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1964-03-10 第46回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十日(火曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     光村 甚助君    理事            鈴木 恭一君            寺尾  豊君            松平 勇雄君    委員            植竹 春彦君            白井  勇君            最上 英子君            谷村 貞治君            安井  謙君            永岡 光治君            横川 正市君            須藤 五郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 古池 信三君   政府委員    郵政政務次官  金丸  信君    郵政大臣官房長 武田  功君    郵政省簡易保険    局長      田中 鎭雄君   事務局側    常任委員会専門    員       倉沢 岩雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○簡易生命保険法の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから、逓信委員会を開会いたします。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の審査を進めます。質疑のある方は御発言願います。
  3. 永岡光治

    永岡光治君 郵政大臣は、十一時ごろから他の委員会に御出席のようでありますから、まず、大臣に主としてお尋ねしたいことをお尋ねいたします。  すでに同僚委員のほうから質問がされておると思いますので、あるいは重複することがあるかと思いますが、その際には、重複するということを御答弁いただければけっこうでございますから、そういう意味質問を始めます。  非常に平凡なことでございますけれども、すでに、簡易保険存在意義というものについて、私は、かなり検討する時期に来ておるのではないかという気が従来からいたしておったのであります。と申しますことは、保険思想普及という問題については、もはや今日の段階においては、その使命を達しておるのではなかろうか。そういたしますと、政府事業として、と申しますか、政府において保険事業を行なうという意義は一体どこにあるのか。特に最近におきましては、郵政省簡易保険加入するよりは、民間保険加入したほうが保険料が安くて、そして給付もよろしい、非常に便利だ、こういう話をしばしば聞くのであります。そういたしますと、ここに一体簡易保険存在意義といいますか、特にこの時期において強調しなければならぬ理由は一体どこにあるのかということでありますが、この点についての、これは平凡な質問かもしれませんけれども、基本的な問題でありますので、お尋ねいたしておきたいと思います。
  4. 古池信三

    国務大臣(古池信三君) お答えいたします。  御承知のように、わが国簡易生命保険事業は、全国各地に所在しておりまする郵便局というものをその拠点として、今日まできわめて順調な発展を遂げてまいりまして、先月十八日をもちまして、保険金額も三兆円を突破するというような次第であります。これはおそらく、日本が、明治以来、いろいろな面において成功をいたした事業はたくさんありますけれども、そのうちで、この国営簡易生命保険事業というものは、やはり非常に成功した事業一つではないかと私は考えておる次第でございます。今日、日本国民経済生活の安定あるいはまた福祉の増進という点から見まして、簡易保険は大きな役割りをいたしておるのではないかと、かように考えております。少額でありますけれども、いわば社会政策的な意図のもとに、簡易に利用できる、しかも比較的安い保険料でその目的を達し得るというようなわけでありまして、何としましても、国民生活に非常になじみの多い保険として今日に及んでおるわけでございます。  現在、わが国生命保険状況考えてみますると、民営の生命保険並びに農業協同組合で行なっておりまする共済生命、これらの事業と相まちまして、漸次広範囲に及んできておるのでありまするが、まだまだしかし、これで日本保険は十分であるとは言えないかとも存じます。簡易保険は、強固な経営基礎によりまして、国民信頼感と、先ほど申しましたような全国的な組織を持つ大規模な経営によりまして、すぐれた浸透力を持っておるわけでございます。今日津々浦々に至るまでこの保険制度を利用する機会を持ち、これが生命保険普及に大きな役割りを果たしておるということは御承知のとおりでございます。近年、わが日本社会保障制度全般についても従来立ちおくれを示しておりましたのを、非常に力を入れて漸次拡大されてはきておりまするけれども、まだまだ社会保障制度一般にいいまして、決してこれで十分とは申し上げられないようなわけでございます。かような際におきまして簡易保険の持つ役割りというものは非常に重大であると、かように考えておる次第でございます。したがいまして、簡易保険国営事業として、その保険思想普及ということに今後つとめ、また、あまねく国民にこの保険による経済的な保障を与えるということは、これはあくまで本来の簡易生命保険使命でございまして、さような意味合いから申しましても、簡易保険存在意義というものは今後といえども十分にあるものである、しかも重要な意味を持っておるということを申し上げたいと存じます。
  5. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  6. 光村甚助

    委員長光村甚助君) では速記を始めてください。
  7. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、保険局長、いま大臣答弁を聞きますと、非常に抽象的でよくわからぬと私は思うのですね。保険思想をさらに普及させるその使命を、郵便局全国津々浦々持っておるから、それを果たすのに都合がいいと、こういうことでありますが、私は、保険思想普及という問題について、何も郵便局が受け持たなくても、今日の段階では、御承知のとおり、マスコミはたいへんな働きをしておりまして、もう私どもの朝見る新聞の中の折り込みを見ましても、貯蓄関係の宣伝など、あれは非常に多いし、それから代理店、その先のほうの代理店の下請、たくさんあるわけであります。私は、その保険思想普及という点について果たしてまいりました郵政省使命というのは非常に大きかったと思うのだけれども、今後そこに簡易保険使命というのがあるのだと、こう考えておられるのだとするならば、私は全然無とは言いませんけれども、そう大きな意義はあまりないと思うのですね。大臣が言うように保険に入ることをすすめると、そういうこともけっこうでありますが、そうであるならば、むしろ政府の仕事として民間保険会社よりは不利になる保険をすすめるということはいかがかと、こういうように私どもは思えてしようがないのでありますが、政府が力を入れる以上は、民間よりは政府のほうがいいんだという何かなければならぬと思うのです。あるはずだと私は思うのです。その政府事業——郵政省でやったほうが、かくかくかような面で有利なんだということがあってしかるべきだと思う。それは、あるはずだと思うのです。そこに、郵政省で行ない、国で行なう保険事業意味があるのじゃないかと思うのですが、その辺のところを聞かしていただきたい。
  8. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 保険思想普及の面でございますが、これは、ただいま先生のおっしゃられたように、事業創始当初から、逐次この面に大きな役割りを果たしてまいったのは事実であります。現在、はたしてどうかということでございますが、まあ生命保険加入の割合というようなものを見てまいりますると、諸外国に比較いたしまして、まだまだ日本は低位にあるという点で、これは官民ともに、現在では、この面に努力をしておるところでございます。やはり、簡易保険国営であるという点で国民信頼感が非常に強い。もちろん、民間保険信頼がないというわけではありませんが、まあ、郵便局で扱うという、身近の、しかも国の機関がこれを扱っておるという点で非常に信頼され、かつ親しまれておるということは事実だろうと思います。また、郵便局は、全国各地、いわゆる津々浦々にまで存在しておるということで、この面では、やはり民間保険の及ばない力といいまするか、簡易保険のすぐれた持ち味というものがそこに出てくるということは言えると思います。  保険料の点でございますが、これは、現在表定保険料簡保のほうが安いのでありますが、配当の面で民間保険のほうが上回っておりまするために、実質保険料といいまするか、正味保険料簡保のほうが高いというのは、これは事実でございますが、ただ、配当というものをしさいに分析してみますると、これも一種の不確定配当だということでありまして、簡単には比較にならないと思いまするが、現実の姿はそういう点でありまして、この点は、われわれといたしましても今後改善いたさなければならないと思うのであります。  その他、国営であるためにすぐれておるということは、まあ、国営であるから何でもいいというわけではありませんで、やはりその契約の内容なり、各種の条件が問題になってくると思いますが、これは、たとえば福祉施設の面、こういう面では、かなり簡保のほうは充実しておるのではないかと思っております。それから契約条項、これは、いろいろ比較、また考え方の相違で、こちらがすぐれている面もあり、あるいは劣っている面もあるかとも存じまするが、これは、たとえば倍額支払い条項といったようなものは簡保のほうがすぐれておる。それから、保険に入った以上は、保険金支払いということが一番問題になってくるわけですが、これはもう一万五千という郵便局で即時に支払う、そういう点は、かなり民保よりも進んだ、すぐれた点ではなかろうかと、以上お答え申し上げる次第であります。
  9. 永岡光治

    永岡光治君 いろいろ言われましたが、それはまあ民間に比べて確かに取り扱い機関普及されておるという点は簡便であって、あるいは迅速を要する点では確かにすぐれておると思うのですが、私は、実は答弁に対して期待と申しますか、これは国家事業としてはかくかくの重大なる意義を持っておるという何かがあるのじゃないか、また、あってしかるべきじゃないかと思って期待しながら質問いたしたのでありますが、政府事業で特にやらなければならぬというような積極的な意義はあまりないように、いまの答弁では思えるわけでありますが、まあしかし、それはその程度にしておきたいと思うのであります。  政府資金の吸い上げと申しますか、それを行なうために簡易保険事業というものが政府事業としての大きな理由になっておるのではないかと思うのでありますが、そういうことはないわけですか。政府資金民間から吸い上げて、これを国の施策の財源に活用するという意味で、貯金事業とあわせまして簡易保険事業というものの重要な意義政府考えておると思う。簡易生命保険意義はそこにあるのだと、こういうことにはならないですか。
  10. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 政府事業であるために簡保積み立て金というものはいわゆる政府資金という意味を持つこと、これは否定できないと思いますが、結果的に積み立て金運用財投に協力するということにはなっておりますが、あくまでもそれは目的ではないというふうに私どもは理解しております。
  11. 永岡光治

    永岡光治君 それでは、目的ではないということで一応わかりましたが、そこで、いま答弁の中にありましたように、民間と比べて還付金等の問題で非常に簡易保険のほうが少ない、その点では、実質上の保険料としては、民間に比べて簡易保険のほうの保険料が高くなっておるということでありますが、ここが非常に私は、今後保険の運営にあたりまして十分注意していただかなければならぬ問題だと思いますが、たとえば第一生命相互保険会社というものがあります。あそこの保険料が、かなり年限がたちますとほとんど——最終的にはないのでありますが、大体半ばごろ程度になりますと、保険料は最初の契約をしたときの半額程度ですね、配当がありますので。そういうことになっておるわけでありますけれども、そういうことを考えれば考えるほど——貨幣価値もだんだん下がってまいります。今日の社会情勢ですから、私は、五年なり十年なり一つの期限を画して、還付金満期のときにやるのではなくて、保険料の上でやはり考えてあげる必要があるのではないか。そのためには、この保険積み立て金運用について、いまあなたがおっしゃったことが政府の事実の考えだとするならば、政府資金を集める目的ではないのだ、たまたま資金があるからこれを政府資金として活用するという程度にすぎないのであるというならば、なおさらのこと今日のような低利の運用ではいけないのではないか、もっともっと高利の運用をはかるように考えたらどうか。それによって保険料軽減なり、あるいは還付金を大幅に考えるなり、そういうことはやはりやるべき必要があるのではないかと思うのです。私は子供のときをいま思い起こしておるわけでありますが、当時一円五十銭とか二円の保険料というのは、かなりども子供のときには高い保険料でありましたが、おふくろあたり無理をしてかけたと思うのですが、満期になってみると葬式代にもならないというきわめて小さい金額——貨幣価値が下がったわけでありますから当然でありましょうが、そういうことを考えれば考えるほど、最終的な還付金ということではなくて、やはりその段階を区切って、そこで保険料の是正なり、あるいは還付金を行なって、実際の保険料軽減をはかるという方法をどうしても考える必要があるんではないだろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点についての郵政当局の御見解はどうでありましょうか、お尋ねしておきたいと思う。
  12. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 積み立て金をより効率的に運用すべきことは、これは私どもといたしましても常に努力をいたしておるつもりでございます。ただ、いままでの経過といたしましては、二十八年に運用が再開されて郵政省で自主的に運用するというたてまえになったわけでございますが、それ以来、常に努力を払って、逐次運用利回りも効果を示しております。ただ、現在の段階におきましては、民間保険比較いたしますると、やはり財投ワクというものに縛られている関係上、残念ながら、かなり運用利回り開きがございます。まあ、私どもといたしましては、現在の金利の状況その他を勘案し、また、発生している剰余金額等も考慮いたしまして、できる限り早い機会に、さらに増配に踏み切ろうということで目下検討を始めているところでございます。それによりまして、契約者に対する配当というものはいま現在よりは上回ることになりまして、実質保険料開きというものは若干でも縮まることになるわけであります。  そういうことは考えておりますが、ただいまお話しのように、満期あるいは死亡の際、保険金支払いと同時に剰余金支払いをしている現在の状態を改めて、五年とか十年とか、そういう短期間にやってはどうかという御意見でございまするが、これにつきましては、私どもといたしましても考えなかったわけではございませんで、いろいろ検討はしたのでございまするが、たとえば五年とか十年というふうに区切ってやるといいますると、その中間で消滅した契約につきましては、かなり不公平な結果が出てくる。なるべくその期間を縮めれば公平になるということはこれは当然でありますが、それでは、一年はおきましても、二年ぐらいでどうかということになりますると、その剰余金の額が非常に僅少になりまして、それを受けた人はあまり魅力がない。それから四千六百万件に近い契約が現在ございまするので、事務的には非常に煩瑣になりまして事業費がかさむという点にちょっと難色があるように存じまして、現在そこまで踏み切れないというのが実情でございます。
  13. 永岡光治

    永岡光治君 事情はわかりました。いろいろ事務的にも、実際の問題として五年なり十年で還付金検討して、実質上の保険料の負担の軽減をはかるということには少し難点があるという話であります。  しかし、これはひとつ事業の面で、事務の面で御検討いただきまして、この加入者というのはほとんど低額所得者でありますから、やはり貨幣価値の変動に非常に影響されるところの強い人だと思うのでありますから、その点については、できるだけ加入者の保護と申しますか、利益と申しますか、そういう立場で絶えず関心を払って、利便なり、利益をはかっていただくように御検討いただきたいと思うわけであります。それが一つであります。  次に質問に入るわけでありますが、いまお話がありましたように、国家資金を集めるのが目的じゃないけれども、ある以上は、これを活用しなければならぬ。その活用する場合においては、やっぱり必ずしも民間ほどの利潤を生むというわけにはまいらない。それはやっぱり一つの当然の性格だろうと私も理解いたします。そこで、そういうことになりますれば、この保険運用というものも、公共性なり社会性というものに非常に重点を置いたものでなくてはならないと、かように私は考えるわけでありますが、いま簡保資金運用しておる対象ですね、対象をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  14. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 運用すべき対象は、これは法律に定められておりまして、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の第三条に、「積立金は、左に掲げるものに運用する。」という規定がございまして、概略を申し上げますると、契約者貸し付け、それから地方債地方公共団体等に対する貸し付け、それから「法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経、又は承認を得なければならない法人の発行する債券」、それからそれらの法人に対する貸し付け、それからいわゆる金融債、国債、それから国に対する貸し付け、その他、特殊法人債券を発行することができるものの発行する債券引き受け、あるいはそれに対する貸し付け電発会社の社債の引き受けとか貸し付け、昨年はさらに電力債引き受けというようなことが新たに認められた次第でございます。
  15. 永岡光治

    永岡光治君 地方公共団体なり地方債、あるいはその他の金融債——公共性を持つものになるわけだろうと思うのでありますが、それを通じて、日本経済あるいは産業発展に寄与しておることは私も認めるわけでありますが、そこで、そういう地方債あるいは地方公共団体貸し付けるのみならず、直接に、たとえば中小企業なり、あるいは農業団体なり、そういうものへ貸し付けて、産業発展なりあるいは振興なり、あるいは開発なりに役立てる考えはないのかどうかですね。それは考えたことはあるのか。考えたことがあってできないのは一体那辺にその原因があるのか。その辺を一ぺんお尋ねしたい。
  16. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 個人に直接貸し付けるという場合、これは契約者貸し付けに限定されております。で、ただいまお話のありました中小企業者あるいは一般の市民に、たとえば商業を営んでおるような人に直接貸し付けるということは、これはいわゆる政府資金運用という立場から、必ず関係政府関係機関を通してこういうところへ貸し付けるという一貫した方針がございまして、われわれもその方針に沿っておるところでございます。ただ、私どものほうには団体貸し付けという制度がございまして、これは、ややその両極端の中間をいくというような方法で、ある程度の成果をおさめておるのが事実でございます。
  17. 永岡光治

    永岡光治君 団体貸し付けをもって、何人か集まって、それに貸し付けをして、それらを通じて——これは、いろんな要件を満たさなければならぬのだろうと私は思うのでありますが、先般当委員会で問題になっております局舎改善地方公共団体を通じて貸し付けるという制度を持っているわけでありますが、そういう制度はどういうものがあるのか、特定局長さんだけが融資の対象になっているのか、あるいは他に方法がないのか、また将来そういうものを考えようとしていないのかどうか、ですね、地方公共団体を通じて。そういうことについてのお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  18. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) まあ、先般の特定局舎改善のための転貸という措置でございますが、これは従来の公共団体に対する貸し付けというルートを通じて行なったのでありまして、ほかには全くこれに類する例はございません。地方公共団体自体が各個人に金を貸し付けるということは、これはもういろいろの方面でなされておるところでありまするが、まあ、今回の措置のようなものをさらにほかにやるかというお尋ねでありまするが、現在のところ、ほかのものというようなことは考えておりません。
  19. 永岡光治

    永岡光治君 私は、これは政治的な立場での答弁を求めなきゃならぬと思うのです。そういう意味で、大臣なり政務次官ということになるわけでありますが、地方公共団体起債を通じて特定局舎の整備をはかるという方法を開かれたわけでありますが、それを認めるとするならば、郵政当局はそのことを行なうとするならば、たとえば私は、まだたくさんその方法に類似したものを考えるべきではないだろうか、ひとり特定局のみということは少しおかしいのではないか。たとえば、職員の宿舎をつくり、その際に職員がそこへ団体をつくって、その地方公共団体を通じて起債をお願いをして金を貸してもらう、あるいは保険加入をしておる国民層というのはほとんど庶民でありますが、その庶民のいま困っているのは、東京における学生の寮が困っているとか、それを建てたいのだけれども金がない、それはひとつ地方公共団体起債を通じて認めてもらいたい、あるいはまた農業改善をはかる——確かにそれは農業金庫もありましょう。ありましょうけれども、特別なる施設を行なうという場合についてのやはり地方公共団体起債ワクに入れてもらって、地方公共団体から貸し付けてもらう——ただいまは県のようでありますけれども、私は、市町村の場合でも、そういうことは、もし県が是認されるならば、市町村だって同じだと言えると思うのでありますが、同じような公共的な、あるいは社会的な使命を持つ、性質を持つそれらの施設について地方公共団体起債を求めて、地方公共団体がそれに貸すという制度を開くとするならば、郵政当局はそれをノーと言うのか。私は同じ立場考えるべきではないだろうかという立場に立つわけでありますが、その点はどういうお考えでありますか、政務次官のほうに。
  20. 金丸信

    政府委員金丸信君) お答えいたします。  農林関係は、ただいまお話がありましたように、農林漁業金融公庫とかあるいは住宅というような問題になりますと住宅金融公庫とか、おのおのそういう金融関係がありまして、そういう関係から出すことが本来の姿だろうと考えるわけでありますが、そういう意味で、簡易保険積み立て金にいたしましても限度もありますし、そういうような意味合いで、ただいま局長から答弁がありましたような状況考えておらない、こういうことであります。
  21. 永岡光治

    永岡光治君 それであるならば、私は、住宅に相当するものは住宅金融公庫でやるというのであれば、なぜそれじゃ郵便局舎住宅金融公庫なり国民金融公庫ワク——ワクというか、あるわけでしょう、現在は。そういうふうにしないのでしょうか。
  22. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 私どもといたしましては、既存のそういった政府関係機関を通じてやる方法はないかということは検討いたしたのでございます。たとえば住宅金融公庫を通じてやる。この点につきましては、特定郵便局舎というものが一部局長住宅になっておるところもあるわけでありますが、住宅金融公庫を通ずる方法としては、関係の省との意見もこれはやはりその法律の趣旨にそぐわない。さらに、国民金融公庫とか、そういったものもどうかという点も考えたのでありまするが、これもその法律目的運用の面から、特定局舎というものにはぴたりと合わないという結論で、結局、そういう方法ではちょっと現在の法体系のもとにおいては実施不可能という結論に達しまして、先般のような措置をとったのであります。まあその方法は、地方公共団体一般単独事業という中に含まれておるのでありまして、今回の特定局舎の整備のほかに、従前から有線放送関係簡保資金が出ております。  帰するところは、公共団体の公共の目的に沿うかどうかという点に最終の判断の根拠が出てくるのではないかと思いますが、先ほどお話のありましたように、職員の宿舎というものは、こういった方法でなし得るかどうか。この点につきましては、私どもいまだ考えたことはないのでありまするけれども、ただいま申し上げたような公共の目的という線から判断してどうかというようなことは今後検討いたしたいと存じております。
  23. 永岡光治

    永岡光治君 いま、住宅金融公庫から貸し出せないという法的な制限があるというお話でございますが、私はそういうことはないのじゃないだろうかという気がするわけです。私まだ検討していないからわかりませんが。特定局長さんが局舎を建てる。それは個人有ですからね。それで、やがては公共施設に提供しますけれども、それは永久に提供するわけではないわけですね、この郵便局舎というのは。そういうことからしますと、住宅金融公庫で貸して差しつかえないと私は思うのです。また、従来から、それは貸さないという例もなかったのじゃなかろうか。貸してくれておるのが、そういうもので建ったところがあるのではないかと私は思うのです。調べてみなければわかりませんけれども。それはそれとして、やはりそういうことに踏み切るということであれば、もっともっとこういう制度があるとするならば、いま言った局舎のみならず、局舎ではありませんが、住宅だとかあるいは寮だとかいうものを個人がつくりたい、しかしこれは郵政省にお貸しをして、郵政省職員の宿舎に充てるのですというのであれば、同じ性質のものじゃないかと私は理解せざるを得ないのでありますが、これはひとつ、そういうことであれば、片手落ちじゃないかということを私実はただしたかったためにそういう質問をしたわけでありますが、そういう意味で御理解いただきたいと思うわけであります。  それから、いま、それぞれの金融団体を通じて、所管関係農業なり漁業なりあるいはまた中小企業なり、それらの団体についての融資のめんどうを見ているのだ、こういうことでありますが、あるいはまた、その団体貸し付けによって一部はめんどうを見れる道も開かれておると、こういうことでありますが、もっともっと、簡易保険のありがたさといいましょうか、有利さといいましょうか、特性を生かす道は、単なるそういうものでなくて、もっともっと直接に、お互いに、はだに感じ合って簡易保険積み立て金を利用し得る、そういう貸し付け制度というものがないものだろうか。私はそのように考えるわけですが、それは、これが庶民であるし、農民なり漁民なり、中小企業の方々のほとんどが簡易保険加入しているという立場から考えてみましても、それぞれの方々に対する産業なり、その他についてのめんどうを見る必要が私はあると思う。  そこで、中小企業なり、あるいはまた、農業金融公庫等のみならず、郵政省自体においても、そういうことも運用について考える必要があるのではないか。あるいは個人が問題であるとするならば、あるいは団体をつくって、その団体貸し付けるという方法もあるでありましょう。いろいろあるでありましょうが、そういう一つ方法をぜひとも郵政省でこれは検討されてしかるべきじゃないか。これは特に貯金とも関連してまいります。そういう意味での郵政省運用体制というものをもう少し真剣に考えてみる段階に来ておるのではないかと思いますが、その点についてはどういうふうにお考えですか。政務次官のお考えを承りたいと思います。
  24. 金丸信

    政府委員金丸信君) お答えいたします。  ただいまの御質問ごもっともだと私も思うわけでありますが、ただ、郵政省職員の数というような問題、事務が繁雑になるというような問題もありますが、よく研究いたしまして、できるだけ御期待に沿えるように、よくわかりませんが、研究してみたいと考えております。
  25. 永岡光治

    永岡光治君 それでは次に、法案の内容について若干質問をいたしたいと思いますが、今回は、特別養老保険制度を創設したということになっておるわけでありますが、その際に、ここに理由として述べられておりますのは、「生命保険本来の機能は死亡保障にあるのでありますが、この死亡保障のみを目的とした終身保険は、従来、わが国におきましては一般に歓迎されず、貯蓄的要素の濃い養老保険生命保険の主流をなしているのが現状であります。最近における社会経済事情の推移と保険思想普及に伴い、死亡保障に重点をおいた生命保険に対する需要が次第に高まって」きたからこれこれ制度を設けると、こういう説明をいたしておるわけでありますが、これはどういうデータのもとに、こういう見解を結論として得たのか。データがあったら、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  26. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 今回創設いたしたいと思いまする特別養老保険でありまするが、これは、民間では定期付き養老保険というふうに申しておりまして、その民間状況を見てみますると、三十三年度から定期付き養老保険は年を追うごとに一般の養老保険比較いたしまして増加の傾向があります。で、三十三年度は、新契約保険種類別の百分比を見てみますると、〇・七%であったものが三十七年度には一六・三%と、非常に増加いたしておりまして、この三十八年の上半期では、さらにこれが一九・八%と、こういうふうに増加しております。こういう点から考えまして、こういったものに対する国民の要望というものがうかがわれるわけであります。私どもとしては、やはり国民が欲しておるものを簡易保険としても進んで開拓していかなければならない、まあかように考えたわけであります。  それから終身保険でありまするが、これはいわゆる死亡保障保険であります。これに対する国民の要望といいまするか、加入割合というものは、これはもう逐次減少してまいりまして、全体の一五%になっておるのであります。  で、こういったものに対する要望がないのはどういう点にあるかというと、これはいろいろ考えられるのでありまするが、やはり貯蓄性の保険というものが一般化して、なかなかこの終身保険といったようなものに対する加入の意欲が出てこない。特に、死ななければ保険金をもらえないという点が何か日本人の意にそぐわない、といいまするか、結局、保険思想に対する認識が不十分といえばいえないこともないと思いまするが、そういう点、あるいはまた家族制度の面、いろいろ原因はあるかと思いますが、やはり従来からこういったものに対する希望はないのであります。ただ、最近におきましては、こういった死亡保障に重点を置くという考え方が逐次高まりつつあります。これは事実であります。そこで、両者の希望をかなえられる、両者を加味した終身保険の創設という点に踏み切りたいと考えたのであります。
  27. 永岡光治

    永岡光治君 そこで、この改正の十六条の三を見ますと、特別養老保険というものについての定義が出ております。「被保険者の生存中に保険期間が満了し、又はその期間の満了前に被保険者が死亡したことに因り保険金の支払をするものであって、」——満期になった場合と、その満期前に死んだときに両方とも払うのだと、こういうことになっております。しかも、保険期間の満了前に被保険者が死亡したことにより支払いをする場合の保険金額を、保険期間が満了したことによって支払いする金額よりは、その倍額を支払う、こういうことになっているんですね。だから、満期になってもらう保険金額よりは、その前に死んだとき、それのほうが倍になるという、この考え方ですね。こういう思想は何か民間にありますか。初めてですか。郵政省独自ですか。それはちょっと理屈が合わないんじゃないかという気がするんですが、なぜ、保険期間満了前に死亡した場合には倍額を支払って、保険期間の満了の場合は何だか損しちゃったというようなことになるのか。それは、もっとも募集のほうを見ると、いやあんた、これは満期になってもらえるだけ長生きしてよかったんですよ、それを喜ばなきゃいかぬということで言われますけれども、そこのところ少しばかり納得しかねる点があるんですが、その考え方について御説明願いたい。
  28. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) これは、民間でやっておるのと全く同じであります。考え方といたしましては、今回の特別養老保険は、いままでの養老保険に定期保険をくっつけたものという考え方に立っております。ですから、たとえば五十万円の養老保険に入りますと、これは満期になれば五十万支払います。それから満期前に死亡した場合にも五十万は払うわけです。そこに今度は、十五年なら十五年の定期保険をつけ加えたものがこの特別養老になるのですが、その際やはり五十万の定期保険がついているわけですから、満期になりますと、十五年たってしまいますと、定期保険部分は消滅して、保険金支払いというものはないわけです。これは掛け捨てでありまするから。それで、死亡した場合にのみ五十万を払うということになりまして、死亡した場合には、定期部分の五十万と養老部分の五十万、合わせて百万が支払われる。満期になりますると定期保険というものは消滅してしまいまするから、もともとの五十万だけを払う、こういう仕組みになっておるわけであります。
  29. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、長生きしたほうが損になっちゃうわけですね。満期になった翌日死んでも、これはだめですね。五十万。その前日死ねば倍額もらえるということになるんですか。そういうことですか。
  30. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 定期保険は、これは満期という観念がないものでありまして、いわゆる一年、短いのは一年の間保険料を払う。それは掛け捨ての保険であります。火災保険と観念が同じでありまするから、死ななければ保険金支払いということはないわけであります。ですから、満期になって翌日——本体の養老保険と定期の期間は同じにしてありまするから、満期になって翌日死ねば……死ねばといいますか、満期になったその時点で定期保険というものは消滅してしまう、こういう考え方であります。
  31. 永岡光治

    永岡光治君 考え方は一応わかりました。  それからついでに内容と関連がある問題についてお尋ねしたいのですけれども地方に参りまして、私どもしばしば陳情を受けることがあるわけです。おとうさんやおかあさんが生きておって、その子供が被保険者になっておる。ところが、途中でおとうさん、おかあさんがなくなって、契約者と申しますか、それがない、そういう場合、何かそれを継続させる便法はないのか。本人はそれは切りかえて保険契約者になることもできるでありましょうが、それにしても子供でもあるし、なかなか生活ができない、保険料を払うだけの能力がない、こういう場合が一つあるわけです。それからいま一つは、自分が契約をしたけれども契約者自身が非常な致命傷を、働くことのできない障害を受けた、その場合、一方は、ある年齢がくれば保険料を支払うだけの能力を期待できる状態、一人は永久的に期待できない致命傷、ほとんど働くことのできない不具廃疾になるわけですね。そういう場合についての保険金支払いなり、保険契約の持続について、何か特別の方法考える必要があるのではないかと思うのですが、そういう制度は今日ありますか。
  32. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 第一点の、契約者が死亡した場合でありまするが、被保険者が十歳未満の場合に限定しておりまするが、契約者が災害によって死亡したといったような場合には保険料を免除いたしております。それから契約者が死亡に至らなくも、障害にかかったといったような場合も同じ扱いをいたしております。
  33. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、契約者が不具廃疾になった場合には、その保険料は免除されるわけですか。
  34. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 被保険者が十歳未満の場合に限定いたしております。
  35. 永岡光治

    永岡光治君 被保険者が十歳をこえておるときは、それは免除できないわけですか。
  36. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) さようでございます。
  37. 永岡光治

    永岡光治君 その考え方はどういうところにあるのでしょうか。十歳未満ではいいけれども、十歳以上ではいけないと……。
  38. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 十歳未満ということ、これは、被保険者が十歳未満の場合には契約者が限定されております。それで、限定された契約者保険料支払い能力がなくなったということでありまするので、これは免除するのが当然であると、こういう考え方に立っておるわけであります。
  39. 永岡光治

    永岡光治君 もしそういう考え方を進めるとするならば、かりにまあ二十歳、青年時代に、成年者が契約して、しかも自分を被保険者にして、そうして不具廃疾になった、自分の過失であるか、あるいは列車事故であるかわかりませんが、要するに不具廃疾になった、そのときは免除しないわけですね。するのですか、しないのですか。
  40. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) その場合には保険金支払いをいたします。
  41. 永岡光治

    永岡光治君 その不具廃疾には限定されているのじゃないですか。その汽車とかなんとか、それによって足や手をも切断されてしまって、ほとんど寝たっきりだということで。  それからもう一つは、傷病関係で問題になるのですけれども、肺病関係ですね。世にいう肺病ですが、不具廃疾でほとんど働けない、寝たっきり、そういう場合でもやっぱりこの条文に該当しますか。
  42. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 簡易生命保険法の四十五条に「廃疾に因る保険金の支払」という条項がございまして、廃疾の具体的の事例というもの、これは法律で限定されておりまするが、そういった廃疾になった場合には保険金を支払う、こういうたてまえをとっているわけであります。
  43. 永岡光治

    永岡光治君 これを見ますと、「両手を失ったとき」「両足を失ったとき」「片手及び片足を失ったとき」「両眼が失明したとき」、こういうことになっておるわけですね。疾病で不具廃疾になったということはこの中に入っていないように思うのですが、それはどうですか、入りますか。
  44. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 疾病によってこういう状態になった場合も含まれます。
  45. 永岡光治

    永岡光治君 私の言うのは、結核でも、寝たきりで、働けないのだ、死を待つばかりだ、しかもこれが五年も十年も生きている場合もたくさんあるのですが。
  46. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) 現行法におきましては、はっきりと、たとえば「両手を失ったとき」とか、「両足を失ったとき」というふうに限定されておりまするので、結核で寝ておってこういう状態になるということは考えられないわけであります。今回は、さらにその範囲を広げまして、現実にこれら両手とか両足がなくならなくても、その機能を失ったという場合には適用しよう、こういう考え方であります。
  47. 永岡光治

    永岡光治君 そこで、その精神を貫くとすれば、機能を失うというわけですから、それが両手を失わなくても、働けないという状況は同じだと私は思うわけです、疾病によっても。この条文によると、故意でなければいいわけですから、この故意というのはどういうふうにするのかしりませんけれども、結核でも、両手両足を失う以上の、いわば働けない人がたくさんいるわけです。それ以上にひどい人がある。そういう不治の病といいますか、そういう場合について、これは働く機能を失う分については同じ精神だと私は思うのですが、ただ外見で、手がなくなる、足がなくなったから、それはいいのだ、しかし内臓器官で働けないのは、それはこの限りでないということになると、やはり片手落ちではないかと思うのですが、その精神をずっとこう考えていくと、疾病でも該当してもいいのじゃないかと思うのですが、その点はどう考えているのですか。
  48. 田中鎭雄

    政府委員田中鎭雄君) ただいまのお話まことにごもっともな御意見と存じますが、この規定は、特に現行法の精神は、はっきり目で見えるとか、判別が非常に容易であるという点に重点を置いて規定してあるわけであります。たまたま今回改正しようといろ趣旨は、やはりそういう思想を放棄したわけではないのであります。今回のように「用を全く廃した」というような表現にいたしますと、従来よりもややそういう識別は困難で、あるいは医師の診断といったようなことも必要になってくるかとも思いますが、私どもとしましては、極力判別が容易であるという点に、取り扱いの簡便その他を考慮いたしまして、限定したいという気持ちは、依然として持っているわけであります。
  49. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 暫時休憩いたします。    午前十一時三十六分休憩    ————————   〔休憩後開会に至らなかった〕