運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-18 第46回国会 参議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十八日(水曜日)    午後二時三十分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            白井  勇君            最上 英子君            谷村 貞治君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省電波監理    局長      宮川 岸雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   参考人    日本放送協会会    長       阿部真之助君    日本放送協会副    会長      前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会専    務理事     春日 由三君    日本放送協会専    務理事     栃沢 助造君    日本放送協会理    事       松井 一郎君    日本放送協会主    計部長     志賀 正信君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、承認を求めるの件(内閣送  付、予備審査)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件について質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 白井勇

    白井勇君 私は、NHK予算関係につきましていろいろお尋ねをいたしたいことがありますけれども、きょうは、政府といたしましては、臨時放送関係法制調査会というものを設けまして、放送の基本的な改正につきましてはせっかく検討中であるわけでありますが、あまり基本的に触れます問題は抜きにいたしまして、私、日ごろちょっと疑義を持っております二、三のことにつきまして、お尋ねをいたしてみたいと思うのであります。  まず第一点は、郵政省日本放送協会というものを監督をする、法令に従って監督をする権限を持っているわけでありますが、その一つの大事な事項といたしまして、NHKから毎事業年度収支予算事業計画及び資金計画というものが出てまいりますれば、郵政大臣といたしましてそれを検討いたしまして意見を付する、こういうことになっておるわけでありまして、私は、これは非常に大事な条項であると見ております。したがいまして、郵政大臣が付しまする意見というものは、これは相当慎重な検討を加えられた上におきまして出されておるものだと私は考えておるのであります。私たち国会におきまして、これを承認するかしないかということを決定をいたします場合におきましても、郵政大臣意見というものは相当な重要度を持っておると私は思うのであります。  そういう点からいたしまして、私、近年におきまするこの郵政大臣意見書なるものをずっと見てみますると、多少表現は違いまするけれども、毎年同じことが繰り返されておりまするものが、三十六年度以降三つあります。その一つは、まず、難視聴地域というものを解消せよ、それからもう一つは、収入予定以上に上回りました場合は長期負債の返還に充当せよという一項、もう一つは、冗費節約せよということであります。ただ、この冗費ということばにつきましては、ことしは冗費ということばじゃなしに、経費節減せよということに変わっておりまするけれども、いま申し上げました三点が三十六年以降ずっと同じように繰り返されておるわけであります。私のようなしろうとが、ずっと権威のありまする郵政大臣意見書なるものを見てみますると、毎年同じ三つのことが繰り返されておる。郵政大臣といたしまして指摘することが、この三つ重点を置かれるということ、しかも、二年ならず三年ならず、ことしで四回目である。まことに日本放送協会というものはけしからぬ協会じゃないかというような感じを受けるわけであります。ところが、ことしの一番冒頭にありまする文句によりますれば、「日本放送協会昭和三十九年度収支予算事業計画および資金計画は、おおむね適当である。」、こういうのであります。結論は「おおむね適当である。」といいながら、四年も同じことを繰り返さなければならないということから見まして、どうも私は、この点ふに落ちないのですが、そういう毎年同じことを三度も四度も言わなければ直ってこないという内容でありながら、結論といたしまして「おおむね適当である。」、こういう表現というものは一体どういうことを意味するものか、これがまず第一点の私の疑問であります。
  4. 金丸信

    政府委員金丸信君) この問題につきましては、衆議院でも委員会でそういうような御意見が出ましたが、放送法という法律のたてまえからして、こんなようなことにならざるを得ないのじゃないかと私は考えております。
  5. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) ただいまの御質問に対しまするお答えといたしまして、ただいま政務次官からお答えがあったわけでございますが、さらに事務当局といたしまして多少つけ加えさせていただきたいと存ずる次第でございますが、先生指摘のように、この意見書というものは、確かに政府といたしまして、この三十七条第二項によりまして、十分これを検討いたしまして、そうしてこれを妥当である、また、修正する必要はないかというような点を検討いたしまして、そうしてこれを国会に出すものでございます。もとより、われわれといたしまして、あくまでも慎重に、また、この内容につきましても政府として責任を持つべきものと考えております。  ただいま御指摘の、この意見書に、数年間にわたりまして同じような具体的な「配意すべきものと考える。」という条項がつきましたことにつきましては、御指摘のとおりでございます。その内容につきまして、たまたま難視聴解消という場合に、長年にわたりましてその必要性を常に強調しなければならないという事項がございますので、そういうものにつきましては、そのときどきの状態によりまして、やはり難視聴解消をはかってもらうということを言うべきであろうというふうに考えたのでございます。また、冗費節約云々というようなことにつきましては、これは常に日本放送協会放送法規定されております精神にかんがみまして、こういうことを言うのは妥当であろうというふうに考えた次第でございます。  なお、重ねて申し上げさしていただくならば、本年度におきまするこの意見書教育放送、あるいはテレビジョン難視聴、あるいはUHF帯受信普及オリンピック大会、そういうことがございまするけれども、それらにつきましては、この言っておる内容がさらに具体的には一体どういうことを指しているかということにつきまして私たち一つ考えを持っておりますので、それらをNHKに伝えまして、十分その精神に沿いまして具体策を立てて、この意見書付帯条項と申しますか、そういったものの具現化をはかっていきたい、そういうふうに考えている次第であります。
  6. 白井勇

    白井勇君 どうも私十分ふに落ちない点が多いのでありまするが、その内容のうちの難視聴区域解消という問題ですが、申し上げるまでもなしに、協会というものは「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」ということで、協会目的としましては、はっきりそれが目的なんだ。まあ言えば、国民全体がどこでもテレビ、ラジオというものが聴視できるかっこうにするということが唯一の目的だ。ですから、協会といたしましては、それに十分な努力を払わなければならぬ筋合いだと思うのでありまするから、いまあなたのお話のように、難視聴区域解消の問題につきましても、私たちは、おそらく少なくも建設計画につきまして毎年毎年この予算というものは、建設予算というものは増大をしてくる、こう思っておったわけであります。過去の協会建設計画を見ましても、順次ふえておりまして、三十八年度は、建設計画が約百九十億と思っておりますけれども、そういうふうに順調にこの建設計画を進めておりますにかかわりませず、三十九年度予算を見ますと、急に百八十億にしまして十億減らしておるのですね。  私たち地方を回りましても、いまじゃ、もうそれは申し上げるまでもなしに、農村山村といわず、テレビが見られないということは、何よりも生活しまして不幸なことでありまして、私の郷里などにおきましても、例をあげますと、一町五反あるいは二町、これは昔でいえば相当の地主である。いまの米価にしましても、一町五反から上町をつくっておりますれば、七、八十万円から百万円の粗収入がある農家になるわけです。そういう農家主人が、いまでは出かせぎをする。何のために出かせぎをするかといいますと、いろいろありますけれども、やはり子供たちに、近所でテレビを持っておりますので、テレビを見せないわけにいかないというようなことで、テレビを買う金、そういう金を出かせぎをして、昔でありますれば、一家の主人であり、地元では相当な地位にありまする地主の連中が、そういう姿になってきた。それほど農村山村におきまするテレビに対しまする需要というものはふえつつあるわけです。そういう要望にこたえるためにも、協会としましては、どうしたって、難視聴区域を一日も早く解消するということは当然な義務であると思う。なるほど協会の、この第二次六カ年計画でありますか、これも順調に進んでおるようでありまするが、去年百九十億つぎ込んだものであるならば、ことしは少なくもそれを下らないものをつぎ込みまして、そして難視聴区域を、あなたのおっしゃるとおりに解消するというのが、私は妥当なことかと思うのでありますけれども、これにつきましても郵政大臣のほうにおきましては何ら御指摘がない。ただ難視聴区域解消せよ、そして事業計画というものは妥当なんだと、こういうことになりますと、どうも考え方に一貫性がないように思うのですが、なぜ、百九十億去年やりましたものを百八十億に減らして、難視聴区域解消していくというふうにお考えになっていらっしゃるのか、この点はどうなんですか。
  7. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) お説のとおり、難視聴地域解消をはかるということは、これはまことにごもっともでございまして、われわれといたしましても、現在、これはNHKにおきまする一番大きな問題点一つであろうと思っております。したがいまして、今度の建設計画を見ましても、その点については、NHKの現在の予算上最も努力を払っておるということを私たちは認めるのにやぶさかではないのでございます。しかし、意見書につきました内容につきましては、この難視聴地域解消のしかたにつきまして、さらにもっと建設の効果をはかるということによって建設単価を引き下げることができるんじゃないだろうか、放送設備というようなものにつきましても、さらに開発をはかれば、ちっとも経費節減ができるのではなかろうか、そういうふうなことを含めまして、いろいろ民間放送事業会社と話し合いをしてもらう、そういうような共同施設をつくるというような、そういうようなこともしていただきまして、単価の引き下げをはかって、そうしてそれで少なくとも、着工予定であるものは、できれば完成に持っていく、また、できないながらも、その完成の期限を引き上げる、こういうふうにやってもらいたいこういうような趣旨におきまして難視聴地域の問題を取り上げたような次第でございます。  なお、ただいま御指摘の百九十億と百八十億の関係につきましては、NHKのほうから詳細に御説明させていただきたいと思います。
  8. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 白井先生指摘の面につきましては、NHKといたしまして、当然これにつとめてまいらなければならない問題でございます。先ほど来、いろいろ意見書の話も出ておりましたですが、この意見書に掲げられました事項を御指摘になりましたその三点は、いずれも、NHKが運営をする上において、基本的な最も重要な指標であろうかと思います。そういうような意味合いから、これは、むしろNHKにおける協会訓とも称すべきものではないかと思うのでございまして、そういう意味合いから、毎年、最も基本的な重要な問題について、このような御意見を賜わっております。この御意見に忠実に沿いまして、協会使命達成努力をいたさなければならないわけであります。  そのような観点から申しまして、三十八年度にそういった方面経費を百九十億掲げておったものが、三十九年度ではむしろ十億減っておるではないか、そのような状況は、意見書趣旨にも合わず、またNHKの、もってつとめなければなりません難視聴解消努力も、少し熱意がないのではないか、このようなお気持ちであると思いますが、協会といたしましては、難視聴解消は、これは何としてもつとめなければなりません。ただし、これにはいろいろ財源を要する問題でございます。この財源は無限のものではございませんで、有限でございます。そのような面をあわせ総合的に考えまして、いろんな調整を加えつつ、全国普及使命達成しなければならないわけでございまして、三十七年度をもって起点といたしまする六カ年計画を策定いたしました当初におきましては、およそ六カ年の計画は、三十七年度で百三十億、三十八年度は百四十億、三十九年度も同様百四十億、四十年度以降四十二年度までの三カ年は、財政見通し等をも勘案いたしまして百二十億ずつ、このように一応考えておったわけでございます。その後、いろいろ情勢の変化等もございましたし、そういう面に沿いまして、御指摘全国普及使命を一日も早く達成いたしますために計画拡充をいたしまして、三十七年度は、当初計画を十億上回る百四十億の予算を掲げたわけでございます。三十八年度におきましては、五十億の計画拡大をいたしまして百九十億といたしたわけでございます。三十九年度は、御指摘のとおり百八十億でございまして、三十八年度予算規模から比べますと十億減っておりますが、当初の規模から見ますと、依然四十億の増でございますし、四十年度以降におきましては、当初いずれも百二十億ずっと考えておりましたそれは、現在の段階におきましては、四十年度、四十一年度はいずれも百八十億、四十二年度に百六十億、このように策定をいたしてまいっております。これは予算上の問題でございますが、これにはいろいろ企業努力もいたしまして、増収等があり、あるいは前年度から繰り越しの剰余金等があります場合には、予算総則上の条項に従いまして、予算の当初の計画拡大をいたしまして、そのような努力をいたしております。  現に、三十七年度におきましては、予算は百四十億でございましたが、百六十億の実行を見ております。三十八年度におきましても、予算は百九十億でございますが、これも、相当ないろいろな手配をいたしまして、二百億をこえる規模実行をおそらく見得るのではないか、このように考えております。三十九年度におきましても、当初は百八十億でございますが、もっともこれは、いろいろ財政等の推移を見ますと、当初予定実行との間にさほど狂いの生ずるような、いわゆる上昇カーブ予定できないような段階になってまいっておりますので、そのような面は非常に困難かとも思いますが、いろいろ経費節減とか、あるいは建設方式に関する検討等を加えまして、在来、そういった置局関係につきましても、民放等とは別々に建物も塔も建てるというような方式でございましたが、これも大臣の御意見趣旨に沿いまして、民放と共同して建物と塔を建てるというようなことにして、経費合理化節約もはかりまして、できるだけ多くの実効を見たい、こういうようなことを考えておるわけでございます。もちろん、現在、そのような計画拡充をいたしまして実効を見つつありましても、現段階におきまして、全国一〇〇%カバーのそれからいきますれば、まだ距離も相当ございます。そういう意味におきましては、この方面努力をさらに積極化すべき必要はあるわけでございますが、これも財源との見合いでございますし、受信者の方々には、できるだけ低廉なる受信料をもって利用をしていただくということも他面つとめなければならない関係もございますので、そういう財政の現状並びに先行き等ともにらみ合わせまして、三十九年度は一応三十八年度よりも十億少ない額にしなければならないということに相なったわけでございます。と申しますのは、三十八年度末におきまして、外部負債を背負います額が二百九十億の額に達する見込みでございます。このような計画をずっと進めてまいりましても、四十二年度末におきましては、おおよそ外部負債の残高は三百六十億を下回ることはないと、このように予定をされますし、そういう方面で、外部資金にどんどん依存をする、そのような計画拡充も可能でございますけれども、そういうような状況等から、受信料収入の面の壁にぶつかりまして、直ちに現在の受信料額を引き上げなければならないというようなことになりますのも、これまた受信者の利便の見地から申しまして非常に不本意でございますし、そのような面もあわせ考えまして、財政のワク内において可能な最大限の難視聴解消をはかっていこうというのが、実は百八十億というようなことに相なったわけでございます。しかし、金額は、三十八年度と比べまして十億の額が少ないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような、いろいろな技術的な、また、民放との間の共同建設というような面を推し進めてまいりますならば、その辺の経費節約によりまして、同じ額でも、よけいのものが置けるような配意を下せるのではないか、このようなことも実は考えておる次第でございます。
  9. 白井勇

    白井勇君 いろいろお話ありますけれども、先ほど申しましたように、協会というものは、第七条ではっきりいっておりますことは、要するに、どこでも、だれにでも受信できるようにせいと、これがまず絶対命令なんですね。ですから、それは財源の問題もあるとおっしゃるけれども、そういう財源の問題がありますれば、まず、最優先のものは、やはり難視聴区域のある限りにおいては、建設資金じゃないか、こう私は思うのですね。それから、一時は、そういいましても、工事能力がないとか、あるいはまた内部の器具機械の生産が追っつかないとか、いろいろそういうような支障もあったようでありますけれども、最近、そういう器具関係なり、あるいは関係のメーカーさんの話によりますと、そういうことによりまする隘路というものはあまり考えられないということを言っておりますね。そうだとすれば、やはり何をおいても、とにかく難視聴区域解消する、そのことに重点を置かなければならぬのですから、かりにいま、郵政省もおっしゃるように、安上がりにするとかなんとかいう、いろいろそういう合理化の問題もありましょうけれども、かりに、四十二年までをもって終期といたしまする第二次計画ですか、これをできるだけ繰り上げてやるとか、何よりもそれを考えなければいかぬと思うのですが、そうしますと、いま順調に計画は進んでおるようですが、四十二年を終期といたしまする第二次計画というものは、四十年か四十一年ぐらいに大体完了するような見通しになるのですか。と申しますことは、たとえば三十六年なり七年に計画を立てられました当時は、難視聴区域は三百とか二百何ぼというように、こういうふうに分かれると思いますけれども、やっぱりテレビというものに非常に国民が関心を持ってまいりますと、難視聴区域は、私はそれだけに限らない、もっと措置をしなければならない部面が非常に広がってきているのじゃないか、こう思うのですね。そういうことを考えますと、あとからあとから仕事はふえてくるわけですから、少なくともこれの第二次計画というものは、四十年とか、四十一年ぐらいに繰り上げるようにするということは、協会といたしましては一番重要な問題じゃないかと思いますし、そういうことに関連しますと、十億でありますけれども減らされるということは、どうも私にはふに落ちないのですがね。
  10. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御指摘のとおり、所定の目標は、四十二年度までに一定のことをやろうという計画を持ちましても、事柄が非常に重要な問題であります。協会としては第一義的につとめなければなりません責務でございますので、あとうならば、これを繰り上げまして、早期にその目標達成するということに努力いたしますことは御指摘のとおりでございますし、そのような努力をいたしてまいるつもりでございますが、現在のところ、四十二年度末の計画を完了いたしますといたしますと、大体全国で世帯の九五%までがカバーできるというような計画でございます。この面につきましては、すでに郵政省から波の配分の見通しのありますもの、また、そうでないものも幾らかあるわけでございますが、ないものにつきましては、そのようなチャンネルプラン上の計画を策定されまして、これをいただいた上でないとできない問題でございますけれども、そのような面もいろいろ総合をいたしまして、できるだけ早期達成をつとめるべきだという点につきましては、私どももまさにそのとおりに考えております。  ただ、この関係につきましては、ひとり置局関係ばかりでなしに、置局以外の他の方法において、もっと合理化された、経費も安くて済むようなことで同じような目的達成される方法があるといたしますならば、そのような関係もあわせ考慮いたしまして努力をいたしてみたいと思います。その一端といたしましては、在来つとめております共同受信関係の助成の関係でございますが、これも平行して大いに努力をいたすつもりでございますし、あるいはそれ以外に、もっと現在のところでは確定の案を持っておりませんが、技術的なめどが立てば、そのような面も総合的に取り入れまして、御指摘のような努力をいたすべきでありますことにつきましては、私どももそのとおりに考えておる次第でございます。
  11. 白井勇

    白井勇君 実は、そうしますと、やっぱり第二次チャンネルプランというのは、四十二年にならなければ完了しないということなんですか。それが、いまの推定でいきますと、四十年ぐらいで繰り上げて完了するという見通しなんですか、どうなんですか。
  12. 田辺義敏

    参考人田辺義敏君) お答え申し上げます。  先ほどの小野専務の御答弁に若干の補足を加えながら、いまの御質問お答えをしたいと思います。  現在、チャンネルプランできまっております地点は、第一次チャンネルプランと第二次チャンネルプラン並びにそれの追加と合わせまして三百六十全国地点がございます。で、そのうち三十八年度までに完成、現在今月末に完成をいたします予定のものを加えまして、総合テレビジョンでは百六十六局完成いたすことになります。したがいまして、三十九年度以降にまだ二百弱の地点置局をしなければならぬと、これがチャンネルプランできまっております地点に対するものございます。それで、先ほどのお話もございましたように、昨年あるいは一昨年等におきましても、当初置局の数を予定いたしましたものよりは、いろいろな方法をとりましてそれを推進してまいりまして、実際の数は、たとえば三十八年度におきましては、総合テレビジョンにつきまして申し上げますならば、当初の承認を得まし段階では三十五局建設、十五局着工ということでございましたが、実際の実績といたしましては四十三局、つまり八局プラスでございまして、完成十五局、着工が三十局の着工というふうにかなり促進してまいっております。で、本年度は、いま御審議を受けております予算におきましては、総合テレビジョンにつきましては五十五局完成、十五局着工ということになっておりますが、これも三十八年度の実績あるいは経験、それからいまいろいろ小野専務からお話がございましたような建設合理化方法等をとりまして、これを相当数上回った数を終わりたいと思っております。したがいまして、先ほどの問題に戻りますが、第二次のチャンネルプランまできまっております総数三百六十一地点につきましては、三十九年度と四十年度と四十一年度と三ヵ年で一応——六ヵ年計画によりましては、四十一年度末に全部一応現在チャンネルプランのきまっております分は完了する予定を立てておりますが、いま申し上げましたような今後の進め方によりまして、おそらく四十一年を待たないで、四十年あるいは四十一年の前半ぐらいには全部第二次チャンネルプラン置局を終わりまして、それでまた、先ほど触れましたカバレージは、法定カバレージは九三%になります。したがって、まだ相当数のカバレージの不十分な点が残りますので、あともう百局程度を——一応現在は、第二次六ヵ年計画の第六年目の四十二年度に約百局をつくりまして、それで九五%まで持っていきたいというふうな予定になっておりますが、それを早めまして、でき得れば四十一年ないし四十二年の前半くらいでその九五%まで持っていきたい、そういうふうな計画でございます。  それからもう一つ、先ほどちょっと工事能力というような問題をお触れになったと思いますが、機械をつくります機械並びにいろいろな付属的な設備をつくります能力は、メーカーの能力は、これはあるかと思います。われわれが問題といたしておりますのは、これは、第二次チャンネルプランの追加が行なわれましたのは非常に当初の予定よりおくれまして、郵政省のほうでおきめになったのは昨年の四月でございますが、その場合に、二百二十九地点の追加がございまして、そこで場所がはっきりきまったわけでございます。そこで、それから全国の山々をいろいろ調査いたしまして、現在もそれを続けておる段階でございまして、実は、この地点の決定ということが相当物理的に時間がかかります。したがいまして、かりにお金をうんとあげるから全部やってしまえといわれましても、現在の段階におきましては、いまの第二次チャンネルプラン全部を一年間で終わるということは、そういう点から物理的に不可能でございます。これが、ただしもう一年、来年、四十年度になりますと、おそらくこの問題が全部解決いたしますので、四十一年度考えております置局を四十年度に全部繰り上げるということは物理的に可能かと思っております。
  13. 白井勇

    白井勇君 郵政省に伺いますが、意見書のしまいのほうの五の場合の、「極力長期負債の返還にあてる」という次に、またずっとこれは繰り返されておるわけですが、協会の返済状況を見ますと、一応返済を要するものは年ごとに返済を終わっているわですね。ただ、収入に対しまする負債の割合というものが、多少この二、三年の間にふえているかと思うのですが、まあ、前は五〇割っておったものが、五〇%ちょっとこすというような程度まで負債の割合が占めるようなかっこうになっておるわけです。一体、その繰り上げ償還をやれという意味だと私は思いますが、どういう限度までしなければならないというような考え方に立ってこういうことをおっしゃるのか。とともに、また、いま難視聴区域解消するということで私考えますれば、いま申し上げたようなことで、協会というものが、みんなに見られるようにしろということが、それは何をおいてもやらなければならぬわけですから、負債もそれはきまりきった償還期限の来たものだけ返していって、もし予想以上の収入があれば、それは当然建設計画に回す、難視聴区域解消に回す、これがあたりまえの行き方だと私は思うんですね。ここで長期負債の返還にあてるという意味は、いまのように期限の来たものを順調に返していったというだけじゃいかぬのですよ。これは、いま具体的にいいますと、どういうことを言っておるのですか。
  14. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 第五項に書いてございますことは、増加額——「収入予算額に比し増加したときは、その増加額は、極力長期負債の返還にあてるとともに」、また同時に「テレビジョン放送の難視聴地域解消をはかるよう置局の促進のための建設資金にふりむける」、こういうふうに相なっております。ただいま御指摘の、どの程度までそれは返したほうがいいのかというような御質問でございまするけれども、この辺のことに相なりまするというと、いろいろNHK資金計画事業計画というような経営的な問題もあるかと思います。しかしながら、あくまで経営の健全化をはかるということも、これまた一つNHKのあるべき姿だと思いまして、このように二本立てとしてここに書いたような次第でございます。
  15. 白井勇

    白井勇君 どうも、この郵政大臣意見書というものを非常に重要視するという立場に私は立つからですけれども、先ほど小野専務さんのおっしゃるように教訓的なものだということでは理解ができますけれども、少なくとも私は、主務大臣といたしまして協会事業計画なり資金計画なりというものに意見書を付されます以上は、もうちょっとやっぱり現実に即して、この点はことしはこうじゃないかというようなことを言ってもらいませんと、なかなかわれわれ、国会におきまして審議をする段階におきましても、正しい判断ができないじゃないかという感じが相当するんですがね。これは将来のために私は希望を申し上げておきます。  それから、私日ごろ地方を回りまして非常に問題として考えておりますことを、ちょっと私郵政省に承りたいのですが、難視聴区域解消にからみまして、この「放送局の開設の根本的基準」というのがございますね、政令で。その第七条の三に「その局を開設することにより、一のテレビジョンの放送を行う放送局の放送区域内において又は放送区域の大部分を共通にして、二以上のテレビジョン放送を行う放送局があることとなる場合には、その局の送信空中線の設置場所は、他のテレビジョン放送を行う放送局の送信空中線の設置場所に近接した所であること。」という一つの条件があるのですね。これは私いいことだと、こう思っております。こうなければならぬと思いますが、これを実際おたくで末端のほうにおきまして最近運用をいたしまする運び方ですね。これにつきまして私相当疑義を持っているのです。いま、これはどういうふうに運んでいるのですか。
  16. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この第七条第三号にございするこの条項は、先生指摘のとおり、現実に波を出して、これを受信する場合におきまして、送信の場所が離れてきますというと、一々チャンネルを切りかえるたびごとに電波の強さが変わる、あるいはひどい場合には、アンテナの向きまで変えなければならぬというようなことから、どうしてもこういうようなことが必要になってくるわけであります。したがいまして、こういうような条項を満足しなければならないというふうになってくるわけでございますが、現実にNHKと民間放送とが置局の申請をしてくる場合におきましては、当然、こういう形になってこなければ、われわれとして免許ができないわけでございます。したがいまして、NHKと民間放送とは、事前によくその地点につきまして相談をいたしまして、あるいは実験をいたしまして、そうして一番いい地点を選んで持ってくる、こういうふうな形に相なっておる次第でございます。現在までにおきまして、ごく少数の例外を除きまして——ごく少数の例外と申しますのは、少し場所が離れても受信が何とか可能であるという、ごく少数の例外を除きましては、全国NHKと民間放送とはよく事前に連絡をされまして、そうしてその場所をお互いに同一場所に決定されまして、そうして免許を申請する、それによってこちらが免許をしていく、こういうような次第でございます。
  17. 白井勇

    白井勇君 ですから、いまのお話お話としてわかるのです。ところが、いま問題となっておりますような難視聴区域ですね。そういう地帯の解消のために置局をやっていくという場合は、NHK民放というものは完全に違うわけですね、これは。民放というものは、放送法がありましても、営業を離れまして、そろばんを離れて置局をやっていけるというようなものじゃない。大筋のところにおきましては、あまり問題は、いままでのところはなかったと思うのですけれども、これからのいわゆる難視聴区域置局の問題になりますと、協会民放というものが一つに話がまとまる筋ではありませんね。そこはどう考えられますか。
  18. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先生指摘のような、NHKがあくまで公共の使命に立ちまして、非常に広いカバレイジのできるように置局をしたい、これはNHKとして当然だと思います。また、民間放送におきましても、先生の御指摘のような非常に商業ベースに立ったものの考え方というものも、やはり一部には考えていかなければなりませんけれども、しかし、やはりその公共的な使命というものをよく理解して、そうしてできるならば、 NHKの——大体先にNHK置局する形が多いわけでありますけれどもNHKと一緒の場所に置局をするというようなことに協力を現在してもらっておるのでございまして、いままでの経過から申し上げますと、先生の御指摘の御心配というものは、現実には表にあらわれてきた例は非常に少ない。いろいろとございましょうけれども、よく相談して一つにまとまってきている。その間に、若干、共通の建物を建てたり、あるいは道路をつくるとか、そういうような問題につきまして、いままでNHKと民間放送との間にきまったルールがございませんでやっておったようでございまして、多少その間に相談がおくれるというようなこともあったかと思いますが、今後は、そういうような問題につきましては、NHKと民間放送との間におきましてルールをつくって早く話をまとめる、こういうふうなやり方でやってもらうようにNHKのほうでもお考えのようでございまして、そういう話し合いがルールによりましてスムーズに行なわれて、一刻も早く置局ができることをわれわれ期待している次第でございます。
  19. 白井勇

    白井勇君 局長さんは東京に、本部にすわっていらして、末端の御事情はあまり御存じないかもしれませんけれども、いま置局の問題で、たとえば難視聴区域解消するのが一番おくれているというのは、これはその問題なんですよ、私の見るところによりますとね。それは、民放も、放送法趣旨によってやらなければならぬのでありますけれども、これはスポンサーのつかない場所に投資をしましてやらなければならぬ何もないわけですよ。そういう意思は全然ないわけですね。ところが、NHKは、先ほど申しましたとおり、何をおいてもそれをやらなければならぬですから、そこにどうしたって、まあ小さいことになりますと、一致しようがないわけですよ。これからの、いま協会からお話のあった三百幾つなんというのは、おそらく全部そうなんです。私、具体的に例を引きましてお話を申し上げてもいいんですけれども、みんな地方にまいりますと、少なくも、たとえばオリンピックまでに何とかテレビがよく見えるようにしてもらいたい、こういう熱望なんですね。ところが、問題は、波の割り当ては済んでおるけれども、ただ、どこに置くかということにおいてのみ話し合いがつかない。おたくの出先は、両方が話がつかなければうんと言わない。みんなおくれているわけですよ。ですから、局長さんが中央において考えられるようなかっこうには全然運用されていないのですね。私の東北地帯だけだと思いまして、この間私中国方面に行きました場合に、たとえば会長さんが、ああいう離島ならばぜひ一日も早く置かなければならぬと、こうNHKさんはおっしゃったと島民が非常に喜んでおった。ところが、それよりもうんと世帯数の少ない二千か三千くらいの山の中に置局された。これは何かと思って調べてみますと、民放じゃ採算はとれないけれども、その民放の役員の郷里がその地帯であった。だから民放は採算を度外視して、役員の都合によって置局をする。そうすると、NHKさんもついていかなければならぬから、そういうわずか二千か三千くらいの世帯のところが逆に早くなっているという実例、幾らもあるわけですよ。ですから、たとえば、あなたの出先のほうだったら、あるいはNHKのほんとうのこの目的にかんがみまして、この地点が最も妥当だといたしましても、その民放との話し合いをあまり強調されますと、その中間的の場所に設置をされるというような例もあるのですね。あるいはまた、民放と初めに話し合いをしましても、文書の交換をしていなかったというようなことによって、その後民放の都合によって他の地方に出すとかね、そんなことがごちゃごちゃしていますよ。ですから、私は、これは私の意見でありまするけれども、こういうふうに末端の局になりますと、それはいままでのおたくの運用のしかたでは、これは無理だと思うのです。この政令はこれでいいと思うのです。ただ扱い方を、やはりおたくには出先があるわけですし、NHKというものは、これはどうしたってみんなが見れるようにしなければならぬ重大な責任を持っているわけですから、おたくの出先とNHKの責任者の間におきまして、最もこれは妥当だと思われるところがあるわけですね。それがきまりますれば、かりに民放がいま急に設置をする必要がないのだということがありましても、先行をして、そして民放はこの七条の三のところに、同じようなところに持ってこさせるような、こういうふうに指導すれば私いいと思うのですよ。なぜそういうことができないのですか。どうですか。
  20. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先生の御指摘、まことにごもっともな点が多いと存じております。地方のほうには、われわれのほうの電波監理局といたしまして、地方電波監理局がございまして、そこで、そういう問題が起こりましたときには取り上げまして、いろいろと指導することになっておるのでございますが、どうしても意見が合わぬ。そのことによって非常に置局がおくれるというおそれがあるというようなことになりました場合には、現在、それを本省段階に上げまして、そうして、そこにおきましてNHK民放をともに指導をするというような形をとっておるような次第でございまして、先生の御指摘のようなことのないように、本省といたしましても、みずからこれを解決するというような態度でいっておる次第でございます。  次の先生の御指摘の、御意見でございますか、御意見のようにすることも一つの確かに考えられるべき、考えられるやり方であろうかと思います。NHKがある点をいろいろ測定をしたりして、この辺がいいということがきまったときに、他の民放がそれについてこない場合、そこでは困るというようなことで置局がおくれておる、これはたいへん遺憾なことでございますけれども、しかしながら、やはりそこに話し合いというものがあってもいいし、またいままで、先ほど申し上げましたように、話し合いによりまして、実際にその話がまとまったということがいままで多いわけでございます。と申しますのは、やはりルールによりまして、たとえば土地の共用であるとか、アンテナの共用であるとか、建物の共用であるとか、送信機はできませんけれども、そういうようなことをすれば、民間放送側においても建設費が安くなるというようなことが具体的に出てまいりますので、やはり商業ベースからはじきました場合に、そういうルールができてくるならば、民間放送としてもNHKの選んだ地点に来るということがしやすくなる。こんなふうに考えておるのでございます。現在の省令におきましては、この地点にしろということを省のほうから命ずることができないようになっておることは御指摘のとおりでございますけれども、ただいま私申しましたような趣旨で、NHK置局した場所に民間放送がなるべく早く来るように、そうして一緒になって話をつけて、こちらに持ってくるように指導いたしたいと思っております。もちろん、その間におきまして、どうしても話し合いがつかないというような場合、これはNHKだけが申請を出し、そうして、その地域の要望にこたえるという場合もあり得るかというふうに考えております。
  21. 白井勇

    白井勇君 同じことを繰り返すようですけれども、具体的に私がぶつかった。私は去年からこういう問題に数ヵ所ぶつかった。全部そうですよ。ですから、それを具体的に例示しまして申し上げますと一番わかりやすいかと思いますけれども、いろいろ差しさわりの事項も出てくると思いますから、それを私申し上げませんけれども、私は、何もこの政令を変えろとかなんとかとということは言っていない。政令はけっこうでありましょう。ただ、運用のしかたとして、先ほど私が申し上げたように、民放というものは、とりあえずその地帯にスポンサーがなければ、これは何も無理する必要はないと思う。将来何か出てくれば、これはつけていく。これは当然のことです。しかし、とりあえずというものは、NHKと違うのですよ。こういう僻地の置局になってきますとね。ですから、悪く言いますと、NHKも、いや、これは民放のほうがなかなか承諾しませんから、一緒に実地調査をしようと思いましても民放のほうが何とかいって出てきませんよ、こういう逃げる口実を与えておるのですよ、私見ていますとね。ですから、これはあなたのほうの出先があるのですし、これは大局から見まして、大体この地帯の国民のことを考えますれば、この地帯に置くほうが妥当であるという線があるわけです、専門的に。一番はっきりするわけですよ。その線がNHKと話がつけば、かりに民放がそのときその必要がないという考え方を持っておりましても、それは先行さすべきものじゃないかと私は思うのです。そうしてまた、その線に沿って、この政令の趣旨によって、民放あとからそれに支障のないような線に合わして置局をすればいいわけですから、何らそれで運用上は支障ない。そのほうが非常に合理的なわけです。私の考えは間違っているのですか、それ。
  22. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) 先生のお考え、間違っているとは私思いません。やはり、NHKがそういうところを選びまして、どうしても民間放送がついてこないというようなとき、やはり全然話し合いをしないということは、ちょっとこれはおかしいと思いますが、やはり話し合いをして、そうしてそれには、先ほど申しましたような、やはり行き当たりばったりの話し合いでない、ルールをつくるということは、これ必要かと思いますが、そういうようなことによって、まあ空中線を共用する場合にはどうするかというようなことがございましょうが、そういうようなことによって両方の話し合いをするべきだと思いますけれども、そうしてもなおかつ、まあ民間放送のほうで、その場所に対してなお納得しないというような場合には、やはりNHKのほうが、じゃあ私のほうは先にいこうと、その場合に、やはり将来その点におきまして、NHKのほう、民間放送、それぞれどういうまあ経済的な損失を招くかわかりませんけれども、やはりオリンピック等も控えておりますし、難視聴地域解消ということも考えまして、NHKが一歩先に踏み出してくるということがやはり望ましいことじゃないかと思います。そういう場合には、われわれといたしましても免許をしてまいりたい、こういうふうに考えております。そういうことによって、先生の御趣旨のようなことはできるだけスムーズに実現してまいりたいと、こういうふうに考える次第でございます。
  23. 白井勇

    白井勇君 まあそうおっしゃるから、私それ以上は申し上げませんけれども、どうかそういう方向で進めまして、やっぱりできるだけ早くその難視聴区域というものが解消するようにひとつ協力してください。  それから、私NHKさんにお尋ねしたいと思うのですが、今度ジェット機の騒音地帯につきましては減免をするわけですね、料金の。私たち、まあ農村なり山村を歩いておりますと、私も専門家でないからわかりませんけれども、たとえば品位三以上に聴取できれば契約をする。ところが、地帯によりましては、こんな見え方で料金を出さなきゃならぬのかと思うような地帯におきましても、やっぱりテレビを買いますと、農協から連絡があるのか、あるいは電機販売業者から連絡があるのか、すぐ人がやって来て契約をしてくれと、こういう話になると、こういうのですね。だから、理屈からいいますと、ジェット機の騒音地帯は減免をしながら、まあそういういわゆる見えるか見えないような地帯でも、当然これは理屈からいって減免しなきゃいかぬじゃないかというような感じもするのですよ。まあ近くラジオ料金は下げるとか何とかおっしゃっているのですけれどもね。私たちいただきました資料をこう見ましても、かりに四十二年にいまの三百三十円そのまま取られてもですよ、まあ私どもの大ざっぱな計算で七百五十億。いま六百五十億で、百億ぐらいしか上がらぬわけですね。それからラジオ、大臣の、何か知らぬけれども、希望によって、それがなくても、それがやっていけりゃ、こんなありがたいことはないわけですけれども、そうなると、やっぱり三百三十円に響く面もあるでしょうし、そうすれば、やっぱり六十億なり五十億の金というものは違ってくるのですね。そうすると、将来四十二年まで考えてくると、それほど収入がふえてくるという見通しもないわけで、かりに四十七年のおたくの計算でいったって、それから五十億くらいふえるのですか、まあ八百億くらいになるのですかね。ですから、私は何も減免することが好ましいとは思いません。むしろ、そんな金があるなら、さっきから申し上げるとおり、難視聴区域解消したほうがいいじゃないか、こう思うのです。ただ、ああいう農村山村に行きまして、実態を見て、こんなもので三百三十円納めるのかという姿を見ますと、これはやはり、ああいう地帯だって、理屈からいって減免ぜざるを得ないのじゃないかという気もするのですが、どうですか。
  24. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) お答え申し上げます。  今回の基地関係の問題に限りましての減免の措置は、これはきわめて例外の措置でございまして、これを他にどうこうということになりますと、これはもう、私どもといたしましても困る問題でございます。料金のあり方といたしましては、先生指摘のとおり、原因がどこから出ましょうとも、現実に利用を制約する事情があります限り、そこに料金の差等があっていいじゃないかということは、論理的にはそのとおりであろうと思います。しかし、技術的には非常にむずかしい問題もございまして、電波の関係でございますので、しかく、はっきりと区画を限れませんと同時に、NHKといたしましては、できるだけいい条件で御利用をいただくということが本来のつとめでございます。一日も早くそのような状況に到達する努力をいたさなければならぬことは当然でございますが、料金といたしましては、できるだけ国民の多数の人がこの経費を分担いたしていただくことによりまして、それぞれ可能な最低の料金で聴視してもらえるというようなことが理想であろうかとも思います。そのような面から申しまして、現実の時点で申しますと、受信の状況にやはり差等がある限りにおきましては、そこに料金の本質論から申しますと差等があるべきではないかという点は、そのとおりでございますけれども、そういうことでは、技術的にこれが差等を明確につけることが困難でありますことと関連をいたしまして、受信料制度の根幹が非常に危うくなってくるわけでございます。  そういうような状況でございますので、一般の難視聴関係の問題につきましては、これは、他に技術的なこの障害を取り除く方途が現在あるわけでございますので、そのような努力をできるだけすみやかに実施することによって解決をいたしてまいりたい。基地問題につきましては、現在の段階におきましては、これを技術的に解決する道はございません。飛行機が飛ばなければ解決できるわけでございますので、これも国権の発動に基づきます行動から出る問題でございますし、そういう関係で、現在のところ、技術的解決のめどがないわけでございます。そういう関係で、ごく限られた問題といたしまして、これを局限して、きわめてまれな例外のケースとして実は御承認を仰いでいるわけでございます。自余の問題につきましては、そのような料金のあり方の本質的な理想の面を追求いたしますと同時に、そういうような面が現実にも公正に妥当いたしまするならば技術的努力をいたしまして、御意に沿いたいと思います。
  25. 白井勇

    白井勇君 きょうは、これで終わります。
  26. 野上元

    ○野上元君 あまり時間がありませんので、事業計画全般については次回に譲ることにいたしますが、きょうは、主として意見書について郵政当局の考え方を伺いたいと思います。  その前に、御承知のように、池田総理あるいはまた郵政大臣は、早ければ来年の二月からラジオの受信料を免除する、おそくとも来年度は免除する、こういうことを新聞で発表されたのであります。この計画を郵政当局が意見書を付する前に見られて、その大臣が言明されたラジオ受信料を免除するという問題はどういうふうにこの中に生かされておりますか。
  27. 宮川岸雄

    政府委員宮川岸雄君) この意見書には、三十九年度収支予算は「おおむね適当である」ということに相なっております。それには、現在の甲の料金、乙の料金、こういう二本立ての料金によりまして、受信料が契約されるたてまえになっております。大臣のおっしゃいました趣旨は、これは、大臣から御説明いただくのが一番いいかと思いますけれども、来年度の一月ごろから乙料金の減免ということについて検討を始めよう、こういうふうに言われたとわれわれ解釈しておりまして、大臣もそのように言われたものを拝見しております。したがいまして、この意見書といたしましては、ここに書いてございますような計画によって受信料収入の確保をはかりつつこの計画を遂行する、こういうふうにわれわれとしては考えている次第でございます。
  28. 野上元

    ○野上元君 あなたのほうで「おおむね適当である」という表現を使われておるのですが、これは郵政大臣意見だと思うのですよ。正式には、公式的には。従って、その郵政大臣が、自分が新聞に発表した考え方がその中に生きておらないとするならば、これが「おおむね適当である」というような表現は使えないわけなんですが、そういうことになれば、大臣が新聞に発表したことは勇み足か軽率だったということになりますか。政務次官がおられますから、政務次官からお答え願います。
  29. 金丸信

    政府委員金丸信君) 勇み足だとは私は考えてはおりません。
  30. 野上元

    ○野上元君 勇み足でないならば、この三十九年度予算の中で生かすべきじゃないですか。少なくとも、池田総理もそういうことを発言されておるし、郵政大臣は、閣議でそのことを了解を求めて新聞に発表しておるのですから、それらの意思が全然この予算計画の中に盛られておらないとするならば、「適当である」という表現は、適当ではないと思うのですが。
  31. 金丸信

    政府委員金丸信君) この問題につきましては、国会にこれが出る前に、もちろんこの意見書というものはつくったわけでございますが、その間におきまして、検討するということで乙料金の問題については大臣お話をしたと私は考えております。
  32. 野上元

    ○野上元君 それでは、NHKのほうに聞きますが、この予算を編成される前に、池田総理あるいはまた郵政大臣から、ラジオ受信料の問題について事前に何か申し入れがありましたか。
  33. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。  来年の一月ごろまでに廃止せよというようなお話はございませんでした。ただ、物価的な、一般物価対策として考え得るかどうかという意見を徴されたことはございます。
  34. 野上元

    ○野上元君 NHKは、その意見に対して、どういう考え方を述べられたのですか。
  35. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもといたしましては、まず第一に、三十九年度予算は、——予算案でございますが、それぞれ関係当局とも連絡を保ちながらすでに成案を得ておる、したがって、この問題を三十九年度予算を対象として考える余地はないということと、第二は、これは乙料金という問題であっても甲料金にも関係を及ぼす問題であるので簡単にお答え申し上げるわけにはいかない、しかし、将来聴取者のいろいろな傾向、あるいはNHKの経営から見てどのような処置ができるかというようなこと、あるいは一般経済情勢の動向から見てどのような傾向になるかというようなことについては、私どもは従来も種々検討を続けておるわけでありますから、その限りにおいて検討を続けてまいりたいと思うという程度の話でございます。
  36. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、NHKでは、近い将来にラジオの受信料を廃止するという考え方は、いまのところない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  37. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ラジオの料金を廃止する考え方はございません。ただ、甲料金と乙料金との関係については、これからの経済情勢の変化その他を勘案しながら、経営の面からこれを考えていく必要はあると考えております。
  38. 野上元

    ○野上元君 そうすると、池田総理並びに郵政大臣があのような発言をされたことは、NHKとしては迷惑であったということですね。
  39. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 新聞の報道がそのまま郵政大臣もしくは池田総理の発言といえるかどうかについては、私どもは、発言の内容が必ずしも新聞報道の字句どおりではないであろうという考え方を持っておりますが、私どもといたしましては、このような問題は、やはり現実に、どう申しましょうか、一般聴取者に対して影響を与えるようなことがあってはまことに困るという考え方を持って新聞を読んだことは事実でございます。
  40. 野上元

    ○野上元君 まあ、あなたは放送関係の重要なメンバーの一人として、いま若干重大な発言をされたわけですが、あなた方自身がラジオなり、あるいはテレビジョンなり、それによって発表されることは、NHKは責任を持って発表されるのでしょう、ニュース報道等については。
  41. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そのとおりでございます。
  42. 野上元

    ○野上元君 ところが、あなたは、新聞の発表は必ずしも大臣の真意を伝えておらない、池田総理の真意を伝えておらない、というふうに言われているのですが、それはちょっと言い過ぎじゃないですか。
  43. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は、いま野上先生のおっしゃったようには申し上げておりません。私は、もしその真意が伝わらない表現が書かれているとするならば、まことに困ることになるのであろうという感じを申し述べたわけでございます。
  44. 野上元

    ○野上元君 あなたは、あの記事を読まれて、実際困ったというふうに考えられたということは、一般の大衆も、われわれを含めて、やはりラジオの受信料は、総理が言うのだから、郵政大臣が言うのだから、近い将来これは撤廃されるであろう、こういうようにみな考えておりますが、その点は、NHKとしては、そういう考え方は全くない、こういうようにわれわれとしては理解してよろしいですか。
  45. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもとしては、第一に、三十九年度中に——少なくとも時限的に見て、三十九年度中に特にラジオ料金という形でこの問題を解決するという意図は全然持っておりません。
  46. 野上元

    ○野上元君 NHK考え方についてはよくわかりました。  大臣が御出席ですので、大臣お答え願いたいと思いますが、郵政大臣は、たしか閣議のあとで、新聞に対して、近い将来、具体的な月をあげて、ラジオの受信料を撤廃する方向へ持っていく、こういうことを言われたのですが、池田総理も同様の考え方を持っておられると聞いておりますが、そのとおりですか。
  47. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) その経緯を簡単にここで御説明をいたしたいと存じます。  ちょうどNHK予算案並びに一連の計画案が閣議に提案されまして、その際に、これは別に閣議の決定とか、あるいは了解事項というような意味のものではありませんけれども、池田総理からも発言がありまして、ラジオの乙料金のほうはもうそろそろ全廃するということを考えてもいいのではないであろうかと、こういう発言がありました。それは事実でございます。それで、私はそのときに若干説明をいたしまして、この三十九年度予算におきましては、ラジオ乙料金は十四億余りになっておる、しかし、いろいろ聞いてみると、徴収の手数料その他で約半額くらいは経費がかかるように聞いておる、さらに、この年度内に乙料金だけを納める受信者の数も約三割方減るであろうという見込みのようである、したがって将来ラジオだけの受信者というものが、数も相当急に減ってまいることでもあるし、なるべく早い機会にこの問題は全廃する方向に検討してみる必要があろうと、こういう発言を私はいたしました。そうして、その閣議後の定例の記者会見で、予算案が閣議を通ったという話をいたしました。そのついでに、いまのようなことを記者諸君にお話ししたわけでございます。したがって、何月からということは、私の記憶では、はっきりと私は積極的に言明した覚えはないのでありますが、おそらく、来年にでもなればなるべく早い機会に全廃するように考えてもらいたいと思うということを、希望を私が申し述べましたので、記者諸君のほうから、まあ来年になって早い機会といえば、それじゃ一月からでもやるのかというふうな質問があったように思っております。しかし、その点は私も記憶があまり明確でございませんが、まあそういうようないきさつがあって新聞に出たことと存じております。  そこで、私としては、この問題は何としてもNHK財政上の問題でありますから、今後十分にNHK当局とそういうふうな財政収支の関係もよくお打ち合わせをしたり、さらにまた、この料金の問題については法律事項でもありまするから、もし料金の改定をするということになれば、当然法律改正の問題としてまた皆さまに御相談ぜねばならない事項である、かように考えておるわけでございまするが、あの新聞記事の模様は、私の希望を端的に申し述べた、こういう意味で御了解をいただきたいと存じます。   〔委員長退席、理事松平勇雄君着   席〕
  48. 野上元

    ○野上元君 あなたは、料金の問題はNHK財政上の問題であるから、よく相談しなければならぬと言っておりますが、そういうことは、あなたは全然知らないでああいう発言をしたとは考えられないですね。あなたも昔そういう仕事にタッチされた人なんだから、NHK財政状態がどういうふうになるかという動き、その動きを十分に知っておって初めてああいう発言がされたと思うのです。もしそうでないとするならば、これも非常に重大な失言だと思います。そうして、いまNHKの答えを聞いたのです。NHKはラジオ受信料を全廃するなんということを考えておらない、こういうようにはっきりと答弁されておるのですが、あなたのあの発言は、一般の大衆は、ごく近い将来ラジオの受信料は全廃になるというふうに考えております。だれに聞いてもそう言っておりますが、そうしますと、NHKは絶対に廃止しない、あなたのほうでは廃止したいのだという意向を持っておる。総理もまた持っておるのだということになりますと、一体これはどういうことになるのですか。
  49. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) NHK財政状態を知らぬことはないであろうというお話、全くそのとおりであります。三十九年度予算案はすでに編成されて、閣議も通ったわけでございまして、今日国会で御審議を願っておるという段階になっておるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたが、総予算として七百八十八億という巨額の予算の中で、乙料金による収入は今日の予算では十四億円、しかも、その半分ぐらいは手数料等の徴収に要する経費である、しかもその受信者は年々減っておって、この年度末にはおそらく三分の一ぐらいは減るのであろうという見込みでありまするから、それなれば、財政に及ぼす影響というものはだんだん軽くなっていくということは、これは認めざるを得ないと思います。そこで十分にNHK当局とも相談をし、差しつかえのないという話し合いができますれば、私はやはり下げていって、国民負担を少しでも低減することが望ましいのではないか、こういう観点から発言をしたのでございまして、NHKの責任者として、現在ただいま全廃するつもりであるということは、おそらく言明できないであろうと思いますが、しかし、この問題についても十分に検討をされる気持ちはあるであろうと私は考ええております。
  50. 野上元

    ○野上元君 あなた方のお答えを聞いておると、少なくとも通信行政の最高責任者が記者会見の席で発表されたことが、実際には、事前に経営主体であるNHKと何ら相談しておらない、あるいはまた、あなたのブレーン等にも何ら相談しておらない、ただ池田総理がそう言ったから、あなたもそれに乗ったという、こういうことでは、私は非常にこれは禍根を残すと思うのですよ。国民は非常に迷惑すると思うのです。したがって、あなた方は一度発表されたことは、政治家として、これは実現するように努力しなければならぬのじゃないですか。しかし、NHKのほうは、それは困る、こう言っておるのです。どうやって調整をしていこうとするのですか。国民にどう公約を実現をしようとするのですか。
  51. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 私として、たびたび申し上げましたように、何とかできるだけ近い機会に、乙料金をやめるという方向に向かって検討してもらいたいという希望を持っております。したがって、今後もこの希望が無理なく実現できるように私としても努力したいと考えておりまするし、また、NHK御当局にもそういう方向に向かって御努力を願いたいという希望は私も捨てておりません。まあ、そういうふうな私の心境でございまするから、御了承いただきたいと思います。
  52. 野上元

    ○野上元君 これは新聞の記事ですから、それは、あなたの言われたことを完全に速記しておるかどうかは私もよくわかりません、わかりませんが、あの新聞記事を読みますと、具体的な月をあげております。来年の一月にはやりたい、こういうふうに新聞記事は報じておるわけですね。ということになれば、この三十九年度予算を閣議で通したあとにおいてそういうことを発言するということは、この予算を認めた上での発言ということになると、これを改定せなければならないわけです。まことに私は、どういう意図でああいう発言をされたのか、理解に苦しむのです。その点は一体どういう御心境でああいう発表をされたのですか。
  53. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) いや、お説のとおりでございまして、三十九年度予算案がすでに編成され、国会の審議に持ち込まれておる段階でありまするから、来年になって早い機会といえば、もちろん予算予算として認めていただいて、そのあとの問題になるというふうに普通では考えていくべきじゃないかと私は思っております。もちろん、さらに速急に料金を変えねばならぬというふうな非常に重大な事態でもあれば、これは明年の通常国会に法律の改正案を出して御審議願うとか、あるいは予算案の変更というようなことも、それはできないことはないと思いまするが、ただいま申しましたような案件については、それほど差し迫った緊急な必要は私はないと思います。したがって、三十九年度予算はこのまま御承認願って、四十年度以降において、なるべく早い機会に乙料金のほうはひとつやめる方向に向かって検討してもらいたい、こういうのが私の希望でございます。
  54. 野上元

    ○野上元君 私は、そういうふうに筋を通して記者会見をされ、そうして記者発表をされれば、これはもう国民も何ら疑いを持たないと思います。しかし、とにかく年度の途中において全廃するというのですから、明らかに予算を改定しなければならぬのですね。私たちは、すでにそういう話ができておるものと思っておったのです、NHKと。でなければ、あなたがああいう発言はできるわけはない、こう常識的に考えておった。しかし、実際にはそうではないということであります。ということになると、これはNHKのラジオの受信料だからいいようなものですが、外交問題だということになると、たいへんなことになるのですね。その点あなたも慎重にやってもらわなければならぬと思うのですね。  それからもう一つNHKに聞いておきたいのですが、先ほど大臣は、乙の契約ですね、契約乙は、もうすでにこの説明書を見ても、二百八十万から三十九年度は八十万ぐらい減るだろう、そうすると二百万ぐらいになる、こういうふうに説明されておるわけです。そうしてその金額も、受信料は十四億円、しかもその半数は手数料として払っておって、実際に皆さん方の手に入るのは七億ぐらいということになれば、先ほどあなたが御答弁をされたような、かたくなな御答弁でなくて、少なくとも契約乙については将来全廃に向かっていくのだというふうなことは言えますか。
  55. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は、この問題は二つに分けてお答え申し上げるほうがはっきりいたすかと存じますので、ちょっとまた前の問題と関連してくるかもしれませんが、私は、郵政大臣が記者団にお話しなすった真意は、私もそこに出ていたわけではございませんので、正確には、ことばそのものは存じ上げないわけですが、郵政大臣のお気持ちは、将来の事業計画と関連して乙契約を取り上げられたわけでありますが、甲料金と乙料金との適正化をなるべく早い機会にやったほうがいいのじゃないかという意味に実は私はとっておりました。したがって、私といたしましては、先ほどお答え申し上げましたように、三十九年度中に特にラジオ料金という名においてラジオ料金を廃止するという考え方は、私どもとしては毛頭持っておりませんし、したがってこれと関連して三十九年度中に乙料金という形のラジオだけの料金を廃止するという考え方も当然持っていないわけでございます。  その第二の私が申し上げたいと考えますのは、いままで申し上げましたように、乙料金というものは、本質的にはラジオだけの料金でございますが、しかし、甲料金との関係が非常に深いわけでございます。したがいまして、この問題は、ただ単に技術的に見て乙料金を廃止していいとか、廃止すべきであるとかいう問題のほかに、甲料金との関係を慎重に検討しない限り、これを簡単にその呼び名によって処理するというわけにはまいらない、このように考えているわけでございます。
  56. 光村甚助

    光村甚助君 大臣にお伺いしますが、テレビが始まったときの料金は三百円だったということは、あなた御存じですね。大臣答弁してください。
  57. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 承知しています。
  58. 光村甚助

    光村甚助君 じゃ、甲料金が三百三十円になったということはどういうことなんですか。
  59. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 要するに、数年前と存じますが、料金の検討が始められまして、ラジオだけ単独に受信している人には五十円、それからテレビとラジオと両方を持って視聴している人には三百三十円、また、ラジオを持たないでテレビだけの人に対して一も三百三十円、こういうふうに料金が決定された、かように承知しております。
  60. 光村甚助

    光村甚助君 三百三十円になったというのは、テレビ料金の値上げをやったわけですか。
  61. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 料金の系統づけをやり、整理したものと考えております。
  62. 光村甚助

    光村甚助君 私もその当時審議にあずかっておりますが、テレビとラジオを持っている人が、テレビでもニュースは聞けるから三百五十円払うのはばかばかしいからといって、ラジオをやめてしまう。それではNHKが減収になるから、やめてもらっては困るから、ラジオとテレビを見たり聞いたりしてもらう人には三百三十円だときめた趣旨は、これにはラジオも入っているということはあなた御承知でしょうね。御承知なら、今度のあなたがおっしゃったように、一月からラジオ料金を全廃したいとおっしゃることは、普通の人は、甲の契約の人は当然三十円が減免されるんだと思っているのですよ、われわれ一般の大衆は。あなたそういうことを考えて発言なさったのですか、どうですか。
  63. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 私は、甲の料金のことにはその際は触れておりませんでした。乙の料金のことを申したのでございます。しかしながら、ただいまお説のように、甲の料金の中には、テレビとラジオ両方のものと、テレビだけのものも含まれているというような複雑な関係にありまするので、追って甲の料金の問題についても検討はしてもらいたいということは考えておりまするけれども、さしあたりは、乙料金だけは、金額としても比較的少額でありまするから、何とかこれの低減が考えられないか、検討をお願いしたいという希望を私は話した、かような次第であります。
  64. 光村甚助

    光村甚助君 私は、あなたと議論をするつもりじゃないのですけれども、われわれは、その当時料金改定のときの審議にあずかっているのです。当然あの三十円はラジオ料金だと思っている。テレビが三百円、ラジオが三十円、そう思っていますから、あなたのようにラジオ料金を全廃するのだということになれば、一般大衆は当然三百円になるのだと思いますよ、これは。ラジオ料金を全廃するのだとおっしゃれば。そうでなくて、甲の料金はそのままだということになれば、テレビ、ラジオ料金を三百三十円にするとき、われわれはだまされたということになりますよ。その点で、NHKに私は当時の心境をお聞きしたいと思います。
  65. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この現行料金は、皆さまの御審議をいただきまして、昭和三十七年から実施しておりますが、当時いろいろな機関を通じてわれわれも検討させていただき、当国会でも検討していただきまして、私どもも、当時の考え方は、甲料金は一切の放送を含む、すなわち、ラジオも含むという形で、三十六年度まではテレビプラスラジオの形で三百八十五円でございましたのを三百三十円、すなわち約一四%を値下げするという形をとり、ラジオだけの分につきましては、乙料金として、おおよそ約四〇%を値下げするという心境でおりました。
  66. 光村甚助

    光村甚助君 私が聞いているのはそういうことではなくて、三百三十円にしたときの趣旨は、テレビを持っておればラジオは聞かなくていいのた、そうすると、みんなラジオは断わっちゃう。三百八十五円の八十五円のほうを断わって、テレビだけになってしまう。そうするとNHKは減収になるから、これは何とか考えなければいけないというので、テレビとラジオを併用する人は三百三十円になったのだと、われわれはこういう考え方で審議したのですが、それは違うのですか。
  67. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そのとおりでございます。
  68. 光村甚助

    光村甚助君 そうすると、五十円だけの分は、さっきの大臣お話では十四億ということですが、三十円の分、つまり甲のほうの三百三十円の分の三十円を免除するということになると、予算はどのくらいの金額になりますか。
  69. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ただいま甲料金の契約世帯は千五百万を上回っておりますので、ざっと計算いたしましても、最低四十五億から五十億、甲料金だけについて。全部で約六十億ぐらいの違いが出てくると思っております。
  70. 光村甚助

    光村甚助君 そうすると、大臣が言われるように、ラジオ料金を免除するということになれば——あなたのほうはラジオ料金の免除も考えていないとおっしゃるのですけれども、池田総理大臣郵政大臣のおっしゃるように、ラジオ料金を免除するということになれば、さっきから野上委員も言われるように、三百三十円の中の三十円も国民考えているだろうと思う。そうすると、三百三十円の中の三十円もあなたのほうは免除して予算を組む考えですか。
  71. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもといたしましては、当面そのような考え方はとり得ない立場にございます。
  72. 光村甚助

    光村甚助君 大臣、お聞きのようなことだと思うのです。そして、あなたは、さっき野上委員が言うように、三十九年度予算は妥当だといって国会に出しているのですね。そう言っておきながら、一月から三月までのラジオ料金をまけるのだというようなことは、いやしくもそういうことは私は言うべきじゃないと思うのですよ。どういう考えなんですか。ただわれわれとしては、五十円のラジオ料金だけでなくて、三百三十円の中には何べんも言うようですが、ラジオ料金が入っているということは世間の人はみんな知っていますよ。三百円が三百三十円になったのですから、テレビ料金だけが三百三十円だと言っても世間の人は納得しないですよ。こういう点で、あなたは新聞記者に訂正しろというようなことは、私はここであなたに言う、そういう権利はないのですけれども、もう少し、そういう報道に関して、発表するときには慎重にしてもらいたいと思うのです。どうですか。あなたのいまのお考え方は。
  73. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 私があの際にお話ししたのは、まさに乙料金だけのことでございました。まあ、三十九年度予算につきましては、意見書を付しましたように、おおむね適当と認めると、こういうことで国会の御審議をお願いしておるわけでございまするから、この三十九度の予算をどうのこうのという考えはございません。新聞記者諸君にお話をしたときの説明が十分でなかったということは、私も率直に認めたいと存じます。その点については、御了承をいただきたいと思うのでありまするが、甲料金、乙料金の問題は、先ほど御指摘のような事情もございまするから、なかなか簡単にはまいらぬかと思いまするが、しかし将来の問題としては、ぜひNHK当局にも、この問題を十分検討をしてほしいという希望は私持っておるということをお話しいたしたのであります。
  74. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちょっと資料提出を私要求したいんですが、この前、私、NHKの出演料の問題でいろいろ皆さんにお話ししたと思うんですが、最近出演料が多少手直しされたということも耳にしておるんです。それで、この前示された基準表が訂正されたものならば、新しい基準表をひとつ提出していただきたいと思うんです。それは、音楽、舞踊、演劇、あらゆる面にわたっての基準表を、ひとつこの次に提出していただきたい。  それともう一つ、今年度のこの予算に関する収入または支出の面にわたって、もっと明細に、ひとつ明細表を出していただかないと、ちょっとわかりにくいと思うんですが、それを提出していただきたいと思います。
  75. 春日由三

    参考人(春日由三君) いま先生の御指摘になりました第一点の基準表は、この前の、先生方から御審議を受けましたときと変更いたしておりませんでございますが、それでもあらためて御提出いたしますか。
  76. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この前と変更なければ、提出していただかなくても、あれはありますからいいのですが、もしも変更しておるならば、一ぺん見せていただきたいと思ったのです。
  77. 春日由三

    参考人(春日由三君) 基準表そのものは変わっておりません。
  78. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ事業支出の明細表を出していただけませんか、支出と収入の。
  79. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 明細と申しますのは、どの程度のものでございましょうか。
  80. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 要するに、事業支出の中で、演奏料としてどれだけ払っているのか、もっと詳しく出していただけるならば……。例をあげれば、NHKの楽団員の費用として幾ら支出されているかという程度まで実は私は伺っておきたいのです。
  81. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御要求の趣旨は、音楽関係経費につきまして、できるだけおわかりますいような資料と、こう解してよろしゅうございましょうか。
  82. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 音楽関係だけというように私片寄りたくないと思うのです。いま申しましたようなことは、一例を申し上げたので、全般にわたってその程度の支出をひとつ出していただきたい。
  83. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 全般となりますと、非常にこれは膨大なものになろうかと思いますので、御要求の趣旨は、おそらくこの前に御質問になりました事柄に関連しての問題だろうと思いますが、その関係でできるだけ御要望に沿えるような、おわかりやすいような資料を作成いたしまして御提出申し上げたいと思います。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでけっこうです。
  85. 野上元

    ○野上元君 一つだけ大臣に聞いておきますが、この意見書というものの性格ですね。この意見書を出す前に、NHKから当該年度予算並びに事業計画が郵政当局に示されるわけですね。その場合、あなたのほうの意向をこの予算なり事業計画の中に入れて修正するということは、従来おやりになっておるのですか。それともその修正はしないで、ただそれはそのまま認めて意見書を出すのだ、こういうことになっておるのですか。それはどういうふうになっておりますか。
  86. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) NHK予算につきましては、法律の規定もございまして、郵政省に提出されましたら、これに対して検討の上、郵政大臣としての意見書を付して閣議にはかり、そうして国会に提出をする、こういうことでございまするから、郵政大臣としてこれを修正するということはできないものと考えております。また、従来もさような例はないと心得ております。
  87. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、この意見書というのは、先ほど白井委員からいろいろと質問が出ておったのですが、翌年度NHKにこういうことをやってくれという意味を持っておるのですか。それとも、ただ、法律にあるから適当に書いておこう、こういうことなんですか。
  88. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 翌年度以降の問題にわたることもありましょうけれども、この意見書そのものは、本年度予算案に対する郵政大臣としての意見を付したわけでございます。まあ大体そういうことでございます。
  89. 野上元

    ○野上元君 そうすると、その意見書に盛られておることは、あなたは実行してもらいたいということでしょう。そういうことでしょう。そうすると、いつまでに実行してもらいたいのかということです。
  90. 古池信三

    ○国務大臣(古池信三君) 予算に盛られておりまする事項は、本年度中に実行をしてもらいたいという希望であり、さらに将来にわたっての計画的なことについては、さらに次年度以降この意見書に沿って計画も立て、努力してもらいたい、こういう意見でございます。
  91. 野上元

    ○野上元君 質問は次回に譲りまして、本日は、これで一応切り上げます。
  92. 松平勇雄

    理事(松平勇雄君) 本件については、本日は、この程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後四時十八分散会