○須藤五郎君 個々の場合を申し上げることができると非常にいいんです。個々の場合を私は
資料として持っているのです。そうしてそれを私が自分の芸術的な生活を通じて判断して、これは不当だと思うことが非常に多いのです。だから、私はこれをくどく言っているわけです。要するに、
NHKのものの評価そのものを根本的に私は考えを改めてほしいと思うのですよ。まあひょっと出てきて人気のあるジャズ・シンガーとかね、そういう人たちには、わりと金を払うらしいのですよ。この前も申しましたが、団伊玖磨君は作曲家として
日本一流ですよ。ところが、作曲料としてもらう金よりも、団伊玖磨君が何かほかのプログラムに出たときに、いわゆる「私の秘密」とかですね、「二十の扉」とかなんとかというようなプログラムに出たときにもらった金のほうが作曲料よりも高いというのですよ。そういう、ものの評価の
しかたが私は正しいのかどうか、
NHKともあろうものが、そういうものの評価をしていいのか、そういう評価をしておって
日本の文化が発展するのかどうか、こういう見地から私は言っているのです。それは、若い人たちでも、人気があれば、それに払ってもいいんですよ。それに払う金が高過ぎるから払うなと私は言うのじゃないんですよ。まじめに、こつこつと勉強して、作曲し、演奏技術をみがいておる、そういういわゆるオーソドックスな芸術家に対する評価をもっと正しくしたらどうですか。そういう人たちこそ
NHKは育てていく義務があるんじゃないか。それが文化団体としての一種の任務じゃなかろうか、こういうふうに思うんですよ。そういう面が
NHKには欠けておる。現に私の友人が、まじめに勉強しながら、朝三十分間演奏して千五百円
しか金をもらっていない。千五百円毎日かせごうと思えば、たいへんな努力ですよ。一ヵ月かせいで四万五千円じゃないですか。こんなことは言いたくないけれ
ども、皆さんの給料だって、物価指数が上がれば、上がっているんですよ。この前私は失礼な
質問をしまして、皆さんの給料調べまでいたしました。あんなことは言いたくないんだけれ
ども、やはり言わざるを得ないから私は言ったわけなんです。そういうふうに、皆さんは自分の生活となれば、やはり関心はある。
しかし、
日本のほんとうのまじめなこの芸術家に対する評価の
しかたがあまり酷ではないか。正しい評価をしていない。千五百円というのは、昔のコーヒーの、何じゃないですか、いまコーヒー飲めば二十ぱいか三十ぱいじゃないですか。コーヒーだって一ぱい五十円から七十円するときに、千五百円払って、それで済むと
NHKが考えておるとするならば、これは大きな間違いではなかろうか。こういう考え方は一日も早く訂正してほしい、こう私は思うんですが、大臣、私の考えは間違っているでしょうか。
日本の文化を担当していくものとして、その考えは間違っておるんでしょうか。ジャズ・シンガーで、わけのわからぬことを、ひゅっと出てきて、ひゅっと消えていくような人たちを高く評価して、まじめに
日本の文化のために努力しておる人に、こういう評価の
しかたをするのは正しいのかどうか。もっと正しい評価をすべきじゃないかと私は思うんですが、もう一ぺん大臣の御意見を伺っておきます。