運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-24 第46回国会 参議院 逓信委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十四日(火曜日)    午前十時三十分開会   —————————————   委員の異動 三月十九日  辞任       補欠選任   谷村 貞治君   中上川アキ君 三月二十一日  辞任       補欠選任   中上川アキ君   谷村 貞治君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            白井  勇君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            永岡 光治君            横川 正市君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   説明員    郵政省電波監理    局放送部長   吉灘  中君   参考人    日本放送協会会    長       阿部真之助君    日本放送協会副    会長      前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会専    務理事     赤城 正武君    日本放送協会専    務理事     春日 由三君    日本放送協会専    務理事     栃沢 助造君    日本放送協会主    計部長     志賀 正信君    日本放送協会経    営第一部長   野村 忠夫君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  日本放送協会関係付託案件審査のため、また、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査放送に関する事項調査のため、今期国会開会中、日本放送協会経営第一部長野村忠夫君を参考人に決定しておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  4. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言願います。
  5. 野上元

    野上元君 郵政大臣が都合でまだ出席しておりませんので、出席されましたら、あらためて郵政大臣には質問をするということにいたしまして、とりあえず、NHKに対する質問をしたいと考えます。  まず、第一にお聞きしたいことは、三十九年度の収支予算並びに事業計画についてはNHK側説明を聞いたこともありますが、特に三十九年度において例年にない特徴的な施策というものがありましたら、ひとつあげていただきたいと思うのです。
  6. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 三十九年度予算はおおむね長期計画の路線に沿っておりますので、その関係事項例年の延長であり、また、将来へまで引き延ばされる筋合いのものでございますが、三十九年度限りで例年にないものが、この中に二点ほど入っております。  その一点は、世界の学校放送会議開催が一点でございます。二点は、オリンピックの東京大会開催を控えまして、この関係の大量の予算が盛り込まれているわけでございまして、以上の二点が例年にない特異なものである、このように相なっております。
  7. 野上元

    野上元君 この予算説明書の中にあります受信料は、六百四十二億八千七百万円となっておりますが、これの内訳を教えていただきたいと思います。内訳で私の聞きたいのは、この中で、純然たるラジオ料金は幾らか、テレビ料金は幾らか、その点をお知らせいただきたいと思います。
  8. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ただいまの受信料総額の中におきまして、ラジオのみの契約をいたしておりますもの、契約の種別で申しますと乙契約と申しておりますが、この関係収入が約十四億でございます。残余は、契約甲の方面から入る料金収入でございます。
  9. 野上元

    野上元君 その甲の契約の中には、当然ラジオ受信料が入っていると思うのですが、その額はどれぐらいになりますか。
  10. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 契約甲の中に入っておりますラジオ分といたしましては、総体で月額三百三十円のうち三十円がラジオ料、このように相なっておりまして、この関係収入は、昭和三十九年度におきましては約五十億余でございます。
  11. 野上元

    野上元君 そういたしますと、乙契約による十四億円の収入と、甲契約の中に含まれている五十余億円の収入の合わせたものが純然たるラジオ収入、こういうことになるわけですか。
  12. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) さようでございます。
  13. 野上元

    野上元君 受信料としては、前年度に比較して五十三億何がしか増収になっておるわけですが、この増収の中に占めるテレビ及びラジオ内訳を聞きたいのです。
  14. 志賀正信

    参考人志賀正信君) お答えいたします。  三十九年度の受信料増収五十三億一千四百万の中で、テレビ甲からで増収になりますものは六十億八千百万でございます。  それから乙のほうは、受信者が前年度に比較いたしまして減少いたしますので、乙の受信料といたしましては、昨年度よりも減収でございます。その額は七億六千六百万円の減収でございます。相殺いたしまして五十三億の増収でございます。
  15. 野上元

    野上元君 放送債券及び長期借り入れ金が、前年度に比して、それぞれ十億あるいは七億六千万円と減っておるのですが、これには何か特別の理由があるのですか。
  16. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 放送債券長期借り入れ金を含めまして、外部資金関係におきましては、昭和三十八年度よりも減少いたしております。この減少の主たる原因は、建設関係資金充当の中で、自己資金分がふえておりますので、その限度におきまして減っておりますことが一点でございます。さらに、総体的には、建設関係規模昭和三十八年度におきましては百九十億でございますが、三十九年度は十億減少いたしまして百八十億と相なっております。この関係と、その中におきます自己資金外部資金との比率が大幅に変わっておりますので、三十九年度におきましては、外部資金の面におきまして約二十億の減少というような姿になっております。
  17. 野上元

    野上元君 そういう姿になっておるということは私もわかるのですが、それは、将来に向かっても、こういう形になっていくのですか。
  18. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 自己資金の充実に伴いまして、大体の建設総ワクがあまり大差ないといたしますと、外部資金の面は減少をいたしてまいることになろうかと思います。ただし、その自己資金の中にも、年々ふえてまいりますものと、あるいは財政全般のにらみ合わせによりまして、どの程度の自己資金を振り当てるか、こういうものがございます。その前者の年々ふえますものは減価償却積み立て金でございます。資産増加に伴いまして当然に積み立て金がふえてまいりますので、これはまるまる建設財源充当いたします。この面は年々ふえてまいります。昭和三十九年度のみにつきましても、昭和三十八年度と比較いたしまして約十三億の増加になっております。これは、将来におきましても、建設の促進に伴いまして資産の額がふえますので、額はそのとおりにはあるいはならないかもしれませんが、ふえる傾向にございます。他の政策的な面で未定の問題といたしましては、当該年度受信料収入の直接建設財源充当をいたしておりますものが昭和三十九年度におきましては五十億でございます。これは、昭和三十八年度と同額でございますが、四十年度以降におきましては、この関係は、全体的に見ますと増収の額が漸次低下をいたしてまいりますので、そういう関係で、それだけの額を将来といえども建設財源充当できるかどうかと申しますと、これは、そのような見通しが持てないわけでございます。建設財源充当受信料収入分といたしましては、漸次額減少してまいることになろうかと思っております。
  19. 野上元

    野上元君 全体から見て、増収テンポといいますか、それを知りたいと思うのです。テンポというか、成長率というか、それを知りたいと思うのですが、ピークはもうすでに通り過ぎて、現在は下降線をたどっておるのですか。それとも、なおピークは将来に向かって伸びておるのですか。その点お知らせいただきたいと思います。
  20. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 成長の山は、おそらく昭和三十八年度から九年度へかけてが頂上であろうと思います。自後、何がしか増収はございますが、成長の度合いから申しますと、漸次低下をいたしてまいることになると見通しておりますので、成長の率は年々下がっていくと思います。  およそ現在の見通しで、金額で申しますと、昭和三十九年度ただいま御審議をいただいております予算におきましては五十三億ばかりの増収でございますが、四十年度になりますと、この額が四十億円くらいに減少をする見込みでございます。四十一年度には三十億強くらいになろうかと思います。四十二年度あたりにまいりますと、二十五億くらいになってまいるように見通せますので、増収の額が年々下がりまして、現在の昭和三十九年度の成長の率は、パーセンテージで申しますと約九%でございますが、四十年度で申しますと七%くらいに下がろうかと思います。四十一年度では六%を割るようなことになります。四十二年度では四%強、このようなところに下がってまいると思います。それ以後になりますと、さらに、現在の受信料額で算定をいたしますと、相当低下をするというような傾向が、これはもう明らかであろうと思われます。
  21. 野上元

    野上元君 いまのあなたの御説明を聞いておりますと、絶対額においても、あるいは予算の中に占める相対額においても、漸次低下傾向にある、こういうふうに思われるのですが、そのような傾向を示しておるわけですか。
  22. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 絶対額はふえてまいりますが、そのふえ方が非常に鈍化してまいりますので、受信料収入総額を前年の総額と比較をいたしてみますと、ただいま申し上げましたように比率低下をいたしていくというように見通しております。
  23. 野上元

    野上元君 先ほどの説明に出ましたので、この際ついでに聞いておきたいと思いますが、建設費が前年度は百九十億円だったと、ことしは百八十億、すなわち十億減っておるわけですが、この減っておる理由を知りたいと思うのですが、これは、あなたのほうの計画的なものに基づいて減らしたのか、あるいはまた建設対象が漸次やはり少なくなっていっておるのか。したがって、この傾向はこれからもまたそのとおりに続けていくのか、その点の見通しを聞かせていただきたい。
  24. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) NHKといたしまして、建設に力を注がなければならないことは、まだここ将来しばらく続くと思われます。ただ、その所要の建設をいたすべき対象の面から申しますならば、年次が進むに従って、だんだんと対象が少なくなってまいりますことは、これは当然でございますが、しかし、なおかつ、カバレージから申しましても、この予算を施行いたしても、テレビについて申しますと、八九%ぐらいのカバレージしかとれぬわけでございます。まだ相当の、一〇〇%までには、距離がございます。そういった面から申しますと、まだ建設を進めなければならない対象は非常にあるわけでございますけれども、二面から申しますと、財政全体の関係をにらんであんばいをしてまいらなければならない面も出てまいります。  そのような状況から申しまして、自己資金が漸次充実するとは申しましても、なお年々多額の外部資金に依存しなければなりません。そういった関係の将来の返還等ともにらみ合わせまして、一面では、できるだけ早く全国普及の使命を達成しなければならないと同時に、他面におきましては、健全な財政と、できるだけ受信者に対して料金値上げ等のような事態にならないように、低額な料金によって利用していただけるというような財政措置をとらなきゃなりませんので、そのようなかね合いから申しまして、三十九年度は三十八年度に比しまして建設規模を十億低目にいたしておりますが、将来の関係から申しましては、現在持っております長期計画では、四十年、四十一年は三十九年度と同様百八十億の規模建設をいたしたいと、このように考えております。
  25. 永岡光治

    永岡光治君 関連。いま、予算の問題について野上委員から質問されておりますが、この際、私は資料をひとつこの次の委員会までに用意していただきたいと思います。  それは、いま御説明のありましたように、漸次いままでの伸び率ほどはない、下がった増収しか見込まれないというお話でありますが、そういうことになれば、いつかは、コンスタントの伸びぐあい、一定の率にしかならない時期が来るだろうと私は想像するわけでありますけれども、そういうものを含めまして、将来の展望をどうするかということになるわけでございますので、おそらく、NHKのほうでも、五ヵ年計画ないし十カ年計画というものをお持ちだろうと思うのでありますが、その収支大綱と申しますか、それの青写真と申しますか、大綱でけっこうでございますが、それをひとつ次の委員会のときに資料としてお示しをいただきたい。できましょうか。
  26. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 昭和四十二年度までの計画につきましては、長期の第二次六カ年計画に基づきまして、これはやや詳細に積み重ねました見通しに基づいたものについて資料を持っております。四十三年度以降につきましては、まだそのような精密なものは持っておりませんが、おおよその傾向はお出しできるんじゃないかと思います。と申しますのは、ちょうど昭和三十七年度から第二次六カ年計画に入ったわけでございますが、ちょうど四十二年度でこの長期計画が終わります。たまたま、その第二次六カ年計画のスタートの年が、受信料関係の問題につきまして、制度並びに体系料額等について根本的に検討しなければならない課題があったわけでございます。このような課題を解決いたしますと同時に、将来の計画を精密に測定をしなければならない状況がございまして、四十二年度までにはこれこれの計画を進めなければならない、その必要な計画を遂行いたしますための財源はこれだけ要る、その中で外部資金に依然し得る部分、自己資金で調達しなければならないもの、これを区分けをいたしまして、その自己資金分の調達のためには受信料としてどのくらいの収入がなければならないかというところから、制度体系料額について、現在の受信料体系、額をきめたわけでございます。  そういうような関係から申しまして、四十二年度までには、よくよくの事情変更がございません限り、現在の料額において所定の必要な計画を遂行できる、こういうような目算に立ちまして策定をいたしましたものでございますので、この関係については精密なものがお出しできると思います。四十三年度以降につきましては、まだそのような作業を現実には精密に積み重ねておりませんが、おおよそ収入状況がどのようになるかというような見通しは、これは可能でございます。で、そういうようなことで御期待にできるだけ沿えるような資料を御提出いたしたいと思います。
  27. 永岡光治

    永岡光治君 私は、収入傾向ももとよりでございますが、それに伴って、支出のほうの計画がやはりおおよその大綱がなくちゃならぬと思いますので、そういう意味で、細部にわたっては無理だろうと思いますが、ただ、こういうものが考えられるという大綱ですね、それをお示しいただいてけっこうだと思いますが、それの資料をひとつお願いいたしたいと思います。
  28. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御提出申し上げます。
  29. 野上元

    野上元君 いま直ちに御答弁は無理かと思いますが、一つお聞きしておきたいのは、ラジオにあっては、第一・第二それぞれ、テレビにおいては総合教育それぞれ、まあFMは将来の問題として除外するとしても、いま申し上げた部門のこれからの置局といいますか、あなた方が考えておられる可能な範囲の最高のカバレージを実現するためにはどれくらいの置局が必要であるかということは、おおよその見当はつきますか。
  30. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) お答え申し上げます。  先ほど小野専務からもお答え申し上げましたように、私ども手元に、四十二年度までの第二次六カ年計画におきましても、そういう計画ははっきりしたものを持っております。それは、いま御指摘のように、第一放送、第二放送置局増力であります。それからFM放送、それからテレビジョン総合教育、これらに対しましての長期的な計画を四十二年度までは持っております。ただし、最終年度の四十二年度あたりのものにつきましては、今後の郵政省あたりチャンネルプラン変更とかあるいは追加とか、そういうものによりましてその数が変わり得るものでございますので、一応、私どもといたしましては、私どもの考え方に基づく必要な数を入れておるのでございまして、必ずしもチャンネルプランその他ではっきりきまった数字ではございません。もし、非常にたくさんの表でございますので、必要ならば資料を提出させていただきたいと思います。
  31. 野上元

    野上元君 私は、そのような詳しいのは別に必要ないのですが、NHKから見て、純粋に技術的に見て、あなたのほうが最終的に考えておるカバレージを達成するためには、四十年度以降において、なおいま申し上げた各部門において、それぞれどれくらいの置局が必要なのかということを聞いたわけでありまして、いま直ちにお答えいただかなくてもけっこうですが、おおよその数字というものがわかれば教えていただきたいと思ったのですがね。
  32. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) お答え申し上げます。  ラジオにつきましては、第一放送、第二放送とも、いわゆる昼間のカバレージでございますが、法定電界強度によりますカバレージは九九・何%、あるいは第二放送では九八%何がし、そういうふうな数字に現在すでになっております。ところが、実際は、御承知のように、昼間は大体そういうカバレージを示しておりますが、夜間になりますと、外国電波混信その他によりまして、はるかにそのカバレージは下がってまいります。これに対応するために、主として置局よりはむしろ増力が必要になってくるかと思います。増力につきましては、一昨年のラジオ標準放送チャンネルプランの修正の際に、相当数のものが、第一放送、第二放送とも増力を認められまして、それを三十七年度、八年度、九年度の三カ年でその増力を一応全部完了することになっております。これは、カバレージのほうは数字としてはあまり出ておりませんが、夜間におきます電波が強くなりますので、たとえば一キロが五キロになるとか三キロになるとか、あるいは五キロが十キロになるとか、そういうふうな増力でございますので、昼間のガバレージはあまり大きな数字の変化はございませんが、NHK聴取状態の改善に相当役立っておるものと思われます。一応三十九年度で、先般のチャンネルプランで認められました増力は全部終わる予定でございますが、NHK独自といたしましては、そのチャンネルプランで認められました東京の第二放送の三百キロワット増力というものを昨年の暮れに完成いたしましたが、今後、これはチャンネルプラン変更が必要でございますが、その他の地区におきましても、かねての計画でございますラジオにつきましては、超大電力放送三百キロないし、あるいはそれより大きいような、そういうふうな国際的にも日本が認められております超大電力——現在は百キロが最大でございます。三百キロないし、あるいはもっと大きい局を四十年度以降におきまして一、二局着工もしくは完成していきたい、かような考えを持っております。これによりまして、夜間の全国的な外国混信に対する救済は相当の効果があげられるかと思っております。  テレビジョンにつきましては、現在チャンネルプランがきまっております局が、第一次の基幹局が四十九局ございます。それから第二次チャンネルプランが昨年の追加のものを合わせまして三百十一ございます。合わせて第一次、第二次現在きまっておりますものが三百六十局ございます。これは、総合教育とも——若干の教育の一部の局は違いますが、大体三百六十局というものが、現在の郵政省のほうでおきめになりましたチャンネルプランに基づく決定されました地点でございます。それに対しまして、総合教育ともに、大体三十八年度末で百六十七、八局完成するかと思います。あと、ただいま御審議を願っております三十九年度予算におきまして、一応現在の目標といたしましては、総合につきましては五十五局完成十五局着工、もしこれが順調に運びますと、あるいは七十局完成かと思います。それから教育テレビにつきましては、若干現在まだ置局の数が少ないところがございますので、三十九年度におきましては、総合よりも七局よけいに追加いたしまして、六十二局完成十五局着工ということで予定を考えております。したがいまして、三十九年度のやつが一応終わりましても、まだあと相当数——三百六十には相当ほど遠い数でございますので、そのあとを四十年度、四十一年度で、できればなるべく早い時期に、そのチャンネルプランできまっております局を終わってしまいたいと思います。ただいまの長期計画におきましては、一応これは四十一年度末に完了する予定でございます。そこで、一応チャンネルプランに基づくものが完了いたしまして、なお六カ年計画におきましては、あと一年、四十二年度が残りますが、その四十二年度におきまして約百局を考えております。その百局が完成いたしますと、第二次チャンネルプランの終了時におきます法定カバレージは、総合教育ともに九三でございますが、一応四十二年度に百局を、これはまだチャンネルプランはきまってないのでございますが、一応それを想定いたしますと、九五%になります。それが現在持っております、私どもとしてはやや正確な資料でございます。
  33. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ちょっと補足をいたしますが、三十九年度の予算を執行いたしましたあとに、四十年度以降にどのくらいの局が一体NHK目標で残るのか、こういうお尋ねでございますが、ラジオテレビで申しまして、分けまして、ごく簡単に申し上げますと、ラジオにつきましては、第一放送につきましては、四十二年度末までに九九・九%のカバレージを得たい、こういうのが目標でございまして、そのために必要な局数を百六十八局と見ております。そのうち、三十九年度のこの予算を実行をいたしますと、実施済みになりますものが百六十四局でございまして、四局残ります。これが四十年度以降でございまして、この四局を四十二年度までにいたしますならば、九九・九%のカバレージになるわけでございます。第二放送につきましては、同じように、四十二年度末までに九八・五%。このほうは九八・五%のカバレージまでに到達したい、こういう目標で、百二十九局が必要だと、こういう計画でございますが、三十九年度予算実施の暁におきましては、百二十五局ができるわけでございます。四十年度以降に持ち越しますものが四局でございます。その他、超大電力関係につきましては、三局を目標にいたしておりますが、三十九年度末に一局ができるわけでございまして、二局を四十年度以降に持ち越すわけでございます。  テレビジョン関係につきましては、これはまだチャンネルプランの確定をしていないものも含んでおりますことをお断わり申し上げておきますが、四十二年度末までに、教育総合も、いずれも九五%のカバレージに到達をしたいというのが目標でございますが、そのために必要な局数といたしましては、総合教育、いずれも四百六十一局ずつの置局が必要だということでございますが、このうち、三十九年度予算の実行後におきましては、すなわち三十九年度末には、総合教育いずれも二百二十三局が実施済みになりまして、四十年度以降に持ち越しますものは二百三十八局でございます。それだけを、四十年度から四十二年度までにやらなければならないわけでございますが、それをやりますと、九五%のカバレージが得られるわけでございます。  で、その後はどうなるかということになりますと、一〇〇%までまだ五%の差がございますが、この関係につきましては、まだすべてチャンネルプランの上では明確でございません。そういうような面で、置局方式とその他の方式、これをいろいろ検討いたしました上で、四十三年度以降どのようにやっていくかということは、将来の課題になろうかと思います。
  34. 野上元

    野上元君 よくわかりました。そうしますと、四十二年度までは、ラジオテレビ、いずれも、なお新しい置局を進めていかなきゃならぬ、四十二年度以後になると、また別の構想に基づいてやっていかなきゃならぬということになろうかと思うんですが、それだけでなく、先ほど田辺理事からお話のありました、昼間におけるカバレージ夜間におけるカバレージが違うということになると、一日じゅうのカバレージを一〇〇%にするためには、あるいはあなた方が考えておられる限度にまで持っていくためにも、なお技術的開発といいますか、そういう点が相当必要であるということになると思いますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  35. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) お答え申し上げます。  標準放送を、夜間カバレージを一〇〇%ないし一〇〇%に非常に近い数字に持ってまいりますことはきわめて困難かと思います。と申しますのは、こちらが増力ないし置局をいたしましても、外国電波のほうもまた増力とか置局とかいうことが行なわれてまいります。結局戦争になりまして、なかなかこちら側のほうで完全に一〇〇%ということにはいけないかと思います。これに対しましては、やはり将来の問題といたしましては、これは、一〇〇%に昼夜ともにきわめて近い数字に持っていくためには、どうしてもFM放送、つまり昼間と夜間とのサービスの変化のないFM放送電波を使って、標準放送のような形に持ってまいりませんと、中波だけで増力ないし置局によりまして夜間一〇〇%という数字を得ることはきわめて困難だと思っております。
  36. 野上元

    野上元君 その質問は、この程度にいたしておきます。  次は、長期借り入れ金の残高、それから最近の未償還の残高はどれくらいありますか。
  37. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 三十八年度におきましては、外部から借りております債券及び借り入れ金の残高は二百九十三億二千七百万に相なります。それから三十九年度に、ただいまお出しいたしております予算に載せておりますものが、借り入れが総額で六十三億四千万、返還が二十億一千万でございまして、相殺いたしまして来年度末には三百三十六億五千二百二十二万五千円の残高に相なります。
  38. 野上元

    野上元君 次にお聞きしたいのですが、国際放送に対する交付金というのが一億二千二百万円ばかり計上されておるわけですが、昨年の実績を見てみますと、毎年毎年、実績と交付額との間に差が開いてきつつあるように思うのですが、そういう傾向にあるということは事実ですか。
  39. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 大体そのような傾向にございまして、昭和三十八年度におきましては、総体の国際放送にかけております経費が五億でございますが、このうちで政府交付金が約一億余でございます。大体四対一といったような比率になっておりますが、昭和三十九年度におきましては、この予算書にございますように、国際放送にかけます総体の経費は約六億をこえております。そのうちで、交付金の関係は、多少はふえておりますが、そう大差はございませんので、比率は五対一に近いというようなことに相なっておるわけであります。
  40. 野上元

    野上元君 この際聞いておきたいんですが、交付金の交付される基準といいますか、そういうものが、実際にあなたのほうで支出された経費の何%というふうにきまっておるのか、これは政府が一方的にきめるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  41. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この関係郵政省のほうからお答えをいただいたほうが適切かとも思いますが、これは一定の比率によるものではございませんで、政府といたしましては、政府として命令を必要とする限界におきまして国際放送の命令を下され、これに必要な経費を交付せられるというような関係に相なっております。
  42. 野上元

    野上元君 そういう答弁を聞いておりますと、NHKは、政府が意図した以上の余分な国際放送をやっておるというように聞こえるんですがね。その点はどうなんです。
  43. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御質問のとおり、まさにそのとおりでございまして、NHKといたしましては、国際放送関係につきましても、政府交付金によりますもののほか、やはり世界各国の放送事業界の活動等の実績をも参照いたしまして、日本の国の繁栄発展のために、できるだけこの方面に力を注ぎたいというような気持ちでおりますし、そういった方面から、政府命令によりますもののほかに、NHKとして必要なる限度におきまして、これはNHK本来の業務として国際放送計画を立て実施をいたしておるような次第でございます。
  44. 野上元

    野上元君 政府の命令によるものは一億二千二百万円、そうしますと、NHKとしては、政府の命令だけならばこの金額で足りると、こういうわけですか。
  45. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 一応そういうことに相なるわけであります。
  46. 野上元

    野上元君 NHKとしては、国際放送に要する費用に総予算の何%というふうな一応の基準はあるのですか。それとも、そういうものは全然ないのですか。
  47. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 別段、はっきりした比率目標に持っておりませんが、何しろ全体の中でのまかないでございますので、一面には、国内の受信者から上がった受信料によって支出をする経費でございますので、あまり多くては、これはいかがなものであろうか、このような御批判もございます。そういうような面もにらみ合わせつつ、まあ適当なる限界を、予算の編成のつど、にらみ合わせまして必要な計画を立てるというようなことに相なっております。
  48. 野上元

    野上元君 予算総則十一条に国際放送の問題が出ておりますが、「国際放送ならびに選挙放送の実施に対する交付金が予算額に比し増加するときは、その増加額は、それぞれ国際放送ならびに選挙放送関係ある経費の支出に充てることができる。」こういうふうになっておるのですが、これはどういう意味なんですか。
  49. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) これは、国際放送の政府命令によりましていただきます交付金並びに選挙の放送の実施に伴いまして必要な経費を政府からいただくということに相なっておりますが、その趣旨にかんがみまして、その目的のためにしか使えない、ほかの方面に流用してはならないという趣旨でございまして、国際放送関係の交付金としていただきましたものは国際放送関係の経費に限り使用する、また選挙関係のそれは、同様な趣旨から、選挙放送関係の経費に限って使用するというような意味合いでございます。
  50. 野上元

    野上元君 実際にあなた方の経験から見て、こういうことはあり得るのですか。
  51. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 在来の経過から申し上げますと、国際放送関係につきましては、政府として御予算がなければできないわけでございます。予算編成後に補正予算でこれが増額されるということは、ちょっと考えられないことでございますので、第十一条の予算総則の条項はございますが、これの適用例は皆無でございます。  選挙関係につきましては、予算編成時に次年度中における選挙の模様をおおよそ目測をいたしまして、これに対する経費を予算では計上はいたしておりますが、現実の問題といたしましては、補欠選挙その他の関係等の経費もこの中に含まっておるわけでございまして、事前に、もうすでにわかっております選挙関係については予測ができるわけでございますけれども、予測のできない選挙実施がございます。そういう関係につきましては、予算に計上した額以上に実費としていただくというようなことがあるわけでございます。
  52. 野上元

    野上元君 実際に予算を上回って支出した場合に、あなたのほうで、その追加を要求されたという事例はありますか。
  53. 春日由三

    参考人(春日由三君) 今年度公職選挙法の一部改正をいたしまして、テレビジョンで経歴放送をやるという事業が追加になりました。したがいまして、前回の選挙におきましては、われわれの予測しておりましたよりはよけいかかった、その分だけちょうだいすることになっております。そういたしますと、いまの十一条の適用によって、そういうことに使われるという形になります。
  54. 野上元

    野上元君 ことしの予算から見ますと、選挙の関係でいいますと、四十一万四千円というものが計上されておるわけですが、まことに申しにくいことですが、福島の県知事がなくなられました。そうすると、もうこの県知事選挙を福島でやらなければならぬということになりますというと、三十九年度予算では予測できなかったことがすでに発生しておるわけですが、そうすると、この四十一万四千円というものは、すでに福島県分だけ足らなくなると思うんだが、そういうものは要求されるんですか。
  55. 春日由三

    参考人(春日由三君) これは、もう知事の場合は幾ら、それから衆議院議員の場合は幾らというふうなよりどころはありますから、現在予測しております予算の中には、当然途中でなくなられた知事の分は入っておりますから、これは実施をいたしまして、その経費は当然ちょうだいできるようになっております。
  56. 野上元

    野上元君 わかりました。  次に、要員関係の問題でお聞きしたいんですが、この説明書を見ますと、要員は一万四千三百四十人ということになっておりますが、これはいわゆる本務と臨時を含んでおるんですか、それとも本務だけなんですか。
  57. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 地域別の東京と地方と両方入ってございます。それから臨時につきましては除外してございます。これは職員だけでございます。
  58. 野上元

    野上元君 そうしますと、この予算書の説明の中にある要員一万四千三百四十人というのは、これは本務者だけですか。
  59. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) そのとおりでございます。
  60. 野上元

    野上元君 本務者たる要員の増加率というのは、前年に比べてどのくらいになっておりますか。さらに最近における要員の増加状況といいますか、そういうものを二、三年わかりますか。
  61. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 三十五年度からございますが、三十五年度を一〇〇といたしますと、三十六年度が大体一割の増加でございます。それから三十六年度から三十七年度へかけまして、前年度に対して一四%の増加でございます。三十七年度から三十八年度へかけまして一九%の増加でございます。ただいま御審議をいただいております三十九年度につきましては、前年度に対して大体二〇%の増加でございます。
  62. 野上元

    野上元君 そうしますと、増加率というのも、これまた年々少しずつではあるけれども、ふえておるというふうに見られますが、将来もやはりこういう傾向でふえていくんですか。
  63. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 大体六ヵ年計画に基づきまして、それぞれの年の新しい事業計画予定されておりますから、それに基づいて、たとえばテレビジョン放送の時間増がございます。ことしにおきましても、教育テレビが一時間三十分増加、こういうふうな時間増がございますから、それに対応しての増員を見込んでございます。
  64. 野上元

    野上元君 次に、給与ベースの問題について触れておきたいと思うんですが、この説明書によりますと、基準賃金四万一千八百七十八円となっておりますが、この基準賃金というものの内訳をお教えいただきたいのです。どういうものが基準賃金とNHKでは言っておるのか。
  65. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 基準賃金は、いわゆる基本給、本俸でございます。それに家族給をプラスしたものが基準賃金でございます。
  66. 野上元

    野上元君 NHKの場合には、地域給というものはないんですか。
  67. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) 地域給はございません。
  68. 野上元

    野上元君 ないんですか。
  69. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) はい。
  70. 野上元

    野上元君 この四万一千何がしというベースは、すでにNHKと日放労の間で交渉されてベース・アップが成立したということを聞いておりますが、そのベース・アップを含んでの額ですか。
  71. 栃沢助造

    参考人(栃沢助造君) おっしゃるとおりでございます。
  72. 野上元

    野上元君 あとでもけっこうですが、このNHKの基準賃金と関連産業の基準賃金の比較を教えていただきたいと思います。いまでなくてもけっこうです。あとでけっこうですが。  その次に御質問申し上げたいのは、放送時間の問題ですが、第一は一日に十九時間、第二は一日に十八時間三十分、FMは十八時間、こういうふうになっておりまして、これらはいずれも前年度と同じでございますが、ラジオ放送時間というのは、大体これぐらいが限度だと、こういうふうにお考えになっておるかどうか、お聞きしたいと思う。
  73. 春日由三

    参考人(春日由三君) 国民生活時間の調査とか、そういういろいろなデータに基づきまして、まあ朝の五時から夜の十二時までというのは一応の限度だと考えております。したがいまして、ラジオの場合は、第一放送は、地方の農村とか、そういったものの対象を考えて五時から、それから第二の場合には三十分ずれて五時半から、FMの場合には六時から十二時まで、一応その程度が限度だと考えております。
  74. 野上元

    野上元君 零時から四時まではNHKラジオは鳴っておらないということになるわけですが、その間に勤務しておる人は日本にどれぐらいあるかということを調べられたことがありますか。
  75. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 新しい数——ごく一番最近の数字ではございませんが、昭和三十八年の春ごろまでの数字は、私の記憶によりますと、全国で約四百万と計算されておったようでございます。
  76. 野上元

    野上元君 私は、これはきょうの読売新聞か東京新聞か何か、新聞で見たんですが、この四百万とあなたが推定されておる人々からの要望として、零時から四時までラジオが全然鳴っておらないので、結局外国のラジオを聞かざるを得ない。したがって、自分らとしては本意ではないので、ぜひとも日本放送を、やわらかいものを聞いて肩をほぐしたいという希望が切々と訴えられておる記事を見たんですが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  77. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どものほうには、そういう御要望は全然といっていいくらいございません、従来は。まあ、外国放送との関係ということは、これは特殊の状態ではないかと考えますし、私どもの考え方は、先ほど春日専務理事からお答え申し上げましたように、全国約一億の人口の中で四百万に対して特殊のサービスをすることが良識的な社会生活から見てどうであるかという問題。それから、一般的には、むしろその特殊の立場におられる方々の御希望よりも、社会的に十二時以後の放送についてはむしろ抗議的な要望のほうが多いかと考えております。
  78. 野上元

    野上元君 私は技術者でないのでよくわかりませんが、何か簡易な方法で、NHKがそう大きな犠牲を払わないで、たとえば、テープのようなもので、この四時間の間自動的に流すというような方法はないのですか。
  79. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) おっしゃるような方法は可能かと思います。
  80. 野上元

    野上元君 いまのところ、NHKとしては、前田専務理事のお話だと、その点はやる気はないというふうに聞いたのですが、さしむき実現をするという計画はございませんか。
  81. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) さしむき、私どもは、それを実行しようという考え方は、いまのところ持っておりません。
  82. 野上元

    野上元君 テレビについてお聞きしたいのですが、これも、この計画書で明示されているとおり、総合においては一日十八時間で、これは三十八年度と同じ、教育のほうにおいては一日十三時間三十分と一時間三十分の増し、ローカルに関しては一日平均一時間、これは十分増し、カラー・テレビは一日二時間で十分増し、こういうふうになっておりますが、テレビ放送時間というのも大体限度に来ていると見てよろしいのですか。
  83. 春日由三

    参考人(春日由三君) 現在、先生の御指摘のような総合テレビの朝六時から夜の十二時までの十八時間は、一応の限度と考えております。教育テレビジョンにつきましては、置局の促進、その他六カ年計画の線に沿いまして、お手元に提出いたしました計画では、ことしは、十二時間に対して十三時間半、一時間半をふやし、ローカルにつきましては、すでにラジオのほうは一日平均三時間半のローカル・サービスしておりますが、テレビのほうは、機械の関係その他勘案いたしまして、来年度は本年度よりも十分間ふやす、漸増の方向でまいりたいというふうに考えております。
  84. 野上元

    野上元君 カラー・テレビはわずかに十分の増しということですが、カラー・テレビがスタートしてから相当の年月を経ているわけですが、これは十分増しということにしかなっていないのですが、どういうことなんでしょうか。たとえば、放送局のほうが一日に二時間くらいしか流さないから、カラー・テレビの受像機のほうも、いわゆるマス・プロの線に乗ってこないというふうに考えられるのか、それとも、機械が今日やっぱり安価にはできないので、これ以上流しても無意味だと、こういうふうに考えておられるのですか。その点はどういう状況にあるのか、簡単に知らせてもらいたい。
  85. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) お答え申し上げます。  カラー・テレビジョンの受像機が普及いたしません理由は、いま御指摘の二つのものが、これはどっちが先とも言えないと思います。受像機のほうも、いろいろその後研究などが重ねられまして、かなり安くなってきておりますが、まだ白黒に比べて相当高価でございますし、受像機の値段ということも相当、むしろそちらのほうの理由が、放送時間よりはあるいはウエートが重いかと思いますが、むろん、放送時間がもっと長くなれば受信者がふえることも想像されますので、両方がその原因かと思っております。  それからもう一つは、受像機がふえませんもう一つの理由といたしまして、現在まだ私どものカラーのネット・ワークが全国に広がっておりませんので、現在、東京、大阪、名古屋あるいは北陸、東海、こういうふうな地域の放送局はカラーを全部放送して、東京と同時放送しておりますが、その他の地域におきましては、カラーの電波が出ておりません。したがいまして、大体現在のカバレージは、年度末で八七になりますが、その約半分がカラーの電波のカバーしておる範囲でございます。あとの半分はカラーの電波がいっておりません。そういう点もカラーの伸び悩みの一つの理由かと思います。
  86. 野上元

    野上元君 技術的には、もう今日完璧の状況にあるのですか。
  87. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) お答え申し上げます。  完璧といいますと、その完璧にもいろいろあろうと思いますが、その後、もう放送を始めましてから相当年月も経っておりまして、いろいろ技術的な問題につきましては、送信側におきましても、あるいは受けるほうの受像機におきましても、かなりの向上が見られまして、現在の放送あるいは現在の新型の受像機で受けますと、かなり完璧に近いものじゃないかと思っております。  もう一つ、それに付け加えて申し上げますならば、当初の、これはカラーそのものの問題ではございませんが、カラーで放送いたしました場合に、白黒の受像機で受ける人の画質に対する影響というものは非常に心配したわけでございますが、これもかなり改善されまして、なお、最近また新しい形のそういうふうなキャメラなど、できかかっておりまして、そういうものを使いますと、そういう点もますます改善されてまいって、より完璧に近づくかと思っております。
  88. 野上元

    野上元君 いわゆる貿易の自由化によって、カラーテレビの受像機がアメリカからかりに安くどんどんはいってくるということになった場合に、それにサービスするために、こたえるために、NHKとしては、カラーテレビ放送時間を延長するというような計画はありますか。
  89. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 現在のところは考えてはおりません。その理由は、大体春日専務理事田辺務理事からお話ししたことが基礎になっておりますが、ことに、このカラーシグナルが全国的に送れないという実情において、かりに貿易の自由化によって海外からかなり安いものがはいるとしても、その利用の限度は、やはり限られたものになるという想定も成り立ちますので、現在のところ、私どもといたしましては、これ以上放送時間を延長するという考え方は持っておりません。
  90. 野上元

    野上元君 オリンピックに対する計画が載っておりますが、テレビについては一日十二時間八種目について放送する、ラジオでは一日八時間十種目について放送する、こういうことに一応の計画がなっておりますが、この八種目といい、あるいは十種目というのは、だれがきめるのですか。これは純然たる技術的な面できめていくのですか。それとも、何か協議会のようなものがあって、そこできめるのですか。
  91. 春日由三

    参考人(春日由三君) 少し補足的な御説明を加えさせていただきたいと思いますが、全部の二十種目のうち、同時中継に適しない種目というものが約四つあると考えられます。たとえば、ヨットとかカヌーとか、海のほうに出てしまう、それを除きますと十六種目あるわけでございますが、それが各競技場に日程によって配分されるわけなんです。その中で最大限を同時に行なわれるのが、テレビのような御指摘の八種目になる。八種目同時に行なわれるというのが現在のオリンピックのスケジュールでは一番大きいわけです。それを全部カメラを配置して、同時に行なわれます最大八種目のものを、私どものほうのセンターまで持ってきて、それで、それに対して外国の放送機関も、日本の国内の各民放の方々も、御自分の欲するものを自由にとり得るという措置をしようというのが、その御指摘の種目の根拠になっておるわけでございます。
  92. 野上元

    野上元君 そうしますと、これは放送者側のほうで自由にきめ得るということですね。
  93. 春日由三

    参考人(春日由三君) スケジュールのつくり方につきましては、もう当然組織委員会のほうと事前相談はいたしますが、現在のところは、NHKのほうで最も仕事のしやすいようなきめ方がなし得るように話し合いが進められておるわけでございます。
  94. 野上元

    野上元君 日本放送協会学園の運営に対する助成ということがありますが、その後どういうふうに運営されておるか、近況を簡単に御説明願いたいと思います。
  95. 春日由三

    参考人(春日由三君) 三十八年度の当初から始めました仕事でございますので、まだ三十八年度じゅうの最終的な成績と申しますか、データを持っておりませんのでございますが、全国とも協力校の協力を得てスクーリングも、合宿スクーリングも、リポートの提出も、われわれの予測と同じように順調にまいっております。大きな特徴といたしましては、御承知のように、従来の通信制の高等学校につきましては非常に脱落者が多いというのが世界共通の悩みでございますが、ラジオテレビジョンを利用することによってスクーリングの時間が短縮できるというこの法律の特徴と同時に、全国七、八万の通信高校の教育を受けておる人たちが同じ時間に、同じ番組を勉強しているのだ、自分一人でやっているのじゃない。一番大きな脱落の原因は孤独感というのにあるのだということでございますが、その脱落を防ぐために放送が非常に大きな役割りを果たしている、同時に、通信高校といたしましては、リポートの提出が途絶えがちな人とか、あるいはスクーリングに欠席が続くような人たちには直接手紙を出したり、激励をしたりして、その途中脱落を食いとめておりますので、現在の時点では、昨年入りました一万四千五百人のうち、退学を申し出てきておる人たちは二百五十人ぐらいにすぎないわけで、同時に、この学校の特徴といたしまして、初年度に初年度の科目がとれなければ次の年またそれがとれる。四年かかって卒業するのを五年かかっても、六年かかっても卒業し得るというふうになっております関係から、退学者は予想外に少なく、それから脱落する人たちも予想外に少ない。おおむね順調に進んでいると申し上げてよろしいと思います。
  96. 野上元

    野上元君 三十九年度の助成金というのは幾らぐらいになっておるのですか。
  97. 春日由三

    参考人(春日由三君) 御手元に提出いたしました予算では一億九千万円ということになっております。
  98. 野上元

    野上元君 第二回世界ラジオテレビ学校放送会議開催予定されておるわけですが、これに約三千七百万円の予算を計上されておるわけですが、これは主催者側が全額負担ということになっておるのですか、それとも、この会議の費用の一部ということになっておるのですか。その点はどういうふうになっておりますか。
  99. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 主催はヨーロッパ放送連合という形になっておりまして、それをNHKに第二回目を委託する——NHKは、御承知のように、ヨーロッパ放送連合の会員になっているわけでございます。それで、この費用は原則として各放送機関が負担して、ことばをかえて申し上げますと、旅費その他一切は、各国から来られる方々が自費負担でございます。したがいまして、この金額は、おととしの第一回のローマ会議の方式に従いまして、滞在費と、それから会議関係の諸費用というものでございます。
  100. 野上元

    野上元君 昨年の二月でしたか、委員長並びに理事をわずらわして、NHKも同道いただいて、銚子の難視聴地域の視察をいただいたわけです。その当時、銚子から要望が出ておりまして、幾らアンテナを高くしてもうまく入らない、したがって、何かいい方法はないかということで陳情を受けておったんですが、そのときに、NHK側としては、UHFに切りかえて発射することによって、その困難を救おうと、こういう意見が開陳され、そのテレビ塔といいますか、それを早急につくるという約束をされたわけなんですが、その費用は、この三十九年度の予算のどこに入っておるんですか。
  101. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) お答え申し上げます。  建設費の中のテレビジョン放送網拡充費の中に入っております。先ほど申し上げました五十五局本年度完成の中の一局でございます。
  102. 野上元

    野上元君 三十九年度には確実に実施できるんでしょうか。それとも、民放との関係等とかで、まだ延びるんですか。その点を明らかにしておいてもらいたいと思います。
  103. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) お答え申し上げます。  すでに地点もきまりまして、現在商業放送と同じ局舎の中に機械を持ちまして、場合によっては、鉄塔あるいはアンテナ等も共用できるのではないかということで、現在そういうことで具体的な相談を取りまとめ中でございまして、間もなくその結論が出ますと、すぐ着工いたします。私どものいまの目算といたしましては、オリンピックまでには完成したいと思っております。
  104. 野上元

    野上元君 これは、白井委員からも御質問があったと思うんですが、現在の難視聴地域を救済するためには、いまのような地域が、銚子ばかりではなくて、全国から見ると、おそらく何十カ所、何百カ所とあると思うんですが、そういう場合に、あなたのほうがやられる考え方と、民放がやるコマーシャル・ベースによってやられる考え方とは、必ずしも一致しない場合があろうと思うんです。その場合には、両者の意見が一致するまでは、そういう難視聴地域の救済ということはできないという理屈になるんですが、そういうふうに解釈してよろしいですか。
  105. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) これは二つの問題点があるかと思いますが、先日白井先生からの御質問がございまして、その地点を決定するために、商業放送との場所の決定のためのいろいろな折衝が在来は必要でございました。このために、商業放送が非常に意欲がございまして、NHKと同時に開局したいというようなケースの場合には、比較的早期に話がきまっておりますが、商業放送のほうで当分やる気がないところにつきまして、なおかつ、その将来やるものと、場所につきまして、いろいろまあ意見の調整をはかるというために時間がかかったという例は相当ございます。これが、その地点を決定後に、郵政省のほうで送信条件その他を認めてくださいまして、そこで正式に置局地点がきまるわけでございます。それまでには、そういうふうな問題がございまして、要するに、商業放送が急いでやる気がない場合に、これが非常な、私どものほうの立場で申し上げますと、悪い影響を与えておったかと思います。  それから、それと同じような引き続きの問題でありますが、地点がきまりまして、今度は建設にかかるわけでございますが、その場合に、やはりNHKと同時に開局したいという場合には、今後も、あるいは在来も、話し合いはきわめて円滑にいくかと思いますが、その場合、若干やはり向こうが時期をずらしてやりたいという場合には、共同建設に関する場合にも、いろいろ今後問題が起こり得るのではないかと思っております。そういうふうな場合には、私どもとしては、商業放送が場所がきまった後もなおすぐにやる気がない場合には、かりに場所がきまりましても、やる気がない場合には、場合によっては単独建設でやらざるを得ない、そういうふうな気持ちでおります。
  106. 野上元

    野上元君 その民放との関係なんですが、それは、技術的に考えれば、NHKが単独でやっても、その難視聴地域は、切りかえることによって民放もはっきり見えるということになるのですか。それとも、NHKだけがやっても、技術的に民放が一緒でないとだめだということなんですか。その点はどうなんですか。
  107. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) NHK放送に関しましては、NHK電波が出れば救済されますが、商業放送は別な送信機あるいはアンテナ等を施設いたしまして電波を出しませんと、商業放送の難視聴解消にはならないと思います。したがいまして、NHKがやれば、NHK総合教育はよく見えるようになりますが、商業放送に関しては、商業放送電波を出さない限りだめでございます。
  108. 野上元

    野上元君 非常にむずかしくなったのですが、そうしますと、NHKが単独でやった場合には、受像機のほうには切りかえスイッチがやはり必要になると思うのですが、NHKを見る場合には、UHFに切りかえて見て、そうして民放を見る場合には、またもとの標準波に直して見る、こういうことを受信者はやらなければならぬわけですか。
  109. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) 私、ただいまお答えをする場合に一般的に申し上げましたので、いま御質問の趣旨は、UHFの場合のようにちょっと承りましたので、補足さしていただきますが、UHFの場合には、やはり商業放送のほうもNHKのほうも、同じ地区に関しましては、現在のところ、同じくUHFが割り当てられております。したがいまして、コンバーターというものを別につけまして受けなければならぬ場合には、NHKも商業放送もどっちもつけなければならぬ。ところが、たとえば銚子のような場合には——まあ一例でございますが、UHFの電波をかりにNHKだけが出したといたしますと、NHKを受ける場合には、そのコンバーターを使いましてUHFを受ければ、非常に明瞭な画が受けられる。ところが、商業放送が、もしその場合に、まだUHFの放送をしておりません場合には、まあ高いアンテナで東京のほうのVを受けるという、そういうような操作が受信者側も必要かと思いますが、銚子に関しましては、NHKと商業放送が同時にUを出すことになりますので、まあ一週間か十日は違うかもしれませんが、大体同じ時期に出るかと思いますので、その場合には、どちらもコンバーターを使ってそれを合わせてUを受ける、そういうふうなことになっております。
  110. 野上元

    野上元君 NHKと民放が意見が一致して同じ歩調でやる場合には問題ないと思うのですが、NHKだけがどうしても単独でやらなければならぬというような場合には、先ほど私が言ったような操作を受信者はやらなければならぬ、こういうことになろうかと思うのですが、そういう解釈は間違いですか。
  111. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) ただいま申し上げましたとおり、Uの割り当て地域に対しまして、しかもそこに遠方のVがかすかながら、あるいは質が悪くとも見えておった場合に、NHKだけがUの電波を先行いたしますと、そういうふうなケースは起こり得ると思います。
  112. 野上元

    野上元君 たとえば、銚子なら銚子にUを発射するものができるわけですね。そうしますと、銚子まではVでみな来るわけでしょう。銚子でUに切りかえて出すのじゃないですか。
  113. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) そうでございます。
  114. 野上元

    野上元君 そうしますと、来るときには、全部、民放の波もNHKの波も同じに入ってくるわけですね。切りかえた場合に、受像機をそういうふうにUに切りかえる装置をしておけば、NHKが単独でつくっても見えるんじゃないですか、民放の波も。
  115. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) ただいま申し上げましたように、Uの放送をいたします場合には、銚子で、各受信者が非常に高いアンテナを張りましてかりに受けましても、受信状態は、ごらんのようにあまりよくないという状況でございます。またお金もかかる。そこで、銚子におきますUの放送局は、非常にお金を使いまして、いい受信機でちゃんと受けまして、一般の受信者が受けておりますよりもはるかにいい質で東京のVをそれぞれ受けまして、そこで再送信するわけでございます。したがって、Uに変わった画を、一般の受信者が、今度はそう高いアンテナを張らないでも、電波が強うございますので、簡単なアンテナではっきり見える、そういうことになるかと思いますが、おっしゃるように、もしNHKだけがかりにそこでUを出しました場合には、不十分ながらVで商業放送東京のは見えておりますから、そのチャンネルに合わせれば、その画は見える。それからNHKも、むろん、東京のやつをVで見ようと思えば見えるわけでございます。NHKに関しましては、質のいいUが見えると同時に、質のあまりよくないVも見える、そういうことになるかと思います。
  116. 野上元

    野上元君 よくわからないけれども、これは技術的な問題のようですから、あとでお聞きすることにいたします。  それから国際放送の中に書いてあるのをちょっと見たんですが、いままで相撲の放送をやっておられた、海外向けに。それを時間を延長するというようなことが書いてあるように思ったんですが、現実には、どれぐらいの時間を放送されておるんですか。「三十九年度新規拡充事項説明」の三枚目の上から二段目に、「国際放送の拡充」と、こういうふうになっておりまして、この予算には四千五百万円を計上されておるわけであります。その四千五百万円の内訳としては、「送信方向七方向に対する増力」と、(2)として、「相撲放送時における放送時間の延長等」、こういうふうになっておるんですが、従来、この相撲をどれぐらい放送されておったんですか。そして、どれぐらい延長するんですか。
  117. 春日由三

    参考人(春日由三君) 一日二十分間の延長を考えておるわけでございます。そういたしますと、延べ九十日相撲がありますので、二十分間の九十日分の増加というのが、このジェネラル・サービス、一般放送の内容の充実という項でございます。
  118. 野上元

    野上元君 延長の時分はわかったんですが、いままでどれぐらいの時間放送しておったんですか。
  119. 春日由三

    参考人(春日由三君) 正確な資料を持っておりませんが、いままでは、おそらくは、ジェネラル・サービスの中で、大相撲の本場所の期間に、土曜とか日曜とかに特集的なやり方をしていただろうと思います。それを、今度は毎日一定の時間、好取り組みを、どうせこれは録音でございますが、あとから追加して出すという考え方に変わったのだと思います。
  120. 野上元

    野上元君 「送信方向七方向に対する増力」というのは、現在行なっておる十八方向の中の七方向のことをいっておるんですか。それとも、新しく七方向というものをつくるんですか。
  121. 春日由三

    参考人(春日由三君) 従来行なっておりました方向のうち、特に電力を上げて受信状態をよくするというために、そのうちの七方向を従来の百キロワットから倍の二百キロワットに増力するということでございます。
  122. 野上元

    野上元君 その次の、僻地、離島に対する対策なんですが、その中に「無電灯地域および時間送電地域解消促進対策」というふうになっておりまするが、これは、具体的にはどういうことを言っておるのですか。
  123. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 無電灯地域に対しましては、たとえばトランジスタ受信機を、特に公共機関、学校に対しては贈呈するという考え方を持っております。それから時間送電地域と申しますのは、これは全国で数カ所ございますが、たとえば、発電組合をつくりまして、重油の発電機をもって一日十二時間程度の送電をやるという場合は、たとえば、ただいま話題になりました相撲などの放送を見られないという場合がかなり多くなってまいりまして、相撲だけではございませんが、そういうことに対して受信者開拓を一つの土台といたしまして、これに送電時間を延長する部分について、たとえば重油の補助をするとか、そういう考え方を内容としたものでございます。
  124. 野上元

    野上元君 いまの前田副会長のお話ですと、全国で該当地域というのは四カ所ぐらいですか。何カ所ぐらいあって、人口はどのくらいあるかわかりますか。
  125. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 時間送電を行なっておりますところは、ただいまのところでは六十四カ所あるということになっております。それから無電灯戸数につきましては、三十八年度で約四万世帯、四万戸数ということでございます。
  126. 野上元

    野上元君 契約収納関係経費というのがございますが、これについて内容を簡単に御説明いただけませんか。
  127. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 契約費と収納費に分けて御説明申し上げます。  予算では総額三十四億七千百万を計上いたしてございますが、そのうちで、契約関係といたしましては九億八千万でございまして、内訳といたしましては、受信契約の取り次ぎに要する事務費が八億四千五百万、主として手数料関係でございます。それから受信契約取り次ぎのための連絡通信費関係が三千九百万、それから調査連絡旅費等が三千七百万、それから各種の式紙類及び受信票の作製費、これが五千六百万、それから受信契約取り次ぎのための調査委嘱費、打ち合わせ費、それから運送費その他の雑費といたしまして九百七十八万円でございます。  それから収納関係につきましては、総額が二十四億八千三百万でございまして、そのうち、収納に要しまする手数料関係が二十億五千九百万円でございます。それから連絡通信費が五千万円、それから収納のための連絡費が五千六百万円、領収書その他の式紙の作成費といたしまして一億八千三百万円、それから収納のための内訳式紙類の運送費、備品類の修理費その他の雑費といたしまして一億三千三百万円でございます。  以上の内訳になっております。
  128. 野上元

    野上元君 聞き漏らしたかもしれませんが、郵便局で委託して集金しているのがございますが、あれにはどれくらいの経費を郵政省に支払っているのですか。
  129. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 郵政関係の集金費及び取り次ぎ費、両方の仕事をお願い申し上げておりますが、取り次ぎ費が三千九百万円、集金費につきましては五億二千七百万円でございます。
  130. 野上元

    野上元君 わかりました。  それから未収受信料の欠損償却がございますが、これが六億四千二百八十万円になっておりますが、この中には、三十八年三月三十一日現在の徴収不能見越し額三億二千三百万円を含んでいるのですか。
  131. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 三億二千三百万円は、すでに引き当て金として計上いたしまして、決算で持ち越ししておりますので、ただいまお話のございました六億四千二百万の予算に乗せました欠損償却の予算には含まれておりません。
  132. 野上元

    野上元君 そうしますと、三十七年度財産目録で説明されておる徴収不能見越額の三億二千三百万円はすでに欠損処理をされておるということですか。
  133. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 経理上は欠損の予定を立てておりまして、三十八年度末に、決算時におきまして、現実に未償却と、取れないということがはっきりいたしました分につきまして相殺いたしまして落とすものでございます。予算に新しく三十九年度に乗せておりますものは、これからの見越しの額でございまして、本年度の受信料の中で計算をいたしましたものの中で取れない分については、使わずに保留をしておくという形の予算でございます。
  134. 野上元

    野上元君 この欠損の——欠損というよりも、未収受信料増加傾向にあるのですか。それとも減っておるのですか。
  135. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 年々、前年度の実績をもとにいたしまして予算をつくってございますが、三十五、六年度程度は、一・五%から一・三%くらいの数字が出ておりますが、昨年あたりから若干成績が向上してまいりまして、三十九年度のお手元の予算におきましては、総受信料収入の一%を欠損の見越し額と予定をいたしております。
  136. 野上元

    野上元君 その未収見越し額一%というのは、毎年大体同じ程度に計上しておるわけですか。
  137. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 大体一%程度でいけるかと思っております。
  138. 野上元

    野上元君 建設計画の中を見ますと、本年度総合テレビ七十局、それから教育テレビが七十七局、そうしてそれぞれ完成は五十五局と六十二局になっておりますが、その残余は継続工事を行なう、こういうことですか。
  139. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) 一応継続工事の予定にしておりますが、いろいろ促進いたしまして、できれば、その中でも完成できるものは完成さしたいと思っております。
  140. 野上元

    野上元君 放送センターの予算として六十億あげておりますが、前年度も同様に六十億でしたか。
  141. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) そのとおりでございます。
  142. 野上元

    野上元君 土地のほうは都会で決議されて、約二万五千坪以内、こういうことになっておるんですが、その土地二万五千坪というのは、すでに全部購入されておるのか、それとも、この予算を見ますと、なお若干の予算が計上されておりますが、この二万五千坪の中の予算なのか、それとも二万五千坪以上の予算なのか、その点お知らせ願いたい。
  143. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 土地につきましては、終局的には二万五千坪をセンター建設用地として払い下げを受ける予定になっております。一部、オリンピック時におきまして選手村等において使われる面がございます。それはオリンピックが済みませんと、現実にはセンターの建設用地としては使えないものでございますので、現在のところでは、二万五千坪のうち約一万九千坪のものについて現実に払い下げを受けております。残余の土地につきましては、オリンピックが済みました後、選手村を取っ払いました後において、NHKの所有になるというような見通しでございます。
  144. 野上元

    野上元君 そうしますと、残りの六千坪を買収する費用がここにあげております四億二千万円、こういうことになるわけですか。
  145. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 土地代につきましては、もうすでに一万九千坪の確定払い下げ分については、支払い済みでございます。
  146. 野上元

    野上元君 それはわかりましたが、二万五千坪を予定されておるわけで、さらに六千坪を買収しなければならぬですね。この三十九年度の建設計画に示されておる土地買収代として四億二千万円が計上されておるが、その六千坪に相当するのがこの四億二千万円ですかと聞いておる。
  147. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 三十九年度予算で土地買収として計上してございますのは、ただいまのまだ払い下げになっておりません六千坪のものにつきまして、予算としては約十億計上いたしてございます。
  148. 野上元

    野上元君 私の手元には、「昭和三十九年度建設計画」というのをいただいておるわけですが、その説明によりますと、放送センターは三十九年度として六十億を計上されております。そしてそのうち、土地には四億二千万円、建物には三十三億二千万円、放送設備に二十二億六千万円を内訳として計上されておるんですが、いま小野専務は十億円計上してあると言われるんですが、それはどこに計上してあるのですか。
  149. 志賀正信

    参考人志賀正信君) いまお話のございました三十九年度の土地代として載せてございますのは、お話のとおり四億二千万円でございまして、第一次買収分の残りの分でございます。それから、十億六千万円は四十年度に予定をして、その後の買収分として予定をいたしております。
  150. 野上元

    野上元君 そうしますと、はっきりしてもらいたいんですが、これに土地代として計上されておる四億二千万円は、残り六千坪のうちのある一部を買収するための予算である、そういうことになりますか。
  151. 志賀正信

    参考人志賀正信君) ちょっと説明を間違えまして、たいへん恐縮いたしますが、第一次買収分の残額の支払いが三十九年度にまたがっておりまして、その分が四億二千万円、三十九年度の予算に計上いたしてございます。で、なおそのあとは第二次買収分がございますが、その予算につきましては四十年度に予定をいたしてございます。
  152. 野上元

    野上元君 そうしますと、残り六千坪の買収費としては、十億六千万円を明年度予算として計上する予定である、こういうように解釈してよろしいですか。
  153. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 四十年度計上いたします予定でございまして、先生のおっしゃるとおりでございます。
  154. 野上元

    野上元君 放送センターは、オリンピックまでの工事の完了によって、どれくらい完成したことになりますか。
  155. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) 何%、あるいは何十%と申し上げますのは非常に困難でございますが、一応現在やっておりますのは、第一期工事というのをやっておりまして、そのまた第一期工事の中で、オリンピック時に間に合わせるものと、オリンピック終了後やりまして第一期工事を完成する分とございます。それから引き続きまして第二期工事がございますので、第二期工事が完了前、全体に対しましてオリンピック時のものを何%かと申しますと、第一期工事は約三分の一でございます。全体に対しまして第一期工事は約三分の一でございます。その三分の一に対しまして、オリンピック時のものは、建物としては大体完成いたしますが、使い方が非常に違います関係で、その表現が、まあ非常に乱暴に言わしていただくならば、おそらく八〇%くらいかと思います。
  156. 野上元

    野上元君 放送センターの最終的予算は幾らでしたか。
  157. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) 一応当初に、昨年度着工いたします前に立てました予算は、総額三百十億でございます。
  158. 野上元

    野上元君 鉄道における新幹線の例もあるのだが、その三百十億で大体間に合う予定ですか。
  159. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 当初の計画と、これからの実際の精密なる計画との間には多少のズレがございます。現在の第一期工事の関係につきましては、おおよそ確定の段階にございますので、坪数にいたしまして延べ約一万九千坪でございますが、この関係につきましては、経費といたしましておおよそ百六十億余の経費を要すると見込まれます。そのようにいたしますと、三十八年度で六十億、三十九年度で六十億、合わせて百二十億出ておりますので、百六十数億の中の百二十億、ざっと、田辺専務が先ほどお答えを申し上げましたように、八〇%近くは三十九年度末にでき上がるわけでございます。この分が確定でございますが、第二期の引き続きます工事につきましては、当初考えました坪数よりも多少やはり坪数増加が必要なような趨勢でございますし、また、当時、先ほど田辺専務から総体をひっくるめての予算が三百十億円と、こうお答え申し上げましたが、たしか三百三十億のように考えておりましたが、相当時期的に前のことでございますし、その後のいろいろな工事関係の一般の単価の値上がり等もございます。そういった面で計算いたしますと、当初の額ではとてもおさまらないということは明らかでございますが、現在いろいろ財政全体の関係ともにらみ合わせまして、第二期工事についてのおおよその坪数につきましては見当をつけておりますが、これの設計等の関係につきましては、まだいま慎重審議をしている段階でございますので、いかようにも確定の数字は、これは申し上げかねるのでございますが、総体の経費は当初のワク内にはおさまりそうもないというような情勢でございます。
  160. 野上元

    野上元君 この土地は都の所有ですか、国有ですか。
  161. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 国有地でございます。
  162. 野上元

    野上元君 国有とすれば、あとの六千坪の単価というものは十八、九万になるわけですね。必ずしも安くないと思うが、NHKとしてはどういう折衝をしたのですか。
  163. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 現在払い下げを現実に受けております一万九千坪のものにつきましては、坪単価は十八万になっております。残余の六千坪がその値段でいきますかどうですか、この辺のところは、まだ確定のものではないと思いますけれども、国有財産でございますので、当初のそれとそう大差なくもらえるのではないか。これは期待でございますけれども、そのように考えております。しからば坪十八万がどうかというような関係でございますけれども、当初の予算といたしましては、大体坪単価十万円くらいの予定で三十億の予算を計上いたしておったわけでございますけれども、これは別段に根拠のあるわけではございません。現実に国から東京都の渋谷区役所のすぐ隣接した土地を払い下げられた実例がございます。これは十八万円よりも高いものでございまして、NHKが払い下げを受けましたよりも時期的にはもっと前でございますけれども、坪単価は十八万を上回っております。その他いろいろな関係等から見ますと、坪十八万で払い下げを受けましたそれは決して高い値段でない、そのように判断をいたしております。
  164. 野上元

    野上元君 あのワシントン・ハイツの周辺の土地というのは、一坪どのくらいするのですか。
  165. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 周辺と申しましても、いろいろあれですけれども、すぐ近くの隣接の関係のところあたりの模様を見ますと、私どもが払い下げを受けます当時、いろいろ大蔵省と折衝をいたします関係で、まあ信用のおける一流の銀行とか、あるいは不動産専門の扱いの経験を持っておる向きに大体の値踏みをしていただいたわけでございますが、大体二十万は下らないだろう、こういうのがその当時の模様でございました。
  166. 野上元

    野上元君 二十万を下らないということになると、大体二十万とすると、一般に取引されている土地が二十万くらいで、国有の土地を十八万というのは少し高過ぎるように思うのですが、これはあなたに言ってもしかたがないと思うのですが、あまり高く買い過ぎたのじゃないかという気がするが、その点はどうですか。
  167. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この関係につきましては、私どもはそう高い値段ではない、むしろ格安ではなかったかと、正直に申しまして、そのような気持ちを抱いております。と申しますのは、現在国有地と申しましても、あるいはいろんな在来の経過あるいは払い下げの対象等によって、いろんな場合があるわけでございますけれども、一般的に申しまして、今日の国有財産の払い下げの値段もさほど一般の市価から離れておるものではないようでございます。かなり、その辺につきましては、値段の点では、しかるべき評価額のそれをそう下回るというようなことはないようでございまして、そういうような面から申しますと、十八万円に落ち着きますまで、これも簡単に話がついたわけではございませんで、いろんな努力をいたし、いろんな配慮を下しまして落ち着いた値段でございます。そういうふうないろんな経過から見まして、決して不当な値段でない、このように考えております。
  168. 野上元

    野上元君 先ほど申し上げましたように、東海道の新幹線の問題も、当初予算から見ると、ばく大な増額を必要としたというようなことになって、おりますから、NHKとしても、この問題については、ひとつぜひ慎重にやっていただきたいと思います。  それから予算総則の十二条には、業務に関連ある調査研究等に対し、交付金、補助金が与えられるということになっておるのですが、もらった事実はありますか。
  169. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ございません。
  170. 野上元

    野上元君 事実がないのに、どうしてこの予算総則十二条に毎年同じことを載っけてあるのですか。
  171. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) これは、放送法の中にそのような規定がございまして、放送関係の一般の進歩発展に役立つような方面の研究を政府は命ぜられることが可能な規定がございます。そのようなことがあれば必要な経費を交付すると、こういう規定がございまして、そういうような命令が下されるような場合を予想をいたしまして、予算総則に記載いたしておるわけでございます。
  172. 野上元

    野上元君 この交付金及び補助金は、NHKのほうで請求することができるのですか。それとも、これは、政府の命令があったときのみ政府がNHKに支給するのか。たとえば、NHKが、これは明らかに国家として必要な調査研究であるというふうに考えて、その研究調査にとりかかった場合、あなたのほうとしては、この総則に基づいて、あるいは放送法に基づいて、政府に対して、その実費を請求する権利は、この条文によって生まれておるのですか。
  173. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 請求の権利と申しますと、これはないと思います。表面は、政府はこれこれのことを命ずることができると、こうなっておりますので、政府の自主判断によって下さるべき問題であろうと思いますけれども、現実の問題としては、たとえばNHKに、非常にその方面の必要を感じながら、経費がないというような場合に、事実上の問題として、こういうことをやりたいんだけれども、このような命令は下してもらえぬだろうかというような事実上の働きかけは可能であろうと思いますけれども、権利としてのそれはないと解釈をいたしております。
  174. 野上元

    野上元君 午前中の時間がありませんので、あと一問だけ質問いたしておきますが、これも予算総則七条二項ですが、いわゆる弾力条項というのがあるわけですが、これを発動された実績はございますか。
  175. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この実績は大体毎年ございます。その実例につきましては、主計部長から資料に基づきましてお答えを申し上げます。
  176. 野上元

    野上元君 その資料あとでけっこうです。事実を聞いておけばそれでいいと思います。  なお質問がございますが、午前中の質問はこの程度にしておきます。
  177. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 午前中の質問はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩    ————————    午後一時五十六分開会
  178. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  午前中に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  179. 野上元

    野上元君 前回の委員会で若干質問申し上げましたが、この際明らかにしておきたいと思う点があるので、その点を質問いたします。  まず、NHKにお聞きしたいのですが、ラジオ料金という表現を使った場合には、契約乙だけではなくて、契約甲の中にも入っておるというふうにわれわれとしては考えておるのですが、正確な解釈をひとつこの際お聞かせをいただきたいと思うのです。
  180. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) お説のとおり、ラジオ料金と、こう表現いたしました場合には、契約甲の中にもございますし、乙料金は全部入りまして、双方合してラジオ料金、このようになっています。
  181. 野上元

    野上元君 先般御質問申し上げましたように、大臣談話は、ラジオ料金と、こういうふうな表現が使われておるので、大臣の考え方は、前回の委員会で御発言になったように、自分としては契約乙のみを考えておったと、こういうふうに言われておるわけなんです。そういう点は、これは非常に国民から見ると、まぎらわしく感ずるわけです。したがって、今後そういう問題について表現をされる場合には、ひとつ正確に表現をしていただきたいと思うのです。その点は、特に何といいますか、通信行政のスポークスマンである郵政大臣に要望しておきたいと思います。
  182. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 私は、いわゆる乙料金、すなわちラジオだけ受信されておる方の料金のことをお話しいたしたのですが、それが全体のラジオ料金にとられるように報道されたとすれば、それは私の説明が不十分であったということでございまして、今後さような点については十分に注意してまいりたいと思います。
  183. 野上元

    野上元君 ラジオ料金を減免するというか、はっきり申し上げて全廃するということは、放送法の改正を必要としますか。
  184. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) さように考えております。
  185. 野上元

    野上元君 そうしますと、その問題もあり、かつそういう表現の方法にまぎらわしいものもありということで、われわれとしては、ああいう発言はできるだけひとつ今後は慎重にやっていただきたい、かように特に要望をいたしておきたいと思います。  そうして、あなたの発言とNHKとの食い違いが若干あるんですが、私は私なりに、こういうふうに解釈をいたしました。あなたは一月からラジオ料金を廃止すると、こういうふうな表現が新聞では出ておりましたが、この間来の回答を聞いておりますと、そういう話を、NHKは来年の一月になると四十年度の予算編成を検討する時期に入るので、そういう趣旨を体してNHKとしても検討をしてみよう、こういう考え方のように受け取ったんですが、そういうふうに解釈してよろしゅうございましょうか。
  186. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) そのとおりでございます。
  187. 野上元

    野上元君 この問題は、さらに同僚委員から質問が出ると思いますので、私は先に進みたいと思います。  この際、春日総局長にお聞きしたいんですが、これも新聞の記事です。あなたは、NHK放送の性格にかんがみて、いわゆる聴視率をあまり考慮に入れずに、NHK独自のユニークな放送をこれからはやっていきたいんだ、こういうことを新聞に語られたということを私は見ておるんですが、これはどういう意味を言われておるんですか。
  188. 春日由三

    参考人(春日由三君) 何新聞のどの記事でございますか、よくわかりませんけれども、私は常に申しておりますのは、NHK放送番組は、聴視率だけを上げるとか、聴視率だけを唯一の目的として組むべきものではない、番組の性質によっては、ある程度聴視率を犠牲にしても組まなければならぬ番組もあるというふうな表現をしたのでございまして、先生御指摘のように、聴視率は問題ではないという表現はとらなかったと考えております。
  189. 野上元

    野上元君 さらに、NHKにこれは質問しておきたいと思うんですが、NHKでのど自慢コンクールというのをやっておられますね。私は必ずしも悪い計画ではないと思うんですが、例のあの美人コンクールなどというのがありますが、これに幸いにして入賞したんだけれども、その人の将来にとってかえって不幸になったという事例を非常に多く聞いておるんです。したがって、結果は悪く出ておるということも相当考えられると思う。のど自慢コンクールの一等入選、あるいは二等入賞、三等入賞という人たちの中には、いわゆるプロに転向される人もおるし、そうでない人もおると思うのですが、プロに転向された人で成功しておる人はどれくらいおりますか。
  190. 春日由三

    参考人(春日由三君) しろうとのど自慢コンクールというのは、ことしで十八年になるわけでございますが、初めからしろうとのど自慢というのを特に強調いたしました理由は、別の職業を持っている人たちで、たまたまある一つの歌がしろうとにしてはうまいから出るというふうな番組を考えていたわけでございますし、現在でもそのとおりでございますので、いまの御質問の前提になっております過去十八年間で、のど自慢の全国コンクールで一番になったとか、あるいは二番、三番になったという人たちで、現在くろうととしてレコード会社の専属になっている人は五人くらい、それから民謡関係で地方で民謡の先生というふうなことやら、それから若干放送に出るというふうなことで活躍している人たちが七、八人、合わせまして、いわゆるのど自慢コンクールに当選して以来、それが仕事となっている人たちは全部で十五人ぐらいだと思います。しかし、大部分の人たちは——ことに、御承知のように、一部、二部、三部と分かれている場合に、一部の歌曲のほうは、過去において当選した人たちの大部分が別に職業を持っている人たちでございますから、それと歌曲という性質で、そう簡単にくろうとになれない。それから、民謡のほうは、声がよくて節がよければ、ある程度、そう正確な楽譜があるわけではございませんので、まあある程度、くろうと、しろうとの間ぐらいなところがあり得る。で、第三部の歌謡曲、シャンソン、ジャズといったふうな部門では、比較的若い、たとえば家庭にある女の人とか、あるいは学生さんとか、そういった人たちがわりあいに応募する機会が多いので、歌曲の部はほとんどございませんで、いま、レコード会社の専属になったり、あるいは放送に出たり、民謡の先生をしたり、というふうな方たちは十五人ぐらいでございます。幸いにして、美人コンクールの場合と違いまして、これに当選したがゆえに、いままで持っていた職業を捨てたとか、あるいはプロになろうとしたが果たせなくて非常に悪い状態になったというふうな実例は、私どもの手元にはございません。一つには、最初に、通称「床屋の英ちゃん」とわれわれ申しておりますが、下門英二という人が当選して、自分は床屋が本職なんだから、歌が好きだから歌い続けるけれども、永久にプロにはならないのだというのが一番最初の当選者でございますから、それが非常にある程度いい影響をいたして、しろうとに徹しているのじゃないかと思うのでございます。NHKは、別にくろうとの登竜門として毎週土曜日にオーディションをやっております。これは、音楽学校を出たとか、ある程度素養のある連中がプロとして今後放送に活躍したいという人たちには門戸を別に開いておりますが、しろうとの方が当選したために、かえって悪くなったというふうな例は聞いておりません。
  191. 野上元

    野上元君 まあ、不幸になった人がいないということは非常に幸いだと思いますが、そこまでNHKにめんどうを見ろというわけにはいきませんが、そういうこともあり得るというような心配があったので、ちょっと聞いてみたのですが、まあ、今後ともひとつ気をつけていただきたいと思います。  次には、郵政大臣にお聞きしたいのですが、通信衛星を利用しての放送について、実は、けさの新聞でしたか、佐藤科学技術庁長官が、いわゆる通信行政を代表しての発言をされておったのですが、私は、聞くところによると、閣議においては、通信に関する問題は郵政省が担当する、こういうことにはっきりきまっておるやに聞いておるのですが、ということになれば、佐藤長官の発言はあなたの職域に侵略したのじゃないですか。そういうことになりませんか。あなたは、郵政大臣としてどういうふうにお考えになりますか。
  192. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 確かに昨日の夕刊でしたか、私その報道を見ました。昨日オリンピック対策特別委員会が開かれまして、その委員会において佐藤国務大臣の御発言であったかと存じます。もちろん、通信につきましては、郵政省が所管しているわけでございまするから、有線であろうと無線であろうと、あるいは宇宙通信であろうと、本来郵政省の所管事項であることは間違いございません。おそらく、佐藤国務大臣は、オリンピックの事業の担当大臣として、ぜひこのオリンピックの情景を、歴史的な事件でありますから、宇宙衛星を利用して、アメリカほか世界各国の国民に見てもらって、これによって一そう国際間の親善を増大し、世界の平和に寄与するようにしたいという、さような見地から、自然この問題にも触れられたものと私は解釈しております。したがって、厳密な意味において、権限の侵犯とか、さようなふうには私は受け取っておりません。
  193. 野上元

    野上元君 オリンピック担当大臣として希望的意見を述べられるということは、私も了解できるんですが、内容はきわめて具体的でしてね。たとえば、通信衛星を打ち上げるためには幾ら金がかかる、何百万ぐらいなら日本はこれを分担しよう、こういう発言があるんですが、そういうことはあなたの分野じゃないんでしょうか。
  194. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) この問題につきましては、私のほうから正式に、アメリカに対しまして協力方の依頼をいたしております。しかし、正式には、先方から、具体的な方法、あるいはこれに要する資金の要請というふうな問題については、何ら公の返答を受けておりません。ただ、情報として、何百万ドルくらいの資金が必要であるとか、あるいはその資金の分担というような問題がここに横たわっておるというふうなことは、単なる情報としては入ってきております。そういう程度でありますから、おそらく佐藤国務大臣も、さような情報を聞かれて、そして担当大臣としての熱意から、もしもそういう要請が向こうからあった場合には、やはりこれに応じて、日本国政府としてある程度の資金の負担ということも必要があるのではあるまいかというふうな意味でお答えになったものと私は考えますが、実はその委員会には私は出席しておりませんでしたし、また議事録も見たわけでありませんから、これは単なる私のそんたくにすぎないかもしれませんが、おそらくそういうことであったであろうと存じます。
  195. 野上元

    野上元君 かりに何百万ドルかの分担金を出すとすると、それはどこから出るんですか。
  196. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) ただいまお答え申し上げましたとおり、まだ先方から何らさような要請もございませんので、こちらとしても、その方法等については考究しておりません。
  197. 野上元

    野上元君 考究しておらないということなんですが、それは簡単に常識的に判断できないんですか。たとえば、通信衛星を打ち上げるのに共同して打ち上げる、その費用の一部を分担するという場合に、それはどこの費用で分担するのが妥当なんですかと、こう聞いているんですがね。その検討をされたことはありませんか。
  198. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) いやしくも資金に関する問題がありまするから、特に主管大臣の立場におきまして、私としては、ちょっとこの場で申し上げることはできないのであります。
  199. 野上元

    野上元君 それじゃ、ついでにまた別の問題で聞いてみたいと思うんですが、通信衛星の共同所有に関してですね、米国にある通信衛星会社が、日本と豪州に対して、この共同所有計画に加盟してもらいたい、こういう要請があった。それに対して、日本の政府当局は、これに応ずる気持ちがある、まあこういうふうに新聞記事が、ごく最近の記事として報じておるわけなんで、すでにそういうものは具体的な日程にのぼりつつあるんじゃないですか。
  200. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) この問題は、直接本年のオリンピックの問題とは関係ございません。御承知のように、アメリカにおいては、衛星を利用した商業通信の今後の発展ということに対しては非常な熱意がございまして、アメリカ政府も相当力を入れておるようでございます。それで、御承知の通信衛星会社が中心になりまして、ちょうど三月の四日と記憶しておりますが、数人の人が日本に来られまして、これに豪州からも関係者が集まられまして、外務省において三国間の会議が持たれました。この会議は、具体的に返答する、せぬ、というような問題ではなく、アメリカの将来の商業衛星通信系というような世界的な通信網の構想について説明会をされたのであって、私どもはその説明を聴取した、いまこういう段階でございます。なお、この会議の内容等について詳細なる御答弁が必要であるとすれば、その席に出席いたしました担当官もおりますから、そのほうから詳細御説明を申し上げてもよろしいと思います。——ちょっとお断わり申します。この席に出席しましたのが、私のほうの電気通信監理官でございますが、昨日から、これも御承知のことと存じますが、東南アジアの海底ケーブルの敷設に関する第二回の打ち合わせ会議東京で開いております。そこで、電気通信監理官は昨日からその国際会議のほうに出席をいたしておりますので、きょうはこちらは失礼しておりまするが、もし私でわかっている程度のことでしたら御説明申し上げますけれども、もしさらに詳しいことでございましたら、恐縮ですけれども、別の機会にしていただきますれば、詳細御説明申し上げます。
  201. 野上元

    野上元君 よくわかりました。一つだけ聞いておきますが、通信衛星の共同所有ということが具体的に日程にのぼり、そして日本もオーケーを出すという場合には、日本郵政省が代表としてこれに参加するわけですか。
  202. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 日本の政府としましては、もちろん郵政省が代表として正面に出るわけでございます。
  203. 野上元

    野上元君 その問題は、担当の人がいないそうですから、後ほどまた別の機会に御質問することにいたします。  次いで、同じく通信衛星の問題について若干質問したいと思いますが、今日、通信衛星が宇宙に打ち上げられておる種類及び数、それからそれの寿命等について、いまここで御答弁は要りません。後ほど書類で正確なものをぜひ見せていただきたいと、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  204. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) よろしゅうございます。
  205. 野上元

    野上元君 私が知るところによりますと、オリンピックの状況を全国にテレビ放送するということは、現在上がっておるテルスターだとかリレー衛星では三十個も四十個も打ち上げなけりゃとてもできない。したがって、当面不可能だ。しかし、シンコムなら軌道も非常に高いし、あるところに静止することもできる。したがって、わずかな数——一個ないし二個の数で中継ができるというふうに聞いておるんですが、もしそれが事実とするならば、現在十王町ですか、にある国際電電の追尾用並びに送受信用のパラボラアンテナは、このシンコムを打ち上げた場合に、直ちにこれを利用できるのですか。
  206. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 私からお答えさしていただきたいと思いますが、ただいまの先生の御質問の中の第一番目に、リレーもしくはテルスターを使いますと非常にたくさんの星が要るというお話でございますけれども、それはそのとおりなんでございますけれども、現在上がっておりますリレー、テルスターは一個でございまして、それは、十月のころに、その両方を見通せる場所に来る時間が非常に短い、ほとんどないという意味で、それはできないわけでございます。それで、たくさん星が上がれば、次から次へとそれを追尾してまいりますと、非常に長い時間できる、こういうことに相なるわけでございますが、かりに、いま上がっております星が非常にいい軌道にありますならば、オリンピックのときに、一日十五分とか、それを何回か、三時間おきに繰り返す、というような形でできる可能性はあるわけでございますが、現在ある星の位置では、それができないわけでございます。  それからシンコムにつきましては、御指摘のように、非常に高いところにございますから、それにぶつけましてアメリカへ送るということにいたしますと、非常に長い時間、二十四時間続けてできるという形に相なると思います。  それから先生の御質問の、十王のアンテナでございまするが、十王のアンテナは、大体あれはテルスターのためにつくったものでありまして、シンコムの送信の波長が違っておりますので、あのままでは、使うのは、十分使えるということはもちろんいえませんが、多少の波長の違いというものは、どの辺まで最後にいけるかどうかということは、これから努力してみれば、できないことはないかもしれませんが、まず不可能じゃないかというふうに考えております。
  207. 野上元

    野上元君 それで、私聞きたいのですが、オリンピックの全国放送については異常な熱意を持っておられるわけです。しかし、現在上がっておるテルスター、リレーでは不可能だということがいわれておるわけですね。したがって、どうしてもシンコムを打ち上げてもらわなければならない、こういうことになるわけです。ところが、そのシンコムをせっかく打ち上げても、これを追尾するアンテナがない、あるいはこれを送受信するアンテナがないということになると、せっかくシンコムを上げてもらっても、どうにもならない、こういうわけですね。そうすると、シンコム用の追尾アンテナ並びに送受信アンテナを別に建設しなければならぬと思うのですがね、その点はどうですか。
  208. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) お説のとおり、シンコムが上がりましたときには、それを利用して電波を向こうへ送るということのためには、シンコム用の送受信機、それからアンテナというものを新しくつくらなければならないことになるかと思います。
  209. 野上元

    野上元君 そこで、私は疑問になるのですが、シンコム三号を打ち上げる予定が四月または六月だ、こういうふうに聞いておる。それをできるだけ早く打ち上げてもらうように、あるいはその計画を具体的なものにしてもらうために、郵政省としては、米国のNASAに対して要請をしておる、したがって、おそらく、四月から六月の間には打ち上げてくれるであろう、そういう援助は惜しまない、こう言っておるわけですから、それは実現するとして、さてそれを受けるものがない、設備がない、こういうことになるわけですね。そうすると、新しくシンコム用の設備をつくらなければならぬ。ところが、この十王町のあのアンテナの建設模様を見ておりますと、あれが着工したのは三十八年の一月です。そうしてそれが完成したのは三十八年の十一月二十日です。ということになると、おおむね十一カ月間を要しておるわけです。そうすると、四、五月ごろNASAの方針がきまって、直ちにそれにタイ・アップして設備をつくるとしても、オリンピックには時間的に間に合わないのではないか、物理的に、と私は考えるんだが、特別にあなた方にはそれを突破できる、その困難を克服できる方針というものはあるんですか。
  210. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) シンコムの問題につきましてアメリカ側に協力を要請している件につきましては、先生の御指摘のように、やっておりまして、これは、官房のほうで、向こうに対する交渉をやっておりますが、そういうことによりまして、四月から六月ごろの間にシンコムが上がったときに、それから始めたんでは間に合わないじゃないかという御質問だと思います。  その点につきましては、私、これは技術的な見通しでございますけれども、アンテナ自身が、波長の関係もございまして、それほど大きくなくてもいいということ、それからシンコムでございますと、やはりとまっておりますので、ずっと追尾していく装置が要らないということのために、相当設備としては簡単になると思います。これも、多少そのシンコムでも動きますから、多少の調整は必要かと思いますが、非常に早く過ぎ去るものでございませんので、その点が、まあ場合によりましては、応急といっては語弊がございますが、完全な追尾装置をつけないものであっても、できる見通しがあるかと思います。それから送信機の問題等につきましては、これは、既設のそれに近い周波数の送信機を改造するとかいうようなことによりましても、まあ五、六ヵ月というところがあれば、何とかいけるんじゃなかろうか。それにつけましても、シンコムの中に乗っております送受信機の性能というものをやはり早く入手いたしませんと、いまからやろうと思ってもそれができませんので、その点で、われわれ非常に気をもんでおるような次第です。
  211. 野上元

    野上元君 そうしますと、いまから計算すると、早くとも四月打ち上げ、おそければ六月ということになると、オリンピックまでに四ヵ月ないし六ヵ月という期間しかないわけです。しかし、やろうと思えばやれぬことはないというような答弁のようですが、一般の国民から見ると、NHKのほうでは、いわゆる放送センターはオリンピックのために突貫的な準備を進めておるわけですね。ばく大な経費をかけて、しかもそれは全然できなかったということになると、これはやはり相当問題になると思うんですね。オリンピックのための経費というものが相当つぎ込まれておるし、そのための設備も必要なんでしょうから、それが全然できないということになると、これはやはり相当問題が起こると思うので、郵政大臣としては、一日も早くNASAと連絡をとられて、打ち上げをやってもらい、そうしてそれにタイ・アップした日本における地上施設をすみやかに建設をして、そうして実際にNHKが企図しておる全世界放送を実現するように努力されなければならぬと思うんだが、その点自信ありますか。
  212. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 今日も、アメリカとのいろいろ電報等によって依頼を続けておりまするし、自信あるかどうかと言われますと、非常にこれは相手のあることですから、何とも申し上げられませんけれども、私どもとしては、関係者一同そろって、この問題の達成のために最善の努力をいたしておる、こういうことを申し上げておきます。
  213. 野上元

    野上元君 NHKのほうにお聞きしたいんですが、NHKとしても、これは画期的な事業だと思うんですね。おそらく、二度とあなた方の時代には回ってこないかもしれませんね。それほどいわゆるビッグ・エヴェントといいますか、大きなできごとだと思うんですが、もしもそういうことができなくなってしまったということになると、あなたのほうのせっかく進められておる準備態勢というのは、どういうことになりますか。
  214. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お説のとおり、これは歴史的なできごとになりますから、私どもは、たてまえとして、それに即応できる準備万端整えておくという努力は続けております。しかも、これはNHKだけでなしに、ただいま大臣から御答弁がありましたように、関係方面が委員会をつくって、その準備を進めておるわけでございますが、万一不可能であった場合にオリンピック放送がどういうことになるかという御質問だと考えられますが、この点につきましては、かりにシンコムの中継、全世界中継ということが実現いたしましても、それだけで、全世界に二十種目のオリンピック・ゲームの詳細な内容を伝えるわけにはまいらぬと思います。そういう見地に立ちまして、各国とのオリンピック放送権の交渉の内容も、たてまえとしては、シンコムは一応デモンストレーション的なものという考え方に立って、組織委員会の委嘱を受けて、ほぼ交渉を完了しておりますので、その場合においても、全世界的に完全な画像を送るという点については、いささかも支障は来たさないという考え方でおります。
  215. 野上元

    野上元君 この問題は、この程度にしておきます。  それから次に、これも新聞記事で、まことに不勉強で申しわけないのですが、昨年の八月二十五日の朝日の記事ですが、テレビ施設を低開発国へ贈与する計画がある、そしてそれには外務省、郵政省並びにNHKが協力をしておる、こういうふうな記事が出ておるわけですが、どういうことを計画されておるのですか。また、NHKが果たす役割りというのはどういうことなんですか、それぞれ御答弁をいただきたい。
  216. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) ただいまの先生の御指摘になりました昨年八月の記事というのは、施設の贈与ということであったようでございまするが、郵政省といたしましては、低開発国へ対しまして、いろいろな技術援助と申しますか、そういうようなことではタッチしておりますけれども、施設の贈与ということにつきましては、ちょっと私いま手元にそれに思い当たる節がございません。
  217. 野上元

    野上元君 その問題は、朝日の三十八年八月二十五日の記事ですから、もう一度お読み願って、後ほど御回答いただければけっこうです。
  218. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) 私は、その内容をある程度知っておりますので、ちょっと補足さしていただきます。  東南アジアその他の各国におきまして、主としてテレビを始めます場合に、いろいろ日本から技術的に協力をしてもらいたいという話がありまして、現に、現在までもコロンボ・プランに従いまして、いろいろなそういうような技術的な協力をして、サーベーとか、いろいろな設計とかを手伝った例もございます。現に人も派遣いたしております。それに関連いたしまして、外務省の経済協力局でそういうふうなことを予算的に組みまして、実際の器材の給与をしようというようなことが海外電気通信協力会というのがございますが、梶井さんが会長をしておられますが、それと外務省とのほうのいろいろの折衝がございまして、来年度の政府の予算を編成する際に、外務省の予算としてそういうものを若干見ようという話がつきまして、それが新聞に出たのだと思います。現に、わずかではございます。たしか五千万円くらいかと思いますが、そういうふうなお金が本年度の外務省の予算の中に実際入ってきたというふうに聞いておりまして、それを中心に——ども、あるいは郵政省その他メーカーなどが協力しまして、そういうふうなそのお金を中心に、今後、低開発国、東南アジア等に対して、いろいろ、場合によって、ある程度の器材を給与して日本政府としての協力をしよう、そういうことだと思っております。
  219. 野上元

    野上元君 NHKは、それに協力しておるとあの記事には出ているのですが、NHKが果たす役割りというのは何ですか。
  220. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) ただいまちょっと触れましたように、いろいろと実際に、その機械の設計とか、あるいはそれをどういうふうに施設したらいいかとか、そういったような技術的なコンサルタントと申しますか、アドバイスと申しますか、そういうふうなことをやるのがNHKの役目かと思っております。
  221. 野上元

    野上元君 次には、FMの問題でちょっとお聞きしておきたいのですが、郵政大臣がことしの二月二十三日に松江に行かれて、記者会見の席上、談話として発表されておるものでありまするが、FM放送の開局申請は今日すでに四百局をこえておる、そうして六月末には臨時放送関係法制調査会の答申が出るので、十一月ごろまでにFM放送免許の方針をきめる、こういうふうな談話が出ておるわけですが、FMの認可申請の模様をかいつまんで説明していただきたいと思います。
  222. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) FM放送についての考え方を申し上げたいと思いますが、現在は、御承知のようにNHKに対しまして実験局あるいは実用化試験局として免許をいたしております。さらに、一般の本格的な免許ということにつきましては、これは標準放送あるいはまたテレビのほうの関係ともかね合わせまして、日本放送体系というものを今後いかにすべきであるか、こういう大きな問題とも関連してまいりまするので、ただいま審議を続けていただいておりまする臨時放送関係法制調査会の答申が大体六月ごろには得られるものと考えておりまするので、その答申を拝見した上で、その意見を十分に尊重をしながら、郵政省としての基本的な方針ないしは計画を樹立いたしまして、その基本計画に基づいて具体的な免許をはかっていきたい、かように考えております。今日は、多数の放送事業者あるいはいままで放送の経験の、実績のない方々からも新しき申請が出ております。これらについてどう扱うかということは、おそらく具体的には年末ごろになるであろうという話をたしか私はいたしたと考えております。それが新聞に十一月ごろとなっているかどうかは、私もはっきり覚えておりませんが、これも大体の見当でありまするから、大体ことしの年末ごろであろう、こういう意味でお話ししたことを記憶しております。  なお、数字について詳細なことは、担当官のほうから御説明申し上げます。
  223. 野上元

    野上元君 郵政省の中にも、FM対策特別委員会というものを事務次官を長としてつくられて、そして相当長期にわたって検討を加えられたはずなんですが、その結論は出ていますか。
  224. 吉灘中

    説明員吉灘中君) お答えいたします。  FM調査会は一昨々年から始めておるわけでございますが、過去におきまして、一昨々年の十二月の二十九日に中間報告を出しまして、FM問題を検討するにあたりましての主要なる事項を列挙いたしております。それから、ほぼ具体的に、今後、この中間報告書に出しました事項につきましてどういう問題点があるか、その問題点に対してどういう考え方を出すかという点につきましては、いろいろその後も調査研究を進めたわけでございますけれども、先ほど大臣から申し上げましたように、いませっかく臨時放送関係法制調査会で、これらの問題もあわせて、放送制度論をいろいろ検討されておる段階でございますので、結論を出すのはいましばらく見合わせておる状態でございます。
  225. 野上元

    野上元君 その、結論を出すのを見合わせておるというのは、結論は出ているのだが、その発表を見合わせておるということですか。
  226. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) FM放送調査会の設置は三十六年九月でございますので、私、その当時にはおらなかったわけでございますが、FM放送というものが非常に強くクローズ・アップされまして、それに対しまして、いろいろあるべき姿を検討したのでございますけれども、現在は、先ほど大臣もお話しになりましたように、FM放送だけでなしに、UHFテレビの問題とか、全体の、あるいは放送法制の問題、そういうような問題で一緒になって、総合的に考えて将来の体系を立てていかなければならぬ、こういうふうに相なっておるわけでございます。FM調査会だけといたしましてFMはどうあるべきだという結論はまだ出ておりません。
  227. 野上元

    野上元君 その結論を出すためには、相当調査資料の収集が必要だと思うのです。それで、郵政当局は、FM調査するために、海外ですでに実施しておる国の実態を調査するために何人くらい調査官を派遣し、どういう内容の復命が出ておるか、あなたは御存じありますか。
  228. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 私の存じております範囲では、たしか三人の方がアメリカに行かれまして、松方三郎、浜田成徳、浅野均一氏と三人で行かれまして、それの報告は出ております。費用の点については、ちょっと私わかりかねます。
  229. 野上元

    野上元君 費用はいいのですがね。いわゆる調査対象国はどこどこですか。
  230. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 欧米各国が調査対象になっておると存じます。
  231. 野上元

    野上元君 FMの問題は、いわゆるマスコミュニケーションの最後のメディアとしてあなた方慎重な態度をとっておられることはよくわかるのですが、しかし、あまり慎重に過ぎると、かえって混乱を招くような気がするのです。それで、いつも言われるように、これが最後のメディアであるというふうに考えられるならば、いつまでも検討検討で過ごすべきではなくて、もうそろそろ結論を出さないと、かえって混乱するのではないかというふうに考えます。そして、私の考え方では、これが最後のメディアでないという、まだまだ波というものはあるのだというふうな見解ならば、また別なんですが、そういう点については、あなた方のほうはどういうように考えておられますか。
  232. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) FM放送が最後のメディアであるということを言っておる人たちがあることは、もちろんわれわれ耳にしておりますが、おそらく、それは音声放送最後の波であるというような意味に解釈したほうがいいのではなかろうかというふうに考えております。テレビ放送等につきましては、なおUHFのテレビというものが相当波が残っておりますので、そういうものと一緒にあわせて考えていかなければならぬ、こういうふうに私ども考えております。  それから先生の御指摘のように、なるべく早く方針をきめるべきだと、これ、一つの御意見だと私も思う次第でございます。ただ、FMの全体の免許方針を定めていきます上におきまして、そういうこの全体を考えるということのほかに、実際にこれを免許するという段階になりましたときには、やはり相当日本の国内にFM放送というものに対する受信機が普及していなければならないということが必要かと思います。そうでないと、FM放送を開始しましたときに、商業放送としましては、いろいろな克服すべき新しい問題がそこに出てくると思うのでございまして、それらを考えまして、NHKFM放送をまず昨年実用化試験局として免許する、こういうことで、それによりまして、日本国民がFM放送というものをどういうふうに受けとめていくかというようなことも十分見定めましてやることも必要ではなかろうかと、われわれそういうふうに考えている次第でございます。
  233. 野上元

    野上元君 アメリカにおいては、RCAが一九四〇年に放送を開始しているわけですから、それから見ると、もう三、四年たっているわけですからね。そのことを考えてみても、どうもあなた方の慎重慎重というのはよくわからないのですよ。もうFMについてはアメリカに相当大きな実績があるんですから、この実績を見ながら、日本国の特殊事情に合わしてやれば、それこそ電子計算機ではじけば、結論は簡単に出るのじゃないかという気がするのですが、それはここで幾ら言ってみても始まりませんから、私も実はアメリカの実情を調査したのを持っているんですが、きょうは時間がありませんので、別の機会に譲りますが、とにかく、いま申し上げましたようなことですから、できるだけ早く、しかも混乱の起きないようにやってもらいたいと思います。  それからもう一つ、ついでに聞いておきたいのですが、NHKは、ことしから二十四局のFM放送局の新設を計画されているわけですね。これは、いまの段階では、まだNHKも実験放送の段階だと考えるのですが、だんだんだんだんと置局されていくのを見ておりますと、あなた方が考えておられる総合的な、将来認可すべき民放も含めての置局計画というものとちぐはぐになりはしないかというような気がするのですが、そういう点についての総合的な計画はないのですか。
  234. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 現在、NHKに免許しておりますFM放送局は、これはモノトニック放送に対しましては実用化試験局、ステレオ放送に対し、ましては実験局、こういう形になっております。それで、三十九年度におきましても、引き続きFM放送置局計画NHKのほうに載っているのでございますが、これは、FM放送というものの番組の研究とか、具体的な調査であるとか、それから受信機普及と番組面のくふう改善、技術開発というようなことを目的としてやっているわけでございますけれども、これが直ちにNHKとしての第三放送であるというふうにわれわれ考えておりませんので、基本方針を定めました上、あらためてチャンネルプランをつくりまして、そうして本免許のほうへ入っていこう、こういうふうに考えております。
  235. 野上元

    野上元君 FMの問題は別の機会に譲るといたします。  次に、その日の同じ大臣の談話の中にあるわけですが、放送局の免許の更改は三年ごとに行なわれております、そうしていよいよ来年の六月は更改期に入るということになっておるけれども、従来の実例を見ると、自動的に再免許をしておったが、今後はそういう方針はやめて慎重に検討する、地域の均衡をはかるために十分に考慮して再免許に当たりたい、こういう談話をされておるのですが、従来の実績はどうなんですか。そういう免許を取り消して新しい計画をやったというようなことはあるのですか、事実。
  236. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) ただいまの新聞記事、私読んでおりませんのですが、従来も自動的に再免許したというわけではないと存じます。やはり、再免許の際には、従来の実績等を勘案いたしまして、十分に審査の結果再免許をするということであったのですが、たまたま再免許をしなかった事業があったかといわれますと、そういうものはいままでなかった、こういうだけでございまして、今後もやはり同じ方針で十分審査をした上で再免許をしてまいりたい、こう考えておりまするので、その点は、特別に将来といえども変わったことはないと思います。ただ、審査した結果好ましくない、あるいは再免許すべきでない、こう考えた場合には再免許をしないことも十分あり得るということでございます。
  237. 野上元

    野上元君 従来は、実際には再免許を取り消したという事実はないのですか。
  238. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) はい。
  239. 野上元

    野上元君 次に、時間がないので一、二質問しておきますが、三十九年度収支予算あるいは事業計画等について郵政大臣として意見書を出しておりますが、この前もちょっと聞いたのですが、郵政大臣は、NHKが出してくる収支予算並びに事業計画について修正をするという権限はないのですか。
  240. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 法律には修正をするということは規定がございません。
  241. 野上元

    野上元君 そうしますと、当然あなたの承認を必要としないということになりますか。
  242. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 予算郵政省に提出されました場合には、これを検討して予算に対する意見書を付して国会に提出する、国会において御審議の結果承認されて初めてこの予算というものはりっぱに成立をする、こういうわけでございまして、途中において郵政大臣がこれを拒否したりあるいは修正を加える、こういう手段は、現在の法制のもとにおいてはないのでございます。
  243. 野上元

    野上元君 ずばりとお答えいただいてけっこうなんですが、郵政大臣承認は必要としないということですね。
  244. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 承認という意味でございますが、やはり国会に提出します以上は、その内容は承認をしておるから閣議を経て国会に提出する、こういう段取りになるわけでございます。
  245. 久保等

    ○久保等君 いまの御答弁ですがね。収支予算に対して郵政大臣承認したものを国会に出してくるという御説明ですか。
  246. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) ちょっと、ことばの上で、あるいは誤解があるといけませんから申し上げますが、もしその予算案に対して反対であれば、反対であるという意思表示をして国会に提出するわけでございます。本年はおおむね適当と認めたから、そういう意見書を付して提出したということでございます。
  247. 久保等

    ○久保等君 だから、郵政大臣としては、予算に対して承認するとかしないという実は立場にはない、適当であれば適当であるという意見書を付するし、適当でなければ適当でないのだと、もっとも、適当でないという個所はどこなのか、具体的にそうなれば当然指摘をされると思うのですが、いずれにしても、したがって、郵政大臣予算に対して承認権を持っているということは私言えないと思うのですがね。
  248. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) そのとおりです。
  249. 野上元

    野上元君 郵政大臣承認権がないということですが、国会の場において、この予算あるいは計画を修正することはできるのですか。法律上。
  250. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 私が理解しますところでは、国会においては、これを承認するか、あるいは承認しないか、いずれかになるものと考えております。
  251. 野上元

    野上元君 修正権はないが、これを拒否する権限は国会にはある、こういうことでございますか。
  252. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) そのとおりです。
  253. 野上元

    野上元君 この意見書に対して、ことしは特にきびしい意見書を付してNHKに要望しておるんだと、こういうふうな新聞の記事を見たんですが、特に毎年に変わってきびしい意見書になっておるのですか、これは。
  254. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) きびしいという意味はどういう意味か、そういう記事があったことは私も知っておりますが、われわれといたしましては、この「おおむね適当である。」、しかし「次の事項に配意すべきものと考える。」——この配意すべきものであると考えました事項が五項目ございますけれども、この具体的な内容につきまして、やはり省といたしましての一つの考え方を持っておるわけでございまして、その考え方をNHKに伝えまして、それによって、この配意すべき事項の具体的なやり方というようなものにつきましても、まあわれわれの持っている考え方をなるべく取り入れてやってもらいたい、こういうふうには考えております。
  255. 野上元

    野上元君 この中に、字句としては「能率の向上、経費の節減」につとめられなければならないと書いてあるのですが、これは、普通一般に使われる、何の気なしに使われておるのか、特にこれは重要なのかという問題等も実は聞きたかったわけです。さらにはまた、一の項には、「番組内容の充実をはかる」、こういうふうに書いてありますが、具体的にはどういうことをこれはさしておるのか。あるいは第二の項にいきますと「極力建設の合理化を進め、置局の促進をはかり」と、こういうふうになっておりますが、合理化を進めておらないのか、置局の促進はおくれておるのか、というような問題も実は聞きたかったわけです。さらにはまた、三の「受信機普及についての具体的方策をたて、」、こういうふうになっておるが、この具体的方策というのは郵政省はどのように考えておられるのか。そういう点を実は聞きたかったんですが、私の時間がなくなったので、この辺で私の質問は一応打ち切りたいと思います。  なお、あなた方が好意的に、われわれに、この意見書の内容について具体的なものがあるならば、この予算承認することのための参考としたいと思うので、御提出いただければ幸いだと思います。
  256. 宮川岸雄

    政府委員(宮川岸雄君) 提出させていただきたいと存じます。
  257. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きょうは、NHK並びに古池郵政大臣に、少し質問とまた御意見々伺いたいと思う点があるのですが、昨日急用があって大阪へ行って、先ほど大阪から飛行機で帰ってきたばかりで、まだ十分に整理ができてないような状態で質問することは、はなはだ遺憾だと思うんですが、不備な点はまた後日NHKから御足労願って質問することにしまして、若干質問をいたしたいと思うんです。  問題は、四十三国会のときに私が当委員会NHKの出演料について質問した、あの問題に関連した問題ですが、特にこの問題を私が再び取り上げたのは、古池郵政大臣は芸術に非常に理解がある方だと私は思っておるんです。NHKの方は御存じないかもわかりませんけれども、古池さんの弟さんはNHKのオーケストラでバイオリンをひいていらっしゃる芸術家なんです。したがって、私は、弟さんを通じて芸術に対する理解の深い方だと思うので、この質問を繰り返して大臣の意見も聞いてみたい、こういうふうに私は思っております。なお鈴木理事も、この前の私の質問に対して、もしもあれがほんとうならば、君の言うことも無理がないなということを、この間、私、私的ではあるが、申されたと思うので、おそらく委員の中には、もっともだというふうに考えられた方も、私一人ではなく、大ぜいあられたんだろうと思うんです。で、協会のほうでも、改善の約束を、この前、とにかく考慮しましょうというふうに約束されたものと私は受け取ったわけなんです。で、NHKは、その後出演者に対しまして具体的に待遇の改善をしたかどうかという点を一点伺っておきたいと思うんです。
  258. 春日由三

    参考人(春日由三君) この前先生にお答えいたしましたときと、基準は変わっておりません。基準は変わっておりませんが、毎年、出演者の方でも、脚本を書かれる方でも、作曲をされる方でも、個々人につきましては、その方の技量の進歩とか、そういうことに応じまして、私どものほうの格づけのランクの訂正はいたすことになっております。しかし、よりどころになっております基本のいわゆるものさしについては、前回お答えしたとおりでございます。
  259. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、この前言ったのは、基準を拝見しまして、その基準の最低額自体に問題があるという意向を私が述べたと思うんです。いわゆる労働組合でいうならば、最低賃金ですね。最低賃金の問題があるので、その最低の底を上げなかったら、底なしじゃないか。このNHK料金のきめ方には、非常に底が浅いという意味の話をしたと思うんです。ところが、いま聞くというと、その底上げは一つもされていない、こういうことなんです。で、事実私も調べてみました。最近、演奏家に聞くと、出演料が、演奏料が上がった。何で上がったのかと思ったら、君の国会質問が原因だったようにあとでわかったといって、私に礼を言った芸術家もありますよ、で、私は、全体的に基準が引き上げられたものと理解しておったわけです。いま聞くと、基準は上がっていない。  最近私は、たくさんの芸術家からアンケートを求めたわけです。ここにアンケートは集まっておるわけです。ただ、これを整理するひまがないので、私ははなはだ残念だと思っておるんですが、ある人から聞きますと、料金の上がったのは特定の人だ、一般に有名な人、名の通っている人は多少今度上げたらしい、しかし最低の基準は上げられておらないのではないか、最低の人はあくまでもやっぱり最低出演料しかもらっていない、この結果、最高と最低がますます格差がはなはだしくなっている、これが実態だということを聞いたわけです。私の友人で、これは名前は通っている人ですが、名前を言うことはやはり差し控えなけりゃならぬ事情にありますから、残念ながら名前を申し上げるわけにいきませんが、オーケストラの朝のリサイタルですよ、三十分間独奏をやって、わずか千五百円、これしかもらっていないというのです。非常に憤慨しておるのです。私も聞いて憤慨したのです。朝三十分間演奏しようと思えば、どれだけの練習が必要なのか。民放の場合ですと、劇の伴奏でも二千円から三千円ぐらい出しているそうです。この人は、昔、戦前は、演奏すれば三十分ぐらいで三十円もらっておったというのです。昔の三十円を今日の物価指数に直しますと、私は一万円ぐらいになると思うのです。いま千五百円もらってコーヒーが何ばい飲めるか、二十ぱいか三十ぱいしか飲めないでしょう。昔、コーヒーが十銭のときには、三十円もらえば三百ぱい飲むことができた。それほど物価の変動している、物価高になっているときに、三十分間演奏して千五百円ぐらいしか出さないということは、これはどういうことなんですか。これは大臣に聞きたいのですが。大臣、こういう料金が妥当だとお考えになりますか、どうですか。昔と今の物価指数から考えまして。
  260. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) はなはだ答えにくい御質問なんですが、NHKの当局とされては、やはり出演者の手腕あるいは社会的評価、あるいは他のさような席に出て得られる収入、そういうふうなものを総合的に判断されて、適当な報酬を出されるものと私は考えておりまして、そういう点については、NHK当局の良識に期待をしたいと思っております。ただいま突然千五百円とか幾らとか、具体的な金額を示されましても、私はここで直ちにそれが高いとか安いとかいうことは、その判断の資料を持っておりませんので、まことにお答えしにくいと存じます。
  261. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣、特にNHKの立場に立って御答弁いただかなくていいと思うのですよ、私は。大臣は大臣の芸術に対する理解の立場でぼくは答弁していただきたいと思うんですよ。私は、あなたの弟さんがNHKで幾ら給料もらっておるか存じません。しかし、私は十分な給料ではないと思うのですよ、おそらく。弟さんにあなたは聞いていただきたいんです。NHKで十分の給料もらっておるかどうかという点をお聞きになったら、弟さんは、おそらく不十分だというお答えをするだろうと思うんです。それほど、日本の芸術家は正当な待遇をされていないのです。いま、有名かどうかということを聞きましたが、この人は、名前を出せば皆さんも知っているほどの人なんです。その人が一昨日、私に直接、須藤君、実はこういう条件なんだ、自分は三十分朝のリサイタルをやる、そのためには幾日間かかかって練習をしなければならぬ、そうして放送すると千五百円しかくれないのだ、これで一体食っていけると思うか、自分は戦前三十円もらっておった、それならば今日の貨幣価値にしたら一万円が妥当ではなかろうか、一万円以上もらうのが妥当ではなかろうか、それがNHKは千五百円しかくれないのだ、これは一体どう思うか、といって私に訴えられたわけです。これは、ちゃんと筋の通った演奏家です。NHKが今日なおそういう待遇を芸術家に与えていることは正しいのかどうか。また、昔の物価と今の物価と比べて、あの最低基準です、基準そのものが一体正しいのかどうか、こういう点について、私は大臣並びにNHK当局の意見を伺いたいと思って大臣の御意見をまず伺ったのです。大臣、芸術家をもう少し優遇すべき問題じゃないでしょうか。いまのような冷遇で、それでいいものでしょうか。
  262. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) たまたま私の弟のことが引用されまして、ずいぶん以前、弟の若いときに、ちょうど須藤さんが関西のある大きい音楽のグループの中で指揮をとっていらっしゃった、その際に非常な御指導をいただいたということを弟からも聞いて承知して感謝をしているわけでありますが、現在弟が職場においてどれだけの収入を得ているかということは私まだ尋ねておりません。おりませんが、たまたま家内がやはり音楽学校を出ましてピアノを近所のお嬢さん方に教えているものですから、それと本人の収入とで、まあどうにか私どもの世話にならぬでやっているようでございます。  まあ、それはそれといたしまして、また具体的な問題になると、いろいろと詳細な調べをした上でなければお答えはしにくいと思いますが、大体日本においては、ごく一般的に申せば、芸術家に対する社会の評価なり、あるいは物質的な社会の報いというものは少ないのではないかということは、私まあ申し上げられるのじゃないかと思っております。芸術家の中でも、特定の少数の方は、これは別であろうと思いますけれども、一般に中くらいのクラスの方の収入というものは、あるいはそれ以下の方は、そんなによい収入ではないというふうに私は理解をしております。したがって、今後日本があくまで文化国家としてりっぱな国を建設していこうという方向に進んでおりまする現在、かような芸術家あるいは文化を進めていただく方々に対する社会的な功労ということは十分に考えていくべきである、こう存じております。
  263. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 NHKからの答弁を、阿部会長、伺いたいと思います。
  264. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) ただいまの御質問の御趣旨は、御趣旨とすれば、私ども反対はないのであります。個々の場合を、いまそれがどうかと言われれば、私は一向に存じておりませんので、その点については適当かいなかということは、いまここでお答えすることはできません。
  265. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 個々の場合を申し上げることができると非常にいいんです。個々の場合を私は資料として持っているのです。そうしてそれを私が自分の芸術的な生活を通じて判断して、これは不当だと思うことが非常に多いのです。だから、私はこれをくどく言っているわけです。要するに、NHKのものの評価そのものを根本的に私は考えを改めてほしいと思うのですよ。まあひょっと出てきて人気のあるジャズ・シンガーとかね、そういう人たちには、わりと金を払うらしいのですよ。この前も申しましたが、団伊玖磨君は作曲家として日本一流ですよ。ところが、作曲料としてもらう金よりも、団伊玖磨君が何かほかのプログラムに出たときに、いわゆる「私の秘密」とかですね、「二十の扉」とかなんとかというようなプログラムに出たときにもらった金のほうが作曲料よりも高いというのですよ。そういう、ものの評価のしかたが私は正しいのかどうか、NHKともあろうものが、そういうものの評価をしていいのか、そういう評価をしておって日本の文化が発展するのかどうか、こういう見地から私は言っているのです。それは、若い人たちでも、人気があれば、それに払ってもいいんですよ。それに払う金が高過ぎるから払うなと私は言うのじゃないんですよ。まじめに、こつこつと勉強して、作曲し、演奏技術をみがいておる、そういういわゆるオーソドックスな芸術家に対する評価をもっと正しくしたらどうですか。そういう人たちこそNHKは育てていく義務があるんじゃないか。それが文化団体としての一種の任務じゃなかろうか、こういうふうに思うんですよ。そういう面がNHKには欠けておる。現に私の友人が、まじめに勉強しながら、朝三十分間演奏して千五百円しか金をもらっていない。千五百円毎日かせごうと思えば、たいへんな努力ですよ。一ヵ月かせいで四万五千円じゃないですか。こんなことは言いたくないけれども、皆さんの給料だって、物価指数が上がれば、上がっているんですよ。この前私は失礼な質問をしまして、皆さんの給料調べまでいたしました。あんなことは言いたくないんだけれども、やはり言わざるを得ないから私は言ったわけなんです。そういうふうに、皆さんは自分の生活となれば、やはり関心はある。しかし、日本のほんとうのまじめなこの芸術家に対する評価のしかたがあまり酷ではないか。正しい評価をしていない。千五百円というのは、昔のコーヒーの、何じゃないですか、いまコーヒー飲めば二十ぱいか三十ぱいじゃないですか。コーヒーだって一ぱい五十円から七十円するときに、千五百円払って、それで済むとNHKが考えておるとするならば、これは大きな間違いではなかろうか。こういう考え方は一日も早く訂正してほしい、こう私は思うんですが、大臣、私の考えは間違っているでしょうか。日本の文化を担当していくものとして、その考えは間違っておるんでしょうか。ジャズ・シンガーで、わけのわからぬことを、ひゅっと出てきて、ひゅっと消えていくような人たちを高く評価して、まじめに日本の文化のために努力しておる人に、こういう評価のしかたをするのは正しいのかどうか。もっと正しい評価をすべきじゃないかと私は思うんですが、もう一ぺん大臣の御意見を伺っておきます。
  266. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 正しい、りっぱな芸術を保護育成していく、そうしてこれによって国民全般のよい文化を発展させていく、向上さしていく、そのために、かようなオーソドックスの芸術家を優遇すべきであるという御意見は、私もそのとおりだと考えております。
  267. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 NHKの御意見を伺っておきたいと思います。
  268. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 一般論としては、まことにそのとおりだと思います。
  269. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは私の言をいれて、そういう方向にNHKは今後努力をしていってくださるんですか。いまも努力をしていらっしゃるんですか。
  270. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) NHKは、過去においても、現在でも、そういう努力はしておるつもりでございますが、場合によると、あるいはますの目から漏れることがあったかもしれません。しかしながら、それがNHKの本旨じゃないことは御了承を願いたいと思います。
  271. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、これからランクを私は正しく変えることと、それからそれを使うときに、そういう見地に立って、いまのは不十分であるから、それを訂正するように、それを引き上げるようにNHKは努力をしていっていただきたい。これに対して、NHKは努力することを言明できましょうか、どうでしょうか。
  272. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 私は、いま直ちにランクを変えるかどうかということは、まだよく存じていませんから、何ともお答えできませんが、できるだけまた御趣旨をよく検討してみまして、なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと、こういうように考えております。
  273. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほど申しましたように、特別な人には相当六割ぐらい出演料を上げたそうです。そういうことを聞いておりますが、そうですか。
  274. 春日由三

    参考人(春日由三君) 特別な人に上げたという表現は必ずしも当たらないいと思いますので、ランクとしては、いままでのものさしは変わっておりませんが、個々の方につきましては、その方の技能の向上とか、いろいろな要素を入れまして、毎年その方の格づけの改訂ということはいたしておるという御返事が適当ではなかろうかと思います。
  275. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 高く上がった人で、どのくらい上がったんですか、何割ぐらい。
  276. 春日由三

    参考人(春日由三君) ラジオテレビジョンと二通りございますが、出演料のランクにつきましては、ラジオで十三、テレビジョンで十四というランクを持っておるわけでございます。で、そのランクを、その方が急速な技能の向上その他があれば二ランク上げる、そういった程度でございまして、端的に申し上げますれば、いま先生の御指摘の千五百円が二千円になるか二千五百円になるかというふうな改訂は、個人個人の出演者の方々について年に二回会議をして改訂をいたしております。しかし、そのよりどころのものさしを簡単に変えることは、予算生活をしている関係上、そう簡単にはなかなかできかねる事情もあるわけでございます。
  277. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そのランクを改訂する場合は、どういうふうなやり方で改訂するんですか。
  278. 春日由三

    参考人(春日由三君) 放送総局の各局ごとに原案をつくらせまして、それを総局長を中心に各局長が集まって格づけ改訂の会議をいたしまして、そうして改訂いたします。ですから、個人個人の思いつきとかということはないわけでございます。
  279. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 賃金というものは——これは私は出演料も一つの賃金だと思います、芸術家も労働者だと思っていますから。賃金をきめる場合は、労働組合とそして資本家との間の相談づくでいま賃金が大体きめられていると思いますね。一方的に資本家が賃金をきめるというような会社はありませんよ。そういうところはどこにもない。ところが、NHKに限って、芸術家、出演者の意向を全然聞かず、無視して、一方的にあなた方がランクをきめて、それを押しつけている。芸術家の意向を聞いたことがありますか。
  280. 春日由三

    参考人(春日由三君) 個々人の方々の御意見を承るという形ではなく、あるいは作曲家組合、あるいはいろいろな演奏団体の方々から、あるいはまた文芸作品を書いております方々の団体とか、そういう方々から、いろいろな要望とか御要求とか、そういったものは出てまいっております。それが一つの団体の場合には団体の意見としてまいっておりまして、私どもは、その団体の責任者の方々と折衝をしながら話を煮詰めていくわけでございまして、個々人の方々の御要望を一々承っていくというような形はとっておらないわけでございますし、また、各人の方々は、労働協約にある従業員というふうな関係ではなくて、お断りになる自由もあるわけでございますから、それは、不当に安い出演謝金であれば、おれは放送に出ないということを申される権利も持っていられるわけでございます。
  281. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま初めて伺ったことでありますが、作曲家組合の意見を求めたと。また、演奏家組合の意見を求めた。それは間違いありませんか、春日理事さん。
  282. 春日由三

    参考人(春日由三君) それぞれの団体から、いろいろな要望や御意見が出ているのを承ってお話をしておるということは、間違いございません。しかし、各団体の中で、その意見がどういうふうにまとまって出ているかということまでは私は存じません。
  283. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私も作曲家組合の一員です。それで、やっぱし作曲料に対する意見はたくさん出ます。現在のNHKの作曲料は不当だという意見が圧倒的ですよ、これは。これは、一流の人から二流、三流の人に至るまで全部圧倒的な意見です。だから、作曲家の組合は、あなたにもし意見を具陳するとするならば、述べるとするなら、いまのような意見を述べるはずがないんです。ただそれが表面申しわけ的に、ただ意見を聞くだけで、作曲家組合に対して、参考にも何にもしていないということじゃないですか。参考にしたら、あんなランクが出てくるはずがない。私はそういう内容をよく知っているのですから、あなたがごまかしてもだめですよ。それじゃ、意見を聞いたものもありますけれども採用しませんという態度じゃありませんか。そんなことじゃなく、意見を聞いたら、お互いに相談づくでものをきめるようにしないと、こういうことはだめなんですよ。労働組合だって、資本家が一方的に聞かなければストライキをやりますよ。ただ演奏家組合はストライキをやらないだけのことですよ。作曲家組合はストライキをやらないだけですよ。ストライキをやらないといって、それをいいことにして、一方的に賃金をきめて、それを押しつけてくるということは不当じゃないですか。春日さん、そこら、あなたたち、もう少しNHKともあろうものが、たくさんの収益をあげて、何十億円という剰余金さえ残るようなNHKとしたら、もっと考えてくれるのが私はNHKの立場じゃないでしょうか。私は芸術家として、どうしても納得できない。大臣、どうですか。私の言うことは無理ですか。
  284. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 具体的な問題になりますと、私もよく事情に通じておりませんからわかりませんが、一般的に申しまして、日本の国として、やはり今後芸術家をたっとんでいく。いろいろな意味において、精神的にもあるいは物質的にも、りっぱな芸術家を育てていく、こういうことは、やはり社会的にきわめて必要なことであろうということは私は考えております。
  285. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 春日理事から返事がありませんから、春日理事は返事がないものと私は判断して次に進みます。  NHKは、天下の公器でありながら、やっていることは、民放のような宣伝事業みたいな気持ちが私はあるのじゃないかと思うのですよ。もし、それがなければ幸いですよ。だから、人気があって出てほしい人にはどんどん金を出す。ところが、先ほど申し上げましたように、オーソドックスで勉強している人、そういう人はミーちゃん、ハーちゃんからやいやい言われない。しかし、日本の音楽発展のために、そういう人たちこそがほんとうに下積みになって努力している人なんです。そういう人たちに対しては一方的な押しつけでやっていこう、こういうことだと思うのですよ。これは私は不合理きわまることじゃないかと思う。だから、基準をきちんときめることが必要だ。いままでの基準をそのままにするというのではないのですよ。もっとりっぱな基準をとにかくNHKがつくって、民放に対しても明らかな指導的な立場をNHKはとらなければならない。それでなければ、日本の文化は滅びますよ、いまのままでいったら。それが私は残念なんです。もっと芸術家を大事にするような基準をつくって、そうして個人個人とのやみ取引のような話し合いはやめて、公明正大な態度でやっていかないと、NHKのせっかくの事業にいろいろな疑惑を持たれたり、痛くもない腹を探られたり、皆さんはそうでないかもしれないが、やはり何といいますか、演出家といいますか、何かそういう人たちには、いろいろな疑惑すらもかかってくるような場合がないではないわけです。みんな、どこからそれは来ているかというと、基準があまり安過ぎて、一方的なものを芸術家に押しつけている。ここにあると思う。もっと明朗な基準を、もっと高い基準をNHKがこの際つくるべき必要があるのじゃないかと思う。私はこう考えるのです。それに対して、大臣、どうしたら一番これはうまくいくのですか。こういう問題は。
  286. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) この問題は、郵政大臣としてNHKに対して命令するというふうな性質のものではございません。あくまでNHKが、公の機関として、また日本における放送文化の向上という重要な使命をになっておる機関であるということに立脚して、良識をもって日本の文化の将来のために大いに御尽力をしていただきたいということを期待する以外には、私ちょっと方法はなかろうと思います。
  287. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 NHKとして、郵政大臣の期待にこたえてほしいと思うのです。阿部さんどうでしょうか。
  288. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) ただいま私は申し上げたと同じことなんで、一般論とすれば、そのとおりだろうと思います。しかし、いまあげられた一つの例が適当であったかどうかということは、私材料がありませんし、申し上げることはできない。方向とすれば、そのとおりなんです。
  289. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、例として一例をあげたにすぎないのですよ。阿部さん。これが一つの特殊な事情じゃないのです。これは一例にすぎないわけです。こういう事情にあるから、その点を配慮し、もっと芸術家を尊重するようにNHKがいってもらわなければどうにもならぬじゃないか、日本の文化は発展しないじゃないか、芸術家はこれではやっていけないじゃないかという一例として私はあげたので、阿部さんのような、そんな言い方は、阿部さんずるいですよ。私は一例として申し上げているのですよ。だから、こういう事情に日本の芸術家があるということを考えられて、そうしてもっと日本の芸術家を尊重し、高く評価するようにNHKがやっていただきたい。基準をきめるのは、いままで私が申しましたように、春日さんが答えなかったように、作曲家組合、演奏家組合の意見を聞くというけれども、それは聞きっぱなしの意見で、こっちから入ってこっちへ出ていくというような、意見も何も、私は参考になっていないと思うのです。参考になるならば、あんな最低基準をつくる道理がないですよ。それは春日さん、あんたずるい言い方で、ただ聞きおく程度で、何にも参考になっていないんだ。もちろん、作曲家組合や演奏家組合の意見を聞くことは正しい。意見を聞いて、そうして相談をして、そうして互いに衆知を集めてやること、それが必要だと思うのです。また、いろいろ識者の意見を聞くこともいいでしょう。そうして、できることなら、演奏家、作曲家、なべて評価のしかたは、人気とか、そういうものじゃなしに、その人の技術、いろいろな問題を基準にして、Aクラス、Bクラス、Cクラスというようにきめることができるならば、それも、Aクラスはこれだけ、Bクラスはこれだけ、Cクラスはこれだけというふうに料金をきめることも一つの方法だ。そうして、それを本人に通達して、NHKから通達して、悪ければ、組合の意見も入れて、そういうことをはっきりするということも一つの方法かもしれません。これは最善の方法だとは私も思いませんけれども。それから出演に際しましては、一定のひな形をつくって、契約書をつくるのですよ。そうして、お互いに出演する前に、こうこういう条件で出演をしてください、はい承知しました、そうしてお互いにサインをしてやらないと……。昔はこうでしたよ、そんなもの何にもきめないで、私らが作曲しましょう、そうすると金一封が来るわけですよ。幾ら入っているかわからないのだ。もらってみて、案外少ない、不満が起こる。そういうことが今日でもあるのじゃないかと思うのですね。そうじゃなしに、やっぱりひな形をつくっておいて、契約書の。出演する前から、自分の出演料は幾らということをはっきりして、そうしてやるような方法をきめられたら、あとでもんちゃくが起こらなくていいんじゃないですか。
  290. 春日由三

    参考人(春日由三君) ただいまの先生の二つの御意見の前のほうでございますが、御指摘のように、最下点、一番安い千五百円は不当ではないかというふうなお話がございますように、千五百円から十三ランクないし十四ランクで、ランクはきちんときめてございます。そのランクにどなたを当てはめるかという仕事も、私どもの責任者の間にいたしております。しかし、従来の経験からいたしますと、そこまではいたしましても、各個人個人の出演者の方あるいは作曲家の方は、あなたは幾らだ、その隣の方は幾らだということをあからさまにされるのを、皆さん芸術家として当然でございましょうけれども、お好みにならないという実情もございまして、戦後におきまして、ドラマを書く方々の組合で、全部の方々の格づけ及びそれにランクされた名簿を出す出さないというお話し合いもあったけれど、これは、先方から、それは見ないほうがいいということで、内部的にはきちんとできておりますしいたしますが、各個人個人の方のフィーリングも尊重いたしまして、そういう出し方はいたしておらない。しかし、内部的には、きちんと、前段先生御指摘のようなランク及びそのランクに格づけされた個々の方々のリストはできております。  二番目の御指摘の問題については、部内では検討をいたしておる最中でございまして、御指摘のように、戦争前から、放送関係におきましては、これは雑誌の原稿なんかのあれもそうでございますけれども、一枚幾らだということを言わずに、何枚の長編を書いてくれ、よかろう、というふうな形が一種の慣習として行なわれてまいっておりますが、現在では、半年続くとか、一年続くとか、あるいは三ヵ月間、一週間に何回出るとかいうふうな連続のお仕事をなさる場合には、成文による契約をできるだけ取りかわすようにいたしております。先生御指摘のように、たった一回の御出演の場合でも、それの条件を書いたものが出演する方々のオーケーがとられたという形で残すほうがいいのではないかというふうなことも確かに考えられると思いますが、現実には、まだそこまで至っていないというのが実情でございます。
  291. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 芸術家が自分のランクを公表されることをいやがるというのは、芸術家の弱点なんです。その弱点を逆手に使っているのがNHKなんですよ。芸術家というものは、自分の給料というものを人に知られたくないのです。これは、宝塚で私は三十年めし食ったから、よく知っているのですが、宝塚の女の子みんな知らないのですよ。知らぬことをいいことにして、小林一三は、宝塚の女の子を安い給料で、電話の交換手さんと同じような給料で、それで女の子を使ってぼろもうけしていたのですよ。NHKも同じでんのことをやっているように私は思うのですよ。そこが芸術家の弱点であると同時に、大きな欠点ですがね。それを逆手にしないで、みんなが公表しても恥ずかしくないだけの給料を払ってくださいよ。恥ずかしいから、公表されることをみんないやがるのですよ。
  292. 春日由三

    参考人(春日由三君) 皆さん方の気持ちを尊重しているので、それを逆手に使ってというふうな不遜な考えは毛頭持っておりませんことをひとつ御承知願いたいと思います。
  293. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ、それはNHKとしてはそう言わざるを得ないから、あなたのそのことばをやむを得ない答弁と私は聞き流しておきますけれども、実際はそうなんですよ。どこの劇団でも、みんなそうなんですよ。ずるいのですよ、使用者は。芸術家の欠点を、弱点を、うまく利用しているのが私は今日だと思うのですよ。そりゃ、先ほどのひな形をつくって、契約書をちゃんとはっきりするということは、これは私はいいことだと思うから、そういうふうな方向で一ぺん大いに検討をしてください。  それから、料金の適正化のために出演者の所属する団体に諮問する。これは、私この前申しましたが、それで一方的でなく、先ほども申しましたように、両方で納得のいく話し合いによって新しいランクというのをきめることが、私は目下の急務ではなかろうかと思う。それで、労働者が最低賃金制をいま要求して戦っておりますように、やっぱし芸術家といえども、最低賃金制がなければ、安心して生活できませんよ。しかも、千五百円の最低ランクだと言うけれども、大体みんな最低にされているのじゃないですか。NHKの一方的な考え方によって最低ランクが千五百円だから、最高はこれだけあるから、この間十三の段階があるのだと口では言うけれども、大体の出演者みんな最低を押しつけられているのが現状じゃないですか。私の友人もその一人だと思ったんですが。
  294. 春日由三

    参考人(春日由三君) 契約の形に対する検討ということは、先ほど申し上げましたように、今後もしなければならないと思っておりますが、各所属団体と交渉することによって、料金を納得ずくできめていくということは、にわかにお説のようにはまいらないと思います。  それから第三点の、ほとんどの方々が最低でないだろうかというふうなことは、必ずしもそうではございません。
  295. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは資料の提供を要求します。昨年度十三ランクに分けたランクで、一ランクは何人、幾ら払ったか、それは何名、第二ランクの人は何名、その表を出してください。それは、あなたのほうに受け取りがあるからできるはずです。それで見て、どれだけ日本の芸術家は評価されているかということはわかりますから、その資料を私は要求します。
  296. 春日由三

    参考人(春日由三君) 一年間の全国的な作業ということになりますと、非常にたいへんでございますが……。
  297. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 東京だけでいいです。
  298. 春日由三

    参考人(春日由三君) 東京だけで、音楽関係の出演される方々に限定して、しかも個々のお名前を出さずに、あるランクで何件、何名、その総額は幾らということでよろしゅうございましょうか。
  299. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、公表をしないということを約束して、そうして、私の納得のいくために、その名前まで出してくだされば私は一番ありがたいと思います。
  300. 春日由三

    参考人(春日由三君) 当委員会資料要求でございますので、個々のお名前を出すことだけはひとつごかんべん願いたいと思いますが、お許し願えませんでしょうか。
  301. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 名前なしでいかれると、あなたのほうでごまかしができるんですよ。ランクの上のほうの人の人数をたくさん書いて何名と書いたってわからなくなっちゃうんですよ。それで最低のほうはごく少数にして、そういう操作だって、あなたのほうでできるんですよ。NHKを私は信用しないんですよ。だから、そういう資料の要求もするんです。もっとあなた方が信用できれば、こんな要求はしませんよ。信用できないやり方をしている。現に、私の友人で、だれが見ても千五百円なんという評価されない人が千五百円という評価を受けているんですよ。そういう実情があるから、私はこういうことを言うわけですよ。
  302. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 ちょっと関連。  いまの資料の要求ですね。それを理事会のほうにはかって、必要なものは委員会から要求してもらうことにして、理事会にはからしていただいたらいかがでしょうか。
  303. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 理事会って——これは、資料必要ですよ。
  304. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 ですから、資料の要求は各委員から要求するものじゃないんで、委員会から要求するものでございますから、ですから、必要な資料は一応理事会にはかりまして、そうして委員会として委員長から提出を求めるようにしたらいいと思います。
  305. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、各委員がどうしても必要な資料でも、理事会がそれを必要ないと認めたら、資料の要求はできないのですか。
  306. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 そのとおりです。
  307. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは、はなはだ私は困ると思うのです。そういうことは、はなはだ困るのです。それでは審議が正しくできないのです。
  308. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 国会法の百四条に「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」となっております。これは、この条文で御承知のとおり、委員めいめいが要求した場合じゃなくて、委員会が要求した場合になっております。委員会で、必要かどうかということを理事会でもし決定できなければ、この委員会でそういう資料が必要かどうかというものを採決してきめることに実際はなるわけです。
  309. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、個人の委員の要求については、当事者は資料を出す義務がないということなんですか。
  310. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 私の了解しておるところでは、各委員の要求された場合は、従来はまあ大した問題がなければ、ここに大体それは委員会承認したというような考えのもとに資料を提出されているわけでございますが、もしその資料が重要なものであって、この委員会として必要かどうかということが相当問題になるようなものでありましたならば、委員会でもって、その必要かどうかを採決いたしまして、そうしてきめて、委員長の名によって請求するようになるように私は了解しておるわけでございます。
  311. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、少数党というものは、資料の要求一つ自由にできないことになりますよ。あなたが、もしもその資料を提出さしたらNHKに不利だというふうにお考えになるならば、理事会でそれを否決することもできるじゃないですか。それでは少数党の要求というものは通らないですよ。そういうことはすべきじゃないですよ。やはり、委員の要求があれば、それを提出するように理事会は運営するのが私は正しい理事会の運営だと思うのです。
  312. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  313. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 速記を始めて。
  314. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 NHK資料の要求に対しましては、松平理事のほうから異議の申し出も出たことでありますから、不本意ではあるが、それは後日の理事会の決定に待つとして、私は審議を進めることにいたしますが、この際、特に希望しておきたいことは、やはり少数党といえども資料が必要なために委員長を通して資料の要求をしているのですから、できる限り、その資料の提出されるように理事会としても尽力してくださることを私はこの際お願いいたしておきたい。それでないと、理事会の私は権威に関することだと思うのです。そういうように思いますので、そういうように善処されることを希望して次の質問に移ります。  次は、NHKの番組に対する希望でありますが、番組の質的な向上をはかるために、NHKが団体や個人に定期的に会って話し合う機会をつくる考えはないかどうか。いまやっていらっしゃると思うのです。プログラム審議会かなにかのようなものをつくって、いわゆるNHKがいうところの識者、学識経験者を集めてやっていらっしゃると思うのですが、それでは不十分じゃないか。不十分な証拠が、今日のテレビジョン放送、あらゆる面に私現実にあらわれていると思うのです。あれは決して十分じゃないと思います。識者の中には、もっといいプログラムができるはずだという意見を持っておる人もたくさんあるわけなんです。だから、もっと広い範囲において、政党政派を越えて、ほんとうに日本の文化をいかにするかという見地に立って、私はNHKがもう一ぺん配慮をする必要があると思うんですが、これについてどういう意見をお持ちでいらっしゃいますか。
  315. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御趣旨には全く私どもは同感でございまして、私どもは、ただ、放送法上の番組審議会、あるいは各番組ごとにつくっております専門委員会の御意見を伺うばかりでなしに、全国的に聴視者との懇談会を継続して開いております。大体年間、少ない年で百回をこえております。そういう形で番組に関する一般の御意見も伺っております。ただ、その政党政派を越えて——あるいはその御趣旨が、おそらく一般大衆とともにという御趣旨かと解釈するわけでございますが、その意味におきましては、ただいま申し上げましたように、全国各地で計画を立てまして、年間百回をこえる、その地域のあらゆる種類の人々でございます。組合の幹部もおられます。それから学生も、年齢、職業、社会的地位を越えて、私どもはそれを実行しております。で、こういうやり方はさらに積極化する必要があると思っておりますので、その御趣旨は十分、私どもに対するたっとい示唆として、今後も努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  316. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 自民党の意見を聞いたことがありますか。社会党の意見を聞いたことがありますか。共産党の意見を聞いたことがありますか。
  317. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 自民党はどうかとか、社会党はどうかとかいう形であるいはやらないかもしれませんけれども、それからまた、非公式にはそういう形もございますが、同時に、共産党の方々の御意見も全国的に十分承っておるつもりであります。
  318. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまだかつて、寡聞で、共産党に対してそういう質問のあったということを私は聞いていないんですが、共産党は共産党の文化政策というものを持っておるわけです。民族文化をいかに高揚して発展さすべきかという具体的なことを、みな持っておるわけです。だから、NHKが共産党に質問があるならば、共産党はいつでもお答えしますから、ひとつ各政党の意見も聞いてみることが必要ではなかろうか、こういうふうに私は考えるんです。これは参考までに意見として申し述べておきます。  それから、再放送をされる場合がありますね。その場合は、やっぱり出演者に報酬を払っているんですか、どうなんですか。
  319. 春日由三

    参考人(春日由三君) 再放送をいたします場合には、出演者の方々にも、それから作詞、作曲をなすった方々にも、規定に応じたものをお支払い申し上げております。
  320. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは、演奏家、また劇団に限るんですか。舞踊団にも、再放送される場合は、ちゃんと支払いをしておりますか。
  321. 春日由三

    参考人(春日由三君) 原則としては、再放送の場合には、それに関係なさった方々に若干の再放送料を差し上げることになっております。ただ問題は、著作権の審議の過程におきまして、実演権の問題がどうだとか、隣接権の問題がどうだとかいうことは、いま国際条約との関連で議論されている最中で、末端までの権利の主体の確立というものは、不十分なところもあるかとは思うのでございますが、NHKといたしましては、再放送をする場合には、出演された方々、そういう方々の許諾を求めると同時に、再放送の場合には、非常に若干でございますが、お払いするような規定になっております。
  322. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは原則的にではなく、全部に払っておると理解していいですか。
  323. 春日由三

    参考人(春日由三君) 出演された方、それから作詞された方、作曲された方——しかし、作詞作曲料というものは別に音楽著作権使用料がございますが、そういう規定のありますものは規定どおり、そうでないものでも、お話し合いで、たとえ若干でございましてもお払いするたてまえになっております。
  324. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私が聞いたところによると、再放送の場合は支払われていないということを聞きましたために、それはけしからぬと思って私はいま質問をしたんですが、あなたの答弁に間違いがなく、再放送の場合払っているというならば、そのとおり理解しますが、その再放送の場合は、初演料の何%——全額払うのですか。どれだけ払っているのですか。
  325. 春日由三

    参考人(春日由三君) 出演料につきましては、本放送のときの三割程度という規定になっております。それから作詞、作曲の著作権使用料は、文部省認可の音楽著作権使用料の額をお送りするわけです。
  326. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま著作権料の問題が出ましたから、ちょっと著作権の問題にも触れたいと思うのですが、私もときどき著作権料を協会から送ってきてもらいますが、しかし、やっぱり著作権料自体が私は安いと思うのですよ。私は、著作権協会に対して、もっと著作権料を上げなければだめじゃないか、そうしなければ、君たち芸術家を代表しているような顔しておって何もならんじゃないかということを私は盛んに言っているわけです。おそらく、日本音楽著作権協会から値上げの交渉があったろうと思うのですがね、NHK並びに民放に対して。その交渉があった場合に、その交渉に応ずる用意があるのかどうか。これは、著作権料をきめるのは文部省がきめることではありますけれどもNHKとしての態度を伺っておきたいと思うのです。
  327. 春日由三

    参考人(春日由三君) 過去において何回も、音楽著作権協会と料額改定の話し合いが行なわれておりまして、NHK及び民放との話し合いができましたときに、文部省へ申請して認可をとるという形になっておりますから、当然過去において数回の話し合いもございましたし、そのたびごとの改定もございました。
  328. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これから日本著作権協会の話し合いがあった場合ですね、NHKは、民政に先んじて、私はその交渉に応じて著作権料の値上げをするように努力してもらいたいと思うのです。民放は、これに反対をしておるようです、著作権料の値上げに対して。そして、もしもそういう法案が出た場合に、民放関係の議員を動員してその法案をつぶすぞというようなことまで言っているというようなことが私の耳に入ってきているのですが、どうか、NHKとしては、民放に先んじて、やはり著作権料を引き上げるように積極的に私はつとめてほしい、こういうことを希望いたしておきます。  それから、これもいやな評判なんですがね。NHKで、演奏家のブラックリストをつくっている。そうしてブラックリストに載っておる者は演奏会から締め出しておる、放送から締め出す、こういうことが言われておるのです、演奏家の中で。そういうことが事実あるのか。そういうことがあるとしたら、そういうことはやめて、積極的に、いろいろな人に機会均等——やはり演奏の機会を与える。それが私は公共放送の役目だろうと思うのですが、この点はどうですか。
  329. 春日由三

    参考人(春日由三君) 番組をつくる過程におきまして、どの出演者の方がよろしいか、どの作曲家の方がよろしいか、いろいろ番組をつくる過程においてのいろんな考慮及び検討は当然いたすわけでございますが、ある特定の方々を、先生の表現によれば、ブラックリストというふうなものに載っけて、その方々とは放送関係でおつき合いをしないというふうな考え方及びそういう態度はとっておりません。
  330. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 例をあげますと、出演を頼まれたとき、出演料幾らくれるか、作曲料幾らくれるかということをまずもって切り出すと、そんなことを言うのは君が初めてだぞと言われるのですよ。それで、その次からそういう人にはもう頼まないようにNHKがするというのです。こういうことはないのですか、春日さん。あったということを本人から私は耳にしたのですがね。
  331. 春日由三

    参考人(春日由三君) ある特定のものを御委嘱申し上げる場合に、私どもは、先ほどからるる御説明申し上げておりますように、それぞれ所定のランキングによって、幾らお払いするというきめを持っておるのですから、お話し合いの際に、はるかにそれを上回る、われわれのほうがお払いできないような御要求があった場合には、それではまたということは、これはもう交捗でございますから、これはたくさんございます、そういう場合は。
  332. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 NHKの会計決算について、会計の報告はどのようになっているのか。出されているものは非常に概念的で、具体的じゃないわけですね。これまでずっと去年の決算書を見ましても、ことしの予算書を見ましてもそうだから、私はこの前資料を要求して、ただいま手に入って、これからこれを検討しなければならぬと思っておりますが、もっと具体的に内容を知らしてもらいたい。それから剰余金の超過収入はどう使っているのかというような点ですね、明細に知らしていただきたいと思いますが、そういうことはできますか。
  333. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 決算関係についてのお尋ねのようでございますが、決算関係のそれは、法律の条項に従いまして、一応決算の状況並びに予算執行の状況が大局的に御把握できると考えられるような資料は御提出を申し上げております。予算の慣行に従いまして、財産目録、貸借対照表、損益計算書、こういう資料はお出しをいたしております。もちろん、これだけでは、もっと内容を詳細に御承知したいという御要望もあろうかと思いますが、それを万般にわたりましてお出しいたしますことは、何しろ非常に多種多様な費目にわたりますので、その辺は、御質問に応じましてお答えを申し上げております。それは、在来も変わりございませんし、今後といえども、そのような御質問に対しましては、おわかりいただけるような資料に基きましてお答えを申し上げたいと思います。
  334. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 受信料の値下げの問題がいま問題になりましたがね。この前も、郵政大臣が、ラジオ受信料を無料にすると言われたとかどうとかという問題が、この前の委員会でもなされたと思うのですが、テレビ受信料の値下げ、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。聴視者のほうは、金を払わされるだけ払わされる。それで聴視者の権利というものは何も保障をされていないわけです。早い話が、軍事基地付近のテレビは、飛行機が飛ぶたびにむちゃくちゃになってしまって、見えない。これは、聴視料を払っているならば、当然りっぱな画を見る権利がある。ところが、その権利は一向に守られていない。それで金は取られている。こういうことが一つ。  それから番組に対する意見、要求なども、窓口は、これはちゃんと開かれているわけですか。
  335. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 受信料制度につきましては、いろいろ考え方もあろうかと思いますが、何しろ、いろいろな万般の態様に応じなければならない受信料でございます。個々の利用の度合いによって受信料をいただくということが可能であれば、これは一番正確でございますけれども、これについては、どのくらい御利用になっておるというような、メーターでこれを表示できるような技術的な面も今日ございません。したがいまして、法律の規定によりましては、NHK放送を受信できる施設を設けられた場合には契約をしなければならない、こういうことで契約をいただいておるわけでございます。その契約に対する料金といたしましては、毎年度収支予算事業計画資金計画等の御承認に伴いまして、これだけの計画を実行するのにはこれだけのものが必要であるという御承認を同時に得まして、いただいておるわけでございますけれども、その法律の条項による、契約しなければならない、そういう、事実上の大勢に着目をいたしまして、NHK放送はほとんど聞かれている、こういう実態に即しての規定であるわけでございます。この間に、いろいろ画の見えぐあいの良否とか、あるいは音響の受信の良否、この関係によって差等を設けるということは、一応理論的には合理的な方法でございますけれども、実行上は、これは非常にむずかしい問題でございます。  御指摘の、基地周辺のジェット機の離着陸に伴いまして生じます音響並びに画像の障害の関係につきましては、今回の予算の中におきましては、そういうような該当のものにつきましては受信料の減免をいたそう、こういうことに取り計らっておるわけでございます。  なお、番組関係の問題について、受信者についての要望を聞いておるかどうか、こういうお尋ねでございますが、これは、先ほど副会長からお答えを申し上げましたように、全国各地——本部並びに各中央放送局管内を通じまして、また、中央放送局管内では、各放送局ごとに、受信者の代表の方々、これは職業、年齢、性別あるいは党派、そういうようなものを超越いたしまして、公平に選出いたしまして、一回にお集まりやすいように、しかもざっくばらんに、かみしもを着ないで、何でも取り上げていただけるような構成のもとにおきまして、年に多数開催をいたしまして、ほとんどそこでは、いろいろなラジオテレビ、各傾向の番組部門に対しまして、いろいろな要望が出てまいります。こういう面は、将来の編成の貴重な資料といたしまして御意見を賜わっておるわけでございまして、こういう関係につきましては、先ほど副会長のお答え申し上げましたとおり、将来におきましても大いにこれを強化する必要がある、このように考えております。
  336. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最近、世論で、日本の少年の不良化問題が取り上げられたとき、やはりテレビ放送という問題が——テレビとか映画ですね。この影響が問題になったことは、皆さんも御存じだと思うんですね。そういう見地から、古池大臣、どうでしょうかね。今日の日本テレビのあり方というものが日本の青少年に与える影響の点からいったら、問題があると私は考えるんですが、郵政大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  337. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 非常に大切な問題だと思いますが、今日、青少年、特にまだ判断力が十分に熟しない時代における若い人たちの周囲の環境から受ける影響というものは、きわめて大なるものがあると考えます。これには、必ずしもテレビのみならず、あるいは映画にしても、あるいはその他の印刷物、雑誌、いろいろな面から注意をしていかなくちゃならぬと思っておりまするが、テレビの影響ということも、世論において相当やかましく言われておることは御承知のとおりだと存じます。すでに、NHK並びに各民間放送においては、法律の規定に基づいて番組審議機関が設けられておりまして、この審議機関の方々が十分に注意はされておることとは思っておりまするけれどもしかし、いまのような現実の問題に直面いたしまして、しからば政府はどうするかと申しましても、これはまた、政府がかような番組に対しましては干渉をしてはならないたてまえになっております。あくまで放送事業の自主性、番組編成の独自性というものを尊重していくたてまえになっておりまするので、私は昨年、こういう点もありましたので、東京におけるNHK及び各民間のテレビ四社、さらに民間放送連合と、こういう方々、特に番組の審議に携わっておられまする方々にもお集まりをいただきまして、きわめて自由な御意見も伺ってみたわけであります。その席上、いろいろな御意見が出ましたが、やはり、究極においては、番組の向上ということは大いに必要であると、こういう結論になりまして、しかし、これはあくまで自主的に、お互いが考慮しながら規制していくことが好ましいことであると、こういうわけで、いまその共通した何らかの機関を設けようということで話が進んでおるようでございます。たとえば、映画におきましては映倫というものがあって、映画の向上ということにいろいろ苦心をしておられるようでございますが、テレビの番組につきましても、やはりこれに類したような機関を設けて、そして自主的に、お互いが、かような若い人たちに悪影響を及ぼすことのないように、さらに進んでは、一般番組を一そうよりよいものにしていくと、こういう目的で、さような気運が盛り上がってきておるということを私は非常に期待をし、一日も早くさような機関の生まれ出ることを望んでおる次第でございます。
  338. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そこで、放送局に伺いますが、アメリカの番組、テレビラジオに占めるアメリカ系統の番組の占める率は、どのぐらいアメリカ系の番組が占めておるのか、それを伺いたい。  それから、この番組に対しまして、番組編成に対しまして、アメリカ大使館などから、とにかくNHKに対して、それから民放に対して、何か干渉があるように私は聞いておるのですが、そういうことはないのかどうか。
  339. 春日由三

    参考人(春日由三君) NHKの番組に関する限り、現在、アメリカのテレビジョン映画を上映いたしておりますのは、一週間に、「弁護士プレストン」という番組、それから「看護婦物語」という看護婦もの、この二本が一番大きなものです。あとは、「陽気な夫婦」、これは四月でやめるわけでございますが、ですから、週間を通じまして四本ないし五本程度でございます。しかも、この一つ一つにつきましては、私を中心といたします番組委員会のメンバーが、日本に出して差しつかえないばかりでなく、NHKの番組としてこれを出して適当かどうかという、いわゆるオーディションをいたしまして選ぶものでございますから、非常に率からいっても少のうございますし、そうとんでもないものが出るとは考えておりませんし、実情は最も少なく、しかもいま限られたものしかやっておりませんし、今後も、プログラム編成の上におきまして、十分、われわれの手によってつくった番組が中心であるべきだという姿勢は、ますます強化するつもりでございますから、アメリカのテレビジョン映画が著しくふえるというようなことは、NHKに関する限りはございません。
  340. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 アメリカのものだけ聞いたんじゃないんで、アメリカ系——いわゆるアメリカのジャズなどが盛んにこのごろ歌われていると思うのですよ。朝でも、もうしょっぱなからアメリカのジャズが歌われている。そういうものを入れたら、何%くらいがアメリカ系統の音楽や演劇やバレーであるかという点を私伺いたいのですがどうですか。
  341. 春日由三

    参考人(春日由三君) 実はうかつでございまして、そういう統計を手元に持っておりませんので、それは調べまして、後ほどまた先生御自身にお伝えいたしますが、一番少ないことは確かだと私は信じております。
  342. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、聞いていると、非常に多いように見えるのですよ。それで、これはあとから資料として出して下さい。それじゃ、「ひとりっ子」というのは、あれはNHK関係がないですね。「ひとりっ子」が放送を取りやめになったのは、テレビは……。
  343. 春日由三

    参考人(春日由三君) 御指摘のものは、NHKに何の関係もございません。
  344. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これはまた民放の人にあらためて来てもらって質問をしようと思うのですが、これにも問題があるように思うのです。もう二、三点ですから、ごしんぼう願います。
  345. 光村甚助

    委員長光村甚助君) どうぞごゆっくり。
  346. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 番組の質的向上をはかるために、もっと芸術家の意見を聞いてするようにしたらどうかと思うのですが、番組編成の場合に、芸術家はたくさん入っているのですか。
  347. 春日由三

    参考人(春日由三君) 番組編成そのものは、NHK内部の連中でやっているわけでございます。しかし、御意見は、先ほど来副会長と小野専務から申し上げましたように、各方面の御意見はできるだけ伺うようにいたしております。そのほかに、年間大小取りまぜて六回程度、全国の受信者の意向調査及び聴視率調査、そういった意味の世論調査の科学的ものを出しております。三十五年以来、NHKの文化研究所において、テレビの児童に及ぼす影響の学問的な調査もされて、これは学界でもかなり高く取り上げられているわけでございますから、御意向を承るというかっこうは、組織的な場合と、それから投書とか、あるいはいろいろな新聞、雑誌の批評とか、そういうものも全部組織的に私どもの内部の手で取りまとめて、それをプログラムにおいて使ったり、あるいは番組全体を編成する場合の有力な資料にいたしているわけでございます。
  348. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、音楽の場合を例にとるならば、どういう音楽を主体にすべきか、どういうものを多く放送すべきか、いまの放送はどうか、というような点について、音楽専門家、評論家、そういう人たちの意見を、もっと率直に積極的に聞く必要があるのじゃないかと思うのですよ。いまのままですと、実際非常に寒心にたえない面がありますよ。もう踊りなんかでも、テレビで、朝アメリカのいかがわしい踊りなんかがNHKテレビに出ることがありますよ。ずいぶんはなはだしい。あの踊りなんか、ぼくは、これは子供なんか見ないほうがいいなと思うような踊りがないでもないですよ。ほかの民放と比べると、NHKのほうが私は良心的だと思うのですよ。その点は私も認めますけれどもしかし、ないことはないのですよ。だから、そのままほうっておくと、非常に日本の将来にとって寒心にたえない面があるので、バレーの人ならバレーの人の意見を聞くとか、演劇なら演劇人の意見を聞くとか、そういうことをNHKが積極的にやってもらいたいのです。
  349. 春日由三

    参考人(春日由三君) 先ほどのお答えで申し落としましたが、芝居の演出の方、バレーの演出の方、あるいは作曲家の方、あるいは音楽評論家の方、そういった方々によります番組の演出研究会という委員に委嘱いたしまして、毎月二度程度、部門別に集まりまして、いままで前にやった番組の批評あるいは今後いかなる方向に番組がいったらいいかという率直な意見を承りましたものを、私どものプログラムをつくる上に必要なものだと考えまして、過去数年来、これは毎月部門別集会を実施しております。
  350. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 せいぜいそういう方向にいっていただきたいと思います。  先ほど一つ聞き落としたことがあるのですが、聴視料の問題ですが、聴視料を払わないと刑罰を受けるのですか。どうなんですか。
  351. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 別段に法律上は罰則はございません。ただ、通常の民事訴訟によりまして、これの回収をはかるという道はあろうかと思いますが、放送法上におきましては別段に罰則はないわけでございます。ただ、罰則らしきものと申しますと、滞納の期間が非常に長くなりますと、たまりましたものでなしに、それに加算をして要求できるというようなことにはなっております。これといって実際は回収を可能にいたしますような意味合いにおける制裁規定はないわけでございます。
  352. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういう質問するのは、ぼくの知り合いで、聴視料を絶対払わぬといってがんばっている人がおるわけなんですよ。ぼくは聴視料払っているわけですよ。お前はあほうだといってぼくを笑うわけですよ。なんで笑うのだと言うと、民放はただで聞くのじゃないか、民放を聞くのにNHKに金払う必要あるかい、こう言っている。そんなことで通るかいと言ったら、がんばれば通るのだ、こういう意見を述べた人があるのですが、やっぱり通るのじゃないですか、それで。
  353. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 事実上の問題といたしましては、法律上そういったような制裁のはっきりした規定もございませんので、払わないで済ませれば済ませ得るというようなことはあるかもわかりません。しかし、それは法治国における正常な法の運営ではないと思います。先生が非常にきちょうめんにお払いくださっておりますことにつきましては、非常にここで感謝を申し上げます。
  354. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはあんた、NHKからつつ込まれるようなことはぼくはしませんよ。  それではもう二、三点伺いたいのですが、NHKのこの間十周年記念ですか、何周年記念ですか、記念祭をやりまして文化賞を与えられましたね。あの文化賞というものは、何を標準にしてどういうものなのか、ちょっと説明を聞いておきたいと思うのです。
  355. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 放送文化賞は、たてまえとして、長年にわたって放送に出演され、もしくは放送番組の台本を書かれる、あるいはその他技術の開発、その他に寄与されたという方々を、年間五名ないし六名に放送文化賞を差し上げて表彰申し上げるというたてまえでございます。選考のしかたは、それぞれ各局が最初の検討をいたしまして、それを東京でまとめまして、さらに特別につくってあります放送文化賞の選考委員会にかけまして、そして最終決定をするという段取りになっております。
  356. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうあるべきで、そういうのはけっこうだと思うのです。ところが、私が一つふに落ちぬ問題がある。十五回放送文化賞受賞者の中に、キャラウェイというアメリカ人が入っていることなんですよ。キャラウェイは、御存じのように、琉球高等弁務官、このキャラウェイ弁務官がどんな放送文化に寄与をしたのか、貢献したのか、どうしてこのような人を表彰したのか、その真相を私は聞きたいのです。
  357. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 従来、外国人に差し上げた放送文化賞の該当者は二人おりまして、数年前には、オーケストラの指揮者に差し上げました。これは、N響が長年にわたって訓練していただいた世界的に有名な方です。ただいまのキャラウェイ高等弁務官については、いろいろな憶測もあるかと思いますが、率直に申し上げて、沖縄の放送の問題でございます。御承知のように、終戦以来、沖縄における旧NHKの処置については、もう終戦後十数年にわたっているにもかかわらず、従来、その犠牲者に対する財政的措置も不可能でしたし、それからまた、放送局の旧財産の措置についても、何ら東京が考えたようには取り行ない得なかったわけでございます。この点に関しまして、阿部会長からキャラウェイに対して、この沖縄におけるNHKの過去の問題並びに今後の問題を処理したいという申し入れをいたしまして、その結果、去年の七月からおおよそ半年間の間キャラウェイと交渉を続けまして、率直に申し上げて、まず第一に、旧NHK放送局の犠牲者並びに旧職員に対する規定上の財政的措置を実施することができました。第二に、旧職員の中のかなり多くの人々が、今度の戦争と関連して犠牲者になっているわけです、戦死その他の関係で。これに対するNHKとしての慰霊祭も初めて沖縄において行なうことができました。それから、さらに続いて、沖縄の現在の政治上並びに条約上のステータスから、潜在主権があるということは言えますけれども、実際上の取り扱いは必ずしもそうでない。これに対して、さらにNHKの番組を見たいという島民の熱望があったにもかかわらず、これが島民の要望どおりに実施できなかったというのが去年までの実情でございます。これに対しても、私どもは、キャラウェイ高等弁務官とかなり議論も続け、かなり長期にわたって意見の交換をした結果、今回マイクロウェーブの開通に伴って、NHKの番組を提供する施設を沖縄の中につくってよろしいということになったわけでございます。  そういう意味で、少なくとも、終戦以来、まあ簡単に申しまして、約十九年間、われわれがNHKの責任として、また沖縄島民が日本人であるというたてまえを考えながら実施できなかった最初の壁を、われわれとの話し合いにおいて理解してくれたという意味で、私どもとしては放送文化賞の該当者たり得るという案を出しまして、そうして正式の委員会でそれを審議していただいて、差し上げるということに決定したわけでございます。
  358. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この受賞は、私たちの聞くところによると、沖縄のテレビについては、いわゆる民放とNHKとの間にいろいろなもめごとがあったと、いわゆる権利の取り合いとか、そういうこともあったということも私たち耳にしておるのです。すなわち、もめている沖縄のマイクロ回線問題で、NHKがアメリカのごきげんをとるためにやったところの茶番劇じゃないか、こういう疑いが持たれております。一体、キャラウェイという人間は文化賞に値する人間かどうかということを検討されたことがありますか。およそ文化とは縁の遠い男ですよ。沖縄を永久に軍事基地化し、日本人民、沖縄の人たち、アジアの人民を苦しめるためにキャラウェイはやって来ているのです。沖縄にやってきたのです。このキャラウェイを、こともあろうに文化賞受賞者に仕立て上げるということは、私は日本の文化人に対して失礼だと思うのですよ、むしろ。花柳章太郎や渡辺紳一郎や渋谷天外——私は、渋谷天外の芝居は、新喜劇大好きで、いつも見ておりますが、こういう人たちが受賞するということは、私も反対しませんよ。しかし、こういう人たちと、日本のこういう一流の芸術家と、何ですか、アメリカの軍人で、しかも反動で、沖縄を永久占領しようとするためにやってきているんですよ。日本人民の利益に反する行為をやっている人間じゃないですか。単にNHK放送を許可してもらったということで、こういう日本の文化人と一列に並べて文化賞を与える価値がありますか。日本の文化人に対する非礼じゃありませんか、これは。私は、もしあなたのほうから文化賞をいただくような立場にあったら、キャラウェイと同席しませんよ。そんな文化賞ならつき返しますよ。私は、日本の文化人に対する非常に侮辱だと思うんですよ。この問題につきまして、NHKはどういうふうに考えますか。私は見過ごすわけにはいかないのです。
  359. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ただいま御説明申し上げましたとおりでありまして、あの放送文化賞はNHKが制定しているものであり、そのNHK目標から見て適当であるという判断をし、それを委員会にかけて——部外の方も加えた委員会で、よろしかろうという御判断をいただいて、私どもとしてはNHKという立場で差し上げたわけであります。キャラウェイさんは軍人であり、少なくとも沖縄における米軍基地の最高司令官であると同時に、高等弁務官であるということは事実でございますが、それは別の政治的な問題、あるいは、その他日米関係における基本的協定の問題と関連しているかもしれませんけれどもNHK放送事業そのものとは直接の関係がございませんが、私どもといたしましては、われわれの目標に協力する人に対しては、それはやはり適当であるという委員会の決定をいただけば、これは差し上げてもいいんじゃないかという判断をしたわけでございます。
  360. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 NHK日本の公器ですよ。その公器であるものが、日本人民の意思に反した行為をやっても差しつかえないと言うんですか。もってのほかですよ。日本人民は、キャラウェイにNHKが文化賞を出したことはふに落ちないんです、何のためにやったのか。あれは、許可をもらったから、アメリカのごきげんとりのためにやったんだろう、これが日本の一般国民の受ける印象ですよ。そういうことをNHKがやって、それで差しつかえないということは、それはおかしいじゃないですか。それは、あなたの考え方はおかしいですよ。NHKともあろうものは、もっと公明正大にちゃんとやるべきですよ。花柳章太郎さんとキャラウェイを同列に比べるとは一体何事ですか。日本の芸術家に対する大きな侮辱じゃないですか。あんなものは一介の軍人ですよ。しかも、NHKに許可を与えたということで文化賞を与えるということは何ですか。何の文化と関係があるんですか。そんな者に与えるということは、われわれ納得できません。
  361. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) いろいろ異なった御見解も多いかと考えております。その点については、私どもは、別に先生の御意見が正しいとか正しくないとか言う位置にはないと思っております。ただ、私どもの考え方からすれば、過去十九年わたって、沖縄島民がNHKの番組を見たい、聞きたいという要望が強かったにもかかわらず、それが実行不能であった。その点に関して、少なくとも、NHKの番組を沖縄島民のために、また沖縄島民の文化の向上のために沖縄に入れることを協力してくれたという点では、これは一つの例外的ケースかと思いますけれども、沖縄島民のために利益になったという意味でも、私どもとしては、適当ではないかと、こう考えたわけでございます。
  362. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 許可する、許可せぬって、許可するのが当然ですよ、そんなものは。許可しないのがおかしいのですよ。許可しないのが間違っているのです。許可するのがあたりまえなんです。あたりまえなことをやったって、何もそんなに高く評価する必要はないじゃないですか。そういうものの評価のしかたが、こそくだと思うのですよ、ぼくは。アメリカに対する日本の従属のあらわれですよ。そんなことは日本国民は承知しませんよ。あれはおかしいですよ。みんな笑っていますよ。何でキャラウェイが飛び出してきたのか、花柳章太郎さんと、何でキャラウェイが肩を並べて受賞するのか、はなはだおかしいじゃないか、これが日本の識者の考え方ですよ。私はそのことをはっきり言っておきますよ。われわれ納得しませんよ。NHKが幾ら理屈をつけようと、それはNHKの個人的地位という意味はおありかもしらぬけれども、ただそれだけの考えでやったことで、NHKともあろうものが文化賞を与える場合は、日本の人民の、日本国民の立場に立って、文化賞をどういう人に与えたらいいかということを判断しなくちゃならない。そういう立場に立って判断するなら、キャラウェイなんというものは問題にならないのです。浮かび上がってくるわけはないのだ。あなたたち中心的なものの考え方によってやるから、キャラウェイなんというやつが受賞しなくちゃならぬようなことになってくる。そうして、日本の芸術家、純粋な芸術家を侮辱することになるのです。私は納得しません。この問題はこれだけにします。  もう一点、私最後に聞いておきたいのですが、聞くところによりますと、大阪、広島におきまして、日芸労という労働組合があるのです。これに対して不当労働行為が行なわれておるということを聞いたのですが、そのてんまつを伺っておきたい。
  363. 春日由三

    参考人(春日由三君) NHKと年間の出演契約を行なっている方々の一部分が日芸労という組合をおつくりになっていられるわけでございます。で、その方々がNHKと雇用契約関係にあるのだという主張をされ続けているわけでございますが、NHKといたしましては、契約の形態からいっても仕事の実態からいっても、優先出演契約ないし特別出演契約契約出演者であるというふうな立場で、考え方が対立している方々が若干おられるわけです。その方々が、何か最近、HNKの大阪の責任者との間に、不当労働行為があるのじゃないかということで、大阪の地労委に提訴したという事実を御指摘いただいたわけでありますが、これは、まだ、そうであるということが確定したわけでもございませんし、私どもといたしましては、その他の中央局所在の人たちはそう考えていないわけでございますので、必ずしも日芸労の方々の言う理由というのが正しいとも思っておりません。そういった状態に現在あるわけでございます。
  364. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この問題は、私もいま研究中なんです。まだ資料も十分に手に入っておりませんから、深くは追及しないで、次の機会にまたやろうと思っておるのですが、私の聞くところによると、石田という委員長が、労働委員会に不当労働行為として提訴した、そうして、やはりその主張は通って、不当労働行為が認められたということを聞いているのですが、どうなんですか。
  365. 春日由三

    参考人(春日由三君) それは、先生の表現は少し違っていると思います。過去において、いま御指摘の、広島の音楽放送に出演している石田という人と広島中央局との間に、まあいわば意見の相違と申しますか、紛争がありまして、次の年契約をしないという措置を局側がとったときに、その再契約をしない理由というものが納得できないという申し出がありまして、それで、いま御指摘のように、そのときの時点におきましては、そういう契約をしないという理由ではいかがかと思われるから、原状に復帰させろというふうな広島の裁定があったわけであります。で、そのときには、私どものほうの再契約をしない理由づけというものが適当でないから原状に復帰させろ——その立論については、私ども必ずしもそのとおりとは考えておりませんが、そのときは、その時点におきましてもう一度再契約をいたしました。今日紛争しておりますのは、それと何ら関係のない原因でございまして、毎年、全国の出演者と出演契約をいたします場合には、外部の専門家を委嘱いたしました。技能審査をすることに話し合いがついておりまして、その技能審査の結果、技能が著しく低下した場合には再契約をしないこともあり得る、技能が進んだ場合には、前年度よりも出演謝金とか格づけ的なものを上げることもあるという円満な話し合いで、ここ数年来、再契約のたびごとに技能審査を、全国のいわゆる芸能出演の、優先出演契約をなすっている方々と、そういうことを繰り返しているわけであります。たまたま、昨年の再契約の際に、技能審査で、これはもちろん名前を隠して、同じ課題曲で演奏するわけでありますが、著しく技能が低下した人があった、それはもう再契約するに値しないというので契約解除いたしましたのが、たまたまその石田君という人だった。ですから、現在のお話と前のお話と一緒になっていられるんじゃないかと思うのであります。
  366. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 では、一度労働委員会で不当労働行為だと認められて、一ぺん首切った人間をまた再契約した、そこまで認めるんだね。それで、今度技能審査をした結果、その人間をやめさした、それは技術が低下したからやめさしたんだ、こういう理論ですね。
  367. 春日由三

    参考人(春日由三君) 前回の場合に、不当労働行為を認めたという表現はいたしておりません。再契約しない理由というものは不適当だから原状に復帰さしたらどうかということで、話し合いをして再契約をしまして、それから二年間普通の出演をしていたわけであります。ところが、年度末に来年度の再契約をする際に、一人一人の技能審査を、外部の専門家に委嘱してやってもらい、しかもこれは個人の名前を出さず、またフィーリングを傷つけず、非常に平等に神経を使ってやった結果、たまたまいまの石田君が、相当年齢もとっておりますから、非常に技能の低下を来たしたというデータが出てまいったので、約束どおり、その方は再契約しないという形になっております。
  368. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたの答弁を聞いておると、一応もっともらしいけれど、やはり疑惑の残る問題ですよ、これには。労働組合から訴えが来ておるんです、私のところへ。しかし、その訴えを私は十分検討するひまもないし、文書を読んだだけでは、まだ納得ゆかぬ面があるので、いずれ大阪へ私は参りまして、よく労働組合の人と会って調査をして、はっきり私が実情をつかむことができたら、もう一度NHKの方に来てもらって、この点をただしたいと思いますので、委員長、その点はどうぞ御了承願いたいと思います。
  369. 光村甚助

    委員長光村甚助君) その、来てもらうというのは来月でもいいわけなんですか。
  370. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ええそうです。どうぞ御了承願います。  委員長から御了承をいただきましたから、きょうは、この程度で質問を終わります。
  371. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 本件については、本日は、この程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後四時四十三分散会    ————————