運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-04-02 第46回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二日(木曜日)    午前十一時三十四分開会   —————————————   委員の異動 三月二十六日  辞任       補欠選任   村上 春藏君   小林 篤一君 三月三十日  辞任       補欠選任   白木義一郎君   辻  武寿君 三月三十一日  辞任       補欠選任   谷村 貞治君   山下 春江君   辻  武寿君   白木義一郎君 四月一日  辞任       補欠選任   山下 春江君   谷村 貞治君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            白井  勇君            最上 英子君            安井  謙君            谷村 貞治君            久保  等君            横川 正市君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房長 武田  功君    電気通信監理官 畠山 一郎君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   説明員    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社経理局長   井田 勝造君   参考人    日本放送協会会    長       阿部真之助君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会経    営第一部長   野村 忠夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○電波法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (東京オリンピックテレビ世界中  継問題に関する件)  (日韓郵政業務等の諸問題に関す  る件)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  電波法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より提案理由説明を願います。古池郵政大臣
  3. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  第一点といたしましては、昨年四月に批准されました千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約の発効に備えまして、電波法中の船舶局無線設備運用等に関する条件を新しい条約の規定に適合させるために必要な改正をしようとするものであります。  第二点といたしましては、昨年の建築基準法の一部改正によりまして、新たに容積地区の制度が設けられ、この地区内では、三十一メートルという従来の高さの制限を受けない高層建築物建築が予想されますので、この機会に、高層建築物その他の工作物によるマイクロ波重要無線通信路障害を防止するための措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  まず、安全条約関係につきましては、義務船舶局無線設備を設ける場所の要件を若干強化し、第三種局乙船舶範囲の下限を三百トンとし、並びに国際航海に従事する三百トン以上千六百トン未満の貨物船船舶局聴守義務時間を一日二十四時間としようとするものであります。  次に、高層建築物等によるマイクロ波重要無線通信路障害防止関係につきましては、高層建築物等による障害から保護すべき無線通信を八百九十メガサイクル以上の周波数を使用する固定地点間の重要無線通信に限ることとし、その電波伝搬路の直下で郵政大臣が指定する区域内において高さ三十一メートルをこえる高層建築物等建築しようとする者は、事前に郵政大臣に届け出なければならないこととし、電波伝搬上の障害となる旨の通知を受けた場合には、まず、建築主関係無線局免許人との間の協議によって障害防止措置を講じるものとし、もし、協議がととのわない場合には、建築主は、通知を受けた日から、公衆通信に対する障害の場合には三年間、その他の重要無線通信に対する障害の場合には二年間、当該建築物障害原因となる部分の工事をしてはならないこととしようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  4. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本案に対する提案理由説明は終わりました。質疑は後日に譲ることといたします。   —————————————
  5. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 次に、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  まず、東京オリンピックテレビ世界中継問題に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 横川正市

    横川正市君 最初郵政大臣に、三月の三十一日に記者会見で、通信衛星の、現有通信衛星ではオリンピック中継が非常にむずかしいという、そういう状況判断のもとに、新しい衛星の打ち上げをアメリカに向かって要請をする、そのための二つの条件としては、一つ資金の問題、一つ係官派遣等について記者会見が行なわれておりますけれども、その真相について説明をしていただきたいと思います。
  7. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 宇宙通信付星を利用いたしまして、今秋行なわれまするオリンピック東京大会実況を、アメリカ、さらには世界各国放送いたしまして、各国の人々に見ていただきたいという希望をもちまして従来努力を続けてまいっておりますることは、いろいろな機会に申し上げておるところでございます。もちろん、これにつきましては、すべてアメリカ協力を絶対的に必要とするわけでございまするので、今日までも、あるいは国務省、あるいはNASAなどに対しまして協力要請をいたしております。  そこで、ただいま打ち上げられておりまするリレー衛星二号あるいはテルスター衛星二号について考えてみます。ると、十月ごろには、軌道の関係から日本から送信するということが非常に困難な状態にあるものと認められるのでございます。したがって、オリンピック実況海外中継放送いたしますためには、やはりその時期において最も適当とする衛星を新しく打ち上げてもらうとか、あるいは近くアメリカが打ち上げるということの予定を承知しておりまするが、シンコム三号を打ち上げられた場合に、これをオリンピックの際に利用することができるかどうか、かような問題がいま眼前に横たわっている次第でございます。いずれの方法をとるかということについては、さらに技術的な検討も必要かと思いまするが、ともかく、いずれにいたしましても、アメリカが積極的に協力をしてくれることが絶対に必要なことは申し上げるまでもございません。そのために、今日まで、あるいは電報、あるいは手紙等によって要請をしておるのでありまするが、今日までアメリカ政府側からは若干の回答は来ておりまするが、まだ具体的にはっきりした回答はもらっておらぬのであります。したがいまして、私の考えといたしましては、近く適当な機会を選んで部内者アメリカ派遣して、直接アメリカ当局に当たって折衝をしてみたいと考えております。  さらに、これに要する資金云々の問題でありますが、その問題につきましても、正式にアメリカから今日まで、日本においてその全部または一部を負担してほしいというような意図は漏らされておりません。ただ、情報によってわれわれもいろいろ耳にはしておりまするけれども、それも、はなはだ不確実なものでありまして、はっきりした内容について把握することができておらぬのでございます。したがいまして、その資金を具体的に今日日本がどのようにして負担するかとか、あるいは負担しないとかいうことを、ここで申し上げるという段階にはいまだ達していないということを御報告申し上げまして御了承いただきたいと存じております。
  8. 横川正市

    横川正市君 この係官派遣の問題ですが、現在、先般の実用通信等に利用いたしましたものを含めて幾つかの通信衛星が上がっているわけですが、これらは独自な、相手側アメリカ考え方で打ち上げられたもので、まあ、日本を含めて第三国がこれに対して要請したものでもなければ、また特別な用務に供するという意味でのものではなくて、明らかにこれはアメリカ実験意味で上げられたものだと私ども承知をいたしておるわけであります。そこで、もちろんそういうものですから、日米間に、オリンピックという特殊な行事があるということで、向こうから相談を持ちかけたり、あるいは用に供するためという便宜の供与という、そういう意味のものも、おそらく現在まではなかったのじゃないか。ただ、たまたま両国間に相当技術的にも可能な分野が出てきたので、そういうことで、両者の話し合いで、一、二度こういうふうに試験通信をやったのだと、こう思うのです。  そこで私は、大臣談話の中にある係官派遣ということは、これはどういう意味を持っておるのか、単にこれは商業上のパテントを買いにいくようなものでもないように思いますし、相当困難な問題があるように承知をいたすわけでありますけれども係官派遣というのは、これはどういう任務を持たせて出されるのか、また、どういう人選をされるのか、そして向こうに行っては何と何を解決してこようとするのか、その任務についてお伺いしたいと思います。
  9. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 確かに、お話のとおり、今日まで打ち上げられたアメリカ通信衛星につきましては、わがほうから要請をして打ち上げられたものではございません。アメリカが高度の技術の進歩のためにこれが実験をしたいという話がありまして、私どももこれに協力いたして、昨年の十一月と本年の三月二十五日、二十七日両日にわたりまして送受信を実験いたしたのでありますが、その結果はきわめて良好でありまして、まず、成功をおさめたものと考えてよろしいかと存じます。将来、通信衛星が一般の公衆通信に利用され、これがひいては人類のしあわせ、また相互理解を深めることによって、世界平和の確保増進のために役立つであろうということは、われわれも考えられる点でございます。  そこで、本年のオリンピック大会は、アジアにおける最初大会でもあり、また、たまたま通信衛星による世界通信技術がかような段階にまで発展してまいりましたので、この機会に、オリンピック実況を、アメリカをはじめ、各国に送りたいという念願を持っておりまするので、その実現のために努力を今日までやってきておるわけでございまするが、ただ、これを実現するためにアメリカ協力要請しておると申しましても、電波あるいは文書によっては、なかなか意を尽くさぬことが多いのでございます。また、先方の意図も、これを完全にまた十分に把握するということが容易でないという点もございますので、私の希望としては、適当な機会係官派遣して、アメリカ真意も直接会談によってこれを知ることができ、また、こちらの希望も率直に向こうに申し述べて、この実現のためにさらに一歩を進めよう、こういう意味合い考えたことでございます。しからば、どういう人を送るかというような問題については全く白紙でございまして、今後十分に検討をした上で実現をさせたいと考えております。したがって、その目的は、アメリカ側協力を一そう得るために努力を重ねる、こういう意味合いでございまして、ただいまちょっと御発言になりましたような特許権云々というような問題は、もちろんその中に含んでおらぬ次第でございます。
  10. 横川正市

    横川正市君 率直に言って、実は私どもは、先般三月の二十七日の本会議NHKの三十九年度予算を議決した直後です。その直後に、三十日と三十一日、前後して郵政大臣談話新聞に出たので、いささか私どもは驚いたわけです。その驚きの第一は、資金の問題とか派遣の問題とかいうのは相当煮詰まったものではないか、そうすれば、これは相当問題があるんじゃないかというので、きょう委員会で事を明確にしたいという意思を表示いたしたわけなんですが、いまの大臣答弁によりますと、資金の問題も、それから派遣の問題についても、まだ具体的に結論を得るまでに至っておらないというような中途の答弁なんですが、本心としてはどうお考えなんでしょうか。  たとえば、アメリカ航空宇宙局あたり考え方というのを新聞記事等で仄聞をいたしますと、前回アメリカが必要に迫られて試験的に打ち上げたりレーとかシンコムとかテルスターとか、そういうような衛星に続いて通信衛星を上げるということについては、それほど熱意を示しておらない。その原因とするところは、いろいろあるんじゃないかと思うのでありますが、そのうち、資金の問題が大きなウエートを占めている。そうすると、これらの問題と関係して、オリンピック担当大臣に実はきょうは来ていただくようにお願いをしたわけなんですが、衆議院の会議で出られないというから、真意をただすわけにはまいりませんが、郵政大臣が代理で答えられるなら答えていただきたいと思うのですが、それは、オリンピックアジアでの大会という、このかってない行事を、世界愛像国電波として送ってやりたいという熱意は一体どの程度のものなのか、技術が許し、それから衛星が上がればやってみたいという程度のものなのか、そうではなしに、ぜひやりたいということで計画をされていることなのか、その点はどちらなんでしょうか、私どもは、新聞記事によれば、佐藤オリンピック担当相は相当強い熱意を示されて、あなたが動いて、そして同調されたというふうにとれるわけですが、それが一体どの程度熱意なのか、その辺はちょっと記事ではわかりませんので、明確にしていただきたい。
  11. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 私は、新聞紙上において、近く郵政省からだれかを派遣したいということはお話ししたのでございますが、これに要する資金の問題につきましては、今日まで私は話したことはございません。と申しますことは、先ほどもちょっとお答えいたしましたように、アメリカ側から資金の問題について何ら日本側要請が今日までないのでございます。したがって、さような段階において、私としてはこの問題を申し上げる段階ではない、こう考えて、新聞記者諸君にも資金の問題についてはお話をしておりません。  それから熱感はどの程度かというお話でありますが、これはちょっと、どの程度ということはなかなか表現がむずかしいと思いますけれども、ともかく、アジアにおける最初オリンピック大会であり、また今後いつ回ってくるかわからないという非常に世紀の大事業であろうと思います。新聞の伝うるところによれば、百数十カ国が今回のオリンピック大会には選手を派遣するということでありまして、オリンピック史上における最大の大会になろうということが報ぜられております。しからば、日本としては、この実況を何とか最新の技術を利用して世界各国の国民の方々に見てもらいたい、こういう希望が出てくることは、これ自然のあらわれであろうと思いまするし、私も通信をおあずかりしておりまする政府の一員として、ぜひこれは成功をさせたい、こういう熱望を持っておる次第でございます。ただ、残念なことには、今日の日本の力から申し上げますと、技術の面はよく私も存じませんけれども、少なくとも多額の経費を要する衛星の打ち上げということについて、この衛星の製作、あるいは日本が独自の力によって打ち上げるということは、まず本年の段階においては至難であろうと考えます。したがって、ただいまの希望実現するには、どうしてもアメリカが全面的に協力をしてくれるということでなければ不可能であろうと考えて、すでに今日までもたびたび申し上げておりまするように、いろいろな方法をもって要請を続けておるような次第でございます。  たとえば、一月に日米貿易経済合同委員会東京に開かれました際にも、私はそのメンバーではございませんでしたが、特に大平外務大臣お話をして、外交ルートによって外務大臣からアメリカラスク国務長官協力要請してもらったような事実もございます。さらに、NASAウェッブ長官に対しましては、私から電報または書面をもって協力要請し、これに対してウェッブ長官から御返事もいただいております。その回答要旨は、すでに当委員会お話ししたかとも存じておりまするが、なおこの際重ねて申し上げまするならば、重要な点が三つございまして、その第一は、NASAとしてはオリンピックのために衛星を打ち上げるという予算はないので、NASA予算範囲内では非常に困難である、第二には、その資金の調達ということについては、現にアメリカにおける関係機関の間で積極的に協議を進めている、第三には、NASAとしてはこの問題を実現するために技術的にはあくまで協力をしたいと考えている、大要こういうふうな意味回答をもらっておるわけでございます。しかし、お聞きのように、はなはだ簡単な回答でありますので、さらにその後の進捗模様等も確かめたり、また、当方の希望を一そう向こうに通じるために、だれか人を派遣したほうがよいのではないか、かように考えて、この間お話をした、こういうような次第でございます。佐藤国務大臣も、先般国会の委員会において、さような熱意のあるところをお示しになっているようでございまして、その点においては、全く私と考えは同様であろうと存じております。
  12. 横川正市

    横川正市君 これは、新聞記事真意をただすのはおかしいわけですが、放送協会阿部会長は、もし、アメリカ衛星打ち上げの費用日本分担してくれということで、日本がそれを承知するならば、衛星を上げるということならば、資金分担については協会で持ってもよい——それからあなたの談話を聞きますと、衛星打ち上げ費用分担という点で、阿部会長意見も十分くみ入れて今後十分善処したい、こういうふうに言われているわけなんで、これは、資金の問題では何も言ったことがないのに記事になるわけがないわけです。ひっきょう、いまのアメリカ宇宙局の現状から、通信衛星オリンピックに間に合うように上げるということの困難さ等の中に、明確に予算の問題があり、その予算の問題を受けて日本国内で、オリンピック世界中継をしたい、それには打ち上げのための予算が必要であろう、こういうふうに関連性をもって私どもはあなたの談話というものを見ているわけなんですが、これはどこかで狂っているわけですか。それとも、まだ話は表面に立たないが、そういうこともあろうということで、内々話されたことが表に出たということなのですか。先ほどは、資金の問題については全然話されておらぬように承るわけですが、私どもの知る範囲内では、そうではない。一連の関連性がずっと出てきているように思うわけですが、その点はどうでしょう。
  13. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この費用の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、情報としてはいろいろのことを耳にしておりますけれどもアメリカ政府側から私のところに対して、これだけの費用を負担できるかどうかとか、あるいは負担すればこの事業協力するとか、そういうふうな話は、何ら今日まで聞いておりません。したがって、私としては、この費用の問題には極力触れることを今日避けております。新聞記事がどういうことであるか存じませんけれども新聞記者諸君の前で、この費用の問題について私はお話をしたことはございません。先般NHK阿部会長お話新聞に出ておったようでございますが、私は、阿部会長がこの宇宙通信衛星を利用してオリンピック実況アメリカに送ろうということに対して非常な熱意を持っておいでになるということを知りましたので、その熱意は非常に私もありがたいことであって、そういう熱意があれば、なおさらわれわれも心強いので、大いにそういう点もくみ入れて今後努力をさらにやりたいと思う、こういう意味のことをお話ししたことはございます。しかしながら、費用云々ということについては、私は慎重に扱っておりますので、何らお話はしておりません。
  14. 横川正市

    横川正市君 郵政大臣、もう少し率直に言ってもらいたい。私の聞いているのは、何もやったことを非難がましく言うわけではないので、熱意があってやるなら、率直に言うなら、いまの大臣答弁で感じることは、たとえば国際放送等政府資金NHKに対する繰り入れ等を見ますと、全体の二割五分か三割しか出しておらないが、放送時間は、相当長時間にわたって波を出しているわけですね。今度の通信衛星の打ち上げに対する要請の陰には、やはり何か、政府では金は出さないが、しかし熱意はきわめて熾烈だ、だからといって、かぶっていくのはNHKではないかというふうに、私どもとしては、資金の出し方について、少し、この委員会で論議をした政府のやり方としては歓迎すべき結果にならないのじゃないかということが一つあるわけです。  それからもう一つは、これはあとで協会側にもずいぶん聞きたいと思うのでありますけれども、一部には、とてもオリンピックというのは史上まれのできごとですから、これを何とかやりたいという気持ちは、私どももわかるわけです。しかし、将来衛星通信が中心になって世界通信網というものが、ケーブルによらず、相当高度の開発がされるだろうという期待をもって、いま技術陣は動いているわけですね。そういう期待で動いている。その期待を、最もいいチャンスであるオリンピックという場所を求めて、そこでできるだけの経験と実験を踏んでおこう、こういう意味も私はこれは隠されたものだというふうに考えているわけです。しかし、実際にそれでは協会側の財政その他というものを見ますと一体どうか。私が協会に、先般の予算委員会のときにも質問いたしましたように、協会としては一体これで十分なのかと聞いた、ら前田会長は、十分ではないと言っているわけです。その十分でない裏づけとして、私どもは、やはり国内におけるところのNHKの負うべき多くの問題というものがあって、それをやらなければならない注文をたくさん委員会としてもつけているわけです。それの反面、おそらくフィルムに実写をとって、日本で競技をやっている時間は日の高いうちですから、そのころの西半球というものは、時差の関係で夜ですね。電波ですから、すぐ行きますということは、なるほどこれは歓迎するわけですが、実際に夜中に放送されて、それを受信する人は一体どのくらいいるのだろう、そういう状況判断をすると、これを現地に、フィルムにとったやつをジェット機に乗せていけば、一番向こう側まで行ったって十時間か十一時間で行って、実際の問題は、ほとんど半日もおくれないで現地東京オリンピックの実施されている実況放送されるわけです。そういう面から考えてみても、私は、ただでできるなら、どんどんやればいいですけれども、相当の金を注ぎ込んで、この際といって便乗するほうが主になって、主がどうも実情に合わないというようなことでは、これはどうも私どもとしては黙って見過ごすわけにいかぬじゃないかという気持ちを持っているわけです。そういう私ども気持ちも十分くみとってもらって、郵政大臣のやっていることは何でもかんでも私ども反対するわけではないのですが、どうしても問題の進め方に対しても、あからさまに委員会で表明されてくれるほうがいいのじゃないかと、こう私は思うので、そういう点から、先ほど大臣ちょっと答弁されておりますが、アメリカ宇宙局意見ということでは技術的には協力しましょう、それから資金の問題では、これはアメリカ海外情報局あたりが相談を受けているということを新聞記事は伝えておりますから、ある意味では、私は、あなたが経済協力会議のときに要請をされたとか、その他いろいろな時期を得て相手側も真剣に論議をしているんじゃないか、それは一体どういうことなんだろうかと、私どもは知りたいということで質問をしているわけでして、してないとかなんとかいうことは、正式に発表する段階でないというならば、正式に発表を待てばいいかもわかりませんけれども、それでは、実は、私はこのあとで協会側に質問いたしますけれども、実情としては、私はそれほど熱意を持って、ぜがひでもというような気持ちになれないものですから、あわせて、その情勢というものを聞かせてもらいたいと、こう思っているわけです。
  15. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ただいまのお尋ねによりますと、何か私がはっきりしたものをつかんでおるにかかわらず、それをこの席で隠しておって、皆さまに申し上げないかのような印象を受けたのでありまするが、さようなことはないのでございまして、私は、この席で率直に御報告あるいは御説明を申し上げておるわけでございます。現在の段階においては、アメリカ政府回答としては、先ほど申し上げました程度回答しか受けておりません。したがって、資金の問題については、アメリカ関係諸機関の間で積極的に協議を進めておる、こういうふうな回答でありますから、その後の協議の模様がどういうふうになっておるのか、これをわれわれとしては知りたいわけでございます。それについては、新聞の特派員の情報等によっては、いろいろな報道が流されておりまするけれども、しかし、これを直ちにそのとおり確実なる資料として取り上げることについては、私どももう少し考えていかなくちゃいかぬじゃないか、こう思っております。で、それには、やはりだれかこっちから派遣したほうが、はっきりそういう情勢がつかめるのではなかろうか、こういうふうな考えを持って交渉かたがた人を出そうかという考えになったわけでございまして、私がここで何かこう、含みがあって隠しておるようなふうにおとりくだされば、それは全く事実と相違するわけで、私はいまもう知っていることを、また事実を、ありのままに御説明申し上げているような次第でございます。まあ、何とかこの仕事は成功さしたい、こう考えていろいろ努力をいたしておりまするから、どうか委員会の皆さんにおかれましても、ぜひ御支援をお願いしたいということを私は切に申し上げておるのであります。
  16. 横川正市

    横川正市君 いまの点で私はちょっとふに落ちないのは、この委員会で何かの問題が提起をされて質問をいたしますと、それはある程度正確に伝わっているんではないかと思われる情報までも否定をされて大臣答弁をされる。現実的には新聞とかその他というものが先行して、委員会はそのあとで開かれておっても、先行したものの裏づけになるような質疑応答というものがされておらない、こういう点は、私は非常に委員会の構成メンバーとしては解せかねるわけですよ。だから、その解しかねる点を、実は私どものほうから、手を変え品を変えというようなことではないので、もう明確に——たとえば日本の三大新聞の紙面で、国民のすべての人は承知をしておるわけですね。あなたがたとえば派遣について、三十一日記者会見をやったという実情も、それから三十日の協会会長談話ですか、これをめぐってあなたの意思表示も、これもおそらく新聞の出先の人があなたと会って話をしたときに、あなたは、それは正式、非公式は別として、話された内容が非常に簡単な要約として出たわけですから、実は私どもが知る前に国民は全部知っているんですよ。だから、いまおそらく国民に聞いたら、通信衛星のことをどういうふうに理解しますかといって聞けば、おそらくオリンピック放送をやるでしょう、しかも、それは協会その他が資金の一部を分担して打ち上げられるということになるでしょう——こういう常識を私はおそらく吐露するだろうと思うんですよ。そういう一般に伝わっておる状態というものと、この委員会で明らかに速記録に残っていくものは、ずっと後退するわけですね。その点が私どものほうとしては解しかねるということなんです。本来、ここの委員会で明らかになって、それが記事になって国民が知るというのが順当じゃないかと私は思うんですね。そういうことでなしに、記事になったものを質問すると、数歩後退して質疑が行なわれるという点に、実は私は解しかねるものがあるわけです。そこで、あなたがたとえば三十日に、NHK会長の意向を十分にくみ入れて今後折衝したい、というNHK会長の意向をというのは、どういうふうにとられているんですか。
  17. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 何か、新聞の報道のほうが、委員会で私が御報告申し上げるよりも早く伝わるから、国民のほうが早く知ってしまうじゃないか、こういう御意見のようでありますが、私も幾つかの新聞を読んでおりますけれども、なるほどワシントン発というような注がついて、アメリカ派遣されておる新聞社の派遣員の方の報告がいろいろ来ておることは私も新聞承知しております。しかし、その新聞承知しておるような事実が、私のほうには必ずしも入っておらないわけでございます。したがって、新聞にこういうことが載ったから、それでは郵政省としてこれを確認するかとおっしゃいましても、それはどうも新聞記事そのものを確認するということはやはり私としてはできません。自分のほうに、外務省なりその他を通じて、公式の通知なり回答があれば、これははっきりこの席で責任を持ってお答えすることができまするけれども新聞に載った記事そのものが、はたして事実であるかどうかということは、一応われわれのほうとしては確かめた上でなければ申し上げられない、こう考えております。その辺のところは御了承をいただけるんではなかろうかと思っております。  それから、これもまた新聞記事になってまいりまするが、阿部会長新聞記社諸君にお話しになったそうでございます。その際に、その情報を私も耳にいたしまして、これについて郵政大臣はどう思うかという質問でありますから、資金の問題は、これはそう簡単には言明できない。第一、アメリカ協力をして上げてくれるかくれないかさえ、まだ確定していない段階である。また、協力をしてくれるにしても、リレー衛星を上げてくれるのか、テルスター衛星を上げてくれるのか、シンコム衛星を利用さしてくれるのか。そういう点すら、まだはっきりしていない。その衛星の種類によって、打ち上げる費用なり、あるいは送受信の費用というものも、おのずから変わってくるであろう。また、そういう不確定な資金にしても、どこがこれを負担するかという問題は、目下アメリカ関係機関の中で協議中であって、その結果がどうなったかということも聞いていない。いわんや、日本に対してどれだけ費用を負担してほしいというような希望も今日まだ私は受けていない。そういうふうに、非常に先の先の問題であるのみならず、一体かような費用をもしかりに日本側が負担するとしても、どこからどういう方法でどのくらい出すかという具体的な問題になれば、これは慎重に検討してみなくちゃならない問題であるから、そういうことについては私は言明の限りでないが、しかし、ともかくぜひこれを成功させたいというNHK側の熱意というものは、それは非常にけっこうだから、そういう熱意にこたえるようにわれわれも努力をしたいと思う。こういうふうなことをお答えした覚えはございます。
  18. 横川正市

    横川正市君 阿部会長に、この新聞記事が正しいか正しくないかということよりも、もっと本質問題として、東京オリンピック世界中継が千載一遇の好機として十月にできることになるわけなんですが、協会としては、この中継に対して、いまの衛星の打ち上げの問題等を含めて、どういう処置をとろうとされておるのか。その点をお聞きしたいと思います。
  19. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 協会といたしましては、もしも衛星が利用されて、これによって世界の各地に実況放送ができるならば、もうぜひこれはやりたい、こういう熱意に燃えております。——この程度でよろしゅうございましょうか。
  20. 横川正市

    横川正市君 技術的な面ですから、出席のお方でいいんですが、いまの宇宙局あたりでは、現在上がっているシンコム二号を、これをできるだけ十月に使えないかどうかを、もう少し検討してみるということですが、かりにこれが使えるとする場合、それから、これが使えないということで、いずれかの通信衛星が打ち上げられるということで、新しいいわゆる衛星で一体どの程度の波を世界各国に、時間帯にしてどの程度送ることができるのでしょうか。百幾つかの国が出るわけですが、これはNHKか、あるいは電波局の方、どちらか、わかっている方でお答えいただきたいと思う。
  21. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 現在上がっておりますシンコム二号というものを使うということは、これを太平洋上に持ってこなければ使えないわけでございまして、かりに太平洋上に持ってまいりましても、これの特性がよろしくございませんので、テレビの中継といたしましては、まず落第だろうというふうに考えております。上げるとすれば、やはり現在四月から六月に予定されておりますシンコム三号という、これがもし太平洋上のいいところに上がれば、特性も改善されているそうでごさいますので、これでございますと、二十四時間使えることになるわけでございます。それから、現在リレーとかテルスターというのが全部軌道を描いている星でございますので、最延長の距離が非常に遠いところに——いま七千キロとか八千キロとかという程度でございますが、そういうような非常に長くなれば、それだけ両方からの見通しの時間が長くなりますので、一回に放送する時間は長くなるわけでございます。それも、二十分ないし三十分というところが一指確実に送れる時間であろうというふうに考えております。  それで、世界各国にというお話でございましたが、これはやはり一番確実な地上局へ送りまして、そこから別にマイクロ・ウェーブあるいはまた、そこから別の衛星を使うというような形で送るということでございまして、日本から直接に世界各国に送るということは、技術的に検討いたしますると必ずしも不可能な方法ではなく、そういうようなことで送れるというようなことはないことはございませんけれども、当然、まず一番安定した星を使いまして、どこか——まず日本とすれば、アメリカの太平洋岸に送るということが一番いい方法であろう、そういうふうに考えている次第でございます。  ただ、何度も申し上げますようでございますが、現在上がっておりますリレー一号、二号もしくはテルスターというものは、オリンピックのときにその軌道の位置が悪くて、これは不可能でございます。
  22. 横川正市

    横川正市君 これは、受信をするあれは、新しくシンコム三号が上げられても、そういう設備のあるところだけにとどまって、他の国については、これは利用することはできないという、そういう事実に基づいてNHKのほうでは計画を進めておるわけですか、それとも、どうなんでしょうか。私どもしろうとでは、世界へ送ってくれるだろう、百何十カ国へ送ってくれるだろう、こう思っておるわけですが、どっちでしょうか。
  23. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) ただいまの御質問の前のことをちょっと。  先ほどお答えいたしましたように、世界各国に送りますというのは、その地上局で受けましてから、マイクロ・ウェーブその他の方法によって送るということ、こういうことを私は申し上げました。
  24. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) ただいま宮川さんから御答弁になったように、NHKとしますれば、あらゆる技術的な方法と手段を通して、できるだけ早く世界じゅうに伝えるということなんであります。むろん、それは、そういう設備がないところへは伝わらぬことは当然でございます。
  25. 横川正市

    横川正市君 もう実は私は、あなたのほうの予算書を全部持ってきておるから、予算書で論議しようと思ったけれども、そういうことは、少し手回しがよ過ぎて実用にならないように思うのです。端的に言って。協会側が、この五輪世界中継するということは、したいという気持ちは、先ほど会長の言われたような気持ちは、実は、これはしろうとである私がキャッチしたときには、一つの国に最小限十五分や二十分は、たとえばイギリスならイギリスの国民が最もわく、その国技が舞台に上がった、あるいはインドならインドで、インドの最も得意な競技が舞台に上がったというようなときには、それだけでもその国に送ってやれるという、そういう熱意の結果というものを、私は国民も期待していたんじゃないかと思うのです。ところが、私は先ほど郵政大臣に聞きましたときに、私の意見として申し上げましたが、やがて通信術星がケーブルにかわって世界通信をになうことになるだろう、オリンピックは、きわめていい機会だから、この機会にできるだけの実験と経験だけは、ひとつ踏んでおいてやろうということ以外に私は出ないのじゃないかと思う。これと、NHK放送というものの持っておる任務とは、いささか——全然やらなくていいとは私は思わないのですけれども、少しはみ出しているように思うのですが、どうでしょうか。
  26. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) ただいま、予算の御質問ですが、実は、せんだっても郵政関係の記者団が来られて、この衛星についての雑談なんですが、お話があったわけで、そのときも私お答えしたことなんで、よしんば、この資金の問題やなにかについても、いまの予算では、通ったばかりなんで、おそらくは一文も衛星ということについて予想してなかったときに組んだ予算案だからして、この予算案に関する限りでは、なかなかそういう費用は出ないだろう、しかし、もしも可能性のある事態が起こった場合には、何とかしてやってみたいという私の希望を述べたのであります。現在国会で承認された予算においては、そういうふうなものは私どもは予想していなかったことなんであります。
  27. 横川正市

    横川正市君 尋ねていってみたら、私どもがこうではないかというふうに思っておったこととは、およそ違って、だいぶん内容というのが具体化されておらなかった問題で、これは非常に幸いだと私は思うのですが、そこで郵政大臣に、一体アメリカ海外情報局あたりで、三月三十日の通信を見ますと、シンコム三号は、もうすでに上げるような準備をされておるようでありますけれども、こういうような向こうの準備に即応して、こちらで中継放送するような、そういう意欲を燃やされることについては、これは私どもも別段異議を唱えませんが、相当の予算上の処置が必要であるというふうなことが、相手側との折衝の結果として出された場合に、資金については出す考え方ですか。それとも、その点については、まだ結論は出ておらないのでという、いわゆる一歩手前の状況なのですか、どちらでしょうか。
  28. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) はっきり申しますと、アメリカ側から、まだ、この費用分担してほしいとかなんとかいう問題は言ってきておらぬのであります。したがって、向こうから費用分担についての希望が申し出られておらないのに、こちらばかり先走って、費用分担しますということを言うのもいかがかと思いますし、万一アメリカが、自分のほうの費用の負担だけでやろうという話になれば、これまた、まことにけっこうなことであります。そういうふうな、はなはだ不確定な段階に今日あるわけでありまするから、具体的に、そういう問題について、まだ、検討したり、あるいは協議したことはないのであります。で、もしそれでは将来そういうふうな話が起こってきたらどうするかということになれば、それは、その金額にもよりましょうし、また関係各省との間でも協議を進めて、これに対する意見というものも立てていかなければならぬと、こう思っておりまするけれども、今日の段階では、まだそこまで進めておらぬというのが実際の事情でございます。
  29. 久保等

    ○久保等君 大臣にお尋ねしますが、係官派遣して、アメリカで、現地で折衝をやってみたいという構想をお持ちになっておられるようですが、派遣されるとすれば、時期的にはいつごろをお考えになっておるのですか。
  30. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) その時期についても、やはり最もよいタイミングのときに派遣することが必要ではなかろうかと思っております。と申しますのは、向こうがまだ協議が熟していなくて、せっかくこちらから人が行っても、具体的なものが何にもまだつかめないような状態であるということでは少し早過ぎますし、向こうがすでに資金の調達についての見込みを立てて、もう方針がきまってしまったということになれば、いまさらこちらから人を派遣する必要もなくなるものとも思っております。その辺のタイミングをいま考えて情勢を見ておるというわけでありまするから、いつごろそれでは出すかというようなことについては、まだ決定しておりません。
  31. 久保等

    ○久保等君 なかなかのんびりしたような話でもあるし、新聞報道を通じてお聞きすれば、NHKの熱望をぜひかなえたいのだというようなことも言ってみられたり、この前のNHK予算審議の過程で、私も質問をして、お考えをお聞きした当時申し上げたのですが、相当国内での設備を、かりに新しい衛星を使って世界放送をやるという場合に、やはり技術的な設備等の時間的な関係もあるから、よほど時間を置いて準備をしないと間に合わない。したがって、そうなれば、オリンピックの日時はきまっているのですから、そこから逆算をしていくと、四月中くらいにはおそくとも話がはっきりしないことには、五月、六月になってぼつぼつ話がまとまったということでは、技術的にも困難性が出てくるのではないか。もちろん、打ち上げられる衛星の性格にもよるでしょうけれども、いずれにしても、相当の期間をもって実現しなければ、いかに熱意があっても、実際問題として実現しないという結果になるのじゃないか。したがって、そういうことを考えると、折衝等の話は相当早くしないと間に合わぬのじゃなかろうかということをお話し申し上げたことがある。私は、あらゆる犠牲を払ってもやったほうがいいとは思っておらないのです。しかし、やるとすれば実現をさしたい。けっこうじゃないかと思っておるのです。そういう点で、関係官を派遣をされることは、私個人としてはけっこうだと思っておるのです。  問題は、しかし、何か大臣のいまのお話を聞くと、相手のあることだから、もちろん相手の状況を確かめながら派遣をしないと、これまた全然意味のないような結果になるでしょう。そこらは大臣の言うこともわかるのです。わかるのだが、何か大臣も、阿部会長が三月三十一日に記者会見をされた結果を見ておって、どうも非常にNHK熱意があるようだから、自分もぜひひとつその熱望をかなえるように努力してみたいと言っておられるのだから、この間うちの予算審議の場合でも、阿部会長も毎日ここに出ておったし、大臣も出ておったのだから、したがって、こういうことを委員会の場で、予算審議の際に、熱意があるなら熱意があるで、これは、記者団の会見を通じて阿部会長熱意のあることを聞いて郵政大臣としてもできるだけ熱意を持ってやろうというようなことじゃなくて、やはり、やられるならば積極的にやられるし——私がこの前申し上げたのは、見通しを早く立てなさいということを申し上げたわけです。やるならやる、やらないならやらないという見通しをできるだけ早くつける必要があるのじゃないかということを申し上げたのです。したがって、係官派遣されようというならば、およそいつごろまでには派遣しなければならないということは、これは当然オリンピックはきまっているから、それからの逆算からいって、一つの見当がつくと思うのです。  それからこれは何も日本だけがやる問題じゃないのですし、特に経済的な負担の問題についても、これは当然日本のほうでいかなる犠牲を払ってもということにはならないと思うし、NHKのほうで予算が通った直後に、経費の一部を分担してでもやりたいと言われたことも、どうもわれわれは、この委員会の席を通じて感じた感じとは若干違うのです、すなわち、予算を審議している過程に、少なくとも予算的な措置の問題についても、何らかのことは発言があってしかるべきだと思う。ところが、その際に何も言われなくて、予算が通った直後に、一部経費を負担してもいいからやるのだということを言われると、先ほど横川委員が言ったように、委員会のときには、そう大した熱意もないような話をしておったのですが、予算の通った直後に、えらい熱意を持ってきている。その金を一体どこから持ってくるのだろうということは、予算審議に当たった委員としては当然考えることです。阿部会長先ほど熱意があることはよくわかるけれども熱意だけでは実現できない。金の問題です、つまり。だから、金の問題を切り離しておやりになる意思というものは全然ないだろうと思う。要するに、金を負担してでもいいからやろうという熱意があるならば、予算的にはどう考えているのか、ここで阿部会長からもお聞かせ願いたい。
  32. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 私は、一部負担してもするという意思表示をしたことはないのであります。ただ、まあいろいろ雑談のとき、ああでもない、こうでもないという話があったとき、まあもしできるならば、少々の費用ならば負担してもいいという程度の私の希望を述べただけの話なのであります。当然まだ、ただいま大臣がるるとして御説明になったように、何も決定してないそういう事態において、私が費用を負担するなどということを明確に言う理由がないわけでありまして、これは、今後そういう問題が具体的になって、NHKがその負担にたえ得るかどうかというようなことは、十分検討した上でなければ決定的なお話を申し上げることはできないわけなんでありまして、私ども熱意としては、ぜひやりたいということはありますが、それから先のことは、ちょっとどうも、あの新聞では少し足りないところがあるというふうに私は理解しております。
  33. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 何だか、阿部会長新聞記者会見があって、それが発表になってから、とたんに私が大いにハッスルしておるように受け取られますが、そんなことは毛頭ないのでございまして、私は、もう初めからこの問題は何とかひとつ成功させたいという希望は持っておりました。たまたま阿部会長のそういう熱意があるといりことを承りましたので、それは非常にけっこうじゃないかと、こういうようなことを言ったのでございます。  それからさらに、人をアメリカ派遣するような問題も、実は私、もうこの前から心の中で考えておったのです。いつまでもこの情報がはっきりしたことがわからぬでは困るから、そうなればひとつ、こちらから人でも派遣しなければなるまいと考えておったのですが、たまたま先日の新聞記者諸君との会見の際に、新聞記者の中の一人から、どうです、ひとつだれか向こう派遣したら、というような意見が出ましたので、実は私もそれは思っているのだということを話しただけのことでありまして、何も新聞記者諸君から言われたから私が決定したというようなものでもないのであります。まあ、そういうような点は、弁解ではございませんけれども、率直にお答え申し上げる次第であります。
  34. 久保等

    ○久保等君 まあ率直にお答え願ったのが、いまの程度お話なんですが、そうなると、だから大臣として、私が先ほどもお尋ねしているのは、派遣するとすれば一体いつまでに派遣するか、そういったことぐらい、さっきもお尋ねしているように、おのずから限定されてくると思うのですよ。だから、まあ最初のスタートは一体どこが原因でそういうお気持になったかは別として、とにかく派遣せられようという御意思があるとすれば、まあいつごろぐらいまでには派遣しなきゃならぬだろうぐらいの見当は当然つけて、大臣が——少なくとも、こういった非常にアッピールされている問題ですし、非常に世界的な関心を集めている問題だと思うのです。だんだんお話ししてみると、熱意熱意と言っているけれども、中身のない熱意だと、いまやりとりしている中では理解されるのです。だから、はっきりしてないことははっきりしてないで、何も私ども、ここではっきりしてくれとは言いません。しかし、派遣しようという郵政大臣の意思だけははっきりしたというのです。それならば、いつごろまでに派遣するつもりなのか。相手のあることだから、それもわかりませんと言ったって、そのくらいのことは、やはり大臣自体がお考えになってやらなければ……。人選は一体どうされていますかと言うと、その人選もはっきりと言われないけれども、それでは話が一歩も進まないので、何か、派遣するという気持ちはあるけれども人選は白紙、いつと言えば、相手のあることですからよくわかりません——それでは話が全然進みません。  やはり、日本の国際放送をやられる場合の責任者はだれかということになれば、何だかんだ言っても、私は郵政大臣のあなたにあると思うのです。関係は、これは電電公社もあるだろうし、国際電電もあるし、NHKもあるけれども、やはり郵政大臣があくまで政府の責任者ですから、一体推進をほんとうにされようとするなら、私はやっぱりそういったことについても、いつごろまでにできれば派遣したいのだということのお話を当委員会で言われないと困るのですよ。これは何か、新聞記者に誘導質問されたら、それに乗っかって発言されるということでは、いかにも主体性がないと思う。だから、派遣したいというのなら、いつごろまでに派遣したいというお気持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  35. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) まあ、私の考えでは、やはり四月中には派遣をしたいと考えております。
  36. 野上元

    ○野上元君 ただいままでの質疑応答を聞いておりますと、郵政大臣は、このオリンピック通信衛星を利用しての世界中継に対して、非常に熱があるようでもあるし、ないようでもあるようですね。どうも私たちは、聞いておってさっぱりわからないのですか、先ほどあなたみずから発言されたように、記者会見のときには非常にハッスルされるけれども委員会になると、さっぱりハッスルしないのですね。熱は表面だけで、しん熱はないのじゃないかというような気がするのですよ。それで私はあなたにお聞きしたいのですが、あなたはほんとうにやるという意思がおありなんですか。ぜひ実現したいという強烈な希望がおありなんですか。
  37. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) ぜひ成功させたいという意図をもって努力をしておるわけです。
  38. 野上元

    ○野上元君 それではさらに聞きますが、NASAの意向がどうもわからないのだ、こういうことを盛んに言っておられるのですね。そして、したがって派遣する時期もきまらないのだ、タイミングを考えているのだ、こう言っておられるのですが、NASA考え方ははっきりしているじゃないですか。先ほどあなたが述べられたように。オリンピックのために通信衛星を打ち上げる計画はない、さらにまた、NASAにはその費用もない、予算もない、技術的には協力をいたしましょう、こういう三つの大原則がきまっているわけです。ということになると、NASAのほうでは、積極的にはこのオリンピック中継に対して何ら熱意はないということですよ。したがって、このままあなたがNASAの動向を見ておれば、このままオリンピックになっちゃいますよ。その点が、先ほど来どうも皆さん方了解できないのじゃないかというように考えるのです。タイミングと言われるけれども、この場合、タイミングというのはさまっているのですね。十月にはあるのです、オリンピックが。そして時は刻々と流れて、オリンピックに近づきつつあるのですよ。そのタイミングをあなたがつくるのじゃないですか。あなたがつくらないで、NASAの意向を待っておって、いつになったらタイミングが合うのですか。私たち、その点がどうもあなた方の考え方がはっきりしないような気がするのですね。しかも、皆さんが質問すれば、資金計画などは全然わからない、衛星を打ち上げてもらいたいのだが、まだどの衛星を打ち上げてもらいたいかもきめておらない、分担をしたいのだが、どこの金を一体どうしたらいいのかわからない、そういうことでNASAがどうして積極的に協力してくれるのですか。その点をはっきりしてもらいたいと思うのですね。ちっともあなたのほうに熱意がないのじゃないかと思うのですがね。
  39. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) この問題は、残念ながら、もうその大部分をほとんどすべてと言っていいくらい、アメリカにたよらなければできない問題で、したがって、日本からどの衛星をそれじゃ上げてくれということを、まあ一応の希望としてはそれは言うこともできるかもしれませんけれども、やはり、アメリカ側の都合によって、今度はリレーを上げるとか、あるいはテルスターを上げるとか、あるいはシンコムを上げるということが決定されるものでありますから、その辺の交渉がなかなか私はむずかしいものがあると思います。  それから先ほどの御引用になりましたNASA長官の回答の中には、あのほかに、資金の調達についてはアメリカの諸機関がいま積極的に協議を進めている、こういう一項目があるのでございます。その協議の結果がどうなってきたかということについて、その後回答がないものでありまするから、こちらからも、催促といってはどうかと思いますが、そういう意味でさらに依頼をしておる。しかし、まだその回答が来ない、こういう段階でありまして、私たち非常に熱意は持っておるの、でありまするが、いまの情勢は、残念ながら、向こう協力次第ということでありまするので、その協力をできるだけ早く取りつけるようにやりたい。それが人を派遣するというようなことにもつながってくるわけでございます。
  40. 野上元

    ○野上元君 この間、私がこの問題については質問したのですが、そのとき、電波監理局長からいろいろとお答えがあった。そして、現在上がっておる通信衛星は、いわゆるエコー一号、二号、それからテルスター一号、二号、リレー一号、二号、シンコム一号、二号、これだけ上がっているわけですね。しかし、どれも使えない。オリンピックのときには。こういうことは技術的にははっきりしておるのだ。したがって、新しいものを上げてもらわなければならない。でなければ、うまく中継はできないということは技術的に見て判断ができるのだ、こういう答弁があったわけです。そして、監理局長としては、できるならば静止している衛星であり、かつ高度の高いシンコム三号を打ち上げてもらうことが最も望ましいのだ、こういう答弁があったのです。したがって、あなたのほうの気持ちというのははっきりしておるわけなんですね。オリンピックにどうせやってもらえるなら、こういう希望NASAのほうに十分に意思表示をして、そして期限は何月何日ごろまでにやってもらわなければ、これを受けとめる日本側の地上の設備が完備しないのだ、いまある十王町の設備ではシンコムは受けられないのだ、こういうこともはっきりしておるわけなんですからね。そういう点を、なぜ積極的にNASAと折衝し、そして早急にこの問題をきめていかないのかということを非常に私は疑問に思っている。これをじんぜん日を送っていれば、結局物理的に時間切れになってしまうということになりはしないかという心配をしているわけなんで、その点はどういうふうにお考えになっているか。
  41. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 大体いまの御所見のような考えで、そういうこちらの希望といいましょうか、これはもちろんNASAのほうに言うてやっております。こちらはこういうふうに考えておるがどうであろうか、ぜひ協力をしてほしいと。そこで、いま上がっておりますテルスター二号にしても、リレー二号にしても、ちょうどその時期には軌道の都合が悪いということはお話のとおりです。ただ、ここにリレー一号というのがいま回っておるわけですが、これは、本来ならば、昨年の十二月中くらいに機能を失うという予想のもとにあったわけですけれども、それがただいままだ機能を失わないで動いておるのです。これが十月までそのままで動くとすれば、ちょうどオリンピックにはいい軌道のところに回ってくるわけです。しかし、これらのことは、技術的に非常に私どもよくわかりませんので、そんな点についても検討はしていかなければならぬと思いますが、やはり長時間送信できるという点からいえば、シンコム三号がよかろう。シンコム三号は、オリンピックにかかわらず、四月から六月までの間にはアメリカが打ち上げようという計画のあることは、その予定は聞いております。できれば、それを最も都合のいい位置に上げてもらうというような点も今度の交渉の中に入っておるわけでございます。
  42. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、シンコム三号を打ち上げるという問題は、資金的に見て必ずしも日本が負担しなくてもよろしい。アメリカがすでに四月ないし六月の間にシンコム三号を打ち上げるという計画がある。したがって、そのシンコム三号をオリンピック中継にできるだけやりやすいような位置に上げてもらうということを向こうがオーケーを出せば、日本分担金は要らないということになりますね。
  43. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) まあ技術的な詳しい点は私もよくわかりませんけれども、ただ、シンコムが上がった場合には、それを向こうが受ける受信設備の点も問題になると思います。また、日本における送受信の設備の問題、要するに、地上設備の問題もやはり出てくるだろうと思いますが、しかし、まあ向こうの予定計画に従って打ち上げられたとすれば、これを利用させてもらえるという場合は、経費は比較的少なくて済むのじゃないか、こういうことは一応考えられます。
  44. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、シンコム三号を打ち上げる計画はあるのですが、かりに最もおくれた時期に打ち上げられるということになると六月ということになりますが、六月に打ち上げられた場合には、オリンピックまでに日本における地上設備は完備しますか。
  45. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) その点、まあ四月ごろに打ち上げてもらえば、大体六カ月ということがございますので、われわれ今度のシンコム用の送受信装置というものがどういうものであろうということを想像いたしましたときに、まあ何とかいけるのじゃなかろうかというふうに考えますが、これが六月ということになれば、四カ月くらいになりますから、それだけむずかしくなってまいりますが、技術的に突貫工事でどういうふうにやるか、性能がどんなものであるかということを私のほうでまだ詳しく知っておるわけでございませんので、不可能とも言えないと思いますが、むずかしくなることはたしかでございます。しかし、まあ六カ月くらいという期間があれば、何とかなるという見通しを持っております。
  46. 野上元

    ○野上元君 大臣、お聞きのとおりですよ。六月になればね、もう私はだめだと見ておるのですよ、実は。したがって、少なくとも四月中に打ち上げができないということになれば技術的に困難だといっておるわけですから、非常にむずかしい問題になると思うので、だからわれわれやかましゅう言っておるわけです。あなたがたほんとうに熱意あるなら、どうして一日も早くこの問題について交渉をしないのか。タイミングというのは、この場合日本側がイニシアチブをとるべきなんですね。日本がそのタイミングをつくっていかなければ、十月というのは、もうきめられた時期なんですからね。その点はひとつ十分にあなたがたも検討してもらいたいと思うのです。  それからもう一つ。もしかりにですね、あなたのおことばから考えても、シンコム三号を、かりに計画にあるやつを打ち上げてもらっても、なおかつ若干の費用分担することになるかもわからないというような御意向のようですが、かりにその分担をするとすると、どこからその経費を捻出するのですか。
  47. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) まあ、シンコムの場合に、こちらが費用を負担せねばならないか、負担せぬでも済むかということは、まだはっきりわからない。ただ、もしそういう場合に、負担をせねばならぬということになっても、これは比較的軽少で済むのではあるまいかということを申し上げたのであります。したがって、さような場合が起こった際に、その経費はどこから出すかというような問題は、これはもう今後の問題として検討すべき問題である。いまの段階においては何らまだきめてもおりませんし、協議もしておりません。
  48. 野上元

    ○野上元君 私はそれがおかしいというのですよ。さっきも言ったように、もう四月中には上げなきゃならぬのですよ。上げてもらわなければ間に合わないのですよ。そのときにあなたのほうは負担金をどこで出していいかわからないなどとかね、派遣者はまだ全然きめておらないとかね、一体何をあなた考えておられるのですかね。NASAのほうにあなたのほうは頼まないかぬでしょう、少なくとも。したがって、それを打ち上げたときに日本に受け入れるだけの準備がなければ、NASAだってうんと言わないと思うのですね。金はこういうふうに出しましょう、地上局はこういうふうにつくる予定だ、というようなことをあなたのほうが先に計画をして、そうしてNASAのほうに依頼をしなけりゃ、まるでNASAが、お前のほうで打ち上げるのがあたりまえだというような考えをしておったら、とてもじゃないが、この問題は解決しませんよ。私はそのことを心配しているのですよ。それもあわせて、あなたのほうで検討しておいてもらいたいと思う。  この際NHKに聞いておきたいのだが、かりにNHK分担しろというような政府命令が出るということになると、国際放送という項がありますね、予算の中に、そこに含まれるのか、それとも、NHK自体の番組編成費としてこれは組まれるべきものなのか、その点をひとつお聞かせ願いたいのですが。
  49. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 経費捻出の技術的な問題になりますと、およそ予算の原則に従って処置しなければならないと思います。国際放送の経費の関係につきましては、過般御承認をいただきました予算書の中には、これの裏づけになっております事業計画をやるのに必要な経費しか計上してございません。したがいまして、これをさくということになれば、所定の基本計画を変更しなければならない、こういう事態に相なるわけでございます。予算上最も扱いやすい方法は、予備金が計上されております。この予備金は、いろいろ非常災害等の関係をも見越しての措置でございます、そういう面とも関連して検討いたしまして、四億の予備金の範囲内における支出は、これは予算のたてまえから申しまして、予算編成時に予測のできなかった事態に即応するための経費ということで、この関係の使用は、予算の通則からいえば、これは原則に沿った措置である、このように考えられようかと思います。
  50. 野上元

    ○野上元君 私が聞いているのは、予算の捻出の方法ではなくして、予算の捻出をする場合には、あなたが言われているように、予備費でまかなえるならば予備費でまかなう以外にないと思うのです。そういうことを聞いておるのではなくして、オリンピック世界中継は、国家が命令する国際放送であるという性格づけをするならば、当然、あなたのほうは、オリンピック放送をやったあとにおいて、国家からその実費を要求するということができると思うのです。そうでなくて、番組編成費の中でこれをまかなおうとする場合には予備費を使わざるを得ないのだ、あるいは、さきに計画をしたものを一部変更をして、その中から捻出するか、そういう方法になると思うのですが、どちらの性格をあなたのほうは求められておるのかということです。
  51. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 放送の国際放送といたしましての政府命令の条項は、法律に明確にあるわけでございます。これがあれば、政府はその所要の経費を交付しなければならない、こうなっておりますので、政府からそういった衛星を使っての国際中継の命令があれば、これは国際放送の命令と同様なものでございます。その関係の経費は当然にいただけるものと考えております。かりに、それは政府命令ではないということでやるとなると、予算の変更を伴う問題に相なろうかと思います。
  52. 野上元

    ○野上元君 郵政大臣に聞きたいのですが、あなたは、NHKに対して、オリンピック中継を命令されますか。それともNHKが独自でやられることを歓迎するのですか。どういうお気持ちですか。どちらの方法をとられようとしておるのですか。
  53. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) 今日の段階において、NHKに対して、この中継をするために国として命令を出すとか出さぬとかというような問題は、目下検討中でございまして、御返事はできません。
  54. 野上元

    ○野上元君 どうも、郵政大臣と幾ら話をしても、百年河清を待つにひとしい。オリンピックには間に合いそうにないので、私は、郵政大臣に対しまして、ほんとうに熱意があるなら、具体的に一つ一つ着実に進めていただいて、オリンピックまでには間に合うようにしていただきたいということを希望して私の質問を終わります。
  55. 横川正市

    横川正市君 関連質問で大体私の締めくくりになる点が質問をされておりますから、重複を避けますが、先般も私強く要望いたしておきました放送法の問題等においても、委員会で審議をする幅が全然なくなってしまうということについては、私どもこれはぜひ当局も考えていただきたいと思うのです。四月に入ったばかりですから、本件等についても逐次審議のできるような状態に置いていただくように、これを第一として強く要望いたしておきたいと思います。  それからもう一つNHKに対する苦言ではないのですけれども新聞で冗費節約の勧告を受けたなどと出されたり、それから番組の問題等で巷間伝わるいろいろな問題が起こったりするのは、私は、これはやはり火のけのないところに煙が立たないということで、ひがんでものを見られるということだけではないと思うので、私どもは、さきに去年の何月か、アジアオリンピック国際競技会ですか、あのときの主催者がNHKだというので、ちょっとびっくりしたのです。それで、そのときの費用等についても、これは一体どういうふうに捻出をしたのかと聞こうと思っておりましたが、新聞が野球をやったりするのに類して少し大きな額を負担させられたということについて、実はあの時期には私はだまっておりました。その後、学校経営問題で新谷委員が追及し、さらにまた、国際的な放送、教育関係で計画をされている等、資金の使い方についていささか衣はりっぱだけれども、実はまだNHKのなさねばならぬ問題が非常にたくさんあるのだ、この委員会で十分皆さんから申し上げているはずなんで、この点はひとつこれからも不用意な、何といいますか、資金その他について応諾を与えるような、あるいは計画に参加することのないように、これは強く要望いたしておきます。で、ここでさきに附帯決議もついたことでありますし、この実現についてはひとつ一〇〇%実現するように努力をしていただきたいと思います。そういう要望を申し上げまして、私の質問も終わっておきたいと思います。
  56. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本件については、本日はこの程度といたします。   —————————————
  57. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 次に、日韓郵政業務等の諸問題に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  58. 久保等

    ○久保等君 時間がないようでありますから、私、日韓海底ケーブルの問題で質問をいたしたいと思っておったのでありますが、その問題は後日に譲ることといたしまして、多少、資料をお出し願う意味で、簡単に二、三お尋ねいたしたいと思います。  日韓の海底ケーブルが現在故障になっているという話を聞くのですが、現状はどうなっておりますか。
  59. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 現在日韓間の海底ケーブルは、全部不通になっております。従前、アメリカ軍が使用しておりました二条についても、昨年の五月で障害で切れております。したがいまして、現在は全部使っておりません。
  60. 久保等

    ○久保等君 そのケーブルのルートは、どんな、何ルートありますか。
  61. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 日韓間には全部で十一条ございまして、対馬と釜山の間が二条、対馬と巨済島と申しておりますが、そこまでが二条、島根県から鬱陵島が一条、山口県から釜山の東のほうへ行っておりますのが六条くらいです。以上で十一条であります。
  62. 久保等

    ○久保等君 不通になっておるというお話なんですが、その十一条の海底ケーブルの現状は十分にわかっておるのですか。
  63. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) これは、公社が資産を引き継ぎましたときからずっと故障でございまして、いままで使用の計画もございませんですが、今後使用の計画もないというわけで、その現状は確実には把握しておりません。大体先ほど申し上げましたように、休止、あるいは断線状況にあるわけであります。
  64. 久保等

    ○久保等君 明らかになっておるのが何条で、明らかになっていないのは何条ですか。
  65. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) この最近まで使っておりました二条につきましては、比較的はっきりわかっておるわけでございますが、残りの分につきましては、明らかになっておる程度が、それよりずっと少ないわけでございます。
  66. 久保等

    ○久保等君 この海底ケーブルの財産分割の問題で、当然当面問題になっておるだろうと思うのですが、日韓交渉の中でこの問題について話が出ておるのじゃないですか、どうなんですか。
  67. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) この日韓ケーブルの分割の問題につきましては、当時の日韓会談が開かれましたときから議題になっております。このたびの再開の会談にあたりましても、この問題を議題とすることになっております。
  68. 久保等

    ○久保等君 議題にすることになっておって、実際は、あまりやっていないということですか。
  69. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) まだやっておりません。
  70. 久保等

    ○久保等君 その交渉の状態は一応わかりましたが、九木の海底ケーブルの現状がよくわからないというのは、一体どういうことなのか。少なくとも、背は使っておった海底ケーブルが現在どういう状態になっているかどうかの現状把握されるものについて、まず明らかにしてまいることが必要だと思うのです。これは、交渉があろうがなかろうが、もちろん朝鮮海峡がああいう状態ですから、十分に現状を調べるということは困難だということもわかるのですが、困難であればあるほど、むしろ交渉の中では、そういったことについて明確にしていくということが、まず分ける分けないの話の前提条件としてやられなければならぬ問題だと思うのですが、国有財産であるこの海底ケーブルの管理の立場からいって、どうお考えになっておりますか。
  71. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) 先ほど申し上げましたように、当分使用の計画もございませんので、またこの現状を着実に把握しようと思いますが、御存じのような状況で、種々困難も予想されるわけでございますので、そのままにしてある、こういうわけでございます。
  72. 久保等

    ○久保等君 どうも、ちょっと、そういった程度答弁ではふに落ちないのですが、早急に、日韓会談なり、日韓交渉が結ばれなくても、私は、そういったことについて、それこそ何らかの手を打って、状況を十分に把握をするという必要があるのじゃないかと思うし、特に、日韓会談が進められておった状態の中であれば、そういった現状をはっきりさせるというようなことについては、もちろん韓国側のほうでも異議がないだろうと思うし、少なくともその実態を調査することそのものについては。だから私は、日韓会談が反対だとか、賛成だとか、そういうことは全然別にして、海底ケーブルの現状を明らかにするという意味においては、先般来の措置というものは、明らかにしようと思えばし得る状態にあったのじゃないかと思うのですが、漫然とただ放置しておったということじゃ済まされないと思うのですが、どうですか。
  73. 井田勝造

    説明員(井田勝造君) いずれ、この財産の所属を明らかにしようという時期に近づきましたならば、当然これは調査をやらなければならないというふうに考えております。
  74. 久保等

    ○久保等君 それでは、私は劈頭に申し上げたように、資料を要求する意味で、ちょっとお尋ねしておったわけですが、それじゃ、各海底ケーブルのそれぞれのルートについて、そのケーブルの亘長だとか、あるいは敷設された時期だとか、それから故障になったならばなったで、一体いつから故障になったのか、それをルート別に。それから、それぞれの現状は把握できないというのですが、把握できておった当時における財産の価格は一体どういうものであったのか、そういった点を、ひとつ各ルートごとに資料としてお出しを願いたいと存じます。  それから、特に、二ルートの問題については、昨年あたりまで使っておったようですが、それぞれの使用料なんかもどうなっているのか。それから支払われている金額、それから未払いの金額、そういったようなこともルートごとに資料としてお出しを願いたいと思うのです。  そういったことを資料としてお願いして、またいずれ後日適当な機会にお尋ねをして明らかにしたいと思うのですが、きょうは資料要求程度にとどめたいと思います。
  75. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  76. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 速記を始めて。  なるべく早く資料を出してください。  本件については、本日は、この程度といたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時十八分散会    ————・————