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1964-08-14 第46回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年八月十四日(金曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————    委員異動  七月十四日   辞任      補欠選任    田中 茂穂君  上林 忠次君    吉武 恵市君  古池 信三君  八月一日   辞任      補欠選任    古池 信三君  平井 太郎君  八月十日   辞任      補欠選任    平井 太郎君  古池 信三君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     下村  定君    理事            小柳 牧衞君            鶴園 哲夫君    委員            太田 正孝君            源田  実君            林田 正治君            三木與吉郎君            村山 道雄君            千葉  信君            山本伊三郎君            鬼木 勝利君   国務大臣    自 治 大 臣 吉武 恵市君    国 務 大 臣 増原 恵吉君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    人事院総裁   佐藤 達夫君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    総理府総務長官 臼井 荘一君    総理府恩給局長 増子 正宏君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省財政局長 柴田  護君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等  に関する調査  (一般職国家公務員給与に関す  る報告及び勧告に関する件)  (恩給に関する件)   —————————————
  2. 下村定

    委員長下村定君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月十四日、田中茂穂君、吉武恵市君が委員辞任され、その補欠として上林忠次君、古池信三君が選任されました。   —————————————
  3. 下村定

    委員長下村定君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、公務員給与問題に関する件の調査を進めます。  まず、一昨十二日、人事院から国会及び内閣に対して出されました一般職職員給与についての報告及びその改定についての勧告について、佐藤人事院総裁から説明を聴取いたします。  ただいま政府側からは佐藤人事院総裁瀧本給与局長が出席されております。なお、後刻、増原給与担当国務大臣吉武自治大臣臼井総務長官が、閣議終了後出席されることになっております。
  4. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 一昨十二日、人事院は、国家公務員法等の規定に基づきまして、公務員給与改定についての勧告国会及び内閣に提出いたしました次第でございます。ここで、その報告勧告等のごくポイントとなるところを御説明さしていただきたいと存じます。  人事院が毎年四月現在で官民給与総合比較を行なっておりますのでございますが、本年もその例に従いまして、四月現在で職種別民間給与実態調査を行ないますとともに、あわせて国家公務員給与実態調査いたしました次第でございますが、その両者を比較してみましたところが、その総合較差において民間のほうが八・五%公務員を上回っておることが明らかになった次第でございます。したがいまして、人事院といたしましては、これをぜひ民間水準に合わせる、すなわち国家公務員給与民間水準に合わせるという措置をとることを必要と認めまして、今回御勧告を申し上げた次第でございます。  この調査につきまして、本年、従前と変わったところがございます。これは御承知のとおり、民間事業所調査につきましては、五十人以上の規模事業所調査しておったのでありますが、その点はことしも同様に五十人以上の規模のところを全部調査いたしました。ところが、この官民較差、すなわち水準をとらえるにあたりまして、本年は民間事業所企業規模百人以上というところをとらえまして、その水準を求めた次第でございます。これは従来の方法とは違った方法をとっております。その理由は、これは前々から五十人という規模は、現代の実際の企業規模からいっての構成からどうであろうかという批判もありましたし、われわれもその御批判十分耳にとめまして検討はいたしておったのでございますが、それよりも本年五月に行なわれました公労委仲裁裁定におきまして、この今回の仲裁裁定は、従来と違いまして人事院と同じような、すなわち官民較差を四月現在でとらえるという方式をおとりになったわけでございます。しこうして、その場合に、民間の場合について、企業規模百人以上というところに線をお引きになりました。で、この公労委仲裁裁定対象になっております職員は、もとより公社もございますけれども、五現業職員が入っております。五現業職員は、これは身分においては一般職公務員でございまして、私どものおあずかりしている公務員と同じきょうだい分と申しますか、同じ性質を持っております。したがいまして、そういう人たちをも対象としたこの仲裁裁定において、官民較差を基準とし、かつ、その民間水準を求めるについて、百人以上という線をお引きになりましたことは、私どもとしてはこれは捨て置きがたいことでございますので、この際、公労委のとりました百人以上という線に合わせることがむしろ合理的であるという、さようなことで、この官民較差をはじき出した次第でございます。  したがいまして、ただいま申し上げました八・五という較差は、民間の場合は百人以上の規模のものについて得たものと比べての結果であるということになります。  以上が、まあ、実態でございますが、その周辺のいろいろな事情として、本年私どもの特にある種の特色と見てよろしいと思われるものは、一つ職員団体のほうからの要望、これはもう例年どおりきわめて熾烈なものがございましたけれども、一方において各省各庁の方面からの給与改定についての要望が、相当熱心に人事院に持ち込まれたということでございます。これはおそらく各省各庁におかれては、新規卒業者採用あるいは中堅職員民間への流出というようなことに、相当切実な思いをされてのことではないかと思うのでございますが、そういう面が一つございます。  それから申すまでもなく、いわゆる春闘がことしはだいぶ例年よりおくれて妥結されているという傾向が認められる。しかもそれによる賃上げの幅というものがわりあいに顕著——相当顕著なものがあるというような観察が、一応なされる次第でございます。  かくいたしまして、以上のような一般情勢のもとにおきまして、今回の勧告を申し上げたわけでありますが、まず第一に、勧告の本体とも申しますべき俸給表改善についてごくポイントを申し上げます。で、俸給表上での、俸給表上でのと申しますか、いわゆる俸給表を中心としての引き上げは今回の勧告では率において平均して七・九%となっております。この八・五と七・九との関係は、これはもういまさら申し上げる必要もございませんが、七・九の本俸関係引き上げが諸般の手当等にはね返る、その他別の手当改善等とあわせますと、これが結局において八・五の官民較差を完全に埋めることになるという結果と相なる次第でございます。しこうして、この俸給表関係での改定は全俸給表にわたりましてかつ全等級に及んでおります。中でもたとえば大学教官なり研究職員、医者というような者についてはそれぞれまた特別の配慮を加えております。  次に、最も俸給表上の改定で顕著だと申し上げてよろしいと思いますのは、初任給引き上げでございます。これは各省庁における新規採用者の困難ということもございますけれども、いずれにいたしましても民間で一年間にほとんどの職種にわたって千五百円以上の増加を見ておる、これは顕著な増加だと思います。それらの事実を踏まえまして民間との均衡をはかりますために、大学卒短大卒については二千円ずつ初任給を上げております。たとえば大学卒のいわゆる上級(甲)の人の初任給について申し上げますというと、本俸は現在一万七千百円でありますものを、今回一万九千百円に上げる。すなわち二千円上げるということになります。それから高校卒の者については千七百円引き上げることにいたしました。現在一万二千四百円のものが一万四千百円になるわけでございます。これは本俸についての数字でございます。なお、教官初任給については、またいろいろこれは特殊の事情がございますのでさらに考慮を加えております。  なお、いまの初任給引き上げ等にも関連いたしますが、今回は下位等級方々に対する引き上げ率を特に高くしております。これが第三点でございます。  第四点といたしまして、昇給間差額の問題がございます。これについてもできるだけ改善をはかることにいたしまして、特に中位等級方々に対するものについて配慮を加えました。  五番目に、行政職俸給表(一)のいわゆる行(一)といわれます俸給表について相当顕著なる改革を加えました。それは現在あります四等級とその上の三等級との間に一つの新しい等級を設けたわけでございます。すなわち、まあかりに新三等級と申し上げてよろしいと思います。これは御承知のとおり、またたびたび御指摘をいただいておりますとおりに、現在の四等級、すなわち本省でいえば課長補佐級人々が主としてその地位にあるわけでございますが、非常にその辺が詰まっております。しかも現在三等級と四等級との俸給表の断層が相当著しいものがあるという実態がございます。また、かたがた中だるみということばでもそれは表現されておるものの一つの現象になっておるわけでございます。さようなことを勘案いたしまして、従前の、今日における四等級をいわば二つに割って、その一部分を別な新しい等級に持っていった、すなわち新しい三等級ということにそれが相なるわけでございます。  それから、次に第六といたしまして、行政職の(一)、それから教育職の(一)、研究職医療職(一)の俸給表のそれぞれの一等級を全部いま申しました俸給表から引き抜きまして、そうして新しく指定職俸給表というものを設けまして、そのほうに移したわけです。この指定職俸給表におきましては、従来、昨年の改正によりましておきめいただきました東京あるいは京都の大学の学長あるいは事務次官というようなものについていわゆる一官一給与というような形のものを去年おつくりいただいたわけであります。それらのものもこの同じ指定職俸給表の中に入れることにいたしました。いわゆる一官一給与といわれるようなグループを甲の中におさめました。それからただいま申しました従来の一等級——俸給表から抜いてまいりました一等級の者を乙の欄に入れました。そうして指定職俸給表構成することにいたしました。したがいまして、先ほど申しました行政職俸給表の第一について申しますと、現在の行(一)俸給表一等級指定職俸給表のほうに移りますから、いままでの二等級呼び名一等級と変えます。それからいままでの三等級呼び名を二等級と変えました。先ほど申しました四等級二つに割った四等級の上の部分を三等級ということで、表の上ではずっと数字がそろうというような形に相なるわけであります。  それから、そのほか第七点といたしましては、一昨年の号俸の間引きが行なわれましたんでございますが、それに関連する最終の調整措置として、一部職員について次期昇給期間を三カ月、行(二)の方々の一部については六カ月、短縮することを考えておる次第であります。以上は俸給表関係でございます。  次に、諸手当その他について申し上げます。諸手当関係の第一は、期末勤勉手当の増額でございます。これはただいまの官民比較の結果、民間に合わせます趣旨におきまして、六月と十二月の期末手当をそれぞれ〇・一月分ふやします。それから三月の勤勉手当を〇・一月分増額いたします。したがいまして、合計〇・三月分、期末勤勉がふえるということに相なります。  それから、次に、二といたしまして、宿日直手当引き上げを行ないました。これはやはり今回の官民調査におきまして、その結果に基づきまして、宿日直手当引き上げる必要があるということが明らかになりましたので、勤務一回につき現行の三百六十円を四百二十円といたしました。その範囲内で支給できることといたしました。なお、土曜日から引き続く宿日直勤務については現行の四百二十円を五百四十円と改めました。  なお、これは少し新しいものでございますが、法務局の出張所等——最も典型的な例は、ごくいなかにあります登記所のようなところでは、ほとんど職員が少ないんでございまして、常直勤務ということをやっております。自分の家におっても、夜、昼かたわら登記所の仕事をやっておるというような変則な勤務状態ではございますが、現実にそういう常直勤務があります以上、それに対する適当な手当を必要と認めまして、月額の宿日直手当としてそれらの方々には三千円の範囲内で支給できることといたしました。  それから第三点は、初任給調整手当支給期間を来年度からでございます、これを延長したらどうかというので、それも勧告に盛り込んでございます。すなわち現行三年以内——理工系の人は三年以内でこの支給期間が打ち切られるのでございますが、それを今度五年以内ということに延長いたしました。それから理工系以外の人々、それはすなわち現行では二年以内ということになっておりますが、その二年以内の打ち切り期間を三年以内ということに改めたのでございます。  それから四番目に、通勤手当につきましては、昨年も改善をお願いいたしたんでございますが、ことしは少し昨年の改善とは角度が違うのでございます。現在交通機関等を利用する場合の支給額を算定いたします場合に、百円は今度の俸給の中から払ってもらうというたてまえのもとに、百円控除ということになっております。自転車などを使用する場合についても、それに相応した定めはあるのでありますが、この百円控除というものはどういうものであるか、現に公社等の場合については、そういうことをやっておるものはございません。民間を調べました結果においても、そういう控除をとっておるものはきわめてまれにしかないということで、この際、その控除方式を廃止するということにいたしました。これによって給与関係では、やはり相当改善に相なることと考えております。  それから第五番目は、現業職員などの勤務の実情を考慮いたしまして、ことに年末年始等、普通の公務員が休んでおります場合に出て働かなければならぬという人たちのために、休日給を支給できるようにいたしました。  それから手当最後の六といたしまして、その他行政職俸給表の(二)、すなわち行(二)の方々の一部につきまして、初任給のきめ方を改善するとかあるいはその他また研究職研究室長あるいは一般行政職地方機関課長などについての特別調整額適用区分を改めるというようなこと、あるいはそれらと宿日直手当の併給を認めるというように合理化考えております。  以上で大体の内容でございますが、最後にこれらのいま申しました俸給、諸手当などの改善を全部合わせますというと、八・五という先ほどの民間との較差が埋められて、民間に見合う給与改善が行なわれるということに相なるわけでございます。  最後に、今回の勧告におきましても、例年のとおり、その実施期日は五月にお願いしたいというたてまえにいたしております。このわれわれの勧告申し上げましたその実施期日につきましては、はなはだ残念なことでございますけれども、過去四年が四年とも、常にこれが繰り下げられまして、十月の実施ということになっております。このことは、結局私ども勧告趣旨が、四月調査に基づく官民間のズレをさかのぼって埋めてやろうという、すなわち民間給与公務員給与を追いつかせようというたてまえでできております点から申しますというと、これが繰り下げられるということは、常に公務員給与民間に追いつかないという結果とも相なるわけでございまして、私ども人事院当局者としては、はなはだ残念なことでございます。  その他、今年の新しい一つ事情としては、先ほど申しましたような公労委仲裁裁定人事院と同じような較差というものを基礎にいたしまして、そしてその較差は四月で完全に埋められておるというところも勘案いたしますると、ことしは何としてもこれはせめて五月一日からお許しいただきたいということをお願いしておる次第でございます。  なお、今回の勧告報告に関連しまして、国設宿舎等の整備について、要望書内閣総理大臣に提出いたしております。これは前々から住宅手当問題等もございまして私ども検討を続けておるのでございますけれども、まだ今日の段階では住宅手当を支給するというところまでの確実な根拠をつかみかねておる、なかなかこれは困難だというのが現状でございます。しかしながら、一方において中堅以下——特に中堅以下の世帯を持っておられる公務員諸君あるいは新規採用諸君等についての住宅施設がまだまだこれは不足である、そういう現実住宅不足のほうをやはり解消していただくということも一つのあるいは先決問題であるかもしれないという考え方に立ちまして、昨年も内閣総理大臣大蔵大臣にお願いして、その結果、本年度の予算には相当それらの施設の充実のための予算を盛り込んでいただいたのでございますが、この際、さらに一段とその辺のひとつ御努力をお願いしたいということで、この要望を書面にして内閣総理大臣にお出ししたわけでございます。  以上、きわめて大体でございますが、勧告報告の要旨は右のとおりでございまして、何ぶん今回この勧告内容がこのままの形でひとつ実現いたしますように、あらためてここでお願いを申し上げておく次第でございます。
  5. 下村定

    委員長下村定君) 以上で説明を終わりました。これより質疑を行ないます。  その後の政府側出席者岡田公務員制度調査室長佐久間自治省行政局長柴田財政局長でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。鶴園君。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 暑い中を、総裁たいへん御苦労なさいまして勧告出されたことについてたいへんだったと思います。  今度の勧告にはいろいろ新しいものが、従来と違ったようなものがいろいろ出ております。しかし、中身を見ますと、どうも人事院は暑さに負けて少し精神状態が混乱したのじゃないかという感じを非常に強く持つものです。ですから、きょうは時間が少のうございますから、すべてにわたって私の考えを申し述べるというわけにいかないと思いますけれども、要点についてお尋ねをいたしたいと思います。  その一つは、今度指定職俸給表というものを新しくつくったわけですね。この指定職俸給表というのは、どういうわけでこういうものをおつくりになったのか理解がつかないわけなんですけれども、しかし、いずれにいたしましても、昨年事務次官等をはじめとしまして一官一給与制度というものをつくられた。そのときに私は主張したわけですが、これはおそらく次にまた一官一給与制的なものを続々おつくりになるはずだ、そういうその一歩を踏み出したという感じを述べたのですが、案のごとく、今度は指定職俸給表というような妙なものをおつくりになったわけです。これは混乱もはなはだしいと私は思うのです。その一つは、これはどういうふうにお考えになるか知らないけれども、とにかく指定職俸給表中身は、甲、乙に分かれるわけですね。甲のほうは一官一給与制ですよ。つまり扶養手当もなければ俗称管理職手当もない、それから勤勉手当暫定手当もない一官一給与制的な、言うなれば特別職俸給表と同じものです。俸給体系と同じものです。ところが、同じ指定職俸給表の中で乙は、これは公務員と同じように、中身暫定手当も出ておれば扶養手当も出ておるというような、一般職俸給体系特別職俸給体系を混淆したものがこの指定職俸給表だと思うのですよ。こういうべらぼうな私は俸給表はあり得ないと思うのですけれども、なぜこういうものをおつくりになったのか。私は、去年も問題になりましたけれども事務次官を上げた、そうすると、外局長官とのつり合いがある。したがって、外局長官を十月一日で一〇%以上上げたけれども、重ねて本年の四月、号俸指定がえをすることによって二号俸アップして七千円くらい上げた、二回ベース改定をした。そういうものをやって、今度はこういうべらぼうなことになって、どうしてこういうような全然違う特別職俸給体系のようなものと一般職俸給体系のようなものをなぜ一本の俸給の中に包含されるのかということは、これは私は理解つかないのですけれども、さらに今度は局長二つ俸給表に分かれてしまったのですね。行政職俸給表の中で一等級局長と、二等級局長になってしまった。これはやむを得ず一等級局長をつくらざるを得なかった、給与を上げるためには。今度は行政職俸給表一等級局長がおる。ところが、指定職俸給表の中にまた局長の半数近いものがここにおる。二つに割ってしまったのですね。どういう頭なのか私は理解に苦しむのです。給与を上げるために目がくらんでしまった、精神が錯乱したと言わざるを得ない。一体これはどういうわけですか。
  7. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 最初に正直なところを申し上げますと、おっしゃられるところは十分骨身にしみてわかるのであります。ただ、この現在の指定職とわれわれが考えておりますものは、要するに、従来、いまおっしゃいました事務次官等の一官一給与のものをもって主たる構成考えておるわけでございます。そこで、これを甲の中におさめました。したがって、主たる構成員とされては若干その範囲を広げて外局長官等にまで及ぼすというこの行き方は、従来の一つ行き方だと思います。そこで、いま御指摘のこの乙の欄に当たります一等級を引っ越してきたという御指摘の面だろうと思います。これはやはり準一官一給与と申しますか、準ずるという準ですが、この準の字がついた意味でのものと考えていい段階にきておるのじゃないかという意味で純粋の一官一給与ではありませんけれども、これに準ずる一つグループとして実は一等級から取り上げて指定職のほうに入れたというわけでございます。そこで、いま一番いやなおことばは、局長が二またに分かれる、二グループに分かれてしまうのではないかということは、私どももよく認識しておりますけれども、これは何ぶん過渡的のものでありますし、いずれはこれをさらにきれいなものにする段階がくるものと考えております。現在でも等級に分かれておるものはこれは御承知のようにあるわけですが、そこをちょっとゆとりある豊かな心で見れば、まあまあ致命的なものではない、これはこれで一つのりっぱな行き方であるということで、そう大いばりで持ち出したわけではございませんが、これはこれでりっぱな行き方だという気持ちは持っておる次第であります。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、いまの御説明説明としてわかりますが、しかし、私の質問に対しては回答にならない。ですから、同じ局長という、局長というのは同じような職務と同じような責任を持っておる。そのものを俸給表は全く違えてしまう。これは私は理解がつかない。いまその中で特に若干その責任の度が重くなったという人もおられるでしょう。だから行政職俸給表の(一)の中で一等級局長がおられあるいは二等級局長がおるという点について理解しろと言われれば、これはむちゃだけれども理解はできる。しかし、今度のように俸給表を違えてしまったのでは、これは理解がつかないのです。しかも指定職俸給表というのは、これは先ほど申し上げたように、全然違った俸給体系のものを甲、乙と二つ入れてしまう。甲は先ほど申し上げたように、特別職俸給体系です。乙のほうは、これは普通職俸給表体系です。そういうものを一つのものに入れてしまった。しかもその中心はやはり乙ですよ。人員的に言っても甲ではない、乙が中心をなす。私はこういうような、これは豊かなとかなんとかというお話ですが、つまり給与引き上げるために目がくらんでしまった。ですから、俸給体系というようなものについては考慮が全くなされなかったということになりはしませんか。
  9. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 暑熱の中でやった仕事ではございますけれども、先ほども触れましたように、そういう点は十分反省いたしまして、どうもすっきりしないところがあるということはおっしゃるとおり、それは十分承知の上で、しかし、考えてみれば、現在の局長といえども同じ局長一等級のものもあれば、二等級のものもある。それは一応肯定しておるわけですけれども、それをさらにもっと違ったところに持っていっても、そう本質的の違いをそこに持ってきたということにはならないだろう、これは一つの過渡的の形だというふうにごらんいただけばということを大きな豊かな気持ちでということで申し上げたわけであります。そういうことであって、本質的のそう深刻な問題にはならないということで踏み切ったわけでございます。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、そういうお話ですけれども、それじゃ、従来から行(一)と行(二)と一本にしようというお話も十分に行なわれておるわけです。それにはどういう答弁をなされるのですか。豊かな気持ちでおやりになりますか。——おやりになるならけっこうです。ですけれども俸給表を全然違えてしまうのですからね。これは昨年は一官一給与制でありましたけれども、特という形で、妙な形ですから特ということで事務次官はおったわけです。今度は全然俸給表を違えてしまって、しかも同じ俸給表の中に違ったものが二つ入っておる。こんな私は俸給を上げるためには手段を選ばないというようなやり方は、人事院の従来とってきた考え方、態度からいっても、私ははなはだ理解がつかないわけです。いまの総裁のお話から見ますと、これは来年、再来年には局長というものは全部指定職俸給表にするのだ、こういうように読み取れる。場合によれば、いまのここに新しくできた一等級の者は全部指定職俸給表になるのじゃないか。さらに甲、乙と二つに分けてあるけれども、これは甲一本になるのじゃないか。そういうような給与を上げるためには俸給体系も無視するというやり方は、これは本末転倒もはなはだしいと私は思うわけです。これは総裁の答弁では納得できない。ですから、これはまたあらためて論争したいと思います。  そこで総裁にもう一つ伺っておきたいのですが、この指定職俸給表の中に事務次官並びに外局長官、さらに相当数の局長というものを組み入れたわけですが、こういうことにしてこの指定職俸給表人たち一般職公務員ではあるけれども、だんだん特別職俸給表のほうに急速に近づけるという形によって、こういう次官、局長あるいは外局長官というものを特別職になさるという意図がおありになるのではないか。これはこれとしてまた一つのいい私は制度だと思う。そこの点について総裁はそういうように考えておられるのかどうか、それをお尋ねをします。
  11. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) この一官一給与の形というものは、これは何も特別職に特有の形であるはずではないのでありまして、およそその職務とその責任というものの範囲が特定の官職についてはっきりとらえられるものであるならば、この形で通してもいい行き方であろうという根本の考え方があるわけであります。ただし、遺憾ながら現在のようなきわめて低い一般給与水準から申しますと、この行き方を三等級、四等級、ずっと下のほうまで及ぼすことはとてもできませんけれども、しかし、この辺のところは、いま、たまたま御指摘のような特別職俸給表にのぼっておるようなところと同じような意味で特定し得る官職だということでこれをとらえただけでありまして、これを、いま、お話に出ましように、特別職にしようなどという大それた考え方は全然ありません。もしも特別職にこれをしようなんという動きがあるとすれば、これは強く反対いたします。何となれば、一般にいわれる特別職というのは、これは一般職公務員と違って身分保障その他のないいわゆる政務官的なものになってしまう。これは公務員制度におけるたいへんな大問題になるわけであります。これを特別職にしようなんという考え方はゆめゆめありませんし、そういう考え方には私どもは賛成いたしかねるという立場でございます。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そういうようなお考えがないとすれば、いよいよこの指定職俸給表というようなものをつくられたということについて理解が全くつかない。もしこれを特別職にされる、三年かその程度の間に特別職にされるという意図があってこういうものを出されておるというならば、これはまた新しい立場から意味もあるというふうな感じを私は持つわけです。しかしながら、そういうお考えもないというのなら、これはとうていどういう立場からいっても理解がつかない。一般職公務員であるにかかわらず、その頂点におる次官なり外局長官なり局長、しかもこれは責任者です。それを一般職俸給表と全く違った俸給表を持ってきて、しかも全く違った体系に持っていかれるというのは、これはどういったって理解がつかない。それはいたずらに特別職との関係において給与引き上げる、次官なりあるいは外局長官なり局長引き上げる。それは、それ以外の一般職の者とつながっておったのでは、尾っぽを引いておったのでは引き上げられないから、尾っぽを切って、じゃまになるものを切ってしまって、そして局長とか外局長官とか事務次官だけを上げていこう、そういう給与引き上げるということにとらわれ過ぎた、目がくらんだ俸給表だと私は思う。ですから、この点は重ねて問題を指摘していかなければならないし、私どもとしてはこれは納得できない。上げるのは上げていいです。別のやり方——同じ俸給表の中で上げればいい。それを上げたら、つり合いから下の者を上げないわけにいかないから切り離してしまう、そんなみみっちいことをしては公務員の人事道徳というものは成り立たないです。  時間の関係で次に移りますが、いままで私、盛んに七月の十三日の本院の内閣委員会において、あるいは三月の二十四日だったと思いますが、内閣委員会におきましても官民対応等級の問題を盛んに論議しました。つまり人事院公務員の賃金をきめる場合に、かぎのようなものになっている、そういう官民対応、この問題についてさんざん論議をした。ところが、遺憾ながら、その問題を論議したんだけれども、一番問題である四等級以下の問題は全然考えないで、一等、二等というところを変えられている。これは私は理解がつかないですね。どういうわけでこういうことをされたのか。この官民対応というのは、つまりいままで人事院局長というグループ、それは二等級ですね。一言で言えば、民間局長というものを公務員局長と比べておったのです。今度はそうじゃないでしょう。今度は課長民間局長と比較するということになっている。そういうことになりませんか。一段階高い者と——高い者と言ってはおかしいけれども民間の高い者と公務員を比較する、こういうべらぼうなことになってしまったですね。一体何で、総裁にしても瀧本局長にしても、三月の二十何日かの論議にしても七月の十三日の論議にしても、何をお聞きになっているか。これは局長や本省の課長連中の給与引き上げのために、そこのところだけよくするために目がくらんでしまった。私はそうじゃないかと思う。これもやはり事務次官との関係において引き上げざるを得ない。引き上げるには、一般職公務員とは違うやり方をやられようとする。これもひどいものですね。全く理解がつかない。どういうわけでそういうことになったのか説明してください。
  13. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 先ほどからだんだん御趣旨がわかってまいりましたが、その上のほうの俸給をうまく形を整えることによって上げていこうと、そういう何か意図のもとにこれがなされているようなふうにおくみ取りいただいていることがだんだんわかってきたのですが、そういう気持ちは全然ありません。これは一つ一つについて、なぜ次官はしからば二十一万円にしたのだということは、聞いていただければみんなこれを明解に給与局長が答弁いたします。だから、その額の問題は、形の問題とは全然関係ございません。たまたま局長のところが二つに分かれているという御指摘がありましたけれども、その二つに分かれているところをごらんになってもそのことはわかるので、局長の片一方はまだ一等級に残っているわけです。そういう点からいっても、そういう邪念があるものとは、いささかも御想像いただいてはわれわれとしては困るわけです。  そこで、いまの対応等級のことは、専門家のほうからお答えさしていただきたいと思います。
  14. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいま対応等級のお話が出ましたが、今回の勧告にあたりまして、対応等級として考えておりますものは従来と変わっておりません。ただ、行(二)等につきましては、新しい職種を入れたということはございますので、内容的に変わっているということはありますが、形式的には変わっておりません。  そこで、今回の対応関係、ただいま御指摘のございました勧告俸給表行(一)の一等級というところは旧二等級です。これは、旧二等級は従来どおりの対応関係民間と対応さしているということでございます。それから、新二等級は旧三等、これは旧三等級は、去年民間との対応関係で対応さしたところと同じような考え方でやっております。ただ、新しく入れました新三等級、これは対応関係は今回はございません。  したがいまして、そういう新しい今度の俸給表になってまいりますと、これはやはり新三等級民間対応という問題が出てまいります。その点を中心にやはり今後考える余地は残っております。しかしながら、大体におきまして、この対応関係を大幅に意図的にある部分だけを高くするとか、低くするためにやっていこうというような気持ちはございません。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 関連して。先ほどの指定職給与表の問題でちょっとお尋ねしておきたいのですが、いま、はしなくも人事院総裁が、事務次官が二十一万円にしたのは、その理由を言えと言われれば言うと言われましたが、一体五万円上げた理由、根拠というものはどこにあるのか。
  16. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 要するに、昨年十六万円とおきめいただいたわけです。これはその当時も御説明したと思いますけれども、まあ行政部内では、各省では大臣がトップにおられて、その大臣に直結してそれを補佐するのは事務次官でございます。したがいまして、せめて十六万円程度は給与としてきめていただきませんと、大臣に対する補佐役としての責務からいって、あるいは大臣との俸給のバランスからいって、十六万円が必要でございますということを御説明申したのでございますが、御承知のように、この一般職俸給の法律が改正になりますとともに、特別職俸給が改正になりまして、大臣が一躍して三十万円に上がったわけです。といたしますというと、いまの十六万円と大臣の三十万円のバランスが著しくこわれてしまいました。諸外国の一般の形を見ましても、大体次官級の者と大臣との関係は八割くらいの関係になっているように思われますので、八割ということも考えられますけれども、ここでは七割にしてあります。  要するに、そういうことが主としての理由になっておりますが、なお、御承知のように、公団その他ああいう特殊の法人の理事級の者が最近また上がっております。そういう点もあわせて考えますと、まず二十一万円というところが適当じゃないかということで御勧告申し上げた次第でございます。
  17. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はその考え方には納得できません。もちろん事務次官は、これは一般職として給与表で規定されておる。これはさっきの鶴園君の考えと一緒なんですが、それはまた別として、やはり政治的にいろいろ関係のある総理大臣なり、そういうものと、いわゆる一般事務次官一般職の人との関連で考える要素を私も若干認めます。しかし、下級職員と言ってはことばが悪うございますが、下の人との均衡ということを人事院考えてこの勧告をすべきであると思う。私は事務次官が高いとは言っていない。しかし、実際下部の上がった率を見ると、そうでないと思う、これは私はあとでその点は質問いたします、いまは関連の形でございますので……。その点は納得できません。これは理由になりませんよ。大臣の俸給がそうなるこうなるから上げるということは間違いだと思う。やはり一般職なら一般職という国家公務員法によるところのあの考え方でやはり給料表というものは考えなければいけない。したがって、総裁がそういう説明をされるのは、説明とは私は聞き取れない。給与局長にどういうもっと深い理由があるかどうか、私は聞かしてもらいたい。  それともう一つ聞いておきます。そういういわゆる指定職俸給表、一官一級与方式をとられたための、それの財源は七・九%の中に包含されているかどうか。
  18. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいま総裁からお答え申したとおりでございまするが、従来から、例を行(一)にとって申しますと、行(一)俸給表一等級というものは民間対応ということをいたしておらないわけでございます。これは、二等級以下、現行俸給表の二等級以下を民間対応をいたしておる。で、公務員民間では、それぞれ職務の内容が違う面がございまして、行政部内における最高責任の地位にある者といえども、これは、民間のいわゆる重役というものと直ちに対比することが適当であるかどうかという問題がございます。そこで、そういうことを一方においてはながめる必要はございまするけれども、直接対比するということは、これは必ずしも適当でないというような関係もございまして、一等級民間対応ということは従来から考えておりません。これは比較の外にいたしておるのであります。そこで、では一等級はどういうふうな関係からきまってきておるかといいますと、従来から、いわゆる特別職の中の官職、一般行政部内の官職の最高のところ、そういうやはりこれは給与上のバランスということがございますので、そういう、主として上とのバランス、下とのつながり、両者を考えながらこれはきめてまいっておるということでございます。昨年十六万円ということを勧告させていただきまして御決定願ったわけでありますが、このときは、大臣は十九万円、この数字を一応押えまして、八割見当というところで十六万円ということでお願いいたしたのであります。その後における特別職給与改定によりまして、その比率が非常に違ってきた。やはり上位官職になってまいりますると、これはやはりそういう関係を無視するというわけにまいりませんので、われわれこの関係をできるだけ維持したいということでございます。ことに東京、京都の大学の学長というような方々、もちろん一般職でございまするけれども、非常に一般職として高く評価されるべき官職、場合によったら国務大臣と職務内容は違いますけれども、これに準じて評価されてしかるべきような官職でございますので、そういうことを考えますると、東京、京都大学の学長の十八万円というものは、大臣の、この際は文部大臣を引き合いに出すのが一番よろしいと思いますが、文部大臣三十万円というものとはあまりにかけ離れておる。せめてこれは八割程度にして均衡をとりたい、こういうことで今度勧告させていただきました指定職の金額は考えてある次第でございます。  それから今度の七・九という中には指定職の分は除いてございます。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、その指定職を除いた場合、先ほどの問題になるが、特別職と同じような考え方で財源を割り出さなければいかぬようなことになりませんか。七・九%には入っていない、これは別だ、勧告の財源に入っていないのでしょう。
  20. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 官民比較できめます七・九の俸給表改定というものは、行政職俸給表その他の俸給表全部合わせまして平均七・九、俸給表上七・九の改正をいたすということでございます。そこで指定職俸給表のほうも、これは人数はわずかでございますけれども、やはり改定に際しましては予算を要します。それは最終的に俸給表改定に要しまする本年度の所要予算額というところにはその財源は入れて計算してございますが、官民比較八・五ということから七・九で俸給表土の改正をするという七・九の範囲にはこれは入っておりません。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いまの給与局長の答弁は根本的に違う。要するに、総理大臣が上がったからこうするんだという比較論で言われておりますが、われわれ、次官も一般職一つの一職であるという考え方で今日まで一等級はきたんです。それが指定職として別に出される。したがって、それは別のもので、いわゆる総理大臣とか大臣とかその他の役職の人と比較して民間との対応とは全然別だ、今後そういう考え方でやるというそういう考え方が私は気に入らない。納得できない。やはり下級職員と同じように均衡というものをしょっちゅう考えてこの俸給表をつくらなければ——一つの行政機構というものは一貫した有機的なものである、次官だけ飛び出してそれだけいいというわけじゃないでしょう。そういう点で私はそれだけを別のものだ、総理大臣とかそういうものと比較して勧告するんだという考え方を将来とるならば、特別職という名前がつかなくてもそういうものに移行するきらいが相当多分に含まれている、そこにわれわれ非常に今度の勧告については重要なポイントであるということで追及している。先ほど言われたけれども、下級職の職員との間の均衡を考えず、総理大臣とかそういうものだけと比べてやられている、私はそういう点が非常に問題であると思うんです。国家公務員法によりますと、単なる民間との給与較差、そういう較差だけじゃなくして、生計費も一つの要素になっているでしょう。そういう要素というものは全然考えずに、ただ要するに、そういう行政官としての地位がどうであるか、そういうことだけで次官だけを取り出すということ、ぼくは次官だけと言いませんけれども大学の教授とかそういうふうな別の意味において考えるべきであって、私は同一に考えておらない、そういう点でもう一ぺんだけ答えてください。
  22. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 大学の教授、いまの場合は学長のことであろうと思いますが、本質的にこれはやはり一般職職員としては事務次官等々と同じ本質を持っております。しかし、いまお話のように、普通の事務次官より、少なくとも東京、京都というような大きな代表的な大学の学長は、またそれと格段の扱いをしているという意味では、いま山本委員のおっしゃるような趣旨がここに出ていると思います。全体のバランスの問題になりますと、これは先ほど例にあげましたように、例えば国鉄その他専売とか大体団交で中堅以下の方々給与がきまるというようなところの給与体系をずっと上から見ますと、これを合わしてみてそう隔たりはないというような気がいたします。
  23. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の質問に対する瀧本さんの御答弁、それからいま山本委員の質問に対する総裁並びに局長の御答弁は、これは何となくつじつまを合わせたような話で、それは私としては理解できない。まず第一は、これは発端から考えてみればすぐわかることですよ。政府のほうでは給与引き上げようとしている、大臣その他。人事院のほうは逡巡して一向引き上げない。その間の差ができたものだから、とにかく次官のところだけは大臣の補佐ということで七割ということで上げた。次官を引き上げてみたところが、外局局長と次官とはどういうところが違う、こういう論理が出ている。今度は外局長官も全部一官一給与にしてしまう。外局長官はそうなれば局長とどこが違うか。局長いきまきますよ。そこは人事院弱いから、また局長指定職俸給表の中に繰り入れてしまう、こういうのがいまの順序ですよ。ですから人事院として一般職公務員として一体性を持った考え方というものはないわけですね、それを人事院が反省しなければいけない。基本的に公務員というのは、私が説教するまでもなく、それは次官を頂点にして公務員というのは秩序立てられている。それだけを上げることはいいですよ。だけれども切り離して上げていくという考え方は、これは人事院の従来の考え方からいっても、いまの俸給体系からいっても、どこからいってもそういうものは出てこない。上げることは私は否定しない。上げてよろしい。上げるならば一体として公務員全体をやはり上げることをはからなければならない。こういうめちゃくちゃな、神経が錯乱したような俸給表をつくってしまった。そういうようなことは理解がつかない。先ほど局長官民対応等級は変えなかったと言われる。お変えになりませんか。変えなければ、もう百人以上の給与を取ってみて、今度は人事院は百人以上の給与と言われたが、これはあまり役に立たない。百人以上変えたけれども、いま局長なんというものは、三等級なんて百二十より上がらないでしょう。今度だって局長のところはたった三%くらいしか民間より高くないでしょう。局長のところは百二十を比較したのでは二等級ですね。二等級三%しか高くない、民間のほうは。にもかかわらず三倍引き上げる。九%。これはどうしても、局長はさっき官民等級変えなかったとおっしゃるけれども、同じような実績を出しておられる。来年は変えるのです。それは来年は二等級のところと旧三等級のところは官民対応等級はぼくは正しい比較をやられる。四等以下はぼくはいずれも間違った比較を依然として継続されるに違いないと思う。そうしないとおっしゃるのかどうか。するならするでいいですよ。そのかわり四等級以下は正常に変えなければいけない。それを説明してください。
  24. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 先ほど御説明申し上げましたのは、今回の官民比較にあたりまして、今度の勧告俸給表一等級、これは現二等級であります。勧告俸給表の二等級、これは現三等級。それを官民比較するときに変えたかというお話でございまするので、それは変えておりません。ただ俸給表を作成いたしますときには、これは全体的に較差を見まして、大体上下等級関係等もございますので、大体その民間の上がり方というものを縮小した形で、というのは、公務員のある俸給表を適用されるにつきましては、調査民間のほうが高いというようなものも出るわけです。しかし、それを高いからそれで引き下げるというようなことは事実上できるものではない。また、職務の状況等を見ましてやはり改善の必要なものもあるわけでございます。これは全体的に見て改定をいたすというわけでございます。ただ御指摘のように、上下一等級あたりについては変えたも同様じゃないかという御観測があるわけでありますが、これはやはり上下等級関係というものを秩序立てていくという必要がございますので、そういうことも考慮に入れておるということはあるわけであります。来年以降どうやるのだというお話で、ひとついま鶴園委員のお示しになりましたようなそのとおりにやるかどうかということで、いま言ってみろというお話でございまするが、これは明らかに従来は企業規模事業所規模とも五十人以上ということでやったということもあるわけでございます。それが今回は事業所規模五十人、企業規模百人ということで、ことしはそういうことでやったわけでございます。従来とは違っておるところです。それと同時に、新三等級という問題が出てまいりましたので、この対応関係のあるものにつきましては、これは従前どおりにはやるわけにはもちろんいかないと思います。したがいまして、それは十分検討して来年考えなければならぬことだろうと思いまするが、大体の方向としましては、先ほど申しましたように、繰り返して恐縮でありますが、現在の比較方式というものを非常に大幅に変えていくということは、まあいまの、いま現在のわれわれの気持ちとしてはとても考えられないことであろうというように思っております。しかしし、これは今後勉強してみることでございまするので、ただいまやるとかやらぬとかいうようなことはもちろんお答え申し上げかねる次第でございます。
  25. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間の関係がありますから詳しくどうこうと言いませんが、ただ局長のいまお話を聞いておってまことに弱々しいお話ですね。ですからこれは去年から明らかになっておるわけで、先ほど私が申し上げたとおり、次官、外局長官、有力局長、そういうものはどんどこどんどこ大幅引き上げに向いておった。もちろん去年から。そこへもってきて本年はこれは変えないとおっしゃるが、来年は変える。その変えるところは新三等まででしょう。明らかなことです。そんなばかなことしないように言っておきます。新三等級というものは、できたらば当然官民対処を考えなければならぬ、比較するものがないから。それはいまの二等級課長級のところ。これは民間の支店長とか工場長と比較するならばしなければいけない。引き上げることになる。だから私は人事院は当然そういうところに追い込まれている。いま人事院がやってきたことから当然そうなる。その場合に私の懸念するのは、これは来年は新三等で打ち切るということははっきり予想できる。いまの人事院の状態から考えて、去年以来の頭の動きから見て。そういうおかしなことをやらないように、四等級以下についても私は口をすっぱくしてこの委員会において去年から十二月もやったんですよ、三月、七月もやったんですよ。弁解できないでしょう。人事院はそういうものをほうっておいてやられるということについては、これは私は理解つかない。もっと科学的に、人事院は科学的らしい頭を働かしてもらうというふうに私はしてもらいたいと思う。それは来年の話ですから。ただ、いま局長おっしゃったが、官民対応等級では旧二等級、いわゆる局長のところでは三%しか民間は高くない。だけれども三倍上げておる。九%上げてしまう。それから三等級というのは民間に比べて二・七%民間が高いだけ。これも三倍上げてしまう。八・九%引き上げる。そういうおかしなばかげた話はよしてもらいましょうよ。本気になって審議する気がしないですよ。  次に、中だるみ是正についてお尋ねします。新三等級はその後に聞きます。中だるみ是正を努力してきたという調子のいい話をしておられる。人事院勧告の概要、これは先ほど総裁はこれをもって御説明なさった。その中に中位等級に特に配慮したというような話をしたが、総裁は、あなたはそういうふうに思っておられるのですか。特に配慮したなんて。中位等級について。とんでもない。これは私は実にこういうだれがそういう意見を総裁に注入するのか知らないけれども、どういうわけで特に中位等級配慮を払ったんですか。配点は払われてないでしょう。説明してください……説明は書いてあるからわかっておる。中位等級に配意した内容は書いてあるんですからわかっておる。だけれども、これは中位等級には全然配意していない。ますます中位等級はたるんでしまう。とんでもない話ですよ。それを若干説明します。これは各等級官民対応等級数字、出ておりますね、局長民間がどれだけ高いかということは。あるいはどれだけ引き上げたかということは出ておりますね、これを見ますと。二等級は九%上げるでしょう。三等級は八・九%ですよ。四等級は八・三%、五等級は八・二%、六等級は八・二%、七等級は九・三%、八等級は十三・九%でしょう。見てごらんなさい。明らかにたるんでおる。ものすごくたるんでおる。大だるみだ。四等級、五等級、六等級というのは最もたるんでおる。依然としてたるんでおりますよ。さらに民間との対応等級、これを見ますと、先ほど私が二等級、三等級は申し上げた。民間公務員より二等級の場合は三%高いけれども、三倍上げる、九%。三等級は三倍上げる。四等級民間のほうが一一・八%高い。にもかかわらず、特に配意したにかかわらず八・三%です。これは五等級だって同じでしょう。六等級だって民間のほうが一〇・九高いにかかわらず八・二%ですよ。何にも配慮払われていない。で、七等級、八等級下位等級特に上げたということを書いてあるんですね、総裁下位等級について特に配慮を加えたと書いてある。特に高くしたと書いてある。全然高くなっていない。七等級民間のほうが一五・四%高くなっているのに九・三%です。八等級民間のほうが一九・八高くなっているが十三・九です。これは七等級、八等級特に配意したなんというのはどういう頭なんですか。四等級、五等級、六等級、中位号俸より比べれば配意したと言える。特に配意したというようなことは言えない。昇給金額を配意したなんというよけいなことを言っている。これもとんでもない話です。早口ですからちょっと恐縮ですけれども中位等級——等級、六等級、この上げ方を見てみますと、五等級の五号ぐらいまではうんと上がっているんです。ここには一般公務員はいないんですよ。五等級の五号なんというのは、あるいは六等級の若い号なんというのは、これは上級職の試験を通った方がごく一部の者がここにおるので、六等級でいいますと五万三千七百人のうちここにはちょっぴりしかいない。五等級の一号−四号、そこらあたりを一〇%前後上げてある。そうして五等級、六等級の一番最後、そういうところは一〇%上げた。しかし、そこには人間は二十人か十人しかいないんですね。一番かたまっている六等級の十号あたりは最も人がたくさんいる。どこが中位等級を配意したなんということが言える。昇給金額で配意した——昇給金額なんて百円、二百円でしょう。一年に百円上げたってピース二個じゃないですか。そういうおかしなことを言っておっては私は全然これは考えられない。  私は四点ぐらいあげまして申し上げましたが、昇給金額の問題にしても、あるいは引き上げ率の問題にしても、民間対応等級の問題にしても、どこにも四、五、六という中位等級というものについて配意したという形跡が見られない。にもかかわらず、ますますその差を拡大するというような状況におちいっている。こんなおかしな私は勧告はないと思うんですね。  それだけじゃないんですがね。今度は、私はこの七月十三日の日に昇給金額の問題をいろいろ申し上げました。申し上げましたが、いま六等級、五等級というのは混乱してしまっているんですね。昇給金額というのは、瀧本さんよくごらんになっていますか。昇給金額はものすごく混乱をしちゃったんですよ。ですから、私に言わせると、四等級、五等級、六等級という中堅職員がおるところは、まるでドングリの背比べみたいにどろ沼に追い込められちゃったんですよ。これはどういう立場から見てもどろ沼に追い込められた。私は、人事院がこの中位等級に対して特に配意を払ったなんということはうかがえない。私はこの間の七月十三日特にこの点に重点を置いて言ったんです。それを説明をなさりたいなら説明してください。
  26. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) われわれのほうとしましては、先ほど総裁が申し上げたようなことを今回は考えておるのです。と申しますのは、いわゆる中だるみという問題はこれはかねて指摘されておる問題でございまするが、一体どういうことであるか、それに対処するにはどうやったらいいだろうか、いろいろ考えました。新三等級を設けましたゆえんは、これは現在の四等級官職というものに相当責任の程度の違った官職が混在しておるので、これを二つに分けまして、そうしてやったほうがいいだろうという、いわゆる官職論的な、職務論的な面もございまするが、また同町に、やはり現在の公務員の人員分布の状況と中ぶくれの状況というようなものもあわせ考えてみますると、そういうことをやることが一そう、新三等級を設けることがひいては下位等級にも漸次それを及ぼすことができる契機になるというようなことで、まあ新三等級を新しく設けさしていただきたいと申しておるわけでございます。と同時に、この俸給表も、これはかねて鶴園委員が御指摘にもなっておりましたし、われわれもそのことを非常に考えておるのでありまするが、現行行(一)俸給表を見ますると、たとえば十四号俸のあたりから昇給金額がずっと落ちてまいります。こういうことは非常にぶていさいじゃないかという御指摘がありました。われわれもその点はかねて考えておりましたが、なお研究いたしまして、一つ等級の中における昇級間差額をできるだけ高い金額にして長い期間を続けていきたいということを今回はやったわけであります。それは全俸給表を通じてそういうことをやったのでございまするが、行(一)五等級、六等級という辺につきましてはそういう点を十分配慮した。たまたまいま御指摘になりました五等級の初号のアップ率が一〇・三%だと、一番しまいがそうだということで、率についてまん中辺の人のおるところが低いじゃないかという御指摘であります。そういう見方ももちろんできると思います。しかしながら、われわれのほうといたしましては、この俸給金額の引き上げということにつきまして相当の努力をした。たとえば、五等級の初号は二千五百円、ずっと二千五百円で、五号あたりから二千六百円、ずっと上がりまして、十号あたりでは三千百円、それから十五号あたりで四千二百円、末尾のところは四千八百円上げたのです。こういうふうに金額的に見ますると、相当改善をいたしておる。これはまあ各等級それぞれ上下等級関係がございまするので、同じことをやるわけにはまいりませんが、六等級について見ましても、初号あたりが二千円、五号あたりが二千三百円、十号あたりが二千六百円、十五号あたりが三千九百円、末尾が四千二百円と、相当の上げ方をいたしておるのであります。今回はそういうやり方をいたしましたために、上下等級におきまする大体現在同じ程度の金額で下位等級のほうが上げ方が多いというところが随所に出てまいっております。このことは、一つの均衡観からまいると、そういうことはぐあいが悪いじゃないかという問題があろうかと思うのでありまするけれども、やはり俸給表体系を直していくということをやりますためには、まあ多少そういうことがございましてもこれはやはりやらなければ直らないというようなことで、そういう配慮をいたしまして俸給表を直していっておる。そういう意味において五等級、六等級あたりに力を入れたと申し上げた。と同時に、また場合によっては、この七等級あたりの下位号俸におられる方も相当あるわけでございますので、その辺もできるだけ力を入れまして、改善策を考えると同時に、昇給間差額を大きい金額のものを延ばしていくというようなことをやったわけであります。従来六等級間差額が最終の辺で七百円ということになっておったのでありまするが、これは十三号から末号まで千円で通す。五等級についていえば、十五号から末号まで七百円であったのでありますが、これは十三号から末号まで千円で通す。また四等級についていえば、十七号のところが千四百円の間差額であったものを十四号から十六号まで千八百円に延ばす、こういう努力をいたしておるわけであります。そこで、まあ俸給表上だけについて見ますと、われわれはこれを大いばりでやったやったと言える程度のものではない。これはやはり漸を追って可能な範囲で今後継続して直していく努力をしなければならないものであろうというように思っております。しかしながら、一方におきまして、昇給期間の三カ月短縮ということをあわせてやらしていただくことになっております。こういうことになってまいりますると、四等級の五号以上のもの、あるいは五等級の九号以上のものというように相当数の人がこの三カ月短縮の適用を受けるということもございます。また、今回多少改善をいたそうという宿日直手当の増額というようなことも、これは中央官庁よりもむしろ地方出先官庁のほうに多いと思いまするけれども、この改善によりまして中級以下の職員が主としてそういう適用を受けられるというように思いまするし、また、通勤手当等にいたしましても、これは本省庁よりもむしろ出先の方々という面にその効果が出てまいるのではないか。また、年末年始の問題等になりますると、これは主として現業的な職務をやっておられる職員になると思いまするけれども、こういうこともやはり改善一つ方法であろう。今回は俸給表改善にあわせまして、そういう諸手当改善ということをある程度やりまするので、これもあわせて中位等級改善に力を入れたという点をお認め願いたいというふうに思います。  また、先ほどもちょっと申し上げましたように、各俸給表の各等級対応ということでごらんになりますれば、いろいろ官民対比の関係ででこぼこがございます。しかしながら、これは、かねて何回も申し上げておりまするように、教育職あるいは医療職というようなものもございまするので、全体平均でやはり較差をならしていくという趣旨のもとに改善をはかったものでございます。
  27. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長のお話は、ちょこちょこと直された、それは私も指摘した。直されたところは人間の十人か十五人しかいないようなところ、上げるのはけっこうですけれども、そこは五万人の中のたった十人か二十人しかいないところですからね。それを頭に入れておいてくださいよ。それで中位等級をよくしたなんて言われたって、話にならない。五等級の初めの若い号俸、一号から二号、三号、六等級の一号から二号、三号とかを一〇%以上上げた。ここには職員はいないんですよ。ちょこっとしかいないんですよ。上級職試験を通った者がここにおるんですよ。九五%の公務員はここにいないんですよ。それを中位等級はよくした、そこへ持って宿日直はどうだ、交通手当はどうだ、そんなことをお話しになっていたのでは笑いものです。そういうことを書いてないのですよ。特に俸給表について是正したというのです。私は、先ほど言ったように、こういうようなことで中位等級を好遇したとかなんとかいうのは、これは羊頭狗肉もはなはだしい。というよりまだひどいですよ。遇弄するものです。何といっても私は承知できない。  いま三短の話をなさった。一等級、二等級、三等級のところは、事務次官を二十一万円に引き上げる、それに見合って何とか引き上げたいという意欲が相当強く出ている。四等以下は一切及ぼさない。しかし、三短は上のほうの一等級も二等級も三等級もやるんだというのはみみっちい話ですな。引き上げは下のほうには及ぼさない、三短だけ上のほうに及ぼすんだ、いわゆる三等級も二等級もやるんだというその頭、どうですかね。みみっちいもほどがある。課長とか局長連中が聞いたらがっかりしますよ。それはよしてくれと、おれのほうの三短は。若いところは三短をやらなきゃどうにもならぬ、六短もやらなきゃならぬ、これはだれしも思いますよ。三短だけは全部に及ぼすと、三等級、二等級全員残らず三短やりますよ、そして特別職と見合って給与引き上げるところは二等か三等あたりで打ち切る、下には及ぼさない、がんとして及ぼさないというような頭では、私は人事院というのはどこを向いて人事院勧告を出しているのか。本来、人事院というのは、団体交渉権のかわりにできてるんです。三等以上は団体交渉の相手でもありますまい。人事院としては、四等以下の問題について勧告するはずなんだ。その対象である四等以下について配慮が全然払われない、とんでもない話です。私は、だから、中位等級を特に配慮したとか、昇給間差額を是正したとか——昇給間差額を是正したというのは、繰り返し言いますが、最もたくさん人間のおるところは百円くらいです。一年に百円、ピース二個半だ。そういうことで中だるみを是正したとか、あるいは中位等級を特に注意を払ったとかいうような話では、これは通用いたしません。頭の置きどころを変えてもらわなければならぬ。いまの頭でもいいですよ。いいですが、置きどころを変えてもらわなければ、これは話になりようがない。それからいま局長は新三等級の話をされた。これもまたひどいことをしたものです。四等にはたしか二万二千名おります。いろいろ問題があることを指摘しました。三等と四等とはたいへんな較差のあることを指摘しました。そこで新三等級をつくられた。これがまたインチキになっちゃったですね。いままではともかく四等級というのは大衆的の等級だった、いい等級だったのです、金額が低いだけで。今度これを分けた新三等級というものは、学歴偏重です。おそらく二万二千名のうちの四、五千名の人たちが、四千名か五千名の人たちが新三等になるでしょう。それは何と言っても学歴偏重です。この大衆的な四等級はみじめな状態に置かれちゃったですね。五等の連中にとってみますると、いままでは四等という一つ先に壁があると思っておった、それが四等を二つに割ってしまったから、壁が二つできまして、距離感というものを強く感じさせるようになってしまった。これは五等の連中にとってはがっかりです。中位等級がどうこうの話でない、新三等級の設置は。四等級の連中にしますと、三等級に暫定定数でなっていたものは、紙一重の違いと思っていたその連中が一挙に二等になってしまった。これはたいへんな懸隔をつくってしまった。何にも中位等級の優遇にならない。一貫して人事院考えているのは、ごく一部の上級職試験を通った者だけです。六等、七等に入ったときから。私は初任給調整手当は、中級職、初級職にも考えるべきだ、採用の困難さあるいは志望者の少なさ、そういうものからいって。上級職より中級職はさらに困難になっている、初級職は一そう困難になっている。そういうことを考えるべきだと言ったのに、一つ考えてない。上級職の初任給調整手当は三年を五年に延ばした。六等級の彼らのいるところの号俸だけ一〇%引き上げてしまって、そして四等級になったら、さっと新三等級をつくった。まことにひどいことをしたものですよ。公務員のことを一体人事院考えておられるのかどうか、私は新三等の場合についても、非常に疑問があるというより、これは公務員のことを考えていない俸給だと思う。四等は公務員の終着駅だとたしかに言った。これは墓場です、賃金が低いから。墓場と言ったところが、今度は別に新三等という新しい墓場をつくってしまった。四等というものは踏み倒されたような墓場になってしまった。(笑声)総裁笑い事じゃないです。私はこういうふうに真剣に考えているのです。総裁はどういうふうに考えておりますか。
  28. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) いまのおことばはまことに心外にたえないわけです。たびたびいまお話に出ましたように、われわれの給与勧告の作業の調査段階でもこの席でいまおっしゃいましたように、四等の墓場説もたびたび承りました。そればかりでなしに、鶴園委員のおっしゃることは、きわめておことばも辛らつでありますけれども内容も思い当たる節々が相当ありますので、われわれは常に骨身にしみて、それを思い浮かべながら作業に当たってきたわけであります。この新三等級のごときはまさに御指摘のとおりのところはごもっともだということで今回の勧告で一番鶴園委員にほめられるのはここだろうというむしろたいへんな期待を持ってここに伺っておるわけであります。ところが、お話を承りますとまるで逆でございまして、そういう意味でまことに悲しみにたえないわけであります。ただいまの上級職を通った者だけが新三等にいくんだというようなことは、そんなことは夢にも考えておりませんので、あるいは四等級のままで甲乙にするのもおかしいから、たとえばツルとカメのグループに分けるとか、そういう形で何かセクションをつくる方法があればそれは一つ方法です。これは先ほど申し上げましたように、指定職俸給ができますから、たまたま一等級一つあいたものですからこれを上げただけで、まことにこれはテクニカルな問題でございまして、それにだれが行くか、上級職の合格者だけが行くかどうか、これはもちろん任命権者の人事の方針によることでございますから、これはまたこれで十分御監視いただいてけっこうでありますけれども俸給表の問題としてはこれは何らそういう意図がない。前回お示しになりました御趣旨をうまくこれは実現したものだという実は自信を持ってここに伺ったわけで、それなりに私の落胆も非常に大きいということでございます。
  29. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁ね、私は四等級というのが大体公務員の墓場になっていると。しかるにその四等、三等などにはたいへんな格差があるということを主張いたしました。そこで新三等級つくりまして、それで段差というのを埋めようと——埋めるというのじゃなくして新しい等級をつくって段差も少なくしていこうと、こういうことです。それは俸給表体系全体として見た場合には確かに合理性を持っております。その意味では総裁、私も俸給表そのものが合理性を持っていると思います、今度の新三等というのはですね。しかしながら、これをつくったためにひどいことになっちゃったのです。なぜこういうことになったかといいますと、これは総裁なりあるいは人事院がいろいろ考えておられるところもわからぬではない。しかしながら、御承知のように、学歴偏重というのは役所においてはどんどん強まっておるのですよ。これはもう学歴偏重にはっきりつながったものですよ。御承知のように、人事院採用試験、上級職、初級職、中級職という採用試験、あれは採用なんですね、資格じゃないのです。あれはいまや公務員の間では、役所の中では、役所の人事を取り扱っている者はレッテルに考えているのですよ。資格に。人事院総裁考えないとおっしゃるでしょう。それと同じくらいの差があるのです。資格になっている。レッテルなんです。おそらく、私はここで言えることは、四等級というものがそのままこれを上げるということにされればよかった。そのまま上げていく。それに伴って五等級引き上げるし、六等級引き上げるというようなやり方であればよかった。ところが、新三等級をおつくりになったためにこれはもう非常なものですよ。これはとんでもないものです。これは何といっても今度の大きなミステーク、私はそう思うのです。学歴偏重にならないというなら説明を聞きますよ。聞いていいですよ。一貫しているのです、これは。  そこでもう一つ総裁に伺っておきますが、この新三等に対して俗称管理職手当俸給特別調整額、これを出そうというふうに人事院が決意をされた。あるいは四等級の中にも一部そういうものを出そうという決意をなすったというふうに聞いている。従来、各省においては、四等の人たちの中のある者に対して管理職手当を出そう、俗称管理職手当を出そうという七、八年の念願があった。それがいままで毎年々々実現してこなかったのですが、今回人事院は新三等というものをつくった際に、新三等級に対してそういうものを出そう、あるいは新しい四等級に対してそういうものを出そうというお考えを持っているという話を聞くがどういう考え方を持っておられるか。この管理職手当というもの、俗称管理職手当というもの、これは俸給表上おかしいものだ。昭和二十八年にできたのですけれども、できたときは人事院は反対なすったはずだ。あたりまえだ。それは局長課長というのは指揮監督の責任を持っておる。それは職務の中の重要な要素だから、その職務を含めて俸給表というものがきまっているはずだ。それ以外に特に管理監督の任務などというものはないはずだ。にもかかわらずそういうものをつけて本省の課長以上というものは二割五分給与引き上げる。こういうために人事院としても最終的には妥協されたような形でこの特別調整額というものができた。ところが、俸給はどんどん上がっていくと廃止するでしょうが。いま指定職俸給表の中の甲は廃止になったでしょう。給与を上げればそんなものは考える必要はない。だから廃止する。しかも本来俸給を上げていけばこんなものは要らない。まあ大蔵省はじめ政府の主張はそういうところにあったのです。私はどうも人事院が昭和二十八年当時一貫して反対してきたこの特別調整額というものに対してこの際踏み切ろうなんというようなさもしい考え方というか、あるいは何か変に圧迫されたような押され過ぎたようなところへ後退されるというのが私は理解がつかない。決意があるというが、どういう決意があるか聞いておきたいと思う。
  30. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 今回の報告勧告の中におきまして特別調整額のことも触れております。これは予算をある程度見込むという必要がございますので、そういうものも触れております。しかし、このことは法律事項ではございませんで、人事院規則でやる事項でございます。そこで従来人事院特別調整額についてどういうことをやってきたかと申しますと、これは御承知のように、発足当初におきましては超勤の振りかえということであったのでございますが、現在給与法に示してありまするように、管理監督の職にある者で人事院が必要と認めるものにこれをつけるということで現在はその趣旨に従って運営をいたしておるのであります。当初は超勤の振りかえでやりましたので、超勤予算が必ずしも合理的についていないようなところは当初は取り上げられなかったという経緯がございます。その後におきまして、たとえば行政部内における出先機関等の長あるいは研究機関等におきまして、やはりこれは全体のバランス関係におきましてこの特別調整額範囲をふやしていったということは御存じのとおりでございます。  そこで今回新三等級を設けるからそこでやるというようなことではないのでございまして、われわれは現在の行政部内、主として行政部内のことでございまするが、行政部内におきまして出先機関において必ずしも現在の特別調整額体系が整備しておらないという現実の状況がございます。そういうことも考慮いたしまして、これをできるだけ出先機関等におきまして整備してまいりたいという問題を考えたのであります。  そこでそれは本省段階でもやるのかというお話が次に出てまいろうかと思いますが、現実問題といたしまして、本省の補佐の間におきましては現在超勤を非常に多くやらざるを得ないようなところと、それから事実問題としてあまり超勤のないところ、すなわち現在超勤の開きが非常に大きいというような現実の問題もございまするので、そういう観点から特別調整額が支給されますれば超勤は廃止されるということになる。これは実際問題として踏み切るとすれば非常な現実収入面におきましてアンバラが起きるというような問題を包蔵しております。したがいまして、こういう点につきましても十分考らなければならない問題が残っておりまするので、これは十分慎重に検討をしてまいりたい。とりあえずは、本省段階等におきましてはこれを即刻やるというような気持ちはございません。
  31. 下村定

    委員長下村定君) ただいま増原給与担当国務大臣が出席されましたので御報告いたします。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 公務員制度の担当大臣がお見えになりましたので、実施の時期についてお尋ねをしたいと思います。これはまだ十二日に出て、一日置いてきょうの話ですが、実施の時期についてどういうお考え方をお持ちになっているのかお尋ねをしたいわけです。参議院の内閣委員会人事院勧告出ますと毎回論議されることなんですが、人事院勧告を尊重すると政府はよくおっしゃる、尊重する尊重すると。しかしながら、その尊重するということの焦点は三十五年以来どこにあるかと言いますと、俸給表がどうだとかいうような、あるいは率をどうするとかいうような問題ではなくして、実にその実施時期にかかっておるわけです。それが尊重するかどうかということの焦点になっているのです。しかも三十五年以来四回にわたって今日に至るまで、人事院勧告は五月一日実施というはっきりとした明示をしておるにかかわらず、それを十月一日といと形で今日まできておるわけです。今回人事院勧告を見てみますというと、従来の勧告と非常に違った文句が出ておるわけですけれども、その一つは前文のようなところに出ておりますが、それは「多くの省庁から給与改善についてし烈な要望が行なわれてきている。」こういうことを書いてありますが、これはいままでこういうことば勧告の中には一切見えなかったことですが、これは私は政府首脳部等々が相当人事院に対して熾烈な要望を行なわれたことだと思う。ところが、人事院がこういう文句を出した真意は、私は要望はするのだが、閣議なりあるいは事務次官会議というようなところではさっぱり人事院勧告をすみやかに実施せいなんていうような活動なり、そういう要望が行なわれていないというようなことに腹を据えかねて、こういうことばを出されたものだと私は推定している。もう一つこの勧告の中で従来と違っておりますのは、一番最後のところに、勧告の一番最後に書いてありますように、過去四年にわたって毎回その実施が十月に繰り下げられた、そのために一般職国家公務員給与は、常に民間給与におくれた結果となっているということを指摘したい、こういう前文と最後と両方で締めくくっている形になっておりますが、したがって、私は今回の人事院勧告について人事院当局は容易ならない考え方を持って政府に対して勧告し、並びに国会に対して勧告しているものだと思っております。従来実施の時期について、いや来年はそういうことにならないように努力したい、給与担当大臣としては努力いたしますというようなことで、いつも遺憾でございました、遺憾でございました。来年はそういうことのないようにいたしますというような話なんですが、四回も続いてきたのではこれは容易でない。ですからこの点について給与担当大臣として、とにかく公務員制度担当大臣としてどの程度のどういうお考えを持っておられるのか、それを聞きたいわけです。
  33. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) このたびの人事院勧告について鶴園委員指摘されました二点、従来のものと趣の変わったものであると、私も了承をいたします。政府としては、毎々申し述べておりまするとおり、人事院勧告はこれを尊重をするというたてまえをとっておるのでございます。今回もそのたてまえをとることは変わらないわけでございます。ただ端的にお尋ねになりました実施時期の問題につきまして、給与担当を仰せつかりました私といたしましては、実施時期をも含めまして人事院勧告を尊重する線で努力をいたしたいと考えておるのでございます。ただ御承知のように、この勧告実施しまする際の所要経費概算は平年度において千七百十億、五月一日実施をいたした場合の本年度の分として千六百十八億という経費が所要となるわけでございます。これを調達をするための考慮というものは、政府部内においても関係各省の間で十分に案を練らなければ結論の出ない問題でございます。給与担当大臣として、実施の時期も含めまして人事院勧告尊重のために努力をいたす所存でございまするが、まだその結論をここで申し上げるには残念ながらその段階でないのでございます。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この七月の十三日の参議院の内閣委員会におきましても主張をいたしたところなんですけれども、今回三公社現業、まあ同じ公務員であります現業の五現業をとってみました場合に、四月末の民間との較差を埋めるということで四月一日から五現業実施する。非現業国家公務員も今回は五現業と同じように四月末の民間給与と均衡をとるということになっておるわけですが、これは十月一日、例年十月一日をとられているのですけれども、本年は特にもう一つ大きな問題として、同じ公務員である五現業が四月末の民間との均衡をとるために四月から実施する。人事院勧告は四月末との均衡をとるために五月だ、こういっておるわけです。同じ国家公務員でありますから五現業と非現業と差別をするというわけにはまいりますまいという一つの大きな問題が私はあると思っております。そういう点について給与担当大臣どういうふうに考えておられるか。
  35. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 仰せのとおりの考慮をもって人事院勧告が出ておるものと了解をしておるわけでございまして、給与担当国務大臣といたしましては、申し上げたとおり、実施時期を含めまして人事院勧告を尊重をしてまいりたいと存じ、その努力をいたすつもりでありまするが、結局結論を得まするまでに、やはり考慮をすべき問題として、財政上の問題、財源の問題というのはこれは何としても無視できない事柄でありまするので、いままだ勧告のとおり実施時期を決定できるというふうな見通しを申し上げるわけには残念ながら至らぬわけでございます。趣旨は、お述べになりましたところ十分了承ができるのでございます。そういう意味で、実施時期を含めて人事院勧告を尊重するよう努力をしてまいりたい、こう考えるわけでございます。
  36. 下村定

    委員長下村定君) ただいま吉武自治大臣が出席されましたので御報告いたします。
  37. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ことしはオリンピックの年でございまして、十月ごろに、公務員人たちが二万、三万名総理大臣官邸に要望に行く、陳情に行く、あるいは労働省、労働大臣に対して、あるいは給与担当大臣に対しまして、二万名、三万名、四万名という多くの公務員が十月に行くだろうと思います。たまたまオリンピックに当たっておりまして、その周囲を二重三重に警官隊が取り囲むというようなことにこれはなりかねないと私は思っております。そういうことでは、政府といたしましても、特にこれはいろいろ外国への体面もありましょうし、お考えにならなければならぬだろうと思いますが、政府の中でも、そういうことをすでに御心配の向きもあるというふうに聞いております。私はそういうような状態にならないように、二万、三万、四万というものが総理大臣官邸に行く、おまわりさんが一ぱいトラックを持って、それを二重三軍に取り囲むということになりますと、これはまたせっかくの一流の日本国もたいへんなことでありまして、聞いてみたら、公務員人たちは賃金が安いというので総理大臣の官邸を取り囲んでおるというような話では、これは私は政府としてもいろいろお考えにならなければならぬのじゃないか。また、政府でもそういうふうな御心配をなさっておられるということも聞いておるのですけれども、ぜひひとつそういうことにならないように格段の努力をひとつ給与担当大臣に要望しておきたいわけです。
  38. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 繰り返して申し上げるようでありまするが、給与担当といたしましては、実施時期をも含めて人事院勧告を尊重してまいりたいと思います。政府として、閣議決定に至りますまでの段階ではあわせ考えるべきものがあるわけでございますので、はっきりとした見通しをいま申し上げられないことは残念ですけれども、その努力をすることで、決定については、一般公務員の諸君にも十分納得をしてもらえるような形において決定をしてもらうようにしたい、こういうように考えるわけでございます。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ給与担当大臣と自治大臣にひとつお聞きしたいと思うのですが、まず給与担当大臣にですが、いま実施時期について答弁がありましたが、どうも私は解せないのです。と申しますのは、あの四月の十七日の公労協のあのスト態勢の中で、その前の四月の十五日の夕方から朝にかけて、総理と太田総評議長が会見なされた。その際に、どういう約束をされたか、あなたはそのときは給与担当でなかったから御存じでないと思いますが、聞いておられると思います。その際には、いまだ仲裁裁定は出ておらない、調停も整っておらない。その際に、あのストを回避してもらいたい、中止してもらいたい、そのかわりに調停がどう整おうとも、仲裁裁定がどう出ようとも、完全実施いたしましょう、こういう約束をされた。そうすると、もうすでに人事院勧告、いわゆる国家の一つの機関として公務員に対する勧告がすでに出ておる、しかも、その実施時期についても今度は相当人事院も決意をして報告内容の中にそれらしい文章が出ておる。それに給与担当大臣は財源が云々、こういうことで、実施時期は今度閣議で決定をするのだ、いまの答弁はやや誠意ある答弁と私は受け取れます。しかし、公労協の実態から見ると、なぜ一般公務員についてもすでに勧告も出ておるのですよ。財源が云々というのは、公労協の場合も財源があります。それをなぜ給与担当大臣は、やはり勧告どおり政府は完全実施します、こういうことを言えないのですか。やはり公務員もストライキをやれ、やればそのとおりやる、こういうことであれば公務員はやります、たとえ違法であろうとどうであろうと。これに対してどういう見解ですか。
  40. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) さきの総理と太田議長との間のお話し合いというのは実はよく承っておりませんのが事実でございます。今度人事院から勧告が出まして、申し上げたように、政府としては従来ともこれを尊重するたてまえをとっておるのでありますが、ただいまもその方針は変わりはなく、そのことは実施の期時をも含めて尊重に努力をしたいと申し上げておるわけですが、しかし、それにもかかわらず、直ちに勧告のとおり実施時期を含めてそのとおり実施できるかどうかは、まだ現在のところしっかりとしたお答えを申し上げられない状態でございます。しかし、そのことが、実施時期をおくらせることが勧告趣旨からいって公務員給与という面から適当であるという考えをいま持っておるなどということではありません。しかし、この勧告実施する場合に、従来、政府としては考えるべき問題がほかにもある。その一つは財源の問題、他の諸施策との振り合いを考えると、財源の問題になるわけでありまして、そのことは政府としてもそういう決定になることはたいへん残念であるのであって、たいへんそれを適当として喜んでやっているのでは、従来ともないわけであります。しかし、そういう事情も考慮をしなければならぬという現実のあることは事実でありまするので、その点はなるべく早く関係大臣の協議を持って、そのことを決定したいと思うわけでありますけれども、現在のところは、実施時期をも含めて勧告を尊重することにしたく、その線において給与担当大臣としては努力をいたしますと申し上げるほかはないのでございます。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたにそこまで追及しても無理だと思うけれども、過去四回とも同じことを繰り返しておるのですね、実施時期の問題ですよ。内容の問題については、それはいろいろ検討しなければわからないでしょう。相当くろうとでもこの勧告を一日、二日で理解をするのはむずかしいと思いますが、実施時期というのは政府の決断だけですよ。それが四回とも五カ月間ずらされておるのですね。準公務員という取り扱いをされている公労協の諸君も、また五現業の諸君もすでに四月に上がっているのですよ。なぜ一般公務員だけ、大蔵大臣なりあるいは総理大臣の答弁は、私は本会議で聞いても財源々々と言います。財源ということは幾らでも財源に影響をいたします。そういうことを言っておれば、いつまでたっても人事院勧告実施ということはできない。私は四月から実施ということは当然だと思っているのですよ。それを人事院調査関係で一カ月ずらして五月実施ということを言っておる。しかも、遠慮がちに言っておる。それすらも政府が過去四回とも人事院の意見を無視して十月から実施するということについては、一般公務員の政府に対する不信というものがどう出てきても政府は責任を持ちますか。それをはっきりひとつ聞いておきたい。
  42. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 申し上げておるように、給与担当として実施時期を含めて人事院勧告を尊重していきたいと思っておるのでありまして、実施時期を若干とも切るということが公務員の諸君に対していい影響、感じを与えるなどとは決して思っておらぬわけであります。しかし、国政全体をまかなう立場において考えられる場合に、財源の問題というものを考慮せざるを得ない場合があるわけであります。そのことについて、いまはっきりした結論を申し上げられないということでございます。しかし、趣旨として、実施時期を含めて人事院勧告はなされておるわけでありますから、これを尊重するために努力をしてまいりたい。そのことは繰り返して申し上げるわけですが、しかし、さればといって、財源その他、財源ということは国の全体としての重要施策の遂行ということの意味であるわけであります。そういうものを彼此勘案をした場合の考慮の結果が別にあらわれ得ることも——その場合には十分納得のいく説明をすべきであろうと思いますが、そういうこともないとはいえないといういまの状態であるということを御了解を願いたいと思うのでございます。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 重ねて言いますが、国政全般と言われたのですが、私は閣僚の一員として国政全般——この前の給与担当の大橋労働大臣は、三十八年度の人事院勧告のこの問題でやったときは、そういう答弁でなかった。あの人は給与担当大臣いわゆる全公務員給与をあずかる者として、もっと積極的に答弁されておる。閣内でも、これはほかの大臣から聞いたのですが、閣内でも相当、本年は、三十八年の十月実施はいかないということを相当言われた。これは田中大蔵大臣がともに来て、大橋君はそう言ったけれども、やむを得ずそうなったのだということを言われたから、私は大橋労働大臣の努力というものは、やったという事実は、結果は別だが認めたのですが、あなたの場合は、とにかく給与担当大臣として、人事院勧告が出れば、内容の問題はいつも言っているように別ですよ。いろいろ問題はあるのですが、実施時期はこれは政府の決定を待つだけですよ。それが何か私は聞くのは、大橋労働大臣の答弁から聞くと、何か消極的な一歩後退したような印象に聞こえるのです。あなたはやはり給与担当大臣として公務員の生活を守る立場にある。人事院は別の立場におる。そのあなたが、これはどうしても五月から実施すべきである。私はそういう方向で努力する。そうしますということはあなたでは言えないと思う。総理大臣でもなかなか簡単に言えないと思う。そのくらいのことをあなたが言って今後閣内をまとめてもらわなければ、本年もまた昨年と同様に十月だと、同じだということになればたいへんですよ。五回目ですから。どんなにおとなしい公務員でも今度は私はそう黙っておらないと思う。私はおどすのじゃないですよ。公務員の私は常に意思を聞いておりますけれども、公労協の諸君が四月十七日のストをかまえたということは、私は相当決意があったと思う。政府は違法だ、違法だと宣伝しましたが、その二日前ですか、総理大臣が出てきて、こういうことにするからという条件を出してようやくあれがおさまったのです。公労協はおさまった。公務員の場合は、しかも勧告が出た。出たけれども昨年どおり政府はごたごた言ってまた十月だ。そういうことではおさまりません。たびたびあなたに言ったってあなたの答弁はそれ以上出ないと思いますが、私は先ほど言ったように、給与担当大臣として、まだなられてからわずかな月日ですから、なかなかまあむずかしい閣内の事情があるか知りません。それはわれわれの知るところではない。少なくともあなた給与担当大臣を引き受けたのだから、引き受けた以上はやはり熱意と勇気を持ってやってもらわなければ困る。その点どうですか。
  44. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 給与担当大臣としては、一般として初めから申し上げておるとおりでございまして、実施時期を含めて人事院勧告を尊重する、そういう方向で努力をするということはもう申し上げておるとおりでございます。先ほどの御質疑実施時期をいつにするかというふうにお問いになっておるので、政府として決定をまだする段階に至っておらないということを説明をつけ加えたにすぎないのであります。給与担当としては、実施時期を含めて人事院勧告を尊重したい、したがって、その線に沿って努力いたすつもりでございます。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 簡単に聞いておきますが、人事院勧告の五月一日の実施ということについてあなたは妥当であると認めておるのかどうか。あなたの先ほどの答弁から聞くとどうもあいまいなんです。勧告は五月一日実施、公労協は四月一日から実施しておる。準公務員公務員と一体的な立場にある人たちは四月から実施しておるのです。勧告は五月と出ておるのだが、それが妥当であるかどうか、認めるかどうかということを言っておるのです。それをあなたは何かごたごた言っておられます。それを認めた以上はそれた対して努力をする。政府はそれに対して、五月実施——われわれ五月も不服なんですよ。四月実施が適当であると思うのだが、人事院勧告が五月といっておるから——政府は五月一日実施するよう努力するのだと言っておられるけれども、先ほどから言っておる、努力する努力すると、人事院勧告が妥当であるかどうかということを聞いておるのですよ。
  46. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 人事院勧告については現在周到に検討をいたしておるところでございます。しかし、まあ概括的に申してこの勧告を尊重すべきものであるというふうに考えておると申し上げて差しつかえないのでございます。実施時期につきましてもそういうふうに概括的に申し上げていいと思うのでございます。従来も政府のほうでやむを得ず実施時期を十月にしました場合も、五月一日を不適当と認めるという言い方をしておらないように思うのでございます。別のやむを得ざる理由によるものであると思うのであります。現在私はなお検討をいたしておるところでございまするが、概括的に申して人事院勧告を尊重すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 尊重をするということと妥当だということについての使い分けをされておると思うのですが、私が言っておるのは、この内容についてはなかなかそう簡単に出ませんから言ってない。実施時期は政府の決断だけでやるのですから、それだけ追及しておるのですが、どうもあなたの場合はまあ努力するということですが、最後に言っておきますが、もし昨年と同様に、過去四回と同様なことになれば、相当あなたの責任も私は追及したいと思いますが、まあ初めて給与担当大臣になられてここできゅうきゅう言わしてもいけませんから、同じ参議院出身だからこの程度にとどめておきます。十分わかりましたでしょう、われわれの意思というものは。わかったですか、どうですか。その点。
  48. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 御意思がわかったかどうかということですけれども、申し上げたとおりでございまして、人事院勧告を尊重をすると、その線に沿って給与担当大臣としては努力いたしたい、こういうことでございます。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃあまたの機会に、これはもう大蔵大臣が一番反対するらしいですから、またその時期にひとつ別の角度から聞きます。  次に自治大臣にひとつお聞きしておきます。また自治大臣は初めてで、またいやなことを申しますけれども、しばらくはがまんしてください。  まあ地方公務員の問題ですが、例年でありますと、国家公務員給与引き上げ措置をとられたならば地方公務員もそれに準ずるということで措置されるのですが、今回の場合は、いま、給与担当大臣が言われたように、まだ閣議で決定はしておらないが、相当努力してもらうようでございますが、実施時期についても、そういうこともあわせて地方公務員に対しても同様な措置をとるかどうか、この点だけ伺っておきます。
  50. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 国家公務員に準じまして、従来も地方公務員は取り扱っておりまするので、今回につきましても、私は国家公務員に準じましてやるべきであると、かように存じております。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではもう一つ押しておきますが、国家公務員と違って、地方公務員の場合は、地方団体の財源が、いま三十九年度は非常に悪い状態に向いております。したがって、国のほうから何らかの財源措置をしなければ、貧弱ということは悪うございますが、貧弱市町村ではその措置すらできない場合がございますので、その財源措置について十分考えてもらいたいと思うのですが、この点はどうですか。
  52. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) お話のように、最近の地方の財政は必ずしもよくございません。したがいまして、どういうふうになりますかはわかりませんが、勧告が出ました以上は、勧告はできるだけ尊重しなきゃならぬという線においては、先ほど増原担当大臣が言ったとおりでございます。それにつきましての財源というものをいま考えておりますけれども、地方交付税というものをどうしても増額しなきゃならぬでありましょうし、また、一般の地方税の自然増収がどれくらいありますか、いまのところはまだわかりませんけれども、いずれにしましても相当の額にのぼるとは思っております。私ども推算をいたしておりますが、地方公務員勧告の線で平年度にとってみまするというと、総計千百八十三億にのぼるのであります。これを勧告のとおりに五月から実施いたしましても千七十二億という数にのぼるわけでございます。もちろん、その中には交付団体に対しては八百八億、非交付団体が二百八十四億でございまして、そのうち、義務教育費の国庫負担とか、その他国の負担が約二百十億ございますから、差し引きますと、一般財源として八百六十二億という財源を考えなきゃならぬという問題にいまぶつかっておるわけでございます。これらにつきましては先ほど増原担当大臣から申しましたように、関係閣僚と相談をして進めたいと、かように存じております。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこでこれはいつも問題になるのですが、国家公務員に準じてということで措置されるのですが、現在の給与自体が、地方公務員の場合は国家公務員と違って、おのおの各地方公共団体別に較差がありますね。それを準ずるということですが、低い町村の給与に対して、自治省は毎年給与引き上げのあった場合にいろいろと手当てをされておる。この点は私はまあ一応妥当な指示であると思っておりますが、本年もやはり特に低い町村の給与について何らかの措置を自治省で考えてもらえるかどうか、例をもって申しますと、こういうことです。人事院の今度の調べによりますと、本年四月現在で国家公務員の場合は三万二千円程度になっております、一般平均標準が。ところが、町村の場合はわずかに二万一千ないし二千円、二万円ほど低いところが相当あるのです。こういうことでは、われわれとしては同じ公務員として地方自治体の公務をあずかる者としてはどうもいけないということでいつも国会で問題になるのですが、これをなるべく早く国家公務員に準ずると申しますか、それに到達するような措置考えてもらわなければいけないのですが、これに対して自治省はどういう考えを持っておりますか。
  54. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) お話しのように、地方の公共団体におきましては、いろいろの較差があるようでございます。しかし、御承知のように、地方公務員国家公務員に準じて改定していくべきものでございますから、低いところにつきましては、それだけのめんどうを見ていかなきゃならぬと思います。しかしながら、実を申しますと、団体の中では、国家公務員よりも非常に、というほどでもございませんけれども、まあ高くなっているところもございます。しかし、これも私のほうといたしましては、国家公務員給与のベースを基準として、それについてどれだけ上がればどれだけ要るというようなことで、従来もやっておるようでございますから、まあきちっと、各団体がどのようにするかは、自治体のことでございますので、そう私のほうから強制はできませんけれども、御趣旨にできるだけ沿うていきたい、かように存じております。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣の言われるのはそのとおりなんです。ただ問題は、一般国家公務員よりも水準の高いところがあります。六大都市とか、そういうところは相当高くなっておると思いますが、しかし、それは高いとは言っても比較の問題であって、過去長い歴史があるのですが、町村の低給は、そういうことでなくして格段の較差がある、先ほど申しましたように。したがって、国家公務員の場合は、この人事院勧告にありますように、東京で男子独身の十八歳程度の生計費を一万四千円程度に踏んでおられるのですね。それが今度は新制高校初任給が一万四千百円ということで踏んで、合理性を持たされておると思うのです。そういうことから考えて、あれは高いほうについても下げるのだというようなことは言うておられないと思うのですが、大体公務員が生活のできる程度までのことを自治省としても指導してもらわなきゃいけません。これは強制はできません。いまの地方自治法においてはそれはできませんが、自治省においても、行政指導によって、それとあわせて財源措置考えてもらわなきゃならない、こういうことであります。
  56. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) お話のとおりでございまして、やはり国家公務員について給与がこうあるべきだということになりますれば、地方公務員についても同様でございますから——ただ、町村によって低いのはしかたがないなどと言ってはおりません。私のほうとしては、できるだけそれに合わしていくように努力をするつもりでございます。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあたびたび執拗ですが、もう何回やっても、実際そういうとおりにいなかのほうではいっておらないのです。私は今度九州各県を回って、特に町村を調べました。依然として、もう初任給すら国家公務員の一万二千四百円、試験採用でない一万二千円ということどころか、一万円を割ったもので新制高校を出た人を雇っておるところが相当あるのですね。こういうことは、政府はこれを強制的にこうせいということは言えないけれども、県の地方課を通じても、地方課も、出たやつを抑えるにはきゅうきゅうとして抑えてかかるけれども、低いものについてこれを引き上げるように指導する熱意が非常に足らないのです。まあ行政局長、そこにおられるから、行政局長答弁してもいいですよ。まあ新しい大臣ですから、失言させたら大事だと思いますからあなたがやってもいいが、そういうことを自治省は今度は真剣にやってもらわなきゃ困ると思うのです。それには、やはり町村長に聞くと、こういうことです。そのとおりやりましょう、やるかわり、お金をもらいたいと、こう言うのです。町長は。したがって、いまの地方公務員法とか、給与法とかいうものについては全然もう何も理解がないのだ。お金をくれたらばやるのだ、政府がきめたのだから、政府がやってくれたらいいじゃないか、そういう、われわれから見れば放言にひとしいようなことで、そのままやっておるところがあるのです。こういうことでは、私は今後もしそういうことを続けていけば、ますます私は地方の町村の職員のいわゆる考え方というのは変わってくるから、この点、今回は特にその点に重点を置いて指導してもらえるかどうか、この点についてもう一回ひとつ自治大臣に聞いておきます。
  58. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) お話のような実情はあろうかと思います。しかし、今日はだんだん人手も不足のような状況でございまして、従来のように、ただ安く入れるといってもなかなかそういい職員もとれないような状況でございますから、私は以前よりはだんだん近づいていきやすいのじゃないか。私のほうといたしましても御趣旨に沿うて私は努力するつもりでおります。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうも吉武自治大臣は、自治大臣まだどっちかというと新米というと悪いですけれども、初めてだから。それはこういうことなんです。町村役場で優秀というと悪いのですが、若い人たちは残らないのです、残らない。来るといって、高く雇うから来るのじゃなくて、公務員のそんな給料じゃ来ないのです。全部都会へ行っちゃう。行政水準が下がっちゃうのです。こういうものを自治省は重大視しなければならぬ。それで私はやかましく言うんです。われわれは給与だけ引き上げたらいいと、そう簡単な考え方ではございません。そういう町村の若い人が来ない。それと同時にたんのうな人が出ていってしまう。こういう現象が起きておる。したがって、男女のウエートがずっと変わってきている。女子のウエートがずっと高くなっておる。それは私はいいと思うのです。やり得るのは女子でやるべきであるけれども、女子でやれない分までも女子に負担させようという傾向が来ておりますので、今回は特に考えてもらいたいということと、もう一回、財源措置についてはどういう方法考えるかということを、これをひとつ行政局長あなたちょっと教えてあげてもいいですが、これをひとつ言うてください。
  60. 柴田護

    説明員柴田護君) 地方公務員給与改定に関しまする態度と申しますか、考え方につきましては、先ほど大臣からお話し言われたとおりであります。ただ、財源をどうするかという問題は、従来から、従来のあり方から言いますならば、補正予算の際にそれによってはね返ってきます地方交付税の問題、この増額、交付税がふえてまいります。この交付税のふえた分を見返りにして措置をしていきたいというのがここ数年のしきたりでございます。地方財政の実情から言いますならば、同じような何らかの措置をとってまいりませんと、今回のような勧告に必要なる財源措置はできないと思います。ただ現状におきましては、経済の実態が明確でございませんので、税収入がどのようなかっこうで変動していくかというようなことが国家財政もわかりませんし、地方財政につきましても同じように見当がついておりません。したがって、これが明らかになってまいりませんと、なかなか個々の具体的な財源対策の内容というものは明らかにならない。現在の段階ではどのような財源措置ができるかということははっきりお答えいたしかねるというような状態になっております。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはたいへんだ。あなたの言うことをいうと、増原国務大臣の言ったように、税収入のいわゆる地方財政あるいは国家財政の見通しがなければ財源措置は悪ければできない。こういうことではわれわれとしては納得できないですよ。現在あなたも御存じだと思いますが、エキスパートだから御存じだと思いますが、地方財政は三十九年度は上昇をたどっておりませんよ。府県税の事業税については、これはいろいろ問題あると思いますが、その他の住民税なりあるいはその他の諸税からいっても、収支の状態は上昇しておりません、上昇しておらない現状にある。したがって、悪いということはわかるのです、これに対して自治省は何らかの手当てをしなければ、冒頭に、私に自治大臣が答弁されたように、準じてやるといってもやれない市町村が出てくるということです。そういう懸念があるから私はお尋ねしておる。その場合でも、それは何もできなければしかたがない、やらぬでもいいということになるのですか、その点を聞いておきます。
  62. 柴田護

    説明員柴田護君) 私どもといたしましては、現在の段階においてこれに対する財政措置内容を明らかにし得ないということを申し上げたのでございます。したがって、国が給与改定をやるということであれば、これに準じて地方公務員につきましても同じ給与改定が行なわれるべきでありますし、それについて必要な財政措置をとることは当然だと思います。ただ、その当然な内容をどうするかということにつきましては、従来とは、ことしの財政状態は若干違うということを申し上げたのであります。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点了解しました。いままでのような地方交付税によって積算するということについては、それはやっておったけれども、今度は特別の方法もあり得るということも検討してやりたい、こういうことですね。
  64. 柴田護

    説明員柴田護君) 大体そういうことでございます。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、総括的にひとつ聞いておきますが、これは自治大臣でなくてもいいのですが、給与担当大臣でもけっこうですが、今度の内容につきましてもわれわれは不満である、人事院勧告自体、内容実施時期が五月というのは。われわれは初めから公労協と同じように四月から実施すべき勧告が当然だと思います。内容については、あなたがおられなかったときに同僚鶴園委員からもたびたび人事院に対して質問をした、再び繰り返しませんが、その内容の不満なものに対しても、なおかつ実施時期も政府独自にこれを勧告を無視してずらすということになれば、私は相当問題があると思うのです。そういうことでございますので、ここで先ほど何べん尋ねてもなかなか言いにくいとは思いますけれども給与担当大臣としても閣内で相当私は努力をしてもらわなければ、国家財政、必ずしも三十九、四十年度私はいい、上昇を示すとも考えておらない、これはいろいろ他の方面でも質問いたしますが、そういう状態の中で相当給与担当大臣は決意しなければ、大蔵大臣なりその他の大臣から相当強固に、私は、あなたに今度五月から実施するのだといってふんばってもらっても、相当他の大臣からの横やりが入ると見ていい、過去の経験から。この意味において、きょうお二人たまたま参議院出というわけではございませんが、そういうようなことは私は言いません、少なくとも公務員——地方公務員国家公務員をあずかるお二人だから、ぜひこの点は、実施時期だけでも勧告を守るのだ、その点を、ひとつ決意を新たにやっていただきたいと思います。この点の決意だけ伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  66. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 先ほども申したとおり、私としては、あなたの御推察されたようないろいろむずかしいことがあると私も想像しまするが、実施時期を含めて人事院勧告を尊重する、その線で十分にいま努力をいたす決意でございます。
  67. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 自治大臣に要望をいたしておきたいのですが、昨年は勧告のときは自治大臣が反対された面が非常に強いのです。それで、去年はえらく自治大臣はそういう意味公務員に対してがっかりさせましたし、また、そういう意味では非常に汚名を残したということに私ども考えておるのです。今回大臣の答弁を承っておりますと、そういうことにはなるまいという気もいたしますけれども、特段にひとつ自治大臣がガンにならないように私としてはこの際要望を申し上げておきたいと思います。  それから、両大臣に要望を申し上げたいのは、今度の勧告の中で、先ほど申し上げましたように、非常に違っておる点がございまして、それは勧告の前文にも出ておりますが、また、先ほど総裁勧告の概要を御説明になったのですが、その中に、本年は早くから職員の諸団体が「し烈」に——「し烈」ということばも入っておりまして、総裁説明でも、そのとおりということでしたが、「し烈」に給与改善の要求が提出されておったということがつけ加わっておるわけです。でありますから、本年はやはりここでいう「職員の諸団体」も容易でない決意を持っておると思いますし、でございますから、ひとつ両大臣、格段の先ほど申された決意で、努力をしていただきたい。こういうふうに私のほうからは両大臣に御要望申し上げておきたいと思います。
  68. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 御要望十分承りまして、十分努力をいたすつもりでございます。
  69. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 私もただいま担当大臣が申しましたように、できるだけ努力するつもりでございます。
  70. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 十二日に勧告が出て、一日置きまして本日の内閣委員会でございますから、政府としまして、おそらくこの勧告内容について、詳細に御検討というところまではいっていないかとも思いますけれども、もし政府としてこの勧告内容について検討されているものがありましたら、私も承りたいし、なおまた、その問題について私も論争したいという気持ちを持っておりますけれども、もしございましたら承りたいと思うのです。
  71. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) まだ特に申し上げるように勧告内容について把握をいたしておりません。
  72. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この勧告内容につきまして、いままで若干の時間をかけまして大要について、おもな点につきましては論議をしたわけです。審議といいますか、論議をしたわけですが、非常にたくさんの問題を私は持っているように思います。  特に、本年の勧告は、従来の勧告と違いまして、いろいろな新しい問題を持ち込んでおります。ですから、これはぜひひとつ、もっといい方向で、ちょっとこれは精神状態が錯乱しておりますから、正常な神経をもっていい方向で、これは政府としても法案提出にあたってはぜひ是正をしてもらいたい、そういう希望を申し上げておきたいと思います。いずれ機会をあらためまして、内容の諸点について、その奇異な点あるいは精神状態が少しおかしいというような点、そういう点についてはあらためてまた論議をする機会もあると思いますから、その点をひとつ御要望申し上げておきたいと思います。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 人事院に、そう長くはかかりません、一点だけ聞いておきましょう。  問題は行政職(二)表ですが、若干考慮されたと言われておりますが、行政職(二)表の状態を見まして、これは前からですが、初任給では、生計費に足らないような初任給で雇われている向きが相当あるのです。先ほどちょっと触れましたけれども、大体、東京都で独身男子の十八歳程度で一万四千円くらいの生計費が要るという資料が出ておりますね。ところが、それ以下の者は、一体生計費もまかなえないという初任給で雇われておる。こういう状態ですが、行政職(二)表のもう少し熱意を持った改善はできないものですか。
  74. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 行政職の(二)表につきましては、たびたびこの席でも申し上げましたように、私どもといたしましては、相当これを重視してまいったつもりでございます。今回の勧告におきましても、さらにその点を考えましてできるだけよくという気持ちでこれを臨んでおるということだけを私から申し上げまして、給与局長から細目をお答えさせます。
  75. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) ただいま総裁が申し上げましたように、行政職の(二)表の改善ということは、これはわれわれとして一番留意をいたしておるところでございます。行政職(二)につきましては、学校を卒業しまして直ちに入ってくるという場合が非常に少ない。すでに経験を持っておられる方が中途からおいでになるというのが多いのでございます。そういう関係上やはり俸給表上の学卒の初任給というようなことよりも、むしろ中途採用の場合の初任給が問題であります。したがいまして、この俸給表上におきましては、これは行政職(一)よりも率においてよろしいように改善をいたしております。これは民間における制度的なものと合わせてみましても、制度的には必ずしもそんなに悪いというような問題は少ないのではなかろうかというように考えておりますが、今回もできる限り俸給表面の改善をいたしたのでございますが、しかし、問題はやはり実施、運営の問題に相当問題が残っているというようなことがございます。今回も俸給表を改正するのみならず、すでに本年の四月から行政職(二)の関係の中途採用の場合の扱い等におきまして常に改善を進めておるのであります。これが新しい俸給表になりますと、もう一段とこれを進めてまいりたい。そのために必要といたしますような経費も一応本勧告実施に伴う経費の中に含めておりまして、そういう面も考え合わせて行政(二)の改善をはかっていきたい、このように考えます。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その改善方法は、具体的にはどういうことですか。
  77. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 最近行政(二)の中におきまして、行政を分けて考えるというのも変でありますけれども、技能職関係と労務職関係、こういうふうにあるわけでありまして、技能職関係ということになってまいりますと、これは民間でも相当上がっておるのであります。したがいまして、端的に例を申しますならば、自動車運転手というような方々の層が相当上がったというような事実がございます。こういう方々に対しましては、やはり初任給を高くする必要がある。そのために従来われわれが中途採用者を採用いたします場合に、前歴の問題をどのように評価するか、あるいは上の等級、たとえば四等級であります場合、上の等級の金額をオーバーラップする場合には、それ以上にはいかさないというようないろいろなやり方をしておったのでありますが、そういうところを改善いたしまして、広い幅の範囲で任命権者の必要な場合には、号俸の広さが行政(一)のようにぴったり、たとえば上級甲の七の二というように、行政(二)のほうはぴったりきまっておりません。非常に広い幅で高い号俸採用し得るというような方途を従来もやってまいったのでありますが、今回はさらにそれを広げてまいりたい。俸給面につきましても、多少事情は違いますけれども同様の問題がございます。そういうこともあわせて初任給で中途採用者を採用いたします場合に、処遇をよくしてまいりたい。そういうことをやりますと、現在在職しております者との逆転という問題も場合によりますと起きてまいります。そういう場合には、必要最小限の在職者の調整ということも当然やらなければならない問題も起こってまいりますが、そういう措置もとってまいりたい、このように思います。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 現在国家公務員の場合ですね、技能労働者と単なる労働者、これに対して前歴加算、あるいはまた、いま言われたそういう措置はどういう方法でやられておるのですか。人事院規則による年齢加算ということでやっておられると思いますが、具体的に、初めて入った場合にはどういう措置現実にとっておられますか、現状はどうですか。
  79. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これはたとえば守衛とか用務員というような方々の場合と、それから技能があります技能職員とは多少初任給のやり方を違えております。で、まあ労務の場合、その経験というようなことをあまり問題にすることは適当でございませんので、その場合には、採用し得る初任給の幅を、十二号俸くらいの幅を設けまして、必要がある場合には、その一番高いところでとっております。それから技能なんかになりますと、免許取得後の経験年数というものを一応問題にいたします。その際におきましても、やはり行(一)その他の俸給でやっておりますのに準じまして、やはりこの中途採用者の場合は、前歴をそのまま評価する場合と、それからやはり若干割り引きをして評価する場合といろいろあるわけでございます。それをまあ緩和してまいるというようなことで従来よりも二号なり三号なり高くとり得る、この俸給表の金額を上げておることはもちろんでございますが、さらに二号なり三号なり高いところでとり得るというような措置をとってまいりたい、このように考えております。
  80. 下村定

    委員長下村定君) ただいま臼井総理府総務長官が御出席になりましたから、御報告いたします。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その場合、技能労働者は別として、単純労務者の場合はどういう方法をとっておりますか、年齢加算ということはやっておりますか。
  82. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 先ほど申し上げましたように、単純労務の場合におきましては、これは年齢加算というようなことはいたしておりません。ただこの俸給表の幅を設けまして、採用し得る初任給の幅を一号から十二号の範囲で任命権者が部内バランス等を考慮して採用し得るという幅を設けておりますので、したがいまして、その幅の中で、実際問題として年齢等も考慮して、任命権者が採用されるであろうということは考えられますけれども、私のほうの規則で、年齢が多い場合にはこういうように加算するというようなことはいたしておりません。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、その場合に六号ないし十二号の幅があるということですか。
  84. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 現在は俸給表の一号から十号のの幅範囲でとり得る、こういうことにいたしておるわけでございます。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、五等級をとってみますと、一号の一万一千八百円から二万七千円までの間の融通性を持たした採用ができる、こういうことですね。そうですね。
  86. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) この労務も、まあ用務員とか守衛とかいう場合に等級とかが違いますが、小使さんの場合には五等級で現在一号から十号の範囲の幅でとり得るということにいたしておるのでございます。それを今回、今度の勧告が法律としてきまりました暁には十二号までそれを伸ばしていきたいというふうに考えております。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ自治省に聞いておきますが、いま言われたように、単純労務者の場合にはそれだけの余裕をもって、年齢加算とはいっておらないけれども、そういうものを加味して、その幅で採用でき得るという見解でありますが、地方公務員の場合は、市町村の場合は、特に都市清掃労務者あたりはきわめて初任給は劣悪なんですね。したがって、いま言われたそういう幅なんか全然考えておらない。一番最下級のもので雇っていくということしか考えておらない。それがいろいろ組合との間の話し合いで、一号アップするとか、二号アップするとかいうことでやっておるのですが、こういう点はひとつ、特に現業関係は地方公務員多いのですよ。そういうものに対しての指導を、今度の場合は、国家公務員がそういう方法でやるのだからそれに準ずるといつも言われるのですから、そういう方向で単純労務者のやはり採用をされたときの初任給というものはやるべきであると思うのですが、その点自治省当局はどう考えておられますか。
  88. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 単純労務者の初任給の決定についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、単純労務者の中でも、特に清掃労務者につきましては、いろいろ問題のありますことは私ども承知をいたしております。ただいま人事院のほうから御答弁のありました趣旨もよく検討いたしまして、御趣旨にできるだけ沿うように今後研究をしてまいりたいと思います。
  89. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 趣旨に沿うというのじゃなしに、これはぜひひとつそういう指導をしていただきたいと思うのです。でなければ、もう今日この都市清掃——都市清掃だけじゃございませんが、ああいう単純労務者という、働く人がだんだんとなくなっていきますから、ぜひこれは人事院国家公務員はそうやっているのだから、あなたのほうは準ずるということで押えてくるのですから、今度の場合はぜひひとつ励行するように、先ほど大臣が言われたようにわれわれ理解していますから、それを強制してやれとは言いません、言いませんが、やはり自治省としてはそういう正当なことは、こうあるべきであるという指導はぜひやっていただきたいと思うのですが、それは約束できますかね。
  90. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) そういう方向で指導するようにいたしたいと思います。
  91. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃもう一つ。これは大臣に聞きたかったのですが、ちょっとぼくは落としてしまったのですが、これは局長でけっこうですが、実はこれが一応、国家公務員がどうなろうとも、一応これが決定しますと地方公務員にもやるということは包括して言われるのですが、地方公務員の中に、特に地方公営企業関係ですね。特に交通関係が非常に赤字が出て問題があるのですが、この前の三十八年度のこの問題のときには、これは財政局長通牒であったか知らないが、それについて問題のある通牒を出されたことを私は記憶しているのですが、まあ現在の体系では、国家公務員の場合は公労協という関係で別な形になっておりますが、地方公務員の場合は、同じ一般職の給料表を準用してやっているのですね。そういう関係からいうと、地方公営企業は、財政が非常に赤字だから非常にこれは困るという考え方じゃなくして、やはり政府は、一般地方公務員ということでこの給与引き上げについては干渉はできないけれども、やはり地元公共団体の長と組合との問題のときには、これに対して自治省は容喙するということはしてもらっては困ると思うのですが、その点ちょっと聞いておきます。
  92. 柴田護

    説明員柴田護君) 公営企業給与の問題につきましては、御承知のとおり、一般公務員の場合とは扱いを従来から異にしております。しかし、給与そのものの水準の問題につきましては、一般公務員と同じような基準に立っておるわけでございます。したがって、そういう意味合いにおきますところの指導、つまり一般公務員に準じてきめられた給与水準にあるものにつきましては、それは当然に給与改定をしていく。しかし一方、企業でございますので、給与改定全体の問題として、非常に高い水準にあるものについての給与改定ということになってまいりますと、その企業の財源との問題と並行して考えていくべきではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。従来からそういう考え方に立っておるのでありまして、給与改定をやります場合におきましては、企業内部の経営の合理化等によって生み出されました財源というものによって措置をする、こういう態度をずっととってきておるわけでございます。したがいまして、財源的にいいますならば、特に公営企業関係につきましては、特別な措置をしてまいっておる。今回におきましても同じ扱いでございますけれども、ただ今回につきましては若干問題が違いますのは、公共料金抑制といったような問題があるわけでございます。そういった問題につきまして、そういった企業についてどのような態度をとるかという問題は一つの研究課題であるというふうに考えております。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくの言っているのは、もちろん地方公営企業については一般財源で措置をしておらないのです。私はそこまで言っておらない。問題はあるが、きょうはそれに触れておらないのですが、この前に企業内で給与引き上げをやろうと思ったら、あなたのほうからそれは相当慎重に考えるべきであると言われたということを聞いておる。そういうことをしてもらっては困る。結局地方公務員ということで同じように号俸を適用されておって、一般職のほうは上がっているのに地方公営企業関係だけは押えていくということならば国家公務員の公企業体のような形にしておらなければならない。しかし、そういう形になっておらない。したがって、諸手当とかそういう問題についてはこれは別の問題がありますけれども、この引き上げについては、自治省はそれについて容喙をしてもらっては困る、こういうことです。
  94. 柴田護

    説明員柴田護君) 別段容喙するとかなんとかという問題じゃないと私思います。地方公営企業につきましても、御指摘のような法に基づいて給与体系ができておりますから、その給与体系についてその給与に関します法条に関する限りにおきましては、国家公務員について給与改定がありますれば給与改定を行なうべきものだと思うのでございます。ただ私が申し上げますのは、公営企業につきましては、それに加えて経済性ということが加わってくるのが当然だ。その面からの配慮があると思います。しかし、それについて、現在の公営企業につきましてはいろいろ特別な問題があるわけでございますので、その点から私どもとしてどういうふうな配慮をするかということになってまいりますならば、その置かれている公営企業水準というものとのからみ合いにおいて判断をすべきである、このように申し上げているわけであります。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ずばり言うと、この前出されたような干渉するような文章を自治省から出さないということだけ言ってもらいたいのであって、あなたの言われることは、もう早くからぼくはよく知っているのですから、そういう各地方の管理者が迷うような、自治省の意向が、どうもこれは上げると問題があるのじゃないかというような誤解するような文章は出してもらっては困る、こういうことです。
  96. 柴田護

    説明員柴田護君) この前の文章をここで山本先生からいろいろ御指摘があったのでございますけれども、あれはあの場合、私がお話し申し上げましたように、給与というものは公営企業給与のあり方についての基本を私どもとして明確にしたのであります。別に干渉するという意思はなかったのであります。しかし、今回特にこの給与改定につきまして、ああいうものを出すか出さぬかということにつきましては、私どもは現在のところは、今回あらためてどうこうするということは考えておりません。
  97. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間がだいぶたっておりますので、残っておりました三点を簡単に人事院総裁にお尋ねしておきたいと思います。今年の勧告の焦点というふうに言われておりましたのは、幾つもありましたですけれども、その中で残っております点は、先ほど山本委員が質問されました行政職俸給表の(二)、これをどのように改善されるかということが焦点のように私どもは受け取ったわけです。総裁もこの点については、従来よりも増して熱意をもって処理をしていきたい、こういうことだったのです。この行(二)という俸給表がどういうような俸給表であるかということは、ここで繰り返して申し上げることはやめますが、しかしながら、出てきた結果というものは、総裁が従来よりも一そうの熱意をもって努力をしたいということについては、ほど遠いと私は思います。それは行政職俸給表の(一)の三短を入れて改善率というものは、本俸に対しまして九・一%です。行(二)のほうは三短、あるいは六短を入れまして俸給表改善率は九・五%です。ですから、こういうことでは、私は行(二)の問題について、総裁が従来以上の熱意をもって改善されるというふうには受け取りがたいわけです。非常に悪い俸給表なんですから。ですから、これは熱意が足りませんですね。何ぼ言ったって人事院はわからないのです。総裁はこの間、七月十三日のときも、特段にこの点については配慮と努力をしたいとおっしゃったですけれども、結局努力のあとが見られないですね。これは局長からでもいいですが、どういうことですか。
  98. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) これは力を入れたとわれわれが感じているのと、それをごらんになって、それにはあまり力を入れておらぬじゃないかというお立場がございますが、われわれが考えておることを申し上げます。  率で申しますと、ただいま御指摘になりましたように、行(一)は俸給表上の改善率でいうと九・一%、行(二)は九・五%、たいして違わぬじゃないかというような、三短を含めましての数字でありますが、行(二)の場合は六短を含めましての数字でございますが、御指摘でございますけれども、やはりこういう数字の違いという、この程度の違いというものは、われわれとしては相当努力をしたというふうに御理解を願いたいというふうに思うのであります。かりに、行(二)の三等級という辺を見てみますと、これは大体行(一)のどこと対比するということは正確には申せませんけれども、大体七等級あたりと対比して見るのが適当じゃなかろうかというふうに思いますが、そういう三等級という等級は非常に大事な行(二)としては等級でございますが、これは行(一)に比べまして、平均的に改善金額というものが相当高くなっている。この辺はやはりそういうふうに御理解願いたいというふうに思います。また、行(二)の二等級付近は、これは大体行(一)の六等級、あるいは特に五等級にかかっているという辺でございましょうが、この改善金額もやはり行(一)に比べまして、平均百五十円程度高いというふうに、これはやはり相当力を入れて改善をしたというふうに御了解願いたいというふうに思います。ただ、先ほど申し上げましたように、この俸給表上の改善だけでは、必ずしも十分とは申せません。したがいまして、こういう行(二)関係につきましては、採用時に支給いたします給与の額を増額したいということで、俸給表改善のみならず、先ほど申しましたように、等級の中に、初任給として採用し得る場合の幅を設けて、従来からその幅を多少ずつ広げてあるのでありますが、それを今回も広げてまいりたい、このようなことを考えておる次第であります。
  99. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この点は、私は総裁が格段の努力をされるというものには該当しない、こういうものでは。いま瀧本給与局長があちこちおっしゃいましたけれども、これはこういうものでは全くお話にならない。はなはだ遺憾であるという点をひとつ申し上げておきたいと存じます。  もう一つは春闘の問題です。今度は勧告の中にはっきりうたっておりますように、従来の春闘とことしは違った。つまり春闘はおくれて妥結したという点を指摘しておられるわけですが、ところが、それは全然考慮されていない。これは今度の勧告のまた一つの焦点だったと思いますが、全然考慮されていない。全くどういうことなのか、あれだけ調査も特に今度は付記事項として春闘の積み残しあるいは春闘で上がった分についての調査もわざわざされたにかかわらず、これは全然配慮されていない。しいて言うならば、百人以上の企業ということによって差し引きした。百人以上の企業は百人以上の企業としてとらなければならない理由というものははっきりあるわけです。あるのだが、それによって差し引きした、完全に差し引きされてしまった。こういうことになるのですが、本年の春闘分は来年の勧告に出てくるというむちゃな状況になってしまった。どういう配慮を払われたか、状私は配慮を払っていないと思う。あれだけ焦点になっていながら配慮を払っていないというように思います。その点が一つ。  それからもう一つ住宅手当です。これは私はこの資料を見てみますと、まことに簡単な資料を出してあってまことに失敬千万だと思う。もっと詳細な資料を出すべきだと思う。そもそも問題になったのはこの委員会で取り上げたからです。一年、二年、三年、今度は三年目ですよ。にかかわらず、こういう粗末な資料じゃ困る。出さないための資料じゃないか。私は先般も言った。今度もそういうような形跡がきわめて強い。これはやはり問題が住宅施設を持っておるところでそして転勤がある。この二つの条件も考えなければいけない。そういう中でどういうようなバランスをとっているのか。住宅を実際受けている者と受けていない者との間の措置をどういうふうにしているのかという点に問題の発端があるわけです。そこに焦点を合わさないでこういうようなことをやられたのではこれは出さないための調査だ。先般私は何回も申し上げたのですが、これは住宅手当について、もし住宅手当を支給していないとすれば別居手当というものを出しているのではないか。あるいは号俸を若干調整しているのではないか。そういう面まで調査される必要がある。それがない限りにおいては住宅手当を出さないための調査だということを、口をすっぱくして言ったにかかわらず、少なくとも私の手元に来ている資料の関係ではどうも出さないための調査である、こういうふうに感ずる。その点についての説明をひとつ求めたい。  もう一つは、今回総裁内閣総理大臣に対して住宅問題についての要望書を出された。要望書を出されたのですが、これは私はこういう要望書をもって住宅手当というものに終止符を打とうとしておられるのではないか、あるいはそういう方向へ終止符を打つような方向へ誘導しておられるのじゃないかという考えを私は持っております。その点についての総裁考え方を承りたい。これは終止符を打つつもりじゃないか。とんでもないですよ、これは。  それからもう一点。この住宅手当についてはこれは処遇改善というようなことを言っているのじゃない。とにかくいまやほとんどすべての公務員が転職の対象になっておる。かつて七、八年前みたいにごく上の人が三等なりその辺の人が転勤の対象になっており、それ以外の人は転勤の対象にならないという場合にあっては、それは三等、二等のところに官舎があるということもうなづけた。しかし、今日ではすべての公務員が転勤の対象になっておるから、その場合に、受けている者と受けていない者があるじゃないか。それをどうするのかという点に焦点があって、そうして問題を取り上げたはずなんです。これは人事院が積極的に取り上げられたのではないのです。委員会で論議になって取り上げたのです。それについて私はどうも給与改善みたいな考え方でおられるのではないかと思うのですけれども、そういう点について説明を求めます。三点ですね。
  100. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 春闘の関係——これはいずれ給与局長からまた後に御説明いたさせますが、春闘の関係につきましては、御承知のとおり、今回の私ども調査におきましても、付帯的にできる限りの調査をいたしました。また、それ相当の結論、資料が出ているわけであります。それはもう十分考慮に入れてあるつもりでございます。  それから住宅手当の問題の資料の点についての御批判は、これはまたこまかくお尋ねいただければ、わかる限りはこちらでまた御答弁申し上げる用意があると思います。調べて初めて——調べてないことは別でありますけれども……。  それから要望書の件は、要するに、住宅手当の問題と確かに関連の深いことは、これは事実であります。また、住宅手当というものについての調査も、これは昨年もやりました。ことしも不備だとおっしゃいますけれども、ことしもやったのです。何もやらないための調査をやったのではありません。民間ではどういう実態になっておるかということを正確につかむための調査でございまして、実態いかんによってはあるいは手当に踏み切らなければならぬわけです。私どもとしては、やはり民間というものを一応大きなめどにしております関係上、虚心たんかいに調べをとっただけでありまして、何ら他意はないわけです。しこうして今回の調査におきましての結果を見ましても、住宅手当としての新しい制度を設けるだけのデータは出てこなかったということが一つ、それから手当を差し上げるにしましても、限られた八・五というようなワクの中での操作をするのはなかなか困難性があるというようなこともありまして、手当の問題は見送ったわけであります。何も思い切ったわけではありませんが、見送ったわけです。そこで、この住宅問題については別途公務員の国設宿舎というものの付設という問題はこれは絶対の問題です。入りたくても入れないという住宅不足一般の趨勢もそこにつながりますけれども、これは現実の問題として、先ほども申しましたように、世帯を持っておられる中堅職員以下はほんとうに困っておられる。あるいは新規採用をしようと思っても、独身寮も何もない、そういうのが実情であります。そういう意味でやはり国設宿舎にみんなが入れるようにもっていってもらいたい。みんなが入れるようになれば確かに住宅問題は消滅するかもしれません。そういを意味では住宅手当と関連があるかもしれません。住宅手当を何とかネグレクトするために国設施設のほうでやっている、そういう心がまえでこれを進めているのではないので、絶対の不足というものに着目すれば、これは堂々とお願いしなければならぬというのがわれわれの気持ちでございます。そういう意味でお願いしたわけでございます。
  101. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 春闘のおくれの問題でございますが、これはわれわれといたしましても、本年は特に春闘がおくれたという事情があったわけでございまして、従来より多少動きが違っておるというために、われわれの調査いたします四月に現実に支払った給与というものをわれわれは調査するわけでございますが、春闘がおくれたために、春闘の妥結が五月の中旬になったりあるいは多少おくれたりしまして、しかし、それは四月に遡及して支払うものだという事業所があるわけでございまして、そういうのがどの程度あり、それはどの程度の引き上げの率、やったところはどの程度の引き上げの率であったかということはわれわれ調べております。われわれの調査は四月分に現実に支払われましたものを調べるわけでありますが、実際に調査いたします期間は、五月のいわゆるゴールデン・ウィークの済みましたころから六月の二十日ぐらいの間に調査をいたすのであります。その実地調査に参りました際に、その事業所ですでに春闘は妥結しておるが、それは四月以降に妥結した。しかし、四月に遡及して支払うことになっている。その場合のパーセントは幾らかということを調べてまいったのであります。また、調べにまいりましたときに、春闘は妥結した。四月に遡及してすることもきまっている。しかしながら、その率はまだちょっとあとの配分等の問題で違ってくるかもしれぬというようなことで、いろいろな事情があったわけでありますが、調べましたところ、われわれが調べました事業所の中で一一・四%に相当する事業所が四月に遡及して賃金の増額をはかったという事業所であったわけです。そこで、その一一・四%の事業所というものを全体の事業所に還元してみますと、さらに従業員数をウエートしてこれを考えてみますると、約一四・三%の事業所というものが春闘のおくれであるということがいえるのであります。で、現実にその春闘のおくれであったところの平均率は遡及してこの給与改定をやるという平均支給率は十三・二%の数字でございます。これはかねて春闘相場といわれておりました一一%ないし十二%というものと大体合っておる。あるいはその中の高いところに相当しておる数字というふうに見ておりますが、これを全事業所に換算いたしてみますると、そのおくれのために、それがもし現実に四月から支払われるとするならばわれわれの調べより何%アップ率が高かったであろうかということを計算いたしてみますると、一・九%ということになるのでございます。そこでわれわれは、この一・九%という数字は、これは直接にわれわれの勧告に取り入れてはおりません、御指摘のように。しかしながら、今回、従来事業所規模五十人、企業規模五十人でやっておりましたものを、事業所規模五十人、企業規模百人ということで踏み切りましたためにどれだけ率が上がっておるかと申しますと、五十人でやりました場合は七・六という、官民較差は七・六という数字が出る。百人にいたしまして八・五ということになりまするので、〇・九の違いであるということになるわけです。百人にいたしましたためにアップ率は〇・九ふえたということになる。ところが五十人でやりました場合には特別給は四・〇七、百人の企業規模でやりますと四・二六ということになりまして、ここが〇・一九月分の違いがあるわけです。これを一カ月平均にいたしてみますると、一・六%、こういうことになるのでありまして、〇・九、一・六を加えますと二・五、この二・五というものは規模五十人を規模百人に踏み切りましたためにふえる数字でございます。そこで、二・五従来の関係よりはふやしておるということで、従来どおりやりまして春闘のおくれ分を考慮するという場合に比べまして、まあ数字の比較というものははなはだどうかと思いますけれども、〇・六多いことになっている。そういえば先ほどから御指摘がありましたように、事業所規模を百人にするということと春闘のおくれというのは別問題で、だからそういうことを言うのはおかしいというお考えがあるかもしれません。これは当然あり得ることだと思いますけれども、まあわれわれといたしましては、これはいろんな問題をかかえておりまするけれども、これを一ぺんに全部解決するということはなかなか至難のことでございまして、これは漸を追って徐々に改善していくということより実際問題としてはしかたがない。そこで今回は百人に踏み切るということをいたしたのであります。なお、ある時点で調査をいたしますると、どうしても多少ずつおくれが出てくるということは、これはいつの時点をとってみてもそういうことがあると思いますので、やはりそれは調査時点を、ある一時点で押えるということにつきましては避けがたいことであろうかと、このように本質的には考えます。しかし、今回の春闘のおくれというのは大きかったので、その程度を全然無視するということは、これは実際問題としてはできない。しかしながら、われわれは五十人を百人に、企業規模百人に切りかえることによりまして、それは実際問題としては引き上げ率においてカバーし得た、このように考えておる次第でございます。  それから住宅手当の問題につきましては、お手元に提出しておりまする参考資料の第十二表に、住宅施設及び入居割合、住宅手当支給事業所の割合、職務の段階住宅手当の平均支給率というものの調査の結果をまとめまして掲げております。これでごらん願いますと、住宅施設のあります事業所の全事業所に対する割合は七七・九%、これも非常に多い数字であるというふうに思います。ただしかし、それはほんのわずかの施設を持っておってもあると言ってくる場合でございます。住宅施設のある事業所における従業員の入居割合というものを調べてみますと、住宅施設のあります場合、ある事業所につきましては二六・九、こういう数字が出ておりますし、それを全事業所に直してみますと二〇・八、こういう数字が出ておるのであります。それからまた、現在住宅手当を支給しておる割合はどうなっておるかと申しますと、住宅施設があります事業所におきまして、転勤がある場合は四四・一、転勤のないすなわち単独の事業所の場合は二一%、こういうふうになっております。住宅施設のない事業所につきまして、転動のある場合は二九・九、それから転勤がない場合は八・〇、全体を平均いたしますと三〇%、昨年は昨年は三〇%という数字が一八・九という数字でございましたから、これは住宅手当の支給事業所がふえておるということはこれは確かに言えると思いますけれども、先ほど総裁が言われましたように、いま直ちにこういう数字から住宅手当支給ということに踏み切るのは非常にむずかしいと同時に、職務段階別に見ました場合、一般係員クラスの者に出されております場合の平均住宅手当支給額は二千二百八十七円、単身者は千五百三十七円、こういう数字が出たわけです。しかし、これはやはり基準内給与考えるべき性質のものでございますので、これを出す場合に、かりに千円程度出すということをしましても、今回の引き上げ金額のうちの約三分の一ぐらいに相当するでありましょうし、そういうことによって本俸改善ということは、まあそれだけ程度を低くせざるを得ないという問題があるわけであります。で、かりに、ここに出ております程度の数字を基準にいたしますならば、八・五といいますか、七・九、この改善し得べき範囲の中の大部分を住宅手当に使ってしまうという結果にもなりかねないということもございます。そこで、われわれはやはり俸給表の本給改善ということが、これは長い目で見ますれば一番大切なことであるということ。それから直接に問題なことは、中位等級職員及び新規採用職員住宅を確保するという問題が本質的には一番大切なことである。場合によったら転勤の場合に住宅施設の問題も含まれますが、これはやはり公務と民間との場合、民間の転勤のある場合と公務を比較するのが適当だろうと思います。その間に径庭がありますので、これもそのものの本質で住宅施設増加ということをしていただくのが適当であろう、この勧告段階においてはそういうことに相なっておる次第であります。
  102. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間もありませんので、ごたごた言うわけにいかないのですが、ただ春闘の問題は、いま局長言われたように、まあ人事院調査の、大体人事院調査というのは五月の連休明けで、大体五月一ぱいです。五月一ぱいで調べてみて一・九%ふえたというお話ですが、私はもっとでっかいと思うのですが、毎勤統計なんか見ましてももっとでっかいと思うのですが、いずれにしてもそういうものは全く無視した、こういうふうになるわけですよ。で、これは百人以上の企業の問題というのは、これは三公社現業関係もありますから、さらに従来のとり方、先ほど人事院総裁が百人以上の企業をとった理由を説明された、積み残しは全然別個の問題、春闘の積み残しは全然別個の問題、そういうものによってちょろまかしてしまうということは、そういうことを人事院がやることじゃない、おかしい、全然筋の通らないことです。そういうことをするから人事院勧告は信用が全くなくなるわけですよ。全然別個の問題です、これは。重ねて言いますよ。百人以上の企業ということは、総裁が言われたように、理由ははっきりしているのです。春闘のこの問題は春闘の相場の問題なんです。それを全然オミットするということは、そういう横着な心臓ではいけない。  それからもう一つ、これは住宅の問題です。これは私は重ねて毎回言っておるのですが、住宅の増設ということは、それは必要です。しかし、それをやられて、一年に六千や七千の国設宿舎をつくってみたって百年かかるじゃないですかと私は言っているのです。百年待てということですか。これはさっきの総裁の答弁では百年待てということではないと理解しました。続いてこれは検討されるというふうに思います。しかしながら、先ほど私が言ったように、これはもっと親切に調査をしてもらいたい。別居手当という形で出しているところもあるし、あるいは特に調整しているところもあるし、そういうものを含めてやらなければどうにもならないと私は思うのです。親切さがないですよ、人事院は。だから、総理大臣に対する住宅要望書の中に書いているような気持ちで調査をされればそういうことにならない。転勤をするということ、住宅施設があるということ、その条件でやってもらわなければ、転勤する必要がないところはそんなの問題にならないのです。地元に会社ができている、そういうところは住宅手当というものは問題にならないでしょう。一方には現物支給してあるのですよ。一方にはしてないわけですよ。それを問題にしているのですから。  それからさっき局長は、これは基準内給与考えなければならぬというお話がありました。実に奇妙なお話です。それで、いま二割程度の公務員人たちが国設宿舎に入っている。それに相当する金額を基準内給与に入れますか。現物支給しているようなものですよ。いまアパートで四部屋でふろがついて千八百円くらいです。そういう程度で国設宿舎ができている。そういうものを基準内賃金に入れていないでしょう。これをいかにも瀧本さんは、本俸を上げることが大切だからということで逃げられる。これは私は筋の通らぬことだと思う。基準内賃金の中で考えられるべき問題じゃない。いずれにしましても、住宅問題についてはなお非常に大きな問題があり過ぎる。こういう点を私は主張して、きょうのところはこれでひとつ終わりたいと思います。
  103. 下村定

    委員長下村定君) 他に御発言もなければ、本件の調査は、この程度にとどめます。
  104. 下村定

    委員長下村定君) 次に、恩給に関する件について調査を進めることといたしまして、私から若干の質疑を行ないたいと存じます。  去る六月の二十三日、本委員会において恩給法の改正案が審議せられましたときに、当時の総理府総務長官及び現在の恩給局長に対しまして質問及び要望の形をもって私は二、三の点を申しました。その点を現段階において念を押しておきたいと思うのであります。  その第一点は、毎年八月には政府の各省庁から翌年度のための予算概算として新規の要求を含めた費額を大蔵省方面に提出されることになっておるのでありますが、恩給局では、従来この八月にはすでに前年度に法制化されて自動的に支出すべき費目だけを右の概算に計上されまして、新規に行なわんとする施策のための予算は、年末、すなわち各省庁と大蔵省との間に予算折衝が始まるころになって追加要求を出されるというようなふうになっております。これではいわゆる証文の出しおくれでありまして、交渉の時期を失し、また、その法案の成立を困難ならしめている状況であります。よって、今後はかような不利、不便のないように、恩給局におかれまして自主的に、未解決案件中で翌年度に実行せんとするものを予定せられまして、八月の予算概算中に計上せられたいことを要望したのであります。これに対しまして恩給局長からは、この要望に沿うよう努力するという御答弁を得ておりますが、いままさにその時期に達しております。この現段階における恩給局としてのこれに対する御処置を伺いたいと存じます。
  105. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) ただいまお尋ねの件につきましては、御指摘の中にありましたように、前回、私は原則的なしかたにのっとってできるだけ努力いたしたいというふうに申し上げたのでございますが、現在におきましても、もちろんその方針によりまして作業をいたしておるのでございます。  ただ、この際申し上げたいと存じますことは、いわゆる来年度の予算で要求すべき新規項目でございますが、これらにつきましては、御承知のように、非常に広範なものがございます。したがいまして、そのいずれに重点を置くべきか、もちろんこの全部が解決されればそれにこしたことはないのでございますけれども、御承知のように、いずれも、ごく最近生じた問題というよりは長年の懸案でございまして、いずれも非常に困難な様相をはらんでおるものでありますので、現在までにいろいろ検討いたしておりますけれども、従来と格別達った結論を得るまでには至ってないものが相当多いのでございます。しかして、その中で特に私どもがいま重点を置いておりますことは、御承知のように、いわゆる恩給のベース・アップの問題でございます。現存私どもの作業の中心はこの点に置いているわけでございますが、これと関連いたしまして、その他自余の問題につきましても、せっかく作業を、検討を続けているわけでございますので、今日の段階におきまして、おそらく御質問の焦点でありますところの、八月末までに概算要求を出せるかということになりますると、現在のところといたしましては、八月末という時点に合わせましてこの概算要求を行なうということはやや困難のように感ぜられますので、その点を申し上げたいと存じます。  しからばどうするかという点につきましては、これは八月末という原則でございますけれども、その期限内に間に合わせ得るものは、おそらく、いま御質問にありましたように、現在の法制のもとにおける所要額程度にとどまりまして、新規の項目につきましては、若干期日はおくれるのではないか。そうなりますると、いわゆる追加概算要求ということになろうかと存じますが、そういう形におきましても、できるだけ何とか間に合わせたいというふうに現在考えて、せっかく勉強いたしておるところでございます。
  106. 下村定

    委員長下村定君) 昨年のいまごろ、私が同じことを質問いたしましたときにも、新規、要求についてはまだ原案はない。党の関係部会等の意見を聞いてからきめるということでございました。ただいまの御答弁もややそれに近いと思います。  おことばを返すようでありますけれども、私はこれは主客転倒ではないかと思うのでございます。未解決の案件がたくさんあるということはわかっております。しかし、それが何々であるか、どういうことが残っているのであるかということは、恩給局が一番よく御承知になっておると思う。なお、そのいろいろあります案件の緩急をどうするかということを判定するにつきましても、これは当局でないというと適正を失する憂いがあると思います。当局の原案なくして議員の意見を聞いてやるとかというようなことでは、私はどうもすまないのではありますまいか。これではいつまでたっても解決ができません。いろいろ事務上の御都合もありましょうけれども、これはぜひとも予算概算の中に早く組み入れて、それが基礎になって審議に入るというふうにやっていただきたいと思うのでございます。これにつきまして、総務長官の御見解を伺いたいと存じます。
  107. 臼井莊一

    説明員臼井荘一君) 私、先般の内閣改造におきまして、総理府の総務長官を仰せつかりました臼井でございます。いろいろ諸先生方にはごやっかいになることと存じます。まず、よろしくお願い申し上げます。  ただいま御質問の、恩給予算の概算要求についても当然八月の末までに——まあ本年出せということでございますので、それと同様に、具体的に数字をそろえて出すのが原則であるというふうには考えております。ただいま恩給局長の申し上げましたように、新規の問題については、残された問題も御指摘のようにいろいろございまして、ただ、過去に率いて逐次解決しながらも残されただけに、なかなか困難な問題を含んでいる事項が多いようでございまして、そこで、恩給問題審議室を中心といたしまして、この問題について鋭意検討を加えて、そして、ただいまお答え申し上げましたように、ひとつなるべく迅速に、これを、要求すべきものについては予算要求をしたいと、こういう方針で進んでおります。ただ、いまお答え申し上げましたように、なかなか八月中にというのはむずかしい点が多かろうと考えますが、しかし、この点につきましては、ひとつその点の見込みのつき次第に、追加提出をできるだけすみやかにいたしたいと、かように考えております。
  108. 下村定

    委員長下村定君) 御事情はよくわかりますが、なるべくすみやかにこの概算要求が出ますことを重ねて御要望申し上げます。  それから、前回のこの委員会で私が第二に申し上げましたことは、ベースアップの問題であります。前国会で成立した改正案によりまして、一般生存軍人の恩給額につきましては、六十歳未満の者に対する制限が撤廃されました。しかしながら、恩給全般のベースは、一般給与所得あるいは物価の上昇等に対してあまりにも低いのであります。しかも恩給受給者は、政策的にめんどうを見てくれる機関が政府にございません。したがって、いつもみじめな、日の当たらない谷間に取り残されている状況であります。本委員会におきましては、過去、三年前から、附帯決議をもって、政府が恩給受給者の状態を常続的に調査をされ、適時適切に該当者の処遇改善をはかっていただきたいということを政府にお願いいたしておるわけであります。本年の四月、恩給局に設置されました恩給問題審議室、これは承知いたしておりますが、その規模はきわめて小さく、私どもの要求しておりまするものに対しては、はなはだ遠いのであります。が、その当面の任務は、ただいま局長がお話しになりましたように、ベースアップという最も緊急重要な問題に取り組んでおられるということであります。現在のこの審議室の活動状況を伺いたいと存じます。
  109. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 審議室の陣容としましては、お説のように必ずしも十分ではございませんが、実はこの問題は恩給局全体としまして最も緊要な問題というふうに考えておりますので、単に審議室の職員のみにまかせっきりというわけでは決してございませんで、いわば局全体をあげましてこの問題と取り組んでいるというのが事実でございます。  ただ、もっぱら資料その他につきましていわば専門的に調査するのはこの審議室の職員でございます。それらの点につきまして、どのように今後持っていくかということにつきましては、実は私以下、なお、さらに、いわば民間の学識経験者と申しますか、恩給や年金問題等につきまして相当学識経験のある方々にも、いわば非公式的に御意見等を承るというような形で現在進めておるわけでございます。  ただ、いわゆる恩給のベースアップといいますか、恩給の増額改定につきましては、御承知のように、これを根本的に解決しようという心がまえで当たっております関係上、その上におきましては相当検討すべきむずかしい問題をはらんでおるわけでございます。  一つ一つの問題につきましても深く議論をして掘り下げておるわけでございますが、社会保険と一般のいわゆるスライド制との問題等もございまして、それらと全く無関係恩給の年額改定という問題を取り上げることも今日の事態としては必ずしも適当ではごいませんので、それらの動向とにらみ合わせながら、せっかく検討いたしておる状況でございまして、現在の段階でどの点はどういうふうになったというところまで申し上げかねますことはたいへん残念でございますが、以上のような状況でございます。
  110. 臼井莊一

    説明員臼井荘一君) ただいま局長から恩給問題審議室の審議の概要につきまして申し上げたわけでございますが、下村先生から御質問のとおり、現在の日本が、経済的には非常に成長いたしましたが、また、国民所得も非常に平均しては増加いたしたのでございますが、その中にいろいろ格差があるということが一つの大きな政治的な問題でございまして、その格差でも、所得の格差の中におきましてはすでに論じられておりましたとおり、恩給、年金の受給者というこの方々のベースが——公務員のベースは人事院勧告等によって逐次、年々、是正せられてきておるのですが、それにもかかわらず、この恩給また年金のベースが据え置かれていて、いわば谷間にあるということは、これは実際受給者の方々にはまことにお気の毒でございまして、これは何とかひとつすみやかにできるだけ是正の方向に持っていかなくちゃいかぬというふうに私ども考えております。そこで恩給問題審議室を督励いたしまして、できるだけすみやかに問題点を解明して、そしてベース等の格差の是正にひとつ特に努力をしたいと、こう考えております。
  111. 下村定

    委員長下村定君) 長官の御意図はよくわかりました。申すまでもなく、現在の制度でははなはだほど遠いのでございますから、今後ともひとつ十分に御努力をいただきまして、恩給受給者がゆえなく谷間に残されないように御尽力を願いたいと存じます。  これで私は質問を終わります。  他に御質疑はございませんか。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 お初めての総理府総務長官ですから、恩給に関してひとつ聞いておきたいですがね。昭和二十八年に軍人恩給を復活いたしました。当時の軍人恩給に対する考え方は、これはいつも下村さんが主張されておるんですが、私は若干意見が違うんですが、相当考え方が変わりつつあると思うんです。あの当時は階級的な考え方というものはこれはもう後退して、社会保障的に旧軍人を見るんだという主張が相当強かった。したがって、まあ兵隊あるいは下士官、そういう方々については相当優遇する措置考えておったんですが、その後のベースアップの過程を通じて、下部の方々の年金額が非常に低いですよ。間違うておったら言ってもらったらいいんですが、昨年の改正ですか、によりましても、下士官十二年で五万円にならぬ年金額だと思う。私は七万円ぐらいになっておると思いましたが、五万円に足らないような状態だということを言われておるんですが、そういうことでは私はもう恩給という年金の機能というものは全くないと思う。私もいろいろそういう人方に聞きましたが、軍人恩給全般については党としては考え方がありますが、それは一応別として、非常に階級によって差が多くついてきておる。こういう考え方では、私は、現在もうそういう軍人の恩給制度というのは現在はないんだから、もうすでに旧軍人ということで適用されておるんですから、したがって、現在の自衛隊のごとき、国家公務員共済組合法の長期給付によって年金が支給されておる。したがって、もう過去の、旧軍人の生活を保障するというたてまえを堅持してもらわなければ困る。そうでなければ、せっかく出された年金に対して、下部では非常に不満があります。もうすでに来年度予算では一千億をこすんじゃないですか、恩給額全部。そういう状態になって、私は一般大多数のそういう旧軍人といいますか、兵隊といいますか、そういう方々の不満を起こさすということは、国の財政を一千億以上使って、一体だれを救済しておるか、この非難がありますよ。これは十分考えてもらいたい。これは下村さんもおそらく私と同感だと思うんです。そういう点が徐々にくずれておる。まあ今後どういう改正を出されるか知りませんが、また、ベースアップの状態どうなるか知りませんが、これは十分考えてもらいたいと思うんですが、新総理府総務長官の見解を聞いておきたい。
  113. 臼井莊一

    説明員臼井荘一君) この軍人恩給が復活せられました二十八年当時におきましては、確かに議論としては、この軍人恩給についても、敗戦のあとを受けた今日においては、社会保障制度的な考えでやるべきではないかという御意見も、一部には確かにあったように思います。しかし、元来が恩給というものは、多年国家国民に、奉仕とともに努力をして功績を積まれた方々に対して、退職後の生活の保障、こういう問題とともに、やはりその功績というような点も当然考えてあったわけでございまするので、しかし、終戦直後においては、財政力もなかなか許さぬ点もありまするし、まず下に厚く、こういうことで、結果的にはある程度社会保障的なようなふうな形にはなっていた点もあろうかと思うのですけれども、元来軍人恩給というものが、ただいま申し上げたような意味合いのものでございまして、社会保障とはおのずから根本において違う、こういう点がございますので、だんだん国の力が増してまいりまして、たとえば扶助料等につきましても、なるべく下に厚くということで、そういう線はできるだけ堅持はしつつも、やはり軍人恩給という恩給の本質にかんがみた点も一つ加味するのも当然かと、こういう解釈も当然成り立つわけでございまして、そこで上級の位階の方々について、まあ当初はたとえば佐官の上級あるいは将官級は全然改定しないというようなこともあったようでありますが、これもいま申し上げたようなわけで、徐々に国の状態が、経済力が進む、国のすべてが安定していく、こういう事態に応じて、恩給本来の考え方というものも加味されてきたわけでございますが、ただしかし、お説のとおり、この下級者もなかなか十分でございませんので、したがって、なるべく下に厚く上には薄くと、こういうやはり考え方を、財政上の面からばかりでなく、全体が薄い中にも下のほうはできるだけ厚くしたい、こういう考え方というものは持っているということは、これはもう申し上げられると思いますが、非常に微妙な問題でございますが、まあ御意見のところも十分ひとつ承っておきまして、参考にいたしたいと思います。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国の経済力が多くなったから、旧軍人の制度のような恩給考え方に戻すという考え方には、私たちは反対だ、もういま軍人制度というものはないのだから。したがって、私は、なるほど、上を上げちゃいかぬと言っているのではないのですよ。文官でもその俸給によって格差があるのですから、それは私はいいと思う。しかし、あまりにも下の苦労した兵隊とか下士官の年金というものは、ほんとうにもう微々たるものなんですよ。そういうものの不満を買ってまで、一千億以上の国の財政をつぎ込んで、一体政治としてどれだけの価値があるかということを言っているのです。もしもそういう老齢者——軍人はすでに老齢者になっていますが、そういう人を、やはり過去にそういう苦労をしたのだから、国がやはり老後を見てくれるのだという気持ちを起こさなければ、旧軍人恩給の価値はありませんよ。いまの自衛隊が、旧軍人恩給法を適用するというならこれは別ですよ。もういわば死んでしまった法律なんですよ。そういうものに、国の財政をつぎ込む場合に、やはり多くの人を納得さすようなほうに使ってもらいたい。これは政治にあずかる一国会議員としての私のほんとうの考え方ですよ。過去に軍人が階級で手柄があったからというなら、別にやりなさい。そういう点があるなら、勲章出しゃいいじゃないですか。それにもわれわれは反対はしますけれども、私は年金という性格が、あの恩給にはないと思うのですよ。旧恩給制度、それにはない。したがって、そういうわずか——下士官で十二年といえば私は相当苦労しただろうと思うのですよ、職業軍人でないのだから。そういう人に対して、私は国の見方というものは、いま総理府総務長官がどういうことを考えて言われたか知りませんが、もう少し突き進んで年金制度を考えてもらいたい。何のためにやるのです。喜ばれぬ、不満を起こすためにそんなものを出しておったら、これから一千億にも一千五百億にものぼっていくでしょうそういうものをむざむざ使われては困る。別なんです。そういう意味で申し上げておきたい。恩給局長も初めてですから、私の考え方でなくして、やはり国政に参画する、国の財政を使う立場において、そういう点を特に私は要望しておきたい。
  115. 増子正宏

    説明員(増子正宏君) 軍人恩給というものについての考え方の点につきましては、先ほど総務長官から申し上げたわけでございますが、私承っておりまして、特に山本委員考え方と、それから私どもいままでやってきた考え方との間に、それほどの差はないのじゃなかろうかという気がいたすわけでございます。と申しますのは、いろいろと関係方面からは御不満があるのでございますけれども、今日までのやり方といたしましては、やはり総務長官申し上げましたように、軍人恩給のいわば下級者といいますか、兵あるいは下士官等の面におきましてかなり重点を置いてやってきているわけでございまして、その比較で見ますと、軍人の、いわゆる職業軍人あるいは階級の上の方たちの恩給につきましては相対的に不利な状態に置かれて今日にきているというのが実情でございます。すなわち下に厚く上に比較的薄くという形でずっと今日まできておりまして、この考え方を今後急角度に変えるというようなことは私ども考えていないわけでございます。ただいわゆる社会保障的な面でということで私どもまあ御質問の内容を受け取りましたのは、兵、下士官等におきまして、恩給、年金といいながら、きわめてわずかな金額しか受け取っていないということについての御指摘、これは私どももまさに同感でございます。したがいまして、これらのいわば非常に低額の恩給というものについて、いろいろな情勢を勘案しながら、できるだけ引き上げて、もっと恩給らしい、いわば退職年金らしいものに持っていきたいというのが、実は私ども考え方でございます。先ほど来申し上げましたいわゆる恩給のベースアップの問題にいたしましても、もちろんそういう点を考慮しながら何らかの改善策をこの際大幅に進めたいというのが私ども考えでございますので、その点につきましては、御質問といいますか、の御趣旨とは私どもそう違っていないんじゃないかというように感じます。
  116. 下村定

    委員長下村定君) 他に御質疑がなければ、本件の調査は、この程度にとどめまして、本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十三分散会