、私は外務省がやったり通産省がやったりするのではなく、あなたのところで調査研究をなすって外務省と御相談になって閣議決定されたというように私は理解しておる。しかし、あなたの答弁はそうでないから、これはよろしい。  それからもう一つ関連ですからこれでやめますが、そのときたまたま千島は戻してほしいということばが出た、日本側から。ところが、最高会議面々の諸君は、おまえさん方のほうで原子力潜水艦入ってくるものも賛成だ、軍事基地も日米安全保障条約に基づいて認めなければならぬでしょう。千島をソ連が日本に戻せば、アメリカさんが基地として貸せといっても、日本が断わることができないのではないか、こういうことを言い出してきた。どちらの理論が正しいかどうかわからないけれども、安全保障条約というものは、もし千島をソ連が日本に返還するといっても、いまアメリカさんがそこを貸してくれと言った場合に、やはり義務づけられているのですか、それはやむを得ません、安全保障条約に基づいて、千島をアメリカさんの基地に貸さなければならぬのか、安全保障条約の解釈について、関連ですからこれでやめますが、お尋ねしておきます。
  24. 竹内春海

    説明員竹内春海君) かりに南千島をソ連が返すといたしますと、それをアメリカが基地に使いたいと言った場合に、日本は断わることができます。しかしながら、問題は南千島を返すかどうかという問題が、そういうアメリカがこれをどうこうするとかということに本来かかっているべき問題ではないと思います。
  25. 阿部竹松

    阿部竹松君 関連に重ねて尋ねるのはたいへん恐縮なんですが、ソ連から日本に返還する、局長のいまの答弁では私は理解できないのですが、ソ連の言い分はどういう真意でぼくたちに話したかわかりませんけれども、こちらがその千島をわが国古来の領土である、千島は戻してもらわなければ困る、こういう話になったわけです。ところが、ソ連いわく、心中の一〇〇%はそんたくできぬですけれども、表現としてこういう表現を使っている。千島を日本に返還、あるいは国境線を変えた場合に、原子力潜水艦すらオーケーといって受け入れる日本が、千島を日本に、もしソ連が譲ったとしても、そこにアメリカの基地をつくりたいという主張をした場合に、君らのほうで、千島のほうにアメリカ軍事基地をつくるということは困るといって断わることはできないでしょう、アメリカから言われた場合。これは日米安全保障条約に基づいて日本としては内心反対でも力関係に基づいて千島というものは、日本の国でもあるけれども軍事基地がたくさんあるように、日本の一軍事基地になってしまうのではないかというのです。こういうことは何ら言わぬでも次から次へとアメリカさんの考えで全部きまるわけですから、これも安全保障条約、あれも安全保障条約、であるから、千島の場合、ソ連がそう言っても、そんな心配は毛頭ございません、君の国で国境線を変えてくれれば、全然アメリカが貸せといったところで、そんなものは一〇〇%拒否できますよとなかなか言えぬわけだ、そういうことができるかどうか、こういうことなんだ。
  26. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 私が申し上げましたのは、国後、択捉はわが国古来の領土である。したがいまして、これをソ連が返すのは当然であって、それに対して何ら条件を付すべき筋ではないということが第一点ではないかと思います。  第二点は、安全保障条約上、そういう島にアメリカ側が基地を置きたい、あるいはその島でなくてもけっこうでございますが、日本のどっかに基地を置きたいといった場合に、どういうことになるかといいますると、安全保障条約に付属いたします地位協定の第二条にその規定がございまして、米軍が施設区域を必要とする場合には、その地位協定の二十五条に定める合同委員会を通じて、両国政府が合意しなければならない、こういうふうに書いてございます。したがいまして、そういう安全保障条約上もしアメリカがそういう条件を希望を出しても、それを認めなければならないという義務は何らないわけでございます。現にソ連は、日ソ共同声明におきまして、当時日米安全保障条約がありましたにもかかわらず、歯舞、色丹は平和条約ができればそれを日本側に返還する、こういうふうに申しておりまして、その間何ら条件を付してはおらないわけであります。
  27. 阿部竹松

    阿部竹松君 その最初の頃は、確かにあなたのおっしゃるとおり、千島は日本に戻す、戻した後どうするかということは、よけいなお世話で、確かに内政干渉だ、これはあなたの説に私も賛成だ。しかし自後の、いま御答弁があった点については、確かに日米間の折衝に移して同意するということになるでしょう。しかし、いままで九九%というより一〇〇に近いほどアメリカさんの言い分を皆さん方のほうで断わった例がないものだから、これは交渉に移るということは、即アメリカの言い分をこれはもうオーケーということがいままでの慣例なものですから、あなたのような、とても幼稚園的な論争では、これは国際問題解決せぬわけです。ですから心配しておるわけなんですが、この条項に基づいてやはりやらなければならないわけですね。
  28. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 私が申し上げましたのは、安保条約上、そういうものを基地として提供しなければならないということは絶対にない、こう申しておるのでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 長官は四十五分にどうしても帰らなければならぬとおっしゃっておるので、いろいろ飛び飛びの問題になりますが、時間がそういうわけで、ございませんから、大事な一点だけお伺いいたします。  と申しますのは、有名な湯川博士が、「世界」という雑誌にこういう寄稿をしておるわけです。その要旨を申し上げると、世界各国の原子物理学者の中には、私たちと同様に、原潜の安全性に関して危惧の念を抱いている人たちが決して少なくない、こういうことの書き始めで、その一例としてこういうことを言っているわけです。  アメリカの物理学者のエドワード・テラー氏についてこう言っておるわけです。彼は水爆の父として呼ばれ、水爆以来のアメリカ核兵器開発の代表的な一人である。彼はすぐれた物理学者でありますが、一九六〇年に、アメリカ原子力委員長にあてて、こういう手紙を出しておる。その手紙の一節に、原子力潜水艦の原子炉は通常の原子炉と比べて、本来的により一そう危険だと私は感じている、それは他の事故以外に、さらに衝突事故をも起こし得るからである、こういって、最後に、私はそれは絶対的に必要である場合以外は人口稠密な港に出入するのは間違いであると深く信じている。全世界はこの点に関して私たちを見守っているのだから、同じ配慮は外国の港を訪問する場合にも適用さるべきである。こういうような意見を発表されておるわけです。  そこで問題は、先ほど長官安全性を確認したからその寄港を認めたという、そういう前提に立ってお話があったわけですけれども、それは政府側の方はむろん賛成しておるでしょうが、国民あげてその寄港のきわめて危険であることを強調しておる。しかも、日本の学者だけではなく、いま一例を申し上げたように、世界の学者がその危険性を指摘しておる。しかも、専門的な権威ある学者がこういうことを指摘しておる。特に人口稠密な港にはきわめて危険である、避くべきである、こういうことを言っておられる。もちろんこの問題は外務省にも関連した問題でありますけれども安全性という観点から、防衛庁長官としても、当然味わうべきことばであろうと思うので、決して長官のようにその安全性を確認されておる人はほんの一部で、世界あげて反対、危険であるということを確認している人が相当多いということを考えたとき、長官としてはなおかつそういう国民の声、科学者の声を無視して安全性を強調されるお考えなのかどうか、この点についてお考えを聞きたいと思います。
  30. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) この問題については、御承知のとおり、政府がこれを決定をいたし、もちろん私も閣僚一員としてこれに同意をいたしたわけでございまして、政府としては、外務省科学技術庁等がいろいろ調査、折衝、研究を進めました結果、科学技術庁としても、安全性についての確信を得て、いま文章は忘れましたが、政府声明のとおりな原子力潜水艦寄港を認めることに決定をいたしたようなわけでございます。防衛庁長官といたしましては、当然この政府決定に同意をいたし、また、安全性は確保されているという信念をもって賛成をいたしている次第でございます。また、別途伊藤先生が申し述べられましたとおり、世界の科学者、日本国内における科学者の間にもいろいろとこの問題については論争が行なわれ、また、国民の一部にも相当安全性の問題について疑問を持っている者も相当あるということも、もちろん承知はいたしておりますが、私の防衛庁長官としての見解は、政府決定に同意いたし、その安全性を信頼をいたしているということを申し上げたいのであります。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は特にお伺いしたい点は、政府も従来から安全性については国民に納得させるということを言い続けてきたわけです。しかし、一部の人を除いて、国民はいまも一向納得していないわけです。いま申し上げたように、世界の権威ある専門学者がその危険性を強調している。こういう中で、国民が納得しない中で、これは一方的に強行してしまったということ、これでも政府はきめたのだから防衛庁長官としては当然それに従う、政府決定大臣として従わなければならないことは、いい悪いは別として、わかりますけれども長官としてこういう事態をどう見ておられるかということなんです、国民の声、科学者の声を、防衛庁長官になれば、こんりんざい、あくまで反対なのか、そういう国民の声、科学者の声をどういうふうに受けとめておられるか、こういう点なんです。
  32. 小泉純也

    国務大臣小泉純也君) 私といたしましては、先ほど申し上げたとおり、安全性は確認されておって、何ら危険なものではないというふうに信じているわけでございます。先ほどの関連質問の中に、防衛庁がバックグラウンドで調査等をやっているのではないかという意味のおことばもございましたが、念のために申し上げておきたいことは、運輸省、農林省等でこのバックグラウンドの放射能に関する調査をやっているのでございまして、そういう点については、防衛庁は何ら関係がないということを申し添えておきます。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここで、なお続いてお伺いいたしますが、これは外務省防衛庁それぞれの立場からの御答弁をいただきたいのですが、この寄港問題で私どもは最も了解に苦しむその一つの点は、寄港を認めるという決定をしたその時期の問題です。これは原潜の寄港問題は、私が言うまでもなく、昨年ライシャワー大使から日本政府に正式な申し入れがあった。非公式には三十六年の一月、池田総理が渡米の際、非公式にこういう話があったということを聞いておりますが、正式にはいま言ったとおりであろうと思うのです。政府は世論と並びに日本学術会議等、科学者からの安全性について強い異論があったこと、こういうことで昨年の通常国会では、その交渉経過を中間報告したり、国民にさらに安全性について理解を求めて、しかる後、断を下すという答弁をされておるわけです。ところが、その後、今年の通常国会では、この問題については政府から国民にその後何ら交渉を明らかにすることもなかったわけです。野党の追及に対しては、現在目下折衝を続けておるということ、いわゆる知らぬ存ぜぬということで通してきたわけです。ところが、あにはからんや、国会が終了してその直後に、南ベトナムの軍事情勢が急激に悪化したその直後、何の前ぶれもなく、八月の二十八日に、安全性については確信を得た、こういうことで一方的に受諾したと、こういうことなんです。これはまあこの問題に限らず、何でもいままで政府は、大事な、反対の強そうな問題は、国会の終わるのを待って、国会終了直後にこういう問題を多くはきめておる。防衛整備計画第二次もそうであったし、機種決定の問題などについてもそうであったというふうに、この寄港の問題についても同様に、国会の終わるのを待って、しかも南ベトナムのこういう情勢の中で決定したということはきわめて遺憾であって、これは一体どういう意味なのか、私どもはきわめて了解に苦しむ、そのことの一つだと思うのです。  まず、外務省としては、どういう立場でこういうものをこういう時期にきめられたか。時期が問題だと思います。
  34. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 外務省といたしまして、この問題の結論を出す時期について、意識的にこれをどうこうしたということはございません。この問題につきましては、主として安全性の問題その他の問題につきましていろいろアメリカ側と折衝を重ねてきておりまして、たまたま時期が八月の末になったということでございまして、そのタイミングを何と申しますか、意識的に操作するというようなことはいたしておりません。ことに南ベトナムの事態との関連におきましてはよく疑われるのでありますけれども、あのような事態が起こったからこの問題の結論を早く出してくれというようなことをアメリカ側から催促を受けたことは実際ございません。現にこの問題の早期解決をアメリカ側日本に迫ったというようなことは全くないのでありまして、日米間のいろいろな照会、回答、それに時間がかかってたまたまこの時期にこの結論が出たという以外他意はございません。   ―――――――――――――
  35. 下村定

    委員長下村定君) この際、委員異動について御報告をいたします。  ただいま上林忠次君が委員辞任され、その補欠として、井川伊平君が選任されました。   ―――――――――――――
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、いまの御答弁では納得できないわけです。大事な問題はもういつも国会終了後にきまっておるということ、まあ外務省答弁によると、たまたま国会のあとになったということですが、いままでの事例からそういうことは了解できないわけです。一方的にやったとしか考えられない。南ベトナムの問題も疑われる問題ではございますがということでございますが、もうこれは疑わざるを得ないわけです。なお、この問題について、一般国民の立場から見ても、どうもアメリカから何らかの圧力がかかったとしか解釈できないのです。去年の国会では、国民の理解を得た上でということをはっきり公約しておるわけです。そういう公約をした覚えはございませんということは言えないと思います。これは議事録も出ております。そこで、そのような国会の閉会中の時期を選ばないで、日本の原子力科学者の疑問に答える場を国会に設けるために、たとえば公聴会を開くとか、あるいは世論調査を行なうとか、国会議員をいままで寄港を認めた――十三カ国あるわけですが、そういう寄港地に派遣して実情調査をするとか、こういう措置が行なわれてしかるべきであったと思うのです。事前にですね。国民が納得したということであれば話は別ですが、いま申し上げたように、昨年の国会の場では、国民の理解を得た上でということをはっきり公約しておるわけですから、何らそういう公約を守ることなくして、一方的にきめてしまったということ、これはまあきわめて遺憾なことの一つであろうと思うのです。この点どうです。
  37. 竹内春海

    説明員竹内春海君) これは私からお答え申し上げるのはちょっと筋違いかと思いますけれども国会におかれましても、関係委員会におかれまして参考人の意見をそれぞれ衆議院、参議院二回ほどそれぞれ行なっておられる。さらに政府側といたしましても学術会議等の意見を科学技術庁等において十分これを検討し、これを参考として結論を出されておると、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  38. 阿部竹松

    阿部竹松君 ちょと関連して。局長さん各位にお尋ねするのはたいへん恐縮なんで、大臣がお留守であれば、次官の方においで願って聞くのがほんとうだと思うのですが、おそらく、さいぜん防衛庁長官お話では、運輸省あるいは外務省でおやりになったという話ですが、運輸省のほうは海運局とか、海上保安庁等があるから専門的に勉強しておる方もあるでしょうが、外務省局長さん方はなかなか運輸省の関係の方のようにやはり造詣が仕事の性質上深かろうとは私考えられない。そこでお尋ねになるか、御相談になるかわかりませんけれども、さいぜんも申し上げましたとおり、まあ短い期間ですが、福永さんのお供をしてそっちこっち歩いてみたときに、どうもこの原子力潜水艦というのは、やはりどうしても核兵器を積まにゃいかぬのだという、私ども専門家でない――委員長は専門家ですから委員長にお尋ねになったほうがいいかもしれませんが、昔の大艦巨砲時代は、これはまあ潜水艦の活躍というものは相当なものであったわけです。しかし、今日のこういう世界情勢になってくると、原子力潜水艦というものは、これはやはり核弾頭を積んでいるか、まああらゆる兵器、どのくらい種類あるかわからぬけれども、その種の兵器を積むために原子力潜水艦世界各国が金を使って研究し、アメリカが一番早かったわけですが、つくっておるのだ。こういう話を聞いてまいりました。政府とかあるいは与党の皆さん方は社会党のその口を押えても、各国軍事評論家の口をとても押えることはできないと思うのです。ですから、原子力潜水艦日本に来ることによって世界各国は、やはりきわめて私ども社会党の立場と違って、感じも違うかもしらぬけれども、疑惑の目をもって見ているわけです。疑惑の目をもって。ですから、私は原子力潜水艦というものは、そう横須賀へ来た次の日に、その辺に汚染を流すとは思っておりません。わが国でも原子力商船をつくることに前国会で賛成しましたし、ソ連のレニン号という砕氷船もありますし、たまたま八月ごろサバンナ号ですね、あれは二万二千トンあるわけです。世界各国を回っておりました。アイスランドとか、オークランド回っておりましたが、しかしながら、膨大な金をかけて港々に、皆さん方十分御承知でしょうけれども、膨大な金をかけてサバンナ号を受け入れているわけです。おそらく日本もそうやるでしょうが、しかし、これほど、われわれ微力であるけれども、社会党なり民主団体なりが反対して、それからヨーロッパからはじめ、東洋諸国はどうも日本原子力潜水艦が入ってくるのはおかしいではないかという疑いの目をもって見られている今日、何の得があって、とにかくアメリカ潜水艦を入れなきゃならぬのか、極端な言を使えば百害あって一利なしと断定しても差しつかえないわけだ。ですから伊藤委員のように、アメリカさんに押し切られたのではないかということをおっしゃる人さえ出てくる。私は日本の国のために外務省が先頭に立って、これはちょっと入るの待ってくれというような拒否権を発動していただきたいわけですが、しかし、それは今日の段階では無理でしょう、オーケーという了承を与えたのですから。ですから、われわれ国民に、入れたらわが国にこれだけ得ですよということを教えていただきたい、ぼくたちはばかの一つ覚えみたいな反対しているかもしれませんから。あの東海村に原子力発電所がありますね、いま大きくなりましたけれども、一万キロの。あの原子力発電所と同じものをおしりにつけたものが入ってくるわけですから、わが国が原子力商船をつくることにはわが党も賛成しているのです。しかし、潜水艦というわけにはいかぬ。ですから、担当の外務省大臣であればなおけっこうですが、専門の局長さんがいれば、おい阿部委員、こういうプラスがございますよ、ですから君らの党もひとつ十分研究して賛成したらどうですかというような理路整然とした納得を与えていただかなければならない。それくらいのことはできるでしょう、賛成した以上は。それくらいはやっていただきたいわけです。ヨーロッパ各国から怪しい目で見られ、国の三分の一、あるいは半数近いものが反対している国内に、アメリカ原子力潜水艦を持ってきたって得はない。しかし、皆さん方のほうはやはりプラスだと思って入れていかれるのでしょうから、プラスの理由をひとつ解明していただきたい。わかればぼくたち賛成します。
  39. 竹内春海

    説明員竹内春海君) ただいま御指摘の、なぜ日本がこれを受け入れなければならないか、その理由がわからないという御指摘でありますけれども、私ども承知しております限り、アメリカ原子力潜水艦はすでに十数カ国に訪問いたしております。寄港しております。その間、現在日本に行なわれておりますような反対運動はほとんどなかったということも承知しておりますので、そういう国々からどうしてそういう声が出てくるか、これは私ども理解に苦しむところでございます。  次に、原子力潜水艦が入ったらどれだけの利益があるかという問題でありますけれども、これは一隻あるいは二隻の原子力潜水艦が入ったからどれだけ日本の安全保障が増加するかという算術の問題ではないと思います。そういう観点から中しますれば、駆逐艦一隻よけい入ったからどれだけ日本の安全保障が確実になるかという問題ではないのであります。問題は、この原子力潜水艦寄港というのは、日米安全保障条約のワク内で行なわれることであって、この日米安全保障条約の運用という問題であって、これは日米間の信頼に基礎を置いておるものである。しかもこの日米安全保障条約があったからこそ日本のいままでの繁栄が達成された、また、日本の安全が確保され、また、日本の今日の繁栄が達成されたということは、これは何人も否定できないことだと思います。そういう意味で、大きな日米安全保障条約日本に及ぼす影響、利益、そういうものからしてこの問題は考えるべきであろうと思います。原子力潜水艦日本を守るアメリカの艦隊の一部でありますからして、ほかの艦隊が日本寄港できるという場合に、むしろ原子力潜水艦だけを差別待遇する理由がないではないかという観点から、この問題を考えるべきであろうと思います。そういう意味から、私どもは、潜水艦安全性が証明される限り、これをほかのアメリカの艦艇から差別する理由は何らない、このように考えております。
  40. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長、そのような御答弁なさるけれども、確かに世界各国アメリカ潜水艦が寄りましたよ。あるいは原子力商船が寄ったところもありますが、そこはアメリカ核兵器を持ち込んでもよろしいときめてある国だけですよ。わが国は与野党一致して核兵器持ち込みませんということを池田さんが言明している。核兵器を持ち込まぬということをきめている国に、あなたのいまの答弁に対応する国一カ国でもありますか。あったらお示し願いたいと思います。あなたはすぐ安全保障条約――衆議院でもはなばなしくやって、安全保障条約、安全保障条約と言ってのがれているようですが、かつて帝国議会はなやかなりしころ、詔勅という弾丸をもって、やかましい議員を全部押えた。今日われわれが言ったら、すぐ安全保障条約云々を持ち出してやるわけです。安全保障条約でどうにもなりません。なるほどそうでしょう。そうであっても、もう少し謙虚な気持ちで話し合ってみて、こういうところでプラスになりますよ、こういうところでマイナスになりますよぐらいの話をする雅量と気持ちはないわけですか。何でもかんでも、だめになってきたら安全保障条約だ、そういうことはおかしいと思う。しかし、あなたはあくまでも政府委員であって、大臣でも次官でもないから、私はこれ以上申し上げませんけれども核兵器を持ち込んでよろしいという国は確かに寄りました、あんたのおっしゃるとおり。しかし、日本のような、国の決定として持ち込んではならぬというところは一カ所も寄っておりませんよ。少し勉強なさったらどうですか。
  41. 竹内春海

    説明員竹内春海君) いままでのアメリカ原子力潜水艦は、現在でもそうでありますけれども核兵器現実に持っておらない、このように承知しております。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、次にこういう問題をお伺いします。例の、いまも局長から御指摘があった核兵器を積んでいないということですが、そこで問題になるのは、サブロックの問題であろうと思う。このサブロックの弾頭はすべて核であるということは、もうすでに昨年の十二月ですか、アメリカの国防総省の発表で明らかになったわけです。ところが、その前に、政府としては、国会答弁で、核、非核両用であるという答弁を言い続けてきたわけです。ところが、ことしの九月一日の衆議院内閣委員会で、わが党の追及にあって、防衛局長が、サブロックはすべて核だということを認めたわけです。これは一体どういうわけなんですか。国会の場で、核、非核両用であるという答弁を長い間続けてきたわけです。ことしになって、その答弁が変わってきたわけですね。これは一体どういうわけですか。
  43. 海原治

    説明員海原治君) ただいまのサブロックの件でございますが、これにつきましては、九月三日の参議院の外務委員会において詳細に申し上げた次第でございますが、要点だけを申し上げますというと、昨年の十二月四日の国防省発表までは、米海軍としまして、約六年の歳月を費やした開発の経過におきまして、核、非核両用のものとして開発されておったのは事実でございます。しかし、その開発の過程におきまして、核、非核両用の弾頭のものについていろいろ研究してみますと、今日の原子力潜水艦というものを対象にしました兵器体系として考えた場合には、弾頭は核爆雷のものでしか役に立たないだろうということがわかってまいり、その結果、現在米海軍においてサブロックとして開発されているものは、その弾頭は核爆雷を使用しておる、これが事実の経過であります。で、昨年中の衆参両院の関係委員会におきましてサブロックについての御質問がございましたが、そのときはいずれも、もう当時すでにサブロックというものが実用の兵器として、太平洋を遊よくしておるアメリカ潜水艦装備されておるのではないかという問題に関連しての御質問でございました。その際に、弾頭についてのお話もございましたので、そのことを御説明した。ことしになりましてから、弾頭についての御質問はございませんでした。私の記憶が正しければ、たしか二回ほどサブロックについての御質問がございました。参議院の外務委員会におきましても、岡田先生から御質問がございましたが、これもやはりもうすでに実用のものとして、太平洋を遊よくしておる潜水艦に全部ついておるのだ、こういう点についての御質問でございましたので、私は、そうではないという意味の御説明をしております。その後九月一日に、衆議院内閣委員会におきまして、社会党の石橋先生から弾頭についての御質問がございましたので、弾頭は核爆雷を使用しているものだということを私から説明した次第でありまして、これが事実でございます。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでこの問題に関して、国会の場で、鈴木官房長官からこういう意味答弁があったわけです。スレッシャー型の原潜が日本寄港しようとする場合には、サブロックを日本の領海外で取りはずしてくることが必要である、こういう意味のことを言っておるわけです。そこで、問題になるのは、これは積んでおるから取りはずしてくることが必要であるということで、はたして日本寄港する前に取りはずしてくるなんということが一体できるのかどうか。これは国民としてはきわめて疑問としているわのです。実際問題としてそんなことができるのかどうかという問題、この点はどうですか。
  45. 海原治

    説明員海原治君) この点につきましても過去一、二度たしか御答弁したと記憶しておりますが、官房長官お答えになりましたのは、かりにもし太平洋におるスレッシャー・タイプの原子力潜水艦がサブロックを積んでおれば、それが日本に入ってくる場合には、核兵器は持ち込まないということであるのだから取りはずすであろう、こういうふうにお答えになったものと私は記憶しております。  次は、では、それは取りはずしができるかどうかという問題でございまして、この点につきましてもサブロックのミサイルは長さが約六メートルでございまして、重さは約千八百キロ、すなわち二トン程度のものでございますから、この程度のものを積み込み、積みおろしする装置があれば、潜水艦に入れたり出したりすることは決して困難なことではない、こういうこともかつて御説明してございます。この点につきましては、現在において別に変更を加える必要はない、こう考えております。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 核兵器ならその持ち込みは断わるということは日本政府が言い続けてきたわけですけれども、これは、こんなことだけ聞いて国民は安心できぬと思うのです。はたして積み込んでおるのかどうなのか、アメリカの軍艦の中に立ち入ってそれを確認できれば別ですが、そういうことはできないでしょう。ということになれば、政府の言うようにアメリカを信頼する以外にはない、こういうことなんですが、この程度のことで国民は納得できないと思うのです。軍艦の中に入って調べられればいざしらず、そういうことはできないでしょう。この点はどうなんです。
  47. 海原治

    説明員海原治君) ただいまの御質問の点につきましては、このサブロックという兵器だけでございません。従来いろいろな機会に、現に横須賀に入ってきておる第七艦隊の航空機に原爆が積んである、あるいは三沢に配置されておる米空軍のミサイルは原爆の弾頭を持っておるのだ、こういうようなことがしばしば御質問ございまして、そのつどお答えしたことでございますが、いまだかつてその当時御質問あったようなことはございません。せんじ詰めますというと、これはやはり日米両国の信頼関係の問題でございまして、先ほど外務省からお答えがございましたが、私どもは日米安全保障体制という、この一種の集団安全保障のもとにわが国が今日の繁栄を来たしておると考えております。今後もそうあるべきだと思っておりますが、この両国の同盟国の間の最高の首脳部の約束しましたことにつきましてこれを一々疑っておるというようなことでは、私どもの立場から申しまして、同盟関係は成り立たぬと思います。しかもいままで過去一回もそういう信頼関係を裏切るような事実はございません。今後もそういうことであろうと信じております。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうなると、従来の答弁と同じように、アメリカ政府を信頼する以外にはないと、そういうことで国民が納得すればこれは別の問題となりましょうけれども、なかなかわれわれとしては、この程度のことでは信頼できない。そこでこういうことを明文化できないものかという問題が一つ残されておるわけです。ただ信頼々々といっても、いざという場合に信頼できるかどうか。これは過去の問題としてはなかったとしても、将来どういうことになろうか、こういうことはいざという場合には言い切れない問題だと思うのです。しかし、このことについて、きわめて重要なことであるだけに、ただ口約束だけではなく、明文にしておくことがきわめて必要であろうかと思うのですが、この点はどうなんです。
  49. 竹内春海

    説明員竹内春海君) その点はすでに日米政府間の取りきめといたしまして現存いたしております。すなわち安全保障条約に付属しますところの事前協議に関する交換公文におきまして、米軍の重要な装備の変更については必ず日本政府と事前協議をするということをうたってございます。さらに岸・アイゼンハワー共同声明、一九六〇年の一月でございますが、この中におきまして、事前協議にかかわる事項については、アメリカ政府日本政府の意図に反して行動することはないということを公言しているわけでございます。重要な装備の変更という場合には、核装備が重要な装備の変更であることは明らかでございまして、これが重要な装備の変更でないということは非常に困難でございます。したがいまして、核兵器日本への持ち込み、これにつきましては日米両国政府間に厳粛な取りきめがございますし、さらにまた、日米最高首脳部の間におきまして公にされた厳粛な約束があるのでございますからして、これにて十分だと考えております。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま局長の言われた点は、安保条約の付属文書の条約第六条の実施に関する交換公文で事前協議の対象は三つあるということのその内容をいま説明されたと思うのです。その内容についてはこちらも承知しておりますが、さて事前協議といってもいま伺ったように、何ら明文されたものはないわけです。口約束であるわけです。特にアメリカの原子力法では核についての秘密を守らなければならないということになっているわけです。したがって、核の有無をただすということもできないわけなんです。そうだとすると、事前協議といっても実際問題としてはできない。アメリカの原子力法がいま言ったように、核の所在を秘密にしている以上は、その秘密にしている核について事前協議ということは堅実上できない、こういう観点からお伺いしているわけです。この点はどうですか。
  51. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 第一に、この事前協議に関する交換公文で、重要な装備における重要な変更、これはもう核装備というものが重要な変更であることは明らかでございます。しかも、そのことはまたこの安保条約を交渉いたしました過程におきましては日米間で了解されているわけでございます。また第二に、このアメリカの原子力法、これが核の所在を禁止しているということは私ども承知しておりません。これは原子力法は原子力に関する技術的な情報、技術的な知識、そういうものについての規定でございまして、核弾頭あるいは核兵器があるかどうかということをこの法律で禁止していることはないのでございます。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでなおお伺いしますが、アメリカ原子力潜水艦がサブロックを積んでいる場合は、日本の領海の外ではずしてくればいいということはいま申し上げたわけですが、防衛局長はこういうことを国会の場で答弁しておられる、ポラリスやB52あるいは大陸間弾道弾、こういうものは常時核兵器を持っているけれども、現在開発途上にあるサブロックは実用段階になっても常時核弾頭をつけるというようなことは考えられない、こういう答弁をされていると思いますが、間違ったら御訂正いただきたい。  そこでお伺いするわけですが、はたして戦略体制がいま私から申し上げるまでもなく、空から海へと変わっている。原子力潜水艦が非常に重要化している。原子力潜水艦目的は相手の原子力潜水艦を攻撃する、こういうことであるならば、常時核弾頭をつけないなどということはとうてい考えられないと思うんです。したがって、先ほどお尋ねしたように、常時持っている、その常時持っているものを途中ではずしてくるということはこのことからも考えられない、こういう問題についてはいかがですか。
  53. 海原治

    説明員海原治君) 私がサブロックが常時原子力潜水艦に搭載されておるかどうかという問題につきまして御説明をしましたのは、いま先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、私はその場合考えられないとは申し上げておりませんので、私どもとしては、かように判断をする、こういうことを言っておるのでございます。と申しますことは、この常時、核弾頭、核兵器を有事即応態勢に持っておりますものは、戦略爆撃機隊の爆撃機、それから大陸弾道弾、それからポラリスのミサイル、この三種類で十分である。したがいまして、それ以外の――その数につきましては五万とか六万とか一般に言われておりますけれども、そういうものは常時持ち歩いていない。これはアメリカの最高政策である。アメリカのみならず、自由陣営の最高の政策として今日まできておるわけでございます。したがいまして、このサブロックが開発されまして、実用兵器となりましても、私どもの判断としては、この常時装備されておるものの中には入らないだろう、これがまず第一の点でございます。  それから第二の点としましては、核弾頭、核爆雷を持ちましたこのサブロックは、それが装備される場合、そのスレッシャー・タイプの原子力潜水艦というものは、米国の太平洋あるいは大西洋沿岸において行動する、このように私どもは判断する、これが第二点、このことを申し上げたのであります。第二の点につきましては、これはもっぱら具体的な兵器というものがどういう形によって運営されるかという軍事的な判断でございます。私どもとしましては、数個の条件から、実用化されたサブロックをかりに持っておる原子力潜水艦というものは、先ほど申しましたように、米国の太平洋や大西洋に近いある一定の地点において行動することが最も軍事的に見て意義があることだ、したがって、日本の近辺にそういうものがあるわけがまずないだろう、こう申しておるわけでございます。こういうことにつきましては、私が以上のような御説明をしましたあとにおきましても、民間の軍事専門家の方々が同様の意見をそれぞれの雑誌に発表されております。したがいまして、もう一度申し上げますと、私ども軍事戦略的な意味からそういうふうな使い方をするというように判断をしておる、こういうことを従来から申し上げておる次第でございます。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 日本原子力委員会は、入港するアメリカ原子力潜水艦について、調査する権限はあるのかないのかという点、このことについては、政府は、実際的にはできない、こういう意味答弁をしておるようですが、この点はどうも明確に解釈できないので、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  55. 鈴木嘉一

    説明員鈴木嘉一君) 原子力潜水艦が軍艦でございます関係で、その潜水艦そのものを日本原子力委員会が立ち入って調査をするということはできない、こう思います。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 できないわけですね。そこでお伺いしますが、科学技術庁は、アメリカ原子力潜水艦の入港の前後、調査をやろうとしておるようだということを聞いておるわけですけれども、その点はどうなのか。もしやるとすれば、科学技術庁にそのような権限があるのかないのか、こういう点を明らかにしていただきたい。
  57. 鈴木嘉一

    説明員鈴木嘉一君) 原子力潜水艦そのものに立ち入っての調査はできませんと先ほど申し上げましたけれども、その、原子力潜水艦から万一出るかもしれないと思われております放射能につきまして事前事後の調査をいたすということはできると、かように思っております。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それはアメリカ原子力潜水艦そのものの調査はできないということはわかりますが、入港の前後といま前提してお伺いしたわけですからしていまの答弁でわかりました。  そこでさらにお伺いしますが、政府としては、各省から構成して、いわゆるこの潜水艦に対する安全性対策本部というようなものをつくろうとしておるように聞いておるわけですけれども、この点についてもはっきりしていないので、この点についてのひとり明確な御説明をいただきたい。そういう計画はあるのかないのか、もしあるとすればどういうようなものなのか――なければないでけっこうです。
  59. 鈴木嘉一

    説明員鈴木嘉一君) 政府全体としての対策本部をつくるとかつくらぬということは、私お答えいたす立場にないわけでございますが、関係各省の連絡会といったようなものが内閣で催されております。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、時間の関係もございますから、最後に大事な点を一つだけお伺いして本日の私の質問を終わりたいと思いますが、と申しますのは、先ほど来お伺いしておる科学的な安全性についてということですが、国民の納得するような安全性をはっきりさせるということが、政府にとって緊急な要務であろうと思うのです。ところが、先ほど来からお伺いしておるように、政府だけで一方的にその安全性を確認して、国民はいまだに反対を続けておる。しかも権威ある科学者も内外の科学者がその危険性を指摘しておる。こういう中で、さらにこれを強行しようとすることについては、きわめてそういう意味危険性があろうと思う、国民の意に反して強行するということについては。かような観点から、ひとつ国民が納得するような、科学的な安全性が納得できるまでひとつ、一応アメリカには受け入れを回答しておるようですが、十分再検討してその寄港をその時点までこれを拒否することが当然だと思うのです。政府答弁では、安全性は確保できたからということでありますけれども、それはあくまでも政府の一方的な見解であって国民は納得していないので、現にわれわれは強く反対しておるわけであります。われわれだけでなく科学者が、専門の権威ある科学者がこうやって危険性を指摘しておる、だから今後さらに時間をかけて国民に納得させる努力をすべきであろうと思う。ただそういうことをしないで、一方的にぐいぐい安全性を確認したということで答弁を続けておるだけのことで、国民は少しも納得していないわけで、こういう点に問題があろうと思うので、この点について、やはり何といっても科学的な安全性国民によく理解させる、こういうことは当然だと思うので、この点はどうですか。
  61. 竹内春海

    説明員竹内春海君) この点につきましては、八月の末に原子力委員会の参考意見を政府としましては徴しまして、原子力委員会としては、一定の条件が守られるならば国民生活に何ら危険はないという判断を出されたことを信頼いたしまして、寄港承認の結論を出したわけでございます。国民の一部になお不安があることは私ども十分承知しておりますので、それらの方々に対しましては、しかるべき方法によりましてできるだけわかっていただくように、政府といたしましてもいろいろな刊行物その他によって努力いたしておるところでございます。
  62. 阿部竹松

    阿部竹松君 戦時体制下の寄港でなくして平和時の寄港なんですね、外務省アメリカさんにオーケーを与える場合に、横須賀が何月何日から大体何日、佐世保が何月何日から何日というように日限を指定してオーケーを与えているのですか、それともお入りになるのは御自由である、出港される日時も御自由であるということなんですか、この点は事務的な問題なんですが、どうなっているのですが。
  63. 竹内春海

    説明員竹内春海君) アメリカ原子力潜水艦の出入港の日時をわがほうから指定するようなことはいたしておりません。一般的に入港差しつかえない、こういう回答をいたしております。
  64. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、何月何日何時ということは一切関係なし。それからその港の数はきまっておるわけですね。
  65. 竹内春海

    説明員竹内春海君) アメリカ原子力潜水艦が入港します日本の港は、アメリカ側に提供いたしました横須賀と佐世保の二つの港に限られております。
  66. 阿部竹松

    阿部竹松君 これも事務的な問題でたいへん恐縮なんで、御答弁もどうかと思われるのですが、あの潜水艦が入港した場合ですね、いまの伊藤委員質問に御答弁されたことで大体わかりましたが、日本のいかなる機関も――機関ということは防衛庁とかあるいは運輸省とか科学技術庁、こういうようなものをさして私申しておるのですが、いかなる機関も、横須賀なら横須賀に入ってきて浮上して何時間停泊しておるかわからぬけれども、その期間船に乗り込んでいって査察といえばどきついことばになるのですが、見せていただくというような方法は全然あり得ないわけなんですか。
  67. 竹内春海

    説明員竹内春海君) 御承知のとおり、アメリカ潜水艦が先ほどの二つの港に入ります場合には、アメリカ側から事前に通報がございます。もちろん軍艦の国際法上の特殊の地位から申しまして、査察を目的として日本関係当局がこれに乗艦するということはできません。しかしながら、アメリカ側としましては、日本関係者を潜水艦に招待するということを言っております。もちろんいつ招待するということはわかりませんけれども、日米双方の都合がつく場合には、寄港した潜水艦日本側の適当な方々が訪問されるということはあり得ることでございます。
  68. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長のように大賛成して入れるのに大いに努力した人は招待してくれるかもしれませんけれども、ぼくたちみたいに入れるのはいかぬというのはなかなか招待せぬでしょうね。それはどういうことになるか。
  69. 竹内春海

    説明員竹内春海君) これはアメリカ側のことでございまして、私から御答弁いたしかねます。
  70. 下村定

    委員長下村定君) 他に御質疑がなければ、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会